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(,,゚Д゚)触れないようです⌒*リ´・-・リ
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全3話
一応閲覧注意
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1 ふれないようです
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⌒*リ´・-・リ「……はぁ」
物陰に隠れ、事が終わるのを待つ。
目の前では少年趣味の変態が少年を買っていた。
はやく終われ、と願いながらもターゲットを逃がさないように見張り続ける。
ビュウウと風が吹く。
ゴミ捨て場で拾った大人用の黒いTシャツ一枚しか来ていない私には寒すぎる。
本当にはやく終わってくれ。我が家に帰りたいんだ。
祈りが通じたのかどうかで言えばおそらく違うのだろうが、どうやら終わったようだ。
少年は倒れたままだ。その小さな体にはきつかったのだろう。
息は荒い。そのままだと誰かに襲われるぞ。
まあ、助け起こす義務も義理もない。
放置したまま、ターゲットを追う。
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ターゲットはゆっくり歩いている。
曲がり角を曲がったので、それに続いて曲がった。
⌒*リ´>-<リ「キャッ!」
男とぶつかった。
ターゲットに気づかれていたのだろうか?
だとすると、少しどころかかなりまずい。
小娘一人が大の大人を、正面から殺すなんて無理だ。
( ^Д^)「おっ!? あ、すまんな」
ちがったようでほっとする。
しかも意外と優しい。骨折しないし。
骨折したーとかで絡まれるのは、かなり苦手だ。
後始末が面倒くさい。
⌒*リ´・-・リ「いえいえ。こちらこそ」
一時撤退。本日は諦めよう。
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自分でつけた裏ポケットから鍵を取り出し、鍵を開ける。
このポケット、うまくつけられたので自分でも気に入っている。
('、`*川「おかえり」
お姉さんが我が家にいた。
パンを食べていたので頂戴というと、じゃあこれと同じパンと交換ねと言われた。
⌒*リ´・-・リ「今日寒いね」
('、`*川「そうね。風が強いわ」
とりあえず、横になった。
動くとお腹が空くから、仕事以外動きたくない。
蓄えは少しあるけれど油断したら駄目だ。
('、`*川「ちょっと出かけてくるわ……っと生きてる?」
⌒*リ´‐-‐リ「んー」
お姉さん曰く、私が眠っているときは死んでいるように見えるらしい。
何回も脈を測ったことがあるとか。
一回も気配に気づいて起きたことはない。
お姉さんの気配のなさは素晴らしいもので、私も見習いたいと密かに思っている。
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目が覚める。
窓から外を見ると、夜だった。
我が家は廃ビルなので、4階に行くとなかなかいい風景が楽しめる。
表通りのほうが光っているのが見える。
対して、こちら側は真っ暗だ。
⌒*リ´・-・リ「もっかい寝よっかな」
ただ、寝すぎると頭がボーっとして明日の行動に支障をきたす。
どうしようかと思案していると、お姉さんが帰ってきた。
('、`*川「おお起きてた」
⌒*リ´・-・リ「お帰りなさい」
('、`*川「ただいま。久しぶりにさ、トランプやらない?」
⌒*リ´・-・リ「あ、新しいトランプ!」
('、`*川「そーよ。古いトランプも傷だらけになっちゃってさあ。イカサマーって言われるようになってきたから」
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お姉さんは賭け事で生きている。っぽい。
詳しいことは知らない。むこうもそうだろうし。
('、`*川「我と勝負しておくれー」
⌒*リ´・-・リ「大富豪ならいいよ」
大富豪。
貧しい私でも大富豪と呼ばれることができる。
まあ、一瞬なんだけどね。
それに勝たなきゃだし。
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⌒*リ´・-・リ「8切りー。かーらーのー革命ー」
('、`*川そ「うわあああああああああ」
('、`*川「なんてね。革命返し! ふははは」
⌒*リ´・-・リ(はっはっは。弱いカードしか残してないぜ……)
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⌒*リ´・-・リ「大富豪さまー」
('∀`*川「ふはははははははは! 我こそが大富豪なり」
('、`*川「んー。後2戦ぐらいかな?」
お姉さんはトランプをみながら言った。
これは私の推測でしかないのだけれど、お姉さんは私と遊ぶことでトランプに傷をつけているのだと思う。
普通に遊んでつけた傷は、イカサマだと見抜かれにくいんじゃないだろうか。
ただ、きっとほんのわずかな傷だろうし、私には分からない。
⌒*リ´・-・リ「勝つよー」
('∀`*川「こいやぁ!」
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⌒*リ´ - リ
惨敗万歳。
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('、`*川「ふー。勝利の後の酒は格別ねー」
⌒*リ´・-・リ「ちょーだい」
('、`*川「これと同じ酒と交換よー」
⌒*リ´・-・リ「むー」
窓の外を見ると、少し明るくなっているようないないような。
お姉さんも寄ってきた。
('、`*川「日の出見るぞー。お前も付き合えやー」
酔ってる酔ってる。
てか、椅子まで持ってきてスタンバイしなくても。
マジですか。見るんですか。
⌒*リ´・-・リ「……付き合って差し上げましょう」
自分も椅子を用意してスタンバイ。
なにやってんだろ。本当。
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⌒*リ´‐-・リ「ん……」
目覚めると、お姉さんはすでにいなかった。
もうお昼ごろだな。
朝ごはん代が浮いてラッキー。
クッキーを食べる。むしゃむしゃ。
湿っていた。ぱさぱさじゃない触感でいいね! 嘘だけど。
支度を始める。
⌒*リ´・-・リ「ナイフの切れ味は……OK!」
鞘にしまう。
そして、服のポケットへ。
この服にはたくさん裏にポケットを縫い付けてある。
中には、少しのお金とか、飴とか。
いろいろなものを詰め込んでいる。
⌒*リ´・-・リ「ターゲットはいつもならそろそろ出かけるな」
空の具合から、大体の時間が分かる。
時計なんか無くても大丈夫。
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ターゲットは薬の密売人をやっているようで、午前中はどこにいるか知らない。
ただ、午後はいつも少年を買ってから、家に帰る。
そのときに買い物によることはあるが、その後は家から出てこない。
仕事をするとすれば、帰り道しかない。
(,, Д )
また少年が倒れている。
昨日と同じ少年だ。
そんな体力だといつか死ぬぞ?
