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アニ「銀の聖誕祭」
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・キャラぶち壊しです。
・特に『あの男』が柄にもないことを言い出します。
・セリフを色んな所からパクってくる予定です。
それでもいいという方は読んで頂けると嬉しいです。
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街中が光り輝く今日。
いつもならば寂れているはずの商店街も、この日だけは煌めいて見える。
どこからともなく聞こえるハンドベルの音はまるで恋人たちを祝福するかのようだ。
多くの男女が愛を誓い、愛を囁き、そして愛を確かめ合う今日は――
時計台の前で一人暇を持て余す私。
待ち合わせまであと15分もあるというのにどこか落ち着かない。
緊張してる?――そんな訳はない。
期待してる?――そんな訳がない。
ただ、そんな思いとは裏腹に心臓の鼓動は加速する一方だ。
ああはやく静まれ。あいつにこんなことは知られたくない。
そうモヤモヤしている私の後ろから、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「ごめん、待たせた?」
「……別に、今来たところ」
ぶっきらぼうに言ってみる。
嘘だ。本当は一時間も前に来ていた。
けれどそんなことあいつに知られたら何を言われるか分からない。
いつもの調子で『そんなに俺が好きなのか』などと冗談交じりに笑うだろう。
私はそれが許せなかった。
そんなくだらない事を考えていると、私の目の前に冷たさで真っ赤になった手が差し出された。
「行こうか、アニ」
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アニは俺の手を一瞥すると、ゆっくりと手を差し伸べてきた。
「へぇ、つなぐんだ」
アニの手が俺の手に触れるか否かのところで俺は意地悪に言ってみた。
するとアニはその白い顔をほんの少し赤らめて、
「あんたのそういうところ、嫌い」
と、手を元のポケットに戻し、
ニヤニヤしている俺を尻目にそそくさと歩き出してしまった。
……早速失敗か。
せっかくのアニとのデートに漕ぎつけたというのに機嫌を損ねてしまうとは。
「悪かったって。待ってくれよ」
俺はすかさず追いかけた。
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(せっかく私が握ってやろうと思ったのにアイツは……)
そんな私の思いなどいざ知らず、追いついてきたアイツは歩きながらいつものようにヘラヘラとりとめのない話をしてきた。
適当に相槌を打ちながらあしらっていると、さすがにそれに気づいたかあいつの口数は次第に減っていく。
『何か話をしないと』
私はそんな焦りからかとんでもないことを言ってしまった。
「私、聖誕祭嫌いなんだよね」
言ってからしまったと思った。そんなことを言ってしまったら今の時間を否定することになる。
さすがにマズかったな、と内心ビクビクしながらも平静を保っている(と自分では思っている)とあいつは
「どうして?」
きょとんとした顔でそう聞いてきた。
よかった。怒ってない。
私はほっとした。けれどなんて返せばいいかわからない。
するとアイツはそんな私の態度を察してか、微笑んだ。
「怒らないから話してみろよ」
……仕方がない。正直に話すことにしよう。
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「……だってこのギラギラした街の装飾が鬱陶しいんだよ」
アニはそうめんどくさそうに呟いた。
そういえばコイツは派手な物があまり好きではなかったな。
しかしどうしようか。下手なこと言って怒らせるのはまずいな。
ここは無難な会話でもしておくか。
「……なんで光ってると思う?」
俺の問いを聞いたアニは首を傾げた。
そりゃそうだ。俺にだってわからないしな。
そしてやはりアニの答えは案の定だった。
「わからない。なんで?」
質問を質問で返すとは……。
しかしまぁ、なんて答えればいいのやら。
適当な事を言うとコイツはどんな態度を示すかわかりやしないからな。
……よし。決めた。適当に思いついた事でも言おう。うん、こりゃ無難な選択だ。
「……街中がアニに恋してるからだよ」
「……ばかじゃないの」
言ってから思った。
……どこが無難だったのだろうか、俺よ。
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ああもうなんてこと言うんだあの馬鹿は。
いつもはただのお調子者のくせにこういう時に限ってキザな言葉をかけてくる。
そのギャップがすごく憎たらしい。
……そして満更でもない自分がとにかく恥ずかしい。
それから無言で二人、並びながら歩みを進める時間が続いた。
(もしかして、アイツも言ってから恥ずかしいと思ったのかな?)
