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纏流子「もし一線を越えたなら」
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――美木杉の部屋――
流子「もしも……いや、ありえない位のもしもの話だけど」
美木杉「なんだい流子くん」
流子「その……もし一線を越えたなら、アンタは話してくれるのか? 父さんの死の真相や、その他諸々の私の知らないことを」
美木杉「自分の身体を取り引きの道具に使うとは、君も随分大人のやり口を覚えたものだな」
流子「茶化すな! こっちはそん位なり振り構ってらんないんだよ」
美木杉「まぁそう焦るな。拙い色仕掛けに応えてやるのもこっちはやぶさかではないよ」ファッサー
流子「! オイこら何故ソファーに押し倒す」
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美木杉「えっ? だって、一線を越えるんじゃないのか?」ヌギー
流子「もしもの話つっただろ! それに、越えるにしたってきちんと段階を踏んでだな……うわっ! 脱ぐな!?」
美木杉「段階? ちゃんと踏んでるじゃないか」
流子「踏んでねぇよ! こら、人のパンツに手ぇかけんな!!」
美木杉「どうも一線の位置づけについて、君と僕との間で齟齬が生じているようだ」
流子「ちょっと、お互いの考える一線について確認し合う必要があるようだな」
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美木杉「じゃあ流子くん、君の考える一線越えとは?」
流子「そりゃ、一線つったら、その……キス、じゃねぇの?」
美木杉「…………フッ」
流子「てめぇ、鼻で笑いやがったな」
美木杉「たかがキス程度で一線越えとはとんだお笑い種だ。流子くん、中世ヨーロッパじゃ貴族の子女が家庭教師からまず最初に習うのはキスの際の舌の使い方だ」
流子「嘘だろ!?」
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美木杉「僕ぁ一応世界史の教師だからね。というか授業でやったばかりだろう」
流子「うわぁ進んでやがるな中世ヨーロッパ……って、嘘だ! 絶対嘘だろそれ!?」
美木杉「さぁ、どうだろうね?」
流子「それに授業はヒットラー政権のとこじゃねぇか! 一体どこまでフカシこきやがんだ!?」
美木杉「なんだ、ちゃんと授業聞いてるんじゃないか」
流子「うわぁ、こいつの言うことがますます信用ならなくなってきた」
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ふぅ
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流子「キスより上の一線越えとなると……じゃあ、えーと……お、おさわり、とか?」
美木杉「…………」フーッ
流子「心底呆れたように溜息つきやがったな」
美木杉「流子くん……君、一体どこまで初心な子猫ちゃん気取りなんだい」
流子「そのアメリカ人みたいな肩すくめ止めてくんね? 腹立つから」
美木杉「まいっち○ぐマチコ先生とケン太君との間じゃボインタッチは日常茶飯事だろう」
流子「そういう特殊なケースを引き合いに出されても」
美木杉「ケン太君、原作じゃ結構凄いこともしてるよ?」
流子「しねぇよ! 何か分かんねぇけど絶対しねぇよ!?」
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美木杉「いけ○い!ルナ先生ばりの身体を張った個人授業はどうだろう」
流子「また特殊なケースを引っ張り出してきたな」
美木杉「君も「こんな事出来ちゃうなんて幸せ〜!」なんて大悦びするかもしれないよ」
流子「しねぇよ! よそはよそ、うちはうちだ」
美木杉「子供の可愛いおねだりをすげなく断るオカンか君は」
流子「こんなおっさんから可愛くないおねだりをされちゃオカンにもなるっての」
美木杉「おっさんとは失敬な。僕はまだおにいさんだ」
流子「女子高生から見りゃ先公なんざみーんなおっさんだよ」
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美木杉「じゃあ大幅に譲歩して……満艦飾相手に出来る範囲でいいよ」
流子「マコ相手に出来る範囲……って、えっ!? やだ、そんなことアンタ相手にしたら、私妊娠しちまう」
美木杉「君は満艦飾相手にどこまで出来てしまうんだ」
