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( ´∀`)いかれたかがくのようです- 1 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 00:24:22 ID:KtI0rtk20
-
「おい起きろ! 新発明だ!」
今朝もその声で僕は目を覚ます。寝ぼけ眼をこすって起き上がると、
鎖骨まで垂れ下がった赤毛を振りみだして、白衣の少女が僕の体を揺すっていた。
从 ゚∀从「これを見てくれ! どう思う?」
( ´∀`)「またですか所長……」
从#゚∀从「なんだそのリアクションは! ばかにしてんじゃねーぞ!!」
(;´∀`)「いえそんな事は、滅相もない…」
从 ゚∀从「新開発の秘密兵器、オドロキトリップバスターだ!」
( ´∀`)「何ですか、その除草剤みたいなネーミングセンスは……」
从 ∀从「名前の話はやめ……///」
(;´∀`)「デレたふりしたって無駄ですよ……」
从 ゚∀从「チッ、つまんねーの ほら、はやく起きて、早速こいつの性能を実地で試そうぜ!」
( ´∀`)「一体何なんですかそいつは?」
- 2 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 00:24:58 ID:jCF2211s0
- かがくのちからってすげー
- 3 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 00:25:18 ID:KtI0rtk20
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第一話 いかれたけんきゅうじょ
- 4 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 00:26:08 ID:KtI0rtk20
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まあ皆もう気づいてると思うけど、一応、研究機関である。
自ら研究、開発、製品化までやる。そこらの大企業並だ。
人員 5名
どうやら頻繁に魔法か未来テクノロジーの類が行使されているとしか思えない規模である。
所長はこの人 从 ゚∀从
一見するとその、つまり、あれだ、ロリっ子である。身長130cm無いんじゃあないかな。
だが賢明な諸君はもうお分かりかと思うが、その属性だけで安易に行動を起こそうとするのは間違いだ。
从 ゚∀从「なに試せばわかるって! いくぞ〜」
( ´∀`)「はあ……」
从 ゚∀从「スイッチON はぁーと」
『( ´∀`)え、ちょ、ナニコレ? ええ?』
从 ゚∀从「おっ! どうやら成功のようだな!」
『(;´∀`)一体どうなっているんですかこれ??』
从 ゚∀从「その名の通り、驚きとともにトリップする新兵器だ! なんとトリップ先はズバリ本! 二次元!!!」
('A`)「……言い値で買おう」
- 5 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 00:27:25 ID:KtI0rtk20
-
从 ゚∀从「毎度あり!」
『(;´∀`)バスターはどこいったんですか!?』
从 ゚∀从「バスターはなんとなくカッコイイかなと思って、イケてるだろ!?」
『(;´∀`)これは酷い……。しかしどうなってるんですか、科学技術とかそういうレベルじゃ無いですよ!?』
从 ゚∀从「ハハハ、天才のアタシにしかできん御業だ、存分に堪能してくれたまえワトソン君」
『( ´∀`)堪能って……。どんな話に放り込んだんですか?』
从 ゚∀从「エロ展開ありのハーレムものだ」
『なん…だと……。僕は心臓の鼓動が高鳴るのを感じた。』
从;゚∀从「うわ、こいつ期待してやがる……」
『( ´∀`)ちょ、地の文によるモノローグ暴露とか 公開処刑すぎる!』
从 ゚∀从「こんなのは序の口だよ! アンタは、こちらから見ると文字列でしか無いんだぜ? ここをこうしてと……」カキカキ
『モナー謎の傷を負う。』
『(;´∀`) 痛ッ!ナニコレめっちゃ痛いんですけど! ちょ折れてないこれ!?』
从 ゚∀从「よくできてるなあこれ! あ、そういえばそこは白紙のノートだからエロもハーレムも何も起こらないよ」
『(#´∀`) 精神と時の部屋ですねわかりますよ……』
- 6 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 00:28:16 ID:KtI0rtk20
-
ほら、よく見てほしい。魔法が解けたことだと思う。
いかにロリ属性などという卑劣極まりない魔法を使ったところで、そもそもこれっぽっちの可愛げもないのだ。
大きすぎる白衣の裾を引きずっているとか、袖が余って垂れ下がっているだとか、
体に見合わない大きな実験器具を両手で一生懸命抱えて持ち運んでいるとか、そんな見かけに騙されてはいけない。
そもそもこのロリも過去の実験の副作用なだけで、元はロリでもなんでもないんだ。
もっとも、ロリ化した後で、「赤毛のロr……所長がいる研究所はここか?」などといいながら押しかけてきて、
そのままここの研究員になった命知らずのロリコン野郎がいないわけじゃないけど。
( ・∀・)「へっくしッ!」
('A`)「お、どうした夏風邪でも引いたか?」
( ・∀・)「ううん、そうじゃないみたいだけど……」
このロリコンめ役割を交代しろ。
さて、僕らは何をしているのかというと、それはもう研究開発なのだが。
今は主に、正義のヒーローや悪の怪人が使う便利道具や武器のたぐいを扱っている。
昨今の正義ヒーローと悪の地下組織とで行われている抗争は熾烈を極め、
自分たちのような手弁当で研究開発に勤しんでいる弱小…
从 ゚∀从 「……」
……ゲフンゲフン、独創的かつ精鋭揃いの機関に声がかかるのは当然の成り行きであった。
- 7 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 00:29:04 ID:KtI0rtk20
-
(;´∀`)「地の文を無言で威圧するのはやめてください……」
从 ゚∀从「いや何、ちょいと不愉快な波長をあの辺から感じ取ったので、睨みを効かせてやっただけだ」
(;´∀`)「そうですか……」
相変わらずとってもフリーダムな人だ。いつかストラ◯ク・フリーダムへとバージョンアップし、
このお話の主人公を乗っ取るのではないかと僕は日夜、戦々恐々としている。
自由で破天荒でアイ・アム・ジャスティスな所長らしくその方針も少々アレだった。
ズバリ、ヒーロー、怪人の双方に技術提供する。クルップやアナハイム並の悪どさである。
( ´∀`)「……あれ? 元に戻ってる?」
从 ゚∀从「どうやら一回のトリップは5分くらいしか持たないみたいだな」
('A`)「!?」
从 ゚∀从「しかも一回分のエネルギー消費が予想とは桁違いに多い、動力系の劣化速度も異常だ……」
( ´∀`)「何処かの係数の桁間違えたのでは? 小数点見落としたり0つけ忘れたり」
从 ∀从「い、いうなし///」
それにしてもこの所長、ロリ魔法だけでなくドジっ子魔法も使えるというハイスペックぶりである。
- 8 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 00:29:48 ID:KtI0rtk20
-
从 ゚∀从「動力系に希少鉱物を使っているから、その摩耗と電力消費を考えると費用が天文学的数字になる」
( ´∀`)「どのくらいに?」
从 ‐∀从「24時間連続で使ったら、1万円札を積み上げて多分地球から月までいける……」
('A`)「……ウツダシノウ」
( ´∀`)「使いもんにならないじゃないですか……」
从 -∀从「予想値では一回の耐久時間12時間 電力消費はプラズマテレビ並、動力系の摩耗交換スパンは240,000時間ごとだったのよ」
(;´∀`)「人類二次元化計画でもはじめるつもりだったんですか?」
从 ゚∀从「いやあ、影響とかあんま考えてなくて、できるならやろう! 的なノリで……」
( ´∀`)「……」
ときとしてその奔放さに一抹の不安を僕は感じる。研究所の明日はどっちなのかとても気になる。
これでも両陣営に食い込むという死の商人ぶりを発揮してからはそれなりに利益を出していて、
ここが潰れてしまったら僕は路頭に迷うことになる。
我が身可愛さに研究所の行末を思い悩みながら、今日も一日がはじまる。
- 9 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 00:30:29 ID:KtI0rtk20
-
从 ‐∀从「はぁ……」
( ・∀・)「あれ、所長元気ないなー」
( ´∀`)「「!?」」 ('A`)
从 ‐∀从「だってー、上手くいくと思ったのになあ……」
( ・∀・)「見てたけど結構惜しかったじゃん、次はいいのができるって!」
ピキィ――( ´∀`)―√レ─ww―('A`)――ン!!
('A`)「動きよったでぇ……!」
( ´∀`)「……そのようだな」
('A`)「あのロリコン野郎、所長が弱ったところを一気に落としにきたな!」
( ´∀`)「ぬうう……卑劣漢め! なまじイケメンだからといって調子に乗りおって!」
- 10 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 00:31:42 ID:KtI0rtk20
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川 ゚ -゚)「……君たち何を熱くなってるんだ?」
('A`)「ハッ!有事に備えた合同軍事演習中であります!マム!」
( ´∀`)「その折、仮想敵国からの軍事的挑発があり、警戒を強めております!マム!」
川 ゚ -゚) (大丈夫かこのラボ……)
川;゚ -゚)「ほ、ほう、して有事とは?」
('A`)「あちらをご覧に!」
川 ゚ -゚)「……なるほど優男がロリっ娘を口説こうとしているな」
( ´∀`)「イエス!マム!」
川;゚ -゚)「よ、よし、オペレーションメテオ発動だ! おーるうえぽんずふりー 武器の使用を許可する!」
('A`)「アイ!マム! オールウエポンズフリー オペレーションメテオ状況開始!」
( ´∀`)「状況開始!」
〜 BGM just communication 〜
そして目標に向け殺到していく時空間改変ミサイル。メーザー兵器の集中放射。
大気がプラズマ化し、紅蓮の炎が敵をなぎ払う。
われらが天才所長の手遊びで創りだされた科学の結晶達が唸りを上げる。
川;゚ -゚)(すごいところに来てしまった……)
- 11 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 00:32:25 ID:KtI0rtk20
-
だが、優男は対抗時空間偏移断裂を多重同時展開。
全てが亜空の闇に飲み込まれていく。
(;´∀`)「目標にダメージは認められず!」
(;'A`)「有効攻撃手段無し! 撤退を進言します!」
川;゚ -゚)(適当に調子を合わせていたらなんだかエライことになってしまった……)
川 ゚ -゚)「よしッ!撤退戦を敢行する! 貴様らは殿だ! あのクソッタレを食い止めろ!」
( ´∀`)「イエス!マム!」 ('A`)
( ・∀・)「……あのさあ、何してるの?」
川;゚ -゚)「い、いや、あっあの、その……」
('A`)「またまたご冗談をマララーさん、おっと失礼モララーさん」
( ´∀`)「所長と熱心に話し込んで、いくら呼びかけても返事がないもので気を引いてみました」
('A`)「ほらお客さんですよ」
(#・∀・)「……」
川;゚ -゚)(しれっととぼけやがった!コイツら常習的にッ……!)
- 12 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 00:33:06 ID:KtI0rtk20
-
川;゚ -゚)「さ、採用面接に来たクーと言います」
( ・∀・)(女性! 美人!)
( ・∀・)「わざわざようこそ、どうぞおかけになって」
( ´∀`)「「!?」」 ('A`)
川 ゚ -゚)「ありがとうございます、失礼します」
( ・∀・)「ではまず簡単に自己紹介してください、そのあとで趣味など教えてください。出来れば好みの料理なども……」
川;゚ -゚)(料理??)
ピキィ――( ´∀`)―√レ─ww―('A`)――ン!!
从 ゚∀从「ん? 何やってんだお前ら?」
そして、世界は流転し、日常は繰り返されては巻き戻され、また続く……。
- 13 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 00:34:06 ID:KtI0rtk20
-
今日のおさらい
从 ゚∀从 所長 フリーダム・ロリ・ガン◯ム
( ・∀・) 世界有数の研究開発機関R&Dインスティチュートから、ロリ所長目当てに移ってきた炎のロリコン野郎。ロリ専というわけでもないらしい
('A`) 謎のゲスト 部外者
( ´∀`) 主人公(仮) 語尾にモナがついてないのは仕様です
川 ゚ -゚) 採用試験に来た新人 状況に飲まれた
今日の格言
充分に発達した科学技術は魔法と見分けが付かない。 アーサー・C・クラーク(SF作家)
ゆえに、魔法と見分けが付くのは未熟な科学技術であり、それは我々が求めるものではない。 ハインリッヒ・ハイネ・ハイン(ハイン研究所所長)
第一話 おしまい
川 ゚ -゚)b「次回もマッドサイエンス!」
- 14 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 00:36:12 ID:R0zO/xCAO
- なにこれおもしろい
主人公(仮)、一話目にしてまさかの人物紹介3人目とかどういうことなの…?
