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(,,゚Д゚)暗闇に惑うは誰そ のようです- 1 :名も無きAAのようです:2013/01/27(日) 23:51:23 ID:lUHieswc0
- ◆クトゥルフ神話TRPG風
◆CERO D
◆ながらです
- 2 :名も無きAAのようです:2013/01/27(日) 23:53:12 ID:lUHieswc0
-
カーター・モリスの手紙より、一部抜粋。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
やあ、ギコ君。お元気かな?
突然このような不躾な手紙を送りつけたことをお許し願いたい。
実は筆をとったのにはちょっとしたわけがあってね。突然なのだが、君は覚えているかい? あの懐かしいカフェ『Twilight』を。
煉瓦造りのモダンな佇まい、オリエンタルかつ、妖しい雰囲気を漂わせる料理の数々……。
思い返してみれば、我々の青春はいつもあの場所と共にあったといっても過言ではないだろう。
学生時分、私達は金もないのに、いつもあそこで管を巻いていた。
タバコと一杯のウィスキー(紹興酒の美味さに気づくには、私達は若すぎた)を片手に半日近く、君と語り合っていたこともある。
最近年をとったせいか、君達と過ごした学生時代のことばかりが頭に浮かぶんだ。まあ、思い出しては、あの時は無茶をやったなぁ、と苦笑いしているがね。
ふふふっ。こんなふうに昔を懐かしんでしまうのは、まだまだ我々には早過ぎるかな?
今、アーサーやフサが隣にいれば私は散々からかわれるだろうね。
- 3 :名も無きAAのようです:2013/01/27(日) 23:54:17 ID:lUHieswc0
-
おっと、いけない。長話は私の悪い癖だ。
手紙とはいえ、久方振りに君と話すものだから、ついつい話が伸びてしまう。
今日私が君へ手紙をしたためたのは、ほかでもない。
実はギコ、あの『Twilight』が20**年9月26日をもって取り壊されるらしいのだ。あのような歴史的建造物を無神経にも塵にしてしまうだなんて……。はぁ、まったくもって嘆かわしいよ。
だが、まぁ情緒の欠片もない政府のお役人どもの言い分にも、悔しいけれども同意せざるを得ないのだよ。
どうもあの建物は、古さゆえにあちこちガタがきているらしい。
そこで、だ。
ギコ、私は君に提案したいことがある。
Twilightは9月16日までは営業を続けるらしいのだが、どうだろう、また昔のように集まらないか?
我々でTwilightを華々しく見送ってやるのだよ!
ふっふっふ。君のしかめっ面が目に浮かぶようだ。
あ、断ろうとしても無駄だぞ。君とフサが有給休暇をたんまり溜め込んでいるのは調査済みだ。
これは私の有名記者としての手腕を存分に生かした調査結果だ。どうだ、図星だろう?
あと、同じような内容の手紙をフサ、アーサーにも同時期に届くよう手配している。
覚悟を決めて、休暇の申請をしたほうが身のためだぞ。
君達と会えることを心待ちにしている。
ああ、手紙を送ったのはただのきまぐれだから、返事はメールなり電話なりしてくれ。
――では。
親愛なる ギコへ
友人 カーター・モリスより
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 4 :名も無きAAのようです:2013/01/27(日) 23:57:07 ID:lUHieswc0
-
「俺は優しい男だと周りからは認識されているらしい。だが、そうじゃない。
俺が親切ぶった顔をして他人に近づくのは、有り余る好奇心からだ」
(,,゚Д゚)
【探索者名】ギコ・ウィルソン
【職業】刑事
【学校・学位】コロンビア大学卒
【精神的な障害】なし
【性別】男性
【年齢】31
(能力値及び能力値ロール)
【STR】13【DEX】17【INT】17【アイデア】85【CON】13【APP】15【POW】14【幸運】70
【SIZ】15【SAN】70【EDU】16【知識】80
【DB】+1D4【HP】14【MP】14
(探索者の技能)
【言いくるめ】80【応急手当】60【回避】80【組み付き】50【心理学】80【法律】40【目星】85【聞き耳】80【拳銃】90
