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東奔西走カルテットのようです- 1 :名も無きAAのようです:2012/10/05(金) 17:08:06 ID:MeNOSmzg0
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もらったお題
・魔法の杖
・眠ると死に至る呪い
・魔法の使えない魔法使い
・シューの家に定期的に来る行商(少し改変)
・一定の年齢に達すると、どちらか片方が消えてしまう呪い
- 2 :名も無きAAのようです:2012/10/05(金) 17:09:16 ID:MeNOSmzg0
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あるところに、気まぐれな魔女に気まぐれに呪われた青年がいました。
彼と彼の恋人は魔女に呪いを解いてもらうために旅にでました。
またあるところに、気まぐれな魔女の八つ当たりで呪われた、精霊使いの一族の兄弟がいました。
彼らは魔女を殺すまで帰ってくるな、と里から追い出されてしまいました。
これは気まぐれではた迷惑な魔女を探す、四人の男女のお話です。
- 3 :名も無きAAのようです:2012/10/05(金) 17:10:18 ID:MeNOSmzg0
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白い砂漠を歩いて何日経つだろう。
水も食料もほとんど尽きた。
(;'A`) 「なあ、もう下らない意地なんか張らずにとっとと魔法で近くの町まで『飛ばせて』くれよ」
痩せぎすの、目の下に真っ黒なクマを作った白衣の彼は、隣を歩く彼女に疲れきった声をかける。
lw;´‐ _‐ノv 「…ダメ」
虹色の宝石が散りばめられているのが特徴的な杖を支えにしながら、紫のローブを着た彼女は彼の提案を却下する。
(;'A`) 「何でだよ!水も食料も無い!いつになっても町が見えてこない!
オレもシュールも体力限界!どう考えても積んでるだろ!」
言われて、彼女―――――シュールはゆっくりと彼の方を向き、
lw;´‐ _‐ノv 「…だって、ほら、ドクオ、旅といえば、砂漠、でしょ、?」
と息も絶え絶えに言葉を紡いだ。
彼―――――ドクオは一瞬ぽかんとした顔をして、
(;'A`) 「…お前そんな理由で家からこんなトコまで『飛んだ』のか!」
と頭を抱えてうずくまった。
- 4 :名も無きAAのようです:2012/10/05(金) 17:11:10 ID:MeNOSmzg0
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気を取り直して歩き続けたが、一向に町もオアシスも見えてこない。
とうとう一歩も動けなくなって、二人はその場に座り込んだ。
('A`) 「どうすんだよ、このままじゃ本気で死ぬぞ、オレたち」
なげやりにドクオが吐き捨てる。
シュールはぼんやりと遠くを見つめながら、
lw´‐ _‐ノv 「…大丈夫だよ、もうすぐここに人が通る」
と言って大事そうに杖を抱き締めた。
('A`) 「本当だろうな、ちゃんと探知魔法使ったか?」
ドクオは不機嫌なまま、シュールを見る。
彼女は刺々しい視線を意に介さず、
lw´‐ _‐ノv 「探知じゃなくて予知魔法だから確実だよ」
だからもう少しの辛抱、と虚ろな声で呟いた。
- 5 :名も無きAAのようです:2012/10/05(金) 17:12:26 ID:MeNOSmzg0
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('A`) 「そうか、…なんかそれ聞いたら安心して眠くなってきた」
lw´‐ _‐ノv 「寝るな!寝たら死ぬぞ!」
うつらうつらとし始めたドクオに、シュールはビンタしたり肩を掴んでガクガクと揺らしたり叱咤激励したりして、
なんとか眠らせないようにしている。
lw´‐ _‐ノv 「頑張れ頑張れやればできるやれる気持ちの問題だもっとやれるってできるできる必ず睡眠妨害できるそこだもっと積極的にポジティブに」
(;'A`) 「うるせぇ!!!あと暑苦しい!!!!」
( ´_ゝ`) 「そんなあなたに熱気のこもった貝のスープはいかがかな?」
('A`;) 「いらんわ!!!!!」
(´<_` ) 「兄者よ、そんな言い方じゃあお客様は買ってくれないぞ。
…お客様、熱い砂漠だからこそこの暖かいスープを飲んで汗を流してみてはいかがでしょう」
(;'A`) 「うおおおおステレオボイス!そしていらねぇっつってんだろ!
そもそもそれ暖かい通り越して煮えたぎってるじゃねぇか!」
lw´‐ _‐ノv 「飲めば一瞬で目が覚めるというのに…」
(;'A`) 「もういいよ茶番は!…って」
( ´_ゝ`) ('A` )
( 'A`) (´<_` )
(;'A`) 「…どちらさま?」
- 6 :名も無きAAのようです:2012/10/05(金) 17:13:22 ID:MeNOSmzg0
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ドクオが左右を見ると、全く同じ顔の長身痩躯の青年二人に挟まれていた。
威圧感が凄い。
( ´_ゝ`) 「ああ、自己紹介してなかった?俺の名前は流石 兄者。行商人やってます」
と青い髪の青年。
続けて緑の髪の青年が挨拶を。
(´<_` ) 「俺の名前が流石 弟者。見れば分かるだろうけど、双子。職業は同じく行商人」
その言葉の通り、二人は髪の色が違うだけであとは鏡のようにそっくりな顔立ちをしている。
強いて違うところを挙げるならば、それぞれの持つ得物だろうか。
そして傍らには売り物であろう荷物を積み込んである荷車とそれを引くワイバーンが。
そこまで考えたところで、ドクオは自分たちの自己紹介が済んでいない事に気づいた。
('A`) 「ああ、ええと、オレはドクオ。で、こっちが」
lw´‐ _‐ノv 「超絶美少女大魔法使いシュールちゃんでーす☆ミ
よろしくね(はぁと」
(#'A`) 「こら、ふざけるな!」
「てへへ」と頭に手をやりながら無表情に言うシュールを叱りつけるドクオをよそに、
兄者と弟者はひどく驚いた様子で二人を見やり、
(;´_ゝ`) 「…え、魔法使いシュールって、あの『禁術使い』の大魔法使いシュール!?」
(´<_`;) 「ってことはドクオさん、あんたは『人体錬成』の『ドクトル』!?」
とそれぞれの『二つ名』を叫んだ。
- 7 :名も無きAAのようです:2012/10/05(金) 17:14:20 ID:MeNOSmzg0
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『禁術』とは、死者を蘇らせたり時空を操ったり、およそヒトのコトワリから外れた術の事である。
当然、そんな術が使える者はごく少数の魔法使いに限られる。
そしてその中で唯一『禁術』を自在に操る事ができる者に『禁術使い』の称号が与えられた。
それがシュールである。
lw´‐ _‐ノv 「なんか『禁術』って悪人くさいからあんまり気に入ってないんだよね、その称号…」
『人体錬成のドクトル』の二つ名は、かつて四肢と臓器の半分を失った死体モドキを、
シュールの『禁術』の手を借りつつも『完全に』生き返らせた事からいつからともなく広まった。
('A`) 「オレはただの薬師なのに、いつも錬金術師に間違われるからあんまり気づかれたくない…」
二人は聞き飽きているのだろう、うんざりした様子でため息を吐いた。
- 8 :名も無きAAのようです:2012/10/05(金) 17:15:21 ID:MeNOSmzg0
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しかし兄者と弟者の興奮は止まらない。
(;´_ゝ`) 「あんたらがどう思っていようと、俺たちには天の助けだ!
頼む、話だけでも聞いてくれ!」
(´<_`;) 「俺たちが泊まってる宿に来てくれ!
向こう数日分の宿代も飯代も出すから!お願いします!」
即座に反応したのは、ドクオだ。
('A`)+ 「…その言葉、嘘はないな」
(;´_ゝ`) 「勿論!こんな大チャンスを目の前にして嘘偽りは一切ございません!」
(´<_`;) 「話、話を聞いてくれるだけでいいんだ!頼みます!」
ついには砂漠のど真ん中で土下座を敢行し出した二人を見やり、ドクオはシュールに近寄った。
('A`) 「話だけでも聞いてやろうぜ、どうせ手持ちも少ないんだからこいつはめっけもんだ」
lw´‐ _‐ノv 「…んー、…まあ、ドクオがそう言うなら」
その声が聞こえたのか、兄者と弟者が熱砂に擦り付けていた頭をがばっ、と上げ、
( ;_ゝ;) 「うぉおおおおぉぉぉ!やったあああぁぁぁぁぁ!!」
(;<_; ) 「神がいるなら今すぐお布施を上げちゃいたい気分だあああああ!」
と、真っ赤になった額も気にせずお互い抱き合って喜んでいた。
- 9 :名も無きAAのようです:2012/10/05(金) 17:16:37 ID:MeNOSmzg0
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兄者たちの泊まっている宿の名前を聞き、シュールは転移魔法を口の中で詠唱する。
即座に足元に開いた魔方陣の中に飛び込み、四人は宿の前に着いた。
lw´‐ _‐ノv 「大丈夫?酔わなかった?」
('A`) 「オレは平気」
( ´_ゝ`) 「同じく」
(´<_`i!I) 「ごぇえええぇ」
(;'A`) 「うおおぉぉぉはい酔い止めぇぇええぇ!!」
転移酔いに苦しむ弟者に肩を貸し、二階にある二人の部屋へ。
弟者をベッドに横にさせて、話を聞く。
lw´‐ _‐ノv 「さて、話したい事はなにかな」
宿によくあるシンプルな木製な椅子に腰掛け、シュールが切り出す。
兄者は対面に座り、
( ´_ゝ`) 「…簡単に言えば、『呪いを解いて欲しい』と言う話だ」
と、神妙な面持ちで答えた。
('A`) 「呪いぃ?」
( ´_ゝ`) 「そう、呪い。こう見えても結構深刻な感じの呪いもらっちゃって」
言って、兄者はドクオに座るよう勧める。
しかし何故かドクオは壁に寄りかかったまま座ろうとしない。
lw´‐ _‐ノv 「呪いって言っても色々あるからね。いくらシューちゃんでも解けないものはある。
それだけは理解してね」
( ´_ゝ`) 「…あぁ、分かった。
俺たちがかかった呪いってのは、『二十歳になるとどちらかが消滅する』呪いだ」
- 10 :名も無きAAのようです:2012/10/05(金) 17:17:34 ID:MeNOSmzg0
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('A`) 「…そりゃ、深刻だな」
ドクオは眉をひそめ、頭を掻く。
( ´_ゝ`) 「だろ。加えて俺らは誕生日がもうすぐなんだ。
このままだと近い内、俺か弟者が消えちまう。…そんなのは、ごめんだ」
そういって兄者はうつむく。
膝の上に乗せた拳は固く握られ、わずかに震えている。
lw´‐ _‐ノv 「……………」
シュールは顎に手をやり、何事か考え込んでいる。
( ´_ゝ`) 「どうだろう、どうにかできないか?」
すがるような目線。
気づけばベッドから半身を起こした弟者も、祈るように彼女を見ている。
lw´‐ _‐ノv 「…ごめんね、そういう年齢の指定がある呪いはあまり聞いた事がないんだ。
あったとしても、解けるのは術者だけ、ってパターンが主だね」
- 11 :名も無きAAのようです:2012/10/05(金) 17:19:47 ID:MeNOSmzg0
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それを聞いて、兄弟は落胆のため息をついた。
( ´_ゝ`) 「…いや、うん、そう、か…」
(´<_` ) 「兄者、俺たちは、まあやれるだけやったよ。
『禁術使い』と『人体錬成』に会えたんだから、心残りはない。だろ?」
( ´_ゝ`) 「…そうだな。…ありがとう、二人とも。話を聞いてくれて」
そう言って、二人は頭を下げる。
lw;´‐ _‐ノv 「え、いや、あのー…」
( ´_ゝ`) 「とりあえず、これは謝礼だ。少なくともこの宿なら一週間は泊まれる」
じゃら、と無造作にテーブルに置かれた金貨を見て、ドクオは驚愕した。
どう見ても一週間どころか向こう一ヶ月は持つだろうそれをぽんと出せるのは、二人が既に諦めているからだろうか。
(´<_` ) 「すまなかったな、引き留めてしまって」
( ´_ゝ`) 「俺たちはその時がくるまでのんびり過ごすことにするよ」
lw;´‐ _‐ノv 「あのー、もしもーし」
解けはしないけど、誤魔化す事はできるんですけど。
シュールの一言を聞き、兄者と弟者は文字通り狂喜乱舞したのだった。
- 12 :名も無きAAのようです:2012/10/05(金) 17:24:52 ID:MeNOSmzg0
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
※彼らのイメージ募集中。
服装でも色合いでも言葉でも。
- 13 :名も無きAAのようです:2012/10/05(金) 17:28:40 ID:sngpn4qQ0
- 乙
流石兄弟っていうと
兄者:青髪 弟者:緑髪
って感じがする
- 14 :名も無きAAのようです:2012/10/05(金) 17:36:46 ID:4SBsjtkAO
- ドクオは黒髪で前長めかな?
