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(=゚ω゚)ノさよならファンタジアのようです川 ゚ -゚)- 1 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 21:40:47 ID:NuyzxYe20
-
なにぶん、この世界はいろいろありすぎたもので。
- 2 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 21:50:12 ID:NuyzxYe20
- 【新世界歴15年221日、晴れ】
さて、私といようとの旅もこれで一ヶ月半を迎えるが、これにてようやく最初の目的地へと辿り着く事となる。
もちろん、この地図があっていたらの話なのだけれど……。
この日記帳も、ずいぶんと汚してしまったものだ。
管理が杜撰な訳ではないのだが、どうも書きたい事をつらつらと書いてしまえばこうなってしまう。
私の悪いクセだろう。
しかしまぁ、もともと誰に見られたくて始めたものでもないので、気にしなくてもいいはずだ。
- 3 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 21:52:47 ID:NuyzxYe20
- さて、この辺りはどの他世界の干渉も少ないらしく、目に見える範囲では地平線までが全て草原と言える。
そしてこの広がる大草原に吹き抜ける風というものは、形容し難いほどに心地良いものだ。
しかしまぁ、その雑草達のおかげで歯車王(こないだ拾ったオートバイ。命名は弟)は少し苦しそうな声で鳴いているんだけれど。
……本当に近いうちにぶっ壊しそうで怖いな。
そう言えば、この歯車王。
こいつはどこの世界の産物なのだろうか。
そこまでメカメカしい姿ではない、普通のオートバイに見えるのだが、そのくせ何を動力に動いているのかがよくわからない。
固形燃料を供給する場所が見当たらないし、それらしきメーターもない。
ので、少なくとも人間の世界の産物ではないのだけれど。
もともと詳しくないのでもしかすると、これに類似するものをみた事がないだけかも知れない。
- 4 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 21:53:50 ID:NuyzxYe20
- 詳しい事は、やはり機械なのだし、『機械の世界』に行ったなら、何か掴めるのだろうか。
まぁ、あまり興味はないし、私たちにとっては動けばそれでいいのだけれど。
動かなくなったなら、それはそれだ。また歩いて旅を続ければいいのだ。
それに、今向かっている先はその「機械」のいる世界ではない。
一部の人からはもっと大きくもっと強いとされるものだ。
曰く全知全能の、【神様】。
『神様の世界』。
私といようは、今から神様を殺しにいくのだ。
- 5 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 21:55:14 ID:NuyzxYe20
-
(=゚ω゚)ノさよならファンタジアのようです川 ゚ -゚)
「ひとつめ、神さまと信仰のちから」。
- 6 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 21:58:05 ID:NuyzxYe20
- (=゚ω゚)ノさよならファンタジアのようです川 ゚ -゚)
―――たった今響いた奇怪なノイズが歯車王のエンジン音でなく、いようの腹の音だと気が付くのに数秒を要した。
川 ゚ -゚)「……なんか今、機械音にも似たすっごい音が聞こえたんだが」
(=゚ω゚)ノ「あ、ばれた?」
川 ゚ -゚)「バレるに決まってんだろ。なんだ今の。腹の音?本当に腹の音か?どこの化け物が嗚咽を漏らしてんのかと思ったわ」
(;=゚ω゚)ノ「えぇ、どんだけ世紀末な腹の音してたの僕……?」
川 ゚ -゚)「なんだ、メシならさっき食ったばかりだろうが。そんなペースで腹鳴らしてちゃ、目的地まで持たないぞ」
(=゚ω゚)ノ「だってぇ……食べたっていっても仔馬じゃん。あれだけじゃ、ぼくのおなかは満腹には程遠いよぅ」
- 7 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 21:58:19 ID:UIdaE/Yw0
- これはいい世界観だ
支援
- 8 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 22:00:15 ID:NuyzxYe20
- 川 ゚ -゚)「でも、お前がほとんど食べたろ。満足しろよ。というかそもそも、本当に辿り着けるかどうかも怪しいのに……」
(=゚ω゚)ノ「え、そうなのかよぅ?」
川 ゚ -゚)「当たり前だ。こんな地図が本当に当てになるとも私は思っていないよ。しかし他に頼りもないし、どうしたもんかな。」
行き先が決まっていながらに道に迷うというのも、案外初体験な私だった。
(=゚ω゚)ノ「そうなのかよぅ……こんなことなら、さっきの馬を保存食用に調理しておいときゃ良かったね」
(;=゚ω゚)ノ▲「なーんでこんな食べれないものだけ持ってきちゃったんだろう、ぼく……はぁ」
- 9 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 22:04:57 ID:NuyzxYe20
- いようは歯車王の後部で、溜息をつきながら琥珀色の刺突物のようなものを眺めていた。
まったくこいつは、食欲だけは無尽蔵なんだから。
以前もこいつはライオンが狙うシカの群れを単身で狩りに行き、襲ってきたライオンまで食べて帰ってくるという始末だ。
おかげで私は人生で絶対味わえると思っていなかった百獣の王の味を……ん?
