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('、`*川死神と手を繋いで- 1 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 23:16:24 ID:QKpWW53g0
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照りつける太陽から、フードを目深に被って身を隠した。
しかし砂漠の砂が下から光を反射し、熱が体を包み込む。
最後に食事をしたのは、二日前のことだ。
水の気配を辿り、オアシスを中継しながら歩いているので、乾きには苦しんでいない。
問題は空腹と、塩分だった。
lw´‐ _‐ノv「そろそろ死にそう?」
上空を飛んでいる、黒い布きれを纏った白髪の少女が、無表情で言った。
- 2 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 23:19:41 ID:QKpWW53g0
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('、`*川「絶対死なない」
ペニサスは剣を杖代わりにし、大きく一歩踏み込んだ。
足の裏が砂に埋もれ、体が沈み込む。
lw´‐ _‐ノv「あと一日あればなあ」
自分よりも大きい鎌を持った少女は、やはり無表情に呟いた。
彼女の言葉を無視し、ペニサスは地平線に漂う街の影を睨み付けながら、また一歩、足を踏み出した。
- 3 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 23:21:01 ID:QKpWW53g0
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第一話「旅立ちの街」
- 4 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 23:25:20 ID:QKpWW53g0
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巨大なオアシスを囲むように作られた街だった。
交易路の中継としての街ではなく、完全に下界と孤立しているらしい。
ペニサスが街にやってくると、住人たちが盛大に出迎えてくれた。
広大な砂漠の真中に位置しているこの街に、外から人がやってくるのは、
長い歴史の中でも両手で数えるくらいしかいないらしい。
(’e’)「君は勇敢な人だ。我々は君に最大限のもてなしをするよ!」
街を統括している男は、独特な訛りで言った。
- 5 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 23:28:07 ID:QKpWW53g0
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('、`*川「そう。ありがと。でもとりあえず宿に泊まりたい。
シャワーを浴びて、それから食事を」
(’e’)「私の家に泊まりなさい。食事はもちろん出そう。
その代わり、夜になったら旅の話をしてくれないか?」
ペニサスは街の正門で取り囲まれていた。
旅人が珍しいにしても、この反応は異常だと思ったが、大人しく従うことにした。
路銀が節約できるなら、それに越したことはない。
オアシスが近いからか、街の中は少し気温が低く、水を含んだ涼しい風が吹いていた。
ペニサスはフードを取り、腰まである長い髪を指でとかした。
- 6 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 23:31:46 ID:QKpWW53g0
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男はセントジョーンズと名乗った。
中年だが、顔はみずみずしく、生気に溢れている様子は実年齢より若く見えさせた。
セントジョーンズの家に招かれ、シャワーを借りた。
髪に砂が絡みついていたが、水で流しきると、元のつやのある髪に戻った。
lw´‐ _‐ノv「よく体を洗った方がいい。
きっとあとでお代は体で支払ってもらうよ……とか言われるよ」
('、`*川「そのときは全員しばき倒す」
lw´‐ _‐ノv「暴力反対!」
宙に漂う少女は、決してペニサスから離れず、彼女が体を洗っている間もそばを浮かんでいた。
- 7 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 23:35:36 ID:QKpWW53g0
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シャワーを終えると、さっそく食事を出してもらった。
クラーンの実をすり潰したスープが前菜として運ばれる。
畑から取れた野菜のサラダ、それからシーモと呼ばれる家畜の肉が後に出された。
癖のある味がしたが、残さず食べる。
好き嫌いがある訳ではないが、出されたものは全て食べることにしている。
lw´‐ _‐ノv「私も食べたい! 食べたいよぉペニサス!」
('、`*川「うるさい」
(’e’)「はい?」
小首をかしげたセントジョーンズに、ペニサスは何も答えなかった。
- 8 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 23:37:56 ID:QKpWW53g0
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やがて夜になった。
広場に街の者たちが集まり、中心にセントジョーンズとペニサスが椅子に座っていた。
(’e’)「下界から街にやってきた勇者に、皆の者拍手を!」
外の人間を追い出す街もあるが、これほど歓迎されるのも逆に居づらい。
ペニサスは広場に集まり、好奇の視線で見てくる人間たちを、ぼうっと眺めていた。
(’e’)「旅のお話を聞かせて頂いても?」
('、`*川「特に、聞いて面白いような話はありませんけど」
- 9 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 23:40:01 ID:QKpWW53g0
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(’e’)「またまた! 勿体ぶっちゃって!」
('、`*川「いや、マジで」
(’e’)「お願いしますよ。例えば、旅の目的とか」
セントジョーンズは決して譲らなかった。
旅、彼を含めて、街の者たちはこのキーワードに異常な執着を示しているようだ。
('、`*川「死神がついているんです」
ペニサスが話し始めると、小声で会話をしていた街に者たちが黙り込み、
広場はしんと静まりかえった。
- 10 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 23:43:13 ID:QKpWW53g0
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('、`*川「死神を追い払うのが旅の目的です」
(’e’)「死神?」
('、`*川「これを退治しないと、私は近い内に死ぬんですよ」
lw´‐ _‐ノv「えーそうなの!? ペニサス可哀想!」
ケラケラと笑う、宙を漂う少女に、街の者たちは誰も反応しなかった。
ペニサスだけが、彼女を睨み付けていた。
ぽつぽつと旅の話を始めたペニサスに、街の者たちは興奮を抑えきれない様子だ。
何人かは、酒を口に入れていて、赤い顔をしていた。
- 11 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 23:45:36 ID:QKpWW53g0
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一時間ほど話をすると、ようやくみんな満足したようだ。
その後は、ただの宴会となった。
ペニサスも酒を勧められたが、断った。
('、`*川「訊きたいことがあります」
(’e’)「何でしょう?」
('、`*川「私の他に、最近、この街に来た旅人がいるでしょう?」
(’e’)「ほう、ご存じなのですか、あの人を」
('、`*川「少し。その者が何処に向かったか、わかりませんか?」
- 12 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 23:47:53 ID:QKpWW53g0
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セントジョーンズは申し訳なさそうな顔をした。
(’e’)「すみません。北へ向かったのはわかりますが、正確な場所は」
('、`*川「そう」
別に、有益な情報は期待していなかった。
lw´‐ _‐ノv「私の勘では、彼女はおそらく西へ向かったはず」
('、`*川「たった今北っつったろ」
(’e’)「はい?」
セントジョーンズが、また首をかしげた。
- 13 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 23:50:49 ID:QKpWW53g0
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('、`*川「それにしても、旅人が来たくらいで宴会って、ちょっと大げさ過ぎませんか」
(’e’)「大げさではありませんよ。私らにとっては一大事。
それに明日、旅立ちの儀式があるのですよ。前夜祭も兼ねています」
('、`*川「旅立ちの儀式?」
(’e’)「旅立ち! 旅立ちですよ! 何て胸が躍る言葉なんでしょうかね!」
lw´‐ _‐ノv「リアクションが鬱陶しかったら斬り捨ててもいいのよ。ペニサス」
('、`*川「何ですか、それ」
(’e’)「その名の通り、この街を旅立つ者を見送る儀式です」
- 14 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 23:54:13 ID:QKpWW53g0
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('、`*川「へえ。この街の人も旅をするんですか」
(’e’)「ですが、一度旅に出たらもう二度とこの街には戻ってこれません」
('、`*川「どうして?」
(’e’)「旅とは、そういうものなのです」
何処か違和感を覚えたが、追求はしなかった。
追求は、するのもされるのも、好きではない。
('、`*川「畑も家畜も豊富にあるのに、旅に出たがる人がいるんですね」
(’e’)「旅とは心をくすぐられる魅力がありますからね!」
- 15 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 23:57:05 ID:QKpWW53g0
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lw´‐ _‐ノv「じゃあお前も旅に出ろ! 今すぐ身支度せえ!」
死神と、同じことを言いたくは無かったが、
('、`*川「あなたは旅には出ないのですね」
言ってから後悔する。
皮肉を含んだニュアンスになってしまった。
(’e’)「私は無理ですよお。街を統治する使命がありますしね」
会話が止まった。
ペニサスはぼんやりと広場を眺めていたが、一人の少女に目が留まった。
- 16 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 23:59:58 ID:QKpWW53g0
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彼女の周りを何人もの大人が取り囲み、酒を飲みながら口々に何か言い交わしている。
中心にいる彼女は、ぴくりとも笑わず、時折口を開くだけだ。
街に漂う平和な空気に、彼女だけが馴染んでいなかった。
(’e’)「彼女が、明日、旅に出る少女です!」
ペニサスの目線に気がついたセントジョーンズが、彼女を見ながら言った。
(’e’)「名前はつー。小さいのに、勇気がある! いや、結構結構!」
セントジョーンズは上機嫌だった。
旅が好きなのか、旅に出る者が好きなのか、それとも……。
- 17 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:02:32 ID:4jtUvCI20
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宴は夜遅くまで続いた。
