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スーパードックンのようです その2

1 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:21:54 SqNEkJQkO
↓前スレ
http://jbbs.m.livedoor.jp/b/i.cgi/internet/13029/1365267777/1-
↓まとめがないなら作ればいいじゃない

http://bu-nmemo.doorblog.jp/

(まだ一話しかありません。形だけ)

トリップつけました。あー、初めて尽くしで緊張する。

お仕事休みだ、がんばるぞ!


2 : 名も無きAAのようです :2013/08/27(火) 03:22:37 zqHtoA.k0
さあ来い。VIP総合の保守しながら見守る覚悟だ


3 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:24:00 SqNEkJQkO
夕暮れと空っ風。

穂の揺れ方、青い空に浮かぶ雲の数、形。

通った車の種類、冷やかしていく人々の楽しそうな顔。

郊外にある田園の細い道で、二人はなにをするでもなくただ会話をしている。

lw´‐ _‐ノv「ふむふむ、やっぱりドクオはすごいんだね。まさにサヴァン症候群を最大限に活用している」

('A`)「……」

lw´‐ _‐ノv「おっと、気に障ったかな?」

('A`)「別に……つーか、素直さんだって」

lw´‐ _‐ノv「素直さんじゃない。シュール。シューならなお良い。上出来なんじゃないでしょうか」

(-A-)「……シュールだって、相当なもんだろ。専門分野に関しちゃ俺でも勝てねえよ」

lw´‐ _‐ノv「アスペアスペとバカにされているがね」

('A`)「んなもんほっとけ」


4 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:24:34 SqNEkJQkO
似たもの同士──ルックスに関しては大学内で一部の男性陣から嫉妬が上がるほどだが──だからだろう。

その空間は、限りなく研ぎ澄まされていて、陳腐な言葉で表せば永遠に続いて欲しい一瞬で。

('A` )「それより、シュール。かまってくれてるのは嬉しいが俺なんかとこんなところでくっちゃべってないで彼氏と遊んでやれよ」

lw´‐ _‐ノv「構う?彼氏?なにそれおいしいの?」

(:'A`)「──ウソだろ、素直さんけっこう学校で人気」

lw´‐ _‐ノv「素直さんじゃない。シュールって呼ばれるのが好き。でもシューって呼ばれるのがもっと好きです!」

( ゚A゚)「……シュール、なんで彼氏いないんだ?」

田に広がる稲が、言葉と共に抜ける風に吹かれてたなびいた。

それが、全てを記憶する頭脳の中でも一際、どうしようもなく彼の思い出に残っている。


5 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:25:22 SqNEkJQkO
lw´‐ _‐ノv「女の子に残酷なこというのねドクオ君」

\xAD\xF4(:'A`)「え、あ、いやそういう意味じゃなくて、その、ほら」

思えばこの時から、蔑まれ、虐げられてきた自身の暗闇に光が差したのだと彼は確信している。

身振り手振りが大げさな様が滑稽で、シュールはため息をついた。

lw´‐ _‐ノv「ふー……断ってるから」

( 'A`)「えっ」

lw´‐ _‐ノv「米で例えるなら魚沼産かなぁ、もう少し味がね。やっぱり佐渡産くらいじゃないと」

(-A-:)「なんだよそりゃ……す、好きな人とかいねぇのかよ」


6 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:26:10 SqNEkJQkO
無知ゆえの勇敢か、白痴ゆえの無謀か。怖れを知らない若人は問う。

それに答えた彼女も同じ。若さゆえの特権。

lw´‐ _‐ノv「私が欲しい米はひとつだけ。目の前のあなたです」

(-A- )「あーはいはい、俺ね」

(-A- )「……」

\xAD庾\xF4(:゚A゚)「え、俺!?」

lw´‐ _‐ノv「イエスかノーか半分か」

(::゚A゚)「え、あ、そ」

lw´‐ _‐ノv「ちなみにイエスじゃなかったらドクオの似顔絵をばら撒きます。全世界に」

( ゚A゚)「イエス!イエス!!」

lw*´‐ _‐ノv「やったぁ」


7 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:26:44 SqNEkJQkO
(:'A`)(おいおいマジかよどうなってんだよ……)

必要などなかった、他人との繋がりなど。

lw´‐ _‐ノv「……」

(:'A`)「な、なんですか」

しかしそれでも。

lw´‐ _‐ノv「彼氏って、おいしそうだね」

敷き詰められている稲穂が揺れる様はまるで魔法の絨毯。見ていて悪い気はしない。

幻想的なその場所で、両手をあわせていただきますと呟く彼女が妙に愛おしく感じた。


8 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:27:44 SqNEkJQkO
〜〜〜

ξ:゚⊿゚)ξ「ちょっとあなた!しっかりしなさいよ!」

歓声に混じって聞こえてきたセコンドの声に、ドクオは反応する。

(゚A゚)「はっ!つ、ツン……」

ξ#゚⊿゚)ξ「なにボーっとしてるのよ!?」

(:'A`)「わりぃ……」

気分が晴れないのは過去を思い返したからか、あるいは。

知る由もないツンは難しい顔をして、それを対戦相手にたしなめられる。

lw´‐ _‐ノv「クスクス、仲がようござんすな」

('A`)「誰が!」ξ(゚⊿゚ξ

即座の反応と入れ違いに司会の声が響く。案じる言葉を返すのは情緒不安定な男。


9 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:28:15 SqNEkJQkO
(:-@∀@)「スーパードックン!大丈夫ですか!?」

('A`)「あ、ああ……大丈夫だ」

裏腹な表情を見て逡巡するアサピーだが、仕事を続けた。

(-@∀@)「さて、なにやら陰鬱な彼はさておき!早速クイズに参ります!それとみなさん!またまたサプライズも用意してますので乞うご期待!それではルール説明を、しぃさん!」

(*゚ー゚)「はい!では今回の対戦内容について説明します!」

(*゚ー゚)「従来どおり、出題される問題を今から設置する台のボードに書いてお答えいただきます。正解につき1ポイント、10ポイント以上獲得した方の勝利です」

(゚ー゚*)「なお、セコンドであるツンさんには最初に説明したとおり、相談や提案、一部代理など勝利者であるスーパードックンの権利を越えない範囲で協力していただくことが可能です」

ξ゚⊿゚)ξ(良かった……よくわからないけど、スーパードックン、難しいことよく知ってるみたいだし、勝てるわ)


10 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:28:57 SqNEkJQkO
(*^ー^)「また、両者の回答が終了後、対戦相手の回答したボタンがどれかを当てていただくチェックアンサーに挑戦していただきます。正解した場合は正答とは別に3ポイントプラスとなります!特にペナルティはありませんのでぜひ狙ってください!」

('A`)(問題の正解で1ポイント、さらに相手の回答を予想できれば3ポイントの、計4ポイントが最高ってことか)

理解する二人は、次に説明されるであろうコンセプトルールについて考えていた。先の一風変わったそれが脳裏をよぎる。

(*゚ー゚)「そして、問題のジャンル──コンセプトルールですが」


11 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:29:41 SqNEkJQkO
ξ:゚ー゚)ξ(さぁ、なにがくるのよ……!どんな難しいジャンルだって、私の専門性と彼の知識があれば!)

身構える選手のうち、声を発したのは。

(*゚0゚)「なぞなぞです」

ξ(゚⊿゚)ξ「……」

('A`)「……」

lw´‐ _‐ノv「ほう、これはまた風流でよござんすな」

何も考えていないように見えるシュールだった。


12 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:30:39 SqNEkJQkO
〜〜〜

( ФωФ)「ふむ、なぞなぞとは風情がある」

三人が座っている椅子の近くに腰を預けた杉浦は、スクリーンから流れる沈黙に向かって呟いた。それに茂良が反応する。

(: ・∀・)「杉浦先生、なぞなぞなんて小学生がやるものでは?」

(# ФωФ)「馬鹿者、なぞなぞというものは論理クイズの原点だ。いかに問題の意図を読み解くかにおいて、また思考を発展させ正解に導くプロセスは全てのクイズに繋がるのである。したがって……」

年をとった子供のように、嬉々として言葉を並べていく彼に対して辟易してしまうのは失礼。都合の良い思考が饒舌を止めた。成功。

( ・∀・)「せ、先生!そういえばあのシュールって女性が理事長なんですか?」


13 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:31:21 SqNEkJQkO
( ФωФ)「むっ、そうである。我輩が把握しているだけでも両指で足りるかどうか……」

手のひらを見つめながらこぼした姿が、妙に滑稽に見えた。小指を折った時に聞こえてきた声へ杉浦は顔を向ける。指が開いた。

(´・ω・`)「素直柊、噂は聞いたことがある。興味が向いたものに対して力を惜しまないと」

( 'ФωФ)「その通りである。やりたいことをやるを体現しているおかげで、好きな仕事は早いが嫌いな仕事は全く進めてくれん。おかげで我輩の仕事が溜まっていくのである……」

(´^ω^`)「ハハハ、それは大変だね。それで、実際どうなんだい?彼女の実力は」

( ФωФ)「彼では負ける。たとえその頭脳があれど、あの娘にはな」


14 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:32:18 SqNEkJQkO
〜〜〜

例えば不釣合いな事柄に対して否定する者がいる。

このようなたくさんの人々が集まる中でも例外はなく、自身の主張を曲げない。

良し悪しはともかくツンは、黒子達が回答するための台――予選と同じような形――を両者の前に設置し終えた頃合いで、司会に向かって声を荒げた。

ξ#゚⊿゚)ξ「なぞなぞ?ふざけないで!世界のクイズ大会、いや式典で、そんな子供だましみたいな……!」

どこか嬉しそうにおどおどするアサピーをにらみつけるしぃ。司会が機能するより早く、シュールが応える。


15 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:33:34 SqNEkJQkO
lw´‐ _‐ノv「まぁまぁ、ねえさん。ここは穏便にいきやしょう」

lw´‐ _‐ノv「それともなにかい?おまえさん、負けるのが怖い……っといけねぇ!とっくに負けてたなぁ!こりゃ失敬!」

頭を自身の手ではたき、仰々しいリアクションを取られれば誰でも腹が立つ。しかし、言っていることに間違いはないため押し黙るしかない。

ξ#゚―゚)ξ「ぐぬぬぬ……!!」

割って入るのはどうにも絵にならない青年。それでも、彼の眼光は鋭かった。

('A`)「そこまでだ、シュール」

まるで旧来のライバルと対峙したかのように。

lw´‐ _‐ノv「あら、スーパードックン、なにか?」

あるいは遠い過去の恋慕に向き合っているように、まっすぐ彼女を見つめている。


16 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:33:58 SqNEkJQkO
( -A-)「……なぞなぞだろうがなんだろうが、とっとと始めて終わらそうじゃねぇか」

ξ゚⊿゚)ξ「あなた……」

('A`)「ツン、もう大丈夫だ。クイズに支障はねぇよ」

台に両手をかけて、前を向いたまま、後ろにいるツンに話しかける。彼女が安堵の表情を浮かべているのは知らない。

lw´‐ _‐ノv「ほんと、あつあつだね。ちょっと寂しいなぁ」

('A`)「うっせぇ、言ってろ。アサピーさん。進めてくれ」

どこで進行しようかと迷っていた彼は、ドクオの助け舟にうなずいた。

(-@∀@)「あ、はいはい。それでは準々決勝第一回戦目、スタートです!しぃさん、お願いします!」

(*゚ー゚)「早速、問題です!

高くなればなるほど小さくなるものってなぁーんだ?」


17 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:34:41 SqNEkJQkO
会場、中央のスクリーンには大きな文字でアシスタントの言った問題文が表示される。ドクオとシュールは、それぞれの台にセットされている液晶にペンを走らせる。

この場で真っ先に異議を唱えたツンは頭を抱えていた。答えは出なかった。

ξ゚⊿゚)ξ(えっ、なにそれ……ちょっと難しいんだけど)

('A`)φスラスラ

ξ:゚⊿゚)ξ(うわっ、もうわかったの!?)

lw´‐ _‐ノvφスラスラ

ξ:゚⊿゚)ξ(あっちもわかってるし!?)

(-@∀@)「はい、両者のお答えが出ましたが……それでは正解の前に、チェックアンサーです!」

(-@∀@)「対戦者の回答を予想して、もう一度ボードに書き込んでください!」


18 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:35:38 SqNEkJQkO
言って、書いた文字を消し、もう一度ペンを走らせるのはシュール。ドクオはいったん止まる。思考。

('A`)(さて……どうしたもんかな)

('A`)(あいつはああ見えて真面目だ。ここは正解を出してくるだろう。そしてこの問題の最適な答えは……)

(-@∀@)「それでは示していただきましょう!高くなればなるほど小さくなるもの……自身の答えと相手の答えは!?皆さん、スクリーンをご覧ください!」

左手で全員の注目を客席中央付近に集める。上下に分かれて現れたのは、戦う二人の出した攻撃。

('A`)「回答:飛行機
チェックアンサー:飛行機」

lw´‐ _‐ノv「回答:飛行機
チェックアンサー:飛行機」

(*-@∀@)「なんと!初回の問題から回答の正解とチェックアンサー、共に一致!!お二人には通常回答の1ポイントとチェックアンサーの3ポイント、計4ポイントが入ります!!」


19 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:36:47 SqNEkJQkO
ここにきてようやく歓声があがる。

なるほど、ただのなぞなぞだと消沈していた老若男女は、相手の答えを予測するものというコンセプトルールを理解し、面白いと思った。

セコンドも同じく。もっとも、彼女の場合は単純に正解が判明したからだが。

ξ゚⊿゚)ξ(あー、なるほど……確かに地上から見たら高度が上がればその分小さく見えるわね)

('A`)「へっ、残念だったな、シュール。あいにく昔の俺とは違うんでね」

口角を上げて挑発する。相手の回答を完璧に予想することができて、余裕が出てきたのだろう。

先ほどまでの緊張に似た高揚は落ち着いている。シュールは大きくうなずいて返した。


20 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:37:29 SqNEkJQkO
lw´‐ _‐ノv「うん、なんてったってスーパードックンだもんね」

('A`)「……」

lw´‐ _‐ノv「超〜振動するみたいでかっこいい!その決めセリフも決まってるよ!」

lw´´ A`ノv「このスーパードックンがな」キリッ

lw´‐ ,‐ノv「……プッ、か、かっこいい、ププッね!」

口元を押さえながらこちらをチラチラと伺う様は間違いなくバカにされている。

例の如く、少し青筋の入った彼の頭が、反論を言いかけた。

(#'A`)「ば、バカにすんじゃ──」

lw´‐ _‐ノv「あなた、なにも変わってない」

(:'A`)「なっ……」


21 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:37:51 SqNEkJQkO
lw´‐ _‐ノv「それを証明して差し上げようぞ。剛の者よ!」

一瞬だった。セミロングの茶色が風に吹かれて、積年の思いが届いたような。

それは決して、ドクオにとって優しいだけのものではなかった。

ξ゚ぺ)ξ(この二人……知り合いみたいね)

(-@∀@)「どうやらお二人は並々ならぬ因縁があるようです!ここは聞き手の名手、アサピーの出番──」

(#゚ー゚)「ゴホンッ!」

(-@∀@)「ではないですね!さぁ!クイズを続けます!しぃさん問題を!」

彼だけがわかる喜びと痛みは、会話からの推測で到底判別できるものではない。

あくまで淡々と仕事を進めるしぃは、咳払いをした後、問題を読み上げた。

(*゚ー゚)「はい、問題です」

(*゚ー゚)「お化けが出そうな数字ってなぁーんだ?」


22 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:39:06 SqNEkJQkO
間延びする語尾と出題される内容の稚拙さにツンは鼻で笑うが、すぐに顔をしかめる。

あえて問題そのものを、この場に似つかわしくない題材にしているのは、相手の回答を予想することによってさらに得点を得ることができるため。

専門的なクイズよりも親しみ易いコンセプトが、予想という特殊なルールにミスマッチしているといえるだろう。

納得がいけば先に感じた釣り合わないそれに、苦言を呈すことは無くなった。


23 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:39:54 SqNEkJQkO
ξ*-⊿-)ξ(これはわかるわ、っていうか、いきなり子供だましね……問題は)

(-@∀@)「おおっ、両者、素早く回答を記しました!それではチェックアンサーに参ります!」

ξ゚⊿゚)ξ(相手の出方といったところかしら)

伝播する思考はドクオの次の一手に結びつく。読み合い。

('A`)(二問目。真面目かと思えば飄々としたあいつのことだ。外してくる。それも意外な方向に)

(-A-)(予想しにくく、本筋を外さず、ウィットに富んだ回答をかましてくるだろう。となればおそらく……)

(-@∀@)「出揃いました!さて、相手の出方はどうなるか!?スクリーンをご覧ください!!」

だが、はたして現れた不釣合いなその結果に。


24 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:40:43 ROnbDktkC
('A`)「回答:霊(0)
チェックアンサー:零」

lw´‐ _‐ノv「回答:わたくしこと素直シュールは
チェックアンサー:スーパードックンの元カノです♪」

誰も声を出すことはできなかった。

スーパードックンのようです
第二部 第十話はじまるよ!


25 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 03:46:37 SqNEkJQkO
あかん……睡魔が……せっかく総合を保守しながら見守ってくれてる方がいるのに……こんな時に……

今回は今までで一番長いので、このままだと中途で寝てしまいますから明日、明日中に投下します。ほんとごめんよ。

おやすみなさい……


26 : 名も無きAAのようです :2013/08/27(火) 04:15:41 tmr34Ah60



27 : 名も無きAAのようです :2013/08/27(火) 04:16:01 074qK3zoO
シュールぶっ込んできたなぁ…

明日って水曜なのか寝て起きたらなのか…


28 : 名も無きAAのようです :2013/08/27(火) 10:43:38 F0F8rlwc0



29 : 名も無きAAのようです :2013/08/27(火) 12:31:43 mlm/9LWs0
シュール、その回答は予想外過ぎる

楽しみにしてるよ、かなり


30 : 名も無きAAのようです :2013/08/27(火) 16:42:36 4SkibEWI0
やっべえ究極的に面白くなってきた


31 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 16:43:17 SqNEkJQkO
明日じゃわからないよね。ちゃんと日付を書かなかったのは睡魔が強敵だったからです。誤字がなかったから一矢報いたんだ!

ブログは随時更新します。しかし本編優先です。週刊誌の連載と単行本の発行みたいなものと思ってください。意味が分からない。

よしっ、がんばるぞ!


32 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 16:43:59 SqNEkJQkO
〜〜〜

(: ^Д^)「なぁん、なっ、なんなんすか!?これ!?」

ざわめく会場の様子は、プレハブ内のモニターからも伺える。一同騒然。

(*:゚∀゚)「ツッコミ所が多すぎて、びっくりだよ……」

(:´・_ゝ・`)「心理的な作戦か……?いや、にしては……」

各々が所感を述べる不思議な光景は、止まることを知らない。

( ^Д^)「ドクオさんとシュールさんが付き合ってたってことっす、よね?」

(*゚∀゚)「うん……びっくり通り越してドッキリじゃないかってくらいありえないよね」

さながら中高生の休み時間が如く、プギャーとつーは身振り手振りも大げさに話し込むのを、大人は宥めた。

(´‐_ゝ‐`)「確かにな。あの風貌で一般人の彼が、協会のトップクラスと関係を持っていたとは驚きだ。そんなコネクションがあれば、今頃ここにはいないだろうに、不思議なことだ」

わざとらしくうなずくデミタスの姿は、本人からすれば若い二人に合わせたものだと自負しているのだろう。

もっとも、相手にとってそれは真逆の印象を受けるのだが。


33 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 16:45:38 SqNEkJQkO
( ^Д^)「違うっす!」

(*゚∀゚)「違うよデミタスゥー!」

(´・_ゝ・`)「えっ」

( ^Д^)「身分を取り払っての危険な交際!」

(*゚∀゚)「高嶺の花を摘んだドクオさんは!」

(^Д^ )「あまたの苦労を乗り越えて二人で愛を育んでいた!」

(*゚ぺ)「しかしっ!運命は残酷!意図せず引き裂かれた情熱を取り戻すため!」

( ‐Д‐)「再開を果たした男と女!!」

(**゚∀゚)「これは勝とうが負けようが」

(* ^Д^)「詳しい話を聞かなくてはって話っすよ!チーフ!」

(´・_ゝ・`)(こいつら……)

踊るようなセリフの並べ方を最後まで見た上司はため息をつきながら、後ろにいるはずの人物に声をかけようとした。

(´‐_ゝ‐`)「はぁ……全く、なんとか言ってやってください、プロ──」

(:´・_ゝ・`)「──そういえば、まだ戻ってきていなかったな」

(:´・_ゝ・`)(どこへ行っているのやら……)

はしゃぎまわる二人と、閉まりきった扉を見て再度ため息をついた彼は仕方なくモニターに視線を移した。


34 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 16:46:44 SqNEkJQkO
〜〜〜

( ×ω×)「ハァックション!うぅーおーん……ぷてらのどーん……」

人工大理石が敷かれ、壁際にはこの肥えた体が何人ほど収まるか不毛な考えを抱いていたら、誰にうわさをされたかくわばらくわばら。

赤い絨毯が目の前の重厚な扉に続く。足を運ぶのは現場で尽力するプロデューサー。

( ^ω^)(その辺歩いていたジョルジュに、ここにいると聞いたから来たものの……)

(: ^ω^)(入れるのかお、これ)

近づいていく目的地に一人の男。体格は良い。恐い。

( ^ω^)「あ、あの……」

|(●),  、(●)、|「なにか」

( ^ω^)「私、VIPテレビプロデューサーの内藤と申します。業務上のことで諸本社長と話をしたいのですが……」

少し謙りながら上目遣いで話しかけるその様子に、首を縦にふることはない。

|(●),  、(●)、|「申し訳ありません。許可がない方をお通しすることはできません」

(: ^ω^)「おっ……そこをなんとか、緊急の案件でして……」

|(●),  、(●)、|「申し訳ありません」

頑なに、表情すら変えず仁王立ちしている男の返答に内藤はたじろぐ。言葉は柔らかいのに妙に威圧的。後ずさりしてから背中を向けた。


35 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 16:47:48 SqNEkJQkO
( `ω´)「ちっ、なんだお、あのガードマン。融通利かないおね!」

ぼやきながら華美な部屋から進む先は、用を足すべく向かう場所。同じく華美な部屋の男性用通路を通る。

無駄に長いそれの曲がり角に差し掛かったとき、目の前に人が現れた。

( ゚ω゚)「おん!?」

驚いた内藤が見た者は小奇麗な男の顔だった。シルクの黒いハンカチで両手を拭きながら、軽く口元をこする。

寸前、口周りにクリームが塗ってあるように白く見えたところから、どうやら洗顔をしていたのだろうと納得した。

(: ・∀・)「おっと、失礼!……あ、内藤プロデューサーじゃないですか!いつもお世話になっております」

茂良は人懐っこい顔を浮かべながら、引きつった笑顔をしている内藤に話しかける。


36 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 16:49:03 SqNEkJQkO
(: ^ω^)「こ、こちらこそだお……」

( ・∀・)「こちらに御用でしたか?ってトイレに来てる人に言うことじゃないか、アハハ」

別に用を足しにきたわけではない彼は苦笑いでかわす。ここに来ている目的を正直に、端的に話した。

( ^ω^)「ああ、まぁ社長を探してて……あそこのガードマンが居るところにいらっしゃると聞いたんだけど、門前払いされちゃったお」

( ・∀・)「それはそれは……災難でしたね」

( ´ω`)「まったく……どうしようお……」

落胆する彼を見て、まるで自分のことのように顔をしかめる茂良は、忙しくまた表情を変えた。

( ・∀・)「よければご案内しますが?」


37 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 16:49:47 SqNEkJQkO
( ^ω^)「はっ?」

言って、そのまま件の扉の前に行く。後ろについている内藤が見たものは、先ほどの男が何も言わず退いた光景。

( ・∀・)「ご苦労様」

一言かければ会釈する。理不尽を感じた。

( ゚ω゚)「なっ!?」

( ・∀・)「行きますよ、内藤さん。社長はこの奥です」

大きな扉に手をかける優男は先を促す。そのまま立ち止まって気持ちを整理する。

( ^ω^)(なるほど、伊達に『責任者』というわけじゃないってことかお……)

( ^ω^)(テーマパークに不似合いな高層ビル)

( ^ω^)(明らかにまともではない警備員)

( ^ω^)(鬼が出るか、蛇が出るか……)

少なくとも、尿意が出なくなったことは確かだった。


38 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 16:51:42 SqNEkJQkO
〜〜〜

相変わらず室内は薄暗く、最初に比べて少なくなった賭博参加者達。扉は閉まっている。

スクリーンの前に並ぶ三人は、一人減って二人。

( ФωФ)「諸本、貴殿は知っているな。彼が……宇都宮ドクオがサヴァン症候群であることを」

(´・ω・`)「ああ、そして……白髭さんの息子だということもね」

双方の顔色は伺えない。口を開くことで続ける。

( ФωФ)「……宇都宮マナブ氏、か。既に情報は入っているのだろう?」

(´・ω・`)「当然だ。最も懸念していることだよ。彼がしたらばにいると思うと特に。杉浦、何か知らない?」

( ФωФ)「貴殿が知らずに我輩が知っていることなど知れている」

(´-ω-`)「回りくどいなぁ……」

内調の捜査に関して諸本は危惧している。むろん、杉浦もそれに関して周知しており、だからこそ情報提供など不可能だと判断した。

加えて、茂良の言動が彼の心情に拍車をかけており、気分は優れない。無言が数分続いた後、呟く声にすぐ反応した。

( ФωФ)「ただ」

(´・ω・`)「ただ?」

( ФωФ)「案外、身近にいるのやもしれん。あやつはそういう男である」


39 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 16:53:29 SqNEkJQkO
(´・ω・`)「なるほどねぇ……」

知っているが理解できているかと問われれば。答えの出ない話題を切り替える。

(´・ω・`)「そういえば、彼の息子だけど。どうして負けると?サヴァン症候群にあの知識量だからなぞなぞが得意、とは言わないが杉浦の言うことだ。なにかあるんじゃないのかい」

(ФωФ )「簡単なことである。それは──」

紡がれるはずの言葉は、重い扉の開く音にかき消された。光と共に現れたのは二人の男。

( ・∀・)「ただいま戻りました〜」

意気揚々と元いた場所に戻る茂良の後ろで、未だ状況を飲み込めない内藤は周りを伺う。

明らかに一般人のそれと一線を画する人間達が様々な態度で前方の画面に注視している。異様な光景の中には自身が見たことのある有名人までいた。

現実に戻されたのは最高責任者の声。声の主は立ち上がって、茂良と対峙したとき、同時に知った顔も見えた。

(´・ω・`)「君か……ん?内藤もいるのか」


40 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 16:54:31 SqNEkJQkO
(: ^ω^)「しゃ、社長……杉浦まで……?」

何をどう口にすればいいのかわからない。助け舟を出したのはここに連れてきたもう一人の責任者。

( ^∀^)「いやぁ、トイレでばったりお会いしたんですよ。諸本社長をお探しのようでしたのでご案内しました」

とはいえそれだけでは、周囲はともかく本人の気が済まない。

( ^ω^)「あの……これはいったいどういうあつま」

(´・ω・`)「内藤」

(:: ω )「ッ!」

(´・ω・`)「お前ならわかるだろう、口に気をつけるべきだと」

(  ω )「……」

一喝されて絶句する。思い出したのは、演技で著名な人間達の行きつけ料亭での小噺。

贔屓にしている食事を一口食べた後、持ってきたスタッフを呼びつけてこき下ろす。

実際、味に問題はない。ただ、怯えたスタッフの顔を演技の参考にしただけ。

今の自分はそういった顔をしているのだろうとどこか冷静な頭で考えていたが、次の言葉に冷や汗が流れた。

(´^ω^`)「冗談だけど」

(: ゚ω゚)「は、はぁ……」

口角をあげた諸本は説明を始める。思惑がうまくいったからだろう、しょぼくれた笑顔を見せた。


41 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 16:55:51 SqNEkJQkO
(・ω・ `)「ここはシベリア賭博。簡単に言えば彼ら選手を使ったお馬さんごっこかな」

短い説明だが、全てが繋がる。合点がいくと、今度は杉浦に視線を移して問おうとしたが、先に返された。

( ФωФ)「馬鹿者、我輩は賭けておらん。そこで戦っている理事長の付き添いである」

スクリーンで繰り広げられる戦いの熱気は、この空間で軽減されている。

冷えた頭はよく回り、新しい答えを見つけた。

( ^ω^)「おおん……じゃあ素直シュールは、クイズ協会の……」

( ФωФ)「新理事長だ。もっとも、彼女は他にも兼任しているがな」

複数の協会に所属していることは既に知っていたが、まさか身近な人間の上に立つ人物だとは思いもよらなかった。

次々と明らかになる事実の中で、優先順位の高いものを諸本に確認する。

(: ^ω^)「しかし、社長。これは……このシベリア賭博は、国際的な犯罪ではないでしょうか」

全国規模の式典。そこで行われる非合法なギャンブルは倫理的にも法的にも間違っている。

あくまで正義感ではなく、保身の意味で尋ねた質問の答えは、別の人物から返ってきた。


42 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 16:56:34 SqNEkJQkO
( ・∀・)「トゥービックトゥーフェイルですよ、内藤さん」

その一言で察した彼は、せめてもの呟きを大きく言う。

( ^ω^)「……大きすぎて潰せないってことかお」

( ‐∀‐)「ええ、まぁ銀行どころじゃないですから、厳密には違いますが」

あっけらかんとしている茂良、しかめた顔をさらにしかめている杉浦。

(´・ω・`)「内藤、用件は?」

( ^ω^)「は、はい。実は……」

これ以上の問答は意味がない。諸本から本題へ移る言葉をかけられて、ようやくここに来た目的を話し出した。


43 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 16:57:24 SqNEkJQkO
〜〜〜

( ‐ω‐)「それでは失礼します」

深々と礼をし、居心地の良くはない場所を後にする。エレベーター内の鏡に映る笑顔はいつものように歪んでいた。

(: ^ω^)(ふぅ……疲れたお。でもこれで、さらにドクオを追い詰めることができるお)

( ^ω^)(大きすぎて潰せない?ふん、だからなんだお)

( ^ω^)(僕は僕のやり方でやる。誰にも邪魔はさせない)

(  ω )(そのための布石は、もう打ってあるお)

( ^ω^)「終わりにするお」

終わってみれば、鬼がでもなければ蛇でもないものがいた。降りていく箱の中で、張り付いた面に潜む悪魔は静かに囁いた。


44 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 16:59:27 SqNEkJQkO
〜〜〜

(:-@Д@)「な、なんという、ことでしょう……!?」

(:* ー )「あり、えない……!」

(:-@Д@)「司会業を務めて数十年……このような事態は私も初めてです……」

静まりかえる会場で聞こえるのは司会の声のみだった。

ベテランのアサピーはおろか、まず動じることのないしぃですら、言葉に詰まっている。

(:-@Д@)「シュ、シュールさん。その……このチェックアンサーは……」

lw´‐ _‐ノv「ファイナルアンサーです」

即答。もう一人はどうか。

(@Д@-:)「スーパードックン、本当ですか?」

('A`)「……ああ」

(:*゚ー゚)「……」

ξ:゚⊿゚)ξ「……」

(-@Д@)「……」


45 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 16:59:59 SqNEkJQkO
(##-@μ@)「皆さん!!これは不毛!!欺瞞に満ち溢れています!!しかし事実!!本人が言ったぁ!!」

(##-@∀@)「ここにいる普通の、いやある意味特殊な男性、スーパードックンと!!」

(##-@∀@)「前回優勝者であり協会トップの肩書きを持つ素直シュールは!!」

(*#-@∀@)「元カップルだったようです!!アベェェエック!!」

ワーーー!!

バクハツシローー!!

コナゴナニナレー!!

抑えられていたマグマが噴火したかのように、震動すら感じられるほどの大歓声が耳を劈く。

思わず両耳を押さえたツンは状況に危険を感じた。

ξ::゚⊿゚)ξ(ま、まずい……場の空気がまた変わった……!彼女、これが狙いだったの!?)

ξ:゚⊿゚)ξ(それにしても本当に驚きだわ。いったい何の間違いがあって、こんなうだつのあがらない男と……)


46 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:00:48 SqNEkJQkO
見比べれば、なんの揺らぎもないシュールと静かに頭を垂れるドクオ。

同じような体勢で、しかし心中は全く違う二人に疑問は募る。

(:-@∀@)「……えー、皆さん!落ち着いてください!脱線してしまいましたがより盛り上がってまいりました準々決勝!!まだ序盤です!!しぃさん!!」

(*:゚ー゚)「はい!!問題を続けます!!」

雑言に必死で抗う司会の声は、かろうじて聞き取れるはずだった。

(*:゚ー゚)「──で──は──」

('A`)(あいつは)

(*:゚ー「─なん──か──」

(-A-)(忘れてねぇわな)

(   )「さ──さい──!」

( A )(あの頃のことを──)

少なくとも、ドクオ以外は。


47 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:11:10 SqNEkJQkO
〜〜〜

lw´‐ _‐ノv「ねぇねぇドクオ〜」

('A`)「おう」

lw´‐ _‐ノv「これどうよ」

('A`)「……それ、前に見たぞ」

lw´‐ _‐ノv「あれ、そうだっけ?」

('A`)「ああ、半年前、そうだな正確には185日前の13時48分に」

('A` )「同じもの見せられてもどうともおもわねぇよ」

lw´‐ _‐ノv「……そっか、めんごめんご!」


48 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:12:20 SqNEkJQkO
〜〜〜

lw´‐ _‐ノv「ドクオ、タバコの灰、こぼさないでよ」

('A`)「うるさいな、別にいいだろ?あとで拭くんだし」

lw´‐ _‐ノv「みっともないと思わない?」

('A`)「別に……みっともないって言えばシュールだって変なことしてんじゃねぇか」

lw´‐ _‐ノv「あん?私が?」

('A`)「45日前の12時55分、23日前の10時29分、それから──」

lw´‐ _‐ノv「もういい、黙れ」


49 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:12:54 SqNEkJQkO
〜〜〜

lw´‐ _‐ノv「ドクオー!今日は何日?」

('A`)「ん……?今日?10月20日だが」

lw´‐ _‐ノv「ちゃうちゃう、もっと、こうひねってひねって」

(-A- )「そうだな、グレゴリオ暦で年始から293日目だな。いやユリウス暦とのズレを鑑みると……」

lw´‐ _‐ノv「……じゃあ、何の日かわかる?」

('A`)「ん、皇后誕生日、新聞広告の日、あと頭髪の日、ヘアブラシの日、疼痛ゼロの日、あと群──」

lw#´‐ _‐ノv「そうじゃねぇよ!」

(:'A`)「な、なんだよ急に」

lw´‐ _‐ノv「もっと身近な、さ。こう米的な」

(:'A`)「──すまん、わからん。勉強不足だ」

lw´‐ _‐ノv「……もういいよ」


50 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:13:49 SqNEkJQkO
〜〜〜

思い出したくもないことを思い出すとき、極力、脳内の描写を避けたがるもの。

なまじ、彼の場合は映画やドラマを見るときのように正確なのでより、慎重になる。

意識がはっきりしたとき、先ほどまで立っていた場所にはセコンドであるツンが居た。

(゚A゚)「はっ!?クイズは……!?」

ξ ⊿ )ξ「安心しなさい、続いてるわよ。まぁ1ポイント落として同点だけどね」

こちらを振り向かないのは試合に集中しているからか、それとも。

('A`)「ツン……」

ξ ⊿ )ξ「全く……人の気も、知らないで」

('A`)「えっ……」

聞こえなかったのは、依然として大きな歓声──それでも多少はマシになった──が原因。聞き返せなかったのは司会進行の声。


51 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:15:30 SqNEkJQkO
(-@∀@)「両者共に7対7!!呆然とするスーパードックンに変わってセコンドであるツンさんが回答を続ける!ですが、お互いチェックアンサーは全く当たらない!!いやシュール選手に至っては当てる気がないのか!?これではただのなぞなぞ合戦だぁ!!」

(*-@∀@)「それでも!!シュール選手の赤裸々な回答はこの会場を様々な意味で盛り上げています!!」

(:゚A゚)「せ、赤裸々って……いったいあいつはどんな」

ξ゚⊿゚)ξ「スーパードックンさん」

振り向いた彼女が自身に詰め寄る。金髪が顔を隠している。

(:'A`)「な、なんだよ──」

\xAD\xF4グアッ!(゚A`)ビシィ!⊂ξ(゚⊿゚ξ

(#゚A゚∩)「いってぇ!なにするん」

ξ゚⊿゚)ξ「あなた……彼女のこと、大切にしたことある?」

はたかれた頬を押さえながら確認する。ようやく見えた表情は悲しみ。

(:'A`)「ど、どういう意味だ?」


52 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:16:22 SqNEkJQkO
ξ-⊿-)ξ「あなたがボーっとしてる間、シュールさんのチェックアンサーを見ていたけど……」

ξ゚⊿゚)ξ「確かにあなたの頭脳が特殊なんだろうということは認めるわ。だけど、それより──」

言いよどむ彼女に向ける言葉は、情けなさの交じった当然の質問。それに対し、ツンが答えることはない。

(:'A`)「待ってくれ!あいつは、シュールはどんなことを!?」

ξ゚⊿゚)ξ「……いいわ、今は相手を倒すことだけ考える」

ξ#゚ー゚)ξ「スーパードックンさんにやる気がないなら、私がやるしかないわ」

(:'A`)「……」

ここで交代の旨を告げてくれれば、すぐにでも代わっていただろう。

沈黙は肯定を意味する。地面に視線を向けたまま、何もしないドクオに背を向けて、台の前に立つ。

ξ゚⊿゚)ξ(こんなところで負けるわけにはいかない……でも)

ξ:゚ー゚)ξ(このままじゃ、やばいかな……!)


53 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:17:12 SqNEkJQkO
再び対峙するはシュール。また煽り文句で場を混乱させてくるかと思えば、意外。

lw´‐ _‐ノv「ツンさん、ごめん」

ξ゚⊿゚)ξ「えっ……?」

lw´‐ _‐ノv「ツンさんには控え室で助けてもらったし、感謝だってしてる」

それはギコとの諍いを仲裁したことを言っているのだと、すぐにわかった。

同時に、彼女の感謝という言葉以上の思いを感じたツンは心の中で確信する。

lw´‐ ∀‐ノv「だけど、勝たせてもらいまっせ!へっへっへ!!」

ξ゚⊿゚)ξ(……この子、やっぱり)

神妙になったかと思えば、滑稽な態度をとる彼女の思惑は到底読み取れない。

ξ゚ー゚)ξ「あら、どうも。でもあなた、それ以上に」

lw´‐ _‐ノv「あーあーきこえなーい!メガネ!はやくすすめて!」

(*-@∀@)「め、メガネですか!?まぁ進めますが!」

(#゚ー゚)(あ、進めるのね)

ξ゚⊿゚)ξ(シュールさん、あなたは……)

ξ-⊿-)ξ(嫉妬してるのね)

だからツンは、女の勘というものを信じた。


54 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:18:28 SqNEkJQkO
〜〜〜

放たれたドアから入ってくる寒気が、プレハブ内に入ってくる。同時に、外気とは正反対のほくほく顔が一同の前に現れた。

(* ^ω^)「おいすー!戻ったおー!」

労いの言葉をかけながら、デミタスたちのいるモニターの前に向かう。最初に声をかけたのはプギャー。

( ^Д^)「あっ、内藤さん!どこいってたんすか?」

( ^ω^)「ウンコだお!いっぱい出たお!」

(*゚∀゚)「うわぁ、ひくわー」

( ^ω^)「つーちゃん、うるさいお。僕は気分がいいんだお。ほっといてくれお」

(* ^Д^)「快便は気持ちいいっすもんね!わかるっす!」

ヤンヤヤンヤ!

よくある──いい大人が話す内容ではないが──世間話を遠くから見つめていたデミタスは一人考える。その笑みに隠された真実を見つけるため。

(´・_ゝ・`)(ウソ、だな。だがいったいどこにいってたんだろうか……)


55 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:19:12 SqNEkJQkO
( ^ω^)「デミタス、状況はどうかお?」

(´・_ゝ・`)「現在、素直シュールとスーパードックンは7対7で同点です」

(* ^ω^)「おっおっ、それはそれは。意外だおね、あのまま点数に開きがないとは」

それは一瞬、言葉の綾や揚げ足とりに似た疑惑。

(´・_ゝ・`)(……あのまま?)

頭の中で整理するために口を噤んでいると、部下達が内藤に向かって長くなりそうな話を持ちかけようとしていた。急がなければ。

(*゚∀゚)「内藤さん!それより面白い話があるよ!」

(^ω^ *)「おっ、なんだおつーちゃん!つまらなかったら怒るお!」

( ^Д^)「実はっすね──」

(´・_ゝ・`)「プロデューサー、少しよろしいですか?」

意を決した彼の目は鋭い。にらまれたくない部下は距離をとる。

( ^ω^)「なんだお、デミタス。手短に頼むお。早く面白い話をききた」

(´・_ゝ・`)「どちらに行っていたんですか?」

( ^ω^)「おっ?だからトイレに」

(´‐_ゝ‐`)「トイレに会場の状況を知る術はありません」

( ^ω^)「……」


56 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:20:31 SqNEkJQkO
(´・_ゝ・`)「プロデューサーがここから出たのは二人の試合前、トイレに行っていたのに点数がわかる方法はありませんよ」

( ^ω^)「おお……」

短く、しかし確実な追い詰め方だった。目が泳いでいる内藤に止めをさす。

(´・_ゝ・`)「いったい、何をしていたんですか?」

こじあけたのは真実か、両手をあげて口を開く男の姿に身構えるデミタス。一拍おいて話し始めた。

( ‐ω‐)「……デミタスには敵わないおね、俺はあの後、ある人物達に会いにいっていたんだお」

(:´・_ゝ・`)「ある人物達?」

( ^ω^)「うんお。もうそろそろここにくるおね」

時計を見ながら言って、一つしかない出入り口に注目したので、話を聞いていたスタッフ達もつられる。

よく透る女性の声が聞こえたのは、その数秒後。

川 )「待たせたな」

(:´ ゚_ゝ゚`)「あ、あなた達は……!?」

二度目の寒気は、三つの顔。ある種の熱さでプレハブ内が騒然となることに、違和感はなかった。


57 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:21:44 SqNEkJQkO
〜〜〜

太陽は俄然、声をあげている者たちを照らす。歓声、進行、回答──そのどれもが季節を忘れさせてくれる。

(*゚ー゚)「問題です!突きぬくものだけど、突き抜けるとなくなるものはなぁーんだ?」

ξ゚⊿゚)ξ(……これかしら)

lw´‐ _‐ノv(ヌハァ、余裕じゃぁ、又八じゃぁ)

研ぎ澄まされた集中と、余裕綽々の態度。両者のぶつかり合いに汗をかく者もいた。

(-@∀@)「さぁ!両者回答が出揃いました!それではチェックアンサーをお書きください!」

ξ゚⊿゚)ξ(悔しいけど、相手の通常回答による失敗を期待するしかないわね……)

ここでツンはチェックアンサーを書かなかった。否、書けなかった。

問題の趣旨と全く関係のないことを予想できるはずもない。何か書いておくべきだと考えるより、少しでも時間を使って突破策を考えるべきだと判断したのだ。

(-@∀@)「はい!ありがとうございます!では、皆さんスクリーンをご覧ください!しぃさん、お願いします!」


58 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:22:54 SqNEkJQkO
ξ゚⊿゚)ξ「回答:矢(四画目が突き抜けると失になるため)
チェックアンサー:  」


lw´‐ _‐ノv「回答:矢
チェックアンサー:ああ、米が食べたい。ちなみにスーパードックンはパン派です」


59 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:24:48 SqNEkJQkO
ξ#゚⊿゚)ξ「ちっ!ここでも正解を出してくるか……!」

結果、その判断は誤ったものになる。まるで手のひらで踊らされているように、飄々と問題をかわしていく。

(-@∀@)「通常回答は両者正解!8対8、依然として差はつかない!チェックアンサーの存在理由が完全に無くなってしまっている!」

(:-@∀@)「なお、もし10対10の同点になった場合はサドンデスとなり、以降の正解ポイントがどちらか上回った時点で終了となります!!」

(*:゚ー゚)(あ、説明忘れてたかも。ま、いっか)

焦るアサピーと暢気なしぃ。余裕の表れか、空に向かってノビをするシュール。ツンは皮肉を込めた本音を投げかけた。

ξ゚⊿゚)ξ「やるわね……さすがは前回優勝者、協会の幹部といったところかしら」

lw´‐ _‐ノv「わぁい、ほめられた」

ξ゚ー゚)ξ「でも、私だって負けないわ。イーサンの代表として、巻き毛のツン。ここで終わらないわよ」

lw´‐ _‐ノv(ねえさん、ドクオに負けてんじゃん)

lw´‐ _‐ノv「あ、ねえさん。一つ言っておくね」

ξ゚⊿゚)ξ「な、なによ」


60 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:26:08 SqNEkJQkO
lw´‐ _‐ノv「10問目。それを過ぎてサドンデスになったら……本気でいくから」

目つきが変わった。むろん、眼孔が開かれたなどという直接的な変化ではない。

言うなれば覚悟。斜め下に向きがちな彼女の妖艶さが凛としたそれに変わる。

ξ゚⊿゚)ξ「今までは本気じゃないって事?」

lw´‐ _‐ノv「正直、この程度の問題ならいくらでも解ける。ねえさんに勝ち目ないよ?」

ξ:゚⊿゚)ξ「ふん!確かに私にもわからない問題が出てくるかもしれない。でもこっちだって規格外の奴がいるわ!たとえやる気がなかろうと、やってもら──」

息もつかせぬ羅列は自分を鼓舞するためのカンフル剤。しかしそれが止まったのは、シュールが同じ言葉を連続したから。

lw´‐ _‐ノv「それ。それそれそれ」

ξ:゚⊿゚)ξ「えっ……」

lw´‐ _‐ノv「私はね、ツンさん。興味がないことには何の意欲も湧かないの」

lw´‐ _‐ノv「でもね、反面、興味があることには最大限の研究と理解をもって接する」

その意味を理解したとき、戦慄する。

ξ:゚⊿゚)ξ「……まさか」


61 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:27:53 SqNEkJQkO
先ほどまで合わさっていた視線は僅かに外され、後ろにいる男に向けられている。目を合わせることはない。

lw´‐ _‐ノv「スーパードックン、私はあなたのことならなんでもわかる」

lw´‐ _‐ノv「髪をかく癖も」

lw´‐ _‐ノv「タバコを吸うときに最初の一息を吐き出すのも」

lw´‐ _‐ノv「理不尽なことにすぐ怒ることも」

lw´‐ _‐ノv「本気を出すとき、両耳をふさいで音を閉ざすことも」

lw´‐ _‐ノv「あなたが私のことを──」

( A )「もういい」


62 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:29:23 SqNEkJQkO
赤裸々に、ジェスチャーを混ぜながら紡がれていくドクオの生態が全て晒されることは無かった。

纏った雰囲気は怒り。少しずつ歩を進める。

lw´‐ _‐ノv「……」

( A )「聞いてりゃ勝手なことばっかいいやがって……」

('A`)「俺の何を知ってる?」

\xAD熙\xCE:゚⊿゚)ξビクッ!

静かなる怒気が体にまとわりついているような。台の前に立つツンは思わず退く。

直線に、真正面に並んだ二人はようやく視線を合わせた。

('A`)「何も知らないだろう……!俺が、俺が……!」

(#'д`)「「どんな思いでここにいるのか!」」v‐ _‐`ノwl

(:゚A゚)!?

気がつけば歓声は、この試合で最も小さくなっている。だから、より一層二人の声は響いた。

驚愕するドクオを尻目に、シュールは笑う。


63 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:30:58 SqNEkJQkO
lw´‐ _‐ノv「ふふ、言ってんじゃん。私は全部わかるって。さぁメガネ、進行進行」

手で、動物を追い払うようにアサピーを促す。

緊迫な状況に飲み込まれてしまったのか、一瞬呆けた後、プロとしての責務を果たした。

(*-@∀@)「へ、は、はい!!なにやらシリアスなムードですが、いったいどういう結末を見せてくれるのでしょうか!私としてはむしろ一視聴者として観戦したいところ」

(#゚ー゚)「ゴホンッ!」

(-@μ@)「8対8!さぁ、しぃさん問題をお願いします!」

(*゚ー゚)「はい、問題です!」

咳払いをしたしぃのみ、この雰囲気に対応している。正確には楽しんでいるのかもしれない。問題を読み上げる声は心なしか、明るい。

(*゚ー゚)「家電屋さんであるものを買ったらおまけにお菓子をもらいました。なにを買ったでしょうか?」

もはや問題に対しての思考など一切ないほどに、ドクオの頭に苛立ちが渦巻いていく。

突き刺さった心への凶器は、少なからず急所に当たっていて、結局のところは図星。

自我を守るためにも攻撃をする。


64 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:32:01 SqNEkJQkO
(#'A`)(俺のことがなんでもわかるだと?ふざけやがって……!)

lw´‐ _‐ノv(ルンルン♪)

(-@∀@)「戦いも終盤!ここで点差が開くか!?それとも決着か!?チェックアンサーをお願いします!」

('A`)(ならこれでどうだ!)

lw´‐ _‐ノv(ルンルンルン♪)

(-@∀@)「さぁ!皆さん!スクリーンにご注目ください!どうぞ!」


65 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:32:41 SqNEkJQkO
('A`)「回答:Warm Mist Humidifier
チェックアンサー: 炊飯器」

lw´‐ _‐ノv「回答:加湿器
チェックアンサー:Warm Mist Humidifie」


66 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:33:41 SqNEkJQkO
ドクオが選んだ攻撃は、まさに『予想しにくく、本筋を外さず、ウィットに富んだ回答』そのものだった。

わかることは、彼がシュールのことをわかっていなかったということ。

そして、相手を評価した自身のことしか考えていないということ。

(:-@∀@)「おおっと!?これは……!?」

(*;゚ー゚)「チェックアンサーが一致……していませんね」

(:-@∀@)「最後の一文字違い!たった一文字が違うだけですが、シュール選手、チェックアンサーをニアミスした!!」

(*^ー^)「正解はお菓子がついてくるので加湿器。スーパードックンの回答は、訳によって解釈が変わる恐れがあるので残念ながら不正解とさせて頂きます。シュール選手、1ポイント獲得ですね!」

(-@∀@)「8対9!!ここにきてリーチがかかる!!しかも彼女の言うとおり、スーパードックンの回答をほぼ正確に当てることができるというのか!?」

たった一文字を外した事実は、先の言い分を裏付けるに値する。彼の中にある広大な海に似た非凡な常識にヒビが入った。


67 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:34:53 SqNEkJQkO
( ゚A゚)「うそ、だろ……なんで」

lw´‐ _‐ノv「手の動き、間、視線、ペンへの力の入れ具合──はほどほどでいいとして」

lw´‐ _‐ノv「あなたの思考を分析した。あくまで正解を導いて、それでもわざと外す一種の自己陶酔。ナルシズム。覚えてないかなぁ、覚えてるはずだけど憶えてないよね。私、『専門分野』に関してほめられたんだよ、誰かさんに」

そのヒビは小さく、しかし特殊な頭脳が災いする。

( ゚A゚)(あ、あり……えねぇ)

広がっていくのは闇。真っ暗な黒いそれが、皮肉にも思考を追い立てていく。考える。

( ゚A゚)(高い視力による観察力……違う。

心理学的思考によるロジック……違う……!

社会生理学における行動の予測……違う……!)

(;;-A-)(違う、違う、違う違う違う違う違う違う!!)

そうして出来た混ざらないロジックは。

( A )(負 け る)

一年ぶりに敗北の気配を感じるに至った。


68 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:36:31 SqNEkJQkO
〜〜〜

右手で額を押さえ、左手で台にかかる体重を支えているドクオ。弾き出された最悪の結果を、聡明、犀利、俊才など定義し難い見識者にも到底崩せない。

CM明け、恒例の現状説明が視聴者に発信されるが、彼を見る誰もが勝負を諦観し始めている。

(-@∀@)「盛り上がってきましたね、しぃさん!一度、ルールを整理してみましょうか!」

(゚ー゚*)「ええ!次の問題でシュールさんが正解すれば勝利です。ただし、どちらかがチェックアンサーに正解した場合、10ポイント以上の点数を獲得したほうの勝ち。回答、チェックアンサー共に不正解によって10対10になった場合、以降はルール通りサドンデスとなります!」

また後ろから、折れて小さくなった背中を見ているツンは懸念する。ここで終わるわけにはいかないと。


69 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:37:48 SqNEkJQkO
ξ゚⊿゚)ξ(相手が正解を出すと仮定して、それをチェックアンサーでカウンターすれば勝てるけど……そう甘くはないわ)

ξ:゚⊿゚)ξ(かといって、このまま彼に任せていれば負けちゃう)

ξ゚⊿゚)ξ(こうなったら……!)

意を決し、歩を進め、交代の旨を告げようとする。足が少し震えたのは武者震いだけではない。

ξ゚⊿゚)ξ「スーパードックン、下がってて。私が」

声をかけながら、斜め後ろについた彼女に振り向く彼は憔悴していた。

( A )「負ける…のか、俺、こんな、こんなところで、約束、まもれ──」

たどたどしく口を開くのを最後まで聞く前にツンは言う。

ξ:゚⊿゚)ξ「な、なに弱気になってんのよ!あんなのたまたまよ!私達なら勝て」

(`A')「勝てねぇよ!!」

ξ:゚―゚)ξ「っ!」


70 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:38:39 SqNEkJQkO
上体を後ろにそらしてしまうほどの剣幕は、興奮した頭から溢れてくる弱音をせき止めることができない。

(`A')「あんな芸当、どんな分野にもねぇ。学術的にも身体能力的にも、ありえるとすりゃエスパーだ」

そして、かつて自身に降りかかった火の粉を、絶対にならないと思えた存在を、体現しようとする。

('A`)「勝てるわけがねぇよ……あんな、ばけ」

( A )「ぐあっ!」

理性に限界が来ているのは彼だけではない。

度重なる自分よがりな物言いを、接近した状態から放たれたボディブロー──ショートパンチの要領で──で阻止した。

学生時代を思い出したツンは、やり場のないむなしさを振り払うように、腹部を押さえて中腰になっているドクオを見下す。

ξ ⊿ )ξ「それ以上言ってみなさい。イーサン代表──いえ、一人の女性として、あなたをぶっ飛ばす」


71 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:39:53 SqNEkJQkO
(; A`)「ゲホッ……くっ……」

手加減はした。いい気付け薬になれば。楽観することができればどれほど楽か。

現実はバーチャルのように都合よくいくものではない。台に両手をつけて声をあげることでその苦しみを昇華する。

ξ##゚皿゚)ξ「あ゛ーー!!イライラする!もういいわ!」

ξ#゚⊿゚)ξ「シュール!私が相手よ!!こんな腑抜けた男よりマシでしょ!」

後ろに向かって指差しながら、先ほどに比べて明らかにやる気のなさそうなシュールをにらみつける。

lw;´‐ _‐ノv「ねえさんじゃダメなんだけど……まぁ仕方ないか。終わらせよっかね」

落着した頃合を見計らってアサピーが声をあげる。

なかなか司会を進めがたい今回の戦いに、疲れこそすれど悪い気分ではない。

それは観客も同じ。要領を得ればどこで盛り上がるべきかもおのずと理解できる。


72 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:40:42 SqNEkJQkO
(*-@∀@)「スーパードックン、戦意喪失!!女性同士の戦いは、この謎解きの終止符をうつか!?しぃさん、問題!!」

然るに、この戦局にて適切なムードというものは。

(*゚ー゚)「はい、もんだ」

「ちょぉっとまったぁ!!!」

(-@∀@)「え!?」

lw´‐ _‐ノv「ん!?」

ξ:゚⊿゚)ξ「は!?」

(;'A`)「な、なんだ……!?」

嵐の前の静けさといったところだろうか。


73 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:41:06 SqNEkJQkO
〜〜〜

( ФωФ)「言ったであろう、諸本。『彼では』負けると」

(´-ω-`)「……」

この質問に対しての沈黙は、彼にとって必ずしも肯定ではない。それを踏まえた上で杉浦は続ける。

( ФωФ)「大方、このコンセプトは行動生態学に基づいた理論を導くクイズだろうが……能力の高さ、そして対戦相手。条件が悪かったな」

それでもなお語ろうとしない彼に代わって、最も若い男が間に入った。

向かい合うは二回り離れた大御所。物怖じはしない。

( ・∀・)「杉浦先生、僭越ながら」

( ФωФ)「なにかね?」

( ・∀・)「まだ勝負はついていないように思いますが」


74 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:41:46 SqNEkJQkO
茂良の決してそらすことがないだろう目を見て、それに応える。知りたいのは意図ではなく真意。先を促した。

( ФωФ)「……君は、まだスーパードックンが勝つかもしれないと?」

( ‐∀‐)「いえ、違います」

( ・∀・)「スーパードックンが勝つんですよ」

言い切りの形はまるで未来でも見ているかのような自信に満ちている。

他の招待客はおろか、諸本さえも見えていないほど研ぎ澄まされている空間は、外部からの一声で崩れた。

(´-ω-`)「よすんだ」

張り巡らされた緊張の糸がプツリと切れたように、ひょうきんな態度で謝罪をする。一言、二言を多めに。

(; ^∀^)「……失礼しました。いやぁ、なんせ1億賭けてますから。まぁ人の金なんですけどね」


75 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:42:38 SqNEkJQkO
( ФωФ)「かまわんよ。若さゆえの情熱、嫌いではない」

( ФωФ)(とはいえ……今の威圧、とても若さゆえとは形容できんがな)

会話の輪から離れて、モニターを見守りに行く姿は、先ほどの啖呵を切った人物とは思えない。

一考の余地ありかと思ったその時、ようやく諸本が最初の質問に答えた。

(´・ω・`)「まぁ、彼が負けることは別におかしいことではないさ。ジョルジュさえ勝てば問題ないよ」

(´・ω・`)「ただ」

( ФωФ)「なんだ?」

『ちょぉっと、待ったぁ!!』

(´・ω・`)「勝負の行方は最後までわからないことは確かだ」

持論にプラスと見た情報を確認し、全身を使ってこちらにアピールする男を視界に入れながら、悟ったような表情をして。


76 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:43:49 SqNEkJQkO
〜〜〜

会場のスクリーンに映し出されたのは問題でもなければ答えでもない。三人の女性。

(-@д@)「な、なんと……!?彼女達は……!!」

(-@∀@)「皆さんご存知でしょう、他国の方は覚えてください!我らが誇る人気絶頂のアイドル!」

(*-@∀@)「サプライズゲスト!スナオシスターズの登場だぁ!!」

観覧車やジェットコースター。ここがテーマパークであることを再認識させる背景に、アイドル特有の惹きつけるパワーを持った三人の迫力な光景が観客達の心を掴む。

知っている者も知らない者も、ほとんどがその歌とダンスに魅了されていく。

それはクイズを中断した司会や選手達も同様。


77 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:44:16 SqNEkJQkO
ξ**゚⊿゚)ξ(うわっ、ゲストって……スナスタじゃん!イーサンじゃライブやらないんだよね、ラッキー)

(*゚ー゚)(相変わらず若いわね……)

lw´‐ _‐ノv(クーちゃん、ヒーちゃん、そしてアホ……来ちゃったか)

('A`)(あいつら……もしかしてシュールに?)

(*-@∀@)「突然のライブ、驚きましたね、しぃさん!」

(゚ー゚*)「はい!とても感動出来ましたね!」

(-@∀@)「ここで彼女達から応援コメントを頂きます!では、クールさんから、どうぞ!」

カメラがスクリーンの中央に寄っていき、一人がアップされる。毅然とした表情にうっすら汗が見られることから、運動量が伺えた。


78 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:45:24 SqNEkJQkO
川 ゚ -゚)「スナオシスターズの素直クールだ。今回、ここでライブさせていただいたことに一同、感謝をする。ありがとう」

川 ゚ ー゚)「私からのコメントは、そうだな。どちらもがんばれ、といっておこうか」

簡潔なそれは、例え汗をかいていようとも呼吸を整え、見ている人々に伝える努力をしている。プロ。

(*゚ー゚)「ありがとうございます!続いて、ヒートさん!お願いします!」

カメラが左に動いて、汗ひとつかいていないヒートに注目する。一見すると全く動いてなかったのではないかと思われるその姿は、両頬の紅潮が見受けられ、彼女のアスリートとしてのポテンシャルを如実に現していた。

ノパ⊿゚)「スナオシスターズのヒートだ!!みんな、ありがとう!!」

ノハ*゚⊿゚)「私としては両方とも勝ってほしいぞ!!」

川 ゚ -゚)「ヒート、勝者は一人だけだ」

隣のクールがすかさずフォローを入れる。腕を組んで考え中。

ノパ⊿゚)「ああ、そっか!!」

ノハ;-⊿-)「うーん……わからない!!どっちもかんばれ!!!死力をつくせ!!」


79 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:46:23 SqNEkJQkO
結果として、姉のコメントと同一のものがヒートなりの言葉で放たれる。両手を振るサービス精神も人気の一つか。

(*゚ー゚)「はい、ヒートさん。ありがとうございました!」

o川*゚ー゚)oワクワク

(゚ー゚*)「では、クイズにもどりま」

o川*;゚д゚)o「ちょちょちょ、ちょっとまってよ!?あたしは!?ねぇ!?あたしの番だよね!?」

カメラが司会を捉えたまま、声だけが響き渡る。

ゆっくりとスクリーンの右側に移動して、ようやく声の主が映し出された。もはや汗はひいていた。

(-@∀@)「おっと、失礼しました!スナオシスターズのネタ担当!素直キュートさんお願いします!!」

川 ゚ -゚)⊃ヨシヨシ o川*;ー;)o「うっうっ……ネタ担当じゃないもん……アイドルだもん……」ヨシヨシ⊂(゚ー゚ハノ

キュート以外の二人が慰める様を見ていたドクオは、一年前を思い出す。

VIPテレビでの戦い。自分に対してずばりと物を言い、誰かと戦うことの楽しさを教えてくれた存在。


80 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:47:10 SqNEkJQkO
彼のネガティブなアイドル像に、このグループは違うのかもしれないと思わせるほどの影響力を持った三人の中で、最も印象に残った彼女を見ていると自然と表情が緩んでいった。

数秒してようやく顔をあげたキュートは右手でカメラを指差し言う。

o川*`ー')oキッ!「スーパードックン!」

(;'A`)「な、なんだよ……」

o川*`ー')o「なにやってんの!!このボサボサバカ!!」

( ゚A゚)「あ!?」

o川*`ー')o「バカバカ、ヴァーカ!!バッカ!!」

(#'A`)「おいこら、なにがいいてぇんだ。ケンカうってんのか?」

o川* ー )o「ブ……」

('A`)「?」

o川*`0')o「ブァァァアアカ!!!!」

(;'A`)「っ……!」

唖然とする周囲の人間。クールとヒートは肩をすくめて顔を見合わせている。

ここまでの会話になっていない応答は、向こうに通信できるマイクを持っていないからだけではないかもしれない。

すかさずドクオの口元にそのマイクを持っていくアサピー。やはり楽しそう。


81 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:48:08 SqNEkJQkO
o川*;;゚ー゚)o「ハァハァ……疲れた……どう……?」

(;'A`)「どうって、なにが!」

o川*゚ー゚)o「バカって言われた気分は」

(;'A`)「はぁあ?」

o川*゚ー゚)o「あんたって人から頭悪いとか、バカとか言われることないでしょ?」

(;'A`)(こいつ、なにいってるんだ……?)

o川*^ー^)o「あたしはいつも言われてるもんね。うらやましいでしょ!」

( 'A`)(あ、こいつバカだった。そういえば)

意味が分からないので、自己完結。気を取り直して質問しなおす。

(;-A-)「なにが言いたいんだ?」

o川*-ー-)o「えっとね、んーと、いっつも辛そうな顔して、でもクイズで対戦とかなんか夢中になってるときは楽しそうじゃん。バカみたいな顔してるじゃん」

ξ゚ー゚)ξ(なるほどね……)

o川*゚ー゚)o「だからバカになりなよ!たまにはさぁ!」

('A`)(バカに……なれ……だと?)


82 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:49:10 SqNEkJQkO
確かに今までそのようなことを考えたことなどなかった。

刷り込まれていく高度な学術、極端な社会性に囚われた彼にとって、罵りをうけたことはあれど、バカだと言われたことはない。

それはどんなメディアにも載っていない──仮に載っていたとしても記憶したところで理解し、落とし込むことはない──人としての一つの有り方。

o川*;゚^゚)o「ま、まぁ?バカになったらなったで問題が解けないからシュー姉には勝てないんだけど……あれ?ダメだ、でもバカにならないとドックンの楽しそうな顔みれないし──」

彼は、眼前にあるマイクを持つ手から受け取る。普段よりは大きく、声を発する。

('A`)「キュート!」

o川*;゚ー゚)o「ひ、ひゃい!?」

例えば『天才』がいたとして、全てを吸収し最良の答えを出せる存在に必要なものは何かと問うた時。

(#'A`)「一つ教えてやる。バカって言ったほうがバカなんだぜ?」

『友』や『経験』などは、育み、積んできた者だけが持つ財産だといえるだろう。


83 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:50:24 SqNEkJQkO
『天才』は『友』の『経験』によって救われた。だから言う。感謝の言葉を。

(*'∀`)「センキュ!」

o川*//д//)oフヌッ!!

バターン!!

川;゚ -゚)「キュート!?」(゚△゚;ハノ

画面の向こうが騒々しくなったと思えば、スクリーンは元の形式に戻った。

少しざわつく会場を押さえるためにアサピーはマイクを返してもらった後、定位置に戻り声をあげる。

(;-@∀@)「きゅ、キュートさん!なぜか知りませんが倒れました!!これはスーパードックンのパワーか!?」

インカムを押さえながらしぃがフォローに回る。安堵の表情を浮かべた。

(*゚ー゚)「お二人が彼女を運んでいるようですね。どうやらケガはしていないようです」

嵐が過ぎ去ったように、会場に落ち着きが取り戻される。クイズ再開。口を開くのは彼女達の姉。

lw´‐ _‐ノv「はっはっ、妹達が粗相をしたね」

その言葉に腕を組んで、気持ちとは裏腹な態度を見せるのはツン。ミーハー。シュールに返答をしながら後ろでスクリーンを凝視しているドクオに質問する。


84 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:51:32 SqNEkJQkO
ξ*-⊿-)ξ「全く……お騒がせなアイドルなこと。日本ではあんなのが流行ってるの?」

( A )「……」

返事がない。ぼやくように吐き捨てる。

ξ゚⊿゚)ξ「……無駄、か。ちょっと期待したんだけどね」

('A`)「いや、無駄じゃねぇよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「あら……?」

('A`)「ツン」

呼ばれて振り返る。
そこには土下座でも、腰を九十度曲げるような慇懃無礼でもない格好をしている男がいる。

ξ;;゚⊿゚)ξ「ちょ、ちょっと、どうしたの!?」

(-A-)「すまなかった。あれだけ言ってくれたのに、聞く耳をもたず」

('A`)「申し訳ない」

見たものを記憶するだけでは必ずしも聡いとは言い難い。

ドクオの行動は、一年前に初めて出会ったときのプギャーを思い返したもの。


85 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:52:16 SqNEkJQkO
ξ;゚〜゚)ξ「べ、別に良いわよ!言っとくけどあんたじゃないと勝てないからっていうわけじゃないんだからね!」

それがツンなりの免じ方。そっぽを向く彼女に礼を言う。

('A`)「ありがとう」

ξ-⊿-)ξ「なによ……気持ち悪いわね。まぁやる気になったならいいわ」

台の前から退いて、首をかしげ合図する。うなずいて真向に居るシュールを見た。

驚きも悲しみも、怒りも喜びもない、無表情。それでもわかる。決着をつけるべきだと。

('A`)「さて……」

lw´  _ ノv「……いつから」

('A`)「ん?」

lw´‐ _‐ノv「いつから君はモテるようになったんだい?」

一瞬、きょとんとしたドクオはすぐに言い返す。

(#'A`)「バーカ、俺は生涯モテたことなんざねぇよ。くそったれ」

吐き捨てるような言葉は繋がらない。返答になど興味はなく、同じように繰り返す。


86 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:53:12 SqNEkJQkO
lw´‐ _‐ノv「……どちらにせよ、私には勝てないよ。あなたは何も変わってない。あの頃から、ずっと」

全てをわかっているかのような口調は彼に言い聞かせるように。

( A )「ああ、確かに俺はあの頃から何も変わってない」

lw´‐ _‐ノv「?」

(-A-)「ただ、あの頃と比べて出会った人は少し増えたよ。濃いぃ奴らとな」

そして、自分に言い聞かせるように。

lw;´‐ _‐ノv「変わってない……よね」

('A`)「いくぜ、シュー。お前が初めて見る俺を見せてやるよ」

('∀`)「バカで素直なスーパードックンがな」

楽しそうな顔からわざと目をそらした。


87 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:55:48 SqNEkJQkO
〜〜〜

(; ^ω^)(またつよがりを……!上がれば上がるほど落とした時の快感はあれど、さすがにしぶといおね……!)

(´・_ゝ・`)「なるほど、先ほどのライブのために段取りを……」

思考とは裏腹に、デミタス達は感心していた。内藤がコソコソとしていた理由がわかったから。

( ^ω^)「おっ、黙ってて悪かったお。俺と司会、あと上層部だけが知るシークレットゲストだったんだお」

( ^ω^)(まぁ呼んだのは僕だけどおね。ドクオを潰すだけじゃなく、数字もとらないと)

(* ^ω^)(デミタスも本当の目的まではわからなかったようだお。計画通りってかお)

(; ^Д^)「まさかスナオシスターズがシベリアにくるとは……驚いたっす。よくOKしてくれったすね」

(*゚∀゚)「なんか、まくらくさい」ボソッ

( ^ω^)ナンカイッタカオ ツーチャン?  (*;゚∀゚)アワワワ

( ^Д^)「デジャブっすね」

(´・_ゝ・`)「ああ」

≡( ^ω^)ナニモシナイオ オシゴトニツイテ モットオハナシスルオ ≡(*;゚∀゚)イヤァァァァ


88 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:57:20 SqNEkJQkO
いつも通りの光景に安心感を得たような二人は、モニターの中で対峙する二人を見ている。

( ^Д^)「でもあれっすね、これでドクオさんの勝ちっすね」

(´・_ゝ・`)「どういう意味かな?」

(* ^Д^)「だって、あのセリフが出たんすよ?『スーパードックンがな』って!」キリッ

それはデミタスの持論でもあり、諸手をあげて賛成できる意見だった。

しかし、彼の立場上、そう甘い顔はできない。顔はほころびながら、いやらしい質問をする。

(´^_ゝ^`)「フッ、そうだな。だが、今度ばかりは相手が相手だ。チェックアンサーの正確性、正答を導く知識量。それに対してどう対抗する?」

(; ^Д^)「うぅーん……それは……」

返答に詰まった部下と、満足げな上司の耳に、扉の開く音と、凛とした声が聞こえてくる。

川 ゚ -゚)「愚問です」

(´・_ゝ・`)「!?」(^Д^ )

川 ゚ -゚)「こちらで待たせていただきます、さぁヒート、キュート」

ノパ⊿゚)「お邪魔するぞぉ!!」

o川*'ー`)o「フニャ……センキュ、センキュ、グフフフ」


89 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:58:18 SqNEkJQkO
現れたのは件の三人。一年前と変わらぬ格好なのは、それが正式なコスチュームだと再度、認識させられる。寒そう。

つーを追いかけ回していた内藤は、いったん足を止めて、すぐに彼女達に向かった。

( ^ω^)「お疲れだお、スナオシスターズ」

川 ゚ -゚)「お疲れ様です、内藤プロデューサー。この度は我々をこのような場に招いていただき、ありがとうございます。約束ど──」

(; ^ω^)「おおおん!気にすることはないんだお!それより疲れただろうお!ささっ、ゆっくり気楽に休んでお!」

言いかけた言葉をさえぎられ、少し腹が立つも彼の言い様に感化されたか言うとおりにする。

川 ゚ -゚)「むっ、すまない。失礼する」

ノハ^⊿^)「すまんなー!」

o川*'ー`)o「エヘヘヘヘ……」

案内された場所は、一人を除いて全く場違いな長いパイプ椅子。まるで病院の通路にあるような凡庸さが妙におかしい。

(; ^Д^)「すごい光景っす……まさか、スナオシスターズがこんなプレハブに」

(*゚∀゚)「ねぇねぇサイン」

(;´・_ゝ・`)「やめなさい」


90 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 17:59:18 SqNEkJQkO
いつの間にかスポーツバッグから色紙を取り出し、今にも飛び掛りそうな彼女の頭を押さえながらデミタスは咳払いをした。

(´・_ゝ・`)「……スナオシスターズ、今回はありがとう。おかげで盛り上がったよ」

(´・_ゝ・`)「ひとつ聞きたいんだが、先ほどの話について」

川 ゚ -゚)「愚問だと言いました」

即答。驚いたのはヒート。

ノハ;゚⊿゚)「く、クー姉!直球だな!?」

川 ゚ -゚)「それが素直というものだ」

(´・_ゝ・`)「愚問か……よければ詳しく聞かせてくれないか?」

川 ゚ -゚)「ええ、それは──」

目を伏せ、続きを話そうとしたところにまたしても邪魔が入る。今度は身内から。

o川*゚ー゚)o「勝つに決まってるよ!スーパードックン!」

川 ゚ -゚)「キュート……」


91 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 18:00:01 SqNEkJQkO
先ほどまで心ここにあらずだったキュートは立ち上がる。反射的にプギャーは尋ねた。

(; ^Д^)「り、理由はなんすか?」

o川*゚ー゚)o「フフーン、そんなの簡単じゃん!ほらっ!」

言いながら、スタッフ達の後ろでなおも流れている映像を指差す。

o川*゚ー゚)o「あんなに楽しそうな顔してるアイツが負けるわけないし!」

o川*'ー`)o「あ、でもシュー姉負けちゃう……でも、センキュだって……グフフ、グヘヘ」

もはや誰も口を開かないほど、周囲は呆れかえっていた。


92 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 18:01:04 SqNEkJQkO
〜〜〜

lw´‐ _‐ノv「バカで、素直な、スーパードックン……?」

('A`)「お、今度は笑わなかったな。意外だったか」

lw´‐ _‐ノv「意外だよ、あんなプライドの塊みたいな君が、バカとか素直とか。何か勝算でも見つけたの?」

(;'A`)「いや、ない」

lw;´‐ _‐ノv「ないんかい!」

シリアスなムードは二人に似合わない。たとえ心中が穏やかでなくとも。

(;'∀`)「ねぇけど、ふんぎりはついた」

lw´‐ _‐ノv「ふんぎり……?」

('A`)「次で終わらせるさ、全部な」

どうにも納得がいかないシュールだが、アサピーの進行が聞こえてきたので会話を中断する。

いずれにしても最後になるのだと言い聞かせながら。


93 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 18:02:18 SqNEkJQkO
(-@∀@)「どこかカラッとしてますね、スーパードックン!スナオシスターズを見れて嬉しいのでしょう!」

(;'A`)「おいちょっとま」

(#-@∀@)「ですが!!勝敗は未だついていない!勝利の女神はどちらに微笑むか!!しぃさん、お願いします!!」

ようやく問題が始まることに歓声が再熱する。確かにうだつのあがらない男と才色兼備のずれた女の色恋は気になるが、今はクイズ。勝敗の行方が最も大事。

(*゚ー゚)「はい、問題です!」

lw´‐ _‐ノv(妙な態度に焦ったけど、大丈夫。10問目。絶対に当てられない。これが私の目的……)

(*゚ー゚)「10月20日は何の日でしょう?」

( ゚A゚)「は?」

ここにきて出題された問題は、一見、なぞなぞに関係がない。一同の疑問を取り払うべく、アサピーが説明する。


94 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 18:03:14 SqNEkJQkO
(-@∀@)「えー、皆さんのご想像通り、これはなぞなぞではありません。ハンディキャップを持たない彼女が唯一望んだ問題です。もちろん、解答は複数ありますし、どれか一つでも正解すればポイントとなります」

(*-@∀@)「したがって、通常回答の正解率は上がりますが、チェックアンサーの難易度も同時に上がるという高難易度のクイズとなります!」

本来、このような特別扱いは、ことシベリアという──実際、積むものを積めばどうとでもなりえるが──大規模な大会においてありえない。

しかし、ハンディキャップを拒否したことによる交渉のアドバンテージ、なお続く観客の声援による現状、そしてそれらが導く最後の問題になるかもしれないので、しょうがないかという妥協。

口元を緩めるシュールの本当の狙いは場の空気を味方につけることではなく、この問題をスムーズに出すことにあった。


95 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 18:04:02 SqNEkJQkO
ξ;゚⊿゚)ξ(厄介な問題……仮に二人が正解しても、シュールさんが勝ってしまう……)

ξ;゚ー゚)ξ(でも、もしアイツが素直になって、向き合えたなら、勝てるはず……!)

相手の指定した問題という、圧倒的に不利な状況だろうと勝利を願うのは、諦めない気持ちか、それとも乙女心か。

予断は許されない中で、開始の合図が響く。

(*゚ー゚)「では、回答をお書きください!」

('A`)(これだな)

lw´‐ _‐ノv(……手で隠してる。全く、見ただけじゃ全部分かるわけないっつーの)

lw´‐ _‐ノv(まぁ、何を書くかは分かってるけど)

書き始めは早く、しかし途中で何度も消しては続けるドクオの回答はいかに。

周囲が期待する中で一人、諦観する。勝った。勝ってしまった。

(*゚ー゚)「……出揃いましたね!次に、チェックアンサーです!」

('A`)(……)

lw´‐ _‐ノv(……)

もはや無言。言葉はいらない境地。二人は戦いの渦中にいるにも関わらず、どちらも探ろうとはしない。腫れ物に触るように敏感で、ずっと触れていたいほど鈍感な気持ちがせめぎあう。もう終わったことなのに。


96 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 18:04:58 SqNEkJQkO
(-@∀@)「ついに参りました。最終問題になりえる準々決勝第一回戦……!」

(-@∀@)「ここはポイントの高いシュールさんから、順番に公開していただきます!スクリーンをご覧ください!」


97 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 18:05:47 SqNEkJQkO
lw´‐ _‐ノv「回答:リサイクルの日
チェックアンサー:二人の記念日」


98 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 18:07:45 SqNEkJQkO
先に現れたのは彼女の回答。ざわめく観客のどれだけがその意味を理解しているか。外野で最も驚いたのはセコンドだった。

ξ;;゚⊿゚)ξ(ま、まずい……!?確かにだいたいは私の予想通りだったけど……)

ξ; ⊿ )ξ(回答とチェックアンサーが逆……!)

対戦中、一番近い場所で二人のやり取りを見ていた彼女にとって、これは誤算だった。

もはや勝敗などどうでもいいはず。なにがあったのかなど知る由もないが、ただ彼に知ってほしい、悔いてほしいと願う。

だからこそ回答に気持ちを、チェックアンサーに正解を書くのではないか。今のドクオの心中を考慮した予想が反対だったのだ。

シュールの回答を当てなければ勝利にならない局面において、これはあまりに複雑。


99 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 18:08:39 SqNEkJQkO
(*-@∀@)「これは、どうやらこの日付はお二人の大事な日だったようです。いやぁ、青春っていいですねぇ……私もあの年頃には──」

(゚ー゚#)「スーパードックンの回答が気になります。アサピーさん、よろしいですか?」

(;-@∀@)「あ、ああ、はい!どうぞお願いします!」

(*゚ー゚)「それではスーパードックンの回答です!スクリーンをご覧ください!」

画面中央に表示されていたシュールの回答が下に移動する。出来た空白には三つの分岐。勝利、敗北、延長。自分達の関係も、そうやって簡単に割り切れたら。

彼女はそう思いながらペンを置いてじっとスクリーンを見つめる。


100 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 18:09:33 SqNEkJQkO
lw´‐ _‐ノv(ドクオは忘れない。忘れることができない。だから、必ずチェックアンサーで書いてくる)

lw´‐ _‐ノv(あの人はいつもそうだった。言いたいことを言ってくれない。それが素直になったなら、きっと当てにくる)

lw´‐ _‐ノv(んー、試合に勝って、勝負に負けたっていうのはこういうことを言うんだろうなぁ……)

達観した目線はそのまま。思いだけが冷えていく。悟った顔をした彼女の耳に届いた言葉は──

('A`)「シュー」

lw´‐ _‐ノv「えっ……」

( A )「ごめんな」

lw´ ゚ _ ゚ノv「!」


101 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 18:10:32 SqNEkJQkO
('A`)「回答:忘れるわけねぇだろ。日付は1548日前、時刻は14時00分53秒、くそっ、余白がたりねぇ。とにかく俺達の記念日だっ

チェックアンサー:リサイクルの日」


102 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 18:11:30 SqNEkJQkO
ξ; ー )ξ「……」

lw´  _ ノv「……」

水を打った静けさだった。長く、拙い文章と、短く、わかりやすい言葉が画面に浮き出る。

(;-@д@)「……こ、これは……!!」

(*;゚ー゚)(スーパードックン、ちょっと見直したわ。でもあそこまで覚えてるとひくわ)

ξ;^⊿^)ξ(や、やるじゃない……!うっ、涙腺が……)

どうしても大人になればなるほど、その人の素直さは無くなっていく現代社会。

ありがとう、ごめんなさい。こんにちは、さようなら。子供の時では当たり前の習慣が、一種の恥として形骸化していく。

(;-@∀@)「……回答に関してはシュール選手のリサイクルの日で正解、1ポイント獲得で10ポイントとなり、本来なら勝利となります」


103 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 18:12:13 SqNEkJQkO
lw´  _ ノv(こりゃ……)

これを聞いてもいいか、あれをしても大丈夫か。自分はどうなる。相手はどうなる。どういう気持ちになる。どんな事が起こる。それはプラスか、マイナスか。損得勘定。

(;-@∀@)「しかし……!チェックアンサーを見事、一致させたスーパードックンは3ポイントを取得──」

(;-@ー@)「11対10ポイント……皆さん、もうお分かりですね」

lw´  _ ノv(あれだな)

愚直に、自分の気持ちを現せることができるならどれだけ楽だろう。

プライドを捨ててでも伝えることが出来るなら。


104 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 18:13:14 SqNEkJQkO
(*-@∀@)「スーパードックンの勝利です!!おめでとう!!準々決勝一回戦突破ぁああ!!!!」


           おとこ
lw´^ _^ノv(食えない 米 だ)

きっと、ごちそうさまだって言えるだろう。

スーパードックンのようです
第二部 第十話おわり!


105 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 18:18:27 SqNEkJQkO
ガラケーに優しくない。行省略が多すぎました。反省します。

けっこう長いですが読んでくれたら幸いです。後日になりますが例の如く、NGを先に投下しますね。へっへっへ。

毎度お待たせして申し訳ない!


106 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/27(火) 18:28:22 SqNEkJQkO
>>2
正直、びっくりした。立ててすぐだったもん。さすが、総合を保守する者ということか……ありがとう!


>>26 >>28
ありがとうございます。新スレどうぞよろしく!

>>27
ごめんね、日付書かなかったね。ぶっこんだシュールですがいかがでしたでしょうか。

>>29
ルールが予想だけに予想外なことをしてくれる。しびれたましたか、憧れましたか。私はジョジョ読んだことないので読んでみたいです。

>>30
お気に召しましたら幸いです!べ、別に嬉しさとプレッシャーで震えてなんかないんだからね!

それではまた!


107 : 名も無きAAのようです :2013/08/27(火) 18:34:30 qg2LlWT60
今までこの作品好きだったけど、この話で大好きにランクアップした
乙を通り越してありがとうがいいたい


108 : 名も無きAAのようです :2013/08/27(火) 21:47:11 fHC0gLBc0
おつ!相変わらず面白い


109 : 名も無きAAのようです :2013/08/28(水) 02:37:23 1tdc1DXw0
シューたんかわいかった乙


110 : 名も無きAAのようです :2013/08/28(水) 10:36:12 vWdLKzcs0

面白かったです


111 : 名も無きAAのようです :2013/08/28(水) 19:32:01 SX8x3VsQ0
シュー可愛いwww
面白かったー次も期待してます おつおつー


112 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 19:48:08 NskiKE1oO
>>107
そんなお言葉を頂けるだけで作者冥利に尽きます。ありがとう!事実、テンション上がって執筆スピードが上がった!

>>108
いつもありがとうございます。シュール戦でひとつの山場が終わった感じです。

>>109
ありがとうございます。シュールのぶっこみとかは、かなり悩みました。5分くらい。ヘタに考えちゃダメだよね!

>>110
あざっす!これからもよければお付き合いください!

>>111
ありがとう!次の本編から二つ目の山場です。乞うご期待!

のんびり安酒。

NGいってみよう!


113 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 19:50:18 NskiKE1oO
スーパードックンのようです
第0話 NGシーン

↓もともと0話はドクオの会社員時代を書きたかったんですが、愚痴っぽくなりすぎたのでこちらになりました。

*(‘‘)*「でも……ヘリカルやっぱりみんなと一緒に仲良くしたい……」

やべ、マジでやべぇ……どうすんだよ、泣かれたら最後、二度とコンビニはおろか外出なんてできねぇ!

*( - -)*「ドクおっちゃん……無理かなぁ……」

(;'A`)「あー、なんだ!その……歌だ!」

*(‘‘)*「うた?」

(;'∀`)「ああ!ヘリカル、歌が好きなんだろ!?じゃあみんなと歌えばいいじゃねぇか!どうせあれだろ?仲の良い子としか歌わないんだろ?」

*(‘‘)*「うん……うた……お歌かぁ……みんなとは歌ったことないなぁ……」

ええい、ままよ!

('A`)「歌えよ!そうだ、もうここで歌ってみろ!練習だ、聞いてやる!」

(-A-)「それでみんなと歌って、それでも男どもが何か言ってきたら俺が叱ってやるよ!」

('A`)「このドクおっちゃんがな!!」

\xAD\xF4*(;′‘)*ビクッ!←大声にびっくりした


114 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 19:53:53 NskiKE1oO
あれ、なんだろう、この空気。何か、言ってはいけないことを言ってしまった様な──

*(‘‘)*「う……」

(;'A`)「ど、どうした?」

*( ; ;)*「うわぁあああああんん!!!」

(;゚A゚)「えっ!?」

*( ; ;)*「こわいよぉおおお!!!」

*( ; ;)*「うぁああああああん!!」

(;'A`)「ちょ、おい、待てって!泣き止んでくれよ!」

俺の目の前で泣く女児は、大声のまま大空に向かって叫んでいる。こりゃやばいわ。

リ´−´ル「ヘリカルちゃん!」

そしてタイミングよく来る大人。スーツを着た女性だった。こいつの名前を呼んでいるところから、親か教師か。

ここは俺の全知識を使って乗り切るしかない。サヴァン症候群なめんなよ。

('A`)「あ、親御さんか、先生ですか?実は──」

リ;´−´ル「ひっ!」

あ、ダメだ。これダメだ。ダメなやつだ。逃げよう。


115 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 19:54:49 NskiKE1oO
俺は脱兎の如く逃げ出した。50m程走ったところで歩き始めるんだ。だって、疲れるじゃねぇか。

(;'A`)「はぁはぁ……ここまで来れば……大丈夫だろ……」

振り返って誰も居ないことを確認した俺は、とぼとぼと帰路を歩く。なんだ、今日は。厄日か。これじゃあコンビニなんていけるわけがない。

今日はもう帰って辞典の続きを読もう。

〜〜〜

J( 'ー`)し「読み終わったら片付けなさい!何度いえば…」

('A`)「はいはい、後でね…ちょっとコンビニ行ってタバコ買ってくるよ」

もう大丈夫だろ。あれから二日は経った。さすがにあの道を通って職質されることはねぇ。

でもすぐ行く気にはなれん。疲れた。眠い。休憩してたらカーチャンが入ってきて小言マシンガン。うっとおしいからそろそろ行くか。

まぁ最後には泣かれたけど、ヘリカルにはがんばって欲しいな。きっとあいつが大きくなったらVIPテレビとかに出たりするんだろう。

その時は俺も特別に出演したりして。歌を歌えって言ったのは俺だし。……ってないない。俺がテレビなんて出るわけないわ。


116 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 19:55:33 NskiKE1oO
へへっ、あながち厄日でもなかったもな。また面白い奴と会うかな。

J(;゚ー゚)し「ドクオ!」

('A`)「ん、どしたのカーチャン」

J(;゚ー゚)し「テレビ!テレビ!!」

俺は泣きそうな顔をしている母親に疑問を抱きながら、散らばった本に埋もれたリモコンを手に取り、電源をつける。

映った画面にはスナオシスターズってアイドルが踊っていたから適当にチャンネルを変えた。

(-@∀@)『──に起こった女児誘拐未遂事件について、警察は、聞き込み捜査による似顔絵を公開しています。こちらです』

おっ、アサピーさんだ。この人の司会、俺好きなんだよなぁ。今日はワイドショーか。

そう思って見ていれば、見覚えのある顔が現れた。

『<('A`)>』


117 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 19:56:15 NskiKE1oO
J( ;ー;)し「あぁ、あああっ……」

おいおい、カーチャン。なに泣いてんだよ。ん、この似顔絵、俺に似てるなぁ。てか、俺だな。うん。人生詰んだ。

(-@∀@)『シベリア実行委員理事の荒巻先生、いかがですか?』

うお、このおじいちゃん。あのクイズ式典、シベリアの理事じゃねぇか。はんぱねぇ。

/ ,' 3『これはねえ、やっぱり狂ってますよ。この男性は。顔見てご覧なさい。目は垂れ下がってますしね。顔がぼうっと浮いているでしょ。これキチガイの顔ですわ』

(;-@∀@)『いや、あのー……そういう発言は、その、よろしくないと言いますか……』


118 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 19:57:05 NskiKE1oO
アハハ、なんだこれ。放送事故じゃないか。まったく、これだから老害は。

(*゚A゚)「かーちゃん、これおもしろいね!」

J( ∩ー∩)し「うううぅぅ!!」

泣き崩れる母親。画面の中で頭を垂れる老人以外の人物。あー、なんかどうでもよくなってきた。

なんで生きてるんだろ、俺。この年でニートってやってられねぇ。もういいや。

欝だ。死のう。

おわり


119 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 19:58:12 NskiKE1oO
スーパードックンのようです
第二部 第十話NGシーン

↓最近はじめましたが、けっこう面白いですね。詳しくないので色々つっこんでください。

(´・ω・`)「冗談だけど」

(; ^ω^)「は、はぁ……」

口角をあげた諸本は説明を始める。思惑がうまくいったからだろう、しょぼくれた笑顔を見せた。

(´・ω・`)「ここはシベリア賭博。簡単に言えば彼ら選手を使ったお馬さんごっこかな」

( ^ω^)(お馬さん……ごっこ……)


120 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 19:59:14 NskiKE1oO
〜〜〜

(*゚ー゚)「それではしたらば競馬場から、3レース、浅井アナウンサーの実況です」

パンパカパパパパパパパパ

パンパカパパパパパパパパパ

パァー!