そう心の中でにやけていたら、
「アニ?ここだぞ?」
アイツから声をかけられた。
私はうっかり目的地を通り過ぎようとしてしまったみたいだ。
「あ、ああ……悪いね」
ぶっきらぼうに言ってみたが内心少し恥ずかしかった。
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「やっぱり聖誕祭なだけあって混んでるな」
予約していたレストランに着いた俺は呟いた。
するとアニはちょっぴり驚いたような顔をした。
「ふぅん。あんたもこういうオシャレな店知ってるんだ。少し関心したよ」
……俺をなんだと思っているんだこの女は。
そりゃ女の子とのデートだ。気合を入れるに決まっているだろう。
「アニが褒めてくれるなんて珍しいな。今日は雪でも降るんじゃないか?」
「せっかく評価してやったのに……あんたは一言多いんだよ」
「ん?そうか?」
「そうだよ。そもそも冬なんだから雪くらい当たり前に降るだろうさ」
「あはは。そりゃそうだな。」
「まったく……」
そんなくだらない会話をしていると、俺らに気付いたウェイトレスが店の奥から急ぎ足で向かってきた。
「た、大変お待たせしました!!」
「二名様でご予約のイェーガー様、席へご案内致します」
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今日はこれで終わりにします。
-
乙
期待
-
期待
おもしろそう
-
>>9
>>10
支援ありがとうございます。
-
ウェイトレスに連れられて私たちは席に着いた。
うん。やっぱりなかなかいいお店だ。
しかし一つのある黒い疑問が私の中で産声をあげた。
「……ねぇ。あんたはどうやってこのお店を知ったの?」
「!!……な、なんでそんな事聞くんだよ」
案の定アイツは動揺した。
そう、普段の行動を見ていればもっとぼろっちい店にしか縁がない男だと私にはわかる。
この隙を逃さずにたたみかけてみるとしよう。
「ていうかそもそもこの店に初めて来たようには見えなかったけどね」
「ど、どうだっていいだろそんなこと」
「誰と一緒に来たの?」
「誰ってお前……」
「誰」
「……クリスタ」
アイツはあっさり白状した。
……やっぱりそうか。ま、消去法でクリスタしかいないけど。
ミカサはセンスなしで論外。サシャは質より量だから高い店はNO。ユミルだったらそもそもアイツとは来ないだろう。
クリスタと一緒に来た店だったら外さないだろうと思って私を連れて来たんだろうか。まったく浅はかだねこの馬鹿は。
ま、別に私はコイツの彼女でもなんでもないから構わないけどね。
嫉妬とかしてないからね。……本当に。
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さっきの尋問からしばらく時間が流れた。
まさかクリスタと一緒に来たことがばれるなんて。なんて鋭い女だ。
まずい。この空気はまずい。
いや、料理は美味しいけど。とにかくまずいぞ。
とりあえず何か弁明しないと……。
「な、なぁ!なにか勘違いしているようだけどさ」
「なにが」
「クリスタとは付き合ってるとかそういうのじゃないから」
「別に。あんたがあの子と付き合っていようがいまいが私には関係ないし」
「う……まぁそうかもしれないけど……。とにかく聞いてくれ」
「はいはい」
「ただクリスタに馬術を教わったお礼にご飯おごることになって、『この店がいい』って連れてこられただけで……」
「なるほどね」
お、納得してくれたみたいだ。良かった。
さすがアニ。物分かりがいい女だよお前は。
「つまり女を連れ込むにはいい店だと分かったから私で再利用しようとおもった訳だね」
……全然納得してなかったわこの子。
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「いやいや、違うって。いい店だったからアニと一緒に来たいって思っただけだから」
そう言うアイツは真剣な顔だった。
「でもあの子のためにも高い金払ってご馳走したんでしょ?」
「そ、そうだけど……」
真顔から一転、なんとも情けない顔なるアイツ。
そんな変化を見ていると、少しからかいたい気分になってきた。
「別にいいんじゃない?クリスタはかわいいからね」
「アニだってかわいいよ」
「そこは『だって』じゃなくて『の方が』じゃないの?」
「あ」
「ふふ、いいよ。あんたが嘘つけない奴だって知ってるから。そういう不器用な所少し好きだし」
「……褒められてるの?俺」
「さあね、どっちだと思う?」
