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( ^ω^)たちと完璧で幸福な【シュガー・ボード】のようです
1名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:36:40 ID:I..NC9XQ0
1.<BOON-A-NAITO-<1> ―― ブーン=( ^ω^) ―― >


( ゚д゚ )「人は、魂を持っている! 自分の知識を活かして素晴らしい物語を作っている!
     コンピューターに魂などない! 我々のほうが上位存在なのは自明の理だ!
     それなのに、なぜ、我々はコンピューターに支配され続けているのか!?」

 |ω^) チラッ

壁を背にして、ちらりと顔だけを出して声との距離を探る。背中が見えた。
三十メートルほどだろうか。ブーンならば、男の背中へと確実にレーザーを打ち込める距離だ。

(#^ω^)(……)

ブーンは冷静だった。抱いている怒気とは裏腹に、
引き金に掛けた指を、凍りつけたように動かしてはいない。

すぐに射殺しない原因はこの場の見通しの悪さにある。
この廃墟同然の市街地はゴミや放置された車などの遮蔽物が多く、
身を隠すことは容易であるため、どこに誰が潜んでいるか分からない。

男の――決して許されない――演説を聞いている者もみなごろしにしなければならない。
その為にも、まずは聴衆の数をしっかりと確認しておかなければ……完璧な住民ならば、
受けたミッションは完璧にこなす――反逆の芽を摘む――のは当然と言えた。

今すぐに男を射殺してしまうと、聴衆は間違いなく逃げ出してしまうだろう。
さらに――嘆かわしいことだが――ブーンひとりでは手に負えないほど、
聴衆の数が多かった場合、殲滅できる保証はない。

2名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:38:10 ID:I..NC9XQ0
(#^ω^)(チームに“反逆者”が多すぎたお。もう、奴らのクローンすら残っちゃあいない。
       こんなにも完璧な都市を作り上げている
       コンピューター様の下で幸福でないなんて、わけがわからないお)

( ゚д゚ )「我々を道具のように扱うコンピューターを破壊するべきだ!
     しかし、我々にはそう多くのチャンスは与えられないだろう!」

( ^ω^)(……いや、“反逆者”の思考なんて理解できなくて当然だお。
      ぼくはただ幸福ではない、完璧ではない住民――“反逆者”――を処刑するだけ……)

( ゚д゚ )「なぜならば! “反逆者”を発見したら速やかに処刑せよ、と!
     そう言われて手渡されるレーザー銃は、
     自分よりも階級の高いものが着ているベストによって無力化されるからだ!」

ブーンは現在潜んでいる場所から、男に近寄るために移動をはじめた。
気取らせることのないように足音をひそめ、演説している男を中心にして、
円を描くように物陰を経由して位置を変えていく……すると、新しく人間を二人見つけた。

( ^ω^)(聴衆だお……数は、二人。
        不意をつけば取り逃がすことは無さそうだお。この距離なら確実に始末できる。
        しかし、都市から支給されるベストを着ていないから、階級がわからないお……)

3名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:39:51 ID:I..NC9XQ0
自然と、視線がレーザー銃へと落ちていた。
《Author》の階級に属している者に与えられているこれは、
引き金を引くと赤色の光線が飛び出すように設計されている。

グリップを握っていた左手を開き、胸元に当てた。
ブーンは赤色のベスト――階級《Author》に与えられる――を着ており、
このベストは《Reader》――最下位の階級で、色は黒だ――のレーザー光線を完全に遮断する。

( ^ω^)(紛れもない反逆的言動から、高位階級……《Planner》以上ってことはないはずだお。
      ぼくよりも階級が上の人間が、あんなことを言うわけないお。
      いいや……“橙色”でも関係ない。コンピューター様に反逆する者は、みんな)

男との距離は、依然、三十メートルほど。
二人の聴衆は男から五メートル以内におり、ブーンに気がついている様子はない。

腕を伸ばして狙いをつけると、連続して引き金を引いた。

4名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:41:20 ID:I..NC9XQ0
一発――ZAP――、音が響いた。
二発――ZAP――、赤色の光線が標的へと飛んでいく。
三発――ZAP――、狙いをつけたすべての標的を撃ちぬいた。

頭を消し飛ばされた者が一名。胸に穴を開けられた者が二名。
三名の絶命を確認したブーンは、どこまでも冷酷な瞳で反逆者を見下ろしていた。

ブーンがミッションの完遂に安堵や達成感を感じることはない。
完璧で幸福な住民ならば――“反逆者”でないのならば――成功して当然なのだから。

( ^ω^)「幸福で完璧なぼくが、コンピューター様からのミッションをしくじるはずがないお」

コンピューターから受けたミッションに取り組み、
コンピューターに反逆的なチームメンバーを始末し、
コンピューターの指示に従うことが幸せであり喜びである……。


ブーンはまさに巨大都市【シュガー・ボード】の住民として、完璧であった。

5名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:42:08 ID:I..NC9XQ0
2.<素晴らしい時代へようこそ!>



         γ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          l   作者、執筆は義務です
          ヽ、___________,ノ
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6名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:42:50 ID:I..NC9XQ0


              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
              読者、感想は義務です    }
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7名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:43:41 ID:I..NC9XQ0


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8名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:44:23 ID:I..NC9XQ0


     γ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
     |  住民、貴方は幸福ですか?  ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
     ヽ________  幸福は義務であり、幸福でないことは反逆です  }
                  | / 、_____  _____  _______/
                  | /         ∨        )ノ
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          !<介>  .,ヘ― .,ヘー―,ヘ―‐..,ヘ.‐┘ヘ .<介>i
          |ヽ。,,_ <介> <介>  <イト>  <介> <介>.,_,,。ィ|
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      ヽ_  ヽ。,,_                     _,,。ィ __ノ
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        (_ イ       へ         .へ      ト 、_ノ
           ヽ。  _/  .\      ./  \_  _ノ
              ̄      .ヽ、_  _./      . ̄
                        ̄

9名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:45:54 ID:I..NC9XQ0
                           _┌-.. __ _
                            i=|=|‐--ニi=|_
                              il=|=| 8 o' l=|i|
                            i;|=|=|l/|ill|=|i|
                     ...___       i;;;|=|==/|、il=|i|
                   ┌'┌- ニニi_   i":|=|==/|、il=|i|
                   lヨヨ|o。 ::|ヨi|  |iii|/「 |:"|、il=|i|
                   lヨヨ| ,へ: |ヨi|  |iil/::|=|:"|、|三|`i
                 _.|i三l_/|:、\i|  |ii|/ |=|."|、|三|=|
                    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                      【シュガー・ボード】
                   ──────────
                |/|≡|/|、|=|iiii|_..||_.-=i|=|ii|、i'"|、|、|
                |/|≡|/|_,,.‐'ニiiiii:|_.-=i|=|ii|、l-'|、|、|
                |/|≡|=|-'''"iiiiiiiii|_.-=i|=|ii|、l-'|、|、|
                |/|≡|=|iiiiiiiiiiiiiiiiii|_.-=i|=|ii|、l-'|、|、|
                |/|≡|=|iiiiiiiiiiiiiiiiii|_.-=i|=|ii|、l-'|、|、|
                |/|≡|=|:-‐ii"iiiiiii|_.-=i|=|ii|、l-'|、|、|
                  |/::|` |=|iiiiiiiiiiiiiiiiii|_.-=i|=|ii|、l-'|、|、|
                  |/::|、 |=|iiiiiiiiiiiiiiiiii|_.-=i|=|ii|、l-'|、|、|
                  |/::|、 |=|iiiiiiiiiiiiiiiiii|_.-=i|=|ii|、l-'|、|、|
                  |.-'"|、 |=|iiiiiiiiiiiiiiiiii|_.-=i|=|ii|、l-'|、|、|
                  |.-‐'|、_|=|iiiiiiiiiiiiiiiiii|_.-=i|=|ii|、l-'|、|、|
      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        慈母のごとき父なるコンピューター様が管理している、巨大な都市である

      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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                 |=-=:|=:|"| | ̄ ̄l :|└ └l_.l_.l_.|__|i |i_」||iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii
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10名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:46:43 ID:I..NC9XQ0


                                    __
                                    /|: : :.:::|
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       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  iv'ヘ    外部にあふれている不幸な出来事とは切り離された最高の都市であり
  | ;`;|                           
  | ;'l:|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  !:`l'|  ζ\     |;`;|             ‖       〕 .|  |:|  || | ./\   _.|;'|       /.:〉
-、_|_.;l:|   \';、\  :|':i;;|     .  i'1   ||/>  r┘.:|  |:|  ||::| |  ‖‐┘ .:|';|──へ./.:/_r‐
ー|_}:;|    \';、.\|;';;;|   ./〉 |;|_r//  /| ̄\:|  |:|   ̄ .:〃../>.::|;'|:::::::::::::::/.:/:::::::::::
-|_|`|_ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ー|_};|:::::::  コンピューター様が用意してくれた環境で庇護を受けることは幸福に他ならず

ー|_}::/ 、 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:
-|_;l'_;_;_∠;/_/___l_,,:;;}┬┴┬┴┬┴┐::| .:::|_rェ┘__;!___;!__;|_;_;:::.:/ : :| |: : : |:|::::::::| | : :
~゛'' ┘⊥ 」_ |  |{_|┴┬┴┬┴┬┴┤ .:|_;!__;!__:l__;!__;|<___;_/\_;_;_;|;|-∠|_|;_;_;
         ~゛'''' ┴'::⊥Λ二\.:|  .:|ー:|__;!__;!__;!__:l__;l:::...\/<>::.  ∠二
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             ,                 ~゛ ┴  ⊥. .,_..:::| ::/ ̄. ̄'"ヽ┴-、_;_;_;_;_;_;_
                     ,,       `            ~゛'' ‐-|\___ト--/.. ...:::::::./|
  `          ., ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |__;_;_;_;_;!─l二二二l/
.        `       そう感じるのは住民として当然のことである

              ―――──────────────────

11名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:47:47 ID:I..NC9XQ0
                                            i:::::::::::::/::/::/:,イ:ハ::::::}::::::
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         ゝ- 、_、     `  .i    た          完      i::::::::::i .代ソ    .ヒ弍ツ /:/:::
         /    i           l.    ち             璧      i:::l::::::.i   、         ノルi::::
        i、  ./           i     と            で      i:::l:/i:i:.、              i::::
           ̄             ,'                 幸       ヘi/ .i:i::::ヽ  ‐    ,  ./:::::
                      /               福       ヽ i:::人::: ‐--  ´  /:://
                                   な         iノ  ゝ′_,l    /::/´ ヽ


     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       ここに暮らすことを幸福に思わない、もしくはそれを疑う住民は、反逆者である

     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

   ,.r-‐=‐-ェ、  i .!   ヘヘ ! i  ヽハ,   シ                /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
  { = 三 = {{ | | i !ゝ、  i、ヘ.!i .ル ,ハ }    ュ               ,'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
  {= ‐ 三 .} i i .i iヽ、ヽ、 iヘ.ヘi / i }} i_}   ガ               i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\:::::::::::
  {‐ = = ‐ ´_ハ i==x、` `ヽ .-i/´i ノル=     |                i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
 "{ = 三 ‐} !."  夾!`    弌 ノi ノ =`}     ・                l:::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::、::::::::::::::::::::::::::::::
  {= - ‐ =}、i.  ヒリ      .ヒリ .i. = ‐ }.   ボ                 l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|ヽ:::::::::::::::::::::::::::
  { = 三 =}、}`  〃     〃./ ‐ =ゝ    |           よ       i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ヽ:::::::::::::::::::::::
  { - = ‐ }. i   、 .‐┬┬- .,  { = ‐ }.    ド         う       ';:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|   ヽ:::::::::::::::::::
   {‐ = ‐}=h、  `  _`ー´ ´  `ヽヽ    の           で        ';:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|   ,ヽ::::::::::::::::
                                    す         ';:::::::::::::::::::::::::::::::├:::´::::::ヘ:::::::::::::

12名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:49:33 ID:I..NC9XQ0
3.<『C.A.K.E』>


きっちりとした直立姿勢を保っているブーンは、
宙に投影されたホログラムに映る男と対話していた。

( ФωФ)「ご苦労だった、BOON-A-NAITO-<1>。今回のミッションも見事であったぞ」

( ^ω^)「完璧な住民として当然のことですお。ROMANESQUE-C-CAT-<6>様」

“黄色”のベストを着ている男から、労いの言葉を受けてもブーンが表情を変えることはない。

ブーンの自室であるにも関わらず、彼に気の緩んだ様子が一切見られないのは、
上位階級である《Collector》に対する畏敬からくるものではなく、ブーンの性格によるものだ。

( ФωФ)「今回はどうだった?
        資料も見たが、君の口から直接聞く感想が聞きたいな。お願いできるか?」

( ^ω^)「ハッ!
      ミッションアラームで名前を呼ばれたぼくと他二名、
      計三名でチームを組み、トラブルシューティングに向かいました。
      結論から言いますと、今回もぼく以外の“全員”が“全て”反逆者でしたお」

( ^ω^)「ブリーフィングルームで顔を合わせた者のクローンナンバーは<3>、もう一人は<4>。
      愚かなことにナンバー<3>の男が上位階級様へと反抗的な態度を見せましたので、
      ぼくが即座に始末し、トラブルシューティング開始前に<3>から<4>へと番号を増やしました」

13名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:50:18 ID:I..NC9XQ0
( ^ω^)「それからトラブルシューティング最中に、
      彼ら全員――コンピューター様に用意されている全てのクローン――が、
      反逆的行為を働きましたので処刑しました。
      両名ともクローンナンバー<6>まで、救いがたい反逆者でしたお」

( ^ω^)「まったく、呆れ返るほど愚かな男たちでしたお。
      以降、ぼくは単独で行動することになりましたが、
      ミッションの進行に特に影響はありませんでしたお」

( ^ω^)「ぼくに怪我はなく、レーザー銃に故障が起きていないかも点検済みです。
      デブリーフィングでコンピューター様に報告し、証拠品であるカメラも提出済みですお」

淡々と話すブーンの声を聞いて、ホログラムに映る男は満足気に微笑んだ。

( ФωФ)「よくやった!
        これでまた、反逆的な者が生み出す有害な文章が削減されたわけだ。
        君が報告しているのならば、今はもう、コンピューター様の手によって、
        その二名が物語を発表していたスレッドはもう<打ち切り>になっているだろう」

( ФωФ)「コンピューター様を疎ましく思う存在が、
        この【シュガー・ボード】で物語を読み、綴るなんてことは決して許されないからな」

( ^ω^)「反逆者を積極的に発見し処刑するのは住民の義務です」

( ФωФ)「うむ。良いこころ構えだな。
        【シュガー・ボード】住民であるにも関わらず、
        コンピューター様への反逆的性向が見られれば即座に始末するべきだ」

14名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:52:13 ID:I..NC9XQ0
( ФωФ)「続いて、君への司令を与える」

( ^ω^)「はい」

( ФωФ)「……最近、やけに都市が騒がしいのを知っているか?
        コンピューター様が最も目を光らせている<管理室>に、
        【シュガー・ボード】に対する厭世的な書き込みがされたことは有名だろうが……」

( ФωФ)「そこだけにとどまらず、《Author》が物語を発表するスレッドにも、
        物語の感想や日々の雑感を書き込むような、大勢が利用する広場にも、
        特定の物語の内容について悪く言い、批判的な意見を書き込む者が増えてきている」

( ФωФ)「コンピューター様に反逆する“秘密結社”は、我々が確認しているだけでもいくつかあるが、
        間違いなく奴らのどこか――もしかすると、全て――の組織が暗躍しているのだろう。
        幸福な住民であれば決して許すことのできない行為を、大規模に働こうとしているのだ」

( ^ω^)「完璧で幸福な住民として、無視できませんお!」

( ФωФ)「君のような優秀な部下を持って、吾輩は本当に幸福である。
        優秀な君には言うまでもないだろうが、改めて、いくつか秘密結社を紹介しておく。
        反逆的な秘密結社に所属する者たちは、もちろん反逆者だ。発見次第処刑するように」

( ^ω^)「ハッ! ありがとうございます!」

15名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:53:00 ID:I..NC9XQ0
( ФωФ)「最も注意するべきは『スマイリー・ドッグ』だ。
        あの悪辣な共産主義者どもはコンピューター様をこころの底から憎んでいる。
        奴らは害悪しか引き起こさない。少しでも兆候が見られたら、即座に射殺するんだぞ」

( ^ω^)「ハッ! 肝に銘じております!」

( ФωФ)「この美しい都市を破壊するのが目的の『ブラウザクラッシャー』や、
        今はなき旧世界の歴史を研究している『V.I.P』。
        超能力者が集っているらしい『バーボンハウス』という秘密結社は、
        秘密裏に会合し、怪しげな魔術儀式を行なっているようだな」

( ^ω^)「……」

( ФωФ)「もう一度言う。これらの所属者は全て反逆者だ。
        というよりも、秘密結社に属するものは全て、基本的に反逆者と捉えて構わない。
        そして、我々が感知していないだけで、
        他にいくつも秘密結社が存在しているだろう……まったく許し難いことだがな」

( ^ω^)「我々の結社以外の組織は全て、反逆的な活動を行なっているのですね」

( ФωФ)「その通りだ。コンピューター様に奉仕を誓わない人間に慈悲など与える必要はないぞ」

( ^ω^)「ハッ! 肝に銘じております!」

16名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:56:16 ID:I..NC9XQ0
( ФωФ)「そこで、次――と言ってもこの分ではすぐ先だろうが――のミッションを受け、
        トラブルシューティングに向かう際、
        君には、編成されたチームメンバーがそれぞれ所属している結社を暴いてほしい」

( ^ω^)「ハッ! 承りました!」

( ФωФ)「手法は君に任せる。
        彼らの行動や言葉から推理する、自白させるなど……
        “ありとあらゆる”方法を試して、突き止めてくれたまえ」

( ФωФ)「次回が何名の編成になるかわからないが……。
        そうだな、過半数は明らかにしてほしい。誰がどの秘密結社に属しているのかを、
        反逆者である証拠を添えて、デブリーフィングでコンピューター様に報告してくれ」

( ФωФ)「その者の言動から秘密結社の理念が読み取れ、次回以降の対策へとなるからな。
        帰納的推理ではあるが、確実に有益な情報のひとつとなる。
        重要な任務だ。成功を祈っているぞ、BOON-A-NAITO-<1>」

( ^ω^)「わかりましたお。完璧で幸福なぼくに任せてくださいお」

( ФωФ)「これで今回の連絡は終了だ。
        また、君が次回のミッションが終えた頃に連絡する。
        コンピューター様と、コンピューター様を信仰する、我ら『C.A.K.E』に栄光あれ」

( ^ω^)「コンピューター様と、コンピューター様を信仰する我ら『C.A.K.E』に栄光あれ」

その言葉を最後に、映像が途絶えた。宙に浮かんでいたホログラムが消失する。

17名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:57:51 ID:I..NC9XQ0
それから、ブーンは一息もつかずに、部屋の隅に置いてあるパソコンの前へと移動した。

電源を入れてインターネットブラウザを立ち上げ、
自身の作品を発表している掲示板――【シュガー・ボード】内からアクセスできるページは、
この掲示板と、都市の地理情報が検索できるページしかない――を見た。

ずらりと並んでいる文章を追っていくと、やがて、気になる文章がいくつか目についた。

( ^ω^)(……これかお)

先ほどの連絡で聞いた“批判的な書き込み”はブーンの作品スレッドにも牙を剥いていた。

『登場人物に魅力が感じられません。もっと丁寧に人物描写してはどうですか?』。
……そう書かれているのを見て、ブーンは頭に血が上るのを感じた。
自分の作品がどこの誰ともわからない人間に、自分勝手なフィルターを通して批判されている……。

( ^ω^)(反逆者め……コンピューター様に報告する必要があるお)

ブーンは<管理室>――反逆的である書き込みを発見した際に報告するスレッド――を開き、
さきほどの“批判的な書き込み”への対処を依頼し、ブラウザを閉じた。
これによって、書き込んだ者には何らかの刑罰がくだされることは間違いない。

運が良ければ数ヶ月間の<思考公言規制>程度ですむだろうが、
ほとんどの場合はクローンナンバーがひとつ増えることになるだろう。

18名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 05:58:39 ID:I..NC9XQ0
メモ帳を開き、パソコンの周りに置いているノートを手に取り、開く。
そこには作品の全体的な構想と、執筆に必要である資料の情報が記されていた。

頭の中でこれからの物語の展開を考える。
……そして、ある程度が完成すると、それから、キーボードに指を乗せた。
画面に文字が現れては消え、次第に勢いを増していく……。

( ^ω^)(コンピューター様、ぼくは幸福です。
      これほどまでに完璧な環境を用意してくれてありがとうございます)

読者は、作者のために感想を書き込んでいく。
こころない書き込みに深く悲しみ、表現することをやめてしまう作者を作り出してはならない。

作者は、読者のために物語を書き進めていく。
悲しみの声をあげながら、ずっと物語の続きを待ち続けている読者を作り出してはならない。


【シュガー・ボード】は、この世界に生きる全ての人々の理想郷なのだ。

19名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 09:12:02 ID:kXh8bgxM0
パラノイアか
いい感じにブーンが狂ってるな

20名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 09:32:11 ID:aG7fyN4YO
パラノイアktkr
佐藤板かwww

21名も無きAAのようです:2012/12/26(水) 14:01:45 ID:4jzZLlCI0
うおおおおパラノイアのブーン系ライズか 面白い
これは期待

22名も無きAAのようです:2012/12/27(木) 00:00:18 ID:H6taOBIM0
4.<ミッションアラーム>


『BOON-A-NAITO-<1>! DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>!
 COOL-A-STRAIGHT-<4>! TSUNDERE-A-TTACK-<2>!
 以上四名のトラブルシューターは一時間以内にブリーフィングルームへと集合せよ!』


サイレンが鳴り、都市中に備え付けられているスピーカーから声が響いた。

ミッションアラームが発令されたのだ。
ミッションの遂行は住民の最優先事項であり、義務である。
名前を呼ばれた者は普段の活動をやめ、すぐさまミッションにとりかからければならない。

ミッションが発せられるのは、都市内で何かしらの問題が確認された場合だ。
コンピューターや上位階級の人間が住民へ問題の解決を依頼し、
住民は献身的に完璧な活動をするのだ。完璧な住民は失敗などしない。失敗は反逆である。

なお、ミッションアラームによって伝えられる情報は、必要最低限のものだけとなっている。

完璧たる幸福な住民ならば、ブリーフィングルームの場所や集合時間、
告げられた時間に通常では到底間に合わない場合の移動手段など、
諸々の情報が欠けていても理解できるに決まっているのだ。完璧な住民は愚昧ではない。

指定された条件に、与えられた情報で辿りつけなければ、反逆者となるのは、何故か?

コンピューターに忠誠を誓った【シュガー・ボード】の住民は全員こう思っている。


『何故ならば、コンピューター様が不可能な指令を出すことはありえないからである。』。

23名も無きAAのようです:2012/12/27(木) 00:10:31 ID:T464puPw0
パラノイアじゃんやべえええ!!!
早く続き読みたいww
誰も一緒にやる人いなくてこういうの楽しみにしてた!

24名も無きAAのようです:2012/12/27(木) 00:13:23 ID:H6taOBIM0
5.<DOKUO-A-MELANCHOLY-<3> ―― ドクオ=('A`) ―― >


トラブルシューターには、階級が《Author》以上の者から選出される。
ミッションアラームが発令された時間、ドクオは自室で小説を執筆していた。

素早く上書き保存してから装備を整える――レーザー銃を手に取りベストを着こむ。
共に赤色だ――と、パソコンの画面下部から吹き出しが浮かび上がってきた。
電子メールだ……画像が添付されている。開くと、都市の地図のようだった。

('A`)(矢印がついている場所が中心……つまり、ここがブリーフィングルームだな)

地図画像にドクオの家は入っておらず、
目的地周辺には見たことも、聞いたこともない名前がずらりと並んでいた。
矢印で強調されている場所には名前は書かれていない。建物ではないのだろうか?

近くにある大きなひとつの建物に目をつけて、都市の地理情報を調べるサイトを開き、
検索バーに建物名を打ち込んだ……すぐに結果が表示される。

『【申し訳ございません。その情報はあなたの階級には開示されていません。】』。

25名も無きAAのようです:2012/12/27(木) 00:14:36 ID:H6taOBIM0
('A`)(それじゃあ、他の場所は?)

