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【思い出の狭間】小説・SSスレ【追憶の鏡】- 1 :るー:2013/05/25(土) 16:44:24 ID:RtasdNbg
- …ここは誰にも見つからない場所。
自分自身の思い出…苦痛、喜び…を振り返った者だけが来ることが出来る…思い出の狭間。
魔法でもない能力でもない思い出という三文字から紡ぎ出されたこの時空はあなただけのもの。
さあ、そこの追憶の鏡を覗いてみて。
あなたに過去を振り返る…決断力と…勇気と…全てを受け入れることができる…清き心があるならば。
- 2 :りぶ:2013/05/25(土) 17:32:02 ID:uD.3w322
- 山に囲まれたとある小さな村
そこには50人ほどの人が住んでいる
場所が特定できない村というとこ以外は
普通のとこである
「おい、山をちょっと探検しようぜ」
赤髪と褐色の肌が特徴の男児
名前をリブという
「だ、ダメだよリブ…そんちょーに怒られるよ…」
少女の様な顔立ち
綺麗な白髪の男児
名前はグランベル
「おいおい、そんなのいつものことだろ?怒られそうな時は逃げればいいよ」
リブは村の中ではやんちゃな子供で有名だ
逆にグランベルは、気が弱く大人しいことで有名だった
リブとグランベル
この二人はいつも一緒だ
まるで兄弟の様に仲がいいのだ
「そ、そんな…晩ご飯抜きにされちゃうよ?」
「いいっていいって!山で取ればいいだろ?ほら行こうぜ?」
そんな会話をしていると
一人の老体が近づく
「これ、二人とも。遊ぶのはいいが、村からはでるなよ?」
この村の村長である
「なんでだよー!大人はいいのに子供はダメなのかよ!」
食いかかるリブ
「というか、お前らはいつも村の外に出ておるだろう?この村以外の人間に見られたらどうする」
この村以外の者から、姿を見られてはならない
この村の仕来りであった
「なんでそれがダメなんだよ?いーじゃんべつに」
「ダメなものはダメだ、大人達は食料をとらねばならないし、隠れるのも上手い、だから大人は良いのだ」
「俺だって隠れるのは上手いぜ!グランベルはいつも見つけられないもんな!」
「それは、隠れん坊であろう!全く…ブツブツ」
ブツブツと愚痴を言う村長
そして、リブは行動する
「今だ!グランベルいくぞ!」
「え、ちょ、えええええぇぇぇ!」
グランベルの手を引き走り出す
それに気づく村長
しかし、老いた身体では流石に追いつかない
「こらぁ!話はおわっとらんぞ!」
憤怒する村長
「へへっ!晩ご飯までには帰るって!」
「ご、ごめんなさい!そんちょー!」
そして、二人は山の中へ消えていく
- 3 :りぶ:2013/05/25(土) 17:44:37 ID:uD.3w322
- 山の中
木々が生い茂っており
珍しい花や虫、動物もいる
「やっぱいいなー!山の中は!」
「わぁ、綺麗な虫だねー」
グランベルは緑に輝く虫を見つめている
「お、あの木に果物生ってるぜ!とってくるよ!」
そういって木を登り出すリブ
「あ、ああ危ないよー!降りて来なよー」
心配するグランベル
「大丈夫だって!よいっしょっ…と、ほら取れた!取れよ?グランベル、それ」
果物を、下にいるグランベルに向けておとす
「わわっ…と、美味しそう!ありがと!」
「へへっ!じゃ、俺の分を…ってうわぁ!」
バランスを崩し落下するリブ
「いてて…」
「リブ!大丈夫?怪我ない!?」
「あぁ、大丈夫だよ…」
そして、顔を見合わせ
吹き出して、笑いあう
そんな平和な日常
いつまでも続けと思いたい
家族や友達がいて
仲間がいて、楽しく暮らす
喧嘩したり泣いたり
それが当たり前だと思っていた
- 4 :りぶ:2013/05/25(土) 18:13:49 ID:uD.3w322
- [夕暮れ時]
「もうこんな時間か…そろそろ帰るかグランベル」
「そうだね、村のみんなに心配させても悪いからね…」
山を下る二人
傷だらけ泥だらけで
存分に山で遊んだのが伺える
楽しそうに、笑顔で帰る二人を余所目に
村には異変が起きていた
「あれ、なんかおかしくないかな?」
グランベルは異変に気づいた
「そうだな、なんか騒がしいな…ってあれ?村の人じゃない人達がいる…」
「ねぇ、なんか嫌な予感がするよ、早く帰ろうよ!」
「そうだな…」
走り出す二人
村に着くが、もはや別の世界だった
人の死体がある、家も地面も
血しぶきで赤く染まっている
「お前達!速く逃げろ!」
剣を持った村長が駆け寄る
身体中傷だらけ、片腕はあり得ない方向に曲がっている
「ぅ、…あ…」
グランベルは村の様子をみるなり硬直してしまっている
「村長!なんだよこれ!?」
「説明しとる暇はない!逃げろ!お前らは必ず生き伸びなければならんのだ!…うぐっ…」
村長の腹部から、刃物が突き出ている
その刃物ひっこむと、村長は倒れた
「ひっひっひ!まぁーだ居たか!」
顔に鎌の刺青が入った者達が二人
その物達はみな、返り血で赤い
「おい、いたぞ、この村の子供が!次は殺すなよ?」
「わかってるって、へへ…」
「貴重な商品だ、傷つけるのも許さん」
そして、二人にゆっくりと近づく
「お、おい!グランベル、グランベル!」
リブの声で我に帰るグランベル
「え、あ、わ…」
そして、地面にへたりこんだ
「おい、逃げるぞ!立て!」
「で、でも、足が…」
腰が抜けて動けないグランベル
顔に鎌の刺青が入った物達は距離をつめていく
- 5 :りぶ:2013/05/25(土) 21:29:12 ID:uD.3w322
- 「おい!グランベル!くそっ!」
リブはグランベルを背負い走り出す
「ご、ごめんねリブ…」
震える声で謝る
「いーよ!気にすんな!」
しかし、逃げ回るが
大人に走って勝てるわけがない
すぐに追いつかれた
「ほらほらどぉーしたぁ!もう終わりかぁ?ひゃはははははは!」
足払いされるリブ
同時にグランベルも投げ出された
「いってぇ…」
一人の者がグランベルに近づく
「グランベルに手を出すなぁっ!」
殴りかかるが、軽く弾かれ、殴り飛ばされた
「う…くそぉ、」
もう一人の者はリブに近づく
「さ、もう終わりだ。大人しく掴まれ、お前らはこの村の子供ってだけで価値があるんだよ」
- 6 :薔薇を散らした焔。:2013/05/25(土) 22:24:51 ID:RtasdNbg
- 俺はあの日を忘れることができない。
あの日は突然…本当に突然だった。
今から4年程前マスターが謎の失踪を遂げた、三日前の出来事。
俺はいつものように任務をこなしていた。
普通のギルドの光景。ただ一つ違うとすれば、今日は俺のパートナーである冷泉が居ないということだけ。
それなりに簡単な任務だったから、一人で来たわけだが予想外だった。
ーーーーー魔物の大量発生。
突然の発生に大量の発生。
その状況に即座に対応してこそ魔導士、なのだろうが、まだ当時魔導士のひよっこである俺には対応どころか、魔法を使うことすらままならなかった。
俺が助けるはずなのに、助けを求めなければ厳しい状況にまで追い込まれていた。
一匹、また一匹と俺の皮膚を斬撃が擦り、鮮血が飛び散る。
だが結局俺はその日は辛うじて無事に一日すごすことができたのである
- 7 :りぶ:2013/05/25(土) 22:41:11 ID:uD.3w322
- >>5
もう後がない
リブはその辺りの石を投げるも除けられる
どうにかしないと、と焦るばかりだ
こいつらを倒して、グランベルを守らないと
リブは悔やんだ
自分にもっと力があれば、と
魔力があれば、倒せたかもしれないのにと
悔しいさまじりで掴んだ小石
その時、小石を掴んだ手に異変を感じた
見てみると小石がナイフに変わっていく
「な……え…」
驚くリブ
微かに感じる自分の魔力
これが後のリブの空間変化・支配の魔法
その起源であった
ナイフに変換された小石
ナイフを握りしめ果敢に立ち向かう
「おぉぉらぁ!」
「なぁっ、お前!ナイフなんてどこから?!」
リブのナイフは
その者の足に刺さる
「くっ!この!」
当身をされ
リブは気を失った
- 8 :りぶ:2013/05/25(土) 23:01:31 ID:uD.3w322
- >>7
一方、グランベルは
顔に鎌の刺青が入った者に追い詰められていた
「ひゃはは!どーだぁ?怖いかぁ!?」
「あ…ぅ…」
震えて体が動かない
助けも呼べない
リブの方を見るも
リブもピンチであった
顔のすぐよこに刃物が突き刺さる
「ひぃぅ!」
心臓が飛び出そうになる
怖い怖い怖い怖い
なんでこいつらは僕らを狙うのか
わからない
「いいねぇ!その怯えた表情!なぁ?お嬢ちゃん?いや?坊やか?ひゃははは!」
足が動かない
涙もでる
吐きそう
色んな感情が押し寄せてくるグランベル
落ち着いて、今の現状を打破しようと考えるも
雑念で考えがまとまらない
ふと、周りを見渡す
死体の山
目の前で殺された村長
リブの方を見て見ると
リブは倒れて動かない
殺されたんだと思った
そして、グランベルの感情は一つにまとまった
絶 対 に 許 さ な い
「……してやる」
小さく呟いたグランベル
「ん?なんか言ったか?」
「殺してやる、絶対に許さない…この手で、僕の手で殺してやる。仇をうってやる!」
激昂するグランベル
立ち上がり相手を睨む
「おーおー、怖い怖い、睨むなよ…痛めつけたくなっちゃうだろ!?」
顔に鎌の刺青が入った者はグランベルに向かい走り出す
グランベルはそれに合わせて拳を突き出すと
相手の顔に傷が入った
さらにもう一発、もう一発と打ち込む
よく見るとその拳からは斬撃が飛んできている
これがグランベルの魔法の起源である
しかし、斬撃をかわされ、麻酔を打たれた
意識を失うグランベル
「ふー、やべぇやべぇ、やっぱただの村じゃなかったんだな」
「おい、終わったか?」
「あぁ、さっさと戻ろーぜぇ?」
顔に鎌の刺青が入った者達は
リブとグランベルを抱え村から出て行った
- 9 :ヒロ:2013/05/25(土) 23:45:43 ID:DxZwDrFk
- 日本の首都である場所から、約30km程離れた郊外に住む一人の少年
少年は、元々身長が低く、それは発育の問題だ、個性だ、そう思っていた
しかし、高校入学と共に、その考えは徐々に薄れて行く
『おら反撃できんならやってみろよ!対した魔法も使えねえだろ?』
「...グッ」
身長が低い、ただそれだけ
否、それは十分な理由なのかもしれない
標的にされ、クラスの半分、20人から魔法で一斉放火を受け、先生が来たら隠し通す日々
- 10 :ヒロ:2013/05/25(土) 23:53:37 ID:tXipD0bA
- それは、少年の精神をおかしくするには十分すぎる刺激だった
ある日、その集中放火の際に、考える事が出来なくなった
そして、少年は攻勢に出た
反撃、否...惨劇だ...
少年が正気を取り戻したのはそれから5分後の事
その時点で、自身を攻撃していたクラスメイトは全員様々な怪我をおっていた
骨折、酸欠、失血、その他様々
他の生徒は全員少年を恐れ、震えていた
- 11 :ヒロ:2013/05/25(土) 23:57:33 ID:tXipD0bA
- それ以来、クラスメイトから攻撃は受けなかった
自分が何をしたのか分からないまま、父親が引っ越しをするらしいので、それに付いて行く形で今の場所に来た
そして、後日...少年は5分間で自身が行った「多重人格」の悲劇を知ることになる
- 12 :ヒロ:2013/05/26(日) 00:04:17 ID:OV9ey90w
- 彼は、いきなり消滅、つまり透明化を行い、その後クラスメイトを片っ端から肉弾戦で倒していったと言う
時には光の剣を使い、時にはヘッドロックを行い...
- 13 :薔薇を散らした焔。:2013/05/26(日) 09:08:14 ID:3gAF/.3g
- 朝、目覚ました俺。
とあるギルドの魔導士、紫乃咲 蓮。
まだこの頃はロゼ、とは名乗っていなかった。
俺は目を覚ました後、村へ向かった。
が、依頼を受けた村で、何かが起こっていた、確実に。
昨日の殺戮とした雰囲気とは違い……いや、雰囲気すら感じられなかったのだ。
俺はその村から少し離れた洞窟で夜を過ごしたので、村に何があったかは知らなかった。が、確実に…攻められていたのは確かだ。
人が倒れている。血が飛び散っている。
まだ息がある者もいたが、もう無理だっただろう。取り敢えず確実に生きることができそうな人を探す。
……刹那、背後で何かが動いた。
俺はその状況下に置かれて、その何かに反応することは出来なかった。
が、その何かは攻撃してくるわけでなく、ささっと消えた。黒く、影のような者だった。
「~~~~~っ」
その影をみた後、俺はしばらくボーッと突っ立っていたが、何かの声を聴いてから目が覚めた。
生気があるその泣き声は俺の所へ響いてきた。俺の耳に届いてきた。
届いてきた声は助けを求める、訴える声であった。
そうとなれば俺は僅かな可能性にかけ、その方向へ駆けた。
生きていてくれ……その一心で。
- 14 :薔薇を散らした焔。:2013/05/26(日) 09:22:27 ID:3gAF/.3g
- ……居た。
炎に囲まれた空き地に、その声の主は居た。まだ幼い少年である。
それをみれば助けない理由は無い。
俺は危険の中に飛び込んだ…無我夢中に。
幸い、俺は炎の魔導士。燃えない身体とかそんな漫画のヒーローみたいな補正は持ち合わせていないものの、火には少々の耐性があった。
ーーーそして飛び込み、その少年に声を掛けた。その少年からは返答があった。生きている。それだけで嬉しかった。それだけではないか。
取り敢えず俺は安心させる為に羽織っていたコートをその少年に掛けた。
俺は安堵の表情を浮かべる。本当に良かったと。
…だが。
そうやって無我夢中に危険に飛び込んだ俺だったが、その危険は…もう一つの危険によって仕組まれた危険だったとは…
思いもしなかった。
- 15 :りぶ:2013/05/26(日) 10:22:07 ID:EDj5voGg
- >>8
暗くて湿気の多い場所
顔に鎌の刺青が入った者達は
そこに行った
この者達は闇ギルドのイェーガー
村を遅って人をさらい、商品として売る
いわゆる奴隷一番の営業者でもある
「おい、例の村のガキ、どうだ?」
イェーガーの一員らしき、大柄な男が問う
「二人もとってきたぜぇ?ひゃはは!」
グランベルを抱えた、細身の男は答える
「おい、デカブツ、こいつを頼んだ、足が痛くてな…」
リブを抱えた長髪の男は
リブを大柄な男に渡した
「お前刺されてやんのか?なっさけねぇなぁ!ひゃっはは!」
茶々をいれる細身の男
「あの村のガキだ、魔法の起源くらい調べとけよ…」
呆れる大柄な男
「へいへい、悪かったよ。じゃぁ、始めるか…」
「そうだな、今日はそのガキは売らねぇ、倉庫にいれとけよ」
そして、リブ達は、暗い倉庫に閉じ込められた
- 16 :Clair・Bartlett:2013/05/26(日) 21:40:36 ID:c/uKSDbM
- 逃げる。ただひたすら、逃げる。
後ろからはナイフや棍棒...様々な凶器を持った大人が追いかけてくる。
なぜ、こうなったんだろうか
ただみんなが泣いているのが、嫌だっただけなのに
川に飛び込み息を潜めていると、大人達はどこかへ走り去っていった。
...このまちにいたら、見つかってころされる
にげなきゃ...っ
- 17 :Clair・Bartlett:2013/05/26(日) 21:41:55 ID:c/uKSDbM
- それから、何年も放浪した。
物を盗んで命を繋ぎ、寂しさは自分の魔法で紛らわす。
どうやら自分には、魔法の才能があるらしかった。
...今日は、パンにしようか
傍に伏せている犬に話しかけるが、反応はない。
そりゃあそうだ、今は魔法を使っていない。
...行くか
手をついと動かし歩き出すと、犬が着いてくる。
パン屋の近くまで来ると、店番が奥に引っ込むのを待つ。
- 18 :Clair・Bartlett:2013/05/26(日) 21:42:50 ID:c/uKSDbM
- どのパンにしようか遠目に物色していると、後ろから声をかけられた。
「君、ちょっといいかね?」
振り返ると、いかにも金持ち、という感じの男がいる。
年齢は...そうだな、30代後半から40代前半、だろうか。
...何だよおっさん
「詳しい話は後でしよう、取り敢えず私の家に来ないか?」
はぁ?...まぁいいけど飯出せよな、腹減ってるんだ
「分かった。では行こうか」
- 19 :Clair・Bartlett:2013/05/26(日) 21:43:21 ID:c/uKSDbM
- ...男は、ダンクワースという貴族の頭首らしい。
話を聞いたところ、どうやら自分を非公式で養子にしたいらしかった。
何故、と問うと息子のためだ、と返ってきた。
才能こそあれそれを発揮する事のない息子に、競争相手を作ろうと考えたようだ。
...つまり、誰でも良かったということだ。
自分が選ばれたのは単なる偶然なのだろう。
だが、この好機を逃す訳にはいかなかった。
...これを逃せばきっと、一生泥沼に嵌ったままだろうから。
いいよ、あんたの息子になってやる。
「本当か?ならば、早速身嗜みを整えて貰わねばな」
- 20 :Clair・Bartlett:2013/05/26(日) 21:44:11 ID:c/uKSDbM
- こうして自分は、貴族になった。
言葉遣いや礼儀作法、一般常識に経済、政治...様々な事を覚えた。
自分が頑張れば奴も頑張って、その結果おっさんは喜んだ。
...もう、自分は必要ないだろう。
立派な跡取り息子が完成したんだ、おっさんにとって必要なのはアイツだけ...俺は、邪魔なだけだ。
家を出るとき、一生困らないほどの金を貰った。
...手切れ金のようなものだろう、暗にもう帰ってくるなと言っている訳だ。
普通に暮らそうとも思ったが、自分には到底無理だとすぐに判断した。
せっかく魔法が使えるんだ、ギルドに入ればいいじゃないか。
- 21 :Clair・Bartlett:2013/05/26(日) 21:45:40 ID:c/uKSDbM
- そうしてギルドに入り、依頼をこなしているうちにいつの間にか四天王のような立場になっていた。
それから、とある依頼先であの子と会って...