流子「くっそー、有力な情報を引き出すためにはやはりパンツ脱ぐのは不可避という訳か」
美木杉「一部接触程度でこの僕から情報を引き出そうだなんて甘い甘い、甘過ぎて奥歯ガタガタゆわしそうだよ流子くん」
流子「じゃあ……あんまり言いたかないけど、い、一部合体??」
美木杉「有力な情報を得たいなら、ぽんぽんぽんぐり返しでずんずこずん位はやって貰わないとね」
流子「言葉の意味はよく分からんが、一部合体より尚えげつないことは確かなようだ」
美木杉「見せて見られてぽっきぽきだよ流子くん」
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美木杉「では流子くん、いざ共に一線を越えようじゃないか」オシタオシー
流子「ひえええ」
美木杉「なあに、痛いのは最初のうちだけさ」
流子「うわわわわ……あっ、ちょ、ちょっと待て!!」
美木杉「随分と色気の無い喘ぎ声を出すな君は」
流子「じゃなくて! 一番大切な段階を忘れていたぜ……」ペラッ
美木杉「……これは?」
流子「見りゃわかんだろ……婚姻届だ」
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美木杉「何故だろう、嫌な予感しかしない」
流子「決めていたんだ……唇を、そして肌を許すのは夫となる運命の人ただ一人だけだって。なので、一線を越える前にアンタは私と夫婦になる必要がある」
美木杉「嫌な予感大当たりだ」
流子「さあ……女の子の一番大切なものを貰う以上、諦めて私と結婚しやがれってんだ」
美木杉「脅迫と紙一重なこれはプロポーズか、プロポーズなのか」
流子「美木杉流子……纏愛九郎……字面と響きなら前者だが、生憎私は一人娘。多少の字面のくどさには目をつぶって、アンタ私の婿になれ」
美木杉「僕の都合はお構いなしか」
流子「アンタの名前から察するに、上に兄姉が8人もいるだろうから大丈夫と思って」
美木杉「志○新八だって2人姉弟だよ」
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流子「学生結婚か……ヤンキーの婚期は早いか遅いかの両極端らしいが、まさか自分がこんな若い身空で嫁に行く羽目になろうとは」
美木杉「僕だって、まさか潜入先で結婚を迫られる羽目になろうとは」
流子「鬼龍院皐月や四天王は一体どんな顔をするだろうか。この私が担任教師と結婚なんてな」
美木杉「淫行教師の烙印を押されるのがまざまざと目に浮かぶよ。まだ社会的に抹殺されたくないなぁ」
流子「おう、抹殺されろされろ。そしたら私は晴れて未亡人だ」
美木杉「仮にもだんな様に向かってなんという言い草だ」
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流子「新居……いや、2人の愛の巣も用意しとけよ。愛さえありゃ六畳一間でも構わないぜ」
美木杉「今更訊くのも馬鹿馬鹿しいが、費用は全て僕負担なんだな」
流子「ったりめーだろ。学生の私がんな金持ってるかっつーの」
流子「それに、こんな日当たり悪くてせっまい部屋で子育てなんてごめんだからな」
美木杉「一線も越えないうちからもう子育ての話か」
流子「子供の名前は……男なら愛流(あいる)、女なら流愛(るな)ってとこか」
美木杉「流子くん、センスが最早昭和のスケバン通り越してDQNだよ」
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流子「あ、でも困ったな……子供ができたら、鮮血が着られなくなっちまう」
鮮血「案ずるな流子。私は意外とフレキシブルな素材だ。臨月の大きな腹でもスムースフィット」
流子「おおっ、やるな鮮血!」
鮮血「冷えは妊婦にとって大敵だ。妊娠期間中は腹をすっぽり覆うように丈を伸ばしてやろう」
流子「さすが鮮血! ちゃんと私の身体のことも考えてくれてるんだな」
鮮血「当たり前だ」
美木杉「神衣の声は僕には聞こえないけど、それでもろくでもない内容だってことは分かるよ」
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流子「とにかく! 私と一線越えたいならこの位の覚悟は決めて貰わないとな」
美木杉「やれやれ、こんなにも冗談の通じない17歳は初めてだよ」
流子「さぁダァリン、洗いざらい吐いて貰おうか」
美木杉「こんなドスの利いた声でダァリン呼ばわりとは」
流子「夫婦の間に隠し事は……無しだぜ?」
美木杉「僕の中で君の位置づけは着実に『やっかいさん』に移行しつつあるよ」
流子「嫌だなぁダァリン、ハニィと呼びやがれうっふーん。……さぁ、てめぇの知っていることを全て話せ」