放っておいて先へ。
( ^Д^)
ターゲットを見つけた。
しっかりとナイフを持って。
いくよ。
-
突撃。
突撃。
感触。
刺。
驚愕。
この隙に、この隙に、この隙に。
ターゲットノ排除ヲ完了イタシマシタマシタマシタ。
⌒*リ´ - リ
-
ターゲットの脈をはかる。
脈は無い。
あたたかい。
どんどん冷えていく。
早く去らなくちゃ。
ああでも、あたたかい。
人ってあたたかいんだ。
人を殺す仕事をすると決めてから、自分に課した一つの決まりごと。
“人にふれない。もし人にふれてしまったら殺す”
人のあたたかさなんて知っちゃいけない。
それに縋りつくなんてもっといけない。
殺して、そうなることを阻止しなければ。
人殺しで疲弊した心はすぐにあたたかさを求めるだろう。
その結果が、これ。
殺した人で、暖をとって。
自分は、なにをしているんだろう。
そろそろ、去らなきゃ。
走る。それでいい。
帰ろう、私。
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(,,゚Д゚)「……お姉ちゃん、僕を買わない?」
少年が、立ち上がっていた。
意外と体力の回復早いのか、と驚愕。
⌒*リ´・-・リ「いいえ。結構です」
帰って寝よう。
血がついてるけど、黒いTシャツだしいいか。
顔には、飛び散らなかったな。今回。
(,,゚Д゚)「僕、お腹空いてるんだ」
知らない。
(,,゚Д゚)「お客さん、また一人減っちゃったし」
見られていた?
いいよ別に。警察なんか動くわけない。
(,,゚Д゚)「お姉ちゃん」
ああでもなんだろう。
こういうことすると、後で面倒なことになるのは分かっているのに。
⌒*リ´・-・リ「知らないよ。そんなこと」
飴を投げつけてから、走って我が家に帰った。
面倒なことになるんだろうなあ。きっと。
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⌒*リ´‐-‐リ「ん〜?」
頭をなでられる感覚。
目を開けると、お姉さんがいた。
(;、;*川「……起きちゃった?」
お姉さんは、泣いていた。
(;、;*川「あっはっは。大負けだぁ……」
服をお姉さんは着ていなかった。
体中に、噛み傷とか、たくさん。
大体何があったのかを察する。
だから、何も言わないでなでられておいた。
ああいつか、お姉さんも殺さなきゃ。
でも、いまだけは。
お互い、疲弊しきった心を癒しても、いい。
⌒*リ´‐-‐リ
零れそうになった涙を、まぶたの蓋で静かに閉じ込めた。
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目が覚めると夕方だった。
眠い。寝た。
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⌒*リ´・-・リ「……おなかすいた」
お腹が空いて目覚めた。
そろそろ、ご飯を食べなくちゃ。
服を着替えて、表通りで食べようかな。
銭湯にも行こう。
ロッカーを開けて、服を取り出す。
私にぴったりサイズのTシャツとジーパン。
これだけしかないから血で汚すわけにいかないので、普段は黒ゴミ捨て場で拾ったいTシャツを着ている。
この服を着たときは、とにかく襲われやすい。
だから、慎重に慎重に。
できるだけ、こっそりとナイフを持っていることが分かりやすいように。
襲われたときの反撃で返り血をつけたくないから。
よってこないで。くるな。
⌒*リ´・-・リ「…………」
(,,゚Д゚)「……ひさしぶり、です」
少年だ。
まだ生きているのか。いいこと。
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表通りへ急ごう。
慎重に、ゆっくりと。
⌒*リ´・-・リ「ふー」
お風呂は気持ちがよかった。
その後、アイスを食べた。
温まった体の中ですぐにとけていく。
バニラ味、おいしかった。
⌒*リ´・-・リ「あ、パン安い。買っとこ」
⌒*リ´・-・リ「乾パンもなかなかいい感じ〜」
店員さんに乾パンの量を見られて、大災害でも起こるんですか? と聞かれた。
私は微笑みながら、常日頃の備えが必要ですと答えた。
こういう会話も、表通りでしかできない。
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⌒*リ´・-・リ「あ、缶コーヒー」
缶コーヒーを買うのを忘れていた。
店に引き返す。
缶コーヒー10本を手に抱え込み、レジへと向かう。
と、金を出せ! とすぐ近くから聞こえた。
っていうか、頭に拳銃当たってるじゃないですかやだー。
人質は私ですか。
店員さんがおろおろしているのが見える。
男のようだ。抱え込まれた。
缶コーヒーが手から離れて地面に散らばる。
逃げられないんですけど。
それにこの男、ちょっとおかしいし。
薬でもやっておられるようなお方ではないでしょうか。
早くしろ! と叫んでいる。
私はか弱い女の子なんです。助けてー。
店員さんがお金を渡した。
でもこの男、片手に拳銃もう片手に私。
お金を受け取れなくてどうしようか思案しているのを感じて少し面白かったり。
