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鶴田姫子SS「余り袖の本音」
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手は口程にモノを言うのかもしれない。
と言う事に気付いたのも姫子が少し不機嫌な時に限って
いつも余り袖をモゾモゾさせて落ち着かない節があると感じたのが
彼女と居て気付いた初めての心理的な雑学だった。
「またですか」
空気の読める煌さんがすかさずフォローに来るのも何度目だろうか。
「別にあなたの粗相とかそういうのじゃないのですが・・・」
あんまり女の子の気持ちと言うモノは分からないけど
最近の姫子は少し冷たい様に見えて
何かモノを貸す時に手が触れそうになると
反射的にパン!と手で弾いたり
返してもらう時は「すまん」と一筆添えて机に置かれてたりと
何となく情緒不安定な節を多く見る事が多くなっていた。
https://i.imgur.com/csbulD1.png
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「ぶっちゃけて言うとあなたの事をですね、姫子は異性として意識してるんですよ」
話を聞きながら飲みかけたお茶が喉に引っ掛かって咽せた。
そういうものなのかなぁって思うと少しだけ心が楽になるけど
それはそれで信じられないし心当たりとか・・・普通に接してただけで特段良い事をした記憶が無い。
「何の話ばしとうと?」少し疲れ気味の姫子がふらりと現れる。
「・・・お二人のこれからですよ。姫子も素直になって下さいね」
珍しく煌さんが言葉を濁さずに静かに立ち去る。
予習してない問題文が言葉にもならない状況で取り残されていた。
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「部長に厳しゅう言われたんばい。
そん場ん気持ちで色々といかんごとしとーって・・・いつもゴメンな」
哩さんが怒るとか珍しいなと思いつつも
「男の子に本音言うたら負けやて思うてしもうて・・・
こういうトコば、子供のまんまやね。でもあんたの事、男の人として見とる」
そんな事どうでも良い。ただ触れ方が分からないから
姫子も、そして自分も距離感に困ってたんだと初めて気づく事が出来て・・・
余り袖の中から彼女のしなやかな指がスッと伸びてきた。
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「これからもよろしゅう・・・な?」
何故かその手と握り交わしたら少し薄暗い世界が明るく見えた様に感じた。
有耶無耶だった姫子の目も真っすぐに見えて、見つめ合ってしまう。
あれ?これってそういう・・・
「真面目な顔せんでよちゃあがつか(恥ずかしい)・・・」
また余り袖の中に彼女の手が収まっていき
少し微笑み返した後で「みんな待っとるから・・・」と
部室への道を共に歩いて行った
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なんか始まってる!
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興奮してきたな
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あぁ^〜
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興奮してきたな
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