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【ウマ娘SS】そのウマ娘、名声と悪名を轟かせ
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・このSSは「ウマ娘プリティダービー」の二次創作です。
・現在ウマ娘化されていない…どころかおそらく今後もほぼされないであろう競走馬をモチーフにしています
・元ネタ名はSS本編中には出しませんのでクイズとしても楽しめます
・うまぴょいは復活したんだ。君は輝けるトレーナー生活の、その一歩を踏み出すときが来たんだ
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「……さて、どうしますか」
「トレーナーなしではレースには出られない。とはいえ彼らに下げる頭は持ちあわせていませんし」
「どこかにちょうどよさげなのが転がっていませんかね」
「ボンクラでも何でもいい、トレーナーって札を首から下げて立っててくれれば……」
「……おお?あの妙な恰好の男、盛大なため息を漏らしている……」
「手に持っている書類は……おやおや?」
「これは奇貨を見つけたかもしれませんね?」
「……私があなたのため息のワケを当ててあげましょうか?」
「おやおや、そんなに驚かれるとは心外ですね」
「見たところ、ウマ娘の本場であるここでトレーナー修行をしようと意気揚々と来たはいいが……」
「許可はもらったはずなのに、なぜかどこに行ってもウマ娘を紹介してもらえなくて途方に暮れている…」
「……大当たりでしょう?」
「ここにいらっしゃる素敵な方々は余所者に優しくする文化がないんですよね。プライドが高くていらっしゃるので」
「ま、薄汚れた格好で来た方にも大いに問題はありますが?どこの田舎からやってきたんです?」
「ふむふむ……どこかの島、でしたよね?」
「そこからツテもコネもなしでここまで?……ある意味大物ですよ」
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「さて、常識知らずの異邦人さん。一つステキな提案をしてさしあげます」
「あなたにとっては天の恵みでしょうから、首を縦に振る準備をしておいてくださいね」
「私のトレーナーになりなさい。ひとまず次のレースまで」
「そうすればここでのあなたの活動がぐっと楽になりますよ」
「……おやおや、私のことを知っているのですか。なかなか勉強熱心ですね」
「そうですよ、次のレースというのはダービーです。初勝利がダービーだなんて最高ですね」
「どうしてそうなったのか話がつかめない?もともとのトレーナーはどうした?」
「……はぁ、疑問が出るということはオファーに前向きだと解釈していいですよね?」
「提案を受けていただけるなら、事情は説明しますよ。といってもそこまで複雑ではないですけれど」
「あるいは引き続き誰からもオファーの来ない生活を送っていただいても結構ですよ?眺める分には面白そうですし」
「……ふふん。ひとまずダービーはよろしくお願いしますよ、トレーナー」
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「で、トレーナーがいない理由ですか」
「……そこらへんのウマ娘に聞けば、ぴーちくぱーちく教えてくれますけどね?」
「簡潔に言えば、私が前のトレーナーをクビにしたんですよ」
「数日前のことです。彼は業務中にケガをして、入院することになりました」
「彼は言いました。"レース本番には退院できる、それまでのトレーニングは既に代わりを頼んだ"」
「そして、"君がいつも通りなら大丈夫だよ、がんばってね"と」
「ふん、思い出したら笑えてきますね。私のいつも通りとはなんです?それで確実に勝利できるとでも?」
「レースは一度限りなのに、そこに向けて"いつも通り"の力が出せればなんて言われるとはね」
「……よく言えばお利口さんなんですよ。お医者さまのいうことをちゃんと聞いて安静にしていられる人」
「そして私のことを信じていて、病院を抜け出してまでも最後までビシバシ鍛える必要はない。そういう人でした」
「…………私の執念じみた考えの方が異端なんでしょうけれどね」
「だから私はトレーナーに別れを切り出して、晴れて根無し草になったというわけです」
「とまあ、円満だったはずなんですがね?」
