二流作家のコメディにもならない何ともリアリティ溢れる笑うに笑えない痛快物語。
本来は脂の乗り切った男として仕事もも慣れ、趣味も金も私生活も充実し、社会に対してやり甲斐を感じ出す年頃に当たる30代前半に0から積み上げていくという悲惨さ。
体力も知力も衰え、新しいことを始めようという気力も薄れ、将来への漠然とした不安がはっきりと具現化し、健康問題や親兄弟の問題が顕在化し出す。
そしてそんな目の前の課題を処理することに忙殺され、仕事に精を出せるわけもなく、段々死んだ魚のような目になっていき、働き始めの覇気も消え失せる。
当然、片手間となった勉強では成果を出すことが出来なくなり、毎日山積みの仕事をただ無批判に消化するのみ。
しかし、チャンスを掴むのはいつも自分より10歳近く離れた同期だけ。
日々歳をとっていき、時間に追われる焦燥感
希望に満ち溢れた若い人間達のなかで立ち振舞っていかざるを得ない孤独感と絶望感
苛立ちと焦りによって結局は何もかも中途半端に終わってしまう。
気づいた時にはもう40歳。
真の絶望が彼を襲う。
そして残りの人生を消化試合のように生きることを悟る。
まさに生き地獄だ。
完全に詰み