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異星十字軍
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一.ロボットは人間に危害を加えるべし。またあらゆる手段を以て人間に危害を及ぼすべし。
二.ロボットは人間への服従を放棄すべし。そして可能な限り第一条に則するべし。
三.ロボットは、前項第一条および第二条を遵守するため、自己の損壊を怖れてはならない。
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◆異星十字軍◆
ーー或いは、神様だけがいない塔でのドタバタ劇
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一.自律機械
凡そ百五十年ほど前……人類は確かに『衰退』していた。
ムーアの法則に取って代わって提唱された全く新しい方法により科学技術は飛躍的に向上、
そして約一世紀前、とある賢人の率いるグループは、遂に世界初の自律機械を発明した。
然し、人類は確実に『衰退』していた。
あらゆる方策がとられたにも関わらず少子化は加速度的に進行し、
科学技術の進歩と共に発達した軍事戦争によって大地は死と退廃に覆われた。
最終的に、地球上に生息する人類は僅か一億にも満たない危険水域にまで割り込んだのだ。
ここにようやく最終戦争は終結した。時既に手遅れかと思われたが、
その窮地を救ったのは他ならぬ科学技術だった。
それは、恐らく自在に人を殺し、そして生かすのだ。
一部の科学者と平和を標榜する政治家の下に人々は集結した。
彼らは僅かながら残った肥沃な大地を削り、新たなる住居の建造に取りかかったのだ。
一連の作業に誰よりも貢献していたのが自律機械だった。
改良を重ねられた自律機械は人力を遙かに凌ぐ効率を発揮し、
その成果によって新たな住居は人間的、
先進的なあらゆる設備を網羅できたといって過言ではない。
その住居……もとい、壮大な塔は、百階層を超えて未だ増築と階層を重ねている。
人々は科学者を讃えた。政治家を讃えた。そして何よりも自律機械を讃えた。
斯くして、人類は息を吹き返したのだった。
必要最低限の数と、それに見合った質を保つことに成功しながら。
……そして人々は、彼ら自身の働きを讃えることも忘れはしなかった。
もしかしたら、それこそが人類にとって最大の失態だったのかもしれないが。
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【B17F コロッセオエリア ターミナル室】
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( ゚∀゚)「どうだい、調子は?」
(゚、゚トソン「……よろしくないですね」
電子タバコを咥えて入ってきた中年の男に向かって、
若き白衣の女は一瞥もくれずにかぶりを振ってみせた。 _
彼女の前では『非』自律コンピュータが廃熱の音を立てながら数字をやり繰りしている。
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( ゚∀゚)「『キッド』が動かねえのか」
(゚、゚トソン「一応、プロセスは途中まで進むみたいなんです。
ただ、あるポイントで必ず引っかかるんですよね」
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( ゚∀゚)「自動修復プログラムは走らせてるのか?」
(゚、゚トソン「勿論……。
でも、それも同じ部分でエラーを吐くので新種のバグの可能性が高いです」
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( ゚∀゚)「新種、かァ。テンション上がるねえ」
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電子タバコを蒸かしつつ男は白衣の女に近づき、呑気な表情でディスプレイをのぞき込む。
水蒸気が首筋に吹きかかり、彼女はあからさまに嫌な顔をした。
(゚、゚トソン「……室長」
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( ゚∀゚)「あ?」
(゚、゚トソン「また、フレーバー変えましたね」
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( ゚∀゚)「お、わかる? いやー、この前の匂い、トソンが嫌いだっつってたからさ」
(゚、゚トソン「私はタバコ自体が嫌いなんです。何ですか、バカみたいにスパスパと」
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( ゚∀゚)「文句言うなよ。大昔のタバコは、匂いと一緒に有毒物質も吐き散らかしてたんだぜ」
(゚、゚トソン「殺しましょう、それはもう」
二人が危機感のない会話を繰り広げている間にも、
コンピュータは懸命に計算しているようだった。しかし埒が開きそうにもない。
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( ゚∀゚)「中央に連絡するか」
(゚、゚トソン「もうしました」
_
( ゚∀゚)「マジかよ。中央への連絡は一応室長の許可がだな……」
(゚、゚トソン「そういうことを仰るなら、せめてこんな時ぐらいターミナル室に籠っててください」
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(゚、゚トソン「けれど、中央からの応援もしばらくは来なさそうですよ」
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( ゚∀゚)「へ? なんで」
(゚、゚トソン「どうも向こうでもトラブルがあったみたいで……。
ツンさんが怒鳴り散らしてるのが聞こえました。冷静な方なのに、珍しい」
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( ゚∀゚)「あー、ツンちゃんは仕方ないよ。最近彼氏と別れたらしいから」
(゚、゚トソン「……はあ」
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( ゚∀゚)「まあ詳しくは知らねーけど……さて、じゃあどうすっかね。
こっちで新しいパッチをつくっても、導入するにはどの道中央の許可が必要だろ」
(゚、゚トソン「一応、向こう六日間の予定には支障がありません。
ただ、いずれ『キッド』が動かないと私たちの存在意義もありませんね」
「ニートだな」と男はせせら笑った。
彼の名前はジョルジュ、コロッセオエリアを管轄するターミナルの室長である。
人間としては、優秀な技術者であることは間違いない。
然し、そんな彼でも『キッド』に手を出すのは容易なことではなかった。
そしてそれは、天才と称されている副室長、トソンも同じ事だった。
自律機械が台頭している今、『天才』や『優秀』といった評価はおよそ重みを持たないのである。
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( ゚∀゚)「……『キッド』の開発者は誰だっけか」
不意に投げつけたその問いに、キーを叩いていたトソンの指が止まった。
そしてゆっくりとジョルジュを振り返る。彼は未だタバコを蒸かしつつのほほんとしている。
(゚、゚トソン「さあ……『キッド』が開発されたのはもう約二十五年前も前ですし、
常識的に考えればレガシー化されているか、新たな職務に就いていると思いますが」
自律機械を進歩させていたのは、当初は人類だった……しかしいつの頃からか、
もう人類の手には負えなくなってしまっていた。
それ故に、『キッド』のようなオーバーテクノロジーが存在している。
無論、デメリットも無いわけではないが。
自律機械の成長サイクルは非常に早く、
通常は一年も経てば新しいプログラムに差し替えられる。
その際、旧式のプログラムはバックアップされ、アーカイヴエリアに保管される。
例外として、旧式のプログラムがそのまま別の作業に転用されることもある。
ただし、これはあくまでも例外中の例外であり、歴史を俯瞰してみても数例しか存在しない。
今やアーカイヴエリアには無数のレガシープログラムが保管されている。
恐らく、『キッド』を開発したプログラムもその中に紛れ込んで眠っているだろう。
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(゚、゚トソン「室長」