川 ゚ -゚)「あれ?いよう。なんだそれは」
(=゚ω゚)ノ▲「え、ああ、これ?さっきの馬に生えてたツノだよぅ。キレイでしょ?」
(=゚ω゚)ノ▲「ちょっと気に入ったから持ってきたんだよぅ」
川 ゚ -゚)
(=゚ω゚)ノ▲
川 ゚ -゚)
川; ゚ -゚)「のぅえぇえええええ!!!?」
思わず急ブレーキをかけてしまった。
歯車王が悲鳴をあげる。
川; ゚ -゚)「ええええ!?は、マジかお前!!」
(;=゚ω゚)ノ▲「え!!?えっ!?な、なに!?なんか悪いことしたぼく!?」
- 10 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 22:08:14 ID:NuyzxYe20
- 川; ゚ -゚)「お、お前!なんでそれを早く言わなかった!?」
(;=゚ω゚)ノ▲「え?あ、いや、別にそんなに大事な事でもないかなと……」
川 ゚ -゚)「お前……いや、でかした!それ、馬に生えてたツノで間違いないんだろう!?」
(=゚ω゚)ノ▲「え?うん……かっこいいウマだなって」
川* ゚ -゚)「普通の馬にそんな綺麗なツノなんか生えるか!さらにその形状、間違いないぞ!」
川* ゚ -゚)「それ、一角獣の、【ユニコーン】のツノだ!」
(=゚ω゚)ノ▲「え?なにそれ、凄いの?」
川 ゚ -゚)「凄いもなにも!ユニコーンってのは、神話の中の存在だからな!」
川 ゚ -゚)「それはつまり、『神様の世界』の概念だ。それがここにあったんだよ!」
(=゚ω゚)ノ▲「……ってことは」
川 ゚ -゚)「近いんだよ!たぶん、ここの近くに、【神様】がいる!」
- 11 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 22:12:26 ID:NuyzxYe20
- ――――――
―――
まさか、こんな形で荒巻さんからもらった地図の信憑性を確かめる事になるとは。
しかしこれで少しけだるかった足が進むようになった。
なにしろ、今までの道のりは少なくとも無駄ではないのだと確信出来たからだ。
まぁ、実際に足を進ませてるのはこの歯車王だけど。
ちなみにその立役者であるいようは、後部座席でうなだれている。
(;=゚ω゚)ノ「ええ、じゃあ、なに……僕らがさっきまで食べてたのは神様だったってこと……?」
川 ゚ -゚)「広義的にはそうなるのかな、一応、ユニコーンも神の世界のものだし」
(;=゚ω゚)ノ「そりゃあ、罰当たりなことをしちゃったよう……なんか起きたりしないかなぁ……」
心配そうに琥珀の角をみつめるいよぅ。
彼の罰当たりを気にする姿を見ていると、彼の着ている上下とも縞模様の服が、
まんま囚人服にも見えてきてなかなか笑えてしまう。
- 12 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 22:14:15 ID:NuyzxYe20
- 川 ゚ -゚)(私は……どうだろうか)
私の今のこの服装は、旧時代においてセーラー服と呼ばれたものだ。
これは母からの貰い物で、もともとは学び舎に着て行くものだったらしい。
別に学がどうと言うわけではなく、単に通気性と機動性に優れているので私は気に入ってこれを着用しているのだが、このセーラー服とは、場合によっては正装ともなり得たらしい。
川 ゚ -゚)(ならば、私は順当に行けば信者という立場が妥当なのだろうか)
神のみを信ずるもの達、【信者】。神様の世界の概念存在。
川 ゚ -゚)(……何かのみを信じるか。この、私が。……それも笑えるな)
(=゚ω゚)ノ「姉ちゃん。聞いてる?なぁ、姉ちゃん!」
川 ゚ -゚)「え?あ、すまん。なんの話だっけ?」
(=゚ω゚)ノ「ちゃんと聞いてくれよぅ、ぼくがこんなにも悩んでんのに……罰とか、当たらないかって話だよぅ」
川 ゚ -゚)「あ、あぁ……どうなんだろうな。……あ、一部の言い伝えでは、ユニコーンの血を飲めば不老不死になるって話もあったような……」
(=゚ω゚)ノ「えっ?まじ?あ、でも血か……ちゃんと丁寧に血抜きしたもんね、ぼくら。つくづく残念なことしたよぅ……」
- 13 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 22:17:24 ID:NuyzxYe20
-
川 ゚ -゚)「まぁこんな世界では……不老も不死も、あまり価値のないものだけどな」
(=゚ω゚)ノ「……だね」
川 ゚ -゚)「……」
|::━◎┥ぶろろろろろろ……
この自然の中、歯車王だけがやけにうるさく聞こえた。
- 14 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 22:19:09 ID:NuyzxYe20
-
その時、がこんっ!と音がして。
川 ゚ -゚)「ぐっ!?」
(;=゚ω゚)ノ「ぅわっ!!?」
歯車王が何かにぶつかった。
私はその慣性でハンドル部分に強く押し付けられ、真後ろに居たいようがそのまま背中にぶつかってくる。
その衝撃で、後部にロープでくくりつけていた積荷も少し床に落ちてしまったらしい。
どさどさ、と私の本や保存食が草原転げ落ちてゆく。
川; ゚ -゚)「いたた……いよぅ、大丈夫か?」
(;=゚ω゚)ノ「う、うん」
幸い、馬の歩く速度より少し早いくらいのスピードしか出てはいなかったので二人に怪我は無かったようだ。
いよぅは頭を抱えているが、まぁ大事ではないだろう。
- 15 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 22:24:11 ID:NuyzxYe20
- (=゚ω゚)ノ「でも、どうしたんだよぅ?なんもぶつかるものなんか、ここにはないんじゃ……」
川 ゚ -゚)「……」
川 ゚ -゚)「いや」
先に見つけたのは私だった。雑草生い茂る道だと思えば、事故現場をよく確認すればそこだけ感触が違う事に気付けた。
(=゚ω゚)ノ「あ」
いよぅも気付いたらしい。
その地面には、古びた円形の石造りのナニカ。
何やら芸術的?な紋様まで彫られていている。
人間の世界で似これに似たものと言えば、マンホールというものをよく目にした。
が、まずサイズはその倍はありそうだ。
そしてなにより、そんなものとは比べ物にならないほどの存在感がそこにはあった。
だから二人ともすぐに確信出来たのだろう。
これは私たちが求めていたものの一つだ、と。