あの子は元気だろうか、最近顔を見ていないから心配だ。
ーーーーーーーー
......あぁ、なんだ、夢か
嫌な夢を見たもんだ...昔の事なんざ、とうに忘れていたと思ったんだがな
...そうか、ヴィンスに会ったからか
あぁ、今日は平和だ、予定も無い
もう一眠りしようか......
- 22 :りぶ:2013/06/02(日) 00:07:32 ID:e8dtvbj2
- >>15
何日が経ったであろう
倉庫に閉じ込められてからだ
僕らがなにをした
僕らにはなんの価値があるのだ
そう考えるばかり
周りは自分達以外に何人かいるが
腕が無い者 腹部がツギハギに縫われている者
そんな人たちが沢山いた
自分達もこうなるのか、そう思った
そのとき、扉が開けられた
そこには大柄の男がいた
「そこのガキ二人、出て来い」
そう言ってリブ達を見ていた
まるで警察に投獄されていた囚人のようだ
いや、その方がまだよかったであろう
釈放ではない
これからリブ達は
商品として売られるのだ
- 23 :りぶ:2013/06/02(日) 00:16:22 ID:e8dtvbj2
- >>22
逃げようと思えば逃げれたであろうが
しかし、魔力に目覚めたばかりの二人にはまだ使いこなせる程度にも達していない
逃走は無理だったのだ
連れてこられたのは暗い地下商店
闇市場でもある
リブ達はそこで売られた
奴隷として
正確には貸し出しだ
金を払い奴隷を借り
あとは客の自由だ
死なさせること以外は
リブもグランベルも何度も売れた
リブはストレス解消のはけ口にされた
過労で倒れるまでコキをつかわれた
囮にされた
グランベルはどうだったであろう
リブはそれを知らない
でも、グランベルの様子をみれば想像はついた
性的な暴力だったのであろう
何週間もそれが続いた
体力も気力も二人は限界だった
- 24 :りぶ:2013/06/02(日) 00:25:34 ID:e8dtvbj2
- >>23
「ねぇ、本でしか読んだことないけど…こんな悪いやつらを懲らしめる人たちって本当にいるんだよね」
グランベルはそう呟いた
「あぁ、確か評議会だっけ?」
リブはそれに答える
人里離れた村暮らしの為に
少々、世間の常識をしらないとこがある
しかし、その会話には生気はない
声はかすれて、目は座っている
絶望の中にいるだけだ
「なんでその、ひょーぎかいって僕らを助けてくれないの…正義の人なんでしょ…」
「俺がそんなこと知るかよ…」
グランベルの問に冷たく返すリブ
会話は止まる
誰かが近づいてきた
またか…またひどい目に合わされるのか
そう二人は思った
- 25 :りぶ:2013/06/02(日) 00:36:30 ID:e8dtvbj2
- >>24
リブ達が売られている前で立ち止まる男
その姿は長い髪に
優しい顔立ち、神父服
それが印象に残った
そして、イェーガーの大柄の男に話をする
「…この子達を解放してはくれないか?」
そう男は言う
リブ達は少し驚いた
「解放?バカをいうな、金払わないんなら消えろ。邪魔だ」
大柄の男は軽くあしらう
「そうか…なら」
ここで、リブ達の記憶は途絶えた
気がつくと大柄の男は倒れていた
「ワタシについてきてくれ、君達を保護しよう」
リブ達は、これまでのトラウマから
それを拒絶する
「怖がらなくてもいい、なんならワタシが怪しい行動を取れば…これで刺すといい」
そう言って男はリブ達に鋭利な刃物を渡した
いままでと違う対応した男に対し
リブ達の不信感は和らぎ
男についていくことにして
この男はヒース=グラハム
リブ グランベル
メリア オルガを育てた
グラハム孤児院の院長だ
- 26 :りぶ:2013/06/02(日) 00:44:36 ID:e8dtvbj2
- >>25
孤児院に着くと
真っ先に寄ってきたのは女の子だ
髪型はボブ
元気のいい女の子
メリアだ
そして、あとから出てきたのは
女のような口調の背の高い男
オルガだ
メリアの正確と
オルガの面倒見のよさがあって
四人はすぐに仲良くなった
リブとグランベルの心の傷も和らぎ
このまま幸せに暮らせると思った
当時四人の年齢は
リブ 10歳
グランベル 9歳
メリア8歳
オルガ 13歳
十二年前の話である
- 27 :りぶ:2013/06/05(水) 21:40:53 ID:x6IqKgEM
- >>26
数ヶ月ほど過ぎた頃
「さて、そろそろリブやグランベルも家事当番をやってもらうかな」
ヒースはそう言った
ここのグラハム孤児院は
孤児の子供に家事などをさせて
覚えさせるという教育である
料理 掃除 洗濯 日曜大工
それぞれに日替わりで家事をこなす
ヒース達を含め
ボランティアで孤児院にきてくれる人達も手伝ってくれていた
この日は
リブは日曜大工
グランベルは洗濯
オルガは掃除
メリアが料理であった
「き、今日の料理当番はメリアなのね…た、楽しみだわ…」
なんか動揺しているオルガ
ヒースも微妙な顔をしていた
「ボランティアの人たちの言うことよく聞いて、がんばってつくるからね!」
メリアは気合十分だった
リブ達はそれぞれの作業にとりかかる
- 28 :りぶ:2013/06/05(水) 21:48:59 ID:x6IqKgEM
- >>27
リブの日曜大工
壊れかけの扉や屋根の修理
なかなかの腕だった
以外と細かい作業は得意だったのだ
「どうだ!すげぇだろ俺!」
ドヤ顔していると屋根から滑り落ちた
「いてて…」
「もう、リブ危ないよ」
下で洗濯をしていたグランベル
こちらも手際がよかった
「貴方達って器用なのね、凄いわ」
掃除を終えたオルガが二人の後ろから声をかけた
と、同時にメリアが叫ぶ
「ごはんだよぉー!」
オルガが動揺しだした
リブとグランベルはこのとき
この後に起ることを思いもしなかった
- 29 :りぶ:2013/06/05(水) 22:37:44 ID:x6IqKgEM
- >>28
食堂にいくと料理が並べられていた
全てが真っ白だった
「焦がして真っ黒ならわかる、真っ白てなんだよ」
リブはそう答えた
「焦がしてないから失敗じゃないよー!」
メリアの反論
確かに焦げてはいない
「ま、まぁ…いただこうか…」
ヒースの合掌の合図と共に
料理を食べる
「うまい…」
「おいしい…」
リブとグランベルの口には合ったようだ
そして、涙が零れる
感動とかそんなのではない
なぜか涙が零れる
ヒースとオルガも涙が零れていた
…別の意味で
作った当人のメリアは
何も起きていないようだった
そんな感じで
一日、また一日と時間が過ぎて行った
幸せの時間が
- 30 :名無しの魔導士さん:2013/06/07(金) 02:55:45 ID:vyVp8VWA
- >>29
5年の月日が流れた
魔法が使えるようになっても
経験不足では意味がない
ヒースに稽古をしてもらい
なんとか実戦でも活かせるようになる
人を守れる為
自分を守る為に戦えるように
ある時、オルガとグランベルで
街へ買い出しに行った時だ
帰り道である男を見かけた
すれ違いざまにグランベルが見た男は
顔に刺青が入っていた
だが、闇ギルド イェーガーではない
しかし、グランベルの表情は強張り
震えていた
「………」
すれ違った男を睨みつけている
「グランベル?どうかした?」
オルガはグランベルの異変に気づき
声をかける
「え、いや、なんでもないよ…」
明らかに様子はおかしい
そして、グランベルは
先ほどの男を追いかけようとする
「ごめんねオルガ、ちょっと先行ってて」
荷物をオルガに押し付け
走り去っていく
- 31 :りぶ:2013/06/07(金) 03:09:10 ID:vyVp8VWA
- >>30
「ちょっと!グランベル!」
呼び止めようとするも
人混みに消えて見失う
「もう…ここで待ってた方がいいわね…」
しかし、夜になってもグランベルは帰ってこない
流石に待つとは言っていられなくなり
街を探し回る
「どこいっちゃったのよ!もう!」
街の隅々まで走り回り
グランベルを探す
そして、暗い路地裏の辺りで
グランベルを見つけた
どこか虚ろな表情で
夜空を見上げていた
「グランベル!どこいってたのよ!?」
オルガは駆け寄る
グランベルはゆっくりとオルガの方を向き答える
「あ、えーと、ごめんね…迷子になっちゃった」
広い街だ、迷子になるのもわかるが
この五年の間に何度か行き来している
ある程度はわかるはずなのだが
オルガはそらどころではなかった
「もう、バカ!心配したんだからね!さ、早く帰るわよ!」
グランベルの手を引いて早足で帰路につく
路地裏でグランベルが何をしていたのかを確認する間もなく
路地裏では、さきほどすれ違った
顔に刺青が入っているだけの男が
無数の切り傷を負って
死んでいた
- 32 :りぶ:2013/06/07(金) 17:44:02 ID:vyVp8VWA
- >>31
孤児院に戻る二人
先ほどは夜でもあったため
暗くて良く見えなかったが
グランベルの服に赤黒いシミがついていた
返り血を浴びていたのだが
当時のオルガ達は
そんなことを思いもしない
ただどこかで汚れただけだろう
そう思っていた
それからのグランベルは
どこか様子がおかしかった
二度三度とそんなことが続いた
その度にグランベルは
どこか嬉しそうな表情を浮かべていた
そして、それから二年が経ったある日
- 33 :濃緑髮の青年:2013/06/10(月) 17:37:42 ID:YsxRuq0g
- これは、風来坊と言う名前が無かった頃の…今は失われてしまった物語。
- 34 :濃緑髮の青年:2013/06/10(月) 18:23:29 ID:2hlmnZds
- ある日、僕はとある魔術実験場にて生まれた。それを意識したときの驚きは筆舌に尽くせないものだった。
「やった!ついに実験は成功したんだ!」
「ようやく敵国を殲滅できるな!」
「あぁ…実験体に名前が必要だな…何がいいと思う?」
「ふむ、ならエウレスはどうかな?」
「エウレス!昔の『忘れ去られた東の風』という意味ですよね。いいかもしれません」
驚きながら、僕はそれらの事を聞いていた。何を言っているのか全て理解しながら。
しかし、特に何も感じずに。
- 35 :濃緑髮の青年:2013/06/11(火) 07:26:23 ID:QZ/isj4Q
- >>34
僕はそこで大抵の武術を学ばさせられた。勿論、出来なかった時は食事三日間抜きや営蔵入りである。
ある日僕は、戦闘訓練でミスをしてしまい、ある人を怪我させてしまった。
と、言っても腕に少し傷が出来ただけ(その軍では日常茶飯事である)なのだが、
「こ、こ、このバケモノめ!」
「お、俺たちの仲間に向かってなにしやがんだ!!」
周りからは罵声と恐怖の声しか聞こえなかった。
その件で自分が他の人間とは違う、周りの人全てから忌避される存在だと知った。
僕は、孤独だった。
それからまもなく、僕は敵国内へと派遣された。
ただし、そこは山里の村であり、敵国内へ侵入するための下準備の段階だった。
- 36 :りぶ:2013/06/11(火) 18:14:23 ID:HBLwvBxk
- >>32
突如、グランベルが姿を消した
ヒースはリブ、オルガ、メリアを呼び
心当たりがないかを問うが、みんなわからない
「ねぇ、ヒースは…心当たりないの?」
オルガはヒースに問う
「ないわけじゃない…グランベルについては妙な噂が流れてるからな…」
「妙な噂…?」
リブが答える
「ここ数年、あいつが突然どこかへ行ったり、稀に血を流しながら帰ってきたこともあったよな?」
「あたしもそれは変に思ってたわ…でも、あの内気なグランベルに限って…って思って何も言わなかったんだけど…」
オルガは答える
「それだ、そのことだ。噂ではな、綺麗な白髪の少年、又は少女が…顔に刺青のある者を切り刻んでいた…という噂だ…」
ヒースのその言葉にリブは反応する
「顔に…刺青……ッッ!」
「あぁ、あいつやリブにとっては嫌な事を思い出すだろうな…しかし、鎌の刺青とは限らない…顔に刺青なんて探せば結構いるだろうからな…だから確定といくまい…街では都市伝説程度の噂だ…ジャック・ザ・リッパー(切り裂き魔)ってな…」
リブをなだめるように、ヒースは答えた
しかし、
ここまでそんな情報を出されたら
グランベルの事しか思い浮かばない
もうグランベルは壊れかけている
顔に刺青があればイェーガーだと思って
無差別に切り裂いている
ヒースもわかっているはずだ
なぜ動かない
そんなことを思いながらリブは立ち上がる
「俺…探してくるよ…場所も…なんとなくわかった…」
そう言い残し、孤児院から走って出て行った
「ねぇ…グランベルは大丈夫なの?」
悲しい目をしてメリアはヒースに問う
「………大丈夫だ、命に替えても…グランベルを連れ戻す」
- 37 :りぶ:2013/06/12(水) 17:47:55 ID:wy2A5AqA
- >>36
リブはある場所に来ていた
薄暗く、嫌な雰囲気の場所
リブやグランベルが奴隷として売られていた場所に
そして、グランベルの姿を見つける
「やっぱりここか…」
嫌な思いしかない場所
しかし、鮮明に場所は覚えていた
それだけのトラウマが二人に刻まれていた
リブはグランベルに声をかけるために近づこうとする
その瞬間、グランベルはゆっくりと倒れた
急いで駆け寄るリブ
よくみると身体中が傷や痣だらけであった
そして、聞き覚えのある声がした
「あん?なんだお前も来たのか?ひゃっはっはっは!大きくなりやがってよぉ!」
耳障りな笑い声
細い体
そして、顔に鎌の刺青
リブ達の村を襲ったイェーガーの本人だ
「お前…グランベルに何をした!?」
リブは激怒する
「なにって…やられたからやり返したんだよ!それにこいつ、顔に刺青があれば俺らだと思って無差別に襲ってたんだろ?いやぁ、怖いねー…ひゃははは!」
わかっていたけど
信じたくはなかった
しかし、この男の発言により
確定してしまった
ここ数年の切り裂き事件の犯人は
グランベルだった
- 38 :りぶ:2013/06/12(水) 18:01:10 ID:wy2A5AqA
- 「く…お前らが…お前らが村を襲わなければ!グランベルはこんなことにはならなかった!」
言い訳のように聞こえるかもしれない
しかし、事の発端はイェーガー
こいつらがいなければと
リブは思っていた
「しょーがねーだろ?俺らも仕事だ…ま、もっとも、俺らの勘違いでもあったんだがな」
「……は?」
何を言っているのかわからない
頭の整理かわつかないリブをよそ目に
細身の男は続ける
「お前らの村の子供は、価値がある…理由までは聞かされなかったが価値があったらしいんだよ、でもなぁ、それは別の村のことでな?お前らの村は関係なかったとさ…めでたしめでたし、ひゃっはは!」
ただの勘違いで村を襲われた
村の人をみんな殺された
リブとグランベルだけ
その勘違いの対象にされ
奴隷として売られ
グランベルは壊れていった
「く…くそがぁぁぁぁぁ!!!」
細身の男に殴りかかるリブ
しかし、あっさり躱され抑えつけられた
対人との実践経験は皆無に近い
それに比べてイェーガーは仮にも魔導士ギルド
差は歴然だった
「まぁ、奴隷としてなら…それだけなら価値はあるんだからよぉ…大人しくまた商品になりやがれよ…」
力を入れてもビクともしない
孤児院から勝手に飛び出してきたから
助けもこない
もう終わりだとリブは思った
- 39 :りぶ:2013/06/12(水) 18:18:31 ID:wy2A5AqA
- >>38
「その子たちは私の子供たちだ…今すぐその手を離せ」
ピンチに駆けつけるヒーロー
そんなものは幻想だと思っていた
でも、今はヒーローが…ヒースが目の前にいる
「先生…」
安堵するリブ
「おいおい、こいつらを逃がしたっていう例の神父さんかぁ?あの時は世話になったなぁ!おかげで商品も台無しだぜ!」
リブを離し立ち上がる細身の男
そして、ヒースに向かって走り出す
魔力のようなものを放ちながら殴りかかる
「ゲスが…」
攻撃を躱して、細身の男を膝で蹴りあげ
その勢いで顔を殴る
「がっはぁ…」
細身の男は倒れた
前歯が何本か折れている
「さ、グランベルを連れて帰ろうか」
微笑みながらリブに言う
だが、奥の暗闇の方からゾロゾロと
顔に刺青の入った者達が出てきた
30人はいるであろう
流石に、30人を同時に相手にはできない
逃げるしかないと思ったリブ
しかし、ヒースはその軍団に向かってゆっくりと歩きだした
- 40 :りぶ:2013/06/12(水) 18:30:03 ID:wy2A5AqA
- >>39
「先生!逃げるぞ!あの人数を相手にする
のは無茶だ!」
ヒースを止めるリブ
しかし、ヒースは止まらない
「ここで、こいつらにグランベルをこんな風に変えた罪を償ってもらう…そして、それを更正させられなかった私の罪も…」
「先生…何を…」
「イェーガーが居なくなれば…グランベルはもう無差別に襲うことはないだろう…だから、私とともにここで散る」
ヒースの足元に魔法陣が展開される
それと同時に、イェーガーの者達の足元にも同じ物が展開されていた
「断罪魔法 償」
ヒースは静かにそう呟いて
魔法陣の光がまし、見えなくなった
- 41 :りぶ:2013/06/12(水) 20:28:38 ID:wy2A5AqA
- >>40
光が消えて、あたりが見えるようになる
見えた景色は
大勢居たイェーガーの死体
それと、ヒースの死体
「せん…せー?…うそだろ?なぁ、起きろよ…」
ヒースを揺さぶるが起きることはない
「リブ…ヒースは…どうしたの…」
グランベルが目を覚ましたようだ
状況が掴めず、混乱気味だ
「………俺らを…助けるために…」
リブは震える声で答えようとする
そこへ、オルガが駆けつけてきた
「リブ!グランベル!大丈夫?!怪我はない?!」
オルガは息を切らしながら問う
そして、傷だらけのグランベルを見て
ぐっと唇を噛みしめる
グランベルは口を開く