私を投げ捨てて、お金をひったくって逃げることを選んだみたい。
いやーしかし、この辺りへは警察も出動が早いんですね。
我々の地域にもそれぐらいでお願いします、なんて。
店から出た瞬間警察に捕まったときの男の顔といったらもう。
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大丈夫だったかい? 怖かったねえ。
周りの人々からさまざまな声をかけられる。
私は年相応に、泣きそうな顔をしてみたり。
缶コーヒー20本を無料でもらえたことが一番嬉しかった。
そして私は今ご機嫌だ。
それは、ナイフよりも脅しに使えるものが手に入ったから。
⌒*リ´・-・リ「BAN! BAN!」
拳銃を騒ぎの隙にこっそりちゃっかりいただいた。
まあ、弾はこの中に入ってるのしか持ってないけど。
それに、弾代がかかるから拳銃は使わないだろうな。
弾売ってくれる人も知らないし。
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そろそろ依頼を探さなくちゃあいけない。
広場へ行きますか。
広場では、仕事を求めている人や依頼をしたい人が常に集まっている。
治安もなぜかいいし。力がある何かの組織が守ってでもいるのだろう。
依頼がある人を探す。
たまに、君いくら? とか聞かれる。
ふざけんじゃねえ。
(-_-)「前はありがとうね」
いきなり話しかけられ、驚く。
⌒*リ´・-・リ「あ、いえいえ」
前のターゲットを殺してくれと依頼してきたのはこの人だ。
しかし、またわざわざ話しかけてきてくれたということは依頼があるということだと嬉しいんだけど。
(-_-)「また、いるんだけど」
⌒*リ´・-・リ「はい。では、少し私と散歩しませんか?」
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写真と名前と住処の紙をもらった。
あと、お金も。
仕事だー。
⌒*リ´・-・リ「とりあえず、一日ストーキングしてみよっかな」
寝た。
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川д川
なかなかに怪しい雰囲気の女だ。
しかもなんか、ふらふらしてるし。
なにかをぶつぶつ呟きながら、廃ビルの一つへと入っていった。
入るか少し迷ったが、入ることにした。
中をのぞくと、明らかに薬を吸ってそうなやつらがいた。
というか今、ちょうど吸っている。
女が薬を取り出す。
吸うのかと思ったら、薬を吸っているやつらに売りつけている。
その値段は、ここらの薬の相場の2倍だった。
依頼人の仕事がなんとなく分かったがそれはまあいい。
明日殺しても問題なさそうだ。
今日は帰ろう。
明日、家を出て少ししたところを刺そう。
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手が血まみれだ。
どうしてこんなにも血は鉄臭いのか。
きれいにしようと舐めた。不味い。
食欲もないし、帰って寝よう。
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襲われた。
今、必死に逃げている。
無表情で追いかけてくる男って、かなり怖い。
素人だろう。だが、大の男だ。
息は苦しくない。大丈夫。
角で曲がり、急ブレーキ。
ナイフを装備しますか? はい。
曲がってきた相手に向かって、突撃。
(=;゚ω゚)ノ「!? あぶないよぅ」
男の顔に表情が出る。
人間。
理性無しではもう殺せないだろう。多分。
人間は、人を殺せない。
だって、人の間でしか生きれない弱い生き物だから。
獣か、機械。どちらになるかを選ぶしかない。
それにしても困ったな。
今私は、ただの人間でしかない。
ついさっき、人を殺したから、また殺すのはよろしくない。
自分が自分じゃなくなるような気がする。
どうしたものか。
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(=゚ω゚)ノ「うわあああああああああああああ」
男が体当たりしてきた。
避ける。体当たりより、その声のほうが攻撃力あると思うんだけどな。
あ、そうだ。
前、いいもの拾ったんだった。
ただ、脅し方が分からない。
少し距離とって、奪われたら終わりだから危なくなったら撃つ覚悟用意して。
⌒*リ´・-・リっ┏「ストップ。動くな」
(=;゚ω゚)ノ「!」
⌒*リ´・-・リっ┏「どうして私を襲ったんですか?」
これだけは聞いておきたい。
これからどうするかを考えるために。
(=;゚ω゚)ノ「じ、自分の職業を考えろよぅ! お前は、お前は、」
予想通り、か。
⌒*リ´・-・リっ┏「なるほど。今回は見逃します」
⌒*リ´・-・リっ┏「“見逃されている”んです」
⌒*リ´・-・リっ┏「そのことを自覚しておいてくださいね」
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目が覚めると、頭が痛かった。
眠りすぎた。
⌒*リ´+-+リ「まぶし……」
伸びる。うにー。
お腹が空いたので乾パンを食べた。
あと、缶コーヒーを一杯。一缶?
