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旅のようです- 1 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:10:37 ID:q4G8U50.O
- ごきげんよう、僕です。
一部にttp://letas.en-grey.com/Entry/64/のキャラクターが出てくる事がありますが
そんなには気にしないで下さい。
- 2 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:15:44 ID:q4G8U50.O
-
行く道は様々、賑やかな街や静かな村。
時には冷たい風を、時には暖かな風を受けて歩いて行く。
周囲にはいつも移り変わり続ける景色。
聞こえるのは人の声や風の音、喧騒も静けさも耳へと流れ込む。
石畳を踏み、土を踏み、景色の中を渡り歩くのは、三人。
一人はどこか情けない顔をした、人の良い魔導師。
もう一人は、表情を浮かべず自由に振る舞う戦士。
その二人の間に居るのは、明るく元気な女の子。
【旅のようです】
【第一話 先生はロリコン】
彼らの間にはいつも、穏やかでいて賑やかな空間が存在する。
- 3 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:17:32 ID:q4G8U50.O
-
わたしは今、森に居ます。
鬱蒼とした森、湿った土と草の匂いが、むわ、と溢れる場所。
森の外はまだお昼だと言うのに、生い茂る木々は太陽の明かりを遮ってしまっている。
足元には不思議な植物やきのこが生え、昼にもかかわらずほうほうと夜の鳥が声をあげる。
とは言っても、別に森にだけ用があるわけではありません。
ここは、ただの通り道です。
わたしたちは、旅をしています。
一緒に旅をしてるのは、わたしの先生。
背が高くて少し気弱で、それでも頼もしい、尊敬する先生です。
そんな先生とわたしは、森を抜けるために黙々と歩いています。
- 4 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:19:09 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ「せんせー、まだ森抜けないの?」
(´・_ゝ・`)「もう少しだよ、ほら、葉の向きが向こうを向いている、こちらに陽が射すんだ」
この人がわたしの先生、デミタス先生です。
先生なだけあって、わたしの知らない事をたくさん知っています。
ミセ*゚ー゚)リ「でもどこからでも陽は射すんじゃないの?」
(´・_ゝ・`)「ここの植物は特殊だからね、時間によって葉の向きを変えるんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「今はー……お昼の二時だね」
(´・_ゝ・`)「うん、時間からして陽が射す方向はこっち、この木が生えてるって事は出口が近い」
ミセ*゚ー゚)リ「出口の近くにしか生えてないとか?」
(´・_ゝ・`)「そう、だからあと少し歩けば出られるはずさ、おやつの時間には間に合うね」
ミセ*゚ー゚)リ「わーい! おやつあんの!?」
(´・_ゝ・`)「森の外には近くに村がある、そこで食べられるよ」
ミセ*゚ー゚)リ「やった! おやつ久々だねせんせ!」
(´・_ゝ・`)「果物なんかはあったけど、作られたおやつは久々だね」
- 5 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:21:36 ID:q4G8U50.O
-
前を見たまま話す先生の少し後ろを、小走りでついて行く。
どんなおやつが待っているのか、想像するだけでお腹が鳴りそう。
村と言うからそんなに豪華なものではないだろうけど、素朴なおやつも大好きです。
ナッツの入った固いクッキー、噛めば噛むほど甘さがあふれる。
果物のパイも捨てがたい、りんごのパイや桃のパイ、とろける甘さがたまらない。
いいやチーズのケーキも悪くない、少し固めで底に砕いたクラッカーがしっとり甘い。
ミセ*゚ヮ゚)リ「じゅるり」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、妄想してないで歩いてね」
_,
ミセ*゚д゚)リ「あ、歩いてるよ! 妄想だなんてしつれーな!」
(´・_ゝ・`)「いや、止まってたから」
ミセ*゚ヮ゚)リ「……てへぺろ☆」
(´・_ゝ・`)「ほら、おやつのためにも歩く歩く」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
- 6 :名も無きAAのようです:2012/02/12(日) 21:22:48 ID:pVkA/sbkO
- 支援
- 7 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:23:54 ID:q4G8U50.O
-
先生にせかされ、てっこらてっこら森を行く。
今にも変な生き物が飛び出してきそうな暗い森。
緑の匂いが好きなわたしにとって、森は心安らぐ場所でもある。
お日様を浴びられないのは残念だけど、この道中はなかなか楽しい時間でした。
そして十分ほど歩くと、木々が別れて森の外へと繋がる道が姿を見せた。
急にお日様が射し込むものだから、眩しくて目を細める。
それは先生も同じなのか、手をかざして光を遮っていた。
森を抜けると、広がるのは田舎の風景。
木々に囲まれた小さな村は、畑やらがなにやらがたくさんあって。
これはこれで、なんとも落ち着く光景です。
(´・_ゝ・`)「ついたね」
ミセ*゚ー゚)リ「だね!」
(´・_ゝ・`)「僕は先に宿のお願いをしてくるから、ここで少し待っててね」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい」
(´・_ゝ・`)「おやつを食べられる場所も探しておくよ」
ミセ*゚ヮ゚)リ「わーい!!」
- 8 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:26:04 ID:q4G8U50.O
-
先生が村の中へと入ってゆき、わたしは村の入り口でお留守番。
柵に背中を預けて、ぼんやり空を見上げる。
ミセ*゚−゚)リ「……ひまだ」
先生に気のいい返事はしたものの、周囲には田畑か森。
キョロキョロと辺りを見回すのも無作法な気がして、やりづらい。
そんなわたしを襲うのは、ぼんやりとした暇だけ。
ミセ*゚−゚)リ「せんせ、どれくらいかかるのかなー」
ミセ*゚−゚)リ「探すって言ってたし、ちょっとかかるんだろーなー」
ミセ*゚−゚)リ
ミセ*゚−゚)リ「ひまー」
- 9 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:28:27 ID:q4G8U50.O
-
目新しいものは無いかとしゃがみこみ、足元の草や花を眺める。
町中で見るよりも生き生きとしてるけど、どれもよくある雑草ばかり。
少し離れた場所を見ても、たいした変化は感じられない。
この旅の理由のひとつは、わたしのお勉強。
いろんなものを見て聞いて感じて、知識を身に付ける事がひとつの理由。
数字と戦ったりするのは苦手だけど、実は勉強は嫌いじゃない。
なので、いろんな草木を見て名前や形状を覚えたり、
薬草としての効果はあるのかと言う勉強は、とっても楽しいこと。
しかしそのお勉強の対象がなければ、どうしようもないのです。
めぼしいものが見つからず、ため息混じりに顔をあげようとしたら。
目の前に、大きな足があった。
ミセ*゚−゚)リ「……うぇ?」
首をかしげて、しゃがんだまま顔をあげる。
- 10 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:30:19 ID:q4G8U50.O
-
顔をあげたわたしの目に映るのは、大きな人。
逆光で顔は見えないけど、先生と同じくらい大きな男の人。
その男の人は、ひょいとしゃがんでわたしに目線を合わせてくれた。
(‘_L’)「おい娘」
ミセ*゚−゚)リ「あい?」
(‘_L’)「お前は、さっき入ってきた男の連れか?」
ミセ*゚−゚)リ「うん、おっちゃん誰?」
(‘_L’)「あの男の知り合いだ」
ミセ*゚ー゚)リ「そーなの?」
(‘_L’)「ああ、長い付き合いだ」
大きな男の人は、せんせと同じくらいのおっちゃんだった。
白い髪で無表情で、よれよれのシャツとズボンを着てる。
お世辞にも身なりが良いとは言えない格好です。
- 11 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:32:45 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ「せんせの知り合いがわたしに何か用?」
(‘_L’)「ひとつ、あいつの事を教えておいてやろう」
ミセ*゚−゚)リ「……なに?」
(‘_L’)「あいつはな」
ミセ*゚−゚)リ「…………」
(‘_L’)「ロリコンだ」
ミセ*゚−゚)リ
(‘_L’)
ミセ*゚−゚)リ「マジで?」
(‘_L’)「マジだ」
ミセ*゚−゚)リ「マジかよ……」
(‘_L’)「マジだ」
あんまり聞きたくなかった衝撃的事実である。
- 12 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:34:32 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚−゚)リ「そういや近所のおねーさんもせんせはド鬼畜ロリコンに決まってるって言ってた……」
(‘_L’)「何だそれ怖い」
ミセ*゚−゚)リ「ところでおっちゃん誰?」
(‘_L’)「名前か?」
ミセ*゚−゚)リ「うん、わたしはミセリ、おっちゃんは?」
(‘_L’)「フィレンクトだ、戦士をしていた」
ミセ*゚ー゚)リ「へー、じゃあ強いんだ」
(‘_L’)「程々にな、お前の先生は魔導師だろう」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、腕は良いらしいよ」
(‘_L’)「知ってる、よく組んでたからな」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ若い頃から知り合いなんだね」
(‘_L’)「付き合いは長い、20年になるか」
ミセ*゚ー゚)リ「わたし生まれてないわ」
(‘_L’)「多少、癪だな」
- 13 :名も無きAAのようです:2012/02/12(日) 21:35:36 ID:pVkA/sbkO
- フィレンクトさん来たああああ
- 14 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:37:35 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあおっちゃんも国の育成学校の出なの?」
(‘_L’)「ああ、そこで奴と知り合った」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせは成績優秀の優等生って聞いたけど、おっちゃんも?」
(‘_L’)「教師らに追い回される日々だった」
_,
ミセ;゚д゚)リ「ただの問題児だ!!」
(‘_L’)「子供の悪戯に本気になる、大人げない教師達だった」
ミセ*゚ー゚)リ「何してたの?」
(‘_L’)「授業に使う魔導書をエロ本にすり替えたり」
_,
ミセ;゚д゚)リ「そら怒るわ!」
(‘_L’)「全く思春期の子供の気持ちを理解すべきだ」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんがやられたらどうする?」
(‘_L’)「泣くまで殴る」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「おっちゃん最低だわ」
- 15 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:39:20 ID:q4G8U50.O
-
(‘_L’)「む」
ミセ*゚ー゚)リ「ん?」
(‘_L’)「戻ってきたな、俺に会ったとはまだ言うなよ」
ミセ*゚ー゚)リ「あーサプライズだね、んじゃまたにー」
(‘_L’)「ああ、またな」
のっしのっしと去ってゆく変なおっちゃん。
その背中が消えるまでぼんやり眺めていると、後ろから声をかけられた。
(´・_ゝ・`)「ただいま、遅くなってごめんね」
ミセ*゚ー゚)リ「んーん、おかえんなさーい」
(´・_ゝ・`)「誰かと話してたの?」
ミセ*゚ー゚)リ「んー……ううん、蟻の巣見てた」
(´・_ゝ・`)「蟻はどうだった?」
ミセ*゚ー゚)リ「お仕事大変そうだった」
- 16 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:42:03 ID:q4G8U50.O
-
(´・_ゝ・`)「この蟻は食べると酸っぱいね」
ミセ*゚ー゚)リ「いやさすがに食べないよ」
(´・_ゝ・`)「食べた奴が居たんだ」
ミセ;゚ー゚)リ「どんだけお腹すいてたの、その人……」
(´・_ゝ・`)「フィレンクトって言ってね、ここに住む僕の友人だよ」
_,
ミセ;゚−゚)リ「あのおっちゃんホントに変なんだなぁ……」
(´・_ゝ・`)「うん?」
ミセ*゚ー゚)リ「なんでもなーい、それよりおやつ!」
(´・_ゝ・`)「はいはい、あっちのお店でクルミのパイが食べられるよ」
ミセ*゚ヮ゚)リ「わーい!!」
(´・_ゝ・`)「食べたら勉強に移ろうね、それまでは少し休憩」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!!」
- 17 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:43:28 ID:q4G8U50.O
-
せんせが部屋をとった宿屋に荷物を置きに行ってから、最低限の荷物を持ってご飯屋さんへ。
こぢんまりで質素で、それでも何だかあたたかいお店。
先生はサンドイッチとコーヒーを、わたしはパイとミルクを注文しました。
運ばれてきたものも、お店同様に質素だけれど何だかあたたかくて、とっても美味しいものばかり。
味の濃いミルクと甘さ控えめのクルミパイの相性は抜群で、
口の水分を持ってきがちなパイを口に運び、堪能してからミルクで押し流す。
すると優しい甘さとミルクの濃さはたいへん良いバランスで混ざり合い、なんとも言えない幸福感。
少し固いパンのサンドイッチを食べる先生もそれは同じなのか、何だか嬉しそうにコーヒーを飲む。
おいしいねおいしいねと言い合って、にこにこしながら軽食を終えた。
晩御飯も遠くはないので、少し物足りないくらいがちょうど良い。
少し名残惜しく思いつつ、わたしたちはお店を後にした。
- 18 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:45:41 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ヮ゚)リ「はー、おいしかったねせんせ」
(´・_ゝ・`)「そうだね、素朴さがとても良い形で溢れてた」
ミセ*゚ー゚)リ「ここにはどれくらい居るの?」
(´・_ゝ・`)「長くて三日だね、また明日食べに来ようか」
ミセ*^ヮ^)リ「うんっ!」
(´・_ゝ・`)「よし、じゃあお勉強だね」
ミセ*゚ー゚)リ「今日はなんのお勉強?」
(´・_ゝ・`)「ここは自然が多いから、薬草の種類をおさらいもかねて調べようか」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
筆記用具と小さな入れ物を持って、草木の多い森の近くへと移動。
さっき見た場所では目新しいものは無かったけれど、少し移動すれば珍しい草木が生えていた。
良い勉強の材料はないかと辺りを見回す先生のあとをついて歩く。
と、さっきおっちゃんに言われた事を思い出した。
- 19 :名も無きAAのようです:2012/02/12(日) 21:47:16 ID:pVkA/sbkO
- お腹すくわあ
- 20 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:47:17 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ「ねーせんせ、ここにはせんせのお友達がいるんだよね」
(´・_ゝ・`)「ん? うん、そうだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「そのお友達もロリコンなの?」
(;´・_ゝ・`)「も!? 僕がロリコンである事を前提に話を進めてるの!?」
ミセ ゚−゚)リ「だって先生ロリコンなんでしょ?」
(;´・_ゝ・`)「ま、真顔で言わないで! 違うよ!? どっか別のデミタスさんと混同してる!?」
ミセ ゚−゚)リ「近所のおねーさんも、先生はロリコンだー鬼畜だーって」
(;´・_ゝ・`)「やっぱりも!? 他にも言う人が居るの!?」
ミセ ゚−゚)リ「違うの?」
(;´・_ゝ・`)「違うから! そのお姉さん達は間違いなく何かに毒されてるから!!」
ミセ*゚ー゚)リ「なんだ、違うんだ……」
(;´・_ゝ・`)「誰だか知らないけど、僕の人間としての尊厳がひどい扱いだなあ……」
先生おもしれぇ。
- 21 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:49:35 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ「まあわたし子供だからよくわかんないや!」
(;´・_ゝ・`)「君が言い出した癖に! 何この生徒!」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせー声大きいよ」
(;´・_ゝ・`)「誰のせい!?」
ミセ*゚ー゚)リ「ね、せんせ」
(´・_ゝ・`)「うん?」
ミセ*゚ー゚)リ「ロリコンじゃないの?」
(;´・_ゝ・`)「だから違いますぅううううううッ!!!!」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあロリコンじゃないんだ……」
(´・_ゝ・`)「何度も同じこと言わないで……って、えっ、何で残念そうなの?」
ミセ*゚ー゚)リ「ところでロリコンって何?」
(´・_ゝ・`)「えっ」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ教えてよ」
(´・_ゝ・`)「あっ、えっ?」
- 22 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:51:25 ID:q4G8U50.O
-
(´・_ゝ・`)「……少女に対して恋愛感情や性的欲求を抱く人物をロリコンと呼ぶ事がある」
ミセ*゚ー゚)リ「なるほど…………せんせ」
(´・_ゝ・`)「うん」
ミセ*゚ー゚)リ「せいてきよっきゅうって何?」
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)「もう少し大人になったらその勉強しようね」
ミセ*゚ー゚)リ「性的な意味で?」
(;´・_ゝ・`)「普通の保健体育だよ! と言うか意味もう解ってるよね君!?」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、しまった」
(;´・_ゝ・`)「誰の入れ知恵だよ! 何をしてるの君は!!」
(‘_L’)「俺だ」
(´・_ゝ・`)「お前だったのか」
(‘_L’)「暇をもて余した」
(´・_ゝ・`)「神々の」
ミセ*゚ー゚)リ「うっせえ」
- 23 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:53:12 ID:q4G8U50.O
-
(´・_ゝ・`)「モンスターエンジンキャンセル……って、えっ?」
(‘_L’)「久々だなデミタス」
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)
ミセ*゚ー゚)リ「やっほーおっちゃん、さっきぶり」
(‘_L’)「おう」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ面白いよね、おっちゃんも遊んでたんでしょ」
(‘_L’)「否定する理由も無いな」
ミセ*゚ー゚)リ「ははは、おっちゃん最低だなー」
(‘_L’)「ははは」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせー、このおっちゃん会話が続かないよー」
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ?」
(´・_ゝ・`)「ええと、順番に行こうか」
(‘_L’)「おう」
- 24 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:55:22 ID:q4G8U50.O
-
(#´・_ゝ・`)「子供に変な入れ知恵をするな! 知っててノるな!! 居るなら早く言え!!
あと変なコントをさせるな!! キャンセルするな!!! 突然現れるなァアッ!!!!」
ミセ*゚ー゚)リ「おー、一気に行ったねせんせ」
(‘_L’)「相変わらずだなお前」
(#´・_ゝ・`)「うっさい! 主に君に対する突っ込みだフィレンクト!!」
(‘_L’)「何を今さら、長年このノリだろうが」
(#´・_ゝ・`)「あーもうめんどくさいな君は! ほんっと相変わらず自由人だな!!」
(‘_L’)「職業的にもな」
(#´・_ゝ・`)「まだ無職かァアアアアアアアアッ!!!!」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん無職なの?」
(‘_L’)「自由を追い求めてると言え」
(#´・_ゝ・`)「ただの無職だよッ!!」
(‘_L’)「もっと今風に言え、ニートと」
(#´・_ゝ・`)「もっと悪いよ! どうしようもないよ!! 結局ただの無職だよッ!!」
- 25 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:57:15 ID:q4G8U50.O
-
(‘_L’)「デミタス」
(#´・_ゝ・`)「何ッ!?」
(‘_L’)「お前うるさい」
(#´・_ゝ・`)「君は本当にめんどくさいなあああああああッ!!!!」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせとおっちゃんは仲良し……っと」
(#´・_ゝ・`)「それ別にノートに書かなくて良いからねッ!?」
(‘_L’)「デミタスの突っ込みはうるさいとも書いておけ」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい」
(#´・_ゝ・`)「書かなくて!! 良いですから!!」
(‘_L’)「本当うるさいなお前、もっとボリュームを落とせ」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせー、周りの人がすっごい見てるよ」
(;´・_ゝ・`)「あ、すみませんお騒がせして……本当すみません……」
ミセ*゚ー゚)リ(せんせは律儀……っと)
- 26 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 21:59:50 ID:q4G8U50.O
-
(´・_ゝ・`)「はぁ……もう、何なの……」
(‘_L’)「落ち着いたか」
(´・_ゝ・`)「何か腹立つなぁ君……」
(‘_L’)「昔からそうだろう、思い出してもみろ」
回想
『デミタスこれ頼んだ』
『え、何これ』
『女子の下着』
『何で僕に渡したの!? と言うかこれどうしたの!?』
『更衣し 拾った』
『嘘だ! 絶対嘘だ!!』
『あ、来た、逃げるからまたな』
『えっ、ちょ、ま』
- 27 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:01:53 ID:q4G8U50.O
-
(´・_ゝ・`)「…………一度で良いから……殴らせて……」
(‘_L’)「美しい想い出は逆効果か……」
(´・_ゝ・`)「美しいも何も学生時代に君にかけられた迷惑しか思い出せないよ……」
(‘_L’)「俺は記憶に無いな」
(´・_ゝ・`)「お願いだから一度だけ殴らせて……」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせって人を殴ったことあるの?」
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)「…………フィレンクト、殴り方を教えて」
(‘_L’)「断る」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんは殴ったことあるの?」
(‘_L’)「昔は毎日殴ってたな」
(´・_ゝ・`)「僕はその巻き添えを食らってたね」
(‘_L’)「魔導師が前線に立つからだ」
(´・_ゝ・`)「いや、君が僕を盾にしてた事は解ってる」
(‘_L’)「バレていた、だと……」
- 28 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:03:18 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ「ほらせんせ、漫才してないで勉強しようよ」
(´・_ゝ・`)「ああ、うん……もう突っ込み切れないから良いや……」
(‘_L’)「何だ、勉強に来たのか」
(´・_ゝ・`)「うん、この子と各地を見て回る勉強の旅をしてるんだ」
(‘_L’)「幼女とか」
ミセ*゚ー゚)リ「わたし幼女ってほど若くないよ」
(‘_L’)「ロリコンは返上してないのかデミタス」
(´・_ゝ・`)「まずロリコンでは無いから」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんはロリコンなの?」
(‘_L’)「否定と肯定、どちらをしても味方は増えないんだろう」
(´・_ゝ・`)「無駄にかっこよさげに言ってるけど全然かっこよくないからねそれ」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
- 29 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:05:20 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ
一つわかった事がある。
普段わたしと居る時の先生は、頑張って先生をしていると言う事。
いっつも真面目でしっかりしてて、先生らしい先生は、あくまでも先生として。
だからこうして昔からのお友だちを前にすると、素の先生になるんだろうな。
声の大きい突っ込みで、振り回されてばっかりな人の良い苦労人。
新しい先生を見れて、嬉しいような
少しばっかし、寂しいような。
わたしと先生は数年の付き合いだから、20年も仲良くしてるおっちゃんとの差は大きい。
だから寂しかったり、ちょっと拗ねたりしちゃうけど
わたしの知らない元気な先生を見れるのは、何だかちょっと嬉しいです。
それに、おっちゃんと居ると息抜きが出来るって事は、きっと良い事なんだと思う。
ミセ;゚ー゚)リ(息抜き出来てるのかはわかんないけど……)
- 30 :名も無きAAのようです:2012/02/12(日) 22:06:13 ID:pVkA/sbkO
- フィレンクトさんマジ自由人
デミタス苦労するな……
- 31 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:07:47 ID:q4G8U50.O
-
(´・_ゝ・`)「はい仕切り直し、取り敢えずここは自然が多いから薬草の勉強をしようか」
ミセ*゚ー゚)リ「さっきも聞いたけど、はーい」
咳払いをして、足元に生える草を一枚ちぎってわたしに見せる先生。
それはとてもポピュラーで、見覚えのある日用品の一つ。
(´・_ゝ・`)「これがごく一般的な薬草だね、水に浸けてから傷に貼ると止血が出来る」
ミセ*゚ー゚)リ「よく売ってるやつだねー」
(‘_L’)「味は不味い」
(´・_ゝ・`)「お店にあるのは効果を高めたり使いやすく加工したものだね」
ミセ*゚−゚)リ「ふむむ、やっぱり加工って大事なんだね……」
(´・_ゝ・`)「うん、素材やテクスチャを乗せたりグロー効果を追加するだけで見違える」
ミセ;゚ー゚)リ「せんせ何のはなし?」
(´・_ゝ・`)「失礼、脱線したね」
- 32 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:10:19 ID:q4G8U50.O
-
ふむふむ、とノートに書き込みながら足元を見れば、さっきのとは違う草。
こちらはあまり見慣れない、少し葉の尖ったもの。
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇせんせ、こっちのは?」
(´・_ゝ・`)「それは違う種類の薬草だね、単品では効果が薄いけど
他の薬草と混ぜて軟膏にすると効果が飛躍的に上がる、補助的な役割だよ」
(‘_L’)「それは美味い」
ミセ*゚ー゚)リ「へー……やっぱり、加工したりお薬にするのは大変なの?」
(´・_ゝ・`)「薬屋さん何かがちゃんと調合しなきゃいけないからね、一般人には少し難しい」
ミセ*゚ー゚)リ「ふむう、専門職ってやつだね」
(´・_ゝ・`)「うん、色んな職業の人が居るから生活が成り立ってるんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「作ってくれる人に感謝するのは、食べ物も道具も一緒だね」
(´・_ゝ・`)「うん、実際はザコ殴ってドロップする事の方が少ないしね」
ミセ*゚ー゚)リ(せんせはゲーム脳だなー)
- 33 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:12:30 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ「職業って言うと、せんせは?」
(´・_ゝ・`)「僕は魔導師が本職だよ、薬屋さんとは違うけどある程度の傷なら癒す事が出来る」
ミセ*゚ー゚)リ「ホイミとか?」
(´・_ゝ・`)「ケアルとかね、その代わり病気は治せないからお医者さんみたいにはいかないよ」
(‘_L’)「おいデミタス、これは食えるぞ」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君は将来、何になりたいんだい?」
ミセ*゚ー゚)リ「んー、まだよくわかんない……でもね、誰かを助けたい!」
(´・_ゝ・`)「何を目指すかはゆっくり決めると良いよ、漠然としていても目指すものがあるのは良いね」
ミセ;゚ー゚)リ「えへへ、でもわたし勉強苦手だからなぁ」
(´・_ゝ・`)「大丈夫、僕だって昔は苦手だったけど魔導師にはなれたんだ」
(‘_L’)「デミタス見ろ、あの虫は食える虫だ」
(´・_ゝ・`)「ごめんフィレンクト黙ってて」
- 34 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:15:09 ID:q4G8U50.O
-
(‘_L’)「思いの外真面目な勉強だった」
(´・_ゝ・`)「普通に勉強だから邪魔はしないでフィレンクト」
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇせんせ、あれ食べれるの?」
(´・_ゝ・`)「あれは毒があるけど毒抜きをすれば食べられるよ、そのおじさんに聞いてごらん」
(‘_L’)「お前も同い年だろうが」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん、あれ美味しいの?」
(‘_L’)「美味い」
ミセ*゚ー゚)リ「食べたい」
(‘_L’)「待ってろ」
(´・_ゝ・`)「その間に勉強進めて良い?」
(‘_L’)「構わん」
(´・_ゝ・`)「何様だよ君……まあ良いや、ミセリ君待ってる間に勉強を続けようか」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
- 35 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:18:13 ID:q4G8U50.O
-
おっちゃんが適当に草を引っこ抜く背中を眺めつつ、その様子もノートに書き込む。
まるで草刈りをしてる農民のようだ、と。
すると、先生が薄いピンクの花をそっと摘み、わたしに差し出して見せた。
けど受け取ろうとするとそれを避け、軽く回してから首を傾げる。
(´・_ゝ・`)「この花は何かわかるかい?」
ミセ*゚−゚)リ「んー……綺麗だけど、それだけじゃないの?」
(´・_ゝ・`)「うん、これは加工法によっては毒になるんだ」
_,
ミセ;゚д゚)リ「うぇ、何かやだなぁ……」
(´・_ゝ・`)「この花の蜜を濃縮した上で成分を抽出すると、人を殺す事も出来る」
_,
ミセ;゚д゚)リ「うえぇー、やだぁ」
(´・_ゝ・`)「でも毒は薬になる事もあるんだ、使い方によっては命を助ける事も出来るんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「ふへぇ……使い方って大事だねぇ」
(´・_ゝ・`)「うん、だからどんな物でも決して使い方を間違えてはいけないよ」
- 36 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:21:05 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ「はーい…… あ、ねぇせんせ……あの花はなに? すっごい綺麗だよ」
毒って言うのも、気分は良くないけどちゃんと勉強して覚えとかなきゃいけない。
もしうっかり触ったり口にしたら、命に関わってしまうのだから。
そう考えると、さっき先生が慎重に花を摘んだ理由も、わたしに触らせなかった理由も分かる。
やっぱり先生は先生なんだな、と密かに感心するわたしの視界の端に映るもの。
それは優しいピンク色で、柔らかそうな花びらが幾重にも重なる花。
きっとどんな植物にも、多少は効能なんかがあるのだろうと思い、先生に問いかける。
が、
(´・_ゝ・`)「ああ、あれは…………あれは……」
ミセ*゚ー゚)リ「あれは?」
(´・_ゝ・`)「一応、薬に……なる、かな……」
先生の返答は、何だかはっきりしないもごもごしたものだった。
- 37 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:24:13 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ「一応? どんな薬なの?」
(´・_ゝ・`)「ええ、と……あの……」
ミセ*゚ー゚)リ「?」
何だか困ったような顔で、俯きがちに花を見ながら言葉にするのをためらう先生。
元から困ってるみたいな顔なのに、余計にしょんぼり顔。
そんなしょんぼり顔の先生が、意を決した様に視線をわたしに向けて、口を開く。
(´・_ゝ・`)「…………性機能不全を、緩和させる、と言うか……」
(‘_L’)「媚薬になる」
(;´・_ゝ・`)「ずんばらばっさり言わないで!!」
わーお。
- 38 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:27:50 ID:q4G8U50.O
-
まあ別にそう言う知識が無い訳じゃないし。
子供と言っても住んでたのは結構町の方だったし。
なんだかんだでそう言う知識は嫌でも耳に入っちゃうもので。
さっきはおっちゃんに合わせてわからないフリをしたけども。
でもまあ媚薬と言う言葉の意味をちゃんと理解できているか、確認もかねて。
ミセ*゚ー゚)リ「……びやく?」
(;´・_ゝ・`)「あ、ええと、あの」
(‘_L’)「要するにあの花から出来る薬を摂取するとムラムラする」
(;´・_ゝ・`)「オブラートって知ってる!? と言うかいつからそこに居た!?」
(‘_L’)「毒抜きに時間がかかる」
(;´・_ゝ・`)「返事が中途半端だよ!!」
まあ合ってましたわ。
- 39 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:30:20 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ「ムラムラ……」
(;´・_ゝ・`)「いやあの、だからね」
ミセ*゚ー゚)リ「生殖行動を促す効果があるの?」
(´・_ゝ・`)「あ、うん、そうです」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしにはまだ関係ないね」
(´・_ゝ・`)「そうだね、うん、じゃああっちの草の効能はね」
(‘_L’)「初潮が未だなのか」
(´・_ゝ・`)「フィレンクト黙って」
(‘_L’)「何だ事実だろうが」
(´・_ゝ・`)「お願いだからフィレンクト黙って」
おっちゃんはソフトに最低だと思いました。
フィレンクトのおっちゃんにはデリカシーが無い、とこれもメモしておこう。
- 40 :名も無きAAのようです:2012/02/12(日) 22:30:59 ID:HmAK5Fb60
- これは中々面白いと思ったら変な森の人だったか
支援す
- 41 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:33:07 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ「……あ、この葉っぱ知ってる」
(´・_ゝ・`)「お、じゃあ何かな?」
ミセ*゚ー゚)リ「魚とか蒸すときに入れると美味しい!」
(´・_ゝ・`)「確かに旨味や香りが増して美味しくなるね、でもそれだけじゃないんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、美味しいだけじゃないんだ……んー、何だろ」
(´・_ゝ・`)「元々これは、薬草として食事に用いられていたんだ、それも胃腸に効果的として」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、じゃあお腹の薬?」
(´・_ゝ・`)「そう、お腹と言うと、どんな症状が出る?」
ミセ*゚ー゚)リ「腹痛!」
(´・_ゝ・`)「うん正解、これは腹痛を和らげてくれるんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「おー! 当たった!」
- 42 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:36:34 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあお腹が痛くなったらこれ食べるの?」
(´・_ゝ・`)「そのままじゃ余計にお腹を壊すから、煎じて薬にしなきゃ駄目だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「ふむふむ」
(‘_L’)「だから腹を下したのか」
(´・_ゝ・`)「フィレンクト何してるの」
(‘_L’)「腹の具合が悪かったから食った」
(´・_ゝ・`)「野生児にもほどがあるよ君」
(‘_L’)「ところでさっきから聞きたかったんだが」
(´・_ゝ・`)「うん?」
(‘_L’)「お前たちの関係は何だ?」
(´・_ゝ・`)「教師と生徒」
(‘_L’)「お前はいつから教師になった」
ミセ*゚ー゚)リ「教師って言うか、孤児院のせんせだよね」
(‘_L’)「……すまん」
ミセ*゚ー゚)リ「? 別に謝る事じゃないよ?」
- 43 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:40:32 ID:q4G8U50.O
-
(´・_ゝ・`)「……この数年、僕は孤児院で働いていてね、ミセリ君はそこで知り合った」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせのお勉強は楽しいから、わたし好きだったんだー」
(´・_ゝ・`)「意外と勉強熱心な生徒だったからね、僕が孤児院を離れて旅をするとなった時」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしがもっと色々お勉強したいから、ついてきましたー!」
(‘_L’)「……そう、か」
(´・_ゝ・`)「ほらそれは良いから、フィレンクト毒抜きは」
(‘_L’)「デミタス」
(´・_ゝ・`)「……何?」
(‘_L’)「お前、国の魔導師になるんじゃ無かったのか」
(´・_ゝ・`)「…………」
(‘_L’)「国に属する魔導師になる事を目標に、十年以上学校に居たんだろう」
(´・_ゝ・`)「……僕は、人殺しのために魔導師になったんじゃない」
(‘_L’)「…………そうか」
- 44 :名も無きAAのようです:2012/02/12(日) 22:41:35 ID:pVkA/sbkO
- いきなりシリアスで戸惑う
- 45 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:42:43 ID:q4G8U50.O
-
二人がすごく真面目な顔で、顔を真っ直ぐ見たまま難しい話を始めた。
わたしはそこに加わってはいけないと察して、何も言わずに一歩退く。
先生は、あんまり魔導師としての自分が好きじゃない様に見える。
その理由はきっと、三年前まで続いていた戦争。
わたしには、難しい事はまだよくわからない。
でもあの戦争が、わたしの家族と先生の忠誠心を奪ったのは、確か。
(´・_ゝ・`)「この話は、今はよそう」
(‘_L’)「……分かった」
先生はとても真面目な人だから、耐えられなかったんだろうな。
誰かを傷付けるより、誰かを助けたい人だから。
何かを奪うために力を振るうくらいなら、その場から離れたかった。
そして先生は、わたしを拾った。
- 46 :名も無きAAのようです:2012/02/12(日) 22:44:11 ID:cD9McY3YO
- しえしえ!