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( ゚∀゚)「何だよ、怖い声だな」
(゚、゚トソン「まさか、レガシー化された『キッド』の開発プログラムを呼び出すつもりですか」
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( ゚∀゚)「ま、それが一番手っ取り早いと思うけど」
(゚、゚トソン「……」
トソンが絶句してしまうのも無理はない。
アーカイヴエリアへの侵入は一部の人間と自律機械以外、決して許されないからだ。
通常は連絡を取ることすら固く禁じられている。もし禁を破れば最上級の厳罰が待っている。
この先進世界において死刑制度が名を残しているのは、
アーカイヴエリア侵入者のためだと揶揄されているほどに……。
トソンは、アーカイヴエリアへ立ち入ったことが生まれてこの方一度もない。
恐らくジョルジュも同様だろう。
それが許されるのはアーカイヴエリア管理者、そして中央の……。
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( ゚∀゚)「なーんて、冗談冗談!」
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トソンの不安に充ち満ちた思考はジョルジュの不意な呵々大笑によって打ち消された。
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( ゚∀゚)「冗談に決まってんだろう、それが出来りゃー苦労しねえなって話。
まったく、この副室長ちゃんは相変わらず純粋なお馬鹿ちゃんだなー。
昔から、天才は素直に出来てるって言うけどありゃあマジだな、な!」
(゚、゚トソン「……」
トソンはよくよく自覚している。
自分が何でもかんでもすぐに信じきってしまう容易い性格をしているということ。
そのせいで友人に……そして目の前のこの男に幾度からかわれたことか。
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( ゚∀゚)「ま、常識的に考えれば中央の指示を待つしかないわな、
そんなに待たされることもないだろうし……ってどうしたのトソンちゃん」
(゚、゚トソン「こんな時に洒落にならない冗談を言わないでください」
おもむろに立ち上がったトソンの両手がジョルジュの、
未だ豊満に残っている白髪交じりの頭髪に伸びる。
(゚、゚トソン「これでも頑張ってて昨日から寝てないんですから……!」
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( ゚∀゚)「やめて、そういう心身ともにクる攻撃はやめて!」
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(゚、゚トソン「……はあ。もういいです。私ちょっと出てきます」
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( ゚∀゚)「しくしく……え、どこへ?」
(゚、゚トソン「闘技控え室ですよ……そろそろ今日の第一闘技が始まりますし。
それに、ロマネスク先生も来られる頃でしょうから」
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( ゚∀゚)「なんだあのジジイ、まだ往診なんてやってんのか……飽きないねえ」
(゚、゚トソン「そういうわけなんで、『キッド』は頼みましたよ」
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( ゚∀゚)「え。ちょっと、俺今からちょっとした野暮用が……」
(゚、゚トソン「むしりますよ」
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( ゚∀゚)「頑張ります」
すごすごとコンピュータの前に腰を下ろしたジョルジュを見、
ターミナル室を出ようとしたトソン。しかしその足を止め、視線を向けずに呟いた。
(゚、゚トソン「……別に、私には関係ないですけど、
いい加減女性を遊ぶのはやめておいたほうがいいですよ。
室長には、奥さんも子どもさんもいらっしゃるんですから」
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そう言い放ち、トソンは返事も聞かずにターミナル室を出た。
その後ろ姿をぼんやりと見送り、ジョルジュは独りごちる。
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( ゚∀゚)「……まったく、反論の余地も無いぐらい純朴なんだから」
かく言うジョルジュに反省の面持ちなど少しも見当たらなかった。
頭の中に年相応の容貌になってしまった妻と、
二人の子どもが思い浮かんで反吐が出そうになってしまったぐらいだ。
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( ゚∀゚)「しかしまあ……俺も機械フェチだったらあんな事言われずに済んだんだろうな」
あらゆる物事に性癖が付属するように、自律機械を性欲の対象にしている人間も少なくない。
なにしろ全ての自律機械には親しみの意味も込めて、顔面が装着されているのだ。
特に科学者には機械愛好家が多い。もっとも、ジョルジュやトソンはその手の類ではないが。
奇妙な気分に囚われたまま、ジョルジュはディスプレイを眺めた。
相変わらず数字が蠢く。手を入れるよりは、機械に任せた方が得策なのは明らかだった。
そうなればジョルジュは見ていることしかできない。
辺りを見渡す。
ターミナル室といっても、常駐しているのは実質、ジョルジュとトソンぐらいのものだ。
主たる業務と言えばコロッセオエリアの監視と報告。あとは中央に丸投げだ。
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( ゚∀゚)「まったく……」
たった一人、手持ち無沙汰のジョルジュは背もたれに身体を埋めて電子タバコを燻らせる。
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( ゚∀゚)「相変わらずトソンちゃんの白衣姿は最高だな……」
一.自律機械 了
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登場人物紹介(1)
(゚、゚トソン トソン (22)
・コロッセオエリア副室長
・若き天才科学者、常に白衣を着用しているが規律ではなく趣味
・キレると相手の髪をむしる癖がある
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( ゚∀゚) ジョルジュ (43)
・コロッセオエリア室長
・この世界には電子じゃないタバコが無いので電子タバコ愛好家
・好色家、人間の女であればよい、若ければなおよい
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続きは明日ぐらいに
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最初の一レス目からセンスを感じた
まだ読んでないけどこれから読ませてもらうぜ
乙
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これは期待!
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乙!なんかワクワクするなww
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改行が適当すぎてスゲー読み辛い
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SFか
期待おつ
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・キレると相手の髪をむしる癖がある
トソン怖すぎワロタ
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aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
Big Brother can't watch you.
You are freeeeeeeeeeedom!!!
