昼休みに流れたそのニュースに、先輩社員が反応した。
「あらぁ、若いのに可哀そう...▲▲ちゃんはこの子知ってる？」
「何度か一緒に走ったことがあります。」
「速かったの？」
「速かったですよ。私よりずっと」
一昨年だろうか、たまたま街中で彼女に会った。
レースを退いた後、働く場のないウマ娘たちのために会社を作りたい。
その夢のために資金が必要で、ほどんど休まず働いていると言っていた。
ニュースによると幾つもアルバイトを掛け持ちし、無理が祟って事故を起こしたらしい。
あの時有馬を獲ったことは、私の一生の数少ない自慢だ。
でも、その程度では所詮「そこそこできる」止まりだった。
走る側でも、走らせる側でも結果を残す。それがあの業界で生き残る条件だった。
私はその「第二ラウンド」に敗れた、それだけの話だ。
そして彼女は夢のために生き、夢の途中で旅立った。
決して悲劇ではない。
彼女の物語も、私の物語も。
「あ、そろそろ昼休み終わるわね。午後も頑張りましょう」
「はい。」
【続いてのニュースです。日本代表マルゼンスキー監督はイギリス遠征への意気込みを尋ねられ...】
本名：鐘山由紀
■■年有馬記念で一着など優秀な成績を残すが、
トレーナー転身後は優秀なウマ娘を輩出できず、
××年北海道トレセン分校に転任、翌年退職する。
その後の消息は不明。
ドキュメンタリー番組「ウマ娘たちの軌跡」でも
彼女が取り上げられたが、トレセン分校からは個人情報を理由に
取材を断られた、との説明が番組中でなされた。
全然フィジカル関係ない仕事とかしててほしい
競走馬の名付け方に詳しくないので名付け方ガバガバかもしれません