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シバターとゴーン、愛の告白【SS】
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私の来歴を知る者がいれば日本人の事をどう思うか聞きたがるだろう、好きか嫌いかと問われれば訴えられ刑務所送りにされそうになっても私は日本も日本人も好きだ。
特に日本人というのは中々優れた人種だと思う、真面目で愚直で懸命に仕事をする姿勢は称賛に値する、特に物造りに対する情熱は素晴らしいの一言だ。
ただ彼らにも欠けている物はいくつかある、他人を押しのける強烈なエゴや周囲の人間を味方につけるコミュニケーション能力だ。
「日本の司法は酷い!私は家族と引き離されてずっと会えなかった!それに私が訴えられたのは日産と名前は言えないが日本の政治家の陰謀だ!」
日本から逃れた私はレバノンで世界中のマスコミに向かって熱弁を振るっていた、時折レバノンの支持者が拍手をするので会見というより政治ショーの気分だ。
日本では不正を働いた私は悪者で感情論で事を運ぶのは難しかっただろう、しかし会場にはレバノン人の支持者私自ら選んだ記者が揃うレバノンでなら話は違う。
「本当に苦しかった!パールハーバのようにいきなり攻撃された!私は被害者だ!どうして捕まったか分からない!はっきり言ってクーデターの犠牲者だ!」
バカの心を掴むプレゼンの方法を知っているだろうか?都合の悪いことは決してしゃべらず、伝えたい事だけを大きな声で簡単な言葉で感情を込めて繰り返すのだ。
ジャーナリストを馬鹿にするわけではないが、彼らは情報を吟味する事に長けた有識者を相手に商売をするわけではない。
こうして家族への愛を訴え陰謀論を唱え続ければ、私の関わった不正に対する問題より群衆は異国で家族と引き離された悲劇の男のストーリーを好むようになるだ
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私は言いたいことを言い質問を受け始めた、問題についてすべてを話すと言っておきながら自己弁護だけを聞かされて会場には不満げな記者が目立つ。
だが日本で会見をやるより遥かにいい、この問題に関して十分なリサーチを重ね、答えに困るような質問をする日本人記者の多くは会見場の外に締め出せた。
私は記者の質問を次々と捌いてった、レバノンは私の土地だ味方に囲まれ多くの専門家のサポートを受けている、心配することは何もない。
私の予定通り滞りなく会見は進んでいった、質問を受け付けた記者隣に座っていた大男にマイクを奪われるまでは、その男を見てゴーンはわが目を疑った
「ゴーン、ゴーン、お前何やってんだよ?」
「シ、シバター……」
マスクを奪った大男はプロレスラーガウンを脱ぎ捨てた、カメラが吸い寄せられるようにその東洋人の男を捉えて世界中に中継する。
その大男は美しかった、カラスの濡れ羽色と美しい糖蜜色の二色の髪色が奇跡的な調和を果たした長髪をポニーテールにまとめ、子供のような純粋な瞳でゴーンを見つめていた。
黒いプロレスパンツだけを身にまとい、髪色と相まって虎を思わせるような筋肉質でしなやかな肉体を晒す姿に、男女や国籍を問わず会場の誰もが目を奪われた。
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もう始まってる!
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「ゴーンの会見の中継youtubeでやってるけど、肝心な事言わないからみんな呆れてるぞ、平日に夜更かししてゴーンの言葉を皆まってたんだぞ?」
「あなたはジャーナリストじゃない、残念だが貴方がここにいる資格はない、質問次の方」
私は内心の動揺を抑え落ち着いてシバターを予期せぬ闖入者として扱った、私を見るシバターの捨てられた子犬のような悲しそうな顔に思わず目を背ける。
「ジャーナリストじゃなくても、一つだけ質問させてくれゴーン」
「ゴーンは俺の事愛しているのか?俺のこと好きなのか、これだけ答えてくれ!ゴーン!」
会場がざわついた、そのざわめきに増して私の心臓の脈動は強く大きくなった、この純粋な若者はレバノンまでそんなことを私に聞くためにやって来たのか?