「それより…ヒースが…」
「わかってるわよ…ヒースはこのつもりで助けにきたんだから…グランベル、貴方はいつも通りに生きて行きなさい…」
涙を堪えながらオルガは答える
「でも、なんでヒースが死ななきゃなんないの!?…僕が…僕が死ぬべきなんだったんだよ!」
「黙りなさい!…ヒースの気持ちを無駄にするんじゃないわよ…」
薄暗く、気持ちの悪い場所
トラウマを植えられた場所
その場所はやっぱり
嫌な思いしかない
三人の泣く声が
ただ響いていた
- 42 :りぶ:2013/06/12(水) 22:21:44 ID:wy2A5AqA
- >>41
五年の月日が流れた
オルガは国内でも有名なギルドへ入った
グランベルはあの日以来、また姿を消した
リブとメイドは孤児院で子供の世話をしながら、やりたいことを見つけていた
ヒースの墓へは、毎日通った
オルガも時間を作って来てくれたが
やはりグランベルは来ない
「ねぇ、リブ…あなたはギルドに入らないの?」
オルガはそう聞いてきた
「んー、入ろうとは思ってたけど…どこに入るかまだ決めてないんだ…」
「あらそう?…それなら、ちょっと面白そうなギルドがあるらしいんだけど…見るだけでもいってみたら?」
どこに入るか決まらないリブに
オルガはとあるギルドを勧めた
昔は有名だったらしいが
なんらかの理由で地に落ちたギルド
そのギルドがまた人を集めているという
「すこしだけ…興味が湧いたな…」
「じゃ、場所を教えるから行ってきなさい」
そして、そのギルドへと、足を運んだ
- 43 :りぶ:2013/06/12(水) 22:27:27 ID:wy2A5AqA
- >>42
確かに面白いギルドだった
一人の青年が土下座をしてまで
人を集めている
「悲しいね」
通行人は口を揃えて言った
そして、リブも
「悲しいときぃぃぃ」
と言い残し、去って行った
しばらくしてから、再び訪れる
何人かの人が加入していた
これがギルドか…
好奇心もあるが
自分を強くするために
ギルドへ加入した
- 44 :りぶ:2013/06/12(水) 22:43:11 ID:wy2A5AqA
- >>43
一方でグランベルは
自ら顔に鎌の刺青を入れ
闇ギルドのイェーガーに入った
理由はおそらく本人でさえも
はっきりしていない
イェーガーに村を滅ぼされたことが
顔に刺青が入った者を無差別に殺した
そのせいでヒースは自分を犠牲にしてまで
グランベルの罪を償おうとした
いや、その前に、そうなる前になぜ正規ギルドや評議会は動かなかったのか
せめて、無差別に殺していたときにでも捕まえてくれればよかったんだ
などと、理由はこんなもんだろうと
自分でも思った
でも、それ以上に
生き物を切り裂く感覚が楽しくてしょうがない
良心はもう、完全に消えかかっていた
イェーガーに入った理由は二つ
個人的なイェーガーへの復讐
当時いたイェーガーの者を
全て切り裂き、殺した
その後、リブとも接触
戦闘にもなった
しかし、無意識のウチに手を抜いてしまっている
本気でグランベルが殺しに行けば
リブは確実に負けるが
グランベルは手を抜いた
そして
リブが禁書を使用しての魔力により
一度は相打ちで死にかけたが
まだ両者とも生きている
ほんのわずかな良心は
リブを殺すことで消えるだろう
挑発するためにアンドレ(ペトル)を
リブのギルドに送り込んで、戦闘
ただ、そのギルドの力を見るための捨て駒でしかなかった
ジリジリと近寄る快楽殺人者
この快楽を最高にするためには
良心を留まらせてるリブを殺すしかない
グランベルはもう
リブを殺さずとも既に良心も
全て失っていた
そして、決戦のときも迫る
- 45 :りぶ:2013/06/12(水) 22:50:24 ID:wy2A5AqA
- >>2>>3>>4>>5>>7>>8>>15>>22
>>23>>24>>25>>26>>27>>28>>29
>>30>>31>>32>>36>>37>>38>>39
>>40>>41>>42>>43>>44
最後の方適当すぎた
一応、過去小説はここまで
- 46 :泡沫の夢 ある少女の追憶:2013/06/25(火) 19:48:08 ID:1naGU4vA
- 一面の白
其処は何物も存在しない果てなき荒野の様であり
幾重にも幾重にも降り積もり、全てを覆い尽くした後の雪原の様でもあった
白以外のあらゆる色を排除した、その空間に
黒色の雫が一つ、投じられる
途端に、白い世界に波紋が拡がる、脈打つ様に、息づく様に、蠢く様に
世界の流転が静まった時、白い世界は天蓋の付いたベッドが置かれた、子ども部屋と思わしい場所へと変わっていた
「……まだ熱が下がらないわね……辛くはない?」
「……うん、だいじょぶだよっ……えへへっ」
その部屋には二つの人影があった
一つは、ベッドに横たわっている少女であり
もう一つは、少女のベッドの傍に立つ女性であった
「この分だと、明日のパーティーは中止ねぇ」
「えぇ~……そんなぁ……へいきだよっ! このくらいっ」
女性の言葉に対して反論しようと体を起こそうとする
しかし、女性は少女の行動を腕で制し、横にならせて布団を掛け直すと
「無茶を言ってはダメよ? 途中で倒れでもしたらどうするの」
「少なくとも、今日と明日はゆっくり休むの……分かったわね?」
「………はぁい、おかぁさん」
渋々といった様子の少女の髪を撫でながら、少女の母は微笑みを浮かべ
「大丈夫、明日のパーティーが中止になっても、パーティーが無くなるわけじゃないのよ?」
「また日を改めて元気な時にしましょう……ね?」
「……わかった、じゃあ……やくそくだよ?」
「えぇ、約束するわ……私の可愛いビャンコのお誕生日パーティーなんですもの」
二つの人影は、互いに寄り添い約束を交わす
当たり前の明日が、今日よりも幸せな明日がくる事を疑いもせずに
- 47 :泡沫の夢 ある少女の追憶:2013/06/25(火) 21:26:28 ID:1naGU4vA
- 世界が歪む
薄暗い子ども部屋が、天蓋の付いたベッドが、寄り添う親子が、歪む
原型を失い、混ざり合った景色が水に広がった波紋がやがて静まる様に、再び形を取り戻す
そこは先程と同じ子ども部屋、しかし部屋の中は温かな朝の日差しに満ちていた
天蓋の付いたベッドの中で眠っていた少女が、朝の訪れを感じ目覚める
「……ふぁぁ…ん~~っ! ……あれぇ?」
少女が目覚めて最初に感じた事、それは昨夜までその身を支配していた気怠さが消え失せていた事
そして、未だかつて無いほどの身体の軽さであった
「…なおった……あはっ! やったぁぁ!! なおったぁぁぁっ!!」
喜びと身軽さに任せ、ベッドを飛び出すと部屋を抜け、走り出す
大きな扉を開け放ち、絨毯の敷き詰められた長い廊下を駆け抜け
沢山ある扉の内の一つに飛びかかる様にしてノブを引くと、叫ぶ
「おかぁさん! おとぅさん!! なおったよ! おねつなくなったの!!」
「……? ビャンコ? 一体どうしたの……あんなに高かった熱がそんな一晩で治るなん……て……」
「ホントったらホントだもんっ! すっごくからだがかるいし、それにっ」
「ビャン……コ? あなた、それ……その頭のは……どうしたの?」
「へっ? あたま? どうしたのって、なにが……………へ?」
母の言葉に促され、自身の頭へと伸びた小さな手が触れたのは
父に母に、何度も撫でられた自慢の髪の毛の中に生えたナニカの動物の耳の様な物であった
- 48 :だな:2013/06/25(火) 21:49:03 ID:1naGU4vA
- 三度、世界が歪む
歪む景色は、しかし歪んだままに流れ続ける
「娘は……っ! 娘はどうなってしまったんですか!?」
「治せない? そんな……そんな事って!」
「私の……っ、私のせいだって、そう言いたいの!?」
「何が魔導士よっ!! 冗談じゃないわ! あんな、ペテン師が!!」
「………っ! ふざけないで!! あの子は……っ」
歪んだ世界は、流れ続ける
流れ流れて、窓の外の景色も移り変わり
丁度季節が一巡するかと言った頃に、再び世界は形を取り戻す
- 49 :泡沫の夢 ある少女の追憶:2013/06/25(火) 22:22:15 ID:1naGU4vA
- 景色は再度、子ども部屋である
部屋の中にいるのは、ただ一人
かさのある服を着込み、室内にも関わらず目深に頭巾を被った少女であった
「……ふぅん、今日はちゃんとかぶってるのね」
部屋の中へと入ってきたのは、少女の母であった
しかし、少女を見る母の目にかつての愛情や優しさは無い
「……っ…うん、だってやくそくしたもん……ぜったいにとらないって、おかぁさ」
「その呼び方で! 私を呼ぶなっ!!」
「…っ! ぁ……ぅ……ご、こめんなさ……っ」
「……チッ……まぁ良いわ……こんなやり取りも最期なんだしね」
「………えっ?」
「あなた、確か外に出たいって言ってたわよね?」
「ぁ…う、うんっ……いった、けど」
「喜びなさい、望み通り出してあげるわ……だから今すぐ外に出れるよう支度なさい、分かったわね」
「……! う……うんっ! わかっ……っ」
少女の返事を最後まで聞く事も無く、母は部屋を後にする
少女は急いで身支度を整える
今すぐに、と言った母の言葉を守る為に
そして何より、母との外出のひと時を少しでも長くする為に
- 50 :泡沫の夢 ある少女の追憶:2013/06/25(火) 22:53:58 ID:1naGU4vA
- 「さぁ、お行き」
「………えっ?」
身支度を整え、急ぎ屋敷の外で待つ母の元へと駆けて来た少女
その少女に向けて放たれた最初の一言が、それであった
「えっ……と……それって、どういう……」
「ふん、つくづく愚図ねぇ……ならわかるように言ってあげる」
「ここから、出て行きなさい……今そう言ったのよ、分かったかしら」
「う……うんっ、わかった……じゃあ、その……おかぁさんも、いっしょ、に……」
「………はぁ? 何にも分かってないじゃないの、馬鹿ねぇ」
「あぁ、それとも言葉がちゃんと理解できていないのかしらね……まぁ、それも仕方ないわよね」
「何せ、あなたは バ ケ モ ノ なんだものねぇ」
「……バケ
モノ………?」
「えぇそうよ、 バ ケ モ ノ ……あら、どうしたの? まさか……今まで違うとでも思ってたの?」
「ち、ちがっ……だって、わたしっ……わたしは! ビャン」
「黙りなさいっこの バ ケ モ ノ ぉぉぉっ!!」
「っ!」
「……正直に言って、今すぐにここから放り出してやりたいけれど……私は人間だからね」
「隣の国にあんたみたいなおかしな奴ばかりが集まる場所が有るらしいわ」
「そこに行けば、あんたみたいな バ ケ モ ノ でも住ませて貰えるんじゃない?」
「……地図とそのまでの路銀位はあげるわ、感謝なさいな」
そう言って地面に放られたのは母の言う通りの物が入れられた小さなポーチであった
「表に馬車を用意したから、国境迄は送ってあげる」
「そこから先はあんたの勝手にしなさい、ただし……この国に留まる事は、許さないわ」
「話はお終い、じゃあね」
母であった女性は、少女をその場に残して屋敷へと戻ろうと踵を返す
「ま……まってっ! おかぁさんまってよぉ!!」
「わたし、いいこになるからっ! わがままいわないからっ!! 」
「だがら……おがぁさぁんっ! きょねん、のぉっ……やぐぞく、おぼ……え……」
泣きながら縋り寄る少女を振り払い、見下ろす様にして告げる
「約束……? 知らないわぁ、バ ケ モ ノ となんて約束した事ないもの」
- 51 :泡沫の夢 ある少女の追憶:2013/06/25(火) 23:05:55 ID:1naGU4vA
- 世界が歪む
しかし、歪んだ世界が形を取り戻す事はない
世界は、その意味する所を失ったかの様に黒く染まっていく
そうして世界から全ての色が塗りつぶされた時
そこには無限の黒の中にただ一つ、塗りつぶされる事の無かった白があった
地と空の境すらも消え去った世界の中で、蹲る様にして存在した白が、顔をあげる
「わたしは……■■■■ なんだ」
呟きは歪み、聞き取る事は出来ず
そうする内に黒に染まった世界は泡が弾ける様に消え去っていくのであった
- 52 :泡沫の夢 ある少女の追憶:2013/06/25(火) 23:07:22 ID:1naGU4vA
- >>46-51
けっこう端折ったのに長くなってしまった
まぁ夢なので、こんな所かな
長かった割にだからなんだって感じで申し訳ない
- 53 :葬った記憶 少女の記憶:2013/06/25(火) 23:41:55 ID:n3/FHtkI
- 日本の何処か、名前も知らないような小さな場所
そこに一人の少女が住んでいた
人口600人程の山奥の村で、家族と暮らしていた
4人家族、その少女と、両親、姉だ
木造建築だったその家は、4人で暮らして行くには十分な大きさだった
「ねえ、お母さん」
「なに?」
「今日のご飯なーに?」
「今日はね...貴方が大好きなお団子と、そうね...お味噌汁でも作りましょうか」
「やったぁ!」
「あはは、本当、三佳十はお団子が好きだなぁ」
そんな何気ない会話が飛び交って居た
それは、永遠に続く物だと信じて居た
いつまでも、いつまでも...ずっと
- 54 :葬った記憶 少女の記憶:2013/06/25(火) 23:50:40 ID:n3/FHtkI
- >>53
ある日、報道された放火事件
それは、少女の村の、少し外れの場所だった
幸い、留守だったので犠牲者0人だったらしい
「そういえば、この前の放火事件」
「ん?」
「あれ、無差別って噂なのよ」
「はぁ...怖いな...」
「本当だよねぇ...」
「ねぇ、お母さん!お父さん!何の話?」
「あ、三佳十!お父さんとお母さんは今話してる最中でしょ!」
「まぁまぁ、■■、良いじゃないか」
「そうよ、大丈夫よ?」
「...まぁ、良いかな」
「じゃあさー、何の話してたの!」
「えーっとねぇ...三佳十の行きたい場所は何処かな、って話だよ?」
「じゃあ!私山でピクニックしたい!」
その日も、何気ない会話だった
そう、その時までは
- 55 :葬った記憶 少女の記憶:2013/06/25(火) 23:54:32 ID:n3/FHtkI
- >>54
それが起きるまで、30分
「~♪」
「あれ?三佳十ってそんな歌知ってたっけ?」
「ううん、今考えた!」
「へぇ...どんなの?」
「えーっとねぇ...私の好きな物!」
「うふふ...三佳十は凄いねえ」
「そうかなぁ?」
「そうだよ、きっと、誰よりも優しくて、綺麗なお嫁さんになれるよ」
「えへへ...」
そして、時は、やって来た。
誰も、知らない合間に
- 56 :葬った記憶 少女の記憶:2013/06/26(水) 00:02:10 ID:kM8F30WI
- >>55
コンコンと言うノックの音が聞こえる
「はい?誰ですか?」
「あー、ここ最近の放火事件をご存知でしょうか?」
そこに居たのは、20代の男
「えぇ、まぁ」
「その事について、何か知っている事があれば、お伺いしたいのですが...」
「あの...なんでですか?」
「おっと失礼、■■■と申します」
「事件の調査を行っている者です」
「家に上がらせて貰っても良いでしょうか?」
「どうぞ」
そして、始まった
少女の母が後ろを向いた瞬間、男が取り出したのは、ナイフとマッチ
男はナイフで少女の母を一撃で仕留めた
血が滴り落ち、カーペットが赤く染まる
「へ?」
「一人目~」
「...ッ!」
「三佳十!■■!あなた!逃げて!」
そんな叫びが、家中に響いた
「まだ生きてやがる」
男はもう一度、今度は腹を刺して、家の奥へ進んだ
「ケッヒヒ...あと3に~ん」
- 57 :葬った記憶 少女の記憶:2013/06/26(水) 00:10:27 ID:kM8F30WI
- >>56
「「「!?」」」
「三佳十!■■!逃げろ!」
「へ?お父さんは?」
「どうするの?」
「父さんはお母さんを見てくる!早く!」
「う...うん...」
「ケッヒヒ...さぁ~て...」
母の元へと駆けつけた父
そして、扉の横で待ち伏せる男
「お前!大丈夫...か」
絶句した父を、男がナイフで、今度は頭を切り裂いた
「ぎゃあぁあぁぁぁぁぁあああ!」
途轍もない叫びが聞こえる
「お父さん!?」
「三佳十!先行って!見てくる」
「でも...お姉ちゃんが...」
「お姉ちゃんは、大丈夫だから
「で...でも...」
「信じて」
「.....うん」
頬にキスをして、姉も向かっていった
その間に、少女は走った、全力で
後ろから聞こえる絶叫も、何もかも振り切って
分かって居たのだ
姉は時間稼ぎに行ったのだと
そして、彼女が付いたのは、警察署
思い切り駆け込むと同時に、叫んだ
「助けて!」
- 58 :葬った記憶 少女の記憶:2013/06/26(水) 00:16:54 ID:kM8F30WI
- >>57
一斉に警官が動き始める
人口600人の村なので、ほぼ全員知り合いの様な物だ
警官が少女の家に向かった
しかし、そこにあったのは、焼死体3つ
男のもの、両親の物だ
姉は、行方不明となった
だが、少女は知っていた
きっと、何処かに逃げて、そのまま朽ち果てたのだと
身寄りを失った少女は、途方に暮れ、村を彷徨い続けた
- 59 :葬った記憶 少女の記憶:2013/06/26(水) 00:27:32 ID:kM8F30WI
- >>58
それから、数年経って、少女はアレグリア王国に居た
少女は、山奥、自給自足の生活を営み、動物を狩っては売っていた
勿論、自分の食料としても扱った
取り敢えず、の気持ちで銃を買い、魔法を鍛えた
そして、あの時逃げるしか出来なかった自分恨み続けた
だが、街では常に押し殺した
商売に不便だし、なにより心配されたく無かった
そして、山の動物を相手に、延々と戦い続けた
そして、見つけたのは、「探しています」と言うポスター
そこには、少女の名前、特徴が書かれて居た
そう、自分そっくりの.....