「ゴシップというものは耳に入って口から出るまでに随分大きくなるもののようで」
「気がつけば、私がトレーナーをケガさせた上で手ひどく罵ったことになっているんですよね」
「"最初のパートナーをあっさり切り捨てて、より優秀な人材を漁る冷酷な女"ってことになっちゃったわけです」
「……あながち間違ってはいませんね?」
「挙句、トレーナー共もその噂を吹聴しはじめまして。まあ本気で信じてはいないんでしょうけど」
「"有力候補が消えればウチの子にチャンスが巡ってくるかもしれない"、そんなとこでしょうね」
「トレーナーがいないと規定上出れないもので流石に困っていたところ、あなたを見つけたんですよ」
「ふふふ、話を聞いてやめたくなりましたか?曰くつきのウマ娘なんて願い下げ?」
「……ふぅん?いい眼をするじゃないですか」
「まぁ今更断ってももう遅いですけどね。ダービーを勝つため、頼みましたよ」
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「……ふぅ、際どい勝負でした」
「写真判定まで迫られるとは。これだからレースというのは予想がつかない」
「そしてその上で、私の渇望がわずかに優っていた。私の行いが正しいと証明された」
「私が、ダービーを勝った……。ははは、掛け値なしにいい気分です」
「観客の皆様も素晴らしいレースが見れて、さぞご満悦でしょうね」
「……ああ、もちろんあなたもよくやってくれました」
「鍛錬は限界まで厳しく、かつ休養も適切。ええ、あなたは優秀なトレーナーです」
「あのときの偶然に感謝しますよ。よい拾い物でした」
「……そういうわけで、ご苦労様。契約満了ですね」
「おやおや、なにをそんなに驚いて。もともとそういう話だったでしょう?」
「大丈夫です。あなたはダービーを勝ったトレーナーという箔がつきましたし……」
「私があなたを切り捨てたという形なので、少なくとも私以上には悪く言われません」
「トレーナー、あなたがここに来たのは武者修行でしょう?」
「であれば、いろいろなウマ娘に関わって実力を磨くのがベストです」
「……ダービーに勝って、拍手一つ貰えない女の前にいては腐ってしまいますよ」
「まぁ心配しないでください。私はどうにかうまくやっていきますし……」
「あなたの担当しているウマ娘と会ったら完膚なきまでに叩きのめしてあげますから」
「ふふ、またどこかで会いましょう」
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「……"どこかで会いましょう"。ええ、確かにそう言いましたがね?」
「一戦後にまた私のトレーナーになりたいなんて来るのは想像してませんよ」
「ああ……今日の無様な走りを嘲りに来たって口ですか?」
「それなら存分にお受けしますが……ま、そんなわけないでしょうね」
「どこまでも生真面目な男ですよ、まったく」
「……それで?なんのお話ですか?」
「…………ふ、ふふふ」
「俺の方が君の実力を引き出せる、ですか?……ふふふふふ」
「よくもまあそんな気恥ずかしいことを宣えますね」
「……本心でしょうから余計タチが悪いんですけれど」
「一つ言いますが、今回の敗北は紛れもなく私の責任です。雨を考慮していなかった愚か者は二ケタで然るべきです」
「今の私の実力がアレです。今後華々しく活躍できるチカラなんて、そもそも私にはないのかもしれませんよ?」
「……それでも信じるんですか、私を?」
「……はは!確かに似た者同士かもしれませんね」
「お互いに勝ちに貪欲で、他者の評価に無頓着で、執念深い」
「だからこそ勝たせたい、ですか。……そこまで言われてしまうと、私もあなたを勝たせなくては気が済みませんね」
「ではいつまでになるかはわかりませんが、力を貸してもらいますよ」
「……そうそう、次のレースは新しくできたコレに出ようかと思います」
「ええ、その通り。無敗の彼女が出てくるレースです」
「前のトレーナーに提案したら却下されてしまいましたが、あなたならどうします?」
「……期待通りの答えですよ、トレーナー」
「ふふふ、こんなに愉しみなレースは久しぶりかもしれません」
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「それにしても……臆病者はみな観客席に逃げ込み、残った挑戦者はたった4人ですか」
