■掲示板に戻る■ ■過去ログ 倉庫一覧■
アキ「ミカの欲しいもの?」オルガ「ああ」
-
ガル鉄SSです
強襲装甲艦イサリビ ミーティングルーム
アキ「どうしたの。藪から棒に」
オルガ「ほら、もうすぐ誕生日だろアイツ。いつも世話になってるし、何かしてやれねぇかと思ってよ」
アキ「ははーん。なるほど、誕生日プレゼントってわけだね」ニヤニヤ
オルガ「……わ、悪いかよ」
アキ「べっつにぃ〜?ただ、私の誕生日には何もくれなかったなーと思って」
オルガ「アキの誕生日っていつだよ」
アキ「…………あれ、いつだったっけ?」
オルガ「お前な……」
-
アキ「でもミカの欲しがりそうなものかー。言われてみればすぐには思い付かないかも」
オルガ「……だよな。正直俺にも想像が付かねぇ。付き合いの長げぇお前ならと思って聞いてみたもんだが」
アキ「あるにしても普通の女の子とは感覚が違ってそうだよね。そうだ、みんなには聞いてみたの?」
オルガ「よしてくれよ。ろくなこと言いそうにねぇだろ、アイツらは」
アキ「……確かに。ミッコやシノなんかはここぞとばかりに茶化してきそうだしね。三日月には?」
オルガ「ああ、ミカには一番に聞いてみたんだが……」
三日月『俺にはよく分かんないけど。そういうのって気持ちが一番大事なんじゃないの?』
オルガ「……って」
アキ「言うねぇ」
オルガ「やっぱりミカはすげぇよ」
-
久々のガル鉄いいゾ〜これ
-
アキ「そうだ。じゃあハッシュに聞いてみようよ」
オルガ「ハッシュに?」
アキ「ほら、あの子ミカに弟子入りしてるから。ハッシュー!」
ハッシュ「どうかしましたか、アキさん」プシュー
オルガ「うわ!?いつからいたんだお前!」
ハッシュ「あ、団長。アキさんに呼ばれたんで来たんスけど」
アキ「ねぇハッシュ。ミカの欲しがってるものとか心当たりない?」
ハッシュ「どうしたんスか。藪から棒に」
アキ「えっとね。団長がミカの誕生日にプレゼントあげようって考えてるらしくて」
オルガ「お、おい。アキ……」
ハッシュ「…………うーん」
アキ「やっぱ急には思い付かないよねー。四六時中一緒にいても、ミカって自分のこと殆ど話さないし」
ハッシュ「いや、正直心当たりがありすぎて……」
オルガ「本当か!?」ガタッ
ハッシュ「はい。これは俺の場合なんスけど……」
-
某日 昼休み 継続高校教室
ミッコ『あー疲れた疲れた。ミカ、アキ。飯にしようぜー』
アキ『うん。あれ、ミカ。お弁当は?』
ミカ『今から用意するんだよ。……ハッシュ!』ポロロン
ハッシュ『はい!』ガララッ
ミカ『焼きそばパン二つとパックの緑茶。三分以内』
ハッシュ『了解しました!』ダッ
アキ・ミッコ『…………』
同日 放課後 継続高校車庫
ザック『さぁて、今日という今日こそBTをぶっ倒すぞ』
ハッシュ『よいしょっと』
デイン『どうしたハッシュ。そのジャージ』
ミカ『ハッシュ。パンツァージャケット三人分。急いで』
ハッシュ『は、はいっ!』
ハッシュ『お二人も。失礼します』モゾモゾ
ミッコ『悪いなハッシュ』モゾモゾ
アキ『あ、あはは。いつもありがとね』モゾモゾ
ザック・デイン『…………』
翌日 始業前 強襲装甲艦イサリビ
ミカ『ハッシュ。足』
ハッシュ『あ、足ですか!?』