//Go to the next stage!→
- 60 :葬った記憶 少女の記憶:2013/06/26(水) 00:28:31 ID:kM8F30WI
- >>53-59
若干やっつけ感覚がある
next stageをお楽しみに
ではでは
- 61 :狂い始めた歯車 知られざる真実:2013/06/26(水) 00:36:12 ID:NLqcOiDk
- 「…ーク…ルーク・ウィラード!」
名前を呼ばれ
何かが頭を叩く
ここは魔法学校の一教室
居眠りをしていた生徒に教師は教科書で頭を叩く
「いたた…」
教室から笑いが沸く
「ルーク、問4の問題の答えは?」
まだそこは習っていない範囲だ
しかしルークは…
「〜により答えは〜です」
簡単に答えてしまった
教室から感嘆の声が上がる
教師も悔しそうだ
------放課後
「ルーク!一緒に寮に戻ろうぜ!」
「いいよー」
この学校で少し人気者のルーク
なんせ勉強も出来て魔法の成熟も早いからだ
魔法の実技が始まってからルークは有名人なのだ
「じゃあな!ルーク!」
「うん!またねー」
にこやかに手を振る
これから起こる災難を知らずに
- 62 :狂い始めた歯車 知られざる真実:2013/06/26(水) 00:36:55 ID:NLqcOiDk
- 「おはよー!」
いつものように教室のドアを開け挨拶をする
「…」
いつもなら挨拶が帰ってくるはずだ
だが今日から全てが狂い始める
「どうしたのみんな?」
「…」
クラスからなにも反応はない
「みんな具合悪いのかな?」
何気なく自分の机に鞄を置く
しかし異変に気がついた
「なに…これ…」
机になにかがびっしりと書かれている
書かれているのは自分への悪口だった
「嘘…」
雑巾でそれを拭き取る
その事実を否定するように…
そのあとも机にいると机を蹴られたり歩いていたら肩をぶつけられたりと嫌がらせを受けた
一番大きかったのは誰も話してくれなかったことだ
一度狂ったものはなかなか直らず
しかももっと大きな狂いを引き起こしていく
嫌がらせはエスカレートしていく
ルークは何故されているのかが理解出来なかった
それもそのはずだ
理由なんてないのだから
- 63 :狂い始めた歯車 知られざる真実:2013/06/26(水) 00:37:31 ID:NLqcOiDk
- 虐めはエスカレートしていく
だがルークは今までの自分を貫き通していた
虐めが始まってからちょっど10ヶ月目のある日
「おはよー」
いつも通り挨拶をする
しかし返す者はいない
でもそれには慣れっこだった
「…え?」
ルークの表情が強ばる
「机がない?」
机が消えていた
そこだけ空白になっていた
「あ…お前の机片づけたから」
「だって見てるとウザいし」
「もう来なくていいよ」
ここぞとばかりに悪口を浴びせられる
ルークはその場で泣き出してしまった
「ひゃはは!こいつ泣いてるぜ!」
「きんもー!近寄るなよ」
みんなに口々に悪口を言われとぼとぼと教室を出る
廊下にでても同じだった
学校規模で虐めが起きていたのだ
もはやルークに居場所はなかった
- 64 :霧と煙の村 過去の追想:2013/06/26(水) 12:08:26 ID:QCdrSiYg
- 「おいカイリ!此処も頼む!」
一目から離れるように霧や煙に覆われた村、一人の青年の声が響き渡る。
「分かったよ…。全くシンはいつまで僕に任せるつもりなの?自分で出来ないとこの先食っていけないよ?」
青年の呼びかけに返事するカイリと呼ばれた人間、先ほどの青年はシンという名前らしい。
「だってよぉ…俺食べれるキノコとかよくわかんねぇし…。」
「前もそれ言ってたよね…。シンはいい加減野菜やキノコのことも覚えるべきだよ。もう前のように狩り、出来ないんだから。」
「んなこといってもよぉ、簡単には諦めきれねぇよ。猟犬も暇そうに」
呟き立ち上がる。霧のせいで視界は悪いが、これもこの村ではいつものことなのだろう。
「もう!サボってないで手伝……シン?あれ、さっきまで居たのにな…。」
カイリがシンに声をかけるとシンの姿はすでにそこにはなかった。
「おーい!シンー?もう…隠れてるのー?遊んでる時間、ないんだよー!………。」
叫んで呼びかけてもシンからの返事は帰ってこなかった。
カイリの頭を悪い予感が過る。
この村では最近神隠しが度々起きている。霧で見通しが悪い中、音もなく人が消えているそうだ。
「まさか…ね。おーい!シン!そろそろ悪ふざけは辞めてよ!」
嫌な考えを振り払って先ほどまでシンがいた場所まで歩いて行く。
「……足跡がない…。」
地面を見て呟く、ここ最近は雨が続いていて地面は軽くぬかるんでいるようだ。現にカイリの歩いて来た地面には足跡が続いている。
しかし、シンが先ほどまでいた位置は、シンの存在さえも否定するかのように綺麗だった。
- 65 :霧と煙の村 過去の追想:2013/06/26(水) 12:08:58 ID:QCdrSiYg
- 「あ、あれ?う、嘘だ…。さっきまでシンはここに……シン!何処にいるの!?なんでシンが!こんなの嫌だ…嫌だよ!」
叫びながら辺りに目を巡らせる。
しかしシンの姿はない。
「そ、そうだ!匂い、シンは常にハーブを持ち歩いていたはず…!」
カイリには特殊な体質があった。
それは見えないもの、普段認識出来ないものや、しにくいものを認識、触ることが出来る体質だ。
カイリはハーブの香りをイメージして感覚を研ぎ澄ませる。
「………見つけた!シン、シンだけは、必ず■■が助け出すから!」
声をあげ、微かに漂うハーブの香りを掴む。
香りの微かな軌跡だけを頼りに歩みを進める。
- 66 :霧と煙の村 過去の追想:2013/06/26(水) 12:09:39 ID:QCdrSiYg
-
「はぁ……はぁ……。」ザッザッ
静かな山の中、カイリの息づかいだけが辺りを木霊する。
足はすでに泥で汚れ、体中には枝や植物の棘でついた小さな傷が刻まれている。
「…はぁ……はぁ……。ッ!え…?香りが、切れてる…!嘘…。」
唯一頼りに歩いてきた香りの尾はその場で途切れていた。
辺りには壁や隠れられそうな場所はない。
「嘘でしょ…なんで、まだ、見つけてないのに…。ッ!」
うな垂れて軽い諦めに心が傾いていた時、地面に残る何かを見つける。
「これ…■■があげた勾玉!シンは此処に居たんだ!…だとしたら何故匂いが…。」
手がかりを見つけ、喜ぶ反面、新たな謎に直面する。
シンはここまで連れてこられていた、つまりここまで雲を掴む気持ちで辿ってきた微かなハーブの香りはシンのものだった。
そこまではいい、しかし、だとしたらどうして香りが途切れたのか。
カイリが答えに辿り着くのにそう時間はかからなかった。
- 67 :霧と煙の村 過去の追想:2013/06/26(水) 12:10:50 ID:QCdrSiYg
- 「まさか…地下…?」
村である噂を聞いたことがあった。
この付近には昔戦争で逃げてきた兵士が身を隠す為に掘った地下空間があると。
「多分地下空間に連れ込まれたんだ…、だとしたらここら辺に入り口が…。」
大体の予想をつけ、手が泥で汚れるのも気に留めず地面を探り始める。
「……あった…。」ゴクリ
大きい石で隠された裏に木の取っ手を探り当てる。
生唾を飲み込み、力をこめて引くと木の軋む音を上げながら地下への階段が現れる。
「この先に…、…ッ!」ダッ
暗く続く階段を見ていると脳裏に最悪の結末、シンが死んでいるヴィジョンが湧き上がる。
早る気持ちや最悪の結末のヴィジョンを振り払うように階段を駆け下りる。
「ひぎゃああああああ!!!」
どれだけ駆け下りただろう。
暗闇で方向感覚も可笑しくなってきだした頃、叫び声が聞こえてくる。
「ッ!シン!!!」
声を聞いたカイリは叫ぶ。
とうとう目の前に扉が現れた。
- 68 :霧と煙の村 過去の追想:2013/06/26(水) 12:11:59 ID:QCdrSiYg
- ------
「いててて…俺は一体…。」
暗い空間、シンは目を覚ます。
辺りを見渡しても暗いだけで自分が何処にいるかもわからない。
「あれ、俺さっきまでカイリとキノコを…そうだ!カイリは!」
記憶を呼び覚まし先ほどまで一緒にいたカイリの姿を探す。
…しかしこの空間にはシン一人、カイリの姿はここにはなかった。
「あいつは無事なのか…?もしかしたら俺とは違う場所にいるのかもしれねぇ…。いや、きっと無事だ。…しかし何だ此処は…。」
カイリの無事を信じ、自分が置かれている状況を把握しようとする。
パキッ
「足場が悪いな…ん?なんだ、こ…れ…………あぁあああああ!?」
地面を手探り、踏み抜いたものを掴み見える位置まで持ち上げる。
シンが持っていたものは人の骨だった。
- 69 :霧と煙の村 過去の追想:2013/06/26(水) 12:12:30 ID:QCdrSiYg
- 「なんで…こんなものが……!ッ!ひぃいい!」
骨を投げ捨て地面に尻餅をつく。
だんだんと目が慣れてきていたのだろう、尻餅を付いて目線が下がったシンの視界には地面がはっきりと見えた。
いや、地面というべきだろうか。
「な、なんなんだよこれ!!」
シンが見た地面は床が見えなくなるほど
「うわぁああああああ!!嫌だ!!!もう帰してくれよ!!俺がなにしたってんだよ!!!」
人の骨で埋め尽くされていた。
「…あまり叫ばないで欲しいなぁ。」
シンが錯乱状態に陥っていると空間の奥から声が響いてくる。
「ッ!た、助けか!?」
声に安心して自分を助けにきてくれたのかと予想する。
が、しかしすぐにその予想は打ち砕かれることになった。
「助け…?ふふ、君を連れてきたのは私なのにどうして助けるの?」
少女がシンの前に姿を現わす。
顔は血で汚れ、手は血で赤黒くなっている。
- 70 :霧と煙の村 過去の追想:2013/06/26(水) 12:13:10 ID:QCdrSiYg
- 「ひぃいいい!くるな!くるなよ!」
少女の姿を見たシンは手足をバタつかせ遠ざかろうとする。
「ふふ、怯えちゃって…大丈夫よ…。すぐに楽にしてあげる…。」
少女がシンににじり寄る。
「やめろ…くるな…やめろ…。」
恐怖でうわ言のように繰り返す。
少女の手がシンの顔に触れ、口が大きく開いた。
その瞬間、シンの目は見開かれ栓を切ったように叫び声が溢れ出る。
「ひぎゃああああああああ!!!」
「シン!!!」バン!
叫び声が上がるのと数秒の差、少女とは違う誰かの声が響き空間のドアが開く。
「助けてkぎゃあああああああ!!!」
シンが少し安心したような顔をした瞬間、大口を開けていた少女によって一気に身体の半分が食べられる。
- 71 :霧と煙の村 過去の追想:2013/06/26(水) 12:13:40 ID:QCdrSiYg
- 「シン!!!やめろおおおおおお!!!!」
カイリは走ってシンと少女の元に駆けつけようと踏み込む。
「ご馳走様♪」ゴクン
だがその瞬間、声を上げる間も無くシンは少女に食い尽くされる。
「あ、うあ…シン…う、ああああああああああ!!!」
目の前でシンが欠片もなく無くなり、声が溢れる。
燃えるように赤い目は更に燃え盛り、涙が流れる。
「あらあら…泣いちゃった…。」
少女はその様子を見て可哀想な顔をする。
「貴様…ろしてやる…。殺してやる!!!!跡形も、なく!!!!」ドスッ‼
怒りに支配されたカイリを魔力の膜が覆う。
少女へと向かう為に踏み抜いた地面が陥没する。
「きゃっ!!」
ほぼ一瞬で距離を詰められ少女は転ぶ。
「いたーい!許さないんだから!ッ!」
転ばされ怒った様に頬を膨らませた少女の頬に拳が叩き込まれ吹き飛ぶ。
「…がぅあああ!!!ころ、す!!」ブン!