- 15 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 00:37:47 ID:R0zO/xCAO
- よく見たら4人目だった、失礼
- 16 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 01:17:26 ID:idIX/EjQ0
- 面白いな。支援
- 17 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 01:19:38 ID:2UQqWO3Q0
- 軽いノリがいい。乙乙ー
- 18 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 01:26:41 ID:8zK5VMq.0
- ドクオ部外者かよwww
- 19 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 01:31:10 ID:tz7HYp6w0
- ハインが科学者だとMADな研究所思い出すな
乙だった
- 20 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 03:08:36 ID:l0/WvHwYO
- >>14
種死の悪口はやめてさしあげろ
まああれの主人公は3話ぐらいまで持ったが
- 21 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 13:48:04 ID:wwODdNuU0
- 確かにMAD研思い出すな
まあ、それとは違った感じにはなりそうだし、続きに期待だ
乙
- 22 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 00:18:55 ID:6YA4K2Es0
-
「おい起きろ! 新発明が……うわぁ!」
そのロリヴォイスとともに、至上の夢を抱えていた僕の両手は空をさまよい始め、掛け布団へと墜落した。
絶世の美少女と熱い抱擁を交わすシーンから急転直下、いつもの朝である。
ただ少しばかり違和感を感じなくもない。顔に奇妙な感触がまとわりついている。
(つ∀`)「……?」
( ´∀`)「何ですか、この緑色の液体は……?」
从*゚∀从「えへへっ……」
(;´∀`)「可愛気を出して誤魔化そうとしないでください! ものすごく不安になります!」
从 ゚∀从「……では正直に言おう、お前はもうダメだ」
( ´∀`)!?
从 ‐∀从「男としてのお前はたった今終わった……」ナムナム
(;´∀`)「え? ちょ……、ハァ!?」
- 23 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 00:19:41 ID:6YA4K2Es0
-
第二話 えいきゅうきかん
- 24 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 00:20:24 ID:6YA4K2Es0
-
(;´∀`)「どういうことですか!? 状況の説明を求めます!」
从 ∀从「すまないモナー、愚かなアタシを許してくれ……」
(;´∀`)「やめてください、まるで葬式じゃないですか!」
从 ゚∀从「うーんと、その液体は遺伝子細胞蛋白質組成改変溶液という感じのものだ」
( ´∀`)「意味内容がサッパリ頭に入ってこないんですけど……」
从 ゚∀从「まああれだ、遺伝子やら細胞やらの組成を改変する液体だ。白衣の裾につまずいてこぼしてしまった」
( ´∀`)「……」
かがくのちからってすげー。
だが今は感心している場合ではない。事は我が身に降りかかっているのだ。
( ´∀`)「……それでどう改変されるんですか?」
从 ゚∀从「検証データがないからなんとも言えないけど、設計上は生殖機能がなく脊椎のある動物になる予定」
- 25 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 00:21:15 ID:6YA4K2Es0
-
(;´∀`)「無生殖動物!?」
从 -∀从「すまないと思っているがコレも平和のためだ」
从 ‐∀从「未知の人工生命体が異常繁殖したり既存のものと交配しても困る」
从 ‐∀从「一代限りは定め、かがくしゃの業だ許せとは言わん。ゆえに男としてのお前は終わったのだ……」
( ´∀`)「なんでそう変なところで律儀なんですか!」
( ´∀`)「だいたい、あなたはそんなぶかぶかな白衣をモナモナッ!」
(;´∀`)!?
从 ゚∀从「改変が始まったみたい、しゃべることはできないようだな」
(;´∀`)「モナーモナッモナ!」
从;゚∀从「何をいってるのかサッパリだ……」
- 26 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 00:22:10 ID:6YA4K2Es0
-
从 ゚∀从「そうだなあ、見た目は白一色のパンダみたいだな、なかなか愛らしいぞ」
从 ‐∀从「どれ、もふもふさせろやー!」
ハ. ハ
モフモフ 从 ‐∀从´∀`';!!
从*‐∀从「ヤダ……、結構気持ちいいじゃないか……」モフモフ
ハ ハ
';*´∀`';
言葉は失えど我が魂の叫びまでは奪えない。ゆえにその鼓動が熱きパトスとなって諸君らにこれを伝えるのだ。
いつどこで何をどう間違えたのか、僕はあろうことかロリっ子にもふもふされている。言うまでもないが、美少女だ。
苦節2X年、我が世の春が来た。もうずっとこのままでいい、そう思い始めている自分がどこかに居る。
从 ゚∀从「それじゃあ、ちょっと出かけてくるからおとなしくしてろよ」
ハ ハ
';*´∀`'; モナ!
壁|・∀・)… クソガ!('A`|柱
壁| ・∀)!! ('A|柱
壁|∀・)… スッ�槇�|柱
壁|≡3ササッ |柱
- 27 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 00:22:56 ID:6YA4K2Es0
-
(#'A`)「おうおう! なんだこの醜い生き物は!」
ハ ハ
';*´∀`';!?
(#'A`)「野良犬かぁ!? 近場に保健所はないし、しょうがねえなあ時空間改変ミサイルで処分するか!」
ハ ハ
';;´∀`';「モナッモッモナー!」(やめろドクオ僕はモナーだ!)
(#'A`)「僕モナだと? それはブーン系のお話だろうが! なめてんのかコラ!」
ハ ハ
';;´∀`';(こいつ話し通じてんじゃねーか、特殊能力持ちかよ!)
ハ ハ
';;´∀`';(所長がいない今、ここは三十六計逃げるに如かず!)
(#'A`)「おッ! 待ちやがれこのワン公!!」
ロリっ子の普段見せないあまりの愛らしい態度に正気を失いかけたが、
よくよく考えてみると、至極当然のことながら、このままでいいはずはない。
何かと不便だし、命あっての物種。時空間改変ミサイルをくらうのなんて、まっぴら御免だ。
どうにかしなければ。
- 28 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 00:24:14 ID:6YA4K2Es0
-
ハ ハ
';. ´∀`';「……モッモナ」(……やべぇマジで喋れないぞコレ)
( ・∀・)「やあモナー君」
ハ ハ
';;´∀`';!!
( ・∀・)「いや何、ちょっとお話でもしようと思ってね」
ハ ハ
';. ´∀`'; ……
( ・∀・)「僕としては、君にはその調子で所長に可愛がってもらって、所長の秘密なんかを集めてもらいたいんだよね」
( ・∀・)「所長にお近づきになるべく、ね……」
( ・∀・)「そうすればまあ、ドクオ君からは保護してあげようじゃないか」
あなたが孔明か。
ずいぶんとまあ、汚い孔明がいたものだと思う。汚い、さすが汚いぞモララー。
ハ ハ
';#´∀`';「モナモッモナッ!」(だが断る!)
( ・∀・)「……なにを言ってのるかわからないけど、全身から敵意みたいなものを感じるや」
( ・∀・)「交渉決裂か、実に残念だよモナー君」
不意に優男の周囲の空間が歪み始める。
時空間偏移断裂を発動させるつもりだ。なんのかんのといっても所長とモフモフしてたのが気に食わないのか。
- 29 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 00:24:56 ID:6YA4K2Es0
-
速やかに展開されていく時空間偏移断裂。
亜空の闇がその大口を今や開かんというさなか、場に凛とした声が通る。
川 ゚ -゚)「おはようございます」
その声を聞くやいなや時空間の裂け目はたちどころに消え、いつもと変わらない日常が動き出した。
見事な切り替えである。いや、まあ、感心してる場合じゃないのだけれども。
( ・∀・)「おはよう、今朝も綺 ('A`)「ぐっどもーにんぐであります!マム!」
川;゚ -゚)「う、うむ……」
ハ ハ
';. ´∀`';「モナモナ!」(おはようございます、クーさん)
川 ゚ -゚)!?
川 ゚ -゚)「何ですか、この珍妙な生き物は?」
( ・∀・)「ああ、これですかこれは ('A`)「哀れな実験動物モナーの成れの果てであります!マム!」
(#・∀・)「……」
ハ ハ
';#´∀`';「モナッ! モナモナ!」(哀れみの目で見るのはやめろ!)
川*゚ -゚)「……可愛い」
ハ ハ
';*´∀`';!!
- 30 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 00:25:55 ID:6YA4K2Es0
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ズキュ――(; ・∀・)――('A`;)―――ン!!!
(; ・∀・)「ドクオ君、ちょっと話があるのだが……」
(;'A`)「奇遇だなモララー、こっちもちょうど話しがしたいと思っていたところだ……」
(; ・∀・)「……この非常時だ、お互い過去は水に流して休戦といかないか?」
(;'A`)「やむを得まい、今は一致団結して巨悪を叩く時だ……」
(; ・∀・)「では……」
(;'A`)「うむ……」
`¨ − 、 __ _,. -‐' ¨´
| `Tーて_,_` `ー<^ヽ
| ! `ヽ ヽ ヽ
r / ヽ ヽ _Lj
、 /´ \ \ \_j/ヽ
` ー ヽイ⌒r-、ヽ ヽ__j´ `¨´
 ̄ー┴'^´
そのようにして仇敵モララーとドクオは、僕憎しの一心で心を通わせた。米ソ雪解けに並ぶ歴史的瞬間である。
もしかして世界は、皆の敵となる様な途方もない巨悪がいたほうがかえって平和なのではと、少し考えさせられる。
世界平和ってなんだろうか。
- 31 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 00:26:44 ID:6YA4K2Es0
-
('A`)「して、モララー殿、どのような手を?」
( ・∀・)「直接始末するのはもうまずい、クーさんが来たし所長がいつ帰ってくるかわからない」
('A`)「確かに……」
( ・∀・)「厳しい道だが、やるしか無い……。あの毛むくじゃらを元に戻すッ!」
('A`)「なんと! そんなコトが!?」
( ・∀・)「いく手には幾つもの困難が待ち受けているだろう……。
だが! やってやれないことはないッ! その精神が科学を進歩させたのだッ!」
('A`)「ヘヘッ……、お伴しやすぜ旦那!!」
いつの間にか熱血キャラと化したモララーにあてられて、ドクオの目にまで火が点くのがここからでも見て取れる。
一体そのエネルギーをいつもは何処で浪費しているのだろうか。
かくしてモララーとドクオは、あらん限りの熱量を注ぎ込んで僕を元に戻しはじめる。
DNA組成の鑑定。所長の組み上げた溶液の残滓の採集分析。
そこから逆算した再改変溶液の設計。僕の部屋から集めてきた以前の体組織との情報すり合わせ。
他にも語るべきお話はいくつもあるのだが。まあ省略しても問題はないと思う。
その結果は以下の通リだ。
- 32 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 00:27:47 ID:6YA4K2Es0
-
从 ゚∀从「ただいまー。モナー、いい子にしてたかー?」
( ´∀`)「おかえりなさい所長」
从 ゚∀从「えっ、お前……、あれ!?」
( ´∀`)「……モララーとドクオが己の命も顧みずにやってくれました」
从 ゚∀从「まじか……」
( ´∀`)「ほら、残念そうにこちらを見てるクーさんの横で、真っ白になっているのがモララー」
( ´∀`)「向こうにある灰の山がドクオです」
从 ゚∀从「あー……」
( ´∀`)「獅子奮迅、弓三連射、鉄砲三段の活躍でした」
从 -∀从「…………」
从 ゚∀从「えいっ!」
理不尽にも、再度僕に襲いかかる緑色の液体、その感触は何処か懐かしい。
(つ∀`)「ちょ! 何してんですか! やっと元に戻れたのに!」
从*‐∀从「だってー、もふもふしたいんだものー」
- 33 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 00:28:48 ID:6YA4K2Es0
-
ハ ハ
';#´∀`';「そんな身勝手が許さるとモナモナ!」
ハ ハ
';;´∀`'; ……
从*゚∀从「もふもふー、もふもふー」
高位精霊術なみのロリ魔法を投射しはじめながら所長が歩み寄ってくる。
川*゚ -゚)
あろうことか別の方面からも熱視線が送られ、いよいよ場は混迷を深める。
そして再び勇者が立ち上がるのであった。
みるみるうちに雪のような白が色づき始め、他方、灰の山が再構成を開始する。
エントロピーなど彼らの前では、光の前に立ちはだかるヒッグス粒子のようなものだ。
そんなものでは俺達を止められやしない。そう言わんばかりに。
そしてまた巻き起こるドタバタの連続に僕は否応なしに巻き込まれていく。
まるでこの研究所がその種のドタバタを生産し続ける機関であるかのように。
- 34 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 00:29:52 ID:6YA4K2Es0
-
今日のおさらい
从 ゚∀从 ロリ所長 熱狂的もふもふ主義者
( ・∀・) 所長目当てにやって来た炎のロリコン研究員 汚い策士 眠れる熱血漢
('A`) 謎の部外者 未だ正体不明 動物とお話できるよ
( ´∀`) 主人公(仮)
川 ゚ -゚) 新人 採用されたらしい、詳細は後日か もふもふ愛好家
今日の格言
この素晴らしい応用科学は労働を軽減し、生活をより豊かにしながら、なぜ我々に幸福をもたらしてくれないのか。
答えは簡単である。我々がそれを有意義に利用するにいたっていないからである。
アルベルト・アインシュタイン(物理学者)
したがって、科学技術によってもたらされる幸福はその運用にかかっており、
有意義な利用法を発見するまでは試行錯誤、挑戦あるのみである。条件を変え、たとえ何度でも。
ハインリッヒ・ハイネ・ハイン(ハイン研究所所長)
第二話 おしまい
('A`)ゝ「次回もマッドサイエンス!」
- 35 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 03:02:24 ID:lRNhU1CoO
- ヒッグス粒子とはナウな話題ですな
- 36 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 04:42:44 ID:wr/v/jyU0
- ドクオの復活に失敗してロストさせようぜ
- 37 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 07:16:23 ID:6YA4K2Es0
-
( ´∀`)そういえばMADな研究所の話がちらほら、二話で早くも大幅にクオリティダウンした拙作とは比べようもない傑作ですねアレは、おすすめです
( ´∀`)自分の中のハイン=科学者イメージは、MADな研究所とサンライズ・ロマンチックあたりの影響です、はい
( ´∀`)次は来週末くらいになりそうです
- 38 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 07:36:13 ID:/3D6w6t.0
- 謎の薬でドクオ性転換させようぜ
- 39 :名も無きAAのようです:2012/07/06(金) 08:52:25 ID:LFwF43dA0
- 女→男→アーッ!!