ペニサスは一滴も酒を飲まずに、セントジョーンズの家で眠りについた。
翌日、まだ日が昇るまでにペニサスは目を覚ました。
朝日が顔を出す頃になると、街にちらほらと人影が見え始める。
朝食の時間になって、一度セントジョーンズの家に戻った。
食べ終えると、さっそく旅の支度を始めた。
同じ街に留まるのは、用事が無ければ一泊だけと決めていた。
(’e’)「もう少しゆっくりしていってもいいのに」
- 18 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:04:42 ID:4jtUvCI20
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('、`*川「時間が無いので」
(’e’)「死神ですか?」
セントジョーンズの言葉に、面白がっている気色を感じた。
彼は死神の存在を、冗談半分に受け止めていた。
返事はせずに、一礼だけすると、彼の前から歩き始めた。
街を出ようとしたとき、人だかりが出来ているのを見つけた。
中心には、昨夜見かけた少女、つーがいた。
(*゚∀゚)「行ってくるよ!」
- 19 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:07:33 ID:4jtUvCI20
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彼女の家族らしき者たちに手を振り、名残惜しそうに何度も振り返りながら、
街の外へ歩いて行った。
つーを追う訳ではないが、彼女は北に向かっていったので、
背中についていく形でペニサスも街を発った。
およそ、三十分ほどした頃、つーは後ろを歩いているペニサスの存在に気がついた。
(*゚∀゚)「あんたもこっちなんだ!」
仲間が出来たと思っているのか、明るい声でペニサスに声をかける。
まだ言葉遣いも怪しいほど、幼さの残る少女だ。
- 20 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:09:05 ID:4jtUvCI20
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('、`*川「そうみたい」
(*゚∀゚)「一緒に行く?」
ペニサスはさっとつーの格好に目を通した。
ぱんぱんに膨らんだバックパックに、革袋に包まれた剣が見えた。
つーに比べると、ペニサスは軽装だ。
旅をするには、持ち物は必要最小限に抑えておかなければならないことを、ペニサスは知っている。
('、`*川「街に戻った方がいい」
(*゚∀゚)「え、何で?」
- 21 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:11:50 ID:4jtUvCI20
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('、`*川「旅は、あんたには早いよ」
(*゚∀゚)「やだよ! あの街は退屈なんだ。人生一度きりなんだよ。
旅に出ないと損だよ。子供の頃からの夢だったんだ」
('、`*川「旅が何か、知ってるの?」
(*゚∀゚)「冒険でしょ?」
('、`*川「戦いだよ」
足下の砂が、様相を変えたのを、ペニサスは感じた。
焼けた砂の臭いに混じって、気になる臭いが風に運ばれてくる。
- 22 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:17:03 ID:4jtUvCI20
-
(*゚∀゚)「嘘だ! 旅に出ないと人は成功しないんだ。
同じ街で、ずっと同じものを見て、同じものを食べても、下らないよ」
('、`*川「同じ日なんてある訳無いじゃない」
(*゚∀゚)「同じだよ! ずーっと同じ! 退屈なの」
('、`*川「それが幸せなの。きっとあんたの街で、旅に出ない人間は、心の奥底でそれを知っている。
旅がどういうものなのか、本当は理解しているんだ。だから、旅を恐れてる。
それでいて、憧れている」
(*゚∀゚)「どういうこと?」
('、`*川「死に魅せられている。だから旅立ちを夢見る。
そこで踏みとどまれる人間こそ、幸せを掴めるの」
- 23 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:18:59 ID:sFVaecf20
- あらやだまた新作!
期待
- 24 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:19:45 ID:4jtUvCI20
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(*゚∀゚)「アタシ、わかんないや」
('、`*川「幼いから。ものを知らないの」
(*゚∀゚)「でも」
('、`*川「旅に出る者が希望を掴むんじゃない。
旅に出る者がいる、それこそがあの街の人間たちの希望なの。
あんたは、偶像。偶像のために犠牲にされた」
(*゚∀゚)「よく、わかんない……」
街を出発してから、数時間が経とうとしていた。
砂に泥が混ざり始め、黒く濁った地面を二人で進んでいた。
- 25 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:22:28 ID:4jtUvCI20
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足下に、ごつごつした堅い感触を感じた。
ペニサスと死神は、地面に埋まっているものの正体を悟った。
('、`*川「私の後ろに隠れて」
(*゚∀゚)「え?」
('、`*川「今から、旅がどういうものか、教えてあげるから」
lw´‐ _‐ノv「ペニサス! これ、やばいよ! 死ぬ? 死ぬ?
ここで死んでくれたら特大サービス! 地獄まで割り引きでお届けするよ」
- 26 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:26:06 ID:4jtUvCI20
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('、`*川「会員割引みたいな?」
lw´‐ _‐ノv「ペニサスはゴールド会員だよ!」
(*;゚∀゚)「な、何だあれ!」
砂が大きく盛り上がり、巨大な山となった。
砂の山から手足が生え、赤い眼が浮かび上がり、砂が流れるにつれて表皮も表に出てきた。
体長二十メートル以上もある、ムカデのようなフォルムをした、サンドワームだった。
ペニサスは革袋から剣を取りだした。
剣身に青い文様が入ったそれは、太陽の光に鈍い色を反射した。
- 27 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:32:35 ID:4jtUvCI20
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サンドワームはムカデに似ているが、手と足が二本ずるあるだけで、
直立して歩くことが出来る。
サンショウウオにも似ている、とペニサスは思った。
サンドワームが体を翻した瞬間、死角に隠れていた尻尾が大きな輪を描いて地面を滑空した。
ペニサスはぎりぎりの跳躍でしっぽの攻撃をかわし、正面から駆け込んでいく。
大口を開けたサンドワームは、顔を横に傾けて、ペニサスの胴体を噛みちぎろうとした。
ぎざぎざに尖った牙が体に触れる直前、片足を牙に引っかけて、さらに上空に跳躍する。
ペニサスが降り立った場所は、サンドワームの顔の中心、ちょうど両目の間だった。
('、`*川「"私は炎を愛す"」
- 28 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:35:13 ID:4jtUvCI20
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両手で持った剣を高く振り上げると、剣身に炎が纏った。
('、`*川「"炎はお前を嫌う"」
炎がとぐろを巻き、圧縮していく。
('、`*川「"燃えて乾いて散って死ね"」
ペニサスの声に呼応し、炎がいっそう激しさを増した瞬間、剣は眉間に振り下ろされた。
直後閃光が辺りを覆い、サンドワームとペニサスを光の渦に呑み込んだ。
- 29 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:39:15 ID:4jtUvCI20
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つーは空気が爆発的に膨れあがるのを感じた。
体から皮一枚上に熱がのし掛かる感覚がし、数歩後ずさる。
しばらく目を瞑っていたが、再び目を開けたとき、全ては終わっていた。
サンドワームの頭が円を描いてぽっかりと消滅していた。
涼しい顔で剣を布で磨いているペニサスが、横たわった死体のそばにいた。
(*;゚∀゚)「なに、こいつ」
('、`*川「この辺りの主らしいね。
たぶん、あんたの街から旅立ったやつは、みんなこいつに喰われたんだろう」
lw´‐ _‐ノv「当たり! 死の気配がそこら中からする。墓場にいるみたいだ」
- 30 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:42:28 ID:4jtUvCI20
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('、`*川「意地張らずに答えてちょうだい。帰りたくなったでしょう?」
(*゚∀゚)「……うん」
('、`*川「退屈って、幸せよ」
(*゚∀゚)「うん」
('、`*川「旅は、逃げるためにやるもんじゃない。
あんたは自分の街から……自分の人生から、逃げちゃいけない」
(*゚∀゚)「うん」
('、`*川「帰っちゃいけないって掟だけど、たぶん、大丈夫。帰りなさい」
半ば放心していたつーだったが、力なく頷いた。
今から逆戻りすれば、夜になる前に街に帰れる時間だった。
- 31 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:45:51 ID:4jtUvCI20
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('、`*川「じゃあね」
(*゚∀゚)「うん。ばいばい」
つーは小さく手を振って、足跡を辿って帰り始めた。
lw´‐ _‐ノv「あの子、たぶん死ぬけど、いいのか旦那?」
('、`*川「どうせ旅に出ても死ぬから」
lw´‐ _‐ノv「ああいう外界から閉ざされた街ってのは、掟が何よりも絶対なんだ。
なぶり殺しにされるんだろうなあ。可哀想になあ。うひうひ」
('、`*川「どこで生きたって、戦いは避けられない」
- 32 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:49:38 ID:4jtUvCI20
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腰につけた短刀を取りだし、サンドワームへ近寄っていった。
味は不味いが、栄養は豊富なのを知っていた。
切っ先を体に突き刺し、乱暴に肉をはぎ取っていく。
('、`*川「どこで闘うか。なにと闘うか。それを選択するだけ」
lw´‐ _‐ノv「旦那は何と闘ってんの?」
宙を舞う死神は、体を逆さにして、ペニサスの首に抱きついた。
('、`*川「運命よ」
肉を取り終えると、ペニサスは一度来た道を振り返った。
つーの姿は、既に砂の山の向こうに消えていた。
- 33 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:50:40 ID:o9Asx78sO
- まだ続いてたんだ、このペースはながらかな
(´・ω・`)支援だよ、ところでボクの出番はあるのかな
- 34 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 00:51:04 ID:4jtUvCI20
- 第一話、終わりです。
支援無しで終えるかと思いましたが、一レスついてよかったです。
次の投下は二週間以内を目処に考えてます。
- 35 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 01:07:00 ID:JokdA34U0
- これは良作
次回が楽しみだ、乙です
- 36 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 01:12:57 ID:xzvEbcmQO
- 乙!
