ユニ「ふむ……どうやらぼくを見て何がしかの反応があるものだと思っていたが」
ユニ「それはぼくの旺盛な好奇心が逸っただけだったことのようだな。ならいいんだ」
ユニ「……」ｼﾞｰｯ
ユニ「……おっきく、ならないんだ」ﾎﾞｿｯ
ユニ「……！」
ユニ「い、いや、別に、これは、それほどのことでもないというか、ああでもなく、こうでもなく」
ユニ「ええい、もう！ だからぼかあ、君に慕情なんて抱いてないからな！」ｶｧｧ
ユニ「これはただの生理的現象の確認であって、それ以上の意味は……え？ わかってる？」
ユニ「……」
ユニ「それはそれで、なんかアレだな。むむむ」
ユニ「その原理を科学的に解明できるのかと言うとそれは違うだろうし」
ユニ「ぼくが君を見て感じるものは、それではないだろうし……それ？ それってなんだ？」
ユニ「……根源的な問いに閉じ込められてしまった。助けてくれ、後輩」
ユニ「え？ どうやって、って……うーむ」
ユニ「……」ｷｮﾛｷｮﾛ
ユニ「ふむ。誰もいないな。まぁ、ぼくの城に誰かいることなどありえないか。出歯亀がいる可能性も危惧したが」
ユニ「君。『助ける』というのはだな、困っている相手をすくい上げることだ。へるぷみー」
ユニ「……具体的には、って？ もうっ。君は察しが悪いな」
ユニ「……端的に換言すれば」
ユニ「……ぎゅ」
ユニ「ギュッてしてみて、ってこと」ﾓｼﾞﾓｼﾞ
ユニ「それでぼかあ、そこで得た知恵をまとめあげ誰もが瞠目する光り輝く論文をしたためようじゃあないか」
ユニ「これをもって思春期を証明してやる。参ったか」
ユニ「……」
ユニ「……そ、そういうことなんだけど。いい？」ｶｧｧ
ユニ「え？ もちろん、って……き、君ね。君が穢れも何も知らなすぎる無垢そのものだとは分かってはいるが」
ユニ「……そ、そっか。いいんだ。えへへ」ﾆｺｯ
ユニ「最初に言っておくなら、ぼかあ抱擁というのは単に肌の触れ合いに過ぎないと思う」
ユニ「だから、この行為に意味は……だから、その、えっと」
ユニ「ぎゅ、ギュって、どうやってすれば、なんて……分からないなどということは、万に一つ、も」
ユニ「……ああ、もう！ 手順なんてどうでもいい！」
ｷﾞｭｯ
ユニ「……」
ユニ（……温かい、な）
ユニ（なんだろう。こうしていると落ち着く）
ユニ（触れ合った場所が溶け合って、一緒になって、ぐるぐる駆け回って……どこを？）
ユニ（そうか……ぼくの頭がぐるぐる──）
ユニ「このままじゃ……ぼくの頭の中が桃色で満たされてピンク脳になってしまうじゃあないか」
ユニ「それじゃあ、論文も書けやしないからな。『頭がピンクでちぇるちぇるしちゃいました！』なんて論文になりはしないぞ」
ユニ「……それはさておき」
ユニ「君は、どうなんだ……その」
ユニ「ぼくと結合し……ふ、触れ合って、なにか感じたことはないのか？」
ユニ「……え？ 良かった、って……ああ、もうっ！」
ユニ「『良かった』というのをもっと広めてみたまえ。たとえば『ぼくの柔らかくてすべすべした肌を触ってついぼっｋ』……い、今のは忘れてくれ」
ユニ「とにかく。……そうだな」
ユニ「思春期について、君から色んな感想を聞き出すために」
ユニ「しばしの間、協力してもらうぞ。後輩」
ユニ「……」
ユニ「……えへへ。良かった、かぁ」ﾆｺﾆｺ
ユニ「……き、聞くな。見るな。あっちを見て、暫しぼくから視線を逸らせ」ｶｧｧ
ユニ（後輩にあんなことを頼んだら妙なことになったぞ）