- 47 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:45:33 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚−゚)リ(……わたしにはまだ、むずかしいや)
先生の勉強を受けて、旅でいろんなものを見て。
平均的な子供より、少しだけいろんな事を知ってるとは思う。
でもわたしはまだまだ子供だから、わからない事は山ほどある。
そのわからない事のいくつかが、先生の気持ち、先生の過去。
そして、先生とおっちゃんの、関係。
すべてを理解出来る日が、訪れるのだろうか。
(‘_L’)「旅は、楽しいか」
(´・_ゝ・`)「……楽しいよ、こうして見るものは新鮮だし、僕にもミセリ君にも良い勉強になる」
(‘_L’)「…………」
(´・_ゝ・`)「すまないねミセリ君、続きをしようか」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
- 48 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:48:08 ID:q4G8U50.O
-
(‘_L’)「……旅、か」
(‘_L’)「…………」
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇせんせ」
(´・_ゝ・`)「うん?」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせとおっちゃんはどーいう関係なの?」
(´・_ゝ・`)「一応幼馴染みかな、学科は違うけど学校が同じだったんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんは魔導師じゃないんだ」
(´・_ゝ・`)「薬草そのまま食べるような魔導師とか嫌だよね」
ミセ*゚ー゚)リ「すげー信頼出来ない魔導師だね」
(´・_ゝ・`)「フィレンクトは戦士だよ、腕っぷしはかなりのものなんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「へー、魔導師と戦士なんだ、仲良いの?」
(´・_ゝ・`)「悪くはないね、20年経っても親交がある……けど」
ミセ*゚ー゚)リ「けど?」
- 49 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:50:56 ID:q4G8U50.O
-
(´・_ゝ・`)「学生時代は主に迷惑しかかけられなかった」
ミセ;゚ー゚)リ「ぽいわー」
(´・_ゝ・`)「自由奔放な性格だからね、規律はいつでも破るし勝手な振る舞いが多かった」
ミセ;゚ー゚)リ「その尻拭いしてたんだね……」
(´・_ゝ・`)「全くその通り、何かをやらかしては僕に押し付けて逃げてたよ」
ミセ;゚ー゚)リ「自由だなー……」
(´・_ゝ・`)「そうだね、今度は虫捕まえてるしねフィレンクト」
ミセ*゚ー゚)リ「食べるのかな」
(´・_ゝ・`)「サバイバル過ぎる」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせは虫食べるの?」
(´・_ゝ・`)「薬にしたりはするけど、バリバリ食べたりはしないなぁ」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、生でいった」
(´・_ゝ・`)「捕まえてその場で食べたりするからお腹壊すんだよ……」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、何してんの?」
(´・_ゝ・`)「お腹の薬を作っておこうと思って」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしも手伝うー」
- 50 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:54:00 ID:q4G8U50.O
-
さっき教わった事を参考に、草を数種類ぷちぷちと引き抜く。
確か根っこにも効果があるって言う話もあるし、その辺に生え放題なので草むしりもかねて。
小さな容器に草を入れつつ、その辺をぴょんぴょんと跳ねる虫を眺める。
さっきこの手のバッタみたいなの食べてたなー。
そういやこの虫ってお腹にゆるい毒を溜めとくんだよなー。
あと食べたら口の中が緑色になる。
ミセ*゚ー゚)リ「何で食べるのかなぁ……」
(´・_ゝ・`)「余程お腹が空いていたか、ただの馬鹿だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんはどっちだろねーせんせ」
(´・_ゝ・`)「ははは、間違いなく後者だね」
ミセ*゚ー゚)リ「あはは、辛辣だなー、今度は草むしって食べてるなー」
(´・_ゝ・`)「本当に頭悪いんじゃないかなあフィレンクト」
ミセ*゚ー゚)リ「出会って数時間だけど否定の言葉が浮かばないや」
(´・_ゝ・`)「ははは、本当に馬鹿だなフィレンクトは」
- 51 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 22:57:33 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ「あ……せんせせんせ、あれ何?」
(´・_ゝ・`)「うん?」
ふいと視線をそらした先にあるのは、さっきの花とは別の花。
目にまぶしいほど真っ赤な花びらで、少し鋭い葉を持っている。
それは他の草花とはまるで別の存在だと言わんばかりに、一輪だけ凛と咲いていた。
ミセ*゚ー゚)リ「綺麗な花、真っ赤だね」
(´・_ゝ・`)「ああ……あれは触っちゃ駄目だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「毒なの?」
(´・_ゝ・`)「ううん、凄く良い薬の材料だよ、花びらから蜜も茎も根も薬になる」
ミセ*゚−゚)リ「? なのに、触っちゃ駄目なの?」
(´・_ゝ・`)「あれはね、人間がたくさん採ったから量が減ってしまったんだ
ああやって自然に生えてるのは凄く珍しい事、だから触らずにそってしておいてあげよう」
ミセ*゚ー゚)リ「……うん、また増えると良いね」
(´・_ゝ・`)「そうだね、もし少しだけ使わせて貰うにしても、花びらを一枚貰うだけにしよう」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
- 52 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:00:11 ID:q4G8U50.O
-
(‘_L’)「デミタス大変だ」
(´・_ゝ・`)「あとでお腹の薬を煎じるから待ってね」
(‘_L’)「なぜ腹が痛いと分かった」
(´・_ゝ・`)「君は実に馬鹿だ」
(‘_L’)「唐突に失礼だとは思わないのか」
(´・_ゝ・`)「唐突に教え子に対して変な事を吹き込むのは失礼だと思わないの?」
(‘_L’)「思わんな」
(´・_ゝ・`)「君は本当にイラッとする」
(‘_L’)「お前の懐が狭いだけだ」
(´・_ゝ・`)「君は本当にムカつく」
(‘_L’)「はっきり言ったなおい」
(´・_ゝ・`)「もう黙ってそこで蹲ってて」
(‘_L’)「すげえ腹痛い」
(´・_ゝ・`)「良いからもう黙れ」
- 53 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:02:34 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ「……ここは色んな花とか草があるね、せんせ」
(´・_ゝ・`)「うん、自然が多くて良いところだ」
ミセ*゚ー゚)リ「気持ちいいねー、なんか落ち着く」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君は緑が好きだからね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、草とか花とか大好き!」
(´・_ゝ・`)「でも生で食べないようにね、どこかの変なおじさんの真似はしちゃ駄目だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
(´・_ゝ・`)「真似したらあんな風になるからね」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん、お腹押さえてついにその場にうずくまりだしたね」
(´・_ゝ・`)「早く煎じてあげようか、ミセリ君も手伝ってくれるかい?」
ミセ*゚ー゚)リ「まっかせろい!」
(´・_ゝ・`)「よし、じゃあ今日の宿に行こうか、鍋と火を借りよう」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんは?」
(´・_ゝ・`)「もうあのままで良いや」
- 54 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:04:48 ID:q4G8U50.O
-
草むらでうずくまるおっちゃんをそのままに、わたしと先生は薬草を持って宿へと戻る。
そこで火と道具を貸してもらい、わたしにとって初めてのお薬調合の準備です。
少しドキドキするけど、怖いとかより楽しみとか好奇心の方が勝ってしまう。
(´・_ゝ・`)「よいしょ、と……」
ミセ*゚ー゚)リ「薬草がいっぱいだね」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君はこの草をそれで磨り潰してくれるかな?」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(´・_ゝ・`)「僕はこれを煎じて、と……こっちの調合しよう」
ミセ*゚ー゚)リ「手慣れてるねーせんせ」
(´・_ゝ・`)「ずっとやってきたからね、ミセリ君も少しずつ慣れると良いよ」
ミセ*^ー^)リ「はーい」
- 55 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:08:11 ID:q4G8U50.O
-
(´・_ゝ・`)「……楽しそうだね、ミセリ君」
ミセ*゚ー゚)リ「えへへ……調合って初めてだから、つい楽しくって」
(´・_ゝ・`)「うん、嫌々やるよりずっと良いよ」
ミセ*゚ー゚)リ「うんっ」
(´・_ゝ・`)「その代わり失敗はしないようにね、ほらその草が残ってるよ」
ミセ*゚ー゚)リ「ありゃ、気を付けなきゃだね」
(´・_ゝ・`)「今は難しい調合じゃないから、失敗したと思ったらすぐに言ってね」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(´・_ゝ・`)「すぐに上手くなるわけじゃない、何度もやって上達するんだからね」
ミセ*゚ー゚)リ「説得力あるなーせんせ」
(´・_ゝ・`)「僕も昔はよく失敗したからね」
ミセ*゚ー゚)リ「ありゃ、意外ー」
- 56 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:11:01 ID:q4G8U50.O
-
(´・_ゝ・`)「僕だって今は先生だけど、昔は教わる側だったからね」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせも良いせんせが居たの?」
(´・_ゝ・`)「うーん、学校の先生ではないけど……とても立派な先輩が居たんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「どんな先輩だったの? 魔導師さん?」
(´・_ゝ・`)「うん、今じゃ有名な大魔導師様だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「おお、すげぇ……その人は学校じゃどんな人だったの?」
(´・_ゝ・`)「先輩は学校には行ってなかったけど、ちょっとした事で知り合ってね
変わった人ではあったけど、誰よりも勉強熱心で、誰よりも魔導師の素質があった」
ミセ*゚ー゚)リ「…………悔しかった?」
(´・_ゝ・`)「はは、昔はちょっとだけね……でもそれ以上に、尊敬してる」
ミセ*゚ー゚)リ「……なんか、かっこいいね」
(´・_ゝ・`)「うん、かっこいい先輩だった……顔と言うか顔色はまあアレだけど」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせがかっこいいんだよ」
(´・_ゝ・`)「ん?」
ミセ*゚ー゚)リ「なんでもなーい」
- 57 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:14:06 ID:q4G8U50.O
-
(´・_ゝ・`)「よし、と……お腹の薬にはこれとこれをよく混ぜて、その磨り潰した薬草を入れるんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「そんで煎じてる薬草と合わせるの?」
(´・_ゝ・`)「うん、飲み薬だし今は味を気にしなくて良いから割りと楽だね」
ミセ*゚ー゚)リ「ちなみにどんな味になるの?」
(´・_ゝ・`)「涙目になるくらいえぐくて苦くて臭い」
ミセ*゚ー゚)リ「結構えげつないよねせんせ」
(´・_ゝ・`)「フィレンクトが飲むなら気にしない」
ミセ*゚ー゚)リ「自分が飲むなら?」
(´・_ゝ・`)「練って丸薬にして飲みやすくする」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしが飲むなら?」
(´・_ゝ・`)「シロップと混ぜて甘くする」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせは優しいなー」
(´・_ゝ・`)「ははは、普通は飲みやすくするものだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんにだけ厳しいねせんせ」
(´・_ゝ・`)「今日は割とひどい目にしか会わされてないからね」
- 58 :名も無きAAのようです:2012/02/12(日) 23:15:16 ID:HmAK5Fb60
- 塔のようですも読んできた あんな面白いの見逃してたとは
この作品も期待
支援す
- 59 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:17:29 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ「ねーせんせ」
(´・_ゝ・`)「うん?」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせはロリコンじゃないんだね」
(;´・_ゝ・`)「ブッフォ!」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、どばって薬入った」
(;´・_ゝ・`)「あー……これ苦味増すわ……」
ミセ*゚ー゚)リ「効果は?」
(;´・_ゝ・`)「便秘になる」
ミセ*゚ー゚)リ「まあ良いんじゃない?」
(´・_ゝ・`)「君も結構厳しいよねミセリ君」
ミセ*゚ー゚)リ「で、ロリコンじゃないの?」
(´・_ゝ・`)「違います、子供は好きだけど健全な好きです」
ミセ*゚ー゚)リ「そっか……」
(´・_ゝ・`)「だから何で残念そうなの……」
- 60 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:20:33 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*゚ー゚)リ「わたしね、せんせと一緒に居るの好きだよ」
(´・_ゝ・`)「僕もだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「戦争でおとーさんとおかーさん死んじゃってさ、どうしようもなかったんだよね」
(´・_ゝ・`)「……うん」
ミセ*゚ー゚)リ「そんな時さ、せんせが助けてくれたんだもん」
(´・_ゝ・`)「人として当然の事だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「孤児院に居る時も、せんせはいっぱい頑張ってたじゃん」
(´・_ゝ・`)「誰かの役に立ちたいからね」
ミセ*゚ー゚)リ「そんなせんせがかっこよかったからさ、わたしもせんせみたいになりたいの」
(´・_ゝ・`)「……ありがとう」
ミセ*゚ー゚)リ「だからね、えと……せんせ、色々教えてね」
(´・_ゝ・`)「うん」
ミセ*゚ー゚)リ「わたし、せんせみたいに人の役に立てる大人になるから」
(´・_ゝ・`)「そのために、僕も出来る限りの事を教えるよ」
ミセ*^ー^)リ「うんっ!」
- 61 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:23:31 ID:q4G8U50.O
-
(´・_ゝ・`)「お、そろそろ晩ごはんみたいだね」
ミセ*゚ヮ゚)リ「マジで!?」
(´・_ゝ・`)「うん、後片付けをして行こうか」
ミセ*゚ヮ゚)リ「おおおいいにおい……何だろ晩ごはん……」
(´・_ゝ・`)「既に聞いてないわ」
ミセ*゚ヮ゚)リ「早く早く! せんせったら早く!」
(´・_ゝ・`)「あーもうはいはい、ちょっと待ってね」
ミセ*゚ヮ゚)リ「嫌だ!!」
(´・_ゝ・`)「えぇ……初めてそんな即答聞いたよ、どんだけ食べたいのミセリ君……」
ミセ*゚ヮ゚)リ「だって」
ミセ*゚ヮ゚)リ<グゥゥゥゥゥウ
ミセ*゚−゚)リ
_,
ミセ*。 。)リ「……早く行こうよ」
(´・_ゝ・`)「分かった分かった、ほら行こう、相当空腹だったのね君」
- 62 :名も無きAAのようです:2012/02/12(日) 23:23:40 ID:pVkA/sbkO
- デミタス良い先生ダナー
- 63 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:26:46 ID:q4G8U50.O
-
宿屋の小さな食堂で待っていたのは、器に盛られたシチューとパン。
湯気の立ち上る白いシチューがまた、優しくてやわらかい匂いを漂わせていて。
先生と並んで席につくと、勢いよく手を合わせて、声高らかにいただきます。
たまねぎ、にんじん、じゃがいも、ブロッコリー、きのこ、お肉。
色んな具材がよく煮込まれたクリームシチュー、胸がほっとする良いにおい。
スプーンですくって口に運ぶと、とろっとしたシチューの味は口のなかいっぱいに広がる。
コンソメとバター、少し入った生クリーム。
まったりまろやか、こくの深いこの味がたまらない。
たまねぎやにんじんはもうとろとろに甘くて、じゃがいもなんて煮崩れ寸前でほろほろほくほく。
よく煮込んだブロッコリーもまた美味しい彩り、きのこの歯応えはしゃきしゃき気持ち良い。
お肉は脂身が少ないけれど、よく煮込まれた事で味がしみててやわらかい。
少し固いパンにシチューをつけて食べれば、もう足をバタバタさせたいくらいの美味しさです。
先生は隣で少しのお酒を注文して、一緒ににこにこ晩ごはん。
もう数日、こんなご飯が食べられるならまさに天国です。
- 64 :名も無きAAのようです:2012/02/12(日) 23:28:32 ID:pVkA/sbkO
- ……フィレンクトは?
- 65 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:29:20 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*´ヮ`)リ「くはぁぁぁ……おなかいっぱい……」
(´・_ゝ・`)「美味しかったね、ほら頬っぺた付いてるよ」
ミセ*´ヮ`)リ「もー食べらんない……お腹がしあわせいっぱいですー……」
(´・_ゝ・`)「デザートの木苺のシャーベット来たよ」
ミセ*゚ワ゚)リ「マジで!?」
(´・_ゝ・`)「はいはい、行儀良くね」
少しの休憩を挟んで運ばれて来たのは、可愛いピンクのシャーベット。
先生はコーヒーを頼んだのか、隣でほっと息をつく。
その様子を眺めながら、くちくなったお腹をさすりつつシャーベットを眺めた。
てっぺんにはミントの葉、濃いピンク色が可愛らしいアイス。
量は少な目だけど、食後のデザートにはぴったりかな。
スプーンですくって一口。
冷たさとしゃりしゃりした口触り、きゅんとくる甘酸っぱさ。
すっかりこってりしていた口の中やお腹が、すっとスッキリしてゆく感覚。
- 66 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:32:07 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*´ヮ`)リ「……うまー……」
(´・_ゝ・`)「良かったね」
ミセ*´ヮ`)リ「わたしここに住みたいくらい……」
(´・_ゝ・`)「次の町でも美味しい物はあると思うよ」
ミセ*´ヮ`)リ「やっぱ旅続ける……」
酸っぱすぎず甘すぎず、良いあんばいで整えられた味。
ついつい口に運んでしまっている内に、シャーベットはあっと言う間になくなってしまう。
少し物足りないかと思ったけれど、夜にたくさんアイスを食べるものでもないか。
今度こそ手を合わせて、二人揃ってのごちそうさま。
満ち足りたお腹と胸。
いっぱいいっぱいに幸せで満ちています。
ミセ*´ヮ`)リ「はへぇ……せんせ、明日もごはん楽しみだねー……」
(´・_ゝ・`)「ここは料理が美味しいね、勉強もちゃんと出来たし来て良かった」
- 67 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:35:21 ID:q4G8U50.O
-
ミセ*´ヮ`)リ「ねー……ここ選んでよかったねー……」
(´・_ゝ・`)「うん、良かった……あれ、何か忘れてるかな」
ミセ*´ヮ`)リ「えー……何を忘れ…………あれ?」
(´・_ゝ・`)「何かここに来た理由があったような……」
ミセ*´ヮ`)リ「あー、なんだっけ……あったっけ……」
(´・_ゝ・`)「…………あっ、フィレンクト」
ミセ*´ヮ`)リ
(´・_ゝ・`)
ミセ*´ヮ`)リ「せんせー、おなかいっぱいだしお風呂入って寝よー」
(´・_ゝ・`)「そうだね、もう寝ようか」
ミセ*´ヮ`)リ「せんせー背中ながしたげるー」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君またお風呂で寝そうだね」
ミセ*´ヮ`)リ「寝たら救助してー」
(´・_ゝ・`)「はいはい」
- 68 :名も無きAAのようです:2012/02/12(日) 23:37:43 ID:pVkA/sbkO
- デミタスやっぱりロリコン……
- 69 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:38:21 ID:q4G8U50.O
-
先生とお風呂に入って、歯を磨いて、明日の準備をしてからベッドに倒れ込む。
野宿も少なくない旅のなか、ふかふかのお布団に真っ白なシーツにくるまって眠れる幸せ。
隣に座る先生に頭を撫でられながら、わたしはうとうと。
ああ、今日はしあわせな日でした。
森を歩いて、美味しいパイを食べて、お勉強をして、美味しい美味しい晩ごはんを食べて。
あれ食べてばっかりだな。
まあいいや。
とにかく、今日は楽しい一日でした。
まだ数日はここに滞在するみたいなので、残る数日もいっぱいに楽しみたいです。
それでは、おやすみなさい。
先生おやすみなさーい。
ttp://imepic.jp/20120212/757600
- 70 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:41:15 ID:q4G8U50.O
-
(‘_L’)「……ふむ」
(‘_L’)
(‘_L’)「忘れられたか、放置されたか、それが問題だ」
(´・_ゝ・`)「両方だよ」
(‘_L’)「うわビックリした」
(´・_ゝ・`)「真顔じゃないか」
(‘_L’)「地顔だ」
(´・_ゝ・`)「あーはいはい、これ薬」
(‘_L’)「半日近く経てば消化して腹痛は収まったが」
(´・_ゝ・`)「良かったね」
(‘_L’)「何か腹立つなお前」
- 71 :名も無きAAのようです:2012/02/12(日) 23:42:49 ID:pVkA/sbkO
- ミセリかわいい!
- 72 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:44:06 ID:q4G8U50.O
-
(´・_ゝ・`)「と言うか、こんな遅くまで居続けなくても良いのに」
(‘_L’)「待っとけと言っただろう」
(´・_ゝ・`)「誰がこの場で正座して待てって言ったの?」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「腹減った」
(´・_ゝ・`)「ほら、風邪引くから行くよ、食事も置いてもらってるから」
(‘_L’)「何だツンデレか、引くわ」
(´・_ゝ・`)「君の思考回路に僕がドン引きだよ」
(‘_L’)「ただのナイスミドルだろうが」
(´・_ゝ・`)「中年ニートが何言ってんの」
(‘_L’)「お前もだろう」
(´・_ゝ・`)「僕は仕事してます」
- 73 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:47:28 ID:q4G8U50.O
-
(‘_L’)「何が仕事だ、教師か? 誰が給金を払う?」
(´・_ゝ・`)「国との契約は解除してないから魔導師として働けば国からお給金貰えます」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「ずるい」
(´・_ゝ・`)「鬱陶しい」
(‘_L’)「魔導師は良いな、体を動かさなくても仕事になるからな」
(´・_ゝ・`)「フィレンクト」
(‘_L’)「何だ」
(´・_ゝ・`)「全国の魔導師に謝って」
(‘_L’)「ごめん」
- 74 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:50:22 ID:q4G8U50.O
-
(´・_ゝ・`)「大きい町に行けば役所の窓口で仕事もある、魔導師や戦士の肩書きがあれば出来る」
(‘_L’)「ふーん」
(´・_ゝ・`)「だからそこで雑用やらの仕事をして、ある程度を稼いでから旅を続けてるんだよ」
(‘_L’)「へー」
(´・_ゝ・`)「ベギラマ」
(‘_L’)「あっつッ!!」
(´・_ゝ・`)「だから働けって言ってるんだよ、言わせないでよ恥ずかしい」
(‘_L’)「養って」
(´・_ゝ・`)「ちょっと墓穴を掘ってくる」
(‘_L’)「早すぎる埋葬は止めろ」
(´・_ゝ・`)「見た目と歳と色々を考えて、気持ち悪い通り越して殺意がわく」
(‘_L’)「冗談だ」
(´・_ゝ・`)「当たり前だよ」
(‘_L’)「養え」
(#´・_ゝ・`)「命令かよ!!」
- 75 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:53:05 ID:q4G8U50.O
-
(´・_ゝ・`)「はぁ……もう良いよ、勝手にして」
(‘_L’)「デミタス」
(´・_ゝ・`)「何?」
(‘_L’)「髪伸びたなお前」
(´・_ゝ・`)「タモリか」
(‘_L’)「どんな突っ込みだ」
(´・_ゝ・`)「もうご飯食べたらそれ飲んで家に帰って寝なさい」
(‘_L’)「デミタス」
(´・_ゝ・`)「だから何?」
(‘_L’)「楽しいんだな、旅は」
(´・_ゝ・`)「……楽しいよ、とても」
(‘_L’)「なら、良かった」
(´・_ゝ・`)「…………うん、ありがとう」
- 76 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:56:07 ID:q4G8U50.O
-
(´・_ゝ・`)「……はぁ、妙に疲れた…………ミセリ君は、よく寝てるな」
(´・_ゝ・`)「あ、日記書かずに寝てる……全くもう」
季節:冬 場所:とある村
勉強内容:薬草の種類、効能、調合について。
腹痛の薬の作り方を忘れずにメモしておく事。
(´・_ゝ・`)「これで良いかな……僕も寝よう」
(‘_L’)「そうだな」
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)「すみません不審者が」
(‘_L’)「おい馬鹿やめろ」
おわり。
- 77 :名も無きAAのようです:2012/02/12(日) 23:56:58 ID:cD9McY3YO
- おつー!
- 78 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:57:27 ID:q4G8U50.O
- 支援ありがとうございました、本日はここまで。
来週には投下出来れば良いなと思ってます。
それでは、これにて失礼!
- 79 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/12(日) 23:58:23 ID:q4G8U50.O
- おまけ
(´・_ゝ・`) デミタス・ポルトロン
32歳割とイケメン、身長185cm、魔導師先生。
ミセ*゚ー゚)リ ミセリ・アンジェニュ
12歳ロリ、身長130cm、明るい戦災孤児。
http://imepic.jp/20120212/817140
- 80 :名も無きAAのようです:2012/02/13(月) 00:00:18 ID:MVhMIQL2O
- 乙!
フィレンクトとデミタスの漫才楽しすぎる
- 81 :名も無きAAのようです:2012/02/13(月) 08:24:17 ID:doFTC63AO
- また面白いもんが
乙
- 82 :名も無きAAのようです:2012/02/13(月) 15:12:40 ID:5irYWS9gC
- 主の作品は引き込まれるような面白さだな
- 83 :名も無きAAのようです:2012/02/13(月) 22:24:33 ID:H93/9BRk0
- 塔が意外と早く終わってしまって残念だったから楽しみだわ
フィレンクトさんにギャグやらせると面白いよな
- 84 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 20:59:58 ID:/iTu5ocUO
- ごきげんよう、僕です。
二話目の投下開始です。
ttp://letas.en-grey.com/Entry/105/
まとめてくださってます、ありがとうございます。
(´・_ゝ・`) デミタス・ポルトロン
32歳割とイケメン、身長185cm、魔導師先生。
ミセ*゚ー゚)リ ミセリ・アンジェニュ
12歳ロリ、身長130cm、明るい戦災孤児。
(‘_L’) フィレンクト・イネクプレシフ
32歳無表情、身長190cm、ニート戦士。
ttp://imepic.jp/20120219/741900
- 85 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 21:01:23 ID:6ryV78BE0
- きたか!
- 86 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:02:51 ID:/iTu5ocUO
-
行く道は様々、賑やかな街や静かな村。
時には冷たい風を、時には暖かな風を受けて歩いて行く。
周囲にはいつも移り変わり続ける景色。
聞こえるのは人の声や風の音、喧騒も静けさも耳へと流れ込む。
石畳を踏み、土を踏み、景色の中を渡り歩くのは、三人。
一人はどこか情けない顔をした、人の良い魔導師。
もう一人は、表情を浮かべず自由に振る舞う戦士。
その二人の間に居るのは、明るく元気な女の子。
【旅のようです】
【二話 おい、腹減った】
彼らの間にはいつも、穏やかでいて賑やかな空間が存在する。
- 87 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:04:58 ID:/iTu5ocUO
-
わたしは今、森に居ます。
ミセ*゚ー゚)リ「……前もこんな始まりじゃなかった?」
(‘_L’)「そうなのか」
(´・_ゝ・`)「メタ言わないの」
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇせんせ、また森? そんなに変な森に行きたいの?」
(´・_ゝ・`)「行きません、今日はこの奥に住む人に会いに来たの」
(‘_L’)「こんな所に知り合いが居るのか」
ミセ*゚ー゚)リ「人間なのかも怪しいね」
(´・_ゝ・`)「取り敢えず言わせて欲しい」
ミセ*゚ー゚)リ「任せろぃ!」
(´・_ゝ・`)「いや君じゃないの」
(‘_L’)「じゃあ誰にだ」
(#´・_ゝ・`)「君だよ!!」
- 88 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:06:21 ID:/iTu5ocUO
-
(#´・_ゝ・`)「何でしれっと居るの!? いつのまに居たの!? いつから居たの!?」
ミセ*゚ー゚)リ「村出る時から居たよこの人」
(;´・_ゝ・`)「マジで!?」
(‘_L’)「鈍いなデミタス」
(#´・_ゝ・`)「ムカつくね君!!」
ええと、わたしたちは今、森に居ます。
先日滞在した村から滞りなく出発して、ここまで勉強をしつつ歩いてきました。
その時に、何やら旅支度にもならない旅支度をしたおっちゃんがついてきてました。
が、先生はどうやら気付いてなかったみたいです。
先生は天然か何かか。
先生の隣を歩く、白い髪によれた格好のおっちゃん。
一応は腰から剣を下げてはいるけど、その存在のオーパーツ感がすさまじい。
- 89 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:08:14 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「……何でついてきたの?」
(‘_L’)「暇だった」
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、こう言う時はニフラムを唱えるんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「トヘロスじゃダメ?」
(‘_L’)「どっちにしてもえげつない」
(´・_ゝ・`)「取り敢えず、役所のある町までは同行する」
(‘_L’)「ふむ」
(´・_ゝ・`)「そこで国と契約をして、ちゃんと仕事をして稼ぎ」
(‘_L’)「見ろ小娘、あの虫は食えるぞ」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん食べてみてよ」
(#´・_ゝ・`)「聞けよッ!!」
- 90 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:10:23 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「本当に何で着いてきたの君……」
(‘_L’)「働くために」
(´・_ゝ・`)「嘘だ」
(‘_L’)「即答か」
ミセ*゚ー゚)リ「そりゃ嘘だ」
(‘_L’)「お前もか」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんほら虫だよ」
(‘_L’)「あれ食うと死ぬ」
ミセ*゚ー゚)リ「知ってる」
(‘_L’)「お前は教え子にどんな教育をしているのかを問いたい」
(´・_ゝ・`)「ちゃんと相手を見て言葉を選ぶ賢い子です」
ミセ*゚ー゚)リ「照れるよせんせー」
(‘_L’)「どうなってるんだお前達は」
- 91 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 21:11:56 ID:3W52/fCoO
- 安定した漫才
- 92 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:12:32 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「もう良いから行くよ、こんなところで野宿は嫌でしょ」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(‘_L’)「おいデミタス」
(´・_ゝ・`)「何ですか」
(‘_L’)「腹が減った」
(´・_ゝ・`)「そこの草食べられるよ」
ミセ*゚ー゚)リ「その花の蜜おいしいよ」
(‘_L’)「もうやだこの教師と教え子」
(´・_ゝ・`)「それは僕の台詞だから」
(‘_L’)「デミタス何か寄越せ」
(´・_ゝ・`)「このカロリーメイトあげるから黙ってて」
(‘_L’)「甘んじてやろう」
ミセ*゚ー゚)リ「それせんせの苦手なポテト味だよね」
(´・_ゝ・`)「僕は昔からフルーツ派だからね」
ミセ*゚ー゚)リ「チョコもおいしいよ?」
- 93 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:14:24 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「さ、無駄口叩いてると本当に日が暮れちゃうよ」
ミセ*゚ー゚)リ「ねーねーせんせ」
(´・_ゝ・`)「うん?」
ミセ*゚ー゚)リ「魔物って、居るんだよね」
(´・_ゝ・`)「居るよ」
ミセ*゚ー゚)リ「あれが魔物?」
(´・_ゝ・`)「え?」
私が指差した先を先生の目が追う。
そこには、狼が二足歩行している様な動物の姿。
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)「ベギラゴン」
(‘_L’)「あっつッ!!」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、おっちゃんが被弾してる」
- 94 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:16:09 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「ああ驚いた、普通に魔物が出るとは思わなかった」
(‘_L’)「無視か」
(´・_ゝ・`)「はいはいホイミホイミ」
(‘_L’)「ベギラゴンの被ダメをホイミで補えると思うのか」
(´・_ゝ・`)「気力で治して」
(‘_L’)「お前もなかなか無茶を言うな」
先生とおっちゃんが談笑するなか、そっと倒れた魔物に近付いて様子を見る。
どうやらちゃんと仕留めたらしく、起き上がる様子はない。
元は灰色だったらしい黒く焦げた毛皮、血を流す事もなく炭化している。
これじゃ食べる事は出来なそうだし、毛皮も剥いで売れない。
咄嗟の事だったから、驚いて撃ってしまったのだろうな。
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、これ下級の魔物では無いみたい」
(´・_ゝ・`)「うん? 何かあった?」
- 95 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 21:16:19 ID:3W52/fCoO
- デミタス割とひでぇ
- 96 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:18:58 ID:/iTu5ocUO
-
ミセ*゚ー゚)リ「このタイプの魔物は前に図鑑で見たことある、毛皮の色が灰色」
(´・_ゝ・`)「ああ、下級だったら毛皮は茶色だね……ふむ、こんなところに何でまた……」
(‘_L’)「実物を見るのは初めてか、小娘」
ミセ*゚ー゚)リ「ミセリ、うん初めて見る」
(‘_L’)(初めて見るのに全く怯えもしないのか……ポテンシャル高いな……)
(´・_ゝ・`)「今までこの辺りにこんな魔物が出るとは聞いてないな」
(‘_L’)「何らかの理由がある、か」
(´・_ゝ・`)「最近巣が出来たのかも知れない、元から叩いた方が良いね」
ミセ*゚ー゚)リ「魔物退治すんの?」
(´・_ゝ・`)「依頼でも無いなら普通はしないけど、突然こんなのが出たんじゃ町の人が困るね」
(‘_L’)「依頼を受けてから叩いた方が良いんじゃないか」
(´・_ゝ・`)「そこまで金銭求めてないし、たまには慈善も良いんじゃないかな」
ミセ*゚ー゚)リ(生々しいなー)
- 97 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:20:13 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「この辺の地形からして、巣はあっちかな」
「おい」
(´・_ゝ・`)「はいはい、何ですかフィレンクト」
「おい」
(´・_ゝ・`)「だから何?」
(‘_L’)「俺は何も言ってないぞ」
(´・_ゝ・`)「あれ、ミセリ君?」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしじゃなくてこれだよ」
(´・_ゝ・`)「これ?」
( ノAヽ)
(´・_ゝ・`)
( ノAヽ)「おい」
(´・_ゝ・`)「あ、はい」
- 98 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 21:22:25 ID:j.OaLvIg0
- ますます変な森じゃねえか
- 99 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:22:35 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「えっ、って言うか、えっ?」
( ノAヽ)「オマエ、ヒトのはなしを無視するのすきなノーネ?」
(´・_ゝ・`)「あ、いえ、どちら様ですか? 全身緑色ですけど」
( ノAヽ)「ノーネなノーネ、あっちに住んでるノーネ」
ミセ*゚ー゚)リ「ちっちゃいなー、ぬいぐるみみたい」
( ノAヽ)「撫でんなノーネちんちくりん」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「ちんちくりんに言われたくないし!!」
( ノAヽ)「やーいちんちくりーんぺったんこー」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「せんせこいつムカつく! ちんちくりんがちんちくりんって!!」
(‘_L’)「ぺったんこは否定出来んな」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「これからだよ!!」
(‘_L’)「はは、ないない」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「ムカつくぅううううう!!」
- 100 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:24:14 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「あーはいはい、ところでノーネさんはホビットとかの種族ですか?」
( ノAヽ)「精霊みたいなもんなノーネ」
(´・_ゝ・`)「あーなるほど、森の生き物ですか」
( ノAヽ)「ノネ、森の人なノーネ」
(´・_ゝ・`)「ふむ、実物は初めて見る……すみません、ちょっと失礼して」
(;ノAヽ)「み、耳をめくるなノーネ! 尻尾ひっぱんなノーネ!!」
気が付いたら隣にいたのは、私の腰くらいまでしかない大きさの不思議ないきもの。
それは全身緑色で、二足歩行の、動物?
