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('A`)は荒廃した世界で生きるようです
1名も無きAAのようです:2013/04/01(月) 22:34:50 ID:HOD.ZtHY0
汚染され、鈍色に染まった大地を一機の大型ヘリが舞っている。
大地の所々にある、沼とも池ともとれない"水たまり"は、その濃緑の水底から得体の知れぬ腐敗ガスをポコポコと沸き立たせ、汚染物質で形作られた黒雲立ち込める暁の空を、一層不気味な色に染め上げていた。

('A`)「ひどい汚染だ、本当にこんな所に物資が眠ってるってのか?」

高密度樹脂で分厚く固められた丸型キャノピーすら透過しそうなほどの汚染度を示すメーターに流し目しつつ、痩せた長身の男は重い操縦桿を目一杯引く。
身体にグンと重圧がかかり、汚染の激しい地上から一層離れてヘリは赤黒い曇天から地上を見下ろす。

『情報 ノ 正確サ ハ 80% デスガ』

機械による合成音声がスピーカーから漏れる。AIだ。

('A`)「分かってるさクール、お前の情報戦能力は一流だ。俺が認めたんだからな」

『恐レ入リマス』

男は、AIの言葉にふんと鼻を鳴らす

('A`)「それに、こういう危険溢れる場所にこそ、お宝ってのは眠ってるもんだ
   …まあ、こうもひどいと除染服も全く役に立たなそうだがな」

これだけ高空に来ても、汚染は平均より少し下あたりまでようやく下がった程度だ。
地上に立とうとすれば、どんなに高性能な除染服でも30秒と持たないだろう。

『……NE 方向 ニ、汚染度 ガ 極端 に 低イ場所 ガ アリマス
 シカシ、周囲 カラ 見テ 極端 ナ ダケデ 汚染度 ハ 平均以上 デスガ』

('A`)「ここに比べればどこだって天国さ」

男は操縦桿を捻り、機体を左に傾ける。
機体のジャイロコンパスがS(South)からNE(NorthEast)へと移り変わる。
なるほど確かに、一面真っ赤の汚染度可視化モニターに、一部分だけ橙色になっている部分がある。
視線をキャノピーへと戻し、下を覗き込む男。

('A`)「廃棄施設の入口らしきものが見えるな
   …これだけ都合のいい立地だ。まだ荒らされてなきゃいいんだが」

『降下 シマスカ?』

AIの問いに、今度は男はにやりと笑って答える。

('∀`)「聞くまでも無いだろう?準備してくれ」

2名も無きAAのようです:2013/04/01(月) 22:35:35 ID:HOD.ZtHY0
ヘリは汚染度の低い場所の中空に待機している。
その下からは長いロープが、ヘリの中央部分のハッチから垂れ下がり、男は分厚い除染服を着ながらも、器用にロープを滑り降りていく。

('A`)「クール、もう少し前方に出せるか」

『了解』

男を吊るしたまま、ヘリが少しばかり前へと身を傾ける。
もう地上数mにまで近づいていた彼は、その反動を利用し柔らかな泥土の上に降り立った。

('∀`)「土の汚染度もあまり高くない、あのぽっかりと開いた汚染度具合から考えても、ここに除染装置があってまだ生きている可能性が高いな 見つければ儲けものだ」

除染服に付けられたガイガーカウンターの目盛りを見て、男はさも嬉しげに笑う。
そして、目の前に口を開ける廃棄施設の入り口。施設全体は土に埋もれてしまっているようだが、わずかに顔をのぞかせている入口の大きさから推測するに、以前は大型トラックなどが出入りしていた搬入口だろう。
男の、除染服から覗く顔がわずかに険しくなる。

('A`)「…嫌な気配がするな」

呟いた言葉に、AIが反応を返した。

『内部 ノ 詳細 スキャン ハ 不可能。汚染 ニヨル ジャミング ガ ヒドイノデ』

('A`)「ああ…まあここは人間の勘を信じてくれ」

『アナタ ノ 能力 ハ 信頼 デキマス、ドクオ。 私 ガ 認メタノ デスカラ』

先程の言葉をもじって返され、男はまたふんと鼻を鳴らす。
腰に下げた対人用パルスガンに手を伸ばしつつ、彼は搬入口から中へと入る。
…生きていた頃は、何かの工場施設だったのだろう、搬入用の大型クレーンやコンテナが土に埋もれたまま、わずかに顔を覗かせている。

('A`)「…奥の方はそれなりに綺麗そうだな、土も減っているし、地殻変動で埋もれた訳じゃなさそうだ。土砂崩れにでもあったか?」

奥に進むほどに土は減り、100mも進めば硬いコンクリートの床が顕になった。
そしてその床にこびりつくのは…血痕。

('A`)「………」

多くはない、人間のものではないだろう。ネズミか何かのものだ。
しかしそれであっても警戒に値する。なにせネズミであっても貴重な食料源となる世界だ。
パルスガンを引き抜き、油断なく周囲を警戒、奥にある扉を抜けて、隣のブロックへ
物資倉庫…だった場所だろうか、コンテナラックが並んでいる場所だ。
しかし物資の数は貧相そのもの、わずかに捨て置かれたコンテナも、扉が開き中はカラッポだ。

('A`)「…やはり既に荒らされたあと、か」

想定内のこととは言え、落胆を隠せない様子。
マグライトで照らされた限りでは、ここには血痕は見当たらず、男はわずかに警戒を解く
その時だ!

3名も無きAAのようです:2013/04/01(月) 22:36:19 ID:HOD.ZtHY0
「キィアアアアアアアアアア!!」

(;'A`)「なにっ!?」

甲高い叫び声のようなものが倉庫内にこだまする。
慌てて周囲を照らす男、その光をぎらりと輝く双眸が反射した。

(;'A`)「チィ…やはりグールの巣になってやがったか!」

男の照らすマグライトによって浮かび上がったのは、細く干からびた人間。
汚染物質によって肉体が変異し、知性すらも失ったグールだ。
男はコンテナラックを回り込もうともせず、引っかかりながらも直線的にこちらへ突っ込んでくるグールへ、パルスガンを構える。

ピュピュピュピュン!

玩具のような音と共に光弾がグールへと飛ぶ、何発かは的を外れコンテナラックへと着弾するが、光弾はそこで小炸裂を起こした

「オゴェァァァアアア!」

直に着弾したものと合わせ、そのダメージは甚大。
特に生体に対して、高い熱量を放つエネルギー兵器はとても有効なのだ。

('A`)「一匹…」

男はパルスガンを構えたまま、警戒を解くことはない

「アアアィァアアアア!!」

(;'A`)「なわけねーよなコンチクショウ!」

グールの特性は集団を作ることだ、知性はほぼゼロだが、その辺だけ妙に社会性を残しているのだ。たまったものではない
グールの集団に追われ、男はさらに奥へと駆けていく、奴らと開けた場所で戦うのは危険だ。
囲まれて爪で防護服でも切られればそこでジ・エンド。汚染物質によって急速に体が蝕まれ、奴らの仲間入りを果たすことだろう。

4名も無きAAのようです:2013/04/01(月) 22:37:03 ID:HOD.ZtHY0
('A`)「クソ…しつこい!」

男はパルスガンで牽制しつつ、冷たい廊下を駆ける。
いくらか錆び付いてはいるが、保存状態は非常に良くなにがしらの物資があっても全くおかしくはない

('A`;)「…が!こいつらを巻かん事には何も始まらんな!」

「オオオオオオォォォ!」

その時!右手に防火扉を確認!

('A`)「チャンス!」

男は逆の手で古めかしい実弾マグナムを取ると、防火扉の鍵を撃ち抜く
ギギィ…と重々しい音を立てて動き出す防火扉。

(;'A`)「さっさと閉まらんかこの!」

男は防火扉の背を蹴り飛ばすと、彼に手の届きそうになっていたグールのひとりを巻き込んで防火扉は派手に閉じた。
その向こうから、それを無造作に叩きまくる音が響くが、防火扉はビクともしない

('A`)「ふぅ…」

男は一息つき、足早に先へと進む。
あの防火扉もそう長くは保つまい、その間に男はパルスガンのエネルギーセルを交換し、脱出ルートを探す。

('A`)「この施設の地図でもありゃあいいんだが…」

そう呟きながら、男は更なる扉を開く。
…なんの施設だった場所だろうか?壁に大量のカプセルポッドと思しき装置が置いてあり、その途中途中に端末が据え置かれている。

('A`)「…クローン培養所か?もしかしたらあのグール共、クローン体なのかもな」

5名も無きAAのようです:2013/04/01(月) 22:38:04 ID:HOD.ZtHY0
そして男は見る。壁にずらりと並んだカプセルと端末、その一つが淡い光に包まれているのを
パルスガンを腰に戻し、つかつかとそれに近寄る男。
淡い緑光を放つカプセルシリンダー。ゴボゴボと気泡が生まれ、その中が液体で満たされていることを示していた。
そしてその中に、浮かぶものがあった。

川- _-)

('A`)「…ヒト、なのか?」

しかしその姿は、あまりに異質。
四肢は無く、切断面は黒光りする金属のジョイントらしきものに置き換えられ、曝け出された平坦な胸元には6つのプラグのジャックが付いていた。
男か、女かもわからないが、端正な顔立ちに黒い髪が肩まで降ろされ、女性らしい雰囲気を作り上げていた。

('A`)「いや違うな…これは……」

男は隣の端末を操作し、情報を表示させる。

('A`)「やはり…リビングメタルス」

と、その時だ!

「オオオォォアアアアア!!!」

(;'A`)「うっ!?もう破ってきやがったのか!?」

広いこの場所で戦うのは圧倒的に不利だ。
何とか、隠れてやり過ごせないだろうか…と男は思案するが、

('A`)「……」

ふと、何かに気付いたように淡く発光するカプセルポッドを見る。
そして飛びつくように端末を操作しはじめる。

「グェァアアアアオオオオ!」

男が端末の操作を終えると同時!グールがかれの入ってきた扉を蹴破って現れる。
変異によって人間をはるかに凌駕する視覚と聴覚で、グールは即座に男を確認すると、そちらに向かって叫びながら突進!

「オオオオオオオ!」

(;'A`)「はやく!はやくしろよポンコツめ!」

6名も無きAAのようです:2013/04/01(月) 22:38:59 ID:HOD.ZtHY0
次々と現れては突っ込んでくるグールをいなしながら、彼は液体の無くなっていくカプセルの中で今も眠るようにしている"それ"を見つめる。
液体がなくなると、カプセルは音もなく開き、その両脇からアームが伸びる。
アームの先についているのは、人の腕を模した無骨な装甲でくるまれた機械だ。ジョイント部分と同じく、黒光りする見たこともない金属で構成されている。
同じように、下の方からも別のアームが伸び、脚部を模した装甲部品が、核となる生身の"それ"に接続される。
最後に、天井からアームが伸び、そこに収められた流線型のパーツが、6つのジャックが付いた胸部へとセットされる。
セットされると同時に、流線型のその胸部アーマーは、ぽぉんと光を灯し

川- _-)

川゚ -゚)

ジャ コ ン
重々しい音を立てて、"彼女"が一歩を踏み出した。
その腕には、明らかにアンバランスな、長身のライフル

川゚ -゚)「……」

(;'A`)「……」

男も、グールですらも、身動き一つせず、右、左と周囲を確認する彼女の動きを見つめている。

川゚ -゚)「…シリアルコードLM-167439F、現在の状況を判断し、即時戦闘行動に移ります。
    無害であるという方は今すぐ投降するか、さもなくば逃走をお願いいたします」

(;'A`)(やべぇ!)

男は咄嗟に走り出す。向かう先は最も手近な扉だ。
出口かどうかは分からない、しかしこの場から逃げなければ、あのリビングメタルスは自分を敵とみなして攻撃してくる事だろう。
投降、とも言っていたが、グールはそんな事構わず男を狙う。ここは逃げるしかない
後方で、凄まじい銃撃音が聞こえ始めた。それに混じって、グールの叫び声が再開される。

7名も無きAAのようです:2013/04/01(月) 22:40:03 ID:HOD.ZtHY0
(;'A`)「リビングメタルスの戦闘能力は戦車に匹敵するレベルだ…グール共もあれで懲りるだろ…」

男は呟き、施設外の上空で待機しているであろう大型ヘリに呼びかける。

('A`)「クール、クール聞こえるか、俺だ。エマージェント、今から外に出るから回収を頼む…」

『……ザ、ザザ』

しかし通信に入ってきたのは、わずかなノイズ
わずかな不安感に顔を歪ませる男

(;'A`)「おい、聞こえるか。すぐ回収できる準備をしてくれ」

『……ネガティヴ、ザザ…自律兵器 ガ 起動 シテイマスザザ…攻撃 ヲ 受ケテイマス……応戦中…戦局…不……ザザーッ』

(;'A`)「おいッ!?」

ひときわ大きいノイズが走り、それきり応答が無くなる。
顔を上げれば出口だ、いつの間にたどり着いたのか…長年の勘が帰り道を教えてくれていたのだ。
彼は防護服を呼吸で曇らせながら、外へと飛び出す。
そこには、いくつもの自律兵器に囲まれながら、煙を噴き落ちていくヘリの姿があった。

('A`)「…嘘だろ」

彼はノイズを放ったままの無線機のスイッチを切ることも忘れ、呆然とそれを眺めていた。



('A`)は荒廃した世界で生きるようです。



.

8名も無きAAのようです:2013/04/01(月) 22:47:08 ID:HOD.ZtHY0
エピローグ:終
続くかは不明

元ネタに使わせて頂く偉大な作品:アーマード・コアV Falloutシリーズ METALMAX

9名も無きAAのようです:2013/04/01(月) 22:52:47 ID:AEryWFIUO
エピローグから始まりおった

10名も無きAAのようです:2013/04/01(月) 22:55:00 ID:x97ifHxk0
斬新だな

11名も無きAAのようです:2013/04/01(月) 22:55:30 ID:ZE50ktVwO
ぐああああああああぅうおっ!!

現在構想中の作品と若干世界観が被っておる…orz


とりまwktk

12名も無きAAのようです:2013/04/01(月) 22:57:06 ID:HOD.ZtHY0
今日エイプリルフールだから大丈夫。



………ごめんミスっただけですプロローグです

13名も無きAAのようです:2013/04/02(火) 00:19:27 ID:iJS0pyv60
世界観いいね
かなり期待して待っとく





>>11
叩かれたくなかったらとりまだとかその手の言葉は使わない方が身のため

14名も無きAAのようです:2013/04/02(火) 00:37:16 ID:4LYsW7VE0
宇宙海兵隊感もあるな
あと砂ぼ

15名も無きAAのようです:2013/04/02(火) 01:06:25 ID:48RF9rV6O
>>13
別に俺的には煽るような意味で使ったつもりは無かったんだ。申し訳ない。

忠告ありがとう。気に障る人もいるかもしれないってことは覚えておくよ。

16名も無きAAのようです:2013/04/02(火) 08:39:54 ID:XZZyPh5M0
('A`)「…クール」

防護服に身を包んだ痩せた長身の男、ドクオは呆然とヘリの落ちた山向こうを見つめていた。
あの中には彼の全てが詰まっていた。相棒のAI『クール』、生きるのに必要な数々の物資。
この世界では、こうも簡単にそれらを失えてしまうのだ。

('A`)「……そうだ、脱出しねえと」

ドクオはハッとし、一歩、二歩と歩き始める。
ガイガーカウンターの目盛りが、少し大きくなった。
彼が歩く方向は排気施設とは逆だ。この周辺一帯は防護服を着ていても即死レベルの汚染度である。
と、その時だ。

( ∴)「ピポパポピポパ」

('A`)「…っ!」

不快な電子音を唸らせて、彼の眼前に球体型の機械が現れる。
それは謎のテクノロジーによって中を浮遊し、なにか異質なものがあれば即座に攻撃を仕掛けてくる自律兵器、通称ゼアフォー
ボウリングのボールのように開いた穴が、まるで目のように彼を見据えた。

('A`)「…殺す気か?」

( ∴)「ポポポ、ピポ」

その瞳のような3つ穴が、仄かな光を帯びる。
それは彼の持つパルスガンと同じ光

('A`)「そうか、別にいいぞ」

しかし、その願いは聞き届けられなかった。

( ∴)「ピポポピガーッ!!」

ガオォン!と鈍い音と共に、ゼアフォーの側面に穴があいた。
男は振り向く

川゚ -゚)「制御不能状態の自律兵器を確認、排除しました」

('A`)「お前…」

川゚ -゚)「私はLM-167439Fです。名前がありません、私の記憶が正しければ、私を起動したのは貴方。
    貴方には私の名前を決める権利があります。私の名前はなんでしょうか?」

('A`)「名前…?」

ドクオは、そのリビングメタルスの口調を、あのAIに重ね合わせていた。
そして、今は亡き相棒に初めて出会った時と同じように呟いた。

('A`)「名前、そうだな…お前の名前は『クール』だ」

17名も無きAAのようです:2013/04/02(火) 08:40:43 ID:XZZyPh5M0
川゚ -゚)「クール…いい名前です。貴方の名前は?」

('A`)「俺か?俺はドクオだ、ミグラントをやってる」

川゚ -゚)「ミグラント……とは?」

('A`)「…そうか、リビングメタルスは荒廃以前の存在だったな」

ドクオは語り始める。
かつて、この世界はもっと広く、美しく、大勢の人々が住んでいたと
しかし、人口爆発に伴う食料問題、乱開発の激化、それらを火種とする紛争・抗争……
度重なる人類の身勝手な振る舞いは、やがて世界を汚染させ、そして現在では、もはや人の住める場所はわずかしか残っておらず

、それでもなお人類はその僅かな土地と資源を巡って争いを続けている。
ミグラントは、いわば物資の運び屋だ。
食料や日用品はもちろんの事、直接的な戦争の要因にもなる鉱産資源・貴重極まりない除染装置・兵器なども運搬する。

('A`)「俺もそんな"死の商人"の一人ってわけだ」

川゚ -゚)「理解しました。では私は?」

('A`)「……私は、って何だよ」

川゚ -゚)「私も兵器です。リビングメタルス、生けし金属、クローンでありサイボーグ。戦うためにのみ私は存在しています。
    貴方にとって、私は商品になるのでは?」

(;'A`)「………」

ドクオは言葉に詰まった。
口ぶり、言葉の紡ぎ方、そして何よりその外見から、彼女が生きた人間であることはほぼ間違いないはずだ。
なのに彼女は、自分の事を"兵器"だと、"金属"だと…"商品"だと言った。

('A`)「なあ…お前、自分のこと分かってんのか?」

川゚ -゚)「はい、理解しています。私はリビングメタルス、生きた兵器です」

(#'A`)「やめろ、自分の事を兵器だの商品だの…お前は生きているだろう、人間だろう」

ドクオは怒りを顕にする。

川゚ -゚)「しかし、私には生殖器官はありません。思考も制限されています」

(#'A`)「だからって人間じゃないという理由にはならん」

川゚ -゚)「……では私は?」

('A`)「……俺の相棒だ」

ドクオはそれだけ言って歩き始める。今度こそは、廃棄施設に向かって

18名も無きAAのようです:2013/04/02(火) 08:42:52 ID:XZZyPh5M0
('A`)「グールは?」

川゚ -゚)「異形の人間であれば、概ね排除致しました」

('A`)「あの短時間でか…さすがの戦闘能力だな…」

川゚ -゚)「私は対機甲兵器対応のF型です、非武装の人間ごときでは相手になりません」

クールは淡々と言葉を紡ぐ
ドクオはその様子に、わずかばかりの末恐ろしさを感じた、

('A`)「…なあ、この施設にヘリとか無いのか」

川゚ -゚)「南部にヘリポートがありますが、施設外観から察するに起動出来る状態ではないかと」

('A`)「…もうちょっと夢見させてくれても」

川゚ -゚)「外に出ることが出来ないとは言っておりません」

('A`)「え?」

川゚ -゚)「ヘリポートは起動できませんが、ヘリ自体ならば起動可能なものが残っているはずです」

('A`)「…それで何をしようと言うのですかね?」

川゚ -゚)「ここは軍事施設でした。爆薬の一つ二つは残っているでしょう
    ヘリポート上部を爆破し、開いた穴から脱出します」

(;'A`)「んな無茶な!」

川゚ -゚)「この周囲は高濃度の毒性物質及び放射能に汚染されていました。
    そうでもしなければ、この場所で死ぬだけですが?」

('A`)「…う…ぐ」

川゚ -゚)「爆薬の扱いも学んでいます。ヘリの操縦も可能です。貴方は別の場所で寝ていても構いません」

('A`)「それも嫌だな…あ、そうだ、この辺に除染装置とかって無いのか?」

川゚ -゚)「除染装置…毒物・放射能中和システムなら施設最下層ですが 固定式、及び重量は75トンと私のライブラリには記載されています」

19名も無きAAのようです:2013/04/02(火) 08:43:41 ID:XZZyPh5M0
(;'A`)「75トン!?下手な戦車より重いじゃねえか!」

川゚ -゚)「この施設は軍事施設でしたが、核戦争時に備えてのシェルター機能、及び除染機能を搭載する予定でした。
    私のライブラリには、シェルターの建築途中までの記録しか残されていないので不確かではありますが」

('A`)「人類最後の砦にでもするつもりだったのかよ…クソ、除染装置があれば立て直せると思ったのに…」

川゚ -゚)「補足しておきますと、毒物・放射能中和システムの本来の能力であれば、この程度の汚染軽減では済みません
    掛けた時間にもよりますが、その防護服が不要なレベルには回復させられるはずです。」

('A`)「すげえな、75トンもあるのは伊達じゃあねえってか…しかしそれだと、除染装置は何らかの故障を起こしてる可能性が高いか」

川゚ -゚)「到着いたしました。軍庫です。」

そんな話をしているうちに、二人は数々の兵器が保管された軍庫に到着した。
クールの鉄塊じみた腕が、その巨大な扉を開ける。

('A`)「お、おお…!」

ドクオは中の様子を見て驚愕する。
そこには、彼の乗っていたのと同型の、F21C型重輸送ヘリコプターがズラリと並んでいたのだ。

川゚ -゚)「爆薬を探してきます。貴方はここにいて下さい」

('A`)「……あ、ああ分かった」

クールは駆動音を鳴り響かせながら、軍庫奥へと消えていく。
ドクオは並ぶ大型ヘリコプターを眺め、その一つに手をかける。
劣化は少ない、装甲もほぼ損傷なし、武装は空だったが、それすらそこらじゅうに置いてある。

('∀`)「これは…イケるぞ」

彼の中でミグラントの血が騒ぐ。
更に今の彼にはリビングメタルスもいる。
ここに、AIが…以前のクールがいたらどれだけ良かったことか

('A`)「…ダメだダメだ、過ぎたことを悔やんでたら、死んじまうぞ
   ゼアフォーに狙われたときだってそうだ。まああんときはショックがでかすぎただけだったが…」

20名も無きAAのようです:2013/04/02(火) 08:44:27 ID:XZZyPh5M0
そこへ、現在の…リビングメタルスのクールが戻ってきた。
馬鹿でかいミサイルを担いで

川゚ -゚)「爆薬はありませんでしたが、これはまだ信管が生きています、使えそうです」

(;'A`)「まてまてまてまてまて!それ対艦ミサイルやないか!施設もろとも吹っ飛ばす気か!
     というかお前どんだけ馬力あるんだ!ア○ムか!」

川゚ -゚)「対機甲兵器用ですので、120mm砲までなら保有することが可能です」

('A`)「…馬鹿げてる、荒廃以前の技術力おかしすぎだろ…ゼアフォーといい…巨大兵器といい…」

川゚ -゚)「問題は、どのように天井にぶつけるかという点ですが」

('A`)「え、そこ考えてなかったの?」

川゚ -゚)「C4爆薬であれば投げつけて天井に貼り付けようかと思っていたのですが、さすがにこれは投げられません」

(;'A`)「いや、もうブン投げてもおかしいとは思わんわ」

川゚ -゚)「F21Cもこの対艦ミサイルは搭載不可。どういたしましょうか」

('A`)「どういたしましょうかっつってもなあ…」

ドクオは天井を見上げる。三階建てのビルくらいの高さはあるだろうか

21名も無きAAのようです:2013/04/02(火) 08:45:32 ID:XZZyPh5M0
('A`)「…それ、信管と爆薬だけ抜けねえっけ?」

川゚ -゚)「…弾薬類の内部に関する知識は、私にはありません。特に対艦ミサイルは私も専門外です」

(;'A`)「むしろ専門だったら怖いわ、ほれ見せてみな、幸い工具はバッチリ揃ってる」

ドクオはおもむろに対艦ミサイルのカバーを外すと、慣れた手つきで信管と、そこに繋がる爆薬の筒を取り外す。

('A`)「で、ここをこうしてホイホイと」

更に、信管を開いて中身を弄る。懐にしまっていたPDAも取り出して彼は即席の改造を施した。

('A`)「おし、これでこっちのPDAから自由に起爆できる。クール、これなら投げられるか?」

川゚ -゚)「あの高さまでなら可能です」

('A`)「…何か引っ掛かりが欲しいな、フックか何かあったか?」

川゚ -゚)「塀や壁を上るためのフックロープならありましたが」

('A`)「よし、それでいい 持ってこよう」

持ってきたフックを、爆薬の周囲に貼り付ける。ガムテープで強度が足りるか心配だが、まあ一瞬だけ引っかかるだけでいい

22名も無きAAのようです:2013/04/02(火) 08:46:26 ID:XZZyPh5M0
('A`)「で、爆破させる場所はどこだ?」

川゚ -゚)「ヘリポートはあの地点です」

クールが指差す先、「H」のマークが書かれた場所がある。
その天井は、いかにも開きそうなハッチだ

('A`)「ハッチ式か…なるほどな」

川゚ -゚)「恐らく開くことはないでしょう、ですがこれで爆破すれば問題ありません」

('A`)「開いたと同時に施設が崩壊とかそういうベタな展開は要らんぞ…」

川゚ -゚)「それはないでしょう、軍事施設なのでその程度で崩壊しては困ります」

('A`)「あ…そう」

ドクオは少し落胆しつつ、ヘリの操縦席に戻る。

('A`)「合図したら投げてくれ、3、2、1、」

川゚ -゚)「っ!」

クールが手に持った円筒状の爆薬を思い切り天井に投げつける。
と同時に、ドクオはPDAの起爆ボタンを押した。
信管が作動、起爆剤に電流が走り、反応を起こす。
爆薬が天井に到達すると同時、強烈な爆風が、天井と地面を突き破って汚染された地表に噴き上がった。

('∀`)「よし、成功だ!脱出すんぞ!」

川゚ -゚)「了解しました、しかし、施設内部への汚染物質の流入を確認。急がないとここも危険です」

見れば確かに、濃緑色の汚染水がぼたぼたと穴から流れ込んでくる。
先の爆破で、水たまりをせき止めていた地形を抉ってしまったのだろう

('A`)「おっほう…怖い、ヘリに乗っててよかった」

川゚ -゚)「…そのヘリに耐放射能用装備はありませんが」

(;'A`)「え゛っ」

考えてみれば当然だ、だってここにある兵器は全て荒廃以前のものだもの

(;'A`)「…全速で退避ィーーーー!」

川゚ -゚)「搭乗完了しました、行きましょう」

赤黒い曇天の空を、一機の大型ヘリが舞い上がる。
それはまたたく間に高く高く昇っていき、そして東の空へと消えていった。

23名も無きAAのようです:2013/04/02(火) 08:53:06 ID:XZZyPh5M0
世界は汚染し尽くされ
残されたわずかな土地に、人々はしがみつく様に生きていた。
それでもなお、戦いは終わってはいなかった。 -Armored Core V 冒頭より-

('A`)は荒廃した世界で生きるようです。
第一話:遭遇と脱出 終

24名も無きAAのようです:2013/04/02(火) 10:01:04 ID:PmSYwUI20
アーマードコアよりも、BLAMEを思い出した

25名も無きAAのようです:2013/04/02(火) 12:14:02 ID:u0eKZoR60
期待

26名も無きAAのようです:2013/04/02(火) 12:17:29 ID:iR3I50l60
おつ
いいふいんき

27名も無きAAのようです:2013/04/02(火) 18:58:43 ID:6IfqjT1.0
おっおっ

28名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 04:02:00 ID:Z3iXWypA0
おつ

期待

29名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 11:54:34 ID:2P5yUvq.0

('A`)は荒廃した世界で生きるようです。

第二話:小金稼ぎ

.

30名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 11:56:31 ID:2P5yUvq.0
生存可能区域:Far East T地区
遠方に銀色の鉄塔を望む、あまり広くはない生存可能区域。
鉄塔は細長い円錐状をしており、上部の方に逆テーパー型の展望台らしきものが付いている。
先端の形状を見る限り、生前は電波塔だったのだろう。
かつてこの地区一帯は、この極東と呼ばれる地域における首都的役割を持っていたとされる。
しかしその名前は既に忘失し、現在はファーイースト・T地区という名前で呼ばれている。

('A`)「よし…耐汚染装備もバッチリだ 助かったぜブーン」

痩せた長身の男ドクオは、重厚な耐汚染用装備が施されたつい先日拾ってきた大型ヘリを見て満足そうに頷く。

( ^ω^)「おっおっおっ、お代は結構ですお。今日の僕は上機嫌なんだお」

対するのは、彼と真逆、肥えた背の低めの男。黒い作業用オーバーオールに深く被った帽子、手に持った工具箱などから。彼がエンジニアであることは一目瞭然だ。

('A`)「なんかあったのか?」

(*^ω^)「ムフフwww、ほら来た、あれを見るお」

ブーンと呼ばれた肥えた男が指差す先、広いガレージの中に、一両の戦車が運び込まれてくる。
洗練された装甲と艶を放つ光学機器は、それが先進の技術で作られたものであることを示していた。

(;'A`)「10型戦車!?すげえなお前!どこで拾ってきたよこんなもん」

( ^ω^)「南の湾岸軍事施設、ドクオも知ってるお?」

('A`)「知ってるけどよ…あそこは汚染がひどすぎて入れたもんじゃないだろ」

( ^ω^)「それがついこの前、いきなり除染装置が作動して入れるようになったんだお
      ミグラント達は我先にと突入だお、僕は運良く近くにいて、で目ざとくこれをゲットって訳」

('A`)「いきなり除染装置が?なんか怪しいな」

ドクオは怪訝そうな顔で10型戦車と呼ばれたそれを見つめる。

( ^ω^)「ま、ドクオのその勘は正しいお、つい昨日、そこで巨大兵器が現れたらしいお」

('A`)「やっぱか…」

( ^ω^)「航空母艦型とイージス艦型の自律兵器だったと聞くおね まあ、ここに近いってんでロマネスクさんがぶっ飛ばしたけどお」

(;'A`)「相変わらず末恐ろしいなあの人は…いや、奴の持ってるLM部隊が異常なだけか」

LM、リビングメタルスの略称だ。
戦争の激化に伴う人的資源の減少を嫌った崩壊以前の人々は、クローンを作り、それでも不足しがちな兵士を保持するために、サイボーグ化を施し、LMの基盤を生み出していったとされる。
LMは瞬く間に進歩し、現在では単体で戦車一両に匹敵するレベルの戦闘能力を持つまでに至った。
なぜそこまで歩兵に戦闘能力を求めたのかは不明だ。

31名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 11:57:40 ID:2P5yUvq.0
('A`)「……で、だな 俺もお前に驚かせる事が一つある」

( ^ω^)「お?」

ドクオは後ろを振り返り、彼女に出てくるよう促す。
大きな駆動音を響かせ、その生身の身体に対してあまりにもアンバランスな、無骨で巨大な黒光りする金属の四肢を持つ彼女が現れる。

川゚ -゚)「初めましてブーン、シリアルナンバーLM-167439F、クールです」

(;^ω^)「LMゥゥゥ!?ドクオ!一体どこで…!」

('A`)「ずぅーっと西の廃棄施設」

( ^ω^)「あの…汚染が酷すぎて入れないかもしれないとか言ってた?入れたのかお…」

('A`)「まあな…クール、いやお前じゃねえよ。以前の、AIのクールが手伝ってくれたおかげだ」

( ^ω^)「お…」

ブーンは言葉を止める。彼はヘリを失い、そしてろくに耐汚染装備のされていないこの機体でほうほうのていで帰ってきたのだ。
ヘリを失ったということは、そこに据え付けられていたAIは…

('A`)「だがまあ、以前のクールは失ったが、俺には今のこのクールがいる」

( ^ω^)「……こう言うこと聞くのはちょっと気が引けるんだけどお、ドクオ……
      売らないのかお?」

場の空気が、一瞬だけ凍りつく

('A`)「……まあ、な 普通LMと言えば高額な"商品"だもんな
   特に俺は今一文無しだ、この耐汚染装備もお前にツケとくつもりだったし」

( ^ω^)「オイコラ」

('A`)「でもよ…こいつらも生きてる人間だろ?
   クローンだとか、サイボーグだからとか、そういうのは関係ねーよ
   なんにせよ、クールは俺の相棒だ 売るつもりはない」

( ^ω^)「…なるほどお、でもLMは高度な兵器でもあるお
      優れた戦闘能力を腐らせておくつもりかお?」

('A`)「それに関しては移動中に考えがまとまった。
   傭兵をするわ、俺」

32名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 11:58:53 ID:2P5yUvq.0
( ^ω^)「傭兵…ねえ
      ドクオ、戦闘とか経験あったっけ?」

('A`)「舐めんな、ミグラント同士のいざこざぐらいなら経験あるわ
   自律兵器との戦闘なら豊富だ
   それに、俺が戦うわけじゃねーよ」

そう言ってドクオはクールを見やる。

川゚ -゚)「…傭兵、ですか」

('A`)「お前は自分で言った。"戦うためにのみ存在している"と
   商品だというのは否定するが、そこは俺は否定しない……人類にとって、生きることとはすなわち戦争だ
   戦争こそが人類そのものなんだ」

( ^ω^)「なんかいいこと言ったように聞こえるけどどっかで聞いた言葉だし凄く物騒だお」

(;'A`)「うっせぇ!そんなことよりもだ」

('A`)「実際、俺は今一文無しだ…このヘリを手放すわけにはいかねえが、コイツだって整備費とか燃料費とか色々ある
   今すぐに金を稼ぐ方法が必要だ。それと、お前の存在を鑑みて、傭兵が一番だと決めた」

川゚ -゚)「ドクオの決定ならば、私は拒否しませんが」

('A`)「…なんつうか、ほんとに似てるな、以前のクールによ」

( ^ω^)「AIのクールもドクオには忠実従順だったおね」

('A`)「という訳でだ、早速稼ぎに出る必要がある…マジで無一文はヤバイからな、何か小金稼ぎしねえと」

( ^ω^)「自律兵器の部品なら安いけど買ってやるお、今日の僕は上機嫌だお」

('A`)「助かるぜ、ブーン」

33名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 12:00:43 ID:2P5yUvq.0
大型ヘリが、暁の空を飛んでいる。
空は赤黒い雲に覆われてはいるが、その隙間、空の彼方に、赤熱する太陽が山裾から顔を覗かせていた。

('A`)「…朝か」

ドクオはその光で目を開き、リクライニングシートから体を起こす。

川゚ -゚)「おはようございます」

コクピットに座るのはクールだ、その無骨な指で、器用に操縦桿を握っている。

('A`)「…お前は寝る必要ないのか?」

川゚ -゚)「機械制御によって、スリープモード時は生身部分の各所を別々に休止させることが可能です。
    従って、貴方のような直接的な睡眠は事実上必要ありません」

('A`)「便利なこった…」

彼らが来ているのは、ファーイーストT地区から北へ百数十キロほど進んだ地点。
汚染は低度だが自律兵器が蔓延り、人の寄り付かない場所だ。
昨日の、クールを発見した廃棄施設でも良かったのだが、あそこにはまだ強力な自立兵器がウジャウジャいるし、汚染も高濃度すぎて耐汚染能力を持つLMでも長時間はいられない。
だから彼らはここに来た。実際、この場所はニュービーの稼ぎ場としてもそこそこ有名だ。
新兵器の実践テストが行われているなんて噂もある。

('A`)「この辺でいいだろう、降下するぞ」

川゚ -゚)「了解」

ドクオはキャノピーから下を覗き込み、降下を促す。
3方を山で囲まれたかつての田園地帯だ。もちろん、人の気配どころか生物の気配ひとつすら感じられず、荒れ果てた畑を、高架の道路が冒涜的に貫通して走っていた。

( ∴)「ピポパポポピ」

('A`)「おっと、早速来やがったか
   クール、操縦変われ、戦闘準備」

川゚ -゚)「了解、スリープモード解除、戦闘モードに移行」

その畑の土の下から、球状の自立兵器が現れる。3つのパルスガンを持つ無差別なる自律兵器、ゼアフォー。
あちこちからまるでジャンプ地雷のように飛び出し、空を舞うヘリへと近付いていく。

川゚ -゚)「戦闘、開始します」

そのヘリの下部ハッチから飛び出すクール、その腕には、巨大なライフルが握られていた。

34名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 12:03:00 ID:2P5yUvq.0
('A`)「…こうやって見ると」

ドクオは操縦桿を引いてヘリを高空へと退避させた後、地上に降りたったクールの様子を眺める。

('A`)「LMの戦闘能力ってやつぁほんとにヤバイな」

川゚ -゚)

クールはその表情をピクリとも変えず、襲い来る自律兵器群を軽くいなしていく。
彼女の持つライフル…ブーンのガレージで確認したところ、口径は25mm、徹甲弾使用の対物機関砲だった。
それを片手で軽々と扱っているのである。

('A`)「あの装甲もそうだな、見たことねえ金属だ」

彼女の髪と同じ色をした黒い装甲。通常の兵器には見られないものだ。
LMが全てそういうものなのだろうか?LM自体は非常に貴重な存在なのでそうそう近くでお目にかかることはできない

川゚ -゚)「!…!!」

クールは25mm機関砲を片手に、波のように襲いかかってくるゼアフォーの軍勢を翻弄するように動き回る。
奴らは多数で、対象に回り込むように攻撃を行ってくるので、常にその事に気をつけながら立ち回る必要性があるのだ。

('A`)「…あんな馬鹿でかい機関砲持ってあんな動きが出来るとか、やっぱ荒廃以前の技術はおかしいな
   全て理解できる奴がいたら、この世界ももっと変わるんだろうな」

荒廃以前の高い技術力…それらはかなりブラックボックスな点が多い
反重力機構、小型ながら高い出力を誇り長時間駆動も可能なマクロジェネレーター、超小型のマクロブースターetc…
現代人が理解できるのは精々その動かし方くらいだ。

('A`)「…む」

そこで、ドクオは気付く。
今や誰ひとりとして走ることのない高架の道路、その上を疾走する影あり。

/◎ ) =| )「………」

どことなく人間を思わせるような上半身に、そこから伸びる巨大な煙突が白煙を噴き上げる。
下半身は無限軌道のついた戦車じみた脚、両手は巨大な砲が据え付けられている。
どこか蒸気機関車を思わせるシルエットも持つそれは、ドクオもよく知っていた。

(;'A`)「蒸気王!いきなり大物が来やがった!」

35名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 12:04:14 ID:2P5yUvq.0

『クール、そいつらの相手はそこそこにしとけ、デケエのが来たぞ』

川゚ -゚)「了解、方角を言ってくれると助かります」

ドクオからの通信に、クールはかなり数の減ったゼアフォー軍団から大きく身を離す。

『っと…北だな、高架の上だ』

川゚ -゚)「了解」

言葉と同時に、クールはその無骨な脚部に搭載されたパルスグレネードをゼアフォーに投げつける。

( ∴)「ピピポピガガガガガガガガガガリガリガ」

パルスグレネードによる高圧電磁波をまともに喰らったゼアフォーは不快な音を立てて地面に崩れ落ちる。

川゚ -゚)「北、高架上」

それに一瞥すらせず、クールは情報のあった方角を見やった。
その瞳孔に、うっすらと光が灯る。

川゚ -゚)「スキャニング開始…確認」

彼女の視界には、高架を透視して、その上を走る蒸気機関車のようなシルエットの自律兵器の姿が映し出される。
その脇に、四角い吹き出しで「Steam-K」と書かれている。

川゚ -゚)「Steam-K…旧世代の半人型自律戦車と確認、武装は……」

吹き出しが下に拡張され、武装の詳細が表示される。
「M130 105mmHowitzer」その脇に、いくつかのパラメーター。

川゚ -゚)「130式105mm榴弾砲と確認」

クールは淡々と状況を報告する。

『武装までわかんのか、すげえな』

もちろん報告の相手は上空で待機しているドクオだ。

『…やれるのか?』

川゚ -゚)「可能です、戦闘継続します」

『オーケー、できれば105mm榴弾砲は傷つけないでくれ 高く売れるんだ、あれは』

川゚ -゚)「了解しました」

36名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 12:06:13 ID:2P5yUvq.0
/◎ ) =| )「プシューーーーッ」

蒸気王が進軍をやめ、カメラアイをせわしなく動かす。
カメラアイの不気味な赤い光が、スリット越しに辺りを見回し、まるで獲物を狙う無慈悲な猛獣を思わせた。

川゚ -゚)

/◎ ) =| )「……ッシューーーー」

その機械の瞳が、高架下でこちらを見上げる獲物を確認する。
巨大なマズルブレーキを取り付けた大口径砲が、獲物を狙う。

川゚ -゚)「!」

クールはそれをスキャニング越しに見て、素早く飛んだ!
無骨で巨大な脚から繰り出される、重さを感じさせないフットワーク!
次の瞬間!彼女が今いた場所に巨大な爆発が起きた!

