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トラツグミは知りたいようです- 1 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:08:01 ID:drKxZ3ygO
-
以前打ち切りの形にしましたが、再開させて頂きます
まぜこぜブーン様
http://mzkzboon.blog.fc2.com/blog-date-200009.html?cr=1d80dbd0032fa052d22137d10111bc8a
REST様
http://boonrest.web.fc2.com/genkou/tora/0.htm
に、1−5話を纏めて頂いてます
続きからなので、どうかそちらを先に読んで下さい
読者と纏めの方々、本当にすみませんでした
では、始めましょうか
- 2 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:08:41 ID:drKxZ3ygO
-
トラツグミは知りたいようです
.
- 3 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:08:52 ID:fvBHcYJA0
- きたああああああ
- 4 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:09:54 ID:drKxZ3ygO
-
第6話『鬼ごっこ』
彼らはただひたすらに山を歩く。
分け入っても分け入っても、頂上すら見えない。
端的にいえば、迷っている。
空を飛んで様子を見ていたハインが降りてきた。
从 ゚∀从「なあ」
('A`)「どうぞ」
从 ゚∀从「見渡す限り山しかなかったんだけど…」
ξ゚⊿゚)ξ「その情報屋に聞いた方向は合ってるの?」
('A`)「合ってるはず…」
( ^ω^)「ここまできて間違ってるとか考えたくもないお」
- 5 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:10:23 ID:iFnl1s8.0
- まってた! まってた!
- 6 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:11:01 ID:drKxZ3ygO
-
('A`)「休憩ーっ…あー疲れた」
太陽が真上に来た辺りで、休憩宣言。
近くの切り株に腰掛け、背中の荷物を取り出した。
ξ゚⊿゚)ξ「切り株ってことは人がいるのかな…」
( ^ω^)「ごはんだおー」
从 ゚∀从「買った食料はこれで最後かぁ」
('A`)「やばいな、前貰った干し果物がなければ餓死が視野に入ってたぞ」
( ^ω^)「最悪その辺のキノコ食べるお」
ξ゚⊿゚)ξ「トリュフとか見つけらんないの?あんた」
( ^ω^)「無理言うなお」
ξ゚⊿゚)ξ「あ、あれおいしそう!」
从 ゚∀从「お、果物か。取って足しにするか」
- 7 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:12:13 ID:drKxZ3ygO
-
('A`)「はい次ぃ」
从 ゚∀从「あーん」
( ^ω^)「このバカみたいな光景も見慣れたおね」
ξ゚⊿゚)ξ「不便よねぇ」
从 ゚∀从「こいつ凄いぞ、一度に運んでくる食い物の量とタイミングが最適だからな」
('A`)「慣れた」
( ^ω^)「まぁ毎回やってりゃ慣れるお」
わいわいとした食事を終えて、また歩く。
再度ハインが飛んだが、目新しい物はなかった。
- 8 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:12:59 ID:drKxZ3ygO
-
それからしばらく。
( ^ω^)「お、あそこ小屋があるお」
低木の生える少し開けた場所。
そこに一つの小屋があった。
ξ;゚⊿゚)ξ「人いるかもだけど…開ける?」
(;'A`)「開けるか」
体を隠す服を纏い、ツンがブーンに負ぶさる。
顔を見合わせ、軋む扉を押し開けた。
(;'A`)
ミセ*゚ー゚)リ
(゚、゚トソン
_
( ゚∀゚)
人がいた。
正確には、キマイラがいた。
- 9 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:14:20 ID:drKxZ3ygO
- _
(;゚∀゚)「あ、ここの小屋の持ち主?」
(゚、゚トソン「すみません、すぐ出ますんで」
ミセ*゚ー゚)リ「貴重な体験したね」
(;'A`)「あー、いや…」
百聞は一見に如かず、を実行するべくドクオが自分の腕を見せる。
途端に三人の表情が緩んだ。
(゚、゚トソン「ああ、キマイラの方でしたか…良かった」
从 ゚∀从「いや、何でこんな場所にいんの?」
_
( ゚∀゚)「お互い様だ」
ミセ*゚ー゚)リ「まぁとりあえず入って入って!」
ハインと同じような茶褐色の翼を生やした女の子に誘われ、入る。
- 10 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:16:05 ID:drKxZ3ygO
-
( ^ω^)「えーっと…ミセリ、トソン、ジョルジュかお」
一通りの自己紹介を終えた。
彼らも脱走してきたらしい。
ミセ*゚ー゚)リ「いやーキマイラに会えるとはねぇ!」
ミセリ。
雉との混合らしく、ハインと同じく両腕が使えない。
(゚、゚トソン「この小屋、もうずっと空いてるんですよ。脱走してから使ってますが」
こちらはトソン。
犬のようで、手足を覆う毛に加え犬耳が生えている。
_
( ゚∀゚)「まぁ脱走ってもな、そのうち捕まるが」
ジョルジュという彼は、猿キマイラのようだ。
ξ゚⊿゚)ξ「何で?」
_
( ゚∀゚)「脱走した奴らを探すべく研究者が出てるらしいぞ」
('A`)「へー…」
- 11 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:16:08 ID:iFnl1s8.0
- キマイラいっぱいいたんだなー
- 12 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:17:01 ID:drKxZ3ygO
-
ミセ*゚ー゚)リ「ちなみに君達有名人だよー!」
('A`)「え、何で?」
ミセ*゚ー゚)リ「確認されてる限りは脱走第一号だからね、キマイラに自由の概念を植え付けたのさ!」
从 ゚∀从「そんな大層な事してないけどな…」
ξ゚⊿゚)ξ「結構成り行きだしね」
( ^ω^)「あ、そうだ。港の方向分かるかお?」
思い出したようにブーンが聞く。
確かに彼らなら知っているかもしれない。
_
( ゚∀゚)「あー、分からんでもないけど」
( ^ω^)「けど?」
- 13 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:17:47 ID:drKxZ3ygO
- _
( ゚∀゚)「代わりといっちゃあ何だが」
('A`)「金も食い物もあげらんないぞ」
_
(;゚∀゚)「要らん。いや、欲しいけどさ…」
_
( ゚∀゚)「代わりに俺達の『暇つぶし』に付き合って貰う!」
从 ゚∀从「は?」
(゚、゚トソン「あ、それいいですねー」
('A`)「ってか普通に教えてくんないの?」
ミセ*゚ー゚)リ「やだ!逃げたはいいけど暇なんだもん!」
ξ゚⊿゚)ξ「いいんじゃない?それぐらいなら」
- 14 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:18:44 ID:drKxZ3ygO
-
ξ゚⊿゚)ξ「で、何すんの?」
ミセ*゚ー゚)リ「どーしよっか?」
(;^ω^)「決まってないのかお」
_
( ゚∀゚)「…飛べる奴が増えたからな、鬼ごっことかどうだ」
(゚、゚トソン「それいいですね、採用」
(;'A`)「まぁいいけども…犬猿雉と鬼ごっこってお前」
( ^ω^)「すっげえ複雑だおね」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃ、鬼ごっこね!表に出ろーい!」
ξ゚⊿゚)ξ「昼取ってきたの果物、中途半端に残ってんだけど…いる?」
(゚、゚トソン「あ、下さい」
ミセ*゚ー゚)リ「無視かよー!」
- 15 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:20:34 ID:drKxZ3ygO
-
七人で表に出た。
ドクオ達が鬼で、三人を捕まえ次第ゲームセットらしい。
(゚、゚トソン「ミセリが鳥目ですからね、勝負は夕暮れまでです」
从 ゚∀从「鳥キマイラは皆鳥目なのかな…」
ξ゚⊿゚)ξ「ミセリはハインに懸かってるわよ」
从 ゚∀从「任せろ、雉は飛ぶのが苦手だからな」
ミセ*゚ー゚)リ「ふふん、捕まんないよーん」
('A`)「…」
_
( ゚∀゚)「どした?」
('A`)「いや…動物キマイラに会ったは良いけどさ」
('A`)「何で皆、俺より上位の生物なんだよ…」
(゚、゚トソン「羨ましいですか?哺乳類が羨ましいですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「やめたげてよ、あれで結構引きずるんだから」
( ^ω^)「鳥類からはもろに餌だお、蜥蜴の宿命だおね」
- 16 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:21:44 ID:drKxZ3ygO
- _
( ゚∀゚)「始めようぜ、バラけてから30秒数えろよ!」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃ、いっくよー!」
ミセリの号令に合わせ、三人が離散した。
从;゚∀从「わ、急だなおい!」
('A`)「いち、にー、さーん」
ξ゚⊿゚)ξ「鬼ごっこか、どうしたもんかしらねー」
( ^ω^)「ここに住んでるなら地の利はあっちにあるおね」
('A`)「…さんじゅう、っと。行くか」
ξ゚⊿゚)ξ「各自で捕まえますか」
从 ゚∀从「じゃ、かいさーん!」
- 17 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:21:50 ID:iFnl1s8.0
- ほのぼのだわ
- 18 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:23:08 ID:drKxZ3ygO
-
从 ゚∀从「よいしょっと」
ばっ、と飛び上がった。
周りを見渡すと、ミセリの姿が見える。
ミセ*゚ー゚)リ「やっほー!正々堂々いくよ!」
从 ゚∀从「元気だな、あいつ」
彼女らの翼の開帳はかなりの長さとなるので、木々の間を縫っての飛行はできない。
つまり隠れる場所も障害物もないという事だ。
ハインがそのまま高度を上げ、滑空してミセリに突っ込む。
ハインは思った。
このスピードなら避けられまい、と。
どんどんと接近し、体当たりを試みる。
ミセ*゚ー゚)リ「おーっと危ない!」
が、さらりとかわされた。
慌てて急ブレーキをかける。
从;゚∀从「あれ…?」
ミセ*゚ー゚)リ「へへーん、そう簡単には捕まらないもんねー!」
- 19 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:23:59 ID:drKxZ3ygO
-
( ^ω^)「こっちの方向から猿の匂いが…」
ざくざくと土を踏んで歩く。
獣と人間と薬の混じったキマイラの匂いは独特であるため、判りやすい。
_
(;゚∀゚)「あ」
( ^ω^)「お」
いた。
ジョルジュが木の上に陣取っている。
ブーンがすう、と息を吸った。
_
(;゚∀゚)「?」
(#^ω^)「ドクオーーーーーー!!来てくれおーーーーーーーーー!!!」
_
(;゚∀゚)「え、お前が来ないの?」
( ^ω^)
_
( ゚∀゚)
( ^ω^)「豚が木に登れるとでも?」
_
( ゚∀゚)「すまんかった」
- 20 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:25:56 ID:iFnl1s8.0
- ブーンwww
探すしかできないのね
- 21 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:26:40 ID:drKxZ3ygO
-
同時刻、違う場所で。
二人のキマイラが睨み合っていた。
ξ;゚⊿゚)ξ「はー…はー…」
(゚、゚トソン「あの」
ξ;゚⊿゚)ξ「何よ」
(゚、゚トソン「あなたの移動速度だと、私は小走りで逃げられるんですが」
ξ;゚⊿゚)ξ「蛇の宿命よ、這うのは結構遅いの」
ξ;゚⊿゚)ξ「割と木の上でもどんな地形にも対応できるけどね」
(゚、゚;トソン「はあ…」
ξ;゚⊿゚)ξ「ふぅ、落ち着いてきた…」
(゚、゚トソン「私逃げていいですか」
ξ゚⊿゚)ξ「もうちょっと待ってよ」
(゚、゚トソン「まぁいいですけど。ドクオさんもブーンさんも近くにいませんし」
ξ゚⊿゚)ξ「分かるの?」
(゚、゚トソン「集中すれば」
ξ゚⊿゚)ξ「そっか、犬だしね。うちの嗅覚特化もいい仕事するわよ」
(゚、゚トソン「どちらかと言えば耳ですね、私は」
- 22 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:28:52 ID:drKxZ3ygO
-
(;'A`)「くっそ!」
_
(;゚∀゚)「いやっほーう!」
木の枝々を跳び移り、キマイラが駆ける。
二人とも身軽であるため、地面には殆ど足を付けていない。
_
(;゚∀゚)「速いな!」
(;'A`)「お前もな畜生!」
_
(;゚∀゚)「キマイラに向かって畜生って言うな!マジで畜生なんだから!」
(;'A`)「知るか!」
ざっ、と葉の塊を抜ける。
瞬間、ジョルジュの姿が消えていた。
('A`)「上か!」
幹を弛ませ、さらに木の上部へと登る。
が、何もいない。
強いて言えば、上空でハインとミセリがやり合っているだけだ。
(;'A`)「あれ?」
下からブーンの声がする。
(;^ω^)「反対方向だお!」
(;'A`)「あぁくそ、鼬ごっこだな、これじゃ」
( ^ω^)「蜥蜴と豚と猿が鼬ごっことはこれ如何に」
(;'A`)「やかましい。…ちょっと来い、作戦がある」
- 23 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:31:17 ID:drKxZ3ygO
-
从;゚∀从「く…」
ミセ*゚ー゚)リ「大体、雉って馬鹿にされすぎなんだよねー!」
ミセ*゚ー゚)リ「雉も鳴かずば撃たれまい、とかさ!」
ミセ*゚ー゚)リ「そんな馬鹿じゃないもんねー私」
从 ゚∀从「存外に素早いな…アホっぽいのに」
ミセ*゚ー゚)リ「毎日飛んでるからね、慣れたのさ」
从;゚∀从「経験の差か…」
再度ミセリに向かう。
しかし、さっと下に回避された。
ミセ*゚ー゚)リ「にしても皆、鬼ごっこなのに真剣にやってくれてるみたいね」
从 ゚∀从「こういうのは真面目にやるから面白いんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「分かってるじゃん!」
从#゚∀从「さー行くぞ!次で決める!!」
ミセ*゚ー゚)リ「一撃必殺か、来い!」
ハインが遥か上空へと飛び上がった。
- 24 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:32:34 ID:drKxZ3ygO
-
ξ゚⊿゚)ξ「――って訳よ、酷くない?」
(゚、゚トソン「あー、それは仕方ないですよ。私達も大分迫害されました」
さらに一方、蛇と犬。
完全に鬼ごっこを忘れ、雑談に興じていた。
ξ゚⊿゚)ξ「どんな?」
(゚、゚トソン「祈祷師みたいな人になんか液体かけられました」
ξ゚⊿゚)ξ「あらぁ」
(゚、゚トソン「もう痒くて痒くて。…ところでツンさん、毒あるんですか、それ?」
ξ゚⊿゚)ξ「あるわよ。クサリヘビ系のを強化したようなのが」
(゚、゚トソン「怖ぁ」
ξ゚⊿゚)ξ「もうね、おちおちキスもできなくて」
(゚、゚トソン「ああ、ブーξ゚⊿゚)ξ「違うし、何言ってんだし」
(゚、゚;トソン「反応速っ!」
ξ゚⊿゚)ξ「違うし」
(゚、゚;トソン「見え見えですよ」
ξ゚⊿゚)ξ「いや……?」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ「あれ?」
(゚、゚トソン「?」
- 25 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:35:50 ID:drKxZ3ygO
-
ジョルジュがひょいひょいと木を渡る。
振り向くと誰もいない。
_
( ゚∀゚)「撒いたか」
(;^ω^)「ぜー…撒い…撒いてねーお……ぜー…ふぅー…」
_
(;゚∀゚)「息絶え絶えじゃん…」
ジョルジュの進行方向からブーンが現れた。
捜し回っていたのだろうか。
(;^ω^)「ドクオ!」
ブーンが振り向いて呼ぶ。
ぐっとジョルジュが身を固めた。
_
( ゚∀゚)「………、……来ないなドクオ…」
( ^ω^)「…」
ざっ、と音がした。
ジョルジュの背後からだ。
_
(;゚∀゚)「うわ!しまった、後ろか!」
軽く跳んで次の枝を目指す。
枝の位置は体が覚えている。
覚えている筈、だった。
_
(;゚∀゚)「あ?」
が、枝がない。
正確には折れている。
ジョルジュの真下には、折れた枝とブーン。
( ^ω^)「ずっとジョルジュが一定ルートを廻ってたのをドクオが発見したんだお」
( ^ω^)「だから枝を折っといて、ちょっと焦らせれば……」
(*^ω^)「さぁ、飛び込んでおいで!」
- 26 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:37:49 ID:drKxZ3ygO
-
ミセ;゚ー゚)リ「――あっぶなぁー…」
ミセリは翼を畳み、地上の草むらに隠れている。
先程のハインの高高度からの急降下、ハイン曰く『鳶アタック』を辛うじて避けた為だ。
捕まりはしなかったが、地上に降りる羽目となった。
上は枝葉により狭い為飛べない、そもそも上昇中を狙われるといけない。
ミセ*゚ー゚)リ「もうすぐ日暮れだし…戦略的撤退よね」
从 ゚∀从「さぁどうかな?」
ミセ;゚ー゚)リ「わあぁぁぁぁっ!!」
从 ゚∀从「タッチ、と」
ミセ;゚ー゚)リ「うあー…しまった…」
从 ゚∀从「残念。ケツ見えてたぞ」
ミセ*゚ー゚)リ「マジ?」
从 ゚∀从「マジ。あと、雉関係の諺があってな」
ミセ*゚ー゚)リ「申してみよ」
从 ゚∀从「『頭隠して尻隠さず』…」
从*゚∀从「これ言いたかったんだぁ!」
ミセ;゚ー゚)リ「くっそー!」
- 27 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:38:56 ID:drKxZ3ygO
-
(゚、゚トソン「どうしました?」
ツンが背中を向け、ごそごそと何かをしている。
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっとこれ見て!」
ツンが両手に持った物を差し出す。
トソンがよく見ようと少し近づいた。
(゚、゚トソン「何ですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、だからこれよ」
(゚、゚トソン「分かりませんよ、一体何がξ゚⊿゚)ξ「タッチ」
(゚、゚トソン
ξ゚⊿゚)ξ
(゚、゚;トソン「卑怯者……っ」
ξ゚⊿゚)ξ「光栄ね」
- 28 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:40:29 ID:drKxZ3ygO
-
――――――――――――
_
( ゚∀゚)「全員捕まったか…」
夜になり、全員が小屋に集結した。
結果はドクオ側の勝利となっている。
(゚、゚トソン「狡いですよ、あれは…」
_
( ゚∀゚)「どうした?」
(゚、゚トソン「言いません」
ミセ*- _-)リ「うーん…」
从 -∀从「むー」
('A`)「こいつらは飛行にエネルギーを使いすぎたのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「多分ね」
( ^ω^)「僕らも寝るお。小屋の隅借りるお」
(゚、゚トソン「どうぞどうぞ。お休みなさーい」
月明かりの中、互いにいつもより多いキマイラが横になる。
疲労は大きく、皆すぐに深く寝入った。
- 29 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:40:51 ID:iFnl1s8.0
- まさか諺の勉強になるとは…
- 30 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:41:17 ID:drKxZ3ygO
-
翌朝。
ドクオ達四人が発つ事になった。
港の方向を教えてもらったが、まだ遠いらしい。
ミセ*゚ー゚)リ「もっとゆっくりしていきなよー!」
('A`)「体力もたんわ」
( ^ω^)「というか一緒に行かないかお?」
_
( ゚∀゚)「ん、遠慮するよ。俺達は俺達で生きるさ」
(゚、゚トソン「まぁいつか研究所で会いましょう」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃーね!楽しかったよ!」
ξ゚⊿゚)ξ「ばいばーい」
陽気に手を振り、背を向けて別れる。
荒みかけた心が、少し晴れた気がした。
- 31 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:42:58 ID:drKxZ3ygO
-
今日はここまで、気楽な回でしたね。
あと5話ぐらいになる予定ですんで、これから少しずつ話を動かして行きます。
あと大五郎さんとか貞子さんとこの「キメラ」とうちの「キマイラ」は多分成り立ちは同じです。
ドラクエ風発音かMother風発音かの違いかと。
ってか最近キマイラ流行ってるね、何でだろうね。
- 32 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 23:49:50 ID:iFnl1s8.0
- 帰るところは研究所なんだなあ
おつ
今はファンタジー流行りだね
- 33 :名も無きAAのようです:2012/11/01(木) 00:08:53 ID:Uv4AHw9I0
- おつ!