どうやら先生も初めて見たらしい、自称森の人。
動物みたいな先折れ耳に、愛嬌のあるシルエット。
ぬいぐるみみたい、と形容するのが相応しい姿のそれは、なんかムカつく。
先生にまさぐられてて、ちょっと良い気味です。
- 101 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:26:11 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「ふむ……興味深い……」
(;ノAヽ)「ええいさわんなノーネ! おっさんにさわられても嬉しくないノーネ!」
ミセ*゚ー゚)リ「タッチ」
(ノAヽ#)「さわんなノーネちんちくりん!」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「ほんとムカつくねあんた!?」
(´・_ゝ・`)「排泄孔もないのか……どんな食生活と構造なのか……」
(;ノAヽ)「のぎゃーっ!! どこさわってるノーネ!?」
ミセ*゚ー゚)リ「やーいちんちくりん不思議生命体ー」
(ノAヽ#)「うっさいノーネちんちくりん!!」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「うっさいよバーカ!!」
(‘_L’)
(‘_L’)(めんどくせえ)
- 102 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 21:27:45 ID:3W52/fCoO
- フィレンクトがまともに見えてきた件
- 103 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:28:54 ID:/iTu5ocUO
-
(‘_L’)「あー、お前ら」
(´・_ゝ・`)「ほほう、爪も牙もない……」
(;ノAヽ)「あががが」
ミセ*゚ー゚)リ「変な顔ー」
(ノAヽ#)「のぎゃーす!! うっさいノーネ!!」
(‘_L’)
(‘_L’)「フンッ!!」 ゴインッ
(´・_ゝ・`)「あだっ」
_,
ミセ; Д )リ「あでっ」
(; A )「のぎゃっ」
(‘_L’)「良いか、二度と俺にツッコミをさせるな」
(´・_ゝ・`)「えぇ……何その怒り方……」
- 104 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:30:44 ID:/iTu5ocUO
-
(‘_L’)「大体ツッコミ役のお前が暴走してどうする、お前からツッコミを取って何が残る」
(´・_ゝ・`)「君よりは色々残る」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「セイッ!!」
(´・_ゝ・`)「ベギラマ」
(‘_L’)「あっつッ!!」
(´・_ゝ・`)「さて、ところでノーネさんはなぜ僕らに声を?」
(;ノAヽ)「お、おぅふ……えと、あれやっつけたノーネ?」
(´・_ゝ・`)「魔物ですか?」
( ノAヽ)「ノネ、あれはノーネ達の村を襲ってくるノーネ」
(´・_ゝ・`)「ふむ、近くに巣があるならおかしい事では無いか……」
( ノAヽ)「村の仲間がケガしたノーネ……でもノーネ達じゃ、あんなの倒せないノーネ」
- 105 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:32:41 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「それは……」
( ノAヽ)「オマエらニンゲンは、ノネたちより強いノーネ」
(´・_ゝ・`)「……」
( ノAヽ)「だから、タノミゴトがあるノーネ」
(´・_ゝ・`)「魔物を退治して欲しい、ですか?」
( ノAヽ)「ノネ……でも、ニンゲンみたくタクサンお金は払えないノーネ……」
(´・_ゝ・`)「……」
( ノAヽ)「でも、ノーネに出来るお礼なするノーネ! だからお願いしたいノーネ!!」
(´・_ゝ・`)「…………」
( ノAヽ)「……ダメなノーネ……?」
(‘_L’)「デミタス」
(´・_ゝ・`)「……」
(‘_L’)「どうする?」
(´・_ゝ・`)「受けるよ」
( ノAヽ)「!!」
- 106 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:34:16 ID:/iTu5ocUO
-
( ノAヽ)「じゃ、じゃあ!」
(´・_ゝ・`)「でもその前に」
( ノAヽ)「ぇぅ……お礼なノーネ……?」
(´・_ゝ・`)「いや、お礼にお金を求めたりはしません」
( ノAヽ)「ノネ?」
(´・_ゝ・`)「ただ少し、森の人について詳しく教えてほしいんです
まだ詳しく知られていない存在なだけに、今後何かがあった時に知らないと困るし」
( ノAヽ)「わ、わかったノーネ……痛くなきゃへーきなノーネ!」
(´・_ゝ・`)「あと考えてたのはそれじゃなくて、ミセリ君」
ミセ*゚ー゚)リ「はい?」
(´・_ゝ・`)「君を連れて行くのは危ないから、先に僕の知り合いの元に送り届ける」
_,
ミセ ゚Д゚)リ「えぇー?」
(´・_ゝ・`)「えぇー? じゃないの、さっきの魔物を見たでしょ」
(‘_L’)「まあ、危ないな」
(´・_ゝ・`)「下級ならまだしも、割りと危ない魔物の巣に行くんだ
君が今すぐすべき勉強じゃない、下手に怪我でもしたら親御さんに顔向け出来ない」
- 107 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:36:11 ID:/iTu5ocUO
- _,
ミセ ゚−゚)リ「むぅー……どーしても駄目なの?」
(´・_ゝ・`)「駄目なの、じゃあノーネさん少し待っていてもらえますか?」
( ノAヽ)「わかったノーネ、先に村のみんなに言っとくノーネ」
(´・_ゝ・`)「ありがとうございます、じゃあ急いで向かおう」
( ノAヽ)「あ、知り合いって森の奥に住むニンゲンなノーネ?」
(´・_ゝ・`)「あ、ご存じで?」
( ノAヽ)「森じゃヘンタイってユーメーなノーネ」
(´・_ゝ・`)「ああ、うん……まあ……」
( ノAヽ)「ま、そこならわかるからあとで迎えに行くノーネ」
(´・_ゝ・`)「ああ、重ね重ね申し訳ない、ありがとうございます」
( ノAヽ)「こっちが頼んだノーネ、きにすんなノーネ」
(‘_L’)「小さいのにしっかりしてるな」
( ノAヽ)「ニンゲンと同じとおもっちゃイカんでしょ」
(‘_L’)「また時事的なネタを」
- 108 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:38:22 ID:/iTu5ocUO
- _,
ミセ ゚−゚)リ「むぅ……」
( ノAヽ)「すねんなノーネちんちくりん」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「うっせーバーカ! ちんちくりん!」
(#ノAヽ)「うっさいノーネつるぺったん!!」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「んっだとこんなろぉおっ!?」
(#ノAヽ)「やーいやーいダンガイゼッペキつるぺったん!!」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「むぎゃあああ! あんたなんかでっきらいだあああああ!!」
(#ノAヽ)「のしつけて返すノーネ!! バーカバーカ!!」
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)「楽しそうだなーミセリ君」
(‘_L’)「なんか見覚えのある図だ」
(´・_ゝ・`)「気のせいだよ」
- 109 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:40:08 ID:/iTu5ocUO
-
(‘_L’)「ところでデミタス」
(´・_ゝ・`)「うん?」
(‘_L’)「ベギラマがまだ痛い」
(´・_ゝ・`)「ベホマ」
(‘_L’)「ホイミじゃない、だと……」
(´・_ゝ・`)「ほら二人とも、はしゃいでないで早く行かなきゃ」
(‘_L’)「流された、だと……」
(´・_ゝ・`)「うるさいよフィレンクト」
(‘_L’)「結構それは理不尽だ」
ミセ*゚ー゚)リ「照れてんだよおっちゃん」
(‘_L’)「何それキモい」
(´・_ゝ・`)「フィレンクト死なないかなぁ……」
(‘_L’)「生きる」
- 110 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 21:40:09 ID:6ryV78BE0
- ああたしかに見覚えが
- 111 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:42:39 ID:/iTu5ocUO
-
ちんちくりんの森の人、ノーネと別れて少し急ぎ足で森を進む。
拾った小枝を振り回しながら、唇を尖らせるわたし。
先生の言い分はもっともだし、無理に行って困らせるつもりはない。
けれどまだまだ子供なわたしは、何だかおいてけぼりが悔しいのです。
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、拗ねないの」
_,
ミセ ゚−゚)リ「拗ねてなーいもーん」
(´・_ゝ・`)「全くもう……フィレンクトからも何とか言ってよ」
(‘_L’)「拗ねると胸が縮むぞ」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「これからだつってんでしょ!?」
(´・_ゝ・`)「フィレンクト、君は馬鹿だ」
(‘_L’)「ついに断言されたか、昔はもっと可愛かったぞお前」
(´・_ゝ・`)「何がどう可愛かったの……」
- 112 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:44:15 ID:/iTu5ocUO
-
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「背……背が……低かった……?」
(´・_ゝ・`)「別に構わないんだけどそこはかとなく腹立たしいなー」
_,
ミセ ゚−゚)リ「漫才すんな」
(´・_ゝ・`)「そんな拗ね方しなくても」
_,
ミセ ゚−゚)リ「うっせーホモかよ」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君がグレた……フィレンクト責任とってよ……」
(‘_L’)「お前もうツッコミに疲れてるだろ」
(´・_ゝ・`)「あ、バレてる……」
(‘_L’)「事実だったのか……」
- 113 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:46:39 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「あ」
_,
ミセ ゚−゚)リ「む?」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、ほらあれ」
_,
ミセ ゚−゚)リ「う?」
先生が指差す方向をみやれば、木々の隙間から覗く空。
そこにはうっすらと、けれどしっかり立ち上る細い煙り。
それは、近くに人が居ると言う証拠。
ミセ*゚ー゚)リ「……おうちがあるの?」
(´・_ゝ・`)「と言うか、搭だね……ほら、見えてきた」
- 114 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 21:46:53 ID:3W52/fCoO
- ほもー
- 115 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:48:32 ID:/iTu5ocUO
-
少し急いて歩くと、姿を見せ始める灰色の建物。
暗い森の中、異質であるにもかかわらず、その姿を溶け込ませる灰色の搭。
苔むした石の壁、石の壁に這いまわる蔦。
その姿は禍々しくもあり、無性に物憂げでもある。
ぞろりと天を睨む様に聳える、灰色の搭がそこにあった。
外界から遮断された空間。
来訪者を拒絶せんばかりの威圧感。
わたしはその搭を前に、息を飲んで見上げる。
ミセ;゚−゚)リ「……」
(´・_ゝ・`)「どうしたの?」
ミセ;゚−゚)リ「なんか、こわい……ね」
(´・_ゝ・`)「ははは、大丈夫だよ、住んでるのは変わってるけど良い人だから」
- 116 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 21:49:19 ID:3W52/fCoO
- ドクオくるー?
- 117 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:50:18 ID:/iTu5ocUO
-
笑ってそう言う先生の声を聞きながら、そっと搭に近付く。
近付いて大丈夫なのかと言う不安、近付いて覗き込みたい好奇心。
緊張にどくどくと高鳴る胸を押さえながら、入り口を覗いて、
「どちら様ですか」
ミセ;゚−゚)リ「ッ!?」
ふいに降りかかる、男の人の声。
「お客様ですか、お嬢さん」
低くて、でもよく通る綺麗な声。
耳に優しいのに、何だか冷たいその声音に、わたしは身を固くする。
声の主の姿はまだ見えない。
きょろきょろと周囲を見回すと、搭の入り口から、影。
- 118 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:52:21 ID:/iTu5ocUO
-
ミセ;゚−゚)リ「あ、ぇ……あの、えっと……」
川 ゚ -゚)「おや、可愛らしいお嬢さん」
ミセ;゚−゚)リ「あ……ぇ?」
川 ゚ -゚)「ご主人様にご用ですか」
ひょいと顔を見せたのは、とても綺麗な顔立ちの男の人。
男の人と言っても、まだ十代の少年とも言える若さ。
さらさらの黒髪、白い肌、深い青の目、整いすぎると言えるほどに美しく整った顔立ち。
そんな男の人に顔を覗き込まれて、わたしは思わず顔を真っ赤にして固まってしまう。
ttp://imepic.jp/20120219/781080
ミセ;//д/)リ「あ、ああ、あの、あの」
川 ゚ -゚)「? どうしましたお嬢さん、顔色が」
ミセ;//д/)リ「はひぇっ!? あ、いぇ、あの、う、うぇ……」
(´・_ゝ・`)「あ、こんにちは」
川 ゚ -゚)「おや、こんにちはお客様」
- 119 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:54:18 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「どうも、デミタスと申します、ドクオさんはご在宅ですか?」
川 ゚ -゚)「ああご主人様のご友人の方ですか? いらっしゃいますよ」
(´・_ゝ・`)「良かった、留守だったらどうしようかと…………ん?」
川 ゚ -゚)「はい?」
(´・_ゝ・`)「もしかして……クーちゃん?」
川 ゚ -゚)「僕の名前をご存知とは……どこかでお会いしましたか?」
(´・_ゝ・`)「ああ、クーちゃんがまだこんな小さい頃に一度、さすがに覚えてないかな」
川 ゚ -゚)「デミタス、デミタス……聞き覚えが……」
('A`)「俺の後輩的存在だよ」
川 ゚ -゚)「あ、ご主人様」
(´・_ゝ・`)「あ、ドクオさん」
('A`)「よ、久し振り」
- 120 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:56:25 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「お久し振りですドクオさん、相変わらずお元気そう……で…………顔色悪ッ」
('A`)「うん、もう地顔だからこれ」
(´・_ゝ・`)「と言うか彼クーちゃんですか?」
('A`)「うん、クーをクーちゃんって呼ぶのお前だけだしね」
(´・_ゝ・`)「えらく成長しましたね」
('A`)「イケメンにな」
綺麗な男の人に続いて顔を出したのは、顔色の悪いすごく細長い男の人。
裾を引きずるようなローブをまとい、背中を曲げる男の人は、どうやらドクオさんと言うらしい。
和気あいあいと先生と話す様子を見ると、このドクオさんが知り合いなのかな。
ぼーっと二人のやり取りを見ていると、綺麗な男の人、クーさんがまたわたしの顔を覗き込む。
川 ゚ -゚)「お嬢さん、大丈夫ですか」
ミセ;//д/)リ「うへぁっ!? だっだだだ大丈夫です!!」
川 ゚ -゚)「そうは見えませんが……熱でもあるのでは」
ミセ;//д/)リ「はひぇうぁわわわっ!!?」
- 121 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 21:58:14 ID:/iTu5ocUO
-
('A`)「取り敢えず三人とも入って、フィレンクトまた虫食ってるの?」
(‘_L’)「ハチノコうめえ」
('A`)「どうやって取ってきたのそれ……ほらクー、お嬢ちゃんで遊ぶな」
川 ゚ -゚)「遊んでませんよ失敬な、また僕の美貌がうら若き乙女の熱病の原因になったのかと」
('A`)「成長してからのクーは本当に腹立たしい」
川 ゚ -゚)「嫉妬しないで下さいよご主人様、いくらご自分の顔が優れないからって」
('A`)「顔が優れないなんて言いぐさがあるか」
川 ゚ -゚)「ありますよ顔面劣等感ご主人様」
('A`)「もう意味がわからないけど取り敢えず腹立たしい」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、大丈夫?」
ミセ;//д/)リ「ぐべぇ……」
(´・_ゝ・`)「紅一点の台詞じゃないよそれ」
- 122 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:00:08 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「あ、ドクオさんお願いがあるんですけど」
('A`)「うん?」
(´・_ゝ・`)「ちょっと森に湧いた魔物を狩ってくるので、ミセリ君見ててもらえますか?」
('A`)「十年以上振りに会って一発目に子守りか、別に良いよ」
(´・_ゝ・`)「ありがとうございます、じゃあ少し行ってきますので」
(‘_L’)「晩飯」
(´・_ゝ・`)「こら」
('A`)「晩飯用意しとくね」
(´・_ゝ・`)「すみません本当に、ほらフィレンクトお礼言いなさい」
(‘_L’)「ざーっす」
(´・_ゝ・`)「大概にしろ」
(‘_L’)「肉で頼む」
(´・_ゝ・`)「本当に大概にしろ」
- 123 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:02:10 ID:/iTu5ocUO
-
先生とおっちゃんが、搭に入らずわたしを置いて背中を向ける。
搭から離れて行く二人に、追い付いた森の人が合流し、一緒に見えなくなっていった。
ぽつんとそれを見ていたわたし。
その頭に、ぽんと大きな手のひらが乗る。
('A`)「入りなよ、お茶でも入れよう」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、はい……ありがとうございます」
('A`)「うん、礼儀正しい良い子だ」
ミセ*゚ー゚)リ「えへへ……せんせが良いせんせだから」
ドクオさんは少し顔はこわいけど、良い人らしい。
わたしの頭を撫でながら、うんうんと頷く疲れたような顔の、顔色の悪い背の高い男の人。
でも何だか、頭を撫でる手はとびきり優しい。
先生とも仲が良いみたいだけど、その理由がなんだか少し、わかった気がした。
- 124 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:04:14 ID:/iTu5ocUO
-
ミセ*゚ー゚)リ「えっと……ドクオさん?」
('A`)「うん、君は?」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、ミセリです! ミセリ・アンジェニュともうします!」
('A`)「俺はドクオ・ソリテール、デミタスの先輩だよ、よろしくねミセリちゃん」
ミセ*゚ー゚)リ「はい! ……って、ドクオ・ソリテールって……戦争を終わらせた英雄の大魔導師の……?」
('A`)「あー、まあ一応そうなのか」
ミセ*゚ー゚)リ「おおお……! 目の前に英雄が……!!」
('A`)「まあ英雄なんてもんじゃないよ、ほら座って、お茶入れてく」
川 ゚ -゚)「入れました」
('A`)「余計な事をするなと何度言ったか覚えてる?」
川 ゚ -゚)「ご主人様は今まで食べたパンの数を覚えてるんですか?」
('A`)「約二万五千個くらい」
川 ゚ -゚)「きっしょ」
('A`)「主人に言うべき台詞じゃない」
- 125 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:06:28 ID:/iTu5ocUO
-
ミセ*゚ー゚)リ「英雄様と仲が良いなんて、せんせ教えてくれても良いのに……」
川 ゚ -゚)「あの顔ですからね」
ミセ*゚ー゚)リ「英雄に顔って関係あるの?」
川 ゚ -゚)「取り敢えず英雄顔ではありませんね」
ミセ*゚ー゚)リ「まあ……英雄らしい顔ではないかもだけど……えっと、クーさん?」
川 ゚ -゚)「はい、お嬢さん」
ミセ*゚ー゚)リ「クーさんはおいくつ?」
川 ゚ -゚)「15歳です」
ミセ*゚ー゚)リ「三つ上、だと……スゴく背が高いのに……」
川 ゚ -゚)「成長期ですから」
ミセ*゚ー゚)リ「クーさんはここの執事さん?」
川 ゚ -゚)「いえ、メイドです」
ミセ*゚ー゚)リ
川 ゚ -゚)
- 126 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:08:20 ID:/iTu5ocUO
-
ミセ;゚ー゚)リ「あの……男の人……?」
川 ゚ -゚)「ご覧の通り美男子です」
_,
ミセ;゚д゚)リ「自分で言った!」
川 ゚ -゚)「僕は現実をありのままに受け入れるタイプですので」
_,
ミセ;゚д゚)リ「……男の人だけど、メイドさんなの?」
川 ゚ -゚)「はい」
_,
ミセ;゚д゚)リ
川 ゚ -゚)
_,
ミセ;゚д゚)リ「えっ……と…………メイドさん……?」
川 ゚ -゚)「メイドさんです」
_,
ミセ;゚д゚)リ「メイドさんって……女の人の事じゃ……?」
川 ゚ -゚)「美しければ問題ありませんよ」
_,
ミセ;゚д゚)リ「あると思うよ!?」
- 127 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:10:13 ID:/iTu5ocUO
-
川 ゚ -゚)「お嬢さん、よく僕の顔を見てください」
_,
ミセ;゚д゚)リ「とても……美形です……」
川 ゚ -゚)「こんな国が傾かんばかりの美しいイケメンをいままで見た事がありますか?」
_,
ミセ;゚д゚)リ「…………ないっす」
川 ゚ -゚)「つまり僕は特別な存在なんですよ」
_,
ミセ;゚д゚)リ「顔の造形で言うと否定はできない」
川 ゚ -゚)「つまり僕は男でもメイドだと言う資格があるのです」
_,
ミセ;゚д゚)リ「よくわからない!?」
川 ゚ -゚)「大丈夫、大人になればわかります」
_,
ミセ;゚д゚)リ「クーさんもまだ子供だよ!?」
川 ゚ -゚)「僕は美しいですから」
_,
ミセ;゚д゚)リ「なおさらよくわからない!?」
- 128 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 22:12:28 ID:3W52/fCoO
- 塔の方のキャラも良いキャラしてるわー
- 129 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:12:35 ID:/iTu5ocUO
-
('A`)「はいお茶、だからクーはお嬢ちゃんで遊ぶな」
川 ゚ -゚)「いやー僕がメイドだって言って驚く人を見るのが久し振りでつい」
('A`)「ごめんねお嬢ちゃん、クーは変だから」
_,
ミセ;゚д゚)リ「あ、はい」
川 ゚ -゚)「そのまま頷かれた」
('A`)「お嬢ちゃんはデミタスの教え子だっけ、手紙で何度も見たよ」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、せんせと文通してたんですか?」
('A`)「うん、近況報告程度のね、会ったのは久々だけど」
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇドクオさん、せんせって昔はどんな感じだったの?」
('A`)「優等生」
ミセ*゚ー゚)リ「ぽいわー」
('A`)「フィレンクトは問題児」
ミセ*゚ー゚)リ「ぽいわー」
- 130 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:14:28 ID:/iTu5ocUO
-
ミセ*゚ー゚)リ「でもドクオさんは学校には行ってなかったんですよね?」
('A`)「うん、図書館で勉強してる時に知り合ったんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「さすが優等生」
('A`)「一緒にいたフィレンクトがうるさくて注目の的だった」
ミセ*゚ー゚)リ「さすが問題児」
('A`)「あの頃はデミタスは堅物だしフィレンクトは馬鹿で面倒臭かったなあ」
ミセ*゚ー゚)リ「あーうん、わかりやすい」
('A`)「お互いがお互いに良い影響をもたらしたんじゃないかな、フィレンクトはまだ馬鹿だけど」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん言われ放題っすね」
('A`)「実際に勉強は出来ない馬鹿だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「人としては?」
('A`)「すごく良い奴」
ミセ*゚ー゚)リ「おー」
- 131 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:16:09 ID:/iTu5ocUO
-
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあせんせは人としてはアレだったの?」
('A`)「昔はね、ガリ勉で人からあまり好かれない真面目君」
ミセ*゚ー゚)リ「へー、ちょっと意外……昔から人は良かったとばっかり」
('A`)「うーん、俺のお灸が少しは効いたのかな」
ミセ*゚ー゚)リ「お、なになに?」
('A`)「好きだねーこう言う話、ちょっとあの二人が口喧嘩してた事があってね」
『机にばかり向かってどうする、少しは体を鍛えろ』
『だから脳筋と一緒にするなよ!!』
『君らうっさい、メテオ』
『『!?』』
('A`)「いやー懐かしい」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「人を殺す勢いのお灸!?」
- 132 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:18:16 ID:/iTu5ocUO
- _,
ミセ;゚Д゚)リ「せんせがツッコミでベギラマ撃つの間違いなくドクオさんの影響だ……」
('A`)「何そのハードなツッコミ、怖い」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「ツッコミでメテオ撃った人が!?」
('A`)「20年くらい前の事だからなあ」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「ドクオさんはおいくつ?」
('A`)「35歳」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「15歳でメテオ撃ってたの!?」
('A`)「ほらお茶冷めるから飲んで飲んで」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「無理矢理な流し方された!?」
('A`)「今日は良いお茶葉をブッフォ」
_,
ミセ;゚3゚)リ.,',「確かに良い匂まっずッ!?」ブフォ
- 133 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 22:20:05 ID:3W52/fCoO
- ドクオ直伝のツッコミ
死ぬぞ
- 134 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:20:05 ID:/iTu5ocUO
-
('A`)「えっ何これ、凄い不味いこのお茶」
_,
ミセ;゚¬゚)リ「……前衛的な味っすね」
('A`)「あ、やめて飲まないで、これきっと毒か何か入ってる」
_,
ミセ;゚¬゚)リ「これが大人の味か……ゴクリ」
('A`)「やめて! 無理しないで! ちょっとクー、水と解毒薬持ってきて!」
川 ゚ -゚)「すり替えておいたのさ!!」
('A`)「お前かよ!!」
川 ゚ -゚)「どうですかお嬢さん、それが大人の味ですよ」
_,
ミセ;゚¬゚)リ「わたしまだ大人になれそうにないです」
川 ゚ -゚)「ふふ、お嬢さんにはまだ早かったようですね」
( 'A`) ☆川 #)- )そ パチーン
⊂彡
('A`)「お嬢ちゃんに謝りなさい」
川 #)-゚)「すみませんでした」
- 135 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:22:29 ID:/iTu5ocUO
-
川 ゚ -゚)「と言うか殴りましたねご主人様、この美貌にビンタしましたね」
('A`)「黙りなさい」
川 ゚ -゚)「あ、ごめんなさい」
('A`)「子供のお客さんに何を考えてるの、慣れてる相手ならまだしも初対面で」
川 ゚ -゚)「ツカミはこれでいけると思ってました」
('A`)「悔い改めなさい」
川 ゚ -゚)「すみませんでした」
('A`)「ほらお茶入れるから、余計な事しないようについて来なさい」
川 ゚ -゚)「えー、僕お嬢さんと遊ぶー」
('A`)「おやかましい」
川 ゚ -゚)「チッ、はーい」
('A`)「ビンタ二発目装填しようか」
川 ゚ -゚)「結構痛いからやめて下さい、主に心が痛いから」
- 136 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:24:07 ID:/iTu5ocUO
-
わいわいと席を離れて台所に向かうドクオさんとクーさん。
どつき漫才をするほど仲が良いとは、先生とおっちゃんみたいだ。
しかし顔色の悪い大魔導師と、超美形の……メイドさん。
不思議な組み合わせだなあ、付き合いも長いみたいだし、どんな縁で一緒に居るんだろう。
と言うか本当に男の人ばっかりだなあ、わたしの周囲に居る人。
ぽつんと残されたわたし。
少し離れた台所からは、わいわいと声がする。
今日はなんだか疲れたけど、まだ先生達を待たなきゃいけない。
大魔導師様とイケメンメイドさんのお陰で、レス数がかさむかさむ。
目の前に置いたままの、不思議な匂いのお茶。
どうやらクーさんはお料理なんかが苦手らしい、お茶はクーさんが入れたみたいだし。
再びカップを持ち、そっと口をつける。
ずず、と一口すすれば、むわりと込み上げる謎の味。
苦いとか甘いとかを超越した、いっそ複雑過ぎて謎に満ちきった味。
でも匂いは少し不思議なだけで、悪いものではない。
お砂糖なんかを入れてないからただのお茶のはずなのに、なぜか込み上げる謎フレイバー。
- 137 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:26:23 ID:/iTu5ocUO
-
普通のお茶葉をお湯で出すだけなのに、どうして不味く出来るのだろう。
そりゃ入れる人によって味の差はあるだろうけど、結局はお茶だ。
お茶である事は変わらない、ごく普通のお茶になるはずだ。
なのになぜ、このお茶からお茶の味がしないのか。
お茶の渋みとか甘味苦味はどこにもない。
もうどんな味と説明しがたい、そんな味。
_,
ミセ;゚¬゚)リ「一種の才能だなこれ……」
深淵を覗いた様な味を噛み締めつつ、ぐっと一気に残りを飲み干す。
けふ、と小さくげっぷを吐き出すと、戻ってくる謎フレイバーに意識が軽く飛んだ。
出されたものは全部食いきる。
それが信条です。
しかし目眩がする。
- 138 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:28:08 ID:/iTu5ocUO
-
('A`)「お嬢ちゃん、お茶持ってき……飲んだ!?」
_,
ミセ;゚¬゚)リ「深淵覗きました」
('A`)「無理しないで! お願いだから!!」
川 ゚ -゚)「ご主人様が必死なの初めて見たわ」
('A`)「吐いて! すぐ吐いて!! 解毒薬持ってきたから!!」
川 ゚ -゚)「僕のお茶の破壊力どんだけなんですか」
_,
ミセ;゚¬゚)リ「世界狙えます」
川 ゚ -゚)「狙ってみましょうか」
('A`)「やめなさい!!」
川 ゚ -゚)「ご主人様ガチで必死じゃないですか……そんな血相変えた気持ち悪いご主人様初めて」
('A`)「突っ込みきれない!! メテ」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「それはやめて!?」
- 139 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:30:23 ID:/iTu5ocUO
-
('A`)「はぁ……取り敢えずこれ飲んでね……」
ミセ*゚ー゚)リ「薬ですか」
('A`)「体調悪くしない方が珍しいから」
ミセ*゚ー゚)リ「凄いなークーさんのお茶……」
('A`)「はい、これ普通のお茶とクッキー」
ミセ*゚ー゚)リ「わーいいただきます!」
小さな瓶に入った薬を飲んでから、口直しもかねて新しいお茶をいただく。
湯気の立ち上る、透き通った綺麗なオレンジ色。
香りはふわっと鮮やかに漂い、一口すすればほのかな苦味と独特の風味。
お砂糖を入れなくてもわずかに感じる甘みと、立ち込める紅茶の匂い。
こんなに上手に匂いを立たせるなんて、腕が悪ければできない事。
- 140 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 22:31:25 ID:3W52/fCoO
- 出された物は残さない
ミセリいい子だな
- 141 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:32:06 ID:/iTu5ocUO
-
お茶請けのクッキーを一枚、口に運ぶ。
さく、と優しく割れるそれは、口のなかいっぱいにバターとバニラエッセンスの風味。
少し甘いクッキーは、シンプルな見た目だけど、バターたっぷりのあでやかな味。
口に残った甘さは、ストレートの紅茶を含む事で一気に押し流され、残る後味は大変心地よいもの。
夢中になってクッキーを頬張り、紅茶をすすって堪能して。
さっきまでの深淵なんてまるで無かったかの様に、口のなかとお腹いっぱいに幸せが満ちる。
指に残ったクッキーの粉を舐めてから、最後の一口を飲み込んで。
ミセ*´ヮ`)リ「ごちそうさまでしたー……」
('A`)「良い食べっぷりだなー」
ミセ*´ヮ`)リ「すっごい美味しかったです……この旅で今のところナンバーワン……」
('A`)「よっしゃ」
ミセ*´ヮ`)リ「いいなークーさん……いっつもこんなの食べれて……」
川 ゚ -゚)「その代わりご主人様は毎日僕の食事を召し上がってます」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「味の余韻がとんでった!?」
- 142 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:34:10 ID:/iTu5ocUO
-
ミセ*゚ー゚)リ「あ、そうだ……勉強しなきゃ」
('A`)「おお、じゃあ今日は特別講師するか」
ミセ*゚ヮ゚)リ「マジですか! ありがとうございます!」
('A`)「持てる知識を全て費やして君の教師になろう」
ミセ;゚ヮ゚)リ「何か重圧を感じる!?」
川 ゚ -゚)「じゃあ僕はそれをチラ見しながらモンハンしときますね」
('A`)「いつまでも2ndGしてないで積んでるの消化しなさい」
川 ゚ -゚)「今ちょっと下位トト様ハメ殺すのに忙しいですから」
('A`)「鬼畜の所業だ」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、ドクオさんこれなんですけど」
('A`)「あーはいはい、この数式めんどくさいね、でも応用使うと楽だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「お、ああなるほど、こうするんだ……」
('A`)「こっちはこう、乱数調整と同じ手法で」
ミセ*゚ー゚)リ「乱数調整した事ないっす」
- 143 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 22:36:20 ID:3W52/fCoO
- お腹すくわー
- 144 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:36:28 ID:/iTu5ocUO
- 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(´・_ゝ・`)「えーと、この辺だね」
(‘_L’)「多分な」
(´・_ゝ・`)「森の中だと景色が変わらないから迷いそうだ」
(‘_L’)「案内をしてもらえば良かったんじゃないのか」
(´・_ゝ・`)「もし途中で襲われたら守りきれる自信が無い、無理はするもんじゃないよ」
(‘_L’)「ほー」
(´・_ゝ・`)「何、そのなんか感じ悪い相づち」
(‘_L’)「お前が自信が無いとか言うようになったのか」
(´・_ゝ・`)「学生の頃とは違うよ、僕だって現実を見てきて思い知った」
(‘_L’)「三年前にか」
(´・_ゝ・`)「……それもある、それだけじゃないけどね」
(‘_L’)「戦争は、お前を変えたか?」
(´・_ゝ・`)「さあ、変わったかも知れないし、変わってないのかも知れない」
- 145 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:38:21 ID:/iTu5ocUO
-
(‘_L’)「少なくとも、国への忠義は捨てたな」
(´・_ゝ・`)「捨てたわけじゃない、考えを改めたんだよ」
(‘_L’)「国に尽くす事を目標に生きてきたんだろう」
(´・_ゝ・`)「……盲信してたんだ」
(‘_L’)「まだ、守るべきだと思うのか」
(´・_ゝ・`)「国の、軍の方針にはついていけなかっただけだよ」
(‘_L’)「……まだ国のために命を捨てる覚悟でも持ってるのか?」
(´・_ゝ・`)「それは、わからない……でも、守るためなら命を投げ出せるとは思う」
(‘_L’)「お前は何を守るんだ? 国か、名誉か、自分のプライドか?」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君だよ」
(‘_L’)「…………血の繋がりもない子供のために、死ねるのか」
- 146 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:40:12 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「彼女の存在が、僕を前に進ませてくれたんだ……目的を見失っていた僕を」
(‘_L’)「国のやり方に納得出来ず、途方に暮れていたか」
(´・_ゝ・`)「ああそうだよ、気持ち悪いなあもう、人の感情を無駄に読みすぎ」
(‘_L’)「お前が読みやすいんだろうが」
(´・_ゝ・`)「はいはい、もう良いからさっさと済ませよう、あれが巣みたいだよ」
(‘_L’)「狼が洞窟に巣を作るのか」
(´・_ゝ・`)「まあ狼と言っても狼型だからね、ちゃんと戦えるの?」
(‘_L’)「当然だ、馬鹿にするな」
(´・_ゝ・`)「馬鹿でしょ?」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「否定しきれない」
(´・_ゝ・`)「ああうん、馬鹿だよ間違いなく、疑問を抱かなくて良いくらい馬鹿だよ」
- 147 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:42:51 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「学校を卒業してさっさと国を出たのに、腕が鈍ってないんだね」
(‘_L’)「自己鍛練はして……デミタス、後ろッ!!」
(´・_ゝ・`)「ベギラマ」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「大丈夫そうだな」
(´・_ゝ・`)「うん平気」
(‘_L’)「今のはお前を庇った俺が負傷するフラグじゃないのか?」
(´・_ゝ・`)「負傷したかったの?」
(‘_L’)「いや別に」
(´・_ゝ・`)「じゃあ別に良いんじゃない?」
(‘_L’)「まあそうだけど」
- 148 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:44:56 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「うん、巣にほとんどたまってるみたいだね」
(‘_L’)「一、二ので行」
(´・_ゝ・`)「ベギラゴン」
<ウギャー ピギャー ヘギョミツ
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「お前、頼りになりすぎだろ」
(´・_ゝ・`)「いや、これでも上級魔導師だし」
(‘_L’)「まあそうだけど、いや、まあ……うん……」
(´・_ゝ・`)「じゃ、入って残ってるの狩ろうか」
(‘_L’)「うん……まあ……」
- 149 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 22:46:09 ID:3W52/fCoO
- デミタス色々あったのね
あといちいちフィレンクトが可愛すぎる
- 150 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:46:29 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「バギクロス」
(‘_L’)「おい狭い場所では止めいたたたた」
(´・_ゝ・`)「イオナズン」
(‘_L’)「あだだだだだだ」
(´・_ゝ・`)「ギガデイン」
(‘_L’)「痛い痛い痛い痛い」
(´・_ゝ・`)「よし、狩り終わったよ」
(‘_L’)「もうお前一人で良かっただろこれ」
(´・_ゝ・`)「一人だと心許ない」
(‘_L’)「どう言う心許なさだ」
(´・_ゝ・`)「MP切れたりしたらアレだし」
(‘_L’)「そう言えばドルマは?」
(´・_ゝ・`)「何それ?」
(‘_L’)「えっ」
(´・_ゝ・`)「えっ」
- 151 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:48:30 ID:/iTu5ocUO
-
(‘_L’)「……バギムーチョは?」
(´・_ゝ・`)「何それ?」
(‘_L’)「ジゴデインは?」
(´・_ゝ・`)「何それ?」
(‘_L’)「マヒャデドスとかメラストームは?」
(´・_ゝ・`)「何それ?」
(‘_L’)「…………お前、6までしかプレイしてない派だろ」
(´・_ゝ・`)「9の発売が楽しみだね」
(‘_L’)「いやもう…………ああ、うん、楽しみだな」
(´・_ゝ・`)「ジゴフラッシュ」
(‘_L’)「知ってるし敵かお前は!!」
(´・_ゝ・`)「さ、帰ろ帰ろ」
(‘_L’)「おい待て! 俺がマヌーサ状態だぞ!!」
(´・_ゝ・`)「はい、なんでもなおし」
(‘_L’)「統一しろよ!!」
