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品質を重視、納期も厳守、信用第一は当社の方針です
1空木店:2013/04/26(金) 05:46:20 ID:WFeXxQWI0
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2名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 21:51:43 ID:ZUEuE12c0


「品質を重視、納期も厳守、信用第一は当社の方針です」

 ばかじゃねえのか、と思いながらそのうたい文句を眺める。
 入社したときからロッカールームに貼り付けられたままの月間目標は、既に月間なんて言葉が通用しない年季を帯びて平べったく塗装のはがれた壁にたたきつけられている。
 饐えたような臭いと印象が混じりきったそれを見るたびに脳の芯がじっとりと後ろ暗い冷静さで冷えていく。

 僕の仕事と来たらクソったれに月給だけは一丁前で、去年の僕はその一丁前の月給にすっかり惑わされてうっかり入社してしまった洟垂れ坊主だった。
 仕事の内容は至極簡単。
 一週間のうち五日程きっちり九時に出社。
 ロッカールームで着替えて支給されたバットをからから引きずって事務所に向い、本日の依頼人と依頼内容を話半分に確認する。
 ナビゲーターの都村さんを口説こうとしてこっ酷くあしらわれている間にその作業を終えればあとは言われたとおりに街へ繰り出して、
支給品のバットをからから引きずって依頼人の元に向かう。
 あとは適当に仕事を済ませて、それを二、三繰り返せば日は暮れてしまって、そうなれば自由解散だ。銘々に家に帰るなり酒場へ向かうなりすればいい。
 つまり品質も無ければ納期も無い、信用は第一かもしれないが現場の人間は支給されたバットをからから引きずるばかりでそんなものを気にするはずが無い。ロッカールームの月間目標は誰に向けての目標なのかというのは僕とギコの間で三ヶ月に一回ほどぼんやり話題に上ってはどうでも良いと受け流されるほどに重要な謎になっていた。

(,,゚Д゚)「この会社が入る前に入ってた会社の月間目標じゃないのか」

( ・∀・)「そういうのってフツー会社がなくなる前に捨てるんじゃねぇ?」

(,,゚Д゚)「しらねぇよ」

( ・∀・)「お前がぶったてた仮説だろうが。責任持てよ」

(,,゚Д゚)「俺は嫁さんが孕んだ時にしか責任は持たないようにしてんだ」

( ・∀・)「無駄に男らしいなお前」

3名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 21:55:40 ID:ZUEuE12c0

 同僚の一人のギコはあつらえたように支給品のバットが似合う男だった。
 その似合いようときたら人を褒める才覚なんて一切持っていないはずの僕が何度も褒め称えてしまいたくなるほどである。
 先日我慢出来なくなってそう褒めてやるとあからさまに嫌そうな顔をされた。なのでそれ以来ことあるごとに嫌がらせとしてバットの似合いようを褒めてやることにしている。言い換えれば、僕の賞賛欲と嫌がらせ欲を同時に満たせる稀有な男がこの同僚なのである。
 アルミロッカーを叩き潰さん勢いで閉めたギコが、やたらめったらと様になる仕草でバットを肩に担ぐ。
 木製のそいつのグリップは摩擦と手垢でつるつるに磨耗していて、僕のロッカーの中でうらぶれているバットも似たような様子だ。この仕事の相棒ともいえるこのバットは年に一度会社より支給される。らしい。というのも僕は入社一年目なのでこの相棒が初代にして一番の親友なのだ。
 愛着もクソも一編たりともわかないが、そう考えるとバイクの後ろに乗りながら道端に林立する街頭に向かってバットを突き出して振動を楽しむ遊びは控えてやっても良いかなという気持ちになってくるから不思議だ。
 そんなそれぞれの相棒を携えた僕とギコはどちらとも無くロッカールームから出て事務所に向かう。