ミカ『校舎まで』
ハッシュ『あの……俺まだ仮免なんスけど……』
ミカ『じゃ、おぶってもらおうかな』
ハッシュ『え、ええ……それはちょっと』
ミカ『昨日は遅くまで可愛い後輩の練習に付き合ってね。おかげで寝坊してしまったんだよ』ポロロン
ハッシュ『ひ、ひえぇ〜!』
-
オルガ「なるほどな」
アキ「い、言われてみればよく見る光景だね。……って団長、なるほどじゃないでしょ!これって舎弟とかパシリってやつじゃない!」
ハッシュ「いえ、俺はミカさんの一番弟子ッスから!」
アキ「うーん。でも団長が望む回答とはまた違うと思うんだけどなぁ……」
ハッシュ「……お役に立てず済みません」
オルガ「いや、参考にはなった。ありがとな、二人とも」ガタッ
アキ「う、うん。頑張ってね、団長」
-
強襲装甲艦イサリビ オルガ自室
オルガ「早くも行き詰まっちまったな。仕方ねぇ、少しは自分で考えてみるか」
オルガ「……改めて思い返すとミカって謎だよな。パーソナルデータも空白が多いし」カタカタ
オルガ「とりあえずアイツから連想するものを片っ端から挙げてみるか」
オルガ「チューリップハット、カンテレ、サルミアッキ、胸……」カタカタ
オルガ「こんだけか。帽子と楽器は……ミカのことだ、相当いいモン使ってんだろうな。タイヤ飴は……」
オルガ「好物ってわけじゃねぇって言ってたもんな。旨そうに食ってるとこ見たことねぇし……第一、誕生日にもらってもありがたみねぇよな」
オルガ「となると胸…………む、胸!?何だこりゃいつ書いた!?」
オルガ「……け、消そう///」バックスペース
オルガ「結局何も進展がねぇな。情けねぇ話だが、俺の発想じゃここまでが限界か」
オルガ「……兄貴に聞いてみよう」
-
強襲装甲艦ハンマーヘッド 応接室
オルガ「すんません兄貴。休日の真っ昼間から」
名瀬「構いやしねぇよ。他ならぬお前の頼みだからな。で、話ってのは何だ?」
オルガ「……実は」カクカクシカジカ
名瀬「……なるほどな、そりゃ確かに一大事だ。だが心配すんな。そういうことなら俺に妙案がある」
オルガ「……兄貴!」
オルガ(へっ、やっぱりな。こういうのは経験豊富な大人を頼るべきだったぜ)
名瀬「しっかり決めろよ。ミカが喜ぶプレゼントは……てめぇだ、オルガ」
オルガ「…………は?」
名瀬「だからオルガ、てめぇだ。てめぇ自身がプレゼントになることだ」
オルガ「……あの、言ってる意味がよく」
アミダ「おや、オルガには難しかったかねぇ。つまりさ、これを機にミカと男女の関係になって悦ばせてやりなって話だよ」
オルガ「アミダ姐さん!」
-
名瀬「そういうこった。お前も男なら覚悟を決めろ。特にお前ら二人は周りをヤキモキさせてるっていい加減気付け。な?」
アミダ「そうだねぇ。アタシの見透しなら、抱き締めてキスでもしてやればイチコロだよ、ミカは」
オルガ(くっ、伏兵はここにいやがったか……っ)
オルガ「……あの、恐れながら。そういう下世話な案は求めてないです」
名瀬「げ、げせっ!?……ったく、この腑抜け!誕生日なんてまたとねぇチャンスだろうが!」
アミダ「青いねぇ。ミカみたいな子はアンタがリードしてあげなきゃ駄目だろ?」
オルガ「はぁ……」
オルガ(やっぱり大人は頼りにならねぇ……!)
