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( )再生と贖罪のゲームのようです
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やり直すんだ もう一度
「判決を言い渡します」
全てをやり直すんだ
「被告人フォックスを、刑法205条における傷害致死罪により」
俺はまたゼロから始めたいんだ
「死刑とする」
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再生と 贖罪の ゲームのようです
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―――ゲーム開始から−27分―――
渡り廊下は何処までも続いているように感じられたが、きっとそれは照明が暗く奥が見えないのと、
両隣と前後を挟む仏頂面の刑務官たちが醸し出す緊張感のせいであろう。
( ・∀・) (俺は、死ぬのか?)
このまま地獄まで連れて行ってくれるというのならそうして欲しい所だが、最悪の場合拷問や、
刑務官たちのストレス解消の為だけで嬲り殺される可能性さえ考えられるから事はかなり最悪だ。
殺されるほどのことをした覚えは無い。
むしろそう、自分はそんなことで殺されるこの国を糾弾しただけなのだ。
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自分の人生には三つの転換期があったとモララーは考える。
転換期といえば就職、結婚、出産等の半ば通過儀礼に近いそれらのイベントが普通であるが、
彼の考える転換期というのはもっと身近に、そしてある日突然やってきて、人生を何もかも変えたものであった。
一つ目は妹が強姦されたこと。
二つ目はその犯人が捕まり、死刑となったこと。
三つ目はその犯人の仲間が妹を逆恨みし、妹を殺したこと。
世界中の不幸がやってきて、大切に育てた花畑を土足で踏み荒らし、火をつけ、ショベルカーで掘り荒らし、
ロードローラーで何もかも無かったことにしたような、破壊的な悲しみと虚無の入り交じった感情が幾度となく襲い来る夜、
規律の狂ったこの国で大切なものを失ったモララーが取った行動は、テロ行為だった。
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ただし爆弾を使ったり、要人を暗殺したということはない。
彼はただプラカードを持って駅に立っていたのだ。
「この国に救いはない」
誰かに伝えたかった、自分という名の絶望がいたことを、確かに生きていたことを、
どういう形でもいいので、表したかったのだ。
彼の罪状はいわゆる特テロ法と呼ばれる行為で、つまりは国家の存続を危うくする危険性のある
思想を広める行為、またそれを補助する行為を行った際に問われる罪である。
モララーも、モララーの妹も、誰も救ってはくれなかった。
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( ・∀・) なあ、いつまで歩けばいいんだ?
刑務官は仏頂面を崩さず、規則正しい歩幅でひたすら前に急いだ。
急かされるように腕を引っ張られ、そろそろ怠さが積もる両足が時折互いを蹴り、体をぐらつかせた。
その度に警棒で背中を突かれる。
"鵜"のようだと思った。
首輪は無いが、手錠をかけられ、自由を奪われた自分の姿が、哀れな道具と被る。
いや、本当に道具であったらどれだけましであっただろうか。
もはや日数を数えることもしなくなった狭苦しい刑務所の中で、天国の気配を感じられるほど死に近づいた彼も、
とうとう今の今まで死ぬことができなかった。
( ・∀・) ……!
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「その部屋だ」
「お前以外、全員揃っている」
視界の奥、錆びた鉄の扉が薄暗い闇の中で佇んでいるのが見えた。
刑務官はやはり無表情のまま、あごで扉を指した。
( ;・∀・) 何が始まるんだ?
「行けばわかる」
痛みか、恐怖か、いずれにしろ、扉を抜けた先に待っているものが良いものとは思えなかった。
恐怖を感じる。
たくさんのものを失い、その度に天国へ近づいた自分でも、具体的な恐怖に対して身震いしてしまうことが、
どうしようもなく情けなくて、しかしまだ人間味のある自分に安堵して―――それが少し嬉しいことが、また怖い。
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でだしから重いな、面白くなりそうだけど
?C
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失うことは何よりも怖い。
「さあ、入るんだ」
扉が開き、モララーは背中を押されるようにして部屋から溢れる白い光の中へ押し込まれた。
視界が一瞬黄色がかった光に包まれ、両手を上げて目を覆った。
じゃらじゃらと手錠の揺れる音が反響する中、複数人の息づかいと視線を感じ、
モララーは目を細めた。
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――ゲーム開始から−12分――
「うわ!」
ξ;゚?゚)ξ いっ!