- 37 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 09:46:06 ID:bCgjgedk0
- 乙乙
詠唱カッコイイネ
期待
- 38 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 15:47:05 ID:fcYaVZkY0
- 乙
- 39 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 20:09:45 ID:t1V5L8co0
- 乙
面白かった!
- 40 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 21:50:05 ID:tWGgX0oY0
- 良作のかほり
- 41 :名も無きAAのようです:2012/06/24(日) 00:09:41 ID:EgEwEDMAC
- 相当実力のある人が書いてるなコレ
- 42 :名も無きAAのようです:2012/06/25(月) 16:51:43 ID:btLeOj9YO
- 期待
- 43 :名も無きAAのようです:2012/06/30(土) 22:39:47 ID:JD0iYlLM0
- 待ってる
頑張れ
- 44 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 05:09:11 ID:yQgUUeEE0
- 面白い
特にペニサスが主人公ってのがなんかいい
- 45 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:05:17 ID:qj6LnV4.0
-
背の高い木々が茂る、深い森を駆けていた。
新緑の固い葉が体に当たり、いちいち汁をひっつけてくるのが鬱陶しかった。
「ぎががががががががが」
「がががががががが」
「ごごごごごごごごごごご」
lw´‐ _‐ノv「ずばばばばばば!」
('、`*川「対抗しなくてもいい」
数十匹にも上るクモのような獣に追われ続け、半日が経つ。
方位磁石の感覚が体に宿っているので、森の中で迷っている訳ではないが、
森は何処までも行っても森だった。
- 46 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:10:42 ID:qj6LnV4.0
-
森さえ抜ければスパイスクロウたちの手から逃げられるはずだが、
振り切れる相手ではなさそうだった。
ペニサスは足を止め、剣を抜きながら振り返った。
('、`*川「"落ちよ雷の滴"」
天に向かってかざした剣に、黄色い閃光がばちばちと光る。
('、`*川「"鳴けよ雷鳴の声"」
剣を構えると、光は一層強くなり、周りの木々が焦げ付いた。
('、`*川「"死ねクソ野郎共"」
「ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ」
横一文字に振るった剣から、轟音と共に雷撃の波紋が拡がった。
地面がえぐれ、周りの木々が薙ぎ倒れた。
- 47 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:13:04 ID:YUvgFyEg0
- 相変わらず呪文に心がくすぐられる
- 48 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:14:52 ID:Wt4cIzUQ0
- ktkr
支援
- 49 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:16:11 ID:qj6LnV4.0
-
雷撃は閃光を伴い、放射線状に拡散する。
スパイスクロウの群れを大きく呑み込み、やがて全て消し去った。
lw´‐ _‐ノv「環境破壊は駄目! シューちゃんとのお約束だよ!」
('、`*川「だから今の今まで使わなかったんだよ」
腰布に付けた革袋に剣を収め、フードを被る。
局地的に荒廃した森を背に、また木々の海に身を投じた。
走るのやめて、歩き続けた。
途中、ウサギを数匹と、蛇を十数匹、木の実を食べて、消費した魔力を補充した。
森には食べられるものが多いので、空腹になることはなかった。
- 50 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:22:55 ID:qj6LnV4.0
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森に入ってから十日が過ぎようとしていた。
小さな街道が見つかったので、北に沿って道を歩いた。
一度行商人と出会ったので、浄粉とソープの類を買った。
('、`*川「一応、私も女だし」
lw´‐ _‐ノv「え、聞いてませんけど」
('、`*川「むかつく」
街道を丸一日歩いた先に、ぼろの山小屋と、数人の兵士たちを見つけた。
彼らはペニサスを一瞥すると、顔を見合わせ何か話し合ったあと、
彼女の元へ近づいてきた。
- 51 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:27:55 ID:qj6LnV4.0
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兵士たちはテルミナから来たと名乗った。
道中、モンスターに襲われ、地図を無くしたから困っているのだという。
ペニサスは麻袋から地図を丸めたものを取り出し、
('、`*川「200リンで売るけど」
兵士たちは苦い顔をした。
いくらか負けてもらえないかとの申し出をことごとく断り、
結局兵士たちはペニサスから、定価の五倍で地図を買った。
('、`*川「何処まで行くつもりなの?」
- 52 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:31:35 ID:qj6LnV4.0
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( ・∀・)「エンドヘヴンだ」
('、`*川「遠いわね。何かのハント?」
( ・∀・)「まあな」
あまり込み入ったことは教えてくれなさそうな空気を感じた。
強引に聞きたいほど興味も無かった。
('、`*川「そこの山小屋、使ってもいい?」
日はまだ高いが、このところ歩き通しだったので、床に寝転がって眠りたかった。
( ・∀・)「ちょっと待ってくれ。隊長に聞いてくる」
兵士の一人が山小屋まで走っていく。
王国の兵士というと傲慢な者が多い印象だが、テルミナが小国だからか、
彼の対応は丁寧だった。
- 53 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:34:58 ID:qj6LnV4.0
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兵士が山小屋から出てくると、一回り大きい兵士が、
上半身に何も身につけていない状態で山小屋から這い出てきた。
かなり背が大きく、たくわえたヒゲの似合う中年の兵士だった。
兵士から隊長と呼ばれた男は、ペニサスの足下からさっと視線を這わせた。
値踏みするようないやらしさを感じた。
( ・∀・)「いいらしい。我々も泊まるから狭くなるかもしれんが、
五、六人程度なら寝られないことは無いだろう」
('、`*川「悪いわね」
自分に視線が集まるのを感じた。
心の中を読む魔法は知らないが、彼らが何を考えているか、見当が付かないほど鈍感でもなかった。
- 54 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:38:55 ID:YUvgFyEg0
- wktk
- 55 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:39:01 ID:qj6LnV4.0
-
山小屋につくと、湿気臭さに混じり、男特有の臭気が鼻についた。
外で寝るよりはましだと考え、荷物を部屋の隅に降ろした。
lw´‐ _‐ノv「ペニサスってさあ」
('、`*川「何よ」
lw´‐ _‐ノv「セックスしたことある?」
('、`*川「……無いけど。だから?」
lw´‐ _‐ノv「チャンスじゃーん! 今夜、イケイケの野郎共六人とパーティだよ!」
山小屋の外で、ぼそぼそと話をしている声が聞こえる。
('、`*川「ええ。楽しみだわ」
- 56 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:41:47 ID:qj6LnV4.0
-
近くで蛇を二匹捕まえ、山小屋に戻ってきた頃には、火が暮れていた。
山小屋の前で兵士たちがたき火を囲んでいる。
酒瓶がすでに、転がっていた。
('、`*川「これ、焼いてもいい?」
( ・∀・)「お前が捕まえたのか? 見かけによらず、たくましいんだな。
一人で旅をしているのなら、当たり前のことなのか?」
('、`*川「さあ?」
昼間、話をした兵士が場所を譲ってくれたので、そこに腰を下ろした。
木の枝に突き刺した蛇を軽くあぶり、一度皮を剥ぎ取ってから、
たき火の傍に枝を突き刺し、火に当て続けた。
- 57 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:43:51 ID:qj6LnV4.0
-
こつは、焼かないことだ。
焼くのではなく、あぶることで、蛇の脂が適度に落とせる。
( ・∀・)「なあ、名前は何て言うんだ?」
('、`*川「ペニサス。あんたは?」
( ・∀・)「モララーだ」
モララーは若く、気さくな男だった。
他の兵士のような堅さや無骨さは感じない。
逆に言えば、兵士としては少し幼い印象である。
( ・∀・)「ペニサスはどうして旅をしてるんだ?」
('、`*川「師匠を捜してる」
- 58 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:46:51 ID:qj6LnV4.0
-
( ・∀・)「師匠って」
ペニサスの隣に置いてある、剣の収まった革袋をモララーが見つける。
( ・∀・)「剣の師匠か?」
('、`*川「剣は我流」
( ・∀・)「じゃあ……狩りの師匠?」
lw´‐ _‐ノv「料理の師匠だよね!」
('、`*川「殺しの師匠」
モララーが一瞬息を呑んだのがわかったが、すぐに彼は破顔した。