辿り着いたという感動からハイタッチの一つでもしたいところだが、案外それを目の前にすると心が重い。
これは、私たちがしようとしている事の重みのせいなのだろうか。
川 ゚ -゚)「入口だな。何かの」
とりあえず一言、いようにむけてそう言った。
- 16 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 22:26:45 ID:NuyzxYe20
- (=゚ω゚)ノ「神様への道かよぅ?」
川 ゚ -゚)「充分あり得る。機密を守り抜く為に地下神殿を用いるという手法は、宗教には付き物だしな」
(=゚ω゚)ノ「あ、それは僕も聞いたことあるよう」
川 ゚ -゚)「とりあえず、開けてみようか」
そうして、私がその蓋(?)に触れたまさにその瞬間だった。
ばちりっ!と。
川; ゚ -゚)「ッ!?」
その静電気のような音と共に、蓋に触れていた私の爪が剥がれ飛んだ。
川; ゚ -゚)「ぐっうううう!!?」
(;=゚ω゚)ノ「ねっ、姉ちゃん!?」
そのあまりの痛みと驚きに、私は思わず後ろに仰け反り転がってしまった。
触れていた指先からは血が湧いて、赤く染まる。
それがセーラー服に大きなシミを作るのを、私は痛みを堪えながら眺めていた。
川; ゚ -゚)「大丈夫。なるほど……結界か。よく考えたら当たり前だよな。迂闊だった」
(;=゚ω゚)ノ「けっかい?それより姉ちゃん、指が……!」
- 17 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 22:29:33 ID:NuyzxYe20
- 川; ゚ -゚)「大丈夫だって。それより、早く。あの剣なら、これを破れるだろう」
(;=゚ω゚)ノ「えっ?あの剣って、『じぇのさいだー』の事?」
川; ゚ -゚)「そんなダサい名前つけてたのかよ……そうだよ。試してみてくれ」
(;=゚ω゚)ノ「う、うん」
いようは背中へと手を伸ばし、それを取り出した。
するりと出てきたのは刃渡り50cm強の摸造剣だ。
(=゚ω゚)ノ「いよっ……と!!」
川; ゚ -゚)「……」
いつ見ても、禍々しい剣だなと感じる。
弟曰く『じぇのさいだー』……しかしどうして私の弟はこうもネーミングセンスが無いんだろう……。
とにかく、この剣は私達の旅を決意させた切札であり、少し不思議な力を持っている。
このくらいの結界なら、難なく破ってくれるはずだ。
いようは剣の切っ先を、その円形の蓋に向けた。
すると。
(;=゚ω゚)ノ「わっ!!」
ばちり、先ほどの紫電が走るような音と共に、蓋はいとも容易く割れ落ちた。
(=゚ω゚)ノ「お……おおおおお……!!」
- 18 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 22:30:52 ID:NuyzxYe20
- 川 ゚ -゚)「よし」
そしてこの剣が有効だという事が、私達が目的地に近付いてる事の何よりの証拠だった。
もしもこの剣が使えなかったら、とも考えていたがそれは杞憂だったらしい。
(=゚ω゚)ノ「姉ちゃん……潰れたよう」
川 ゚ -゚)「ああ、見てたよ」
(=゚ω゚)ノ「……中は……」
川 ゚ -゚)「……」
川 ゚ -゚)「これは、深そうだな」
先ほど私はこの蓋をマンホールと例えたが、まさにその通りのものと言える。
その穴は垂直に空間が空いていて、奥は真っ暗でよく見えない。
そして、その円形の壁に取り付けられているのが。
(=゚ω゚)ノ「はしご……だね、これ」
川 ゚ -゚)「ああ」
構造がマンホールそのものだ。実際のそれは下水道へと繋がっているが、重々に結界で護られたこの先は、果たして。
- 19 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 22:31:54 ID:NuyzxYe20
- (=゚ω゚)ノ「降りてけ、って事なんだよね?これ……さっき姉ちゃんが言った通り、本当に地下神殿があるのかよう?」
川 ゚ -゚)「……まぁ、降りて行こうか。私が先に行く」
(=゚ω゚)ノ「いや、危ないよう姉ちゃん。手を怪我してるわけだし、僕が先に行くよう」
川 ゚ -゚)「いや、いい」
(=゚ω゚)ノ「や、僕なら大丈夫だよう。体強いし、下に罠とかあっても対処出来ると思うよう」
川 ゚ -゚)「いや、別にお前の心配とか全くしてないんだけど」
(=゚ω゚)ノ
川 ゚ -゚)「ただ単純に、下着を見られるのが死ぬほど嫌だから先に降りたい」
(=゚ω゚)ノ
(=゚ω゚)ノ「……ああ、そうですか……」
- 20 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 22:35:31 ID:NuyzxYe20
-
―――とても深くまで降りていった気がする。
何も聞こえない、二人がその鉄の梯子を降りるかつん、こつん、と言った無機質な音以外何もない空間が長い目に続いた。
そしていよいよその音にも飽き始めた頃に、
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚)(お)
唐突に下に、光が見えてきた。
川 ゚ -゚)「……光だ」
そのままその光へと手を伸ばし……否、降りているので正確には足を伸ばし
着いた場所は嫌に神秘的な光に包まれた地下世界だった。
間違いない。ここが神殿なんだろう。
- 21 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 22:40:21 ID:NuyzxYe20
- (=゚ω゚)ノ「ようやく着いた……のかよう」
川 ゚ -゚)「……」
何も言えなかった。
その一室?の光に当てられて、既に私は神と言う存在の力の大きさを肌に感じていたのだろう。
目の前には、巨大な神殿が存在した。
私といようはもちろんそれに近づく。
まるで夜の電灯に引き寄せられる蛾のように、自らの矮小さを確かに感じながらだ。
これが、ななつのひとつ、【神様】のいる世界。
川 ゚ -゚)「……神様」
そう、ぼそりと呟いた。
- 22 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 22:46:04 ID:NuyzxYe20
-
「……なに?」
川 ゚ -゚)「!」
その声に返事があった。
見れば、神殿の上部分。そこにある神前台から、光が降り注いでいる。
