弟「アハハ！ 笑いが止まらねぇ！ アハハ！」
兄貴「いつ見ても面白いな野獣先輩の顔は！ よし！ もう1回再生しようぜ！」
弟「ああ！」
兄貴「再生っと……」ｶﾁｯ
野獣『……』
弟「あれ？ 途中で止まった」
兄貴「参ったな。野獣先輩を画面に映したままフリーズするなんて」
野獣『……』
弟「……え？ えっ！？ なんか野獣先輩、動いてねぇ？」
野獣『……』
兄貴「なっ！？ こっち向いた！？ バカな、さっきまではこんな動画じゃ――」
野獣『1000万回再生。次はお前だ』
弟「！？」
兄貴「――ぐっ！？ がああああああーーーーーッ！！」
弟「兄貴！？ おいどうした兄貴！？ 頭が痛いのか！？ 兄貴ッ！！」
弟「ああ良かった、落ち着いたか……！」
兄貴「……ここはどこ……？ 私は……『助かった』の……！？」
弟「……なぁおい兄貴、何を言って……」
兄貴「貴方は一体……はっ！？ ねぇ！！ 今は西暦何年！？ 何月！？」
弟「はぁ！？ 202X年のX月だろ！？」
兄貴「……ふ、冗談キツいわね……！ そんなに経ってるなんて……！」
弟「なあおい兄貴！ 頼むから悪ふざけは……」
兄貴「ごめんなさい。落ち着いて聞いて。私は貴方のお兄さんじゃない。貴方のお兄さんは、ソレよ……！」
野獣『24歳です、学生です』
弟「あれ、元の動画に戻ってる……？ じゃなくて！ こりゃ野獣先輩だろ！？」
弟「あ、ああ……自分で再生ボタンをクリックしたじゃねぇか」
兄貴「私もかつてそうだった。『その時』まではただの一淫夢民に過ぎなかったの。でもね……」
弟「おい、勘弁してくれよ……」
兄貴「ある平凡な淫夢動画を再生した時……野獣先輩が私を見てこう言ったわ。『1000万回再生。次はお前だ』……」
弟「……！」
兄貴「これは野獣先輩の呪い。野獣先輩が出ている動画が1000万回再生されるたびに……」
弟「おい、まさか……！」
兄貴「『動画再生者と野獣先輩の中身が入れ替わる』。私はついさっきまで野獣先輩だったの。そして『次』までは、貴方のお兄さんが……」
弟「じゃ、じゃあ……次に野獣先輩の動画が1000万回再生されるまで兄貴は野獣先輩ってことか！？ 野獣先輩の中に囚われるってことか！？」
兄貴「そうよ。現に私も『1000万回野獣先輩を繰り返させられた』。追体験させられたのよ」
弟「そんな……！」
弟「ああ……嘘だろ兄貴……！」
兄貴「野獣先輩になっている時、私が感じたのは強い怨念……そして悲嘆……！」
弟「う、あぁぁ……」
兄貴「……ねぇお願い、今から言う女の名前を調べて……」
弟「……し、調べた……。だいぶ前の記事だ……淫夢動画鑑賞中に突如810階のベランダから飛び降りたって……」
兄貴「……そう。覚悟はしてたけど……『私と入れ替わった人』は1000万回を繰り返す途中で壊れてしまっていたのね……」
弟「な、なあ！ やっぱり信じられねぇよ！ 兄貴は俺を騙そうとしてるんだろ！？」
兄貴「あなたねっ……私が嘘をついてるように見える！？」
弟「だ、だって！！ こんなのただの面白いホモビ動画で――」ｶﾁｯ
ひで『1000万回再生。次はお前だにょ』
弟「ぐあっ……ぎゃああああああーーーーーッ！！」
兄貴「なっ！？ 嘘でしょ！？ しっかりして！！」
弟「……Kas jūs esat！？ Kāpēc es esmu šeit！？」
兄貴「くそっ！！ 何なのよ！！」
-次に『彼ら』と入れ替わるのは、あなたかも知れない-
代わりにsyamuさんみます
『1000万回再生。次はお前だで』
一瞬で入れ替わるから誰も気づいてないだけゾ
オチがちょい違うけど世にも奇妙な物語のプリズナー？っていう話思い出しました