- 5 :名も無きAAのようです:2013/01/27(日) 23:57:49 ID:lUHieswc0
-
「世の中には到底理解できない出来事や、胸糞の悪い悪意が蔓延っている。
問題ない。全部気が済むまで叩きのめせばいい」
ミ,,゚Д゚彡
【探索者名】フサ・アンダーソン
【職業】刑事
【学校・学位】コロンビア大学卒
【精神的な障害】カナヅチ(幼少時に溺れて死にかけた為)
【性別】男性
【年齢】29
(能力値及び能力値ロール)
【STR】17【DEX】14【INT】13【アイデア】65【CON】15【APP】12【POW】13【幸運】65
【SIZ】18【SAN】65【EDU】16【知識】75
【DB】+1D6【HP】17【MP】13
(探索者の技能)
【言いくるめ】65【組み付き】80【回避】85【自動車運転】80【こぶし】90【マーシャルアーツ】85【目星】70【聞き耳】65【拳銃】 55
- 6 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 00:00:52 ID:FqVCPQFs0
-
(-@∀@)
【探索者名】アーサー・ヴァレンタイン
【職業】精神科医
【学校・学位】コロンビア大学卒
【精神的な障害】不眠症
【性別】男性
【年齢】29
(能力値及び能力値ロール)
【STR】8【DEX】11【INT】18【アイデア】90【CON】10【APP】13【POW】15【幸運】75
【SIZ】14【SAN】75【EDU】17【知識】85
【DB】0【HP】12【MP】15
(探索者の技能)
【医学】80【信用】45【心理学】80【精神分析】80【心理学】85【ラテン語】90【ドイツ語】90【回避】60【図書館】70
- 7 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 00:01:43 ID:FqVCPQFs0
-
「私は姉を諦めたも同然なのです」
ζ(゚ー゚*ζ
【探索者名】テレーゼ・アームストロング
【職業】学生
【学校・学位】ヴィップシティ大学
【精神的な障害】なし
【性別】女性
【年齢】19
(能力値及び能力値ロール)
【STR】9【DEX】10【INT】13【アイデア】65【CON】11【APP】17【POW】12【幸運】60
【SIZ】10【SAN】60【EDU】13【知識】65
【DB】0【HP】11【MP】12
(探索者の技能)
【図書館】65【応急手当】70【説得】40【回避】60【隠れる】80【精神分析】45【聞き耳】65【芸術】80(音楽)
- 8 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 00:04:12 ID:FqVCPQFs0
-
【20**年8月25日 ギコ・ウィルソン自宅】
濃い暗闇の中で、一筋の光がギコ・ウィルソンの瞼を裂いた。
(,,うД゚)「ううん……?」
眩しさに目を細めながら、ぼんやりとした視界が次第にはっきりとした線を結んでいく。
辺りを見渡せば、よく見慣れた光景がギコの眼前にあった。
使われたことのないキッチン。
生活感のないいつも通りの部屋。
自分の真横に転がった缶ビール。
使い込まれた年代物のオイルライター。
そして、友人からの手紙。
ギコは重たい頭を持ち上げて、その変わり映えのしない品々をゆっくりと確認していた。思えば、自分は10年近く音沙汰のなかった友人から届いた手紙を、ビール片手に読んでいたのではなかったろうか。
たかが缶ビール一本やそこらで、自分はうたた寝をしていたのか、ようやくはっきりとしてきた頭でそう考え、同時に少々情けなくなった。
- 9 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 00:05:49 ID:FqVCPQFs0
-
┃ー *ζ「御免下さいませ」
暗い廊下から伸びる細い光の中で、小さな人影が身じろぎをした。
それに併せてか細い女の声が聞こえた。
返事がないことに不安を覚えたのか、一拍置いて、今度は少し大きめの声でまだ見ぬ家主に声をかけた。
┃、 *ζ「あのう、どなたかいらっしゃいませんでしょうか?