少女を殴り飛ばし、そのモーションが終わるのも待たずに少女に向かって跳躍する。
- 72 :霧と煙の村 過去の追想:2013/06/26(水) 12:14:17 ID:QCdrSiYg
- カイリは既にほとんどもう言葉もまともに発せられなくなるほど怒りに支配されていた。
ただ目の前の少女を殺す事だけに全力を注ぐ。
「ちょっ…と!聞いて無いわよこんな奴!!ぶっ!!」
またも蹴り飛ばされ少女はその動きに困惑する。
それもそうだろう。少女が聞かされた話ではこの村にこんな化け物がいるなんて聞いていなかったからだ。
「本当にヤバ…このままじゃ殺されちゃう…!そーだ!」
少女は考えを巡らせる。
そして辿り着いた考えに顔を醜く歪ませる。
「ころ、す…コロ、す…コロ……!シ、シン…?」
怒りに支配されていたカイリは目の前の現象に正気を取り戻す。
少女の姿が歪んだかと思うとシンの姿が現れたのだ。
「シン!!無事だったのか!?」
先ほど見た光景も忘れ、シンの姿をしたものに駆け寄ろうとする。
「ああ、なんとかな。危なかったよ全く。」
シンの声を聞き、カイリの足が止まる。
「…お前…シンじゃ、ない。シンはそんな喋り方じゃ、ない!」
「あれ、おかしいなー。イメージ違いって奴かしら?」
指摘されシンの姿をしたものは演技をやめる。
「まぁいいわ。あなたもこの身体じゃ、手を出せないでしょう?ふふ、顔に出てるわよ?」ニコ
- 73 :霧と煙の村 過去の追想:2013/06/26(水) 12:14:49 ID:QCdrSiYg
- 確かにカイリの心は迷っていた。
シンを殺したあいつは許せない。
でも、シンは殺せない。
「でも、シンは、帰ってこない…。シンを殺したお前は、許せない!!お前を殺す為に!『僕』は感情を殺す!!!」
腰から十手を引き抜くと魔力を纏わせる。
そして勢いをつけて真上から振り下ろす。
「うわああああああああ「それでいい…カイリ…。」ああああ!!!!」
頭からシンを潰し裂き、振り抜く直前、シンは優しい笑みを浮かべ、何かを言ったようにカイリは感じた。
その日、一人の青年が死に、一人の人間から表情が消えた。
----
「それでは、行ってきます。」
荷物を抱えたカイリは村長に頭を下げる。
「そうか、もういくんだな…。」
村長と呼ばれた男は無表情のカイリを見て悲しそうに呟く。
「……。」
呟きを聞き、黙って歩き出す。
目的はない。
かつてシンと過ごした村を霧が覆い隠していく。
- 74 :霧と煙の村 過去の追想:2013/06/26(水) 12:16:37 ID:QCdrSiYg
- >>64>>65>>66>>67>>68>>69>>70>>71>>72>>73
取りあえず東雲 解離の過去を。
性別は相変わらず不明です。
割と表現が適当になってしまった。
- 75 :東雲:2013/06/26(水) 14:17:43 ID:QCdrSiYg
- >>64訂正
「おいカイリ!此処も頼む!」
一目から離れるように霧や煙に覆われた村、一人の青年の声が響き渡る。
「分かったよ…。全くシンはいつまで■■に任せるつもりなの?自分で出来ないとこの先食っていけないよ?」
青年の呼びかけに返事するカイリと呼ばれた人間、先ほどの青年はシンという名前らしい。
「だってよぉ…俺食べれるキノコとかよくわかんねぇし…。」
「前もそれ言ってたよね…。シンはいい加減野菜やキノコのことも覚えるべきだよ。もう前のように狩り、出来ないんだから。」
「んなこといってもよぉ、簡単には諦めきれねぇよ。猟犬も暇そうに」
呟き立ち上がる。霧のせいで視界は悪いが、これもこの村ではいつものことなのだろう。
「もう!サボってないで手伝……シン?あれ、さっきまで居たのにな…。」
カイリがシンに声をかけるとシンの姿はすでにそこにはなかった。
「おーい!シンー?もう…隠れてるのー?遊んでる時間、ないんだよー!………。」
叫んで呼びかけてもシンからの返事は帰ってこなかった。
カイリの頭を悪い予感が過る。
この村では最近神隠しが度々起きている。霧で見通しが悪い中、音もなく人が消えているそうだ。
「まさか…ね。おーい!シン!そろそろ悪ふざけは辞めてよ!」
嫌な考えを振り払って先ほどまでシンがいた場所まで歩いて行く。
「……足跡がない…。」
地面を見て呟く、ここ最近は雨が続いていて地面は軽くぬかるんでいるようだ。現にカイリの歩いて来た地面には足跡が続いている。
しかし、シンが先ほどまでいた位置は、シンの存在さえも否定するかのように綺麗だった。
- 76 :濃緑髮の青年:2013/06/26(水) 17:17:07 ID:ats3yQJc
- >>35
その村で僕は一人の少年と同居することになった。彼は■■といった。
彼はすぐに話しかけてきた…恐れなど全く無いように。
「ねぇ、名前は何ていうの?」
「名前…はえぇっと…」
実験所では名前で呼ばれたことなど無かったため、すぐには出てこなかった。なので、
「まだ、無いんだ。」
とだけ言った。あながち間違いでは無かったというのもあるが、正直相手にするのが面倒くさかったからだ。
- 77 :濃緑髮の青年:2013/06/26(水) 17:32:03 ID:L4D9siXc
- >>76
すると何を思ったのか、いきなりこちらへと飛び付いてきた。
「ど、どうしたんですか。」
「ん~?どんな匂いがするのかなぁって。名前が無いんだったら、僕が名前をつけてあげる!」
その時彼は満面の笑みで答えた。
「そう、ですね。お任せします。」
僕はその時、何故だかは分からないまま、笑っていたと思う。
「うーん…草原の匂いのような森の匂いのような…」
「そうだ、風の匂いだ!」
「匂いなんて、そんなにわかるものなんですか?」
僕は彼の嗅覚の鋭さに驚き思わず聞いた。
「え?そうかな…?毎日森とか草原に出て色々と手伝ってるからかな?」
- 78 :狂い始めた歯車 知られざる真実:2013/06/26(水) 18:38:01 ID:NLqcOiDk
- 学校の寮は個室だ
それからと言うものルークは寮に引きこもるようになった
たまに授業に出ることもあった、そのときは自分の私利私欲、怒りなどは押し殺して生活していた
虐めは相変わらず酷い
そんなルークに一筋の光がさす
「あのー…」コンコン
個室をノックする音
ついにここまで…
そんな感情は押し殺し扉を開ける
「誰?」
来ていたのは同じクラスのいじめられっこだ
「あのさ!一緒に遊ばない?」
「えっ…いいけど…」
言われるままに外に連れ出される
そして案内されたのは学校の敷地の外れにある小さな小屋
「ここは…?」
「僕の秘密の小屋だよ」
「ここで一緒に遊ぼうよ」
「ありがとう…」
傷ついていたルークにとってその言葉がどんなに嬉しかったか…
「ささ…中へ入って」
中は沢山の本と薬品に囲まれた小さな部屋だ
- 79 :狂い始めた歯車 知られざる真実:2013/06/26(水) 18:39:19 ID:NLqcOiDk
- それからはルークはその小屋で
彼とともに薬学や対抗魔術など学校で習わないことを
たくさん勉強した
いつしか彼とルークは親友になっていた
だがそれは一時的な気休めでしかなかったのだ
「今日も楽しかったな…」ガチャ
寮の扉を開けたルークは絶句する
壁には沢山の暴言
荷物はこれでもかと荒らされていた
「また…?」
「俺が何をしたっていうの?」
「何もしてないのに…」
「もうやだよ…酷すぎるよ…」
「こうなるならいっそのこと殺して…」
その場に泣き崩れる
やっと学校の異変に気がついた先生方
ルークを保護する
「先生…なんで…」
目が虚ろで生気は感じられない
それを見て教師はこう悟った
「もうこの虐めは止められない…」
- 80 :狂い始めた歯車 知られざる真実:2013/06/26(水) 18:39:56 ID:NLqcOiDk
- 「ルークをどうする」
薄暗い部屋に響く教師たちの声
緊急の教員会議が行われていた
「規模は学校全体、主犯と思われる生徒に罰を与えたが勢いはなにも変わらない」
「そもそも何故ウィラードが?」
「優等生だったからな…」
「いや…虐め自体に理由は無いのかもしれぬ」
「そうなるとやはり隔離しかないか…」
「うむ…忘却術と変化術に長けた先生を集めろ」
こうして集められた教師
ルークに静かに問う
「身に覚えは?」
「いっさい…ありま…せん…」
すっかり衰弱しきったルークに今までの記憶を消すための忘却術をかける
「…?貴方はだれ?」
すっかり魔法の効いたルークに今度は猫への変化呪文と人格強制呪文がかけられる
「んにゃー?」
「よしこれで良い」
「ルークは卒業扱いに、全てを無かったことにするのだ」
- 81 :狂い始めた歯車 知られざる真実:2013/06/26(水) 18:40:28 ID:NLqcOiDk
- こうして
ルークは山に放たれた
それから幾つものギルド、村を転々とし
たどり着いたのがこのギルド
ここを見つけるまで三年間
そして
ルークは昔のあの彼と再会し
すべての事実を告げられ
全てを元に戻されたのだった…
- 82 :狂い始めた歯車 知られざる真実:2013/06/26(水) 18:43:31 ID:NLqcOiDk
- >>61-63>>78-81
駄文ですが
読んでいただきありがとうございます
いじめっこ関連のミニイベでもしようかな…
- 83 :叶わぬ夢、散っていった花弁:2013/06/28(金) 00:41:26 ID:ovmCYXSA
- いつも通りの日常だった
学校に行って、勉強して、帰って、遊んで
そんな何時もと同じような日常がまた始まる____筈だったのだ
夏の煌めく太陽に照らされながら蒸し暑さを感じつつ、俺はただ一人グラウンドで呆然としていた
周りは血と、汗と、腐臭が漂い、黒く染まった血液が地面を染めていた
俺は今目の前に倒れている友達の手に握られている携帯を拾い上げるとそれを耳に当てた
「おい…約束と違うじゃねえか!!」
『……ククク…甘いな』
「クソがァァッ!!!」
その一言で回線は切られた
俺は全力で携帯を地面に叩きつける
無論携帯は壊れた
そして俺の身は地面に崩れた
そもそも何故こんな事になってしまったのだろう
あの時、俺は馬鹿だった、そんな単純な事でこんな惨事になってしまったのだ
もし_____今からでも_____遅くなければ_____
だがそんな事を気に留めている暇なんてないのだ
次の刺客が来るまで、時間も少なかったのだ
これは、ある夏に起こった、忘れらない事件である
「まあ、結論だけ話したら面白くないしな」
「そこら辺に座ってお茶でもどうぞ」
あの日は、確か文化祭だった
- 84 :叶わぬ夢、散っていった花弁2:2013/06/28(金) 01:04:37 ID:ovmCYXSA
- 文化祭
緊急会議が行われた
どうやら段ボールが壊されまくってるらしい
まーた三年の先輩か
俺はテーブルに腕を立てながらつまらなさそうにシャーペンを転がしていた
議長「じゃあフィリア、お前は案でもあるのか?」
「あ?ねえな…」
議長「ち…使えねえ、てめえさっきから何だよその態度、もう出てけよ」
「はいはい出てきますよ、ぎ ち ょ う さ ん」
笑いながら俺は去っていった
ドアを開けると俺の親友が待っている
親友『おいおい議長に逆らわない方がいいぜ?』
「いいんだよ、あんなクソ野郎何か」
親友『お前がそうならいいけど』
「あー腹減ったな、飯でも買ってこようぜ」
親友『じゃあ俺が行くよ」
「頼んだ」
俺はそう一言述べて五百円を渡すと近くにあった椅子に腰かける
流石に文化祭という事もあって校内はどこもかしこも騒がしい
椅子に座ってしばらくまっても親友は帰ってこない
不良にでも絡まれたか?
まあいいや
女友達『…フィリアくん』
「ってうわっ!?おい驚かせんなよ!!」
女友達『ゴメンね』
「はあ…ったく、そういえば○○(親友の名前)見なかったか?」
女友達『見てないよ、腹壊したんじゃない』
そうかもな、と二人で笑いあっていると突然今目の前にいる少女の胸にナイフが突き刺さった
……え?、俺は急な展開で思わず戸惑い地面に尻餅をつく
おい?嘘だろ!?
少女の肩を振るわしながら言う
すると少女から声が聞こえてきた
『いやあ☆君の女友達を殺した人だよ』
「あ?、てめえふざけんなよ!!!」
『おお怖い怖い、君には今からゲームをしてもらうよ』
唐突な言葉につい戸惑う
「何のゲームだよ!!速く言え!!言わないと殺すぞ!!」
『今から言う六人の生徒と殺し合をしてもらうよ、今日中に殺せないとこの学校に仕掛けてある小型核爆弾が炸裂した皆がアボンしちゃうよ☆』
「おい!!冗談だろッ!?」
『冗談なんかじゃないよ、既に六人は君の事を探してる、速くそのナイフ(刺さった物)を抜いて戦いなよ』
「…おいッ!!待て!!」
『じゃね〜【ツーツー】』
俺は少女に刺さったナイフを抜き肩を震わせた…
面白れえ…いいぜ、こいつの仇…とってやるよ!!
早速その六人を探すことにした
一応名前は聞いている、一人目は…確か…三年の先輩…か
俺は三年の階段をかけ上がっていった____
- 85 :ツバキの叶わなかった想い:2013/07/07(日) 08:55:56 ID:OI4f9Ncg
- 最初は軽薄な男だと思ってた。
母さんの情報も相まって。
けど、根は優しかった。
そんなある日一つ、飴をくれた。
嬉しかった、他人から何かをもらうのが生まれたときから奪って失ってばかりだったから。
けれど、それは虫が入っていて。
とにかく混乱した、虫は嫌いだ。
だから、あの人に助けてと頼んだ。
それが、最初の分岐点。
- 86 :ツバキの叶わなかった想い:2013/07/07(日) 08:58:00 ID:OI4f9Ncg
-
腹を殴られて吐き出させられた。
普通だったら怒ったり、泣いたりするんだろうな。
けど、私は……嬉しかった。
なんで、嬉しかったのかは分からない。
私が真性のマゾヒストなのか、それとも……あの人だったからなのか。
その後は、もう一度その嬉しさを味わうためにあの人に言い寄った。
迷惑だったろうな……
あの人はとても優しくて決して手を出そうとはしなかった。
- 87 :ツバキの叶わなかった想い:2013/07/07(日) 08:59:06 ID:OI4f9Ncg
-
私は、それを分かっていたはずなのに諦め切れずに……あの人の幻影を生み出した。
けれどそれは、ひどく不快だった。
あの人にそっくりで嬲ってくれたけどそれは……完全なニセモノだった。
結局、私は耐え切れずに倒れてサクラに助けられた。
私はひとり考えた、自分の思いを。
嬲られたいというのは建前で本当は……あの人が大好きだという事を。
自分でも簡単なことだった、あの人と一緒にいて、笑って、話して、遊びたかった。
だけど、言えなかった。
素直に口から言うなんてできなかった。
- 88 :ツバキの叶わなかった想い:2013/07/07(日) 09:01:21 ID:OI4f9Ncg
- そのまま時は進んで……あの人と彼女がキスしているのを見た。
最初は悲しみで後から嫉妬が来た。
わたしは受け入れられないのに彼女はどうして!!!!
分かっていた、分かっていた……けど
あの人に当たって……私は死を選んだ。
けれど、助けられた。
それは良かったのかもしれない。
まだ、サクラとの約束もあったし……あの人の思いを知る最後のチャンスだった。
- 89 :ツバキの叶わなかった想い:2013/07/07(日) 09:02:20 ID:OI4f9Ncg
-
計画は……一応成功だった。
あとはサクラがどうにかするだろう。
あの人は自分の想いを受け入れてくれるだろうか。
- 90 :ツバキの叶わなかった想い:2013/07/07(日) 09:03:59 ID:OI4f9Ncg
-
キスを…………受け入れてはくれなかった。
分かっていたけど……そんな事を考える前に魔法が発動した。
私が自分でかけた魔法。
拒否されれば発動する魔法……
最後に笑ってあの人を見れた。
ねぇ、私の想いは刻まれましたか?
アルフォンス様……?