「私も、直に人間に呼ばれるのは久しぶりモナ」
そしてそれはついに、形を成す。
( ´∀`)「……どうも」
当たり前だが神々しい、そして優しい存在感。
不定形なのに確かな存在感。
神様は、そこに現れてくれた。
- 23 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 22:55:29 ID:l8nOx7Js0
- (=゚ω゚)ノ「あなたが神様で、間違いないかよう?」
( ´∀`)「いかにも。私が、神ですモナ」
川 ゚ -゚)「なるほど、ね」
( ´∀`)「まぁしかし、こりゃあ驚いた。まさか、今や封印されてる僕に、直に会いに来てくれる熱心な信者さんがまだいたとは。こんな顔だけど、めちゃくちゃ感動してるモナ」
神様は腕組みをしながら、うんうんと頷いた。
なんだか少し勘違いをなさってるようだ。
川 ゚ -゚)「あの……神様。悪いんだが」
( ´∀`)「モナ?」
(=゚ω゚)ノ「別に僕ら、あなたを信仰する者たちじゃないんだよう」
( ´∀`)
(;´∀`)「え、えぇ……なにそれショック……」
神様は、すっごく落ち込んだ。
なんだこいつ。
(=゚ω゚)ノ「え、あ……ごめんね、なんか期待させちゃったみたいで」
(;´∀`)「んだよチクショウ……通りでおかしいと思ってたよ……だいたい最近の信者でこういう直談判決め込んでくるわけないもの……」
そしていじけ始めた。そしてうなだれ始めた。
なんだか、orzみたいになってる。
威厳も何もあったものじゃない。
- 24 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 23:02:08 ID:l8nOx7Js0
- 川 ゚ -゚)「訳あってね、私達はいま、『ななつ』を巡る旅をしているんだ」
その言葉で、いじけ散らしていた神がぴくりと反応する。
どうやらこちらが言いたい事を分かってくれたらしい。
( ´∀`)「……」
( ´∀`)「続きを、聞かせてくれモナ」
川 ゚ -゚)「ああ」
川 ゚ -゚)「平たく言えば、今からあなたを殺したいって事なんだがな」
緊張で手に汗が滲む。だけど、それを悟らせてはいけない。
それに、何をいまさら躊躇うことがあるんだ。
私達は強い覚悟の元、ここまで来たはずだ。
( ´∀`)「……」
( ´∀`)「そう」
神様は、少し悲しそうな顔をしていた。
- 25 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 23:13:08 ID:l8nOx7Js0
- ( ´∀`)「……そう言う割には、君からあまり殺気を感じないけど」
川 ゚ -゚)「……おぉ。よくわかったな。神様ってのは、そういう力も持ってるものなのか?」
( ´∀`)「何を言う。一応、『僕は人を導く全知全能』って形で作られてるんだモナ。人の心を読むくらい、朝飯前モナ」
(=゚ω゚)ノ「……やっぱ神様って、すげーんだなぁ」
川 ゚ -゚)「ばか。んなわけあるか」
(=゚ω゚)ノ「え?」
( ´∀`)「ふふ。そうだモナ。こんな事いいながら、実は今の僕はそんな力、もってないんだよね」
(=゚ω゚)ノ「?」
川 ゚ -゚)「わかるだろ。神様の力の構成単位は……」
川 ゚ -゚)「人間の、『信仰』だからだよ」
- 26 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 23:14:28 ID:CzKIoLwQO
- タイトルに惹かれて
- 27 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 23:23:41 ID:l8nOx7Js0
- ( ´∀`)「そうだよ。『あの日』のおかげで僕は存在を明確に出来こそしたけど……今も昔も、僕の力は僕に心を寄せる人達の人数とその強さに比例するモナ」
( ´∀`)「その昔は人間の心に語りかける事くらい余裕で出来たし、人を生き返らせるくらいの奇跡を起こせたモナ」
(=゚ω゚)ノ「今はもう、何も出来ないの?」
( ´∀`)「うんにゃ、出来るよ。相手が相当な信仰心の持ち主に限るけどね……」
昔は信者でなくとも相手を出来たんだけど、と神様。
それもそうだろう。神様の世界は、「ななつ」の中でも特に弱い存在だ。
信仰心が無ければ神様は力を振るえない。
旧時代の人間はそんな不確かで目に見えないものより、ミサイル一発を信じるようになったの。
だからこんな世界の隅っこの、こんな小さな祠で彼は封印されているのだ。
かつては誰もが願った、あの神様なのに。
- 28 :なったの→なったのだ:2012/09/18(火) 23:30:46 ID:l8nOx7Js0
- 川 ゚ -゚)「この分だと、私達が最初の目的地をこことした意味も無くなったと言っていいようだな」
(=゚ω゚)ノ「……っぼいね」
( ´∀`)「モナ?」
川 ゚ -゚)「なに、あなたに、聞きたいことがいくつかあっただけだ。全知全能で、どんな解をも知ってるというあなたにな」
( ´∀`)「あらら。それは無理な相談モナね。僕はとっくに全知全能ではないもの。天災一つから人間を守る力さえ残ってないモナ」
川 ゚ -゚)「やっぱりか」
( ´∀`)「とは言え、ちょっと気になるモナ」
川 ゚ -゚)「?」
( ´∀`)「よりによって僕にもってくるような質問なんだろ。どんな悩みなのか、少し聞いてみたいモナ」
川 ゚ -゚)「悩みじゃないさ。疑問だ」
川 ゚ -゚)「主に、この世界に関することでな」
- 29 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 23:40:22 ID:l8nOx7Js0
- ( ´∀`)「……たぶん答えられないけど、聞いていいモナ?」
川 ゚ -゚)「いいさ。あなたが完璧な答えを持っていたのなら、あなたを殺さずに済むと希望けど」
川 ゚ -゚)「それももう、ダメなようなんでな」
( ´∀`)「そう。なんでもいいよ私は。もう半分死んでるようなもんだし」
川 ゚ -゚)「……じゃあ、ひとつめの質問」
川 ゚ -゚)「どうして、『あの日』、いきなり、あなた達は生まれてきたんだ?」
( ´∀`)
( ´∀`)「もちろん、わかんないモナ」
川 ゚ -゚)
やっぱり、か。
隣でいようも、同じようなリアクションを取る。
でも、これも予想の範囲内だ。希望のうちの一つが無くなっただけにすぎない。