ギコ・ウィルソンさんはご在宅でしょうか?」
(,,゚Д゚)つパチ「ギコ・ウィルソンは私です。何かうちにご用でしょうか?」
キッチンと廊下の明かりをつけながら、自分の腕時計をちらりと確認した。
針は午後八時二十一分。眠りこけるにはまだ早い時間だ。
確か帰宅したのが八時すぎ。ならば自分はデリバリーのピザをつついて、すぐさま寝たことになる。
寝汗をかいたのか、ワイシャツが肌に貼りついて気持ちが悪い。ギコは自分の襟元に腕を伸ばすと、おもむろにネクタイを緩めた。
- 10 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 00:07:26 ID:FqVCPQFs0
-
ζ(゚、゚*ζ「突然お邪魔して申し訳ありません。もう、お休みでしたでしょうか?」
透き通った声と共に、それがよく似合う小柄な少女が、戸口の隙間から顔を覗かせた。
少女は少しきまり悪そうに長い睫毛をふせて俯いている。
首を傾けた拍子に、艶やかなブルネットの巻き毛がふんわりと彼女の胸元に落ちた。
(,,゚Д゚)「いえ、いえ。起こして頂いて、丁度良かったくらいです」
ζ(゚、゚*ζ「もう夜も更けて参りましたから、本当はお邪魔しようか迷ったんですけれど……」
ζ(゚、゚*ζ「ウィルソンさんのお宅のドアが少しだけ開いておりましたので、お声だけでもかけようと思ったんです」
(;,,゚Д゚)「そうでしたか。わざわざすみません」
ギコは頭を掻いて、少女に礼を言った。
お気になさらないで下さい、少女は言うと、恐縮しているギコに向かって、少しだけ微笑んでみせた。
緊張しているのか、少女の微笑みは堅く強張っていた。
- 11 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 00:08:24 ID:FqVCPQFs0
-
年は十代後半か、もしくは二十代前半くらいだろうか。顔立ちは幼いが、振る舞いやギコを気遣う様子は大人びている。
薄手のサマーニットに、オーダーメイドであろうダークグレーのタイトスカート。地味に抑えられてはいるが、少女の白い肌によく映える。
何より、胸元に光るネックレスは、恐らくそこらの学生では手が出せないであろう代物だろう、とギコは見当をつけた。
どこかのご令嬢だろうか。
しかし、ギコにはご令嬢がはるばる訪ねてくる理由もなければ、コネクションもない。
- 12 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 00:09:55 ID:FqVCPQFs0
-
(,,゚Д゚)「あの、ところで今日はなぜうちにいらっしゃったんでしょうか」
ζ(゚ー゚;ζ「あっ、嫌だわ私ったら。すみません、挨拶もそこそこにペラペラと……」
(,,゚Д゚)「とりあえず中へどうぞ」
ドアをロックして少女を部屋の中へ促す。
少女はキョロキョロと辺りを見回したあと、やや遠慮がちに中へ入った。
(,,゚Д゚)「散らかっていてすみませんね。奥の部屋で、掛けてお待ちください。飲み物を用意します」
ζ(゚ー゚*ζ「はい」
少女は素直に頷いて、応接室へ向かう。
まだ少し不安そうではあるが、初対面の人間の家へ上がり込むのだ、十代の少女であれば相応の態度であろう、とギコは思った。
(,,゚Д゚)「うちには若いお嬢さんが好みそうな飲み物があまりないのですが……コーヒーと紅茶、どちらが良いですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「では、紅茶をお願い致します」
- 13 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 00:46:26 ID:FqVCPQFs0
-
ギコ久しく使っていないティーカップのセットに手を伸ばし、その中に湯を注いだ。
少女は相変わらずもじもじと居心地悪そうに、ソファーに座っていた。
自分から訪ねてきたわりには随分と不安げな顔をしている。
少女は聡明そうな眉をきゅっと八の字に寄せて、床を見つめていた。
(;,,゚Д゚)「あー……」
さずがにギコも可哀想になって、なんとか言葉を繋ぐ努力をしようかと思う。
