■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■

ノンシャランでも吸血鬼のようですζ(゚ー゚*ζ
1名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 21:35:51 ID:c7W20OaE0

(-@∀@)「姫。お稽古の時間ですよ」


(-@∀@)「姫。姫ー?」


(-@∀@)「返事をしないと部屋に入ってしまいますぞ?」


(-@∀@)


(-@∀@)「姫?」

2名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 21:37:07 ID:c7W20OaE0

(-@∀@)



(-@∀@)「失礼しまーす…」


あさぴーが扉を開ける。
目が痛くなるほど装飾が施された部屋が目に入るが、そこに姫の姿はなかった。


(-@∀@)「姫…姫!?」

3名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 21:41:39 ID:c7W20OaE0

ふと足の曲がったテーブルに目を落とすと、一通の手紙を見つける。

(-@∀@)(姫の字だ)
  つ□と



 拝啓 お父様 お母様 そして大臣のあさぴー様
 国政が揺らぐなか、お忙しい日々を過ごしていると思います。

 わたくし、デレデレは、近年、都の者たちを悩ませている奇病の元を絶つため、
 原因とされている吸血鬼の館に出向こうと思います。

 国民の方々が苦しんでいるなか、わたくしにも何かできないかと考えた結果です。
 娘の不承をお許し下さい。

                  デレより

4名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 21:42:44 ID:c7W20OaE0

(-@∀@)
  つ□と


(-@∀@)
  つ□と


(-@∀@)
  つ□と


(-;@∀@)「ひ…姫えええええ!!!」
  つ□と

5名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 21:44:26 ID:c7W20OaE0



 ノンシャランでも吸血鬼のようですζ(゚ー゚*ζ




動きやすい格好で山に来たのはいいが、
まともな装備もなく、食料も尽きかけていた。

ζ(゚ー゚;ζ「ハァ……やっぱり無謀だったかな」


獣道に置かれた水平に平らな石に腰掛け、地図を確認する。

6名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 21:46:57 ID:c7W20OaE0

ζ(゚、゚*ζ(太陽があっちだから、方角的にはあってるはず。
       時間的にもう着いててもおかしくないんだけど…)


少し休憩を取ったあと、再びデレは歩き出した。


ζ(゚ー゚;ζ「ハァ…本当はそろそろおやつの時間なんだなぁ。
       一人で来ちゃったけど、大丈夫かな?」


ζ(゚ー゚*ζ「いや、きっと話せばわかってくれる」

ζ(゚ー゚;ζ(もしもとなったら、闘うことも覚悟しなきゃだけど)

7名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 21:48:49 ID:c7W20OaE0

デレの腰にはレイピアが提げられていた。
彼女の数あるお稽古の一つで、昨日彼女がサボったものである。


ζ(゚ー゚;ζ(帰ろうかな…)


弱気になりだしたその瞬間、近くの茂みががさがさと動いた。


ζ(゚ー゚;ζ「キャッ!」


反射的に前に走り出す。
木の根につまづきそうになりながらも、数十メートルほど山を駆け上がった。

8名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 21:49:51 ID:c7W20OaE0



 オアー    オアー



奇妙な鳥の鳴き声が聞こえる。
どうやら鳥が木から飛び立っただけのようだ。


ζ(゚、゚*ζ「はぁー…」


ζ(゚ー゚;ζ「!」


落ち着いて前を向いたとき、すでに彼女が目的地に着いていたことに気がつく。

9名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 21:52:11 ID:c7W20OaE0


想像以上に古びた砦だった。

かつては兵士たちの一拠点として活躍したものだが、戦争が終わると誰も使わなくなり、
全く整備されなくなった砦は石の塊になろうとしていた。


ζ(゚、゚*ζ(ここに、あの吸血鬼がいる)


