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ξ゚ー゚)ξ幽霊裁判が開廷するようです
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過去の話は
Boon Romanさん http://boonmtmt.sakura.ne.jp/matome/sakuhin/gh_judge.html
RESTさん http://boonrest.web.fc2.com/genkou/yuurei/0.htm
前スレ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1408449628/
最終話後編、前スレ>>442から
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乙
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おつです!!
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Romanさんが開けない場合はこちらもどうぞ
(前スレ>>429がまとめてくれたキャッシュのリンク)
https://dl.dropboxusercontent.com/s/ein5ct0ol75bp90/1408449628.htm
続き投下します
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乙
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はやくうううううううう
-
( ФωФ)「もう分かるであろう。
次に病室へ行ったときにあの男と鉢合わせ──
正にミセリを手にかけるところだったのか、男から臭いが滲み出ていたのである」
そうしてロマネスクは、この町に留まらざるを得なくなった。
自身が疑われていることを知っても──ドクオを捕まえなくてはならなかったのだ。
それで、彼の話は終わった。
木槌の音が高く響く。
【+ 】ゞ゚)「……もう、聞くこともないな」
ツンやしぃの顔を見渡し、確認。
皆と頷き合い──彼は、言った。
【+ 】ゞ゚)「被告人、ロマネスクを──無罪とする」
.
-
ξ゚ー゚)ξ
ずっと立ちっぱなしだったツンが、ようやくパイプ椅子に腰を落とした。
( ФωФ)「……ありがとう。助かった」
小さな小さな声でロマネスクが礼を言う。
ツンはひらひらと右手を振った。
( ^ω^)「お疲れ様でしたお」
ξ゚ー゚)ξ「うん。内藤君も」
ひどく疲れた。
内藤も椅子を引き、座り込む。
傍聴席が騒がしい。
先ほど彼らも事件に巻き込まれかけたのだから当然か。
-
(*゚ー゚)「──また負けた!」
向かいの方で、しぃもどっかと椅子に腰を下ろしていた。
痣が変色し、目立ち始めている。
(;,゚Д゚)「ってやだちょっとあんた! 顔腫れてきてるわよ! 冷やさなきゃ!」
(*゚ー゚)「後でいい」
(;,゚Д゚)「今すぐ! ……なに笑ってんのよあんたはもう!」
(*゚ー゚)「また負けた、また僕が間違えた」
(,,゚Д゚)「……今回の起訴は、しょうがないとこもあったと思うわよ。
あんただけの責任でもないんじゃないの」
-
(*゚ー゚)「でも負けは負けだ。──なのに何でだろうな、すっきりした。体が軽い。
……父さんのことを思うと、やっぱり苦しいが」
内藤としぃの目が合う。
かと思えばしぃの視線が横にずれ、呆れが浮かんだ。
何だろうと思い、辿ってみれば。
ξ-⊿-)ξ スピュルルルル
( ^ω^)「うわ」
ツンが思いきり寝ていた。
涎まで垂らしている。
川 ゚ 々゚)「疲れてたんだねえ」
【+ 】ゞ゚)「どうする、刑事に運ばせるか」
( ^ω^)「いや、喜んで運んでくれそうな白衣の人が多分その辺にいるので」
言って、内藤は顔を横向けた。
ミセリとロマネスクが向かい合って床に座っている。
-
俺もねむい
-
新スレ乙
ついにか…
-
ミセ*;ー;)リ
( ФωФ)「いつまで泣いてるのであるか」
しくしく泣いているミセリ。
対するロマネスクは、げんなりした様子で頭を掻いた。
( ФωФ)「貴様、2月頭に病室で見たときに生気がなかったから、
魂が抜けていたのは薄々分かっていたが……
先週法廷で見付けたときは驚いたぞ」
( ФωФ)「あの男から身を隠すために子供の姿になって、もう幽霊として暮らすのかと……。
それが貴様、記憶喪失とは貴様、馬鹿か貴様」
ミセ*;ー;)リ「ろ、ロマ深読みしすぎだろ……。
ほんとに気付いたら外にいて、記憶なくなってたんだからしょうがないじゃん……」
猫が好きなことくらいしか覚えていなかったため、猫を追いかけていたら
いつの間にかワカッテマスのアパートに辿り着いた──らしい。
ミセリが泣きながら語ることには。
ロマネスクも近くに寄っていたのだから、タイミングによっては
ばったり会えていたのかもしれない。
-
溜め息をつき──ロマネスクが消える。
いや、消えたように見えただけだ。
ふてぶてしい面の猫が、そこにいた。
∧ ∧
( ФωФ)「……ミセリ。まだ、死にたいと思っているであるか?」
ミセ*;ー;)リ「ううん。……ううん、思ってない、思ってないよ」
ミセリは手を伸ばした。
ロマネスクを膝に乗せ、その背を優しく撫でる。
-
そういえば本物のキュートはどうなったんだろ
-
ミセ*;ー;)リ「トソンがいてくれたもん。ロマが守ってくれたもん。
……生きたいな。私、もっと生きてたい」
∧ ∧
( ФωФ)
∧ ∧
( +ω+) …ニャァオン
満足げに一鳴きし、ロマネスクがミセリの膝の上で丸くなる。
それから程なくして、閉廷が告げられた。
Last case:終わり
-
ロマがかわゆすぎて生きるのが辛い
-
俺の隣で寝てるよ
-
エピローグ
.
-
ミセ*゚ー゚)リ 〜♪
||‘‐‘||レ「いいお天気ですね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん」
4月。
ヴィップ総合病院。
ミセリを乗せた車椅子を、看護師がゆっくり押していく。
||‘‐‘||レ「もっと暖かくなったら、向こうで桜がたくさん咲きますよ」
ミセ*゚ー゚)リ「へえー。早く見たいな」
かたかた。アスファルトの上を車椅子が進む。
病院の正門に辿り着くと、ミセリは表情を一層明るくさせた。
-
ミセ*゚ー゚)リ「ロマ!」
∧ ∧
( ФωФ) ニャア
門の前に、小太りの猫が佇んでいる。
おいでとミセリが声をかけるが、猫は欠伸をすると、尻尾を揺らして立ち去った。
ミセ;゚ー゚)リ「あー、つれない奴」
||‘‐‘||レ「いつも来てくれてるじゃないですか」
ミセ*^ー^)リ「……んふふ。退院したら、一緒に住むの。ちゃんと約束したんだから」
||*‘‐‘||レ「ふふ、じゃあ早く退院しないといけませんねえ」
ミセ*゚ー゚)リ「だよねえ。待っててねロマー」
まるで返事をするかのように少し遠くから「にゃあ」と聞こえたので、2人は一緒になって笑う。
ミセリの手には、かつて自分が書いた「契約書」が大事そうに握られていた。
*****
-
(*><)「こんなもんですね!」
窓辺にクッションを敷き詰め、わざわざ遠出してまで買ってきた少し高価な食器を並べる弟を、
ワカッテマスは珍妙なものを見る目で眺めた。
( <●><●>)「何ですかそれは」
( ><)「だって今日ぽぽちゃんが帰ってくるんですよ! ちゃんとお迎えしないと」
( <●><●>)「いや、そっち。クッションの横の」
( ><)「猫じゃらしとボールとネズミのおもちゃと……」
( <●><●>)「なに考えてんですか?」
( ><)「だってぽぽちゃん、猫なんでしょう? きっと喜ぶと思うんです」
( <●><●>)「猫ですけど、もう人の姿で固定されてるって言ってましたよ?」
( ><)「でもおもちゃで遊ぶことは出来るんです!」
( <●><●>)「見た目は大人のお姉さんですよ……猫じゃらしにじゃれつく姿見たいですか……?」
(*><)「ぽぽちゃんならきっと可愛いんです」
( <●><●>)(弟が変な趣味に走りませんように)
-
(*><)「さて、僕はぽぽちゃんのためにご馳走の用意するんです!」
( <●><●>)「何か手伝いましょうか」
( ><)「もう仕上げるだけなので大丈夫ですよー」
台所に向かうビロードを見送り、ワカッテマスは横になった。
──ぽぽちゃんは、弁護士が言った通り、軽い罪で済んだ。
ドクオに脅されていたことや、結局ビロードを彼に渡さなかったこと、
そもそも渡す気が失せていたことが主な理由だ。
裁判ではロマネスクがぽぽちゃんの通訳に駆り出されたので、
にゃあにゃあにゃあにゃあ可愛らしい鳴き声が飛び交うファンシーな審理だった。
あんな裁判を傍聴するのは、後にも先にもないだろう。
-
裁判の後、この部屋の霊道とやらを正常な状態に戻す作業が行われた(らしい)。
しかし既に受けた影響が消えることはなく、ワカッテマスは相変わらず室内と時間限定で霊が見えるし、
ビロードも霊感を失わないままだ。
ぽぽちゃんがいない間、夜中に1人になったビロードがおばけに怯えてしまうのではないかと心配していたが、
寧ろ最近は精神的に逞しくなってきたので、結果オーライかもしれない。
( <●><●>)(昼寝しますかね)
携帯電話のアラームを設定し、ワカッテマスは目を閉じた。
今夜もアルバイトがあるので仮眠をとりたい。
さすがに勤務時間が来る前には、ぽぽちゃんも帰ってくるだろう。
眠って、ぽぽちゃんを迎えて、ビロードの作るご馳走とやらを食べて、
今夜も元気に女どもを口説き落として稼いでこよう。
*****
-
>裁判ではロマネスクがぽぽちゃんの通訳に駆り出されたので、
にゃあにゃあにゃあにゃあ可愛らしい鳴き声が飛び交うファンシーな審理だった。
だけど大人のおねーさんと小太りのおっさんなんだよな…
-
_
(*゚∀゚)「姉者先生!」
∬´_ゝ`)「あ、ジョルジュ先生。こんにちは」
スーパーの中でばったり同僚と出会い、姉者はにっこり微笑んだ。
ジョルジュは何やら胸を押さえてきゃあきゃあ騒いでいる。
l从・∀・ノ!リ人「ジョルジュせんせー、奇遇なのじゃ」
( ´_ゝ`)「おお、妹者のクラスの先生か。うちの妹者たんがお世話になってます」
_
( ゚∀゚)「妹者と……ああ、上のお兄さんだね。
はじめまして。これから長い付き合いになるね、よろしく」
( ´_ゝ`)「うわーうちの家族になる気満々だよ妹者から聞いた通りだよ姉者逃げろ」
∬´_ゝ`)「なにが?」
ジョルジュはたまに独特なセンスの発言をするので面白い。
-
ぬこ好きにはたまらん裁判ですな
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ちょう見たいそのにゃあにゃあ裁判
-
_
( ゚∀゚)「みんなで買い物とは仲いいなあ。パーティー? 誰かの誕生日ですか?」
買い物カゴいっぱいに入った食材を見て、ジョルジュが問う。
その質問に、姉者の頬が緩んだ。
∬*´_ゝ`)「お友達が来るんです」
_
( ゚∀゚)「お友達?」
l从・∀・ノ!リ人「出連さんなのじゃ」
_
( ゚∀゚)「出連……ああ、弁護士の」
∬*´_ゝ`)「ツンちゃん、いっぱい食べるから作り甲斐があるんですよ。
美味しそうに食べてくれるし、見てて嬉しくなっちゃって」
( ´_ゝ`)「はいはい姉者、早く準備しないと出連さんが来るのに間に合わなくなるぞ」
∬*´_ゝ`)「あっ、そうね、さようならジョルジュ先生」
なかなか顔が締まらない。
飲み物を選ぶため、踵を返した。
-
──すぐには付いていかず、その場に残った妹者は
今年度も世話になる担任へありがたい助言を授けることにした。
l从・∀・ノ!リ人「ジョルジュ先生、一番の敵はちっちゃい兄者ではなく
出連さんだということを覚えておくといいのじゃ。
日を増すごとに姉者は出連さんと仲良くなるし出連さんは餌付けされるし」
_
( ゚∀゚)「マジかあ……勝てるかな俺……」
l从・∀・ノ!リ人「正直言うと無理じゃの」
*****
-
餌付けってツンさん流石家のペットに成り果てるのか
-
>>25
おいやめろ
-
──カンオケ神社。
ギコは拝殿を出ると、靴を履き、拝殿の中へ一礼した。
(,,゚Д゚)「それじゃあ連れていくわね」
【+ 】ゞ゚)「ああ、気を付けてな」
川 ゚ 々゚)「ばいばーい」
オサムの膝に乗ったくるうが、ぶんぶん手を振る。
それを真似て、オサムもひらひら右手を振った。
(*,゚Д゚)「もー、相変わらずラブラブなんだから」
(;*´・ω・`)「まったくですよ」
竹箒を抱えた禰宜、ショボンがギコの後ろで溜め息をつく。
ああいやらしいいやらしいと呟きながらも目はばっちりオサム達に向けられている。
-
【+ 】ゞ゚)「刑事はそういう相手はいないのか」
(*,゚Д゚)「えー、あたし? それがいないのよねえ……ショボンさん、どう?」
(;*´゚ω゚`)「ええっ! そんな! ぼ、僕なんかが女性と、そんな、つ、付き合うって、そんなあっ!!」
(;,゚Д゚)「あっ、ちょっ、ショボンさん!!」
思う存分どぎまぎして、ショボンは社務所へ走り出してしまった。
鼻を押さえていたが、鼻血が出たのだろうか。
大丈夫だろうか。色んな意味で。
【+ 】ゞ゚)「……刑事が男だということを、教えてやった方がいいのか悪いのか、未だに悩んでいる」
川 ゚ 々゚)「見た目で気付かないのが悪いと思うの」
(,,゚Д゚)「しぃが女だっていうのは言わないでおいてね、嫌な予感しかしないから。本当に」
改めてオサム達に挨拶し、拝殿の戸を閉める。
ギコは伸びをして、後ろで待つ女性へ振り返り、微笑んだ。
(,,゚Д゚)「じゃ、行きましょうか。アパートまでお連れするわ」
(*‘ω‘ *)" ポッ
*****
-
>>25
ロマはぬこver.で出廷してるに決まってるだろ!
-
あな本のショボン思い出すとギャップに吹く
-
(#゚;;-゚)「──しぃさん、またそんな格好」
(*゚ー゚)「あーもううるさいな。あなたに指図されることじゃない」
猫田家、母屋。
廊下を歩く学ラン姿のしぃに、後を追う形ででぃが小言をぶつけている。
(#゚;;-゚)「何なの、その言い方。
そうだわ、フサさんのことだけど、あなたあんな勝手な──」
(*゚ー゚)「はいはい、後で聞きます後で」
(#゚;;-゚)「しぃさん! もうっ、最近あからさまに反抗するようになって!」
耳に指を突っ込み、足を速めた。
近い内にまた裁判がある。鬱田ドクオ。
何せ余罪が多すぎる。消滅処分となるのは既に決定しているようなものだろうが、
犯した罪はきっちり精査しなければならない。
相手弁護士があの変人でないのが少々物足りないが、
やるからには全力で臨みたい。
またフサや他の使役霊の手を借りなければ。
-
書類を見下ろすしぃに、でぃは溜め息をついた。
(#゚;;-゚)「まったくもう! そういうとこ、つーさんにそっくりだわ」
(*゚−゚)
足を止める。
しぃは怪訝な顔で振り返った。
(*゚−゚)「何ですって」
(#゚;;-゚)「あなたのお父さんにそっくりって言ったの。
あの男も、いつも勝手なことするわ私の言うこと聞かないわ、突っ掛かってくるわ……」
(*゚−゚)「……父さん、そんなことしてたんですか?」
(#゚;;-゚)「そうよ、しぃさんの前ではやらなかったけど。あー今思い出しても腹立つ」
ぷりぷり怒る母は、初めて見た。
初めて──人らしく見えた。
-
ギ子さんいい人なのになぁ
-
猫田母娘も雪解けか
-
(*゚−゚)「2人とも、そこまで仲悪かったんですか?」
(#゚;;-゚)「ええ」
(*゚−゚)「……嫌いでした?」
間が空く。
でぃは決まりの悪そうな顔をすると、そっぽを向いた。
(#゚;;-゚)「……本当に嫌いな相手とは結婚しないんじゃないかしら、私もあの人も……。
それに一応、すごい人だとは思ってたもの。癪だから言ってないけど」
(*゚−゚)
じっと見つめる。
10秒も経った頃、ふ、と息が漏れた。
(*゚−゚)「ふ……」
(*゚ー゚)「……ふ、ふ……」
(#゚;;-゚)「……しぃさん?」
踵を返す。
我慢しきれず、しぃは天を仰いで笑い声をあげた。
-
しぃちゃんがふっきれたのとでぃさんとこんな会話してるっていうのが感慨深い
-
うまくいってる感じがあるな
-
(*^ー^)「ははははは!」
(#゚;;-゚)「何なのしぃさん、どうしたの。気持ち悪いわよ」
(*゚ー゚)「いや、何でしょうね。……何かよく分かんないな。
あなたのことは本当に嫌いなんですけどね」
(#゚;;-゚)「最近ほんと可愛くないわ……」
(*^ー^)「ははは」
障子が開け放された部屋から、フサが「うるさいよ」と迷惑そうに言ってきたので、また笑った。
*****
-
( ・∀・)「あと2日で春休み終わりかあ……クラス分けどうなるかなー」
(-_-)「同じクラスだといいけどね」
モララーの部屋。
格闘ゲームで対戦しながら、モララーとヒッキーが会話を交わしていた。
その後ろで携帯電話をいじりつつ、弟者が話に加わる。
(´<_` )「俺らがどうなるかは分からないけど、確実にブーンとプギャーは別クラスになるな」
( ・∀・)「あー、まあ、あれはな。あんなことあればな」
(-_-)「すごかったねブーン。みんなの前でプギャー君のこと一発殴って」
(#・∀・)「『何が祟りだ! 嫌な奴がいたら僕は直接文句つけてやるお!!』」
( ・∀・)「格好良かったな、あれ」
(-_-)「一瞬で祟りの噂消えたよね」
( ・∀・)「噂が消えたっつうか、ブーンが人殴ったっていうインパクトに上書きされたっつうか」
けらけら、モララーが笑った。
弟者が携帯電話から顔を上げる。
-
(´<_` )「ブーン、あと一時間くらいしたら来るってさ」
( ・∀・)「おっ。よっしゃ、ブーン来たら総当たり戦やろう」
(;-_-)「僕が最下位確定じゃんか……。
──ブーンは、あれ? またいつものところ?」
(´<_` )「ああ。行くのやめろって言ったんだけどな」
( ・∀・)「いいじゃん、かっけーじゃん。探偵助手」
(´<_`;)「……探偵ならなあ」
窓から晴れやかな空を見上げ、弟者は苦笑した。
*****
-
やっと追いついたー!
-
頑張ったなブーン!!
よくやった!
ひとつずつ上手く行っていくのが嬉しいけどいよいよ終わっちゃうんだな…
-
ξ゚⊿゚)ξ「第97条」
( ^ω^)「神隠し罪」
ξ゚⊿゚)ξ「そういやカンオケ神社からお菓子もらったわ」
( ^ω^)「後で弟者達の分もくださいお」
ξ゚⊿゚)ξ「第206条」
( ^ω^)「吸血罪」
ξ゚⊿゚)ξ「あ、この間、鵜束検事にプレゼント送ったわ。
2月にもらった資料のお礼に」
( ^ω^)「あの人もまさか裁判で役立つとは思ってなかったでしょうね。
何送ったんですかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「資料のコピー全部とリアルな昆虫造型のチョコ入りビックリ箱」
( ^ω^)「まんま送り返しただけじゃないですかお……」
ξ゚⊿゚)ξ「着払いで」
( ^ω^)「大人気ない」
-
この終わりムード…
うっ…
-
ξ゚⊿゚)ξ「第75条」
( ^ω^)「呪詛罪」
( ^ω^)「アサピーさんは元気ですかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「相変わらずね。昨日もうちに来てふざけ倒して帰ったわ」
( ^ω^)「想像できる」
ξ゚⊿゚)ξ「はいお疲れ様。えーと、50問中43問正解。前より上がったわね」
ノートを閉じ、ツンが立ち上がる。
ポットの前へ向かう彼女に、自分が茶を淹れると申し出たが
いいから座っててと返されたので、おとなしくソファに留まった。
出連おばけ法事務所は、相変わらず内藤のおかげで整然さを保たれている。
-
ツンさんは変わらず掃除できねえのか
-
( ^ω^)「……来ないって決めたのになあ」
ξ゚⊿゚)ξ「来なきゃ寂しいわ」
どう反応していいか分からず、無意味に肩を竦めた。
先程ツンがテーブルに置いたノートを取り、ぱらぱらページをめくる。
おばけ法に関する知識は、どんどん増えている。
ツンからの出題に対する正答率も上がってきた。
とはいえ決められた範囲内の軽い暗記のみなので、ツンの持つ知識の一割にも満たない。
-
ξ゚⊿゚)ξ「そういえば、一昨日シュールさんと駅前で会ったの」
( ^ω^)「ああ……キュートちゃん……」
ξ゚⊿゚)ξ「その名を思い出す度に脱力するからやめて」
──素直キュートは、猫だった。
冗談でも何でもなく。猫だった。
あの依頼は人探しではなく、猫探しだったのである。
lw´‐ _‐ノv『あれ、言わなかったっけ』
( ^ω^)『妹って言ったじゃないかお』
lw´‐ _‐ノv『妹だよ、私が2歳のときに家に来たんだもの。メスだよ』
ξ゚⊿゚)ξ『赤い服っつったわよ』
lw´‐ _‐ノv『首輪のこと服って言うなんて変わってるなあと思った』
シュールの腕の中で、くりっとした目と小さな口を持つ、やや長めの体毛の小柄な白猫は、
朱色の首輪を自慢気に見せて、にゃあと鳴いていた。
かつて、ワカッテマスのアパートの前で見かけた猫だった。
あの付近に猫の霊が集まるという話を裁判で聞いて、シュールが行ってみたところ
みごと発見することができた。らしい。
ξ゚⊿゚)ξ「あの日は寝れなかったわ私。何故か無性に悔しくて」
( ^ω^)「まあ……シュールさんとキュートちゃんがちゃんとお別れ出来たんだし、結果オーライですお」
-
紅茶の入ったティーカップを受け取り、内藤は礼を言う。
ノートをテーブルに置くと、今度は向かいに座ったツンがノートを開いた。
ξ゚⊿゚)ξ「内藤君、弁護士か検事にならない?」
( ^ω^)「そういうつもりはありませんお。
僕は将来普通の仕事します」
ξ゚З゚)ξ「あっそ」
──来年の春には、親元に帰る。
ツン達がいなくても自分の身を守れるようになるために、
そして自分なりに「普通」の生活を送れるようになるために、
最低限のおばけ法の知識を身につけたい。
霊感は持って生まれたものだ。
見えるもの、寄ってくるものを完全に無視して生きることは出来ない。
ならば、それなりに受け入れつつ、対処できるように学べばいい。
これもまた内藤の「武器」になるのだから。
演技の方も過剰にならないように、しかし程よく扱えるように日々勉強している。
こちらは完全に独学だ。
-
くっそww
あの猫の伏線はこれかwww
-
華麗な伏線回収だな
-
ξ゚ー゚)ξ
( ^ω^)「……何ですかお、にやにやして」
ξ゚ー゚)ξ「いやあ。最近の内藤君、楽しそうだなあと思って」
( ^ω^)「楽しいですお。色々すっきりしたんで」
ξ^ー^)ξ
( ^ω^)「そろそろ笑顔が鬱陶しい」
ξ゚⊿゚)ξ「鬱陶しいって何よこら」
時間を確認する。
モララーの家で遊ぶ約束をしているので長居はしない。
-
( ^ω^)「用事あるんで、片付け済ましたら今日は帰りますお」
ξ゚⊿゚)ξ「はいはーい。あ、夕方ぐらいに流石家行くから」
( ^ω^)「今夜は美味しいものたくさん作るって姉者さん張り切ってましたお」
ξ*゚⊿゚)ξ「いっひひひ、腹空かして行くわ」
( ^ω^)「僕らも食べ盛りなんで、程々に」
紅茶が冷めるのを待つついでに仕事を終わらせてしまおうと腰を上げた。
机に散らばる書類を整理する。もう慣れたものだ。
憑依罪の文字が目に入り、手が止まった。
誤魔化すようにむりやり動かす。
ξ゚⊿゚)ξ「……内藤君」
( ^ω^)「何ですかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「おばけ、嫌い?」
この人は、本当に目敏い。
質問に対して真っ先に思い浮かんだのは、裁判で度々目にした悪いおばけ達。
特に──先月の裁判は、内藤の中に重たく冷たいものを残している。
-
( ^ω^)「……悪いおばけは、恐いですお。勿論」
ξ゚⊿゚)ξ「うん」
( ^ω^)「……でも……」
それでも──今まで見てきた裁判を思い返すと、
胸が温かくなるようなことだって、たくさんあった。
優しいおばけだって、いっぱいいた。
( ^ω^)「いいおばけとか、良くも悪くもないおばけは、……結構、好きですお」
ξ゚ー゚)ξ「──うん」
人間にもおばけにも、善悪がある。
善人と悪人がいるように、霊も様々。
そしてその二つに区別しきれない者こそ一番多い。
だから行き違うことがある。
そうして──犯罪が起きてしまう。
-
2時ぐらいからスレ追いかけて、やっと追い付いた!