(゚、゚トソン「おはようございます、ギコさん、モララーさん」

(,,゚Д゚)「オハヨーゴザイマス」

( ・∀・)「おはよーございます都村さん。今日もお綺麗ですね!」

(゚、゚トソン「ありがとうございます、モララーさんに置かれましては今日も反吐のような顔をしてらっしゃいますね」

( ・∀・)「あれ、朝吐いたのがついてましたか? おっかしいなぁ、ちゃんと都村さんの顔を見る前に吐きつくそうと思って頑張ってきたんですが」

(,,゚Д゚)「……都村サン、仕事」

(゚、゚トソン「ギコさんの分はあれです。モララーさんの分はこちらに」

( ・∀・)「わあ! エコヒイキだなんて嬉しいですこのアバズレ!」

4名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 22:02:23 ID:c9vWFLzM0
いいぞ
支援

5名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 22:03:22 ID:ZUEuE12c0

 都村さんの手から撒かれた書類を拾って都村さんの足に踏みにじられた書類を奪い取って気休めに汚れを払う。靴痕がぎっちりと付いて依頼人の名前が読み取り不可能になっていたが、向かう場所が分かればそれで構わないので事務机に座って足を組みこちらを見下すビッチは無視することにする。

(,,゚Д゚)「あ、裏通り」

( ・∀・)「あ、いいなー。俺なんか表通りばっかり任されるんだけど」

 すこしはなれたところにある棚から自分の書類を取り出して捲っていたギコの肩口を覗き込む。
 呟きどおり、捲られていく書類にはどれも一般に裏通りと呼ばれるストリートの住所が載っている。
 野球をするわけでもないのに支給品がバットと言われて察せられるとおり、僕らの仕事は傍目にそこまで平和的なものではない。違法というわけでは無いが国家権力に見られればそこそこ説明に時間を食われるのだ。
 なので人通りの多い表通りと汚濁の見える慣れ親しんだ裏通り、どちらのほうがやりやすいかなんて考えなくても後者に決まっている。

( ・∀・)「どういうことなのかなーこの偏りよう!」

(゚、゚トソン「一ナビゲーターの私が仕事の振り分けになんて関われる訳がないでしょう、聞かれても困ります」

( ・∀・)「その割には良い笑顔ですよねー都村さん! そんな笑顔も素敵ですよ! 虫唾が走るぜ!」

(゚、゚トソン「奇遇ですね、私もモララーさんの顔を見ていると虫唾とやらが大爆走するんです。私たち運命の糸で結ばれてるんですかね」

( ・∀・)「死んだ方がましですね!」

(゚、゚トソン「全くです」

6名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 22:14:48 ID:ZUEuE12c0

 したり顔で頷いてみせる都村さん。一ナビゲーターが態々仕事の振り分けを操作するために部長に取り入っているという噂について世間話でも吹っかけてやろうかと思ったけれど、そうこうしているうちにも時間は過ぎる。日没になったら仕事が終わるということは、日没までには全ての仕事を終わらせなくてはならないということだ。
 ギコはもうとっくに都村さんに出されたお茶――僕には出されていない――を飲み終え、立ち上がっている。

(,,゚Д゚)「じゃ、行って来ますんで」

(゚、゚トソン「ええ、お気をつけて」

( ・∀・)「都村さん、この仕事が終わったら一杯行きましょう。良い便所水を出すお店知ってるんです」

(゚、゚トソン「お一人でお楽しみになった後に臓腑が腐ってお亡くなりになっていただければと思います」



 仕事に向かう途中では寄り道してもいい。商売女を引っ掛けて一発ブチかましてからイカくさい手でバットを握る同僚だって居る。
 けれど僕は生来割合に真面目な性分で、ぐだぐだと長引かせて日没前に焦るくらいなら正午に成る前に全部を終わらせて夕暮れ時に清々と酒場に向かってしまいたいのだ。そんな訳で今日も小走りで街を行く。
 僕らの制服は何処にでもあるようなねずみ色の作業着だ。洗い換えは一枚支給されている。
 それからついでに制服に合わせるキャップも支給されていて、無駄に極彩色な黄色のそれは一つきりしか支給されていないので使っていない人の方が多いように見える。なんにせよ顔の印象をぼかせればそれで事足りるのだ。たとえ社内独自の研究で黄色の帽子が最も印象を帽子にずらし、その下にある顔の印象を忘れさせるという結果が出されていたからといって、じゃあピンクの帽子ではいけないのかと聞かれたらきっと研究者も首を傾げるに違いない。
 じゃあお前は帽子を被らないのかと聞かれると、やっぱり真面目な性分なのでご丁寧に似たような帽子を二つ用意して毎日入れ替えた誓え被っている。