ユニ（ギュってされてカァァとなって、エッチな気分になって、それで……）ﾊｯ
ユニ（だ、ダメだぞ、ぼく！ 後輩が来る前にちゃんと整えて──）
ユニ「お、おはよう、後輩。あーん、してあげようか？」
ユニ（整えるってなんだ……！？）
ユニ「い、いいか、後輩！？ この前のとかのは、その……」
ユニ「えっと……ぼくがちょっとおかしくなってただけで」
ユニ「だから、その……え？ ありがとう？」
ユニ「な、なんで、ありがとうなんだ？ ランドソルの国語能力が下がってると学者連中から聞いたが、まさか……」
ユニ「……いや。そうじゃないらしいな。分かった、ありがとう。……ありがとう？」
ユニ「だ、だからありがとうって何が……え？ 『あーん？』ってしてくれたから？」
ユニ「お、おかしいだろう？ それは、ぼくにされたから嬉しいわけじゃないはずだが？」
ユニ「ぼかあ、そんなはしたない真似はしないぞ。ぼくは淑女であって……こ、こら！ なにか言え！」ｶｧｧ
ユニ先輩が凄く好きだから書いていきたいです
ただあの本編のなかよし部の文章が上手だから難しい……
なんというかあの儚くも色気がある感じが最高
端的に換言すれば由仁ちゃんの薄い本ください
一般人「しゃーない不要不急の外出は自粛して感染拡大を防がなきゃ」
頭アキエ「つまらんから旅行にでも行こう」
割と頭アキエのやつが世の中にいるんだよなぁ
アキエ本人が一番タチが悪いけど
お詫びとしてみなさんに単発でチエルが当たる祈願として
アキエ夫人の愛液散布の実施を首相官邸にメールで依頼しました
クロエ「は？ いや、いつもまぁ、ユニ先輩はバカにされてるというか、そうなるべくしてそうなってるというか……」
チエル「そうですよ！ なんというか、いつもチェルってるって感じで……あ。チェルってるって別に『頭おかしい』って意味じゃないですよ？」
ユニ「……き、君たち。先輩の八方塞がりの困惑に付き合いもないのか」
ユニ「まったく。このユニちゃん先輩の後輩の出来具合には重大にして致命的な欠陥があるな。まったく」
クロエ「……あの、クソムカつく先輩？ 一言いいすか？」
チエル「そうですよ、クソムカつく偉大な（）先輩！ 致命的な欠陥があるのは先輩の気持ちの問題であって──」
ユニ「ええい、うるさい！」
チエル「あの先輩にはそんな遠慮する必要ないじゃないですか！ あー、かわいいですねぇ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
ユニ「う、うるさい！ 撫でるな！」
クロエ「……ふーん。あれがねぇ」
チエル「あれ、クロエ先輩？ もしかして……」
クロエ「……おい。声、低くなってんぞ」
チエル「うそっ！？」
クロエ「嘘だよ。知らねぇよ、お前の自宅での声なんて」
チエル「……！」ｶｧｧ
ユニ「……え、えっと」
ユニ「そ、それで僕は……えっと？」
ユニと由仁で声のトーンが違うのすき
ユニ（なにやら身体が重い）
ユニ（頭は沸騰したように熱く、それでいてどこか氷のように冷えて…端的に換言すれば、これは）
ユニ「──風邪、か」ｹﾎｹﾎ
ユニ「……ん？ ああ、後輩。来たか」
ユニ「済まないな。見ての通り、か弱いぼくに魔の手が襲い掛かったらしい」
ユニ「そいつは……ケホ……炎のように熱く……コホ……氷の、ように」
ユニ「え？ 喋らなくていい？ ……むむ」
ユニ「え？ いいの？ ……それじゃあ、黙ろうじゃあないか。そうか、そこは認めるのか……むふふ」
ユニ「……」ｹﾎｹﾎ