復活してくれてすげー嬉しいよ
- 34 :名も無きAAのようです:2012/11/01(木) 00:36:37 ID:usdgYLPQ0
- お帰りなさい!!これから読む乙!
- 35 :名も無きAAのようです:2012/11/01(木) 00:37:13 ID:2RTIjQVgO
- これ、続き読みたかったんだ
復活してくれて嬉しいよ
- 36 :名も無きAAのようです:2012/11/01(木) 22:18:24 ID:3A2cL9..0
- おかえりおつ!
- 37 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 18:55:36 ID:thrugvFIO
- 一気に読んできた乙
あと五話か
- 38 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:18:33 ID:zBLQQiCkO
-
第7話『帆船と湯舟』
鬼ごっこから二日。
一行はまだ山を歩いていた。
移動の遅いツンはブーンに負ぶさっている。
( ^ω^)「まだかお、頂上…」
('A`)「さぁ…もうすぐだと思うが…あぁ邪魔だな」
手にしたナイフで視界を遮る草を切り払いながらドクオが愚痴る。
('A`)「山を迂回すんのもあれだしな……厄介な地形だ」
ξ゚⊿゚)ξ「頑張れブーン!」
( ^ω^)「気楽な…」
从 ゚∀从「ちょっと俺見てくる」
ハインが威勢よく言い、ばさばさと飛び上がった。
もっともドクオは、飛ぶ度に人に見つからないか肝を冷やしているが。
- 39 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:20:37 ID:zBLQQiCkO
-
少ししてハインが降下してきた。
興奮しているように見える。
从*゚∀从「頂上近いぞ!すっげー綺麗だった」
ξ゚⊿゚)ξ「やっと着いたわねー」
( ^ω^)「ツンは僕に乗ってるだけだお」
幾許もしないうちに、視界が開けた。
眼前に海と街が広がっている。
青い海はきらきらと太陽光を反射し、確かに綺麗だ。
('A`)「ほぉー…いい景色だな。町も割と大きい」
( ^ω^)「密航って言うからこう…」
ξ゚⊿゚)ξ「寂れてスラムな感じかとばかり思ってたわ」
( ^ω^)「それだお」
('A`)「後は山を下るのか。上着を着ないとな」
背中の袋から分厚い上着を取り出し、ごそごそと着用した。
今度はきつい坂道を下る。
- 40 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:21:23 ID:zBLQQiCkO
-
着いた港町には、海が近いからか色々な人がいた。
相応に賑やかで、妙な出で立ちの彼らもさほど目立たない。
从 ゚∀从「密航ってどうやんの?」
( ^ω^)「聞いてみるお!」
ξ゚⊿゚)ξ「誰によ…あ、ちょっと」
言うなりブーンはツンを乗せたまま歩いて行ってしまった。
建物の壁にもたれて書類に目を通している男性を見つけ、声をかける。
( ^ω^)「あのー」
(’e’)「ん?」
( ^ω^)「密航ってどうやるんですかお?」
(;’e’)「密っ…えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
- 41 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:22:51 ID:zBLQQiCkO
-
( ^ω^)「…いや、だから密(;’e’)「うわぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
(;’e’)「ちょっと来てぇ!そこのお連れの方も!」
慌てて路地裏に連れ込まれた。
側の樽に腰掛け、男がため息をつく。
(’e’)「いやぁ〜、密航だよ?不注意すぎねぇ?」
('A`)「あ、密航の担当者ですか?」
(’e’)「そうだけどさぁ…運いいなぁ、警察機構に見つかったらおしまいだったよ」
从 ゚∀从「結果オーライだな」
(;’e’)「密航を何だと思ってんだよぉ…微妙に話通じてねぇし…」
ξ゚⊿゚)ξ「いいから密航させなさいよ」
(;’e’)「もうやだこの客…」
- 42 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:23:40 ID:zBLQQiCkO
-
どうやら複雑な手続きは必要ないらしく、券を手に入れるだけで済むらしい。
言われた金を四人分だし、人数分の乗船券を受け取った。
( ^ω^)「意外と安いお」
('A`)「確かに。密航とかいうぐらいだからかなり覚悟してたんだがな」
(’e’)「今、空きは一部屋の二人分だけだけど…どうする?」
从 ゚∀从「待って皆で行くか」
(’e’)「でも定員になり次第だからね、分からないよ」
('A`)「じゃあもう行っちゃえ」
ξ゚⊿゚)ξ「組み合わせはもう決定だろうけど…どうする?」
( ^ω^)「僕とツンが先に行くお!」
('A`)「よし、決定ー。向こうの港町で待ち合わせな」
ξ゚⊿゚)ξ「はーい」
- 43 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:24:29 ID:zBLQQiCkO
-
(’e’)「んじゃ、もう行く?」
ξ゚⊿゚)ξ「行きましょ」
(’e’)「はいよ、ちょっと待ってね」
男が近くの建物に入っていく。
程なくして、沢山の人を連れて出てくる。
(’e’)「先着順で宿も手配してるんだ。だから残りの二人はそっちの宿ね」
从 ゚∀从「ラッキーだな」
(’e’)「船は隠してあるから、ついてきて」
( ^ω^)「はいおー」
ブーンとツンもその列につき、行ってしまった。
从 ゚∀从「警察機構とか言ってたけど平気なのか、あの大群」
('A`)「あれだけいりゃ心配ないだろう」
- 44 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:25:48 ID:zBLQQiCkO
-
ブーン達を見送り、言われた宿に入った。
人が出ていったからか、静かなものだ。
ζ(゚ー゚*ζ「いらっしゃーい」
('A`)「紹介されて来たんですが…いくらぐらいですか?」
内装はなかなか豪華。
宿代と日数を考えると、野宿も視野に入れなければならない。
ζ(゚ー゚*ζ「乗船券を見せて下さい!」
('A`)「え?…ああ、はい」
二枚の券を見せる。
すると、驚くべき言葉が飛んできた。
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあタダです」
从 ゚∀从「は?」
ζ(゚ー゚*ζ「タダですよー」
- 45 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:26:32 ID:zBLQQiCkO
-
('A`)「何で?」
ζ(゚ー゚*ζ「えっと…乗船券の値段に乗船までの宿代も入ってるんですよ」
ζ(゚ー゚*ζ「公式の船は高いから、こっちは安さを売りにしてるんです」
从 ゚∀从「密航って犯罪者が沢山いるとか…」
ζ(゚ー゚*ζ「違いますよー。違法に船を出して安くして、薄利多売で行ってるんです」
('A`)「なるほど…」
密航、という言葉に惑わされていた。
そんな形態をとっていたとは。
再度、自分達の世界の狭さを確認させられた。
ζ(゚ー゚*ζ「あ、でもご飯は出ませんよ」
('A`)「いや全然構わないです」
- 46 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:27:29 ID:zBLQQiCkO
-
店番が言うには、帰ってきてまた出るまで最低一ヶ月半はかかるらしい。
部屋のベッドに倒れ込んだ。
('A`)「まぁあれだ、しばらくはのんびりしようかー」
从*゚∀从「ベッドが久しぶりだぁ」
('A`)「いい部屋だな…」
从 ゚∀从「ブーン達がちょっと可哀相だな」
('A`)「まぁ向こうにもベッドぐらいあるだろうよ」
从 -∀从「うぅん…」
('A`)「今頃出たのかな…」
やがて会話は途切れ、二人分の寝息が聞こえてきた。
- 47 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:28:25 ID:zBLQQiCkO
-
――――――――――――
从 ゚∀从「起きろ!」
ハインに乱暴に起こされた。
窓の外はもう暗い。
(;'A`)「痛い…蹴るな蹴るな」
从 ゚∀从「ほら、寝ちゃったから分からなかったけど」
从*゚∀从「風呂がある!」
(*'A`)「マジか!」
風呂といえば、研究所でもかなり上位に位置する娯楽だった。
二週間に一度程しか許されず、人の多さから時間も短かった。
从*゚∀从「ふふ、好きなだけ入れるんだ…」
('A`)「ハイン入って来いよ、俺はもう一眠りする」
从 ゚∀从「いや、何のためにお前起こしたんだよ」
ばさり、翼を広げた。
アピールするように。
(;'A`)
- 48 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:29:14 ID:zBLQQiCkO
-
从 ゚∀从「いやー、マジでブーン達が不敏でならんなぁ」
足だけで器用にズボンを脱ぎ捨てながらハインが言う。
('A`)「なぁ…俺も?」
从 ゚∀从「当たり前だ、腕が無いんだよ俺には」
('A`)「お前肩甲骨から生えないの、翼」
从 ゚∀从「俺は天使じゃないんでな」
从 ゚∀从「天使の如き可愛さだけどな」
('A`)「冗談きついな」
从 ゚∀从「上脱がしてくれぃ」
('A`)「…腕上げろ」
从 ゚∀从「久々に裸になったな」
- 49 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:30:19 ID:zBLQQiCkO
-
从 ゚∀从「川とかでちょいちょい水浴びはしてたが…あれ、お前脱がないの?」
('A`)「最後のラインは守ろうかと」
从 ゚∀从「童貞め」
('A`)「お前も処女だろうが」
浴槽に湯を溜めつつ、体を流してやる。
白い背中は汗疹や何かで汚れていた。
('A`)「頭から洗うか」
从*-∀从「うーい」
('A`)「本当に介護みたいだ……うわっ気持ち悪っ」
濡らした黒髪に触れると、ざらりとした感覚が伝わる。
(;'A`)「これは…気合入れて洗うか…」
从 ゚∀从「お前女の子に向かって…」
(;'A`)「ツンは大丈夫かな…」
- 50 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:31:18 ID:zBLQQiCkO
-
(;'A`)「髪多い!」
从 -∀从「おぉ…」
石鹸を使ってがしがしと頭を洗う。
夥しい量の砂が出てきた。
虫がいないのが奇跡にさえ思える。
从;-∀从「お前の失礼な思考が伝わってきてるぞ」
('A`)「お前研究所ではどうしてたの」
从 -∀从「モララーにやってもらってた」
(;'A`)「何でもやるな、あいつ…」
从 -∀从「あー極楽だわ」
(;'A`)「腕疲れる…」
从 -∀从「頑張れ、俺の快楽の為に」
('A`)「いや、俺の自己満足だ。お前最近臭かったし…」
从;-∀从「思っても言うな、それは」
('A`)「よく考えたらツンはたまに水溜めて頭洗ってたしな」
从;-∀从「お恥ずかしいっす」
- 51 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:31:50 ID:zBLQQiCkO
-
(;'A`)「頭終わったぞ」
从 ゚∀从「お疲れ。次、翼な」
(;'A`)「体毛多いなお前!」
从 ゚∀从「しゃーねーだろ」
翼を水で流していく。
体との境目が間近で見られた。
縫い目のある皮膚から羽が突き出している。
何となく悲しくなった。
从 ゚∀从「…どした?優しくしろよ、抜けるから」
('A`)「……ああ、うん」
また石鹸を手に取り、洗う。
力強い翼だ。
- 52 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:34:13 ID:zBLQQiCkO
-
('A`)「――やっと翼と背中が終わるとこまで来たな」
从*゚∀从「気持ちいいわー」
('A`)「服も洗って乾かさないとな、これ」
从 ゚∀从「脱いじゃえよ、重かろう」
('A`)
('A`)「もう脱ぐか」
从 ゚∀从「どーせ見た所で俺じゃ何にもできないよ、構うな」
从 ゚∀从「精々、口かな」
('A`)「何だその自虐…そしてその知識はどこからだ」
从 ゚∀从「モララー」
(;'A`)「…あいつ最っ低だな!」
从 ゚∀从「あ、脱いだら俺の前も洗えよ」
('A`)「お前もお前で無防備すぎね?」
('A`)「おいしい状況の筈なんだがな…」
从 ゚∀从「純粋な人間ならな」
- 53 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:34:56 ID:zBLQQiCkO
-
*
ξ*゚⊿゚)ξ「ほら、狭いんだから寄りなさいよ、体曲げると辛いわよ」
( ^ω^)
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン…どうかした?」
( ^ω^)
( ^ω^)「いや…」
ξ;゚⊿゚)ξ「い、嫌…?」
( ^ω^)「吐きそう」
ξ゚⊿゚)ξ
( ^ω^)
ξ゚⊿゚)ξ「外で吐いて来なさい」
( ´ω`)「うぉえろろろろろろろろろ」
ξ;゚⊿゚)ξ「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
- 54 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:35:37 ID:zBLQQiCkO
-
*
ハインを洗い終わり、浴槽に移ったハインの代わりに自分の体を洗う。
('A`)「今頃あいつらは優雅な船旅かー」
从 ゚∀从「背中長そうか」
('A`)「せっかく翼洗ったのにスポンジ代わりにされてたまるか」
从 -∀从「風呂いいな…毎日入ろう俺」
('A`)「勘弁しろよ」
从 ゚∀从「体洗うのは三日に一回でいいからさ、浴槽だけ」
('A`)「拭くのも俺だよ」
从 ゚∀从「また臭くなるぞ」
('A`)「仕方ない…」
- 55 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:37:11 ID:zBLQQiCkO
-
从 ゚∀从「腕、見して」
ハインに言われ浴槽に腕を向けた。
濡れそぼった翼で支え、まじまじと見られる。
从 ゚∀从「皮膚移植か…?」
('A`)「イマイチ分からん」
从 ゚∀从「俺は腕持って行かれたからな、羨ましいよ」
('A`)「飛べるのは羨ましいけどな」
从 ゚∀从「でもほら、物を掴めないしさ、結構辛いぞ」
('A`)「空の代償は高いな」
从 ゚∀从「まあ、何、感謝してるよ」
('A`)「これからもよろしく」
从 ゚∀从「よろしくな!」
- 56 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:37:55 ID:zBLQQiCkO
-
ようやく風呂から上がり、ハインの体を拭き服を着せた。
(;'A`)「疲れた!風呂って疲れを取るとこだよな?」
从*゚∀从「そうだよ」
(;'A`)「あぁくそ、ほくほくしやがって…もう寝る!」
从 ゚∀从「ご飯ー」
('A`)「パス!」
从;゚∀从「何という圧政」
ドクオが部屋の明かりを吹き消し、ベッドに倒れ込む。
やがて寝息が聞こえてきた。
从 ゚∀从「…」
- 57 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:39:20 ID:zBLQQiCkO
-
「………………」
「…寝た?」
「…寝たよな?」
「…」
「お前が俺の世話焼いてくれるのは、すごく嬉しい」
「だけどさ…何か…違うところ見てるよな、そういう時」
「…クーって奴なんだろうな、多分」
「心底羨ましいよ、そのクーが」
「俺も……嫌な奴だよな、寝てる相手にしか愚痴れないんだ」
「でも、口に出さないと…心に留めておくと泣きそうでさ」
「こんな嫌な感情も人間性なのかなぁ」
「…」
「ごめん、もう寝るよ…」
「…あと」
「本当に、ありがとう」
- 58 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:40:23 ID:zBLQQiCkO
-
*
ξ;゚⊿゚)ξ「…」
( ´ω`)
ξ゚⊿゚)ξ「…大丈夫?」
( ´ω`)「大丈夫じゃない寄り」
ξ゚⊿゚)ξ「あと…5日ぐらいあるってさ」
( ´ω`)「ツン」
ξ゚⊿゚)ξ「?」
( ´ω`)「僕の死体は、どうか地上に埋めてくれお」
ξ;゚⊿゚)ξ「死ぬ気満々じゃない…」
- 59 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 23:41:52 ID:zBLQQiCkO
- 今夜はここまで
そろそろシリアスに持って行きたいもんです
- 60 :名も無きAAのようです:2012/11/03(土) 00:00:55 ID:q2DwwKV60
- 出遅れティアヌスか
乙
- 61 :名も無きAAのようです:2012/11/03(土) 00:19:09 ID:Sau3qyJ20
- 乙
大好きだわこういうの
ハインかわいい