(,,゚Д゚)「頑張ってこいよ」

( ・∀・)「お前もな」

7名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 22:33:10 ID:ZUEuE12c0

 からからとバットを引きずりながら裏通りの奥へと歩いていくギコの背中を見送る。その手の中にあるのが当然と主張するようにバットは鈍く裏通りの影を吸い込んでいた。
 会社から表通りに向かうにはちょっと面倒くさい道を行かなくてはならない。僕らのような一般層の人間は足を踏み入れることも内部の空気を吸うことも出来ない建造物群が表通りと裏通りの間に林立しているからだ。それを避けるようにして迂回していく道と、長い階段を降りてその下をくぐっていく道とどちらかを選択しなくてはならない。
 頭の悪い街のつくりだと思う。どっかに纏めておけばいいものを、そんな建造物群を街のあちこちにぽんぽんとまるで子供が投げたダーツの矢のその下に建造しましたとでもいうように作るもんだから街の交通は意味が分からない。迂回路か階段かと分かれ道の目の前で相棒を立てて手を放してみる。
 からんと木製バットは迂回路のほうより斜め十五度の角度で倒れ伏した。だから迂回路に向かおうとしたのだけれど、バットに進路を決められるなんてと無性にむかついたので階段のほうに足を向けた。がん、と足元でバットが抗議の声を上げたような気がしたけれど、何のことは無い、僕が一発地面に打ち付けただけの話だ。

 階段の下はちょっとした地下街になっている。
 だからといってそこは分別されるなら裏通りの区分だ。そのまま表現するなら汚濁。贔屓目に表現するなら雑多。
 顔なじみの浮浪者にバットを振り振り、何の肉だか知れないような肉焼きの屋台やらガラクタの出店を冷やかすことも無く歩いていく。鼻を突くのは反吐の臭いだ。裏通りはいつもクソッたれなほどの喧騒に溢れている。社会に捨てられたと言われたここの住人は、ならばお互いのことだけは捨てまいと汚い手を握り合って生きている。
 僕なんて知り合いの知り合いの知り合いで裏通りの住人が全員網羅される。この仕事をしていると無駄に顔が広くなるのだ。

('A`)「ヘイモララー、」

( ・∀・)「あんだ下種」

 このドクオもその広くて皮の厚い顔のうちに包容される一人だったりするので、この顔の風呂敷もそろそろたたみたいところだったりする。

('A`)「また表通りに行くの?」

( ・∀・)「そうだよ下種。あの事務職お前の親戚かなんかなんじゃねぇのってぐらい性格悪いぜ」

('A`)「ざまぁ」

( ・∀・)「その残念な顔綺麗に整形しなおしてやろうか」

8名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 22:35:42 ID:V7tszTHM0
これは出来るのっとりだ
支援

9名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 22:37:19 ID:9RcGXI4s0
知らないのか?
創作の乗っ取りは皆優秀なんだ