- 91 :シロとクロの出生:2013/07/07(日) 21:49:30 ID:ObssHQN6
- 昔、とある少女がいました
その少女は、誰にも知られていないような村の中、村人皆と仲良く過ごしていました
少女は、体も弱く、水魔法の才がありながらも使えませんでしたが、それでも幸せでした
そんなある日、珍しい事に、旅人が村に来ました
旅人は、村長の村を訪ねました
思えば、ここから事は始まったのです
クロとシロの人生はここから始まったのです
「こんにちは、こんな所に村があったんですね」
旅人は村長に、優しい笑みを浮かべいいました
「ええ、そうです…私達は、協力し、幸せに生きています」
村長は、この村が心から好きでした
「幸せに…ですか」
旅人は、少しだけ嫌な笑みを浮かべ言いました
「はい、今日はこの村に泊まっていって下さい、きっと気に入ります」
「ありがとうございます、それでは…」
こうして、旅人は一日泊まる事になりました
- 92 :シロとクロの出生:2013/07/07(日) 21:59:54 ID:ObssHQN6
- 少女は、人が好きでした
この旅人を家に泊める、そういってきかなかったのです
結果として、旅人は少女の家に泊まる事になりました
これが、間違い?
いいえ、旅人がきた時から、この幸せな小さな村の運命は、まさしく確定しました
ただ、この行動で、不幸な少女が二人増えた、それだけです
「お兄さんは、何で旅なんかしてるの?」
少女はもう10歳でしたが、人を疑う用な事も知らない、純粋な子でした
まあ、これがあだとなったのですが
「そうだね…僕は、人を…人の心や人生、その一部を見るのが好きなんだ」
旅人は、嫌な笑みを浮かべながらいいました
「難しいね…お兄さん、私の人生や心も見てみたいの?」
少女は訪ねました
「うーん…僕は、幸せなのは好きじゃないんだ」
旅人は困ったように言いました
既に、旅人は、最悪の行動をしようと考えていました
「お兄さん、変なの…私は寝るね、おやすみ!」
「ああ、お休み…ゆっくり寝れるのもあと少しだろうね…」
そう旅人が言った頃には、既に少女は寝ていました
- 93 :シロとクロの出生:2013/07/07(日) 22:07:50 ID:ObssHQN6
- そして次の日、旅人は去って行きました
ここまでは比較的、普通のお話
しかし、旅人は、悪い悪い魔導師でした
もう、運命は確定しています、凡人にはなにもできないのですから
旅人が去った夜の出来事
「あぁ…楽しそうだ…このとても善良な人達が…死んでいく様は」
旅人は言いました、狂っています
「死んだ死者の魂よ…未練残りし悪霊達よ…存分に生者へと恨みをはらせ」
旅人は、魔法によって霊を操る事が出来ました
青年がやった事は、簡単
悪霊を呼び出し、この村に災害をもたらしたのです
そうして、この日から地獄が始まりました
- 94 :シロとクロの出生:2013/07/07(日) 22:18:01 ID:ObssHQN6
- さあ…地獄の日々が始まりました
村も始めは大した事はありませんでした
しかし、段々、段々と酷くなります
疫病…餓死…自殺…そんな物が増え、ついに村人は…
あっさりと、魔法の才があった少女共々、死んでしまいました
「ああ…なんて美しい…楽しい…あの善良な人々が…食物を奪う様…死人を食べる様子…」
旅人は、死に絶えた村を歩いていました
「だが…最後まで希望を捨てずに生きた少女…君は生かそう…」
旅人は言いました、まだ死んだばかりの少女に
ですが、人を完璧に生き返らせるなんてできません
しかし、体は器です、中身があれば動くのです
「ああ…希望を持ちながら、未練も残した少女…君をこの体に…」
青年は、消えかけている少女の霊(魂)を少女の体に入れました
「さあ…君を見させてもらおう…君の運命を…」
旅人は、もうひとつ、何も残っていない魂を入れました
「僕はずっと見ている…最後には、虚しく死んでしまう物語を」
こうして、旅人は何処かへといきました
- 95 :シロとクロの出生:2013/07/07(日) 22:27:39 ID:ObssHQN6
- そこから数時間、少女は起き上がりました
少女に入れられた魂は、消えかけています
結果として少女は、記憶があやふやでした、性格も多少崩れていました
「何で、皆死んじゃったんだろう」
少女はポツリと言いました、気が動転してるのか、無感情に見えます
「私なんで生きてるんだろう…死んだ方が…」
黒い、黒い気持ちが沸き上がります
しかし、その黒い気持ちは何処かへと消えました
「生きないと…生きないと駄目だ…」
少女は旅立ちました、旅の中、黒い気持ちが沸き上がります
でも、決まって直ぐに消えていくのです
さあ、今いる少女こそ、現在のクロ
ではシロは?
勿論、旅人に入れられた何もない魂です
それがなぜあんなに強い自我を持ったか?
それは、クロに生まれた黒い気持ちは、全てその魂へと流れたからです
感情の中で強いのは負の感情、正の感情の塊に近いクロよりも自我が強いのは当然でした
二人の少女の出生は、ここで終わります
二人の人生はどうなるのでしょうか
それは旅人次第と言えます、だって彼は、霊を、霊の魂を操れるのですから…
- 96 :エイジの過去 七つの大罪の悪魔:2013/07/14(日) 00:28:26 ID:Wm6UlztA
- かつて、この青年は海をこえた大陸のギルドで、ギルドマスター代理をしていた。
彼がギルドマスター代理をしていた理由は、魔道士として強かったわけではなく、さまざまなことを知り、経験が多かったからだ。
これは、そんなある日の、彼の最後のギルドマスター代理としての仕事の日の出来事。
- 97 :エイジの過去 七つの大罪の悪魔:2013/07/14(日) 00:40:37 ID:Wm6UlztA
- 「おぉーい! エイジぃ、今日の依頼は何がある?」
「今日か? 今日は、これとかだな」
受付カウンターから、依頼書を出して見せる。これがいつもの日課だ。
「あーあ。この前の魔獣討伐依頼、取られたかぁ」
「ちょうど先週、ぺテロが持ってったよ」
いつなくなったのか、それを教えるのもまた、仕事の一貫だ。
それを教えてやると、大層悔しそうに唸ってから、広間の方へと歩いていった。
「あ、エイジ! おはよう」
「あぁ、ぺテロか。おはよう」
幼馴染みの少女が話しかけてきた。かれこれ、もう18年くらいの付き合いになる。
一言二言交わすと、ぺテロもまた、広間の方へと歩いていった。
「さてと、書類の整理でもするか……」
今週は、マスターはこの国の国王に呼ばれて名指しの依頼に出ていて、いない。そんなときは、大体ギルドマスター代理が書類の整理をすることになっている。
「よしっと」
30分くらいで整理し終わった。
今日はめぼしい依頼がないらしく、ギルドのメンバーは皆広間で騒いでいるみたいだ。
- 98 :エイジの過去 七つの大罪の悪魔:2013/07/14(日) 00:47:51 ID:Wm6UlztA
- 「さてと、つまみでも作ってやるか」
キッチンの方へと移動する。
これでも、料理の腕はそれなりにあるつもりだ。
「よっよっよっと」
本当に適当に、つまみをこしらえる。
「こんなもんか」
出来上がると、それを皿に盛り付けて持っていく。
「ほれ、お前らつまみだ。どうせしゃべくる内容も無くなる頃だろ?」
待ってました! っと言って集まってくる。まったく。
「さてと、少し休憩でも……」
休憩を入れようと思った時だった。
来訪者が現れた。
- 99 :エイジの過去 七つの大罪の悪魔:2013/07/14(日) 01:03:16 ID:Wm6UlztA
- 『お前たちに、憤怒の炎を』
咄嗟に、黒い手袋をはめる。
そして、その場にあった木の椅子をつかみ、水に錬成して飛ばす。
それなりに、威力は出ただろうか。
『ぬぅ!』
ちょうど、化け物が炎球を飛ばしたのに被って炎を消火する。
「くそ! 悪魔だぁ!」
「と、止めるわよ」
「わかってらぁ!」
メンバーたちも、席を立ってそれぞれ魔法を構える。
『邪魔くさい。散れ』
さっきよりも、でかい炎球を飛ばしてくる。
それに対し、仲間の一人が水魔法を飛ばして対処する。
『ならば、力技で』
ドッッッ! と言う音と共に、悪魔が姿を消す。
横目に、仲間が吹き飛ぶのが見えた。
「ガァァッ」
それに近寄るのが数名。
それ以外のほとんどは固まっている。
「チッ、お前ら避難しろ! ペテロは残れ」
「うん」チャキッ
ペテロが聖剣を構える。
仲間たちが避難をはじめたので、それを守る形で距離と間合いを保つ。
『ぐぁ!』
唸り声と共に、高速の拳が飛ぶ。
なんとか避けたが、破片が四方八方に飛ぶ。
「くそ!」
『後ろだ』
はっ、とした時には遅く、蹴りが腹に食い込み、体が吹っ飛ぶ。
壁に叩きつけられた。痛い。
「エイジ!」
「大丈夫だ。なんとか」
今は、仲間を逃がすことだけを考える。
だが、相手が強すぎた。
- 100 :エイジの過去 七つの大罪の悪魔:2013/07/14(日) 01:10:21 ID:Wm6UlztA
- 結果、この戦いでの負傷者は70人。そのうち60人は重症、残りは軽傷と言う結果となった。
場を納めたのはエイジで、結局己が囮となり、悪魔を国から遠ざけ、海で動きを封じ、そして新たな地であの悪魔を倒せるギルドを探した。
その後、見事に襲撃されたが、新たに入ったギルドの仲間たちが倒してくれた。
そして、エイジは現在に至る。あの悪魔を海で動きを止めたとき出会ったのがキリアデットである。そして、この七つの大罪との戦いは終わっていなかった。
- 101 :ソウル・ハートフィールド:2013/07/14(日) 07:37:38 ID:EPU5fM8U
- 一日目。
クラスの奴からの視線が痛い。
俺が何かしただろうか。それともこの変な色の髪の毛でも馬鹿にしてるんだろうか。
それともヘッドホンか。結構コレ、気に入ってるんだけど。
二日目。
クラスの奴との距離感が怖い。
まあ、こんな中途半端な時期に入ってきた異常な髪の色の奴なんか、避けられるわな。
三日目。
昨日と同じ。
では無く、なんとなく、昨日より避けられ方が半端ない。
今日はつまらなかった。帰る途中で婆さんの荷物を運んでやる、という簡単なことをしたまでだ。
四日目。
昨日と大体同じ。
~~~~~~~~~~~
七十五日目。
俺は、なんなんだ。一匹狼的な?よくある奴だよな。
ま、今日は一人、話しかけてくれた奴がいたから文句は無い。
ありがとさん。
~~~~~~~~~~~~~~
- 102 :りぶ:2013/07/15(月) 22:38:43 ID:kZB7hyHQ
- 遥か昔
いつごろ昔なのかははっきりしていない
ただ、魔法というものがまだ世間に認知されていなかったときだ
とある団体がいた
魔法を研究する団体がいた
研究のテーマは永遠の命
人類、いや生物全てが夢見る不老不死
そんな魔法を作ろうという団体があった
その中の幹部につけられたあだ名
イリオス
ペルセウス
マルカブ
アルゲニブ
シェアト
頭領にアガメムノン
この六人を六道騎士と称した
- 103 :りぶ:2013/07/15(月) 22:50:55 ID:kZB7hyHQ
- この幹部達を紹介しよう
イリオス
本名 モンテクリスト・シャムル・ハイドリヒ
残忍さと残酷さ
それと同時に皆が慕うカリスマ性
統率力もあり
一番頭領に向いていたであろう存在だった
ペルセウス
本名 アドレフト・スターリン
某国の英雄
生存率0と言われた戦場で
一人でそれを覆し
勝利へと導いた者
豪快で人情が厚い
それでいて冷静にものこどを考える者
シェアト
ルドルフ=ヒトラー
ベアトリスの先祖
とある軍隊の最高指揮官であった
頭がキレる
イリオスと同じようにカリスマ性があった
- 104 :りぶ:2013/07/15(月) 23:01:25 ID:kZB7hyHQ
- アルゲニブ
フェルマイト=プロフェンツ
フェルメイトの先祖
このときからプロフェンツ家は執事であった
マルカブ
本名 ヨハン=カーレット
現在のネーレウス
全知と言われるほどの頭脳
魔法との適性
今回のテーマのキーマンでもあった
- 105 :りぶ:2013/07/16(火) 08:56:43 ID:VIxaxrAg
- そしてアガメムノン
本名は不明
六道騎士の頭領だが
実質、指揮をとるのはイリオス
置物のような存在だが
団員全員が彼を恐れる
後に、六道騎士にはアガメムノンが絶対忠誠のルーンを刻んでいる
- 106 :りぶ:2013/07/16(火) 09:06:48 ID:VIxaxrAg
- 永遠の命 不老不死
人類の最大の夢
科学の時代でも成し得なかったもの
ならば魔法ならどうだろうか
まだ世間には認知されていない未知の存在
いや、もしかしたらキリストの復活
神話の数々
これらは魔法であったのではないか
科学がなかった時代だ
あり得なくもない
突き詰めれば、この時代にもできるかもしれない
アガメムノンはそう思った
別の考えもあったのだが
とりあえずは不老不死
これが可能になる魔法を完成させたい
世界各地から自ら声をかけ集めた
漠然としていて
バカげた話であったが
なぜか皆、アガメムノンの声を聞くと
その話にのった
元から同じ考えの者もいたようだが
六道騎士を結成させ
団員も集まった
ありえるのならば
0に近い可能性を信じ
永遠の命を可能にする
魔法の研究が始まる
- 107 :りぶ:2013/07/16(火) 09:11:44 ID:VIxaxrAg
- 六道騎士の者達も永遠の命という言葉に惹かれた
みなそれぞれの目的の為
永遠の命という脅威で世界を支配したがる者
ただ単に永遠に生きていたい者
愛する者と二人で永遠と生きて暮らしたい者
そしてアガメムノンの本人は
世界の結末を見たい
自らが手を下すのではなく
どのようにして世界が崩れ
終わっていくのか
それが見たかった
- 108 :りぶ:2013/07/16(火) 09:27:57 ID:VIxaxrAg
- まずは魔法そのものを使えないと始まらない
この時代にも認知されていないだけで
少なからず魔力は存在されていた
しかし、皆が皆あるわけではなかった
団員全員はもちろん
シェアト アルゲニブ ペルセウスは使えなかった
残りのマルカブ イリオス アガメムノンだけが使えた
とくにマルカブ…いや、ネーレウスは
当時はこの中でも一番魔力があり
魔法との適性も一番であった
蟲のような物を創り出すことができたのだ
このネーレウスの蟲を使い
六道騎士の残りのメンバーに魔力を分け与えた
- 109 :りぶ:2013/07/19(金) 23:30:20 ID:Ln0L0xOI
- ネーレウスにより
団体に魔力が宿った
これにより
術式を創り魔術を行うことが可能になった
手始めに雨を降らせたり
風水の形式で結界を貼ってみたりと
徐々に魔力を慣らしていった
それと同時に不老不死に関することを調べる
不老不死の術式などは本当にあるのだろうか
一行に答えが出ないまま数年の月日が流れた
- 110 :りぶ:2013/07/19(金) 23:36:04 ID:Ln0L0xOI
-
数年の月日が流れても
未だこの世界は新しく発展もしない
しかし衰退もしていない
相変わらずであった
だが、団体には少しの光が見えていた
何度かの人体実験により
傷が出来てから直ぐに再生させる術式を創りだした
そのかわり、犠牲となった団員は数えきれないほどになっていたが
イリオス アガメムノンにとってはおつりがくるほどの収穫だったようだ
ネーレウスは まぁ、こんなものか という表情
シェアト ペルセウス アルゲニブは
もう不老不死などどうでもよくなっていた
ここまでの犠牲があるのに
まだ続けるのかと
- 111 :りぶ:2013/07/19(金) 23:40:21 ID:Ln0L0xOI
- そして、ついに
六道騎士を除く他の団員達の犠牲と引き換えに
不老不死になるであろう術式が完成した
しかし、その確証はない
ならば人体実験…
初めに
シェアト アルゲニブ
陣の上に達、術式を唱える
二人の体に紋章のようなものが浮かび
体の中へと入っていった
それに続いて他の者も続く
我先に不老不死になると言わんばかりに
- 112 :りぶ:2013/07/19(金) 23:46:15 ID:Ln0L0xOI
- 六道騎士が全員
その不老不死になるであろう術式を受けた
あとは本当にそうなのであろうかという実分
皆、この確証のないものに
実験されるのは嫌がった
その中で最初に名乗りをあげたのはネーレウス
「みんなが行かないなら僕がやるよ、死ぬならそれでいいや…一度死んでみたかったんだ」
そして、イリオスは拳銃をネーレウスの頭に押し付け
引き金を引く
無論、脳天に風穴があき
ネーレウスの動向は開き
鼓動も止まった
やはり、不老不死なんてものはなかった
その時、ネーレウスは光に包まれ
散っていった
亡骸はどこにもない
光となって散った
幻想のような出来事に
皆は目を丸くした
そして、一羽の鳥が皆の前に舞い降りる
- 113 :りぶ:2013/07/19(金) 23:49:58 ID:Ln0L0xOI
- 「一応、成功みたいだよ」
その鳥が喋る
間違いなくネーレウスの声で
死ぬ間際に見た生物に乗り移る
ある意味不死の能力だ
それを頭に入れ
シェアト アルゲニブの目の前に
動物を置き同じようなことをした
しかし、それは失敗に終わった
適性というものがあるのか
それとも、別の形で成功するのか
それからまた数ヶ月
さらに研究を進めた
- 114 :りぶ:2013/07/19(金) 23:55:18 ID:Ln0L0xOI
- 数ヶ月もすると
鳥の形から
完全に人間の形でネーレウスは存在していた
死ぬ間際に見た生物に乗り移り
時間をかけて人間に戻る
そして、ネーレウスは失踪していた
それ以外の進展はなかった
それどころか
イリオスは実験での傷が治らない
アガメムノンは植物人間に
ペルセウスはこの数ヶ月で
二度急死し、蘇った
理想の不老不死は完成させることはできなかった
そして六道騎士は解散となった
- 115 :りぶ:2013/07/20(土) 00:05:11 ID:FrcghsBA
- それから数十年
イリオスは気づく
どんなに傷を負おうとも
心臓を貫かれても
傷は治りはしないが
死なない…いや、死ねないのだ
そして老いもしない
永遠に痛みに苦しむ生き地獄
植物人間となったアガメムノンも
まるであの時のままで時間が止まってるかのように変わらない
ペルセウスも行方はしらないが
この数十年で
アドレフト・スターリンという名の男が
英雄として祀りあげられていた
ネーレウスは未だに行方がわからない
あいつは何かを知っている
それを吐かせて奴の不老不死
『延命繋ぎ』を奪う
それを手に入れれば
世界を力で支配できる
不老不死という脅威で
あの実験開始から数百年ほど経ち
現在にいたる
再び六道騎士を結成させた
プロフェンツとヒトラーの子孫
ベアトリス
フェルメイトを新しく迎えた
二人の首にルーンを刻み
絶対忠誠の呪いを掛けた
空いているマルカブの席に
不老不死を夢みる者を率いれた
ピエールという男
そして、その不老不死の実験成果の資料をほしがるアッシュという男
ネーレウスを捕られえば
資料を渡すという条件で
六道騎士以外として雇った
- 116 :りぶ:2013/07/20(土) 00:06:56 ID:FrcghsBA
- さぁ、ネーレウスの延命繋ぎを奪おう
さぁ、そして始めよう
不老不死という脅威で世界を支配する
絶対に倒されないゆるがない権力者
さぁ、幕は上がった
恐怖劇-グランギニョル-の始まりだ
- 117 :りぶ:2013/07/20(土) 00:09:25 ID:FrcghsBA
- >>102
>>103
>>104
>>105
>>106
>>107
>>108
>>109
>>110
>>112
>>113
>>114
>>115
>>116
適当になっちゃった…(´・ω・`)
- 118 :幸福に塗りつぶされた記憶――狂信的呪縛――:2013/07/20(土) 14:36:39 ID:gOdkMez.