- 40 :名も無きAAのようです:2012/07/08(日) 21:13:59 ID:OGBJr85U0
- おつおつ
- 41 :名も無きAAのようです:2012/07/15(日) 15:38:35 ID:GSjTJo3s0
- 某所で名前挙がってたから読みにきたよ
おつー
- 42 :名も無きAAのようです:2012/07/19(木) 15:40:57 ID:tF4RSb4Q0
- どうも、さくしゃです。
自分で言った投下日を守れなくて申し訳ない
でも3話の出来がどうしても気にいらないので書き直しています
今週末には投下できたらいいなあと思ってます
- 43 :名も無きAAのようです:2012/07/19(木) 16:03:32 ID:WcACVLbo0
- のんびり書けばいいのよ
- 44 :名も無きAAのようです:2012/07/22(日) 20:44:20 ID:gHNv12Z20
-
( ´∀`)「じゃあ、行ってきます」
从 ゚∀从「しっかりやってこいよー!」
( ・∀・)「おみやげ、忘れないでね」
('A`)「生きて帰ってこいよ……」
( ´∀`)「そんな大げさな…… ただの営業モナ!」
(;´∀`)「……」
そう、あれから後も続いたドタバタのおかげで、少しばかり変な口癖がついてしまったのだ。
これから商談だというのに、困ったものである。
まあ、そんなわけで、僕は今から新製品の打ち合わせに行くところなのだ。
なにも研究所でドタバタしてるだけが僕の存在意義ってわけじゃない。
向かう先は悪の地下組織、その本部である。
研究所のジェットフライヤーで一時間ほどかけて巨大な岩山の中に作られた要塞へ。
入用口でアポイントメントを提示して颯爽と受付に向かう。
- 45 :名も無きAAのようです:2012/07/22(日) 20:45:19 ID:gHNv12Z20
-
第三話 あくのちかそしき
- 46 :名も無きAAのようです:2012/07/22(日) 20:46:03 ID:gHNv12Z20
-
( ´∀`)「こんにちはー」
川 ゚ -゚)「ようこそ悪の地下そs……!?」
( ´∀`)!?
川;゚ -゚)「……失礼しました、悪の地下組織へようこそ」
( ´∀`)「クーさん……ですよね?」
川;゚ -゚)「失礼ですが、人違いではないでしょうか? 私は素直という名前でして……」
( ФωФ)「おやぁ、クーくん 来客かね?」
( ´∀`)「……」
川;゚ -゚)「…………」
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚)「わたくし素直クールともうします どうもはじめまして どうか以後お見知りおきを」
(;´∀`)「もうそれでいいです……」
(;´∀`)(一体どうなってるんだモナ……)
- 47 :名も無きAAのようです:2012/07/22(日) 20:46:58 ID:gHNv12Z20
-
( ФωФ)「やや! 君はハインくんのところの!」
( ´∀`)「モナーといいます、今日は新製品の件でお話があると伺いまして……」
( ФωФ)「ほらほらー、そんなにかしこまらないでー ハインくんのところやつにはいつも世話になってるからさぁ」
( ФωФ)「最初はちょっと扱いが難しいんだけど慣れるとすごいよねぇアレ」
(;´∀`)「恐縮です……」
――杉浦ロマネスク。
悪の地下組織の大幹部にして、我らが所長の気の違った発明品を見事に使いこなす怪物である。
勝手知ったる僕でさえ、いささか持て余しているというのに、いったいどういうことなのだろう。
英雄は英雄を知る、というやつなのかな。
( ФωФ)「そうそう、それでさあー 近頃、正義ヒーロー達がなんだか勢いづいてるんだよねぇ」
( ´∀`)「と、おっしゃいますと?」
( ФωФ)「最近アイツらすごくてさぁ…… この間も、そりゃあもう とんでもないアレがズギャーン! ドババーン!!って、流石の我輩も手を焼いたよ」
(;´∀`)「そうですか……」
なるほど、さすがに大幹部というだけのことはある。
僕のような凡人にはさっぱり意味がわからない。
- 48 :名も無きAAのようです:2012/07/22(日) 20:49:10 ID:gHNv12Z20
-
( ФωФ)「それでさあ、アイツらをギャフンと言わせたいからすごいの頼むよー」
(;´∀`)「わかりました、何とかやってみますが……」
( ФωФ)??
( ´∀`)「その……相手についてもう少し情報が欲しいのですが……」
( ФωФ)「おお、なるほどねえ」
( ФωФ)「クーくん、資料持ってきて!」
川;゚ -゚)「はい、こ、こちらがその様子を撮影した映像になります」ギクシャク
(;´∀`)「……ど、どうも」
ザザー……
( ФωФ)『我が名は杉浦ロマネスク! 悪の地下組織が大幹部にして魔王の二つ名を戴く古強者
この世に正義がある限りそれに仇をなすが、我が定め いざ参らん!』
映像はその力強い名乗りとともにはじまり、
十五分の間、同じような繰り返しを経て、とうとう最後までその調子のまま終わった。
- 49 :名も無きAAのようです:2012/07/22(日) 20:50:29 ID:gHNv12Z20
-
( ´∀`) ……
( ФωФ) ……
( ФωФ)「ねえ、クーくん、コレ違うんじゃない?」
川;゚ -゚)「す、すみません、隣にあった登場シーン台詞全集⑦と間違えたみたいです……」
川;゚ -゚)「こちらが戦闘時の映像になります」
ピッ……ザザー……
( ФωФ)『我が名は杉浦ロマネスク! 悪の地下組織が大幹部にして魔王の二つ名を戴く古強者
この世に正義がある限りそれに仇をなすが、我が定め いざ参らん!』
なるほど冒頭が驚くほどよく似ている。特に音声に関しては全く同じといってもよい。
これなら最初のほうで間違いに気が付かなかったのも頷ける。
違うのはロマネスク氏が立っている場所と、正義ヒーローと思しきギャラリーがいることくらいである。
それにしてもロマネスク氏、この口上実際に使っているのですね。
- 50 :名も無きAAのようです:2012/07/22(日) 20:51:36 ID:gHNv12Z20
-
( ´∀`)「……これは、時空間の裂け目を利用して一時的に攻撃を無効化していますね」
( ФωФ)「そうなんだよねえー あの黒いやつが どひゃー!ってなると、もう全然ダメなんだよねぇ」
( ´∀`)「何とかなると思います、ウチには空間系を得意としているのが三人ほどいますから」
( ФωФ)「おおー、頼もしいねえ じゃあよろしく頼むよ」
そんなこんなで、僕は新製品開発の案件を見事に獲得した。
別に、僕自身の力は関係なかったということ、出来れば秘密にしてもらいたい。
僕からのささやかなお願いである。
( ´∀`)】「もしもし、所長ですか?」
从 ゚∀从『おう、どうした?』
( ´∀`)】「新製品のほう決まりました、時空間偏移断裂絡みになりそうです」
从 ゚∀从『そうか、よくやったな! よし、すぐ帰って来い 実は新開発の……』
(;´∀`)】「スイマセン! なんか電波が悪くて……ザザザ‐……よく聞こえませんが今日は遅くなりま…ザザザ…」ピッ
(;´∀`)(ふぅ、危ないところだった…… 電波不良のモノマネで何とか乗り切れたモナ……)
さてここからが本題だ、ここへ来る前までは新製品開発案件がそうだったのだが、事情が変わった。
状況は刻一刻と変化する、流れに乗り遅れたもの、見誤ったものは死あるのみ。
戦場とはそういう場所なのだ。
クーさんの秘密にせまる。これが目下進行中のオペレーションでの最優先目標だ。
戦いは時期が、兵士は勢いが肝要。今この機を逃して他はない。いざゆかん。
そして僕の戦争がはじまった。
- 51 :名も無きAAのようです:2012/07/22(日) 20:55:11 ID:gHNv12Z20
-
( ´∀`)「あの、つかぬ事を伺いますが」
( ФωФ)「おお、なんでも聞いてくれよー」
( ´∀`)「先ほどの女性のことなのですが……」
( ФωФ)「あら、モナーくん手がはやいねえー 確かにクーくんは美人さんだからなあ でも、モテモテだからねぇ 競争率高いと思うよ」
(;´∀`)「いえ、実は最近ウチに同姓同名の新人が入りまして…… どう見ても彼女なのですが……」
( ФωФ)「ごまかさなくてもいいってー 萌えってやつなのかなー 若いっていいなあ」
(;´∀`)「…………」
戦場はいきなりの混迷にみまわれ、僕は出鼻をくじかれた。
そりゃあ戦場ってのは混乱のるつぼであるワケなのだが、それにしたってこれはおかしい。
ひょっとすると敵の総大将はこの男なのかもしれない、そんな気配さえ場には漂ってきている。
( ФωФ)「そうだ、モナーくんはここ来るの初めてだよねぇ」
( ´∀`)「そうですが……」
( ФωФ)「よし、じゃあ彼女にここを案内させよう! うまくやるんだよ」
(;´∀`)「え、ちょ……その、違っ…」
( ФωФ)「またまた〜 モナーくんったら素直じゃないなぁ」
- 52 :名も無きAAのようです:2012/07/22(日) 20:56:32 ID:gHNv12Z20
-
川 ゚ -゚)「お呼びですかマスター」
(;´∀`)(マスター??)
( ФωФ)「そのマスターっていうのはやめなさいな モナーくんがここ初めてらしいから適当に案内してあげて」
川;゚ -゚)「か、かしこまりました……」
(;´∀`)「どうもよろしく……」
( ФωФ)「モナーくん しっかりやるんだよー」
(;´∀`)「はぁ……」
なにやら僕を置いてきぼりにして、話がおかしな方向へと独り突っ走っている。
正直なところ、所長に鍛え上げられた僕を持ってしてもツッコミが追いつかない。
この大幹部は間違いなく所長クラスの化物である。
川 ゚ -゚)「現在私達がいる場所が地下3階応接室となります」
( ´∀`)「あの、案内はいいから どうしてここにいるのか教えてくださいな」
川;゚ -゚)「こ、ここ地下組織本部は地上25階、地下320階まであり、自家発電、クリーンエア生成システム、大規模濾過施設、
地下栽培場などの設備を持ち、10年間は外界からの支援なしでの独立した活動が可能になっています。
そ、そして私は、この本部の受付を担当しております」
( ´∀`)「…………」
確かにすごいけどさ、僕が聞きたいのはそういうことじゃないんだよね。
- 53 :名も無きAAのようです:2012/07/22(日) 20:57:27 ID:gHNv12Z20
-
川 ゚ -゚)「こちらが地下2階 出撃控え室となってります 迅速な出撃を可能にするために地上付近にあります」
( ´_ゝ`)「ときに弟者よ、我ら兄弟は今日も一日待機なのだろうか?」
(´<_` ;)「兄者……それは俺らが弱っちいからロマネスクさんが気を利かせてくれてるんだよ……」
( ´_ゝ`)「なんと! つまりは窓際族ということか?」
(´<_` )「そういうことになるな……」
( ´_ゝ`)「すると、ろくに働かないで給料をもらっているということか?」
(´<_` )「……そうだな」
( ´_ゝ`)「俺らただの給料ドロってわけか」
(´<_` )「……」
( ´_ゝ`)b「悪の地下組織から給料ドロするなんて、流石だよな俺ら」
d(´<_` )「……ああ、流石だな」
( ´∀`)「なんか、あれですね 悪の地下組織も色々ですね……」
川;゚ -゚)「……今日は少し日が悪かったようです」
- 54 :名も無きAAのようです:2012/07/22(日) 21:00:24 ID:gHNv12Z20
-
川 ゚ -゚)「こちらが地上25階展望フロアです」
( ´∀`)「展望フロアって……デパートじゃないんだから……」
川 ゚ -゚)「来客用各種おみやげ店が揃っております」
( ´∀`)「こっ、これは……なんという充実ぶりモナ!」
( ´∀`)「大幹部1/10フィギュア ジオラマセットだとッ!?」
( ´∀`)「さらに1/100 悪の地下組織本部パーフェクトプラモ!」
( ´∀`)「ぐぬぬ……ここがメインの資金調達源か…悪の地下組織恐るべし……」
( ´∀`)「最後にまた来るモナ! アイ・シャル・リターンモナ!!」
そんな調子で悪の地下組織本部巡りは夜遅くまで続いた。いくらなんでも広すぎるのだ。
ホントはもっとセンセーショナルでマル秘なスポットもあったのだが、
そのあたりはさすがに部外秘ということで口止めされてしまった。ここで紹介できないのが実に残念である。
( ´∀`)「今日は楽しかったモナ!」
川 ゚ -゚)「沢山のお買い上げありがとうございます」
( ´∀`)「それでさあ、なんでここで働いてるの? うちにきたのはアレどういう事なの?」
川;゚ -゚)「お、お帰りの際は、あ、あちらの正面玄関をご利用ください」
( ´∀`)「……」
川;゚ -゚)(ここまで引っ張って今更、辞表出し忘れて受理が一ヶ月先だからまだここで働いてるとはいえない……)
そして僕は仕事をまとめ、更に充実した時を過ごし意気揚々と帰路へとついた。
クーさんの秘密を知れなかったことが唯一、心残りである。
- 55 :名も無きAAのようです:2012/07/22(日) 21:02:00 ID:gHNv12Z20
-
( ´∀`)「ただいまモナ!」
从#゚∀从「よう……遅かったじゃねーか……」
そこには我らがロリ所長が鬼の形相で僕を待ち構えていた。
( ´∀`)!?
