先方で執筆継続するのは迷惑なので。
556 ：名無しさん ：2016/06/16(木) 10:35:55 ID:QzF551T.0
トモくん、ゲロ温泉に行く（１）
7月10日、トモくんは大阪での論文型試験を終えて新幹線で名古屋に凱旋した。
心を奮い立たせるように自分の古巣である再チャレに「論文実質楽勝」と書き込む。
6月下旬には思っていたのよりかなり低い点数の短答型試験成績表が届いていた。
しかし、それでも三度目の正直ならぬ、四度目の怨念で論文試験は受けられたのであった。
帰り道に参考書を暇つぶしに読んでいたが、提出した答案についての不都合な記述の記憶は消えて脳内での書き直しが進んでいた。
名古屋に到着した頃には最下位合格を希求することは何とか出来る答案に仕上がっていた。
むろん、実際の答案よりはかなりデキが良くなっている。
よし、いける…無理にそう思い込む努力をしていた。
駅ビルの方を見ると臭い煙を出しながらディーゼルカーが走っていく…
そんな臭い奴が「特急 ひだ」を名乗っているのであった。
アイツでも特急を名乗れるのならオレも弁護士を名乗れるな。
トモの胸に熱いモノが溢れてきた。
オルレレレ。
ディーゼル排ガスの悪臭と自分の内部に溜まった疚しさが何か大事なものを身体から追い出してしまったようだった。
557 ：名無しさん ：2016/06/16(木) 13:01:52 ID:QzF551T.0
トモくん、ゲロ温泉に行く（２）
そうだ、ゲロ温泉に行こう。
トモくんは桜通線に飛び乗って実家に帰ることにした。
忌まわしい試験の記憶を内包した荷物を実家に放り込み、逃避の園に同行させるモノ達を迎えに行くために。
トモくんの実家は名古屋駅からも、短答試験会場の車道駅からも電車一本の野並駅から徒歩3分。
こんな立地は羨ましい限りで、心身の疲労を主張されても憎しみしか起きないものだ。
それでもトモくんは司法試験予備試験受験で疲労した自分を差し置いて座っている妊婦や高齢者を睨みつけたりしている。
妊婦が下りようとしたとき、トモくんは妊婦に身体をぶつけるようにしてその席に座ってしまった。
疲れていたのだ、そして憑かれていたのだ。
妊婦は衝かれてあんっと声を挙げたがそのまま下りていった。
「おい、オッサン！」
野並駅を下りて自宅に続く細い路に入ると、夕闇の中からドキュンが現れた。
「この野郎、妊娠しているオレの姉貴にわざとぶつかりやがって」
ぼそぼそと小さい声で何かを言ってファイティングポーズをとるトモくん。
「ひゃ…じゅっきろのしょ…き…たきこ…る」
返事もなくボディブロー一撃。
オルレレレ。
180Kg以上のパンチ力と自分の内部に溜まった疚しさが何か大事なものを身体から追い出してしまったようだった。
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