-
名瀬「はぁ、分かっちゃいたが情けねぇ弟分だぜ。……プレゼントがしてぇならアクセサリーか何かでいいんじゃねぇのか。女の子なら一番に喜びそうなモンだろ」
オルガ「まぁ、定番ですけど。でも、なんていうかミカは普通の感覚とはズレてるところがあるというか……」
名瀬「……確かに。カンテレなんぞ携帯してる女子高生は今のところアイツしか知らねぇな」
オルガ「それに、いつも世話になってますから。ただのプレゼントってより、どうせならもっと役に立ちそうなモンをやりたくて」
アミダ「なるほどねぇ。だったら、大事なのは気持ちだね」
オルガ「……気持ち、ですか」
アミダ「そう。感謝を一番に伝えたいってんなら即物的な考えはよしな。『どうせなら』って程度のモンなら尚更ね」
アミダ「アンタが不器用なりにでも、ミカを想って選んだものなら気持ちはきっと伝わるよ。ああいう子はね、真っ直ぐな気持ちには意外なほど弱いもんなんだよ」
名瀬「流石だな、アミダ。いいこと言うじゃねぇか」
アミダ「惚れ直したろ?」
名瀬「ああ。クラクラきたぜ」
オルガ「…………」
-
オルガ「ありがとうございました。もう少し考えてみます」
名瀬「おう。報告は忘れずにな」
アミダ「野次馬根性丸出しねぇ。たかだかプレゼントに成否もないだろうに。ま、頑張んなよ、オルガ」
オルガ「はい!」
オルガ「…………」
オルガ「……気持ち、か。ミカに感謝してるのは間違いねぇ」
オルガ「どうすりゃ、それを上手く伝えられるんだろ……」
オルガ「一応、アイツらにも聞いてみるか」
-
継続高校 学園艦
ノブリス「おお、オルガ団長。丁度いいところに来たな」
オルガ「ノブリスのおっさん?」
ノブリス「話は聞いたぞ。ミカ隊長が誕生日らしいな」
オルガ「はぁ、まだ数日先ですけど……って、どこで聞いたんスか」
ノブリス「儂の情報網を舐めるでない。っと、これを彼女に渡してくれんか。儂からのプレゼントだ」ピラ
オルガ「……サウナ無料券?ああ、その手もあったか」
ノブリス「いつも利用してくれているのでな。君の分もあるから、よかったら来るといい」
オルガ「……ありがとうございます」
ノブリス「構わんよ。皆にもよろしくな」
-
強襲装甲艦イサリビ 艦橋
オルガ「さて……繋がるかな」ピピピ
ブブン
カチューシャ『かけてくる頃だと思ったわ、オルーシャ!』
オルガ「お、おう。悪いな急に。ちょっと相談してぇことがあってよ」
カチューシャ『話は聞いてるわよ!ミカーシャの誕生日を祝うのよね?だったらこのカチューシャが一肌脱ぐわよ!』
オルガ「……ちょっと待て。誰から聞いたんだ」
カチューシャ『今すぐミカーシャを連れて来なさい!プラウダをあげて盛大にお祝いよ!何ならアンタ達全員でも……』
オルガ「無視かよ。ていうかミカの誕生日は今日じゃねぇ」
マクギリス『先走りすぎだ、カチューシャ。彼が相談したいのはあくまでも、彼自身が用意する贈り物についてだろう』
オルガ「マクギリス……アンタも知ってんのかよ」
マクギリス『プラウダの情報網を見くびっては困るな』
-
ノンナ『では改めて。ミカ隊長へのプレゼントでお悩みとのことですが』
オルガ「……ああ。正直、アンタ達もこんなこと相談されたって困るとは思うんだが、何分こういうのは初めてでな。知恵っつーか、色んな奴らの意見を聞いてみてぇんだ」
ノンナ『私も人に助言できるほどの経験は無いのですが……率直に、ミカ隊長ご本人に聞いてみては?』
オルガ「なるほどな。確実な手ではあるが……」
マクギリス『それでは身も蓋もないだろう。第一、そんな真似ができれば我々に助言など求めることもないと思うが』
ノンナ『……そうですね。申し訳ありません』
オルガ「いや、参考にはなった。アンタはどう思う、マクギリス」
マクギリス『どうもこうもないだろう。こればかりは他人が口を出すべきことではない。部外者である我々ならば尚更だ』
ノンナ『……私以上に身も蓋もない意見だと思うのですが、それ』