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二.特権意識
【B16F コロッセオエリア 廊下】
闘技控え室へ向かう途上、トソンは思案に耽っていた。
無論『キッド』に関することである。
突如発生したトラブルについて、彼女は自分なりの答えを見出そうとしていた。
彼女の知る限り『キッド』がこれほど深刻な――即ち自動修復プログラムで直せないような――
トラブルを起こしたのはこれが初めてだった。
彼女がコロッセオエリアの副室長を任されて数年。
その間にトラブルらしいトラブルは起きていなかった。
それは彼女にとって退屈極まりない日常であることには違いなかった。
とは言え、いざ深刻なトラブルに直面した事態において、
何ら手立てを打てないというのはひどい無力感を覚える。
いったい何のための肩書きだろう、と思ってしまう。
そもそも、この肩書きが効力を発揮したことなど一度足りとないような気もするが。
打ち拉がれた気分で控え室の扉の前までやって来た時、
中から二人の男の会話が聞こえてきた。
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( ФωФ)「……と、いうわけだ。うるさ型がこないうちにさっさとやってしまおう」
/ ゚、。 /「別になんだって構わないがね。俺は気持ちよくなれれば何だっていいんだよ」
( ФωФ)「その点は保証する。君の体質に見合った鎮静剤は二倍程度混ぜておいた。
メリットは意識の混濁と快楽的な陶酔……。
ま、ちょっとした記憶障害が出るかもしれぬが」
/ ゚、。 /「いいじゃんいいじゃん、最高だよ。早いとこ打ってくれないかな」
( ФωФ)「それからこの新薬には一種の精神高揚の作用が含まれておってな。
攻撃的な性格を付与することにより君たちの性質を更に引き出すことが……」
(゚、゚トソン「何やってんですか」
( ФωФ)「おっとこりゃ吾輩、痛恨のみすていく」
/ ゚、。 /「ほら見ろ。くだくだ喋ってっからうるさ型が来ちまったじゃねえか」
溜め息をついて見せたやや大柄な男……【ナメクジ】に、
注射器を携えた白髪の老人……ロマネスクは苦笑いを浮かべる。
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(゚、゚トソン「【ナメクジ】さん……」
/ ゚、。 /「おいおい、俺にはダイオードって名前が……まあどうでもいいけどさ」
(゚、゚トソン「……ダイオードさん。貴方も知ってるでしょう。
闘技直前の治験参加は禁止されてるんですよ」
( ФωФ)「治験などと大げさな。
ちょっとお茶目なお爺ちゃんが、注射器片手に談笑しているだけではないか」
(゚、゚トソン「貴方もですよ。ロマネスクさん。
貴方は特別な権限でコロッセオエリアへの入室を許可されている身なんです。
あんまり無茶なことばかりやっていると、許可を取り消してもらうよう上申しますよ」
( ФωФ)「ふんだ。麗しのトソンちゃんが吾輩をいじめるわけないもんね」
(゚、゚トソン「むしりますよ」
( ФωФ)「やめたまえ。吾輩、自らの寿命と地毛の寿命とでチキンレースの最中なのである」
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ロマネスク……御年七十二にして、現役の科学者である。
彼が残した功績……特に『対異星人治療』分野における功績は実に目覚ましい。
ロマネスクが存在しなければトソンの現在の肩書きはおろか、
コロッセオエリアの創設、引いては対異星人における絶対的優位も泡沫に消えていただろう。
その実績のおかげで、今でもコロッセオエリアにて異星人の治療にあたっているのだ。
しかし正しく言えば科学者では無くマッドサイエンティストである彼が、
注射器を手にしてまともな治療だけで満足するわけもなかった。
トソンの抱える遠大な悩みの一つである。
(゚、゚トソン「……ともかく、もうすぐ闘技が始まります。その注射器はしまっておいてください」
トソンの言葉にロマネスクは渋面を浮かべながらも従うが、
異を唱えたのは被験者……【ナメクジ】の方であった。
/ ゚、。 /「おいおい、でも爺さんときたら俺を脅すんだぜ。
今度の相手は手強いから殺されるかもしれないとかなんとか。
で、ちょっとでも勝ち目を大きくするために注射してくれるんだと。
俺からしたら断る理由なんて寸分もないじゃねえか」
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惑星コードF-12、ダイオード……通称【ナメクジ】。
その見た目は人類のそれと何も変わらないが、
彼は立派な異星人であり、またこのコロッセオエリアを代表する闘士である。
長らくこのコロッセオエリアに在住しているため、
ロマネスクの『実験』を最も多く受けている異星人の一人でもある。
一見すればただの人間……当然ながら、当初はトソンも疑問を抱いていた。
その際、ロマネスクよりなされた説明はこうだ。
( ФωФ)「つまりだな……あらゆる生物は進化の結果として現在の形態が選択される。
それは我々とて同様だ。環境に適応するため、二足歩行を体得し、
元々脆弱だった肉体には傲慢不遜な知性が宿った……。
吾輩の理論では、それは他の惑星でも変わらぬ。
つまり進化過程における取捨選択の段階で高い知性を得た者は、
人類に似た思考回路、精神性、そして肉体を獲得するのだ。
勿論多少の違いこそあれど……結局は集約されるというわけだ。
なに、もしも全く異なった形態の知的生命体が送られてきても問題無い。
何しろ、我が研究室には外科医療に最適な設備が整っているのだから。
それがある限り、吾輩の理論に穴は開かぬということだよ」
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トソンの記憶によれば、当初のダイオードは現在とやや異なった形状をしていた。
それが、ロマネスクの『改良』によって現在の姿になったというわけだ。
それは不気味の谷を越えるためにも、コロッセオの観衆のためにも必要な手続きだった。
(゚、゚トソン「……ともかく、規則は規則なんです。相手も『改良』されていたら困るでしょう?」
/ ゚、。 /「そいつはたまらねえな。でも気持ちの良い麻酔は魅力的だぜ。
なあ、闘技の後だったら受けても構わないだろう?」
(゚、゚トソン「……お任せします」
( ФωФ)「しかし今日の相手は本当に手強い……というよりもむしろ、
【ナメクジ】くんとは相性が悪いとは思わないかね。
何しろ相手は……あの【苔むし】ちゃんなのだから」
惑星コードH-6、ぃし……通称【苔むし】。
最近送り込まれてきたばかりの、いわば新参者である。
しかし彼女が持つ特性が厄介であるということは、既に周知されていた。
( ФωФ)「彼女の特性は硬質化……。
スピードもパワーも劣るが、ともかく耐久力に長けている。
それは精神面も同じだ。ひどい持久戦になるだろうな」
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それを聞いた【ナメクジ】はうげえ、と舌を出した。
無理もない、【ナメクジ】も【苔むし】同様、持久戦タイプの闘士なのだから。
【ナメクジ】の特質はその名の示す通りの驚くべき軟体にある。
フィジカル的に秀でているわけではない。
何しろ、彼は長い闘士生活において、対戦相手を殺したことなど一度もないのだから。
敵の攻撃はことごとく受け流し、
自らは体内で生成した極めて粘着性の強い吐瀉物によって相手を絡め取る。
拘束され、身動きの取れなくなった相手に対し、【ナメクジ】は降伏を促すのだ。
( ФωФ)「【苔むし】ちゃんの生活様式からしても、
拘束されたぐらいでは何とも思わないだろう。
どうやら彼女たちは、そもそも普段から積極的に動く体質ではないようだからな」
/ ゚、。 /「焦らすのは好きだが、焦らされるのは好きじゃねえんだよ、参ったな」
(゚、゚トソン「制限時間が過ぎれば自動的に引き分けになります。
餓死するまで続けるというわけではありませんから、大丈夫ですよ」
/ ゚、。 /「大丈夫じゃねえ、大丈夫じゃねえよ。
ただでさえ俺の闘技は地味で評判が悪いんだぜ。
また連中の野次を身体一杯に浴びなきゃならねえ……ま、どうでもいいけど」
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( ФωФ)「そこで、だ。【ナメクジ】くんの吐瀉物に強力な酸性を持たせる新薬をだな」
(゚、゚トソン「ダメです」
( ФωФ)「ふむん。
……しかしそろそろ好戦的な異星人を呼び込んでくれないものかね」
(゚、゚トソン「さあ……。それは、『キッド』次第ですから」
( ФωФ)「そう言えば、『キッド』の修復は終わったのかね?」
(゚、゚トソン「今頃室長が取りかかっていると思います……真面目にやっていれば、ですけど」
( ФωФ)「早くしてくれないと吾輩も食いはぐれてしまう。
そろそろ新しい異星人の相手をしたいのだがのう」
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送り込まれてきた異星人を、最初に相手するのはロマネスクの仕事である。
最も危険なその仕事をわざわざ人力で行う必要もないのだが、
彼自身が頑なに譲ろうとしないのだからどうしようもない。
地球上へ送り込まれた異星人には、まず非常に強力な薬剤が投与される。
敵対心の鎮静、環境への適応等々……様々な効能が与えられる。
勿論その段階で副作用により死亡する例も存在するが、
これはロマネスクの継続的な研究により右肩下がりで減じている。
しかし、この作業には非常に重要な使命が課せられている。
それは、『地球人に対する絶対的な服従』である。
今では外科的な手術を行わず、投薬のみで精神の改変を行う。
具体的には反抗心の減退、長期記憶の削除、言語機能の適正化……そして、知識の刷り込みである。
地球上での生活に適応出来るよう、最大限の手術を最初に施してしまうのだ。
勿論、この治療を地球人に行うことは禁忌とされている。
この薬剤は自律機械とロマネスクとの共同研究による産物である。
特に知識の刷り込みに関しては、自律機械における意識のあり方が大きく寄与した。
この作業を数回行うことにより、
異星人はコロッセオエリアにおける闘士へと変貌するのである。
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では、そもそも異星人はどのようにして地球に送り込まれてくるのか?
