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【SS】幸子「ボクの大切な人へ…」
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こんにちは。世界一カワイイアイドル輿水幸子です!
今ではすっかり人気者のボクですが、今日はこれまであったことをお話したいと思います。
少し長くなりますが、よろしくお願いしますね!
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楽しみ
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実は、ボクにとって今の事務所は二つ目なんです。アイドルになって初めて所属した事務所では・・・あまり上手くいってませんでした・・・。
念願のアイドルになれて張り切っていたのですが、プロデューサーの人も付かず、他のアイドルの人たちからは・・・、その・・・鼻つまみ者と言ったらいいんでしょうか。避けられたり、こっちを見てクスクス笑われたりしていたように思えました・・・。ボクの「自分が一番カワイイ」というスタンスがよくなかったんでしょうか・・・。
でも、アイドルになれたことをとても喜んでくれたパパやママに、そういう状況にあることを言うことはできませんでした。
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・・・ボクはひとりぼっちでした。
ある日、他のアイドルの人のバックダンサーのお仕事が入りました。担当プロデューサーはいないので、自分で現場に移動し、淡々とお仕事をこなしていました。ステージが終わると、他のアイドルの人たちはボクと目を合わせることもせずに帰っていきました。
ボクはひとり、ステージ裏のベンチに座りながら、うっすらとアイドルを辞めることを考えてました。
その時です。うなだれるボクの目の前にペットボトルのミネラルウォーターを握った手が現れました。
「ひいっ!」
急な出来事にボクは悲鳴をあげながら驚きました。
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手の主は慌てながら、ボクを驚かせてしまったことを謝っていました。なんだかそそっかしい人ですね。
その人は別の事務所の「プロデューサー見習い」だったようです。ステージが終わった後にひとりでベンチに座っていたボクの様子を見かねて、お水を差し入れてくれたようです。
「・・・あ、ありがとうございます。」ボクはお礼を言いながら、お水を受け取りました。
すると「プロデューサー見習い」さんは、さっきのボクのステージ上でのダンスをとても褒めてくれました。
あんなに真っ直ぐな目をして踊っているアイドルはなかなかいない。それにとても「カワイイ」と。そんな素晴らしいアイドルが舞台裏のベンチでひとりぼっちで暗い顔をしていたので、思わず水を差し入れてくれたようです。
ボクはその言葉を聞きながら、思わず小さな子のように泣きじゃくって、パパやママにも言わなかった辛かったことを口走ってしまいました。「プロデューサー見習い」さんは、そんなボクの話を頷きながら肯定してくれました。
それから間もなくでした。その事務所から移籍のお話をいただいたのは・・・。
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もともとボクをあまりプロデュースしてくれる気がなかった事務所だったので、移籍の話はスムーズに進みました。
そして新しい事務所に出社する日になりました。
まずは、事務員の千川ちひろさんという方とお話をすることになり、ちひろさんは優しくお仕事や事務所について説明してくれました。
「以上でだいたいのお話は終わりました。幸子ちゃん、ウチで働いてもらううえで何か要望はありますか?」
「いえ、ありません」と言いかけましたが、ボクはあの人のことを思い出しました。
「あの、もし大丈夫なら・・・、ボクにお水をくれた人を担当にしてください。」
「ん?お水をくれた人?」
ボクは「プロデューサー見習い」さんのことをお話しました。
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なんか始まってる、
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「うーん、その要望には応えられないかも・・・」ちひろさんはこう言いました。
「なんでですか・・・?」ボクは返します。
「あくまでまだ見習いなんですよ。それに・・・もうあの人の同期は皆プロデューサーとして活躍してるんですが・・・。あの人だけはまだ・・・」
「なら、ボクが初めての担当アイドルですね!」我ながらなかなか生意気な言葉です。こういう言動も前の事務所でうまくいかなかった一因だとボクが反省していると、
「たしかに、とても優しい人ですからね。ちょっと控えめ過ぎるところがあるから、幸子ちゃんぐらい元気な子を担当した方が良いかも・・・。わたしの方でも上の人にお話してみます。」
「あ、ありがとうございます!ちひろさん!」
こうして「プロデューサー見習い」さんは、ボクの「プロデューサー」さんになりました。
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プロデューサーさんと会って最初にしたことは、「ボクのアイドルのスタンス」についての相談でした。ボクは自分を一番カワイイと思っていますが、視聴者の方や周囲の方に不快感を与えないだろうか、と少し心配していました。
プロデューサーさんは「絶対にフォローするからボクのやりたいようにやってほしい。」と言ってくれました。ボクがボクらしくあることが一番カワイイからだそうです。ちょっと頼りなさげに見える人ですが、この時はちょっと頼もしく見えました。なので、ボクは自分の信じる道を行くことにしたのです。
それからは色々なことがありました。最初は全然お仕事がなかったのですが、小さなイベントに出たり、他のアイドルの人たちのバックダンサーをこなしたりして、お仕事は順調に増えていきました。
でも、なんだか体を張ったお仕事も増えてきました。バンジージャンプ、スカイダイビング、動物とのふれあい・・・挙げればキリがありません。
その一方で、アイドルらしい服を着て、歌って踊る仕事も入るようになりました。そして、念願のソロCDも出してもらいました。
また、事務所の人たちは良い人たちばかりで、たくさんのお友達もできました。
まさに順風満帆でしたが、そんな時にボクは信じられないことを耳にしました。プロデューサーさんがボクの担当を降りることを考えていると・・・
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ボクはプロデューサーさんに噂の真意を問いただしました。どうやら、本当だったようです・・・。
「なんで、なんで、そんなことを考えるんですか!」ボクは泣きそうになりながらプロデューサーさんを問い詰めました。
するとプロデューサーさんは、ボクのポテンシャルに気づいたので、もっと優秀な人に担当になってもらうことを口にしました。
「ボクはアナタだから今までアイドルをやってこられたんです!もしプロデューサーさんが降りるならボクはアイドルをやめます!」初めてプロデューサーさんに本気で怒りました。
するとプロデューサーさんは涙を流しながらボクに「ありがとう」と口にしました。大人の人が泣いているのをはじめて見たので少しビックリしましたが、その後も引き続きボクを担当することを約束してくれました。
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それからのボクはまさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした。音楽番組はもちろん、バラエティ番組にも多く出演し、たくさんの人たちに愛されるアイドルになったのです。事務所の周年ライブのメンバーに選出されたり、たくさんのユニットでカワイイを振りまいています。フフーン!
おや、プロデューサーさんがトボトボしながら部屋に入ってきましたね。また仕事でミスをしたんでしょうか?まったく、しょうがないですね。
仕方ありません、ボクが元気づけてあげましょう。
「どうしたんですか?プロデューサーさん」
おわり
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いつもの幸子スレの前日譚かな?
いいゾ〜これ
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幸子スレを見る度に喜びを感じる
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この前も久々に幸子スレ立ってたしまた幸子スレ流行らせコラ!
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幸子ありがとう…
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いい!いい!いい!
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幸子スレは永遠に続いてほしい
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最高のSS
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