(-@∀@)「したらば競馬場 第3レース」

(-@∀@)「6頭が枠入りしていきます……6番のスーパードックン、枠入りを嫌がってます。なんとか入って……」

(-@∀@)「……態勢が整います。スタートしましたぁ!おっと!6番スーパードックン出遅れた!」

(-@∀@)「先頭は1番ツンデレイ、そのインコース3番ジョルジュナガオカ、二馬身開いて2番のクソミソショボンと、並ぶ4番のモラモラ」

(-@∀@) 「その後ろに5番スギウラロマネスク、そしてさらに後ろ、6番スーパードックンという順で、1コーナーカーブを曲がって、2コーナーへ入っていきます」


121 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:00:05 NskiKE1oO
〜〜〜

   mm
  / ̄ ̄・> ←どう見ても馬 / / ̄
≡ξ゚⊿゚)ξ「ツヒヒーン!ツヒヒーン!このまま逃げ切るツヒヒーン!」


   mm
  / ̄ ̄・> ←どう見ても馬 / / ̄
   _
≡( -∀゚)「そうはさせないよマジヒヒーン!最後に交わして俺が勝つマジシャヒーン!!」

   mm
  / ̄ ̄・> ←どう見ても馬 / / ̄
≡(´・ω・`)「ふっ、最後に笑うのはこの……」


   mm
  / ̄ ̄・> ←どう見ても馬 / / ̄
≡(* ・∀・)「モリャリャー」


   mm
  / ̄ ̄・> ←どう見ても馬 / / ̄
≡(´゚ω゚`)「モラモラ!?クソ!ミソヒヒーン!!」


   mm
  / ̄ ̄・> ←どう見ても馬 / / ̄
≡( ФωФ)「全く、青いな。ここは老兵の貫禄というものを見せてやるのでアルヒヒン」


   mm
  / ̄ ̄・> ←どう見ても馬 / / ̄
(;'A`)「ゼーハーゼーハー……」


122 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:00:59 NskiKE1oO
〜〜〜

(;-@∀@)「残り200を切りました!依然として先頭はツンデレイ!左ムチが飛んだ!」

(;-@д@)「しかしジョルジュナガオカ!左ムチ!ジョルジュナガオカ先頭に変わった!ジョルジュナガオカが先頭に変わったぁ!」

(#-@д@)「2番手ツンデレイ!外から追い込んで来るのは4番モラモラ!」

(#-@∀@)「それからスギウラロマネスク!なんと一番外からクソミソショボンも来た!!大混戦!大混戦だ!」


123 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:01:59 NskiKE1oO
〜〜〜


   mm
  / ̄ ̄・> ←これは馬です / / ̄
≡ξ゚⊿゚)ξ「ツヒヒーン!!」


   mm
  / ̄ ̄・> ←これは馬です / / ̄
   _
≡( ゚∀゚)「マジシャヒーン!!」


   mm
  / ̄ ̄・> ←これは馬です / / ̄
≡(´゚ω゚`)「ミソヒヒーン!!」


   mm
  / ̄ ̄・> ←これは馬です / / ̄
≡( ・∀・)「モリャリャヒーン!!」


   mm
  / ̄ ̄・> ←これは馬です / / ̄
≡( ФωФ)「デアルヒヒーン!!」


124 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:03:07 NskiKE1oO
この時、誰もが5頭の着差を考えていた。オッズでいけばジョルジュナガオカやスギウラロマネスクが最も人気。

その人気に応えるように、僅かに他の三頭を抜き始めた時だった。

   mm
  / ̄ ̄・> ←UMAじゃない  / / ̄
\xAD\xF4(;´゚ω゚`)「ミソヒッ!」

   mm
  / ̄ ̄・> ←UMAじゃない  / / ̄
\xAD熙\xCE;゚⊿゚)ξ「ツヒッ!?」

   mm
  / ̄ ̄・> ←UMAじゃない  / / ̄
   _
\xAD\xF4(; ゚∀゚)「マジシャン!」


   mm
  / ̄ ̄・> ←UMAじゃない  / / ̄
\xAD堯\xCA; ・∀・)「モリャ!!」


   mm
  / ̄ ̄・> ←UMAじゃない  / / ̄
\xAD堯\xCA;ФωФ)「デアヒ!!」


125 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:03:58 NskiKE1oO
(;-@μ@)「なんと先頭を走っていた5頭のうち、2番のクソミソショボンがまさかの落馬!?それに釣られて、1番、3番、4番、5番が落馬!!これは大きな事故です!!」

(;-@∀@)「後ろからのっそりとゴールに向かうのは──」

   mm
  / ̄ ̄・> ←UMAって何?  / / ̄
(;-A-)「2010年1月11日に行われた中央競馬……中山競馬第四レース16頭立てで起こった……事故」

(*-@∀@)「スーパードックンです!!まさかの6番人気!6番スーパードックン!1着!シベリア杯を制しました!勝ち時計は1分53秒24!」


   mm
  / ̄ ̄・> ←チュカブラか  / / ̄
(;'∀`)「史上最多の9頭落馬に比べりゃ……どうってことはねぇドクヒヒーン!」


126 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:04:38 NskiKE1oO
〜〜〜

(# ^ω^)「くそっ!!こんなレース無効だお!クソミソショボン!!どうしてそんなところでバカなことをするお!!」

(#´・ω・`)「あ?誰がクソミソだって?」

( ^ω^)「えっ」

おわり


127 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:05:46 NskiKE1oO
第二部 第十話 take2

ロマン語れば一晩中ですね。あと、ヴィネツィアンラプソディーとかも大好き。嵐ヶ丘も。今更だがネタがわかりにくい。

(´・_ゝ・`)「確かにな。あの風貌で一般人の彼が、協会のトップクラスと関係を持っていたとは驚きだ。そんなコネクションがあれば今頃ここにはいないだろうに、不思議なことだ」

わざとらしくうなずくデミタスの姿は、本人からすれば若い二人に合わせたものだと自負しているのだろう。

もっとも、相手にとってそれは真逆の印象を受けるのだが。

( ^Д^)「違うっす!」

(*゚∀゚)「違うよデミタスゥー!」

(´・_ゝ・`)「えっ」

(*゚∀゚)「身分を取り払っての危険な交際!」

( ^Д^)「高嶺の花を摘んだドクオさんは!」

(*゚∀゚)「あまたの苦労を乗り越えて二人で愛を育んでいた!」

( ^Д^)「しかしっ!運命は残酷!意図せず引き裂かれた情熱を取り戻すため!」

( ^Д^)「再開を果たした男と女!!」(゚∀゚*)

( ‐Д‐)「だが二人は既に、戻れない立場になっていた……!」(-∀-*)


128 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:06:58 NskiKE1oO
〜〜〜

('A`)「懐かしいな、この街は」

頭上に輝く星と月明かりは、宇都宮ドクオの立っている崖の先端から、遠くに見える町並みより美しく足元を照らす。

打ち寄せる波の音だけが響く場所。二人の思い出。

気配がしたので振り向いて森を見れば、一瞬、過去に帰ったかのように懐かしく、久方の再開はまるで初対面の印象を受ける。

lw´‐ _‐ノv「……」

('A`)「変わったな、お前も」

白のローブに赤い縁が映えて、胸元の薔薇が、面影のない茶色のロングヘアーから覗かれる。

それが街の騎士団であるローゼンクロイツの証。

焦げ茶色のチャッカブーツが草と石を鳴らすと同時に、腰に備えているレイピアが光を反射した。

lw´‐ _‐ノv「ローゼンクロイツの名の下に。貴様を、斬る」


129 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:07:54 NskiKE1oO
細い剣を彼に向けて言い切る。嘘偽りなどない。剣先は震えない。

(-A-)「はぁ……こうなっちまうのか、結局」

lw´‐ _‐ノv「……」

('A`)「なぁ、シュール、はなしあ」

一歩。踏み込まれた軸足からの加速は、ドクオを肉薄するに十分な間合いに持ち込むことができた。

そして放たれる一撃。刀を抜く暇すら与えない。

lw;´‐ _‐ノv「……!」

(;'A`)「ちっ……」

与えなかったはずだった。

初速、初撃、精度、威力。武器を構えていない者はおろか、どれだけ厳重で強固な装備でも痛手を負わせることはできる程の水準。

しかし、本来なら赤く汚れているはずの自身の体は綺麗なまま。眼前には恋人だった男。さえぎるのは刀と剣。


130 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:10:31 NskiKE1oO
ようやく先の斬撃が、鞘から抜かれた刀身の厚い刀と細剣とのぶつかった音を伴って遮られたと認識する。

シュールはまた軸足を使って間合いを開き、レイピアを構えなおした。

('A`)「俺はお前と戦うつもりはねぇ。俺の目的が……くそったれた騎士団を潰せればそれでいいんだ」

鞘に戻された刀は照らさない。代わりに鋭い眼光が、彼女を射抜く。

lw´  _ ノv「また……貴様は」

('A`)「……」

lw´ ゚ _ ノv「私の居場所を奪うのか……!」

('A`)「……」

lw´ ゚ _ ゚ノv「貴様は!!ここで殺す!!」

怒りでもなく、悲しみでもなく、咆哮の意味は悟れない。それでも一つ理解できることは。

( A )「……わかったよ。気が済むまでやってやる。ただし」

('A`)「泣くなよ、シュール」

子供の時にたくさんした喧嘩をするということだけだった。


131 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:11:17 NskiKE1oO
〜〜〜

(*゚∀゚)「ストーップ!!カットカット!!」

(#´・_ゝ・`)「なんだ!ここからがいいところだろう!?」

(# ^Д^)「そうっすよ!!せっかくこれからローゼンクロイツはナンバーⅨ隊長、シュール・リアリムが、持ち味のスピードと必殺技を使って勝つのに!」

(#´‐_ゝ‐`)「それは違う。宇都宮流四大奥義の閻王三斬閃に敵うと思っているのか」

(*;゚∀゚)「違うよ!みんな少年漫画読みすぎだよ!?病気!?」

(*゚ε゚)「ここからは二人の話し合いだよ!回想シーンを入れてぇ、思い出の言葉を伝えてぇ、誤解がとけてぇ、そこに騎士団が現れてぇ、彼女をかばって死んでぇ」


132 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:12:19 NskiKE1oO
( ^Д^)「スイーツっす」

(´・_ゝ・`)「甘すぎるな。だが、実は邪悪な騎士団が現れて二人が共闘するのは面白いかもしれん」

(* ^Д^)「あ、いいっすね!じゃあこれをこうして……」

(*;゚∀゚)「ちょっと!あれもああして……」


133 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:13:06 NskiKE1oO
〜〜〜

( ^ω^)(ふう、みんな僕がいなくてさみしがってるかお?)

(* ^ω^)(ここはうんこネタで笑いをとるお!自虐的上司って素敵やん)

( ^ω^)「ただいまおー!」

(*゚∀゚)「だから、ここでキスだよ!で、忘れかけていた思い出が蘇って……」

( ^Д^)「ダメッす!ここは騎士団のダークブレイドを使って覚醒っす!」

(*´^_ゝ^`)「ならば宇都宮も神技・閻魔降臨を使って覚醒、裏四大奥義の閻王百弐拾碌斬閃を使う!」

( ^ω^)「……なにやってんだ、こいつら」

おわり


134 : 名も無きAAのようです :2013/08/29(木) 20:13:41 v6AKaCq.0
なにやってんだこいつら


135 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:13:59 NskiKE1oO
第二部 第十話take3

↓あれだ。何かと思ったら微妙に違うけどライトニングさんだ。

lw´‐ _‐ノv「私はね、ツンさん。興味がないことには何の意欲も湧かないの」

lw´‐ _‐ノv「でもね、反面、興味があることには最大限の研究と理解をもって接する」

その意味を理解したとき、戦慄する。

ξ;゚⊿゚)ξ「……まさか」

先ほどまで合わさっていた視線は僅かに外され、後ろにいる男に向けられている。目を合わせることなどできない。

lw´‐ _‐ノv「スーパードックン、私はあなたのことならなんでもわかる」


136 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:17:03 NskiKE1oO
lw´‐ _‐ノv「髪をかく癖も」

lw´‐ _‐ノv「タバコを吸うときに最初の一息を吐き出すのも」

lw´‐ _‐ノv「理不尽なことにすぐ怒ることも」

lw´‐ _‐ノv「本気を出すとき、両耳をふさいで音を閉ざすことも」

lw´‐ _‐ノv「コンビニでハイライトを頼むとき、メンソールとよく間違えられるけど、番号で呼んだりすると負けだと思ってることも」

('A`)「……」

lw´‐ _‐ノv「年齢確認ボタンを押すのがやたら早いから店員さんの『ボタンを押してください』って言葉が遮られることに申し訳なさと同時に優越感を感じていることも」

lw´‐ _‐ノv「コンビニでカルボナーラの温めを聞かれたときに、無駄に3秒迷ってからお願いしますっていうことも」

lw´‐ _‐ノv「温めてる間、後ろの人に『あれ温めてるの俺のなんですよ!』っていう──」

('A`)「それは違う」

lw´‐ _‐ノv「……お箸とフォーク断るくせにお手拭はもらうことも」

lw´‐ _‐ノv「いつも買う缶コーヒーよりキャンペーン中で安くなってる缶コーヒーをつい買ってしまうことも」


137 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:18:00 NskiKE1oO
lw´‐ _‐ノv「午後の紅茶買おうとしたときなんかオタクなキャンペーンがついてたらちょっと敬遠することも」

lw´‐ _‐ノv「でも結局買っちゃうことも」

(;'∀`)「あー、つい」

lw´‐ _‐ノv「レシートけっこうですって言おうと思ったけど言えないことが多々あることも」

ξ゚⊿゚)ξ「あるある!」

lw´‐ _‐ノv「で、レシート要るときにレシートけっこうですって言っちゃうことも」

(*-@∀@)「ありますね!会社で使用するもの買うときついつい忘れちゃうんですよ!」

lw´‐ _‐ノv「もらいすぎたレシートが財布を圧迫して、一見お金持ちに見えることも」

(*゚ー゚)「なかなか整理できないのよね……」

lw´‐ _‐ノv「あと2000個くらいなら今言えるけど、とりあえず最後に」

lw´‐ _‐ノv「会計後、店員さんにありがとうって言うこと」


138 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:18:56 NskiKE1oO
(-@∀@)「大事ですね」

(*゚ー゚)(めんどくさいわ)

ξ゚⊿゚)ξ「んー、私は会釈だけかな」

( ゚ー゚ )「あと、外で掃除している店員さんがこちらを向いて笑顔で『いらっしゃいませ!』って言ってもらえると、なんだか嬉しい気持ちになるでござりますな!」

д゚ )ササッ≡

( 'A`)ξ゚⊿゚)ξlw´‐ _‐ノv

「誰だ、今の」

(゚ー゚*)(@∀@-)

おわり


139 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:22:02 NskiKE1oO
第二部 第十話take4

↓もはや形式美。

lw´‐ _‐ノv「……どちらにせよ、私には勝てないよ。あなたは何も変わってない。あの頃から、ずっと」

全てをわかっているかのような口調は彼に言い聞かせるように。

('A`)「ああ、確かに俺はあの頃から何も変わってない」

lw´‐ _‐ノv「?」

(-A-)「ただ、あの頃と比べて出会った人は少し増えたよ。濃いぃ奴らとな」

そして、自分に言い聞かせるように。

lw;´‐ _‐ノv「変わってない……よね」

('A`)「いくぜ、シュー。お前が初めて見る俺を見せてやるよ」

('∀`)「バカで素直なスーパードックンがな」

プツッ──


140 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:23:01 NskiKE1oO
lw´‐ _‐ノv(バカで素直なドクオ……?いったいなにを仕掛けてく)

(*'∀`*)「ぶひゃひゃひゃひゃ!」

lw;´‐ _‐ノv「!?」

('A`)「あーめんどくせ!やってられっかよ!」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ、どうしたのよ!」

('A`#)「うっせぇクソ巻き毛!」

ξ(#゚⊿゚#)ξ「あ?」

\(#-A-#)/「やってられっか!お前らいっつもいっつも俺のこと適当に扱いやがって!」

(;-@∀@)「お、落ち着いてくださいスーパードックン」

(゚A゚#)「黙れぇ!アサピーさんだって俺にコメント求めたらいっつも残念な顔するだろ!!嫌なんだよ!」


141 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:25:37 NskiKE1oO
(*゚ー゚)(錯乱してるわ……危険ね)

(#゚A゚)「しぃさんだって俺を見る目がキッチンの生ゴミを掃除するときと一緒じゃねぇか!三角コーナーじゃねぇんだぞ!」

(*;゚ー゚)「うっ……」

('θ`)「ずーぼーしーかーよー!!」

lw;´‐ _‐ノv(こんなテンション高い人じゃなかった……やっぱり、変わっちゃったのかな……)

lw;´‐ _‐ノv「スーパードックン、その、ほら、クイズの途中だからさ、テレビもあるし」

('A`)「テレビがなんだ!こうしてやる!」


142 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:26:11 NskiKE1oO
 
  (  ) ジブンヲ
  (  )
  | |
 
 ヽ('A`)ノ トキハナツ!
  (  )
  ノω|
 
lw´‐ _‐ノv(あ、変わってないわ。いやナニがってわけじゃないけど変わってないわ)


 _[黒子]
  (  ) ('A`) 
  (  )Vノ )
   | |  | | 
 


おわり


143 : ◆8UONaKUB6Y :2013/08/29(木) 20:29:38 NskiKE1oO
>>134

ほんと、なにやってるんでしょうね(楽しそう)

ちょっとでごめんね。本編集中!あとブログ更新しました。要望等あればぜひブログにお願いします!

ではまたね〜


144 : 名も無きAAのようです :2013/08/29(木) 20:49:43 aCuDks8E0
(あ、ヤることはヤってたンだ)
乙、いい息抜き


145 : 名も無きAAのようです :2013/08/29(木) 23:27:16 ZBdCslj20
おつ!


146 : 名も無きAAのようです :2013/08/30(金) 06:23:26 bt/dNt7A0
バトル描写いけるやん!!おつー


147 : 名も無きAAのようです :2013/08/30(金) 08:11:58 T/VQgDAk0



148 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/07(土) 21:40:27 NdZKsEuUO
Gが出ましたので戦ってました。全く、ここは虫だらけ。

ご報告ですが、中旬には投下できると思います。ちょっと短すぎるのでなんとかしたい。

毎度ながら申し訳ないですが、もう少しお待ちくだせぇ。


149 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:22:03 FpzbqKagO
あー、恥ずかしかった。馬といい、なんでAAってあんなにズレるんだろう。

>>145 >>147
ありがとうございます。NGだけ投下して早二週間。ああ、投下スピードが遅くなったなぁ……

>>144
軽めのNGでした。二人はチョメチョメ。でも、もしかしたらたたなかっ

>>146
嬉しいです!バトル物が大好きなのでここぞとばかりにNGシーンで練習してます。

それではお待たせしました。本編です。


150 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:23:43 FpzbqKagO
閉め切られた窓の向こうに広がる大空、燦々と照る太陽は少し傾いて、夕暮れがもうじきだと知らせる。

したらばテーマパークの選手用に設置された病室に、白いレースのカーテンから覗かせる光が、窓際のベッドに降り注いでいた。

从'ー'从「小森さーん、体温計はー……」

ノックをして開け放たれるドアの先には病人。それも、予選を突破したつわものがいたはずだった。

从;'ー'从「……あれれー?」

周りを見渡せど、無機質。正式な病院でもないのに、わざわざナース服を着込んでいる看護婦の渡辺は困惑する。

从'ー'从「おっかしいなー、誰もいなーい」

从'ー'从「あれ、やばくなーい?」

現状と比べてずいぶんと間延びした大きな独り言は、誰もいない病室にむなしく響いた。


151 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:24:26 FpzbqKagO
〜〜〜

/ ,' 3「ふむ……」

厳重な警備という言葉では、このセキュリティは現せない。

富士の最上階、賭博場から彼のみが入ることのできる真のVIPルーム。そこにシベリア運営委員理事の荒巻はいた。

/ ,' 3「なるほどのぅ、これはこれは」

黒い革張りの椅子に浅く座る。真横に黒服が二人。

常に周囲を意識し、殺気を放っているような尋常ではない男達に挟まれて、マボガニー製のテーブルに置かれたバカラのグラスを口につける。クルボアジェのナポレオンが、老体に刺激を与えていった。

/ ,' 3「面白いのぅ」

壁に打ち付けられたモニターには、何も知らない二人の戦いが終わったところの映像が流れているが、彼が呟いたのはそれに対してではない。右手に持つ一枚のA4用紙だった。


152 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:25:45 FpzbqKagO
/ ,' 3「ミスターX改め、素直柊。8.6」

/ ,' 3「ギコ・ギコ、13.8」

/ ,' 3「フォックス、11.3」

/ ,' 3「ジョルジュ長岡、10.0」

/ ,' 3「そして……スーパードックン、100──」

/ , 3「……茂良よ、おぬしは……何を考えておるのかのぅ」

/ ,' 3「まさか、このワシから金を取ろうと、本気で考えておるのなら」

自然と、肉体が震える。曲がった腰、刻まれたシワとは対極に、有り余るほどの力が左手に入って破裂した。

/ ,゚ 3「調子に乗るなよ、青二才」

血に塗れた欠片と塗れた床を片付ける黒服の男達は、彼の放つ冷たい怒気に震えた。


153 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:26:39 FpzbqKagO
〜〜〜

(-@∀@)「時刻は15時を回りました。準々決勝も波乱の劇場でしたが……」

CM明け、昼時の日差しは心地よく、まるでこの場所だけが春の訪れを感じるように穏やか。

それは、熱い戦いが終わった証。緩やかな風がヒートアップした会場を冷やしていく。

言葉を溜めて放たれる実況のセリフは、再度熱を帯びて席巻する。

(*-@∀@)「勝者はスーパードックンです!!おめでとう!!」

ワーーー!!

('A`)「ふぅ……」

ξ゚⊿゚)ξ(これで……)

lw´‐ _‐ノv(負けちまっただ)

三者三様。安堵のため息と次に進める喜び、そして敗北の余韻。

(*゚ー゚)「一回戦目に続いて準々決勝も勝利しましたが、いかがですか?」

(;'A`)「んー……まぁ、あれか、なんつーか」

(*^ー^)「はい、遅いので飛ばしまーす」

('A`)(もう俺にコメントを求めないでくれ……)


154 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:27:29 FpzbqKagO
髪をかく時間しか与えられなかったドクオに変わって、シュールの言葉を待つ。

(*゚ー゚)「惜しくも敗れてしまったシュール選手、いかがでしょう?」

lw´‐ _‐ノv「辛いです……カー……クイズが好きだから」

まるで今にも泣き出しそうな雰囲気をかもし出しながら、しかし晴れやかな面持ちで綴る。

対応しがたいそれに困ったアサピーだったが、持ち前のトークで切り抜けた。

(-@∀@)「おっと!これはどういう意図でしょう!?しかし言葉とは裏腹に表情は穏やかだ!」

(*-@∀@)「みなさん、このお二人に、いえ三人に、もう一度拍手をお願いします!」

やはり何度聞いても心地良い。

何百と居るであろう観客の声援は勝負を決したドクオ、セコンドとして十二分な働きをしたツン。そして、試合に負けて勝負に満足したシュールに注がれる。

鳴り止まないそれを止めるのは、心苦しいかな司会の仕事。アサピーが声をあげた。


155 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:28:26 FpzbqKagO
(-@∀@)「さて、準々決勝後に控えている準決勝についてですが……みなさんご存知の通り、現在残っている選手は」

(-@∀@)「ギコギコ選手・セコンドはビロード選手」

(-@∀@)「フォックス選手・セコンドはハロー選手」

(-@∀@)「ジョルジュ選手・セコンドはペニサス選手」

(-@∀@)「そして、たった今準決勝進出の決まったスーパードックン選手・セコンドは津雲選手の四組です」

言って、注目をスクリーンへと集める。白い画面に映る線分を用いた表が大きく現れた。

各選手達の名が記された、いわゆるトーナメント表と呼ばれるそれは一般的ではある。

たが、画面を注目する人々には、端にある一つだけ頂上へと引っ張られているブロックが目についた。もちろんそこには誰の名前もない。


156 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:29:17 FpzbqKagO
(@∀@-)「こちらをご覧ください。準々決勝第一回戦目が終了した段階で、以降の組み合わせに余りが出てしまいます」

本来ならば上記の四組が順当に対戦していけば問題はない。

しかし、準々決勝第一回戦目を終えた時点で、ドクオ達は準決勝まで対戦する必要がないのだ。つまり、あと三組での戦い。

そもそも11人──予選で1名脱落したため──でのトーナメントは必ず余りが発生する。

それはまるで、意図しない介入があるかのように、司会から発表されるものは彼らにとってある種、無慈悲と幸運をもたらす。

(*-@∀@)「そう、それを解消するために……みなさんの投票によるシードを決定します!!」

(;'A`)(また厄介なことを……!?)

ξ;゚⊿゚)ξ(シード……どう転ぶかしら)

lw´‐ _‐ノv(あー、お茶飲みたい)

オーーー!?

ナンダナンダーーー!?

(*-@∀@)「それも準々決勝から準決勝へのシードというだけではありません!なんと決勝戦までのキップ!そう、選ばれた選手は無条件で決勝戦に出場することが出来ます!!」


157 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:30:04 FpzbqKagO
(-@∀@)「今から30分間、巡回するスタッフから受け取る用紙に、一組の選手名を記入していただき、お近くのスタッフにお渡しください!」

(@∀@-)「もちろん!お気に入りの選手だからシードに挙げるもよし!反対に、あえて他の選手を書いて戦いを観戦するもよし!」

先ほどまで声をあげ、見守ることしかできなかった者たちが、今度は選手達の命運を握る。

沸き立つ士気は戦場に立つ者と変わりない。各席を回るスタッフ達から受け取った紙とペンは武器。思いを伝えるに十分。

(*-@∀@)「それではシベリアシード投票!スタートします!」

ヨシ コイツダー

ワタシハ コノヒトー

スイマセーン コレ オネガイシマース

戦機は整う。虎視眈々。この企画で参加できると思った。一緒に思い思いの選手をアシストできると。

誰もそれが、出来レースとも知らずに。


158 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:31:12 FpzbqKagO
〜〜〜

試合が終わって、投票が始まったので、選手達はすでに自由時間。先に控え室へ戻ったツンと別行動のドクオは考える。

一回戦目の彼女との戦い、二回戦目のシュールとの戦い。もっと勘ぐれば飛行機の不良だってそう。妙に不利な気がする。

例えば自身が得意なルールで、例えばハンデを背負わなかった代償とはいえ、自身が望む問題をクイズにすることはやはり腑に落ちない。

加えて、ジョルジュとの会話で判明したシベリア賭博。このシベリアシードに自分が選ばれることはないだろうと結論付けた。嫌われている。

(-A-)「で……」

いずれにせよまだ時間がある。控え室に戻ってコーヒーを飲もうと、深い思考から上がってきて、無機質な通路に響く足音は二つだと気づいた。啜る音も聞こえた。

lw´*‐ _‐ノv「あー茶ーうめぇ」

(;'A`)「なんでお前が一緒に居るんだよ」


159 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:32:00 FpzbqKagO
いつの間にか傍で、緑色をした小さな水筒の、コップを兼ねた蓋を口につけるシュールは、その目をとろかせる。わびさび。

立ち止まって、少し気まずそうにドクオは問いかけた。

lw´‐ _‐ノv「え、ああこれ?これねぇ、ミキプルーン。ちなみにこの水筒は――」

(;'A`)「じゃなくて。なにしてんだよ」

lw´‐ _‐ノv「いやぁ、だって暇なんだもーん」

(;-A-)「暇って……協会のトップなんだろう、仕事は?」

lw´‐ _‐ノv「そういうドクオこそ仕事は」

(゚A゚;)「うっ……」

lw´;‐ _‐ノv「あ、ごめん」

('A`;)(謝るなよ……)

どうせなら茶化してくれたほうが気は楽。なまじ、付き合いがあった分、真剣に取られると傷つく。

水筒の蓋を閉め、佇まいをなおして、シュールは話題を代えた。


160 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:32:57 FpzbqKagO
lw´‐ _‐ノv「でもあれだね。久しぶりだね、ドクオ」

('A`)「ん、ああ。まぁ、な」

lw´‐ _‐ノv「元気してた?」

('A`)「ボチボチだ」

先ほどの手に汗握る戦いとは打って変わって、どこかくすぐったい二人の会話。

さすがにあの調子を引きずったまま話すほど子供ではない。

lw´‐ _‐ノv「びっくりしたよ、テレビ見てたら君がかっこつけてるから。優勝した後すぐに根回ししてここに出れたけどさ」

('A`)「こっちだって驚いたわ。そういや、予選で助けてくれたな。センキュ」

lw´‐ _‐ノv「彼に言っておいて。もうちょっと変装は上手にしたほうが良いって。あれじゃブロスナンにはなれないよ」

('A`)「007じゃねぇんだぞ」

予選でのプギャーが行った奇行、もとい善作は、研究熱心な彼女にとって全く意味を成さなかった。

だから、本物のドクオに会うために彼を助けた。照れながら言葉を返す彼は心の中でも礼を言う。

lw´‐ _‐ノv「ふふ、ねぇドクオ」

('A`)「ん」


161 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:33:57 FpzbqKagO
ここまでの話で終わっていれば、どこにでもあるような元恋人同士の、上辺だけなぞられたものと言えるだろう。ともすれば、もう少し会話を楽しむことだってできた。

それをしなかったのは、茶化した態度を一変させ、まっすぐに彼へ向き直るシュールの焦りか。

lw´‐ _‐ノv「私とこない?」

('A`)「えっ……?」

予想しようと思えば、予想の出来る事だった。ドクオに会う一心でシベリアに出場したことを思えば。そこまで踏み込んだ考えをしなかった彼は聞き返す。

lw´‐ _‐ノv「今、いくつかの協会で働いてはいるんだけど、どうにもうまくいかなくてね。ま、閉鎖的な環境でトップが若い娘だから、部下が動くわけなくてけっこう苦労してるんよ」

lw´‐ _‐ノv「クイズ協会のロマくらいかな、ちゃんとやってくれるのは。だからさ、右腕が欲しいんだよね」

('A`)「……」

無言。床は汚れない。

lw´‐ _‐ノv「大丈夫、今や君は有名な人間として認知されている。少なくとも日本中ではスーパードックンの名を知らない人は少なくなってるよ」

lw´‐ _‐ノv「それに、その特別な能力があれば誰も──」

('A`)「シュール」

lw´‐ _‐ノv「ぬ」

(-A-)「悪いが、それはできない」


162 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:35:05 FpzbqKagO
発言していた人物が入れ替わったのは、彼女の言葉を遮ったから。それは反論を意味する。

('A`)「そりゃ俺はニートだ。職が得られるなら、なおかつ良い待遇の仕事につけるなら喜んでいくさ」

('A`)「だが、一緒に行くことはできねぇ」

向き直ったのは失敗だったか。その芯が通った言い様に、シュールは言葉を漏らした。

lw´‐ _‐ノv「……変わったんだね、本当に」

その発言に腕を組み、一拍置いて応える彼。

(-A-)「俺から言わせりゃお前がな」

lw´;‐ _‐ノv「えっ……?」

先ほどのドクオと同じように聞き返してしまうのは、彼女がそこまで記憶していることができなかったから。

紡がれていく言葉に耳を傾ければ、あの頃の慕情の甘さと、今の自身の甘さに憮然とした。


163 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:35:51 FpzbqKagO
〜〜〜

lw´‐ _‐ノv「聞いてよ、ドクオ」

('A` )「なんだよ」

lw´ ゚ -゚ノv「『柊姉さん。あなたは特別な人間だ。私達と共に来てくれ』だってよ!」

('A`;)「なんだそりゃ。新手の宗教勧誘か?」

lw´‐ _‐ノv「んー……どっちかっていうと、割とまともなお仕事。皆さんに夢を届けます的な」

('A`)「余計に怪しいな……で?」

lw´‐ _‐ノv「だからさ、言ってやったわけよ」

lw´‐ _‐ノv「『私は特別なんかじゃない。興味ないね。クックックッ……黒マテリア』ってね」

('A`)「……ようするに断ったのか」

lw´‐ _‐ノv「うん」

('A`)「でも必要としてくれてんだろ?どんな仕事かはわからねぇが、断って良かったのか?」

lw´#‐ _‐ノv「私のことを特別な人間とか言い出す奴と一緒にいたくはねぇ!」

('A`)「なるほどな。ま、確かに俺もそう言われて乗り気にはなれねぇわ。とはいえ普通とも言えねぇわな」

lw´‐ .‐ノv「うー」

('∀`;)「考え込むなよ、普通な人間なんていねぇ。どいつもこいつも一癖二癖もってんだから。俺は俺、お前はお前でいいじゃねぇか」

lw´‐ε‐ノv「うわくっさ!そだね、ドクオ言うとおくっさ!」

('∀` )


164 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:37:06 FpzbqKagO
〜〜〜

どうもこの通路は人通りがなく、関係者のみが通ることのできる通路なのかもしれない。

会場から解放された直後だからだろうか。知る由もないが、それが二人にとってありがたかった。

その甲斐あって、つらつらと出来事を話していくドクオの言葉を、他の人に聞かれなかったから。

('A`)「そういうこった。偉そうに言うつもりはねぇが、今のシュールと働けねぇよ」

別に独り占めしたいわけではない。そう思いながら、結論を出す彼にせめてもの皮肉を言う。

lw´‐ _‐ノv「卑怯だよ……全部覚えてるなんてさ」

('A`)「わりぃな。これが俺だ」


165 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:37:54 FpzbqKagO
やはり、変わってしまったとシュールは実感する。かといって、悪い気はしない。

記憶の中にいる彼と、目の前に立つ彼が頭の中で邂逅したような、そんな気がした彼女は、気を取り直して──

lw´‐ _‐ノv「OK、質問を変えよう」

('A`)「は?」

lw´‐ _‐ノv「ドクオ、結婚して」

より一層、想いを強めた。

('A`)「あー、はいはい、結婚ね」

('A`)

('A` )

('A`;)

\xAD\xF4(;゚A゚)「……ってえええ!?」


166 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:39:03 FpzbqKagO
よく響く声。反響する驚きに、努めて普段どおりな口調を貫く。頬が赤い。

lw´;‐ _‐ノv「イエスか、ノーか、半分か」

(;'A`)「シュール、大丈夫か……!?気でも狂ったか……!?」

先ほどまで真剣な佇まいだった彼は、及び腰で安否を伺う。冷静でいられないのはお互い様。

lw´/// _ ノv「失礼な!別に狂ってなどおらん!けっこう恥ずかしいだけ!」

lw´‐ _‐ノv「一緒に仕事しようとか、右腕になってとか。ホントは全部口実。あの日からずっと、この時を待ってただけ」

lw´‐ _‐ノv「私は、ただ一緒に居て欲しいだけ」

打算や欲望ではなく、プラトニックとも言い難い。フィーリング。あの田園を思い出す。

('A`)「シュー……」

lw´‐ _‐ノv「断ったら今から会場のカメラに向かって全世界にあることないこと発信します」

(;-A-)「あー!わかった、わかったよ!」


167 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:39:43 FpzbqKagO
夕日に染まっていく空の色彩と少しだけ強い風。

穂が奏で、もうしばらくすれば空に浮かぶだろう、星と月。

通っていく乗り物から見えた人々の顔は優しい。

郊外にある田園の細い道で、なにをするでもなく、ただ会話をしていたあの時を思い出した二人が子供だったとするならば。

lw´* ゚ _ ゚ノv「えっ……じゃあ」

('A`)「半分だ」

お互いにもう、大人になったのかもしれない。

lw´゜ _゜ノv「なん……だと……」

('A`)「さっき言ったろうが、イエスか、ノーか、半分かって。なら半分さ」

その返答に混乱するようなしぐさを見せるのは、瘡蓋を剥がされたくないから。


168 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:40:38 FpzbqKagO
lw´;‐ _‐ノv「どうなるの、それ。まさか家政婦的なセフ──」

(;'A`)「ちげぇよ、安直すぎんだろ」

lw´‐ _‐ノv「じゃあ反町の嫁さん?」

ノーと言われる覚悟は出来ていた。心の内は騒がしく、希望と逸りがせめぎあう。

(;'A`)「わかりにくい言い方するなよ!……俺が約束を果たしたとき、考えるって意味さ」

ようやくドクオの言葉が具体的な意味を成してきたので、彼女は尋ねた。

lw´‐ _‐ノv「約束?」

('-`)「ああ。簡単にいえば、優勝だな」

その結果にどんな思いが込められているのか、問いただすことはしない。

少なくとも、その決意をあらわにした表情を見れば邪なことでないと確信できたから。男の顔。

仕方なく、手に持った水筒を見つめながら呟く。


169 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:41:26 FpzbqKagO
lw´‐ _‐ノv「……じゃあ、それまで返事はお預け」

('A`)「わりぃな」

lw´‐ _‐ノv「やっぱり卑怯」

(-A-)「わりぃ」

lw´‐ _‐ノv「髪ボサボサ。フケ汚い」

(#'A`)「悪かったな!くそっ!」

ドクオの答えは主観的にはおろか、客観的に見ても救われない。

それでもシュールは過去に感じた波長と、人と出会い、成長した今を重ねて想う。

あなたにとっては普通であり、わたしにとっては特別な存在。

奇しくもそれは、まるで本当にスーパードックンだなと鼻で笑った彼女は、もう一度目を合わせ言った。

lw´‐ 、‐ノv「ふふん。でもわかった。私は甲斐性のないドクオでも大丈夫だから待つ。わたしまーつわ、いつまでもまーつーわ。ロックマンDASH3が出る日まで。あ、開発中止だった」

(-A-*)「……ったく」

思う所があるのだろう、そっぽを向いて頭をかく。それが妙におかしくて、シュールは笑う。


170 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:42:10 FpzbqKagO
lw´‐ _‐ノv「じゃあ、そろそろいくわ。勝てよ、私の人生かかってんだぞこら」

('A`)「へいへい」

二つ返事の彼に踵を返して、高いヒールの独特の音を響かせたのもつかの間。振り返る。

そして、ドクオの約束という言葉を聞いて思い出したように話しかけた。

lw´‐ _‐ノv「あ、そうだ。考えてくれる段階に至るようにアドバイスしてあげる」

('A`)「アドバイス?」

lw´‐ _‐ノv「うん。オリン出身のギコギコって人いるでしょ」

('A`)「ああ、一回戦目の前、シュールに絡んでた奴か」

厳ついイメージしかない男に対して疑問を抱く。あれがなんだというのだろう。

きっと、その答えを聞いた彼は、たくさんの質問をぶつけてくるに違いないと、シュールは確信した。


171 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:42:56 FpzbqKagO
lw´‐ _‐ノv「ドクオ、あの人にだけは気をつけたほうがいいよ」

('A`)「なんで。そもそもクイズ大会に出るような人物でもなさそうだが。あれか、暴力的な意味でか?」

lw´‐ _‐ノv「ううん。多分、あの人が今回のシベリアで」

lw´‐ _‐ノv「一番、強い」

単純明快。二人にとって最も大きな障害だからである。

スーパードックンのようです
第二部 第十一話はじまるよ!


172 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:44:40 FpzbqKagO
〜〜〜

準々決勝の勝敗が決まった瞬間、大勢の人間が喜怒哀楽を感じた。

テレビを見ている人々、熱気が渦巻く観客席、人知れず動く巨額を動かす重鎮達。

その中で一番、揺らいだ人物は彼女だといえるだろう。

川 ゚ -゚)(私はあの時、愚問だと言った)

川 ゚ -゚)(続ける言葉は一つだけ。姉さんが、柊姉さんが勝つと、そう伝えるつもりだった)

黒い布の裾は、靴が見えないほど長いにも関わらず擦れない。しっかりと、目の前を見据え歩いていく。

二人を残し、何人かに聞き込みをして、この辺りに居ると聞いたクールは、変わり映えのない通路を進んでいた。

川 - -)「だから……」

そうして出会った姉と妹は、久方ぶりの言葉を交わす。

lw´‐ _‐ノv「クーちゃん」


173 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:45:39 FpzbqKagO
水筒の蓋をコップ代わりに口につけながら、備え付けのベンチに腰を降ろしているシュールは少し疲れた様子で彼女を見上げた。

ドクオとの話が終わってしばらく歩けば、使いすぎた喉は渇き、硬い床と慣れない靴に足が笑っていることに気づく。

人心地ついたところだったので、すぐには立ち上がらない。

川 ゚ -゚)「姉さん」

lw´‐ _‐ノv「元気?」

川 ゚ -゚)「ええ」

lw´‐ _‐ノv「ヒーちゃんとアホは?」

川 ゚ -゚)「VIPテレビの方達と一緒に居ます」

短い会話はここまでだと二人は感じた。ここからは長話。もう一度、茶を口に含んで蓋をする。

lw´‐ _‐ノv「何年ぶりかね、二人で会うのは」

川 ゚ -゚)「さぁ……どうでしょうか。少なくとも、姉さんが彼氏と別れたとき以降は会ってませんね」

その言葉遣いと言い分に含まれる棘を抜くように、シュールは思い返す。

lw´‐ _‐ノv「ふむぅ、そっか。あの日か……」

出会いと別れ。二つの意味を持つ記念日を。


174 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:46:30 FpzbqKagO
〜〜〜

lw´‐ _‐ノv「ドクオ、別れて」

(;'A`)「はぁ?お前、また急な……な、何があったっつーんだよ」

lw´‐ _‐ノv「もう疲れた。私は旅に出る」

(;'A`)「だから、何があったって」

lw´#‐ _‐ノv「なんでもかんでも知ってるくせに、大事なことは何も言ってくれないドクオなんざ嫌じゃ!」

(; A )「言ってくれないって……そん」

ε==lw´# ゚ _ ゚ノv「うわーん!梅雨明けてないじゃないですかー!やだー!」

(;'A`)「お、おいっ!」


175 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:47:16 FpzbqKagO
〜〜〜

lw´‐ _‐ノv「あの後、連絡先も消して、素直家に戻ってきたんだった。やたらうるさい両親のせいで」

若気の至りと言ってしまえばそれまで。複雑な気持ちを煩雑にしてしまうのは特権。

好き嫌いを押し付けるほど幼くはなく、割り切れるほど出来てもいない。

家庭の事情だけでそうしたわけではなかった過去の自分を隠すように、彼女はぼやく。

lw´‐ ,‐ノv「その時にはクーちゃんもヒーちゃんも、アホも、いなかったもんね。時すでにおすしってやかましいわ!」

川 ゚ -゚)「あれほど私達と来てくれといったにも関わらず」

lw´‐ _‐ノv「うんうん、スルーね。君はそういう奴だ」

ノビをして疲れをとる。今日は懐かしいことの連続だ。

川 ゚ -゚)「それからあなたは持ち前の人柄と能力で様々な協会に取り入って、トップに君臨した」

lw´‐ _‐ノv「まぁ、トップでもペーペーだけどねぇ。クイズ協会の一部以外はだーれもついてこない」

肩をすくめた彼女に対して、クールは言う。たった数分前にシュールの言った言葉と同じように、強く。

川 ゚ -゚)「だったら、もう一度言います。私達と共に来てください」


176 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:48:06 FpzbqKagO
lw´;‐ _‐ノv「おぅふ、デジャブ」

川 ゚ -゚)「?」

lw´‐ _‐ノv「いや、なんでもないよ。むむむ」

返事のない姉に、妹は続ける。以前と同じようなやり取りに辟易しかける。

川 ゚ -゚)「……今、私達スナオシスターズは転換期を迎えようとしています。そのためには姉さんの力が必要なんです」

lw´‐ _‐ノv「変わらないねぇ……私は」

川;゚ -゚)「私は!」

lw´;‐ _‐ノv「っ……」

変わらない主張を言いかけたシュールの言葉は、より力の込められた言葉に遮られた。

勢いのまま、口だけでなく手も動く。その意思を伝えたいがために。

川 ゚ -゚)「アイドルとしてたくさんの人と接した。格好が良いだけのゲスな男性芸能人、金と権力を使って私欲を肥やす業界人」

lw´‐ _‐ノv「……」

川 - -)「見た目は悪くとも面白い一般人……そして、色んな特徴を持ったファンのみんな」

川 ゚ -゚)「みんながみんな、特別でもあり、普通でもあった」

声は震え、口調は戻る。取り繕って話すことではないと言い聞かせるように。

lw´‐ _‐ノv「クーちゃん……」


177 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:49:06 FpzbqKagO
川 ゚ -゚)「見識が狭かったんだ。今ならわかる。柊姉さん、あなたは私の姉だ。わたしにとって、特別でもあり、普通でもある」

川 - )「今までの失言を許してくれとは言わない。チャンスをくれないか。もう一度、素直家一同として……」

言い終えた時には自然と頭が下がっていた。普段の凛とした、綺麗なお辞儀ではなく、無様に垂れながら、それでも本心で。

背の高いクールが礼をしても、座っているシュールから見れば顔が覗けた。しわくちゃ。

lw´‐ _‐ノv「オーライオーライ。ウィウィ。言いたいことは伝わったぜ」

川 - )「……」

lw´*‐ _‐ノv「大人になったんだね、クーちゃん。今なら喜んで一緒に歌って踊って飲んで食って笑えるよ」

水筒をベンチに置いて立ち上がり、声を掛ける。お互いが顔を合わせた。

川 ゚ -゚)「姉さん……」

lw´‐ _‐ノv「でも、残念ながら今は無理かな」


178 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:52:54 FpzbqKagO
ここまで言った妹に対して、義理や遠慮を用いるのは失礼だと感じた姉は正直に言う。

大きく息を吸って、小さく吐き出したクールは口元を緩めた。

川 ゚ ー゚)「……今は無理、か。ふふっ、期待してもいいんだろうか」

lw´‐ _‐ノv「どうだろね。こっちも今の仕事ほっぽりだすわけにもいかんし」

lw´‐ _‐ノv「つーか、あんまりライバルと一緒にいたくないじゃん。あの人なんかモテ期だし。やばいって」

川 ゚ -゚)「は……?」

lw´‐ _‐ノv「んーま、こっちの話。ヒーちゃんとアホにも伝えておいて。時期が来たら考えるって」

結局のところ、先延ばし。決定はしていない。

にもかかわらず、今までこの話題が終わった後に感じる焦燥感とはまた違う思いを抱いたクールはうなずいた。


179 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:54:13 FpzbqKagO
川 ゚ -゚)「……わかった。ならば待とう。それまでにスナオシスターズはさらに大きくなっておく」

lw´‐ _‐ノv「頼んまっせ」

川 ゚ー゚)「ああ。任せろ……では」

lw´‐ _‐ノv「ばーいばーい」

両手を振りながら妹の背中を見送る姉に、後ろ手に片手をあげて交わした彼女の背中は凛としている。

見えなくなった後も残る余韻が消えた頃、シュールは疲労感を思い出した。

lw´*‐ _‐ノv「ふぅ。良い妹を持ったな私」

ヌッ( ФωФ)「理事長」

lw´ ゚ _ ゚ノv「キェェェェェェアァァァァァァァシャベッタアアアアアアア!!!」


振り向けば、先ほどよりも首を上げなければ顔が見えないほど大きな男が立っていた。絶叫する女性に、杉浦は慌てる。

(; ФωФ)「な、なんであるか。我輩だ、杉浦だ」

lw´‐ _‐ノv「あー、ロマか。てっきりクマかと」

( ФωФ)「……用件は済んだのか」

lw´‐ _‐ノv「うん。ありがと。そろそろいかなきゃね。溜まってる仕事あるし」


180 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:55:04 FpzbqKagO
( ФωФ)「……ほとんど我輩が片付けておいたが……理事長の命令で」

lw´‐ _‐ノv「おっ、さすがクマ!じゃなかった、ロマ!じゃあ観客席で観戦してようっと……」

鈍い動きで水筒を手に取り、歩き出そうとするシュールに心配そうな面持ちで彼は声をかけるが、失敗したと痛感する。

( ФωФ)「ずいぶんと疲れた顔をしているが、大丈夫であるか?」

lw´‐ _‐ノv「んーーそだ」

lw´‐ _‐ノv「ロマ、おんぶ」

(; ФωФ)「なっ!?」

lw´‐ _‐ノv「はやく。理事長命令」

( ФωФ)「……世話が焼ける」

こう言われてしまっては無下に出来ない。膝を折って背中に乗せる。さながら親子。

( ФωФ)「宇都宮君とは話せたのかね」

lw´‐ _‐ノv「うん。やっぱ彼はすごいわ。あんな食えない米ないわ。はらたつわー」

( ФωФ)「そうであるな、彼は面白い男だ」

lw´‐ _‐ノv「ロマも負けたもんね。かませ(笑)」

(# ФωФ)「……」


181 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:55:46 FpzbqKagO
歩きながら、揺られながら話す内容に、杉浦は一つだけ言いたいことがあった。

しかし、それは叶わない。

lw´‐ _ ノv「あーあ、ホント、色々疲れたぁ……むにゃむにゃ」
( ФωФ)「……帰ったら仕事を少しでも片付け――」

lw´  _ ノv スー スー ウゥウ……

( ФωФ)(この娘、寝よった……いや、狸寝入りか?)

lw´  _ ノv ドクオノ バカヤロー……ヒク

( ФωФ)「全く……」

この時、偶然にも彼が口にしたかった言葉は、他の人物達と一致する。


182 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:57:35 FpzbqKagO
〜〜〜

ξ**゚∀゚)ξ「で、で、結局なに話してたのよ!教えなさいよ!」

(゚A゚#)「うっせぇ、関係ねぇだろ」

ξ゚⊿゚)ξ「気になるじゃない!ていうかなんで別れたのよ!」

('A`)「……あいつが言うには『なんでもかんでも知ってるくせに、大事なことは何も言ってくれないドクオなんざ嫌じゃ!』だったな」

(-A-;)「その後、連絡がつかなくなった」

ξ;゚⊿゚)ξ「うわ……」

('A`;)「ツン、そこまで引くこたぁねぇだろ」

ξ;^⊿^)ξ「いや、なんていうか……こそばゆいわね」

('A`)「まぁ若かったんだよ、俺もあいつも」

ξ゚ー゚)ξ「でも、あなた覚えてたんでしょ?その大事なことって最後の問題の回答と関係あるんじゃないの?」

('A`)「当たり前だ、忘れるかよ」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあなんで言ってあげないのよ」

( A )「そりゃ、あれだよ」

(*'A`)「恥ずかしいじゃねぇか」
ξ゚⊿゚)ξ

ξ-ー-)ξ「……まったく」


183 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 21:58:36 FpzbqKagO
〜〜〜

ノパ⊿゚)「おかえりクー姉!」

o川*゚ー゚)o「おかえりー!」

川 ゚ -゚)「ただいま。内藤さん達にはちゃんと改めてお礼を言ったか?」

ノパ⊿゚)「おう!バッチリだ!」

o川*゚ー゚)o「クー姉はどうだったの?シュー姉、うまくいった?」

(゚- ゚ 川「言いたいことは伝えたさ。でもうまくいったかどうかはわからない」

o川;゚ー゚)o「そっか……」

ノハ;゚⊿゚)「うう、やっぱり難しいんだな……!!」

川 - )(二人とも……そんな顔しないでくれ)

川 ゚ ー゚)「フン、構うものか。私たちスナオシスターズがもっと大きくなれば、自然と彼女も素直家に戻ってくるだろう」


184 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:00:08 FpzbqKagO
川  ー )(これでもけっこう、嬉しかったんだ)

川 ゚ー゚)「気にすることはない。そうだ、別に戻ってこなくってもいいんだ。私たちでもっと──」

ノパ⊿゚)「クー姉……無理してないか?」

川 ー )(やっと姉さんに認めてもらって嬉しくて──)

川   )「誰が!」

ノハ#゚⊿゚)「だってさ!クー姉、今にも泣きそうじゃねぇか!!」

川 , - )「ッ……!」

o川;-ー-)o(あーあ、もうほんとに)


185 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:01:00 FpzbqKagO
〜〜〜

( ФωФ)

ξ゚⊿゚)ξ (素直じゃないな)

o川*゚ー゚)o

〜〜〜


186 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:03:15 FpzbqKagO
〜〜〜

あらゆる所に設置されているスピーカーから聞こえてきたのは、シード選手が決まったことを通知するアナウンス。

その結果に、足を止めた長い金髪の男は呟く。傍らには女性。

  _
( ゚∀゚)「俺がシード、か」

('、`*川「そうね、ジョルジュ様」

パールグリーンのジャケットとタイトスカート、白いシルクのインナー。ベージュの5センチヒール。小さな2wayの白いクラッチバッグだけがゴヤール。

コサージュもネックレスも着けていない彼女のレディースフォーマルは一見して、控えめな印象を受ける。

しかし、その理知的な表情は身に着けているアイテムの格を上品で清楚という印象に仕上げており、キャリアウーマンという表現では足りないような、どこか未完成に思える妖艶さを纏っていて、一瞬だがミロのビーナスの解釈──両腕がないから美しい──が脳裏を掠めさせる。

  _
(; -∀-)「……君ね。そのジョルジュ様っていうの止めてくれないかな」


187 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:04:07 FpzbqKagO
それだけならまだしも、口を開けば甘ったるい声が耳に響くので、どうにも形容しがたい。

('、`*川「嫌よ、ジョルジュ様。クミアデカが秀才、ペニサスをあそこまで負かせたんだから、責任とってもらわないと」

第一回戦目でジョルジュに敗北した彼女は、彼に付きまとっている。

今まで負けたことなどなかった秀才は、勉学に打ち込みすぎたのか、どこかずれた感覚を持っているようで彼は辟易としていた。

  _
(; -∀-)「アハハ……」

  _
( -∀-)(さっきからまいては見つかり、まいては見つかり……人をまくのは自信があるんだけどなぁ)

とはいえ、勝利した彼も独特。顔やスタイルと裏腹に少しシワのある顔と、飄々とした態度。類は友を呼ぶ。

ため息をつく彼の頬に見つけた毛を触ろうとしたペニサスにジョルジュは声色を変えて言った。

⊂('、`*川「あら、お髭……」

  _
(  ∀゚)「触るな」

('、`;*川「ひっ……」


188 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:05:27 FpzbqKagO
  _
( ^∀^)「失礼、あまりベタベタとされたくないんだ。気を悪くしたら謝るよ」

('、`*川「もう!そういう強気なところと弱気なところがまた素敵……」

  _
( ゚∀゚)(はぁ……これはなんとかしないとね)

遠ざけるつもりで言ったセリフは逆効果。ますます惹かれていく彼女をどうにかしなければと、これからの試合よりも考えている彼の元に、冷やかす声が聞こえる。

爪'ー`)「昼間っからいちゃついてるねぇ、ご両人」

  _
( ゚∀゚)「……ああ、フォックスさんとハローさんだっけ」


189 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:06:20 FpzbqKagO
声をかけたフォックスはペニサスと同じようにスーツスタイル。しかし、全く違うのはその着こなし方。

黒の上下は、ベリーショート丈のジャケットと、股上が浅く細いストレートタイプのスラックス。

閉じていない上着から見せるシャツはジャストカバリというロゴの入った黒いサテン、ベルトのバックルにはブルガリ、極めつけはつま先の尖がったアルフレッドバニスター。

長い黒髪をしっかりとセットした、歩くハイブランド。どう見てもホストクラブにいるような格好は、いくら若いとはいえ良い顔はできない。

ハハ ロ -ロ)ハ〃 ペコリ

対極的に、お辞儀をする女性はスポーツウェア。

首元まで閉めている青いアウターとボトム、シューズはナイキのマークが見える。

ブロンドの髪は長めで、赤いフレームのメガネがアクセントといえば聞こえが良いが、横に比べれば真逆の格好だった。

フォックスは薄ら笑いを浮かべながらジョルジュに向けて続ける。


190 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:07:11 FpzbqKagO
爪'ー`)「放送聞いたろ?次は俺とギコとの戦いだ。いいよなぁ、シード」

  _
( ^∀^)「ハハ、少し退屈だけどね」

爪'ー`)「よく言うぜ、そんなべっぴん侍らして」

  _
( ゚∀゚)「そっちだって、ずいぶんと美人なセコンドを連れてクダを巻きに来たのかい?ナンセンスだね」

ハハ ロ -ロ)ハ クスクス

応酬の勝敗はハローのささやくような笑い。青筋を立てる。

荒事の起こりそうな予感を察知したのか、これ幸いとペニサスはジョルジュに密着する。

爪#'ー`)「てめぇ」

  _
( ゚∀゚)(あ、そうだ)

  _
( -∀゚)「おっと、失礼。どうやら退屈すぎて俺も言葉が荒くなってしまったようだ」

  _
( ゚∀゚)「どうだい、ここは一つ、ゲームをしないかい?」


191 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:07:55 FpzbqKagO
掴みかかってくるような剣幕を流しながら、彼はひらめきと共に提案した。

先ほどまでの怒りはともかく、彼の言う言葉を聞き返した。

爪'ー`)「ゲームだと?」

  _
( ゚∀゚)「ああ。どうせ次の対戦まで時間があるんだ。退屈しのぎには持ってこいだろう」

  _
( ゚∀゚)「俺が勝ったらさっきの失言はチャラにしてくれないかい?」

あくまで飄々と、掴みどころのない雲のように言葉を連ねるジョルジュに、フォックスは目をひそめ、ペニサスは腕を掴む。

爪'ー`)「……てめぇが負けたらどうすんだよ」

  _
( ゚∀゚)「ん、俺は負けないよ?」

爪#'ー`)「あぁ?」

  _
( ^∀^)「冗談だよ。冗談。そうだな、俺が負けたら」


192 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:08:39 FpzbqKagO
言って、彼女の掴んでいる腕の手首を持ち上げながら。

  _
( ゚∀゚)「セコンドを外そうか」

爪;'ー`)「は?」

('、`*川「え?」

ハハ ロ -ロ)ハ「……」

彼は笑った。


193 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:09:45 FpzbqKagO
〜〜〜

先頭を歩くジョルジュが歩みを止めて、振り返ったのは到着を伝えるため。

  _
( ゚∀゚)「ここでいいだろう」

爪;'ー`)「ここって……喫煙所じゃねぇか」

そこは何度か足を運んだ喫煙所だった。あまり広くないスペースに男女が入っていく。

座って、対面するような格好になった二組。男性二人の横には灰皿。

  _
( ゚∀゚)「ああ。ちょうどタバコを吸いたかったしね」

爪'ー`)「ハンッ、くだらねぇな。それよかそっちのべっぴんさんはいいのかよ」

スラックスから取り出すハイライトから一本を取り出す彼の横に居るセコンドに、フォックスは問う。

無理もない。セコンドが外れるということは確かに対戦相手にとっては有利な状況と取れる。

反面、少しでも大会で活躍したり、テレビに映りたいといった願望を持った敗北者達には寝耳に水。
それを踏まえているのか定かではないが、ペニサスは自信を持って答えた。

('、`*川「構わないわ。ジョルジュ様が負けるわけないもの」


194 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:10:32 FpzbqKagO
髪をなでながら言う彼女は確かに自信を持っていた。誰が聞いても疑うことをさせないほどはっきりと。

爪'ー`)(どうかねぇ。その髪を触るしぐさ、迷いがあるのか……いや、おそらく負けた場合のことを考えているんだろーな)

しかし、問うた本人は勘ぐる。目ざとさは彼にとっての能力。

ほんの少しの仕草で相手の意思や、意図を読み取る読心術。マジシャンのように。

爪'ー`)「おーおー、お熱いこって。吠えづらかくなよ?」

  _
( ゚∀゚)「気をつけるよ。さて、ゲームだが」

先ほどから行き場なく指に挟まっているタバコを、フォックスの前に掲げたジョルジュは続ける。

  _
( ゚∀゚)「こいつを使おうか」

爪'ー`)「タバコ?それで何するってんだ」

  _
( ^∀^)「先にこれを消したほうの負け。簡単だろ?」


195 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:11:17 FpzbqKagO
例えばどんなゲームやクイズにしろ、何かしらのルールが混ざって成立するものがほとんどだ。

それを極力シンプルに、しかも出題する側の人間が決めてしまって問題はないのか。

いくつかの疑問が頭を過ぎる。

爪'ー`)「なんだそりゃ。だいたい俺がタバコ吸うなんて一言も言ってないぜ?」

直接に聞いてしまうのは憚られた。プライド。

だから彼は、前提を崩し主導権を得ようと画策する。

そんな様子を手に取るように一つ一つ理由をあげていくジョルジュ。

  _
( -∀゚)「服に付着した匂い、ヤニのついた歯、指先の間接が少し黄色いのは相当なヘビースモーカーだとお見受けするが?」

爪;'ー`)(こいつ……!)

曲がりなりにもここまで来た選手ということ。運や知識だけではない。地力も兼ね備えているのだ。

フォックスはある程度、他の選手達の試合を観覧している。故に、理解を改めてジャケットの内ポケットから自分のタバコを取り出した。

爪#'ー`)「上等じゃねぇか、その気にくわねぇツラ、叩き潰してやるよ!」


196 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:12:21 FpzbqKagO
  _
(* ゚∀゚)「おっ、紙巻のコイーバかい。渋いね」

キューバ産のそれは葉巻が有名だが、紙巻のものも親しまれている。

嗜みを褒める男の態度はやはり気に食わない。

爪#'ー`)「ちっ……」

自身と同じように指に挟んだことを確認して、ジョルジュはペニサスとハローに声を掛ける。

  _
( ゚∀゚)「オーケー、一応聞いておくが、二人ともタバコは大丈夫かい?ダメなら外で待ってもらってもいいが」

ハハ ロ -ロ)ハ「アスリートだからといって、一、二程度の受動喫煙で面白い催しを見ないつもりはナイデス」

('、`*川「私も大丈夫です!普段から吸いますし」

ある意味、予想外でもあった。寡黙なアスリートの彼女は少しでも有害な、不利益なものを敬遠するかと思えば、その口を僅かに緩め、
真面目な──黙っていれば──風貌の彼女に至っては普段から喫煙しているらしい。

もっとも、こんな所まで来てクイズで戦おうとする人間がまともかどうかといえばわからないと悟った彼は、指を運んだ。


197 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:13:17 FpzbqKagO
  _
( ゚∀゚)「それじゃ、始めようか」

  _
( ゚∀゚)y‐~~「ふぅ……」

爪'ー`)y‐~~「ふぅ」

お互いの着火音が静かに鳴り響く。煙は上に吸い込まれ、ゲームは始まる。

食い入るように両者を見つめるペニサスは気づいた。

('、`;*川(ジョルジュ様が負けるわけがない……でも、あいつ!)

隣から吐き出される薄い煙に対して、正面に居る男の口からも、鼻からも出てこない煙。

('皿`#川「ちょっと、あなた!ちゃんと吸いなさいよ!」

爪'ー`)y‐~~「ああ?誰も吸わなければならないなんてルールは決めてないぜ?」

口から少しだけタバコを外しながら答えるフォックス。先ほどの穴だらけな前提から導いた最も有効な手段。

爪'ー`)y‐~~(口に咥えて吸わなけりゃ5分は持つ。ルール説明に吸わなければならないと付け加えなかったお前の負けだぜ)

爪'ー`)y‐~~(それに俺は相手の心理状態をある程度読むことが出来る。今のジョルジュは冷静だがこうやって問答していけば冷静さをなくす!)


198 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:14:02 FpzbqKagO
実際に、長距離トラック運転手が極短時間睡眠を取る時に用いる方法。それは着火したタバコを指に加えて眠ること。

程度の差はあれど、一瞬の睡眠と、まず確実に目と頭が覚めることを知っていた彼はそれを全く違う場面で実践していた。

ハハ ロ -ロ)ハ「いいのデスカ、ジョルジュサン」

いくらなんでもそれは──と感じたハローは、出題者に向かって口を開く。

  _
( ゚∀゚)y‐~~「あー、忘れてたね。まぁいいんじゃないかな。ふぅー」

('、`;*川「じょ、ジョルジュ様……」

この明らかに不利な状況において、今だ満足げにタバコを吹かす男は、その行動を認めた。

不安が顔に表れるペニサスを尻目に、少し燻ってきた先端を灰皿に落とすフォックスが畳み掛ける。


199 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:16:08 FpzbqKagO
爪'ー`)y‐~~「もう勝負を諦めてやがるな!言った言わないの水掛け論は社会の常識。俺みたいに上司にも部下にも好かれる人間に勝てるわけねぇよ!つっても、お前みたいなはぐれ者が、ネジビスのエリート街道を走る俺の言葉なんざわからねぇだろうがな!」

  _
(; ゚∀゚)y‐~~(うわ……よく喋る人だな)

爪'ー`)y‐~~「てめぇの考えたことを言ってやる。よく喋る奴だと思っただろ」

  _
( ゚∀゚)y‐~~「……!」

ここに来て初めてジョルジュの動揺が見えた。勝機。自分のタバコはあと一、二分は持つ。喫煙している相手はもはやフィルターに近づいているだろう。

爪'ー`)y‐~~「俺はな、こうやって相手の心理状態を操ってここまできたんだぜ。俺と試合で当たらなくてよかったなぁ?」

  _
( ゚∀゚)y‐~~「それはそれは……」

爪*'ー`)y‐~~「ははっ、ほら、もうお前のフィルターに火種が……」

爪;'ー`)y‐~~「あれ?」


200 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:17:09 FpzbqKagO
そうしてじっくりと彼のタバコを見る。おかしい。

  _
( ゚∀゚)y‐~~「ふぅー」

先ほどの動揺はどこへやら。変わらずに吹かしている男のタバコはまだ半分も燃えていない。

爪;'ー`)y‐~~(なぜだ……?もう3分は経ってるぞ?なんでまだ先端が燻ってるんだ?)

爪;'ー`)y‐~~(そうか!?長さだな!!てめぇのタバコの方が長)

  _
( -∀゚)y‐~~「今、タバコの長さが違うって思った?」

爪'ー`)y‐~~「えっ……」

  _
( ゚∀゚)y‐~~「俺の吸ってるハイライトは八センチ。コイーバの紙巻もだいたい七から八センチだったと思うけどね」

言い終えて、煙を吐き出す。灰になった部分を落としたことを皮切りに、彼は続ける。

  _
( ゚∀゚)y‐~~「確かに、世界中のビジネスが集まる国、ネジビスの出身であるフォックスさんの言葉だけあって、面白い」

  _
( -∀-)y‐~~「だけど、無意味だ」

爪;;'ー`)y‐~~(ちっ……!俺のタバコがもう指先まで……!)


201 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:17:58 FpzbqKagO
指先に集中して相手の言葉を聞くに気になれない。それでも構わず、さらにジョルジュは言う。

  _
( ゚∀゚)y‐~~「ここからははぐれ者である俺の言葉だけど」

  _
( ^∀^)y‐~~「クールスモーキングって知ってるかい?」

爪;'ー`)y‐~~「はぁ?」

聞きなれない言葉が聞こえたので、思わず反応した。フィルターに迫る火から目線を移す。

  _
( ゚∀゚)y‐~~「口腔喫煙さ。肺に入れない吸い方のことだ」

  _
( ゚∀゚)y‐~~「この吸い方なら7分は持たせることができるよ。ふぅー」

それは火種を小さく維持し、燃焼温度と煙の温度を下げる吸い方。

本来ならばタバコそのものの味を楽しむ、あるいは他人から見て煙が薄いため格好良く見せる一種の嗜み方。

それを用いたジョルジュは、煙を吸わないフォックスに勝つことができたのだ。

爪#゚д゚)「く、くそがっ!あつ!」

指先が高温を感じたので、反射的にタバコを落としてしまう。


202 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:19:07 FpzbqKagO
飛び、転がったそれは対戦相手の前。隣の女性は喜んで彼に寄りかかろうとするが失敗した。

('ヮ`*川「やった!ジョルジュ様の勝ち──」

果たして彼は勝つことができなかった。そして、負けることも。

ハハ;ロ -ロ)ハ(!?)

('、`;川「えっ……どうして」

  _
( ゚∀゚)「おっと、危ない危ない。おや、同時に消えてしまったね」

爪;゚ー゚)「は、はぁ?」

ペニサスが肩につかまろうとしたタイミングで立ち上がったジョルジュは、指に持つそれを灰皿に押し付けると同時に、足元のタバコを踏み潰す。

沈黙が場を支配する前に、口を開いた。

  _
( ゚∀゚)「これは同点、ノーゲームだ。だから俺の失言も取り消して、ペニサス嬢もセコンドから外す。それでいいね。じゃあまた会えたら会おう」

矢継ぎ早に繰り出された言葉は、お互いの利害を考慮しているように見えて、実質、自分だけが得をするための締め言葉。マッチポンプ。

そのまま入口へと足を進める男を止めるのは二人。


203 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:20:03 FpzbqKagO
('、`;*川「そ、そんな!ジョルジュ様!」

爪#'ー`)「ま、待ちやがれ!てめぇ、ワザと……」

締め言葉の後は捨て台詞。姿を消す前に立ち止まった彼は振り向くこともせず言う。

  _
( ゚∀゚)「まぁ一つ言っておけば……さっきよく喋る人だと俺が思った?ちょっと違うね」

  _       キツネ
( -∀-)「よく喋る 人 だと思ったんだ」

ハハ*ロ -ロ)ハ クスクス

爪# ― )「ぐっ……!」

  _
( ゚∀゚)「言っただろう、フォックスさん。俺は『負けない』ってね」


204 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:20:59 FpzbqKagO
言葉と共に首だけをひねって後ろを向き、髪をかきあげたジョルジュは、打ち拉がれる彼を一瞥して、歩みを進める。同時に聞こえてきたのはスピーカーからの音声。

<「選手の皆さん、本選準々決勝第二回戦目の時間となりましたので、名前が挙がった選手は、選手入場口までお越しください」

<「準々決勝第二回戦目の出場者は」

<「フォックス」

<「ギコギコ」

<「この2名となります」

<「シードであるジョルジュ選手は本選決勝戦まで、既に一回戦目を終えているスーパードックンは、本選準決勝まで自由行動となりますので、よろしくお願いいたします」

<「繰り返します──」

爪#'ー`)「決勝で待ってろよ……!」

呼び出しに対する意気込みよりも、彼を倒すことに集中する。怒り、惨めさ、悔しさはフォックスをその場から簡単に動かさない。

だから、隣にいる可愛らしい笑いを必死に堪えている彼女よりも先に、ペニサスは後を追った。

('、`*川「ジョルジュ様、わ、私は……」


205 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:22:03 FpzbqKagO
追いついて、背に問いかける。こちらを見る表情は穏やか。安堵してしまう。

そのために、その優しい顔から放たれた辛らつな言葉は、より彼女の心に響いた。

  _
( ^∀^)「セコンドルールを覚えてるかい?勝者の権限を越えない範囲で手伝うことができると」

  _
( ゚∀゚)「然るに、君は俺の邪魔になっている」

  _
( -∀゚)「消えてくれないかな」

返答は待たない。金髪の襟足は揺れ、先に進んでいく後ろ姿を見ることもできないままその場にうずくまる。

(;、∩*川「う、ううぅぅ!!」

嗚咽が聞こえる。甲高い声は過去を思い出す。歩みが速まる。

  _
(; -∀-)(あーあ、泣かしちゃった……全く、いつの時も、女の涙は堪えるね)

向かった先は外だった。チェインスモーカーというわけではないが、備えつけの灰皿が見つかったのでもう一度タバコに火をつける。


206 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:22:44 FpzbqKagO
  _
(  ∀ )y‐~~(まぁ……仕方ないよな)

紫煙を燻らせ、見つめる先はどこか。日が傾き始める空の下で呟く。

  _
( ゚∀゚)y‐~~「これで、彼の相手をする準備は整ったからね」

それはもしかすると、自身の心の内かもしれない。

スーパードックンのようです
第二部 第十一話おわり!


207 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/13(金) 22:25:34 FpzbqKagO
以上です。NGは近日、ブログはごめんなさい、NG投下後です…次回はたくさん記事更新しますので、もう少し待ってね。


208 : 名も無きAAのようです :2013/09/14(土) 03:24:32 Z77Ec8BI0



209 : 名も無きAAのようです :2013/09/14(土) 08:12:34 GHLLPck.0
おつ!


210 : 名も無きAAのようです :2013/09/14(土) 09:48:46 aAkiI6CI0
乙!面白い奴ばかりだ


211 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:39:20 NGYG/X32O
以前に教えていただいた、投下に気付きにくいデメリットがあるので、たまにはageますね。

>>208 >>209

ありがとうございます。普段からsageてますが、乙いただけてありがたい。

>>210
嬉しいです。なかなかキャラ立ちって難しいんですね。お話の進行等含めて頑張ります。

ではNGいってみよう!


212 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:40:46 NGYG/X32O
スーパードックンのようです
第二部 第十一話 NGシーン

↓私は学生のころ、元サヤに戻るために、夜、大通りで大きな声をあげて告白したことがあります。返答は「うるさい」でした。あの頃は若かった。

〜〜〜

(-A-)「悪いが、それはできない」

lw´‐ _‐ノv「……」

発言していた人物が入れ替わったのは、彼女の言葉を遮ったから。それは反論を意味する。

('A`)「そりゃ俺はニートだ。職が得られるなら、なおかつ良い待遇の仕事につけるなら喜んでいくさ」

('A`)「だが、一緒に行くことはできねぇ」

向き直ったのは失敗だったか。その芯が通った言い様に、シュールは言葉を漏らした。

lw´‐ _‐ノv「……変わったんだね、本当に」

その発言に腕を組み、一拍置いて応える彼。

(-A-)「俺から言わせりゃお前がな」

lw´;‐ _‐ノv「えっ……?」

先ほどのドクオと同じように聞き返してしまうのは、彼女がそこまで記憶していることができなかったから。

紡がれていく言葉に耳を傾ければ、あの頃の慕情の甘さと、今の自身の甘さに憮然とした。

〜〜〜

lw´'A`ノv「聞いてよ、ドクオ」


ダッシュ!ε≡≡≡≡≡≡≡lw´'A`ノv

        ('A` )クルッ

('A` )「なんだよ」


213 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:42:00 NGYG/X32O
  ('A` )≡≡≡≡≡≡≡3ダッシュ!

クルッlw´゚A゚ノv


lw´゚A゚ノv「『柊姉さん。あなたは特別な人間だ。私達と共に来てくれ』だってよ!」


ダッシュ!ε≡≡≡≡≡≡≡lw´'A`ノv

        ('A` )クルッ


('A`;)「なんだそりゃ。新手の宗教勧誘か?」


  ('A` )≡≡≡≡≡≡≡3ダッシュ!

クルッlw´'A`ノv


lw´'A`ノv「んー……どっちかっていうと、割とまともなお仕事。皆さんに夢を届けます的な」


214 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:42:43 NGYG/X32O
ダッシュ!ε≡≡≡≡≡≡≡lw´'A`ノv


        ('A` )クルッ


('A`)「余計に怪しいな……で?」


  ('A` )≡≡≡≡≡≡≡3ダッシュ!

クルッlw´'A`ノv


lw´'A`ノv「だからさ、言ってやったわけよ」


lw´'A`ノv「『私は特別なんかじゃない。興味ないね。クックックッ……黒マテリア』ってね」


ダッシュ!ε≡≡≡≡≡≡≡lw´'A`ノv


        ('A` )クルッ

('A`)「……ようするに断ったのか」


  ('A` )≡≡≡≡≡≡≡3ダッシュ!

クルッlw´'A`ノv


lw´'A`ノv「うん」


215 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:43:38 NGYG/X32O
ダッシュ!ε≡≡≡≡≡≡≡lw´'A`ノv


        ('A` )クルッ

('A`)「でも必要としてくれてんだろ?どんな仕事かはわからねぇが、断って良かったのか?」


  ('A` )≡≡≡≡≡≡≡3ダッシュ!

クルッlw´'A`ノv


lw´#'A`ノv「私のことを特別な人間とか言い出す奴と一緒にいたくはねぇ!」


ダッシュ!ε≡≡≡≡≡≡≡lw´'A`ノv


        ('A` )クルッ

('A`)「なるほどな。ま、確かに俺もそう言われて乗り気にはなれねぇわ。とはいえ普通とも言えねぇわな」


  ('A` )≡≡≡≡≡≡≡3ダッシュ!

クルッlw´'A`ノv


lw´',`ノv「うー」


216 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:44:20 NGYG/X32O
ダッシュ!ε≡≡≡≡≡≡≡lw´'A`ノv


        ('A` )クルッ

('∀`;)「考え込むなよ、普通な人間なんていねぇ。どいつもこいつも一癖二癖もってんだから。俺は俺、お前はお前でいいじゃねぇか」


  ('A` )≡≡≡≡≡≡≡3ダッシュ!

クルッlw´'A`ノv


lw´'ε`ノv「うわくっさ!そだね、ドクオ言うとおくっさ!」


ダッシュ!ε≡≡≡≡≡≡≡lw´'A`ノv

        ('A` )クルッ

('∀` )


217 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:45:06 NGYG/X32O
〜〜〜

('∀`;;;)ハァハァ

lw´;‐ _‐ノv「……」

('∀`;)ハァ

('∀`)フゥ

('A`)キリッ「わりぃな、これが俺だ」

おわり


218 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:46:11 NGYG/X32O
第二部 第十一話 take2

↓とっさに思ったんですが、この作品の一番かわいいキャラはフォックスかもしれません。

  _
( ゚∀゚)「それじゃ、始めようか」

  _
( ゚∀゚)y‐~~「ふぅ……」

爪'ー`)y‐~~「ふぅ」

お互いの着火音が静かに鳴り響く。煙は上に吸い込まれ、ゲームは始まる。

食い入るように両者を見つめるペニサスは気づいた。

('、`;*川(ジョルジュ様が負けるわけがない……でも、あいつ!)


219 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:46:49 NGYG/X32O
  _
( ゚∀゚)y‐~~ フゥー!フゥー!('ε`爪y‐~~

  _
( ゚∀゚)y‐~~ フゥー!フゥー!('ε`爪y‐~~

  _
( ゚∀゚)y‐~~ フゥー!キエロー!('ε`爪y‐~~

  _
( ゚∀゚)y‐~~ モチョット!フゥー!('ε`爪y‐~~

  _
( ゚∀゚)y‐~~「フォックスさん」


220 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:47:26 NGYG/X32O
('ε`;爪y‐~~「な、なんだよ……」

  _
( ^∀^)y‐~~「君は バ カ かい?」

ハハ ロ∀ロ)ハ ∵:.ブッヘッ!!

おわり


221 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:48:51 NGYG/X32O
第二部 第十一話 take3

↓マッ○ンゼーとかにしようと思いましたが、恐れ戦いたので止めました。第一、知らん。
 ムチャクチャですが、元ネタはPRESIDENTです。長距離移動の時とかお勧めです。

爪'ー`)「俺はフォックス。ネジビスで成功するためにやってきたのさ」

爪'ー`)「今はまだ無職だけど、いつかエリートになってやるぜ!」

爪'ー`)「よしっ、このボールペンを売ってやるぜ」

爪'ー`)「行きながらついでにツイッターとか更新しよ」


222 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:49:38 NGYG/X32O
スタスタ 爪'ー`)白 ピコピコ

マヨッタ 爪;'ー`)白

マップミル 爪'ー`)白 ピコピコ

ツイタ 爪*'ー`)

『株式会社ラウンジクオリティ』

爪'ー`)(ここは……なんか隣に俺の好きなブランド店があったから来てみたけどラッキー!よくわからないが、でかいビルだし入ってみるか!)

ワイワイ ガヤガヤ

爪'ー`)(けっこう従業員いるなぁ……でも狭いって感じはねぇなぁ)

爪'ー`)(えーと、ラウンジクオリティは11階から15階……うっわ、受付15階かよ……めんど。でもこの会社だけしか入ってないし、でっかい企業なんかなぁ。まぁいいや、エレベーター使お)

チーン

爪'ー`)(ついた!あそこのねえちゃんが受付だな)

爪'ー`)∩「ちぃーす!」

(゚、゚トソン「こんにちは。本日はどういったご用件で?」


223 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:50:19 NGYG/X32O
爪'ー`)「自分、営業にきたんで、なんつーか、うりたいっつーか」

(゚、゚トソン「……アポは」

爪#゚ー゚)「はぁ!?俺はアホじゃねぇ!失礼だなぁ!」

(゚、゚トソン「申し訳ございませんが、アポの無い方は……」

(     )「どうしたんだい」

(゚、゚;トソン「ぶ、部長!その……」

爪*'ー`)「ああ!部長様ですか!ちぃーす!俺、営業にきたんすよ!」

(-、-;トソン「ですから、アポの無い方は」

(     )「ふむ……わかった。私が聞こう」


224 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:51:07 NGYG/X32O
(゚、゚*トソン(部長……かっこよすぎます。ああ、さすがラウンジクオリティで一番仕事のできる男……)

爪'ー`)「おっ、さっすが部長!じゃあ案内してくださいっす。あ、俺、飲み物メロンソーダでいいんで!」

(゚、゚;トソン(それにひきかえ、この男は……)

(     )「では、行こうか」


225 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:52:07 NGYG/X32O
〜〜〜

爪'ー`)(メロンソーダはなかった……コーヒー飲めねぇよ)

(*‘ω‘ *)「申し遅れたが、私は珍穂という。これが名刺だ。よろしく頼む」

爪'ー`)「ちんぽ……」

(*‘ω‘ *)「なにか」

爪;'ー`)「あーいやー、良い苗字だなって!」

(*‘ω‘ *)「……君の名刺もいただけるかな」

爪*'ー`)「あっ、これっすね!超しぶいっすよ!裏にケー番載せてあるんで!」

(;*‘ω‘ *)(……名前がフォックス……ん、これは名前ではなくてあだ名か?横にある写真はプリクラじゃないか)

爪'ー`)「あー、そのプリ、真ん中のが俺で、右のがツレのユウジ、左がタクマっていうんすよ。めっちゃ喧嘩つよいんで。あんまなめねぇほうがいいっす」

(*’ω’ *)「……」

爪;'ー`)「あ、そ、そうだ!俺、これ売りにきたんすよ!見てください、このボー──」

(*‘ω‘ *)「待ちたまえ。まず、私達のことについて、君はどれくらい知っているか聞きたい」


226 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:53:03 NGYG/X32O
爪゚ー゚)「えっ!?」

(*‘ω‘ *)「なぁに、簡単でいいよ。営業に来ているんだ。下調べくらいしているだろう?」

爪;'ー`)(っべー、やべぇよ。なんもしらねぇよ。わかったのこいつがちんぽみたいな名前しかわかんねぇよ)

(*‘ω‘ *)(どうせテキトーに営業をかけているんだろう。若者にしては珍しくバイタリティがあると思ったが、ただのバカか……)

(*‘ω‘ *)「どうしたかね」

爪'ー`)「は、はい!えっっっっと」

爪;'ー`)(くそ!やけだ!なんか雑誌で読んだことあるそれっぽいこといっちまえ!)

爪'ー`)「じゃ、じゃあ従業員数をいいます!」

(*‘ω‘ *)「どうぞ」


227 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:53:48 NGYG/X32O
爪'ー`)「このビルにはだいたい500人くらいの従業員がいるとおもうんすけど!」

(*’ω’ *)「……ほう、それはなぜ?」

爪'ー`)「なんか、エレベーター乗る前に見たんすけど、この会社が入っているフロアって、5フロアくらいじゃないっすか」

爪'ー`)「しかも、おんなじ階で他の会社はいってなかったんで、このシマ占めてんのって、おんしゃ……だっけ、おたくらだけみたいな。だから、みんなが使う部分とかはぶけば4分の3くらいっしょ」

(*‘ω‘ *)「……それで」

爪'ー`)「でぇ、んとぉ、広さなんすけど、自分、ここ来る前にスマフォでツイッターして、ラインしてからマップひらいたんすよ。んで、なんか、俺んちのマンション、70……あれ、なんだっけ」

(*‘ω‘ *)「平方メートルと言いたいのかね」

爪*'ー`)「そう、それそれ!さすがちんぽ!」

(*’ω’ *)「……」


228 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:54:57 NGYG/X32O
爪;'ー`)「あ、サーセン。で、70平方メートルくらいなんすけど。なんか、このビルの横のショップとー、おんなじくらいの広さだと思ったんでぇ」

爪'ー`)「それを6倍くらいしたらこのビルくらいかなぁっておもっちゃったわけなんすね。だからぁ、いっこの階の広さはだいたい420……なんだっけ」

(*‘ω‘ *)「平方メートル」

爪*'ー`)「そう!420平方メートルじゃね?って思ってぇ」

爪'ー`)「あと、なんかここに通されるとき、みんなだいたい、たたみ一畳から二畳くらいの広さにつったってるじゃないっすか、あ、俺、実家が畳屋なんで」

(*‘ω‘ *)「ほう」

爪'ー`)(まぁ畳屋はうそだけど。もうめんどくせ。勘だ、勘)

爪'ー`)「だから、だいたい3平方メートルに一人くらいは立ってんじゃね?みたいな」

(*’ω’ *)「……で、それがどう繋がるのかね」


229 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:55:54 NGYG/X32O
爪;'ー`)「えっ、ああ、いや、なんつーかね?うん!あ、俺ユウジとタクヤに呼ばれてたんで失礼するっす!」

('ー`爪 ≡3 シツレィシャシタ-!!

⊂(*‘ω‘ ;*)≡3「ま、待ちたまえ!……行ってしまった」

(゚、゚トソン「部長、大丈夫ですか?」

(*‘ω‘ *)「ん……問題ないよ」

(゚、゚#トソン「全く、人騒がせな……困ったものですわ」

(*‘ω‘ *)「そうでもないかな」

(゚、゚トソン「えっ?」

(*’ω’ *)「都村君、君はこの会社の従業員を何の下調べも無しに推測できるかい?」

(゚、゚;トソン「は、はぁ……理論上、ある程度の情報が手に入れば計算して出すことなら可能ですが」

(-、-トソン「ですが、そんなことをしなくとも予備知識として把握しております。約560名ほどです」

(*‘ω‘ *)「ハハ、やってくれたよ、あの不良は」

(゚、゚トソン「はい?」


230 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:56:48 NGYG/X32O
(゚、゚;トソン「それは……一種のフェルミ推定ですか?あの短時間で論理的な推論と、それに基づいた概算する……それを彼が?」

(*‘ω‘ *)「フッ……確かに彼はあまりにも拙い。礼儀も知識も、常識さえも知らないバカだ」

(*‘ω‘ *)「だが、面白い。私をあれだけバカにする胆力もあることだし」

(*’ω’ *)「賭けてみるか」


231 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:57:39 NGYG/X32O
〜〜〜

数日後

爪'ー`)(あー、こないだの営業は失敗したなぁ)

爪*'ー`)「ま、いいや!もうあんなとこ近寄らね!もっとやりやすいとこいこ!次は……」

シャーンハイ ハニート ハマーベ シャーコウ

爪;'ー`)「ん?着信……なんだこの番号、だれだ?」

ピッ

爪'ー`)白「はーい、もっこりもこみち?」

(*‘ω‘ *)「珍穂だ」

爪;゚ー゚)「ちんぽ!?」

おわり


232 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:58:54 NGYG/X32O
スーパードックンのようです
第二部 第十一話 NGシーン take4

↓たまには心暖まる恋バナを。恋バナって死語なんでしょうか

私の名前は宗男。サラリーマンだ。先日、いつもの通りに電車でクロスワードを解いていたら、隣にいた弱そうな若者が全て解いてくれた。

ようやくハワイに行けると思ったんだが、体調を崩して入院してしまった。ストレスと栄養失調が主な原因らしい。

近所にある渡辺総合病院の一室は広い。幸運にも個室を与えられ、私以外に誰も居ない病室。

掃除は行き届いており、ベッドから上半身を上げて見える景色と、開けた窓から入ってくる風はなかなか乙なものだ。


233 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 00:59:58 NGYG/X32O
思えば無理をしてきた。出社しては年下の上司に指図され、この年でたいした役職にもついていないことを考えれば合点がいく。

だが、私は気づいた。否、気づいてしまった。ここにいる本当の原因は私にあるのではない。

家族だ!