- 15 :名も無きAAのようです:2012/10/05(金) 19:12:15 ID:SEg1PKxU0
- シュールは白っぽいな、何となく
- 16 :名も無きAAのようです:2012/10/05(金) 19:12:56 ID:SEg1PKxU0
- 肝心なこと忘れた、白髪の腰まであるロングとかかな
- 17 :名も無きAAのようです:2012/10/08(月) 05:41:47 ID:6mF/YUdQ0
- 書き溜め中…
- 18 :名も無きAAのようです:2012/10/09(火) 15:53:02 ID:xdxZuXEs0
- 期待
- 19 :名も無きAAのようです:2012/10/14(日) 17:34:59 ID:4Vgq.pmQ0
- もう少ししたら話できます。
シュールの服装のイメージ募集中。
このままだと彼女は
そうび:むらさきのローブ
だけ、という、とんだ痴女になってしまうので。
- 20 :名も無きAAのようです:2012/10/15(月) 18:17:41 ID:r0.7FpSA0
- おう待ってるよー
シュールは米米言ってるせいか和服っぽいイメージがあるけど世界観違うよなぁ
なんかシンプルなワンピースとかかなー
あんまり良い案出せなくてすまん
- 21 :名も無きAAのようです:2012/10/17(水) 20:23:24 ID:gWqj.ES.0
-
※東奔西走カルテット※
→二話
.
- 22 :名も無きAAのようです:2012/10/17(水) 20:24:12 ID:gWqj.ES.0
- lw´‐ _‐ノv 「二人にかかってる呪いの事だけど」
砂漠の町を観光しながら、シュールは話し出す。
lw´‐ _‐ノv 「結局のところはさ、生命に関わるって点において、他の死の呪いと大差無いんだよ、実は」
('A`) 「消滅するって事は、死ぬって事と同じ。…お前の持論だな」
ドクオが合いの手を入れ、シュールが頷く。
白銀の髪がさらりと揺れて、彼女はそれをかき上げた。
lw´‐ _‐ノv 「…そう。だから誤魔化すのは簡単。魂と肉体を切り離せばいい」
雑貨屋で適当な品を見ながら続ける。
砂漠の町だけあり、保存食の品揃えが豊富だ。
( ´_ゝ`) 「言うは易し、行うは難し。…そこで、『禁術』か」
- 23 :名も無きAAのようです:2012/10/17(水) 20:26:17 ID:gWqj.ES.0
- 兄者の言葉にシュールは「そう」と返し、
lw´‐ _‐ノv 「二人にかけてあげたのは私オリジナルの術でね、『鎖の魔法』って言うの。
色々アレンジの利く魔法だから、二人に使ったのはほんの一例だね」
と続けて兄者と弟者、それぞれの胸元を指差した。
(´<_` ) 「…俺らの魂を結晶にして、それをお互いの肉体に、『逆に』埋め込んだ魔法だな」
言って、弟者は自分の胸元を見た。
そこには『青色の結晶』が。
lw´‐ _‐ノv 「そう。…あんまり長い間は誤魔化せないけれど、まあ色々と妨害魔法も混ぜ込んだから、
…一年は保たせてみせるよ。約束する」
兄者の胸元の『緑色の結晶』を見やりながら、シュールは力強い口調で言った。
('A`) 「こいつは多少変な奴だが、約束は守る。
…術者を一年以内に探しだして、呪いを解除させるまで、付き合ってやるよ」
ドクオは薬品を手に取ってぶっきらぼうに言い放ち、それを買いに行った。
lw´‐ _‐ノv 「ウチの子ったらほんとツンデレなんだからぁ〜。
ゴメンネゴメンネー」
おばちゃん口調で適当に謝り、シュールも干し肉と水を手に会計へ。
- 24 :名も無きAAのようです:2012/10/17(水) 20:27:48 ID:gWqj.ES.0
-
時間を少し戻して、宿の兄者たちの部屋。
( ´_ゝ`) 「ありがとう、二人とも。お陰で少しは生きていける」
結晶を触りながら、兄者は心から嬉しそうに言った。
実際に寿命が延びたので、あながち間違いではない。
lw´‐ _‐ノv 「よきかな、よきかな。…で、代償と言ってはなんだけど」
どこからともなく取り出した扇で口元を隠して「ほほほ」と笑いながら、シュールは言葉を続ける。
lw´‐ _‐ノv 「君たち、行商人って事は私たちより旅慣れしてるんでしょ。
私たち、今日旅立ったばっかりの小鳥ちゃんなの。飛び続けるお手伝い、して欲しいな」
(´<_` ) 「と言うと?」
('A`) 「おい、余計なこと言うなよ…」
ドクオはめんどくさそうにシュールの肩を掴む。
止めているつもりらしい。
lw´‐ _‐ノv 「いーじゃーん、旅は道連れ世は情け。
…それにね、ドクオ。もし『鎖の魔法』が破られたり、色々な要因で呪いが発動しちゃった時。
目の届くところにいれば、すぐに対処できるから」
預かり知らぬ場所で死なれたら、ドクオとしても寝覚め悪いでしょ。
扇をしまい、とろんとした瞳を向け、シュールは言う。
(;'A`) 「…う」
痛いところを突かれたのか、ドクオは苦い顔をしてシュールの視線から逃げるように視線を落とした。
- 25 :名も無きAAのようです:2012/10/17(水) 20:29:26 ID:gWqj.ES.0
-
lw´‐ _‐ノv 「…それにね。多分だけど、ドクオに呪いをかけた奴と同一人物がやった気がするんだ。
何か、残留魔力って言うのかな、そんなんが似てる」
シュールは椅子からおりて、ドクオの顔を覗き込むようにしゃがみこんで微笑みながら言った。
(;゚A゚) 「それは本当かってお前絶対わざとだろ!」
噴き出した鼻血を止めようと鼻をつまみながらドクオは叫んだ。
ちょうど彼の目線にはシュールの豊かな胸の谷間が見えている。
(´<_` ) 「…ドクオさんも呪われてて、しかも術者が俺らと同じって」
床に広がる血痕(鼻血)を濡れタオルで拭き取りながら弟者は尋ねる。
弟者からは死角になっていたため、彼はなぜ急にドクオが鼻血を噴いたのかはよく分かっていない。
lw´‐ _‐ノv 「あくまで推測だけどね。なんと言うか、呪いのかけ方が似てるというか。
凄い説明しづらいんだけど、まあそんな感じ」
立ち上がり、ドクオの横に立て掛けておいた虹色の宝石の散りばめられた杖を手元に寄せる。
大事そうに抱きかかえるその様子は、小さな子供がお気に入りの人形を決して離さないそれに似ている。
(;´_ゝ`) 「…じゃあ、しばらくの間はご一緒頂けると言う訳だ」 チクショウ ウラヤマシイ
ドクオとシュールの対面にいた兄者はきっちり一部始終を見ていたため、シュールの胸元をチラチラと見ながら呟いた。
ぽつりと漏らした言葉は、まあ、本音だろう。
- 26 :名も無きAAのようです:2012/10/17(水) 20:31:52 ID:ljeeXJB60
- wktk
- 27 :名も無きAAのようです:2012/10/17(水) 20:32:08 ID:O86ZrIqg0
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時は戻って、砂漠の町。
雑貨屋で薬品と保存食の買い物を済ませた四人は、喫茶店で休憩をしていた。
クロスの敷かれたテーブルの上にはコーヒー、紅茶、デザートが並べられている。
lw*´‐ _‐ノv 「んん〜、なんで砂漠の町にこんな美味しいタルトが…」
フレッシュベリーのタルトを頬張りながら、シュールは幸せそうな声を上げた。
新鮮なベリーの酸味とカスタードの控え目な甘さが堪らない。
('A`) 「…悪いな、雑貨屋といいここといい、支払い任せちまって」
砂糖をたっぷり入れたコーヒーを啜りながらドクオは兄者と弟者に言う。
実際、雑貨屋の時もここもこちらが財布を出そうとするたび「いいからいいから」と止められたのだ。
( ´_ゝ`) 「いいんスよ、ほんと。今俺たちができる事っつったら、このくらいですから」
兄者はそう言って、紅茶のクッキーをかじる。
紅茶の葉も練り込まれているようで、噛むたびに濃厚な香りに包まれる。
( ´_ゝ`) 「もぐ。…ところで、ドクオさんの呪いって?」
その言葉にドクオはほんの一瞬だけ眉をひそめたが、次の瞬間には何事もなかったかのように
('A`) 「…『眠ると死に至る呪い』」
とだけ答えた。
- 28 :名も無きAAのようです:2012/10/17(水) 20:33:58 ID:O86ZrIqg0
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ドライフルーツを摘まんだまま固まった弟者と、食べかけのクッキーを落とした兄者をよそにドクオは続ける。
('A`) 「オレは魔女の暇を潰すために呪われた。
暇潰しの呪いがこれだ。笑えるだろ」
lw´‐ _‐ノv 「私の見ている前でやられちゃって、大魔法使いのメンツ丸潰れ。
…だから、私たちは急いで旅支度を」
(´<_`;) 「…え、シュールさんがいたならなぜすぐに呪いを」
lw´‐ _‐ノv 「ちょっと理由があってね。その場ではどうにもならなかった」
タルトを一口。
次いで紅茶を。
lw´‐ _‐ノv 「んぐ。…まあ、とにかく、私たちの旅の理由はそんなところ」
新しいケーキに手を伸ばす。
- 29 :名も無きAAのようです:2012/10/17(水) 20:35:33 ID:O86ZrIqg0
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('A`) 「幸いオレの呪いは寝なければどうという事はない。
薬の実験がてら、呪いと付き合ってるよ」
コーヒーを飲み干し、目の前のパウンドケーキを生クリームと共に頬張る。
甘すぎず、それでいて確かに甘味を主張するケーキとクリームの調和が素晴らしい。
(;´_ゝ`) 「…ちなみに不眠何日目?」
新しいクッキーを手に兄者が問う。
ドクオは店員に飲み物を注文してから、
('A`) 「あー…………一週間?」
と返した。
(´<_`;) 「…薬の実験ってのは」
('A`) 「眠らないまま思考力を維持する薬。
まだ実用化には至ってないから、ちょうどいいや、と」
パウンドケーキをかじる。
お気に召したようだ。
- 30 :名も無きAAのようです:2012/10/17(水) 20:38:23 ID:O86ZrIqg0
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lw´‐ _‐ノv 「一応、ドクオにも妨害魔法をかけてあるから、寝たからってすぐに死ぬ訳じゃないよ」
絶句する兄者と弟者を見、シュールはのんびりと言った。
フォローのつもりらしい。
('A`) 「仕事柄、徹夜には慣れてるしな。…それより」
パウンドケーキを平らげ、隣のシフォンケーキをチョコレートソースと共に頂く。
ちょっぴりビターなソースとシフォンケーキの相性は抜群だ。
('A`) 「むぐ。…二人とも、オレらに『さん』付け、止めてくれないか。
なんつーか、むず痒い」
言って、シフォンケーキをがっつく。
( ´_ゝ`) 「って言われても…」
パイナップルジュースを啜りながら、兄者。
ほどよい酸味が口の中をさっぱりさせてくれる。
('A`) 「いいんだよ。大して年も変わらないし、呼び捨てで。
慣れないなら、無理にとは言わねぇけど」
ぽりぽりと頭を掻き、ぶっきらぼうに言葉を投げる。
―――――――――――――――――――
暗転。
- 31 :名も無きAAのようです:2012/10/17(水) 20:41:41 ID:2msBTGns0
- うおおきたー!!