( ・∀・)「ははは。そりゃいいや」
- 59 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:49:41 ID:qj6LnV4.0
-
('、`*川「何が?」
( ・∀・)「じゃああんたは殺しのプロか?」
('、`*川「そうかもね」
( ・∀・)「今まで何人殺したんだ」
('、`*川「数えてないけど、二百人くらいじゃないかな」
モララーはもう一度笑った。
よく笑う男だと思った。
蛇を食べ終えた頃、兵士たちの隊長から酒を勧められた。
断ると、今度はモララーの方へ向き直った。
薪が足りなくなったから、探してこいと命令を出す。
モララーは渋々といった様子で、たき火から離れていった。
- 60 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:52:14 ID:qj6LnV4.0
-
モララーの姿が闇夜に消えると、場の空気が変わったのがわかった。
酒を飲んでいる者、肉に食らいついてる者、皆ペニサスの方をちらちらと見ていた。
ローブから伸びる白い足に、視線が纏わり付く。
lw´‐ _‐ノv「こいつらじゃ、駄目だなあ」
隊長が立ち上がり、ペニサスの後ろに立った。
('、`*川「何?」
彼は何も言わず、ペニサスの髪の毛を掴むと、その場に押し倒した。
それを合図に、周りに座っていた兵士たちが立ち上がり、ペニサスを囲む。
- 61 :名も無きAAのようです:2012/07/02(月) 23:59:07 ID:qj6LnV4.0
-
隊長はローブに手をかけ、強引に前開きを開いた。
ローブの下は、薄いキルティしか着ておらず、乳頭の部分がそのままの形になって露出した。
誰も喋らなかった。
隊長はキルティの上からペニサスの胸を鷲づかみし、彼女の首元に舌を這わせている。
他の者は、ペニサスの太ももや、下着だけの尻に手を伸ばしていた。
隊長は薄桃色の乳頭が見えるまでキルティをまくし上げ、
つばをたっぷり含んだ舌でなめ回した。
その間、ペニサスはずっと無言だった。
死神は、無表情のまま、ことの成り行きをただ眺めていた。
腕にかかっていただけのローブが投げ捨てられ、
キルティも剥ぎ取られた。
白い体がたき火の光に映し出され、胸の凹凸が影となって地面に伸びた。
- 62 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:01:27 ID:ENaIZEOk0
- 支援
- 63 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:04:15 ID:jeDx/Cck0
-
下着一枚になったペニサスは、夜空を見上げて、薄く微笑んだ。
('、`*川「"闇よ闇"」
後ろから羽交い締めにされ、胸を乱暴に揉みし抱かれる。
隊長の手が下着に滑り込み、薄い陰毛を撫でた。
('、`*川「"闇に浮かぶは悪魔の嘆き"」
指が膣穴を探っている。
('、`*川「"闇に消えるは人の邪気"」
下着に手がかかり、膝までずらされた。
('、`*川「"揃いも揃ってクズばかり"」
ペニサスの瞳が、黒く覆われていくのを、一人の兵士が気がついた。
- 64 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:07:38 ID:j.P9Rmuk0
- オメーら固くしてんじゃねーぞビクンビクン
- 65 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:08:05 ID:jeDx/Cck0
-
('、`*川「"闇に散りゆく屑ばかり"」
全裸になったペニサスの体から、黒い煙が立ち上り、一瞬にして辺りを覆った。
兵士たちは声を上げる間もなく、黒い煙に飲まれていった。
数秒ほどで煙が晴れると、そこには誰もいなかった。
たき火だけが、変わらず燃え続けていた。
lw´‐ _‐ノv「どうしてすぐに殺さなかったの?」
('、`*川「楽しいかなあって思って。セックス」
lw´‐ _‐ノv「あのさあ、ペニサス。セックスってのは、好きな人とするから楽しいんだよ」
('、`*川「じゃあ、下手したら一生できないじゃない」
lw´‐ _‐ノv「うーん、ペニサスの性格を考えると、確かに難しいかもしれんね……」
- 66 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:09:34 ID:ENaIZEOk0
- ヒエー
- 67 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:10:03 ID:jeDx/Cck0
-
足首までずれたをはき直そうと、手を伸ばしたときだった。
背後の茂みが揺れ、音を鳴らした。
( ;・∀・)「うわ! ごめん!」
('、`*川「え?」
lw´‐ _‐ノv「あ」
モララーが帰ってきた。
裸を見ないようにしているのか、こちらに背を向けて、しきりに謝っている。
下着をなおし、キルティを身につけ、ローブを羽織ってから、モララーに声をかけた。
( ;・∀・)「驚いた。何で脱いでるんだよ」
- 68 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:12:42 ID:uVDzDsL60
- モララーさん純朴過ぎやで
- 69 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:13:27 ID:jeDx/Cck0
-
('、`*川「好きで脱いだ訳じゃない」
( ・∀・)「他のみんなは?」
lw´‐ _‐ノv「消滅したよ!」
('、`*川「さあ?」
モララーは地面に黒ずんだ染みが五つあるのを見つけた。
見ようによっては、人の形に見えそうだった。
( ;・∀・)「本当に……知らないのか?」
('、`*川「たぶん死んだよ。でも本当は知らない。あれはそういう"もの"だから」
モララーが剣を引き抜いたのを、音だけで確認した。
- 70 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:14:19 ID:nh2hwTKA0
- こいつぁ面白い支援だ
- 71 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:15:40 ID:jeDx/Cck0
-
( ;・∀・)「お前、魔女、なのか」
('、`*川「ええ」
( ;・∀・)「みんなを殺したな!」
('、`*川「ええ。まあ。たぶん」
( ;・∀・)「何故!?」
理由を聞いてくることに、少し驚いた。
兵士というのは、こういうとき問答無用で斬りかかってくるものだと考えていた。
やはりモララーという男は、兵士らしくない。
('、`*川「私のことを襲ったの。私が、女だから」
( ;・∀・)「女? あ……でも、そんな、まさか」
- 72 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:19:58 ID:jeDx/Cck0
-
('、`*川「どうして信じられないの?」
( ;・∀・)「俺たちは王国の兵士だ! 誇り高きテルミナの兵士!
女性を襲うなんてあり得ない!」
lw´‐ _‐ノv「ペニサス。いいこと思いついた。こいつ殺してこいつらの荷物奪おうぜ」
('、`*川「ちょうど同じこと考えてたから、やりたくなくなったわ」
lw´‐ _‐ノv「ちっ」
( ;・∀・)「おい、聞いてるのか!」
('、`*川「私は真実しか言わない」
( ;・∀・)「でも」
('、`*川「でも?」
- 73 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:23:11 ID:jeDx/Cck0
-
モララーはゆっくりと剣を降ろした。
( ;・∀・)「俺たちは、兄弟みたいに、育った……。
今日の今日まで、同じように剣を振るった仲だ。
隊長は凄く強くて、俺、すげえ尊敬してたし、優しくて、頼りになって……」
('、`*川「だから?」
( ; ∀ )「信じたくねえよ……それが真実でも」
膝から崩れ落ちたモララーは、剣を放り、手をついて頭を項垂れた。
黒い染みとなった仲間の上に、汗と混じった涙が落ちた。
怒りと悲しみ作っていた渦に、落胆の感情が交ざり、どうしようもなく絶望を感じていた。
('、`*川「人ってそういうもんだよ」
( ;・∀・)「俺たちには使命があった。それなのに、どうして」
- 74 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:26:26 ID:jeDx/Cck0
-
('、`*川「お腹が空いたら食べるし、眠くなったら寝る。人ってそういうもん」
( ;・∀・)「……女がいたら、犯すのか」
('、`*川「それは人によるのかもね。あんたは違うみたいだし」
モララーから殺気が消えたのがわかったので、
ペニサスは後ろ手に持っていた剣を地面に降ろした。
( ・∀・)「腹が減った……」
('、`*川「ん?」
( ・∀・)「俺も食うぞ」
兵士たちが食べ残していた肉に手を伸ばし、がむしゃらに食べる。
途中のどがつまったようで、苦しそうに胸を叩いた。
一心不乱に食べ続けるモララーを見て、ペニサスは鼻を鳴らした。
- 75 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:31:41 ID:jeDx/Cck0
-
('、`*川「そうそう。それが人間……」
lw´‐ _‐ノv「わー子供みたい。可愛い−。殺したーい」
ぴたっとモララーが食べる手を止め、ペニサスの方を向いた。
('、`*川「そろそろ寝るわ。おやすみ」
立ち上がったペニサスだったが、モララーの視線に体を硬くした。
彼の視線はペニサスではなく、さらに上空の方を向いていた。
( ;・∀・)「だ、誰? その子……」
lw´‐ _‐ノv「え?」
('、`;川「……マジ?」
薪にしていた木がぱちっと弾け、火の粉が宙を舞った。
二人と死神一匹は、互いに顔を見合わせたまま、しばらく動けなかった。
- 76 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:32:31 ID:ENaIZEOk0
- お?
- 77 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:33:00 ID:nh2hwTKA0
- おっと?