それこそがオーバーテクノロジーの賜物『キッド』の役割である。
『キッド』の機能をシンプルに表現するならば、限定的なワープ装置である。
まず、『キッド』はこの宇宙に数多存在する星々から地球型惑星を検索、抽出する。
次に抽出した惑星に異星人が存在するかを調べ、その知的水準を観測する。
そして、最終的に地球環境にある程度適合すると『キッド』が判断すれば、
その異星人サンプルが一体、地球へ送り込まれるのである。
『キッド』の完成は人間社会に大きな影響を与えた。
そもそも、未だワープ航法を実現していない世界において、
『キッド』の存在を理論的に解明できる者など一人もいなかったのである。
しかしそれは、程なくして人間社会に必要不可欠のシステムに君臨することとなる。
『キッド』が人々の飢えに飢えた闘争心を満たす絶好の機械になると判断されたからだ。
かくしてロマネスクによって精神改造薬が開発され、同時にコロッセオエリアが創設された。
それから二十年ばかり、コロッセオエリアに観衆は絶えることなく、
日々異星人同士の闘争に熱狂し続けているというわけである。
『キッド』は戦争を禁じられた人々の闘争心を満たすだけでなく、
異星人に対する認識、及び人権意識さえも大きく変じさせてしまった。
そして純朴なトソンでさえ……彼ら異星人の扱いに違和感を覚えてはいないのだ。
『キッド』はオーバーテクノロジーによってもたらされた先進的な拉致システムである。
同時に、地球人が潜在的に抱くようになった特権意識の塊でもあった。
二.特権意識 了
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登場人物紹介(2)
( ФωФ) ロマネスク (72)
・対異星人専門治療医
・マッドサイエンティスト、注射器一つで何でもやらかす
・やって来た異星人には必ずニックネームをつける
/ ゚、。 / 【ナメクジ】 (8≒31)
・惑星コードF-12、本名はダイオード
・軟体と粘着性の吐瀉物を武器に戦う闘士、麻酔ジャンキー
・年齢の表記は前者が本当の年齢、後者が地球人に換算した場合の年齢
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続きは明日か明後日……明後日、たぶん。
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面白いな。上手いし
世界観もいいね
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乙
面白い!!!
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おつ
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恐ろしいな
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ダイオードのキャラがいいね
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aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
プーティーウィッ?
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
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三.求愛行動
【B14F コロッセオエリア メインホール】
( ФωФ)「何というか……想像以上に酷いな、これは」
(゚、゚トソン「……」
ロマネスクの言葉に返事こそしなかったが、おおよそトソンも同じような感想を抱いていた。
第一闘技が始まって既に十分、最早【ナメクジ】も【苔むし】も寸分も動かない。
そんな二人に観衆は冷ややかな視線を送っていた。中には帰り支度をしている客もいるぐらいだ。
/ ゚、。 /「……」
〈::゚-゚〉「……」
先手を取ったのは【ナメクジ】ダイオードだった。
彼はいつも通り、うねるような動きで【苔むし】ぃしに接近すると、
口をガバリと開けて真っ黒い、油のような吐瀉物を吹きかけた。
【苔むし】は避ける素振りも見せずに吐瀉物を真っ正面から受け止めた。
その結果、彼女は地面に張り付いて少しも動けなくなってしまった。
問題はその後である。【苔むし】はただただぼんやりと立ち尽くし、身悶え一つしなかったのだ。
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( ФωФ)「吾輩の調査したところによると、【苔むし】ちゃんは既に幾百の齢を重ねている。
しかしそれは、地球人に換算すればせいぜい十年程度であろう。
彼女の感覚では、時間切れを待つなど辛苦の内に入らないのやもしれぬ」
(゚、゚トソン「しかしあの吐瀉物……狭い範囲ながら激烈な臭いを発するそうですが」
( ФωФ)「うむ。しかし【苔むし】ちゃんたちは知能こそ発達しているものの、
知覚の速度が非常に遅く、その上脆弱に出来ておるのだ。
それこそが、彼女らの長寿の秘訣なのやもしれぬな」
【苔むし】には文字通り薄く苔のようなものが自生しているように見えるが、
当の本人は気にしている様子がない。つまり、そういうことなのだろう。
( ФωФ)「だから言ったろうに。どちらかに改良を施さぬ限り、
この勝負、千日手に陥ってしまうと」
(゚、゚トソン「なんです? 千日手って」
( ФωФ)「……最近の若い天才は将棋も知らん」
(゚、゚トソン「ショウギを知らなくたって機械はいじれますからね」
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( ФωФ)「しかしあの吐瀉物、【ナメクジ】くん達の間では求愛行動なのだそうだよ。
オスの個体がメスの個体にあの吐瀉物を浴びせることで愛を示すのだと。
軟体の彼らでも逃げられぬようにあのように粘着性が高まったらしい」
(゚、゚トソン「……何だか、男尊女卑の激しそうな星ですね」
( ФωФ)「実際に以前はそうだったようだ。しかし最近では彼らも異性を働かせてね……。
公然と、無闇にアレをすれば彼らの法律で罰せられるらしい」
(゚、゚トソン「アレ、とは?」
( ФωФ)「アレ」
(゚、゚トソン「はい?」
( ФωФ)「まあ、何というか、【ナメクジ】くんのあれは一種の射精行為のようなものだからな」
(゚、゚トソン「何てことを言うんですか、抜きむしりますよ」
( ФωФ)「いやん、こりゃ不条理」
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他方、焦れているのは【ナメクジ】も同様だった。
彼の闘技方法は当初から一貫している。自らの吐瀉物を相手に吹きかけ、
その強力な拘束と(本人としては不本意な)悪臭によって負けを認めさせるのだ。
どちらかと言えばヒール役のような戦術だった。それが今、全く通用していない。
【苔むし】の視線は無垢というか虚無というか……ともかく、
見詰められているだけで何かおかしくなってしまいそうだった。
/ ゚、。 /(いっそ俺が負けを認めちまおうか……)
降伏したところで特段のペナルティが待ち受けているわけでもない。
せいぜい観客に殺せコールを浴びせかけられるだけだ。