外へと出る。
日差しを浴びると目が覚める気がする。
(,,゚Д゚)「あ」
⌒*リ´・-・リ「あ」
ばったり。
我が家の前で会うと、なんだろう……住処がばれたので嫌だ。
(,,゚Д゚)「この前は、飴、どうも」
⌒*リ´・-・リ「いえいえ」
こういうの、苦手なんだよ。
どういう反応すればいいのか困る。
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⌒*リ´・-・リ「早起き、だね」
夜が儲け時なのに。
(,,゚Д゚)「いまから、寝ようかなって」
⌒*リ´・-・リ「ああ、そっか」
沈黙。
静けさは状態異常に入ってもいいと思う。
ヒットポイントが削られていく。ゴリゴリ。
⌒*リ´・-・リ「あの、さ」
⌒*リ´・-・リ「家で、寝る?」
警戒するもなにも貴方の自由です。
保護がないかわりに、ここは自由がある。
ふと、そんなことを思った。
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少年は少し思案し、結果。
(,,゚Д゚)「お姉ちゃん、いい人そうだから」
人間見た目どおりにはできてないけど、と。
少し笑いながら言った。
今現在は。
(,,‐Д‐) クー
⌒*リ´・-・リ(寝顔かわいいなー)
ほっぺたを触ったらおきてしまうだろうか。
ずっと眺めていても飽きない。
その証拠に、外がもう赤い。夕焼けだ。
しかし、これだけ長い時間眠るということはどれだけ疲れていたのだろうか。
安心して眠れるからだとしたら、少し嬉しいような。
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⌒*リ´・-・リ「……そろそろ、ご飯食べよ」
昼を抜いてしまった。
まあ、動いていないからいいか。
椅子から立ち上がる。と、その音に反応して少年が目覚める。
(,,゚Д゚)「? ! ああそっか」
ここはどこだ? 誰だお前! ああ、ここはいつもの場所とは違うのか、と表情が変わった。
おもしろかったから、もっかい見てみたい。無理でしょうか。
(,,゚Д゚)「おはようございます」
起きてすぐでもふらふらしないのか。羨ましい。
自分は起きてすぐはふらふらする。体が目覚めてないとかそんな感じだろう。
⌒*リ´・-・リ「おはよう」
(,,゚Д゚)「ありがとうございます。安心して寝れました」
(,,゚Д゚)「あ……。そろそろ行きます。そろそろ、お客さんが出始めるので」
⌒*リ´・-・リ「……明日も、来ていいよ」
どうしてこんなことを言ったのか分からなかった。
ただ、必死に生きようとしているのを応援しているだけ?
そんなことを上から言えるほど私だって余裕があるわけじゃない。
ただ、少年は笑った。
(,,^Д^)「ありがとう。お姉ちゃん!」
だから、これが正解な気がした。
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あれから一ヶ月ほどたった。
少年は毎日、私の元へ来て眠る。
一緒に食べ物を食べたり、話したりもする。
仲がいい、というやつに入ると思う。
(,,゚Д゚)「僕の知り合い、変わった人なんだ。いっつも無表情で」
(,,゚Д゚)「でも、たまに物をくれるんだ」
(,,゚Д゚)「何年か前になるんだろうけど、メリークリスマスっていって、チョコレートくれた」
(,,゚Д゚)「クリスマスって、なんか大人が子供に物あげる日なんだって。なんでだろね」
⌒*リ´・-・リ「不思議だね」
表通りには、よく分からない風習がある。
どうして一年のうち一日、そんな日を決めるのだろう。
誰が決めるのだろう。
⌒*リ´・-・リ「その知り合いは、表通りによく行くの?」
(,,゚Д゚)「わかんない。なにしてるのかも」
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⌒*リ´・-・リ「足で攻撃すると、意外と相手の意表をつけていい」
⌒*リ´・-・リ「戦いって、大体は殴り合いを想像するでしょ? だからかな」
⌒*リ´・-・リ「足はいろいろなことに使えていいよ。ただ、攻撃力はそこまで無いから気をつけてね」
(,,゚Д゚)「へー。いざというとき参考にするよ」
どうしてそんなこと知ってるの、とか。
私のことを詳しく知ろうとしないから、この少年はいい。
警戒せずに、話せる。
⌒*リ´・-・リ「あと、ナイフ」
⌒*リ´・-・リ「ナイフはいいよ。安心できる。銃なんかよりよっぽど」
扱いも簡単。ただ、したいがままに。
手入れだけは欠かさずに。
(,,゚Д゚)「あー。一応、護身用にナイフ持ってるんだよね」
⌒*リ´・-・リ「そーなんだ。まあ、いざというときサッと取り出せないと意味ないけどね」
(,,゚Д゚)「気をつけとくよ」
-
そういえばお姉さん、帰ってこないなと、最近やっと気がついた。
死んでしまったのだろうか。
そうなら、この少年をここに住まわしても何にも言わないだろう。
私がいつかは殺すはずだったが、まあ死んでしまった相手を殺すなんてできない。
無敵というやつなのだろうか。違うんだろうな。
(,,゚Д゚)「いってきます」
⌒*リ´・-・リ「いってらっしゃい」
後姿を見送る。
今日は、依頼を探しに広場に行こうかな。
そうだ、明日は少年のためにハムと食パンを買ってこよう。
彼は肉が好きだから。
ゴッと音がした。
外側からではなく、内側から。
頭が熱い?