「う、うーん……」
アイツは真面目に悩み出してしまった。
まったく不器用で可愛い奴だねあんたは。
……でもたまに『街中が君に恋してる』とか柄にもないことを言い出すから侮れないんだけど。
-
ようやくいい雰囲気になって来た。
アニの機嫌も悪くなく、とりとめのない話が続いている。
「そこでコニーが『消費税が5%だから100×5で500円だろ!!』とか言い出したんだぜ」
「まったく、底なしのバカだねあいつは。マリアナ海溝かっての」
「ま、マリファナ?ってなんだ?」
「……なんでもないよ。聞かなかったことにして」
「??そうか。それでな――」
――食べ終わって一段落ついた俺たちは、店を後にした。
「うぅ……財布の中がすっきりしちまった」
つい本音をこぼす俺。
するとアニは
「まぁ連れを変えて2回も来れるなんて太っ腹だよあんたは」
そう意地悪げに微笑んできた。
「まだその話をひっぱるのか……。」
「別に。ただプレイボーイのイェーガー君の勇姿を讃えようと思ってね」
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「俺がいつプレイボーイになったんだよ」
そう訴えるアイツは怒ってるような困ってるようなそんな顔をしていた。
「冗談だよ。あんたは女遊びできるほど余裕のある男じゃないって私はわかってるからさ」
「だから褒めてるのそれ」
「だからどっちだと思う?」
そんなやりとりをしているとアイツは諦めたか話を変えてきた。
「それでこの後どうする?明日休みだからぶらぶらする?」
あらかじめ食事以外のプランを決めてこなかったのか……。だから不器用なんだあんたは。
だけどそんな思いは口には出さなかった。
「ん。私はもう結構満足したからなんでもいいよ」
「うーん……そうか。それなら――」
そこまで言いかけたところでアイツは人差し指で私の後ろを指さした。
「とりあえずあそこの公園で一休みするか」
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今日の分の書き溜めは終わりです。
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乙
書き溜めありと聞くと安心だ
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>>18
ありがとうございます。
ストックはないんですけどねw
でももう少しで終わる予定です。
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公園のベンチに座る俺とアニ。
二人の間はまるで誰かが座っているかのようにぽつん、と空いていた。
つい先ほどまで普通に会話できていたというのに、今はなぜか何の言葉も発することができない。
言うなれば『理由のない緊張感』が静寂へと形を変えて二人を包み込んでいたのだ。
そんな時が続く中、口火を切ったのはアニの方だった。
「あのさ、あんた『相対性理論』って知ってる?」
何を急に話しだしたかと思えばそんなことか。
もちろん知っている。……名前くらいはな。
「内容は知らない。どういうものなんだ?」
「うーん……私もよく知らないんだけどさ、簡単に説明するとね、」
「わかりやすく頼むぞ」
「辛いと感じる時間はゆっくり流れるけど、逆に楽しいと感じる時間は瞬く間に過ぎていくでしょ?」
「ああ。確かに。でも一分はただの一分でしかないし、一時間もそれに同じだろ?」
「そう、実際に過ぎていく時間はね。でも体で感じる時間は違う。場面場面によって確かにその長さを変えているのさ。」
「うーん難しいなぁ。つまりアニは何が言いたいんだ?」
アニは少し黙ったあと、まっすぐに俺の瞳を見つめてきた。
「ねぇ。今のあんたはどんな時間の中にいる?」
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私はなぜ自分がこんなことを言ったのかが分からなかった。
最初はただどうでもいい話をしようと思っていただけなのに。
けれど過ぎてしまったことは仕方ない。
今はアイツの返答を聞きたい。それだけだ。
「……今の俺は」
「とても時間が長く感じる」
……アイツの口から出た言葉は衝撃的だった。
言葉を発することができない。
実際には数秒と経っていないはずなのに、まるで私だけ時間が止まったかのように感じる。
私はそれに怯えながらも、ゆっくりと時を動かすように言った。