10名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 22:51:07 ID:ZUEuE12c0

 人込みの中でそっとバットをドクオの腹に突きつけてみた。
 顔面弱者はなんでもないような顔をして俺に親戚はいないとそのバットを叩き落す。

( ・∀・)「で、なんだよ下種。見れば分かるだろ、俺仕事中」

('A`)「表通りに行くんだろ」

( ・∀・)「だから何度言わせんだよ、仕事だって。お前は俺の彼女か。用件言えピスフェイス」

('A`)「表通り、今あわただしいからさ」

( ・∀・)「あんなとこ常にあわただしいだろ」

('A`)「ケーサツに気付けろよ、モララー」

( ・∀・)「何だ、お前俺の彼女じゃなくてカーチャンだったの? 下種が母親とかもう俺生きる展望ねぇよ。死んでくれ」

('A`)「お母さんあんたをそんなふうに育てた覚えはありません」

 常日頃の能面のような残念な顔を少しだけ翳らせてそんなことを言うので、そのひょろ長い足にローキックを一つぶっこんでおいた。
 べしゃりと地面に崩れ落ちるドクオの顔を覗き込む。潰れた黒い瞳に映った低い地下街の天井と黄色い電灯。
 汚い手を取り合って垢まみれの身を寄せ合っている裏通りの人間ではあるけれど、その本質はクズの集まりだ。誰がどう喧嘩をしていても基本的には通り過ぎる。通り過ぎなければ僕の肩に手を置いて「よくやってくれた」と言ったりする。確かドクオに賭けで負けて下着一丁まで剥かれていた盛岡とかいう奴だったか。ショボクレた顔の中年男性の片足にもローキックをぶっこんでおく。

( ・∀・)「言われなくても分かってるよ下種が」

('A`)「それなら宜しい」

( ・∀・)「あとさわんなクズ」

(´・_ゝ・`)「クソガキが」

11名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:06:41 ID:ZUEuE12c0

 びっこをひきながらドクオを引き起こしたのを見てから表通りへ向かう角を曲がる。つめたい空気が頬を撫でた。表通りの匂いだ。汚らしい色合いだった壁が目に優しすぎる淡いピンク色に染まり出す。本来の意味ならばピンク色が汚濁に染まっていた、なのだろう。裏通り側の人間からすればその薄いピンクこそが侵食の色だ。淡すぎて色を探し出すのが目に辛い。
 剥きだしだったバルブがコンクリートに埋もれて、傷まるけだった表面は滑らかになめされて、平均化されていく。
 裏通りはクソッたれのクズの集まりだが、裏通りはそれとは丸反対に平坦でスバらしい。例えばそれをうらんで国家の転覆を望むようなカスも裏通りには居るけれど、僕個人の見方からいえばよくやることでと拍手の一つでも贈りたい。
 表通りには触れたくない。裏通りの人間の大まかな総意はそれで要約される。
 綺麗なものに汚い手で触りたくない。見たくない。前に立ちたくも無い。それは遠まわしに僕たちに死ね消え去れと存在で柔らかに叩きつける。それに耐えられなかったから僕らは社会に捨てられて、この手はすっかりどろどろでバットを握っている。

从'ー'从『こんにちは、おはようございます、こんばんは』

( ・∀・)「うーっす」

从'ー'从『高機能都市、スカイウッドにようこそ。ここから先は、』

( ・∀・)「ハァイいつもゴクローさまです」

 眼前に現れた平面動画テクスチャを適当に振り払って前に進む。
 こうきのうとしすかいうっど、というのはどうやら僕らの住むこの街の名前だ。どの辺が高機能なのか、どの辺がスカイなのか、どの辺がウッドなのか、そんなことは僕の知ったことではないしこれから先に知ったことになることもない。
 すっかり聞き飽きたその文句を聞き流して絨毯が敷かれ柔らかくなりだした足元を都村さんを真似して踏みにじる。
 バットは不平不満を言うようにからから言うのをすっかりやめている。絨毯がそいつの不満を食いつぶしてくれているらしかった。
 もうお前絨毯さんと結婚しちゃえよ、と手放したくなるのを我慢して擦り切れたグリップを握り直す。こいつは一応僕の仕事の相棒だ。年に一度しか支給されない。これを無くしたらどうなるのか、何事も無かったかのように新しいものが支給されるのか。自腹で購入し直させられるのか。はたまた職を追われるのか。そんな益体の無いことを考えながらどんどんと清浄になっていく空気と淡くなっていく空気に目をかすませていると、いつもの扉はやっぱり唐突に現れた。
 硝子張り。周りを四角く木目の印刷されたアルミが囲んでいる。引き戸になっていて、引いても桟が無いのがばりあふりーとかいう新政策らしい。どうでもいい。表通りのマニフェストなんて裏通りには舞い込んでこないし、裏通りのことなど表通りの政治家は「早期に解決すべき問題の巣窟」としか表現しないことを僕は知っている。