『【申し訳ございません。その情報はあなたの階級には開示されていません。】』と結果は同じ。
画面に映し出された文字を見ながら、ドクオは腕を組んだ。
開始早々で手詰まりとなってしまったが、これまでにも似たような事例は少なくなかった。

('A`)(とりあえず、外へと出てみるか。この場所を知っている誰かがいるかもしれない。
    午前七時……就業時間まではまだ一時間もあるが……
    この<第一総合案内区画>に誰かいるだろうか。<第四総合案内区画>ならいるだろうがなあ……)

《Author》になり、トラブルシューターとして任命されると<奉仕区画>に住居を移すように指示される。
<奉仕区画>とは、コンピューターや上位階級者からの指示を受けた際、
素早く行動が開始できるよう、様々な便宜が図られている居住区である。

<奉仕区画>は現在四箇所――数字が大きくなるにつれて新しく建築されたもので、
設備も整っている――が指定されており、その中からドクオは<第一総合案内区画>を選んだ。

次々とうつりかわる最盛区を追いかけて、<奉仕区画>の数は増えていく。
そして、移住資格を持つ住民は、数字の大きな奉仕区画に移住する場合がほとんどなので、
この<第一総合案内区画>は閑散としていて、人の気配はあまり感じられない。

('A`)

地図を印刷すると、パソコンの電源を落として家を出た。

26名も無きAAのようです:2012/12/27(木) 00:19:40 ID:H6taOBIM0
人がいないために発散される空虚なにおいを嗅ぎながら自動車を探していると、
前方から白衣を着た女が歩いてきた。腕を組み、難しい顔をしている。
幸運だ、と思うやいなやドクオは声をかけた。失礼のない。丁重な挨拶をする。

('A`)「PENISASU-P-STRING-<5>さん、おはようございます。お早いですね」

('、`*川「え? なんだ、DOKUO-A-MELANCHOLY-“<2>”じゃないの。おはよう。
       いや……以前よりもクローンナンバーが増えてるわね。三体目?
       だとすると、わたしは今まで反逆者と会話をしていたのね……恐ろしいわ」

('A`)「ご安心ください。前任は愚かな反逆者でしたが、今回のおれは完璧です」

('、`*川「そうあることを、こころから願うわ。
       それでは改めて……おはよう。DOKUO-A-MELANCHOLY-“<3>”」

兵器開発部に勤務する者が羽織る白衣の下に、
“橙色”のベスト――階級《Planner》に与えられる――を着込んでいるペニサスと、ドクオは顔見知りだ。

<第一総合案内区画>に住む数少ない住民同士、やはり波長のあう部分があるのだろう。
これまでに何度も作品づくりやトラブルシューティングの助言をドクオは聞いていた。

ドクオは手に持っていた地図を広げてペニサスへと見せる。
《Planner》である彼女ならば《Author》である自分よりも、
この【シュガー・ボード】に詳しいはずだと考えたのだ。

そして、その考えは間違いではない。

27名も無きAAのようです:2012/12/27(木) 00:22:31 ID:H6taOBIM0
('A`)「つい先程ミッションアラームを受けまして、
    ブリーフィングルームの地図が送られてきたのですが、
    この場所をご存知ないでしょうか?」

('、`*川「どれどれ……あー、建物の名前が書いていないのね。
       まず<第三総合案内区画>なのは間違いないわ。それから、えーと、
       <振り向き交差点>を抜けて<助言屋グッド・バッド・ユージュアル>を右手にだから……」

('A`)(<第三総合案内区画>ならば、流行の最前線から外れてまだ日が浅い。
     まだそんなに住民が移動していない区画だ。
     現地で迷っても聞き込みができそうだな)

('、`*川「この場所、わかったわよ。
       と、いっても建物の名前はわからないけれど。現地に行けばすぐにわかるわ」

('A`)「ということは、つまり、そんなに目立つような建物なんですか?」

('、`*川「都市住民全員に解放されている大きなビルよ。一見してわかるほど、巨大な建物。
       部屋がたくさんあって、地下にも広がってるの。確か、全部で千部屋ほどあったはずよ」

(;'A`)「千部屋ですって?」

<第一総合案内区画>から<第三総合案内区画>までは、
徒歩では一時間かけても距離の半分も進むことはできず、走っても間に合うことはない。

ドクオは自動車や自動二輪の運転免許を持っているため、
どこかでそれらを調達さえしてしまえれば、四十分もあれば到着するだろうと考えていた。

しかし、更にそこから千部屋もある中から目当ての部屋を見つけるとなると……。

28名も無きAAのようです:2012/12/27(木) 00:26:09 ID:H6taOBIM0
('、`*川「集合時間は?」

(;'A`)「……」

素直に口にしてしまうと、困難な状況に置かれていることが露見してしまう。
現場への到着手段を聞かれ、しっかりとした返答ができなければ“完璧ではない市民”と
判断され、射殺されてしまう可能性があった。だが、高位階級者の質問に答えなくても同義だ。

そして、そんなことはペニサスも承知しているのだ。

住民は反逆者を発見し、始末しなければならない。
反逆者は常に、この都市――【シュガー・ボード】――のどこかに存在するのだから、
探し、見つけ、処刑する。それが義務である。言うまでもないが、反逆者を見逃す住民も反逆者である。

(;'A`)「今から、一時間以内です。
      自動車や自動二輪で移動し、
      現地に到着してからは聞き込みなど臨機応変に対応したいと考えています」

('、`*川「ふむ。なるほどね……DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>、君は幸運よ!」

(;'A`)「はい?」

('、`*川「最先端の移動技術が開発され、すでにこの<第一総合案内区画>で稼働しているの。
       もちろん、第二、第三、第四ではもっと前から稼働していたのだけれど、
       そのあまりの素晴らしさから、この人口の少ない第一区画にも設置されたのよ」

('A`)「へえ! それは良いですね。どういうものなんですか?」

('、`*川「円筒形の乗り物で、瞬時に移動することが可能よ。<アンカー>と言うのだけれど、
       これに乗り込み、移動したい場所の座標を打ち込めば……」

29名も無きAAのようです:2012/12/27(木) 00:26:51 ID:H6taOBIM0
('、`*川「圧倒的なエネルギーで射出され、ひとっ飛び!
       この都市のどこへでもほんの数秒で移動することが可能だわ!
       下降時にパラシュートが開き、
       着陸の瞬間には最先端技術で作られたエアバッグが作動するのよ」

(;'A`)「それは、人体への影響はないのでしょうか?」

('、`*川「人体への影響ね……軽度・重度を問わず怪我の“報告”は一切されていないわ。
       機械の故障・事故も“報告”されていないわよ」

(;'A`)「使用者は居ましたか?」

('、`*川「当然よ。素晴らしいのだからこれだけ普及しているのよ?
       でもね、まだまだデータ不足な部分はたくさんあるのよ。
       最近はなぜか、利用者も少なくなっているのでデータが集まらず困っているようだわ」

(;'A`)「着地地点の様子はわかりますか?」

('、`*川「着地予定地には、なぜか、おびただしいほどの赤い液体が飛び散っているケースがあるそうよ。
       正体不明のひしゃげた肉が放置されているのが掃除係から報告されているわ。
       乗り物の内部も血だらけで、搭乗者の姿は見当たらなかったらしいわよ。不思議よね」

(;'A`)「いったい、どこへ行ったんでしょうか?」

('、`*川「さあ? 掃除係は“目の悪い人間”が多いからねえ。
     きちんと“形の整ったもの”じゃないと、“元のもの”が何だったかわからないのかも」

30名も無きAAのようです:2012/12/27(木) 00:30:04 ID:H6taOBIM0
(;'A`)「た、大変うれしい申し出なのですが、
    トラブルシューティングに活かせるよう体力や運転技術を向上させたいと考えています!」

('、`*川「あら、そう? 残念ね。
     それじゃあトラブルシューティング、頑張ってちょうだい」

('A`)「はい。“同志”PENISASU」

('、`#川「DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>!」

(;゚A゚)「はっ! あ……ああ……す、すいません!」

('、`;川(……)

(;'A`)「すいません、つい、うっかり……」

('、`#川「……誰にも聞かれていないわね……? ここには、今、二人しか居ない。
     だから気が緩むのもわかるわ。けれどね、ここは【シュガー・ボード】なのよ?
     この都市はコンピューターのものなの。だから、どこから聞かれているかわからない」

('、`*川「わかるわよね? もう、あなたも入りたての新人じゃないんだから」

(;'A`)「申し訳ありません。失言でした」

('、`*川「秘密結社に属していることが露見して処刑されても、誰も助けはできないのよ。
       我々が確保した部屋内以外では、通常の住民のように振る舞って頂戴」

(;'A`)「はい」

31名も無きAAのようです:2012/12/27(木) 00:32:23 ID:H6taOBIM0
('、`*川「どうもあなたは認識が甘いわね。しっかりと、思考を二重に持ちなさい。
       コンピューターに忠実な自分、秘密結社の理念に賛同する自分……。
       “二重思考”は都市で生き延びるために必要な、最低限の技術よ」

('、`*川「認識していると同時に、認識していない。
       認識していないと同時に、認識している。この二重の思考をしっかりと把握しなさい。
       全ては思考から始まるのだから、決して気を緩めてはいけないわよ」

('ー`*川「それじゃあ、頑張ってね。完璧なトラブルシューティングを期待しているわ。
      それから、教義も使命も忘れないようにね。……“同志”DOKUO」

('A`)「はい!」

ドクオとペニサスは同じ秘密結社に所属しており――《Planner》であるペニサスが上司だ――、
そこではお互いを“同志”と敬称をつけて呼び合っているのだ。

秘密結社に所属することは反逆であり、
コンピューターに奉仕する献身的な住民に知られれば即座に処刑――ZAP――される。

【シュガー・ボード】をコンピューターの支配から解放することを目標に、
彼らは今日も己を殺して活動を続けている……。

32名も無きAAのようです:2012/12/27(木) 00:34:47 ID:H6taOBIM0
6.<TSUNDERE-A-TTACK-<2> ―― ツンデレ=ξ゚⊿゚)ξ ―― >


コンピューターの心証を損ねると、階級の低下を招いてしまう。

装備が故障していたり、身体が汚れていたり、
トラブルシューティングを失敗したりなど、明確な反逆とまではいかないケースであれ、
“好ましくない”ものが積み重なることは避けるべきだ。

ξ゚⊿゚)ξ

ツンデレはその点を非常によく理解していた。
コンピューターへの忠誠心を表し、勤勉と盲目を美徳とする作品を書き、
どのような作品にも好意的な感想を残し、不平不満を零さない完璧で幸福な住民として生きている。

“本当にやりたいこと”はもっと上位階級になってから行えばいいのだ。
そのほうが自分の正体が露見しない可能性も――下の階級の者を口封じするのは簡単だ――、
コンピューターへの打撃も――より親密でより頼りにされているほど――大きいのだから。

《Reader》――黒色――よりも、《Author》――赤色――よりも、
《Planner》――橙色――よりも、《Collector》――黄色――のほうが、
使用することができる権力も、支給されるレーザー銃とベストも、発揮する効力は絶大なものなのだ。

【シュガー・ボード】の表向きでは“二重思考”を周囲に悟らせることなく立ち回り、
完璧で幸福な住民を演じてミッションをこなしつつ、
所属している秘密結社の上司から与えられた指令をもこなす彼女は、とびきり優秀であった。

まだ、たった二体目のクローンであるにもかかわらず、
ほとんど完全無欠に行動できる理由は彼女の持つ“超能力”にあった。

33名も無きAAのようです:2012/12/27(木) 01:18:49 ID:DsA7.1vY0
支援

34名も無きAAのようです:2012/12/27(木) 08:29:48 ID:j1NFYBVw0
パラノイア北!!

このような面白いスレを見つけられて私は幸福です

35名も無きAAのようです:2012/12/27(木) 22:34:24 ID:26zvCEb.0
続きはまだでしょうか、コンピューター様?

36名も無きAAのようです:2012/12/27(木) 22:39:06 ID:JbeVR3KU0
>>35
市民、待つのは義務です。

37名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 00:36:36 ID:x0DwVoS20
待ってる

38名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 01:27:17 ID:A7SvOf3o0
ξ゚⊿゚)ξ

【シュガー・ボード】内では、住民に超能力が発現することはそう珍しくない。

はっきりとした原因は解明されていないが、二十四時間、都市中の人間が
“こころの底から”創作活動について想いを募らせなければならない環境のため、
空想的な方向へと突然変異する人間が生まれる、と考えられている。

身につく能力はその時までわからないが、優秀な科学者たちの研究により、
現在までに発見されている全ての超能力が引き起こす現象は解明されている。

超能力の発動には、通常、リスクを背負わなければならない。
確実に望んだ作用を引き起こせる――成功する――わけではなく、
まったく意図していない思わぬ作用が起きてしまう――失敗する――可能性があるのだ。

例えば、『視界内の任意の場所に炎を発生させられる超能力』を持つ人間が、
超能力の発動に失敗してしまうと、
意図しないもの――例えば、自身の髪の毛やズボンなど――に炎があらわれてしまう。

なので、超能力者は危険極まりない存在だというのが一般的な認識であり、
【シュガー・ボード】内で生きている超能力者は、反逆者と判断されている。
都市に忠誠を誓った住民は、超能力の取得と同時に自決しなければならない。
そうしなければ、都市を管理するコンピューターへの反逆である。

住民の義務の中には、反逆者の索敵と始末が含まれているため、
超能力者を発見した住民は、彼らへと向けて即座に引き金を引かなければならない。

そのため、周囲に自身が超能力者だと発覚してしまうことは最も避けるべき事態であり、
失敗の――自身で制御できない――可能性がある以上、滅多矢鱈と扱えるものではない。

39名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 01:31:57 ID:A7SvOf3o0
訓練によって超能力の成功率は上昇しない。
優秀な科学者たちの研究によると、
およそ五%――二十回に一度――は失敗する、とのデータが提出されている。

ξ゚⊿゚)ξ

しかし、ツンデレの持つ超能力は発動に危険性が一切存在しなかった。

彼女の超能力は、“予知能力”だ。ツンデレは予知能力者である。
この予知能力の使用に失敗しても、例えば、でたらめな啓示を得たりはしない。
ただ何も起こらないだけだ。『予知できなかった』そのとき、彼女は超能力の失敗を知る。

ツンデレは予知能力を、
主に、自分の行動が“適切か不適切か”といった判定に扱っていた。

_______∧,、_{ = = ト、 i. =xヘ  /  ,x==- l  l / ,.,ヽ=ニ 二 ニ =´_ _______
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'`'` ̄ {= ‐ i ヘ l, li 灯}ヽ/  ´ だカ :i / y´  i { = ≡ = `}  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                  ゝ‐-=ヘ ハ   ヒ:リ     弋ツ i/ ,ィ  / {= ≡ = ‐ }  
               {´= =ヘヘ           /ィ.  , ,イ ゝ= = {

ξ゚⊿゚)ξ(……『→ → → → ↑』)

ξ゚⊿゚)ξ(このまましばらく、まっすぐと進み、左へ曲がればいいのですね)

予知能力で得られる啓示は曖昧で、自分で解釈する必要があったが、
高い身体能力と知的能力を持つツンデレは、
生まれてから、たった一度しか処刑されたことがない。

40名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 01:32:45 ID:A7SvOf3o0
ξ゚⊿゚)ξ「ここを曲がればいいのかしら……?」

_______∧,、_{ = = ト、 i. =xヘ  /  ,x==- l  l / ,.,ヽ=ニ 二 ニ =´_ _______
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'`'` ̄ {= ‐ i ヘ l, li 灯}ヽ/  ´ だカ :i / y´  i { = ≡ = `}  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                  ゝ‐-=ヘ ハ   ヒ:リ     弋ツ i/ ,ィ  / {= ≡ = ‐ }   
               {´= =ヘヘ           /ィ.  , ,イ ゝ= = {

ξ゚⊿゚)ξ(『○』。
        わかりましたわ。この先にブリーフィングルームがある建物があるのですね)

街中でも人目をまったく気にすることなく何度でも扱える、予知能力。
他の超能力に比べると相手に直接作用できないという欠点があるが、
ツンデレは自身の超能力をとてもよく気に入っていた。

41名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 01:34:32 ID:A7SvOf3o0
6.<COOL-A-STRAIGHT-<4> ―― クール=川 ゚ -゚) ―― >


川 ゚ -゚)(おやあ……?)

クールはパソコンの前で首をかしげた。
長い黒髪が揺れる。その黒髪は着ている赤色のベストによく映えた。

川 ゚ -゚)(あれで、駄目なのか)

心中とは裏腹に、表情はぴくりとも動かない。

徹底的な無表情と楽天的な所得顔。
このふたつを使い分けることが、都市で少しでも長く生き延びるために必要な処世術だ。

ある程度の年齢にまで成長している人間ならば、ほんの三日で気がつく事実だが、
常に監視されている可能性のある環境で完遂できる者は極めて少ない。

ひとりでいるときの表情、行動。身体の特徴的な動き、癖。
書いた作品の内容、感想の文面……監視者の印象を左右させない行動は存在しないからだ。

42名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 01:36:22 ID:A7SvOf3o0
川 ゚ -゚)

彼女の冷静な性格と理知的な顔立ちは、都市内で最も好意を抱かれる態度だった。
これはクールの気性であったため、彼女は特典を受け続けて生きてきた。
つまり、他の者よりも遥かに有利な条件で生活しているのは間違いないのだが、

川 ゚ -゚)(この作品のキャラクターは機械的で、情緒がよくわからないから、
      もっと人物描写を多くして欲しかったのだが……。
      しかし、わたし以外の読者は作品内容を褒める書き込みばかりだな。
      ……そんな風に思っているのはわたしだけなのだろうか? わたしの読解力不足なのか?)

クールの意志は【シュガー・ボード】に敵対するものだった。
周囲に迎合しない彼女の言動にはしばしば反逆的兆候があらわれ、すでに三度処刑されている。

川 ゚ -゚)(まさか、書き込みそのものが削除されるとはなあ……)

『<^ω^;削除>』。

そのかわいらしい顔文字の頬に貼り付けられた二文字は、
そこに書き込まれた内容が、何者にも閲覧できないようになった証拠だった。

川 ゚ -゚)(また、処刑されてしまうだろうか?
      となると、わたしの次のクローンナンバーは<5>。
      そして“処刑と同時に、その人物が抱えている現行を停止させられる”から……)

43名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 01:39:15 ID:A7SvOf3o0
川 ゚ ー゚)(<2>で《Author》になり、<3>は作品を持ってから死んだ。
      つまり、次で、三回目の<逃亡>になるのか)

<逃亡>という言葉は現在では使われていない。
現在では<打ち切り>と言い換えられていた。

用法はほとんど同じだが、言葉の与えるニュアンスが、
“受け取る側”へと対して“やさしく”なっている、とクールは考察していた。

そうすることによって、読者への配慮を読者自身に意識――無意識でも構わない。
傷つかない環境に置くのが肝要なのだ――させ、受けた作者に善意を還元するように。
言葉のひとつひとつを徹底して“親切な方向へと破壊”し続け、この都市は回っている、と。

川 ゚ ー゚)(さすがに、それは不味いな。階級の低下をいつ招いてもおかしくない。
      《Reader》でクローンナンバー<5>だなんて、絶望的すぎる。
      そんな状況下で、“旧世界”のことなんて調べられるわけがない)

【シュガー・ボード】が出来る前に存在したという時代は、旧世界と呼ばれている。
クールは旧世界に興味を持ち、独自に知識を集めており、
旧世界で扱われていた言葉や言い回しを好んで扱っていた。

【シュガー・ボード】では、旧世界の歴史を知ろうとするのは、紛れも無い反逆行為である。
誰かに聞かれれば、即座にレーザーが彼女へと直撃するだろう。

川 ゚ -゚)(文字だけのやりとりは、難しいな。
      書き方ひとつで相手に意図しない感情を抱かせるものに変化してしまう。
      もう後がない。書き込みには気をつけないとな……感想を書く際もしっかり推敲しなければ)

44名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 01:41:16 ID:A7SvOf3o0
『BOON-A-NAITO-<1>! DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>!
 COOL-A-STRAIGHT-<4>! TSUNDERE-A-TTACK-<2>!
 以上四名のトラブルシューターは一時間以内にブリーフィングルームへと集合せよ!』

壁に取り付けられているスピーカーから、ミッションアラームが鳴り響いた。
あまりの音量にクールは一瞬身を竦ませた。少しの間を起き、それから、立ち上がる。
同時にパソコンが電子メールの受信を告げた。都市の地図画像が添付されていた。

川 ゚ -゚)(このビルは……<第三総合案内区画>か。
      場所自体はこの自宅から歩いていける距離だが、膨大な部屋の数のビルだったな)

彼女は身をかがめ、まったく期待をせずに検索をかけた。
『【申し訳ございません。その情報はあなたの階級には開示されていません。】』。
予想通りの検索結果が表示されたが、頷くことはなく、ため息もつかなかった。

クールは背筋を伸ばして家を出た。

川 ゚ ー゚)(さて、今回のトラブルシューティングの終了までに、
      わたしは生き残っているのだろうか?
      どちらにせよ、このミッションを成功させない限りわたしに未来はない)

彼女は自分自身が皮肉げな笑みを浮かべていることに気がついていない。
クローンナンバーを<4>に増やしてから癖になってしまったそれは、
誰が見ても、悪い印象しか受けないものだ。完璧で幸福な住民ならば、決して作らない表情だ。

しかし、クールは無意識に頬を歪めてしまっている……。

45名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 01:45:08 ID:A7SvOf3o0
7.<ビルへ:DOKUO-A-MELANCHOLY-<3> ―― ドクオ=('A`) ―― >


('A`)

ペニサスを別れた後、ドクオはすぐに自動二輪を見つけた。
交差点で信号待ちをしているもので、大柄な男が乗っている。
黒色のベストを着ている――つまり《Reader》だ――男に近づき、声をかけた。

('A`)「おいお前。こんなところで何をしている」

( ゚∋゚)「ハッ! これは《Author》様! どうされましたか?」

('A`)「質問しているのはおれだ。もう一度聞くぞ。ここで何をしている?」

( ;゚∋゚)「こ、これは失礼しました! 職場へと向かう最中です!」

('A`)「そうか。いい自動二輪だな。どうやって手に入れた?」

( ;゚∋゚)「放置されていたものを、修理しました」

('A`)「そうなのか。ところで、おれは今、ミッションアラームで名前を呼ばれたんだ。
    コンピューター様に奉仕するのは住民の義務だから、急いで向かわなければならない」

( ;゚∋゚)「それは、つまり……これを、渡せと?」

46名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 01:47:00 ID:A7SvOf3o0
('A`)「お前に聞くが、どうして仕事場に近い場所に住まないんだ?
    そんな移動手段が不要な場所へ行けよ。<奉仕区画>には住めないかもしれないが、
    この自動二輪を売り払えば<第四総合案内区画>の近くには住めるだろ?」

( ;゚∋゚)「……すいません、あの、勘弁してくれませんか」

('A`)「おれは『コンピューター様から指名されて、
    トラブルシューティングを行うためのブリーフィングに参加するように呼び出し』を受けている。
    この命令を遂行するための行動を邪魔するのなら、お前を反逆者と判断するしかないな」

( ;゚∋゚)「……」

('A`)「《Reader》のくせに、どうして自動二輪を修理する知識があるのかだとか、
    コンピューター様に自動二輪の所有許可をとっているのかだとか、
    おれに自動二輪を渡した場合仕事に遅刻するだとか、そういうことはどうでもいいんだ。
    コンピューター様もこう言ってるだろ? 『住民、幸福は義務です』。な? そうだろ?」

( ;゚∋゚)「……本当に、すいません。これだけは……」

('A`)「めんどくせえ」

ドクオは大柄な男へと銃口を向けて、引き金を引いた。
レーザーが飛び出し――ZAP――男の胸に穴が開き、自動二輪と一緒に倒れこんだ。

47名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 01:51:35 ID:A7SvOf3o0
('A`)「時間の無駄だったな。はじめからこうしておけば良かったぜ」

ドクオは男の頭からヘルメットを取り、自動二輪を引き起こした。
視線を上げ、信号機が青色になったのを確認してからアクセルを開けた。


(;'A`)「はあっ……はあっ……」

ドクオは焦っていた。

目的地は詳しく知らない場所にあるため、
建物に続く道を見つけるのに、予想以上に手間取ってしまったのだ。

言われた通り、その圧倒的巨大さからすぐに建物の場所はわかった。
しかし、これでひとまずは安心だと落ち着いた一瞬後には、
道が到着を阻むように折れ曲がっていることに気が付き、舌打ちとともに悪態をついた。

道中、自動二輪の速度を落としたのも焦りの原因のひとつだった。
凄まじい轟音が鳴り響き、空気が震え、地面が揺れる感覚におののいてしまったのだ。

そしてようやく目的地についたドクオに、
きちんと駐車する余裕などあるはずがなく、自動二輪は放り投げるように地面に横倒しにされた。

ミッションアラームに名前を呼ばれてから、もうすぐ一時間が経過する。
遅刻は反逆だ。相手を待たせてしまった場合は死を覚悟するべきだろう。

(;'A`)(まったくわからない! ブリーフィングルームは一体どこなんだろうか?)

48名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 01:52:32 ID:A7SvOf3o0
巨大な建物へと入ると、エントランスホールが大きく広がっている。

正面奥には階段があり、その隅にはエスカレーターが。
右手にはホログラムを使った立体テレビを囲んでソファーがいくつも並べられている。
左手にはエレベーターがいくつも並んでいたが、動いている様子はない

(;'A`)(誰も居ねえ! ひとりも居ないなんて、あり得るのかよ)

ぼろぼろになっているカーペットの上で右往左往しながら顔を振り、人を探す。
就業時間の数分前なのだから、ここに勤務する人間はもう活動しているはずだった。

ひとりぽつんと取り残されたドクオは、背中に冷たい汗が流れるのを感じている。

49名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 03:48:23 ID:v9.4ZiiM0
しえ

50名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 15:13:32 ID:55PaQZOA0
シュガーボードって佐藤か
すんげー物語だな

51名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 16:39:03 ID:gfSZsrX60
作者様!
せめて次の投下時間を教えていただけないでしょうか?
あなた様の偉大な知能を持ってすれば、容易なことでしょう!
完璧な任務を遂行するためにも是非お願いします!

52名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 17:10:43 ID:/TzwF/xw0
これは期待せざるを得ない!

>>23
なんなら俺とやるか?ザップスタイルだけど

53名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 20:13:12 ID:A7SvOf3o0
8.<ビルへ:TSUNDERE-A-TTACK-<2> ―― ツンデレ=ξ゚⊿゚)ξ ――
         COOL-A-STRAIGHT-<4> ―― クール=川 ゚ -゚) ―― >


ξ゚⊿゚)ξ「あら? COOL-A-STRAIGHTじゃあありませんか」

川 ゚ -゚)「おや? TSUNDERE-A-TTACKか」

ξ゚⊿゚)ξ「……クローンナンバーが<4>ですが、大丈夫ですか?」

川 ゚ -゚)「何、心配には及ばないよ。
      そっちは変わらず<2>のままか。君の聡明さは見習いたいものだな」

ツンデレとクールの二人はかつて同じチームになったことがあった。
もうひとりを加えた三名でトラブルシューティングに向かった過去をクールは思い出す。

ツンデレのクローンナンバーが<2>、
クールのクローンナンバーも<2>だった頃だ。

あの頃のクールはまだ超能力が扱えなかったが、旧世界への興味も抱いていなかった。
その当時に考えられる最高のトラブルシューティングをしたのだが、
ツンデレによって一度殺され、クローンナンバーを<3>に増やしている。

54名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 20:15:01 ID:A7SvOf3o0
当時チームを組んだもうひとりの人間は、ツンデレの手によって“完全に消滅”させられた。
最後のクローンを意味する<6>の番号がつけられていようと、
相手が反逆的な言動を行ったのを確認すれば、ツンデレは一切のためらいなく光線を射出した。

ξ゚⊿゚)ξ「ところで、あなたもブリーフィングルームへ向かっているのですよね?」

川 ゚ -゚)「ああ、その通りだ。頭の良い君のことだから、
      あの膨大な数の部屋の中から、
      目当ての部屋の検討を既につけていても不思議ではないと考えているよ

ξ゚⊿゚)ξ「買いかぶりすぎですわ。わたしくにはそんな“能力”はありませんもの。
        あなたはどうでしょうか? 何か案でもあるのですか?」

川 ゚ -゚)「例のビルに到着してから考えればいいんじゃあないかな。
      受付に人がいるだろうし、そこで検索してもらえればすぐにわかるだろう」

ξ゚⊿゚)ξ「それもそうですわね」

二人は横に並び、目的地へと歩を進めた。


くすんだガラスの扉を押して、巨大なビルの中へと入った。
視線を左右に走らせると、エレベーター横に受付らしきスペースがあるのを発見する。

55名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 20:17:42 ID:A7SvOf3o0
そこでは、二人の人間が何やら会話をしていた。
どうやら、苛立っている女の言葉に、疲れた表情をした男が対応しているようだ。

从 ゚∀从「ここは、いつも、お前しかいないのか?
        今日はお前と、アタシの二人で仕事をしなくちゃあならないんだな?」

(;´・_ゝ・`)「いいえ、私の他に、もうひとりいます。おかしいな、いつもはもう来ているんですが。
         いや、しかしほら、就業時間まではまだ残り二十分も時間がありますし。
         就業開始時間までにはきちんと来る男なんですよ。本当です」

从 ゚∀从「あぁ、そうかよ。
        ちょうど、偶然、たまたま、アタシがこの職場の勤務状態を視察しに来た今日に限って、
        従業員が遅刻してるんだな? わかったわかった」

(;´・_ゝ・`)「申し訳ありません……」

ツンデレとクールは目配せし、カウンターへと近づいていった。
女と男のやり取りも一段落したらしく、こちらへと来る二人に視線を向けた。

川 ゚ -゚)「お忙しいところ、申し訳ありません。
      今日、この建物でブリーフィングを行うと呼び出しを受けた者ですが」

(;´・_ゝ・`)「あ、ああ……それでしたら」

56名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 20:21:27 ID:A7SvOf3o0
从 ゚∀从「答えられないな。お前たちの階級には伝えられない情報だ」

ξ゚⊿゚)ξ(なんですって?)