「……それは私といる時間が鬱陶しいってこと?」
返答を聞くのが怖い。あんなこと聞かなければよかっただろうか。
もしかしたらアイツを本気で怒らせてしまったのかもしれない。
私は泣きそうだった。
けれどそんなもやもやした思いとは裏腹に、アイツの口からでた言葉は優しいものだった。
「ばか、そんな訳がないだろ。」
今の私にはその意味が分からない。
「じゃあどういうことなのさ」
「うまく説明できないんだけどさ、アニと一緒にいると一秒一秒をしっかり感じるんだ。と言うより、その時間を大切に感じていたくなるんだよ」
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「アニといると緊張しちまう。だから時間は長く感じるんだ。でも、嫌な長さじゃない。とても愛おしい長さなんだよ」
俺は今の胸中を正直に吐露した。
少しかっこつけすぎたかもしれないけど、ちゃんとわかってもらえただろう。
今、この場所からは音が消えている。先ほどとは違う緊張感が二人の間をさまよっている。
そんな刹那、先に空間に表情をつけたのは笑い声をあげたアニだった。
「……ははははは!あんたなに真顔で言ってんの?クサすぎだよ。台所のタオル並みだよそれ。……クッ」
プルプル震えだすアニ。
そんな姿を見ていると言葉にならない恥ずかしさが俺に襲い掛かってきた。
「う、うるせぇ!……早く忘れろ!恥ずかしい!」
「ううん。一生覚えといてあげるよ。……それにしてもなんだい?『とても愛おしい長さなんだよ』だって?……くふっ」
「ああもういい!怒ったからな俺!」
「悪かったよ。詩人イェーガー殿」
「うぐっ……バカにしやがって……」
そんなやりとりの中、アニの目元をみつめていると、ふと涙が浮かんでるのに気が付いた。
「アニ、どうして泣いてるんだ?」
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今日はこれでおしまいー
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良いところで…
乙です
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いいねー
続きが楽しみ!!
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>>24
>>25
ご支援ありがとうございます。
稚拙な文章しか書けませんが、
せめて終わるまでは投げ出さずにやっていこうと思いますので
どうかよろしくおねがいします。
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アイツに言われて初めて自分が泣いているのに気が付き、私はとっさにこう言った。
「ああ、あんたのロマンチストぶりに笑い泣きしちまっただけさ」
嘘だ。本当は笑い泣きなんかではなかった。
アイツに嫌われたわけではないと知った安堵の涙が5割、
アイツの真剣な思いを感じることができた喜びの涙が4割ってところだろうか。
……そして残りの1割は――
「な、泣くほど笑うなよな。結構真面目に言ったんだから」
「うん。分かってる。嬉しかった」
「……本当に?」
アイツはそれまでムッとしていた顔をすこし綻ばせた。
ふふっ、わかりやすい奴め。
「あんたってば本当に――」
そう言いかけた時だった。
夜空の向こうから白い粒が一つ一つと、街灯の光を受けながらひらひら舞い降りてきた。
「あ、雪だ」
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本当だ。雪が降ってきた。
冬だから当たり前といってはそうなんだが、まさかこのタイミングで来るとは。
「聖誕祭に雪ってなんかベタだよな」
「ほんとだよ。まったく神様は粋な演出をしてくれたもんさ」
「それは良いんだが……寒くなってきたな」
「は?今更?私は最初っから寒かったよ。真冬の夜に公園に来るなんてどうかしてるよ」
う……そうだったか。
そうだよな、こんな寒い日に公園で座って話してるだけなんて寒いに決まってるよな。
「ごめん、気ぃ遣えなくて。もう帰るか?」
「ま、別にいいさ。まだ帰りたい気分じゃないし」
「じゃあ場所変えるか?」
「ううん、ここでいい。でもそのかわりさ、」
「ん?」
アニはつん、としながらこう言った。
「もう少しこっち詰めてよ」
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アイツは一人分空いてたベンチの隙間を詰めてぴったり私にくっついてきた。