川゚ -゚)「130式…高速射出型の直射榴弾砲…真面に当たれば私とてただでは済まないでしょう」

『そういう細かい報告はいいから』

/◎ ) =| )「シュコーーッパ」

蒸気王は多量の蒸気を噴き上げ、高架から飛び降りる。
無限軌道の下から、更に多量の蒸気が噴出し、その巨体を支え地面に軟着陸。
その腕は既にクールを狙っている。

川゚ -゚)「難点はリロードの遅さですが」

素早く横に移動した彼女の脇を、高速で榴弾がすり抜けていく。
蒸気王は更に逆の手を構え、榴弾を放つ

川゚ -゚)「両手に装備することでそれを克服しています」

クールは更に横に避け、榴弾を紙一重で回避
彼女の後方、わずかに残っていた家屋が、その直撃を受けて吹き飛んだ。

『…さっきから言ってるそれは独り言なのか?それとも報告?』

川゚ -゚)「報告です。ドクオ、貴方には敵の情報を知ってもらう必要があります
    私の指揮官としての最低限の知識です」

『でもお前が自分で言ってるから意味ないよねその知識』

37名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 12:07:57 ID:2P5yUvq.0
/◎ ) =| )「シューッ…」

蒸気王は両手を降ろす、すると、胴体部分が観音開きのように展開し、そこからガトリングガンが顔を覗かせた。

川゚ -゚)「副兵装、7.62mmガトリングガンを確認」

『避けれんのか?』

川゚ -゚)「7.62mm程度では私の装甲は傷つきませんが」

『…生身の部分は?』

川゚ -゚)「効きません、LMの皮膚は特殊硬質タンパク質によって非常に強固です、特に私のようなF型は…」

『オーケー…説明は後で聞くからとりあえずソイツやっちまおう』

ドクオの声がどことなく呆れた雰囲気だったのは何故だろうか?
しかしクールはそんな事を気にするような性格ではない

川゚ -゚)「了解しました」

/◎ ) =| )「シュコーーーッ!」

ブオーーーーーーーーーーーッ!!!
驚異的な連射速度を誇るガトリングガンの連射音は、一つに繋がって聞こえまるで出来損ないのラッパのようだ。
クールは重厚な腕を構え、その銃撃を受ける。
キキキキキキキキィン!と甲高い音が断続的に鳴り響き、彼女の堅牢な装甲は豪雨のような銃弾を全て弾いていく。
わずかに露出するきめの細かい肌も、まるで餅に包まれる餡子のように銃弾を包んで弾いていく。

川゚ -゚)「!」

銃弾の雨の中で彼女は蒸気王が右腕を掲げたことに気付く。
咄嗟に、左へ跳ねる。
彼女が今までいた場所の地面が弾けた。爆風を受け転がるクール。

38名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 12:09:14 ID:2P5yUvq.0
『大丈夫か?』

川゚ -゚)「問題ありません」

『なあ…さっきから思ってたんだが、なんで撃たない?』

川゚ -゚)「Steam-Kの装甲は非常に堅牢です。この25mm機関砲では正面から貫徹することは不可能です」

『いや知ってるけど…旋回遅いだろソイツ、さっさとやっちまおうぜ』

川゚ -゚)「知っていましたか」

『それぐらい知ってるわい、伊達にミグラントやってたんじゃねーぞ』

川゚ -゚)「弱点は頭頂部の煙突内部にあるラジエー…」

『知ってる』

川゚ -゚)「25mm砲ならば後部装甲の一部も貫徹可能です」

『…いいからやってくれ』

川゚ -゚)「了解しました」

言うなり、彼女は駆け出す。
もう片方の手もリロードが終わったのか、蒸気王は左手を掲げた。
斜め右へと前転、回避する。わずかに後方で地面が炸裂、土の中にあった大きめの岩石が跳ねた。

/◎ ) =| )「プシュッ…プシューーッ!」

ブオオオオーーーーーーッ!
接近してくるクールに必死にガトリングを浴びせる蒸気王だが、クールは片手を掲げてそれらを全て弾く。

39名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 12:10:35 ID:2P5yUvq.0
と、蒸気王の両腕の榴弾砲が引っ込み、金属製のブレードが現れた!
見る間に赤熱していく幅広の金属剣!

川゚ -゚)「近接用兵装、B5型熱伝導ブレードを確認」

『マジか、高級型じゃねーか』

川゚ -゚)「近接格闘では不利と判断」

クールは蒸気王の脇をすり抜け、大きく距離を取る。
蒸気王がその瞬間に熱伝導ブレードを振るうが、ギリギリ届かない。

/◎ ) =| )「シュコーッ!シュコッ!」

後ろを取られた蒸気王は慌てて旋回しようとするが、重厚な装甲からくる重量が邪魔をしてその速度は全く速くない。

川゚ -゚)「後部サブラジエーター、破壊してもいいですか?」

『構わん、メインラジだけでも十分稼げるしな』

川゚ -゚)「了解」

クールの持つ25mm機関砲が火を噴く。
放熱のために脆弱になっているラジエーター放熱板がグシャグシャに崩れ、もうもうと蒸気を吹き上げた。

/◎ ) =| )「シュゴーッ!シュゴーッッ!!」

蒸気王は苦しげに唸り、ある程度自由に稼働する腕を榴弾砲に戻し、後方のクールを狙う

40名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 12:11:49 ID:2P5yUvq.0
川゚ -゚)「ジェネレーターは破壊しても?」

『…まあいいだろ、蒸気王のジェネレーターは汚染物質吐くし』

狙いの定まらない榴弾砲を軽く避けて、クールは余裕綽々に蒸気王の背後を取り続ける。
同時に、空になったマガジンを交換、ゼアフォーとの戦いで既に3つを消費しており、これが最後のマガジンだ。

川゚ -゚)「了解しました」

言うなりクールは飛び込む、接近戦は危険では無いのか!?
蒸気王は即座に察知し、腕を熱伝導ブレードに戻す。
クールは振るわれる熱伝導ブレードを避け、25mm砲の長い砲身を、破壊したラジエーター跡に突き刺した。

/◎ ) =| )「シュゴッ!」

そのまま彼女はトリガーを引く

/◎ ) =| )「シュゴゴゴゴ!ガガガギギギギギゴゴゴゴゴババババ!!!」

体内に直に銃撃を受け、蒸気王の体が無様に震える。
そしてクールは素早く飛び離れ、次の瞬間

/◎ ) =| )「ゴゴゴガガガガ!ガガガガーッ!」

ボォン!と爆発を起こして、重厚なる自律兵器はその動きを止めた。

41名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 12:12:56 ID:2P5yUvq.0
('∀`)「…お疲れさん、しかしいきなり蒸気王、それも高級型とは幸先いいなあオイ」

上空に待機していたヘリが地上へと降り立ち、防護服を着たドクオが満面の笑みを浮かべて降りてくる。

川゚ -゚)「アウトオブアモ、弾切れです」

クールが25mm機関砲をかしゃん、と揺らして肩をすくめる。

('∀`)「構わんさ、こいつを売れば完璧黒字だ、105mm榴弾砲も無傷、ガトリングもブレードも無傷だ」

川゚ -゚)「できる限り外傷を抑えるよう努めましたが」

('∀`)「さすがだな、その調子で頼むぜ」

ドクオはそこまで言うと、さてと、と真顔に戻り

('A`)「さ、早いとここいつを載せて撤収しよう
   また別の自律兵器が来たら困るからな」

川゚ -゚)「了解しました」

('A`)「お前は向こうにあるゼアフォーの部品を集めてくれないか?あれも端金にはなる
   俺のパルスガンもあいつらのを流用してるからあれば助かるな」

川゚ -゚)「了解しました」

ドクオはヘリの両脇にあるカーゴを開き、そこからローラー付きのボックスを取り出す。

('A`)「これに入れて、でカーゴに載せればいい
    これからこういうの頼むだろうから、頼んだぜ」

川゚ -゚)「了解しました」

('A`)「…全部快応ってのも何か気になっちまうな」

川゚ -゚)「では、否定します」

(;'A`)「そうじゃねえよ」

42名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 12:14:10 ID:2P5yUvq.0
ドクオは蒸気王の残骸を紐にくくりつけ、カーゴへと引っ張り上げる。
ブーンがサービスで付けてくれたオイルクレーンが早速役立った。
クールは少し離れたところでゼアフォーの残骸をポイポイと箱の中に入れていく
見たところ、使えなさそうなものまで放り込んでいるところは目を瞑るべきなのだろうか
そして満杯になった箱を、ゴロゴロと何の苦もなくヘリのカーゴの下へと運んでいく

('A`)「…あー」

ドクオはその中身、ゼアフォーの装甲片まで盛り込まれたそれを見て、何とも言えない表情を作った。

('A`)「うん、お前にも知ってもらうことが山ほどあるな」

川゚ -゚)「?」

('A`)「まあ今日はいいわ、撤収すんぞ」

赤黒い曇天の空を、一機の大型ヘリが舞い上がる。

从 ゚∀从「………」

高架の上に立つ異様な人影が、それが南の空に見えなくなるまでジッと見つめていた。

43名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 12:16:15 ID:2P5yUvq.0
('A`)は荒廃した世界で生きるようです。
第二話:終


自律兵器名鑑 #1
( ∴) ゼアフォー(Therefore)
最も一般的で数の多い自律兵器。全世界で見られ、地中から飛び出すように現れる。
見た目はボウリングのボールとしか形容のできない、3つの穴があいた球状。
武装はその3つの穴から射出されるパルスガン。穴のあいた部分をガトリングのように回転することで広域に拡散するパルス弾を放つことができる。
パルス弾は着弾すると小炸裂し高い熱量を放つので、拡散によって弱くなるということはない
パルスガンの代わりにレーザーブレードを搭載した近接型機体や、自爆特攻を行う機体も存在する。
一度誰かが探索した場所にでも普通に地中から現れるため、「ゼアフォーをばらまく親機がいる」と噂されるがその親機を見たものは一人もいない
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_906.jpg

44名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 12:35:25 ID:.XeUcKl20
おつ

45名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 14:13:55 ID:Z3iXWypA0
おつ
すきよ

46名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 14:15:45 ID:f1HDUgGc0
絵も楽しみだぜ

47名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 22:40:54 ID:7JN0GMp60
おっつ
楽しみだ

48名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 23:33:42 ID:uRZ4M/bo0
いいね

49名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 18:31:39 ID:fJeSJk0M0
('A`)は荒廃した世界で生きるようです

第三話:荒廃した世界で生きる人

50名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 18:32:31 ID:fJeSJk0M0
( ^ω^)「オーラーイ…オーラーイ…」

ブーンが赤色誘導灯を回しながら、ドクオの大型ヘリの着陸を誘導する。
ドクオのヘリは白黒のカラーリングで、側面に紫色の毒沼をもじったエンブレムが描かれている。
F21C重輸送ヘリを利用する者は多いため、このように各人がわかりやすいエンブレムを作っているのだ。

( ^ω^)「オーラーイ…ハイストーップ…」

慣れた手つきで、ブーンはその巨体を狭いガレージ内に収めさせる。見事な腕前だ。
側面のハッチが開いて、ドクオが降りてくる。その後ろからはクール

('∀`)「いやあ、儲かった儲かった」

( ^ω^)「おっ、随分上機嫌じゃないかお なんか拾ってきた?」

('∀`)「聞くより見たほうがはええよ、ほれ」

そう言ってドクオは手元のPDAを操作する。
ヘリの側面が開き、カーゴが顕になった。
そこに置かれているのは、まだ原型を保っている蒸気王の亡骸。

( ^ω^)「おおっ!蒸気王じゃねーかお!」

クールを見た時ほどではないが、ブーンは驚いた様子だ。

('∀`)「しかも熱伝導ブレード搭載の高級型ときた、こいつを売りてえんだ。
    損傷はサブラジとジェネ、あとクラッチも逝ってたがそれでも充分だろ?」

( ^ω^)「充分すぎるお、更に今日の僕は上機嫌だから、高めに買ってあげるお」

('A`)「昨日今日と上機嫌か、よほど10型戦車が嬉しかったのか?」

(*^ω^)「フヒヒ、あの戦車、ロマネスクさんに高く買ってもらったんだお。がっぽりだお
     まあ、まだ現物は僕の手元だけどお。今日取りに来るらしいお」

('A`)「マジか、あの人金持ってるからなあ」

51名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 18:33:51 ID:fJeSJk0M0
ロマネスク。
ドクオが行く前にも話があったが、LMの部隊を保有する、このファーイーストT地区最大の権力者だ。
膨大な資源と資金を持ち、あの遠方に見える細長い塔の上に住むというセレブ、かつ事実上のこの生存可能区域の長である。
と、言っても、このファーイーストT地区自体がミグラントの集合体によって形成されたものなので、特にキツイ規制があるわけでも無くフリーな場所である。
この荒廃し、殺伐とした世界の中でも、かなり平和な地区と言えるだろう。
その平和を率先して守っているのも、他ならぬロマネスクだ。
彼の保有するLMの部隊は巨大兵器すら相手にならない練度を誇る。場の空気を乱す愚か者や、荒らしに来るならず者などは、彼の私兵集団が徹底的に叩きのめしてくれるのだ。
もちろん、ここに長く住んでいたとしても、非道を働けば即攻撃対象にされるが。

('A`)「で、おいくら万円になりますかね?」

( ^ω^)「武装とかの詳細、あとは装甲のダメージ具合とか諸々がありますんで、とりあえず引渡しお願いしますお」

('A`)「アーイエッサー」

いつも通りの言葉を交わし、ドクオは蒸気王の亡骸とその隣のカーゴを引っ張り出す。

( ^ω^)「お、隣のは?」

('A`)「ゼアフォーの欠片、ちょっといろんなもんが混じってるんでこっちは待っててくれ…」

( ^ω^)「?」

ブーンはきょとんとした顔をするが、すぐに真顔に戻り下ろされた蒸気王をまじまじと見つめる。

( ^ω^)「…装甲に弾痕が無いお、どうやって?」

('A`)「ケツのサブラジに銃突っ込んで中のジェネをドカン」

(;^ω^)「アッー…」

52名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 18:34:34 ID:fJeSJk0M0
まあとりあえず、とブーンは呟き

( ^ω^)「細かく査定するんで、明日にでもまた来てくれお」

('A`)「うい」

川゚ -゚)「……ドクオはいつもこうやって金稼ぎを?」

それまで見ていたクールが、率直な疑問を投げかけた。

('A`)「ああ、ブーンはミグラントにガレージを貸し与えたり、商品売買の仲介をするミディアートなんだ」

( ^ω^)「まんま"仲介"って意味ですお ミグラントが"渡り鳥"なのに」

('A`)「最近できた職業だからな でもミディアートのおかげで、それまでは権力や金のある奴しか利用できなかったミグラントが、一般人にも手軽に利用できるようになった」

川゚ -゚)「…という事は、ブーンは他にもミグラントを?」

( ^ω^)「あー…ほぼドクオの専属ですお 他の人は多数のミグラントと契約してるみたいだけど」

('A`)「コイツのガレージ狭いからな、俺の一機とコイツのだけで満杯なんだわ」

ドクオが振り返り、トタンで壁が作られただけの質素なガレージを眺める。
毒沼のエンブレムのドクオ機、そしてその後ろには白いお饅頭が描かれた可愛らしいペイントの同型ヘリが置いてある。

('A`)「ペインティングに関しては何も言うな、コイツの嫁さんのデザインだ」

川゚ -゚)「既婚でしたか」

(*^ω^)「お恥ずかしながら…ここには住んでないけどお」

ブーンは帽子を更に深くかぶり恥ずかしげに顔を隠す。

53名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 18:35:15 ID:fJeSJk0M0
川゚ -゚)「ここには住んでない…と言うと?」

('A`)「妊娠中だ」

(*^ω^)「あっコラ!バラすんじゃないお!」

('A`)「ニヤニヤしながら言うなキモイ」

川゚ -゚)「妊娠…なるほど、ここでは環境が悪すぎると」

( ^ω^)「事実なんだけどいきなりそれ言われるとグサッとくるなあ」

('A`)「せめて"おめでとうございます"ぐらいは言えよ、空気読んで」

川゚ -゚)「すみません、私には空気を読む機能も生殖機能もないもので」

('A`)「開き直んじゃねえ」

( ФωФ)「まったくなのである、LMは世間一般の常識を知らなくて困る」

('A`)「まったk……」

突如として彼らのあいだに割り込んできた、ドクオよりも背が高く、がっしりとした体格の男。
ここで過ごすもので、彼を知らぬ者はいない

(゜A゜)「ろろろろろろ、ロマネスクさん!?」

( ゜ω゜)「いいいいい、いつの間に!?」

川゚ -゚)「…ああ、こいつが君らの言ってた」

(゜A゜)「やめてクール!ロマネスクさんにこいつ呼ばわりはやめて!殺されちゃう!」

(´ФωФ)「え?何?吾輩そんなヤの付く人みたいに扱われてるの?ブーンだって…今日行くって言ったじゃん」

54名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 18:36:20 ID:fJeSJk0M0
( ^ω^)「あ、そうでしたお…」

('A`)「あ、あの10型戦車か」

(´ФωФ)「ドクオ殿も知っていたのであるか…ならより一層さっきの驚きっぷりは一体…」

('A`)「いや、でも恐ろしい人なんで」

( ФωФ)「吾輩はよほどの悪逆を働かない限りは動かないのである。もっと気楽に接してくれていいのである」

( ^ω^)「LMの小隊を持ち、戦車一個師団持ち、重武装ヘリ10機持ってて、タワーの頂上に住んでるような人に気楽に接しろとか無理ゲーですお」

( ФωФ)「そう…であるか?」

('A`)「ああ…これが俗に言う"セレブの感覚麻痺"って奴か…」

川゚ -゚)「初めまして、ロマネスク。シリアルナンバーLM-167439F、クールです」

( ФωФ)「ほら、彼女はすぐに呼び捨てにする気楽さなのである。どうも、クール殿。ロマネスク・スギウラである」

('A`)「クールは誰に対しても呼び捨てっすよ…(ロマネスクさんの下の名前初めて聞いた…)」

( ^ω^)「ロマネスクさん。戦車は…」

( ФωФ)「ちょっと待つのである、聞きたいことがいくつかあるので先に」

そう言ってロマネスクはドクオに向き直る

('A`)「あっはい、なんでしょう」

その迫力に気圧され、ドクオはびしいと姿勢を正す。

55名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 18:37:04 ID:fJeSJk0M0
( ФωФ)「ドクオ殿、このLMはお主のか?」

('A`)「西の廃棄施設で拾いました、私のでございます」

(´ФωФ)「や、そんな堅くならなくていいから。素朴な疑問だから」

( ^ω^)(ロマネスクさんの話し方が余計堅苦しくさせてるの気づいてないのかなあ…)

( ФωФ)「見たところまだペイントも施されてない素の状態なのである。吾輩の小隊はそれぞれ別々のペイントを施しているのである。
       良かったらドクオ殿も真似てみてはいかがかな?」

('A`)「ありがたきお言葉」

(´ФωФ)「や、だから堅くならなくて…もういいのである」

('A`)「…てっきり売ってくれ、みたいなこと言われるかと思いましたけど」

( ФωФ)「他人のものを取るほど腐ってはいないのである それに吾輩のLM部隊はもう間に合っているのである」

それだけ言うとロマネスクはブーンに向き直る

( ФωФ)「では、戦車を見せてくれるかな?ブーン殿」

( ^ω^)「あっはい、こちらですお」

そして倉庫へと向かう途中で、振り向きざまに一言

( ФωФ)「何かあったら吾輩に聞くといい、いつでも相談は受け付けているのである」

('A`)(やだ…超かっこいい…)

56名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 18:38:07 ID:fJeSJk0M0
ブーンとロマネスクが倉庫へと消えた後、ガレージにはドクオとクールが残された。

川゚ -゚)「ドクオ、これからの予定は?」

('A`)「…とりあえず腹が減ったな、なんか食いに行くか」

川゚ -゚)「…一文無しだったのでは?」

ドクオは壁際にある棚を引っ張り出し、その中から古びた財布を取り出す。
その中からお札を2枚ほど取り出し、尻ポケットへ

('A`)「手前金として貰っとく」

川゚ -゚)「…いいのですか?」

('A`)「よくやってるから無問題」

川゚ -゚)「そういう問題ではないような気もしますが、と言うか人のを取るというのはロマネスクよりも腐」

('A`)「ところでお前、飯とか食えるの?」

川゚ -゚)「…生体ジェネレーターの駆動にはカロリーを用います。出来れば専用のカロリーボトルが良いですが、食事は可能です」

('A`)「じゃ食いに行こう、高カロリーならいいラーメン屋があるぜ」

川゚ -゚)「了解しました」

57名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 18:39:32 ID:fJeSJk0M0
【インシデント発生、一時更新停止します。30分くらいで戻ってきます】

58名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 19:04:20 ID:fJeSJk0M0
【再開します】

59名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 19:05:22 ID:fJeSJk0M0
――――――――――――――――………

ファーイーストT地区 下層繁華街
ネオン灯が猥雑に立ち並び、陰鬱な雰囲気と活気が両立した摩訶不思議な雰囲気を放つT地区の中でも有数の商店街だ。
荒廃したこの世界において、唯一豊富な食事のみが、人々の活気の源なのである。
食料はもはや自然界で育つものは殆どなく、商店街に並ぶ食料品は全て清潔な工場内で育った純粋培養品だ。
これは荒廃以前からある程度そうであったらしく、汚染された土地にも、いくつかの工業的農業施設の跡地は確認できる。

('A`)「……」

川゚ -゚)「………」

しかし、こんな猥雑とした世界の中であっても、クールの存在はとてつもなく異様で、人々は二人が通るたびに振り返ってヒソヒソと話を始めた。

('A`)「……連れて歩くのは失敗だったかもしれん」

川゚ -゚)「人の目を集めるのは、悪いことではないと思いますが」

('A`)「いやこの視線はすごく痛い、とても痛い……」

そう言ってドクオはちらとクールを振り返る。
端正な顔立ち、白い肌、胸部は装甲で隠されてはいるが、腹部はきめの細かな肌と整ったへそが丸見えで、しかも理想的なくびれを持っていると来た。
そしてそれに対比するかのような、黒く、重厚な機械の四肢。動くたびに駆動系の音が猥雑なこのストリートに鳴り響いた。

<ヽ`∀´> 「おいお前ェ!」

('A`)「ほ?」

突如、ドクオの前に頬にエラのある男が現れた。

<ヽ`∀´> 「ほ?じゃねえニダ!そのLM!それはウリのもんニダ!返すニダ!」

('A`)「ハァ?」

60名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 19:06:11 ID:fJeSJk0M0
突然の騒ぎに、ザワザワと周囲にざわめきが走る。

<ヽ`∀´> 「ウリはミグラント"レッドスターズ"の首領、ニダーニダ!ウリの名前、知らんとは言わせんニダ!」

('A`)「いや知りません」

<#`∀´>「ニダッ!?こいつ知らんのかニダ!皆は当然知ってるニダ?」

どよどよ、と彼らを囲む人々は口々に何かをつぶやく。
しかしその中で、特に大きい声を張り上げる者がいた。

( `ハ´)「知ってるアルよ!超有名アル!レッドスターズ!我らが新星!」

ひげを蓄えた、いかにも胡散臭そうなおっさんだ。

<ヽ`∀´> 「ほら知ってるってニダ」

('A`)「いやそいつしか言ってないじゃん」

<#`∀´> 「ニダッ!!?言ったなチョッパリ!」

( ^^ω)「ぼ、ぼくも知ってるんだな!」

胡散臭そうなおっさんの後ろから、でっぷりとした少年が顔をのぞかせる。

<ヽ`∀´> 「ホルホルホル…で、そのLM、それはウリナラのもんなんだニダ
      今返してくれれば、何もしないニダ」

('A`)「なあお前らいいかげんにしろよ、ここはファーイーストのT地区だぞ?
   ロマネスクさんが黙ってるとでも思うのか?」

<ヽ`∀´> 「ロマネスク…?フン!あんな奴ただ権力を振るうだけのへっぴり腰だニダ!
      ウリナラの戦力の前には赤子も同然!さあ返すニダ!嫌ならここで無様に倒れ伏す事になるニダよ?」

(#'A`)「んだとォ…」

川゚ -゚)「待ってくださいドクオ」

怒りを顕にするドクオを、クールが制する。

・∵;;<゜A´(「ホルホルホル…こっちに来る気になったわば!?」

途端、彼女の文字通りの鉄拳が、彼の頬を抉った。

61名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 19:07:30 ID:fJeSJk0M0
('A`)「おおぅ…」

川゚ -゚)「フザケないでください。私は貴方方と面識はありません」

<゜A゜r>「アイゴー…アイゴー…」

殴られた男は無様に地面でピクピクとしている。

(#`ハ´)「や、やりやがったアルね!正当防衛アル!」

ヒゲのおっさんが腰からパルスガンを取り出してこちらに構える。
周囲のざわめきに悲鳴が混じり、何人かの人が散り散りに逃げていく

('A`)「あんたが正当防衛って事は身内?さっきまでまるで他人みたいに振舞ってたじゃん」

(#`ハ´)「うるさいアル!これは正当防衛アル!」

('A`)「なあ、そのパルスガン、エネルギー切れてんぞ」

( `ハ´)「え?」

川゚ -゚)「はい」

( ゜ハ゜)

おっさんが一瞬銃に気を取られた瞬間、クールの脚が、その股間にクリーンヒットした。

62名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 19:08:12 ID:fJeSJk0M0
(;^^ω)「あ、あ…」

一瞬で崩れ落ちた大人二人に、その後ろにいた少年はへっぴり腰で動けない

('A`)「帰んなガキ、お前はこうなりたくねえだろ」

( ;;ω)「ご、ごめんなサイーーーーー!」

逃げるように去っていく少年、途中で転びながらも、その肥えた体からは想像もできない俊敏さであっという間に見えなくなった。

('A`)「周囲のお前らも!見世物じゃねえぞ!さっさと戻れ!」

ドクオの声に、ざわめきながらも散っていく野次馬たち

('A`)「…やれやれ、とんだインシデントだったな」

川゚ -゚)「やはり私はここに居るべきではないのでしょうか?」

('A`)「……いや、別にいい。お前は自分のことは自分で守れるだろ?」

川゚ -゚)「はい」

その後は二人は言葉を交わすこともなく、ドクオ馴染みだというラーメン店に到着した。

63名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 19:09:06 ID:fJeSJk0M0
('A`)「お前、ラーメン知ってるか?」

川゚ -゚)「荒廃以前にも同名の食品はありました。簡単に作れるレトルトタイプも存在し、かなり著名だったとライブラリにあります」

('A`)「…お前のライブラリは一体どんな知識が入ってるんだ」

川゚ -゚)「各種兵器、物資、戦闘糧食についての知識があります。あとは私のいたあの施設ならば全容を把握できます」

('A`)「ラーメンって戦闘糧食にあったの?」

川゚ -゚)「はい、前述のとおりレトルトタイプが存在していたので」

('A`)「意外だ…だって汁物だぞ、どうやってレトルトにするんだ」

川゚ -゚)「そこまでの知識はありません」

('A`)「クソ…その知識があればどこでもラーメンが食えるのに…」

ドクオはぼやきながら、古臭い戸を引き開ける。

(,,゚Д゚)「エーラッシェー!お、ドクオじゃないか!」

中にいたのは、頬に二つの傷を持つ男。
その鋭い目線は、兵士のそれだ。

('A`)「久しぶりだなギコ、ちょっと今日は変わった連れがいるんだがいいか?」

(,,゚Д゚)「変わったツレだぁ?珍しいな、お前に
     別に構わんぜ、見ての通り閑古鳥が鳴いてらァ」

彼の言葉通り、時間は昼時だというのに、狭い店内はガラガラだ。

('A`)「まあ…正直言って味は普通だしな、お前のラーメン」

(,,゚Д゚)「ひでえなあ…これでも頑張ってんだぜ?」

ドクオは戸から顔を出し、クールに中に入るよう促す。
彼女の無骨な腕が狭い店内に入るか不安だったが、問題ないようだった。
しかし問題があったのはギコの方だ。

(,;゚Д゚)「ちょちょちょ、ちょっとタンマ!なんだよソイツ!」

当たり前の反応だ、いきなり店内に両手両足が黒光りする金属で出来た女性が入ってきたのだから。

64名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 19:09:49 ID:fJeSJk0M0
川゚ -゚)「初めまして、シリアルナンバーLM-167439F、クールです」

クールはしれっとした様子でいつも通りの自己紹介。

(,;゚Д゚)「え、LM?リビングメタルスか!?マジかよ!」

('A`)「…やっぱ連れてくるのは間違いだったかな」

ドクオの呟きに、ギコが猛烈なツッコミを入れる

(,;゚Д゚)「いや間違ってたとかそういう問題じゃねーだろ!そもそも飯食えんのかよ!」

川゚ -゚)「食事は可能です」

(,,゚Д゚)「あ、そうなんだ」

(,;゚Д゚)「ってだから連れてきたのかお前!?」

('A`)「うん」

(,;゚Д゚)「うん、じゃねーよ!俺の店ぶっ壊す気か!?」

('A`)「…床は大丈夫そうだぞ。武器は今持ってないから大丈夫」

川゚ -゚)「現在私はアウトオブアモ、弾切れ状態です。戦闘は不可能の為戦闘モードに移行できません、その為無問題です」

('A`)「あ、そういやブーンに補給頼まねえとな」

(,;-Д゚)「…うん、もういい、ツッコむの疲れた」

65名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 19:10:59 ID:fJeSJk0M0
ギコは諦めた様子で頭のハチマキを締め直す。

(,,゚Д゚)「…で、何食うんだ?」

('A`)「俺はいつもので、お前は?」

川゚ -゚)「何でも構いません、ドクオと同じもので結構です」

(,,゚Д゚)「あいよ、こってりチャーシュー入り醤油ラーメン2丁ね」

ギコは慣れた手つきでラーメンを茹で、手製のチャーシューを分厚く切り分けていく

川゚ -゚)「……兵士ですか?」

クールのその言葉に、ギコがぴくりと反応した。

('A`)「………」

ドクオは何も言わず、水をチビチビと飲んでいる。

川゚ -゚)「頬の傷、そして筋肉のつき方、動き…どこかしらの特殊部隊に所属していた節があります」

(,,゚Д゚)「…すげえな、さすが生きた兵器と言われるだけはある」

ギコは向き直り、腕組みをしてクールと向かい合った。

(,,゚Д゚)「そうだ、俺はかつて、ここじゃない別の生存可能区域で、そこの支配者の親衛隊長をしていた」

川゚ -゚)「除隊になったのですか?」

(,,゚Д゚)「ちげえ、俺がその支配者を殺した。反逆、クーデターさ」

川゚ -゚)「何故?」

(,,゚Д゚)「…気に入らなかっただけさ、奴と、奴の支配体制がな。さあ、話は終わりだ」

66名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 19:12:16 ID:fJeSJk0M0
そう言うとギコは再び向き直り、ラーメンを網ごと引き上げる。
そしてこってりと油の浮いたスープに絡ませ、そこにだし汁を注ぎ込む。
たっぷりの野菜と、手製のチャーシューを盛り付けて、二人の前に差し出した。

(,,゚Д゚)「エイ、こってりチャーシュー入り醤油ラーメンお待ち」

本当にとてもとてもこってりしてそうな、油の艶を放つラーメン。

('A`)「おし、久々のコテコテラーメンだ。替え玉の用意頼むぞ」

(,,゚Д゚)「あいよ、お前のそのガリガリの体のどこに、俺のこのこってりラーメンが吸収されるのかね…」

('A`)「知るかよ、お前も食え。味は普通だし安いわけでもないが、何かハマるぞ」

(,,゚Д゚)「褒めてんのか貶してんのかどっちかにしろ」

川゚ -゚)「…頂きます」

クールは無骨な指で器用に箸を掴むと、ラーメンをすすり始めた。

67名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 19:14:25 ID:fJeSJk0M0
('A`)は荒廃した世界で生きるようです。

第三話:終


自律兵器名鑑 #2
/◎ ) =| ) 蒸気王(Steam-K)
Kシリーズと呼ばれる中型自律兵器群の一つ。○○-Kという特殊な名前のつけ方をしている。
蒸気王ことSteam-Kはその中でも比類なき装甲を持つタンクタイプ。脚も戦車と同じ無限軌道による走行。
人間の腕部に似た形状の胴体両脇のアタッチメントには大口径の砲を、胴体には対人用の7.62mmガトリングガンを搭載でき、制圧火力は高い。
弱点は頭部の煙突内部にあるラジエーターと、重装甲からくる旋回性能の悪さである。
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_908.jpg
(>>1が線画だけで力尽きたので線画です。ゼアフォーが簡単すぎてつい色を塗っちゃったがこいつは無理だ)

68名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 19:37:40 ID:sfXFmWIM0
絵も文もうまいなー


69名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 19:38:40 ID:6h80rVB.0


70名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 19:41:19 ID:kPCLU2JE0
すっげえわくわくするわ

71名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 20:14:08 ID:1UodBwZw0
おつ

これは面白い

72名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 22:10:05 ID:VgQTmBcg0
これは面白い
クーの四肢ってどれくらいでかいのん?