支援ー!!
- 32 :名も無きAAのようです:2012/10/17(水) 20:42:47 ID:O86ZrIqg0
-
―――――――――――――――――――――
ξ゚⊿゚)ξφ 「……………」
金髪の少女が、分厚いノートに何か書き込んでいる。
しかし、書き出しが決まらないのか、一頁目を書いては消し書いては消しを繰り返しているようだ。
ξ-⊿-)ξ 「……………」
やがてその手を止め、ついにはノートを閉じてしまう。
ξ゚⊿゚)ξ 「……………」
少女の視線は窓の外へ。
木々が生い茂り、小鳥のさえずりが聞こえる。
空は雲ひとつない快晴だ。
ξ゚⊿゚)ξ 「……………」
こんこん。
がちゃり。
( ^ω^) 「……………」
ノックの返事を待たずにドアを開けて入って来たのは少女と同じ年頃の少年だ。
笑顔を張り付けたような、どこか薄っぺらい表情をしている。
ξ゚⊿゚)ξ 「……………」
( ^ω^) 「……………」
二人はしばし見つめあい、そして無言で部屋を出て行った。
- 33 :名も無きAAのようです:2012/10/17(水) 20:47:40 ID:/7Tqv1Dk0
- きてたー!支援だ!
- 34 :名も無きAAのようです:2012/10/17(水) 20:50:41 ID:SRSJtVwA0
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
お題を五個ほど募集。
※ギャグ、カオスは処理できません、ごめんなさい。
☆四人の服装☆
lw´‐ _‐ノv …紫のローブ、黒っぽいワンピース、革のブーツ、虹色の宝石の杖
('A`) …白衣、青と黒のボーダーのシャツ、ジーンズ、黒のスニーカー
( ´_ゝ`)と(´<_` ) …ぷよぷよのシェゾの服装にフードと胸当てとロングブーツを足した感じ
- 35 :名も無きAAのようです:2012/10/17(水) 20:57:11 ID:2msBTGns0
- 乙乙
ブーンとツンがどんな役回りでくるのか楽しみだ。
寝れないとかきつすぎて自分なら身投げするわ…
- 36 :名も無きAAのようです:2012/10/17(水) 21:02:41 ID:UVoQYzyY0
- 乙
シュールちゃんよくわからんけど凄いぞ
ツンとブーンがなんか意味深で不安
- 37 :名も無きAAのようです:2012/10/18(木) 00:33:12 ID:7nJakXPs0
- お題 優しい嘘
- 38 :名も無きAAのようです:2012/10/18(木) 01:39:23 ID:ZXGP8i6AC
- 乙!
ブーンとツンは本当何者なんだろ…
お題
捨て猫
- 39 :名も無きAAのようです:2012/10/18(木) 09:11:04 ID:nNft0ZOQ0
- お題「エロス」
- 40 :名も無きAAのようです:2012/10/18(木) 16:57:08 ID:.vVO38g.0
- 乙
お題
『獅子奮迅』
- 41 :名も無きAAのようです:2012/10/18(木) 21:34:56 ID:no6Hv6Yw0
- 乙
お題「魅惑の香り」
- 42 :名も無きAAのようです:2012/10/18(木) 23:00:16 ID:lWFui3To0
- 見つけて読んだけど面白い!
楽しみに待ってます
- 43 :名も無きAAのようです:2012/10/18(木) 23:30:32 ID:V4iioT8.0
- お題
強制瞬間移動
- 44 :名も無きAAのようです:2012/10/19(金) 09:48:31 ID:KVcujnTc0
- お題把握。
ありがとうございました。
- 45 :名も無きAAのようです:2012/10/24(水) 18:52:08 ID:RbnwpV1c0
- 書き貯め中。
初めての戦闘シーンを書いているので、時間がかかりそうです。
- 46 :名も無きAAのようです:2012/10/24(水) 20:29:53 ID:2yBmp7tg0
- イエッサー
- 47 :名も無きAAのようです:2012/10/30(火) 17:15:35 ID:5odnBH6E0
- もう少しで10レス。
書き直しスパイラルです。
- 48 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 19:47:49 ID:4WI60OKc0
- ファイトやでー
- 49 :名も無きAAのようです:2012/10/31(水) 20:05:49 ID:rCvTP2ow0
- 楽しみにしてるよー
- 50 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 17:07:53 ID:sm0RuamE0
- 待ってるよーがんばれーい
- 51 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 22:15:59 ID:E7k4Y2jk0
- 好きだー楽しみに待ってるぞー
- 52 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:09:06 ID:yOlNAkvI0
-
※東奔西走カルテット※
←三話
.
- 53 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:10:12 ID:yOlNAkvI0
-
ワイバーンの引く荷車に乗り込み、四人は砂漠の町を後にした。
兄者が手綱を握り、すぐ後ろの狭い乗車スペースに弟者。
シュールとドクオは荷物を載せるスペースに無理やり乗り込んでいる。
( ´_ゝ`) 「酔ったらすぐに言ってなー」
ヽ(´<_` ) 「酔ったー」
(;´_ゝ`) 「はえぇよ!」
('A`) 「酔い止めなら任せろー」 ゴソゴソ
lw´‐ _‐ノv 「やめて!」
('A`;) 「何でだよ!」
賑やかな旅が始まった。
- 54 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:11:18 ID:yOlNAkvI0
-
しばらく進んだところで地響きを感じて兄者はワイバーンを止めた。
ごごご、という音は確実に近づいてきている。
( ´_ゝ`) 「…サンドワームかな」
弟者に「行ってくる」と言い残し、ひらりと砂漠に降り立つ。
着地と同時に腰に下げた獲物を。
(´<_` ) 「気を付けろよー」
代わりに手綱を握った弟者はそう言うと、少し離れ始める。
驚いたのはドクオたちだ。
(;'A`) 「ちょ、いいのか!?」
lw;´‐ _‐ノv 「危ないよ、私達も手伝うよ!」
慌てて飛び出そうとする二人を手で制し、弟者は軽く微笑んでみせた。
(´<_` ) 「大丈夫ですよ、兄者も俺も多少腕に覚えがありますから」
- 55 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:12:50 ID:yOlNAkvI0
-
『シュルルルルルォオォオオオォォォ』
ざばぁ、と砂が盛り上がって、それは姿を現した。
予想に違わずそれはサンドワームと呼ばれる巨大なミミズのような怪物で、大木のような体と大きく広げた口腔が兄者に迫り来る。
( ´_ゝ`) 「…………!」
左手を腰元の武器に添えたまま、怪物の突撃を横に飛ぶ事で避ける。
サンドワームは一瞬前まで兄者のいた場所を飲み込みながら砂漠に沈む。
( ´_ゝ`) 「…ふむ」
体制を立て直し、改めて武器を抜く。
すらりと涼しげな音を立てながら出したそれは、緩やかな曲線を描いた剣―――――刀、と呼ばれている武器―――――だった。
( ´_ゝ`) 「サンドワームの皮ってかってぇから、防具の素材として需要があるのよね」
そう呟くと同時、弟者が大声で叫んだ。
(´<_` ) 「兄者ぁー!今のサンドワームの皮の相場、1kgあたり金貨一枚ぃー!」
( $_ゝ$) 「いよっしゃあ!」
弟者の言葉に兄者は文字通り目の色を変え、剣を構えて走り出した。
- 56 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:14:07 ID:yOlNAkvI0
-
(;'A`) 「おいおいおいおい大丈夫なのかあいつ!?」
今にも飛び出さんばかりに身を乗り出したまま、ドクオは喚く。
はたから見れば弟者が兄者を煽ったようにしか見えないので、当たり前といえば当たり前である。
(´<_` ) 「大丈夫ですって。それよりあんなでかい獲物どうやってバラすか一緒に考えましょうよ」
lw;´‐ _‐ノv 「その信頼関係は双子だからかな!双子だからなのかな!!!」
弟者の肩を掴んでがくがくと揺らしながらシュールは言った。
いつでも戦えるよう、手元の杖は魔力を纏ってぼんやり輝いている。
(´<_` ) 「…ほら、あれ」
されるがままに揺られていた弟者は、ふと兄者の方を指差した。
何かあったのかと慌ててそちらを見れば、
lw;´‐ _‐ノv 「……………えぇー……………」 ('A`;)
突進をひらひらと躱し、刀は冷気を帯びてきらきらと光り。
そして何より楽しそうに、兄者はサンドワームと戦っていた。
- 57 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:15:28 ID:yOlNAkvI0
-
( ´_ゝ`) 「1kg金貨一枚1kg金貨一枚…」
ぶつぶつと相場を呟きながら、刀の切っ先を怪物に向ける。
( ´_ゝ`) 「『力ある言葉・吹雪』」
相変わらず突撃を繰り返すサンドワームに絶対零度の風が吹き付けた。
方向転換がわずかに間に合わず、地面ごと右側面が凍りつく。
これは兄者が得意としている『言弾』と呼ばれる魔術の一種で、簡単に言えば魔力を込めた凄い言葉の事だ。
兄者は『言弾』を刀に纏わせて戦うのを基本スタイルにしている。
『ロロロロロロシュルルルルル』
氷のせいでうまく身動きが取れずにもがくそれを見て兄者はほくそ笑む。
( ´_ゝ`) 「活きのいいまま剥がしちゃおうねー」
すかさず凍りついた部分に近寄って、流れるように刀を振るう。
横薙ぎに斬りつけ、また距離を取る。
( ´_ゝ`) 「…うーん」
背面に回り込み、思案する。
サンドワームの体についた傷は思ったより浅かった。
( ´_ゝ`) 「当たり前だけどかってぇな…よし」
- 58 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:16:51 ID:yOlNAkvI0
-
結論を導きだし、走り出す。
サンドワームはようやく氷を剥がし、兄者に向かって牙を剥いて襲いかかる。
( ´_ゝ`) 「だから芸が無さすぎるでしょう?」
軌道を変えてくる事はあれど『対象に真正面から突っ込む』事しかしてこないので、避けるのは容易である。
右に左に手前に奥に跳び、時には側転やバク転をする余裕すら見せながら兄者はタイミングを図る。
『ゴロロロロロロロシュルルルルアアアアアアア』
幾度目かの突進をかわした直後、ほんの一瞬サンドワームの体が傾いだ。
スタミナ勝負は兄者に軍配が上がったようだ。
もちろん兄者がその機を逃すはずもなく、
( ´_ゝ`) 「『力ある言葉・熱線』!」
『言弾』で刀に超高温の熱を持たせて、
(#´_ゝ`) 「ちぃぎれろおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
胴体に斬りかかった。
―――――――――
――――――
―――
- 59 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:17:11 ID:4LcP6ci60
- きたあああ!!支援!!
