男（なんとなく、感覚で分かる）
男（今、俺がいるこの世界は――夢だ）
男（現実にいる俺は、眠っていて、夢を見ているんだ）
男（つまり、俺が何をどうしようと、全て夢オチで済まされるってことだ！）
"
女「やっほーっ！ 相変わらずシケた顔してるじゃん！」
女「はうっ！？」
男「いつもいつも、俺をバカにしたようなことばっか言ってうぜぇんだよ！」ｸﾞｻｯｸﾞｻｯ
女「あがっ！ ぐええっ！」
友「おい、お前……何やってんだ！？」
友「ぐほっ！」
男「イラつくんだよ！ その友達になってやってる、みたいなツラが！」ｸﾞｻｯｸﾞｻｯ
友「ぐあああっ！ いでええっ！」
"
父「どうしたんだ、その真っ赤な血は！？」
母「それに……包丁なんか持って！ いったい何をしたの！？」
男「こうやって、こうやって、こうやって！」ｸﾞｻｯｸﾞｻｯｸﾞｻｯ
父「ぐはぁぁぁ！」
男「こうやってぇぇぇ！」ｻﾞｸｯｻﾞｸｯｻﾞｸｯ
母「や、やめ……はぐぁぁぁ！」
犬「ワン、ワン、ワン！」
犬「キャイン！」
飼い主「何するんだ！」
男「黙れ！ 犬のしつけはちゃんとしとけ！」ｸﾞｻｯ
飼い主「がはっ……！」
男「見ぃ〜、たぁ〜、なぁ〜？」ｷﾞﾛｯ
通行人「うわぁっ！」ﾀﾀﾀｯ
男「逃がすかぁっ！」ｸﾞｻｯ
通行人「ぐぎゃっ！」
男「もういっちょ！ もいっちょ！」ｻﾞｸｯｻﾞｸｯ
男「ふん、そう言われて動かない奴がいるかよ！」
警官「いぎゃあっ！」
男「撃つんじゃねーのかよ！ おまわりさんよォ！」ｻﾞｸｯｻﾞｸｯ
警官「あ、がが……」
男（おっと、パトカーか。とっとと逃げなきゃな）
『○×市で連続通り魔事件が発生……』
『凶器は包丁……被害者はいずれも重傷……』
『犯人は未だ逃亡中……年齢と服装は……』
男「へへへ……やってるやってる」
男（俺はずっとこの世界は夢という前提でいたが、これは本当に“夢”なのか？）
男（もし万が一、夢じゃなかったら――）ｿﾞｸｯ
男「夢！ 夢！ 夢であってくれぇぇぇっ！」
男「夢なら早く覚めてくれぇぇぇぇぇっ！」
男「こんなのが現実だなんてイヤだぁぁぁぁぁ！！！」
──────
──
男「！」ﾊｯ
男「よかった……全部、夢、だったのか……」ﾊｧ…ﾊｧ…
男「俺は、家族も知人も、目撃者共も、警官も、ちゃ〜んとあの世に送ったってのに……」
男「あんなぬるい夢が、現実じゃなくてよかったぁ……」
男「夢オチでよかったぁ……」ﾆﾀｧ…
おわり
おっかないオチだ
ゾクッとしたぞ。乙
乙
こういうの好きだわ