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この凍える我らに温もりを!【このすばSS】

1 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/10(月) 00:01:59 rthdeMsM
「うー寒い寒い……」

 真冬のある日。アクセルの街には猛烈な寒波が訪れていた。
 あまりの寒さに膀胱が縮んでしまったのかとてつもない尿意に襲われてしまった俺は、観念して暖かい布団から抜け出し、たった今トイレを終えてきたところだ。
 この寒さだ。もう布団も冷え切っているだろう。即効性の暖かさを求め広間の暖炉に向かうと。

「おいそこの穀潰し、その特等席を譲れよ」
「嫌よ。まず何なのよその呼び方」

 ちっとも働かないニート女神とそのペットのニワトリが暖炉の前を占拠していた。

「お前には、こんなに頑張って皆を食わせてやってる俺を労ってやろうって気持ちはないのか?あるならそこを譲ってくれよ寒いんだよ」
「近頃ちっとも働かないダメニートには、こんなに頑張って1億の信徒達を見守っている私を崇める気持ちはないのかしら?この特等席を使えるのは、今日は私の番よ」

 この野郎言わせておけば!

「お前もっと向こう行けよ!というかこの鶏肉がスペース取りすぎなんだよ!いい感じに育ってるな、料理スキルを持ってるカズマさんに任せておけ、美味しい焼き鳥にしてやるよ!」
「わー!ゼル帝を暖炉に投げ込もうとしないで!これ以上私の邪魔をするなら、朝起きた時にシーツに日本列島の染みができる天罰を与えるわよ!」
「ごめんなさい」


2 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/10(月) 00:04:39 rthdeMsM
 アクアの卑劣な脅しに負け、渋々暖炉の前を後にすると、広間にちょうど良さげな湯たんぽを見つけた。
 湯たんぽに手を伸ばすと、視界の端からも手が伸びてきた。

「おいめぐみん、その湯たんぽから手を離せ。そいつは俺の物だ」
「ウチのちょむすけを湯たんぽと呼ばないでもらおうか」

 失敬な。大事なちょむすけと湯たんぽと間違えるわけがないじゃないか。

「とにかく、ちょむすけは私の使い魔です。カズマは気軽に触らないでください」
「俺けっこうブラッシングとかやってたけど。それよりめぐみん、どうしてお前もちょむすけに手を伸ばしたんだ?どうせお前もちょむすけに暖を求めたんだろ?」
「そそそそんな訳ないじゃないですか!私はただ、愛くるしくていかにも暖かそうなちょむすけを抱きしめようと……いい加減ちょむすけから手を離してください!」
「今暖かそうなって言ったろ!お前こそ離せ!」
「にゃーう!」
「「あっ!」」

 不毛な言い争いと引っ張り合いに嫌気が差したのか、ちょむすけは俺達の手を振り払い、何処かへ走り去ってしまった。


3 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/10(月) 00:07:31 rthdeMsM
「おい逃げ出しちゃったぞ。どうすんだよめぐみん」
「あぁ……私の湯たんぽ……」

 こいつも湯たんぽって言ってるじゃないか。

「カ、カズマカズマ。すごく寒いです。カズマなら何とかできませんか?」

 寒さまで何とかしろとか、俺は未来のタヌキ型ロボットじゃないんだぞ。とか突っ込みたい所だが、こう上目遣いで頼まれるとどうにも……。
 ……色々思索を巡らせたが、俺にはこの手段しか……。ええい、俺も男だ、めぐみんからは好感度高いし大丈夫だろう!

「ああもう、しょうがねえなあ!」

 思いきりめぐみんを抱き寄せる。

「…………」

 これ、失敗だったか……?
 めぐみんは一言も発しないし、これ殴られたりとかするんじゃ……?
 いや、俺は男女平等主義者だ。殴られたら相応の報いを……。でも出会ってすぐの頃ならまだしも、今は反撃する気にはなれないし……。
 抱き締めながら不安感に襲われていると、めぐみんが口を開いた。

「あの、カズマ。近くで『ティンダー』をして、暖めてくれるだけでも良かったんですよ?」

 しまった。その手があったか。

「すすすすすまんめぐみん!そうだったな、すっかりその手段を忘れてたよ!悪かった、今唱えるから、『ティン』……」

 慌てて抱き締めていた腕を解いて、ティンダーを唱えようとするが。


4 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/10(月) 00:09:24 rthdeMsM
「ふふっ、カズマがしてくれた方法なら、二人で暖かくなれて、それに幸せにもなれますね」

 めぐみんが満面の笑みで抱きついてきた。

「……」

 アカン、すごいムラムラしてきた。
 俺のことを好いてくれている美少女に抱きつかれてムラっと来ない男がいるのだろうか。いやいない。
 このムラムラを何とかしてくれるサキュバスのお姉さん達に今すぐ会いに行きたいが、この寒さだ。貧弱なニートが外に出られるはずがない。

「カズマァ……」

 何だよこの魔性のめぐみんは。俺の名前を呼びながらスリスリしてきたんですけど。
 俺の息子も、もう臨戦態勢に入ろうとしている。
 このままでは密着しているめぐみんにじきに気付かれてしまうだろう。

 ……もう行くとこまで行っちゃっていいよね?

「? どうしたんですかカズマ?」

 めぐみんの肩をガッシリと掴むと。

「なぁめぐみん、俺のベッドの上でもっと暖かくならないか?」


5 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/10(月) 00:11:05 rthdeMsM
 ───
 ──
 ─

 階段を駆け下りる俺とめぐみん。

「ねぇ二人とも、上で騒がしかったけど何かあったの?」
「あー……いや、ちょっと……。い、今から洗濯するから!」
「い、今からお風呂に入ってきます!」

 暖かくなるには運動が一番!


6 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/10(月) 00:22:38 gZS/yAuE
まーたくろね先生が湧いたのか
ほんへ終了後の短編でありそう


7 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/10(月) 07:36:53 Im6yT2Tk
こういうのでいいんだよ


8 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/10(月) 09:33:18 m7XbDFqY
優しい世界


9 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/10(月) 11:14:46 57SchgEE
逆レじゃない
-114514点


10 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/10(月) 12:18:24 0HNDkjTM
わたしはいいと思う


11 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2020/02/10(月) 12:34:50 BpZ9Dfnc
めぐみんのクリエイトベイビーはまーだ時間かかりそうですかねぇ?


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