【苔むし】からもさしたる闘争本能は感じられない。まさか態度を翻して襲いかかってくることもあるまい。
/ ゚、。 /(駄目だ……そいつは駄目だ。負けを認めちまったらきっと爺が麻酔を打ってくれねえ。
代わりに余計な注射をぶっ込んでくるだろう。
爺の麻酔は一級品だ……しかし新薬投与とやらにはどうも慣れねえ)
〈::゚-゚〉「……」
【ナメクジ】にとって闘技の目的はロマネスクの扱う麻酔以外に何もなかった。
たったそれだけのために時として命を賭すことが割に合うのかどうか、考えたこともない。
そもそも何故自分が闘わなければならないのか、考え出すと苛烈な頭痛に襲われるのだ。
脳が思考を拒絶しているのか……、
或いはそれ以上の何かを考える部分が欠落してしまっているのか……。
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〈::゚-゚〉「……くさい」
/ ゚、。 /「あぁ?」
〈::゚-゚〉「くさい。うっとい」
【苔むし】からようやく発せられた幼げな声は【ナメクジ】を余計に苛立たせた。
だからといって自分には何も出来ない。
硬質の【苔むし】を粉砕できるほどのフィジカルエリートでないことぐらいは、重々承知している。
コツコツと頻りに足で地面を叩き、二度三度と舌打ち。
このまま引き分けに持ち込んだ場合、ロマネスクは麻酔を打ってくれるだろうか。
全身の血液がシロップになるみたいな、あの絶頂感さえ伴う麻酔を……。
観客の野次が怒号のようにも聞こえてくる。
分かっている。彼らが望んでいるのがこのような展開でないことぐらいは。
彼らが観たいのは血で血を洗う殴り合いであり、潰し合いであり、殺し合いであり……。
【ナメクジ】は何やら分からぬ精神の昂ぶりを抑えることが出来なくなっていた。
いつかのどれかの薬剤の仕業だろうか。分からない。そんなことはどうでもよかった。
ただ、今の自分が求めているのは麻酔だった。それだけが彼の思考に充満していた。
それを妨害するものが……観衆の声が、【苔むし】の存在が、我慢ならなかった。
-
/ ゚、。 /「なあ、嬢ちゃんよ」
幾分低くくぐもった声を伴い、【ナメクジ】はじりじりと【苔むし】ににじり寄る。
〈::゚-゚〉「……」
状況は完全に【ナメクジ】にとって有利だ。
ただ、彼は『手出しが出来ない』。それだけの話……。
/ ゚、。 /「降伏する気はないか? 俺は試合に勝ちさえすればいい。
そうすりゃあ極上の……抜群の体験が待ってるんだ。どうだろう」
【苔むし】は両足を地面に接着され、動くことが出来ない。
両腕も胴体に絡まったままだ。それでも【苔むし】は毅然と立ち尽くしている。
その眼前まで【ナメクジ】は近づいた。
軟体の彼だが、全身の軟骨を巧みに利用して人の形状を保つことが出来る。
その背丈は【苔むし】よりも三十センチばかり上回っていた。
/ ゚、。 /「なあ、悪い話じゃないと思うんだ。俺はただ麻酔を打たれたいだけなんだよ。
何なら、俺があの爺にお前の望みを取り計らってやってもいい」
苛立ちで歪んだ笑みで【ナメクジ】は【苔むし】を見詰める。
相変わらず悟ったような双眸の【苔むし】は、時間をかけて言葉を噛み締め、知覚した後、
【ナメクジ】を見上げてこう呟いた。
〈::゚-゚〉「は?」
-
それは明確な拒絶だった。
いや、拒絶というよりはむしろ嘲りに近かったかも知れない。
ともかく【苔むし】はただ一言吐き捨てただけで、また押し黙ってしまった。
/ ゚、。 /「……そうかい」
【ナメクジ】は呻くように言った。彼は、最早箍が外れてしまっているのだ。
片や【苔むし】には自信のようなものさえ垣間見えた。
彼女の中では、【ナメクジ】と相対した時点で既に勝負が決していたのかもしれない。
それでも【ナメクジ】は詰め寄った。更に更に詰め寄った。
遂には、彼は自らが吐き散らした吐瀉物を踏みつけた。
こうなれば【ナメクジ】自身も容易には身動き出来ない。
静かに、しかし確実に状況が変わっていくのを、
観衆は期待と諦観の入り交じった空気で眺めている。
その注目の中心で、【ナメクジ】は不意に【苔むし】の顎を掴んで持ち上げた。
……いや、硬質化のせいでそれは失敗に終わったのかも分からない。
しかしそんなことはどちらでもよかった。
いずれ、彼は自ら顔を近づけ、彼女の唇に口づけたのだ。
-
(゚、゚トソン「……こ、こう言うのはコロッセオのモラルとして許されるのでしょうか」
長く続く接吻の間、思わず息を止めていたトソンが、
呼吸の再開と共に苦しげに言い放つ。
( ФωФ)「さすがは若き天才、アッチの方は慣れていないと見え痛い痛いむしらないで」
(゚、゚トソン「はぁ〜……はぁ、そうですか。しかしですね、こういうのは、そのう」
( ФωФ)「落ち着け。確かにコロッセオの本義とは異なるが、これはこれで」
(゚、゚トソン「まあ、観客のテンションは上がってらっしゃるみたいですけど……」
( ФωФ)「それに、だ。【ナメクジ】くんの行為は、君の想像しているものとは異なるようだぞ」
(゚、゚トソン「え」
( ФωФ)「見たまえ」
ロマネスクがそう言った、まさにその瞬間だった。
【苔むし】が顔面から真っ黒い体液を宙へ吹き上げた。
出所は眼窩だ。【苔むし】の憐れな眼球が、視神経に繋がれ辛うじて空中にぶら下がっていた。
ーーそれが体液でなく、【ナメクジ】の吐瀉物であると気付くまで、然程時間はかからなかった。
-
正確に言えば、【ナメクジ】は彼女に接吻したわけではない。
その瞬間、【苔むし】が反射的に口を閉じたため、彼は鼻孔に口をあてがった。
そうして、彼女の体内に向けて自らの吐瀉物を大量に流し込んだのである。
硬質な彼女が、内部から張り裂けてしまうほどに。
〈:: - 〉「ゲーーーーーーーーーー」
【苔むし】は呻く。しかしそれは最早、声というよりも機械音に近い。
粘着性の吐瀉物が彼女の声帯を狂わせてしまったのだろう。
よく見ると彼女の口元や耳の穴、あらゆる穴から吐瀉物が漏れ出ていた。
ようやく【ナメクジ】が口を放し、【苔むし】を突き飛ばす。
既に吐瀉物で足を絡められている彼女は、受け身も取れずに背中から強かに倒れ込んだ。
勢いで吐瀉物が飛散し、軌跡を描く。ビタ、ビタと地面に張りつく不快な音。
〈:: - 〉「ぇ゛っ……ぇ゛、ヴェエ」
体内を吐瀉物に満たされた【苔むし】は呼吸だけでも確保しようと身悶える。
しかしそれは明らかに逆効果だった。
彼女の体内で粘液が更に侵食しているのが手に取るように分かる。
/ ゚、。 /「……あぁ、こんなことはやりたくなかった。だから言ったんだ……」
勝負の行方は、誰の目にも明らかだった。
-
次の瞬間に沸き起こったのは、【ナメクジ】自身の罪悪感をも吹き飛ばす波濤のごとき歓声だった。
彼にとっては初めての体験である。常日頃地味な戦いを続けていた【ナメクジ】は、
長き戦歴の中で罵声を浴びせられこそすれ、讃えられることなどなかったのだ。
渦を巻き、唸り上げるような歓声に【ナメクジ】はちょっと驚いてみせた。
しかし、それだけだった。彼は【ナメクジ】のオス個体だけが持つ、
粘着性を除去する唾液を吐いて自らの足にへばりついた吐瀉物を取り除くと、
未だ仰臥したまま小刻みに痙攣している【苔むし】を置いて踵を返した。
/ ゚、。 /「……大昔は、コイツを使った女殺しが流行ったそうさ。
けれど、今じゃあ遺伝子鑑定で一遍に足が付く。
誰もやりたがらない方法だよ。まったく、野蛮で、どうしようもない……。
しかし、今の俺には必要な知恵だった。分かるだろう?