- 60 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:18:15 ID:yOlNAkvI0
-
―――
――――――
―――――――――
( ´_ゝ`)+ 「いやあ、いい仕事したなあ」
適度な大きさにぶつ切りになったサンドワームの皮を剥ぎながら兄者は言う。
残った肉は今日の晩御飯だ。
(#'A`) 「『いい仕事したなあ』じゃねえよ!心配させやがって!」
作業を手伝いつつ、ドクオは兄者に噛みつく。
横にいるシュールも「そうだそうだ」と続いて、
lw#´‐ _‐ノv 「命の無駄遣いはダメ!残機はゼロなんだからね!」ゴッゴッ
と杖で兄者を小突きながら言った。
(;´_ゝ`) 「いでででで、すみません、もう二度としません!だから叩かないで!
助けて弟者ー!」
(´<_` ) 「まあまあ、これだけの量なら次の町で高く売れますからいいじゃないですか」
どつかれて悲鳴を上げる兄者を見かねて弟者が助け船を出してみるが、
lw#´‐ _‐ノv 「もとはと言えば君(オマエ)が煽ったのが悪い(んじゃ)!!!」 ('A`#)
怒りの矛先がこちらを向いただけだった。
(´<_`;) 「…サーセン」
- 61 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:19:01 ID:nq9BM4WM0
- 支援
- 62 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:19:24 ID:yOlNAkvI0
-
…二人の怒りは小一時間ほど続いた。
陽はとっぷりと暮れている。
(ヽ´_ゝ`) 「………………」 (´<_`il!)
お小言を聞かされ続けてげっそりした兄者と弟者を見やり、ドクオが鼻を鳴らす。
('A`) 「…次こんな無茶してみろ、こんなのじゃ済まねえぞ」
(ヽ´_ゝ`) 「…………ハイ」 (´<_`li!)
lw´‐ _‐ノv 「ほんとだね? 約束、約束。いのちだいじに!」
シュールが二人の手を掴んで無理やり指切りして、くしゃみを一つした。
lw´‐ _‐ノv 「…おぉぉ、いつの間にやらこんな真っ暗に…寒い…」
砂漠の寒暖の差は激しい。
露出の激しい服装のシュールには特に厳しいものがある。
('A`) 「ほらこれ羽織れってうわさみい」
自分の着ている白衣をシュールに被せたところでドクオも寒さに気付いて肩を震わせた。
- 63 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:20:41 ID:yOlNAkvI0
-
急いで野営の準備を済まし、火をおこす。
焚き火の周りにサンドワームの肉を刺した棒を配置すれば晩御飯の準備は完了だ。
( ´_ゝ`) 「さて、どれだけ綺麗に剥げたかな」
兄者はいそいそと剥ぎ取った皮の選別を始める。
四人で丁寧に作業したおかげでかなりの量集まったように見えるが、実際のところはどうだろうか。
(´<_` ) 「お、脂がいい感じに…」
弟者は食事当番なので、時々肉をひっくり返しながら様子を見ている。
したたる脂身を見て思わずよだれを垂らしてしまい、慌てて取り繕う。
('A`) 「……………」
ドクオは思考力を維持するための薬と、睡眠を妨げる薬をざらざらと取り出して水で流し込む。
はっきり言って辛いが、死ぬよりはましだと言い聞かせる。
lw´‐ _‐ノv 「…ふああ」
シュールは杖を抱いてしゃがみこみ、焚き火を見ながらあくびをしている。
彼女にとっては初めての旅なので、疲れもたまっているのだろう。
- 64 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:21:39 ID:yOlNAkvI0
-
こうして最初の夜は過ぎていく。
魔女までの道のりは、まだ見えない。
- 65 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:26:38 ID:xvD2aN/s0
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
★消化したお題→『獅子奮迅』
※次に行く町(村)のイメージ募集。
ぼんやりとしたもので構いません。
- 66 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:30:10 ID:nq9BM4WM0
- 乙
- 67 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:30:29 ID:H2053wYw0
- 乙。こんなシュールは久し振りだ
- 68 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:33:19 ID:kkj801ok0
- 乙。面白い!
サンドワームと兄者の組み合わせで別の作品を思い出した・・・かっこよさが全然違うけどw
- 69 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:34:33 ID:zCtVr3Mc0
- やっべ、タイトルに「ようです」忘れてた…orz
脳内補完お願いします。
- 70 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:40:52 ID:55nozNZUO
- 木が二本しかはえてない
- 71 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 19:56:14 ID:G36CK3hc0
- 乙! さすが商人ww
お題:素朴
- 72 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 20:13:50 ID:Zm9BUNH2O
- 乙ぅ
イメージ的には緑が多いといいかな
- 73 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 20:38:17 ID:9seGmF.w0
- 乙です!
お題:荒廃
- 74 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 20:45:01 ID:yOlNAkvI0
- イメージ、お題把握しました。
これまで頂いたものと組み合わせて使わせて頂きます。
- 75 :名も無きAAのようです:2012/11/06(火) 23:50:37 ID:PF8IiPSI0
- 乙!
- 76 :名も無きAAのようです:2012/11/07(水) 02:30:14 ID:nIirtyJ.0
- 乙乙!!楽しみにしてたんだー!
兄者かっこいいな畜生そしてシューかわいい
- 77 :名も無きAAのようです:2012/11/11(日) 22:36:43 ID:4IKrel2k0
- この締め方はブラクラゲットの作者か
- 78 :名も無きAAのようです:2012/11/21(水) 10:50:36 ID:wn28eQ9M0
- ただいま4レス。
ゆっくり書いています。
- 79 :名も無きAAのようです:2012/11/24(土) 15:54:34 ID:Bmc.1xwM0
- おー楽しみー
- 80 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:34:21 ID:1M4aE1bs0
-
その村に着いたのは、砂漠を抜けてすぐの事だった。
草原地帯に暮らす村人は四人を温かく迎え入れてくれた。
lw´‐ _‐ノv 「ほぉー…」
('A`) 「おぉー…」
シュールとドクオは村のあちこちを見てはため息をついている。
(´<_` ) 「そんなため息ばっかりついてると年寄りくsいだだだだ」
余計な事を言ってシュールにこめかみをぐりぐりされている弟者を横目にドクオはまた辺りを見回す。
ぽつりぽつりと家がある他は、先ほど兄者が入っていった道具屋、こぢんまりとした宿屋、
あとは村長のものとおぼしき他の家より一回り程度大きな建物。
('A`) 「あとは…」
村の中央にある広場の、背の高い木が二本。
この村のめぼしいものと言えば、そのくらいだろうか。
- 81 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:35:17 ID:1M4aE1bs0
-
※東奔西走カルテットのようです※
↑四話
.
- 82 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:35:58 ID:1M4aE1bs0
-
「おや、あの木が気になりますかな」
ぼんやり見ていると、人の良さそうな老人に話しかけられた。
(;'A`) 「! …ええ、まあ」
「あれはこの村が出来た時、記念に植えたものでしてなぁ…」
('A`) 「はあ…」
―――――――――――――――――――――
「…今の村長は私が若い頃に産まれた、孫のようなものでして…」
前言撤回。
長話好きの、ちょっとめんどくさいじいさんに目をつけられてしまった。
(;'A`) 「あ、あの…」
「そうそう、若い頃と言えば、昔は砂漠化がここまで進んでおりませんで…」
助けを求めて視線を彷徨わせれば、弟者は兄者を呼びに道具屋へ、シュールに至っては他人のふりをしていた。
(#゚A゚) (あんのやろおおぉぉぉぉおおおぉぉぉ!!!!!!)
「おや、どうしました?」
Σ(;'A`) 「えっ!? …ああ、いえ…」
―――――――――――――――――――――
(il!'A`) 「…」
「…この村は何もありませんが、新鮮な卵を使ったオムライスは是非とも召し上がって頂きたいですなぁ…」
それは数分前に聞きました。
初対面の人間にそんなツッコミを入れる勇気もなく。
「そうそう、牛乳も甘くて美味しいですよ」
(il!'A`) 「…あ、はい…」
- 83 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:37:05 ID:1M4aE1bs0
-
長話に倒れそうになった頃、兄者がほくほくとした顔でこちらにやってきた。
(*´_ゝ`)ノシ 「おーい、交渉成立、金貨五枚と銀貨三枚で買い取って貰えたよー」
('A`;) 「あっ、兄者!」
「おや、お連れの方ですかな?」
(;'∀`) 「えぇそうなんですよーそれじゃあオレはこれで!」
ひきつった笑顔を張り付けて、しゅたっ、と効果音がつきそうな勢いで敬礼をし、はや歩きで兄者に近寄る。
('A`;) 「ぅだああぁぁぁー助かったぁぁぁぁあー」
( ´_ゝ`) 「なに、どしたん」
('A`) 「長話に引っかかった」
( ´_ゝ`) 「あぁー…」
この数分間で驚くほど老け込んだように見えるドクオを気遣い、宿屋に併設されている喫茶店で休むことにする。
( ´_ゝ`) 「ところで弟者とシュールさんは?」
('A`) 「シュールはあっちの二本の木。弟者は…あれ、どこだ」
見回してみるが見当たらない。
あれだけの長身なら、この村で見つからないはずがないのだが。
( ´_ゝ`) 「やだ、ミステリィ…」
('A`;) 「言ってる場合か!探すぞ!」
休憩は、後回しになってしまった。
- 84 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:37:32 ID:1.frz0a60
- うおおっ来てる!