マクギリス『正論を言ったつもりなんだがな』
-
カチューシャ『私は右に同じね。第一、好きな子に渡すプレゼントに他人の意見を求めるっていうのが男らしくないわ。恥を知りなさい』
オルガ「なっ……!お、おい!俺は別にミカがどうこうじゃなくて、単に日頃世話になってるからってだけで……っ///」
カチューシャ『何よ!休日の昼間から余所のヘタレの惚気話を聞かされてるこっちの身にもなりなさいよね!』
オルガ「ぐぬぬ……」
カチューシャ『話はおしまいね。それじゃ失礼するわ。一応、その気があるなら来なさいよね』ギィィ
オルガ「チッ……何だよ、ころころ態度変えやがって」
ノンナ『カチューシャは義に篤い方ですので。貴方もどうか、ミカ隊長には誠実であってください』
マクギリス『我々からはプラウダ謹製のマトリョーシカを贈ろう。彼女には無用の長物かもしれんが……結局、大切なのは真心だ』
オルガ「……ありがとな」
マクギリス『礼には及ばない。健闘を祈るよ』
ノンナ『До свидания.』
ブツンッ
-
オルガ「大切なのは真心、か。……言葉の上じゃ、気持ちと言い換えることもできるよな……」
オルガ「……けど、今一ピンと来ねぇんだよな」
オルガ「もう一件当たってみるか」ピピピ
ブブン
ダージリン『ごきげんよう、オルガ団長。お元気そうで何よりですわ』
オルガ「おう。……ひょっとしてアンタも」
ダージリン『ええ、お話は伺っているわ』
オルガ「……どこで聞いた?」
ダージリン『白き獅子……とだけ言っておきましょうか』
オルガ「……は?何だそりゃ」
-
ダージリン『そうね。ミカさんには聖グロリアーナ特産の高級茶葉を贈らせていただくわ』
オルガ「……はぁ。じゃなくてな、俺が相談してぇのは……」
ダージリン『皆まで言う必要はなくてよ。我が好敵手には紅茶を。貴方にはこの言葉を用意しておいたの』
ダージリン『大切なのはどれだけ施すか、ではないの。どれだけの愛を込めるか、なのよ』
オルガ「……!」
ダージリン『ふふ、既に何度も聞いた、といった顔ね。月並みな言葉だから少し陳腐に聞こえたかしら』
オルガ「そんなことは……」
ガエリオ『経緯は聞かせてもらった。それだけに具体的な助言は俺達にはできない。プレゼントを選ぶことも、そこに何を注ぐにしても、お前の役目だからな。……因みに出典はマザー・テレサだ』
ダージリン『大切な人に日頃の感謝を伝える。とても素敵なことだと思うわ。後は、貴方の想いを精一杯込めなさい。真っ直ぐで強い気持ちは、きっとミカさんに届くはずよ』
-
オルガ「……ったく。揃いも揃って、似たようなことしか言わねぇな」
ガエリオ『それだけ普遍的な感覚ということだろう。俺に言わせれば、そんなに思い悩むことだとも思えないんだがな』
オルガ「悪かったな。生憎、物を贈ったことも、贈られたこともねぇもんで」
ダージリン『それならば尚更ね。不器用な男性が初めて贈るプレゼント……相手は彼の大切な人……あら、まるで映画みたい』
オルガ「ば、馬鹿っ!からかうんじゃねぇ!///」
ジュリエッタ『しかしオルガ団長は何をプレゼントしたらいいのかを悩んでるんですよね。それはまだ解決してないのでは?』
ガエリオ『いたのかジュリエッタ。というか、さっきも言ったがそれはオルガ自身が決めるべきことだと……』
ジュリエッタ『肉なんてどうでしょう!継続高校の本拠は石川県と聞きました!石川とくれば能登牛しかないでしょう!』
オルガ「お、おう。……確かに、消え物も悪くないよな」
ジュリエッタ『でしょう!特に能登牛は県外に流通することが殆どない幻のブランド牛で、可能なら私が食べたいくらいでして……』
ダージリン『……ガエリオ。彼女をつまみ出しなさい』
-
ガエリオ『ったく、アイツは。……と、そうだ。確か継続はフィンランドモチーフだったな。かの国はコーヒー贔屓と聞くが、ミカは紅茶はいけるクチか?苦手なようなら差し替えるが』