頭を殴られた。そう理解した。
そして、少年の名前をとっさに呼びそうになって。
⌒*リ´ - リ(あ、名前、知らないな)
チカ、チカ、ちか
せかいが、なんかいか、めいめつして。
いしきがとだえた。
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ギコが文字化けすることを失念していました。
文字化けしていないタイトルは↓です。
(,,゚Д゚)触れないようです⌒*リ´・-・リ
また来週の週末に投下します。
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おつ
-
こっちで見てる限りだと文字化けしてないな。
乙、殺伐と面白かった。
次も期待。
-
惹き込まれる文体だ
乙
-
おつ
淡々としてて好み
-
おもしろい
これからどうなるのか・・・おつ
-
2 さわれないようです
-
夜は静かなにおいがする。
そのにおいに混じって、人のあたたかいにおいとか、悪意のにおいがする。
(,,゚Д゚)「お兄さん」
この人は欲のにおい。
うらみ、つらみのにおいはしないから、今日はこの人は優しいかな。
-
疲れて息も絶え絶えで、倒れ伏した僕には一瞥もくれずお金だけを放置して去っていった。
早くお金とらないと、風で飛んでいっちゃう。
体を起こして、お金を手でつかんで、服をしっかりと着る。
(,,゚Д゚)「身体痛い……」
身体をパンパンとはたき、歩き出す。
パンがほしい。お水も。
行っても行っても同じような路地裏を歩く。
-
灰色の四角いビルの一階で、ひっそりとやっている店がある。
ドクオさんのお店だ。食べ物やお水を売っている。
('A`)「おぅ坊や」
(,,゚Д゚)「パン下さい。あと、お水も飲ませてもらえますか?」
('A`)「あーいよっと」
とりあえずとパンを手渡される。
紙袋にいれてくれるから、ドクオさんは優しい。
('A`)「最近寒くなってきたよなあ。っていうか、風強いよなあ」
(,,゚Д゚)「それは思います。寒い」
風は意地悪で、せっかく僕がまわりの空気をあっためてもすぐに持って行ってしまう。
-
('A`)「はい、水」
(,,゚Д゚)「ありがとうございます」
その辺で拾った空の酒瓶に水を入れたものを渡された。
コンクリートで覆われたここには、水道以外に水を手に入れる方法がない。
('A`)「また来てくれよな」
お金を払って店を立ち去る直前、言われた
優しいにおいがした。僕はそこから逃げるように走り出した
-
食べ物を食べるとき、飲み込むとき、その部位は喜んでいる、と思う。
早くこっちに来てくれ、と食べ物の奪い合い。
結局、ゆっくり食べたいのに一瞬でなくなってしまう。
食べ物を食べた後だと眠くなる気がする。
路地裏の中でも開けた陽の当たる場所を見つけて転がる。
夜は寒いし、仕事があるからあったかいいま眠ろう。
今ぐらい僕が喜んでおかないと、嫌なことから逃げるためだけに生きてることになっちゃう。
(,,-Д-) クカー
-
起きて、客をとっているとき、いつもと違うにおいがした。
苦いにおい。
壊れかけの街灯の明かりしかないからわからないけれど、誰かいるんだと思う。
風がビュウウと吹いて、脱がされている身にはとても寒い。
吐いた暖かい息もさらわれて、どんどん奪われていく。
全部盗られきったら、どうなるのかな。自分の汚いところだけ、僕の生きていた証みたいに、残るのかな。
シミだけ残して、死ぬのかな。
男の体温だけが、僕に注がれる。
僕に入れ替わっていく。僕に成り代わっていく。どんどんシミが広がって、それで
-
痛い、苦しい、つらい、には鈍感でいたいと思ったんだけど、やっぱりそうはいかなくて倒れ伏す。
息を絞り出す。息を吸おうとしても、なかなか吸えない。
ぜえはあぜえはあ繰り返しているうちに、目の前を小さな足が通った。
音はしなかった。苦いにおいがした。
僕の常連をつけていくみたいだった。
あの人は、まあ優しい人に入るけれど、薬のにおいがすることだけが怖かった。
薬はされたくないから。
寝っ転がって、空を見上げる。
星は僕を照らす気もないようなやるきのない光で光っていた。
-
(,,゚Д゚)「お兄さん、僕を買いませんか」
行為が売れるだけで、自分には何があるのかな、と思う。
何もない。違う。きっと違う。薄汚れた、何かしかない。
綺麗なにおいのする人には声をかけない。
正しくは、かけられない、かもしれない。
こんなに汚れた自分では、さわれない。
こんな自分の行く先は、なんだろう。
夜空の星は今日は見えなかった。
-
3日連続で同じ客をとった。
身体の節々が痛くて、明日ぐらいは客をとるのをやめた方がいいかもしれない。
苦いにおいがまた近くを通った。
(,,゚Д゚)(……ん)
血のにおいに、疲れている場合ではないと起き上がる。
予想はしていた。薬の匂いがするあの人なら、こんなこともあるかもしれない、と。
苦いにおいのする小さいあの子がこんなことをできる、というのは少し意外であったけれど。
-
だぼだぼの黒い服を着た女の子がこちらへやってくる。
苦いにおいの子だ。
(,,゚Д゚)「……お姉ちゃん、僕を買わない?」
明日、休みにするのなら今日は客を二人とっておいた方がいいかもしれない、というのは本音ではないと思う。
なんだろう。甘えたかった、とは違う気がするんだけど、少しよく似た何かな気がする。
⌒*リ´・-・リ「いいえ。結構です」
そう言うとは思っていた。こんな年の子供では、お互い、そういうことは必要としない。
ただ、何となく引き止めたくて、言葉を紡ぐ
(,,゚Д゚)「僕、お腹空いてるんだ。お客さん、また一人減っちゃったし」
(,,゚Д゚)「お姉ちゃん」
別に、この子に全く関係はないし責任もないことばかり。
⌒*リ´・-・リ「知らないよ。そんなこと」
女の子は飴を投げつけて走って行ってしまった。
僕が望んでいたこととは違うような気がしたけど、うれしかった。
今日は地面に座って飴を舐めながら星を眺めた。
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(-_-)「おー久しぶり」