私とシバターの関係は、シバターがゴーンを助けようと動画投稿した事から始まった。
日本中から卑怯な犯罪者と罵られ検察組織一丸となって私の急所を探る中、なんの力も権力もない青年の無心の良心とまごころがどれほど私を助けてくれただろう。
私はメールで丁寧にシバターに礼を述べ、彼を自分の問題に巻き込みたくないことを理由にパチンコ営業を断った、するとシバターからの返信が来た。
気が変わったら何時でもどの店でも一緒に打ちましょう、ゴーンが犯罪を犯したと正直思っているけどそれを理由に仕事をしたくないとは思わない、また連絡を取りたいなど。
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容疑者となった大企業のCEOともなると、周りの人間は疑っていながらも無罪と言ったり、有罪と思いながらも自分の思惑に都合が良いからと貴方は無罪だといったり。
本心を隠して近づいてくる者達ばかりだった、その中で自分の顔を世間に晒し称賛も批判も受け入れ、自分の本心を隠さず話す若者の存在は痛快で心地よかった。
私はシバターとメールを通して様々な事を語らった、事件の話はほとんどしなかった私は日産での仕事や家族との生活、レバノンやフランスでの話をシバターに語った。
シバターは動画制作の楽しさや厳しさ、外出できないから退屈だろうとパチンコ巡業の都度、日本の美しい四季や雄大な自然を捉えた写真を送ってくれた。
素直で好奇心旺盛な若く健全な感受性を持ったシバターとのやり取りが、取り調べや弁護士との事務的な面談の日々を送る私にとって救いであり支えだった。
そして文章を通した交流を続けるうち、私とシバターの間には友人とも恋人とも言い表せない不思議な絆が芽生えていった、そしてそのシバターが今レバノンで私の想いを問うている。
「ゴーン!答えてくれ!ゴーン!」
「汚い同性愛者め!(アラビア語)」
「ッッ!危ないッ!」
マイクを離さないゴーンを会場の警備員が後ろから羽交い絞めにしようとした、私が叫ぶまでもなくシバターは記者に囲まれた閉所でありながら軽やかに身を躱した。
そしてプロレス仕込みの強烈なラリアットが屈強なレバノン警備員の首に直撃しなぎ倒した。
「ゴーン!メールをしていた俺のただの勘違いだっていうならそれでもいいんだ!答えをくれ!ゴーンの気持ちを俺は知りたいんだ!」
「シ、シバター!」
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ゴーン見てるか?
お前が帰ってこないからだぞ
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また始まってる!
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どうしてすぐにこの量の文章準備出来るのか教えてほしい
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警備員達が記者を押しのけシバターに迫ってくる、シバターもまた前方の記者を押しのけゴーンの方に近づいてくる。
「ゴーン!本当の気持ちを教えてくれ!ゴーン!」
「シバター!」
会見場は混沌として逃げ出そうとした関係者は将棋倒しとなり、警備員に押しのけられた機材が壊れカメラマンが怒声を上げる。
シバターは自分に殴りかかってくる警備員を殴りけり倒し、その暴力は周囲の記者も巻き込んだ。
どのような困難も障害にも負けず真っすぐに私だけを見据えて近寄ってくる、シバターのその姿に胸が熱くなった。
私は意識せずマイクを口元に当て、衝動のままに彼の気持ちに答えようとしてレバノンのボディーガードの一人にマイクから引きはがされ、地面に押し倒された。
直後、渇いた破裂音が会場に響いた、絹を裂くような悲鳴とフラッシュライトの乱反射、伏せて!というボディーガードを押しのけ体を起こす。
「うぅっ、くそゴーン……」
「シ、シバター!」
シバターが腹を抑えて片膝をついていた、そこからはおびただしい量の血が流れている、シバターは撃たれたのだ。
また破裂音が響いた、シバター肩から血が噴き出した。
「や、やめろぉぉぉおおおおおお!!!!!!シバター!シバター!」
シバターは崩れ落ち、彼を警備員達が取り囲んだ、私はボディーガードの強い力に抗えず会場を引きずり出された。
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泣いた
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興奮してきたな
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会見に現れた謎の東洋人、シバターは世界中の話題を攫った。
日本から正規の方法でレバノン入りした彼はプロレスラーガウンを着て堂々と会場に潜入した。