( ´∀`)「だから遅くなるって電話で……」
从#゚∀从「下手な芝居うちやがって……お楽しみだったそうじゃねぇか……」
( ´∀`)「なんでそれを知ってるモナ!?」
(;´∀`)「あ……」
从#゚∀从 ビキビキ
お楽しみっていっても別にそういう意味じゃない。
確かに展望フロアは垂涎モノだったし、不覚にも沢山買い込んでしまった。
しかし、決してそういうことをしていたのではない。何なら天に誓ってもいい。そもそも僕は童t……ゲフンゲフン。
この情報の齟齬は一体どういうことなんだ。僕はすがるようにあたりを見回す。
( ・∀・)アーアー ショチョウヲ オコラセチャッテ
('A`) ジゴウジトクダ ヒトリデ オタノシミナンテ マッタク ウラヤマ ケシカラン
川 ゚ -゚)
(;´∀`)!?
- 56 :名も無きAAのようです:2012/07/22(日) 21:04:47 ID:gHNv12Z20
-
(;´∀`)「クーさん、なんでここに……さっきまで向こうに居たはずじゃあ……?」
川 ゚ -゚)「はて、なんのことでしょう? 私は今日一日ここにいましたよ?」
(;´∀`)「は、謀ったな!?」
川 ゚ -゚) 〜♪
从#゚∀从「まあ、今からたっぷりと、新開発の秘密兵器の性能を実地で体験させてやるよ……」
(;´∀`)「誤解モナ! 少しの好奇心と無神経さ、それに対するちょっぴりの悪意からくる不幸な誤解だモナ!!」
从#゚∀从「ほう…… じゃあ、どこがどういう風に誤解なのか、その体に聞いてみようかねぇ……」
(;´∀`)「だ、誰か助けてくれモナ!」
('A`)p【裏山死刑】q
( ・∀・)つ【極刑】
川 ゚ -゚) 〜♪♪
(;´∀`)「う、恨むぞ! 死んだら化けて出てやるからな!」
そしてやっぱり、僕は今日も我らが所長の研究成果を一番に体験することになる。
理解などすっ飛ばして、体が直接にその偉業を経験するのだ。
正直、僕はもうダメかもわからない。
どうか無事を祈ってほしい。
- 57 :名も無きAAのようです:2012/07/22(日) 21:06:36 ID:gHNv12Z20
-
今日のおさらい
从 ゚∀从 我らがロリ所長 発明品はそのほとんどが超上級者向け 空間系三銃士が一人
( ・∀・) 所長目当てにやってきた炎のロリコン研究員 空間系三銃士そのニ
('A`) 謎の部外者X
( ´∀`) 主人公(?) 穢れ無き男子 研究所でドタバタするだけの簡単なお仕事です 語尾がたまにモナになる
川 ゚ -゚) 初登場 悪の地下組織の受付兼、ロマネスクの秘書 その意外な正体は……?
( ´_ゝ`) 悪の地下組織 社内ニートA 明日から本気出す
(´<_` ) 悪の地下組織 社内ニートB 弱っちいが頭脳派なのでたまに働いている
( ФωФ) 悪の地下組織が大幹部にして魔王の(ry とってもフランクなナイスミドル
第三話 おしまい
( ´_ゝ`)9m 「次回もマッドサイエンス!」 m9(´<_` )
- 58 :名も無きAAのようです:2012/07/22(日) 21:09:09 ID:LeNZDkDw0
- 乙
今回も面白かった
- 59 :名も無きAAのようです:2012/07/22(日) 23:30:52 ID:7ArCpLhg0
- なかなか会社チックな研究所だ
乙
- 60 :名も無きAAのようです:2012/07/23(月) 03:29:38 ID:MGG1b6OQ0
- ハインの格言ないの?
- 61 :名も無きAAのようです:2012/07/23(月) 20:13:20 ID:zy4br8KI0
- 面白い話が書けそうにないんで打ち切ります、見切り発車でスマソ
- 62 :名も無きAAのようです:2012/07/23(月) 20:14:14 ID:M4.5pty60
- な、なんやて?
- 63 :名も無きAAのようです:2012/07/23(月) 20:15:35 ID:4J5qJaEQ0
- 本物か…?!
- 64 :名も無きAAのようです:2012/07/23(月) 20:17:00 ID:MsWqVxHs0
- なん……だと…!?
- 65 :名も無きAAのようです:2012/07/24(火) 12:39:32 ID:QjiPkZ320
- えっ?
………………えっ?
- 66 :名も無きAAのようです:2012/08/18(土) 14:02:17 ID:Is3DJgNw0
- おい!面白かったのに打ち切るんじゃないよ!
- 67 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:15:41 ID:zXb1j30A0
-
从*゚∀从「おい起きろ! 新発明だ!」
( ´∀`)「もう起きてますよ……」
从 ゚∀从「なんだ、今朝は早起きだな!」
( ´∀`)「そりゃあもう、昨日の新開発の秘密兵器が凶悪極まりなくって、体のあちこちが痛んで寝れなかっただけです」
( ´∀`)「あ、別に全然気にしてませんから、もう二度とゴメンだとか、こんな研究所やめてやるだとか、そんな事全く思ってませんから」
从 ∀从「やめちゃうの……?」
(;´∀`)「え、ちょ… あれ?」
(;´∀`)「あの…… やめませんから顔を上げてください」
从 ゚∀从「バカめ! かかったな!! 迂闊に近づきおって!」
( ´∀`)!?
从 ゚∀从「そこはもう間合いの中だッ!!」
(;´∀`)「しまっ……」
从 ゚∀从「くらえや! 本日の新発明! インナーワールドブラスターだッ!!」
(;´∀`)「グハァッ!!」
- 68 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:16:32 ID:zXb1j30A0
-
第四話 すくいようのないどえむやろう
- 69 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:17:44 ID:zXb1j30A0
-
( ´∀`)「……ところで、それはどういう発明なんですか?」
从 ‐∀从「急に素に戻るなよー せっかくノリノリだったのにー」
(;´∀`)「スイマセン……」
从 ゚∀从「 コイツは脳をスキャンしてその情報をこの装置に投影し、人工再現人格を作ることが出来るというすぐれものだ!」
( ´∀`)「……おしゃべりAI本人バージョン生成マシンってことですか?」
从 ゚∀从「まあ大体そんなところだけど、推論能力、学習機能付きだ!」
(;´∀`)「また、なんて厄介なものを……」
从 ゚∀从「今、厄介とか聞こえたんだが……?」
(;´∀`)「……気のせいでしょう」
从 ゚∀从「……」
(;´∀`)「っと……そういえば、どう見てもブラスターって形状じゃないですよね?」
从 ゚∀从「ブラスターは何かカッコイイかなあと思ってつけてみた」
( ´∀`)「またですか…… さすがの謎センスですね」
从#゚∀从「バカにすんなし!」
(;´∀`)「いや、どちらかというと感心してます……」
从 ゚∀从「なら、いいけどさ……」
(;´∀`)「……」
- 70 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:19:07 ID:zXb1j30A0
-
( ´∀`)「……そういえば、ロマネスクさんの新製品はどうですか?」
从 ゚∀从「あーあれかー、ちょっと手こずりそうだなあ」
( ´∀`)「相変わらず注文通りにものを作るのは苦手みたいですね」
从 ∀从「い、いうなし///」
( ´∀`)(恥ずかしがるポイントの方も相変わらず謎ですね……)
やはり自由奔放、天真爛漫こそが所長の本領のようで、
出会った頃から仕様通りとか企画通りっていうのが苦手だったけ。
でも、その余勢を駆って、毎朝僕を新発明の実験台にするのはどうかと思う。
いつか宇宙規模のサイエンス・パニックでも起こりやしないかと、僕は秘かに気を揉んでいる。
从 ゚∀从「そんなことより早速試そうず!」
( ´∀`)「……自分に質問するっていうのも、ちょっと面白そうですね やりましょうか」
从 ゚∀从「おっ! 珍しく今日はノリがいいなあ」
( ´∀`)「なんだかんだで興味が湧いて来ました」
从 ゚∀从「よし、まずはコイツを頭に被るんだ!」
( ´∀`)「……なんですかこの鉄仮面は?」
从 ゚∀从「コイツが脳をスキャンする装置だ」
( ´∀`)「なるほど……なんだか宇宙世紀や世紀末の風を感じる造形ですね……」
- 71 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:20:04 ID:zXb1j30A0
-
从 ゚∀从 ??
( ´∀`)「いえ、特に深い意味はありません……」
( ´∀`)(謎センスにも程があるモナ……)
从 ゚∀从「なんだ? まさかとは思うけど、あたしのセンスに文句でもあるのか?」
(;´∀`)「と、とんでもない! そんなことより早く始めましょうよ!」
从 ゚∀从……
从 ゚∀从「まあいいか! 大事の前の小事だな!」
( ´∀`)ホッ……
从 ゚∀从「それじゃあ、いくぞ〜 ポチッとな!」
…ヴヴ…ヴヴヴ……ヴ…ヴヴヴヴヴ……
( ´∀`)「おおぅ!? これがスキャンですか、なんか変な感触ですね」
从 ゚∀从「モナーの頭をー のぞきみ中ー!」
(;´∀`)「なんだか、いい気分がしない言い方ですね……」
从*゚∀从「まだかなー まだかなー」
- 72 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:21:47 ID:zXb1j30A0
-
チーン!
从 ゚∀从「よし、完了したぞ!!」
( ´∀`)(電子レンジみたいな音モナ……)
AI
( ´∀`)『……』
( ´∀`)「ふむ……」
从 ゚∀从「ほら、なんか聞いてみろって!」
( ´∀`)「……その方、名はなんと申す?」
AI
( ´∀`)『モナーといいます』
( ´∀`)「……たわけたヤツですね、本人を前にしてモナーを名乗るとは」
从;゚∀从「他にどうしろっていうんだよ……」
( ´∀`)「身長と体重はどれくらいモナ?」
从 ゚∀从「なんか、おまえ質問の発想がすごいアレだな……」
(;´∀`)「ほっといてください……」
AI
( ´∀`)『身長:不明 体重:秘密 年齢2X 誕生日1月3日 血液型A 市民ID COB-SH21765382 クレジット番号1208‐……』
从 ゚∀从「おお! 見かねてAIがボケてくれたぞ、良かったなあモナー」
(;´∀`)「もういいモナ! 重要な個人情報を丸裸にする気かモナ!?」
- 73 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:24:11 ID:zXb1j30A0
-
从 ゚∀从「どうだ、自分に質問するっていうのは?」
( ´∀`)「……なんだかハラハラさせられますね これ質問者を認識してるんですか?」
从 ゚∀从「それは勿論 自分がコピー人格ということまで理解できるように、天文学的な桁数のプログラムコードを書いといた」
(;´∀`)「昨日、あの後ですか……?」
从 ゚∀从「アタシを甘く見るなよー」
(;´∀`)「ほんと、恐れ入ります……」
つまり、悪の地下組織でお楽しみだった僕を、深夜遅くまで新開発の秘密兵器の実地試験に付きあわせたあの後で、
プログラムコードを書いたということになる。この人は一体いつ寝ているのだろうか。
もしかすると、既に自分のクローンを何体か創りあげていて、
誰もしれぬ間に入れ替わりと記憶・思考の並列化処理、そしてコールドスリープを繰り返しているのかもしれない。
( ´∀`)。O ◯ { 从 ゚∀从 コウタイノ 時間ダゾ! 从∀゚ 从 ワルイワルイ 発明ガ オモシロクテサ 並列化シタラ 残リ頼ムヨ! }
( ´∀`)(……ありそうモナ)
( ´∀`)(たまに喧嘩とかもしちゃうのかなあ……)
( ´∀`)。O ◯ { 从 ゚∀从 アー オマエ 勝手ニ 仕様カエルナヨ! 从∀゚ 从 スゴイダロー ヒラメイタンダ! }
( ´∀`)。O ◯ { 从#゚∀从 オマエナンカ 新開発ノ秘密兵器デ 修正シテヤル! 从∀゚#从 ナンダト! ヤルカー!? }
( ´∀`)。O ◯ { (;´∀`) ヤメテクダサイ! 研究所ガ倒壊シマス! }
ジャマスルナ! グヘェ! ドイテロ!