美木杉「片太刀鋏ギラつかせながらおざなりなうっふん声で迫られてもなぁ」
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美木杉「…………フッ」ビリビリビリ
流子「あぁっ! 婚姻届を破きやがった!!」
美木杉「……うん、やっぱり一線を越えるのはやめておこう。これ以上君に酷い男と思われるのは本意ではない」
流子「つまり一線を越えても情報を教える気は無いってことか」
美木杉「別にそこまで言ってないよ。ただあまりの夢見るアリスチャンっぷりにドン引きしたというか」
流子「誰が夢見るアリスチャンだ。あっぶねぇな、危うく無駄に食い散らかされるとこだったぜ」
鮮血「だめだこりゃ」
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一旦休憩
ここまで書いといてなんだけど、キャラ崩壊注意ですよ
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――無星生徒用ケーブルカー内――
流子「……なぁ、マコ」
マコ「なぁに流子ちゃん?」
流子「マコはさ……男と女の一線って、どこからだと思う?」
マコ「どうしたの流子ちゃん、いきなり艶っぽい話題だねぇ」
流子「まぁまぁ、私だってたまにはそんなこと考えたりもするさ」
マコ「一線ねぇ……やっぱり、一発やっちゃうか否かじゃないかな?」
流子「」
マコ「?」
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――本能字学園・生徒会室――
蟇郡「……唯一の友達と考えが食い違ってちょっぴり切ない気持ちは分からんでもないが、何故それを敵方である俺達に話すんだ」
流子「自慢じゃねぇが私の友達はマコと鮮血だけだ。だから唯一じゃねぇ、訂正しろ」
犬牟田「神衣も友達のうちに数えるのか」
蛇崩「本当自慢にもなりゃしないわね」
猿投山「纏……悪いこた言わねぇから、お前友達増やしとけ。クラスメイトとかよぉ」
流子「だってマコ以外のクラスの奴らってみんな同じ顔で誰が誰だか分かんねぇんだもん! たまに違う顔だって思ったら私を倒しに来る部長だしよ」
犬牟田「しょっぱいなぁ、凄くしょっぱいなぁ」
蛇崩「だからって私らと馴れ合うのもどうかと思うけどね」
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流子「だって、ここ来りゃいっつも何かしら美味い菓子食えるし」
蛇崩「あっ! 私の秘蔵のお菓子、何勝手に食べてんのよ!!」
蟇郡「なんだこの勝手知ったるマイルームっぷりは」
犬牟田「グダグダだな」
猿投山「……で? 男と女の一線がどこからかって? んなもん一発やっちまうか否かじゃねーの?」
犬牟田「だろうな」
蛇崩「でしょうね」
流子「ここも汚い大人の巣窟だったか」
蟇郡「いや、ギチギチに縛められるか否かだろう」
流子「知らなくていい世界を垣間見た気がする」
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猿投山「大体、チューが男女の一線なんざ今時流行んねぇよ」
蛇崩「そんなサルくんだってチューすら未経験の童貞くんでしょ」
猿投山「なっ! 俺だって地元にいた頃は北関東番長連合総代としてそりゃもう毎日毎日とっかえひっかえでだなぁ」
犬牟田「フン、嘘臭いにも程があるな」
猿投山「くそっ、そこの夢見るアリスチャンのせいでこっちにまで飛び火しやがった」
流子「ここでも夢見るアリスチャンと罵られようとは」
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皐月「全く、貴様らときたら神聖な生徒会室でなんというえげつない話を」
蛇崩「皐月様!」
皐月「男と女の一線が性交とはなんとふしだらな。一線越えとは……その、なんだ、接吻に決まっているだろうが」
犬牟田「ここにも夢見るアリスチャンがいた」
流子「だよなだよな! やっぱり男女の一線つったらキスだよな!」
皐月「そう、接吻はとても神聖なもの。少女漫画だってラストは大体キスシーンで終わるだろう」
蛇崩「皐月様、昨今の少女漫画はH……しかもレイプから始まる恋なんてザラよ」
流子「そうそう! なのに今時の若いのときたら、公衆の面前でチュッチュチュッチュとまぁイヤラシイったら」
皐月「全く、憂うべき事態だな。汚らわしいことこの上なしだ」
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流子「……初めてお前と意見が一致したな」