完走まで頑張れ!
-
決して無視することは出来ない。
いいことも悪いことも巻き込んで、事件は起こる。
絡み合ったそれらを放っておけば、事は更に拗れて、縺れて、被害が大きくなる。
禍根は肥大する。
深い傷が残る。
それを誰かが解きほぐさなければならない。
ほどいた中に隠れているものを見付け出し、向き合わなければならないのだ。
そうして救われるものが、必ずある。
だってそうだろう。
ツンは、いつも、いつも。
( ^ω^)「ツンさん」
ξ゚⊿゚)ξ「ん?」
( ^ω^)「いつも、ありがとうございますお」
ξ゚ー゚)ξ「……どういたしまして」
必ず誰かから、「ありがとう」と言われてきていたではないか。
.
-
──だから今夜も、きっとどこかで──
.
-
ξ゚⊿゚)ξ幽霊裁判が開廷するようです
完
-
このスレタイがむしろいい
泣きそう泣かないけど
-
終わったあああああああああああああああああああああああ
乙ああああああああああああああああああああ
-
うわあぁぁぁ乙でしたー!!
もうほんと好きだー!!!!
-
お疲れ様でした。
最高だったよー
-
うわあああああん
おつううううう
-
おつかれさまでした!
-
盛大な乙
最高の感動をありがとう
-
本当伏線とか魅せ方とか良くて楽しめました
本当にお疲れ様でした
-
長丁場乙!
良い作品だった
-
そうだひとつだけいいかな?
兄者っていなくてもよかったきが
-
ほんとにほんとに面白かった!!!何度も泣かされた!
お疲れ様でした!最後オサムかっこよかったよおおおおお
寂しい!すっごい寂しい!
ありがとう!!!
-
>>74
お前は何を読んできたのか
-
>>74
シャットユアマウス!!
乙でした…!
お疲れ様でした…!
-
乙
終わっちゃったかあ
とっても良かった
-
完結かぁ…
とりあえず作者お疲れ様
-
完結をリアルタイムで追えるとは思わなかった
楽しませてもらいました、乙
-
ついに終わっちゃったんだな…
ほのぼのしたりハラハラしたり騙されたり、本当に最初から最後まで面白かった!
何より約半日かけて投下してくれてありがとう!乙!!
-
終わり。完結
読んでいただき本当にありがとうございました!
Romanさん、毎回ありがとうございました!
想像以上に長すぎて我ながら引いた
途中から投下スピード落ちてすみませんでしたマジで
楽しかったです
質問・指摘とかあればお願いします
-
ほんとにほんとにお疲れ様です
貴方様の作品、どれもこれも魅力的な話ばかりです
さみしいけど、終わってよかったです
-
うおおおおお!!
激しく乙ですう!!
華麗なる複線回収 手に汗握る逆転劇…
あー終わっちまうの淋しいなぁ
番外編とか待ってる!
とにかく長時間乙!!
-
お疲れ様でした
おまけとかはあったりするんですかね
-
>>82
ニュッくんのアレは治る見込みある?
あとデレのおっぱいのサイズ
-
乙!!
いろんな伏線が回収されていって読みながらゾクゾクした。
-
乙
こんな時間なのに結構な人数がリアタイで読んでるんだもんな
凄いもんだぜ
-
気が付いたらこんな時間になってて目の前で終わっていた
相変わらず頭から〆まで綺麗で面白くて魅力的な作品でした
そして最後の長丁場お疲れ様でした!
色々言いたいことはあるけれど何よりも乙!!激しく乙!!
-
>>76
いやいなくても全然違和感ないだろ
>>82
せんせーしつもーん
このスレ900ほど余りましたがおまけで埋めるんですよね?^^
-
エピローグ後の番外編的なものは考えてる?
というか書いて欲しかったり
-
もうずっと追ってたよ・・・本当あんたの作品大好きだ!超おつ!!!
怒涛の伏線回収、今までの全部が繋がっていくのがゾクゾクした!
なんでここまで無駄のないものを書けるんだよまじで!そんなとこが伏線なってるなんて誰が思うんだよ!
くそ言い切れんすげぇおつ!あとオサム様のファンになります!
-
長時間の投下乙
面白かったよ
-
1話目が始まったのが2012年の9月28日かあ
ほぼ2年も連載してた事になるんだね
-
本当に面白かった
お疲れ様でした!
-
完結お疲れ様でしたー!
しつもーん
>>37の
> 近い内にまた裁判がある。鬱田ドクオ。
何せ余罪が多すぎる。消滅処分となるのは既に決定しているようなものだろうが、
犯した罪はきっちり精査しなければならない。
ドクオが消滅処分になるのは決定〜って、どっくんオサムに消されたかと思ったけどまだいるの?
あと、
>相手弁護士があの変人でないのが少々物足りないが、
ツン以外の弁護士が担当ってこと?
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さて次回作の構想をだな・・・
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>>96だけどごめん、前スレ読み返したらドクオ拘束札に封じ込められてましたね
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お疲れさまでした
とってもハラハラドキドキワクワクして楽しかったです
でも最終回を迎えたのに終わった感じがしない
なぜかまた次の話も読めるような気持ちでいる不思議
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この余りまくったスレ本当どうしよう
おまけとか番外編は今のところ考えてないけど後で気が変わるかもしれない
まったくの未定です
>>86
治らないこともないかもしれない
でかい
>>96
オサムが拘束札に閉じ込めただけで、まだ消されてはないです
ツン以外の弁護士で合ってる
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憑依されたブーンが未遂で済んだのはなんで?
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しかし最終回読んだ後に以前のドッくんと楽しそうにしてるシーンを見ると辛いな
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>>101
どうやって死のうかな〜って超楽しみながら考えてたからです
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>>103
うわあゲスい
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やはり大人は汚いです…
どっくんの気持ち分からなくもないけど
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ドックンは心の底から外道だったんだな・・・
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心の奥から乙!!
いやあこうなったか・・・
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乙
-
乙!
エピローグにやにやしたぜ
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おつかれー!
楽しませてもらったわ
内藤は帰っちゃうのかぁ
ツンちゃんを手伝い始めた頃はいつか弁護士やるんだろうなとか思ってたが
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本当に面白かった!
乙!
-
ついに終わってしまったか…
今日を迎えるに当たって読み直したけどほぼ丸々2年だもんなぁ…
長い間楽しませてもらったよ!ほんと乙!!
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おっつんー
-
乙!
-
乙ううううん!
ついに終わってしまったか…
エピローグに出てこないアサピーとかバカップルとかどうしてるん?
-
心から乙
また次の作品を楽しみにしてます
-
途中で寝落ちしたんだがこんなに長くやってたのか…本当に乙!!
やっぱり幽霊裁判は面白いなあ
ちょっと番外編も期待してみたり
-
お疲れ様でした。
いやードクオさん衝撃的クズだったなー
ギコさんがああなったのは少なからずしぃのパーソナリティが関係している?
-
明け方までかかってたんですねぇ
お疲れさまでした!
つーさんの事故以来つーさんを目指して男性らしく生活しているしいちゃんのために
『どんなに男性らしい生き方をしていても心持ち1つで女性らしい生き方に戻れるんだよ!』
ってメッセージを込めて女性生活をはじめたギコさんは予想外にハマってしまった
みたいな妄想が膨らんでギ子ちゃんかっこよすぎだろ、、、
みたいになってました
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本当にお疲れ様!!!
伏線とかが張り巡らされて何回も驚かされた
全ての話が大好きだ!!!
面白かった!!!!
-
お疲れ様です、楽しませていただきました
次回作の構想はあるのでしょうか?
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ついに終わったのか
乙!
最後まで楽しませてもらった
ありがとう
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寝ちゃって出遅れたけど、本当に本当にお疲れ様でした!!
すごく面白かったし、連載中、ずっと幽霊裁判の更新を楽しみにしてました。
次回作もあると嬉しいです。
あと出来ればまたせいとかいとかあな本とかとの入れ替わりネタが読みたかったり…。
ずっと質問したかったんだけど、作者さんはプロの作家さんだったりする?
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寝落ちしたわボケェェエエエ!!!
乙!!!!いつも面白い作品をありがとう!!!!
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くそっ寝ちまった!
面白かったぜ!激しく乙!
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うおおお寝てた
面白かったよ乙
-
乙でした
ドクオが内藤に憑依していることをギコ達にあっさり教えたのは自分が楽しみたかったからなのかな?
-
投下途中で寝落ちしてしまった…作者乙!
めちゃめちゃ面白かった!
-
結局トソンを殺したのは誰だったの?
-
>>123
同じ気持ちだけど個人的な事は詮索しないようにしようぜ。面白い作品を書いてくれる作者でいいじゃない。とにかく乙
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>>129
ドクオ
-
最大限の乙ぅぅぅぅ!!
寝落ちしてた畜生!立ち会えると思ったのに
とりあえず完結おめでとうございます!!
作者の気が変わることを願ってるます
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ほんと―――に乙ですッ!!
-
マジで乙だぜヒュー
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最初から読んでたのにラスト寸前で寝オチとか…
このスレが更新されるのが毎日の楽しみでした
心の底から乙!
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ここに居るとまだブーン系読んでるヤツ結構居るんだなぁと実感
-
終わったあああああああ
乙!!
すっきりしすぎだろおおお
好きな作品にはじっくりねっとり終わってほしいんだよおおおおお
-
あな本とか怪奇夜話の時も思ったけど、最後にタイトル絡めてしめられると感慨深いな
綺麗に終わって嬉しいけど、本当に終わっちゃったんだな……ってさみしくなるというか
-
ワカッテマス最終章で出てきたくせに、キャラ濃いし役に立つしでアサピーあたりのキャラ喰ってたな。
ほんとキャラ作り上手いなあ。
-
本当に作者乙!
最終回って聞いてからずっと寂しい思いをしていたんだが、いざ読み終わってみるとすごくすっきりした気持ちがわいてきた!無事に終わってくれて嬉しい!
みんな気にしてるみたいだが、次回作って考えてるのかな?
-
>>115
どのバカップルのことですかね……
【+ 】ゞ゚)川 ゚ 々゚)
£°ゞ°)川*` ゥ´)
( ^ν^)ζ(゚ー゚*ζ
アサピーは元気に呪ったり遊んだり、いつも通りです
ツンの「追体験」を知ってからは、自分がツンをストーキングしてるときの記憶だけを見せてツンの反応を楽しむ遊びがお気に入り
>>118
元々の素質です
でも>>119みたいなのも格好いいのでお好きに想像してください
>>121
今のところはないですね
>>127
イエス
ついに自分に辿り着いたなってことで「じゃあ相手してやろうじゃないか」と
-
ペニサスとミルナは元気してますか
あの二人も今後が気になるんだよね
-
アサピー歪みねぇな
-
うおおおおお乙!!!楽しかった!!!ありがとう!!!!
ニュッさんとデレちゃんはバカップルだったのか…吹いたわ
-
本当に長い間の投下お疲れ様でした
長い間本当に楽しませてもらいました
-
ニュッさんとデレちゃんが作者にもバカップル認定されてて吹いた
-
本当にお疲れ様でした!
伏線回収といい、長編連載は結末まで考えてからスレ立てしているのかな
即興でも筋の通った面白い作品を仕上げる方だから、どっちなんだろうなぁと気になった
質問とは関係ないが、ロマがミセリとの結婚を認めるならワカッテマスだろうかとか、ちょっと思った
カップル脳は駄目だな
-
超乙!
ドクオの本性がちょっと唐突だなぁと思ったけど、それを覆すくらい面白かった
ツンもしぃもかっこよかった
-
>>129
ドクオです
八話目の後編でロマネスクが飛びかかった相手は、
本当はトソンじゃなくてトソンの背後に迫ったドクオでした
っていうのを本編で説明し忘れてた
>>142
元気にやってます
ミルナは裁判後にしぃやギコやペニサスや父親と色々話したりたまに遊んだりして、そこそこ持ち直しました
>>147
大体は書きながら考えます
幽霊裁判は憑依事件の真犯人が誰かっていうことだけは最初に決めてたけど、
どんな裁判になるかとかは特に考えてなかった
-
神隠し罪後編でトソンとロマが会ったとこで、トソンがロマに襲われたようにしか見えない
あれ実はトソンの後ろにドクオがいたとか?
前スレ>>933道連れ罪でした…
-
完結乙
最初から最後まできれいにまとまってて本当凄いわ
この作品読めてよかった
-
今読み終わった
完結お疲れさまです
-
ブーンが帰ったら隣がいなくて心細いわ掃除できないわでツンさんが泣いて戻ってきてと言うんじゃないだろうか
-
ドクオが判決を受ける様とかちょっと気になる
-
ドクオは命すら捨てて何年も鍛えた力が一蹴されて無気力になってそう。あっさり認めてさっさと消滅選ぶ気がする。
-
乙!本当乙!!
ぽぽちゃんが受けた位の軽い刑ってどんなのかちょっと気になるんだけど、どんなの?
-
確かに
('A`)「ふん。人間なんざ鍛えても所詮こんなもんかよ……」
('A`)「くだらねぇ。―――――――くだらねぇなあ」
こんな感じで消滅していったと妄想した
-
>>153
いっそのことツンさんが「きちゃった☆」って内藤実家県に異動してきそうだわw
-
>いっそのことツンさんが「できちゃった☆」って内藤実家県に異動してきそうだわw
に見えた
-
それなんて百物語
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すでにエイプリルフールにやってた件
-
小麦粉ンドームか
-
>>156
罪が軽いし悪質でもないので、霊界へは送られずに
一ヶ月ほど神社に拘束&職員の手伝い等の業務をさせられました
その間はワカッテマスやビロードとの接触(面会とか)も禁止されてました
-
始めからよもうとしたけど1のまとめは404だし探しても見れない…
-
>>4にあるキャッシュまとめで見られるかもしれません
-
>>163
なるほど!答えてくれてありがとう!
霊界に送られない刑もあるんだな。確かにぽぽちゃんの場合だと霊界は厳しすぎるかも…。
ミセリの今後も少し気になるような…、ロマと幸せに過ごしていってほしいけど、社会復帰とかやっぱり大変なのかな。
-
ワカッテマスとロマネスクのその後は今まで通りなのかな
-
>>166-167
登場人物のその後については、お好きな想像をどうぞ
-
ものすごく迷惑かつ図々しいお願いだけどその後の話も書いて欲しいなあ…
好きな話なだけに全てが解決した後の平凡な日々の話もじっくり読んでみたい
-
どうせ次回作でコラボあるから待ってろよ
-
すんなり霊になれたり、霊力の大きさまで誤魔化せてしまう、
あとドクオの発想が突飛過ぎる?辺りで置いてけぼり食らったけど、
愛着の湧くキャラクターは本当に多い作品だった。猫田家は特に良い
道連れ罪のツン登場や最終話のしぃ覚醒で、大勢で一つの展開に夢中になれたのは最高に楽しかった
完結乙。またなにか書いてくれたらもちろん嬉しいが今はとにかく乙
-
>>168
本当に好きに想像して良いのか?(ゲス顔)
-
と、たくらむドクオであった
\____________________/
○
ο
o
,, --──-- 、._
,.-''"´ \
/ ヽ、
/ | \ ヽ
l /\ l
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l l
` 、 /⌒⌒i /⌒ヽ /
`/ | | \ /
真相はこっちだったわけか
-
ズレ過ぎて泣きそう
-
最後にブンツン的な展開になるのかと思ってたけど
結局最後まで奇妙な関係のままだったな
たまにはこんな二人もいいな
-
三十路前のツンと中学生のブーンがくっつく妄想とか気持ち悪すぎる
-
ないとは限らない鈴木央的に考えて
-
まあこのブンツン以上に普通にくっ付きそうだったデレニュッが微妙なまま終わったんだし別にな
-
不必要に繋げようと思わんなー
むしろくっついてたらストーリー崩壊してただろ…
-
ツンさんはまだ23〜26歳位だよ!(多分)
三十路前とは言わない(はず)!!
-
>>180
おばさんだな
貧乳だし
-
まとめはもう見れないの?
-
>>182
総合ROMってみるくらいしろよ
今少しの期間休んでるだけだ
メンテか他の都合かは知らんが
-
今読み終わった、ドクオには煉獄の炎に焼かれて苦しみ抜いて欲しいね
-
煉獄は罪を浄化する場所ですぞ
-
漫画みてニヤニヤしながら思ったんだけどアサピーはどうやってツンさん家入ったんだろう?
-
おばけに物理的な壁なぞとかあってないようなものよ
-
浴室入り放題かよ
-
>>186
おばけなので、その気になれば壁をすり抜けて入ることは出来ます
事務所として使ってる一番奥の部屋以外は結界を張っていないので
(結界のために使うお札は神社等から買う&定期的に替えなきゃいけないので金がかかる)
おばけ法の弁護士の家に悪事目的で不法侵入するような輩は
某呪術師以外にはそうそういないため、ツンはお札代をケチってます
-
>>189
なるほど
つまりツンさんケチってことか
-
せこい
-
ほんとなんで訴えないんだろう...
-
いざというときの貰い手が居なくなるから
-
ところでいつだったかロマが
「こいつ(トソン)を殺せなければ自ら死ぬと決めていた」と言っていたけれど
それは約束したから、ってことでしょうか?
-
>>194
約束したから(指切りげんまんしたから)です
ロマネスクはいまいち人間の文化を理解しきれていなかったので、
約束を果たせない→本当に「針千本」飲まされる→死ぬ
と勘違いしたまま覚悟を決めていました
-
トソン殺そうとしてたっけ?
ミセリじゃないっけ?
-
>>194はミセリとトソンの書き間違いと判断しましたが、もしかして違ったんだろうか……
-
おばけ法弁護士って何人くらいいるんじゃろ
-
>>198
全体での具体的な数字は全く決めてませんが、ヴィップ町はツン含めて2人か3人くらいで、
何とか手が回ってるような回ってないようなという感じ
ニュッやデレがいるN県ニューソク市はもっとたくさんいて、人手は足りてます
個人で活動する弁護士もいれば、複数人で事務所構えてる弁護士もいます
東京とか人口多いところになれば暇を持て余す弁護士もいくらか出てくるので、
そういう人は人手の足りてない地域に行かされたりもする。多分。ほとんど今考えた
ツン以外の弁護士で、本編に挟み込む隙がなくてお蔵になった奴がいるので
今度、短い番外編か何か投下するかもしれません
筆が進まなかったり、間が空きすぎたりすればもう一度お蔵入りにするんで、必ず投下するとは言えないけど
-
>>197
同じくそう思ったけどそのままスルーされてたから気になった
>>199
もう期待しちゃうじゃないですかー
-
>>199
やべえ、すげーときめいちゃったじゃないか
必ず投下すると言えなくてもその可能性があるってだけで胸がときめくぜ
-
>>196、197
あっ、スイマセンミセリです間違えました
ロマは可愛いですね お返事ありがとうございます
-
>>202
だよねよかった
ロマは猫モードをもふもみしたい
-
霊に殺されたトソンや、魂が食べられてしまったカーチャンは消滅処分と同じで、存在そのものが消えたって事になるんでしょうか?
-
>>204
そうなります
浄霊などによって「上」へ送られた魂は、転生したり「上」に留まったりして存在し続けられますが
他者に喰われたり殺されたりすれば、魂そのものが完全に消えてしまう
という設定です。この作品内では
-
『この作品内では』←?????
-
>>205
ありがとうございます!
って事はトソンは完全消滅か…(´;ω;`)
-
>>206
死後の世界とか幽霊おばけの認識は、宗教観やら死生観やら人や場所によって全く変わってくるので、
あくまでもこの作品の世界ではこういう感じ、という但し書きのつもりでした
-
>>208
あぁそういうことか
次回作のことを期待しちゃったよ
-
最大級の乙
長い間楽しんで読んできた作品だから充実感と虚無感がすごい
また気が向いたら何か書いてください
-
>>199で言ってた番外編投下します
-
ジャストタイミング
-
今日も今日とてヴィップ町は平和で。
今日も今日とてヴィップ町では事件が起きている。
番外編:詐欺罪
_
( ゚∀゚)「──って感じで、今はもう、特に何もないかなあ」
∬;´_ゝ`)「ええ……妹者も、そう言ってた」
ヴィップ小学校、応接室。
ローテーブルを挟んで向かい合う男女が2組。
一方はこの学校の教員、長岡ジョルジュと流石姉者。
2人と対面しているのが──
(*゚ー゚)「犯人が逮捕されたので、何も起こらなくなったんでしょう」
(,,゚Д゚)「そういうことよね」
猫田しぃと埴谷ギコ。
しぃはいつもの学生服だが、ギコは仕事中なのでワイシャツとスラックスだ。
先日捕まった妖怪の裁判にあたり、証拠品や証言を集めているところである。
-
ソファの背もたれに身を預け、しぃは窓を見遣った。
6月の夕空には重たい雲が広がり始めている。
雨が降りそうだ。鞄の中の折り畳み傘を確認する。
_
( ゚∀゚)「今回はどんな事件なんだ?」
(*゚ー゚)「詐欺罪ですね」
_
( ゚∀゚)「詐欺」
最近この学校の4年生の間で、こっくりさんが流行った。
怪談の定番こっくりさん。
鳥居のマークや数字、はい・いいえ、男・女等の選択肢を書いた五十音表と十円玉を用いる降霊術。
そのこっくりさんに関して、
「4年3組の教室でこっくりさんをすると必ず成功する」
という噂が流れた。
天気、テストの問題、事故──
そういった予言めいたものが、必ず当たる。
4年3組の教室でのみ。
-
(*゚ー゚)「10円玉が動く現象については大抵、暗示や無意識な筋肉の動きが原因とされる」
∬;´_ゝ`)「あ……そうなの?」
(*゚ー゚)「つまりは『無意識に』、『本人達の意思を反映して』動くわけだけれども……」
(,,゚Д゚)「そうなると今回の件が説明できないのよね」
_
( ゚∀゚)「実際に予言は当たってたからな」
(*゚ー゚)「というわけで、確実におばけが関わっていると言えます」
_
( ゚∀゚)「でも──その。おばけって、予言? とかって、出来んの?