記者からマイクを奪い取り突然の愛の告白、見事な格闘技でホモフォビアのレバノン人警備員を殴り倒した彼の活躍をLGBTQの人々は英雄のように称賛した。
外国のメディアはシバターの性的嗜好に忖度し、暴力を振るったことは避難しつつも政治的な正しさをある程度認め、警備員の銃撃を過剰な暴力と非難した。
一方で警備員や様々なジャーナリストにも暴力を振るった彼を日本政府、いやほとんどの日本人が世界に恥をさらした売国奴とみなし左右を問わず非難した。
ラファエルなど一部の心ある人の擁護の声も、レバノンでいっそ処刑されろ、日本に二度と帰って来るなといった日本に恥をかかせた悪に対する強烈な憎悪の声に飲み込まれてしまう。
「シバター、なんでなんで来たんだ」
私は日産の社宅で頭を抱えていた、シバターの苦しそうな顔腹や肩から溢れ出す血、そうしたものが頭から離れない。
「貴方、遊びの男の手綱も握れないの?天下のカルロス・ゴーンも落ちたモノね」
妻のキャロルは私を冷淡に見下して吐き捨てる、彼女の強烈な魅力と才能に惹かれ私は前妻リタを捨てた。
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このSSがレバノン当局に監視されてるってマジ?
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「それで、これからどうするの?ただで転ぶ貴方じゃないわよね?」
「……少しほっといてくれ」
「私達の財産の危機よ、関係がある以上口を閉じる気はないわ、あの男利用できると思うのだけど」
大企業のCEOとして働いていた時は、キャロルの合理的で俯瞰的な視点を私は尊敬し良い刺激を受けていた。
日本から逃げてきた今となっては、彼女のただただ冷たくて情の無い言葉には怖気が走った。
「彼はただの男だ、バッチを持っていない弘中と同じくらいに利用価値なんて無いよ」
私はそう吐き捨てて席を立った、これ以上キャロルと話をしたくなかった。
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キャロルから離れた後、私は軍の車に乗せられた、護衛には装甲車が二台レバノンは決して一枚岩ではない。
レバノンの軍事基地に連れてこられたが、私はレバノンの検事局で検事から事情聴取を受ける予定になっていた。
日本からの密入国と敵国イスラエル入国の嫌疑、それに会見でのシバター騒動、検事局ではなく軍事基地に連れてこられた事は軽く受け取れない。
「あの東洋人の男はどういう事だ?シバターとか言ったな何故あんなホモを会見場に入れた!?」
「ゴーン!窮地のお前を匿ったレバノンにあれほどの恥をかかせて!よくもそんなことを!」
「見ろ、レバノンを批判する記事の数々大使館には多くの抗議文だ、どう償う?どうする気だ?」
検事も軍の高官も感情を抑えることもせず、私を責め続けた確かにアレは国際的な大恥だった。
たった一人の同性愛者の東洋人に会見を滅茶苦茶にされ、そのうえ銃撃したことも問題になりレバノンの国際的な地位は名声は落ちに堕ちた。
レバノンは西アジアでは同性愛に寛容な国だ、とはいえレバノンでは同性愛は泥棒や放火といった犯罪と同等に扱われ、1年以下の実刑を受ける。
さらに彼は会見場で大暴れし各国の記者とレバノン警備員に暴力を振るい、レバノンの恥を世界中に広めた1年以下の懲役で済むはずがない。
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「あの男と私は何の関わりも無い、日本側の攻撃では?」
「この動画は何だ!?お前を救いたいと言っているぞ!どう見てもお前に好意を持っている!」
「私には関係ない、ただ騒動に便乗しただけでしょう、彼を一体どうする気で?」
日本社会のシバターへの増悪と嫌悪はゴーンに対する気持ちも込みで強烈なものだ、しかし日本の司法は冷酷極まりないが公正ではあるきっと彼を助けようとするだろう。
私はどうだろうか?あの会見がぶち壊しにされてレバノン政府は怒り心頭だ、しかもその原因が私を追ってやってきたシバターの暴走だ、レバノンでの立ち位置はかなり悪くなった。
「銃殺刑にしてやりたいところだが……腐っても日本人だ外交カードくらいにはなる、それはそれとして奴は肝臓も傷つき重傷だざまぁみろだ」
拳を握りしめ爪を肉に食い込ませ懸命に感情を抑える、シバターのように暴れては私も彼も最悪の事態に陥る。
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「外交カードといってもたかだかyoutuberだ、ISISに記者を拉致されてクソコラ大会を開く修羅の国だぞ、使えるかどうか」
「いや、その無関心と軽薄さを利用しよう、シバターはできるだけ罪をつけて5年ほどレバノンの刑務所に叩きこむ、シバターは憎悪されているそれで日本国民の気は晴れる」
五年間もシバターがレバノンの刑務所に入れられる?同性愛者を憎む者も多いこの国でシバターがいじめられながら暮らす?