周りの温度が下がった気がした。
意図的ではないがレイピアに手が伸びる。

周りに注意しながら半壊した砦の門を抜け、中に侵入した。

10名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 21:55:41 ID:c7W20OaE0

まだ日が照っている時間だが、砦の中は薄暗く、不意に襲われでもしたら反応が取りづらそうだ。
デレは神経を集中させて、物音がしないか探った。


ζ(゚ー゚;ζ「……っ」


何か聞こえる。
はじめはうなり声かと思ったが、よくよく聞いてみると羽音のようだ。

巨大な昆虫でも飼っているのか、それとも吸血鬼の眷属というものなのか。
どこから聞こえるのかわからず、辺りを二、三度見回した。


ζ(゚、゚*ζ「きゅ…吸血鬼さん? 私はアイリスの国の姫です。話ができますか?」

11名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 21:58:39 ID:c7W20OaE0

自分の声が何度か反響し、不気味に尾を引いて壁に吸い込まれていく。
気配はするが、一向に姿は見せない。


ζ(゚ー゚;ζ) 「吸血鬼さん!」


痺れをきらし、中央の階段を上がりさらに奥へと進む。


二階は広めの部屋が多く、かつては会議室だったのだろうと思われた。
廊下を進んでいくと、ダイニングらしき一際大きい部屋を見つける。

ζ(゚ー゚*ζ)「もしかして、今日はいないのかな…」

12名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 22:00:40 ID:c7W20OaE0

日を改めた方がいいか、考え始めた。


ζ(゚ー゚;ζ) (大体、お父さんたちも怒ってるだろうし、ここはいったん帰るのも得策かも…)


ζ(゚、゚*ζ) (いえ、だめよ! アイリスの民たちは今も苦しんでる! 私がなんとかしないと!)


ζ(゚ー゚;ζ∵) (でもいないのなら仕方ない、かな?)


ζ(゚ー゚;ζ∵)


ζ(゚−゚*ζ(∵ )

13名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 22:02:46 ID:c7W20OaE0

ζ(゚、゚;ζ「ギャ―――!」


(;∵)「うおお! どうした!?」


いつの間にか背後に珍妙な生物がいた。

手乗りサイズの肌色をした球体型に、コウモリのような翼がついた生物である。
先ほどの羽音の正体はこの生物のようだ。


ζ(゚ー゚;ζ「なに! あなただれ!? 何で喋られるの!?」

14名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 22:05:50 ID:c7W20OaE0

( ∵)「あれ、もしかして僕に興味しんしんな感じ? まいったな〜。
    やっぱ? イケメン? っていうの? オーラ的な? 溢れてるもんね〜」


ζ(゚−゚*ζ


デレは見なかったことにして砦の探索を再開した。


ζ(゚ー゚;ζ「吸血鬼さーん! どこにいるのー!」

(;∵)「ちょっと無視しないで…え、無視なのそれ? どっちなの?」

ζ(゚ー゚*ζ「悪いけど、今あなたに構ってる暇はないの。あ、もしかして吸血鬼の眷属さん?
       だったら吸血鬼さんを呼んできて頂けるかしら? 少しお話したいことがあるの」