- 78 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:33:08 ID:jeDx/Cck0
- >>55と>>56の間に
第二話「獣の小屋」
入れとくの忘れました。第二話はこれで終わりです。支援ありがとうございました
- 79 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:34:10 ID:uVDzDsL60
- ここでか
乙乙
- 80 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:34:43 ID:nh2hwTKA0
- 乙
すっげぇ気になる
- 81 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:35:01 ID:ENaIZEOk0
- 乙
- 82 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 00:46:21 ID:B1DX7CGE0
- うわああ続き気になる
ほんとに面白い、詠唱かっけえニヤニヤが止まらん
乙です
- 83 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 02:16:08 ID:6LBC8qTQ0
- 期待gae
- 84 :名も無きAAのようです:2012/07/03(火) 09:27:39 ID:H7MRPuH.0
- 有名ラーメン屋の美人店員さんがついにAVデビュー
http://yorutomo1.blog77.fc2.com/blog-entry-1302.html
- 85 :名も無きAAのようです:2012/07/08(日) 00:26:33 ID:dueMCOaQ0
- 死神と手を繋いで
まず文章が綺麗
淡々として、それでいて描写不足の無い感じ
内容に関しては現時点では言えることは少ないが死神であるシュールと主人公ペニサスの奇妙な関係はとても気になる
あと詠唱かっこいい
- 86 :名も無きAAのようです:2012/07/08(日) 00:43:08 ID:jzK.407I0
- 書くとこ間違ってね?
- 87 :名も無きAAのようです:2012/07/08(日) 00:45:55 ID:FjF50fho0
- なるほど。そういうことか
- 88 :名も無きAAのようです:2012/07/08(日) 00:58:57 ID:dueMCOaQ0
- なんでレス反映されないんだと思ってたらこっちに誤爆していたでござるwww
- 89 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 03:53:09 ID:LH4SxSMY0
- のんびり投下
- 90 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 04:02:35 ID:LH4SxSMY0
-
霜が降りてきたのか、朝の肌寒さに冷気が吹き付けた。
まだ薄暗い夜明け前の空が、頭上を丸く囲んだ。
山小屋の前でペニサスは一人、剣を振っていた。
我流ではあるが、剣閃は空を断裂し、一瞬遅れて風を巻き起こす破壊力を含んでいた。
柔らかい身のこなしで繰り出す一つ一つの斬撃が、全て合わさると舞いに見えた。
魔力を体に充実させることで、達人のそれと違わない動きをすることができる。
"華曲"と呼ばれる一種の魔法装術であるが、ペニサスは名前の定義など知らないし、
興味もなかった。
額にうっすらと汗がにじみ始めた頃には、日が昇りきっていた。
山小屋に戻ると、薄い毛布の上で座禅をかいているモララーがいた。
- 91 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 04:08:37 ID:LH4SxSMY0
-
('、`*川「あら、起きてたの」
( ・∀・)「ああ」
近場で摘んだ柔らかい雑草の上に、布を敷いたものが昨晩のペニサスの寝床だった。
荷物が積んである場所から革袋を取り上げ、剣を収める。
腰に革袋をくくりつけ、毛布代わりのかさ布を丁寧に畳み、
バックパックにしまい込んだ。
('、`*川「まだ見える?」
lw´‐ _‐ノv「ぐごー」
人よりも大きい鎌の上に体を乗せて、ハンモックのように宙を揺らぐ少女に、視線を向ける。
彼女の視線を追ってモララーが顔を上げるが、やがて小さく首を振った。
- 92 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 04:11:56 ID:LH4SxSMY0
-
( ・∀・)「何も見えない。昨日の少女は、一体何だったんだ?」
('、`*川「ただの幻覚よ」
元々荷物が少ないので、すぐに旅支度は調えられた。
このままモララーを置いて山小屋を出ていってもいいが、
何となくまだその場に居たい気分だった。
理由はわからない。
自分が気分屋だというのは子供の頃から理解していたつもりだ。
( ・∀・)「いや、違う。あれは確かにそこにいた。
人に近いが、最も人から離れているようにも見えた」
('、`*川「幻覚よ」
- 93 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 04:22:31 ID:LH4SxSMY0
-
( ・∀・)「不思議だ。俺は……自分がよくわからなくなっている。
お前は仲間の仇なのに、復讐しようなんて気にも起こらない」
('、`*川「ねえ、何が言いたいの?」
( ・∀・)「教えてくれ。あの少女は一体何なんだ」
('、`*川「あれは幻覚。もしくは夢。それでいいじゃない」
( ・∀・)「教えてはくれないんだな」
('、`*川「私、そろそろ行くから」
シューが他人に見えたのは初めてのことだった。
心の何処かで、安心しようとしている自分がいるのを感じ、つばを吐きたくなった。
一人で生きていくと決めたあの日から、他人に甘えるのだけはやめようと誓った。
- 94 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 04:28:24 ID:LH4SxSMY0
-
世界中でただ一人だけの自分がいればそれで十分のはずだ。
誰にも見えないシューの存在は、自分の覚悟の象徴でもあった。
モララーの制止を無視し、外へ出る。
地平線の向こうまで続く街道を、北へ向かって歩き始めた。
一時間ほど歩いた頃、不意に首元に絡みつく華奢な両腕を感じた。
シューは何処に置いてきても、いつの間にか自分の傍にいる。
lw´‐ _‐ノv「ねえ、どうして怒ってるの?」
('、`*川「生理不順」
lw´‐ _‐ノv「あらやだ。この子ったら何を悩んでるのかしら。
シューちゃんに相談してごらん。女の子はね、ちょっとしたことで心が傷つくのよ」
- 95 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 04:34:39 ID:LH4SxSMY0
-
('、`*川「悩みはあるよ」
lw´‐ _‐ノv「うんうん。きっと友達のことね。あなたってば繊細な子だから」
('、`*川「いつもべったり絡んでくる子がいてね。
いい加減消えてくれないかなーって思ってるんだけど、中々」
lw´‐ _‐ノv「いやあん、それってシューのこと?」
('、`*川「てめえに決まってんだろタコ」
抜刀からの動作は神業としか言えなかった。
腰を捻る一瞬の動作で革袋から剣を引き抜き、そのままの勢いで
宙を逆さに浮いているシューの体を、両断する軌道で斬撃が放たれた。
だが剣は一切の手応えを返さず、シューの体をすり抜けた斬撃は虚空を一回転した。
勢い余ってその場に尻餅をつく。
シューはその姿を指さして笑った。
- 96 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 04:42:11 ID:LH4SxSMY0
-
lw´^ー^ノv「いひひひひひひひ。いつから私とテメーが友達になったんだよ!」
( 、 *川「消えろ!」
即座に立ち上がり、腹を抱えて笑っているシューに向かって、二度斬りかかる。
剣はただ二つの空しい軌道を描いた。
( Д *川「何で私なんだ!」
それでもなお剣を振り続ける。
意地ではなかった。
悲しみが体を突き動かしていた。
lw´^ー^ノv「もっとスマートに生きようぜ。ペニサスちゃん」
冷たい頬を涙が伝うのがわかったが、それでも剣を振るうのをやめられなかった。
ペニサスは今、誰よりも自分を斬りたかった。
- 97 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 04:43:18 ID:LH4SxSMY0
-
第三話「星酔いの空」
- 98 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 04:49:07 ID:LH4SxSMY0
-
ちょうど熊がいたので、丸焼きにしてその日の夕食とした。
肉は臭いし、味も癖があるのだが、栄養としては中々侮れない。
バックパックには一人用のフライパンも入っている。
たき火の上に水と野草を入れ、熊肉を煮込んでだしが出るのを待った。
('、`*川「昼間はごめん」
lw´‐ _‐ノv「もう、ペニサスったらたまに不機嫌になるんだもん。
マジで生理不順な訳?」
('、`*川「生理は、ずっと前から来てない」
lw´‐ _‐ノv「嘘。なんかごめん」
('、`*川「たぶんこれも、あんたの影響なんだろうね」
- 99 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 04:58:17 ID:LH4SxSMY0
-
シューがわざとらしく首をかしげたとき、二人の頭上に広がる夜空に流星が光の筋を作った。
街道の道ばたにあった岩だなの上で、たき火を囲んでいる。
炎の揺らぐ光に照らされたペニサスとシューは、お互い無表情で、膝を抱えていた。
シューの姿が誰にでも見えるのなら、仲の良い兄弟に見えなくもない。
街道は高原を横切って続いていた。
何処を見渡しても地平線が続くこの場所では、
一度街道を外れたら目印の無い雑草の海を彷徨うはめとなる。
おまけにこの高原は強い毒性を持つ草花が群生しており、
それらを主食としているモンスターたちも、全て毒性を持ったものばかりだ。