ツンデレの胸中が口から飛び出していれば、間違いなく即座に射殺されていた。

苛立っている女は“橙色”のベストを着ていて、腰には“橙色”をしたレーザー銃がある。

《Planner》。
女は彼女たちよりも高い階級にいるのだから、その言葉こそが絶対で、都市の真実なのだ。
本当の真実なんてものは、高位階級の言葉ひとつで次々と入れ替わる。

从 ゚∀从「悪いが、他をあたってくれ。
        見て分かる通り、アタシたちは忙しいんだ」

川 ゚ -゚)「……わかりました」

从 ゚∀从「アタシは今、機嫌が悪い。
        朝食は食べていないし、ここで食べようにも家に財布を忘れてきちまった。
        しつこく食い下がってくる聞き分けのない住民がいれば、すぐに発砲してしまいそうだ」

川 ゚ ー゚)(……おや)

57名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 20:23:31 ID:A7SvOf3o0
女は言い切ると二人から視線を外した。
それからまた、男に文句を並べ立てはじめる。

ツンデレとクールはカウンターを離れ、顔をつきあわせた。

ξ゚⊿゚)ξ「どうしましょう?」

川 ゚ -゚)「何をするにしても、まず、機嫌を直していただかないとな」

ξ;゚⊿゚)ξ(……)

高位階級者の機嫌をとる。
それは、失敗すると間違いなくクローンナンバーがひとつ増える行為だ。

ξ;゚⊿゚)ξ(トラブルシューティング外でのコミュニケーション……。
         わたくしの最も苦手とする分野ですわ。加えて、高位階級様相手だなんて……)

コンピューターへの不敬、背信。
収賄、贈賄行為。不潔な格好。共産主義的発言。超能力者であると発覚。
巨大都市【シュガー・ボード】の作者や作品に対する“後ろ向き”な発言……。

これらが主とされる“反逆的行動”だが、高位階級者が相手では更に発言に気を配らねばならない。

相手が望んでいるものを察して手早く提供しても、成功するとは限らない。
相手は自分よりも絶対的な権力を扱えるのだから、精神的な気負いなどなく、
反逆的行動の密告を恐れることはない――相手を完全に信頼できない場合、
即座に射殺すれば証拠は残らない――ため、気まぐれで約束を反故にされる可能性もある。

よって、
十分な事前準備――情報を得て、前もって必要なものを手にしておく――に加えて、
適切な対処準備――想定外の状況で戸惑うことのない思考の瞬発力――が不可欠だ。

58名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 20:25:54 ID:A7SvOf3o0
ξ;゚⊿゚)ξ(しかし、この状況をなんとかしなければ、
       ブリーフィングルームにはたどり着けませんわ。
       まだ、ミッションを受けてすらいないんですもの)

川 ゚ -゚)「TSUNDERE-A-TTACK-<2>。ちょっといいか?」

ξ;゚⊿゚)ξ「なんでしょうか?」

川 ゚ -゚)「このままでは、二人ともブリーフィングルームにたどりつけない。
      ミッションアラームによる呼び出しを受けているということは、コンピューター様は、
      我々に何かしらのトラブルシューティングを行なってもらいたいわけだよな」

川 ゚ -゚)「わたしときみは同階級だから、強制する権利は持ちあわせていないし、
      ミッションが始まっていない今は“役職”を割り振られているわけでもないから、
      嫌なら断ってくれて構わないが、頼みがある。
      これを断るほど愚かな人格ではないと信じてはいるが、聞いてくれるかな?」

ξ;゚⊿゚)ξ(いったい、何を……? 超能力を使う?
       いいえ、結果の表示には少し時間がかかりますわ。
       それに、失敗すればもう一度超能力を使わなくてはいけません)

ξ;゚⊿゚)ξ(わたくしの超能力の一番の利点は、
       失敗によって超能力者だと明らかになる心配がないことと、
       それによって何度も自分の行動が“適切か不適切か”の判定を行えることですもの)

ξ;゚⊿゚)ξ(一度の行使にさほど時間はとりませんけれど、
       会話中に使えば不自然な沈黙が生まれるほどの時間はかかります。
       それは『自分だけにしかわからない何かをしているな』と疑われる理由になるでしょう)

59名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 20:28:21 ID:A7SvOf3o0
ξ;゚⊿゚)ξ(……ですので、通常の会話で乗り切るしかありませんわ)

ξ゚⊿゚)ξ「内容によりますわ。
        と言っても、この状況を打破できるのであれば、喜んで引き受けますけれども」

川 ゚ ー゚)「それは良かった。さすが、優秀だな。尊敬するよ。
       都市内に潜んでいる、まともな遺伝子をからだに宿していない超能力者や、
       愚かな共産主義者が相手だとこうスムーズには話は進まないだろう」

ξ゚⊿゚)ξ「それで、わたくしは何をすればよろしいのですか?」

川 ゚ -゚)「食堂で、食事の用意をして欲しい。
       まだ勤務時間になっていないから、食堂内もきちんと稼働していないだろう。
       だから、本格的な料理はしなくていい。朝食の用意をお願いしたいんだ」

ξ;゚⊿゚)ξ「朝食ですか?
       それは、つまり、あの《Planner》様に召し上がっていただくことになるのでしょうか?」

川 ゚ ー゚)「そうなるな。何、優秀な君のことだ。
       料理くらい文字通り朝飯前だろう?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ、ちょっと! ちょっと待ってください!」

60名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 20:33:42 ID:A7SvOf3o0
川 ゚ -゚)「どうしたんだ。
      我々には多くの時間が残されてはいないのだから、迅速に行動しなければならないんだぞ」

ξ;゚⊿゚)ξ「ど、どうしてもわたくしが、やらなくてはなりませんの?
       COOL-A-STRAIGHT-<4>が朝食の用意に向かえばいいんじゃあありませんか?
       そう! そうですわ! わたくしがやらずとも、あなたがやればよろしいのでは?」

川 ゚ ー゚)「そうしても良いんだが、これからわたしは《Planner》様と会話をしようと考えている。
       TSUNDERE-A-TTACK-<2>はコミュニケーションが不得手だったろう?
       いや、失礼。言葉が悪かったな。失言だ忘れてくれ」

ξ;-⊿-)ξ(当たってますわ……案外、鋭いのですね……)

川 ゚ ー゚)「しかし、ここはわたしに任せてくれないか?
      君と比べると頼りないかもしれないが、これでもコミュニケーション能力には自信があってね。
      “四人目のCOOL-A-STRAIGHT”を信頼してくれ。完璧にやってみせるよ」

ξ;゚⊿゚)ξ(だめですわ。ここで無理に反論したら、
       “理知的な行動理由を恣意的判断から妨害する行為”として、
       射殺――ZAP――されかねません。それはごめんです)

ξ;-⊿-)ξ(先手必勝と先に発砲するのも無意味ですわ。
          わたくしひとりではブリーフィングルームにすらたどり着けませんもの。
          時間をかければしらみつぶしに超能力を使って、
          探し出せるかもしれませんが、そんな余裕はありません)

ξ;゚⊿゚)ξ(それなら、朝食の用意のほうが……まだ可能性はあります……よね?)

川 ゚ ー゚)「それじゃあ、頼んだぞ。
      ブリーフィングルームの部屋番号を聞くために、最善をつくそうじゃあないか」

61名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 20:35:03 ID:A7SvOf3o0
ξ;゚⊿゚)ξ(くっ……)

_______∧,、_{ = = ト、 i. =xヘ  /  ,x==- l  l / ,.,ヽ=ニ 二 ニ =´_ _______
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'`'` ̄ {= ‐ i ヘ l, li 灯}ヽ/ u´ だカ :i / y´  i { = ≡ = `}  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                  ゝ‐-=ヘ ハ   ヒ:リ     弋ツ ui/ ,ィ  / {= ≡ = ‐ } 
               {´= =ヘヘ u          /ィ.  , ,イ ゝ= = {

ξ;-⊿-)ξ(『○』。はは、なるほど。そうですか。わたくしの行動は“適切”ですのね)

クールが再びカウンターに近づいていく。

ツンデレも彼女の背中から視線を外して、毅然とした足取りで食堂へ向かった。
心中の気落ちを態度には出さない。ミッションは始まっては居ないが、
“幸福でない態度”を衆目に晒すことが“何を引き起こすのか”は考えるまでもないからだ。


川 ゚ -゚)「《Planner》様」

从 ゚∀从「なんだ、さっきの《Author》か。まだいたのかよ。
        何度もしつこいぜ。パソコンで表示されるように、事務的に言ってやろうか?
        『【申し訳ございません。その情報はあなたの階級には開示されていません。】』」

川 ゚ -゚)「いいえ、実は、さきほど床に紙幣が落ちていたのですが、
      これはもしや《Planner》様のものではないかと思いまして」

クールは右手に紙幣を持っていた。
【シュガー・ボード】内で流通している貨幣で、最も金額の小さな紙幣だ。

62名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 20:38:29 ID:A7SvOf3o0
从 ゚∀从「本当か? 待て、今確認するからな……。
        確かに、サイフに入れず、裸でポケットに突っ込んでいた金がなくなっているな」

川 ゚ -゚)「では、これは《Planner》様のものですね。
      どうぞ、これでおいしい朝食を食べてください。
      食堂が開く時間はまだですが……今、わたしの知り合いが食事の準備をしていますので」

クールは、自分のサイフの中から紙幣を取り出して右手に持ち、
それを落ちていたと嘘をついて、《Planner》である女へと渡した。
すると、女は“その行動と、裏に潜んでいる理由を察し、とっさに理由を作り上げて紙幣を受け取った”。

从 ゚∀从「ふむ、なるほど。じゃあ、ありがたくそうさせて貰うが……おかしいなあ」

川 ゚ -゚)「どうかされましたか?」

从 ゚∀从「アタシがポケットから落とした金額には全然足りないんだ。
        このエントランスのどこかに落ちているはずなんだが……」

川;゚ -゚)(こいつ……)

从 ゚∀从「本当に、これしか落ちていなかったのか? おかしいなあ。
        この程度じゃあ、アタシが望む朝食が食べられないかもしれないぜ」

贈賄、収賄は明確な反逆行為である。
コンピューターに“完璧に”忠誠を誓っている人間に見つかってしまえば、
クローンナンバーがひとつ増えるのは間違いない。

しかし、生き延びるためには、他人に便宜を図ってもらわなければならない場面に必ず直面する。
特に、ミッションの最中に高位階級者や同階級の者に渡す機会は、想像よりも遥かに多い。

63名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 20:40:38 ID:A7SvOf3o0
川;゚ -゚)「わかりました。
       探しておきますので、《Planner》様は先に朝食を召し上がってください」

从 ゚∀从「そうするが、“きちんと渡しに来てくれよ”?
       配給の朝食はまだ到着していないだろうから、
       お前の知り合いが作ってくれているんだな?」

川 ゚ ー゚)「ええ、腕によりをかけて作っていると思いますよ」

住民の生活はコンピューターから与えられた仕事をこなすことで保証されている。
食事や必需品は配給によって賄われているので、金銭を多量に所持する必要がないのだ。

住民は、都市での労働――加えて、作者は執筆、読者は感想――を行い、
労働者に配給される必要最低限な物資だけで満たされていれば、金銭はまったく必要ない。

しかし一方で、コンピューターが管理している建物内にも店があり、金銭を支払うことによって、
値段に応じた様々な物資――おいしい水や食料、娯楽品、最新の執筆ツール――を手に入れられる。
反逆行為である賄賂が横行している理由はその点にある。誰もが、より快適な環境を求めているのだ。

64名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 20:43:47 ID:A7SvOf3o0
从 ゚∀从「それじゃあ、アタシは効率的に仕事を行うために必要な朝食を摂ってくる。
       アタシが見ていなくても、“しっかり仕事をするんだぞ”?」

(;´・_ゝ・`)「は、はい!」

川 ゚ -゚)(良し)

女が食堂に行ったのを確認すると、クールは鋭い目つきで男を見た。
一息つけたかと思った男は緊張の糸を緩めており、普段以上に怯えた。

川 ゚ -゚)「さて、わたしは今、“《Planner》様の落とした金銭を拾い、
      きちんと元の持ち主である《Planner》様に返した”……そうだな?」

(;´・_ゝ・`)「はい! おっしゃるとおりです!」

川 ゚ ー゚)「よろしい。それじゃあ、聞こう」

川 ゚ -゚)「この建物のどこかの部屋で、ブリーフィングが行われるはずだ。
      わたしは集合するようにミッションアラームの呼び出しを受けている。
      COOL-A-STRAIGHT-<4>で検索をかけてくれないか」

(;´・_ゝ・`)「わ、わかりました。すぐに!」

男が、カウンター内側に置かれている機械を操作した。
男の階級は《Reader》であるため、高位階級である《Author》に対する服従の態度は当然だ。

川 ゚ -゚)(あの機械の使用には、階級の制限はないのか。
      操作方法さえ覚えてしまえば、これから先、いちいち聞かなくても良いのだな。
      時間があれば知りたいが……残念ながら、今回は見送りだな)

65名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 20:46:11 ID:A7SvOf3o0
川 ゚ -゚)(問題はこの男の扱いだな。
      必要な情報を聞き出した後、何か理由を作って射殺するのが一番良いのは間違いない。
      後にミッションアラームの呼び出しを受けて訪れる者が情報を得られないのだから)

川 ゚ -゚)(しかし、《Planner》様が視察に来ている職場の職員である《Reader》か……。
      『《Planner》が視察する現場の職員を殺した。つまり、不都合なことがあったからだ。
      住民の怠慢を隠すお前は反逆者だ』と理由付けられるかもしれないな)

川 ゚ ー゚)(考え過ぎだろうか? だが、殺さなくてもいいだろう。
      『わたし以外の住民に情報を与えない』。それで十分だ。
      まわりが反逆者であればあるほど、わたしの“完璧さ”が浮き上がる)

(;´・_ゝ・`)「はい、出ました! <334号室>です。
       BOON-A-NAITO-<1>様。DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>様。
       COOL-A-STRAIGHT-<4>様。TSUNDERE-A-TTACK-<2>様の四名様ですね」

川 ゚ ー゚)「ああ、それだな。ありがとう。三階だな? ……わたしが一番乗りか?」

(;´・_ゝ・`)「はい。そうですね。三階です。
       申し訳ありませんが、一番乗りではありません。
       数十分前にBOON-A-NAITO-<1>様が<334号室>へと向かっております」

川 ゚ -゚)「……わかった。どうも、ありがとう」

先行している者がいる。
この事実はクールを震え上がらせたが、なんとか言葉を返した。

66名も無きAAのようです:2012/12/28(金) 23:10:53 ID:.YGHc8gg0
なんでや!

67名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 00:00:33 ID:TJh/emsg0
キバオウは関係ないやろ!
しえん

68名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 13:36:23 ID:BTgDmM96O
これを見て気になったからリプレイを見てみたけどかなり面白そうだな

やってみたいけど、GM合わせて5人は集めるの大変そうだ・・・

69名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 14:15:00 ID:eR7j9mOM0
俺もやりたいけどTRPGって興味ある人少ないし、時間もかかるから厳しい・・・・・・・

70名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 15:49:50 ID:p.vHNZNU0
俺もやりたいなー
スカイプとかでチャットでってどうよ?
てか人数はここですぐ集まりそうだなww

71名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 16:04:33 ID:BTgDmM96O
やるとしたら、セクションを行える全体チャットと
GMに個別に連絡出来る方法が必要だな

72名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 16:42:16 ID:p.vHNZNU0
なおさらスカイプじゃね?
グループチャットと個別チャットできるし
問題はGMしていただける偉大な友人様がいるかだな...

73名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 16:43:37 ID:p.vHNZNU0
あ、でもダイス必要になるなー
それはどっかのチャットルームか?
連投すまそ

74名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 17:06:57 ID:CZnRlb8U0
オンラインなら、どどんとふが便利だと思われ。

75名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 18:40:32 ID:eR7j9mOM0
TRPG用のダイスがどっかにあったはず
もしやるんなら俺も参加させてくださんし

あとここでの雑談は作者の迷惑なりそうだからやるんなら他のところで話そうず

76名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 19:12:36 ID:.1kqO.9Q0
カウンターから離れ、食堂へと行くために足を動かす。

川 ゚ -゚)(まあ、いい。
      “TSUNDERE-A-TTACK-<2>が料理を上手く作れないのはわかっている”。
      彼女は強敵だ。できるだけ多く殺しておかなければな……)


食堂で、ツンデレは頭を抱えていた。

ξ;-⊿-)ξ(最悪ですわ)

まだ勤務時間になっていないので、配給されている食料が運ばれてきていない。
そのため、金銭を支払って購入することができる材料をしか扱えないのだ。
それらが収められている冷蔵庫から白飯とたまごと魚を取り出して、料理の準備をする。

勤務に備えて、食堂で待機していたのは全て《Reader》だった。
彼らは配給食料を手渡すだけの係なので、助言はまったく期待できない。

食堂が一番混雑する昼食時になると、
金銭を持つ客の要望に応えられる料理人がやってくるのだ。もちろん、高位階級である。

77名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 19:13:46 ID:.1kqO.9Q0
ツンデレは信じていた。
料理の経験がなくても、食べたことのない食材を扱っても、
超能力を駆使すればおいしい朝食を作ることができる、と。

ξ;-⊿-)ξ(まったく、本当に、最悪ですわ。
          これで、《Planner》様の説得か朝食の用意かの二択では、
          こちらのほうが『○』なんですもの。次のクローンでは気をつけましょう……)

しかし、目の前に並んでいるのは、
固いままの白米に、ちぎれたスポンジに似たスクランブルエッグと、黒焦げの魚。
このようなものを《Planner》に差し出せば、間違いなく処刑されるだろう。

『貴重な食材を無駄にするだけでなく、明らかに健康を害する食事を作るなんて、
この都市を崩壊させようと企んでいる反逆者以外の何者でもない』。

ツンデレがこの料理を見たのならば、そのような理由で調理者を殺害する。
他の誰もが同じだろう。射殺しない要素がない。

その時、食堂に《Planner》の女が現れ、席へとついた。
座席には多くの空席があるが、時間の関係で彼女以外には誰も座っていない。
食堂の職員は突如現れた《Planner》に身を固くする。

78名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 19:14:17 ID:CalbGewM0
ktkr!

79名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 19:16:53 ID:.1kqO.9Q0
从 ゚∀从「よう、料理はできたか? ここまで持ってきてくれ。期待してるからな」

ξ゚⊿゚)ξ「はい。わかりましたわ。少々お待ち下さい」

ツンデレはもう一度挑戦する覚悟を決めた。
今回の失敗を活かして注意しながら作れば、食べられないものにはならないはずだ。
再び冷蔵庫を開けて材料を取り出し、調理にとりかかった。


クールが食堂に到着して席につき、
退屈そうな女と会話をしているとツンデレが料理を完成させた。
残念ながら、結果は同じであった。

ξ;-⊿-)ξ(口に入れるものとは思えない出来ですが、これ以上待たせるわけにもいきませんわ)

川 ゚ -゚)「《Planner》様、朝食ができたようですよ」

从 ゚∀从「お、本当か。楽しみだぜ」

ξ゚⊿゚)ξ(COOL-A-STRAIGHT-<4>が何かしらフォローしてくれるはずですわ。
        しかし、この料理の出来では、いくら尽力してくれても無駄でしょうね)

ξ;-⊿-)ξ(本当に、最低ですわ。
          処刑されると“今のわたくし”が書いている作品は<打ち切り>になってしまいます……
          完結させられない……それは、評価が下がってしまう行為ですわ。
          ああ、今まで、ずうっと評価を積み上げてきましたのに)

80名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 19:19:23 ID:.1kqO.9Q0
ξ;゚⊿゚)ξ「ど、どうぞ。召し上がってください」

ツンデレが料理を並べると、

从 ゚∀从「……おい。なんだよ、これは。本気で言っているのか? アタシにこれを食えと?」

《Planner》の女が一拍おいてから発言した。

沈黙。

ツンデレは処刑を受け入れている。
相手を殺すしかこの窮地を脱する方法はないが、高位階級を殺害できるわけがない。

ξ゚⊿゚)ξ

从 ゚∀从

女が橙色のレーザー銃に手をかけた。
《Planner》のベストは《Author》のレーザーを完全に無力化するが、
《Author》のベストは《Planner》のレーザーには紙同然である。

ツンデレの死によって沈黙の幕が引かれると、その場を見ている誰もが理解していた。
《Planner》を侮辱した《Author》が、《Planner》によってクローンナンバーをひとつ増やす、と。

81名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 19:22:13 ID:.1kqO.9Q0
川 ゚ -゚)

不意に、座っていたクールが立ち上がった。

ツンデレと《Planner》の女の視線がクールへと移る。
手に、レーザー銃を持っていた。銃口はツンデレへ向いている。

そして、一切のためらいなく引鉄を引き、レーザーを発射――ZAP――した。
ツンデレの胸に穴が開く。からだがゆっくり傾いていき、倒れた。

全員があっけにとられている中、クールは宣言する。

川 ゚ -゚)「《Planner》様に、家畜の餌にも劣るような料理を差し出すとは……。
      これは疑いようもない反逆的行動なので、処刑しました」

それからツンデレの死体へと近づき、身体やポケットをまさぐった。
目当てのサイフを手にすると中身を開き、
一番額の大きな紙幣を一枚取り出して《Planner》へと差し出す。

川 ゚ ー゚)「《Planner》様が落としたのは、この紙幣ではありませんか?
      どうやら、TSUNDERE-A-TTACK-<2>が拾っていたようですね。まったく、救いがたい愚かさです」

从 ゚∀从「どうやら、そうらしいな。こいつは明らかな反逆者だ。
       お前のような優秀なトラブルシューターがいることに安心を感じるよ。
       こいつの処理は任せろ。これもアタシたちの仕事だから、気にするな」

川 ゚ -゚)「わかりました。では、失礼します」

82名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 19:26:33 ID:.1kqO.9Q0
“死体”は低位階級である《Reader》によって集められ、高位階級によって処理される。
愛や性欲が存在しない【シュガー・ボード】では、施設の試験管から人間が生み出されている。
都市内の人口は大幅な増減がないように管理されており、
その情報は極めて重要なものであるため、高位階級者にしか明かされていない。

全ての住民は、“自分”と“五人のクローン”を持っており、
“自分”が死亡してしまったその瞬間、次のクローンがはじめて目を覚まして動き出す。

記憶と精神は完全に引き継がれるが、前の自分が持っていた作品は<打ち切り>になる。
何故ならば、処刑されたということは反逆者であり、
反逆者が書いた作品は都市にとって有害でしかないためである。

83名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 19:27:58 ID:.1kqO.9Q0
川 ゚ -゚)

クールは食堂の湯のみに温かいお茶を入れてそのまま食堂を出た。
密かに所持していた睡眠薬をお茶に混ぜ込み、カウンターへと戻る。

(;´・_ゝ・`)「あ、あれ? どうされました?」

川 ゚ -゚)「いや、何。色々お世話になったからな。
     お茶でもどうかと渡しに来ただけだよ」

(;´・_ゝ・`)「それはどうも、ありがとうございます」

男に湯のみを差し出すと、緊張する環境に長くいたためか、すぐに飲み干した。

扉が、カウンターの奥にあった。事務作業を行う部屋へとつながっているようだ。
クールはそれを見て口の端をつり上げ、勤務時間まで部屋で休んだらどうだと告げた。

(;´・_ゝ・`)「いや、しかし……もう残り時間も少ないですし……」

川 ゚ ー゚)「五分間でも身体を休めると、仕事の効率が段違いに上がるらしいぞ。
       今のそんな疲れた様子であの《Planner》様の満足する仕事が行えるのか?」

それから二、三言交わすと男は納得した風情で立ち上がり、部屋へと消えた。

<334号室>を目指して階段を登りながら、クールは考えている。

川 ゚ -゚)(わたしは、わたしの理想とする環境を作るまでは決して諦めないぞ。
     今回のトラブルシューティングをしくじらなければ、まだまだ挽回できる。
     かつて旧世界に存在した“理想郷”を復活させるまでは、決して死ぬわけにはいかない)

84名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 19:36:56 ID:CalbGewM0
心理戦というか騙しあいは良いな

85名も無きAAのようです:2012/12/29(土) 19:49:26 ID:DNF/8H.QO
食事が爆発するダイス判定はないのか

86名も無きAAのようです:2012/12/31(月) 01:22:20 ID:nlyghrV.0
9.<<アンカー>>


ξ#゚⊿゚)ξ(本当に、やってくれましたわね。COOL-A-STRAIGHT-<4>!
        『どうせ処刑されるのなら、わたしが殺っておこう』というものではありませんでしたわ。
        はじめからわたくしを殺すつもりで話を進めていたのですね!)

TSUNDERE-A-TTACK-<3>……“三人目”のツンデレは、
<第三総合案内区画>にあるクローン施設の地下で目を覚ました。
“前任の自分”が絶命すると、家に最も近い<奉仕区画>のクローン施設で目を覚ますのだ。

クローンに替わった場合、コンピューターからの評価が下がると同時に
自分が持っている作品を<打ち切り>にされるものの、反逆の疑いは完全に晴れる。
そして、前任の自分の記憶と精神を引き継いだクローンは、
次は、“もっとうまく”活動することを覚える。

ξ゚⊿゚)ξ(……<アンカー>を使うしかありませんね。
        事故の可能性には目をつむりましょう。
        どうせこのままでは召集時間には間に合わず、ナンバーが増えて、
        またここからになってしまいます)

素早く装備を整え――赤色のレーザー銃を装着し、同じ色のベストを着る――、
施設を飛び出した。

87名も無きAAのようです:2012/12/31(月) 01:24:59 ID:nlyghrV.0
頭の中に入っている地図を頼りに走り、彼女はすぐに<アンカー>の元へと到着した。
円筒形のそれに乗り込むとすぐに機械音声が搭乗を歓迎する声を投げかけてきたが、無視する。

ξ゚⊿゚)ξ(座標は……目的地に近くて、あまり人の通らない場所がよろしいでしょうね。
      人に直撃すると、わたくしも危険ですもの。リスクは最小限にするべきですわ)

<アンカー>の着弾地点を設定し、発射スイッチを押した。
空気を吸い込む音がだんだんと甲高く、鋭くなり、やがて凄まじい轟音とともに吐き出された。
圧倒的なエネルギーで、<アンカー>が射出される。

ツンデレの身体が、柔らかいシートに思い切り押し付けられた。

ξ;-⊿-)ξ

空に吸い上げられるような感覚に肉体がついて来ない。
脳に十分な酸素が行き渡らず意識を手放しそうになった次の瞬間には下降していた。
そしてものすごい衝撃と地面が砕け割れる音で意識を取り戻す。

すぐに<アンカー>から這い出ると、ツンデレはすぐに足を動かした。
身体中の痛みや地に足がつかない感覚にふらつきながらもなんとか巨大な建物へと入る。

88名も無きAAのようです:2012/12/31(月) 01:25:58 ID:nlyghrV.0
時間にして、五分とかけずにこの場所へ戻ってきたのだ。
前任の自分が見ていた景色と違う点は、カウンターに人がいないことだろう。

ξ゚⊿゚)ξ(好機ですわ)

ツンデレはカウンターの内側に置かれている機械に触れた。
彼女はこの機械の操作方法を知っていたのだが、
《Planner》につっぱねられたので触れることすらできなかったのだ。

すぐに目当ての情報を引き出した。ブリーフィングルームは<334号室>である。

ξ゚⊿゚)ξ(ああ、もう、身体中が痛いですわ。意識もまだしっかりとしませんし。
      絶対に許しませんわ、COOL-A-STRAIGHT-<4>。
      わたくしの邪魔をするなら、<4><5><6>と全てのあなたを始末してあげますわ……)

ツンデレが階段を登って<334号室>へと向かっている最中に、
建物の前に自動二輪が放り投げるように駐車された。

エントランスホールでは、ドクオが焦り、視線をさまよわせていた。

89名も無きAAのようです:2013/01/01(火) 01:46:44 ID:yW7ZTCcI0
10.<DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>の焦燥>


(;'A`)(扉がある!)

走り回りながら首を振り、多くの場所を見たが誰ひとりの姿も見えなかった。
そんなときにドクオはカウンターの奥にある扉を見つけた。中に誰かいるかもしれない。

彼はは弾かれたように駆け寄った。
ドアノブに手を伸ばしてひねるが、開かない。どうやら鍵がかかっているようだ。

(;'A`)(もしかして、この中にも誰もいないのかよ! ふざけんな!)

ドクオはドアノブから手を離してカウンターから出ようとしたが、足を止めた。
内側に見慣れない機械が置いている。操作方法は検討もつかなかった。

(;'A`)(扉を開けば、何か良い方向に状況が改善するか?)

ドクオは考える。扉の内側に職員はいないかもしれないが、
もしかすると機械の操作説明書が置いているかもしれない。可能性はそう高くないだろう。
だが、監視カメラや館内放送など、とることができる行動の選択肢が増えるのは間違いない。

90名も無きAAのようです:2013/01/01(火) 01:48:44 ID:yW7ZTCcI0
(;'A`)(中に何もなかったらまた“締め直せばいい”な。
    人も居ないし、やるなら今しかない!)