誰も、私でさえも気づくことなどできない。信じたくはない。

しかし、娘はついに、私の物にまで冥土に赴けというような意味合いの文字を書いてくるし、妻は相変わらず、犬にも劣る食事を提供してくる。ガソリンの味がそのうちわかるんじゃないだろうか。

むろん、面会など来るはずもない。間違いなく私を嫌っている。

殺す気だ。

ああ、今まで幸せだと思い込んでいた事実は、こうも簡単に真実によって覆されてしまうのか。

私は悲しくなってナースコールを連打した。


234 : take3で抜けがありました。後程訂正します :2013/09/17(火) 01:02:00 NGYG/X32O
从'ー'从「はーい、どーしましたー?」

数分でやってきたのは、文字通り白衣の天使。胸元には渡辺と書いてあるネームプレートが貼ってある。

彼女は私の担当ナースだ。この病院の院長の娘で現在こちらで見習い勤務中とのことである。

行く行くは別の病院に移るらしいが、少なくとも私が入院している間は居てもらいたい。

从'ー'从「あれれー、宗男さん、どうしたんですかーじっと見てー」

(; l v l)「あ、いや、なんでもないよ。ハハハ」

从^ー^从「えへへー、なんでもないんですねー。じゃあお話しましょうかー」

( l v l)「う、うん!」

そう、私は彼女に癒してもらっている。その柔らかな物腰、可愛らしい笑顔、整った体。島津有理子に匹敵する。

なにより私を邪険に扱わないまさに天からの産物といえる彼女を、私はナースコール連打で呼び寄せては話をしているのだ。


235 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:03:00 NGYG/X32O
もちろん、下の名前など知らない。そんな、聞けるわけないじゃないか、んもう。

目の前で一生懸命に話をふってくれる彼女を見ているだけで、幸せだから。

从'ー'从「──で、カントのコペルニクス的転回が……宗男さん、聞いてますかー?」

( l v l)「あ、ああ!聞いてるとも」

从-ー-从「でもー、なんか難しい顔してますー。私の話、面白くないですよねー……」

(; l v l)「そんなことはないよ!その、ちょっと僕の頭じゃ理解できないところもあるけど……」

(l v l ;)「だけど!その……」

从'ー'从「なんですかー?」

(l v l *)「……渡辺さんと、話しているだけで、元気になれるっていうか……」

从'ー'从「えっ……」

(; l v l)「ああああ!ごめん!そんな、そんなつもりじゃなくて、えっと、その……」

从'ー'从「宗男さん」

( l v l)「は、はいぃ!」

从^ー^从「なべちゃんって呼んで下さい」


236 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:04:04 NGYG/X32O
\xAD\xF4( l v l)「へ!?」

从ー-*从「今まで、そんなこと言ってくれる人いなかったんです……だから、嬉しくて。さんづけは止めて、なべちゃんって呼んで下さい」

从*'ー'从「私も、その……失礼じゃなければ、むねちゃんって呼びたいですー」

青天の霹靂とはこのことだろうか。体中が熱い。鼓動の激しさが私の心を揺さぶっていく。

( l v l)「な、なべちゃん」

从^ー^从「はい、むねちゃん」

お互いが呼び合って、外からの風が私たちを祝福するように。一瞬のそれが終わった頃には二人の笑い声が響きあった。

从'ー'从「うふふ。あ、いけなーい。そろそろ戻りますね」

( l v l)「あ、うん……!その……」

本当は行って欲しくない。ここで引き止めてしまえば。

そう思った心を見透かされたように、彼女は言う。

从^ー^从「また、いっぱいお話しましょうね」

(* l v l)「……ああ!」

後ろ髪ひかれる思いが、お互い様だったらいいな。最後までこちらを向いたまま、片手をあげて笑顔で退室する彼女を目にやきつけて、私は微笑んだ。

バタン

从'ー'从「……」


237 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:05:17 NGYG/X32O
〜〜〜

医者が言うには、あと一週間程度で退院できるらしい。正直、したくない。

それからというもの、私たちは毎日のように空いた時間を使ってお喋りをした。

仕事のこと、プライベートのこと。趣味や、夢。それはまぎれもなく青春時代に語りつくされた泡沫の言葉達。

しかし、私にとっては現実で、決して消えていくことなどさせない優しい思い出。

从*-ー-从「むねちゃんって、優しい」

(;* l v l)「そ、そうかなぁ」

从'ー'从「うん。……いいなぁ、奥さん」

( l v l)「えっ……」

从'ー'从「私、憧れなんです。素敵な旦那さんと一緒に暮らすこと」

( l v l)「君はまだ若いんだから、これからいい人が見つかるよ」

从^ー^从「むねちゃんみたいな?」

(;;l v l)「ご、ゴホンゴホン!」


238 : 名も無きAAのようです :2013/09/17(火) 01:05:42 8TFMz4sc0
読んでる支援


239 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:06:22 NGYG/X32O
つい、咳き込んでしまった。大人をからかうな。その気になってしまう。

(l v l ;)「ぼ、僕なんかよりももっといい人が……」

从'ー'从「……私ね。実は前に結婚を約束した人がいたの」

( l v l)「そ、そうなんだ」

从-ー-从「うん……でもね、その時私、だまされちゃって。色んな名義を私にした後、逃げられちゃったの」

\xAD\xF4(; l v l)「えぇ!?」

从'ー'从「今も借金があるんだー。彼がどうしてもお金が足りない、けど審査が通らないから私の名義にしたりとか……」

見る見る沈んでいく彼女の顔を見たくはない。私は持ちうる最大限の言葉をかける。

( l v l)「……いくらあるんだい?」

从-ー-从「……50万くらいかな……他にもいろいろ。でも心配しないで!ちゃんと勤めていれば返せるお金だから……」


240 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:07:18 NGYG/X32O
確かに、渡辺総合病院は全国的にも有名で、そこに数年勤務していれば50万ほどすぐに借り入れできる。

どうやらその結婚詐欺師はやり手のようだ。おそらく複数の女性に対して少額の借り入れを願い入れ、私腹を肥やしているのだろう。

从;'ー'从「ごめんね、むねちゃん!変な話しちゃって!さぁ、体温計のお時間で──」

私は医療道具が入っているキャスターから体温計を取り出そうとする彼女の腕を掴んだ。

驚いてこちらを見る。やはり、君には笑顔が似合う。

( l v l)「私が出そう」

从;'ー'从「っ……!」

( l v l)「50万でも、100万でも。私が出すよ」

从;;-ー从「そ、そんな、でも!むねちゃん、奥さんもお子さんもい──」

( l v l)「君には笑っていて欲しいんだ。妻も子供も関係ない。ただ……」

ここが個室で良かった。誰にも聞こえない。誰にも見えない。

( l v l)「これからも、君と話していたい」

从 ー 从「……はい」

だから、その腕を引き寄せて抱きしめても、誰にも咎められない。


241 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:08:37 NGYG/X32O
〜〜〜

从゚ー゚从(ちょれー!!)

ああ、気持ち悪かった。あのクソオヤジ、触るなっつうの。病室出てからも寒気するわ。あー、気色わりぃ。

从'ー'从(狙ったとおりだった。あいつそこそこの会社につとめってっからいくらか引き出せるかと思ったけど)

从*'ー'从(こりゃ退院してからも金づるになりそうだ)

体は気持ち悪いが、顔はにやけてしまう。出るときに握らされた五万で何を買おうか今から楽しみだ。

エルメス、シャネルにヴィトン、グッチもいいな。


242 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:09:30 NGYG/X32O
ミセ*゚ー゚)リ「あの」

私はとっさに金を隠す。そうやって人がせっかく楽しいことを考えてるときに声をかけられたんだ、ちょっとむかついた。

振り返ってみれば小奇麗な女性と生意気そうな子供がいる。

从'ー'从「はい?」

ミセ*゚ー゚)リ「高岡宗男の面会に来たんですが」

驚いた、あんな男のどこに惹かれたのだろうか。まぁ、つまるところ私と同じ目的だろう。

変に楽しくなった私は、営業スマイルを見せて案内する。さっさといけ。

从^ー^从「ああ、そこですよ。どうぞ」

ミセ*゚―゚)リ「……」

从;^ー^从「……なにか?」

そのまま立ち止まってこちらを見続ける。どうも目つきが鋭い。

ミセ*゚―゚)リ「あの男の匂いがする」


243 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:10:45 NGYG/X32O
从;'ー'从「はぁ?」

ふざけたことを言った女は、そのまま私に近寄った。そしてぐるりと周りを回転しながら正面に立つ。

ミセ*゚ー゚)リ「ちょっと失礼」

从;゚ー゚从「ちょ、なにすんだよ」

そのまま腕を伸ばして胸元へ手を入れてくる。まずい、そこにはさっきの金が──

ミセ*゚ー゚)リ「……これは?」

从;'ー'从「……!」

とっさに入れた場所が悪かったか。浅い場所に留まっていた万札は五枚すべてが彼女の手にある。

念入りにチェックした後、こちらに向かって言う。

ミセ*゚ー゚)リ「このお金、宗男からもらったものね」

从'ー';从「しょ、証拠もないのに勝手なこと言わないでくれますかー?」


244 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:11:49 NGYG/X32O
残念だったな、いくらでも言い逃れできるんだよこっちは。

そもそも、匂いがどうのこうのとわけのわからないことを言う女だ。こっちは論理的に攻めれば問題ない。

从 ゚∀从σ「母さん、ここ、ここ」

ミセ*^ー^)リ「あー、さすがねハイン」

すると、さっきまで私をにらみつけるだけだった子供が、母親の持つ金の一部を指差した。

合点がいったのか、今度はそれを私に突きつける。

\xAD悔\xBA;゚ー゚从「なっ……!?」

驚愕した。よく見ると福沢諭吉の下に小さく『死ね』という文字が書かれている。

まるで呪いをかけるかのように、五枚とも、同じ位置に。

ミセ*゚ー゚)リ「こんな文字が書いてあるお金、それも五枚。この世にあると思うかしら」

あるわけねぇだろ。バカじゃねぇのか。とはいえ、これでは言い訳しても仕方ない。開き直る。

从-ー-#从「ちっ……だからなんだっていうんですか」

ミセ*゚ー゚)リ「いえ、別に。ただ」

从'ー'从「……?」


245 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:12:42 NGYG/X32O
この展開は予想がつく。こっちだって一度や二度やったわけではない。

バレたときは大まかに二つの流れになる。泣き寝入りか、ゆすりか。

ミセ*-ー-)リ「患者と看護師がお金の取引するっていうのは世間から見ておかしいわよね。言ってる意味わかるかしら」

果たして、こいつは後者を選択してきた。甘いな。だから主婦ってのは世間知らずだって言われるんだ。

こっちには強力な後ろ盾がある。そう、私の父親だ。

从'ヮ'从「……脅そうって言っても無駄ですよ。私の父親はここの院長でいくらでも揉み消──」

今までこうやって──とはいってもこんなに早くバレるのは初めてだが──発覚した後、示談に持っていかせれば、私の経歴にも病院の評判にも傷がつかない。たかたが数人や数十人の意見など、意味を成さないから。

余裕が出てきて、ここからこちらのペースに持っていこうと思ったにも関わらず、この女は止まらない。


246 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:13:44 NGYG/X32O
ミセ*^ー^)リ「ああ、そうじゃないのよ」

从'ー'从「えっ……」

一歩、近づいてきた。次に顔をギリギリまでつめる。そして小さく呟いたんだ。

これは、この女は、泣き寝入りしようとも、ゆすろうともしていない。

サツ# - )イ「主婦なめんな、殺すぞ」

ゾクッ!;;从 ゚ - ゚从;;「ぃッ!」

ミセ*^ー^)リ「さっ、ハイン行きましょう。看護婦さん、このお金は案内料として頂いておくから、それでチャラにしてね」

関わらないほうが良いと思わせるには十分な迫力があったので、私は誰にも、何も、言わないことにした。


247 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:14:33 NGYG/X32O
〜〜〜

高揚した心身を、開け放っている窓から入る心地よい風が冷やしてくれる。まだ寒いが、それでもちょうどいい。私の気持ちを落ち着かせるには。

ようやく少しだけ安堵した時に聞こえるノックの音に、罪悪感と期待を抱く。彼女か、それとも──

( l v l)「はい……ってミセリ、それにハイン」

諸々の意味で恐怖を覚えた。なぜ、今になってくるのだろう。もう私たちの間にはなにもないはずなのに。

从 ゚∀从「しけた病室だなぁ」

ハインは相変わらず悪態をつきながら、病室をキョロキョロと見渡している。

挙句の果てに、備え付けのキャビネットに座って足をバタバタと落ち着かない。全く、どこで育て方を間違えたのだろう。

ミセ*゚―゚)リ「どう、体調は」

今更、心配しても遅い。こいつとも、どこでボタンを掛け違えたんだ。


248 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:15:35 NGYG/X32O
( l v l)「……来週には退院できる」

ミセ*- -)リ「そう」

ミセ* - )リ「……」

( l v l)「……」

沈黙が風と共に流れていく。苦痛。先ほどの幸せが、よりそう感じさせた。

ようやく口を開いたのは娘だった。ミセリの腕を引っ張る。

从 ゚∀从「母さん、早く帰ろうぜ」

ミセ*゚ー゚)リ「ん、そうね」

そういって二人は病室を後にしていく。心配する言葉も、差し入れの土産もない。

(; l v l)(……全く、なんだったんだ。話もしないで行ってしまった)

( l v l)(まぁ、私にはなべちゃんがいる。うん。帰ったら離婚届の準備を──)

( l v l)「あれ?」


249 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:16:30 NGYG/X32O
ふと、ハインが座っていたキャビネットに封筒が置いてあることに気づいた。

もう体調はほとんど回復している。スリッパを履いて封筒を取り、丁寧に中を取り出した。

( l v l)「なんだろう……」

この病室が個室で良かったと思ったことは何度もある。一人の時間と二人の時間。

しかし、今回は違う。たった一枚のメモ用紙を読むことのできた私は、別にどこだって良いと思えたんだ。

『早く帰ってらっしゃい。ミセリ

さっさと帰ってこねぇと殺すぞ。 ハイン』


250 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:17:12 NGYG/X32O
それは離婚届よりも。

( l v l)「……」

(  v )「は、ははは…………うぅ」

ましてや、紙幣よりも重い。

( ; v ;)「う、うおおぉおおん!」

この世界で一番、価値のある代物で、私は気がついたように涙を流した。


251 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:18:44 NGYG/X32O
〜〜〜

从 ^∀从「いやぁ、まさかあんなヤツから金とろうなんてバカがいるんだなぁ」

ミセ*゚ー゚)リ「ハイン、世の中には色んな人がいるのよ。ああいう世間知らずな女性にならないようにね」

从 ゚∀从「はーい。っと、それよりホントにあんなこと書いて良かったのかよ。つけあがるんじゃね?」

ミセ*^ー^)リ「アメとムチよ。退院したらまた稼いでもらわないと」

从 ゚∀从「はぁ、なるほどなぁ」

ミセ*^ー^)リ(女狐風情に、私のATMをとられてたまるもんですか)


252 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:19:48 NGYG/X32O
〜〜〜

あれから一週間が経った。

あのメモ用紙を読んだ日から、渡辺さんとは会わなくなった。

どうやら異動が決まったらしい。唐突だとは思ったが、私としてはありがたかった。

未練がないといってしまえばウソになるが、それよりも大事な家族にもう一度気づくことができたのだ。

これ以上会うわけにはいかない。心残りなのは彼女の金銭的負担だが。せめてお世話になった礼として、いずれ援助しようか。

病院を後にして帰路を歩く最中、思考を遮ったのは着信音。会社からだ。すぐに出る。

( l v l)白「はい!高岡です!」

今日は退院日。妻と娘は家で待っている。ようやく元気な姿を見せることができるので、電話に出た私の声は上々だった。

もっとも、相手が上司であることに対して、その声も萎えてしまうが。

「あー、高岡くん。退院できたの?」


253 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:20:23 NGYG/X32O
( l v l)白「ええ、明日には出社できるかと」

いかん、いかん。明日からまたみんなのためにがんばらなければいけない。

そう思って、気合を入れる。明日にはもう出れるんだ。

「それなんだけどね」

「明日はこなくていいよ」

( l v l)白「え」

「ちゃんと退職金は出すし、離職手続きはするから。日を改めて来てください」

「じゃあ、退院おめでとう」


254 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:21:13 NGYG/X32O
一方的に伝えられた、労いの言葉。そういえば、病院の人以外にまだ誰にも言ってもらっていなかった。

( l v l)「……」

病室ではあれだけ情緒を感じた風が、ただ冷たい。それでも私には、待ってくれている人達がいる。

(l v l )「ふぅ、ごめんね、なべちゃん」

ただ、さすがにこの状況で援助などはできないので、哀愁を風に乗せて、帰る場所へと歩くのだ。

私は、幸せだ。

おわり


255 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:23:34 NGYG/X32O
訂正

>>230

最初に

(*‘ω‘ *)「フロア面積、フロア数、それにフロア占有率をかけあわせ、従業員密度で割った数字……525か。オーダーエスティメーションだね」

を入れ忘れました。ごめんなさい。


256 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/17(火) 01:27:09 NGYG/X32O
はい、今回は以上です。

ブログの更新は火、水曜日を予定しています。もう少しお待ちを。

それにしても、変なミスしたり、IDがNGだったり、トソンの誕生日に卑猥な部長が出たり……

あ、珍穂はちんほさんです。念のため。

ではおやすみなさい。


257 : 名も無きAAのようです :2013/09/17(火) 01:34:02 sNcCppNQ0
乙。フォックスいいな、靴以外は。


258 : 名も無きAAのようです :2013/09/17(火) 06:34:34 A90Dd2p.0



259 : 名も無きAAのようです :2013/09/18(水) 02:11:40 tyFa89d.0
宗男…


260 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/18(水) 22:04:48 bsOVOSWwO
進捗報告です。

・次回本編更新は、一週間以内にはいけるかと思います。

・ブログの更新は現在行っております。日付が変わる頃には出来上がっていると思います。

報告だけで申し訳ないですが、よろしくお願いします。


261 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/24(火) 21:01:16 9Zhh84gMO
報告

一週間以内では無理でした……ごめんなさい。

バタバタしてまして…今月中にはいけると思います。

お待ちの方いらっしゃれば、毎度ながら申し訳ない!ブログも投下と一緒に更新しようかと思いますのでよろしくお願いします。


262 : 名も無きAAのようです :2013/09/24(火) 22:14:14 aB7/T.SY0
待っとるぜ


263 : 名も無きAAのようです :2013/09/24(火) 23:44:20 E6OcW7sM0
待ってます


264 : ◆8UONaKUB6Y :2013/09/30(月) 23:47:06 bt1SvLXsO
こう、なんども報告ばかりでどうしようもないですが…

ちょいと軽いケガをしまして、お恥ずかしながらまだ投下出来ません。

お待ちの方がいらっしゃることの嬉しさと申し訳なさでいっぱいですが、時間をください。ちくしょう…


265 : 名も無きAAのようです :2013/10/01(火) 00:37:28 3QeTVAY20
元気になるまで待ってます


266 : 名も無きAAのようです :2013/10/01(火) 06:45:30 eUD54CtA0
お大事に!


267 : 名も無きAAのようです :2013/10/10(木) 23:12:00 im1wEqP20
大丈夫かなー


268 : 名も無きAAのようです :2013/10/14(月) 14:50:00 ncQJex0o0
2日かかけて1スレ目から読んできました
本編の間のNGはキャラが弾けてて楽しいですねw

気長に続き待ってます


269 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 16:02:25 eVCN6qm.O
どうも、ご心配をおかけしました。お待ちいただいた方、一から読んでいただいた方、本当にありがとうございます。

・怪我は完治しました!
・今日の夜、本編を投下します!
・お待たせしたので簡単なあらすじを作りました!今から投下します!

・ブログは……ごめんなさい。もうちょいまってね(笑)

では、また夜にでも読んでいただければ幸いです。


270 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 16:03:18 eVCN6qm.O
( l v l)ムネオハウスのようです

あらすじ

市内に住む会社員、高岡宗男は今年高校生になる娘、ハインと、しっかりものの妻、ミセリと暮らすごく普通の男性。

しかし、彼には悩みがあった。多感な娘と怖い妻。家庭内の位置はいつも最底辺。それでも、共に暮らしていけることに幸せを感じ、今日も会社へと赴く。

ある日、いつもの通勤電車に乗っていると、隣に座っていた青年が自身の趣味であるクロスワードを瞬く間に解いてしまった。

宗男はそのクロスワードを全て解き、懸賞のハワイ旅行に行こうと日々頑張っていたのだが、一向にそれは叶わなかった。それを数分で叶えてくれた青年に礼を言うために追い掛けようとしたが、あえなく失敗。


271 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 16:04:07 eVCN6qm.O
ともあれど、これで家族内のメンツは保たれる。意気揚々と話してみれば、確かに妻子は良くしてくれた。

だが、それは一瞬。実はその懸賞、期限がとっくに過ぎていた。手のひらを返されるように宗男は一人、床につくのだった……

〜〜〜

ある日、ひょんなことから懸賞のハワイ旅行に行った高岡家は、各々がバカンスを満喫する。

そんな中、一家の大黒柱である夫、高岡宗男は困っていた。ハワイの小売店で妻であるミセリと乾杯しようと酒を買おうとしたとき、身分証の提示を求められたからだ。

パスポートはホテルに置いてきてあり、言葉で店員を懐柔しようと試みるも失敗。仕方なくその場を後にしようとしたとき、よく知った声が聞こえた。彼のハインである。

ハインは宗男が持って行かなかったパスポートを持参し、見事、二人で買い物をすることに成功させる。その帰り道、近道をしようと裏路地を行く彼女を追い掛けた宗男は……


272 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 16:05:36 eVCN6qm.O
〜〜〜

高岡宗男は渡辺総合病院に入院していた。原因はストレスと食生活。このところ、顕著な妻、ミセリと娘、ハインのあまりにも目に余る態度に心身が疲れ果てていた彼は、心優しいナース、渡辺に心を奪われる。そこに妻と娘が面会にきて……

ハートフルコメディ小説『ムネオハウスのようです』はブーン系創作板にて絶賛ときどき連載中!続きもお楽しみに!


273 : 名も無きAAのようです :2013/10/17(木) 18:00:43 N4LInAqk0
実にhurtfulなストーリーですね
実に胸が張り裂けそうな家族愛


274 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:03:41 eVCN6qm.O
>>257
わかりますか、バニスターのやってしまった感。私は好きなんですけどね。攻撃力も高そうだし。

>>258
ありがとう!毎度ながら遅い更新でごめんなさい。

>>259
ハートフルコメディ!ハートフルコメディ!

>>262 >>263
お待たせ!今回も長いです。お暇な時にどうぞ。

>>265 >>266 >>267
ご心配をおかけしました。手をやってしまってね…足で書いてたので遅くなりました。嘘です。

>>268
嬉しいな!追い掛けてきてくれてありがとうございます。完走までお付き合いいただけたら幸い。

>>273
う、うまいこと言われた…面白悔しい…ハートフルボッコ。宗男が張り裂けないよう備えます。

予定が入りましたので早速ですが、本編スタート!


275 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:04:25 eVCN6qm.O
薄暗くなる会場は、客席に設けられているライトによってその明るさを保っている。

人工的なそれが照らし出すフィールドは、野外スポーツをする場所と比べても遜色がない。

プレハブの小窓から見える風景から動的な催しを感じさせるが、実際には静的な試合という一種の矛盾に鼻で笑ったプギャーは、周りに聞こえるよう呟く。

( ^Д^)「次の試合……ドクオさんが出場するまで、まだ時間があるっすね」

(´・_ゝ・`)「ああ。それに、対戦相手はここまで勝ち上がってきた二人だ。おそらく長引くだろう」

反応したのはデミタス。うなずくプギャー。腕を組んで同じく、外を見つめれば対照的な二人。長髪と坊主。

一連の動作をして一拍おいてから、後ろに居る内藤へ向き直った。


276 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:05:07 eVCN6qm.O
(´・_ゝ・`)「それにしても、ジョルジュがシードとは驚きましたね、プロデューサー」

( ^ω^)「おっ、そうだおね」

いつにもました笑顔を浮かべながら繕う。本心を覗かせない。

( ^ω^)(ふふ、うまくいってるお。あの時、具申した甲斐があったお)

( ^ω^)(ジョルジュ長岡が優勝することを社長は望んでいて、数字も取れる。そしてなによりドクオを──)

思考が深入りする前に聞こえてきたのはタイムキーパーの声。つーは背もたれにもたれながら首だけを彼らに向けて大声で話した。

(*゚∀゚)「ま、っていっても、スーパードックンが勝っちゃうんだけどね!」

(´・_ゝ・`)「つー、お前がそこまで肩入れするとはな」

(* ^Д^)「俺もそう思うっす!無双っす!優勝っす!」

(´‐_ゝ‐`)「お前までか……まぁ、かくいう私も正直なところ、彼を応援してはいるがな」


277 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:05:51 eVCN6qm.O
自身の心理とは裏腹に、和気藹々と話す三人から疎外感を感じた内藤は怪訝な面持ちで輪を眺めた。

(^ω^ ;)(こいつら……どうしてそこまであんな虫に)

(´^_ゝ^`)「プロデューサーはいかがです?」

( ^ω^)「ふん……」

そうして、難しい顔になっていくところに部下が質問をしてきたので、軽くあしらったと思えば、窓の向こうが騒がしい。

(  ゚ω゚)「……つーちゃん!!」

(*;゚∀゚)「え……ええぇ!?」

すぐさま声をかける。既に理解できたいた彼女は責務を果たしていて、同時に息を吐いた。

『な、なんと試合終了!!勝者は……』

『ギコギコ選手!ギコギコ選手の圧勝です!!なんと早い決着か!!ここでテレビ中継はいったんCMに入ります!』

(*;゚∀゚)「ひえー……あぶねあぶね。タイム計り損ねるとこだったよ」


278 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:07:21 eVCN6qm.O
冷や汗を流しながら、また首だけを回す。視界に映ったプギャーの顔色は良くない。

(; ^Д^)「嘘っすよね……俺、フォックスさんの試合見てましたけど、かなり強かったっすよ」

(;´・_ゝ・`)「対して、ギコギコは今までそれほど目立った活躍をしていなかったがな……どういうことだ?」

現場で動く人物はおろか、管理する立場にいる者ですら、この状況に疑問を抱く。

無理もない。いくらドクオを応援しているとはいえ、仕事は仕事。
他の選手の動向や強さなどもある程度、頭に入れておかなければ対応できないこともあるのだ。


279 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:08:00 eVCN6qm.O
それらを踏まえた上で、本来、格上と見ていいはずのフォックスが、数分で敗北を喫した事態は動揺を生むに値する。

むろん、笑い事ではない。

(  ω )「……ふ、ふふ」

(´・_ゝ・`)「プロデューサー?」

漏れていく思考は、含んだ笑いを伴って、周囲をより揺さぶっていく。

( ^ω^)「脳ある鷹は爪を隠すっていうおね、ここにきて、本気をだしてきたんだお、彼は」

(;´・_ゝ・`)「……」

歪んだ笑みを浮かべながら、あしらった質問に向き合えば。

( ^ω^)「デミタス、さっきの質問だけど……」

( ^ω^)「ドクオは潰されるお」

もはや本心を出したところで何も問題は無かった。


280 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:08:41 eVCN6qm.O
〜〜〜

  _
( ゚∀゚)「おやおや、もう終わってしまったか」

試合終了のアナウンスを聞いたジョルジュは、喫煙できるスペースから離れ、通路を歩いていた。

立ち止まって呟くセリフに合わせるように、敗者のセコンドが後ろから声をかける。振り返ってみれば一人だけ。

ハハ ロ -ロ)ハ「ジョルジュサン」

  _
( ゚∀゚)「ああ、ハローさん。さっきは済まなかったね、巻き込んでしまって」

ハハ ロ -ロ)ハ「イエ、気にしないでくだサイ。おかげサマで面白いモノが見れまシタ」

  _
( ^∀^)「そういってもらえると助かるよ。ところで、彼は……」

面と面を向かって話をしていたので、彼女の後方から歩いてくる男に気づいたのは声をかけられてからだった。

長引いたからではない、その精彩を欠いた表情は、見るものを不安にさせる。ジョルジュは笑顔。

爪 ー )「ジョルジュ」


281 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:09:21 eVCN6qm.O
  _
( ^∀^)「お疲れ様。さっきぶりだね」

爪;'ー`)「気をつけろ……あいつは、あいつは化け物だ」

皮肉をもった表情で話す彼に、小言をいうでもなく、纏わりついた負の感情を乱暴な言葉で払うように吐き捨てる。

ハハ ロ -ロ)ハ「……」

爪#'ー`)「あんな人間がいるなんざ、聞いてねぇよ。くそっ……」

終始、目を合わさないフォックスは、それだけ言ってその場を後にしようとした。

ジョルジュの横を通りすぎようとした時、引き止められる。

  _
( ゚∀゚)「見ていかないのかい?」

爪#'ー`)「見る価値なんざねぇだろ!あいつが優勝するに決まって……」

  _
( -∀゚)「どうかな、言葉を借りるなら、うちの国から来ている彼も案外、化け物だよ」


282 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:10:08 eVCN6qm.O
逸る気持ちが多少なりとも落ち着いたのは、次に対戦する人物の名を聞いたから。

改まって立ち止まり、こちらを見る二人に対して応えた。

爪'ー`)「スーパードックンか。ああ、確かにあれもおかしいな。だが、そんなもんじゃねぇ」

  _
( ゚∀゚)「それは彼を知らないだけ──」

ハハ ロ -ロ)ハ「ジョルジュサン、残念ながらフォックスサンの言うとおりデス」

  _
( ゚∀゚)「ん?」

意外にも、フォックスからドクオの評価が言葉は悪いとはいえ妥当なものだったことと、それを踏まえて否定された事実にムキになったライバルは続けようとするが、先ほどまで沈黙していたハローによって止められた。

ハハ ロ -ロ)ハ「私は彼……ギコを知っていマス。あれは天才ではなく、超人だということを」

爪'ー`)「超人……ハン、言い得て妙だな」

そもそも、天才という言葉自体が形骸化した基準のわからないものであり、それを上回る可能性のある超人という表現にはほとほとついていけない。


283 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:10:50 eVCN6qm.O
しかし、本来ならそんな概念など、最も否定するであろう価値観と権利――ギコギコとの対戦――を持つ彼が納得したのであれば、話は別。気になる。

爪;'ー`)「俺はもう帰らせてもらうぜ、本国で仕事が待ってるんでな。お前も帰り支度をしといたほうがいいぜ」

ジョルジュは聞けなかったわけではなく、聞かなかった。理由は多々あれど、その小さくなっていく背中に声をかけることはしない。

視界から消えたことを確認して、彼女に向き直る。

  _
( ゚∀゚)「……ハローさん、その、超人っていうのは」

ハハ ロ -ロ)ハ「ハイ。その前に、見なくて良いのデスカ?ギコの試合を。それが一番早いのデスガ」

  _
( -∀゚)「ああ、見るつもりはない。俺は信じてるからね、スーパードックンが勝つのを」

ハハ ロ -ロ)ハ「わかりマシタ。先ほどのお返しではないデスガ、特別に言いマス」


284 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:11:34 eVCN6qm.O
ハローは面白いものが見れたお礼と言って、少し腰を屈め、耳打ちしやすい体勢になったジョルジュに近づく。

本来なら、自国の選手が持っている能力を他国の、それも対戦相手に教えてしまうことは危険であり、裏切りともいえる。

ハハ ロ -ロ)ハ「彼は──」

  _
( -∀-)「……なるほどね」

ハハ* ロ -ロ)ハ「見マス?」

執拗に観戦を促す彼女の狙いは、彼にもわからない。聞くつもりもなかった。

ただ、およそ今までの動向を鑑みるに、腕を組んで眉間にシワを寄せて、滑稽な態度を取ることが最良だと考える。

  _
(; -∀-)「うーん、あー、いや、見なくていい……うーん、いや、けどさ……うん」

  _
(; ゚∀゚)「こりゃやばいね」

ハハ* ロ -ロ)ハ クスクス

そして、普段ではあまり見られないその困った顔を見て、ハローは満足げに笑った。


285 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:12:19 eVCN6qm.O
〜〜〜

(×A×)「びぇっっくしょん!!おーん、ぷてら」

控え室で座ってコーヒーを飲みながら、大きなくしゃみをあげて、鼻を啜るのは準決勝戦を控えた男。にもかかわらず、どこにも緊張の色は見えない。

ξ;゚⊿゚)ξ「汚いわね!ほら、ティッシュ」

(うA`)「おぅ、サンキュ。……ふぅ」

対面に座しているツンは、半身をきりながら持っていたポケットティッシュを一袋、ドクオに渡した。暗に机を拭けという合図。彼は口周りしか拭かない。

ξ#゚⊿゚)ξ「もう……!あなたがグズグズしてるから、試合終わっちゃったじゃないの!」

結局、丸められたそれはゴミ箱へ投げられる。ガッツポーズ。


286 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:13:09 eVCN6qm.O
彼がポケットに残りのティッシュをしまったことを確認して、ため息をつきながら、見えない汚れをなかったことにするために詰め寄った。

('A`)「別にいいだろ、見なきゃいけないわけじゃないんだから」

('A`)「結果さえわかりゃそれでいいだろ。俺達は勝つだけだ」

先ほどの言動がなければそれなりに男らしい一言だが、どうも格好がつかない。

シードが決定して、フォックスとジョルジュが戦っている間、二人は控え室で一服していた。

あれだけタバコを吸う彼が、こうも大人しく待機しているということは作戦会議か何かと身構えたツンだったが、なんのことはない。
コーヒー片手に世間話。試合のことなどほとんど話すことはない。

そして、試合終了のアナウンスが聞こえてきたのと同時に、くしゃみ。どうにも締まらない。


287 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:14:18 eVCN6qm.O
ξ;゚⊿゚)ξ「でも相手の戦い方とか、色々研究できたわよ!」

('A`)「そりゃそうだが……俺がシュールから聞いた情報だけでも十分だと思うぜ?」

ξ;-⊿゚)ξ「情報って、さっき言ってたあれ?」

(-A-)「ああ。ドドーンってなってシュワワワーンだったな。で、相手は負けると」

実際、シュールが言っていた内容はドクオの言うセリフと一字一句違わなかった。

擬音と抽象的な言葉でごまかされたような気分になった彼女は、初めて聞いたときこそ流したが、今度は反応する。

ξ##゚⊿゚)ξ「エターナルフォースブリザードじゃないのよ!」

('∀`)「おっ、さすがツンさん。その返しは面白い」

ξ*゚ー゚)ξ「そ、そう?言っとくけど別にウケを狙ったわけじゃな」

<「選手の皆さん、本選準決勝の時間となりましたので、名前が挙がった選手は、選手入場口までお越しください」

<「準決勝の出場者は」

<「スーパードックン」

<「ギコギコ」

<「この2名となります」

<「繰り返します──」

('A`)「よし、行くか」

ξ#-⊿-)ξ「うううう」


288 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:15:09 eVCN6qm.O
喜怒哀楽が激しい。今まで、これほど笑ったり、怒ったりすることはゲームに関連していなければなかった。

頭を押さえながら立ち上がるツンに、先に立っていたドクオは声をかける。

('A` )「ツン」

ξ-⊿-)ξ「なによ」

('∀` )「勝とうぜ」

ξ゚⊿゚)ξ「……うん」

しおらしく呟いた彼女は揚々と退室し、通路を進んでいく彼の背中を追う。

ふと、その後姿が心なしか大きいことに気づいた。

ξ゚⊿゚)ξ(彼は、戦う度に強くなっていく。あのプレッシャーに打ち勝つための精神力だけじゃなく、心も。まるでゲームの主人公みたいに、強く)

ξ ⊿ )ξ(私は……)


289 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:15:57 eVCN6qm.O
思わず下を向いて、自身の心境と照らし合わせてみれば、なんと大きいことか。

より複雑な感情を胸に抱きながら、すぐに前へ向き直ってみれば、本来なら左に曲がるところを右に曲がっている姿が目に入った。慌てて声をかける。

ξ;゚⊿゚)ξ「……ってどこいくのよ!」

('A`)「わり、先に行っててくれ。タバコだけ吸ってくる」

ξ;゚ぺ)ξ「もう……!」

突き当たりの分かれ道。一人佇んで、これからを思う。

もし、彼が負けてしまったら、その時は──

ξ゚⊿゚)ξ(……ううん、勝てばいいんだ。勝って、優勝の舞台に上がれば、きっと)


290 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:16:45 eVCN6qm.O
〜〜〜

したらばテーマパーク外には、人工物を極力配置していない。

それは昨今のエコブームに則った、便宜を図るための策略。

実際は、管理費などの金銭的負担を減らすためにあえて物を立てていない守銭奴な考えが故であるが。

(-_-)「はー、参ったなぁ、めんどくさ」

だから、舗装された専用通路を一歩外れれば、まるでジャングルのような密林において、打鍵音が聞こえてくることはない。

夕暮れで視界が悪くなっている中、大きな木の上、太い枝に座り込む黒いジャージは一種の迷彩効果を持ち、必要最小限のディスプレイ光度は誰もその存在を認識することはなかった。


291 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:17:25 eVCN6qm.O
(-_-)「早く終わらせてネトゲしたいんだけど。アルファベット戦記やりたいんだけどなぁ」

波の音や生き物の鳴き声で、よほどの聴覚が無い限り、こんなところでパソコンを操作しているとは露にも思わない。

小森ひかるは小声でぼやきながら画面に現れる文章の羅列に恐ろしいスピードで対応していく。

(-_-)「……はいはい、Wは大丈夫ですよっと」

(-_-)「オッケーオッケー、全部確保ずみですっと」

(-_-)「じゃあ、またねっと」

(;-_-)「はぁ……めんどくさ」

対人しているかのように独り言を呟きながら、キーボードを打つスピードはそのまま。

暮れ行く夕日を見て、あくびをした。


292 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:18:13 eVCN6qm.O
〜〜〜

(-@∀@)「さぁ、薄暗やみの中、照らされるのはこの本選準決勝!皆様、ご注目ください!」

眩いライトに照らされる会場で、アサピーの声は変わらず響く。中央に司会、左右に選手。

(-@∀@)「ついにここまで来た!無名の天才、歩く国会図書館!スーパードックン選手!セコンドは巻き毛のツン!」

(*'∀`)(あー、国立国会図書館ね。行きたいなー)

ξ゚⊿゚)ξ(落ち着いてるわね……シュールさんとの話が効いたのかしら)

(-@∀@)「対して、先ほどの試合を僅か数分で決めてしまったギコギコ選手!セコンドはビロード!」

(,,゚Д゚)「……」

( ><)「うう、怖いんです……」


293 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:19:00 eVCN6qm.O
ドクオ達は対戦相手を確認する。

変わらず、緑のタンクトップに迷彩色のカーゴパンツと黒いミリタリーブーツ。

体格と坊主頭がよりその服装を攻撃的に見せた。

それに対して、赤子のように縮こまっているのはセコンドであるビロード。

タイトシルエットの青いジャケットは着丈も袖丈も長め。

ラペル部分と袖口に黒の切り替えが入っており、細かいモノトーンチェックのシャツが見える。

裾を出していてベルトまで見えないが、黒いスキニージーンズの足元が弛んで、ハイカットの青いスニーカーに乗っていることから、おおよそカジュアルな服装だと感じた。

典型的な、それでいて服に着られている感のあるプレッピースタイルは、彼の幼げな雰囲気に良くも悪くも似合っている。

あからさまに真逆の二人を、司会は取り持つように進行する。


294 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:19:40 eVCN6qm.O
(;-@∀@)「正直に言って、スーパードックンはもとより、ギコギコ選手もクイズに関してはノーマークの本大会。大番狂わせの連続でした!」

(*-@∀@)「しかし!まるでそのベールを脱いだかのような圧倒的強さで準々決勝を制したギコギコ選手!何か考えがありますか?」

放たれた言葉は簡潔。

(,,-Д-)「つまらん、真っ黒だ」

(-@∀@)「えっ」

(,,゚Д゚)「つまらんっつったんだよ、この大会。だから、とっとと終わらせようと思ってな」

あまりの簡潔さに、司会はおろか、選手、観客たちまでもが先ほどまでの熱気と反対に静まり返る。
音の無い空間に笑い声が響いたのはすぐだった。

(,,^Д^)「ギコハハハ!そんなに静かになるなよ!ちゃんと盛り上げてやるからよ!なぁビロード!」

( ><)「わ、わかんないです」


295 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:20:22 eVCN6qm.O
(,,゚Д゚)「わかれよ!……まぁ、というわけだ。おい、ヒョロ男」

表情が変わる。真面目な、というよりは邪魔な、と形容できるような、鋭い目つき。射抜かれたドクオはたじろぐ。

(;'A`)「な、なんですか」

(,,-Д゚)「てめぇもつまらなかったら即行で終わらすぞ……!」

(#'A`)チッ

舌打ちは誰にも聞こえない。仮に、横にいるツンに聞こえたとしても、彼女の表情は鼻で笑うように気に止めてはいないだろう。

そう考えながら一歩、ギコギコの前に進んで言う。

( 'A`)「ああ、そうですね。俺もここで立ち止まるわけにはいかないんで。さっさと終わらせますよ──」

(゚Д゚,,)「同じこと考えてやがるだろ、だがそれは間違いだ。終わらせるさ──」

( ゚A゚)「「俺の勝ちで!」(゚Д゚,,)


296 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:21:05 eVCN6qm.O
その言葉は同時に、更なる沈黙を場にもたらす。

そして、意味を理解できた観客たちは、誰からでもなく声をあげた。

ワーーーー!!

(*-@∀@)「これは絵になります!暮れていく夕日の下に豪傑が二人!!どちらも勝ちを譲らない!!」

反動は会場を大いに沸かせていく。ここぞとばかりにアサピーは進行を、しぃはルール説明の準備を行った。

(-@∀@)「見ごたえのある試合となるよう、参りましょう!しぃさん、ルール説明をお願いします!」

(*゚ー゚)「はい!今回も出題されるクイズに正解する毎に、1ポイントの得点が入ります!」

(*゚ー゚)「先に10ポイント獲得したほうの勝利となります!」

('A`)(もう定番だな……)

(,,゚Д゚)(……)

鳴り止まぬ歓声に乗じるように罵声が入る。続きを促しているのだ。


297 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:21:58 eVCN6qm.O
(*゚ー゚)「えぇ、えぇ。わかっております。皆さんが注目しているのは基本ルールではありませんね」

(^ー^*)「それではスクリーンをご覧ください!」

スクリーンに記されたのは、トランプの裏面のような、ありふれた柄のある複数のカード。

それは縦に四つずつ、横に五つずつ並んだ状態で、特筆することはない。

(゚ー゚*)「この20枚のカードには、それぞれの問題と正解が記されています」

(゚ー゚*)「今回、ご回答いただく方法としては、これから準備するタブレットのタッチパネルを合図の後に操作して頂いて、対戦相手より先に問題と正解のペアを探し出し、アンサーキーを押していただくものです!」

(゚ー゚*)「アンサーキーを押すまでは何回でもカードを確認してもらってけっこうです!ペナルティはありません!」

(*゚ー゚)「もう、お分かりですね。そう、コンセプトルールは──」

(*^ー^)「神経衰弱です」


298 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:22:51 eVCN6qm.O
〜〜〜

両選手に手渡せれたタブレット端末は比較的大きい。

スクリーンに映し出されたものと全く同じように、20枚のカードが表示されており、画面下の空いたスペースにはタッチしたカードの文面が表示される。

問題文と回答が一致していると思えば画面右にある大きな『Answer』と書かれたキーを押すことで、神経衰弱はストップ。

正解が表示され、タイムの早かったほうがポイントを獲得できるというもの。むろん、一問が終わればカードは補充され、20枚でのスタートとなる。

練習時間と称して、3分間の操作方法をレクチャーしているアサピーとしぃ。

ギコギコの画面を見ようと飛び跳ねているビロード。

ツンは一人、このルールを再度、認識しようとしていた。


299 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:23:43 eVCN6qm.O
ξ゚⊿゚)ξ(また単純なルールね。神経衰弱……本来なら、記憶力が最も重視されるトランプゲームの一つね)

ξ;゚⊿゚)ξ(でも、この場合、問題と正解を結びつける知識。そしてそれらを効率的に見つける速さ)

ξ-⊿-)ξ(どうやら私が手伝えることはなさそう……)

('A`)「ツン」

思考は止まる。いつのまにか司会は定位置に、対面には対戦相手。
ドクオが片手にタブレットを持ちながら声をかける。

ξ;゚⊿゚)ξ「な、なによ」

('A`)「やばそうになったら、助けてくれよ」

ξ゚⊿゚)ξ「えっ……」

('A`)「勝つんだからな、俺達」

ξ゚ー゚)ξ「……うん!」


300 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:24:58 eVCN6qm.O
その光景を見たビロードはたきつけられたかのように、ギコギコの顔を上目で見ながら言った。

(* ><)「ぼ、僕もがんばるんです!ギコさん!何か手伝うことがあれば言ってくださいなんです!」

(,,゚Д゚)「んなもんいらねぇよ。余裕だろ」

画面に目を落としながら、声のするほうを一切向かずに言い切る。

ビロードは肩を落としながら一歩下がった。同時に、アサピーが一歩前に出る。

(-@∀@)「さぁ、両者共に準備が整いましたね!それでは参ります!シベリア神経衰弱!しぃさんお願いします!」

(*゚ー゚)「ではお二人とも構えて……」

ドクオとギコギコは左手でタブレットを持ち、右手を画面に添えて合図を待つ。

すぐに真っ白だったスクリーンにスタートの文字と秒数のカウント、そして音声が流れる。カードが出現した。


301 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:25:43 eVCN6qm.O
<スタート

('A`)(……違う、……これじゃない……!)

右手を動かし、画面を押していく。カードに変化はなく、文面だけが画面の下に流れては消えていく。

一般的な神経衰弱であれば、カードをめくって柄を確認することが出来るのだが、これは別。

無機質な羅列は記憶の定着しやすい絵柄よりも覚えにくく、並の記憶力では忘れてしまうことも、このクイズの難しいところだといえるだろう。

('A`)(……これだ!)

もっとも、ドクオにとってみれば、あってないような足かせなのだが。

<ストップ

タイム7秒06

スタートの文字はストップに変化し、音声と共にタイムが告げられる。アサピーが声をあげた。

(-@∀@)「おっと、早速タイムが止まった!止めたのは……」

(*-@∀@)「スーパードックンです!!では、二枚のカードを見せてもらいましょう!」


302 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:26:51 eVCN6qm.O
「問題:工場規模と労働者数などの生産システムで可変入力が一定を過ぎると入出力の増加が結びつかなくなり生産コストが増大していく法則とは?

回答:収穫逓減の法則」

(*-@∀@)「正解!お見事です!スーパードックン、1ポイント獲得!」

冬の夜は寒い。にもかかわらず、熱気に満ちているのは彼が正解をたたき出したから。

観客からの声援は段階を増して強まっていく。

(-@∀@)「やはり強い!!その強さは伊達ではない!!スタートからストップまでのタイムは僅か7秒!!」

(,,゚Д゚)「やるじゃねぇか、なぁビロード」

(; ><)「は、はいなんです……早いんです」

萎縮するセコンドと、賛辞を呈する対戦相手。何をいまさら。ドクオは応えた。

('A`)「あいにく、手加減するつもりはないんでね」

(,,^Д^)「ギコハハハ!そうこなくちゃな、ヒョロ男!さぁ、やろうぜ……!」

('A`)「ああ、とっとと終わらせよう」


303 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:27:42 eVCN6qm.O
〜〜〜

( ・∀・)「やっぱりスーパードックンは強いですねぇ」

フォックスが敗退して、賭博目的で残っている者はほどんどいない。

茂良と諸本は数少ないそれに当てはまる。

(´・ω・`)「そうだね」

( ^∀^)「ふふふ、1億も射程圏内に入ってきました」

恍惚の笑みを浮かべる青年に辟易しながら、訝しむ。彼の行動原理は理解しがたい。

(;´・ω・`)(こいつ、本気であの老人から取るつもりか?)


304 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:28:22 eVCN6qm.O
そう考えていた彼に気づいたかのように、不意に振り向いた茂良はじっとこちらを見る。

慌てず、目線を変えないまま、話を待った。

( ・∀・)「ところで、社長。あのギコギコ選手ってどうなんですかね。あんまりテレビで見たことないんですが」

後ろ手に指を指す先は、ふてぶてしい態度のまま。あまり好きになれるタイプではない。

(´・ω・`)「あー、君の年代じゃ知らないか。彼は昔、それはすごいアスリートだったんだ。今は引退してコーチになってるけどね」

( ・∀・)「へぇ、どうして引退したんですかね。あ、ケガとか」

(*´・ω・`)「いや、おそらくだが今、彼が現役復帰しても並のアスリートなどでは歯が立たないだろう」


305 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:29:10 eVCN6qm.O
諸本は懐かしむように言葉を並べていく。どこか上ずった口調なのは、それほど現役時代に活躍していた選手だからだろうか。

確かに、あの時は──などと懐古の情を合わせれば相手の知らないことを自分が知っている優越感にも繋がる。

とはいえ、それではつまらない。茂良は問う。

(; ・∀・)「じゃあ、なぜですか」

(´・ω・`)「わからない。が、一つ噂があってね」

( ・∀・)「噂?」

(´-ω-`)「ああ、彼と親しいある記者がオフレコで聞いたらしいんだが」

(´・ω・`)「つまらなかったから止めた、だってさ」

口角を少しだけ上げて言う様に、青年はなんともいえない気持ちになった。


306 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:29:58 eVCN6qm.O
〜〜〜

<ストップ

タイム6秒58

(-@∀@)「二問目のタイムが止まった!これは……」

(*-@∀@)「スーパードックン!またしても先取!さぁ、答えは」

「問題:1961年、ケネディ大統領の国連演説で有名になった故事といえば?
回答:ダモクレスの剣」

(*^ー^)「正解です!」

(**-@∀@)「連続正解!!スーパードックン2ポイント獲得!!」

タイムが縮まることは必然。出題される問題の傾向や、問題文と回答の文面。

さすがにカードの位置まではシャッフルされるため記憶できないが、それ以外の有利な情報は全て覚えている。


307 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:30:44 eVCN6qm.O
連続で正解を出すドクオに、また歯の浮く言葉を並べる二人。

(,,゚Д゚)「マジかよ、つえぇなぁ。なぁビロード」

( ><)「はいなんです。チートなんです」

('A`)「……」

何も応えないのはそれだけ集中しているからだろうか。

ツンは思い切って声をかける。予想とは違った。

ξ゚ー゚)ξ「いい感じね」

(-A-)「そう見えるか?」

ξ゚⊿゚)ξ「えっ」

('A`)「俺は記憶力なら自信があるが、動体視力にそこまで自信はねぇ」

ξ;゚⊿゚)ξ「どういう意味?」

( 'A`)「確か運動大国のオリン出身だったよな、そいつが7秒前後の回答に遅れをとるってのが解せないんだよ」

ξ゚⊿゚)ξ「それは……単純にクイズを考えてるからじゃないの?」

( -A-)「ん……だといいんだがな」


308 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:31:22 eVCN6qm.O
二人の会話は対戦相手や司会には聞こえない。ギコギコが声をあげる。

(,,゚Д゚)「おいおい、どうしたよお前ら。勝ってるのに作戦会議ったぁ、えらく慎重じゃねぇか」

('A`)「負けたくないんでね、こっちも」

両手を肩の位置にあげて、応答するドクオに、彼は笑い、そして。

(,,^Д^)「ギコハハハ。そりゃ大層──」

(,,゚Д゚)「くだらねぇな、真っ黒だ」

罵倒する。

('A`)「?」

(,,゚Д゚)「どいつもこいつも、てめぇの勝ちばかり考えてやがる。本当にくだらねぇ」

(,,゚Д゚)「俺にはわからねぇよ。そこまで勝利に執着する意味が」

先ほどまでの褒め言葉はリップサービスだといわんばかりに、口調も言葉も変わった男の話に、純粋な疑問をぶつけるのはドクオ。

(;'A`)「だったら、なんでこんなところに」


309 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:32:02 eVCN6qm.O
(,,゚Д゚)「うん?そいつは簡単だ」

(,,-Д゚)「ひ・ま・つ・ぶ・し」

(;'A`)(……)

ξ゚⊿゚)ξ(滝川?)

まるでこんな勝負などどうでもいいというように、彼は一つ一つの発音を区切って嘲笑する。

目を閉じ、すぐに開いた対戦相手の怒りは増幅した。

(#-A-)「……上等だ、あんたもたいがいくだらねぇ」

(,,゚Д゚)「わかるか、ヒョロ男」

(#'A`)「わかりたくもねぇな、クソ坊主」

侃侃諤諤、二人は一歩も譲らない。頃合を見たアサピーが進行を促す。

(;-@∀@)「緊迫しています……!いつになくシリアスな戦い!!三問目、しぃさんどうぞ!」

('A`)(こいつはあれだ、今まで戦ってきた奴らの中で一番──)

(*;゚ー゚)「はい!それでは──」

<スタート

(#-A-)(気にくわねぇ……!!)


310 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:32:53 eVCN6qm.O
<ストップ

タイム4秒76

(;-@∀@)「えっ!?は、早い!?まさか、これも……」

(;-@μ@)「す、スーパードックンだぁ!?先ほどまでの7秒前後を大きく塗り替えるタイムで勝負に出た!!結果は!?」

「問題:コンパクトリーマン多様体のラプラシアンの固有値をエンコードしたゼータ函数といえば?
回答:ミナクシサンドラム-プレイジェルゼータ函数」

(*;゚ー゚)「せ、正解です!」

彼にとって苛立ちは妨げにならない。もとより、理不尽な物言いや、不遜な態度に敏感な男。

(*-@∀@)「なんと!!このタイムで正解をたたき出したスーパードックン!!3ポイント獲得!」


311 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:33:37 eVCN6qm.O
そしてここに至るまでに経験した出会いと別れ、その全てが。

(*-@∀@)「まさに電光石火の早業!!たった4秒!!ありえません!!」

ξ;;゚⊿゚)ξ(……すごい)

(,,゚Д゚)「……」

(; ><)「化け物なんです……!」

彼を成長させている。

('A`)「なぁ、ギコギコさん。暇つぶしでここにいるんだよな」

(,,-Д-)「……ああ。そうだ」

('A`)「今、暇か?」

(,,*゚Д゚)「──多少は、退屈せずにすみそうだ」


312 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:34:35 eVCN6qm.O
〜〜〜

(* ^Д^)「かっけぇっす!ドクオさん!」

(*゚∀゚)「私だったら普通の神経衰弱でも4秒以上かかるよ!これかなぁ、ちがうかなぁって」

( ^Д^)「なんの自慢にもならないっす!」

(*゚ぺ)「なんだとー!」

はしゃぎまわるプギャーとつー。ドクオの猛攻は応援する人々を知らぬ間に喜ばせている。

その様子を黙って見ている内藤に、デミタスは声をかけた。

( ^ω^)「……」

(´・_ゝ・`)「プロデューサー」

( ^ω^)「ん、お」

(´・_ゝ・`)「もう、認めませんか」

( ‐ω‐)「なにをだお」

(´・_ゝ・`)「彼は、宇都宮ドクオは天才です。もう、ここまできたら疑う余地もない」

(  ω )「……」

(´・_ゝ・`)「ここだけの話ですが、私はこう考えてるんです。この大会が終わったら、彼を正式に芸能人としてスカウ──」

(  ゚ω )「黙れ」

(;´‐_ゝ・`)「っ……」


313 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:35:32 eVCN6qm.O
正義と悪、決して混ざり合うことがないことを両者共に分かっている。歩み寄ることすらできないことも。

背を向けた彼はどんな顔をしているかわからない。

( ‐ω‐)「デミタス、冗談はほどほどにしておくお。仮に冗談じゃなかったとしても、言っていいことと悪いことがあるお」

(;´‐_ゝ‐`)「……ですが、この状況ではギコギコが負けて、やはりスーパードックンかジョルジュが優勝かと」

それでも言い続けるのは、二人が戦友だから。あくまでも、淡々と述べる内藤に進言していく。

( ^ω^)「だったら、あのギコギコとフォックスの試合はどうなるお?あの決着は普通じゃ考えられないお」

(;´・_ゝ・`)「それは……確かに、今のギコギコでは為しえないほどの短期決戦でしたが……」

( ^ω^)「……ギコギコじゃ、為しえない……」

そういって、部下が言葉をつなげる前に、上司は閃いたかのように、彼を見た。


314 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:36:14 eVCN6qm.O
(´・_ゝ・`)「プロデューサー?」

(;  ω )「ま、まさか……デミタス!」

(;´・_ゝ・`)「は、はい」

振り返った内藤の顔色は憔悴しているようで。

(  ω )「至急、調べてくれお、あいつの情報を!」

(;´・_ゝ・`)「だ、誰のですか……!?」

( ^ω^)「ギコギコのセコンド──ビロードだお!!」

とても良い笑顔をしていた。


315 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:36:53 eVCN6qm.O
〜〜〜

僕は賢いんです。でもいつのまにかいっつも誰かに結果をとられちゃうんです。

タイム5秒98

今だって、こうしてなにもしてないように見えて、問題に関しては全部わかるんです。

タイム5秒85

でも、ギコさんが怖いんです。怒ったらなぐられちゃうかもしれないんです。

タイム4秒74

だからこのままでいいんです。でも助けられるときは助けたいんです。

タイム4秒49

だって、こんな僕だって、優勝の舞台に立てればみんなを見返すことができるんですから。

タイム4秒23

そのためにギコさんがんばってください!僕に勝ったギコさんはヒーローなんです!誰にも負けない最強のヒーローなんです!応援してるんです!

タイム3秒98

まぁ……僕が応援する意味もないんですけどね、わかんないです!


316 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:37:45 eVCN6qm.O
〜〜〜

9対0。

相変わらずドクオが正解するたびに盛り上がる二人を尻目に、出力されたA4用紙の束に目を通しながら、デミタスは文面を読み上げていく。

(´・_ゝ・`)「……クミアデカ出身、ビロード・W・イデス」

(´・_ゝ・`)「MENSA会員で、様々な学術的成功を収めるが、それら全てが別の人間の功績に摩り替わっています」

高IQを持つ者達の交流を目的とした非営利団体であるメンサに所属し、偉業を成し遂げているのならば本来、世界的に有名であってもおかしくはない存在。

にも関わらず、誰も知らなかったということは知る術がなかったといえるだろう。

( ^ω^)「ようは、だまされたんだおね。相当な頭脳を持ったお人よしかお」

どうにも腑に落ちない内藤は、紙束をデスクに置いて、モニターを見る。


317 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:38:23 eVCN6qm.O
デミタスは続きを読みながら、一人呟いた。

(*´・_ゝ・`)「なるほど……確かに、とてつもない経歴だ。プロデューサーはセコンドである彼がブレインで、なんらかの方法を用いてギコギコをアシストしているとそう考えているわけですね」

( ^ω^)「……」

沈黙は必ずしも肯定ではない。履き違えたまま納得するデミタスに内藤が体ごとこちらを向いて反応したのはすぐだった。

(´・_ゝ・`)「これなら筋は通るか……いや、だからといってここまで来たら、あと一点の状態からの逆転は難しい……」

( ^ω^)「違うお」

(´・_ゝ・`)「はい?」

(; ^ω^)「違うお、デミタス」

先ほどと比べてやや焦りが強い。いったい何がわかったのか。彼も資料を置いてその目を見る。


318 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:39:04 eVCN6qm.O
(;´・_ゝ・`)「な、何がでしょう」

(; ^ω^)「ビロードがすごいのはわかったお。でも余計にわからなくなったお。俺も、お前も、プギャーもつーちゃんもみんな、一通り試合は見てるおね」

(´・_ゝ・`)「ええ、はい」

(;  ω )「どうやって、勝ったんだお」

額の汗は彼だけではない。自身にも流れていたことをこのとき、感じられなかった。

(;´・_ゝ・`)「えっ?」

(;  ω )「ここまですごい人間に、まるで当然のように普通に、なんの疑問も抱かれずに、どうやって──」

(; ゚ω゚)「ギコギコは、ビロードに勝ったんだお……!」

(´ ゚_ゝ゚`)「あっ……!?」

頭の回転が早まる。急展開は止まらない。気づくと同時に聞こえてきたのはタイムキーパーとADの声。


319 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:39:35 eVCN6qm.O
(; ^Д^)「えっ!?」

(*;゚∀゚)「ふぇ!?」

(´・ι_・`;)「ど、どうした!」

すぐさま二人に駆け寄ったデミタスは事態を確認する。聞こえてきたのは絶句した司会の音声だった。

『……こ、このタイムは……!?』

モニターに映る結果を視認したスタッフ全員は息を呑む。誰も、言葉にならない声をあげ、狼狽する。

(; ^Д^)「……そ、んな」

(;´・_ゝ・`)「ウソだろ」

(*;゚∀゚)「ちょ、ちょまってよ……!!」

(; ^ω^)(これが……ギコギコの本気かお)


320 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/17(木) 19:41:00 eVCN6qm.O
ちょ、ちょっと申し訳ない!急用です…夜中には再開します!ひぃ!


321 : 名も無きAAのようです :2013/10/17(木) 20:56:53 CrO2zNHg0
チッ


322 : 名も無きAAのようです :2013/10/17(木) 20:58:52 WEy3XQ6I0
まっとるで


323 : 名も無きAAのようです :2013/10/17(木) 23:28:32 .KDeXjEo0
待ってるぞ、ワクワクドキドキしながら待ってるぞ


324 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 02:53:14 FSH8OfYgO
待たせたで。夜中になったで。


325 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 02:57:50 FSH8OfYgO
〜〜〜

スクリーンは白く、何も映し出されてはいない。

それは、表示した内容に不具合があったかもしれないという運営側の調査が原因だった。

インカムから情報を得たアサピーはとりなすように仕事をする。

(-@∀@)「……はい、皆さん、失礼いたしました……タイムの計測に不具合はありません」

(-@∀@)「改めて、スクリーンに表示します。ストップタイムは」

2秒38

(;-@∀@)「2秒台……その、超人的なスピードで回答をした選手は──」

(*-@∀@)「ギコギコ……!!ギコギコ選手です!!!しぃさん!結果を!!」

(*;゚ー゚)「は、はい!!」

「問題:経済学で不良品や高値掴みされやすい情報の非対称性が原因の市場をなんという?
回答:レモン市場」

(*;゚ー゚)「……せ、正解……です」

沈黙が長く続き、それに比例するような大歓声が会場を席巻する。
まるで短距離走のような、1秒を争う戦いにおいてギコギコの出した結果は圧倒的。


326 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 02:58:32 FSH8OfYgO
(;;-@∀@)「これはありえない!!!もはや人間の処理スピードを超えている!!!」

(*-@∀@)「ギコギコ選手!!1ポイント目を獲得!!9対1!リーチのかかっていたスーパードックンに食い下がる!!」

(,,^Д^)「ギコハハハハハハ!やっぱりつまらねぇわ、ちょっと本気だしたらこの程度だ。なぁビロード」

( ><)「はいなんです!ギコさんはすごいんです!」

形勢逆転とまではいかないにも関わらず、場の空気は真逆となった。
苦虫を噛み潰したかのような渋い顔をするドクオと、あっけにとられるツン。勝負は分からなくなる。

(;'A`)(……ちっ!)

ξ;゚⊿゚)ξ(なんなの……この男)

(,,゚Д゚)「おら、とっとと終わらせるんだろ、ヒョロ男。まぁここで降参してもらってもけっこうだがな、退屈だし」

(;'A`)「なめんなよ……!誰が降参なんざするか!!」

(;-@∀@)「つ、続けます!しぃさん!」

(*゚ー゚)「は、はい!」


327 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 02:59:15 FSH8OfYgO
〜〜〜

これは青色。

タイム3秒01

ん、緑色。

タイム2秒57

ちょっと水色だな。

タイム2秒87

あー、桃色だ。

タイム2秒34

えー、紫色。

タイム2秒74

おっと、黄色か

タイム2秒45

ギコハハハ、灰色だな。

タイム2秒33

白色か、珍しい。

タイム2秒13

──色がついてりゃすぐわかんだよ。


328 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 02:59:52 FSH8OfYgO
〜〜〜

タガが外れたかのような連続正解。ドクオは善戦するも追いつけない。

気づけば夕日は完全に沈み、暗闇が空を支配する。局地的に言えば星の輝きより強いライトが、会場を照らし続けていた。

(-@∀@)「今大会は、まことに予想がつかないことばかりです……」

(-@∀@)「先ほどまで優勢だったスーパードックン……9ポイントに対して」

(-@∀@)「怒涛の追い上げを見せたギコギコ選手……9ポイント」

(;-@∀@)「さぁ、泣いても笑っても、ラストになるでしょう。しぃさん……お願いします」

ここまできておよそ正解を外すということは考えがたい。

司会はもちろんのこと、この試合を観覧している全ての人間が思うことは一つ。

どちらが早いか。


329 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:00:30 FSH8OfYgO
(*゚ー゚)「はい……!!」

<スタート

(;'A`)(勝てるか……確実に勝つために必要なファクターはなんだ……!?)

(;'A`)(やっぱ、両耳をふさぐしか……いや、ダメだ、それはできねぇ。指が動かせねぇ)

(; A )(大丈夫……信じるんだ。ここまで来た、俺を。いや、そうじゃない)

( -A-)(今まで戦ってきたあいつらの意思を賭けて……!)

<ストップ

タイム3秒55

( ゚A゚)(勝つ!)

タイムを確認したドクオはひとまず安堵のため息をついた。

張り詰めた気持ちを抑えるために深呼吸。まだ、わからない。

(-@∀@)「やはり、ここでもタイムはやや遅くなったとはいえ高水準です」

(-@∀@)「これは、言い直せばお二人ともどちらのタイムでもおかしくないということ」

(-@∀@)「それではまず、選ばれたカードから表示します」

「問題:マケドニア王アレクサンドロス3世の家庭教師だったといわれる古代ギリシアの哲学者といえば?
回答:アリストテレス」

(*゚ー゚)「正解です」


330 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:01:13 FSH8OfYgO
当然のように正解が表示され、どよめくのは会場。

司会の二人は緊張を隠し、仕事を全うする。

(-@∀@)「この時点で、どちらかの勝利が確定しております」

(@∀@-)「とてつもない知識量と判断力を持つスーパードックンか」

(-@∀@)「後半の、人が変わったかのような追い上げを見せたギコギコか」

(;-@∀@)「運命の一瞬です……準決勝勝者は──」

(**-@∀@)「ギコギコ選手!!!ギコギコ選手の勝利です!!」

ξ ⊿ )ξ(ぁ……)

( A )「……」


331 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:01:47 FSH8OfYgO
ドクオは敗北した。初めての敗北。人生において何度も経験してきたことにも関わらず、それは重い。

ボサボサの髪が視界を隠したのは、スクリーンを見上げていた頭が垂れたから。

気にも留めずに彼へと話しかけるのは、勝利した男だった。

(,,-Д゚)「ヒョロ男、ひとつ教えてやる」

(,,゚Д゚)「天才ってのはな、誰からも理解されないし、誰のことも理解しねぇ」

(,,^Д^)「完成された存在、孤高なんだよ」

( A )「……」

(,,゚Д゚)「真っ黒だ、どす黒いほどに、汚ねぇ」

( A )「……」

(,,^Д^)「ギコハハハハ、あー、つまらなかった。なぁ、ビロード」

( ><)「はいなんです!このまま優勝するんです」

普段ならば言い返すであろうその物言いに、彼は沈黙でもって応えるしかなかった。


332 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:02:40 FSH8OfYgO
俯くドクオに、次に声をかけたのは、セコンド。かけにくいのだろう、まずは夜空に向かって言う。

ξ ⊿ )ξ「あぁ……そっか、終わっちゃったか」

( A )「……」

ξ ー )ξ「ねぇ、スーパードックンさん。終わっちゃったわね」

( A )「……」

ξ ⊿ )ξ「悔しいのはわかるわ、でもね、私は──」

( A )「ツン」

ようやく口にしたのは彼女の通称。短すぎて心中を察せない

ξ ⊿ )ξ「……なによ、わかってるんでしょ。気持ちはわかるわ、言いたいことがあるなら言って」

察せないから良かった。これから彼女が為すことは、彼をさらに追い詰めるかもしれないことなのだから。


333 : 名も無きAAのようです :2013/10/18(金) 03:02:43 Vs4xzyWMO
もう明日(今日かな?)だろうと思ってたら続ききた 



334 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:03:30 FSH8OfYgO
ξ ― )ξ「ここまで来たよしみよ。恨み言くらい、聞いてあげる……」

自身の目的のため。くだらない仲間意識を捨て、少しでもあがくか。

ここまで来たパートナーのため。そんなプライドを捨てて共に退場するか。

揺れ動く心に決心をつけたのは、どちらにせよ、原因であるドクオの──

(-A-)「ふーーーー」

('∀`)「わりぃな、負けちまった」

ブサイクな笑顔だった。

スーパードックンのようです
第十二話はじまるよ!


335 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:06:58 FSH8OfYgO
〜〜〜

賭博目的の観覧者は、賭けている者が負けたとき、早々に出て行くことが多かった。

だが、ドクオの敗退を前に出て行くものはいない。たとえそれが、たった一人だとしても。

俯いているわけでもなく、ふてくされているわけでもなく、ただ勝者と敗者の映像を眺める茂良に諸本は言う。

(´-ω-`)「終わったね」

( ・∀・)「……」

(´・ω・`)「うん、まぁがんばったほうじゃないかな、彼」

( ・∀・)「……負けない」

(´・ω・`)「ん?」

( ・∀・)「スーパードックンは、宇都宮ドクオは、負けないですよ」

彼の表情は変わらない。どんなときも、一本の芯に沿った目をしていて、だからこそ諸本は確信に似た思いを抱く。


336 : 名も無きAAのようです :2013/10/18(金) 03:07:24 Vs4xzyWMO
('A`)の勝利パターンじゃなくて斜め上の展開か


337 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:08:25 FSH8OfYgO
(´・ω・`)(現実から目をそらすには、この男のスタンスと似つかわしくない)

( ・∀・)「そうだ、負けないんだ」

(´・ω・`)(かといって、金に溺れるような絶望を抱いているわけでもない)

( ・∀・)「彼が、負けることは」

(´-ω-`)(だとすれば、辻褄が合う説明として──)

(´・ω・`)「……茂良くん」

呟きを止められ、向き直った目の前には指でピースの形を作りながら口に当てている滑稽な姿があった。

一瞬、意味がわからなかったが、すぐに理解する。


338 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:09:15 FSH8OfYgO
( ・∀・)「はい」

(´^ω^`)「タバコ、吸いに行かない?」

( ・∀・)「……いいですよ」

(´ ω `)(もはや、それしかないか)

〜〜〜

左を見れば若い男性が両手を上げてなにやら認識できない言葉を叫んでいて、右を見れば年配の女性がうなずきながら飲み物を口にしている。

周りは各々が好きなように、中央の舞台で戦いを繰り広げる選手達を応援していて、その中にジョルジュとハローは居た。

  _
( -∀-)「結局、見ちゃったけど……負けちゃったねぇ、スーパードックン」


339 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:10:00 FSH8OfYgO
通路での会話後、彼女に押し切られたジョルジュは、言葉とは裏腹に一番前の席──舞台に一番近いところ──へ腰を下ろしていた。

当然、既に客が居たが、彼が二、三話せば気持ちよさそうに去っていく二人の女性の姿が見えたのでこれ以上言及はしなかった。

髪をかきあげながらあっけらかんとしている彼は、隣にいるハローに話しかける。この歓声の中、ある程度大声でないと会話できない。

ハハ ロ -ロ)ハ「ジョルジュサン、言ったデショウ。ギコは超人ダッテ」

  _
( ゚∀゚)「うん、まぁ、さすがにね。あんな特殊能力持ってたら勝てるわけないか」

腕を組んで頷く姿が、彼女にとって滑稽だったのか、また口元を押さえながら静かに笑う。

そんな様子に笑いながら、彼はこぼした。

  _
(; -∀゚)「厄介だなぁ、『共感覚』って。俺もやばいな」


340 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:10:49 FSH8OfYgO
ハハ ロ -ロ)ハ「ハイ。本人曰く、全ての事象に『色』がついて、『味』がして──なんでもわかってしまうらしいデス」

ハハ;ロ -ロ)ハ「例えば、先ほどのクイズで言えばどのカードが対になるかだって、瞬時に理解してしまうような……原理はよくワカリマセンガ」

ある刺激に対して異なる種類の感覚を生じさせる特殊な知覚現象。

身近な例においては、絶対音感などもそれに当たるといわれるほど、様々な効果を持つそれは、ジョルジュに危機感を与える。

  _
( ゚∀゚)「いや、俺も彼の現役時代は知ってるよ。稀代の天才アスリート……正確には、なんでもできちゃう人間だってね」

  _
( -∀-)「幼い頃からそれを磨かせるための英才教育を施され、完璧を目指すためのトレーニングを重ねた」

  _
( ゚∀゚)「まさに、超人」

  _
( ゚∀゚)「ま、さすがにあれだけ優れた共感覚持ちだとは思いもしなかったけど……そりゃアスリート時代につまらなくなってやめたってことも納得できるかなぁ」


341 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:11:30 FSH8OfYgO
ハハ ロ -ロ)ハ「アレ、よく知ってマスネ」

  _
( ^∀^)「マジシャンだからね」

一連の流れに笑みを浮かべるハローは続ける。

ハハ ロ -ロ)ハ「誰も勝てないンデスヨ。だから誰からも信頼されないし、誰も信頼シナイ」

ハハ ロ -ロ)ハ「まぁ、ビロード君がセコンドについて良かったかも知れまセンネ、他の選手だったら仲違いシテル」

  _
( ゚∀゚)「だろうねぇ」

そこまで話したところで、彼女は疑問に思った。隣の男はなおも舞台を見続けている。

ハハ ロ -ロ)ハ「ジョルジュサン、行かないんですか?」

  _
( ゚∀゚)「ん、ああ。せっかくだからもうちょっと見てるよ。あと念のため」

ハハ;ロ -ロ)ハσ「念のタメ?っていうか、終わってますケド」

そういって、指でそれを指すハローに対し、口角をあげながらジョルジュは話す。


342 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:12:10 FSH8OfYgO
  _
(  ∀ )「彼、スーパードックンはね」

  _
(* ゚∀゚)「俺のライバルだからさ!最後まで勇姿を見届けたい──」

ハハ ロ -ロ)ハ「ダウト。あなたは思っていることと口にすることを完全に分けることが出来る。本当は決勝のためにギコのことを少しでも知るためでしょう?」

  _
(; -∀-)「……君はフォックスさんよりも考えを読むのがうまいなぁ」

ハハ ロ ーロ)ハ「クスクス」

やはり面白い人だ、と思ったハローは、そのまま隣にいることにした。


343 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:12:53 FSH8OfYgO
〜〜〜

( ^ω^)(終わったお……やっと、やっと)

感慨深い思いを抱いた内藤は周囲を見回す。

そこには誰も、自身と同じような気持ちになっている者はいなかった。

(  Д )「……」

(* ∀ )「……」

(´・_ゝ・`)「……」

ドクオを応援していたものはおろか、内藤に気を使って批判していた者ですら、表情は冴えない。鼓舞するために声をあげる。

( ^ω^)「みんな、お疲れだお。次の決勝戦まで気を抜いちゃダメだお!」

( ^ω^)「おっおっ!さぁ!気合入れていくお!」


344 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:14:11 FSH8OfYgO
ようやく一人、また一人と作業に戻るスタッフ達。プギャーは手を動かす前に口を開く。

( ‐Д‐)「負けちゃった……っすか、ドクオさん」

(*゚∀゚)「うん……」

( ^ω^)「プギャーにつーちゃん!何ボサッとしてるお!仕事するお!仕事!」

( ^Д^)「で、でも」

言い返そうとする彼の間に入ったのは、上司。

(´・_ゝ・`)「吹木、つー。落ち込んでいる暇があったら手を動かせ」

(; ^Д^)「チーフ……」

(´‐_ゝ‐`)「私達は観客じゃない。スタッフだ。感情的になりたいなら仕事が終わってからにしろ」

それだけ言って、作業に戻っていく彼の顔は明らかに暗い。もしかすれば同じように辛いのかもしれない。

だが、チーフという立場を考えたとき、彼の行動はもっともであり、また部下である自分達が呆けている場合ではないのだ。

考えを改めた二人は仕事に戻っていった。


345 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:15:02 FSH8OfYgO
(*゚―゚)「……デミタス……」

そんな光景を目の当たりにすれば、多少なりとも心に迫るものがあるはず。

しかし、内藤の胸中にはそんなものなどない。

( ^ω^)(さぁ、後はあの虫けらが惨めに去っていくところを拝むかお)

( ^ω^)(おっおっ!楽しいお!)

( ^ω^)(気分がいいお!)

( ^ω^)(メシウマ……だお)

そんなものなど――


346 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:16:00 FSH8OfYgO
〜〜〜

(-@∀@)「すでに周囲は暗く、しかし熱く燃える戦いが終わりました……」

(-@∀@)「本戦準決勝、勝者は」

(*-@∀@)「ギコギコ選手!セコンドはビロード!!」

(,,^Д^)「ギコハハハハ」

(* ><)「ビロロロロなんです!」

勝者には最大限の祝福を。よく知っている二人は、知らない敗北の味を噛み締めている。

('A`)「……」

「……」


347 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:16:41 FSH8OfYgO
(-@∀@)「どうでしたか、ギコギコ選手!」

(,,゚Д゚)「そうだなぁ、もうすぐこのつまらねぇ大会も終わっちまうんだ。コメントくらいは残してやるか」

言って、またドクオに向かって話しかける。饒舌なのは試合が終わったからではない。勝者と敗者が決定したからだ。

(,,゚Д゚)「ヒョロ男、てめぇの敗因はなんだと思う?」

(-A-)「……俺の力不足だ」

(,,^Д^)「ギコハハハ、そうだな。てめぇが弱かった。それもある」

(,,゚Д゚)「だがな、それだけじゃ足りねぇ。ランチェスターの法則を知ってるか、説明してみろ」

('A`)「ああ。イギリスの航空工学のエンジニア、F・W・ランチェスターが発見した法則だな。今じゃビジネス用語として、市場の第一位を強者、それ以外を弱者とし各々の戦略を説いたものだ」

(,,-Д゚)「そう。ざっと言えば強者は強者の、弱者は弱者の戦略で戦うって話だ」

(,,゚Д゚)「それを踏まえて、てめぇの戦い方は強者なんだよ。弱者のくせに」


348 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:17:40 FSH8OfYgO
('A`)「……」

(,,゚Д゚)「例えばセコンドだ。こいつを含め、つかえねぇヤツだろうとなんだろうと、なんとかして勝ちにいくための戦略を考えるべきだった」

(; ><)「あうあうなんです」

隆々とした手で腰ほどの位置にいるビロードの頭を乱暴になでる。嫌がっているが言えないような独特の雰囲気が伝わってきた。

('A`)(……)

(,,゚Д゚)「てめぇはてめぇだけで戦った。だから負けた。いくらそこのダメなゲームオタクとはいえ、有効に使わなかったから負けたんだ」

ξ#゚⊿゚)ξ「ちょっと──!」

(-A-;)「よせ、ツン」

言われたまま引き下がれるほどツンは大人しくない。それをドクオは制止し、質問を投げかける。

( 'A`)「あんたはどうなんだ?」

(,,゚Д゚)「あん?」

('A`)「あんただってセコンドを使ってない」

(,,^Д^)「てめぇ、バカか?俺は強者だ。つかえねぇヤツをつかう必要なんざねぇんだよ」


349 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:18:20 FSH8OfYgO
なでていた頭を軽く払うようにして、ビロードは体勢を崩す。気にもとめず続けるのは己の持論。

(,,゚Д゚)「だから言っただろ、天才は孤高なんだゴルァ」

(#-A-)「……なるほどな」

ξ#゚⊿゚)ξ(ぶん殴りたい……)

どうにも収拾がつかない状況で、アサピーは無理やりにでも割って入る。進行には時間の制限がつき物。

(;-@∀@)「えー、はい!強すぎるギコギコ選手の、刺激あるコメントありがとうございました!」

司会の言葉が会場に渦巻く。その最中、ドクオはツンにだけ聞こえるように話しかけた。

('A`)「ツン、わかってるんだろ」

ξ゚⊿゚)ξ「──でも……」

(-A-)「俺は負けた、敗者だ。後はあんたの番だ」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

('A`)「残すところ決勝まで──」

('∀`)「戦ってこい。イーサン代表の津雲レイさんよ」


350 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:19:05 FSH8OfYgO
肩を叩いて、出口に向かい、歩いていく。

その姿はとても、試合前の大きな背中とは違っていた。

(-@∀@)「それでは次の──」

ξ ⊿ )ξ「ちょっと待って!!」

そうして、準決勝が終わろうとした矢先、一人の女性が声をあげる。戸惑うのは司会。開いていく距離。

(@∀@-;)「な、なんでしょうか?」

ξ ⊿ )ξ「今の戦い──準決勝が終わった時点で、スーパードックンは敗者になった!」

変わらない声の大きさは、自身の主張を通すために。

('A` )(あー負けちまった。くっそ、悔しいな)

ξ ⊿ )ξ「つまり、『勝者の権利を越えない範囲で試合に関する事柄であれば全て相談や干渉などをすることができる』セコンドルールに触れない!」


351 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:19:43 FSH8OfYgO
その曖昧なルールを記憶していたのは、ひとえにこの時のために。

('A` )(帰ったらどうしよ、親父のこと個人的に調べてみるか)

ξ ⊿ )ξ「だから、私は主張する!」

ツンは言う。

(-∀- )(ああ、カーチャンにも色々、土産話ができたな)

ξ ⊿ )ξ「イーサン代表である津雲レイはギコギコ選手ともう一度戦うためにセコンドをやめて!」

( ∀ )(面白いヤツに会えたよ、カーチャン、親父。まぁ本音を言えばジョルジュと戦いたか──)

ξ゚⊿゚)ξ「スーパードックンを復活させる!!」

ドクオを勝者へ導くために。


352 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:20:18 FSH8OfYgO
\xAD\xF4( 'A`)「へ?」

\xAD堯\xCA;-@μ@)「は?」

(,,^Д^)「ギコハ……」

\xAD\xF4(,,;゚Д゚)「ハァ!?」

\xAD堯\xCA; ><)「びっくりなんです!」

\xAD堯福\xA1 ゚ω゚)「おん!?」

\xAD\xF4ハハ ロДロ)ハ「なっ!?」

\xAD\xF4(* ^Д^)「うおっ!?」

\xAD\xF4(*゚∀゚)「うぇえい!」

\xAD\xF4(´ ゚_ゝ゚`)「なに!?」

  _
( ^∀^)「ヒュー♪やるね、ドクオ」

(;´・ω・`)「なん、だと……そんなことが認められるわけが」

(* ・∀・)「……やっぱり、スーパードックンは負けてません」


353 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:21:11 FSH8OfYgO
〜〜〜

(;-@∀@)「これは、これはまた予想外!!セコンドであるツンさんはその権利を利用して」

(;-@μ@)「敗者のスーパードックンを復活させようというのか!?」

アサピーのまとめ方はわかりやすかったようで、観客席からは動揺が伺える。しぃも焦りを隠しながら、冷静に言葉を並べた。

(*;゚ー゚)「確かにセコンドルールである勝者の権利を越えない範囲ではありますが……しかし、捉えようによっては、同様に勝者であるギコギコ選手の権利を越えているとも考えられます──」

あくまで勝者の権利を越えないというルール上、敗者になったドクオはともかく、勝者であるギコギコがそれを拒否すればなんの意味もない。

もっとも、それは杞憂だとツンは思った。

(,,゚Д゚)「……おもしれぇ、赤いな」


354 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:22:06 FSH8OfYgO
(*゚ー゚)「ギコギコ選手?」

(,,゚Д゚)「俺はかまわねぇぜ。なぁ、ビロード」

( ><)「はいなんです!ギコさんは何回やっても負けないんです」

対戦中の会話で出た勝利への執着。

ギコギコにそれがないというのは、負けることがないという自信からの発言と感じた。

試合終了までの態度から、そう捉えていた彼女にとって、こうなることは予想できていた。

(,,^Д^)「ギコハハハ、そういうことだ。司会者さんよ、こっちはかまわねぇぜ」

(,,゚Д゚)「あとは運営上問題が無いか確認してもらおうか」

(;-@∀@)「は、はい!では、会場の皆様はこのまま少しお待ちください!テレビ放送をご覧の皆様にはダイジェストをお届けします!」


355 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:22:41 FSH8OfYgO
〜〜〜

葬式のような重たい雰囲気は一変、プレハブ内は事故現場のように騒然たるものとなる。

スタッフ達は、内藤の元に集まっていた。

(;´・_ゝ・`)「ぷ、プロデューサー……どうしましょう……!?」

(  ω )「ああ、ありえないお……なんなんだお、なんなんだお、ほんとにもう!!」

取り乱す彼は頭をかきむしり、その場を行ったりきたりしている。余裕がない。

(; ^Д^)「内藤さん……」

(*;゚∀゚)「びっくりだねぇ……」

(; ^ω^)「くぅ……おっお!!仕方ないお……!」

立ち止まった彼はデスクに置いてある電話の受話器をとると、一、二回ボタンを押して黙った。

固唾を飲んで見守るスタッフ一同も、内容を把握するべく押し黙る。5コールで会話が始まった。


356 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:24:05 FSH8OfYgO
( ^ω^)¶「社長、内藤です。ご覧頂いている通り、運営上の問題を確認したいのですが……」

(; ^ω^)¶「えっ、は、いや、それは……しかし」

(;  ω )¶「……はい、はい、承知しました。失礼します」

受話器を置いて、そのまま何も喋らない内藤に詰め寄るのは誰彼ともなく。

( ^Д^)「どうっすか!?」

(*゚∀゚)「どうなったの!?」

(;´・_ゝ・`)「プロデューサー……!」

(  ω )「……俺が、僕が……」

一旦、全員を宥めて再度、デミタスは問う。

(´‐_ゝ‐`)「プロデューサー、諸本社長はなんと?」


357 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:25:03 FSH8OfYgO
( ^ω^)「──運営には許可をとった。こっちは忙しいから後はお前が決めろ、だってお」

その言葉に、さらにざわめく室内。伺いを立てようと思えば、現場に任せるというのだから無理もない。

(*;゚ぺ)「はぁ!?そんなのあれじゃん、内藤さんがやっちゃったら越権行為ってやつじゃん!失敗したらやばいんじゃ!」

(; ´ω`)「仕方ないだろうお!社長がおっしゃってるんだから!!」

(; ^Д^)「ど、どうするんすか、内藤さん!時間ないっすよ!」

( `ω´)「わかってるお!!おおおおおおん!!」

喧騒の中、目を瞑って考える。この選択は、まぎれもなく自身のターニングポイントとなりえるだろう。

そう思ってみれば、おのずと答えは出てきた。


358 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:25:59 FSH8OfYgO
( ^ω^)(数字は取れる。どちらを選択しても、問題は無い程度に)

( ^ω^)(だから、これは、この状況は、僕が望んでいたものだお)

( ^ω^)(今、この手で、たった一言で、自分の力で。僅かな光に縋る虫を殺すことができるお)

( ^ω^)(なんのことはないお。これで、僕のプライドは──)

決定まであと一歩。これでこのうるさい場を静めることができるのだから、問題はない。

そう思った矢先に、聞こえてきたのは、戦友の呼ぶ声。

(´・_ゝ・`)「プロデューサー……いえ、ブーン」

蚊の鳴くような、たよりない声で呼ばれた内藤は彼を見た。

( ^ω^)「デミ、タス」

(´・_ゝ・`)「私は……どちらでもついていきますよ」

(´^_ゝ^`)「正していきますから。勧善懲悪のない、悪の親玉だろうと」

( ^ω^)「……」


359 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:26:40 FSH8OfYgO
ただ、それだけのセリフを言って後は黙るのだから達が悪い。

そして、ただそれだけのセリフでこの一歩を大きく変えてしまうのだからより腹が立つ。

(  ω )「あー、そっちのスタッフ。聞こえるかお」

騒がしさが水を打ったように静かになったのは、受話器を持って、運営スタッフへと繋げたから。たっぷりと息を吸い込んだ彼は言い放つ。

( ^ω^)「司会に伝えるお。運営上の問題は──」

(  ゚ω゚)「一切ないお!!勝手に戦え!!盛り上げろ!!数字を、とれおおおお!!!」

(* ^Д^)「やぁあああったぁ!!!」

(**゚∀゚)「さっすが内藤さん!!素敵!抱いて!!」

(;  ω )「はぁはぁ……もう、全く」

(; ‐ω‐)「虫は嫌いだお」

叩き付けたそれを皮切りに、別の意味で騒がしくなったプレハブ内で、内藤はパイプ椅子に座って、しかめっ面をした。


360 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:27:39 FSH8OfYgO
〜〜〜

セコンドの発言に一番驚いたのはまぎれもなくドクオだった。

このまま退場しようと歩みを進めていたのに、すぐに戻る。

(;゚A゚)「つ、ツン。なに言って」

ξ゚⊿゚)ξ「スーパードックンさん」

凛とした表情は有無を言わせない。

( ゚A゚)「は、はい」

ξ゚⊿゚)ξ「私は、最初に会ったとき、あなたのことが嫌いだった」

( 'A`)「……」

ξ-⊿-)ξ「口は悪い、顔も悪い、タバコ臭いし、不潔。ほんと、気持ち悪い」

ξ゚⊿゚)ξ「おまけに人の気持ちに鈍感で、気を使えないし」

('A`)「……」


361 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:28:20 FSH8OfYgO
ξ゚⊿゚)ξ「でもね、なんていうか。戦ってる姿は、その──嫌いじゃないっていうか」

('A`)「……」

ξ;゚⊿゚)ξ「か、勘違いしないでよね!べ、別にそれがカッコいいとか思ってないんだから!!」

(;'A`)「は、はぁ」

ξ゚⊿゚)ξ「だからね。私の分まで戦って、勝って欲しいの」

そこまで聞いて、ようやくドクオは髪をかきながら喋り始める。言われたそばからフケが落ちるのを見てツンは笑った。

(;-A-)「でも、あんただって目的が……優勝したいんだろ?」

ξ゚⊿゚)ξ「私の目的は色んな人にイーサンの文化を知ってもらいたいだけ。実際、ここまで来たからほとんど達成できてるわ」

ξ゚ ー゚)ξ「それに、あなたが優勝してくれればもっとハクがつく。イーサン代表の津雲レイは、あのスーパードックンのセコンドだった……ってね」

('A`)「ツン……」


362 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:29:10 FSH8OfYgO
普段は攻撃的で、高飛車な女のイメージなのに、大事なところで譲歩する。

ドクオにとって津雲レイという存在がわかったとき、別れは近づいていた。

(-@∀@)「皆様!お待たせしました!!セコンドである津雲レイさんの主張、スーパードックン敗者復活ですが……」

ツンは歩く。ドクオが通るはずだった道を、堂々と。

ξ゚ー゚)ξ「VIPテレビはスーパードックン。忘れないわ」

開いていく距離は戻らない。だが、その背中は大きく、強い意思を持っていることがわかる。

(-@∀@)「許可するとの運営委員会から通達が来ました──その結果」

('A` )「俺も忘れねぇよ。またゲームで対戦しようぜ」


363 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:30:00 FSH8OfYgO
ξ^⊿^)ξ「うん!」

忘れることはない。彼は絶対に忘れない。たとえその特別な頭脳がなくとも。

(*-@μ@)「ただいまからスーパードックンとギコギコ選手の準決勝再戦を行います!!」

共に戦った友として、心に刻まれるのだから。


364 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:30:46 FSH8OfYgO
〜〜〜

(,,^Д^)「ギコハハハ。おかえり、ヒョロ男」

('A`)「ただいま、クソ坊主」

戻って閉口一番、罵倒の押収。どちらも退かない。

(,,-Д゚)「弱者の負け犬が、よくもまぁ堂々としていやがるな」

('A`)「うっせぇ、もう負けられねぇんだ」

(,,^Д^)「ハンッ!まぁ、うまく使えたんじゃねぇか」

( 'A`)「?」

言葉の意味を理解することに時間がかかる。それを見越してギコギコは続ける。

(,,゚Д゚)「津雲レイさ。セコンドとしての能力は皆無だが、こうして復活できたんだ。感謝しねぇとな」

( A )「……」

(,,゚Д゚)「クズばっかだ、この世の中。てめぇは弱者だが、てめぇ以下がほとんど。そいつらはクズ。ゴミだ」

( A )「……」

(,,゚Д゚)「強者は数えるほどしかいねぇ。なぁビロード」


365 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:31:51 FSH8OfYgO
( ><)「はいなんです!ギコさんが僕のヒーローなんです!かっこいいです!」

(,,^Д^)「ギコハハ──」

('A`)「わかった」

(,,゚Д゚)「ハハ……あ?」

ドクオの一言は、彼の笑い声を止めるほどに意外なもの。立場が入れ替わったように続ける。

('A`)「やっとわかった。あんたは強者でも、ましてや孤高なんかでもない」

('A`)「孤独なんだ」

(,,#゚Д゚)「……んだとゴラァ」


366 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:32:26 FSH8OfYgO
つらつらと並べていくのは、静かな、しかし、煮え返るほどの怒り。

('A`)「そうやって腰巾着をつけて、自分の存在だけを特別に思ってる、ただのぼっちだ。便所で飯でも食ってろ」

(,,#゚Д゚)「てめぇ……!」

( ><)「ですぅ……!」

('A`)「俺もそんなに人と接したりはしないし、深入りすることも少ないが」

(#'A`)「むやみに他人を貶したりはねぇよ」

(,,#゚Д゚)「それが弱者だろうが!馴れ合い、慰めあう、傷の舐めあいの集団如きが強者に――」

言わせない。

(#'A`)「もういい、くそったれ。俺はあんたが大嫌いだ」

聞きたくもない。

(#-A-)「いくぜ、クソ坊主。人の痛みも知らないエセ強者に本当の『強さ』を教えてやる」

だから、言う。この一言を。

(#゚A゚)「このスーパードックンがな」

勝利の宣言を。


367 : 名も無きAAのようです :2013/10/18(金) 03:32:52 Vs4xzyWMO
予想の二段階くらい斜め上の展開だった 
あとでセコンドルールのところ探してみよう


368 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:33:09 FSH8OfYgO
〜〜〜

(*-@∀@)「ここに来て出ました!スーパードックンの決め台詞!!さて、準決勝再戦に関してですが、しぃさん!追加ルールを!」

盛り上げるために声をあげるアサピーは、一見すれば冷静だが、その実、興奮していた。

VIPテレビでの戦いからずっと見ている分、情が入っていることは否めない。

(*゚ー゚)「はい!進行の都合上、特別な試合となるため、本来の10ポイント先取を変更し、5ポイント先取とさせていただきます」

(*゚ー゚)「さらに、スーパードックンは一度、敗北していることを踏まえて、一問目の回答権を無効とし、二問目からの回答とします」

(*゚ー゚)「両者共に、よろしいですか?」


369 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:33:49 FSH8OfYgO
対して、しぃはやはりいつもどおり。だが、どことなくこの状況を楽しんでいる。

('A`)「ああ」

(,,゚Д゚)「かまわねぇ」

ドクオの人を惹きつける強さと、ギコギコの人を寄せ付けない強さ。

その二つがもう一度、ぶつかり合う。

(*゚ー゚)「それでは準決勝再戦、スタートします!」


370 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:34:58 FSH8OfYgO
〜〜〜

いくら進行をしたとはいえ、プレハブ内が落ち着くことはない。

スケジュールの組みなおし、オペレーションの再確認。やることは山ほどある。

それでもつーは、この戦いを見る余裕があった。

(*;-∀-)「一問目の回答権がない……お手つきの状態だね」

(´・_ゝ・`)「そうだな……いや、彼にとってはあまり意味のないハンデだ。よくもわるくも」

(*゚∀゚)「えっ、どうして?単純に不利じゃないの?」

(´・_ゝ・`)「さっきの試合を見ていただろう?このクイズは早押しで、後半のギコギコが出すタイムにスーパードックンはついていけなかった」

(´‐_ゝ‐`)「おそらく、正解を出すことは問題ないが、スピードでは彼に勝てない」

(*゚ε゚)「あう!じゃあダメじゃん!負けちゃうじゃん!」


371 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:36:14 FSH8OfYgO
口を尖らせながら文句を言う彼女を止めたのは、プギャー。

( ^Д^)「大丈夫っす!」

(*;゚∀゚)「プギャー、いくらなんでも無理だよ!」

(;´・_ゝ・`)「いくら決めセリフが出たからといって、今回ばかりは厳しいだろう。よしんば、早く回答できればという希望的観測はあるが──」

客観的に見る二人の前で、にやけた顔をしながら言うADは自信満々。

( ^Д^)「二人とも、忘れたっすか!?ドクオさんの必殺技!」

(´・_ゝ・`)「必殺技?」

(*゚∀゚)「そんなのあったっけ?スパドクビームとか?」

(* ^Д^)「違うっす!これっすよ!」

б( ‐Д‐)∂ジャーン

(´・_ゝ・`)「……」

(*゚∀゚)「……」

б ( ‐Д‐) ∂スポン


372 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:37:01 FSH8OfYgO
両指を耳に入れ、すぐに取り出した彼は、固まっている二人の前で説明を始める。

ようやく、つーとデミタスを出し抜いたと思った彼は得意な顔を見せてふんぞり返った。

(* ^Д^)「去年のジョルジュさんとの対戦でやってたじゃないっすか、この両耳ふさぐヤツ!」

( ^Д^)「これをやればどんな相手だろうと勝て……」

(´・_ゝ・`)「プギャー」

(*゚∀゚)「プギャー君」

(; ^Д^)「な、なんすか?」

(;´・_ゝ・`)「両耳ふさいで……どうやって回答するんだ?」

( ^Д^)「……あ」

出し抜いたどころか、さらに自分の株を下げたことに、ようやく気づいた彼は黙ってモニターを見つめた。


373 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:37:56 FSH8OfYgO
〜〜〜

('A`)(さて、せっかくのお膳立てだ。余裕かましてくるか、本気で潰しに来るか……)

タブレットを受け取り、構えたドクオは出方を見る。初戦は様子見。ルール上、仕方ない。

<スタート

<ストップ

(;;-@∀@)「回答はギコギコ選手!は、は、早い!!体感でもわかります!このスピード、まさに神速!!」

(;-@∀@)「タイムは……2秒48!!いったいどんな操作をしているんだ!?」

(*゚ー゚)「お答えは……」

「問題:意識の難問とも訳される、物質及び電気的・化学的反応の集合体である脳からどのようにして主観的な意識体験というものが生まれるのかという問題をなんという?
回答:意識のハードプロブレム」

(*゚ー゚)「正解です!」

(*-@μ@)「ギコギコ選手1ポイント獲得!!残り4ポイント!!」

(*-@∀@)「一度勝っても驕らない!それが強者の理とでも言うかのごとく!二度目の勝利に近づいた!!」


374 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:38:39 FSH8OfYgO
再戦前のタイムと変わらないそれは、彼を二度目の敗北へと追い詰めていく。

(;'A`)(あー、やっぱ本気でくんのね)

(,,゚Д゚)「残念だったな、ヒョロ男」

(,,-Д゚)「てめぇはどっかで俺が油断してる、とでも思ってたんだろうが。そりゃ間違いだ」

(,,゚Д゚)「潰す。完膚なきまでに、な」

容赦のない宣言がドクオに放たれる。軽くいなして、次の問題に向け構えた。

('A`)「へいへい、上等だ。こっちだって今からが勝負なんだよ」

(*゚ー゚)「一問目が終了しましたので、スーパードックンは次の二問目から参加していただきます」

(*゚ー゚)「それでは参ります!」

<スタート

<ストップ

(*-@∀@)「またしても早い!しかし、今度はもう一人の早業を持つスーパードックンがいる!」

(;-@∀@)「タイムは……3秒04!まだわかりません!結果を、しぃさん!」

(*゚ー゚)「はい!……これは」


375 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:39:34 FSH8OfYgO
(*^ー^)「ギコギコ選手です!」

(;'A`)(……ちっ)

おおよそ、全力で画面をタッチしていっても勝てない。

事実、ドクオのスピードはギコより1秒ほど遅れている。

「問題:一般的に立ちくらみと呼ばれる、急に目の前が真っ暗になる症状の名称といえば?
回答:眼前暗黒感」

(*^ー^)「正解です!」

(*-@μ@)「連続正解!2ポイント!!スーパードックン、手も足も出ない!」

(;-A-)(あんだけ啖呵切ってこれかよ、情けねぇ)

(;'A`)(つっても……打開策がでねぇんだよな、正直)

焦りが募る。勝つための方法が見えない以上、このままではもう一度負けてしまう。

唇を噛み、スクリーンを見つめる彼にギコギコは言う。

(,,゚Д゚)「どうした、ヒョロ男。教えてくれんだろ、なぁ?」

(-A-)「……」


376 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:40:21 FSH8OfYgO
(,,゚Д゚)「所詮、負け犬は負け犬だ。吠えたところで飼い主には逆らえねぇのさ。なぁビロード」

( ><)「ワンワン!ハッハッ!」

言って、ビロードは地面を四つんばいになりながら犬のマネをしていた。哀れ。

(,,゚Д゚)「見ろよ、こいつ。バカみてぇだろ?世間ではそれなりに認められるんだろう頭脳があっても、弱者は弱者だ」

(,,^Д^)「強者の下でしっぽふるんだよ」

(#'A`)「……」

にらみつけることが返答だといわんばかりに見つめるドクオに、興をそがれたギコギコは促す。

(,,-Д-)「……ま、どうでもいいか。ほら、次、次」

(*;゚ー゚)「は、はい!では三問目、スタートです」

<スタート

('A`)(考えろ、俺。考えるんだ)

<ストップ

('A`)(何か、このクイズの脆弱性を)


377 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:40:59 FSH8OfYgO
(*゚ー゚)「──タイムは──」

(,,^Д^)「ギコハハハ──」

(-A-)(コンセプト、必要な能力……)

(-@∀@)「四問目──」

( A )(抜け道は──)

(*^ー^)「──正解です!」

(; A )(ない)

思考の闇は依然として、一筋の光も見出せないほど暗く、深い。

シュールとの戦いでも感じたロジックの限界に、滴る汗を拭うこともできなかった。

(**-@∀@)「素晴らしい!!あのスーパードックンをここまで追い詰める!!ギコギコ選手、4ポイント獲得!!勝者の栄光は目の前!」

(;'A`)(ダメだ……どうやっても、抜け道がねぇ)

額に張り付いた髪を払っていると、アサピーがこちらに向いた。

(@∀@-)「冷や汗をかくのはスーパードックン!今のお気持ち……は聞かないでおきましょう」


378 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:41:45 FSH8OfYgO
(;'∀`)(……ありがとう、アサピーさん。言われてみりゃ汗ダラダラだわ)

コメントを求められればさらに集中力が切れる。無意識のうちに、払ってついた汗をスラックスで拭き取り、手をポケットに入れる。

(;'A`)(……あ)

そして、彼は気づいた。勝つための方法に。

すぐにポケットから手を出したドクオは鬱蒼としている髪を払う。

(;-@∀@)「さぁ!このまま決まってしまうのか、運命の5問目となるかもしれません!」

(; A )(これで……!)