73名も無きAAのようです:2013/04/05(金) 00:51:49 ID:J75qNcX60
おつおつ
ほんといいふいんき

74名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:27:48 ID:h2ZCh5mY0
('A`)は荒廃した世界で生きるようです。

第四話:謎の巨大兵器

75名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:29:36 ID:h2ZCh5mY0
('A`)「で、必要そう、売れそうなもんを集めればいいわけ」

川゚ -゚)「なるほど」

ドクオとクールは、ラーメンを食べ終えても、しばらくギコの店に居座り、話を続けていた。
話の内容は、「持ち帰ってくる部品」の事。

(,,゚Д゚)「ゼアフォーの装甲片は売れるどころかゴミだもんなあ…」

ギコは今しがた聞いた話に対してやれやれと首を振る。

川゚ -゚)「ゼアフォーの外装は単一金属で構成されているので、融解して再鋳造すれば使えるのではと思ったのですが…」

('A`)「この世界にそんな金属加工できる設備も資源も技術もねーよ。ただあるものを使う…それだけしかできねえ」

(,,゚Д゚)「日用雑貨…まあ俺の使ってるこの鍋とか金網なんかは、一応作れるところはあるらしいけどな
     それでも消費に製造が間に合わん。ちなみに俺のこれはミグラントからの貰いもんだ」

川゚ -゚)「利用できるものは限られていると」

理解しました、とクールは表情を変えず頷く。

('A`)「ゼアフォーなら、中のマクロジェネレーター、パルスガン、モーターくらいだ
   端金だよ、本当に」

(,,゚Д゚)「ゼアフォーは数も多いし強くもないからな、実際供給過多なくらいだ」

ドクオやギコならず、一般人もゼアフォーの部品に触れる機会は多い。
しかし実用性があるかといえば微妙で、ただ周知の知識としてそれを知っている人も多いだろう
2人の言葉に、クールは1秒ほど思案し、そして答える。

川゚ -゚)「発電器官、武装、駆動装置が売れるということですか?」

('A`)「あー…確かにそうだな 特にジェネレーターと武器類は高く売れやすい」

(,,゚Д゚)「消費が多いからな、でもジェネレーターは汚染物質吐くのは買ってもらえんぞ」

76名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:30:18 ID:h2ZCh5mY0
川゚ -゚)「蒸気王のような」

(,,゚Д゚)「おう…そうだな、あいつのジェネレーターは粗悪で色々吐くからな」

ギコは予想外の名前を聞いて一瞬戸惑うが、間違いない。と頷く。

('A`)「実はついさっきその蒸気王を狩ってきたんだ」

(,,゚Д゚)「ほう、お前がか?」

ギコはクールに向き直って言う。

川゚ -゚)「はい、その為現在の私はアウトオブアモです」

(,;゚Д゚)「あの蒸気王をねえ…やっぱすげえんだな、リビングメタルスってのは」

('A`)「俺もびっくりだぜ。臨機応変、それでいて高度な戦闘能力。
   戦車一両に匹敵するとか言われてるが、それ以上だよこいつは」

( ´W`)「ウェーイ、ギコのおっちゃん。塩ラーメンおーくれー」

と、その時、店の戸が開き、ギコと同年代の男が入ってくる。

(,,゚Д゚)「おう、シラヒゲか……すまんなドクオ、そろそろお前らも帰ったらどうだ」

('A`)「…んだな、長居してすまなかった」

川゚ -゚)「失礼します」

77名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:31:49 ID:h2ZCh5mY0
ドクオは申し訳なさげに、クールは飄々とした態度でギコの店を後にし、繁華街を元来た道に歩く。
来る時にいたあの胡散臭い奴らもその姿はとうに見えず、繁華街はいつも通りの猥雑さだ。
いや、少し違う。人々が口々に同じ話題を話している。

(゜д゜@「ねえ聞いた?また湾岸区域に巨大兵器が現れたそうですわよ?」

@゜д゜)「あらまあ本当?怖いわねえ最近…」

('A`)(この辺のオバサマ方はなんでこう皆似た顔なんだ…いや、それより、また巨大兵器が?)

川゚ -゚)「ドクオ」

('A`)「おん?」

周囲の人々の話を同じように聞いていたクールが、ドクオに再び疑問を投げかける。

川゚ -゚)「巨大兵器とやらは…どういうものなんだ?」

('A`)「あー…ま名前のとおりだ。馬鹿でっかい自律兵器。形はまちまちだぜ、戦闘艦艇、巨大航空機、超ド級戦車、大型機動兵器…
   時々現れては、周囲に破壊を振りまく困ったやつらさ…もちろん、その分使える部品が大量に手に入るから度胸と力のあるミグラントはこぞって狩りに行く」

川゚ -゚)「ドクオは対峙したことは?」

('A`)「…一度だけある。狂ってるよ、あんな兵器作った荒廃以前の人間も、それに挑む今の人間もな」

ドクオの言葉は、どこか怒りを孕んでいるように聞こえた。
と、突如、クールの体がビクリと震えた。

川゚ -゚)「…!ドクオ!伏せろ!」

('A`)「は?」

突如としてそれまでの口調と全く違う、命令形の口調がクールの口から飛び出し、ドクオは呆けた声を上げた。
その呆けたドクオの頭を、無骨な腕が押さえ込む

(;'A`)「いっでででで!何すんだ首折れる!」

と言うドクオの反論は、大気を切り裂かんばかりの轟音によってかき消された。

78名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:33:58 ID:h2ZCh5mY0
「おい!なんだありゃ!」

「巨大兵器だ!巨大兵器が湾岸からここまで来やがった!」

「ロマネスクさんに連絡しろ!早く!」

数々の叫び声に混じって、そんな声が聞こえる。

川゚ -゚)「大丈夫ですか」

クールの端正な顔が、目の前に現れた。

('A`)「お…おう…一体、何が……」

その整った顔立ちに一瞬ドキリとしながらも、ドクオは辺りを見回す。

川゚ -゚)「アンノウン。私のライブラリに存在しません」

クールが指さす先、都市の中空に浮かぶ、コウモリとも鳥ともつかない容姿を持った、巨大な"それ"がいた。
遠方からでも、その巨大さがよくわかる。それが街の上を飛行しているのだ。

(;'A`)「な、何だありゃあ…」

川゚ -゚)「不明です。周囲の人は巨大兵器と言っていましたが、ドクオも見たことはないのですか?」

クールの言葉に、ドクオは立ち上がりながら首を振る。

(;'A`)「見たことねえよ、あんなもん…そもそも兵器なのか、あれ」

川゚ -゚)「スキャニング…武装解析…情報あります」

(;'A`)「武装してるのか!?じゃあやはり大型兵器…」

川゚ -゚)「ですが、私のライブラリには存在しない兵器です。『HPL-168 Plasma-Dispenser』未知数の、おそらくエネルギー兵器です」

プラズマディスペンサー…確かに、名前的にエネルギー兵器だが、HPLという型番すら聞いたことが無い。

79名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:35:01 ID:h2ZCh5mY0
(;'A`)「そ、そうだ、ロマネスクさん!あの人に知らせねえと!まだブーンのガレージにいるんじゃねえか!?」

ドクオがハッとして叫ぶ。

川゚ -゚)「私たちがガレージを出てから1時間は経過していますが…可能性はあります」

(;'A`)「あいつが攻撃を始めたら…この街の、一般人の被害はとんでもない事になるぞ!」

ガレージに向け走り始めるドクオ。クールもその後を追いながら、未知の巨大兵器を振り返り呟いた。

川゚ -゚)「……私が何とか出来ればいいのですが」

('A`)「は?」

ドクオはその言葉に、思わず足を止める。

川゚ -゚)「……いえ、急ぎましょう」

(;'A`)「お、おう…」

ドクオは少し狼狽えながらも、先を走るクールについてガレージへと駆け戻る。

80名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:35:41 ID:h2ZCh5mY0
('A`)「ロマネスクさん!ロマネスクさん!!」

(;^ω^)「ドクオっ!」

現れたのはブーンだ。見るからに焦った様子である。

(;'A`)「その様子だとわかってるみてえだな!ロマネスクさんは!?」

(;^ω^)「もう行ったお!すぐに部隊を出すって……それよりドクオ!ヘリ出してくれお!」

('A`)「え?ヘリ?なんで…」

(;^ω^)「あの巨大兵器!ツンのいる所に向かってるんだお!!」

(;'A`)「何だと!?」

川゚ -゚)「ツン…と言うのは?」

(;^ω^)「説明は後だお!クールも来るといいお!」

川゚ -゚)「出来れば弾薬が欲しいですね」

(;^ω^)「ヘリに積んであるから!燃料も補給しといたお!言っとくがツケじゃねーお!」

('A`)「焦ってる割には妙に冷静な動きだな」

(;^ω^)「茶化してる場合じゃねーお!!!!」

81名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:37:13 ID:h2ZCh5mY0
ドクオのヘリ、そのローターが急速に回転し、薄汚れた狭いガレージに吹き荒れる。
重そうな巨体をゆっくりと引き上げ、白黒の渡り鳥は空を舞う。
その空の北上。コウモリとも鳥とも取れない影が、市街地上空を悠々と飛行していた。

(#'A`)「あの野郎…俺達の街を我が物顔で…!」

(;^ω^)「ロマネスクさんは…!?」

ブーンはロマネスクの居城、東方に望む白銀のタワーを眺めるが、サーチライトがわずかに煌くのみでまだ動きはない

川゚ -゚)「LMの反応も感じられません。未だ戦闘モードには入っていないようです」

('A`)「…あいつもそうだな、攻撃する感じじゃねえ、まるで何か…何かを探しているような感じだ」

ドクオは目を皿のようにして、市街地上空を浮遊する巨大兵器を見つめる。

( ^ω^)「ドクオの"勘"かお…」

川゚ -゚)「勘…私にはよくわかりませんが、確かに"あれ"は武装を構えている様子はありません」

と、その時だ。ドクオのヘリの無線機に通信が入ってきた。

『ハローハロー、こちらT地区の管理者。ロマネスクである。現在飛行中の"ペリカン"に告ぐ』

ペリカン、というのはF21C重輸送ヘリの愛称だ。その巨大なカーゴを、ペリカンの巨大な喉袋にたとえてのネーミングである。

( ^ω^)「ロマネスクさん!」

『その声は…ブーンであるか、しかし…お主のあの可愛らしい機体は見えないのである』

('A`)「俺の機体だよ。白黒で横に毒沼が描いてあるやつだ」

『なるほど、確かに確認できるのである。…では、話を戻そう
 現在より、市街地上空を浮遊する未知の巨大兵器に対する迎撃作戦を開始するのである』

82名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:38:03 ID:h2ZCh5mY0
(;'A`)「え、俺たちも参加するんすか!?」

『敵は深くまで入り込みすぎているのである。あそこで破壊してしまったら、残骸はどこに落ちる?』

『…市街地のど真ん中ダーネ』

聞いたことのない声がさらに無線に交じる。

『どうも、ロマネスク代表。私はミグラントチーム"リフレクター"のリーダー、シラネーヨ、ダーヨ』

『知っているのである、相変わらず他人行儀であるなシラネーヨ殿』

('A`)「T地区の北側を実質支配するミグラントチームか…また凄いのが出てきやがった…」

『その声はドクオ君ダーネ?噂になってルーヨ、君。LMを手に入れたって』

( ^ω^)「ちなみに噂を蒔いたのは僕ですお」

(;'A`)「やめてくれ…狙われたらどうすんだよ、俺まだ戦力クールだけだぞ」

『ならばやられぬ様務めるンダーネ、正直、僕は君に期待してルーヨ』

『世間話はそこのへんにしといたらどうだい、ヒヨっ子共』

と、そこに加わる更なる声。
女性のものだが、重く、力の感じる声だ。

『その声は、母者殿であるな?サスガ・ファミリーの』

『カッ!ロマネスクの坊ちゃんも偉くなったもんだ!私に指図できるようになったんだからねえ!』

その口ぶりからは重々しい重鎮ぶりを感じられる。

83名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:38:55 ID:h2ZCh5mY0
('A`)「サスガ・ファミリー…」

ドクオが無線に聞こえないように小さく呟いた。聞いた事のある名だ。

( ^ω^)「僕も聞いたことあるお、家族でやってるミグラントで、LMも保有してるとか」

川゚ -゚)「ほう…」

『さて、これで飛んでいる御仁は全てかな?』

ロマネスクの声がわずかにノイズを孕む。
電波的なノイズではない、向こうの音声そのものだ。つまり、ヘリのローター音。

『今から飛ぶとこかい?足が遅いねえ、運動不足なんじゃないかい!?』

母者が声を張り上げる。

『すまぬな、少し諸用で離れていたのである。これでも急いだのである』

『指揮はあんたなんダーヨ、頼ムーヨ』

『それに関してはある程度纏まっているのである…まあ、とにもかくにもあの巨大兵器を吾輩の庭から追い出さなくては始まらないのであるな』

『"吾輩の庭"ねえ…ッチ、言い返せないのが悔しいよ!』

('A`)「なんか俺の肩身がすごい狭いんですがそれは」

( ^ω^)「3匹のライオンの中に混じった子猫状態だおね…」

『別に気にする必要はネーヨ。それに君はLMを持ってるじゃネーカヨ』

『アタシも噂に聞いてるよドックン!アタシんとこのLMとどっちが強いか試そうじゃないか!』

(;'A`)「ど、ドックン!?」

84名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:40:13 ID:h2ZCh5mY0
『では…とりあえずは母者殿、お主が一番部隊を整えて飛んでいるようであるな。あの巨大兵器を追い詰めてもらいたい
 もちろん、市街地へのダメージは最小限になるように!』

『難しい注文をするねえ!だがやってみよう!サスガ・ファミリーの連携力を見せてあげるよ!』

ドクオのヘリの後ろから5機の、武装が施された大型ヘリが巨大兵器に向けて飛んでいく。
その中の一機のコックピットを、ドクオは見逃さなかった

( ´_ゝ`)

(´<_` )

よく似た男二人、兄弟だろうか?

('A`)「サスガ・ファミリー…」

川゚ -゚)「…!LMの起動を感知しました、あのヘリ内です!」

クールはドクオが見た、あの兄弟が乗ったヘリを指差す。
と、そのヘリのカーゴ側面が開き、台座が滑り出てくる。その上に佇む、鉄塊。
いや、それは鉄塊ではない!よく見れば、それはクールのものと同じ機械の四肢であり、まるでその鉄塊に埋もれるように、小柄な生身が覗いた!

l从・∀・ノ!リ人

(;'A`)「こ、子供!?」

( ^ω^)「あれ、LMなのかお…クールもパーツと生身のバランスおかしいけど、あれおかしいってレベルじゃねーお…」

川゚ -゚)「あれはE型でしょう。対機甲兵器特化型の超重装甲・重火力型…あまりに重装甲すぎるので私生活用の別パーツを必要とします。
     ちなみに私、F型はその反省を活かして生活に支障の出ないレベルまで装甲を落としたタイプです」

('A`)「LMもタイプによって色々異なるのか…しかしあれは…」

あまりにも異常だ。ドクオはその言葉を飲み込んだ。

85名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:41:12 ID:h2ZCh5mY0
l从・∀・ノ!リ人「ちっちゃい兄者!敵を確認したのじゃ!」

(´<_` )「ああ、目の前に見えるな」

( ´_ゝ`)「おほー、でっけー、なんだあいつ、見たことない機動兵器だな」

ヘリの中で、巨大な自律機動兵器を目の前に置いて、前に座る男が操縦桿を器用に捻る。
ここまで近付くと、その異様さ、巨大さがよく分かった。
身長は20mはあろうか?この巨大なF21C重輸送ヘリをも凌ぐ巨体が、翼の各所についたブースターによってV-TOLのように浮遊しているのだ。
翼はまさしくコウモリそのもの。鋭く尖った爪のような形状のブースターがそれをさらに禍々しいものにしていた。
その翼に支えられるのは、人のような姿を取る自律兵器だ。こう言った人型の兵器は"機動兵器"とも呼ばれる。
コウモリのような機動兵器は、今も市街地上空を悠々と飛行している。こちらにはまるで意を介していない
と、そこで、ヘリ側面に立つ小柄な身体で巨大なパーツのLMが、それに怒ったかのように声を張り上げた。

l从・∀・#リ人「やいそこの!わちきはシリアルナンバーLM-581545E!妹者なのじゃ!無視するんじゃないのじゃ!こっち向くのじゃ!」

その、小柄な肉体に対してあまりにも大きすぎる腕で、巨大機動兵器を指差す。

( ´_ゝ`)「いいぞー、その調子で挑発しろー」

(´<_`;)「兄者…相手は自律兵器だぞ、挑発ごときに乗るわけ…」

<◎> <◎> ヴォ、ン

l从・∀・ノ!リ人「じゃ?」

( ´_ゝ`)「お」

(´<_` )「え?」

突如、中心の自律兵器、人型に見えるそれの、目にあたる部分…そこに光が点った。
そしてその顔が、彼らを見据える。

86名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:42:08 ID:h2ZCh5mY0
(´<_`;)「―――ッ!やべえ!」

前の操縦席に座る男が、慌てて操縦桿を捻る。
機体はぐぅん!と傾ぎ、その視線から外れる。その途端!

<◎> <◎> ヴォヴォヴォヴォヴォヴォーーーーーーーーゥン!!!

その瞳から、多数のプラズマ球が発射された。着弾するもののないプラズマ球は、そのまま重力に沿って地上へと落下!爆発!

『何してるんだい!被害は軽微にって言われたろ!』

母者の怒りの声がスピーカーから漏れる、その声に二人の男はぶるるっと身震いし

(;´_ゝ`)「お、俺悪くないから!妹者が勝手に挑発しただけだから!」

(´<_`;)「お前もノリノリだったろうが兄者!」

(;´_ゝ`)「だって自律兵器が挑発に乗るなんて分かるかよ弟者!」

(´<_`;)「確かに分からん!何か変だぞあの自律兵器!」

兄者と弟者、2人の兄弟は狼狽するが、ヘリの側面に出たLM…妹者はケロリとした顔だ

l从・∀・ノ!リ人「でもアイツこっちに気を取られてるのじゃ!このまま街の外まで誘導してやるのじゃ!ほーれほれ!こっちにおいでー!」

(;´_ゝ`)「やめて妹者!俺まだ死にたくない!」

(´<_`;)「お前らの命を預かってるの実質俺なんですがねえ!?」

自律兵器は3人の乗るヘリをゆっくりとした動きで追いかけ始める。その瞳が再び光を帯びる。

l从・∀・ノ!リ人「! またプラズマを撃ってくるのじゃ!弟者!避けるのじゃ!」

(´<_`;)「でも避けたら市街地に被害が!」

87名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:43:02 ID:h2ZCh5mY0
l从・∀・ノ!リ人「…分かったのじゃ!わちきが受けるのじゃ!」

(;´_ゝ`)「む、無理すんな妹者!あの数のプラズマ球、受けきれるのかよ!」

l从・∀・ノ!リ人「E型5番始、防御タイプの妹者を舐めるんじゃないのじゃ!」

<◎> <◎> ヴォヴォヴォヴォヴォヴォーーーーーーーーゥン!!!

(´<_`;)「うおおおおーーーっ!頼むぞ妹者ーーーーっ!」

プラズマ球が一発残らずヘリへと飛んでいく!

l从・∀・ノ!リ人「ばりあーーー!」

キュゥン!
鋭い電子音が響き、妹者の正面、ヘリの後方に、半透明の不可思議な障壁が生まれる!
プラズマ球はその障壁に衝突し爆発!爆発!爆発…!
全てのプラズマ球が、ヘリに到達する前に消え去った!

( *´_ゝ`)「うおおおーっ!すげえぞ妹者!」

l从・∀・ノ!リ人「えっへんなのじゃ!」

88名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:43:50 ID:h2ZCh5mY0
('A`)「すげえ…」

( ^ω^)「全部受け切りやがったお…」

ドクオとブーンは、ヘリの中であの大量のプラズマ球を受けてなお飛び続けるヘリを見て驚愕の言葉を漏らす。

川゚ -゚)「今のではっきりしました。彼女はLM-E型5番始、防御重視の拠点防衛型です」

('A`)「ごばんし?」

川゚ -゚)「シリアルナンバーが5から始まるタイプです。防御能力に偏重したスペック・装備を持っています。
    今のはおそらく3GF型フォースフィールド発生装置。エネルギー兵器に対する防御力が高いエネルギーシールドです」

( ^ω^)「LMっていろんなタイプがいるんだおね…」

('A`)「…待て、見ろ。あいつ追うのやめたぞ」

見れば確かに、逃げていくヘリを一瞥し、巨大兵器は再び市街地上空をゆっくりと飛行し始める。

川゚ -゚)「…やはり不可解です。あの大型自律兵器は、何がしかの目的があってこの地区に現れたのでしょう」

( ^ω^)「何がしかって…」

川゚ -゚)「不明です、あれだけの兵器を保持していながら、攻撃目的ではないとすると……」

89名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:44:47 ID:h2ZCh5mY0
l从・∀・#リ人「んじゃ!?あいつそっぽ向きやがったのじゃ!」

( ´_ゝ`)「妙だな…」

(´<_` )「……ああ、挑発に乗ったことといい、明らかに追いつける相手を簡単に諦めるところといい、ただの自律兵器じゃねえぞ、アイツ」

『確かに変だね、けれどそれで諦めるアタシ達じゃあないだろう?
 アイツを何とかしなくちゃ、ここの人々は安心して床に付けないよ!』

母者の声に、兄弟は共に頷く

(´<_` )「…あいつ、北のほうに移動してるな」

弟者はさらに、小さく呟いた

( ´_ゝ`)「北?なんかあったっけ」

(´<_` )「病院施設だ」

弟者が、北の方角に見える少し巨大な建物を指差す。

(´<_` )「怪我人、妊婦、要介護老人なんかが住んでる場所だ…あそこに行かれるとヤバイぞ」

( ´_ゝ`)「でも北の方は人もまばらにしか住んでなくて一番被害でなさそうだぞ」

(´<_`;)「確かにそうでもあるが……うーむ」

90名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:45:39 ID:h2ZCh5mY0
(;^ω^)「ドクオ…」

('A`)「分かってる」

ドクオはヘリを前に出す。現在巨大兵器はサスガ・ファミリーの5機のヘリに包囲されているが、奴は全く意に介さずゆらゆらと市街地と飛んでいる。
向かう方角は北、ツンのいる病院だ。

川゚ -゚)「…そういえば、そのツンというのは」

( ^ω^)「ああ…言ってなかったおね。僕の妻だお。ツン・デレ」

川゚ -゚)「…あの妊娠中の」

( ^ω^)「あの白い建物、見えるかお?あれは病院施設なんだお…産婦人科もあそこ、この地区で最も清潔な場所で、ツンはそこで過ごしてるんだお」

('A`)「……脇通りますよー…っと」

ドクオのヘリが、包囲された巨大兵器の脇をすり抜けていく
その人型の、顔にあたる部分が、彼のヘリを追いかけるようにじっと見つめていた。

(;'A`)「…う、おいブーン、すごい嫌な予感が」

ドクオはその視線を感じてか、背中に冷たいものが走る

<○> <○> ………

巨大兵器はヘリを見つめた後、彼らの向かう方角にある、白い建物を見つめる。

<◎> <◎> キュイーピピピ、ピピピピピ

と、その瞳がまるでカメラのレンズのように"瞳孔"が開きピントを合わせ始める。
そして、そのコウモリじみた翼が、わずかに収縮した。

91名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:46:55 ID:h2ZCh5mY0
川゚ -゚)「! アンノウン急速接近!」

('A`)「え?」

『ドックン!避けな!!』

スピーカーから母者の怒声が響く。
轟!とヘリの脇を、黒い巨体が突き抜けていく。
それは体を水平に倒し、鳥のように高速飛行するあの巨大兵器!
あまりの衝撃に、ドクオのヘリが大きく揺れる。

(;'A`)「ぬおおおおっ!クソ!何なんだあいつは!」

(;^ω^)「ド、ドクオ!あいつ病院に…!」

見れば、あの巨大兵器はドクオ達のヘリに向き直り、病院の直上でホバリングをしている。
まるで、何かを見せつけるように。

(;'A`)「何を…」

<◎> <◎> ヴォゥン

ドクオが呟くと同時、巨大兵器の瞳に光が宿る。

(;^ω^)「や、やめろおおおおおおおおおおおお!」

ブーンが叫ぶが、巨大兵器は耳を貸さない
そもそも、届いていないのかもしれない。

92名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:48:02 ID:h2ZCh5mY0
(´<_`;)「させるかよォォォォォォォ!!!妹者ァ!今何キロォ!?」

そこへ猛スピードで突撃する弟者の操縦するヘリコプター!

l从・∀・ノ!リ人「わちきにはスピードメーターは付いてないのじゃ!」

( ´_ゝ`)「慣れないボケなんてするなよ弟者」

(´<_`;)「言うとる場合かあああああ!!妹者!フォースフィールド貼れるかァ!?」

l从・∀・ノ!リ人「……来た!行けるのじゃ!」

キュゥゥン!!
甲高い音と共に、病院の上にフォースフィールドが現れる!

(´<_`;)「間に合った!」

('A`)「よっしゃ!」

(;^ω^)「おぉふ…」

一同が同時に安堵のため息をついた。次の瞬間。

93名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:49:08 ID:h2ZCh5mY0
ド ゴ シ ャ ッ

(´<_` )「え?」

l从・∀・ノ!リ人「…じゃ」

( ´_ゝ`)「…は?」

鈍い、音がした。

( ^ω^)「…え?」

('A`)「…嘘だろ」

川゚ -゚)「……これは」

降り注ぐ、破片。白い外壁だ。
そしてその中にあったもの、診療ベッド、点滴の台、担架……様々な医療道具が宙を舞っている。

<◎> <◎> ヴヴヴヴォヴォォォ………ン 

その瓦礫を振りかぶりながら、巨大兵器が鈍い音を立てて立ち上がる。
彼はブースターによる飛行をやめ、地に降り立っていた。
かつて、白い外壁の清潔な建物があった。その地に

94名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:51:34 ID:h2ZCh5mY0
( ^ω^)「…ツン?」

('A`)「…クール、ブーンを抑えろ」

川゚ -゚)「…了解しました」

( ;ω;)「ツン…?ツン!?そんな…何を、何をするんだおテメェァァァァ!!」

ブーンは涙を振りまきながらいきり立ち、決して低いとは言えない高度を飛ぶヘリから身を乗り出し、叫ぶ。
その体はクールの無骨な腕によって支えられ、地に落ちることはない。

( ´_ゝ`)「そりゃあ…そうだよな、妹者のフォースフィールドはエネルギー防御に特化してるんだ。実体の巨大兵器そのものを防げるわけねーよな」

兄者が、まるで他人事のように…いや、実際そうであろう。彼にとってこの施設はさほど重要でもないのだから。
対する弟者の顔は、非常に混乱しているように見える。

(´<_`;)「…ますます有り得ん、自律兵器がボディプレス?
       何なんだ、奴は」

<◎> <◎> ヴヴヴヴヴ…

l从・∀・ノ!リ人「じゃ…?」

そんな中で妹者だけは、巨大兵器の不可解な動きに気がついた。周囲をキョロキョロと…何かを…探している?
そして目当てのモノを見つけたのか、腕のような部分でそれをそっと掬い上げる。妹者の機械補助のかかった瞳がそれを拡大する。
手から溢れる、かすかに揺れる黄金色の髪が見えた。
そして巨大兵器は、周囲のヘリを一瞥し、再び空へ舞い上がる。
低空ではない、一瞬で高空へと飛び上がった。衝撃波にも近い風が吹き、その速度の速さを物語る。

95名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:52:32 ID:h2ZCh5mY0
と、その時だ!その巨大兵器を追うように幾重もの白煙が尾を引いて飛んだ!

('A`)「…ミサイルか!」

ドクオがハッと振り返り、ミサイルの発射先を見る。
浅葱色をした大型ヘリが、左右のカーゴハッチから多量のミサイルを発射するところであった。

(#´ー`)「逃がす訳ネーだろうがヨ!俺のシマ荒らした落とし前!キッチリつけて貰ウーヨ!」

そのコックピットに乗る、怒りを顕にした中肉中背の男。

('A`)「…あれがシラネーヨか」

( ;ω;)「お゛っ…お゛っ…ヅン…」

ドクオのつぶやく脇で、ブーンがようやく観念したかのように倒れ伏す。

川゚ -゚)「…落ち着きましたか?」

( ;ω;)「う゛う゛……ヅン…なんで…」

ブーンは恨めしげに、高空を舞う巨大兵器を睨みつける。
謎のジャミングでも働いているのか、巨大兵器を狙う大量のミサイルは、全て彼に届く前に爆発するか大きく軌道をそれどこかへと飛んでいく。
巨大兵器は汚染され尽くした地上に住む人々をあざ笑うかのように、市街地上空をしばし旋回したかと思うと、西の空へと猛スピードで消えていった。

96名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:53:58 ID:h2ZCh5mY0
('A`)は荒廃した世界で生きるようです。

第四話:終

自律兵器名鑑#3
リビングメタルス(LivingMetals)
"生きた金属"の名を持つクローンサイボーグ兵士。一見生身に見える胴体部分も、実は特殊硬質タンパク質などで作られた合成素材であり、生身と言えるのは内臓器官と脳だけである。
荒廃以前の人々が、歩兵の浪費を嫌って製造したとされる冒涜的兵器。世界各地に培養施設が見られるが、長年経過しているため生きた状態で発見できるのは非常に稀。
その戦闘能力は戦車に匹敵するとすら言われ、武装の汎用性も高いので権力のあるミグラントなどには喉から手が出るほど欲しい品だ。
シリアルナンバーは荒廃以前に付けられたもの、ナンバーの最後のアルファベットは型番を示しており、現在A〜G型までが確認されている。
それぞれ保有できる武装、機動力、装甲等が異なり。AとBはプロトタイプ、数が少なく戦闘能力も低いため現在はほぼ目にかかることはない
C型は対人用、軽火器の扱いに優れ、機動力に優れる反面、対機甲兵器で簡単に破壊されてしまう。
D型は汎用型、軽・中火器を幅広く扱え、武装に関する知識も多い。装甲もC型よりは厚いがそれでも対機甲兵器には弱い
E型は対機甲兵器特化。対戦車ミサイルすら耐える驚異の装甲と圧倒的火力を誇る、反面機動力は非常に低く人間生活に馴染むための専用ボディを保有するほど
F型…クールの型はE型の極端さを反省して作られた対機甲対応型。人間生活に支障のないレベルまで装甲を落とし、なおかつ高火力兵器も扱えるようにしたタイプ。
G型は指揮官型。大量の兵器・弾薬・施設に関する知識を持ちフレキシブルな対応も可能にしたタイプ。戦闘能力も低くはなくLMの完成系と言われる。

97名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 13:58:23 ID:h2ZCh5mY0
登場人物紹介
川゚ -゚)
リビングメタルス・シリアルナンバー「LM-167439F」
とある廃棄施設の中でたった一人残されたLM、ドクオに発見、起動され以後彼の相棒として戦いに身を投じる。
自らのことを「人間」では無く「兵器」だと思っている節があるが、これは彼女に限ったことではなくLM全般がそのように自らを認識し扱われる。
その事からも、荒廃以前はLMとは人としてすら扱われない冒涜的兵器であったことが分かる。
戦闘能力は高く、対機甲対応のF型なのもあり重武装を施した相手にも立ち回り次第では完封してしまう。
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_922.jpg

98名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 14:01:47 ID:h2ZCh5mY0
>>72のリクエストもあったので、別の自律兵器を紹介する予定だったけど、変更してリビングメタルスとクールを投下。
クーちゃんの装甲はかなり迷った。最初から丸みを帯びた感じにしようとは思ってたけど、特に下脚のデザインは3回くらい描きなおしてます。
モデルは特にいませんが、アーマードコアの影響が強いかも

99名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 14:20:38 ID:08gS4tOw0
くっそおもれー乙

100名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 15:54:52 ID:9IzAmPJ60
読み応えがあるなー

101名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 16:10:18 ID:l6i56gqM0
面白いし絵もうめー

102名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 16:13:16 ID:emjFbECs0
強化人間とはまた違うんだな
こんなん連れてたらブーンが噂を広めるまでもないな…

103名も無きAAのようです:2013/04/06(土) 22:25:57 ID:JY9mj0EM0
現行兵器から発展した技術なのか
サルベージした技術で作ってるのか
昔のものを引っ張り出してまんまつかってるのか
近未来かすっげえ未来か
たぶんAKは存在する

104名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 01:01:49 ID:NHgGCAf60
クッソ面白いな乙

105名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 01:14:56 ID:F86L/Bqw0
なるほど。好きだな

106名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 19:01:34 ID:NrXKQzkM0
otu
LMが意外とメカメカしい感じだった
メタルクウラみたいなヌメっとしたの想像してたわ

107作者:2013/04/07(日) 20:09:34 ID:CeDXJ99A0
>>103
モデル諸々は現行兵器です。
ブーンの拾ってきた「10型戦車」は皆さんご存知陸上自衛隊の「10式戦車(ヒトマル式戦車)」です。読みは「じゅうがた戦車」ですけどね
その他、蒸気王の武装だった「M130 105mm榴弾砲」は米軍の同口径榴弾砲「M102榴弾砲」から取っています。

>>106
スラッとした女性の身体に無骨なアーマーという組み合わせが最高に好きなんです。ギャップ萌えです

108作者:2013/04/07(日) 20:17:13 ID:CeDXJ99A0
あとちょっと描くのも疲れるのでこれ以降は一話ごとに描くんじゃなくて気が向いたら描くことにします。現実の仕事もあるので…

109名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 20:35:24 ID:Skc33CDY0
乙乙
作者の趣味が出てて好きなんだぜ
これからも趣味全開でやってくれい

110名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 04:20:09 ID:TMnZzcJQ0
>>107
解説アザース
やっぱり現行兵器か…

フヒヒ絵のネタにしてやんぜ……
フヒヒ……

111名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:17:47 ID:kF.5Gs5w0
('A`)は荒廃した世界で生きるようです。

第五話:天使

112名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:19:53 ID:kF.5Gs5w0
( ;ω;)「………」

狭いキャノピーの中で、ブーンはまるで胎児のように縮こまって泣いていた。
巨大兵器が去ってから、すでに2時間が経過していた。多くの人々は市街地への被害がごく少ないことに安堵していたが、彼はその多くには入らなかった。
と、そのキャノピーが外から叩かれる。

('A`)「おいブーン、そろそろ出てこい…ロマネスクさんも来たぞ」

( ;ω;)「おっ…」

ブーンは袖で涙を拭き取り、精一杯強がってみせる。

( つω^)「…僕は、大丈夫だお」

('A`)「…そうだな、メソメソしてるのはお前らしくねえ。いつでもニコニコしてたほうがいい」

( ^ω^)「お…」

ブーンは可愛らしいペイントが施された自分のヘリからのっそりと降りる。
そしてそれを、特に側面にペイントされたお饅頭のシンボルを見ないようにしつつ、ガレージの中心へと向かった。
ドクオも、それに習って振り返ることはせずに、その中心に立つ人達を見る。

@#_、_@
 (  ノ`)「しかし何度見てもシケたとこだね!ロマネスクの坊ちゃんはなんでこんなとこを選んだのかねぇ!」

まず目に付くのは、とてもがっしりとした体格の、初老の女性だ。
口調からして、彼女がミグラントチーム「サスガ・ファミリー」のトップ、母者なのだろう。

( ´ー`)「シラネーヨ…と言いたいところだけど、ブーン君の前でそんな事言うべきじゃナイーネ」

@#_、_@
 (  ノ`)「…おっと、出てきてたのかい。すまないねえ、別に他意はないよ!」

母者は威勢のいい口調そのままだ。
しかし、悪意はひとかけらも感じられない。

113名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:20:45 ID:kF.5Gs5w0
( ^ω^)「いいんですお、シケてるのは実際そうだし」

(´<_` )「ブーン…話は聞いた。スマン」

弟者がブーンの顔を見るなり謝ってくる。

( ^ω^)「…あなたは」

(´<_` )「俺は流石弟者、俺らんとこのLMの乗ってた、あのヘリを操縦していた
       もっとあの巨大兵器をどうにか出来てれば…嫁さんも……」

( ^ω^)「あのヘリの……いえ、あなたが謝る必要はないですお」

(´<_` )「だが俺の気が済まない、キチンと謝らせてくれ」

( ´ー`)「その事だけドーヨ、つい今しがた俺んとこのチームメンバーから報告が来たんダーヨ」

('A`)「病院施設跡の探索チームか…まさか…」

( ^ω^)「覚悟は、出来てますお」

ドクオの顔が不安に歪む。
ブーンの顔も緊張で強ばり、その瞳は涙を零すまいとこらえているのが見て取れた。
シラネーヨはゆっくりと話し始める。

( ´ー`)「…ブーンの嫁さんだけどヨ、見つからなかったってサ、死体が」

114名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:22:25 ID:kF.5Gs5w0
( ^ω^)「…えっ?」

('A`)「どういう…事だよ」

( ´ー`)「まんまの意味ダーヨ、見つからなかった。別に捜索の手を抜いたわけじゃネーヨ
      仮にも俺のシマ、そんな事する訳ネーヨ」

( ФωФ)「と、言うことは、まだ生きている可能性もある。ということであるな?」

('A`)「ロマネスクさん!」

ガレージの入口で、ロマネスクが腕組みをして佇んでいた。

@#_、_@
 (  ノ`)「全く!時間にルーズな奴だねェ!!さっきといい、今といい、一番遅いじゃないか!」

( ФωФ)「これでも忙しいのであるよ。シラネーヨ殿の捜索チームの指揮とか、被害の確認とか
       しかし、生きていたとて、続く問題はどこにいるのか?という話であるな」

( ^ω^)「…ツンが、生きてる?」

( ;ω;)「生きてる…のかお…」

ブーンの瞳に溜まっていた涙が再び溢れ出す。

( ФωФ)「…まだ、可能性の範疇であるがな
       それよりも各々方、行なって欲しいことがあるのである……もちろん、ドクオ殿にも」

(;'A`)「え、俺っすか!?ここの人たちに比べたら俺の技量なんて……」

( ФωФ)「お主が一番の適任の仕事なのである。単独で行動し、しがらみもなく動けるお主が」

('A`)「…ゴクリ」

安堵に崩れ落ちるブーンを、兄者と弟者が介抱する。
ドクオはそれを脇に見ながら、母者、シラネーヨ、ロマネスクと同じテーブルに集まる。

115名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:24:12 ID:kF.5Gs5w0
( ^ω^)「…えっ?」

('A`)「どういう…事だよ」

( ´ー`)「まんまの意味ダーヨ、見つからなかった。別に捜索の手を抜いたわけじゃネーヨ
      仮にも俺のシマ、そんな事する訳ネーヨ」

( ФωФ)「と、言うことは、まだ生きている可能性もある。ということであるな?」

('A`)「ロマネスクさん!」

ガレージの入口で、ロマネスクが腕組みをして佇んでいた。

@#_、_@
 (  ノ`)「全く!時間にルーズな奴だねェ!!さっきといい、今といい、一番遅いじゃないか!」

( ФωФ)「これでも忙しいのであるよ。シラネーヨ殿の捜索チームの指揮とか、被害の確認とか
       しかし、生きていたとて、続く問題はどこにいるのか?という話であるな」