前の裁判見た感じだと、神様ですらそういうのは出来なそうだったけど」
(*゚ー゚)「件のような、予言をする妖怪はいるにはいますけど……稀有な能力には違いないですね。
ただし今回は、そんな予知能力など無くても可能です」
∬;´_ゝ`)「どうして?」
(*゚ー゚)「天気の予言なら気象予報士にも出来る。
妖怪ともなれば、何十年も何百年も自然と共に生きてきた者が多いですから、
経験則を元に、一日二日先の天気を正確に読むくらいは可能でしょう」
-
(*゚ー゚)「テストの問題は職員室にでも行って見ることが出来るし、
事故や怪我の予言は──」
_
(;゚∀゚)「……予言した後に、自分が起こせばいいのか」
(*゚ー゚)「そうです」
一層顔を青ざめさせた姉者が、腰を曲げてソファの肘置きに身を倒す。
ジョルジュが慌てて姉者に声をかけて背中を撫で摩った。
(*゚ー゚)「天気やテストの予言程度ならば、然程問題はありません。
が、さすがに怪我を負わせるのは、やり過ぎだ」
(,,゚Д゚)「しかも、見返りまで要求してたからね……」
──初めは、報酬として生徒の持ち物を欲しがった。
ハンカチと傘。
場所は裏山を指定し、裏山の適当なところに置いておくと目を離した隙になくなっていたそうだ。
その次には食べ物。
それは翌日の給食の余りをこっそり差し出すことで済んでいたらしい。
この頃から、予言される「事故」の規模が大きくなっていく。
-
間に合った支援ズザー
-
そうしてある日、校内で飼育されている兎が報酬に指定された。
兎をどうするんですか、と生徒が問うと、10円玉は「くう」の2文字のみをぐるぐると回り続けた。
異様さに怖じ気づいた生徒の1人が、10円玉から指を離してしまう。
こっくりさんと対話している最中に指を離すのは、よく知られているタブーだ。
その場にいた全員がパニックに陥った。
既に誰も触れていない10円玉は、尚も独りでに動き続けた。
騒ぎに気付いたジョルジュが教室にやって来て、生徒達は彼に泣きつく。
こっくりさんを怒らせた、恐い、殺されるかもしれない──と。
このときに様子を見に来たのがジョルジュで良かった。
姉者だったら失神しているし、
他の教員であれば、生徒を叱るなり宥めるなり、とにかくその場で話を終わらせてしまっていただろう。
幽霊裁判を傍聴したことのある彼だから、迅速かつ適切な対処が出来た。
要するに、姉者を通してギコへ通報したのだ。
駆け付けたギコにより犯人である妖怪は逮捕された。
学校側は、集団ヒステリーとして片付けたという。
それが数日前のことで、こうして今に至る。
-
(*゚ー゚)「予言をするといって騙して、自ら事故を引き起こし、報酬を要求した。
これらは詐欺に当たります」
_
(;゚∀゚)「なるほどなあ。定番の怪談も、今や犯罪行為か」
カップに注がれた茶を飲み干し、しぃは腰を上げた。
深々とお辞儀する。
(*゚ー゚)「ご協力ありがとうございました」
_
( ゚∀゚)「あ、いや、こちらこそ」
∬;´_ゝ`)「も、もういいの?」
(,,゚Д゚)「とりあえず教員からの聞き込みは充分だけどー……」
(*゚ー゚)「よろしければ、例の教室に案内していただけますか」
_
( ゚∀゚)「そりゃ勿論。こっくりさん騒ぎのせいで
放課後の居残りがしばらく禁止になったもんで、今は生徒もいないから大丈夫だ」
(*゚ー゚)「ありがとうございます」
応接室を後にし、ジョルジュに先導される形で4年3組へ向かう。
こうして小学校の中を歩き回るのは久しぶりだ。懐かしい。
震えつつもギコに支えられながら付いてきていた姉者が、不意に訊ねた。
-
∬;´_ゝ`)「ツンちゃんが犯人の弁護するの?」
(,,゚Д゚)「いいえ、今回は別の弁護士ね」
_
( ゚∀゚)「え? あの人以外に弁護士いるのか、この町」
(*゚ー゚)「いますよ。……厄介なのが」
∬;´_ゝ`)「つ、強いってこと?」
(*゚ー゚)「いや、まあ決して弱くはない筈ですが、何というか……」
その弁護士の顔を思い浮かべ、しぃは溜め息をついた。
ヴィップ町の数少ない弁護士の中でも、出連ツンに次いでしぃと戦う機会の多い相手だ。
だが──
しぃは彼が苦手である。
敵として、ではなく、人として。
-
ツンといい、あの男といい、弁護士というやつは──
「はーっはっはっはっは!」
_
(;゚∀゚)「うおっ!?」
突如響き渡った声にジョルジュが肩を跳ねさせ、立ち止まった。
笑い声は、数メートル先、4年3組の教室から聞こえる。
_
(;゚∀゚)「な、何だ?」
∬;´_ゝ`)「生徒は誰もいない筈じゃ……」
姉者は自分の言葉に腰を抜かしかけたが、何とかギコによって食い止められた。
ギコがしぃに目配せする。しぃも同様に返して、頭を押さえた。
再度笑い声。
この声は。
-
(;*-ー-) ハァ
_
(;゚∀゚)「あ……行くのか!?」
早足で教室に向かう。
少し遅れてジョルジュが、更にその後をギコに支えられた姉者が追った。
ガラス越しに見えた背中に舌打ちしつつ、教室の扉を開け放す。
窓を見ていた男が、体ごと振り返った。
(*゚ー゚)「やっぱりあなたか」
¥・∀・¥「やあ、しぃ君! そうとも僕だ!」
白いシャツに白い蝶ネクタイ、白いベストの上には黒い燕尾服。
やたらめったら金ぴかなピアスや指輪をつけた男は、白い歯を光らせて、にっと笑った。
これで40代も半ばに差し掛かろうという中年である。
しぃは、先よりも重く深い溜め息を吐き出した。肺の中の空気を全て出さんばかりに。
-
_
(;゚∀゚)「は? 誰?」
(;,゚Д゚)「こんにちはマニーさん、今日も暑苦し……ドきっちりした格好ねえ」
(*゚ー゚)「汗だくですよ」
¥・∀・¥「はっはっは! 暑さなどに負けて己の信念を曲げては金持ちの名折れ!
これから7月8月と夏の気温は僕を蝕んでいくが、僕は決して屈しない!」
白いハンカチで顔の汗を拭いながら、男、餅金マニーはよく通る声で言い切った。
ギコの後ろから顔を出した姉者が、恐る恐る口を開く。
∬;´_ゝ`)「……どなた?」
(;,゚Д゚)「ああ、この方、さっき言った──
今回の担当弁護士」
¥・∀・¥「餅金マニーという! 以後お見知り置きを!」
気障な仕草で自己紹介をして、マニーは腰から礼をした。
ああ本当に。
ツンといい、この男といい、弁護士というやつは何だって変わり者ばかりなのだ。
-
こちらに近寄ってきて、マニーは姉者とジョルジュに名刺を渡した。
白地に金色のラインが入った、シンプルながらも金のかかっていそうなデザイン。
∬;´_ゝ`)「あ、ご丁寧にどうも……えっ、会社の社長さん!?」
¥・∀・¥「いやT都に住んでいる僕の父が手広く商売をやっていてね、全国にも子会社を持っていて
僕はその内の一つをもらっただけなんだ、いやいや全く大したことじゃない」エヘン
∬;´_ゝ`)「ふんぞり返りながら丁寧な説明ありがとうございます……
社長さんやりながら弁護士のお仕事も出来るものなんですか」
¥・∀・¥「僕ほどの男ならばね」
(,,゚Д゚)「まあ、しぃも高校生で検事やってるし」
∬;´_ゝ`)「あ、そっか」
ジョルジュの方は賢明にも、既にこの男とまともに向かい合うことを放棄したのか
訝しげに室内を見渡していた。
結果、何かを見付けたらしい。
-
_
(;゚∀゚)「……あっ、妹者!」
l从・∀・;ノ!リ人「ぬおっバレたのじゃ!」
机の下に隠れていた少女が両手を挙げて立ち上がった。
流石妹者。姉者の妹。
マニーの背後に回り、妹者はジョルジュの視線から逃れた。
_
(;゚∀゚)「居残り禁止って言っただろ!」
l从・∀・;ノ!リ人「妹者だってリリちゃんと一緒に帰ってたのじゃ。
でもマニーさんが……」
¥・∀・¥「いやはや申し訳ない、流石妹者という少女が幽霊裁判に参加したことがある上、
今回の事件が起きた4年3組の生徒だという情報を得ていたのでね。
下校している生徒の名札を頼りに探し出し、現場へ案内してもらったというわけだ」
(;,゚Д゚)「まさか通学路に立って一人ひとりの名札見比べてたの?」
¥・∀・¥「そうとも!」
_
(;゚∀゚)「下手したら通報されますよ」
¥・∀・¥「金持ちは捕まらない!」
どういう理屈だ。
-
∬;´_ゝ`)「妹者、勝手に教室まで連れてきちゃ駄目よ。
ギコ君達だって校長に話を通して来てるんだから」
l从・∀・;ノ!リ人「しかし姉者! 妹者はこの機会にマニーさんに恩を売らねばならん!
そしてゆくゆくは社長になるであろう高校生の息子さんとお近付きにならねば!!」
∬;´_ゝ`)「高校生とお近付きになってどうするっていうのよ小4が」
¥・∀・¥「安心したまえ僕の息子は年下好きだ!」
(,,゚Д゚)「小学生は年下とか年上とかそういう問題じゃないんじゃ……」
(;*゚ー゚)「あーもう! ええい、一旦黙れ! 話を横に逸らすな!」
¥・∀・¥ + キラッ
マニーが笑顔で黙った。
声も仕草もやかましい男だが、素直ではある。
咳払いをし、しぃは整理のために問い掛けた。
-
(*゚ー゚)「……何をしに来たんですか?」
¥・∀・¥「弁護のために色々調べているんだ。
現場も見ておくべきだろうと思ってここに来た」
(*゚ー゚)「何か分かりました?」
¥・∀・¥「いま来たばかりだから何とも言えないな」
(*゚ー゚)「はあ」
¥・∀・¥「大丈夫だ、君達の邪魔はしない!
それに僕としても調査を長引かせたくはないんだ、妻の美味い手料理が待っているのでね!」
¥・∀・¥ + キラッ
やっぱり苦手だ。
うるさい。鬱陶しい。
-
¥・∀・¥「それにしてもしぃ君。3月の裁判では出連弁護士に負けはしたものの、
君もなかなかの活躍をしたそうじゃないか。
その後の裁判も長引いたが、犯人が極刑に処されてようやく終わった」
(*゚ー゚)「どうも」
¥・∀・¥「君の父の死についても明らかになったね。
悪霊に殺されていたなんて、とても残念なことだ……」
(*゚ー゚)「……はあ」
目を伏せ、首を振るマニー。ちゃらちゃらとアクセサリーが鳴った。
あの裁判以降、色々な者からそういった哀悼の言葉をもらってきたが、
この男からは会う度に言われている気がする。
-
¥‐∀‐¥「猫田つー……彼は僕の良きライバルだった。
同じ頃にこの町で弁護士と検事という立場になった僕らは、毎夜しのぎを削り、
互いに勝った負けたの大接戦……」
(,,゚Д゚)「マニーさん全敗だったわよね……」
(*゚ー゚)「父さんが負けた記録がないからにはそうだろうな」
¥‐∀‐¥「途中で僕がT都に移住せざるを得なくなり、僕と彼の決着はつかないままになってしまった。
いずれA県に戻り再戦すると誓っていたというのに……
ああっ! 僕がいない間に、彼は……」
(,,゚Д゚)「移住っていうか、逃げたわよね」
(*゚ー゚)「『弁護士殺しの町』と本格的に呼ばれるようになったのは、彼が逃げた頃からだと聞いている」
-
¥・∀・¥「しかし、一昨年! つーの娘である君が検事になったと聞き、僕は戻ってきた!
さあ猫田しぃ! 君の父が果たせなかった決着を、
彼のために……そして僕のために、今度こそつけようじゃないか!」
(,,゚Д゚)「父親の方に勝てなかった恨みを娘の方で晴らそうって感じよね」
(*゚ー゚)「今のところ僕に対しても全敗なんだが、彼にとっての決着とはどういう意味なのだろうか」
¥・∀・¥「そのためにも速やかに調査を始めようか!
今晩は妻の得意な筑前煮とコロッケが待っている!」
(,,゚Д゚)「あ、意外と庶民的なメニューなのね」
¥・∀・¥ + キラッ
踵を返し、マニーは窓際まで戻ると、クレセント錠を引き上げ窓を開けた。
しぃも彼の隣に立つ。マニーの香水の匂いの他に、湿った香りが鼻に触れた。
一雨来そうだ。
(*゚ー゚)「1組や2組に比べると、この教室の方が裏山に近い」
¥・∀・¥「そうだね。だから依頼人も、子供達の呼び出しに応えやすかったのさ」
窓の向こうに裏山が見える。
被告人である妖怪は、その山に住んでいた「モノ」だ。
だからこの教室で行われたこっくりさんにのみ反応したし、報酬も山で受け取っていた。
それは被告人本人がそう供述した話。
取り調べには協力的だった。
-
(*゚ー゚)「──被告人は罪を認めていますね」
¥・∀・¥「ああ。通報されたときもその場で待っていたしね。
反省はしているようだよ」
ぽつり。ぽつり。
目の前を何かが落ちていく。
やがてそれらは増えていき、ざあざあと激しい音を立て始めた。
_
( ゚∀゚)「雨か」
l从・∀・;ノ!リ人「むおー、傘忘れてきたから降りだす前に帰ろうと思ってたのに!」
∬´_ゝ`)「ちゃんと持っていきなさいって朝言ったでしょ」
(,,゚Д゚)「車で送っていきましょうか?」
l从・∀・*ノ!リ人「ギコさん大好きー」
(*゚ー゚)「……マニーさん、窓閉めましょう」
マニーは眉間に皺を寄せて裏山を見つめている。
風で入り込んだ雨がしぃやマニーの服を濡らした。
-
ふと、ざあざあという音に混じって、声がした。
下からだ。少しだけ身を乗り出す。
ミ,,゚Д゚彡
(*゚ー゚)「──フサだ」
(,,゚Д゚)「え?」
大きな獣が、校舎の下からこちらを見上げている。
猫田家使役霊の古参、フサ。
尻尾を揺らしながらしぃを呼んでいるようだ。
(*゚ー゚)「被告人について調べるように言っておいたんだが」
(,,゚Д゚)「何か分かったのかもね。
フサさんが校内に入ったら小さなおばけ達が驚いちゃいそうだし、あたしが話聞いてくるわ」
ギコが小走りで教室を出ていった。
今のギコの発言から、校内に複数のおばけがいることに耳聡く気付いた姉者の顔色は既に土気色。
-
(*゚ー゚)(……見えなくなった)
ギコと離れたことにより、しぃの視界からフサが消えた。
しばらくして、傘を差したギコがフサのいる(であろう)辺りにやって来る。
何やら話しているらしいギコを眺めていたしぃは、顔に雨粒が当たる感触で我に返った。
(*゚ー゚)「マニーさん、窓を……」
¥・∀・¥「気になっていることがあるんだ」
(*゚ー゚)「はい?」
マニーは依然、裏山を凝視し続けている。
-
¥・∀・¥「依頼人は物を食べなくても生きていける妖怪だった。
なのに初めの報酬に食べ物を指定し、その後には兎まで要求した」
(*゚ー゚)「物を食べなくてもいい?」
初耳だ。
どうやってそれを知ったのかと問えば、マニーは分厚い財布を取り出し、開いた。
ぎっしり詰まった札束。妹者が目を輝かせる。
財布を右手、札束を左手に構え、マニーが妙なポーズをとった。勇ましい顔をしているので、決めポーズらしい。
■⊂¥・∀・¥つ□「大抵のことは金で何とかなる!!」
(*゚ー゚)
¥・∀・¥ + キラッ
(*゚ー゚)「凄腕の霊能力者に協力を依頼したんですね」
¥・∀・¥「きみの母君だ」
(#゚ー゚)「あのババァ!!」
朝から家中の使役霊が出払っていると思ったら。
あれだけの数を動かすとなると、かなりの金額になったろう。
フサまで駆り出されていなくて良かった。
-
¥・∀・¥「そんな風に罵るものじゃあないぞ! 綺麗で聡明な人じゃないか。
まあ僕の妻ほどではないがね! はっはっは! はっは──」
マニーは笑顔のまま声を止めた。
裏山の中腹辺りを食い入るように見つめている。
しぃもそちらを見遣ったが、雨中に草木があるばかりだ。
──いや。
(*゚ー゚)「……?」
何かが蠢いている。
ほとんどが草むらに隠れていて分かりづらいが、ピンク地に薄黄色の斑点模様。
あれは──
l从・∀・ノ!リ人「傘じゃ」
いつの間に隣に来ていたのか、同様にマニーの視線の先を追った妹者が言った。
-
l从・∀・ノ!リ人「づーちゃんが前に使ってた傘じゃのう」
∬´_ゝ`)「づーちゃんって、妹者のクラスメートの?」
_
(;゚∀゚)「え? あいつの傘って──まさか、こっくりさんにあげたやつか?」
直後、傘が陰に消えた。
それと同時にマニーが踵を返し、教室を飛び出していく。
(;*゚ー゚)「ちょっと、マニーさん……──何なんだ!」
逡巡して、しぃもそれに続いた。
*****
-
(;*゚ー゚)「中年のくせに足の速い……」
来客用玄関から外に出たマニーは、裏手に回って山へと入っていった。
ギコ達がいるのとは別方向。
しぃは少し立ち止まり、ギコの方へ走った。
(*゚ー゚)「ギコ!」
ミ,,゚Д゚彡「あ、お嬢さん」
(,,゚Д゚)「やだ、あんた傘も差さないで」
(*゚ー゚)「いいから来い!」
ギコの手を引っ張り、裏山に向かいながらマニーのことを説明する。
隣で、フサが「ああ」と声をあげた。
ミ,,゚Д゚彡「俺もそのことを話しに来たから。
被告人は必要ない筈のものを欲しがってたっていうのが気になって」
裏山の手前で、フサに待機を命じた。
フサは目立つ。そもそも図体がやたらと大きいので、
小さな山中では満足に動き回れない。
傘をフサに預け、ギコが先に山へ入った。しぃがその後を追う。
-
(,,゚Д゚)「食べ物はともかく、わざわざ指定してまで欲しがってたハンカチや傘を
被告人が持ってなかったのは、たしかに気になってたのよね。
どこにやったのか訊いても『捨てた』としか言わないし」
(*゚ー゚)「……それらを本当に必要としていたのは、別の誰かだった可能性があるな」
(,,゚Д゚)「だとして、何でそれを言わなかったのかしら」
(#゚ー゚)「ああクソッ、何だって幽霊裁判の被告人は隠し事ばかり!」
(,,゚Д゚)「隠し事がなかったら何でもスムーズに終わってるわよ」
(;*゚ー゚)「それもそうだが──うおっ!」
泥濘に足をとられ、滑り落ちかけた。
ギコが手を掴んでくれたおかげで何とか持ち堪える。
-
(;,゚Д゚)「大丈夫? あんたの悲鳴って色気ないわ」
(;*゚ー゚)「どうでもいい。──マニーさんはどこだ?」
(;,゚Д゚)「さあ……傘が見えたってのは、どの辺り?」
(;*゚ー゚)「多分もう少し上……」
「──ぬわあああああ!!」
(,,゚Д゚)「……あっちね、マニーさん」
(*゚ー゚)「そうだな」
左方から聞き馴染んだ声と転がり落ちる音がした。
足元に気を付けながら、そちらに進む。
時折、葉っぱが顔や首筋に当たる度に雨水が流れ込んできて苛ついたが
ずぶ濡れになるにつれ、どうでもよくなってしまった。
-
やや開けた場所に出る。
細い枝が落ちていて、頭上を見ると、斜面に足跡がついていた。
結構な高さから落ちたらしい。
(*゚ー゚)「大丈夫ですか」
¥・∀・¥「うむ。少々腰をやった」
しぃの足元、尻を上げた状態で倒れているマニーが、変わらぬ笑顔で答えた。
妙な掛け声をあげて立ち上がり、腰を摩る。上等な燕尾服が泥まみれだ。
(;,゚Д゚)「いやあああ! いかにも高そうな服が!!」
¥・∀・¥「金持ちの気品はこの程度で揺るがない!」
(*゚ー゚)「そういう話ではなく」
¥・∀・¥ + キラッ
ふと振り返ったマニーはぐるりと身を返し、奥へと進んだ。
しぃとギコも顔を見合わせ、後に続く。
──大して進まぬ内に、「それ」を見付けた。
-
(*゚ー゚)「あ」
(,,゚Д゚)「傘……」
¥・∀・¥「ははは! 見付けたぞ!」
ピンクに薄黄色の斑点。
こちらに先端を向ける形で開かれた傘が、大木の下に落ちている。
よく見れば、その傘は震えていた。
大股で進み寄り、マニーが傘を引っ掴む。
ほんの少しの抵抗の末、傘はマニーの手に渡った。
¥・∀・¥「観念したまえ!」
∧ ∧
(;TДT)「あわあっ!!」
──傘の下に、少年がいた。
少年とはいっても顔つきや体のあちこちに獣の名残があって、人間ではない。
人間らしい部分にのみ目を向ければ、妹者と同じ年頃か。
肘に布が巻かれている。キャラクターものの柄。
中央にある黒ずんだ汚れは──血だろうか。
-
::(;TДT)::「あわ、わわわ、わわわわ」
(;,゚Д゚)「あなた……」
Σ::(;TДT)::「ひいっ!!」
ギコが近付いただけで、少年の震えが激しくなる。
少年はすぐに後方へ走ったが、ぎこちない動きで数歩進んだだけで転んでしまった。
それでもなお逃げようともがき、結局上手く動けないのか、倒れ込んだ姿勢で大泣きし始めた。
(;TДT)「わああああん!!」
(;*゚ー゚)「ちょ、ちょっと──」
(;TДT)「オマエモカー! お前らもモカーのこと苛めるのかー!」
(;*゚ー゚)「は?」
(;,゚Д゚)「そんなことしないわよ」
(;TДT)「嘘だー! うわあああん! わああああ!!」
-
──どうにも話が見えなくて、しぃもギコも、呆然と立ち尽くした。
¥・∀・¥ + キラッ
子供の泣き声が響き渡る中、マニーだけが満足げに頷いていた。
*****
-
(*゚ー゚)「──つまり……君は元々、他県に住むただの犬だったが、
何故か徐々に今のような姿に変わり始めてしまったんだな」
(;TДT)" コクコク
(*゚ー゚)「それで化け物だと苛められるようになり、
人目につかぬように彷徨い続け──先日、この町に辿り着いた。
この山に隠れたところ、被告人と出会った。ということでよろしいか」
(;TДT)" コクコク
何とか少年──モカーと名乗った──を宥めて聞き出した情報を整理すると、
そういうことになるらしい。
しぃはギコを見上げた。特に意味はない。
ただ、ひどく困った顔でもしていたようで、ギコが肩を叩いてくれた。
-
¥・∀・¥「これで、依頼人が何故報酬を欲しがったのかが理解できた」
それに反し、にんまり顔のマニーがモカーの頭を撫でる。
モカーは悲鳴をあげて肩を跳ねさせたが、びくびくしながらもマニーの手を受け入れた。
この怯えようからして、よほど手酷く人間に苛められたのだろう。
先ほど上手く動けていなかったのは、恐怖のせいというよりは、
まだその体の動かし方に慣れていないからか。
肘の傷のはどうして出来たものだろう。
苛められたせいにしろ転んだだけにしろ、血の汚れを見るに、なかなか深い傷に思える。
¥・∀・¥「ハンカチは傷を覆うため、傘はこの雨季に備えるため。
食べ物は、この子が食事を必要とする生き物だからだ」
(,,゚Д゚)「でも食事は給食で済んでたのに、どうして急に兎を欲しがったのかしら?」
(;TДT)「……人間の食べ物が合わないから……」
¥・∀・¥「元が犬だというし、肉が必要だと思ったんだろう。
この子も依頼人も、自分で動物を狩るのは苦手なのかな」
被告人がモカーのことを話さなかったのは、恐らく、モカーがとても臆病だからだ。
進んで罪を認めたのは、警察が山に入ってモカーを見付け、関係者として取り調べるのを避けるため。
──これらが真実とするならば、こちらは、諸々の見方を変えなければならない。
-
(,,゚Д゚)「被告人はモカー君のために必要なものを調達してたのね」
(*゚ー゚)「……だが、やり方に問題がある。
『予言』にかこつけて事故を起こしていたのも、事故を拡大していったのも、許されざることだ」
¥・∀・¥「そうだなあ。恐らくは報酬のレベルを上げるために、
予言内容もそれに釣り合うようにしたかったのかな」
(*゚ー゚)「それもあるでしょうが……。だとしても、被告人は逮捕当日のこっくりさんにおいて、
不必要に子供達を怖がらせるようなこともしていました。
いささか楽しんでいたのではないか、とも取れる」
(,,゚Д゚)「妖怪の性かしらねえ」
モカーを助けていたのは善行だ。
しかし子供達を怯えさせ、「予言」のために無関係の人々に怪我をさせたのは悪行である。
善人とも悪人とも──そもそも「人」ではないが──言えない。
どちらに傾くかは、裁判で決まること。
-
(;TДT)「……で、でも、俺のためにやってくれたことだから……
あんまり、苛めないであげて……」
¥・∀・¥「問題ない!! 罪は罪だから償わなければならないが──
この僕が! 依頼人の刑を軽くするため奮闘する!」
::(;TДT)::
(;,゚Д゚)「大声出す度にモカー君がびっくりしてるから、やめてあげて」
(*゚ー゚)「だからといって軽すぎて不当な刑になるのであれば僕は納得しませんよ」
¥・∀・¥「はっはっは、望むところだとも。金持ちは負けない!!」
(*゚ー゚)「泥だらけでは説得力がありませんが」
¥・∀・¥ + キラッ
(,,゚Д゚)「その続きは法廷でね。
──でもモカー君、被告人が逮捕されてから、ご飯はどうしてたの?」
(;TДT)「木の実とか、草とか……
でも、この山に来る前もそんなのばっかだったから、平気……」
タイミングよく、ぎゅうう、とモカーの腹が鳴った。
お腹がすいたと涙目で呟く姿は、とても平気には見えない。
ここに来たことで少し生き長らえたにしろ、いずれは野垂れ死んでしまうのではないか。
そんな不安を抱かせる。
-
(*゚ー゚)「どうする」
(,,゚Д゚)「人間に苛められてたってことは、人に見られないように姿を消すってのが出来ないわけよね。
なら、こんな小さな山でずっと身を隠してもいられないわよ」
(*゚ー゚)「裁判長に相談してみるか」
¥・∀・¥「それには及ばない!!」
うるさい。
マニーはモカーを抱え上げた。いきなり高くなった視点に、モカーが悲鳴をあげる。
いらん刺激を与えるなというのに。
¥・∀・¥「依頼人は僕に命運を賭けている! 僕には責任がある!