川 ゚ -゚)「ならば、ふたつめの質問」
- 30 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 23:49:51 ID:l8nOx7Js0
- 川 ゚ -゚)「これは私達の母親の話だ」
( ´∀`)「ほぅ」
川 ゚ -゚)「私達の母親は、もう五年は目覚めていない。仮死状態にある」
( ´∀`)「……?」
川 ゚ -゚)「母の体は健康体そのもの。精神的な疾患も無ければもちろん外傷や内的障害も持ち合わせていない。人の世界の病気では絶対に無いと言える」
川 ゚ -゚)「でも……どんな名医に見てもらえど、他世界にくわしい人に調べてもらえど」
川 ゚ -゚)「母がなぜ突然仮死状態になったのかは、誰もわからなかった」
川 ゚ -゚)「答えてくれ。憶測でもいい」
川 ゚ -゚)「母は……いったいなぜ目覚めないんだ?」
- 31 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 23:57:15 ID:l8nOx7Js0
-
( ´∀`)「……」
( ´∀`)「憶測でもいいのなら……ううん。なんだろうな」
川 ゚ -゚)「なんでもいい。少しでも知ってることがあれば教えてくれ」
( ´∀`)「五年ってことは、あれだよね……最後の戦いが終わり、そして僕らの封印が始まった時」
川 ゚ -゚)「そうだ」
( ´∀`)「……ううん。わかんないな。でも他世界のなにかだよね、たぶん、あるとしたら。……君らの母さん、まったくの普通の人間なのかい?」
川 ゚ -゚)「もちろんだ」
( ´∀`)「ふぅん……?」
その時神様は、明らかに何か言いたげに、
(=゚ω゚)ノ「?」
いようを見た。たぶん、気付いたのだろう。
しかしこの話とは無関係だと言うことにもわかってくれたのか、それには触れないでいてくれた。
( ´∀`)「……ごめん、やっぱり、わかんないな」
- 32 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 00:03:11 ID:Z6./MUfA0
- 川 ゚ -゚)「そうか」
ひと呼吸置いて、
川 ゚ -゚)「残念だ」
私は言った。決別の挨拶を込めて。
同時にいようが、刀を構える。
もう私達の覚悟は決まった。
これから歩く道のりが修羅の道でも、畜生の道でも
必ず最後までやり遂げて見せると、心に誓えた。
( ´∀`)「……いつか、こんな日がくるとは思っていたんだモナ」
神様は言った。彼は天を向いている。
私達人間は、神様に心を寄せる時、必ず天を見上げたものだ。
そこには神様がいて、愚かな人間を優しく見守ってくれていると信じていたからだ。
彼が見上げる空には、なにがいるのだろう。
- 33 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 00:07:59 ID:Z6./MUfA0
- ( ´∀`)「ああ」
( ´∀`)「ちなみにそんな刀を構えなくとも、僕は死ぬモナ」
川 ゚ -゚)「ん?」
( ´∀`)「君が言ったんじゃないか。僕の構成単位は人の心モナ」
( ´∀`)「その剣を持ってる君らなら、ただ心から僕をいなくなれと願うだけで僕は消えるモナよ」
川 ゚ -゚)「そうなのか。それは、何よりだ。心痛い思いをせずに済む」
( ´∀`)「……ほんと、ひどいモナね」
川 ゚ -゚)「……すまないな」
( ´∀`)「いいモナ。僕には、君たちを責められはしないモナ」
- 34 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 00:12:21 ID:Z6./MUfA0
- ( ´∀`)「じゃ、心置きなくやってくれモナ。なんだかんだ、楽しい世界だったよ」
(=゚ω゚)ノ「……かみさま、いいかよう?」
( ´∀`)「ん?」
(=゚ω゚)ノ「あなたは、人間に、裏切られたんだよね?裏切られて、力を失ったんだよね?」
( ´∀`)「うーん……言い方は悪いけど、そういうことかな。僕がいまここまで力を失ってることをみるとね」
(=゚ω゚)ノ「つらく……ないの?」
( ´∀`)
( ´∀`)「つらいよ」
- 35 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 00:16:09 ID:Z6./MUfA0
- (=゚ω゚)ノ「……とっても?」
( ´∀`)「そりゃあね。一度僕を嫌った人は、二度と帰ってこない……例えば君がいま、お姉さんと二人でいるだろ」
(=゚ω゚)ノ「うん」
( ´∀`)「それがいきなり突然、絶対に会えなくなるんだ。そういうものだよ」
(=゚ω゚)ノ
(=゚ω゚)ノ「ぜっ……たい……に?」
( ´∀`)「モナ」
(=゚ω゚)ノ
(=゚ω゚)ノ「……う」
(=;ω;)ノ「うううううう……!!!」
- 36 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 00:21:44 ID:Z6./MUfA0
- (;´∀`)「モナ?」
(=;ω;)ノ「うあ、うあああああ……!!嫌だっ、嫌、そんなのぜったい嫌だ……!死ぬ、もう、死ぬっ、嫌だ!嫌だよう!うううううう……!!」
いようは泣き始めてしまった。神様は、少し困った顔でこちらを見ている。
川 ゚ -゚)「……」
私は無言で頷き、神様をまっすぐ見ていようの刀に隣から手を添える。
(=;ω;)ノ「うっ、ううううう!やだ、離れ離れ、やだ……嫌だ、絶対……!」
川 ゚ -゚)「いよう、落ち着け。大丈夫だ」
( ´∀`)「……」
川 ゚ -゚)「ごめんな、神様。あんたなんか……」
( ´∀`)
( ´∀`)「モナ」
- 37 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 00:23:08 ID:Z6./MUfA0
- ( ´∀`)「それでも私は、人間が好きだったモナ」
川 ゚ -゚)「いなくなれ。」
――――――
―――
―
- 38 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 00:28:33 ID:Z6./MUfA0
- (=;ω;)ノ「うううううう……!!」
川 ゚ -゚)「……いよう。もう大丈夫だ。安心しろ。私はお前を置いてどこかにいったりはしない」