( ^ω^)「…ツンが、生きてる?」

( ;ω;)「生きてる…のかお…」

ブーンの瞳に溜まっていた涙が再び溢れ出す。

( ФωФ)「…まだ、可能性の範疇であるがな
       それよりも各々方、行なって欲しいことがあるのである……もちろん、ドクオ殿にも」

(;'A`)「え、俺っすか!?ここの人たちに比べたら俺の技量なんて……」

( ФωФ)「お主が一番の適任の仕事なのである。単独で行動し、しがらみもなく動けるお主が」

('A`)「…ゴクリ」

安堵に崩れ落ちるブーンを、兄者と弟者が介抱する。
ドクオはそれを脇に見ながら、母者、シラネーヨ、ロマネスクと同じテーブルに集まる。

116名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:24:55 ID:kF.5Gs5w0
( ФωФ)「まずは母者殿、お主のところのチームは電子戦に優れているのである。
       そこで、あの西へと逃亡した巨大兵器、その行方を探ってもらいたい」

@#_、_@
 (  ノ`)「…また無茶を言うねえ!2時間前に逃亡した巨大兵器を追えって!?あんな速度で逃げた!?」

( ФωФ)「足取りをつま先だけ掴むだけでもいいのである。幸い、奴からは現在全く使われていない周波数の電波が発信されていた」

@#_、_@
 (  ノ`)「…初耳だねえ、私らなんかより、お前の方がよっぽど電子戦に強いんじゃないかい!?」

( ФωФ)「吾輩の電子戦能力など、総合力ではたかが知れているのである。その分、母者殿には"サスガ・ギア"やPCの扱いに優れる兄者殿がおられる
       だからこそお主らに頼みたいのである」

@#_、_@
 (  ノ`)「…フン!いいさね、でもなんの情報も得られなくても泣き言つくんじゃないよ!」

( ФωФ)「頼むのである」

ロマネスクは続いて、シラネーヨに向く

( ФωФ)「シラネーヨ殿には、引き続き病院施設の被害状況の確認を頼むのである
       特に、なぜあの巨大兵器が他に目もくれずにあの施設だけ破壊していったのか、何か分かるものがあれば逐次報告を頼むのである」

( ´ー`)「はいヨ、確かにまだ被害者確認しかしてネーヨ」

( ФωФ)「母者殿に比べれば簡単であろうが、奴の不可解な目的を知るのも重要なのである。頼むのである」

そして、ドクオに向き直る。

117名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:26:05 ID:kF.5Gs5w0
('A`)「あっはい」

ドクオはまたも緊張に身体を強ばらせる。

( ФωФ)「そして…ドクオ殿。お主には、南の湾岸施設の調査を頼むのである」

('A`)「南の湾岸施設…ブーンが10型戦車を拾ってきた?」

( ФωФ)「その通りである。あそこは今まで、LMすら立ち入ることのできぬ高汚染区域だったが…」

('A`)「先日、いきなり除染装置が動きたしたんすよね。ブーンから聞きました」

( ФωФ)「おお、知っているか、なら話が早い。吾輩は、その突然の除染装置の稼働がクサいと睨んでいる」

('A`)「確かに、急に除染装置が稼働を始めるなんて聞いたことないっすね」

( ФωФ)「更に、一昨日だったか、巨大兵器が現れた。それも2つも
       そして今日のあの謎の巨大兵器。関連性がないとは言い切れないのである」

( ´ー`)「なるほど、だからドクオ君カーヨ。
      あそこはまだミグラントが彷徨いて、兵器を探し回ってる。俺らのような名の知れた巨大ミグラント集団が向かってしまえば、間違いなく小競り合いが起きルーヨ」

シラネーヨが頷き、それに母者が続ける。

@#_、_@
 (  ノ`)「更に今は遠方からのお客さんも来てるって聴くよ!この地区の安全のためにも、私らが出るべきじゃ無いって事だね?」

( ФωФ)「その通りである。ドクオ殿ならば、見つけられても問題にはなるまい。少数故に、潜入探査にも向いている
       LMがいるから戦闘能力も低くない…まあ、出来れば交戦は避けて欲しいのであるがな」

('A`)「…なるほど」

ロマネスクはそこまで言うと、さて、と両手を合わせる。

( ФωФ)「各人の分担はわかったかな?そして、吾輩は諸君らの情報を収集、整理し、加えてあの謎の巨大兵器への対抗策を練るのである」

( ´ー`)「まさか俺のミサイル全弾を落とされるとは思わなかっターヨ…武装もあのプラズマだけとは限らネーシ…」

( ФωФ)「そこも含めて、吾輩の知略の見せ所であるな…では、解散!」

118名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:27:54 ID:kF.5Gs5w0
――――――――――――――――………

ファーイーストT地区から、ヘリで10分ほど南。
広い海に面するように建てられた、巨大な湾岸施設。
それまでと同じようにこの地区、この建造物もまた、その名はすでに忘れ去られ、「南湾岸施設」という名前で呼ばれていた。

('A`)「…さて、ロマネスクさんに指定された地区はこの辺か」

広い湾岸施設の一画、もはや役立ちそうなものはひとつ残らず持ち去られ、荒らされきったこの区画に、ドクオの白黒ヘリが舞い降りた。
湾岸施設は広い、海岸線沿いに、まるで砂浜か防波堤のように無秩序に建造され、どこからどこまでが同じ利用目的で建造されたのかもわからないほどだ。
いまだ一攫千金を狙うミグラント達のヘリが、遠方にカモメのように群がって飛んでいたが、この辺りは静かなものである。

川゚ -゚)「確か、最初に除染装置が作動したところだと」

('A`)「ああ、こっから順々に、東西に向かって除染装置が作動してったんだとよ」

故に、この場所は最初に汚染が低くなり、最初に荒らされた。
ドクオはガスマスクだけを付けて施設へと降り立つ。こんな軽装でも大丈夫なほどに除染が進んでいるのだ。
クールも、25mm機関砲を片手にヘリから降りる。腰のアモラックには重々しいマガジンが4つ提げられていた。

川゚ -゚)「周辺に起動中の機械らしき反応はありません」

('A`)「まそうだろうな、多分除染装置も持ってかれた。ここも1ヶ月もすりゃあ汚染度が戻っちまうだろう」

川゚ -゚)「旨味はない、と?」

('A`)「そうだな、他にたくさんある廃棄施設のように、ここもじきに忘れ去られるだろうよ」

ドクオはそんな話をしながら、施設の中へと入っていく。ドアは破壊され、開け放されていた。

川゚ -゚)「全て持ち去られた場所に、手がかりなんてあるのでしょうか」

そんな無作法に開け放された扉を一瞥して、クールは呟く
ドクオはそれを聞いて首を振った。

('A`)「いや、全てってわけじゃあねえぞ」

そして指差す、その先にあるのは、据付型の端末。

('A`)「簡単に持ち出せないものは残るもんさ、そしてその中には…」

川゚ -゚)「情報がある」

('A`)「そゆこと、荒らされることの分かりきってる施設の情報なんて誰も欲しがらねえしな
   それにそんな余裕もなかったろう、我先にと軍用品を狙って突っ込んでったんだから」

ドクオは冷静に分析しながら、周囲をくまなく探し、まだ使えそうな端末を探し始める。

119名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:30:58 ID:kF.5Gs5w0
施設に多く置かれた端末は、どれもこれもダメージが少なさそうだった。しかし電源が来ていないようで、ウンともスンとも言わない

(;'A`)「ジェネも持ってかれたのか?ここの昔の汚染具合から察するに汚染物質吐くタイプだったと思うんだけどなあ…」

川゚ -゚)「物好きがいたんでしょう」

('A`)「困ったな…一旦戻って、ロマネスクさんから適当なジェネレーター借りてくるか…」

川゚ -゚)「……良かったら、私のを使ってみては?」

('A`)「…え?」

クールの提案に、ドクオの頭上に「?」が浮かぶ。

川゚ -゚)「以前、少しだけ言いましたが、LMの機械部分はカロリーを消費して発電を行う生体ジェネレーターによって駆動しています。
    端末一つを動かすだけの出力ならば余裕がありますが」

('A`)「…便利だな本当に、しかしどうやってその電気を端末につなぐんだよ、どっかにプラグでもあんのか?」

川゚ -゚)「ここに」

そう言ってクールは、生身部分の下腹部から陰部にかけてを覆う防弾布をグイと降ろす。

(;'A`)「ちょちょちょちょっと待てェイ!」

突然のその破廉恥じみた行動にドクオは思わず静止に入る。
もちろん、顕になったヘソから下は見ないようにしながら

川゚ -゚)「…?何か?」

(;'A`)「いやおかしいでしょ!?仮にも女性でしょ!?いや違うのかもしれないけど見た目は完全女の子だからね君!四肢オカシイけど女の子だよね君!」

川゚ -゚)「…これも以前言いましたが、私に生殖器官は存在しません。排泄器官も機械化されています」

('A`)「えー…」

ドクオはそっとパンツを下げたような体勢のクールの手の先を見る。

120名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:33:07 ID:kF.5Gs5w0
防弾布の下、本来陰部があるべきそこには、痛々しい縫合痕とそこに埋め込まれた電源プラグがあった。

('A`)「…おおぅ」

川゚ -゚)「生体ジェネレーターは、女性の生殖器官を切除して体内に埋め込んでいます。LMが女性型のみなのはそれが理由です
     骨盤が大きいため生体ジェネレーターを支えるのに適している。という理由もあります」

('A`)「……うん、細かい解説ありがとう」

ドクオは呟きながら、LMがいかなる存在なのかを再認識した。
子を育む神聖な器官すら奪われ、羞恥心すら捨て去られ、四肢は戦うための物と化した、まさしく"生きた兵器"。
荒廃以前の人が作り上げた、神にすら反逆した冒涜的兵器。
LMとは、そういう存在なのである。

川゚ -゚)「では、プラグをどうぞ」

('A`)「え?俺が差すの?」

川゚ -゚)「ジェネレーターに直結した部分のため、接続には一旦各部品をシャットダウンさせておく必要があります。
     故に自分での接続は不可能です」

(;'A`)「そうなの…変なとこで不便だなクソ……」

ドクオは意識するな、意識するな、と念じるが、どうしても、その上にある整ったヘソとくびれた腰のせいで気になってしまう。
彼に女性経験がないわけではない、ミグラントは意外とモテるのだ。

(;'A`)(でもこんな状況になった事はねーよ!!)

傍から見れば、パンツを下ろした女性の秘部に太くて大きい棒を挿すという構図だ。
ドクオは自らの股間にも違和感を覚えつつ、プラグを差し込む。

川゚ -゚)「………」

('A`)(あ、反応はないのね…よかった、これで変な声出されたらちょっと色々ヤバかったわ)

川゚ -゚)「…何を見ているのですか?端末が動き始めましたが?」

(;'A`)「あ、す、スマン…」

ドクオは慌てて立ち上がり、端末の操作を開始する。
予想通り、内部のデータはほぼ手付かずであった。

121名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:35:43 ID:kF.5Gs5w0
('A`)「………」

カタカタ、カタカタという端末のキーボードを叩く音のみが、施設に響き渡る。
端末の脇には、かつて棚かテーブルでもあったのだろうか、床に4つ、四角く抜き取られた白く綺麗なコンクリートが覗いていた。
持ち帰れるものは全て持ち去られた、広く、空虚な空間。
その静寂を切り裂いたのは、ドクオでもクールでも…また別のミグラントでもなかった。

「そこまでだぜ、人間」

(;'A`)「っ!?」

川゚ -゚)「!!」

二人が、声のした方を振り向く。

从 ゚∀从「データをお探しか?残念だったな、もう俺が取ったあとだ」

そこにいたのは、華奢な体に細身な機械の四肢、胸部に流線型の装甲を取り付けた、赤い髪の女性。

(;'A`)「え、LM……、なのか?」

しかしドクオは、自らの言葉に確信を得られなかった。
何故なら、彼女の背中、汚れひとつない真っ白な、"翼"が生えていたのだから。

川゚ -゚)「…反応無し、少なくとも、正規のLMではありません」

从 ゚∀从「LMだぁ?プハッ!笑わせるなよ人間!そんな中途半端な存在と俺達を一緒にするなよ」

(;'A`)「と、とりあえずクール、プラグ抜くぞ、戦闘態勢だ」

川゚ -゚)「了解しました」

ドクオがプラグを引き抜くと、クールは背中に背負っていた25mm機関砲を片手に構える。

从 ゚∀从「お、やるか人間?いいだろ、お前らの力を見せてみな!この"エクスシア"に!」

謎のLMは背中の翼を広げる。ガシュゥン、というアクチュエータの音が響いた。
翼は、よく見れば純白の装甲で覆われた、機械の翼であった。

122名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:37:04 ID:kF.5Gs5w0
(;'A`)(エクスシア…?それになんだよ、あの羽根……まるで天使じゃねえか…)

从 ゚∀从「おう、そうだとも。俺達は"天使"。エンジェルさ」

(;'A`)「っ!?心を!?」

从 ゚∀从「エクスシアってのは天使の階級のことだよ。確かそう…"能天使"」

川゚ -゚)「作り物の羽根と身体を持つ神の遣いですか?」

クールが油断なく銃を構えながら、エクスシアと名乗った謎のLMに声をかける。

从 -∀从「言いたいことはわかるぜぇ…馬鹿げてるよな、馬鹿にしてるよな…神様をよ」

('A`)「神なんていたら、この世界はこんなことにならねえよ」

从 ゚∀从「…ほう、いい反論だ人間。俺を前にしていながら随分冷静だな」

(;'A`)「……仕事柄、ある程度慣れているん、でね!」

ドクオは言い終わると同時、後ろ手に隠していたフラッシュグレネードを投げつける。
既に察知していたクールは、腕で目を隠し、フラッシュの炸裂と同時に銃を構える。

从 ゚∀从「察知してねえとでも思ったか?人間」

川゚ -゚)「!!」

炸裂した光の中から、エクスシアが飛び出してきた!
クールは構えかけた銃を持つ手を戻し、突進を防ぐ!
ゴオォン!と鐘をついたかのような鈍い音が鳴り響いた!

123名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:38:59 ID:kF.5Gs5w0
从 ゚∀从「…いい反応だ。やっぱお前は違うな、他のと」

川゚ -゚)「どう言う意味でしょうか」

クールの腕のアクチュエータが唸りをあげ、エクスシアを弾き飛ばす!
重量が違うのだ!細身のエクスシアは、数メートルほど吹き飛ばされる。
クールは淀みなく、吹き飛んだ彼女へと照準を合わせた!

ドドドッ!ドドドドッ!
25mm機関砲の重々しい音が、つい先程まで静寂に包まれていたこの地に響く。
カラン、カランと薬莢の落ちる音が、それに続いた。

从 ゚∀从「銃撃の反応も精度も一級だ。強えよ、お前」

川゚ -゚)「!」

(;'A`)「な、何だありゃ!」

ドクオが驚愕に目を見開く。
弾丸は、エクスシアの眼前50cm程で、空中で静止していた。纏っていた硝煙が、微かに燻っている。

从 ゚∀从「けど…まだだ、まだ足りねえ」

呟きと同時に、カラン、カランと25mm徹甲弾は地面に落ちる。

川゚ -゚)「貴方の言っている事は理解不能です」

从 ゚∀从「それでいい…おっと」

と、そこでエクスシアは何かに気づいたかのように肩を震わせる。
次の瞬間!

川д川「………!!!」

川゚ -゚)「っ!?」

クールの側面から、同じように背中に翼を生やしたLMが飛び出し、彼女に飛びついた!
途端に始まる、殴打の連撃!早い!拳が霞んでしまうほどの高速のジャブだ!

124名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:40:32 ID:kF.5Gs5w0
(;'A`)「クール!?」

川゚ -゚)「…問題、ありません…損傷無し…軽いです」

クールは目にも止まらぬ連撃を受けながらも、身体を一歩引き、その打撃を受け流そうとする。

川д川「……。……。」

しかし、新たに現れた翼を持ったLMは、逃げ場を無くすようにクールを追い詰めていく
その拳も、わずかに速度を落とし、装甲に覆われた強固な部分ではなく関節部分の弱い部分を狙い始める。

川゚ -゚)「アクチュエータ系に…被害を確認……」

(;'A`)「ク、クソ!やめろ!」

ドクオがその背中にパルスガンを撃つが、彼女は殴打の片手間にそれすら弾く!

从 ゚∀从「やめろ、ドミニオン。俺らの目的は既に達成した、サッサとずらかるぞ」

川д川「……。」

ピタリ、と殴打が止んだ。

川゚ -゚)「……被害、確認」

クールの飄々としたその表情は変わらないが、その腕、脚の関節からは、シュウシュウと小さく煙が上がっている。

从 ゚∀从「ドミニオン、先に行ってろ。俺はこいつらを片付けとく」

川д川「……」

新たに現れた方、顔を覆う装甲を付けた"ドミニオン"と呼ばれた謎のLMは、小さくコクリと頷くと、その翼を大きく広げ空へと飛び上がる。
羽ばたいた訳ではない、おそらく、ゼアフォーなどと同じ反重力だろう。そして無数に空いた施設の天窓のひとつから飛び去っていった。

川゚ -゚)「可動に、障害…」

クールは唯一自由に動く首だけを巡らせて、エクスシアを見やり、そしてドクオを見る。

川゚ -゚)「ドクオ、逃げてください」

(;'A`)「な…何言ってんだ、出来るわけねーだろ!」

川゚ -゚)「戦局は絶対的に不利です…一度撤退し、周囲のミグラントに応援を…」

125名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:41:27 ID:kF.5Gs5w0
从 ゚∀从「その必要はねーよ」

エクスシアが口を挟んだ。

(;'A`)「お、俺はやれるぞ!LMだろうと人間サイズ!武器も持ってねえだろ!」

ドクオは震える手で、パルスガンを握り締める。

从 -∀从「いいね、いい度胸だ」

从 ゚∀从「でも、無理だ。今のお前らには、俺は、俺達は倒せん」

川゚ -゚)「…"達"、と言うのは、先ほどの小柄な?」

从 ゚∀从「だけじゃねえよ…分かってるだろ?」

川゚ -゚)「…はい、貴方は"俺ら"と言うのと"俺達"と言うのとで使い分けている節がありました」

从 -∀从「処理能力も充分だ。惜しむらくは、感情が平坦なところか…まあ戦闘に支障はでねえからいいか」

(;'A`)「な、何言ってやがる…」

从 ゚∀从「今知る必要はねえよ…さてと、俺も帰るか」

そう言って、エクスシアは翼を広げる。
サァッ…と彼女の周囲の塵が舞い上がり、その身体が宙に浮かぶ。

(;'A`)「に、逃げるのか!」

从 ゚∀从「俺達は逃げねえよ、人間……むしろ、お前らが逃げる準備をしたらどうだ?」

エクスシアはそう言うと、天窓から飛び出し西の空へと飛び去っていった。

126名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:42:40 ID:kF.5Gs5w0
('A`;)「…クール!クール、大丈夫か!?」

とりあえずの脅威が去ったことに安堵したドクオは、真っ先にクールの元へと駆け寄った。

川゚ -゚)「各関節にダメージを受けました…駆動は可能ですが、可動範囲は限定的、高速駆動も不可能です」

クールがゆっくりと腕と脚を動かし、動作を確認する。

('A`;)「しゅ、修理とか出来んのか?」

川゚ -゚)「機械部分の内部構造は私のライブラリに入っています。神経同期系は複雑ですが、それ以外は枯れた技術で形成されています。ブーンのガレージにあった部品類で、充分修理は可能です」

('A`;)「そ、そうなのか…良かった…」

ドクオはほっと一息つき、そして空を仰ぐ

('A`)「それにしても…今の奴ら、一体…」

川゚ -゚)「天使、と言っていましたが、それも含め一切不明です。
    ロマネスクに、報告を」

('A`)「お、おう…分かった」

ゆっくりと立ち上がり、ゆっくりと歩き始めるクールに、ドクオは肩でも貸そうかと思ったが、彼女の巨大な腕と脚を支える自信もなく、ただそれに付いてゆっくりと歩き始めた。

127名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:44:29 ID:kF.5Gs5w0
『翼の生えたLM…であるか』

通信機からロマネスクの思案する声が聞こえる。

川゚ -゚)「はい、私個人のイメージですが、先刻の巨大兵器に似たシルエットでした」

('A`)「…確かに、あれも翼の生えた人型だったな」

『そして"データは取ったあと"と言い、自らを"エクスシア"と名乗った…フム?エクスシア…聞いたことあるのである』

(;'A`)「え、知ってるんですか?」

ドクオの疑念の声に、ロマネスクは何かを感じ取ったのか

『いやいや、翼の生えたLMというのは初耳なのである。エクスシアという名前が……あったのである。
 荒廃以前の、神話…いや、聖書であるな、そこに登場する"天使"の名前、階級の名前であるな』

('A`)「天使……奴ら、天使とも名乗っていたんです」

『…なるほど、自らを天使と言う翼の生えたLM、その名も天使に由来すると
 ちなみにであるが…エクスシアに同列する天使の階級は、残り8つあるのである』

川゚ -゚)「…その中に"ドミニオン"はありますか?」

『あるのであるよ』

('A`)「やっぱ、天使の名前なのか…しかも、あれと同類があと7体も…?」

ドクオはぶるる…と身震いする。

『ともかく、戻ってくるがいい クール殿も故障を起こし戦闘継続は不可能なのであろう?
 吾輩の所のLM整備チームを使うといい、キッチリと直してくれるのである』

('A`)「ありがとうございます、ロマネスクさん」

『ロマネスク、でいいのであるよ』

静けさの取り戻した湾岸施設から、ドクオのヘリが舞い上がり、北にかすかに見える銀色の塔へと飛び去っていった。

128名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:45:53 ID:kF.5Gs5w0
『エクスシア、何故あいつらを殺らなかったのサ?』

暗い闇の中から、女性の声がする。
ハスキーだがトゲのある声だ。

『…可能性を見出したからさ』

それに応えるのは、ドクオとクールに対峙した、あの赤い髪を持つ翼の生えたLMの声。

『可能性…またそのような妄言を…』

そこに連ねるのは、静かな声。これも中性的ではあるが、女性のものだ。

『妄言かどうかは、これから分かる。どっちにしろ、遅かれ早かれ俺達の存在は知られる。いや、知らしめるんだろ?』

『そやね、もうすぐケルブとセラフも降臨するし…ま、知られるのがちぃーっと早くなっただけや』

新たな、妙な訛りが入った声がそこに参戦する。

『…スローネがそういうのなら、私は何も言わないぞ』

また新たな声だ。癖のない、よく通る遠雷のような声。

『……愚かな人間たちに、神が鉄槌を下す時が来たんや もうちっと、リキ入れてもええんちゃうか?』

『俺は乗らんぜ』

『エクスシア…何故貴方はそこまで非協調的なの…?』

『…さあな、能天使だからかもな』

その声には、楽しげな含み笑いが乗っていた。

129名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:47:21 ID:kF.5Gs5w0
('A`)は荒廃した世界で生きるようです。

第五話:終

(今回は名鑑やイラストはありません。)

130名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 21:52:39 ID:kF.5Gs5w0
第五話が終わり、物語がいよいよ始まるという雰囲気になりました。
しかし、同時に春休みも終わり学校が始まってしまいました。正直イラストを描く余裕がないです…
書き溜めも終わってしまい、次回更新はおそらく遅くなるかと思います。
出来れば、ゴールデンウィーク前に投稿したいと思います。

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初の実機映像公開や、その他新情報などを公開予定!乞うご期待!

131名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 22:13:02 ID:6eYe0Fgs0
おつ

相変わらず面白い

132名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 22:39:59 ID:rxJCsJDc0
おつ

133名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 00:21:29 ID:w8LN.2VM0
おっつ

134名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 00:42:02 ID:RapX0XSM0
乙!

135名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 10:15:55 ID:LSFtt20w0
乙!
期待する

136名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 02:39:58 ID:mUVhelLA0
お疲れ様す

137名も無きAAのようです:2013/04/19(金) 14:56:42 ID:NK44pwSI0


138名も無きAAのようです:2013/04/24(水) 16:12:19 ID:L.9NWe/A0


139作者:2013/04/25(木) 00:02:19 ID:NRTe.ryk0
保守ありがとうございます…なかなか筆が進まずまだあんまり書けていません…GWまでには出したいです、切実に

140名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 01:27:06 ID:kOs16JAo0
待っとるよー
リフレッシュに散歩ですわ
深夜徘徊もなかなかオツ

若かかりしシラヒゲ妄想
シラヒゲはじめてかいてみました
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_942.jpg

141作者:2013/05/02(木) 07:22:00 ID:VsEC.GBg0
やったー、GW前に書けたよー
…筆が全然乗らなくて、なんかgdってるかもしれないけど許して

142作者:2013/05/02(木) 07:23:10 ID:VsEC.GBg0
あと今回もイラスト無しです。
そして>>140さん、まさかの超モブキャラであるシラヒゲを描くとは思わなんだwwwwwでもありがとうございます!

143作者:2013/05/02(木) 07:23:51 ID:VsEC.GBg0
('A`)は荒廃した世界で生きるようです。

第六話:西へ

144名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 07:24:51 ID:VsEC.GBg0
廃れ切った曇天に伸びる白銀のタワー。その直下に、いくつかのビルで構成された複合施設があった。
かつては商業施設か何かだったのだろう、細かくブロック分けされた内装は小奇麗で、外の荒廃など嘘のようだ。
その細かくブロック分けされた部屋の中には、冷蔵庫、電子レンジ、コンピューター類やジェネレーター、その他雑多なものが綺麗に整理されて置かれていた。
全て、この塔の主、ロマネスクの備蓄である。
圧倒的資源量、まさにこの地区の覇権を握る者に相応しい力の象徴と言えた。

('A`)「……」

そんな数多くの物資を横目に、ドクオは硬そうなソファに座り込んでいる。

((( ФωФ)

その時だ、彼の隣の自動扉からロマネスクが歩み出てくる。
ドクオは焦燥した様子で立ち上がり、彼に尋ねた。

('A`)「クールは…」

( ФωФ)「問題ないのである。アクチュエータ系の異常ゆえ、少々時間はかかるようであるが」

('A`)「そうか…よかった…」

ドクオはほっと胸をなでおろす。
それを見て、ロマネスクはふむと顎に手を当てた。

145名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 07:25:43 ID:VsEC.GBg0
( ФωФ)「ところで、ドクオ殿、クール殿の武装に関してなのだが…
       見たところ、25mm機関砲とパルスグレネードのみなのである。彼女はF型、それだけでは火力不足なのではないか?」

('A`)「…あぁ」

確かにそうだ、蒸気王の正面装甲も抜けず、あの『天使』に対しても通用しなかった。
これからは戦車と戦うこともあるかもしれない、だとすれば25mm程度では全くの無力だ。

( ФωФ)「さすがにタダという訳には行かないが、少しは安く武器を与えてもいいのであるよ」

(;'A`)「そんな…整備までしてもらって、武器まで割引してもらうなんて…そこまで助けてもらう必要ありませんよ」

ドクオは、それに、と言葉を続ける。

('A`)「武器くらいなら…自分で何とかできますから…というか、ありますから」

( ФωФ)「ほう?」

しかし、ロマネスクはそれ以上追求することはなかった。
彼は押し売り商人ではない、力の差は歴然だが、ロマネスクはドクオと同じミグラントで、商人だ。

( ФωФ)「しかし…クール殿の修理が終わるまで少々時間があるのであるな
       丁度いい、ドクオ殿、母者殿達の所へ行って貰えるか?」

(;'A`)「…え?それって…サスガ・ファミリーの本拠地って事すか?」

( ФωФ)「そうであるが?」

ドクオは突然、少々怖気づいた様子になる。
何故か?サスガ・ファミリーの本拠地は、よく嫌な噂が飛び交うからだ。
近づいただけで、何の前触れもなく対空砲の迎撃にあったとか、時折変な叫び声が聞こえてくるとか…いろいろな噂だ。

(;'A`)「ロマネスクさんは…」

( ФωФ)「吾輩は、今ここを離れることができないのである。
       クール殿の整備が終わる頃には、そちらに向かえよう」

(;'A`)(…不安だ)

146名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 07:27:16 ID:VsEC.GBg0
('A`)(…不安だ)

数十分後、ドクオは全く同じ言葉を、全く別の方向に向けて呟いていた。
その視線の先にあるのは

( ´_ゝ`)「だりー、ねみー」

(´<_`;)「兄者、しゃっきりしてくれ、客人の前だぞ。それにお前が頼りなんだ」

( ´_ゝ`)「だってよぅ…もうアレが消えてから何時間だ?4時間は経ってるだろ…調べてもどうせ無駄だって、俺はそんなことに余力は使いたくないね」

まるで異形な城のように積み上げられた機械類、それに埋もれるようなかたちで業務イスをくるくる回して気だるそうに話すのは、サスガ・ファミリーの一人、流石兄者だ。
そしてそれを後ろから困ったように肩を落とすのは、彼の弟、流石弟者。

( ´_ゝ`)「それにさ、ギアが何とかしてくれるだろ。そろそろ定期メンテも終わる頃だろ?」

(´<_`;)「全く、母者の矛先が別の方向に向いてるからって…」

('A`)(ロマネスクさんが「兄者はコンピュータの扱いに優れる」って言ってたのに…)

非常に気になっていたサスガ・ファミリーの本部に関しては、想像したよりも割と普通であった。
と言っても、外から見た限りでは、各所に砲台やレーダーがくるくると回っており、厳戒態勢の要塞という雰囲気。妙な噂が飛び交っても仕方のないおどろおどろしさがあった。
だがむしろ、内部…というか、人間たちに色々問題がある様子である。
だって、さっきから少し遠くで……

(ま、待ってくれ母者…これも深いわけがあってだな…)

(問答無用!また留守中に変なもん付けて!それだけでも許されざるのにこれはいったいどういう事なんだい!?)

('A`)「…修羅場だ」

(´<_`;)「すまんな…こんな見苦しいところ見せて」

弟者がため息をひとつつき、頭を掻いてドクオに謝る。

('A`)「まあ…新鮮ではあるけどね…俺家族いねえし」

ドクオは肩を竦めて言う

147名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 07:29:48 ID:VsEC.GBg0
( ´_ゝ`)「…お」

と、その時だ。兄者が小さく声を上げた。
彼の眼前にある画面に、緑のアイコンが現れ、ゆっくりと明滅する。

(´<_` )「…やれやれ」

弟者はもう諦めた様子で、部屋の片隅に置かれた、円柱状の機械、その脇にあるいかにもなレバーを下げた。
円柱の正面はシャッターのような扉になっており、それが両側に開く。

|サ━◎┥「定期メンテナンス、カンリョウ」

プシューッ、と音を立てて蒸気が排出され、中から、これまた同じ円柱状のロボットが歩み出てきた。
全周型カメラアイを上部に持つそれは、ドクオもよく知っているシルエット。

('A`)「…歯車王?」

Gear-K、通称歯車王。蒸気王と同じ、Kシリーズと呼ばれる中型自律兵器だ。
眼前に現れた歯車王は、その全周型カメラアイを動かして、ドクオを見据える。

|サ━◎┥「ネガティヴ、ワタシ ハ 歯車王 デハ アリマセン
     ワタシ ハ サスガ・ギア サスガ・ファミリー ニ 仕エル 補佐ロボット デス」

キコキコ、と、純正の歯車王に無い両脇のマニュピレータを動かして否定する。
他にも、本来ならば蜘蛛じみた四脚であるはずの脚部は、アンバランスな短足の二脚だ。そして円柱状の本体側面には達筆な文字で「サスガ」と描かれていた。

('A`)「へえー…面白いもん持ってんだな、歯車王のボディにAIを載っけたのか?」

( ´_ゝ`)「おう、俺がジャンクパーツをかき集めて作った。横の文字も俺が書いたんだぜ」

兄者が自信満々に胸を張って言う。
そして兄者は、業務用椅子をクルリと回してサスガ・ギアに向き直る。

( ´_ゝ`)「んじゃ早速だがギア、とある周波数の電波を追ってもらいたいんだが」

|サ━◎┥「リョウカイ。データ 入力 ヲ 願イマス」

そう言うと、サスガ・ギアの腹がパカリと開いた。
そこには一つのノートパソコンと、左右に大量のコネクタやプラグが押し込まれている。
兄者は慣れた手つきでキーボードを叩き、自らの居城である今にも崩れそうなコンピュータ類の山の中からコードを引っ張り出して、サスガ・ギアに接続する。

148名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 07:30:34 ID:VsEC.GBg0
( ´_ゝ`)「おし、処理予測時間は?」

|サ━◎┥「…… …… 推測 不可」

(;´_ゝ`)「ぬ?そんなに厳しいのか?使われてない周波数だぞ?」

|サ━◎┥「発信源 ハ 西部 遠方。遠距離 スギマス。
     オソラク ファーイースト地区 ヨリ 更 ニ 外 カト」

(´<_` )「ファーイースト地区の更に外側ぁ?そんなとこまで逃げたのか?」

弟者もそれに混じる。
ファーイースト地区は、直径3000km近い地区だ。T地区は更にその東端に位置する。
そんな遠方から、わざわざこんな辺境までやってきたというのだろうか?