支援
- 85 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:38:41 ID:1M4aE1bs0
-
lw´‐ _‐ノv 「んふんふんふ…」
夫婦の木(シュールが勝手に命名した)の間でお茶をすする。
ほどよい渋味が舌に伝わる。
lw´‐ _‐ノv 「ドクオにはあとで怒られるかな」
面倒なので他人のふりをして退散したので、十中八九なにか言われるだろう。
まあいいか、と思いながら空を見上げていると、「にゃあ」と音が。
lw´‐ _‐ノv 「んー?」
視線を彷徨わせていると、右手側の木の根元にぼろぼろの木箱がある事に気がついた。
音の発生源も、そこからだ。
lw´‐ _‐ノv 「まあ、ぶっちゃけ捨て猫なんだろうけど」
近寄って木箱を覗き込む。
やはりと言うか、みゃあみゃあと三匹の子猫が鳴き散らしている。
lw´‐ _‐ノv 「ごめんね、ウチでは飼えないの…ん?」
一人芝居(ペットを飼いたいけど諸々の事情で飼えない子供)をしていると、猫たちの足元に何か紙切れがある事に気づいた。
捨てた人が未練を綴った紙でも残したのだろうか。
そう考えて手に取って、
lw´‐ _‐ノv 「……………………」
そのまま顔を強ばらせるのだった。
- 86 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:39:44 ID:1M4aE1bs0
-
(´<_` ) 「…あれ、兄者どこだ」
道具屋の品物に目を奪われている間に兄者を見失ったらしい。
弟者は肩をすくめ、店を出た。
(´<_`;) 「こんな狭い範囲で見失うとは…」
自分の視野の狭さに愕然としながら兄者を探して歩く。
歩いて、歩いて、歩いて、村を一周した事に気づいて。
(´<_`;) 「あっるぇー?」
一瞬首を傾げたが、入れ違いになった可能性に思い至った。
ため息をつき、適当な所で待つ事にする。
(´<_` ) 「あの双子の木の所がいいかな、シュールさんもいるし」
そう独りごち、双子の木へ。
シュールは木箱の辺りに座っている。
ヽ(´<_` ) 「シュールさん、何やってんの?」
ぽん、と肩に手を。
lw´‐ _‐ノv 「!!!!!!!!!」
ーーーーーー次の瞬間、視界は真っ白になった。
- 87 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:41:11 ID:1M4aE1bs0
-
けたたましい爆音は、二本の木の所から響いてきた。
(;´_ゝ`) 「!?」 ('A`;)
村の人間もなんだなんだと集まってきている中、兄者とドクオも走り寄る。
「わああああ、ごめん、ごめんね弟者くんんんんん」
もうもうとたちこめる煙の中から聞き覚えのある女性の声が仲間の名前を叫んでいる。
「なんだなんだ」
「痴話喧嘩か?」
「痴話喧嘩に爆弾を持ち出したのか」
「これがヤンデレか」
「ヤンデレってなに?」
(;;´_ゝ`) 「…………………………」 ('A`#)
村人のざわめく声を聞きながら、兄者は冷や汗をだらだらと流しながら、ドクオは怒りに震えながら煙の中へと歩き出した。
煙を服の裾で払うようにしながら進むと、木箱が足に当たった。
中は空っぽだ。
ほどなくして木に背を預けるようにへたりこむシュールが見えてきた。
弟者は近くに見当たらない。
- 88 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:42:31 ID:1M4aE1bs0
-
lw;´‐ _‐ノv 「あっ…」
お互いの顔が認識できる距離まで近寄って、シュールはようやくこちらに気がついた。
よほど気が動転しているらしい。
('A`#) 「…おい、何したんだ」
ドクオはシュールの胸ぐらを掴んで問いただす。
はだけたローブと相まって、まるでドクオがシュールに暴行を加えたように見えなくもない。
(;´_ゝ`) 「ちょちょちょちょちょちょ危ない危ない色んな意味で!
あと弟者ドコー!」
取り乱しながら兄者は二人を引き剥がし、弟者を探す。
lw;´‐ _‐ノv 「…あ、弟者くんは、あっち…」
震える指を向けた先は、向かいの木。
そちらへ目をやると、そこにはシュールと向かい合わせになるように木にもたれかかる弟者が。
(; ゚_ゝ゚) 「おっとじゃあああぁぁぁぁあ!!!???」
それを見た兄者は奇声を上げてそちらへ向かう。
- 89 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:43:48 ID:1M4aE1bs0
-
( <_ ) 「」 チーン
木に背を預けたままぴくりとも動かない弟者に、兄者は涙目で縋りつく。
( ;_ゝ;) 「うわああああん、弟者あああああ」
lw;´‐ _‐ノv 「一応、生きてるよ。気を失ってるだけ…」
('A`) 「何があった。割とマジで」
lw;´‐ _‐ノv 「えーと…」
「ちょっとよろしいですか」
シュールが何か言おうとした瞬間、村長らしき人物が近づいてきた。
「あなた方ですか、先ほどからの騒ぎの原因は」
(;'A`) lw;´‐ _‐ノv「…………………」 (;´_ゝ`)( <_ )
四人が押し黙っていると、相手は少し苛立った様子で
「どうなんですか」
と言ったので、代表してドクオが(ばつが悪そうに)「はい」と返した。
- 90 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:43:49 ID:Tt6/xihQ0
- うおおお来てる!!見てるよ支援!
- 91 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:45:09 ID:1M4aE1bs0
-
こんこんとお説教を頂き、四人は村の外で野宿する羽目になった。
(#'A`) 「畜生、なんでこんな事に…」
lw;´‐ _‐ノv 「ほんとにごめんったら…」
( ´_ゝ`) 「弟者が復活しねぇ」
lw;´‐ _‐ノv 「治癒魔法かけます…」
責任を感じているのか、シュールはしおらしい。
気を失ったままの弟者に治癒魔法を使い、内外の怪我を治療する。
('A`) 「…で、結局、なんであんな事になったんだ」
ため息を一つ吐いて、ドクオは改めてシュールに原因を尋ねる。
lw;´‐ _‐ノv 「…ちょっと、後ろから急にきたので驚いちゃって」
('A`) 「おう」
lw;´‐ _‐ノv 「ちょっと、爆発魔法を」
('A`#) 「アホかお前は!」
ごつんと一発やって、ドクオはまたため息を。
(;'A`) 「はぁ…、こんなワケわからん理由で野宿かよ…」
頭を乱暴に掻きむしり、吐き捨てる。
申し訳なさそうに俯くシュールの手に紙切れが握られている事に気づく者はいない。
- 92 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:49:52 ID:JR/.5RoQ0
- 支援
- 93 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:50:04 ID:1M4aE1bs0
- 今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
使ったお題↓
・素朴
・捨て猫
・「エロス」
また少しお題募集。
ギャグ、カオスは処理できません、ごめんなさい。
- 94 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:50:21 ID:39O2rNbE0
- うおおおお!きてたああああああ!
支援支援!
- 95 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:52:42 ID:JR/.5RoQ0
- 乙
お題 日傘
- 96 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:53:27 ID:VKngV/ws0
- おお来てたのか!乙!
お題:空き瓶
- 97 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 19:54:45 ID:xByZ0JlY0
- 続きが気になる…!
お題
借金
- 98 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 20:04:54 ID:1M4aE1bs0
- お題把握しました。
ご協力ありがとうございます。
- 99 :名も無きAAのようです:2012/11/29(木) 20:38:06 ID:E5iPzL4EO
- 乙乙!
捨て猫のお題出したんだけど使ってもらえてほんと嬉しいです!ありがとう!!
弟者爆破されて可哀想にw
- 100 :名も無きAAのようです:2012/11/30(金) 18:30:13 ID:ypDHOG.s0
- 素朴使ってもらったぜひゃっほう
紙切れ気になるなー
- 101 :名も無きAAのようです:2012/12/19(水) 19:57:12 ID:.V4rjc160
- 今半分くらい。
VIPの感想・絵スレで感想書いて頂きました、ありがとうございます。
- 102 :名も無きAAのようです:2012/12/19(水) 19:58:22 ID:.V4rjc160
- ぎゃああああageちゃったあああああorz
- 103 :<^ω^;削除>:<^ω^;削除>
- <^ω^;削除>
- 104 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 12:08:26 ID:ot6oEmDA0
-
(;´_ゝ`) 「……………」 (´<_`;)
香辛料(特に唐辛子)の匂いがきつい。
とてもきつい。主に目が。
lw;´‐ _‐ノv 「……………」 ('A`;)
目の前には真っ赤な料理が並んでいる。
ハンバーグ、カレー、ステーキ、サラダ、パスタ、うどん、そば…全て真っ赤だ。
とてもではないが口にする勇気はない。
<_プー゚)フ ガツガツガツガツモグモグモグモグ
明らかに引いている四人を尻目に、対面に座る男は海鮮丼(こちらはわさびまみれで具材がよく見えない)を美味そうにかきこんでいる。
lw;´‐ _‐ノv 「…どうしてこうなった…」
シュールの呟きは、虚しく消えていった。
- 105 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 12:10:09 ID:ot6oEmDA0
-
※東奔西走カルテットのようです※
→五話の一
.