一見雄大な大地に見えるこの場所が、死の大地と呼ばれ旅人に恐れられているのはそのせいである。
lw´‐ _‐ノv「ペニサスのこと、少し教えてよ」
- 100 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 05:04:48 ID:LH4SxSMY0
-
('、`*川「私のことって、何」
lw´‐ _‐ノv「スリーサイズと、好きな体位」
('、`*川「あ、また流れ星」
lw´‐ _‐ノv「ねえ」
('、`*川「星を降らせる魔法があるんだけど、秘宝なのよね。
使うと一年寿命を使うから禁術にもなってるし」
lw´‐ _‐ノv「おいこら」
('、`*川「私のことなんて、私も知らないから」
傍らに置いてあったナイフを手にとって、鍋をゆっくりと混ぜた。
油膜が割れ、湯気と共に濃厚な匂いが立ち上った。
- 101 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 05:07:16 ID:LH4SxSMY0
-
lw´‐ _‐ノv「そういう哲学的なことじゃなくて」
('、`*川「何を知りたいの」
lw´‐ _‐ノv「例えば、どうして私がペニサスと一緒にいるかとか」
('、`*川「やだ、また流れ星」
lw´‐ _‐ノv「待てや」
('、`*川「三回願い事を言うと、願い事が叶うって知ってる?」
lw´‐ _‐ノv「それが迷信だってことまで知ってるよ」
('、`*川「夢が無いわね」
lw´‐ _‐ノv「ペニサスには夢があるのかい」
('、`*川「無いわ。昔はあったけど。今は」
- 102 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 05:11:18 ID:LH4SxSMY0
-
lw´‐ _‐ノv「それって?」
('、`*川「服の職人」
lw´‐ _‐ノv「え。服作りたかったの?」
('、`*川「このローブ、自前だよ。私が作ったの」
lw´‐ _‐ノv「へえ。凄いじゃん。色気はあんまり無いけど機能的だし。
見えない部分に編み込み入れて強度出してるでしょ。こだわりって感じ」
('、`*川「よく見てんじゃん」
lw´‐ _‐ノv「キルティと下着も自分で作ればいいのに」
('、`*川「道具が無いの。それにすぐ汚れるから、買う方が楽」
lw´‐ _‐ノv「ふうん。そう。へー」
('、`*川「訊きたいことはそれだけ?」
- 103 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 05:14:16 ID:LH4SxSMY0
-
lw´‐ _‐ノv「どうして感情を殺そうとしてるの?」
鍋をかき混ぜる手が止まった。
肉の表面が溶け、野草と混ざり始めた。
食べ頃の証だ。
lw´‐ _‐ノv「ねえ」
('、`*川「邪魔だったの」
lw´‐ _‐ノv「感情が? 人間は感情を大事にしてると思ってた」
('、`*川「世の中には、楽しいことより、悲しいことの方が多い。
だったら感情なんて、邪魔じゃない」
lw´‐ _‐ノv「でも不完全だ」
('、`*川「どうして?」
- 104 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 05:28:18 ID:LH4SxSMY0
-
lw´‐ _‐ノv「時々無茶苦茶に暴れるときがあるじゃない。
ところ構わず魔法撃ったり、剣振り回して暴れたり、私を虐めたり」
('、`*川「だから、謝ったじゃん」
lw´‐ _‐ノv「世の中には確かに感情を殺してしまった人間もいる。
例えば君の妹弟子なんかがそうだけど、ペニサスはああはなれない」
('、`*川「どうしてそう思う?」
lw´‐ _‐ノv「さみしんぼだし」
一人と一匹は膝を抱えたまま、高原の真中で静かに向かい合う。
世界でたった二つの生物になった気分だった。
シューが果たして生きているものだと言えるかどうかは、定かではない。
- 105 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 05:32:56 ID:LH4SxSMY0
-
('、`*川「私を知ってる人間がいない世界に行きたいって、よく想像する」
lw´‐ _‐ノv「そういう人間が何を望んでるか、賢いシューちゃんは知ってるよ」
('、`*川「強がりで十分だわ。生きるためにはそうする」
lw´‐ _‐ノv「もう一度訊くけど、どうして私はペニサスと一緒にいるの?」
('、`*川「それを訊く為に、師匠を捜してるの」
lw´‐ _‐ノv「嘘だね」
('、`*川「鍋、もう出来てたみたい」
ナイフの刃についた肉汁を舐めた。
口の中に油の匂いが広がった。
lw´‐ _‐ノv「ペニサスは、いまさら訳を訊こうなんて思ってない。
師匠を殺すつもりでいる。そうでしょ?」
- 106 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 05:37:20 ID:LH4SxSMY0
-
('、`*川「訳は訊くわ。訊いてから、殺すの」
lw´‐ _‐ノv「生きる為に?」
('、`*川「語弊があるわね。それそのものが、私にとっての生きるってことなの」
lw´‐ _‐ノv「それより、ペニサス。鍋の匂いにつられて、寄ってきてるやつがいるよ」
('、`*川「知ってる」
バックパックからティー用のカップを取りだした。
鍋の汁を豪快にすくって、淵についた汁は舌で舐め取った。
獣の匂いと混じって、夜風に汗臭い男の気配が漂った。
- 107 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 05:40:17 ID:LH4SxSMY0
-
自分をつけてきているのは知っていた。
撒かなかった理由は、自分でもよくわかっていない。
ただ一つだけ確かなのは、自分は昔から気分屋であるということだけだ。
( ・∀・)「旨そうだな」
ペニサスは視線を合わせようとはせずに、コップの中の汁をすすった。
彼女の態度に少し不満そうな顔をしながらも、岩だなの上に乗り上げたモララーは、
ペニサスの真向かいに座った。
先ほどまでシューがいた場所であぐらをかき、膝の上に肘を置いて、
汁をすする彼女の顔をじっと見つめている。
- 108 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 05:49:49 ID:LH4SxSMY0
-
('、`*川「何か用?」
( ・∀・)「用というほどではないが、お前北に向かってるだろ。どうせ方角が同じなんだ。
少しの間、一緒に旅をするくらいいいだろ」
('、`*川「仲間はもういないわよ。一度国に戻っても、誰も責めはしないでしょう」
( ・∀・)「騎士が使命から背くことなどできんさ。
それに討伐隊は俺たちだけじゃない。旅の道中、別の隊と出会うことができれば、
俺はそっちに移る」
('、`*川「エンドヘブンに行って、何をハントするつもりなの?
命を賭けるほどのものが、あそこにあったかしら」
( ・∀・)「王にとっては、命よりも大事なものを救う手立てが、あそこにあるんだ。
仕える騎士にとっては、命を賭けるに十分値する」
- 109 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 06:01:09 ID:LH4SxSMY0
-
気の弱い所もあるモララーが、一歩も引かない様子を見せると、
諦めを示す冷めた笑みがペニサスからこぼれた。
僅かに開いた口から八重歯が覗く。
モララーは満面の笑みで笑い返すと、岩だなの上に寝転んだ。
数分もしないうちに、彼の方から安らかな寝息が聞こえ始める。
ペニサスに追いつくため、かなり無理をしたのだとよくわかる。
lw´‐ _‐ノv「涙ぐましいねえ。こういうので心ときめいたりすんの?」
('、`*川「しないなあ」
lw´‐ _‐ノv「だと思った」
('、`*川「運が悪かった」
lw´‐ _‐ノv「何が?」
- 110 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 06:09:21 ID:LH4SxSMY0
-
('、`*川「私も、こいつも、こいつの仲間も、みんな運が悪かった」
lw´‐ _‐ノv「それって、哲学?」
('、`*川「真実よ」
lw´‐ _‐ノv「ふうん」
お互いが無言になると、モララーの寝息と、鍋の煮立つ音がやけに目立って聞こえた。
空を見上げた瞬間、再び流星が光った。
星の海を駆ける光の尾は、滑らかな軌道で夜空を裂き、地平線に落ちていった。
長い間光り続けていたため、もしかしすると願い事を三度言うくらいの時間はあったかもしれない。
('、`*川「私は、生きたい」
流星の軌跡が黒ずんで残った空に、願い遅れた言葉を呟く。
名前の無い星が一つ、微かに瞬いた。
- 111 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 06:11:14 ID:LH4SxSMY0
- 会話回です。バトルものやファンタジーものではなく、旅ものだと思って書いてます
では二度寝します
- 112 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 12:36:47 ID:B2WN3dXk0
- おつおつ
- 113 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 12:41:58 ID:vaLzqoJo0
- おつおつ
- 114 :名も無きAAのようです:2012/07/09(月) 21:13:53 ID:9/g0iFjQ0
- 乙!
展開が読めんでござるな…
- 115 :名も無きAAのようです:2012/07/10(火) 20:15:13 ID:AndRQ8Hw0
- 乙
ageないときづかないじゃないですかーやだー
- 116 :名も無きAAのようです:2012/07/14(土) 12:32:33 ID:ncNvHZxo0
- いいっすね
- 117 :名も無きAAのようです:2012/07/26(木) 21:25:14 ID:Bj8a.Jzw0
- 次の日曜日に、もしも時間が空いてたら投下します
暑くてしんどいので、なるべく暑くない日を狙います
- 118 :名も無きAAのようです:2012/07/26(木) 21:26:14 ID:rdA/xPrU0
- よしきた!