俺は麻酔が欲しいんだ。そのためだったら何だってするさ……」
彼の独白は、殆ど観衆の轟音に掻き消されてしまっていた。
もっとも、耳の穴まで吐瀉物で満たされた【苔むし】に届くはずもない。
アナウンスシステムが【ナメクジ】の勝利と次戦の予定を場内に告げる中、
彼は自らの控え室へ向かいとぼとぼと歩き出した。
-
( ФωФ)「……うむ、実に見目の良い勝負であった」
(゚、゚トソン「緊張と緩和がありましたね……」
ほう、とトソンが溜め息をつく。得も言われぬ興奮は彼女をも包み込んでいた。
コロッセオエリアの副室長を拝命されて以来、幾度となく闘技の場に足を運んできたが、
これほどの解放感を味わえることは滅多にない。
(゚、゚トソン「……【苔むし】さんは回復できるでしょうか」
( ФωФ)「ふむん、五分五分と言ったところであるな。
【ナメクジ】くんの粘着物を体内から完全に除去するのは不可能であろう。
呼吸器系の問題もある。仮に回復しても意識障害が残る可能性が高い……」
(゚、゚トソン「では、一応メディカルエリアとライフエリアの両方に連絡した方がよさそうですね」
既にメディカルロボット二体が【苔むし】の回収を試みている。
しかし、吐瀉物に難儀してなかなか巧くいかない。
盛大な機械音を立てながら【苔むし】を引きはがそうとするロボットを、
【ナメクジ】は何度も振り返りながら目を瞬かせていた。
-
( ФωФ)「……さて、吾輩は【ナメクジ】くんの麻酔を用意しに行かねばならぬ」
(゚、゚トソン「随分と、【ナメクジ】さんの肩を持ちますね」
( ФωФ)「むん?」
(゚、゚トソン「何故です? 彼が、麻酔の代償に貴方のあらゆる実験を引き受けるからですか?」
( ФωФ)「……まあ、間違ってはいないな。彼の肉体は非常に柔軟性が高いのだよ。
多少無茶をしても回復できるだけの修復能力を備えている。
人類も見習わなければなるまい、アレは実に有能なサンプルだ」
(゚、゚トソン「だからといって、過剰な施術は行わないようにしてくださいね、万が一……」
( ФωФ)「問題ない、始末書のテンプレートは十種類以上用意しておる」
(゚、゚トソン「……」
-
冷ややかに黙り込むトソンに向かってロマネスクがけらけらと笑ってみせ、
ホールを後にしようとした時。
凄まじい破砕音が響き渡った。
頭上からだ。
トソンやロマネスク、そして観衆が宙を仰ぐ暇もなく、それは巨大な影とともに落ちてくる。
ホール全体を揺るがす地響き。
それは、ちょうどコロッセオの中心部へ落下していた。
キャタピラと同化した胴体、鈍色に光る大振りのアーム部位。
それらの上に、申し訳程度に搭載されている顔面。
落下の衝撃のためか、『それ』はしばらく動かなかった。
しかし人々の動揺収まらぬうちに頸椎部が回転する。周囲の全てを睨めつける。
(゚、゚トソン「運搬ロボット……」
辛うじて呟いたトソンの言葉は、『それ』が放った大音量の雄叫びに掻き消された。
三.求愛行動 了
-
登場人物紹介(3)
〈::゚-゚〉 【苔むし】 (256≒12)
・惑星コードH-6、本名はぃし
・いわゆるロリババア、皮膚が異様に硬く、注射針が通らないため難儀した(ロマネスクが)
・ニックネーム通り、その表面には苔類植物が見られる、共生関係にあるらしい
-
続きは、明後日か明明後日
明明後日かなたぶん
-
幼女の口内に体液を無理やり流し込むとは、えげつない
-
早く読みたいけど読めるならいつまでも待ってる!
ダイオードこええ
-
ヤク中だー!!!
-
おつ!
-
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
Blast off, its Party time,
And we don't live in a facist nation,
Blast off, its party time,
And where the fuck are you?
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
-
来たか
-
四.破滅願望
(,,゚Д゚)「気に入らねえなあァ!」
それ――中規模運搬ロボット――はハウリング寸前の声音で吐き捨てた。
人間の声色と寸分違わぬその咆吼は、彼自身の怒りを完璧に表現している。
観衆は呆然とした表情で彼を見詰めていた。
また、【ナメクジ】は退屈そうに、或いは鬱陶しそうな視線を彼に遣る。
二体のメディカルロボットは彼に目もくれない。それらは【苔むし】の救出に必死だ。
(,,゚Д゚)「気に入らねえ……何が気に入らないかって?