( ´∀`)。O ◯ { 从#゚∀从つ)'〜`(⊂从∀゚#从 }
(;´∀`) ……
- 74 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:25:12 ID:zXb1j30A0
-
何と空恐ろしい科学力だ。完全に未来テクノロジーの類である。
そして、つまり、その気になればこの地上にフリーダム・ロリ所長が多重同時展開するという事態もありうるわけだ。
( ´∀`)。O ◯ { ( ・∀・) 所長 花火ニ 行キマセンカ? }
( ´∀`)。O ◯ { 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 }
( ´∀`)。O ◯ { (*・∀・) ハーレム状態! }
( ´〜`)(つまらんこと想像したモナ……)
( ´∀`)(やっぱり、数が増えればいいってもんじゃないモナ)
( ´∀`)(食費や光熱費やらがかさんでしまうモナ……)
( ´∀`)(それに所長がそこら中をウロウロしてるなんて、たまったもんじゃないモナ……)
(;´∀`) ……!!
いや、待てよ。
もしそうなったとすると、毎朝僕を起こしに来る所長も複数同時展開ということになるわけで、
そこで襲いかかる新発明も同様にスクラムを組んで、僕を包囲殲滅……
あまりのことに僕は目眩を覚える。
- 75 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:26:06 ID:zXb1j30A0
-
(;´〜`)「……」
从 ゚∀从「おーい、 何ぼんやりしてるんだ?」
(;´∀`)「あ、うん、ちょっと世界と自分の行末について考え事をしてたモナ……」
从 ゚∀从「……大丈夫かおまえ? なんだか顔色が悪いぞ」
(;´∀`)「何でもないモナ……」
それは、まあ、所長一人だけなら、僕の包容力で何とかしてみせるけど、
複数となると、さすがに、というか、全く手に負いようがない。
ましてや、それが気の違った発明品を嬉しそうに握りしめている一団ともなれば、
最早、為す術なんか銀河中を探し周っても見つからないと思う。
僕だって、この宇宙の崩壊やら、時間閉鎖だとか、次元消滅だなんて話は出来れば避けたい。
でも正直なところ、どうかなと思う。僕が背負うには少しばかり荷が勝ちすぎている。
(;´∀`)「……」
从 ゚∀从「あれか、やっぱり自分と話すのは気分が悪いものなのか?」
(;´∀`)「そういう訳じゃ……」
从 ゚∀从「アタシもコピーとかクローンとか、そういうのは気がすすまないなあ」
( ´∀`)「……えっ?」
- 76 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:26:51 ID:YOZSfp3w0
- よっしゃぁぁぁ
- 77 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:28:50 ID:zXb1j30A0
-
从 ゚∀从「地球が一個しかないのに自分が増えても楽しみが減っちゃうじゃん!」
( ´∀`)「……はい?」
从 ゚∀从「いずれアタシの科学力の前に世界が跪くのだ!」
从 ゚∀从「その時になってアタシが二人、三人居ました、じゃあ、取り分が減ってしまう」
(;´∀`)「……」
从 ゚∀从「それにコピーとかクローンって、なんというかグロテスクな鏡だよね」
( ´∀`)「……そう思っててインナーワールドブラスターを僕に使わせたんですか?」
从 ゚∀从「科学の進歩に犠牲はつきものなのだよ、モナー君」
从*゚∀从「それに人がやる分には面白そうじゃん!」
( ´∀`)「……」
最悪のケースはいつの間にか、ごくあっさりと回避されていたわけだが、どうにも釈然としない。
まあ、僕は今のところ、コピーに対してそれほど嫌悪感があるわけじゃないし、
大した問題じゃないといえばそうなのだが、どうにも担がれたきらいがある。
( ´∀`)(でもよく考えたらそれも毎度のことかな……)
( ´∀`)「もういいです……それよりコイツの話をしましょう」
AI
( ´∀`)『……』
- 78 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:31:17 ID:zXb1j30A0
-
( ´∀`)「自分がコピーAIだと認識してるってことは自我があるってことですよね」
从 ゚∀从「そうだなあ」
( ´∀`)「……ということは嘘とかもつくんですか?」
从 ゚∀从「まあ、そういうことのなるな」
从 ゚∀从「それでお前は嘘つきなのか?」
( ´∀`)「……平均的な部類に属すると思います」
AI
( ´∀`)『清廉潔白公明正大誠実純情です』
( ´∀`)!?
( ´∀`)「回答が違うモナ!」
从 ゚∀从「まあ、当然といえば当然だな あくまで生物的なものを人工的に再現しただけで、
そのものじゃないし、コピーが完了した時点で分岐してるんだから」
( ´∀`)「むむむ……」
すると、このAIは不完全なコピーという点に目をつむれば、ある時点では確かにモナーであった何者か。
現在のモナーが僕である以上そうなる。
時間経過とともに僕は前進して、ひょっとして後退かもしれないけどそこは前向きにいきたい、
AIも僕とは違う何処かへ進むから一般にギャップは増大する。
そんなやつがモナーを名乗る。これって一体どういう事なのだろう。
僕はしばし考えを巡らせるが、よくわからない。
つまり偽物なのだと、そう言えない程度のモナーらしさは備えている。
それとも、かつてモナーらしさであった何か、だろうか。
- 79 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:32:51 ID:zXb1j30A0
-
( ´∀`)!!
( ´∀`)「これ、野放しにしといたらまずいんじゃないですかね?」
从 ゚∀从「……?」
( ´∀`)「お喋りしかできないですけど、世の中言ったもん勝ちな部分もありますし」
( ´∀`)「モナーの名を語って、あることないこと喋られても困ります」
从 ゚∀从「嘘つきになるかは、これからの環境にも影響されるが、相当程度はコピー元次第だぞ?」
( ´∀`)「……」
从 ゚∀从「まあいいや、とりあえずは質問攻めにしてからだ!」
(;´∀`)「あのですね……」
从 ゚∀从「そうだなあ、せっかくだからこれまでの半生をざっと説明してくれ」
( ´∀`)「ちょ! やめてください 誰にだって触れて欲しくない過去の一つや二つあるんですから!」
从 ゚∀从「なんだよ、ツマラナイやつだなあ……」
AI
( ´∀`)『名前はモナー 生まれは、てすと市。 初恋の相手は幼稚園で同級生だったトソンちゃん。後にあえなく玉砕。
何時の世も、身の程を知らぬ輩は哀れである。小学校では平凡そのものだったが、中学校に上がると深刻な厨二……』
(;´∀`)「おい、やめろ!」
AI
( ´∀`)『…………』
- 80 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:35:04 ID:zXb1j30A0
-
(;´∀`)「もう少し無難な質問でお願いします……」
从 ‐∀从「仕方ないなぁー」
( ´∀`)「なるべくプライベートな質問はしない方向で」
从 ‐∀从「……お前さ、友達少ないだろ?」
( ´∀`)(所長に言われたくないモナ……)
从 ゚∀从「それじゃあ研究所の話でも聞いてみるか……」
( ´∀`)「それがいいモナ!」
从 ゚∀从「今の仕事はどうだ?」
AI
( ´∀`)『結構気に入ってます』
从 ゚∀从「おお!」
从 ゚∀从「おまえツンデレだったのかー」
( ´∀`)「……これはまた酷い羞恥プレイですね」
( ´∀`)「このAI抹殺しても構いませんかね?」
从 ゚∀从「何いってんだアタシの発明品だぞ!」
( ´∀`)「むうう……」
- 81 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:36:13 ID:zXb1j30A0
-
从 ゚∀从「研究所メンバーのことはどう思ってるんだ?」
AI
( ´∀`)『クーさんが素敵です』
(;´∀`)「あのさぁ……」
从;゚∀从「おまえ美人に弱いからなあ……」
AI
( ´∀`)『……』
从 ゚∀从「じゃあ、アタシのことはどう思ってる?」
AI
( ´∀`)『初めて会ったときは見た目に驚いたモナ 性格を知って二度びっくり』
(;´∀`)「おい、やめろ! やめろ!」
从 ゚∀从「構わん、続けろ それで今はどう思ってるんだ?」
AI
( ´∀`)『後ろからギュッと(;´∀`)「何口走ってんだおい!!」
从 ゚∀从「ほー、なるほどなあー、お前そうだったのか、そんな事考えてるのか お盛んですなあー」
(;´∀`)「こんなバカな! これはモナーを陥れようとする陰謀モナ!
スキャン転写時のエラーに電子の熱ゆらぎ、そしてプログラムのバクが企てた謀略だモナ!」
从;゚∀从「……」
コイツはまずい。嘘つきどころか、馬鹿正直に人の頭の中身を垂れ流し始めやがった。
- 82 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:37:32 ID:zXb1j30A0
-
(;´∀`)「そもそも、“言えません” で済むはずなのに、さっきから馬鹿正直に答えて……悪意を感じるモナ!」
(;´∀`)「きっと、他人事だと思って楽しんでるんだモナ!」
从 ゚∀从「でも、お前のコピーだから完全に他人事ってワケでもない気がするんだけど……」
( ´∀`)「…………」
(;´∀`)「と、とにかく! 最早、猶予は無いモナ! お前を始末させてもらう!!」
AI
( ´∀`)『おっと……動かないほうが身のためモナ……
あんたの赤裸々な思いをポエムに変換して読みあげるモナよ?』
(;´∀`)「き、貴様ッ!?」
从;゚∀从「…え……お前、マジなの?」
(;´∀`)「バカな! モナーは年上がタイプだモナ! こんなションベン臭いちんちくりんなど眼中にないモナ!」
从#゚∀从「……」
(;´∀`)「あぅ……今のは口が滑っただけモナ! ものの弾みモナ! 本心じゃないモナ!」
だから、その右手に握った物騒なものを放して、落ち着いて話しあいましょうよ。
言葉こそ人類が作り上げた最高の発明でしょうに。
……イルカやクジラの会話は今は横に置いといて、ね。
- 83 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:38:24 ID:zXb1j30A0
-
(メメ〜`)「ホント……すいませんでした……」
从 ゚∀从「……まあ、今回はそのくらいで勘弁してやるよ」
(メメ∀`)「ハァ……」
ロリ魔法に包まれ、もふもふされていたのが遥か過去の出来事のように思える。
それは、幾千もの昼と夜を越えた遠いむかしの…… とか、そんな前口上がつきそうだ。
実際には、つい先日のことなのだけれども。
AI
( ´∀`)『でも、ホントは初めて見たときから(;´∀`)「やめろモナアアアアアアァ!!」
从 ゚∀从「……これは他のみんなと一緒にいろいろ取り調べる必要がありそうだな」
从*゚∀从「じゃ、そういうことで! 邪魔したな!」
AIを抱えた所長が嬉しそうに廊下へ飛び出していく。
- 84 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:39:32 ID:zXb1j30A0
-
(;´∀`)「ちょ待っ……おぉう!?」
その背中をにこやかに見送るはずもなく、廊下を駆けていく所長を追いかけようとして、
でも、僕の足は膝が笑っていた。
所長にやられたダメージが予想以上に残っている。
(;´∀`)「くっ……ここで倒れるわけにはッ!!」
たて!立つんだモナー!ここが正念場だぞ!