- 62 :名も無きAAのようです:2012/11/03(土) 01:00:02 ID:tGkrpf3g0
- おつ
ブーンいいな
- 63 :名も無きAAのようです:2012/11/03(土) 01:45:09 ID:33gsyFX6O
- もう十分にシリアスじゃねぇか
面白いけど考えさせる描写ばかりだ、ドクオとハインいいな
- 64 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:25:55 ID:L3rD6uXMO
-
第7話『南の大陸』
ブーン達が出て、一ヶ月。
未だに船は帰らない。
(;’e’)「おかしいよなぁ〜…」
('A`)「何かあったんですかね」
(;’e’)「向こうでトラブってるかもねぇ、これは」
从;゚∀从「どんぐらいで帰ってきます?」
(;’e’)「うぅん、分からんな」
(’e’)「ただ、以前船が壊れたんで修理するって時は…」
(’e’)「二ヶ月ぐらいかかったなぁ…」
(;'A`)「おぉ…」
(’e’)「まぁ沈んでる事はないと思うよ、うん」
('A`)「沈まれちゃ困ります」
- 65 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:26:57 ID:L3rD6uXMO
-
从 ゚∀从「さーどうする」
('A`)「どうするって…そんな待てないぞ」
(’e’)「お金は返せるけど…正規の船で行く?」
(;'A`)「そんなに金ないからなぁ…」
从 ゚∀从「忍び込むか?正規の方に」
(;’e’)「えぇ〜〜…」
('A`)「そういや忍び込めばタダだしな」
从 ゚∀从「密航もどうせ犯罪だしな、行くか」
('A`)「行くか」
(’e’)「何その行動力…」
- 66 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:27:39 ID:L3rD6uXMO
-
結局男に返金してもらい、港の位置を聞いた。
この町から海沿いに二日、らしい。
('A`)「面倒だなー」
从 ゚∀从「風呂ともお別れか…」
('A`)「海風が強いな」
从 ゚∀从「海の向こうにも風呂ぐらいあるよな」
('A`)「お前どんだけ風呂好きなんだよ」
从 ゚∀从「気持ちいいだろうがよ」
('A`)「俺は疲れる」
从 ゚∀从「感謝してまーす」
('A`)「…どういたしまして」
- 67 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:28:40 ID:L3rD6uXMO
-
それから野宿を挟んで歩くと、やがて街が見えてきた。
密航の町より少し規模が大きい。
从 ゚∀从「流通の要、みたいな感じだな」
('A`)「研究所の荷物とか…ないよな」
从 ゚∀从「さあな…。あれだな、船は?」
目の前の海に停泊しているのは、大きな船。
写真でしか見たことがなかったが、かなり迫力がある。
('A`)「…とりあえず忍び込む訳だし、隠れる為のでかい布買ってくるか」
从 ゚∀从「こんだけいりゃあ誰か売ってるよな」
- 68 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:30:42 ID:L3rD6uXMO
-
何人かに当たり、やがてそれらしい商人を見つけた。
自分達が着ているような物と同じような布を買う。
爪'ー`)「……密航なら、向こうにうってつけの町がありますぜ」
('A`)「いえ、そちらの船が帰って来ないもんで」
爪'ー`)「急ぎですか、駆け落ちか何かですか。何にせよ、頑張って」
从;゚∀从「ど、どうも」
爪'ー`)「私は密航者は結構見ますがね、夜に入るがいいです」
爪'ー`)「夜なら船の外に警備はありませんで」
('A`)「随分教えてくれますね?」
爪'ー`)「はは、何を疑うんです。売れない商品を買ってくれた礼ですよ」
从 ゚∀从「確かにこの布は売れないでしょうね…」
爪;'ー`)「重いし捨てらんないしでね、難儀してたんで…」
- 69 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:32:06 ID:L3rD6uXMO
-
――――――――――――
夜を待って船に近付く。
確かに警備員などはいないようだ。
夜目の利かないハインは翼でしっかりとドクオの腕を挟んでいる。
('A`)「さあ、どうやって忍び込む」
从 ゚∀从「何にも見えねー…」
('A`)「うーん…」
('A`)「……飛ぶか」
从;゚∀从「は?」
('A`)「ちょっとハイン、手ぇ離して」
ハインに『気をつけ』の姿勢をとらせ、方向を調整する。
('A`)「お前、一人ぐらいなら運べるみたいな事言ってたよな」
从 ゚∀从「いや言ったけど…バランスとかとれないぞ」
- 70 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:33:16 ID:L3rD6uXMO
-
('A`)「いいか、俺が腰に掴まってるから重い方が下だ」
从;゚∀从「え」
('A`)「お前が向いてる方に飛んだらいける」
从;゚∀从「ちょっと、本気かよ…」
(;'A`)「普通に入るのは不可能だからな、お前泳げないし…」
从 ゚∀从「まあ…失敗しても怒るなよ」
('A`)「怒らんから安心しろ」
从;゚∀从「よ、よし…じゃ、掴まれ!離すなよ!」
(;'A`)「というかお前飛べるよな?誇張とかじゃないよな?」
从;゚∀从「何で今更不安になってんだ!」
- 71 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:35:35 ID:L3rD6uXMO
-
('A`)「いよっ」
荷物を投げ込む。
無事に音が上がり、荷物の侵入は完了した。
从;゚∀从「よし…!」
ハインがぐっと足に力を込める。
軽くジャンプし、次いで激しく羽ばたいた。
ばさばさという音が聞こえてくる。
少しずつ体が浮きはじめた。
从;゚∀从「方向合ってる!?」
(;'A`)「合ってる!合ってる!」
从;゚∀从「うぐぉあぁぁぁぁぁ重いし怖いぃぃぃぃぃっっっ!!」
(;'A`)「恐怖を捨てろ!!自分と俺を信じろ!!頑張れ!!」
从;゚∀从「すっげえ無責任!!」
膨らんだ月が上がる夜空の中をふらふらと飛び、不安定に甲板へ向かう。
- 72 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:36:49 ID:L3rD6uXMO
-
(;'A`)「やべ…もうちょっと右!!」
从;゚∀从「右ってどっち!?」
(;'A`)「箸を持つ方!」
从;゚∀从「持てねぇよ!!」
从;゚∀从「あ、やべ、攣っ――――」
いきなり翼の動きが止まり、一気に自由落下が始まった。
しかし一応甲板に差し掛かっていたため、二人はそこにたたき付けられる。
(;'A`)「うあ゛っっ!!」
从;゚∀从「ぐっ…」
下半身が甲板の外に出ていたハインがずるりと滑る。
落ちるかというところで、ドクオがしっかと翼を掴んだ。
力任せに引きずり上げる。
(;'A`)「はー…はー…」
从 ;∀从「痛、痛いぃ…」
(;'A`)「よくやったよ、お前」
- 73 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:38:00 ID:L3rD6uXMO
-
从; ∀从「はぁ…はぁ…」
(;'A`)「やべ、人だ」
半泣きのハインを抱き寄せ、荷物を拾い上げて器材の裏に隠れる。
大きな布を被った。
( ´ー`)「…?」
( ´ー`)「何かいるのかい?」
高い足音が寄ってくる。
二人で息を殺して体を縮めた。
目の前に足が見える。
どこかへ行け、と願い―――
( ´ー`)「そーれ」
ばっ、と布を取られた。
- 74 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:39:19 ID:L3rD6uXMO
-
(;'A`)「……!」
从;゚∀从「…」
せめて、と体の違いの顕著なハインを後ろに隠す。
(;´ー`)「ほう…初めてのパターンだわこれ…」
(;'A`)「あの、下りるんで見逃しては…」
( ´ー`)「いや別にいいよ」
从;゚∀从「…え?」
( ´ー`)「…ただ、さあ」
二人が体を固める。
金か、食料か、それとも……
( ´ー`)「俺、鳥類大好きなんだわ」
ハインが一層体を縮こめる。
水夫の格好をしたその正体は、
( ´ー`)「なんつーか」
(*´ー`)「その羽、存分に触っていいかなぁ…?」
ただの特殊な人だった。
- 75 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:40:13 ID:L3rD6uXMO
-
(;'A`)「――で、見逃してくれるんすか?」
あれから20分。
未だに船乗りはハインの翼を離さない。
从;゚∀从「そんな需要が…」
(*´ー`)「だってほら、たまんねーだろこの翼…!」
(*´ー`)「暗くて見づらいのが残念だが…烏かぁ…ふふ…」
(;'A`)「…あの」
(*´ー`)「あーいいよ、これで結構偉いからさぁ、思いっきり見逃すよ」
(*´ー`)「あぁ石鹸の香り…」
从;゚∀从「気持ち悪っ…」
(;'A`)「こら、一応恩人なんだからさ」
- 76 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:41:10 ID:L3rD6uXMO
-
( ´ー`)「あぁ潤った……。ここから倉庫に降りなよ」
('A`)「倉庫?」
( ´ー`)「そこなら普通は人は来ないから」
( ´ー`)「出港してからはどこにいても普通の客に紛れる…けど」
( ´ー`)「流石に夜は倉庫に隠れなさい」
从 ゚∀从「えーと、ありがとう…」
( ´ー`)「いいってことよ」
その時、後ろから声が飛んできた。
二人が隠れる。
「船長、何してんですか」
( ´ー`)「ちょっとな。…さあ、もう今日の見回りはおしまいだ、戻れ」
「はい」
从;゚∀从「船長なのかよ…大丈夫かこの船」
- 77 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:42:01 ID:L3rD6uXMO
-
その船長の見回り終了の合図が行き渡るのを待って、階下に降りる。
客室を通ってさらに下に行くと、言われた倉庫に着いた。
从 ゚∀从「結構広いな」
('A`)「とりあえず夜はここだな」
从 ゚∀从「さー寝ようぜ、眠いし」
広げた布を二人で被って眠る。
鼠が辺りを走っているのを見て、荷物が少し心配になった。
从;゚∀从「痛っ!」
从#゚∀从「てめぇこの、鼠の癖にっ」
(;'A`)「寝ろ!」
- 78 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:44:08 ID:L3rD6uXMO
-
*
同じ頃。
ブーン達は港町の宿である噂を聞いていた。
ξ゚⊿゚)ξ「狼?」
(*゚ー゚)「そーなのさ。もうおっかなくって」
( ^ω^)「最近急に来たんですかお?」
(*゚ー゚)「いや…前からちょこちょこあったんだけどね」
(*゚ー゚)「最近猟師が『狼人間』を見たって言ってたからさぁ」
(*゚ー゚)「そいつが指揮してるんじゃないかなって噂だよ」
ξ゚⊿゚)ξ「へー…向こうの森ですか?」
(*゚ー゚)「そーだけど…行くの?人におぶさらないといけないのに」
( ^ω^)「僕なら大丈夫ですお、体力には自信ありますお」
(;*゚ー゚)「心配なのはあんたじゃないよ…」
- 79 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:44:55 ID:L3rD6uXMO
-
宿を出、ブーンが伸びをする。
背中のツンが言った。
ξ゚⊿゚)ξ「さ、森に行くわよ」
(;^ω^)「ドクオ達が着いてからで良くないかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「だって暇だし、その間に人が襲われてもね」
( ^ω^)「普通逆じゃないかお、それ」
仕方ない、と森に向かってブーンが歩く。
もはや当然のようにツンを背中に乗せて。
( ^ω^)「あぁもう…」
ξ゚⊿゚)ξ「何か文句あんの?」
( ^ω^)「いや無いわけないお」
- 80 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:46:58 ID:L3rD6uXMO
-
静かな町を歩く。
今の時間は人があまりいない為、ブーンの足音と潮騒の音しか聞こえない。
( ^ω^)
ξ゚⊿゚)ξ
( ^ω^)
ξ゚⊿゚)ξ「暇…」
(;^ω^)「そりゃツンは歩いてすらないから」
ξ゚⊿゚)ξ「森に入ったら上着脱いで歩くわ」
ξ゚⊿゚)ξ「それまで何かお話とかしなさいよ」
( ^ω^)「うーん」
( ^ω^)「ツンって上下で別れてるお?」
ξ゚⊿゚)ξ「うん」
( ^ω^)「蛇って確か排卵孔と排泄孔一緒だけど……ツンは?」
ξ゚⊿゚)ξ「一緒よ、蛇側ね」
ξ゚⊿゚)ξ「つまり私には、まんこが二つ( ^ω^)「僕が悪かったお」
- 81 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:48:16 ID:L3rD6uXMO
-
ξ゚⊿゚)ξ「何よ、答えてあげたのに」
( ^ω^)「意地悪に対して真面目に返されるとは思わんお」
( ^ω^)「恥じらいとかさぁ……こう…ねぇ?」
ξ゚⊿゚)ξ「あ、着いたわ」
町の裏手にある、広そうな森。
やはり人の気配はないため、ツンが這っても平気だろう。
( ^ω^)「狼とかいんのかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「…まあ最悪、撃退で」
( ^ω^)「はいはいおー」
鳥の囀りが聞こえてきた。
鳥繋がりでハインの事を思い出す。
船が不調と船員が零していたが、船は無事に帰れたのだろうか、と。
- 82 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:50:02 ID:L3rD6uXMO
-
( ^ω^)「…ああ、早速来たお」
( ^ω^)「幾つか獣の臭い…と、微かに遠くから薬の臭い」
ξ゚⊿゚)ξ「あらまー…」
ブーンが立ち止まって辺りを見渡し、ツンがとぐろを巻いて姿勢を整える。
程なく現れたのは、やはり狼。
取り囲まれている。
総勢六頭のよう。
ξ;゚⊿゚)ξ「多いね、流石に『殺すな』は無理よこれ…」
(;^ω^)「仕方ない、仕留めるお!」
ξ゚⊿゚)ξ「りょーかい!」
- 83 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:51:39 ID:L3rD6uXMO
-
まず飛び掛かってきた一頭が、ツンの尻尾に噛み付いた。
ξ#゚⊿゚)ξ「痛いっ!!」
ツンがそのまま振り飛ばし、近くの木に激突させる。
後ろではブーンが狼の喉元を切り裂いていた。
(;^ω^)「おーっと!」
突っ込んできた狼の顎を蹴り上げ、また横に蹴り飛ばす。
左腕に噛み付いた狼にまたナイフを突き立てた。
(;^ω^)「おっ!?」
蹴った狼を確認していると、違う狼に突き飛ばされた。
馬乗りになられ、ブーンの首に牙が迫る。
- 84 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:53:38 ID:L3rD6uXMO
-
ξ;゚⊿゚)ξ「危ない!」
間一髪、ツンが狼を跳ね飛ばした。
すかさずブーンが近寄り、その二匹に留めを刺す。
(;^ω^)「あと一体いるお!」
振り向く。
心配は要らなかったようで、ツンが最後の一匹の腹に噛み付いているのが見えた。
ξ;゚⊿゚)ξ「ぺっぺっ…」
(;^ω^)「ふー………、さて…そこにいるのが」
向き直る先にいたのは、全身を茶色い毛に覆われたキマイラの少女。
被験体のものではない質素な服を着ているあたり、どこかから盗んできたのか。
( ^ω^)「親玉、だお?」
ノパ⊿゚)「いや…違うけど…」
( ^ω^)
ノパ⊿゚)
ξ゚⊿゚)ξ
( ^ω^)「『親玉』だお?」
ノハ;゚⊿゚)「繰り返しても強調しても違うよ…」
- 85 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:55:21 ID:L3rD6uXMO
-
年齢はブーン達より少し低いぐらい。
トソンと同じく、犬のような耳が頭にある。
ξ゚⊿゚)ξ「狼キマイラかな?」
ノパ⊿゚)「そーだよ狼だよ」
言って、あーんと口を開けて見せる。
立派な牙が並んでいた。
( ^ω^)「僕より毛が濃いおね…動物の比率が高いのか」
ノパ⊿゚)「どうかな。…で、早速悪いけどキマイラ同士って事でお願いがあるんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「お願い?」
深呼吸。
しっかりと二人を見据えて言い放った。
ノパ⊿゚)「私を、殺してほしいんだ」
- 86 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:55:29 ID:Y61.RVf20
- ワロスwww
- 87 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:56:48 ID:L3rD6uXMO
- 今日はここまで!