15名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 22:07:17 ID:c7W20OaE0

( ∵)「吸血鬼とお話?」

ζ(゚ー゚*ζ「そうです」

( ∵)「それならたった今話してるけど」

ζ(゚ー゚*ζ「はい? ……え?」


( ∵)     ζ(゚−゚*ζ


ζ(^ー^*ζ「悪魔さん、悪魔さんでも嘘はいけないんだよ?」

( ∵)「はっはっはー! 困っちゃうなー色んな意味で!」

16名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 22:12:57 ID:c7W20OaE0

ζ(゚ー゚*ζ「私が探してるのは棺桶死オサムっていう吸血鬼さんよ」

( ∵)「ふーん」

ζ(゚ー゚*ζ「真っ白な髪に、赤い瞳。すらっと細長いのに、片手で黒曜石を砕けるほどの怪力をもつ。
       あなたとは似ても似つかないの」

( ∵)「少し情報が違うかなー。正確には片手じゃなくて親指と人差し指だな」

ζ(゚ー゚*ζ「だから………」

ζ(゚ー゚;ζ「…………………………嘘だよね?」

17名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 22:16:03 ID:c7W20OaE0


( ∵)「ようこそ、我が城へ! 歓迎しまっせ〜」


ζ(゚ー゚;ζ「……えぇぇー」



ぱたぱたと羽ばたく小さな生き物を前にデレは立ち尽くす。
自身をオサムと名乗るその生き物は、体の大きさの割りに大きい口を開き、小さな牙を見せた。


同時刻、彼らの城に三体の人影が近寄っていた。
獣の眼光を光らせたその者たちは、確かな殺意を持ってオサムの砦を目指していた。

18名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 22:16:48 ID:c7W20OaE0
第一話というか、一区切りというか
とりあえず今日はここまでです

19名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 22:36:25 ID:85Ho.g6.O
期待を込めた乙

20名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 22:52:54 ID:4qh0rObYO
期待

21名も無きAAのようです:2012/04/13(金) 22:53:34 ID:AtoKKj7s0


22名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:02:22 ID:ztuYvSmw0
ご飯食べたので再開します

23名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:06:01 ID:ztuYvSmw0

三人はまだオサムの砦にたどり着いておらず、彼らとはそうとうの距離があるのだが、

( ∵)