「まぁ、それもやむをえないか……圧倒的ですからね、かのウマ娘は」
「だとしても、戦わずして逃げた敗北主義者が多すぎます」
「……事実を言ったまでですよ、トレーナー」
「実際、我々も人のことを言えた人気ではないですし」
「……それでも勝つのは私たちです。彼女を潰す訓練をしてきましたからね」
「こちらを油断はしていないでしょう、でも軽視はしている」
「だからこそ、戦術をガラリと変えた上で、彼女の対応のさらに上を行く」
「……さて、時間ですか」
「観客の皆様方と期待の人気者に見せつけてきますよ」
「お前たちにはできない闘い方があるとことをね」
「は、ははは……」
「はは、ははははは……!」
「作戦は完璧に成功し、見事無敗のウマ娘を打ち破って……」
「……それで得たのがこの無音の勝利とは」
「くだらない、実にくだらない」
「……結局私が走ったことで得られたものは悪名ですか」
「ええ、ええ、実に結構!せいぜい望まれた役回りを派手に表現してみせましょう」
「……観客席から拍手一つないからといって、あなたが無茶をして手を痛める必要はありませんよ」
「拍手の乱打と誉め言葉の雨を一人から浴びせられてしまうと、かえって安っぽく聞こえてしまいますね」
「……ふふ、冗談ですよ。あなたはいつも生真面目ですからね」
「それに褒められるべきはトレーナーもでしょう?」
「大逃げで焦らせた後で二の足を使い圧倒する。常識外れにも程がある」
「レースのことを、私のことを正しく理解しているからこそ型破りな戦い方を提案できた」
「…………まぁ、私が見込んだトレーナーですから当然ですかね?」
「……さて、と。いつまでも記者を待たせるわけにはいきませんね」
「たっぷり慇懃に振舞って、観客の皆様が期待している仕上がった悪役像を見せてあげますよ」
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「おや、トレーナー。奇遇ですね?」
「今日は練習なしだと言ったはず?おや、練習以外でコースに来ることもありますよ?」
「たとえば、自室にも食堂にもいない自分のトレーナーを探しに来たりとかね」
「……左の尻ポケットからよからぬものが見えていますよ」
「ふふ、新聞を隠すのがヘタですね。ちょっと拝借しますよ」
「どれどれ……"世紀の悪役、大誤算!"、"チャンピオン殺しは死んだのか?"、"凱旋門で悪夢は潰えた!"」
「見出しからこれですか。……勝った娘についてもっと取り上げてあげればいいものを」
「……私が今更気にするわけないでしょう?ダービー以来慣れっこですよ」
「そうあれかしと自ら望んで振舞ってきましたからね。むしろ本望です」
「……ただ、あなたまでこの汚名を被る必要はありませんからね」
「やめてもいいんですよ、私のトレーナーを」
「他の娘たちの指導も上手くいっているようですし、すでにかなりの実績もある」
「しかも今なら私に脅されていたって言えば、醜聞もなくむしろ周りを味方につけて……」
「…………おやおや、あなたも頑固ですね」
「私は執着するほどのウマ娘じゃありませんよ。ただの空気が読めない、性根の腐った女です」
「卑下?単なる客観視ですよ」
「……ええ、そうですね。今は次のレースを勝つことに拘りましょう」
「レースを勝って、周りを見返して、疎まれて、それを打ち砕くために次のレースにも勝って……」
「…………ふぅ」
「……いえいえ、なんでもありませんよ」
「それにしてもこの新聞の煽りはセンスがないですね。シンプルすぎる、感情を逆撫でしようとする気がない」
「私ならもっと毒のある言葉を使いますよ?たとえば、そうですね……」
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『勝ちにつながった決め手?ありませんよ、そんなもの』
『ああ、あえて挙げるなら……"私が強かったのではなく周りが相手にならなかった"ってことですかね』
『……敗者に対して失礼?おやおや、記者の方から発言の非礼を注意されるとは!』
『面白い冗談ですね、あなたの書いたどんな記事より意味のあるジョークです』
『……トレーナーの協力?……ああ、そんなことですか』
『確かに以前はありがたかったですよ。ですが今の私にとっては、悪影響の方が大きいですかね』
『私のやり方にいちいち口を挟むのが鬱陶しいんですよ。しょせん修行中の身なのにね』
『今の発言の意図?それを読み取るのが記者の本分でしょう?』