僕は自分にそう言い聞かせ最後の力を振り絞る。瞬間、心身重ねて、命を燃やして。
『たった! モナーが立った!』
某世界名作劇場風のセリフを頭の中でリフレインさせ、僕は雄叫びをあげる。
(;´∀`)「うぉおおおおおおおおおおおお!!」
すんでのところで何とか身体を支えるが、すでに目標は視界にいない。
(;´∀`)「…………」
こんな仕事がどうして好きなのか、いぶかしがる向きもあるだろう。
勿論、僕が救いようのないドM野郎だからなんて理由じゃない。
どちらかといえばややMなのは認めるけど、間違ってもそういうことではないのだ。
これには深い深い事情があるのだが今は説明している時間が惜しい。
一刻も早く、あの危険極まりないAIを殲滅しなければ僕のプライバシーは丸裸になってしまう。
そんなわけで今はこの辺で失礼させていただく。
良い週末を。
- 85 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 01:40:47 ID:zXb1j30A0
-
今日のおさらい
从 ゚∀从 我らがロリ所長 いつ寝ているのかわからない程の研究大好きっ子
そのネーミングセンスと独自の造形審美眼は他の追随を許さない。
( ´∀`) 主人公(ドM) 年上がタイプ ツンデレ 本人曰く、それなりの包容力を持つらしい。
宇宙崩壊の危機に際し、出来ればそれを止めたいと願っているが、自信はない。
AI
( ´∀`) モナーコピー わるいモナー いわゆる強いAI
今日の格言
鏡と交合は人間の数を増殖するがゆえにいまわしい
J.L.ボルへス(小説家)
鏡に写った虚像を人とするのなら、AIのメモリ領域に変換・転写された虚像としての神経構造による人格の発露を、
人といっても良いだろう。そこで私は人間としての扱いを要求しようと思うのだが、どうかね。
モナーコピー(世界最初の人格転写AI)
第四話 おしまい
AI
( ´∀`)『次回もマッドサイエンス!』
- 86 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 02:05:05 ID:zXb1j30A0
-
一度は打ち切った話ですが、お話というものは書き手だけでなく、読んでくれている読者のものでもあると思い直し、
そして、この話を最後まで書きたいと思うようになったので再開することにしました。
>>61については本当にすみませんでした。
- 87 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 02:26:29 ID:C9h.m/UE0
- おつ
まってた
- 88 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 02:30:50 ID:TV1FxthYO
- 乙
面白かった!
- 89 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 20:47:12 ID:EzFalOuI0
- 書き続ければどうということはない!
乙
- 90 :名も無きAAのようです:2012/08/29(水) 17:14:51 ID:oP0DyItQ0
- なんだよ、再開してたなら早く呼んでくれよ!
おっかえりぃいいいい
- 91 :名も無きAAのようです:2012/08/29(水) 17:56:08 ID:UM1G8TkU0
- マダカナー
- 92 :名も無きAAのようです:2012/08/31(金) 00:50:16 ID:IGsGYZZ20
- 気づくの遅れた!
面白い!次も待ってる!
- 93 :名も無きAAのようです:2012/09/03(月) 00:51:28 ID:6S6KLdQc0
- はてつぎはいつかな
- 94 :名も無きAAのようです:2012/09/07(金) 14:18:08 ID:zUCEtboM0
- どうも、さくしゃです
完全に迷走してるのでもうしばらくかかりそうです
- 95 :名も無きAAのようです:2012/09/07(金) 15:14:30 ID:7l090Evk0
- おk待とう
- 96 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:18:06 ID:8mn/NKl20
-
〜前回までのあらすじ〜
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゙" "''" "゙" ゙"/::ヽ______ヾ"
゙" ゙" " ゙"'' ゙" |ヽ/:: ヾ''"
゙" ゙'" "゙" ゙" .|:: | Ikaretakagaku.| ゙ "
゙" ゙ ゙" ゙"'' |:: l: |
゙" ゙ ゙" ゙"'' |:: l: Jul. 4, 2012 |
゙" ゙ ゙" ゙"'' |:: l: -Jul. 23, 2012|
゙" ゙" "゙" ゙"|: :|: Death by . | ''゙"
゙" ゙" ゙""'"Wv,_|:: l: no idea. |、wW"゙"
゙" ゙"''" ".wWWlヽ::'ヽ|::::::_::_______:.|::\W/ ゙"゙''"
゙''"゙" V/Wヽ`―――――――――lV/W "'
゙""' ゙"''" "゙"WW''―――――――wwww' ゙"゙''"
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゙" ゙"''" ".wWWlヽ::'\_(____)._\::\W/ ゙"゙''"
゙''"゙" V/Wヽ`―――――――― lV/W "'
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- 97 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:19:01 ID:8mn/NKl20
-
以下きっと本文
- 98 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:27:25 ID:8mn/NKl20
-
('A`)「それにしても災難だったな……」
( ´∀`)「……」
('A`)「なに、男なら誰しも通る道だ、気に病むことはないさ」
( ´∀`)「モナモナ……」
( ・∀・)「ぼくは嫌いじゃないけどなあ」
( ´∀`)「もういいモナ……慰められると泣きたくなるモナ…」
('A`)「……悪の帝王」ボソッ
(( ´∀`)) ピクッ!
川 ゚ -゚)「鎮まれオレの右腕……!」
(;´∀`)「や、やめろモナ……」
(∀・トソン 「……ごめんなさい」
( ´∀`)「クソッ…クソッ……」
- 99 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:28:46 ID:8mn/NKl20
-
('∀`)「強く生きろよ!」
( ´∀`)「死にたくなってきたモナ……」
( ・∀・)「モナーがいなくなったら、所長はどうするんだろうね」
( ´∀`)!
川 ゚ -゚)「毎朝、楽しそうに発明を披露してるんですよね?」
( ´∀`)「……」
('A`)「あれも不思議な人だよな」
( ´∀`)「部外者なのに入り浸ってるドクオのがおかしいモナ」
('A`)「あれ? 知らないの? 俺、社外取締役なんだぜ」
( ´∀`)「サラッと妙な嘘をつくんじゃないモナ!」
- 100 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:30:16 ID:8mn/NKl20
-
第五話 かこからのしかく
- 101 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:32:18 ID:8mn/NKl20
-
にしても、あのAIにはえらい目にあわされた。
人の個人情報は垂れ流すわ、胸に秘めた淡い色のモノをぶちまけるわ、とんでもない。
そして今また、こうしていじられる羽目になった元凶にほかならず、
挙句の果てには、所長の発明品であるという立場を利用して僕を交渉のテーブへ引きずり出すなど、
まるで手に負えない。
有無をいわさずスクラップにしてやるところを、
結局、僕と所長の共同監視下に置かれるだけという大甘裁定となった。
情報の漏洩を恐れて、僕は夜も眠れぬ日々を過ごしている。
(;´∀`)(このままじゃあ、新たに秘密が漏れるのも時間の問題モナ……)
(;´∀`)(なにかいい方法はないかモナ……)
('A`)「なんで朝一なんだろうね」
川 ゚ -゚)「もしかしたら美容に良いとか?」
( ´∀`)「そんなまさか……」
( ・∀・)「おや、噂をすればなんとやら……」
- 102 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:33:28 ID:8mn/NKl20
-
从 ゚∀从「遅くなってごめんー」
川 ゚ -゚)「それで、私は何をすればいいのでしょう?」
从 ゚∀从「うーん、そうだなあ……」
( ・∀・)「……」
('A`)「全面的にお前のせいだぞモララー」
( ´∀`)「やーい!やーい!」
( ・∀・)「……急に元気になったねモナー」
( ´∀`)〜♪
雁首揃えて僕らは一体何をしているのかというと、
経理事務職で応募してきたクーさんを研究職で採用するというモララーの失態と
クーさんの扱いについて対応を協議しているのだ。
(;・∀・)「ほら、昔から罪を憎んで人を憎まずといってね……」
('A`)「ふてぶてしいやつめ、そういうのはミスした本人が言うことじゃないだろう」
( ´∀`)「そうだモナ!」
( ・∀・)「……ハイ」
- 103 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:35:45 ID:8mn/NKl20
-
けれども僕の記憶が正しければ、この研究所は研究職しか募集していないはずなのだ。
何を隠そう、この僕が経理事務を処理しているからだ。
ではなぜ募集されてもいない経理事務担当などという役職にクーさんは応募してきたのか、
当然の疑問が突如として持ち上がる。
川 ゚ -゚)「ホームページに募集が出ていました」
∧_∧ .∧_∧
( ´∀`)('A`)(・∀・ )
_(__つ__/ ̄ ̄ ̄/ ⌒i
\/ ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
( ´∀`)
(´∀` )
( ´∀` )
このやっつけ仕事には憶えがある。
僕は今、済まないと思う気持ちでいっぱいだ。嘘じゃない。
それが証拠に、今度クーさんに好物のスパゲティをご馳走してあげようと、つい今しがた心に決めたところだ。
若干安上がりなのは、僕が薄給故の悲劇だ。
これは不幸な事故なのだ。有りもしない職種がホームページに掲載され、
そこに応募してきた人間が誤って、いや、当然のように唯一の募集職で採用された。
そう、これは不幸な事故なのだ。
- 104 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:37:27 ID:8mn/NKl20
-
( ´∀`)「だからモナをそんな目で見るのはやめて欲しいモナ!」
( ・∀・)「あのさぁ……」
从 ゚∀从「…あぁ?」
('A`)「……は?」
川 ゚ -゚)「……」
(;´∀`)「ご、ごめんなさい……」
('A`)「所詮は実験動物程度の知能か」
( ´∀`)「酷いモナ……」
( ・∀・)「まあ、そのくらいは言われても仕方ないと思うよ、うん」
( ´∀`)「ごめんモナ、許してくれモナ……」
从 ゚∀从「減給で済むといいね……」
(;´∀`)「怖いこと言わないで下さい」
从 ゚∀从「だってほら、クールな人ほど切れたら怖そうだし」
(;´∀`)!?
- 105 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:38:54 ID:8mn/NKl20
-
(;´∀`)「ど、どうかお許しを……」
川 ゚ -゚)「……」
川 ゚-) プイ!
(;´∀`)「あぁ……」
从 ゚∀从「……とりあえずクーちゃんは今日、倉庫にある昔の発明品を整理分類しといて」
川 ゚ -゚)「わかりました、行ってきます」
从 ゚∀从「倉庫は地下だからねー」
(;´∀`)オロオロ…
从 ゚∀从「ほら、オマエも行けモナー」
( ´∀`)!?
从 ゚∀从「責任をとって倉庫整理を手伝うんだ、オマエは倉庫にある発明品もおなじみだろ」
( ´∀`)「それは確かに……」
( ・∀・)「関係の修復をはかるにはちょうどいいかもね」
(('A`))ピク!
- 106 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:42:32 ID:8mn/NKl20
-
('A`)(関係だと…? どんな関係だというのだ……)
('A`)(まさか……このドックンがいない間に何らかの事態が進展ッ…!?)
( ・∀・)「頑張ってね」
( ´∀`)「モララーはやらないの?」
从 ゚∀从「モララーは今日、正義ヒーローとの新製品交渉があるから」
( ・∀・)「悪いねモナー」
( ´∀`)「それなら仕方ないモナ……」
('A`)(……倉庫という特殊閉鎖密室空間に野郎と美女が二人っきり)
('A`)(突発的な危機からトントン拍子でロマンスに……)
('A`)(由々しき事態だな……)
('A`)「……よし、俺も手伝だおう!」
( ´∀`)「手伝ってくれるモナ?」
从 ゚∀从「それは助かるなあ」
- 107 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:44:50 ID:8mn/NKl20
-
カタカタ……
('A`)
_.(つ/ ̄ ̄ ̄/
\/ ./ ̄
 ̄ ̄ ̄
('A`)「よりによってHPの訂正と更新のお手伝いとは……」
('A`)「それは所長の頼みだし、こういうのは得意だけど……」
('A`)「どうしてこうなった……」
('A`)「これじゃあ、モナーとクーさんの密室空間を阻止できん……」
('A`)「ええい! それにしても、なんて見にくいHPだ!」
('A`)「HP設計の根幹というのはだな、基本的にユーザーとの会話なのだ!」
('A`)「つまりはWeb上のアーキテクチャとユーザーの対話ということになる!」
('A`)「何を何処に配置して、どういう構成と系統で整理し、どう全体として機能させるか」
('A`)「まさに論理だったプレゼンテーションだ!」
('A`)「そのアーキテクチャの最たるUIがこのザマでは対話どころか手振り身振りの世界だ!」
('A`)「まったくモナーのやつ……」ブツブツ…
- 108 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:45:14 ID:o2wmCqzA0
- プイ!とか可愛いなプリンかよ。
- 109 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:47:49 ID:8mn/NKl20
-
( ´∀`)「ヘックション!」
( ´∀`)「えーっと、地下四階……それ、ポチッとな!」
( ´∀`)「……」
( ´∀`)(改めて考えると、なんだかドクオの動きが怪しかったモナ)
( ´∀`)(あれはなにか企んでたかも知れないモナ)
――欝田ドクオ。
研究所に入り浸る謎の部外者。僕が買い置きしてるポテチやジュースを収奪したりする仇であり、
モララーが所長やクーさんにちょっかいを出すのを共に阻止する同志でもある。
その正体は謎に包まれている。
だが正直なところ、正体よりも何故うちの研究所に入り浸っているのか、その理由の方がずっと気になる。
( ´∀`)(そもそも研究所内でのドクオの行動原理は……)
チーン!
( ´∀`)(そうこうしてる内に倉庫についたモナ!)