- 119 :名も無きAAのようです:2012/07/26(木) 22:11:54 ID:MpfnPNx60
- よしきたこれでかつる
- 120 :名も無きAAのようです:2012/07/29(日) 23:59:19 ID:wdWOoBTo0
- 海老沼が勝ったので投下します
- 121 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:02:43 ID:kAcIUFaw0
- ギター!ギャィィィン
- 122 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:04:07 ID:Q/S1J0Hc0
- きたきた
- 123 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:04:48 ID:STfrPGW20
-
少女はたくさんの貢ぎ物に埋もれながら天を仰いでいた。
果物や野菜、ワインボトルや魚の干物などの食べ物から、
煌びやかな装飾品まで用意されていた。
ただ少女の顔には絶望の色しか無く、
生気の無い表情には、光が埋もれた黒目がぽっかりと二つ空いていた。
('、`*川「楽しい? それ」
ペニサスが問うと、地面に寝転がったまま空を向いていた少女が、口を開いた。
消え入りそうな声で、殺して、とだけ言った。
- 124 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:04:58 ID:b9c411Yo0
- 海老沼gj
- 125 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:05:41 ID:STfrPGW20
-
第四話「最果ての少女」
- 126 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:09:53 ID:STfrPGW20
-
lw´‐ _‐ノv「すまんね。私が殺せるのはペニサスだけなんだ」
('、`*川「そんな所で寝てたら風邪引くわよ」
(#゚;;-゚)「どうでもいい。そんなの」
泥だらけのボロきれを纏った少女は、投げやりな言葉でペニサスに応える。
陽は高く、突き刺さるような太陽光が肌を焦がした。
少女の黒く汚れた顔に、ぷつぷつと汗の玉が浮かんでいるのが見える。
ペニサスは貢ぎ物のビルマを手に取り、一口かじった。
果汁には熱が籠もっていて、爽快な味とは言えなかったが、数日ぶりの糖分は身にしみる味わいがした。
(#゚;;-゚)「お姉さん、誰?」
- 127 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:13:54 ID:STfrPGW20
-
少女は相変わらず、大の字で寝転がったままペニサスを見ようとしない。
('、`*川「旅人よ。ペニサス」
(#゚;;-゚)「ペニサス?」
('、`*川「私の名前」
(#゚;;-゚)「私は、でぃ」
('、`*川「いくつ?」
(#゚;;-゚)「十五」
ペニサスはでぃの傍に腰を下ろし、囓り痕のあるビルマに再度、大口を開けて噛みついた。
貢ぎ物は全て木の板の上に置かれており、木の枝で作られた神興樹が備えられていることから、
これがある種の儀式の様相を呈していることがわかる。
- 128 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:17:43 ID:STfrPGW20
-
(#゚;;-゚)「一人で旅をしているの?」
('、`*川「ええ」
lw´‐ _‐ノv「足が遅すぎるから見捨てたやつが、一人いたけどね」
('、`*川「見捨てた訳じゃないし、仲間でもなかったわ」
(#゚;;-゚)「え?」
その時初めて少女が振り向き、ペニサスと目を合わせた。
('、`*川「食べる?」
ビルマを差し出すと、幾ばくか悩むように目を迷わせた後、でぃがのそのそと半身を起こした。
背中は泥だらけで、髪も茶色くなっていたが、でぃは気にしている様子はなく、払う素振りも見せなかった。
- 129 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:17:52 ID:b9c411Yo0
- モララーいないん?
- 130 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:21:34 ID:STfrPGW20
-
夕方近くになって、ようやく日差しの強さも収まってきた。
まばらに生えた周りの木々から、影が真っ直ぐ伸び、
貢ぎ物の中心で向かい合うペニサスたちを囲んでいた。
小高い丘の上なので、時折吹き抜ける風が髪をさらさらと泳がせる。
汗ばんだ体には、心地よい風だった。
でぃはこの近くの村に住んでいる者らしい。
今夜彼女は、生け贄として神に捧げられるとのことだ。
- 131 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:25:25 ID:STfrPGW20
-
('、`*川「悪いね。貢ぎ物食べちゃって」
七つ目のクラムリーに手を伸ばしながら、別段悪びれる様子も無いままペニサスが言う。
彼女のことを見ながらでぃが軽く笑った。
(#゚;;-゚)「ペニサスさん、自由だね」
('、`*川「あんたは違うの?」
(#゚;;-゚)「私は自由なんて無いよ。やらなきゃいけないことばっかり」
('、`*川「そう。若いのに大変ね」
(#゚;;-゚)「うん。大変」
('、`*川「生け贄って、言ったね」
- 132 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:27:23 ID:Q/S1J0Hc0
- しえん
- 133 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:29:17 ID:STfrPGW20
-
(#゚;;-゚)「うん」
('、`*川「何なの? 神さまって」
(#゚;;-゚)「私たちの村で、一番偉い人なんだよ」
('、`*川「生け贄を出さないとどうなるの?」
(#゚;;-゚)「わかんないけど、でも村の人が困るの」
泥で薄汚れたショートヘアをとかしながら、ぎこちなく笑うでぃを見ると、
何処かまだ幼さが漂うように感じた。
十五歳の頃、自分は何をしていたのだろうとペニサスは考える。
少なくとも、訳の分からないものの生け贄にはなっていなかった。
- 134 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:32:17 ID:b9c411Yo0
- ageとく
- 135 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:34:05 ID:STfrPGW20
-
lw´‐ _‐ノv「よくある話さ。伝統文化だよ。教養の無い人間には神の存在が必要不可欠。
雨が降らないのも、子供が産まれないのも、作物が取れないのも、
神が何とかしてくれるって考えれば、そこで考えるのをやめていいんだから」
立ち上がったペニサスは、薪の材料を探しに近くの林へ出かけた。
数十分後には、枯れ木の山を抱えて再びでぃの前に戻ってきた。
枯れ木を積み上げ、たき火の準備をする。
空は薄暗くなっていた。
(#゚;;-゚)「何してるの?」
('、`*川「今日はここで寝ようと思って。たき火をね」
丸いでぃの目が大きく見開き、続いて呆れた表情になった。
- 136 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:39:05 ID:STfrPGW20
-
(#゚;;-゚)「駄目だよ。今日、神さまが来るんだ。私は生け贄になるの。ここは危ないよ」
('、`*川「興味がある。神さまってやつに。私も見てみたいんだ」
(#゚;;-゚)「駄目だってば! 神さまはとても怖い存在なんだよ」
('、`*川「そもそも、なんであんたが生け贄なのさ」
でぃが目を背けた。
ペニサスが小さな声で詠唱を唱え、薪に火をつける。
でぃが顔を上げる頃には、枯れ木がパチパチと音を鳴らせて火を上げていた。
(#゚;;-゚)「だって、私が一番下だったから」
火の様子を見ながら枯れ木の位置を調節する。
旅を始めた頃と比べて、野営の要領は格段に上手くなった。
- 137 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:43:15 ID:STfrPGW20
-
('、`*川「下って?」
積み上げた枯れ木の一部を僅かに横にスライドさせる。
火の勢いがさらに大きくなった。
(#゚;;-゚)「村で一番下なの。私が今年の生け贄。去年は弟だった」
('、`*川「権力のこと?」
(#゚;;-゚)「どう言ったらいいかわかんない。でも、他の人たちは私より上なの。
だから、私は逆らえないの。お父さんもお母さんも、下の方。
でも私はそれより下なの。だから私が生け贄にならないといけないの」
('、`*川「そう」
貢ぎ物の干し肉を手に取り、木の枝に刺して火にくべた。
待っている間、ビルマを手にとって、またかじり付く。
- 138 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:46:14 ID:STfrPGW20
-
('、`*川「じゃあ、神さまが一番上なんだ」
(#゚;;-゚)「そうだよ」
('、`*川「あんたの村、変」
でぃの表情から感情が消えた。
周りの時が止まったように、二人とも動かなくなる。
たき火の火が風で揺れ、互いの影だけが不安定に揺らめいた。
(#゚;;-゚)「変だと思う」
声に抑揚が無かった。
(#゚;;-゚)「弟も、去年そう言ってた。私は意味がわからなかったけど、今はそう思う。
こういうのって、変だと思うの」
- 139 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:49:55 ID:STfrPGW20
-
('、`*川「どうして今まで気がつかなかったの?」
(#゚;;-゚)「だって、みんなそうしてたから」
('、`*川「弟が死んだとき、何か思わなかったの?」
(#゚;;-゚)「だって……」
会話が止まった。
肉の焼ける香ばしい匂いが立ちこめる。
火の中に入れていた枝を取りだし、焼けた干し肉に口を付ける。
固い肉だが、味は悪くなかった。
(#゚;;-゚)「今は、変だと思うよ」
('、`*川「もう遅いけどね」
でぃの瞳から光が無くなり、またぽっかりと穴が二つ空いた。
人形のような表情だった。
- 140 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 00:55:30 ID:STfrPGW20
-
(# ;;- )「死にたくないよ……」
涙混じりの声だった。
ペニサスは何も応えず、肉をかみ砕く作業に没頭している。
(#;;;-;)「どうして、私なの」
('、`*川「みんなそう思ってるよ」
黒に近い濃紺の空に、たき火の煙がもくもくと立ち上がっていく。
それらは星に届く前に、空中で四散していった。
('、`*川「神さまの生け贄になった人は、みんな」
(#;;;-;)「死にたくない……」
