■掲示板に戻る■ ■過去ログ 倉庫一覧■
モスコミュール・ベクトルのようです
-
(*゚ー゚)「お待たせしました」
(*゚ー゚)「ブレンドコーヒーと、カモミールティーです」
o川*゚ー゚)o「あっ、コーヒーが私です」
(゚、゚トソン「……どうもです」
(*゚ー゚)「どうぞ、ごゆっくり」
(゚、゚トソン「……」
o川*゚ー゚)o「……」
(゚、゚トソン「……キューちゃん、キューちゃん」
o川*゚ー゚)o「どしたの、トソン?」
-
(゚、゚トソン「さっきの電車で向かいに座ってた人なんですが」
o川*゚ー゚)o「うん」
(゚、゚トソン「何やら、ノートパソコンを2つに割ったようなのを睨んでましたが」
o川*゚ー゚)o「あー、画面側をこう、パキッと」
(゚、゚トソン「はい」
o川*゚ー゚)o「タブレットって言って、新しい電子機器なの」
(゚、゚トソン「どうやって操作するんです?」
o川*゚ー゚)o「へっへっへ、聞いて驚くなよー」
(゚、゚トソン「は、はい……」
o川*゚ー゚)o「画面がタッチスクリーンになってるのだよ、トソン君」
-
,
モスコミュール・ベクトルのようです
,
-
(゚、゚トソン「……」
(゚、゚;トソン「SFの世界ですね」
o川*゚ー゚)o「現実、現実」
(゚、゚トソン「……」
o川*゚ー゚)o「……」
(゚、゚トソン「ずいぶん色々変わったんですね……」
o川*゚ー゚)o「それ口癖にするなよー、恥ずかしいから」
(゚、゚トソン「大丈夫です。もう何を見ても、そう簡単に驚きませんよ」
o川*゚ー゚)o「ふーん」
(゚、゚トソン「あっ、信じてませんね! 本当ですからね!」
-
o川*゚ー゚)o「そうそう」
o川*゚ー゚)o「携帯もタッチスクリーンなんだよ、今」
(゚、゚トソン「えっ、またまたご冗談を……」
o川*゚ー゚)o「こないだアイフォン買ったんだよねー、ほらこの通り」
(゚、゚;トソン「……うおっ!」
o川*゚ー゚)o「驚いた?」
(゚、゚トソン「マトリックスの世界ですか……」
o川*゚ー゚)o「マトリックス、そんなんあったっけ?」
(*゚ー゚)「お飲み物のお代わりいかがですかー?」
-
o川*゚ー゚)o「あー、私は大丈夫。トソンは?」
(゚、゚トソン「えっと、えっと、このパフェと本日のケーキ下さい」
(*゚ー゚)「かしこまりました!」
o川*゚ー゚)o「……太るよー」
(゚、゚トソン「いいじゃないですか、ずいぶん痩せたんですよ私」
o川*゚ー゚)o「あー、ひきこもり期間長かったから」
(゚、゚;トソン「ひきこもり言わないで下さいよ」
o川*゚ー゚)o「……」
(゚、゚トソン「……」
-
o川*゚ー゚)o「……へへ」
(゚、゚トソン「どうしたんですか、急に」
o川*゚ー゚)o「いやー、昔のこと思い出してさ」
(゚、゚トソン「昔のこと?」
o川*゚ー゚)o「トソンさっき、色々変わったなあって言ってたでしょ」
(゚、゚トソン「え? ええ、確かに言いましたけど……」
o川*゚ー゚)o「私たちが大学生のころ」
o川*゚ー゚)o「時々会ってはいろんなこと話したじゃない」
(゚、゚トソン「私はキューちゃんの愚痴話しか覚えてないですよ」
(゚、゚トソン「バイト先の先輩がどうとか、ゼミの先生がどうとか」
o川*゚ー゚)o「それは認める。確かに愚痴ばっかし言ってたね」
-
(゚、゚トソン「それで、どうしたんです?」
o川*゚ー゚)o「そうそう、愚痴の話しは置いといて」
o川*゚ー゚)o「ほら、時々会うもんだから、変わったねーとかそんな話しもしてたじゃん」
(゚、゚トソン「まあ、別々の大学でしたから……」
o川*゚ー゚)o「ペっちゃんとか会うたびに言ってたよ、『トソン、変わったなあ〜』って」