(-@∀@)「それでは、しぃさん!」

(*゚ー゚)「はい、アサピーさん!問題、スタート!」

<スタート

<ストップ

(;-@∀@)「はい、またしても早く決まりました!」

(-@∀@)「では、例の如く、問題と回答から見ていきましょう」

あと1ポイントで決着がついてしまうにも関わらず、両選手は微動だにしない。

ギコギコにとっては勝利を、ドクオにとっては引き伸ばしを待っているから。


379 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:42:33 FSH8OfYgO
「問題:リソスフェアとはなに?
回答:岩石圏」

(*^ー^)「正解です!」

正解の意味は二人の希望、どちらかを叶えるもの。アサピーは続ける。

(-@∀@)「しかし、本当にお二人ともクイズは外されませんねぇ……おっと、失礼しました!」

(*-@∀@)「タイムは、2秒43!これもまた早い!」

(-@∀@)「勝つのは圧倒的な強さを見せたギコギコか」

(@∀@-)「それとも奇跡的な粘りを見せてくれるのか、スーパードックン」

(-@∀@)「結果は──」


380 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:43:19 FSH8OfYgO
(;;-@μ@)「す、す、スーパードックンです!!」

果たして叶った希望は延長。まだ勝負は終わらない。

( A )「ふぅ」

(,,;゚Д゚)「……ゴルァ……!?」

( ><)「なんですっと?」

驚きを見せたのは司会だけではなかった。ギコギコとビロードは目を見開いている。

(;-@∀@)「なんと、またしてもやってくれました、ギリギリの男、スーパードックン!」

(*-@∀@)「土壇場で粘った!4対1!まだわかりません!しかしながらギコギコ選手はあと一歩!」

しかし、タイム上はそれほど差がない。それはドクオが決して有利とはいえない状況。

にもかかわらず、まるで外界の情報を全て遮断しているような彼の落ち着き。

(*;゚ー゚)「参ります、スタート!」

<スタート

<ストップ

(-@∀@)「タイムは……2秒21!これは……」


381 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:44:01 FSH8OfYgO
(**-@∀@)「スーパードックンです!?か、回答は」

「問題:地震波速度の境界であり、地殻とマントルとの境界のことをなんという?
回答:モホロビチッチ不連続面」

(*;゚ー゚)「せ、正解です!」

(;-@μ@)「なんと!?彼も二連続正解をたたき出す!!まるで再戦前の状況と全く一緒!違うのはもう一人の天才が追い上げているその事実だけ!!」

(,,゚Д゚)「ゴルァ……てめぇ、なにしやがった?」

ようやくギコギコはドクオに尋ねる。しかし、反応はない。しばらく経って顔を上げた彼は、こちらをにらみつける対戦相手の姿があったので、間延びして応えた。

(-A-)「……ん?なんかいったか?」

(,,;゚Д゚)「なにしやがったって聞いてんだゴルア!!」

次はすぐに反応する。それほどに大きな声だった。聞こえないはずはない。

('A`)「ああ、わりぃわりぃ。集中してるもんでな。ほれ」

ツンからもらったティッシュで耳栓をしていようと、聞こえないはずはないのだ。


382 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:45:02 FSH8OfYgO
(,,゚Д゚)「……白い……綿?いや、ありゃ」

指先に持つ、距離的に視認しがたいそれは、ちぎって丸めたちり紙。

先ほどポケットに手を入れた際に適当な大きさにして髪を払いながら耳に詰め込んだことなど、彼には知る由もなかった。

('A`)「ほんとは指でふさいだほうが正確なんだけどよ、まぁしゃあねぇわな」

(;-@∀@)「スーパードックン、まさか、それは……!」

(-∀-)「こうするといらねぇ声が……いや、この場合、音か。聞こえなくて済むんだよ。集中できていいわ」

(*-@∀@)「皆さん!これは一年前!VIPテレビ主催のクイズ番組は決勝戦で彼が披露した最強の必殺技!!」

(**-@μ@)「両耳をふさぐことによって周囲の雑音を排除し、必要な情報だけを得ることによって極限まで集中力を高める、まさにスーパードックンの真骨頂!!それを……なんとポケットティッシュを丸めて耳栓にし、この状況下で発揮している!!」


383 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:45:42 FSH8OfYgO
その長い言葉を一つもつかえずに言い放つ彼の言葉と、土壇場で盛り返すドクオの勇姿が、さらなる歓声の起爆剤となるかの如く、会場を揺らしていく。

(,,;-Д-)「ふ、ふざけんじゃねぇぞ……!?そんな、そんな子供だましで」

精彩を欠くのは、余裕だったギコギコ。その理由を見破ったドクオは、言った。

( A )「なぁギコギコさんよ」

(-∀-)「今の俺は──何色に見える?」


384 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:46:36 FSH8OfYgO
(,,゚Д゚)「!!」

(,,゚Д゚)(み、えねぇ)

<スタート

<ストップ

(,,゚Д゚)(今まで、どんなヤツだろうと見えてきた。負かしてきた)

<スター──

(,,゚Д゚)(勝てる色が見えたから……黒でも、白でも、赤でも、青でも、なんでも)

<ストッ──

(,,;゚Д゚)(なんだ、こりゃ……知覚できない……わからない)


385 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:47:20 FSH8OfYgO
<──

(,, Д )(ああ、初めてだ、こんな、無色、透明なんざ)

<……

それはスーパーコンピューターのように、正確で高速な速度。

彼の知識を総動員した、まるで宇宙のような頭脳には、色などつけるはおろか、認識することすら不可能。

(;-@∀@)「タイムは1秒16!!信じられません!!2秒はおろか一秒前半!?」

(*;゚ー゚)「とてつもないタイムです……結果ですが」

「問題:1950年12月14日に設立された国際連合の難民問題に関する機関といえば?
回答:国際連合難民高等弁務官事務所」

(*;^ー^)「当然、正解ですね」

ドクオは耳から少し黄ばんだティッシュを取り出し、そのまま捨てようと思ったがポケットに入れる。

本来なら見えていたはずのカードの色すら、ドクオの高速回答に狂わされ、以降問題を解くことすらできなかったギコギコは頭を垂れた。


386 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:48:04 FSH8OfYgO
(-@∀@)「本心を申し上げますと、このタイム……皆さんが考えていらっしゃる事と一致していると存じます」

(-@∀@)「長く続いたこの準決勝。制したのは──」

(,, ∀ )(だが……見えないもんは仕方がねぇ)

しかし、俯きながら考えることはまだ負けていないということ。

(**-@∀@)「スーパードックン!!おめでとう!5ポイント先取!!決勝進出!!」

( ><)「負けた……んです?ギコさんが……?」

(;゚A゚)「あー、疲れた……がちで」

(,, Д )(俺は強者だ。勝つための存在、そうだよな、ビロード)

(*-@∀@)「まさかの逆転!この試合、とてつもな──」

(,,-Д゚)「おいおい、待てよゴルァ」


387 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:48:58 FSH8OfYgO
司会のセリフを遮るように、ゆっくりと顔をあげていく彼。思わず、アサピーは聞く。

(;-@∀@)「え、はい?」

('A`)「……」

(,,゚Д゚)「こっちだってセコンドはいるんだぜ?さっきの言い分が通ったんなら、俺の意見も通るよな?」

(-@∀@)「と、おっしゃいますと……もしや……!?」

合点がいく。笑い声とともに、完全に頭を上げたギコギコは言いながら、腕をビロードの肩に回した。

(,,^Д^)「俺は強者だ。弱者のてめぇができることは俺のお膳立て。シンプルでいいだろ、ギコハハハハ」

(,,゚Д゚)「なぁ、ビロード。てめぇならわかるだろ?わかるよなぁ?」

( ><)「……わ」

(# ><)「わかんないです!!」


388 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:49:45 FSH8OfYgO
(,,;゚Д゚)「はぁ!?」

想定外の言葉に回していた腕を引っ込めて、顔を近づける。意外にも臆しない童顔の彼は続ける。

( ><)「僕のヒーローは負けないんです!ギコさんは負けた、ヒーローじゃないんです!」

(,,゚Д゚)「て、てめぇ!あれだけよくしてやったのに、裏切るのかよ!」

振り上げた片方の腕。手は握られ、振り下ろされる寸前。

(; ><)「う、うう……」

言えることは言った。暴力には屈するしかない。そう思ったビロードは覚悟を決めて、目を瞑る。

('A`)「そこまでだ、クソ坊主。強者も弱者も関係ねぇんだよ」


389 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:50:32 FSH8OfYgO
だが、振り下ろされるはずの腕はそのまま、聞こえてきたドクオの声に止められた。こちらを向くのは青筋を立てる男。

(゚Д゚#,,)「てめぇは黙って」

(#'A`)「黙るのはあんただ。あんたらの仲なんざ知ったこっちゃねぇがな、セコンドを信頼して、セコンドから信頼されてない以上、この試合は終了だ」」

( Д #,,)「ゴルアァ……!」

怒りは両者ともに最高潮。だが、ドクオは努めて優しくセコンドに問う。

('A`)「ビロードさん、もしあんたがこの男に復活して欲しいなら俺はもちろん再戦するが……どうだ?」

その口調にほだされるように、意を決した彼は大声で話す。

(; ><)「い、いやなんです!もう誰かの踏み台はごめんなんです!ギコさんは勝手すぎるんです!ほんとは怖かったから、強かったから従ってただけなんです!」


390 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:51:19 FSH8OfYgO
(,, Д )「このガキ……!」

(-A-)「だとよ。そりゃ力で味方をつけるのは否定しねぇがな。自分が負けたら散々偉そうにしてた仲間に、俺の代わりに退場しろなんて、通じるわけねぇだろ」

(##,, 皿 )「うぅぅう……!!」

歯を食いしばり、怒りの形相でドクオを見る男に止めを刺したのはドクオ。

('A`)「結局、孤独なんだよ。あんたの負けだ」

それが、自身にとって悪い結果になるとも考えずに。

(`Д',,)≡≡「うがぁぁ!!!」

( ゚A゚)「なっ!?」

(*;>ο<)「キャッ!」

(;-@∀@)「うわっ!!」

瞬間、地を蹴り突進するギコギコ。その速度はやはりオリン出身という肩書きを如実に現しており、巨体とは思えない俊敏な速さはアサピーとしぃを退かせる。


391 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:52:12 FSH8OfYgO
数秒でドクオの目の前に現れ、先ほどまで振り下ろされなかった拳が彼に当たる刹那、軽快な破裂音が聞こえた。

  _
( ゚∀゚)「おっと、危ない危ない」

(;;-A゚)「じょ、ジョルジュ……!?」

しりもちをついて、見上げてみれば、片手でギコギコの拳を止めている金髪の男。少し汗をかいていて、こちらを見ながらいつもの笑みを浮かべている。

先ほどの破裂音は受け止めたときの衝撃。ここにいるのは観客席からの疾走。

(`Д'#,,;)「フゥ、フゥ!!どけ、どけゴルァ!!」

  _
( ゚∀゚)「退かないよ」

(`Д'##,,)「どかねぇと、てめぇから」

  _
( ゚∀゚)「てめぇから……」

  _
(  ‐ )「なんだい」

;;(゚Д',,);;「ご、ご、ごる……」

たった一言で、彼の怒気をねじ伏せたのもつかの間、矢継ぎ早に言葉を重ねていく。なおも拳を握ったまま。


392 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:52:55 FSH8OfYgO
  _
( ゚∀゚)「確かに、一度勝ってる分、その気持ちはわからなくもない」

  _
( ゚∀゚)「でも、少なくともスーパードックンのセコンドは自主的に彼を復活させて、そしてクイズで勝った」

  _
( -∀゚)「人徳も実力のうちさ、違うかい」

(゚Д゚;,,)「は、はなし、やがれ……!」

もうギコギコには、暴力を与える気概もない。にも関わらず、ジョルジュはその手を離さなかった。

  _
( ゚∀゚)「ヒートアップするのはいいけど、暴力は感心しないな」

  _
( ゚∀゚)「ちょっと頭を冷やしたほうがいいよ」

  _
( -∀-)「アサピーさん、しぃさん。スタッフを」

(;-@∀@)「は、はい!!」

ようやく手が離れたのは司会の二人が数人のスタッフを連れてきた後のこと。

両手を払いながら依然として地についているドクオに手を差し出す。


393 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 03:53:59 FSH8OfYgO
(;'A`)「ジョルジュ……その、なんだ。センキュ……」

  _
( ゚―゚)「……全く、君も熱くなりすぎだ、ドクオ」

(; A )「……」

罰の悪そうに髪をかきながら、目線をそらす。その様子を見て、鼻で笑ったジョルジュは言った。

  _
( ゚∀゚)「フッ、まぁ、ともあれおめでとう」

(;-A-)「ああ、ありがとう」

  _
( ゚∀゚)「……」

(;'A`)「……」

沈黙。客席から聞こえてくる喧騒も、スタッフ達の慌しい動きも二人には聞こえない。

  _
( ゚∀゚)「決勝で」

  _
( ゚∀)「待ってるよ」

開いていく距離は目の前。決着の時。

後ろ姿の大きさと、揺れる長い髪。

ついに、ここまで来たのだとドクオは実感した。

スーパードックンのようです
第十二話おわり!


394 : 名も無きAAのようです :2013/10/18(金) 03:54:52 Vs4xzyWMO
セコンドルールはレス番18かあそこからこの展開考えてたのか凄いな


395 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/18(金) 04:20:14 FSH8OfYgO
酔っぱらいった!寝る!仕事が襲い掛かってくる!

>>321> >>322 >>323
よい子は寝る時間やったな。へっへっへ。ごめんね。

>>333
あなたのおかげで眠らずに済みました(笑)読んでくれてありがとう!しかもヤバイ。そこまで意図を汲み取ってくれるとうれしすぎて眠れない。

仰る通りです。このために作ったといっても過言ではない。そしてもうひとつ、最大の謎を残しています。あ、ばらさないで!

本編はとりあえずここまで!NGはさんで完結に向けて!がんばるで!おやすみ!


396 : 名も無きAAのようです :2013/10/18(金) 07:47:06 jajgiuHA0



397 : 名も無きAAのようです :2013/10/18(金) 10:38:13 SmUwREn60
おつ!


398 : 名も無きAAのようです :2013/10/18(金) 12:05:31 GCBrAytQ0
遅くまで乙
毎回ホント面白いなあ


399 : 名も無きAAのようです :2013/10/19(土) 00:58:45 A1nonIO20
この大会の出場者全員人間じゃねえよもう
乙!!


400 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:33:19 s0te4e06O
こっそり薄味NG投下。ブログは日曜日更新予定です。

>>396 >>397
あざっす!間があくと乙を見てほっとします。

>>398
うわぁい、ありがとうございます!完結までがんばります!

>>399
ホントにね。今回のNGで強さランキングを作ろうかと小一時間悩みました。人外=バトル物=強さランキング。論理の飛躍。


401 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:34:06 s0te4e06O
スーパードックンのようです
第二部 第十二話 NGシーン

↓パッジェロ!パッジェロ!

(-@∀@)「見ごたえのある試合となるよう、参りましょう!しぃさん、ルール説明をお願いします!」

(*゚ー゚)「はい!今回も出題されるクイズに正解する毎に、1ポイントの得点が入ります!」

(*゚ー゚)「先に10ポイント獲得したほうの勝利となります!」

('A`)(もう定番だな……)

(,,゚Д゚)(……)

鳴り止まぬ歓声に乗じるように罵声が入る。続きを促しているのだ。

(*゚ー゚)「えぇ、えぇ。わかっております。皆さんが注目しているのは基本ルールではありませんね」

(*゚ー゚)「それではスクリーンをご覧ください!」


402 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:34:48 s0te4e06O
スクリーンに記されたのは、上下に分割された奥行きのある運動場。スタートからゴールまでの距離がそれぞれ横の部分に記されている。

続々と運び込まれるランニングマシーンがドクオとギコギコの前に設置されたとき、しぃは続けた。

(*゚ー゚)「まず、両選手にはこのランニングマシーンに乗って走っていただき、一定の距離……画面に記されているゴールの数字までを走り終えてからクイズに答えていただきます」

(*゚ー゚)「走り終えるまでは回答ができませんので、ご注意ください」

(;'A`)「ちょ、それボディ&ブレインのパクりじゃ……フレンドパー……」

(*゚ー゚)「もう、お分かりですね。そう、コンセプトルールは──」

(*^ー^)「かけっこです」


403 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:35:28 s0te4e06O
〜〜〜

ξ゚⊿゚)ξ(また単純なルールね。かけっこ……本来なら、体力と足の速さが最も重視されるお遊戯の一つね)

ξ;゚⊿゚)ξ(でも、この場合、問題と正解を結びつける知識。そしていかに早く回答するか)

ξ-⊿゚)ξ(どうやら私が手伝えることはなさそう……)

('A`)「ツン」

思考は止まる。いつのまにか司会は定位置に、対面にはランニングマシーンに乗る対戦相手。

ドクオは両手をマシーンの手すりに預け、声をかける。

ξ;゚⊿゚)ξ「な、なによ」

('A`)「やばい」


404 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:36:01 s0te4e06O
ξ゚⊿゚)ξ「えっ……」

('A`)「やばい、俺達」

ξ;゚ー゚)ξ「……うん?」

( ><)「ぼ、僕もがんばるんです!ギコさん!何か手伝うことがあれば言ってくださいなんです!」

(,,゚Д゚)「んなもんいらねぇよ。余裕だろ」

ストレッチをしながら、声のするほうを一切向かずに言い切る。ビロードは肩を落としながら一歩下がった。同時に、アサピーが一歩前に出る。

(-@∀@)「さぁ、両者共に準備が整いましたね!それでは参ります!シベリアかけっこ!しぃさんお願いします!」

(*゚ー゚)「ではお二人とも構えて……」

(*゚ー゚)「スタートです!」


405 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:36:50 s0te4e06O
〜〜〜

\xAD庾\xF4(;;;;;;゚A゚)「ぜえええはぁあああぜええはぁあ」

(*-@∀@)「試合終了!!0対10でギコギコ選手の勝利です!!」

(;-@∀@)「スーパードックンは一度も回答することなく完封負け!!」

(*;゚ー゚)(距離にして一回20メートルくらいなのに……すごくバテてるわ)

(;;゚A`)「はぁはぁ……ごほ!ごほ!ごほほ!!」

ξ ⊿ )ξ「あぁ……そっか、終わっちゃったか」

(;;゚Ω゚;)「ひぃーーはぁーーーひぃーーーはぁーーー」

ξ ⊿ )ξ「ねぇ、スーパードックンさん。終わっちゃったわね」


406 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:37:30 s0te4e06O
(゚A゚)「う、うっぷ」

ξ ⊿ )ξ「悔しいのはわかるわ、でもね、私は──」

(゚A゚)「……ツン」

ようやく口にしたのは彼女の通称。短すぎて心中を察せない。

ξ-⊿-)ξ「……なによ、わかってるんでしょ。気持ちはわかるわ、言いたいことがあるなら言って」

察せないから良かった。これから彼女が為すことは、彼をさらに追い詰めるかもしれないことなのだから。

ξ゚ー゚)ξ「ここまで来たよしみよ。恨み言くらい、聞いてあげる……」


407 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:38:39 s0te4e06O
自身の目的のため。くだらない仲間意識を捨て、少しでもあがくか。

ここまで来たパートナーのため。そんなプライドを捨てて退場するか。

揺れ動く心に決心をつけたのは、どちらにせよ、原因であるドクオの──

(;'ο`)「おええぇえぇぇええ」ビチャビチャ

(;'∀`)「わりぃ……ティッシュ……もっと貸しておええぇ」ビチャビチャ

ブサイクな笑顔とキレイなナイアガラだった。

このあと、ツンはセコンドルールの権利を利用し、選手へと返り咲いたが敗退。

ドクオはスーパーゲロオとして、世間に名をとどろかせた。

おわり


408 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:39:27 s0te4e06O
第二部 第十二話 take2

↓別に色を合わせているわけではありません。あしからず。

これはセルリアンブルー

タイム3秒01

ん、ピーコックグリーン。

タイム2秒57

ちょっとプルシャンブルーだな。いやヘリオトロープのほうがしっくりくるか。

タイム2秒87

あー、バーミリオン……スカーレット?

タイム2秒34

えー、スレートグレイ……だと思う。

タイム2秒74

おっと、ジョンブリアンか。ローシェンナかと思ったぜ。

タイム2秒45

ギコハハハ、バーントアンバー、いやネープルスイエロー……ちょっとあれだな。

タイム2秒33

あれ、これなんて名前だっけ?

タイム4秒13

──ビロードに聞いてみるか。


409 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:40:17 s0te4e06O
〜〜〜

(,,゚Д゚)「なぁ、ビロード、アプリコットショコラって……」

(; ><)「ぎ、ギコさん!?」

(*-@∀@)「スーパードックン正解!!10対8!!なんとか逃げ切りました!!」

('A`)「っしゃぁ!」

ξ゚⊿゚)ξ「やった!」

(,,゚Д゚)「あ」

( ><)「あ」


410 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:40:59 s0te4e06O
(# ><)「ギコさんなにやってるんですか!何がアプリコットショコラですか!髪色がどうしたんですか、わかんないです!!」

(,,;^Д^)「いや、まぁ、その……ぎ、ぎこははは」

( 。><)「負けちゃった……んです……」

(,,゚Д゚)「ビロード、一つ教えてやる」

( ><)「なんですか?」

(,,-Д゚)「『色』ってのはな……『色々』あるんだ。わかるか?」

( ><)「わかりたくもないんです」

(,,*^Д^)「ギコハハハ」

おわり


411 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:42:06 s0te4e06O
第二部 第十二話 take3

↓なんにも考えてません。あるがまま。

(#'A`)「もういい、くそったれ。俺はあんたが大嫌いだ」

(#-A-)「いくぜ、クソ坊主。人の痛みも知らないエセ強者に本当の『強さ』を教えてやる」

(#゚A゚)「このスーパードックンがな」

ピシッ

('A`)「おい」

ピシッ

('A`)「わかってんだよ」

ピシッピシッ

(-A-)「空間の歪み……『窓』の住人さんよ」

ピシッピシッピシッ!!

('A`)「出て来い、俺はあんたと話がしたい」

ガラララ!!

|::━◎┥「なぜ、気づいた」


412 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:42:52 s0te4e06O
|::━◎┥「平行世界の存在は、この空間において認知できない。アカシックレコードにも、知恵のリンゴにもそのようなコードはない」

|::━◎┥「なぜだ、答えろ。……ドクオ・ルシアント」

('A`)「その名前で呼ばれたのは200年ぶりだな、『窓』の住人。ほんと、嫌気が差す」

|::━◎┥「まさか……記憶を……?取り戻したとでもいうのか?」

('A`)「ああ、あんたの存在を認知できるトリガーワード……あんだけ言って、世界に影響があれば俺の記憶くらい戻るさ」

|::━◎┥「パンデミックタワーでの決着……貴様の記憶は完全に封じることができたはずだったが、うかつだったということか」

('∀`)「どうかね?まぁ、なんにせよ……ケリつけにいくんだろ?」

('A`)「厄神イレギュラーをぶっ潰すためによ」


413 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:44:00 s0te4e06O
|::━◎┥「……今はまだ、そのときではない」

(;'A`)「なに?」

|::━◎┥「巫女の復活……冥府に堕落した存在が現世に帰結しない限り、イレギュラーを抹消することはできない」

('A`)「……ちっ……じゃあどうするんだよ」

|::━◎┥「次だ」

('A`)「次?」

|::━◎┥「次回、我々が邂逅したとき、世界は動く」

(-A-)「それが世界の選択……ってやかましいわ。わかった次だな」

|::━◎┥「今はまだ、その刻ではない……」

('A`)「オーライ、帰っていいぜ。どうせ俺の記憶はあんたが戻ったらまた消える。だろ?」

|::━◎┥「そうだ。しばしまて……ドクオ・ルシアント」


414 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:44:48 s0te4e06O
〜〜〜

(;-@∀@)「スーパードックン?大丈夫ですか?」

('A`)「え?」

(-@∀@)「再戦のルール説明を始めますが……よろしいですか?」

(;'A`)「あ、ああ。頼む」

(;-A-)(ボーっとしてるな……気をつけよ)

つづく


415 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:45:41 s0te4e06O
第二部 第十二話 take4

↓書き終わって気づいた。これラブコメじゃねぇか。

lw´‐ _‐ノv「おーやってるやってる」

( ФωФ)「全く……起きたと思えば彼の試合を見ると聞かないのだから……」

lw´‐ _‐ノv「いいじゃん、そんな時間かからないし。もう今日の仕事休みって感じだし」

(# ФωФ)「何を言っているのであるか!まだ山ほどの稟議書や申請書が──」

lw´‐ _‐ノv「あ!ドクオとツンさんが何か話してる!こりゃこいつの出番だ」カチャカチャ

( ФωФ)「ぬぅ……ん?理事長、それは」

lw´◎ _◎ノv⊃┏「双眼鏡と指向性マイク。ロマの分もあるよ」


416 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:46:25 s0te4e06O
(; ФωФ)「な、なにをするつもりであるか……?」

lw´◎ _◎ノv⊃┏「決まってるよ、ドクオのセリフを聞くんだよ。研究のために」

( ФωФ)(それは研究ではなくある意味盗聴の域に入るのでは……そもそも研究の題材が……というかどこから出したのだ、それ)

lw´‐ _‐ノv「ほら、ロマも見なさい聞きなさい。そしてこれは理事長命令です」

(; ФωФ)「……」

(; ◎ω◎)⊃┏「……」

lw´◎ _◎ノv⊃┏「どれどれ、何はなしてんだろ」


417 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:47:16 s0te4e06O
───

('A`)「ツン」

ξ;゚⊿゚)ξ「な、なによ」

('A`)「やばそうになったら、助けてくれよ」

ξ゚⊿゚)ξ「えっ……」

('∀`)「勝つんだからな、俺達」

ξ゚ー゚)ξ「……うん!」

───

lw´◎ _◎ノv⊃┏「おお、さすが未来の旦那。フォローってるね。うんフォローってる」

(; ◎ω◎)⊃┏「なるほど、自身が最も緊張しているにも関わらず、仲間のことを思いやるとはさすがであるな」

lw´◎ _◎ノv⊃┏「フォローってるなぁ、フォローってる」

(; ◎ω◎)⊃┏「り、理事長?」


418 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:48:32 s0te4e06O
───

ξ゚ー゚)ξ「いい感じね」キャッキャッウフフ

('A`)「そう見えるか?」キャッキャッウフフ

───

lw#´◎ _◎ノv⊃┏「フォローってるなぁ……!心が通いあってんじゃねぇのあれ……!」

(; ◎ω◎)⊃┏(怒りにも似た何かを感じるのである……話題を変えるべきか)

(; ◎ω◎)⊃┏「ぬっ!ギコギコが追い上げてきたぞ。やはり現役時代を知っている我輩からすればこれは」

lw##´◎ _◎ノv⊃┏「おい!!おいおいおい!!」


419 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:49:31 s0te4e06O
───

('∀`)「わりぃな、負けちまった」

───

( ФωФ)「なんと、彼が負けてしまうとは……仕方あるまい、勝負は時の運もある──」

lw´  _ ノv「……」

(; ФωФ)(しまった、今の理事長にこの言葉は非常によろしくないのである。なんとかせねば)

( ФωФ)「し、しかし彼もここまでよくがんば」

lw´# ゚ _ ゚ノv「なんだよあの笑顔!!私に見せろよくそったれ!!」

(; ФωФ)(そこであるか!?)

( ФωФ)「り、理事長、それよりもドクオ君が負けてしまったほうが」

lw´#‐ _‐ノv「あんないい笑顔見たことねぇよ!!クソが!!こんなことならキヤノンのLレンズ1200mm持ってくりゃよかった!!」


420 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:51:16 s0te4e06O
(; ФωФ)(確かメーカーサイトで見た時は1000万円ほどするバズーカレンズだった……どうやって持ち運ぶ、いや、むしろどうやって買った……いやいやそんなことはどうでもいい)

( ФωФ)「お、落ち着きたまえ!」

lw##´◎ _◎ノv⊃┏「落ち着いてられるかくそったれぇ!!ん、なんだ、今度はなにを話してんだ!?」

───

(,,゚Д゚)「てめぇはてめぇだけで戦った。だから負けた。いくらそこのダメなゲームオタクとはいえ、有効に使わなかったから負けたんだ」

ξ#゚⊿゚)ξ「ちょっと──!」

('A`;)「よせ、ツン」

───

lw#´◎ _◎ノv⊃┏「今、触ったよ!?ツンさんの体さわったよあいつ!!」

(; ФωФ)(め、面倒くさいのである。話題を変えるため……我輩ももう少し彼の話を聞くべきか)


421 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:52:06 s0te4e06O
lw´‐ _‐ノv「なにちょっと」

lw´´ A`ノv「『お前の怒りはもっともだ、でもこの場は退け。俺が代わりに受け止めてやる』」

lw´#‐ _‐ノv「的なことしてんの!?」

lw´#‐ _‐ノv「なんなの!?なんなの超震動!?」

(; ◎ω◎)⊃┏「理事長!それよりも今のセリフを聞いたであるか!?」

───

ξ-⊿-)ξ「イーサン代表である津雲レイはギコギコ選手ともう一度戦うためにセコンドをやめて!」

ξ゚⊿゚)ξ「スーパードックンを復活させる!!」

───

( ◎ω◎)⊃┏「セコンドの津雲レイが彼を復活させるようである!やったであるな、りじ」

lw´◎ _◎ノv⊃┏「てめぇ、クソビッチがぁあああ!!」

(; ◎ω◎)⊃┏「えぇ……」


422 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:53:28 s0te4e06O
───

ξ゚⊿゚)ξ「スーパードックンさん」

(;'A`)「は、はい」

ξ゚⊿゚)ξ「私は、最初に会ったとき、あなたのことが嫌いだった」

(;'A`)「……」

ξ-⊿-)ξ「口は悪い、顔も悪い、タバコ臭いし、不潔。ほんと、気持ち悪い」

ξ-⊿-)ξ「おまけに人の気持ちに鈍感で、気を使えないし」

(;'A`)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「でもね、なんていうか。戦ってる姿は、その──嫌いじゃないっていうか」

('A`)「……」

ξ;゚⊿゚)ξ「か、勘違いしないでよね!べ、別にそれがカッコいいとか思ってないんだから!!」


423 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:54:12 s0te4e06O
(;'A`)「は、はぁ」

ξ゚⊿゚)ξ「だからね。私の分まで戦って、勝って欲しいの」

(;-A-)「でも、あんただって目的が……優勝したいんだろ?」

ξ゚ー゚)ξ「私の目的は色んな人にイーサンの文化を知ってもらいたいだけ。実際、ここまで来たからほとんど達成できてるわ」

ξ-⊿゚)ξ「それに、あなたが優勝してくれればもっとハクがつく。イーサン代表の津雲レイは、あのスーパードックンのセコンドだった……ってね」

('A`)「ツン……」

ξ゚ー゚)ξ「VIPテレビはスーパードックン。忘れないわ」

('∀` )「俺も忘れねぇよ。またゲームで対戦しようぜ」

ξ*^ー^)ξ「うん!」

───


424 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:54:55 s0te4e06O
lw´^ー^ノv「『うん!』」

lw´ ゚ _ ゚ノv「じゃねぇよ!!なに次のデート約束しましたぁ、私幸せ!みたいな感じになってんだよクソが!!」

(; ◎ω◎)⊃┏(ここまで思い込みが激しいと彼も大変であろうな……)

lw´#‐ _‐ノv「ざっけんじゃねぇぞ、落として上げやがって!!惚れてまうがな!ドクオもなにちゃっかり忘れねぇとか言ってんだよ!!うらやましい!!」

(; ◎ω◎)⊃┏「ま、まぁまぁ……ほら、津雲レイも退場したことであるから、ここからは彼の独壇場である」

lw´#‐ _‐ノv「ふぅふぅ……!!」

lw´;‐ _‐ノv「そうだね、ごめんロマ。ちょっと取り乱しちゃった」

(; ФωФ)(ちょっと?)

lw´*‐ _‐ノv「あー、はらわたが煮えくり返った♪誰かいじめたいなぁ!ねぇロマ!」


425 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:56:11 s0te4e06O
( ФωФ)「いい加減にするのである。ほら、再戦に集中して──」

トコトコ o川*゚ー゚)o「あ、シュー姉!」

lw´‐ _‐ノv「あら、アホ?」

\xAD堯福:共悋供法覆瓩鵑匹唎気修Δ陛曚ⓜ茲茲辰拭Ą€\xCB

o川*^ー^)o「杉浦さん、こんばんは!一緒に観戦してたんだね!」

( ФωФ)「うむ、こんばんは。それよりも良いのかね、変装もせずにここにきて」

o川*゚ー゚)o「大丈夫!オーラ消してるから誰も気づかない!」

(; ФωФ)「そ、そうであるか……」

( ФωФ)(素直キュート……理事長の姉妹であるな。全く、タイミングの悪いときに)

lw´‐ _‐ノv「ねぇ、アホ。ヒーちゃんとクーちゃんは?」

o川*;゚ー゚)o「二人とも先に行ってるって!私は、そのぉ、えっとぉ」

lw´‐ _‐ノv「ん、なにかなぁ?」

o川*//ー/)o「す、スーパードックンの試合を……見てから帰ろうかなって」


426 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:57:13 s0te4e06O
(; ФωФ)「……」

lw´*‐ _‐ノv「あーー!そーなんだーー!じゃあ一緒に見ようか!」

o川*^ー^)o「う、うん!見よう見よう!」

lw´*‐ _‐ノv「じゃ〜あ〜、あっちがぁ、人も少ないからぁ、移動しよっかぁ!」

o川*゚ー゚)o「え、うん。本当だ、誰もいないね。杉浦さんはいいの?」

(; ФωФ)「わ、我輩はここで見ているから気にせず行ってくるといい」

o川*^ー^)o「うん!いこっ、シュー姉!」

lw´‐ _‐ノv「おう、いひひひひ!」


o(゚ー゚*川o≡ テクテクテク

 lw‐ー‐`ノv≡ テクテクニヤッ……


427 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 02:57:59 s0te4e06O
(ФωФ )「……」


┓⊂(ФωФ )「……」オラ チョウシノッテンジャ ネェゾ!! イタイ! ヤメテヨ シューネェ! ファンネル ヒッパッチャダメェ!!


(ФωФ ;)「……」


( ФωФ)「……」


( ◎ω◎)⊃┏「……」


( ◎ω◎)⊃┏「……あ、勝ってたのである」


おわり


428 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 03:02:13 s0te4e06O
今回は以上です。薄口で箸休め。メインディッシュは……頑張って早く仕上げます!毎度ながら、遅くなったらごめんなさい。

では、おやすみなさい。


429 : 名も無きAAのようです :2013/10/20(日) 03:09:03 78OkCV3Q0
薄口醤油を倍かけたらおんなじだってばっちゃが言ってた乙


430 : 名も無きAAのようです :2013/10/20(日) 03:56:56 JSATmhbsO
ツンがセコンドを辞めるということに疑問があったが 
前スレ882を見て納得した、ツンはセコンドの敗者復活の権利を('A`)に譲ったのね


431 : 名も無きAAのようです :2013/10/20(日) 11:59:55 oKhkkoFI0
ドクオモテモテだな乙


432 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/20(日) 23:35:03 s0te4e06O
ご報告

・ブログの更新は火曜日辺りに延期になりました。ごめんなさい。今さらながら、まとめブログを継続する方ってすごいと思った。

・次回本編は10月中を予定しています。今度こそ、報告通りに……

では、おやすみなさい


433 : ◆8UONaKUB6Y :2013/10/31(木) 22:02:30 YeZGFfHEO
もう10月が終わってしまう…間に合わない!

ご報告

・本編は、もう少しで仕上がります。
・ブログも、もう少しで仕上がります。

年末に向けてばたついてますが、私は元気です。急げ、投下!


434 : 名も無きAAのようです :2013/10/31(木) 23:16:09 IQ2tWc8M0
全然待つぜー


435 : 名も無きAAのようです :2013/11/01(金) 01:29:55 bdQORBmw0
待ってます


436 : 名も無きAAのようです :2013/11/01(金) 06:00:17 tgdqYuTE0
待ってなんかいないんだからね!


437 : 名も無きAAのようです :2013/11/01(金) 07:32:02 AVLj9X7g0
定期報告があれば待てます・・!たとえ年が明けても待ちます!!


438 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:25:18 AEH5MxbUO
>>429
ありがとう、ナイスフォロー!つまり、NGをもっと書けばしょうゆも侮れないわけですね!辛くて飲めなくしてやる!

>>430
良かった、納得してもらえて!
はい、仰る通りドクオが予想した敗者復活の権利をツンは譲ったわけです。もう少しでスーパーツンちゃんのようですになるところでした。

>>431
ドクオには既にヒロインがいますからね。クーでもキュートでも、シュールでもない、そう我らがカーチャ……

>>434 >>435 >>436 >>437
やだ、嬉しい……お待たせしました!年明け前には完結させたい!

今回は繋ぎです。短い。


439 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:26:24 AEH5MxbUO
ξ゚⊿゚)ξ「ただいま戻りました」

深呼吸をしてノックを三回。入室を促す声が聞こえたツンは、各国のスポンサー用に設けられた控え室のうち、自国のドアを開いた。

(=゚ω゚)「……」

中にいるのは伊予。壁にかかったモニターには試合の状況が映し出されていて、木製の机を挟んで並ぶ二つのソファーのうち、奥の方に彼は座っている。

視線をモニターから入り口に移した彼は、口を開かない。

ξ-⊿-)ξ「……」

浮かない顔をしながら、一歩ずつ前に出て、彼に頭を下げるツン。彼女を知る者がこの光景をみればいささか驚くだろう。

ξ ⊿ )ξ「申し訳ありません。国を代表しての出場で、このような結果に……」

(=゚ω゚)「ツン」

ξ ⊿ )ξ「はい」

(=゚ω゚)「僕はがっかりしたよぅ。まさか負けるとは思ってなかったよぅ」


440 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:27:05 AEH5MxbUO
頭を下げたまま、言葉を聞く。語調は穏やか。しかし、表情がわからない以上、姿勢は変わらない。

ξ ⊿ )ξ「……」

(=゚ω゚)「でも、負けは負けだよぅ。頭を冷やして考えてみれば、アイデアが浮かんだよぅ」

ξ゚⊿゚)ξ「えっ?」

そうして、反射的に伊予の顔を見た彼女は不意をつかれたように呟いた。こちらを見て微笑んでいる。

(*=゚ω゚)「次の新作ゲームだよぅ。クイズにしようかと思うよぅ」

ξ;゚⊿゚)ξ「は?」

乱れた髪を手櫛で直すこともせず、あっけにとられているツンに、伊予は続ける。

その姿はシベリア賭博で見せた狼狽とは打って変わって、落ち着きに満ちていた。むろん、そんなことなど知る由もない彼女は、途中で会話を遮る。


441 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:27:59 AEH5MxbUO
(=゚ω゚)「それについて、あのスーパードックンに監修してもらうのもいいかと思ってるよぅ。もちろん、ツンと協力して──」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ、ちょっと待ってください!私は……負けてしまったのです!」

ξ;-⊿-)ξ「みんなの期待を背負って、代表として、弱いところを見せずに……」

ξ; ⊿ )ξ「結果として私は……」

(=-ω-)「個人的な判断でセコンドを辞めた、かよぅ?」

ξ ⊿ )ξ「……っ」

立ち上がった彼との目線は同じ。されど、経営者然としたその態度に姿勢を正す。

(=゚ω゚)「さすがにびっくりしたよぅ。変なルールだとは思ってたけど、そんな方法が適用されるとは。でも、そうしたことが良かったか悪かったかは、それこそ結果次第だよぅ」


442 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:28:39 AEH5MxbUO
(=゚ω゚)「どちらにせよ、現時点でツンがとった行動は間違ってないと僕は思うよぅ。正直、あのギコギコに勝てる自信はなかったよぅ?」

問われ、回想する。圧倒的な強さを持った対戦相手。勝つか負けるかで言えば、間違いなく負けていた。

そんな強敵を、自分の思いを託し、倒すことができたのは、まぎれもなく自身の信じた行動がもたらした選択。

脳裏に過ぎる不細工な顔を思い出し、少し落ち着いた彼女は首を縦に振った。

ξ゚⊿゚)ξ「……はい」

(=゚ω゚)「なら、いいんだよぅ。まぁ変な話だけど、正直なところ、二回負けるよりずっといいよぅ」

ξ゚⊿゚)ξ「……しかし、なんのペナルティもないというのは」

それでもツンは彼に詰め寄る。伊予の会社にいる全てのスタッフの期待、ひいては国を代表した責任。


443 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:29:17 AEH5MxbUO
一回戦目の敗北はもとより、自らその重圧を解き放ってしまったことへの謝罪を、伊予はさせてくれない。

(#=゚ω゚)「あー、めんどくさいよぅ!僕が言いたいのは」

(=^ω^)ノ「おかえり、ツン。よくがんばったよぅ」

ξ ー )ξ「……イーサン代表、津雲レイ。ただいま、戻りました」

気高く、誰をも寄せ付けないような強さを持ったツンの肩に伊予は片手を乗せて笑う。彼にとって、ツンが取った行動は、なによりもイーサン代表として正しかったと心得ているから。

(=゚ω゚)「ところで……ヒッキーがどこにいるか知らないかよぅ?」

手を戻し、話を変える彼。眉間にシワを寄せる。

ξ゚⊿゚)ξ「えっ、小森ひかるですか……?確か、本選一回戦目で倒れて運ばれてからは医療センターにいるはずでは?」

思い出したのは本来ならシュールと戦うはずだった時のこと。呆れて物も言えなかったことを覚えている。


444 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:29:59 AEH5MxbUO
(;=゚ω゚)「いよぅ……看護師から連絡が入ったんだけど、いないんだよぅ」

ξ;゚⊿゚)ξ「いない?」

ため息をつくのはスポンサー。肩をすくめながら話を続けた。

(=゚ω゚)「あいつは特別だったからよぅ、今回のシベリアに出場することだってネットでの投票がやたらと来たからだし」

ξ゚⊿゚)ξ「私は最初から出場が決まっていましたが、彼は人気投票で選ばれたんですよね。おそらく組織票でしょうけど」

伊予はうなずく。ツンの他にもう一人を選出するため、インターネットを用いた投票サイトを設立したことは良いのだが、結果は大差をつけて小森ひかるがトップ。


445 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:30:30 AEH5MxbUO
組織票の疑いが持たれたが、彼の得意分野であるネット上の意見を反故にすると面倒だと判断した幹部達は、そのまま彼を代表として出したのだった。

さすがに睡眠不足で倒れてしまい、あまつさえ行方がわからなくなっている現状に、二人は呆れかえっている。

(゚ω゚=)「まぁいつものように誰かもわからないヤツとネットで遊んでるとは思うけど……」

(-ω-=;)「全く、どこでなにしてるんだよぅ、あの『ギーク』は」


446 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:31:21 AEH5MxbUO
〜〜〜

暗闇の森は、たとえ遠くに明かりが見えようと、未開のジャングルを想像させる。

きらめく人工物を目印に足を進めるのは、木から降りた一人の男。

まるで着の身着のまま、遭難してしまったようなその格好は、腕に抱えるノートパソコンが歪に見えるほど不自然な姿だった。

( -_-)「さて、そろそろ待機しに戻るか」

ボロボロのスニーカーはもはやどこのメーカー品か分からないほどに掃きこまれていて、華奢な体を運んでいく。

道中、上を向いて呟く。

(;゚_゚)「暗いなぁ、めんどくさいなぁ。なんで僕がやらなくちゃいけないんだろ」

( -_-)「あーでもWじゃ無理か。僕じゃないとできないんだもんね」


447 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:32:08 AEH5MxbUO
(;-_-)「でもみんな、Wで通じたかなぁ、Mの方が分かりやすかったかなぁ」

誰もいないのだから誰にも聞こえないと判断したのだろう、少し大きな独り言が終わると、間の抜けた顔であくびをし、目をこすった。

(;-_-)「まぁ、いっか。あーねむた。伊予さんやツンさんにも謝らないとなぁ……」

淋しそうな物言いは、勝手な行動への免罪か。

目を細め、頷きながら進む彼は、正規の入り口を通らない。壁に足をかけ、猿のように塀を越える。
そして気づかれることも、感づかれることもされずに再び、したらばテーマパークへと戻っていった小森ひかるは、医療センターに戻ることはなかった。


448 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:32:58 AEH5MxbUO
〜〜〜

(,,-Д゚)「ここは……」

目を開いたギコギコの視界に映ったのは真っ白な天井。上体を起こしておぼろげな意識を回復させる。

複数ある白いベッド、閉じられたベージュのカーテン。蚊の鳴くような音量しか発していないテレビ。

そして、無機質な部屋に咲く、どこか萎れたように見える一輪の花は猫背。

('、`*川「あら、お目覚めね。ずいぶん興奮してたみたいだけど、大丈夫?」

心なしか、表情は穏やかだが目が腫れていて、それが妙な色気を出しているペニサスは彼の前にあるパイプ椅子に腰掛けていた。

こうして話すことは初めてだったギコギコは、思い出すように呟いたので彼女が補足する。

(,,゚Д゚)「……あんたは、確か……」

('、`*川「ペニサスよ。ジョルジュ様の元セコンド。色々と疲れてたからここで休んでたところにあなたが来たの」

敬称に面食らったことは悟られない。ペニサスとジョルジュの違いを知らない彼はそこに疑問を抱いた。


449 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:33:32 AEH5MxbUO
(,,゚Д゚)「元?」

('、`#川「ふられちゃったのよ。言わせんな恥ずかしい」

(,,-Д-)「……すまん」

不思議と、試合中の不遜な態度が嘘のように思えるほど落ち着いているギコギコを見てペニサスは笑った。

だから、ジョルジュに対する想いを少しでも紛らわせるように会話をしようと言葉を並べようとする。

果たしてそれは続かなかったが。

('、`*川「あなたの活躍、ここのテレビから見てたわ、ほんと──」

(;,, Д )「ジョ……ルジュ!」

('、`;川「だ、大丈夫?」

頭を抱え、息を整えていく。突然の変化に動揺するのは対面しているペニサス。安否を伺う。


450 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:34:12 AEH5MxbUO
(,, Д゚)「はぁ……はぁ……ああ、大丈夫、だ」

('、`*川「そう?あんまり大丈夫そうには見えないけど」

(,,-Д-)「あんた、よくあの男のセコンドで居られたな」

首を振って否定を表すと同時に、皮肉を込めた苦言を呈する。体調を気遣っていた彼女だったが、想い人の話題が優先。嬉しそうに答えた。

('、`*川「えっ、そりゃあんなにかっこよくて渋い人なかなかいないし」

(,,゚Д゚)「そうじゃねぇよ。まぁ、その様子だと本当の顔を見たわけじゃねぇみたいだな」

意味深な言葉は自身だけが知る、倒れる前の瞬間を意味している。ドクオに怒りをぶつけようと拳をあげた、あの瞬間を。

活躍を見ていたというのならば、言外の意味を取ることができるだろうと思い、同時に返ってくる言葉は否定だろうと感じたギコギコは意表を衝かれた。

(-、-*川「……確かにね」


451 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:35:01 AEH5MxbUO
(,,゚Д゚)「?」

('ヮ`*川「普段は妙に飄々としてて何を考えてるのかわからないけど、なんていうか……ちょっと冷酷?」

彼女自身も、短時間ではあるがジョルジュと行動を共にした身。かつ、ここにいることができるということは、少なからず聡明な頭脳を持っていることであるといえる。

冷静な分析から出された冷酷という、字面とは裏腹な間の抜けた言い方に彼は鸚鵡返しする。

(,,゚Д゚)「冷酷」

('、`*川「ご、ごめんなさい。変な表現ね」

(,,-Д゚)「いや、あながち間違ってねぇかもな」

('、`*川「えっ?」

腕を組んで目を瞑る。ゆっくりと思い返しながら言った。


452 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:35:43 AEH5MxbUO
(,,゚Д゚)「頭に血が昇って、あのヒョロ男を殴ろうとしたとき、あいつに止められただろ」

('、`;川「え、ええ」

(;,,゚Д゚)「動かなかったんだよ、腕が。これでも鍛えてんだがな」

('、`*川「……それだけで、どうして冷酷だなんて」

自分で言っておきながら質問するのは、言葉の綾というニュアンスで取り繕ったペニサスに対して、ギコギコのそれは真逆に聞こえたから。

剣呑な口調は、彼女を見るまっすぐな目からも受け取れるほどに危険に思えてきて、表情が強張る。

(,,゚Д゚)「見たんだよ、その時」

('、`*川「なにを……」

(,,-Д-)「あいつの『顔』をさ」


453 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:36:18 AEH5MxbUO
('、`*川「顔?」

ここでギコギコは完全に記憶を思い出す。会場の熱気、司会の悲鳴、対戦相手の怯えた目。

彼の特殊な能力である共感覚が色を結び付けていけば、そこにあるものは全てネガティブで暗い感情を含んだもの。

(,, Д )「多分だけどよ、あいつ──」

ただ、一つだけ明らかに場違いな色があったことを思い出した彼は、先ほどの動揺に納得してようやく言葉にする。

(,,゚Д゚)「人を殺してる」

それは高揚や怒気、焦燥や落胆の類いではない。

ジョルジュに見えたその色は、とても明るかった。

スーパードックンのようです
第十三話はじまるよ!


454 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:37:08 AEH5MxbUO
〜〜〜

(* ^Д^)「ついにここまできたっすね!」

(*゚∀゚)「どっちのサインが手に入るか楽しみ!」

(´・_ゝ・`)「こら、仕事しろ」

決勝戦の段取りを確認しながらいつもの無駄話を続ける二人をたしなめるのは彼の役目。

デミタスが咳払いをして、またいつものようにそれを見ている内藤に話しかける。

(  ω )「……」

(´・_ゝ・`)「プロデューサー」

( ^ω^)「ん、お」

準決勝再戦を事実上、決定させた張本人はどこか上の空。

椅子から立ち上がって会場に目を向けたので、その背中に彼は言う。

(´^_ゝ^`)「英断でした。この盛り上がりをみれば、誰もがそう思います」

( ^ω^)「そうかお」

(´^_ゝ^`)「はい」


455 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:38:06 AEH5MxbUO
短いやり取りの後、ため息と同時に手で額を覆い、疲労と一緒に吐き捨てる。

( ^ω^)「ふー……俺もヤキが回ったお」

(´^_ゝ^`)「そうですね」

ここまでやる気のない相づちに、ようやく振り向いた内藤は、やはりいつもの笑顔で嫌味を続けた。

それですら、また慇懃な態度にかわされる。

(^ω^ )「それもこれも、お前のせいだお、デミタス」

(^ω^ )「お前がそこまで言うからだお、全く」

(´^_ゝ^`)「褒め言葉として受け取っておきます」

( ^ω^)「ふん」

ドクオの決勝進出はデミタスにとっても個人的に喜ばしかった。

一年前の戦いは彼の価値観を多少なりとも塗り替えるほどに痛烈で痛快。だからこそこれからを懸念する。


456 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:38:45 AEH5MxbUO
(´・_ゝ・`)「ですが、プロデューサー。決勝は」

( ^ω^)「わかってるお。ここまで来ると、本当にもうどっちが勝つかわからないお」

(´・_ゝ・`)「はい。一年前を思い出しますね」

( ‐ω‐)「そうだおね。因果なものだお」

言葉通り、内藤も少なからずドクオのことを考えている。

しかし、それは彼らのような単純に応援したいという気持ちとはまた違っていて、そう思えるような少年の心は既にない。

( ^ω^)(デミタスの言う通り、数字面での心配は全くないお)

( ^ω^)(社長からすればジョルジュ、現場からすればドクオの優勝を願っている)

( ‐ω‐)(僕は……)


457 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:39:20 AEH5MxbUO
彼にとってのドクオは一つのきっかけである。

沽券に関わる、矜持をかけた願掛け。

( ^ω^)「なぁ、デミタス」

(´・_ゝ・`)「はい?」

( ^ω^)「一年前の見極め、この試合が終わったら言うお」

(´‐_ゝ‐`)「……承知しました」

あの日、酒の席で話したことを二人は覚えている。それはいわば、どちらかに転がる危うい二択。

ともすれば彼が一番、子供のような気がしたことを、デミタスは最後まで言わなかった。


458 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:40:01 AEH5MxbUO
〜〜〜

賭博会場から出ていた諸本と茂良は、富士の最上階から少し離れた喫煙所にいた。

複数ある入り口の警備員に話をつけ、中に入れば空調の効いた六畳ほどの空間。

一つだけではないそのスペースは、聞かれたくない話をすることに適している。

(´・ω・`)「大した交換条件だったね」

( ・∀・)「はい……まぁ、当然といえば当然でしょうか」

壁にかけられた薄型のモニターには、既に決勝進出のテロップと共に、ドクオとジョルジュの情報が編集され流れていた。

準決勝が終わって、ツンの宣言が会場にこだましたとき、真っ先に無線機を取り出し、荒巻に伺いを立てたのは茂良。

その許可が出ると同時に、かかってきた連絡を内藤に任せたのは諸本。

人知れぬところで試合の進捗は進んでいた。


459 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:40:44 AEH5MxbUO
(´・ω・`)「我々と共に決勝戦を間近で見ることを条件に、彼の復活を許可するとは」

( ・∀・)「怒ってるんでしょうねぇ、荒巻理事。なんせ100億ですから」

茂良が再戦についての許可を得る際、荒巻が出してきた条件とは、自身も会場に赴くというものだった。

それは決して、最終戦での盛り上がりに期待しているわけではなく、ましてや茂良の賭けに意見するためのものでもない。

ただ、このままなめられた状態ではいられないというわがままは、遠まわしに二人──対戦者達も含め──へのプレッシャーを意味している。

いつもの余裕を見せる若者は汗をかき、しょぼくれた顔は肩をすくめた。


460 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:41:24 AEH5MxbUO
(´・ω・`)「君は本気でとるつもりかい?」

( ・∀・)「まさか。ただのゲームですよ」

(´-ω-`)「フッ……そうかい。なら」

(´・ω・`)「どうしてそこまで彼を応援する?」

そうして、とたんにその顔が少しきつくなると、茂良は焦りを隠せない。

(; ・∀・)「それは、あれですよ。面白いからです」

(´・ω・`)「……」

(* ・∀・)「一見すると凡人か、それ以下に見える人が、絶対に勝てないだろうっていう天才や超人に勝つって燃えません?」

たとたどしく聞こえる言葉すら演技ではないのかと疑ってしまうほど、大きな体から見下ようにしていれば、よく舌の回る華奢な男の話は拙い。

(´・ω・`)「……水戸黄門か」

( ・∀・)「そうそう!それです!昔から好きなんですよ、そういうの。だから僕は彼を応援してるんですよ」

話し終えた彼に一拍置いて、納得したそぶりを見せた諸本はある決心をした。


461 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:42:08 AEH5MxbUO
懐から取り出したのは、ダンヒルのガスライター。色はゴールドプレートカラー。

そして同じく手に持ったアルミのシガレットケースから一本、フロンティアを口に咥える。

(´・ω・`)「そうか……わかった」

(´-ω-`)「じゃあ私も昔話をしようか」

( ・∀・)「昔話ですか?」

(´・ω・`)「ああ。ジョルジュと私の関係だ。気になるだろう?」

(* ・∀・)「わぁ、聞きたいです!」

言って、茂良もカランダッシュのシルバーカラーを取り出し、また同じくアルミのシガレットケースから一本、口に咥えた。

ガスの抜ける音が止む頃に、その動作をじっと見つめてから諸本は火をつけ、思い返す。

(´・ω・`)「うん。タバコでも吸いながら、話そうか」

もう見えなくなったフィルター部分の銘柄を示す文字を頭の中で反芻しながら。


462 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:43:08 AEH5MxbUO
〜〜〜

八年前のイタリア、ナポリ。

喪服のような格好で、シベリア賭博の帰路を歩くVIPテレビ社長の諸本は、悩んでいた。

代表に就任してから、彼につく秘書たちは一月と持たないことを。

(´・ω・`)(確かに、優れた人材は腐るほどいる。が、それではダメだ)

(´・ω・`)(信用ではなく、信頼に値する人間が必要になってくる)

その全て、キャリアを持った優秀な人物たちだったが、その分、化けの皮が剥がれることの早さに辟易していた諸本は、黒いブリーフケースを持ち直しながら石畳を進んでいく。

(´・ω・`)(小ざかしいペテン師、頭だけの度胸なし……どいつもこいつも使えない)

(´-ω-`)(いっそ、自社から引っ張るか……?盛岡や内藤あたりはもう少し働かせれば使えるかもしれん)


463 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:44:07 AEH5MxbUO
彼の本業を支える業務とは別に、裏社会での活動も遂行できるほどの豪胆な人間など早々いない。

せいぜい、自分の会社で有能な社員を宛がうしか方法はないのではないかと、飛躍した考えに苦笑する彼は一人呟いた。

(´・ω・`)「ともあれ、今回のシベリアでは儲けさせてもらった」

(´・ω・`)「次回は……四年後か。時期が悪いな、目をつけられるとやっかいだ」

その呟きが不幸を呼んだのか。気がつくと目の前に数人の男達が行く手を遮る。人気のない道。

一様に、仕立てたスーツを着こなすそれらは、ここがファッションの町でもあり、マフィアの町でもあるという認識をさせた。

( ´∀`)「どうも、こんばんは」

(´・ω・`)「……」

( ´∀`)「諸本社長ですね」

(#´-ω-`)「……ちっ」


464 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:44:49 AEH5MxbUO
リーダー格の男は一歩前に出て、礼を失しない程度に流暢な日本語で彼に迫る。温和な表情は諸本を警戒させた。

( ´∀`)「そう身構えないでください。何も危害を加えるつもりはない。言うことさえ聞いてくれればね」

(´・ω・`)「ずいぶんと日本語の得意なカモッラだな。懐のふくらみは赤ワインか」

( ´∀`)「モナハハハ、これはこれは。上質なワインでね。極力空けないようにしているんです。道路が赤くなってしまう」

公儀には、イタリアマフィアに含まれる犯罪組織カモッラ。

一見して人の良さそうな男がそれと感じたのは、着こなしたスーツにあるまじき懐のふくらみ。

およそ、パーティーをする人間の持つ物ではないと確信した彼は続ける。

(´・ω・`)「用件は……シベリア賭博で得た金か」

( ´∀`)「ええ。全てを。すぐに」

(´・ω・`)「断るといったら」

( ´∀`)「ご冗談を。あなたほどの方がそんな選択をされるとは思わない」

(´-ω-`)「……」

威圧は続く。後ろに控える集団からの視線に耐え切れなくなってきた諸本は意を決し、ブリーフケースを地面に置いた。


465 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:45:33 AEH5MxbUO
(;´-ω-`)(まずいな……背に腹は代えられないか。これ以上シベリア賭博に参加することも危険ということかな)

出る杭は打たれる。今回のシベリアで得た賞金は、高い授業料だった。

そう納得せざるを得ない状況を一変させたのは、石畳に響く靴の音。

(;´・ω・`)「わかった、今、小切手を──」

  _
( ゚∀゚)「っと、ちょっと待ってくれないかい?」

(´・ω・`)「?」

(´∀` )「誰だ、貴様」

一斉に高圧的なそれを向けられたその男は、長い金色の髪をかきあげる。

長袖の白いカットソーをラフに着こなし、カーキ色のカーゴパンツを編み上げブーツに合わせたそれは、およそこの町に無頓着な人物に見えた。

だが、その彫の深い顔と端正なスタイル、そして美しい金色は見るものを一瞬、驚かせる。


466 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:46:10 AEH5MxbUO
  _
( ゚∀゚)「通りすがりのマジシャンさ。ちょっと血の気がしたもんでね」

(´・ω・`)(なんだ、この男)

( ´∀`)「マジシャン……?悪いが今、我々は忙しい。消えろ」

もっとも、なによりも驚くべきだったのは。

  _
( ゚∀゚)「嫌だといったら?」

(;´・ω・`)「よせっ!相手は──」

( ∀  )「死ね」

懐から取り出させたワインに酔わなかったことかもしれない。


467 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:46:53 AEH5MxbUO
〜〜〜

  _
( ゚∀゚)「……ふぅ」

(;´゚ω゚`)「な……なっ」

数分で地面に横たわったカモッラ達を尻目に、まるで軽いスポーツをした後のような息遣いを見せる金髪の男と、絶句するしょぼくれ顔。

  _
( ^∀^)「大丈夫かい?顔色悪いけど。ああ、別に殺してないよ、ちょっと気絶させただ」

(#´゚ω゚`)「ふざけるな!!相手を考えろ!イタリアマフィアに手を出したら、命は──」

  _
( ゚∀゚)「大丈夫だよ。俺は負けない」

(#´・ω・`)「だっかっらっ!!そういう問題じゃ」

  _
( ゚∀゚)「……」

(;´・ω・`)(なんだ……こいつの自信は……)


468 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:47:41 AEH5MxbUO
一時の暴力から逃れられたことに感謝するほど諸本は浅くなかった。日本でもこういった組織の人物に『勝って』しまうと後が恐い。

ましてや、カモッラなどのファミリーを持ったグループはそういった仲間意識がより一層顕著である。危惧するのは明日。

しかし、男はそんな心配など無用とばかりに、髪をかきあげて言った。

  _
( ゚∀゚)「こいつらは下っ端だよ。話はもうつけてある。安心していい」

(;´・ω・`)「ど、どういうことだ?」

  _
( -∀゚)「マジシャン兼、何でも屋って言えばわかるかい?こいつらのボスからちょっとした依頼でね。この辺りで赤いワインをこぼせって」


469 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:48:23 AEH5MxbUO
確かに、近年の事情で言えば一般の、ましてや観光客のような諸本を──多額を得るためとはいえ──組織の思惑として襲うことはまずない。

もちろん、それだけで男の言う言葉に納得したわけではなく、彼の妙に説得力のある態度に頭を冷やし、押し黙り、考える。

(;´-ω-`)「……」

  _
( ゚∀゚)「だから、誰も何も言ってこないよ。騒がせてごめんね。それじゃ」

それは運命などという陳腐な言葉で表現するには足りないほどに、諸本は感謝していた。

(´・ω・`)「待て」

  _
( ゚∀゚)「ん?」

(´・ω・`)「その依頼は終わったのか?」

  _
( ^∀^)「ああ、たった今。フリーになったよ」

先ほどまでの沈黙は、逡巡。

(´・ω・`)「……私が雇おう」

導き出した答えは彼の悩みを全て吹き飛ばすほどに、その金色は明るかった。


470 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:49:07 AEH5MxbUO
  _
( ゚∀゚)「あらら、俺は高いよ?」

(´・ω・`)「1億出そう。どうだ」

  _
( ゚∀゚)「他をあたってくれ」

(;´・ω・`)「ま、待ってくれ。わかった。言い値は?」

背を向ける男を諸本は引き止める。歩みを止め、振り返るそれに果たしてどれほどの金額が出てくるのかと覚悟した矢先、虚を衝かれた。

  _
( -∀゚)「そうだねぇ、ああ。会いたい人がいるんだ」

(´・ω・`)「会いたい人?」

  _
( -∀-)「そちらさんはシベリア賭博に出られるほど名の通った御仁なんだろう?だったら」

  _
( ゚∀゚)「俺をシベリアに出して欲しい」

(;´・ω・`)「なっ……!?」

男の要求はシベリアへの出場。それは、ある人物に出会うため。

  _
( ゚∀゚)「どうしても会いたいんだ、彼に」

当然ながらどんな人物なのか気になった諸本は、続きを急かし、顔をしかめる。

(´・ω・`)「誰なんだ、いったい?」

  _
( ゚∀゚)「知ってるかなぁ、白髭さんって」


471 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:49:57 AEH5MxbUO
(;´-ω-`)「……内調お抱えの凄腕か。私も昔、会ったことがある。背は君より少し低いが威圧のある男だったよ。もし彼が公安だったら私も逮捕されてただろうね」

自身の知っている人物が会話に出た時、それが良いことでも悪いことでも、誰しもが饒舌になる。

表社会で合法な責めを受けた苦い思い出を回想した彼は、皮肉交じりに答えた。

  _
( ゚∀゚)「うん、その白髭さん。ちょっと借りがあってね。いつになるかわからないけど、シベリアに来るらしいんだ」

(´・ω・`)「詳しいな……」

  _
( ^∀^)「ふふ、マジシャンだからね」

詳細を語らないことを言及しても意味はない。そう考え、内容をまとめる。

(´・ω・`)「つまり、シベリアに出場して、来るであろう白髭に会う……それが条件だな」

  _
( ゚∀゚)「ああ。俺もさすがにシベリアの出場権を得るのは苦労するんだ。どうかな、それで良ければ」

(´-ω-`)「……良いだろう、呑もう」


472 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:50:40 AEH5MxbUO
  _
( ゚∀゚)「オーケー、契約成立だ。仕事内容は?」

(´・ω・`)「秘書をやってもらいたい。色々と多忙でね。用心することもあるんだ」

(´・ω・`)「これが私の名刺だよ」

ようやく、地面に置いたままだったブリーフケースからアルミの名刺入れを取り出し、男に渡した。

書いてある文章をまじまじと見つめ、出た言葉に一瞬、疑問を抱く。

  _
( ゚∀゚)「……ショボン」

(´・ω・`)「えっ」

  _
( ゚∀゚)「ショボン友一か」

(´-ω-`)「……諸本だ」

  _
( ^∀^)「ハハハ、わかってるよ。冗談さ。俺はジョルジュだ。ジョルジュ長岡。よろしくね」

帰国後、諸本はジョルジュの身辺調査を開始した。どれほど気心がしれようと、ルーツに不審な点があればリスクが付きまとう。

同時に、シベリア出場への算段も検討を始める。今回のような面倒事に巻き込まれないよう八年後に間に合わせるよう計画を立てた。

果たして、その結果は、今に至るということが答えか。


473 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:51:37 AEH5MxbUO
〜〜〜

(; ・∀・)「……」

長々と続く話を、よどみなくまとめた諸本は三本目の吸殻を灰皿に入れた。

(;´・ω・`)「よもや、噂でも本当に内調が入ってくるという情報があるとはね……さすがに驚いたよ」

(; ・∀・)「すごい、話ですね。まさかそんな事が」

締めくくりの言葉は、今現在の状況を再認識させる。茂良は感嘆の意を表しながらフィルターいっぱいまで灰になったタバコを捨てた。

(´・ω・`)「私としてはこの条件を終えて、本格的に彼を右腕にするつもりだ。だからこそ彼の優勝を願っている」

( ・∀・)「なるほど……」

(´-ω-`)「そして、そのためには」

<「本選決勝の時間となりましたので、次の選手は、選手入場口までお越しください」

<「スーパードックン」

<「ジョルジュ長岡」

<「繰り返します──」

アナウンスは続きを止める。茂良が促そうとも話さない。


474 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:52:10 AEH5MxbUO
( ・∀・)「そのためには……なんですか?」

(´・ω・`)「いや……なんでもない」

(・ω・ `)「行こうか。最後の試合を見に」

( ・∀・)「──はい」

諸本にとっては僥倖だった。

話す必要がないのだ。もうすぐ達成できるのだから。


475 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:52:55 AEH5MxbUO
〜〜〜

ギコギコの騒動を止めた後、シベリアのスタッフやアサピー、しぃと少し話をしたジョルジュはハローと共に控え室に居た。

もはや、二人しかいないその空間はモニターから流れる音声と、機械的な音を発する自販機をBGMに静かに流れていく。

  _
( ゚∀゚)「さて、行こうかな」

アナウンスを聞いて立ち上がった彼に、隣に座っているハローは声をかけた。

ハハ ロ -ロ)ハ「がんばってクダサイ、と私が言うのもおかしいデスネ」

  _
( ^∀^)「そんなことはないよ。ハローさんのような美人と一緒で楽しかった。ありがとう」

ハハ*ロ -ロ)ハ「クスクス。お上手デス。でもそんなこと言うと奥さんが怒りマスヨ」

  _
(* ゚∀゚)「ふふ、むしろハローさんが怒ってくれたら嬉しいな」


476 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:53:47 AEH5MxbUO
相変わらずの軽口は、物静かな印象を持つハローのイメージを変えるほどに打ち解ける魔法の言葉。

とはいえ、さすがに本気になるほど短絡ではない彼女はモニターを見て問いかける。

ハハ ロ -ロ)ハ「あのギコギコを倒したスーパードックン……勝てマスカ?」

  _
( ゚∀゚)「勝つよ、だって」

ハハ ロ -ロ)ハ「マジシャンだから、デスカ?」

  _
( -∀゚)「いや、嫁さんが怒るから」

ハハ*ロ -ロ)ハ「モウ、からかわないでクダサイ」

二人の笑い声が室内に響くと、ジョルジュは片手を振って笑顔で入り口に歩を進めた。

  _
( ゚∀゚)「またね」

ハハ ロ -ロ)ハ「ええ、観客席で見届けマス」

まるで夫婦のようなやり取りに、先ほどから彼の薬指を見てしまっていた自分の浅はかさを呪うハローは、ゆっくりと観客席へ移動していく。


477 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:54:28 AEH5MxbUO
〜〜〜

会場にいる数百人の疲労は、ピークに達している。

にも関わらず、その歓声が静まることのない状態はひとえに、この催しが白熱しているから。

(-@∀@)「ついに、ついにこの時が来ました……!」

(-@∀@)「テレビをご覧の皆さん、観客席の皆さん。ただいまから──」

(*-@μ@)「決勝戦を始めます!!」

ワーーーー!!!

(-@∀@)「まず、ゲストからご紹介しましょう!しぃさん!」

(*゚ー゚)「はい!したらばテーマパーク責任者の茂良さん、VIPテレビは諸本社長、そして今大会運営理事の荒巻さんです!」


478 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:55:09 AEH5MxbUO
アサピーとしぃの間には三人の男達が居て、それぞれが特別に設置した長机と椅子に腰掛けている。

どこか滑稽に見えるが、そのどれもが名のある人物ばかり。最終決戦の雰囲気を崩すことなく堂々としていた。

/ ,^ 3「フォッフォッ、いい盛り上がりですな」

(*^ー^)「ええ、例年に比べ、さらに高潮した今大会ですが荒巻さんいかがでしょう?」

/ ,' 3「もう何度もこの場に立たせて頂いておりますが、やはり、選手たちの知恵と経験は見るものの心を打ちます」

裏の顔を知るものからすれば、恥ずかしくなるほどに清々しいコメントは、観客達の心を掴む。知らぬが仏。

/ ,' 3「特に、この二人の戦いは、VIPテレビでも放送されたようで。諸本社長」

(´^ω^`)「はい。一年前は双方、一歩も譲らない戦いでしたが、その決着がつくと思うと楽しみです」


479 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:55:58 AEH5MxbUO
同じように、当たり障りのない言葉を浮かべる諸本は、テレビの前の好感度を上げるために笑顔を浮かべた。

(*゚ー゚)「ありがとうございます。茂良さんはいかがですか?」

そして、マイクは最年少の茂良に移り、口を開いて出たものは衝撃。

当然、適当なコメントを残して終わるものだと思っていた外野の予想を裏切る。

( ・∀・)「そうですね、私としては」

( ^∀^)「スーパードックンが勝つと思います」

/ ,' 3(このガキ……!)

(´・ω・`)(……そこまでする、か)

(´・ω・`)「では、私はジョルジュ長岡が勝つと言っておきましょうか」

/ ,' 3「ファッファッ、お二人とも、あまり司会の方達を困らせてはいけませんぞ」

機転を利かせた二人のフォローに、司会は冷汗をかきながら進行を促した。

(;-@∀@)「ありがとうございます、荒巻理事。私も緊張しておりましてなかなか!」

(-@∀@)「それでは、同時に入場していただきましょう!どうぞ!」


480 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:56:38 AEH5MxbUO
〜〜〜

(@∀@-)「あらゆる強敵を退けてきた男の名は、もはや誰もが知っているだろう!」

(@∀@-*)「スーパードックン!!」

ワーーーー!!

 スパドクーーー!!

('A`)

  ガンバレーー!!

(@∀@-)「なお、セコンドである津雲レイ選手は、準決勝にてその権利を放棄し、彼をここまで進めました!よって、決勝戦は彼一人!」

(-@∀@)「さぁ、その対戦相手となるのは、計り知れない実力を持つ!!謎のマジシャン!」

(*-@∀@)「ジョルジュ長岡!!」

キャアーーーー!!

 ジョルジュサーン!!

  _
( ゚∀゚)

  ガンバッテーー!!

(-@∀@)「セコンドであるペニサス選手は、やむを得ず辞退をされたようです!そう、彼もまた一人!」

(*-@∀@)「奇しくも、一年前を髣髴とさせるこの二人が今、中央で向かい合います!!」


481 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:57:37 AEH5MxbUO
冬から春に変わる頃、一人の男が日本中にその名を轟かせた。

それは同時に、彼の成長でもあった。

('A`)「よう、ジョルジュ」

  _
( ゚∀゚)「やあ、スーパードックン」

もし、前回と同じドクオがシベリアに来ていたとしたならば、ここまで勝ち上がることは不可能だっただろう。

認めてもらうことによる自信、素直になることの尊さ、そして、目標とすべきもの有無。

それらが合わさって、初めて彼はこの場所に立つことができたのだ。

(;'A`)「セコンドはどうしたんだ?」

  _
( -∀゚)「ん?ああ、まぁ色々とね」

(-A-)「色々ね……あんたに会うために、ここに来たよ」


482 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:58:22 AEH5MxbUO
  _
( ゚∀゚)「約束だったね。俺に勝てば白髭さんのことを教えるって」

(;'A`)「つーか、今更だけどホントに知ってるのか?」

  _
( ^∀^)「もちろん♪マジシャンだからね」

( -A-)「はぁ……その常套句も聞き飽きたよ」

  _
( ゚∀゚)「そうかい?君の決めセリフは割と好きだけどね」

( 'A`)「……勝たせてもらうぜ?」

  _
( -∀-)「少しはまともなコメントが言えるようになったか。じゃあ今回は、俺もこう言うよ」

  _
( ゚∀゚)「絶対に勝つ、とね」


483 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 02:59:30 AEH5MxbUO
対するジョルジュにとって、目的は別にあれどドクオとの再戦を望んでいることは本心だった。

故に、普段ならば保守的な彼の勝利に対するスタンスも変わっている。負けないのではなく、勝つと。

その戦いを間近で見たことのあるアサピーとしぃは、二人の対話が終わった頃を見計らい、告げる。

(-@∀@)「因縁の戦いが今、始まります!しぃさん、ルールを!」

(*゚ー゚)「はい!決勝戦では先に、コンセプトルールを発表します!!」

('A`)「……」

  _
( ゚∀゚)「……」

(*゚ー゚)「コンセプトルールは──」

(*^ー^)「『クイズ』です」


   クイズ
最後の始まりを


スーパードックンのようです
第十三話おわり!


484 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/11(月) 03:05:06 AEH5MxbUO
ドクオとジョルジュの決着は?

内藤の見極めの行方は?

諸本と茂良、荒巻の結末は?

謎の行動をする小森ひかるの狙いは?

そして……ドクオの父親、白髭はいったい……!?

次回――
スーパードックンのようです
最終話……か!?

ご期待ください。


485 : 名も無きAAのようです :2013/11/11(月) 05:24:06 xXkfMkH20
おつ
ジョルジュかっこいいなぁおい
少し終わるのがさみしいが最終話?期待してるぜ


486 : 名も無きAAのようです :2013/11/11(月) 07:42:44 8FkCYpzQ0



487 : 名も無きAAのようです :2013/11/11(月) 08:44:01 LaTXukb20
スーパーおっつん


488 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/14(木) 01:09:30 dV6LAxqIO
ご報告

・NGシーンを木曜日から土曜日あたりのいずれかに投下します。

・NG投下後、本編とNGシーンのまとめを完成させます。

・最終話(予定)は早くて11月中、遅くとも年内予定です。

寒くなってきましたので、体調管理に気をつけましょう。年末なんて嫌い。でも、ゆく年くる年は好き。

毎度ながらお待たせします。ごめんね。では、おやすみなさい。


489 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:07:36 McZG/CwMO
>>485
ありがとうございます。もう半年近いんですね、書き始めて。完結までお付き合い頂ければ嬉しいです。

>>486 >>487
スーパーあざっす!励みになります!

では、久しぶりに予定通り投下します。


490 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:08:53 McZG/CwMO
スーパードックンのようです
NGシーン 第二部 第十三話

↓あれってやったことないんですけど、渋いおっちゃんとかは出ないんですかね

ξ-⊿-)ξ「申し訳ありません。国を代表しての出場で、このような結果に……」

(=゚ω゚)「ツン」

ξ ⊿ )ξ「はい」

(=゚ω゚)「僕はがっかりしたよぅ。まさか負けるとは思ってなかったよぅ」

頭を下げたまま、言葉を聞く。語調は穏やか。しかし、表情がわからない以上、姿勢は変わらない。

ξ ⊿ )ξ「……」

(=゚ω゚)「でも、負けは負けだよぅ。頭を冷やして考えてみれば、アイデアが浮かんだよぅ」

ξ;゚⊿゚)ξ「えっ?」

そうして、反射的に伊予の顔を見た彼女は不意をつかれたように呟いた。こちらを見て微笑んでいる。

(=゚ω゚)「次の新作ゲームだよぅ。クイズにしようかと思うよぅ」


491 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:09:40 McZG/CwMO
ξ;゚⊿゚)ξ「は?」

乱れた髪を手櫛で直すこともせず、あっけにとられているツンに、伊予は続ける。

その姿はシベリア賭博で見せた狼狽とは打って変わって、落ち着きに満ちていた。むろん、そんなことなど知る由もない彼女は、途中で会話を遮る。

(=゚ω゚)「それについて、あのスーパードックンに監修してもらうのもいいかと思ってるよぅ。もちろん、ツンと協力して──」

ξ゚⊿゚)ξ(スーパードックンに、監修……?)