12名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:24:16 ID:aY.GodXc0
支援

13名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:26:40 ID:ZUEuE12c0

( ・∀・)「……」

 何時来ても何度来ても気持ちが悪いくらいに清浄で気持ちが悪いくらいに気持ちの良い街並だ。
 表通りの建物はどいつもこいつも判を押さなかったようにふんわりとした淡いパステルカラーで沈み込んでいる。目にどぎつく突き刺さってくる灰色に極彩色の裏通りになれた目にはぬるすぎて世界を認識するのが難しい。
 それでも作業着の袖で目をこすってポケットに突っ込んだままだった書類を引っ張り出す。表通りの地理はクソが付くほど分かり易い。何せどのとおりにも名前が付いて、その上此処から先はどう行けば何処へ付くとご丁寧に教えてくれる道程パネルが区間ごとに二台設置してある。裏通りに置こうものならば三時間で寄ってたかって分解されてそれぞれ然るべきガラクタ屋で部品ごとに売りに出されるような代物だ。
 都村さんの靴跡の下から何とか解読した区域の名前を三回読み直して、バットを引きずって歩き出す。
 表通りの人間は他人のことなんて見ていないので、水道局員のような格好をした僕が野球少年の如くバットなんて引きずって歩いていても何の奇異も無く通り過ぎていく。脳に直接埋め込んで生体電気で作動するコンピューターが普及してから、表通りの人間はどうやら眼球の視覚に拠らない街並を歩くのが流行らしい。アバターとかいうので世界を見ているらしい。すると、そんなものを埋め込んでいない僕はきっと透明人間のようなものだ。そのおきれいなスーツ肩パンしてやろうかと目の前のサラリーマンにむかって呟いてもドクオのそれより残念な能面フェイスは揺らぎもしない。

( ・∀・)「さて、仕事仕事」

 表通りの仕事では独り言が多くなる。
 僕だって人の子で、人の声が聞こえないと自分が発してでも聞いてみたいなんて気持ちになったりするのだ。

( ・∀・)「えーっと? こっちのとおりを、こっちに?」

 からからと絨毯さんと引き離されたバットが不平不満をあげながら付いてくる。
 目的地は暫く歩けばすぐにたどり着いた。
 首を傾げながら依頼人の方を物陰から伺う。

14名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:38:34 ID:ZUEuE12c0

 さて、ここで今まで伏せていた僕らの仕事の詳細な内容というのをお教えしよう。
 といっても詳細なんてものはありはしない。
 僕らに支給されているのはバットと作業着と帽子そのただ三つだけで、つまりボールやミットなんてものが無い以上バットを振るうことだけが期待されている。要するにバットを振るえと依頼される。対象は様々だ。例えば壁に向かってと依頼されることもあるし、珍しいと子供の草野球の球に向かって振るってくれなんて依頼があったこともある。けれど何より断然多いのは人の頭に向かっての例。
 何処でどういう変遷を辿ったのか僕はさっぱり知らないが、どうやら僕らのバットに不意打ちで頭をぶったたかれると稀代のアイデアが思い浮かぶなんて話が表通りでは蔓延っているらしい。アイデアを求めた人々が是非自分の頭をぶったたいてくれと依頼をしてくるようになったのだ。
 僕らの会社も違法な会社ではない。勿論「あいつを殺して欲しいからあいつの頭をぶん殴ってくれ」なんて依頼をされたらそれは然るべき会社へと引き継いで丁重にお断りを申し上げる。
 けれどこの場合依頼人は本人で、自分からぶったたいてくれと頭を差し出してきているのだ。傷害罪になるのか否か。初めてそんな依頼が舞い込んだとき、社長も五分ほど悩んだらしい。そしてSMクラブが成立するなら大丈夫だろうという限りなく許されざる結論に至ったらしかった。クソッたれのクズ代表選手権をほしいままにするのが僕らの社長なのである。