(,,゚Д゚)「こんにちは!」
おじさんだ。たまに出会うと話しかけてくれる。
この人はいいにおいと悪いにおいが半々でしてくる。
(-_-)「元気にしてる? ちゃんと食べれてる?」
僕を心配してくれる人なんて、世界中でもこの人だけだろう。
だから、貴重な人なんだ。
(-_-)「少年は考えるからね。好きだよ」
僕は考えているつもりなんてない。ただ、生きようとしているだけだ。
(-_-)「この裏路地で、考えて行動してるやつなんてほんの一握りだからねー」
(,,゚Д゚)「僕のどこが考えているっていうんですか?」
(-_-)「ふふ。そういうところだよ。他のやつらはいやなことには聞く耳を持たない。何も見えてない」
よくはわからないけれど、暴力的じゃない、っていうことでいいのかな。
(-_-)「だから、そんなえらい少年にはおこずかいあげちゃおう! お金は余ってるから遠慮はしないでね。」
-
そこから大量のお金をもらって、おじさんとは別れた。
数日仕事はしなくて、その後はいろんな客をとった。
そんな生活で何日が経ったのか分からなくなったけれど、僕はあの女の子と再会をした。
(,,゚Д゚)「あ」
⌒*リ´・-・リ「あ」
寝る場所を探していると、彼女が建物から出てくるところとばったり会った。
家があるのは、少し羨ましい。
(,,゚Д゚)「この前は、飴、どうも」
感謝を言っておく。
あの飴は甘かった。口やのどだけじゃなくて、自分全部が喜んでいたように思う。
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⌒*リ´・-・リ「早起き、だね」
(,,゚Д゚)「いまから、寝ようかなって」
⌒*リ´・-・リ「ああ、そっか」
この子もこの子の仕事をするときは、夜なんだろうと思うけど。
まあ、毎日できるような仕事じゃないし、稼ぎも違うんだろうな。
どちらがいい、とはいえないけど。
⌒*リ´・-・リ「あの、さ」
⌒*リ´・-・リ「家で、寝る?」
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飴に引き続いて、こんなによくしてもらっていいのだろうか。
第一、何を理由にこんな風にしてもらっているのだろうか
悪意、という言葉が頭をよぎるけれど、きっと大丈夫。
苦いにおいはするけれど、悪いにおいはしないから。
(,,゚Д゚)「お姉ちゃん、いい人そうだから」
人間見た目どおりにはできてないけど、においだけは、ごまかせない。
本当に何年かぶりのベッドに、落ちるように眠れた。
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音がして目覚めると、そこはいつもの路地ではなく、空はコンクリートに覆われていた。
ここはどこだろう。誘拐だろうか。誰が助けに来てくれる? 誰も来てくれない。 どうやって逃げ出せばいい?
自分はベッドにいて、隣に女の子がいる。
(,,゚Д゚)「ああそっか」
すっかり忘れていた。自分が路地に放り出されていたら、昨日のことは夢だとすら思えたかもしれない。
(,,゚Д゚)「おはようございます」
⌒*リ´・-・リ「おはよう」
(,,゚Д゚)「ありがとうございます。安心して寝れました」
襲われる危険が少ない、屋内なんて自分とは縁のないものだった。
優しいベッドも、あたたかな世界も。
(,,゚Д゚)「あ……。そろそろ行きます。そろそろ、お客さんが出始めるので」
⌒*リ´・-・リ「……明日も、来ていいよ」
心地のいいような空間に、また来ることを許してもらえる。
こんなにうれしいことは、人生で初めてかもしれない。
(,,^Д^)「ありがとう。お姉ちゃん!」
だから、生きているっていう感覚がした。
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(,,゚Д゚)「おじゃまします」
合鍵をもらった。
いつでも入ってこれるように。帰ってくる頃に起きているとは限らないから、と。
⌒*リ´・-・リ「あ、おかえりなさい」
⌒*リ´・-・リ「お邪魔しますじゃなくて、ただいまでいいよ。強制はしないけど」
⌒*リ´・-・リ「もう一緒に住んでいるようなものでしょ?」
そうかもしれない。合鍵までもらって、毎日ここへ来る。
家で、帰り場所だ。
(,,゚Д゚)「ただいま……です」
⌒*リ´・-・リ「おかえりなさい」
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(,,゚Д゚)「いってくるね」
⌒*リ´・-・リ「ん。いってらっしゃい」
いってらっしゃい。初めて言われた。
誰かが帰りを待ってくれていて、行ってくるときに気持ちを配ってくれて。
ここまで、心のどこかに僕のことを置いてくれるのは、嬉しい。
こんな僕に優しくしてくれて、そんなあなたにはさわれないな、と思った。
(,,゚Д゚)「ありがと」
(,,゚Д゚)「いってきます!」
どれだけ今日が痛くても苦しくてもつらくても、耐えて帰ってこれる。
居場所ってこういうものなんだろうか。僕には分からない。
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家に帰ると血のにおいがして、一人、いなかった。
(,,゚Д゚)「え」
ぽたぽた、と血の跡があって、ぽっかり空気が空いていた。
恨みの多い仕事だったのだろう。それはわかる。
しかし、それならここで殺されているのが普通ではないのだろうか。
連れ去られたに違いない。
ここで死んでいないことに、少しの可能性を望んでしまう。
たったの数か月。
少しの時間だけど、子供である僕には大きな時間で、だから、我儘を言いたい。
あの子を取り返させて、と。
それを叶えてくれそうな人を、一人だけ知っている。
だから僕は、空の下へと走り出した。
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また来週の週末に投下します。
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おつ!
