この部屋に勝手に入り込む輩も増えたことだし、対策を一手、打っていたところだ。
皐月の王ほどではないが、私とて狩人。罠の一つや二つは仕掛けられる。
そう、罠だ。身に迫る如何わしい魔手から汝を守る、私特製のな。
……さあ、できたぞマスター。有事の際はこの紐を引け。
上から神性付きのタライが落ちてくる。
うん、タライだ。岩石や丸太も考えたが流石に死傷者が出てはまずい。
しかし必中の呪いが付与されているからな、効くぞ。
ああ、それから壁のボタンを押すことで私の部屋に直接繋がる隠し通路が現れるからタライで侵入者や不埒者を気絶させた後はそちらを使って逃げのびるが良い。何を隠そう、その通路を使って私は今ここにいるのでな。まったく、ニトクリスかメディアあたりの結界なのだろうが、最近は霊体化しても部屋に入れぬものだから、なかなか汝のベッドでくつろぐことができなかったのだぞ？まあもはや解決した事柄だがな、ははは。……ん、どうしたマスター？眼が怖いぞ？
「駄目だこりゃ」？ むむ、それは一体どういう……？
あっ、ちょ、ちょっと待ってくれ。
いま紐に力を込めるのはまずい。
私の脳天にタライが────。
いたっ