オルガ「飲んでるのは見たことあるぜ。……まぁ、でも。プレゼントってのは気持ちが大事なんだろ?」
ガエリオ『そうは言うがな。……お前がそう言うなら、まぁいい。彼女によろしくな』
オルガ「ああ。ありがとな、二人とも。さっきの……ジュリエッタにも礼を言っといてくれ」
ガエリオ『頑張れよ』
ダージリン『健闘をお祈りしますわ』
ブツンッ
-
オルガ「…………」
オルガ「気持ち、真心、愛に感謝……か」
オルガ(……そういう目に見えねぇモンには、何も感じなかった)
オルガ(愛してくれる人なんていなかったし、それで腹が膨れるわけでもねぇ。綺麗事に縋ってりゃ、誰かが手を差し伸べてくれるわけでもねぇ)
オルガ「けど、今は……」
オルガ(……俺が本気なら、アイツはいつでも応えてくれた。いつでも、俺を支えてくれてた)
オルガ「誕生日……生まれてきたことに感謝する日、か」
オルガ「アイツの……ミカの、生まれた日……」
-
三日月「オルガ」プシュー
オルガ「おお、ミカ……どうした?」
三日月「どうした、じゃないでしょ。もう夕食の時間だけど。ブリッジで何やってるの」
オルガ「……もうそんな時間か。悪い、ぼーっとしてた。すぐ行く」
三日月「……大丈夫?」
オルガ「ん?ああ。……なぁ、ミカ」
三日月「何?」
オルガ「……ありがとな。お前の言った通りだった」
三日月「……何のことだかよく分からないけど。俺、何か言ったっけ?」
オルガ「ああ。やっぱりミカはすげぇよ」
三日月「…………?」
-
11月30日 強襲装甲艦イサリビ 食堂
オルガ「ミカはいるか?」プシュー
ミッコ「いるにはいるけど、どっちのミカだ?」
ミカ「ん、どうやら私みたいだね。どうしたんだい、オルガ」ガタッ
オルガ「……ああ、その。ちょっと時間、いいか?」
ミカ「?……分かった。それじゃ行こうか」
オルガ「おう」
プシュー
アトラ「ねぇ、三日月。いつも思ってたんだけど、団長さんの『ミカ』ってどうやって聞き分けてるの?」
三日月「ん?……ええと、目線とか。あとはオルガが持ってる物とかで、どっちに用があるのかは大体分かるよ。それに……」
三日月「俺を呼ぶときはあんなに緊張した声出さないし」モグモグ
ミッコ「ぷっ!あはははは!そりゃそーだ!!」
アキ「はぁ……大丈夫かなぁ、団長」
-
強襲装甲艦イサリビ 廊下
オルガ「…………」
ミカ「…………」
オルガ(と、とうとう二人きりになっちまった。落ち着け、大丈夫だ……これしかねぇってモンを選んだんだからよ……っ)
オルガ「あ、あのなっ、ミ……」
ミカ「大丈夫?オルガ、ずいぶん緊張してるみたいだけど……」
オルガ「えっ!?お、おう!全然……」
ミカ「そうか。……こんな人気のないところまで連れてきて、ひょっとして、告白でもするつもりなのかい?」
オルガ「こ、こくっ!?///」ドキッ
ミカ「ぷっ、こ、こくって……オルガ、鶏みたい……っ」クスクス
オルガ「〜っ/// て、てめっ!人が真面目になってる時に!」
-
ミカ「……ごめんね。けど、今にも息が詰まりそうな雰囲気だったから。あまり怖い顔で話されるのは好きじゃないんだ」
オルガ「……!わ、悪い。つい」
ミカ「ふふ、だいぶ肩の力が抜けてきたみたいだね。心の準備ができたら、話してごらん」ポロロン
オルガ(……気遣ってくれてたのか。……やっぱコイツには敵わねぇな)
ミカ「オルガ?」
オルガ「あ、ああ。その……」
オルガ「……今日、誕生日なんだろ、お前。そんで」
ミカ「!……覚えててくれたのかい?」
オルガ「ああ。あんまりいいモンじゃねぇんだが……これ」ガサゴソ
ミカ「っ、これは……誕生日プレゼント、というやつかな。あ、開けてもいい?」
オルガ「……おう」
-
ミカ「これ……カンテレの弦?」ガサッ
オルガ「あ、ああ。四六時中弾いてるし、ストックくらい常備してるとは思ったんだが……色々考えてはみたけど、他に思い付かなくてよ。因みにサウナ券はノブリスのおっさんからだ」