ユニ「……やっぱり今日は帰った方がいいんじゃあないか？」
ユニ「ぼかあ、この通りさ。身体も動かないし、横臥するしか能がない。尤も、臥せる床もこの通り乱雑だがね」
ユニ「……お、おい？ なんで掃除を？ いや、君に迷惑は」
ユニ「……」
ユニ「……温めてくれたら、それでいいのに」ﾎﾞｿｯ
ユニ「……な、なんでもない。始めたなら手を止めるのは後回しにしてくれ」ｶｧｧ
ｷﾞｭｯ
ユニ「……！」
ユニ「こ、こら。唐突な抱擁は神聖なる学び舎では禁止だぞ。やめ……」
ユニ「……やっぱりいい。一度したからには、このままぼくと共にいるように」ｷﾞｭｯ
恋人的な型にはまってほしくない
ユニ（先ほど抱擁した所が熱く、微かに彼の残り香もする）
ユニ（……いかん。意識するとろくなことにならんとぼくの直感が警鐘を鳴らしている）
ユニ「あー、君？ その……」
ユニ「……暇、じゃないのか？ 手持ち無沙汰では？」
ユニ「なんで、って……ぼくが寝入ったままでは、君も青春を謳歌できないだろう？」
ユニ「え？ ぼくと一緒にいることが青春っぽい？ き、君はそういうことを言うんだったな……」
ユニ「……そういうことなら」
ユニ「汗で濡れそぼった、か弱いぼくの身体を拭くつもりはないか？」
ユニ「……」
ユニ「……い、今のは気の迷いだ。本気にしないでくれたまえ」
ユニ「ぼかあ、身持ちがお固い貞淑にして清楚な女学生なのだからな。いくら君とはいえ」
ユニ「……」
ユニ「ふ、拭きたいというなら吝かではないけれど」ﾓｼﾞﾓｼﾞ
ユニ「え？ 拭きたい？ ちょ、ちょっとは逡巡してくれたまえ」
ユニ「い、いいと言うまでこっちを向かないように」
ユニ「まったく、どうしてこんなことに……思春期の男子というのは皆、脳内が桃色に染まるものなのか？」
ユニ「……」
ユニ「桃色に染まっているのは、ぼくも同じなのだろうか……」ﾓｼﾞﾓｼﾞ
ユニ「……えっと」
ユニ「それじゃあ、拭いてくれ。タオル、用意しておいてくれたんだろう？」
ユニ「ん。……そうだ。一応、言っておきたい」
ユニ「その……背中だけ拭いて、ぼくの前に視線を寄せることをしないように」
ユニ「分かってる？ それならいい」
ユニ「……」
ユニ「──ちょっとくらい、なら」ﾎﾞｿｯ
ユニ「な、なんでもない！ なんでもないからな！」
ユニ（まったく……脳内がちぇるちぇるしてきてしまった。いや、チエルくんはここにはいないが）
クロエ「はあ？」
チエル「はあ……」
チエル「背中を拭かれる、あの背徳感。ゾクゾクして堪らない……」
クロエ「……あの、それだけっすか？」
チエル「チエル、てっきりもっと凄い話だとおもったんですけど？」
ユニ「……え？」
チエル「入っちゃったのかなーって」
ユニ「は、入っちゃった……？」
クロエ「いや、男女とならそういうもんじゃないんですか？ 知らんけど」
チエル「あれ〜？ クロエ先輩、実はよく知ってるんじゃないですか？」
クロエ「お前じゃあるまいし、知らん」
チエル「ええ〜！？ チエルも知りませんよ！」
ユニ「……」
ユニ（入っちゃった……入っちゃった……？）ｶｧｧ
クロエ「……ほら、また先輩が真に受けてるよ。どうすんの？」
チエル「先輩、チエルたちの話を真に受けていいんですか？」
ユニ「……入っちゃった？」
クロエ「うわ、まだ言ってるよこの人……」
チエル「まあ実際、されててもおかしくなさそうですね。このイチャイチャ具合だと」
ユニ「え？」
クロエ「え？」
チエル「え？ じゃないですよー。実際そう思っただけなんですから」