( ・∀・)「あいつか」


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 しわがれた顔を惜しげもなく晒している老人を伺う。何せ条件に「不意打ちで」とあるくらいなのだから、何人たりともにも見つかってはいけないのだ。
 書類には様々なパーソナルが印刷されていたようだが、都村さんのパンプスの足跡ですっかり読み取れなくなってしまっている。周りの雰囲気で、あの老人がこの街のパステルカラーの四角のどれかの上のほうで蠢く重役だということだけは読み取れた。今も蠢くように周りに数名の人間を蔓延らせている。
 何せ表通りの人間と来たら理想的な身長に対しての体重、体脂肪率なんていうのが事細かに設定されてそれを守れなければ専用の施設にまで送り込まれるというヘルシー社会に生きている。人間にある違いなんて大人か子供か老人か、男か女か、髪は長いか短いか、肌の色はどうか、両手でマークしていけばすっかり終わってしまうくらいに平均化されている。全ての人間が横並びに続いている。
 此処にドクオのようなやせっぽちのピスフェイスを放り込んだらどんな施設でどんな矯正を受けるのか非常に気になるところだけれど、生憎のことあれは梃子でも裏通りから出ようとしない頑固者だった。
 そんな顔面崩壊ジャーのことは思考から追い出して、相棒の擦り切れたグリップを握りなおす。やっと地面から離れたバットは不満を言うのを止めて、今が仕事かと真剣な顔をしているつもりなのかもしれないがバットの表情など僕には分からない。

15名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:39:23 ID:ZUEuE12c0
つかれた。風呂はいりたい。また今度
続き思い浮かんだ奴居たら書いてもいいよ、その続き書くよ

16名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:53:43 ID:KFEw5f82O
把握、こんだけ書けば疲れるだろう、削除される前に続き期待

17名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 00:16:26 ID:rrCL61N.0
地の文すげぇ好き
スラスラ頭に入ってくる

18名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 00:46:33 ID:mD.8Ojl2O

待ってるよ

19名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 08:44:13 ID:QqeNUHcw0
おつ

20佐藤★:2013/04/29(月) 20:27:27 ID:???0
業者の宣伝スレは乗っ取り禁止です。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1357098478/4

続きを投稿される際は別スレを立てた上でお願いします。
当スレは明日削除します

21名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 21:26:23 ID:xfgUxqtk0
(´・ω・`)
面白かったよスレ待ってるから

22名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 21:56:14 ID:ZHZaMhpo0
続き期待

23名も無きAAのようです:2013/04/30(火) 07:26:24 ID:g7diUJsgO

スレたて期待

24名も無きAAのようです:2013/04/30(火) 22:42:02 ID:y01cqJuM0
Why don't you make your own thread?
Your sentence and story makes me fun!
I'm foreword looking to your sequel!

25名も無きAAのようです:2013/04/30(火) 22:47:19 ID:bMKgPfjY0
>>24
>I'm foreword looking to your sequel!

もしかして:I'm looking forward to your sequel!

26名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 02:13:46 ID:HXJR86xY0
>>25
>もしかして:I'm looking forward to your sequel!
I'm foreword looking to your sequel!でも一応合ってはいるんだよ、一応 (foreword lookingで前向きに考えるの意味)
forwardが見つからなくて苦肉の策だったが

27名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 02:50:48 ID:NViKG0ng0
むしろなぜ英語で打ったのだよ

28名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 06:55:02 ID:nG1gBfNc0
foreword …序文、はしがき

29名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 12:40:16 ID:JJ/UuoGYO
楽しみができたよ期待

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