- 106 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 12:11:25 ID:ot6oEmDA0
-
事の始めは二日前、シュールの言葉から始まった。
lw´‐ _‐ノv 「ちょっと、知り合いの占い師の所に行きたいんだけども」
草原の村をあとにし、しばらくあてもなく進んでいた時にぽつりと言ったそれに、まずはドクオが反応する。
('A`) 「ああ、エクトプラズム?」
lw´‐ _‐ノv 「惜しい!5ポイーンツ!」
どこからか取り出したピコピコハンマーでドクオを指してから、ピコンと音を立てる。
『ピンポーン』とノイズ混じりの謎の音が虚空に消えていった。
lw´‐ _‐ノv 「エクトプラズムじゃなくてエクスト・プラズマンね。
魔女の居場所でも占ってもらいましょ」
ね?と首を傾げ、おねだりの姿勢を取る。
ドクオは微妙な面持ちだ。
(;'A`) 「そんな都合よくいくかねぇ…?」
lw´‐ _‐ノv 「そりゃ、魔女の家なんて結界やら妨害魔術やらで分かりにくくなってるだろうしね。
占いとはいえ、直接的に居場所を当てる事は出来ないだろうね」
- 107 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 12:11:56 ID:yEshEwh20
- 初遭遇支援
- 108 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 12:13:06 ID:ot6oEmDA0
-
( ´_ゝ`) 「でも何も手がかりがないよりはまし、みたいな?」
フードのポジションを気にしながら、兄者。
目深になった感じが気に入ったらしい。
lw´‐ _‐ノvb" 「ざっつらい。藁にも棒にも占い師にも縋ろうじゃない」
立てた人差し指をゆらゆら振りながら、シュール。
僅かに微笑んだその表情を見て、兄者は少し顔を緩ませる。
('A`) 「………………」 ギリギリ
ドクオのささやかな嫉妬をよそに、シュールは問いかける。
lw´‐ _‐ノv 「と言う訳なんだけど、どうかな」
( ´_ゝ`) 「俺は賛成かな。弟者は?」
ずり落ちたフードをかぶり直しながら兄者。
(´<_` ) 「ぇあ? …ああ、兄者がそう言うなら」
一瞬の間をおいて、弟者。
こちらは肩当ての位置が気になっていたらしい。
- 109 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 12:14:27 ID:ot6oEmDA0
-
lw´‐ _‐ノv 「ドクオは?」
('A`) ハッ
('A`) 「…ああ、もう勝手にしろよ…」
握りしめていた手を開き、返事をする。
じわりと痺れが広がり、血が僅かに滲む。
lw´‐ _‐ノv 「決まりだね。手っ取り早く、近くまで『飛ぼう』か」
(´<_` ) 「手っ取り早くなら近くまでと言わず直接家の前に『飛べ』ばいいのでは?」
いそいそと転移魔法の準備に取りかかるシュールに、弟者が疑問を投げ掛ける。
lw´‐ _‐ノv 「ん、ああ。
簡単な話だよ、エクストの家の近くは魔力が妨害されちゃうから、
普通に転移しちゃうとバグるんだ」
(´<_` ) 「バグ…?」
lw´‐ _‐ノv 「ああ、ええと。 …まあ、ろくな目に合わないって事」
曖昧な笑顔を浮かべ、魔法の詠唱に入る。
そのやり取りを、ドクオは無感情に見ていた。
- 110 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 12:16:39 ID:ot6oEmDA0
-
一瞬の浮遊感。
独特の感覚(ドクオ曰く「寝落ちしかけてがくってなる感じ」)の後に見えた景色は、
('A`) 「…荒れ地?」
lw´‐ _‐ノv 「そこは荒野って言おうよ…」
木の一本も生えていない、灰色の大地だった。
(´<_` ) 「こんな所にエクストさんがいるぅぉげええぇぇ」
( ´_ゝ`) 「弟者、ちょっと水飲もうな」
ごつごつとした石や岩が転がり、地面は水分を感じさせず、ひび割れている。
そのど真ん中にぽつねんと、四人と荷車とワイバーンと言う構図だ。
ひゅるるる、と何か物悲しい風が吹く。
('A`) 「あれ、あいつこんなとこ住んでたっけ?」
がしがしと頭を掻きながら、ドクオ。
記憶と違うのを訝しんでいるようだ。
lw´‐ _‐ノv 「のはずなんだけど…」
- 111 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 12:18:28 ID:ot6oEmDA0
-
四人が立ち往生していると、馬車が通りかかった。
乗車している男ーーーーー口元のほくろと鋭い目付きが特徴的だーーーーーが声をかける。
(,,゚Д゚) 「おい、あんたらこんなとこで何してるんだ」
lw´‐ _‐ノv 「やー、ちょっと知り合いに会いたくて」
男三人が一瞬怯んだのと同時、シュールがのんびりと返事をする。
(,,゚Д゚) 「知り合いぃ?」
眉をひそめ、男が言う。
(,,゚Д゚) 「ここには借金まみれの占い師しかいねぇよ、何かの勘違いじゃねぇのか?」
lw´‐ _‐ノv 「借金まみれかどうかは知らないけど、占い師のエクストって人に会いたいのはほんとだね」
シュールの言葉に、男は「ほう」と少し驚いた様子で、
(,,゚Д゚) 「あんたら、エクスト・プラズマンの知り合いか。
…丁度良い、事と次第によっちゃあ連れて行ってやらん事も無いぞ」
と言ってにやりと笑った。
- 112 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 12:21:10 ID:ot6oEmDA0
-
その表情から何かを読み取った兄者と弟者は何か言おうとするシュールを遮って
( ´_ゝ`) 「しんきんぐたいむぷりーず」 (´<_` )
と男に言い、また男も
(,,゚Д゚) 「ああ、構わんよ。…おれの気が変わらない内にな」
と返したので、早速円陣を組んで話し合いを始める事にした。
lw´‐ _‐ノv 「…何で止めたの…」
(;´_ゝ`) 「そりゃあんた、このままじゃろくな目に合わないからでしょ」
明らかに不満げなシュールを兄者がたしなめてから、仕切り直す。
(´<_` ) 「…まず、あの人は十中八九借金取りですね、話の流れ的に」
lw´‐ _‐ノv 「え、そうなの?」
弟者の言葉を聞いてシュールもようやく合点がいったらしく、「だから借金まみれとか言ったのかー」と呑気に呟く。
同時に男三人は安堵のため息をつくのだった。
- 113 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 12:24:58 ID:ot6oEmDA0
-
( ´_ゝ`) 「…でまあ、
1、相手は借金取りの可能性が濃厚
2、占い師は借金まみれ
3、占い師の所に連れて行って貰う代わりに借金肩代わりの流れ
…ではないかと予測する訳ですよ」
兄者の言葉を受け、ドクオが返事を。
('A`) 「仮に借金取りじゃなかったとしても、相手の態度からしてあまり良い関係じゃあ無さそうだよな」
「そうそう」と兄弟が頷き、
( ´_ゝ`) 「しかし我々はエクストさんの家を知らない。
相手さんはご存知の様子」
(´<_` ) 「事と次第によっては、って事は家に連れていって貰える代わりに何か交換条件があるって事で、
3、の線がある訳です」
と続けた。
そして二人の言葉を聞いたシュールはううんと唸り、
lw´‐ _‐ノv 「そっかあ、難しいね。
…でもまあ向こうも待ってる事だし、さくっと決めようか」
と言って指を三本立ててみせながら以下の内容を言った。
- 114 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 12:26:02 ID:ot6oEmDA0
-
1、男の要求を飲んでエクストの家まで行く
2、男の要求を飲まずに自力でエクストの家まで行く
3、男から情報を得る為にあらゆる手段を使う
lw´‐ _‐ノv 「…選択肢はこんなもんだろうけど、どれがいいかな?」
- 115 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 12:28:21 ID:ot6oEmDA0
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
選択肢は、せっかくなので安価で。
ちょっと遠めに>>130さん宜しくお願いします。
- 116 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 12:49:37 ID:ot6oEmDA0
- ごめんなさい安価>>120にします、ごめんなさい
- 117 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 13:05:12 ID:KXloSeW2O
- 嫌いじゃないよ、その潔さ
- 118 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 13:46:52 ID:gUmJHgt60
- ksk
- 119 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 13:56:29 ID:J5xA53Jg0
- 3
- 120 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 14:05:12 ID:vGqnJF2s0
- 3!
- 121 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 14:07:08 ID:ot6oEmDA0
- OK、3で。
ご協力ありがとうございました。
- 122 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 20:41:04 ID:n/srOU6M0
- 安価するんかー
次は参加できるといいなあ
- 123 :名も無きAAのようです:2012/12/24(月) 20:58:38 ID:.DJCd4mQO
- 37分なら安価>>130でよかったかもね
- 124 :名も無きAAのようです:2013/01/01(火) 16:01:04 ID:WOaDSroY0
- ちょっと立て込んでます。
生存報告だけ失礼。
- 125 :名も無きAAのようです:2013/01/03(木) 21:20:40 ID:VaQkkHGg0
- りょかー!
待ってるよ
- 126 :名も無きAAのようです:2013/01/22(火) 02:38:49 ID:dzi4P9Ng0
- おつおつ
ゆっくり待ってるよー
- 127 :名も無きAAのようです:2013/03/10(日) 14:39:33 ID:46YzfbP.0
- 大変お久しぶりです、酉など無いので証明出来ませんが作者です。
大スランプ中です。
次がいつになるか分かりませんが、取り敢えず生存報告だけ失礼します。
- 128 :名も無きAAのようです:2013/03/10(日) 14:42:00 ID:a4aZN3Ew0
- 生存報告ありがたいんだぜ
のんびり待てるから、あまりムリしないでくれよ
スランプ脱出できるように祈ってるぜ
- 129 :名も無きAAのようです:2013/03/19(火) 00:01:27 ID:NUtrsk5Q0
- まってる
- 130 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 18:42:52 ID:0VPYJ.AE0
-
大変、お久しぶりです。
- 131 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 18:43:38 ID:0VPYJ.AE0
-
3、男から情報を得る為にあらゆる手段を使う
四人は男から必要な情報を聞き出すため、多少の無茶を通す事にした。
lw´‐ _‐ノv 「と言う訳で『洗脳完了全力服従』」
さらりと詠唱を短縮して杖を振る。
男の瞳から生気が失われる。
lw´‐ _‐ノv 「貴方のお名前なんてーの」
(,,゚Д゚) 「…ギコ」
lw´‐ _‐ノv 「職業は?」
(,,゚Д゚) 「…取り立て屋」
シュールの質問に眉一つ動かさず答える男―――――ギコ。
様子を伺っていた流石兄弟がため息を吐く。
( ´_ゝ`) 「…すげぇな」
(´<_` ) 「あんな簡単に魔力練り上げて、あそこまで深い催眠状態に仕立て上げるとは」
('A`) 「オレにはよく分からんが、同業者からしたら「この詠唱の短縮の仕方は変態じみてる」だとさ」
- 132 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 18:45:03 ID:0VPYJ.AE0
-
※東奔西走カルテットのようです※
↓五話の二
.