敵の接近を瞬時に感じとったのは、やはり彼が希代の吸血鬼だからか。

( ∵)「突然だけど、君帰ってくれない?」

ζ(゚ー゚;ζ「え?」

( ∵)「悪いけど女の子をもてなせるような準備がないんだよねー」

ζ(゚ー゚;ζ「だ、駄目です! あなたが本当にオサムさんなのだとすれば、話があります!」

24名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:07:33 ID:ztuYvSmw0

( ∵)「こういう日に限ってもてるんだからなあ」

ζ(゚ー゚;ζ「もてるとか、もてないとか、そういう問題じゃありません!」


三人が走り出したのをオサムが感知する。


( ∵)「しゃがんで」

ζ(゚ー゚*ζ「え?」


風を切る音を聴き取った。

25名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:09:25 ID:ztuYvSmw0

( ∵)「いいから。そこにしゃがんで欲しい」

ζ(゚ー゚*ζ「どうして…」

( ∵)「頼むよ〜」

ζ(゚ー゚;ζ「わ、わかりました…」


膨れあがる黒い気配が地面すれすれを滑空している。
間もなくそれは、砦の塀を越えようとしていた。

一陣の風のように駆け抜けてくるそれらは、何の躊躇もなく、

26名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:11:32 ID:ztuYvSmw0


ζ(゚、゚;ζ「――――――」


壁を蹴破って外から城のダイニングへ突っ込んできた。

煉瓦ブロックが粉々に砕け、空中で四散するのを、デレをぽかんと見ていた。


('A`)「死ね―――オサム」


三人の獣たちは、ダイニングの床にしゃがんでいたデレのちょうど上空を通って、
浮遊していたオサムたちに持っていたナイフを向けて飛びかかってきた。

27名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:15:11 ID:ztuYvSmw0


三人の格好に共通していたのは、黒のマントで全身を覆っていること。
そのうち、顔を出しているのは二人だけで、一人はフードで顔を隠している。

オサムの反応は俊敏だった。

羽を器用に動かし、突き立てられたナイフを紙一重で避ける。
しかし三人同時に襲われている状況で、そう何度も攻撃をかわし続けるのは難しそうだった。


( ∵)「逃げるぜ!」

ζ(゚ー゚;ζ「え!」

オサムはダイニングテーブルの下に潜り込むと、三人に向かってテーブルをひっくり返した。
宙を舞っていたテーブルは次の瞬間に、ナイフによってバラバラにされる。

28名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:17:58 ID:ztuYvSmw0

その隙にオサムは腰が砕けているデレを持ち上げ、部屋から脱出した。

(´・ω・`)「逃げられた」

('A`)「追おう」

三人はオサムの後を追って部屋から飛び出す。



ζ(゚ー゚;ζ「誰なの! あいつら!」

体の小さなオサムがデレをずっと持ち上げて移動することはできなかった。
デレはオサムの後について砦の廊下を疾走している。

時折後ろを振り向いて、ちゃんとデレがついてきているかどうか、オサムは確認している。

29名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:20:20 ID:ztuYvSmw0

( ∵)「友達じゃあないな」


デレの走りは若い女にしては速い方ではあったが、三人の追跡をまけるような
レベルではなく、すぐさま後ろに三人が迫ってくる。

(´・ω・`)「オサム。殺す」

('A`)「殺すから」

( ∵)「デレ! 先に行け!」


ζ(゚ー゚;ζ「オサムさん!?」

オサムは飛ぶ方向を反転し、三人に向かって突っ込んでいった。

30名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:22:47 ID:ztuYvSmw0

あわや、三人のナイフがオサムを切り裂くところだったが、
絶妙な反応で攻撃をかわし続ける。

( ∵)「早く行け!」

ζ(゚ー゚;ζ「わけわかんない!」

自分が加勢にいったところで、邪魔になるだけだというのは明白だった。


デレは廊下の先に進み始めた。
ところが走り始めてそう時間も経たないうちに、突き当たりまで来てしまった。
これ以上は逃げられない。

近くの目についた部屋に逃げ込むも、すでに心の底で死を覚悟していた。

31名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:25:39 ID:ztuYvSmw0

どうして棺桶死オサムがあのような姿となっているのか。
突如現れた三人は一体誰なのか。というか、人間なのか?
なぜオサムを狙う?


ζ(゚ー゚;ζ「わけ……わかんない」


部屋に逃げ込んだあと、扉を閉め切って内側から鍵をかけた。

いつまでもこの部屋に隠れていたいが、いずれは自分も見つかるだろう。
そのときオサムはもう――。

壁に背を預け、両手で顔を覆った。
訳が分からないのは依然そうだが、一つだけ理解できるのは、自分が無力であるということであった。

32名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:28:18 ID:ztuYvSmw0


一方、オサムは防戦一方ではあるが、傷を負うことなく攻撃をかわしていた。

(   )「早く殺せ。ほら。早く」

フードの男が二人を急かす。

('A`)「うん」

(´・ω・`)「わかった」

二人は攻撃の手を全く休めない。
疲れを感じさせない動きに、オサムはうんざりしていた。

すでにオサムは限界を悟り始めていた。
数分もかからないうちに、自分は殺されるのだと予想した。

33名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:30:55 ID:ztuYvSmw0

( ∵)(まあ、いっか)