ならば僕はモカー君に対する責任も負わねばならない!」
(*゚ー゚)「ちょっと言ってる意味が分かりませんが……
そこまで言うからには、何とかする手立てがあるんでしょうね?」
¥・∀・¥「勿論!」
-
そうしてマニーは肩車の要領でモカーを担ぎ、
片手に財布を構えて、叫んだ。
¥・∀・¥つ■「大抵のことは! 金で何とかなる!!」
言うと思った。
ツンといい、この男といい、弁護士というやつは。
何だって、こう──人助けが好きなのだ。
日も暮れて暗くなっていく中、マニーのアクセサリーが、僅かな光を反射し輝いた。
.
-
¥・∀・¥「……」
(*゚ー゚)「なに固まってるんですか。決めポーズはもう分かりましたよ」
¥・∀・¥「力んだら、さっき痛めた腰がマズいことになった」
(*゚ー゚)
¥・∀・¥
¥・∀・¥ + キラッ
(*゚ー゚)「ギコ、適当に担いでいってやれ。モカー君は僕と一緒に山を下りよう」
(;TДT)「あわわ」
(*,゚Д゚)「あらあら失礼するわねマニーさん。ああん密着!」
¥・∀・¥「金持ちは素直に身を委ねる!」
-
今日も今日とてヴィップ町では事件が起きていて。
今日も今日とて、ヴィップ町は平和である。
番外編:終わり
-
乙
キャラ濃いのしかいないんか幽霊裁判の関係者は
-
以上です
こんな感じのお蔵入りキャラ
読んでくれてありがとうございました
他にも一つ、ネタはあっても本編に織り込めなかったやつがあるんですが、
もしかしたらそれも投下するかもしれません
ただし今月中に出来上がらなかったら諦める程度の宣言です
目次
>>213 番外編
-
乙です
マニーうざいけどいい人や
ってかもう作者さん仕事早い!!
嬉しい!!!!!!!
-
面白かった乙
こんなテンションの高い金持ちキャラが妻子持ちとは
もう一つのネタものんびり待ってる
-
やった!番外編来てたーー!!乙です!
ドクオが消滅処分された後の話なのか。
マニーさんキャラ濃いwwwツン以外の弁護士が見れて面白かった!
幽霊裁判、本当に大好きな作品なのでまた読めて嬉しいです。
-
乙乙
金持ちなのにやさしいとはなかなかだなマニー
おもしろかった!
-
乙乙
面白かったです
-
おつ
マニーさんどうみてもツンよりキャラ濃いだろwwいい人だけどうぜえwww
-
乙
今回も面白かった
しかしここまで読むと裁判の内容も気になってしまうなww
-
乙乙
あのババァ!!
のとこで不覚にも吹いた
-
乙!
マニーさんウザいい人で好きだわ
-
そうだ質問しぃはフサたん使役したのに見えないの?
なんか不便な気がする
-
>>263
フサがしぃに見えるように気を遣ってくれれば見えるけど、基本的には見えません
たまにギコがいないときに、こっそりしぃの服引っ張って遊んだりします(そして怒られる)
-
>>264
お早い返答ありがとうございます
なるほど使役したからって見える訳じゃないんだ…結構不便なんだね
フサたんのいたずらがかわいいwww
-
ああん密着!出遅れた!
-
乙
マニーさんキャラ濃いなwww楽しかったですww
更なる番外編だとぉ!?
待つに決まってるじゃないか!
-
乙
マニーさんのファンになりました
-
番外編来てたのか
激しく乙
-
やっぱりギコさんのストライクゾーンには限りがない……
乙!
-
完結してたの知らなくて今読み終わった
本当に乙でした大好きです!!
-
ツンとニュッはプレゼント送り返し以降も連絡とかとりあってるの?
あな本とかキノコのようですのイメージでデレとニュッは結構好きだけどツンとニュッの罵倒合戦もかなり好きになった。
あいつら本当は仲良いんじゃねえのか…
-
質問なんだけど、全員に年齢って設定されてんの?年齢順にキャラ並べて欲しい
-
可哀想だからやめてさしあげろ(ツンさんの方を見ながら)
-
>>272
たまにツンとデレが電話やメールで近況報告し合うので、
そのときにニュッがデレの近くにいる場合、最後にニュッがツンに向かって嫌味言ってガチャ切りして、
すぐさまツンが掛け直してきて罵倒合戦する感じです
仲いいです
-
>>273
ブーンやしぃみたいに学年決まってるキャラは設定してますが、他は結構曖昧です
とりあえずエピローグ(2013年4月)時点で
£°ゞ°) 年齢はないけど生まれてから90年〜100年くらい(見た目は30代半ば)
(-@∀@) 年齢はないけど生まれてから50年くらい(見た目は20代後半)
@@@
@#_、_@
( ノ`) 50歳くらい
(#゚;;-゚)¥・∀・¥(´・_ゝ・`) 40代半ば
( ФωФ) 多分ここら辺
ミセ*゚ー゚)リ 37歳
(*゚∀゚) 享年30くらい
('A`) 享年28
(´・ω・`) ( ^ν^) 28歳くらい
_
( ゚∀゚) 26〜28歳くらい
(,,゚Д゚) ∬´_ゝ`) 24〜26歳くらい
川 ゚ 々゚) 享年21〜23歳くらい
(゚、゚トソン 享年21
( ´_ゝ`) ( <●><●>) 大学3年生
( ゚д゚ ) ('、`*川 川 ゚ -゚) 大学1年生
(*゚ー゚) 川*` ゥ´) 高校3年生
( ><) 高校2年生
ξ゚⊿゚)ξ 永遠の15歳
( ^ω^) (´<_` ) ( ・∀・) (-_-) lw´‐ _‐ノv ( ^Д^) 中学3年生
l从・∀・ノ!リ人 ⌒*リ´・-・リ 小学4年生
【+ 】ゞ゚) ζ(゚ー゚*ζ 不詳(オサムの見た目は40代、デレは20代くらい)
もしかすると読み返したら間違ってるかもしれない
-
jk弁護士vsjk検事だったんだな
-
惨めだ
-
ギコと姉者の年齢でツンさんの年齢がうわばかなにをするやめr
-
どっちにしろニュッくんツンより年上だったんか…大人気ねえ…
-
罵倒合戦により鵜束検事の男性機能が復活しますように…
http://iup.2ch-library.com/i/i1304783-1413351266.jpg
ところであな本ニュッくんと鵜束検事の罵倒合戦はまだですか?
-
>>281
男性機能死んでるでワロタ
ギコがいい感じにケバい
ありがとうございます! 頬つつき合ってるのが何か可愛かった
-
>>253で言ってた話投下します
思いのほか長くなった
-
( ^ν^)「照屋、腹減った」
居間の襖を開け放ちながら、鵜束ニュッは朝食の催促をした。
こっちが吸血鬼に飯を提供してやっているのだから、吸血鬼もこちらに飯を用意すべきである。
从´ヮ`从ト「おはようございます。朝餉の用意は済んでおります」
( ^ν^)「おう」
女が三つ指ついて出迎えた。
ぼりぼりと腹を掻きながら、ニュッは卓袱台の前の座椅子に腰を下ろした。
向かいに座る吸血鬼、照屋デレが沢庵なんぞを齧りながらニュッに微笑みかけてくる。
ζ(゚ー゚*ζ「おはようございますー。ご飯美味しいですよ」
( ^ν^)「はよう」
寝起きのニュッは平素よりは若干素直である。というか頭が働いていない。
和装の女が茶碗に飯を盛りつけ、ニュッに手渡した。
それを受け取り、香りで食欲を刺激してくる煮物に箸をつける。
-
ζ(゚、゚*ζ「ニュッさん、『いただきます』は?」
( ^ν^)「いただきます……」
从´ヮ`从ト「召し上がれ。お口に合うか分かりませんが」
程よい歯ごたえを残しつつ、よく煮込まれた人参。
じゅわっと溢れる煮汁は、やや塩気が濃いが、おかげで白米と合う。
米の炊き具合も上々。柔らかすぎず硬すぎず。優しい甘味は普段より強い。
ζ(゚ー゚*ζ「土鍋で炊いたご飯ですって。やっぱり安物の炊飯器より、ずっと美味しいですねえ」
( ^ν^)「うん」
味噌汁は少し冷めてしまっているものの、それでも美味い。
玉子と玉ねぎ。すっと溶けるような舌触りの玉ねぎに、ちゅるりと滑らかな溶き玉子。
煮物と反対に塩味は濃すぎず、しかし出汁がしっかり効いているので舌と腹に優しい。
-
( ^ν^)「お前が普通に飯食ってんの久しぶりに見た」
ζ(゚ー゚*ζ「美味しそうだったので……」
定期的に血さえ吸えれば、この吸血鬼には充分。
せいぜいが菓子類をおやつに食べるくらいで、こういう「食事」は気が向いたときにしかとらない。
たしかにこれなら手が伸びても仕方あるまい。
ニュッもここまでちゃんとした朝食は久しぶりだった。
普段はデレもニュッも忙しいので、手軽に作れるメニューばかりで。
从´ヮ`从ト「いかがでしょうか」
( ^ν^)「美味い」
从´ヮ`*从ト「それは……良かったあ」
頬を控えめに染め、女は微笑んだ。
そっとニュッに身を寄せてくる。
邪魔だったが、どかすのも億劫なのでそのままにした。
彼女が作ったのだろうか。
大層な料理上手だ。
たしか。こいつは。ええと。この女は。
-
( ^ν^)「おい。こいつ誰だ」
ζ(゚ー゚*ζ「遅っ」
番外:連れ去り罪
ζ(゚ー゚*ζ「ニュッさんが昨日お持ち帰りしてきたんじゃないですか」
( ^ν^)「は?」
ζ(゚ー゚*ζ「昨日の夜遅く。べろんべろんに酔っ払って帰ってきたんですが
そのときに、この女性も一緒に」
思い出せない。
たしかに昨夜、居酒屋で一杯引っ掛けるつもりが、美味い酒が入っていたのでついつい飲み過ぎてしまい
果てには正体を失うほど酔ってしまったが。
店に入ったときには1人だった筈だ。
まさか店内でナンパでもしたのか。この自分が。有り得ない。
そもそも女が付いてきたところで、どうこう出来るわけでもないのに。悲しいことに。
ニュッが頭を押さえたまま黙り込むと、デレは溜め息をつき、昨夜のことを語り出した。
-
#####
(*^ν^)『照屋あ。照屋。おい照屋。帰ったぞ。照屋。デレ。デレちゃーん』
ζ(゚、゚;ζ『そんなに呼ばなくてもここにいますよ……うっ、酒臭っ!
うわー、ちょっと、うわー』
(*^ν^)『おう照屋。照屋。いい子だなあお前はなあ、お前の捜査のおかげでなあ、今回も裁判で圧勝してなあ、照屋あ』
ζ(゚、゚;ζ『泥酔したニュッさん気持ち悪いんだから一人で飲んだら駄目って言ったじゃないですか。
あと今回の事件は、私あんまり関わってないんですが』
(*^ν^)『褒美をやって遣わす。ほら飲め飲め』
ζ(゚、゚;ζ『あーあー、もー脱がないでくださいよ。ニュッさんの血は不味いからご褒美になりませんし。
お風呂入ってきてください、それから晩ご飯もらいますからね』
(*^ν^)『じゃあ俺が飲むわ』
ζ(゚、゚;ζ『痛い痛い痛い! 手噛まないでくださいったああああい!』
-
(*^ν^)『照屋あ、客。客』
ζ(゚、゚;ζ『は? 何ですかもう、いい加減にしないと耳ちぎりますよ』
从´ヮ`从ト『……あのう……』
ζ(゚、゚;ζ『……え?』
(*^ν^)『風呂入る。寝る』
ζ(゚、゚;ζ『っえ? あの!? ニュッさん!?
誰ですか、どうしたんですか、どうしたらいいんですか!』
(*^ν^)『あと任せた』
ζ(゚、゚;ζ『だからどうしたら……あーっ、何なの!!』
从´ヮ`从ト『えっと』
ζ(゚、゚;ζ『……ニュッさんのお知り合いですか?』
-
从´ヮ`*从ト『……あの、先程、そこでお会いしたばかりで……』
ζ(゚、゚;ζ『はあー!? いっちょまえにお持ち帰りですかあの朴念仁!
ていうか連れてきといて放置!? 本当どうしようもねえですね!』
从´ヮ`*从ト『い、いいんです、私……どうされたって……』
ζ(゚、゚;ζ(おおっ……と……。ニュッさんったら一体どんな風に騙したの)
ζ(゚、゚;ζ『ひ、ひとまず、こんな時間ですし……泊まっていきますか?
客間にお布団敷きますから……』
#####
ζ(゚、゚*ζ「──ということがありまして。
ニュッさんシャワー浴びたら本当にすぐ寝ちゃうし、困りましたよ」
( ^ν^)「そうか。頼むから泥酔時の台詞を忠実に再現しないでくれ」
しばらく禁酒しよう。
本題とは別のところで決意を固めつつ、ニュッは振り返った。
-
从´ヮ`从ト
女はもじもじと膝の上で両手をこねている。
頭に獣の耳が付いていて、彼女の感情に連動するようにぴょこぴょこ跳ねていた。
( ^ν^)「……」
从´ヮ`;从ト「あっ痛いっ」
とりあえず無言で耳を引っ張ってみる。取れない。
温かい。柔らかい。どうやら本物だ。
丸みのある耳。やや濃いめの灰色の毛。耳の後ろは白い。
( ^ν^)「おまえ人間じゃねえな」
从´ヮ`从ト「はい……」
ζ(゚、゚*ζ「そういえばタイミング逃して訊きそびれたんですが、お名前は……」
从´ヮ`从ト「リコです」
ζ(゚、゚*ζ「リコさん」
リコと名乗った女は、懐から和紙を取り出した。
変色した紙は古臭く、達筆で「狸娘」と記されている。
-
ζ(゚、゚*ζ「たぬき……むすめ?」
从´ヮ`从ト「私の名前です。昔、山を訪れた法師様が名付けてくださいました。
読み方を変えて『リコ』と名乗らせていただいています。
そちらの方が呼びやすいですから……」
ζ(゚、゚*ζ「はあ、なるほど。ということはリコさんは、狸さんなんですね」
从´ヮ`从ト「はい」
( ^ν^)「『たぬきむすめ』から『リコ』とは、また不相応にハイカラになったもんだな」
从´ヮ`*从ト
耳がぴんと立った。喜んでいるらしい。
嫌味のつもりで言ったのだが。
( ^ν^)「……んで、狸。お前は何で俺に付いてきたんだ。つかどこで会った」
ζ(゚、゚;ζ「リコさんって呼んであげてくださいよ」
-
从´ヮ`从ト「あのう、幽霊裁判について御相談したいことがあったんです。
どなたに話を持っていけば良いのか分からず悩んでいたところ、
鵜束様の評判を伺いました」
ζ(゚、゚*ζ「あー、なるほど。ですよね、そうでもなきゃニュッさんなんかに付いてきませんよね」
( ^ν^)「そういうときはまず署の方に行けよ」
从´ヮ`从ト「ごめんなさい、山のお外のこと、よく分からなくて」
ζ(゚、゚*ζ「あまり街へは下りてこないんですね」
从´ヮ`从ト「はい。──それで、盛り場から出られたところへ
僭越ながら声をかけましたらば、」
从´ヮ`*从ト「話は家で聞くと仰って、私の手をお掴みになられると、そのまま2人で家路を……」
──殿方とあんなに長く触れ合ったのは初めてでした。
ほのかに染まる頬に手を添えて呟く狸娘は、ニュッを一度見て、恥ずかしそうに目を閉じた。
-
( ^ν^)「……」
ζ(゚ー゚*ζ「良かったですねニュッさん、三十路手前にして最初で最後のお嫁さん候補」
デレの目が笑っていない。「どうするんですかこれ」と視線で訴えてくる。
どうしたらいいのか、こちらこそ教えてほしい。
ひとまずニュッは箸を下ろし、食べかけの料理をそのまま置いた。
狸娘が悲しげな目で見つめてくる。耳は伏せた状態で。
妖怪の作ったものを不用意に食べれば、何があるか分かったものではない。
いい思いをさせた後に見返りを求めるのは彼らの常套手段。
人間と妖怪の価値観は必ずしも一致しない。
僅かな報酬でとんでもない見返りを要求されることもある。
無論、今のご時世、そういう事態になろうものなら法に則って対処することも可能だが。
( ^ν^)「裁判の相談ってのは?」
从´ヮ`从ト「聞いていただけるんですか?」
( ^ν^)「まあここまで来たら、話ぐらいはな」
狸娘は、「えっと」だの「あの」だのと繰り返し、
しばらくしてから整理がついたのか、ようやく話し出した。
-
从´ヮ`从ト「今、人間の男性が幽霊裁判にかけられている筈なんですが……」
( ^ν^)「人間?」
ζ(゚ー゚*ζ「ああ、あれですよ。連れ去り罪の。自首してきた方」
( ^ν^)「あの、つまんなそうな事件か」
ζ(゚、゚*ζ「面白いか面白くないかで分けるのやめなさいって言ってるじゃないですか」
──おばけの子供を誘拐してしまった。
元の場所に帰してやりたい──
数日前、そう言って警察にやって来た男がいた。らしい。
ニュッは話でしか知らない。
ζ(゚、゚*ζ「男性が言うことには……一ヶ月前に、会社の飲み会に参加したそうなんですね。
酔っ払って一人で帰宅してる途中、山沿いの道を歩いてたら
山の中から鼓笛の音がしたらしいです」
( ^ν^)「鼓笛だあ?」
-
ζ(゚、゚*ζ「アルコールで気が大きくなってたらしくて、音の正体を見てやるぞってなノリで山に入ったそうです。
それで音を頼りに山道を歩いてたらですね、
大きな門と屋敷が目の前に現れたとか」
( ^ν^)「……ふうん」
ζ(゚、゚*ζ「既に鼓笛の音は消えてたんですが……屋敷の窓からは煌々と明かりが漏れてまして、
ふらふらっと、引かれるように中に入ってしまったそうです」
ζ(゚、゚*ζ「お屋敷は広くってですね。高そうな壺やら漆器やらが並んでまして、いかにもお金持ちのお家。
ただ──住人らしき姿は全く見られない」
( ^ν^)「……」
ζ(゚、゚*ζ「だんだん恐くなってきたので、男性は引き返しました。
でも門を出る直前、子犬がいるのに気付いたんですね」
ζ(゚、゚*ζ「きゃんきゃん鳴いてて、何だか弱っているようだったので、
見かねて思わず連れ帰ってしまったとか」
-
しかし犬を飼い始めて一週間経った頃、違和感を覚えた。
顔付きが微妙に変わっている。
さらに数日して気付く。
獣の目ではなくなっているのだ。
まるで人間のような瞳。気味が悪くなった。
さらに数日。
前足の指の形がおかしい。
また──人間に近付いている。
ζ(゚、゚*ζ「一ヶ月経過すると、鼻筋が低くなって、口の形も獣らしくなくなってきて……
『あの屋敷は化け物の家だったんだ、その家の子供を連れ帰ってしまったんだ』と考えた男性は、
吉津根神社の神主さんに相談しに行ったんですって」
ζ(゚、゚*ζ「そしたら神主さんが、おばけ法のことを教えてくれたので
警察に行って自首した、と。そういうことらしいです」
( ^ν^)「あー、その、何だ。ガキの話はひとまず置いといて。
山中の無人屋敷って、そりゃ迷い家じゃねえのか」
ζ(゚、゚*ζ「ですよねえ」
迷い家。伝承の一つだ。
山の奥にある無人の屋敷に迷い込んだ人間は、
その屋敷の中から何か品物を持ち帰ると、富を得て幸せになれる──という話。
-
( ^ν^)「もし迷い家なら、そのガキは幸福をもたらしてくれんじゃねえの」
ζ(゚、゚*ζ「ええ、実際、子犬を飼い始めてからというもの
宝くじに当たったり昇給したりと、小金が舞い込むようになってたみたいです」
ζ(゚、゚*ζ「ただ、あの山……。迷い家があるなんて話、今まで一度もなかったらしいんですよね。
昔はどうだか分かりませんが、今は神様がちゃんと管理してるような場所でもないし……」
デレが首を傾げる。
それに合わせてニュッも顔を傾けた。
ζ(゚、゚*ζ「まあ正直、いまいち分かってないんですよ。諸々。
あんまりちゃんと捜査できてませんからね、まだ。
ほら梅雨ですから。ここんとこ雨続きで、山の中を動き回るにはちょっと危険でしょう」
言って、デレはテレビのスイッチを入れた。
ちょうど天気予報の時間。一週間分の予報が表示されている。
今日からは晴れが続くようだ。
-
ζ(゚ー゚*ζ「天気回復しますねー。これで捜査進みますかね」
( ^ν^)「その犬ガキからは何も情報ねえのか」
ζ(゚、゚*ζ「言葉喋れないし、本人……本犬? も、状況よく理解してないっぽいです。
ほんとに小さくて幼いみたいで」
( ^ν^)「あっそう。──そんで?」
从´ヮ`从ト
( ^ν^)「狸」
从´ヮ`从ト
( ^ν^)「狸。おい。おい」
テレビの画面を見つめていた狸娘は、幾度目かの呼び掛けでようやく反応した。
少しぽかんとしてから、はい、と気の抜けた声で返事をする。
-
从´ヮ`从ト「えっと……?」
( ^ν^)「その事件について話しに来たってことは、何か知ってんだろ。
どんな『ご相談』だ?」
从´ヮ`*从ト「あ……まあ……。鵜束様、鋭いんですのね……すごいです」
ζ(゚ー゚*ζ ウェー
生温い目をしたデレが、半笑いの口元から舌を垂らしてちろちろと揺らす。
狸娘はといえば、またニュッに身を寄せてきた。
肩に頭を乗せ、ニュッのシャツの裾を控えめに掴む。いいからさっさと話せと思う。
从´ヮ`*从ト「そうなんです。……あのう、その子供を引き取りたいのです。
そして男性を解放していただけませんでしょうか」
ζ(゚、゚*ζ「えっ、何でです何でです」
从´ヮ`从ト「彼が見たというお屋敷は、私が見せた幻なんです……」
( ^ν^)「まぼろし」
最初にニュッに芽生えたのは、なるほど──という得心。
狸は狐同様、人を化かす。
寧ろ狐よりもよく化かすと言われるほどで、
化かし方は多岐に渡り、洞穴を屋敷に見せた狸の話もある。
-
从´ヮ`从ト「あのときは山の動物たち──あ、とはいっても、ただの動物ではなくて、
私のような化け狸や化け狐といった類です。
みんなで集まって、化かし合いをして遊んでいました」
もう話が読めた。
ちんたら聞いてやる時間もないので、ニュッの方から先へ進めることにした。
( ^ν^)「そこに居合わせたのが、その男か。
連れ帰ったのは参加者の子供ってわけだな」
从´ヮ`*从ト「ご明察です鵜束様」
ζ(゚、゚*ζ「子供の姿が人間に近付いてるのは、化け物としての力が発現してきてるからですか」
从´ヮ`从ト「ええ。恐らくは、人間様のお傍にいるから、そちらに体を似せ始めているのでしょう」
ζ(゚、゚*ζ「お屋敷は、迷い家じゃなかったんですね……。
その子供の親御さんはどうしてるんですか?」
狸娘は頬に手を当て、困ったように眉尻を下げた。
从´ヮ`从ト「子供を連れ去られてしまって、悲しみに暮れ寝込んでいます。
他の者たちで手分けをして探していましたら、裁判のことを耳にしまして……。
私が代表して、お話をしに参った次第です」
-
从´ヮ`从ト「全ては私達の不手際によるもの。
けれど私達も、もちろん彼も、悪気があったのではありません。
まことに勝手ながら、これで手打ちとしていただけませんでしょうか」
ニュッから離れ、狸娘は深々と頭を下げた。
これなら、警察様のお手を煩わせることもございません──
最後に、そう付け足して。
ζ(゚ー゚*ζ「そういうことなら、円満解決で何も問題ありません」
从´ヮ`*从ト「本当ですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「ただ、私もニュッさんも、その事件の担当じゃないんですよね。
もう出勤の時間ですし、まずは私と一緒に署の方へ──」
( ^ν^)「いや、俺が引き受ける」
ζ(゚ー゚*ζ「──え?」
デレと狸娘の目が、ニュッに向けられた。
箸を取る。ほとんど冷めてしまっているものの、味は然程落ちていない。
-
ζ(゚ー゚*ζ「何です?」
( ^ν^)「今は手が空いてるし、俺が一通り面倒見とく。お前はお前の仕事してろ」
ζ(゚ー゚*ζ「何言ってるんです……ニュッさんのくせに……」
( ^ν^)「俺のくせにって何だよ」
ζ(゚ー゚*ζ「特に事件性もなく、このまま終わる話ですよ。
そんな案件をニュッさんが引き受けるって──嘘でしょう。
ニュッさんの大嫌いな、面倒でつまらないお話じゃないですか」
( ^ν^)「美味い飯まで食わせてもらったからな、多少は報いねえと」
ζ(゚ー゚;ζ「はあ!? は!? はあああ!?