- 133 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 18:47:12 ID:0VPYJ.AE0
-
ぽかんと口を開けたままの兄弟と、腕を組んだまま成り行きを見守るドクオをよそにシュールは続ける。
lw´‐ _‐ノv 「占い師のエクスト・プラズマンの家を知ってる?」
(,,゚Д゚) 「…知ってる」
lw´‐ _‐ノv 「そう。それはどこかな?」
シュールの言葉を受けて、ギコは岩山の一点を指差した。
(,,゚Д゚) 「…あそこだ」
lw´‐ _‐ノv 「うへぇ、遠いな…
連れてってくれるかな?」
(,,゚Д゚) 「…ああ」
虚ろな目のギコは言う。
もしかしたら死んでるんじゃなかろうか。
('A`) 「そういや、エクストの借金てどんなもんなんだ?」
(,,゚Д゚) 「…プラチナ硬貨五枚」
( A) '`
lw´ _ ノv ‐‐
( _ゝ) ´`
´` ( <_ )
ちなみにプラチナ硬貨は一枚で金貨千枚分である。
- 134 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 18:48:29 ID:0VPYJ.AE0
-
(;'A`) 「アホかあいつ!アっホかあいつ!」
( ´_ゝ`) 「きが くるっとる」
(´<_` ) 「手持ちを遥かに上回ってるぜ、肩代わりとかならなくて良かった」
lw´‐ _‐ノv 「え、払うつもりだったの?」
混沌とした状況の中、馬車の御者が顔を出した。
<ヽ`∀´> 「あのー、まだお話は続いてますニダ?
申し訳ないけど、早いとこ終わらせて貰わないと日が暮れるニダ」
言われてみれば、確かに日が傾いている。
御者の言う通り早めに切り上げてエクストの所へ向かう方が良さそうだ。
lw´‐ _‐ノv 「と言う事で、ほいほいっと」
手頃な岩に杖を振り、金塊に変える。
ついでにギコを正気に戻す。
<ヽ ∀ > `´
金塊を見て目を白黒させる御者。
(,,゚Д゚) 「はっ!?おれは一体何をって何じゃこりゃああああ!?」
正気に戻った途端目に入った金塊に声をひっくり返すギコ。
( ´_ゝ`) 「」 (´<_` )
一連を見て再び呆然とする兄者と弟者。
(#'A`) 「 ま た や や こ し い こ と を 」
再び状況が混沌としたのを見てこめかみをひくつかせるドクオ。
- 135 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 18:54:17 ID:N7zd1w6k0
- きたああ!しえん!
- 136 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 18:54:42 ID:0VPYJ.AE0
-
lw´‐ _‐ノv 「あ、ギコさん。それ、エクストの家教えてくれたお礼ね。
利子分くらいにはなるでしょ」
(;,゚Д゚) 「は!?え、何で名前、えぇ!?」
混乱しているギコをよそにシュールはドクオ達の方に向き直って、
lw´‐ _‐ノvノシ 「さ、お礼も済んだし早速れっつらごー」
と言った。
しかし兄者と弟者はシュールがごく自然に
『詠唱も無しに岩を金塊に変えたと同時にギコの洗脳を解いた』
事に驚いたままで、
ドクオはドクオで今にも掴みかからん勢いでシュールに近寄っている。
(#'A`) 「お前は…!お前と言う奴は…!この!」
ごん、と頭を殴られたシュールはそのまま崩れ落ち、
lw;´‐ _‐ノv 「ぎゃーん!何で!?丸く納めたはずじゃない!」
と半べそで抗議の声を上げたが、
(#'A`) 「新たな火種が増えただけじゃ!
なんで払う必要の無い金を出す!」
ドクオの怒りに油を注いだだけであった。
lw;´‐ _‐ノv 「だってお礼…」
(#'A`) 「オレらに払えない額なんだから利子でも肩代わりしたらややこしいだろうが!」
(,,゚Д゚) ピク
(,,゚Д゚) 「ほほう、肩代わりとな…?」
(゚A゚) !
- 137 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 18:56:00 ID:0VPYJ.AE0
-
耳聡く聞き付けたギコがドクオの方を見て、嫌な笑みを浮かべる。
(,,゚Д゚) 「あんたらには色々聞きたい事もあるが、あの占い師の借金の肩代わりをしてくれるとあっちゃあ話は別だ。
あの金塊で利子の分として、残りはきっちり払って貰えるんだろうな?」
('A`;) 「あ、いや、肩代わりとかそういうのは…」
及び腰のドクオの肩をひっ掴んでギコは続ける。
(,,゚Д゚) 「なあ、もう日が暮れそうだ。お互い早いとこ切り上げて美味い酒でもかっ食らいたいじゃないか。
…つまる所、だ。
耳揃えて 出 す も ん 出 せ やゴルァ!」
('A`;) 「ひぃぃ!…おいシュール、元はと言えばお前のせいだろ、何とかしろよ!」
ギコの怒号に完全に萎縮したドクオは、シュールに向かってなんとも情けない叫び声を上げた。
lw#´‐ _‐ノv 「……………」 ムスー
対してシュールは先ほどのやり取りですっかりへそを曲げてしまい、
ドクオの言葉に耳を貸す様子は無い。
- 138 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 19:23:17 ID:0VPYJ.AE0
-
兄者が我にかえるとそこは修羅場だった。
(;´_ゝ`) 「はっ!なんか呆然としてる間にえらい事になってる!
シュールさんへそ曲げてないで助けてー!」
(´<_` ) 「すんませんこれだけしか無いんで勘弁して下さい」
(; ゚_ゝ゚) 「おっとじゃあああああ!?」
(;゚A゚) 「ちょっと待てガチで全財産じゃねぇか止めろぉぉぉぉぉ!!!」
あっさりと荷車を明け渡そうとする弟者とそれを止める兄者とドクオを見て、
シュールはため息を一つ吐き、
lw#´‐ _‐ノv 「ああもう分かったよ!こうすればいいんでしょ!
『無金錬金雨霰』!」
と叫んで杖を振った。
(,,゚Д゚) 「おい、何遊んでーーーーー」
苛立ったギコがシュールに詰め寄ろうとした瞬間、空からじゃらじゃらと金貨が降ってきた。
見る間にギコの腰ほどまで積もっていく。
(,, Д ) ゚゚
<ヽ゚Д゚>
lw#´‐ _‐ノv 「はい満足した!?それじゃあ『移動完了即終了』!」
やけくそ気味に杖を振り回すと、馬車(御者入り)とギコと金貨が目の前から消えた。
- 139 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 19:24:39 ID:0VPYJ.AE0
-
しばらく呆然とその光景を眺めたあと、我に返ったドクオはシュールに尋ねる。
(;'A`) 「…………あの、シュールさん?」
lw#´‐ _‐ノv 「なんでしょうかドクオさん!」
キレ気味のシュールに気圧されつつ、おずおずと続ける。
(;'A`) 「今の二人(馬車含む)はどこへ『飛ばした』んでしょうか」
返ってきた言葉はこうだ。
lw#´‐ _‐ノv 「ギコさんの脳内から自宅検索してそこに!」
( ´_ゝ`) 「え、何それ怖い」
(´<_` ) 「取り敢えず猛烈に凄い事したって事が分かった」
シュールの事はあまり怒らせないようにしよう。
兄弟はそう心に誓った。
(;'A`) 「ああもうオレが悪かったよ!あとで甘いもん奢るから機嫌直せ!」
lw#´‐ _‐ノv
lw´‐ _‐ノv
lw*´‐ _‐ノv 「マっジー!?うっそー!やったー!」
- 140 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 19:26:23 ID:0VPYJ.AE0
-
一瞬で機嫌を直したシュールを見て安堵のため息を吐き、ドクオは空を見上げた。
('A`) 「うへぇ、暗くなってきた…こりゃ、急がないといかんな」
( ´_ゝ`) 「シュールさん、エクストさんの家ってどの辺りでしたっけ」
方位磁石を取り出しながら、兄者。
ついでに小さな魔方陣が描かれた紙も取り出す。
lw*´‐ _‐ノvσ 「んー?あっち。
ドクオー、渡辺さんちのタルトパフェね、約束ね」
(;'A`) 「分かった分かった…ってさりげなく高いとこ言いやがって」
二人のやりとりを横目に、兄者は腰に下げたナイフを取り、それで指を切った。
(´<_` ) 「夜だからオサムか」
( ´_ゝ`)b、 「そうそうオサム」
弟者の言葉に同意で返し、ぽたりと魔方陣に血が落ちる。
ぽう、とそれが柔らかな光に包まれたかと思うと、そこから10センチほどの人影が。
【+ 】ゞ゚) 「呼んだかい、我が主たち」
瞬きする間に、黒いタキシードに黒いマント、顔の右半分を覆うこれまた黒い仮面の、
兄弟が「オサム」と呼ぶ何かが現れた。
('A`) 「うおっ、なんだそりゃ」
耳慣れない声に驚いたドクオが兄者の手元の小人を見てまた驚く。
小人はふふんと鼻を鳴らして得意げに胸を張り、
【+ 】ゞ゚) 「私はオサム。闇の精霊。
流石の兄者と弟者と契約しているのさ」
と言った。
- 141 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 19:27:50 ID:0VPYJ.AE0
-
lw´‐ _‐ノv 「闇の…精霊?
て事は二人とも精霊使い?」
興味深そうにオサムを見やるシュールに対して、
兄者と弟者はにやりと笑みを浮かべる事で返事を返す。
('A`) 「興味は尽きないが、時間がない。
エクストの家に向かいながらでも話は出来るだろうよ」
そろそろ暗くなってきた空を見上げながら、ドクオ。
暗い中岩山を登るのは、初心者には辛い。
( ´_ゝ`) 「よし、取り敢えず暗くなるまで進もう」
(´<_` ) 「行き当たりばったりなのはワカッテマス」
lw´‐ _‐ノv 「さりげなく別キャラになるのやめたげてよぉ!」
のんきに、のんびり、四人は進む。
魔女への道は、見えるだろうか?
- 142 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 19:28:44 ID:0VPYJ.AE0
-
「なあ、なあ、お前ら」
( ^ω^) 「……………」
ξ゚⊿゚)ξ 「……………」
「お前ら、何で生きてるの?」
( ^ω^) 「……………」
ξ゚⊿゚)ξ 「……………」
「お前ら、どうして生きてるの?」
( ^ω^) 「……………」
ξ゚⊿゚)ξ 「……………」
「……………なあ、お前ら」
―――――『どうやって』生きてるの?
( ^ω^) 「……………」 ξ゚⊿゚)ξ
―――――我等は、あの方のためだけに。
ぐしゃり。
- 143 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 19:30:34 ID:0VPYJ.AE0
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 144 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 19:32:06 ID:N7zd1w6k0
- 乙!シュールがいれば金貨無限にだせんじゃね…
ブーンとツンが不穏だなぁ
- 145 :名も無きAAのようです:2013/05/02(木) 04:15:13 ID:6VkMy5T.0
- シュールさん奢ってもらわなくても…乙
- 146 :名も無きAAのようです:2013/06/07(金) 14:57:33 ID:xQ7YxnhA0
- 生存報告も兼ねてひっそりとお題募集。
二、三個ほど。
- 147 :名も無きAAのようです:2013/06/07(金) 19:35:32 ID:1Tpm.t0k0
- おう続きはよ
お題 らーぶらーぶ
- 148 :名も無きAAのようです:2013/07/11(木) 22:30:44 ID:pzYp0D9k0
- お題
夢の中
続き待ってんぞー
- 149 :名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 01:35:20 ID:vhMpmgIo0
- お題把握。
近いうち、また一話。
- 150 :名も無きAAのようです:2013/07/18(木) 01:28:15 ID:Noibbl7Q0
-
※東奔西走カルテットのようです※
←五話の三
.