自分で言ったはずなのに心臓が高鳴ってきた。
アイツにこの音聞こえてないだろうか。そうだとしたら物凄く恥ずかしい。
私は緊張してまた何も言えなくなってしまった。
すると、
「アニの肌って雪みたいだな」
突然アイツが言い出した。
「いきなり何さ」
「さっき雪がアニの頬を通り過ぎたとき一瞬見えなくなったんだよ。」
「……」
「それでさ、アニの肌が雪と同化するくらい白くて綺麗だなって思った。それだけ」
……この男はまぁ口説き文句をあたかも息を吐くかのようにスラスラと吐けるもんですね。
自覚がないのがとにかく憎たらしい。
「ほんとにばかじゃないの」
本当は満更でもないけど、反応するのは恥ずかしいからつんけんとしてしまう私。
そんな私に対しアイツはひょうひょうとした顔で言った。
「あ、でも今はアニの顔けっこう赤いから雪が見えるぞ」
……この男、本当は自覚あるのかもしれない。
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アニはさらに顔を赤くして黙り込んでしまった。
さっきのはまずかったか。
とりあえず謝っておくことにしよう。
「無神経でごめん」
「……まったくだよ」
「でも赤くなったアニもかわいいぞ」
「それ以上言ったらどうなると思う?」
「自重します」
この女は怒らせると怖いからこれ以上は本気でやめておくことにしよう。
ああ。また変な雰囲気になってしまった。
――これまた沈黙の時間が続く中、俺は大切なことを思い出した。
急いでポケットの中をまさぐり、小さな箱を取り出す。
「あのさ」
話かけたら無言でこっちを向いたアニ。
俺はそんなアニの腕をとり、その手のひらの上に小さな箱をちょこんと乗せた。
「開けてみろよ」
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今日もこれで終わりです。
文体が書くたびに変わってしまう……。
こういうssって難しいですね。
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乙です
地の文のほうがキャラの心情とかがわかりやすい、ので、好感が持てる
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>>32
ご支援感謝致しますアッカーマン訓練兵殿
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アイツから渡された小さな箱。
中に入っていたのは銀色に輝く綺麗なブレスレットだった。
その美しさに魅了されてしまった私は、つい言葉を失ってしまった。
「気に入らなかったか?」
私が無言でいたせいか、アイツは恐る恐る尋ねてきた。
「ううん、あまりに綺麗だったから見とれてただけだよ」
そう正直な感想を伝えるとアイツは、
「そっかー。気に入らなかったらどうしようかと思った。」
と安心したように言った。
「ありがとう。でもこんな素敵な物もらっていいの?高かったんだろう?」
「いいよいいよ、気にすんなって。」
「じゃあもらう。大切にするよ」
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アニは喜んでくれたみたいだ。
まぁだてに半年間生活を切り詰めてきたわけではないからな。
「あんたにしてはセンスいいよ。褒めてあげる」
ご機嫌なアニは俺の頭をナデナデしてきた。
「やめろよ。恥ずかしいだろ。ってかお前そんなキャラだったか?」
「んー。今の私はどっかの浪漫主義者さんのおかげでテンション高いのさ」
「あーもう一々バカにしやがって。まぁ怒ってるアニよりかはそっちの方がいいけどさ」
そんなやりとりをしていると、急にアニがはっとしたような顔をしたあと黙り込んだ。
どうしたんだ?と俺が聞くと、アニは
「私あんたに何も用意してないや」
と消え入るような声で言った。
「いいって。アニの嬉しそうな顔が見れただけで十分だよ」
俺が笑顔で言うと
「よくないよ。ねぇ何か欲しい物とかない?近いうちに用意するからさ」
アニはそう答えた。
そういえばこの女は意外と頑固だった。いらないと言っても聞かないだろう。
だったら正直に欲しい物を言おう、俺はそう決めた。
そして俺の口からでた言葉は――
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今日は全然書けなかったのでこれで終わりです。
