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【沖田さんSS】Oの噛痕 / 壬生狼は鼻が利く

1 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/09/30(月) 23:03:26 1sx1lTHg
書類整理の為に机に向かっていると、背後から冷たい視線を感じる。その視線の主である沖田さんはと言えば、部屋を訪れてからこっち、忙しさを察したのかベッドの上で静かに待っていた。
当初こそ楽しげな雰囲気を漂わせていたが、いつの間にやらそれは重たいものになっていた。恐らくと言うか十中八九怒っているのだろうが……正直、全く身に覚えがない。彼女の『少しばかり』強い独占欲や嫉妬心を煽る様な真似は一切していないし、そもそも部屋を訪れた時には別段怒っていなかった訳で。つまりそれは、部屋を訪れて以降に原因があるという事になる。
流石に、仕事にかかりきりだから、なんて理由で怒るほど分別がつかない彼女ではない……決して短くない時間を共に過ごして、それはよく分かっている。けれどもそれ故に一層理由が分からないのも確かだった。


2 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/09/30(月) 23:03:49 1sx1lTHg
ふと肩越しに見やれば、彼女はいつの間にか瞳を閉じ、こちらを向いて寝転がっていた。眠ってしまったのかと少しの間観察していると、不意に瞼が開く――バッチリと視線が絡んだ。
「……お仕事は終わりましたか、マスター?」
ベッドからのそりと体を起こし、ゆっくりこちらへやって来る。いつも元気な彼女に似つかわしくない緩慢な動きは、どこか科を作っているように見える。同時に幽鬼を思わせるようでもあり、冷たい色香を感じさせた。


3 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/09/30(月) 23:04:53 1sx1lTHg
すぐ近くまでやって来た彼女がくるりと椅子を回す。体ごと向き直って間近で受ける冷たい雰囲気たるや、思わず背筋に冷や汗が流れる程。
じっとこちらを見下ろした彼女はやがて、ゆっくりとこちらに体を預け、膝の上に座った。

「…………ね、マスター……」
首に手を回し、囁く――それはともすれば愛を語らうよう。

「マスターのベッド、嫌な匂いがしました……私以外の、女の人の匂いが」
貼り付けたような、静かな笑顔――どこか致命的に歪んでいる。

「どうして、そんな匂いがするんですか?」
優しい口調とは裏腹に、冷たく刺す様な語気――逃れ得ぬ事を直感させるには十分で。

戦場で見せる人斬りとしての冷たさとは別種のソレに――


息が、詰まる。


4 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/09/30(月) 23:05:58 1sx1lTHg



くいと頭を揺らされ、互いの額がぶつかった衝撃で我に返る。至近距離の真鍮色の瞳には、ゾッとする程冷たい光が宿っていた。
「……マスター。答えて下さい」
その光に気圧されるように、慌てて答えを探す。
要するに彼女は、自分以外の誰かがベッドを使った……即ち浮気をしたのだと怒っているらしい。しかし、理由が分かった所で、心当たりがあるはずもなく。当然返す言葉の有無は言うまでもない。
大方、誰か――溶岩水泳部とかその辺り――が勝手に入り込んだのだろうが、その証左はなく。従って身の潔白を示すことも出来ず。普段の彼女ならいざ知らず、一度スイッチの入った彼女を止めるに足る言葉は見つからなかった。
「……答えられないんですか?だったら……」
どうにもしようがなく時が流れるのに身を任せていると、いい加減に痺れを切らしたかのように彼女が動き出した。何をされるのか、心持ちはさながら十三階段を登るよう。
首に回された手が解かれ、片方は頰に、もう片方は肩口へと流れる。その途中、指先がいたずらに踊り、ぞくりとした感覚に体が震えた。


5 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/09/30(月) 23:06:02 dyTsBlOM
もう始まってる!


6 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/09/30(月) 23:06:28 1sx1lTHg
「……あむ」
小さく口を開け、首筋に噛み付いてくる。力強い一噛みは鈍い痛みをもたらした。それから逃れようと身を捩っても、彼女の両腕にますます強く捕らわれるばかり。サーヴァントの膂力に敵うはずもなく、抵抗を諦めざるを得ない。
「……ふふ。私のシルシ、たっぷりつけちゃいます。あなたは、誰にも渡しませんから……」
それに気を良くしたのか、はたまた別の理由からか。彼女の声は僅かに色付いていた。
「次はもう少しだけ……」



――痛いですよ?