149名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 07:31:28 ID:VsEC.GBg0
|サ━◎┥「…… …… ネガティヴ」

と、突如サスガ・ギアが否定する。

(´<_` )「へ?」

|サ━◎┥「逃ゲル トイウ 表現 ハ 適切 デハ アリマセン
     電波 発信源 ハ 固定式 デス」

( ´_ゝ`)「固定…?動いてないだけじゃないのか?」

兄者が興味を示し、前かがみになってサスガ・ギアに尋ねる。

|サ━◎┥「ネガティヴ。移動式 ノ 発信源 デハ コレホド ノ 出力 ハ 出セマセン
     固定式 尚且ツ 核動力 レベル ノ ジェネレーター ガ 無ケレバ 発セナイ デショウ」

('A`)「核動力て…」

ドクオもようやく話に混じる。
ジェネレーターに関してならドクオは知識豊富だ。
しかし、核動力のジェネレーターなんて今まで見たこともないし近づきたくもない

( ´_ゝ`)「電波発信源が固定式と言うことはだ。つまり、あの巨大兵器は電波を出していたんじゃなくて
       電波を受信していた。誰かに操作されていたって事だな?」

(´<_` )「なるほど…それならあの不可解な動きも納得がいく」

('A`)「…それに、核動力は整備をしっかりしねえと、大惨事だ。
    少なくとも、人間が整備している必要があると思うぞ」

3人の見解は一致する。

('A`)「巨大兵器や、核動力ジェネレーターを保持し動かすほどの巨大勢力が、何故だかは知らないがこのファーイーストのT地区を狙った。……て事だな」

(´<_` )「まだ不可解なことはあるな…なぜ病院を狙ったのか。この地区が欲しけりゃ、事実上の管理者であるロマネスクさんに攻撃するはずだ。
       まあ、その辺りはシラネーヨの探索チームの情報次第か…」

150名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 07:32:30 ID:VsEC.GBg0
と、そこへ響く一つの声。

( ФωФ)「残念ながら、諸君らの希望には添えそうにないのであるよ」

( ´_ゝ`)「お、出たな神出鬼没の怪人」

(´<_`;)「ちょ!兄者!開口一番に失礼なこと言うな!」

('A`)(でもロマネスクさん、ほんとにこういう神出鬼没な登場の仕方が多いな…)

いつの間にやら戸口に立っていたロマネスク。その後ろには、シラネーヨと、そしてクールが控えて……

('A`)「…ぉん?」

川゚ -゚)「…どうでしょうか?」

その出てきたクールに対して、ドクオは珍妙な声を上げる。
以前まで黒一色であったその機械の四肢は、白と黒、そして紫のアクセントが入ったカラーリングに変わっていたのだ。

( ФωФ)「ああ…それは整備班が勝手にやったことなのである。全く、ガキばかりの困った奴らであるよ。
       なんでも、ドクオ殿のヘリの色に合わせたとか」

('A`)「はあ…まあ、綺麗に塗れてるんで別にいいですかね、これでも。
    黒一色ってのも味気なかったし」

川゚ -゚)「ドクオがいいと決定ならば、私は従います」

( ´ー`)「そんな与太話はどうでもいいんダーヨ…全く、成果の上げられなかったこっちの身にもなレーヨ」

151名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 07:34:02 ID:VsEC.GBg0
シラネーヨがため息混じりに呟く

(´<_` )「成果が、上がらなかった?奴が病院を襲った理由は結局不明って事か?」

( ФωФ)「その通りである。破壊目的ではない、強襲した理由が不明。吾輩に向けての宣戦布告であれば、ごまんとある吾輩の施設を叩けばいいし、声明の一つくらい寄越すはずである」

( ´ー`)「…俺んとこにも、そんな声明は来ないし、第一俺は恨みを買われたような覚えはネーヨ」

('A`)「ロマネスクさんと仲がいいから狙われた…とか」

( ´ー`)「俺は別にこいつと仲良くしてるつもりはネーヨ。"リフレクター"は中立主義、「動かざれば動かず」が信条なんダーヨ」

ドクオの意見にも、シラネーヨはすっぱりと応える。
そのまま、シラネーヨは「そして、」と続ける。

( ´ー`)「…俺の知る限りでは核ジェネレーターとか巨大兵器を持ってる勢力なんて、聞いたことネーヨ。修理できるような技術者がいるなんて話も聞いたことがない」

( ФωФ)「シラネーヨ殿のチームは、世界中を流浪し各地に小さな勢力を持っているのであったな
       そして吾輩のような強い組織の属組となり、非常に薄く、広い勢力を保っている…」

ロマネスクが補足のように付け加えた言葉に、シラネーヨは目を見開く。

( ´ー`)「…知っていたのカーヨ。各地で名前もリーダーも別々にして、しっかり隠匿していたつもりだったんだけドーヨ」

(´<_`;)「おいおいちょっと待て…あんたの話が本当なら、俺ら、完全に振り出しになるぞ?」

弟者も驚いた様子だが、それ以上に彼が気になったのは、核ジェネレーターや巨大兵器を運用する機関が無いということだ。
巨大兵器も、核ジェネレーターも、知名度は低いし外見的な要素から想像しにくいが、技術はしっかりと伝わっている代物だ。無理をすれば、運用できないこともないはず。

152名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 07:35:06 ID:VsEC.GBg0
( ФωФ)「…リミッター」

ロマネスクが、弟者を見据え、小さく呟く

(´<_` )「リミッター?」

( ФωФ)「左様、核ジェネレーターや巨大兵器など、強大な力を持つもの、発するものには、必ず何がしかの制限が課せられているのである。それをリミッターと呼ぶ」

( ´_ゝ`)「知ってる」

と、そこで突然、それまで静かだった兄者が突然話に参加する。

(´<_` )「兄者?」

( ´_ゝ`)「核ジェネレーター、巨大兵器、旧世代のネットワークシステム、高度なAI…それらには全て、ひとつひとつ異なるファイアウォールがセットされてる。
   その内側にあるのは基幹となるシステムだ。だから、現代人はそれらを使いこなすことができないのさ。
       なんでそんな強固でコスト度外視なセキュリティを敷いてるのかは知らん、昔の人に聞いてくれ」

( ФωФ)「…さすがは、コンピュータに精通しているだけはあるのであるな」

( ´_ゝ`)「"リミッター"って呼び方は、初めて聞いたけどな。俺は"オーバーセキュリティ"って言ってる
       実際過剰すぎるくらいだ。敵に使われないようにしていたとしても、やりすぎだ。そのせいで俺らはこうして苦しい思いで暮らしてるのさ」

(´<_`;)「ちょ、ちょっと待て。いろいろ聞きたいことがあるが話が脱線してるぞ
       つまりだ、核ジェネレーターはまだ確定ではないにしても、巨大兵器を扱える人間なんていないってことか?」

そういうことだな、と兄者とロマネスクは頷く。

('A`)「…じゃあ、あいつは誰に動かされてたんだ?その、強力な電波も、誰が出してるんだ?」

( ФωФ)「…それを今から調べるのである」

153名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 07:36:39 ID:VsEC.GBg0
―――――――――――――――……

@#_、_@
 (  ノ`)「全く!忙しい男だよ!」

母者が暴力的なヘリのローター音とジェット音に負けぬように声を張り上げる。

@#_、_@
 (  ノ`)「西へ!?妙な施設がないか飛んで行けって!?」

( ФωФ)「その通りである」

対するロマネスクは拡声器を持って飄々とした様子だ。

( ФωФ)「吾輩の方からも、何人か部隊を編成しておいた。手分けして、何かないか探して欲しい
       特に、電波の中継地点のような施設がないかを頼むのである。詳細は、吾輩の部隊の指揮官である阿部殿に伝えてある。聞いておいてくれ」

N| "゚'` {"゚`lリ「部隊を指揮する阿部だ。よろしく頼むぜ」

SH-10長距離巡航ヘリの脇に座るガタイのいい男が、軽く手を振って答える。

 彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「ど、どうも…サスガ・ファミリーの部隊の指揮を担当する父者…です」

そしてそれに相対するのはてっぺんハゲの目立つ40代後半の男。
母者に対して、なんとも気弱そうな男である。

( ФωФ)「ほう?そちらの指揮は父者殿か、意外であるな」

@#_、_@
 (  ノ`)「まあ、ちょっと色々あってね!頼んだよ父者!」

 彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「うう…分かったよ。やればいいんだろう?」

父者は重い足取りで長距離巡航ヘリに乗り込む。

154名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 07:37:35 ID:VsEC.GBg0
('A`)「…すげえな」

それを遠くから眺めながら、ドクオはため息をついた。
彼らの目標は、強力な電波を発信し続ける場所を特定すること…場合によっては、ファーイースト地区の更に外側へ行くことになるらしい
ドクオも、そんな遠方へは行ったことがない、そもそもF21重輸送ヘリでは精々半径800km往復が限度で、半径1500km以上あるファーイースト地区の外側へ行くには片道切符になってしまう。

( ФωФ)「さて…ドクオ殿とシラネーヨ殿は…非番であるな」

ロマネスクはヘリポートから離れると、ドクオとその隣のベンチに座り煙草を吹かすシラネーヨに告げる。

('A`)「え?もういいんすか?」

( ´ー`)y-~「俺もオメーも、あの長距離巡航ヘリなんて持ってネーだろうがヨ
        アレは運用コストが高くて、おいそれと使えネーんだヨ」

ドクオの言葉に、シラネーヨが反応する。

( ФωФ)「今回は、この街の安全を守る為として急遽配備させたのである。まあそれでも、二機が限度であるな」

( ´ー`)「この街を守るため、ねえ…随分とお株を取るじゃネーかヨ。そんなにここの市民が大事かヨ」

シラネーヨが煙草を咥えながら呟く。
しかしすぐに首を振って、ドクオに向き直りこう言った。

( ´ー`)「まあ、そんな事よりだ。……ドクオ君ヨ、傭兵始めるんだって?」

(;'A`)「あー…またブーンっすか」

突然話題を変えてきたことにドクオは一瞬疑問を抱くが、掘り下げてはいけないことだというのも同時にわかったのでその話題に乗る。

155名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 07:38:20 ID:VsEC.GBg0
('A`)「まあ…実際金もないですし、傭兵も面白そうだなあ…という何というか一時の気の迷いというか…」

( ´ー`)「いいじゃネーかヨ、傭兵は最近数も減ってる…でも抗争の数は年々増えてる。特に自律兵器による街への攻撃が最近増えてるって話ダーヨ」

( ФωФ)「また、お主の薄く広大なネットワークであるか」

( ´ー`)「んダーヨ、世界全体の情勢をここまで知りつくしてるのは、多分俺だけじゃネーかヨ」

シラネーヨはまた煙草を咥え、リング上に煙を吐き出すと、もう一度ドクオに向き直って言った。

( ´ー`)y-。o○「ンで、傭兵をはじめるってんならドクオ君、ひとつ、俺の依頼を受けてみネーかヨ?」

(;'A`)「え、シラネーヨさんからの依頼っすか?」

ドクオは突然の重鎮からの依頼に、少し身を固くする。

( ´ー`)「まあそう硬くならなさんな、依頼っつっても誰かを殺せとかそういうもんじゃネーヨ。
      前にも言っていただろ?俺はオメーに期待してるんダーヨ。ちょっと力を見てみたいだけダーヨ」

( ФωФ)「ドクオ殿、この依頼を成功させれば、お主はシラネーヨから直々に受けた依頼を成功させたというレッテルを貼れる事になる。
       傭兵にはとにもかくにも『信頼されること』が重要。悪い話ではないと思うのであるよ」

(;'A`)「二人して俺をどうするつもりっすか……まあ、受けますけど」

( ´ー`)「じゃ、早速依頼内容の説明でもするカーヨ」

シラネーヨは煙草をもみ消すと、ドクオに向き直って話を始めた……。

156名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 07:39:12 ID:VsEC.GBg0
('A`)は荒廃した世界で生きるようです。

第六話:終



自律兵器名鑑#4
|::━◎┥ 歯車王(Gear-K)
Kシリーズと呼ばれる中型自律兵器群の一つ。○○-Kという特殊な名前のつけ方をしている。
Gear-K、通称歯車王は、汎用性に優れるタイプだと推測されている。見かける確立も他のKシリーズに比べて高く、またその武装も様々だ。
円柱状の本体と、蟹か蜘蛛のような四本足、全周を見回すことのできるカメラアイを持ち、胴体側面に様々な武装をアタッチすることができる。
アタッチ可能な武装は、確認されているだけで22mm機関砲、60mmカートリッジ速射砲、90mmライフル砲、105mm榴弾砲、120mm対戦車滑空砲、対物ロケット、地対空ミサイル、120mm迫撃砲、22mm速射レーザーガン、40mmレーザーガン、80mmプラズマカノンと、非常に種類が多い
弱点は胴体頭頂部、ジェネレーター搭載用のハッチが存在し装甲が薄い。

自律兵器名鑑#5
|サ━◎┥ サスガ・ギア(SASUGA-Gear)
サスガ・ファミリーのコンピューティング担当である兄者が独力で作り上げたAI搭載型自立補佐ロボット。
胴体は歯車王、腕であるマニュピレーターは兄者の手作りによるもので、簡素でオモチャっぽい見た目だ。
脚部は別の自律兵器からの流用である。中身はドクオが持っていたAIの『クール』と同じ型式の『AI-M4/Aid』型。少しメモリが増設されているらしい
その他、腹の部分にノートPC、内部にはレーダースキャニング装置や同期システムなどがあり、外部コネクタによって様々な部品との連動も可能になっている。

157名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 07:40:44 ID:VsEC.GBg0
次回は未定!でも構想は出来てるのでそれほど遠くならない…はず
イラストもそろそろ描きたいね

158名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 09:45:21 ID:Zux0EV6Y0
おつ!

159名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 10:16:16 ID:GtDdtoYQ0
乙ー
出来ればドクオのヘリとクーのカラーが見てみたいな(チラッ チラッ

160名も無きAAのようです:2013/05/03(金) 01:54:29 ID:JFdpVves0
おつ!

161名も無きAAのようです:2013/05/03(金) 21:48:54 ID:NbIEiPRo0
おつおつ

フヒヒ シコルスキーの大型ヘリかしらね

162名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 21:07:30 ID:lQwSWHnU0
おっつ

163ハネル:2013/05/08(水) 15:28:19 ID:LI0HpVEQ0

おもろい

164名も無きAAのようです:2013/05/18(土) 11:10:02 ID:vt4yQ.JY0
チラッ

165名も無きAAのようです:2013/06/07(金) 21:30:53 ID:bgS5favg0
投下してもええんやで

166名も無きAAのようです:2013/06/15(土) 23:36:49 ID:Y0ulfrB.0
ちら

167作者:2013/06/17(月) 22:31:09 ID:rC5bofUU0
すみません皆さん、現在執筆中です。
ちょっとWorld of Tanksにハマって抜け出せなくなっておりました。というが現在進行形で抜け出せてねえ、英国戦車万歳!
執筆度は第7話60%といったところ

168名も無きAAのようです:2013/06/17(月) 23:41:56 ID:nLYXj9gkO
日本語の棒読み笑えるよな
ずっと待ってる

169名も無きAAのようです:2013/06/20(木) 08:34:29 ID:AILZeqR20
パンフリャーにぶっ叩かれてたからやってないや
B型楽しいよぅ

170作者:2013/07/14(日) 00:27:28 ID:4uk3fH5g0
みなさんお久しぶりです。第7話はっじまっるよー
gdgd注意かもしれん、このあとから本格的なストーリー考えてたから…

171名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:28:25 ID:4uk3fH5g0



('A`)は荒廃した世界で生きるようです。

第七話:失われた世界



.

172名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:29:35 ID:4uk3fH5g0

T地区から西南西へ80kmほど、他の大地のようにかつての名は既に忘失し、しかしその尊大な姿のみが大きく残る、休火山。
山頂付近がまるで帽子をかぶるかのように雪に覆われたその姿は、自然というものの雄大さを、この荒廃した世界において余すところなく伝えてくれていた。
山の麓には、この世界では既に希少な存在である樹海までもが広がっている。
空も青く晴れ渡り、まるでこの場所だけ荒廃を忘れ時が止まってしまっているかのようだった。

('A`)「………」

ドクオのヘリは、そんな雄大な大自然本来の姿を眼下に望みながら飛んでいた。
T地区より西ではあるが、彼は別に電波発信源を探しているわけではない……そもそも、以前も言ったとおりこのヘリではファーイーストの外に出ることもできないのだ。
これは彼の最初の依頼。シラネーヨから受けたものである。

( ´ー`)『80kmくらい西の方に、"死に損ないの山"があるよナ?そこの麓の樹海に、とある研究施設が隠されてるんだヨ
      そこからめぼしい物を持ってきて欲しい……これが依頼内容ダーヨ。簡単だろ?』

死に損ないの山、というのは、いまドクオの眼前に広がる休火山のことだ。
まるで死ぬ事を忘れてしまったかのように、美しい自然のままを残すその姿を皮肉った名前だ。

('A`)「…でも、綺麗なもんだな。かつては世界全体がこんなんだったんだろう」

ドクオは独り言のように呟く。

川゚ -゚)「…私も、荒廃以前の世界はライブラリに記載されているものでしか知り得ませんが、そうなのでしょう」

大きめのコックピットの後ろで、床に座り込むクールが顔を上げてそれに応えた。
彼女はそれだけ言うと、再び顔を落として、自らの作業に戻る。
キュッ…キュッ…という小気味のいい音が、静寂を取り戻したコックピット内に響く。
音の出処はクールの膝の上だ。黒光りする、巨大なマズルブレーキを備えた長く太い砲。
M130S 105mm榴弾砲。以前彼らが捕らえた蒸気王の得物であったそれは、砲身がより切り詰められ、コンパクト化されて彼女の膝に収まっていた。
いや、収まるという形容は誤解を招くだろう、コンパクト化といっても、砲身長だけで50cmはある代物だ。

173名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:31:03 ID:4uk3fH5g0
('A`)「着いたぞ」

ドクオの言葉とともに、クールは砲身を磨く手を止めてすっくと立ち上がる。

('A`)「依頼は、樹海の中にある地下研究施設の探索」

ドクオはシラネーヨから直々に受けた依頼を、一字一句間違いなく復唱する。

( ´ー`)『施設の中はグール共の巣窟で、探索が思うように進んでネーんだヨ
      そこで君らに最奥部までの探索とマッピングをお願いしたいンダーヨ。LMなら、グールくらい何ともネーだろヨ?』

単純な依頼だ。明示された報酬もさして多くはない。
しかし、最初はこんなもんだろうとドクオは小さく頷いた。

('A`)「よし、クール。下部ハッチ開けるぞ、降下準備…は出来てるか」

川゚ -゚)「いつでもOKです」

ドクオが振り返った時には、既にクールは下部ハッチの上で待機。その巨大な両肩にはワイヤーフックがかけられていた。
空気も澄んでいるここでは、エアロックは必要ない。そのまま下部ハッチが展開され、外の冷たい空気がコックピット内に吹き込んできた。
雄大な"死に損ないの山"が、麓の樹海に降りていくヘリを見つめる。

174名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:32:28 ID:4uk3fH5g0
キン!キン!
甲高い音をあげてワイヤーフックの接続が解かれた。
数メートルほどの高度まで下げられていたクールは、何の苦もなく地表へと降り立った。ワイヤーはするすると登り、木々の合間に消える。

『よし、研究施設の入口はそっから200mくらい南東だな』

ワイヤーの収容を確認したドクオの通信が、クールの耳に届く。
ヘリは既に高度を戻しているだろう。クールは注意深く周囲を見回した。

川゚ -゚)「周囲に生体反応なし」

『そうか』

木々が生い茂り、地面は軽いぬかるみだ。コケやシダ、その他雑草のようなものがあちこちに生え、原生林といった趣を感じさせる。
しかし、ここまで自然が豊富だというのに、彼女の周囲には動物の一匹も見受けられなかった。
鳥の鳴き声も…聞こえない。不気味な静寂があたりを包んでいた。

川゚ -゚)「……!」

クールは何かに気付いたかのように後ろを振り返る。
彼女の機械補助がかかった目が、わずかに離れた木々の影から伸びる一本の砲身を見逃すことはなかった。

川゚ -゚)「!」

クールは即座に横跳びに回避行動!次の瞬間、彼女がつい先刻までいた場所に土煙が立った!

川゚ -゚)「対戦車ライフル…それに、今の独特な発砲音は」

『どうした!?聞きなれない発砲音がしたぞ!』

ドクオの驚いた声とクールの呟きは同時だった。
クールは素早く幹の太い樹の後ろに隠れる。

川゚ -゚)「謎の敵です。敵は対戦車ライフルを装備。危険です」

クールは用心深く、樹の裏から襲撃者のいる方向を伺う。

175名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:34:05 ID:4uk3fH5g0
チュイィン!

川゚ -゚)「っ!」

樹の幹をわずかに抉って、銃弾が彼女の頬を掠めた。
それに続いて、ザク、ザク、と葉で覆われた地面を踏みしめる音が響く
それに混じって、かすかなアクチュエータの音。

「出てきな!そこにいるのは分かってんだ!」

荒々しい口ぶりだが、その声は間違いなく、女性。

川゚ -゚)「識別コードを故意に潰しているような相手に顔を見せろと?」

クールの言葉はどこまでも平坦だ。
ッチ、という舌打ちが聞こえた。

「やっぱ分かってんのか、なあシュー姉。やっぱこの武器の選択間違ってんじゃねえの?」

「……私がいる事までバラシてどうすんだ脳筋」

二人目の声。
クールは再び、樹の幹から再度向こうを覗う。

ノパ⊿゚)「だってよぉ、奴さんはもう分かってんぜ?こっちもLMだって」

lw´‐ _‐ノv「だからって手の内を知らせるのはおかしいってもんでしょう」

2人…いや、2機のリビングメタルスが、各々の武器を片手に口論をしていた。
背の低い方、先に声を上げたほうだが…そちらの手には、先細りする銃身のついた特徴的なライフルが握られている。

川゚ -゚)「やはり、口径漸減銃…スクイーズド・ボア・ライフル」

クールは小さな声で呟く。

『…聞いたことがある。APFSDSが使えないほど小型の弾丸を高初速で射出するために、口径を先細りにした銃か』

川゚ -゚)「はい」

クールはつぶやくと同時、樹の裏からスイ、と身を出す。

『お、おい』

ドクオの言葉も待たず、彼女は銃を下げたままよく通る声を放った。

176名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:35:15 ID:4uk3fH5g0
川゚ -゚)「…シリアルナンバー、LM-167439F。クール」

ノパ⊿゚)「ひょ?」

lw´‐ _‐ノv「むい?」

突然のクールの言葉に、彼女らは呆けた声を上げる。

川゚ -゚)「識別コードです。貴女方も開示してはどうですか?」

ノパ⊿゚)「………」

lw´‐ _‐ノv「…LM-069116G」

ノハ;゚⊿゚)「シュー姉!」

lw´‐ _‐ノv「識別コードの開示は敵意がないことの証明。…別に私たちとて、誰かとやりあう為にいるんじゃないだろ
       私たちはここで大隊長の帰還を待つだけ、そうでしょ?」

ノハ;゚⊿゚)「ぐ…ぬ…」

口径漸減銃を持つ方のLMは小さく頭を落とし、クールに向き直った。

ノパ⊿゚)「LM-339821D…ヒートと呼ばれてる。こっちはシュー姉」

lw´‐ _‐ノv「素直大隊チームα隊長、シュールんね」

川゚ -゚)「素直…大隊…」

クールはその言葉につっかかりを覚える。

川゚ -゚)「…ライブラリの破損でしょうか?」

lw´‐ _‐ノv「…さあね、あんたの思ってることはわかる。私はあんたを知ってる。でもライブラリに記載はない」

ノハ;゚⊿゚)「え?え?」

二人の会話を全く飲み込めぬヒートが、ライフルを持ったまま二人を見比べるようにキョロキョロする。

177名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:36:58 ID:td/1ILfE0
支援

178名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:37:00 ID:4uk3fH5g0
lw´‐ _‐ノv「まあ、そんな事はどうでもいい。私たちはまだ作戦の途中なんだ。君の目的を聞こうじゃないか、私たちの援軍か?それとも殲滅せよとのお達しか?な訳ないよね、先に名乗ったんだし」

川゚ -゚)「…私の目的は、この先にある研究施設の探索です」

ノパ⊿゚)「この先の研究施設?それは私たちの集合地点だぞ!」

ヒートが口径漸減銃をかすかに持ち上げて叫ぶ。
それをシュールが片手に制止。

lw´‐ _‐ノv「すまんね、血の気の多い隊員で」

川゚ -゚)「構いませんが…集合地点?」

lw´‐ _‐ノv「これ以上は機密情報。これ以上どころか、今の情報も本当は機密のはずなんだけどね…
       まあ…私たちも集合地点としては使っているが、中までは調べてない。どうも、変な奴でいっぱいのようだけど」

『グールだ』

突如、空から声がした。
他の二人は条件反射的に空に向かって各々の銃を構えるが、クールは静かに上を見上げた。

川゚ -゚)「ドクオ」

lw´‐ _‐ノv「戦友かい?いきなり声をかけるとは礼儀のなってない紳士がいたもんだ」

『育ってきた環境が悪いもんでね』

ドクオはあっけからんと答える。

ノパ⊿゚)「それよりもグールってなんだ!?そんな生き物聞いたことないぞ!!」

『荒廃で頭と身体をヤられた狂人さ、お前ら、知らねえのか』

ドクオの声は少しばかりの驚きを含んでいた。
グールの存在は、一般人にまで認知されたこの世界の常識だからだ。

179名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:37:45 ID:4uk3fH5g0
lw´‐ _‐ノv「ライブラリにはんな存在は記されてないからね…それに荒廃なんて、ここのどこが荒廃してるって?」

シュールは両手を広げ、辺りを見回す。
木々が生い茂り、木漏れ日はキラキラと薄暗い世界にわずかな明かりを落としている。
先程までは気配も無かった鳥たちも、殺気が薄れたからなのか、チチチ…とどこか遠くで鳴いていた。
何もかも、昔から変わらぬ世界。

『……そうか』

川゚ -゚)「死に損ない…というわけですね、最後の戦争の」

二人は、彼女の言葉とその素振りに、何かを察したように小さく呟く

lw´‐ _‐ノv「……どうやら、私たちの知らないうちに、世界情勢が変わったようで
       昔もいたらしいね、第二次世界大戦が終結したのを知らずに戦い続けた――」

ノハ#゚⊿゚)「最後の戦争だとおおおおおおおおおお!!??私たちの!戦争はァ!まだ終わっとらんぞぉおおおおおおお!!!」

突如背の低いほうが大きく叫ぶ、あまりの大声に、周囲の木々から鳥が一斉に飛び立った。

lw´‐ _‐ノv「うるさい。すまんね、ほんと血の気の多いやつで」

川゚ -゚)「ここまで感情が爆発しやすいのは珍しいですね」

lw´‐ _‐ノv「で……えーっと結局、君らの目的は?」

『研究所の探索。さっきも言ったとおりグールの巣になってっから、それを排除しつつ最奥部までを調べるんだよ』

lw´‐ _‐ノv「なるほど…で、探索する理由は?」

『はぁ?』

ドクオは彼女の言葉の意味がつかめなかったのか、間の抜けた声を出す。

180名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:38:35 ID:4uk3fH5g0
川゚ -゚)「依頼です。とある権力者の方からの」

その問いに、クールが素早く答えた。

lw´‐ _‐ノv「なんだ、あんたらもお偉方からの作戦命令が出されてたのね」

シュールはそれで納得したようで、小さく頷いた。
そして続けてクールを見据えて言う。

lw´‐ _‐ノv「……そうさね、何なら手を貸そうか?」

川゚ -゚)「は?」

lw´‐ _‐ノv「あんたの受けた命令を手伝ってやるって言ってんの」

ノハ;゚⊿゚)「シュー姉!?」

川゚ -゚)「…別に、手を貸してもらうほどの事ではありませんが……それに」

lw´‐ _‐ノv「こっちの事情があるだろうって?舐めんなよ、これでも私は指揮官タイプのG型だ。
       もう分かってる、大隊長はもういない、命令は時効だ」

シュールの声には静かな怒りにも似た熱い感情が篭っていた。

ノハ;゚⊿゚)「けどシュー姉…素直大隊長は…」

lw´‐ _‐ノv「死ぬまでここに居ろとは言われてない。大隊長が戻ってくるまで、ここで待機って命令だけだ
       けど…戻ってくる気配はない。微弱な信号だけは感知できるけど…探しに行ったキュートも戻ってこない」

シュールとヒートは小声で話し合う。

川゚ -゚)「どうしますか、ドクオ」

『どうしますかっつってもなぁ…』

外部スピーカーを切り、彼女の通信にのみ応えるドクオの声も困った様子だ。

『まさか、LMがいるなんて思ってもみなかったし、そもそも侵入する前から何かに絡まれるとは思わなかったよ』

ドクオの声に、困った様子に加え驚きと呆れが含まれる。

川゚ -゚)「しかし、ただ提案してくるのは少々妙です」

『だよな。何か向こうの考えがあるのかもしれん…まあ、図々しく訊いても答えちゃくれねえんだろうけどな』

川゚ -゚)「訊いてみるだけ価値はあるでしょう」

181名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:39:26 ID:4uk3fH5g0
lw´‐ _‐ノv「そっちもお話中かい?」

ノパ⊿゚)「……」

シュールとヒートの話は終わったようだ。ヒートは少しばかり不服そうな顔をしているが、口径漸減銃を背中に提げ、大人しくシュールの後ろで待機している。

『俺が訊く』

クールは口を開こうとするが、ドクオが先に出た。
上空のヘリの音が再び近づき、大音量のスピーカー独特のハウリング音がかすかにした

『ずばり訊くが――何が目的だ?』

ドクオの言葉に、シュールは小さく首を傾げる。

lw´‐ _‐ノv「別に、目的はないさ。あんたたちは敵じゃないだろ?」

『だが、味方になった覚えもない』

lw´‐ _‐ノv「そうさね…あえて言えば、外に連れ出してくれないかね?」

『外に?』

lw´‐ _‐ノv「そう、外。ここの外」

そう呟くシュールの表情はどこか悲しげだ。

lw´‐ _‐ノv「お前ら、あえて言ってないんだろうが、分かってんだよ
       世界、終わってんだろ?最終戦争だのなんだの、馬鹿でもわかるっつうの」

川゚ -゚)「別に…あえて言ってない訳ではなかったのですが」

lw´‐ _‐ノv「あんた、何というか調子狂うね」

ノハ;゚⊿゚)「シュー姉にそのセリフを言わせるとは…」

『…ともかくだ。お前らはここを出たい、俺らはこの先の研究施設を攻略したい。
 それで交渉成立ってことでいいか』

ドクオがコントじみたその会話に呆れつつ、ぶっきらぼうに答える。

lw´‐ _‐ノv「ああ、構わないよ。紳士殿」

182名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:40:52 ID:4uk3fH5g0
lw´‐ _‐ノv「……なんだ、あんたたちもよく分かってないのか」

『悪かったな…ただ、世界は荒廃し、死に向かってる。それだけが事実だ』

ドクオの声は空には響かない、すでに無線の周波数を彼女たちに伝えたからだ。
シュール達とドクオが最初に交じえた言葉は、ほんのわずかな、一言づつ。

「世界はなぜ崩壊したのか?」「分からない」

すでにこの世に崩壊の、最終戦争の顛末を知る者はいない。
荒廃戦争以前からこの地にいるという彼女たちは、そんな戦争があることすら知らされていなかった。

lw´‐ _‐ノv「私たちのいた世界には謎が多い。そもそも私たちがなぜ生み出されたのか、その顛末すら知らされてないからね」

川゚ -゚)「…私たちの存在理由」

LMは神に反逆した冒涜的兵器。なぜ、荒廃前の人類はそんなものを生み出したのか、なぜ生み出される事になったのか。

『考えたこともなかったな、いや、考える暇すら無かった。生きることだけが精一杯だったな
 大人になった今じゃ、そういうことに疑問を抱く事は暗黙の了解になってる、そういう世界になっちまった』

lw´‐ _‐ノv「不自由なもんだ」

『疑問を持っても答えなんて出ねえ、そんなことに時間を割くのなら今日の飯を探すよ』

言葉を交わすうちに、彼らは研究施設へとたどり着く。
見えるのは入口だけだが、その入口もまた、この地に生き続ける植物たちによって、今まさに埋め尽くされ押しつぶされようとしているかのようであった。

183名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:41:32 ID:4uk3fH5g0
『なあ、ずっと思ってたんだが、お前ら何年ここにいる?』

ぎぃ、という音と共に開いた扉と同時に、ドクオは新たな疑問を投げかける。

『このへんの植物の成長具合といい、まず間違いなく数十年は経ってるはずだ』

ノパ⊿゚)「30年くらいだったか?」

lw´‐ _‐ノv「電波時計は既に死んでて正確な時間は分からないが、まあ概ねそれくらいだろう」

『30年って…お前ら何歳だよ、20代くらいにしか見えんぞ』

川゚ -゚)「LMは細胞年齢は固化されており、外見から年齢を図ることは不可能ですが」

『細胞年齢を固化って……なんだよその技術』

lw´‐ _‐ノv「LMの活動限界は、正直言って未知数さね、データもない。ただ、50年は普通に保つようだ」

『50年も使い続けられる兵器……ハァ、相変わらずワケ分かんね』

lw´‐ _‐ノv「おっと、お喋りの時間は終わりのようだよ」

ドクオの言葉を遮り、シュールが背中に提げた武器を引っ張り出す。
大きい、クールが持つ105mm砲には劣るが、大口径の短身砲。

川゚ -゚)(RM-51 50mmハンディカノン…という事は)

クールもまた25mm機関砲を構える。105mm砲でもいいが…不要だろう

lw´‐ _‐ノv「会敵まで5秒、3、2、1…」

lw´‐ o‐ノv「ってえ!」

ぼん!
少し気の抜けるシュールの声と同時、これまた気の抜けるような重低音が鳴り響いた。
半拍置いて
ぼごぉん!
部屋の隅が炸裂。爆炎に包まれ、その中に暴れ狂う人影が映る。
甲高い声、ガリガリに痩せ細ったシルエット、グールである。

ノハ;゚⊿゚)「うわ、あれがグールか?ほとんど人の姿じゃないか…もっと化け物じみたのを想像してたぞ」

ヒートが燃え盛る体を必死に壁に打ち付ける狂気じみたその姿を見て、苦い顔をする。

『理性も知性も残っちゃいねえよ、あれは人じゃねえ、人の姿をした動物だ』

184名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:42:36 ID:4uk3fH5g0
川゚ -゚)(やはり、榴弾。原型が迫撃砲なだけあって発射音も小さい)

クールはといえば、構え直したシュールの武装をもう一度見つめ、そして背中にかかった自らの新たな得物。M130S 105mm榴弾砲を見た。

川゚ -゚)(…今日は使いどころがなさそうです)

屋内での榴弾の使用は、想像以上に制約に包まれる。と言っても、クールの強度ならば直撃や至近弾でない限りは問題なかったのだが……

ノパ⊿゚)「そういや私の装備あんまり対人向きじゃないぞ」

lw´‐ _‐ノv「そういやそうだったな…これ使え」

思いがけず2機ものLMと共闘することになった。FF(フレンドリーファイア・同士討ち)は絶対避けるべきだ。105mm砲は使えない

ノハ;゚⊿゚)「ちょっとシュー姉…こんなハンドガンでやりあえってのか?」

lw´‐ _‐ノv「それっきゃねえんだよ、我慢しろ」

『思ったより、LM同士でコミュニケーション取るもんなんだな』

lw´‐ _‐ノv「そりゃそうだ、私たちは一介の兵器であると同時に意志を持ったに……ゲフン」

『に?』

lw´‐ _‐ノv「…まあ、プロテクトが掛かってて言えない言葉もあるんだが、基本的に会話は自在だ。
      戦場では現場の判断で動くことも多いからね」

『……そうか』

ドクオは少々不満げだ。

lw´‐ _‐ノv「っと、第二波、来るよ」

川゚ -゚)「ドクオ、シュールのデータを受け取ってください、彼女はG型の指揮官タイプですが、人の指揮官は必要でしょう」

『…ああ、わかった』

グールの叫び声が、地下から次々こちらへやって来る。

185名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:44:02 ID:4uk3fH5g0
―――――――――――……

『さらに地下、25フィートくらい下に、グールの反応有り。まだ下があるってのか』

川゚ -゚)「かなり下がりましたが…」

lw´‐ _‐ノv「そろそろ通信も心配さね」

ノパ⊿゚)「敵も多いぞ!」

研究所地下に入ってから数十分、すでに彼女たちの通ってきた道には10、20では済まない数のグールの死骸が転がっている。

lw´‐ _‐ノv「ふむ、弾もそろそろ心許なくなってきたか…」

単発リロード式のRM-51携行榴弾砲に弾を込め、シュールは独りごちる。

『必要なのは最深部までの探索だ、戻ってきてもいいんだぞ』

ノパ⊿゚)「ここまで来てもどるのは私のプライドが許さんっ!」

川゚ -゚)「概ね同意です。弾薬も心許なくなってきたとは言え、グール相手ならば格闘戦でも問題なく倒せるでしょう」

lw´‐ _‐ノv「ま…そろそろ終わって欲しいね、こんな陰気なところは好きじゃない」

3人…いや、3機は再び階段を下る。
施設内部は、至って普通…としか言い様のないものだ。
一番の特徴といえば、手付かずのサーバールームに、いくつもの旧式コンピュータ群。
何らかのソフトウェアを研究していた場所なのだろう。掠れ読めなくなった書類が散らばる以外は、全てコンピュータで埋め尽くされていた。

『なんか面白いデータでも残ってりゃあ良かったんだがなあ』

ドクオが通信で残念そうにつぶやく。
ここに放置されたコンピュータは、全てが経年劣化や地下の湿気などにやられて基盤が死んでいるか、データが飛んでいるものばかりだった。

186名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:46:23 ID:4uk3fH5g0
更に、階段を下る。

lw´‐ _‐ノv「…うん?」

『…何?』

ドクオとシュール、二人が同時に怪訝な声を上げた。

ノパ⊿゚)「どうした?」

lw´‐ _‐ノv「待て」

『――――………』

川゚ -゚)「ドクオ?」

lw´‐ _‐ノv「ECM発生。通信不能、アクティブレーダー不能」

がたり、と地底の暗闇の向こうから音がした。

ノハ#゚⊿゚)「誰だ!」

ヒートが素早くそちらへライフルを向ける。機械補助のかかった瞳が、かすかな光を強烈に捉える。
しかしそれでも、暗闇の向こうに誰かがいたという事のみが、わずかに分かっただけだった。
人影は素早く通路の奥へと消える。

lw´‐ _‐ノv「…?」

特に性能のいいシュールのみが、その人影の背中に「翼らしきもの」が生えているのをかろうじて確認した。
そしてそれきり、静かになった。
レーダーも通信もすぐに復旧し、心配げなドクオの声が戻ってくる。

『おいどうした!お前らの反応が消えてたぞ!』

川゚ -゚)「健在です。正体不明の人影が確認できましたが、逃亡」

ノパ⊿゚)「グールじゃないよな。あいつらは逃げるってタチじゃないだろ」

187名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:47:03 ID:4uk3fH5g0
lw´‐ _‐ノv「…ふむ」

シュールは人影の出てきた部屋を胸部のフラッシュライトで照らす。

川゚ -゚)「何か、あるのでしょうか」

lw´‐ _‐ノv「可能性は高い…私の見間違いならいいんだが…あいつ、翼が生えていた」

『翼…?』

lw´‐ _‐ノv「何だ?心当たりでも?」

『……いや。確かに…何かがありそうだな、探してくれ 何でもいい』

lw´‐ _‐ノv「………」

川゚ -゚)「見てください」

クールが部屋の中、中央の卓上にある、黄ばみかけた資料を手に取る。
ところどころ掠れてはいるが、読めないこともない。これまで落ちていた文字も判別できなかった資料とは明らかに違う。
クールはその解読できる部分のみを、ゆっくりと読み始めた。

川゚ -゚)「……山麓人工知能研…所」

『人工知能…』

ドクオの声が一層低くなる。

『…それ持って、戻ってきてくれるか』

川゚ -゚)「…まだ探索が終わっていませんが」

lw´‐ _‐ノv「いや、今終わったよ…あの人影が消えた先は行き止まりだ、そして、誰もいなかった」

『その"翼の生えた人影"に関しても、詳しく聞きたい』

lw´‐ _‐ノv「…何か、知ってるみたいだね」

188名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:48:13 ID:4uk3fH5g0
一行は研究所をあとにし、シュールたちの案内で少し開けた場所にやってきた。
ドクオのヘリが降りるのに十分なスペースがある、おそらく湖だったであろう場所。
水は既に干からび、大地にはわずかな雑草が生えていた。じきにもの場所も、周囲同様木々に覆われてしまうのだろう。

('A`)「………」

ドクオはヘリの脇に座り、クールの持ち帰った資料を穴があくほど見つめる。

('A`;)「自己学習能力と自己判断能力を有するAIの研究に関する資料、か…量子コンピュータなんかにも触れてやがる…」

('A`)「…重要なところは全部消えてる…いや、意図的に消されてるように見えるな。研究所が破棄される直前に急いで消したってところか…しかし……」

ドクオはふっと顔を上げ、この場所で初めて相対するLMに向き直った。

lw´‐ _‐ノv「…翼の生えた人影のことかい?」

そのLM、シュールは表情ひとつ変えずに応えた。

('A`)「察しがいいな、G型は指揮官タイプとか言ってたが…そういうもんなのか?」

lw´‐ _‐ノv「まあ、そうさね 状況判断能力は鍛えられてると思う
       で、だ…私の見た人影だけど、まあ翼が生えてた。背中からさね、翼は羽毛のような感じはしなかったね…ただ、暗かったからハッキリとはしない」

川゚ -゚)「ドクオ、まさかとは思いますが」

('A`)「まさかじゃねえ…ほぼ確実だな」

ノハ;゚⊿゚)「おい!またおいてけぼりで話進めるな!正確に説明しろ!」

ヒートの言葉に、ドクオは静かに頭を振る。

('A`)「…正直言って、俺らの持つ情報もたかが知れてる。
   ただ、翼の生えたLMを、俺らは見たことがある」

('A`)「でも、それだけだ。奴らの目的も、何もわかんねえ…今調べてるところとでも言えるのかな」

ドクオは資料を畳み、長い息を吐いた。

189名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:49:25 ID:4uk3fH5g0
('A`)「取り敢えず…帰って報告しよう。
   なんか、妙な胸騒ぎがするわ。お前らも乗れ…"外"に連れ出してやる」

lw´‐ _‐ノv「ああ、それがこっちの報酬だからね」

ノパ⊿゚)「キュート、素直隊長、鈴木副隊長…お元気で」

ヒートが樹海に向かい、敬礼する。
シュールもそれに習い、軽い敬礼をした。
4人…1人と3機の乗ったヘリは、樹海を、もはや名も、時代からも忘れ去られた大地をあとにする。

―――飛ぶ、飛ぶ……その度に、大地に濁りが走り、水は淀み、毒々しい色に変わっていく。
見えてくるのは現実、現代。荒廃し、死に絶え、人がわずかな大地に寄り添って生きる世界。

ノハ;゚⊿゚)「おい…なんだよこれ…」

lw´‐ _‐ノv「……」

驚愕に目を丸くするヒートに対し、シュールの表情は静かだ。
濁りきった大気の向こうに、光が見えてくる。

('A`)「俺の街だ…あれでもなかなかいいところなんだぜ」

ひときわ輝きを放つのは、ロマネスクの住む塔だ。かつて詠歌を誇ったであろう人類が建てた、巨大な白銀の塔。
それは退廃しきった世界の最後のオアシスのようでもあって――――――

(゚A`)「…は?」

ドクオは、操縦桿を握ったまま固まった。
白銀の塔、その中腹が、黒い。
いや、黒だけではない、チラチラと紅蓮の輝きも見て取れる。
ヘリが街へと近づくにつれ、"それ"がなんなのか分かり始める、ドクオは知っている。この街に住み始めてまだ幾ばくも経っていないクールも、"それ"を知っている。

(゚A`)「なん…で…」

川゚ -゚)「ドクオ」

(゚A`)「なんで、あいつが、いるんだよ……」

川゚ -゚)「ドクオ!」

クールが、放心したドクオの腕を引き無理やり操縦桿を捻らせる。
ヘリは急激に傾ぎ、避けた。
何を?