- 152 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 22:50:38 ID:WsLV38W2O
- なんでもなおしwwwww
- 153 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:50:51 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「ドクオさんがメテオ撃つのに統一もクソも無いでしょ」
(‘_L’)「確かにそうだった」
(´・_ゝ・`)「じゃあ帰……フィレンクト、血が出てる」
(‘_L’)「うん、お前のせい」
(´・_ゝ・`)「ほら手当てするから座って」
(‘_L’)「ホイミで良い」
(´・_ゝ・`)「MP勿体ない」
(‘_L’)「じゃあジゴフラッシュ撃つなよ……」
(´・_ゝ・`)「マダンテ撃たれたい?」
(‘_L’)「すみませんでした」
(´・_ゝ・`)「そう言えば昔からよく怪我してたねフィレンクト」
(‘_L’)「まあな」
(´・_ゝ・`)「授業抜け出したり女子更衣室に侵入するからだよ」
(‘_L’)「自分の限界を知ってみたかった」
(´・_ゝ・`)「そんな知り方してどうすんの」
- 154 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:52:32 ID:/iTu5ocUO
-
(‘_L’)「……お前は怒らなかったな」
(´・_ゝ・`)「いやしょっちゅう怒ってたよ」
(‘_L’)「いやそうじゃなく、国を出た事を」
(´・_ゝ・`)「ああ……まあ、別に僕が怒る事でもないし」
(‘_L’)「……そうか」
(´・_ゝ・`)「怒りたいのは学費全額負担した国の方だと思うけど」
(‘_L’)「聞こえない聞こえない」
(´・_ゝ・`)「…………憧れたよ」
(‘_L’)「何にだ?」
(´・_ゝ・`)「自由奔放に、自分の意思を主張出来る事に」
(‘_L’)「何も考えない馬鹿だと言われていたけどな」
(´・_ゝ・`)「その通りじゃないの?」
(‘_L’)「うん、その通りだけどもう少しソフトに言え」
- 155 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:54:25 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「国が少しおかしいって、いち早く気付いたんでしょ」
(‘_L’)「……俺は戦士だからな、魔導師より先に軍を知る事になった」
(´・_ゝ・`)「あの頃は、まだ戦争はしてなかったよね」
(‘_L’)「ああ、だがきな臭い状態はずっと続いていた」
(´・_ゝ・`)「七年前から始まったから……僕らは25歳か」
(‘_L’)「そのずっと前から、冷戦状態ではあった」
(´・_ゝ・`)「……それも、僕らは学校を卒業するまでは知らないも同然だった」
(‘_L’)「国も一応は隠していたからな、俺は18で卒業して軍について先に知った」
(´・_ゝ・`)「僕は大学まで進んだから、机に向かって本を読むばかりだった」
(‘_L’)「知って楽しいもんじゃない」
(´・_ゝ・`)「でも、僕はあまりにも世間知らずだった」
(‘_L’)「……知るべきだったのかは、俺にもわからん」
(´・_ゝ・`)「知らなきゃ、今こうしてないと思う……だから、知るべきだったんだよ」
(‘_L’)「…………そうだな」
- 156 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 22:56:28 ID:3W52/fCoO
- 馬鹿だけど馬鹿じゃないフィレンクト
- 157 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:56:29 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「フィレンクト」
(‘_L’)「ん」
(´・_ゝ・`)「ありがとう」
(‘_L’)「何がだ」
(´・_ゝ・`)「色々、君には世話になったりしたから」
(‘_L’)「覚えは無いな」
(´・_ゝ・`)「なら、わからなくて良いよ……これからも、よろしくね」
(‘_L’)「おう」
(´・_ゝ・`)「……何、急に静かになって」
(‘_L’)「いや、デレ期入ったのかと思って」
(´・_ゝ・`)「きしょい」
(‘_L’)「気持ち悪いやキモいよりも心を抉るなそれ」
(´・_ゝ・`)「いや本当きしょい、発想がきしょい、マダンテ装填するレベル」
(‘_L’)「何かもう本当ごめん」
- 158 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 22:58:21 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「あとさっきから国国言ってるけどさ、実際は国出てないよね」
(‘_L’)「実際は王都から離れただけだな」
(´・_ゝ・`)「紛らわしいからちゃんと言ってよ」
(‘_L’)「国を出たって言ったら何かかっこいいだろうが」
(´・_ゝ・`)「何なのそのわけわかんない美学にもならない発想」
(‘_L’)「でもかっこいいだろ」
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)「否定は……しないかな……」
(‘_L’)「ほらな」
(´・_ゝ・`)「なんっか悔しいなあ……」
- 159 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:00:13 ID:/iTu5ocUO
-
(‘_L’)「じゃあ帰るか、腹も減りきって吐きそう」
(´・_ゝ・`)「うん、森の人に報告して生体調べてからね」
(‘_L’)「飯は?」
(´・_ゝ・`)「その草が食べられるよ?」
(‘_L’)「カロリーメイト」
(´・_ゝ・`)「はい、ベジタブル味」
(‘_L’)「おいこれ生産終了してる味だろうが、賞味期限どうなってる」
(´・_ゝ・`)「基本的に賞味期限は一年だけど」
(‘_L’)「とっくに過ぎてる!!」
(´・_ゝ・`)「虫とか雑草食べるんだからそれくらい平気じゃない?」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「まあ確かに」
(´・_ゝ・`)「美味しい?」
(‘_L’)「メープルのが良い」
- 160 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:02:33 ID:/iTu5ocUO
- 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(´・_ゝ・`)「と、言うわけで」
(‘_L’)「飯をくれ」
(´・_ゝ・`)「我は求め訴えん。精霊界の偉大なる女王ルビスの名において、汝らを召喚する。
おお、汝らジン、イフリート、サラマンドラよ。
我の下に集いて我を守る盾となり、敵を貫く剣となれ」
(‘_L’)「えっ」
(´・_ゝ・`)「ベギラマッ!!」
(‘_L’)「真面目に詠唱した!?」
(´・_ゝ・`)「ただいま戻りましたドクオさん」
('A`)「お帰りー」
(´・_ゝ・`)「あれ、ミセリ君は?」
('A`)「勉強終わってクーと遊び疲れて寝てるよ」
- 161 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:04:57 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「ははは、すみませんまだ子供で」
川 ゚ -゚)「ご主人様、お嬢さんとしてた『昼下がりの団地妻の殺戮、そして伝説へ』ごっこですが」
(;´・_ゝ・`)「子供らしからぬごっこ遊び!?」
川 ゚ -゚)「米屋役のお嬢さんが寝てしまわれたのでご主人様が代わりにしてください」
('A`)「嫌だ、それ団地妻に殺戮されるだけの役だし」
(;´・_ゝ・`)「間男が!?」
(‘_L’)「ところで誰だこのチビ」
川 ゚ -゚)「それは誰の事ですか中年ドグサレニート様」
(‘_L’)「お前だ」
川 ゚ -゚)「この美貌を前にしてチビ等とは解せぬ発言、撤回を願います」
(‘_L’)「断る」
川 ゚ -゚)「これでも身長175cmあるんですけど」
- 162 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:07:10 ID:/iTu5ocUO
-
(‘_L’)「ああそうか、俺は190ある」
川 ゚ -゚)
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)「僕は185あるよ」
('A`)「俺2m」
川 ゚ -゚)「クソ共が」
('A`)「こら、客人に向かって何て事を言うんだ」
(;´・_ゝ・`)「ドクオさんも言われてますよ!?」
('A`)「10年くらい言われてるから慣れた、取り敢えずお茶持ってくるよ」
(´・_ゝ・`)「あ、すみません僕も手伝います、と言うかこの空間に居たくない」
川 ゚ -゚)「何なんですかあなたは、審美感の腐ったニートですね」
(‘_L’)「所詮は男だろうが、顔が良くても腹の中が腐ってるだろお前」
川 ゚ -゚)「審美感の腐ったドグサレニート様に腐ってるとか言われたくありませんけど」
(‘_L’)「じゃあお前は顔以外はどうしようもなく腐ってるな」
- 163 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:08:08 ID:/iTu5ocUO
-
川 ゚ -゚)「腹の中が黒かろうが腐っていようが美貌が国すら傾けますけど」
(‘_L’)「へー」
川 ゚ -゚)「クッソムカつくなこのオッサン」
(‘_L’)「黙れクソガキ」
川 ゚ -゚)「っせーよクソジジイ」
(‘_L’)「お前の主人はその三つ上だ」
川 ゚ -゚)「ご主人様はご主人様ですから関係ありませんよこのクソオッサンが」
(‘_L’)「お前の主人も相当ただのオッサンにしか見えないぞ」
川 ゚ -゚)「は? じゃあお連れの方もただのオッサンにしか見えませんけど?」
(‘_L’)
川 ゚ -゚)
(‘_L’)「お前、名前は?」
川 ゚ -゚)「クール・フロワです」
(‘_L’)「俺はフィレンクト・イネクプレシフだ、コンゴトモヨロシク」
川 ゚ -゚)「こちらこそコンゴトモヨロシク」
- 164 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:10:10 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「……仲直りしましたかね」
('A`)「だと良いけど……似た様なタイプだから相性悪そうだと思ってたんだよなあ」
(´・_ゝ・`)「どっちも全く退きませんからね」
('A`)「まあご飯食べればどっちも機嫌なおるけどね」
(´・_ゝ・`)「ですね、このまま夕食作りましょうか」
('A`)「うん、出来たらお嬢ちゃんも起こそうか」
(´・_ゝ・`)「夜に寝れなくなりますからね」
('A`)「そうだ、今日は泊まってきなよ、客間は無いけどリビングに布団敷くから」
(´・_ゝ・`)「ああすみません、ありがとうございます」
('A`)「あ、それ何? 何か赤い」
(´・_ゝ・`)「ああ、森の人からお礼にって貰ったんです」
('A`)「へー、赤い水晶?」
(´・_ゝ・`)「いや、歯車王の心臓とかなんとか」
('A`)「何それこわい」
- 165 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 23:10:15 ID:WsLV38W2O
- ドクオでけえwww
- 166 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 23:10:32 ID:3W52/fCoO
- 何と言う意気投合の仕方だwww
- 167 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:12:12 ID:/iTu5ocUO
-
('A`)「晩御飯どうしようかなー、材料なんかあったかな」
(´・_ゝ・`)「あ、これどうぞ」
('A`)「おお、肉……肉?」
(´・_ゝ・`)「さっき狩ってきました」
('A`)「……血抜きに時間かかるね」
(´・_ゝ・`)「圧力でもかけてみますか、魔法で」
('A`)「うまく行くかな……無念の死を抱き続ける大地よ、黒き呪縛となれ!」
(;´・_ゝ・`)「肉の血抜きにグラビデ!?」
('A`)「用途は間違えてる自信がある」
(;´・_ゝ・`)「どこからどう見ても間違ってます!」
('A`)「あ、血抜き出来てる」
(´・_ゝ・`)「……ドクオさんって妖精か何かですかね」
('A`)「ただの魔導師です」
- 168 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:14:13 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「メニューはどうしましょうか」
('A`)「せっかく大量の肉があるから、肉料理……焼き肉……」
(´・_ゝ・`)「ドクオさん焼き肉いけるんですか?」
('A`)「無理、胃が負ける」
(´・_ゝ・`)「僕も20代後半辺りから胃がきついんですよね」
('A`)「歳ってとりたくないねぇ……じゃあビーフシチューのビーフOUTウルフINで」
(´・_ゝ・`)「何でファンタジーだとシチュー多いんですかね」
('A`)「味付けて煮込めば何でも食えるからだよ」
(´・_ゝ・`)「ああなるほど」
('A`)「圧力鍋壊れたからグラビデでいっか」
(;´・_ゝ・`)「良くない良くない!」
('A`)「静粛の闇に響く音無き呼び声の汝の身を捕えん」
(;´・_ゝ・`)「ドクオさんそれグラビジャです! 味方は基本的に撃てません!」
- 169 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:16:08 ID:/iTu5ocUO
-
('A`)「たくてくすやった事無いのにね」
(;´・_ゝ・`)「詠唱呪文一覧見てるとか言わないでください」
('A`)「と言うかSRPG出来ないんだよね」
(´・_ゝ・`)「スパロボのチュートリアルで全滅してましたよね」
('A`)「みんなからどうしたら死ねるのかを聞かれた」
(´・_ゝ・`)「普通はクリア出来る様になってますからね」
('A`)「回避率とか命中率は50%もあればいけると思うじゃん……」
(´・_ゝ・`)「あのゲームはいかに100%に近付けるかが問題ですから」
('A`)「あとどう動けば良いのかわからない」
(´・_ゝ・`)「慣れですよ慣れ」
('A`)「ディスガイア全キャラレベルカンストさせた奴に言われたくない」
(´・_ゝ・`)「何百時間やったかなー、ああドクオさん味付けこれで良いですか」
('A`)「あー完璧完璧、むしろパーペキ」
(´・_ゝ・`)「古い」
- 170 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:18:27 ID:/iTu5ocUO
-
('A`)「じゃ、あとは俺がやるからお嬢ちゃん起こしてきて、二階に居るよ」
(´・_ゝ・`)「はーい」
('A`)「あとは皿に盛るだけかな……」
(´・_ゝ・`)(ドクオさん家庭的だなー)
(´・_ゝ・`)(そう言えばドクオさんの家って初めてかも、家と言うか塔だけど)
(´・_ゝ・`)(魔導書とかどれくらいあるんだろう……)
(´・_ゝ・`)「あ、ここかな……おーいミセリ君」
ミセ*-⊿-)リ「くかー……」
(´・_ゝ・`)「ああ居た居た、ほらミセリ君起きて、晩御飯だよ」
ミセ*-〜-)リ「むにゃ……ごはん……」
(´・_ゝ・`)「もうこの男しか居ない絵面に耐えられないから早く起きて、むさ苦しい」
ミセ*゚ヮ゚)リ「ごはんのにおい!」
(´・_ゝ・`)「色気も何もない君が好きだよ」
- 171 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:20:19 ID:/iTu5ocUO
-
ミセ*゚ー゚)リ「あ、せんせおかえりなさーい、どうだった?」
(´・_ゝ・`)「おはよう、問題なく終わったよ、ところで何で君は魔女っ子な格好をしてるの?」
ttp://imepic.jp/20120219/741980
ミセ*゚ー゚)リ「クーさんと遊んでた」
(´・_ゝ・`)「間男が魔女っ子だと……」
ミセ*゚ー゚)リ「女装癖の米屋が昼下がりの団地へおもむき若奥様とSMプレイの果てに殺戮劇へ」
(´・_ゝ・`)「詰め込みすぎだからどれか省きなさい」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあSMを省く」
(´・_ゝ・`)「結局カオスだった」
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇねぇせんせ、ばんごはんなーに?」
(´・_ゝ・`)「シチューだよ」
ミセ*゚ヮ゚)リ「わーいシチュー好き! たいていのものは煮込めば美味しくなる!」
(´・_ゝ・`)「うんそうだね、じゃあ降りようか」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
- 172 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 23:21:44 ID:3W52/fCoO
- 魔女っ娘てかまどかさんじゃねーかwww
- 173 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:22:49 ID:/iTu5ocUO
-
ミセ*゚ー゚)リ「……せんせ」
(´・_ゝ・`)「うん」
ミセ*゚ー゚)リ「ばんごはん、シチューだよね?」
(´・_ゝ・`)「そのはずだけど」
ミセ*゚ー゚)リ「何でテーブルに、しかも台所に移動したテーブルにチャーハンが並んでるの?」
(´・_ゝ・`)「何でかなあ……」
('A`)「説明しよう」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、おはよーございますドクオさん」
(´・_ゝ・`)「何があったんですか?」
('A`)「うんおはよう、それは数分前、デミタスが二階に上がった時までさかのぼる」
(´・_ゝ・`)「ほんの2、3分ですね」
- 174 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:24:18 ID:/iTu5ocUO
-
回想
川 ゚ -゚)「フィレンクト様、それは僕のファミ通なので返していただきたいのですが」
(‘_L’)「そこに積んであるだろう」
川 ゚ -゚)「いやあれ古いし、それ最新刊だし、と言うか僕の読みかけだし」
(‘_L’)「まあ待て、少ししたら返す」
川 ゚ -゚)「少し、はい返せ」
(‘_L’)「小学生か」
川 ゚ -゚)「脳内小学生に言われたくありませんけど」
(‘_L’)「はいはいほら返す」
川 ゚ -゚)「うーわ何かムカつくすっげームカつくその馬鹿にした目がとことんまでムカつく」
(‘_L’)「事実だろう」
川 ゚ -゚)「フィレンクト様よりマシだと思いますけど?」
(‘_L’)「あ?」
川 ゚ -゚)「やんのかオラ」
(‘_L’)「受けてたつぞ小僧が」
- 175 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:26:13 ID:/iTu5ocUO
-
('A`)「そして殴り合ったり物を投げ合う内に、シチューはああなった」
(´・_ゝ・`)「あ、床が食べてる……」
ミセ*゚ー゚)リ「簡単に言うとぶちまけられてる……」
('A`)「あの二人を会わせるべきではなかった」
(´・_ゝ・`)「僕もひしひしとそれを感じています」
('A`)「まああの二人は置いといて、急遽解凍した作りおきのチャーハンでも食べよう」
ミセ*゚ー゚)リ「ちぇっ、シチュー……」
(´・_ゝ・`)「まあまあ、恨むならフィレンクトにしようね」
-=三 □#)A )そ「クーでも良 あべしっ!!」
#-=三 □#)_ゝ `)そ「ドクオさ たわばっ!?」
_,,
ミセ;゚Д゚)リ「先生がたああああああ!!?」
- 176 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:28:30 ID:/iTu5ocUO
-
川 ゚ -゚)「ちょ、ご主人様に何してんですか!?」
(‘_L’)「お前こそデミタスに本を投げるな!!」
川 ゚ -゚)「あんたが避けるからでしょうが!!」
(‘_L’)「避けるわ!!」
川 ゚ -゚)「避けんなよ!!」
(‘_L’)「じゃあお前も避けんなよ!!」
川 ゚ -゚)「やだよ馬鹿じゃないの!?」
(‘_L’)「お前が馬鹿だろ!?」
_,,
ミセ#゚Д゚)リ「馬鹿はアンタらだあああああああああ!!!!」
(#)_L )そ「ひでぶッ!?」
川 #)- )そ「うわらばっ!?」
(#)A`)「良い飛び蹴りだ……」
( #)_ゝ・`)「そう言う問題かなぁ……」
- 177 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:30:09 ID:/iTu5ocUO
-
川 #)-゚)「ちょ、お嬢さ」
_,,
ミセ#゚Д゚)リ「正座ァ!!」
川 #)-゚)「あ、はい、すみません」
(#)_L’)「やーい怒られろ」
_,,
ミセ#゚Д゚)リ「正座ァア!!」
(#)_L’)「あ、はい、ごめんなさい」
_,,
ミセ#゚Д゚)リ「喧嘩は周囲に迷惑をかけずにやんなさい!!」
川 ゚ -゚)「すみません」
(‘_L’)「ごめんなさい」
_,,
ミセ#゚Д゚)リ「あと! ごはんを!! 粗末に!!! するなァアアアアッ!!!!」
川 ゚ -゚)「すみません! 本当すみません!!」
(‘_L’)「ごめんなさい! 本気でごめんなさい!!」
- 178 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:32:22 ID:/iTu5ocUO
- _,,
ミセ#゚皿゚)リ「ふーっ……ふーっ……」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、どうどう」
_,,
ミセ#゚Д゚)リ「落ち着けるか!!」
(´・_ゝ・`)「ど、どうどう! どうどう!」
('A`)「お嬢ちゃんほーら、デザートのプリンは無事だぞー」
_,,
ミセ#゚Д゚)リ「ごはん!!」
('A`)「デミタス、彼女はどんな教育を受けてるの」
(´・_ゝ・`)「戦災孤児なんで食事にはド厳しいんです」
('A`)「ああ、なるほど…………ううん参ったな、ご飯他に無いぞ」
川 ゚ -゚)「あの、僕らはいつまで」
(´・_ゝ・`)「一時間はそこで黙って正座」
川 ゚ -゚)「あ、はい」
(‘_L’)「スネが痛い……」
- 179 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:34:11 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「参ったなあ……ご飯食べるまでおさまらないよアレ」
('A`)「取り敢えずチャーハ…………ああ、俺らが当たった本で引っくり返されてる……」
(´・_ゝ・`)「あ、だからキレたんだ……」
('A`)「ええとだな、こんな時は」
,,,( ^ω^)「夜分に失礼しますおー」
('A`)「あなたが神か!」
(;^ω^)「はい!?」
(´・_ゝ・`)「あ、初めましてデミタスです」
( ^ω^)「あ、隣の家のブーンです」
('A`)「野菜を! 野菜を下さい!!」
(´・_ゝ・`)「八百屋さんか何かで……?」
( ^ω^)「野菜の錬金術師です、どうぞ増やした人参と玉ねぎとジャガイモです」
('A`)「あなたが神か!!」
(;^ω^)「なんなの!?」
- 180 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:36:07 ID:/iTu5ocUO
-
('A`)「人参ジャガイモ玉ねぎとお肉、ここから導き出される物は!!」
(´・_ゝ・`)「カレーです!!」
('A`)「よし! 魔法フル活用で作るぞ!!」
(´・_ゝ・`)「はい!!」
(;^ω^)「えぇ……何このカオスとしか言い様のない空間……」
('A`)「包丁なぞ使うな! 魔法で行け!!」
(´・_ゝ・`)「はい!!」
(;^ω^)「中年男性とクーさんが正座して、ドクオさんと中年男性が料理して……女児が怖い」
('A`)「フライパンなど無視しろ! メラゾーマだ!!」
(´・_ゝ・`)「はい!!」
(;^ω^)「やだ、あの女児クッションかじってる……怖い……」
('A`)「水!!」
(´・_ゝ・`)「清漣よりいでし水煙の乙女よ契約者の名において命ず!出でよウンディーネ!!」
(;^ω^)「鍋に水を張るためだけに精霊を召喚した!?」
- 181 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:38:37 ID:/iTu5ocUO
-
(;^ω^)「えっと……あの、お忙しそうなんで帰りますおー……」
(;^ω^)
(;^ω^)「し、失礼しましたー……」
,,,( ・∀・)「こんばんはー」
(;^ω^)「あ、モララーさん今日はやめた方がいいですお」
(;・∀・)「……みたいですね」
(;^ω^)「取り敢えずうちで晩飯食いましょうお」
(;・∀・)「あ、はい……あの、失礼しました……」
(;^ω^)「……カオスだなあ」
(;・∀・)「ですねぇ……」
('A`)「お疲れさまでした神!」
(´・_ゝ・`)「お疲れさまでした!」
(;^ω^)「あ、はい……頑張ってくださいお……」
- 182 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:40:44 ID:/iTu5ocUO
-
('A`)「デミタス! 今何分!!」
(´・_ゝ・`)「10分!!」
('A`)「よし完成!!」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君おいで! カレーだよ!」
_,,
ミセ#゚皿゚)リ
_,,
ミセ#゚−゚)リ
ミセ*゚ワ゚)リ
ミセ*^ワ^)リ「カレーだあああああ!!」
(´・_ゝ・`)「たんとお食べ! モリモリと!!」
('A`)「腹一杯お食べ! 全力で!!」
ミセ*^ワ^)リ「いっただきまーす!!」
- 183 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 23:41:28 ID:3W52/fCoO
- 何と言う魔法の無駄遣い
- 184 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:42:06 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「……疲れた……」
('A`)「うん……俺も……」
(´・_ゝ・`)「すみません何かもう……本当にすみません……」
('A`)「ううん、こっちこそごめんね……」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、美味しいかい……」
ミセ*^ワ^)リ「おいしー!」
('A`)「魔力削った甲斐があるね……」
(´・_ゝ・`)「はい……」
('A`)「お嬢ちゃん、それ食べたらプリンあるからね……」
ミセ*^ワ^)リ「わーい!」
('A`)「ははは、可愛いなあ……はは……」
(´・_ゝ・`)「はは……は……」
- 185 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:44:07 ID:/iTu5ocUO
-
(´・_ゝ・`)「はぁ……やっと落ち着いた」
('A`)「あの二馬鹿は放置して、俺らも食べようか」
(´・_ゝ・`)「ですね」
('A`)「次からはこうならないようにしような」
(´・_ゝ・`)「はい、フィレンクトふん縛って」
('A`)「いやそうじゃなくて、レス数かさみすぎ」
(´・_ゝ・`)「メタいメタい」
('A`)「本当もう疲れた、老体にはきつい」
(´・_ゝ・`)「ドクオさん僕らの三つ上じゃないですか」
('A`)「三つの差って思ってるよりキツいぞ、もう徹夜なんか出来ないぞ」
(´・_ゝ・`)「徹夜は正直僕もキツいです」
ミセ*^ワ^)リ「おかわりー!!」
('A`)「よく食うなー……はいどうぞ」
ミセ*^ワ^)リ「ありがとーございます!!」
('A`)「元気だなー……」
- 186 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:46:38 ID:/iTu5ocUO
-
('A`)「……もう、食ったら風呂入って寝ようか」
(´・_ゝ・`)「はい……ミセリ君、食べ終わったらお風呂いただいて寝るよ」
ミセ*゚ー゚)リ「お勉強は?」
(´・_ゝ・`)「ドクオさんとしてたみたいだし、今日はもう良いよ」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(´・_ゝ・`)「今日はどんな勉強を?」
('A`)「乱数調整」
(´・_ゝ・`)「人の教え子に何を仕込んでるんですか」
ミセ*゚ー゚)リ「魔法使いの花嫁とか勉強したよ」
(´・_ゝ・`)「ドクオさん」
('A`)「うん?」
(´・_ゝ・`)「それエロゲ」
('A`)「うん」
- 187 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:48:31 ID:/iTu5ocUO
-
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんの魔力がむじんぞーだから、何でなのか気になった」
('A`)「俺は魔力を溜め込む魔法使いの花嫁の男版なんだよって」
(´・_ゝ・`)「嘘を仕込まないで下さい、ドクオさんただ体内で魔力作る体質でしょ」
('A`)「似たようなもんだよ」
(´・_ゝ・`)「ドクオさん別に魔力吐き出さなくても平気じゃないですか」
('A`)「今は上級魔導師四桁分くらい溜まってる」
(´・_ゝ・`)「やっぱ人間じゃないですよドクオさん」
('A`)「たまに居るらしいよ、体内で魔力自己発電体質」
(´・_ゝ・`)「数千億人に一人ですけどね」
('A`)「うちの家系ではたまに居たみたいだよ」
(´・_ゝ・`)「だからソリテール家は超名門魔導師家系なんですよ」
('A`)「体質のお陰で腕が良いみたいに言われるの嫌なんだよね」
(´・_ゝ・`)「そうでしょうけど、そろそろ奥さん貰わないとガチでソリテール家が絶えますよ」
('A`)「えー……めんどくせぇ……」
- 188 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:50:04 ID:/iTu5ocUO
-
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんそれだけ凄かったらお嫁さん候補いっぱいなんじゃないの?」
('A`)「国から子作りの手配するから来いとは言われてる」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「ロマンもへったくれもねぇ!」
('A`)「でもさ、生まれてきた子供の顔がこれに似たら可哀想だよね」
(´・_ゝ・`)「別にドクオさん醜いわけじゃないですよね」
ミセ*゚ー゚)リ「死人みたいな顔色だけどね」
(´・_ゝ・`)「あと姿勢が悪い」
ミセ*゚ー゚)リ「主に顔色が悪い」
('A`)「どんな言いぐさだ」
(´・_ゝ・`)「いい加減に奥さんもらいましょうよ」
('A`)「良いよ家事は俺がするし」
(´・_ゝ・`)「良くない良くない」
ミセ*゚ー゚)リ「ごちそーさまでしたー」
('A`)「プリン持ってくるわ」
(´・_ゝ・`)「あ、逃げた」
- 189 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:52:06 ID:/iTu5ocUO
-
ミセ*゚ー゚)リ「……ねぇせんせ」
(´・_ゝ・`)「ん?」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせはお嫁さんもらわないの?」
(´・_ゝ・`)「僕はまだ考えてないなあ、今は忙しいし」
ミセ*゚ー゚)リ「旅の途中でフラグは建てるものだよ?」
(´・_ゝ・`)「死亡フラグしか建たないんだけどね」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせどんな人がタイプなの?」
(´・_ゝ・`)「うーん、気が少し強くて落ち着いた人かな」
ミセ*゚ー゚)リ「長身でクールな感じ?」
(´・_ゝ・`)「そうそう」
ミセ*゚ー゚)リ「それおっちゃんじゃない?」
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)「キモい……想像したらとことんキモい……」
ミセ;゚ー゚)リ「ごめん……」
- 190 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:54:04 ID:/iTu5ocUO
-
('A`)「はいプリンどうぞ」
ミセ*゚ヮ゚)リ「わーい! ありがとーございます!」
('A`)「あ、お風呂沸かしてあるから入ってね」
(´・_ゝ・`)「じゃあ寝間着持ってきます」
('A`)「おー」
ミセ*´ヮ`)リ「うまぁ……プリンごっさうまぁ……」
('A`)「嬉しそうに食うねー」
ミセ*゚ー゚)リ「美味しいものは全力で楽しむべきです」
('A`)「ははは、良い事だ」
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんお風呂は?」
('A`)「俺は後で良いよ、それとも一緒に入る? なんつっ」
ミセ*゚ー゚)リ「いーよー」
('A`)
ミセ*゚ー゚)リ「プリンちょーおいしい……なにこれすごい……」
- 191 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:56:09 ID:/iTu5ocUO
-
('A`)「えっ…………えっ?」
ミセ*゚ー゚)リ「はい?」
('A`)「いや、お風呂……えっ?」
ミセ*゚ー゚)リ「? どしたの?」
('A`)「いや、あの……えっ……?」
(´・_ゝ・`)「はいミセリ君の寝間着、食べ終わったらお風呂いただこうね」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい、せんせ頭洗ってよ」
(´・_ゝ・`)「はいはい、いまだにシャンプーハットいるもんね」
ミセ*゚3゚)リ「だって苦手なんだもーん」
(´・_ゝ・`)「お風呂であんまりはしゃいじゃ駄目だよ、すぐ疲れてお風呂で寝るんだから」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせがそのたびに救出してくれるもん」
('A`)
- 192 :名も無きAAのようです:2012/02/19(日) 23:57:36 ID:3W52/fCoO
- おいミセリ
ミセリおい
ドクオ今だつっこめ
- 193 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/19(日) 23:58:10 ID:/iTu5ocUO
-
('A`)「……あの…………?」
(´・_ゝ・`)「はい?」
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんも一緒に入るって」
(´・_ゝ・`)「湯船に三人いけるかなあ……」
('A`)
('A`)「12歳の女児と一緒にお風呂入ってるの……?」
(´・_ゝ・`)「? そうですけど」
ミセ*゚ー゚)リ「昔からだよねー」
('A`)「え、えぇ……えぇぇ……?」
(´・_ゝ・`)「そう言えばドクオさんとお風呂入るの初めてですね」
('A`)「いや、入るのがごく普通みたいに言われても……」
(´・_ゝ・`)「良かったねミセリ君、今日のお風呂は賑やかだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「わーい!」
('A`)「どう言う事なの……?」
- 194 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/20(月) 00:00:53 ID:C9i8KNnMO
-
ミセ*゚ー゚)リ「ごちそーさまでしたー!」
(´・_ゝ・`)「じゃ、お風呂行こうか」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
(´・_ゝ・`)「ドクオさん、着替えは?」
('A`)「あ……ぇ…………取ってきます……」
(´・_ゝ・`)「じゃあ先にいただきますね」
ミセ*゚ー゚)リ「いただきますー」
('A`)「あ、うん……すぐ行くわ……」
('A`)
('A`)(おかしいだろ何か……何か…………)
('A`)
('A`)「もう良いや……」
- 195 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/20(月) 00:02:30 ID:C9i8KNnMO
-
ミセ*゚ー゚)リ「お風呂上がりーほっかほかー」
(´・_ゝ・`)「湯冷めしないようにお布団に入りなさいね」
('A`)「布団敷いといた」
(´・_ゝ・`)「いつのまに」
('A`)「魔法で遠隔操作」
(´・_ゝ・`)「便利だなー……ほらミセリ君、髪をしっかり乾かす」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
('A`)「……デミタス」
(´・_ゝ・`)「はい?」
('A`)「お嬢ちゃんの身体の成長が遅い気がする」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「これからです!!」
('A`)「いや……さすがに幼児体型過ぎるわ……10歳くらいだわアレ」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「こーれーかーらーでーすー!!」
- 196 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/20(月) 00:04:25 ID:C9i8KNnMO
-
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、日記は?」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、書きますー!」
季節:冬 場所:ドクオさんち
勉強内容:乱数調整。
ミセ*゚ー゚)リ「書いた!」
(´・_ゝ・`)「いやいやいやいや」
ミセ*゚ー゚)リ「え、ダメ?」
(´・_ゝ・`)「他に何か勉強しなかったの?」
ミセ*゚ー゚)リ「んっとね、アルテマ教えてもらった」
(´・_ゝ・`)「ドクオさん何考えてるんですか」
('A`)「俺に出来うる限りの事をしたまでだ」
(´・_ゝ・`)「かっこよさげに言わないで下さい」
- 197 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/20(月) 00:06:18 ID:C9i8KNnMO
-
ミセ*゚ー゚)リ「あとアニマの呼び方教えてもらった」
(;´・_ゝ・`)「人の教え子をどうするつもりですか!?」
('A`)「召喚術って使わないからつい教えちゃった」
(;´・_ゝ・`)「ついでえぐいもん呼ばせないで下さい!」
('A`)「まあお嬢ちゃんはまだ魔力の蓄え方を身に付けてないからどうしようもないけど」
(´・_ゝ・`)「それは、まあ……別にまだ魔導師を目指してはないですし……」
('A`)「その代わり魔力を大量に蓄えられる様になったら国とか滅ぼせる」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君こっち来て」
ミセ*゚ー゚)リ「ほい?」
(´・_ゝ・`)「1、2の……ぽかん!」
('A`)「こいつ、強制的に忘れさせた……!?」
(´・_ゝ・`)「うちの教え子を兵器みたいにしないで下さい」
('A`)「ごめんごめん、つい楽しくて」
(´・_ゝ・`)「楽しくて覚えさせる技じゃないです」
- 198 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/20(月) 00:08:22 ID:C9i8KNnMO
-
(´・_ゝ・`)「ほら寝るよ、ドクオさんお疲れ様でした」
('A`)「おー、お疲れー」
ミセ*゚ー゚)リ「おやすみなさーい!」
('A`)「はいはいおやすみ」
川 ゚ -゚)「……」
(‘_L’)「……」
川 ゚ -゚)「寒いですね……」
(‘_L’)「ああ……」
川 ゚ -゚)
(‘_L’)
- 199 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/20(月) 00:10:03 ID:C9i8KNnMO
-
川 ゚ -゚)「なんか、すみませんでした……」
(‘_L’)「うん、いや……こっちこそ悪かった……」
川 ゚ -゚)
(‘_L’)
川 ゚ -゚)「お腹空いた……」
(‘_L’)「腹減った……」
('A`)「カレー温めたぞー」
川 ゚ -゚)!
(‘_L’)!
('A`)「食ったらお前らも風呂入って寝ろよ」
川 ゚ -゚)「ありがとうございます!」
(‘_L’)「いただきます!」
- 200 :名も無きAAのようです:2012/02/20(月) 00:11:31 ID:zTaZLLBAO
- 似た者同士かわいいってか前回も放置されてたなフィレンクト
- 201 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/20(月) 00:12:06 ID:C9i8KNnMO
-
('A`)「はーやれやれ、今日は疲れた……」
('A`)
('A`)「あ、食ったら洗い物しといてね」
川 ゚ -゚)「はい!」
(‘_L’)「はい!」
('A`)「あらやだ素直……お嬢ちゃんが怒ったのが効いたか……」
('A`)
('A`)「ま、今日くらいは賑やかでも良いか……明日には元通りだしなあ」
('A`)「じゃ、おやすみー」
川 ゚ -゚)「おやすみなさい!」
(‘_L’)「お疲れ様です!」
('A`)「はいはいおやすみー」
おわり。
- 202 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/20(月) 00:12:50 ID:C9i8KNnMO
- 支援ありがとうございました、本日はここまで。
来週には投下出来れば良いなと思ってます。
それでは、これにて失礼!
- 203 :名も無きAAのようです:2012/02/20(月) 00:14:08 ID:zTaZLLBAO
- 乙!
次回も楽しみ!
- 204 :名も無きAAのようです:2012/02/20(月) 12:51:32 ID:wJ2i1o/QO
- ミセリの顔で凄く安心する
- 205 :名も無きAAのようです:2012/02/20(月) 14:07:46 ID:WdbH5Ib60
- モララーさんの出番少なすぎだろwwwwwwwww
- 206 :名も無きAAのようです:2012/02/20(月) 17:14:00 ID:WdbH5Ib60
- よく考えたら12歳の美少年とお風呂に入ってたドクオさんもやばい
- 207 :名も無きAAのようです:2012/02/20(月) 18:09:30 ID:nh5m.d3gO
- 乙!
変な森の人でしたか…
更新頑張って下さい!
- 208 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 12:40:22 ID:KWYvQEz20
- おもしれー!