そんなキャラじゃないでしょニュッさん!!」
从´ヮ`*从ト「鵜束様……」
ζ(゚ー゚;ζ「なん──何ですか──まさか──絆されましたか!? ニュッさんが!?
女に擦り寄られて情が湧きましたか!!」
( ^ν^)「どうだっていいだろ、別に」
ζ(゚ー゚;ζ「だ、だって……ニュッさん……ニュッさんのくせに……」
( ^ν^)「だから俺のくせにって何だよ」
-
ζ(゚ー゚;ζ「リコさん駄目ですよ、この男はクズゴミクソ野郎ですよ!!
悪いことは言いませんから、私と一緒に行きましょう! この人とはこの場でオサラバ! ねっ!」
从´ヮ`从ト「鵜束様にそんな酷いことを仰らないでください」
ζ(゚ー゚;ζ「鵜束様ってのもやめましょうよ、この人を調子に乗らさないでください!」
从´ヮ`*从ト「それに私は、この方に付いていくと決めましたもの……」
ζ(゚ー゚;ζ「……、……ちょっ……ニュッさん……何ですか……
まさか本当に、こんなので、いい気になって、鼻の下伸ばしてんじゃ、……」
( ^ν^)「お前は無関係のくせに何を必死になってんだ」
ζ(゚ー゚*ζ
間。
ばん、と音をたてて卓袱台に手をつき、デレが立ち上がった。
廊下に通じる襖を開け放す。
-
ζ(゚、゚#ζ「分かりましたよ、どうぞご勝手に!」
部屋を出て、怒鳴る。
勢いよく引かれた襖は、ぴしゃりと悲鳴を上げ、
叩きつけられた反動で僅かに隙間をあけて止まった。
どすどす、足音を立てながらデレが去っていく。
( ^ν^)「……面倒くせえ女だな……」
从´ヮ`*从ト「鵜束様」
余韻の残る居間。
ニュッが呆れたように呟き、狸娘は甘えるように囁いた。
*****
-
ζ(゚、゚#ζ(男の人ってのは何でああいうのに弱いかな……
あんな明らかに面倒臭そうな……)
曇天の下、デレは折り畳み傘を片手で弄びながら歩いていく。
晴れるのか降るのかはっきりしろ、と空にまで苛立つ始末。
腹が減った。
いや、胃袋は先程の朝食でいくらか満たされているが──「食欲」は募る一方だ。
どちらかというと、そのせいで苛々している気もする。
ζ(゚、゚#ζ(考えてみりゃ3日近く血を飲んでない!
しばらくお互いの在宅時間が合わなかったし、今朝もこの騒ぎで飲めてないし!
私のご飯としての自覚が足りませんよあの野郎!)
決して、ニュッの血を進んで飲みたいわけではない。不味いし。
しかし飲まなければ弱る。気力も失せる。飲まねば生きていけない。
昔は、若くて健康そうな人間を好きに選んで、殺さない程度に噛みついて血を吸って、それで良かった。
今ではあの男の血しか飲めない。
あんな不味い血に頼って生きる己が情けない。
何でよりによって。せめてもっとマシな血なら、デレの精神面も良好に保たれ──
ζ(゚、゚*ζ(……待てよ……)
ふと浮かんだ考え。
足を止め、思考を深める。
-
ζ(゚、゚*ζ(私とニュッさんは異性同士……そして独り身……)
ζ(゚、゚*ζ(でもニュッさんが妻帯者だったらどうでしょう……
奥様からしたら、自分の旦那の血を他の女がちゅうちゅう吸って、
しかも監視のために同居までしてるなんて嫌に決まってます。
夫婦関係にヒビを入れかねない事態です)
ζ(゚、゚*ζ(みんなもそれを分かってくれるはず。
そしたら──そしたら! 私の監視係兼ご飯担当者も交代になるのでは!?
しかもその理由が異性間の問題という点にあるのだから、次は女性が抜擢されるのでは!?)
ζ(゚、゚*ζ(血液の状態なんかニュッさんよりよっぽどマシなはず!
あのマッズイ血に馴らされてしまった今の私には、
きっと、とても美味なことでしょう!)
ζ(゚ー゚*ζ
ζ(゚ー゚*ζ(応援しましょう。祝福しましょう。
頑張れリコさんおめでとうニュッさん! お幸せに!
そしてよろしく新たなるパートナー!!)
10秒ほどの思考を終え、デレは拳を振り上げた。
狸娘は「ステキなトノガタ(笑)」と結ばれるしニュッは人生最初で最後の嫁を得られるしデレは不味い餌と別れられるし、
全方位幸せ満載の格安ハッピーセットだ。
-
ζ(゚ー゚*ζ「そのためにもニュッさんのニュッさんを何とかしなければ……
円滑な夫婦の営みも大切な要素ですからね……
知り合いのサキュバスくずれにでも頼んでみましょうか」
忍び笑いをするデレの足取りは軽い。
爪先の向きを変え、警察署とは別の方角へ一歩踏み出した。
*****
-
地方検察庁の片隅に、おばけ法検察官の出入りする棟がある。
その廊下を、細身の男が歩いていた。
{´ウ`}「今日も頑張るぞ!」
ニューソ。
朗らかな顔と振る舞いが特徴的な検察官。
印象に違わず人がいいのだが、それ故、被疑者達に甘いきらいがある。
その男のふくらはぎを、後ろから近付いたニュッが蹴飛ばした。
( ^ν^)「おいコラ」
{;´ウ`}「痛っ! え、何っ、何? ……あ、やっぱりニュッ君か!
後ろから蹴るのやめてって言ってるだろ、何でこんなことするかな!」
( ^ν^)「『頑張るぞ!』とか無邪気ぶった独り言やめろや。どこに何アピールしてんだ。
お前みたいな奴が心の底から気に食わねえ」
{;´ウ`}「い、いいでしょ別に……いちいち突っ掛からないでよ……」
ぶちぶち言いながら、ニューソは前へ向き直る。
そのまま立ち去ろうとするニューソの襟を、ニュッの右手が思いきり引っ張った。
-
{;´ウ`}「ぐえっ!!」
( ^ν^)「誰が行っていいっつった」
{;´ウ`}「え? 何か用あるの?」
( ^ν^)「お前、連れ去り罪の案件持ってるだろ」
{´ウ`}「うん、まだ起訴してないけど」
( ^ν^)「被疑者に会わせろ」
{´ウ`}「え?」
ニュッが後ろに振り返る。
おずおずと顔を覗かせた狸娘が、深く頭を下げた。
ようやくニューソも彼女の存在に気付いたらしい。数秒固まり、「誰?」と首を傾げた。
*****
-
──地検に呼び出された男は、執務室に入るなり
ニュッと狸娘を見て、ぎくりと身を竦めた。
ニュッは開いていた本を閉じる。犬猫に関する本。
(;`ー´)「ニューソ検事に呼ばれたんじゃネーノ……?」
{´┴`}「あ、僕はこっちです。
今日はこちらの方々が話を伺います」
从´ヮ`;从ト「鵜束様……たしかに、山でお見掛けしたのはこの方でした」
( ^ν^)「そうか」
{´┴`}「ネーノさん、お掛けください」
机を挟んで向かい側に、ニューソが椅子を置く。
ネーノと呼ばれた男は、警官に促されて椅子まで移動し、恐々と腰を下ろした。
-
続けて、別の警官が子供を抱えて入室する。
< ゚ _・゚>
犬と人間が半端に混ざったような姿。犬の方が割合は多い。
狸娘が立ち上がろうとするのをニュッが制した。
( ^ν^)「話が終わってからだ」
从´ヮ`;从ト「は、はい……。ああ、無事で良かった」
子供は、入口のすぐ隣に敷いたクッションに座らされた。
状況を理解していないらしく、ふんふんと鼻をひくつかせて辺りを窺い、
それから退屈そうにクッションの上で丸まった。
{´┴`}「ネーノさん。こちらが検察官の鵜束ニュッ、その隣が──」
从´ヮ`从ト「はじめまして──でもないのですけれど、こうして顔を合わせるのは初めてですね。
私、リコと申します」
ネーノはニュッと狸娘、子供を順繰りに見遣ってから、
狸娘に視線を戻して小さく一礼した。
-
(;`ー´)「は、はじめまして……。──ええと、何の話をすればいいんだか」
( ^ν^)「飲み会にはよく参加すんの?」
(;`ー´)「は?」
( ^ν^)「飲み会。会社の」
(;`ー´)「──いや、あんまり……」
( ^ν^)「事件の日は行ったんだよな?」
(;`ー´)「そういう気分だったからじゃネーノ」
( ^ν^)「ふうん。……普段は、帰宅した後は何してんだ?」
(;`ー´)「……定時に上がれば、風呂に入って、夕飯を食べて……テレビ見たり本読んだりして──寝る。
退社が遅かった日は風呂に入ってからそのまま寝たり……」
( ^ν^)「趣味とかあんのか」
(;`ー´)「──はあ?」
ネーノが怪訝な顔でニュッを見る。
ネーノだけではなく、ニューソも、狸娘も同じように。
-
从´ヮ`;从ト「あのう、鵜束様……?」
{;´┴`}「ニュッ君、何の話なの? リコさんの用だけで済む筈じゃ……」
( ^ν^)「趣味は」
(;`ー´)「こ──これといって、別に。たまに本を読んだり映画を観たりする程度じゃネーノ」
( ^ν^)「どんな本だ」
(;`ー´)「さ、最近は民俗学とかに興味が……。
……これ、事件と何の関係が……」
ネーノの声に苛立ちが混じる。
ニュッが問いに答えないでいると、ネーノは眉間に皺を寄せた。
続けていくつか質問をぶつけていく内に、返答も早くなり、
戸惑いは完全に苛つきへと変わる。
空気が悪くなるのを感じ取ったニューソが幾度か止めようとしたので、その度に足を踏んづけて阻止した。
-
( ^ν^)「独身か。恋人は?」
( `ー´)「いない」
( ^ν^)「会社は日曜出勤とかあんのか」
( `ー´)「忙しい時期にはあるけど、今くらいの時期はない」
( ^ν^)「最近で大きな出費は」
( `ー´)「……車」
( ^ν^)「休日は何をして過ごす?」
( `ー´)「基本的には家で寝てる」
( ^ν^)「動物は好きか?」
( `ー´)「特には」
( ^ν^)「なのに犬を連れ帰った?」
(;`ー´)「──、あ、」
{;´┴`}「え……」
-
ちょろい。
途端に空気が変わった。
ニュッは声を押し殺して笑う。これが楽しい。嘘つきに墓穴を掘らせる瞬間が。
子供が顔を上げてこちらを見、欠伸をして再び丸まった。
{;´┴`}「ネーノさん、昔から犬が好きだったんだって言ったじゃないですか」
(;`ー´)「いや──犬は、犬は好きだ。動物全般じゃなくて──犬は、たしかに。
っそ、それに、弱ってたから拾ったって話したじゃネーノ!」
( ^ν^)「最近ペットショップかホームセンターには行ったか?」
(;`ー´)「ペットショップ? ……そりゃ行ったよ、犬の餌買いに」
( ^ν^)「他に買ったものは?」
(;`ー´)「え? ……えー、と……」
( ^ν^)「首輪とか、リードとか、犬用のトイレとか」
(;`ー´)「……」
{;´┴`}「ネーノさん?」
-
(;`ー´)「……まだ首輪もリードも必要ねえだろうと思っただけだし、
トイレも──重ねた新聞紙だけで済ましてた。
それに、普通の犬じゃないって分かってからは、首輪のこととか考えもしなかったし」
( ^ν^)「犬の異変に気付いたのは、拾ってから一週間経った頃だっけか」
(;`ー´)「おう」
( ^ν^)「その一週間は、普通の子犬だと思ってたんだよな?」
(;`ー´)「……おう」
( ^ν^)「動物病院には行ったか?」
(;`ー´)「……」
( ^ν^)「行ってない? 『弱ってたから』拾ったのに?
今は休日出勤も無い時期なんだよな、それなら病院に行く時間はあった筈だ」
ネーノの顔から血の気が失せている。
ニューソの目に、疑惑が灯った。
しばらく室内に沈黙を保たせてから、それを不意に破る。
( ^ν^)「犬を連れ去った日のことと、目的を正直に話せ」
(;`ー´)「……」
-
从´ヮ`;从ト「この方は──何か目的があって、あの子を連れていったのですか?」
( ^ν^)「それを今本人に訊いてる」
ネーノは口を閉ざし、俯いた。
ニュッが何を訊いても、視線の一つも上げやしない。
これ以上は粘っても時間の無駄か。
ニュッが腰を上げると、ネーノは体を揺らした。
{;´┴`}「ニュッ君、どうするの?」
( ^ν^)「もういい。──行くぞ狸」
从´ヮ`;从ト
( ^ν^)「狸」
从´ヮ`;从ト「あっ、はいっ、……あの子は……」
( ^ν^)「こいつは嘘をついてる。まだ終わらせらんねえよ」
-
从´ヮ`;从ト「そんな──鵜束様! 私は、その方が嘘をついていたとしても
あの子を無事に帰していただけるのなら、どうだって……!」
( ^ν^)「お前がそうでも、こっちは納得いってねえ。
そもそも、そこのガキが本当にお前の仲間の子供なのかも、まだ確認がとれてない」
从´ヮ`;从ト「鵜束様……」
< - _・->
クッションの上で眠る子供を尻目に、ニュッは部屋を出た。
狸娘も名残惜しげにしてはいたが、それに続いた。
.
-
ζ(゚ー゚*ζ「あ、ニュッさんニュッさん」
廊下の長椅子にデレがいた。
雑誌のようなものを開いている。
从´ヮ`从ト「まあ、照屋様」
( ^ν^)「何してんだお前」
ζ(`ー´*ζ「私はニュッさんとリコさんのために頑張ると決めました。
さあ何なりとお申し付けください」
( ^ν^)「俺に迷惑かけない形で死んでくれ」
ζ(´ー`*ζ「うふふ。その口幅ったいところも今だけは許してあげましょう。
間もなくお別れなのだと考えると一抹の寂しさも覚えます」
何なのだ。
気持ちが悪いのでニュッはそれ以上何か言うのを諦めた。
デレは優しい目で微笑み続けている。
{´ウ`}「あれっ、デレさんだ。どうしたの?」
ζ(゚ー゚*ζ「ああどうもこんにちは、ニュッさんより健康的な食習慣で肌ツヤもいいニューソさん」ジュルリ
{;´ウ`}「あ、うん……」
-
ζ(゚ー゚*ζ「私はリコさんの件に首を突っ込むことにしました。
ニュッさんのことだから、面倒な事態に仕立てるのではないかと思ってやって来た次第」
{´ウ`}「当たってるね」
( ^ν^)「仕立てちゃいねえよ」
扉が開き、ネーノが警官に従う形で出てきた。
こちらから目を逸らすように、俯き加減で歩いていく。ニューソが礼をしても、それらしい応答はなかった。
少ししてから、今度は子供を抱えた警官が現れる。
子供は相変わらず現状を把握していない面。付き添いらしい警官が子供に毛布をかけた。
狸娘が手を伸ばし、数秒程そのままの体勢を保ってから、手を下ろした。
-
ζ(゚ー゚*ζ「あの子ですか。たしかに、人間っぽさが覗いてますね。
──あ、そうだニュッさん! おばけ法通信、見ました? 今月の」
( ^ν^)「いや」
{´ウ`}「今日届いたばっかりのやつだね」
ζ(゚ー゚*ζ「そこのラックにあったのを拝借しました」
デレは片手に持った雑誌をニュッに向けた。
おばけ法通信。毎月、おばけ法の検察官や弁護士に届けられる会報誌のようなものだ。
大きな事件があれば号外も出る。最近出た号外は、3月のA県での裁判についてだったか。
中を見れば、珍しい妖怪や事件の判例が主な内容を占める。
幽霊裁判はまだまだ先例というものが少ないので、毎日のように生まれる判例が注目されているのである。
-
ζ(゚、゚*ζ「ここ見てください、ほら、ヴィップ町の記事」
( ^ν^)「ヴィップ……」
{´ウ`}「ヴィップ? A県だよね。あそこも有名になったねえ、猫事件で。
出連弁護士って、ニュッ君は2回も戦ったことあるんでしょ。すごいなあ」
(#^ν^)
{;´┴`}「痛い痛い痛い何何何!!」
ニューソの鼻をもぎ取る勢いで捻る。
やめなさい、とデレに手を引き剥がされた。
ζ(゚ー゚*ζ「ごめんなさいニューソさんプスッ、ニュッさんったらブフンッ、
自分を二度も打ち負か、ピュヒュ、打ち負かした出連先生が一躍有能弁護士として名を上げたのが気に食わないようでクスクス」
(#^ν^)「だから一度目は負けてねえ!! 引き分けだったっつってんだろ!!」
{;´ウ`}「そ、そうなんだ……。
でも出連弁護士って、何か特殊な力があるって噂あったよね。
あくまで噂だけど、それが本当ならニュッ君の2敗だって
別にニュッ君が弱かったことにはならないかもしれないし……元気出して!」
(#^ν^)「一敗一分けだし元気満タンだっつの……」
{;´ウ`}「やめてやめて耳取れる取れちゃう」
ζ(^ヮ^*ζ
-
从´ヮ`;从ト「何があったのかは存じませんが、あまり鵜束様を困らせないでいただけませんか……」
狸娘がニュッを庇うように前へ出た。
この場において唯一の味方だ。もう化け物が嫁でもいい気がしてきた。
ζ(゚ー゚*ζ「はっ! そうだ、そんなニュッさんの黒歴史はすこぶるどうでもいいんです。
記事を見てください。ヴィップ町で詐欺事件の裁判が
今月の始めに行われたそうなんですが……これ、弁護側証人のとこ」
( ^ν^)「……半人半獣?」
{´┴`}「え? どれ?」
こっくりさんだとか何とか、事件の概容もそこそこに、
記事は証人の方を大きく扱っていた。
いわく、犬と人間が混ざったような少年。
元は普通の野良犬だったが、本人の意思と関係なく体つきが人間に変わり始めてしまい、
隠れ隠れ、人目を忍んで生きてきたという。
{;´┴`}「まるでさっきの子みたいだ」
みたい、というか、まんまだろう。
狸娘も興味深そうに覗き込む。
-
その少年は弁護側の証人として法廷に呼ばれたそうだが──
( ^ν^)「『少年が些細な嘘をつくと、監視官はそれを見破った。
この監視官は人間の嘘しか判別つかないのだが』──……」
ζ(゚、゚*ζ「くるうさんが嗅ぎ分けられたってことは、この少年、ただのおばけではないんですよね。
ちゃんと人間でもあるんです」
ただし嘘の臭いも鮮明ではなかったようなので、
やはり、おばけとしての部分もある。
( ^ν^)「化け物と人間のハーフか」
{;´┴`}「そういうのって大抵は、人間かおばけのどっちかに偏るんだけどね」
从´ヮ`从ト「それなら、あの子とは違います……。
あの子はあくまでも化け犬の子ですから、人間の血は入っておりませんもの。
この記事の子がどうなのかは分かりませんけども……」
ζ(゚、゚*ζ「あー、そうなんですか? 本件と何か関係あるのかと思ったのになあ。見当違いですか」
( ^ν^)「──人間の血」
血。血か。
そうか。
それがあったか。
ニュッは雑誌を閉じ、ニューソに押しつけた。
-
{;´┴`}「わ」
( ^ν^)「おい。狸。お前の住んでる山に案内しろ」
从´ヮ`从ト「山にでございますか?」
ζ(゚ー゚*ζ「まさかリコさんのご両親に挨拶を……?」
( ^ν^)「面白いこと言うねお前」
{;´┴`}「山に行くのはまだ危ないよ、昨夜もどしゃ降りだったのに」
( ^ν^)「深くまでは入んねえよ」
从´ヮ`从ト「しかし鵜束様、山に行ってどうなさるというのです?」
( ^ν^)「いいから黙って俺の言うこと聞け。な?」
从´ヮ`*从ト「は、はい……強引なお方……」
( ^ν^)「照屋も来い」
答えの代わりに返ってきたのは、腹の音だった。
デレが腹を摩り、誤魔化すように苦笑する。
そういえば数日前の朝以降、血を飲ませていない。
まあ、と狸娘が口に手を当てた。
-
从´ヮ`从ト「照屋様、朝餉も途中でございましたものね」
ζ(´ー`*;ζ「あ、いえ、そうではなくて……私の本来の『食事』を最後にとったのは、丸3日前というか。
すみませんニュッさん、ちょっと血のほう吸わせていただけますか?」
从´ヮ`从ト「あら──血を飲む刑事さんの噂は伺ったことがあります。照屋様のことでしたのね」
{´┴`}「駄目だよニュッ君、ちゃんとご飯あげないと。面倒見るって約束したでしょ」
( ^ν^)「俺は捨て犬ひろったガキか」
よくよく考えれば似たようなものだった。
躾ければ言うことを聞く分、犬の方がマシか。
散歩の時間だぞと言い捨て、ニュッはデレの腕を掴んで歩き出した。
狸娘もしずしずと付いてくる。
-
ζ(゚ー゚;ζ「え、あの、ご飯……」
( ^ν^)「ちゃんと仕事してくれたら吸わせてやる」
ζ(゚、゚;ζ「お腹空いてるのに、ちゃんとした仕事なんて出来ませんよう」
{´ウ`}「僕も何かすることある?」
( ^ν^)「ネーノの預金と出どころ調べとけ。
あとヴィップ町の猫田に電話して、通信に載ってたガキのことも」
{;´ウ`}「預金? 何で?」
( ^ν^)「調べりゃ分かる」
もしも想像通りなら──
これは、とても自分好みな事件だ。
*****
-
从´ヮ`从ト「そこは踏まない方がよろしいです、雨が溜まっていますので……」
(; ν ) ゼーッ、ゼーッ
来なければ良かった。
山歩きがここまでキツいとは思わなかった。
遊歩道を外れなければいけないので多少は覚悟していたが、それにしたって。
昨夜の雨で軟らかくなった土に足をとられて余計に動きづらい。
6月下旬の気温と湿度のせいで、むっとした空気がまとわりつくのが本当に不快だ。
从´ヮ`从ト「鵜束様、大丈夫ですか? ここで少しお休みになってください」
狸娘が倒木の上に手拭いを敷き、そこへニュッを座らせた。
隣に狸娘が腰掛ける。手拭いとは別の手巾でニュッの汗を拭った。
腕時計を見る。正午だ。これから更に気温が上がるだろう。
ループタイを緩め、シャツのボタンをいくつか外した。
その動きにデレの視線が集中する。
-
ζ(゚、゚;ζ「ニュッさあん……お腹すきました……もう無理です……お願いします……」
(;^ν^)「後だ」
ζ(゚、゚#ζ「私だって飲みたかないんですよ! でも飲まなきゃやってらんないんです!