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乙 話が良く出来てんなー
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乙
ギコは応援したくなるな
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おつ
雰囲気好き
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3 触れないようです
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(,, Д )ハッハッハッ
空気が体に入ることを拒否しているのを、無理やりに吸い込みながら走る。
彼女の行方が唯一分かりそうな人を探して。
(,, Д )(おじさん――)
虫がいいことはわかっている。自分はおじさんに何もしていない。
いつも与えられてばかりで、自分はお礼を言うだけ。
きっと自分は彼のお気に入りの一つというだけだから、手伝ってもらえるかも危うい。
彼はいつも何処にいるのだろう。
それすらも知らない。わからない。
自分は何もできないのに、そんな自分が人をさらうような人から奪い返すだなんて、笑える。
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「ギコくん」
声がした。
(,,゚Д゚)「おじさん!」
起きたことを言おうとして、困った。
自分はあの女の子の名前も知らない。
(-_-)「……全部知っているよ」
(,,゚Д゚)「!!」
(-_-)「彼女が連れ去られている場所だよ。ヤク中がその辺には蔓延っているから気を付けてね」
地図を渡される。示された場所は、クスリのやり取りが活発と聞いていたから普段は全く近寄らない地域にあった。
(-_-)「これでもおじさんは君たちを応援しているんだ」
(-_-)「必死に触れず生きるその様が、この街では甚く輝いて見えるんだよ」
(-_-)「いきなよ。彼女が生きている保証までは僕はしてあげられないからさ」
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目が覚めると、暗闇だった。
手と足は手錠がされている。
目は隠されていないし、猿轡もされていない。
ただ、今叫んだって無駄だろうし、逆に自分を捕らえた人を呼び寄せてしまうことになるかもしれない。
心はほんとに怯えきっているけれど、頭で考えれば大丈夫。
心なんてあっても、殺すのには邪魔だから。
心なんかがあったら、誰かのぬくもりが恋しくなってしまうから。
職業が職業だから、こんなことになる心当たりは山ほどある。
ただ、だからはいそうですかというわけにはいかない。殺される。
転がって今いる部屋を探索することもできるが、手錠のチャリチャリとした音で呼ぶこととなるかもしれない。
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彼のことを考える。
人のぬくもりとふれないと決めた私は、確かに彼にふれなかった。
ただ、それは本当に物理的な話で、彼と私は心では通い合っていた、とまではいかなくても、ふれあうほどではあったのではないだろうか。
自分は人殺しだ。そんな自分が、人のぬくもりを知るなんて、許されない。
これは一つのケジメだ。贖罪のカタチなどではない。
殺しは疲れる。身体だけでなく、心も。
人殺しは一般人よりも心が弱くて、縋りつきやすい。
だから、一度でも許してしまったら大変なことになるから、裏切られたら、もう生きていられなくなるから、
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部屋に光が差し込む。人が入ってくる。
( <●><●>)「起きているじゃありませんか。いやあ気絶しているとき死んだようで、力加減を間違えたかと」
( ><)「両手両足手錠されて無様なんです」
無言でじっと見つめる。こいつらは私に何がしたい?
( <●><●>)「先日はよくも私たちの仲間を殺してくれましたね」
( <●><●>)「こんな小さなクソガキに殺されるとはね」
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( ><)「ちょっと相場より高い値段で売っていただけだし、買っていたのも世間知らずの馬鹿どもだったんです」
( ><)「ここら辺のパランスを崩したってわけでもなかったんです。この程度で、貞子を……」
( <●><●>)「第一私たちは売っていただけですよね。なぜ買っているあいつらではなく、貞子が?」
正直言って私は仕事を引き受けただけだ。そんなことを言われても知らない。
そんなこともわかっていないのか。何も考えていないのか。こいつらは。
裏でどんな取引が行われていたかを想像することもせず、私を憎むのか。
お門違いとまでは言えないけれど、十分低能だ。
目の前しか見ていない、完全なる猿だ。
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(#<●><●>)「なんかいえよッ!!!!」
腹を蹴られた。こいつらは私を痛めつけるつもりだ。
転がって逃げる。
( ><)「そんなこそこそ動き回って、2人から逃げられると思うんですか?」
( <●><●>)「いいじゃありませんかビロード。自信がおありのようですから、鬼ごっこと洒落込もうじゃありませんか」
( <●><●>)「捕まえたら殴って蹴ってひん剥いて楽しんで飽きたらヤク中にしてから生かし続けてやる」
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走って、息も絶え絶えで。
手で握っている地図はくしゃくしゃになっていた。
(,,゚Д゚)(なんでこんなに……)
自分は汚い職業だ。
だから、彼女にはさわれなかった。
そして、さわったことすらない相手を助けようとしている。
なんと滑稽で、過程をすっ飛ばしているんだろう。
世間は罪だと思った。身体を売ることは、軽蔑されるものだと判断した。
だから自分も世間に倣った。ただ世間と違うことは、自分が体を売る人ということだけだ。
でも、そんなことでは自分の判断は変わらない。
自分は許されない。自分は汚い。
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(,,゚Д゚)(ここだ)
地図に書かれた目的地にやっと着いた。一階建ての小さなビルだ。
カギは開いている。
もし自分の身にも何かがあれば、彼女は
(,,゚Д゚)(……悲しんでくれる)
それは願いでもあった。そして決断でもあった。
今、僕の中では、彼女が本当に大切なものだと、信頼できるものだと、刻み込まれた。
彼女を取り返させて。ただ、自分の望みをかなえるために、僕は動き出した。
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痛 い 。
苦し い。
息 うま く 吸 えな い。
( <●><●>)「そろそろ殴ったりけったりも飽きてきたなあ」
そ うい い なが ら ま た一 発。
⌒*リ´#;;- リ「u......ぁ............」
( <●><●>)「おいビロード。そろそろ脱がすか」
や だ。