『それでは失礼いたします』
「…………あなたの故郷ではドアをノックする習慣がないんですか?」
「息せき切って駆け込んできて何事ですか、トレーナー?」
「今の勝利者インタビュー?私の心中を語っただけですが、なにか問題でも?」
「……ああ、あなたにはまだ伝えていなかったのに先にインタビューで言ってしまうとはうっかりしていました」
「今までご苦労様でした。今日限りで私のトレーナーをクビにします。……二度目の解雇通告ですね」
「どうして、とは?耳さえマトモなら、あのインタビューを聞いていればわかるはず……」
「………………!」
「……あれが私の本心であるはずがない?」
「…………そんな情けない顔なのに、それほど力強く断言されると、用意していた皮肉の一つも出てこなくなってしまう」
「泣くのか、怒るのか、せめてどちらかにしてください。……私を困らせないでください、トレーナー」
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「ふぅ……少なくともあなた以外はアレが私の本音だと思っていますよ」
「……ええ、そうですよ?自分自身、あれが私の偽らざる気持ちだと信じています」
「当たり前でしょう?あなたのことなんて……なんとも思っていませんよ」
「特別でもなんでもない、どこにでもいる、トレーナー……ええ、そうですとも」
「……これ以上の話は無意味です。すでに手続きは済ませました。会話を続ける必要性も感じません」
「あなたは私からひどい仕打ちを受け、罵詈雑言を浴び、こき使われた挙句に捨てられたんですよ」
「私は悪で、あなたはその被害者です。……あなたがどう言おうとね」
「…………では、もう二度と会わないことを心の底より願っています」
「……さよなら、トレーナー」
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久々にいいゾ〜これ
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「……"もう二度と会いたくない"と、そういう意図で言ったんですけれどね」
「……ははは!耳が相当悪いのは確かでしょうね。あのインタビューを信じなかったぐらいですから」
「明日故郷に帰るんでしょう?こんなところで引退したウマ娘と話しているヒマはないはずでは?」
「……今日を逃すと本当にそれきりになりそうな気がした?」
「まったく……そういうカンは一流ですね、トレーナー」
「…………今から言うことはお世辞で、私の本心とはまったく関係のない話なんですが」
「ダービーも、無敗の彼女を倒したレースも、最後に勝ったあのレースも……」
「あなたの力なしでは勝利しえなかったと、そう確信しています」
「……ええ、もちろんお世辞ですとも」
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「似た者同士だと、いつかそう言っていましたよね?あの言葉、少し修正させてもらいますよ」
「お互いに勝ちに貪欲で、他者の評価に無頓着で、執念深くて……」
「でもあなたの方がちゃんと周りも自分も見えていた。トレーナーとして大成するという軸がぶれなかった」
「……最初はあなたと同じで、周りからどう見られようと勝ちに拘るのが私の生き様だったはずなのに」
「いつしか周りを見返すことに執着しすぎて、走ることが、勝つことが手段になっていた」
「…………まぁ、何かに執念深くなりすぎること自体がダメなんでしょうね」
「いつもニコニコしていて、走るのが大好きで、無心でがむしゃらに勝利を追い求める」
「それがきっとみんなから愛されるウマ娘のあるべき姿なんですよ」
「私のような者は彼女たちの前に立ちはだかり、そして敗れる悪役であるべきです」
「…………なるほど。あなたはそれを是としないんですね」
「他者への妬み、理解のない周囲への怒り、自分に対するコンプレックス……」
「そんなマイナスの感情すらも力に変えられるウマ娘こそヒロインにふさわしい……」
「まさしく私のような……?やめてください、怖気が走ります」
「こう見えて、自分では悪役が結構気に入ってるんですよ?人をバカにするのは楽しいので」
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「昏い感情を原動力に勝利を目指す、頂点たらんとするウマ娘はきっとまた出てくるでしょう」