- 151 :名も無きAAのようです:2013/07/18(木) 01:30:00 ID:Noibbl7Q0
- 結局四人は岩山の中腹で一晩を明かした(ドクオが一瞬寝落ちして死にかけたりもした)。
火の番は四人と、夜の間だけ召喚できるオサムが交代で行った。
('A`) 「兄者が起きてなかったら死んでた」
( ´_ゝ`) 「何か音がしたんで目が覚めたらドクオさんが横でガタガタ震えてて超ホラーだった」
('A`) 「ごめん息出来なくてもがいてた」
lw´‐ _‐ノv 「寝たらいきなり死ぬ訳じゃなくて良かったNE!」
(´<_` ) 「おーい、準備出来たぞー」
弟者の声を皮切りに、荷車は出発する。
- 152 :名も無きAAのようです:2013/07/18(木) 01:30:51 ID:Noibbl7Q0
- がたごと、がたごと、不安定な足場を進む。
(;'A`) 「…落ちないだろうな」
(´<_` ) 「兄者の手綱捌きは家族一上手いんで安心して下さい」
(;'A`) 「お前らの家族を知らないから何とも言えねえ!」
冗談とも本気ともつかない弟者の言葉に若干の不安を覚えつつ、ゆっくり進む。
lw´‐ _‐ノv 「お、あそこじゃない?」
シュールが指差す先には、小屋があった。
人が住んでいる形跡もある。
難点があるとすれば、
( ´_ゝ`) 「まっすぐ崖を登れたら早いんだけどね!」
岩山をあと二周ほどしないと辿り着けない事だろうか。
- 153 :名も無きAAのようです:2013/07/18(木) 01:32:21 ID:Noibbl7Q0
-
('A`) 「このワイバーン、飛べねえのかよ」
( ´_ゝ`) 「やめて下さい荷車だけ落下してしまいます」
lw´‐ _‐ノv 「まるでコントですNE!」
('A`) 「おいシュール今日も変だぞどうしたんだ」
lw´‐ _‐ノv 「そんなのドックンが死にかけたからじゃないっておいなんだ今日『も』って」
(´<_` ) 「仲良き事は美しきかな」
( ´_ゝ`) 「俺らもこんな彼女が欲しいね」
がたごと、がたごと。
ワイバーンは賑やかな四人を尻目に、ただ進む。
兄者の技術もあってか、切り立った崖っぷちを進むその足は危なげがない。
- 154 :名も無きAAのようです:2013/07/18(木) 01:34:15 ID:Noibbl7Q0
-
(;´_ゝ`) 「気ぃ使うなー…弟者、タッチ」
(´<_` ) 「おう、家まであと少しだな。任せとけ」
ぱん、とお互いの手を叩き、突如兄弟が運転を交代し始めた。
器用に手綱を渡して、兄者は荷車側へ、弟者はワイバーンの背中に。
手慣れたもので、ドクオとシュールが何か言う間もなく入れ替わった。
('A`) 「一瞬すげぇ焦った」
( ´_ゝ`) 「ああ、いつもの事だから気にしてなかった」
(´<_` ) 「あ、見えてきた」
弟者の言葉に反応して、ドクオとシュールが荷車から身を乗り出した。
がたん、と大きく車体が揺れる。
(゚<_゚;) 「うおおおおあっぶねぇ!」
(;゚_ゝ゚) 「あんたら何してんだ!」
lw´‐ _‐ノv 「ごめんマジごめん」
('A`) 「崖よりじゃなくてほんと良かったマジごめん」
- 155 :名も無きAAのようです:2013/07/18(木) 01:35:05 ID:F5nJ4mxg0
- 待っていた! 支援
- 156 :名も無きAAのようです:2013/07/18(木) 01:37:13 ID:Noibbl7Q0
-
多少ごたごたはあったが、ようやくエクストの家の前に。
lw´‐ _‐ノv 「おーい、エクストやーい」 ゴンゴンゴンゴンゴン
('A`;) 「ノック連打すんな!迷惑だろ!?」
( ´_ゝ`) 「荷車どうすんべ」
(´<_` ) 「適当に置いとくべ」
(;'A`) 「あんたら兄弟も結構適当だよな!」
<_プー゚)フ「はいはーい、なんだ賑やかだなー」
がちゃり、とドアノブがひねられて、中から男が顔を出した。
もみあげと襟足が特徴的なこの男こそ、占い師・エクストプラズマンだ。
lw´‐ _‐ノv 「やっほー、久しぶり。引っ越したんだね」
<_プー゚)フ 「おーうシュールじゃーん久しぶりー。
借金取りに追われて仕方なくこんなへんぴな所にたどり着いたんよ」
ハイタッチをしながら、シュールとエクストは挨拶を交わす。
それをドクオが忌々しげに見やる。
どうやら三人は顔見知りのようだ。
- 157 :名も無きAAのようです:2013/07/18(木) 01:38:31 ID:Noibbl7Q0
-
('A`) 「おいナチュラルにスルーすんな、オレもいるぞ」
<_プー゚)フ 「いたのかこの野郎いつもシュールとらーぶらーぶちゅっちゅしやがって羨ましいんじゃこんちきしょうおれもその巨乳に挟まれてしにたゲフウッ!?」
lw´‐ _‐ノv 「てめえいつもそんな事考えて接してたのか」
杖の先端で鳩尾をどつかれて悶絶するエクストを見下げ果てた目で見ながら、シュールは吐き捨てた。
( ´_ゝ`) 「やだ、ぞくぞくしちゃう」
(´<_` ) 「兄者…」
( ´_ゝ`) 「…ため息つくのだけは止めて、マジで」
<;プー゚)フ 「いてて…あれ、そちらさんは?」
よろよろと立ち上がり、ようやく兄弟に気付く。
( ´_ゝ`) 「どうも、流石兄者です」
(´<_` ) 「どうも、流石弟者です」
( ´_ゝ`) 「二人合わせて流石兄弟です」 (´<_` )
<_プー゚)フ 「お、おう」
- 158 :名も無きAAのようです:2013/07/18(木) 01:39:54 ID:Noibbl7Q0
-
('A`) 「戸惑ってる所悪いんだが仕事の依頼をしに来た」
呆気に取られているエクストの肩をつつきながら、ドクオ。
片手にはビンのようなものを。
<_プー゚)フ 「お?なんだなんだ依頼かそういう事は早く言えよドクオが持ってるのは酒かよく分かってるjy」ゴスッ
lw´‐ _‐ノv 「一度喋り出すと割り込まないと止まらないのも変わってないね」
( ´_ゝ`) 「ナチュラルに杖で鳩尾とか」
('A`) 「もう恒例儀式だな」
わいわいやりながら家に入る事になった。
弟者はいつの間にかワイバーン(荷車付き)を手近な木に繋げている。
- 159 :名も無きAAのようです:2013/07/18(木) 01:43:24 ID:Noibbl7Q0
-
<_プー゚)フ 「さてさて四人さん一体このエクストに何を占って欲しいのかな明日の天気から魔女の行方まであらゆる事象を占ってあげようだからシュールちょっと揉まs」ゴスッ
lw´‐ _‐ノv 「まさに魔女の行方を占って欲しいんだ。お礼は弾むよ」
言って、シュールはどこからか布袋を。
じゃらじゃら、と音がする。
<_プー゚)フ 「やあやあいいねえ気前がいいねえおじさんたまらんわそれじゃ早速占うから出てけてめえらさよならバイb」ドゴッ
( ´_ゝ`) 「やだ最後に何言ってんのこの人」
lw´‐ _‐ノv 「あ、エクストって占ってる所見せないの」
<_プー゚)フ 「そういう事だとっとと出てけ占いの邪魔だからはよはよおさらば扉の向こうh」バキッ
しっしっ、と手で払う仕草をしながら、エクストは四人を追い出そうとする。
(´<_` ) 「言い分は分かったから一発殴らせろ。
初対面で言う事じゃないが殴らせろ」
('A`) 「気持ちは分かるが落ち着け。殴ってから言う言葉じゃない」
- 160 :名も無きAAのようです:2013/07/18(木) 01:44:50 ID:Noibbl7Q0
-
青筋を立てる弟者を宥めながら四人は一旦外に出る。
('A`) 「時にシュール、さっきの金は一体どこから出したんだ」
lw´‐ _‐ノv 「ん?金?」
('A`) 「え?さっきエクストに渡してたろ、袋」
lw´‐ _‐ノv 「渡したね、ビー玉」
('A`) 「え?」
lw´‐ _‐ノv 「え?」
ひゅるり、と風が吹く。
( ´_ゝ`) 「俺らにも分かるように説明prz」
lw´‐ _‐ノv 「エクストの占いにはビー玉必要だからあげたの」
(´<_` ) 「占いの対価は?いくらか必要でしょ」
弟者の言葉でようやく気がついたシュールは、
lw´‐ _‐ノv 「やっべなんも用意してないわ」
と焦りだした。
- 161 :名も無きAAのようです:2013/07/18(木) 01:46:32 ID:Noibbl7Q0
-
(;'A`) 「おいおいおい何してんだ!もういいオレが出しとくから!」
lw´‐ _‐ノv 「ごめん銀貨何枚か上乗せしといて」
ぺろりと舌を出したシュールにげんこつを食らわせながら、ドクオが財布を出して適当に硬貨を出す。
(;´_ゝ`) 「あ、俺らも出しますよ、いくらですか?」
(´<_`;) 「手持ちから足りなければエクストさんに雑貨渡せば何とかなりますよね?」
(;'A`) 「いいよいいよ道中の宿代払って貰ってるし、大して高くもないから。
シュールはあとでエクストに謝っとけよ」
lw´‐ _‐ノv 「はあい…」
―――――そして占い終わり、食事会が始まって。
<_プー゚)フ ガツガツモグモグバクバクズルズル
lw;´‐ _‐ノv 「…どうしてこうなった」
香辛料で真っ赤な料理を前に四人は呆然とするのあった。
- 162 :名も無きAAのようです:2013/07/18(木) 01:50:32 ID:Noibbl7Q0
- 今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
ここまでに使ったお題↓
・荒廃
・強制瞬間移動
・らーぶらーぶ
・借金
でした。
- 163 :名も無きAAのようです:2013/07/18(木) 02:02:02 ID:dyqtXb3s0
- 待ってたぞ!おつ!
エクストの腹にあざできてそうだな
- 164 :名も無きAAのようです:2013/07/18(木) 14:31:49 ID:GJ65P9DM0
- おつ!
- 165 : ◆2GA/C1dTrU:2013/07/22(月) 21:07:09 ID:ZuTwicLw0
- 今読みオワタ
面白いなこれ
- 166 :名も無きAAのようです:2014/04/15(火) 00:50:52 ID:qSxIIJeI0
- 削除申請なんて嘘だろ!?嘘だって言ってくれよ…
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