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爆裂娘への贈り物【このすばSS】
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「カズマ、プレゼントは普通のものでいいんですよ」
唐突に、我が家の爆裂娘ことめぐみんが言い出した。
その表情や口調は優しい…というよりはむしろ、諭すような雰囲気があった。
「奇をてらう必要なんてないんです、心がこもってさえいれば十分ですよ。もちろん高価なものでなくても構いません」
「……」
……まぁ言うまでもなく、ここでめぐみんが言っているのは彼女への誕生日プレゼントのことだろう。しかし……。
「自分からこんなことを言うのはルール違反だとは思いますが……あなたはたまにアクアでさえ引くレベルで暴走しますからね。事前に言っておかないと」
「……」
……どのツラ下げて言ってんだろう、コイツは。
所構わずケンカを吹っ掛けたり爆裂魔法をブッ放したりする危険人物に注意される筋合いはない。
無論プレゼント自体は用意してあるが、ごく真っ当なアクセサリーである。なのにこの言われようはなんだ?しかも何でちょっと『困った弟をたしなめるお姉さん』みたいな感じを出して来てやがる?
あ、ダメだ。何か腹立ってきた。そもそも最近めぐみんは心なしかうちのパーティーの常識人枠かのような振る舞いをしている節がある。繰り返すがコイツも大概タチの悪いポンコツであり、この場にいないバカや変態と大差はない。
「(……いっちょお灸を据えてやるか)」
いい機会だし、ここらで立場ってもんを分からせてやろう。俺、佐藤和真をナメるとどうなるか教えてやるぜ。
コイツがこの後言いそうなことは大体分かる。それを逆手に取って……。
「カズマのことですから、『俺の童貞をくれてやる!』みたいなメチャクチャなことを言い出しかねませんし」
ほーら来た。まんまと予想通りの発言をしてくれた。
……若干普段の俺の言動のせいな気がしなくもないが、そこは考えないようにする。
「おいおい、さすがの俺も失くしたものはプレゼントできねぇぞ?」
「そもそもカズマは……は?」
言葉の途中でめぐみんが固まる。引っ掛かったなアホめ。
「……すみません、今なんて?」
平静を装っているが、動揺を隠しきれていない。
こうなれば完全に俺のターンだ!
「ん?いやだから、童貞じゃないのに童貞はあげられないだろって」
「……」
いよいよめぐみんが完全にフリーズした。よぉし、一気に畳み掛ける!
「言ってなかったっけ?俺もう童貞じゃないんだよ。まぁ最近の話だし酔った勢いだったからロマンも何もなかったけどな。あ、相手は聞くなよ?多分お前の知らない人だから聞いてもしょうがないだろうしさ」
「……」
めぐみんが無言のまま俯く。
……このくらいにしておいた方が良いか?
とりあえずこれで俺がめぐみんの手のひらの上で転がせるほど簡単な男じゃないってことは伝わっただろうし。うん、もうやめよう。別に沈痛な雰囲気を出しつつあるめぐみんの姿に怖じ気付いたわけじゃないないよ?
……しかし、俺が童貞じゃないってそんなショックな話か?男女が逆なら分かるけど、もっと驚き寄りのリアクションを想像していたんだが。
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めぐみん祝いSSを待ってたんだよ!
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「あー……めぐみん?あのさ」
「おい」
俺の言葉を遮るようにめぐみんが言う。その表情は俯いたままなので伺うことはできない。
「私以外の女で貞操を捨てた罪を今すぐ償ってもらおうか」
「へ?」
呆気に取られる俺を、彼女は容赦なく床へと押し倒した。え、何これ?
「ちょっ!待て、やめろって!」
「あなたは身も心も穢れています。今すぐに浄化しなくては」
座った目と平淡な口調が異様に恐ろしい。どうやら完全に妙なスイッチが入ってしまったらしい。
「は、話を聞けって!今のは冗だ──んむっ!?」
「ん──ぷはっ」
不意に唇を奪われる。ペロリと舌で自分の唇を舐める姿は、めぐみんのクセにやけに蠱惑的だ。
「全部、全部綺麗にしないと──私だけのカズマに、戻さないと」
うわ言のようにブツブツと呟きながら俺の服を脱がしていく彼女に、何故か俺はドレインタッチやテレポートという対抗手段を行使することも忘れてしまって──
「とまぁ、こんな感じで私とカズマは無事誕生日に結ばれたわけですが、何か質問はありますかゆんゆん?」
「質問はないけど、その話が嘘であれ本当であれ堂々と自慢気に私に言うのはおかしいと思うよ。主にあんたの頭が」
END
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めぐみんすき
オメシャス!
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オチすき
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おめでとう
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めぐみんつよい
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