二日に一回ペースは落とさないつもりでおります
- 88 :名も無きAAのようです:2012/11/04(日) 23:59:06 ID:Y61.RVf20
- おつ、なんかレスの位置がおかしくなってすまんな
- 89 :名も無きAAのようです:2012/11/05(月) 10:27:03 ID:lRCtW6w.O
- 乙
- 90 :名も無きAAのようです:2012/11/05(月) 10:37:14 ID:xCECdtkA0
- 乙
- 91 :名も無きAAのようです:2012/11/05(月) 20:20:38 ID:GqmQSER20
- おつ
- 92 :名も無きAAのようです:2012/11/05(月) 20:22:48 ID:DtZZBdVU0
- 乙
ハインは俺が洗ってあげよう
- 93 :名も無きAAのようです:2012/11/05(月) 21:42:10 ID:fBeWD2Gg0
- ぬー、次が気になるヒキだ
おつ
- 94 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:12:29 ID:Zm9BUNH2O
-
第8話『月に願いを、獣に祈りを』
('A`)「…よし、来い」
从 ゚∀从「おう」
こそこそと船の倉庫から出る。
客室階の廊下に着いてからは、落ち着いて歩く。
やがて堂々と船から出られた。
从*゚∀从「ついたー!」
('A`)「さて、ブーン達…宿かな?」
('A`)「あった、あれだな」
見つけた宿に向かう。
从 ゚∀从「やーっとベッドで寝れるなぁ」
('A`)「ブーン達がいるかどうかだな」
- 95 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:14:26 ID:Zm9BUNH2O
-
(*゚ー゚)「えーと、変な同じ服装で…おんぶ?」
('A`)「見たら忘れない感じだと思いますが…いました?」
(*゚ー゚)「いたよ。数日前に狼の話をしたら森に行っちゃって…」
(*゚ー゚)「違うとこに行ったか喰われたか、かな」
从 ゚∀从「…どうする?」
('A`)「とにかく一泊するか。あいつらなら平気だろ多分」
从 ゚∀从「まぁ簡単に死ぬ奴らでもないしな」
(*゚ー゚)「薄情……なのかな?まあいいや、一泊ね」
- 96 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:16:13 ID:Zm9BUNH2O
-
('A`)「食料も買ったし、金は結構減っちまったな」
从 ゚∀从「稼げないからな、凌ぐしかないな」
('A`)「明日狼の森に向かうぞ」
从 ゚∀从「おう」
('A`)「あ、風呂あるじゃん。どうする?入るか?」
从 -∀从「いや……いい。何か怠い」
('A`)「そうか。明日の朝出るからな、休め」
从 -∀从「ん…」
ベッドに入って寝息を立てるハイン。
心なしか顔が紅潮しているように見えた。
- 97 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:17:41 ID:Zm9BUNH2O
-
翌日、問題が浮上した。
ハインが倒れたのだ。
高熱を出し、頭痛と体の痛みを訴えている。
从;-∀从「ごめん、本当にごめんなさい…」
('A`)「いや、いいよ…医者行くか」
从;゚∀从「いい。診察されたらばれるし、ただの風邪だ」
(;'A`)「うぅーん……どうするかな」
从;゚∀从「金もないし行くぞ、でもおぶってくれ…」
部屋を出て下りる。
店番は驚いた顔をしていた。
(*゚ー゚)「何、二人一組で森に死にに行くのがブームなの?」
('A`)「ええ、最近の若者は皆こうです」
(;*゚ー゚)「いや別にノらなくていいよ…」
- 98 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:19:17 ID:Zm9BUNH2O
-
('A`)「辛くなったらすぐ戻るからな」
从;゚∀从「はい…」
と言っても既に辛そうだ。
できるだけ揺らさないように森を歩く。
――がさり、何かの音がした。
狼が一匹こちらを見ている。
(;'A`)「くそ…一旦降ろすぞ」
ドクオは荒い息のハインを下ろし、身構える。
ハインを遮るように位置取った。
ナイフはブーンに渡していた為、ない。
向かってきた狼を蹴りつける。
高い声を上げて転がったが、すぐにこちらに向き直った。
(;'A`)「厄介な…」
- 99 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:20:29 ID:Zm9BUNH2O
-
从;゚∀从「わ、うわあぁぁぁっ!!」
(;'A`)「!」
声に振り向くと、もう一匹の狼がハインの腹に食いついている。
慌てて突き飛ばした。
从;゚∀从「くっ…」
(;'A`)「畜生…!」
また飛び掛かってきた狼からハインを守るべく立ちはだかる。
…が、狼が途中で吹き飛んだ。
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっと!」
太い尻尾を向け、ツンがいた。
後ろではブーンが狼に留めを刺している。
(;'A`)「…助かった…」
- 100 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:22:10 ID:Zm9BUNH2O
-
狼を仕留め、ブーンが向き直る。
(;^ω^)「ハイン風邪かお?そんな状態で来んなお!」
从;゚∀从「すまん…」
ξ;゚⊿゚)ξ「向こうに小屋があるから、そっちへ!」
見ると、ブーンとツンの体にも傷痕が見える。
狼と格闘したのだろうか。
('A`)「小屋?」
ξ゚⊿゚)ξ「後で話すわ」
しばらく歩くと、傾きかけた小屋が見えてきた。
中に入ると、質素な様子が目に入る。
ノハ;゚⊿゚)「おぉ…?」
それと、キマイラらしき女の子も。
- 101 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:23:52 ID:Zm9BUNH2O
-
ノハ;゚⊿゚)「えっと、とりあえずそこで休んでいいよ」
从;-∀从「悪いな…」
( ^ω^)「紹介するお、ヒートっていうらしいお」
ξ゚⊿゚)ξ「狼だって」
('A`)「狼って…」
( ^ω^)「いや、狼を指導してる訳じゃないっぽいお」
ξ゚⊿゚)ξ「死にたいとか言ってるわ」
ノパ⊿゚)「まあね」
('A`)「自殺じゃなくて?」
ノパ⊿゚)「キマイラはなかなか死ねないじゃないか」
ノパ⊿゚)「それに、苦しまずに死にたいしね…」
- 102 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:25:42 ID:Zm9BUNH2O
-
既にドクオ達の名前は聞いていたらしく、自己紹介は不要のようだった。
ノパ⊿゚)「そこのハインは大丈夫なの?」
('A`)「分からんが、打つ手がない」
ノパ⊿゚)「まぁそうだよね。ツン、せめて傷口に薬草貼ってあげて」
( ^ω^)「あ、狼は運んできたお」
ノパ⊿゚)「ありがとう。さあ、行こうか」
ヒートに促され、よく分からないまま外に出る。
二匹分の狼の死骸が置かれていた。
側に錆びたスコップも。
('A`)「埋めるのか?」
ノパ⊿゚)「うん。死ぬのは仕方ないけど、放置はあんまりだしね」
( ^ω^)「掘るおー」
その小さなスコップを使って穴を掘りはじめる。
- 103 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:27:44 ID:Zm9BUNH2O
-
作業をしながらドクオが聞いた。
('A`)「死にたいって何で」
しばらく沈黙し、ヒートが話し出す。
ノパ⊿゚)「『スイッチ』って知ってる?」
('A`)「いや」
ノパ⊿゚)「後期に作られたキマイラでね、私は運搬中に脱走したんだけど」
ノパ⊿゚)「何かをきっかけに性質が大きく変質するタイプだ」
('A`)「…?」
ノパ⊿゚)「身体的には変わらないんだけどね、内面が変わるんだ」
('A`)「例えば?」
ノパ⊿゚)「例えばか。私は、満月を見ると凶暴性が上がる」
ノパ⊿゚)「理性なんかちょっとしか残らない…」
- 104 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:28:47 ID:Zm9BUNH2O
-
('A`)「死にたいってのは、それか」
ノパ⊿゚)「うん…」
一つ目の穴を掘り終わった。
狼を投げ入れ、埋め直す。
ノパ⊿゚)「人を一人、喰ったんだよ」
('A`)「…」
ノパ⊿゚)「運悪く満月で、運悪く猟師と出会って」
ノパ⊿゚)「殺されると思ったら何にも分からなくなって…」
ノハ ⊿ )「気付いたら血の海だったよ」
目を拭った。
ノハ ⊿ )「私は危険なんだなあ、ってさ」
- 105 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:29:56 ID:Zm9BUNH2O
-
('A`)「うまかったか?」
(;^ω^)「ドクオ!」
('A`)「うまいと感じたなら、お前は人間じゃあない」
ノパ⊿゚)「…」
ノパ⊿゚)「多分、美味しかった」
('A`)「そうか」
二匹目の埋葬が完了した。
二つの盛り上がった土の前でヒートが手を組み、じっと黙る。
ノハ-⊿-)「…………………………」
ノパ⊿゚)「…よし、帰ろう」
('A`)「今のは?」
ノパ⊿゚)「お祈りだよ。……内容と細かい事は知らないけど形だけ、ね」
- 106 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:30:52 ID:Zm9BUNH2O
-
小屋に戻った。
ハインは未だに辛そうだ。
ノパ⊿゚)「さあ、全員揃ったところで…ツン、頼むよ」
腕を突き出す。
毒を使え、という事か。
ξ゚⊿゚)ξ「嫌よ」
ξ゚⊿゚)ξ「全員揃ったら相談するってだけだし」
ノハ;゚⊿゚)「狡いな…」
ノパ⊿゚)「頼むよ、もう人を襲いたくはないんだ」
('A`)「俺達と一緒に行くってのは?」
( ^ω^)「ほら、ドクオもそう言ってるお、僕らといたら安全だお!」
- 107 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:32:55 ID:Zm9BUNH2O
-
かなり悩んでいた様子だが、ゆっくりと首を振った。
ノハ;゚⊿゚)「…ダメだ」
ノパ⊿゚)「皆を襲うことになるし」
( ^ω^)「月なんか見なけりゃいいお」
ノパ⊿゚)「そうもいかない…。何かの拍子に見ちゃうんだ」
('A`)「でもな、殺す側の事も考えてくれ」
ノハ;゚⊿゚)「ごめんね」
少し黙って考えていた様子のツンが口を開いた。
ξ゚⊿゚)ξ「…ヒート、実は死にたくないよね」
ノハ;゚⊿゚)「え」
虚をつかれた様子。
- 108 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:34:41 ID:Zm9BUNH2O
-
ξ゚⊿゚)ξ「本当に死にたいなら、いくらでも方法はあるわよ」
ξ゚⊿゚)ξ「苦しくたって手首を食いちぎれば死ねるし、猟師の前に姿を表してもいいし」
ξ゚⊿゚)ξ「無理矢理そう思ってるだけなんじゃないの…?」
ノハ;゚⊿゚)「…」
ノハ;゚⊿゚)「そんなんじゃないし、ダメなんだ…人を食べたんだぞ?」
('A`)「事故みたいなもんだろ、何にせよ殺す訳にはいかない」
ノハ;゚⊿゚)「…ああ、もう!」
煩わしそうに頭を抱える。
ノハ;゚⊿゚)「確か今日は満月だったな…」
( ^ω^)「何するんだお?」
- 109 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:36:32 ID:Zm9BUNH2O
-
ノパ⊿゚)「外に出よう。…今から私は月を見る…」
ノパ⊿゚)「見てくれ、私の酷さを」
ノハ;゚⊿゚)「抑え切れなくて襲い掛かるかもしれない。その時こそ殺して欲しい」
ξ;゚⊿゚)ξ「駄目だってのに!」
ノハ;゚⊿゚)「もう嫌なんだよ、自分が!」
(;^ω^)「わがままだおー…」
ヒートがおもむろに服を脱ぎ捨てた。
隠されていた尻尾が露になる。
ノパ⊿゚)「どうせ服は破れるから…色々と毛で見えないし」
('A`)「やっぱ動物に近いみたいだな」
ノパ⊿゚)「スイッチは皆こうだ」
- 110 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:38:13 ID:Zm9BUNH2O
-
制止を振り切り、小屋から出た。
ノハ;゚⊿゚)「よし…!」
頭上の月を見据える。
ヒートの体が震えはじめた。
(;'A`)「よし、じゃねえよ…何がいいんだそれ」
(;^ω^)「とにかく止めるお!日の出まで押さえ込んだら勝ちだお」
ξ;゚⊿゚)ξ「長期戦ね…小屋のハインは大丈夫かな…」
:ノハ ⊿ ):「ぐぐ…」
('A`)「ツン、拘束ならお前の尻尾が重要だからな」
ξ゚⊿゚)ξ「分かってるわよ」
ノハ# ⊿ )「はあぁっ…!」
( ^ω^)「来るお!」
('A`)「よりによって満月なんだもんなぁ…」
- 111 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:40:24 ID:Zm9BUNH2O
-
ノハ# ⊿ )「うあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ、ああぁ………」
だらだらと涎を垂らし、頭を掻きむしって悶えている。
野性に抵抗しているのだろうか。
(;'A`)「これ、意外と放っときゃどうにか…」
ξ;゚⊿゚)ξ「今のうちに何かで縛る?」
(;^ω^)「ロープなんかないし触ったら危ないお、きっと」
ノハ# ⊿ )「あっ、ああ………」
ノハ# ⊿ )「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
(;'A`)「まぁそう上手くはいかないよな、そういう物だよな!」
- 112 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:42:35 ID:Zm9BUNH2O
-
ばっと顔を上げたヒートが信じられない程の速度でドクオに組み付いた。
ドクオが前に出した腕にかぶりつき、表面を食いちぎる。
(;'A`)「いってぇ!」
ドクオに蹴り飛ばされた勢いを使って今度はツンに襲い掛かる。
空中でブーンが突き飛ばした。
(;^ω^)「ツン、尻尾で締めつけるお!」
ξ;゚⊿゚)ξ「無理!もう立ってる!」
ノハ# ⊿ )「ぐぅあっっ!!」
再度ドクオが標的になるが、どうにか樹上に飛び上がって避けた。
(;'A`)「くそ、お転婆すぎるぞ…!」
- 113 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:44:10 ID:Zm9BUNH2O
-
(;^ω^)「ドクオ、腕の皮剥がれてるお!」
(;'A`)「気にすんな!」
木からヒートに向かって飛び降りる。
(;'A`)「手足を…うわっ!」
マウントポジションを取ったような姿勢になったが、軽く跳ね飛ばされた。
追い撃ちをどうにか避ける。
(#^ω^)「いい加減にするお!」
ブーンがヒートの腹を蹴り、追って手を掴んだ。
互いに互いの手をとっている形だが、そのまま接近され肩に噛み付かれる。
(;^ω^)「うわ、洒落にならんお!ツン!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「はいはい!」
ツンの下半身が二人の間に入り込み、片方のヒートに巻き付いた。
- 114 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:45:46 ID:Zm9BUNH2O
-
(#'A`)「ブーン、腕一本ずつ抑えるぞ!ツンはヒートの体を浮かせろ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「了解!」
三人がかりで押さえ付ける。
ヒートは足をばたつかせてもがいているが、その足が地面についていない為効果はない。
ノハ# ⊿ )「がああ゛ぁぁぁぁっっっ………」
ドクオがヒートの前に傷付いた腕を差し出した。
すぐさま食いつかれる。
(;^ω^)「何してんだお!」
(;'A`)「ツンが噛まれちゃまずいんだよ!」
(;^ω^)「ツン、締め落とすお!」
ξ;゚⊿゚)ξ「どうやんの!?」
(;'A`)「拘束を強めろ、呼吸をさせないつもりで!!」
ξ#゚⊿゚)ξ「うぐっ…」
- 115 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:47:43 ID:Zm9BUNH2O
-
ノハ# ⊿ )「うぁ…っ」
ぎりぎりと音が出る勢いでツンがその腹を締める。
ぱっ、とドクオが噛まれていた腕が放された。
(;'A`)「!?」
ヒートの牙が向きを変え、ツンの尻尾に刺さる。
ξ;゚⊿゚)ξ「うわ!どうなってる!?」
(;'A`)「喰われてる!!無視して締めろ!!」
ξ#゚⊿゚)ξ「くうっ…!」
ノハ# ⊿ )「うっ、うぁっ…ううううううぅっ……!」
ヒートの頭を引き離したいが、無理をすればツンの肉が刔れる。
ツンに我慢してもらうしかない。
- 116 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:49:25 ID:Zm9BUNH2O
-
ノハ# ⊿ )「………」
―――それから1分程が経過しただろうか、ドクオとブーンの抑える腕から力が抜けた。
ツンもそれが分かったようで、どさりと落とした。
ξ;゚⊿゚)ξ「はぁー……」
(;^ω^)「ドクオが一番怪我ヤバいお、大丈夫かお」
('A`)「俺はすぐ治る、平気だ。むしろお前ら大丈夫か」
ξ;゚⊿゚)ξ「あ、自慢の尻尾が…」
( ^ω^)「とにかく小屋に運ぶお…」
(;'A`)「だな…。うわ、漏らしちゃってんぞ。内臓とか大丈夫か」
ξ;゚⊿゚)ξ「骨は折れてない…はず…手応え的に」
( ^ω^)「それだけヒートも本気だったんだお、それぐらい仕方ないお…」
軽く汚れを拭き取り、ブーンがぐったりとしたヒートを担ぐ。
まだ夜は明けない。
- 117 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:51:52 ID:Zm9BUNH2O
-
( ^ω^)「帰ったおー」
('A`)「しっ…」
見ると、ハインが眠っている。
顔は赤く、まだ熱は下がらないようだ。
('A`)「非戦闘員とは言え…気楽だな」
('A`)「ヒートに関してはまた明日ゆっくり話そう」
( ^ω^)「だおね、僕らも寝るお」
ξ゚⊿゚)ξ「お休み」
ヒートを寝かせ、横に転がる。
三人共血は止まっているが、明るくなったら治療する必要があるだろう。
- 118 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:53:50 ID:Zm9BUNH2O
-
寝息が重なる深夜の小屋。
ごそり、と何かが動いた。
ノハ-⊿-)「…」
ノパ⊿゚)「……生きてる」
ξ゚⊿゚)ξ「あ、起きた?」
ノハ;゚⊿゚)「皆は?」
ξ゚⊿゚)ξ「寝てるわ」
ノパ⊿゚)「な…」
ノハ;゚⊿゚)「何で殺してくれなかったんだよ…」
ξ゚⊿゚)ξ「当たり前でしょうが…どんだけ死にたいのよ」