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また良いところで…乙
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>>37
すいません……。
完全に実力不足ですw
ご支援ありがとうございますね。
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『お前の気持ちを聞かせてくれ』
それがアイツの口から出た言葉だった。
アイツはこの曖昧な関係を終わらせにきたのだ。
正直に言えば私の気持ちなんて一つだった。
けれど私には裏切ってはいけない故郷がある。
アイツに対する罪悪感もある。
だから今まではっきりと気持ちを伝えてこなかったというのに。
卑怯な私は、明確に定義づけられた関係でなければアイツに隠し事をしていても大丈夫だと今まで思っていた。
私は今、何も言葉にすることができなかった。
「ごめんな、アニ。変な事聞いて」
アイツは申し訳なさそうに言った。
違う。謝らなければいけないのは私だ。
私は裏切り者の身でありながらこの距離感に甘んじていた愚か者なんだよ。
そんな葛藤とは裏腹にその気持ちの一片すら声に出すことができない。
そう、あいつと一緒になるには言わなくてはならない。
残り1割、涙の理由を。
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泣き出しそうな顔で黙ったまま動かないアニ。
俺もそんな彼女を見ているだけでどうすることもできずにいた。
――俺は今日、アニに想いを伝えるつもりだった。
俺はアニの事を好きだったし、アニも俺の事は好きでいてくれただろう。
それは何も言わなくてもお互いの態度で分かっていた。
だけれどこの想いをはっきりとした形にするのが怖かった。
アニがこの距離感でいたがっている事を理解していたから。
アニが何か隠し事をしていることだって、
二人で話している途中に見せる寂しげな表情から読み取っていた。
だから俺は自分の気持ちを胸に押し込めたままにしていた。
けれど俺はこの関係を今日で終わらせようと決めた。
その結果がどんなものだったとしても。
……もう言うしかないよな俺。
「なぁアニ。聞いてくれ」
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「女の子に言わせるのは男として間違ってた。ごめん」
そう言ったアイツの声には決死の覚悟が見えていた。
アイツは本気で終わらせる気だった。
「俺の気持ちをお前に聞いてほしい。いいか?」
私は無言でうなずいた。
「……俺はアニが好きだ。恋人になってほしい」
その言葉で、今までの不確定な空間が寒風にさらされた花のように散っていく。
……もう仕方ない。
私も覚悟を決めって言った。
「私もあんたの事は好きだよ」
「でも私、あんたと恋人になっていいのかな」
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「私さ、中途半端な人間なんだ」
アニは遠くを見つめるような目をしていた。
「どういうことだよ」
「やらなきゃいけないことがあるんだけどさ、このままだとできないかもしれないんだ」
「意味わかんねぇよ」
「わかんなくていいよ」
アニの言葉は支離滅裂だった。
「本当は言っちゃいけないんだろうけどさ、私アンタの事裏切らなくちゃいけないんだ」
「……」
「そんな奴があんたと一緒になっていいんだろうか」
「詳しく話せよ」
「……ごめん、言えない」
アニは、なぜか寂しそうに笑った。
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「アニがさ、」
アイツはそう切り出したあとに続けてきた。
「何かを隠してるのは知ってた。それで負い目を感じていたことも」
……やっぱり気付いてたか。
あんたって奴は侮れないよ。
「でもさ、アニが何かを抱えて苦しんでるなら、俺も一緒に抱えてやりたい」
「俺はアニの味方でいたいんだ」
アイツはまっすぐ私の目を見つめて言ってきた。
「無理だと思うよ?あんたが抱えようとしても潰れるのが関の山さ」
「だとしても構わない」
「それ以前に、私はあんたの敵になるかもしれないよ?」
「……ちゃんと理由を説明してくれれば俺だって納得するさ。それにさ」
「それに?」
「言っただろ?アニが俺の敵だとしても、俺はアニの味方でいるさ」