492 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:10:30 McZG/CwMO
〜〜〜

(;'A`)「なんかよくわからんが、イヨコンの新作に俺が関わるって……大丈夫なのか、この会社ほんとに」

ξ゚ー゚)ξ「社長からのお申し出よ、無下にできないでしょ」

('A`)「はぁ……?まぁ、報酬も出るってことだしいいけどよ」

ξ゚⊿゚)ξ「改めて、よろしくお願いするわ」

(-A-)「はいはい。で、俺はどうすりゃいいんだ?さすがにゲームを作ったことなんざないぞ?」

ξ゚ぺ)ξ「そうね、私も製作には疎いから、この案件に関してはあくまで素人意見としてアイデアを固めるの」

ξ゚⊿゚)ξ「仕上がったそれを開発部に渡してって感じね。ま、気楽にやりましょ」

('A`)「なるほど、アマチュアがアイデアを出して、プロがそれを出来るだけ組み込んで仕上げるってわけか。それならやりやすいな」


493 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:11:23 McZG/CwMO
ξ*-⊿゚)ξ「でしょ?ただ、予算のこともあるからコンシューマーでは出せないってことが条件らしいわ」

ξ*゚ー゚)ξ「まずはどういう媒体で発売するべきかの案から練ってみない?」

(;-A-)「そうだなぁ、あ、最近流行の「缶コレ」ってゲームあるだろ」

ξ゚⊿゚)ξ「あー、あの飲料水の缶を擬人化させて売り上げをあげていくブラウザのシミュレーションゲームね」

('A`)「そうそう。俺もそれほど詳しくないが、あれって無課金でも十分遊べるんだろ?」

ξ゚ヮ゚)ξ「うん、私もやったことないけどそうみたい。まぁ課金する人はするって話だけど」

('A`)「それでも儲けてるのはおそらくグッズ販売とかそういうところに力を入れてるはずだ」


494 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:12:29 McZG/CwMO
ξ゚⊿゚)ξ「そうでしょうね。まぁ、それだけノウハウがあるってことよ。まさか同じことをするつもりじゃないでしょうね?」

('A`)「いやいや、つーか、俺さ、正直あんまりブラウザゲームって好きじゃないんだよ。だからさ、いっそフリーゲームで出しちまわね?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ふ、フリーゲーム……!」

('A`*)「おう。予算的にもいいだろ。で、コンテンツの成熟と同時にメディア展開していくような……」

ξ;゚⊿゚)ξ(この人……クイズはすごいけど、アイデアはとても幼稚だわ……)

ξ;゚⊿゚)ξ(でも、あの目)

ツブラナ ヒトミ (θAθ*) キラッ

ξ*゚⊿゚)ξ(あれは、いわゆる『ぼくのかんがえたさいこうのげーむ』を語る男の目……!)

ξ* ⊿ )ξ(だめよ、ツン……心を奪われちゃ、ダメッ……!)

(θAθ*)「で、タイトル画面でQキーを押すと劇場版がプレイできるような──」

ξ*//⊿/)ξ(あうっ、隠し要素!もう、知らない!!)


495 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:13:13 McZG/CwMO
〜〜〜

( ´ー`)「おう、ツン。スーパードックンは帰ったか」

ξ゚⊿゚)ξ「はい、白根さん。仕上がりましたので、彼は帰りました」

(; ´ー`)「しっかし、社長の考えることも突飛だよな。素人にアイデア出させて形にしろって、無茶を言う」

ξ゚ー゚)ξ「フフフ、白根さん、この企画書を見てもその余裕……保てますか」

( ´ー`)「……ずいぶんな自信だな、おい。そんだけ良いものができたってわけか」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ」

( ´ー`)「けっこうだな。じゃあ俺が満足しなかったら飯、付き合えよ」

ξ-ー-)ξ「……いいですよ」


496 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:14:10 McZG/CwMO
(; ´ー`)(こいつ……!社内の人間がお前をオトそうとどんだけ誘ってもついてこねぇクセに、あっさりと……!)

オホシ サマ キラッ ξ*☆⊿☆)ξ キラッ

(; ´ー`)(それにこいつの目……こりゃまるで、『わたしのかんがえたさいきょうのスイーツ』を作って食べたかのような自信……!)

( ‐ー‐)(ここまで持っていくほど白熱した企画をさせるとは……さすが、スーパードックンってわけか)

⊂(´ー` #)「ちっ、妬けるぜ。ほら、さっさとよこせ」

ξ☆⊿☆)ξ⊃□「はい、お願いします」

( ´ー`)⊃□「なになに……媒体は、ん?フリーゲーム……!?ジャンルはノベル……!?」


497 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:14:59 McZG/CwMO
〜〜〜

それは、一人の男の物語

『俺はニートだ』

働かず、ひきこもるその男が、ひょんなことからクイズ番組に出場したとき

『ようやく手をさげたな』

彼の物語は加速する

『グレゴリーペレルマン』

『正解です!』

今だかつてない新感覚ノベルクイズゲーム!!

プレイヤーはアドベンチャーパートとクイズパートを操作することで物語を進めていく


ニア カルボナーラを買う

   ぺペロンチーノを買う

   雑誌コーナーに行きジリジ   リとアダルト雑誌コーナー   に移動し、最後にプリング   ルスを買って帰る


498 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:16:06 McZG/CwMO
選択肢によって、物語が分岐!個性あふれる登場人物達が織り成す、感動のドラマが君を待っている!!

また、クイズパートでは主人公の特性を活かしたRTA(リアルタイムアンサー)を実装!!

プレイヤーは制限時間内に主人公の頭脳の中から正解にたどり着くためのロジックを組み、回答する!!

膨大な知識量を探索し、難問難敵を打ち破れ!!

『いいぜ、俺がお前にクイズを教えてやる』

『このスーパードッ』ペラッ


499 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:16:55 McZG/CwMO
〜〜〜

ξ☆ー☆)ξ「いかがですか?配信後、人気が出ればノベルティで収益を上げて──」

(  ー )「……ツン」

ξ*☆∇☆)ξ「はい!」

( ´ー`)「飯、いかなくていいわ」

ξ*☆∀☆)ξ「そ、それはつまり……!」

□⊂(´ー` )「お前、これ社長に見せる自信ある?」

ξ*☆ヮ☆)ξ「はいっ!!もちろん!!」

(´ー` )「どんな判断だよ」

ξ゚⊿゚)ξ「えっ」

(´ー` )「金をドブに捨てる気か?」

ξ゚⊿゚)ξ「えっ、はっ」


500 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:18:00 McZG/CwMO
(´ー` )「あのな、いくらフリーゲームだからって金かからずに作れるほど俺達はヒマじゃねぇしボランティアでもねぇんだよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「それは……」

(´ー` #)「前提として色々おかしいし、つっこみどころ満載過ぎるからもう言わないけどさ」

(# ´―`)「こんなもん通したら俺やツン、みんなクビになるぞ」

ξ;-⊿-)ξ「……」

(; ‐ー‐)(しまった、言い過ぎたか)

( ´ー`)「まぁ、言いたいことあるなら言ってみ。聞くから」

( ´ー`)(そうだよな、製作に関しては素人の二人が頑張ったんだ。謝るなら水に流すか)

ξ ⊿ )ξ「……です」

( ´ー`)「ん?」

ξ*゚⊿゚)ξ「Qキー押したら劇場版もプレイでき──」

(゚―° ##)「知らねーよ!!!」


501 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:18:57 McZG/CwMO
〜〜〜

(*=゚ω゚)「あのスーパードックンとツンが協力して作るゲームだよぅ。きっと素晴らしいものができるに違いな」

ξ゚⊿゚)ξ「社長」

(=゚ω゚)「ん、どうしたよぅ?」

ξ^⊿^)ξ「それは止めてください、お願いします」

おわり


502 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:20:18 McZG/CwMO
第二部 第十三話 take2

↓ハローさんのとってつけたような口調をお楽しみクダサイ

(,,゚Д゚)「俺の名はギコギコ。株式会社今北産業の面接官だ」

(,,゚Д゚)「いつも、どんなヤツがこようと、一目みただけでそいつがどういうヤツかわかる」

(,,-Д-)「色……がな、見えるんだよ。そいつの色、がな」

ハハ ロ -ロ)ハ「ギコ、誰に向かって話してるんデスカ」

(,,゚Д゚)「ん、すまん。共感覚だと目に見えない存在が感じられてな」

ハハ;ロ -ロ)ハ「……」

(,,^Д^)「ギコハハハ、そんな、尊敬の眼差しで見るなゴラァ」

ハハ ロ -ロ)ハ(こいつホントに共感覚ナンダロウカ)


503 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:21:24 McZG/CwMO
<コンコン

ハハ ロ -ロ)ハ「あっ、来ましたヨ。いいデスカ、あんまり色に頼り過ぎないようにしてくクダサイネ」

(,,*゚Д゚)「おう、まかせろい」

ハハ;ロ -ロ)ハ「ほんとにお願いシマスヨ。こないだだって、真っ黒だって言って追い返して……危うく裁判沙汰になるトコロ」

<コンコン

ハハ ロ -ロ)ハ「あっ、はいはい!どうぞ!」

<ガチャ

( l v l)「失礼します……」

(,,;゚Д゚)「うわっ、真っ……」


504 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:22:25 McZG/CwMO
ハハ;ロ -ロ)ハ「ゴホン!どうぞ、おかけになってクダサイ」

( l v l)「はい、失礼します……」

ハハ ロ -ロ)ハ「えー……大丈夫ですか?顔色が悪いデスガ」

(; l v l)「えっ、あっ、申し訳ありません。問題ないので……」

ハハ ロ -ロ)ハ「……?では、自己紹介をドウゾ」

( l v l)「はい。高岡宗男と申します。前職は……」

(,,;゚Д゚)(真っ黒だ……ここまで黒いヤツは久しぶりに見た)

(,,゚Д゚)(というか、なんだ……黒と白がぶつかってるように見えるな)

(,,-Д゚)(白が元々この男の持ってる色みたいだが……黒はなんだ?)

( l v l)「……という経緯がありまして、今回、御社に志望しました」

ハハ ロ -ロ)ハ「はい、ありがとうございます。えー、高岡さんは、ご結婚されてらっしゃるとのことデスガ」

(; l v l)「は、はい!」


505 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:23:21 McZG/CwMO
\xAD\xF4(,,゚Д゚)(ん……!?今、黒が白を覆い尽くした……)

ハハ ロ -ロ)ハ「それは、大変ですね。すぐに就職先を見つけナイト」

(; l v l)「ええ、それはもう──」

(,,゚Д゚)「ちょっと待て。高岡さん、あんた……」

(,,゚Д゚)「今、幸せじゃないだろ」

(; l v l)「!?」

ハハ;ロ -ロ)ハ「ギ、ギコ!?」

(,,゚Д゚)「どうなんだゴラァ」

(;;l v l)「そ、それは……おっしゃるとおり、お恥ずかしい話ですが無職のままでは、とてもとても──」

(,,#゚Д゚)「ちがーう!あんたは仕事に関しての心配事はしてねぇ。その不安は全部……」

(,,゚Д゚)「家族にあるんじゃねぇのか、なぁ?」

( l v l)「!!」


506 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:24:05 McZG/CwMO
ハハ;;ロ -ロ)ハ「ギコ、ちょっとダマッテ──」

(,,-Д-)「実際、俺は履歴書とか色々見てねぇから知らねぇけどよ。前職をやめたのも、あんたの不安そうなツラも全部家族のせいだろ?」

ハハ ロ -ロ)ハ(履歴書くらい見なサイヨ……)

( l v l)「それは……」

(,,^Д^)「ギコハハハ、そんな思いつめるなゴラァ。あんたがその不安さえ取り除けば、採用しても大丈夫だ」

(; l v l)「えっ!?」

ハハ;ロ ,ロ)ハ「はっ!?ちょっとギコ!?」

(,,゚Д゚)「なんだ?」

ハハ#ロ -ロ)ハ「そんな勝手に決めてはいけないデショウ!?」

(,,*゚Д゚)「大丈夫だ。あいつの白はなかなか綺麗だし」

ハハ ロ -ロ)ハ「わけわからないことイッテ……!」


507 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:24:59 McZG/CwMO
(,,゚Д゚)「じゃあハローはどう思うんだよ」

ハハ ロ -ロ)ハ「……まぁ、職務経歴書に書いてある前職のポジション、それと物腰の柔らかさを見る限りは今のところ大丈夫とはオモウケド」

(,,*゚Д゚)「なら大丈夫だ!」

ハハ;ロ -ロ)ハ「ちょ、ちょっとギ」

( l v l)「あ、あのう……」

(,,゚Д゚)「おっと、すまんな。で、どうする?」

( l v l)「は?」

(,,-Д-)「あんたのその不安。取り除ければ採用だ。できなければ不採用」

(; l v l)「それは……つまり」

(,,#゚Д゚)「めんどくせぇな、離婚しろ、離婚!」

( l v l)「!!!」


508 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:25:50 McZG/CwMO
ハハ;ロ -ロ)ハ「た、高岡さん。落ち着いて聞いてクダサイ」

ハハ ロ -ロ)ハ「お答えにくいとは思いマスガ……その、夫婦仲といいマスカ、家庭間の程は……」

( l v l)「……私には妻と一人の娘がおります」

(,,゚Д゚)「ほうほう」

( l v l)「妻は……いつも私の食事だけ豆腐やしょうゆにしたり……」

ハハ;ロдロ)ハ「はぁはぁ、豆腐やしょうゆ……えっ!?豆腐やしょうゆだけデスカ!?大豆セメ!?」

( l v l)゛ コクリ

( l v l)「寝床は、妻と娘は寝室で、私はベランダに……」

(,,;゚Д゚)「そういう性癖か?」

( l v l)「いいえ、妻に頼まれたので」

ハハ ロдロ)ハ(く、狂ってる……)


509 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:26:39 McZG/CwMO
(,,-Д゚)「娘のほうはどうなんだゴルァ」

( l v l)「娘……ハインは、私との会話に必ず死を誘ってきます」

ハハ;ロ -ロ)ハ「そ、それって……」

( l v l)「具体的には『死ね』とか『殺すぞ』とかですね。最近だと、お札にも書かれましたよ。ハハハ」

ハハ;ロдロ)ハ(ハハハって……まぁ年頃の娘さんならわからなくもないけど、お札にも死ねとかカクノ……!?)

ハハ ロ -ロ)ハ「……ギコ」

(,,゚―゚)「ん」

ハハ ロ -ロ)ハ「今回はあなたの言う通りかもシレナイ」

(,,^Д^)「ギコハハハ。だろう?」

ハハ ロ -ロ)ハ「高岡さん」

( l v l)「……はい」

ハハ ロ -ロ)ハ「それはあまりに常軌を逸してイマス。私達の立場からは深くイエマセンガ、いえ、私達の立場だからこそイイマス」


510 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:27:32 McZG/CwMO
ハハ ロ -ロ)ハ「奥さんと別れたほうがイイ。そうすればこちらも、採用に対して前向きな検討ができ──」

( l v l)「お断りします」

\xAD\xF4ハハ;;ロдロ)ハ「えええっ!?」

\xAD\xF4(,,;゚Д゚)「ゴルァ!?」

( l v l)「確かに、私が申し上げたことは……世間一般では受け入れられないのかもしれません」

( l v l)「ですが、私は妻と娘……ミセリとハインを愛しています」

(l v l )ヾガタッ

ハハ ロдロ)ハ「あ、ドチラへ……」

( l v l)「面接の途中で申し訳ありませんが、辞退させていただきます」

(# l v l)「これ以上、妻と娘のことをとやかく言われる筋合いはありませんから」

(,, Д )「待て」

(l v l )「……まだ何か」

(,,゚Д゚)「あんた、それで幸せか?」

( v  )「……私は、幸せだ」


511 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:28:28 McZG/CwMO
<バタン

ハハ;ロ -ロ)ハ「……高岡さん」

(,,#-Д-)「……ちっ、なんとも言えねぇな。当人が幸せだっていうんじゃどうしようもねぇ」

ハハ ロ -ロ)ハ「……これ以上は私達の領分じゃナイワ。切り替えてイキマショウ。次が待ってマス」

(,,^Д^)「おう。まぁ、あんな色を見せられた後に何がこようと驚かねぇがな」

ハハ*ロ -ロ)ハ「クスクス、そうデスネ」

<コンコン

ハハ ロ -ロ)ハ「ドウゾ」

<ガチャ

(;;;'A`)「し、し、失礼します」


512 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:29:09 McZG/CwMO
\xAD\xF4(,,;;゚Д゚)「なっ!?」

ハハ ロ -ロ)ハ(ギコ?)

(,, Д )(み、えねぇ)

('A`)

(,, Д )(今まで、どんなヤツだろうと見えてきた。採用したり見送った)

('A`)

(,, Д )(採るべき色が見えたから……黒でも、白でも、赤でも、青でも、なんでも)

('A`)

(,, Д )(なんだ、こりゃ……知覚できない……わからない)

('A`)

(,, Д )(ああ、初めてだ、こんな)

('∀`) ニコッ

(,, Д )(無職、透明なんざ)


513 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:29:54 McZG/CwMO
ハハ ロ -ロ)ハ「……ギコ?何色に見えたんデスカ?」

(,, Д )「無色、透明……」

ハハ;ロ -ロ)ハ


ハ(ロ- ロ )ハハ〃 チラッ


('∀`)


ハハ*ロ∀ロ)ハ ∵¨;.「ブホッ!」


('∀`)


おわり


514 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:30:52 McZG/CwMO
第二部 第十三話 take3

↓いっそのこと、酔ったカーチャンVSオレオレ詐欺にしようかと迷いました。pa○oさんみたいに

決勝戦のアナウンスが鳴り響く前、宇都宮ドクオは併設されている公衆電話の前に居た。

貴重品を預けている選手は外部に連絡を取ることができない。

それは試合において不正を行えないようにする対策で、それでも外にいる誰かと話をしたい場合は、通話内容を精査されることを承知で専用の電話を使う。無料。

緑色の外観と、鈍色のボタンは安直で、しかし妙な安心を覚えたドクオは説明書きを確認してから受話器を取った。

5コールほど経って、決勝が控えているからか誰も通らない通路に取り残された気がした彼の口を開かせたのは母親の声。

J( 'ー`)し「はい、宇都宮です」

( 'A`)「あー、オレオレ」


515 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:31:34 McZG/CwMO
\xAD\xF4J(;゚ー゚)し「ドクオ!?」

突然の電話に、母親であるデレはリビングに映る編集された映像を見やる。

そこには自身の息子がいよいよ頂点に立つかどうかという煽りと、対戦相手の情報が流れていた。

子機を耳に当てながらテーブルに置いてあるテレビのリモコンを手に取り、音量を下げる。

( '∀`)「おう。実はちょっと事故ってさ、100万ほど示談金がいるんだ……」

J(;'ー`)し「そ、そんな……テレビに見えてないところで何かあったのかしら……!」

( 'A`)「まぁな。わりぃけど今から言う振込先に振り込んで……」

J( 'ー`)し「わかったわ。でも、すぐには無理よ。お金を作らなきゃ。まずドクオの本を全部売りさばいて──」

(;゚A゚)「ああ!!ウソウソ!!ウソだから!それはやめて!!ほんと!!」


516 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:32:48 McZG/CwMO
先ほどまでデレをだましてやろうという悪戯心と、決勝までたどり着いた高揚感に顔を緩ませていたドクオは、相手の表情など見えるはずもないのに頭を下げ懇願する。

ようやく普段の彼に戻ったのは、間をたっぷりと空けて聞こえてきた彼女の笑い声がきっかけ。

J(*'ー`)し「ふふ、冗談よ。あなたがカーチャンを引っ掛けようとしたからいじわるしたくなっただけ」

(;'A`)「……ったく、焦らせるなよ……でもカーチャン俺だってよく分かったね」

J( 'ー`)し「当たり前でしょう。誰の息子だと思ってますか」

(-∀- )「ハハ、敵わねぇや」


517 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:33:53 McZG/CwMO
ボサボサの髪をかき、自分にとって最も気の楽な体勢で会話を続ける。

テレビを観ながら椅子に腰掛けたデレはふと、疑問に思ったことを尋ねた。

J( 'ー`)し「あなた、どこからかけてるの?」

( 'A`)「したらばテーマパークの併設してる公衆電話だよ。携帯は預けてあるからさ」

通りで先ほどから彼の端末に発信してもお決まりのアナウンスが流れるわけだ、と彼女は思った。

きっと電源を入れればその着信履歴に驚くだろう。こそばゆい気持ちと多少の申し訳なさが言葉を急かさせる。

J( 'ー`)し「そう……試合観てるわ。ちゃんとご飯は食べてる?」

(;'∀`)「なんだよ、それ。なんか遠くで一人暮らししてるみたいじゃん」

J( 'ー`)し「あらあら、うふふ。そうね、私からしたらドクオがちょっと遠くに行ってしまったみたいに思えたから」


518 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:34:44 McZG/CwMO
思ってみれば、ドクオが家を離れ遠くに赴くことなど学生の時でも数えるほどしかなく、社会人になってからでもそれは変わっていない。

一日、二日程度で帰ることも可能である小旅行のような──規模や目的は全く違うが──ものでも母親からすれば心配だった。

同時に、息子本人もそれを受け止め、感慨深く息を吐いた。

( 'A`)「……そっか」

彼なりに思うところがあった。それはここに至るまでの思い出。閉鎖的な心を少しずつ、だが確実に開いていったのは出会う人々と得られた自信。

こうして一番の理解者に憂慮させてしまうことが、愚かなことだとは常々感じていて、それでも前に踏み出せない苛立ちを抱えていたドクオは、この大会がチャンスだといつからか思い始めている。

だから、無言が続いたのは決して、返す言葉が無いということもなく、決意を纏めているだけだったがその成長ぶりをデレは、なまじ母親だけに気づけなかった。


519 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:35:35 McZG/CwMO
物憂げな雰囲気を切り替えるように、話題を振る。

J(;'ー`)し「それよりドクオ、準決勝の……ギコギコさんかしら?大丈夫だったの?テレビじゃ途中で映像が変わっちゃったから心配で……」

振った話題もそれほど明るい話ではなかったが、ドクオの返答する声はどこか嬉しそう。

( 'A`)「大丈夫だよ。ジョルジュが助けてくれた」

J(*゚ー゚)し「まぁ、ジョルジュさんが……確か、あの金髪の人よね。男前の」

( -∀-)「そう、俺のライバルなんだ」

自然と受話器を持つ手に力が入る。そんなことなど知る由もないデレは口元を押さえながら応えた。

J( 'ー`)し「ふふ、まさかドクオからライバルなんて言葉を聞くなんてね」

(#'A`)「な、なんだよ、良いじゃねぇかよ別に」


520 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:36:29 McZG/CwMO
茶化されたドクオは少しムッとして、手の力を抜く。

指摘され、確かに不思議な感覚だと思った。真正面から戦い、互いに評価しあう仲はどんな人間でも得がたいもの。

たとえ、彼とは違う社交的な人間でもそういった人物と関わりを持てるかは別である。

それを理解しているデレは、楽しそうに謝った。

J( 'ー`)し「ごめんなさい、カーチャン嬉しくって。試合が終わったら家に遊びに来てもらわないとね」

(;'A`)「さすがにそりゃ無理だろ……」

赤飯でも炊こうかと本気で考えていた彼女をたしなめたのはドクオ。

想像すると笑みがこぼれた。なるほど、まるで年の離れた兄のようだ。

J( 'ー`)し「そうかしら?でも、もうすぐ決勝戦ね。相手は……そのジョルジュさん。強いわよね」


521 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:37:15 McZG/CwMO
強い。その言葉に尽きる。自身に勝るとも劣らない知識量、加えてギコギコの暴力を止めた胆力。

そして、それ以上に狡猾な心理戦を得意とする彼。

一年前に勝利を確信したあの時。告げられたドローの結末に、越えられない壁が立ちふさがったと感じ、勝ちたいと思えるほどに執着する。

心が武者震いしたドクオは見栄を張って一言、多く伝えた。

( -A-)「うん。強いよ。強いっつーか卑怯っつーか……」

J( '-`)し「あら、ドクオを助けてくれた人なんでしょ?卑怯なんて言っちゃいけません」

もっともで、純真なデレの反論に、やはり電話越しながらたじろぐドクオはその原因を話した。

(;'A`)「うっ。まぁそうなんだけど……約束守ってくれるかちょっと心配でさ」

J( 'ー`)し「約束?」


522 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:37:59 McZG/CwMO
(*'∀`)「ああ。俺が勝ったら親父……トーチャンのことを教えてくれるって、ジョルジュと約束してんだ」

\xAD\xF4J(;;゚ー゚)し「マナブさんの!?まぁ、どうしましょう……」

(;'A`)「カーチャン、どうしたの?」

J(;'ー`)し「すっぴんだったわ。お化粧しなくっちゃ」

やはり赤飯を炊かなければいけない。そう強く思った彼女だったが、言葉にしたそれも含めて先ほどと同様、ドクオに流された。

( '∀`)「アハハ、何言ってんだよ。今日会えるわけじゃないんだし」

J(; ー )し「そ、そうね。ごめんね、カーチャンうっかりしちゃってごめんね」

顔が見えない電話でも、焦れば頭を垂れるドクオに、誰も見ていないのに髪を片手でしきりに気にするデレ。子が子ならば親も親。そうして彼は、いない男のことを呟く。

( A )「……やっぱ……会いたいよな」

J( 'ー`)し「ドクオ?」


523 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:38:40 McZG/CwMO
( 'A`)「ん。カーチャン、それだけはしゃぐから。会いたいよなぁって思って」

もちろんそれは本心で、さらに本音を言えば、自分にも当てはまる。

口に出さないのはデレを気遣ってか、気恥ずかしさの抜けない年頃か。

どちらであれ、母親はそれを肯定する。

J( - -)し「そうね。もうずいぶんと顔を合わせてないから……」

J( 'ー`)し「でもね、カーチャンはドクオがこうやって頑張ってくれるだけでいいんだよ」

( A )「カーチャン……」


524 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:39:20 McZG/CwMO
その優しさはドクオの琴線に触れて、まだ終わってもいないのに目頭が熱くなった。

これ以上、声を出してしまうと余計な気苦労をさせてしまう。

J(*'ー`)し「だから、勝っても負けても、悔いのないようにしなさい。カーチャンとの約束です!」

(。 A )「……なんだよ、くそっ」

J( 'ー`)し「ドクオ?」

( A )「ん……わり、そろそろ時間だ。切るわ」

だから、そっけのない別れの挨拶になっても仕方がなかった。決勝戦出場のアナウンスすら聞こえていない。

J( 'ー`)し「もう時間なのね。わかったわ、がんばりなさい。あっ、ご飯はちゃんと食べ」

言い終える前に聞こえてきたのは、音の小さいテレビの中、司会が伝える決勝戦までの時間と、耳に当てた子機の機械音。

J( 'ー`)し「あらあら……せっかちね」


525 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:53:20 McZG/CwMO
所定の位置にそれを戻し、小棚に飾ってある写真立てを持ってきたデレはテーブルに置いて椅子に座った。

L判の小さな思い出と一緒に、彼にもよく聞こえるようにと、もう一度リモコンを手に取った彼女は、テレビの音量を電話がかかってくる前よりも少しだけ大きくした。

―――――――――――――

 ( ´ー`)(・A・)ζ(^ー^*ζ

─────────────

おわり


526 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/16(土) 00:56:06 McZG/CwMO
さぁ、次はまとめを終わらせなければ!

最終話(予定)投下の見込みと同時にまた報告します。

では、おやすみなさい。


527 : 名も無きAAのようです :2013/11/16(土) 01:56:18 qxrX70P20
おつかれ、やっぱカーチャンは大事だわ

ムネオは報われろ


528 : 名も無きAAのようです :2013/11/16(土) 11:02:24 7Jg9HxU20



529 : 名も無きAAのようです :2013/11/17(日) 21:29:57 zTlGvmK60
>>527
この宗男は立川の某アパートに入居出来るレベルの聖人だから多分別れないだろう


530 : ◆8UONaKUB6Y :2013/11/24(日) 01:58:29 PEQ7jXyQO
ご報告。

ブログ更新終わり!本編集中!

>>527
カーチャンは大事=ミセリも大事。宗男はどうなってしまうのか!
>>528
ありがとうございます。最終話もどうぞよろしく!

>>529
ごめんなさい、元ネタがわからないものを知ったかぶりすることはいけませんから、断言出来ませんが、釈迦のような男というのは間違いないですね。あるいはイエスのような…やめとこ。ボロが出る。

さて、次回投下は…まだ目処がたちません。多分、相当長いです。気合い入れます。がんばるぞ!

では、おやすみなさい。


531 : 名も無きAAのようです :2013/11/24(日) 13:06:01 gs0516hk0
報告あると安心する
まってるよ


532 : ◆8UONaKUB6Y :2013/12/04(水) 01:39:08 l6a9fe9gO
進捗状況報告

第十二話が確か一番長かったから(約三万文字)今度はもっと長くなるだろう。まぁ、なんとかなるか!



先が見えん。(現在約五千文字)


私は最近、セリフを書いてからそれ以外を書いていく感じなのですが、もしかしたらセリフだけで第十二話分くらいになるんじゃないかと思います。

なんとか年内に仕上げたい一心でがんばります。では、おやすみなさい。


533 : 名も無きAAのようです :2013/12/04(水) 12:39:10 hlYl46RU0
がんばるんば


534 : 名も無きAAのようです :2013/12/04(水) 12:41:40 t81xb2IQ0
大作!
待ってるよーん


535 : 名も無きAAのようです :2013/12/04(水) 13:19:29 0PKndq9c0
待ってます


536 : ◆8UONaKUB6Y :2013/12/28(土) 04:41:29 h0J0Kd3wO
年末をなめてましたね、これは。では、正直な進捗状況を…

前回の書き込みからの進捗状況:2%進んだ。

ふざけるな、って話ですが、本当にそれくらいしか進んでません。けっこう書いてるんですがね、全体としては40%ほど仕上がってます。

もちろん、頭の中では完成しておりますので、ここにきて打ち切り等はありません。大丈夫。

ただ、その……力不足で年明け、1月中旬頃になるかと思います。

あれだけ年内完成を謳っていたのですが、申し訳ない。クオリティ向上のためにも時間をください。

では、仕事に行って参ります。皆さん、よいお年を!


537 : 名も無きAAのようです :2013/12/28(土) 05:03:11 pe1WXNxA0
いってら

よい音塩


538 : 名も無きAAのようです :2013/12/28(土) 11:58:11 WrxegeUk0
その報告一つでどれだけ救われるか
頑張ってください


539 : 名も無きAAのようです :2013/12/28(土) 12:07:42 lkWsbjZA0
仕事がんばれよ!良いお年を(`・ω・´)ゞ


540 : 名も無きAAのようです :2013/12/28(土) 18:36:57 c0Hso6zI0
頑張れ


541 : 名も無きAAのようです :2014/01/10(金) 23:26:07 oBPzJTrA0
明日の19時頃投下出来そうです!


542 : 名も無きAAのようです :2014/01/10(金) 23:50:48 D23F3zQg0
wktk!


543 : 名も無きAAのようです :2014/01/10(金) 23:57:26 Dh6EC3Og0
おお!待ってる!


544 : 名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 00:00:13 flJW/VIk0
よし


545 : 名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 00:30:41 WvJ/9Krk0
待ってます


546 : 名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 02:21:03 hoS5VHlg0
うーん、酉ないし偽者な気が…
本物だったらごめんね。


547 : 名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 04:02:37 .M2Y3DV20
んー…本物は「!」を使うとき全角だから、541は偽物かなぁ?


548 : 名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 18:42:28 hqZizk0gO
それでも俺は…信じたいな


549 : 名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 20:10:30 e1jORkuE0
投下こないな…


550 : 名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 21:21:58 KKElEni60
ちくしょー


551 : 名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 21:26:34 l5PJjSSc0
>>549
10日は昨日来たばっかりだぞ


552 : 名も無きAAのようです :2014/01/12(日) 00:33:18 QTfTN8aI0
まつまつ


553 : ◆8UONaKUB6Y :2014/01/29(水) 21:59:36 lscHI1yUO
2月の7日頃投下出来そうです!(←エクスクラメーションマークが全角なところがポイント)


554 : 名も無きAAのようです :2014/01/29(水) 22:01:36 9Qfv3PtI0
よっしゃあああああああああ!!!!!!
待ってたよ!!!!!待ってたよ!!!!!!!


555 : 名も無きAAのようです :2014/01/29(水) 23:15:27 3DuwCyM20
ポイントワロタ
ごはん片手に待ってる


556 : 名も無きAAのようです :2014/01/30(木) 00:06:55 FovcW1kA0
>>553
きたああああああああ(゚∀゚)

待ってます!!


557 : 名も無きAAのようです :2014/01/30(木) 12:05:33 XfQKJyHo0
あと一週間とちょっとか
待ってるよ


558 : 名も無きAAのようです :2014/01/31(金) 19:41:46 fktHFSFo0
こんどこそ待ってる!待ってる待ってる!


559 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/07(金) 03:31:00 HNAQAqK2O
さぁ、今日が投下日!ドキドキするなぁ!
(やべぇ、マジやべぇ……八割しか出来てねぇ……しかも今日出張じゃん……やべぇ……場合によっちゃ前後編で凌ごう…っべぇ……)


560 : 名も無きAAのようです :2014/02/07(金) 06:33:15 7xh3Gllo0
待ってる!


561 : 名も無きAAのようです :2014/02/07(金) 21:02:05 XVYI6gMg0
今日はまだ十日じゃなくて七日だ


562 : 名も無きAAのようです :2014/02/07(金) 22:08:51 vJk00S/I0
まってんのよ


563 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/07(金) 23:14:17 HNAQAqK2O
申し訳ない、どうしても今日中には投下出来ません…

明日を予定して、途中までいきます!


564 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/07(金) 23:15:06 HNAQAqK2O
静寂が場を支配する。しぃの発した言葉はこの大会そのものを称していて、だからこそ周囲は沈黙した。そのまんま。

(;'A`)「クイズ……だって?」

その静けさに耐え切れなくなったドクオは、口を開く。目線を合わせて頷いた彼女は続ける。

(*゚ー゚)「はい。最終決戦にふさわしいルールだと考えております」

  _
( ゚∀゚)「どういった趣旨かな?」

追従するように、対面するジョルジュは先を促した。先ほどと同じ動作をし、少し間を置いた後、今度はカメラに向かって──この試合を見ている全ての人々に向かって話し出す。

(*-ー-)「正直なところを申しまして、今大会の決勝戦、出題側のレベルを遥かに超えていると荒巻理事から通達がありました」

(*゚ー゚)「仮に、従来どおりのクイズを行ったところで、盛り上がりにかけてしまう……そこで」

(゚ー゚*)「決勝戦ではスーパードックン選手とジョルジュ長岡選手のお二人が出題と回答をしていただくことにいたしました!」


565 : 名も無きAAのようです :2014/02/07(金) 23:16:37 ePgKvEKI0
スーパー支援


566 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/07(金) 23:16:44 HNAQAqK2O
ざわめく会場。今までの運営側から出題されていた、いわば敷かれたレールの上での戦いが、ここにきて様変わりする。

自力でもって死闘を繰り広げる様相を想像した観客達の熱気は、徐々に膨れ上がっていく。

(;゚A゚)「お、俺達が……」

  _
( ゚∀゚)「出題と回答を兼ねる、か」

それでもまだ、二人のこぼした言葉を聞き取れないほどではなかった。聞こえなくなるほどに会場を揺らす歓声を起こしたのはアサピー。

(*-@∀@)「そうです!最強を決めるためには、最強同士が戦う!まさにクイズの聖典シベリアにふさわしいコンセプトルール!」

(-@∀@)「しぃさんからの説明がありました通り、お互いが交互に問題と出題を繰り返し、先に10ポイント先制した方の優勝となります!」

('A`)(あ、10ポイント先制は結局変わらないのな)

(-@∀@)「出題の際、今からお渡しする端末に問題と答えを20秒以内に記入していただき、こちらにいらっしゃる御三方にお渡しください。確認後、スクリーンにアップします」

(@∀@-)「また、10対10のまま延長戦になった場合は制限時間の20秒を交互に5秒ずつ差し引いていく変則サドンデスとなりますのでよろしくお願いします」

手渡されたのはタブレット。タッチペンが付属していて、押下できそうなボタンは取消、出題、回答と書かれたキーのみ。

他はメモ帳のように開かれたスペースに、問題欄と解答欄。先の対戦でも使ったものと、あまり違いがない端末を受け取った二人は、アサピーに目で合図する。

双方の準備が整ったことを確認し、続けた。


567 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/07(金) 23:17:36 HNAQAqK2O
(-@∀@)「回答は口頭、記述のどちらでも構いません。ただし、制限時間は同じく20秒、出題と回答共にそれを過ぎてしまうと相手側に出題の権利と1ポイントが加算されます」

(-@∀@)「端末に記述していただいた後、出題キーを押していただくと、待機しているスタッフに送信されます。精査し、間違いがなければこちらのスクリーンにアップされます」

('A`)(つまり、いかに相手が答えられないような問題を出すかが焦点といったところか)

(;-@∀@)「なお、出題に関してはあくまで正解の分かる物に限らせていただきます。従って、誰にもわからないもの、正解が曖昧なものや、普遍的でないものは認めれず、回答権が相手に移ってしまいますのでご注意ください!」

  _
( ゚∀゚)「出題可能な基準は何かな?」

(*-@∀@)「一般的な感覚で問題ありませんが、審議が必要な場合はこちらにいらっしゃいます荒巻理事、諸本社長、そして責任者の茂良さんが決定しますのでご安心ください!」

(;'A`)(うわぁ……これジョルジュ有利なんじゃないか?社長と仲良いみたいだし)


568 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/07(金) 23:18:34 HNAQAqK2O
仮にジョルジュだけが知っているような問題を出題されてしまえば、大きなハンデとなりうる。

むろん、こちらも同様の手段を用いればそれもなくなるが、いくら精査されるとはいえ、その後の審議における優位は向こうのほうが大きいのではないか。

ドクオの懸念は顔に出ていたようで、眉間に寄ったしわを見たジョルジュが諭す。

  _
( -∀゚)「スーパードックン、そんな悲惨な顔をしないでくれ。ここにいる三人は君の考えているようなことはしないよ」

根拠のないその言葉に、ボサボサの頭をかいて答える。審議に曖昧な点が出てくる可能性だとか、そんなもの、どうでも良い。

( -A-)「……わりぃ、そうだな。ま、どちらにしても」

( 'A`)「俺が勝てばいいんだからな」

  _
( ゚∀゚)「フッ、言うねぇ」

落ちたフケは風に舞い、目に映ることなく消え去っていく。

まるで細かいことなど気にしてはいない男は、勝利を宣言しライバルを見据えた。


569 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/07(金) 23:19:49 HNAQAqK2O
(*-@∀@)「さぁ、ルール説明は以上です!最初の回答権を得るのはどちらか?こちらのスクリーンにてランダムに決定されます!」

映し出されたものはドクオとジョルジュの顔写真。並んだ二枚の間に、同じ大きさのルーレットを模した円盤。

(#-@μ@)「参りましょう!」

アサピーの一言で円盤の針が回転する。左右を指しては点滅を繰り返す写真を、固唾を飲んで凝視する会場の人間。

そうして、針が止まった時、司会のアナウンスと共に揺れる会場。

(**-@∀@)「シベリア決勝戦、スタートします!!」

点灯したのはジョルジュ長岡。彼からすれば小さく感じる端末を片手におどけて見せ、ドクオを見る。

  _
( ゚∀゚)「まずは俺からか……そうだね、それじゃあ問題といこうか」


570 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/07(金) 23:20:45 HNAQAqK2O
言って、液晶に備え付けられているタッチペンを走らせる。既に思いついていたかのように、素早く書き上げた後、一瞬、ドクオを見て笑った。

('A`)(……なんだ?)

挑発のようなニュアンスを感じた彼は、インカムを押さえながら頷くしぃよりもジョルジュに注視する。

(*゚ー゚)「……審議です!」

(-@∀@)「おっと!早速審議がかかった!ジョルジュ選手、タブレットを荒巻理事達にお渡しください!」

依然として飄々とした態度を崩さないジョルジュが、諸本の前にタブレットを置く。荒巻、茂良と順番に回していった。

( ・∀・)「問題ありませんよ。続行してください」

三名の総意を司会に伝えた茂良は、持ち主にタブレット返しながらスクリーンに顔を向ける。

あとの二人と、出題者も素知らぬ表情でスクリーンを見つめているので、ドクオはそれに倣って顔を上げてみれば、原因が分かった。


571 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/07(金) 23:21:51 HNAQAqK2O
(-@∀@)「大丈夫のようですね!それではスクリーンにアップします!」

【俺の愛用しているタバコの銘柄はなんでしょうか】

(゚A゚)「えっ……!?」

驚いたのはドクオだけではない。一年前、ここに至る道程を踏み出した彼の、初めてのクイズ。

その答えと同一の問題が、文字として蘇る。

  _
( ^∀^)「サービスだよ、スーパードックン。よくここまで上がってきたね」

( A )「……」

先ほどの不敵な笑みはこれか。緒戦から放たれるイレギュラーにどよめく観客を尻目に、回答者は応える。

(*-@∀@)「さぁ、スーパードックン!こちらの問題に異議はありますか?」

('A`)「いや、ない」

( 'A`)「ハイライトだ」

(*-@∀@)「正解!スーパードックン1ポイント獲得!!」

聞きなれた正解のアナウンスに、歓声が上がる。ドクオだけではなく、一年前の放送を見ていて勘の良い人間ならばそれが特別な問題だと、胸を熱くしているだろう。


572 : 名も無きAAのようです :2014/02/07(金) 23:23:02 ePgKvEKI0
熱いな


573 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/07(金) 23:23:08 HNAQAqK2O
(-@∀@)「では、次の問題に参ります!スーパードックン、どうぞ!」

( -A-)「……」

とはいえ、当の本人からすれば。

【俺の愛用しているタバコの銘柄はなんでしょうか】

(;-@∀@)「おっと!?これは……同じ問題です!!全く同じ!意趣返し!」

特別でもなんでもないのだが。

  _
( ゚∀゚)「……」

( -A-)「確かに、あんたから見れば俺なんざガキなんだろうがな」

(#'A`)「なめんなよ、ジョルジュ。ハンデやサービスなんざいらねぇ。本気でかかってこい」

  _
(* -∀-)「フッ……ククッ、いいねぇ……!」

既視感のある司会の確認、三名の審議は滞りなく終わり、回答の時間。

ドクオにとって、ジョルジュとの戦いに余裕や謙遜など介在しない。

それに応えるように、アサピーからの問いかけをかわした男は言う。


574 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/07(金) 23:24:18 HNAQAqK2O
(-@∀@)「ジョルジュ選手、こちらの問題に異議は──」

  _
( ゚∀゚)「ない。ハイライトさ」

(*-@∀@)「正解です!!ジョルジュ選手1ポイント獲得!!」

さらりと放たれた言葉は、またしてもこの舞台を盛り上げる。便乗するかのように、司会が続けた。

(*-@∀@)「これはまるで二人のためのスタートライン!!お互いの矜持をかけた戦いに、遠慮や驕りは必要ない!!」

(@∀@-*)「あるのは決着!!優勝を決めるための知恵比べが今、幕を開けます!!」

スーパードックンのようです
最終話 前編 はまた明日!


575 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/07(金) 23:27:32 HNAQAqK2O
オーライ、こんな後味の悪い酔い方をするのは久しぶりだ。歯切れも悪くて申し訳ないが、色々ありましてね。傷心したそれを落ち着けるために寝させてください。

では、また明日…


576 : 名も無きAAのようです :2014/02/07(金) 23:29:29 ePgKvEKI0
乙、おやすみ、明日が楽しみだ


577 : 名も無きAAのようです :2014/02/07(金) 23:31:56 vSSZ9q6w0



578 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/08(土) 22:11:37 bR8W7TwYO
毎度、申し訳ないですが、投下は明日の朝方になります。

もう、とにかくがんばるぞ!!うぇーい!


579 : 名も無きAAのようです :2014/02/08(土) 22:31:48 qzoLJaFE0
待ってるぜぇーい


580 : 名も無きAAのようです :2014/02/09(日) 02:14:05 dMd7fu.k0
乙ったて支援


581 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:30:04 Lef9KhhYO
〜〜〜

(; ^Д^)(ドクオさん……勝てるっすかねぇ……)

(; ^Д^)(つっても、相手はジョルジュさん。仮に勝っても社長が引っ張ってきた選手が負けてしまったら)

( ‐Д‐)(それに内藤さんとドクオさん、仲悪いからなぁ)

(*゚∀゚)「プギャー、どしたの?スパドクの試合だったらもっとはしゃいでるじゃん」

( ^Д^)「つーさん」

(*゚∀゚)「大丈夫だよ。今回は一年前と違って時間にも余裕はあるし、同点で終わるって事はないよ」

(* ^Д^)「あざっす。気をつかってもらって……」

(*゚∀゚)「内藤さんのことでしょ?考えてたの」

\xAD\xF4(; ^Д^)「えっ……!なんで」

(*-∀-)「チラチラ見てるもん。どーせ、スパドクが勝ったら面倒だなぁとか思ってたんでしょ」


582 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:30:49 Lef9KhhYO
(; ‐Д‐)「うっ、だって……よくわかんないすけど、内藤さんってドクオさんのこと嫌いなんすよ」

( ^Д^)「だから、もし勝ってもよろこんでいいもんかどうか……」

(*゚ε゚)「んー、なるほどね。まぁ、それは」

( ^ω^)「二人とも、なに無駄話してるんだお」

(; ^Д^)「あっ、やべ」

(*;゚∀゚)「げぇ」

( ^ω^)「全く、ちょっと目を離すとこれだお。いいか、生放送は最後までや──」

『ハイライトだ』

(‐ω‐ )「──ハイライト、か。懐かしいおね」

( ^Д^)「内藤さん」


583 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:31:47 Lef9KhhYO
(^ω^ )「思えば、あの男が初めてテレビに出て、最初に解答したのがこれかお」

(# ^ω^)「因果なもんだお、くそっ」

( ^ω^)「あー、ほら、さっさと持ち場に戻るお!」

(*゚∀゚)「はーい」


(; ^Д^)「はぁ……やっぱり嫌ってるんすよねぇ」

(*゚∀゚)「そうでもないんじゃない?」

(^Д^ )「な、なんでっすか?舌打ちしてましたけど」

(*-∀-)「だって」

(*-∀゚)「ホントに嫌いなら、一年も前のクイズの答えなんて覚えてないでしょ?」

(^Д^ )「あっ」


584 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:32:37 Lef9KhhYO
〜〜〜

  _
( ゚∀゚)「じゃ、俺の番だね」

問題文を書き始めるジョルジュの表情は真剣だった。一問目と比べて、長文。

すらすらと動いていくペンの動きを見続ける彼らは、いつ司会からタイムアップの言葉が出るか焦りを隠せない。

しかし、間に合うことが当然というように一貫したその姿勢に、ついぞ懸念された言葉は出なかった。

(*゚ー゚)「……OKです!審議は必要ありません!」

しぃの声はある種、ジョルジュを応援するものを安堵させる。無理もない。出題することにもリスクが付きまとうのだ。

(-@∀@)「それではスクリーンをご覧ください!」


585 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:33:29 Lef9KhhYO
【はずれのヤギ、あたりの景品。三つのドアを開けるとヤギが二つ、景品が一つある。

君が最初の選択をした後、俺は他の二つのドアのうち一つをあけてヤギを見せる。

そして、君に初めの選択で良いか、もう一つの閉じているドアに変更するか質問する。

君は変更すべきか否か?】

現れた長文に、各々が動揺する。こんなややこしい問題を出す彼の頭脳に感嘆するものもいれば、たった20秒のうちに文を構成し、出題することの胆力に驚く者もいる。

はたして、ドクオはそのどちらでもなかった。

(-@∀@)「スーパードックン、この問題に異議はありますか?」

('A`)「ないよ。回答は【変更するべき】だ」

(*-@∀@)「正解!!1ポイント獲得!さすがはスーパードックン!このような論理クイズにも物怖じしない!!」


586 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:34:09 Lef9KhhYO
思えば、こういった形式の問題は今までに出題されてこなかった。

故に、そこが弱点になりえるかと判断したジョルジュは早々に攻め入ったのだが、失敗。

それもそのはず、一年間の引きこもり生活は彼の知識量をさらに深めているのだから。

  _
( ゚∀゚)「こういうクイズは不得意かと思ったんだけどね」

( -A-)「モンティーホールくらい知ってるさ。変更した場合に考えられる組み合わせは3つ、うち2つが勝ち、つまり景品をゲットできる。変更しなかった場合、勝ちの組み合わせが一つになってしまう……三分の二か三分の一、二倍の差があるから変更すべきだ、だろ?」

  _
( -∀-)「解説ありがとう。ポイントは増えないけど。ま、簡単だったかな」

それでもなお、その態度を崩さない金髪の男に、辛酸を舐めさせられた一年前を思い出すドクオはペースを乱されないよう切り替える。

( 'A`)「次は俺の番だ、いくぜ」


587 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:34:53 Lef9KhhYO
そう言って、短い問いと長い答えを書き終えたドクオは出題キーを押す。

しばらくの沈黙には期待が高まり、許諾が言い渡されれば一同がスクリーンに向き直る。

【オリュンポス12神を全て答えよ】

(;-@∀@)「これはオカルト!いったいスーパードックンは何を思ってこのような問題を出したのでしょう!」

(;'A`)「い、いいじゃねぇか別に!なぁジョルジュ!」

  _
( ^∀^)「アハハ。いいよ、じゃあこの回答は記述にしようかな」

特に理由はないその問題にケチがつけられたと感じたドクオは弁解する。

ところどころで失笑が聞こえる最中、残り時間が10秒を切る前にジョルジュは回答キーを押した。

スクリーンに映し出されている問題文の下に、彼の記述が出現する。

【ゼウス・ヘーラー・アテーナー・アポローン・アプロディーテー・アレース・アルテミス・デーメーテール・ヘーパイストス・ヘルメース・ポセイドーン・ヘスティアー】

(;-@∀@)「せ、正解です!!ジョルジュ選手も1ポイント獲得!!両者2ポイントのまま次のクイズに移ります!!」


588 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:35:41 Lef9KhhYO
(;'A`)「ちっ……さすがだな」

  _
( ゚∀゚)「俺はセンスいいと思うよ、うん」

( 'A`)「うっせぇ!次だ、次!」

仮に彼が間違えていれば、まだそれほど恥ずかしくはなかったのだが。

照れ隠しを催促に変えて、三問目を促した。


589 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:36:44 Lef9KhhYO
〜〜〜

  _
( ゚∀゚)「さて、じゃあ俺はこうしようかな」

三問目。ジョルジュの記述は短く、しかし、了承は得られない。

(*゚ー゚)「審議です!」

二度目の審議は見るものに不安と期待を抱かせる。失敗すれば、回答権、つまりはポイントを獲得するチャンスを失うから。

一度目の審議とは違って、唸る三人を見れば、その懸念は強まった。

(; ・∀・)「これは……うーん」

/ ,' 3「ふぉふぉ、良いのではないかね?決勝にふさわしいかどうかは別としてだが」

(´・ω・`)「確かに面白い。茂良さんもよろしいですか?」

( ・∀・)「……まぁ、いいでしょう。すみませーん。OKでーす」

間延びした言葉にうなずく司会。例の如く、スクリーンに注目する旨を伝え、現れた問題は観客達のざわつきを深める。

【間違えず答えよ。452678×129=?】

(;゚A゚)「はぁ!?」


590 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:37:43 Lef9KhhYO
(*-@∀@)「なんと、これは……掛け算!!まさかの決勝戦で、四則計算問題!スーパードックン、この問題に異議は──」

どよめく観衆の中で、アサピーの確認に対し、ドクオは即座に声を荒げる。

('A`;)「いやいやいや、これは反則だろ!?こんなもん20秒で解けって……!」

  _
( -∀-)「嫌ならいいんだよ。審議は通ってる。要するに、答えられないということは君がこの計算を20秒以内で出来ないってことだからね」

異議の申し立ては必ずしも通るわけではない。明らかに解答することが不可能な問題や、曖昧なものでなければ拒否することは出来なかった。

審議した三人の固い表情に、そう痛感したドクオは苦虫を噛み潰す。やるしかない。

(;-A-)「くそっ……!」

冷汗が頬を伝う。今までのようなピンチとは違って、単純な計算問題。しかし、なによりも焦るのは単純が故の時間のなさ。

電卓はおろか、計算シートなどという便利なものもない。限られた解答欄に小さな数字を書いて答えを導いていると、童心に帰った気がした。


591 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:38:25 Lef9KhhYO
(-@∀@)「スーパードックン、残り5秒!4、3、2──」

(;;゚A゚)「っしゃああできたぁ!!」

(-@∀@)「1……セーフですね。それでは回答を見てみましょう!」

【58395462】

(*-@∀@)「正解です!!ギリギリでしたが、スーパードックン1ポイント獲得!!」

(;'A`)「はぁはぁ……危なかった……」

袖口で汗を拭った彼は、疲れを感じた。同時に、このようなルールの穴をついてくるジョルジュが何者だったかを思い出す。

  _
( ^∀^)「ヒュー、たいしたもんだ。よく頑張ったね。あ、大丈夫。もうこんな問題出さないから。通用しないってわかったしね」

(#゚A゚)「うるせぇ、ペテン師!」

自身をマジシャンと称する男の本懐は覗けない。恨み言を吐いてタブレットに文字を記していく。


592 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:39:11 Lef9KhhYO
('A`)(待てよ……?これ、ジョルジュにも計算問題食らわせりゃいいんじゃねぇか……?)

(-A-)(って、いかんいかん。あいつのことだ、余裕で答えてくるだろ。それも含めてひっかけか……)

このとき、ドクオの脳裏に浮かんだ自問自答は正しかった。そもそも、出題と解答を記述しなければ問題とならないこのルールにおいて、ジョルジュも20秒以内にそれを書き上げることが出来たのだ。

すなわち、この程度の計算問題であれば彼にとって造作もないこと。

かといって、より複雑な問題にしてしまえば審議に通らなくなってしまう可能性がある。ポイント獲得のチャンスを与えることは愚作。

途中まで書いた数字を消し、新たな問題を記述し終えたドクオは出題キーを押下した。

(*゚ー゚)「……OKです!」

(-@∀@)「さぁ、三問目、スーパードックンの出題!」

【PPPHとはなに?】


593 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:39:52 Lef9KhhYO
一部の観客が反応したが、それよりも、目の前にいる対戦者の押し殺した笑いが、とっさに書いた問題とはいえ失敗だと悟った。

(-@∀@)「さて、ジョルジュ選手、こちらは……」

  _
(; -∀-)「ああ、構わないよ。クスッ……ふぅ、まったく。スナオシスターズに感化されたかい?」

【パンパパンヒュー】

(;-@∀@)「せ、正解です!私はよくわかりませんが、精査した結果ですので──ジョルジュ選手1ポイント獲得!!」

('A`)「……よく知ってるな」

  _
( -∀゚)「マジシャンだからね」

両者ともに譲らないまま、4問目に突入する。


594 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:40:41 Lef9KhhYO
〜〜〜

川 ゚ -゚)「いいのか、ヒート」

ノパ⊿゚)「おう、大丈夫!」

o川*゚ー゚)o「あれだったら、飛行機遅らせてもらおうよ。せっかく師匠に会えるんだしさ!」

ノハ;゚⊿゚)「キュート、師匠じゃなくてコーチだ!何回言ったらわかるんだよ!」

o川*;゚ぺ)o「一緒じゃん!修行したんでしょ!!」

ノハ;;゚⊿゚)「違うよ!!」

ノハ;゚⊿゚)「ハァハァ……」o(゚ο゚;*川)o

ノハ;゚⊿゚)

ノハ-⊿-)

ノパ⊿゚)「ごめんな、クー姉、キュート。考えがまとまんなくて」


595 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:42:32 Lef9KhhYO
川 ゚ -゚)「構わない。会うべきかどうかはヒートが決めることだからな」

ノハ- -)

ノパー゚)「……ん!やっぱ大丈夫だ!」

川 ゚ ー゚)「そうか」

o川*゚ー゚)o「そっか……あ、クー姉は?ねぇねぇ、シュー姉にもっかい会わなくていいの?」

川  ー )「私も会わなくていいよ。きっと、どちらともなく連絡するさ」

o川*^―^)o「そっか……」

川 ゚ -゚)「……キュート」

ノハ-⊿゚)「……お前」

o川*゚ー゚)o「ん、なに?」

川 ゚ -゚)「残りたいんだろ」


596 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:43:14 Lef9KhhYO
o川*;゚д゚)o「えっっっななななんんで私が!?」

ノハ*゚ー゚)「そりゃ、決勝を見るために──」

o川*;゚ー゚;)o「そそそそんなわけないじゃん!そ、そりゃどっちが勝つのかが気になるっていうのはあるけどべつにそんな」

川 ゚ ー゚)「ふふ、安心しろ。ちゃんと機内で見ることができるから」

o川*^ヮ^)o「本当!?やったぁ!!!!」

川*- -)「……本当に、素直なヤツだ」


597 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:44:02 Lef9KhhYO
〜〜〜

夜もふけ、寒さも増す空の下で、たくさんの人々が二人の動向を嬉々として見ている。

それはここまで来た男達の、勝利の行方を目にするために。

(-@∀@)「では、第四問目!ジョルジュ選手、お願いします!」

  _
( ゚∀゚)「うん。じゃあスーパードックンが苦手そうな……こんなのはどうかな?」

短い二文はすぐにしぃからの許諾によってスクリーンに映し出される。

まるで倒置法のような出題の仕方に、彼の策略を勘ぐるものもいたが、ドクオは意に介さない。

【何の略称か答えよ。アソシエーションフットボール】

('A`)「こりゃ簡単だな。サッカーだろ」

アサピーの異議が必要かどうかという問いかけより早く、ドクオは呟いた。

出鼻をくじかれた彼は、少し詰まりながら進行させる。

(*-@∀@)「正解です!スーパードックン1ポイント獲得!!」


598 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:44:55 Lef9KhhYO
  _
(; ゚∀゚)「あらら、そっちのジャンルも知識豊富なんだね」

肩をすくめながら話す男の表情には余裕。当てられることに対する危惧はないように見えた。

(*-A-)「本が好きなんでな」

  _
( ゚∀゚)「ふふ、そうかい。さあ、そっちの番だよ」

('A`)(……おそらく、俺が出題するレベルのものはあいつも解いてくる)

( 'A`)(なら、どうするか)

相手の攻撃も効かないがこちらの攻撃も効かないこの状況で、ドクオの取った攻めは意外。

【FISMとは何の大会?】

  _
(; ゚∀゚)(!)

(*゚ー゚)「OKです!」

おおよそ、答えられる者の少ないこの問題に、ジョルジュは別の意味で不審を抱いた。


599 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:45:39 Lef9KhhYO
腕を組み、問いかけるアサピーを見ずに応える。

(-@∀@)「さぁ、ジョルジュ選手、こちらの問題に異議は」

  _
( -∀-)「ある──と言いたいところだけどないよ」

言いかけた肯定の言葉に、一瞬驚いた司会だったが、二の句を聞いて安堵する。

情報を精査し、しぃに伝えるスタッフの間違いだったかと冷汗をかいたが、問題の趣旨を鑑みてみればそれも考えにくい。

なぜ、ジョルジュが遠まわしな言葉を発したか、その真意を引き出したのは対戦者。

( 'A`)「どうしたよ、歯切れが悪いな」

  _
( ゚∀゚)「スーパードックン、なんのつもりだい?まさかこの俺にこんな問題……答えられないとでも?」

( '∀`)「わからねぇよ?意外と知らなかったり──」

  _
( -∀-)「答えはマジシャンの大会」

(*-@∀@)「正解です!!ジョルジュ選手1ポイント獲得!!」


600 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:46:23 Lef9KhhYO
彼の小ばかにする言動を最後まで聞かず、ポイントを手に入れたジョルジュは少し真剣な顔でドクオを睨んだ。

射抜かれた者は少なからず動揺する鋭さを持った眼孔を受ける優男は首をかしげ──

(;'A`)「──ってやっぱ知ってるか」

  _
( ゚∀゚)「……残念だが、俺にゆさぶりは効かないよ」

( 'A`)「わかってるさ。ただ、まだまだ始まったばかりだろ」

(*'∀`)「楽しまなくちゃな!」

笑顔でそう言った。


601 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:47:24 Lef9KhhYO
〜〜〜

(-_-)「それにしても、あれだなぁ」

( -_-)「誰も僕に気づかない」

(-_-)「そりゃ、決勝戦だもんな。一回戦で倒れたっていう体の僕じゃ話しにならないよなぁ」

( -_-)「はぁー、めんどくさい」

( ><)「あっ」

(-_-)「?」

( ><)「小森さんなんです!」

(;-_-)(えっ……気づかれた。いや、別に嬉しくはないんだけど)

( ><)「確か一回戦以来だったんです!体調は大丈夫なんですか?」

(;-_-)「あ、ああ。ずっと寝てたんだ。えっと……ビロードさんだったかな」

(* ><)「はいなんです!」

(-_-)「準決勝は大変だったね。まさかあんなことになるとは」

( ><)「……おかしいんです」


602 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:48:03 Lef9KhhYO
(-_-)「ん?」

( ><)「小森さん、ずっと寝てたって言ったのに、どうして準決勝のこと知ってるんですか?」

( -_-)(ありゃりゃ、意外と鋭いな)

( -_-)「たまたま、目が覚めたときにテレビで見たんだよ」

( ><)「怪しいんです……!」

(;-_-)「……っ」

( ><)「わ、わかったんです……!」

(;-_-)(ウソだろ……)

( ><)「小森さん、あなたは選手じゃない。ましてや係員でもないんです」

(;-_-)「……」

( ><)「あなたは──」

( ><)σ ビシィ!「テロリストなんです!!」

(;゚_゚)「はぁ!?」


603 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:48:42 Lef9KhhYO
( ><)「一回戦、わざと倒れたあなたは、医療ルームから抜け出した後、決勝戦まで身を潜めていた」

( ><)「そして、全員の目が会場に集中しているところを狙って、こっそり戻ってきた。違いますか?」

(;-_-)「……それが、テロリストとどう関係しているの?」

(>< )「ポケットに突っ込んでいる手には握られているんです。そう──」

( ><)「会場を吹き飛ばす爆弾がね!!」

(;゚ε゚)「ブッ!」

( ><)「さぁ、観念するんです!大人しく爆弾のスイッチを切って」

('、`*川「あら?」

(,,゚Д゚)「何してんだ」

(; ><)「ギギギギギギコさん!?」

(;-_-)(それとペニサス嬢か)


604 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:49:24 Lef9KhhYO
(,,゚Д゚)「よう、ビロード。準決勝じゃ恥かかせてくれたな」

(; ><)「ごっごごごごめんなさいなんです!!あれは、えと、そのわかんないです!!」

(,,゚Д゚)「……ちっ」

( ><)「あれ?な、殴らないんですか?」

(,,-Д゚)「んだ、ゴルァ。殴って欲しいのか?」

(; ><)「滅相もございません!!」

('、`*川「あなた、その言葉、使い方間違ってるわよ。そもそも──」

(;-_-)

( -_-)

( -_-)(ああ、この人たちアレだ。ちょっと変わってるんだ)


605 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:50:00 Lef9KhhYO
〜〜〜

(* ><)「……なるほどなんです!確かに爆弾も何も持ってないんです!」

(;-_-)「当たり前じゃないか……」

(,,^Д^)「ギコハハハ、まぁ疑いが解けてよかったじゃねぇか」

(,,^Д^)(確かにこの時間にうろちょろしてんのは怪しいが……灰色か……ま、やる気のねぇ色してるし、大したことは考えてねぇんだろ)

(-_-)「ええ、まぁ」

(-_-)(なんか疲れた……)

('、`*川「私達、決勝戦を見に行くんだけど一緒に行く?」

(-_-)「あ、いえ。僕はちょっとまだ調子が……」

('、`*川「そう?」

( ><)「ぎ、ギコさん」

(,,゚Д゚)「なんだ」

( ><)「その……僕も」

(,,゚Д゚)「ああ?聞こえねぇよ」

( ><)「僕も一緒に行っていいですか……?」

(,,-Д-)「フン……勝手にしろ」


606 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:50:34 Lef9KhhYO
(* ><)「はいなんです!!」

(*-_-)(すっかり牙が抜かれたみたいだ……さすがマジシャン)

( -_-)(それにしても……テロリストねぇ)

( _ )(まぁ……あながち間違いでもないか)


607 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:51:16 Lef9KhhYO
〜〜〜

テレビではCMが明け、喧騒が戻ってくる。

いつもの通り、司会は現在の状況を簡潔に伝えた。

(-@∀@)「さぁシベリア決勝戦も折り返しに突入!現在のポイントは……」

(*^ー^)「はい!スーパードックン、ジョルジュ長岡選手ともに4ポイントです!」

(*-@∀@)「やはり強い!!ここまで上がってきた二人!たとえ想定外のクイズが来たとしても一向に退かない!!」

(-@∀@)「果たして、どのような結末が我々を待っているのでしょうか、参ります、第五問目……ジョルジュ選手、お願いします!」

CM中、会場の観客と舞台に居る人物達は、小休憩を取っている。談笑する三人と、進行の手順を確認する二人。

そして、対戦者の金髪と黒髪は思考の海へ。陸に上がった彼らは手に入れた獲物をさらけ出していく。


608 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:51:59 Lef9KhhYO
  _
( ゚∀゚)「それじゃ、これでいこうか」

(*゚ー゚)「OKです!」

しぃの返答は早かった。スクリーンに映し出される問題文は短い。

【ブロードクロスはイギリスでなんと呼ばれるか】

(-@∀@)「では、スーパードックン。こちらの問題に異議はありますか?」

スムーズな進行は途切れず、アサピーの確認に対して、回答と同時に答えるドクオ。当然のようにポイントは増える。

( 'A`)「ない!ポプリンだ!」

(*-@μ@)「正解!!出題するジョルジュ選手と回答するスーパードックン!どちらも底知れない知識量!!1ポイントの重みは大きい!!」

  _
( -∀゚)「ずいぶん勉強したようだね」

('A`)「ああ。一年前じゃ答えられなかっただろうよ」

賞賛の言葉を送るジョルジュに対して、目を伏せながら口角を上げた彼は謙遜ぎみに言う。続いての質問に対して、思いを馳せながら。


609 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:52:39 Lef9KhhYO
  _
( ゚∀゚)「そこまで白髭さんのことを知りたいかい?」

( -A-)「……知りたいさ、だけど……」

( '∀`)「それよりもあんたに勝ちたい。今はそっちのほうが大きいな!」

  _
(* ^∀^)「嬉しいね、そうこなくちゃ」

顔を上げたドクオの決心は固い。決して諦めることをしない、彼に芽生えた闘争心はこの舞台で舞うにふさわしかった。

(-@∀@)「熾烈な争いに光る友情!スーパードックンの出題はいかに!」

煽る司会の言葉を聞いて、こそばゆくなった出題者は素早く問題を書き終えて出題キーを押す。

こちらもすぐに精査の結果が返ってきた。白い壁面に文字が浮かぶ。

【全日空のマリンジャンボの機体番号はなに?】

  _
( ゚∀゚)「JA8963」

(*-@∀@)「正解です!!やはり違えない、正解の応酬!!」

即答は、彼の意を汲んで。気恥ずかしい言葉をいとわず使う男に、燃え盛る闘志の炎。

  _
( ゚∀゚)「俺も嬉しいよ。こうして君ともう一度戦えるのが、ね」

(;-A-)「言ってろ、次だ……!」

寒さを忘れるほどの接戦は、まだ続いている。


610 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:53:32 Lef9KhhYO
〜〜〜

(´・ω・`)(互角、か。まぁこうなることは予想できていた)

(´-ω-`)(とはいえ、ジョルジュ相手にまさかここまでやるとはな)

(´・ω・`)(スーパードックン……いや、宇都宮ドクオ。白髭さんの息子だけはある)

(´・ω・`)(だが、私にとっては余興でしかない。たとえ、どちらが優勝しようとも、せいぜい3000万程度増えようと減ろうと関係はない)

(´-ω-`)(そう、たとえ──たとえ私が失脚したとしても……)

(´・ω・`)(ようやく、お前を右腕にすることができるのだからな、ジョルジュ)


611 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:54:06 Lef9KhhYO
───

/ ,#゚3(忌々しいのぅ、小童共が)

/ ,' 3(こちらとて、100億などというふざけた金額を渡すつもりは毛頭ないが)

/ ,' 3(ワシの沽券に関わる)

/ ,- 3(誰も見向きもしない路傍の石に、勝利の美酒など到底不要)

/ ,' 3(諸本の子飼いであるジョルジュ長岡、貴様には期待しているぞい)

───

( ・∀・)(暇ですねぇ……ま、スーパードックンが勝つからいいんですけど)

───


612 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:54:48 Lef9KhhYO
〜〜〜

(-@∀@)「5対5、依然として膠着状態のなか、クイズは進みます!第六問!ジョルジュ選手どうぞ!」

決勝中盤、同点のまま、盛り上がりに欠けるように見えるこの戦いに、飽きる者はいなかった。

それは高い水準のクイズを出回答することのできる二人だから。ひいては、ドクオとジョルジュだから。

もはやどちらが勝ってもおかしくないというある種の緊迫に、どれだけ静かな進行であろうと関係はなかった。

  _
( -∀-)「そうだねぇ……まだ出していないジャンルは、これかな?」

(*゚ー゚)「……OKです!」

ジョルジュの出題する法則は、ドクオの苦手と思われるジャンルを選択していると分かる。

VIPテレビでの対戦や、シベリアでの戦いである程度のデータは手に入るからだ。

【ダンテ交響曲が完成したのは何年?】

('A`)「1856年」

(-@∀@)「正解です!」


613 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:55:24 Lef9KhhYO
しかし、特定の引き出しが空っぽというありがちな能力を持った有象無象とは違う。

浅く広くではなければ、深く狭くでもない。深く、深い知識を持った男に対戦者は軽口を叩いた。

  _
( ゚∀゚)「外さないなぁ、いったい何のジャンルだったらわからないんだい?」

('A`)「わりぃが、教えるつもりはねぇよ。いくぜ」

教えるつもりがないというドクオであったが、考えてみて知らないジャンルというものはなかった。

それが良いことか悪いことか、ここで逡巡しても仕方がないと悟る彼の出題は、通る。

【1984年に登場したアーケードゲーム、バルガスで、後に同社のゲームで隠しキャラとして出てくる敵キャラの名前は?】

  _
(; ゚∀゚)「……」

(*'A`)(おっ、こりゃさすがに効いたか?)


614 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:56:04 Lef9KhhYO
沈黙は回答することができないことを意味する。そう思った彼は内心でガッツポーズを取るが、すぐに腕は下ろされる。

  _
(; -∀-)「まったく……とんでもないところから問題を出すね。俺か津雲レイくらいじゃないと答えられないんじゃないかい?」

('A`)「……ちっ」

  _
( ゚∀゚)「答えは弥七だ」

(;-@∀@)「正解!!我々にはさっぱりわかりませんが、ジョルジュ選手1ポイント獲得!!」

出題、回答共に反則的な力を持っているのは、なにもドクオだけではなかった。


615 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:56:38 Lef9KhhYO
〜〜〜

ξ;゚⊿゚)ξ「全く、とんでもない問題出すわね、あの男は」

(=゚ω゚)「マニアックだよぅ」

ξ-⊿-)ξ「でも、本当に良かった」

(=゚ω゚)「いよぅ?」

ξ;゚⊿゚)ξ「あ、いえ。彼に進んでもらえて」

(=゚ω゚)「……」

ξ;-⊿-)ξ「も、申し訳ございません。私としたことが、他国の選手が優勝することを是に」

(=-ω-)「構わんよぅ。というと、甘すぎるか」

ξ;-⊿-)ξ「……」

(=゚ω゚)「気に病むなとさっきから言ってるのに、やっぱり気にしてるんだよぅ?」

ξ; ⊿ )ξ「っ……」


616 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:57:20 Lef9KhhYO
(=゚ω゚)「そんな顔するなよぅ。わかったよぅ」

(=゚ω゚)「確かに津雲レイは活躍のチャンスを失った、それは揺るぎのない事実」

(=゚ω゚)「でも、そのおかげでスーパードックンが決勝に駒を進めた。これも事実」

ξ;-⊿゚)ξ「はい。重々承知しております。ですが、その……もっと、もっと我々の文化を広めるべきだったと──」

(=;-ω-)「お前、ホントにちゃんと応援してるのかよぅ?」

ξ;゚⊿゚)ξ「えっ……?」

(=゚ω゚)「さっきスーパードックンが出した問題。あれはイヨコンが設立して初めて出したゲームの問題だよぅ」

\xAD熙\xCE;゚⊿゚)ξ「あっ!」


617 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:58:07 Lef9KhhYO
(=゚ω゚)「そう。ちゃんと、ツンの意志は引き継がれているんだよぅ」

ξ*;゚⊿゚)ξ「あっ……ああ……」

(=゚ω゚)(クイズというものも、ひとつのゲーム。我々が扱うものと変わらないよぅ)

(=-ω-)(ツン。思えば、お前には無理をさせてきたよぅ。勝つことに対しての絶対的責任……それを負わせてきた)

(=゚ω゚)(でも、ここで負けたことでもっと伸びることができると僕は思うよぅ)

(= ω )(そして……これを機にシベリア賭博はやめる。そう決めたよぅ)

(=^ω^)「応援するよぅ、ツン。今まで後ろから聞こえてきた言葉を、今度はお前から伝えるんだよぅ」

ξ*^ー^)ξ「……はい!」


618 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:58:44 Lef9KhhYO
〜〜〜

夜が深まっていくにつれ、静寂は増していく。震える体は寒さのせいだけではない。

六対六。その数字は決して開くことのない二人の距離。刺してはかわし、かわしては刺す。

まるで命のやり取りをしているような、そういった感覚に陥るこの状況では武者震いすら可愛く見える。

ジョルジュの出題に審議はかからない。スクリーンへと情報が流される。

【父母が共に育児休業を取得する場合、その期間が従来の『子が1歳になるまで』から『子が1歳2ヶ月になるまで』に延長できるようになる制度をなんという?】

(;-@∀@)「なんと、またしても捻った問題ですが、どうやら審議は必要ないようです!スーパードックン、こちらに異議は」

('A`)「ないな。育児休業法くらい知ってるさ。答えはパパ・ママ育休プラスだ」

(;-@∀@)「せ、正解です!」


619 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 08:59:25 Lef9KhhYO
当然のように答えたドクオに向けられるのは尊敬の念ではなく、疑問。代表して、アサピーが言う。

(*-@∀@)「いったいどうすればそのような知識を身につけるのか!?独身ですが、よく正解された!プラス1ポイント!」

(;'A`)(独身は余計だろ……)

独り身はおろか、結婚している世帯でもこの問題に答えることが出来るのはわずかだろう。

それほどにニッチな出題に、観客は唸り、また回答したドクオにある種の不信感を抱く。なんで知ってるんだ。

  _
(; ゚∀゚)「たいしたもんだ、これまで答えるとは」

若干の焦りを感じたジョルジュは、そのまま素直に口にした。

本来なら得意な顔をして、軽口の一つでも言えるような状態で、ドクオはなんともいえない表情をしながら出題キーを強めにタッチする。

【フランス南東部、プロバンス地方、バール県の町ルトロネにあるルトロネ修道院の建築様式はなに?】

  _
( ゚∀゚)「……なるほどね、君の狙いはそれか」

(-∀-)「へへっ」


620 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:00:08 Lef9KhhYO
彼の意図に気づいたジョルジュは口角を上げた。同時に、俯きがちだった出題者も顔をあげ、笑顔を見せる。調子が回復した。

  _
( ^∀^)「いいだろう、付き合うよ。答えはロマネスク様式だ」

(*-@∀@)「正解!!ジョルジュ選手1ポイントゲット!!7対7!!」

ドクオがこうして、詰まることなく問題を出すことができるのは、戦いで刻んだ喜怒哀楽。

ジャンルによる攻撃を行うジョルジュに対し、彼は戦友との思い出を武器に応戦する。


621 : 名も無きAAのようです :2014/02/09(日) 09:00:15 TPtZNC9g0
プリキュアみてたら来てた支援


622 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:00:45 Lef9KhhYO
〜〜〜

lw´*゚ _ ゚ノv「っしゃぁ、きたぁ!私のターン!!」

(; ФωФ)「な、なにごとであるか」

lw´‐ _‐ノv「ん?ロマ気づいてないの?ドクオってずっと回想してるんだよ」

( ФωФ)「回想?」

lw´‐ _‐ノv「例えば、第三問のアイドルクイズは一年前のVIPテレビで妹達と戦ったこと」

lw´‐ _‐ノv「第四問はジョルジュ、第五問はよくわからないけど、第六問はツンさん」

( ФωФ)「なるほど……確かに、今までの対戦相手に因んだ出題であるな。さすが、よくわか──」

lw´* _ ノv「そぉしぃてぇ!!」

\xAD堯\xCA; ФωФ)ビクッ


623 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:01:26 Lef9KhhYO
lw´‐ _‐ノv「輝かしきダイヤモンドの如く、繰り出されるものは甘酸っぱい青春!」

lw´‐∀‐ノv「きっとそんな問題を出題す──」

【フランス南東部、プロバンス地方、バール県の町ルトロネにあるルトロネ修道院の建築様式はなに?】

lw´‐A‐ノv「……」

( ФωФ)「ふむ、ロマネスク様式とは悪くない問題である」

( ФωФ)「……」

( ФωФ)(玉石は間引いてみれば……かつて我輩が思い、今なお考えていることの答えがやっとでたな)

( ФωФ)(石ころというには役不足、原石というには大げさな)

( ФωФ)(例えるならば)

( ФωФ)(成長する葦といったところか)

lw´;д;ノv「なんでロマなのぉどうじてぞんなごというのぉぉ」

(; ФωФ)(……だが、妙にひっかかる。ジョルジュ長岡……なんだ、この違和感は)


624 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:02:54 Lef9KhhYO
〜〜〜

(-@∀@)「シベリア決勝戦も終幕へと近づいてまいりました。しかし!お互いのポイントは同点!7対7のまま、両者一度も回答をしくじらない!」

アサピーの声が会場に響き渡り、現状を認識させる。

ジョルジュは両手を肩の位置まであげておどけた。

  _
( ゚∀゚)「本当に、やっかいな相手だよ、君は」

(;'A`)「こっちのセリフだ、くそっ……!」

対し、タブレットを持ったまま腰に両手を添え、前のめりに憎まれ口を叩くドクオ。

少なからず、両者の体力は極寒に、気力は出題と回答に蝕まれている。それを気にしてか、口を開いたのは司会。

(-@∀@)「では参りましょう、第八問目、ジョルジュ選手!」

頷き、タブレットに文字を書き込んでいく。せめて、寄りかかれる台でもあれば楽なのだが、と彼を見ているドクオは首を振って、スクリーンに目線を向ける。審議の必要なし。

【親クラスとはIT用語において英語でなんという?】


625 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:03:38 Lef9KhhYO
(-@∀@)「また異なるジャンルからの出題!スーパードックン、いかがですか?」

(;-A-)「余裕だな、スーパークラスだ」

言って、心底ほっとしたのは疲労が原因か。言葉にした余裕というものは、実際それほどない。

(*-@∀@)「正解です!!そう、たとえどんなジャンルがこようとも物ともせずに答えるはスーパードックン!1ポイント獲得です!」

(;'A`)「無駄だって言ってるだろ、ジョルジュ。それとももうバテたのかよ」

  _
( -∀-)「フッ、まだまだ。これからさ」

にもかかわらず、強がりを見せるのは、隙を見せないため。

彼の実力は痛いほど知っている。少しでも弱ったところを見せれば心理的に追い詰められかねない。

そして、ジョルジュ自身もドクオにそういった攻撃がもはや通用しないことを理解している。彼は強くなった、そう思うほどに。

(-@∀@)「それではスーパードックン、出題をお願いします!」


626 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:04:52 Lef9KhhYO
(;'A`)(とはいっても……さすがにしんどいな)

かじかむ手を口元にもっていき、ハァと息を吹きかけてタッチペンを握る。

それほど字が上手くない彼の、さらに雑な文章は問題なくスクリーンに表示された。優秀な端末。

【二つの全く異なった遺伝子情報を持つ一個体をなんという?】

(-@∀@)「では、ジョルジュ選手!こちらは──」

  _
( ゚∀゚)「キメラ遺伝子だね」

(;-A`)「くっ……」

常に相手の回答が間違わないかと考えていた彼は、ここにきてそれを一瞬だが表情に出した。

無理もない。八問目を終えて、どちらもリードがないのだから。

目ざとく視認したジョルジュはアサピーの声を聞いた後に言う。

(*-@∀@)「正解!!ジョルジュ選手も1ポイント獲得!8対8!」

  _
( ゚∀゚)「スーパードックンこそ、こんな問題……疲れが出てきているんじゃないかい?」

(;'∀`)「へっ、ちげぇよ」

(;'A`)(そうだ。俺には……今まで戦ってきた奴らとの記憶がある)

(#'A`)(絶対に、バテるもんか!)


627 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:05:54 Lef9KhhYO
  _
( ゚∀゚)「さぁ、9問目……だよ」

自分は目の前にいるライバルと戦っているはず。しかし、どこかで自らとの戦いを繰り広げていることをドクオは認めない。

そう、それはジョルジュも同じく。ほんの僅かな歯切れの悪さは、己の葛藤を表していて、それを認めながらも思う。

このまま、終わることができればどれだけ楽かと──


628 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:06:37 Lef9KhhYO
〜〜〜

ハハ ロ -ロ)ハ(お互い一歩も退いてイナイ……)

(,,゚Д゚)「よう、ハロー」

ハハ ロ -ロ)ハ「ギコ、それに……」

('、`*川「さっきぶりね、ハローちゃん」

( ><)「久しぶりなんです!」

ハハ ロ -ロ)ハ「ペニサスサン、ビロードさん」

ハハ*ロ ーロ)ハ「ハイ。お二人とも、応援デスカ」

('、`*川「まぁ、ジョルジュ様が勝つに決まってるんだけどね」

(,,-Д゚)「いや、ヒョロ男もああ見えて根性あるぞ」

( ><)「わかんないです!」

('、`*川「なによ」

(,,゚Д゚)「なんだゴラァ」

ハハ ロ -ロ)ハ(なんだろう、このソガイカン)(>< )


629 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:07:23 Lef9KhhYO
(,,-Д-)「しっかし、妙だな……」

ハハ ロ -ロ)ハ「何がデスカ?」

(,,゚Д゚)「二人の『色』だよ」

('、`*川「またその話?」

(,,゚Д゚)「ヒョロ男の真っ赤な色は良く分かる。勝ちにいく覚悟をしてるんだろ」

(,,゚Д゚)「でも、ジョルジュの色……不自然だ」

( ><)「何色なんですか?」

(,,゚Д゚)「勝つための色もありゃ、冷静な色、穏やかな色、見守る色……こりゃ虹色だな」

ハハ ロ -ロ)ハ「虹色……」

(,,-Д-)「ヒョロ男んときもそうだったが、全く……特殊なヤツが二人もいるとはな」


630 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:08:03 Lef9KhhYO
('ヮ`*川「きっと、心理的に分析されないように感情をコントロールしているのよ。さすがジョルジュ様!」

(,,゚Д゚)「あんたもいい加減に夢から覚めたらどうだ」

(-、-;*川「う、うるさいな!あんたこそさっきから色の話ばかりしないでくれる?だいたいホントにそんなもの見えるんだか……」

(,,#゚Д゚)「んだとゴルァ!いいか、これはな──」

ハハ ロ -ロ)ハ(ギコの見える色は正しい。それはワカル)

ハハ ロ -ロ)ハ(ただ、だとしたら尚更、ジョルジュサンの考えていることがワカラナクナル)

ハハ;ロ -ロ)ハ(もしかしたら、あなたにとってこの大会、優勝が目的ではナイノ……?)


631 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:08:58 Lef9KhhYO
〜〜〜

時刻は22時を回った。これから見始める者もいれば、すでに床についた者もいる。

数多くの人々に伝わってくる臨場感は生放送ならではで、司会は状況を説明した。

(;-@∀@)「ついに残すところ二問となりましたが……やはり同点は変わらず。このままでは変則サドンデスに入る恐れもあります」

(*-@∀@)「ですが、お二人の雄姿を見届けることができるのはこの会場と、VIPテレビの中継だけ!!どうぞ最後までお付き合いください!」

歓声が上がる。観客席から聞こえてくるそれと、決して聞こえることのないテレビの前の視聴者達からの応援。

九問目を前にして、ジョルジュは笑った。

  _
( ^∀^)「九問目、か。ふふ」

('A`)「なんだよ」

いぶかしむように問うドクオに、金髪の男は笑みを絶やさない。

  _
( ^∀^)「いや、一年前を思い出してね」

('A`)「……」


632 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:09:55 Lef9KhhYO
もう何度も思い出してきた記憶は、懐かしさを伴って黒髪の男に寄り添う。

疲労困憊な心境だと甘えてしまいそうになるそれを振り払うためには、先に進むしかない。

  _
( -∀-)「追い込まれたよ、あの時は。さすがはスーパードックンだ」

('A`)「無駄口はいい、さっさと問題を出せよ」

奥歯を噛み締めて、一歩踏み出す。まだ、振り返るわけにはいかない。

  _
( -∀゚)「気合十分といったところか。オーケー、出題するよ」

そう言うと、器用にタッチペンを指で回し、液晶へと滑らせていく。

よどみのない棒の動きは見とれてしまうほどにスマートで、出題文は10秒ほどで仕上がった。

押下され、精査され、表示される。

【ハーレフ城・カナーボン城・ビューマリス城・コンウィ城は、1986年になんという名目で世界遺産として登録されたか?】


633 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:10:34 Lef9KhhYO
アサピーの問いかけには無言で手だけを掲げ、応えたドクオ。

対抗するようにペンを回し、滑らせようとするが、硬くなった手がそれを許さない。

諦め、通常通り記述する。

【グウィネズのエドワード1世の城群と市壁群】

(#-@μ@)「正解です!スーパードックンにリーチがかかる!9対8!!」

(;'A`)(ふぅ……ようやくか。でも、気ぃ抜いたらおしまいだな)

視界がかすむ。かぶりを振って、霞を払う。早朝からの連続した頭脳対決は、確実に彼の考える力を奪う。

それでも、耐えるのは今が9問目だから。ゴールはそう遠くない。

(;-A-)(この勝負は10対10以降のサドンデスで決まる。あとは気力の問題か……)

  _
( ゚∀゚)「スーパードックン、早く出題してくれよ」

聞こえてきたジョルジュの催促に、はっと我にかえったドクオは動揺しながら記述を始めた。

まどろみすら見え始めて来ているのだろうか、眠気が舞台の上にいる人間達の視線を感じさせなかった。

(;'A`)「あ、ああ。いくぜ」


634 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:11:30 Lef9KhhYO
【仏教において六道輪廻の6種類の主な世界とはなに?】

それでも食らいつく。ここではまだ妥協や温存などはせず──もっとも、できないのだが──ただひたすらに問題を出し、解いていく。

【天道(天上道、天界道)、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道】

それをアサピーすら待たずに、すぐ回答するジョルジュもまた同じ。

ドクオのそれと比べればまだ余裕があるとはいえ、気を抜くことはしない。

素早い攻防に驚きを隠せなかった司会は、声を出すまでに数秒かかった。

(;-@д@)「せ、正解!!ジョルジュ選手も追いつく!!9対9!!これはまさに昨年と同じ!!」

(;-@∀@)「あのギリギリの戦いを彷彿とさせます!!」

リベンジを誓う男にとって、奇しくもそれはあの時と同じ。

絶体絶命なほどにダメージを受けた状態でのクライマックス。

違うのは、勝利への執着心。ジョルジュは優しく気持ちを汲むように、問いかける。


635 : 名も無きAAのようです :2014/02/09(日) 09:11:33 Oo/MXl6.0
ずっと待ってたぜ
張り付かせてもらおう


636 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:12:16 Lef9KhhYO
  _
( ゚∀゚)「輪廻ねぇ……それは俺との再会を称しての出題かい?」

(*;-A-)「ふぅ……別に、そういうわけじゃ」

肩が上下する。運動をしているわけでもないのに、呼吸が速い。息を吐いてから応える。

  _
(* ^∀^)「嬉しいなぁ、そこまで思ってくれるとは」

(*#'A`)「だ、だからそういうんじゃね──」

  _
(  ∀ )「だけど、さよならだ。延長はない。次が俺達の最後だよ」

そして、先ほどまでのジョルジュとは何かが変わったように、その言葉は心に突き刺さる。

(;゚A゚)「なにっ……?」

眉毛が八の字を描きながら、意味を聞き返すも、目を閉じる男に、ドクオは憮然とした。

形容のしがたい変化は、好敵手を良く知るが故の動揺を誘う。

もう一度、何かを問おうとして、遮ったのは進行。

(-@∀@)「ここにきての終了宣言!!ジョルジュ選手、なにやら秘策があるのか!?それではテレビをご覧のみなさん!いったんCMです!!」


637 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:13:05 Lef9KhhYO


幸か、不幸か。


まるでこれ以上問いただすことは自身のためにもならないような気がして、それでも、誰にも邪魔されることのない時間は訪れてしまう。


638 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:13:49 Lef9KhhYO
〜〜〜

('A`)「……どういう、意味だよ」

恐る恐るなのは、それだけ認めているから。

  _
( ゚∀゚)「ん?」

( A )「さっき言った──最後って」

再び尋ねるのは、自分が思ったことを否定して欲しいから。

  _
( ゚∀゚)「言葉通りさ、スーパードックン。君は俺に勝てないよ」

普段は陽気で飄々とした雰囲気を纏う金髪の男は、とても冷たく感じて。

(# A )「んなもん、やってみなくちゃわかんねぇだろうが──」

  _
( ゚∀゚)「残念ながら。決まったことなんだ」

彼の言う"最後"の意味が現実味を帯びて、背中を痺れさせていく。


639 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:14:43 Lef9KhhYO
(# A )「はぁ?」

  _
(  ∀ )「──それとも、君は…ドクオは、止められるのか──」

せめてその言葉が、蚊の鳴くような声で聞こえなかったドクオの耳に届いていたのなら。

  _
( ゚∀゚)「さぁ、そろそろ始まるよ。この大会のフィナーレが」

( A )「……まぁ、今に始まったことじゃねぇからこれ以上は言わねぇけどよ」

口から出るのは強がりで、本当のところ、怖がりな黒髪の男は。

( 'A`)「今度は俺が勝つ!」

  _
( ゚∀゚)「……」

なぜか過ったもう二度と会えなくなるという直感を、認めたくはなかった。


640 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:15:51 Lef9KhhYO
〜〜〜

水を打った静けさは、さらに雪が降り注ぐようにしんしんとしていて、星は輝いているのに白い舞台は銀世界のような錯覚に陥る。

会場で対峙する二人を見ている観客はともかく、CM中に話された彼らの会話を知る由もない視聴者達は、その静寂を最後の時だからと納得する。

ようやく聞こえた音は、ゆっくりと、力強く言葉を発するアサピーから。

(-@∀@)「会場の皆さん、また、テレビをご覧の皆さん……ついに、この時がやって参りました」

(@∀@-)「スーパードックン、現在9ポイント」

(-@∀@)「ジョルジュ長岡選手、現在9ポイント」

(-@∀@)「そう、両者共にリーチがかかっており、どちらかがポイントを落とし、また獲得すればその時点で優勝が確定します」


641 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:16:36 Lef9KhhYO
('A`)(……)

  _
( ゚∀゚)(……)

無言。お互いに思うことがあり、どのように話すべきかわかってはいない。

ともすれば、どこか滑稽な二人を、年の功だろうか穏やかな気持ちで見つめるアサピーが続ける。兄と弟。

(-@∀@)「では、最後となりえる問題をジョルジュ選手──」

  _
( ゚∀゚)「待った」

虚を衝かれ、聞き返す。ジョルジュは手を頭ほどの位置に挙げ、司会の二人に告げる。

(;-@∀@)「はい?」

  _
( -∀゚)「悪いけど、順番を変えてくれないかな?スーパードックンに先に出題してもらいたい」

( 'A`)「なんだと……!?」

最も驚いたのはドクオだった。すぐに回転の鈍った頭を回すが、意図がつかめない。

ただの心理トリックだろうか。そう思い至るのは申し出を受けている彼らも一緒。


642 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:17:23 Lef9KhhYO
(;-@∀@)「そ、それは……しかし、今までの順番で出来たリズムというものもありますし、そもそもルールをそう簡単に……」

  _
( ゚∀゚)「簡単に変えられる人達がここに揃ってるじゃないか」

ジョルジュは三人を指差した。

諸本は笑い、荒巻は睨んで、茂良は目を閉じる。

しばしの沈黙は、その視線から目をそらさなかったことに屈したのか、荒巻によって破られ、二人も追従する。

/ ,' 3「良いではないかね?もっとも、スーパードックンが了承すればの話だがの」

(´・ω・`)「ええ。そのような申し出が出るということは、彼によほど自信のある問題が思い浮かんだということでもあるでしょうし」

( ・∀・)「スーパードックンは、どうです?」

三種三様の意見は、ドクオの決断に委ねられた。突き刺さるような視線に、身じろぎするが、思考は止めない。

('A`)「……」


643 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:18:11 Lef9KhhYO
(-A-)(罠か……?あいつのことだ、何か仕掛けてくる……)

(-A-)(いや、だとしても……だ。俺が答えればいいだけ……!)