ノハ;゚⊿゚)「駄目だって、死なないといけないんだ…。人を喰って美味いと感じたんだぞ」
ノハ;゚⊿゚)「化け物じゃないか…!」
- 119 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:55:08 ID:Zm9BUNH2O
-
ξ゚⊿゚)ξ「今のあんたとは違うでしょうが…」
ξ゚⊿゚)ξ「それにヒート、暴れながら泣いてたわよ」
ノハ;゚⊿゚)「え…」
ξ゚⊿゚)ξ「あとね、人を殺したから死ぬのもおかしいよ、贖罪でも何でもないわ」
ノハ;゚⊿゚)「え、でも、でも」
ξ゚⊿゚)ξ「『化け物ならそれなりに人間性を持とう』ってのがそこの豚の言い分よ」
ξ゚⊿゚)ξ「死骸に祈ってみたり、色々…ヒートは人間性に溢れてるじゃない」
ノハ;゚⊿゚)「だって…」
ξ;-⊿-)ξ「ああ、もう…」
ξ#゚⊿゚)ξ「正直に答えなさい!」
ノハ;゚⊿゚)「は、はい!」
ξ#゚⊿゚)ξ「罪とか!義務とか!償いとか!無しにして、それでも死にたい!?」
ξ#゚⊿゚)ξ「シンキングタイムは2秒!2、1、どうぞ!」
ノハ;゚⊿゚)「うぇぇ…」
- 120 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:56:23 ID:Zm9BUNH2O
-
ノハ;゚⊿゚)「……し…、死にたくないです…」
ξ#゚⊿゚)ξ「声が小さい!!」
ノハ;゚⊿゚)「死にたくないですっ!!」
ξ゚⊿゚)ξ「よし!」
ξ゚⊿゚)ξ「一回言ったけど、私達は研究所を探してるの」
ξ゚⊿゚)ξ「私達の生きる意味を知るのよ」
ξ゚⊿゚)ξ「…ね、皆で一緒に生きましょうよ」
ノハ;゚⊿゚)「…うん、分かった…ごめん、迷惑かけて…」
ξ゚⊿゚)ξ「迷惑のうちに入んないわ、こんなの」
ノパ⊿゚)「ありがとう…もう、寝よう。疲れたよ」
- 121 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:57:46 ID:Zm9BUNH2O
-
暗がりから声がした。
「いや、寝ちゃまずいお」
ブーンが上着を身につけている。
ドクオも同じように、片膝を立てて座っていた。
ξ゚⊿゚)ξ「起きてたの…」
('A`)「いや、お前らがうるさかったから…」
ノパ⊿゚)「どうかしたのか?」
( ^ω^)「…人間の臭いが近づいてるお」
ハインも起きていたようで、ごそごそと座り直した。
从;゚∀从「猟師がどうとか言ってたけど…それか?」
('A`)「多分な」
ξ゚⊿゚)ξ「上着、上着…ヒートの分はないけど…暗いから分からないよね」
- 122 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:59:41 ID:Zm9BUNH2O
-
ついに土を踏む足音が聞こえてきた。
五人が身を固める。
ξ゚⊿゚)ξ「説得は望めないわよね…」
( ^ω^)「逃げる準備はしとかないと…ツン、乗るお」
('A`)「ハインお前は?」
从 ゚∀从「大丈夫、多分走れる」
ノハ;゚⊿゚)「空を見ないようにしないと、まだ月はあるのかな…」
荷物を纏め、一つしかない入口を睨む。
いよいよ足音は近づき、話し声まで聞こえてきた。
ξ゚⊿゚)ξ「早めに出た方がいいんじゃない?」
('A`)「そうかもな…」
- 123 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 00:00:45 ID:VykRoZQIO
-
ノパ⊿゚)「こんなナリでこんなとこ住んでるから、こうなるんだよな…巻き込んでごめんね」
('A`)「他の選択肢はないんだろ、仕方ない」
ξ;゚⊿゚)ξ「ね、行かないの?」
( ^ω^)「迂闊に出たらまずいお…話し声がするなら数人いるんだお」
从 ゚∀从「でも小屋見つかったら普通入るよな…」
ノパ⊿゚)「よし、パッと逃げよう」
外の声を伺う。
何も聞こえない。
ヒートが、ぎい、と扉を開けた。
- 124 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 00:02:52 ID:VykRoZQIO
-
ミ;,゚Д゚彡「わっ!」
目の前にいたのは、髭面の男性。
見るなりブーンが駆け寄り、殴り飛ばした。
(;^ω^)「走るお!」
ノハ;゚⊿゚)「うわわわっ」
小屋から飛び出し、脱兎の如く走る。
ミ#,-Д゚彡「い…いたぞ!こっちだ!!」
(;'A`)「くそっ!」
从;゚∀从「やっぱ見えない!ドクオ、頼む!」
(;'A`)「何で無理したんだよバカ!」
渇いた爆発音が聞こえる。
隣の木の皮が弾けた。
(;^ω^)「銃!?」
ξ;゚⊿゚)ξ「複数で撃ってるわ、急ごう!」
- 125 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 00:03:52 ID:VykRoZQIO
-
数発の爆発音。
次いでヒートが転んだ。
ノハ;゚⊿゚)「あ…」
(;'A`)「ああもう!」
ドクオが抱え上げ、走る。
その間も発砲音は続いている。
从;゚∀从「俺達を何だと思ってやがんだ…!」
どれだけ走ったか分からない。
しかし、そのうちに発砲音は止んだ。
それからまた走り、少し開けた場所に出た。
月明かりに地面の草花が照らされている。
(;^ω^)「よし、助かったお……」
- 126 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 00:05:38 ID:VykRoZQIO
-
しかしドクオの反応は薄い。
(;'A`)「いや……」
気になる言い方だ。
ハインとツンがそれぞれの背中から地面に降り立つ。
ノハ;⊿;)「あ、ああっ…」
淡い光に照らされたヒート。
その腹がぬらぬらと月光を反射している。
赤い血が地面を染めていく。
从;゚∀从「当たってたのか!」
(;'A`)「とにかく止血だ」
ドクオが自分の服の一部をナイフで切り取り、傷に巻き付けていく。
ノハ;⊿;)「い、痛い、痛いよ…助け、てよ…」
(;^ω^)「弾丸は抜けてるお、堪えるお」
ξ;゚⊿゚)ξ「ドクオ、消毒薬!」
(;'A`)「ああ」
从;゚∀从「包帯あったぞ。…ここならちょっと見えるんだ」
- 127 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 00:07:58 ID:VykRoZQIO
-
手際よく包帯を巻く。
が、それもすぐに真っ赤に染まっていった。
ξ;゚⊿゚)ξ「ほら、生きるんでしょ!」
ノハ;⊿;)「あ、あっ、死にたくないよ…死にたくない、嫌だ……!」
(;'A`)「月!月を見ろ!多少生命力も増えるだろ!」
ノハ;⊿;)「み、見えないんだ、何も……皆の顔すらも!」
从;゚∀从「諦めんなよ、大丈夫だって!!」
(;'A`)「くそ、血が!……どうすんだ、これ……」
(;^ω^)「祈るお!神様なら多分助けてくれるお!」
ノハ;⊿;)「そうだ、神様…!お願いします、助け―――う、ぶえぇっ」
必死の祈りを遮るように、口から粘った血が吐き出された。
ξ;゚⊿゚)ξ「ヒート!」
ノハ;⊿;)「…うぁ…」
- 128 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 00:09:55 ID:VykRoZQIO
-
今や包帯は無くなり、ドクオとハインの買った大きな布をちぎっては巻いている。
やがて、布につく血が減った。
ξ;゚⊿゚)ξ「腹の血止まった!いけるわ!」
(;'A`)「よっしゃ!堪えろヒート!」
ノハ;⊿;)「んぐっ、ああ、あぶなっ、危な――」
ばん、と耳を聾せんばかりの音がした。
ドクオとツンの手を握っていたヒートの両の手から、力が抜ける。
毛に覆われた薄い胸から新たに血が噴き出す。
ミ;,゚Д゚彡「な、何だ、お前ら…」
さきほどの猟師だ。
四人の体を見て、困惑している。
そして、彼らに銃を向けた。
瞬間、ツンの尻尾がその腹を打つ。
ξ;゚⊿゚)ξ「あんた、今何を……っ」
- 129 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 00:12:12 ID:VykRoZQIO
-
ξ;゚⊿゚)ξ「そ、それよりヒート!」
ノハ ⊿ )
ξ;゚⊿゚)ξ「大丈夫よヒート、きっと助けるから…!」
慌てながらも、その胸に布切れを巻いていく。
(;'A`)「……」
ξ;゚⊿゚)ξ「ほら、早く手伝いなさいよ!」
(;^ω^)「ツン」
ξ;゚⊿゚)ξ「何!?」
(;^ω^)「ヒートは、もう……」
ξ;゚⊿゚)ξ「手遅れなんかじゃないもん!」
ξ;゚⊿゚)ξ「一緒に行こうって言ったし…血も大分止まったし!」
(;^ω^)「ツン!」
(;^ω^)「もう、…………もう、死んでるお…」
ぱたり、とツンの手が止まった。
ξ;゚⊿゚)ξ
ξ;゚⊿゚)ξ「嘘」
- 130 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 00:13:53 ID:VykRoZQIO
-
ξ;゚⊿゚)ξ「ねえ、ヒート」
ノハ ⊿ )
ξ;゚⊿゚)ξ「え…ヒート!ヒート!起きてよ!!」
返事はない。
ツンがヒートを抱き上げる。
支えを無くした首が力無く折れる。
どろり、口から血が漏れた。
ξ;゚⊿゚)ξ「…」
ξ;⊿;)ξ「う、嘘よ…」
ツンが振り向く。
木にもたれ、腰を抜かしている猟師を睨んだ。
ミ;,゚Д゚彡「ひっ」
ξ#;⊿;)ξ「あんたのせいよ!ヒートの事何にも知らない癖に!!」
尻尾が猟師を締め上げる。
ミ;,゚Д゚彡「お、狼の親玉だって」
ξ#;⊿;)ξ「黙りなさい!!」
- 131 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 00:16:19 ID:VykRoZQIO
-
そのまま猟師の首に噛み付き、肉を食い裂いた。
ミ;,゚Д゚彡「がっ…」
ξ# ⊿ )ξ「死ね!死んじゃえ!あんたなんか!!」
(;^ω^)「やめるお!」
ツンは攻撃を止めない。
様々な箇所を食いちぎりながら締め上げる。
やがて猟師が動かなくなっても、それは止まらない。
(;^ω^)「ツン、落ち着くお!」
ブーンがツンの肩に手をかけ、引っ張る。
どさり、猟師が落ちる。
血に染まった口が動いた。
ξ;⊿;)ξ「ブーン…私…」
(;^ω^)「…」
- 132 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 00:18:20 ID:VykRoZQIO
-
ξ;⊿;)ξ「あの虎、研究所近くの虎を殺したのは私だから」
ξ;⊿;)ξ「せめて、ヒートは助けようと……」
泣きながら縋り付く。
その頭をブーンが撫でた。
( ^ω^)「………………………ツンは頑張ったお」
ξ;⊿;)ξ「嘘よ、死んだら駄目じゃない…」
ξ;⊿;)ξ「それに、また私は人を殺して…こんな牙、こんな毒なんか…」
(;^ω^)「ツン…」
ξ;⊿;)ξ「もう嫌よ……」
(;^ω^)「…」
返す言葉が見つからない。
ブーンは何も言えず、ただツンを撫でていた。
- 133 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 00:21:28 ID:VykRoZQIO
-
時間が経って、静かになった。
二人分の死体が残る。
('A`)「…墓、作るか」
( ^ω^)「だおね」
時間はかかったがどうにか手と銃底で穴を掘り、月光の当たるその場所にヒートを埋めた。
彼女がやっていたのと同じように手を組み、祈る。
何を祈るでもなく、祈る。
('A`)「猟師は置いとくぞ、そのうち人が回収するだろ。……銃は貰うか」
ξ;⊿;)ξ「…ねえ、私は間違ったかな…」
( ^ω^)「………間違ってないけど、正解でもないお……」
まだ満月は彼らを照らしている。
煌々とした光の中、赤黒く染まった蛇は哀しく泣きつづけた。
- 134 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 00:22:18 ID:VykRoZQIO
- 今回はここまで、ではまた次回。
- 135 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 00:27:28 ID:a81mBAx60
- 乙ー。
- 136 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 00:28:39 ID:AaWr.Zcw0
- 切ない……乙乙
- 137 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 01:10:45 ID:GBbHZ1JY0
- 悲しいな…
- 138 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 01:57:08 ID:anfQSXTE0
- 一話から一気読みした
面白かった……でも今回切ねぇ……
ハインも結構危ういなぁ……
- 139 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 17:35:39 ID:MqoVDhrMO
- 乙
- 140 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:03:20 ID:bTX/SxHEO
-
第10話『鵺が泣く』
あれから三日。
ブーンが肩の包帯をゆっくりと外していた。
(;^ω^)「おっ」
(*^ω^)「全快だおーーー!!」
从;゚∀从「うっせぇ!俺は治ってねーよ!」
これで一連の戦闘による怪我は回復した。
ハインの熱は、一度は下がったが振り返してきている。
('A`)「俺は一日で治ったがな」
ξ゚⊿゚)ξ「再生持ちのあんたは別よ」
彼らの中ではヒートの死を引きずってはいけない、という方向で意見は固まっている。
要は、ただの空元気だ。
- 141 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:03:56 ID:bTX/SxHEO
-
明るい街道を四人で歩く。
ただ、ハインとツンはそれぞれおぶられているという奇妙な状態ではあるが。
从;゚∀从「あーくそ…頭ガンガンする」
('A`)「熱と頭痛と…何だっけ?」
从 ゚∀从「何か体の節々が痛い感じ」
ξ゚⊿゚)ξ「次の町で薬でももらいましょう」
( ^ω^)「体見られないように、って結構厳しいお」
('A`)「そもそも医者はいるのかな」
从;゚∀从「ってか自然に治んないかな…」
ξ゚⊿゚)ξ「今日まで治ってないから、厳しいんじゃない?」
- 142 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:04:39 ID:bTX/SxHEO
-
それからの一週間、ハインの熱は上がったり下がったりを繰り返した。
対策もとれないままに、ある町に着く。
上着で体を隠し、町に入る。
いつも通り、むさ苦しい格好だ。
( ^ω^)「向こうに診療所あったおー」
从;-∀从「ああ…」
('A`)「体力的にも限界だな…」
ξ゚⊿゚)ξ「まともに食事できてなかったしね」
ぞろぞろと診療所に入る。
幸い、先客はいないようだった。
( ´_ゝ`)「いらっしゃいませぇー」
(´<_` )「見ない顔だな」
- 143 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:05:25 ID:bTX/SxHEO
-
白衣を着たそっくりな二人。
双子らしい。
( ´_ゝ`)「俺は流石兄者で」
(´<_` )「俺が弟者だ」
('A`)「どうも…で、こいつなんですけど…」
分かる限りの症状を説明する。
薬だけ欲しい、という旨も伝えた。
(´<_` )「診察するな、と言うのか…奇特な奴もいるもんだな」
(;^ω^)「変なのは分かりますが、お願いしますお」
( ´_ゝ`)「しかし、見るだけではなあ…」
(´<_` )「うむ、何をやっていいのやら分からんぞ」
- 144 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:06:26 ID:bTX/SxHEO
-
( ´_ゝ`)「体を見せたくない特別な理由でもあるのか?」
(´<_` )「これまで様々な人を見てきたし、心配は要らんぞ」
从;゚∀从「うぅーん…」
( ´_ゝ`)「ここなら町の人には見られないし、人には言わないと約束しよう」
ξ;゚⊿゚)ξ「もう…仕方ないんじゃない?」
(;'A`)「でもなー…」
ξ゚⊿゚)ξ「治らなきゃどうしようもないし…賭けよ、賭け」
(´<_`;)「そんなに渋る程なのか…」
(;´_ゝ`)「どうする、逆に心配だぞ」
- 145 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:08:05 ID:bTX/SxHEO
-
結局、見せる事にした。
誰にも言わない事を固く約束させて。
診療所を臨時休業状態にしてもらい、上着を脱ぐ。
ばさり、黒い翼が現れた。
(;´_ゝ`)「はー、これはまた…」
(´<_`;)「興味深いな…」
从;゚∀从「で、どう?」
( ´_ゝ`)「旅をしてきたってんなら目星はつくが…まだ分からんな」
(´<_` )「奥に入って横になって」
白いカーテンが閉められる。
残された三人は待つしかない。
(;^ω^)「大丈夫かお、改造とかされないかお」
('A`)「お前医者を何だと思ってやがるんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「あれ以上何を改造するのよ?」
- 146 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:09:15 ID:bTX/SxHEO
-
数分もしないうちに双子の兄弟が出てきた。
( ´_ゝ`)「ずばり、鼠咬症だな」
(´<_` )「鼠に心当たりはないか?」
('A`)「………あ」
そういえば、船の倉庫には鼠がいた。
ハインが噛まれていてもおかしくはない。
( ´_ゝ`)「ペニシリンを投与したからな」
(´<_` )「激しい運動は避けるように」
( ^ω^)「良かったおー」
普通に歩く分には問題ないらしいが、熱があるため下がるまでドクオが背負う事にした。
兄弟に金を払い、礼を言う。
- 147 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:10:05 ID:bTX/SxHEO
-
('A`)「次は宿かー…」
ξ゚⊿゚)ξ「安静にしないとね」
少しして安宿を捜し当て、安い部屋を取った。
ハインを寝かせ、一息。
('A`)「医者が善人で良かったなぁ…」
( ^ω^)「どこにもいい人っているもんだお」
从;゚∀从「ごめんな、俺のせいで迷惑かけて…」
('A`)「気にすんな、今は休め」
ドクオが軽く頭を撫でると、素直に目を閉じた。
回復もそう遠くはないだろう。
ξ゚⊿゚)ξ「ハインが回復するまで私達も休もうよ」
( ^ω^)「だおね、疲れ溜まってるし…」
- 148 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:11:40 ID:bTX/SxHEO
-
――――――――――――
それから三日と立たずにハインの体調は回復した。
礼ついでに研究所の行方を聞くべく医者の所へ行こうということで、皆で向かう。