皐月「貴様がここまで意気投合できる女だったとは」
猿投山「アリスチャン達が何やら妙に盛り上がってんぞ」
蟇郡「このままでは勢いに任せておかしな方向に突っ走りそうだ。誰か止められんのか」
皐月「そもそも私は『純潔』を纏う身。我が純潔を捧げるは運命の相手ただ一人のみと決めている」
流子「奇遇だな。私も、唇を……そして肌を許す者は運命……いや、宿命の相手ただ一人だけだぜ」
皐月「……宿命の……」
流子「……相手……」
犬牟田「おい、我々が危惧した通りおかしな方向へ突っ走り始めたぞ」
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流子「よーし結婚しよう鬼龍院皐月! 宿命の相手であるアンタなら一線越えてもいいって思えるぜ」
蟇郡「誰が止められるか考えあぐねているうちに事態は取り返しのつかない方向へ」
皐月「フッ……纏流子、この『純潔』は貴様の為の花嫁衣裳だったということか。面白い、結婚し共に野望に向かって驀進しよう」
流子「うーん、野望は打ち崩したいが結婚もしたい……どうしよう鮮血?」
鮮血「まずは結婚して夫婦となり、色々真相を教えて貰うとするか。真相次第では……分かるな流子?」
流子「宿命の相手を愛し続けるかはたまた殺すか……うーんなかなかヘヴィだな」
蟇郡「おい、何やら神衣と物騒な相談をしているようだが」
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蛇崩「ねぇ、誰か突っ込もうよ! ここ日本だよ、女同士じゃ結婚は無理だよ!?」
猿投山「いや、皐月様は俗に言うおっぱいのついたイケメンだ……やってやれないことはない気がする」
犬牟田「万が一皐月様にちんこが付いていたとしても、俺は全く驚かない自信があるよ」
皐月「婚姻が無理なら我が鬼龍院家と養子縁組をすれば良い。鬼龍院流子……多少の字面のくどさは目をつぶれ」
流子「うおっ、お前頭良いな! よーし、ツイッター始めて全世界に報告だ! 『宿命の相手と結婚することになりました』……っと」
犬牟田「うっわ、何そのリア充気取りなつぶやき」
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流子「よーし、じゃあダァリン、父さんの死の真相やその他諸々について洗いざらい話して貰おうか」
蛇崩「こんなドスの利いたダァリン呼ばわり、初めて聞いたわ」
流子「夫婦の間に隠し事は……無しだぜ?」
皐月「済まんが夫婦といえども話せないことがある。どうしても聞きたくば……私を倒せ」
流子「くっそー、結婚後初の夫婦喧嘩か……いくぜ! 『人衣一体』! 神衣……鮮血!!」カッ!
皐月「来い! 『人衣圧倒』! 神衣……純潔!!」カッ!
蟇郡「夫婦喧嘩というけれど……何故だろうか、ものすごい既視感が」
蛇崩「つまり夫婦だろうがなんだろうがやるこた変わんないってこと?」
猿投山「突っ込まねぇぞ。俺は突っ込まねぇからな」
犬牟田「どうでもいいけど室内での戦闘は止めてほしいなぁ」
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流子「ったく、いい加減観念して教えやがれってんだ!」
皐月「全く、貴様のような小喧しい女と結婚しようなどいうのが間違いだった。もういい、貴様とは離婚だ」
流子「そりゃこっちの台詞だよ! あーもう一線越える前で良かったぜ!!」
猿投山「あっという間に結婚して、あっという間に別れやがった」
蟇郡「婚姻期間……15分か」
蛇崩「短っ」
流子「そうだ、ツイッターで全世界に報告しとかなきゃな。『別れました』……っと」
犬牟田「やめておけ纏。全世界に恥を晒す気か」
鮮血「だめだこりゃ」
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おしまい
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乙
何という疾走感w
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凄い……アニメのむちゃくちゃな流れが再現されている。
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おつ!
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乙です〜
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