(=;ω;)ノ「うん、やだ、絶対離れないで、おねっ、おねがいっ……!ぼく耐えられない、かみさまは耐えたけど、僕は耐えられない……!!」
川 ゚ -゚)「……」
泣きじゃくる弟を、私は抱きしめた。
私達はこれから、多くに耐えなければいけなくなる。
ただなにがあろうと、私はこいつから離れる事だけは絶対にしてはいけない。
母を救う為に私に着いてきてくれた、この世にただ一人の、私の兄弟なのだから。
- 39 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 00:31:48 ID:Z6./MUfA0
- 川 ゚ -゚)「神様は、消えた。……いこう、次に」
(=;ω;)ノ「……うん」
いようが泣き止んだあと、私達は再び梯子を登り、歯車王の元へと戻った。
簡易テントをひろげ、野宿の準備をした。いようはその頃には立ち直り、野ウサギを狩ってきてくれた。
またツノが生えていたのは、ご愛嬌だ。
- 40 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 00:33:28 ID:Z6./MUfA0
-
―――素直クールの日記帳、一ページ目。
- 41 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 00:40:09 ID:Z6./MUfA0
- 【新世界歴15年175日、雨】
結局、母の仮死状態を治す方法は見つからなかった。
この五年は無駄だったといっていいほどに、時間だけが過ぎた。
私といようは、旅に出、そして必ずや母を救うこととした。
その為に、この世界で起きた事を一からまとめるとする。
- 42 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 00:41:42 ID:Z6./MUfA0
-
まず最初に、新世界歴0年。旧世界歴では、2000年といくつか。
世界に突然、概念が溢れ出した。
- 43 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 00:48:38 ID:Z6./MUfA0
- 私は当時3.4歳ほどであったのでよく覚えていないのだが。
突然、本当にいきなり、世界中にそれまで存在し得なかった概念たちが形をもってあらわれた。
それは神様であったり、それに仕える天使であったり、悪魔であったり、幽霊であったり、
人造人間であったり、様々。
これらは後に、これらはやってきた世界別にカテゴライズされ「ななつ」と呼ばれるようになる。
ななつは、自分たちの居場所を作るため、戦争を始めた。
それは十年にも渡り、ななつとも、凄惨なまでの被害を及ぼした。
特に神様の世界はとりわけ武力が弱く、壊滅状態に。
人間の世界もこの十年で人口が元の一割ほどに減少してしまうという大打撃を受けた。
- 44 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 00:59:16 ID:d02wGbJM0
- 見てるぞ
- 45 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 00:59:24 ID:Z6./MUfA0
-
これではいけないと、ななつは共存共栄の道を歩む事となった。
まぁ、実際はまだわだかまりが残っていて、とても共存と呼べるようなものではないのだが。
そして、ななつは二度と争いを起こさない策として
それぞれの世界の中核を成す存在を封印し、納める事にした。
これは力の封印と同時に、その自らの種族の最も秀でたものを縛る事で、これを壊されたら世界そのものが機能しなくなるという重い誓いの意味もあったのだった。
(もっとも人間という種族はもともと秀でたものがおらず、壊されたら人間世界が機能しなくなるというような存在がいなかったので、この封印は必要がなかったらしい)
- 46 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 01:03:22 ID:Z6./MUfA0
-
そしてその年からなぜか、母は目を覚まさなくなった。
原因は未だにわかっていない。
- 47 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 01:06:02 ID:Z6./MUfA0
-
そこで、私の古くからの恩人である他世界学者が、こう助言してくれた。
「他世界の何かが原因としか考えられない今、封印を潰して、他世界の概念を壊していけば」
「いずれは君の母は目覚めるだろう」。
- 48 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 01:08:09 ID:Z6./MUfA0
- そして私は、王国の宝物庫で眠っていた剣を盗み出して
世界を壊して行く事と決めた。
この旅は、私達が――――――
- 49 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 01:11:02 ID:Z6./MUfA0
-
この幻想世界を打ち壊し、元の現実世界へ母と共に戻るための旅だ。
- 50 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 01:11:55 ID:Z6./MUfA0
-
(=゚ω゚)ノさよならファンタジアのようです川 ゚ -゚)
ひとつめ、了。
- 51 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 01:20:06 ID:d02wGbJM0
- 乙
- 52 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 01:26:41 ID:.gt3oRXg0
- おつん
- 53 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 19:02:28 ID:9vpKaWNU0
- チェンソーで殺すのかと思った
乙
- 54 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 20:02:31 ID:8XUUdnMEO
- 乙!