('A`)(ツンから貰ったティッシュはまだ残ってる。サドンデスによる時間短縮でジョルジュを倒す……!)

両手をスラックスのポケットに入れて、残存している切り札を確認した彼は了承の意を持って頷いた。

('A`)「わかった、順番を変更してくれて構わねぇ」

ドクオが言い終えて矢継ぎ早に、アサピーが声を荒げる。耳元を押さえる様子を見ると、インカムに連絡が入ったことがわかった。

(;-@∀@)「しょ、承知しました!それでは、特別に順番を変更して……スーパードックンの出題です!」

そして、出題するのは先を見据えた男。10問目にして最も早いスピードで出題キーを押す。

(#'A`)(そっちがリズムを変えてきたなら、こっちだって!)

(*;゚ー゚)「これは……」

与えられた情報は精査され、しぃの耳に届く。本来ならすぐにでも可か不可か応える彼女は、そのまま微動だにしない。見かねたアサピーが言う。

(-@∀@)「しぃさん?審議が必要ですか?」


644 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:18:54 Lef9KhhYO
(*;゚ー゚)「い、いえ、しかし……本当にこれで良いのですか、スーパードックン?」

('A`)「ああ、構わねぇよ」

ドクオを除いた全員、疑問に思う。あのしぃが動揺を隠せない。その意味を知るのは問題文を見てからだった。

(*;゚ー゚)「で、ではスクリーンをご覧ください!」

【足し算をしなさい。1+1=?】

(;-@д@)「な、なんと!?これは……」

  _
( -∀-)「ふぅん……そう来たか」

出現する問題は見ているものの度肝を抜く。してやったり。

(;'∀`)(どうせサドンデスで決着をつけるんだ。問題を考える時間と気力がもったいねぇ)

20秒という制限時間になれた二人にとって、もはや通常の問題による攻防は意味をなさない。

ならば、時間が引かれていく変則サドンデスを使い、さらに両耳をふさいだ状態で戦えば勝機が見えるだろう。


645 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:19:34 Lef9KhhYO
そのためには回復をする必要がある。ここにきて、少しでも確実な温存を、という勝利するための布石をしいたドクオの作戦は──

(;-@∀@)「なんの意図があるのか、小学生でも解ける問題ですが、ジョルジュ選手……その、異議は」

  _
( -∀-)「ないよ。回答は──」

(;'A`)(さて、問題はジョルジュの策だが、いったいどんな──)

  _
( ゚∀゚)「わからないな」

さらに上を行くジョルジュに潰される。

(;゚A゚)「は!?」

(;-@д@)「え!?」

回答できない旨を伝えた彼に向けられるのは疑惑。観戦する全ての人物たちは口が閉じない。もはや誰にも彼の考えていることなどわからないのだ。

たとえ、一番近い場所にいるライバルでも。


646 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:20:37 Lef9KhhYO
  _
( ゚∀゚)「ん、わからないよ。進行してもらって構わない」

(;-@∀@)「し、しかし!?」

(#`A')「どういうつもりだ!ここまできてやる気がなくなっちまったのかよ!?」

疲労した体のどこにそんな声を出せる余力があるのか、自身でもわからない。

それでも、どうしても伝えなければならないと思ったドクオは叫ぶ。──消えないでくれと。

  _
( ^∀^)「アハハ、そんなに怒らないでよ。ほら、アサピーさん」

(;-@‐@)「は、はい……では、9対9のままで出題はジョルジュ選手、回答はスーパードックンに移行します」

だが、ルールに支障の出ることを行ったわけではない。渋々ながら進行する司会を止める術はなかった。

(#-A-)「ジョルジュ、いったい何を考えてやがる……!」

俯き、こぼすしかない男に、ジョルジュは笑う。


647 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:21:22 Lef9KhhYO
  _
( ^∀^)「フフ、そうかっかしてちゃ、せっかくのチャンスを不意にするよ?」

その笑顔はとても爽やかで、暖かいように見えた。

先ほどまでの氷のような鋭い冷たさを無くした、いつもの彼に見えた。

(# A )「……いいぜ、そこまで言うなら俺があんたのクイズに答えてやる!!」

だからこそ、うだつのあがらない男の怒りは膨れ上がり──

(#゚A゚)「この、スーパードックンがなぁああ!!」

(**-@∀@)「で、出ました!!彼の決めゼリフ!!勝率が大幅アップするのではないかと言われるスーパードックンの本気!これは熱い!!」

  _
( ゚∀゚)「そうか、そのセリフももう聞けなくなるんだね……」

(#'A`)「こいよ、ジョルジュ!!」

いつもの彼であるうちに、ジョルジュ長岡を倒すと宣言した。

  _
(  ∀ )「……ああ」


648 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:22:15 Lef9KhhYO
そして、その宣言ですら。

(*゚д゚)「えっ……!?」

(*-@∀@)「しぃさん?どうされました」

(*;゚―゚)「これは、いったい……」

(-@∀@)「審議が必要ならそう──」

(*゚ぺ)「いえ、審議をすることすら無意味です。これでは問題になりません。ジョルジュ選手、このままではスーパードックンが1ポイント獲得するチャンスをさらに得て、場合によっては敗北となりますが……」

(;゚A゚)(なんだ……?いったい、何を書いたんだ?)

飲み込んでしまうほどに強力な彼の問題は。

  _
(  ∀ )「いや、通るよ」

(*;゚ー゚)「で、ですから、通りませ──」

  _
( ゚∀゚)「通るさ。ねぇ……────ギーク」


649 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:23:04 Lef9KhhYO




【俺の正体はなんでしょう?】


650 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:23:47 Lef9KhhYO
道理を飛び越えるドクオの、さらに上を行ってしまう。

( ― )「全員、動くな!!」

(;;゚A゚)「なんだ!?」

若い声だった。けれど、それに対して尊大な態度をとろうとは思えないほどに威圧的だった。戦場はおろか外野すら支配する。

声の主は選手入り口から舞台へと一直線に歩いてくる。先ほどの怒号から想像した内面とは裏腹に、眠たそうな眼を擦っては、ボサボサの髪をかきながら、ゆっくりと、気だるく。

(-_-)「その呼び方はやめてよ、マジシャン……いや、ウィザードか」

到着した小森ヒカルはジョルジュのそばに立ち、魔術師を意味する言葉で呼びかける。

あっけにとられる周囲の人間を尻目に、魔術師は髪をかきあげ、また笑った。


651 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:24:31 Lef9KhhYO
  _
( ^∀^)「ハハハ、ごめんごめん」

(;'A`)「じょ、ジョルジュ……ど、どういうことだ?」

随分と時間が経った気がしたが、それは脳が状況を処理できていないからだと思った。

ようやく出た言葉は、安直。それでも、ジョルジュは何のことはないという面持ちで答える。

  _
( ゚∀゚)「ん、こういうことだよ」

ふと、気がつけば隣に立っていた小森が居なかった。

ドクオは周囲を見渡して、すぐに彼が視界へと入ってきたと思えば、予想外の位置から驚愕の言葉を聞く。

(-_-)「荒巻理事長。横領及び賭博開帳図利の疑いで逮捕します」


652 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:25:18 Lef9KhhYO
/;,゚ 3「な、なんじゃと!?ふざけるんじゃない!!どういう了見だ!」

荒巻の叫びをかき消さなければ、いけない。

( д )「ジョルジュ!!いったい、なにが──!!」

かき消さなければ、きっと終わってしまう。

大事に抱える思い出も。

知りたいと願う行方も。

ライバルへの決着も。

  _
( -∀-)「さっきの問題、もう二十秒は過ぎたよね。じゃあ、答えを言おうか。俺はね――……」

試合には、勝てずに──

  _
( ゚∀゚)「警視庁公安部、外事第二課主任、ジョルジュ長岡さ」

勝負には、負けて。

スーパードックンのようです
最終話 前編 おわり!


653 : 名も無きAAのようです :2014/02/09(日) 09:30:43 0Vo6LZPk0
うおおおお乙
どうなっちまうんだ…


654 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/09(日) 09:32:52 Lef9KhhYO
日曜日の朝にも関わらず、ご覧いただきありがとうございます!寒いです。

>>621
おー、プリキュア!プリキュア…プリキュア!(プリキュアを知らないから連呼してみました。スマイル!)

>>635
ありがとうございます!もう少し、もう少しだけ待ってください。完結まで目の前ですので!

次回は一週間以内に、本編ラストを投下します。しっかり見直すぞ!

では、またね。


655 : 名も無きAAのようです :2014/02/09(日) 09:53:15 eNoUzWns0
うおお乙、おわっちまうのか……
しっかし女性キャラがやたら可愛いな


656 : 名も無きAAのようです :2014/02/09(日) 10:25:48 DDKlVGUk0
乙!オモシレ〜!後編も期待してます!


657 : 名も無きAAのようです :2014/02/09(日) 11:23:52 JLkDgnqU0



658 : 名も無きAAのようです :2014/02/09(日) 12:34:13 XXYGftTU0

続きが気になる


659 : 名も無きAAのようです :2014/02/09(日) 12:47:50 dMd7fu.k0
乙りんQ


660 : 名も無きAAのようです :2014/02/09(日) 17:07:21 3EuGmVcY0

自分についての問題を待ってる時のシュールが可愛いすぎる
続き待ってるよ


661 : ◆8UONaKUB6Y :2014/02/19(水) 04:24:26 rSX4iQ1.O
ご報告

何が一週間以内に投下なんでしょうねぇ…出来上がってるはずが、あれもこれもと入れるからこんなことに。

投下見込みは近日です!というわけで今から執筆してきます!


662 : 名も無きAAのようです :2014/02/19(水) 06:38:35 xvVkIK2s0
つまりボリュームたっぷり見所満載と言うわけですね楽しみです


663 : 名も無きAAのようです :2014/02/23(日) 16:01:29 M2yWzYgQ0
wktkして待機!!


664 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/01(土) 22:10:18 cM56ROfwO
3月5日、投下予定!またズレたらごめんなさい!


665 : 名も無きAAのようです :2014/03/02(日) 00:30:44 S5R.18uQ0
股ズレはいかんよ痩せた方がいい


666 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:06:09 /if6FvLgO
ことごとく、予定を狂わされる日々。巻いていこう!


667 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:07:04 /if6FvLgO
(;´・_ゝ・`)「どう……なってるんだ、いったい……?」

プレハブで立ち尽くしているのはデミタスだけではなかった。全員の視線はモニター。

先ほどまでと同じ光景は、別の意味を帯びていた。

普段なら、たとえ陽気な態度を取っていても、業務に差し障りないように正確な時間を計るつーは、ストップウォッチの存在を忘れ、雑用からなにまでひた走るプギャーの足は止まり、にやけた顔は凍っている。

(; ^Д^)「か、カメラ……止めたほうがいいっすかね」

ポツリとこぼした彼の一言に、つーが賛同した。

(*;゚∀゚)「そ、そうだよ!絶対やばいってこれ!放送事故だって!」

言葉は伝染し、騒然としていくプレハブ内で意を決したチーフディレクターは手を叩いて注目を集める。

(;´・_ゝ・`)「よし、まずは会場のカメラマンに連絡を──」

( ^ω^)「止めなくていいお」


668 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:07:53 /if6FvLgO
(´・_ゝ・`)「は……?」

( ^ω^)「カメラ、止めなくていいお」

指示を仰ごうとデミタスに向いていた視線は、そのまま内藤へと移された。

無理もない。満場一致の判断を、真向から否定する彼の言葉は部下の声を荒げさせる。

(;´°_ゝ°`)「ど、どういうことです、プロデューサー!このままでは、放送はおろか、VIPテレビの倫理観すら──」

(^ω^ )「というか、つぶれるおね。会社」

(#´ _ゝ `)「ブーン!!」

その、ひどく冷静な態度に思わずこぼれた呼び名は、内藤から説明を引き出すことに十分だった。

息を吐いて、語り始める。

( ^ω^)「もしジョルジュの言う言葉が本当で、目の前で起こっている馬鹿げたドラマが本物なら、この生放送はどこよりも早いニュースになる」

( ‐ω‐)「前回の比じゃない視聴率だお。伝説になるお」


669 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:08:31 /if6FvLgO
伝説。マスコミ業界に──いや、どの業界や分野においてもその言葉はある種の耽美さを孕んでいて、だから反論しようとした彼を含む"まともな"思考を持つ者は黙る。ようやく、口を開こうとすればそれすら止められた。

(;´‐_ゝ‐`)「しかし、それどころでは──」

( ^ω^)「結局のところ、利用されたんだお。俺達は。こうして逃げ場のない状況を作り出したあの男達に」

呟いた内藤の視線は、モニター。箱の中には正体を現した狩人と、狼狽する獲物。

しばらくの沈黙が続いても、男の独壇場は終わらない。

(´・_ゝ・`)「……」

( ω  )「『勧善懲悪じゃない物語の悪の親玉』……か」

( ^ω^)「ようやく決心がついたお、デミタス」


670 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:09:28 /if6FvLgO
(´‐_ゝ‐`)「……っ」

とても優しい笑顔をした内藤は、デミタスに微笑んだあと、耳に手を当てる。

インカムのスイッチを入れながら、ゆっくりと話し出した。

(  ω )「聞こえるな、スタッフ。そうだお、俺だお。みんな、長丁場をよくがんばったお」

(; ‐Д‐)「……うう」

外にいる部下に伝えているにも関わらず、それはプレハブ内に立ち尽くす彼、彼女らにも言い聞かせるように。

( ‐ω‐)「だけど、もう少しだけ頑張って欲しいお。社長がどうだとか、試合がどうなるとか、そういうの抜きにして」

(*゚―゚)「内藤さん……」

( ^ω^)「別に進行とか、段取りとか気にしなくていいお。ただ、垂れ流すだけで……見守るだけで、いいんだお。そして──」

(*-∀-)(……私、初めて見たかも。ちゃんと笑ってるプロデューサー)

(* ^ω^)「くそ面白いもん、撮ってやろうお」


671 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:10:09 /if6FvLgO
言い終えた後に残った静寂は、誰とはなしに行動するスタッフ達によって破られた。

パイプ椅子にかけ、いつでも差し出せるようにと懐に忍ばせている封書の感触を確かめ、腕を組む。

( ^ω^)(さぁ、お膳立てはしてやったお、ドクオ。あとは、このくそったれたドラマを締めてやれお)

じっと見つめる先は、物語の終幕。

決して鳴り響くことのないカーテンコールに、悪は散る。


672 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:11:01 /if6FvLgO
〜〜〜

(;'A`)

(;-@∀@)

(*;゚‐゚)

/ ,- 3


予想外、という言葉すらその虚無には生易しいものだった。

一刻前には静かな、それでいて情熱的な盛り上がりを享受していた者達は、状況を理解できないが故にざわめく。

客席から聞こえてくる疑問の声。

カメラを通じて唖然とする視聴者。

ジョルジュと関わった全ての人達が頭の中で述懐する。

そして、渦中に最も近い人物の中で、声を上げざるを得ない男。

(´゚ω゚`)「どういう、ことだ……?ジョルジュ」


673 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:11:46 /if6FvLgO
しょぼくれた顔は形容しがたい面持ちで、パイプ椅子から立ち上がる。

声をかけられた金髪の魔術師は一瞥して口を開いた。

  _
( -∀-)「長かった……貴方を、いやシベリア賭博を終わらせるためにかなりの時間を費やしたよ」

(´゚ω゚`)「全て……最初からこうするために……?」

落胆した声に呼応する二つ返事は軽い。

ジョルジュは目を伏せ、言う。

  _
( -∀-)「ああ」

(´゚ω゚`)「あの時から……ずっと……?」

  _
( ゚∀゚)「ああ、そうだよ」

(´ ω `)「────」

警視庁公安部外事課。ソトゴトとも呼ばれるその組織は基本的に日本国の安全を脅かす外国人テロリストや、外国政府の諜報機関を監視する目的を持っている。いわゆる日本におけるCIAのようなもの。

ジョルジュの言った第二課は主にアジアの担当として機能しており、それを知っている荒巻は顎に手を当て、高をくくって横で座っている優男に話しかけた。


674 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:12:27 /if6FvLgO
/ ,' 3「ふむ……なにやら面白い催しを考えてくれたようじゃのう、茂良」

( ・∀・)「えっ?いやはや、私も驚いて」

問われた茂良は困惑した。それでも普段どおりの口調を崩さないところを見て、笑みがこぼれる。先ほどの動揺はもうない。

/ ,' 3「ほっほ!もうよいもうよい。こういったハプニングは突発的でないと面白くないからのぅ。いいだろう、乗ってやるわい」

( ・∀・)「はぁ……」

依然として、茂良とは反対側で立ち尽くしている小森に顔を向けて、咳払いをした後、口を開いた。

/ ,- 3「さて……まずは君が何者なのか伺おうかのう」

問われ、ジャージから取り出した不釣合いな黒い手帳を、荒巻に覗かせる。

中央省庁の紋章である五三の桐と、金色で書かれた公安調査官の文字を確認させた小森は、すぐにポケットへ戻した。


675 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:14:26 /if6FvLgO
(-_-)「ただの庶務課ですよ、さして問題じゃないでしょう」

/ ,' 3「なるほどの。して、小森君。先ほどの言葉じゃが」

(-_-)「なにか」

/ ,' 3「証拠がない」

( -_-)「証拠、ですか」

老人の自信はそれだった。証拠不十分。どこから情報が漏れたかは──あるいは、まさか下馬評を信じてやったことか──さておき、賭博が行われている富士最上階での漏洩はありえない。

クイズ大会シベリアの重みある歴史。

参加者への徹底的なコンセンサス。信用のおける責任者である、茂良のセキュリティ。

加えて、大会の盛り上がりを演出する健全なVIPテレビの協力によって周囲からクリーンなイメージを与えているこの催しで、あまつさえ自身が逮捕されるなどといういわれはない。


676 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:15:17 /if6FvLgO
/ ,' 3「左様。ここにいらっしゃる観客席の皆様も、テレビをご覧になっている視聴者様方も皆、さぞ驚いておるであろう」

/ ,^ 3「だが、安心して欲しいのぅ。わしすら把握してなかったサプライズじゃ。これはただのつまらんイベントで、何の証拠もない唐突な──」

大方、歴戦の老兵に一泡吹かせたいがために行ったいわばドッキリ。

確かにこの状況はある種のスリルもあって面白い。しかし、いい気はしない。

喧嘩を売る相手を間違えたな、と感じた荒巻の──否、三人の思考は裏切られる。

(-_- )「証拠ならありますよ」

/ ,' 3「なんじゃと?」

その一言は、このいかんともしがたい状況をさらに混沌へと導くスタートライン。

  _
( ゚∀゚)「もういいのでは──……白髭さん」


677 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:16:03 /if6FvLgO
( ^∀^)「アハハ、そうですね」


( ^∀∩) スッ


(・∀・)ベリッ ⊂(  W )


??(;´゚ω゚`)「なっ!?」

??(;゚A゚)「う、ウソ……だろ……」

二人の男にとって、積年の邂逅。

( ´W`)「お久しぶりですね、とは言いませんが……名乗りましょうか」

( ´W`)「内閣情報調査室、宇都宮マナブです」

( ´W`)「改めまして、横領及び賭博開帳図利の疑いで逮捕しますね。荒巻理事長」

/;, 3「な、な、な」

/;,゚ 3「なんじゃとぉ!?」

その、信用していたセキュリティが最も危険だったという事実と、こんなところで出会うことになるという酷く滑稽な再会は、もう誰も行く末を知らない。

スーパードックンのようです
最終話 後編 はじまるよ!


678 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:17:18 /if6FvLgO
〜〜〜

───

(  ゚Д°)「宇都宮って……ドクオさんが会いたがってたお父さんじゃないっすか!!」

(;´・_ゝ・`)「ふ、吹木!どういうことだ!?」

(; ^Д^)「ああ……そっか、だからジョルジュさんは知ってたんすね……お父さんと関係者だから……」

(*゚ぺ)「ちょ、ちょっとプギャー!わけわかんないよ!」

(; ^Д^)「え、ああ!えっとっすね」

( ^Д^)ゴニョゴニョ(゚∀゚*)
    (´・ι_・`)


( ゚ω゚)

( ‐ω‐)

( ^ω^)「そうか……あの時」


679 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:18:34 /if6FvLgO
―――

寸前、口周りにクリームが塗ってあるように白く見えたところから、どうやら洗顔をしていたのだろうと納得した。

(; ・∀・)「おっと、失礼!……あ、内藤プロデューサーじゃないですか!いつもお世話になっております」

―――

(; ^ω^)「あの時に見た白い何かは……そういうことだったのかお?」


680 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:19:30 /if6FvLgO
───

( ФωФ)「……」

―――

( ФωФ)「案外、身近にいるのやもしれん。あやつはそういう男である」

( ФωФ)「かまわんよ。若さゆえの情熱、嫌いではない」

( ФωФ)(とはいえ……今の威圧、とても若さゆえとは形容できんがな)

―――

(; ФωФ)「……やはり、只者ではなかった……いや、だとしても驚いたのである」

lw´‐ _‐ノvψ カキカキ「……」

( ФωФ)「ここまで近しいところに潜んでおるとは、さすがというべきか……」

lw´‐ _‐ノvψ カキカキ「……」

( ФωФ)「さて……どうなることやら」

lw;´‐ _‐ノvψ カキ…「……あれ?」


681 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:20:17 /if6FvLgO
(´・ω・`)(きっかけは、あった)

(´・ω・`)(執拗な宇都宮ドクオへの応援)

(´・ω・`)(飄々とした態度、にもかかわらず、不自然なほどの度胸)

(´-ω-`)(決め手は……タバコ、か)

(´・ω・`)(私が失脚することは構わないと思っていた。たとえ底辺に落ちようともお前が居てくれれば……)

(´ ω `)(だが──)

この事態に全員が立ち並ぶのは、かつて知識と知識の戦いが行われた舞台の上。

それが遠い昔のように感じてしまうのは、次々と判明される各々の正体が原因。

甘いマスクを実際に取り外し、投げ捨てた茂良──白髭は、荒巻の肩に手を置く。


682 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:22:11 /if6FvLgO
( ´W`)「証拠なら、嫌というほどありますよ。荒巻理事。なにせ私も同席していましたからね」

垂れた目から覗く眼孔は刃のように鋭く、口に生やした白い髭が、彼の呼び名を頷かせる。

内閣情報調査室、宇都宮マナブは慇懃に詰め寄る。

/#,゚ 3「ぐ、ぐぬぅ……!!」

老いてなお、グラスを握力で破壊するほどの胆力を持った老人は、隙をうかがう。逃げなければ。

しかし、それすらも視野にいれていたといわんばかりに、手の力を緩めないその男は周囲を見渡す。

( ´W`)「あぁ、逃げられませんよ。この場からは……」

( ´W`)「仮にここにいる全員の口を封じたとしても、テレビの先までは防げません。おそらく史上最高の証人数でしょうね」

足が動かせられないならば、手を動かさねば。

荒巻は目を見開き、この状況には不釣合いな、どこか清々しい顔をしている諸本に向かって叫んだ。

/#,゚ 3「か、カメラ……!!カメラを止めろぉ!!諸本ぉ!!」


683 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:23:10 /if6FvLgO
(´・ω・`)「……」

/#,' 3「き、聞こえとんのか、この──」

(´・ω・`)「黙れ」

晴れやかな表情は一変、有無も言わさぬ形相で老人の叫びを止める。一喝。身が震えた。

/;,' 3「ヌッ……!!」

(´-ω-`)「そんなことは、どうでもいい。この時点で我々は詰んでいる。それくらいはわかるだろう」

/;,' 3「ふ、ふざ、ふざけ──」

(・ω・`)「誰か、この老人を連れて行ってくれ。うるさくてかなわん」

そっぽを向いた諸本は手のひらで下に見える男を払う。

その態度にさらに業を煮やした荒巻を白髭は、小柄な小森に引き渡す。

(-_-)「はいはい。じゃ、後はよろしく」

二つ返事で答えたジャージの男は、羽交い絞めにした状態でステージから遠ざかる。

二人の姿が見えなくなってなお、その声は星空の下に響き渡った。

/;;,゚ 3「は、離せ!わしは何も知らん!!わしは──わしはぁぁあああ!!」

その間に、残された五人と観客席の人々、誰も声を上げることはなかった。


684 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:23:54 /if6FvLgO
〜〜〜

(´・ω・`)「大捕り物だな。外事第二課主任と──白髭さん」

( ´W`)「ええ」

しばらくの沈黙を破ったのはやはり、諸本。

白髭と十数年ぶりの邂逅を果たした彼は、一瞬、その口調に違和感を抱いていた。

記憶の中では何者にも屈しない剛健な猛者だったそのイメージは、自身がそうだったように、時が人を変えたのだと納得させる。

いつまでも変わらないものなどないのだ。相棒だと思っていた存在のように。

葛藤する頭の中を整理した彼は、この場においてのイニシアチブを取る、というわけではなく、自然と口を開いた。

  _
( -∀゚)「どうも」

( ´W`)「なかなか連携に苦労しましたけどねぇ」

しょぼくれた顔に対して、いつもの調子を崩さない内調と公安。

その身分と顔さえ元のままならばなんの諍いもないと言えるほどに自然体。

そんなもしもを鼻で笑い、仰々しさを指摘する。

(;´-ω-`)「とはいえ、大げさすぎやしないか。君達も全国に放送されているんだぞ」


685 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:24:36 /if6FvLgO
  _
( ^∀^)「あー、構わないよ。もうすぐ定年だしね」

その顔にできるシワは彼の言う言葉を裏付ける。今となっては諸本の調べ上げたジョルジュの経歴も役に立たない。全て偽っていたのだから。

事実が現実として心に負荷をかける。逡巡する思いを遮るのは白髭の疑問。

( ´W`)「それより、あまり驚かないですね、諸本社長。貴方にも来てもらうんですが」

(´^ω^`)「わかってるさ。……驚きも何も、一周回って落ち着いているよ」

嘘ではなかった。強がりでもない。ただ、自身の拠り所が消えてしまったことに対する喪失感。

両の目でジョルジュを見ても、諸本にとっては過去の人間。

どうしようもない胸の内をため息と一緒に吐き出した哀れな男は、先ほどから険しい顔をしているドクオに声をかけた。

(´・ω・`)「ふぅ……スーパードックン」

(;'A`)「……え」

押し黙っていたドクオの顔色は、悲惨。極限まで疲労した体力と精神に、追い討ちをかけるような出来事。

自身がライバルだと感じていた男は父親と同じような環境で働いていて、赤の他人だと思っていた男は、実は父親で──……

脳内の情報が最も錯綜しているが故に、自分を呼ぶ彼の冷静さに対応できない。


686 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:25:17 /if6FvLgO
(´-ω・`)「感動の再会じゃないか。何か言ってやったらどうだ?」

(;゚A゚)「え、あ、え」

  _
( -∀-)「ハハハ、大丈夫だよ、スーパードックン。ほら」

助け舟を出したのはジョルジュだった。先の戦いも、たった数分前の今も、意に返さないような笑顔にとっては過去でしかないのか。

(;'A`)「は、はぁ……」

結局、なんのために戦っていたのだろうと、不毛な考えが脳裏を過ぎる。求めていた結果がこちらに向かって歩を進めているのに実感が湧かない。

( ´W`)「ドクオ」

('A`)「!」


687 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:26:03 /if6FvLgO
それでも、目の前に現れる人物の立ち振る舞いを認識すれば、嫌でも感じる。

幼い頃の、ほんのわずかな記憶は、この男がマナブだと、父親なのだと理解させた。

( ´W`)「久しぶりだね」

('A`)「あ、ああ」

( ´W`)「さっきから片言だね、そんなに緊張しないで」

(;'A`)「い、いや……突然すぎて……心の、準備が」

息が苦しい。目頭が熱い。恐怖に似た感覚は畏怖。

ずっと会いたかった。会うことなど叶わないと悟った気でいた虚栄は、現実が打ち崩す。

たくさんの気持ちを伝えたかった。数多くの記憶を、共有できなかった分、放ちたい。

積年の思いを届けようと、声にならない言葉をかけようとして、前を向けば背中。首だけがこちらを向いていた。

( ‐W‐)「フッ、そうか……悪いが、私はもういかないといけないんだ」

(; A )「あっ……」


688 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:26:46 /if6FvLgO
零れた声に、白髭は笑う。近いはずなのに、とても遠い距離に感じる二人の間を、父親の優しい声がつなぎとめ──

( ´W`)「大丈夫だよ、また二人で会おう」

('A`)「……?」

( ´W )〃「じゃあ、ジョルジュ。行こうか」

  _
( ゚∀゚)「ああ。それじゃあね、スーパードックン。楽しかったよ」

('A`)(……二人で……?)

(-A-)(二人……?)

(-A-)(なんで……)

(;-A-)(なんで、なんで)

(; A )(三人じゃ、ねぇんだ)

理解はしても納得はしていない。
つなぎとめられた絆を、その広大な記憶が織り成す思い出によって、自ら引き離した。


689 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:27:26 /if6FvLgO
───


            (……そういや、
親父もハイライトだったな……)


「君のお父さんが
来ているかもしれないってことだけ、

伝えておこうかな」

「ドクオが有名になる、             内藤さんの実績が増える!           俺も嬉しいし、お互い悪くないと思うけどねぇ?」


―――√――( ゚A゚)――√―――


「ただ、          今回は特別に内調が      動いている。       まぁ察しの通り、君のお父さん     ……白髭さんがね」

「あ、それと白髭さんだけど。彼は     すごい人だ。変装・偽造・対人──        俺なんかじゃ到底思いつかないほど、      スパイとしての必要なスキルは全て持っている」

「だけどそれ以上に、      息子思いだよ。いつも嬉しそうに      子供のことを話していた。     だから心配しなくていい」

「唯一      知ってることといえば国家公務員ってことと、        これを吸ってたってことくらいだ」


───


690 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:28:25 /if6FvLgO
今までにないほどに、頭の中が透き通る。

( A )「ちょっと待て」

疲労?そんなものはどこかへ行った。

  _
( ゚∀゚)「ん?」

( 'A`)「ジョルジュが出したクイズ……俺はまだ答えてない」

限界?この真実を前に果てるわけにはいかない。

  _
( ^∀^)「ハハハ、なにいってるんだい?もう答えは言ったじゃないか」

ジョルジュは呆れながら両手をあげ、肩をすくめる。

いつもの彼が醸し出す飄々とした態度を、迷いのない目で見つめ、視線だけ斜め前にいるもはや機能していない司会に移した。

('A` )「アサピーさん、しぃさん。俺さ、VIPテレビの時からずっとルールに従ってたよな」

(;-@∀@)「え!?え、ええ、それは、はい」

(*-ー-)「そうですね、イレギュラーにも対応していただきました」

戦いの記憶を振り返るように言ったドクオは、視線を元に戻す。倒すべき相手に。

(-A- )「だったら……最後くらい、わがまま聞いてくれるか」

(-@∀@)「わがまま……ですか?」

('A`)「ああ。もう20秒経っちまったが、俺はジョルジュの出したクイズの『正解』が解った。答えたら──俺の勝ちにしてくれ」


691 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:29:11 /if6FvLgO
当然ながら、その要望に周囲の人間はおろか、遠く離れたところから固唾を飲んで視聴している第三者達の動揺を誘う。

意味するのは、金髪の男が出題し、自ら答えを出したクイズが間違っているということ。

同時に、既にクイズ大会、シベリアとしての継続が困難な状況に至ったが故の、起死回生。

(;-@∀@)「そ、それは……!?」

しかし、仮に正解したところで何も変わらないのではないか。そう思ったのはアサピーだけではない。

名誉ある式典での栄光も、全国に中継される勇姿も、目の前の男が無意味なものに挿げ替えてしまったのだから。

(*゚‐゚)「スーパードックン……もしも、貴方がいう『正解』を披露して、勝ったとしても……意味がないわ」

しぃはいつもの屈託のない笑顔を消し、冷めた瞳で答える。

どこか諦観しているような、それでいて心から心配している口調で彼を諭す。

('A`)「……」

(-@‐@)「そう。君はよく頑張ったんだ。充分。まだ若いのに、本当に……―─事故なんだ、これは。だから、このまま無理をせずに、有終の美を飾ればいいじゃないか」


692 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:29:42 /if6FvLgO
アサピーはまるで孫の活躍を労うように、努めて優しく答える。

メインの進行役としての助言。また、ひそかなファンとしての説得。

二人の言葉は本心だった。思えば長い──顔を合わせたのはたった二度しかないが──付き合いに感じる。

プレハブからの内藤が出した通達、押し黙る諸本の様子。こうすることが許されて、こうするべきだと悟った司会たちの思いに対し、ドクオは──

( A )「頼む」

背を折り曲げ、同じく本心で応えた。

(-@‐@)「っ……」(‐゚*)

決意を露にした男の、下げる頭は重い。たとえ自身よりずっと年下の若造だろうと、冴えない風貌を蔑ろにしていようと、眼中にいるそれの願いを無碍にすることは憚られる。

思わず気負いしてしまうほどに、纏った誠意に対して、すぐに返事ができない。

代わりに答えたのはジョルジュだった。歩を進め、背を折り曲げる彼の横に立つ。

  _
( ゚∀゚)「ダメだ。それはできない」

上から伝えられた否定の言は、ドクオの体を動かさない。

ただじっと、背を曲げ、地面を見つめる彼の姿は伺えない。

( A )「……」

それでも、ジョルジュは続ける。下を向いていた目線を、宙に向けて少し早口で言葉を並べた。

  _
( -∀゚)「公安も暇じゃないんでね。色々と忙しいんだ。君の遊びに付き合っている暇はないんだよ」


693 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:30:34 /if6FvLgO
( A )「……」

間をあける。伝わっているのか確認の意味と、最後通告だという意味を込めて、もう一度ドクオに声を向ける。

  _
( ゚∀゚)「さぁ、頭を上げてくれ。表彰式くらいなら、後でいくらでもやっていいから──」

果たして、その懇願にも似た一言は届かなかった。

( A )「うるせぇ……!」

言うなれば反応ではなく、反射。ジョルジュの発したそれに対し、応えた結果は耳障り。

顔を上げたドクオの表情には、得も言われぬ怒りが交じっている。

それは、決して彼の懇願を止めようとするからだけではない。

  _
( ゚‐゚)「……」

( A #)「俺はあんたに頼んでるんじゃない……!アサピーさんとしぃさんに頼んでんだ……!」

  _
(  ‐ )「……ドクオ」

下から見上げる弱弱しい目と、上から見下ろすもの悲しい目。

合わさる二つは、全く別の意味を持っているようで、その実同じところを見ている。

耐えられなくなったのは、視線を外し、溢すドクオだった。

(#'A`)「それとも、何か……!?答えられたらまずいっていうのかよ!」


694 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:31:24 /if6FvLgO
思うところがあったかのように、その余裕に満ちた顔が一瞬曇る。
それでも、一瞬。一つ息を吐いて振り返ったジョルジュは白髭に声をかけた。

  _
( -∀-)「──そうだね、そういうことにしておこう。さぁ、クイズは終わりだ。行きましょう、白髭さん」

話を切り上げる。大人の対応。

両手を挙げて、歩を進める男の背中にこれ以上伝える術を持っていないドクオは、揺れる金色の髪を見つめるしかなかった。

あと一歩で、あと一つ、クイズを解き明かすだけで己の悲願は遂げられるはずなのに。

ここまで来て、自身が関わった人々の支援は報われないのか。


 <答えさせろよ!


否、一人だけ、いやひとつだけこの状況を変えることのできる、彼の支持者がいる。

(;'A`)「……?」


695 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:32:14 /if6FvLgO


    <そうよ!スーパードックンに答えさせなさいよ!


それは、決して表舞台には出てくることのない人物達。

(*-@∀@)「おお……」


           <そうだそうだ!あんなに真剣にやってたんだ!


それは、裏舞台にすら存在しない、いわば外野。

(* ー )「ふふ……」


   <俺もスパドクの答え聞きてぇ!


  <私も!


       <僕も!


そして、宇都宮ドクオの、スーパードックンの活躍を観戦し、心打たれた最高のファン。

(´-ω-`)「……まさに満場一致だな、万が一のため観客をここに居させたのが失敗だよ、ジョルジュ」

個人差はあれど、観客達の思いはただ一つ。

ドクオの活躍を、最後の答えを聞きたいがため。

誰彼ともなく叫ばれた、ある種のエゴイズムは、他の観客へと伝染し、盛大なる応援へと昇華される。


696 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:33:01 /if6FvLgO
会場を揺るがす大きなコールを止めるのは、これまたファン。

(*-@∀@)「えー!皆さん!!お静かに!!お静かにお願いします!!」

(-@∀@)「今大会は……いえ、もう下手な前置きは抜きにしましょう!」

(@∀@-)「ここにいるのは9対9のまま、答えを保留しているスーパードックン!!」

(-@∀@)「出題者であるジョルジュ長岡選手は、出題をし、なんとその答えを自ら口頭で伝えましたが、まさかの回答者から異議ありが出た!!」

(*-@μ@)「特別ルールとしましては、スーパードックンが『正解』を出した場合、優勝が決定するというものになります!」

湧き上がる歓声、座っているものはいない。

見上げ、見渡すその巨大な波に似た動きに、ドクオは圧倒され、感謝する。

  _
(; ゚∀゚)「ちょ、ちょっと待ってくれ。そんな──」

たとえどれだけ個が強くても、この押し寄せる期待には抗えない。
言葉の魔術師である彼の声は、もはや誰にも聞こえなかった。

(-@∀@)「落ち着いて、ジョルジュ選手」

(*-@∀@)「戦いは常に変化するものだから」

  _
(; -∀゚)「……意味がわからないよ」

満足げなアサピーは、眼鏡を直しながら、隣で微笑むしぃに声をかける。

頷き、スクリーンには表示されないその問題をアシストする。

(**-@∀@)「では、改めて問題を──しぃさん!!」

(*゚ー゚)「はい!!ジョルジュ選手の出した問題は【俺の正体はなんでしょう?】でした!」

(*^ー^)「こちらの回答をお願いします、スーパードックン!」

二人の司会から促されたボサボサ頭の頼りない男は、しっかりとジョルジュを見つめ、二つ返事。

決して大きくはない声は、周囲の喧騒をかき消す。聞き入る観衆。響き渡るのは金髪と黒髪の対話のみ。

( 'ー`)「ああ」


697 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:33:34 /if6FvLgO
一歩、前に出る。立ち止まっているジョルジュに近づく。

  _
(; -∀-)「……全く、ハングリーになるのはいいが、無意味なことをしなくても白髭さんに会えたんだからそれで──」

('A`)「きっかけは、最初からあったんだ」

  _
( -∀゚)「……?」

(-A-)「やっとわかった、いや、わからなかったのがおかしいくらいに」

独白は要領を得ない。少なくとも、公安部と名乗る三人以外には想像もつかないほどの解答。

  _
( ゚∀゚)「なにを言って」

('A`)「ジョルジュ、俺が最後の答えを出すよ」

今から、それを──


( 'A`)「このスーパードックンが……いや」


( ゚A゚)「あんたの息子、宇都宮徳雄がな」

──披露する。

スーパードックンのようです
まだ続くよ!


698 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:34:37 /if6FvLgO
〜〜〜

───

(;´・_ゝ・`)「宇都宮……?ジョルジュ長岡が……!?そんな、バカな!」

(*;-∀-)??「えー、っと、つまり、どういうことなの……?」

??(; ^Д^)「じょ、ジョルジュさんが……本当はドクオさんのお父さんだったってことっすか!?」

( ^ω^)「……おっおっ、あいつが言うにはそうみたいだおね、全く……」

( ‐Д‐)「でも……考えてみれば、確かに……」

―――

  _
( ゚∀゚)「マジシャンだからね、筆跡を真似ることくらいできるさ」

(´・_ゝ・`)「ジョルジュ長岡が?冗談だろう、筆跡も印もどうやってごまかしたんだ?」

( ^Д^)「いつものアレっす。マジシャンだからでごまかされました。でも本当に通ってたみたいっす

―――

(;´‐_ゝ‐`)「そう、だな……受付の際、プギャーが言った通りなら問題なく通るかもしれん」

(*゚ε゚)「にしても無理があるよー!!」

( ‐ω‐)「まぁ、いいんじゃないかお?何が正解か……あとはあいつが締めるだろ、なぁデミタス」

(;´‐_ゝ‐`)

(*;゚∀゚)「な、内藤さん?」

(´・_ゝ・`)「……そうですね」

(; ^Д^)「ち、チーフ?」

( ^ω^)「絶対に抗えない正義の味方、国家権力だろうと」

(´・_ゝ・`)「ようやく会えた父親の、隠し事なんて」

( `ω´)

「ぶっ潰せ!」

(´`_ゝ´`)

(; ^Д^)(……うわぁ……無茶苦茶だ……)(゚∀゚;*)


699 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:35:18 /if6FvLgO
(-@μ@)「……」

(*゚ο゚)「……」

  _
( ゚∀゚)「何を──」

(;´・ω・`)「何を言っている!?君の父親、宇都宮マナブ氏とこの男は経歴はおろか、姿形も全く違う!!」

当然の疑問だった。あまりに唐突過ぎるドクオの回答が作り上げた、誰も声を上げられない状況を変えたのは、やはり同じ人物。二度もその信頼をおいていた男の存在を書き換えられた諸本に他ならない。

経歴など、茂良の一件でどうとでもなるということがわかっているにも関わらず、問わざるしかなかった。

('A`)「イリザロフ法だ」

(´・ω・`)「イリ……ザロフ?」

('A`)「ロシアの整形外科医師、ガブリル・イリザロフが発見した骨延長術。簡単に言えば、折れた骨が修復する力を利用して圧をかけることにより人工的に身長を伸ばすことのできる術式」

(-A-)「時間や手術料、そしてとんでもない痛みが伴うものだからあんまり一般的じゃねぇが」

( 'A`)「少なくとも、伸ばすことは不可能じゃない」

ドクオは努めて淡々と解を並べていく。各々が、導かれ、答え合わせをしていく。


700 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:36:32 /if6FvLgO
───

(* ><)「わぁ、お父さんが二人いるんです!」

(゚、゚;*川「嘘でしょ……ジョルジュ様が……スーパードックンのお父様なんて」

(,,゚Д゚)「……いや、だとすれば納得がいくところがある」

('、`;*川「えっ……?」

―――

(,,゚Д゚)「勝つための色もありゃ、冷静な色、穏やかな色、見守る色……こりゃ虹色だな」

―――

(,,-Д-)「普通、優勝が目的なら勝つための色が見えるし、そうでなくとも何らかの目的を達成するための色が見えるははずなんだ」

(,,-Д゚)「だが、ジョルジュのさっき見えたあの不可思議な色は、違った。そりゃそうだ。親子同士なんだからよ」

('、`#*川「また色の話!?いい加減に──」

(,,゚Д゚)「あんただって心当たりがあるんだろう?」

('、`*川「!」

―――

  _
( ゚∀゚)「然るに、君は俺の邪魔になっている」

  _
( -∀゚)「消えてくれないかな」
―――

( 、 *川「あ、じゃあ私のことが嫌いなんじゃなくて、息子さんと二人で会うために……」

(,,゚Д゚)「?」

ジタバタ ヾ\('ー`*川/〃 「ふ、ふふふ!なぁんだ!よかったぁ!」 ジタバタ

(,,;゚Д゚)「ご、ゴルァ!?なにいきなり喜んでんだ!?」

?煤i。><)「わ、わかんないんです!ぎゃあ!叩かないで!」


701 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:37:24 /if6FvLgO
───

ハハ ロ -ロ)ハ「……そういうことデシタカ」

―――

  _
( -∀-)「彼、スーパードックンはね」

  _
(* ゚∀゚)「俺のライバルだからさ!最後まで勇姿を見届けたい──」

ハハ ロ -ロ)ハ「ダウト。あなたは思っていることと口にすることを完全に分けることが出来る。本当は決勝のためにギコのことを少しでも知るためでしょう?」

―――

ハハ ロ -ロ)ハ「アナタが時折、本心を偽って物事を進めようとするのは、この場で……"決着"をつけるタメニ」

―――

  _
( ゚∀゚)「いや、嫁さんが怒るから」

―――

ハハ*ロ -ロ)ハ「マッタク……とんだマジシャンですね」クスクス


702 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:38:28 /if6FvLgO
それなりの見識を持った諸本は、彼の言う術法を初めて聞き、驚愕する。

無理もない。男性の平均値を大幅に上回る恵まれた身長を持ったしょぼくれ顔に、そのような医学的知識など不要だからだ。

(´゚ω゚`)「なっ……」

( 'A`)「その顔は特殊メイクだろう。そこにいる偽者さんだって諸本社長達を騙せるんだ。顔を変える事なんざ簡単にできるぜ」

何らかの専門家でもない限り、その分野の知識は定着しない。

たとえ一時的に吸収したとしても、人間は必要のないものを忘れていってしまうから。

(#´゚ω゚`)「し、しかし!私が確認した身辺調査では──」

('A`#)「だからぁ、こんな大掛かりなスパイじみたことしてんだ。戸籍くらい抜いてんだろうよ」

(-A-)「大方、ありもしない経歴をさも当然のように振舞ってる……そうだろ?」

だが、この男は違う。ありとあらゆる情報を、良し悪しを別にして掴んで離さないスーパーマン。

(;;´゚ω゚`)「う、嘘だ……茂良が……白髭じゃない……じゃああのタバコは偶然……」

( ^W^)「あ、私が吸っているのはハイライトイナズマメンソールです。ハイライトはきつくて」

  _
( -∀-)「…………」

茂良は諸本の溢した言葉に反応した。それは、答えを言っているようなもの。

事実、彼の不敵な笑いは、押し黙るジョルジュと詰め寄るドクオの二人からきた、知っているからこそわかる面白さが原因。

ドクオは、確実にジョルジュに肉薄している。


703 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:39:05 /if6FvLgO
───

(; ФωФ)「なんと……!よもや、このようなことが起こるとは……」

―――

( ФωФ)「案外、身近にいるのやもしれん。あやつはそういう男である」

―――

( ФωФ)「我輩の考えも当たらずと遠からずだったというべきか、しかし……本当に、彼がマナブ氏なのであるか?」

lw´‐ _‐ノvφカキカキ「そうだよ」

(´ФωФ)「理事長……いくらドクオ君が問い詰めているとはいえ、こればかりは……」

lw´‐ _‐ノvφカキカキ「ううん、ドクオは関係なしで当たってるよ」

( ФωФ)「……そういえば、さっきからなにやら熱心に書き込んでいるそのメモはなんである?」

lw´‐ _‐ノv⊃□「ん、これ?中井貴一」

(# ФωФ)「……」

lw´‐ _‐ノv「問題文だよ」

( ФωФ)「問題文?それはドクオ君と、ジョルジュ長岡との対戦の?」

lw´‐ _‐ノv「そ。なんか不自然だと思ったんだけどねぇ……うん、うんうん。さすがドクオのパパリンだ。こりゃやられたわ」

lw;´‐ _‐ノv「まさか、縦読みとはねぇ……」


704 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:42:14 /if6FvLgO
〜〜〜

(;´ ω `)「──」

  _
( ゚∀゚)「……面白いね。まるでオッカムの剃刀みたいだ」

不要なモノを取り除いていけば、真実が見えてくる。

肩をすくめ、口角をあげながら、そう言いたげなジョルジュの周りには、もはや味方がいないといっても過言ではない状態だった。

好機と見たドクオは畳み掛けようとする。

(;'A`)「認め」

  _
( -∀-)「でも足りない」

しかし、それは叶わない。彼の問いかけを真向から否定するジョルジュは、ここまで一切の反論をしなかった。

(;-A-)「……」

  _
( ゚∀゚)「君が言っていることは全て可能性の話だ。なるほど、確かに君の言う通りなのかもしれない」

なぜなら決定的な証拠がないから。

白髭は変装の達人であり、姿形を変えてここに立っているとしても、含み笑いをしている茂良の態度を指摘しようとも、ジョルジュ本人が認めなければ確定ではない。

(;'A`)「……」

  _
( ゚∀゚)「だけど、残念ながら俺は白髭さんとは違うよ。こればっかりは本当。あくまで公安の人間さ。それに──」

頑なにドクオの推理を否定しようとする反面、どこか嬉しそうな彼の言葉は止められる。

(;-A-)「それなんだよ」


705 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:45:24 /if6FvLgO
  _
( ゚∀゚)「……?」

ボサボサの髪をかいて、気負いを払拭する。あと少し。改めてジョルジュの顔を見る。

きっと、この質問が最後となるだろう。

(;'A`)「今までの状況証拠じゃ、確かに……限りなく黒に近い推測としか考えられない」

('A`)「だけど、やっと気づいた」

(-A-)「もし、ジョルジュが……公安の人間だったら」

( A )「なんで、逮捕しねぇんだ?」

───

(´・ω・`)「……内調お抱えの凄腕か。私も昔、会ったことがある。背は君より少し低いが威圧のある男だったよ。もし彼が公安だったら私も逮捕されてただろうね」

───

(;´゚ω゚`)「!!」

  _
( ゚∀゚)「……」

('A`)「四六時中、諸本社長といて、この賭博に関しても知っていたにもかかわらず逮捕に踏み切れなかった理由」

('A`)「そして、ようやく本当の公安が現れたとき、何もせずただ同行しようとするこの状況」

('A` )「そりゃ、全員の目が向いている試合中に及んだほうが確実だわな、だけどよ……」

(-A-)「──自分が逮捕する必要がない?たまたま先を越された?違うな」

( ゚A゚)「できねぇんだよ、内調は!」


706 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:46:13 /if6FvLgO
  _
( ゚∀゚)「……」

(;゚A゚)「……」

  _
( -∀-)「……ふぅ」

  _
(  ∀ )「……」

───

(;-@∀@)「き、9対9!!ここにきて、ここにきてまさかの!同点!同点です!!」

(*;゚ー゚)「さ、最後の問題です!」

(*;゚ー゚)「                     」

  _
( ゚∀゚)(フッ……そうか)

ピンポーン


  _       俺 の
( ゚∀゚)(これが白髭さんの息子か)


───

一年前を思い出す。あの時、確かに頭の中に浮かんだフレーズが、嬉々として舞い戻る。

  _
( ゚∀∩)「……」

ゆっくりと、顔の側面に手をかけそのベールを取り除いた男の顔は、刻まれたシワまでは隠せなかったのかとどうでもいいことを感じさせるほど単純で。

( A )「っ!」

( ´W`)「久しぶりだな、徳雄」

今まで声色まで変えていたのかと思うほどの重低音は耳を刺激し、痛感する。

(; ∀ )「全然久しぶりじゃねぇよ……トーチャン」

"約束"を果たしたと。


707 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 22:46:41 /if6FvLgO
(;-@∀@)「これは……!つまり、ジョルジュ選手の正体とは……スーパードックンの父親であったと……!」

(*;゚ー゚)「そういうわけですね……!」

(-@∀@)「ということは、特別ルールに則って……シベリア決勝戦は」

(*-@∀@)「スーパードックンの勝利──」

フラッ 〃( A)ヽ

(;´W`)「徳雄!?」

果たされた思いは自身が想像していた以上に重たかった。

全ての戦いを終えたと実感したドクオの体は、アサピーの宣言と同時に、地面へと向かっていく。

移ろう意識の中で、痛みを感じなかったのは、いつもの、あの懐かしい匂いがしたからかもしれない。

スーパードックンのようです
最終話 後編おわり!


708 : 名も無きAAのようです :2014/03/05(水) 23:15:30 spRFigBk0
終わってしまった……のか……?


709 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/05(水) 23:22:28 /if6FvLgO
巻いていった結果、エピローグだけ後日になりました。ごめんなさい。

ちゃんと締めますので、あとはエピローグとNGをお待ちください!

あー、時間がない!ではまた!


710 : 名も無きAAのようです :2014/03/05(水) 23:23:54 rR3LgxM.0



711 : 名も無きAAのようです :2014/03/05(水) 23:50:43 0fUKD1BY0
おつ!


712 : 名も無きAAのようです :2014/03/06(木) 09:10:13 G1H9Sw5w0



713 : 名も無きAAのようです :2014/03/06(木) 16:01:15 jlulo/uI0
おつ!


714 : 名も無きAAのようです :2014/03/06(木) 17:49:46 3r6KitrU0
待ってるよー
おつおつ


715 : 名も無きAAのようです :2014/03/06(木) 23:09:04 nX80lwmU0
パネえよ作者……
ジョルジュの問題文総ざらいしてマジで驚愕したわ
心底乙!!!


716 : 名も無きAAのようです :2014/03/06(木) 23:38:46 8G68tMds0
テレビ見てるカーちゃんの反応が気になる


717 : 名も無きAAのようです :2014/03/06(木) 23:43:40 K.PvRWF.0
うわ今気づいたすげぇ


718 : 名も無きAAのようです :2014/03/17(月) 20:17:22 iz3PuNUA0
まだかなー


719 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/21(金) 00:52:11 2JKpDaegO
どうしても3月は忙しい…恥ずかしながら風邪をひいてしまいましたので、もう少しお待ちを!ごめんなさい。


720 : 名も無きAAのようです :2014/03/21(金) 16:28:00 BIAVfwS60
お大事にー!


721 : 名も無きAAのようです :2014/03/22(土) 13:22:08 B4DL./ZM0
お大事にね


722 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/29(土) 04:49:28 2jSg4KREO
風邪も治りましたので、3月31日に投下します!増税前です。

皆様、毎度ながらお待たせとご心配をおかけしまして申し訳ない。いよいよラストラスト詐欺が終わります。ご期待ください。


723 : 名も無きAAのようです :2014/03/29(土) 19:34:07 bvJ4LlgY0
よしきた


724 : 名も無きAAのようです :2014/03/29(土) 19:35:23 o1ezo18g0
期待!


725 : ◆8UONaKUB6Y :2014/03/31(月) 23:59:51 omVhi8JsO
間に合ったとは言えません。眠たい。

ゆっくり投下していきますので、眠れない方はお付き合い下さい。


726 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:02:03 oVbntd.UO
J( ゚д゚)し「う、そ…………?」

画面を食い入るように見つめるデレは、開いた口が塞がらなかった。

その白い髭を見たのは先ほど。しかし、何年ぶりだろう、テレビに映る本物の夫を見つめる彼女は、先ほど落としたウィスキーグラスを片付ける手を止めた。

J( - )し「もう……そんな、ところに、居て……」

いつもそうだった。自身の手の届かない範囲で、何をしているのかもよくわからない場所で彼は働いていて、もう数年間会ってはいない心は締め付けられる。

『全然久しぶりじゃねぇよ……トーチャン』

だが、今回は違う。息子がいる。ドクオが、彼を連れてきてくれる。

そう思い、安心したのも束の間、白髭の息子を呼ぶ声が大きく聞こえたデレは、散らばったガラス片もそのまま、テレビを消すことすらせずに家を出ようとした。


727 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:02:52 oVbntd.UO
しかし、さらに聞こえてきた呼び声に足を止める。

J( 'ー`)し「……あら……!」

ずっと一人で育ててきた息子が頼りにする存在とは、近くにいる母親か、遠くにいる父親か。

その二つだけだと思っていたが、それは間違いであると気づいた彼女は、開きかけたドアを閉め、祈るようにテレビの前に戻った。


728 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:03:34 oVbntd.UO
〜〜〜

何も言わずにプレハブを飛び出したプギャーとつー率いるスタッフ達を、デミタスと内藤は見つめる。

ドクオが倒れたという様子がモニターに映ってすぐの行動だった。

(´・_ゝ・`)「……」

もはや声をあげることすらしないデミタスは、騒然とする会場を窓越しに見つめる。

ジャケットの内ポケットから取り出したタバコを口に咥えたとき、目の前で響く開閉音に少し驚いた。良い音。

(´・_ゝ・`)「どうも」

二つの紫煙は、禁煙の室内を漂う。灰皿などない空間で、誰が飲んでいたのかわからない缶コーヒーに灰を落とした内藤は、椅子に座ったまま、背を向けて立っている部下に対し、煙を吐いて言った。


729 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:04:40 oVbntd.UO
( ^ω^)「終わったおね。諸本社長は臨時株主総会で更迭、株価は暴落。すぐに砂上の楼閣になるお。もっとも……実際のところ潰れることはないけど」

(´・_ゝ・`)「TBTFですか」

( ^ω^)「それやめろ。銀行じゃないんだから。イライラするお」

(;´・_ゝ・`)「?」

ふいに思い出した茂良の顔に、思わず口調がきつくなる。

偶然にも知ったシベリア賭博。その幕を閉じようとする公安部。自身が蚊帳の外に置かれて遂行されていた物語に辟易とした内藤は、事の発端というには遠いはずのボサボサ頭を毒づいた。

( ‐ω‐)「あーあ……しかし、まさかあの時スカウトしたのが、こんなことになるとはなぁ……」

(´‐_ゝ‐`)「スカウト?拉致の間違いでしょう」

( ^ω^)「うるせぇお」


730 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:05:38 oVbntd.UO
半身で彼の顔を一瞥するデミタスは、指先の灰を缶に落とす。火種が少し残ったそれは、鎮火する音を立てて、沈黙する空間にこだました。

顔を上げて、今までのことを振り返りながら相棒の名を呼ぶ。

(´・_ゝ・`)「そうですね……本当に、とんだ素人を連れてきましたね、ブーン」

( ^ω^)「全く……この会社での俺の、最大の失敗だったお」

モニターの中では、複数の人間がその失敗へと集っていく。

繰り広げられる光景が、立っている者には美しく、座っている者には疎ましく見えた。

(; ^ω^)「あー、あー、あんなに集まっちゃって、もう……虫かお、あいつら」

(´・_ゝ・`)「は?」

つい、本音を出してしまった内藤へと、反射的に振り向いたデミタスは、怪訝な顔で内藤を見やる。


731 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:06:39 oVbntd.UO
開き直り、難しい顔をしながらタバコでそれを指し、抑揚のない声で言った。

( ^ω^)y━~~「一箇所に群がって、まるで虫みたいじゃないかお」

(´・_ゝ・`)「なるほど、じゃあ彼は光ですね」

そう見えることに対し、遺憾ではなく、納得をした部下は皮肉で応える。

一瞬、意味がわからなかったが、デミタスの考えを聞きたいがために、続きを促す相づちをついた。

( ^ω^)「おっ……」

(´・_ゝ・`)「光があるところに集まりますから、虫は。だったらスーパードックンは光ですよ」

(^ω^ )「ふん……僕はそう思わないけど。仮に光だとしても、せいぜい蛍光灯レベルだお」


732 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:07:47 oVbntd.UO
片や、赤く燃える、太陽の如き輝きを放ち、関わるものに希望を与える正義の象徴。

片や、青く灯る、コンビニの前へと群がっている虫を殺すための、電撃殺虫器。

二人の全く方向性の違う認識に共通することは、どちらにも多かれ少なかれ影響力があるということ。

そう思ったデミタスは、反論などせず笑顔で頷く。

(´^_ゝ^`)「そうですか」

軽く流されたことに、少し腹が立った内藤だったが、タバコを消し、開け放たれたままのドアに向かうデミタスに覚悟を決めた。


733 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:08:57 oVbntd.UO
(´・_ゝ・`)「さて……私も行って参ります」

胸ポケットに入っている封筒の重みが、口数を少なくする。

彼が成りたい理想の存在には、相棒が必要。

自分が座っている椅子を横切る彼を呼ぶ。

(^ω^ )「デミタス」

(´・_ゝ・`)「はい」

( ω  )「……ついてきてくれるかお?」

たった一言。ともすれば意図すら掴めないその言葉。

決して、目線を合わせずに、遠くを見ながら呟く上司に対して、ドアの前で立ち止まる部下はいつもの通りに。

(´^_ゝ^`)「言ったでしょう、ブーン。私は正しますよ、いつまでも」

(‐ω‐ )「ん」

その誘いを快諾した。

(´・_ゝ・`)(さて……あいつらも誘うか)

夜空の下、一人笑った彼の心中は明るい。

今度こそ、いつも夢見たヒーローになろうと、これから幕開ける正義を咲かせる。


734 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:21:06 oVbntd.UO
備え付けのテレビ画面を、まじまじと見つめる彼女の表情は豊か。

怒ったかと思えば、喜び、楽しそうにしていると思えば、悲しんだり。

そんな変化を何度か繰り返したプライベートジェット機内のキュートは、飛んでいる最中にも関わらず降りようとする。自殺行為。

?俳川*;ー;)o「おーろーしーてーよぉー!!」

?煤ス川;゚ -゚)⊃「キュート、落ち着け!」

?煤スノハ;゚?听)⊃「なんだ、この力……!」


735 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:22:00 oVbntd.UO
身長の高いクーと、身体能力に優れるヒートの二人でも、彼女の暴走を止めることは困難。

泣きじゃくる彼女を必死に押さえつけるも、状況は好転しない。

o川*;ー;)o「だって!!だって!!スーパードックン倒れちゃったもん!!びぇええん!!」

川;゚ -゚)「だからといって上空5000メートルから降りるなんて正気じゃないぞ!?」

o川*゚ー゚)o「パラシュートで滑空する!!」

ノハ#゚?听)「バカか!?」

o川*゚ぺ)o「バカだもん!!」

川:゚ -゚)ハァ ハァ

  ノハ;゚?听) フゥ

開き直るキュートに、呆れ返る姉達は、一度腕を離す。息を切らした三人のうち、年長者が場を仕切った。


736 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:22:43 oVbntd.UO
川 ゚ -゚)「わかった、一旦落ち着こう」

o川;-ー-)o「うう」

広い機内にポツンと設置されているいくつかのリラクゼーションシートに座ったキュートに、二人は立ったまま声をかける。

ノパ?听)「キュート、確かに気持ちはわかるよ。でも、今は──」

"o(゚―゚*川≡o川*゚―゚)o″「ふんっ」プイッ

川 ゚ -)「だいたいだな、お前は後先を考えなさすぎだ。あの時だってこの時だって──」

"o(゚―゚*川≡o川*゚―゚)o″「ふんっふんっ」プイッ プイッ

宥めすかすには甘すぎて、詰め寄るにはきつすぎて。

アメとムチの応酬は、今、この娘に通用しない。

埒があかないと悟ったクーは、核心を突く話題を出した。

川 - -)「そもそもキュート……前から聞こうとは思っていたんだが……」

川;゚ -゚)「なんでスーパードックンのこと好きなんだ?」


737 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:23:40 oVbntd.UO
o川*;゚д゚)o「ななななん、なにいってんの!?別に、そんなんじゃないし!」

川 ゚―゚)「……」ノパ―゚)

憮然とする。

もし、動揺し、冷静になれない状況に至ったとき、クーであれば、ある程度厳しい言葉で理路整然としたロジックを提案すれば客観的に物事を判断できるよう回復できるし、ヒートであれば、自分に自信が持てるようにポジティブな考えを落とし込めば、困難を克服するよう努力する。

o川*゚ -゚)o「はぁ……二人にはお見通しなんだね。わかったよ、そうだよ」

しかし、キュートの場合はそのどちらでもなかった。

彼女には論理的な解釈も、前向きな捉え方も大して意味をなさない。

必要なのは好きな人をどうやって助けようかというヒロインチックな花畑ストーリー。恋は盲目。


738 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:24:38 oVbntd.UO
o川*゚^゚)o「んー……なんで、か……あの時かなぁ」

ノハ-?听)「あの時……一年前か?」

といっても、二人とも実際のところ、気にはなっていた。

芸能界での出会いがないわけではない──むしろ多い──スナオシスターズ。もちろんキュートも例外ではない。その素朴さ故に、アプローチする男性タレントは少なくなかった。

それなのに、一般の、それもうだつのあがらないように見える青年に惹かれるのはなぜか。目的と手段が入れ替わるように、クー達は彼女の言葉に耳を傾ける。

o川*゚ー゚)o「うん。初めて見たときは、うわっ、キモッって思ったんだ」

ノハ;-?听)(それも酷いな……)

川 ゚ -゚)「ああ、キモい」

ノハ;-??-)「クー姉……」

川;゚ -゚)「す、すまん。続けてくれ」

o川*-ー-)o「でも、クイズで対戦してるときさ、なんでこんなこと知ってるんだろとか、どんなことしたらそんなことまでわかるのかなぁ、って……考えてね」

川 ゚ -゚)「なるほど」

o川*゚ー゚)o「初めて見たもん、クー姉やヒー姉よりなんでも知ってる人。そりゃ芸能界でもいるけどさ……俺、頭いいですってオーラ全開じゃん。だから、かなぁ……」


739 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:25:21 oVbntd.UO
ノパ?听)「まぁ確かに素朴だよな!」

段々と、曇っていた顔は日が差したように明るくなっていく。だが、完全には晴れなかった。

o川*>ー<)o「でも、いいんだ。私だってわかってるもん。スナオシスターズで居る以上、進展はないって!恋愛禁止だもんね!」

彼女達の所属する事務所の規則として、恋愛禁止というものがある。
昨今のアイドル達は、ゴシップや不祥事が多く、その都度、対応に追われる雇用主。

必ずしも悪い方向へと発展することばかりではないが、できれば避けたいそれを、ルールとして適用させることは必然といえるだろう。

今でこそ他の芸能事務所でも散見するその決まり事は、キュートの想いを実らせることをさせない。

意気揚々と話していた彼女が俯いたのを見て、クーは、ヒートへと視線を移した。


740 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:26:03 oVbntd.UO
川 ゚ -゚)「キュート……もしかしてヒートもそうか?」

言外の問い。ヒートは別段、先ほどの規則に抵触する想いも行動もない。

しかし、元々はアスリートとしてギコギコの元に居た彼女。

アイドルとなってから、ダンスなどで体を動かすことはあれど、今までやっていたスポーツからは離れてしまっている。

ノハ*^?竸)「大丈夫!私もわかってるよ!体だってどこでも動かせるしな!」

そんな事情を知っているクーは、堂々と腰に手を当て主張する彼女の本心も承知している。

機上する前、なごり惜しそうな顔色を思い出した。長い髪を掻き分け、額に手を当てる。


741 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:27:00 oVbntd.UO
川 ゚ -゚)「……」

川 ゚ -゚)(二人とも、本当に自分がしたいことができないのか)

川 - -)(いや……それは私もそうか)

スナオシスターズという偶像は、時に名誉を、時に富を彼女らに与えていた。

それと引き換えに失ってしまったものをクーは思い出す。

川 ゚ -゚)「二人とも、よく聞いてくれ」

ノパ?听)「?」o川*゚ー゚)o

まだ若い年頃の娘は、一つの想いを胸に秘め、もしあの時にアイドルへとならなければという、もう一つの道を思う彼女は持て余す。

そんな二人を見て、もう戻れないと思っていた一人の家族との関係を望むリーダーは決断する。


742 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:27:56 oVbntd.UO
o川*;;゚θ゚)o「……え、ええぇ!?」

ノハ;;゚?听)「そ、そんな!?無茶だぞクー姉!!」

その一言を聞いたキュートとヒートは驚き、しかし、悪い気はしていない。

反射的に出た否定の言葉に、クーは笑って答えた。

川 ゚ -゚)「無茶?それは違うぞ。これはな」

川 ゚ ー゚)「素直っていうんだよ」

後日、新聞の号外が配られ、たくさんの人々がそれを悲しみ、憂いたが、彼女達の気持ちが曇ることは一切なかった。


743 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:30:13 oVbntd.UO
〜〜〜

(;´W`)「徳雄!大丈夫か!?」

(-A-)「……」

白髭の腕の中で目を瞑り、小さく呼吸をしているドクオの表情は穏やか。

膝をつかなければならないほどの重みを感じたのは、体重が原因だけではない。

( ´W`)(眠っている……極度の疲労か、無理もない)

数十年ぶりに抱いた息子の体は、自身が思っていたほどに懐かしく、何度も顔を合わせていたにも関わらず時を感じさせる。

ある種のノスタルジックな感情は、当然の叫び声にかき消された。

(;-@∀@)「スーパードックン!!大丈夫ですか!?」

(゚ー゚*;)「医療スタッフ、早く!」


744 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:31:15 oVbntd.UO
狼狽しながらも、的確に指示を出す司会の二人は、体裁もなくドクオに近づく。

心配する彼らに落ち着いた口調で諭す白髭は冷静。

( ´W`)「アサピーさん、しぃさん。大丈夫だ、体に異常はない。少し疲れているだけのようだ」

(-@∀@)「……」(*゚―゚)

安堵するには早い。先ほどまでの喧騒は、安易にこの男を信用してもいいのだろうかと逡巡させる。

だが、僅かに聞こえる寝息と、優しく支えている父親の姿にこれ以上、自分達ができることは、この後の進行だけだと結論付けた。

( ´W`)「ただ……この後の表彰式だが、辞退させてくれないか」

(;-@∀@)「そ、それは」


745 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:32:21 oVbntd.UO
言いよどむのはそれしかできない歯がゆさだけではない。ただ、単純に、ここまで来たこの英雄を祝いたいという純粋な気持ちを含んでいる。

故に、それがわがままだとしても引き下がりたくはない。

( ´W`)「すまない。当の本人がこの状態だ」

しかし、彼の言い分も尤もだった。接戦を制した者のささやかな休息。

それを果たして我々の都合で邪魔をしていいのだろうか。眠るドクオの夢の中で、せめて祝福をうけていれば──

(-@〜@)「……」(* ― )

(*´W`)「ちょっと失礼」

押し黙る二人の間に、同じ顔が現れる。口調の違いを除けばどちらが白髭かわからない。

そんな偽者は、本物の前に立ちひょうきんな物言いで声をかけた。

(*´W`)「まぁまぁ、いいじゃないですか表彰式。せっかくここまで来たんですから、ね?」


746 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:33:19 oVbntd.UO
(´W` )「茂良……しかし、たった一人でここまでがんばってきたんだ。もう休ませてやっても──」

それは親の過保護とはまた違う、困難な道を乗り越えた者に対する敬意。

彼の言う通り、孤軍奮闘した者に与えられる休息。

もっとも、茂良にとってその考え方は納得のいかないものだった。

( ‐W‐)「たった一人?いやいや、そんな男なら私も応援しませんよ。ほら」

面白そうに付け髭を触りながら、指差す方向には複数の人影が見える。

先頭を走る男の声は、耳障りなほどに眠っている男に聞こえた。

≡≡(; ^Д^)「ドクオさーん!!」

(-A-)「……」

( ´W`)「?」

≡≡(*゚∀゚)「スパドクー!!サイン!!」

(-A-)「……ぅ」

( ´W`)「これは……」

ξ;゚?听)ξ「ちょっと、なに、大丈夫!?ケガとかしてないわよね!?」

(;-A-)「……う」

lw´‐ _‐ノv「きれいな顔してるだろ。ウソみたいだろ。死んでるんだぜ。それで」


747 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:34:21 oVbntd.UO
息を整えることもせず、矢継ぎ早に問いかける彼を知る者達。各々は語りかける。

( ;Д;)「ドクオさん死んじゃいやっす!!」

(**゚∀゚)「サインもらうまで張り付くからね!!」

ξ;゚ぺ)ξ「か、勘違いしないでよね!私はあなたと対戦できなくなったら困るから……!」

lw´‐ _‐ノv「あ、どうもはじめまして、柊です。お義父さん!」

( ´W`)「……」

(;⊃A‐)「ん……むぅ……」

それぞれの応酬は、ドクオが眼をこする動作によって止められた。

寝ぼけた顔をした彼の目の前には、見下ろす者たちの顔。

(*´W`)「ほらね、宇都宮さん。彼は一人じゃないんです。スーパードックンは──あなたの息子さんは強いんですよ」


748 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 00:36:04 oVbntd.UO
(  W )(そうか)

自然と、何も言わずに両腕から離れる息子に、父親は何も言わない。

両足で立ち、ボサボサの頭をかく彼の背中が、今までで一番大きく見えたから。

(-A-)「あー、もう……疲れてんのに、うるせぇな……」

( ´W`)(徳雄は……俺の息子は)

ずっと見守ってきたつもりだった。それは奇怪な出会いをしてしまった、彼との距離を見定めるため。

(**-@∀@)「優勝はスーパードックンです!!」

(*^ー^)「今のお気持ちをどうぞ!」

そして、今。自身に打ち勝ち、その存在を知らしめるほどに成長したドクオの姿を見て。

( ´W`)(こんなにも、たくさんの仲間と出会っていたんだな)

(-A-)「いいぜ……俺があんたらにクイズを教えてやったんだ」

('A`)「このスーパードックンがな!」

割れんばかりの声援と共に、小さく両手を叩いた。

スーパードックンのようです
エピローグはじまるよ!


749 : 名も無きAAのようです :2014/04/01(火) 00:52:43 xS0t5lSY0
ひゅーーーー


750 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:04:26 oVbntd.UO
〜〜〜

八畳程の事務的な一室には、向かい合うように革張りのソファーが設置されていて、カッシーナなどの有名ブランドほど高級さの主張はしていないが、品の良いその存在に腰掛ける二人の姿は、まるで狭い空間に不釣合いなものがあるということを体現しているかのように非対称的だった。

(´・_ゝ・`)「考え直してくれないか」

チャコールグレーのスーツに変化が見える。

以前までビジネス然としていたその控えめな印象は、光沢が栄えるピークドラペルのドレッシーな表現で、変わらないプレーンノットのピンクタイを昼から夜の雰囲気へ変わらせている。

('A`)「……」


751 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:07:20 oVbntd.UO
浅く、やや前傾なデミタスの姿勢は、目の前にいるボサボサの髪をかく青年に向かって、強く向かっていた。

二人の間に挟まれるガラス製のテーブルは、眉間にシワを寄せる男達を映し、置かれた灰皿には何も入っていない。緊迫。

(´‐_ゝ‐`)「私達には君が必要なんだ」

(-A-)「……」

以前なら、そのジャケットの胸ポケットに留められている役職を書いたプレートが、彼を大企業の中堅どころだと認識させるはずだが、記されている文字は真逆。

だが、スタジオオープンという、聞いた事もない新興の企業にもかかわらず、両肩を少し縮みこませるのは、デミタスが副社長として在籍しているから。


752 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:08:25 oVbntd.UO
(´・_ゝ・`)「君のその類稀なる才能……眠らせておくには惜しい」

一拍溜めてから、顔をあげ、ドクオの両目を見る。

(´^_ゝ^`)「一緒にがんばろう!」

('∀`)「……はい」

短く、了承の意を伝えた数秒後だった。

( ^Д^)「カット!OKっす!」

そのドラマが区切られる声が聞こえたのは。

(;'A`)「全く、リハーサルなんざやらせやがって」

椅子から立ち上がって、組まれたセットから離れる。左手でぐるぐると回す右肩を押さえながら首を鳴らした。

(´^_ゝ^`)「ハハハ、悪いなドクオ君。どうしても人手が足りなくてね」


753 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:09:20 oVbntd.UO
後ろから聞こえた声に振り向く。少し疲れた表情で、さして面倒ではないことを伝える。

(´・_ゝ・`)「脱サラして、相棒と元部下の数人でやっていくのもなかなか大変なんだよ」

デミタスは役者兼副社長だった。リハーサルのために彼自身が演技をし、練習をすることも少なくないらしい。

しばらく歓談していると、シベリア終了後、経営再建に陥るVIPテレビを退職した一部のスタッフ達が集まるこのスタジオを、設立した男がやってくる。

( -A-)σ「盛岡さんはいいですよ。問題はヤツですよヤツ」

( ^ω^)ノシ「おいすー!」

('A`)「ほら、来た」

オックスフォードの白シャツに、ピンク色のカーディガンを胸の前で巻いた小太りな男は、その格好からプロデューサーのように見えるが、今は違った。


754 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:10:24 oVbntd.UO
(´・_ゝ・`)「内藤監督、お疲れ様です」

監督兼社長である内藤は、右手にぶら下げている紙袋をデミタスの前に差し出した。

( ^ω^)「お疲れだお、デミタス。これジャンポールエヴァン」

高級菓子の袋を見てため息を吐く彼は、表情をしかめながら男を戒める。

(;´・_ゝ・`)「我々の台所事情を少しは考えてください。VIPテレビに居たときとは違うんですよ」

経費は使い放題どころか、水増しをしてもお咎めなし。

そんな丼勘定の前職と比べて、今はタクシーはおろか、電車賃すらまともに出ない。

だとしても、二人の仕事に対する姿勢に陰りが見えることはないのだが。

( ^ω^)「まぁまぁ、堅いこというなお。あ、ドクオ」

どうでもよさそうに受け流した内藤は、ふと隣にいる素人を眼中に入れた。


755 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:11:29 oVbntd.UO
それに反応したドクオは声をかけようとするも、遮られる。

('A`)「よう、内藤さ──」

( ^ω^)「まだ居たの?」

(#'A`)「あ?」

挨拶もそこそこに。犬猿の仲を如実に現している二人の会話は、挑発の応酬。

( ^ω^)「交通費とギャラは振り込むっていったおね?それともなにかお?食べたいのかお、ジャンポールエヴァン」

(#'A`)「いらねぇよ!んだよ、せっかく来てやったのに」

( ^ω^)「用が済んだらさっさと帰る!社会人として常識だお!」

('A` )「社会人としてその語尾はどうかと思います」

(# ^ω^)「おおん、腹の立つぅ……!だいたいニートであるお前にとやかく言われたくないお!」

(#゚A゚)「う、うるせぇな!俺だって──」


756 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:12:28 oVbntd.UO
口癖である語尾を指摘するドクオ。無職である負い目をえぐる内藤。どちらの口撃も一進一退。

どの辺りで止めようか迷っていたデミタスは、こちらに向かってきた機器の整備とタイムスケジュールの調整を終えた二人にその役目を託した。

( ^Д^)「内藤さん、そこまでっす!」

(*゚∀゚)「そうだよ!スパドクかわいそう!」

紺のベストは自前。慣れ親しんだ制服を簡単に変えることをしなかったプギャーは、以前と同様の格好で、しかし胸元につけていた前職を象る社名の入ったものはつけていない。

同じく、つーもいつもと同じような姿。帽子のつばが後頭部に向いていても、それを窘めるものは居なかった。


757 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:13:21 oVbntd.UO
( ‐ω‐)「つーちゃんにプギャー……お前らやっぱこいつの肩もつのな」

(* ^Д^)「当然っす!」

(*-∀-)「そりゃサイン一枚オークションに流せば良いバッグが買え──」

清らかな思いを胸に、プギャーは内藤に向かって言い放つ。照れくさくなったドクオは、つーの邪な動機に苦笑しながら頭をかいた。

(;´‐_ゝ・`)「つー、お前はまたコンプライアンス違反を……」

(*゚д゚)「あわわ!今のなし!内藤さんだって色々やってるんだし!」

(; ^ω^)「つつつつーちゃん!?余計なこと言わなくていいんだお!?」

段階を踏んで、手を当てる額の角度が落ちていく。悩みは尽きない。

慌てふためく二人に、声のトーンを落としたデミタスは問いかけた。


758 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:14:29 oVbntd.UO
(#´・_ゝ・`)「監督……いやブーン。それは本当ですか?」

(^ω^ ;)「で、デミタス……やだな、僕がそんなことするわけが」

(´‐_ゝ‐`)「なるほど、やってるんですね」

(; ^ω^)「な、なんでわかったお!?」

(´・_ゝ・`)「それはあなたが……いえ、私達が変わらないからですよ」

( ^ω^)「おお?」

VIPテレビに居た頃と同じように、悪事を働く者。

(*゚∀゚)「はぇ?」

周りの状況を悟りながら、場を盛り上げようとはしゃぐ者。

(´^_ゝ^`)「では、変わらない二人に反省文を」

そして、そんなスタッフ達がいる職場を守ろうと心に誓う彼は、笑って二人を正そうとする。

( ´ω`)「おーん」

(*-ε-)「あうう」


759 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:15:36 oVbntd.UO
(-∀-)(ふー……まぁ、楽しそうでなによりだわ。さて、そろそろ行きますか)

シベリアが終わってから数週間が経っていた。

幸いにも、彼の父親である白髭が手を回したおかげでマスコミ関連からの執拗な追いかけは、前回と比べほとんど無くなっていた。

手紙が届いたのは一週間前。つーが言う様にサイン一枚に金銭的価値がつく──本物と見分ける方法など皆無だが──ほどに一躍、時の人となったドクオは、その内容と、目の前にいる差出人達のやり取りを見て、心を落ち着かせた。

( ^Д^)「ドクオさん」

('A`)「ん?」

一人、輪を外れていたプギャーは、核心を衝く。それは、手紙に記されていた大事な事柄と同様。

( ^Д^)「やっぱ無理っすかね、うちにくるの」


760 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:16:51 oVbntd.UO
(-A-)「……」

押し黙った彼は、腕を組んだ。VIPテレビから独立したことと、自身もこの職場で働かないかという誘い。

ドクオは、彼らの現在を確認することと同時に、勧誘の返事をするためにもこのスタジオにやってきたのだ。

( ‐Д‐)「今はまだ小さなスタジオだけど、俺達が集まったらどんなところよりもすごいものが作れるっす」

( ^Д^)「だから、今回だけと言わず……」

少し顔を俯かせながら言うプギャーに、意を決した彼は努めて笑顔を保つ。

その答えを聞いたまだ若い青年は、倣い、にやけ面で、猫背気味なその背中に別れを告げた。


761 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:17:41 oVbntd.UO
〜〜〜

外は青天。春の日差しは暖かく、日中の陽気が鼻腔をくすぐる。

ノビをしてスタジオを後にしようと歩を進める彼の背に、近づいてきたのは意外な人物。

(^ω^ )「ドクオ」

('A`)「ん?」

思えば二人の出会いが全ての始まりだった。とはいえ、目の前で少し息を切らしている内藤の姿を見ても、もう怒りはない。

なぜなら、あの時に暴力を振るわれていなければ、今の自分はここにいないから。これも縁だと思うと不思議な気分。

( ^ω^)⊃□「これもってけお」

( 'A`)⊃□「なんだこりゃ」


762 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:18:57 oVbntd.UO
手渡されたのは一枚の円盤だった。ラベルもない簡素なDVD-Rを閉じ込めるのは、これまた簡素なパッケージ。

( ^ω^)「さっき撮ったシーンだお。記念にやるお」

装飾などもなく、手渡した男が息を整えている様子を見るに、なるほど、急ごしらえ。

自身に渡すために急いだのだと思うと気恥ずかしくなったドクオは、茶化して応えるが、内藤の視線は鋭かった。

('A`)「後で金請求するんじゃねぇだろうな」

( ‐ω‐)「……俺はまだ、お前を認めたわけじゃねぇお」

('A`)「……」


763 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:19:58 oVbntd.UO
普段の笑顔とはまた違う、初めて目にする元凶の独白。意図を掴むことすらせず、黙って聞き入る。

( ^ω^)「大した努力もしていないくせに、世界一になりやがって……」

( ^ω^)「ましてや、その権力を行使することもなく普通にしやがる」

('A`)「……」

( ^ω^)「挙句の果てには、俺達をこんな弱小スタジオを立てなきゃならないほどに追い込んだんだお。そんなヤツ認めるわけねぇお」

(-A- )「……そうかよ」

果たして、単なる愚痴か。彼に対して怒りの感情は消えているにせよ、悪い印象は消えていない。

どう反応すればいいか戸惑い、嫌々ながら肯定の言葉を呟くと、内藤は視線をどこというわけでなく移し、溢した。


764 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:21:21 oVbntd.UO
( ^ω^)「ただ──」

('A` )「?」

(  ω )「感謝はしている。それだけだお」ボソッ

(;'A`)「えっ……?」

聞き取れなかったドクオは耳を近づけ、もう一度聞こうとする。

しかし、内藤はそんな彼の姿勢を無視し、大声で怒鳴りつけた。

( `ω´)「とっとと帰れっていったんだお!お前の顔なんか見たくもねぇお!」

(;#'A`)「あ、あんた、自分が呼び止めといてそんな言い方は」

至近距離での叫びに、動揺し反論するも聞く耳を持たない。手で虫を払うように、帰路を促す。


765 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:25:02 oVbntd.UO
(# ^ω^)「うるさいうるさい!!ほら、帰った帰った!しっしっ!」

(#'A`)「ちっ……二度と手伝ってやんねぇ!」

( ^ω^)「けっこうですおー!二度とくんじゃねぇお!」

('A` ) フンダ! ( ^ω^)

同時に背を向け、それぞれの道を歩き出す二人。

( ^ω^)(一寸の虫にも五分の魂、か)

( ^ω^)(たとえ追い込まれても何度も立ち上がるその根性)

( ‐ω‐)(間違いなく逸材)


766 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 01:25:50 oVbntd.UO

結果として宇都宮ドクオという存在は、主観的にも客観的にも大きかった。

困難、妨害、挫折。ネガティブな障害を乗り越える人間は、強く逞しい。

そういった人材はたとえ、殴ってでも手中に入れるべきであろう。

( ‐ω‐)「ただ、俺は」

そんな、"悪いこと"を鼻で笑って──

( ^ω^)「虫が嫌いなんだお」

手のひらで潰すように、振り返ることはしなかった。


767 : 名も無きAAのようです :2014/04/01(火) 01:40:59 QxoWz88EO
始まったかエピローグ…!


768 : 名も無きAAのようです :2014/04/01(火) 01:52:58 xS0t5lSY0
やだかっこいい...