ミカ「そう……私のために……?」
オルガ「えっと、それはな……お前には、いつも世話んなってるから……その礼も兼ねて、だな……」
オルガ「……継続に来てから一緒に機甲道やって、お前に助けられるのが当たり前になりつつあってよ。思い返しゃ、それがどれだけありがたいことだってのも……忘れかけてた」
オルガ「だからよ……それに気付いたとき、真っ先にお前に伝えてぇ、伝えなきゃならねぇって思ったことがあるんだ」
ミカ「……うん」
オルガ「いつもありがとな、ミカ。俺からの気持ち、受け取ってくれるか」
ミカ「……っ」
-
オルガ「……ミカ?どうした、急に後ろ向いて」
ミカ「ごめん、ちょっと……私、今すごい変な顔してるから……」
ミカ「困ったな……ニヤニヤが止まらない」
オルガ「は、はぁ!?何だそりゃ!」
ミカ「茶化してるわけじゃないんだ……ただ、その。嬉しくて」
オルガ「……えっ」
ミカ「誕生日なんて誰にも話したことなかったし……まさか、君が私のためにプレゼントまで用意してくれてるなんて、思ってもみなかったから……」
ミカ「……ありがとう、オルガ。君の気持ち、すごく嬉しかった」
オルガ「お、おう……///」
オルガ(どうやら届いたみてぇだ……今回ばかりは、みんなのおかげだな……)
-
ミカ「それで……君の誕生日はいつだったかな?よかったら返礼をさせて欲しいんだが」
オルガ「っ、それは……」
ミカ「……何だ、ひょっとして忘れてしまったのかい?」
オルガ「……いや、分からねぇんだ。元参番組の連中は親の顔も知らねぇ孤児の集まりだったし……第一、CGSにいた頃は日付け数えてる余裕もなかったからな」
ミカ「そう……じゃ、こうしようか。今日が君の誕生日、というのはどうだろう」
オルガ「今日!?」
ミカ「そうすれば君にとっても、私にとっても特別な日になるだろう?」
オルガ「う……そ、それは、嬉しいけどよ」
オルガ(その言い方は、何か恥ずかしいじゃねぇか……///)ドキッ
ミカ「決まりだね。それじゃ早速、私からの誕生日プレゼントを贈らせてもらおう」カタッ
オルガ「……ミカ?」
-
ミカ「この弦で奏でる最初の一曲だ。君に聴いて欲しい」
オルガ「いいのかよ。まだ使えるんだろ、その弦」
ミカ「近頃張り替えようと思ってたんだ。このタイミングは……以心伝心、というやつかな?」ギッギッ
オルガ「……馬鹿」
ミカ「……ん、できた。それでは親愛なる団長に、この曲を捧げます」
ポロロロン ポロン
ミカ「ちぎれた雲にあこがれてた 子どもの頃」ポロン
オルガ(演奏もだが……綺麗な声だよな……)
オルガ(やっぱりミカはすげぇよ)
ミカ「負けないで いのち燃やして」ポロロロン
ミカ「Hyvää syntymäpäivää. Minä rakastan sinua, Orga.」
オルガ「…………何だって?」
ミカ「ご静聴ありがとうございました、かな。私の気持ちは伝わったかい?」
オルガ「……ああ。ミカ」
ミカ「うん」
オルガ・ミカ「「誕生日、おめでとう」」ポロロン
おしまい
-
ミカ隊長オメシャス!
張り替えが早すぎるとかチューニングしてないとか野暮な突っ込みは勘弁してください
-
やっぱりすげぇよ>>1は…
-
ガル鉄って分野自体よく知らなかったけど、このSSを初めに見れて幸いだったゾ
めっちゃ面白いじゃねぇか…
やっぱりすげぇよ、 >>1は…
-
こういうのでいいんだよこういうので
-
やっぱ…ガル鉄は…最高やな!
-
>>31
ありがとナス!
総合スレにもっと面白い作品沢山あるんでこれを機に読破して、どうぞ
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/20196/1459053143/
■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■