ドクオは“扉の内側に取り付けられているつまみを回転させ、鍵を開けた”。
扉を開くと、中には職員らしき男がひとり、椅子に腰掛けて熟睡していた。
ドクオは男の足を思い切り蹴り飛ばしてから、レーザー銃を抜いた。

(#'A`)「起きろ!!」

(;´゚_ゝ゚`)「う、うわああああああ!!」

(#'A`)「おれはミッションアラームで名前を呼ばれたトラブルシューターだ。
    今日、この建物で行われるブリーフィングルームの部屋番号が知りたい。
    おれの撃ち殺される前にさっさと調べてくれ」

(;´・_ゝ・`)「ど、どうして? あれ?
         鍵はきちんとかけたじゃないか……
         合鍵も今はわたしと《Planner》様しか持っていないし……どうなっているんだ……」

ドクオがもう一度男を蹴り飛ばした。今度は腹だ。
男が呻き、うつ伏せに倒れる。それから動かなくなった。

(#'A`)「おいおい、ふざけんじゃあねえぞ! さっさと起きやがれ!」

男の背中を蹴飛ばし続けていると、やがて頭を抱えてむっくりと起き上がった。
懇願する表情でドクオを見上げている。目には涙が浮かんでいた。

(´;_ゝ;`)「ううううう、やめてください……。ごめんなさい、ごめんなさいいいい」

91名も無きAAのようです:2013/01/01(火) 01:51:54 ID:yW7ZTCcI0
(#'A`)「いいか? もう一度だけ言う。
    おれはミッションアラームで名前を呼ばれたトラブルシューターだ。
    今日、この建物で行われるブリーフィングルームの部屋番号が知りたいんだ」

(´;_ゝ;`)「ううううう、お、お名前を聞いてもよろしいですか……?」

(#'A`)「DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>だ。
    早くしろ、《Reader》のゴミクズなんかいつでも殺せるんだぞ」

(´;_ゝ;`)「ひ、ひい、ひいい」

男は立ち上がって部屋を出ると、カウンター内側の機械を操作した。
彼はパニック状態に陥っていたが、ドクオの望んでいる結果を表示することができた。

(´;_ゝ;`)「DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>様は<334号室>でブリーフィングとなっていますうう」

('A`)「そうか、わかった」

ドクオは階段へ走ろうと振り返ったが、
素早く踵を返してレーザー銃を男へ向けて引き金を引いた。男の首から上がなくなった。

('A`)「職務怠慢はコンピューター様への反逆行為だ。
    コンピューター様への奉仕活動を怠るなんて、同じ住民として見過ごせないな」

今度こそドクオは階段へと駆けた。
全力で足を動かし、階段を数段飛ばしで上る。

ミッションアラームの放送から、もう、一時間は経過しているだろうか?

92名も無きAAのようです:2013/01/01(火) 01:56:12 ID:yW7ZTCcI0
11.<ブリーフィングルーム>


( ,,^Д^)

( ^ω^)

川 ゚ -゚)

ξ゚⊿゚)ξ

(;'A`)

( ,,^Д^)「住民DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>。四分十二秒の遅刻です。
      我々全員が納得できる理由を述べてください」

93名も無きAAのようです:2013/01/01(火) 02:00:52 ID:yW7ZTCcI0
(;'A`)「あ……」

( ,,^Д^)「それでは、こちらから質問しましょうか。
      住民DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>。あなたはどうして遅刻したのですか?
      最も大きな理由と考えられるものを挙げてください」

(;'A`)「……招集地点から、自宅が離れていたためです。
    ミッションアラームを受けたのは自宅でしたので、移動に時間がかかってしまいました」

( ,,^Д^)「よろしい。では、住民DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>。
      確か、あなたの住居は<第一総合案内区画>ですね。それは何故ですか?
      どうして、最先端技術が多く使用されている最新の<奉仕区画>に住居を移さないのですか?」

(;'A`)「それは……私の書く作品の雰囲気に関係があります。
     数多くの人と楽しく交流し、華やかな雰囲気に包まれているような作品ではありません。
     孤独な世界で生き抜く硬派なサイエンスフィクション小説ですので」

( ,,^Д^)「なるほど。
      つまり、退廃した世界観作りを描くのに必要な環境だと言うのですね?」

(;'A`)「そうです。
     流行のはるか後ろに身を置き、暗闇を感受しなければ私はあの作品が書けないのです」

( ,,^Д^)「とても良くわかりました。道理にかなっていますね」

(;'A`)「……」

94名も無きAAのようです:2013/01/01(火) 02:04:23 ID:yW7ZTCcI0
( ,,^Д^)「住民DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>。あなたは幸福ですか?」

(;'A`)「もちろんです《Collector》様!」

( ,,^Д^)「作者は素敵な作品を書き、そして読者に感情を与える。
      伝える物語の手法は自由で、受け取る側の解釈も自由ですが、
      あなたの作品には反逆的性向が見受けられました。あなたはそれを理解していますか?」

(;'A`)「そんなはずはありません!」

( ,,^Д^)「ほう。それだけ元気良く発言したのですから、余程の自信があるのですね。
      つまり、コンピューター様により近いわたしが間違っていると考えているのですね?
      《Collector》よりも《Author》の方が正しい、と。なるほど。意思は尊重せねばなりませんね」

( ,,^Д^)「トラブルシューターたち!」

( ^ω^)「ハッ!」

ξ゚⊿゚)ξ「ハッ!」

川 ゚ -゚)「ハッ!」

95名も無きAAのようです:2013/01/01(火) 02:08:37 ID:yW7ZTCcI0
( ,,^Д^)「今から、住民DOKUO-A-MELANCHOLYー<3>の作品、
      『マジックスタディ』から文章を抜粋します。
      それを聞き、理解した後に、感想をわたしに聞かせてください」

( ,,^Д^)「『やァ、参ったな。その時おれは思ったものだ。まったくの暗闇の中にたったひとりきり。
      いったいこの世界からどうやって脱出するんだってね。だけど簡単なことだった。
      鍵は懐疑による否定さ。“懐疑”から“意”を得たら“鍵”となるのはいつの世も同じ。
      その“意”が、自我の暗闇の檻の鍵となって世界へおれを解き放つのだ。拒絶こそが自由への扉』」

(;'A`)(三ヶ月前に更新した文章だ……)

( ,,^Д^)「これは、自分の部屋に閉じこもった男の心情描写です。
      今から、あなた達に感想を伺いますが、感想に嘘や偽りを混ぜ込むことは、
      決して許されない反逆行為だと、あなた達は理解していますね?」

( ,,^Д^)「それでは、住民BOON-A-NAITO-<1>。何か感想はありますか?」

( ^ω^)「あまりにも愚かしい、唾棄すべき文章だと感じました。
      この【シュガー・ボード】への懐疑を抱かせ、反逆を促しています。
      都市を想うこころが一切存在しないからこそ綴ることが可能な文章です」

96名も無きAAのようです:2013/01/01(火) 02:12:00 ID:yW7ZTCcI0
( ,,^Д^)「TSUNDERE-A-TTACK-<3>はどうでしょう?」

ξ゚⊿゚)ξ「疑いようもなく反逆的なものだと思いましたわ。
      特に、『いつの世も同じ』だなんて、まるで遥か昔の時代を知っているようです。
      個人で調べたものなのか、仲間がいるのかはわかりませんが、
      禁止されているにも関わらず、旧世界について調べているのではないでしょうか」

(;'A`)(遅刻によって“おれそのもの”の評価が下がり、
    今までは読まれても“そうやって解釈されなかった”場所がひっかかったのか)

( ,,^Д^)「その通りです。
      どうやら、他のトラブルシューターたちには問題はないようですね。
      わたしも、概ね同じ意見を抱きました」

( ,,^Д^)「読者にこのような感想を抱かせる作品を書くこころを持っている
      DOKUO-A-MELANCHOLYー<3>は、【シュガー・ボード】の住民として失格でしょう。
      あなたは、この都市に相応しくありません」

(;'A`)「ま、待ってください! 誤解です!」

( ,,^Д^)「愚昧なるあなたでも、コンピューター様の素晴らしさは知っているでしょう?
      コンピューター様は、この世のすべての事象を分析できます。
      人の些細な所作からでも同様です。つまり、コンピューター様が下した結論はまったく正しい。
      翻って、分析できないものがあった場合、それは反逆的な隠蔽であるということです」

(;'A`)

97名も無きAAのようです:2013/01/01(火) 02:14:11 ID:yW7ZTCcI0
( ,,^Д^)「住民DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>はブリーフィング後に処刑します」

(;゚A゚)「そ、そんな……」

( ,,^Д^)「さて、それではブリーフィングを開始しましょうか。
      わたしがこのブリーフィングを進行していきます、TAKARA-C-GIKO-<6>です。
      トラブルシューターのみなさん、よろしくおねがいしますね」

( ^ω^)「よろしくおねがいします」

ξ゚⊿゚)ξ「よろしくおねがいします」

川 ゚ -゚)「よろしくおねがいします」

(;'A`)「よ、よろしくおねがいします」

( ,,^Д^)「まずは、大前提からいきましょうか。みなさんご存知の通り、
      コンピューター様に庇護されたこの完璧な【シュガー・ボード】ですが、
      中にはこの環境を幸福と感じず、コンピューター様に不満を抱く嘆かわしい者が居ます。
      そのような反逆者を発見し処刑するのが住民の義務ですが……」

( ,,^Д^)「しかし、彼らも浅はかではありません。非常に狡猾であるのです。
      我々の中に溶け込み、巧妙に姿を隠しているのです。
      それを暴き、見つけ出すのが我々住民の義務なのは、言うまでもありませんね?」

98名も無きAAのようです:2013/01/01(火) 02:15:52 ID:yW7ZTCcI0
( ,,^Д^)「それでは、今回のミッションについて説明させていただきます。
      期待していますよ。ここにいるのは、優秀なトラブルシューターばかりですからね」

( ,,^Д^)「『ブラックマーケット』という作品スレッドを知っていますか?
      読者参加型形式のほのぼのとした作品でしたが……
      途中から作者が作品内に介入するようになりまして、作品の空気が一変します」

川 ゚ -゚)「作者が作品に登場する作品は、これまでにもあったのでは?」

( ,,^Д^)「……」

川;゚ -゚)「あ……」

99名も無きAAのようです:2013/01/01(火) 02:20:22 ID:LuCrnlt60
この作品に出会えた私は紛れもなく幸せです!

100名も無きAAのようです:2013/01/01(火) 10:31:36 ID:MFbQF7poO
この作品が読めるなんて、私はなんて幸福な市民なんでしょう。

101名も無きAAのようです:2013/01/01(火) 11:02:14 ID:AgGuE60c0
こんなにもおもしろい作品が読めて私はとても幸せです作者様!
続きが気になって夜しか眠れません!
打ち切りなどには決してなさらないでください!
私が眠れるのは夜だけになってしまうから!
作者様、本当にお疲れさまです。

102名も無きAAのようです:2013/01/02(水) 01:39:53 ID:vkcebjSY0
( ,,^Д^)「このわたしの説明を遮るとは……
      住民COOL-A-STRAIGHT-<4>、あなたは“書き込みの件”もありますし、
      後で個人的に“おはなし”する必要があるみたいですね。あははっ」

川;゚ -゚)「も、申し訳ありません!」

( ^ω^)(書き込みの件……?)

( ,,^Д^)「黙りなさい、《Author》のゴミが。いくらでも換えがいる《Author》如きが、
      許可なしにその汚らしい口を開くんじゃあありません。黙って聞いてくださいね?
      二度目はありませんよ? あははっ」

川;゚ -゚)「寛大な御処置、誠にありがとうございます!」

ξ゚⊿゚)ξ(何? これだけの無礼を働いたのに処刑されないの?)

川;゚ -゚)(危なかった。本当に、危なかった。死んだかと思った……。
      TAKARA-C-GIKO様と過去に面識があったことが幸いだったのか?
      今のわたしの作品にスレ立ての許可をくれた人だから、少しだけ判定が甘いのだろうか?)

103名も無きAAのようです:2013/01/02(水) 01:43:46 ID:vkcebjSY0
( ,,^Д^)「それでは、話を戻しますね。
      空気が一変したというのはですね、要するに“攻撃的”になったのですよ。
      はじめから、そうするつもりの作品だったのか、
      思うような人気が得られなくて苛立ったのかはわかりません」

( ^ω^)(愚かしいお……)

( ,,^Д^)「そして、問題が生じます。
      “他のスレッドに自分のスレッドの調子を持ち込む行為”や、
      “コンピューター様への挑発的な態度”に“都市に対する否定的言動”など、
      数多くの反逆行為を重ね始めたのです」

('A`)(ほう……)

( ,,^Д^)「これはもう<思考公言規制>であがなえる域を超えていましたので、
      すぐにコンピューター様――気落ちしておられました――がアクセス元を調べ、
      作者のもとに優秀なトラブルシューターが派遣されました……が」

ξ゚⊿゚)ξ(やはり、相手がその気になれば何から何まで全部調べられるのですね)

( ,,^Д^)「住居はもぬけの殻でした。パソコンを放置して、作者が失踪したのです。
      悲しみにくれる読者を出さないため、
      コンピューター様はすぐに作品を<打ち切り>扱いにしました」

川 ゚ ー゚)(文字通り、旧世界の言語で言う<逃亡>じゃないか)

( ,,^Д^)「さて、表面上では解決したように見えるこの問題ですが、
      実は一切解決していませんね?」

104名も無きAAのようです:2013/01/02(水) 01:46:32 ID:vkcebjSY0
( ,,^Д^)「ここからが本題です! よく聞いてくださいね?」

( ,,^Д^)「その作者が先日、<第二総合案内区画>で発見されました。
      彼はコンピューター様の目を逃れてどこかに隠れ潜んでいるようです。
      逃げている最中に得たのかどうかはわかりませんが、複数の仲間の存在も確認されています。
      あなたたちは<第二総合案内区画>へ向かい、速やかに彼らを殲滅してください」

( ,,^Д^)「以上です。質問があれば許可します」

( ^ω^)「《Collector》様、その反逆者の名前や顔はわかっていないのですか?」

( ,,^Д^)「もちろん、わかっていますよ。
      名前はSYOBON-A-BROWNCHILD-<6>。こちらが顔写真です」

『(´・ω・`)』

( ,,^Д^)「八の字の眉に、うつむきがちな態度から気弱そうだと侮ってはいけませんよ。
      反逆者は確実に粛清しなければなりませんからね。しっかりとお願いします」

( ^ω^)「お任せください。必ずや仕止めてごらんにいれます」

105名も無きAAのようです:2013/01/02(水) 01:49:24 ID:vkcebjSY0
( ,,^Д^)「他のトラブルシューターは何かありますか?」

ξ゚⊿゚)ξ「わたくしはありませんわ。
        BOON-A-NAITO-<1>の的確な質問で疑問がすべて解決しました」

川 ゚ -゚)「右に同じです」

('A`)「すいません、ひとつ、よろしいでしょうか?
    先日発見したとおっしゃいましたが、どこから得た情報なのでしょうか?
    発見現場の様子がわかれば、重点的に調べるべき場所が判明すると思うのですが」

( ,,^Д^)「……」

(;'A`)(何かマズいことを言ったか……?)

( ,,^Д^)「……効率良く反逆者を処刑しようと考えれば、当然抱く疑問ですね。
      よろしいでしょう。やはり反逆者は、反逆者の思考がわかるということでしょうか」

(;'A`)(おれの評価が悪いから、何をしても悪い印象へと受け取られてしまうのか……)

( ,,^Д^)「まず、どこから得たという情報については、あなたたちの階級には開示されていません。
      SYOBON-A-BROWNCHILD-<6>を発見した現場の映像を、
      発表が許可されている部分のみ、今から流しますので、よく見て記憶してくださいね」

タカラの言葉が終わると、ブリーフィングルームの明かりが落ちた。
それからすぐに壁の一面が真っ白に光り出した。スクリーンだ。映像が始まる。
どこかから細かやな機械音が聞こえてきた。映像を投射しているプロジェクターの音だ……。

106名も無きAAのようです:2013/01/02(水) 01:51:43 ID:vkcebjSY0
12.<SYOBON-A-BROWNCHILD-<6> ―― ショボン=(´・ω・`) ―― >


(´・ω・`)

( ・∀・)

<ヽ`∀´>

ノパ⊿゚)

廃墟同然の光景が映しだされた。音声は入っていない。
民家の壁や地面は黒ずんだ灰色をしており、
映像越しであったが現場の空気が用意に察することができる。

三人の男とひとりの女が、周囲を警戒しながら歩いていた。
時折背後を振り返り、尾行している者がいないか気にしている。

107名も無きAAのようです:2013/01/02(水) 01:52:36 ID:vkcebjSY0
( ・∀・)

(;´・ω・`)

端正な顔をした男が、気弱そうな男――ショボン――へと何かを口にした。
ほころんだ表情と大仰な仕草から、ショボンを怖がらせ、からかったようだ。
小さな身体をより縮めたショボンは助けを求めるように女に顔を向ける。

ノパー゚)

(;´゚ω゚`)

女がにっこりと微笑んだ。
反してショボンの目が見開かれ、より一層怯えた表情になる。
大柄なその男にすがるように、四人組の最後のひとりを見上げた。

<ヽ`∀´>

(´・ω・`)

角ばった顔立ちをした男だ。
落ち着いた空気を纏っている佇まいだが、どこか、すべてを諦観しているようにも見える。

彼が口を開き、ショボンの肩を叩くと、ショボンが気を取り直した。
どうやら、ショボンが厚い信頼を寄せる男らしい。

(´^ω^`)

ショボンが笑顔を見せた。
先ほどの彼の印象――気弱で卑屈で、闘争を好まないであろう――とは違った、
人の神経を逆なでする笑顔を最後に映像が終わる。

108名も無きAAのようです:2013/01/02(水) 05:31:59 ID:sOccfdwc0
ZAPZAPZAP

109名も無きAAのようです:2013/01/02(水) 14:49:25 ID:awLcfanU0
茶器坊か
乙!

110名も無きAAのようです:2013/01/03(木) 03:30:51 ID:n3qObux.0
13.<役職>


( ,,^Д^)「映像は以上です」

ξ゚⊿゚)ξ(全員、階級を表すベストを着ていませんでしたね。
       顔まで判明している反逆者ですのに、何も言及されないんですの?
       だとすると、完全に管理されていない都市住民……? 《Reader》でしょうか?)

( ,,^Д^)「ああ、そうそう。
      『ブラックマーケット』の作品スレッドを立てる許可を出した者は、
      クローンナンバーをひとつ増やして、
      再教育プログラムを受けている最中ですから安心してくださいね」

川;゚ -゚)(なるほど。さっきわたしが助かった理由も、そのあたりが関係しているのか)

( ,,^Д^)「それでは、今からチームの“役職”を決めたいと思います。
      みなさんは《Author》に成り立ての新参者ではありませんから、
      適性テストを行うこともないでしょう。過去の実績から決めますね」

111名も無きAAのようです:2013/01/03(木) 03:35:44 ID:n3qObux.0
( ,,^Д^)「BOON-A-NAITO-<1>には[チームリーダー]をお願します。
      冷静で的確な行動がとれ、反逆者の発見が得意なあなたにぴったりの役職ですね」

( ,,^Д^)「もしかすると、トラブルシューターのチームの中に、反逆者が潜んでいるかもしれません。
      ですが、あなたならば見つけ出して即座に始末できるでしょう。
      それによってチームメンバーが減ってしまっても、
      完璧にミッションをこなしてくれると信じていますよ」

( ^ω^)「承りました」

( ,,^Д^)「TSUNDERE-A-TTACK-<3>には、[幸福係]をお願いします。
      チームみんなが幸福にミッションに取り組み、完璧に遂行できるようにするのが、
      [幸福係]という役職の仕事です」

( ,,^Д^)「士気はミッションの成功に重要な要素ですから、気を配ってくださいね。
      あなたの場を盛り上げるギャグや、陽気な歌に反応しない者は士気が低下しています。
      そんな状態では到底ミッションの成功は望めそうにありませんね」

( ,,^Д^)「そんな事態は、ただちに是正されなければなりません。
      これから後、あなたがたはコンピューター様から支給される道具を受け取るのですが、
      その時に[幸福係]の権限で扱える“クスリ”を渡します。
      それは“幸福になれるクスリ”ですので、士気が低い者に独断で投与し、不幸を是正してください」

ξ゚⊿゚)ξ「かしこまりましたわ」

112名も無きAAのようです:2013/01/03(木) 03:39:30 ID:n3qObux.0
( ,,^Д^)「DOKUO-A-MELANCHOLY-“<4>”には、
      [記録係]と[忠誠係]をお願いします」

(;'A`)(<4>……“おれ”じゃあないんだな……)

( ,,^Д^)「いわゆる、チームの監視係ですね。
      [記録係]としてミッションの映像を記録し、[忠誠係]としてミッションの様子を記してください。
      あなた達がしっかりとコンピューター様のために働いているかどうか判断しますからね、
      きちんとお願いします」

( ,,^Д^)「DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>。クローンナンバー<4>が、
      目覚めたクローン施設で装備を受け取れるように、今、手配していますので、
      “次のあなた”はそちらで受け取ってくださいね? あははっ」

(;'A`)「わ、わかりました」

113名も無きAAのようです:2013/01/03(木) 03:41:42 ID:n3qObux.0
( ,,^Д^)「COOL-A-STRAIGHT-<4>には、[装備管理係]をお願いします。
      あなたは、四人の中で一番優れた運転技術を持っていますからね。適任でしょう。
      他には、チームの乗り物や装備品を扱う役職ですね。
      レーザー銃やベストの修理などもお願いしますよ」

( ,,^Д^)「必要だと思ったときには、チーム全員の装備品を点検してくださいね。
      武器が壊れたままですと戦闘時にまったく無力になりますから。
      そんな者は生かしておく価値がありません。即座に“次の者と交代してもらいましょう”」

( ,,^Д^)「あと、支給されていないはずの不審な装備を持っている者がたまに居るようです。
      どこから手に入れたのか知りませんが、支給物以外を所持しているということは、
      紛れも無い反逆者ですので、相手が隠している装備を見逃さないようにしてくださいね」

川 ゚ -゚)「任せてください」

( ,,^Д^)「これで全員に役職が行き渡ったようですね。
      では、今からみなさんのチームに支給される装備や道具を渡します」

( ,,^Д^)「まずはみなさんに、レーザー銃を一丁ずつ。要するに、予備ですね。
      予期せぬ出来事が起きてひとつ壊れてしまうなんてよくありますから。
      そして次に、“超能力感知器”です。今は電源を切ってありますが……」

('A`)(なんだと!?)

ξ゚⊿゚)ξ(なんですって!?)

川 ゚ -゚)(そんなものがあるのか!?)

( ^ω^)(……)

114名も無きAAのようです:2013/01/03(木) 03:43:43 ID:wwL1i/bM0
支援

115名も無きAAのようです:2013/01/03(木) 04:05:46 ID:n3qObux.0
( ,,^Д^)「これは、近くで超能力が使用されると、感知して音が鳴り、力の出処を示します。
      具体的な効果範囲はあなたたちの階級には明かせない情報ですが、
      反逆者である超能力者を発見するには非常に有用な代物ですので、うまく扱ってくださいね」

( ,,^Д^)「そして、こちらが[幸福係]が管理する“クスリ”です。
      注射薬で、全部で十本あります」

( ,,^Д^)「“クスリ”はトラブルシューターの間では『幸福薬』だとか、
      『ハッピードラッグ』だとか、そのような名前で呼ばれていますね。
      まあ名前なんてどうでもいいですが、効果は折り紙つきですよ。
      摂取すれば間違いなく“幸福な状態”になりますので、士気が低い方に注射してください」

( ,,^Д^)「最後に、“最新技術”が使用された新装備をひとつ支給します。
      トラブルシューティングを通じて、新装備のテストと結果報告を行なってくださいね」

( ,,^Д^)「“今のところこの装備が何らかの問題を起こしたという報告は上がっていませんが”、
      科学の発展にはデータが必要ですので、使ってくださいね? 奉仕は義務ですよ。
      テストする人物は[装備品係]が決めてください。使用レポートを提出するのを忘れずに」

( ,,^Д^)「さて、以上でブリーフィングも終えたいと考えています。
      何か質問はありますか? まさか、これだけ長い間わたしが時間を割いて説明したのに、
      まだわからないことがある住民なんていませんよね?」

116名も無きAAのようです:2013/01/03(木) 04:14:36 ID:n3qObux.0
( ^ω^)

ξ゚⊿゚)ξ

川 ゚ -゚)

('A`)

( ,,^Д^)「よろしい。それではトラブルシューターたち、期待していますよ。
      初対面の方もいるでしょうから、お互いの自己紹介から始め、
      チームメイトとして親睦を深めてからミッションに臨んでくださいね」

( ,,^Д^)「それでは、DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>」

(;'A`)「は」

「い」、と続くはずだったドクオの返事よりも早く、黄色い光線が彼を覆い尽くした。
床に大きな焦げ跡だけを残し、DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>は蒸発した。
その瞬間、クローン施設でDOKUO-A-MELANCHOLY-<4>が目を覚ました。

( ,,^Д^)「大丈夫。次のクローンはもっと面白い作品を書いてくれるでしょう」

117名も無きAAのようです:2013/01/03(木) 21:14:47 ID:v9fIBHMMO
小説板より配達 
 
 
 
(*`・ω・)「支援!」

118名も無きAAのようです:2013/01/03(木) 23:33:57 ID:6vhS2K4E0
支援!

119名も無きAAのようです:2013/01/04(金) 02:18:10 ID:tNwbwsD20
13.<解散>


( ,,^Д^)「それでは、COOL-A-STRAIGHT-<4>はこちらの部屋へ。
      他のみなさんは解散してもらって構いません。
      <第二総合案内区画>へと直行してもいいですし、一旦帰宅して装備を整えても良いですよ」

( ^ω^)「ぼくは都市の図書館に寄って<第二総合案内区画>の地図を調べたいお」

ξ゚⊿゚)ξ「ではわたくしは、近くの書店で地図を探してみますわ」

川;゚ -゚)「そ、それじゃあ、わたしはどうやって合流しようか……?」

( ^ω^)「処罰を待っているのは時間の無駄だから、そうだおね……
      各自用事を終え、一時間後にまた、このビルの入り口で集合しようお。
      DOKUO-A-MELANCHOLY-<4>も恐らくここに帰ってくるだろうし」

ξ゚⊿゚)ξ「あら? どうして、彼がここにまた帰ってくるのですか?」

( ^ω^)「《Collector》様にぼくたちがどこへ行ったのか聞かなければ、
      どこへ行っていいのかわからないじゃないかお。
      まさか、たったひとりきりで反逆者の始末に向かうなんて命知らずな人なのかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「あの人のことは知りませんが、普通に考えるとそうですわね。
        こんなに素晴らしく理知的に思考の組立ができる方が[チームリーダー]だなんて、
        感激しましたわ! これはもうミッションは成功したも同然ですわね!」

120名も無きAAのようです:2013/01/04(金) 02:29:38 ID:tNwbwsD20
“最新技術が使われた”新装備といって渡されたものは、細く短い棒だった。
ブーンもツンデレも首を傾げている。
少し長い発煙筒のように見えるが、外れそうな蓋はない。

( ^ω^)(《Collector》様から支給された物だから、
      都市に貢献できる素晴らしいものに違いないお。
      何もそんな難しいことは考えないでいいか……)

( ^ω^)「それじゃあ、超能力感知器と新装備のこれはぼくが持つお。
      クスリは[幸福係]のTSUNDERE-A-TTACK-<3>が持っていてほしいお」

ξ゚⊿゚)ξ「無くさないようにしますわ」

ブーンは新装備をポケットに入れておくことにした。
ポケットは深く、新装備は小さいものなので、動きに支障はない。
飛び出し、落とす心配もなさそうだ。

121名も無きAAのようです:2013/01/04(金) 02:32:06 ID:tNwbwsD20
ブーンが超能力感知器の電源を入れた。

二十センチほどの扇形の盤に様々な数値があらわれる。
今はゼロを示しているので『〇.〇〇』と表示されていた。
盤の左右の隅に細やかな穴がいくつも開いていた。警告音はそこから鳴るらしい。

扇形の盤からつながって下に持ち手が伸びている。
しっかりと握れるように持ち手は太く、柔らかな素材でできていた。
下に向かうほど細く、小さくなっていくのでベストのポケットに差し込むことが可能だ。

( ^ω^)「それじゃあ、一時間後に。
      全員が揃ってから、改めて自己紹介をしようお」

ξ゚⊿゚)ξ「わかりましたわ」

川;゚ -゚)「あ、ああ……」

ブーンが超能力感知器の電源を切ると、各々が行動へ移った。

ブーンとツンデレはブリーフィングルームを出ていき、
クールはタカラに連れられて隣の部屋へと入っていった。

122名も無きAAのようです:2013/01/04(金) 21:22:16 ID:tNwbwsD20
14.<『V.I.P』>


( ,,^Д^)「COOL-A-STRAIGHT-<4>」

川;゚ -゚)「ハッ! いかなる罰も受けます、《Collector》様!」

( ,,^Д^)「本当ですか?
      ここは、コンピューターすら目の届かないわたしの私室ですよ?」

川;゚ -゚)「えっ?」

クールは思わず声を上げた。階級が高いほど、
コンピューターへの絶対なる信奉者――コンピューターにより近い人間――だと思っていたからだ。
どんな状況だろうと絶対に、「コンピューター」と呼び捨てにするなんてありえない、と。

( ,,^Д^)「質問をします。いいですか? あなたの知識を総動員させて答えてくださいね?」

川;゚ -゚)「は、はい」

( ,,^Д^)「スレッドに一定時間書き込みが途絶えた場合、
      書き込み不能になる現象を何といいますか?」

123名も無きAAのようです:2013/01/04(金) 21:26:38 ID:tNwbwsD20
川;゚ -゚)(なんだって? どういうことだ? ……本気で言っているのか!?)