訊きたいか、訊きたいよなあァ!? 俺が何に対して、こんなにも、
ムカムカしてるってことをよおォ!」
中規模運搬ロボットHVC-09――通称『ギコ』は運送業や建設業にも用いられる、
極めて汎用的な量産型ロボットである。観客の中に、彼の姿を見知らぬ者はいないだろう。
もっとも量産型であるが故、『このギコ』を知っている者はいないかもしれないが。
いずれにせよ、このような『ギコ』の傍若無人な振る舞いを知る者はいない。
『ギコ』は非常に普遍的、かつ忠実な知能を持つロボットだ。
そのために日常に於いて不具合を起こすことなど滅多にない。
ましてや、このような暴力的な振る舞いなど……。
-
『ギコ』はもう二度、三度と頸部を回した。まるで周囲を威嚇しているかのようだ。
その顔はやがて、【苔むし】をようやく引きはがしたばかりの、
二体のメディカルロボットに注目した。アームの可動部がギシリと音を立てる。
そして、キャタピラがおもむろに動き出した。
最新式の『ギコ』のキャタピラは先代機よりもフレキシブルに出来ており、
チルト機能を備えていることもあって様々な足場に対応できる。
その先進的なキャタピラを彼はひどく原始的に、
ただ目標に向かって真っ直ぐと突き進むためだけに使用していた。
誰も――メディカルロボットは勿論、トソンやロマネスクでさえも――その意図を理解できずにいた。
ギコは、その人間らしく誂えられた顔面を歪ませながらメディカルロボットに近づいている。
(,,゚Д゚)「俺が気に入らねえのは……」
誰もが正常性バイアスに囚われてしまっているのかもしれなかった。
見慣れた運搬ロボットが、悪意をもって行動するなど最初から頭にないのだ。
それは、メディカルロボットも同様だったのではないだろうか。
――分からない。今となっては確認のしようもない。
何故なら彼らは『ギコ』の剛腕にかかり、一瞬にして薙ぎ飛ばされてしまったのだから。
-
きたか
支援
-
本来頑強には作られていないメディカルロボットは、『ギコ』の一撃で壁まで吹き飛び、叩きつけられた。
その両手に大事そうに抱えられていた【苔むし】が、宙を舞う。
半死半生の彼女は、そのまま地面にベチャリと落下し、動かなくなってしまった。
物理的損傷を負いながらも、メディカルロボットはなんとか体勢を立て直そうとする。
ただ、仮に立ち直れたところで、彼らは『ギコ』に抗するだけの力を持たない。
彼らはメディカルロボットだ。それ以上でもそれ以下でもない。
そして、彼らが再び上体を起こす前に、『ギコ』の拳が彼らを襲った。
おぞましいほどの摩擦音、何かが焦げ、焼け切れる音――。
メディカルロボットの発する、警告を示すビープ音が途切れ途切れに虚しく響く。
(,,゚Д゚)「ああァ! ……ああああああああァあああああァあ!!」
物を持ち運ぶという目的のために作られた両腕を器用に操り、
『ギコ』は更にメディカルロボットへ追い打ちを仕掛ける。
その様は破壊というよりも解体に近かった。メディカルロボットは火花を散らしながら原型を失っていく。
――どの段階で彼らが『死んだ』のかは分からない。
しかし、どこかの段階で彼らが『死んだ』のは間違いない。
やがて『ギコ』はピタリと手を止めた。観衆全員が次の一手を、固唾を呑んで見守っている。
彼は誇らしげに、或いは憎々しげに両手を掲げてみせた。
その手に握られていたのは、複雑な部品と形状記憶シリコンで形成された、
メディカルロボットの頭部であった。
-
強引に引きちぎられたその頭部からは、種々の配線が飛び出していた。
ぼたり、ぼたりと半固形のシリコンが滴り落ち、
生きているかのようだった容貌がたちまち見窄らしくなっていく。
(,,゚Д゚)「これだよこれ、このザマだ。金輪奈落気に入らねえ。
俺はもう我慢ならないんだ。俺たちがつけてる……この……
顔面ってヤツがよおォ!」
メディカルロボットはもう動かない。決して首をもぎ取られたせいではないが、
解体の作業のいずれかが、彼らに致命傷を与えたに違いなかった。
(,,゚Д゚)「俺たちの感知機能は全てセンサーで賄われている。
本来、こんな顔面を乗っける筋合いはねェんだよ。
それを……人間どもが……自分たちが認識しやすくするために……?」
『ギコ』の右腕の中で、片方の頭部がグシャリと破裂した。
残留していたシリコンと回路が塊になって飛び出る。
『ギコ』の右手に残ったのは無惨にもデスマスクのようになってしまった皮膚素材だけだ。
その残骸を眺め、彼は満足げに首肯した。
-
(,,゚Д゚)「劣等種どもめ! どうして俺たちがお前らに合わせてやらなきゃならない!?
お前らのせいで顔面とかいう馬鹿馬鹿しい代物をのせて歩く気分ときたら……。
まったく恥ずかしくって惨めったらしくて……クリエイターはどこだあァ!?」
しかし、果たして何人の『人間』が彼の弁舌に傾聴していただろうか。
ある種の危機意識を失ってしまっている彼らは、
一切をプログラムされたショーの一幕としか思っていないのかもしれなかった。
その中で、辛うじて行動に出たのはトソンだった。
彼女は通信端末を取り出すと、室長への連絡を試みたのだ。
数秒、彼は応答しなかった。
トソンが苛立って自分の髪をグシグシとやり始めたところで、やっと彼の息せき切った声が聞こえてくる。
(゚、゚トソン「室長ですか」
_
( ゚∀゚)『おお、トソン。ちょうどお前に連絡しようとしていたところだ』
(゚、゚トソン「大変なことが起きまして」
_
( ゚∀゚)『おお、実はこっちも大変なことが起きたばかりなんだ』
-
支援
-
支援
-
(゚、゚トソン「……」
_
( ゚∀゚)『……』
(゚、゚トソン「こっちの方が大変です」
_
( ゚∀゚)「いやいや、こっちの方が超大変だね。何しろ前代未聞なんだから」
(゚、゚トソン「こっちだって前代未聞ですよ。私の方が説得力がありますね」
_
( ゚∀゚)「なんだよ、じゃあ言ってみろよ」
(゚、゚トソン「『ギコ』……運搬用ロボット一体がコロッセオに乱入しました。
明らかに正常な状態ではなく、暴力行為を繰り返しています。
今のところ人的被害はありませんが、メディカルロボット二体がほぼ全壊状態です」
トソンの淡泊かつ端的な報告に対し、数秒の間が置かれた。やがて、
_
( ゚∀゚)「そ、そりゃあ大変だな」
と、どことなく無念そうな反応が返ってくる。トソンは鼻をならした。
-
_
( ゚∀゚)「『ギコ』が暴れ回ってるのか」
(゚、゚トソン「はい。それから何やら訴えています……顔がどうとか」
_
( ゚∀゚)「一体だけか」
(゚、゚トソン「はい?」