190名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:50:19 ID:4uk3fH5g0
从 ゚∀从「よう」

川゚ -゚)「……!」

飛行するヘリのキャノピーに座り込み、彼女はクールへ声をかけた。

川゚ -゚)「避けたはずですが」

从 ゚∀从「あんまりにも気付かないもんだから、落としちまおうかと思ったよ。まあちょうどいいや、タクシー替わりだ、連れてってくれ」

lw´‐ _‐ノv「何事だい?」

後ろからシュールが顔をのぞかせる。

从 ゚∀从「ちょいとお客さ、あんたらもそうだろ?行き先は同じとは限らんがな」

lw´‐ _‐ノv「おやおや、無賃乗車とは感心しないぞ」

从 ゚∀从「んー…それもそうだな
まあ、渡したところでその駄賃は三途の川の渡り賃になるんだろうが」

lw´‐ _‐ノv「それ、先払いでいいかい?」

シュールが右手を掲げる。その手には、ヒートが持っていた口径漸減ライフル。

lw´‐ _‐ノv「貰うのはあんただけど」

从 ゚∀从「おっひょ」

パァン!と独特な発砲音が響いた。

191名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:52:04 ID:4uk3fH5g0
(゚A゚;)「ハッ!?」

川゚ -゚)「ドクオ」

('A`;)「う、うお!」

発砲音にドクオは我に返り、姿勢の傾いだヘリを慌てて元に戻す。
ドクオは頭を振るい、再度塔を見据える。

(;'A`)「…クソ」

我を失う前に見たものが、夢だったらどれだけ良かったことか
しかし彼の見たものは、現実にほかならない。

<○><○> ヴォォォォン… ヴォォォォオオン……

それは、巨大な白銀の塔の中腹に『びっしりと』止まる、あの時の巨大兵器。
数は、十ではくだらないだろう。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

从 ゚∀从「っぶねえな」

振り落とされ、飛び去っていくヘリを見て、エクスシアは呟く。
振り落とされてもなお安定した浮力を生み出すその翼には、ほんの小さな凹みが出来ていた。

从 ゚∀从「旧世代の兵器か、甘く見ないほうがいいな」

(゚A゚* )「遅かったやん、エクスシア」

後ろから、同じく翼を持ったLMが地上から舞い上がってくる。

从 ゚∀从「スローネか、ちょっと所用があってな」

(゚A゚* )「ふん、まあ、予定通りの進行やさかい…」

スローネと呼ばれた天使は、目を細め、巨大兵器がへばりつく塔を不気味な笑みで見つめた。

( *゚A゚)「そんじゃま…はじめようか…」

从 ゚∀从「…ああ」

192名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 00:53:05 ID:4uk3fH5g0
(;'A`)「おい…おい……」

lw´‐ _‐ノv「…こりゃまた」

ドクオのヘリは、一歩離れたところで塔の様子を伺っている。
巨大兵器のへばりついた部分の周囲には、多数の攻撃ヘリが舞い、盛んに攻撃を仕掛けているが、巨大兵器は意に返さない。
もちろん、被害がないわけではない…彼らが何をやっているのか、それは彼らの目の前で今まさに起きていた。

(;゚A゚)「おい……!」

軋みをあげて、揺れる塔。
攻撃ヘリの猛攻を受けて、ボロボロと崩れ落ちる巨大兵器。
巨大兵器が落ちて露わになった塔中腹は、まるで齧られたかのように腐食し、骨組みすら溶けかかっていた。
不快な金属音を響かせて塔がゆっくりと傾ぐ、重力に沿って、落ちる。

街へと、落ちる。



第7話-終-

.

193名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 01:13:44 ID:4uk3fH5g0
自律兵器名鑑#6
<○><○> ???(???)
謎の巨大自立兵器、人型で、こういった人型兵器は俗に「機動兵器」と呼ばれる。
眼のような部分から多量のプラズマ球を出すことが確認されているが、その他にも多数の武装を保持しているようだ。
コウモリのような羽を備え、空を飛行する。その速度は戦闘機クラスとも言われるが、未だ未確認情報が多く未知数である。

兵器名鑑
#1:M130S 105mm榴弾砲
ドクオがブーンに依頼して、蒸気王に搭載された105mm榴弾砲を改造したもの。
主に砲身を切り詰め小型化を図っている。オートローダーも廃され一発ごとに手動で装填する必要がある。
元ネタ:M102榴弾砲

#2:Mk.55 25mm対物機関砲
クールが最初から持っていた機関砲。装弾数45発の大型マガジンを装着。
対物ではあるが貫通力にいささか難があり、主に軽装甲車向けの兵器である。
元ネタ:Mk.38機関砲

#3:15mm sPzB-110(口径漸減対物ライフル)
ヒートが所有する、口径漸減銃(スクイーズド・ボア・ライフル)。口径を先細りにし、発射のエネルギーを100%弾丸に伝えることで高初速を得、貫通力を高めたライフル。
現実世界では第二次大戦中のドイツが開発し運用していたが、砲身寿命が短く割に合わないということで少数生産にとどまり、その後もほぼ使われることはなくなった。
APFSDS(装弾筒付き翼安定徹甲弾)を使えないほど小型の弾丸に高貫通力を与えるために開発されたとされている。
元ネタ:2.8cm sPzB41対戦車砲

194名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 01:16:43 ID:4uk3fH5g0
名鑑が保存されてなくって慌てて書き直したら時間かかったンゴwwww
自立兵器名鑑はそのうち兵器名鑑として一括りになるかも

ストーリーの大きな流れは完璧にできてるのに細かいところに行くと書きづらくなっちゃうなあ…その辺りも精進することでうまくまとめられるようになるんだろうか

195名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 01:17:24 ID:qAfgQ5zI0


196名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 01:37:29 ID:td/1ILfE0
乙!

197名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 02:36:32 ID:ZWHXlSu60
乙!次も楽しみだ

198名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 10:18:58 ID:jW85PmTE0
絶望感がやべえ……乙

199作者:2013/07/14(日) 13:47:21 ID:4uk3fH5g0
【ステマ】Armored Core Verdict Day PV2【元ネタ】
 http://www.youtube.com/watch?v=US9DYHukQB4

Day after Day...Day after Day....

200名も無きAAのようです:2013/07/15(月) 00:36:24 ID:xhaQGUxk0
おつー!待ってた!

201名も無きAAのようです:2013/07/15(月) 15:11:45 ID:QiGiT3VM0
旧世代の人型兵器と聞いてナウシカの巨神兵を思い出した。
ヒート達の発言からして文明が崩壊してからそんなにたって無いのかこの世界。

202作者:2013/07/15(月) 20:47:33 ID:UlQCvldE0
>>201
世界の荒廃が始まったのが約80年前、けど荒廃が一気に進んだのは40年ほど前。
なぜその頃に急激に汚染が進んだのか、自律兵器はなぜ人類を攻撃するのか、天使とは何なのか…
全てはこれから明らかになっていく予定です。取り敢えず从 ゚∀从が全てを知っているの確実ですね

203作者:2013/07/16(火) 22:40:20 ID:uWZ36Egs0
うふ…うふふふふ……ACVDのPVを無限ループさせながらハイテンションで書いてたらもう書き終わっちゃった……うふふふふふふふ

204名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 22:41:33 ID:uWZ36Egs0
('A`)は荒廃した世界で生きるようです

第八話:苦渋の決断

205名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 22:42:44 ID:uWZ36Egs0
(#ФωФ)「…ッ貴様らああああああああああああああああ!!!」

ロマネスクの怒号が、空に響き渡る。
その空に、彼の威厳の象徴は、無い。
地に倒れ、街を両断し、多くの命を食い散らかして…
それでもなお、"奴ら"は飽き足りていなかった。

<◎><◎> ヴォヴォヴォヴォヴォヴォーーーーーーーーゥン!!!

塔の崩壊に巻き込まれなかった巨大兵器は、そのまま何の躊躇もなく、地上に攻撃を始めた。
青く輝くプラズマ球が、地上を蹂躙していく。

(#ФωФ)「やめんかあああああああああああああああああああああああああ!!!!」

<◎><()> ヴォバッ…

プラズマ球を放とうとしていた一機に、ロマネスクの乗るAH-22ラトル攻撃ヘリからのロケット砲の掃射が浴びせられる。
その内の一つが眼に当たり、レンズが歪む。
発射直前の臨界状態にあったエネルギーが、行き場をなくして大爆発を起こす。
頭部から胸部にかけてが吹き飛んだ巨大兵器は、大地に落ちる。

<○><○>ヴン…

近くを飛行していた一機が、ロマネスクのヘリに向き直る。両手を引き、胸を張るような体勢を取った。
胸部のコアが開き、紫電が煌く。

(#ФωФ)「GRRRRRRRRRAAAAAA!!!」

ロマネスクの、獣のような咆哮が荒れ果てた空に響き渡る。
紫電は今にもチャージが完了し、ロマネスクのヘリを打ち砕こうと―――

206名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 22:43:45 ID:uWZ36Egs0
ガォォン!

<○><○< ギガッ…

強烈な音を立て、胸部から紫電を瞬かせていた機体が、強力な砲の一撃を受けて傾ぐ。

(;´ー`)「ロマネスク!死にてーのカーヨ!」

放ったのは地上にいるシラネーヨの部隊だ。B-195自走対戦車砲。
140mmクラスの大口径砲が、再度巨大兵器を狙う。

<0>><○> ドグン!

一斉に放たれた巨大な徹甲弾は、巨大兵器の顔を、胴体を、翼をえぐり取る。
目から光が失せ、巨大兵器が地に落ちる。

(;´ー`)「!退避!」

シラネーヨがB-195に飛び乗り、撤退を命ずる。
高性能なエンジンに換装されたそれらは、素早く陣地転換。その数秒後、先程まで彼らがいたところに、幾多のプラズマ球が落ちる。

<○><○> <○><○> ヴヴヴヴォォォ……

(;´ー`)「クッソ!数が多すぎんダーヨ!」

更に二機の巨大兵器に追われ、シラネーヨは戦火に燃える街を走り回る。

『シラネーヨ殿!その先に吾輩のLMがいる!そやつに任せい!!』

207名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 22:46:01 ID:uWZ36Egs0
(゚、゚トソン「………」

シラネーヨの進む先、大通りに面した場所に一体のLMが待ち構えている。
その腕と足は、華奢な肉体に対してアンバランスに大きかった。

(;´ー`)「F型かヨ…ありがてぇ」

B-195はそのLMの両脇をすり抜けると、急停車し、巨大兵器がやって来る方向へ向き直る。
B-195は強力な砲を持つ反面、全周旋回砲塔がなく機動戦には優れないのだ。

<○><○>ヴヴヴ…

(゚、゚トソン「敵、確認」

LMは、低空を飛び大通りに現れた巨大兵器を見据え、足元に転がっていた己の武器を担ぐ。

(;´ー`)「おいおい…ありゃぁ…」

担ぎ上げたのは、手で持つような武器ではない。いや、F型の武器など概ねそうだろうが、それはあまりにも異様だった。
「砲」ではない、口径もさして大きくない…しかしその兵器はかつて、「タンクイーター」と言われ重装甲車両から恐れられた存在。

(゚、゚トソン「GAU-9アヴァランチ、スピンアップ」

30mm徹甲弾を放つガトリングガンが、その恐ろしい6連装の銃身を回転させ始める。

(゚、゚トソン「フルスピン、ファイア」

ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

蒸気王の7.62mmガトリングガンなどの比ではない、まるで猛獣の唸り声のような爆音を響かせてガトリングが火を噴く。
硝煙が瞬く間にLMの姿を包み込み、恐ろしい勢いで排出される薬莢がみるみる山になっていく。

音は、数秒でやんだ。
しかし使われた弾薬は、100や200どころの話ではないだろう。
硝煙が晴れた時には、LMは立ち位置どころか構えすら変えておらず

208名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 22:47:15 ID:uWZ36Egs0
<○></< ガガ…ギ…ビガ…

全身が弾痕でズタボロになった巨大兵器が、地に膝をついて倒れるところであった。
LMはガトリングを構え直し、もう動かなくなったそれを冷ややかな目で一瞥する。

(゚、゚トソン「撃破」

( ´ー`)「おっと」

ドギャン!という音が、彼女の頭上から響く。

(゚、゚トソン「む」

見上げると、もう一機の巨大兵器が彼女の倒した巨大兵器の上に重なるように落ちてくるところであった。
地響きを立て、二機の巨大兵器が崩れ落ちる。

( ´ー`)「高度を上げて地と天からの挟み撃ち攻撃とは、相変わらず知能の働く巨大兵器ダーヨ…でもちょっと甘かったナ」

硝煙を烟らせる140mm対戦車砲の脇で、シラネーヨは砲撃によって乱れた髪を掻き上げる。

(゚、゚トソン「援護、感謝する。私はLM-981346F、トソンと呼んでくれ」

( ´ー`)「ロマネスクさんとこのLMカーヨ…単独行動とは珍しい」

(゚、゚トソン「巨大兵器は街全域に展開している。その為、個別撃破のために各方面に小隊を派遣、その小隊の一員として今回私たちが配備された」

トソンの声は若さが抜けきれていないが、滑舌よく声の高さ以上に大人びて聞こえる。

( ´ー`)「という事は、あんたの入ってる小隊があるはずダーネ」

(゚、゚トソン「まもなく到着する」

209名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 22:50:36 ID:uWZ36Egs0
トソンが少し先にある大通りの十字路を振り返る。
十字路から現れたのは、無骨なフォルムが特徴の90型戦車の部隊。
その中の一両、薄暗いこの世界に馴染むような、淡い青色にペインティングが施された戦車のハッチが開く。

(´・ω・`)「なんだ、もう終わったのかい」

中から現れたのは、50代半ばの男。ほほに深く刻まれたほうれい線と、長く伸びた白髪交じりの垂れ眉。
しかし、その瞳は強く、何者にも屈しない強さを持っていた。

( ´ー`)「おや、こりゃ随分なお偉さんがきたネ」

(´・ω・`)「そっちも、リーダー直々に戦車隊の指導とは珍しいことしてるじゃない」

(;´ー`)「おめーヨ、俺はついさっきまで病院跡地にいたんだヨ。
いきなりこんな事になっちまったら一番近い陸戦部隊駐屯地に行くしかネーだろうがヨ」

(´^ω^`)「ハハハ、そりゃそうだ。だが140mmなんていうデカイだけ、時代遅れの"駆逐戦車"なんかに乗ってて楽しいか?」

(#´ー`)「ウッセーヨ、威力は重要だろうが」

(´・ω・`)「手動装填なのに?DPM無さすぎるだろ」

( ´ー`)「そこを言うんじゃネーヨ、つうかお前マジで50代カーヨ」

(´・ω・`)「心はまだまだ現役って奴よ…さて、くっちゃべる時間は終わりだな。トソン!」

(゚、゚トソン「サー」

90型戦車にトソンが座り込む、タンクデサントだ。120mm滑空砲を積んだ90型戦車に、30mmガトリングガンが搭載されたようなものである。

( ´ー`)「…おーコワ」

シラネーヨは肩をすくめ、再びB-195に乗り込む、
周囲に、巨大兵器が集結しつつあった。

210名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 22:53:16 ID:uWZ36Egs0
.

(;'A`)「クソッ…クソクソッ…」

ドクオは巨大兵器が蹂躙する地上を見ながら、自らの慣れ親しんだ場所へと飛ぶ。
もちろん、一筋縄ではいかない、塔が崩れるなり、街の外からさらなる巨大兵器が来襲し、街全域に攻撃を開始したのだ。
必死の応戦によって落とされる物も少なくはないが、それでも戦力差は圧倒的であった。
ドクオの進む先にも、数体の巨大兵器が黙々とプラズマ球を地上に落とし、街を焦土に変えていく
ドクオの慣れ親しんだ下層繁華街も、今や見る影もない……場所をよく覚えているギコの店に至っては、跡形すら残っていなかった。

(;'A`)「ブーン、無事なのか…?」

ギコの事は気にしていられない、ドクオはブーンは無事であってくれと祈りながら巨大兵器を大きく迂回する。
小ぢんまりとしたブーンの作業基地が見えた、まだプラズマ爆撃を受けている様子はない。

(;'A`)「ブーン!ブーンいるのか!応答しろ!」

ドクオはまだ無事なことに安堵しつつも、無線を飛ばす。応答はない
その通信に反応でもしたのか、巨大兵器の瞳がこちらに向く。

<○ ><0..> ヴォォォォ…ン

lw´‐ _‐ノv「紳士殿、ヤバイぞ」

(;'A`)「ああクソッ!」

<○><○> ヴヴヴヴ…

巨大兵器は両手を前ならえのように持ち上げる。細いマニュピレーター状の腕、その拳部分が折れ、砲口が覗く。

川゚ -゚)「新武装オンライン。B-C22 Napalm Howitzerです」

lw´‐ _‐ノv「聞いた事ない兵器だね。まあ、あんなデカイ奴自体が見たことも聞いたこともないんだしある意味当然か」

ノパ⊿゚)「ナパームってことは焼夷弾か?食らったらやばいぞ!」

ヒートが口径漸減銃を構えるが、あんな巨大な兵器だ、その程度ではかすり傷しかつかないだろう。

211名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 22:54:54 ID:uWZ36Egs0
<○><○>そ ガァンっ!

(;'A`)「!」

巨大兵器の側面に、何かがぶつかる。
それはべっとりと巨大兵器の脇腹に張り付いた。
巨大兵器が飛んできた方向を睨む、薄桃色で、お饅頭を象ったステッカーが貼られたヘリ。

( ^ω^)「おめーらに訊いてもわからんだろうけどお……
ツンは、どこだお」

<○><○> ヴヴヴヴヴゥ…

巨大兵器は答えない、掲げたままの腕を、ブーンのヘリに合わせる。

( ^ω^)「そうかお、知らんかお…なら、邪魔だお」

ドォン!と巨大兵器が炸裂した。否、正確には脇腹にべっとりと張り付いたガムのようなものがだ。

('A`)「C4爆薬…」

多量のC4爆薬によって生み出された衝撃波がドクオのヘリを襲う。
さしもの巨大兵器も、あれだけ多量のC4を受ければひとたまりもない
爆炎を吹き上がらせながら落ちていく。

('A`)「ブーン…」

( ^ω^)「もう、涙は出ないお」

コックピットに座るブーンの表情は、怒りでも、悲しみでもない…ただ、とても静かだった。

212名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 22:55:49 ID:uWZ36Egs0
( ^ω^)「ドクオ、遅かったじゃねえかお…こんな、こんな状況で……」

('A`)「すまん…」

ノパ⊿゚)「なんか理不尽!」

lw´‐ _‐ノv「黙ってなさい」

( ^ω^)「?誰かいるのかお?」

(;'A`)「あー…うん、ちょっと、新しい、LMをな……」

( ^ω^)「………は?」

('A`)「拾ったっつうか、運んだっつうか」

lw´‐ _‐ノv「君の持ち物になった覚えはないぞ、どうも、シリアルナンバーLM-069116G
シュールと呼んでくれたまへ」

(;゚ω゚)「…ハアアァァァァァァァ!!??」

('A`)「よく考えなくても、この短期間でLMが3体俺のヘリに乗ってる状況は明らかにおかしいよなあ…」

(;゚ω゚)「おかしいなんてモンじゃねえお!まだクール来てから一週間くらいしか経ってねーお!?」

lw´‐ _‐ノv「だからコイツの部隊に入った覚えはないっつうの」

ノパ⊿゚)「そうだそうだ!」

と、その時、通信機にわずかなノイズが走り、凄まじい音量で聞き覚えのある声が飛び出す。

『お喋りはそこまでにしときな!!現状を分かってんのかいこのボンクラども!!!』

213名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 22:57:34 ID:uWZ36Egs0
(∩;'A`)∩「そ、その声は母者さんか……」(すげえ声量だ…耳がいてえ……)

『現状を分かってるのかと聞いたんだ!!周りを見な!!!』

(;^ω^)「うぅっ…」

ブーンが周囲を見渡すと同時に、苦虫を噛み潰したような顔をする。

<○><○> <○><○> <○><○> <○><○> <○><○> <○><○>
ヴォヴォオオオオォォォ―――………

(;'A`)「な、なんだこの数……」

明らかに塔に張り付いていた数より多い、街の上空を埋め尽くさんばかりの巨大兵器の大群が、地上を黙々と攻撃していた。

『飛んできたのさ…外からねェ!!!』

サスガ・ファミリーのヘリが一機、巨大兵器の合間をぬって現れる。
そこに乗っているのは、一人の青年。

(´<_` )「…よう」

( ^ω^)「弟者さん…」

l从・∀・ノ!リ人「妹者もいるのじゃ!」

側面のハッチを無理やり開き、妹者が顔を覗かせる。

(´<_`;)「妹者やめて!無理やり開くとハッチ壊れちゃうから!」

l从・∀・ノ!リ人「じゃー…」

妹者が渋々顔を引っ込める、しかし、あと一人の姿が見当たらない。

214名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 22:58:39 ID:uWZ36Egs0
('A`)「…兄者は?」

(´<_` )「遠征部隊についてった。あいつとサスガ・ギアがいないと目的の場所のトレースが出来ないからな」

弟者が唇を噛むのが見える。

(´<_` )「こんな時に、兄弟揃ってねえってのは、悲しいな…」

( ^ω^)「お…」

ブーンが少し顔を下げる。
しかし、悲観にくれている余裕もない

川゚ -゚)「…! ドクオ!避けろ!!」

(゚A`)「!!」

( ^ω^)「!」

(´<_` )「糞共が!!」

<◎><◎> <◎><◎>ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォーーーーーゥン!!!!!

二機の巨大兵器が、同時にプラズマ球を放つ。
ドクオ・ブーン・弟者のヘリは上空へと退避。しかし、新たな巨大兵器が囲い込む!

('A`;)「クソが!!」

(#^ω^)「こんなとこで死ぬわけには行かねえんだお!!」

(´<_`#)「ああ、全くだ!!最後に兄者の顔も見れずに死ねるか!!」

『なら全て破壊しな!!!!ボサッとしてる暇があったらね!!!!』

215名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 22:59:54 ID:uWZ36Egs0
母者の声と同時、弟者のヘリの側面ハッチが開く。

l从・∀・#リ人「出番なのじゃ!やってやるのじゃ!!」

現れた妹者、その手に握られているのは、恐ろしく、恐ろしく巨大な砲。

川゚ -゚)「AMu-F1 155mm榴弾砲です」

(;'A`)「155ミリ!?砲兵師団レベルの火砲じゃねえか!!」

lw´‐ _‐ノv「E型だからこその大火力武器だね…ドクオ君、こちらの武装は?」

('A`;)「えっと…」

川゚ -゚)「これがあります」

クールが応え、背中に吊るされたM130S 105mm榴弾砲を構える。

lw´‐ _‐ノv「105mmか…効くと思うかい?」

川゚ -゚)「至近距離ならば行けるでしょう、もしくは、弱点を狙えば」

ノハ#゚⊿゚)「私もささやかながらこいつでヤってやる!」

ヒートもsPzB-110口径漸減ライフルを構える。

lw´‐ _‐ノv「そんなもんが通用したら苦労しないって、さっきも言ったじゃないか」

ノハ#゚⊿゚)「じゃあシュー姉はこの状況を指を咥えて見てろっていうのか!?」

lw´‐ _‐ノv「もちろん、そんなのは嫌だね…だからこそ訊いたのさ、ドクオ君、このヘリの武装は?」

(;'A`)「…本来は輸送用だから、ロクなもんを積んでねえぞ…」

( ^ω^)「ドクオ、これを使うお!」

216名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 23:01:43 ID:uWZ36Egs0
ブーンのヘリが接近し、側面のハッチを開く。
中はまるで武器庫だ、様々な兵器がズラリと並べられていた。

( ^ω^)「こんなこともあろうかと、高火力兵器を積み込んでおいたんだお!」

(*'∀`)「さすがだブーン!シュール!ヒート!ブーンのヘリに移ってくれ!」

lw´‐ _‐ノv「了解、」

ノハ#゚⊿゚)「やってやるぜええええ!」

ドクオのヘリから、シュールとヒートが飛び移る。
シュールは、コンテナの中央に置かれていた野砲に目をつける。

lw´‐ _‐ノv「こんなもんをヘリに積むとは物好きだねえ」

( ^ω^)「商人ですからお」

lw´‐ _‐ノv「まあいい、有り難く使わせてもらおう」

ノハ*゚⊿゚)「うおおおー!IWS-3500!!3.5cmAPFSDSライフルじゃないか!!」

( ^ω^)「カスタム品ですお!威力向上!精度向上!丁寧に扱ってくれお!」

各々の武器を手に、総勢4名のLMがヘリから身を乗り出す。

l从・∀・ノ!リ人「初めて会うのじゃ!わきちはLM-581545E妹者!共に戦うこと、光栄なのじゃ!!」

lw´‐ _‐ノv「LM-069116G、シュールだ。妹者君!よろしく頼む!」

ノハ#゚⊿゚)「敵は圧倒的ィ!しかァし!我らもまたただ死ぬわけにはいかぬのだァ!!」

川゚ -゚)「ドクオ、操縦は任せます。」

('A`;)「ああ…!」

巨大兵器の数は、既に30は超えている。
更に市街全域に展開しているのだ、すでに戦局は絶望的と言っていい

('A`;)(だが、勝たなきゃならねえ…ここは…俺の街だ…!)

217名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 23:03:55 ID:uWZ36Egs0
( ФωФ)「吾輩の、街が……」

AH-21ラトル攻撃ヘリに乗ったロマネスクは、呆然と自らの街を見つめる。
ヘリに据え付けられた無線機は、先程まで喧しく各地の戦況を伝えていたが、今は静かなもの。
全て、断末魔で通信が途絶した。
ブーンから購入したばかりの10型戦車を投入した第1戦車小隊も、だいぶ前に通信を途絶し返事はない。

( ФωФ)「各地に戦力を分散したのが仇となったか…?いや…」

ロマネスクは真下を見下ろす。
地に落ちた、自らの威厳の象徴、大地を割った塔の成れの果て。

( ФωФ)「すでに…チェックメイト…であったか」

その時、一報の通信が入る。

『こちら、第4航空遊撃隊…!て、天使だ…!天使に攻撃を受けている!!』

ロマネスクはハッとする。

( ФωФ)「第4航空遊撃隊!それは白い翼を生やしたLMであるか!?」

『ロマネスク代表…!?生きて…いえ、イエス・サー!翼を生やした…ぐわあっ!な、何…!?』

ブツ、と通信が途絶する。

( ФωФ)「…第4航空遊撃隊、応答するのである」

ロマネスクの声は静かだ。
ザリザリ…としばし雑音が流れた後、通信に返答があった。

218名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 23:05:29 ID:uWZ36Egs0
『味方がやられたっちゅうに、随分静かやね』

聞こえたのは、女の声だった。訛りの入った、まだ若い女の声だ。

( ФωФ)「味方一人死んだ程度で取り乱すようでは、指揮官は務まらぬ」

『いい度胸やないの、人間。そういうのが、わてらを殺せるだけの器やさかい』

( ФωФ)「単刀直入に問おう、お主らの目的は何だ?」

『せやね…あえて言えば、人類の滅亡?』

(#ФωФ)「真面目に訊いている!!」

ロマネスクの怒号に、狭いラトル攻撃ヘリのコックピットがビリビリと震える。

『やかましのう…わいは真面目に答えたで、わてらの目的は人類の滅亡、全滅?そういうこっちゃ』

( ФωФ)「ならば、何故市街地をまばらに攻撃している?」

ロマネスクは眼下を見つめる。プラズマによる爆撃を逃れた家屋から、生き残った市民がそろそろと歩み出てきたところであった。

『急いては事を仕損じる、って言うやないの……わてらの時間は無限にある。のんびり進めるさかいね…』

ブツリ、と通信が切れた。

( ФωФ)「………」

ロマネスクはぎり…と歯ぎしりをし、再度無線機に手を伸ばす。
使用するチャンネルは、オープンチャンネル。

219名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 23:06:37 ID:uWZ36Egs0
『現在戦闘中の各員へ告ぐ』

(;'A`)「っ!この声!」

(;^ω^)「ロマネスクさんかお!!」

(´<_`;)「生きてたのかよ!嘘だろ!!」





『これは、最優先命令なのである。これを聞いている諸君は心して聞き、そして何も訊き返さず従って欲しい』

(;´ー`)「今更改まって、何をするつもりなんダーヨ…」

(´・ω・`)「………」

220名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 23:07:58 ID:uWZ36Egs0
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.
『これより、この街を』

(;'A`) (;^ω^) (´<_`;)

(;´ー`) (´・ω・`)
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221名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 23:08:51 ID:uWZ36Egs0
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『放棄する』
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222名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 23:09:38 ID:uWZ36Egs0
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第八話 苦渋の決断 -終-


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223名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 23:12:08 ID:uWZ36Egs0
兵器名鑑
#4
GAU-9アヴァランチ 30mmガトリングガン
皆知ってるよね!何?知らない?そんな人は「A-10」で調べてみよう!きっと幸せになれるぞ!
作品内の性能は元ネタとほぼ一緒だ!
元ネタ:GAU-8アヴェンジャー

#5
AMu-F1 155mm榴弾砲
本来は戦車などに搭載して遠距離砲撃支援を行う自走砲に搭載する大口径榴弾砲。
こんなものまで搭載可能なのが、LM-E型の強みだ。
妹者の持つものは砲弾が改良型であり、HEAT弾を放つことができ対機甲兵器能力にも優れる。反面、反動・精度に難があり直射による遠距離戦は苦手である。
元ネタ:AMX30AuF1 155mm自走榴弾砲

#6
IWS-3500 3.5cmAPFSDS対戦車スーパー・ライフル
口径3.5cmのAPSFDS弾を発射する恐るべき対物ライフル。
APFSDSの特性上ライフリングが使えないので、滑空砲をそのまんま小型化したマジモンの"戦車砲"ライフルである。
恐ろしいことに現実でも研究開発され試作品まで作られたことがある。が、口径が小さかったので装弾筒がうまく外れずに弾の軌道がズレるという狙撃銃にあるまじき欠点が露呈、試作品だけで終わった。
忠実よりは口径を大きくしているのでこの世界では多分大丈夫、まあsPzB-110がそのために存在してたようなもんだし
元ネタ:ステアーIWS-2000

#7
AH-22ラトル攻撃ヘリ
多連装ロケット砲と22mm機関砲を搭載した対地攻撃ヘリ。最大2人乗りだが1人でも運用可能。
細身で角張ったキャノピーは恐ろしく狭く、太身のロマネスクが入るには窮屈に思えるが、彼はこれを愛用しているようだ。
ちなみに「ラトル」とは「ラトルスネーク(ガラガラヘビ)」の事。
元ネタ:AH-1コブラ

#8
90型戦車
「きゅうじゅうがたせんしゃ」
角張った砲塔、優秀な機動性と充分な装甲、火力を併せ持つ傑作戦車。個数も多く各地で主力として扱われる。
非常によく見る戦車ゆえに対抗策も講じられやすいという難点があるが、それでも主力の座が揺るがないあたりに性能の良さが見て取れる。
元ネタ:90式戦車

#9
10型戦車
「じゅうがたせんしゃ」
90型戦車の後継機と思われる最新鋭の電子機器を多数搭載したハイテク戦車。個数は多くはなく、レアな為非常に高値がつく。
ただし、電子機器類は整備が難しいので例え金があったところで、優秀な技術者や整備士を持っていないと継続運用は難しい。
元ネタ:10式戦車

#10
B-195自走対戦車砲
140mm対戦車砲を搭載する自走砲。重量を軽くするため自動装填装置を省き、全周旋回砲塔も廃した結果、一昔前の駆逐戦車のような形状になってしまった。
しかし140mm級の対戦車砲の威力は凄まじく、またシラネーヨの部隊に属する本車はエンジンをよりハイパワーなものに換装しているため機動力が高い
元ネタ:無し、名前の由来はオブイェークト195(またの名をT-95、ロシアの新型戦車案のひとつ)だがこちらは152mm戦車砲を搭載とかいうロシアらしいロマン戦車だった。ちなみに140mm級の砲は次世代の第4世代戦車が搭載するかも?という話がありますが…どうなることやら

224名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 23:17:47 ID:MUgd3SbM0


225名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 23:20:51 ID:OT2rqM.E0
読み方がヒトマル、キュウマルじゃ無いんだな

226名も無きAAのようです:2013/07/17(水) 00:09:40 ID:6FofarxY0
おつおつ
一気に進んだなー

227名も無きAAのようです:2013/07/17(水) 16:28:54 ID:tipgAPN20
いい所で終わりがやって(つД`)次回も楽しみにしてるからな!

228名も無きAAのようです:2013/07/17(水) 16:29:18 ID:2TL/QVdU0
乙!

229作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/23(火) 01:15:30 ID:ygm4cYPc0
やっべーwww第9話書きたいこと書きまくってたら終わんねーwwww今の時点で一番長いwwwwそしてまだ終わってないwwww

もう二分割しちゃおうかしら、あと酉付けました。
知ってる人はこの酉知ってると思うけど……うん

230名も無きAAのようです:2013/07/23(火) 02:43:36 ID:kJUeEPCoO
処女作の続きはどうなってるんだ

231名も無きAAのようです:2013/07/28(日) 22:48:57 ID:WQ.jLCDs0
>>230
ノリだけで書きはじめた作品なんて続けられる訳ねえ…
こっちはもう最後までの大筋完成してるから最後まで続けるよ!

という訳で長くてたくさん死ぬ第九話のスタートだ!

232名も無きAAのようです:2013/07/28(日) 22:49:48 ID:WQ.jLCDs0
.


('A`)は荒廃した世界で生きるようです。
第九話 脱出


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233作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 22:51:08 ID:WQ.jLCDs0
@#_、_@
 (# ノ`)「どういうことだい!!この街を、放棄だぁ!!?」

街から外れた場所にあるサスガ・ファミリーの本拠地で、母者の叫び声が響き渡った。

『…何も訊き返さず、と言ったはずである』

通信機から聞こえるロマネスクの声は、あくまでも平坦であった。

@#_、_@
 (# ノ`)「それで皆が納得するとでも思ってるのかい!!?っハァ!だからまだまだガキンチョなんだ!お前は!!」

(;><)「母者様…」

@#_、_@
 (# ノ`)「あたしゃね!!この場所の荒廃が始まる前から住んでるんだ!!
      その頃の記憶なんてもうあやふやでありゃしないけどねぇ…それでもこの場所はあたしの故郷さ!!そこを!貴様のような!ガキンチョに!!」

@#_、_@
 (# ノ`)「"放棄する"の一言で離れる訳には行かねェンだよ!!」

(;><)「母者様!!」

@#_、_@
 (  ノ`)「やかましい!後にしな!!巨大兵器はまだこっちに来てないだろう!!レーダーは機能しているね!!」

(;><)「そ、外…!」

@#_、_@
 (  ノ`)「外?」

母者は窓から見える外の景色を眺める。
市街地中心部は相変わらずの地獄絵図…いや、母者の目線は、その上に注がれた。

234作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 22:52:56 ID:WQ.jLCDs0
从 ゚∀从「さっきからうるせぇーのお前か」

@#_、_@
 (  ノ`)「…対空砲!」

从 ゚∀从「全部死んだよ」

@#_、_@
 (; ノ`)「残存航空兵力!!」

从 ゚∀从「いねーって」

@#_、_@
 (; ノ`)「レーダーは何してたんだい!!?」

从 -∀从「んなもん俺に効かねえよ」

エクスシアは、右手に持った謎めいた兵器を構える。
2mほどもある巨体のあちこちをパイプと冷却装置が覆うが、先端に行くに連れてそれらはすっきりとしていき、先端からは四角い砲口が覗く。
その全体的に先細りなシルエットのおかげで、まるで角錐のような印象を受ける代物であった。

その先端に、群青色の光が宿る。

(;><)「母者様!シェルターが開いています!避難を!」

@#_、_@
 (# ノ`)「バケモンがァ…!!」

母者は妙齢とは思えない動きで、部屋を飛び出す。

从 ゚∀从「逃がさねえよ…お前は邪魔だ、ロマネスクとかいう野郎の足元にも及ばねえ」

群青色の光が一層強くなり、同じ色のスパークが瞬く。

从 ゚∀从「そう言う奴は、要らねえんだ」

カァオ!!