- 注意:流血・グロテスク(残酷描写)・カニバリズム(食人描写)などが存在します
そのようなものに耐性がない方はすぐさま戻られる方がよろしいと思われます
読んでいる最中に気持ち悪くなった場合も、引き返すことをお勧めします
大してグロくないかもしれませんが、念のため
それでは、どうぞ
- 119 :幸福に塗りつぶされた記憶――狂信的呪縛――:2013/07/20(土) 14:37:15 ID:gOdkMez.
- Side 6
その日はいつもと変わらない日だった。
春が過ぎ、初夏の雰囲気を少しだけ感じるようになったある日。
いつもと同じく田畑を耕し、薬や医の勉強をしていた。
まだまだ幼い自分、今年で齢15の自分はよく兄や姉に外で遊べといわれるが、自分は
こうやって勉強したり田畑を耕したりしている方がいい。
弟や妹たちによく遊ぼうと誘われるが、こればっかりは譲れないのだ。
さすがにあの巨体に付き合っていられるほど体力が有り余っているわけではない。
父は自分のやりたいようにさせてくれるし、母は、まあ自分には無関心だ。
別に今に始まったことではない、他の兄弟ばっかりかまわれるのに怒りや理不尽さを
感じなかったわけではないが、ある意味自分にとって普通だったのだ。
母は成長して来た自分を疎ましく思っているのも知っている、何故そう思われている
のかも、大体、予想はついている。
それでも自分がこうやって育ってきたのは、敬愛する父のおかげだ、父は母ととても
愛し合っている、非常にいいことだ。
ふと、外の喧騒が気になって窓の外に顔を出す、相変わらず畑の隙間を縫って子供た
ちが駆けっこをしている。
全員綺麗な茶色や小麦色の髪を揺らして走り回っている。
自分の髪も茶色である、ただ子供のように伸ばしてはいないが。
と、こっちに気付いたのか弟やその友達、親戚の子がこっちを向いて手を振ってくる
。
健康的に日に焼けた色で、自分の白い肌がすこし不思議に思える。
だがそんな疑問はそっちのけで、手を振り返すと、遠目でも分かるほどに金色の目を
細めて笑いあって楽しそうにしているのがわかる。
自分が他の村人と違うといえば、この日に焼けない白い肌と、翡翠色の両目だろう。
別にそれでつらい思いをしたとかはない、むしろ綺麗とか言われるので嫌いになった
ことはないが、ただどうして自分だけか疑問に思ったことはある。
父は時折こういう眼の人物が生まれるのだというが、本当なのかは分からない。
身長も小さいが、まあそこは考えないでおく、考えたくないのだ。
- 120 :幸福に塗りつぶされた記憶――狂信的呪縛――:2013/07/20(土) 14:37:47 ID:gOdkMez.
- と、勉強もそこそこにして薬の調合に移ろうとすると普段使っている薬草の量が足り
ない、いつもは気を配っているのだがこういうときに採取し忘れるのだ。
少しため息をついて、外に出る準備をする。
こういうとき、森がすぐそばにあってよかったと思う、あそこは良質な薬草がよく取
れるのだ。
父に挨拶をしてから外に出ると伝え、静かに外に出る。
静かに外に出たのにもかかわらずすぐにチビ達が群がってくる、でも薬草を取りに行
くのだと謝って切り抜ける。
こういうところで素直なのは非常にいいことだ、すぐに森に行けた。
相変わらず青々と草木が繁り、徐々に近づく夏の気配を見せ始めていた。
森の入り口では、机状の石の上で狐が寝ていた、相変わらず狐にしては白く、少し大
きい。
そんなむき出しにした腹に苦笑し、森の中に入っていく。
狐は目を覚まさなかった。
- 121 :幸福に塗りつぶされた記憶――狂信的呪縛――:2013/07/20(土) 14:38:28 ID:gOdkMez.
- と、森を進んでいると背後から物音が、草の根を分ける音が聞こえた。
なんだ、そう思い振り返ると、そこには小さい…自分よりも小さい女の子の姿があった。
その子は自分が気がつくときまずそうな顔をしてこちらをのぞいてくる。
小さくため息をつき、そちらへと土を踏みしめつつ進む。
「どうしてついてきたんだ、莉南」
そう問いたずねると、恥ずかしそうにもじもじとしつつこう答える。
「だ、だってお兄ちゃんひとりでいっちゃうんだもん、しんぱいに、なって……」
心配って、自分は一応兄なのだがと頭を掻く。
この莉南は心配性の妹だ、自分と同じように体が小さい、まあ年齢的に考えれば普通なのだが。
自分の全力疾走でも巻けないとなると、我が妹ながらどれだけ脚が速いのか疑問になる。
「とりあえず、自分は大丈夫だから莉南は先に家に帰っていなさい、な?」
極力なだめるような語調で言うと、莉南は首を横に振る、頑固なのだこの妹は。
まあ、後はすぐそこにある薬草の採取地点である程度薬草を取ったら帰る程度だ、一緒に帰った方が安全だろう。
そのことを伝えると一緒にお出かけと喜んでいた、お出かけというには粗末過ぎるのだが……、そう思っても口には出さない、その喜びように水を差したくなかった。
そして自分は、この時、判断を誤ったのだ。
- 122 :幸福に塗りつぶされた記憶――狂信的呪縛――:2013/07/20(土) 14:38:59 ID:gOdkMez.
- 薬草の採取中、莉南はさまざまなことを話した。
お友達の誰がいじわるだとか、いっしょに花の冠を作っただとか、そんな他愛もないほほえましい話だった。
と、ようやくある程度取れて帰ろうとしたときに、荒々しい獣の息遣いを聞き取った。
この薬草の採取地点はある程度開けた広場のようになっている。
そして、自分たちが来た外に出る道とは逆の奥深くに繋がる獣道から、のそりのそりと、クマが出てきた。
いや、ただのクマだったらどれだけよかっただろうか、そのクマにはまるで千枚通しのような巨大な鋭い角、二本の立派な牙、そして強靭な手足には触れるだけでざっくりと切れそうな爪。
自分は戦慄した、あんなものがいるなんて、よりによって今だなんて。
「莉南、逃げろ、静かにな」
自分がそう囁くと、莉南はうなづいて静かに来た道を戻り始める。
どうやらそのクマのような獣が目的なのはここに生える薬草のようだった。
そのクマがもそもそと薬草を食べている間に、自分と莉南は後ろに下がる。
一切物音を立てないように、静かに。
しかし、物音を一つも立てていないのに獣はこちらを向く。
その威圧感に、心臓が打つ筈のない速さで小刻みに拍動する。
冷や汗の垂れる音すらするなと、念じる。
だが、クマは徐々にこちらに向かって歩いてきた。
薬草の匂いがするから駄目なのだろうか、そう思い惜しいが薬草の詰まった袋を開け、クマの方へと中身をぶちまけようとした。
しかし、袋を開けた瞬間にクマは飛び掛ってくる、袋で遮断されていた匂いがより濃くなったためらしい。
気付いた瞬間には自分の呼吸は詰まった、止まった、吸いたくてもすえない息に肺が暴れだし、脳の血が逆流する。
右腕からしきりに送られてくる痛み、目を落とせば、真っ赤に染まり四本の裂傷が走っている、そこからはしきりに血があふれ出し、止まる気配はない。
何とか出血を抑えようと手を動かそうとするものの、体を動かそうとするたびに頭がぐわんぐわんと揺れるような不快感をかんじる。
どうやら、さっき呼吸ができなくなったのは、吹き飛ばされ木の幹に衝突したかららしい、莉南と獣、血のあふれ出る自分の腕の距離感を計ってようやく分かった。
血に濡れた薬草が、地面に散らばっている。
「莉南逃げろ」と、声に出そうにも声が出ない、酸素が足りない。
すっかり怯えきった様子の莉南は、泣きながらこっちへと向かってくる。
その手で血に濡れた薬草を拾い上げ。
「……っ!」
自分の声はでない、こちらに向かってくる莉南の後ろで。
獣がこちらを振り向いた。
- 123 :幸福に塗りつぶされた記憶――狂信的呪縛――:2013/07/20(土) 14:39:32 ID:gOdkMez.
- 「おにいちゃ……っ!」
こちらに駆けて来る莉南。
目の前でその腹から、一本の角が生えた。
真っ赤な血が噴出す、目に入る、痛い、眼が見えない。
必死になって開いた目の先には角が抜かれだらしなく血がドロドロとこぼれ、圧に耐え切れなくなった腸が少しはみ出る。
実物を見たのは、これで始めてであった、予想以上にピンクなのだとか、そういう感想を抱く、いや感想じゃない、現実逃避だ。
地面に倒れる莉南、地面の草が、赤黒く染まる。
立ち上がろうとするが、体に力が入らない、なんなんだ、これまでこんな奴、あったこともないし聞いたこともない。
「いた、いたぃよ……おにいちゃん……」
莉南の声が、どこか遠くから聞こえる、気を失っては駄目だ、そう自身に言い聞かせる。
うまく動かない脚を動かし、頭を揺らす不快感に耐え、自分の近くに転がっている莉南の下へとたどり着く。
「だ、だいじょうぶだからな、莉南、すぐに、すぐに治してやるから」
自分でも予想以上に声が出た。
それに莉南は、痛いのにもかかわらず微笑んで、その手に持った血にまみれた薬草を差し出す。
「そのまえに、おにいちゃんの、けが……」
自分は、その薬草を受けとろうと手を伸ばした。
そのとき、薬草が、莉南の腕が消えた。
- 124 :幸福に塗りつぶされた記憶――狂信的呪縛――:2013/07/20(土) 14:40:02 ID:gOdkMez.
- 「あ……ぇ?」
自分でも情けないほど声が出なかった。
黒々とした前足がどけられると、そこには地面と同一化した赤ピンク白、腕の成れの果て。
「……!」
獣の息遣いが、する。
現実逃避で忘れていたが、こいつがいたのだ、もはや生きて帰る可能性は、ゼロだろう。
莉南が泣き叫びながらもう片方の腕を伸ばす、するとその獣は弄ぶかのようにその腕を鋭い爪でえぐり飛ばす。
情けないことに自分もその腕の衝撃を受けて少し離れた地面に転がる。
もう体が動かない、右腕の感覚もない。
ほとんど体が動かないのに、感覚器官だけが、働く。
自分から少し離れたところで転がる莉南の脚が踏み潰され、骨の折れる、砕ける音が周囲に響く、いやに耳に残る。
ぐちゃぐちゃの断面からは白い骨と真っ赤な筋肉が覗き、それは土と血に汚れ黒く、なっていく。
泣き叫ぶ声は徐々に弱くなり、切れ切れとした苦鳴しかもらさなくなった。
それでも獣は嬲るように爪を振り上げ、その腹を引き裂く。
腹圧に耐え切れなくなった臓腑が、血が、体からあふれ出る。
獣はその臓器すら、爪で裂き、その牙で千切る。
もう、莉南の呼吸音すら、響くのが不思議だった。
そして腕で払われ、目の前に飛んできた莉南、いや、それは莉南なのだろうか。
片腕が踏み潰されたかのようになく、もう片腕は爪でえぐられほとんど骨を晒している。
足はぼろ雑巾のようにぐちゃぐちゃにされ、腹は半ばで食いちぎられたかのように存在せず、臓物がぽろぽろと転がっている。
唯一無事だった顔、泣きながら、鼻水と涙塗れになりながら口を「お兄ちゃん」と動かす、声はもう出ていなかった、代わりに血が、あふれ出た。
その決死の呼びかけに返事をしようとした瞬間、目の前の莉南の顔の半分が崩れた、崩された。
動かない体を無理に転がし、見上げる。
黒々とした巨体は、ただ血に酔ったかのようにその爪を、牙を、角を、血で汚していた。
眼球の奥で何かがとろりと融けた感触がしたのと同時に、自分の意識は遠くなった。
Side out
- 125 :幸福に塗りつぶされた記憶――狂信的呪縛――:2013/07/20(土) 14:41:20 ID:gOdkMez.
- Side ?
不意に聞こえた絶叫で、私の目は覚めた。
その叫びは悲痛で、人間の少年のものであるように感じられた。
なにが起こっているのか、その方向に『目』と『耳』を飛ばし、観察する。
そこにあったのは三つ。
ひとつは、かつて人だったであろうモノ。
もうひとつはクマのような獣。
もうひとつは、アレはあの一族の少年だろうか。
人だったモノをその腕に抱き、絶叫している。
その目は金色であり、やはりあの一族の少年なのだと確信する。
と、獣がその少年に止めを刺そうと前足を振り上げる。
だが、その手が振り下ろされることはなかった、少年が、立って右腕でその腕を押さえていたからだ。
右腕は、血まみれで抉れているように思える、だがそれでも動かすのはあの少年の凄さなのか、一族の異端性なのか、私にはどちらでもかまいはしないのだ。
さて、獣の前足を右手で食い止めた少年はそのまま前足を両手で引っつかみ地面へと打ち付ける。
獣が起き上がろうとしたときには、その足を少年の脚が踏み砕いていた。
絶叫に腕を振るう獣、それに少年は笑顔を浮かべている。
「ねぇ、君が莉南にしたこと、君に全てしてあげるから」
そう嗤うと、少年はそのままその獣の片腕を踏み潰す、何度も何度も、地面と一体化するまで。
もう片方の腕は流れるように楽しそうに引きちぎった。
獣もその牙で喰らいつこうとするが、少年は微笑んだままその牙を片手でつかむ。
「そうだ、君が莉南を天まで連れてってよ、ああ君が角や牙を生やしていると莉南が怯えちゃうねだったら折っておこうか」
そういって、そのまま両方の牙をつかみ、まるで砂糖菓子のように握りつぶし、角も根元から折る。
激痛にもだえる獣に向かって、また少年は言う。
「でも、君に送っていってもらうのは分岐までかな、君は獄に堕ちるんだから」
折った角を逆手に持ち、そのまま獣の腹へと突き刺す、何度も何度も、血に塗れながら。
臓腑が撒き散らされ、獣が虫の息になってようやく少年はその動作をやめた。
そして最後に、怯えた目をする獣に向かって。
「ばいばい、莉南によろしくね」
そう笑顔でいって、そのまま頭を蹴り飛ばした。
獣の首がおかしな方向に曲がる、しかし少年はそれで飽き足りないようにその顔の半分を何度も、何度だって足蹴にする。
靴に血肉が付着し、少年は狂気染みた無垢な表情を浮かべる。
そして最後に、ほぼ原型をとどめていない顔を踏みつけて、踏み潰した。
肉と、赤く染まった骨片が宙を舞った。
- 126 :幸福に塗りつぶされた記憶――狂信的呪縛――:2013/07/20(土) 14:41:53 ID:gOdkMez.