自然の中をゆっくり散歩し、人々と語らい酒や温泉を楽しむシバターが5年間も不正と汚職に塗れたこの国で虜囚となる?
シバターとのメールのやり取り、会見に乗り込んできた彼の真剣な表情、撃たれて苦しむ姿、私の脳裏に様々なシバターが駆け巡った、何も躊躇する理由はない。
「それがいいだろう、それに加えて誠意の印にゴーンも日本に送り返せばいい、会見が滅茶苦茶になった一端はお前にもあるんだ、罰はうけてもらうぞ」
「いや、待ってくれ」
「待たん、素直に日本で罰を受ければ横領は最高で10年の懲役、それともイスラエル入国罪で15年牢にぶち込まれるか?」
「レバノンにとってもっといい手があると言いたいんだ私は」
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レバノンの軍部・検事と取引をした後、私は重かった荷を下ろしたようなすっきりと晴れ晴れとした気持ちでシバターの眠る病室に通された。
腹を包帯で巻かれ麻酔を打たれ眠っているシバターの表情は、いかつい身体に反して幼く愛らしかった。
愛おしさが胸にこみ上げる駆け寄って彼の身体を触れ労わり抱きしめたい、だがその気持ちを抑える最後の別れができるだけでもありがたいことだ。
「シバター、なんで来たんだ私と君はただのメル友のはずだろ?君が私に告白をして私は国外に逃げた……普通それで答えは分かるだろ?」
そう私はシバターに想いを伝えるメールをもらった、そこには私の事が愛おしいと同性だろうと関係ないと若い純粋な想いが綴られていた。
私は返事を出す事が出来なかった、彼に伝えたい事がたくさん胸に溢れるほどにあったというのに……。
結果として私は逃げた弘中率いる日本法曹界の最強の弁護軍団も、私のコネクションで動かせるマスコミの援護も捨ててレバノンまで逃げ延びた。
日本の冷酷な司法と戦うガッツはあっても、私にはたった一人の純朴で誠実な青年の愛の告白に答える度胸が無かった。
「シバター……私は、私は、君のことが……好きだ」
好きだとやっと言えた、私は嗚咽とシバターへの愛おしさをこらえ切れず、監視カメラの存在も忘れて彼を抱きしめ熱い胸板の上で涙を流した。
彼の温かい肌と確かに感じる心臓の鼓動が、最愛の男の生命が消えていないことを教えてくれた、覚悟は決まったこれでもう何も怖くない。
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泣いた
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(´;ω;`)ブワッ
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感動した!
