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この世界に理想のあの日を!【このすばSS】

1 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/15(土) 00:07:14 rl51O3wc
「よし、これで完璧だ……!」
 バレンタインデー、それは女性が男性にチョコレートを渡し愛を伝える、愛に満ちた素晴らしい日……。
 なんてものは綺麗事だ。実際は、チョコを貰えなければ後ろ指をさされて笑われ、貰ったら貰ったで三倍返しという悪意に満ちたシキタリで散財する、そんな悪魔の日なのである。
 幸いにも、この世界にはバレン何とかデーという悪魔の日は広まっていないらしい。
 そこで賢い俺は考えた。俺なりに解釈した何とかタインデーをこの街から広めれば、愛に満ちた本当の素晴らしい日になるのではないかと。
 三日前にその着想を得た俺は、それから今日に至るまで、徹夜して最高のバ何とかデーを考えたのだ。
 これで貰えない男連中に勝ち誇れる、俗に言う勝ち組になれる嬉しさに浮かれていると。
「カ、カズマ。起きていますか?」
 ドアの外からめぐみんの声が掛けられた。
「おう、起きてるぞ。どうしたんだ?」
 呼びかけると、モジモジしながらめぐみんが部屋に入ってきた。
 そうか、めぐみんには何とかデーの話を紅魔の里で同衾してる時に教えてあるから、この態度からするときっとチョコをくれるのだろう。可愛い奴め。
「な、何ニマニマしてるんですか。気持ち悪いですよ」
「んー?いや、めぐみんは可愛いなぁって」
「可愛いって……。カズマに素直に言われると恥ずかしいですね……。おや?そこのテーブルにある紙は何なんですか?」
 どうやらめぐみんは徹夜で書き上げた最高の略デーについての紙束が目に留まったらしい。
「ほう…」
 紙束を手に取り、読み進めていくめぐみん。
 どんな感想が出るのか、心待ちにしていると。
「ふんっ!」
「あああああーっ!?」
 手に取っていた紙束を真っ二つに引き裂いた。
 さらにバラバラにしていくめぐみん。
「おま、何してくれてんの!?これ徹夜して書いた!これ……」
 半泣きになりながら抗議する俺に。
「はいカズマ、バレンタインデーのチョコレートです」
「この状況で渡すか普通!?」
 俺のツッコミをスルーしためぐみんは。
「カズマの努力の結晶を粉々にしたのは、流石に悪いと思ってます」
「本当だよ……」
「でも!」
「!?」
「カズマには私以外のチョコレートを受け取って欲しくなかったのです……」
 ……めぐみんは、いつからこんなに独占欲が強くなったのだろう。

 それから、この世界にバレンタイデーが広まることは無かったそうだ。

END


2 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/15(土) 00:08:04 rl51O3wc
間に合いませんでした。申し訳ありません。


3 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/15(土) 00:33:19 BjoCw8ig
>>2
ホワイトデー待ってます
3倍だぞ


4 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/15(土) 07:05:13 KKdnarsQ
オメシャス


5 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/15(土) 19:37:35 TjCr5Org
めぐみんすき


6 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/16(日) 19:04:11 wgYsVVvE
優しい世界


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