- そのあと、少年はもう一度人だったモノを抱え、笑う。
しかし笑いながら涙を滔々と流すその目は翡翠色になっていた、その変化した色の目、若干興味がそそられた。
そのあと、少年は思いも寄らない暴挙に出た。
「だいじょうぶ莉南、ずっとずっと、守ってあげるからね」
そういうと、少年は目の前の人だったものの地面に落ちていた小さな肉を手に取り、その口に頬張る。
くちゃりと、咀嚼する音が響く、口の端から涎と血の混じったものが流れ出る。
それに、満足げな表情を浮かべると人だったものの腕だった部分から小さくさらに肉をちぎりとり、顎を動かす。
時折骨があるのか、それに若干苦戦しつつも最終的には一片も残すことなく飲み込んでいく。
何度も何度も、地面に落ちた肉、腕だったもの、臓物、足だったもの、胴体だったもの、ちぎっては、咀嚼し、骨すら飲み込む。
それを、繰り返す。
まるで、自分の体内にいれて守ろうとするかのように、愛に満ち溢れながらも、狂気染みていた。
と、そこに一人の女性がやってきた、やはり髪の色と目の色からあの一族のものだろう。
そしてその女性はこの惨状、そして笑い泣き遺体を食べる少年を見て、血相を変え狂ったかのようにナイフを取り出して言った。
「やっぱりあんたなんか産まなきゃよかった!」
そのまま、自失している少年の喉に、ナイフが突き刺さった。
Side out
- 127 :幸福に塗りつぶされた記憶――狂信的呪縛――:2013/07/20(土) 14:42:24 ID:gOdkMez.
- Side 6
気付いたら、喉が痛い、痛い、まるで焼けた鉄を押し当てられているかのように。
自分の上に鬼のような形相を浮かべて跨る母は、ただひたすらに、その手に輝くナイフを自分の喉に突きたて、抜いてを繰り返していた。
そうか、これが守れなかったことの罪なのか。
つっと涙が頬を伝う感覚がした、横目に見ればあの化け物の、死体。
分かる、あれは自分が殺したのだ、どうやってかは覚えていないが、確実に、殺した。
本当なら自分が死ぬはずだった、そこを自らのエゴで変えてしまった。
それがどうにも、苦しくて。
なら、このまま母に殺されるのもいいんじゃないか、そう思えた。
母は半狂乱でさまざまな言葉をつむいでいる。
「あんたなんかいなければよかった!」
「お前なんてお前なんて!」
「誰とも意思の疎通が出来なくなればいい!」
「誰にも受け入れなくなってしまえばいい!」
「お前の血なんて途切れてしまえばいい!」
ありとあらゆる罵詈雑言、その大半を、自分は罪を実感しながら聞き流していた、そこまで意識を向ける余裕がなかったから、もう覚えていない。
そこに、父があわてた様子でやってきて、自分の上にいた母を突き飛ばす。
母は相変わらず自分を、殺そうとしている。
ああ、もう意識が薄れてきた、母親は半狂乱だが、両親に看取られて死ぬことが、なんと幸せなことか。
最後に母が言った「その子はあなたの子供じゃない」という言葉だけが、頭に残った。
Side out
- 128 :幸福に塗りつぶされた記憶――狂信的呪縛――:2013/07/20(土) 14:42:56 ID:gOdkMez.
- Side 父
この子が俺の子供でないのは知っていた。
翡翠色の目なんて、一度も出たことがないし、肌の白さは当然ありえないものだ。
だが、実の息子のように愛していたし、そう思っていた。
喉を切り裂かれ、死に瀕している息子、そして半狂乱にそれを殺そうとしている妻。
ああ、君のことは愛していたんだ、だけど……。
「子殺しの親、か」
妻がその手に持っていたナイフを奪い取り、君の胸へと突き立てる。
『なんで』と君の口が動いた気がした。
なんでかはわからない、ただ。
「『命を持って回復となせ、我が血脈を継ぎし者』」
死に瀕した息子を救うには、一人の血の繋がったものの死が必要だったからだ。
君は常に言っていた、『自分の成したことの責任は自分で取れ』と。
だから君の成したことの責任は君の取ってもらうとしよう。
愛した君を殺すのはつらい、しかしそれ以上に君に誰かを、息子を殺してほしくなかったのだ。
「『この者の命と引き換えに、命脈をつなげ』」
そして、愛する我が息子よ。
今から君に送るものは、呪いの様な生だ。
「『我は希う、血族の復活を』」
命を繋ぐ呪いが完成し、君の体を生に縛り付ける。
徐々に体の傷が治っていく中。
息の絶えた妻の残した呪詛が、君の体に刻み込まれるのを見た。
黒い刃が、君の喉を深く深く、切り裂いた。
Side out
- 129 :幸福に塗りつぶされた記憶――狂信的呪縛――:2013/07/20(土) 14:43:50 ID:gOdkMez.
- Side 6
あれからどれだけの日が経ったのか。
思い出そうとすると同時にあの事件のことが頭に駆け巡る。
莉南の死、自身のエゴ、母の怒り、自分があの父の実の息子ではないこと、父に愛していた母を、殺させてしまったこと。
恐らく、もう二度と声が出ないこの喉はその罪なのだろう。
父からあの事件のあと教わったあの呪術、それをもっても治せず、薬をもってしても治せない。
数日後尋ねてきた『先生』に見せても治せない傷、それが、罪。
母はあのあと行方不明と処理されたが、私には分かる、父が私を助けるために殺したのだと。
莉南と母親がいなくなって、意気消沈した私を助けてくれたのはやはり村の人、そして家族だった。
今日もまた、薬や医について勉強したりする。
喉の傷を包帯で隠しながら遊んでとねだる子供たちと遊ぶ。
最近はあの時見かけた狐が家によく遊びに来たりもする。
ああ、こんなに優しい人々なのに、あんな脅威の前には弱いのだ。
だから、もう、もう二度と。
莉南のような死を生み出してなるものか。
私が、私がなにが何でも守りきってみせる。
そう、母がこの喉に刻み付けた守れなかったことの罪を背負い……。
喉の辺りに、若干黒い靄が生まれて、吸い込まれた。
じくりと、未だに治らぬ喉の傷から血が零れ、純白の包帯を黒く、染めた。
Side out
幸福に塗りつぶされた記憶――狂信的呪縛――END
- 130 :幸福に塗りつぶされた記憶――狂信的呪縛――:2013/07/20(土) 14:47:10 ID:gOdkMez.
- >>118>>119>>120>>121>>122>>123>>124>>125>>126>>127>>128>>129
空白、改行、警告表示を除いた総文字数約7360文字
サイズ約15KB
結構な謎を残しながらこの話はこれにてしめさせて頂きます
- 131 :農民日誌――13の齢・夏の祭り――:2013/07/23(火) 02:30:13 ID:p0OPGa42
- 注意:山も落ちも意味もない、ただただ普通の特に特筆することもない日常
ある年、夏らしく暑く蝉が姦しく鳴くような夏。
近くに森があるゆえか、そこまで湿度がこもらずにすごしやすい土地であるその村はその日ざわめいていた。
人々は色めき立ち、男衆は村の中心にある広場で巨大な櫓を組み、女衆は料理の支度をする。
狩人の男とその弟子である女の取ってきた猪肉が捌かれ、久々の肉に涎をこぼす子供、いや大人もいる。
そんな楽しい喧騒とは少し離れた場所で三人の子供が練習していた。
それは横笛だったり、リュートだったり竪琴だったりした。
その明るく楽しい祭囃子は聞くものを昂揚させる。
「よし、これでいいな」
リュートを持った年長の男の子らしき人物が残りの二人に声をかける。
その男の子は小麦色の長めの髪に蜂蜜のようなとろける金色の眼を持っていた。
「ええ、私はこれでいいと思うわ」
それに答える竪琴を持ったこの中で唯一の女の子、
彼女は淡い茶色の長い髪を持っておりまるで宝石のような金色の目をしていた。
「ねぇ、あんたはどう? 」
そう女の子が一番、ひときわ小さい男の子に声をかける。
その子は短い茶色の髪を持ち、深い森のような翡翠の眼だった。
「ん、自分も寧兄と快姉と同じで、大丈夫」
そう茶髪の男の子が言うと他の二人は満足そうにうなづいた。
「それじゃあ今夜はがんばるか、なぁ? 快鈴、6」
一番年上の男の子がそういうと快鈴(カイレイ)と呼ばれた女の子が竪琴を磨きながら言う。
「当然じゃない、いちいち聞くことじゃないわ寧義」
と、快鈴が年長の男の子、寧義(ネイギ)に言う。
そして一番小さい子、恐らく弟なのだろう、その6と呼ばれた子供もうなづく。
すると寧義は気まずそうに頭を?く、彼としては気合の入れ直しだったのだがどうやら弟や妹には伝わらなかったようだ。
「んー、ならいい、それじゃああとは歌の方の練習にまわすか」
そういわれて快鈴もそうねといいながら竪琴を地面に置き深呼吸をする。
そんな中、6は笛を口に添える。
「なぁ、本当に歌わなくていいのか? 」
お前の歌は綺麗なのに、と寧義が6に問う、しかし6は首を横に振るだけ。
自分の声は兄と姉の二人の調和したものの中には入れない、だからといって一つだけだと物足りないのだ。
何度も言っていることだからか、兄である寧義は釈然としない顔をしつつも姉と歌の練習に入る。
その横で、その歌に合わせて笛を吹く6。
それはまさに美しい歌曲であった。
そして迎えた夜。
櫓には火が入り煌々と夜の村を照らす。
人々はその日を見ながら昨年の一年の繁盛を感謝し、今年一年の繁盛を願う。
子供はその周りを駆け巡り、大人は自身の嫁や婿たちと共に酒や食事を楽しむ。
若人は結婚相手を探すために異性に、同性に声をかけて回る。
時折、大人や若人がどこかへしけこむのは……しょうがないことともいえる。
そんな中、祭りを盛り上げる小さな楽団が一つ。
そこでは笛を持つ翡翠の子供、竪琴を引く少女、リュートを奏でる少年がいた。
周囲の子供や大人はその音を聞きながら食事を楽しむ。
そして時に響く少年少女の声と笛の音は、夏のようなそんな熱を孕んでいた。
夏祭りの夜は徐々に、更ける。
……懐かしい夢を見た。
首に包帯とマフラーを巻きながら起き上がる。
窓を開け、森林の空気を吸い込む。
あの平穏な夏祭りからもう八年近くたっているんだ、そう思うと若干物悲しくなる。
最近、春の祭りが終わり、しばらく自分は暇になるかもしれない。
畑を耕し薬を作る、平凡で平穏な毎日。
三年ほど前から笛を吹くときにのどに痛みは感じなくなった、だからもうあの時と変わらずに笛を吹ける。
それが、未だに少し嬉しいのだ。
さて、そういえば獣魂ノ祭は一体いつごろだったか、今度また計算しないと。
農民日誌――13の齢・夏の祭り――END
- 132 :エイジの過去 錬金術会得と母の記憶:2013/07/29(月) 07:23:26 ID:thvWqPyo
- 暗い部屋の中、簡単は作りのベッドの上に横になる。寝るにしては、少し硬く感じるがこの際どうでも良かった。
少しずつ、だが急速に自我が失われていく。その恐怖が、時が過ぎるのと共に増していく。次に目を覚ました時に、自分は今の自分を残していられるだろうか? そうなったら、あの人に、会いたくないな……。約束守れなかったなぁ。
目を閉じ、眠りに入った。
ーーーー夢を見た。
- 133 :エイジの過去 錬金術会得と母の記憶:2013/07/29(月) 07:42:33 ID:thvWqPyo
- チュンチュン、と鳥が鳴く声で目覚める。
ムクリと起き上がると、とりあえず顔を洗いに洗面所へと向かう。目をこすりながら廊下を歩いていると、母にあった。
母「おはよう。エイジ」
「おはよう。母さん」
朝の挨拶を交わしてから、母は朝食を作りに台所へと歩いていく。今日の朝食はなんだろうなぁ? と思いながら洗面所へとまた歩き出した。
食卓に着くと、父が今日は帰ってきていた。いつも、仕事が忙しく中々帰ってこないが、今日は朝だけでも一緒にいられるのは嬉しい。
- 134 :エイジの過去 錬金術会得と母の記憶:2013/07/29(月) 08:11:34 ID:thvWqPyo
- 朝食を終えると、父はまた仕事に行くようだ。
「いってらっしゃい!!」
「あぁ。今度の誕生日には帰って来るからな」
ワシャワシャと僕の頭を撫でると、父は仕事に行った。
さて、今日は師匠も来ないし、母に錬金術を教えて貰おう。
- 135 :エイジの過去 錬金術会得と母の記憶:2013/07/29(月) 09:02:09 ID:thvWqPyo
- 母に頼むと、すぐに承諾してくれた。
母「でも、もう教えることなんてほとんど無いのよね」
「えー」
錬金術を習ってかれこれ1年。どうやらもう教えて貰うことも無くなってしまったようだ。
母「エイジは、すんなりと錬金術ができるようになったからね。さすがお母さんの子ね」
「えへへ」
誉めてもらって嬉しい。
母「じゃあ、もうエイジは8歳だし、錬金術の心得を教えるわね。お母さんの独学なんだけどね」
「こころえ?」
「そう。心得。錬金術を使うときの気持ち。それと、お母さんからのお願い」
「教えて! お母さん」
母は口を開いて言う。
母「錬金術の心得。大事な人を守るのに使ってね」
- 136 :エイジの過去 錬金術会得と母の記憶:2013/07/29(月) 09:28:36 ID:thvWqPyo
- そこで、目が覚めた。
懐かしい思い出だ。そうだ。この魔法は大事な人達を守るために、あるんだった……。よし、何とかして皆のためになることを、最後の抵抗だけはしておこう。
- 137 :えいじ:2013/07/29(月) 09:29:57 ID:thvWqPyo
- 以上です。駄文失礼しました。
- 138 :るーく:2013/07/29(月) 09:53:07 ID:f8gLWyJw
- -----
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-
暖炉の近くのイスに座っている女性
その女性の膝には少年が座っている
「ねぇお母さん」
「なぁに?」
女性は少年の呼びかけに優しく反応する
「そのネックレスなぁに?」
「あぁこれ?」
「これはね、お母さんの宝物よ」
「お父さんと知り合ってすぐの時にくれたの」
「お父さんの家では好きな人とおそろいのペンダントをするんだって」
胸から下げたペンダントを撫でながら話す
「何か力でもあるの?」
「うーん…」
「好きな人を守れるのよ」
「そうなの?僕もペンダント欲しい!お母さん守りたい」
そういって抱きつく少年をあやしながら話す
「だめよルーク…未来の好きな人に渡さなきゃ」
「えー…」
ー
ーー
ーーー
- 139 :るーく:2013/07/29(月) 09:58:34 ID:f8gLWyJw
- ゆっくりと起きあがる
薬の副作用で身体が重く感じる
…懐かしい夢を見たなと苦笑し
ゆっくりとベットから降りて机にあるネックレスを持つ
今日は心なしか魔石が綺麗に輝いているな
あの人はちゃんと持っててくれているだろうか
いろんな思いが頭をかすめるが
気にしてはいられない
大好きなんだ
守らねばならない
そんな決意を胸に秘め
大広間へと足を踏み出した
- 140 :るーく:2013/07/29(月) 10:01:14 ID:f8gLWyJw
- >>138,139
ルークの決意をば…
良く終われますようにと思いながら書きました
駄文失礼しました
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