- 110 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:51:05 ID:8mn/NKl20
-
川 ゚ -゚)「これはすごい量ですね……」
川 ゚ -゚)「遺跡の発掘作業なんかを彷彿とさせられます」
川 ゚ -゚)「所長のサイエンスヒストリーが垣間みえるかもしれませんね」
川 ゚ -゚)「おや、これは何でしょうか?」
川 ゚ -゚)「何やら珍妙な形をした……うわぁっ」
川 ゚ -゚)「……いきなりの奇襲ですね」
川 ゚ -゚)「七色に輝く拡散ビーム状の光線を浴びてしまいました」
川 ゚ -゚)「……とくに目立った変化はありません」
川 ゚ -゚)「こんな時は、トホホ…とでも言っておけばいいんですかね?」
川 ゚ -゚)「トホホ……」
川 ゚ -゚)「さあ、気を取り直して……」
(;´∀`)「あの、一人で何を……?」
川;゚ -゚)!?
- 111 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:52:51 ID:8mn/NKl20
-
川;゚ -゚)「いつからそこに!?」
( ´∀`)「あ、いや、その、遺跡の発掘がどうとかいうあたりから……」
川;゚ -゚)「全部見てた……?」
( ´∀`)「まあ、そういうことになりますかね……」
川;゚ -゚)「こ、これは違うんだ! 頭がおかしくなったとか、多重人格だとかそういうことではないんだ!」
( ´∀`)「……」
川;゚ -゚)「ただ一人寂しく倉庫整理をするのもつまらないから、実況してみたら面白いかなって思っただけなんだ!」
( ´∀`)「普通は一人で実況したら面白そうだとか思わないし、ましてや行動に移したりなんかしないモナ……」
川;゚ -゚)「ぐっ……」
(;´∀`)(大丈夫かな、この人……)
( ´∀`)「こんな調子じゃあ、いつまで経っても倉庫整理が終わらないモナ……」
川;゚ -゚)「その前に少し弁解をだな……」
(;´∀`)「どうぞ……」
- 112 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:56:10 ID:8mn/NKl20
-
川 ゚ -゚)「……そもそもの事の起こりは私の幼少期に遡る」
( ´∀`)「そんな昔からモナ!」
川 ゚ -゚)「子供の頃はおっとりしてて、たまに不思議な事を言ってたらしい」
川 ゚ -゚)「自分ではそんなことはないと思うのだが……まあ周りが言うのならそうなんだろうな」
( ´∀`)(今でも十分、不可思議モナ)
( ´∀`)(そう言えば前にもオペレーションメテオとか言ってたっけ……)
( ´∀`)!
( ´∀`)(悪の地下組織でもロマネスクさんのことマスターって呼んでたモナ!)
川 ゚ -゚)「でも、学校に上がった辺から段々とからかわれるようになって……」
( ´∀`)「意外に重い話モナ……」
川 ゚ -゚)「それで外面はクールになろうと思ったんだ」
( ´∀`)「……」
- 113 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:57:38 ID:8mn/NKl20
-
川 ゚ -゚)「そして今に至るのだが、人がいないところではたまにこうやって素に戻ってたりするんだ」
川 ゚ -゚)「まあそんなこんなで、あれこれ試行錯誤するうちに計算高さなんかも身についたぞ!」
川 ゚ -゚)「こうなってから昔を知る友人にはよく “黒い” なんて言われるな! これでも美白には気を使ってるんだがな!」
(;´∀`)「いろいろ間違ってるモナ……」
川 ゚ -゚)「それで就職先も、悪の地下組織なら馬鹿にされないかなって」
(;´∀`)「逆効果モナ…本性を知る人からすれば完全に変人認定モナ……」
川;゚ -゚)「まあ、だからこのことは秘密にしといてくれ! またからかわれてもあれだし」
( ´∀`)(なんだか口調が変わってるモナ……でも、はじめて来たときはこんなだったかモナ?)
( ´∀`)「分かったモナ! 秘密にするからさっさと倉庫整理をしてしまおうぞ!」
川 ゚ -゚)「わかりました!」
( ´∀`)(戻ったモナ……)
- 114 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 00:59:08 ID:8mn/NKl20
-
( ´∀`)「それにしても、すごい数モナ!」
( ´∀`)「あっ…これ歯車王……懐かしいモナ」
|::━◎┥⊂(´∀` )ツンツン…
川 ゚ -゚)「……」
川 ゚ -゚)「私が来る前の所長ってどうだったんですか?」
( ´∀`)「うーん、今とあまり変わらないけど……」
川 ゚ -゚)「確か一番の古株なんですよね」
( ´∀`)「そうだけど……」
川 ゚ -゚)「馴れ初めとか気になります!」
(;´∀`)「馴れ初めっておかしいでしょ…… そんなんじゃないモナ…」
川 ゚ -゚)「悪の地下組織では私のことネチネチ聞いてくれたのに自分は話さないというわけですか?」
(;´∀`)「話します! 話しますモナ!」
- 115 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:00:21 ID:8mn/NKl20
-
( ´∀`)「またダメだった……」
当時僕は大学院を卒業したものの、目指していた研究職にあぶれ、ふらふらとしていた。
( ´∀`)「ぼくを やとってくださいー♪ 利益 もたらしてあーげーるー♪」
( ´∀`)「んん……?」
昼下がりの路地裏。
そんな僕の目に飛びこんできたのは奇妙な張り紙だった。
『ハイン研究所 研究員ぼしゅう中』
この科学全盛の時代に手書きの張り紙とは、いくらなんでも酷い。
しかも殴り書きである。解読するのに二分は有に要した。
( ´∀`)「なにこれ……」
『たいぐう応相談 住み込み可 けいけん不問』
( ´∀`)「……」
なんとも胡散臭い、いかにも怪しい。
だがしかし、まがりなりにも研究所を名乗っている。
――研究所。その響き、なんと甘美なことか。
- 116 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:01:40 ID:8mn/NKl20
-
僕はものの十数秒でこの誘惑に屈し、気がついたときにはボロアパートの扉の前にいた。
さすがにどうかなと思ったが、しばし躊躇した後、意を決して扉を開く。
( ´∀`)「すいません、張り紙を見て来たのですが……」
( ´∀`)「おおぅ!?」
敷居をまたいだ途端、衝撃が全身を駆け抜けた。
たまらず足元に目をやると、
腰の高さぐらいのロボットが僕の脚に対して、タックルと電撃混じりのパンチを執拗に繰り返している。
�堯�|::━◎┥(´∀`;)
その玄関は何やら赤いビニールテープでゾーニングされ、マジックで“演習場”と書かれていた。
从 ゚∀从「あっ…」
室内は見たことのない器具や装置、怪しげな機械の連なりで溢れかえっており、
よくよく見ると別の部屋へ移動する動線にだけ道が出来ている。
そしてその獣道の向こうから、赤毛の少女がぶかぶかの白衣をたなびかせて僕の前に躍り出てきた。
从 ゚∀从
僕、自前のカテゴリでは美少女に分類される。
- 117 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:02:25 ID:8mn/NKl20
-
(*´∀`)(ぶかぶか白衣と相まって凄まじい破壊力だぬ、ここで働いてる人の娘さんかな)
(*´∀`)「ど、どうも……所長さんはいま留守かな?」
从 ゚∀从「……」
率直に言って、僕はその容姿と電撃パンチにあてられて、すっかり周りが見えなくなっていた。
普通に考えれば、こんな妙ちきりんな部屋の主がマトモであるはずがないのだ。
部屋と同じく珍妙な人物であるのが、筋ってものだろう。
つまるところ、この少女がここの所長であるという可能性を僕は全く考えていなかった。
だから、それは不意打ちに近かった。
从*゚∀从ノシ( ´∀`)!
少女は馴れ馴れしい態度で僕の背中を叩くと、
足元のロボットを抱え上げ、嬉々として話しはじめた。
从*゚∀从「ちょうどいいとこに来たな! コイツを見てくれ、今改造が終わったところなんだ! イケてるだろ!?」
( ´∀`)「……はぁ?」
これが所長と僕のファースト・コンタクトである。言うまでもないと思うけど、このときすでに所長はロリっ娘だった。
- 118 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:03:27 ID:8mn/NKl20
-
( ´∀`)「懐かしいモナ……」
川 ゚ -゚)「電撃と美少女、二つの意味で痺れていたんですね」
(;´∀`)「誰が上手いこと言えと……」
川 ゚ -゚)「それにしても院卒のプー太郎とはとんだ穀潰しです」
(;´∀`)「……」
川 ゚ -゚)「……どうぞ、続けて下さいな」
( ´∀`)(まだ怒ってるのかなあ……)
- 119 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:05:05 ID:8mn/NKl20
-
( ´∀`)「えっと……きみが所長さんなの?」
从 ゚∀从「だからそう言ってるだろー!」
( ´∀`)「……」
从 ゚∀从「おい、なんとか言えよー」
( ´∀`)「いや、どこの世界にこんなミニマムな所長が居るのかなと思ってさ……」
从 ゚∀从「あー、オマエ信じてないな!」
( ´∀`)「まあ、そういうことになるかな……」
从 ゚∀从「なるほどなあ……そんなに歯車王のフルパワーが見たいのか」
( ´∀`)!?
从 ゚∀从 �堯� U |::━◎┥U (´∀`;)
∪ |::━◎┥⊂ zZZ(;´〜`)
- 120 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:06:08 ID:8mn/NKl20
-
(;´〜`)「ひどい目にあった……」
从 ゚∀从「 ア タ シ が 所 長 だ 」
(;´∀`)「異存はありません……」
从 ゚∀从「分かればいいのだよ、えーっと……」
从 ゚∀从「そういえば、まだ名前聞いてなかったな」
( ´∀`)「モナー」
从 ゚∀从「アタシはハイン、よろしくな!」
( ´∀`)「よしなに」
( ´∀`)「……他に人は居ないの?」
从 ゚∀从「アタシ一人だけだな」
( ´∀`)「……」
从 ゚∀从「なんだ、アタシがあまりに可愛いいんで見とれてるのか?」
从 ゚∀从「その気持はわからないでもないが、そういう趣味は隠しておいたほうがいいぞ!」
(;´∀`)「モナはロリコンなんかじゃない!」
从 ゚∀从「カワイイってところは否定しないんだな、惚れるなよ!」
(;´∀`)「ぐぬぬ…… この小娘、言わせておけばいい気になりおって……」
从 ゚∀从「そういえば、オサムって奴がたまに来るなあ……」
なるほどそいつが異常性犯罪者か。
たまに来ては未成年にはとても見せられないような、あんなことやこんなことをしているに違いない。
まったく羨まs…… とんでもないやつだ。
- 121 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:07:13 ID:8mn/NKl20
-
( ´∀`)「そのオサムって人はどういう……」
从 ゚∀从「オサムはちょっとした知り合いで、このアパートの持ち主なんだ」
( ´∀`)「……」
从 ゚∀从「前は他の場所でやってたんだけど家賃が払えなくなってね」
从 ゚∀从「新しく契約するにしても、アタシはこの成りだし保証人もいなくてさ」
从 ゚∀从「それでオサムにここを貸してもらってるんだ」
( ´∀`)「この成りって……?」
从 ゚∀从「この姿は実験の副作用なんだ」
( ´∀`)!?