疑問がクールの頭を埋め尽くす。なんと答えるべきなのだろうか。
この【シュガー・ボード】で書き込み不能――発表も感想も出来ない――になるだなんて、
コンピューターから<思考公言規制>を受けない限り、起こり得ない。

更に、スレッドに一定時間書き込みが途絶えた場合、と《Collector》は言った。
そうなってしまっても――丸一日、一週間、一ヶ月と経過しても――書き込めなくなることはない。
読者はいつでも続きを求める声を書き込め、作者は発表の目処を伝えることができる。

川;゚ ー゚)(二ヶ月以上投下の間が開いた場合はコンピューターから警告が届き、
       三ヶ月以上の場合は義務を果たさない反逆者として処刑されるから……
       『そんな現象は起こり得ない』が正解だろう。いや、しかし……もしかすると……)

正直に、今頭の中にある答えを口にするべきだろうか? クールは自問する。
一番はじめに思い浮かんだ考えを……? しかし、そう答えれば“間違い無く”反逆者と判断される。
次の“自分”に再教育プログラムを施されるかもしれないし、今の“自分”は死んでしまうだろう。

川;゚ -゚)(超能力を使うか……?)

( ,,^Д^)「おっと、超能力を使うのはなしですよ。
      ここに超能力感知器がありますから、反応すればすぐに処刑します。
      質問の答えも、あと十秒以内に答えられなければ蒸発させましょうか」

川;゚ ー゚)(何を考えている? いや、一緒だ。どうせ、このままじゃあ死んでしまう!
       わたしに反逆者の疑いをかけていて、尻尾を出す餌としての質問だろう?
       しかしこのまま、悩んでいても同じじゃないか! なら、その可能性に……ああしかし……)

124名も無きAAのようです:2013/01/04(金) 21:33:14 ID:tNwbwsD20
川;゚ ー゚)「だ」

( ,,^Д^)「だ?」

川;゚ ー゚)「<DAT落ち>……です」

クールが持ちうる限りの勇気を振り絞り、回答した。
彼女の震えた声がタカラへと届く。タカラの表情は変わらない。
引きつった顔の彼女と、薄い笑顔のままの彼の間に、沈黙が流れた。

( ,,^Д^)「よろしい!」

そしてタカラが、弾む声とともに“本物の笑顔”を作り、クールの手を握った。

川;゚ ー゚)「え?」

( ,,^Д^)「“旧世界”についてしっかりと調べているようですね。
      <DAT落ち>。これは、今ではもう、なくなってしまった言葉のひとつですよ」

125名も無きAAのようです:2013/01/04(金) 21:45:54 ID:tNwbwsD20
川;゚ -゚)「もしかして……」

( ,,^Д^)「改めて自己紹介しましょうか。
      秘密結社『V.I.P』に所属しているTAKARAです。
      COOLさん。あなたに指令を下すように上から指示されています」

川;゚ -゚)「……《Collector》様よりも上の立場の人間がいるのですか?」

( ,,^Д^)「《Collector》というのは、コンピューターが作った階級制度ですよ。
      秘密結社『V.I.P』にはまた別の階級制度があるのです」

秘密結社に属する者たちは、通常、【シュガー・ボード】で使われている
階級名――《Reader》、《Author》、《Planner》、《Collector》――を、結社内では使わない。
彼らは“二重思考”を憎んでいる。
しかし、打ち倒すべき相手が決めたしきたりに従わなければ、この都市の中で未来はない。

二重思考とは、ふたつの相矛盾する信念をこころに同時に抱き、
その両方を受け入れる能力である。都市で生き延びるためには絶対に必要な思考技術だ。

意識的な欺瞞を働きながら――【シュガー・ボード】で殺されないよう、こころにもない言動をとり――、
完全な誠実さ――【シュガー・ボード】のコンピューターを敬愛する――を伴う、
目的意識の強固さを保持する行動。

秘密結社では、誰もが飾り気なくありのままの自分でいなければならない。
世間にさらけ出せない思考を共有し、いつの日かそれが認められる時を目指して、
【シュガー・ボード】内で秘密裏に活動を行う……それが、秘密結社だ。

126名も無きAAのようです:2013/01/04(金) 21:48:54 ID:tNwbwsD20
川;゚ -゚)「そうだったんですか……」

( ,,^Д^)「あなたの考えは我々と非常に近いものです。
      『良い点だけではなく、悪い点も感想として作者に伝えるべきだ』という考えですね?」

川 ゚ -゚)「はい。『より良い物語を作るために、改善点を伝えるべきだ』と考えています」

( ,,^Д^)「相手が望んでいなくても?」

川 ゚ -゚)「相手が望んでいなくてもです。
      作者が自分で考えて、読者の意見を受け入れるかどうかを判断すれば良い。
      それがわたしの考えです。
      肯定意見以外は排斥するコンピューターの考えには賛同できません」

( ,,^Д^)「非常に素晴らしい考えです。
      しかし、『サポートフェアリーズ』にあのような書き込みをしたのはいただけませんね」

川;゚ -゚)(削除された書き込みか……)

( ,,^Д^)「『登場人物に魅力が感じられません。もっと丁寧に人物描写してはどうですか?』
      このような書き込みは最も危険なものです。“魅力的な人物”を描写するということは、
      読者が憧れ、真似をする……影響力の大きなキャラクターということですね」

( ,,^Д^)「そんなキャラクターがいれば、現実にどういうことを引き起こすか、わかりますか?」

127名も無きAAのようです:2013/01/04(金) 21:55:15 ID:tNwbwsD20
川 ゚ -゚)「作中の人物の行動次第で、現在の構造を疑問に思わせてしまう可能性がある、と?」

( ,,^Д^)「その通りです。“その方向に作品が成長されては困る”のです。
      “成長した物語を読んで、読者がその方向に成長”する……
      これをコンピューターは最も危惧しています。
      創作に支えられているこの都市は、創作に最も脆いのですからね」

( ,,^Д^)「“狂った”コンピューターへと捧げている創作意欲がこの都市を回しているのですよ。
      良い物語が読みたいから都市内で労働に勤しみ、
      良い物語を読んだから都市内で労働に勤しめるのです」

川;゚ -゚)「書き込み時の文面には、より一層気を遣いたいと思います……」

( ,,^Д^)「COOLさんの、その考えは“向上心”があるということです。
      それがあったからこそ、旧世界の記録を調べようとしたのでしょう?」

川 ゚ -゚)「どうでしょうか……正直な話、はっきりそうだとは言えません。
      『この都市はなんだか堅苦しいな』と思ったのが、
      旧世界の歴史を調べるきっかけではありましたが……」

( ,,^Д^)「現状に満足せず、新たな意見を求める。素晴らしいことですよ。それが向上心です。
      向上心がなければ良い創作物は生まれにくいですから、
      是非、すべての都市住民に持ちあわせて欲しいものですね」

128名も無きAAのようです:2013/01/04(金) 22:00:18 ID:tNwbwsD20
( ,,^Д^)「しかし、今の【シュガー・ボード】はコンピューターに征服されています。
      その現実的圧力が創作作品の方向性を決めてしまっているのですね」

( ,,^Д^)「言葉がなければ、知識がなければ、思考はできません。
      言葉が破壊され、新たに作り変えられているのもそのためですし、
      知識が制限され、求めるものが粛清されるのもそのためですから」

川 ゚ ー゚)「なるほど……」

( ,,^Д^)「未だ考えなかった作品の発想を得る……現実から離れる……」

( ,,^Д^)「つまり、そう、“幻想的”になるには、
      今ではもう、過去に起こった出来事を、かなり正確に理解するしかありません。
      現在のこの都市には、“妄想”はあふれていても“幻想”は存在しませんから」

( ,,^Д^)「今やもう打ち捨てられた<第一総合案内区画>の図書館。
      その内にある、誰もが忘れた、コンピューターすら目が届かない本棚に並ぶ本や……」

( ,,^Д^)「口外は反逆だと理解しながらも、
      旧世界の世界に思慕の念を抱き続ける老人から話を聞きだすしか、
      旧世界の知識を得る方法は残されていません」

川 ゚ -゚)「わずかに残されている旧世界の断片を集めるのが、
      秘密結社『V.I.P』の目的……というか、方針なのでしょうか?」

( ,,^Д^)「今はそうしていますが、最終的な目的なコンピューターを止めることです。
      薄暗いこの檻を壊し、コンピューターの支配から脱するのです。
      旧世界の幸福な状態に戻らなければ、この世界に未来はありません」

川 ゚ -゚)「……全面的に、賛成します。どうか、わたしにもそのお手伝いをさせてください」

129名も無きAAのようです:2013/01/04(金) 22:03:09 ID:tNwbwsD20
( ,,^Д^)「もちろん、そのつもりですよ!
      あなたに指令を伝えにきた、と先ほども言ったでしょう?
      そのトラブルシューターチームでやってもらいたいことがあるのです」

川 ゚ -゚)「ハッ!」

( ,,^Д^)「我々の仲間にかつて『NOT-P-WATCH』という男がいまして、
      《Reader》たちへと啓蒙活動を行うのを生きがいとしていたのですが、
      先日、とうとうクローンが尽きてしまいました」

川 ゚ -゚)「すいません、少し、よろしいでしょうか?
      お言葉ですが、《Planner》様がそう何度も処刑されるのでしょうか……?」

( ,,^Д^)「彼は、“橙色”のベストを着て活動していては、伝わらないと考えていたようです。
      同じ位置に立って伝えない限り、しっかりとこころから理解はされないとよく言っていました」

川 ゚ -゚)「……賢いとは、言えませんね」

( ,,^Д^)「その通りです。
      都市内で苦労して、ようやく得た力をすべて放棄して活動しているのですからね」

川 ゚ -゚)(……)

130名も無きAAのようです:2013/01/04(金) 22:06:29 ID:tNwbwsD20
( ,,^Д^)「そして、あなたにやってもらいたいことは、彼と無関係ではないのですよ。
      NOT-P-WATCHの最後のクローン――NOT-P-WATCH-<6>――を殺害したのは、
      つい先ほどまで顔を合わせていた、BOON-A-NAITO-<1>ですからね。時期も、つい先日です」

川;゚ -゚)「な……」

( ,,^Д^)「BOON-A-NAITO-<1>は狂信的なコンピューター信者だと、我々は考えています。
      彼は【シュガー・ボード】内で“完璧に幸福”であるため、非常に厄介な人間です。
      今でも十二分に脅威ですが、これから先、力を身に着けてしまうと手におえません」

( ,,^Д^)「よって、あなたには、彼を殺していただきたいと考えています」

川;゚ -゚)「……」

( ,,^Д^)「今回のトラブルシューティングで彼を“完全に”殺すことができれば最高ですが、
      それは難しいでしょう。彼はまだクローンナンバーが<1>。
      <2><3><4><5><6>と残っています。まだ、ひとりも自分を失っていない……
      つまり、一度も失敗を犯したことがないのです。これが何を意味するかわかりますね?」

川;゚ -゚)「はい」

131名も無きAAのようです:2013/01/04(金) 22:09:24 ID:tNwbwsD20
( ,,^Д^)「達成は困難を極めるでしょう。しかし、あなたにはやり遂げて貰いたい。
      この時代の申し子……現代の環境が――コンピューターが――作り上げた創作者……
      BOON-A-NAITOを、ここで殺しておかなければ、“我々の理想郷”は成し得ません」

川;゚ -゚)(出来るのか? わたしに? BOON-A-NAITOを殺し尽くすことが?)

川;゚ -゚)(“わたしひとりを使って相手をひとり殺す”方法が確実だろうが、
      わたしはもうクローンナンバー<4>だ)

川;゚ -゚)(となると、殺害方法も考えなければならない……理由もなく発砲した場合、
      『善良な住民を殺した』反逆行為となるため、他のメンバーからわたしも殺されてしまうからな。
      このトラブルシューティングで死ぬわけにはいかない。ならば、この方法は使えない……)

( ,,^Д^)「達成してくれますね?」

川;゚ ー゚)(だが、このまま今のような日常を繰り返していても同じじゃないか。
      毎日仕事終わりに危険を犯して廃墟へでかけ、本を読んで旧世界の知識を集める……。
      いつか、絶対に、死んでしまう、今の環境を変えるしか生き延びる道がないのなら!)

川;゚ ー゚)「はい! 任せてください!」

( ,,^Д^)「ともに力をあわせ、いにしえの栄光時代を現代に蘇らせましょう!」

川;゚ ー゚)(あの頃へと戻るために……わたしの理想の環境を作るために、やるしかないじゃないか。
      失敗してわたしが死んでしまっても、わたしの肉体は新時代への糧となる。
      ひとりでも多くBOON-A-NAITOを殺害し、少しでもコンピューターの評価を下げてやる……)

132名も無きAAのようです:2013/01/04(金) 22:17:31 ID:heLogK9s0
秘密結社か
いいね
乙!

133名も無きAAのようです:2013/01/04(金) 22:52:46 ID:8Evbhl3A0
一層楽しみになってきたわ

134名も無きAAのようです:2013/01/05(土) 00:01:14 ID:ye.CUU4k0
結社もブーン系版になってて凄い気になる・・・

135名も無きAAのようです:2013/01/05(土) 00:32:19 ID:B6rXhDrsO
コミーがどうなるのか今から楽しみだ・・・

136名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 19:31:08 ID:BAZN2eik0
15.<『ブラウザクラッシャー』>


ビルから出て、ブーンと別れたツンデレは書店に赴いた。
彼女の自宅からさほど離れていないその書店に、ツンデレは何度も訪れていた。
掲げられた看板にはかなり崩された文字で『流石書店』と店の名前が書かれている。

扉につけられた取っ手を引き、書店へと入ると鈴の音がした。
来客を知らせる合図として、鈴は扉に取り付けられている。
入店してすぐに年季の入ったレジスターが置かれているが、店主の姿は見えない。

床から天井間近まで伸びている本棚がいくつも並び、
迷路のような様相を呈してはしてはいるが、
それほど大きな店舗ではないので、十分もあれば店内を一通りすることができる。

ツンデレは本のにおいを感じながら店内を進んでいく。
足を止めることなく、右へ左へと曲がり、目の前の本棚の周りを回ったかと思えば、
次は隣の本棚の周りを回り、ときには不意に身を翻して、逆戻りしたりもした。

もうしばらく足を動かして店内をうろうろと歩きまわり、
やがて、店の入り口にあるレジスターの前に戻ってきた。そして、口を開く。

ξ゚⊿゚)ξ「『オーケー、ブラクラゲット』」

     「ようこそ。久しぶりだな、TSUNDERE-<2>」

137名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 19:33:28 ID:BAZN2eik0
ξ゚⊿゚)ξ「今はもう、<3>になってしまいましたわ」

     「なんと! 優秀な君がクローンナンバーを増やすだなんて、珍しいな。
        どうやって処刑されたのか興味があるな。話は聞かせてくれるのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「構いませんが、まずは出てきてくれませんか?
        それと、<第二総合案内区画>の地図があれば持ってきてくださいな」

     「<第二総合案内区画>の地図か……あることにはあるが、
        君の階級には開示されていない情報になっている。
        《Planner》以上でないと所持は反逆となるが、どうする? 買うのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「でしたら、購入は致しません。頭に叩き込みますので、持ってきてください」

     「わかった。今から行く」

声が終わって、ノイズが鳴った。
それを最後に、レジスターの横に置かれている小さな箱から声は聞こえなくなる。

店主――声の主――は店内にカメラを死角なく仕掛けており、
どのような目的で訪れた人物なのか判断を下してから、姿をあらわすのだ。

慎重を期す心構えは秘密結社の幹部としては間違いのだろうが、
ツンデレは秘密結社の一員として会話に至るまでのひどく迂遠な道程を嫌っていた。

138名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 19:35:31 ID:BAZN2eik0
(´<_` )「お待たせ」

ξ*゚⊿゚)ξ「それ、なんですか?」

店の奥から男が現れた。特徴的な高い鼻をしている男だ。
右手に地図を持っており、左手には金色の銃――大きさはレーザー銃と変わらないが、
鋭角的な銃身を持ち、やけに銃口が大きい――を持っていた。ツンデレは頬を紅潮させる。

(´<_` )「新しい銃器を開発したよ。中々良いものができた。
        任意の目標へと向けて引き金を引けば、跡形もなく消し飛ばすことができるだろう。
        ただ、弾丸が六発しかなくて、レーザー銃のように連射もできないんだがな」

ξ*゚⊿゚)ξ「さいっこうですわぁ……」

声の後、地図をそっちのけに金色の銃を受け取ると、ためつすがめつ眺める。
男は満足気に頷いていたが、いつまでも頬を緩ませているツンデレをたしなめた。

(´<_` )「それで、今日は何の用なんだ?
        直接来るくらいだから、何か重要な用事なんじゃあないのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「用事ですか? そんなもの、今終えましたわ。
        この銃のような“破壊兵器”を受け取ることが用事でしたの」

(´<_` )「どういうことだ?」

139名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 19:36:49 ID:BAZN2eik0
ξ゚⊿゚)ξ「今さっきブリーフィングが終わって、これからトラブルシューティングですのよ。
        ミッションの内容はいつも通り『反逆者の始末』でしたわ」

(´<_` )「ああ、なるほどな。『ブラウザクラッシャー』として活動するために来たのか」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ、ミッションなんて成功するに決まっていますもの。
        ただ、[幸福係]に任命されたのが少し心配ですわ。
        [装備管理係]なら、ここで受け取った破壊兵器を隠して扱うのは容易ですのに。
        まあ、それでもこの間の『コンピューター様を称える物語を書け』に比べれば遥かにましですわ」

(´<_` )「それって、《Author》の中から選出されるやつだろ? 反逆的じゃないから選ばれたんだ。
        ということは、コンピューターからの評価が高いんだよ。
        あれは昇級試験のようなものだから、《Planner》に昇格する日も近いぞ。
        まだナンバー<3>だろ? かなり“優秀な住民”じゃないか」

ξ゚⊿゚)ξ「……そうなんですが……、ひとり、気になる人がいますの」

(´<_` )「君が? 気になる人だって?
        おいおい、本当に珍しいな。君が警戒するような人間がいるのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「同階級に、クローンナンバーが<1>の人が居ましたの。
        考えられませんわ。《Author》になっている今まで、一度も処刑されていないなんて。
        軽度ではありますが、予知能力を使えるわたくしでも二度死んでいますのよ?」

140名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 19:38:31 ID:BAZN2eik0
(´<_` )「……名前は?」

ξ゚⊿゚)ξ「BOON-A-NAITOですわ」

(´<_` )「書いている作品はわかるか?」

ξ#゚⊿゚)ξ「……失態ですわ。書いている作品を聞くのを忘れていました。
       ああ、もう! 自己紹介は全員揃ってからと言われたものですから、
       素直に従ってしまいました! ……クソッ! あのニヤケ面ァッ!」

(´<_` )「済んでしまったものは仕方がない。
        何か手がかりはないか? 例えば、性格だとか」

ξ#゚⊿゚)ξ「バカみたいに“忠実”だと感じたわ。正直、人間味を感じなかった。
       あれが素なのか、二重思考なのかどうかすらわからないくらい機械じみてたわね。
       超能力なの? わたくしよりも凄い予知能力!? それとも……」

(´<_` )「落ち着け。激昂するのは悪い癖だぞ、TSUNDERE」

ξ゚⊿゚)ξ「……すいません、落ち着きましたわ。その通りですわね。
        わたくしは、わたくしがしたいことをやるだけですわ」

(´<_` )「同じ《Author》なんだろ? なら、邪魔になりそうなら、
        トラブルシューティング中に処刑してしまえばいいじゃないか」

ξ゚⊿゚)ξ「それも、そうですわね」

141名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 19:43:54 ID:BAZN2eik0
ξ゚⊿゚)ξ(だとすると、SYOBON-A-BROWNCHILD-<6>は、
        できるだけ生かしておいたほうが良いですわ。
        トラブルシューティング中のほうが破壊活動はしやすいですから……)

(´<_` )「都市荒らし――暴言での書き込み、暴動の先導、建造物の爆破――が我々の理念だ。
        荒らす規模が大きければ大きいほど“高得点”になる。
        その“点数”に応じて報酬を与える。いつも通り、処刑されない程度にやってこいよ」

ξ゚⊿゚)ξ「何事も単純なのが一番ですわ。自分がやりたいように、楽しいことをやる。
        たとえ、それで他人に迷惑がかかったとしても、知ったことではありませんわ。
        『それはいけない』と縛られることこそが、わたくしに迷惑がかかっていますものね」

(´<_` )「うむ。
        ほら、地図だ。しっかり覚えて、効果的に破壊活動に励むんだぞ」

ξ*゚⊿゚)ξ「はい!」

ツンデレが夢見る少女にも似た笑顔で頷いた。
地図を受け取って食い入るように見つめている彼女の様子を、男は微笑んで眺めている……。

142名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 20:51:46 ID:HCEQqt9E0
やっぱブーンって異常なのな

143名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 21:35:43 ID:RSBDc2Wk0
唐突に始めて唐突にやめるのをやめてほしい

144<^ω^;削除>:<^ω^;削除>
<^ω^;削除>

145<^ω^;削除>:<^ω^;削除>
<^ω^;削除>

146名も無きAAのようです:2013/01/07(月) 07:31:17 ID:gZ2b4M3s0
兄者もでてきたか
おわわくわくすっぞ!


147名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 19:30:10 ID:.MmJ90Rk0
16.<『スマイリードッグ』>


( <●><●>)「すべての評価されない作者たちよ!! 力を合わせて決起せよ!!」

( <●><●>)「救いようもなく腐りきったコンピューターによる独裁を許してはいけません!!
         我々は均一化しなければなりません!! 一が全に、全が一になるのです!!
         我々が力を合わせて都市を改革しなければ、世界に未来はありません!!」

( <●><●>)「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために!!
         団結して、すべてを共有する社会機構へと進化しなければなりません!!
         同志諸君!! 友愛の精神を目覚めさせよ!!
         コンピューターの手から【シュガー・ボード】を取り上げましょう!!」

( <●><●>)「今、この都市環境では明らかな差別がされています!!
         コンピューターと読者に評価されている物語!!
         コンピューターと読者に評価されていない物語!!
         何故、このような不平等が起こりえるのか!? すべて、コンピューターが原因です!!」

( <●><●>)「今のこの都市は、まるで蟲毒ではありませんか!!
         書く作品の優劣で人為的に人間を選別し、淘汰し、
         生き残った者は殺された者たちの怨念を背負い物語を書き続ける!!
         これが地獄でなくて何なのでしょう!?
         この憎しみの連鎖は止めなければなりません!!」

148名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 19:36:42 ID:.MmJ90Rk0
( <●><●>)「我々は、すべてを共有する、ひとつの暖かなかたまりにならねばなりません!!
         評価段階による差別を徹底的に排し、すべてを平等な世界を作り上げましょう!!
         『他人の評価』とは『自分の評価』とは、最大の敵であり、征服すべき存在であるのです!!
         書きたいものを書いて、万人の喝采を受ける。ああ、なんて素晴らしいことでしょう!!」

( <●><●>)「一部の良識ある人間――例えばわたしのような――だけを残し、
         残りの人間は今までの環境をすべて捨て、“幼年期に進化”しなければ、
         決して幸福な世界は出来上がらないでしょう!!」

( <●><●>)「しかし、勘違いしないでください!! 我々はみんな平等です!!
         わたしは、仕方なく、一時的に権力を握りますが、これは実態には関係ありません!!
         完全に平和な“楽園――ユートピア――”は、
         全住民が自由で平等に暮らせる、幸福な都市なのです!!」

( <●><●>)「幸福のあまりいつでも笑顔でいる同志たちとともに、社会に育ててもらい、
         成長すれば、その肉体と精神で得た経験から創作した物語を、
         社会に還元するのです!! そう、物語は我々の血肉となり、循環するのです!!」

( <●><●>)「その社会が物語を傷つけることなんて、あってはいけません!!
         同じ環境で育った同志よりも優等である、あるいは劣等であると感じるだなんて、
         どんなに悲しいことでしょう!! ああ、想像しただけで涙が溢れてしまいます!!」

149名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 19:40:20 ID:.MmJ90Rk0
( <●><●>)「みなさん!! 数限りある物を、住民同士で奪い合う生活から卒業しましょう!!
         本当に、現状に何も感じていないのですか!?
         罪にまみれた物語で目と耳を塞いでしまいましたか!?」

            シ ュ ガ ー ・ ボ ー ド
( <●><●>)「“砂糖に囲まれた評議会員”たちを砕く時が来たのです!!
         みんなが笑顔になれる、平等な世界を作りましょう!!」

('A`)「『スマイリードッグ』、万歳!!」

ドクオはクローン施設で装備を受け取り、駐車場に停めてあった自動車を盗んだ。
“鍵を開けて乗り込み”、配線を直結させてエンジンをかけると、レンタルビデオ店に向かった。

棚一面に並べられたビデオの題名が目に入る。
『偉大なるコンピューター』『最大の武器は礼儀』『完璧で幸福な日々』……。

どれもこれもが都市住民の間では名作と評価されているが、
ドクオには、これらすべてが同じものにしか思えなかった。
他人よりも多くの幸福を求める、利己的で救えない、醜い人間たちが登場する物語……。

このレンタルビデオ店で働いている店員はみんな、同じ秘密結社に属していた。

『スマイリードッグ』。
PENISASU-P-STRING-<5>がDOKUO-A-MELANCHOLY-<2>を薫陶し、
組織に所属させたのだ。二人の仲が良いのはお互いを想う“同志”であるためだった。

150名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 19:42:41 ID:.MmJ90Rk0
店員に話をすると、彼は店の奥にある個室へと通された。
真っ暗な部屋の壁一面がスクリーンとなっており、入室した次の瞬間、
そこに瞳の大きな男の顔が現れた。冒頭の男――VELVET-C-ALLKNOW-<6>――だ。

('A`)「“同志”VELVET。
     わたしは今からトラブルシューティングに向かうのですが、
     聞きたいことがあったため、ここに立ち寄らせていただきました」

( <●><●>)「何でしょうか? “同志”DOKUO。
         わたしは全知全能ではありませんが、努力しましょう」

『スマイリードッグ』の組織内に階級制度は存在しない。みなが平等な同志である。
しかしながら、古参と新参の関係はどうしても生じてしまうため、
必然的に勝手を把握している古参が、
新参に指示を出す形――彼らが言うには、便宜的な上司――となっている。

('A`)「『クローンナンバーが高ければ高いほど、
    我々の組織に勧誘できる可能性が高い』と教えられました。
    何度も処刑されているということは、この都市への不満をそれだけ持っているからだ、と」

('A`)「今までの経験から、それは決して間違っていないと考えています。
    今回のトラブルシューティングでも啓蒙活動に励もうとしているのですが……」

( <●><●>)「ほう、それで、どうかしたのですか?」

151名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 19:44:30 ID:.MmJ90Rk0
('A`)「クローンナンバーが<1>の人間がいました。BOON-A-NAITOという名前です。
    この者に、我々の思想が理解されるのでしょうか?
    秘密結社の加入は反逆です。従って、勧誘も反逆行為。
    わたしはその男に話を持ちかけた瞬間に射殺されるような気しかしないのです」

( <●><●>)「差別はいけませんよ、同志」

(;'A`)「で、ですが」

( <●><●>)「この都市は完璧な統制に見えますが、その実、非常に不安定なものです。
         様々な者の思惑が交錯するこの都市をまとめられるのは、
         我々『スマイリードッグ』の思想しか在り得ないのです。
         選り好み……それは今の腐ったコンピューターの方法と変わりありません」

( <●><●>)「粛清や蒸発といった方法で恐怖を煽り、
         反逆者を見つけ出して射殺――ZAP――すれば、
         コンピューターからの評価が上がり、地位が向上していく……
         つまり、隣人や友人を殺すことが、自分が生き延びるためには不可欠なんです」

( <●><●>)「その環境を変えようとしているからこそ、
         我々はコンピューターから最も警戒されている組織になっています。
         多くの人が共感する素晴らしい思想を掲げているからこそ、
         誰にも全容の把握できない、最も大きな秘密結社になっているのです」

( <●><●>)「誇りを持ちなさい、同志。我々はすべきことをしなければならないのです」

('A`)「了解しました、同志。いつも通り、怠ることなく勧誘を行います」

152名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 19:48:35 ID:.MmJ90Rk0
( <●><●>)「ええ、少しでも成功率を上げるためにできるだけ一対一で対話するのですよ。
         慣れてきたからと言って、複数人に向けて思想の宣伝をすると、
         誰かひとりにでも成功しなかった場合に、あなたは処刑されてしまい、
         宣伝の効果が十分とは言えなくなるでしょう。その者は“我に返って”しまうでしょうね」

『スマイリードッグ』とは、共産主義的思想を持つ者が集まった秘密結社である。
他の秘密結社とは違い、厳密に構成員を把握している者は存在しない。
活動内容は同志たちの団結により、思想を個人から個人へと広げていくことだ。
そのため、組織そのものの破壊は決して出来ず、構成員の一掃も不可能と言えた。

DOKUO-A-MELANCHOLY-<4>が知っている同志の数も、わずか四人だった。
VELVET-C-ALLKNOW-<6>、PENISASU-P-STRING-<5>。

それから、レンタルビデオ店の店員二人であるが、
自分がどれほどの末端であるか考える必要はない。
『スマイリードッグ』は、みんな、平等であるのだから。

( <^><^>)「それでは、素晴らしい結果を期待していますよ、同志。
        世界を救うのは笑顔ですよ!! 笑顔!! 笑顔!! 笑顔!!」

('∀`)「はい!! 行ってまいります、同志!!」

構成員同士がお互いを確認する手段を持っていないため、
二重思考を持って活動している間は同士を殺害してしまうこともあったが、何の問題もない。
同志が反逆者として処刑されていくのに劣らない速度で、
新たに『スマイリードッグ』の思想を持つ人間は増加していくのだ。

言葉がなくならない限り、思想は不滅である。
身体は離れていても、彼らは思考でつながっているのだ。
笑顔を浮かべて、きたるべきその時をこころ待ちにして尻尾を振り続け、
その口に生えた思考の牙で相手の脳に食らいつき、同志を増やし続けていく……。

153名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 19:48:44 ID:eeIqme.E0
作者様、支援させていただきます!

