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この爽やかな朝に騒動を!【このすばSS】
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ある朝。
自室で目覚めた俺は呟いた。
「おっぱいが揉みたい」
なんだろう。用もないのに早起きしていることも謎だが、何故俺はこんな欲求を抱いているのか。
「溜まってんのかなぁ…」
ここ最近色々忙しく、サキュバスサービスはおろか自家発電にすら勤しめていなかったのが原因だろうか…それにしても。
「ヤバいな、本当に揉みたいぞ」
とりあえず身近な女性というとめぐみんかダクネスだが…。
「(いや、あいつら無駄にガード固いしなぁ…ダクネスは殴ってくる可能性があるし、あとめぐみんは…ほら、サイズ感がね?)」
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アクア?あいつは最初から考慮に入れていない。
いや、確かに見た目はスタイル含めて良いのだが、なにせ中身がアレだ。間違いなくバカにしてきて、さらにガッツリと対価を要求してくるに違いない。仮にそこを我慢して顔を見ないようにと目を瞑って揉んだところで、余計なことをあれこれデカい声で言ってくるだろうことは想像に難くない。両手が塞がる以上耳も覆えないし、わざわざ耳栓まで用意するのもなんだか癪だ。
「(屋敷外だと…ウィズやゆんゆんがいるな)」
間違いなくボリューム面では文句なし、さらに二人ともお人好しなので土下座と口八丁を駆使すれば不可能ではない気がする。するが…。
「(バニルが出てきかねないんだよなぁ)」
あいつはおそらく止めはしないが、こちらの弱みを握れば間違いなく、ギリギリ実現可能な難題をふっけてくるだろう。それはあまりに厄介だ。
「うぅむ…」
唸りながら悩むが、そろそろこの謎の欲求が本格的に強くなってきてしまっている。どうしたものか…。
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と、そんな時。窓がコンコンと軽くノックされた。
「やぁ、おじゃまするよ助手君」
俺が窓を開けるとすぐにお頭ことクリスが入ってくる。
「いやー、朝からゴメンね?頼みたいことがあってさ」
「どうせ今夜にも盗賊団の活動するって話でしょ」
「さすが、察しが良くて助かるよ」
わざわざ玄関ではなく窓から入ってくるくらいなのだからそりゃ分かる。ダクネスに知られれば間違いなく止めてくるからだ。
…ふむ。しかしこれは渡りに舟かもしれない。
「で、お願いできるかな?」
「いいですけど、条件があります」
「え、条件?」
驚いた様子のクリス。俺がいつものようにホイホイ承諾すると思っていたのだろう。残念だが、今日に限ってはそうはいかない。
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「はい。俺がやりたいことに協力してほしいんですよ」
「はぁ…まぁいいけど。やりたいことって?」
「実は…」
俺はたっぷり間を置いてから、クリスの目をまっすぐに見つめて言う。
「俺、おっぱいが揉みたいんです」
「………………は?」
クリスがポカンと口を開けて間抜けな声を出した。
「おっぱいが揉みたいんです」
「……いやいやいや!何を言い出してるの!?珍しく早起きしてると思ったらまだ寝ぼけてるの!?もしくは酔ってるの!?」
俺の肩を掴んでガックガクと揺すってくる。失敬な。
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「バッチリ目は覚めてますし素面ですよ。ただおっぱいが揉みたいってだけで」
「だったらなおさらヤバいよ!しかもなんでそれをあたしに言うの!?…ハッ!」
クリスは何かに気付いたように俺から距離を取ると、胸を両手で抱えるように隠した。
「あ、あたしの胸を揉ませろって言うの!?ダメだよ!仮の姿とはいえ女神の胸を揉もうなんて!っていうかそれ以前に付き合ってもない女の子に対してそんなことを──」
「ストップストップ。落ち着いてくださいよ」
顔を赤くしながら捲し立てるクリスをどうどうと宥める。完全に勘違いしちゃってるな、この人。
「別にお頭のを揉みたいなんて言ってないじゃないですか」
「…えっ?違うの?」
「違いますよ」
困惑しながらも姿勢を戻すクリス。
「俺はおっぱいを『揉みたい』って言ってるんですよ。お頭なわけないじゃないですか」
「…ん、んん?どういうこと?」
「いや、だって」
俺はクリスの胸元を一瞬見てから、
「揉めるほどないじゃないですか」
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「……はい?」
またもポカンとした表情。ったく、アクアじゃあるまいし、もっと察してほしい。
「『撫でたい』んじゃなくて『揉みたい』んですよ。パッドは嫌いじゃないですけど、今は本物のおっぱいを揉みたいんです」
「………………」
あ、今度バニルにおっぱいマウスパッド的な商品を提案してみるか。
俺が思わぬところで新商品の着想を得ていると、
「……『バインド』ッ!!」
「へ?…うぉっ!?」
いきなりクリスが放ったスキルで、ロープで縛られミノムシ状態でベッドに転がる俺。えっ、何事!?