突然背中側の扉が開いたせいで、素っ頓狂な声を上げてしまった。
少し恥ずかしかったけど、誰も気にはしていないみたいだ。
( ;・∀・) …………
若い男だった。
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あれ?今まで文字化けなんかしたことないツンさんが文字化けしとる…
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年は私より少し若いくらい。
ちょっと前に流行った俳優に似て無くもない、まあまあ、格好いい男だった。
「空いている席に座れ」
( ・∀・)
(・∀・ )
( ・∀・) ……何の集まりだ、これは
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爪'−`)y‐ ( ;^ω^) ('A`)
(-@∀@) ξ゚⊿゚)ξ ('、`*川
(´・ω・`) (,,゚Д゚) 从 ゚∀从
<_プー゚)フ ミセ*゚ー゚)リ ( ФωФ)
_
( ゚∀゚) ( ´_ゝ`) (´<_` )
( ・∀・) …………
彼は四角く組まれた机と、その周りに等間隔に並べられた椅子、その椅子に座る私たちを見渡していた。
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爪'−`)y‐ これから説明があんだよ。早く座れよ
長髪の男が少し乱暴な口調で言うと、若い男はゆっくりと歩き出し、空いている席に座った。
ξ゚?゚)ξ
全員が全員を見渡せるというのは、何というか、気まずい。
('A`) ん…
_
( ゚∀゚) お、やっと説明すんのか?
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私たちを連れてきた扉から、ぞろぞろと刑務官が部屋に流れ込む。
机を囲んだ私たちを囲むようにして立ち並ぶと、物々しい装備から香る金属の臭いが部屋に立ちこめた。
「お前たちは犯罪者だ。知ってるな?」
刑務官の一人が私たちに向かって喋った。
私は特に驚きもしなかったが、勘の鈍いやつがいたのか、短い悲鳴が小さく聞こえた。
「本来ならば刑を全うし、清らかな身となってもらわねばならない。そう、今のお前たちはゴミの掃きだめだ」
-
_
( ゚∀゚) チッ
「何か文句があるのか」
_
( ゚∀゚) ねーよ
ガタイのいい男が刑務官に悪態をついた。
わざと叱られるようなことし、こうやって強さをアピールする馬鹿な男が、昔から嫌いだった。
こいつはきっと、小学生の時から進歩していないのだろう。
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「しかしだ、今この国の財政は苦しい。お前らのような奴らを養う国力すら惜しいのだ。わかるか?」
「はっきり言おう。我々国民はお前たちの死を切望している」
我々と国民、という部分に力が入っている。
私たちは国民では―――いや、人ですら無いと言い切りそうな言い方だ。
「お前たちはダニだ。いや、もっとおぞましい害虫だ。国を根っこから食い荒らす害そのもの」
「このままではこの国が駄目になる」
「そして誰もがこう言い放つ。死刑にしろ。今すぐ殺せ。真面目に生きている人間が可哀想じゃないか、と」
「私もそう思う。出来れば即座に死んで欲しい。そうすれば土の肥料程度にはなるだろう」
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さっきから喋っている刑務官は、この部屋の中で一番偉い者らしい。
制服の種類が違うし、身につけているバッチも、よくわからないが、偉そうだから。
「しかしだ、憲法はそんな産廃そのもののお前たちにも人権を定めている。そう易々とは殺せないのだ」
「第一、誰が殺す? 誰が殺人という業を背負う?」
「そして数少なくはあるが、お前らにも慈悲を与えて欲しいという者もいる」
「我々は悩み、そして一つの結論を出した」
( ・∀・) なあ、何が言いたい?
「あ?」
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喋ったのは、最後に部屋に入ってきたあの若者だ。
( ・∀・) 俺はおまえの演説を聴くために呼ばれたのか?
「……そして我々は、お前たちに慈悲を、救済を与えることにしたのだ」
刑務官は男をにらみ付けたが、すぐに視線を戻し、また話を続けた。
「お前たち害虫共に、慈悲と救済を。そして願わくば、再生を促すイベントを用意した」
(-@∀@) イベント?
( ;^ω^) そ、それって、つまり、減刑!?
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('、`*川 …………
「ああ。上手くやってくれれば、すぐに釈放してやってもいい」
( ;^ω^) や、やったお! 何て優しいんだお!
_
( ゚∀゚) おいおいマジかよ? いいのかよ、ほんとによ!?
「ああ。嘘は言っていない」
ほんの数人だけが顔をほころばせ、そして私を含めた他の者は、対照的に顔を暗くしていた。
いや―――話が始まったときから、ずっとニヤついているやつらもいるけど。
( ´_ゝ`) (´<_` )
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顔を暗くしている奴らの考えは、きっと私と一緒だ。
これから始まるのが、決して私たちにとって利益のあるものではない。
下手をすれば、命を落とすことだってあり得る。
根拠はない、けれど確信に近い何かを感じる。
「お前たちに始めてもらう。これは再生と、贖罪と」
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「死のゲームだ」
―――ゲーム開始―――
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今日はこれまで!割と短い話になるかと思います。ではまた
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期待
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乙
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乙!面白そう
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おつ
良さげ
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乙
いいねー
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続きは来るのだろうか
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支援
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まだかな
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