元々、どうしても生きたいという思いはなかった。
生きていても仕方ないという考えすら。

オサムは何ごとも楽観的に考えるが、それは自分の人生そのものさえ
軽く考えているからというのも一因としてある。



ζ(゚ー゚;ζ「やああああああああ!」


だから、デレが薬品の小瓶を両手一杯に抱えて走ってきたとき、
オサムは息がつまるほど面食らった。

34名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:33:39 ID:ztuYvSmw0

オサムに気を取られていた二人は、デレが投げつけてきた小瓶をまともに喰らった。
ガラス製の小瓶は体にぶつかると割れてしまい、中の液体が二人の体にかかった。


(;;;;;;ω・`)「熱い」

('X`)「あひゅい」


なんの毒なのか、もしくは酸性の液体なのか、薬品のかかった二人の顔は
蒸気を発しながら焼けていった。

( ∵)「ナイスアシスト」

ζ(゚ー゚;ζ「逃げるんでしょ!?」

35名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:36:25 ID:ztuYvSmw0

( ∵)「でも――」

(   )「逃げられると思うか?」

( ∵)「無理に10万ライツ賭けるわ」

(   )「おい。そっちは俺が賭ける方だろ」

( ∵)「払えよ10万ライツ」

(   )「お前の死体に添えてやる」

悶え苦しむ二人をよそに、フードの男はオサムに飛びかかった。

今まで手加減していたのか、それとも他の二人が邪魔だったのか、
フードの男の動きは他の二人をはるかに凌駕して速かった。

36名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:38:55 ID:ztuYvSmw0

ただし、オサムとて今までとは違っていた。

最後の力を振り絞り攻撃をかわすと、まだ息の整っていないデレの方に飛んでいった。


( ∵)「逃げるのやめにするから、協力してくれ」

ζ(゚ー゚;ζ「なにをすればいいの!?」

( ∵)「我慢」


デレの首元まで飛んでいくと、勢いそのままに牙を突き立てた。

ζ(゚ー゚;ζ「痛っ…ああああ―――!?」

37名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:43:10 ID:ztuYvSmw0

注射針の何倍もの太さの牙が、首の動脈に埋もれていく感触を如実に感じた。
痛さは尋常でなかったが、それ以上に異物が首に潜り込んだ感覚が背筋を凍らせた。


ζ(゚ー゚;ζ「やめて! や…ああっ…」


首に噛みついたオサムから、液体を流し込む音がはっきりと聞こえる。
吸血されるのがこれほど恐ろしいことだとは思わなかった。

意識が足下から飛んでいく。
焦点が定まらなくなり、感覚のなくなった下半身が体を支えられず、膝から崩れ落ちた。

ζ(゚ー゚;ζ「あ…あぁ〜…ぁ………」

38名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:46:24 ID:ztuYvSmw0

体に熱がこもっていた。
風邪のときみたいに体が重い。


(   )「おかえり。オサムくん」


床に突っ伏したデレに、明確な意識はなかった。
ただ、誰かがそばに立っているのがわかった。

黒の革靴、黒のマント、マントの下には無数のベルトが見えた。
もう少し顔を上に向ける。

腰は細いが服の下に筋肉があるように感じる。
やや細めの流し目は冷たく、白髪の前髪からのぞく瞳の色は、赤く染まっていた。

39名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:50:30 ID:ztuYvSmw0


( ゚゙_ゞ゚)「ただいまー」


(   )「やはりお前は、そうでなくては」



( ・∀・)「オサム! お前が死ぬのに100万ライツだ」

( ゚゙_ゞ゚)「大穴狙いだな。じゃあ俺はお前が死ぬのに5ライツ賭けるぜ」


ζ(゚、゚;ζ「オ……サ……ム……」

デレが二人を目視できたのは、その最初の会話だけであった。

40名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 01:51:34 ID:ztuYvSmw0
続きはまた。バトル描写がんばります

41名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 02:50:26 ID:Ue9oQFI20
簡潔で読みやすいな
面白い

42名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 03:11:18 ID:jVIIGaxcC
面白い、頑張って

43名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 18:05:29 ID:vz1eRMck0
ノンシャランってなんだ?

44名も無きAAのようです:2012/04/14(土) 19:23:12 ID:dlNZUxgAC
俺はググったからお前もグクれks

45名も無きAAのようです:2012/04/15(日) 00:32:38 ID:OGJc4HZQ0
ノンシャラン (仏)[nonchalant]
無頓着なさま。なげやりなさま。