769 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 02:49:28 oVbntd.UO
〜〜〜

( ・∀・)「諸本社長、今日はどうですか?」

(;-_-)「そろそろいいでしょう?」

茂良と小森は雨蔵警察署内にある留置所の面会室にいた。

留置管理課の看守は、隅にある机に向かっていて、無機質な室内の中央を通る透明の仕切りが二枚重ねになってこちらとそちらを分け、さらにその中央にはいくつかの丸い穴が空いている。

あまり知られていないが、穴は重なった仕切りをずらすことで、手紙のやり取りなどをできないよう配慮がなされていた。


770 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 02:50:43 oVbntd.UO
(´・ω・`)「気分かい?留置所にも慣れたよ。静かで良い所だ」

薄く髭を生やし、心なしか痩せたように見える諸本は、より一層しょぼくれた顔で要領を得ない返答をする。

憮然とする二人のうち、小森が強めに声をかけた。

(-_-)「いつまで黙秘を続けるおつもりで。もう再勾留して7日経ちましたよ」

(´・ω・`)「今までが忙しすぎたんだ。少しくらい休憩させてくれても良いじゃないか」


771 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 02:51:26 oVbntd.UO
飄々と、彼の言い分を流す。このやり取りが続いて既に数週間。本来なら十日程の勾留も、事件の内容を喋らない諸本が原因で延長が続いている。

(´-ω・`)「そんなことより、君達二人とも良いのかい?テレビに顔を出してしまって。メディアは怖いぞ?」

言葉を発することはすれど、要点がずれていた。進展のない会話だが、無下にはしない。

(* ・∀・)「アハハ、私は変装に関して自信があるので大丈夫ですよ」

(-_-;)「僕も、本来なら裏方の仕事がメインですから。まったく、こんなことは二度としたくないなぁ」

自身の顔を撫でながら笑う優男――結局、この顔が素顔なのかは不明のまま――と、宙でパソコンのキーボードを叩く動作をする線の細いボサボサ頭。

表面上は和気藹々。水面下は戦々恐々。


772 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 02:52:13 oVbntd.UO
(´-ω-`)「フン、どうにも喰えんな、君達は」

(* ‐∀・)「喋ってくれるならもう少しまともな態度もとれるんですがねぇ」

(´-ω-`)「断る」

(-_-)「ですが、このままだと裁判での心証が──」

頑なに概要を話そうとしない容疑者と、言質をとろうと話しかける公安部。

また埒の明かない戦いが繰り広げられるのかと、看守が椅子に深く座りなおした時、立たざるを得なくなる人物がドアをノックし、開けた。

( ´W`)「失礼」


773 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 02:52:56 oVbntd.UO
(´・ω・`)「!」

( ・∀・)「宇都宮さん……」(-_- )

直立し、敬礼をする看守と、懇願する二人。そして、形容しがたい表情で白髭を見つめる諸本。

多種多様な態度を取る一行を尻目に、言葉を発する。

( ´W`)「その様子だと、司法取引も、弁護士も希望していないようだな」

(´W` )「二人とも、席を外してくれ」


774 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 02:53:38 oVbntd.UO
〜〜〜

(´・ω・`)「……」

( ´W`)「……」

旧友と仇敵。どちらの要素も兼ね備えた目の前の男を、しょぼくれた顔はじっと見つめる。

視線をそらすことをしない白髭は、目を細めながら黙ってパイプ椅子に座り込み向かい合う。

(´-ω-`)「……」

得体の知れない焦燥を感じる看守を残し、一変、重たくなる空気。先に口を開いたのは諸本。

(´・ω・`)「何か言ったらどうだ、ジョルジュ──いや、白髭」


775 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 02:54:16 oVbntd.UO
呼び名を言い直したのは、皮肉か、なごりか。

それでも眼前の男の顔は変わらない。代わらない。

( ´W`)「伝える言葉はない。ただ、顔を見に来ただけだ」

(´・ω・`)「それは私と貴方の関係か?それとも」

(´・ω・`)「私とジョルジュ長岡との関係か?」

( ´W`)「……」

いくつもの修羅場を乗り越えてきた、その全てが欺瞞。年数をかけて騙した男は語らない。

押し黙っている白髭にため息をつく諸本は、話題を変える。

(´・ω・`)「……まぁ、いい。荒巻はどうした」

( ´W`)「相も変わらず、頑なに否認している。無駄だというのに」

(´・ω・`)「フン、所詮は戦線を退いたロートル、話にならんな」

( ´W`)「同感だ。こんなもののために何年も時間をかけていたかと思うと虚しさすら感じる」


776 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 02:54:59 oVbntd.UO
かつて富と名声を得ていた老人は、あっさりと間引かれた。

そんな栄枯盛衰を一笑に付す二人には、それ以上に肝心な結果があった。

片方には成就を、片方には破滅を。もたらした結末の心境を、しょぼくれた顔は問いかける。

(´・ω・`)「息子への贖罪か?」

( ´W`)「お前への申し訳なさもある」

(´゚ω゚`)「ふざけるな」

静かな怒りは、空間を震動させた。決して椅子から立ち上がっていないにも関わらず、もし二人を隔てている板がなければ殺してしまいそうなほどに、諸本の怒気が伝わる。

振り向いた看守の顔に見える畏怖の表情に、冷静さを取り戻した彼は、落ち着いた口調で言葉を繋いだ。


777 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 02:55:43 oVbntd.UO
(´・ω・`)「最近、ずいぶんと自分の時間をとれるようになってね。色々考えているんだよ」

( ´W`)「例えば?」

(´・ω・`)「もし、貴方と違う形で出会えていたなら、もっと面白いものが見えたのか──とかね」

仮に、あの時。イタリアで出会った金髪の男が、本当に何でも屋だったのなら。

稚拙な考えに至ったのは、それほどジョルジュのことを信頼していたからかもしれない。踏まえて、白髭は問う。

( ´W`)「……数十年ぶりだからか、そういう言葉が出るのは」

(´-ω-`)「どうにも納得できない。理解はしているが、私にとってジョルジュは太陽だった」

揺れる髪は、照らす光。飄々とした態度は風のようで、人々を惹きつける。

青い空に浮かぶ恒星を例えに引き出した諸本に、輝きを失った星は言う。


778 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 02:56:27 oVbntd.UO
( ´W`)「宇都宮マナブは月、と?」

(´・ω・`)「いや、闇だ。太陽すら覆ってしまった、深い深い宇宙のような」

( ´W`)「……」

先ほどからことごとく、否定の意を持って返答する男に対し、眉一つ動かさない。

結局のところ、自身はただその独白を聞いてほしかっただけなのかもしれないと悟った彼は、一層、悲しい顔をした。

(´ ω `)「顔色くらい変えてくれ、白髭さん。もう私達は老いた。我々が批判するロートルと変わらん」

( ´W`)「そうだな」

(´・ω・`)「……明日、全てを話すよ。おそらく、貴方に会えるのはこれで最後だろうから」

( ´W`)「そうか──」


779 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 02:59:24 oVbntd.UO
それだけ聞くことが出来れば十分だ。そう言いたげに椅子から腰を上げた白髭の心中は、ジョルジュと同じように見えなかった。

せめて、希望を与え、絶望を突きつけたその背中に一矢報いようと、過ぎ去ろうとする彼に声をかける。

(´-ω-`)「そういえば、息子さん……ドクオ君だったね。彼も貴方の背中を追いかけていくのかな?」

(´W` )「……」


780 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:00:05 oVbntd.UO
立ち止まった男の表情は伺えない。しかし、そこから歩き出さないほどには心境に訴えている。

まるで自分に言い聞かせるように、思いを吐き出した諸本へ振り返る白髭のその目は──

(´・ω・`)「まだ若い、確かに道はある。だが、あまりにもそれは残酷だ」

(  W )「……それは、私が決めることではない。息子が決めることだ」

いつか見た太陽のように、ひどく、優しく思えた。


781 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:18:04 oVbntd.UO
〜〜〜

lw´‐ _‐ノv「おかえりなさい。お風呂にする?ご飯にする?それともキャベツ?」

('A`)「なんだよ、キャベツって……つーか、さぁ……」

lw´‐ _‐ノv「今日はね、お隣の奥様達と井戸端会議してきたのよ!」

(-A-)「あの」

lw´‐ _‐ノv「みんな、良い人でよかったわ!ね?あなたもそうおも」

(#'A`)「切るよ、電話?」

lw´‐ _‐ノv「すんませんでした」

内藤たちと別れたドクオは、その足で目的地へと歩を進めていた。

手に持ったDVDを大事に抱えながら、ふと着信があったので出てみれば、突然の寸劇。

シュールとの会話を続けながらも、立ち止まることはない。


782 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:18:44 oVbntd.UO
('A`)「……ったく、いきなり着信があったから何事かと思えば」

lw*´‐ _‐ノv「新婚さんごっこ」

(;'A`)「なんだよそれ……」

lw´‐ _‐ノv「だって、ドクオ、まだプロポーズの返事くれないから」

シベリアでの約束。

結果として、単に優勝という枠組みに囚われなかったそれを見事成し遂げた彼と彼女に対し、もはや何の隔たりもなければ、甲斐性もない。

『はい』か『いいえ』かの二択を迫られ、言葉を詰まらせる。

(;'A`)「うっ……いやぁ、それはその……」


783 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:19:39 oVbntd.UO
しかし、ドクオにはまだ負い目があった。それは内藤にも暗に指摘された、自身の経済能力。

いくら約束を果たそうとも、仮に相思相愛を信じようとも、それだけでは共同生活を送ることはできない。

真面目な──若干、亭主関白的な──彼にとって、養ってもらう立場になることは考え付かなかった。ヒモは論外。

lw´‐ _‐ノv「いくらロックマンDASH3が出ないからって、待たせすぎだと思うなあ」

電話口から間延びした声で迫る彼女に、彼は失言を吐く。

(;-A-)「す、すまん。だけど、あれだぞ。別にそんな待たなくてもシュールの好きなようにすれば──」

lw#´‐ _‐ノv「はぁ!?待たなくてもいい?なにそれ、ちょー傷つくんですけど」

(;'A`)「お、おい、そんな」

lw´‐ _‐ノv「もういいもん、ドクオなんて知らない!腹いせに私の権限を使って社会的に殺してやる!」

(;゚A゚)「わ、悪い!悪かった!」


784 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:20:27 oVbntd.UO
電話口で見えないにも関わらず、しきりに頭をふる姿を想像したのだろう。

シュールはドクオにとって笑えない剣幕を、冗談に変えた。

lw*´‐ _‐ノv「はい、これが新婚ごっこです。やーい、尻にひかれてやんのー!お前のバージンぶたにこ」

(;;゚A゚)「シュールが言うとゴッコにきこえねぇんだよ」

lw´‐∀‐ノv「フフ、びっくりした?ま、人を振り回す君のことだ、待とうじゃないか。具体的にはブレスオブファイア6が出るまで待とう──」

我ながら出来た女房だと自負する彼女は、また得意の言い回しで彼を尻に敷こうとするが、一瞬、間の置いた彼の発言に、戸惑いを隠せなかった。

('A`)「ん……あれ、もうすぐ出るぞ」


785 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:21:01 oVbntd.UO
lw´ ゚ _ ゚ノv「えっ!?マジ──」

('A`)「ソーシャルゲームで」

lw´‐ _‐ノv「……」

ブチッ

('A`;)「つっ、いきなり切りやがった……怒ってねぇよな……?」

見当違いな思慮を浮かべるが、それは杞憂。

かぶりを振って、立ち止まった目の前には大きな施設。

('A`)「まっ、大丈夫だろ。さて、着いたな」

約束を果たした彼だったが、まだ果たされていない戦いがある。

手に持った携帯電話とDVDのケースをジャージのズボンにしまい、深呼吸して気合を入れる。勝利するために。

もっとも、勝てる見込みなどないのだが。


786 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:21:54 oVbntd.UO
〜〜〜

ξ゚?听)ξ

( ^^ω)「おい、誰だよ、あの娘」

(゜3゜)「知らないの?巻き毛のツンだよ」

(; ^^ω)「巻き毛のツンって、あの?」

(゜3゜)「ああ。イヨコンお抱えのプロゲーマーだよ。今日はお忍びで来てるみたいだ」

( ^^ω)「マジかよ……つーか詳しいのな、お前」

(^3^ )「ツンちゃんファンクラブ007番をなめるなよ」

(; ^^ω)「うわぁ……」


787 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:22:44 oVbntd.UO
ξ*゚?听)ξ シッ!

( ^^ω)「おっ、また勝った。台空いたぞ?田中、お前行けば?」

(゜3゜;)「おおお恐れ多いよ!」

( ^^ω)「ふーん……じゃ俺がいこうかな」

(゜3゜)「えっ」

(* ^^ω)「けっこう可愛いじゃん、声掛けてくるわ」

(゜3゜;)「は、長谷川、やめとけ──」

( ^^ω)「君、強いね!」

ξ゚?听)ξ「……どうも」

( ^^ω)「ねぇねぇ、ゲームもいいけどさ、ちょっと休憩しない?」

ξ-??-)ξ「……」

( ^^ω)「美味い店知ってるんだ、奢るからさぁ──」

ξ゚?听)ξ「座るの、座らないの?」

( ^^ω)「は?」

ξ゚?听)ξ「どっちかしら」

( ^^ω)「……ちっ、じゃあこうしようか。俺が負けたらここは退くよ、俺が勝ったら」

ξ-?听)ξ「そうね、どこへでも連れてってもらってけっこうよ」

( ^^ω)(すかしやがって……俺だって有段者なんだ。プロだろうとなんだろうと関係ねぇ)

( ^^ω)「じゃあ、いくぜ」


788 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:23:19 oVbntd.UO
〜〜〜

( ゚ ゚ω)「……あ、ああ……」

(‐3‐;)「だから言ったのに。プロだって」

(; ^^ω)「ありえねぇ……なんだあの超反応……人間やめてるだろ、あれ」

(゜3゜)「巻き毛のツンの最大の武器がそれだからね。二戦目とかパーフェクト負けだったもんね」

(# ^^ω)「うっせぇよ!それに……」

ξ゚?听)ξ『その程度の実力でナンパしないでくれない?』

( ^^ω)「だと!くっそ!!腹立つ!!」

(゜3゜)「彼女、毒舌も売りだから」

(; ^^ω)「ちくしょう……あいつぜってぇ彼氏いねぇよ。あんなヤツと一緒にいたら気が滅入るわ」


789 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:23:50 oVbntd.UO
(‐3‐ )「うーん、確かにあんまりタッグ戦とかには出ないなぁ」

(゜3゜)「あ、でも僕が知ってる中で一人だけ良いコンビだなって思った人いたなぁ」

( ^^ω)「ウソだろ、あいつとコンビ組めるヤツなんているのかよ。どんな聖人君主だよ」

(゜3゜)「確か……けっこう前にクイズで共闘していたような……」

(;'A`)「ちょっとすみません、通して……」

( ^^ω)「あ、すみません」

(゜3゜)「ごめんなさい」

(; ^^ω)(っておい!?あの兄ちゃん、あいつの台に行く気かよ?うわぁ、かわいそうに)

(゜3゜)「そうそう、あんな感じのボサボサ頭で、頼りなさそうな……なんて名前だっけな──」


790 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:24:35 oVbntd.UO
ξ゚?听)ξ「あっ」

(; ^^ω)(おっ、反応したな、あの女。そりゃあんまり強そうじゃねぇからなぁ……あー、また被害者が増え)

ξ*^?竸)ξ「やっと来たわね!スーパードックン!」

(^3^ *)「そうだ!スーパードックンだ!」

(; ^^ω)「えっ、えっ!?」

('A`)「わりぃ、遅くなっちまったな」


791 : 名も無きAAのようです :2014/04/01(火) 03:36:40 3wICYYYwC
こんな時間に○ィップ○ースと同じことしてるな、支援


792 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:37:02 oVbntd.UO
〜〜

ゲームセンター外に備え付けられている吸殻入れの前で、ドクオはタバコを吹かす。

入る前まで高かった日は、すでにオレンジ色の夕日と共に足早に過ぎていった時間を感じさせた。

ξ゚?听)ξ「お疲れ様!」

後ろから聞こえてきた騒音と、紙コップを二つ持ったツンの労う声が聞こえてきたので口に咥えたそれを捨てる。振り向けば、意地悪そうな顔。

ξ*゚?听)ξ「無糖と加糖、どっちがいい?」

('A`)「おっ、センキュ。じゃあ無糖で」


793 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:41:33 oVbntd.UO
礼を言い、差し出された方のコップを持つ。中で揺れる黒い液体が、自身の怪訝な顔を映したのは自然なことだった。

('A`)「ツン、先に飲んでみて」

ξ;゚д゚)ξ「えっ!?」

('∀`)「ん、どうした。ほら、飲んでみてよ」

ξ;-?听)ξ「えっと……」

反面、彼女のコップには先ほどの不敵な面が、焦り顔へと変わっていく様が映った。観念した彼女はそれを差し出す。

ξ#゚?听)ξ「もうっ、なんで覚えてるのよ!」

(-∀-)「へへっ、わりぃな」

受け取ったコーヒーを口に含み、正解だと確信したドクオは、照れくさくなって視線を夕日に戻す。


794 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:42:13 oVbntd.UO
シベリアで初めてコンビを組むこととなった時の、なにげないイタズラ。にもかかわらず、こうして彼女はそれを覚えていて、仕返しを企てようとする。

決して自身の特殊な頭脳だけが、記憶に関して全てを上回っているわけではない。

積み重ねた思い出は大小に関わらず、時に完璧を凌駕する。

ξ*゚ー゚)ξ「あー、楽しかった!久しぶりのオフって感じ!」

ある意味で負けたと感じ、それでも悪い気のしない彼は、実際に惨敗したツンとの対戦に頭を切り替えた。

('A`;)「へーへー、そいつは良かったな」

ξ゚?听)ξ「なによ、不満そうね」

(-A-;)「こちとら30戦やって30敗だ……楽しいわけねぇだろ」


795 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:42:55 oVbntd.UO
対戦型格闘ゲームであるビーグルファイター。

それなりの腕前だと自負していた小さなプライドを、粉々にされては楽しさではなく惨めさすら感じる。

とはいっても、本当に楽しくなければ30戦も行わないのだが。

ξ゚ー゚)ξ「ウフフフフ、まだまだね」

('A`)「うっせぇ」

軽口を叩いて紙コップの中身を飲み干す。その一連の動作で見えなかったツンの表情は、気づくと憂いを帯びていた。

ξ-??-)ξ「……悪かったわね、急に呼び出して」

('A`)「いや、昼間は空いてるんだ、構わねぇよ。俺も久しぶりにビーグルファイターやりたかったし」

ξ゚?听)ξ「そう……」

(;'A`)「なんだよ、何か言いたそうだな」

ξ゚ぺ)ξ「んー……ほら、シベリアのこと」


796 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:43:46 oVbntd.UO
言葉にしがたい原因は、彼女が所属する会社も、あの不祥事に関連しているから。

次に出てくる会話が、安易に予測できたドクオは口を閉ざしてしまう。

('A`)「……」

ξ゚?听)ξ「なんかバタバタしちゃったじゃん。お礼言えなかったなって」

('A`)「……礼なんざ言われることあったか?どっちかっつーと俺の方が言わないといけないような──」

準決勝戦において、彼は確かに敗北を喫していた。覆したのはまぎれもなくツンの機転と覚悟。

あの宣言がなければ彼は優勝はおろか、父親とも再会できなかったかもしれない。そして、それだけではなく。

ξ゚?听)ξ「イヨコンもね、シベリア賭博に参加してたんだ」

不祥事さえも暴露されずに済んだだろう。

(;-A-)「……っ」


797 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:44:38 oVbntd.UO
ドクオの活躍、全てが良い方向へ行くというわけではない。

得てして、一つの悪にはまた一つの善が加わっていることもある。
暴き出した悪事から飛び跳ねる火の粉を、まだ年端もいかない少女が受けるという事実に心が痛む。

顔に出ていたのだろう、ツンは否定した。

ξ-??-)ξ「でもね、結果としてお咎めはなかった」

ξ゚?听)ξ「スーパードックン、きっと、あなたのお父さんが便宜を図ってくれたからだよ」

('A`)「……」

ξ゚?听)ξ「社長も書類送検で済んで不起訴になるみたいだし。もちろん、悪いことをしたんだから全部が全部良かったっていうつもりもないけどさ」

ξ- -)ξ「すごく、感謝してる」

(-A- )「……そうか」


798 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:45:25 oVbntd.UO
白髭である宇都宮マナブは警察と共に、賭博に参加等をしていた利害関係者を取り上げ、然るべき処置を与えるべく機能していた。

取り調べ時に反省の色、初犯の有無や再犯の恐れなど、罪に問うべきかどうかを客観的に判断し、遂行する。

その結果として、伊予を起訴する必要はない旨を付け加えた書面を検察へと送っていた。

そこに息子を助けた女性の影があったかどうかは定かではないが、白髭と対話した伊予が、ツンに伝えた言葉は決して事務的なものだけではなかった。

ξ゚?听)ξ「私もね。これを機にもっと頑張って会社を盛り上げていかないとなって思うの」

閑話休題。前向きな気持ちを顔に表したツンは、内心動揺しているドクオの目をチラチラと見る。

ξ;゚?听)ξ「もしよ、もしよかったら、その……タッグ戦とかも考えてるわけでぇ……」

( 'A`)「ん?タッグ戦?」

少なからず社のイメージが悪くなってしまったイヨコン。払拭するには己の力だけでは足りない。


799 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:46:30 oVbntd.UO
ξ;゚?听)ξ「か、勘違いしないでよね!?別に実力が足りないからとかじゃないんだから!そうよ、人が足りないのよ!」

(;'A`)「お、おう」

ξ゚?听)ξ「だから、よかったら一緒に戦ってくれない?イヨコン代表のプロゲーマーとして」

ずっと一人で戦ってきたのは、そこが戦場だったから。それは今までもこれからも変わらない。

しかし、彼女に対戦することの楽しさを思い出させたドクオの存在は、仮に戦火に耐えうることのできない人材だとしても貴重だった。

('A`)「ツン、悪いがそいつは無理だ」

ξ;゚ー゚)ξ「……そうよね、やっぱり私となんて組みたくないよね」

(;'A`)「いや、そうじゃなくて……そもそもあんたに30戦中30敗してるのにパートナーが務まるかよ」


800 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:47:46 oVbntd.UO
ξ゚?听)ξ「それは、あれよ!練習すればなんとかなるわ!」

戦い続ける心は荒み、いつしか勝利するためだけの作業へと移り行く。

そんなことではこれからのシーンを乗り越えていくことは出来ない。

('A`)「さすがに無理だ。それにな」

ξ゚?听)ξ「それに?」

(-∀- )「ライバルで居たいんだよ、ツンとはな。越える壁がないと楽しくねぇから」

ξ;゚?听)ξ「っ!」


801 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 03:48:18 oVbntd.UO
だから、休息を求めるツンは誘い、そして打倒を願うドクオはそれを断った。

二人にとって、反対に位置する思いは絆。紙コップをくず入れに入れて背を向ける彼に、彼女は言う。

(#'A`)「さて、そろそろ行くか。じゃあな、ツン。次に対戦するときは絶対泣かすぞ」

ξ*^?竸)ξ「フン!やれるものならやってみなさい!イーサン代表、巻き毛のツンが相手してあげるわ!」

いつかまた、帰ってこれる場所に、再戦の誓いを立てて。


802 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:16:40 oVbntd.UO
〜〜〜

軽快なまな板を叩く音と、テレビから流れる司会の声が、環境音のようにリビングに響き渡る。

薄暗くなっていく町並みは、家族との団欒を髣髴とさせ、夕食の会話がところどころから漏れ聞こえていた。

J( 'ー`)し「緑の中を走り抜けてく〜♪」

J( 'ー`)し「真っ赤なトマト♪」

宇都宮家の主婦であるデレは、鍋にローリエを入れ、様々な野菜をぐつぐつと煮込んでいた。

菜箸で野菜の柔らかさを確認した彼女は、色とりどりの赤いスープを器に盛りつけながら、テーブルに着き穏やかな表情をしている夫と目を合わせた。


803 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:17:35 oVbntd.UO
( ´W`)「……」

J(*'ー`)し「……てへ」

( ´W`)「フッ…」

白髭が家に帰ってくる。その知らせを本人から聞いたのは、ドクオがゲームセンターに到着した頃だった。

飛び跳ねるほどに嬉しいデレだったが、あいにくとご馳走を用意できるほどの材料は冷蔵庫に入っていない。

有り合わせとなってしまったが、そこは専業主婦。二人の前に現れたイタリアの家庭料理は、存外食欲をそそられる。

J( 'ー`)し「はい、ミネストローネのできあがり!カレーが出来るまで召し上がれ」

( ´W`)「ありがとう、いただくよ」


804 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:18:10 oVbntd.UO
手前に置かれたスプーンを取り、スープを啜る。

野菜のほのかな甘さと、適度に味付けされた塩コショウが簡素ながら口の中に広がっていく。

父親と息子のために入れた、大きめにカットした鶏肉を噛むたびに、空腹だった体が満たされていった。

黙々と食事を取っていく彼を、両肘を机において手の甲をあごに乗せた彼女は微笑んだ。

J( 'ー`)し「久しぶりよね、本当に。こうして私達二人が食卓を囲むのは」

話しかけられた白髭は、租借し、食事の手を止める。紙ナプキンで口元を拭い感慨に浸った。


805 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:18:51 oVbntd.UO
( ´W`)「ああ、そうだな。もう何年ぶりになるか……ドクオに聞いてみるか」

J( 'ー`)し「あらあら、うふふ。あの子、覚えてるかしら」

( ´W`)「大丈夫だよ。なぜなら──」

( ´W`)「私達の息子だから、な」

J( 'ー`)し「──えぇ、そうね」

長い年月が過ぎたにも関わらず、二人の会話がぎこちないということはない。

もちろん、仕事に熱心な夫はともかく、家庭にいる妻は幾度か帰ってこない彼のことを忘れようと思う時もあった。

しかし、たとえ顔を合わせずとも、ひとたび机を挟んで相対すれば、決して冷え切った夫婦間ではないといえよう。

それはひとえに、デレと白髭の息子であるドクオの存在が、時折うつろう危うげな関係を保っているということだと、まだ帰ってこない息子の話をしてデレは思った。


806 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:19:48 oVbntd.UO
(*゚ー゚)『それでは特別ゲストの登場です!』

(-@∀@)『元スナオシスターズの素直キュートさん!どうぞ!』

o川*゚ー゚)o『こんにちは!キュートでーす!』

J( 'ー`)し「あ、この子って確か……」

ふと、壁際から発せられる元気な声にデレは反応した。

画面の中には見慣れた司会二人と、可愛らしい少女が対面して座っている。チャンネルはVIPテレビ。

(-@∀@)『えー、スナオシスターズに関しては、ご存知の通り、人気絶頂の時分に突如、グループでの活動を休止し、現在はそれぞれがソロ活動をしている状態でございます』

(*^ー^)『今回、ソロ活動中のキュートさんにぜひお話を伺いたいと思いましてお呼びしました』

o川*゚ー゚)o『よろしくお願いします!』


807 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:20:23 oVbntd.UO
件のシベリア終了後、突然のスナオシスターズ解散は、老若男女が共通の話題として出す芸能界のシーンを席巻していた。

解散後、三人共にメディアから一時的に姿を消し、その後の情報などが錯綜していたが、今回のインタビューにより、キュートの口から状況が知らされる。

そういった内容のテロップを見て、彼女は少し驚く。

J( 'ー`)し「へぇ、ソロ活動始めたのね。ドクオも知ってるのかしら?」

(-@∀@)『お願いします。早速ですがメンバーであった三名の現況をお聞かせください』

o川*゚ー゚)o『うん!えっとまずはね……』


808 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:21:16 oVbntd.UO
〜〜〜

lw;´‐ _‐ノv「うわっ、マジだ……出るわ、6出るわソーシャルで」

( ФωФ)「理事長、書類は片付いているのであるか──」

(´ФωФ)「片付いているわけがないか……まったく」

lw;´‐ _‐ノv「うわぁ……ショックだわ……シェンムーオンライン並にショックだわ」

( ФωФ)「いつまでスマートフォンで遊んでいるのである。仕事をしてくれ」

lw´; _;ノv「ロマ聞いてよ!BOFが、BOFがぁぁ……こうなったら、据え置きで出るまで仕事しない!」

(; ФωФ)「なっ、なにを言って」

川 ゚ -゚)⊃ スッ「そこまでだ」

lw#´゚ _ ゚ノv「あ、私のスマフォ!」

川 ゚ -゚)「……」

lw#´‐ _‐ノv「なにすんだよ、クーちゃん!」

川 ゚ -゚)「クーちゃんではありません。補佐です、素直理事長」

o川*゚ー゚)o『クー姉は、今、一番上のお姉ちゃんであるシュー姉の仕事を手伝ってます。クイズ協会のほさかん?だったかな』


809 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:22:02 oVbntd.UO
lw;´‐∀‐ノv「か、硬いなぁ……ええんやで?コネを使ってもっと楽にしても、ええんやで?」

o川*-ー-)o『そもそも、グループ活動を休止して、みんなの良い所をもっと磨こうって言ったのはクー姉で──」

川 ゚ -゚)「言語道断です。このスマフォはそこにある書類の山が片付くまで預かっておきます」

o川*^ー^)o『大好きなシュー姉の手伝いをしながら、色んなことを勉強しているみたいです』

( ФωФ)「素直補佐官。助かったのである。我輩だけでは理事長を説得できん」

o川*゚ー゚)o『クー姉がクイズ協会に入ってからは少しずつだけど、雰囲気が良くなってきたって、杉浦さんが言ってました』


810 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:22:48 oVbntd.UO
川 ゚ -゚)「いえ。それより、杉浦副理事。追加でこの書類を片付けていただきたいのですが。なにせ理事長がこうですから」

( ФωФ)「ふむ、これはデッドラインがまだ先である。そこまで急ぐ必要は──」

川 ゚ -゚)「すぐです。理事長と戯れる暇があるなら今すぐに片付けてください。そうしないといつまでたっても組織の体制が整いません」

(; ФωФ)「……わかったのである」

lw´; _;ノv「……ブラックや……ブラック部下や……」

o川;*゚ー゚)o『でも前に様子を見に行ったときは、勉強っていうか、むしろ指導しているみたいでした。でも、楽しそうだったので、良かったです』

川*゚ ー゚)「フフ」


811 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:23:21 oVbntd.UO
〜〜〜

ノハ;-?听)「ハァハァ……」

(,,゚Д゚)「良い感じだ、ヒート。今日の特訓はここまで」

ノパ?听)「ウッス!」

o川*゚ー゚)o『ヒー姉はオリンに行きました。そこで昔のお世話になったギコギコさんのところで修行しています』

(;-@∀@)『しゅ、修行ですか……?』

o川;*゚ぺ)o『まぁ、修行って言っても──』

(,,゚Д゚)「次は薪割りだゴルァ。早くやらねぇと日が暮れちまう」

ノハ;゚?听)「う、ウッス!!」

o川*゚ー゚)o『自給自足を兼ねた生活で自分を鍛えなおすってことみたいです』


812 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:24:01 oVbntd.UO
ノパ?听)(……コーチの元から離れて数年経っているにも関わらず、私の申し出を受け入れてくれた)

ノハ;゚?听)(その恩に報いらないと!)

o川*゚ー゚)o『あと、ヒー姉が言ってたんですけど』

ガンッ!

ノハ;;゚?听)「あ、しまったぁ!薪が!」

(,,゚Д゚)「……」

ノハ;゚?听)(や、ヤバイ!コーチを怒らせたら追い出される!)

ノハ;-??-)「す、すみませ──」

(,,-Д゚)「なかなか薪割りってのは慣れねぇだろ」

ノハ;-?听)「ん、えっ……?」

(,,゚Д゚)「俺もここでの生活を始めてしばらく経つが、薪割りってのは案外難しいもんだ」

(,,-Д-)「特に俺の場合は余計なものが見えちまってな、苦労したぜ」


813 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:24:38 oVbntd.UO
ノハ;゚?听)「は、はぁ……」

(,,゚Д゚)「ほら、もう一度やってみろ」

ノハ;゚?听)「は、はい……!」

ノパ?听)「セイッ!」

パコン!

ノハ*^ー^)「や、やったぁ!」

(,,^Д^)「ギコハハハ!やるじゃねぇか。その調子で頼むぜ!俺は川で魚とってくるからよ」

ノハ*^?竸)「ウッス!ありがとうございます!……あの、コーチ」

(,,゚Д゚)「ん、なんだゴルァ」

ノパ?听)「コーチはどうして……私を迎えてくれたんですか?」

(,,゚Д゚)「……」


814 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:25:29 oVbntd.UO
ノパ?听)「アイドルになるからってコーチの元を離れた私を、どうして──」

(,,-Д゚)「……ちっ」

ノハ;゚д゚)「あ、すすすみません!!なんでもないっす!忘れてください!」

(,,-Д-)「──そりゃ、あれだ」

ノハ;゚?听)「?」

(,,゚Д゚)「孤独が嫌だったからだろうよ」

ノパ?听)「???」

(#,,゚Д゚)「ほら、手ぇ止めんな!グズグズしてると特訓みてやんねぇぞゴルアァ!」

ノハ;゚?听)「ははははい!!」

o川*^ー^)o『コーチは昔と比べてちょっと優しくなったそうです』


815 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:26:13 oVbntd.UO
〜〜〜

(-@∀@)『クイズ協会の補佐官に、オリンで名を馳せ、先のクイズ大会でも活躍したギコギコさんの下で修行……』

(*゚ー゚)『皆さん、やはり多種多様な人生を送っているようですね』

o川*゚ー゚)o『……』

(-@∀@)『さて、それでは』

o川*゚ー゚)o『……』

(*-@∀@)『また来週、さような──』(゚ー゚*)

o川;*゚д゚)o『だから、私の番を飛ばさないでぇ!!』

(*-@∀@)『さすが、キュートさん。ソロでの活動でもキレがありますね!』

(*゚ー゚)『巷では歌って踊れる美少女芸人と言われていますからね!』

o川*;ー;)o『グスッ……キュートは芸人じゃないもん……元アイドルだもん……』


816 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:27:00 oVbntd.UO
(-@∀@)『それでは、素直キュートさん。近況をどうぞ』

o川*゚ー゚)o『はい!私は今、クミアデカのペニサスさんとビロードさんに大学に入るための勉強を見てもらってます!』

(-@∀@)『ほう!確かキュートさんの最終学歴は高校卒業でしたね。いくつになっても学ぶことは素晴らしいことですが、なぜ大学に入ろうと思われたのですか?』

o川*'ー`)o『それは、えへへ、その……私ってバカだから、せっかくいいなぁって思う人がいても、会話にならなかったりすると困っちゃうなぁと思って……』

(*-@∀@)『なるほど、それで教養をつけたいと……つまりは花嫁修業ですか?その様子ですと、すでにお相手が?』

o川*;゚ー゚)o『は、花嫁修業だなんて、そそそんな!!』

(**-@∀@)『いいですねぇ、相手の方はこんな可愛らしいお嫁さんを貰えればさぞ幸せでしょうな』

o川*'ー`)o『お嫁さん……えへへ』


817 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:27:47 oVbntd.UO
(-@∀@)『──さて、そろそろお昼のニュースが始まるお時間になってまいりました』

(*゚ー゚)『はい。最後に、勉強と恋に真っ最中のキュートさんに、番組からクイズを出します』

o川*゚ー゚)o『花嫁……うふふ……えっ、クイズ?聞いてな──』

(*^ー^)『簡単ですよ。中学生レベルですから』

o川*;゚^゚)o『そ、それなら大丈夫かな』

(*-@∀@)『それでは……なくよ、うぐいす?』

o川*>ー<)o『平城京!』

(-@μ@)『……』

(*゚―゚)『……』

o川*゚ー゚)o『……あれ?』

(;-@∀@)『では、お昼のニュースに移ります!本日のゲストは素直キュートさんでしたぁ!』

(-@∀@)『ありがとうございました!』(゚ー゚*)

o川*;゚ー゚)o『え、鎌倉幕府だっけ?あれ……?』


818 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:49:01 oVbntd.UO
〜〜〜

番組はニュースへと切り替わる。

終始和やかな放送だった場面が、堅い格好をした男性に切り替わったので、テレビから夫へと視線を移したデレは感想を述べた。

J(*'ー`)し「いいわねぇ、若いって。ドクオもああいう子と一緒になるのかしら」

( ´W`)「さぁな。あいつが決めることだ。もう私や君がどうこう言う歳は過ぎたよ」

白髭は左手首に巻いてあるカシオのクロノグラフで時間を確認する。

革ベルトのそれが、スーツと相まって、聞こえてくる抑揚のない声と同じように堅苦しく思えた。

J( 'ー`)し「そうかしら……カーチャンはまだ心配だわ」

( ´W`)「あいつは一人でやっていけるさ。間近で見てきた私が保証する」

そして立ち上がり、着ていたジャケットを正す。まるでどこかへ出かけるように。

J( 'ー`)し「マナブさん?」


819 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:49:48 oVbntd.UO
( ´W`)「ミネストローネ、おいしかったよ」

少しだけ口元を緩ませて、リビングから玄関へと歩を進める彼を、慌ててデレは追いかける。

残された器がキレイな状態なのは、単に空腹を解消するためだけではない。

J(;'ー`)し「ちょ、ちょっと。ドクオに会っていかないの?カレーも、もうすぐ出来──」

テレビから聞こえてくる音よりも、目の前の背中に注視していた彼女は、取り出した携帯電話のバイブ音にすら気づくほど過敏になっていた。首だけでこちらを向きながら短く発する。

( ´W)「仕事だ」


820 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:50:32 oVbntd.UO
並べられた黒のプレーントゥを、腰を下ろし紐を解きながら丁寧に履いていく。デレは、くつかけを渡す代わりに催促した。

J( - -)し「また……いつ帰ってくるか、わからないの?」

(  W )「……すまない」

横に置いてあった黒のブリーフケースを手に取り、履き終えた靴で立ち上がった白髭はこちらを見ない。

手を伸ばせば届く距離なのに、またどこか遠くへ行ってしまうことを確信するデレは動けない。

J( 'ー`)し(私はいつも、彼を引き止められない)

( ´W)「行ってくる」

ずっと昔に聞いた挨拶に反応すらできなかった彼女は、ドアノブに手をかける彼を見つめることしか出来なかった。

今までと何も変わらない。

この人はそういう人間と諦観する。


821 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:51:11 oVbntd.UO
J( 'ー`)し(いつも、その背中をただ、見続けるだ──)

(; ´W`)≡3「グッ!?」

諦めていた固定観念は、見事な着こなしをしていたスーツのスラックスに汚れがつくことでヒビが入った。

半身を外に出していた白髭だったが、押し戻され、しりもちをつく。

衝撃を受けたのは尻だけではなく、腹にもだったようで、腹部に手を当てながら見上げ驚く。殴られた。

J( ゚ー゚)し「ま、マナブさん!?」

両手を口に当て、玄関に座り込む彼に寄り添うデレは、開いたドアの向こうで怒りの形相をしたそれを見る。

( A )「おいおい、どこいこってんだ、クソ親父」


822 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:51:54 oVbntd.UO
( ´W`)「……ど、ドクオ……!」

つかつかと父親を見下ろしながら近づくジャージ姿の若者は、胸倉の青いソリッドタイを引っ張り、顔を近づける。

似ている目元のぶつかり合い。言葉を詰まらせながら思いを吐く。

('A`#)「いい加減にしろよ、これ以上……これ以上、カーチャンを悲しませんじゃねぇ……!」

( ´W`)「……ドクオ」

(-A-#)「あんたが言うべき言葉はな、『行ってきます』じゃねぇだろ」

(゚A゚#)「『ただいま』だろうが!」

(  W )「……!!」


823 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:52:28 oVbntd.UO
しばらくそのままの状態で、先に折れたのはドクオだった。

乱暴に手を離し、そっぽを向くのはその空気に耐えられなかったわけではなく、顔を見られたくなかったから。

ボサボサの頭をかき、玄関を汚す。

(#。-A-)「……ちっ、ようやく家族揃って飯が食えると思ったのによ……くそっ、グスッ、ざけんなよグスッ」

あまりに一瞬だった出来事に、母親はおろか、父親ですら言葉が出てこなかった。

ようやく口を開いた白髭は、隣にいる妻の名を呼ぶ。

(´W` )「デレ……」

J( 'ー`)し「マナブさん」


824 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:53:15 oVbntd.UO
どこか弱弱しい口調に対し、強く、名を呼ぶことで返した彼女の顔をじっと見つめた男は、着崩れたネクタイを直すこともせず、ゆったりとした動作でジャケットの胸ポケットからもう一度携帯電話を取り出し、電源を落とした。

( ´W`)「……なんだ、その拳の握り方は」

見下ろされていた状態から、今度は見下ろす状態に。

立ち上がり、目元を腫らす息子に声をかける。

('A`;)「……ふぇ?」

振り向いたドクオは彼の鋭い眼光に一瞬たじろいだが、それでも目線をそらさない。

もう負けるわけにはいかないとでもいうように、次の言葉を待った。


825 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:53:59 oVbntd.UO
( ´W`)「大人になったと思ったが、そんな拳骨ではギコギコはおろか、その辺りの若者にすら敵わないな」

('A`#)「う、うっせぇな!これは色々と勉強とかしてたから、その、体を鍛えてなかっただけで……」

クイズで勝ち、その存在を世界に認めさせるほど立派な青年は、見た目どおりひ弱。

存外、全力で殴りにかかったはずなのに、全く堪えていないように見える父親の様子に、早速外れてしまう目線。

(-A-;)「そもそもだな!あんたが、トーチャンが居なかったから──」

言い訳をするも、遮られた。

( ‐W‐)「文武両道だ。私が鍛えなおす」

言葉ではなく、抱きしめられたことで。


826 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:55:00 oVbntd.UO
J(*゚ー゚)し「まぁ!」

(゚A゚;)「なっ!」

( ゚W゚)「すまなかった!これからは、一緒だ!徳雄!!」

(゚∀`;)「と、トーチャン!痛いって!離せよ!」

放心から戻ったドクオは叫ぶ。顔は見えないが、ウソをついているとは思えないし、思わない。

仮に言葉の魔術師だろうと、特殊な組織で活動していようと、この痛みを与えてくれる人は世界にただ一人だけなのだから。

心地よい痛みから解放されたのは、少し離れたところで仁王立ちする母親のわざとらしい咳払いだった。


827 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:55:43 oVbntd.UO
J( 'ー`)し「……ゴホン!」

J( '-`)し「まったく……玄関先でバタバタされると掃除が大変だわ」

両手を腰にあてて怒った表情で小言を言う彼女にはさすがの二人も反論できなかった。

離れた親子は少しの間、無言で俯く。反省のポーズ。

(-A-;)「……」

(´W`;)「……」

そんな二人の態度が妙におかしく、笑いそうになるのを堪え、デレは言って──

J( 'ー`)し「おかえりなさい。トーチャン、徳雄」

('ー`)「ただいま、カーチャン」(´w` )

これからはそんな彼女を守るために、二人は応えた。


828 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:57:56 oVbntd.UO
〜〜〜

(;‘_L’)「はぁ……いくら時期とはいえ、なんで急にばっくれるかなぁ、最近の若いのは」

ノリ, ^ー^)「そうですよね、店長。なんていうか、ハングリーさがないんですよ、ハングリーさが」

( ‐_L‐)「うんうん。君みたいに仕事覚えるから時給上げてくれっていうくらいの人材が欲しいよね」

ノリ, ^ー^)「えへへ」


829 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:58:41 oVbntd.UO
(‘_L’)「はぁ……こうさ、テレビに出るような弱冠十何歳で賞をとったとかさ、何かに特化した若者って身近にいないのかね」

ノリ,;^へ^)「いませんよ、そんな都合の良い人。ていうか、居たらもっと凄い他の仕事してますって。バイトでも」

(;‘_L’)「だよねぇ……はぁ……また俺がシフト埋めるのか、しんどいなぁ……」

<プルルルル!

ノリ, ^ー^)「あ、電話です。もしかして求人かも!?」

(*‘_L’)「お、出て出て!」

ノリ, ^ー^)「私休憩中なんですけど……ま、いっか」


830 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 04:59:27 oVbntd.UO
ノリ, ^ー^)¶「はい、お電話ありがとうございます!ニューソクストア雨蔵店、○○でございます!」

ノリ, ^ー^)¶「……はい、ええ、こちらコンビニのニューソクストア雨蔵店です」

(‘_L’)「男?」

ノリ, ^ー^)"コクリ ¶

ノリ, ^ー^)¶「はい?ええ!アルバイトは随時募集しております!」

ノリ, ^ー^)¶「ええっと、26歳……いままで接客等の経験は……なしと」

(;‘_L’)(うわっ、ちょっときついかなぁ……でも夜勤ならまぁ……)


831 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 05:00:09 oVbntd.UO
ノリ, ^ー^)¶「ここ一年は……はぁ、勉強をしていた……ええ」

(‘_L’)(勉強ねぇ……)

ノリ, ^ー^)¶「失礼ですが、何の勉強を……えっ、クイズ?」

(;‘_L’)(なんだよクイズて……冷やかしかよ……もういいや、売り場行ってこよ)

ノリ,; ゚д゚)¶「……は……?テレビに……?えっ、シベリアって、あの……!?」

ノリ,; ゚д゚)¶「は、は、はい。はいはい!しょ、少々お待ちください!」

ノリ,; ゚д゚)「て、店長!」

(‘_L’)「ん、ちょっとパスかなぁ。あ、でも随時募集って言った手前、面接はしなくちゃ──」

ノリ,; ゚θ゚)「す、す、す」

(‘_L’)「?」

スーパードックンのようです

おわり!


832 : 名も無きAAのようです :2014/04/01(火) 05:02:23 DWb0m2Ik0
おつ!
タイトルコールに感動した


833 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 05:06:43 oVbntd.UO
初めから読んで下さった方、途中から読んで下さった方、本当にありがとうございます。本編は完結でございます。

なんだかんだで一年…長かったような短かったような。色々と思うところはありますが、とりあえずNGを今日中に!

うまいこと、このスレを使いきるよう頑張ります!

では一旦お休みなさい。


834 : 名も無きAAのようです :2014/04/01(火) 06:54:08 QxoWz88EO
NGシーンも期待!


835 : 名も無きAAのようです :2014/04/01(火) 07:13:13 l6b6zzE60
こんな遅くまでホント乙、そして一年間ありがとう


836 : 名も無きAAのようです :2014/04/01(火) 07:53:17 4SaG.tqg0

面白かったです


837 : 名も無きAAのようです :2014/04/01(火) 11:30:50 t/E2hV1I0
おつ!
楽しかったよ!


838 : 名も無きAAのようです :2014/04/01(火) 12:14:03 lsKCHDgk0



839 : 名も無きAAのようです :2014/04/01(火) 12:19:42 u7ixVP0Y0
てかこのスレ使いきる程のNGとな


840 : 名も無きAAのようです :2014/04/01(火) 18:22:34 hURRs4mk0
乙!楽しかった!NGも期待してまってるぜ!


841 : 名も無きAAのようです :2014/04/01(火) 19:05:20 SY/SN3ls0
おつ


842 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 22:12:54 oVbntd.UO
スーパードックンのようです
NGシーン

今回のNGシーンは全話から取ります!しょっぱなから一味違うぜ!ああ!申し訳ない!!

('A`)「はぁ、やっと本編も終わりか」

(*'A`)「よし、あとはNGシーンだな!えっと、期限は」

〈NGシーンを今日中に!

(゚A゚)「は……?」

(;'A`)「いやいや、今日中ってあと二時間もないじゃねぇか!?」

(;'∀`)「あ、あれか!内容は少なめのNGか!だよな、最後くらいきっちりしめて――」

〈うまいこと、このスレを使いきるよう頑張ります!

(;゚A゚)「おいおい!?あと150レス近く残ってるじゃねぇか!?エピローグ並の文量だぞ!」

〈では一旦お休みなさい。

(#゚A゚)「寝てんじゃねぇよ!!」


843 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 22:13:54 oVbntd.UO
(;'A`)「ったく、まとめると……あと約二時間以内に150レス近くのNGシーンを投下する……と」

(-A-)「……」

(;-A-)「無理だろ……かといって今さら訂正するのも主人公の沽券に関わる」

('A`)「どうすりゃいい……考えろ、考えるんだ俺」

(;-A-;)「年表?異世界?ムネオハウス?ダメだ、とてもじゃねぇが、おっつかねぇ」

J(   )し「お困りのようね」

(゚A゚)「だ、誰だ!?」


844 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 22:15:22 oVbntd.UO
J( 'ー`)し「どうも、カーチャンでーす」

('A`)「なんだ、カーチャンか」

J( 'ー`)し「ドクオ、もう悩むことはないわ。カーチャンに任せて」

('A`)「とかいってどうせ俺の本燃やす気なんだろ?」

J(*'ー`)し「ダメ?」

(#'A`)「ダメ!」


845 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 22:16:18 oVbntd.UO
J( 'ー`)し「ふふ、冗談よ。ところで、今日って何の日だっけ?」

(;'A`)「はぁ?そんな、クイズしてる場合じゃねぇんだよ」

J( 'ー`)し「このお話の根本を否定しちゃダメよ、ほら」

(-A-)「……今日ねぇ……トレーニングの日に不動産表示登記の日、あとオンライントレードの日とかストラップの日とか……それがどうしたんだ」

J(#'ー`)し「ヘイヘイ、ドクオ。もっと人類に直接影響のある日があるでしょ?」

(;゚A゚)「人類に直接影響……はっ!」

(*-∀-)「……いいぜ、今日が何の日か、教えてやる」

('A`)「エイプリルフールに、このスーパードックンがな!」


846 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/01(火) 22:19:12 oVbntd.UO
〈NGシーンを今日中に!

('A`) 嘘です。一週間下さい。

〈うまいこと、このスレを使いきるよう頑張ります!

('A`) 嘘です。頑張りますじゃなくて、すごく頑張ります。

〈では一旦お休みなさい。

('A`) これはホント。眠かったんだ。

(゚A゚)「よっしゃ、あと155レス!」

J( - -)し「ドクオの機転が『スーパードックンのようです その2』を救うことを信じて――!」

おわり


847 : 名も無きAAのようです :2014/04/01(火) 23:00:19 z/e9nh560
いや、まあ無理ですよねー
ゆっくりおやすみくださいな


848 : 名も無きAAのようです :2014/04/02(水) 00:09:51 5gL6Q6Vo0
魂の支援


849 : 名も無きAAのようです :2014/04/02(水) 06:14:47 ZjeVRAmA0
乙乙
とても楽しんで読めたよ
NGシーンも待ってるからな


850 : 名も無きAAのようです :2014/04/18(金) 19:24:43 bG8p4UN.0
4月18日現在、あと151レス。
それでもスーパードックンなら……
スーパードックンならきっと本当の『凄い頑張り』を見せてくれる……


851 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:31:59 fFJWEq8MO
スーパードックンのようです
NGシーン

最近の些細な悩み事は、『ムネオハウスのようです』で一本かけるかどうかです。わりとどうでもいい

〜〜〜

私の名は宗男。『元』サラリーマンだ。

【──慎重に審査した結果、残念ながら高岡宗男様のご要望に添えない結果となりました。

弊社をご志望いただき、誠にありがとうございました。

採用担当一同、高岡宗男様の今後一層のご活躍を心よりお祈り申し上げます】

これで何通目だろうか。

露にも思っていないであろうその文面を丹念に破り捨て、ゴミ箱に捨てた私は、誰も居ない広いリビングで孤独を謳歌していた。

( l v l)「ミセリ……ハイン……」

とある事情で職場を数週間ほど離れた結果、私には為すべき仕事も、守るべき妻と子も失ってしまった。残るのは押し寄せる寂しさと、途方もないローン。

ミセ*゚―゚)リ『実家に帰らせていただきます』

从 ゚―从『早く死ね。保険金よこせ』


852 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:33:10 fFJWEq8MO
無理もない。収入を失ってしまっては、彼女達を養うことはおろか、自身の生活すら危うくなってしまうのだ。

仕事と私とどっちが大事なのなど愚問。仕事をしていない旦那のことを好きになる妻がどれだけいることか。

( l v l)「ハァ……」

一人、インスタントのコーヒーを飲みながら、財布を広げる。

あと一ヶ月ほどで蓄えが尽きてしまうのは、私がコツコツと溜めたへそくりしか、自由に使うお金がなかったから。

全財産を持って生活することは、どうにも心もとない。


853 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:34:46 fFJWEq8MO
紙幣よりもレシートの類が二つ折りの財布を圧迫している。整理しなければ。

( l v l)「ん……?」

接待で受け取った折れているラウンジの名刺、CMに感化されてなんとなく買ってみたロト7、いつ利用したのかも忘れたポイントカード……

千切れた紙幣でもあれば、銀行に持っていくのに。

だが、私と彼女達との関係は、そう簡単には戻らない。

どうしようもないほどに不毛な考えを抱いていると、くだらない紙くずの中に入っていた一枚のレシートに、私は目を奪われる。

( l v l)「……これは」

じっと見つめるその先に、かすかな希望を感じて、私は携帯電話の番号をプッシュした。


854 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:35:31 fFJWEq8MO
〜〜〜

緑のスーツに、緑のネクタイ。もちろんシャツは白色で。久しぶりに自分でアイロンをかけて手入れをしたのは、これ以上失態を増やすわけにはいかないからだ。

(; l v l)(緊張するなぁ……)

目の前には、関門。一部上場企業の店舗に入るのも、慣れてしまったがまだ怖い。

行きかう客達に紛れ、アポを取っておいた時間の15分前に入店する。

混雑する店内で目指す先はカウンター。そこで難しい顔をしている青年に、私は声をかけた。

( l v l)「あ、あのぅ……15時から面接の、高岡と申しますが……」


855 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:36:33 fFJWEq8MO
('A` )「あ、はい。店長」

( ‘_L’)「ちょっと待っててもらって」

('A`)「はーい。じゃ、少々お待ちください」

(; l v l)「あ、はい」

( l v l)「……」

('A`)「……」

(; l v l)「…………あの、どこかでお会いしませんでした?」

(;'A`)「え、ああ。電車で」

( l v l)「あっ!あの時の!」

世間は狭い。コンビニアルバイトの面接に向かった先で出会ったのは、ひょんなことからクロスワードを解いてくれたあの青年だった。


856 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:37:23 fFJWEq8MO
〜〜〜

あれから一週間が経った。

('A`)「いらっしゃいませ〜」

( l v l)「いらっしゃいませ〜」

私は無事、採用され、日中での勤めとしてレジをさばき、品を出している。

オペレーションについては、先輩に当たる宇都宮君が丁寧に教えてくれた。

( l v l)「宇都宮君、これは……」

('A`)「ああ、そのまま客層キーを押して……」

慣れない業務に右往左往していた私だったが、彼のおかげでなんとか続けていくことができそうだ。


857 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:38:15 fFJWEq8MO
混み合っていた店内から客が居なくなり、店長が私と宇都宮君を休憩に回す。

狭い事務所に入った私達は、パイプ椅子に座り、人心地つけた。

( 'A`)y━~~「ふぅ……」

宇都宮君はタバコを吸う。本当は煙たいから止めて欲しいのだが、ここまで世話になっているのだ。

ここは大人の懐の広さで我慢する。

( l v l)「お、お疲れだね!」

('A`)「え、ああ。はい」

(* l v l)「いやぁ、でもすごいね、宇都宮君!なんでもできるんだもんね!」

ここは彼を持ち上げ、さらに私が働きやすい環境を作らなければ。
とはいえ、実際、彼は凄かった。あらゆる業務をほぼ完璧に成し遂げるその能力は、とても頼もしい。


858 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:39:17 fFJWEq8MO
(;'A`)「いや、たいしたことないっすよ。でもまさか、あの時に横に座った人と一緒に働くとはなぁ」

( l v l)「ほんとだね。びっくりしたよ!」

⊂('A` )「あっ、そうだ」

( l v l)「?」

( 'A`)⊃「高岡さん、廃棄食べます?」

( l v l)「廃棄?」

彼はおもむろに、カゴにめいいっぱい入っている惣菜のうち、ハンバーガーを取り出すと私に差し出した。なんだ、買えというのか?

やはり、ここは店のためにも、またチームで働く潤滑油としてのコミュニケーションの一環として、身銭を切らなければいけないのだろうか。


859 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:40:13 fFJWEq8MO
そう思いながら、私は財布を取り出したが、彼はその先を止めた。

(;'A`)「いやいや、お金はいらないって。これ捨てるやつだから」

( l v l)「えっ?」

('∀`)「期限が切れた弁当やパンとかは食っていいんすよ。どうせ捨てちゃうし」

(; l v l)「な、なんと!?」

('A`)「あ、でも内緒ですよ。直営店とかにバレると面倒だし」

(;  v )

驚いた。まさか、お金を払う払わないどころではなく、無料で食料を得ることができるとは。

感極まり、涙が出そうだ。

(;-A-)(あ、やべ。怒らせたかな……そりゃいい年して廃棄なんて食べたくないよな……)

(;'A`)「す、すみません、いらないっすよね」

(; l v l)「えっ!!?」


860 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:40:54 fFJWEq8MO
('∀`)「あれっすね。嫁さんがうまい料理食わせてくれますもんね」

(# l v l)「いやいや、もらうよ!」

私は引っ込められそうなその手から、ハンバーガーを奪い取った。包装を解き、口に入れる。

(;'A`)「あ、暖めるなら店のレンジを……ってもう食ってるし」

うまい。その一言に尽きる。なんなんだ、このうまさは。

私が今まで食べてきたしょうゆや豆腐とは比べ物にならない固形物の感触。

まるで、この世の奇跡とも言えるような味が、口内に広がっていく。

( -A-)「あーあー、財布落ちてますよ……ん?」

勢いよく奪い取ったからだろうか、ふとももの上に乗せていた財布を落としてしまったようだが、関係はない。今は、この食事を楽しみたい。幸せが押し寄せてくる。


861 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:42:20 fFJWEq8MO
('A`)(ロト7か……あれ、これ当たってんじゃん。一等)

('A`)(……)

( ゚A゚)(ん!?確か、今はキャリーオーバー中で17億の当選金だったよな!?)

(;゚A゚)(やっべ!!こういうのって汚しちまったり破れちまうと換金できなくなるから早く返さねぇと!!)

(゚A゚)「あの高岡さ──」

( l v l)「う、宇都宮くん!」

(;゚A゚)「は、はい!?」

(* l v l)「もっと食べていいかな!?」

(;゚A`)「えっ、は、はぁ……どうぞ……ってそれより──」

(##l v l)≡⊃「よこせ!!」

私は、彼が椅子から焼きそばパンを取り出そうとするそのカゴごと自分に引き寄せた。バランスを崩した彼は、地面に転げてしまったが、どうでもいい。

(* l v l)「ハムハフハフ!!」

(;;-A-)「いってぇ……あの、高岡さ──」

(;‘_L’)「ごめん!二人とも、レジ混んできたからちょっと手伝って!」


862 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:43:07 fFJWEq8MO
('A`;)「あ、はい」

(* l 〜 l)「ハフアフ!!」(はぁい!)

口に食べ物を残しながら、私は事務所の扉を開けた。

なるほど、二つあるレジにはそれぞれ5人以上の客が並んでる。店長ともう一人のスタッフは、別々のレジで様々な注文を受けていたが、どうやら片方のレジに並ぶ客の注文が複雑のようだ。

('A`)「高岡さん、俺達はこっちのレジに入りましょう」

( l 〜 l)「モグモグ」(はいはい)

宇都宮君はそういって、スタッフに声をかけ、私と二人でレジに立った。

('A`)「はい、お待たせいたしました〜」

一人、二人と、客が減っていく。声を出すことのできない私は黙々と袋詰めをしていた。


863 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:43:48 fFJWEq8MO
ミセ*゚ο゚)リ「……あ」

从;゚∀从「うわ」

( l 3 l) ∵ ∴.「ぶっ」

最後の客を迎えた時だった。私の口からやきそばが出て、カウンターに乗っかる。

当然だ、実家に帰っているはずの妻と娘が目の前にいるのだから。

( l v l)(ミセリ、ハイン……戻ってきてくれた──)

ミセ*゚―゚)リ「店員さん、アイシーン一つ」

('A`)「はい」

彼女達は私に目もくれず、タバコを注文してそそくさと帰っていく。居ても立っても居られずに、カウンターから飛び出した。

(;゚A゚)「ちょ、ちょっ!?高岡さん!?」

( l v l)「もぐ、もぐもぐ!」(なぁに、すぐ戻るさ)

口の中に僅かながら残る恋しさも、自動ドアが開く時間すらも惜しい。私は走り出す。本当の幸せのために。


864 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:44:49 fFJWEq8MO
〜〜〜

(; l v l)「はぁ……はぁ……」

五分ほど探し回った。ついに見つけたミセリとハインは、並木道路を歩いていた。

ミセ*゚‐゚)リ「……なに」

振り向いて髪をなでる彼女は、ひどく面倒くさそうな顔をしていた。

無理もない。愛想を尽かした男から追いかけられて、いい顔をする女などいない。

( l v l)「はぁ……はぁ……」

从*゚∀从「んだよ、なんだよクズ」

心なしか、ハインが楽しそうだった。私が息も絶え絶えな様子が、それほどにおかしいのか。

ここは叱ってやらなければ。整えて言う。

( l v l)「ご、ごめん……疲れちゃって……」


865 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:45:37 fFJWEq8MO
ミセ*゚‐゚)リ「……」

( l v l)「えと……その……今は、今はほら、コンビニで働いてるんだけどさ──」

ミセ*゚ー゚)リ「うっとおしいから消えてくれない?大丈夫よ、慰謝料は後日請求するから」

(; l v l)「え、慰謝料って……」

ミセ*-ー゚)リ「面と面を向かって言う必要があるのかしら……別れましょ。ハインは私が引き取るから」

分かってはいたことだ。この状況において、その言葉は──

分かってはいたことなのに心に突き刺さる。

もはや、頭で考えずに口から声が出た。

( l v l)「そ、そんな!待ってくれ!!」

ミセ*゚―゚)リ「……」

( l v l)「確かに今の僕は……低収入だ。君達を養えるほど稼いでいない……」

( l v l)「でも……!でも必ず!必ず以前の倍の収入を稼ぐから!だから……」

从 ゚∀从「母さん」

ミセ*゚ー゚)リ「ん……」

(  v )「お願い、します……そばに居て……」


866 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:46:21 fFJWEq8MO
ミセ* ‐ )リ

ミセ*- -)リ

ミセ*゚―゚)リ「……三ヶ月待つわ」

( l v l)「……えっ?」

ミセ*゚ー゚)リ「三ヵ月後、弁護士を連れてあの家に行くから、その時までに前の収入の三倍稼ぎなさい。そしたら戻ってあげる」

(* l v l)「ほ、本当かい──」

ミセ* ー )リ「ただし、一日でも遅れたら二度とその顔を見せないよう、法的手段に出るから。じゃ」

从 ゚∀从「とっとと死んで保険金よこせー」

そう言って、妻達は私の前を去っていった。


867 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:47:01 fFJWEq8MO
三ヶ月後に三倍の年収。その猶予と目標が、神が与えた私への試練。確かに過酷だ、しかし、それで妻と娘が戻ってくるのなら。

もう一度、あの日々をやり直せるのなら。

( l v l)「……僕はやるよ、絶対に……!」

家族のために、夫は働く。

〜〜〜

从*゚∀从「ホントに追って来たね!」

ミセ*゚ー゚)リ「言ったでしょ、ハイン。あいつは来るって」

从 ゚∀从「でもびっくりしたぁ、まさかコンビニで働いてるなんてな!」

ミセ;゚ー゚)リ「さすがに私も驚いたわ。まぁ、慰謝料の話をする手間が省けてよかったけど」

从;゚∀从「しっかしバカだよなぁ……三ヶ月で三倍の年収なんてできるわけないのに。宝くじでもあたらねぇと無理じゃね?」

ミセ*-ー-)リ「どうでもいいわ。弁護士たてて口八丁に、借金してでも慰謝料さえもらえればね。その後は養育費の計算……はぁ、忙しいわ」

从 ^∀从「アハハ、そだね!じゃあ今日は行きつけで寿司でも食べようぜ!前祝いだ!」

ミセ*^ー^)リ「もう、ハインったらしょうがないわねぇ、あそこ時価なのよぉ?」


868 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:47:50 fFJWEq8MO
〜〜〜

(#‘_L’)「高岡さん、今度あんなことやったら辞めてもらうよ!まったくもう」

店長の小言が終わった私は、休憩の続きを宇都宮君と取らせてもらうことになった。

三ヵ月後のことを思えば、不思議と力が湧いてくる。私は再度かごをあさった。腹が減っては戦はできない。

('A`)「高岡さん、さっきの奥さんと娘さんだったんっすか」

お目当ての食材を二、三個ほど取り出して確保していると、先に入っていた宇都宮君が声をかけてきた。

( l v l)「えっ、ああ。そうだよ」

('A`)「大変なんすね」


869 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:48:40 fFJWEq8MO
なんと、彼は私のことを心配してくれているようだ。初めて言われた。大変。

そう、大変。だが、今の私はそれほど落胆しているわけではない。飯が美味い。

( l v l)「ん?いやいや、まぁ大変だけど、世の中のお父さんはみんなこうして苦労してるのさ」

(-A-)(なるほど……俺の親父も苦労してるんだよな。父親ってやっぱすげぇな)

(*'A`)「がんばってくださいね、応援してるんで」

美味い飯、気遣ってくれる青年、そして希望──

神は私を見捨てなかった。涙が出てくる。

( ; v ;)「うっ……あ、ありが……とう」

(;'∀`)「ちょ、なに泣いてんすか!あっ!そうだ大事なモノを……」

そう言うと宇都宮君は、ポケットから財布の中に入っていたロト7を一枚差し出した。どうやら先ほど落としてしまったようだ。これはいけない。

( ; v l)「ん、これは……」
 ⊃□⊂


870 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:49:21 fFJWEq8MO
(*-∀-)「高岡さん、すごいっすね!当たって──」

( l v l)「ああ、ゴミか。捨ててなかったんだったね」

( l v l)
⊃[√]⊂ ビリッ

( l v l)⊃⌒[]ポイッ

もはや過去の私にすがることはしない。

身の回りをきれいにすることが、目標への第一歩。

そう思い、何の役にもたたない紙くずをちぎってゴミ箱に捨てる。

( ゚ A ゚ )「」

( l v l)「ん?どうしたの?」


871 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 12:50:11 fFJWEq8MO
なるほど、どうやら私の即断即決に彼も驚いているらしい。

確かに、普通ならその内容を精査し、確認した上で処分しなければ大事に至る場合がある。

だが、私は既に財布の中身を知っていて、それがゴミだということも認識しているのだ。

できる大人──つまり、年収三倍に成り得る──には、時に素早い行動を求められる。

少しは年の功が発揮できただろうか、狼狽する彼に笑顔で応えよう。

( ' A ` )「あ、ああ、あ、いや、その……」

(;'∀`)「ゴ、ゴゴゴゴミは捨てないとっすね!!」

( ^ v ^)「ああ!」

そうだ。私にはやらなければならないことがある。

出来るだけ身を軽くして、出来るだけ大きな壁を乗り越えて──私は、もう一度──幸せを掴みにいくのだ。

おわり


872 : 名も無きAAのようです :2014/04/30(水) 14:28:01 4C22J/bo0
乙乙


873 : 名も無きAAのようです :2014/04/30(水) 14:46:10 XXnD1ez60
乙乙乙


874 : 名も無きAAのようです :2014/04/30(水) 15:40:23 /5pbD0Wo0
ムネオ……


875 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 20:49:55 fFJWEq8MO
スーパードックンのようです
NGシーン 総集編

申し遅れましたが、残りをゆっくり消化していきます。多分、明日の朝に終わるかな。

……なんで全話から取るって言っちゃったんだろう……

〜〜〜

(;'A`)「あれ……俺、なんで家に居るんだ?」

J(#'ー`)し「読み終わったら片付けなさい!何度いえば…」

(;゚A゚)「か、カーチャン?」

J( 'ー`)し「なに、どうしたの」

(;'A`)「あれ、俺……確かシベリアで優勝してそのまま医務室に運ばれて……」

J(#'ー`)し「なに寝ぼけてるのよ!ほら、片付けなさい」

(;-A-)「……ちょっとコンビニ行ってタバコ買ってくるよ」


876 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 20:50:46 fFJWEq8MO
〜〜〜

('A`)(やっぱりだ。時間が巻き戻ってる。こりゃエライことだな)

(;'A`)(パラレルワールドか、タイムマシンか……なんにせよ、けっこうまずいぞ)

('A`)(しかも、つーことはだ、俺はまだトーチャンにも会ってないってことか)

(-A-)(それは……嫌だな。せっかく家族で飯が食えると思ったのに)

('∀`)(よし、こうなったらとっととトーチャンに会って、みんなで飯が食えるようにがんばるか)

('A`)(とりあえず買い物は済ませたから、確かこの後にあいつが……)

「あの人でいいお!急ぐお!」

('A`)(ほら、来た)


877 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 20:51:20 fFJWEq8MO
(* ^ω^)「いやぁお兄さん、ラッキーだお!私、こういうもの──」

('A`)「VIPテレビのプロデューサーで内藤さんだろ」

(; ^ω^)「おっ!?ど、どうして」

('A`)「あー、なんだ、見たことあるから」

( ‐ω‐)「……まぁ知ってるなら話は早いお。実は……」

('A`)「ああ、はいはい。クイズだろ。出りゃいいんだろ、出りゃ」

( ^ω^)「えっ、あ、はい」

('A`)「じゃあさっさとのっけってってくれ。殴られるのは勘弁して欲しいんだ」


878 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 20:52:04 fFJWEq8MO
〜〜〜

車内

(; ^ω^)(こいつ……なんで知ってるんだお?ていうか、殴られるってなんだお)

(; ^Д^)「な、内藤さん、大丈夫すか?」

( ^ω^)「おん……」

('A`)「よう、プギャー」

(; ^Д^)「な、なんで俺のあだ名知ってるんすか!?」

(;'A`)(しまった。あんまり口走ると面倒だな)

(;'A`)「いや、その……プギャーっぽい顔してるから」

( ^Д^)「なんすかプギャーっぽいって……ちょっと、内藤さんホント大丈夫なんすかぁ?この人で」

(; ‐ω‐)「前見ろ、前」

( ^ω^)「……かまわんお。どうせ、すぐ消えるから余計なことにならなくて好都合だお。まぁなんか怪しいけど」ボソッ

('A`)y━~~ プカー「あ、そうそう俺の名前は宇都宮ドクオな。出演の時はスーパードックンでよろしく」

(; ^ω^)(……)

(; ^Д^)(……)


879 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 20:52:57 fFJWEq8MO
〜〜〜

(-@∀@)「さぁ、始まりました!全国VIPクイズ選手権!司会は私、浅井ことアサピーと」

(*゚ー゚)「椎名こと、しぃが」

(*-@∀@)「お送りします!」(゚ー゚*)

\ワーワー!ヤンヤヤンヤ!ヤンヤヤンヤ!!/

(-@∀@)「えー、この番組は全国から集まったクイズが得意な芸能人、著名人達に、一般の方が挑戦!あらゆるジャンルの問題でバトルを繰り広げるというものです!」

(*゚ー゚)「はい!さらに今回、全国初のクイズ番組生放送でお送りしています!」

(-@∀@)「しぃさん、これは盛り上がること間違いなしですね!」

(゚ー゚*)「アサピーさん、私たちも頑張っていきましょう!」

(-@∀@)/ 「ええ!それでは早速、各界から集められた英雄たちの入場にまいりましょう!どうぞ!」


880 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 20:53:55 fFJWEq8MO
〜〜〜

( ^ω^)「お疲れー……」

(*゚∀゚)「内藤さん、遅いよ〜……ってどうしたの?顔色悪いよ?」

( ^ω^)「おー……ちょっとな」

(*゚∀゚)「?」

(´・_ゝ・`)「プロデューサー、お疲れ様です」

( ^ω^)「デミタス、お疲れお。滞りなく進んでるかお?」

(´^_ゝ^`)「支障ありません。現在、キャスト紹介に入ったところです」

( ^ω^)「けっこう。さすがだお」

(´・_ゝ・`)「恐れ入ります。例の素人については……」

(; ^ω^)「……も、問題ないと思うお」

(;´・_ゝ・`)「大丈夫ですか?まさかまた勝手に帰ってしまったりは」

( ´ω`)「その逆だお。妙にやる気満々なんだお」

(´・_ゝ・`)(……?)


881 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 20:54:38 fFJWEq8MO
〜〜〜

(-@∀@)「……はい、以上ですね。それでは次に、挑戦者のご紹介に入ります。今回多数の応募があったため、かなり確率の低い抽選となった挑戦者へのキップ!」

(*^ー^)「皆さまのご応募、ありがとうございました!」

(-@∀@)「厳正なる抽選にて、そのキップを手にしたのは……」

(;-@∀@)「……ボサボサの髪とラフな格好、それは世界トップの名探偵か!?はたまた、ただの出不精か!?クイズ界の神を倒せ!!その名も……!」

(*-@∀@)「スゥゥウゥ!パァァア!!ドックゥゥウン!!」

〜〜〜

(;'A`)アー ハヤク ジョルジュ デテコネェ カナァ

(-@∀@)「スーパードックン!まずはおめでとう!」

(*゚ー゚)「あなたは数ある応募から選ばれた勇者です!これから始まるバトルについて意気込みをどうぞ!」

(;'∀`)「がんばりまーす」

(#-@μ@)「もっと気合をこめて!戦いですよ!」

('A`)(やっぱアサピーさん面倒くさいな)

(*゚ー゚)「さぁそんなスーパードックンに立ちふさがる最初の英雄は……この人です!」


882 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 20:55:24 fFJWEq8MO
〜〜〜

( ФωФ)「ふん」

( ФωФ)「面白い試みをすると聞いて出てみれば……相手は若造ではないか」

(*゚ー゚)「えー、先ほどもご紹介しましたが、全日本クイズ協会副理事杉浦先生です」

('A`)「あ、どうも。えっと、両手あげるとかハンデいらないんで」

( ФωФ)「ぬっ……?」

('A`)「最初から本気で来てください」

( ФωФ)「小僧、よほど自信があるように見えるが……その根拠はなんであるか」

('A`)「いや、さっさと終わらせたいだけなんで」

(# ФωФ)「ほざけ、小僧……!」

〜〜〜

(;;-@μ@)「な、なんということでしょう!?スーパードックン、杉浦先生を完全に抑え、10ポイント先制!!一回戦突破!!」

( ФωФ)「」

('A`)「ふー、終わった終わった。つぎつぎ」

(; ФωФ)(イディオ・サヴァン……いや、そういうレベルではない。これはもはや予知能力クラスである……)


883 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 20:56:26 fFJWEq8MO
( ФωФ)「スーパードックン」

('A`;)「はいはい」

( ФωФ)⊃「おめでとう」

⊂('A` )「どうも」

( ФωФ)「君はいったい……何者だ?」

('A`)「ドクオ。宇都宮ドクオです。父親はマナブです」

?煤i;ФωФ)「なんだと!?というかなぜ父親の名前を言った!?」

('∀`)「聞きたかったんでしょ」

(; ФωФ)「……まぁ、よい……君の父親は……宇都宮マナブという名前か!?今どこにいる!?」

('A`)「親父は多分その辺にいるんじゃねぇかなぁ」

( ФωФ)「はっ?」


884 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 20:57:18 fFJWEq8MO
('∀`;)「ああ、いや。なんでもないっす。えへへ」

(ФωФ )「……ドクオ君。君にはまた会うことになるやもしれん。その時は……最初から全力でお相手しよう」

('A`)(えっ、なんだ本気じゃなかったのかよ。やっぱ底が知れねぇな杉浦先生)

(×ω× )(完全に負けた……白髭、なんなんだ、お前の息子は……我輩も引退するべきなのだろうか……)

〜〜〜

(* ^Д^)「はい、OKっす!」

(* ^Д^)「いやぁ、マジすごいっすねドクオさん。先生を負かすなんて」

(-A-)「そうでもないさ。あのオッサン、やっぱり手を抜きやがった」

( ^Д^)「そ、そうなんすか?でもやっぱすごいっすよ。その調子で次の対戦も頑張ってくださいね」

( 'A`)「ああ。スナオシスターズだったな」

(; ^Д^)「なんで知ってるんすか」

('A`)「なんとなく。勘」


885 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 20:58:05 fFJWEq8MO
( ^Д^)「確かによくバラエティにも出るっすけど……おっともう始まるみたいっすよ、頑張ってください!」

〜〜〜

(*-@∀@)「さぁ、次の対戦相手も準備が整いました!まさかの大番狂わせで一回戦を突破したスーパードックンと対するは、今話題の三人組エリートアイドル!!」

(*゚ー゚)「いったいどちらが勝つのでしょうか!それでは入場です!」

(-@∀@)「まずは東大を首席で卒業した、オールマイティーかつクールビューティー!」

(-@∀@)「素直クール!」

川 ゚ -゚)ドモ

(-@∀@)「続いてたくさんのスポーツ種目においてトップクラスの成績をおさめてきた、情熱の美女!」

(-@∀@)「素直ヒート!」

ノパ?听)ウッス

(-@∀@)「最後に、枠が余ってるからと誘われ、高卒フリーター人生にさよならしたキューティガール!」

(-@∀@)「素直キュート!」

o川#゚皿゚)o「ちょっとまてやぁ!なんなの!?なんで私だけそんなしょうか」

(*゚ー゚)「三人そろって」

(*-@∀@)「スナオシスターズの登場です!!」(゚ー゚*)

o川*:皿:)o「聞いてよぉ!」

('∀`)(あぁ、やっぱキュートにちょっと親近感わくわ……ぶっ潰して泣かそ)


886 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 20:58:59 fFJWEq8MO
〜〜〜

川⊃ -;)

ノハ-?凵ソ)

o川*。>皿<)o

(*-@∀@)「スーパードックン!!またしても完封勝利!!おめでとう!二回戦突破だぁあああ!」

('A`)(あらら、全員泣いちゃった)

川;゚ -゚)「スーパードックン……君は、えっと、なんなんだ?」

('A`)「醜くて悪かったな」

川;゚ -゚)「い、いや、そんなことは言ってない!人外だとか規格外だとか思ってないから!」

('A`)(素直に喜べない)

ノハ;^?竸)「しっかしとんでもねぇ奴だな!私たち相手に完封なんて!!なんか特別な訓練でもしてたのか?」

('A`)「まぁ、俺は本とか好きだから」

≡≡≡≡o川*゚ー゚)o オオリャ!!

サッ ≡('A`)アマイナ

o川;゚ο゚)oウワッ

?俳川*- -)o?般゙タン!

ノハ;゚?听)「おい、キュート。大丈夫か?」


887 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 21:00:06 fFJWEq8MO
o川*;ー;)o「うっ……うえぇん……なんでわかったの?」

('∀`)「芸人といえばとび蹴りだろ?」

o川*;ー;)o

o川*;;ー;;)o

o川*;;;;;;)o

≡≡≡o川*   )o「うえーん!!」

≡≡ノパ?听)「おいキュート!待てって!その顔は事故だ!隠せ!」

('A`)「おーい、どこ行くんだよ……ったく」

川 ゚ -゚)「ス、スーパードックン、聞きたいことが──」

('A`)「ああ、俺はアスペじゃなくてサヴァン症候群な」

川; ゚ -゚)(サヴァン症候群……!?いやいや、なんで質問の意図がわかった?やっぱりエスパーだぞ、こいつ……)

川 ゚ -゚)「……失礼した。君なら姉のことを知っているかと思ったが」

('A`)「はいはい。シュールシュール」


888 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 21:00:58 fFJWEq8MO
川 ゚ -゚)「シュールという……って知っているのか!?」

('A`)(なんかめんどくさそうだからごまかそう)

('A`)「ああ……本でな」

川 ゚ -゚)「そうか、確かに姉さんなら載っているからな……」

川 - -)「……会えると思ったんだが、優勝を逃した時点でそれもなくなった……」

('A`)「大丈夫だって!元気出せよ!」

川 ゚ -゚)「……」

('∀`;)「なんとかなるって!きっと!」

川 ゚ ー゚)(……何の根拠があってだ……この男、気味が悪いな……)


889 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 21:01:39 fFJWEq8MO
  )oコソコソ ノパ?听)「クー姉!早く行こう!!」

(゚- ゚ 川「悪い、今行く!」

川 ゚ -゚)「ではな、スーパードックン。失礼する。それと、お節介かもしれないが、あまり根拠のない言葉は言わないほうが良いと思うぞ」

('A`)「へいへい」

(-A-)(根拠もなにも、そうなるんだって)


890 : 名も無きAAのようです :2014/04/30(水) 21:16:43 YHJV9dRs0
きたな!支援だ


891 : 名も無きAAのようです :2014/04/30(水) 21:19:49 SOuBnJ4A0
支援


892 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 21:52:04 fFJWEq8MO
〜〜〜

(; ^Д^)「ドクオさん、おつかれっす!実は……」

('A`)「ああ、対戦相手が代わったんだろ?」

(; ^Д^)「そ、そうっすけど、なんで知ってるんすか!?」

('A`)「勘だ、勘」

(# ^Д^)「勘、勘って……さっきからあんたむちゃくちゃじゃないっすか!」

(-A-)「んなことより、代わった相手はどこだよ」

「ここだよ」


893 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 21:53:25 fFJWEq8MO
  _
( ゚∀゚)「初めましてスーパードックン。イタリア生まれのイタリア育ち、ジョルジュ長岡だ。よろしく。」

('A`)「……」

  _
( ゚∀゚)「……っと、スーパードックンよりも宇都宮ドクオ君と言ったほうがいいかな?」

('A`)「……」

  _
( ゚∀゚)「……」

  _
( ゚∀゚)(なんだ……この全てを見透かしているような目は)

('A`)「……あんた、イタリア生まれでも、イタリア育ちでもないだろ。つーか日本人だろ」

  _
(; ゚∀゚)(ま、まさかドクオ、気づいたのか!?)

('∀`)「まぁ、隠したいなら隠せばいいけどよ。あんまり"嫁さん"心配させんなよ」

  _
(; ゚∀゚)(…………)

(; ^Д^)「あ、やべ!ドクオさん、本番始まるんで急いで準備しますね」


894 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 21:54:39 fFJWEq8MO
〜〜〜

(-@∀@)「さぁ!始まりました、三回戦目!この戦いを誰が予想できたか!!」

(-@∀@)「一、二回戦共に圧倒的な強さで番組を進行させた……」

(-@∀@)「スーパードックン!!」

(*-@∀@)「では意気込みをどうぞ!」

('A`)「がんばるぞー」

(#-@∀@)「はい、なんの面白みもないコメントをありがとうございました!」

(-@∀@)「続いて……その甘いマスクを使って魔法をかける謎のイケメンマジシャン!」

(-@∀@)「ジョルジュ長岡!」

(-@∀@)「どうぞ、意気込みをお願いします!」

  _
( ゚∀゚)「スーパードックン、そのコメントはナンセンスだね。俺はこう言うよ」

('A`)イラッ

  _
( ゚∀゚)「絶対に負けない」('A` )

  _
(; ゚∀゚)「!?」

('A`)「ふふ」


895 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 21:55:30 fFJWEq8MO
〜〜〜

  _
( ゚∀゚)「ブラボー。ファンタスティックだよ、スーパードックン」

('A`)「……」

  _
( ゚∀゚)「……そろそろいいかな」

('A`)「……」

  _
( ゚∀゚)「スーパードックン」

  _
( ゚∀゚)「君のその格好はなんの──」

('A`)「ああ、これはジャージだ」

  _
( ゚∀゚)「……ここは天下のVIPテレビ局。その生放送に小汚い格好をして出演するとは」

  _
( -∀゚)「常識を疑う──」

('A`)「別にいいじゃねぇか。ジャージでも。衣装を用意してくれなかったんだし」

(-@∀@)イヤイヤ

(*゚ー゚)ナイワー


896 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 21:56:29 fFJWEq8MO
  _
( ゚∀゚)「……衣装を、用意、しなかった?」

  _
( ゚∀゚)「ふざけ──」

(-A-)「あのさぁ」

  _
( ゚∀゚)「る、んっ?」

('A`)「そうやって、俺の動揺を誘うのも別にいいけどぉ」

  _
( -∀-)(……見抜いていたか、だが……お前のメンタルはそれほど強くはないだろう)

  _
( ゚∀゚)(父親として心苦しいが、ここは強引にでも──)

  _
(# ゚∀゚)「その態度はなん──」

('A`)「バラすよ」

  _
( ゚∀゚)「えっ」

('A`)「この場で。全国に放送しているこの場所で」

  _
(; ゚∀゚)「えっ」

('∀`)「バ ラ す よ?」

  _
(;;゚∀゚)「……」


897 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 21:57:57 fFJWEq8MO
〜〜〜

(##-@μ@)「スーパードックン、10対0!!見事、三者完封勝利!!」

('A`)「わーい、勝ったー」

  _
(; -∀-)(いったいどこで気づかれたんだ……これが……俺の息子か……)

  _
( ゚∀゚)(まさか、あのタイミングで全てを見通しての脅しをかけてくるとは)

  _
(  ∀ )(末恐ろしい……)

('A`)(だいぶ巻きでいったけど、どうすんだろ。まだ番組の時間はあるよな)

(-@∀@)「……さてみなさん、ここでお知らせがあります!」

(-@∀@)「番組終了まで30分ほどお時間が残っておりますが、クイズに関しては以上で終了となります!」

('A`)(やっぱクイズはここで終わりなのな)

(-@∀@)「ここで、優勝商品の授与を行いたいと思いますが、なんと特別にVIPテレビ社長の諸本氏がスタジオに向かっております!!」

(*-@∀@)「そしてたった今入りました情報によりますと、優勝商品であるシベリアチケットですが、ジョルジュ選手にも渡されるというまさにサプライズ!社長直々に授与式を行いますので、チャンネルはそのまま!ダイジェストをご覧ください!」


898 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 21:58:58 fFJWEq8MO
〜〜〜

(-@∀@)「あっという間でしたが、実に濃いお時間をお付き合いいただきましたこのクイズも、いよいよ最後です」

(*゚ー゚)「非常に白熱した……というか、圧倒的な戦いでしたね」

(-@∀@)「ええ、なんといっても彼の存在が番組を盛り上げてくれたと思います」

(*゚ー゚)「はい、三組のクイズ通を倒したまさかの一般参加者」

(*-@∀@)「スーパードックン!」(゚ー゚*)

('∀`)「えへへ」

(*-@∀@)「おめでとう、スーパードックン!今のお気持ちを聞かせてください」

('∀`)「がんばりましたー」

(#-@∀@)「うん、やっぱりなんの面白みもないコメントをありがとうございます!」

(*゚ー゚)「では、この瞬間を最も伝えたい人はいますか?」

('A`)「あ、あー……」

('A`)「うぃーカーチャン、見てるー?カレー置いておいてね!」


899 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 22:00:08 fFJWEq8MO
(*゚ー゚)(スーパードックン……マザコンかしら)

(*^ー^)「ありがとうございます。続いては、運よくシベリアチケットを入手した謎のマジシャン」

(*-@∀@)「ジョルジュ長岡!」(゚ー゚*)

(-@∀@)「宣言とは全く違った結末でしたが、いかがですか?」
  _
( ゚∀゚)「まず、この場に出られたこと、そして司会のお二人や、関係者の方々に支えてもらいながら、彼……スーパードックンと戦えたこと。とても嬉しく思うよ」

(*-@∀@)「さすがは言葉の魔術師!良いコメントをありがとうございます」

(*゚ー゚)「では、この瞬間を最も伝えたい人はいますか?」

  _
( ゚∀゚)「そうだね……ショボン。ごめんねとだけ言っておこうかな」

(;-@∀@)「おぉ、友人のあだ名でしょうか。呼ばれた君はラッキーだぞ〜」

(*゚ー゚)「ありがとうございます。それでは、優勝賞品の授与に参ります。VIPテレビ社長、諸本さん、お願い致します!」

(´・ω・`)「二人とも、おめでとう」

(´・ω・`)「ふふ、まずはジョルジュ長岡クン。はい、どうぞ」


900 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 22:01:07 fFJWEq8MO
  _
( ゚∀゚)「ありがとう」

(´・ω・`)「次は、キミか。スーパードックン」

('A`)「あ、はい」

(´-ω・`)ボソッ「期待してるよ」

('A`)ボソッ「うっせぇ犯罪者」

(´・ω・`)「えっ」

('A`)「なんでもないっす」

(´・ω・`)「?……おめでとう」

(-@∀@)「諸本社長、ありがとうございます!それでは最後に、社長から重大発表があります!」

(´・ω・`)「えー、はい。皆さんありがとうございました。既に司会から、出演者の紹介と同時に優勝賞品について説明があったかと思いますが、私から改めて発表させていただきます」

(´・ω・`)「来年の1月。全世界から集められた一番を決めるクイズ大会。通称、『シベリア』を我々VIPテレビが中継致します!」

('・ω・` )「当然、二人が優勝賞品として持っているシベリア特急券はそのためのパス……つまり」


901 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 22:01:49 fFJWEq8MO

(´・ω・`)「ジョルジュ長岡のスーパードックンに対するリベンジマッチも、ご覧のチャンネルで見ることができます!」

(´^ω^`)「それでは皆さん、来年の1月にお会いしましょう」

(*-@∀@)「さようなら〜!」(^ー^*)

('A`)(あー、疲れたー)

(-A-)(やっとシベリアか、一年間なにしよっかなぁ)

('A`)(あれ、そろそろプギャーとトーチャンが話しかけてくるはずなんだけど……こないな)

('∀`)(ま、いっか。さ、帰ろ)


902 : 名も無きAAのようです :2014/04/30(水) 22:05:08 B5OQNxG20
強くてニューゲームってレベルじゃねーぞ!