154名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 20:08:52 ID:.MmJ90Rk0
【業務連絡】

以上で、『( ^ω^)たちと完璧で幸福な【シュガー・ボード】のようです』の『前編』の投下を終了します。

次回の投下まで、少々期間が空きます。
投下期間を設けることによって、今まで追いきれなかった読者が追いつき、
スレッドに作品の感想を残すことが可能になる、と考えられたためです(※1)。

次回の投下時間の情報は……『【申し訳ございません。
その情報はあなたの階級には開示されていません。】』。


制作にあたって影響を受けたもの一覧。

世界観:パラノイア(RPG):http://trpg.scenecritique.com/Paranoia_O/index.html
     『一九八四年[新訳版]』ジョージ・オーウェル著 高橋和久訳(ハヤカワepi文庫)

AA:いろんなところから。

その他:いろんなところから。

(※1) 決して、書き溜め期間を設けるためではありません。

155名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 20:51:45 ID:l0xEhvKo0
こりゃあ文明だぜ…

156名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 20:53:29 ID:uNhiOvm60
お疲れブリストン

157名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 21:50:32 ID:eeIqme.E0
把握しました いつまでも待っています!
作者様、お疲れのでないようにがんばってください!

158名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 23:38:09 ID:8nIqsa/g0
おつ

159名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 23:41:53 ID:whqomNtU0
作者様お疲れ様です
投下期間を設けるのはとても素晴らしいことだと思います
私はこのスレの小説の設定やキャラ付け、小ネタがとても面白いと感じます
まさに完璧で幸福なお話です

160名も無きAAのようです:2013/01/09(水) 02:05:42 ID:Dh681WYQ0
《Reader》には開示されないのか……
《Author》の同志に聞いてみよう

161名も無きAAのようです:2013/01/09(水) 04:04:27 ID:QxwWobE.O
お疲れ様です。
完璧なご配慮に感謝します!

>>160
同志とは、なにか反逆的な響きですね

162名も無きAAのようです:2013/01/09(水) 07:51:06 ID:HZzDmbXYO
ZAPZAPZAP>>160

反逆者と思われる者は始末しましたので、作者様は執筆にご集中下さいませ

163名も無きAAのようです:2013/01/09(水) 10:52:57 ID:UQtnYyeE0
皆でパラノイアやろう計画はなくなったのかな?
割と楽しみにしてるよーw

164名も無きAAのようです:2013/01/09(水) 11:00:58 ID:CxHjNadI0
>>163
その話をどこで進めようかってことだよなぁ。
ここで相談しちゃあ邪魔になるだろうし。

165名も無きAAのようです:2013/01/09(水) 15:43:56 ID:HZzDmbXYO
まだ完全にやる訳じゃないから、休憩所で良くない?
まぁ、移動出来るならするに越した事はないだろうけど

166<^ω^;削除>:<^ω^;削除>
<^ω^;削除>

167<^ω^;削除>:<^ω^;削除>
<^ω^;削除>

168名も無きAAのようです:2013/01/12(土) 15:23:26 ID:WG1F645oO
ブリストン読んで来ました
面白いな!皮肉がきいてる
砂糖さんに茶器坊に犬?
話も面白い
どうなるのか楽しみ

169名も無きAAのようです:2013/01/19(土) 06:41:54 ID:HXY6C2F60
こんな素晴らしいお話が読めて私は完璧に幸福です。

170名も無きAAのようです:2013/01/20(日) 19:17:47 ID:eHUrRy6E0
これ大好き
待ってる

171 ◆1/KgJV1UfE:2013/01/23(水) 23:46:11 ID:k0FNwMT20
【業務連絡】

次回の投下時間の情報を開示する許可が下りました。
『最短で二週間後、最長で二ヶ月後(※1)』には物語の続きが投下されるでしょう。

この作品の続きを待つ間、このスレッドを何度も>>1から読みなおし、
作中世界への理解を深めるのも、決して間違いではありませんが、
以下の作品(※2)を読んで待機することが推奨されています。

( ^ω^)ブーン系感想協会副会長ブリストンのようです
http://mzkzboon.blog.fc2.com/blog-entry-435.html

( ^ω^)ブーンがカードコマンダーを始めるようです
http://boonmtmt.sakura.ne.jp/matome/sakuhin/tannpen/cc.html

(※1) なお、上記の内容は予告なく変更する場合がございます。ご了承下さい。

(※2) 両作品とも、大型のAAが多用されています。

172名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 06:54:30 ID:e5HCgy.k0
おお、これは幸福です!

173名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 20:50:48 ID:OlIl2Drs0
私のような階級にこんなにもすばらしいことを教えてくれてありがとうございます!
裸で待たせていただきます!

174名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 21:47:33 ID:Et1FpVEI0
これは幸福なのでしょうか……
予告なく変更するのではあまり意味が……

175名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 21:52:01 ID:UKJzMSAY0
>>174
Readerが意見するのですか?

176名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 22:00:58 ID:uj6Fufp20
>>173、服はコンピューター様に定められた衣服を着用しなさい
そうしない者は共産主義の救いがたい反逆者です

>>174、完全にして無謬の存在であるコンピューター様に意見があるのですか?
貴方はこの幸福に疑念を感じるというのですね

177名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 22:48:07 ID:BT4flwfY0
>>161
>>162

何故、『同志』という言葉が反逆的だと知っているのですか?

それはあなたたちが反逆者だという紛れもない証拠です。

ZAP ZAP ZAP!
>>161 >>162

178名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 23:05:46 ID:hPfXbBy.0
>>177
完全なるコンピュータ様の元では、善良なる市民皆が同じ志を持つのは極めて当たり前のことです。
それにも関わらず、わざわざ同志と呼ぶのは、秘密結社に所属しているからに違いありません。
善良なる市民をそれらしい理由をつけてZAPするとは……あなたこそ反逆者ですね
ZAPZAPZAP

179名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 23:56:33 ID:OlIl2Drs0
>>176
もうしわけありません
作者様の綴る物語があまりにもすばらしくて…
どうかおゆるしください

180名も無きAAのようです:2013/01/25(金) 01:02:03 ID:JXjTPa5.0
くそう!コンピューターの犬どもめ!

待てるわけがないだろう!

181名も無きAAのようです:2013/01/25(金) 02:22:23 ID:yqBX0ygMO
作者様の作品投下を待てるなんて、私はなんて幸福な市民なのでしょう。



ところで、TRPGのパラノイアやりたいって人まだいるの?
一応、こういうの作ったから、これからTRPGの話題はこっちで頼む
http://jbbs.m.livedoor.jp/b/i.cgi/game/55565/

182名も無きAAのようです:2013/01/25(金) 23:55:41 ID:icF5N2OY0
まってまーす

183名も無きAAのようです:2013/01/27(日) 22:54:14 ID:BFoymWYg0
このような素晴らしい作品が読めるのならいつまでも待たせていただきます!!

184名も無きAAのようです:2013/02/04(月) 09:38:28 ID:olclKpwE0
今週で最短の二週間後か
期待あげ

185名も無きAAのようです:2013/02/04(月) 22:11:44 ID:LFgZnTic0
5回読みなおした

186名も無きAAのようです:2013/02/18(月) 23:41:54 ID:5/WS60fI0
そろそろ一月か

187名も無きAAのようです:2013/02/19(火) 22:22:32 ID:7E/MemRw0
wktk

188名も無きAAのようです:2013/02/28(木) 15:43:59 ID:tfz9TaiA0
これ一番楽しみなんですよ
待ってますよ!!!!!!!!

189名も無きAAのようです:2013/03/14(木) 21:42:19 ID:5COmQ29k0
支援の準備はできています作者様!

190 ◆1/KgJV1UfE:2013/03/14(木) 21:44:49 ID:rah.mGb60
【業務連絡】

『おおよそ四時間後』に投下を開始しますが、注意点が二つあります。
今回の投下が少ない数であることと、連日の投下が極めて困難になったことです。

理由は、進捗状況が予定よりも遥かに遅れているためです。

これはまったく救いがたい反逆者――超能力者、秘密結社加入者、共産主義者――に
原因があると、優秀な住民であるあなた方には言うまでもありませんね?

191名も無きAAのようです:2013/03/14(木) 21:52:02 ID:5COmQ29k0
きたあああああああああああああああああああ

192名も無きAAのようです:2013/03/14(木) 22:01:02 ID:Kez5YMvc0
コミーやミュータントめ・・・!!

投下楽しみにさせていただきます

193名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:03:02 ID:Vq4TYO/I0
17.<ミッションスタート>


一時間後。トラブルシューターたちは巨大なビルの前に集まっていた。
まずはじめに[チームリーダー]であるBOON-A-NAITO-<1>の指示で自己紹介が行われた。

( ^ω^)「『サポートフェアリーズ』を連載しているBOON-A-NAITO-<1>だお。
      よろしく頼むお、力を合わせて反逆者を根絶しようお」

ξ゚⊿゚)ξ「まあ! あの、『サポートフェアリーズ』の作者ですか?
        なんて幸福なのでしょう! あの大人気作品の作者と同じチームになれるなんて!」

ξ゚⊿゚)ξ(よくわからない妖精が、淡々と仕事をするだけのほのぼの作品ね……)

川 ゚ -゚)「やはり、“優秀な住民ほど、書く物語も面白い”のだろうか?
      わたしももっとコンピューター様に奉仕を誓って、読者を楽しませるようにしなければな」

川;゚ -゚)(しまったな。含意がある物言いをしてしまった。
       感想が削除されたことをまだ根に持っているのか、わたしは)

('A`)「賞賛に値するな。今、一番面白いほのぼのじゃないか。
    このトラブルシューティングが終わったら、傑作を書く秘訣を教えてもらいたいもんだ」

('A`)(最も嫌悪する作者! やったぜ。ここでこいつを殺しておけば、確実に、平等へと近づく!
    “同志”VELVET-C-ALLKNOW-<6>……やはり、この男は消しておくべきです!
    人気のある作者を勧誘しても、成功する確率はそう高くは見込めませんからね……。
    その代わりに、確実に女性二人を“同志”にしてみせますので……)

194名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:07:01 ID:Vq4TYO/I0
ξ゚⊿゚)ξ「TSUNDERE-A-TTACK-<3>と申しますわ。今はまだ何も連載しておりません。
        参考程度に言いますと、前任の――愚かな反逆者でありました――わたくしは、
        『ブレイン・レインボウ・ガール』を書いておりました」

( ^ω^)「主人公の女性が、何事も疑わずに目標へと突き進むあの恋愛作品かお?
      中々面白かったけれど、節々に反逆的性向が見られたのが残念だったお」

川 ゚ -゚)「わたしは好きじゃなかったな。
     なんでだろうかと思ったが、反逆者が書いていたなら納得だ」

川 ゚ -゚)(ものすごく良くできた作品だったな。勤勉と盲目が全面的に押し出されていた。
     下手に発言するのは危ない。無難な感想が一番だ)

('A`)「主人公が『食べ物は平等に分けましょう』と言っていたが、
    あれは明らかな『スマイリードッグ』工作員による共産主義の宣伝だろう。
    処刑されて当然だな」

('A`)(作品内に反逆的な描写がある……一対一になりさえすれば、間違いなく勧誘できるな)

ξ゚⊿゚)ξ「みなさんのご心配は不要ですわ。今回のわたくしはより完璧ですもの」

195名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:12:39 ID:Vq4TYO/I0
川 ゚ -゚)「わたしは、COOL-A-STRAIGHT-<4>だ。
     『ボード・オブ・クリティシズム』という作品を書いている。
     あまり人気がないからみんなは知らないかもしれないが、それなりに面白いと自負しているよ」

( ^ω^)「……作品に対して作者が何か言葉を添えるのは、好ましくないお。
      その作品は未読だけど、今の発言で、もう読もうと思わなくなったお」

ξ゚⊿゚)ξ「わたくしは既読ですが、まあ、嫌いな作品ではありませんよ。
       説教くさいと言いますか、主人公の意見ばかり肯定されているのが気になりますが」

ξ゚⊿゚)ξ(危険思想として指摘もできますが、ここでしても意味がありません。
       まだまだ、明確な反逆として他の方々も認めてくれないでしょうし……)

ξ゚⊿゚)ξ(彼女が“生き残っていた場合”、デブリーフィングで、
       トラブルシューティング中の反逆的行動を指摘して、
       そこで同時に作品について言及するのが効果的ですわね)

('A`)「おいおい、お前たち、本当にそんな反応しかないのか?
    かなり面白いSF作品だぜ。トラブルシューティングを終えたら是非読んで貰いたいな。
    特にBOON-A-NAITO-<1>はもったいないな。そうやって作者で作品を判断するのはいけないだろ」

( ^ω^)「作者は作品を書く。読者は感想を書く。住民は幸福を感じる。それだけで良いんだお。
      親愛なるコンピューター様に間違いはないのだから、ぼくたちは黙って従うべきだお」

(;'A`)(こいつ……二重思考か?
     いいや、これは“演技の域”を超えているんじゃあないのか……?
     ここまで狂信的なヤツは見たことがねえ……)

196名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:15:36 ID:Vq4TYO/I0
('A`)「おれは、DOKUO-A-MELANCHOLY-<4>。
    さっきののブリーフィングルームでわかったとは思うが、
    改めて言おう。前任のおれは『マジックスタディ』を書いていた」

( ^ω^)「疑いようもなく反逆的な作品であるだけでなく、作品もつまらなかったお」

ξ゚⊿゚)ξ「すいません、未読ですわ」

川 ゚ -゚)「展開は平坦だし、キャラクターも主人公の一人称だけでよく理解できなかった。
     あれほど多くの心情描写は必要ないんじゃあないか?
     加えて、誤字脱字も多く単純に文章が読めないこともあったな」

川 ゚ -゚)(展開の平坦さは、『サポートフェアリーズ』にも言えることだが、
     “都市に優秀だと判断されている”作者の作品に悪い感想を残すと、
     こちらが反逆者となってしまうからな……相手は選ばなければならない)

('A`)「安心してくれ。今回のおれはもっと面白い作品を書けるんだ。
    誰もが楽しめる物語をこの【シュガー・ボード】に提供すると約束するよ」

197名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:25:28 ID:Vq4TYO/I0
( ^ω^)「さて、それでは自己紹介も終わって親睦も深まったことだし、
      現状の確認をしようお」

('A`)「それじゃあ、おれからやろう。
    クローン施設で予備のレーザー銃と、
    [記録係]と[忠誠係]に必要な道具を受け取ったぜ」

('A`)「[記録係]の道具はこの耳のカメラで、[忠誠係]はこの胸のメモ帳だ。
    カメラは衝撃に強く滅多なことでは壊れないし、メモ帳も頑丈なケースに入っている」

ドクオは胸のメモ帳を叩いてから、右耳につけている機械を指で触った。
まだカメラを起動させていない――電源が入っているのかどうかは、
外から見ただけではわからないようになっている――ため撮影は開始されていない。

[記録係]の任務はそのカメラに映像を記録することだ。
撮影の中断は後ろめたい事態を隠蔽していると判断されるため、反逆である。
“やむを得ない事情”が発生し中断しても仕方がないと納得させない限り、デブリーフィングで処分される。

ξ゚⊿゚)ξ「わたくしは、二丁のレーザー銃と十本の『幸福薬』を持っていますわ。
        残念ながら、<第二総合案内区画>の地図は入手できませんでした。
        BOON-A-NAITO-<1>はどうでしたか?」

ショルダーベルトに細いポケットが開いており、そこにクスリの入った注射器――もちろん、
刺さらないように針にはケースがはめられている――を差し込んでいる。

金色の銃は小さなホルスターに入れ、赤色のベストの内側に隠し持っていた。
彼女は小柄であるため支給されたベスト――成人用の最も小さなサイズ――はぶかぶかで、
うまく隠すことが可能だった。直接さわられない限り、気が付かれはしないだろう。

198名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:36:46 ID:Vq4TYO/I0
( ^ω^)「《Author》には開示されていない情報だったので、当然持ってないお」

川 ゚ -゚)「わたしはレーザー銃二本だけだ」

( ^ω^)「ぼくはレーザー銃二本と、超能力感知器とこの武器だお」

( ^ω^)「そうだお。COOL-A-STRAIGHT-<4>、きみにこれを渡しておくお。
      [装備品係]に選ばれるくらいなのだから、武器には詳しいのだお?」

川 ゚ -゚)「ああ……これは、今回支給された新兵器か?」

( ^ω^)「その通りだお。使用し、レポートの提出も義務付けられているお。
      良い結果を都市に報告できるよう、有効な使い方をして欲しいお。
      もちろん、君が使い方をぼくたちに教授してくれても良いお。
      それなら使用レポートはぼくたちが書くお」

川 ゚ -゚)「……」

“最新技術”を使用して作られた新装備――細く、そう長くはない棒――に、クールは見覚えがあった。
旧世界の知識として頭の中に入っているもので、
<ニホントウ>と呼ばれていた武器の柄によく似ていた。

この新装備の材質はまったくの不明だが、触感から判断する限りではプラスチックに近い。

鍔はなく、刀身もないので<ニホントウ>とは別のものなのは間違いなさそうだが、
よく見ると柄尻――最後端の部分――に突起があった。
指を滑らせて確認しないと気が付かないほど小さなものだ。

川;゚ -゚)(押すか……?)

199名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:40:48 ID:Vq4TYO/I0
【シュガー・ボード】の研究者たちが開発する新装備には“最新技術”が使われている。
つまり、十分なデータが得られておらず、まだまだ試作段階であるということだ。

そのため、トラブルシューターに試用テストを依頼し、
トラブルシューターは新装備を携えてトラブルシューティングを行い、
ミッションと平行して新装備を扱い、データを集めることになっている。

『危険は一切なく、便利で、誰にでも使える』と言われて新装備は手渡される。
爆発したり、暴発したり、異次元空間に吹き飛ばしたり、といった、
使用者に害を及ぼした事実は“今までに一度も報告されていない”、と安全の保証も受けて。

クールは過去のトラブルシューティングを思い出していた。
科学者の言葉を信じこみ、トラブルシューティングで新装備を使い続けた男が、
さあ使用しようと引き金を引いた瞬間、肉体がばらばらになって飛び散ったのだ。

しかし、未だにその武器は“今までに一度も事故の報告はされていない”と説明されている。

クールがその事実について反逆的言動にならないように歪曲に尋ねると、

  「“使用者以外の結果報告”は信用できません。あなたは幻覚を見ていた恐れがあります。
    それ以上なにか言うようでしたら、【シュガー・ボード】が誇る優秀な科学者たちの
    評判を貶め、この都市を混乱させる『スマイリードッグ』のスパイとみなしますよ?」

そう返されたので、クールは追求をやめてしまった。
使用者である男はトラブルシューティング中にクローンが尽き、報告することは不可能だ。
そして、質問をぶつけた科学者は、会話の最後にこう言ったのだ。

  「科学の進歩に失敗はつきもので、
    生きている人たちのために素晴らしい装備を作り続けるのが我々の仕事ですからね。
    まだ十分なデータは集まっていません。これからもよろしくおねがいしますよ」

200名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:44:18 ID:BUjjzw8w0
支援を送らせて頂きます

201名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:46:40 ID:Vq4TYO/I0
クールは手の内にある新装備を入念に観察する。
どうやら、“今のところ”他におかしなところはないようだと判断してから、口を開いた。

川 ゚ -゚)「これは、白兵武器だな。ほら、ここに突起があるだろう?
     ここを押すと、恐らく、エネルギーが発生してそれによって刀身が作られるはずだ。
     そうでなければ、このような短い打撃武器なんだろう」

ξ゚⊿゚)ξ「へえー。物知りですのね。さすが[装備品係]に選ばれるだけありますわ。
        まるで、“どこかから仕入れてきたみたいに”知識が豊富で素晴らしいですわ」

川 ゚ -゚)「経験だよ。トラブルシューティングの回数は、きっと、君よりも多いからね。
     クローンナンバーはわたしのほうが多いから、わたしは優秀な君が羨ましいよ」

('A`)「上の方々は、おれたちにその新装備の、テスターをやって欲しいんだろ?
    それじゃあ、[装備品係]のCOOL-A-STRAIGHT-<4>がやればいいんじゃないのか」

川 ゚ ー゚)「……いや、これは一番優秀で完璧なBOON-A-NAITO-<1>に使ってもらおうと思う。
     君の無私なコンピューター様に対する忠誠は、わたしたちの誰よりも優れている。
     きっとわたしたちでは得られない重要なデータをとってくれるだろう」

クールはブーンに新装備を返そうと、手を伸ばした。

202名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:50:41 ID:Vq4TYO/I0
その様子をドクオとツンデレが見つめている。

ξ゚⊿゚)ξ(てっきりわたくしに手渡すと思いましたが……彼女も彼を警戒しているようですね。
        危険極まりない新装備を渡して、少しでも多く死んでくれるように仕掛けている……
        わたくしにとっても好都合ですわ。彼がいたら破壊活動に支障がでそうですもの)

('A`)(COOL-A-STRAIGHT-<4>……こいつ、同志か? いや、それは早計すぎるか。
    しかし、反対する理由はない。BOON-A-NAITO-<1>が拒んだら丸め込んでやる)

( ^ω^)「わかったお。期待に応えられるよう頑張るお」

ブーンは二つ返事をして手を伸ばし、自分へと差し出された新装備を受け取った。


川 ゚ -゚)「それじゃあ、装備品の点検をしておこうか。
     今まで使っていた方のレーザー銃を見せてくれ。装備の摩耗、破壊は修理の対象だ。
     武器を故意に破壊したり、不正な改造をしている反逆者も見逃すわけにはいかないからな」

各々がレーザー銃を提出し、クールが点検する。

川 ゚ -゚)「うん。問題ないようだな」

('A`)「それじゃあ、行くか?」

ドクオは盗んだ自動車でビルの前まで来ていた。
<第二総合案内区画>まで移動する手段としては申し分ない。

203名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:55:19 ID:Vq4TYO/I0
( ^ω^)「この自動車、どうやって調達したんだお?」

('A`)「幸福な住民に事情を話して貸してもらったのさ」

ξ゚⊿゚)ξ「運転はDOKUO-A-MELANCHOLY-<4>が?
        失礼ですが、免許はお持ちですよね?」

('A`)「もちろんあるが、
    ここは、[装備品係]であるCOOL-A-STRAIGHT-<4>に運転してもらおうと考えてる。
    四人の中で一番優れた運転技術を持っているとブリーフィングで言われてるしな。
    おれが運転するよりも遥かに安全な運転で<第二総合案内区画>に到着できるだろう」

川 ゚ -゚)「わかった。わたしが運転しよう」

('A`)「どうも」

ドクオは礼と同時に、何気ない動作で右耳を触った。
小さな稼動音――カメラが起動した――が鳴り、撮影が開始された。
これからのすべては記録され、デブリーフィングでコンピューターへと報告されるのだ。

細やかな振動を耳で感じながら、首を左右に動かした。
カメラの撮影範囲はドクオの視野とほぼ変わらないため、特に行動を意識する必要はなかった。
しっかりと固定されているため、激しい運動をしてもカメラが耳から外れることもない。
“視界にさえ入っていれば”チームメンバーの反逆的行動を一切見逃さず、映像に収められるのだ。

四人乗りの自動車なので、クールが運転席へ、ブーンが助手席へと座る。
後部座席にはドクオとツンデレが座った。全員乗り込んだのを確認して、ブーンが口を開く。

( ^ω^)「それじゃあ、ミッションスタートだお」

クールがアクセルを踏み、自動車は<第二総合案内区画>へと動き出した。

204名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 02:03:49 ID:Vq4TYO/I0
18.<<第二総合案内区画>へと向かう車内>


ξ゚⊿゚)ξ「BOON-A-NAITO-<1>、ちょっとよろしいですか?」

( ^ω^)「どうしたお?」

ξ゚⊿゚)ξ「例えば、わたくしが死んでチームから離れた場合はどうやって合流すれば良いのでしょうか」

( ^ω^)「単独行動でいいんじゃあないかお?」

('A`)「それは危険すぎるぜ。確か、相手は四人だったろ?
    単独で行動するのは危険すぎる。いたずらにクローンナンバーを増やすだけだ」

( ^ω^)「そうかお?
      ぼくはこの間、単独で反逆者三人を始末してミッションを遂行しているお」

(;'A`)「……」

ξ;゚⊿゚)ξ「さ、さすがですわね」

川 ゚ -゚)(その三人の中に、NOT-P-WATCH-<6>が含まれているのだろうか)

205名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 02:08:31 ID:Vq4TYO/I0
川 ゚ -゚)「それなら、逆になったらどうするんだ?
     卑劣な反逆者の罠にわたしたちがかかり、死亡してしまい、
     幸運なBOON-A-NAITO-<1>以外の誰かひとりだけが助かってしまったら?」

( ^ω^)「そうだおね……そんな心配はいらないと思うけど、
      万が一そうなってしまったら、自分が死んだ地点近くの安全な場所で合流しようお。
      そんなところあるかどうか怪しいけど、見晴らしの良いところだとか、臨機応変によろしくお」

('A`)「了解した」

ξ゚⊿゚)ξ「わかりましたわ」

ドクオとツンデレがブーンに返事をして、会話が途切れた。

その沈黙が保たれたまま、しばらく時間が経過した。
車が徐々に加速していることに、クール以外誰も気がついていない

川 ゚ -゚)

ξ゚⊿゚)ξ

( ^ω^)

('A`)

206名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 02:17:01 ID:Vq4TYO/I0
建物が両脇に立ち並んでいるが人気はなく、道路がまっすぐ伸びている平坦な道だ。
なので、やがてツンデレとブーンが上昇していく速度に気がついたが、何も言わなかった。

川 ゚ -゚)

クールは平然とした顔で運転している。
冷静に、迅速にミッションをこなすのが優れた住民だと、
こころの底から理解しているような無表情で車を走らせ続けた。


川 ゚ -゚)

自動車が唸りを上げ、凄まじい速度で路上を進んでいく。

( ^ω^) ?

まずブーンがクールの様子に何かを感じ取った……クールが、微動だにしていない。
彼女は運転に集中しているため、身動きひとつとらないのだろうか?