7 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/09/30(月) 23:07:06 1sx1lTHg


がぶり、と。


続けざまに耳元で囁かれた言葉に聞き返す暇もなく、先ほどまでとは比べ物にならない力がかかる。ぶちりと嫌な音を立ててあっけなく皮が裂け、深く刺さった歯が肉を掻き分けて己の内に沈んで行く。熱と痛みが鋭く広がり、かっと目頭が熱くなる。
「ん……。私のシルシ……です」
彼女が静かに口を離すと、流れ出した血と溢れた唾液が流れる。外気がひんやりとした冷気をもたらし、体がぶるりと震えた。
「……ふふ、ふ……」
口の端から血を滴らせ、静かに暗い笑みを浮かべる。濃い赤に染まった唇を、ゆっくりと舐める舌の動きが妙に艶かしい。


8 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/09/30(月) 23:07:37 1sx1lTHg
未だに治まらない痛みに顔をしかめていると、彼女は着物を緩め、その肌を室内灯の下に晒した。鎖骨や首から肩にかけてのラインは妖艶さを湛えていた。
「今度は、あなたの番ですよ……?」
すいと差し出された生身の肩は、まるで誘蛾灯。抗い難い魔力を感じ、静かに口付ける。陶器めいた肌はしかし、確かに柔らかく温かく。彼女の体がぴくりと震え、口からはか細い音が溢れた。

――あなたのシルシ、私に残して下さい……。

耳元で囁かれた言葉に従い、歯に力を込める。しかし、サーヴァントでもないただの人間には『シルシを残す』と言うのは存外荷が重く、彼女を傷つける事への抵抗も相まって、その肉へと侵入する事は中々出来なかった。

――もっと、強く……強くです……。

彼女の囁き声が脳を蕩かし、かちり……かちり……と少しずつリミッターが外れていく。それを彼女が望んでいるのだから、と。


9 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/09/30(月) 23:08:11 1sx1lTHg
やがて閾値を超え、ずぶりと歯が沈む。流れた熱い液体が、口腔にじんわりと鉄の匂いを広げた。
「っ、ぅ……」
溢れた声は苦悶に彩られたもののはずなのに。それはどこか艶やかで、そして歓喜さえ含んでいる気がした。
「ふふ……あなたの、シルシ……ふふふ……」
静かに口を離すと彼女は嬉しそうに傷跡をなぞる。ぐちゅりと不気味な音を立て、その白い指を真っ赤に染めた。


10 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/09/30(月) 23:08:49 1sx1lTHg
「……でも、まだまだ足りませんよね?」
彼女に手を引かれ、椅子から立ち上がる。
「もっともっと付けたいし、もっともっと欲しいです」
とさりと投げ出されたベッドの上。マウントをとった彼女は愉しげに笑った。

「嫌な匂いも、ぜーんぶ上書きして……誰のものか、他の人にも分かるようにしましょうね、マスター……♡」


11 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/09/30(月) 23:14:10 AL0eF4ho
スレタイは仮面ライダーWかな?


12 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/09/30(月) 23:14:13 tasx7las
興奮してきたな


13 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/09/30(月) 23:18:42 JhD/qNMw
ヤンデレ沖田さんすき


14 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/09/30(月) 23:44:29 b.gc5WkU
ヤンデレ沖田さんすき


15 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/10/01(火) 00:08:22 ZtvXmsOI
あぁ^〜


16 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/10/01(火) 00:20:51 7RBzpPng
>>11
そうだよ(肯定)
拙いけどリスペクト元同様、ダブルミーニングにはなってる……はずです
今年で10周年を迎えたWは本編、映画、小説、Vシネ、漫画どれも面白いので是非見て、どうぞ(ダイマ)


17 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/10/09(水) 00:47:45 Vd.LCG0Y
ヤンデレ沖田さんで書こうと思ってたけどなんかモチベ沸かないのでタイトル(お題?)的なのだけ置いておきます
誰か書いてくれよな〜頼むよ〜

刻み込めI / 斬りたい背中 (injury & 愛)
壊れかけのL / 愛 don't stop! (limiter & love)
Rの胎動 / そのサーヴァント、ヤンデレにつき (riot & raw)
Tの掟 / 着信アリ (terror & telephone)
Uが許せない / そしてだれもいなくなった (あなた & 裏切り)


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