ドクオ背たけえな
- 209 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:03:53 ID:f5inV5CgO
- ごきげんよう、僕です。
ttp://letas.en-grey.com/Entry/105/
まとめてくださってます、ありがとうございます。
(´・_ゝ・`) デミタス・ポルトロン
32歳割とイケメン、身長185cm、魔導師先生。
ミセ*゚ー゚)リ ミセリ・アンジェニュ
12歳ロリ、身長130cm、明るい戦災孤児。
(‘_L’) フィレンクト・イネクプレシフ
32歳無表情、身長190cm、ニート戦士。
http://imepic.jp/20120226/755420
- 210 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 21:05:58 ID:02Fzs62s0
- 待っていたぜ、全裸ソックスでな
- 211 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:06:10 ID:f5inV5CgO
-
行く道は様々、賑やかな街や静かな村。
時には冷たい風を、時には暖かな風を受けて歩いて行く。
周囲にはいつも移り変わり続ける景色。
聞こえるのは人の声や風の音、喧騒も静けさも耳へと流れ込む。
石畳を踏み、土を踏み、景色の中を渡り歩くのは、三人。
一人はどこか情けない顔をした、人の良い魔導師。
もう一人は、表情を浮かべず自由に振る舞う戦士。
その二人の間に居るのは、明るく元気な女の子。
【旅のようです】
【三話 先生あれ買って】
彼らの間にはいつも、穏やかでいて賑やかな空間が存在する。
- 212 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:09:35 ID:f5inV5CgO
-
わたしは今、街に居ます。
広い道、行き交う人々。
見た事もない建物や乗り物、ざわざわと賑やかな街。
少し先の市場ではいろんな人、近くのお店にもいろんな人。
隣には案内板を見る先生と、足元の蟻の列を見守るおっちゃん。
わたし達は、あれからまた旅をしてこの街に来ました。
ここは昔、わたしが住んでいた街と同じくらい都会です。
と言っても、わたしの住んでた街はもう無いけど。
ここは戦争の被害を免れたのか、それとも復興が終わったのか。
ずいぶんと賑やかで華やかで、とても数年前の戦争を感じさせません。
戦場から離れていたのかなと思いつつ、先生を見上げる。
いつも通り、何となく情けない顔をした多少イケメンである。
こんな顔でも、戦場に立つ可能性があったんだなあ。
- 213 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:12:21 ID:f5inV5CgO
-
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、すっごい都会だね」
(´・_ゝ・`)「ん? うん、そうだね」
ミセ*゚ー゚)リ「ここは戦争の被害を受けなかったの?」
(´・_ゝ・`)「うーん、多少は受けたと思うよ、目に見える部分はもう修繕されてるけど」
ミセ*゚ー゚)リ「なるほど……」
(´・_ゝ・`)「でも見えない部分は、きっとまだ傷がある」
ミセ*゚ー゚)リ「見えない部分って?」
(´・_ゝ・`)「人の中は目に見えないでしょ」
ミセ*゚ー゚)リ「あ……心とかは、まだだよね……」
(´・_ゝ・`)「うん……ほらフィレンクト、蟻見てないで行くよ」
(‘_L’)「すっぱい」
(´・_ゝ・`)「食うなよ」
- 214 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 21:15:13 ID:02Fzs62s0
- また虫を食うのか
- 215 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:15:23 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「取り敢えず宿屋だね、荷物を置いてから街を見て回ろう」
ミセ*゚ー゚)リ「うん」
(´・_ゝ・`)「……何か、たまには可愛いものでも見ようか?」
ミセ*゚ー゚)リ「! うん!」
(´・_ゝ・`)「ん、じゃあ行こう」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
(‘_L’)「口の中がヒリヒリする」
(´・_ゝ・`)「口開けて」
(‘_L’)「あー」
(´・_ゝ・`)「どくどく」
(‘_L’)「定期ダメージがッ!!」
ミセ*゚ー゚)リ(口を開けさせた意味はいったい)
- 216 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:18:08 ID:f5inV5CgO
-
で、宿屋まで来たわけですが。
(´・_ゝ・`)「えっ……ここも……?」
正しくは、いくつか宿屋を回ったわけですが。
(´・_ゝ・`)「えぇ……一晩一部屋この値段ですか……」
(‘_L’)「通常の一週間分くらいだな」
(´・_ゝ・`)「……じゃあ一部屋お願いします、ベッド一つで良いです」
(‘_L’)「えっ」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君がベッドで僕らは床だよ」
(‘_L’)
どうやら、宿賃がスゴいみたいです。
- 217 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:21:04 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「参ったなあ……こんなに物価が高いとは……」
ミセ*゚ー゚)リ「そんなに?」
(´・_ゝ・`)「うん……三日泊まるとフィレンクトの村で一週間豪遊出来るくらい……」
_,
ミセ;゚д゚)リ「たっけぇ!!」
(‘_L’)「金は大丈夫なのか」
(´・_ゝ・`)「財布見る?」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「…………えっ、マジで……?」
_,
ミセ;゚д゚)リ「おっちゃんが素の反応するくらいなの!?」
(´・_ゝ・`)「宿賃に食事代も入ってるから夕飯と朝食は何とかなる」
_,
ミセ;゚д゚)リ「お昼は……?」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、あの草が食べられるよ」
_,
ミセ;゚д゚)リ「都会でサバイバル!?」
- 218 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:24:42 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「これは駄目だ、旅の準備も出来ない、と言うかここの物価じゃ薬草も買えない」
_,
ミセ;゚д゚)リ「ど、どうするの……?」
(´・_ゝ・`)「仕事をします」
(‘_L’)「頑張れ」
(´・_ゝ・`)「メラゾーマ」
(‘_L’)「あっつ!!」
_,
ミセ;゚д゚)リ「せんせ駄目だよ! MPの無駄遣いだよ!!」
(´・_ゝ・`)「ハッ、そうだ節約しなきゃ」
(‘_L’)「ホイミは」
(´・_ゝ・`)「今回は無い」
(‘_L’)「あんまりだ」
(´・_ゝ・`)「よし、役所に行こう、今までの分の代金が少しは振り込まれるはず」
ミセ;゚ー゚)リ「何か生々しいなー……」
- 219 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 21:25:56 ID:02Fzs62s0
- フィレはこのタフさがいつかきっと皆を幸せにすると俺は信じてる支援
- 220 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:27:10 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「役所はすぐそこか……ミセリ君はどうする? 暇だと思うけど」
ミセ*゚ー゚)リ「お役所見学するー」
(´・_ゝ・`)「分かった、じゃあ行こう」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(´・_ゝ・`)「フィレンクトもちゃんと国と契約して登録しとこうか」
(‘_L’)「えー」
(´・_ゝ・`)" ゴッ
(‘_L’)「痛い! 黙って蹴るな!」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、狙うなら向こう脛だよ」
(´・_ゝ・`)「よし来た」
(‘_L’)「おい止めろ! お前の靴の先に鉄板入ってるんだぞ!」
(´・_ゝ・`)"「安全靴便利だからね」ゴッ
(‘_L’)「痛い!!」
(´・_ゝ・`)「知ってる」
(‘_L’)「ひどい!!」
- 221 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:31:20 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「常識的に考えてひどいのは人一倍食べるのにその代金をすべて僕に任せてる君」
(‘_L’)「デミタス見ろ、あの屋台が美味そうだ」
(´・_ゝ・`)" ゴッ
(‘_L’)「痛い!」
(´・_ゝ・`)「だから自分の食べる分くらいは稼いで」
(‘_L’)「おい見ろあの店の肉がきっと美味いぞ」
(´・_ゝ・`)" ゴッ
(‘_L’)「痛い!!」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせーあれ美味しそう」
(´・_ゝ・`)「お金入ったら食べてみようか」
(‘_L’)「贔屓だ」
(´・_ゝ・`)" ゴッ
(‘_L’)「痛い! せめて何か言いながらつっこめ!! 悲しい!!」
- 222 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:34:43 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「すみません、魔導師登録をしてるデミタスですが給金の方を引き出したいんです」
(‘_L’)「銀行か」
(´・_ゝ・`)「あと隣の馬鹿の戦士登録を」
(‘_L’)「おいせめて名前で言え」
(´・_ゝ・`)「あ、これ今の依頼表ですか…………ふむ」
(‘_L’)「『逃げ出した猫を探してほしい』……クエスト埋め以外では絶対選ばんなこれ」
(´・_ゝ・`)「複数回あるタイプのクエストっぽいけどね」
(‘_L’)「ああなるほど……たぶん手間ばっかりかかって貰えるのは消費アイテムだな」
(´・_ゝ・`)「ああ……」
ミセ*゚ー゚)リ(何だこのゲーム脳……)
- 223 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:37:19 ID:f5inV5CgO
-
お役所は思ったより大きな建物で、小綺麗かつ人が結構居る。
どうやら子供が来る場所ではないのか、周囲には大人ばかり。
先生とおっちゃんが窓口で手続きやら何やらをしている間、わたしはどうするか。
お役所の仕事を見るにも、見えるのは受け付け窓口と依頼を貼り出した掲示板。
よくあるギルドみたいな状態です。
とは言っても、ギルドはギルドで別にある。
愛好会とか民間の間で作られたり、習い事の延長みたいな形だからよく言うギルドではないけど。
ミセ*゚ー゚)リ(んー、どうしよ)
二人の手続きは時間がかかるらしく、窓口から離れない。
思ったより見学するものがなく、わたしは暇をもてあます。
ミセ*゚ー゚)リ(ん……国の歴史見学?)
どうやら、暇を潰せそうです。
- 224 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:40:09 ID:f5inV5CgO
-
天井から下がる「国の歴史見学コーナー」と言う看板を見つけ、
わたしは先生に声をかけてから、その看板に従い移動。
別室と言うには広い、ホールと言うには狭い空間。
そこにはいろんなパネルなどが飾り付けられ、国についてがある程度細かく書かれている。
お勉強にはちょうど良い。
鞄からノートとペンを取り出して、順番にそれを見て行くことにします。
ミセ*゚ー゚)リ「ええと、国の発祥……元々は小さな町だった…………西と東で別れて……へー」
最初の方は、国の成り立ち。
西と東にあった町がひとつになって云々。
ミセ*゚ー゚)リ「へー、妖怪ってのが居たんだ……何だ妖怪って」
何かよくわかんないから適当に見てから次に移動。
ミセ*゚ー゚)リ「お、古代の魔導具だ……昔は箒で空飛んだんだ……」
古代の魔導具のレプリカ、どう見てもただの箒だけど昔はこれで空を飛んだらしい。
人が空を飛ぶのはにわかに信じがたいけど、今でも魔導師は空を飛べるとか何とか。
- 225 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 21:41:26 ID:02Fzs62s0
- 百鬼夜行か
- 226 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:43:15 ID:f5inV5CgO
-
ミセ*゚ー゚)リ「せんせとかドクオさんも飛べるのかな……」
隣にある現代の飛空船のミニチュア、乗った事は無いけどこの街にもあるのを見かけた。
とは言え乗船料が高いのでまず乗る事はありません、世の中は無情です。
ミセ*゚ー゚)リ「おー、これは最近のだ……名だたる英雄たちか……」
次は、割りと最近にすごい行いをした英雄達の紹介。
百戦錬磨のロマネスクと言う戦士や、類いまれなる才能を持つドクオと言う魔導師。
えっ
_,
ミセ;゚д゚)リ「ドクオさん……ガチですごい人じゃん……」
ええと、ドクオ・ソリテール、超名門と言われる魔導師家系のソリテール家の生き残り。
幼い頃より魔導に進み、十代の内に一般上級魔導師をもしのぐ実力を身に付けた。
魔導師育成学校には進まず独学のみで身に付けたその知識と実力は国で随一。
近年は表舞台に立つ事は無かったが、五年続いた戦争を一人で終結させた英雄でもある。
現在では国直属の魔導師になる誘いを何度も受けてはいるが、全てを断っている。
その居場所を知る者は国の上層部の人間のみであり、最近は従者と旅をしていた模様。
今後の活躍とその力を後世に残すため、実子の存在を期待されているがその噂はまるでない。
_,
ミセ;゚д゚)リ「長いよ!!」
- 227 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:46:17 ID:f5inV5CgO
- _,
ミセ;゚д゚)リ「はー……英雄なのは知ってたけど、ここまでガチとは……」
_,
ミセ;゚д゚)リ
_,
ミセ;゚д゚)リ「つか何でせんせは居場所知ってたのよ」
_,
ミセ;゚д゚)リ
_,
ミセ;゚д゚)リ「あと実子は無理だわ」
ドクオさんに対する突っ込みは尽きないけど、取り敢えず次。
三年前の、戦争について。
ミセ ゚−゚)リ「……」
あんま、見たくないな。
でも、これも見た方が良いよね。
- 228 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:49:59 ID:f5inV5CgO
-
魔王率いる魔族との戦争。
その理由は領土の奪い合いや殺戮が目的等と言われているが、真偽は定かではない。
責め込んだ魔族を退けるべく振り上げられた正義の剣。
数多の犠牲を払い、五年の戦いが続いた。
王は勇者を率い、忠実なる軍を率い、魔王軍と戦う。
そして突如姿を表した魔導師により、戦争は終結。
尊い犠牲を払ったが、国は犠牲者と残された者のために保護と救助に尽力。
人々は皆、国に感謝を
ミセ ゚−゚)リ「…………なにこれ」
馬鹿みたい。
何が尊い犠牲だ。
ミセ ゚−゚)リ「忠実なる軍……?」
先生とおっちゃんは、国のやり方が嫌で抜けたのに。
- 229 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:52:16 ID:f5inV5CgO
-
ミセ ゚−゚)リ「残された者の、保護と救助?」
じゃあ何で、ご飯も食べられない日々が続いた。
わたしが先生に拾われるまで、何を食べて生きてたと思ってんだ。
親の肉の味を、知ってんのかよ。
ミセ ゚−゚)リ「…………馬鹿みたい」
軍や国が何をしたんだか。
破壊されたわたしの故郷で、略奪まがいの事してたのは誰だ。
軍が使う資源だ何だと、残された金品も持っていったのは誰だ。
国は誰も助けなかった。
わたしを助けたのは先生だ。
今にも死にそうなわたしを抱き締めてくれたのは、先生の震える腕だ。
泣きながらごめんねって言ったのは先生だ、頭を撫でてくれたのも先生だ、国なんかじゃない。
- 230 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 21:52:47 ID:02Fzs62s0
- おうふ……
- 231 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:55:16 ID:f5inV5CgO
-
ミセ ゚−゚)リ「ふざけんなよ……何だこれ」
わたしを保護し、急ごしらえの孤児院に連れていってくれた先生。
寝る事も忘れて、わたしのために、みんなのために必死で働いた先生。
時々すごく悲しそうにわたしたちを見る先生の目が、見ていて悲しくて。
毎日を必死に生きて、生きて、生きて、死んでやるもんかって生きて。
状況が少し落ち着いて、人の多い町に孤児院が移転する時、わたしと先生は旅に出た。
先生が、わたしの家族。
わたしのお父さんで、お母さん。
家族、に、なりたい。
ミセ ゚−゚)リ「……そんなせんせを、絶望させた国が……何様だよ」
(´・_ゝ・`)「おーいミセリ君」
ミセ ゚−゚)リ「!」
- 232 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 21:56:42 ID:sqDgDm560
- 親の肉
- 233 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 21:58:36 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「ん、どうしたの?」
ミセ ゚−゚)リ「……何でもない」
(´・_ゝ・`)「? …………ああ、これか」
ミセ ゚−゚)リ「……嘘ばっかだ、これ」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君……」
ミセ ゚−゚)リ「…………」
(´・_ゝ・`)「こうやって、耳触りの良い言葉ばかり並べるのも、きっとつらいからだよ」
ミセ ゚−゚)リ「でも、嘘だ」
(´・_ゝ・`)「うん……けど、みんなきっと悲しんだんだ」
ミセ ゚−゚)リ「……」
(´・_ゝ・`)「それに、綺麗な事しか許されない事もある」
ミセ ゚−゚)リ「おかしいよ、そんなの……」
(´・_ゝ・`)「……少しずつ変えて行こう、僕らに出来る事から、少しずつ」
ミセ ゚−゚)リ「…………うん」
- 234 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:01:43 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「行こう、ミセリ君」
ミセ ゚−゚)リ「……」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君?」
ミセ ゚−゚)リ「だっこ」
(´・_ゝ・`)「はいはい、行こう」
ミセ ゚−゚)リ「ん」
大人ってのは、汚いものなんだろうか。
簡単に嘘を並べて、澄ました顔で人を騙す。
それなのに、それを見て先生はしょうがないんだよ、と笑う。
先生はお人好し過ぎるよ。
わたしには、まだわからないよ。
- 235 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 22:02:11 ID:02Fzs62s0
- ミセリはん……
- 236 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:04:05 ID:f5inV5CgO
-
(‘_L’)「だから、中退ではないと何度」
(‘_L’)「いや待て逃亡ではない、卒業証書ある」
(‘_L’)「だからいや、いやだから、だから! 戦士の資格はあるから!」
(‘_L’)「えっ、十年以上無功績だと剥奪……?」
(´・_ゝ・`)「まだ受付と戦ってたの君」
(‘_L’)「俺……戦士じゃなかった……」
(´・_ゝ・`)「あ、これ紹介状です、これでいける筈ですけど」
(‘_L’)「おい何だそれ」
(´・_ゝ・`)「ドクオさんからの紹介状、十年放置で剥奪は卒業時に説明されたでしょ」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)「だからドクオさんが俺の紹介があれば特別にいけるって書いてくれたじゃない」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
- 237 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:07:19 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「君は僕とドクオさんが話してる時に何を聞いてたの」
(‘_L’)「メイドと戦ってた」
(´・_ゝ・`)「君は馬鹿だ」
(‘_L’)「今は否定できない」
(´・_ゝ・`)「否定も何も普通に馬鹿だから」
(‘_L’)「ぐぬぬ」
(´・_ゝ・`)「あ、受理できましたか、ありがとうございます」
(‘_L’)「これで俺も戦士か」
(´・_ゝ・`)「その証明勲章無くさず付けといてよね、それ無くしたら次は無理」
(‘_L’)「パンツに付けとく」
(´・_ゝ・`)「君は役所に申請する度にズボンを脱ぐつもりか」
(‘_L’)「逮捕されるか」
(´・_ゝ・`)「逮捕されるよ」
- 238 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:10:16 ID:f5inV5CgO
-
(‘_L’)「いや具は出さないからいけるはず……どうしたそれ」
(´・_ゝ・`)「変わらないよ逮捕だよ……ああ、ちょっとね」
(‘_L’)「珍しいな、甘ったれか」
(´・_ゝ・`)「まだ子供だよ、当然だ」
(‘_L’)「俺の胸に来るか」
(´・_ゝ・`)「キモいよフィレンクト」
(‘_L’)「じゃあお前が来るか」
(´・_ゝ・`)「きしょい」
(‘_L’)「傷付く」
(´・_ゝ・`)「きしょい」
(‘_L’)「それやめて、切ない」
(´・_ゝ・`)「じゃあきしょい事言わないで、ほら行くよ」
(‘_L’)「うん……」
(´・_ゝ・`)「落ち込まないでよめんどくさいな……」
- 239 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:13:21 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「ほらミセリ君、どこに行く? ある程度ならお金が入ったから行けるよ」
ミセ ゚−゚)リ「……」
(´・_ゝ・`)「お昼でも食べる? それとも甘いものでも食べようか」
(‘_L’)「食う事ばっかりか」
(´・_ゝ・`)「君が言うな」
ミセ ゚−゚)リ「……いらない……」
(´・_ゝ・`)「じゃあ、最初に言った様に何か可愛い物でも見ようか?」
ミセ ゚−゚)リ「いい……」
(‘_L’)「(……おいデミタス)」
(´・_ゝ・`)「(なにコソコソと)」
(‘_L’)「(何で拗ねてるんだそのチビは)」
(´・_ゝ・`)「(国の歴史を見たみたい、そこに戦争についても書いてた)」
(‘_L’)「(ああ……どうせ恥も外聞もなく綺麗事を並べ立ててあったんだろう)」
(´・_ゝ・`)「(そ、この子は戦災孤児だから……納得出来なかったみたい)」
- 240 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:16:43 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「じゃあどこに行こうか、宿にこもるのは体に良くないよ」
ミセ ゚−゚)リ「……」
(´・_ゝ・`)「(参ったなあ……どうしたものか)」
(‘_L’)「(お前は保護者だろう、何とかしろ)」
(´・_ゝ・`)「(ううん、そうだけど僕は被害を受けたわけじゃないから気持ちが分からないんだ)」
(‘_L’)「(まあ戦争の被害とは言えないからな……理解は難しいな)」
(´・_ゝ・`)「(うん…………と言うかフィレンクト)」
(‘_L’)「(何だ)」
(´・_ゝ・`)「(何で君テレパス使えるの)」
(‘_L’)「(学生時代に緊急連絡用として教わった)」
(´・_ゝ・`)「(へー、君に魔力あったんだ)」
(‘_L’)「(何かひどいなそれ)」
(´・_ゝ・`)「(脳筋だとばっかり)」
(‘_L’)「(否定しないけど)」
- 241 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 22:18:01 ID:02Fzs62s0
- (こいつ、脳に直接?!)
- 242 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:19:33 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「……ミセリ君、納得出来ないのは分かるけど、国も少しずつ変わろうとしてる」
ミセ ゚−゚)リ「……」
(´・_ゝ・`)「だから今は、あんなのは見なかった事にしよう、考えるのは今じゃなくて良いよ」
ミセ ゚−゚)リ「……」
(´・_ゝ・`)「国を変えるのは、若者の力だ、ミセリ君もその力になれる様になろう」
ミセ ゚−゚)リ「……うん」
(´・_ゝ・`)「あとあれの書き換えは依頼しとく」
(‘_L’)「誰にだ?」
(´・_ゝ・`)「英雄に」
('A`)「えっきし!」
川 ゚ -゚)「風邪ですかご主人様、半径1km以内に近付かないで下さい」
('A`)「それ森のど真ん中に移動する事になるよ」
- 243 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:23:08 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「だからほら、今は少しでも楽しもう?」
ミセ ゚−゚)リ「うん……」
(´・_ゝ・`)「何か可愛い物でも見に行こう、高価なものは買えないけど」
ミセ ゚−゚)リ「ん……」
(´・_ゝ・`)「降りる?」
ミセ ゚−゚)リ「……もーちょっと」
(´・_ゝ・`)「はいはい」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)「こっち見んな」
(‘_L’)「何も言ってないのにこの扱いか」
(´・_ゝ・`)「こっち見んな」
(‘_L’)「ひどいよなお前」
- 244 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:25:44 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「あ、ほらこことかどうかなミセリ君」
ミセ ゚−゚)リ「……かわいい」
(´・_ゝ・`)「見てみる?」
ミセ ゚−゚)リ「うん」
(´・_ゝ・`)「よし、じゃあ入ろう」
(‘_L’)(ディスプレイされてる服の値段が昔の月給くらいする……)
からんころん
(´・_ゝ・`)「ほら、ミセリ君降りて見てごらん」
ミセ ゚−゚)リ「ん……」
(‘_L’)「……デミタス」
(´・_ゝ・`)「なに?」
(‘_L’)「三十路の野郎が入って良い空間かここは」
(´・_ゝ・`)「特に君は違和感凄いね」
- 245 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 22:26:54 ID:02Fzs62s0
- 店員から見たら相当デンジャラスな光景だろうな
- 246 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:28:31 ID:f5inV5CgO
-
(‘_L’)「身なり整えようかな……」
(´・_ゝ・`)「この店で?」
(‘_L’)「ベルバラみたいになるわ」
(´・_ゝ・`)「想像したら引いたわ」
(‘_L’)「本当ひどいよなお前」
(´・_ゝ・`)「慣れたわ」
(‘_L’)「デミタス、これとかどうだ」
(´・_ゝ・`)「ああ、ミセリ君に似合いそうだね」
(‘_L’)「いやお前に」
(´・_ゝ・`)「僕にリボンつけて歩けと」
(‘_L’)「お前が周囲からうわあって顔されると思うと楽しそうだ」
(´・_ゝ・`)「店から出たら覚えといて」
(‘_L’)「ペロッ、これはベギラマフラグ……!」
- 247 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:31:58 ID:f5inV5CgO
-
先生が気を使って、わたしに色々言ってくれた。
気を使って、高そうなお店にも入ってくれた。
それなのにわたしはまだ仏頂面で、お店の鏡に映るのはひどい顔。
楽しそうにしなきゃ、先生にも悪いし、おっちゃんにも悪い。
二人に見えない位置で、鏡を見ながら頬っぺたを揉む。
大丈夫、大丈夫。
わたしはちゃんと笑える。
ミセ*゚ー゚)リ
よし。
ミセ*゚ー゚)リ(……あんがと、せんせ、おっちゃん)
ミセ*゚ー゚)リ(やっぱわたしは、ミセリは笑ってなきゃだよね)
- 248 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:35:10 ID:f5inV5CgO
-
ミセ*゚ー゚)リ(……あ、これ可愛い)
ミセ*゚ー゚)リ(あ、こっちも……あれも可愛いな)
ミセ*゚ー゚)リ(このワンピース可愛い……いっつもズボンだからなぁ)
ミセ*゚ー゚)リ
ミセ*゚ー゚)リ(楽しい)
(´・_ゝ・`)「だからフィレンクト、僕にひらひらを合わせないで」
(‘_L’)「意外と似合うんじゃないかこれ」
(´・_ゝ・`)「いや嬉しくない、三十路で男でさすがに嬉しくない」
(‘_L’)「着てみろよ」
(´・_ゝ・`)「女児用の服が着れるか、二重の意味で着れるか」
(‘_L’)「いけるいける、ほら試着室借りろ」
(´・_ゝ・`)「ベギラマで済むと思わないでねフィレンクト」
(‘_L’)「ペロッ、これはベギラゴンフラグ……!?」
ミセ*゚ー゚)リ
ミセ*゚ー゚)リ(楽しい!)
- 249 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:38:04 ID:f5inV5CgO
-
ミセ*゚ー゚)リ「せんせー」
(´・_ゝ・`)「ん?」
ミセ*゚ー゚)リ「これ着てみたい」
(´・_ゝ・`)「ああ、可愛いね、着てごらん」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
(´・_ゝ・`)「……よかった、機嫌なおったみたい」
(‘_L’)「デミタス」
(´・_ゝ・`)「ん?」
(‘_L’)「さっきの服、俺の月給くらいした」
(´・_ゝ・`)「…………結構、高給取りだったよね?」
(‘_L’)「十代の給料ではなかったな、一般中流家庭くらい」
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)「仕事してくる」
(‘_L’)「落ち着け」
- 250 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 22:38:55 ID:02Fzs62s0
- 魔法少女プリティベルというのがあってだな……
- 251 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:41:08 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「教え子の期待を裏切るわけにはいかない、僕にはその義務がある」
(‘_L’)「いやさすがに今は金が危ういのは理解してると思うぞ」
(´・_ゝ・`)「それでも、やらなきゃいけない事が……僕には、あるんだ……ッ!」
(‘_L’)「いやかっこよく言うな、今のお前はそんなに安定した給料ではない」
(´・_ゝ・`)「大丈夫だよちょっとアレな仕事をすれば一回で」
(‘_L’)「落ち着け落ち着け、アレな仕事って人の命が関わるタイプだから落ち着け」
(´・_ゝ・`)「いやもうちょっとアレな仕事」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「やめとけ」
(´・_ゝ・`)「うん」
- 252 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:43:35 ID:f5inV5CgO
-
(‘_L’)「と言うかそんなアレな依頼とかあるのかお前は」
(´・_ゝ・`)「若い頃から結構あったよ、受けた事はないけど」
(‘_L’)「攻めたのか」
(´・_ゝ・`)「会話のキャッチボールちゃんとしない?」
(‘_L’)「ごめん」
(´・_ゝ・`)「君の脳内ちょっとおかしいんじゃない……? ホモなの……?」
(‘_L’)「ごめんて」
(´・_ゝ・`)「引くわ……」
(‘_L’)「ごめんて……」
イル*゚ー゚)リ「着替えた!」
(´・_ゝ・`)「お、ミセリ君…………ミセリ、君……?」
(‘_L’)「イルリ……?」
_,
イル#゚ー゚)リ「相変わらずムカつくわーそれ……」
ttp://imepic.jp/20120226/755470
- 253 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:44:11 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「うん、よく似合うよイル……ミセリ君」
(‘_L’)「馬子にも衣装だな」
_,
イル#゚ー゚)リ「わーいムカつくー」
(´・_ゝ・`)「ははは、冗談冗談、可愛いよ」
(‘_L’)「似合うぞイルリ」
イル*゚ー゚)リ「ありがとせんせ、おっちゃん千切れろ」
(‘_L’)「どこを!?」
イル*゚ー゚)リ「手首」
(‘_L’)「怖い!?」
(´・_ゝ・`)「シックなのも似合うね、もっと可愛らしいのを選ぶと思ったけど」
イル*゚ー゚)リ「あんまりひらひらしてるの似合わないもん、普段ズボンだし」
(´・_ゝ・`)「そうかなぁ……」
イル*゚ー゚)リ「意味もなくひらひらで媚びてどうすんだって話だし」
(´・_ゝ・`)「何そのシビアな発想」
イル*゚ー゚)リ「そう言う立ち位置なら分かるけど、わたし別にそうじゃないし、普段はズボンで良い」
(´・_ゝ・`)「うわぁ……うちの教え子が思ったよりドライだった……」
- 254 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:47:35 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「でも髪を下ろしたミセリ君は何か新鮮だね」
イル*゚ー゚)リ「前髪はいっつも下ろしてるけどね、カチューシャで髪まとめてるけど」
(´・_ゝ・`)「うん、下ろしたのも可愛いよ」
イル*゚ー゚)リ「えへへ、あんがと、でも邪魔だから普段は下ろさない」
(´・_ゝ・`)「短いからそこまで邪魔ではないと思うけど……」
イル*゚ー゚)リ「描き分けの邪魔」
(´・_ゝ・`)「リアルすぎるよ」
イル*゚ー゚)リ「へへー、お嬢様だよお嬢様、可愛いっしょ」
(‘_L’)「服がな」
イル*゚ー゚)リ「知ってる」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君も可愛いよ、会計する?」
イル*゚ー゚)リ「いらない」
(´・_ゝ・`)「即答だと」
- 255 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:50:21 ID:f5inV5CgO
-
イル*゚ー゚)リ「これ着て旅とかアホの所業だよ?」
(´・_ゝ・`)「いや、まあ、旅には向かないだろうけど……」
イル*゚ー゚)リ「荷物増えるの嫌だし」
(´・_ゝ・`)「荷物持ちならそこに居るよ?」
(‘_L’)「誰の事だ」
(´・_ゝ・`)「君だよ」
(‘_L’)「なん、だと……」
(´・_ゝ・`)「要らないの? 何とか買えるけど」
イル*゚ー゚)リ「月給くらいって聞こえてたから余計いらない」
(´・_ゝ・`)「聞かれてた」
イル*゚ー゚)リ「それにたまに着るから良いんだよ、普段は別にいらない」
(´・_ゝ・`)「うん、まあ……そうかも知れないけど……」
- 256 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 22:50:42 ID:02Fzs62s0
- 何と云う本音
- 257 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 22:52:31 ID:B6W1rLiUO
- 本音クソワロタ。
- 258 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:53:07 ID:f5inV5CgO
-
ミセ*゚ー゚)リ「はー楽しかった」
(´・_ゝ・`)「お疲れさま、本当に服いらないの?」
ミセ*゚ー゚)リ「いらなーい、髪飾り買ってもらったもん」
(´・_ゝ・`)「そうだけど……」
(‘_L’)「良かったな」
(´・_ゝ・`)「何が?」
(‘_L’)「リボン似合うぞ」
(´・_ゝ・`)「うん、まさかミセリ君がねだったリボンを僕がつけるとは思わなかった」
ミセ*゚ー゚)リ「似合うよせんせ」
(´・_ゝ・`)「ははは、ありがとう」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんは似合わないね」
(‘_L’)「当然っちゃ当然だな」
- 259 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:56:25 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「よし、時間も良いくらいだし宿に戻ろうか」
ミセ*゚ー゚)リ「宿って言うかすげーホテルだよね」
(´・_ゝ・`)「ここ他に宿無いんだよね……財布に厳しい」
ミセ*゚ー゚)リ「別に野宿でも良いのに」
(´・_ゝ・`)「次からしばらく野宿だからね」
ミセ*゚ー゚)リ「そんなにお金無いの?」
(´・_ゝ・`)「ううん、次に行くとこは遠いから」
ミセ*゚ー゚)リ「あー……途中に町とか無いんだ」
(´・_ゝ・`)「うん、しばらくはサバイバルだから覚悟しといてね」
(‘_L’)「任せろ」
(´・_ゝ・`)「君には言ってない」
(‘_L’)「ひどい」
(´・_ゝ・`)「野生のおっさんに言うと思う?」
(‘_L’)「そんなに草むらから飛び出しそうか俺は」
- 260 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 22:57:09 ID:02Fzs62s0
- おっさんと幼女が……ホテル……これらが導き出す答えはっ……!!
- 261 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 22:59:30 ID:f5inV5CgO
-
ミセ*゚ー゚)リ「次はどんなとこ行くの?」
(´・_ゝ・`)「海の近く」
ミセ*゚ー゚)リ「マジで!」
(´・_ゝ・`)「マジで」
ミセ*゚ー゚)リ「やったー海見たことない! 楽しみ!」
(´・_ゝ・`)「海も色々危ない事もあるから、気を付けてね」
ミセ*゚ー゚)リ「クラゲとかね!」
(´・_ゝ・`)「まあそれもあるけど」
(‘_L’)「食う物には困らんな」
(´・_ゝ・`)「否定はしないけど」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんフジツボとか食べてよ」
(‘_L’)「どんな無茶振りだ」
- 262 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:02:41 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「物によっちゃ美味しいらしいよ」
(‘_L’)「マジかよ食うわ」
ミセ*゚ー゚)リ「生で」
(‘_L’)「生で!?」
(´・_ゝ・`)「よしホテルついた、そろそろ晩御飯だから食堂に行こうか」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい」
(‘_L’)「生か……食えるか……?」
(´・_ゝ・`)「どれだけフジツボに思いを馳せてるの君は」
(‘_L’)「生でいくには固そうだ」
(´・_ゝ・`)「食べる事には何の抵抗も無いのね」
(‘_L’)「虫が食えれば何でもいける」
(´・_ゝ・`)「蟹とか海老って海の虫みたいな存在だよね、形状が」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、それ食べる気失せるよ」
(‘_L’)「食う気が沸いてきた」
ミセ*゚ー゚)リ「おかしい、おっちゃんは絶対おかしい」
- 263 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:05:32 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「はい食堂についた、大人しく食事を待とうね」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(‘_L’)「虫って結構いけるぞ」
(´・_ゝ・`)「食堂だって言ってるのになんて話題を引きずるの君は」
(‘_L’)「いやマジでマジで」
(´・_ゝ・`)「良いからもう黙ってフィレンクト」
(‘_L’)「蟻とか普通に食うってマジで」
(´・_ゝ・`)「フィレンクト、ちょっと来て」
(‘_L’)「何だチョコでもくれるのか」
(´・_ゝ・`)「黙れ」
ミセ*゚ー゚)リ「いってらっしゃーい」
<マダンテ
ミセ*゚ー゚)リ(せんせが本気出してる)
- 264 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 23:06:16 ID:02Fzs62s0
- 街が吹き飛ぶwwww
- 265 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:08:25 ID:f5inV5CgO
-
ミセ*゚ー゚)リ(……そういやおっちゃんに会った時、せんせはわたしと孤児院で会ったって言ってたな)
ミセ*゚ー゚)リ(…………わたしの事、気遣ってくれてたのかな……思い出さないように)
ミセ*゚ー゚)リ
ミセ*゚ー゚)リ「せんせー、もうご飯来るよー」
(´・_ゝ・`)「はーい」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんは?」
(´・_ゝ・`)「消し炭になってる」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、もう寝てMP回復するからってマダンテは本気すぎるよ」
(´・_ゝ・`)「いやー久々に本気出した」
ミセ*゚ー゚)リ「そういや今日さ、歴史見たじゃん」
(´・_ゝ・`)「……そうだね」
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんがガチだった」
(´・_ゝ・`)「ああ、うん、実はドクオさんガチで凄い人だよ」
- 266 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:11:06 ID:f5inV5CgO
-
ミセ*゚ー゚)リ「せんせよく居場所わかったね」
(´・_ゝ・`)「手紙のやり取りしてるからね、お互いに信頼してるし」
ミセ*゚ー゚)リ「でもドクオさん危なくないの? ガチで命とか狙われそうなくらいだけど」
(´・_ゝ・`)「よその国からちょくちょく暗殺されかけてるらしいよ」
_,
ミセ;゚д゚)リ「ガチだ!!」
(´・_ゝ・`)「まああの人は生きるチートだから問題は無いと思う」
_,
ミセ;゚д゚)リ「……国とか狙えるんじゃない?」
(´・_ゝ・`)「世界を狙える、割と本気で征服出来る」
_,
ミセ;゚д゚)リ「…………無欲な人で良かった」
(´・_ゝ・`)「あれだけの力で『飯食って本読んで布団で寝れれば良い』だからね」
_,
ミセ;゚д゚)リ「無欲すぎるわ!!」
(´・_ゝ・`)「本当に変わった人だよね……大魔導師って言うかもう支配者になれるのに」
_,
ミセ;゚д゚)リ「不思議な人だなー……」
- 267 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:14:19 ID:f5inV5CgO
-
ミセ*゚ー゚)リ「……せんせは?」
(´・_ゝ・`)「僕?」
ミセ*゚ー゚)リ「大魔導師?」
(´・_ゝ・`)「いや、僕は普通くらい」
ミセ*゚ー゚)リ「普通……」
(´・_ゝ・`)「魔王を封じようと集められた魔導師達だけど結局吹き飛ばされるみたいなポジション」
ミセ*゚ー゚)リ「悲惨だよそれ」
(´・_ゝ・`)「上級魔導師てはあるけどね、まあ普通、MPだけは他の人より少し多い」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんは?」
(´・_ゝ・`)「序盤で一時的に仲間になる強い傭兵みたいなポジション」
ミセ*゚ー゚)リ「すげー分かりやすいけど終盤でしれっと死んでそう」
(´・_ゝ・`)「あ、ご飯来たよ」
ミセ*゚ー゚)リ「わーい!」
- 268 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 23:17:04 ID:dWIrw.RgO
- ( ^^ω)
川川川川
- 269 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:17:12 ID:f5inV5CgO
-
まず目の前に置かれたお皿にはケーキの様に重ねられたお野菜とお肉が、とても綺麗に飾られた物。
量は少なく、ホテルの人が前菜ですと言った事で先生が首をかしげた。
(´・_ゝ・`)「……あの、これたぶんテーブル間違えてます」
ミセ*゚ー゚)リ「?」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、これフルコースの前菜」
ミセ*゚ー゚)リ「フルコース…………って、超高いやつじゃなかったっけ」
(´・_ゝ・`)「うん超高いやつ、だから間違えてると思う」
ミセ*゚ー゚)リ「ああ、慌てて取り替えに来た」
(´・_ゝ・`)「だよなぁ……普通の部屋取っただけでフルコースは無いわ……」
ミセ*゚ー゚)リ「わーいお肉とリゾットだ!」
(´・_ゝ・`)「わー平和」
ミセ*゚ー゚)リ「ところでせんせ、さっきお店の人が言ってたカプレーゼって何?」
(´・_ゝ・`)「さあ?」
ミセ*゚ー゚)リ「えぇー……」
- 270 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:20:31 ID:f5inV5CgO
-
改めて運ばれてきたお皿には可愛らしく盛られたリゾット。
クリームとキノコの匂いがふわりと漂い、わたしの胃を刺激する。
さっきのお料理みたいに派手では無いし、具もキノコとみじん切りの玉ねぎだけと言うシンプルさ。
けどバターのきいた、こくのあるクリームにはこっそりとコンソメの匂い。
パセリと粉チーズがかけられた事で、彩りも多少は華やか。
よく炊かれたお米には味が染み、一口食べれば鼻に抜ける濃い風味。
濃くてまったりした味なのに、どこかさっぱりした感じもするのは炒める時にお酒を入れたからかな。
噛めば噛むほどにしみだす様な味わいは、大変お上品でお値段だけはあるお味。
ミセ*´ヮ`)リ「んぁー……うまぁ」
(´・_ゝ・`)「うん、美味しいね」
ミセ*´ヮ`)リ「でもこないだもクリームのシチューだったよね……」
(´・_ゝ・`)「レパートリーが少ないんだよ、食べた事があるものしか書けないし」
ミセ*´ヮ`)リ「メタ禁止……うめぇ」
(´・_ゝ・`)「お酒……は止めとこう、追加料金が怖い」
- 271 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:23:33 ID:f5inV5CgO
-
クリーム多めで少し水気が多いけど、これはこれで口の中が潤って良い塩梅。
一緒に並べられたローストビーフを口に運べば、それはもう素晴らしいものでした。
一口噛み締めればじゅわあと溢れ出す肉汁、無駄な味は一切なく、お肉の味がそれだけで美味しい。
控えめな味のソースは玉ねぎの甘味をしっかりと感じ、お肉との相性は最高。
柔らかいけれど柔らかすぎず、歯応えも残したローストビーフ。
火の通り加減もまさに完璧、少しあっさりめなのでリゾットとの相性だってばっちりです。
先生は思わずグラスで一杯を頼んでいました。
お肉に添えられた葉っぱを食べれば、ピリッとした刺激と独特な匂いが鼻に抜ける。
ホースラディッシュとクレソンだと先生に教えられ、大人の味だけど、わたしにも少し良さがわかった。
口の中をさっぱりさせてくれる瑞々しいシャキシャキとした歯応え、つんとした辛さがたまらない。
最後の一口まで無駄にせず、スプーンに残らない様にしっかりと口にしてから。
ミセ*´ヮ`)リ「ごちそーさまでしたー……」
(´・_ゝ・`)「はい、ごちそうさまでした」
- 272 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:26:10 ID:f5inV5CgO
-
ミセ*´ヮ`)リ「今回は大人の味でしたなー……」
(´・_ゝ・`)「だね、大丈夫だった?」
ミセ*´ヮ`)リ「へーきへーき……お酒の美味しさも理解できそうなレベル……」
(´・_ゝ・`)「それは大人になってからね」
ミセ*´ヮ`)リ「一口」
(´・_ゝ・`)「駄目です」
ミセ*´ヮ`)リ「ほんの一口」
(´・_ゝ・`)「だーめ」
ミセ*´ヮ`)リ「ちぇー……」
(´・_ゝ・`)「成人したら一緒に飲もうね」
ミセ*´ヮ`)リ「せんせー四十路になるよそれ……」
(´・_ゝ・`)「何か刺さった今の……」
- 273 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:29:08 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「じゃ、行こうか」
ミセ*゚ー゚)リ「あれ、今日はデザートないんだ」
(´・_ゝ・`)「別料金」
ミセ*゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ「よし、お風呂入って寝よう」
(´・_ゝ・`)「うん、寝よう」
ミセ*゚ー゚)リ「毎度の事ながらおっちゃんは?」
(‘_L’)「ひとよーんであーくまのしょっかー」
ミセ*゚ー゚)リ「生命力はんぱねーなおっちゃん」
(‘_L’)「晩飯は?」
ミセ*゚ー゚)リ「いま食べ終わった」
(‘_L’)
ミセ*゚ー゚)リ
- 274 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:32:29 ID:f5inV5CgO
-
(‘_L’)「…………デミタス」
(´・_ゝ・`)「部屋戻ろうか」
(‘_L’)「デミタス……」
(´・_ゝ・`)「おにぎりあるよ」
(‘_L’)「マジかよやったぜ」
ミセ*゚ー゚)リ「なにそれずっこい」
(‘_L’)「良い飯食っただろうが、握り飯は俺の物だ」
_,
ミセ*゚3゚)リ「えー……せんせーずるいー、わたしもー」
(‘_L’)「絶対やらん」
_,
ミセ*゚3゚)リ「ぶーぶーぶー!」
(‘_L’)「へへーん」
(´・_ゝ・`)「何だこの二人……」
- 275 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 23:33:21 ID:t8RFc2tE0
- きてるうううう!!