いずれ近い内にニュッさんともニュッさんの血ともオサラバなんですから
無駄な出し惜しみしないでください!!」
(;^ν^)「お前さっきもお別れとか言ったよな。何なんだそれ」
ζ(゚、゚#ζ「こっちの話です!」
(;^ν^)「いやどう考えても俺にも関係あるじゃねえか。
──もういい、どうせ下らねえこと考えてんだろ。何にせよ御馳走は山を出てからだ」
ζ(゚、゚#ζ「ごちそう! はー、見上げた自惚れっぷりですね! 空腹で働いて働いて与えられるのが粗食ですか。
あんまり酷いと訴えますよ。私としてもニュッさんと離れられるなら、
手段はこの際どうだっていいんですからね」
ζ(゚、゚;ζ「……うっ」
腹の虫が大騒ぎしている。
デレは腹を押さえ、ニュッを睨みつけた。
あれだけ騒げるならばまだ余裕があるだろう。
空腹感は仕方ないにしても、一週間メシ抜きにしてようやく体調に影響が出るような奴なのだ。
この程度ならば働けないほどではない。
-
街の中であるならば空腹に負けて他者に手を出しかねないが、ここは山だし、
わざわざ山を下りて獲物を探すほど切羽詰まってもいまい。
──ともかく、この女には、しばし空き腹を抱えていてもらわねばならないのだ。
我慢してもらおう。
从´ヮ`从ト「鵜束様、お加減はいかがです?」
顔を覗き込む狸娘に、首肯を返す。
幾分か楽になった。
( ^ν^)「喉が渇いた」
从´ヮ`从ト「向こうに湧き水がありますよ。とって参りましょうか。
ちょうど水筒にしていた竹筒が空になってしまいましたし……」
( ^ν^)「危ない場所にあんのか?」
从´ヮ`从ト「いえ、少し下る必要はありますが、それほど危険では……」
( ^ν^)「そうか。じゃあ照屋、ちょっと汲んできてくんねえかな」
ζ(゚ー゚*ζ「は? ふざけてんですか?」
-
从´ヮ`从ト「照屋様は山に不慣れです、私が……」
( ^ν^)「いや、お前は俺と居ろ」
从´ヮ`*从ト「ま、まあっ、まあ、鵜束様、そんな、鵜束様ったら……もうっ」
ζ(゚ー゚*ζ
殺気がすごい。
腹が減ったと訴えて切り捨てられた直後に目の前でこのやり取り。
ニュッがデレの立場だったなら、たしかに八つ裂きにでもしてやりたくなったことだろう。
実際、デレの口元は笑っていたが目が据わっていた。
ζ(゚ー゚*ζ「ええ、もう……私はね……応援すると決めましたから……
いいです、いいんです、どうぞ飢えた私を酷使してください、
そうですよね、分かりました、私なんかはお気になさらず存分に……」
あっちですよね、と方向を確認してから、
デレは狸娘から竹筒を受け取って水を汲みに行った。
2人きりとなった空間に、鳥の鳴き声が響いて消えた。
-
从´ヮ`从ト「……鵜束様と照屋様はどのようなご関係なのです?」
( ^ν^)「飼い主とペット」
从´ヮ`从ト「まあ……」
では恋仲ではないのですねと狸娘が胸を撫で下ろした。
この女もなかなかズレている。
鵜束様、と呟き、彼女はニュッへ身を傾けた。
( ^ν^)「暑い」
从´ヮ`*;从ト「あっ──申し訳ございません、私ったらはしたない……」
ぱっと腰を上げ、狸娘が数歩離れる。
そこまで離れろとも言っていないが。まあいい。
樹に凭れ掛かり、デレの去っていった方向を見つめている。
周囲を窺っているのか、耳がぴくぴく動いていた。
尻尾はないのだろうか。あっても着物の下に隠れて見えないだけだろうけれど。
-
視線を落とす。
昨夜の雨を吸って、ぐずぐずの地面。自身やデレの足跡の他に、獣の足跡があった。
小さな丸い四つ指の下に、いわゆる掌球というやつであろう大きな丸い跡。
( ^ν^)「狸」
从´ヮ`从ト
( ^ν^)「おい、狸」
从´ヮ`从ト
( ^ν^)「おい」
从´ヮ`从ト「──あ、はい、何でございましょう」
-
( ^ν^)「この足跡は?」
从´ヮ`从ト「それは私のものですね。ここらを通るのは私くらいですから。
昨夜、山を下りるときは獣の姿でした。そのときのものでしょう」
( ^ν^)「狸の格好も出来るんだな」
从´ヮ`从ト「普段はこの姿ですが、山中の移動は獣の方が動きやすいのです」
足跡は、先程デレが向かったのとは逆の方から来ていた。
それを視線で辿るニュッに気付いたのか、狸娘も同じ方向を見遣る。
少ししてこちらに振り返った彼女は、ニュッの額に滲んだ汗を優しく拭うと、
ゆるりとニュッの手を持ち上げた。
-
うおおおお来てた!!!!!支援!!!!
-
从´ヮ`从ト「鵜束様……あちらに私の住み処がございます。
ここより涼しいですから、そちらでお休みになってください。
照屋様へは私が声をかけに行きますから」
( ^ν^)「……ああ。そうする。
照屋には電話すりゃいい、この程度の山なら電波も入るだろ」
立ち上がり、ポケットから携帯電話を取り出す。
電源が入っていないのか、画面が真っ暗だ。
起動させる。──しかし画面は変わらない。
舌打ちし、無意味に携帯電話を何度か引っくり返した。
从´ヮ`从ト「いかがなさいました?」
( ^ν^)「携帯の電源が入らねえ。──充電はした筈なんだが」
从´ヮ`从ト「はあ……でんげん……ジューデン……?
ともかく照屋様と連絡がつかないのでございますね?
でしたら、やはり私が伝えておきましょう」
参りましょうと言い、狸娘はニュッの手をとり歩き始めた。
彼女はデレを気遣うように幾度か振り向いていたが、ニュッは一切後ろへ気をやらなかった。
*****
-
ζ(゚、゚#ζ「クソ野郎! お腹すいた!」
デレが吠えると、樹上の小鳥が飛び去っていった。
余韻が霧散していき、やがて、さらさらと水の流れる爽やかな音のみが満ちる。
デレは、その水が湧いている岩場に竹筒を突っ込んだ。
ζ(゚、゚#ζ「あの野郎ほんといっぺん痛い目見せなきゃいけませんね……
事故を装って崖から突き落としてやりましょうか」
きんと冷えた水温に指先が痛み始めた頃、筒を持ち上げた。
たぷん、と中の水が揺れる。
眼前に掲げた竹筒をしばらく睨みつけ──
そして、にんまり笑った。
-
ζ(゚ー゚*ζ(いやいや、私はキューピッドになると決めたんです。
報復は後日たっぷりするとして……
今日はあの2人の仲を取り持つのです。少々乱暴な手段になるとしても……)
竹筒を右手に、そしていかにも怪しいピンク色の小瓶を左手に。
小瓶には液体が満ちている。
それを眺め、デレは舌なめずりをしてみせた。
ζ(゚ー゚*ζ(ふふふ……署に行く前に知り合いのもとで手に入れた、
とっておきの催淫剤ですよ!! 世の人間共が欲して止まぬ下劣なる夢の薬!!
これを飲めば不能も一発で有能に!! 後遺症、中毒性無しの安心安全設計!)
ζ(゚ー゚*ζ(この私をパシりやがってと先程は思いましたが、なんという僥倖、なんというチャンス!
水に薬を混ぜ込んでやるのです! 無味無臭ではありませんが、
喉の渇いたニュッさんが一口でも飲めば充分、
あとはリコさんと2人きりで山に放置してやりゃ既成事実の一つや二つ……)
小瓶の中身を竹筒に投入する。
蓋を閉め、筒をくるくる回して薬を完全に行き渡らせ、作業は終了した。
-
これで手筈は整った。
待っているがいい、新しい監視係。
ニュッより美味い血を提供してくれるのであれば、とびきり丁寧に扱ってやろう。
たとえ美味でなかったとしても、あれより横暴で捻くれた輩もいないだろうから、
今度のパートナーは食生活から何からサポートして自分好みの血に育ててやる。
自分好みの。
血に。
ζ(゚ー゚;ζ ギュルルルルルグウウウウウ
ζ(゚ー゚;ζ「……おなか……すいた……」
血が飲みたい。
血。血。
血が。
──ポケットから甲高い音が鳴り響き、竹筒を取り落としそうになった。
しっかりと握り直し、音の発生源である携帯電話を持ち上げる。
-
ζ(゚、゚;ζ「山の中でも電波入るんだ……」
ニューソからの着信だ。
強烈な空腹感に蹲りながら、電話に出た。
ζ(゚、゚;ζ「はい、照屋です……」
『デレさん、ニュッ君いる? ニュッ君に掛けたんだけど出なくて……』
ζ(゚、゚;ζ「今は近くにいないですけど、あとで合流しますんで伝えておきますよ」
『良かった、ありがとう。あのね──』
ふと。
デレは、顔を上げた。
*****
-
从´ヮ`;从ト「──鵜束様、大丈夫ですか……」
( ^ν^)「ああ」
洞穴。
狸娘の住み処だという岩屋に、ニュッは座っていた。
真昼でも暗闇を湛える空洞の中、ランプの灯りが辺りを照らす。
そのランプを、狸娘がニュッの腕に近付けた。
肘の下から血が垂れている。
他にも、頬や手首に擦り傷が出来ていた。
从´ヮ`;从ト「申し訳ございません、私の注意が足りないばかりに……」
( ^ν^)「注意してなかったのは俺の方だ」
この洞穴へ向かう途中で、足場が崩れたのだ。
大した高さから落ちたわけではないので怪我も軽く済んだが、
責任でも感じているのか、狸娘は泣きそうな顔で、まるで大怪我でも負ったかのように扱ってくる。
-
从´ヮ`;从ト「少々お待ちください」
ニュッに背を向け、彼女は脇に置かれた用箪笥を漁り出した。
その背中から目線を下げて、ランプを観察する。
複雑な細工が施されており、上等な品であるのが分かる。
別の場所へ目を向ければ、和箪笥やら文机やら、高そうな調度品が揃っている。
ニュッが座らされているのは布団の上なのだが、その布団も決して安物ではない。
( ^ν^)「……随分とご立派な暮らしぶりのようだな」
从´ヮ`从ト「昔は、時おり人間様を化かして高級品を得ていたものでした。
おばけ法が制定されてからは出来なくなりましたので、
昔のものを大事に使っております」
( ^ν^)「ふうん……」
水瓶に浸した手拭いで傷口を拭い、狸娘は包帯やら何やらを膝の上に置いた。
傷薬らしい瓶の蓋を開けようとしていたので、その手を包むように押さえる。
-
从´ヮ`*;从ト「きゃっ。ど、どうなさいました?」
( ^ν^)「手当ては後でいい」
从´ヮ`;从ト「しかし……」
狸娘は首を傾けた状態でニュッの肘と顔を見比べ、やがて目を伏せ頷いた。
薬と包帯を用箪笥に戻し、ニュッの隣に寄り添う。
山の中は静かだが、洞窟の中ともなると、ますますひっそりしている。
ひやりと冷えた空気が肌をくすぐり、その冷気から逃れるように、狸娘はニュッの肩に頭を凭れさせた。
たおやかな手が、ニュッの手に重ねられる。
ニュッが拒まずにいると、彼女の手はゆっくりと滑り、
手首から腕を辿って、胸元に添える形で一旦止まった。
-
从´ヮ`*从ト「……鵜束様……ああ、私、こんな気持ちになったのは初めてでございます……。
あなた様といると、どきどきして堪らなくって……」
細い指がループタイの紐をなぞって上がる。
留め具を撫で、それから、躊躇いがちにニュッの喉に触れた。
首筋へと添えられた手に従い、ニュッは顔を傾ける。
ランプの光を反射する狸娘の瞳は、熱に潤んでいた。
从´ヮ`*从ト「あなた様の命令ならば何だって聞きましょう。
ですから、どうか私を──お傍に置いてくださいまし……」
ニュッもまた、片手で狸娘の髪に触れ、頭のてっぺんで揺れる耳の付け根をそっとつまんだ。
目尻を赤く染める彼女に、小さく笑いかける。
( ^ν^)「──2人きりになりゃあ、こうやって色仕掛けから始めんだろうなと思ってた」
从´ヮ`从ト「……鵜束様?」
-
( ^ν^)「本当に俺の言うこと聞くっつうんなら、まず嘘つくのをやめろ」
从´ヮ`从ト「何を……」
手を離し、狸娘は僅かに距離をあけた。
表情も、声も、訝しい。
ニュッは耳から手を離さずに、口角を吊り上げる。
強めに引くと、狸娘が悲鳴をあげた。
从´ヮ`;从ト「痛っ……!」
( ^ν^)「これ、狸の耳じゃねえな」
从´ヮ`;从ト「え……」
( ^ν^)「虎耳状斑がある」
从´ヮ`;从ト「こ、こじじょうはん……?」
-
( ^ν^)「トラだのライオンだの──ネコ科の動物の多くに見られる、
耳の後ろの白い模様のことだ。
狸はイヌ科だから、こんな風に白くはならねえ」
──強い力で、ニュッの手が叩き落とされた。
狸娘は、はっとした顔でニュッの手を見下ろし、すぐに先のような困り顔になった。
反対にニュッは笑みを深める。
从´ヮ`;从ト「み、耳が痛くて、思わず叩いてしまいました……ごめんなさい……。
……それで、えっと、私の耳の裏が白い──のでしたね?
自分の耳の裏など見たことがないので分かりませんが、
たまたま、そういう毛色になっているだけではありませんか?」
( ^ν^)「素直にゃ認めねえか。
足跡の話もしてやろうか?」
从´ヮ`;从ト「足跡が何だというのです」
-
( ^ν^)「さっき俺が見た足跡はどうやらお前のものらしいが、
あれには爪の跡がなかった」
从´ヮ`;从ト「……」
( ^ν^)「ネコ科の動物は爪をしまえるから爪の跡がつかねえが、
イヌ科の動物は爪が出っぱなしだからな、足跡には爪の形も残る。
さっきも言ったが狸はイヌ科だ」
从´ヮ`;从ト「鵜束様が──見逃しただけでしょう。
でなければ、私以外の者もあそこを通っていたのかもしれません」
( ^ν^)「足跡はこの洞穴の方向から来てたぞ。
それでも認められないなら、ここの出入口の地面を見てこようか。
お前の住み処なんだから、そこにあるのはお前の足跡だろう」
从´ヮ`;从ト「それは……」
( ^ν^)「まあそんな面倒なことしなくても、
お前が今すぐ俺の目の前で元の姿に戻ればいい話なんだが」
狸娘は俯き、黙った。
諦めたか。つまらない。
しかしニュッが身じろぎすると、はたと顔を上げ、腕に縋りついた。
-
从´ヮ`;从ト「私の名前を見たでしょう! たしかに『狸』と書いてありました!
人間様はあまり実感がないでしょうが、我ら妖魔にとって、
名というのは存在そのものを表していて──」
( ^ν^)「本来『狸』という字に『タヌキ』って意味は無い」
──肘の傷口に狸娘の指先が食い込み、顔を顰めた。
狸娘の瞳はニュッの口元に向けて据えられ、ぴくりとも動かなかった。
( ^ν^)「元々あの字はヤマネコ辺りを指すものだ。
──実際、仙狸っつう妖怪がいるが、それは山猫の妖怪だし」
从´ヮ`从ト「……」
耳が揺れる。
ニュッが喋るごとに、彼女の目から温度が失せていく。
愉快だ。この変わり身。あの生意気な中学生を思い出す。
( ^ν^)「さて、ここで疑問が湧くな?
何でお前が俺らに素性を隠そうとしたか、だ」
-
有能有能とはいわれていたが 実際に有能なところを見せ付けられると違和感がすごいな しえん!
-
( ^ν^)「無意味に嘘をついてもメリットがない。
ならば、自分をタヌキだと偽る必要があったから、そうしたわけだ。
じゃあ何故その必要があったか……」
从´ヮ`从ト「……鵜束様、先程より饒舌でいらっしゃいますのね」
( ^ν^)「悪いな、楽しくて仕方ねえんだ。
……お前は、タヌキでなければならなかった──いや、タヌキでもキツネでもいいが、
『ヤマネコであってはいけなかった』んだ」
( ^ν^)「山に入ったネーノが迷い家に遭遇した。
迷い家から子犬を連れ帰ったために、ネーノは富を得た。
──そういう『設定』になってたからな」
从´ヮ`从ト「鵜束様」
幾分か低めた声に遮られる。
既に、先までの熱っぽさは鳴りを潜めていた。
傷口を抉るように、また指先に力が込められる。
ニュッが痛みに呻くと、狸娘は表情を緩めてみせた。
-
从´ヮ`从ト「今、この状況で……よくもまあ、それほどお喋り出来ること」
( ^ν^)「……お前は俺に危害を加えられない」
从´ヮ`从ト「どうして決めつけられますの」
( ^ν^)「俺とお前が一緒に山に行くことを、第三者に知られてる。
山に行った俺が無事に帰らなければ、お前が怪しまれるのは明白だろう」
狸娘はしばし目を閉じ、それから、満面の笑みでこちらの顔を覗き込んだ。
じくじくと傷が痛む。平素ならば引っ叩くところだが、
今は、そうしてはならない。
-
とても水溶き小麦粉をコンドームに入れて遊んでたとは思えない有能ぶりだ
-
从´ヮ`从ト「嫌なお方。
でもね鵜束様、この山には、私以外の妖怪だっていますのよ。
狐にでも頼んで、鵜束様に化けてもらうことも出来ましょう」
( ^ν^)「それも無理だな。
山を出た後に、照屋に血を飲ませてやると約束した。
血を吸われれば一発でバレるぞ」
从´ヮ`从ト「鵜束様になりすました狐に、こう命令させましょうか?
『他の人間の血を吸っていいぞ』、なんて」
( ^ν^)「……あー……そりゃ手放しで受け入れるだろうな、あの馬鹿なら」
参ったな、と呟き、頭を掻く。
狸娘はおかしそうに笑うと、ニュッに寄り掛かり、口を大きく開いた。
口の端で、牙がきらりと光る。
首を噛まれるのは慣れているが、まあ、噛み方が違うだろう。
从´ヮ`从ト「考えが足りませんでしたのね……可哀想な人」
( ^ν^)「いや、まあ、どのみち助かる気ではいるんだがな」
从´ヮ`从ト「強がり」
馬鹿みたい。
狸娘がそう呟いた、──
-
そのときである。
ζ(゚Д゚*;ζ「ごは─────ん!!」
馬鹿が馬鹿な掛け声と共に飛び込んできた。
.
-
从´ヮ`;从ト「なっ!?」
ζ(゚Д゚;ζ「あ!? ……はっ!?
あっ……ちくしょう!! ニュッさんの匂いですか!!」
( ^ν^)「遅ぇしうるせえし最悪な登場だな」
从´ヮ`;从ト「あっ!!」
意識が逸れた隙に、狸娘を突き飛ばした。
俯せに倒れた彼女の腕を、後ろ手に掴む。
-
( ^ν^)「照屋」
ζ(゚、゚;ζ「くっそ……くっそう!! 血の匂いを辿ってみれば正体がニュッさんとは!
怪我をした登山者に優しい眼差しで近付き
『あらあら痛そうですね、つば付ければ治りますよ』ってな流れで血を舐めてあげる計画がぁあ……!!」
(#^ν^)「照屋ァ!!」
ζ(゚、゚;ζ「あっ、はい。何でしょう」
(#^ν^)「手錠しろ手錠!」
ζ(゚、゚;ζ「え……──わ、分ッかりました!」
行動は早い。
言われた通りに、デレは手錠符を狸娘の両手首に巻きつけた。
よく分かりませんが拘束札じゃなくていいんですか、と問うデレに、首を横に振る。
まだ話は終わっていない。
狸娘はしばらくもがき、やがて諦めたか、おとなしくなった。
それを放って、首を傾げるデレに一連の事情を説明しておく。
-
ζ(゚、゚;ζ「──はあ、ヤマネコ……?