(゚、゚トソン「そうでしたっけ」
o川*゚ー゚)o「うん。懐かしいなあ、ほんと」
(゚、゚トソン「……」
o川*゚ー゚)o「……」
o川*゚ー゚)o「それで結局さ、私たちは変わったりしたのかな」
(゚、゚トソン「……」
-
よっしゃ支援
-
o川*゚ー゚)o「あの頃は毎日何かがあって」
o川*゚ー゚)o「見た目とかだけで変わった気がしただけでさ」
(゚、゚トソン「……」
o川*゚ー゚)o「今思うと、何も変わっていないような気がするんだよね」
o川*゚ー゚)o「私もトソンも」
(゚、゚トソン「キューちゃん、……ありがとう」
o川*゚ー゚)o「……」
(゚、゚トソン「……」
o川*゚ー゚)o「まあ、トソンはこれからカロリーたくさんとって」
o川*゚ー゚)o「体重が変わっちゃうんだけど」
-
(゚、゚;トソン「なっ!? キューちゃんも手伝ってください!」
o川*゚ー゚)o「このあと一緒に夕飯食べるんでしょ、無理無理」
(*゚ー゚)「お待たせしましたー」
o川*゚ー゚)o「おっ、噂をすれば」
(*゚ー゚)「フルーツたっぷりパフェと本日のケーキです」
(゚、゚トソン「……どうもです」
o川*゚ー゚)o「むむ」
(゚、゚トソン「どうしました?」
o川*゚ー゚)o「実際目の前にすると、……うん。一口だけちょーだい」
(゚、゚トソン「ふふ、そう言うと思いました。一口と言わずいくらでもどうぞ」
o川*゚ー゚)o「その手には乗りませんよ、私は」
-
(゚、゚トソン「あっ」
o川*゚ー゚)o「んー、どしたの?」
(゚、゚トソン「パフェのバナナの上に」
(゚、゚トソン「何か白い虫が……」
o川;゚ー゚)o「うわっ、ハエの幼虫だね、これ……」
(゚、゚トソン「バナナごとのければ……」
o川*゚ー゚)o「いやいや、こーいうのはちゃんと言わないと!」
o川*゚ー゚)o「すみませーん……」
( ´_ゝ`)「悪い虫がついてる」
(゚、゚トソン「えっ?」
-
( ´_ゝ`)「虫だよ」
(゚、゚トソン「蚊、とかですか? どこにとまってます?」
( ´_ゝ`)「君に悪い虫がついてるんだよ」
(゚、゚;トソン「……」
( ´_ゝ`)「……」
(゚、゚トソン「もう、冗談は止めてください」
( ´_ゝ`)「携帯を貸せ」
(゚、゚;トソン「……急にどうしたんです? ちょっと、変ですよ」
( ´_ゝ`)「……」
(゚、゚トソン「……」
-
( ´_ゝ`)「……どうしてそんなに、……どうして、かな」
(゚、゚トソン「……」
( ´_ゝ`)「どうしてそんなに許せないんだ!?」
(゚、゚;トソン「や、やめっ、痛っ!」
(# ´_ゝ`)「素直に携帯を渡せ!」
(゚、゚;トソン「いっ……」
( ´_ゝ`)「ハァハァ、ハァ……」
(゚、゚トソン「……」
( ´_ゝ`)「君が見ているのは」
(゚、゚トソン「……」
( ´_ゝ`)「醜い俺だと思う」
-
(゚、゚トソン「……」
( ´_ゝ`)「だけど俺が君のことを、どんなに大切に思っているか分かるか?」
(゚、゚トソン「……なら、こんなことやめてください」
( ´_ゝ`)「……」
(゚、゚トソン「何かあったんですか? 落ち着いてください」
( ´_ゝ`)「……」
(゚、゚;トソン「どうして殴……」
( ´_ゝ`)「君はこんな俺を許せるか?」
( ´_ゝ`)「許せないだろう!?」
(゚、゚;トソン「……」
( ´_ゝ`)「俺は君の何もかもを許したいんだ」
-
( ´_ゝ`)「だからずっとここに居てくれ」
(゚、゚;トソン「嫌です、帰してください」
( ´_ゝ`)「……」
(゚、゚;トソン「……」
( ´_ゝ`)「……君の全身の対流は、空しい毒だ」
(゚、゚;トソン「何を言っているんですか?」
( ´_ゝ`)「君は」