「な、なにするんですかっ!」
「……」
俺の問いかけを無視して馬乗りになってくる。ちょ、マジでなんだこれ!?
「…前に言ったよね?セクハラには天罰って。当然覚悟はできてるんだよね?」
「あ、あの、お頭?」
いまだかつてないほど凄みのある表情で言うクリス。
「思い知らせてあげるよ…胸は大きさじゃないんだ!その身で味わえっ!!」
「お、落ち着いて…!」
悪役のような台詞とともに勢いよく胸を露出させ、それを彼女の両手で固定された俺の顔へと近付けてくる。
当然回避はできず、俺は迫りくるそれに、
「(…サイズはともかく、色と形はキレイだなぁ。あといい匂いがする)」
と、一周回って妙に冷静な感想を抱いたのだった。
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───
──
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で、その後の顛末について。
さすがに騒ぎに気付いてめぐみんとダクネスが部屋に乱入してきたことで俺は解放された…行為がどこまで行ったかは俺およびクリスの名誉のために言わないでおく。
そして発覚した真相は、今回のそもそもの原因が乱入してきた二人にある、というものだった。
「いえ違うんですよ、ただこの前カズマがダストと話しているのを偶然聞いて」
「『たとえ同じパーティーに女がいてもヘタレだったり無駄にガードが固かったりで意味がない。それなら露出度が高いだけ受付のお姉さんの方がずっといい』などど言っていたから…」
「で、腹が立ったけど自分から行くのはアレだから俺の昨日の晩飯に一服盛った、と」
「そして運悪く今朝あたしがやって来てしまった、と」
「「はい、ごめんなさい」」
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土下座する犯人たちを前に、俺とクリスは顔を見合わせると、
「…もういいって」
「うん、あたしも…っていうかあたしが勝手にカッとなっちゃっただけだしね」
俺たちの許しの言葉に二人が顔を上げた。
「本当ですか?」
「あ、ありがとう二人とも」
顔を上げ、ホッとしたような表情になるめぐみんとダクネス。
「…ま、俺としても胸はサイズがすべてじゃないってことを学べたしな。ね、お頭?」
「も、もう!からかわないでよ助手君!」
クリスの方を見て言うと、顔を赤くしてペシペシと俺の肩を叩いてきた。
「えー?だってお頭が言ったんじゃないですか。実際キレイなピンク色で」
「セクハラ!セクハラだよ!」
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「…ちょっと待ってください、何をイチャイチャしだしているんですか」
「確かに悪いのは我々だが、この流れはないだろう?なぜ自分を好きだと言っている女の前でそんなことができるんだお前は」
「な、何言ってるのさダクネス!別にイチャイチャなんて…ちょっと助手君!キミからも言ってやってよ!」
ふむ。
俺は三人をゆっくり見てから、口を開く。
「俺たち、結婚します!」
「「「この男は!!」」」
襲いかかってくる3人と、すぐさま逃げ出す俺。そして、
「ふぁぁぁ…朝から騒がしいわねー。もっと私みたいに優雅に出来ないのかしら」
ボリボリと腹を掻きながら今更ノソノソ起きてきた優雅さの欠片もないバカが一人。
こんな感じで、今日もこの世界は騒がしいのだった。
END
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ええぞ! ええぞ!
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暁なつめ兄貴ほんとすき
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優しい世界
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エリス様に授乳手コキしてもらいたいけどなぁー俺もなー(エリス教徒)
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毎回電子版のおまけ短編のような素晴らしいこのすば感すき
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普段から揉ませてあげればカズマさんだって遠慮しなかったんだよなぁ…
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クリエイトベイビーが足りない
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