言葉を発した途端、少しばかりの後悔もよぎったのだが。自分には育ち盛りの三人の息子がいるが、年頃の女の子はいない。
その息子ですら、もう三ヶ月近く顔を見ていない。
しばし考えて、再び口を開く。茶葉を蒸らす間、自己紹介くらいしても構わないだろう。
(,,゚Д゚)「お嬢さん、お名前は?」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、テレーゼ・アームストロングと申します。ヴィップシティ大学に通う、大学生です」
(,,゚Д゚)「初めまして、ミス・アームストロング。私はギコ・ウィルソンと申します」
(,,゚Д゚)「……と言っても、あなたはすでに私のことをご存知のようだが……」
- 14 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 00:58:08 ID:FqVCPQFs0
-
ζ(゚ー゚*ζ「テレーゼで構いません、ウィルソンさん」
(,,゚Д゚)「ならば、私もギコで構いません」
ζ(゚、゚*ζ「えっと、それは……」
少女は逡巡したあと、上目遣いでギコを見る。
自分より一回り近く年が違うのだ、無理もない。戸口に立っていたときは随分大人びて見えたのに、今困り果てうーん、と唸る様子は年相応に見える。
それは多分、少しずつ彼女が警戒を解いてくれているからだろう。
(,,゚Д゚)「敬語もなしにしよう」
(,,゚Д゚)「君は何かしら困っていて、俺を訪ねた。そうだね?」
ζ(゚、゚*ζ「はい……」
(,,゚Д゚)「なら君の話しやすい言葉で話したほうが良い」
ζ(゚ー゚*ζ「はい……」
- 15 :>>6訂正:2013/01/28(月) 01:03:37 ID:FqVCPQFs0
-
「興味深い事柄は、納得がいくまで調べたい質でね。
なに、例えそれが死を招いたとして、真実を知ることのできない悲しみよりも、随分マシだ」
(-@∀@)
【探索者名】アーサー・ヴァレンタイン
【職業】精神科医
【学校・学位】コロンビア大学卒
【精神的な障害】不眠症
【性別】男性
【年齢】29
(能力値及び能力値ロール)
【STR】8【DEX】11【INT】18【アイデア】90【CON】10【APP】13【POW】15【幸運】75
【SIZ】14【SAN】75【EDU】17【知識】85
【DB】0【HP】12【MP】15
(探索者の技能)
【医学】80【信用】45【心理学】80【精神分析】80【心理学】85【ラテン語】90【ドイツ語】90【回避】60【図書館】70
- 16 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 01:05:16 ID:FqVCPQFs0
- 中途半端ですが、本日投下は以上です
- 17 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 02:00:04 ID:2Ai9IVSQ0
- 期待するよ!
- 18 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 11:11:00 ID:qvMVaveE0
- 期待
- 19 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 12:40:29 ID:YU42LP9Q0
- リプレイみたいになるのかな?
- 20 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 19:44:27 ID:rVIYCS5s0
- comeon
- 21 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 20:50:32 ID:vOViWO0U0
-
ギコはティーカップに注いだ湯を流しに捨てて、考えを巡らせる。
砂糖はまだ残っていただろうか、ミルクは昨晩買って帰ったはずだ、茶菓子は生憎ないな……。
些末なことに思案しているふりをして、どうにかこの忌々しいくらいに気まずい沈黙をやり過ごそうとしていた。
やはり、若い娘さんは苦手だ。
こんなとき、妻がいてくれればどんなに気持ちの落ち着くことだろうか、ギコは詮無いことを考えそうになって、慌ててそれを否定した。