( ´_ゝ`)「無意識の納期に追われて認知が歪んでる……」
(゚、゚;トソン「言っていることが……」
( ´_ゝ`)「君は」
( ´_ゝ`)「集団食中毒がその薄汚い血液にしがみついている……」
(゚、゚;トソン「やめて、やめて……、やめて……」
-
('A`)「やめたよ」
从 ゚∀从「えっ? やめた?」
('A`)「うん」
('A`)「3日前から出勤してないし、連絡もつかないんだって」
从 ゚∀从「マジッすか、なんかあったんです?」
('A`)「ほらこの間、発注ミスって店長がキレてたでしょ」
('A`)「それ以来来てないみたい」
从 ゚∀从「あー、バックレですか……」
('A`)「うん」
-
从 ゚∀从「いい人でしたし、わりとショックっす……」
('A`)「そうだなー、残念だよね」
从 ゚∀从「……」
('A`)「……」
从 ゚∀从「いらっしゃいませ」
从 ゚∀从「お弁当は温めますか?」
从 ゚∀从「……」
从 ゚∀从「……はい、かしこまりました」
从 ゚∀从「3点で857円頂戴します」
-
从 ゚∀从「1000円お預かりします」
从 ゚∀从「……」
从 ゚∀从「143円のお返しです、ありがとうございました」
('A`)「ありがとうございましたー」
从 ゚∀从「……」
('A`)「……」
从 ゚∀从「いつもの常連さんでしたね」
('A`)「そう? 見ての通り、雑誌の紐掛け中だから見てない」
从 ゚∀从「……」
('A`)「……」
-
从 ゚∀从「……あの人、猫飼い始めたんですかねー」
('A`)「えっ?」
从 ゚∀从「最近、猫のエサも一緒に買っていくんですよ」
('A`)「そうなんだ。知らないよ」
从 ゚∀从「……」
('A`)「……」
从 ゚∀从「カラアゲ食べてもいいっすか?」
(;'A`)「ダメに決まってるでしょ、廃棄まで待ちなよ」
从 ゚∀从「やっぱ夜勤は腹減るなあ……」
-
( ´_ゝ`)「ほら、ご飯買ってきたよ」
( ´_ゝ`)「ただいま」
( ´_ゝ`)「……」
( ´_ゝ`)「……帰りにね、野良猫を見かけたんだ」
( ´_ゝ`)「うん、マンションのすぐ近く」
( ´_ゝ`)「……どうしようかと思ったけど、やめたよ」
( ´_ゝ`)「君の気が変わるかもしれないしね」
(゚、゚トソン「……」
( ´_ゝ`)「ほら、食べなよ。いい匂いだろ」
(゚、゚トソン「……」
-
( ´_ゝ`)「かにかまとまぐろ入りだって。美味そう」
( ´_ゝ`)「食べないなら、俺が食っちゃうよ?」
(゚、゚トソン「……要りません」
( ´_ゝ`)「……」
(゚、゚トソン「……」
( ´_ゝ`)「……そんなことでしか」
( ´_ゝ`)「そんなことでしか、拒絶を表せないのか!?」
( 、 ;トソン「痛っ……」
( ´_ゝ`)「……」
(゚、゚トソン「……」
( ´_ゝ`)「……まあ、いいさ。どうせ何日も持たない」
-
(゚、゚トソン「……」
( ´_ゝ`)「俺は気づいたんだ」
(゚、゚トソン「……」
( ´_ゝ`)「写真を撮るのは、きっと」
( ´_ゝ`)「幸福の瞬間を残しておきたいってことなんだと思う」
( ´_ゝ`)「だけど撮る必要なんかない」
(゚、゚トソン「……」
( ´_ゝ`)「否定も肯定も俺にはどうでもいいんだ」
( ´_ゝ`)「……だから幸せだよ」
(゚、゚トソン「……」
( ´_ゝ`)「それじゃあ、またあとで……」
-
o川*゚ー゚)o「うん、また来よっか」
(゚、゚トソン「……」
o川*゚ー゚)o「だけどこんなところにあるなんて知らなかったなー。隠れた穴場だ」
(゚、゚トソン「ええ、ケーキも美味しかったですし」
(゚、゚トソン「けれど、わざわざ作り直してもらわなくても……」