- 141 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 01:00:31 ID:STfrPGW20
-
('、`*川「私も死にたくない。誰だって生きたい」
(#:;;-;)「やだよお……」
('、`*川「だったら、逃げればいい」
(#;;;-;)「え?」
('、`*川「あんたには足がある。目もついてる。
今夜なら月明かりで、遠くまで逃げることだってできるよ」
でぃの苦々しい表情には、死への恐怖ではない、表現しがたい
様々な感情が浮かんでいるようだった。
(# ;;- )「それは、できないよ」
('、`*川「どうして?」
- 142 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 01:04:34 ID:STfrPGW20
-
(# ;;- )「だって、私が逃げたら、お母さんが生け贄になるから」
弱々しい表情には違いないが、先ほどの人形のような目つきとは違い、
瞳の奥に小さな光が見えたような気がした。
たき火の光が反射するそれとはまた違う光だ。
小さく、微かではあるが、確かにそこに存在した。
('、`*川「あんたの弟も、同じようなことを思ったのかもね」
ペニサスは剣を引き抜いた。
木々の間を通り抜ける、巨大な何かの気配を感じていた。
- 143 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 01:11:31 ID:STfrPGW20
-
怯えるでぃの前に立ち、剣を構えた。
やがて気配の正体は、土埃を上げながらペニサスたちの前に現れた。
【+ 】ゞ゚)「オマエ、ダレダ」
意外にも、それは人間の背丈と同じくらいの生物だった。
驚くべきは、筋肉の繊維がむき出しになった体表を除き、
青色の髪を生やし二本足で地面に立つその姿は、人とさして変わらない形(なり)をしていること。
そして、人間の言葉を喋っていることだ。
ペニサスの姿を見つけると、その奇妙な生物は即座に敵意を感じ取り、
直立した姿勢からやや前屈みの格好を取り、戦闘態勢となった。
- 144 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 01:12:04 ID:ywyY9ahA0
- うおおお眠れないじゃねーか
- 145 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 01:18:40 ID:STfrPGW20
-
彼らは数秒の間、にらみ合ったまま対峙したが、
先に動いた神さまに反応し、カウンターのタイミングでペニサスが剣を振り切った。
耳鳴りがしそうな風切り音と共に、横薙ぎで振り抜かれた剣は神さまの髪の毛を数本切ったが、
刃が届く寸での所でしゃがんで躱していた。
ペニサスたちは横向きに並行して走り出す。
彼らの間を木々が数本通過したとき、神さまの姿が揺らめきながら消えた。
僅かな残像のみしか捉えられなかったが、神がかった反応で
真上から襲いかかってきた神さまの攻撃を横っ飛びで避ける。
華曲を用いたペニサスの動きは、常人を遙かに超える身体能力を発揮するが、
神さまは互角の動きで対応している。
- 146 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 01:20:08 ID:ywyY9ahA0
- wktk
- 147 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 01:24:58 ID:STfrPGW20
-
体勢を持ち直し、剣を高く構えると、いつになく早口で詠唱を始めた。
('、`*川「"落ちよ雷の滴" "鳴けよ雷鳴の声"」
【+ 】ゞ゚)「! オマエ……」
('、`*川「"消えなチカン野郎"」
逆手に持ち替えた剣を勢いよく地面に突き刺す。
ペニサスを中心に地面が八方に割れ、そこから黄色い放電が起こり、
暗闇だった辺りを明るく照らした。
直後、神さまが立っていた地面が発光し、光の柱が点を突いた。
神さまの姿がまばゆい光の中に包まれていく。
- 148 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 01:34:37 ID:ywyY9ahA0
- かっけー
- 149 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 01:35:55 ID:STfrPGW20
-
ペニサスの顔が苦々しく歪んだ。
閃光が起こる瞬間、神さまが後ろに飛び退いたのが見えたからだ。
('、`*川「"火は火と重なり炎として"」
剣の柄から手を離し、両の手を胸の前で合わせた。
('、`*川「"水は天を衝く霧として"」
辺りに巻き起こった風が渦を巻き、土埃を上げて草木を巻き込んだ。
('、`*川「"命芽吹かせる風が吹くとき"」
【+ 】ゞ゚)「ナゼ、オマエホドノ……」
('、`*川「"それがテメーの寿命となる"」
- 150 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 01:45:02 ID:STfrPGW20
-
極大の魔力が手のひらに集束していくのを、神さまは止められなかった。
離した両手を地面にたたき付けると、辺りの地面が円状にせり上がり、
盛りだした土の中に神さまの体が埋もれた瞬間、土中から爆発した魔力が辺りを消し飛ばした。
ペニサスが立っている、中心部分の地面だけを残し、辺りの地面が大きくえぐれる。
放心円状に吹き飛んだ地面と草木が、数十メートルの綺麗なサークルを作った。
周りの木々と共に、神さまの気配も無くなった。
そこにあった存在全てを巻き込み、細胞一つ残さず、消滅したのだ。
lw´‐ _‐ノv「環境破壊だよ!」
('、`*川「もう……二度と使わないから許して」
- 151 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 01:50:23 ID:STfrPGW20
-
おぼつかない足取りでえぐれた地面を乗り上げ、でぃの元へ戻る。
不安そうな顔をしたでぃが、たき火の前でじっとペニサスの帰りを待っていた。
(#゚;;-゚)「神さまは、どうなったの?」
('、`*川「天に帰ったよ。もういない」
話すのも億劫だといった様子で、その場に座り込み足を投げ出した。
昼間、でぃがやっていたように大の字で地面に寝転がり、
片腕だけを動かしてビルマを手に取った。
小さく囓り、果肉を歯ですり潰し、無理矢理飲み込む。
甘酸っぱい香りが口の中に広がると、少しだけ体力が回復した。
- 152 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 01:57:06 ID:STfrPGW20
-
(#゚;;-゚)「ペニサスさんが、神さまになったの?」
もう一度噛みつく。
先ほどよりも強い力で果肉をかみつぶした。
('、`*川「そんなに神さまが必要なら、あんたがなればいい」
気だるい体を動かして、ビルマを一つ食べきると、眠気が襲ってきた。
たき火の火は頼りない揺らぎ方をしているが、枯れ木をつぎ足す気力は無かった。
天を仰ぐと、ちょうど月が雲に隠れた所だった。
月が隠れたことで、周りの星々がいっそうはっきりと見える。
(#゚ー゚)「神さまなんて……いらない」
でぃが喋ったのと、ペニサスが寝息を立て始めたのは、ほとんど同時だった。
- 153 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 01:58:23 ID:STfrPGW20
- 第四話終わりです。銅メダル獲得!うぇーい!
- 154 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 02:03:15 ID:w4/DD4CQC
- 乙
- 155 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 02:08:52 ID:QFIwLx8w0
- 乙
- 156 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 06:22:44 ID:b9c411Yo0
- 乙!
モラとは離別しちまったのかー
- 157 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 09:47:12 ID:ywyY9ahA0
- おつー
- 158 :名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 11:11:25 ID:DyRhqhXM0
- >>156
離別というか…
足が遅いから置いてかれただけだろ
- 159 :名も無きAAのようです:2012/07/31(火) 22:31:04 ID:zt4/MP7o0
- モララーが遅いんじゃなくてペニサスが速すぎるんじゃねえの
おつ
- 160 :名も無きAAのようです:2012/07/31(火) 22:37:01 ID:4ggcZG9k0
- 呪文の最後って適当な悪口なのかな。
- 161 :名も無きAAのようです:2012/08/12(日) 16:10:33 ID:jYE0gb6E0
- まだー?
- 162 :名も無きAAのようです:2012/08/21(火) 21:59:07 ID:8ZRQqgZs0
- マダー
- 163 :名も無きAAのようです:2012/08/29(水) 17:20:24 ID:2pQq4FkU0
- はよ
- 164 :名も無きAAのようです:2012/09/07(金) 00:36:19 ID:09GChQDI0
- 四年後か…
- 165 :名も無きAAのようです:2012/09/07(金) 00:41:50 ID:bFHKKiow0
- パラリンピックやってるじゃないか!
はよ
- 166 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 20:57:24 ID:MmE3KySo0
- マダー
- 167 :名も無きAAのようです:2012/09/22(土) 22:22:39 ID:zB6IN/Fc0
- 待つぜ!
- 168 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 02:02:41 ID:UpORTYWk0
- まだぁ
- 169 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 16:45:01 ID:8OLWknhY0
- おい…マジかよ…頼むよ…
- 170 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 22:32:02 ID:6RnQAgZI0
- 削除か、残念だ
- 171 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 23:26:09 ID:0zihcENY0
- 残念(´・ω・)
- 172 :名も無きAAのようです:2012/09/24(月) 17:23:49 ID:QhmBayfA0
- oh…
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