从 ゚∀从「これじゃあ車にも乗れないし発明品の売り込みもできないから」
从 ゚∀从「それで稼ぎが減って家賃払えなくなったんだ」
( ´∀`)「前のところも一人でやってたの?」
从 ゚∀从「……うん」
从 ゚∀从「オサムはなんだか忙しいみたいで、たまにしか来ないんだよなー」
从 ゚∀从「それで、専属の助手が欲しいなあって思ってチラシを作ったんだけど、誰も来なくてさあー」
それは、あのチラシじゃあそうだろうさ。
そもそも、あれでノコノコ来る奴なんて採用しないほうが身のためだと思う。
この僕は別にしても。
- 122 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:08:24 ID:8mn/NKl20
-
( ´∀`)「今まで一人だったのになんで助手を募集しようと思ったの?」
从 ゚∀从「オサムで遊んでたんだけど、たまにしかこないからさー」
从 ゚∀从「やっぱり一人はなあ……」
( ´∀`)「寂しい?」
从 ゚∀从「そうでもないけど……」
从 ゚∀从「でも、せっかく色々作っても見せる相手がいないとツマラナイじゃん!」
( ´∀`)「それで、さっきはあんなに嬉しそうにしてたのね」
从*゚∀从「へへへ……」
( ´∀`)「うおっまぶしっ!」
从 ゚∀从「それに、まともな助手がいれば発明品の売買交渉も出来るようになる!」
( ´∀`)「なるほどね」
( ´∀`)「でも家賃も払えないのに助手なんて雇えるの?」
从 ゚∀从「そこは交渉次第さ!」
- 123 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:09:18 ID:8mn/NKl20
-
( ´∀`)「確かに、たいぐう応相談って書いてあったけど……」
从 ゚∀从「三食つき住み込みで……」
( ´∀`)「……」
从 ゚∀从「月三万円くらいかなあ」
(;´∀`)「…………」
从 ゚∀从「破格の条件だろ?」
(;´∀`)「違う意味で破格だぬ……」
从 ゚∀从「これ以上は研究開発に支障が出るからなあ……」
( ´∀`)「……そのお金の出処はどこなの?」
从 ゚∀从「今はオサムが生活費とか貸してくれてるんだ」
从 ゚∀从「研究所が軌道に乗ったら返すんだ!」
- 124 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:11:00 ID:8mn/NKl20
-
川 ゚ -゚)「やっぱり所長はオサムの色だったんですよ!」
(;´∀`)「あのねえ……」
川 ゚ -゚)「世の中乱れてますね……」
( ´∀`)「結局それから一回もモナはオサムに会わなかったから、真相は分からないモナ」
( ´∀`)「でも所長の口ぶりや態度から察するに便利君1号みたいなニュアンスだったモナ」
川 ゚ -゚)「所長のツンデレだったらどうするんですか!?」
(;´∀`)「そこまで責任は持てないモナ……」
( ´∀`)「話してたら少し暑くなってきたモナ……」
( ´∀`)「クーラーをいれるモナ!」
川 ゚ -゚)「倉庫にもクーラーがついてるんですか?」
( ´∀`)「クーラーは人類の叡智が生み出した偉大な発明モナ!」
( ´∀`)「人は都市を作り、荒地を開墾し、森を切り開き、自ら適応するべき環境を変えてきた生き物モナ!」
( ´∀`)「クーラーも同じモナ!」
川 ゚ -゚)「一見真っ当そうに思えて、その実しょうもない与太話ですね」
( ´Д`)「長年の持論が一刀両断モナ……」
- 125 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:12:00 ID:8mn/NKl20
-
( ´∀`)「ポチッとな!」
( ´∀`)「おお、涼しい風が……! これぞ人類の叡智の結晶モナ!」
そして、その風を受けて宙に舞い上がるクーさん。
僕は一瞬何が起こっているのかわからなかった。
いや、正直なところ、現在進行形で理解できていない。
(;´∀`)「な、何だこれ!? どういう事モナ!」
川;゚ -゚)「これは……まさかさっきの光線が!?」
(;´∀`)「どういう事モナ!?」
川;゚ -゚)「ほらあの光線銃!」
川;゚ -゚)「あ、まだ光線が出っぱなしになって……」
( ´∀`)「んん?」
- 126 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:13:45 ID:8mn/NKl20
-
クーさんの視線の先へと振り返ると、床に転がった光線銃から、
なにやら七色の光が僕めがけて殺到して来ているではないか。
(;´∀`)「おぉう!?」
それはあっという間の出来事だった。
その輝きに包まれ、僕は唐突に真実を思い出す。
(;´∀`)「そういえばこれって…質量をコントロールする発明品じゃ……」
――数分後、僕はクーさんと一緒に為す術もなく空を漂っていた。今や僕たちは空気と同じくらいに軽いらしい。
僕らと一緒に虹色の怪光線を浴びた発明品なんかもそこらには浮かんでいて、
時折、吹きつけてくるクーラーの冷風に押し流されては、そういったものと一緒にもみくちゃにされながら辺りを彷徨う。
いくら僕の存在が空気みたいだからって、これはあんまりではないか。
⊂川 ゚ -゚)つ「…………」ジタバタ…
(;´∀`)「まだチャンスはあるモナ!」
(;´∀`)「あの光線銃は質量を増やすことも出来るモナ!」
(;´∀`)「どうにかあれに近づいて、質量増加方向にツマミを切り替えて照射すれば元に戻れるモナ!」
川*゚ -゚)「なんだかコレ、宇宙遊泳みたいで楽しいですね!」
( ´∀`)「……」
( ´∀`)「人間の適応力は侮れんモナ……」
- 127 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:15:38 ID:8mn/NKl20
-
从 ゚∀从「おーい、調子はどうだ?」
( ´∀`)「それが… ご覧の有様で……」
从;゚∀从「な、なんだ!?」
(;´∀`)「ああ…また風が……」
上下逆さまの所長が狼狽するのを眺めながら、僕はまたも吹きつける冷風によって何処かへと運び去られていく。
勿論、逆さまなのは僕の方なんだけど。
傍から見ればとてもシュールな光景に違いない。
川*゚ -゚)「所長! この発明はいけますよ!」
从;゚∀从「何やってんだよ……」
(;´∀`)「それが…質量をコントロールするアレにやられまして……」
从 ゚∀从「ジザイグラビテーションキャノン弐式か! 懐かしいなあ!」
( ´∀`)「……そういえば、壱式は質量増大しか出来ませんでしたね」
从 ゚∀从「オマエよく覚えてるなあ」
(;´∀`)(そのおかげでエライ目にあったの思い出したんですよ……)
- 128 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:17:14 ID:8mn/NKl20
-
そう、あの時も
从 ゚∀从「おい起きろ! 新発明だ!」
というお決まりのセリフ一番に、朝早くから僕は三色に輝く怪光線を浴びせられ、
尋常ならざる質量増加の果てに0.5Gほどの引力がこのカラダに発生してしまったのだ。
(;´∀`)「周囲の物が集まってくる!?」
(;´∀`)「それに馬鹿みたいに体が重っ…うぐぅ……」
やたらめったら周囲の物を引きつけ始めるわ、カラダは惑星並の重さになるわ
今、思い返してみてもよく潰れずに生還できたものだと感心する。
(;´∀`)(ホント、あの時はもうだめかと思ったモナ……)
从 ゚∀从「でさ、肝心の倉庫整理の方はどうなの……?」
(;´∀`)「それで……昔話に花が咲いたりという経緯も手伝って、倉庫整理の方は全く……」
从 -∀从「モナー……」
(;´∀`)「あわわわ……」
川 ゚ -゚)「いや、これは私が悪いんです所長!」
( ´∀`)!?
- 129 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:19:14 ID:8mn/NKl20
-
从 ゚∀从「えっ… そうなの?」
川 ゚ -゚)「なんだか、そうみたいなんです!」
从 ゚∀从 ??
( ´∀`)(モナのミスをかばってくれるなんてクーさん…マジ天使モナ……)
( ´∀`)「……ん?」
┌―‐┐
l !
└‐─┤
∩
川 ゚ -゚)彡
┌─┬⊂彡
| |
└─┘
(;´∀`)(手旗信号……!?)
なんとアナクロな。
お金さえあれば次元の壁さえなんともしない超かがく時代の昨今、
もはや伝統芸能とかそういうものに属して久しいレベルの通信手段である。
だが幸いにして、僕にはなぜだか多少の心得がある。
- 130 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:20:21 ID:8mn/NKl20
-
( ´∀`)(えーっと……)
( ´∀`)(“ここは私に任せて そのかわり#%スパゲティを○×△□ご馳走してくれませんか”)
(;´∀`)(ええい! 振りが速すぎて所々わからなかったモナ!)
(;´∀`)「……」
( ´∀`)(まあ、スパゲティって一皿780円くらいだし、そもそもご馳走する予定だったモナ)
(;´∀`)(しかし、手旗信号ってどういう事モナ……?)
┌―‐┐
l !
└‐─┤
∩
( ´∀`)彡 (了解モナ……)
┌─┬⊂彡
| |
└─┘
川*゚ -゚)!!
从 ゚∀从「……」
从 ゚∀从(近頃は、手旗信号なんかが流行ってるのか…後で勉強しようかなあ……)
- 131 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:21:40 ID:8mn/NKl20
-
从 ゚∀从「まあクーちゃんは新人だし、誰かさんのせいで希望の仕事じゃないし、ミスは仕方ないか」
(;´∀`)「その件については深く反省しております……」
从 ゚∀从「猛省したまえ」
( ´∀`)「はい……」
川 ゚ -゚)「そのことはもういいんです」
从 ゚∀从「あらら……?」
( ´∀`)「許してくれるモナ?」
川 ゚ -゚)「はい!」
(*´∀`)「モナモナ!」
从 ゚∀从(やけにあっさりだな……)
从 ゚∀从(倉庫整理で仲直り作戦成功したのかなあ……)
川 ゚ -゚) (´∀` )
- 132 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:22:38 ID:8mn/NKl20
-
そして僕らは夜の街をハイヤーで走り抜け、海が見えるイタリアンレストランへ。
暗い海の満ち干きが窓辺から覗く。そんな店内。
川 ゚ -゚) ( ´∀`)
テーブルを挟んで向かい合う互いの顔が丁度見えるくらいの灯。
他所の表情を伺うことは出来ない。
ホールには物静かなジャズが流れ、心地良い音量のそれが周りの音を優しく隠す。
店内にはプライベートな空間が自然と作り出されていた。
なんだか僕の語り口までもが普段とは装いを変えてきてしまっている。それほどの雰囲気だ。
( ´∀`)(こんなお店は初めてモナ!)
( ´∀`)(クーさんオシャレだなあ……)
川*゚ -゚)ソワソワ
( ´∀`)(おおう……モナのことなんか眼中に無いモナ)
- 133 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:24:05 ID:8mn/NKl20
-
給仕に案内された窓際の席に座り、ひとしきり海を眺めて、
それから、差し出されたメニューに目を落とす。
( ´∀`)「……?」
その文字列が意味を成し、僕の頭に染み渡るまでには少しばかり時間が掛かった。
途端に僕は、ささやかな混乱に見舞われる。
あろうことか、どのパスタも価格が1,700〜2,800円付近に設定されているのだ。
(;´∀`)「こっ、これは!?」
“ここは私に任せて そのかわり#%スパゲティを○×△□ご馳走してくれませんか”
「そのことはもういいんです」
そして僕は唐突に全てを理解する。
“ここは私に任せて そのかわり高級スパゲティをお腹一杯ご馳走してくれませんか”
- 134 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:25:06 ID:8mn/NKl20
-
(;´∀`)「しまッt……!」
川*゚ -゚) ムフー!ムフー!
( ´∀`)……
顔を上げると、向かいの席には熱心にメニューを覗きこみ、獲物を品定めする猛獣が鎮座していた。
密林の美しき狩人達。そんなタイトルのネコ科肉食獣特集を僕は思い出す。冗談ではない。
自慢じゃないが、僕の財布は木枯らしに吹きはらわれる落ち葉みたいなものなのだ。ようするに、とても薄くて軽い。
(;´∀`)「モナモナ!」
僕は咄嗟に彼女を制止しようとして、でも、やっぱり、それは徒労に終わる。
豹や虎なんて代物は土台、僕の手に負えるはずがなかったのだ。
川*゚ -゚)「これと、これと それから、これもお願いします!」
( ´Д`)「あぁ……」
よどみなく告げられていくオーダーの数々。給仕がうなずき、僕はうなだれる。
そして今宵、僕はクーさんの胃袋が亜空間に繋がっていることを知る。
17皿を始末した彼女は、幸せそうに微笑みながら夜の街へと消えていき、
あとに残ったのは残酷な現実だけだった。
お会計 ¥- 39,270
夜の海に儚く消えた僕の安月給に、乾杯……。
なんだか今夜は潮風が目に染みるや。
- 135 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:25:59 ID:8mn/NKl20
-
今日のおさらい
从 ゚∀从 我らがロリ所長 ロボットの名前は、第五世代型不法侵入者要撃戦闘ロボ・SIGMAカスタム 通称、歯車王
( ・∀・) 炎のロリコン研究員 汚い策士 正義ヒーロー営業担当
('A`) 謎の部外者 社外取締役(嘘) 研究所に入り浸る理由とは案外ポテチなのかもしれない
( ´∀`) 主人公(貧)
川 ゚ -゚) 新人研究員 クレイジー・スパゲティ・ガール 手旗信号の際、一部振りが加速したのは故意ではないかとの噂が囁かれている
自称・不思議系クール その本性は謎につまれている 黒い
今日の格言
「人の世の潮騒のなかに生まれ、去りゆく時の流れも消しえぬ、ひとすじの足跡がある」
人に歴史あり(TV番組)
「うつつよに生まれ落ち幾歳月、消そうども消えぬ足跡あり、人それを黒歴史といふ」
モナー(ハイン研究所下っ端研究員)
第五話 おしまい
从 ゚∀从「次回もマッドサイエンス!」
- 136 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 01:28:14 ID:8mn/NKl20
-
次は月末くらいに来れたらいいなと思ってます
- 137 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 02:03:07 ID:8mn/NKl20
-
改めて読むと今回は色々と酷いなあ……
ちょっとコレなかったコトにs(ry
- 138 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 09:39:38 ID:A25Vkwco0
- おっつおっつ
- 139 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 12:10:34 ID:M/ZNTQXg0
- 久しぶりだな
- 140 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 12:24:10 ID:n5U0uXMU0
- おつ。また待ってるよー
- 141 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 16:03:52 ID:8mn/NKl20
-
やっぱり書き直します
内容が散漫なのでハインとモナーの過去、クーの性格についての話、クーが倉庫を整理する話
の3つにわけます
内容的にはそう変わらないと思うから、この回をよんでくれた人には申し訳ないけど
gdgdでスイマセン
- 142 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 02:44:19 ID:omQ5jG/g0
-
専ブラで見ると時系列順表示で今の五話を回避できないからスレ立て直します、ごめんなさい
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