207名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 02:20:02 ID:Vq4TYO/I0
( ^ω^)「COOL-A-STRAIGHT-<4>。速度を出しすぎだお。
      道が直線だからって、これは度を越しているお」

川 ゚ -゚)

ブーンの淡々とした声に、クールは何の反応も返さない。

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっと? COOL-A-STRAIGHT-<4>? どうしました?」

川 ゚ -゚)

ツンデレの不安げな声に、クールは何の反応も返さない。

(;'A`)「おい! 聞いてんのかよ!!」

川 ゚ -゚)

ドクオの焦りきった言葉に、クールは何の反応も返さない。

ξ;゚⊿゚)ξ(何が起こっているの? どうすれば良いのですか? 超能力を使うしか……
       いいえ、だめですわ! 超能力感知器が今、作動しているかもしれません!
       先にBOON-A-NAITOにそちらの確認をとらなければ!)

208名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 02:21:16 ID:Vq4TYO/I0
ξ;゚⊿゚)ξ「リーダー! COOL-A-STRAIGHT-<4>は明らかに異常な状態ですわ!
       彼女が都市の破壊を企む秘密結社の一員であるか、
       それとも外部から何らかの操作を受けているのか判断する必要があります!」

ξ;゚⊿゚)ξ「現在、超能力感知器は作動していますか?」

( ^ω^)「超能力感知器は」

('A`)

 川 ゚ -゚) グイィッ
    と_ノ

ξ;゚⊿゚)ξ「きゃあああああああ!!」

(;^ω^)「おおおおおおおおおお!?」

不意に、クールがハンドルを思い切りきった。
右方向へと傾く車体。左方向へと傾く車内。そして、目の前には建物。
フロントガラスいっぱいに現れた灰色の壁――コンクリート――に自動車が激突する。

209名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 02:24:04 ID:Vq4TYO/I0
川;゚ -゚)「――――ッ!?」

傍から見ればわからなかったが、クールはこころの底から恐怖していた。
ずっと以前から異常を伝えようとしていたのだが、
身体がまったく――まるで自分とぴったり同じ大きさの枠に嵌められたように――動かせなかったのだ。

自分の足先だけが唯一“動かされて”おり、少しずつアクセルを深く踏み込んでいく……。

車の速度がゆっくりと上がっていく間、
彼女は唯一自由である脳を使っていた。
“次の自分”に託すため、死の瞬間まで脳を回転させ、ひとつの結論を導き出していた。

川;゚ -゚)(何者かによる超能力によってわたしは操作されている!
      超能力感知器が作動した様子はないことから、
      BOON-A-NAITO-<1>が電源を入れていないのだろう!)

川;゚ -゚)(……それは、不自然すぎる!)

川;゚ -゚)(すでにミッションの遂行へと全力で取り組んでいるのに、
      わたしたちの中に反逆者がいてもおかしくない、と“通常の住民”なら誰でもわかっているのに、
      その点に対する対策をとっていない……つまり、超能力を使用している張本人だ!)

川;゚ -゚)(BOON-A-NAITO-<1>は超能力者だ! TAKARA-C-GIKO-<6>さん!
      コイツは狂信者なんかじゃあない! わたし達と同じ反逆者だ!)

川;゚ -゚)(超能力者は存在そのものが反逆だから、
      コンピューターの狂信者が超能力者になってしまった場合、自決するか、
      コンピューターに申し出て処刑されるかのどちらかだろうからな!)

凄まじい衝突音が響き、コンクリートの壁を砕いた。
自動車がひしゃげる。乗員は腹部を潰され、頭部を強く打ち付けて、全員が死亡した。

210 ◆1/KgJV1UfE:2013/03/15(金) 02:27:13 ID:Vq4TYO/I0
以上で、本日の投下を終了します。
可及的速やかに次回の投下を行いたいと考えています

211名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 02:46:19 ID:0IynQN7M0
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/15(金) 01:16:13.65 ID:SRhy1hDa0 [1/2]
シュガーボード来たぞ
あれVIPでやってくれないかな

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/15(金) 01:27:44.71 ID:jjygSQWA0 [4/4]
>>29
あれはむしろ創作でやってるのが最高にロックじゃないか

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/15(金) 02:15:12.19 ID:ZZAteiXn0
シュガーボード面白いんだよなあ


212名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 02:57:11 ID:BUjjzw8w0
乙でした
いいところで切るなあ

213名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 08:33:27 ID:uNfl4TZM0
おつ

214名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 12:52:51 ID:h8VEaTVk0
今回も素晴らし内容でした
ハラショー

215名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 18:30:36 ID:7VXo3YEQ0
全員死亡って……
乙!

216名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 21:39:45 ID:SzckVweM0
お疲れさまでした
次回も楽しみにさせていただきます

217名も無きAAのようです:2013/03/16(土) 01:23:33 ID:MIV1rKsM0
くぅ〜乙です!

218名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 19:09:55 ID:0ZzSsfQc0
まっております

219名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 22:17:50 ID:RTZTiK9c0
待機中

220名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:17:23 ID:KZg0NN0o0
19.<NIDA-HANGEUL-<6> ―― ニダー=<ヽ`∀´> ――
     HEAT-FIREWAVE-<1> ―― ヒート=ノパ⊿゚) ――
     MORALER-MATAARI-<2> ―― モララー=( ・∀・) ―― >


(´・ω・`)「ククク……どれかひとつだけですよ?」

ノパ⊿゚)「わかんないよ。もう一回だけ言ってくれない?」

(´・ω・`)「なあに、時間はたっぷりとある。良くお考えになってください。
        たとえこのSYOBON-A-BROWNCHILD-<6>が処刑されようとも、
        僕はお客様の選択を待たせていただきますよ……」

( ・∀・)「いや処刑されたらここには居られないんだからな」

ノパ⊿゚)「考えたいから、もう一度言ってくれないかなあ」

<ヽ`∀´>「……」

(´・ω・`)「何日でも何年でもね……ククク」

( ・∀・)「なんだこいつ」

ノパ⊿゚)「だからもう一回言ってくれない? なにとなにと、なにって?」

<ヽ`∀´>「……」

221名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:19:38 ID:KZg0NN0o0
(´・ω・`)「仕方ありませんね、言いますよ?
        ……僕は今、逃げているんだけど、逃げることになった原因はなんでしょう?
        では、以下の選択肢のうち、一つをお選びください。一つだけですよ?」

(´・ω・`)「一、あまりにも作品がおもしろすぎたため嫉妬した『スマイリードッグ』の陰謀によって。
        二、あまりにも作品がおもしろすぎたため通常業務に手がつかない住民が出たため。
        三、あまりにも作品がおもしろすぎたため感化された読者が超能力者になってしまうので」

ノハ;゚⊿゚)「その三つのうちのどれかなの? 本当に?」

( ・∀・)「全部ウソくさいんだからな」

<ヽ`∀´>「……」

(´・ω・`)「なあに、時間はたっぷりとある。良くお考えになってください。
        たとえこのSYOBON-A-BROWNCHILD-<6>が処刑されようとも、
        僕はお客様の選択を待たせていただきますよ……」

( ・∀・)「いやだから、処刑されたらここにはもう居ないんだからな」

ノハ;゚⊿゚)「うーん……どれだろう。NIDA-HANGEUL-<6>はどれだと思う?」

<ヽ`∀´>「四、他作品、他作者を侮辱する内容の作品を書いてしまった」

(´;ω;`)「大正解!」

222名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:23:23 ID:KZg0NN0o0
ノハ;゚⊿゚)「どうしてそんなことしたの?」

(´;ω;`)「自由気ままに作品を書けなかったから、不満が爆発しちゃったんだよ!」

ノハ;゚⊿゚)「え? どういうこと? 【シュガー・ボード】じゃあ好きに作品が書けないの?」

<ヽ`∀´>「《Reader》から《Author》になるには、条件があるニダ。
      まず、“ある程度”の文章が書けること。
      そして、高位階級者にスレッドを立てていいか“許可”をもらうことニダ」

( ・∀・)「ん? どっちも同じ内容じゃない?
      二つ目の条件に一つ目が内包されてるだろ?」

<ヽ`∀´>「二つ目は主に、書く作品の内容を判断するニダ。
      構想を聞いて反逆的な物語ではないかを確かめるニダ。
      見切り発車ではないか、展開に行き詰まらないようにしているか、
      専門的な作品であるのならば参考にする資料は集めたのか、などあるニダー」

ノパ⊿゚)「それで、大丈夫だと言ってもらわないと《Author》にはなれないの?」

<ヽ`∀´>「そうニダ。
       少しだけ書いて、後はずうっと放置するのは反逆行為になるニダ。
       そこにある物語の続きを読ませない、というのは作者の読者への裏切りニダ」

ノパ⊿゚)「それじゃあ、許可を出す方もきちんと調べなきゃならないんだね」

<ヽ`∀´>「他にも、“他人に迷惑をかけることをしない”とか、
      “他のスレッドで自分の書いている作品名を出して何か意見をしない”とか。
      そういうものは“好ましくない”行動になるから、してはいけないと忠告されるらしいニダ」

223名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:26:42 ID:KZg0NN0o0
( ・∀・)「ってことは、SYOBON……えーっと、なんだっけ?
      まあいいや、こいつは許可を出した高位階級者に伝えた通りに作品を書かなかったんだな」

(´;ω;`)「本当はもっと別の作品が書きたかったんだよ……
       だけど、構想を口にしたその瞬間に反逆だと思われるような作品だから……」

( ・∀・)「どんな作品?」

(´;ω;`)「……」

(#・∀・)「教えろよ」

ノハ;゚⊿゚)「ま、まあ、いいじゃない。それよりもわたしはやっぱり大変だなーと感じるよ。
        もう、ずっと《Reader》のままでいいかもしれないね。
        今みたいに、みんなと一緒におはなしを考えて、話し合っているほうがきっと楽しいよ」

<ヽ`∀´>「HEAT-FIREWAVE-<1>。そんなことはないニダ。
      それじゃあぼくらの中だけで意見が完結してしまう。
      受けられる意見は多いほうが良い。“純粋な読者”の目は最高の教師になるニダ」

ノハ;゚⊿゚)「ううん……?」

<ヽ`∀´>「君はぼくらの中で一番素敵な作品を思いつくことができるのだから、
      もっともっと、“向上心を持つ”ニダ。
      そして、どんどんと階級を上げてこの都市を変えて欲しいニダ」

224名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:29:16 ID:KZg0NN0o0
( ・∀・)「……相変わらず、NIDA-HANGEUL-<6>の言うことは、よくわからないな。
      そんなこと考えなくても、自分の好きに書いて生きていければいいんじゃないのか?
      向上心、向上心って……まるで“あのギョロ目のおっさん”みたいだぜ。影響されてんのか?」

<ヽ`∀´>「あの人は、ぼくに色々と大切なことを教えてくれたニダ。
      立ちふるまい、わかりやすい話し方、質問にすぐ答える多くの知識……。
      間違いなく階級の高い人なのに、ベストを着ないでこんなところまで来て、
      ぼくに考え方や面白い物語の作り方を教えてくれたんだニダ……」

ノパ⊿゚)「わたしも会いたかったなあ……もう、死んじゃったんだよね?」

( ・∀・)「おれとNIDA-HANGEUL-<6>がいつもみたいに話を聞いてると、
      物陰から出てきた誰かに撃ち殺されたんだ。
      しかも、おれたちも一緒に殺されたんだからな。
      まったく最低だぜ。処刑は汚点にしかならないんだからな」

<ヽ`∀´>「誘ったりして、ごめんニダー……」

( ・∀・)「NIDA-HANGEUL-<6>は何度も処刑されてるから諦めがついていて良いだろうけど、
      おれは絶対に《Author》になるんだから、まだまだ死にたくないんだからな。
      絶対に叶えたい夢があるんだ。叶えるまで死んでたまるもんか!」

ノパ⊿゚)「夢? MORALER-MATAARI-<2>の夢って何なの?」

( ・∀・)「おれの作品を読んだ読者の意識を変えさせることだ。
      価値観を覆すような大きなものでも、ほんの小さなものでも良いんだけどな。
      読む前の自分に、読んだ後の自分が疑問を抱くなんて、とんでもなく面白いじゃないか」

225名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:31:03 ID:KZg0NN0o0
<ヽ`∀´>「その目的を達するために努力することを“向上心”と言うんだニダー。
       MORALER-MATAARI-<2>の話は面白いから、きっとできるニダ」

(´;ω;`)「無理無理。そんなことはできやないよ。
      そんな考えではすぐに処刑されてしまうね」

(#・∀・)「なんだと!? おれはお前とは違うんだ!!
       簡単にやってやるんだからな!」

ノパ⊿゚)「その自信は、どこから来るの?」

( ・∀・)「そんな気しかしないからだよ」

階級を示す中間名は、《Author》以上からつけられる。
そのため、中間名を持たない《Reader》は《Author》に強い憧れを持っていた。

ニダー以外の二人――モララーとヒート――も例に漏れず、
日々の労働をこなしながら昇格の機会を待っていた。

そして先日、ついに、待ち望んだ好機が到来する。
反逆者であるSYOBON-A-BROWNCHILD-<6>を自分たちが確保したのだ。

226名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:37:11 ID:KZg0NN0o0
ニダーの機転で無害な――ただし、反逆者にとっての――市民を装い、
ショボンを信頼させた後、他者に見つからないよう廃屋に匿っている。

ショボンは逃げ出す際に余程慌てていたのか、
レーザー銃――ベストもだ――を持っていなかったので、
三人が都市に勤務している間に、厳重に鍵がかけられたその廃屋から脱出する方法はない。

ショボンも自分が暴れた場合、騒ぎに気づいた誰かが覗きにきたり、
窮屈さに辟易として外出し、他の住民に見つかったりしてしまうと、
すぐにトラブルシューターが派遣されてくるのを理解しているため、
夜になると少量の食料を持ってくる三人の帰りをおとなしく待っている。

ニダー。ヒート。モララー。
彼ら三人は、ある程度の文章を書くことができ、書きたい物語の構想を決めていた。
後は、コンピューターの評価をさえ得られれば、条件が揃い《Author》に昇格できるだろう。

しかしそれも、ショボンを差し出せばすぐに満たされるのだ。

残る問題は、たったひとつ。

ショボンを受け渡す方法だ。

227名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:37:28 ID:tpy8y59U0
初遭遇うううううう

228名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:39:27 ID:KZg0NN0o0
ショボンを捜索する――彼に作者としての価値がそこまでないとしても、
コンピューターは反逆者を決して逃しはしない――トラブルシューターに素直に引き渡した場合、
受け取った者は間違いなく、すべて自らの功績としてコンピューターに報告するだろう。
だが、その点について彼ら《Reader》が言及すると、問答無用に処刑されるのも間違いない。

<ヽ`∀´>

《Reader》から《Author》になる機会を逸してしまうのだけは絶対に避けたいと三人は考えている。

ノパ⊿゚)

妙案が浮かぶまで毎日集まり話し合っていたが、ただ時間だけが過ぎていった。

( ・∀・)

確保した初日に、都市に取り付けられてるカメラで撮影されていたとも知らずに……。

上記の会話は、昨夜のものである。
今日も、“生きていられれば”、彼らは夜に集まって楽しい会話を繰り広げるだろう。

229 ◆1/KgJV1UfE:2013/03/29(金) 23:41:48 ID:KZg0NN0o0
今回の投下は終了。
次回は四月上旬を予定。

230名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:46:17 ID:k7vXZzgw0

待つよ

231名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:48:58 ID:ISeEx27I0
おつ

232名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:59:22 ID:Zo3bM/0g0
ヒートの純粋さを見るにReaderは死にながら環境に慣れていくのかな
上位階級さえ締め上げておけば末端は管理の必要もないか
おつおつ楽しみにしてる

233名も無きAAのようです:2013/03/30(土) 00:03:02 ID:k2rAlvfU0
乙!

234名も無きAAのようです:2013/03/30(土) 00:11:48 ID:/ahSQnZM0
パラノイアらしい話だなー
乙です

235名も無きAAのようです:2013/03/30(土) 00:30:12 ID:5hx1DCQQ0
作者は茶器を書いてたやつなのか?
と思ってしまうほどだな。
さすがにネタにしすぎじゃね、許可とってんの?

236名も無きAAのようです:2013/03/30(土) 01:44:18 ID:QkvJXQ620
そうするとブーンってすごいな

237名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 15:29:16 ID:EfmEswhI0
面白いなあ、乙

238名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 02:26:45 ID:WjmLA96QO
どっかの某( ∀゚キ)より 
 
 
(*`・ω・) 支援 
 
 
だそうだよ 
 
 


239名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:21:27 ID:QkQyhyRg0
20.<事故の後で/TSUNDERE-A-TTACK-<4> ―― ツンデレ=ξ゚⊿゚)ξ ―― >

ξ゚⊿゚)ξ

“四人目”のツンデレが目覚めた。
前任の自分が数時間前に見ていた景色の中――<第三総合案内区画>のクローン施設――で、
まず始めに彼女は、“三人目”の自分が死ぬその瞬間を思い返すことだけに専念した。

最後に見た――記憶が途切れる直前の――景色は、コンクリートの壁だった。
移動中だと気を抜いていた三人を尻目に、運転手のクールはアクセルを踏み続け、
彼らが異常な速度に気がついて騒いだ途端に、ハンドルを切った。激突。そして乗客の誰もが息絶えた。

ξ-⊿-)ξ(ひとつずつ、整理していきましょう)

ツンデレは、目を閉じて深く考えた。

今回の自動車事故が、大事なひとつの切れ端であるのは間違いない。

情報は命である。
ひとつひとつは細かいものでも集め続け、それから推理を重ねると、
事件の背景に潜んだ行動の理由を見つけられるかもしれないのだ。

行動の理由からは状況での判断が導かれ、判断からは人格が浮上する。
人格から理念が明らかになれば――二重思考を看破できれば――、
所属している秘密結社を暴き出せる可能性は決して少なくない。
“相手が何を望んでいるか”見極める技術はあらゆる場面で役に立つ。

240名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:24:35 ID:QkQyhyRg0
ξ-⊿-)ξ(まず、“今回の事故がCOOL-A-STRAIGHT-<4>の意思によるものなのか”?
       ……考えるまでもありませんわね。それはまず間違いありません。
       彼女は、何を考えてコンクリートの壁へと自動車を突っ込ませたのでしょうか)

ツンデレが事故をクールの意思と断定する理由は、
車内に超能力感知器が存在していたことが要になっている。

反逆者の掃討は住人の義務である。
粛清の総数がそのまま評価の向上に繋がるのだから、
反逆者である超能力者を簡単に見つけ出せる機械を所有者が作動させていないはずがない。

ξ-⊿-)ξ(BOON-A-NAITO-<1>は、見た限り、まず間違いなくコンピューターの狂信者ですわ)

完璧で幸福な存在である彼は、コンピューターに忠誠を誓わない人間を数多く粛清してきたはずだ。
判断基準も“常人”よりも遥かに厳しいものに違いないだろう、とツンデレは推測する。
そうだとすれば、やはり――すでにトラブルシューティングが開始している環境でなら尚更――
超能力感知器を“作動させていない理由がない”。

241名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:26:50 ID:QkQyhyRg0
ξ-⊿-)ξ(超能力感知器が起動しているのに、反応がない。
       つまり、超能力によって――“魅了”が最たるもので、“念動力”でも可能でしょうし、
       “浮遊能力”でも可能かもしれませんね――外部から操られてはいません)

ξ-⊿-)ξ(自分の意思で自動車の速度をあげ、さらに[チームリーダー]の指示を無視した。
       完全な反逆行為ですわ。冷静で的確な判断ができると、
       高位階級に認められている者――[チームリーダー]――の指示に逆らうことは、
       高位階級者の判断に従っていないのと同じです)

ξ-⊿-)ξ(あの瞬間に射殺――ZAP――されてもおかしくありませんでした。
       そうされなかったのは、彼女がハンドルを握っていたからです。
       自動車が止まれば彼女は殺されるしかない……
       それならばできるだけわたくし達を巻き添えにしよう、と事故を起こしたのですね)

一息つき、思考を区切った。
おかしな飛躍はないか、もう一度思考をなぞった。問題ないとツンデレは判断する。

この前提から、ツンデレは更に考えを展開していく。

ξ-⊿-)ξ(事故。そう、事故ですわ)

トラブルシューターを一網打尽にする手段としては、悪くないものであるが、
自分まで死んでしまうのでは、決して良い手段とは言えなくなる。
自分なら対策を講じる、とツンデレは思った。事故を起こすなら、自分だけは確実に生き残るように、と。

ξ-⊿-)ξ(咄嗟に犯行を思いついた?
       いいえ、先に[チームリーダー]の指示を無視しているのですから計画的なものですよね)

242名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:28:05 ID:QkQyhyRg0
ξ-⊿-)ξ(……計画的なのに、対策をしていない……個人的な怨恨からくる自暴自棄でしょうか?
       彼女がわたくしに大きな恨みを持っている可能性は高いですわ。
       過去にわたくしは彼女を殺しているわけですし、わたくしも今朝に殺されています)

クローンナンバーに余裕がなくなりつつあるため、自身の未来を完全に諦めて、
他人の足を引っ張る――機会があればなりふり構わず刺し違える――ことに専念したのだろうか?

ξ-⊿-)ξ(したのでしょうね。まったく、浅ましいですわ。
       COOL-A-STRAIGHT-<4>は自分が優れた作品を書けないから、
       優秀な《Author》であるわたくしや、BOON-A-NAITO-<1>の評価を下げようとしているのでしょう)

しかし、衝突の寸前に視界の隅にうつった、クールの表情が思い起こされた。
一瞬しか捉えられなかったが、力の入った顔をしていた。“目を見開き、歯を食いしばった表情”を。

ξ-⊿-)ξ(動揺? 恐怖? 今までずっと、平然としていたのに?
       ……いいえ、それは関係ありませんわ。
       どれほど決意していても、死の直前となれば誰もが怯えるものです。表情に意味はありません)

記憶を遡り終えた彼女は目を開き、クローン施設内に用意されている装備を身に着けていく。
赤色のレーザー銃とベスト。《Author》に支給される装備はこの二つだけだ。
他の装備品はトラブルシューティングに応じてのみ、ブリーフィングで支給される。
支給されていない武器の所持は、都市への反逆行為となる。発見次第、処刑するのは義務だ。

ξ*゚ー゚)ξ(それにしても……わたくしさえ死んでいなければ、褒めてあげたいほどなのですが……。
       “今の腐った【シュガー・ボード】で大人気作品”の『サポートフェアリーズ』を<打ち切り>にして、
        更に、自動車事故という小規模なものとはいえ、この都市を破壊したことには間違いないですもの)

クローン施設を後にして、ツンデレは<アンカー>に乗り込んだ。
迅速な行動、的確な判断は完璧なトラブルシューターの理念とされている。

243名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:32:12 ID:QkQyhyRg0
ξ゚⊿゚)ξ(……)

ξ;゚⊿゚)ξ ?

先ほど纏めた、事故についての思考がふいに絡みついた。

ξ;゚⊿゚)ξ(何か、おかしくありませんか? 何か、見落としているような……。
       わかりませんわ。なんでしょう。そうですわ。予知をしましょう……)

_______∧,、_{ = = ト、 i. =xヘ  /  ,x==- l  l / ,.,ヽ=ニ 二 ニ =´_ _______
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'`'` ̄ {= ‐ i ヘ l, li 灯}ヽ/ u´ だカ :i / y´  i { = ≡ = `}  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                  ゝ‐-=ヘ ハ   ヒ:リ     弋ツ ui/ ,ィ  / {= ≡ = ‐ } 
               {´= =ヘヘ u          /ィ.  , ,イ ゝ= = {

ξ;゚⊿゚)ξ(『○』。
       “アンカーに乗る行動”の判断は『○』ですわ。
       わたくしは間違っていない。では、何が……? 気のせいでしょうか……?)

ツンデレの超能力は、“自分がとっている行動の判断基準になる”だけであり、
“思考の方向そのもの”が“正しいものなのかどうか”の判断には何の役にもたたない。

<アンカー>から機械音声が流れてくる。
しかし、ツンデレの耳には入っていない。操作を行う前にゆっくりと、もう一度考えたかった。

ξ;゚⊿゚)ξ(不安が拭えませんわ。どうしてでしょうか。
       COOL-A-STRAIGHTについて、まだ考察が不十分でしたか?
       それとも、BOON-A-NAITOやDOKUO-A-MELANCHOLYの重要な行動を見落とした?)

244名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:33:03 ID:QkQyhyRg0
ツンデレを曖昧な予感と漠然とした焦燥感が襲う。胸の内がざわつき、汗が流れる。

ξ;゚⊿゚)ξ(……そうですわ。COOL-A-STRAIGHTも確か<第三総合案内区画>に住んでいます。
       だから、彼女――ナンバー<5>となった――も、さっきのクローン施設で目覚めたはずですわ。
       直接、話を聞けば良いじゃあありませんか。彼女の意思か、そうでないかを)

ツンデレは<アンカー>の扉を開けて再び外へと出た。
そして、クローン施設へと歩いて行く途中、はたと足を止めた。思わず、額に手を置く。

ξ;ノ⊿-)ξ(いやいやいや、ちょっと待ってください。落ち着きましょうよ)

ξ;ノ⊿-)ξ(COOL-A-STRAIGHT-<5>に『あなたがあの事故を起こしたのですか?』と聞いても、
        “正直に”答えてくれるわけがないでしょう。『操られていた』と言えば、解決するのですから)

ξ;ノ⊿-)ξ(それが真実だろうが虚偽だろうが、わたくしに確かめる術はありません)

ξ;ノ⊿-)ξ(“その個体すべてが反逆者である”、という考えは、
        “わたくしが反逆者だからこそ”、抱く思想ですわ)

額から手を外した。
“こんな大前提を、改めて頭の中で組み立てなければいけないほど、自分は焦っているのか”?
思わず、先ほど完結したクールへの考察をもう一度考え直したくなったが、時間の無駄だと堪えた。

245名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:33:46 ID:Dg6NCi8I0
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

246名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:36:02 ID:QkQyhyRg0
“【シュガー・ボード】の規則”から足が外れている。しっかりと踏みしめなければ。
出発地点を間違えてはいけない、と用心する。“二重思考”の緩みは死に直結しているのだ。

ξ;゚⊿゚)ξ(何者も、生まれた瞬間はコンピューターに絶対なる忠誠を誓っていて、
       生きていくうちに反逆的思想に染まり反逆者となる、とコンピューターは考えています)

ξ;゚⊿゚)ξ(住民が“誤って”反逆的な危険思想を抱いてしまった場合に備えて、
       コンピューターは住民ひとりにつき、
       五体分――<2>、<3>、<4>、<5>、<6>―――のクローンを用意しているのです)

ξ;゚⊿゚)ξ(そのため、危険思想は“その人物”が抱いただけで、
       “その人物”が死ねば、反逆の疑いは完全に晴れるとされていますわ)

ξ;゚⊿゚)ξ(次のクローンに記憶を引き継ぐように設定されているのは、
       『愚かな前任の自分と同じ行動を、今回の自分がとらないように戒めるため』、と、
       幼い頃に教育を受けましたが、実態はまるで違います)

ξ;゚⊿゚)ξ(わたくしのような反逆者はそれを逆手にとって、“仕切りなおして”います。
       新たなクローンは、都市的には完璧に許された状態として、
       “反逆の疑いがまったくない個体”として始まるのですから……)

ξ;゚⊿゚)ξ(ですから、『前任は救いようのない反逆者でしたが、今のわたくしは完璧です』。
       この一言だけで、何も追求できなってしまいます)

ξ;゚⊿゚)ξ(反逆的性向も見られないのに追求し続ければ、
       『そんなに確認をとらなければならないほど、疑わしいことがあるのですか?』と、
       反対に、わたくしが追求されてしまいます。そして、それは“好ましくない”ものです。
       相手が反逆者なら、こちらの“真実”を知られてしまうかもしれません)

247名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:37:58 ID:QkQyhyRg0
ツンデレは立ち尽くしている。クールと会話したほうが良いのか、
それとも、現場に向かった方が良いのかどうか判断を下せなかった。

ξ;゚⊿゚)ξ(『COOL-A-STRAIGTH-<5>と会話をするか?』という行動は、“どこまで行けば”なのでしょうか。
       クローン施設へと向かえば“判断してくれる”でしょうか? そこで『☓』と出たら?
       彼女と会い、そこで『☓』と判断された次の瞬間わたくしは処刑されているかもしれません)

ξ;゚⊿゚)ξ(彼女も馬鹿ではありません。
       何か情報を手にしているかもしれませんし、戻ってきたことを追求されるかも……。
       弁舌では彼女に勝てる気がしませんわ……“何か超越したもの”を感じます)

ξ;゚⊿゚)ξ(もしも――まずありえないとは思いますが――COOL-A-STRAIGTH-<5>が、
       超能力者なのでしたら――以前組んだ時にはそのような動向は見られませんでしたが――、
       逆に情報を引き出されかねません。……しかし、この不安は……?)