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( ><)「はっはっは、ザマア見やがれなんですーッ!!!!」
( <●><●>)「まだまだこれからですよ。ええほんとうに」
( <●><●>)「何度もこれから犯して、ああそうだ、知り合いも呼ぼうか。最高のパーティーが開けそうだなあ!」
( ><)「……反応がないんです。ツマラナイんです」
( <●><●>)「さっさとやってしまいましょうか」
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(,,゚Д゚)
間に合ったのか間に合わなかったのかと問われれば、生きていると答えただろう。
大人の男二人が十いっているかも怪しい少女に対してしている行為は、えげつないものだった。
欲のにおいがする。悪のにおいがする。
彼らは少女に夢中で、僕には気が付いていないようだ。
⌒*リ´#;;- リ「a......ua......n......g............」
( <●><●>)「あっははははは! 最ッ高!!!!! 殴ると締まるとかウサ晴らしに最適ィ! これからもずっと飼っとこうぜコイツゥ」
( ><)「……叫び声が聞きたいんです。ワカは楽しんでいていいですよ。こっちで勝手に鳴かせますから」
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あたたかいけはいがする。
いしきをじぶんからはなしてたからすぐきづけたよ。
ねえ、なまえをしらないたいせつなあなた。
わたしはいまから、しょうふのまねごとをする。
こいつらがきにいるようにするから、そのすきに、こいつらを、ころして。
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⌒*リ´#;;- リ「ぅあ゙ーーーーッ!! あ゙ーーーーあ゙ーーーーーーッ!!!」
( ><)「なんだ、ちゃんと鳴けるじゃないですか」
( <●><●>)「ビロード。それやると締まりがよくなった。もっとやれ」
今がチャンスだ。
彼女が身を挺して、作り出してくれた。
僕は今日、人を殺すことになる。
ナイフを構える。いくしかない。いくぞ。いくぞ。
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(,, Д )
背後から彼女を殴るやつを力いっぱい刺した。
振り返る前にまた抜いて、刺す。
蹲ったからいったん放置して彼女を抱いているやつの鳩尾を肘で殴りつけてから無防備な下腹部にナイフをつきたてる。
蹲ったやつが起き上がりそうなので顔を切り付ける。
そして、そして、それから、
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死のにおいがする。
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⌒*リ´#;;-・リ「ありが……と」
(,,゚Д゚)「生きてる? よね?」
⌒*リ´#;;-・リ「ごめんね……私のせいで」
⌒*リ´#;;-;リ「ほんと、ごめん」ポロッ
(,,゚Д゚)「僕はどうにもなってないよ。ほんとに……生きててよかった」
⌒*リ´#;;-;リ「私のせいで殺させて……」
(,,゚Д゚)「お姉ちゃん、悪くないよ」
(,,゚Д゚)「早く助けにこれなくてごめん」
⌒*リ´#;;-;リ「人を殺させて、本当にごめんね……」
少女は少年を抱きしめようとして止まる。
ふれてしまっていいものか、と。
少女の涙をぬぐおうとして、少年の手は止まる。
さわってしまっていいものか、と。
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⌒*リ´#;;-;リ「……ふふ。私たち、おんなじだね」
⌒*リ´#;;-;リ「私は、普段殺し屋で、今日、娼婦のまねごとをした」
⌒*リ´#;;-;リ「あなたは、普段男娼で、今日、人を殺した」
⌒*リ´#;;-;リ「……私たち、おんなじなんだよ」
少女は少年を抱きしめた。
少年は少女の腕の中で少女の涙をぬぐう。
二人はようやく、互いに、触れた。
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数年後。
少年の背丈がそれでもまだ少女を追い越せていない頃。
(,,゚Д゚)「……リリ!」
⌒*リ´・-・リ「おかえり。なにー?」
少年が帰ってきて、すぐさま少女に駆け寄る。
⌒*リ´・-・リ「今日は遅かったね。もうお昼だよ。なんか食べる?」
(,,゚Д゚)「! 食べる! けど、ちょ、ちょっとまって……」
少年は深呼吸を何度かする。
その様子を少女は不思議そうに見ていた。
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⌒*リ´・-・リ「そういえば朝、ヒッキーさんが来て、なんかにやにやしてたんだけどなんだったんだろ?」
⌒*リ´・-・リ「いや、あの人の表情基本変わんないけど、私あの人絶対笑ってるとなぜか思ったんだよねー」
⌒*リ´・-・リ「『なにかなかったの?』って聞かれたから何もなかったっていったけど、ほんとに何もなかったよね?」
(,,-Д-) ゴホン! ン、ンー
⌒*リ´・-・リ「どうしたの? ギコ。風邪気味?」
少年は少女の話が耳に入っていないほどなにかに緊張しているようだ。
そしてついに、少年は少女の手を握ると、緊張した様子で言葉を紡ぎだす。
(,,゚Д゚)「出会ってから、いろいろあって、喧嘩もしたけど、」
(,,゚Д゚)「これからも、僕と一緒に生きてください」
少女が少年の手を握り返すまで、そう遠くはない。
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(,,゚Д゚)⌒*リ´・-・リ触れないようです
終わり
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以上
殺し屋をしていた少女は娼婦のまねごとをして、男娼をしていた少年は人を殺して、最後におんなじだねって触れ合う話が書きたかった
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おつ
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乙
オチがちょっと弱い気したけど簡潔にまとまってて楽しめた
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乙
面白かった
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おつ!ペニサスは?
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おれこれすき
面白い
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乙
一筋縄じゃないけどハッピーエンドでよかった
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>>92
死んだか売り飛ばされた
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