あとでよむお!
- 276 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:35:44 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「はー疲れた……ミセリ君、先に日記書いちゃいなさいね」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(´・_ゝ・`)「はいフィレンクト、冷たくなっちゃったけど」
(‘_L’)「茶」
(´・_ゝ・`)「はいはい」
(‘_L’)「握り飯うめぇ超うめぇ死ぬ」
(´・_ゝ・`)「おにぎりに命かけないでよ、はいお茶」
ミセ*゚ー゚)リ「いーなー、せんせのおにぎり美味しいもんなー」
(´・_ゝ・`)「誰が握っても一緒じゃない?」
ミセ*゚ー゚)リ「いや違う」
(‘_L’)「全然違う」
(´・_ゝ・`)「何だこのおにぎりマエストロ……」
- 277 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:38:04 ID:f5inV5CgO
-
ミセ*゚ー゚)リ「よい、しょ……っと」
季節:冬 場所:街
勉強内容:歴史、ドクオさんはすごい。
ミセ*゚ー゚)リ「かーけたっと」
(‘_L’)「おいデミタス」
(´・_ゝ・`)「ティッシュなら机にあるでしょ」
(‘_L’)「じゃあアレは」
(´・_ゝ・`)「煙草なら鞄の横ポケット、外で吸ってよ」
(‘_L’)「それ取って」
(´・_ゝ・`)「上着くらい自分で取りなさい」
ミセ*゚ー゚)リ(熟年夫婦か)
- 278 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 23:40:42 ID:vzdFoipMO
- 今から読むぜー
- 279 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:41:13 ID:f5inV5CgO
-
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、書いた」
(´・_ゝ・`)「ん、じゃあお風呂入って寝ようか」
ミセ*゚ー゚)リ「ねむーい」
(´・_ゝ・`)「はいはい、寝たら救助するから」
ミセ*゚ー゚)リ「わーい、そういやシャンプーハットいらなくなってきたよ」
(´・_ゝ・`)「よしよし、よく克服したね」
ミセ*゚ー゚)リ「えへへーん」
(´・_ゝ・`)「まあその歳で必要な方が珍しいんだけどね」
ミセ*゚3゚)リ「顔濡らすの苦手なんだもーん」
(´・_ゝ・`)「フィレンクト、君もさっさとお風呂入って寝なよ」
(‘_L’)y-~「んー」
(´・_ゝ・`)「煙草持ったまま部屋に入らない」
(‘_L’)y-~「おかんか」
- 280 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:44:58 ID:f5inV5CgO
-
ミセ*゚ー゚)リ「ねーせんせ、あとどんくらいここに居るの?」
(´・_ゝ・`)「んー、数日は居ようと思ったけど……」
ミセ*゚ー゚)リ「けど?」
(´・_ゝ・`)「これじゃ最低限の準備するだけで懐が寒くなるからなあ、早めに行こうか」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい」
(´・_ゝ・`)「いけるなら明日には出よう、ミセリ君もそのつもりでね」
ミセ*゚ー゚)リ「はいはーい」
(´・_ゝ・`)「じゃ、お風呂お風呂……うわ広っ」
ミセ*゚ー゚)リ「値段だけあるね……」
(´・_ゝ・`)「たぶん二度と来ないけど、良い思い出にはなったね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん……せんせ、お風呂に薔薇浮かせられるよ」
(´・_ゝ・`)「何それ掃除大変そう」
- 281 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 23:46:40 ID:LjHacNTg0
- しーえーん
- 282 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:47:30 ID:f5inV5CgO
-
ミセ*゚ー゚)リ「お風呂上がりほっかほかー」
(´・_ゝ・`)「薔薇勿体無いと思う」
ミセ*゚ー゚)リ「夢も希望もないなー」
(´・_ゝ・`)「フィレンクト、薔薇食べない様にね」
(‘_L’)「えっ」
(´・_ゝ・`)「食べるつもりだったの?」
(‘_L’)「意外と美味いぞあれ」
(´・_ゝ・`)「食うなよ」
(‘_L’)「いけそうなものは何でも食う」
ミセ*゚ー゚)リ「虫はいけそうなものじゃないと思う」
(‘_L’)「えっ」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、おっちゃんは変だ」
(´・_ゝ・`)「知ってる」
- 283 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:50:22 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「よし、じゃあおやすみミセリ君」
ミセ*゚ー゚)リ「おやすみなさーい!」
(´・_ゝ・`)「僕は出来る準備しておこう……薬もそろそろ作らなきゃな……」
(´・_ゝ・`)「ああ、明日買う物もメモして……」
(´・_ゝ・`)「非常食が減ってる……後でフィレンクト蹴ろう」
(‘_L’)「美味かった」
(´・_ゝ・`)「風呂から出た時の発言じゃない」
(‘_L’)「何だその袋、見覚えがある」
(´・_ゝ・`)「非常食入れ」
(‘_L’)「いややっぱり見覚え無かった」
(´・_ゝ・`)「向こう脛出して」
(‘_L’)「どうぞ」
(´・_ゝ・`)" ゴッ
(‘_L’)「痛い! 本の角はひどい!」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君寝てるから静かに」
(‘_L’)「ごめん」
- 284 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:53:07 ID:f5inV5CgO
-
(´・_ゝ・`)「あと君バスローブが予想以上に似合わない」
(‘_L’)「薔薇の香りが漂うナイスミドルだな」
(´・_ゝ・`)「ははは、ぬかせ」
(‘_L’)「酒無いのか酒」
(´・_ゝ・`)「別料金」
(‘_L’)「諦めよう」
(´・_ゝ・`)「じゃ、僕もう寝るから君もさっさと寝なよ」
(‘_L’)「んー」
(´・_ゝ・`)「非常食にはもう手を出さない様に」
(‘_L’)「わかったわかった」
(´・_ゝ・`)「じゃあおやすみ」
(‘_L’)「いでっ、何だこれビリっとした」
(´・_ゝ・`)(非常食袋に封印の魔法かけといて良かった)
- 285 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:56:35 ID:f5inV5CgO
-
ミセ*゚ー゚)リ「朝!」
(´・_ゝ・`)「ふぁ……おはよう、ミセリ君」
ミセ*゚ー゚)リ「おはよーせんせ、朝だよ!」
(´・_ゝ・`)「ん……ちょっと待って、腰が痛い……」
ミセ*゚ー゚)リ「床で寝るからだよー、ベッドに隙間いっぱいあんのに」
(´・_ゝ・`)「いや、ソファで寝てたんだけどな……」
ミセ*゚ー゚)リ「ソファにはおっちゃんが寝てるよ」
(´・_ゝ・`)「落としたなこいつ……」
ミセ*゚ー゚)リ「しかも麻痺かかってるよおっちゃん」
(´・_ゝ・`)「必死で非常食袋を開けようとしたみたいだね」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん……」
- 286 :名も無きAAのようです:2012/02/26(日) 23:58:06 ID:XoUOQ.4k0
- てぇだすの早すぎwww
- 287 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/26(日) 23:59:30 ID:f5inV5CgO
-
ミセ*゚ー゚)リ「まあ良いや、朝ごはんみたいだよ」
(´・_ゝ・`)「おー、じゃあ食べに行こうか……ふぁあ」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせって寝起きあんますっきりしてないよね」
(´・_ゝ・`)「血圧低めで……うう、だるい……腰が痛い……肩も痛い……」
ミセ*゚ー゚)リ「中年だなー……」
(´・_ゝ・`)「おかしいなあ、落とされただけでこんなに腰痛いかな……」
ミセ*゚ー゚)リ「何か重い物でも……はっ」
ミセ;゚ー゚)リ(昨日……長い間だっこさせてたな……)
(´・_ゝ・`)「ミセリ君?」
ミセ;゚ー゚)リ「な、何でもない! ごはん食べよ! おっちゃんにはあとでギルティだね!」
(´・_ゝ・`)「そうだね……いたた、湿布あったかな……」
ミセ;゚ー゚)リ(ごめんおっちゃん!)
- 288 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/27(月) 00:02:25 ID:xvTQQ95IO
-
食堂に足を運び、テーブルにつくとホテルの人がパンをどうするかを聞いてきた。
わたしはよくわからないのでトーストを、先生はパンケーキを注文。
少し待つと漂い始めるトーストの匂い、少し香ばしくて食欲をそそる朝のごはん。
その匂いの元がわたしの前に並べられ、勢いよく手を合わせていただきます。
薄切りトーストにかじりつけば、サクサクの食感と共にじゅわっと溢れるバターの味。
分厚くてふわふわも良いけど、この薄さとサクサクもなかなかに素敵です。
カリカリのベーコンはジューシーで、ふわふわなスクランブルエッグにはバターと生クリームの風味。
瑞々しいサラダはシャキシャキさっぱり、少し油分の回った口の中をすっきりさせてくれる。
オレンジジュースを一口飲めば、苦味は感じず酸味は控えめでさわやか。
ふと先生のごはんを見れば、そこにはバターたっぷりのホットケーキ。
一口ちょーだいとせびって、口にぽんとひときれを入れて貰う。
バターとシロップの染みたホットケーキ、正しくはパンケーキはふわふわほかほか。
あんまりにも美味しくて、先生とパンケーキとわたしのトーストを一枚交換。
このシロップの甘さとバターのしょっぱさ、意外と合うカリカリベーコンにスクランブルエッグ。
最高と言わざるを得ない朝ごはんです。
- 289 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/27(月) 00:05:13 ID:xvTQQ95IO
-
トーストやパンケーキ、ベーコン、スクランブルエッグ、サラダ。
全ての味と食感が、素晴らしいバランスを保つ。
満たされたお腹に綺麗さっぱりからっぽのお皿、そこに残ったオレンジジュースを飲み干して。
ミセ*´ヮ`)リ「ごちそーさまでしたぁ……」
少し量が少なく感じた朝ごはんも、食べてしまえばなかなかのボリューム。
先生は隣でコーヒーを飲みながら、満足そうな顔。
ミセ*´ヮ`)リ「美味しかったねーせんせ……」
(´・_ゝ・`)「うん、定番とは言えやっぱり良いね」
ミセ*´ヮ`)リ「はふ……お腹いっぱい……」
(´・_ゝ・`)「食休みしたら、そろそろ行こうか」
ミセ*´ヮ`)リ「はーい……バターって最強だなぁ……」
- 290 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/27(月) 00:08:17 ID:xvTQQ95IO
-
(´・_ゝ・`)「ふぅ……お腹もくちくなったし、チェックアウトしようか」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(´・_ゝ・`)「荷物持ってこなきゃね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
(´・_ゝ・`)「ちゃんと荷物のチェックしてね」
ミセ*゚ー゚)リ「だいじょーぶだいじょーぶ、髪飾りも付けた!」
(´・_ゝ・`)「うんうん、似合うよ」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせリボンは?」
(´・_ゝ・`)「あ、やっぱ付けなきゃ駄目なんだ……」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんとお揃いだよ」
(´・_ゝ・`)「その一点が特別嬉しくない」
ミセ*゚ー゚)リ「ははは、せんせはおっちゃんに厳しいなぁ」
- 291 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/27(月) 00:11:04 ID:xvTQQ95IO
-
(´・_ゝ・`)「よし……荷物も持ったね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
(´・_ゝ・`)「じゃあ宿賃払わなきゃね」
ミセ*゚ー゚)リ「お財布が怖いなー」
(´・_ゝ・`)「よっと……あ、支払いお願いします」
(´・_ゝ・`)「ああ、残ってる荷物は処分していただいて構いませんから」
(´・_ゝ・`)「それじゃ、どうも」
ミセ*゚ー゚)リ「支払い終わったー?」
(´・_ゝ・`)「うん、終わったよ」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんは?」
(´・_ゝ・`)「残した荷物と一緒に処分して貰おうかと」
ミセ*゚ー゚)リ「はははひでぇ」
(´・_ゝ・`)「深夜にルームサービス頼んでたから倍ギルティ」
- 292 :名も無きAAのようです:2012/02/27(月) 00:13:14 ID:vTfxk8860
- 何か忘れてね?
- 293 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/27(月) 00:14:38 ID:xvTQQ95IO
-
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇせんせ、レシート見せてよ」
(´・_ゝ・`)「え、見て楽しいもんじゃないと思うけど」
ミセ*゚ー゚)リ「勉強のひとつ! みしてみして」
(´・_ゝ・`)「はいはい、どうぞ」
_,
ミセ;゚Д゚)リ
(´・_ゝ・`)「どうだった?」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「…………わたし、もうこの街には来ない」
(´・_ゝ・`)「財布的な意味で僕もあんまり来たくない」
普通のご家庭の二週間分の食費くらいありました。
おわり。
- 294 : ◆tYDPzDQgtA:2012/02/27(月) 00:15:27 ID:xvTQQ95IO
- 支援ありがとうございました、本日はここまで。
来週には投下出来れば良いなと思ってます。
それでは、これにて失礼!
- 295 :名も無きAAのようです:2012/02/27(月) 00:19:08 ID:WJzCxQMQ0
- おっつー!
次も楽しみに待ってます
- 296 :名も無きAAのようです:2012/02/27(月) 00:23:56 ID:b/HFBCH.O
- おつおつ!
- 297 :名も無きAAのようです:2012/02/28(火) 02:49:26 ID:srnRFSN20
- 「俺……戦士じゃなかった……」
おっちゃん……
- 298 :名も無きAAのようです:2012/02/28(火) 19:34:01 ID:LVieXAV6O
- いつも乙です
- 299 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 19:11:53 ID:wMURHKsM0
- (‘_L’)「倍プッシュだ」
- 300 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 19:16:43 ID:rphLenw6O
- 「お腹もくちくなったし」の「くちく」って方言?
- 301 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 19:36:05 ID:EfDKWhDEO
- >>300
えっ
共通語じゃないのか
- 302 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 19:41:40 ID:tNVjLsGc0
- なんでググらないの
あほなの
http://www.weblio.jp/content/%E3%81%8F%E3%81%A1%E3%81%84
- 303 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 20:05:25 ID:2e7LaCJE0
- 世帯の食費2週間分って日本なら三万くらいか…
あれ? 三人泊まって三万なら割と普通?
食費の割合がが高い世界なのかな
- 304 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 20:09:08 ID:rphLenw6O
- >>302
教えてくれてありがとう
今度から分からなかったら調べる癖をつけるよ
- 305 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 21:01:58 ID:tNVjLsGc0
- そうやって真面目に応対されるとあれだな
うん、言い方が乱暴だったすまん
- 306 :名も無きAAのようです:2012/03/01(木) 02:18:26 ID:x080zzkA0
- >>209
いまさらだけど頬が赤い…
- 307 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 19:25:40 ID:m6LNlbtI0
- ___|二ニー-、、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:l
/rヽ三三三三三─‐-- 、;:;:;:;:;:;:;:|;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;l
',i ,-三三三三三、 _,.ニ、ー-、!;: -‐二 ̄彡′
',、、ヾ三三'" ̄ ̄ `ー‐" ヾ-'" .〉′ 麻呂は「今日は日曜日だなあ」と思いました。
ヽ ヽヾ三,' :::..,. -‐- 、 _,,..-‐、、,' 思っているだけで、要求はしている訳ではありません。
`ー',ミミ ::.弋ラ''ー、 i'"ィ'之フ l しかし、麻呂は「今日は日曜日だなあ」と思っていたのでした。
/:l lミミ ::::.. 二フ´ l ヽ、.ノ ,'
,.-‐フ:::::| |,ミ l /
/r‐'":::::::::| |ヾ /__. l /
_,. -‐"i .|::::::::::::::::::',.',. \ ⌒ヽ、,ノ /ヽ,_
" l ヽ:::::::::::::::::ヽヽ. \ _,_,.、〃 /l | ___,. -、
',\\:::::::::::::::ヽ\ \ 、. ̄⌒" ̄/:::::| | ( ヽ-ゝ _i,.>-t--、
\\\;::::::::::::\\ `、.__  ̄´ ̄/::::::::::l | `''''フく _,. -ゝ┴-r-、
ヽ \`ー-、::::::ヽ ヽ  ̄フフ::::::::::::::ノ ./ ,.-''"´ / ̄,./´ ゝ_'ヲ
`ー-二'‐┴┴、__/‐'‐´二ー'".ノ / _,. く / ゝ_/ ̄|
 ̄`ー─--─‐''" ̄ / にニ'/,.、-t‐┴―'''''ヽ
/ / .(_ヽ-'__,.⊥--t-⊥,,_
/ / /  ̄ ) ノ__'-ノ
/ / ゝニ--‐、‐ |
/ /‐<_ ヽ |ヽ
- 308 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 20:57:43 ID:tExQ2hJIO
- まwwwろwww
- 309 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:13:04 ID:0d1J9tdoO
- ごきげんよう、僕です。
ttp://letas.en-grey.com/Entry/105/
まとめてくださってます、ありがとうございます。
(´・_ゝ・`) デミタス・ポルトロン
32歳割とイケメン、身長185cm、魔導師先生。
ミセ*゚ー゚)リ ミセリ・アンジェニュ
12歳ロリ、身長130cm、明るい戦災孤児。
(‘_L’) フィレンクト・イネクプレシフ
32歳無表情、身長190cm、ニート戦士。
http://imepic.jp/20120304/757820
- 310 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:16:28 ID:0d1J9tdoO
-
行く道は様々、賑やかな街や静かな村。
時には冷たい風を、時には暖かな風を受けて歩いて行く。
周囲にはいつも移り変わり続ける景色。
聞こえるのは人の声や風の音、喧騒も静けさも耳へと流れ込む。
石畳を踏み、土を踏み、景色の中を渡り歩くのは、三人。
一人はどこか情けない顔をした、人の良い魔導師。
もう一人は、表情を浮かべず自由に振る舞う戦士。
その二人の間に居るのは、明るく元気な女の子。
【旅のようです】
【四話 おい、休憩しろ】閲覧注意
彼らの間にはいつも、穏やかでいて賑やかな空間が存在する。
- 311 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 21:16:51 ID:tExQ2hJIO
- wktk
- 312 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:18:18 ID:0d1J9tdoO
-
わたしは今、洞窟に居ます。
じめじめと薄暗い空間、妙にひんやりしていて水っぽい空気。
植物は岩肌に生える苔やキノコ、ぼんやりと光るそれらのお陰で道が照らされている。
先頭に先生、その後ろにわたし、最後尾にはおっちゃん。
先生は地図を見ながら、ランタン片手に先を歩く。
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、もう洞窟入って三日目だけど」
(´・_ゝ・`)「今日には出られるよ」
ミセ*゚ー゚)リ「あーよかった……じめじめして苦手だなぁ、洞窟」
(‘_L’)「食う物が無いな」
(´・_ゝ・`)「まあキノコくらいしか無いね」
ミセ*゚ー゚)リ「……ところでせんせ、この光るキノコ食べられるの?」
(´・_ゝ・`)「食べられるよ」
ミセ*゚ー゚)リ「マジか」
(´・_ゝ・`)「その代わり、食べたらお腹で光るけ」
(‘_L’)ボヤァ
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)
- 313 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:20:45 ID:0d1J9tdoO
-
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、おっちゃんのお腹が光ってる」
(´・_ゝ・`)「うん、今見た」
ミセ*゚ー゚)リ「味はどうだった?」
(‘_L’)「普通」
ミセ*゚ー゚)リ「…………せんせ、トイレ行ったらこれどうなるの」
(´・_ゝ・`)「光るよ」
(‘_L’)「光るうんこか……」
ミセ*゚ー゚)リ「見たいけど見たくないなそれ……」
(´・_ゝ・`)「普通に見たくないよそれ……」
(‘_L’)「嫌でも見る事になるんだが」
(´・_ゝ・`)「人の話を聞かずに食べるから」
(‘_L’)「食えると聞いたら食わねばならんと」
(´・_ゝ・`)「その発想はおかしい」
- 314 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 21:20:55 ID:.jcu/4U2O
- www
- 315 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 21:22:10 ID:bL5D72akO
- 絵が微妙に変わってるー
- 316 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:22:30 ID:0d1J9tdoO
-
ミセ*゚ー゚)リ「面白いもの無いなー……つまんないなー」
(´・_ゝ・`)「勉強するにも洞窟で出来る事はしつくしちゃったからね」
ミセ*゚ー゚)リ「気温が低いとかー、滑りやすいとかーキノコが光るとかー」
(´・_ゝ・`)「地下洞窟だから日差しは無いし、居心地は悪いね」
ミセ*゚ー゚)リ「んもー洞窟やだなー……森のが良いや……」
(‘_L’)「そんなに変な森に行きたかったのかお前」
ミセ*゚ー゚)リ「悪くない」
(´・_ゝ・`)「いや良くもない」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせー何か面白い事ないー?」
(´・_ゝ・`)「面白い事か……そうだなぁ」
(‘_L’)「魔物が出るとか」
(´・_ゝ・`)「面白いかなそれ」
- 317 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:24:10 ID:0d1J9tdoO
-
(‘_L’)「いや、そこに居る」
(´・_ゝ・`)「ん? ……ああ本当だ、メラ」
(‘_L’)「そんなあっさりと」
(´・_ゝ・`)「だってただのスライムだったし」
ミセ*゚ー゚)リ「あれ、せんせこれ何?」
(´・_ゝ・`)「んー……あ、お金だね」
ミセ*゚ー゚)リ「スライムが落としたの?」
(´・_ゝ・`)「みたいだね」
ミセ*゚ー゚)リ「何で小銭ドロップするの?」
(´・_ゝ・`)「魔物は光り物を集める習性が結構あるからね、前に通った人が落としたのかも」
ミセ*゚ー゚)リ「へー、それを拾ってるのか……」
(‘_L’)「敵が金を落とすのにも理由があったんだな」
- 318 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:26:11 ID:0d1J9tdoO
-
ミセ*゚ー゚)リ「……お、何だあれ」
(‘_L’)「箱だな」
ミセ*゚ー゚)リ「開けても良い?」
(´・_ゝ・`)「気を付けてね、横から開けて」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい……っと、罠なーし」
(´・_ゝ・`)「魔物も住んでなかったね」
(‘_L’)「お、金だ」
ミセ*゚ー゚)リ「わお、千円だ」
(‘_L’)「いわゆる宝箱だな」
ミセ*゚ー゚)リ「しょっぱい宝」
(‘_L’)「そんなドライな」
ミセ*゚ー゚)リ「何でこんな箱あるの? 魔物?」
- 319 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:28:27 ID:0d1J9tdoO
-
(´・_ゝ・`)「んー……ああ、箱に国の紋章が彫ってある、訓練コースだったんだね」
(‘_L’)「あー、冒険者育成のアレか」
ミセ*゚ー゚)リ「お、なになに?」
(´・_ゝ・`)「国が新人冒険者の訓練のために、洞窟とかに仕掛けやアイテムを設置してたんだ」
(‘_L’)「この洞窟がその訓練のコースにあったんだな、この箱は新人が取りこぼした分」
ミセ*゚ー゚)リ「へー、そんなのあったんだ……これ貰って良いの?」
(´・_ゝ・`)「良いよ、手に入れた物は各自の自由に出来る」
(‘_L’)「新人冒険者育成コースってもう無いだろ」
(´・_ゝ・`)「無いね、僕らが若い頃に廃止された、今は別の体験実習があったはず」
ミセ*゚ー゚)リ「何か本当に生々しいなー……」
(´・_ゝ・`)「まあダンジョンに宝箱なんて普通は無いからね」
(‘_L’)「あったとしたらこう言う取りこぼしか、魔物が集めてた分か」
ミセ*゚ー゚)リ「宝箱開けるのに抵抗覚えるわ……」
- 320 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:30:34 ID:0d1J9tdoO
-
(´・_ゝ・`)「ミセリ君はあんまりそう言うのは知らないからね」
ミセ*゚ー゚)リ「うーん、国の主催したやつとかは一般人には関係無いからなぁ」
(´・_ゝ・`)「一応は一般参加も出来るけど、有名なイベントじゃないしね」
(‘_L’)「そういや昔参加したな」
ミセ*゚ー゚)リ「どんな結果だった?」
(‘_L’)「他の参加者をちぎっては投げちぎっては投げ」
_,
ミセ;゚д゚)リ「なにしてんの!?」
(‘_L’)「早い者勝ちなのに俺が取った分に文句言うからつい」
_,
ミセ;゚д゚)リ「ああ、それは……」
(´・_ゝ・`)「フィレンクト、そのイベントは早い者勝ちじゃなくて個数決まってた様な」
(‘_L’)「マジか」
(´・_ゝ・`)「寧ろ早さを競うイベントだった様な」
(‘_L’)「だから失格だったのか……」
_,
ミセ;゚д゚)リ(駄目だこの大人……)
- 321 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:32:10 ID:0d1J9tdoO
-
(‘_L’)「お前は参加してたのか、あのイベント」
(´・_ゝ・`)「僕は魔導師部門だから呪文の早唱えだった」
(‘_L’)「何それ地味」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせの順位は?」
(´・_ゝ・`)「二位だったよ、一位と圧倒的な差があったけど」
ミセ*゚ー゚)リ「……一位ってもしかして」
(´・_ゝ・`)「うんドクオさん、あの人完璧に呪文暗記してるんだもん」
ミセ*゚ー゚)リ「でも普通は暗記するんじゃないの?」
(´・_ゝ・`)「平均五分かかるような長文暗唱」
_,
ミセ;゚д゚)リ「なっげぇ!!」
(´・_ゝ・`)「それを早口かつそらで唱えきって堂々の二分三十秒だった」
_,
ミセ;゚д゚)リ「きめぇ!!」
- 322 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 21:32:35 ID:tExQ2hJIO
- 人の話はちゃんと聞こうぜ
- 323 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:34:56 ID:0d1J9tdoO
-
(´・_ゝ・`)「ドクオさんは色々と人智を越えてるからなぁ……」
_,
ミセ;゚д゚)リ「さすがは生きるチート……」
(´・_ゝ・`)「唱え終わってから倒れてたけど」
_,
ミセ;゚д゚)リ「体力ねぇ!!」
(‘_L’)「あの人確かその後で大会出禁になってなかったか」
(´・_ゝ・`)「なった、優勝かっさらい過ぎて」
(‘_L’)「いくつ持っていったか、優勝」
(´・_ゝ・`)「魔導大会、クイズ、詠唱、あと何だっけな……総合成績も独走してた」
(‘_L’)「…………キモいな」
(´・_ゝ・`)「否定しきれないレベルの実力だとは思う」
('A`)「えっきし!」
川 ゚ -゚)「また風邪ですかご主人様、キモいですよ」
('A`)「え、どんな言いぐさなのそれ」
- 324 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:37:04 ID:0d1J9tdoO
-
ミセ*゚ー゚)リ「ふーん、冒険者育成かぁ……」
(´・_ゝ・`)「気になる?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、ちょっとやってみたい」
(´・_ゝ・`)「じゃあそのつもりで、この洞窟を越えようか」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
(´・_ゝ・`)「本来ならソロプレイだけど、今回は教師付きって事で」
ミセ*゚ー゚)リ「んーと、どうすれば良いの?」
(´・_ゝ・`)「いかに被害を抑えて安全かつ早く洞窟を抜けるかだね」
ミセ*゚ー゚)リ「む、これじゃさっきとかわんない」
(´・_ゝ・`)「そんなもんだよ、僕らは出来るだけ黙って見ておくから自分のやりたいように」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい、罠とかも残ってるかも知んないから気を付けなきゃね」
(´・_ゝ・`)「そうそう、注意して色々見てね」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい! 頑張るぞー!」
(‘_L’)「腹減った」
ミセ*゚ー゚)リ「わーい台無しだぁ!」
- 325 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:38:53 ID:0d1J9tdoO
-
(´・_ゝ・`)「フィレンクト、少し空気を読もうか」
(‘_L’)「空腹に無茶を」
(´・_ゝ・`)「いやそうかも知れないけど」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんはわたしの成長を妨げるのか……」
(‘_L’)「胸の成長が悪いのは俺のせいではない」
ミセ*゚ー゚)リ
(‘_L’)
ミセ*゚ー゚)リ「渦なす生命の色、七つの扉開き力の塔の天に到らん! アルテマ!!」
(‘_L’)「アルテマ!?」
(´・_ゝ・`)「しかしMPが足りない」
ミセ*゚ー゚)リ「命拾いしましたね、今日はMPが足りない様だ」
(‘_L’)「一瞬素で焦った……」
- 326 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:41:15 ID:0d1J9tdoO
-
ミセ*゚ー゚)リ「と言うか前も言ったよね、わたしこれからだから、ね?」
(‘_L’)「あーはいはい」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「震えろ、命つなぎ止める光、力の塔となれ! 完全アルテマ!!」
(‘_L’)「完全アルテマ!?」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、いちいちそんなガチ詠唱しないの」
(‘_L’)「どんな教育してるんだお前は、教師も教師なら生徒も生徒か」
(´・_ゝ・`)「大地の怒りがこの腕を伝う! 防御あたわず! 疾風、地裂斬!!」ゴッ
(‘_L’)「痛い!!」
(´・_ゝ・`)「余計な事を言うから」
(‘_L’)「本の角で殴っただけだぞ今の!?」
(´・_ゝ・`)「僕が拳術を使えるわけもなく」
(‘_L’)「まあそうだけど」
- 327 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:42:44 ID:0d1J9tdoO
-
(´・_ゝ・`)「はいはい、もうしょうがないから休憩しよう」
ミセ*゚ー゚)リ「んもー、早く抜けたいのにー」
(´・_ゝ・`)「お腹も空いてきたし丁度良いよ、お昼にしよう」
ミセ*゚ー゚)リ「はぁーい」
(‘_L’)「飯何だ」
(´・_ゝ・`)「早い者勝ちのおにぎり」
(‘_L’)「いただいたッ!!」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「あーっ! おっちゃんズルい! またせんせのおにぎり独り占めした!!」
(‘_L’)「うっめ超うっめぇ」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「せーんーせーぇー!!」
(´・_ゝ・`)「はいはい、こっちのパンで我慢して、また作るから」
_,
ミセ#゚皿゚)リ「うぅぅぅぅぅぅ……おっちゃんのばーかばーか! ほーも!!」
(‘_L’)「知るか超うめぇ」
(´・_ゝ・`)「いや待て最後の罵りがおかしい、面倒でも否定して」
(‘_L’)「飯うめぇ」
(´・_ゝ・`)「否定して!! そう言うアレだと思われたくない!!」
- 328 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 21:43:35 ID:fW7GBEeQ0
- そういや習ってたな
- 329 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:44:23 ID:0d1J9tdoO
- _,
ミセ#゚−゚)リ「もうほもは知らん、せんせごはん」
(´・_ゝ・`)「ねぇやめてよホモホモ言うの……僕そっちの趣味ないよ……」
(‘_L’)「別にお前は言われてないぞ」
(;´・_ゝ・`)「そうだけど嫌です! 町中で言われたらもう滞在できない!!」
(‘_L’)「別にどうでも良い」
(;´∩_ゝ∩`)「無頓着過ぎる!!」
(‘_L’)「別に良いだろ、そう言う趣味の人間は世の中には意外と居るだろうし」
(´・_ゝ・`)「そうだけど事実ではない事でつつかれたくない」
(‘_L’)「なるほど」
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)「えっ、何? その真顔」
(‘_L’)「デミタス」
(´・_ゝ・`)「はい」
(‘_L’)「おかわり」
(#´・_ゝ・`)「無いよ!!」
- 330 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:46:13 ID:0d1J9tdoO
-
(´・_ゝ・`)「あーもう疲れた、早速疲れた……さっさと食べて洞窟抜けよう……」
ミセ*゚ー゚)リ「お疲れさませんせ」
(´・_ゝ・`)「取り敢えず君のせい」
ミセ*゚ー゚)リ「てへぺろっ☆」
疲れた顔の先生が紙に包まれたものを鞄から取り出し、わたしに二つ差し出す。
それを受け取り開いてみると、包まれていたのはビスケットサンド。
ローストしたお肉とナッツ、くたびれたレタスが挟まるそれをひとかじり。
少し湿ったビスケットと、脂身の無いお肉の食感は絶妙にもそもそ。
ナッツの歯ごたえにレタスの水分、チーズクリームで多少はマシに感じる。
しかし口の水分を持ってかれる事にかわりはなく、先生が入れてくれたお茶で押し流す。
味はと言うと、特別美味しくもなく不味くもなく、なんとも無難な味でした。
ミセ*゚〜゚)リ「……びみょう」
(´・_ゝ・`)「安いからね」
- 331 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:48:32 ID:0d1J9tdoO
-
もそもそとサンドを食べ終え、もう片方の包みを開く。
同じようなビスケットサンドが姿を見せたけど、こちらは少し甘い匂い。
挟まれているのはブルーベリーが混ざったチーズのクリーム、申し訳程度の果物。
食感は先程よりは幾分マシで、甘酸っぱさがなかなか。
けれどやっぱりご馳走には程遠く、恨みがましくおっちゃんがぱくつくおにぎりを見ていた。
ミセ*゚ー゚)リ「ごちそーさまー」
(´・_ゝ・`)「はいはい、フィレンクトを睨まないの」
_,
ミセ*゚3゚)リ「だーっておっちゃんばっかおにぎり独占してるしー」
(´・_ゝ・`)「なら早い者勝ちで勝てる様になりなさい、またつくってあげるから」
_,
ミセ*゚ー゚)リ「……おっちゃん、次は負けないからね」
(‘_L’)「やってみろ、握り飯は渡さん」
(´・_ゝ・`)「そこまでおにぎりに情熱を注げる君達は何なんだろう」
- 332 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 21:50:01 ID:tExQ2hJIO
- おにぎり争奪戦楽しそう
- 333 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:50:06 ID:0d1J9tdoO
-
ミセ*゚ー゚)リ「せんせってさ」
(´・_ゝ・`)「ん?」
ミセ*゚ー゚)リ「彼女居なかったんだね」
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)「僕をいじめたいの?」
ミセ*゚ー゚)リ「いや、料理上手だから」
(´・_ゝ・`)「ああ……いや、何かおかしい……」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんは彼女居たの?」
(‘_L’)「覚えてない」
ミセ*゚ー゚)リ「どっちだよ」
(‘_L’)「そいつの方が居たぞ」
ミセ*゚ー゚)リ「マジかよせんせ」
(´・_ゝ・`)「まあ若い頃はそれなりに」
ミセ*゚ー゚)リ「何で別れたの?」
- 334 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:52:11 ID:0d1J9tdoO
-
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)「フラれた」
ミセ*゚ー゚)リ「何で?」
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)「仕事ばっかしてたから」
ミセ*゚ー゚)リ「しょうがないね」
(´・_ゝ・`)「しょうがないね」
ミセ*゚ー゚)リ「で、おっちゃんは?」
(‘_L’)「ついていけないってフラれた」
ミセ*゚ー゚)リ「しょうがないね」
(‘_L’)「しょうがないな」
- 335 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:54:09 ID:0d1J9tdoO
-
ミセ*゚ー゚)リ「つかせんせイケメンじゃん、モテないの?」
(´・_ゝ・`)「初めて言われたよそれ」
ミセ*゚ー゚)リ「マジかよ、みんな見る目ねーな」
(‘_L’)「実は昔から言われてた」
ミセ*゚ー゚)リ「マジかよ」
(´・_ゝ・`)「マジかよ」
(‘_L’)「お前アレだ、上級生からも人気あった」
(´・_ゝ・`)「マジかよ……」
(‘_L’)「男の」
:(´∩_ゝ∩`):「ホモかよ!!」
ミセ*゚ー゚)リ「何かホモ多いなー……」
(‘_L’)「まあ男子の寮に居たからな」
- 336 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:56:07 ID:0d1J9tdoO
-
ミセ*゚ー゚)リ「ああ……いやでも学校は共学でしょ?」
(‘_L’)「性別で受ける授業が別れる事は多かった」
ミセ*゚ー゚)リ「ああもうホモだわ」
(‘_L’)「嫌な世の中だな」
(´・_ゝ・`)「フィレンクトの方が男社会だと思うけど」
(‘_L’)「何度か告白された」
(´・_ゝ・`)「男に?」
(‘_L’)「男に」
ミセ*゚ー゚)リ「嫌な世の中だなぁ……」
(‘_L’)「嫌な世の中だな……」
(´・_ゝ・`)「もうやだこのホモの多い世界……」
(‘_L’)「彼女作れよ」
(´・_ゝ・`)「今は別にいらない」
(‘_L’)「俺もだ」
- 337 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 21:57:11 ID:tExQ2hJIO
- 渡る世間はホモばかり
- 338 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 21:58:16 ID:0d1J9tdoO
-
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ将来わたしがお嫁さんになってあげようか」
(´・_ゝ・`)「どっちの?」
ミセ*゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ「生活面で考えてせんせ」
(´・_ゝ・`)「よし」
(‘_L’)「もう無職ではないぞ、戦士になったぞ」
ミセ*゚ー゚)リ「勲章どこにあんの?」
(‘_L’)「パンツにつけてる」
ミセ*゚ー゚)リ「もうその時点で駄目だわ」
(‘_L’)「マジかよ……」
ミセ*゚ー゚)リ「めんどくさいし二人のお嫁さんで良いや」
(‘_L’)「重婚出来たっけ」
(´・_ゝ・`)「無理だね」
- 339 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:00:50 ID:0d1J9tdoO
-
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあせんせ、わたしに彼氏出来たらどうする?」
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)「取り敢えず経歴を聞く」
ミセ*゚ー゚)リ「生々しいよ」
(‘_L’)「取り敢えず骨の2、3本は折る」
ミセ*゚ー゚)リ「怖いよ」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君に恋人か……これから出来たりするんだよなあ……」
(‘_L’)「恋人作ってどうするんだ?」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ…………わかんない」
(‘_L’)「じゃあしばらくは出来んな」
ミセ*゚ー゚)リ「どう言う意味よそれ」
(‘_L’)「恋にすら恋してない奴が恋人とか出来るわけ無いだろ」
ミセ*゚ー゚)リ「うわぁ……おっちゃんが正論っぽい事言った……」
- 340 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:02:51 ID:0d1J9tdoO
-
(´・_ゝ・`)「だって僕は別にそこまで凄い遺伝子でも無いしなぁ」
(‘_L’)「普通そうだしな」
(´・_ゝ・`)「フィレンクトは…………まあ無職だしなぁ……」
(‘_L’)「いや今は戦士だから」
(´・_ゝ・`)「遺伝子で言うとドクオさんの方がヤバい」
(‘_L’)「あれはヤバい」
ミセ*゚ー゚)リ「でもドクオさんって彼女居ないよね」
(‘_L’)「完全無欠の童貞だな」
(´・_ゝ・`)「しれっと言わない」
(‘_L’)「寧ろ性欲あるのかあの人」
(´・_ゝ・`)「…………無いかも」
(‘_L’)「人間として珍しすぎる部類だろ……」
(´・_ゝ・`)「寧ろ人間を越えてるよ……」
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさん……」
- 341 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:04:42 ID:0d1J9tdoO
-
(‘_L’)「まあお前には関係ない話だな」
ミセ*゚ー゚)リ「わたし? 何で?」
(‘_L’)「初潮まだだろ」
ミセ*゚ー゚)リ
(‘_L’)
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん」
(‘_L’)「うん」
ミセ*゚ー゚)リ「死ね」
(‘_L’)「ストレートに言われた」
(´・_ゝ・`)「フィレンクト」
(‘_L’)「うん」
(´・_ゝ・`)「死ね」
(‘_L’)「何かごめん」
- 342 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:06:42 ID:0d1J9tdoO
-
(´・_ゝ・`)「ほら、いつまでも話してないでそろそろ行くよ」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(‘_L’)「おかわり」
(´・_ゝ・`)「無いってば」
ミセ*゚ー゚)リ「……」
(´・_ゝ・`)「どうしたのミセリ君」
ミセ*゚ー゚)リ「ホモについて考えてた」
(´・_ゝ・`)「何でそんなにホモ推しなの? 何で引っ張るのそのネタ?」
ミセ*゚ー゚)リ「気になるお年頃だから」
(´・_ゝ・`)「やめて、男の二人連れを見たら脳内で掛け算する様になりそうだからやめて」
ミセ*゚ー゚)リ「あと身近にホモが居たらネタ的に面白そうだから」
(´・_ゝ・`)「面白さのためにホモを推さないで! 面白くない!」
ミセ*゚ー゚)リ「面白くないかなぁ、結構面白そうだけど」
(‘_L’)「お前もうそっちの素養あるわ」
(;´・_ゝ・`)「腐臭が漂いそうな事はもうやめて!! お嫁さんは女性が良い!!」
- 343 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:08:44 ID:0d1J9tdoO
-
(;´・_ゝ・`)「もう本当にいつまでホモネタ引っ張るの……ほら行くよ……」
ミセ*゚ー゚)リ「でもホモでもロリコンでもないってつまんないよね」
(;´・_ゝ・`)「普通が一番だよ!!」
ミセ*゚ー゚)リ(これだからせんせをからかうのは止められない)
(‘_L’)(ろくでもない事を考えてるんだろうなこいつ)
(;´・_ゝ・`)「ああもう……本当に早く洞窟抜けて宿で休みたい……」
ミセ*゚ー゚)リ「夜這いしていいですかー!」
(;´・_ゝ・`)「駄目に決まってるでしょうが!!」
(‘_L’)「いいですかー!」
(´・_ゝ・`)「死ね」
(‘_L’)「精一杯ボケに乗ったんだからちゃんと突っ込めよ……」
(´・_ゝ・`)「流れ的に色んな意味で洒落にならないから死ね」
ミセ*゚ー゚)リ「それはダメだよおっちゃん、言って良い事と悪い事があるよ」
(‘_L’)「えぇ……」
- 344 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:10:15 ID:0d1J9tdoO
-
(´・_ゝ・`)「はいはいもうホモ禁止、僕は普通の女性のお嫁さんが欲しいです」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあもう四年くらい待ってね」
(´・_ゝ・`)「はいはい」
ミセ*゚ー゚)リ「む、本気にしてないな」
(´・_ゝ・`)「はいはい」
ミセ*゚ー゚)リ「もう四年もしたらナイスバディになるからね!!」
(‘_L’)「ミセリ、世の中には言って良い嘘と悪い嘘がある」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「どう言う意味だこらぁ!!」
(‘_L’)「お前がBカップ以上になる未来なんぞ存在しない、嘘は言うな」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「か、勝手にわたしの未来を決めるなぁあああああ!!」
(‘_L’)「定められた未来だ、諦めろ」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「未来は自分の手で掴み取るものだよ!!」
(´・_ゝ・`)「地図地図っと……よし、道はこっちか」
- 345 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:12:23 ID:0d1J9tdoO
-
(´・_ゝ・`)「二人とも、洞窟で話のネタも何も見つからないからって下ネタに走らないで」
(‘_L’)「他にネタが無い」
ミセ#゚ー゚)リ「胸に関しては謝って」
(‘_L’)「さーせんっしたー」
ミセ#゚ー゚)リ
(‘_L’)
< 秘孔拳!!
