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この変態騎士の暴走を!【このすばSS】
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「何故私は影が薄いのだろうか」
とある昼下がり。
めぐみんはアクアを連れて日課に出掛けており、屋敷にいるのは俺とダクネスだけだ。
俺が暖炉の前のソファで新聞を読んでいると、ダクネスがいつの間にか隣に座り、そんなことを宣った。
「……」
チラチラとこちらを見て反応を伺っているようだが、俺は一切反応せず新聞を捲った。ふーん、ミツルギがまた手柄を立てたのか。盲腸とかにならねぇかなアイツ。
「……なぁ、カズマ」
「んー?」
視線は新聞に向けたまま適当に返事をする。
俺は真の男女平等主義者、構ってちゃんに手厚い対応などするものか。
「その、お前はどう思う?私の影が薄いことについて」
「さぁ?別になにも」
俺の勘が告げている、これは厄介事に繋がるヤツだと。
平穏無事に過ごすためにはここで食い止めねばならない。
「お、お、お、お前というヤツは!」
俺の塩対応についに耐えかねたようで、立ち上がりながらダクネスが吼える。
「お前に惚れている女が悩んでいるのだぞ!こういう時は優しく相談に乗るものだろう!それでも男か!」
「……ほう」
あーあー、言ってはいけないことを。
俺は新聞を畳んで脇に置くと、スクッと立ち上がる。身長的に俺が見上げる形になるが、むしろ俺の発する気配にダクネスの方が気圧されているようだ。
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「つまり男は女からの相談に無条件で乗らければならないと、優しく接する義務があると。そうおっしゃるわけだ、ララティーナお嬢様は」
「ら、ララティーナはやめろ!いや、義務とまでは言わないが…しかしこう、紳士的振る舞いくらい求めても…」
モニョモニョと歯切れ悪く言う…これだから貴族のお嬢様ってのは。
「よし分かった。じゃあお前の問いに答えてやるから耳の穴かっぽじってよく聞けよ腹筋貴族」
「腹筋貴族!?」
突如生えてきた新しい罵倒に興奮すべきかショックを受けるべきか悩んでいるのか、なんとも中途半端な表情になるダクネス。構わず俺は言葉を続ける。
「まずお前は壁役だから活躍自体が目立ちづらい。しかも攻撃しても一切当たらないんだから尚更だ」
「う…それは確かに」
無論その壁役がめぐみんをはじめ性能が尖りすぎな俺達のパーティーにおいて重要な存在なの間違いないのだが、それは今は言わないでおく。
「あと根本的にお前は最近俺達と行動する場面が少ない。すなわち壁役としての活躍も少なめになっている」
「そ、それは仕方がないだろう。貴族としてやるべきことが多くあるのだ。私だって出来る限りお前たちと一緒に冒険したいと思って」
「さらに!!」
ダクネスの言葉を遮りさらに畳み掛ける。
「お前は露出度が低すぎる!女騎士なのにエロ要素がほぼないのは致命的だ!」
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「お、おい待て!それには異論があるぞ!」
はい予想通り。どうせここで反論してくると思ってました。
「自分で言うのもなんだが容姿はいい方だと思う!む、胸だって大きいぞ!それに私の性癖はお前だって知っているじゃないか!めぐみんにだってエロネスだなんて呼ばれているし…」
…やっぱり、な。これこそがコイツの一番の勘違いポイントだ。
俺はやれやれと首を振ってからダクネスを見る。
「なぁ、ララティーナ」
「だからララティーナと呼ぶな!」
「はっきり言うが──お前はエロくない」
俺の無情な宣告に、ダクネスは言葉を発せず口をパクパクさせた。
「なっ──」
「まず胸がデカいのはいいがお前はさっき言った通り基本鎧、それを着てなくても私服の露出度も低い。そして仮に脱いだとしても割れに割れた腹筋がお目見えだ。自分より強靭な筋肉を見せられたこの時点で一部の層以外の男は下心が一気に冷え込む」
あくまで個人の感想です。
唖然とするダクネスを無視し俺はそのまま持論を展開していく。
「そして性癖に関しては以前も言ったがお前はなんちゃってドMだ。いざそうなるとガチ拒否して相手をブン殴るヤツにエロを感じろというのは無理があるだろう」
「うっ、それは…」
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さぁて、トドメだ。
「そんで最後にめぐみんによるエロネスってアダ名だが、あれはお前がエロいという意味じゃなくて無駄にエロに関心があることへの揶揄だ。つまりお前は『ただのエロ妄想が好きな耳年増』でしかない!そして世間一般的にそれはほとんど童貞と同義だ!この童貞腹筋貴族め!!」
「……ッ!!う、うぅ……!」
俺の結論にダクネスが崩れ落ちる。バカめ、俺に口で勝てると思ったか。真の男女平等主義者の前で女性にだけ都合のいい理屈を持ち出した報いだ。
よし、これでこの話題は無事終了だ。さて、新聞の続きを……。
「ふふ、ふふふふふ……そうか、わかった!わかったぞカズマ!」
「へ?」
立ち上がってソファーに座り直そうとしたところで、ガシッと腕を掴まれる。え、なにこれ?