「怒りや哀しみや憎悪は爆発的な推進力を生みますが、いつしかそれは行き場を失って……」
「やがては自らを孤独に追い込み、そして押しつぶすでしょう。時には生命ごとね」
「彼女たちと向き合って、負のエネルギーの昇華へと導く。そんなトレーナーがいてもいいんじゃないでしょうか?」
「誰とは言いませんがね、私はそれができそうな人をたまたま一人知っているもので」
「彼に伝えておきますよ。……私が認めたお前の実力を信じろ、と」
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「……はい?なんです、この書類は?」
「スカウト申請書……?この私を?新しい選手スカウトに推薦した?」
「いつの間にこんな無理を通せるコネクションを……すっかり都会の流儀に詳しくなってしまいましたね」
「ただね、あなたはご存じないかもしれませんが、私の悪名って結構広まっているんですよね?」
「そんなヤツにスカウトされて、この世界に入ってこようとする少女がいると思いますか?」
「……英雄に憧れる以上に悪役に憧れるヤツは一定数いる?ふん、もしかして今更自己紹介ですか?」
「……でもまあ面白そうではありますね。前向きに考えておきますよ」
「私の見込んだ不満を抱えている問題児たちがキラキラ輝く優等生を叩きのめす場面も見てみたいですし」
「あなたのところにもいつか私の薫陶を受けた才女を送り込んであげますよ」
「……そろそろ出立の時間でしょう?」
「あなたにはトレーナーの才能がある。そしてそれを活かさないのは罪です」
「神が許しても私が許しません。故郷に戻っても活躍し続けてくださいね?」
「遠く遠く離れたこの国まであなたの活躍が聞こえてくるのを……期待せずに待っていますから」
「また会う日までお元気で、私のトレーナー」
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・日本で活躍したウマではなく海外のウマ
・現役時代はG1勝利経験もあるがヒール役
・種牡馬としてはきわめて優秀で、ウマ娘になった競走馬にも子孫が複数
じゃあ俺京成盃グランドマイラーズ買ってくるから…
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孫の1人がこれまたヒール呼ばわりされるのは数奇だなぁ。
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これもう分かんねぇな
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喋り方がタキオンの全兄(姉)だし僅差のダービー馬だしでアグネスフライトかと最初思った(無知)
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「……あなたの国は蒸し暑すぎますね」
「同じ島国なのに、どうしてこうも違うのやら」
「わざわざこんなところに私を呼びつけたのですから、それ相応のものは見せてもらいますよ」
「ふむふむ……特別講師として、今持っている生徒たちの走りを評価してほしい?」
「……この人数全員を指導しているのですか?複数人に分裂できるとは知りませんでした」
「総監督?……ふぅん、私の知らぬうちにあなたも随分偉くなったんですね」
「もちろん期待された役割は果たして見せますがね、トレーナー。走りを見て評価するだけなら私である必要はないでしょう?」
「見ているだけで何かを知った気になった他者にあれこれ言われるのは虫唾が走るという者もいるでしょうし」
「現に、こうしてあなたと私が親密に話しているだけで……こちらを刺し、射殺すような視線がいくつか飛んできていますし」
「……まったく感じない?……相変わらず奇妙なところで鈍感ですね、"私のトレーナー"は」
「…………ふふふ、心地の良い殺気です」
「そうですね……では、あなたが選抜した生徒たちと私とでレースを行うというのはいかがですか?」
「きっと面白いレースになりますよ?」
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「……それで、これがあなたが選んだ生徒たちですか」
「何人かは自分から志願してきたでしょう?……その身の程知らずたちを当ててみせましょう」