< たわば!!
(´・_ゝ・`)「ランタンの油は……まだ十分あるね、はい出発ー」
ミセ#゚ー゚)リ「はーい」
(#)_L’)「はーい」
- 346 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:14:17 ID:0d1J9tdoO
-
(´・_ゝ・`)「地図を見るからにもう少しではあるんだけどなぁ……」
ミセ*゚ー゚)リ「夜までには抜けるっしょ」
(´・_ゝ・`)「まあね、でも夜に抜けても宿が見つかるかどうか」
ミセ*゚ー゚)リ「あー……野宿だと風邪引くかな」
(´・_ゝ・`)「それは大丈夫だと思う、こっちの方は気温が高いから」
ミセ*゚ー゚)リ「そうなの?」
(´・_ゝ・`)「うん、熱源があるからね、いつでも夏」
ミセ*゚ー゚)リ「……つまり冬だけど泳げるって事?」
(´・_ゝ・`)「そう言う事、水着でも買おうか」
ミセ*゚ー゚)リ「よっしゃー! 海だー!!」
(‘_L’)「ただのでかい水溜まりだろ?」
ミセ*゚ー゚)リ「夢も希望もロマンも無いねおっちゃん……」
- 347 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 22:15:37 ID:tExQ2hJIO
- フィレンクトはもうちょっと空気読もうぜ
そこが良いんだけど
- 348 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:16:51 ID:0d1J9tdoO
-
(‘_L’)「しかも水飲めないんだろ」
(´・_ゝ・`)「飲んでみる? そこらへんの水溜まりはしみだした海水だけど」
(‘_L’)「どれどれ」
(´・_ゝ・`)「さ、行こうかミセリ君」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(‘_L’)「しょっぺぇ!!」
(´・_ゝ・`)「当然の結果なのに……」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん……」
(‘_L’)「この水で煮物とかしたら塩がいらないんじゃないか」
(´・_ゝ・`)「雑菌とか居るよ」
(‘_L’)「煮沸消毒で」
(´・_ゝ・`)「塩が出来るね」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「エコだな」
(´・_ゝ・`)「エコかなぁ……」
- 349 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:18:45 ID:0d1J9tdoO
-
ミセ*゚ー゚)リ「まず火を焚くからエコじゃなくない?」
(‘_L’)「ああ、そうか」
(´・_ゝ・`)「エコの定義がよくわからない」
ミセ*゚ー゚)リ「どうでも良いけどさっきからちらほら魔物出てきてる」
(´・_ゝ・`)「うん、そうだね」
(‘_L’)「技名も言わずにメラ撃つの止めろよ」
(´・_ゝ・`)「アギラオ」
(‘_L’)「デビチルやってるからって!」
(´・_ゝ・`)「ブフーラ」
(‘_L’)「寒い!」
(´・_ゝ・`)「実は未だにどの魔法がどの属性か分かってない」
(‘_L’)「お前もう終盤まで進んでただろ……」
- 350 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:20:35 ID:0d1J9tdoO
-
ミセ*゚ー゚)リ「せんせさ、普通の魔導師なんだよね?」
(´・_ゝ・`)「うん、普通」
ミセ*゚ー゚)リ「何で時々えげつない魔法とか覚えてるの?」
(´・_ゝ・`)「君と同じ理由だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「なんだ大魔導師か」
(´・_ゝ・`)「そうそう大魔導師」
(‘_L’)「だから敵しか撃てないのも撃てたのか……」
(´・_ゝ・`)「あとは人より少し多目に魔力溜められるだけ」
ミセ*゚ー゚)リ「それは生まれつき?」
(´・_ゝ・`)「うん、だから学費免除して貰ってた」
ミセ*゚ー゚)リ「なるほど、素質があると認められたんだね」
(´・_ゝ・`)「フィレンクトは何でだっけ」
- 351 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:22:13 ID:0d1J9tdoO
-
(‘_L’)「俺は身体能力」
(´・_ゝ・`)「ああ、昔から運動神経は良かったもんね」
(‘_L’)「体力と足の早さでは上位だった」
(´・_ゝ・`)「逃げ足とかね」
(‘_L’)「よく教師に追い回された」
(´・_ゝ・`)「それは君の態度の問題」
(‘_L’)「鎧の中にカエル入れたくらいでガチギレしなくても良いのにな」
(´・_ゝ・`)「それは怒るわ」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんがされたらどうする?」
(‘_L’)「兜を被せて鉄パイプで殴る」
(´・_ゝ・`)「フィレンクト……」
ミセ;゚ー゚)リ「鬼畜の所業だ……」
- 352 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:24:14 ID:0d1J9tdoO
-
わいのわいのと盛り上がる雑談。
先生はつまらないだの、おっちゃんは問題児だの。
平和に洞窟を抜けられそうだなと思ったわたしの視界に、何かが入り込む。
ふとその方向へ目を向ければ、道の先にぽてんと転がる茶色い何か。
遠目に見ればただの毛玉で、動いている様子は無い。
先生とおっちゃんが掴み合いをしているので、わたしは一人それに近付いてみる。
ミセ*゚ー゚)リ「なんだこりゃ……毛玉?」
茶色くて、わたしの頭くらいの大きさをした毛玉。
爪先でつんつんとつついてみれば、突然もこもこと動き出した。
ひょこ、と毛の間から目が見える。
手足は無いけどぽよぽよと跳ねて、わたしの爪先を押し返す。
ミセ*゚ー゚)リ「? …………せんせー、何これー?」
- 353 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:26:13 ID:0d1J9tdoO
-
わたしが先生を振り返って問い掛けると、先生は驚いた顔でこちらへ駆け寄る。
足元の毛玉を見下ろすと、大きく口を開けてわたしを狙っていて。
驚き後ずさるよりも早く、誰かに襟首を思いきり引っ張られた。
がちん、と空を噛む毛玉の歯。
わずかに飛び散る赤い何かと、背中から倒れ込むわたし。
ミセ;゚−゚)リ「な……なに、あれ……」
(;´・_ゝ・`)「ミセリ君! 怪我は!?」
ミセ;゚−゚)リ「無い、だいじょぶ…………っせんせ血ぃ出てる!!」
(;´・_ゝ・`)「大丈夫、これくらいな……らっ!」
ミセ;゚−゚)リ「ッ!」
先生がわたしを背中から抱え込み、毛玉を思いきり蹴飛ばす。
呻き声をあげて弾き飛ばされた毛玉に、先生はわたしを立たせて下がらせる。
駆け寄ってきたおっちゃんに保護され、わたしは安全圏へと移動。
- 354 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:28:17 ID:0d1J9tdoO
-
(‘_L’)「おいデミタス! 何だあれは!」
(;´・_ゝ・`)「下級に見えるけど、実際は狂暴な上級魔物……ッ……いたた」
ミセ;゚−゚)リ「せ、せんせ怪我治さなきゃ!」
(;´・_ゝ・`)「それより先に、あいつを何とかしなきゃね……何でこんな所に……」
先生が立ち上がり、かすり傷のついた頬から流れる血を拭う。
そんな先生に駆け寄ろうとしたら、おっちゃんに腕を捕まれて動けない。
危ないからだろうと分かってはいるものの、その手を振り払おうで腕を振るった。
蹴飛ばされた毛玉がまた跳ねて、こちらへと向かってくる。
それを迎え撃とうと、火球を手の中に作り出す先生。
しかし大きく跳び跳ねた毛玉は、突然、ぶわりと大きく膨れ上がって。
ミセ;゚−゚)リ「せんせぇっ!?」
弾ける様に、毛玉は大量に増殖した。
- 355 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:31:04 ID:0d1J9tdoO
-
(;´・_ゝ・`)「ッ────!?」
声も無く、驚愕に目を見開く先生。
大量の毛玉に襲い掛かられ、倒れ込んで。
何かがちぎれる音がした。
ミセ;゚−゚)リ「…………ぇ……」
(‘_L’)「デミタスッ!!」
ミセ;゚−゚)リ「おっちゃん……あれ、ねぇ…………なに、あれ……」
(‘_L’)「ッ……見るな! そこに居ろ!!」
毛玉が先生に群がり、抵抗も出来ないその身体を蹂躙する。
まるで無力な状態の先生は、あちこちを噛まれて、かじられて、血が噴き出して。
わたしを離したおっちゃんと、わたしの足元に、何かが転がった。
- 356 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:32:30 ID:0d1J9tdoO
-
それは、いつもわたしの頭を撫でてくれていたもの。
わたしを抱き締めてくれたもの。
わたしの涙を拭ってくれたもの。
ミセ; − )リ「ぁ…………あ……」
わたしはその場にへたりこみ、先生の腕を抱き上げた。
力無くぐったりと、まだ暖かい先生の腕。
噛み切られた断面からは、血がぼたぼたとこぼれ落ちる。
唇を震わせて、わたしはなにも言えなくて、ただ見開いた目から、涙があふれた。
ミセ; − )リ「せん、せ……うそ…………うそ……」
先生はわたしを残して死なないって、約束した。
http://imepic.jp/20120304/758130
- 357 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 22:33:25 ID:tExQ2hJIO
- いやああああもげたあああああああ
- 358 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:34:14 ID:0d1J9tdoO
-
おっちゃんが弾けた様に走り出し、毛玉を思いきり蹴散らす。
先生に群がる毛玉を殴って、ちぎって、放り投げて、必死に先生を救いだそうとして。
(‘_L’)「デミタス! デミタスッ!!」
(;´ _ゝ `)「フィレ……ク、ト…………」
(‘_L’)「デミタスッ!!」
(;´ _ゝ `)「ミセリ君……は……」
(‘_L’)「ッ……無事だ! お前が守った!!」
(;´ _ゝ `)「そ、か……良か……た……」
(‘_L’)「こいつら……ッ!!」
腰から下げた剣を、鞘から抜く。
しかしその手を、弱々しく押さえる手。
- 359 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:36:22 ID:0d1J9tdoO
-
(;´ _ゝ `)「駄目……あれは……毒が……」
(‘_L’)「ッ、だったら……」
(;´ _ゝ `)「早く、ミセリ君を……連れ、……逃げ……」
(#‘_L’)「ふざけるなッ!! あいつの保護者はお前だッ!!」
(;´ _ゝ `)「け、ど……」
おっちゃんの背中、力無く投げ出された先生の手足。
かじられたのか、剥き出しになった肉と骨。
お腹から溢れる血、臓物、咳き込む先生の鼻と口からも血が流れて。
わたしは、頭が急激に冷えて行くのを感じた。
わたしの先生。
わたしだけの先生。
わたしだけの家族。
先生を悲しませるものも、傷付けるものも、わたしは絶対に許さない。
絶対に、絶対に、
- 360 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 22:37:55 ID:tExQ2hJIO
- ミセリ覚醒くる?
- 361 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:39:03 ID:0d1J9tdoO
-
ミセ − )リ「せん、せ……を……」
(‘_L’)「ミセリ……ッ馬鹿が、見るなッ!!」
ミセ − )リ「ゆ、さな……ぜったい…………ぜったい…………」
(‘_L’)「……ミセリ、?」
先生の腕を抱き締める手に、熱がこもる。
全身が熱くて熱くて燃え尽きてしまいそうなのに、頭だけが嫌ってくらいに冷たくて。
ミセ# Д )リ「先生を傷付けるものなんて…………ッわたしが全部全部壊してやるんだからぁああああああッ!!!!」
(;‘_L’)「なッ!?」
わたしの怒号と共に舞い上がるのは、炎の渦。
全てを飲み込む様に沸き上がった渦は、わたしを中心に広がった。
おっちゃんと先生を傷付ける事は無く、ただ岩壁と地面を焦がして毛玉を燃やす。
- 362 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:40:19 ID:0d1J9tdoO
-
しばらくの間、いいや数秒かも知れない、視界は炎によって真っ赤に染まった。
けれどその炎は突然すべてかき消えて、その代わり、わたしの体から力が抜ける。
どさりとその場に崩れ落ちたわたしは、意識はあっても体は動かせなくて。
(;‘_L’)「おいミセリッ! ミセリッ!?」
(;´ _ゝ `)「ミセ、リ……く……」
先生とおっちゃんの声が、徐々に遠退く。
ああ、でも、先生の声。
先生の声が、ちゃんと聞こえる。
わたしは、先生を守れたのかな。
わたしだけの先生を、わたしは、
意識はぷつりと途切れる様に、暗転した。
- 363 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 22:41:53 ID:xCpRYA3Y0
- マダンテか?!
- 364 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:42:07 ID:0d1J9tdoO
-
(;‘_L’)「こいつら……ッアホか!!」
ミセリが突如炎を巻き上げたかと思えば、ぱたりと倒れて意識を失った。
血を吐きながら震えるデミタスとミセリを交互に見やり、フィレンクトは立ち上がる。
腰から下げた剣をすらりと抜き、睨み付けるのは生き残った毛玉。
炎に怯んだ毛玉に向かって剣を振り上げ、横凪ぎにそれを斬り伏せる。
斬られた毛玉は体内から毒液を吐き出すが、ひょいとかわして一歩下がり、再び剣を構えて。
(;‘_L’)「……このアホ共を、さっさと連れて出ねば……ッ!」
ぽつりと呟き、毛玉共を容易く一掃。
毒があると知らずに突っ込めば、危なかったかも知れない。
しかしデミタスが譫言の様に与えてくれた知識は、それを回避させた。
どこまでも生真面目な奴だと剣を振るって血を飛ばし、鞘に納める。
(;‘_L’)「おいデミタス! 意識は…………デミタスッ!?」
- 365 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:44:04 ID:0d1J9tdoO
-
倒れるその肩を揺するが、反応は無い。
改めて傷を見れば、腹や脚を食い破られて血肉も臓物も、骨も覗いていて。
その傷は、まるで毒に侵された様に、紫色に変色していた。
(; _L )「…………マジかよ」
冷たい汗が頬を流れ、頭を冷やす。
慌てて首に巻いていたマフラーをデミタスの傷に巻き付けて、背中に背負う。
食い千切られたデミタスの腕を抱くミセリを小脇に抱えて、荷物を全て持ったかを確認。
最初の衝撃で外れたのか、ミセリの髪飾りが落ちているのを見付け、荷物の中に突っ込む。
そして忘れ物が無い事を確認するや否や、フィレンクトは勢い良く走り出した。
背中にかかる重さ。
暖かさを感じられない重量に、背筋が冷える。
呼吸音もごく小さく、ぐったりと力がまるで入っていない事が分かる。
- 366 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:46:10 ID:0d1J9tdoO
-
これは、思ったよりも危ないかもしれない。
傷だけなら町に急いで、ある程度は治す事が出来る。
しかしどうやら、デミタスは毒にやられている。
毒を治療する施設はあるのか、あったとしても解毒薬はあるのか。
もし毒の治療が出来なかったらどうする。
毒には種類がある、解毒薬も魔法も万能ではない。
ミセリは恐らく気を失っただけだが、デミタスは。
嫌な予感が思考を支配し、足の動きを加速させる。
途中に居た魔物を蹴散らし、息を荒くしてただただ走った。
早く早く町に行かなければ、ここを抜けなければ。
大丈夫、大丈夫だ、足には自信がある、足の早さで負けた事など一度もない。
ああでも、だけど。
この馬鹿が死んだら、誰が俺とミセリの世話をする。
誰が俺達の隙間を埋めてくれる、誰が満たしてくれると言うんだ。
- 367 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:48:10 ID:0d1J9tdoO
-
死なせるわけにはいかない。
たとえ腕が無かろうと、生きて貰わなければ困る。
腕が無ければ俺達がその腕になる。
足が無ければ俺達が背負って歩く。
(; _L )「クソが……ッ死ぬなよバカ共ッ!!」
孤独にはもう堪えられない。
この二人と共にした時間は失いたくない。
デミタスが死ねば、ミセリは二度と笑わない。
俺だって、もう二度と楽しいと思えない。
だから、どうか、誰でも良い。
俺達を救ってくれ。
おわり。
- 368 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 22:48:58 ID:tExQ2hJIO
- えっ
えっ
- 369 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/04(日) 22:49:07 ID:0d1J9tdoO
- 本日はここまで。
次回は来週にでも投下出来れば良いなと思ってます。
それでは、これにて失礼!
- 370 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 22:50:15 ID:tExQ2hJIO
- 此処で終わりかよおお乙ううう
来週早く来い
- 371 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 22:50:42 ID:xCpRYA3Y0
- おっつー!!
- 372 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 23:01:08 ID:bL5D72akO
- いずれなんか来るとは思っていたががが……
乙
- 373 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 23:24:11 ID:iMUD.V7kO
- おつです
塔がぐろくなかったからちょっと油断してた
ホモネタ閲覧注意だと思ってた
- 374 :名も無きAAのようです:2012/03/04(日) 23:57:44 ID:Z6mlt9m6O
- あうううあう
やっぱり閲覧注意キター
乙です
- 375 :名も無きAAのようです:2012/03/05(月) 02:23:02 ID:rTcSNGQ20
- おつー!
やっぱりきたか!
- 376 :名も無きAAのようです:2012/03/05(月) 05:14:15 ID:ZJGPds/Y0
- ここで切るとか鬼畜か!
- 377 :名も無きAAのようです:2012/03/05(月) 13:11:29 ID:6L2ymMmk0
- ドクオさんならザオリクを……
- 378 :名も無きAAのようです:2012/03/05(月) 13:26:56 ID:2urcnHj60
- ミセリがゴハンちゃんになっちまっただ!