- 55 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 20:49:49 ID:HQOSxSM20
- てす
- 56 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 10:57:24 ID:GpTuPRPM0
- 世界観がいいねー
乙
- 57 :名も無きAAのようです:2012/10/04(木) 20:55:38 ID:ixFCAgCA0
- 期待
- 58 :名も無きAAのようです:2012/11/02(金) 00:24:18 ID:QRgoz91A0
- まーつーわー
- 59 :名も無きAAのようです:2013/03/13(水) 22:53:08 ID:lZs.Bmkk0
- 【新世界歴15年239日、快晴】
神様を殺してから二週間と四日が経った。
『神様の国』からずっと南へ行ったところに、次の国があるらしいと地図には書いてあった。
それによれば、休火山があるはずなのだけど……。
川 ゚ -゚)「なんだこの緑は」
唖然とする私の目の前に広がるのは樹、樹、樹。
詳しく書けば蔦や葉がわんさと繁る樹海。
とてもではないが、歯車王で進むことなんかできなかった。
(=゚ω゚)ノ「姉ちゃん、すごいよぅ!ジャングルだね!ターザンごっことかできるね!」
川 ゚ -゚)「あ、あぁ、そうだなぁ……」
まさか虫がたくさんいそうだとか、葉にかぶれそうだとかそんな現実的なことを考えていたとは言えなかった。
- 60 :名も無きAAのようです:2013/03/13(水) 22:54:09 ID:lZs.Bmkk0
- そうだ、私たちが住んでいた国にはこんなものはなかったのだ。
初めてこれを見たいようにとっては、きっと格好の遊び場のように思えるのだろう。
でも。
川 ゚ -゚)「遊ぶのはまた今度にしよう、今は進むのが先だろう?」
(=゚ω゚)ノ「……そうだね、」
ふんにゃりとした笑みでいようは言った。
(=゚ω゚)ノ「お母さんが起きたら、遊びに行こう」
川 ゚ -゚)「……そうだな、約束だ」
私ははぐれることのないように、いようの手を繋いだ。
こんな大自然のなかで一人になってしまったら、お互い生きることはできないのだから。
- 61 :名も無きAAのようです:2013/03/13(水) 22:55:27 ID:lZs.Bmkk0
-
(=゚ω゚)ノさよならファンタジアのようです川 ゚ -゚)
「ふたつめ、自然のごんげと脅威のちから」。
- 62 :名も無きAAのようです:2013/03/13(水) 22:56:28 ID:lZs.Bmkk0
- 木の生い茂る場所は涼しいと思っていたが、案外と暑いものであった。
川;゚ -゚)「むしむしするな……」
(;=゚ω゚)ノ「木陰は涼しいのになぁ」
おそらくは風通しが悪いせいなのだろう。
それとも慣れていない自然に触れて、その力に当てられているのか。
(;=゚ω゚)ノ「姉ちゃん、喉が乾いたよぅ」
川;゚ -゚)「そうだな、少し休憩しようか」
たまたま見つけた倒木に腰かけて、一息つく。
ぬるい水はまずいはずなのに、今日に限ってはとてもおいしいような気がする。
(=゚ω゚)ノ「姉ちゃん姉ちゃん」
不意にセーラー服の袖を引っ張られる。
川 ゚ -゚)「どうした?」
(=゚ω゚)ノ「きのこはえてる!!」
きらきらとした眼差しで、いようの指差した先には真っ白なきのこ。
まるで真っ白な天使のよう。
川 ゚ -゚)「きれいだな」
素直に、そう言葉が出てきた。
- 63 :名も無きAAのようです:2013/03/13(水) 22:58:10 ID:lZs.Bmkk0
- (=゚ω゚)ノ「これスープにしたらおいしそうだね」
摘んだばかりのきのこを眺めながらいようが言った。
川 ゚ -゚)「そうだな、今晩はそれもいれてみようか」
そう言った時だった。
「ダメダメ、なっちゃないねえ」
と、上から小馬鹿にしたような声が聞こえたのだ。
(=゚ω゚)ノ「どっ、どこにいるんだよぅ!?」
「こっちさ、こっち」
とさっ、と背後からなにかが着地する音。
( ゚∀゚ )
振り返ると、そこには若い男性がいた。
褐色の肌がやたらと目につくが、なぜだか妙にそれがしっくりきてしまう、不思議な人だった。
(=゚ω゚)ノ「ターザンだー!」
川 - )「っ……」
いようの無邪気な一言に、思わず吹き出しそうになる。
が、どうにか堪えた。
- 64 :名も無きAAのようです:2013/03/13(水) 22:59:33 ID:lZs.Bmkk0
- ( ゚∀゚ )「ターザン?なんだそりゃ」
不思議そうに、その人は呟く。
(=゚ω゚)ノ「ターザンはかっこいいんだよぅ!お兄さんみたいなの!」
そのいようの言葉に、彼は少し視線を落としてはにかんだ。
どうやら照れているようだった。
川 ゚ -゚)「ところであなたは……」
( ゚∀゚ )「オレは自然の王様さ。ここだけじゃない、森羅万象すべての……って言ったら語弊はあるが、自然は全てオレのものだ」
自慢げに語られたそれを、考える。
川 ゚ -゚)「……つまりあなたは、自然の人柱ということか?」
( ゚∀゚ )「まぁそういうことさね。言葉にするのは難しいけど、自然の権化?ってやつだよ」
- 65 :名も無きAAのようです:2013/03/13(水) 22:59:44 ID:BbIPvkL.0
- 支援
- 66 :名も無きAAのようです:2013/03/13(水) 23:00:56 ID:lZs.Bmkk0
- 川;゚ -゚)「この先の休火山にいるんじゃなかったのか?」
( ゚∀゚ )「ああ、そうだねえ。だけどこんな小さいガキがうろちょろしていたら、他のやつらがお前らを飲み込んでしまうからさ」
(=゚ω゚)ノ「飲み込む……?」
いまいち実感の持てないらしい、いようが聞き返す。
( ゚∀゚ )「歩いてて分かんなかったか? この森の息吹を。歩いても歩いても目的地にたどり着けない不安とかさ」
( ゚∀゚ )「夜になれば明かりもないまま森を過ごし、得体のしれない鳴き声に怯え、一睡も出来ずに朝を迎える」