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想いの丈をすべてぶつけた。
これでダメなら引くしかない。
そう思っていた時――
「そこまで言うなら仕方ないね」
アニは照れくさそうに言ってきた。
「あんたの恋人になってあげるよ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「いててて……」
そう泣き言を言いながら腰をさすっている俺に対しアニは、
「本当にバカだねあんたは」
と吐き捨てるように言った。
……なぜ俺がこんな状況になっているかというと、
先ほどアニからの返事をもらった時に、安堵のあまり体中の力が抜けてしまい
座っているベンチの上から後ろ向きに倒れてしまったのだ。
おかげでまだ腰がジンジンする。
でも、それは気分の悪い痛さじゃなかった。
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「まったく、背中から落ちるなんてベタなことやるんじゃないよ」
そうは言っても、アイツがそれだけ安心したという事が嬉しかった。
……それにしてもアイツはなんて無邪気な顔をしているんだろうか。
「あー緊張したー。断られたら泣く所だったわ」
「あんたさっきからそればっか。男のくせに情けない」
「あはは……でもアニと付き合えることになってよかったー」
「それは良かったね」
「もうつれないなー。……よし。ナデナデしてやろう。ほれほれ」
「ああもうやめな!!……まったく断っとけばよかったよ」
そんなくだらないやりとりだけど、その中に小さな幸せを感じていた私。
するとアイツもそれを感じ取ったのか急に真面目な顔に戻った。
「あのさ、抱きしめてもいい?」
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「いきなりなにさ」
アニは怪訝な顔つきになった。
「いやさ、お互いの気持ちが通じ合ってることが明確になったじゃん?」
「……うん」
「だからさ、それを感じたいんだよ。だめ?」
そう言うとアニは少し顔を赤らめ、
「……勝手にすれば」
と満更でもなさそうな声でぼそっと呟いた。
「わかった」
俺はアニをぎゅっと抱きしめた。
そして感想を一言。
「あー幸せだ」
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どれくらいそうしていただろうか。
無言で体を抱き寄せあう時間が続いた。
ああ……なぜだかわからないけど心地いい。
そんなささやかな幸せに心安らいでいた……その時だった。
「アニさん、一言感想お願いします」
あいつが調子はずれな声でそう聞いてきた。
……せっかく私がいい気分でいたというのに。
この男といると本当に調子が狂う。
……でもまぁ、今の私はちょっと気分がいい。大目に見てやろう。
「そういえば、あんたの言ったこと本当だった」
「ん?何が?」
「確かにあんたといると一秒一秒をしっかり感じられる気がする」
「だろ?楽しい時間は早く過ぎるってのも人によりけりなんだろうよ」
「まったくだね。……ねぇエレン」
「アインシュタインって嘘つきだね」
おわり
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何が書きたかったのかわかりませんがこれで終わりです。
読んでくださった方々、本当にありがとうございました。
そしてこのスレを一から読み通してみて思ったことが一つあります。
行き当たりばったりで文章を書いてはいけない(戒め)
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乙
なかなか素敵な雰囲気は作品でしたよ
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×雰囲気は
○雰囲気な
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>>49
ありがとうございます。
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乙!
すごく良かったです
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"
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