奇妙な音が鳴り響いた。短く、重さの感じない音であったが、それは地獄のそこから鳴り響く悪魔の角笛のようでもあった。

@#_、_@
 (  ノ`)「…!」

( ><)「え」

群青色の光が、基地を包み込んだ。

235作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 22:54:25 ID:WQ.jLCDs0
(;゚A゚)「な…な……」

(;゚ω゚)「は…?え……?」

(;゚_>゚)「はは……じゃ………?」

衝撃波が、彼らのヘリを揺らした。
光が晴れたとき、サスガ・ファミリーの基地は"跡形もなく"消し飛んでいた。

l从 ・∀・ノ!リ「……あ」

l从#・∀・ノ!リ「う゛あ゛ああああああああああっっっ!!!!」

LMに涙を流す機能はない、機能はないが、妹者はこの時、間違いなく泣いていた。
泣き、怒っていた。

l从#・∀・ノ!リ「潰す!潰す潰す潰す潰す!!!皆殺しにしてやるのじゃ!!!」

ゴォォン!と音を立て、155mm榴弾砲の空薬莢が落ちる。
ヘリ内部の弾薬庫に繋がれたパイプから、新たな砲弾が給弾される。

l从#・∀・ノ!リ「お、と、じゃあああああぁぁぁ!!」

(´<_`;)「…っ、クソォ!」

弟者は悲しむ余裕もない、再び操縦桿を握り締め、妹者の射撃に備える。

l从#・∀・ノ!リ「ぶっころおおおおおおおおおおおす!!」

155mm榴弾砲が火を噴く。砲身がブローバックし、それでもなお吸収しきれないインパクトに、妹者の巨腕が軋みをあげ、ヘリを大きく揺さぶる。

(´<_`;)「…フゥッ!」

弟者は大きく息を吐き、その強烈なリコイルを制動する。
ヘリは少しばかりみしりと鳴ったが、その強烈な反動など無かったかのように悠然と飛行する。
恐ろしい操縦技術だ、これが、彼の唯一の特技でもあった。

236作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 22:55:53 ID:WQ.jLCDs0
撃ち出された砲弾は、手近な巨大兵器の分厚い胸板に着弾する。
だが、厚みなど意味をなさない…成形炸薬(HEAT)弾とはそういうものだ。
弾内部で発生した高温高圧のメタルジェットが、巨大兵器を覆う未知の装甲を文字通り食い破る。その内側にあるのは、紫電を瞬かせるエネルギーコア。

<○><○>カッ

巨大兵器の内側がかすかに光ったかと思うと、榴弾以上の大爆発を起こして爆散。
破片が飛び散り、バラバラと落ちていく。

l从#・Д・ノ!リ「全部!全部落とす!!」

『落ち着きたまえ妹者殿!!』

l从#・A・ノ!リ「じゃっ……」

ロマネスクの怒声が妹者の通信に割り込む

『…これ以上の被害を出すわけには行かない、この街は放棄するのである。
 そこには、他に誰がいる』

(´<_` )「…俺と」

('A`)「ドクオ、クールもいます…」

( ^ω^)「僕もいるお…ちょっとオマケもついてるけど」

lw´‐ _‐ノv「オマケて」

ノパ⊿゚)「ひどい!」

『…十分な戦力であるな、諸君らは、残存の地上部隊を援護しつつ東へ向かってくれ』

『……その残存の地上部隊ってのは、僕らのことかな?』

ドクオたちの聞きなれない声が通信に割り込む

237作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 22:57:28 ID:WQ.jLCDs0
(´・ω・`)「地上部隊指揮官だけが生き残っちゃうとはね、自分のことながら笑えるよ」

『ショボン殿…!生きていたのであるか!』

(´・ω・`)「90型戦車3両を失ったけどね…どうも、僕は死神には嫌われているようだ。トソンも、まだ生きてるよ」

(゚、゚トソン「お久しぶりです。ロマネスク代表」

( ´ー`)「俺もいるんダーヨ」

シラネーヨが無線機のレシーバーを奪い取るように引っつかむ

『シラネーヨさん!』

( ´ー`)「ブーンか、よく生きてンナお前も」

『僕は、まだ死ぬわけにはいきませんお』

( ´ー`)「ハハッ、だよなァ、嫁さんを見つけるまでは死ねネーヨナ」

(゚、゚トソン「…来ます」

トソンが呟く、その視線の先には、新たな巨大兵器。
既に彼らは、5体近くの巨大兵器を破壊していた。
しかし、その数は全く減ったように見えない…未だ街の外から増援が送られてるとでも言うのだろうか

(´・ω・`)「やれやれ、またか……死神には嫌われているが、奴らにはどうも好かれてしまったみたいでね」

『ドクオ殿、ブーン殿、そして弟者殿。彼らの撤退を支援してくれ
 ショボン殿とシラネーヨ殿は、無事な民間人や残存する部隊を捜索しつつ、東へと撤退……その後、東部空港跡地にて大型輸送機を用いて、当地区を脱出するのである』

238名も無きAAのようです:2013/07/28(日) 22:58:35 ID:WQ.jLCDs0
(´<_` )「脱出したとして…行き先はあるのかよ」

弟者がとても真っ当な質問を投げかける。

『ある…と言えば嘘になるのである。……とりあえずは、遠征部隊との合流のため西へ向かおうと考えている』

『東の空港を出て西に向かうって?オイオイ、この状況下の街を大型輸送機で横切るつもりカーヨ』

『…北へ大きく迂回し、ファーイーストのS地区上空を経て西へと向かえば、こ奴らも振り切れるかもしれん』

('A`)「ファーイーストS地区…」

ドクオも噂にのみ聞いたことがある。
かつて、世界で最も繁栄した場所の一つであるが、現在は見る影もなく荒廃し、グールの巣窟と化しているという場所だ。

『…っ四の五の言ってる場合じゃないね』

ショボンの声に混じって、砲撃音が聞こえ始める。
彼らの北東で、戦火が燃える。

lw´‐ _‐ノv「あそこか」

シュールが90mmマルチカノン砲を支えつつ呟く。
こうしている内にも、彼らのヘリを巨大兵器が囲いつつある。
どこから現れたのか、ゼアフォーの姿すら見受けられるようになった。

('A`)「クソ…考える余裕もありゃしねえ」

『…その通りである、既に思考している余裕はない』

『各員、行動してくれ』

239作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 22:59:52 ID:WQ.jLCDs0
川゚ -゚)「っ!」

<○><○> <○><○> グッ…

その時だ、巨大兵器が一斉に胸を反るような体勢を取った。
胸部のコアが展開し、市電を瞬かせる砲が現れ、バチバチと紫電が瞬き始める。

川゚ -゚)「敵、新武装オンライン!Coil Gun Mk.4!」

ノハ#゚⊿゚)「コイルガンだぁ!?発射前に潰す!」

(;^ω^)「無理だお!多過ぎるお!」

(#'A`)「クソが…突っ切ってやらぁ!!」

ドクオのヘリが一機の巨大兵器に突っ込んだ。
その他の巨大兵器が、一機だけ飛び出したドクオのヘリを一斉に狙う!

川゚ -゚)「!」

クールはその様子を見、一瞬何事かを思考するが、すぐに正面の巨大兵器に向き直り105mm砲を放つ。砲弾は吸い込まれるようにコイルガンの砲口に命中!

<○><○>グヴヴ…

(;^ω^)「あんま効いてねえお!」

(´<_`;)「妹者!」

l从・∀・#ノ!リ人「死ねぇ!」

妹者の155mm砲が、更にその巨大兵器の胸板を打ち付ける
規格外のHEAT弾の放ったメタルジェットが、巨大兵器を貫通!

240作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:00:54 ID:WQ.jLCDs0
クールが揺らぐ巨大兵器を見、そして叫ぶ!

川゚ -゚)「ドクオ!着水用のバルーンを!」

(#'A`)「おお!」

ドクオは言われるがまま、緊急着水用に装備されたフロートバルーンを展開する。
バルーン展開の衝撃でわずかに仰け反ったヘリは、巨大兵器を踏み台にするかのようにしてその機動を大きく変える!なんという無茶苦茶な飛行か!
そして次の瞬間、先程までドクオのヘリがいたであろう場所に、コイルガンが叩き込まれた!

(´<_`;)「今だ!突破!」

105mm砲、155mm砲、そして味方からのコイルガンの一斉射撃を受けた巨大兵器は、爆発することすら忘れてしまったかのように、パーツをバラバラと撒き散らして落ちていく。
ドクオ・ブーン・弟者のヘリは、その生まれた隙間から包囲網を脱出。
既に、地上を攻撃している巨大兵器はいなかった。ほぼ焼け野原と化した街が、眼下に広がる。

(;^ω^)「そんな…」

(´<_`;)「ボサッと眺めてる暇はねえ!このままシラネーヨさんとこまで行って、そっから東の空港だ!!」

('A`;)「クッソォォォ……!」

241作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:02:20 ID:WQ.jLCDs0
(;´ー`)「クッソォォォ……!」

ドクオと同時に同じ言葉を吐いたのはシラネーヨだった。
慌てて自らの乗るB-195自走対戦車砲から飛び降りる。
ボウボウと燃え盛る自走対戦車砲。戦闘室内に、敵の焼夷榴弾が直撃したのだ。乗員は死亡、タンクデサントによって一番被弾率が大きいはずの自分だけが生き残るとは、なんという皮肉か

(´・ω・`)「シラネーヨ、乗れ!」

ショボンが90型戦車を脇に付ける。シラネーヨは素早くその大柄な車体に乗り込むと、90型は素早く離れる。
後方で、大きな爆発音が聞こえた。もう残り少ない弾薬庫にでも引火したのだろう
既に、残されたのはショボンの乗る90型戦車ともう一両、2両だけになってしまった。
巨大兵器は、まるで弄ぶかのように、ゆらゆらと彼らの周囲を飛んでいる。

(゚、゚トソン「………」

シラネーヨと同じく戦車に座り込むトソンがギリ…と歯噛みする。
既に彼女の得物であるGU-9アヴァランチは弾切れだ。携行の為に弾薬が切り詰められていたのが仇になった。
90型戦車も、もはや残弾は少ない…
と、その時だ!前方に新たな敵影!

( ∴)( ∴) (∴ )(∴ )

(;´ー`)「ゼアフォー…!」

普段ならば取るに足らない雑魚敵だが、もはや彼らにはそれらと戦うだけの余力も残されていなかった。

(;´ー`)「万事休すかヨ…!」

(´・ω・`)「いや、まださ、頭を下げな」

こんな状況にありながらもショボンは未だ飄々としていた。

(´・ω・`)(ここで死ぬのも悪くはない…しかし僕はまだ死ぬ気分じゃないね)

242名も無きAAのようです:2013/07/28(日) 23:03:03 ID:WQ.jLCDs0
90型戦車の砲塔が、ゼアフォーの集団に向く

(;´ー`)「お、おい!あんな小型目標に貴重な砲弾使うつもりカーヨ!」

(´・ω・`)「ああ、そうしないとここで死ぬだけだ」

ショボンは躊躇いなく、砲手に命令を下す。

(´・ω・`)「ってえ!」

ドゥッ!

120mm榴弾が、ゼアフォーの集団を突き抜ける。外したのか!?
いや!砲弾はゼアフォーの集団のちょうどど真ん中にきた瞬間、爆発!
砲弾内のベアリングボールが弾けとび、装甲の薄いゼアフォーを襲う!

))∴)( .%)(∴o)ピポガガガガ!

多数のベアリングボールによって穴だらけにされたゼアフォーは、一斉に不快な音を立てて沈黙する。
しかし、生き残ったものも多い!

(∴ ) (∴ )ピポパポポポ…

(;´ー`)「ダメじゃネーかヨ!!」

シラネーヨは腰のハンドガンを引き抜く、さすがにこれでゼアフォーを傷つけるのは至難の業だが、無いよりマシだ。
だが、死ぬだろう。シラネーヨは実感のわかぬまま、死を覚悟した。

243作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:04:56 ID:WQ.jLCDs0
(∴(( ガァン! )%. ) ゴォン!

(;´ー`)「!」

(´・ω・`)「ようやく来たか…」

ショボンは上を見上げる。

川゚ -゚)「すみません、遅れました」

ノパ⊿゚)「へへへ…15mm硬芯徹甲弾の味はどうだ!?」

上空にいたのは、ヘリの上に佇むクールとヒート。それぞれの手には、25mm機関砲と15mm口径漸減ライフルが握られている。

('A`;)「もうこんなに減ってるのか…」

ドクオがコックピット内で唇を噛む。もっと早ければ…しかし後悔しても仕方がない

(´・ω・`)「いや…まだいるよ」

ショボンが小さな笑みを作り、脇にある崩れかかった民家に目を走らせる。

(;l v l)「お、おい、本当にヘリが来てくれたぞ!」

彡;l v lミ「まぢかよ!もう全部死んだかと思ったぞ…」

ハソ ;−;リ「おがぁさ〜ん!」

(゜д゜;@「だ、だいじょうぶよぉ!お母さんはここにはいないけど、きっと生きてるわ!」

244作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:05:53 ID:WQ.jLCDs0
そこにいたのは、十数人の老若男女。

(´<_` )「生き残った市民、か…」

(^ω^ )「シラネーヨさん、あと…ショボンさんでいいのかお?」

(´・ω・`)「ショボンでいいよ…下の名前は僕すらもう忘れた」

(^ω^ )「僕のヘリのカーゴが空いてますお…市民たちを」

('A`)「俺の方も、雑貨を捨てれば何人か入れる…ブーンの積んでる武器はこれからも役立つだろうし、乗れないなら空けるぞ」

(´・ω・`)「手際がよくて助かるよ…さっさとやろう、君らが振り切った巨大兵器が来ている」

振り向けば確かに、10体はいるであろう巨大兵器が、まるでこちらをあざ笑うかのようにのんびりと近付いてくる。

(;´_>`)「妹者、収容が終わるまでここを死守だ!」

l从#・∀・ノ!リ「じゃ!!」

妹者は155mm砲を今一度構える。

(;^ω^)「ひの、ふの…うぐ、定員オーバーだおね…」

(;'A`)「しゃーねえ…まあどうせほぼゴミだ、こいつを捨てちまおう」

ドクオがそう呟いて、コンテナの廃棄ボタンを叩くように押す。
カーゴハッチの一つが開き、ひとつのコンテナが地に落ちた。衝撃で散らばるのは、白い装甲片。

川゚ -゚)「…あれは、ゼアフォーの」

('A`)「お前の初戦果だよ…ちょっとくらい記念に取っときたかったか?」

( ^ω^)「まだ積んでたのかおそれ」

(;'A`)「ちまちま仕分けはしてたんだけどな…もったいねえが、この状況じゃそんなこと言ってらんねえ」

245作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:07:10 ID:WQ.jLCDs0
(;l v l)「た、助かった…」

彡;l v lミ「まだ安心すんなよ!あっちみろ!でっけーのがうじゃうじゃ…」

ロープが吊るされ、ブーンのヘリに何人かの市民が引き上げられる。
シュールとヒートは市民収容を重視するためドクオのヘリに戻っている。
しかしそれでも生き残った者全員を収容するには足りない。
2人、ドクオのヘリに乗り込むことになった。

('A`)「あれ…あんた…」

ドクオはそのうちの一人を見たことがあった。

(;´W`)「んん…?あ、あんた確かギコさんのラーメン屋で会った…!」

('A`)「覚えてたのか…確か名前は…」

( ´W`)「シラヒゲだよ。そりゃ、LMなんて連れてりゃ目立つから、一発で覚えられるさ」

(;'A`)「あー、そりゃそうだな」

ドクオはシラヒゲの服装をまじまじと見つめる。
迷彩柄、防刃防弾素材の下地入り…高級そうな軍服だ。
その視線を察したのか、シラヒゲが小さく語り始める。

( ´W`)「…実はな、俺は昔ギコがやってた警備隊の隊員だったんだ。
     アイツは、多分気付いてないだろうけど」

('A`)「ああ…」

( ´W`)「アイツがクーデター起こして、俺も行くところを失って……なんだかんだで尊敬してたアイツのケツ追っかけてたらここに落ち着いてた」

ふ、とシラヒゲの顔が曇る。

(;´W`)「そういや…アイツがクーデター起こした時、まるで狙ったかのように自律兵器がやってきたな…
     そう、まるで今みたいな状況だ…いや、クーデターじゃないけど……すげえ似てる」

(;'A`)「マジか?じゃあここに居る巨大兵器に…」

(;´W`)「や…あいつらは初めて見る…けど、なんだったかな…何か見たんだ。クソ、思い出せん」

246名も無きAAのようです:2013/07/28(日) 23:08:12 ID:WQ.jLCDs0
l从;・∀・ノ!リ「うぐぅ!」

(´<_`;)「おい、まだか!これ以上は耐えられん!」

( ^ω^)「ショボンさん!シラネーヨさん!あとはあなた達だけですお!」

(゚、゚トソン「先にどうぞ」

(´・ω・`)「いや、あんたが行きな…僕は最後でいい、LMは、これからの戦いに必要な存在だ」

(゚、゚トソン「…サー」

トソンがドクオのヘリから吊るされた綱を掴み、引き上げられる。
引き上げられ、収容された瞬間。

(;´ー`)「!ショボン!!!」

シラネーヨがショボンの名を叫ぶ。

(;´・ω・`)「!!」

从・∀・#ノ!リ人「あ゛っ!いつの間に!」

<◎><◎>ヴヴヴヴヴ…!

巨大兵器が一機、妹者の守りを抜けて側面に回り込んでいた。
既にその瞳はプラズマの輝きを溢れんばかりに湛えている。

<◎><◎> ヴォヴォヴォヴォヴォヴォーーーーーーーーゥン!!!

(;´ー`)「危ねェ!」

プラズマ射出と同時、シラネーヨは廃屋に飛び込む。

(;´・ω・`)「クソ、間に合わん!」

ショボンは90型戦車から飛び降り、その裏に隠れる。
幸運に生き残っても、五体満足ではいられないだろう。

ボボボボボボボッ!!

プラズマが相次いで着弾し、90型戦車をスクラップに変えていく!

247作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:10:03 ID:WQ.jLCDs0
(゚、゚;トソン「ショボン大佐!!」

('A`)「大佐?」

トソンが叫び、その言葉に隣にいるドクオが疑問符を浮かべる。
既に「大佐」などという軍的な呼び方は廃れたはずだ。
いや、廃れたかまではわからないが、少なくともロマネスクはそんな呼び方をしてはいなかった。

(´・ω│「その名前で…呼ぶんじゃねェよ…」

戦車の後ろから這い出てきたショボン。

(´・ω//%「ここは…もう、あの頃の世界じゃねえんだ。しょうもねェ、終わりのない戦いは、俺らの負けで終わったんだ」

('A`;)「う゛…っ」

ショボンの体は、左半分がまるでクズ肉のようになっていた。
未だ息があり、声を出す元気がある事が奇跡だ。

(´・ω//%「行け…これ以上は無駄だ…」

(^ω^;)「でも…シラネーヨさんが…!」

ブーンは見る。シラネーヨが逃げ込んだ廃屋、その入口が既に崩れ落ちていることを

(^ω^;)「あ……」

(´<_`;)「ショボンさんの…言うとおりだ!」

弟者のヘリが側面につく。その後ろは巨大兵器の大群だ。

l从;・∀・ノ!リ「もう…残弾も残り少ないのじゃ…!」

(#´・ω//%「さあ、行け…!ゲホッ!俺みてえな老害なんざ気にすんじゃねえ!」

その声に呼応したかのように、残った最後の90型戦車の砲塔がゆっくりと動く。
プラズマ爆撃の余波に加え、これまでの戦闘の影響で、すでにその装甲はズタボロ。
まさしくスクラップ寸前という言葉が相応しい状態であった。
しかし、それは動いた。風穴のあいた装甲を軋ませて

('A`;)「…!?まだ生きて…!」

(#´・ω//%「いいぞ、クソ共の生き残り!その意志だ!最後まで戦い、そして死ぬ意志を、コンピューターには出来ねえ芸当を、奴らに見せてやれ!」

声は無い、姿も見えない……しかしその熱意は、ここにいる全ての人に伝わった。
120mm砲が、巨大兵器に狙いを定める。

248作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:11:02 ID:WQ.jLCDs0
(´<_`;)「行くぞ!母者もそうだ…皆の死を、無駄にすんな!」

( ^ω^)「ショボンさん…!」

ブーンがぎこちない動きで敬礼をする。

('A`;)「行くぞ!東へ!生きてここを脱出するんだ!」

ドクオが先導となり、3機のヘリが東へと飛び去っていく。
巨大兵器が追いかけようとするのを、90型戦車の120mm砲が阻止した。

(´・ω//%「聞こえるか、クソ野郎」

『…ッお゛あ゛、げっ…コヒュー、コヒュー』

無線から聞こえてくるのは、ゾンビのような喘ぎと、乾ききった呼吸音だけ

(´・ω//%「…喉をやられたのか。まあ、生きてるだけ貰い物だ……最後に声が聞けねえってのは悲しいがな」

『ヒューッ…ヒューッ…』

(´・ω//%「あいつらを無事に逃がすのが、俺からの最後の命令だ。出来ればトソンも一緒にいて欲しかったな…いや、あいつを先に行かせたのは他でもない俺か……」

表面の装甲に大穴の空いた砲塔が、軋みを上げて旋回する。
巨大兵器はほとんどがこちらを見ることはない。既に死にかけた人間二人、取るに足らない存在だと思っているのだろう。
突出した巨大兵器に、90型の120mm砲が打ち込まれていく。

(´・ω//%「…あぁ、そういや、結局若い奴らに話せなかったな…この世界のこと」

『ヒュッ…ヒューッ…』

(´・ω//%「まあ、お前でもいい、聞いてくれや……今から話すのは、なんで世界がこんな事になっちまったか…だ」

249作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:13:09 ID:WQ.jLCDs0
―――――――――――――………

('A`;)「あれが大型輸送機…」

(´<_` )「でけえな…初めて見た」

砂にまみれた滑走路を、4発のプロペラを唸らせながら巨大な体躯がゆっくりと進んでいる。
東へ飛び始めて数分で、その姿は見えてきた。廃れ切った空港…その管制塔は誰にも使われぬ哀愁を漂わせ、おどろおどろしい雲の流れる空の下で割れた窓ガラスなどが、風を受けて寂しく鳴いている。

『聞こえるのであるか』

と、唐突にロマネスクの声が通信機から聞こえた。
見れば、少し離れたところで細身な攻撃ヘリがこちらを見つめている。
シャドウ加工の施されたキャノピーのせいで中は見えないが、間違いなくロマネスクだろう。

( ^ω^)「ロマネスクさん…」

ブーンは下唇を噛む

( ^ω^)「すみませんお…ショボンさんが…」

『…死んだのであるか。あいつだけは何をやっても死なないと思っていたのであるがな……』

ロマネスクの声が少し低くなるが、しかしすぐに元に戻り

『お主らを着陸地点へ誘導する…幸い、巨大兵器の追手はないようであるな』

ロマネスクの声に振り向いてみれば、確かに巨大兵器の姿が一つも見当たらない。
遠方に見える都市で、いまだ幾ばくかの爆発音が遠雷のように轟くだけだ。

(;'A`)「あれ…本当だ、あんなにいたのに…」

(´<_` )「奴らの行動が不可解なのは今に始まったことじゃねえよ…」

250作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:13:58 ID:WQ.jLCDs0
弟者はもはや叫ぶ気力も無いようだ。
3機のヘリは攻撃ヘリの先導に沿って、滑走路の脇へ着陸する。

(l v l*)「うおー!やったぞ!見ろ!あれで逃げれる!」

彡l v l*ミ「なんてこった!まぢでやってくれたぜ!!」

(;´W`)「やかましい奴らめ…ハァ、俺みてえなおっさんはもう要らねえ世界なのかねえ」

( ФωФ)「いや、そうでもなかろう…過去は失われ、世界は崩れ去ったが、未来のためには過去が必要不可欠である」

��(´W`;)ノ「うおびっくりした!あんた、まさかロマネスクさんかい!?」

突如脇に立っていたロマネスクに、オーバーリアクションを取る。

('A`)(ロマネスクさんなんでこう気配を消すのがうまいんだろう…)

( ФωФ)「さて、グズグズしている暇はない…出発の準備は既に整っているのである。
        未来をつかむためには過去も重要だが、それ以上に"現在"が必要なのである」

(;^ω^)「で、でも僕のヘリにはたくさんの物資が…」

ブーンが自らのヘリを振り返る。最愛の妻の作品を

( ФωФ)「捨てていく。必要なもの、持ち運べるものだけ持ち出し、すぐに輸送機に乗り込むのである」

(;^ω^)「そんな…」

ノハ*゚⊿゚)「じゃ、私これ貰うぞ!」

( ^ω^)「えっ」

lw´‐ _‐ノv「非常事態だしね…頂くとしよう」

(^ω^ )「えっ」

(^ω^)

('A`)「…いや、俺払えないっス」

251名も無きAAのようです:2013/07/28(日) 23:14:48 ID:WQ.jLCDs0
( ФωФ)「この期に及んで商売でも始めるつもりであるか?」

( ^ω^)「いや…そんなんじゃないですけどお……もういいですお、なんかあいつらの行動見てたらどうでも良くなってきた。
      LMって、こんなに感情的なのかお?クールは全然だけど」

(゚、゚トソン「個体差は…ある」

ブーンの後ろから、ドクオのヘリから降り立ったトソンが応える。

(;ФωФ)「トソン!?生きていたのであるか!?ショボンと共に行動していたから、てっきり…」

トソンは驚きロマネスクに向き直り、小さく俯く

(-、-トソン「ショボン大s…いえ、隊長が、生かしてくれました」

(゚、゚トソン「この命尽きるまで、ロマネスク代表。あなたをお守りします」

( ^ω^)「お…」

そしてトソンはブーンに向き直った。

(゚、゚トソン「…見ての通り、私たちには感情もあるし、自由意思もある。決定権もある」

川゚ -゚)「全ては戦場で有利に行動するためです」

('A`)「…どうもクールの主張は的を外れてるような」

(-、-トソン「間違ってはいない…我々の自由意思は本来そのために作られたものだ」

(゚、゚トソン「戦いのため。そうは言っても、我々は人とほぼ変わらぬ生活が送れる。
     いくばくかの思考制限や、発言制限、行動制限はつきまとうが…人間のように、生まれたあとの環境によって性格は左右され決定される。
     彼女はまだ生まれて日が浅いんじゃないのか?それならば、この性格の堅さも分かる」

('A`)「あー…確かに、あれが初起動だったとすれば、正直まだ目覚めて1週間てとこなのか…」

252名も無きAAのようです:2013/07/28(日) 23:15:01 ID:RGTYi9BE0
支援

253作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:15:45 ID:WQ.jLCDs0
(゚、゚トソン「自己紹介が遅れた…LM-981346F、トソンだ」

川゚ -゚)「LM-167439F、クールです」

トソンがその巨腕を使い敬礼をする。
クールは敬礼をしないものの、トソンは別段構わないといった様子。
そんな両者を見て、ブーンが一言。

( ^ω^)「何となくだけど、顔が似てるお」

(´<_` )「そういや…そうだな」

目つきや、黒い髪、顔つきなどがよく似ている。
口元や顎の細さなどは違うが、こうして並んで見れば瓜二つだった。

川゚ -゚)「LMはクローンを用いています。偶然近しいDNAを持った者も少なからず存在したと聞きます。その影響ではないでしょうか?」

(´<_` )「ほー…ん、よく分からん」

弟者は曖昧な返事をする。彼は生物面は苦手だ。

(゚、゚トソン「つまり、君と私は姉妹だということだな…よろしく頼むぞ、妹よ」

川゚ -゚)「妹、ですか」

その問いに、トソンがニヤリと笑う

(゚ー゚トソン「番号こそこちらが後だが、お前はつい先週生まれたばかりだろう?だから、妹だ」

( ^ω^)「冗談も言うのかお」

(゚、゚トソン「お前はLMをロボットとでも思ってるのか?失礼なやつだ」

(´<_`;)「難しいな、お前ら…」

(゚、゚トソン「人間の難解さには遠く及ばない」

(;^ω^)「うーむ…」

254作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:16:30 ID:WQ.jLCDs0
難解な空気に包まれた場。話に加わっていなかったドクオが、その仲裁に入る。

(;'A`)「というか、この場所にLM5機も集まってんのか…尋常じゃねえな」

( ФωФ)「いや、6機であるよ」

('A`)「え?」

ロマネスクが輸送機に向かって指示をする。
未だ輸送機は彼らの脇にある滑走路へ向けて進んでいるところではあったが、その扉が開き、中から何者かが降り立つ。

|゚ノ ^∀^)「どうも」

(´<_` )「ワーオ、マジで6人目」

(^ω^ )「…ま、ロマネスクさん1小隊持ってたんだお、あんまり驚きはないおね」

降り立ったもう一人のLMは、他の誰よりも細身で、一番人間に近いシルエットをしていた。

lw´‐ _‐ノv「C型か」

その姿を見てシュールが呟く。

(゚、゚トソン「レモナ、やはり生きていたか」

|゚ノ ^∀^)「それはこっちのセリフね、線香花火の貴方だけが戻ってくるなんて思わなかったわ」

レモナと呼ばれたLMは、ドクオたちに向き直りトソンと同じように敬礼をする。

|゚ノ ^∀^)「どうも皆さん、LM-233895Cのレモナと申します。以後お見知りおきを」

( ФωФ)「レモナ殿はC型…つまり対人用である。今回の作戦では出番がないと判断し、後方で待機させておいた」

|゚ノ ^∀^)「お恥ずかしながら、持てて軽機関銃2丁持ち程度なんですの」

(´<_` )「LMG2丁持ちする時点で人間業じゃねえよな…?」

255作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:17:48 ID:WQ.jLCDs0
『代表、離陸準備、完了しました』

と、唐突にロマネスクの胸元の無線機から声が漏れる。

( ФωФ)「よろしい、すぐ向かおう」

ロマネスクは手をパンパンと叩き、皆の注目を集める。

( ФωФ)「諸君、待たせてすまなかったのであるな…既に街の戦闘で、大勢の仲間を失った。敵はここには来てはいないが、追撃に来ないとも言い切れん
       これより、残った航空部隊数機で、この輸送機を護衛しつつ当区域を離脱する。
       もちろん、輸送機にも武装が付けられている。輸送機内はLMを中心に対空・対地防御を頼むのである」

('A`;)「え、ロマネスクさんは…?」

( ФωФ)「吾輩は制空権の確保を行うのである…ラトルは小型ゆえ、この輸送機の下部ハッチで格納ができる。レモナ、トソン、その際は誘導を頼む」

(゚、゚トソン「サー」

|゚ノ ^∀^)「了解よ」

lw´‐ _‐ノv「あたしも手伝おう。G型は処理システムの余剰が大きい、力になれると思う」

( ФωФ)「頼むのであるよ」

ロマネスクは言い、ラトルに乗り込む。
幾つかのスイッチを跳ね上げると、ラトルの後部、増設された小型ジェットエンジンに火が入った。

(´<_`;)「おいおい…小柄なラトルになんちゅうもんを…」

ヘリに詳しい弟者も、さすがに唾を飲む。
こんな事をして、まともに制御できるのだろうか?

256作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:18:52 ID:WQ.jLCDs0
|゚ノ ^∀^)「皆さん、乗ってください」

レモナの先導で、彼らは輸送機に乗り込む。
すでに、彼らの運んだ市民たちは乗り込みを終え、内部の広めな空間に座り込み待機していた。
中には、未だ恐怖から抜け切れていない様子の者もいた。

ハソ ;−;リ「えぐっ…えぐっ…」

@;゜д゜)「もう大丈夫…もう大丈夫よぉ…」

('A`)「…こんだけなのか」

( ´W`)「俺と一緒にいた奴は、ショボンさんたちに会う前はこんくらいいた」

('A`)「シラヒゲさん…」

( ´W`)「俺らの力は、弱い…同じ人間すらまともに守れねえ、それどころか…俺は昔同じ人間を殺してた…」

シラヒゲの言っている事は、おそらくギコと共にいたとある支配者の親衛隊の時の事だろう。
ドクオはギコの店に行くたびにそれを聞かされた。圧政・独裁…それに業を煮やしたものが反乱を起こし、ギコ達がそれを鎮圧していたのだ。もちろん、独裁的な方法で
そして、ギコはそんな支配者に嫌気がさし、クーデターを起こした。

( ;W;)「こんな世界になってもよお…人間って変わらねえのな…ここは、最後の楽園だった。なのに…なのに…」

シラヒゲの頬を涙が伝う。

『代表より離陸許可が下りた、これより離陸する。搭乗者の皆さん、座席などに深く腰掛け揺れなどに備えてくれ』

機長の声がし、機内は少しざわめきが生まれた。
シラヒゲの嗚咽がそれに混じる。

('A`)(…戦争は、人類の生きる意味だ。生きる意味であり、理由だ。でも……人間個人個人は、戦争を望まない……
   総意では戦争を続けているのに、個々では望まない…矛盾してるな、人間って)

トソンの言った「人間の難解さ」が少しわかった気がする。
しかし、難解で矛盾しているからこそ、人間は人間足り得るのだろう。

輸送機が、加速する。

257作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:20:09 ID:WQ.jLCDs0
――――――――――……ファーイーストT地区、北東外縁付近。

燃料の関係上、彼らは街の上空外縁を突っ切るほかない。
それ故に戦闘機による護衛だ。そして眼下には、変わり果てた自分たちの街があった。

「見ろ…俺たちの街だ……」

「ああ…そんな……」

人々の口から、悲しみにくれる言葉が発せられる。

('A`)「……」

( ^ω^)「……僕のガレージ、あの辺だったはずだお」

ブーンが小さく指さす、その先にあるのは、瓦礫の積み重なった焼け野原だ。

(´<_` )「母者……」

弟者は遠くを見つめる。薄汚れた待機のせいで見えないが、街の南西外縁には彼らの基地があったはずだった。
あったはずだったのだ。いくら汚れた大気に汚されていようと、その日夜問わず発するサーチライトの明かりはよく見えたはずだ。しかし、それはもう見えない

(;<_; )「母者ぁ……」

横暴で、すぐに殴りつけてきた。頭蓋骨が割れるんじゃないかってくらい痛かったあのゲンコツも、もう受けることはない。
しかし、弟者の目からは大粒の涙が止めどなく溢れる。
彼女はサスガ・ファミリーの大黒柱であり、そして家族だったのだ。

(;<_; )「母者ぁぁぁぁ……!」

彼の嗚咽が更に、機内のざわめきに交じり合う。

258作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:21:43 ID:WQ.jLCDs0
同時刻、旅客区域の後方に位置する戦闘室。

lw´‐ _‐ノv「! おい、下だ」

ノハ#゚⊿゚)「ぬぅ…あいつら…!」

シュールの言葉に、そこにいる全員が下を見る。
防弾ガラスをあちこちに配置した下面のおかげで、この場所は下がよく見えるのだが…そこに無数の巨大兵器が集結しつつあった。

(゚、゚トソン「…何をしているんだ?」

川゚ -゚)「不明です」

こちらに突っ込んでくる気配もない、もしそうしても、迎撃ミサイルが彼らを頭からブチ抜く事だろう。
ミサイルが通用しなかったとしても、一瞬だけ足止めさせればいい…何せここには6機ものLMが常時戦闘態勢を維持しているのだ。
胸部のコンピューターによる補助のおかげで、生半可なAI以上の反応速度を持つ彼女たちにかかれば、突っ込んできた巨大兵器とてこの機体には届かないだろう。

l从・∀・ノ!リ人「……」

戦闘室の中央。輸送機の機体中央に佇む妹者は、眼下で不可解な動きを続ける巨大兵器を無感情に見つめる。

lw´‐ _‐ノv「…ん?」

一機の巨大兵器が、大地に降り立つ。そこだけ瓦礫が撤去され、綺麗な地面が露出していた。

|゚ノ ^∀^)「嫌な予感がしますわね」

レモナが呟く

(゚、゚トソン「最古参の"勘"って奴か?だいぶ人間に毒されたな、お前も」

|゚ノ ^∀^)「人間の第六感には目覚しいものがありますわ…戦闘にも役立ちます。特に歩兵戦闘のような高速で事態が進むものはね」

259作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:24:26 ID:WQ.jLCDs0
lw´- o‐ノv「おおぉっ…なんだいありゃ!」

トソンとレモナの会話をよそに、シュールが少し興奮した様子で下を見つめる。

l从・∀・ノ!リ人「じゃ…」

妹者はその動きに、どこか親近感を感じた。
巨大兵器が、"変形した"のだ。

巨大兵器はまず、仰向けのように寝そべった。
その翼を大地に伏せ、脚を背中側に曲げ、下半身を持ち上げるような体勢を取る、胸部のコアが展開し、コイルガンが露わになった。
コイルガンはそのまま斜め方向、つまり下半身方向に向きを変える。下半身からはパイプのようなものが現れ、コイルガンの短い砲身に接続、長砲身化した。
両腕はそのまま大きく回転し、空に向かって伸びる砲と化す。
最後に、頭部が胸部両端を蝶番のようにしてコイルガンの上部に上って来る。
その瞳が、輸送機を見据えた。

川゚ -゚)「!来ます!妹者!3GFフォースフィールドを!」

l从・∀・ノ!リ人「効くのかのじゃ!?」

(゚、゚トソン「無いよりマシな程度だろうな…Coil Gun Mk.4/LBと B-C22 Napalm Howitzer/AA。名前からしてどっちも実弾系だ、エネルギー防御型の3GFでは…」

l从#・∀・ノ!リ「でも、この飛行機を落とすわけにはいかんのじゃ!!これにはちっちゃい兄者が乗ってるのじゃ!!」

|゚ノ ^∀^)「私も、これを落とされては代表に顔向けできませんわね…そうでしょう、トソン?」

(゚、゚トソン「全くだ」

l从・∀・ノ!リ人「ばりあーーー!!」

キュウゥン!と輸送機下部にエネルギーシールドが張られる。

lw´‐ _‐ノv「やれやれ…つい昨日まで樹海で世間のことを何も知らなかったのに、ひどい状況だな」

ノハ#゚⊿゚)「だが、コイツをくれてやるわけにはいかんっ!!逆に鉛弾でも食ってろロボットども!!」

260作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:25:42 ID:WQ.jLCDs0
<○><○> <○><○> <○><○> ドドドッ!ドドドドッ!