ζ(゚、゚*ζ「……。」
テレーゼと名乗った少女もそれは同じようで、胸元のペンダントを弄ってみたり、髪を触ったりと、落ち着かない。
不意に床下に落ちる瞳は暗鬱で、緩慢な動きを繰り返していた。
- 22 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 21:30:12 ID:vOViWO0U0
-
(,,゚Д゚)つ◯「どうぞ」
ζ(゚、゚*ζ「恐れ入ります。夜分にお宅に上がり込んだ上に、お茶まで頂いてしまって……」
ζ(゚、゚*ζ「あの……私……」
(,,゚Д゚)「はい、何かな?」
テレーゼは敬語を崩す気はないらしく、ギコに向かって懇ろに礼を言った。
まあ、自分が自然に振る舞っていれば、いずれ彼女も打ち解けてくるだろう。
ギコは半ば諦めたようにそう思うことにした。
テレーゼはティーカップの温もりを逃がさないように、細い指先でカップを包み込む。
金縁にそっと唇を寄せて、素敵なカップですね、と呟いた。
(,,゚Д゚)「ああ、それは昔妻が買ったものなんです」
私が選んだものにしては随分と気の利いた品物ですからね、ギコはやや肩をすくめ、溜め息をついてみせた。
- 23 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 21:50:16 ID:vOViWO0U0
-
ζ(゚ー゚*ζ「ふふふっ。やっぱり」
テレーゼはギコの冗談めかした態度に少し微笑むと、ティーカップの縁をそっと撫でた。
たしかあれは結婚祝いにと、妻と二人で買いに行ったものだ。
少々値は張ったが、記念だから、と妻に押し切られるようにして購入した。自分にはどれも同じように見えたが、やはり購入を決意して正解だったらしい。
何よりギコはテレーゼがやっと笑顔を見せてくれたことに、心から安堵していた。
ζ(゚、゚*ζ「あのう……今日は奥様はお出掛けですか?」
少し砕けた口調でテレーゼが尋ねる。
首を傾げて不思議で堪らないといった様子だ。
(*,,゚Д゚)「ははっ。一年前に離婚しましてね。今この家にいるのは私一人きりです」
今度はギコが苦笑を洩らす。
大人びていたり、子供っぽい仕草をしてみたり、忙しい少女だ。
そのおかげで、重苦しい話題をできるだけ何気ない調子で話すことができたわけだが。
- 24 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 22:04:32 ID:vOViWO0U0
-
ζ(゚ー゚;ζ「あっ、私ったらなんてことを……」
(,,゚Д゚)「いえ、あなたが気にすることはありません。それに一年も前のことですから」
(,,゚Д゚)「ところで、まだ私はあなたからご用件を伺っていませんでしたよね?」
もごもごと口ごもるテレーゼに、ギコは目を細めてみせる。随分と世間ずれしていないお嬢さんだ。
やはり、どこかのご令嬢という自分の第一印象は、間違っていないらしい。
ギコは微笑んだあと、話題の矛先をテレーゼに向けた。
- 25 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 22:31:30 ID:vOViWO0U0
-
ζ(゚ー゚*ζ「あの……。本日伺ったのは、ウィルソンさんに助言を頂こうと思ったからなんです」
(,,゚Д゚)「助言?……俺に?」
突然の申し出に、ギコは思わず素っ頓狂な声を上げる。
大学の教授やなんかならまだしも、自分はしがない刑事だ。
刑事が助言できることなど限られている。
そしてその大半が、きな臭い犯罪に関わってしまった当事者か、被害者か、のどちらかだ。
防犯の心得に関しては、街を巡回する保安官の方がよっぽど詳しい。
ζ(゚ー゚*ζ「はい。あの……私、実は向かいのアパートに住んでいるんです」
ζ(゚ー゚*ζ「越してきたときに、お隣の奥さんから『ここは治安もばっちりよ。なんたってお向かいに刑事のギコさんが住んでるんだから。』って、言われたんです」
(,,゚Д゚)「ああ……」
合点がいったとギコが頷く。
これでなぜ彼女が半開きのドアにすぐさま気づいたのかは、納得がいく。
きっと今日は自分がいつ帰宅するかわからないから、窓から明かりがつくのを覗いていたのだろう。
