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lw´‐ _‐ノv D and the Potato Chips Factoryのようです
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カエルノーウタガー
キーコーエーテークールーヨー♪
lw´‐ _‐ノv「……むっ」
かえるのうたが聞こえる。
ややくぐもった音のかえるのうたが、私の意識を揺さぶる。
lw´‐ _‐ノv「朝、……いやお昼か」
lw´‐ _‐ノv「どこかな、どこかな……」
私はベットから起き上がり、寝ぼけ眼をこすりながら携帯電話を探す。
休日のお昼どき、私に電話を掛ける物好きはいったい誰なのだろう。
窓から暖かな日が差し込む部屋のどこかで、かえる達はめいめい歌っている。
どうやらポシェットの中が、彼らのコンサート会場らしい。
ゲロッ! ゲロッ! ゲロゲロゲロゲロ……
グワッ! グワッ! グワッ!
急いで携帯を取り出す。着信音はまだ流れている。
画面も確認せずに通話ボタンを押しながら、私は一人笑った。
かえるのうたで起こされる休日は、なんだか楽しいことが起こりそうな予感に溢れていた。
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lw´‐ _‐ノv D and the Potato Chips Factoryのようです
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lw´‐ _‐ノv「もしもし、どなたですか」
「すみません、シーフードピザ一つ」
lw´‐ _‐ノv「……しーふーど、ぴざ?」
「そう。住所は草咲町2丁目35番地」
lw´‐ _‐ノv「はぁ」
無愛想な声が用件らしきことだけ伝え、電話はすぐさま切れてしまった。
知らない番号が画面に表示されている。
私は携帯を置き、ぼんやりと窓の外を眺める。
慌しく響いていたかえるの合唱も終わり、すっかり静かないつもの休日だ。
近所の子どもたちが、無邪気に何か喋りながら外を駆けてゆく。
lw´‐ _‐ノv「暖房をつけようかな?」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「いや、つけまい……」
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とりあえず私は、顔を洗いに洗面所へと向かった。
洗面台の鏡に映る私もまた休日の例に漏れず、かえるのうただ。
髪の毛は、寝ぐせでところどころ重力に逆らっている。
対照的にまぶたはまだ眠気の重力に勝てず、二割増しで下がっていた。
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´つ゜ _゜ノv ゴシゴシ
lw´゜ _゜ノv「……よし」
手ぐしで髪をとかすのもほどほどに、冷たい水で顔を洗って歯を磨く。
寝ぼけた頭で口をゆすいでいると、突然ある考えが脳裏をよぎった。
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「……まさか」
突然の電話、シーフードピザ、住所。
もしや先の電話は、私の番号を宅配ピザ業者と間違って掛けたのだろうか。
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lw´‐ _‐ノv「これは……」
唐突な言葉を聞き返すつもりで、「シーフードピザ?」と私は答えてしまった。
それは相手からすれば、店員が確認のために復唱したのだと思ったのではないだろうか。
lw´‐ _‐ノv「大変なことに……」
よく分からないけれどとりあえず聞いていますよ、という相づちのつもりで、「はぁ」と口にした。
それもまた相手からすれば、毎日ピザを焼いて鬱気味の店員が電話に出たのだと思われたのかもしれない。
lw´‐ _‐ノv「なってしまった」
街中の草花の調査をしている私は、この辺の地図に詳しい。
35番地は確か、公園の裏手にある大きなお屋敷のはずだ。
誕生日を向かえ、ピザを楽しみにしている子どもの姿が思い浮かぶ。
そう考えると、私はピザを届けるべきなのかもしれない。
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lw´‐ _‐ノv「……」
ペチッ
逡巡していたのは、ほんのわずかな時間だった。
その間に出来ることといえば、指を1回パチンと鳴らすことくらいだろう。
事実私は、軽やかに響く指パッチンの音と共に決意した。
私はこの草咲町が好きだし、お隣の芝里亜町だって好きだ。
つまるところ、ピザが届かない悲しい思いを、誰にもしてほしくはなかったのだ。
lw´‐ _‐ノv「よし、決めた」
lw´‐ _‐ノv「シーフードピザ、作りましょう」
そうと決まれば今回限りのピザ職人として、出来うる最高の物を作らなくてはならない。
幸いにも市販のマルゲリータピザが冷凍庫に眠っているのを、私は知っている。
台所に向かい、具材となりそうなものを物色する。
割とプレーンなマルゲリータをシーフードにするには、大胆な調整が必要だ。
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lw´‐ _‐ノv「……」
lw;´‐ _‐ノv「……」
指パッチンを鳴らす間すらなく、すぐさま私は困惑の渦のなかにいた。
自分の台所の貧相さに、おおいに悩まされる。
乾燥のりに切り干し大根、インスタントはるさめスープ。
戸棚の前には、3分でできる即席麺の山がそびえ立っている。
私の台所は、ピザを作るのにまったくもって不向きだった。
それでも出来るだけやらなければならない。
これでいいのかなと震える手で、さけ味のふりかけをピザの上にふりかける。
lw´‐ _‐ノv「よ、よし……」
マルゲリータのトマトの赤とチーズの白に、オレンジのさけふりかけがマッチしている。
これはなかなかいけるかもしれない。
いつのか分からないししゃもも冷凍庫で見つけ、ついでにグリルで焼いておまけにのせる。
かつてマルゲリータであったものは、もはや見る影もない。
シーフードピザに近からずも遠からずの、まずまずの見た目だ。
電子レンジでピザを解凍する間に、着替えを済ませ出掛ける仕度をする。
こんなに楽しい気分は、なんだか久々だった。
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外は昨日までの寒さが嘘のように暖かく、絶好のピザ配達日和だった。