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もう何も怖くないやめろ
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私がレバノンでイスラエル入国の罪で逮捕されるまで事態は淀みなく流れる大河のように進んでいった。
最大刑の15年の判決を受けた私を世界中が嗤い、特に日本人は大いに祝い愉しみ様々な大喜利をして楽しんだ。
レバノンでは富裕層で逃亡犯の私を逮捕したことは、現政権の公正性を僅かなりとも示し支持率の向上にも繋がった。
キャロルとは離婚、彼女は日本で司法取引をし財産の50%を日本に引き渡し、夫である私の罪の全てを証言し執行猶予を勝ち取った。
「囚人番号5101例の仕事だ」
「はい」
カルロス・ゴーンではなく番号で呼ばれるようになった私は一文無しだ、だが各国で築いたコネクションと経験はレバノン政府にはまだ有用だった。
レバノン政府に人を紹介し助言を与えて彼らの利益になるように積極的に動いた、牢の中でも私の影響力は世界に通用した。
しかし経験やコネがあっても無様な逃亡劇の末に逮捕された情けない一文無しの男だ、呼ばれる回数は段々と減り収監二年目にはついに用無しとみられるようになった。
それでも一般雑居房に入れられず独居房で運動場でも他の罪人と離れて過ごすことができたのは、まがりなりにも私がレバノンの為にあえてつらい刑罰を受け入れたと思われているからだろう。
もしくは私が男であるシバターを愛していると知っていても、その方がレバノン上層部には都合が良かったのかもしれない。
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私はあの日こう提案した、レバノンは私の愛する母国だ迷惑をこれ以上かけるよりは私の事を国の為に使って欲しいと。
結果として私はレバノンで罪に問われ、妻に全財産を奪われ、シバターは日本に即日送り返され日本の医療を受ける事が出来た。
15年の刑期を終えた私はようやくレバノンの刑務所を出た、そして日本から派遣された刑事に引き渡される。
「おかえりゴーンさん、たっぷり証拠が揃ったよ、最長の刑期で最悪の刑務所に入れてやるから覚悟しな」
「はは、文無しの私には願ったり叶ったりだよ、無料の老人ホームに入れるなんてついている」
日本の若い刑事は私を睨みつける、まぁ好きなだけ睨ませておくさ成功者にとってそうした視線は勲章だ。
愛した男をシバターを安全な日本に送り返せたのだから、それだけで私は幸せだ。
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飛行機に乗って私は15年ぶりに日本に降り立った、日本の空港で一人の男が私を待っていた。
「ゴーン、ゴーン、おかえりゴーン」
「シ、シバター!」
白髪が目立つようになっていたがスーツを着て杖をついた老紳士然としたシバターが空港のターミナルに立っていた。
彼のスーツには大きく炎上軍法律事務所と書かれており、胸元には弘中がつけていた弁護士バッチが光っている。
「10年かかったよ、ゴーン、司法試験って倍率が凄いんだよ」
「シ、シバター……」
80歳になったというのに私の胸はあの日のように熱く高鳴り多幸感に眩暈がしそうだった、やはりカルロス・ゴーンはシバターという男に恋をしていたのだ。
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あぁ^〜
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これが純愛ですか
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「はぁ弁護士ぃ?馬鹿かよ、お前はどうあがいても有罪なんだよ、ゴーン!」
「有罪になるまでは推定無罪だ、刑事を名乗るのにそんなことも知らないとか恥ずかしくねぇのかよ!」
怒りに顔を真っ赤にした刑事からシバターは私を守ってくれた、48歳とは思えない逞しい肉体はスーツ越しでも威圧感剥きだした。
「ゴーン、ゴーン、俺はお前を弁護する気だ、無罪にしてやるとはいえないお前は国外脱出までして日本国中がお前に長く死ぬまで刑務所に入ってほしいと思っている」
「それでも俺は命をかけて誰よりも真摯にゴーンの事を弁護する!無一文だろうから金もいらないよ、だからゴーン報酬の前払いで聞かせてほしい」
「俺の事愛しているか」
私はシバターに駆け寄り彼の胸に飛び込んだ、男臭い体臭と僅かなコロンの香り彼はまだ若い青年から15年で立派な大人の男になっていた。
「私は、私はシバターが好き、愛している」
シバターは子供のように破顔し私を抱きしめた、空港の所々から温かい拍手が沸き上がった、やっぱり私は日本人が好きだ。
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終わりです。
ゴーンもまたシバターを想っているのです。
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シバゴンまぢ尊い…
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終盤の時間経過の描写がゲイものの名作短編ぽさが出ててすごいと思いました
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素晴らしい
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あぁ^〜
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ちょっと待って…尊い…
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各方面への深い知見に裏打ちされた恐るべき速筆
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教養の暴力
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ゴーン関連のSSがどれも良いのに草生えちゃう
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ふざけたSSをクッソ真剣に書くの大好き
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玉も竿もでけぇなお前(褒めて伸ばす)
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過激な性描写が無くとも心の内をしっかり描く手法すき
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田亀先生の作品のような深い知性と品性が感じられる作品だった
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