「おい、なんだよ」
「要するにアレだ。、私がエロキャラに返り咲き、存在感を示すにはこうすれば良いのだろう!?」
そのまま床に引き倒され、組み伏せられた。
え?コイツ何してくれてんの?
「ちょ、離せバカ!」
「断る。もう私は止まらんぞ!お前を犯して私の存在と愛とエロをトラウマになるくらい刻み込んでやる!これで悩みは解決だ!ああそうだ、お前はどうせ忘れているだろうが今日は私の誕生日なのだ。プレゼント代わりにお前をいただいてやるから感謝しろ!!」
「何言ってんだお前!ちょ、マジでやめ」
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当然、俺がこのフィジカルモンスターを振りほどくことなどできるわけもなく。
約一時間後に帰って来ためぐみんが激昂して変態に杖で殴りかかるまで犯され続けたのだった……エリス様の世話にならなかっただけマシと言えるだろう。
なお最終的には、アクアが中立の立場から判断して、
「ダクネスが悪いのはもちろんだけど、酷いことを言ったカズマさんもどうかと思う!」
という結論に至り、双方の謝罪という形で和解となった。
後日。
「あ、あの……カズマ?」
部屋で寛いでいると、控え目なノックと共に声がかけられた。
「開いてるぞ」
「お、お邪魔します…」
部屋に入ってきたダクネスは、どこかいつもより小さく見えた。
「その、先日の件なのだが……本当にすまなかった」
「なんだよ、あれはもうお互い謝って終ったろ」
まぁめぐみんは未だにダクネスを警戒して寝る直前まで俺の部屋で見張りをしてたりするが。
「いや、アクアはああ言っていたが本来私が全面的に悪いのだ。仲間にあんなことをするなんて……貴族としても騎士としても」
「ほれ」
ウダウダと自分を責めるダクネスに向かって、包みをポイっと投げつける。
「うわっ?……これは?」
「誕生日プレゼントだよ。当日はあんなことになって渡せなかったからな」
「お、覚えていたのか?私の誕生日を」
「アクアもめぐみんも忘れてねーよ。多分、あんまりすぐ渡すとお前の罪悪感が増すと思ってタイミングを伺ってるんだろう」
特にめぐみんは怒りもあってなかなか渡せないんだろう。ま、アイツのことだしそのうち上手く折り合いをつけるとは思うが。
「しかし……私には受け取る資格が」
いまだにゴニョゴニョと言うダクネス……ああもう、しょうがねえなぁ!
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「いいかこのバカ!一つ屋根の下で暮らしてるヤツがいつまでもそうやって終わったことをウジウジウジウジ気にしてるとこっちまで気が滅入るんだよ!ってか俺もあの時は結構気持ち良かったから落ち込むな!いいか、この件はそのプレゼントで終了! なぜなら俺がそう決めたからだ!分かったらいつものダクネスに戻れ!以上!!」
俺はそう捲し立てると、すぐにベッドで布団を被った。話はこれで終了というのを示すためだ。あとなんか恥ずかしいから。
「カズマ……分かった。ありがとう」
顔は見えないが、おそらく笑顔になっているのだろう。
ったく、そうやってれば正統派美少女騎士なんだから、影が薄いだのなんだのと気にする必要は……。
「と、ところでカズマ、お前も気持ち良かったということについて詳しく具体的に聞きたいのだが……」
「息を荒くすんなとっとと出てけこの変態!!」
END
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朝このすばはいいぞ
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安易にコトに及ばない姿勢を大切にしたい
どこかのパット女神は見習って欲しい
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ダクネス誕生日?
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照れくさくなってるときに早口で捲し立てるのがカズマさんらしくていいっすね
ララティーナお嬢様お誕生日おめでとうございます
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オメシャス!
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ここのこのすばSSはほんと世界一
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>めぐみんは怒りもあってなかなか渡せないんだろう
プレゼント渡そうと思ったら自分の恋人襲ってんだもんな…
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純情なんちゃってドMのダクネスかわいい
おめティーナ
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