('A`)「どうもー」
( ´_ゝ`)「また病気か?」
从 ゚∀从「いや、お礼を言いに。あと聞きたい事があって…」
( ´_ゝ`)「何だい」
( ^ω^)「最近、辺りに研究所みたいのが開いたの知りませんかお?」
( ^ω^)「もしくは何か巨大な機材持って歩いてた、とか…」
( ´_ゝ`)「……ふむ」
兄者は少し悩んで、カーテンの向こうに声をかけた。
( ´_ゝ`)「弟者、お客さん連れてきて」
「はいはい…?」
軽い音を上げ、カーテンが開いた。
- 149 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:12:43 ID:bTX/SxHEO
-
(´<_` )「どうかした?」
(;^ω^)「おっ…?」
後ろにいたのは、
(;・∀・)「あ、おおぉ…?えぇ、マジ?」
紛れも無くモララーだった。
ξ;゚⊿゚)ξ「いや、それはこっちの台詞よ…何でいるのよ」
( ´_ゝ`)「まぁ長引くようなら出なさい、ここは診療所だ」
(;・∀・)「…とりあえず、行こう」
(;'A`)「え、モララーだよな?」
(;・∀・)「うん…ドクオだよね?」
(;'A`)「ああ」
- 150 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:13:54 ID:bTX/SxHEO
-
よく分からないままに、宿のドクオ達の部屋に帰る。
向かい合って座り、暫し黙り込んだ。
(;・∀・)「えぇーっと、何から言えばいいやら…」
( ・∀・)「僕は、ここ付近に脱走したキマイラを捜してるんだ」
( ・∀・)「…………まあ、特殊な奴でね、暴れられたらちょっと困るな」
('A`)「俺達はその研究所を追ってきました」
( ^ω^)「キマイラが何で生まれたのか知りたいんですお」
( ・∀・)「………なるほどね」
モララーの表情は読めない。
- 151 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:15:47 ID:bTX/SxHEO
-
( ・∀・)「…色々な事があったかな、道中」
从 ゚∀从「そりゃあもう色々あったよ…」
( ・∀・)「…なら…教えないとね、わざわざ来たんだから」
( ・∀・)「何を聞いても気にしてはいけないよ」
ξ゚⊿゚)ξ「勿体振らないでよ」
( ・∀・)「…」
( ・∀・)「……君達が生まれた意味はね、無いよ」
沈黙。
外の話し声すらはっきりと聞こえた。
( ・∀・)「驚いたろう」
('A`)「…分からん」
- 152 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:16:53 ID:bTX/SxHEO
-
( ・∀・)「元々あの研究所はね、医療関係の研究をしていたんだ」
( ・∀・)「どの動物のどの部位なら人間に使えるか、とかね」
( ・∀・)「腕を、足を、内臓を失った人に出来るだけ元の暮らしをさせようとして…そんな研究をしていた」
从 ゚∀从「…じゃあ、これは」
( ・∀・)「…前の所長の時代から方向性は曲がっていった」
( ・∀・)「捨て子を拾い使うようになり、パーツとパーツを組み合わせて」
( ・∀・)「そうしておもちゃを組み合わせるように生まれたのが君達四人の世代」
( ・∀・)「今の所長になり、方向性はいよいよおかしくなった」
( ・∀・)「ちなみに現所長はギコ。君達も一度会っている筈…」
- 153 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:18:22 ID:bTX/SxHEO
-
( ・∀・)「僕も、君達キマイラの世話係に任命された」
( ・∀・)「本来クビになるほど研究を嫌がってたからね、同期のギコの好意さ」
( ・∀・)「…そして、ご存知の引っ越しだ」
( ・∀・)「引っ越し先の大きな研究所では、……まあ、さらに過激な事をする訳だ」
( ・∀・)「それがいたたまれなくて、君達だけでも助けようと逃がした」
( ・∀・)「…それだけが事の顛末だよ」
( ^ω^)「…じゃあ、どうすれば」
( ・∀・)「今すぐ帰るんだ。元研究所に」
( ・∀・)「君達は弄ばれすぎた。これ以上研究所に翻弄される事はないんだ…」
- 154 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:19:42 ID:bTX/SxHEO
-
誰もが口を開けない中、ドクオが動いた。
('A`)「俺は」
( ・∀・)「クーはもう死んだよ」
被せ気味にぴしゃり、と言い切られる。
(;'A`)「………」
( ・∀・)「帰るんだ。君達はもう研究所に関わるな」
( ・∀・)「今脱走してる奴も危険だし…君達に幸せに生きてほしい」
( ・∀・)「じゃあ、これで。仕事に戻らなくては」
すっくと立ち上がり、モララーが去っていく。
これ以上の言葉は受け付けない、と背中が語っていた。
- 155 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:20:31 ID:bTX/SxHEO
-
再び静寂が戻る。
ブーンが口を開いた。
( ^ω^)「どうするお、これから」
ξ゚⊿゚)ξ「さぁ…」
('A`)「……」
('A`)「……キマイラ、捜しに行こうぜ」
从 ゚∀从「?」
('A`)「モララーが捜してた奴を捜しに行こうって」
ξ゚⊿゚)ξ「モララーがどうにかするんじゃない?」
('A`)「危険だって言ってたし、人間じゃ無理だろ」
- 156 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:21:48 ID:bTX/SxHEO
-
('A`)「だってさ…この旅で、俺達何した?」
( ^ω^)「虎を殺して、泥棒を捕まえて、ヒートを…助けられなかったお」
('A`)「だろ。…最後にさ、まともに人の役に立ちたいんだよ」
('A`)「ヒーローしたいって訳じゃなくて…何かこう、分からんけど」
('A`)「キマイラに抵抗できんのはキマイラだけだし」
从 ゚∀从「まぁ、実際モララーも心配だしな」
ξ゚⊿゚)ξ「ただ今は遅いから行くにしても明日の朝ね」
( ^ω^)「夕飯にするお」
从 ゚∀从「おう」
- 157 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:22:59 ID:bTX/SxHEO
-
翌朝。
日の出とほぼ同時に彼らは叩き起こされた。
悍ましい咆哮によって。
ξ;゚⊿゚)ξ「何、今の…」
(;'A`)「分からんが行くぞ」
宿から飛び出し、表通りを走る。
向かいの路地からモララーも走ってきた。
銃を携えている。
(;・∀・)「何でいるんだお前ら!」
(;'A`)「お前一人でどうにかならんレベルだろうが今の!」
(;・∀・)「帰れ!今すぐ!」
从;゚∀从「ここまで来て帰れるかっ!もう旅費もねーよ!」
(;・∀・)「『究極キマイラ』とか呼ばれてるんだぞ!普通のキマイラが敵うかっ!」
(;^ω^)「やってみなきゃ分かんねーお!」
- 158 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:24:33 ID:bTX/SxHEO
-
(;・∀・)「くそ、もうっ………知らないぞ!」
( ^ω^)「近いお、警戒し……っ?」
ξ゚⊿゚)ξ「どうしたの?」
( ^ω^)「…いや、何もないお」
('A`)「いた!」
町外れの開けた場所。
そこに『それ』はいた。
ヒトのような二足歩行だが、ヒトとは全く違う。
恐ろしく膨れ上がった筋肉。
醜い顔に大きな目。
刃物のようにぎらりと光る爪。
身の丈6、7メートル程。
こちらを発見し、また咆哮。
まさに、『化け物』と呼ぶに相応しい。
- 159 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:26:02 ID:bTX/SxHEO
-
{#"゚ -;゚,)「ウ…」
(;'A`)「何だこいつ…」
从;゚∀从「これをモララー一人でどうにかしようとしてたのか…」
(;・∀・)「とんだブラックだよね」
( ・∀・)「いいかい、こいつは殺害許可が出てるから遠慮は要らない」
モララーが銃を放つ。
振り上げた腕に当たり、血が出た。
ほんの少しだけ。
(;・∀・)「あれ、予想と違うぞ?」
ξ;゚⊿゚)ξ「馬鹿かあんた!下がってなさい!」
モララーが引き下がり、四人が上着を脱ぐ。
( ^ω^)「銃効かないって…どうすんだお」
从;゚∀从「でかいな…」
- 160 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:27:43 ID:bTX/SxHEO
-
(;'A`)「人間プラス何かだろうが…人間の要素はもう無いな…」
从;゚∀从「弱点無しってことか?」
(;'A`)「多分。どうにか追い返そう、町には入れられん」
{#"゚ -;゚,)「アアァァアアアァァァァァァァァァッッッッ!!!」
三度、咆哮が上がる。
筋肉の塊となった腕が振り下ろされ、地面を刔った。
無論、腕には傷一つつかない。
(;^ω^)「うっわー…」
ξ゚⊿゚)ξ「ハイン、飛んで全身を隈なく見て頂戴」
从 ゚∀从「おし」
ハインが空高く飛び上がる。
黒い羽が舞った。
- 161 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:28:29 ID:bTX/SxHEO
-
(;・∀・)「ドクオ!」
('A`)「何だ!」
(;・∀・)「自我の無いキマイラは全て、怪我をしたら研究所に戻るように刷り込まれている!だから…」
(;'A`)「だからその怪我のさせ方が分かんねーんだよっ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「牙、通るかな…」
从 ゚∀从「よいしょ、着地っ。…全身筋肉で皮膚も硬そうだぞ、ツンの牙は厳しいんじゃないか?」
( ^ω^)「モララー、銃借りるお。ドクオも銃あるお?」
('A`)「ああ」
- 162 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:29:25 ID:bTX/SxHEO
-
( ^ω^)「んー…とうっ」
発砲。
キマイラの右太股に弾が刺さり、また血が出た。
( ^ω^)「あそこを狙うお、足ならそこまで激しくは動かないお」
('A`)「よし…ブーン、弾あと何発?」
( ^ω^)「4発…かな」
('A`)「俺のは3発。…厳しいな」
( ・∀・)「あ、替えの弾丸ないよ」
ξ゚⊿゚)ξ「あんた中途半端に役立たないわね」
从;゚∀从「まあまあ」
- 163 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:31:17 ID:bTX/SxHEO
-
{#"゚ -;゚,)「ア゛アアッ!」
突如キマイラが立っていた看板を引き抜き、投げつけてきた。
正面からモララーに命中する。
(;-∀・)「うわっっ!?」
(;'A`)「ツン、モララーと下がれ!ハイン、飛んで敵の撹乱を狙え!ブーン、足を止めず撃つぞ!」
ξ゚⊿゚)ξ「把握!」
从;゚∀从「よっしゃ!」
( ^ω^)「お!」
キマイラがドクオに駆け寄ってくる。
巨大な拳を横っ飛びに避け、至近距離で発砲。
傷口付近に命中し、先程より多い血が出た。
(;'A`)「よし!」
- 164 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:32:18 ID:bTX/SxHEO
-
从;゚∀从「おら、こっちだ!こっち向け!超怖いけどな!」
ハインが上空を飛び、挑発している。
投げられた柵の板をひらりと避ける。
発砲音が二回。
{#"゚ -;゚,)「ウア、ア…!」
(;'A`)「よし、痛がってる…のか?」
(;^ω^)「多分…」
ツンとモララーは大きな看板を盾に隠れている。
ブーンがまた撃つ。
キマイラの太股から血が噴き出た。
(;'A`)「よし…いけるか」
- 165 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:33:38 ID:bTX/SxHEO
-
{#"゚ -;゚,)「ウアァァァッッッ!!」
キマイラは先程から連続で物を投げている。
そしてついに、ぶん投げられた板の端がハインの腹に命中した。
バランスを失い、どさりと落ちる。
从;゚∀从「しまった…!」
ξ;゚⊿゚)ξ「私が行くわ!」
(;'A`)「おい、危ないぞ!」
ツンが近寄り、ハインを掴む。
そこに、キマイラの腕が振られた。
ξ;゚⊿゚)ξ「だって放っとく方が危な――――」
{#"゚ -;゚,)「ガアッ!」
突き上げるようにツンの腹に刺さり、その体が浮く。
ξ; ⊿ )ξ「あ…」
紅く光る爪がツンの体を貫き、背中から突き出てきた。
そのまま横ざまに投げられ、倒れる。
- 166 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:34:18 ID:bTX/SxHEO
-
ξ; ⊿ )ξ「……っ」
(;^ω^)「ツン!」
ブーンが銃を撃つ。
狙いは大きくずれ、明後日の方向に弾が飛んだ。
キマイラが踵を返し、どこかへと去る。
从;゚∀从「うぐ…ど、どうするドクオ」
(;'A`)「……撃退はした…。ツンを診療所へ運ばないと」
(;・∀・)「いてて…、僕は戻るよ」
モララーが道の向こうへ、キマイラを追って走っていった。
(;^ω^)「頑張るお、ツン!」
ξ; ⊿ )ξ「ごほっ…」
ブーンが息も絶え絶えなツンを担ぎ、全員で診療所へ走る。
ツンの腹と口から夥しい量の血が出ている。
- 167 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:35:22 ID:bTX/SxHEO
-
町の中程に差し掛かった辺りで人が増えてきた。
住民がこちらを見ているが、近づこうとはしていない。
从;゚∀从「ちょっと俺先に言って伝えてくる!」
(;'A`)「ああ、頼んだ」
(;^ω^)「もうちょっとだお、ツン!」
ξ; ⊿ )ξ「…ブーン…」
(;^ω^)「ここにいるお!頑張って!」
ふと足が止まった。
彼らの前に青い服を着た数人の人が並んでいる。
うち一人、中心の人物が言った。
(‘_L’)「何者だ」
(;'A`)「何者でもねえよ!通せ!」
(;^ω^)「怪我人がいるんですお!」
- 168 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:36:44 ID:bTX/SxHEO
-
(‘_L’)「この町の治安の為、通す訳にはいかない」
(;^ω^)「分からず屋…!ドクオ、強行突破だお!」
(#'A`)「おっしゃあ!」
激しく動けないブーンの代わりにドクオが素早く近寄り、肘打ちを加える。
たちまち十人程に取り抑えられた。
(#‘_L’)「暴れるぞ!抑えろ!」
(#'A`)「誰のせいだよ!いいから通せ!」
幸いにして、どうやら武器は持っていない。
ハインが帰ってきた。
建物の屋上に立ち、叫ぶ。
从;゚∀从「流石さん達も抑えられてる!」
(;^ω^)「っく…じゃあハインはそっちの掩護を頼むお!」
从;゚∀从「ブーンも急げよ!」
- 169 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:37:42 ID:bTX/SxHEO
-
そうこうしているうちにも、ツンの体から生気が抜けていくのが分かる。
ブーンが焦って叫んだ。
(;^ω^)「ドクオ、最低限の道を作ってくれお!」
(;'A`)「分かった、お前は先に行け!」
聞いたドクオが建物の壁の方に移動し、道側の人を抑えた。
壁と人とでできた道を走る。
(;^ω^)「ツン、もうちょっとだお!」
ξ; ⊿ )ξ「ブーン…」
路地を走り、角を曲がる。
もう少しで診療所だ。
- 170 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:38:50 ID:bTX/SxHEO
-
診療所に着いた。
制服を着た者が数人倒れ、入口で兄者が待っている。
( ´_ゝ`)「急いで来い、弟者が準備してる」
ぐっ、と体が重くなった。
袖を誰かに掴まれている。
(;‘_L’)「待て!」
(#^ω^)「しつこいお!」
( ´_ゝ`)「放せ、うちの患者だ」
(‘_L’)「こいつは暴れていた化け物と同類だぞ?」
( ´_ゝ`)「だからどうした、怪我人なら治すんだよ」
(‘_L’)「しかし…」
(#´_ゝ`)「いいから黙って失せろっ!!」
兄者が言うと、男はぶつぶつと文句をいいながら退散していった。
( ^ω^)「すみませんお」
( ´_ゝ`)「いいから早く」
- 171 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:39:40 ID:bTX/SxHEO
-
( ^ω^)「ツンをお願いしますお!」
( ´_ゝ`)「ああ」
ツンを抱いた兄者がカーテンの向こうに消えた。
ふと見ると、待合室のソファーにハインが横になっている。
(;^ω^)「大丈夫かお」
从;゚∀从「頭打っちゃって…ごめん、足手まといで」
( ^ω^)「そんな事ないお。喧嘩苦手なんだから仕方ないし、伝えてくれたのは助かるお」
カーテンの向こうから小声の会話と何かの音が聞こえる。
治療しているのだろうが、どこか不気味だ。
- 172 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:40:29 ID:bTX/SxHEO
-
――――――――――――
時は既に昼近く。
ばたん、と扉が開いた。
肩で息をするドクオがいる。
(;'A`)「ツンは!?」
( ^ω^)「…」
(;'A`)「ブーン!」
( ^ω^)「まだ分からないお…」
さっ、とカーテンが引かれた。
兄者が佇んでいる。
( ´_ゝ`)「一命は取り留めた…が、絶対安静だな」
その言葉に三人がため息をつく。
(;^ω^)「良かったですお…」
- 173 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:41:25 ID:bTX/SxHEO
-
('A`)「行こうハイン、研究所だ」
从 ゚∀从「そうだな、ブーンはここにいろよ」
( ^ω^)「………キマイラを追うのかお」
('A`)「ああ」
( ^ω^)「じゃあ、言うことがあるお」
从 ゚∀从「うん?」
( ^ω^)「……あのキマイラ……」
深く呼吸をした。
ゆっくりと、絞り出すように。
( ^ω^)「あのキマイラ、初めて会った時のドクオと同じ匂いがしたお」
- 174 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 00:43:19 ID:bTX/SxHEO
- では今夜はここまで。
究極キマイラといっても赤くて口のでっかいアイツは無関係です。
あと多分ですが次回ラストです。
- 175 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 01:03:44 ID:G/h/f15o0
- 乙
キマイラはただの玩具だったって悲しいな…
次で終わりか…楽しみなような寂しいような
- 176 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 01:14:52 ID:0yW02ZYo0
