その顔をもう少し眺めていたい欲求もあるが、生憎と時間も押している。
まずは顔を洗ってこい。ついでに朝日も浴びて身体を起こせ。
ほら、ご覧の通り今日は良い天気だぞ、良い駆けっこ日和だな。
おいおい大丈夫か？しっかりしろ、なんだ今日は一段と惚けているな、私だ私。
汝と同じ大学のキャンパスに通う一年上の先輩で、二日に一度のペースで共に食事に行き、週に一度は共に小旅行にも行く、足の速い幼馴染のお姐さんことアタランテだ。
今日も今日とて昔から寝坊助の汝をこうやって起こしに来た。
もちろん朝食の準備も抜かりないぞ、いつも通りな。
思い出したか？であればさっさと支度を済ませ……あ、こら、二度寝はダメだぞ。
戻るとか訳のわからん事言ってないで起きないかマスター。どこに戻るというんだ。
寝言でうわごとのようにジュリエット、ジュリエットと言っていたがそれはたぶん夢だぞ。
ものすごいヒロインムーブな一枚絵があったとしてもそれは現実じゃないんだからな。
だからほら、起きようマスター。今まで通りこの現実を一緒に生きようじゃないか。な
俺でも耐えられないね