「まず真っ先に分かるのがあのシャドロール……それから向こうの飛行機のまねごとをしている娘」
「片方は闘志、もう片方は好奇心を秘めた眼です。どちらも忌々しくなるぐらい純粋ですね」
「あの二人をこの世界に誘ったのは私の門下でして、現役時代は牛みたいな図体でどんくさい娘だったのですが」
「スカウトとしてはなかなか優良だったみたいですね。今こちらにいるのでしょう?久しぶりに会って苛めてあげますか」
「それから奥の栗毛の娘。アレはなかなか……度し難い性格をしていますね」
「……素直で実直、マジメないい子?ふふ、そういう仮面を被りなれているんでしょうね」
「あの笑顔は自負と執念に裏打ちされたものですよ。勝つべき相手に勝ってきたという誇りが透けて見えます」
「そんな彼女が追いつくべきライバル、追い越すべき強敵を見つければ……」
「なかなか愉しいことになると思いますよ?早く運命の娘を見つけられるといいですね」
「自分から志願してきたのはあともう一人いる?…………ああ、見つけました」
「辛気臭い顔をしているクセに、私たちのほうをずっと窺っているあの娘ですね」
「……ふん、あの娘が一番キライですね。自分は皆から嫌われて然るべきだと自覚している顔です」
「そのクセどうしても譲りたくないモノのためなら悪魔に魂を売り渡せる、そういう精神性を持った面構え……」
「どうしてそこまで言えるのか?……現役時代のどこかの誰かにそっくりだからですよ」
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「まぁ、見知らぬ国が舞台でも、孫弟子たちが相手でもなんら問題ありません」
「実戦から離れて久しいですが……あの時の気持ちが今まさに湧き上がってきていますよ」
「周りから怖れや敵意を向けられて、それを跳ね返さんとする自分の意識を勝利へと向ける……」
「ははは!あなたの生徒たちに日常では得難い経験を積ませてあげます」
「……そして完膚なきまでの敗北の味をたっぷりと教えてさしあげましょう」
「世紀の大悪役、ロベルトの走りを久しぶりにとくとご覧あれ」
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そういうワケでロベルトでした。知らない人は、ググろう!
英国紳士(淑女)(生まれはアメリカ)なので皮肉屋で慇懃無礼。
現役時代に二回も称賛されない勝利を飾ったことからひねくれた性格にしてみました。
たぶんライスシャワーとグラスワンダーのめんどくさいところを足してナリタブライアンの意志の強さを二割増にしたぐらい。
みんなも架空ウマ娘、書こう!
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凱旋門のくだりでようやくわかった
ブリガディアジェラードを破ったレースって今のインターナショナルステークスなんですね
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昔の架空ウマ娘シリーズもすき
まとめられろ!
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ウオッカのひいじいちゃんがロベルトですね
ライスやグラスが目から青い炎出せるのはおじいちゃんの遺伝なのか的場イズムなのか
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ロベルト?
そうか、ディクタストライカちゃんの師匠か(違
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選抜されてるのは順に、
ナリタブライアン、マヤノトップガン、グラスワンダー、ライスシャワーですね。
全員父父がロベルトです。
しかしナリタブライアンとマヤノトップガンの父が同じなのは今更知りました。
育成シナリオで関係性が深いのは直接戦った以外にもこういうのがあったんですね。
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架空ウマ娘流行らせコラ!
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これもまとめられろ
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