あ、そうだニュッさん、さっきニューソさんから電話がありました」
( ^ν^)「何て言ってた」
ζ(゚、゚*ζ「ネーノさんの口座を調べたら、ここ半年の間に結構な額が何度か入ってたそうです」
( ^ν^)「半年な……。
ネーノは、一ヶ月前に犬を拾ってから昇給やら宝くじやらで金が舞い込んだと言ってたんだよな?」
ζ(゚、゚*ζ「でもよくよく調べてみると、そんな事実はなかったんですって。
出どころ不明のお金がたくさん……」
( ^ν^)「この山で稼いだだけだろ」
ζ(゚、゚*ζ「山?」
-
( ^ν^)「えげつねえ商売だ。
──半人半獣の化け物を作って、売りさばいてたってとこか」
ζ(゚、゚;ζ「作っ……」
从´ヮ`从ト「……」
デレは絶句し、狸娘を凝視し、それからニュッを見た。
何かに気付いたような顔だった。
ζ(゚、゚;ζ「……ニューソさんからの報告がもう一つあります。
ヴィップ町の方に確認をとってみたところ──
あの、詐欺罪の証人として呼ばれたっていう少年は、
このN県からA県に流れ着いたんだそうです」
-
ζ(゚、゚;ζ「もしかして、その子もここで?」
( ^ν^)「多分。管理が行き届かなくて逃げられたのか、
それとも売られた先から逃げ出したのか──まあ知ったこっちゃねえが」
あの少年には、おばけとしての面と、人間としての面があった。
つまりはどちらの血も入っている。
犬の妖怪と人間によって作られた子供だ。
どうやったか知らないが、上手いこと互いの要素を半々の割合にして。
人間としての血があるから、普通のおばけのように姿を消すことが出来ない。
霊感がない者にも視認することが出来る。
──誰にでも見える、化け物。欲しがる人間はきっといる。
この山で、狸娘を始めとした妖怪達はそういった化け物を生み、売っていたのだ。
-
デレは口元に手を当て、眉間に深い皺を刻んだ。
ζ(゚、゚*ζ「ネーノさんは……」
( ^ν^)「協力者だな。種を提供してたのか、それとも流通の確保か、はたまた両方か。
あいつ1人で出来るとは思えねえし、人間の協力者は他にもいるだろうよ」
从´ヮ`从ト「……推測ばかり話していますけれど……
ネーノさんが連れ帰った子供には人間の血が入っていないと、説明しましたでしょう」
( ^ν^)「あのガキの血を一滴もらって、照屋に舐めさせりゃ分かる」
ζ(゚、゚;ζ「そりゃ分かりますけど、ちょっとやだなあ……」
狸娘が舌打ちし、目を逸らした。
観念したような表情。ぞくぞくする。
これが堪らないのだ。犯罪者が逃げ場をなくして屈する姿が。
ζ(゚、゚*ζ「……こういうときのニュッさんの顔が、一番悪人くさい」
自覚はしている。
携帯電話を見てみると今度は普通に電源が入ったので、にやつきながら警察へ連絡を入れた。
*****
-
( ^ν^)「──ネーノはとんでもねえ小心者だったわけだ。
金儲けに参加したはいいが、良心が痛んだのか
ガキを一匹連れ帰っちまった」
夕方。N地検。
執務室の椅子に腰掛けたニュッが、書類をぱらぱらめくりながら言った。
首筋に噛みつきながら、デレはそれに耳を傾ける。
-
( ^ν^)「が、結局は恐くなり──警察に駆け込んだ」
ζ(゚、゚*ζ「のこのこと山に返しに行けば、リコさん達からお仕置きされかねませんからね」
( ^ν^)「で、小心者のネーノは保身のために嘘をついた。
『たまたま山に入ったら迷い家があって、そこから犬を連れ去った』ってな」
収入の増加により、暮らしぶりもそれなりのものだった。
そこを突かれたときに備え、ネーノは「迷い家に行った」ともとれる嘘をついたのだ。
迷い家から犬を連れ帰ったおかげで幸運が舞い込んだのだ、と思わせるために。
ζ(゚、゚*ζ「山を調べられたらネーノさんだって困るでしょうにねえ……」
( ^ν^)「おばけ法のことは碌に知らなかったんだろ。
自首する前に神社に行ってたくらいだから」
そして、その件を耳にした狸娘がネーノと子供の回収に向かった。
警察が嗅ぎつける前に、「自分が化かしたせいだ」「子供を返してもらえればそれで済ませる」と言って
内々に事を終わらせたかったのだろう。
-
ζ(゚、゚*ζ「リコさんはどうしてタヌキのふりをしたんです?」
( ^ν^)「ネーノが迷い家に行った設定にしちまったからだ」
ζ(゚、゚*ζ「……あ、そっか。
リコさんとしては、仲間の子供が連れ去られたってだけのシンプルな話で済ませたかったんですもんね。
だとすると迷い家の話は余計だから──」
( ^ν^)「自分達が化かした、ってことにするしかなかった。
屋敷まで出すような化かし方をするっつったら、狐狸の類だ」
ζ(゚、゚*ζ「化け猫よりは、化けダヌキでいる方が説得力があったんですね」
( ^ν^)「しかもヤマネコとなると、物珍しさから興味を持たれてあれこれ調べられかねない。
タヌキの方が色々都合が良かった」
担当検事であったニューソではなくニュッの方に声をかけたのは、何てことはない、
ニュッの方が有名だったからだ。
腹黒陰険人格破綻検事。そんな風に。
そういう人間ならば欲まみれだろうと狸娘は考えた。
まずは気のある素振りで擦り寄った。これで言うことを聞かせて、
ニュッの口ぎきでネーノと子供を解放させれば、もう用済み──の筈だった。
-
ζ(゚ー゚*ζ「でもニュッさんって捻くれまくってますからね……まったく靡かない上に、
いらんことを嗅ぎ回り始めたもんだから、リコさんも焦ったでしょう」
( ^ν^)「だから次は、洞穴で本格的な色仕掛けでもって俺を引き込もうとした。
それが駄目なら次は金でもちらつかせたんだろうが」
実際、洞穴を調べると大量の現金が出てきた。
まさか葉っぱになるのではないかとも思ったが、本物だった。
ζ(゚ー゚*ζ「良かったですねーニュッさん。山に行くことをニューソさんに言っといて。
でなければ山に入った瞬間にリコさんに殺されてたかもしれませんよ」
( ^ν^)「結局殺される直前まで行ってたけどな」
-
ζ(゚、゚#ζ「あっ、そうだニュッさん、あれのために血を出し渋りましたね?
危なくなったら血の匂いで私を呼ぶために……」
( ^ν^)「もうちょい探りを入れるためには、一旦お前と別行動をとる必要があったからなあ。
保険だ保険。どうせ携帯は使わせてもらえねえだろうと踏んでたし」
ζ(゚、゚#ζ「考えがあるんなら最初に言ってくださいよ、もうっ!
こんな血のために必死になって馬鹿みたいですよ。あー不味い不味い!」
話しながら休み休み血を吸っていたデレが、ようやく離れた。
ボタンを留め、ループタイを締め直す。
豆乳のパックにストローを刺して、ふと、ニュッは机の端に目をやった。
( ^ν^)「その筒、いつまで持ってんだ」
ζ(゚ー゚;ζ「えっ」ドキーン
デレが水汲みに使った竹筒が机に置かれている。
被疑者の私物なのだから返しておけと言ったのに、
何故かそれを拒んで、ここまで持ってきたのである。
-
ζ(゚ー゚;ζ「いや、ちょっとね、ほら、湧き水って美味しそうじゃないですか、だから、勿体なくて、ね」
( ^ν^)「……飲め」
ζ(゚ー゚;ζ「えっえっ」
( ^ν^)「美味そうだっつうんなら飲めよ」
ζ(゚ー゚;ζ「えっえっえっ」
( ^ν^)「……元はといやァ、俺に飲ませるために汲んできたんだよなあ……。
毒でも入れてんじゃねえのか? あ? だから鑑識に調べられたら困るってか?」
ζ(゚ー゚;ζ「ちッがッ……ど、毒じゃないですけどお!」
(#^ν^)「じゃないですけど何だ。やっぱ何か入ってんなテメェ……」
ζ(゚ー゚;ζ「わ、私はですね! 私なりに! ニュッさんのためを! 思って!」
(#^ν^)「ぜってえ飲ますぜってえ飲ます口開けろホラ開けろ開けろ」
ζ(;、;*ζ「いやあああああ!! ごめんなさああああい!!」
{;´ウ`}「ちょっちょっちょっ何やってんのニュッ君!! 駄目!! 警察呼ぶよ!!」
(#^ν^)「あ?」
床に引き倒したデレに馬乗りになっていたニュッは、
ドアを開けて叫ぶニューソを睨みつけた。
-
瞬時に抜け出したデレが竹筒を奪い、中身を窓から外へぶち撒ける。
そのまま窓枠に縋りつき泣きじゃくるデレに、ニューソが駆け寄った。
ζ(;、;*ζ「死ぬかと思った……」
{;´ウ`}「ニュッ君……」
(#^ν^)「死ぬかと思うようなもん入れてやがったのかよ」
ζ(;、;*ζ「死なないけど……死ぬかと思った……」ウッウッ
いったい何を入れたのだ。
締め上げて訊くべきか。
拳を鳴らしていると、視界に紙の束が入り込んだ。
ニューソが、両手いっぱいに抱えた資料を差し出してきたのだ。
-
{;´ウ`}「何があったのか知らないけど、機嫌直してよニュッ君。はい、これ」
( ^ν^)「なんだよ」
{´ウ`}「今回の事件、ニュッ君に引き継ぎ。
僕はサポートに回るから」
ζ(ぅ、゚*ζ「え……いいんですかニューソさん。
この件はたくさんのおばけや人間が関わっているであろう大事件ですよ。
解決に導けば超々お手柄の筈です」
{´ウ`}「だってニュッ君が真相を暴いたんだから。
ならニュッ君に任せるべきかなって。
頑張ろうね、出連弁護士を見返そうよ」
-
( ^ν^)「初めてお前が輝いて見える。感謝を込めてこき使ってやるから頑張れサポート。
あーヤッベ、テンション上がってきた」
{´ウ`}「うん……僕はもう後悔し始めてる……」
ばしばしニューソの背中を叩き、受け取った資料を机に乗せる。
その束を見ていると、わくわくというかぞくぞくというか、ひどく落ち着かなくなってきた。
昨年の8月、そして今年2月。
二度の失敗以来、地味でつまらぬ事件ばかり押しつけられてきた。
ここらで一発当てて、名誉挽回汚名返上といこうではないか。
必ずおばけ法通信に載る。
あの弁護士がそれを見たら、どんな顔をするだろう。
そんなことを考え、勢いのままに豆乳を一気に飲み干した。
-
ζ(´、`*ζ「……はあ、この件でまた私とニュッさんがコンビとして周知されていくんですね……。
私、もう一生ニュッさんの血を飲むしかないんでしょうか……」
ζ(´、`*ζ「……ん?」
ζ(´、`*ζ(ニュッさん華麗に解決→地位が上がる→金と地位に目がない女共が寄ってくる
→ニュッさん空前絶後の大モテ→結婚→私とのコンビ解消→新しいパートナー来る→大勝利)
{´ウ`}「それで、ここの資料のー……」
ζ(゚ー゚*ζ「さあああああ頑張りましょうねニュッさん!!
私も全身全霊手伝いますから!! ファイト!!」
Σ{;´ウ`}「えっ何」ビクッ
ζ(゚ー゚*ζ「まずはリーダーや発案者が誰だったのか洗わなければいけませんね!
リコさんに名前を与えた法師とやらが怪しい気がします!
さっそく捜査行ってきますね! それではまた後で!」
( ^ν^)「しばらく帰らなくていいぞ」
敬礼をかまし、デレは猛然と飛び出していった。
たまに、情緒不安定なのではないかと思うことがある。
まあ──いちおう、仕事は出来る女だ。
それなりに信頼していないわけでもない、と言い切れなくもない。
しばらくは傍に置いて、こき使ってやるつもりだ。役に立つ内は。
何せ本人が山で言ったではないか、酷使しろと。
本人の要望なのだから正当な扱いの筈だ。
-
{´ウ`}「仲いいねえ」
( ^ν^)「仲いいのかこれ」
{´ウ`}「ニュッ君みたいな奴と上手くやれるの、デレさんくらいだよね」
( ^ν^)「それが親父が息子に言うことかよ」
{´ウ`}「親父だからだよ」
ニューソが笑う。
本当に血が繋がっているのか非常に怪しい男の足を蹴って、ニュッはファイルに手を伸ばした。
.
-
{´ウ`}「そうだ、時間できたら一緒に飲みに行こうよ。久しぶりに」
( ^ν^)「ぜっっっっってえ行かねえ」
番外編:終わり
-
おつんこ
-
乙乙
たのしかった
-
おつ!父さん的には息子の息子が不能なのはどう思ってるんだろう
-
終わりです
完全に終わりです
もう番外編とかは書きません
読んでいただきありがとうございました!
Romanさんありがとうございました、お世話かけました!
目次
>>213 (*゚ー゚)(,,゚Д゚)¥・∀・¥番外編
>>284 ( ^ν^)ζ(゚ー゚*ζ番外編
-
おっつおっつ これで完全に終了か お疲れ様でした
次の作品も期待してますよ!!!
-
>>376
{´┴`} ナマアタタカイ メ
-
完全に終わりだなんて…
さ、寂しくなんて無いんだからね…!
ttp://imepic.jp/20141015/858460
お疲れ様でした!
-
>>380
ツンが……可愛いだと……
三度見してニヤつきました。素敵な乳の貧しさ
ありがとうございます! ありがとうございます!!
-
乙
今回はあっさりしてるねえ
-
投下きてたのか
番外編までの完結激しく乙乙
>>380
このツンさん、お嫁さんに下さい!
-
>>380
これは15歳ですわ
-
乙ー!
読んでいる最中いろいろにやけたり感心したりどきどきしたりしたけどうまくまとまらないから一言で言うとやっぱり乙!
二ゅっくんとデレもだけどまさかの親父と二ゅっくんの関係性がまたいい
前回の番外編とも話が繋がっててすげー
まだまだこのキャラ達で物語が見たいけど次回作も楽しみにしています
-
ニュッ君は本当に有能な不能だなぁ
-
色仕掛けされても流石EDだなんともないぜ
にしてもニュッくんの家庭は複雑そうですなぁ
父親が疑問系だったり父親がおばけ法関係者なのにおばけの対処法を教わってなくて性格歪んだり
-
不能になっても豆乳を止めれないのは、もはや中毒なのでは
-
そういやつーって相当悔いある死に方したけど幽霊にならなかったんだな
-
ドクオが喰ったんじゃね?
-
>>389
食われたんじゃないのかな
参照:前スレ923
-
せいとかい読み直してるんだけど「これは○○罪が適用されそうだなぁ」とか思いながら読んでる
あの学園近辺の霊たちは大体何かしらの罪でしょっぴけそう
-
もう完全にお終いなのか
お疲れ様でした
次回作があれば楽しみにしています
-
>>392
おばけの前にまずはツンさんを捕まえるべき
-
>>394
お化けに対して危害を加えた場合ってどうなるんかね
没後に裁かれるんだっけ?
その前に人間相手の警察に捕まりそうだけども
-
本編も番外編も最高でした!!
お疲れ様でした!!
・オサム&くるぅ+ショボン
http://imepic.jp/20141017/829850
・デレ&ニュッ君
http://imepic.jp/20141017/830510
・ピャー子&ロミス
http://imepic.jp/20141017/831090
・アサピー&ツン
http://imepic.jp/20141017/831880
・トソン&ミセリ&ロマ
http://imepic.jp/20141017/832620
・姉者&ツン
http://imepic.jp/20141017/833250
・ギコ&しぃ
http://imepic.jp/20141017/833860
・ブーン&ツン
http://imepic.jp/20141017/834570
-
>>396
クオリティ高え・・・乙
-
ギコさんから溢れる女子力
-
ブーンがツンに紅茶かなんかかけようとしてるようにみえてワロタ
-
>>396
わああああああい大漁だああああすげえええ
ありがとうございます!! 色んな感想がめちゃくちゃ湧いてきたけどとりあえずロマネスク欲しい
一枚一枚がとても楽しい。ショボンうぜえ!
-
ロミス爆発しろ
-
>>396
すげぇ!!
何か特にギコがイメージぴったりだ!
-
あな本でニュッとデレに目覚めたけどこの話で見事にロミスとピャー子にはまってしまった
次回作も楽しみにしてる
乙でした
-
>>396
ほおばってるツンかわいいです
-
( ^ω^)の川 ゚ -゚)ルなナイトのようです
を検索したらセーラームーンしか出てきません!どこで読めますか??
-
ルなナイトのようです
でggrks
-
>>406
すげえ!出てきた!ありがとう!
-
やっぱこの作者さんの作品が一番好きだわ。
本編も番外編も最高だった!!
伏線とかすごくて何度読んでも飽きないし本当面白かった。
とにかく乙!次も期待してる!!!
-
>>377のことは一旦忘れてください
-
〜1月5日・出連おばけ法事務所〜
ξ゚⊿゚)ξ「しぃ検事から年賀状来てたの。初めてだわ」
( ^ω^)「最近はツンさんへのあたりが柔らかくなりましたおね」
ξ゚⊿゚)ξ「丸くなったっつうか、大人になったっつうか」
( ^ω^)「いいことですお」
ξ゚⊿゚)ξ「あと鵜束検事からも」
( ^ω^)「今回はどんな嫌がらせが?」
ξ゚⊿゚)ξ「横書きでびっしり真面目な挨拶が書いてあるけど
縦読みすると『とっととくたばれ』になるわ」
( ^ω^)「あの人の嫌がらせって本当にマメですお。
ツンさんは鵜束検事に年賀状送ってあげましたかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「メモ帳に『あけおめ』と2Hの鉛筆で薄く書いて
ライト焚いた状態で撮影した画像を添付した無言メールは送っといたけど……」
( ^ω^)「ただの白い紙の画像を送りつけられた鵜束検事の気持ち」
-
やったぁ!
-
ξ゚⊿゚)ξ「あ、そうだ内藤君、掃除終わったら帰っていいわよ。受験勉強あるでしょ」
( ^ω^)「ありがとうございますお」
( ^ω^)(やっぱりヴィップ町も年始は平和というか、何となく静かだお……)
<ピンポーン
ξ゚⊿゚)ξ「あら、お客さん」トタトタ
( ^ω^)「僕が行きますお」トタトタ
ξ゚⊿゚)ξ「お正月の7日間くらいはね、過去に弁護したおばけさん達がよく挨拶に来るの。
こういうときはちゃんと玄関から来んのよねえ。
どうせ一言二言で済む挨拶だから私が出るわ」ガチャッ
( ^ν^)「はっっっぴーにゅーーーいやあー」
ξ゚⊿゚)ξ「間に合ってます」キィッ
( ^ν^) ガッ
ξ#゚⊿゚)ξ「あっクソッ足挟むな!!」
番外編:民事2
-
( ^ν^)「おう新年早々結構なことだな」ギリギリギリ
ξ#゚⊿゚)ξ「新年早々不景気なツラ晒してんじゃないわよ!! 帰れ!!」ギリギリギリ
( ^ν^)「つれねえなあツンちゃん」
ξ#゚⊿゚)ξ「内藤君ちょっと手を貸して! これ閉めてちょうだい!」ギシギシミシミシ
( ^ω^)「検事さん挟まってますけど」
ξ#゚⊿゚)ξ「潰すぐらいの勢いで思いっきり! 思いっきり!」
( ^ν^)「お年玉やろうか」
ξ゚⊿゚)ξ「あけましておめでとう今年もよろしくお願いします」キィッ
( ^ν^)「よろしく」
-
( ^ω^)「あけましておめでとうございます」
( ^ν^)「おめっとさん。事務所は奥か」
( ^ω^)「はいお」トタトタ
ξ゚⊿゚)ξ「おとしだまください」
つつ
( ^ν^)つ
ξ゚⊿゚)ξ「わーい一円玉だーお会計で端数出たときに役立つゥー」
ξ#゚⊿゚)ξ「ざけんな!!」
( ^ω^)「ノリツッコミが雑」
( ^ν^)「意地汚え女だな」
( ^ω^)「本当にすみません。あ、ソファに座ってください」
( ^ν^)「おう」
-
ξ#゚⊿゚)ξ「こいつ嫌い……ほんと嫌い……」ブツブツ
( ^ν^)「金やろうか。紙幣。大量に」
ξ゚⊿゚)ξ「……私の体を買う気なのね……この情欲そそるナイスバディを……」
( ^ν^)「欲求不満も大概にしとけよ」
ξ゚⊿゚)ξ「黙れフニャチン」
( ^ω^)「正月から馬鹿みたいな会話しますね」
ξ゚⊿゚)ξ「で、何しに来たのよ。あなたが無条件で私に大金払うわけないでしょ」
( ^ω^)「──あれ、そういえば刑事さんはどうしました?」
( ^ν^)「……」
ξ^⊿^)ξ「あらまあ痴話喧嘩?」
( ^ν^)「俺を訴えると言い出した」
ξ゚⊿゚)ξ「ああ既に離婚調停の段階……」
( ^ω^)「ごめんなさい僕ちょっとあっちで笑ってきます」
ξ゚⊿゚)ξ「待って私も行く」
( ^ν^)「面と向かって笑われた方がマシだわ」
ξ^⊿^)ξ「おっほwwwwwwwwwwついに訴えられんのwwwwwwww
当然の結果すぎて意外性ないわwwww」
ξ;⊿;)ξ「いひほふwwwwwwwふぉっwwwwwwwwwwえふっふん! あ゙ほっwwwwぐええっふふほはああっんwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
( ^ω^) クスクス
( ^ν^)「そこまで楽しんでいただけて何よりでございますよ鼻からモチすすって死ね」
*****
-
( ^ω^)「──鵜束検事の横暴ぶりにいいかげん嫌気が差したものの、
検事さんがどうしても照屋刑事を手放そうとしないので、
ならばパワハラを訴えて法的に対処しますと言われてしまったわけですね」
( ^ν^)「語弊があるな」
( ^ω^)「要約するとこうなりますお」
ξ゚⊿゚)ξ「裁判してまで照屋刑事を手元に置いときたいんでしょ」
( ^ν^)「あいつはまだ有用だからいなくなるのは惜しい」
ξ゚⊿゚)ξ「デレちゃん僕のこと捨てないでって縋りつけば、
多分『ニュッさんはしょうがない人ですね』って絆されるわよあの人」
( ^ν^)「たしかに馬鹿だから有り得るが俺のプライドが許さん」
( ^ω^)「……でも、検事さんの監視下から外れても、刑事さんが警察辞めるわけじゃないですおね。
それなら大事な捜査のときには、どうせ協力することになるんじゃ」
( ^ν^)「あいつの新しい監視係の選出が非常に難しくて面倒臭い。
俺より血が美味くても不味くてもいけねえし、俺より人格が優れててもいけねえ」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ今でも不満たらたらなのに、さらに不味けりゃどうせ長続きしないでしょうしね。
でも美味しかったり人格者だったりするのが駄目なのは何でなの?」
( ^ν^)「血や人格が好みだと、吸いすぎて殺しかねない」
( ^ω^)「あー……前に本人も言ってましたお」
-
( ^ν^)「あと、積極的に血を吸ってあんまり元気になりすぎると
手に負えなくなる可能性もある」
ξ゚⊿゚)ξ「吸血鬼だし、妖怪としては恐らく上位だから好き勝手されるのは厄介ってわけね。
つまり、そこら辺を上手く回すにはあなたが一番の適役なのか。彼女には可哀想なことに」
( ^ν^)「だから上の方も出来れば俺に続行させたい。
が、さすがに裁判であいつが勝ってしまえば言うことを聞かざるを得なくなる」
ξ゚⊿゚)ξ「そのため鵜束検事が勝たなくてはならない──と。
それでわざわざ私のところへ依頼しに? N県の弁護士は駄目なの?」
( ^ν^)「あっちの弁護士は大抵俺に負けてるし、信用ならねえ」
ξ゚⊿゚)ξ「私は信用できるの?」
( ^ν^)「んなわけあるか」
ξ#゚⊿゚)ξ「あ?」
( ^ν^)「あいつが真っ先にお前に依頼しようとしたから、
先に取っとこうと思っただけだ。
──でなけりゃ弁護士なんて雇わずに俺一人で法廷に立ってた」
( ^ω^)「ツンさんは鵜束検事には天敵ですもんね」
( ^ν^)「こんな事態でもなきゃ、お前と争える方を選んでたんだがな」
ξ゚⊿゚)ξ「私が照屋刑事の味方をする可能性は考えないのかしら……」
( ^ν^)「さっき言った通り、俺以外の人間が照屋と組めば、『うっかり』殺されかねない。
あと依頼料についてだが、俺の方が諭吉と仲いいぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ仕方ないわね引き受けましょう」
( ^ω^)「今どっちに心揺れたんですかツンさん」
*****
-
〜猫田家〜
ζ(;、;*ζ「パワハラで訴えてやるぅううう!!」
(*゚ー゚)「……はあ」
ζ(;、;*ζ「あの人は悪魔です! 懐深い私ももう限界です!」
(,,゚Д゚)「さっきからそればっかり……もう、何があったのよう」フリフリソデソデ
(*゚ー゚)(ギコが振袖を着てることに反応する余裕もないようだ)
ζ(;、;*ζ「あ、あのひと、人使いが荒すぎます、ていうか私の扱いが酷すぎるんです!