自分はすぐさま酔いつぶれて、しかも寝ぼけてすぐに消してしまったようだが。
- 26 :名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:39:03 ID:vOViWO0U0
-
ζ(゚ー゚*ζ「私には一つ違いの姉がいます」
テレーゼが意を決したように話し出す。
表情は一気に曇りかなり辛そうだが、喋ってしまえばいずれ気にならなくなるだろう。
ギコは目配せで先を促した。
ζ(゚ー゚*ζ「実はその姉が昨日から帰っていなくて……」
(,,゚Д゚)「お姉さんは前にこんなことがありましたか?」
ζ(゚、゚*ζ「いえ、一度も……」
ζ(゚、゚*ζ「姉はもともと内気な人で、夜遊びらしいこともしたことがないんです」
(,,゚Д゚)「ご両親に連絡は?」
ζ(゚、゚*ζ「両親は私達が幼い頃に亡くなりまして……」
ζ(゚、゚*ζ「私達は二人きりの姉妹なんです」
(,,-Д-)「そうですか……」
- 27 :名も無きAAのようです:2013/01/29(火) 00:19:01 ID:JcyYV7KY0
-
おそらくテレーゼは、姉に真っ先に連絡を取っているのだろう。
テレーゼに重ねて質問すれば、どうやら何度かけても電源が入っていないらしい。
とりあえず話を進めるためにも、ギコは最も重要なことから尋ねていくことにする。
(,,゚Д゚)「では、警察には連絡を入れましたか?」
ζ(゚、゚*ζ「今日の夕方頃、保安官の詰め所へ連絡を」
(,,゚Д゚)「そうですか。ちなみにお姉さんはおいくつですか?」
ζ(゚ー゚*ζ ?「二十歳です。あの……それが何か?」
(,,゚Д゚)「……。」
だとすれば、自分にできることは何もない。未成年者ならともかく、成人女性が一泊どこかへ外泊したとしても、警察は動かない。
沈黙したギコにテレーゼはわかっている、というふうに頷く。
- 28 :名も無きAAのようです:2013/01/29(火) 01:09:48 ID:LhH419aUO
- TRPG風って事は実際やったセッションじゃなくオリジナル?
- 29 :名も無きAAのようです:2013/01/29(火) 01:45:36 ID:Kkltk8O60
- >>19>>28
あくまでもリプレイ風です
シナリオにつきましてはルールブックを
持っている方だと後々ピンとくると思います
- 30 :名も無きAAのようです:2013/01/30(水) 12:06:50 ID:ihAYVptk0
-
ζ(゚ー゚*ζ「今日ここにお邪魔したのは……」
ζ(゚、゚*ζ「えっと、その。」
テレーゼが言葉に詰まり、また眉を八の字にする。
せっかくの美しい顔立ちが、この表情をするたびに御破算になるような気がして、少しもったいない。
テレーゼはそのまま言葉を探しているようだった。
(,,゚Д゚)「本人と連絡は取った、捜索願も出している……となれば、あとは様子を見ていくくらいしかないでしょうね」
苦しい言い訳だ。
わざわざ自分を頼ってきてくれたお嬢さんに、俺はこんなことしか言ってやれないのか。
胸をチクリと射す罪悪感から、ギコは紅茶を一口啜る振りをして、テレーゼから視線はずした。
- 31 :名も無きAAのようです:2013/01/31(木) 00:02:53 ID:LJk/B1ig0
-
ζ(゚、゚;ζ「あの!」
ζ('、`;ζ「あの、私……こんなこと、今まで一度もなかったので……。少し、混乱してるんです……」
(,,゚Д゚)「……。」
ζ(゚、゚*ζ「だから、ウィルソンさんに話を聞いて頂いて、随分気持ちが落ち着きました」
僅かに唇を引き上げて、テレーゼが笑顔を作る。
ギコはその笑顔を真正面から受けとめることができず、再び視線を床へ落とした。
ζ(゚ー゚*ζ「助言を、などと言いましたが、多分……私は誰かに話を聞いてほしかっただけなんです」
ζ(゚ー゚*ζ「姉と私は双子のようで……。顔もそっくりなんです。ふふふっ、私達姉妹。
いつも二人寄り添って生きてきましたから、まさか、姉が連絡もなしに外泊するなんて考えたこともなくて……」
過保護ですよね、何か痛みを堪えるような顔をしてテレーゼは呟く。