903 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 22:12:58 fFJWEq8MO
〜〜〜

('A`)「うぃー、さみぃー」

('A`)(一年間、楽しかったなぁ。別に勉強しなくても優勝できるし。トーチャンも仕事終わったら帰ってくるだろうし)

('∀`)(つーか、余裕じゃね?もう無双よ、無双。シベリアでもさっさと終わらせちまおう)

(;'A`)(あっ、そうだ。あそこの座席に座ったらおっさんが隣にくるから別の席にしよう)


904 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 22:13:43 fFJWEq8MO
〜〜〜

('A`;)「やっぱこれは何度見てもすげぇや、いい景色だ」

( ∵)「ヘイ!スーパードックン!調子はいかが?」

('A`)「おう、ビコーズ。悪いけど飛行機変えてくれねぇか」

(*∵)「オ、オイオイオイオイ、せっかくのフライトなんだぜ?いきなり飛行機変えるなんて言わないでさ!楽しくいこうや!つーか何で俺のあだ名知って──」

('A`)「いや、この飛行機車輪が出なくなるから」

( ∵)「はっ!?」

('A`)「点検してみ」

( ∵)「……」

(;∵)「うわっ、ほんとだ……よくわかったな!?」

(-A-)「勘だ、勘。さぁ別のヘリで運転してくれ」

( ∵)「おう、わかった!行こうぜ!夢と冒険のしたらばテーマパークへよ!」


905 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 22:14:42 fFJWEq8MO
〜〜〜

('A`)「ういっす」

( ^Д^)「ドクオさん、来たっすか。じゃあ受付してください」

( 'A`)φカキカキ「はいはい」

〜〜〜

(-@∀@)「さぁ!始まりました!クイズの世界一を決める大会、シベリア!司会は浅井ことアサピーと」

(*゚ー゚)「椎名ことしぃが、VIPテレビ独占の生中継で」

(-@∀@)「お送りいたします!!」(゚ー゚*)

(*-@∀@)「それでは早速、各国から集められた選手の紹介に参ります!しぃさんお願いします!」

〜〜〜

(*^ー^)「──はい、ジョルジュ長岡さん、ありがとうございました!」

(-@∀@)「それでは最後になりましたが、我々VIPテレビ主催のクイズ大会が輩出した、もう一人の優勝者」

(*-@∀@)「スーパードックンの紹介に入ります!!」

('A`)「うぃー」


906 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 22:15:25 fFJWEq8MO
〜〜〜

('A`)(そういえば初めてだったけど予選、余裕だったな)

(,,゚Д゚)「なぁ、あんた誰なんだよ?」

( ?] )「……」

(,,゚Д゚)「そんなローブみたいなもん被って、よく居られるなぁ?せっかくテレビに出られるんだぜ?」

( ?] )「……」

(#,,゚Д゚)「だんまりかよ……」

  _
( ゚∀゚)「フードの人はよくわからないけど、男の方はギコ・ギコ。オリン出身で、数々の運動種目でトップクラスを保っているアスリートだ。君が去年会ったスナオシスターズのヒート、彼女も彼に教わったみたいだよ」

('A`)「ああ、知ってる」

  _
(; -∀-)「さ、さすがだね」

(,,゚Д゚)「どうせ試合で脱ぐんだろ、それ?じゃあここで脱いでもいいじゃねぇか」

( ?] )「……」

(#,,゚Д゚)「ゴルァ!もういい、俺が脱がしてやる!」

( ?] )「……!」

ξ゚?听)ξ「やめなさいよ!」


907 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 22:16:18 fFJWEq8MO
ξ゚?听)ξ「嫌がってるし、うるさいし……いい加減にしてくれる?あなた、オリンの出身なんでしょ?そういうことすると自国の評価を下げると思うけど」

(#,,゚Д゚)「うるせぇな、カメラもないからいいじゃねぇか!」

ξ゚ー゚)ξ「そうかしら。現に私の評価は最悪よ?イーサン代表であるこの私の評価がね」

(゚Д゚,,)「ちっ……」

ξ゚?听)ξ「大丈夫?気にすることないわ、何か目的があってその格好なんでしょ?」

( ?] )〃コクリ

ξ*゚ー゚)ξ「フフ、あなたと戦えることを楽しみにしているわ」

<「選手の皆さん、本選第一回戦目の時間となりましたので、名前が挙がった選手は、選手入場口までお越しください」

<「本選第一回戦目の出場者は」

<「スーパードックン」

('A`)ハイハイ

<「津雲レイ」

ξ゚?听)ξアラ

<「この2名となります」

<「他の皆様は、本選第二回戦目まで自由行動となりますので、よろしくお願いいたします」

<「繰り返します──」


908 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 22:17:03 fFJWEq8MO
ξ゚?听)ξ「あなた……確か、スーパードックンって言ったわね」

('A`)「おう、よろしく相棒」

ξ゚?听)ξ「はぁ?なにが相棒よ、意味のわからないこと言わないでくれる」

  _
(; ゚∀゚)(おいおい、あまり息子を挑発しないでくれよ)

ξ-ー-)ξ「……まっ、いいわ。せいぜい面白くなるようにがんばってね、あなたみたいなウスノロじゃ無理だろうけど。じゃあね、スーパードックンさん」

  _
(; ゚∀゚)「あー、彼女は津雲レイ。通称『巻き毛のツン』でプロゲーマーだとさ。選手紹介の時でもお嬢様だったけど、きっついね……?」

( A )「……」

  _
( ゚∀゚)「ドクオ?」

  _
( ゚∀゚)(我が息子ながら理不尽な物言いには短気な面が見受けられるからな。そうとう頭にきてるだろう)

(*'∀`)「早くツンと組みたいぜ!」

  _
(; ゚∀゚)「えっ?」


909 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 22:17:55 fFJWEq8MO
(*'A`)「あ、いやぁなんでもねぇよ。じゃあいってくる」

  _
(* -∀゚)(……青春か。見ないうちに色気づいたな……)

〜〜〜

(-@∀@)「皆様お待たせしました!本選第一回戦目の開始です!!!」

(*-@μ@)「栄えあるシベリアにおいて、初戦を飾ってくれるのはこの人たちだぁ!」

(-@∀@)「VIPテレビ局からは刺客!最強の一般人、見た目は悪いが頭脳は本物!スーパードックン!!」

ワーーーー!

('A`)(久しぶりだなぁ、アサピーさんのこのテンション……)

(@∀@-)「サブカルチャー文化に特化しているイーサンからは美少女!バーチャルを極めた毒舌乙女!巻き毛のツンこと津雲レイ!!」

ツンチャーーーン!ガンバレーー!

ξ゚?听)ξ「恥をかく前にさっさと終わらせてあげる」

(*-@∀@)「本選第一回戦目はいったいどのような戦いになるのか。ちなみに第一回戦目終了後、ビックサプライズがありますので皆さん、期待していてください!それではルール説明の前に簡単な準備を行います!」


910 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 22:20:19 fFJWEq8MO
〜〜〜

ξ゚?听)ξ

ξ ?听)ξ

ξ ?? )ξ

バタッ――

(-@д@)「……こ、これは……第一問目のスタートからハンドルを投げ捨てドローに持ち込み、10ポイント問題に正解したスーパードックンの──」

(*-@∀@)「勝利となりまぁぁぁああああすぅ!!」

ξ ‐ )ξ「……あなた、何者よ」

('A`)「俺は普通の一般人だよ。強いていえば本やゲームが好きな今時の若者かなぁ」

ξ# ?? )ξ「ふざけないでよ!さっきのわけがわからない言動といい、やたら難しい問題の回答といい!まさか最初からこうするつもりだったの!?」

('A`)「おう。最初からそのつもりだった」

ξ# ?? )ξ「それにしたって、いきなりそんな作戦を思いつくなんて……」

( A )「だって、そりゃあんた」

('∀`)「とっとと終わらせたかったもん、対戦」

ξ;?听)ξ「あ──」

ξ ?? )ξ(この人は……私と違う次元にいる……怖い……)


911 : ◆8UONaKUB6Y :2014/04/30(水) 22:21:09 fFJWEq8MO
〜〜〜

(-@∀@)「第一回戦目!終了!勝者は……」

(*-@∀@)「スーパードックンです!!」

(-@∀@)「おめでとう!スーパードックン!今のお気持ちを聞かせてください!」

('A`)「はいはい、嬉しい嬉しい」

(;-@∀@)「本当に君はコメントが苦手だね!では、負けてしまいましたツンさん!ひとことお願いします!」

ξ-??-)ξ「……ノーコメント」

(-@∀@)「おっと、ツンさんは戦意が喪失してしまったか!?さぁ観客席の皆さん!両者にもう一度大きな声援をお願いします!」

(*-@∀@)「はい!皆さんありがとうございます!さて、それでは開始前に申し上げましたビッグサプライズについて……しぃさんお願いします!」

(*゚ー゚)「はい!ではご説明します!ビッグサプライズとは今大会にて重要な要素を持つコンセプトルールに加え、もう一つの特別ルールのこと……」

(*-ー-)「そのルールとは、敗者が勝者のサポートをしていただくことです!」

ξ゚?听)ξ「えっ!?ええ!?」

('A`)「きたきた」


912 : 続きは明日の朝早くに!ツンやヒートは脳内で補完してください。 :2014/04/30(水) 22:22:56 fFJWEq8MO
(*゚ー゚)「第一回戦目終了後にお伝えしたのは皆様に驚きを与えるため!以降、スーパードックンの行う試合にはツンさんにも協力していただきます!もちろん他の選手たちも、初戦終了後のみ、同様にサポートとして以降の試合に参加していただきます」


(゚ー゚*)「勝者の権利を超えない範囲で試合に関する事柄であれば全て相談や干渉などをすることができる特別な決まり!」

(*゚ー゚)「題して……」

(*^ー^)「シベリアセコンドルールの適用を開始します!」

ξ;゚?听)ξ「な、なぁ!?」

(*'A`)b「さ、がんばろうぜ!」


913 : 名も無きAAのようです :2014/04/30(水) 22:50:02 JRSeMRIw0
乙、なんか不穏な空気が……


914 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:43:18 WAWE5WycO
〜〜〜

('A`)(ツンがつんつんしてる。なんか顔も崩れ……じゃなくて怖い)

('A`)(コーヒーを渡そうとしたけど、怯えた目で拒絶された)

(*'A`)(まぁ、大丈夫だろ。タバコ吸ってこよ)

('A`)(あれ……?このタイミングでジョルジュに会うんだけど……)

(;'A`)(なんか微妙に過去が変わってるな)

('∀`)(ま、大筋は変わってないから大丈夫だろ)


915 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:44:13 WAWE5WycO
〜〜〜

ξ゚?听)ξ「ちょっと、遅いわよ」

('A`)「タバコ吸ってた」

ξ#゚皿゚)ξソウ

(-@∀@)「さぁ順調に試合は進み、準々決勝となりました!対するのはこの二人!」

(-@∀@)「その頭脳で謎を解き明かす超一般人!スーパードックン!セコンドは惜しくも敗れてしまった津雲レイ!」

('A`)「ツン、対戦相手のセコンドは確か医療センターだったな」

ξ;-??-)ξ「なんで知ってるのよ……タバコ吸いにいったんじゃないの?」

('A`)「勘だ」

ξ;゚?听)ξ「勘……!?」

ξ゚?听)ξ(やっぱりこの人、おかしい……さっきから、起こる出来事になんの反応もしてない気がする)


916 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:45:09 WAWE5WycO
(;-@∀@)「えー、スーパードックンからご指摘のありました通り、エックス選手はセコンドがいません!」

(-@∀@)「よって、本来なら特別にハンデキャップが適用されるところですが……」

(-@∀@)「なんと、試合開始前、ハンデキャップの適用を辞退すると本人の申し出がありました!」

エーーー!?

(-@∀@)「これは自信の表れととってよろしいでしょうか、エックス選手」

( ?] )"コクリ

(*-@∀@)「おーーー!これは強気だ!ハンデなどいらない!2対1を物ともしない姿勢はまさにストイック!」

オオオオーーー!!エックスガンバレーーー!!

ξ;゚?听)ξ(おっと、それよりも試合よ。しかし、まずいわね……場の空気が相手に流れている)

ξ;゚?听)ξ(これじゃ、この人の士気が……)

('A`)「あー、あのー」

(-@∀@)「はい、なんですか?」

('A`)「さっさと始めてくれねぇかな」


917 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:45:46 WAWE5WycO
ξ-?听)ξ(……杞憂だったわね)

('A`)「悪いが、こんなところで止まってるわけにはいかねぇんだ」

ξ゚?听)ξ(会って間もないけど、この人は、スーパードックンは)

('A`)「だからさっさとそのローブ脱げって。似合ってねぇぞ」

ξ゚―゚)ξ(気味が悪い。マジで)

('A`)「なぁシュール」

( ?] )「えっ!?うそ、なんで」

(;-@∀@)「──はい、ただいま入りました情報によりますと、彼女は……」

(-@∀@)「前回のシベリアに優勝し、あらゆる協会のトップを兼任する、神出鬼没のミステリアスレディ!」

(*-@∀@)「その名も素直、柊!通称、シュールさんです!」

ワーーーー!!


918 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:46:28 WAWE5WycO
lw;´‐ _‐ノv「ちょ、なんでわかったん?」

('A`)「勘だ」

lw´‐ _‐ノv「おう、勘か。ならしかたない」

ξ;゚?听)ξ(いいの!?)

(-A-)(さって、シュール戦もとっとと終わらせて次にいくかな。あ、こいつ色々ばらしてくるんだったな、気をつけ──)

lw´‐ _‐ノv「……おかしいな」

(;'A`)「……なにがだ?」

lw´‐ _‐ノv「いつものアナタと違う気がする」

('A`)「そうか?まぁ俺も変わったんだろう」

lw´‐ .‐ノv「ううん……ん、確かに変わったけど」

lw´‐ _‐ノv「アサピーさん」

(-@∀@)「はい、なんでしょうか?」

lw´‐ _‐ノv「私、棄権する」

( ゚A゚)「は……?」

ξ゚?听)ξ「えっ?」


919 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:47:11 WAWE5WycO
lw´‐ 。‐ノv「棄権しまーす」

(;-@∀@)「な、なんということでしょう!?まだ対戦も始まっていないというのに、シュール選手が棄権を宣言した!?」

ξ#゚?听)ξ「ど、どういうことよ──」

(#'A`)「どういうことだ、シュール」

lw´‐ _‐ノv「なんとなくだよ。まぁアナタの言葉を借りるなら」

lw´‐ _‐ノv「勘かな。今のドクオはドクオじゃない気がする」

(#-A-)(俺が俺じゃない?ふざけるな、俺は俺だ。ただ、全部知っているだけで……)

lw´‐ .‐ノv「なんだかさ、変に調子に乗ってる気がしてね。例えるなら本編を書き終えた作者がおまけを作ることに怠慢な感じ」

(;'A`)「い、意味がわからねぇよ」


920 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:47:55 WAWE5WycO
lw;´‐ _‐ノv「私もわからない。でも、なんか今のドクオは好きじゃない。その傲慢さで足元救われないようにね。ばいばい」

ピュピューン≡≡lw´‐ _‐ノv


( ゚A゚)「お、おいシュール!……行っちまった」

(;-@∀@)「そ、それでは……スーパードックンの不戦勝です!!」

('A`)(俺が、調子に……乗ってるだと?……ふざけるなよ、ただ、この後どうなるかだって知ってるだけだぞ)

(;-A-)(何が傲慢だ……その程度のことで棄権かよ。やっぱわからねぇな、ちっ)

ξ ?? )ξ「……」


921 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:49:14 WAWE5WycO
〜〜〜

(;-∀-)(ほら、シードだって前と同じだ。なんにも変わってないじゃねぇか)

('A`)(へっ、何が足元すくわれるだ)

(-@∀@)「さぁ、薄暗やみの中、照らされるのはこの本選準決勝!皆様、ご注目ください!」

(-@∀@)「ついにここまで来た!無名の天才、歩く国会図書館!スーパードックン選手!セコンドは巻き毛のツン!」

(*'∀`)(あー、国立国会図書館ね。行きたいなー)

ξ゚?听)ξ(落ち着いてるわね……シュールさんとの話が効いたのかしら)

(-@∀@)「対して、先ほどの試合を僅か数分で決めてしまったギコギコ選手!セコンドはビロード!」

(,,゚Д゚)「……」

( ><)「うう、怖いんです……」

「正直に言って、スーパードックンはもとより、ギコギコ選手もクイズに関してはノーマークの本大会。大番狂わせの連続でした!」

(*-@∀@)「しかし!まるでそのベールを脱いだかのような圧倒的強さで準々決勝を制したギコギコ選手!何か考えがありますか?」

(,,-Д-)「つまらん、真っ黒だ」

(-@∀@)「えっ」


922 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:50:06 WAWE5WycO
(,,゚Д゚)「つまらんっつったんだよ、この大会。だから、とっとと終わらせようと思ってな」

(,,^Д^)「ギコハハハ!そんなに静かになるなよ!ちゃんと盛り上げてやるからよ!なぁビロード!」

( ><)「わ、わかんないです」

(,,゚Д゚)「わかれよ!……まぁ、というわけだ。おい、ヒョロ男」

('A`)「はい」

(,,-Д゚)「てめぇもつまらなかったら即行で終わらすぞ……!」

(*'A`)プッ クスクス

( 'A`)「ああ、そうですね。俺もここで立ち止まるわけにはいかないんで。さっさと終わらせますよ──」

(゚Д゚,,)「同じこと考えてやがるだろ、だがそれは間違いだ。終わらせるさ──」

( ゚A゚)「「俺の勝ちで!」(゚Д゚,,)

ワーーーー!!

(*-@∀@)「これは絵になります!暮れていく夕日の下に豪傑が二人!!どちらも勝ちを譲らない!!」

(-@∀@)「見ごたえのある試合となるよう、参りましょう!しぃさん、ルール説明をお願いします!」

(*゚ー゚)「はい!今回も出題されるクイズに正解する毎に、1ポイントの得点が入ります!」

(*゚ー゚)「先に10ポイント獲得したほうの勝利となります!」

('A`)(よっしゃ、今度はストレートで勝つぞ)

(,,゚Д゚)(……)


923 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:50:38 WAWE5WycO
〜〜〜

ξ゚?听)ξ(また単純なルールね。神経衰弱……本来なら、記憶力が最も重視されるトランプゲームの一つね)

ξ;゚?听)ξ(でも、この場合、問題と正解を結びつける知識。そしてそれらを効率的に見つける速さ)

ξ-??-)ξ(……ここが最後のチャンスね)

('A`)「ツン」

ξ;゚?听)ξ「な、なによ」

('A`)「まぁそこで見学してろよ。俺が勝つからな」

ξ゚?听)ξ「……」

('A`)「お前は何もしなくていい、安心しろ。優勝まで連れてってやる」

ξ ー )ξ「……ええ」

(* ><)「ぼ、僕もがんばるんです!ギコさん!何か手伝うことがあれば言ってくださいなんです!」

(,,゚Д゚)「んなもんいらねぇよ。余裕だろ」

(-@∀@)「さぁ、両者共に準備が整いましたね!それでは参ります!シベリア神経衰弱!しぃさんお願いします!」


924 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:51:33 WAWE5WycO
〜〜〜

(;'A`)(ちっ……解答がわかっててもやっぱあいつのスピードはハンパねぇわ)

ξ; ?? )ξ(このタイミング……!)

(-@∀@)「今大会は、まことに予想がつかないことばかりです……」

(-@∀@)「先ほどまで優勢だったスーパードックン……9ポイントに対して」

(-@∀@)「怒涛の追い上げを見せたギコギコ選手……9ポイント」

(;-@∀@)「さぁ、泣いても笑っても、ラストになるでしょう。しぃさん……お願いします」

(*゚ー゚)「はい……!!」

<スタート

≡ξ゚?听)ξ⊃「……っ!」

ドンッ!≡⊃'A゚ )「うおっ!?」

(*-@∀@)「おっとスーパードックン!?バランスを崩した!?」

(゚A゚;)「つ、ツンなにすんだ……」

ξ;-?听)ξ「勝手にこけただけでしょ、私は何もしていないわ」

('A`#)「ふざけるなよ!なんのつもりで……」

(゚A゚)ハッ

('A`)(セコンドルール……『勝者の権利を越えない範囲で試合に関する事柄であれば全て相談や干渉などをすることができる』……まさか、こいつ)

('A`;)(俺を負けにさせて、自分が復活するために……!?)


925 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:52:29 WAWE5WycO
(*-@∀@)「スーパードックン?大丈夫ですか?」

(;'A`)「あ、アサピーさん……こいつが」

(*゚ー゚)「ツンさんがどうかされましたか」

(;゚A゚)「いや、今の見ただろう!?こいつが俺を押し──」

(-@∀@)「いえ、何も見ていませんでしたが……しぃさんはどうですか?」

(*^ー^)「私も見ていませんが……」

(#'A`)(なんだよ……!この二人、前の時はわりと協力的だっただろ……!)

ξ;゚?听)ξ「そんなことより、クイズはどうなったの?」

(-@∀@)「ええ。既にタイムは止まっています」

タイム2秒55

(;'A`)(……)

ξ;゚?听)ξ(……)


926 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:53:22 WAWE5WycO
(-@∀@)「さて、なにやらアクシデントが起きましたが……やはり、ここでもタイムはやや遅くなったとはいえ高水準です」

(-@∀@)「これは、言い直せばお二人ともどちらのタイムでもおかしくないということ」

(-@∀@)「それではまず、選ばれたカードから表示します」

「問題:マケドニア王アレクサンドロス3世の家庭教師だったといわれる古代ギリシアの哲学者といえば?
回答:アリストテレス」

(*゚ー゚)「正解です」

(;'A`)(なんだよ……)

(-@∀@)「この時点で、どちらかの勝利が確定しております」

(@∀@-)「とてつもない知識量と判断力を持つスーパードックンか」

(-@∀@)「後半の、人が変わったかのような追い上げを見せたギコギコか」

(;-@∀@)「運命の一瞬です……準決勝勝者は──」


927 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:54:13 WAWE5WycO
(; A )(なんで……)

(##-@へ@)「スーパードックン!!!スーパードックンの勝利です!!」

ξ ?? )ξ(ぁ……)

( A )(俺の邪魔すんだよ。危うく押しそびれるところだったぞ、ったく)


928 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:55:03 WAWE5WycO
〜〜〜

(;'A`)(やっとだ……やっと、これで終わる)

(;-A-)(なんか疲れちまった……前と違う感じがする……)

(@∀@-)「あらゆる強敵を退けてきた男の名は、もはや誰もが知っているだろう!」

(@∀@-*)「スーパードックン!!」


('A`)


(@∀@-)「なお、セコンドである津雲レイ選手は、スーパードックンからの申し出で、準決勝の試合内容確認により妨害があったことが見受けられましたので退場となっております!」

(-@∀@)「さぁ、その対戦相手となるのは、計り知れない実力を持つ!!謎のマジシャン!」

(*-@∀@)「ジョルジュ長岡!!」

キャアーーーー!!

ジョルジュサーン!!

  _
( ゚∀゚)

ガンバッテーー!!


929 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:55:43 WAWE5WycO
(-@∀@)「セコンドであるペニサス選手は、やむを得ず辞退をされたようです!そう、彼もまた一人!」

(*-@∀@)「奇しくも、一年前を髣髴とさせるこの二人が今、中央で向かい合います!!」

('A`)「よう」

  _
( ゚∀゚)「やあ、スーパードックン」

(;'A`)「セコンドは……色々あったんだな」

  _
( ゚∀゚)「ああ、色々あった」

(-A-)「……」

  _
( ゚∀゚)「どうした?いつもの余裕がないように見えるが」

(;'A`)「……疲れちまってな、ちょっと」

  _
( ゚∀゚)「そうか」

( -A-)「はぁ……でもやっと終われるよ」

  _
( ゚∀゚)「なにやら全部解っているようだが、遠慮はしないぞ」


930 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:56:32 WAWE5WycO
( 'A`)「……勝たせてもらうぜ?」

  _
( ゚∀゚)「少しはまともなコメントが言えるようになったか。じゃあ今回は、俺もこう言うよ」

  _
( ゚∀゚)「絶対に勝つ、とね」

〜〜〜

(; ^Д^)(ドクオさん……どうせまた勘で勝つんだろうな)

(; ^Д^)(ほんと、気味が悪い人だった……これで内藤さんの肩の荷も下りるっす)

(*゚∀゚)「プギャー、どしたの?」

( ^Д^)「つーさん」

(*゚∀゚)「……内藤さんのことでしょ?考えてたの」

(; ^Д^)「えっ……!なんで」

(*-∀-)「チラチラ見てるもん。どーせ、スーパードックンの出演が終わることを喜んでたんでしょ」


931 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:57:14 WAWE5WycO
(; ‐Д‐)「うっ、だって……よくわかんないすけど、ドクオさんって気味悪いんすよ。なんでもかんでも知ってるし……」

( ^Д^)「だから、やっと関わらずに済むかと思うと」

(*゚ε゚)「んー、なるほどね。まぁ、それは」

( ^ω^)「二人とも、なに無駄話してるんだお」

(; ^Д^)「あっ、やべ」

(*;゚∀゚)「げぇ」

( ^ω^)「全く、ちょっと目を離すとこれだお。いいか、生放送は最後までや──」

『ハイライトだ』

(‐ω‐ )「──ハイライト、か。懐かしいおね」


932 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:58:01 WAWE5WycO
( ^Д^)「内藤さん」

(^ω^ )「思えば、あの男が初めてテレビに出て、最初に解答したのがこれかお」

(# ^ω^)「因果なもんだけど、やっと終わるおね……」

( ^ω^)「あー、ほら、さっさと持ち場に戻るお!」

(*゚∀゚)「はーい」

(; ^Д^)「やっぱ嬉しそうっすね」

(*゚∀゚)「そうだね」

〜〜〜

川 ゚ -゚)「いいのか、ヒート」

ノパ?听)「おう、大丈夫!」

o川*゚ー゚)o「あれだったら、飛行機遅らせてもらおうよ。せっかく師匠に会えるんだしさ!」

ノハ;゚?听)「キュート、師匠じゃなくてコーチだ!何回言ったらわかるんだよ!」

o川*;゚ぺ)o「一緒じゃん!修行したんでしょ!!」

ノハ;;゚?听)「違うよ!!」

ノハ;゚?听)「ハァハァ……」o(゚ο゚;*川)o

ノハ;゚?听)

ノハ-??-)

ノパ?听)「ごめんな、クー姉、キュート。考えがまとまんなくて」


933 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:58:47 WAWE5WycO
川 ゚ -゚)「構わない。会うべきかどうかはヒートが決めることだからな」

ノハ- -)

ノパー゚)「……ん!やっぱ大丈夫だ!」

川 ゚ ー゚)「そうか」

o川*゚ー゚)o「そっか……あ、クー姉は?ねぇねぇ、シュー姉にもっかい会わなくていいの?」

川 ー )「私も会わなくていいよ。きっと、どちらともなく連絡するさ」

o川*^―^)o「そっか……」

川 ゚ -゚)「じゃあ仕事も終わったし帰るか」

o川*゚ー゚)o ノパ?听)「はーい」


934 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 05:59:32 WAWE5WycO
〜〜〜

(´・ω・`)(互角、か。まぁこうなることは予想できていた)

(´-ω-`)(とはいえ、昨年もそうだったが……ジョルジュ相手にまさかここまでやるとはな)

(´・ω・`)(スーパードックン……いや、宇都宮ドクオ。白髭さんの息子だけはある)

(´・ω・`)(だが、私にとっては余興でしかない。たとえ、どちらが優勝しようとも、せいぜい3000万程度増えようと減ろうと関係はない)

(´-ω-`)(そう、たとえ──たとえ私が失脚したとしても……)

(´・ω・`)(ようやく、お前を右腕にすることができるのだからな、ジョルジュ)

───

/ ,#゚3(忌々しいのぅ、小童共が)

/ ,' 3(こちらとて、100億などというふざけた金額を渡すつもりは毛頭ないが)

/ ,' 3(ワシの沽券に関わる)

/ ,- 3(誰も見向きもしない路傍の石に、勝利の美酒など到底不要)

/ ,' 3(諸本の子飼いであるジョルジュ長岡、貴様には期待しているぞい)

───

( ・∀・)(暇ですねぇ……どっちが勝ってもどうでもいいですけど)

───


935 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:00:19 WAWE5WycO
〜〜〜

ξ;゚?听)ξ「全く、とんでもない問題出すわね、あの男は」

(=゚ω゚)「マニアックだよぅ」

ξ-??-)ξ「でも……惜しかった」

(=゚ω゚)「いよぅ?」

ξ;゚?听)ξ「あ、いえ。あの時、うまくいけば私があの場所に立てたかもしれなかったので」

(=゚ω゚)「……」

ξ;-??-)ξ「も、申し訳ございません」

(=-ω-)「構わんよぅ。というと、甘すぎるか」

ξ;-??-)ξ「……」

(=゚ω゚)「気に病むなとさっきから言ってるのに、やっぱり気にしてるんだよぅ?」

ξ; ?? )ξ「っ……」

(=゚ω゚)「そんな顔するなよぅ。わかったよぅ」

(=゚ω゚)「確かに津雲レイは活躍のチャンスを失った、それは揺るぎのない事実」

(=゚ω゚)「でも、スーパードックンが決勝に駒を進めた。これも事実」


936 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:00:50 WAWE5WycO
ξ;-?听)ξ「はい。重々承知しております。ですが、その……もっと、もっと我々の文化を広めるべきだったと──」

(=;-ω-)「お前、ホントにちゃんと試合観てるのかよぅ?」

ξ;゚?听)ξ「えっ……?」

(=゚ω゚)「さっきスーパードックンが出した問題。あれはイヨコンが設立して初めて出したゲームの問題だよぅ」

?買フ;゚?听)ξ「あっ!」

(=゚ω゚)「そう。あの男、宣伝してくれてるんだよぅ」

ξ*;゚?听)ξ「意外です。なんでだろう」

(=^ω^)「ラッキーだよぅ、ツン。お前は負けたけど我社の広告としてはまずまずだよぅ!」

ξ*^ー^)ξ「……はい!」


937 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:01:30 WAWE5WycO
〜〜〜

lw#´゚ _ ゚ノv「あー、くそっ。また負けた」

(; ФωФ)「何をしているのであるか」

lw´‐ _‐ノv「ん?ロマ知らないの?このゲーム面白いよ」

( ФωФ)「ゲーム?理事長、ドクオ君の応援は」

lw´‐ _‐ノv「え、どうでもいいかな」

( ФωФ)「どうでも……いやいや、あの男、それぞれ関わりを持った人物に起因する問題を出題しているようだが」

lw´‐ _‐ノv「ふうん」

(; ФωФ)「ずいぶんと態度が違うのである。何かあったのであるか?」

lw´‐ .‐ノv「別に、ただ私の知ってるドクオじゃなかったからさ。興味もなくなっただけだよ」

lw´‐ _‐ノv「ロマも去年、対戦したときなんか変じゃなかった?」

( ФωФ)「……確かに、なんというか……」

【フランス南東部、プロバンス地方、バール県の町ルトロネにあるルトロネ修道院の建築様式はなに?】

lw´‐A‐ノv「こうやって、みんなのことを知ってるのも不気味」

(; ФωФ)「ふむ……確かに。なんであろうな、この違和感」


938 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:02:06 WAWE5WycO
〜〜〜

ハハ ロ -ロ)ハ(お互い一歩も退いてイナイ……)

(,,゚Д゚)「よう、ハロー」

ハハ ロ -ロ)ハ「ギコ、それに……」

('、`*川「さっきぶりね、ハローちゃん」

( ><)「久しぶりなんです!」

ハハ ロ -ロ)ハ「ペニサスサン、ビロードさん」

ハハ*ロ ーロ)ハ「ハイ。お二人とも、応援デスカ」

('、`*川「まぁ、ジョルジュ様が勝つに決まってるんだけどね」

(,,-Д゚)「だといいがな。どうもヒョロ男はわからん」

( ><)「わかんないです!」

('、`*川「珍しく意見があったわね」

(,,゚Д゚)「そうだな。ジョルジュを応援するか」

ハハ ロ -ロ)ハ(,,゚Д゚)( ><)ジョルジュ ガンバレー ('、`*川


939 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:02:49 WAWE5WycO
〜〜〜

【俺の正体はなんでしょう?】

( ― )「全員、動くな!!」

(-_-)「その呼び方はやめてよ、マジシャン……いや、ウィザードか」

  _
( ^∀^)「ハハハ、ごめんごめん」

('A`)「……」

(-_-)「荒巻理事長。横領及び賭博開帳図利の疑いで逮捕します」

/;,゚ 3「な、なんじゃと!?ふざけるんじゃない!!どういう了見だ!」

  _
( ゚∀゚)「さっきの問題、もう二十秒は過ぎたよね。じゃあ、答えを言おうか。俺はね――……」

  _
( ゚∀゚)「警視庁公安部、外事第二課主任、ジョルジュ長岡さ」


( A )「ちょっと待て」

  _
( ゚∀゚)「ん?」

( 'A`)「ジョルジュが出したクイズ……俺はまだ答えてない」

  _
( ゚∀゚)「なにを……いや、もういいか。じゃあドクオの答えを聞こうかな」


('A`)「ああ。ジョルジュ、俺が最後の答えを出すよ」

( ゚A゚)「この……うっ!?」


940 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:03:45 WAWE5WycO
( ゚A゚)(なんだ……胸が、苦しい……!!)

( 'A`)(あれ、俺……倒れてる。そっか、倒れたときに戻ったのか)

('∀`)(後はみんなが来てくれて……医務室だな……)

('A`)(……あれ?)

(;'A`)(なんで、みんな来ないんだ……?)

(;-A-)(……そうか、俺は……結末を急いで……蔑ろにして……それで……)

(; A )(ああ、バカだったな……俺……)


941 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:04:32 WAWE5WycO
〜〜〜

《もう少しで、元に戻れたのにな》

《ッチ……後悔しても遅いってか》

《とにかく、みんなに謝らないと》


≡≡(; ^Д^)「ドクオさーん!!」

(-A-)「……」

《うん?……あれ……みんな……?》

( ´W`)「?」

≡≡(*゚∀゚)「スパドクー!!サイン!!」

(-A-)「……ぅ」

( ´W`)「これは……」

ξ;゚?听)ξ「ちょっと、なに、大丈夫!?ケガとかしてないわよね!?」

(;-A-)「……う」

《待てよ……ありゃ、夢、幻か……いや、俺の慢心が見せたもう一つの結末か……》


942 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:05:14 WAWE5WycO
lw´‐ _‐ノv「きれいな顔してるだろ。ウソみたいだろ。死んでるんだぜ。それで」

( ;Д;)「ドクオさん死んじゃいやっす!!」

《苦しくもなけりゃ、死んでもねぇよ。シュール、プギャー。ありがとな》

(**゚∀゚)「サインもらうまで張り付くからね!!」

《やだな、つーさん、サインくらいならいくらでも書くよ》

ξ;゚ぺ)ξ「か、勘違いしないでよね!私はあなたと対戦できなくなったら困るから……!」

《レイって呼んだら怒るかな……それくらい、相棒だと思ってたんだぜ、ツン。ちゃんと起きるからちょっと待ってくれ》

lw´‐ _‐ノv「あ、どうもはじめまして、柊です。お義父さん!」

《ばーか、なにいってんだ……今度、マジで考えてみるよ》


943 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:06:11 WAWE5WycO
( ´W`)「……」

(;⊃A‐)「ん……むぅ……」

《よしてくれよ、この雰囲気……やべ、泣きそう。誤魔化すか》

(*´W`)「ほらね、宇都宮さん。彼は一人じゃないんです。スーパードックンは──あなたの息子さんは強いんですよ」

(  W )(そうか)

( A`)「あー、もう……疲れてんのに、うるせぇな……」

( ´W`)(徳雄は……俺の息子は)

《感謝してるよ、みんな支えてくれて》

(**-@∀@)「優勝はスーパードックンです!!」

(*^ー^)「今のお気持ちをどうぞ!」

( ´W`)(こんなにも、たくさんの仲間と出会っていたんだな)
(-A-)「いいぜ……俺があんたらにクイズを教えてやったんだ」

《ッ…泣くな、俺。教えてもらったんだから、仲間に》

('A`)「このスーパードックンがな!」


944 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:06:50 WAWE5WycO
( ∀ )《他人の気持ちを考えるってな》

スーパードックンのようです
NGシーン 総集編 おわり


945 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:21:47 WAWE5WycO
スーパードックンのようです
NGシーン

このNGシーンだけでもう一つスレ立てする必要があるので、自重しました

〜〜〜

第172話 共鳴する深淵──キミに会うために

(-A-)「いいぜ……俺があんたらにクイズを教えてやったんだ」

('A`)「このスーパードックンがな!」

 空間が割れる。その表現が間違っていないことを、ドクオ・ルシアントは実感した。

 瞬いていた星空は、漆黒の布に覆われたかのように深く、一面を闇へと変えさせ、隙間を縫う様に奔る亀裂が、臙脂(えんじ)色の鈍い輝きを放ち大地を照らしている。

 宛ら、それは噴火する火山のようにおどろおどろしく、世界の不安定さを物語っていた。

('A`)「ようやくきやがったな……歯車王」

|::━◎┥「待ちわびた……待ちわびたぞ、この刻を。全てのロールを終えた者達が集うこの刻を──!」


946 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:22:37 WAWE5WycO
 気づけば、周囲にいたはずの大勢の観客は誰一人として存在していなかった。

 椅子に座っていたはずの姿形はおろか、残り香すら感じさせないそれは、この空間が平行世界であることを再認識させると同時に、ドクオにとって本来居るべき場所に戻ってきたことを意味する。 
('A`)「なぁにが待ちわびただ、クソ野郎」

 腰に携えた鞘から抜き出したのは、刀。銘を真答──まこと──。真の答え。切っ先を宙に浮くドラム缶の形をした無機物に向ける。
 
(#'A`)「言え。巫女を……クーをどこへやった」


947 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:23:18 WAWE5WycO
|::━◎┥「どうやら全ての記憶を取り戻したわけではないようだな、ルシアント。良いだろう」

 手もなければ足もなく、指すものを持たない歯車王と呼ばれたそれは、中央に蠢く大きな目玉を執拗に動かし、一つの行き先を示した。

('A` )「ヒュージステーション……なるほど、あっちの世界とこっちの世界が混合してできた異物ってわけか」

 見上げた状態で振り向けば、円状になった会場の中心からも伺えるほどに、聳え立つ巨大なビル、ヒュージステーション。

 観客がいなくなったここが、いわば廃墟同然のコロシアムとするならば、目線の先にある建造物はバベルの塔か。人間達の名誉のために作られたその例えを思い、ドクオは苦笑した。


948 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:24:14 WAWE5WycO
('A`)「あんたも三律神の僕ならあんなもんすぐぶっこわせよ、くだらねぇ」

|::━◎┥「そういうな、あれはあれで価値のあるものだ」

(-A-)「人間様バンザーイみたいなもんだぞ?」

|::━◎┥「面白いではないか。滑稽で」

 価値観の相違というには安直なズレを感じた彼は、刀を鞘に戻す。

 向かうは死地。信ずるは共に生きて帰る事。

 目的地を見据え、歩を進めた。


|::━◎┥「頼んだぞ、ドクオ・ルシアント。世界の存在は貴様にかかっている」


 ゆらゆらと浮かび、蜃気楼のように消えていくそれを見ずに、背中越しに手を挙げ合図したドクオは走り出す。

最愛の人を救うために。


949 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:25:06 WAWE5WycO
〜〜〜

('A`)「ちぃーす」

 陽気な挨拶とは裏腹に、開かれた自動ドアを過ごしたドクオの表情は硬い。

 入り口に立った時に見上げたその巨塔は、平和だった世界での高層ビル群を闊歩する際に自ずと感じるそれと変わらなかった。それがより彼を疑心暗鬼にさせる。

(;'A`)「自動ドア、ねぇ」

 少なからず異様な建造物において、機能する扉の意味をドクオは感じていた。

 無人ではなく、管理する者がいると。

 常に気配を感じ取るべく視界に入るもの──否、視界にすら入らない、いわば殺気に注意するが故に、決してその表情が綻ぶことはなかった。

( -∀-)「さて、鬼が出るか、蛇が出るか」

 大広間のエントランスに、六畳ほどの受付。一見してみれば変哲のないビジネスビル。視界を塞がれるような状況でもなければ、極端な温度差もない。


950 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:25:52 WAWE5WycO
 だが、白い床に引き摺るような足音が反響し、その"モノ"達が現れたところでその印象は変貌する。

( ∵)「uhh」( ∴)
 
 人間が発することのできる音でもなければ、獣の唸り声とも違う。

 ゆっくりと、視認できないほど小さな両足が、ズルズルと地を這いこちらに向かってくることを確認した彼は鞘から刀を抜いた。


 それはかつてドクオが死闘の末、打ち破ることのできたビコーズ・ゼアフォーだった。

 天界での宮廷護衛士を優に超えた戦闘能力を誇る異形の存在は、彼がまだ全ての奥義を習得する以前に出会った恐怖の対象。


951 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:26:42 WAWE5WycO
 さりとて、幾多の死線を越え成長した今でこそ、かつてとは違う彼の、膝ほどしかない真っ白な球体は一見して以前と同様に、しかしその数たるや。

( ∵)「uhhhh」( ∵)   ( ∴)「luuuu」( ∴)   

 ( ∴)  ( ∵)「guuuu」( ∴)「luuuu」   

( ∵)「uhhhh」( ∵)   ( ∴)「luuuu」( ∴)   

 ( ∴)  ( ∵)「guuuu」( ∴)「luuuu」   

( ∴)「guuuu」 ( ∵)「gaaaa」( ∵)

( ∴)「guuuu」 ( ∵)「gaaaa」( ∵)

 ──倍。


952 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 06:27:23 WAWE5WycO
('A`)「ひぃ、ふぅ、みぃ……」

( ∵)「g...」( ∴)

 人差し指で丸を数えていくその間にも、押し寄せてくるそれらに対しドクオは。

( ゚A゚)「あーめんどくせぇ!!」

( ∵)「goeeeeee!!!」( ∴)

 指ではなく刀を用いて、増えた数を減らすことを選択した。


953 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 08:06:14 WAWE5WycO
〜〜〜

 抜かれた凶器は球体を串刺し、振り回された刀身が、遠心力によって突き刺さっているそれを吹き飛ばす。

┃ ( ∵)≡≡≡「goeeee!!」


?売ォ:.( )グシャッ.;.


( ゚A゚)「っしゃぁ!!」

 白い液体が零れ落ち、活動を停止していたビコーズは、まだ前方に群がっている集団とぶつかり爆ぜた。

 そんな様子を気にも留めず、なおも前進を止めないゼアフォーが、転がって移動する。

 三つの黒点のうち一つを、まるで口のように開け、ドクオの足に噛みつく。


954 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 08:07:15 WAWE5WycO
(#'A`)「調子にのんな、よっ!」

 寸でのところで、噛みつきが空を切った。後ろにも前にも、横にも移動していない標的である足がどこへいったのか。鋭い歯と歯をかち合わせ、周囲を見渡すそれは頭上から降ろされる踵に気づかない。

( );.・.;「go!!」

(;;'A`)「うひぃ、気持ちわり!」

 踵落としによって、へこんだ球体から飛び散る液体を、片足でバランスをとりながら回避する。だが、その瞬間。

( ∵)「goeeee!!」

( ∴)「golu!!!」

( ∵)「gogagaa!!」

 注意が逸れていた。

 前方に一体、左右から二体のビコーズとゼアフォーが、チャンスだとでもいわんばかりに捨て身の攻防を仕掛ける。にじり寄ってくるはずのそれらが、突如飛び跳ねたのだ。

(゚A`;)「うぉい!?」


955 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 08:08:02 WAWE5WycO
 宙で三体が同時に牙を立て、彼の肉体を貪ろうと襲い掛かる。当然、片足の状態で満足な反応のできないドクオは──

(゚A゚#)「ざけんな!!」

 雑言と共に、地に着いている片足を軸としその場を回る。刀を持った手を水平にしながら。角度を調整して――


   /
;;( / );.「goga!!!」
 /

    ;;――);;「ge!!」


  \
  ..(\);;「g....」
     \


956 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 08:08:40 WAWE5WycO
 踊りのような一回転は見事。

 遠心力に任せた剣圧と剣閃が、それぞれの位置にいる球体を切り裂き、その場にへたり込んだ彼は攻撃を逃れた。

(;'A`)「うわっ、ベタベタだ」

 とはいえ、至近距離での殺傷は当然の如く、裂かれたそれらの、零れる出た液体を受けることとなる。

 付着した体液に怪訝な顔をしたドクオは立ち上がり、さほど減ってはいない敵を見つめた。
 
('A`)「ったく、キリがねぇな……しゃあねぇ」


 抜き身の刀を鞘にしまうことは、降参の意ではない。


 素手で戦おうとするほど、自棄にもなってはいない。
 
('A`)「杉浦流、四大奥義」


957 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 08:09:42 WAWE5WycO
 その真意を理解できないビコーズとゼアフォーたちは、先ほどまで立ち回りを続けていた対象がその場で静止し、自分達を蹂躙していた武器をしまった様子を、好機と認識してしまう。

( ∵) 「go....eeeeeee!!!」( ∴)

 一斉に飛び掛る様は狂気。縦横無尽に襲い掛かる白玉が、ドクオの3メートル先を通過したとき──
 
(-A-)「業火の太刀」


 刃は炎を纏い放たれた。


「goggg

   ggggo

     googo

      eeee

       eogooeee!!!!」


958 : 名も無きAAのようです :2014/05/01(木) 08:09:57 8TrRgcVM0
支援
新スレたててもいいんだよ


959 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 08:10:22 WAWE5WycO
 一瞬にして燃え広がる火が、剣圧により生み出された風と共に吹き飛ばし、その勢いを伸ばす。

 白は黒に、焼け爛れ、燃え尽きる。彼の放った一閃は、鞘から出でる一瞬に摩擦によって発火し、その現象を広範囲にもたらすことのできる奥義。

(*'∀`)「おお、あったかいな。こりゃベトベトも乾くわ」

 安易な発想、されど効果は抜群。ドクオの十八番といっても過言ではないその技は、彼の、まるで鍛え上げたようには見えないほどの細腕と、相棒である真答の為せる必殺技であった。

('A`)「さて……行きますか」

 その惨状はもはや、ビルのエントランスはではなく地獄すら髣髴とさせる。

 赤と黒の残骸を器用に避けながら、彼は設置されている階段を上っていった。


960 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 08:10:58 WAWE5WycO
〜〜〜

 そこもまた、白い床。唯一違うのは、先ほどのような大群ではなく、一体の──正確には一人の男が目の前に鎮座していること。

 ドクオが進んだ先に待ち構えていたのは、旧来の友に他ならない。
 
('A`)「ホライゾン……」

( ‐ω‐)「やっときたかお、ルシアント」

 青い鎧の所々に白の装飾が施され、まるで空を思わせるような、恰幅の良いその出で立ちは、貧相な男の前に立ちふさがった。

 悲憤慷慨の意を込めた双眸で彼をにらみつけるのはかつての仲間。丸まった体は華奢なドクオと対照的に筋肉に覆われて、同じ背格好をしているのに男の方が精悍に思える。


961 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 08:11:52 WAWE5WycO
 ナイト・ホライゾン。

 巫女を守り、巫女を愛し、巫女と共に生きることを誓った彼の二つ名は地平線の騎士。

 背中に携える大剣は、光の剣。実体のない刃を、実感の湧かないドクオに向け、口を開く。
 
( ゚ω゚)「この時を待ちわびたお……正統な騎士、巫女を守る存在としてお前と袂を別ったあの日から、ずっと」

 言外の意図を剣先に乗せ、見えない凶器を見据える獲物は、自身に向けられる殺気とは裏腹に、飄々と答えた。

( -A-)「そりゃ待たせたな。だが、そんなもんどうだっていいだろ、大事なのは前にも言った通り──」

 その一言が戦いの火蓋を落とすとも、過去への決別となることも知ってか知らずか。

(  ω゚)「どうでもいい、だと」


962 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 08:12:40 WAWE5WycO
('A`)「どうでもいいよ。騎士も巫女も。クソ食らえだ」

 二人の間に揺れる、不可視の震動はまやかしではない。ホライゾンの手先は怒りに震え、手品のように蜃気楼を見せる。

( `゛ω')「どこまで……どこまで冒涜すれば気が済むんだお、お前は!!」

 対峙するものならば自ずと感じる、強力な武器の存在をかき消すほどの怒号。並の使い手ならばこの時点で気を失っているであろう音の伝達に対し、元騎士は共鳴するように──

(#-A-)「うっせぇ、頑固者。お前の思想を別に否定するつもりはねぇがな」

('A`)「強要する気なら……俺も俺のやり方を教えてやる。何度でも」

静かに刀を抜いた。
 
 第172話 共鳴する深淵──キミに会うために 完


963 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 08:27:00 WAWE5WycO
―――

( ^ω^)「どうしたお、ルシアント。この剣が怖いかお?」

───

(`A゚)「ぐあっ!!」

───

( ^ω^)「武器は性能だけじゃないお。持ち主との係わりによって強くも弱くもなるお」

('A`;)「……ちっ!」

───

( ‐ω゚)「無駄だお。光の刃はどこにでも現れ、どこからでもお前を貫く。逃げ場はないお」

───


964 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 08:27:51 WAWE5WycO
───

( ゚ω゚)「……な」

(-A-)「お前も言っただろ、武器ってのは性能だけじゃねぇ、相性も大事なんだぜ」

───



('A`)「杉浦流四大奥義」



(-A-)「闘千百鬼」



───


965 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 08:28:39 WAWE5WycO
〜〜〜

ノパ?听)「姉さんのところにはいかせない!!」

o川*゚ー゚)o「そうだよ!私達が守るんだ!」

(;'A`)「ざけんな、そうやって巫女になって……犠牲になって何が守るだ!」

───

(;-A゚)(こいつはやべぇな……)

ノハ#-??-)「姉さんは……姉さんは強いんだぁ!!きっと、巫女の儀式だって成功させる!!」

o川*-ー-)o「またみんなで笑える!その邪魔を──」

(;゚A゚)(ま、マズ)

ノハ#゚?听)「するなぁあぁあああ!!」

o川#゚θ゚)o「しないでぇええ!!」

───


966 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 08:29:20 WAWE5WycO
───

lw´‐ _‐ノv「らしくないな、ドクオ」

(;'A`)「……お、お前」

lw´‐ _‐ノv「こんなところで油を売っている場合じゃないだろう、私の居場所を奪ったんだ」

ノハ;゚―゚)「しゅ」

o川;゚^゚)o「シュー姉……」

───

o川*^ー^)o「邪魔するものは全部消えてもらおう、ねっ、それのほうが簡単でしょ」

ノハ-??-)「そうだな……それが素直ってもんだな」

lw´‐ _‐ノv(本気か……)

o川*゚ぺ)o「悪いけど、シュー姉でも手加減しないよ!」

ノパ?听)「むしろできる余裕なんてないけどな!!」

lw´‐ _‐ノv「……いいだろう、来い。ただし──」

lw´゚ . ゚ノv「泣くなよ、二人とも」

───


967 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 08:30:10 WAWE5WycO
〜〜〜

(´ФωФ)「やっと来たか」

('A`)「ロマネスク……先生」

( ФωФ)「昔から遅刻が多かったが、今回ばかりはきついお灸をすえてやるである」

(;-A-)「なんで、なんであんたまで」

( ФωФ)「……ドクオよ、運命とは……変えられないのである」

(;-A゚)「あんたまで……!」

( ФωФ)「最終試験だ。我輩を越えてみろ」

(#゚A゚)「くそったれぇえええ!!」

第173話

激闘する師弟と姉妹と友達と──抗えない運命

To be continued?


968 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 08:51:48 WAWE5WycO
皆さん、ここまでありがとうございました。

あと40レスを切ってますので、調整のため残りを夜に投下しますね。

>>872 >>873
久しぶりの乙、ありがとうございます。もうすぐ完走です。

>>874
17億あったら彼はどうなっていたのでしょうか。皆さんも宝くじには注意しましょうね。

>>890 >>891
支援ありがとうございます!飛び飛びでごめんね。なんとかゴールが見えてきました。

>>902
まさにそれですね。あと、この総集編ですが、実はホラーです。昔のかまいたち的な。

>>913
本編ってこんなに圧縮できるんだと思いました。この一年なんだったんだ(笑)

>>958
ありがとうございます。このお話の新スレを立てるなら劇場版と銘打ちます。ジャッキーみたいに。

では、ブログの更新も含め、また夜に!


969 : 名も無きAAのようです :2014/05/01(木) 08:54:41 GAtuPhYo0



970 : 名も無きAAのようです :2014/05/01(木) 11:41:22 uNlnz6Oo0



971 : 名も無きAAのようです :2014/05/01(木) 11:46:16 8TrRgcVM0
乙乙
夜が楽しみだ


972 : 名も無きAAのようです :2014/05/01(木) 11:57:25 NNK/p5Qk0
しかし相変わらず描写が細かいな


973 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 23:12:11 WAWE5WycO
スーパードックンのようです
NGシーン 最終話

申し訳程度にいつものNGシーンです。頭空っぽにして見れます。ポプリンって良い語感ですよね。

〜〜〜

【ブロードクロスはイギリスでなんと呼ばれているか】

( 'A`)「ポプリンだ!」

  _
( ゚∀゚)「ずいぶん勉強したようだね」

('A`)「ああ、一年前じゃ答えられなかっただろうよ」

(-A-)(そうさ、勉強したんだ)
(*'A`)(本だけじゃなくて、この目と耳でな!)

〜〜〜

シベリア開催 三ヶ月前

[紳士服屋 大央堂]

/ ゚、。 /(今日も忙しい……しかし……予算まであと10万ほど……)

/ ゚、。 /(この時間、たくさんお求め頂くようなお客さまはこないだろうか)

('A`)「あの……すみません」

/ ゚、。 /「はい、いらっしゃいま――」

/; ゚、。 /(っ!!)


974 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 23:13:10 WAWE5WycO
/ ゚、。 /(ボサボサの髪、黒のスウェットに、黒のジャージ……一見、ジャージのセットアップに見えるそれは、微妙に色が違う。まさか、違う服の組み合わせ……さらに、ダンロップの黒スニーカーは履きこみすぎてつま先に穴が空いている……これは)

/* ゚、。 /(だ、ダサい!!)

(;'A`)「す、すみません」

/ ゚、。 /「えっ、あっ、はい!」

(;'A`)「あの……服について教えて欲しいんですけど」

/* ゚、。 /(これは来た!!このお客様に10万円分買ってもらおう!!)

/ -、。 /(いや、まて……確かに見かけで経済能力をはかることは良いことではない。しかし)

/ ;゚、。 /(どう考えてもセール品しか買ってもらえないのではないだろうか)

('A`)「えっと、スーツ一式とかはこのお店だと……だいたい10万くらいで足りますか?」

/* ゚、。 /(杞憂だったぁ!!)


975 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 23:14:28 WAWE5WycO
/ ゚、。 /(なんというか、申し訳ないが見た感じひきこもりのようなオーラを醸し出しているこのお客様が、まさかそんな予算を持っているとは……あれか、お母さんから貰った駄賃か?)

(;'A`)「あの、店員さん?」

/ ^、。 /「は、はい!それはもう!」

('∀`)「よかった……あんまり服買わないんで、色々教えてもらっていいですかね」

/ ゚、。 /「かしこまりました!本日はどういったものをお探しで?」

('A`)「えっと……近々式典に出ることになったんです。なもんで、こうそれっぽい格好っていうか」

/ ゚、。 /「ほうほう、式典……ということはある程度フォーマルな方が良いですよね」

(;'A`)「えっ……フォーマル……」

/;゚ヽ。 /(しまった、それほどでないにせよ、あまりこういったお客様にはできるだけ専門用語を使うべきではないな)


976 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 23:15:17 WAWE5WycO
/ ゚、。 /「失礼しました。えー、こうカチッとしたような──」

('A`)「フォーマルっていうと、テールコートとかモーニングコート、タキシードにディレクターズスーツとかっすよね。俺の場合どれがいいのかなぁ……」

/ ゚、。 /(えっ……)

( 'A`)「一番正装らしいのは昼だったらモーニングコートで夜はテールコートとタキシードに変えたほうがいいっすよね。でも多分着替える間もないからここはディレクターズスーツが無難かな」

/ 、。 /(このお客様……)

( -A-)「濃紺のジャケットにグレーベストとコール地のライトグレーストライプスラックスをシングルで仕上げるってのが一般的なんすよね」

/*゚、。 /(詳しいじゃないか!)

/*゚〜。 /(人は見かけによらないな……これは、試されているのかもしれない)

/ ゚、。 /(やってやる……!)


977 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 23:16:06 WAWE5WycO
───

('A`)「ブロードシャツは……」

/ ゚、。 /「ポプリンですね?40番手双糸または60番手双糸ですね。こちら、光沢がキレイですよ」

───

('A`)「素材は……ビキューナとか」

/ -、。 /「お客様、ここだけの話、ビキューナはロロピアーナでお求め頂くべきです。もっとも数百万ほどかかりますが──」

───

('A`)「時計は……ブレゲNo.160のマリーアントワネット──」

/ ゚‐。 /「よしんば、数十億ほどかかります」

───

('A`)「靴は……ジョンロブ」

/ ゚、。 /「爪先立ち厳禁ですよ、それは」

───


978 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 23:17:12 WAWE5WycO
(*'∀`)「いやぁ、やっぱりプロの話は参考になるなぁ」

/ ゚、。 /「お客様こそお詳しい。何か特別なお仕事を?」

(;'A`)「い、いえいえ。本で読んだだけですよ」

/;゚、。 /(本で……なんて知識量だ……ファッションモンスターか……というか、偏ってるな……)

('A`)「あ、もうこんな時間だ。それじゃあ──」

/*゚、。 /(おっ、ついに決まったか!さぁどれにす)

('A`)「カーチャンが家で待ってますので帰ります」

/ ゚∇。 /(は!?)


979 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 23:18:04 WAWE5WycO
('A`)「色々とありがとうございました」

/ ∇。 /(……)

/ ^、。 /「いえいえ、こちらも有意義なお話ができました。またぜひお越しくださいね」

('A`)「はい。それじゃ」

/ ゚、。 /「ありがとうございました!」

/ -、。 /(……いいんだ。こうなるってことも想定済みさ)

/ ゚、。 /(でも、気になるなぁ……あれほど色んな意味で造詣が深いお客様は、いったいどんなところでお求めなさるんだろうか……)


980 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/01(木) 23:18:44 WAWE5WycO
〜〜〜

J( 'ー`)し「ドクオー!買って来たわよ!イオンでセール中だったの!」

('A`)「おう、センキュ!」

J(*'ー`)し「ホントはタキシードにしてあげたかったのに、あなたが嫌がるからこれにしたわ!さ、さ!着てみて!」

(*'A`)「おっ、ぴったりだ!」

J( 'ー`)し「Y4ってサイズが一番細いみたいでね、店員さんに選んでもらったわ!上下で1万よ!」

('∀`)「さっすが、やっぱりカーチャンの見立てが一番だね!」

おわり


981 : 名も無きAAのようです :2014/05/01(木) 23:46:31 q8izjNYg0
ワロタ
伸びてたから最初から一気読みした
これ処女作ってスゲーな


982 : 名も無きAAのようです :2014/05/02(金) 00:05:08 l78.5D9g0
終わりか、スーパーオッツン
いつも服装描写が細かいけど、作者さんはそういう仕事してんのかねぇ


983 : 名も無きAAのようです :2014/05/02(金) 00:36:49 bBnXyjVw0
乙乙


984 : 名も無きAAのようです :2014/05/02(金) 01:27:52 9xhvToRA0
ちゃんと完結させてくれた!
うれひい!
乙!


985 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/02(金) 01:28:40 kkcz6.OcO
スーパードックンのようです
NGシーン スタッフロール

エンディングです。携帯の皆さん、ごめんなさい。見にくいです。

〜〜〜

J( 'ー`)し「もう終わりだと思った?はい、どうもカーチャンです!」

J(*'ー`)し「ついに本編も完結しましたね!まさか一年もかかるとは」

J( 'ー`)し「では、完結記念に人物紹介ならぬ、スタッフロールでも流しましょうか!」

J( 'ー`)し「ただ、普通に紹介するのはなんだか面白みにかけるので」

J( 'ー`)し「あえて斜に構えた目線で見ていきましょう!」

J( 'ー`)し「えっ、紹介された人が不快な気分になるんじゃないかって?大丈夫よ、きっと」

J( 'ー`)し「それでは巻きで参ります!」

〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜

内藤文太郎 ( ^ω^)

J( 'ー`)し「ドクオと初めて会うシーンの名刺に内藤ホライゾンって書いてあるけどあれ芸名だから」

J( 'ー`)し「つのだ☆ひろ的なあれだから」

J( 'ー`)し「前回の人物紹介の際に思いっきりホライゾンって書いてあったけど」

J( 'ー`)し「別に間違えたわけじゃないんだからね」

J( 'ー`)し「さて、本題だけど……彼は初登場時からだいたい方針を決めてたわ」

J( 'ー`)し「どうにもこの笑顔が作り笑いに思えてね、いい人とは思えなかったの」

J( 'ー`)し「大手テレビ局のプロデューサーっていうのも、ドクオと対立することも全て決定していたの」

J( 'ー`)し「ただ、立場上ドクオとそこまで絡まないからライバルって感じではないわね」

J( 'ー`)し「どちらかというとヒールっぽいわね」


986 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/02(金) 01:29:44 kkcz6.OcO
盛岡満(´・_ゝ・`)

J( 'ー`)し「内藤さんの女房役……じゃなくて右腕ね。禿げてないわ」

J( 'ー`)し「内藤さんが悪い人としたら、この人は良い人ってイメージね。まぁ、物事の良し悪しなんて主観で変わるものだからどっちもどっちなんだけど。カーチャンはわかる」

J( 'ー`)し「たいしてコーヒーを飲んでいる様子もないのにいきなりデミタスってなかなかにパワハラよね。大丈夫、一日5本以上は飲んでいるから。だからおなかがゆるいのね」

J( 'ー`)し「悪事を暴こうと画策するけど、一枚上手をいかれてしまうNo2って感じ。最後には色々とふっきれて楽しそうだけどね」

J( 'ー`)し「なんといっても、なぜか内藤さんと盛岡さんの組み合わせってしっくりくるのよねぇ……カーチャンだけだと思うけど、これをきっかけに流行らないかしら」

浅井正雄(-@∀@)

J( 'ー`)し「後半になって丸くなった彼は草野仁をイメージしております」

J( 'ー`)し「うん、全然似てないわね。似させようとすらしていないわ」

J( 'ー`)し「ここだけの話、私の夫である白髭の正体か、実は茂良さんが変装しているとかむちゃくちゃなことも考えたんだけど即、却下しました」

J( 'ー`)し「おそらく白髭の正体に関してはだいたい想像がついていた人も多いと思うけど、もし彼がそうだったとしたら、誰も予想できなかったんじゃないかとちょっと後悔してる」

J( 'ー`)し「こう、実は眼鏡をとったら……みたいなね。まぁないわ」

J( 'ー`)し「気がついたら唾を飛ばすって設定もどこかへいってしまったわね」

J( 'ー`)し「この人のおかげでいつのまにか消えている設定っていうものを勉強しました」

椎名凜(*゚ー゚)

J( 'ー`)し「いまいちキャラをつかめない、よくもわるくもサポート的なキャラクターでした」

J( 'ー`)し「アサピーさんが割と情熱的だったので、しぃさんは冷静な、それでいて利己的な感じだったんだけど、どうかしらね」

J( 'ー`)し「暴走する男性陣を止める役割は果たしていたのでまぁよかったんじゃないかしら」

J( 'ー`)し「ん?具体的にどう止めたって?主にアサピーさんとか、アサピーさんとか……」


987 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/02(金) 01:31:17 kkcz6.OcO
杉浦ロマネスク( ФωФ)

J( 'ー`)し「出ました、初登場からかませ犬の杉浦先生!」

J( 'ー`)し「何が全日本クイズ協会副理事なんでしょうね……カーチャン、疑問」

J( 'ー`)し「いやね、本来なら第二部冒頭でこう、高級料亭で偉い人と酒を交わしながらそれっぽい会話が入るはずだったんだけど」

J( 'ー`)し「いまいち高級料亭ってわからないのよね、うん」

J( 'ー`)し「序盤は強キャラの雰囲気を醸し出しながら、終盤につれ、おじいちゃんになっていく様はどこにでもあると思うの。何も悪いことじゃないわ」

素直三姉妹川 ゚ -゚)ノパ?听)o川*゚ー゚)o

J( 'ー`)し「クールさん、ヒートさん、キュートちゃんの三人ね。もうめんどくさくなってきたわけじゃないわ決して」

J( 'ー`)し「クールさんは元々、完璧主義みたいなところがあって、身内のゴタゴタとか許せない性質なのね。だから、執拗にシュールさんを戻してみんなで楽しくやりたかった」

J( 'ー`)し「ところが、色々あったシュールさんは誘いを断っちゃった。これは誘い文句がダメだったのね。業界で揉まれて打算的なところができちゃったのかも」

J( 'ー`)し「ドクオに負けちゃってから、第二部での彼女は本当の意味で素直さを取り戻したのかもしれないわ。最後には普通の女の子に戻ります──って全然普通じゃねぇ」

J( 'ー`)し「ヒートさんもコーチであるギコギコさんのところに戻ってアスリートとして強くなって……あれね。本当にアイドル関係ないわねこれ」

J( 'ー`)し「まぁ枠が余っているからスカウトされたキュートちゃんがグループにいるところからして、そこまでアイドルって存在に固執してはいないってことかしら。どちらかというと、楽しそうだからやってみた。でもなんか違ったからやめた。うーん、ひどい!」

J( 'ー`)し「ま、素直な子達よ。きっと目的が為されたならまたお茶の間を席巻してくれるわ」

諸本友一(´・ω・`)

J( 'ー`)し「ある意味、一番かわいそうな人なのかもしれない」

J( 'ー`)し「十年近く共にしてきた人間との約束を、ようやく果たせるって時にこの仕打ちはさすがに堪えるでしょうね」

J( 'ー`)し「勧善懲悪とまではいかなくとも、因果応報……ではちょっと安直過ぎるわよね」

J( 'ー`)し「でもま、やり手なことに変わりはないわ。司法の決断によっては復活するでしょうね」

山崎渉( ^^)

J( 'ー`)し「この人のことを覚えている人は果たしているのかしら。いたらすごいわ。あなたはスーパードックンね」

J( 'ー`)し「えー、VIPテレビの素直戦後に、本来ならドクオと戦うはずだったインテリ芸人の山崎さん」

J( 'ー`)し「インテリ芸人なのに、ピューピュー言うのね。あれね、小島みたいな感じね」

J( 'ー`)し「ここだけの話、もしジョルジュさんが代わりに出てなかったらただのコメディ回になってたわね、それも醜悪な」

J( 'ー`)し「これからもスーパードックンを応援してくださいね!もう終わったけど!」


988 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/02(金) 01:32:39 kkcz6.OcO
ジョルジュ長岡
  _
( ゚∀゚)

J( 'ー`)し「当初はドクオのライバルってだけだったんだけど、最終的にはこの人が黒幕的な感じになっちゃったわね」

J( 'ー`)し「諸本さんの、ひいてはシベリア賭博を潰すために潜入捜査をしている時にまさか自分の息子と出会うとは考えてもいなかったでしょうね」

J( 'ー`)し「にしたってあのキャラはちょっと気取りすぎたと妻である私は思うの。マジシャンだからさ(笑)」

J( 'ー`)し「それも周りの目を誤魔化すための作戦だとしたら……いったい内調ってなんなんでしょう」

千都 丈次(’e’)

J( 'ー`)し「まさかポッと出のキャラクターまで紹介するとは思わなかったって?」

J( 'ー`)し「残念、スタッフロールとはそういうものよ。うん、これでレスが稼げると思ったけど残りがヤバイ」

J( 'ー`)し「えっと、千都さんはVIPテレビの警備員だったわね。ちなみにあだ名はジョーンズ。特技は叫び声よ」

J( 'ー`)し「カーチャンの濡れ場を期待した人、あいにくとこの作品は全年齢対象です」

斉藤またんき・黒人(・∀ ・)

J( 'ー`)し「よもやNGシーンのキャラクターまで紹介するとは思わな」

J( 'ー`)し「斉藤くんと黒人Aさんね。幼い頃のしぃちゃんをたぶらかそうとしているわ」

J( 'ー`)し「でも、十三歳の女の子に何を期待しているんでしょうね。カーチャンには理解できない」

J( 'ー`)し「世の中にはそういうものに興味のある成人男性もいるのね。勉強になるわ」

J( 'ー`)し「しぃちゃん(十三歳)の濡れ場を期待した人、ちょっとカウンセリングを受けたほうがいいかもしれないわね」

丹生 宗( ^ν^)

J( 'ー`)し「居酒屋『ニュックン』の大将さんね。なぜ彼がNGシーンとはいえ出てきたのかいまいちわからないわ」

J( 'ー`)し「いや、こうよくある主人公と同じ能力を持った敵キャラが出てくるってテコ入れはあるけど……」

J( 'ー`)し「そもそもこの作品で二回以上何かのお店が出てくることってないのにね」

J( 'ー`)し「あ、コンビニは別ね。コンビニは最強だから」


989 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/02(金) 01:33:47 kkcz6.OcO
高岡宗男( l v l)

J( 'ー`)し「下手すると本編よりも反応が高い、みんな大好きムネオさんです」

J( 'ー`)し「本編では第二部序盤で改めてドクオの凄さを演出するために選ばれた何の変哲もないおっさんだったけど」

J( 'ー`)し「今ではすっかり健気なお父さんって感じになったわね」

J( 'ー`)し「一応、断っておくけど世間一般のお父さんはもう少しまともな食事をしています。あくまで世間一般は」

J( 'ー`)し「世の中にはほら、嫁のメシがまずいって話もあるじゃない。味噌汁の色が茶色くならないから絵の具で着色したりとか……」

J( 'ー`)し「豆腐さえ食べてればだいたいなんとかなるって思ったからああいう食事になったのかもね。カーチャン心配」

高岡ハイン从 ゚∀从

J( 'ー`)し「母親の遺伝子を大いに受け継いだハイブリッドよ」

J( 'ー`)し「口は悪いけど学校での成績は中の上、素行もわるくはないわ」

J( 'ー`)し「きっと食育ね。いいもの食べてるからよきっと」

高岡ミセリミセ*゚ー゚)リ

J( 'ー`)し「そうそう、ムネオさんだけど婿養子ってわけじゃないからね。最初から高岡。だから、ミセリさんも高岡。高岡がゲシュタルト崩壊」

J( 'ー`)し「馴れ初めに関しては省略するわ。えっ、一番それが気になるって?あらあらうふふ」

J( 'ー`)し「料理の腕や家事に関してはかなりの能力を持っているの。アルファベットキャラ弁ってすごくない?」

J( 'ー`)し「ただ、彼女の根底にあるのはお金。お金が全て」

J( 'ー`)し「きっと、彼女にも言いようのない過去があったのよ。もちろん省略するけど」


990 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/02(金) 01:46:04 kkcz6.OcO
( ∵)ビコーズ・ゼアフォー(∴ )

J( 'ー`)し「この二人も序盤の演出で終わっちゃったわね」

J( 'ー`)し「NGシーンで出てくる二人は、割と強いのよ。天界の宮廷護衛士10人分ってところかしら」

J( 'ー`)し「うん。もうわけがわからないわね」

J( 'ー`)し「本来なら、彼らに依頼した人物は誰なのか、とか帰りの演出で再登場とか、もっと出番があってもよかったのにね」

J( 'ー`)し「ごぇぇ」

荒巻スカルチノフ/ ,' 3

J( 'ー`)し「こう、物語の風呂敷を広げて困るのはラスボス的な人物をどう処理するかってカーチャン思った」

J( 'ー`)し「然るに、このご老体の最後はまぁあっけなかったわね」

J( 'ー`)し「シベリア委員会会長の荒巻さん。かなりのツワモノ、でも国家権力には勝てなかったわ」

J( 'ー`)し「この人ももっと現場に絡んで悪い人感を出していれば得られるカタルシスも大きかったのに」

J( 'ー`)し「これじゃマスコットじゃない。あ、元々そういうものか」


茂良隆一( ・∀・)

J( 'ー`)し「イケメン枠の茂良さん!きゃー!モララー!」

J( 'ー`)し「最後の最後までこの人の扱いには悩んだわ。なんだかんだ怪しい雰囲気だったけど、蓋をあけると案の定っていうミスリードにもならない結末だったわね」

J( 'ー`)し「敵にしようか、味方にしようか、第三者にしようか……」

J( 'ー`)し「ここだけの話、ホントは第三者的なポジションで、ドクオを応援していたのは単に憧れによるものって設定もあったの」

J( 'ー`)し「彼のポリシーとして幼い頃テレビで見ていた時、もう名前も忘れた富豪が脱税か何かで捕まったって報道があったの」

J( 'ー`)し「その富豪の弱そうな雰囲気に魅了されてね、敵を作らない生き方を学んでここまできた」

J( 'ー`)し「そんな時に敵ばっかり作るドクオがどうにも眩しく見えたんでしょうね、だから応援していた」

J( 'ー`)し「最終的に、名を忘れてしまった富豪について、ドクオに尋ねたら『忘れた』って返されて笑って逮捕されるんだけど……」

J( 'ー`)し「これが採用されなかったのは、実在したその富豪の名前をホントに忘れてしまって、調べるにも調べようがなかったからなのね」

J( 'ー`)し「ワイド○クランブルの夕○キャッチUPを担当していた佐○木さん、この作品を見ていたら教えてください。もう十年以上前ですが」


991 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/02(金) 01:47:38 kkcz6.OcO
関ヶ原デルタ( "ゞ)

J( 'ー`)し「キラキラネームのバーテンダーさん。バー『プラス』のマスターね」

J( 'ー`)し「私はお酒が好きだから、せめてもう少し内藤さんと盛岡さんには居座って欲しかったわ」

J( 'ー`)し「だいたいマティーニ一杯で寝ちゃうってどんだけ酒弱いのよ、全く」

J( 'ー`)し「カーチャンなんてもっと飲むわ!飲んで飲んで……」

J( 'ー`)し「……飲まれて……飲んで」

津雲レイξ゚?听)ξ

J( 'ー`)し「意外と活躍したゲーマー、ツンちゃんです!」

J( 'ー`)し「あんまり凄いイメージないかもしれないけど、けっこう凄いのよ」

J( 'ー`)し「具体的にはゲーセンのシューティングゲームはワンコインクリア当たり前、太鼓の達人なんてもう何回遊べるドンかわからないわ!」

J( 'ー`)し「……ごめんね、カーチャンゲーセン行かないから詳しくわからないのごめんね」

J( 'ー`)し「えーっと、元々ヤンキーでケンカもしていたみたい」

J( 'ー`)し「だからドクオを殴るときとかみぞおちを的確に狙ってるわ」

J( 'ー`)し「ゲーセンで鍛えた腕力って、素敵じゃない?」

伊予 左近(=゚ω゚)

J( 'ー`)し「ツンちゃんのパトロンでイヨコンの社長さん」

J( 'ー`)し「初登場時の小物っぷりがいつのまにかそれなりのポジションになったのは主にツンちゃんのおかげね」

J( 'ー`)し「初めてのシベリア賭博で初めての捜査が入って、追い詰められるちょっとかわいそうな役どころ」

J( 'ー`)し「きっと、改心していいゲームを作ってくれるでしょう。こう、裁判がメインのゲームとか、主人公が竜に変身するRPGとか」

J( 'ー`)し「カーチャンは日本のゲームを応援します」

コッチミルナ( ゚д゚ )

J( 'ー`)し「こっちみんな」


992 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/02(金) 01:49:01 kkcz6.OcO
シャキン(`・ω・´)

J( 'ー`)し「ミルナメイクライの主人公ね。銃と剣を使って戦うわ」

J( 'ー`)し「お寿司と八橋が好きな親日家って設定ね」

J( 'ー`)し「若い頃の茂良さんがプレイしてハマったらしいけど、面白いのかしら」

J( 'ー`)し「私もやってみたいわ」

クルー川 ゚ 々゚)

J( 'ー`)し「これ、クルーって名前じゃなくて一つの班のスタッフって意味だから」

J( 'ー`)し「別に狂ってるわけじゃないのよ。最終的には狂うけど」

J( 'ー`)し「いあいあ!」

山田新子(゜д゜@

J( 'ー`)し「本編中には一言もセリフを発していないキャラクターね」

J( 'ー`)し「正直、カーチャンも存在を忘れていたわ」

J( 'ー`)し「もし予選で落ちてなかったらドクオと戦ってたかもしれないわね」

J( 'ー`)し「きっと、持ち前の女子力を使って接戦になっていたわ!」

J( 'ー`)し「そして息子のピンチを華麗に救うカーチャンが活躍……」

J( 'ー`)し「あらやだ。うふふ」

素直柊lw´‐ _‐ノv

J( 'ー`)し「この子も意外と人気があるように思うわ、ストーリーブレイカーのシュールちゃん」

J( 'ー`)し「まぁ元々人気だからね、カーチャンには敵わないけど」

J( 'ー`)し「シュール戦のぶっこみはさすがに予想外って感じね」

J( 'ー`)し「その分、どうするのよこれって悩んだけどね」

J( 'ー`)し「そもそも第一部でなんとなく出した感じだったけど、なまじ出した分第二部に出さないとって義務に駆られて……こういう破天荒なキャラは難しいわね」


993 : 名も無きAAのようです :2014/05/02(金) 01:49:23 aX1ehfIo0
こんな時間になにやってんだ……


994 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/02(金) 01:50:29 kkcz6.OcO
シーン( ・−・ )

J( 'ー`)し「一応、外国人って設定ね。日本語ぺらぺらだけど」

J( 'ー`)し「顔と相まって淡々と業務を進めるスペシャリスト(売店店員)よ」

J( 'ー`)し「あの顔で凄まれたらどんな人物だろうと従うしかないわ」

J( 'ー`)し「まぁあれ夢だから」

クックル( ゚∋゚)

J( 'ー`)し「スキンヘッドの強盗ね。正直、ムネオさんの言動にかなり驚いていたわ」

J( 'ー`)し「銃を片手に厳つい図体だけど心は優しいのよ」

J( 'ー`)し「ただ、彼の生い立ちは悲しくてね。病気を患う3人の弟がお腹をすかせて泣いている」

J( 'ー`)し「自分のこの体を使って働くも、優しい性根が裏目に出ていつも損ばかり」

J( 'ー`)し「結局、彼ができるのはこうやって観光客からお金を奪うしかなかった」

J( 'ー`)し「だから、彼の事を一方的に責めちゃダメ。もちろん、ハインちゃんを傷つけるつもりなんてなかったのよ」

J( 'ー`)し「まぁ、あれ夢だから」

時羽ヘリカル*(‘‘)*

J( 'ー`)し「時の羽と書いて『じば』……磁場ね」

J( 'ー`)し「0話で出演している小学生なんだけど、この子もねぇ……」

J( 'ー`)し「せめて最後にテレビのワンシーンで活躍していることを匂わしたりとかあってもよかったんじゃないかしら」

J( 'ー`)し「とはいえあくまで0話。誰も覚えてないわ」

小林利瑠子リ´−´ル

J( 'ー`)し「ヘリカルちゃんの先生ね。語感がいいから小林さん」

J( 'ー`)し「さすがに何も知らない状況で成人男性と女子小学生が砂場に居たらあの言動も否定はできないわ」

J( 'ー`)し「世知辛い世の中になったわねぇ……」


995 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/02(金) 01:51:34 kkcz6.OcO
ダディクール|(●),  、(●)、|

J( 'ー`)し「コードネームね。荒巻さんが雇った警備員」

J( 'ー`)し「その威圧的な風貌が、警備員としての役割をしっかりと果たしているわ」

J( 'ー`)し「もし戦闘になっていたらどうなっていたのかしら」

渡辺英香从'ー'从

J( 'ー`)し「白衣の天使、渡辺さん」

J( 'ー`)し「本編では天然っぷりを発揮して終わったけど、NGシーンでは悪女っぷりを発揮していたわね」

J( 'ー`)し「私やミセリさんからすれば、まだまだおこちゃまね。もっとがんばらないと」

J( 'ー`)し「コペルニクス的転回について詳しいわ。そういえばドクオが言ってたけどコペルニクスの『天球の回転について』って初版本は150万ドルするらしいわよ。ドクオってばミーハーね」

ペニサス伊藤('、`*川

J( 'ー`)し「こう、一見するとあんまり可愛くないんだけど、もう一回見ると可愛い、で、三回目には目が離せなくなるって人、いるじゃない」

J( 'ー`)し「そんな魅惑の女性、ペニサスさんです」

J( 'ー`)し「まぁうちの旦那を様づけで呼んだり、追い掛け回したりとちょっとズレた人ね」

J( 'ー`)し「私の夫をとろうなんざ10年早いわ。なんてね」

フォックス爪'ー`)

J( 'ー`)し「世界的大企業ラウンジクオリティで勤務しているエリートビジネスマン」

J( 'ー`)し「どの辺りがエリートなのかはともかく、良いところがなにもなかった不遇な人ね」

J( 'ー`)し「スーツの着こなしは正直、好きね。若さ溢れる感じ」

J( 'ー`)し「ただ、本当に不遇な彼はエピローグで名前すら出なかったという実績を持っている」

J( 'ー`)し「これは次回作で活躍するんだろうかしら。次回作ってなに」

都村トソン(゚、゚トソン

J( 'ー`)し「また人気のキャラをこんなちょい役に使う辺りむちゃくちゃね」

J( 'ー`)し「ラウンジクオリティの受付譲よ。聡明だけど、頑固ね」

J( 'ー`)し「あのフォックスさんの実力を見抜けなかったんだから、それまでね」


996 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/02(金) 01:52:17 kkcz6.OcO
珍穂幸二(*‘ω‘ *)

J( 'ー`)し「ちんほさんね。ちんぽじゃないわ、セクハラよ」

J( 'ー`)し「ラウンジクオリティの部長さん。超偉い」

J( 'ー`)し「若いときは苦労なさったんでしょうね。まぁその名前があったからこそここまで上り詰めたんじゃないかしら」

J( 'ー`)し「少なくとも、人の記憶には残りやすい方よ」

ハローサン ハハ ロ -ロ)ハ

J( 'ー`)し「ちょこちょこ笑いを入れてくる片言外国人ね」

J( 'ー`)し「おいしいポジションばかり狙ってくるいけ好かない女よ」

J( 'ー`)し「キィー!!」

ギコギコ(,,゚Д゚)

J( 'ー`)し「超人スポーツマン」

J( 'ー`)し「この辺りから、いやすでにインフレが始まっているわ」

J( 'ー`)し「作中で唯一ドクオが正攻法で負けた相手よ。そして案外デレるのが早かったわ。猫みたい」

ビロード・W・イデス( ><)

J( 'ー`)し「わかんないが口癖のビロードくん」

J( 'ー`)し「明らかにバカじゃないのかって印象だけど賢いのよ」

モナー・ベネット( ´∀`)

J( 'ー`)し「もちろんです、プロですから」

白根洋一( ´ー`)

J( 'ー`)し「イヨコンの社員ね」

J( 'ー`)し「シラネーヨって言わせたいだけみたいなところがあったわね」

J( 'ー`)し「いや、ホントはドンハンカネドブが言わせたかっただけね」


997 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/02(金) 02:24:45 kkcz6.OcO
鈴木 薫/ ゚、。 /

J( 'ー`)し「紳士服、大王堂の店長さんね」

J( 'ー`)し「性別はご想像にお任せするわ」

J( 'ー`)し「でも、ほんと……だしだしって言ってほしくなるごめんね、カーチャン疲れてきたみたいごめんね」

小森ひかる(-_-)

J( 'ー`)し「ある意味ポッと出よねぇ……色々と無理がある」

J( 'ー`)し「実はビロードさんが指摘したテロリストの可能性ってあながち的外れじゃないのよ」

J( 'ー`)し「小森ひかるは伝説を残したかったがために、混乱する決勝戦で爆弾の宣言をする」

J( 'ー`)し「最後の戦いを終えたドクオとジョルジュは、既に逃げ果せた人々とは違い、二人で爆弾の解体をする」

J( 'ー`)し「で、最終的には爆弾処理に成功して、ライバルであり父親の彼と一緒に帰還するって話だったんだけど」

J( 'ー`)し「まぁあんまりにも荒唐無稽な……いや、本編も大概、荒唐無稽だけど結末だったのでおじゃんになりました」

J( 'ー`)し「でも、こうライバル的な人と共闘するって燃えない?クレイとレッカみたいな……ごめんね、カーチャンうろ覚えでごめんね」

宇都宮デレζ(゚ー゚*ζ

J( 'ー`)し「はい、本作品のヒロインことカーチャンです。いい加減巻くわね」

J( 'ー`)し「えー、私を一言で言うと……立てば芍薬、座れば牡丹、歩くなら揺れる虞美人草かしら?」

J( 'ー`)し「これ『ぐびじんそう』って読むのね。コクリコ……ひなげしみたい。ちょっとまって、カーチャンの知恵袋を見せるわ」

J( 'ー`)し「なんか偉い武将二人が最期の戦いのとき、うち一人の愛する女の人と一緒に敵の大軍にまわりを包囲された。で、お別れの宴を開いてから最後の出撃をして、愛する人も自害しちゃったんだけど、その彼女のお墓にヒナゲシのきれいな花が咲いたの。だからみんなはこの花を「虞美人草(ぐびじんそう)」と呼んだの」

J( 'ー`)し「うん、勉強になったわ!」


998 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/02(金) 02:25:38 kkcz6.OcO
宇都宮マナブ( ´W`)

J( 'ー`)し「今作のキーパーソンにして、最大のポッと出をかました私の旦那ね」

J( 'ー`)し「ちょこちょこ会話とかに出現するけど、いまいち凄さがわからないのにみんなこの人は凄い的な状態になってる」

J( 'ー`)し「手前味噌だけど、本当に凄い人なのよ。あらゆる事件を解決したりとか!」

J( 'ー`)し「まぁカーチャンも具体的にどんなことしてるのか知らないんだけどね」

J( 'ー`)し「本当なら回想シーンとかでその片鱗を見せ付けてくれるはずだったんだけどね……」

J( 'ー`)し「せめて、ドクオとのキャッチボールシーンとか、あってもよかったんじゃない?あるいは黒田コウサク的な……」

宇都宮ドクオ('A`)

J( 'ー`)し「さぁ、ご存知我らが主人公!チートすぎるスーパードックンです!」

J( 'ー`)し「前半から終わりに連れてどんどん人間離れしていく彼の成長はいかがだったかしら?」

J( 'ー`)し「ギコギコさんとの試合なんか人間の反応スピードを超越してたわね。我が息子ながらやばい」

J( 'ー`)し「さて、最後くらい真面目にするわ」

J( 'ー`)し「えっと、そもそもスーパードックンって芸名は内藤さんが時間ないから適当につけたの」

J( 'ー`)し「最初は本人も嫌がってたけど、今じゃ鏡の前で決めポーズを取るほどに気に入ってるわ」

J( 'ー`)し「ただ、唯一心残りなのは……」

J( 'ー`)し「つーちゃん以外、スパドクって呼んでくれない事みたい」

J( 'ー`)し「……」

J( 'ー`)し「……えっ、終わりよ?だって息子のことだもん。あんまり紹介しちゃ親バカになっちゃうわ」

J( 'ー`)し「ホントならクソババアとか言ってジャンプ買いにいかせたりとかしそうな感じだけど、全然。反抗期もこないで育った優しい心の、自慢の息子。よろしくね」


999 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/02(金) 02:38:52 kkcz6.OcO
〜〜〜

J(*'ー`)し「ふぅ、カーチャンがんばった!みんな褒めて!」

(゚A゚;)「か、カーチャン!!」

J( 'ー`)し「あら、ドクオ。どうしたの?」

(゚A゚;)σ「外!外!!」

J( 'ー`)し「ん?」

( ^ω^)ザケンナオ ( ^Д^)ドクオサーン (*゚∀゚)スパドクー (*゚ー゚)メンド ノパ?听)ウオォ (´・ω・`)ナガカッタ・・・从 ゚∀从カネ ミセ*゚ー゚)リ ヨコセ( ^^)ピュー(・∀ ・)ロリコン(’e’)ウワァ( ^ν^)ケッ ( l v l) ミセリーハインー / ゚、。 / ダシダシ ( ´W`)オイ ワガヤハ ドウナッテル (-_-) カエリタイ ( ∵) ゴェ (∴ )/ ,' 3 ダツゴク( ・∀・)ドクオクーン ( "ゞ) ギムレットニハ マダハヤイξ゚?听)ξ ア メイクガ (=゚ω゚) イョウ ( ゚д゚ ) ササッ (`・ω・´)ジャックポット川 ゚ 々゚)クトゥンユフゥ(゜д゜@アラヤダ lw´‐ _‐ノvソウシュウヘンノ サイゴモ カッコヲタテヨミ( ・−・ )ミブンショウメイ( ゚∋゚)オトウト タスケル*(‘‘)* ラララー リ´−´ル ジアンジアン|(●),  、(●)、|テッペキ从'ー'从 コペルニクス('、`*川 ジョルジュサマー 爪'ー`)ビジネス(゚、゚トソン ブチョウー(*‘ω‘ *)ポッポハハ ロ -ロ)ハ クスクス(,,゚Д゚)ゴラァ( ><)ワカンナイデス( ´∀`)ヤロウブッコロシ( ´ー`)シラネーヨ


J(;'ー`)し「あ……あら、あら……」

(;A;)「どうすんだよあれ!!無言だよ!殺されちまうよ!」

J( 'ー`)し「うふふ……どうしよ」

<('A`<)::ドンドン!┃;;ギギギ;;「うわっ、やべっ、もうドアが持たない!!」

J( 'ー`)し「……」

('A` )「カーチャン!!」


 \
J(/ー`)し            ( / 
/ く  

「スーパードックンのようです NGシーンおわり!!解散!!」



(゚A゚#)「か、クソババア!!!!」

スーパードックンのようです

おわり


1000 : ◆8UONaKUB6Y :2014/05/02(金) 02:54:33 kkcz6.OcO
がんばった!

三時だ……ホント、私は何をしているんでしょうか。最後の最後でカーチャンも肉体が分離してしまいましたし。

中途半端にレスを残したくないという、妙な所にこだわりを持つからこんなことに……でも遅くまで見て頂いた方に感謝です。

まとめを完成させれば、いよいよスーパードックンのようですも終わりとなります。

ここまで来れたのはコメントがあったからです。本当にありがとうございました。

また次の作品を見ることがあれば、予告より遅れるだろうが完結はするだろうってな具合にお付き合いください。

それでは、おやすみなさい。


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