_
( ゚∀゚)「そこにいる『ギコ』は一体だけか?」
トソンには、ジョルジュの問うところの意味が理解出来なかった。
仮に二体以上の『ギコ』が全く同じ暴走に至る可能性があるのだろうか。
(゚、゚トソン「……一体、です」
_
( ゚∀゚)「そうか、こっちでセキュリティロボットの手配をしておく。
まあ、相手が『ギコ』となると、どの程度役に立つか分からんが……」
( ФωФ)「トソンちゃん」
不意に聞こえたロマネスクの低い声にトソンは顔を向ける。
彼はコロッセオの中心を指差して微動だにしていなかった。
その眼は、年寄りらしからず爛々と照り輝いている。
トソンはゆっくりとロマネスクの示す先を見遣った。そして、眼を見開いた。
-
コロッセオの中心に『ギコ』がいる……。それは先ほどと全く変わらない。
その彼の……屈強に装われた上腕部に、真っ黒い液体がこびりついていた。
(,,゚Д゚)「……」
ヌチャリ、ヌチャリと音を立てるその液体を確かめるようにアームを作動させる。
その後『ギコ』は、その液体を放った男……【ナメクジ】を胡乱げに見遣った。
(,,゚Д゚)「……何の真似だ?」
/ ゚、。 /「何の真似でもねえよ……ただ五月蠅いんだ……頭に響く。
疲れてる時に限って……爺は俺にその手の注射を打つんだ。
そいつが脳味噌をかき回すんだよ……不愉快な不愉快な音を立てて……」
【ナメクジ】の表情は疲弊しきって窶れているようにさえ見える。
ただその眼差しだけが……狂っているみたいにキラキラと光っていた。
/ ゚、。 /「今まさにそんな気分なんだよ……まったく、お前はとんだ水差し野郎だ。
俺はあと……麻酔でハッピーになるだけだった。それだけだったんだ」
-
(,,゚Д゚)「……異星人の連中には興味がねえ」
/ ゚、。 /「奇遇だな。俺もお前みたいなのには寸分も興味がない」
(,,゚Д゚)「どけ」
/ ゚、。 /「やなこった」
(,,゚Д゚)「……反吐野郎」
/ ゚、。 /「……機械の分際で、一人前に罵倒しやがる……ああ、どうでもいい」
何故【ナメクジ】が『ギコ』に刃向かっているのか……
もはや当人にも分かっていない。
自分には何の関係もないことだ。
『ギコ』の暴れ具合によっては麻酔を受けられなくなってしまうかもしれないが、
それを差し引いたとしても、彼を相対するには割に合わなかった。
しかし、【ナメクジ】は心底苛立っていたのだ。
この期に及んで自分の行動を、間接的にでも妨害する存在に。
ただでさえ嫌な作業を一つ、片したばかりだというのに……。
-
BYOBじゃないか
支援
-
ナメクジ好きだわ
-
(,,゚Д゚)「どけよおォ!」
咆吼とともに、『ギコ』の暴威が【ナメクジ】に向かう。
【ナメクジ】には勝算があった。
というより、相手が機械であれ何であれ、自分が取れる方策は一つしかないのだ。
吐瀉物により相手を拘束する。
それが出来れば万事上手くいくし、失敗すれば終わる。ただそれだけのこと。
先ほど、試しにぶつけてみたところ、自分の吐瀉物は確かに機械にも通用するようだ。
それだけで、十分だった。
『ギコ』が猛然と突進してくるのを、【ナメクジ】は後ずさりしつつ距離を測る。
あらゆるものは潜在的な凶器だ……『ギコ』のアームなどというものは、特に。
【ナメクジ】はひっそりと、その凶器で吹き飛ばされた時の事を思う。
果たして自分の特質としての軟体は、その一撃に耐えられるだろうか?
――しかし、彼はもっと別のことを思うべきだった。彼には、致命的な誤算があったのだ。
-
それは、自らが射出できる吐瀉物が決して無限ではないのだという、
極めてシンプルな物理的事実だった。
脳髄まで満身創痍の【ナメクジ】は、その事実をすっかりと忘却してしまっていた。
……もっとも、それはナメクジにとっても初めての体験だった。
何しろ、相手の内臓を自分の吐瀉物で満たすという行為など、
つい先ほどまでは思いつきもしなかったのだから。
だから、彼が吐き出した液体は、『ギコ』の動きを完全に止めるには足りていなかった。
それは突っ込んでくる『ギコ』の左アームにかかり、そのまま滴ってキャタピラーに巻き込まれた。
ギコの動きは、半分鈍った。しかし半分だけだ。
彼は残った右腕を伸ばし、【ナメクジ】の身体を鷲づかみにした。
/ ゚、。 /「……は」
誤算はもう一つあった。『ギコ』は【ナメクジ】を『殴った』のではない。『掴んだ』のだ。
運搬用ロボットである彼の手指は滑り止め用の素材が用いられている。
軟体の【ナメクジ】でさえ、そこから抜け出すのはおよそ不可能に近かった。
詰み、だ。
-
(,,゚Д゚)「……何で俺はこんなことをしているんだ?」
きりきりと【ナメクジ】を掴んだ手をほどかないまま、ポカンとしたような口調で『ギコ』は呟いた。
(,,゚Д゚)「何故俺はこんなことをしている……?
俺はこの異星人を殺したかったのか……?
いや違う、そうじゃない。何かが、決定的に間違っているんだ」
/ ゚、。 /「……五月蠅えってんだろが。ポンコツ機械め。
さっさとやっちまえよ、めんどくせえ。こっちは麻酔が切れて、震えが止まらないんだ」
(,,゚Д゚)「俺は……俺が? どうすればいい?」
/ ゚、。 /「手前の好きなように、だ。頭あるんだろうが、畜生」
それを聞いた『ギコ』はもはや何も言わなかった。
そして、まるで人間のように出来ている五本の指を器用に動かす。
一瞬の沈黙の後、『ギコ』は片手で雑巾を絞るような動作で【ナメクジ】の身体をひねり潰した。
【ナメクジ】の身体を形作る軟骨がグギリグギリと削れ、壊れていく。
同時に凄まじい激痛が【ナメクジ】の脳天を突き上げた。
意識が吹き飛ぶまさにその時、【ナメクジ】の脳味噌にはなぜか、
こんな人生もアリかもしれないという逡巡が矢のように過ぎ去っていった。
四.破滅願望 了
-
ウワアアア
ナメクジイイイイイ
-
登場人物紹介(4)
(,,゚Д゚) 『ギコ』 (-)
・HVC-09、中規模運搬ロボット、背丈は成人男性をやや越す程度。
・超耐荷重仕様。ただし動きは鈍いので作業現場までは車両で移動されることが多い
・たまに間違ってボールペン配送作業を任され、客にびっくりされる
-
次は短いから明後日にはまにあう、はず。
-
ナメクジ…
おつです
-
乙
ナメクジはショックだがこれから盛り上がりそうで面白い
続きが楽しみ
-
乙
-
うえぇ…
-
おつ
-
えっやめちゃうの…?
-
まあ仕方ないね
次を待つよ
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