あの電話を受けてから30分ほどだろうか、素人の一日ピザ職人としてはなかなかの好タイムだ。
件の住所までは歩いて15分ほどのご近所で、遅延で怒られることもないだろう。
アルミホイルで何重にもぐるぐるに包んだピザを、しっかりと両手で持ちながら道路を進む。
ピザの底に触れる手のひらは、アルミホイルを通してほのかに温かい。
lw´‐ _‐ノv「……」
普段は通らない道の景色を横目にして、私は少し冷静になる。
いつもと違う一日の始まりに、はしゃぎ過ぎていたみたいだ。
090-3XXX-XXXX。
ごく一般的な携帯電話の番号の例に漏れず、私の携帯電話にも頭に090が付いている。
果たしてピザ屋さんの番号も、そうなのだろうか。
すっかり醒めた気分になり、私は道端に立ち止まる。
もしかすると、単なるいたずら電話だったのかもしれない。
lw´‐ _‐ノv(あと少しで着くけど)
lw´‐ _‐ノv(やっぱり、帰ろうかな)
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lw´‐ _‐ノv(……)
lw´‐ _‐ノv(……ん、あと少し?)
そうだった。
いたずら電話だとしても、相手はご丁寧に住所まで伝えていた。
その上幸運なことに、私の寝ぼけていた頭はその住所を忘れずに記憶している。
頼まれたピザを配達するのに、何の躊躇いがあるだろう。
両手の上の温かいピザを落とさないように、再び私は歩き始める。
lw´‐ _‐ノv(誰かの携帯電話に電話を掛けて)
lw´‐ _‐ノv(ピザを作ってきてくれる人がいるのなら……)
それはなんてロマンティックで温かい世界なのだろう。
そんな世界のために一翼を担えるのなら、喜んでハトでも雀にでもなりたい。
やっぱり私がどこか浮かれているのは、そういうことらしい。
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洋風建築の立派なお屋敷の前で立ち止まり、一帯を眺める。
外溝はモダンなレンガの塀が、格子門扉を挟んでぐるりと立ち並んでいる。
門扉の隙間から覗くと、想像通り敷地は広く、コニファーの植木道の向こうにお屋敷の玄関が見える。
lw´‐ _‐ノv「……」
近くの電柱に掛けられた住所の番地を見ても、ここで間違いなさそうだ。
なんだか私は場違いな気がしながらも、大きな門の横のインターホンを迷い無く押した。
lw´‐ _‐ノv「こ、こんにちは」
「どのようなご用件でしょうか」
lw´‐ _‐ノv「ピザの宅配に来ました」
「……これはこれは」
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lw´‐ _‐ノv「……」
「ただいま門を開けますので、どうぞお入りください」
lw´‐ _‐ノv「はい」
インターホンに出たのは、低い声をした男の人のようだった。
すぐに門扉が自動で開き、私は緊張してギクシャクした足取りでお屋敷の敷地を歩く。
並ぶ植木は、まるでどこかの庭園のように綺麗に手入れがされている。
いったいこんなところに住んでいるのは、どんな人なのだろう。
気付くと、燕尾服を着た男の人が玄関の前に立っている。
鉄のような銀色の硬そうな髪が、太陽を反射して輝いている。
目の前まで近づくと、彼は微笑みながら言った。
('∀`)「よくいらっしゃいました」
ちょうどその時、門の閉じてゆく音が私の後ろで響いていた。
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続きは来週の土曜日に(たぶん次回で完結)
※お察しの通り、ジョニー・デップのDです
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いやなにも察せないんだが
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わろた
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乙 完結、するのか……?
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γ´⌒`ヽ
,@-@、 ,;" ゙:、
,@ミA=Aツ@ ( ミ=A=彡. ). こ、これは>>1乙じゃなくて
@((`・ω・´))@ ヽ(´・ω・`)彡ノ 雷なんだから
ゞ つ。 。つ くノ0。 。0ゞ 変な勘違いしないでよね!
,;:"⌒⌒⌒⌒゙;,.. .,;"⌒⌒⌒⌒゙:;、
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゙゙〜,,,,,,〜,,,,ノ ゞ,,,,〜,,,,,,〜""
ピカッ /∧\ ! ゚ ! ! // ! ゚ ! !
i / \ヾ ! \\ ! ゚
// `、ヽ ! ! / / ! !
\\ /| \ 二 ̄ ̄ ̄>
\\ / |  ̄フ /
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いいところで切りおって
乙
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乙
このピザうまそうだな
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乙!面白い
続きが待ち遠しいぜ
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まぁジョニーデップだよな
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原作とはどう違うオチをつけるのか見どころだな
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雰囲気が好きだ
乙
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すみません、間に合ってません。もう数日時間をください……
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ええで
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いつまでも待つぞ!
楽しみにしてる
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( ^ω^)
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