o川*゚ー゚)o「甘い、それは甘甘トソンだよ」
(゚、゚;トソン「甘甘トソンってなんですか」
o川*゚ー゚)o「都村パフェって改名してもいい」
(゚、゚;トソン「いないですよ、そんな人……」
-
o川*゚ー゚)o「どこかにいるでしょー、世界は広いぞ」
(゚、゚トソン「はあ……」
o川*゚ー゚)o「……」
(゚、゚トソン「……」
o川*゚ー゚)o「トソンはもっと、自分を主張していいんだよ」
(゚、゚トソン「キューちゃん……」
o川*゚ー゚)o「……それに、虫とかついてたら私は無理だったし」
(゚、゚トソン「……ん」
(゚、゚トソン「私のデザート食べる気満々だったんじゃないですか!」
o川*゚ー゚)o「へへ……、ケーキ美味しかったです」
-
(゚、゚トソン「もう、それなら注文すれば良かったのに……」
o川*゚ー゚)o「いやー、メインディッシュの分も空けておかないとね」
(゚、゚トソン「私の半分くらい食べておいて、よく言いますね……」
o川*゚ー゚)o「へへへ」
(゚、゚トソン「キューちゃんは相変わらずですね……」
o川*゚ー゚)o「それじゃあ、夕飯は何を食べよっか」
o川*゚ー゚)o「パスタとか? それともがっつり系がいいかな?」
(゚、゚トソン「えっと……」
o川*゚ー゚)o「考えるとなんだか食べてばっかだねー」
(゚、゚トソン「あの……」
o川*゚ー゚)o「あー、でも先に腕時計見に行く?」
-
o川*゚ー゚)o「何時にお店閉まるか分かんないし」
(゚、゚トソン「……」
o川*゚ー゚)o「そうしよー、ねっ。腹ごなしにもなる」
(゚、゚トソン「……何でも」
o川*゚ー゚)o「え?」
(;、;トソン「何でも食べる、食べたい……」
o川;゚ー゚)o「おっ、おい、どしたの? 急に泣くなよー」
(;、;トソン「あっ……、ごめんなさい」
o川;゚ー゚)o「ほら、大丈夫だよ。何も心配しないでいいの……」
おわり
-
以上です、短編です
ありがとうございました
-
乙
二回読んでわかった
-
乙
17の場面転換は好きだった
タイトルにどんな意味を込めてるのか気になる
-
なるほどなー
おつです
キューちゃんの優しさに惚れる
-
分かんね
誰か解説してくれ
-
兄者→ストーカーで監禁魔
トソン→何年も監禁されて浦島な被害者
キュート→解放されたトソンを気遣う友達
て事だと思う。コンビニのシーンはイマイチぴんと来ない
-
コンビニの真面目なこは(゚、゚トソンだった常連さんは兄者
兄者が(゚、゚トソン目当てでコンビニ通って常連さんになった。そのうち(゚、゚トソンが監禁されるようになってコンビニに来れなくなった。兄者は(゚、゚トソンの食料用に猫缶買いだした。
-
( ^ω^)(やっぱこいつ頭いいな)
-
('A`)(やっぱこいつ頭いいな…)
-
キュートは監禁されてたの知らなかったのか?
知ってたら警察に言うとかあっただろうに
-
大学生すら時々しかあってなかったわけだからしばらく会ってなかったから知らなかったんじゃね
-
乙
トソンに元気になってほしくなる
-
いや気付いてるからこそ優しくしてるんじゃないのか?
体重増やせとかトソンの「随分色々変わったんですね」に突っ込んでないし
というか助けられてもう色々済んだあとだと思ってた
-
そりゃ作中の段階では気づいてるんじゃね?
-
おつ面白かった
ただ食中毒のくだりがよくわからん
トソンが食に何らかのトラウマを持っていたのか
それとも単に兄者が語りながら暴力を振るっているのか
-
後者があったから前者のようなことになったと思うけど
-
なるほど盲点だった
■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■