- おぉ・・・乙。ツン無事でよかった。
タイトルのトラツグミはキマイラ、ドクオ達の事を指してるんかね。
同じ匂いって事は、クーなのかなぁ。うはー、最終回楽しみにして待ってます。
- 177 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 01:19:24 ID:MpOjJSu20
- おつ
人間の知的好奇心も恐ろしいもんだなぁ
- 178 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 01:30:14 ID:/PuSE3WE0
- おつ
寂しい
- 179 :名も無きAAのようです:2012/11/09(金) 18:42:08 ID:ghradAsYO
- 乙
- 180 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:19:59 ID:fNuiQXFcO
-
>>176
トラツグミという鳥には鵺という別名があり、そこから派生した同名の妖怪がいるんです。
その妖怪の姿からこのタイトルとなりました。
鳥が好きなんでどうしても使いたくて捻り出しました。
じゃー始めますぅ
- 181 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:21:15 ID:fNuiQXFcO
-
第10話『虎鶫』
人目を振り切り町を疾走する。
ハインも滑空しながらついて来ていた。
('A`)「…」
『初めて会ったドクオと同じ匂い』。
それが意味する物は一つ。
从 ゚∀从「…見えてきたぞ、多分あれが研究所だ」
走り始めてしばらく。
以前より大きな研究所が見えている。
だが、様子がおかしい。
入口が大きく壊れて人気もない。
('A`)「ツンの事も辛いが、前を見ろよ。死んだら意味ない」
从 ゚∀从「ん」
- 182 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:21:32 ID:.i3Ma50c0
- 待ってた
支援
- 183 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:22:31 ID:fNuiQXFcO
-
躊躇いなく研究所に入った。
まず目に入ったのが、惨憺たる景色。
中の物が軒並み壊れ、棚等が倒れている。
次にモララー。
頭から血を流して壁にもたれて座り込んでいる。
(;・∀・)「…やあ」
('A`)「あいつが暴れたのか」
( ・∀・)「うん、しばらくは動けないかな…頭痛くてね」
('A`)「ハイン、そこらの道具をモララーにくわえてでも持って行ってやれ」
从 ゚∀从「お前は?」
('A`)「…一人で行く。クーの不始末は俺がどうにかする」
( ・∀・)「…知ったのか」
('A`)「まあ、な…」
- 184 :10話じゃなくて11話だった死にたい:2012/11/10(土) 23:24:13 ID:fNuiQXFcO
-
静かな研究所を歩く。
キマイラを収容している檻があるのは地下らしく、付近には誰もいない。
モララー曰く、クーは『全ての動物に抵抗反応がない』貴重な存在らしい。
だから様々な物を付け足した結果、ああなったと。
そこから『究極キマイラ』と呼ばれているらしい。
('A`)「つくづく、おもちゃだな…」
突き当たりの扉を押し開ける。
中庭のようだ。
そして、その中庭の中心にクーがいる。
その横に、研究者らしき白衣の姿も。
- 185 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:25:15 ID:fNuiQXFcO
-
(,,゚Д゚)「お前誰だ、どこから出た…?」
いつか見たような研究者。
が、どこで見たのか思い出せない。
('A`)「そいつを止めにきた」
しばらくドクオの体を眺め、合点がいったように手を打った。
(,,゚Д゚)「ああ、思い出した。モララーが逃がしたキマイラか」
('A`)「そうだが…お前誰だよ」
(,,゚Д゚)「俺はここの所長だ」
所長。
つまり、モララーの言っていたギコという者か。
- 186 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:25:58 ID:fNuiQXFcO
-
('A`)「今すぐ、研究を止めろ」
(,,゚Д゚)「何故」
('A`)「キマイラだってだけで録な目に遭わないんだよ、こっちは」
ギコが笑いを漏らす。
(,,゚Д゚)「そんなものか」
(,,゚Д゚)「俺には関係ないな、残念だが」
(,,゚Д゚)「こいつを見ろ」
クー、つまり究極キマイラの足を叩く。
(,,゚Д゚)「全ての生物の頂点――まさに究極だ」
(,,゚Д゚)「だが未完成」
- 187 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:26:52 ID:fNuiQXFcO
-
(,,゚Д゚)「昔からの疑問だったんだよ」
(,,゚Д゚)「最強の生物は何か、ってな」
(,,゚Д゚)「象やら、ライオン、シャチ。なかなか決まり切るもんじゃなかった」
(,,゚Д゚)「だから作る。それだけだ」
('A`)「そんな下らない事の為に…」
(,,゚Д゚)「研究者にとっちゃあ永遠の疑問だからな」
(,,゚Д゚)「陸上ならこいつは最強だ……だが、自制が効かない」
(,,゚Д゚)「改良の余地があるんだ!」
('A`)「自分の体でやりやがれ」
- 188 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:27:30 ID:PDl8vheY0
- まだ弄る気か
- 189 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:28:26 ID:fNuiQXFcO
-
(,,゚Д゚)「確か、お前は脱走したキマイラだよな」
('A`)「まあな」
(,,゚Д゚)「丁度良い、次のテスターになって貰おう」
ギコが懐から注射器を取りだし、クーに突き刺して何かを注入した。
その体がびくびくと震え始める。
(,,゚Д゚)「こいつは『スイッチタイプ』…聞いたことあるか?」
ヒートを思い出す。
決意がまた強く固まった。
(,,゚Д゚)「そのスイッチは、薬品だ」
('A`)「………」
(,,゚Д゚)「さあクー、前を見ろ、敵はどこだ」
(#,゚Д゚)「そこの蜥蜴が、お前の『生餌』だっ!!」
- 190 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:29:51 ID:fNuiQXFcO
-
{#"゚ -;゚,)「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァッッッ!!!!!」
おもむろに天を仰ぎ、叫んだ。
びりびりと大気が震え、クーの真横のガラスが割れた。
(;'A`)「…クー…」
{#"゚ -;゚,)「ハァァァァァー…………」
(;'A`)「頼むよ、目を覚ませよ…!」
クーがおもむろに腕を振った。
壁が砕け、研究所の外が見える。
(;'A`)「クー!やめろ!」
(,,゚Д゚)「無駄だ、言葉は届かんぞ。言語は棄てた」
ギコの言う通り、言葉は恐らく届いていない。
それでも、呼び掛けずにはいられなかった。
何度も名前を呼ぶ。
叫びに掻き消されても、負けじと。
- 191 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:31:14 ID:fNuiQXFcO
-
{#"゚ -;゚,)「アアァウ」
唸りながら振られた拳を後ろに下がって避け、その腕にナイフを突き出す。
が、硬い皮膚のせいか上手く刺さらない。
(#'A`)「クー!聞こえるか!」
{#"゚ -;゚,)「ウァアァッ!」
(;'A`)「っく…」
幸い中庭には投げる物がない為、離れていれば安全ではある。
十分な距離を取り、その名前を呼ぶ。
(;'A`)「クー!聞こえたなら暴れるな!クーッ!!」
役に立ちそうにないナイフを捨てた。
銃を撃つ。
首元に命中したが、弾かれた。
武器はもう無い。
{#"゚ -;゚,)「ガァッ」
突如、足元の土を蹴り飛ばしてきた。
腕で顔を覆う。
その隙を突かれ、爪が左腕を切り裂いた。
- 192 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:32:12 ID:fNuiQXFcO
-
(;'A`)「痛えっ…」
ぶらりと腕が垂れ下がり、血が落ちる。
焼けるような痛みが左腕を支配している。
(;'A`)「…くそ…」
何とか落ち着かせなければ。
(;'A`)「…?」
落ち着かせる、という言葉が頭に引っ掛かる。
(;'A`)「………あっ……」
思い出した。
いつか、クーが暴れて聞かない時はどうしたか。
別れ際にもやったのに、何故忘れていたのか。
(;'A`)「……あー、そうだったなぁ…」
(,,゚Д゚)「…?」
歩いて近づく。
振り下ろされた腕を少し下がって避けた。
(;'A`)「落ち着けよ、クー…!」
そして、その腕。
硬質化して血管と筋肉ではちきれそうなその腕を、ゆっくりと撫でた。
- 193 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:33:48 ID:fNuiQXFcO
-
目を瞑る。
これで止まらなければ自分は死ぬだけだ。
……………………。
………いつまでたっても衝撃は来ない。
薄く目を開けた。
{#"゚ -;゚,)「――!」
見えたのは、無言で振り上げられた腕。
(;'A`)「あ…!」
再度目を閉じる。
今度は覚悟ではなく、恐怖に。
「うおあぁぁぁっっ!」
と、無理に張り上げたような声と腹に衝撃を感じた。
体が少し浮き、そのまま移動する。
振り下ろされた拳が地面にひびを入れたのが見えた。
- 194 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:34:37 ID:fNuiQXFcO
-
从;゚∀从「あ、危ねぇぇ…」
横に立っているのはハイン。
ドクオはどうやら滑空の勢いでのタックルを喰らったらしい。
从;゚∀从「大丈夫?」
(;'A`)「あ、ああ…」
( ^ω^)「ドクオ!」
ξ゚⊿゚)ξ「やー」
(;'A`)「ブーン!…と、ツン!何で!?」
(;^ω^)「いや、仲間外れは嫌だってごねたから…」
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫、参戦はしないわ。瀕死だし…」
( ´_ゝ`)「戦った瞬間ドクターストップがかかるよ」
(´<_` )「成り行きで来ました」
- 195 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:36:18 ID:fNuiQXFcO
-
(,,゚Д゚)「ほーう…」
{#"゚ -;゚,)「ウ……」
ξ゚⊿゚)ξ「あら、いつかの研究者…所長ね」
クーは様子を伺っているようだ。
いきなり敵が増えた為、無理はないが。
( ^ω^)「それより、いいのかお?モララーに聞いたお、クーの事」
('A`)「いい……」
力無く返事をする。
クーが撫でられた事を意に介さず襲い掛かってきた事が、少なからず辛い。
('A`)「あいつはもう、クーじゃない……」
('A`)「正真正銘の『化け物』だ」
从 ゚∀从「そうか……で、どうやって倒すんだよ?」
( ^ω^)「銃弾も通らないし…」
- 196 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:37:15 ID:fNuiQXFcO
-
{#"゚ -;゚,)「ガァァァァァァッッ!!」
(;,゚Д゚)「うおっ!?」
苛立ったのか、クーが地面を殴りつける。
と、度々ダメージを受けていた為だろう、その辺りが崩落した。
クーとギコは周囲2メートル程の地面と共にそのまま落ちていく。
(;'A`)「おいおい…」
( ^ω^)「行くお!」
从 ゚∀从「ツンは待ってろ!」
ξ゚⊿゚)ξ「嫌よ、せっかく来たんだから!」
( ´_ゝ`)「着地の衝撃で臓物飛び出るぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「飛び出るならしまえばいいわ」
全員で穴に飛び込む。
倒れたクーをクッションに着地し、飛びのいた。
ハインもホバリングしながら降りてきた。
- 197 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:38:20 ID:fNuiQXFcO
-
('A`)「何だここ…」
ξ;゚⊿゚)ξ「おぉぉぉぉ…」
从;゚∀从「あーあー無理するから」
降り立ったのは地下。
様々な物があり広く、天井も高い空間だ。
作ったキマイラの動作確認でもする場所だろうか。
中心にいるのは、究極キマイラと四人のキマイラ。
(;・∀・)「うおわぁぁぁぁぁ!?」
そしてモララー。
(;・∀・)「何なのお前ら、神出鬼没すぎるよ」
( ^ω^)「お互い様だお」
( ・∀・)「まぁいいや、好都合だ」
モララーが奥の大きな扉を開ける。
そこにいたのは、沢山のキマイラ達。
この近くに収容されていたのだろうが、何の拘束もされていない。
- 198 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:39:25 ID:fNuiQXFcO
-
皆、様々な姿だ。
翼がある者、腕が大きい者、その他諸々。
(;'A`)「え…」
(#・∀・)「さぁ皆、こいつが究極キマイラだ!」
(#・∀・)「研究者も所長もいない今、これを倒せば君達は自由!」
(#・∀・)「逃亡した四人組に力を貸してやってくれっ!」
(#,゚Д゚)「誰がいないって…?」
モララーの言葉を遮り、瓦礫を押しのけて出てきたのはギコ。
(,,゚Д゚)「キマイラを自由にしようって。正気か?」
( ・∀・)「僕はいつだって正気だ」
- 199 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:40:35 ID:fNuiQXFcO
-
(,,゚Д゚)「聞け、化け物共!」
今度はギコの演説が始まる。
皆、警戒しながらも耳を傾けていた。
(#,゚Д゚)「元々捨てられて、死にかけて!そんなお前らを救ったのは俺だ!」
(#,゚Д゚)「価値もないお前らを――――」
銃声。
倒れたギコの胸に赤い点が現れた。
その点は広がり、やがて床を染めていく。
いつの間にか硝煙の上がる銃を持ったモララーがいた。
( ・∀・)「…済まない」
( ・∀・)「それ以上は喋らせないよ」
( ・∀・)「ギコ、君はもう狂っていたね。随分前にこうするべきだった…」
( -∀-)「幼なじみのよしみだ、一撃で死ねたろう…」
- 200 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:41:53 ID:fNuiQXFcO
-
(;'A`)「モララー…」
( ・∀・)「もう一度言う、あのキマイラを倒すぞ」
( ・∀・)「確かに怖い。しかし怖いからこそ、あれを放ってはおけない…」
( ・∀・)「終わりにしよう、狂った縁を」
モララーが静かに檄を飛ばしているが、キマイラ達が尻込みしているのが分かる。
と、二人のキマイラが前に出てきた。
( ^Д^)「俺はやるぞ!」
〈::゚−゚〉「…」
(;'A`)「お前ら、いつかの泥棒か!」
( ^Д^)「あの時強制送還されたからな」
从;゚∀从「レイプ未遂の!」
(;^Д^)「やめろ」
- 201 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:43:07 ID:fNuiQXFcO
-
( ・∀・)「よし、僕は隠れるからね!頑張ってくれ!」
( ^Д^)「任せろ!」
その後ろから、さらに三人。
ミセ*゚ー゚)リ「やっほー!」
从 ゚∀从「おお!」
_
( ゚∀゚)「おう!」
(゚、゚トソン「私達も一緒に捕まってたりして」
ξ;゚⊿゚)ξ「おー…」
五人に影響されてか、少しずつキマイラの群れが動き出した。
(;'A`)「待て、そんなに巻き込む訳には」
( ^ω^)「この期に及んで意地張るなお」
('A`)「そういう問題じゃないっての…」
- 202 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:44:06 ID:fNuiQXFcO
-
(;'A`)「これは俺の問題だ、皆に迷惑かけられんっての」
<_プー゚)フ「果たしてそうかな」
(;'A`)「誰だよ」
エクストと名乗ったキマイラはクーを睨みながら話す。
何のキマイラだろうか、ぶよぶよとした真っ白の肌が多少不気味だ。
<_プー゚)フ「ここにいる奴の半分ぐらいは、あいつに友達やらを殺されたんだぜ。俺もだけど」
<_プー゚)フ「究極キマイラの動作テスト、だとよ。くだらねー」
(;'A`)「…」
<_プー゚)フ「それにお前一人でできるとは思わんが」
(;'A`)「まあ…」
<_プー゚)フ「お前だけの問題じゃないからな、協力するぞ」
('A`)「………分かった、頼むよ」
<_プー゚)フ「おうよ」
- 203 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:44:52 ID:fNuiQXFcO
-
('A`)「よし…!」
('A`)「クー、聞け!」
声を張り上げ、クーの注目を引いた。
{#"゚ -;゚,)「…」
('A`)「最強のキマイラだとか、そんなのは分からないけど…」
('A`)「お前は俺の知ってるクーじゃない」
('A`)「俺は全力でお前を殺すぞ…!」
(#'A`)「それがあの時置いて行った事への!唯一の贖いだっ!!」
(#'A`)「皆、頼む!怪我すんなよっ!!」
わっと鬨が上がった。
それを煩わしく思ったのか、クーが瓦礫を投げつける。
{#"゚ -;゚,)「ウアァァッ!」
〈::゚−゚〉「ガッ」
ツンに向かって飛んだそれをどうにかイシが受け止めた。
ハインとミセリをはじめ、飛行可能なキマイラが飛び上がる。
その他のキマイラもクーを包囲した。
- 204 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:46:16 ID:fNuiQXFcO
-
大勢でクーを取り囲み、数に任せて攻撃を試みる。
瓦礫を投げつけ、又は角材を拾って殴りかかったりしてはみるものの、やはりそこは究極キマイラ。
目立ったダメージは与えられないようだ。
ミセ;゚ー゚)リ「ぎゃっ!」
大きく振られた拳がミセリの翼を掠める。
そのままバランスを崩したがどうにか持ち直した。
(;^ω^)「持久戦は不利だお、これ」
真正面から攻撃を受けた者はいないものの、皆じわじわと消耗している。
体の硬いキマイラの後ろに隠れて休む者も少しいるようだ。
そのうち一人のキマイラがクーの足に弾き飛ばされ、床を滑る。
蜘蛛のような八本の脚がある女性。
lw;´‐ _‐ノv「いてえ…」
(;'A`)「大丈夫か?少し下がれ」
- 205 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:47:25 ID:fNuiQXFcO
-
lw´‐ _‐ノv「心配要らん。…ただ、一ついいかい」
('A`)「何だ」