- 32 :名も無きAAのようです:2013/01/31(木) 00:15:54 ID:LJk/B1ig0
-
ζ(゚ー゚*ζ「今日は話を聞いて頂いて、本当にありがとうございました」
(,,゚Д゚)「いや、私は……」
言葉を繋げることができず、ギコは開いた口を閉じた。
テレーゼの姉がけろっとした顔をして翌朝帰宅してくれれば、このもやもやとした気持ちは晴れるのだろうか。
ζ(゚ー゚*ζ「もう、帰らないと」
あれこれと考えるギコにテレーゼが深々と一礼したあと、ソファーから立ち上がった。
やって来たときよりは幾分かすっきりとした顔をしているようだった。
(,,゚Д゚)「夜道は危ない。送りましょう」
ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫です。お向かいですから」
ζ(゚ー゚*ζ「失礼します」
- 33 :名も無きAAのようです:2013/01/31(木) 00:16:48 ID:3a3yMZQA0
- comeon
- 34 :名も無きAAのようです:2013/01/31(木) 01:48:11 ID:LJk/B1ig0
-
帰ろうとするテレーゼをギコはとっさに呼び止めた。
なぜか、そうしなければならないという、必要のない使命感に駆られたのだ。
テレーゼは少し怪訝な顔して、ギコを真っ直ぐ見つめている。
(,,゚Д゚)「テレーゼ」
ζ(゚、゚*ζ「はい?」
(,,゚Д゚)「こんなことは考えたくないんですが……。
もし、あなたのお姉さんが明日の夜まで帰らないようなら、私にお姉さんのポートレートを一枚下さいますか?」
テレーゼはギコの言葉に少しだけ驚いたようだが、やがてしっかりと頷き返した。
ζ(゚ー゚*ζ「……わかりました。」
(,,゚Д゚)「それとお姉さんのお名前は?」
ζ(゚ー゚*ζ「クリス……クリスタライン・アームストロングです」
(,,゚Д゚)「わかりました」
ζ(゚ー゚*ζ「宜しくお願い致します。……それでは」
(,,゚Д゚)「ああ、さよなら」
ζ(゚ー゚*ζ「さようなら、ウィルソンさん」
扉を今度はしっかりと施錠して振り返ってみれば、部屋は恐ろしいほどにしんと静まり返っていた。
(,,-Д-)「はぁ……」
自分は家族以外にも、大切な何かを失ったのではないのだろうか。
ギコは海底の奥深くに沈む、汚泥に触れたような冷たさを感じて、
大きく息を吐き出したあと、けして何事もなかったかのように振る舞うことにした。
- 35 :名も無きAAのようです:2013/01/31(木) 01:50:01 ID:LJk/B1ig0
- アルバムに「カーターからの手紙」、「テレーゼのペンダント」が追加されました。
- 36 :名も無きAAのようです:2013/01/31(木) 02:08:55 ID:LJk/B1ig0
-
No.01 カーターからの手紙
【人物】 ギコ・ウィルソン
【入手条件】 特になし
【内容】
封蝋の施された旧友カーター・モリスからの手紙。
丁寧な筆跡でギコ・ウィルソンに会いたい旨が書かれている。
【備考】
目星に成功すれば、手紙に施された印璽(いんじ)が長年彼が愛用しているものであり、また筆跡から彼自身が書いたものだとわかる。
- 37 :名も無きAAのようです:2013/01/31(木) 02:20:27 ID:LJk/B1ig0
-
No.01 テレーゼのペンダント
【人物】 ギコ・ウィルソン
【入手条件】 テレーゼ訪問時に目星に成功
【内容】
テレーゼ・アームストロングのペンダント。純金製。
ペンダントの中には両親の写真が入っている。
【備考】
目星に成功すれば、ペンダントに施された細工から、かなり高価なものだとわかる。
- 38 :名も無きAAのようです:2013/01/31(木) 02:22:12 ID:LJk/B1ig0
- 探索者一人目の導入おしまい。
まだ続くのでお付き合い頂けると幸いです。
- 39 :名も無きAAのようです:2013/01/31(木) 13:21:40 ID:ZeHwt4gwO
- 面白そうですね。クトゥルフ神話は好きですがTRPGには疎いので新鮮な気持ちで読めます。頑張ってくださいな。
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