面倒な捜査や手続きは私任せ!
他の警官には割と気を遣いますが私にはそういうの一切ナシ!」
(*゚ー゚)「それは去年に散々拝見しました、獣人売買グループの捜査の際」
(*゚ー゚)(……とはいえ彼女も彼女で、結構やり返してたと思うんだが……)
ζ(;、;*ζ「今までは耐えてきました! 耐えてみせました!
でも、その獣人事件での活躍以来、調子乗ってるんですよあの野郎!!」
-
ζ(;、;*ζ「一番酷いのは血を出し渋ることです!
こっちがお腹すかせる様をにやにやしながら静観して
挙げ句の果てには『犬の真似したら飲ませてやる』ですよ!?」
(;,゚Д゚)「あらー」
ζ(;、;*ζ「プレイです! 最早あれはプレイです!
あの男はサディストとは違います、ただの鬼畜クズ野郎です!」
ζ(;、;*ζ「あいつはSMクラブの一番人気の女王様を高額払って指名した上で
本人は着衣を一切乱すことなくただひたすらに言葉で責め立て
女王様が泣けば満足して帰るような変質者です! おかげでニューソク市の風俗店は概ね出禁喰らってます!!」
(;,゚Д゚)「それはあたしでも引くわあ」
ζ(;、;*ζ「そんな男と何年間も同居し、こき使われてきた私の忍耐強さ……
そろそろ報われてもいい頃です……」サメザメ
(*゚ー゚)「……ええっと、何ですか、何がしたいんですか?」
ζ(;、;*ζ「裁判です」
(*゚ー゚)「なら何故ぼくのところに……。
民事裁判になるなら弁護士の方へどうぞ。そもそもどうしてA県に?」
ζ(;、;*ζ「N県の弁護士はニュッさんに勝てるか怪しいです。
だから出連先生のところへ行こうとしたのに、ニュッさんに先を越されました!」
-
ζ(;、;*ζ「私が迂闊でした……裁判してやると言い切ったのは昨夜遅くで、
私は朝イチで出連先生に連絡する気だったんです。
でもニュッさんが! 目覚ましを止めてやがって! 私が起きたときには既に奴は始発でこのA県へ!!」
(*゚ー゚)「それでも一応A県までは来たんですね、あなたも」
(,,゚Д゚)「弁護士紹介しましょうか?」
ζ(;、;*ζ「出連先生とニュッさんに絶対に勝てる人をお願いします」
(;,゚Д゚)「……いるかしら……」
(*゚ー゚)「あれが組んでしまうと、本気で何でも有りのエクストリーム裁判になりかねん」
(;,゚Д゚)「そもそもA県は弁護士が少……」
¥・∀・¥「やあやあ新年の挨拶が遅れてすまない、僕だ! 失礼します!」バーン
(*´゚ー゚)
-
¥・∀・¥「年末年始は家族で旅行をするのが毎年の決まりでね!
さあお土産のちんすこうをお食べ」
(,,゚Д゚)「あ、旅行は国内なのね。ありがとうございます、あけましておめでとうございます」フリフリソデソデ
¥・∀・¥「やあやあ上品な松文様だね、昔は男も振袖を着ていたという!
あけましておめでとう、今年もよろしく頼む」
(*゚ー゚)「あけましておめでとうございます……モカー君の調子はどうですか」
¥・∀・¥「最近読み書きが出来るようになった! 彼は賢いぞ、末は博士か大臣か」
(*゚ー゚)「それは良かったです。ちょっと今は取り込んでるんで、お引き取り……」
¥・∀・¥「ところでさっき弁護士がどうとか言っていなかったかね」
(*´゚ー゚)
-
ζ(;、;*ζ「お久しぶりですマニーさん……あけましておめでとうございます……」
¥・∀・¥「ややっ君は! N県の照屋デレ刑事! 去年の夏ぶりだ、元気かね。
……どうしたんだい、そんなに泣いて。僕の一万円のハンカチで涙をお拭き」
ζ(;、;*ζ「ニュッさんが……ニュッさんが……」
¥・∀・¥「また彼に苛められたのかい? どれ、僕が金に物を言わせて彼を叱ろう」
(,,゚Д゚)「叱るっていうか、もう訴えたいそうで」
¥・∀・¥「なんと」
(*゚ー゚)「……向こうはツンさんを雇うようです」
¥・∀・¥「なるほどなあ、それはつまり……」
¥・∀・¥「僕の出番だね!」
(*゚ー゚)「……ギコ、ちんすこうくれ」
(,,゚Д゚)「もうマトモに相手する気なくなったわねあんた」
*****
-
〜カンオケ神社〜
【+ 】ゞ゚)*゚ 々゚) イチャイチャ イチャイチャ
ξ゚⊿゚)ξ「──というわけでですね、」
【+ 】ゞ゚)*゚ 々゚) イッチャライチャコライッチャッチャ
ξ゚⊿゚)ξ「N県の人達なんですけど、ここで裁判を……」
【+ 】ゞ゚)*゚ 々゚) ネチャネチャ
ξ゚⊿゚)ξ「話聞いてます?」
【+ 】ゞ゚)「聞いている。俺は構わん」
( ^ω^)「女性に捨てられそうになってる男性の前でイチャつくのはいかがなものかと」
( ^ν^)「おう面白いこと言うようになったな内藤少年」
( ^ω^)「……その呼び方やめてください」
-
ξ゚⊿゚)ξ「んじゃあ、後で原告の方も来ると思うんで……」
川 ゚ 々゚)「もう来てるよー」
ξ゚⊿゚)ξ「へぁ?」
¥・∀・¥「そうとも僕だ!!」バァアーーーン
ξ;゚⊿゚)ξ「……わあ」
( ^ν^)「……ああ」
( ^ω^)(誰?)
-
ζ(゚、゚#ζ「ここが年貢の納め時ですよニュッさん!
たとえ一年二年かかろうとも、私は負けません!」
(*゚ー゚) ムシャムシャ
( ^ν^)「一年も二年もかかられると俺が困るんだが」
ξ;゚⊿゚)ξ「待って何でしぃ検事は死んだ目で沖縄銘菓を貪ってんの」
(,,゚Д゚)「いざとなったら刑事訴訟に切り替えるから付いてきてほしいって言われて……
ご覧の通り死ぬほど面倒臭がってて……」
ξ;゚⊿゚)ξ「あの子大学受験するんじゃなかった? こんなことやってる場合?」
( ^ω^)(ツンさんが『こんなこと』と言い切った……)
(,,゚Д゚)「もう推薦とったから。
あ、ブーンちゃんは高校受験どう? K県の進学校でしょ?」
( ^ω^)「試験近いんで本当はさっさと帰って勉強したいです」
ζ(゚、゚*ζ「えっ、内藤君こっちの高校行くんじゃないんですか?
出連先生寂しくなりますね」
┐ξ´⊿`)ξ┌「私は大丈夫だけど内藤君が寂しさに耐えられないと思うの」
(,,゚Д゚)「年末の飲み会で、内藤君行かないで置いてかないで私の部屋掃除してって号泣しながら姉者にしがみついてたくせに」
ξ゚⊿゚)ξ「貴様こら」
( ^ω^)「僕の存在意義って掃除なんですかお」
川 ゚ 々゚)、「でもブーンがいなくなるの、くるうも寂しいなあ」ションボリ
【+ 】ゞ゚)
( ^ω^)「僕何もしてませんけどごめんなさい許してください」
-
ζ(゚、゚*ζ「ははあ、皆さんそれぞれ変わっていくものですねえ」
( ^ν^)「近況報告も済んだし、帰るぞ照屋」
ζ(゚ー゚*ζ「はあい」トコトコ
ζ(゚ー゚#ζ「って騙されるか!! 帰りませんよ!!」
( ^ν^) チッ
ζ(゚ー゚#ζ「訴訟です訴訟!」
Σ ¥・∀・¥「そうだった、裁判しに来たのだった!」ハッ
(*゚ー゚)「もういいじゃないですか帰れば。面倒臭いし」
ξ゚⊿゚)ξ「私もそう思う」
(,,゚Д゚)「あたしも」
( ^ν^)「仕事あるからぶっちゃけ俺もさっさと帰りたい」
【+ 】ゞ゚)「裁判せずに済むならそれが一番いい」
川 ゚ 々゚)「お正月はオサムすっごく忙しいから仕事増やさないでほしい」
¥・∀・¥「知人への挨拶を済ませていないので出来ればそちらを優先させたい」
( ^ω^)「この場にいる全員やる気ないじゃありませんか。すっげえな」
ζ(゚ー゚#ζ「何ですか!! もう!」
-
ξ-⊿-)ξ「まあまあ座りんしゃい。裁判の前にちょっと話し合いましょう。ね」
¥・∀・¥「話し合いは大事だとも!
かくいう僕も家内と仲違いしそうになると、第一に話し合いをする。
すると互いに自覚していなかった問題点などが浮き彫りになり、更にそこから……」
川*゚ 々゚)「くるうはオサムと喧嘩しても離れないの」ウフフ
(,,゚Д゚)「喧嘩した上にくるうちゃんがいなくなったらオサムちゃん死ぬわよ」
【+ 】ゞ゚)「考えただけで泣きそうになるな」
( ^ω^)「思いっきり無表情で何を」
ζ(゚ー゚#ζ「ああもう、また話題が逸れる!」
【+ 】ゞ゚)「とりあえずみんな座ろう」
( ^ω^)「そういえばツンさん、こちらの方は?」
ξ゚⊿゚)ξ「マニーさん。弁護士」
¥・∀・¥「以後お見知りおきを! 君は内藤君だね、噂はかねがね聞いている。
そう、かねがね! 金持ちだけに! イッツ金持ちジョーク!」
¥・∀・¥ + キラッ
( ^ω^)「この時点でお腹いっぱいなんですけど」
-
¥・∀・¥「そうだ、みんなにお年玉を配らないとね。金持ちは金をばらまく」
ξ*゚⊿゚)ξ「マニーさん大好き愛してる」
¥・∀・¥「はっはっは、あいにく僕は家内一筋なんだ」
::ζ(゚ー゚#ζ:: プルプル
( ^ν^)「照屋、諦めたらどうだ。俺らの存在ちょくちょく忘れられてんぞ」
ζ(゚ー゚#ζ「黙らっしゃい!! 畜生みんな一旦口閉じて!!
話し合うというのなら、まず私の言い分を聞いてください!!
それから提訴です!!」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ、ひとまず聞くだけ聞きましょ」
-
⊂ζ(゚ー゚#ζ∩ アーダコーダ
ξ゚⊿゚)ξ ウンウン
( ^ω^) ウンウン
¥・∀・¥ フムフム
∩ζ(゚ー゚#ζ∩ アレヤコレヤ
ξ-⊿-)ξ ウーン
( ^ω^) ハァ
¥・∀・¥ フムフム
∩ζ(゚ー゚#ζ⊃ ナンヤカンヤ
ξ゚⊿゚)ξ ホウホウ
コノ コウシキノ…(*゚ー゚) (^ω^ ) ナルホド
¥・∀・¥ フムフム
-
また読めるとは思わなかった!
支援
-
ζ(゚ー゚#ζ「──というわけですよ!!」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ鵜束検事が性的倒錯者のクソ野郎なのは分かったわ」
( ^ω^)「二次関数を解くコツが分かりました」
¥・∀・¥「被告を反面教師に、上司としての正しい振る舞いを学べたぞ!」
【+ 】ゞ゚)「なかなか気の毒だなあ、周りの反応も含めて」
川 ゚ 々゚)「くるうはニュッ嫌いだから負ければいいと思う」
(,,゚Д゚)「ツン、何か見えた?」ヒソヒソ
ξ゚⊿゚)ξ「ちょびっと」ヒソヒソ
( ^ω^)「マジっスか。ツンさん信頼されてるんですかお」ヒソヒソ
ξ゚⊿゚)ξ「今は敵意が全部検事へ向かってるから、相対的に他の人間への警戒心がないんでしょう」ヒソヒソ
( ‐ν‐) ンガー
(*゚ー゚)「本人寝てますね」
ζ(゚ー゚*ζ「この隙に埋めましょう……」
【+ 】ゞ゚)「まあ落ち着け」
ξ゚⊿゚)ξ「起きれ」バチンバチン
( ^ν^)「んおう」
-
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえずあなたは照屋刑事の要求は認めない方向で行くのね?」
( ^ν^)「うん」
(*゚ー゚)「話し合いとは何だったのか」
( ^ω^)「お2人って何年一緒にいるんです?」
ζ(゚、゚#ζ「まあもう10年近くにはなりますか」
( ^ω^)「なげえ。そんなに一緒にいて、今さら我慢できなくなったんですかお?」
ζ(゚、゚#ζ「積もり積もって限界が来ました」
( ^ν^)「ごめんな照屋、反省してる」
ζ(゚、゚#ζ「棒読みじゃねーか!!」
川 ゚ 々゚)「すごい臭かった」
ξ゚⊿゚)ξ「いちいち言わなくても分かるわ今のは」
川 ゚ 々゚)、 シュン
【+ 】ゞ゚)「弁護士」
ξ゚⊿゚)ξ「ごめんなさい許してくださいギコ達に対するノリでつい」
( ^ω^)「やばいですお、被告側の人間みんな裁判長の心証悪いですお」
(,,゚Д゚)「逆にすごいと思う」
-
ξ-⊿-)ξ「……さてと。うん。言い分もわかったし。そうね。
お酒飲みましょう」
( ^ω^)(*゚ー゚)(,,゚Д゚)「何で?」
ξ゚⊿゚)ξ「お酒飲みましょう」
( ^ω^)「何それ意味わかんない恐い気持ち悪い」
ξ゚⊿゚)ξ「どうせ今から提訴しても、裁判までは証拠集めとかで数日かかるし。
もちろん彼らもその間ずっとここに滞在してるわけにもいかないだろうし。
なら、ひとまず今日は裁判のことは一旦置いといて、顔馴染みの新年会と洒落込みましょう。
今しかチャンスないわ」
( ^ν^)「すっっっげえ無理矢理に聞こえるぞ」
¥・∀・¥「出連弁護士は相変わらず読めないな! よし、お年玉を弾もう!」
ξ*゚⊿゚)ξ「おらっしゃあ!!」ガッツポ
( ^ω^)「システムが分からん」
【+ 】ゞ゚)「飲めるなら俺は嬉しい。酒なら最近たくさん手に入った」
ζ(゚、゚#ζ「お酒ですか? ……。……お酒ですか。……」
-
ξ゚⊿゚)ξ「照屋刑事ってお神酒は飲めるの?」
ζ(゚、゚*ζ「……私は別に悪いおばけではないので、お神酒は大丈夫です」
ξ゚ー゚)ξ「じゃあ飲みましょ。
鵜束検事はお神酒飲んだら浄化されて消えそうだから別のお酒用意しましょう」
( ^ν^)「人を悪霊扱いすんな。まだ生きてるわ」
(*゚ー゚)「そんな死んだら悪霊化決定みたいな」
( ^ω^)「自覚してるのだけが鵜束検事のいいところですお」
( ^ν^)「……つか飲まねえよ。禁酒してるし」
ξ*゚∀゚)ξ「いいじゃなーい、飲もうよー、お酌してあげるからあ」
(,,゚Д゚)「そういえば獣人売買事件を解決したとき、
こっちとN県の捜査に携わった面々で打ち上げやったけど、ニュッちゃんずっと烏龍茶飲んでたわ」
川 ゚ 々゚)「お酒嫌い?」
(*゚ー゚)「わざわざ禁酒と言うからには、飲めないわけでもないのでは?」
-
¥・∀・¥「うちに、とっておきの銘酒があるから持ってくるのはやぶさかではない。
手に入るのも稀な地酒だ。
いや実は僕も家内も日本酒よりワインの方が好きなのでね、もらったはいいが飲む予定がなくて」
( ^ν^)" ピクッ
ξ゚⊿゚)ξ「おっ、ポン酒好きか」
( ^ν^)「……飲まねえよ」
ξ*゚⊿゚)ξ「揺れてる! マニーさん持ってきて!」
¥・∀・¥「承知した! しぃ君と内藤君のためにジュースも用意しよう!」
【+ 】ゞ゚)「ショボンにつまみを出してもらおう」ウキウキ
川*゚ 々゚)「いっぱいお供えあったもんねー」
( ^ω^)(神様と飲み会するって冷静に考えると凄いよなあ)
( ^ν^)「……俺は一杯しか飲まねえからな。一杯だぞ」
ξ*゚⊿゚)ξ「うんうん、それでいいから」
(,,゚Д゚)「……お酒で仲直りさせようってことかしら?」コソッ
( ^ω^)「ツンさんの考えることだし、ただそれだけではないような……」コソッ
*****
-
〜翌日・出連おばけ法事務所〜
( ^ω^)
ξ;-〜-)ξ ガンガン
( ^ω^)
ξ;-〜-)ξ ガンガン
( ^ω^)「鵜束検事って酔っ払うとあんなことになるんですね」
ξ;-⊿-)ξ「想像以上だったわ……うー、頭痛い。飲みすぎた」ガンガン
( ^ω^)「まさかあの人があんなに朗らかに笑うなんて」
ξ゚⊿゚)ξ「ギコに膝枕で耳掻きしてもらい始めたときはどうしようかと思ったわ」
( ^ω^)「僕もう動揺しすぎて写真撮ることしか出来ませんでしたお」
ξ゚⊿゚)ξ「個人的ベストは、くるうさんに絡もうとしてオサム様に胸ぐら掴まれてたとこなんだけど」
-
( ^ω^)「まあ一番衝撃的だったのは……」
ξ゚⊿゚)ξ「本当に『デレちゃん僕のこと捨てないで』をやらかしたことよね」
( ^ω^)「もちろん冗談だったんでしょうけど……いや、どうだろ……。
……うん、まあ冗談ってことにしときましょう」
ξ゚⊿゚)ξ「あそこら辺で全員のテンションがおかしくなってたわ。顎が外れるかと思った」
( ^ω^)「僕としぃさんはドン引きでしたけどね」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ、その甲斐あって……」
ζ(^ー^*ζ『あー、すっきりした! もういいです、訴訟取り止め! さようなら!』
( ^ω^)「って鵜束検事抱えて帰っていきましたからね。何じゃそりゃ」
-
ξ゚⊿゚)ξ「まあ、つまりは……彼女、鵜束検事の失態を見ることでストレス発散してたのよね」
( ^ω^)「ところが昨年は大活躍した上に、禁酒を始めたため
『失態』の種が減ってしまったと」
ξ゚⊿゚)ξ「それで限界来たんだわ。
訴訟騒ぎだって、最初は──私と鵜束検事を対立させて
話し合いの段階ででも検事が言い負かされて悔しがれば、それで許すつもりだったようだし」
( ^ω^)「でも検事さんが先にツンさんを取っちゃったから、引っ込みつかなくなったわけですかお」
ξ゚⊿゚)ξ「本当に監視係が変われば、それはまた照屋刑事としては御の字だったでしょうけど……
裁判を起こした上で彼女が負けるような羽目にだけはなりたくなかっただろうなあ」
( ^ω^)「それでツンさんは、みんなでお酒を飲もうと……。
鵜束検事もツンさんにまんまと煽られて、どんどん飲まされて」
ξ゚⊿゚)ξ「予想以上の収穫だったみたいね。照屋刑事のあの清々しい笑顔」
( ^ω^)「誰よりも大笑いしながら写真撮りまくってましたお」
ξ゚⊿゚)ξ「『アホみたいなニュッさんの写真フォルダ』と
『ニュッさんのアホみたいな写真フォルダ』が潤ったと言ってたわ」
( ^ω^)「何の違いがあるんですかお……」
-
ξ-⊿-)ξ「……ま、これでしばらくはあの2人も安泰でしょう。
酔いが覚めたときの検事の心境を想像して私もメシウマ。めでたしめでたし」
ξ;゚⊿゚)ξ「というわけで私今日は一日寝る……二日酔いが……」フラフラ
( ^ω^)「じゃあ僕も掃除終わらせたら帰りますお、勉強しないと」
ξ;゚⊿゚)ξ「うん……」
<ピンポーン
( ^ω^)「あ、お客さん」
ξ;゚⊿゚)ξ「ああ、今度こそおばけさんの挨拶かしら……」フラフラ
-
ξ;゚⊿゚)ξ「はーい、どちら様?」ガチャッ
(-@∀@)「センセイ、チョー面倒臭そうなオバケからチョー面倒臭そうな法律相談されたンで紹介しに来まシタ」
ξ゚⊿゚)ξ「間に合ってます」キィッ
(-@∀@) ガッ
ξ#゚⊿゚)ξ「足を! 挟むな!」
( ^ω^)(今年も騒がしくなりそうだなあ、ヴィップ町)
番外編:終わり
-
※これを書いた経緯
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1352517855/913-916
というわけで、ログ送りのために書いたやつ
>>377みたいなこと言ってたのがクソ恥ずかしい
なので、Romanさん、これに気付いてもまとめないでもらえるとありがたいです
読んでいただきありがとうございました!
何日かしたら過去ログ依頼します、本当の本当にもう書きません、ありがとうございました!
目次
>>213 (*゚ー゚)(,,゚Д゚)¥・∀・¥番外編
>>284 ( ^ν^)ζ(゚ー゚*ζ番外編
>>410 正月番外
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あれあんただったのかwww
乙乙、また読めるとは思わんかった
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わろたww
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乙!
また読めて幸せだわ
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ひゃっほー大好きだー
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経緯わろたwww確かにあんたが作者だよwww
おつ、やっぱおもしろかった!
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佐藤(仮)ありがとう!!
-
(*´゚ー゚)←この顔ワロタwww
沖縄土産ならちんすこうの他に黒糖ドーナツ棒もおすすめ。
思いがけず、また読めて嬉しいです。乙でした!!
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まとめないのかー残念
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揚げたてのサーターアンダギーうまかったなぁ
おつです
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>>449
Boon Romanさんがまとめてる
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この話はまとめてないだろ?
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>>452
まとめてないってか本人がまとめないでくださいっていってるからな
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佐藤(仮(天才))
-
>>453
いやなんかロマンさんが無視してまとめてると思われそうだったから
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推測だけでモノをいうなよwww
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まとめ(が存在し)ないのか
(この話は)まとめないのか
日本語って難しいNe☆
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神様に胸ぐら掴まれるレベルで怒らせるとか下手したらそのまま祟り殺されてたよね
また水溶き片栗近藤さんもやったのかな…
まとめられなくても過去ログあれば見れるんだよね?
見たくなったときに困る
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俺はスクショ撮って置いてるけど過去ログみれるのかな?
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スマホだとそのまま取っておけるがなぁ
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dat保管しとけばいつでも読めるよ
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番外編が読めるとは…!!
お年玉をもらった気分です!!
ありがとうございます!!
(,,゚Д゚)
http://imepic.jp/20150109/038980
(*゚ー゚)
http://imepic.jp/20150109/039640
姉者&ツン
http://imepic.jp/20150109/040250
( ^ω^)
http://imepic.jp/20150109/040790
ニュッ君&デレ
http://imepic.jp/20150109/041290
-
>>462
振袖と死んだ目がイラストで見たかったんだ!
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ニュッ君に「内藤少年」呼びされたブーンの反応が切なかったな…
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>>462
ありがとうございます!!
ギコが振袖似合っててクッソワロタ
振袖とかツンと姉者のお揃いとかデレのイヤホンジャック(?)とか色々凝ってて楽しい
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ツン&姉者とニュッ&デレ、構図は同じなのにな……
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ニュッくんはアルコール定期的に注射して仕事の時以外は酩酊状態にしておこう
いくらか世界は平和になるはずだ
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>>462
困惑した顔でとりあえず写メ連写してるブーンwwww
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マニーさんいいキャラしてるわ
そんで死ぬほど濃いのにいつもの面子に混ざっても浮かないという
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