そこから転じて腐っても鯛に近い意味合いになるんじゃない

46名も無きAAのようです:2012/04/15(日) 01:08:40 ID:7Linty0o0
乙。これは続きが待ち遠しいな

47名も無きAAのようです:2012/04/20(金) 20:54:08 ID:/5IBPEds0

( ゚゙_ゞ゚)「モララー。強くなったじゃないか」


モララーと呼ばれた男は、常人離れした身体能力を持っていた。

彼は元々人間だった。
今は力を与えられ、その代わりに人を捨てている。

オサムとモララーは城内の壁に穴を空けながら、縦横無尽に動き回っていた。
彼らが交差する度に壁や床がえぐれ、ほこりと砂煙が舞った。


戦い始めてから五分が経過する。
二人にとって、数時間以上に感じるほどの密度の濃い五分だった。

48名も無きAAのようです:2012/04/20(金) 20:57:03 ID:/5IBPEds0

先に動きを止めたのはモララーだった。


床に尻餅をつき、肩で息をしている。
体には無数の傷跡がつき、そこから紫色の血液が流れ出て、カーペットを黒く染めた。


( ゚゙_ゞ゚)「終わりか」


生ぬるい風を纏いながらモララーの前に現れたオサムは、
口元の牙についた血を手でぬぐった。

彼の指先から飛び出た鋭利な爪にも、同様の血がついていた。
傷一つないオサムに対し、モララーは満身創痍だ。

49名も無きAAのようです:2012/04/20(金) 21:00:09 ID:/5IBPEds0

( ・∀・)「いや、そうでもない」

( ゚゙_ゞ゚)「やめとけって。人間、諦めが肝心だよ」

( ・∀・)「俺はもう人間ではない」

( ゚゙_ゞ゚)「そういえばそうだったな」


ノーモーションで飛びかかったオサムに対し、彼の爪先が届くよりも前に
モララーが体を翻して一撃をかわした。
空気が切り裂かれた音がした。

モララーは攻撃の隙を突いてオサムの二の腕を掴んだが、
彼の馬鹿力によってふりほどかれ、反動で投げ飛ばされ、石の壁に体を沈めた。

50名も無きAAのようです:2012/04/20(金) 21:02:08 ID:/5IBPEds0

( ・∀・)「……………………」

( ゚゙_ゞ゚)「終わった?」

( ・∀・)「俺が死ぬ前に伝言を伝えておかないとな」

( ゚゙_ゞ゚)「なんだよ」

( ・∀・)「弟者様から、おまえに。『親愛なるお兄様へ。我々に手を貸すか、死ぬか、選べ』
      以上だ」

オサムは瞬間、寂しそうな笑みを浮かべ、

( ゚゙_ゞ゚)「まあ、わかっていたことだが、なんだかな」

51名も無きAAのようです:2012/04/20(金) 21:05:11 ID:/5IBPEds0

( ・∀・)「答えは?」

( ゚゙_ゞ゚)「弟に伝言頼む。『ばーかあーほターコ』って」

( ・∀・)「死ぬがいい」


壁を蹴った反動でモララーが宙を舞う。
彼の爪先がオサムと同様に鋭く尖った。

一直線にやってくるモララーに対して、オサムは円を描くようにハイキックを繰り出した。
顔似向かって綺麗に入った蹴りによって、モララーの体が中心を基点に幾度か宙で回転する。
回転を続けたまま、頭から床に激突し、スイカが割れるような音がした。

数度体を震わせたのち、モララーは動かなくなった。

52名も無きAAのようです:2012/04/20(金) 21:08:29 ID:/5IBPEds0

モララーの首筋に手を当て、脈がないことを確認すると、
デレの様子をみるために元の場所へと戻った。


ζ(゚、゚*ζ「あ…」

( ゚゙_ゞ゚)「元気?」

ζ(゚ー゚;ζ「………………」

壁に背をもたれ、膝を抱えてうずくまっていた彼女にかける言葉は、脳天気なものだった。
怯えた表情を見せたデレに向かって、

( ゚゙_ゞ゚)「帰るんだろう? 送っていくさ」

そう言った瞬間だった。


オサムの背中、心臓辺りの部分に、激しい衝撃を感じた。

53名も無きAAのようです:2012/04/20(金) 21:09:25 ID:/5IBPEds0
用事ができたので


また後日

54名も無きAAのようです:2012/04/20(金) 21:15:26 ID:dK2xaCAI0
なんという焦らし

55名も無きAAのようです:2012/04/21(土) 00:36:47 ID:fB57xiEsO
ぬおおおぉぉぉぉ!
気になる!
気になるぞおぉぉ!!

56名も無きAAのようです:2012/04/29(日) 00:32:56 ID:AdWYMfLgO
続きはまだかー

57名も無きAAのようです:2012/05/01(火) 13:24:37 ID:wo2y2PYYO
でれかわいい

58名も無きAAのようです:2012/06/07(木) 20:09:25 ID:RYxPg1ns0
面白い
続き待ってますよー!

59名も無きAAのようです:2013/11/21(木) 23:54:20 ID:lGV32Qwo0
まだかなー

■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■