( ゚∀゚ )「疲れた体に鞭を打ち、必死に歩くが雨が降ってさらに体が重くなる。体温は徐々に奪われ思考することもままならずしまいには倒れ伏す。そうしてあっさり人間は死んじまうのさ」
(=゚ω゚)ノ「…………」
吐き出される言葉に、いようはかたかたと体を震わせた。
川 ゚ -゚)「いよう、」
(=゚ω゚)ノ「……でも、僕には姉ちゃんがいる」
川 ゚ -゚)「…………」
- 67 :名も無きAAのようです:2013/03/13(水) 23:03:45 ID:lZs.Bmkk0
- その、純粋な目に光を宿しながら、いようは言い返した。
( ゚∀゚ )「へえ、」
(=゚ω゚)ノ「だから、寂しくない。死んでも一緒だ」
川 ゚ -゚)「おいまて、なんでそこで死ぬことが前提なんだ」
(=>ω<)ノ「あいたっ」
拳で軽く頭をこづくと、いようが小さく悲鳴をあげた。
川 ゚ -゚)「死ぬに死ねないだろう、母さんが起きるまでは」
( ゚∀゚ )「ん?」
怪訝そうな顔をして、彼はこう聞いてきた。
( ゚∀゚ )「なに、母親がずーっと寝たきりなのかい?」
川 ゚ -゚)「ああ、体にはなにもないはずなのに眠ったままだ。五年前から、ずっと」
( ゚∀゚ )「へえ」
興味深げな顔をしたので、母を目覚めさせるためにあちこちの世界を壊しに弟と旅をしに来たのだと、私は説明をした。
( ゚∀゚ )「つまり、それはオレも殺されるってこと?」
川 ゚ -゚)「そういうことになるな」
横目でちらりといようを見る。
いようは、背負っていた『じぇのさいだー』を引き抜いた。
それを見ても、自然の権化は焦らなかった。
( ゚∀゚ )「立派な鉄だねえ。だけどなにかが違うなぁ」
川 ゚ -゚)「違う?」
そう聞き返したのだが、それは彼には聞こえないようだった。
- 68 :名も無きAAのようです:2013/03/13(水) 23:04:56 ID:CRJU/.fo0
- 支援
- 69 :名も無きAAのようです:2013/03/13(水) 23:06:17 ID:lZs.Bmkk0
- ( ゚∀゚ )「そもそもこんな風にななつ、なんていうものができたのがおかしいのさ!」
( ∀ )「どいつもこいつも自然の摂理に反してやがる。なにが魔王だ、なにが魔法使いだ、なにが機械だ。大地も森も空も汚し放題汚して、自然の摂理に逆らいやがる」
拳を握りしめて、地面を見つめながら彼は怒鳴る。
心なしか、空が暗くなってきた。
遠くで雷鳴が聞こえる。
(;=゚ω゚)ノ「姉ちゃん……」
川;゚ -゚)「……大丈夫だ」
雷に怯える弟の手を握りしめて、私は言った。
だけどそんな保証はなかった。
避雷針ばかりのこの森に、雷が落ちない確率のほうが少ないように思えたからだ。
( ゚∀゚ )「お前らもだ」
気付くと、憤怒に燃える真っ赤な瞳が私たちを射抜いていた。
彼は怒っていた。
おそらく、すべてのものに。
( ゚∀゚ )「その鉄の塊も、お前らの母親も、やっぱりオレに逆らってる」
川 ゚ -゚)「……母は」
ぽつり、と肌に滴が落ちた。
川 - )「母は、逆らいたくて自然の摂理に逆らったわけじゃない」
それはどうも、涙じゃなくて、雨だったらしい。
- 70 :名も無きAAのようです:2013/03/13(水) 23:09:30 ID:lZs.Bmkk0
- ( ∀ )「…………」
川 - )「みんな分からないんだ!神様にも答えられないのに、どうして母が、あんたに逆らわなくちゃいけないんだ!!」
だけどやっぱり、私は泣いていたのかもしれなかった。
( ゚∀゚ )「……悪かったな、カッとなっちまった」
やれやれ、というように彼は言った。
( ゚∀゚ )「刺せ。そうすりゃオレは人間の言いなりだ」
(=゚ω゚)ノ「言いなり……」
( ゚∀゚ )「言いなりさ。昔っからそうだ、あったものを食い潰してあまつさえ飼い殺しにしていくんだから、人間は一番タチが悪い。だけどな」
(=゚ω゚)ノ「?」
( ゚∀゚ )「忘れるなよ、オレたちはものこそ言わねえが手を下すこともあるんだ。お前がさっきまで食おうとしてた死の天使のようにな」
(=゚ω゚)ノ「……うん。わかったよ」
いようが、剣を振りかぶる。
( ゚∀゚ )「じゃあな、ガキども」
川 ゚ -゚)「さよなら、自然の権化」
- 71 :名も無きAAのようです:2013/03/13(水) 23:10:26 ID:lZs.Bmkk0
- 気付けば雨は止んでいた。
(=゚ω゚)ノ「姉ちゃん、森を抜けようよぅ」
川 ゚ -゚)「ああ……」
びしょ濡れになったセーラー服の裾を絞りながら、私は返事をする。
風邪をひいてしまわないだろうか?
いようは昔と違って、体が丈夫だから、心配しなくても平気だとは思うのだが。
川 ゚ -゚)「まぁそれならそれで、仕方がないか」
(=゚ω゚)ノ「なにが?」
川 ゚ -゚)「風邪をひくのもきっと自然の摂理なのさ」
私の言葉にいようは不思議な顔をする。
冗談のつもりだったのだが、それが通じないと言うのは、少し恥ずかしい気持ちになるのだった。
川 ゚ -゚)「なんでもないから、早く出ようか」
(=゚ω゚)ノ「あっ、ごまかしたー!」
はやし立てるようないようの声をしり目に、私はもと来た道を歩き始めたのであった。
- 72 :名も無きAAのようです:2013/03/13(水) 23:11:14 ID:lZs.Bmkk0
-
(=゚ω゚)ノさよならファンタジアのようです川 ゚ -゚)
ふたつめ、了。
- 73 :名も無きAAのようです:2013/03/14(木) 00:07:26 ID:0jzCZnug0
- おつ
- 74 :名も無きAAのようです:2013/03/14(木) 02:09:57 ID:vsWOgUK60
- おつ
今回は短いのな
- 75 :名も無きAAのようです:2013/03/14(木) 08:46:07 ID:s.id2ikE0
- おつー
- 76 :名も無きAAのようです:2013/03/14(木) 10:18:43 ID:925EyR7U0
- 待ってた!この世界観好きよ
乙ですー
- 77 :名も無きAAのようです:2013/03/19(火) 16:44:49 ID:QEv4u4zA0
- 来てたとはしらなんだ
乙!
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