地上の砲台型巨大兵器が、一斉に火を噴く。
凄まじい弾速のコイルガンが、妹者のエネルギーシールドと干渉し弾き飛ばされる!

l从・A<;ノ!リ「ぐうううっ!なんて衝撃力なのじゃ!」

そのあまりの衝撃に、妹者の体がブレる。

lw;´‐ _‐ノv「何発も食らってられんね!レモナ!自動迎撃機銃のアダプタをくれ!」

|゚ノ;^∀^)「貴方が処理を行うんですの?大丈夫?」

lw;´‐ _‐ノv「攻撃行動に支障は出るだろうが…何、外には"彼"がいるじゃないか」

川゚ -゚)「!」

クールが顔を上げる。
そこには、AH-22ラトル攻撃ヘリが彼らに追従して飛んでいた。

(#ФωФ)「吾輩の街を…我が物顔で座るとは何事かああああああああああ!!!」

グン!とラトルが機首を下げる。
それはまるで、鎌首をもたげたガラガラヘビだ。

ノハ#゚⊿゚)「なかなか熱いなあの男!気に入ったぞ!」

|゚ノ ^∀^)「仲間に入るのならいつでもどうぞ?」

lw´‐ _‐ノv「断る…っと」

シュールが丁寧に断りを入れ、耳の後ろにあるジャックに自動迎撃装置に繋がれたプラグを差し込む。
これで、少しは攻撃を防げるだろう。

261作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:27:25 ID:WQ.jLCDs0
川゚ -゚)「敵、第二波きます」

直下で繰り広げられる戦闘をよそに、クールが淡々と次の攻撃に備える。

lw´‐ _‐ノv「いつも思うんだけどさ……あんた、予知能力でも……持ってんの?」

自動迎撃機銃の処理制御を行っているせいか、普段よりゆっくりした口調でシュールが尋ねた。

ノパ⊿゚)「そういや、私の攻撃も避けてたな…何なんだよお前、どういう機能だ?」

川゚ -゚)「……分かりません、ですが、分かるんです。敵の攻撃が」

(゚、゚トソン「…レモナの言う"第六感"に近いものか?」

|゚ノ ^∀^)「さあ?でも私でも攻撃が来るタイミングまではわかりませんわよ?」

l从;・A・ノ!リ人「皆、わちきの頑張りも見て欲しいのじゃ……」

焼夷榴弾はシュールの迎撃によって概ね落とされてはいるが、それでも妹者の張るエネルギーシールドの恩恵は大きい。さらに妹者は、シールドの形を変え地上に対して急傾斜になるようにシールドの貼り方を調整していた。つまり、弾を弾くための避弾経始だ。強烈な傾斜によって、弾丸は軌道を逸らされていく。

262作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:28:54 ID:WQ.jLCDs0
(#ФωФ)「1番、2番は我輩がターゲッティングした巨大兵器を狙え!3番と4番はその援護!」

『了解!』

ロマネスクの指揮により、わずか4機の戦闘機は、多数の巨大兵器相手に凄まじい善戦をした。
おそらく、誰よりも…それこそ155mm砲で猛威を振るった妹者以上に巨大兵器を破壊したことだろう。
しかしその数は減るどころか増える一方だ。

(#ФωФ)「化け物め…!!」

『そうさ、俺らは化け物だ』

通信機から、声が入った。
先刻聞いたあの声ではない、もっと力強く、そしてハスキーで大人び、聞き取りやすい声だった。

( ФωФ)「…現れたか、先刻のとは違うやつのようであるな?」

『ああ…俺はエクスシアだ。さっきのやつってのは…スローネの事か?』

エクスシア、ロマネスクはその言葉を聞いてほう、と呟く

( ФωФ)「以前、ドクオ殿とクール殿に絡んだという天使か…本当に天使の名前でまかり通っているのであるな、スローネは第3位…またの名を座天使とも呼ぶ」

『よく知ってるじゃねーか、教養もあるんだな』

(#ФωФ)「天使の名を借り…よくぞこんな非道な真似ができるものであるな…!」

『非道?ハハハハ、そうだな、非道だよ。お前ら人間に対してはな…』

その言い方は、何やら含んだものがあった。
ロマネスクは真相の掴めない彼らの目的に歯ぎしりをする。

263作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:31:19 ID:WQ.jLCDs0
(#ФωФ)「お主にも問おう…無駄ではあろうがな、何が目的でこんなことをする!」

『人間を救うため』

( ФωФ)「……何?」

『…間違えた、人間を滅ぼすためだ』

ロマネスクは一瞬聞こえた言葉を反復する。

( ФωФ)「人類を救う……スローネと、真逆のことを言ったのであるな」

『だから間違えたって言ってんだろ』

( ФωФ)「フン…まあよい」

そこまで言い、ロマネスクは息を大きく吸う
吸い、そして吐き出す。

(#ФωФ)「どちらにしても、お主らがこの街を潰したことには変わりない!!全力で叩き潰す!!吾輩の命に賭してもだ!!!ここは、吾輩の――――!」


ゴ ォ ン



( ФωФ)「…?」

ロマネスクはその音に、顔を上げる。

从 ゚∀从「…結局、お前も分かっちゃいないのか」

( ФωФ)「…随分と近くにいたのであるな」

从 -∀从「間違えて言っちまったときは少し焦ったけどな…うん、今の言葉で十分だ」

( ФωФ)「何を言っている」

从 ゚∀从「…お前も、器じゃねえってことだよ。"アイツ"と同じように期待してたんだけどな」

エクスシアが、キャノピーを蹴る。

从 ゚∀从「じゃあな」

彼女のいた場所には、チカチカと赤く明滅する小さなものが――――……

264作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:32:00 ID:WQ.jLCDs0
ドォン


|゚ノ ^∀^)「あ…」

(゚、゚;トソン「そ、んな…」

遥か眼下で、ロマネスクのヘリが爆散した。
もちろん、彼女たちは一部始終を見ていた、見ていたし、何もしていないわけでもなかった。

ノハ;゚⊿゚)「なんだよ…アイツ…!全然当たらねえ!!」

≡从 ゚∀从

白い翼を大きく広げ、エクスシアはまるで弄ぶかのように輸送機の周りを旋回する。

|゚ノ#^∀^)「よくも、よくもロマネスク代表を…!」

l从・∀・ノ!リ人「じゃ…」

妹者は憤るレモナを見て、ふと、心の奥底にわだかまりが生まれる。
彼女はこれがなんなのかを知らない、これがレモナやクール、あるいは人間であれば、所謂「嫌な予感」だったということに気付けただろう。
しかし彼女は分からなかった。それがレモナの運命を左右した。

|゚ノ#^Д^)「許さない…!!」

(゚、゚;トソン「レモナ!待て!」

レモナは輸送機上部ハッチから飛び出す。

|゚ノ#^Д^)「そこの白いの!降りてきなさい!」

从 ゚∀从「お?」

エクスシアは空中でくるりと一回転すると、輸送機の上に立つレモナ見据える。

从 ゚∀从「あー…あいつも駄目なタイプか…」

エクスシアは残念そうにつぶやくと、同じように輸送機の上に降り立つ。

265作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:33:47 ID:WQ.jLCDs0
|゚ノ#^Д^)「ロマネスク代表の仇!!」

从 ゚∀从「なあ、お前…そんなに人間が大事か?」

|゚ノ#^Д^)「貴方が巨大兵器を操っているのね…?そうでしょう!?」

从 -∀从「あー…聞いてくれねえか。しかも的はずれだ」

|゚ノ#^Д^)「グダグダ言うんじゃないわ!」

レモナは背中に下がった99式機関小銃2丁を両手に構える。

从 ゚∀从「短機関銃て…それで俺を倒せるとでも思ってんの?というかそもそもお前C型じゃん」

|゚ノ#^∀^)「あら、いつ私があなたを倒すって言ったかしら?」

从 ゚∀从「ん?おっと」

足元の防弾ガラスを突き破り、小型のAPSFDS弾がエクスシアの足元から飛んでいった。

ノハ#゚⊿゚)「ちぃ!」

|゚ノ#^∀^)「避けたということは通用するって事ね!ヒートさん!私が足止めをするわ!その瞬間に!」

ノハ#゚⊿゚)「おうさ!」

ヒートが再びIWS-3500を構える。

lw;´‐ _‐ノv「ヒー、ト、駄目、だ、あいつ、は、やばい…!」

川゚ -゚)「……」

(゚、゚;トソン「レモナ!やめろ!お前じゃ無理だ!ああクソッ!」

l从;・∀・ノ!リ「いつまで射撃続けるつもりなのじゃ下のは…!」

266作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:36:05 ID:WQ.jLCDs0
トソンもシュールも妹者も、眼下の巨大兵器の相手で手一杯だ。
ロマネスクを失い統率を失った航空隊は早々に全滅してしまった。眼下からの攻撃は一層激しさを増している。

从 ゚∀从「面白いもん持ってるじゃん?」

ハインは再度放たれる3.5cmAPFSDSを華麗に避け、レモナへの距離を詰める。

|゚ノ;^∀^)「ぬうっ!」

レモナは脚を離す、飛ぶ輸送機の風圧で一気に飛び、エクスシアの側面をすり抜け―――。

|゚ノ ^∀^)「え?」

从 ゚∀从「残念」

すり抜けたその瞬間、目の前にエクスシアがいた。

ノハ;゚⊿゚)「は!?」

ヒートも目を疑った、まるで物理法則を完全に無視したかのような動きで、エクスシアの体が突如真後ろへスライドしたのだ。

エクスシアの細身の腕が、レモナの頭を捉える。


ぼむん


と音を立てて、レモナの頭が炸裂した。
赤いオイルと、強化タンパク質の肉片が防弾ガラスに飛び散る。
レモナの体はそのまま機体から吹き飛ばされ、そして見えなくなった。

267作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:37:02 ID:WQ.jLCDs0
川゚ -゚)「…!」

从 ゚∀从「よう、久しぶり…確か名前は……クールだったか」

右手についた血肉を払い、エクスシアは眼下のクールに声をかける。

ノハ;゚⊿゚)「し、知り合いか!?」

川゚ -゚)「一度だけ会いました。なぜ、この街に攻撃を?」

从 ゚∀从「言ったじゃねえかよ、"逃げるのはお前たちの方だぜ"って」

川゚ -゚)「攻めに来るのであれば、そう言って頂けたらよかったのですが」

从 ゚∀从「それもそうか…で、お前は?」

エクスシアはヒートに向き直る。

ノハ;゚⊿゚)「う…わ、私は…」

lw;´‐ o‐ノv「それ以上はやめろって言ってんだよこのアンポンタン!!」

ノハ;゚⊿゚)「ぬおお!?」

自動迎撃装置の接続を切ったシュールが、ヒートを取り押さえる。
ヒートは防弾ガラスの上に転げ落ち、シュールを睨みつけた。
エクスシアはそれを見て、不愉快そうに翼を震わせる。

从 ゚∀从「ちぇ…」

それを見てクールが目を細め、そして尋ねた。

川゚ -゚)「貴方は、何が目的なのですか」

エクスシアはクールを見下ろし、そして呟くように彼女に応えた。

从 ゚∀从「…お前は一番期待してる。俺を失望させるなよ」

川゚ -゚)「説明になっていませんが」

268作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:39:06 ID:WQ.jLCDs0
対し、押し飛ばされたヒートが防弾ガラスの上でシュールを睨みつける。

ノハ;゚⊿゚)「なにすんだシュー姉!」

lw;´‐ _‐ノv「まず…冷静になれ、どんな武器を持ってるかもわからん相手に挑むような馬鹿な真似はやめろ」

ノハ;゚⊿゚)「う…ぐぅ……」

(゚、゚;トソン「くそ…レモナ…」

と、エクスシアと睨み合いを続けていたクールが、ハッと下を向く。

川゚ -゚)「!直下!攻撃!」

lw;´‐ _‐ノv「やべ…!」

シュールが離れたことにより、眼下への防御が疎かになっていたのだ。

l从#・∀・ノ!リ「なんのおおおおお!!」

妹者の生み出すエネルギーシールドが一層濃密に、急傾斜になるが…それでも防御効果は微々たるものだ。

ギィン!ドゥ! ドゥ!
コイルガンはエネルギーシールドの避弾経始で弾いたが、二発の焼夷榴弾が着弾する。

ノハ;゚⊿゚)「ぅわ…っ!」

立ち上がろうとしていたヒートが、バランスを崩して再び倒れる。

lw;´‐ _‐ノv「ヒート…ッ!」

その直下に、さらに一発の焼夷榴弾。
軋む機体、ひび割れる防弾ガラス。

ノハ;゚⊿゚)「クソ…!」

从 ゚∀从「…こんなとこで落ないでくれよ。失望しちまう」

(゚、゚#トソン「仲間を一人殺しておいて…どの口が!」

あくまでも飄々としているエクスシアをトソンが睨みつける。

269作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:40:00 ID:WQ.jLCDs0
バ ァ ン !

(゚、゚;トソン「っ!」

lw;´‐ _‐ノv「ヒートッ!!」

ヒビの入っていた防弾ガラスが、榴弾の衝撃と焼夷弾の熱に耐え切れず、粉々に砕け散る。

ノハ;゚⊿゚)「ああ…クソッ!」

シュールが腕を伸ばし、ヒートの持つIWS-3500の長い銃身を掴もうとするが…届かない。

lw;´‐ 0‐ノv「ヒートおおおおおおおお!!」

ヒートの姿はキリキリと舞いながら瞬く間に小さくなり、そして見えなくなった。
すでに輸送機は高度を大きく上げており、間もなく雲に突入しようという所だ。

川゚ -゚)「…!」

輸送機の上にいたはずのエクスシアも、目を離した一瞬の隙に消え失せていた。

(゚、゚;トソン「くそ…」

lw;´‐ _‐ノv「ヒート…」

割れた防弾ガラスは、気圧の低下を感知したセンサーによって、すぐさまブラストシャッターが締まる。
機内を、静寂が包み込んだ。

270作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:42:18 ID:WQ.jLCDs0
(;'A`)「クール、大丈夫か!」

川゚ -゚)「ドクオ」

途端、前方のドアからドクオが現れる。
後ろにはブーンもいる。

l从・∀・ノ!リ人「…ちっちゃい兄者はどうしたのじゃ?」

( ^ω^)「今はちょっと…落ち着いたら来るって言ってたお」

ドクオはクールの無事に少し安堵しつつ、戦闘室を見渡す。

('A`)「…ヒートは?あと、レモナも」

川゚ -゚)「…喪失しました」

クールはわずかに言葉を濁したが、しかし最終的には事務的に応えた。

川゚ -゚)「レモナは即死…ヒートは生死不明でs」

lw´‐ _‐ノv「死んだよ…」

クールの言葉をシュールが遮った。

lw´‐ _‐ノv「高度何メートルだと思ってんだ?いくら私たちでも無理だ…ヒートは死んだ」

シュールは壁に拳を叩きつける。
金属の拳が、輸送機の装甲を歪ませる。
ぎり、と歯ぎしりの音が聞こえた。

lw´‐ _‐ノv「これで…私一人、か…」

(゚、゚トソン「それは、私も一緒だ」

その後ろから、トソンが声をかける。

(-、-トソン「レモナや…ミセリ、カウ、雪苺…皆、10年来の仲間だった。ロマネスクの元でやってきていた」

(゚、゚トソン「今は、私一人だ…ロマネスクもいない」

271作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:43:51 ID:WQ.jLCDs0
( ^ω^)「見てたお…ロマネスクさんの…最期」

('A`)「…ああ」

見え辛い航空機の窓。そこから、ロマネスクの乗るヘリが爆発し落ちるのを見た。
その瞬間は、不思議と冷静でいれた。
心のどこかで分かっていたのだろう、彼はここで死ぬんだと
ロマネスクもまた、ここで死ぬつもりで戦っていたのだろうと

( ^ω^)「とりあえず…もう、大丈夫らしいお。ここにいなくても」

川゚ -゚)「戦闘空域は脱したという事ですか?」

('A`)「ああ、街外縁は抜けた、追手もない。…いや、追う気がないって感じだよな、あの巨大兵器どもは」

(゚、゚トソン「戦っている時…あいつらはまるで、街の破壊のみが目的のような動きをしていた。
     なぜ街のみを破壊する必要がある?逃げるものは一歩も追わず、街の中で戦うものには積極的な攻撃…それもただの自律兵器とは思えない知的な戦闘行動をとっていた」

('A`)「そこも含めて、結局何も分からずじまいか…」

ドクオが窓から外を眺める。
雲を抜けた輸送機は、荒れ果てた地上からはまず見ることのできない、青天の下を飛んでいた。
まるで、今までの戦いなどなかったかのように、悠然と。

272作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:45:16 ID:WQ.jLCDs0
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第九話 脱出 -終-


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273名も無きAAのようです:2013/07/28(日) 23:47:23 ID:RGTYi9BE0


274作者 ◆Dl8RDFPb.U:2013/07/28(日) 23:51:50 ID:WQ.jLCDs0
今日は兵器名鑑は無いです。
なので代わりに久しぶりの絵を描きました。

l从・∀・ノ!リ人
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1073.jpg

以前描いたクール、今になって見たら「なんか細いな…」と思えてしまった…
妹者はE型なのでトコトンデカく、アンバランスに。
こういうアンバランスなロボ娘本当大好きです。ちなみにクール描いた頃と比べて細部かなり変えたというか"服っぽいの"着せた
さすがに以前のは露出多すぎたと反省

275名も無きAAのようです:2013/07/29(月) 00:58:58 ID:RxIHKemg0

クールとトソンが口調逆だと自然な感じだな、
そうせざるを得なかったのかもしれないけど

276名も無きAAのようです:2013/07/29(月) 01:13:41 ID:pJ0R//nQ0
強すぎる…!

277名も無きAAのようです:2013/07/30(火) 19:01:04 ID:6Lz3KfvI0
乙!これはなかなかの巨体…お店とか入れなそう

278名も無きAAのようです:2013/07/31(水) 22:01:11 ID:R32hqk660


279名も無きAAのようです:2013/09/09(月) 20:49:53 ID:.55cgf.A0
おじさん待ってるよ~

280名も無きAAのようです:2013/09/10(火) 08:52:25 ID:lMpOEm9I0
続き楽しみw

281 ◆Dl8RDFPb.U:2013/09/12(木) 19:28:28 ID:RFliKnXU0
非常に申し訳ありません。書き溜め&イラストが全消えし、また物語もグダって書き続けにくくなってしまったので、この作品はここで打ち切りにしたいと思います。
こつこつ推敲していた設定資料集も消えてしまって少し落ち込んでいますが、何、また新しい世界観を作ればいいだけの事。
('A`)は荒廃した世界で生きるようです。をご愛読いただいていた皆様には非常に残念なお知らせですが、私はまだまだやる気でいます。

それを証明するように、既に新たな作品の世界観構築に手を入れている状態です。ベースとなる世界観は「パシフィック・リム」に決定しています。
ストーリー構築が長くてグダってしまった今回の反省を生かし、基本一話完結方式の書きやすい形態にしたいと思っております。
続報は予告スレにて行う予定です。あまり期待せずにご期待下さい。ガンバルゾー!ガンバルゾー!

282名も無きAAのようです:2013/09/12(木) 20:02:31 ID:6zMJ0dXw0
oh… マジでか

打ち切るならせめて終わりまでのあらすじを…

283 ◆Dl8RDFPb.U:2013/09/12(木) 21:56:40 ID:RFliKnXU0
あらすじか…長くなるけど、それでもいいって言うなら書きますよ。
個人的に結構気に入った世界観が構築できてたので、確かにこのまま脳内で腐らせるのももったいないかな

284名も無きAAのようです:2013/09/13(金) 00:17:44 ID:N8EBVMOw0
確かに、俺もあらすじ読みたい。

285名も無きAAのようです:2013/09/13(金) 01:29:58 ID:iHNPI10A0
マジかー⁉

286名も無きAAのようです:2013/09/13(金) 01:33:46 ID:iHNPI10A0
マジかー⁉楽しみに待ってたのにな・・・
まあでも仕方ないか・・・
乙でした!

287名も無きAAのようです:2013/09/13(金) 08:20:55 ID:kKNtV7bA0
読みたい!

288名も無きAAのようです:2013/09/13(金) 08:49:08 ID:4rsyEGgs0
年表とかでもいいのでお願いします

289 ◆Dl8RDFPb.U:2013/09/13(金) 11:01:30 ID:Xcfs1uA.0
期待されてた方が多いようで嬉しい限りです…。
昨日の夜から記憶を頼りに、ラフプロットを再現しました。長いです、注意。

290 ◆Dl8RDFPb.U:2013/09/13(金) 11:02:40 ID:Xcfs1uA.0
ドクオたち一行は、一路西へと飛ぶ。当初は目的もなく、ただどこに行ったのかもわからない遠征部隊との合流を目指して飛び続けていたが、突如謎の通信が入り、航路が示された。
謎の航路の教えの通りに、長い長い空路を超えてやってきたのは、三つの勢力が争い合う激戦を呈する生存可能区域。
そこで、とある一つの勢力に加担しているという者に出会う。
ハロー{ハハ ロ -ロ)ハ}と名乗ったその女性は、シラネーヨの古い知り合いだった。つまり、彼が以前言っていた『世界中に散らばった同勢力』(>>151参照)の一人。
行く宛のないドクオたちは、彼女にお世話になることする。
さて、しかし彼らのいる場所は3つの巨大な勢力が火花を散らし合う場所だ。ハローが代表を務める「ザ・ホロウ」はその中の一つ、クックル{( ゚∋゚)}を代表とする「エリアフィフティーワン」の傘下
当然、LMを保有するドクオが放っておかれるはずもなく、三大勢力の戦いに巻き込まれていく。
巨大な勢力どうしの戦いを通じて、ドクオ、クール共に実力をつけていく。
望まずしてシュールの持ち主となってしまったブーンも、幾度かの出撃を経て、兵士として半人前くらいにはなっていく。
妹者は、弟者とともに本拠地の防衛要員に、残ったトソンは、今なお消息のつかめない兄者たち遠征部隊を探すため、輸送機のパイロットと共にしばらくこの地を離れることになり、遠く異郷の地で彼らは暮らし始める。

戦いの中では、様々な出来事が起きる。(これらを短編or番外編みたいなので書く予定でした。)
通常の勢力戦や、別の勢力が保有するLMとの決闘。生存可能区域外縁に広がる荒野の探索…
そして、シュールとの別れ。
LMには寿命がある。(>>183参照)30年以上草木生い茂る劣悪環境で行動し続けていたシュールは、既に肉体・機構ともに行動限界を超えボロボロになっていた。
共に兵士として行動を共にしていたブーンはとても悲しむけれど、シュールは彼にむかって一言こう言った。

lw;´‐ _‐ノv「泣くんじゃない、寿命はどんなやつにだってくる。涙は、あんたの嫁さんが見つかるまでとっときな」

シュールはブーンが未だツンの事を諦めていないことを知っていたのだ。
ブーンは涙を流すことなく立ち上がり、まるで眠るかのように、人間のように息を引き取ったシュールを静かに土の中へ静かに眠らせてやった。
その直後だ、エリアフィフティーワンの偵察隊が、とてつもないものを発見したとの報告が入った。
それは、巨大な塔。天を衝かんばかりの巨大な塔があるとの報告だった。
これを荒廃前の遺産だと確信したクックルは、即座にドクオとクールに偵察・潜入を依頼した。

ドクオとクールはすぐさまその塔へと向かった。
塔は荒野のど真ん中に建っていたが、その根元の一帯はオアシスのようで、なんと集落が存在し人が住んでいた。
集落の長だという荒巻{/ ,' 3}はかなりの老齢で、彼は、この地は選ばれし者のみが集えるエデンなのだと言った。
その昔、神の怒りを買った人間は世界もろとも滅ぼされ、選ばれた我々のみがこのエデンで平穏な生活を許されているのだと
荒巻の熱弁を放置して、ドクオとクールは集落の中を見て回る。老若男女、しかしそれほど多くの人が暮らしているわけではないようなこの地で、なんとギコと再会する。
彼はT地区の攻撃の最中で、自律兵器に連れ去られこの地に運び込まれていたのだ。つまり、荒巻の言うところの「選ばれし者」だったのだ。
ドクオはギコとの再開を喜びますが、同時に、彼から驚くべきことを聞かされる。
あの塔に、「天使」たちが入っていくのを見たと言う。もちろん彼が見た天使の中には、エクスシアもいた。

291 ◆Dl8RDFPb.U:2013/09/13(金) 11:03:48 ID:Xcfs1uA.0
ドクオは幾度となくクールの前に現れ、意味深な言葉を残して去っていったエクスシアの真意を探るべく、クールとともに塔内部へと潜入することにする。
塔の内部は多数の自律兵器が跋扈していたが、幾度とない戦いで力を付け、装備も充実したクールには遠く及ばない。(ちなみに設定ではこの時点での武装は120mm低圧砲・88mm高射砲の予定だった気がします)

しかし奥へと進み、ついに天使と鉢合わせしてしまう。相手は最初にエクスシアと会敵した際に同行していたドミニオン{川д川}
相変わらずピクリとも表情を変えずに戦いを挑んでくるドミニオン。あの時は一方的にやられたが…今ならば…!
激闘の末、クールはついに天使を打倒する。しかしそれでも、大きな被害を免れることはできなかった。
そして、そこへ現れるのは、エクスシア。

从 ゚∀从「ついに俺らを倒せるまでになったか…いい傾向だ」

ドクオは身構えるが、エクスシアは襲ってくる気配はない。
むしろ、ドクオの構えたピストルを下ろし、静かに話し始める。
この惨状を起こしているのはこの塔の頂上にいるAIだと、AIは人類を救おうとして狂ってしまい、このままでは人類を滅ぼしてしまうと…

エクスシアによって塔の外へと連れ出されたドクオとクールは互いに無言だった。
トボトボと集落へと戻ってきたドクオに、ギコが慌てた様子で何事かを伝える。
塔から数体の天使が飛び立ち、ドクオがやってきた方向へ飛び去っていったというのだ。
嫌な予感を覚えたドクオは、傷ついたクールを連れてすぐさま拠点へと戻る…。

ここで視点はブーンへ、拠点で留守番をするブーン。その顔は静かな悲しみを湛えていた。
泣くなとは言われたものの、シュールを失った事は想像以上のショックだったのだ。
しかし、突然の爆音に、その悲しみは吹き消された。
見上げるとそこに、一人の天使がいた。
そしてその天使の顔は…彼のよく知る顔だった。

( ^ω^)「…ツン?」

背中からは純白の翼が生え、その四肢は機械へと置換されていたが、それは間違いなく、ブーンの愛妻の妻、ツンだった。
ツンは声をかけられたことに反応したのか、ジロリとブーンを睨みつける。

ξ゚⊿゚)ξ「…私はそんな名前じゃない、私はケルブ、天使の一人…」

その静かな声は、ブーンが探し続けていた彼女の優しい声そのものだった。
ブーンの必死の呼びかけも虚しく、ケルブと名乗った彼女は、エリアフィフティーワンの拠点を次々破壊していく。
防衛に駆り出されていた妹者も、奮戦虚しく胸部を貫かれて死亡。弟者はついに一人になってしまい、泣き叫ぶ気力も起きずに崩れ落ちる。
ケルブは膨大な破壊を振りまき、そして現れた時のように唐突に去っていった。
その間ずっとツンに呼びかけ続け、声の枯れてしまったブーンは、燃え盛る拠点跡で静かに嗚咽を漏らす。

ドクオが拠点へと戻ってこれたのは、ちょうどその攻撃が終わった瞬間だった。
生き残っていたクックルは、ドクオの報を聞いて、あの塔こそが天使の本拠地だと確信し、残存兵力をかき集め、塔への総攻撃を準備する。
なんと、彼と対立していた他の二勢力も、天使による壊滅的打撃を受けていた。三大勢力は力を合わせ、塔の制圧に乗り出す。
ドミニオンとの戦いで傷ついていたクールは修理を受ける事になり、ドクオとクールを除いた戦闘要員で、塔への攻撃が敢行される事となる。
しかし、ドクオは静かにしていることなど到底できなかった。クールの修理が終わるやいなや、拠点に残っていたハローに提案をかける。

('A`)「あの塔の頂上に連れて行ってくれ」

ハローはニヤリと不敵に笑い、待ってましたとばかりに奥から巨大な航空機を引っ張り出してきた。
SR-81ダークレイヴン(元ネタ:SR-71ブラックバード)…旧世代の、超音速偵察機。

292 ◆Dl8RDFPb.U:2013/09/13(金) 11:06:28 ID:Xcfs1uA.0
塔の上層部には迎撃装置がついてたが、マッハ2近くにまで達するSR-81の前には迎撃は全く追いつかない。
そして、頑強なカプセルポッドによって、ドクオとクールはたった二人で、塔の最上部に降り立った。
塔の最上部にはやはりというかこれまで以上の多数の自律兵器が配備されてたが、今のクールとドクオの前には赤子の手をひねるようなもの。二人はずんずん奥へと進んでゆく。
そして、ついに二人の前に、ツンが立ち塞がった。

(;'A`)「やめろ、俺はお前とは戦いたくない」

ドクオの言葉も、今の彼女には届かない。やるしか、ないのか…ドクオが唇をかんだその時。

( ^ω^)「ツン!やめるんだお!!」

後ろからブーンがやってきて、ドクオの前に立ち塞がった。攻撃をしようとしていたのをわずかに躊躇するツン。
その隙をついて、クールが彼女の胸部装甲を破壊する。そこには、彼女の行動を事実上決定していた補助頭脳が存在し、それを破壊されたことによってツンは正気を取り戻した。しかし同時に、補助頭脳を失って体の制御が効かなくなりその場に崩れ落ちてしまう。
ツンを支えるブーン。その瞳には、大粒の涙が浮かんでいた。
ドクオとクールはそれを見、そして振り返った。彼らの目の前にある。巨大な扉を

ξ;-⊿-)ξ「…ダメ…ドクオ……その、先には……」

ツンのかすれ気味な言葉は、ドクオには届きません。

293 ◆Dl8RDFPb.U:2013/09/13(金) 11:07:08 ID:Xcfs1uA.0
(ここから先は本編で書こうと思っていた文章のプロトタイプです。すごいお気に入りのシーンなのでよく覚えてる)

ζ(゚ー゚*ζ「待っていました」

(;゚A゚)「は…?な…え……?ツン……?」

ドクオは震えながら振り返った。そうだ…ツンは、妊娠していたはずだ…
あれから、何ヶ月経った?ツンの腹は、膨れていたか?

(;゚A゚)「まさ……か…」

ζ(゚ー゚*ζ「私はツンではありません…私は…セラフ……」

(#゚A゚)「てめぇ…どこまで人間を愚弄すれば気が済むんだ…これが…お前の望んだことか!?」

ζ(゚ー゚*ζ「発言の意図が不明です」

(#゚A゚)「お前に聞いてるんじゃねえ!!お前の…お前の後ろのやつに聞いてるんだ!!」

ドクオは指差す、ツンによく似た彼女の後ろ、巨大な筒状の『それ』に向かって叫ぶ

ζ(゚ー゚*ζ「主神への質問は禁止されています」

(#゚A゚)「うるせえ!答えろ!」

ζ(゚ー゚*ζ「発言の意図が不明です」

「しかし…」と、セラフと名乗った天使はそこに言葉を繋げる。

ζ(゚ー゚*ζ「私の行動に対してだというのならば、答えましょう。
       人類は、救うに足りうる存在か否か…確かめさせてください、私に、我が主神に」

川 ゚ -゚)「…ドクオ、やりましょう。人類を救うため」

294 ◆Dl8RDFPb.U:2013/09/13(金) 11:08:58 ID:Xcfs1uA.0
ドクオとクールは、最強の天使であるセラフに勝負を挑む。
高い機動力と攻撃力、クールのような感覚で敵の攻撃を予測・回避する能力で、クールを翻弄するが、わずかな僅差でセラフを破壊することに成功する。
動かなくなったセラフを残し、クールはもはや狙いの定まらない腕で、AIに向け88mm砲を構えた。
乾いた音が数回鳴り、それを合図とするかのように、地上で三勢力と対峙していた自律兵器群が、突如として動きを止めた。
突然の事に、しばしの沈黙がながれ…そして、ライフルを片手に持ったギコが、塔の頂上を見つめて呟いた。

(,,゚Д゚)「…やりやがった」

それを皮切りに、地上に歓声が沸き立った。勝利を喜ぶもの、未だ困惑しつつも、動かなくなった自律兵器をつつく者…

と、その時。突如大地を割らんばかりの地響きが鳴り響き、塔が大きく揺れ始める。
中にいるドクオは、その揺れに立っていられず思わず尻餅を付いた。

从 ゚∀从「情けねえな、人間」

そんな彼の後ろから、いつの間にいたのか、エクスシアがケラケラと笑う。
思わず砲を構えるクール、しかし満身創痍のクールでは、もはや相手にならないだろう

从 ゚∀从「もう終わったんだ、要らねえだろそんなもん」

塔は空高く、空高くへと伸びていく。見る見るうちに小さくなっていく地上を見つめて、エクスシアは寂しげな顔をした。

从 -∀从「あいつは…最後まで人類のことを想ってた。これが、あいつが最後に考え出した人類を救うための答えさ」

それは、軌道エレベーター。人類をこの荒廃した地上から離すための存在。
エクスシアはついに自らの正体を明かす、彼女の正体は、AIを開発した科学者だった。
紛争・乱開発・環境破壊…人類の自分勝手な行動により世界は滅びかけ、彼女はそれを救うために、AIを作ったのだ。
AIは長い計算の末に「人類を救うためには共通の敵が必要」と答えを導き出し、自ら人類共通の敵になった。
だがそれでも人類同士の紛争はやまなかった、AIは困惑し、より人類の驚異となるように自らの軍勢=自律兵器群を改良していく。
そんな事を続けるうちに、AIは狂ってしまったのだ。人類を救うはずが、結果として人類を滅ぼしかねない存在になりはててしまった。
だからこそ、開発者たる彼女は天使としてAIに付き従い、AIを止めてくれる人を探していたのだ。

295 ◆Dl8RDFPb.U:2013/09/13(金) 11:12:34 ID:Xcfs1uA.0
軌道エレベーターには、十数隻からなる宇宙移民船団が据え付けられていた。エクスシア…否、AIの生みの親ハインリッヒは、ぜひドクオに舵を取って欲しいと頼む。

('A`)「…残念だけど、俺は行かねえ」

从 ゚∀从「…何故だ?」

('A`)「どれだけ薄汚れようが、ここは俺の故郷だ。離れる気は毛頭ない」

その言葉に、ハインリッヒはクスクスと笑った。

从 ゚∀从「面白いな、人間は…コンピューターの予測をことごとく外してくる…所詮、機械に人間は救えないってか…」

('A`)「ああ…人間を救うのは、ほかでもない人間だ、人間にしかできないんだ」

ハインは笑いながら、眼下を望む窓へと近づいていく

从 -∀从「さて…と、俺の役目ももう終わりか」

('A`)「…行くのか」

从 ゚∀从「別に、どこにも行きはしねえよ…お前がこの星に残るってんならな」

ハインは、既に軌道上に達した外へと身を投げ出した。
落ちていく身体は、大気摩擦によって一気に燃え盛り…そして消えた。星の一部となって
ドクオは静かにその最期を見取り…そしてクールを振り返った。

('A`)「戻ろう、クール。荒廃した世界に」

('A`)は荒廃した世界で生きるようです Fin

296 ◆Dl8RDFPb.U:2013/09/13(金) 11:13:52 ID:Xcfs1uA.0
………という予定でした。「ここまで構想しといて終わらすなよお!」って感じでしょうが…うん、これを長い文に書き起こすとどうしてもグダっちゃうのよね
     次回作ではもっとシンプルにしたいです。切実に

297名も無きAAのようです:2013/09/13(金) 12:25:03 ID:g5epY0c60
おお。おつかれっした。
次作期待して待ってます

298名も無きAAのようです:2013/09/13(金) 12:25:14 ID:PJezfij.0


次回作はUSBにきちっとバックアップ作ってくださいお願いします!何でもしますから!

299名も無きAAのようです:2013/09/14(土) 01:15:56 ID:qenkYASc0
乙!乙!乙!ありがとう!

300名も無きAAのようです:2013/09/14(土) 06:50:12 ID:WizjNb0A0
ずっと読んでたよ!ありがとう!

301名も無きAAのようです:2013/09/18(水) 05:13:25 ID:UNb/rxQw0
プロットだけでも壮大ですげーよ
次回作楽しみにしてる

302名も無きAAのようです:2013/09/19(木) 03:02:26 ID:YLfVOtfs0
パシフィックリム面白いよな
次回作楽しみにしてる

303 ◆Dl8RDFPb.U:2013/09/21(土) 11:29:33 ID:1lVAmfSA0
新作、「我らは狩人(イェーガー)のようです」 9/23に投下したいと思います。
一話完結だからストーリーを細かく考える必要がなくって簡単!

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