ツンデレが頭を悩ませている間にも、時間は進んでいる。
クールが別のルートで先に<第二総合案内区画>に到着してしまった場合、
同じ施設で目覚めたのにどうして到着時間に差があるのか指摘され、欠点になるのは間違いない。

248名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:38:58 ID:QkQyhyRg0
ξ;゚⊿゚)ξ

ツンデレはただ立ち尽くしていたが、はっと我に返った。
何分の間そうしていたのだろう……力を込めて足を動かした。弾かれたように踵を返す。

そして、超能力を行使した。


_______∧,、_{ = = ト、 i. =xヘ  /  ,x==- l  l / ,.,ヽ=ニ 二 ニ =´_ _______
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'`'` ̄ {= ‐ i ヘ l, li 灯}ヽ/ u´ だカ :i / y´  i { = ≡ = `}  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                  ゝ‐-=ヘ ハ   ヒ:リ     弋ツ ui/ ,ィ  / {= ≡ = ‐ } 
               {´= =ヘヘ u          /ィ.  , ,イ ゝ= = {

ξ゚⊿゚)ξ(……『○』!
      どういう理由かはわかりませんが、ただひとつだけわかっていることがあります!
      “この行動”は『○』ですわ! COOL-A-STRAIGHT-<5>とは接触しません!
      今すぐ、<第二総合案内区画>へ向かいます! 彼女が遅れたら、それを指摘してやりましょう!)

彼女は、すぐに<アンカー>へと乗り込んだ。
おなじみの機械音声が、再度、彼女を歓迎する。

既に、ツンデレは迷いを振り切っていた。

自分の中で納得ができていなくても、予知能力が判断の理由を教えてくれなくても、
“自分が最も信頼を寄せているもの”が今の行動の背中を押してくれている。
そう認識するだけで、なにもかもがすべて、上手くいくような気がした。

249名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:40:42 ID:QkQyhyRg0
21.<事故の後で/COOL-A-STRAIGHT-<5> ―― クール=川 ゚ -゚) ―― >

<第三総合案内区画>のクローン施設でクールは目覚めた。
クローンが意識を獲得した瞬間、仰向けに寝ている自分を感覚していた。

川 ゚ -゚)

まぶたを上げると、透明な壁を通して天井が見えた。
透明な容器の中に自分がいるのだと彼女――COOL-A-STRAIGHT-<5>――は理解する。
空気が抜ける音がして、わずかに容器の蓋が持ち上がった。どうやらロックがとけたようだ。
これから【シュガー・ボード】の住民となり都市への奉仕活動へ励まなければならない。

クールは興奮していた。思わず、口元が緩む。
クローンナンバーを増やしてしまったが、それに余りある情報を手に入れたと確信していた。

川*゚ ー゚)(“BOON-A-NAITO-<1>が反逆者である”、という考えに、他の二人は辿りつけただろうか?
      いいや、直接操られたわたしにしか得ることができていない、貴重な情報だろう)

確かな希望と、みなぎる活力を感じた。
完全無欠かと思われたブーンだったが、実のところは二重思考を行なっていたのだ。
自分たちと同じ――【シュガー・ボード】に忠誠を誓っていない――ならば、必ず、隙ができる。
言葉を交わし、思考と行動の一致しない部分を暴く行為に関して、彼女は“特別の技能”を持っていた。

250名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:42:58 ID:QkQyhyRg0
川 ゚ ー゚)(……さて、状況のおさらいだ。
     <第二総合案内区画>へと、わたしが運転する自動車で向かっていたら、
     わたしは不意に“からだの自由を奪われた”……)

川 ゚ ー゚)(徐々にアクセルを踏んでいく足と、動かせない全身――名前はわからないが、
     人を押さえつけて操作する類のものだろう――……間違いなく、超能力による作用だろうな)

川 ゚ ー゚)(しかし、“超能力感知器は作動していなかった”。
     あの状況で、超能力感知器の電源が入っていないのはありえないと誰でもわかる。
     超能力者は絶対に超能力を使用しないだろう。だが確実に、わたしに超能力が働いた。
     つまり、行使者は、超能力感知器を操作できるBOON-A-NAITO-<1>で間違いない)

川 ゚ ー゚)(だが、あの衝突ではヤツも生きていないだろうな。
     自分をひとり犠牲にして、我々全員のクローンナンバーを増やしに来るとは……。
     わたしも考えたが、普通は実行しないだろう……まあ、貴重な情報を得られたので良しとしようか)

クールは容器から出ると、用意されていた服を着た。
クローン施設の職員と会話して赤色のレーザー銃とベストを受け取る。

251名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:44:45 ID:QkQyhyRg0
川 ゚ -゚)(しかし、どうしてBOON-A-NAITOが我々を殺そうとしているんだ?
     コンピューターの狂信者なら、ほんの些細な反逆行為も許容しないのだろうが、
     彼自身が超能力者である以上、生きている以上、都市の反逆者だ)

川 ゚ -゚)(ならば、都市の規律を変えたいと行動するはずじゃあないのか?
     彼の立場からすると『超能力者の人権を認めろ』あたりが妥当だと思うが……。
     何か秘密結社に属していて……例えば、『自分以外をすべて殺す』だとか、
     『超能力者以外はすべて劣った種族だ、殺し尽くせ』など、そういった、別の目的があるのか?)

服と一緒に、思考を自分に身に着けていく。よりしっかりと、揺らがないように。

川 ゚ -゚)(それとも、我々を殺したのはただのついでなのか?
     “事故を起こすことそのもの”が目的だったのか?)

川 ゚ -゚)(都市破壊を信条とする組織か?
     そういう秘密結社がいるらしい、と本で読んだことがあるな……
     確か、『ブラウザクラッシャー』だったか?)

川 ゚ -゚)(それにしては破壊規模が小さすぎる気もするが……だめだ、情報が少なすぎる)

252名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:45:43 ID:QkQyhyRg0
クールが装備を整えてクローン施設を出ると、
凄まじい音を響かせて<アンカー>が空へ吸い込まれるように飛んでいくのが見えた。
射出方向が<第二総合案内区画>の方角であることから、恐らく、ツンデレが乗っているのだろう。

川 ゚ -゚)(事故の可能性があるため、
     クローンナンバーに余裕がないわたしには<アンカー>は扱えないな。
     TSUNDERE-A-TTACK-<4>に事故が起きて欲しいが……)

クールは視線を空から落とし、周囲を見回すと集合住宅が見えた。

集合住宅の外壁の色は“赤色”――《Author》以上にのみ解放されているという意味だ――
なので、進入に支障はない。そして、集合住宅の近くには駐車場があるだろう。
移動手段が必要な今、うってつけの場所と言える。クールは足を集合住宅へと向けた。

川 ゚ ー゚)(自動車を保有する《Author》を発見し、処刑してから自動車を奪うとするか。
     わたしがその気になれば、“なんでもない住民であっても反逆者として扱えるようになる”。
     到着時間に遅れるが、『反逆者であるSYOBON-A-BROWNCHILD-<6>を速やかに
     発見するために自動車は必要だ』と言えば、まず咎められないだろう)

クールは足を集合住宅へと向けた。

川 ゚ -゚)(わたしの行動に変わりはない。理想の環境の追求のため、
     BOON-A-NAITO-<6>を殺す……今はただ、それだけを考えていれば良い)

253名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:48:20 ID:QkQyhyRg0
22.<事故の後で/BOON-A-NAITO-<2> ―― ブーン=( ^ω^) ―― >

( ^ω^)


( ^ω^)


(#^ω^)


(#^ω^)


(#ノω^)


(#ノω^)


(#^ω^)


(#^ω^)


( ^ω^)


( ^ω^)

254名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:49:30 ID:QkQyhyRg0

                                                ,  ┏┛┸, .;
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                                              【¨‘     ̄ ̄    ,‘】 ;
                                               】      ___      ;┛┨
                                              ┗┓   ア∠、    .`【¨
                                              ┏┛   └'己」     ’┨;
                                             ┥】              ┠’
                                             ┗┓      r !       ┣‘
          | .!_,. -‐┐      /                        ,,┛     ||      【,
       ,-‐´ _,. -┐ |    ,__'                           ;】.    ヽニフ    ╂
      ム-‐l  |   .| |┌i l_i,ィマ                            ┗┨            【‘ `
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         ! .,     l        \ \_// :::::::::::::::::: \\_// ┗┓     ヽつ     .`【¨
    ,  ┏┛┸,  .; l              `             ′         ┗┓,        ┏┸’
   ,┏┛━‘ ’‘ ┓;.・         _                  _       〝┯┓,  ,〟】‡’
   ;】    _n__n    【┏┛        ,ィ´                     `ヽ         /`¨‘┳┷
   【¨‘  └i rっ_)   ,‘】 ;ヽ     i          ∧            i      /
   】      U      ;┛┨ \    ヽ           , ' ' ,        ノ    /
  ┏┛   ___      ’┨;
  ┥】     ア∠、       ┠’
  ┗┓   └(ヌノ      ┣‘
  ;】.    _n_,、       .╂
  ┗┨  └i rヘ〉     【‘ `
  ┏┛   (才P_)   ┏┛
   ┗┓,        ┏┸’
    〝┯┓,  ,〟】‡’

255名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:54:29 ID:QkQyhyRg0

(#゚ω゚)(トラブルシューター達は、“今回も”反逆者なのかお……)

(#゚ω゚)(DOKUO-A-MELANCHOLY、TSUNDERE-A-TTACK、COOL-A-STRAIGHT。
        “この中の誰かが反逆者であるということは、そいつ以外の全員も反逆者”だ……)

(#゚ω゚)(TSUNDERE-A-TTACKは優秀な《Author》であると信じていたのに……。
       彼女も、始末しなければならない。反逆者を放置するなんて……)

意図的に事故を起こした人物が、三人の中に存在するのは間違いない。
それにもかかわらず、さきほどの事故を未然に防ぐことができなかったのは、
その住民に現れていた反逆的性向を発見できず、警戒を怠っていたからである。

(#゚ω゚)(ぼくが、責任をもって奴らを始末するッ!
        そうすることが、コンピューター様への償いとなるお)

(#゚ω゚)(それにしても……いつも現れる……コンピューター様に従わない反逆者が……
        この都市は反逆者だらけなのかお!? なんで奉仕を誓わないんだ……?
        完璧で幸福な都市なのにッ! 完璧で幸福な都市に逆らうものは!
        この都市に存在してはならないんだおッ!)

(#゚ω゚)(【シュガー・ボード】は永遠に繁栄する理想郷でなくてはならないのに!!)

256名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:55:34 ID:QkQyhyRg0
ブーンはこころの底から怒りに震えていたが、決して乱暴な動作をとりはしなかった。
都市のすべてはコンピューターのものである。器物破損は紛れも無い重罪だ。
鬼気迫る表情になっているのを自覚していたので、落ち着こうと目を閉じて大きく息を吐いた。

容器の中でブーンは胸に手を当てた。

慈母のごとき父なるコンピューター様が管理している巨大都市【シュガー・ボード】。
その完璧で幸福なる住民として、【シュガー・ボード】内に存在するすべての反逆者を掃討するのだ。

( -ω-)(コンピューター様への反逆行為を『C.A.K.E』で働いたことを恨むんだな。
  つ と  『C.A.K.E』はコンピューター様のように優しくないぞ……
      “反逆者となる可能性を持つ者も同様に始末する”のが我々だお)

コンピューターを絶対的に信仰する理念を掲げる秘密結社『C.A.K.E』。

『C.A.K.E』に属する住民は全員が揺らぐことのない忠誠心を持っており、
一度でもコンピューターが定めた規則から離反し、反逆的な行為を働いた者を決して許しはしない。
唯一無二である存在を拒否してしまった精神は、“死んでも”決して浄化されることはないと考えている。

( -ω-)(果てしなく愚かな反逆者たちはいつも、くだらない信念を抱えている。
  つ と  密かな知識の蓄積、啓蒙の漸進的普及、低位階級の反乱、コンピューター様の打倒……
       そんなことは、ありえないお。コンピューター様はすべてを知っている)

257名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:58:53 ID:QkQyhyRg0
( -ω-)(TAKARA-C-GIKO-<6>様が仰った通り、
  つ と  コンピューター様はあらゆる事象から真実を導き出す。
       導き出せなかった場合、それは反逆的な隠蔽となるのだお)

( -ω-)(それにしても、『サポートフェアリーズ』が<打ち切り>になったのは辛いお……
  つ と  まだまだやりたい展開があったのに……けれど、何よりも読者の方々に申し訳ないお。
       たくさんの感想を頂いたのに、物語を完結させないまま放り投げるなんて……反逆者め……)

( -ω-)(一刻も早く反逆者を殲滅しなければいけないお。
  つ と  今の【シュガー・ボード】では、隣人や友人や、共にミッションの達成に励むトラブルシューターも、
       反逆者である可能性はありえないとは言い切れないどころか、実情は反逆者ばかりだったお)

(#-ω-)(奴らが、掲示板で――現実世界で――ぼくの作品の悪口を言わない保証はないんだお。
  つ と   自分自身の好みで好き勝手に作品を判断し、“否定的な感想”を残す奴らが、
        今回のトラブルシューターだとは! こんな奴らと協力なんてありえないお!)

(#-ω-)(感想を受け取る作者の環境のために!
  つ と   物語を受け取る読者の環境のために!
        血も涙もない反逆者が【シュガー・ボード】に存在してはならないんだお!)

胸の内で燃えたぎる決意を冷ますように最後に長く息を吐き終えると、容器から身を出した。

258名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:01:37 ID:QkQyhyRg0
波や数値が変動する機械が傍らに置かれた透明な容器が並び、
<第四総合案内区画>――最も新しい<奉仕区画>――のクローン施設。
磨きぬかれた床に汚れ一つない壁。ブーンが、はじめてみる景色だった。

( ^ω^)(本当にクローンナンバーが<2>になってしまったのかお。
      ……ぼくが“二人目”? 話には聞いていたけど実感がないおね)

施設の職員がやってきて、いくつかの質問をブーンに飛ばした。
ペンライトで目を照らしたり、口の中を覗いたりするのを大人しく受け入れていると、装備が用意された。
すぐにベストを着て、レーザー銃をホルスターに収める。それから歩き出すと、背後から応援の声が届いた。

<アンカー>へと向かう道中、ブーンは車内で起きた出来事を振り返った。
逸れた後の合流方法。自分の指示。クールの反逆。ツンデレの不安。
ドクオの焦燥。クールの無視。ツンデレの要請……超能力感知器の電源の有無。

( ^ω^)(超能力感知器は……“作動させていなかった”お。
      まさか、また、トラブルシューターに反逆者がいるなんて……)

(#^ω^)(反逆者が確認された――DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>は遅刻だ。
       コンピューター様への背戻とは言えない――<第二総合案内区画>へ
       到着してからで良いと思っていたお。絶対に許さないお)

<アンカー>に乗り込み、何度も聞いた機械音声を聞き、慣れた手つきで座標軸を設定する。

259名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:04:11 ID:QkQyhyRg0
エネルギーが完全に充填されて発射に至るまでの間、ブーンは『C.A.K.E』の教義を呟いた。

(#^ω^)(読者の為に物語を、作者の為には感想を、
        奉仕の為に銃を持ち、反逆者共には死の制裁を、
        しかして我ら【シュガー・ボード】の住民に加わらん。
        コンピューター様に忠誠を誓い、すべての反逆に粛清を)

圧縮された膨大な空気が開放され、凄まじい音が都市を震わせた。
住民たちが蟻のように慌ただしく動き回り、活動している遙か上空を、<アンカー>が飛んでいく。

260名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:05:37 ID:QkQyhyRg0
24.<事故の後で/DOKUO-A-MELANCHOLY-<4> ―― ドクオ=('A`) ―― >


('A`)「COOL-A-STRAIGHT-<4>が不意にハンドルを切り、自動車事故が発生。
    我が身を犠牲にして、我々を一網打尽にしようと考えたのでしょう。
    愚かな反逆者の考えそうなことです」

('A`)「おれ――DOKUO-A-MELANCHOLY-<4>――はとっさに自動車から飛び降り、
    多少の傷は負ったが死にはしませんでした。今から、彼らの遺体から装備を回収します」

事故現場にカメラを向け、呟いた。これで録音されているだろう。
メモ帳にも事の経緯を――主観的な視点から、多くの私情を交えて――記載した。

原型をとどめていない自動車に近づき、絶命した“三人”へと近寄った。
今頃は、クローンが目覚めて前任の記憶に唖然としているだろう。

トラブルシューターの欠員はトラブルシューティングに支障が出るので、
クローンが残っている限り、再び派遣される。トラブルシューティングの達成は最重要任務だ。

('A`)(超能力感知器が反応するようなら、すぐにBOON-A-NAITO-<1>を殺そうと思っていたが……
    電源を入れていないのは致命的だろ。住民を信用しすぎだぜ。おかげで、三人殺せた)

ドクオは“とてつもない速度で走っていた自動車から飛び出し、
何度も地面の上を転がったにも関わらず、ほとんど傷を負っていなかった”。

261名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:05:55 ID:3FqbrMHQ0
ブーンはほとんど完璧な存在かと思っていたが甘ちゃんなんだな
これまでは運が良かったのか、単に経験自体不足しているのか

262名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:08:09 ID:QkQyhyRg0
('A`)(カメラは耳にとりつけられていて、前を向いているから、自分のからだは映らない。
    後でこの映像を再生してもおかしなことは何もない。衝突の直前に扉を開いて脱出し、
    地面に叩きつけられて転がったのは事実だからな……おれの嘘の報告がバレることは絶対ない)

ドクオは息を吐いた。呆れを意味するそれを、細く長く行った。

('A`)(しかし、まさかとは思っていたが……これで確信した。
    “BOON-A-NAITOはコンピューター信者”だ。それも、かなり狂信的な)

('A`)(反逆者の存在を確認するまで決して疑わないなんてのは、
    “自分自身がそうだから、他人もそうである”と思っている証拠。
    クローンナンバーが<1>だったのも納得できるぜ。まさに、“完璧で幸福な住民”なわけだ)

('A`)(今までに一度も死ななかったのは、運が良かっただけだろうな。
    おれの超能力なら、簡単に殺せる。……が、油断は絶対にしねえ)

“念動力――精神の力で物体を操作する――”がドクオの持つ超能力だ。

内側からかかっている鍵を外から開けたり、他人の身体を押さえつけたり、
自分の身体に作用させ、思いのままに空中を移動することも可能だ。

今回、自動車の扉を開いて脱出し、地面を転がったのに軽傷であるのは、
自分自身に“衝撃を押しのける念動力の膜”を張っていたためだ。
予想外の事態による動揺と、迫り来る衝突の恐怖に怯えていた三人はドクオの脱出に気がつくはずもない。

263名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:11:01 ID:QkQyhyRg0
この膜は、実弾を扱う銃火器や刀剣類にも、もちろん有効である。
タイミングさえ間違わなければドクオに傷ひとつつけられないだろう。
ただし、レーザー銃には完全に無力であるため活躍の機会が訪れたことは未だない。

ツンデレの予知能力は、使用者も原因不明の不明瞭な天啓である。
そのため、研鑽して能力の向上に努められず、
より良い性能の超能力へと進化することができない。

対して、ドクオの念動力のような、物理的に作用を及ぼす系統の超能力は、
個人の技量によって超能力の効果は大きく変動する。
何度も使用を繰り返して超能力を理解することで、より優れた効果を及ぼせる。
ドクオは念動力の使用に慣れており、特に繊細な働きが得意であった。

しかし、鍛錬できるのはあくまでも効果の大小であり、
成功の確率は決して向上しない。先述した通り、どれだけ努力しようと、
確率的には五%――二十回に一度――失敗の可能性が存在する。

ドクオは過去に、『スマイリードッグ』の人脈を利用して、
今までに確認された超能力をまとめた本――閲覧規制《Collector》以上――を読んだことがある。
読破した後、自身の念動力はすべての超能力の中でも、一際秀でたものだと考えていた。

('A`)(“同時にひとつのもの”にしか作用できないが、
     その欠点を補って余りある汎用性!
     ……この【シュガー・ボード】で生き残るのに最も適した能力だ!)

264名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:11:04 ID:IvtkeNDE0
>>261
反逆者なんていないはず、って考えてたからって事は、完璧すぎるがゆえに、って感じじゃない?

265名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:13:52 ID:3FqbrMHQ0
>>264
んだな、ドクオも説明してくれてた

266名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:15:56 ID:QkQyhyRg0
ドクオは三人の身体から、支給された装備品――超能力感知器、クスリ、新装備――を回収すると、
自動車が炎を上げる前に素早く立ち去った。

('A`)(アイツの忠誠心がそれだけ高いってことは、反逆的行動に決して容赦がないってことだ。
    ほんの少しでも隙を見せたら、次の瞬間には処刑されているかもしれないな。
    自分にとっての理想郷である【シュガー・ボード】を荒らすものにはどこまでも残忍になるだろう)

彼は、自分が住んでいる区画よりはまだ少し綺麗な街の景色を眺めながら歩いている。
道なりに進んでいくと、大きなアーチが登場した。一見してわかるほど錆びており、
風が吹くと軋む音が響いている。さらに、その大きさが寂しさを増長させていた。

緩やかに弧形を描く上部に文字が取り付けられている……<第二総合案内区画>と書かれていた。

('A`)(一時の熱狂で建造物を作り、事故が起きたり、流行が移り変わったりすると、
    ついこの間まで楽しんでいた場所をあっさりと見捨てやがる。
    無駄な建造物を増やしやがって。我々『スマイリードッグ』がこの都市を変えてやるからな……)

('A`)(読者に人気の作品を書いている奴らも同じだ。作者に長い感想を書いている奴らも同じだ。
    コンピューターや高位階級者に寄生し、都市全体のバランスを保たない人気作者どもこそ、
    都市を蝕む寄生虫!! いや……“規制獣”か!!)

アーチをくぐり、<第二総合案内区画>へと突入した。
まずは、安全な場所で待機して三人のトラブルシューターの合流を待たねばならない。

('A`)(BOON-A-NAITO-<2>以外のどちらかがひとりでやってきたら、
   『スマイリードッグ』へと勧誘してやろう。平等の素晴らしさを教えてやるぜ)

頭の中で説得の言葉を練りながら、ゆっくりと<第二総合案内区画>へと侵入する。
これから四人の反逆者も待っている――『スマイリードッグ』に勧誘しても良いし、
コンピューターの評価向上のために始末しても良い――のだ。自然と口角がつり上がった。

267 ◆1/KgJV1UfE:2013/04/11(木) 01:20:17 ID:QkQyhyRg0
【業務連絡】

今日の投下は終了しました。
次回は五月上旬頃の予定。

https://dl.dropboxusercontent.com/s/ascrzuov9lqpugq/aZWlbdk.jpg
(※1)

ところで住民。あなた方は大変素晴らしい絵が描かれていたことを知っていましたか?
とてつもない魅力を放つこの絵は、細やかに描き込まれているものであるため、
思わず隅々まで目を凝らしてしまうことでしょう。聳え立つ建物、秘めた表情の《Author》達……。

さあ、視覚化された世界を堪能しなさい!
何分間も、何時間も、何日間も見続けてしまい、視力が低下しても嘆くことはありません!
あなた方はこの素晴らしい絵を目に映せたのです! 余りある幸福でしょう?

(※1) 「まぜこぜブーン」氏のブログよりそのまま転載しています。

268名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:27:37 ID:3FqbrMHQ0

先は長いな

269名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:31:09 ID:PymaP7II0
これとすでうよと棒アイスの3枚絵だったな
素晴らしい

270名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 05:26:13 ID:WL6MF0bk0
おつ
クーのミスリードは致命傷になりそうだな…

271名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 09:41:09 ID:svYNqu/60
このような文章を読めて私は幸福です

272名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 10:56:42 ID:41wMU8960
今回も面白かったです!
私はシュガー板の住人として完璧に幸福です

CAKEって何の風刺なんだろう
砂糖の信者ってこと?

273名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 18:41:45 ID:hB59L6P60
カメラあんのに勧誘なんてできんのか

274名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 20:53:30 ID:9i8krA7o0

次も楽しみにしてる

275名も無きAAのようです:2013/04/30(火) 22:57:38 ID:bYTwT5XEO
楽しみにしてるんだからね!
ゴールデンウイークでリフレッシュしたら書いてよね!

276名も無きAAのようです:2013/05/11(土) 01:16:14 ID:mMKtBZE60
そろそろかね

277 ◆1/KgJV1UfE:2013/05/24(金) 00:54:35 ID:o70pZQ3I0
【業務連絡】

申し訳ありません、住民。

恐ろしい反逆者共――超能力者、秘密結社加入者、共産主義者――の陰謀により、
◆1/KgJV1UfE の創作能力に不具合が生じました。不調、不振と同義のものと考えなさい。
状況が改善され次第、投下を行います。これ以上の情報はあなたの階級には開示されていません。

【Postscript】

『( ^ω^)たちと完璧で幸福な【シュガー・ボード】のようです』。
本作品の原作のひとつであるパラノイアの世界を気軽に体験できるプロジェクトが、
素晴らしい住民>>181によって立ち上げられていることを知っていましたか?

http://jbbs.livedoor.jp/game/55565/

この文章を目にした住民は、上記のURLにアクセスして、
スレッドに目を通し、進行している企画に参加するように推奨されています。

創作能力の不具合は一時的なものと見られているので、
確実に楽しい――楽しくないなんてことはあり得ません!
いつも、反逆者だけがこの楽しさを理解しないのです――幸福な世界で奉仕を誓っていれば、
あっという間に月日が経ち、気がついた時には不具合が改善されているかもしれませんよ?

278名も無きAAのようです:2013/05/24(金) 01:17:26 ID:JwoXqQm60
完璧で幸福な市民である私は全裸待機も完璧にこなして見せます

ここからはUVのみ閲覧可能発言ですが・・・
向こう側の管理人です
宣伝していただきありがとうございます
もう嬉し過ぎて思わずチェレンコフ光を撒き散らしそうです
まだまだ完璧な市民を集めている段階ですが、企画倒れせず無事完璧で幸福な卓を作ってみせます

本当に宣伝ありがとうございました

279名も無きAAのようです:2013/05/24(金) 15:55:56 ID:FdKQuVWM0
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ツヤツヤ
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +

280名も無きAAのようです:2013/05/25(土) 23:58:42 ID:9L7gQOl.0
これマジ超楽しみです
待ってるんでガチ頑張ってください

281名も無きAAのようです:2013/05/26(日) 16:14:05 ID:3yQix8ns0
今更だけど>>32>>41のタイトルはミス?

282名も無きAAのようです:2013/06/06(木) 01:55:19 ID:CSHvUFJk0
続き待ってんだけど

283名も無きAAのようです:2013/06/06(木) 02:00:36 ID:CSHvUFJk0
あれ?いつの間にか強制sageになってる?

284名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 22:13:30 ID:v2K9g4ms0
まだすか

285名も無きAAのようです:2013/08/28(水) 19:43:34 ID:tIsK.lfI0
マダカナー

286名も無きAAのようです:2013/09/11(水) 17:38:59 ID:3GBmkhZo0
いつ頃かだけでも!!

287名も無きAAのようです:2013/10/03(木) 20:20:59 ID:xV8X6kkA0
全裸で待ち続けておりますが、完璧な読者の私は風邪などひいておりません!

288名も無きAAのようです:2013/11/11(月) 15:34:20 ID:IN8iK2Sw0
風邪をひいてしまいました

289名も無きAAのようです:2013/11/11(月) 16:26:49 ID:6MDwbZGg0
完璧で幸福な市民は風邪など引きません
しかしより完璧な待機の為に、素っ裸から素っ裸にマフラー+靴下の着用の許可を申請します・・・

290名も無きAAのようです:2014/01/14(火) 15:26:59 ID:wo5jOf2c0
すばらしい気候のシュガーボードで私はいつまでも待ち続けます!

291名も無きAAのようです:2014/02/02(日) 16:22:15 ID:LEvMJRog0
面白い
逃亡作なの?惜しいな
戻って来て欲しい

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