lw´‐ _‐ノv「どうにかして奴の動きを止めないと、いずれ死人が出るよ」
('A`)「動きか…」
lw´‐ _‐ノv「さっきから糸とか出してたけどもう全然だからさ、もうちょっと強度ある奴ないかな」
('A`)「探しとくわ。でもお前下がれ、脚一本折れてる」
lw;´‐ _‐ノv「え、うわマジだわ」
〈::゚−゚〉「ガァ」
呼ばれた蜘蛛がびっこを引きながらイシの後ろに下がる。
ドクオが広い部屋に目を走らせた。
木箱、使えそうもない。
木材、石材、これもない。
困っていると、鋭い声が飛んできた。
(;^ω^)「ドクオ!前!」
('A`)「え?」
慌てて前を見る。
投げられたであろう木の板が目の前に迫っていた。
- 206 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:48:50 ID:fNuiQXFcO
-
(;'A`)「うわっ!!」
どうにか腕でガードしたが、大きく吹き飛ばされた。
腕は痛いが大きな怪我ではない。
立ち上がると、ドクオの目が部屋の隅の何かの山に留まった。
('A`)「…!」
鈍く銀色に光っているそれは、鎖。
キマイラを繋ぐか拘束する物だろうか。
('A`)「よし…!」
('A`)「皆!鎖だ、ここの鎖でクーを拘束してくれ!!」
ドクオが鎖を投げる。
短くはないが、一本で究極キマイラを縛るには足りない。
('A`)「沢山あるから連携でどうにか……いくぞ!」
各々二人一組で鎖の片端を持ち、縛りにかかる。
ドクオとジョルジュがその体に鎖をかけたが、たやすく引きちぎられた。
驚いた様子のジョルジュが叫ぶ。
_
(;゚∀゚)「駄目だ、あいつ筋力半端ねぇ!」
(;'A`)「くっそー…」
- 207 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:49:51 ID:fNuiQXFcO
-
それから数回拘束を試みたが、いずれも鎖を切られてしまった。
徒に鎖と体力を消耗してしまっているだけ。
死人がいない事だけが救いだ。
{#"゚ -;゚,)「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!」
またも咆哮。
…が、様子がおかしい。
明らかに苦しんでいる。
大きく振り上げた右腕の付け根の辺りから血が滲んでいた。
(;^Д^)「何だ…」
{#"゚ -;゚,)「ヴヴゥゥゥゥゥ………ッ」
大きく唸り、右腕を抑える。
その右腕が不自然にずれたかと思うと、どちゃ、というような音を上げて落ちた。
(;'A`)「!?」
- 208 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:51:20 ID:fNuiQXFcO
-
片腕を失ったクーが叫ぶ。
ばらばらと血の雨が降った。
スイッチの副作用か。
それとも、許容量を超えて暴れすぎた為か。
(;'A`)「クー…」
どちらにせよ、哀しい。
ミセ*゚ー゚)リ「もらったぁ!」
从 ゚∀从「よしっ!」
金属音を上げ、クーの体に鎖が何重にも掛かった。
別のキマイラに足を掬われ、バランスを崩して倒れる。
(゚、゚;トソン「チャンスです!」
トソンがモララーから銃を受け取り、投げてきた。
それをドクオが取る。
いよいよ鎖で巻かれ、クーの身動きがとれなくなった。
腕の付け根からの血が辺りを濡らしている。
よく見れば、左脚の根本にも同じように血が滲んでいた。
- 209 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:53:49 ID:fNuiQXFcO
-
{#"゚ -;゚,)「ウウウウウウウウウウウウッッ…!」
クーが脱出を試みるが、最早動けない。
無理に暴れた為か、ごとりと音を上げて左脚も落ちる。
{#"゚ -;゚,)「ヴアァァァァ……」
('A`)「……………」
('A`)「クー…もう一度聞く」
('A`)「お前は……何を手に入れた?」
('A`)「……俺は多分、何も……」
クーに弾丸の通る恐らくは唯一の場所、濁った眼球に銃を突き付けた。
俄にクーが大人しくなる。
{#"゚ -;゚,)「…」
もう片方の目をじっと見る。
何となく、昔の面影が見えた気がした。
川 ゚ -゚)
('A`)「覚悟はいいな」
その歪んだ口が開く。
最後の言葉は、到底理解できる言語ではなかった。
- 210 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:54:48 ID:fNuiQXFcO
-
乾いた銃声が響いた。
.
- 211 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:55:33 ID:69hqOGA.O
- しえ
- 212 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:56:01 ID:PDl8vheY0
- クー…
- 213 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:56:37 ID:fNuiQXFcO
-
重い、爽快感の対極にあるような音を上げ、クーの頭が床を打つ。
しばらく誰も喋らなかった。
('A`)「…」
( ・∀・)「終わり、だね」
('A`)「クー…」
死体をじっと見る。
一瞬見えた面影は、もう無い。
从;゚∀从「………元気出せよ、なぁ…」
('A`)「…そうだな」
('A`)「………クーを埋めよう、手伝ってくれ」
( ^ω^)「分かったお、皆も手伝ってほしいお」
大きな死体と離れた手足にキマイラが集まる。
寄り集まって事を為す様を見て、何故か蟻のようだとドクオは思った。
- 214 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:57:42 ID:Aovh7N2o0
- ハヤブサみたいにまたモラが敵なんじゃ無いかと思ってたが、今回は味方だった
- 215 :名も無きAAのようです:2012/11/10(土) 23:58:04 ID:fNuiQXFcO
-
――――――――――――
どうにかクーを運び、埋葬が完了した。
ドクオが手を組み、祈る。
いつか会う時、あの無邪気で綺麗なクーであるように。
( A )
昔の事を思い出す。
随分世話を焼かされた。
時に面倒にすら感じたが、やはり大事な家族のようだったクー。
そのクーは、今化け物になって、さらにはただの死骸となって目の前に埋まっている。
キマイラは化け物。
きっとその事実は揺らがないだろう。
ドクオの他に祈る者はいない。
しかし、邪魔もされない。
じっと祈る。
もしも来世があるのなら、せめて幸せに暮らせるように。
- 216 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:00:01 ID:VIswTlkoO
-
('A`)「よし…」
さっと組んでいた手を解き、振り向く。
沢山のキマイラがこちらを見ている。
('A`)「………これから」
('A`)「これから皆は、どうする」
プギャーが真っ先に声を上げた。
( ^Д^)「俺は、ここ付近にキマイラの村を作りたいと思う」
( ^Д^)「苦労だらけだと思うがな」
ざわざわと賛成の声が上がる。
( ^ω^)「いいアイデアだお」
(゚、゚トソン「是非協力しますよ」
〈::゚−゚〉「ガガン」
- 217 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:01:18 ID:SYRBHdh60
- 皆で身を寄せ合って暮らすか
- 218 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:01:52 ID:VIswTlkoO
-
ミセ*゚ー゚)リ「私も村作るー!モララーさんも来なよ!」
(゚、゚トソン「是非お願いします、普通の人がいると違いますから」
( ・∀・)「いいのかい?」
はい、と流石兄弟が手を上げた。
( ´_ゝ`)「一連の事件で俺達もクビなんだが…」
(´<_` )「医者として雇ってくれないか」
〈::゚−゚〉「ガガガガ」
( ^Д^)「大歓迎だってよ、よろしくな」
ξ;゚⊿゚)ξ「クビなんだ、ごめんね…」
( ´_ゝ`)「何、後悔は一切していないさ」
(´<_` )「寧ろあの町に医師がいない事が心配でならん」
- 219 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:02:54 ID:VIswTlkoO
- _
( ゚∀゚)「ドクオ達は?」
('A`)「俺は…またどこか行こうかな。キマイラの存在を知らせがてら…」
从 ゚∀从「俺も行く」
('A`)「いいのか?」
从 ゚∀从「いいに決まってんだろ」
从 ゚∀从「…クーの代わりにはなれないけど、一緒にいさせてくれ」
('A`)「ありがとな」
( ^ω^)「僕も行くお!」
ξ゚⊿゚)ξ「私もね」
(;'A`)「え、いいのか?そんな付き合わせて…」
ξ゚⊿゚)ξ「今更何よ」
ξ゚⊿゚)ξ「ヒートもこっちに移してあげたいし…ね」
('A`)「そうだな…」
- 220 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:03:34 ID:VIswTlkoO
-
( ´_ゝ`)「待て、医者として言うがツンは完治まで動くなよ」
(´<_` )「今でさえギリギリなのに」
('A`)「じゃあツンが治るまで村作りに参加するか」
ξ゚⊿゚)ξ「ごめんね」
从 ゚∀从「気にすんな!」
ミセ*゚ー゚)リ「よろしくぅ!」
_
( ゚∀゚)「いやーワクワクする」
(゚、゚トソン「分かります、その感じ」
キマイラ達が騒ぎ始める。
これからの自由を噛み締め、味わって。
- 221 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:04:23 ID:VIswTlkoO
-
('A`)「じゃあ、皆…」
('A`)「とりあえず荒れ放題の研究所から直していこうか」
わあ、とキマイラ達の声が上がった。
これからの艱難、苦労、そして希望を見据えて。
.
- 222 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:05:15 ID:VIswTlkoO
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- 223 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:06:03 ID:VIswTlkoO
-
( ・∀・)「――――だいぶ形になってきたじゃないか」
_
( ゚∀゚)「訪問客もたまぁーに来るしな」
( ´_ゝ`)「いい傾向だ」
(´<_` )「木材の都合がついたのがでかかったな」
( ^Д^)「とりあえず今日で住居の確保は完了、と」
〈::゚−゚〉「ギー」
( ^Д^)「そうだな、畑拡げるか」
(゚、゚トソン「毎度思うんですけど何故分かるんですか」
( ^Д^)「心が繋がってるからだ」
lw´‐ _‐ノv「うわぁ…」
(;^Д^)「マジだぞ!?」
- 224 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:08:00 ID:VIswTlkoO
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从'ー'从「みんなぁ、新しいお客さんが来たみたいよぉ」
lw´‐ _‐ノv「苦しゅうない、案内せよ」
( ^Д^)「何様?」
(゚、゚トソン「理解して貰えるのはいいけど…興味本位で来たっていうと何となく複雑です」
<_プー゚)フ「仕方ないさ、今は」
ミセ;゚ー゚)リ「あっ、あの…」
(*´ー`)「ああ、雉かな…?これはいいな、ふふっ…」
(´<_` )「特殊な方のようだな」
ミセ;゚ー゚)リ「放してよぉ…」
(゚、゚トソン「ドンマイです」
( ・∀・)「彼、ハインの事を知ってるみたいだよ?」
( ´ー`)「俺がいなきゃ、あいつら海渡れなかったからなぁ…」
( ^Д^)「元気かなーあいつら」
〈::゚−゚〉「ギ…」
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( ゚∀゚)「元気だろー、多分」
- 225 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:08:51 ID:VIswTlkoO
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- 226 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:09:49 ID:VIswTlkoO
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(´・_ゝ・`)「――――なるほど。どうかゆっくりしていって下さいな」
('A`)「ありがとうございます」
(´・_ゝ・`)「それにしても、キマイラですか…苦労もあったでしょう」
ξ゚⊿゚)ξ「それはもう…」
(´・_ゝ・`)「この町に差別などはありませんから、ご安心下さい」
( ^ω^)「そりゃあ気楽でいいおね」
从 ゚∀从「こーいうとこもあるんだよなぁ、ちゃんと」
(´・_ゝ・`)「あと一つ、お願いが…」
ξ゚⊿゚)ξ「お願い?」
(´・_ゝ・`)「恐らくはキマイラと思しい少女がいまして」
(´・_ゝ・`)「あなたたちと一緒の方が、きっと…」
('A`)「そうですね、是非会いたいです」
(´・_ゝ・`)「では早速…ギン、来てくれ」
- 227 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:10:44 ID:VIswTlkoO
-
イ从゚ ー゚ノi、「あうー」
(;'A`)「!?」
ξ゚⊿゚)ξ「あら…狐かしら?」
(´・_ゝ・`)「まともに言葉を喋れないようなのですが…賢く純粋な子ですんで」
( ^ω^)「大歓迎ですお!」
从 ゚∀从「ん、どうした?ドクオ」
(;'A`)「い、いや…」
ξ゚⊿゚)ξ「何よ、変な反応して」
イ从゚ ー゚ノi、「んー?」
('A`)「こう…似てるなぁ、って」
( ^ω^)「何だお、それ」
('A`)「何でもない。よろしくな、ギン」
イ从゚ ー゚ノi、「わう」
- 228 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:11:22 ID:SYRBHdh60
- !?
- 229 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:11:38 ID:VIswTlkoO
-
トラツグミは知りたいようです
完
- 230 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:13:00 ID:VIswTlkoO
-
それではこのお話はここまでです。
もうこれでもかって位グダッッッグダでしたが無事終わって良かったです。
質問などあれば答えます。あればネ。
じゃあ、またいつか。
- 231 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:15:27 ID:NXV4p8MI0
- 乙ー!
- 232 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:19:14 ID:w3Y3JCbI0
- 乙
- 233 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:22:29 ID:tcb/xgJMO
- 乙、短期集中なうえにおもしろかった
最後を希望を持たせた終わりにしてくれてほっとしたよ
- 234 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:34:36 ID:SYRBHdh60
- ギンちゃんのことは想像して楽しむことにする俺は
最近の楽しみは専らトラツグミだった
完結おつ!
- 235 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 00:59:13 ID:cIo8fSpU0
- おつ
- 236 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 05:19:13 ID:6XsG.6WI0
- うおあああああ乙ぅ!!!!
楽しみにしてた作品が終わるのは悲しいけど、今までありがと。
次回作の予定は?ギンは似てるだけなの?
モララーとかいるんだから、人間の姿に戻りたがるキマイラはおらんかったの?
- 237 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 07:32:34 ID:.bQDXlLc0
- 乙乙
- 238 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 08:24:37 ID:VIswTlkoO
- >>236
次も何かしらあるとは思いますがしばらく先です。
ギンは似てるだけです、要は偶然ですね。
彼らは生まれた時からああなので少なからず自分の体に愛着があり、人間になりたいと思う人はほとんどいません。
- 239 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 11:41:41 ID:4IKrel2k0
- トラツグミは知りたいようですって
キマイラがレゾンデートルを探して旅することだったのか……
乙でした!
- 240 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 13:27:10 ID:yqw29Npg0
- 乙
面白かった
- 241 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 18:50:21 ID:heuj5vl.0
- 乙!最高級に乙!
- 242 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 19:11:27 ID:ick4wPDI0
- 乙
またなんか書いてくれよ!
- 243 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 19:13:10 ID:ck4yBlY6O
- 乙
- 244 :名も無きAAのようです:2012/11/20(火) 21:45:21 ID:PWZpIGFM0
- 乙でした
過去ログ送りするそうなので滑り込みでハインちゃん
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_315.jpg
清書して色つけたらまた改めて絵スレにはります
- 245 :名も無きAAのようです:2012/11/20(火) 21:53:05 ID:IYmOE..w0
- ハインちゃんに羽根でなでられたいです
おつん
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