- 379 :名も無きAAのようです:2012/03/05(月) 16:30:37 ID:xR9bQAvIC
- 続きが気になりすぎる
デミタス…確かにドクオなら何とか…
- 380 :名も無きAAのようです:2012/03/09(金) 18:56:37 ID:/psyWMdA0
- そろそろあげ
- 381 :名も無きAAのようです:2012/03/09(金) 22:29:08 ID:Lqlpv0bE0
- まだだ、まだ麻呂の出番じゃない
- 382 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 20:36:06 ID:gGpacVDs0
- l三`ー 、_;:;:;:;:;:;:j;:;:;:;:;:;:_;:;:;_;:?-三三三三三l
l三 r=ミ''‐--‐';二,_ ̄ ,三三三彡彡l_ この感じ・・・・
lミ′  ̄ ー-'" '=ミニ彡彡/‐、ヽ
l;l ,_-‐ 、 __,,.. - 、 彡彡彳、.// 投下か・・・・
_______∧,、_? `之ヽ、, i l´ _,ィ辷ァ-、、 彡彡'r ノ/_ ______
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'`'` ̄ 1  ̄フ/l l::. ヽこ~ ̄ 彡彳~´/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ´ :l .l:::. 彡ィ-‐'′
ゝ、 / :. :r-、 彡′
/ ィ:ヘ `ヽ:__,ィ='´ 彡;ヽ、
_,,..-‐'7 /:::::::ヽ _: :_ ヽ ィ´.}::ヽ ヽ、
_,-‐'´ { ヽ:::::::::ヘ `'ー===ー-- ' /ノ /::::::ヘ, ヽー、
- 383 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:17:08 ID:xloB2HyIO
- ごきげんよう、僕です。
ttp://letas.en-grey.com/Entry/105/
まとめてくださってます、ありがとうございます。
(´・_ゝ・`) デミタス・ポルトロン
32歳割とイケメン、身長185cm、魔導師先生。
ミセ*゚ー゚)リ ミセリ・アンジェニュ
12歳ロリ、身長130cm、明るい戦災孤児。
(‘_L’) フィレンクト・イネクプレシフ
32歳無表情、身長190cm、ニート戦士。
ttp://imepic.jp/20120311/764260
- 384 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:19:53 ID:xloB2HyIO
-
行く道は様々、賑やかな街や静かな村。
時には冷たい風を、時には暖かな風を受けて歩いて行く。
周囲にはいつも移り変わり続ける景色。
聞こえるのは人の声や風の音、喧騒も静けさも耳へと流れ込む。
石畳を踏み、土を踏み、景色の中を渡り歩くのは、三人。
一人はどこか情けない顔をした、人の良い魔導師。
もう一人は、表情を浮かべず自由に振る舞う戦士。
その二人の間に居るのは、明るく元気な女の子。
【旅のようです】
【五話 先生が大事だよ】
彼らの間にはいつも、穏やかでいて賑やかな空間が存在する。
- 385 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:21:04 ID:xloB2HyIO
-
目を覚ましたら、視界にぼんやりと移るのは、天井。
見覚えのない光景、体を包む柔らかな感触。
わたしはぼうっと天井を見上げたまま、微かに首をかしげた。
ここは、どこだろう。
ゆっくりと、力の入りにくい体を起こす。
周囲を緩慢な動作で見回すと、やはり見覚えのない部屋。
質素な木製の家具、壁紙はなくむき出しの木目。
二つ並んだベッドの片割れに居るわたし。
けれどもう片方のベッドに乱れは無く、使用されていない事がうかがえる。
イル ゚−゚)リ(……宿屋、かな)
枕元には、わたしの服とカチューシャ、先生に買って貰った髪飾り。
肌着姿のわたしはゆっくりとベッドから降りて、綺麗に畳まれた服を身に付ける。
部屋にはわたしだけ。
先生も、おっちゃんの姿も無い。
けど荷物がある事からして、一応はここに泊まってるんだろう。
- 386 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:23:38 ID:xloB2HyIO
-
わたしは、どうしてここに居るんだろう。
ここはどこだろう、見覚えはまるで無い。
カチューシャで髪をまとめ、髪飾りをつける。
窓に歩み寄り、外を眺めれば広がるのは海辺の町。
あ、
ミセ ゚−゚)リ「…………せん、せ……」
すっと、顔から血の気が引いた。
フラッシュバックする様に、あふれだす記憶の波。
むせかえるような血のにおい。
生暖かいなにか。
舞い上がる炎。
焦った顔のおっちゃん。
ちぎれた、腕。
血を吐いて、内臓がこぼれ、骨が剥き出しの、青白い顔をした先生。
- 387 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:25:11 ID:xloB2HyIO
- あ、少し閲覧注意
- 388 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:26:11 ID:xloB2HyIO
-
ミセ; − )リ「ぁ……あ…………っ」
先生は、先生はどこ。
わたしの、わたしの先生は、
自分の体を抱いて震えるわたしの耳に、ドアを開く音が舞い込む。
弾けた様にそちらを向いて、わたしは目を見開いた。
(‘_L’)「…………起きたか」
ミセ;゚−゚)リ「おっちゃん……ッどうしたの!? 怪我してる!!」
(‘_L’)「ああ、いや、仕事をしていた」
ミセ;゚−゚)リ「仕事って、なんで……ここ、どこなの……?」
(‘_L’)「洞窟を抜けた先にある町だ、お前らを運んできた」
ミセ;゚−゚)リ「お前らを…………せんせは!? せんせはどこ!?」
(‘_L’)「あ……今、治療を受けている」
ミセ;゚−゚)リ 「大丈夫なの!? あんな、怪我……腕、も……ッ」
(‘_L’)「傷自体は問題無い、治癒魔法も受けて回復に向かっている」
- 389 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 21:26:52 ID:VxIBzHH2O
- 待ってた
支援
- 390 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:28:09 ID:xloB2HyIO
-
ミセ;゚−゚)リ「よか、た……よかった……」
(‘_L’)「ああ、ただ」
ミセ;゚−゚)リ「……ただ?」
(‘_L’)「いや……うん」
ミセ;゚−゚)リ「……ちゃんと言って、せんせがああなったのは、ミセリの不注意なんだよ」
(‘_L’)「だから、余計に言いたくないんだろうが」
ミセ;゚−゚)リ「…………おっちゃん」
(‘_L’)「……腕は、もう治らん」
ミセ;゚−゚)リ「……そ、か」
(‘_L’)「ああ」
ミセ;゚−゚)リ「それ、だけ? あとは怪我が治れば、大丈夫なの?」
(‘_L’)「…………」
ミセ;゚−゚)リ「ね、ぇ……ねぇおっちゃん、大丈夫なの? せんせは大丈夫なのッ!?」
- 391 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:30:05 ID:xloB2HyIO
-
(‘_L’)「……毒に、やられた」
ミセ;゚−゚)リ「ッ!!」
(‘_L’)「その解毒薬は、ここには無い」
ミセ; − )リ
(‘_L’)「だから、言っただろう、言いたくないと」
頭の芯から、冷える。
わたしの不注意で、わたしを庇った先生が、わたしのせいで。
わたしの、せいで。
何が、守れただよ。
守れてない、何も守れてない。
わたしはこんなにも矮小で、弱くて、ただの、小娘で。
涙が、じわ、と溢れた。
- 392 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:32:10 ID:xloB2HyIO
-
ミセ; − )リ「ぁ、あ……ぁ」
(‘_L’)「……自分を責めるなと言っても、無駄だろうな」
ミセ; − )リ「わた、し……わたし、解毒魔法、覚えてる……ッドクオさんに教えて貰ったッ!」
(‘_L’)「駄目だ、お前は魔力をろくに操れない」
ミセ; − )リ「そんな事ッ!」
(‘_L’)「洞窟でもお前は感情に任せて魔力を暴発させた、魔導師の真似事をするな」
ミセ; − )リ「そんなッ……わたしはッ!」
(‘_L’)「忘れたのか、魔力も蓄えられず扱えないお前は、魔力を暴発させてそのまま倒れた事を」
ミセ; − )リ「ぅ……」
(‘_L’)「それに、教わったのは一般的な知識だろう、奴の毒は特殊だ」
ミセ; − )リ「特、殊?」
(‘_L’)「本来はこの辺りに居るような魔物では無かった
だから奴の毒は一般知識では、一般の魔導師ですらも太刀打ち出来るものではない」
ミセ; − )リ「…………そんな……じゃあ、せんせは……」
- 393 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 21:33:03 ID:xTHgM6ccO
- 支援
- 394 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 21:34:26 ID:ufkpxPCkO
- ミセリレイプ目なっとる
- 395 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:34:56 ID:xloB2HyIO
-
(‘_L’)「……お前に出来る事は、何もない」
ミセ; − )リ「…………」
(‘_L’)「俺に出来る事も、治療費を稼ぐ事くらいしか無い」
ミセ; − )リ「せんせ、は……どこ……」
(‘_L’)「……橋の先の、診療所だ」
ミセ; − )リ「ッ…………せんせぇえッ!!」
(‘_L’)「あっ、おい待て!!」
気が付けば、わたしは走り出していた。
おっちゃんの声を背中で聞くけれど、もう止まらない。
先生に会って、何をするつもりなのか、そんな事は考えてない。
何も出来ない。
それは事実、曲げようもない事実。
けど先生に会いたかった。
笑ってほしい、頭を撫でてほしい、無茶をしてと怒ってほしい。
先生に会いたくて、触れたくて、涙が止まらなくて。
- 396 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:37:00 ID:xloB2HyIO
-
息を切らせてたどり着いた診療所。
ドアを勢い良く開けて、看護婦さんの制止も聞かずに先生を呼んだ。
先生を探して、診療所を走り回って。
ひとつのドアを開けた時、わたしは後悔する。
ミセ; − )リ「…………せん、せ……?」
ある一室の扉を開いたわたしの目に飛び込んできた光景は、わたしに言葉を失わせる。
ベッドに横たわり、傷だらけで、包帯を巻かれ、管をたくさん付けられた先生の姿。
痛々しい傷、その姿。
けど、それだけじゃない。
片腕を無くした先生の皮膚には、紫色のまだら模様。
毒におかされていると言う証は、先生の体を覆い。
それはもう、顔にまで広がり始めていて。
- 397 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:39:06 ID:xloB2HyIO
- _,
ミセ ;Д;)リ「ぁ、あ……ああ…………ッうわぁあああああああああんッ!!」
わたしは、知っている。
先生に与えられた知識のひとつ。
この紫が、皮膚を全て覆ってしまえば
もう、助からない。
_,
ミセ ;Д;)リ「やだ、やだぁあああッ!! せんせぇっ、せんせぇええぇええええッ!!」
わたしが殺すんだ。
わたしが先生を殺すんだ。
わたしの不注意が、また殺すんだ。
お父さんと、お母さんみたいに。
- 398 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:40:47 ID:xloB2HyIO
-
小さい頃、拾った小さな紙切れ。
不思議な模様が描かれたそれを、お父さんに見せた。
お父さんは顔色を変えて、早く捨てて来るんだとわたしからそれを奪い取り。
発動した術式が、お父さんを飲み込む。
爆発した紙切れによって、お父さんはばらばらになって。
それに駆け寄ろうとしたわたしを、お母さんが止める。
けどわたしは、お父さんのそばに行きたくて。
見ないようにと目を押さえたお母さんの手を剥ぎ取り、見てしまう。
泣き叫ぶわたしを抱き締めるお母さんの腕。
それを聞いた誰かが、また紙切れを撒いて。
お母さんは、わたしを庇って背中から弾けとんだ。
- 399 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:42:24 ID:xloB2HyIO
-
突然の爆音、炎と煙がわたしを包む。
お母さんは上半身だけでもわたしを抱き締めて、守ろうとしてくれて。
それから、廃墟と化した町を静寂だけが支配した。
もう泣きじゃくる人も、叫ぶ人も居ない。
廃墟にはわたしだけ。
食べるものは何もない。
全部全部、消し炭になった。
両親に守られたわたしは、本能的に生きる事を求める。
水は、血肉のまざった泥水だけ。
食べるものは、焼け残った、両親の腐った肉。
生きるために、何でも口にした。
生きたいと、生きなければいけないと思った。
- 400 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:44:44 ID:xloB2HyIO
-
痩せこけたわたしは、倒れたままお母さんの骨をかじる。
苦くて臭くて何度も吐き出した肉は、もう食べてしまった。
骨だけになった二人に寄り添い、わたしは土を睨む。
誰も、助けてなんてくれない。
救いなんて無い、誰も居ない、わたしにはもう何もない。
生きたいと言う感情と、どこへ向ければ良いのかもわからない憎しみだけがわたしを支えていた。
そんなわたしの視界映り込んだものは、靴。
誰かの足が見えて、視線を持ち上げる。
そこに居たのは、泣きそうな顔をした男の人。
そっとそっと、壊れそうなものを扱う様にわたしを抱き上げて、抱き締めてくれた。
ごめんね、ごめんね、と涙声で繰り返す男の人。
その涙の温かさに、わたしは渇れたはずの涙をこぼした。
- 401 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:47:04 ID:xloB2HyIO
-
『僕が戦場に出ていれば、救えたかもしれないのに』
泣きながら、言葉を絞り出す。
『君を、君達を、守れたかもしれないのに』
わたしの頭を撫でる、震える大きな手。
『僕には、何も守れない』
強く抱き締める腕に、わたしはすがり付いた。
たすけて、と小さく呟く。
男の人は泣きながら、力強く頷いた。
『これからは、僕が君を守ってみせるから、だから、』
どうか、僕を救ってほしい。
わたしはその涙に、この人を守りたいと思った。
- 402 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:48:27 ID:xloB2HyIO
-
ミセ − )リ
守りたいと、思ったのに。
ミセ − )リ「また、わたしは、」
大事なものを、失おうとしている。
わたしは、なんて、無力なんだろう。
(;‘_L’)「ミセリッ!!」
ミセ − )リ「…………」
(;‘_L’)「……戻るぞ、見るな」
ミセ − )リ「……」
慌てて飛び込んできたおっちゃんが、わたしの目を覆い、抱き上げる。
悔しそうに先生を呼ぶ声が、わたしの耳にこっそりと転がった。
- 403 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:50:22 ID:xloB2HyIO
-
ミセ − )リ「……おっちゃん…………せんせ、死んじゃうのかな……」
(‘_L’)「……分からん」
ミセ − )リ「…………」
(‘_L’)「宿に戻れ」
ミセ − )リ「……嫌」
(‘_L’)「だが、」
ミセ − )リ「図書館……ある?」
(‘_L’)「あ、ああ……向こうの方に、小さいが」
ミセ − )リ「わたし……せんせを治す方法、探すよ……何もしないの、嫌だから……」
(‘_L’)「……分かった、付き合う」
ミセ − )リ「ん……」
- 404 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:52:29 ID:xloB2HyIO
-
ふらふらと、俯きながら図書館に向かう。
何も出来ないってわかってるけど、何もしていないのは嫌だった。
何かをしていないと、頭がぐちゃぐちゃになって、おかしくなってしまいそうで。
目に焼き付いて離れない先生の姿と、両親の亡骸が重なる。
もう乗り越えたと思ってたのに、わたしはまだ二人の死を受け止めきれていない。
ああ、なんて弱いんだろう。
(‘_L’)「……着いたぞ」
ミセ − )リ「うん……」
わたしの頭を撫でるおっちゃんの手は大きくて、先生よりもごつごつしてる。
武骨な手は、先生とはずいぶん違う。
先生の手は、大きいけど少し細くて、少し柔らかい。
溢れそうになる涙を乱暴に拭って、図書館の中へと入って行った。
- 405 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:54:17 ID:xloB2HyIO
-
医学書や魔導書を適当に取り出して、いくつも机に重ねていった。
椅子に座り、それらを片っ端から読み漁る。
毒について、魔物について、解毒、魔法、治癒、とにかく知識を貪欲に求めた。
おっちゃんは隣で魔物の図鑑を広げ、毒の種類とその治癒法を探す。
黙々と、ただ黙々と、陽が傾いてもなお読み続ける。
司書さんが閉館だと言おうとしたけれど、何かを察したのか、特別に開けておいてくれた。
ランタンとお茶を置いていってくれた司書さん。
わたしたちはその好意に感謝し、ひたすらに本を読む。
けど必要な知識は全く見付からず、どれもこれも今は不要な物かすでに知ってる物ばかり。
このあたりでは無理もない、小さな図書館だとおっちゃんは言う。
でも、こうしてる間にも先生が死に近付いてると思うと、苛立ちは募るばかり。
いつのまにか夜が更け、もう夜は明けようとしていた。
- 406 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:56:39 ID:xloB2HyIO
-
疲れた顔のおっちゃんは、それでも図鑑とにらめっこ。
わたしは首を鳴らしながら、本を仕舞って別の本を取りに立つ。
すると、本棚の片隅に真新しい本があった。
真新しいと言うよりも、新品同様の綺麗さ。
余程大事に保管されているらしいそれには、持ち出し禁止の文字。
何の本かは分からないけど、なんだかそれが気にかかった。
濃い青の表紙、ずっしりと重い分厚さ。
それを持って席に戻り、うつらうつらするおっちゃんの隣で表紙を開いた。
本の内容は、雑多な知識がたくさん詰め込まれたもの。
それは医学から地理、魔法や魔物について、美味しいご飯の作り方。
だからジャンル分けされていなかったのかと思い、魔物の欄を見る。
- 407 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 21:58:49 ID:xloB2HyIO
-
『────その魔物は茶褐色の毛玉の様な形状をしており、』
ミセ;゚−゚)リ「ッ!」
これ、あの魔物の事だ。
この本には、あの魔物について書いてある。
驚いておっちゃんの肩を叩いて起こし、本を見せた。
(‘_L’)「これ、は」
ミセ;゚−゚)リ「あいつ、だよね……これ」
(‘_L’)「ああ、次のページを」
ミセ;゚−゚)リ「うんっ」
わたしたちは眠気も疲労も吹き飛び、期待を胸にページをめくった。
- 408 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:00:31 ID:xloB2HyIO
-
『体内には特殊な毒素を溜め込み、噛み付いた相手にその毒を注ぎ込む』
ミセ;゚−゚)リ「……せんせは、これで」
(‘_L’)「…………」
『刃物等で傷付けた場合は、その切り口から毒を放出するので、手練れでなければ接近戦は禁物である』
(‘_L’)「……デミタスが、教えてくれた」
ミセ;゚−゚)リ「うん……」
『この毒は通常の解毒薬は効果が無く、ナイ島に自生する海草から解毒薬を作る必要がある』
ミセ;゚ワ゚)リ「ぃよっしゃああああああ!!」
(‘_L’)「情報来たあああああああ!!」
- 409 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:02:43 ID:xloB2HyIO
-
ミセ;゚−゚)リ「あ、待って! まだ続いてる!」
(‘_L’)「早く読むぞ!」
『なお、この魔物の毒に侵された場合は72時間以内に解毒薬を摂取しなければ死に至る』
ミセ;゚−゚)リ「おっちゃん! あれからどんだけ経った!?」
(‘_L’)「二日!!」
ミセ;゚−゚)リ「急いで準備しよう!!」
(‘_L’)「待て! 作り方も書いてある!」
ミセ;゚−゚)リ「それはお医者さんに言っておこう! すみませんこの本を渡してください!!」
(‘_L’)「命がかかってるんだ! 持ち出し禁止は分かってる!!」
ミセ;゚−゚)リ「おk!? よっしゃおっちゃん急ごう!!」
- 410 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 22:03:03 ID:gGpacVDs0
- ノリワロタ
- 411 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:04:40 ID:xloB2HyIO
-
(‘_L’)「海草の形状は分かるな!?」
ミセ;゚−゚)リ「図があった! これ書いた人マジ天才!!」
(‘_L’)「あ」
ミセ;゚−゚)リ「何!?」
『著者 ドクオ・ソリテール』
_,,
ミセ;゚Д゚)リ「ドクオさん最高だよ!!!!」
(‘_L’)「あの人が神か!!!!」
('A`)「……なんか褒められた気がする」
川 ゚ -゚)「何を寝ぼけてるんですかご主人様」
('A`)「いやマジでマジで……あと胸騒ぎもちょっとする」
川 ゚ -゚)「ご主人様、ついに狂ったんですか」
('A`)「ははは、クーは本当にひどいなあ」
- 412 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:06:35 ID:xloB2HyIO
-
わたし達は大慌てで薬やら何やらを調達し、荷物をまとめた。
その様子を見た町の人が尋ねてきたので、急ぐ理由を話すと慌てて船を出してくれるとの事。
どうやらナイ島と言うのは、この町の近くにある離島の事らしい。
道中は最低だったけど、この町は最高だ。
船に乗り込み、わたし達はナイ島に向かう。
水着姿で。
ttp://imepic.jp/20120311/764300
_,
ミセ;゚−゚)リ「……おっちゃん、何でわたし達は水着を着てるの?」
(‘_L’)「薬草とか買う時に何か勢いで買った」
_,
ミセ;゚−゚)リ「…………こんな格好する状況じゃないと思う」
(‘_L’)「絵でポーズ決めといて何言ってんだお前」
_,
ミセ;゚−゚)リ「いやあれ基本が使い回しだし」
(‘_L’)「見れば分かる」
- 413 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 22:06:50 ID:IgLx3s9UO
- ちょwドクオ万能過ぎwww
- 414 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:08:29 ID:xloB2HyIO
- _,
ミセ;゚−゚)リ「つかおっちゃんノリノリじゃん、なに頭にグラサン乗せてんの」
(‘_L’)「形から入った方が良いかと」
_,
ミセ;゚−゚)リ「よくねーよ大真面目だよ」
(‘_L’)「デミタスの海パンも買ったぞ」
_,
ミセ;゚−゚)リ「…………元気になったら遊ぼっか」
(‘_L’)「おう」
_,
ミセ;゚−゚)リ「でもそのアロハシャツはムカつくから脱いで」
(‘_L’)「止めて! 剥がないで!」
_,
ミセ;゚−゚)リ「うるせえビーサン履いてんじゃねぇ! バカンスか!!」
(‘_L’)「麦わら帽子も買ったけど被るか?」
_,
ミセ;゚−゚)リ「バカンス用品ばっか買ってるじゃねーか!! 何だよそのトロピカルなジュース!!」
(‘_L’)「このごっついグラスに果物とか刺さってる青いジュース飲んでみたかった」
「ブルーハワイッ!!」
_,
ミセ#゚Д゚)リ )#)_L )そ
バチコーン⊂彡 「トロピカーナッ!?」
- 415 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 22:09:16 ID:ufkpxPCkO
- 大魔導師ぱねえ
- 416 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:10:16 ID:xloB2HyIO
- _,
ミセ#゚−゚)リ「おっちゃん、真面目に行こう真面目に」
(‘_L’)「だってお前……今日ずっとシリアスだし……」
_,
ミセ#゚−゚)リ「たまにはシリアスでも良いよ!?」
(‘_L’)「やだよ!?」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「クレイジーコメットォオ!!」
(‘_L’)「お前いつから秘奥義撃てる様になった!?」
_,
ミセ#゚−゚)リ「やかましいよ! 遊びじゃないんだよ! バカンスしたいなら船から降りて!!」
(‘_L’)「止めて! 船から蹴り落とそうとしないで!!」
_,
ミセ#゚−゚)リ「あえて言おう! カスであると!!」
(‘_L’)「いつからそんな野望抱いてる独裁者みたいな事を言う様に!?」
_,
ミセ#゚−゚)リ「ここで止めたら! 自分が自分で無くなっちまう!!」
(‘_L’)「もう戦争は終わったんだ! 戦わなくて良いんだよバーニィ!!」
_,
ミセ#゚−゚)リ「まだ終わっちゃいない! 戦争は続いてる!!」
(‘_L’)「ランボー!?」
- 417 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 22:11:21 ID:n/JiqG1o0
- ジョン・ランボー!!
- 418 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:12:16 ID:xloB2HyIO
-
(‘_L’)「お前本当に12歳かよ……」
_,
ミセ ゚−゚)リ「信じて送り出した息子が正当なる予言者の王とか自称して反地球連邦政府組織になるだなんて」
(‘_L’)「ハサウェイ何であんな事になったんだよ……」
_,
ミセ ゚−゚)リ「ブライトさんかわいそう」
(‘_L’)「お前は虫けらだ!!」
「虫けらを殴って何が悪い!?」
_,
ミセ#゚Д゚)リ )#)_L )そ
バチーン⊂彡 「二度もぶった!?」
_,
ミセ;゚−゚)リ「いやもうこのコントは良いよ、いつまでやんのよ」
(‘_L’)「ドクオさんのツッコミは脈々と受け継がれてるわ……」
_,
ミセ;゚−゚)リ「それを全部受けてるのおっちゃんだよね?」
(‘_L’)「俺はただのナイスミドルなのになぜこんな事に」
_,
ミセ#゚−゚)リ「兄さんを殺す!!」
(‘_L’)「俺はアイナと添い遂げる!?」
- 419 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:14:14 ID:xloB2HyIO
-
(‘_L’)「うーしナイ島ついた」
ミセ*゚ー゚)リ「見事な無人島だね」
(‘_L’)「普段なら遊びほうけるが、今は急ぐぞ」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、さっさと海草見付けて帰ろ」
(‘_L’)「しかし海草か……海の中なんて事無いだろな」
ミセ*゚ー゚)リ「この島には結構あるみたいだから、打ち上げられてるかも」
(‘_L’)「だったら何で町には解毒薬が無かったんだ?」
ミセ*゚ー゚)リ「あの本は持ち出し禁止だし、前居たお医者さんが転勤したって」
(‘_L’)「何で知ってんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「船長さんが言ってた」
(‘_L’)「マジかよ……しかし、それでも広まっててもおかしかないだろ」
ミセ*゚ー゚)リ「この数年くらいから知られたみたい、戦争が終わったくらいから」
(‘_L’)「…………なあミセリ」
ミセ*゚ー゚)リ「ん?」
- 420 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:16:33 ID:xloB2HyIO
-
(‘_L’)「お前、ドクオさんを恨むか?」
ミセ*゚ー゚)リ「何で? 恩人じゃん」
(‘_L’)「あの人が戦争を終わらせたのは知ってるな」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、会う前から名前はわたしも知ってた」
(‘_L’)「……あの人がもっと早く動けば、助かったとは思わないか」
ミセ*゚ー゚)リ「ミセリもう助けられたもん、せんせに」
(‘_L’)「違う、そうじゃない、両親や町を、」
ミセ*゚ー゚)リ「それを考えて、何になるの?」
(‘_L’)「……ミセリ」
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんにはドクオさんの理由があった、それだけでしょ、何も悪くない」
(‘_L’)「…………」
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんね、誰も殺したくないから戦わなかったんだって、言ってた」
(‘_L’)「そう、か」
ミセ*゚ー゚)リ「凄いよね、ドクオさん」
- 421 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 22:17:05 ID:n/JiqG1o0
- 誰が死に場所を見つけたんだ
- 422 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:18:28 ID:xloB2HyIO
-
(‘_L’)「あの人は、無欲だからな」
ミセ*゚ー゚)リ「でも何に対しても無関心なわけじゃない、みんな大切には思ってる」
(‘_L’)「お前は納得出来るのか?」
ミセ*゚ー゚)リ「わたし、ドクオさんは二人目の先生だと思ってる……それだけ、凄い人」
『お嬢ちゃんは、戦争で家族と故郷をなくしたんだっけ』
『うん、みんな吹き飛ばされた』
『……ごめんな、俺がもっと早く動いてれば救えたかも知れないのに』
『ううん、みんないなくなっちゃったけど、わたしはもう救われてるよ』
『それでも、ごめんな』
ミセ*゚ー゚)リ「……ドクオさんの手、頭撫でてくれた手、せんせに似てた」
(‘_L’)「…………」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしは、誰も憎まない、誰も恨まない、わたしはもう救われたから」
(‘_L’)「ミセリは、強いなあ……」
ミセ*゚ー゚)リ「……強かったらせんせを守れた、わたしは弱いから、強くなりたいんだ」
- 423 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:20:16 ID:xloB2HyIO
-
(‘_L’)(戦争で満ちた負の感情を、ドクオさんは全て摘み取ったと言う)
(‘_L’)(だが、だったらなぜこいつは国に対して嫌悪をあらわにしたんだ?)
(‘_L’)(…………戦争への憎しみではなく、国や軍そのものに対して、だからか……?)
(‘_L’)「……ミセリ」
ミセ*゚ー゚)リ「んー?」
(‘_L’)「お前が国を憎む理由は、何だ?」
ミセ*゚ー゚)リ「……せんせとかおっちゃんとか、ドクオさんを悲しませたから」
(‘_L’)「え……えっ?」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしはね、もうせんせに救ってもらった、だから今度はわたしがせんせを救う
せんせに守られたから今度はせんせを守る、わたしの好きな人達を傷付ける物なんて大嫌い」
(‘_L’)「…………とんでもないお人好しな教師と教え子だな、おい……」
ミセ*゚ー゚)リ「だからね」
(‘_L’)「ん?」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんを傷付けるものも、悲しませるものも、ミセリがみんなぶっ壊してあげる」
(‘_L’)「……ありがとよ」
ミセ*^ー^)リ「おう!」
- 424 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:22:27 ID:xloB2HyIO
-
ミセ*゚ー゚)リ「あ、おっちゃん魔物だ」
(‘_L’)「おー、武器持ってきたか」
ミセ*゚ー゚)リ「わたし元から武器持ってないよ」
(‘_L’)
ミセ*゚ー゚)リ
(‘_L’)「後ろに下がっとけ」
ミセ*゚ー゚)リ「今度ナイフくらい買おう……」
(‘_L’)「剣なら教えるぞ、実技では好成績だった」
ミセ*゚ー゚)リ「魔法とどっちが良いのかなー……練習したら魔法も少しは使えるだろうし」
(‘_L’)「それは任せる、好きな方を選べ」
ミセ*゚ー゚)リ「んー、おっちゃん来たよ、さっさと倒して探さなきゃ」
(‘_L’)「へいへい、人使いの荒さも教師譲りか」
- 425 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:24:33 ID:xloB2HyIO
-
ぽいんぽいんと跳ねてきたクラゲ的な魔物を見て、おっちゃんが腰から下げた剣を抜く。
ぶおんと大きく横凪ぎに払い、数匹居た魔物をあっさりと両断。
さすが手練れの戦士、実戦ではかっこいいもんです。
ただ海パンにアロハシャツで剣を下げてるのがシュールこの上ない。
前方の魔物が居なくなった事を確認してから、岩影からひょいと出ておっちゃんに声をかける。
生返事をしながら振り返るおっちゃんは、わたしを見て目を見開いた。
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんさすがー……どしたの?」
(‘_L’)「おい馬鹿こっち来い! 後ろに!」
ミセ; − )リ「へ、なに……ぎゃうっ!?」
(‘_L’)「ミセリ!!」
振り返ろうとしたわたしの顔に、何かが叩き付けられる。
濁った悲鳴をあげて背中から倒れるわたし。
くらくらする視界に映るのは、人の形を模した魔物の姿。
- 426 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 22:27:22 ID:65c3yfnsO
- 支援ホマ
- 427 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:40:09 ID:xloB2HyIO
-
頭を押さえながら起き上がろうとするわたしに、追い討ちをかけるように拳を叩き込まれる。
腹へとめり込む拳に息をひゅっと吐き、込み上げる吐き気と腹部の痛みに呻いた。
(‘_L’)「ミセ……ックソが! 巣かよ!!」
ミセ; д )リ「う、ぇ……げほっ、げほっ……んっだよ、こいつら……」
(‘_L’)「オークだ! こっちに来れるか!?」
ミセ; д )リ「い、け……ごぶっ!? げほっげほっ、ぉぇ、うぇえぇえ……ッ!」
(‘_L’)「おいミセリ大丈夫か!?」
何とかおっちゃんの方へと這いずろうとするも、その背中を踏まれ蹴られて動けず仕舞い。
おっちゃんはおっちゃんで、同じ魔物の群れに囲まれて身動きを取れずに居た。
ぎいぎいと耳障りな声。
わたしを蹴飛ばし、腹を踏みつける足。
顔をぶつけて溢れる鼻血、吐き出した胃液、脂汗。
おっちゃんが剣を振るうも、次々に沸いてくる魔物に苛立っていて。
- 428 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:42:39 ID:xloB2HyIO
-
好き勝手に蹂躙されて、口の中を切って血を吐き出して。
小石や岩にぶつかった手足には擦り傷や切り傷、殴られ蹴られた腹と背中に打撲痕。
魔物の血を浴びて、それでも剣を振るうおっちゃんですら、少しずつ怪我をして。
あー
すっげームカつく
これマジでムカつく
ふざけんな
こっちは急いでるっつーの
急いでるっつーの
_,,
ミセ# Д )リ「急いでるっつうのぉおおおおおおぉおおおッ!!!!」
(;‘_L’)" ビクッ
_,,
ミセ# Д )リ「クソが調子乗んなオラァアアアアア!! ぶっ殺したらあああああああああッ!!!!」
(;‘_L’)「え、ちょ……ミセリ……さん?」
- 429 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:44:21 ID:xloB2HyIO
-
身体中に走る痛みを無視して、勢い良く起き上がる。
その勢いのままに魔物の首を掴んで引きずり倒し、馬乗りになって拳を振り上げ、顔面へと振り下ろす。
めぎ、と歯が折れる音が聞こえたが、それも無視してひたすら魔物へと拳を振り下ろす。
周囲の魔物が一瞬引いて、また襲いかかる。
それに対して立ち上がったわたしは、同じように拳を尽き出す。
全力で魔物を殴って殴って殴って殴って殴り続ける。
(;‘_L’)「え……あの……ミセリさん……」
_,,
ミセ# Д )リ「かかってこいやオラァアアアアア!!!!」
(;‘_L’)" ビクッ
時おり殴り返されながら、なお殴る。
ただただ殴る。
ひたすら殴る。
とにかく殴る。
取り敢えず殴る。
目についた魔物を片っ端から殴る。
(;‘_L’)「…………魔法でも剣でもなく、格闘家にでもなったら良くね……?」
おっちゃんが何か言った気がするけどそれでも咆哮を響かせながら魔物に突き出す右ストレート。
- 430 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 22:45:37 ID:ufkpxPCkO
- ミセリ強え……
- 431 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:46:41 ID:xloB2HyIO
- _,,
ミセ# Д )リ「はーっ……はーっ……」
(;‘_L’)「あ……お疲れ様です……」
_,,
ミセ# Д )リ「……おっちゃん、何か来た」
(;‘_L’)「えっ」
あらかた殴り飛ばして倒した頃に、今までの魔物よりも大きい個体がのっそりと岩の影から姿を現した。
それに顔を向け、対峙するわたし。
どうやら風貌からして魔物のボスらしい大きな相手とにらみ合い、拳を構えて。
だん、と同時に地を蹴って、拳を振り上げる。
ちなみにおっちゃんは後方で薬草をもりもり食ってた。
_,,
ミセ# Д )リ「…………行くぞオラァアアアアア!!!!」
(;‘_L’)(……腹減ってんのかなあいつ)
- 432 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 22:46:43 ID:1oOVMPfI0
- これは、伸びる・・・
- 433 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:48:19 ID:xloB2HyIO
-
(;‘_L’)「…………あの、ミセリさん……お疲れ様です……」
_,,
ミセ# Д )リ「クソが……調子乗りやがって……」
結果は、圧勝。
(;‘_L’)「ど、どうどう……取り敢えず怪我治せ、ほら食え」
_,,
ミセ# 〜 )リ"「……おっちゃん怪我は?」
(;‘_L’)「あ、もう薬草食ったから…………ほら飴あるぞ飴、食っとけ」
_,,
ミセ# 〜 )リ" モグモグ
_,,
ミセ 〜 )リ" モグモグ
ミセ 〜 )リ" モグ
ミセ*゚ワ゚)リ「飴美味しい!」
(;‘_L’)「お、おう…………やっぱ腹減ってたんだこいつ……」
- 434 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 22:48:34 ID:65c3yfnsO
- この顔になったミセリは無敵
- 435 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:50:18 ID:xloB2HyIO
-
ミセ*゚ー゚)リ「あー疲れた、あいつら次は殺す」
(;‘_L’)「お前そんなしれっと……」
ミセ*゚ー゚)リ「ほら行こおっちゃん、そろそろ見付けないと」
(;‘_L’)「ああ……うん…………デミタス居ないと押さえきれねぇこいつ……」
ミセ*゚ー゚)リ「そういやオークの肉って売れるらしいよ」
(‘_L’)「マジかよ」
ミセ*゚ー゚)リ「はい袋、わたし海草探すから」
(‘_L’)「えぇ……俺が解体係……?」
ミセ*゚ー゚)リ「海草海草っと、あるとしたら浜の方だよなー」
(‘_L’)「畜生、どんどん教師に似やがって……」
ミセ*゚ー゚)リ「何か言った?」
(‘_L’)「いや、デミタスを見てる様だと」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしそんなにしっかりしてる?」
(‘_L’)「ある意味」
- 436 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 22:53:26 ID:ufkpxPCkO
- たくましいなミセリ……
- 437 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:53:34 ID:xloB2HyIO
-
ミセ*゚ー゚)リ「海草、海草……うーん、ワカメとかいっぱいあるけど……」
(‘_L’)「形は覚えてるか?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、何かゼンマイみたいな形の」
(‘_L’)「機械的な……?」
ミセ*゚ー゚)リ「いや山菜の方、んで色は濃い青緑……」
(‘_L’)「あんな感じか?」
ミセ*゚ー゚)リ「あーそうそう、あんな形と色」
(‘_L’)
ミセ*゚ー゚)リ
(;‘_L’)「おい拾え! 片っ端から拾え!!」
_,
ミセ;゚д゚)リ「こっちがわに大量に打ち上げられとる! うおおお!!」
(;‘_L’)「袋が! オークの肉入れたから袋が足りん!!」
_,
ミセ;゚д゚)リ「おっちゃんアロハ脱いで! 包む!!」
(;‘_L’)「おニューのアロハが!?」
- 438 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:54:59 ID:xloB2HyIO
-
ミセ*゚ー゚)リ「大量だったね」
(‘_L’)「そうだな」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん、アロハはまた買いなよ」
(‘_L’)「おニューのアロハシャツがぬるぬるべちょべちょに……」
ミセ*゚ー゚)リ「むしろそのまま着てみなよ」
(‘_L’)「気持ち悪い! ぬるっとする!」
ミセ*゚ー゚)リ「ははは、そりゃそうだ」
(‘_L’)ノシ「粘液アタック」
_,
ミセ;゚д゚)リ「べちゃっと来たぁ!?」
(‘_L’)「ははは、そりゃそうだ」
_,
ミセ#゚д゚)リ「南斗水鳥拳!!」
(‘_L’)「世紀末!?」
- 439 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:56:05 ID:xloB2HyIO
-
ミセ*゚ー゚)リ「……これで、せんせ助けられるかな」
(‘_L’)「きっとな」
ミセ*゚ー゚)リ「…………おっちゃんはせんせと友達なんだよね」
(‘_L’)「おう」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんにとってさ、せんせってどんな存在?」
(‘_L’)「え、友達」
ミセ*゚ー゚)リ「いやそうじゃなくて」
(‘_L’)「んー…………唯一の友達?」
ミセ*゚ー゚)リ「ぼっちかよ……」
(‘_L’)「傷付くわ……」
ミセ*゚ー゚)リ「他に友達は居ないの?」
(‘_L’)「居ない、みんな戦士としての俺しか見なかったからな」
ミセ*゚ー゚)リ「こないだまで戦士でもなかったよね?」
(‘_L’)「やめて」
- 440 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 22:58:27 ID:xloB2HyIO
-
ミセ*゚ー゚)リ「ふーん……じゃあ、せんせが大事なんだね、おっちゃんも」
(‘_L’)「まあな」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ、助けなきゃね」
(‘_L’)「ああ…………お前にとって、は……聞くまでもないか」
ミセ*゚ー゚)リ「お父さんで、お母さん!」
(‘_L’)「お母さん……」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしさ、せんせの家族になれるかな」
(‘_L’)「嫁に?」
ミセ*゚ー゚)リ「違うわ」
(‘_L’)「ああ娘的なアレか」
ミセ*゚ー゚)リ「むしろ何で嫁だと思ったんだよ……」
(‘_L’)「え……需要……?」
ミセ*゚ー゚)リ「ねーよ……」
- 441 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:00:22 ID:xloB2HyIO
-
(‘_L’)「まあなれるだろ、普通に」
ミセ*゚ー゚)リ「そっか……そっか、よかった……じゃあなれるように頑張る」
(‘_L’)「おう」
ミセ*゚ー゚)リ「……大丈夫かな、せんせ」
(‘_L’)「…………」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん?」
(‘_L’)「俺も、そこに入れるか?」
ミセ*゚ー゚)リ「へ?」
(‘_L’)「家族に、入れるか?」
ミセ*゚ー゚)リ「もちろん」
(‘_L’)「そう、か……」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあせんせがお母さんでおっちゃんはお父さんね」
(‘_L’)「えっ」
- 442 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:02:16 ID:xloB2HyIO
-
帰りの船が元の町に着き、わたしたちは急いで病院へと海草を持って走った。
本を読んだらしいお医者さんが大量の海草を受け取りながら、
「ほんの少しで大丈夫だけど」と言ったのには聞こえない振りをした。
そこから大急ぎで薬を作ってもらい、先生に投与。
わたしとおっちゃんは交代でその傍らに付き添い、まだ目を覚まさない先生を見守る。
もう取り乱す事は無かったけど、それでも不安は胸に渦巻く。
時間的にはギリギリ大丈夫、だけど、やっぱり顔色の悪い先生を見ると涙がにじんだ。
少しずつ少しずつ、先生の皮膚をおかす紫は消えて行った。
毒が消えていってる証拠が目に見える事は、心を少し落ち着かせる。
けれど、先生はまだ目覚めない。
顔色はいくぶん良くなったけど、ぐったりとした体に力は入らない。
- 443 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:05:12 ID:xloB2HyIO
-
この町に来てから三日目、夜中に看病をしていたおっちゃんと交代。
先生の傍らに座り、そっと右手を撫でる。
暖かさを取り戻した手、小さな怪我は残るけど、健康的なものに変わってきてる。
少しほっとする反面、まだ起きない事に焦りを僅かに感じた。
どんな毒でも、場合によっては意識を取り戻さない事はまれにある。
でもそれはごくまれな事、そうそう起こる事じゃない。
でも、やっぱり不安なんだ。
ミセ ゚−゚)リ「……せんせ、まだ寝てんの……?」
先生の手の甲を撫でながら呟く。
ミセ ゚−゚)リ「わたしもおっちゃんも、頑張ったよ……だから、褒めてくれても良いんだよ?」
指先を軽く握るけど、反応はない。
ミセ ゚−゚)リ「……せんせってば、わたし魔物も倒せたんだよ……殴ってだけど」
- 444 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:06:30 ID:xloB2HyIO
-
ミセ ゚−゚)リ「おっちゃんたらね、何かすげーバカンスの道具揃えてんだよ」
ミセ ゚−゚)リ「バカンスっつーかバカだよね、おっちゃん……」
ミセ ゚−゚)リ「まあ、水着きてったミセリもバカだけど」
ミセ ゚−゚)リ「……せんせの水着もね、買ったんだってさ」
ミセ ゚−゚)リ「だから、早く起きて遊ぼうよ……ミセリ少しは泳げるよ」
ミセ ゚−゚)リ「楽しいよ、おっちゃんも楽しみにしてる……アロハシャツ新調してたよ」
ミセ ゚−゚)リ「調子のってね、せんせのアロハも買ってたよ……バカだよねおっちゃん」
ミセ ゚−゚)リ「まずせんせ絶対アロハ似合わないのにね……おっちゃん無駄に似合ってたけど」
どんなに話しかけても、先生の反応はない。
わたしはじわりと涙が浮かぶのを感じて、慌てて目元を拭った。
ミセ − )リ「…………ねぇ、わたし、わたしたち……せんせが居なきゃ、生きてけないんだから……」
「そんな事、無いよ」
ミセ;゚−゚)リ「ッ!?」
- 445 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 23:08:11 ID:65c3yfnsO
- そういや水着で殴り合いしてたんか
- 446 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:08:57 ID:xloB2HyIO
-
(´−_ゝ−`)「僕が居なくても、ちゃんとやったんでしょ?」
ミセ*゚ー゚)リ「ぁ…………せんせぇ……ッ!!」
(´・_ゝ・`)「……おはよう、ミセリ君」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ……っおは、」
ミセ*;ー゚)リ「ょ、」
ミセ*⊃ー∩)リ「ぅ…………おはよ……せんせ……っ」
(´・_ゝ・`)「……ごめんね、心配かけて……ありがとう」
ミセ*⊃д∩)リ「わた、し……わたし……頑張っ……た、よ……っ」
(´・_ゝ・`)「うん……ありがとう、ミセリ君…………もう、大丈夫だから」
_,
ミセ*;Д;)リ「……ッせんせぇ! せんせぇええッ!! ぅわぁあああああぁああんッ!!」
先生の胸に顔を埋めて、しがみついて泣き叫んだ。
悲しみでも絶望でもなく、嬉しくて、嬉しくて。
申し訳なさそうに、嬉しそうに頭を撫でる先生の手が、暖かくて余計に涙が止まらなかった。
- 447 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 23:09:59 ID:ufkpxPCkO
- よかった……本当によかった
- 448 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:11:12 ID:xloB2HyIO
-
先生は、解毒も間に合い順調に回復した。
怪我もずいぶん良くなったし、後遺症も残らないらしい。
あれからアロハを着た寝ぼけ眼のおっちゃんが駆け込んできて、みんなで爆笑したりして。
先生が楽しそうに笑うから、わたしは嬉しくて、おっちゃんも嬉しそうで。
でも、先生の腕は、もう治しようがなかった。
ミセ*゚−゚)リ「……せんせ、ごめんね……わたしの不注意で腕、無くなっちゃった」
(´・_ゝ・`)「ううん、僕も不注意だった……それに、ミセリ君を守れたんだ」
ミセ*゚−゚)リ「あのね、せんせ……わたし、まだまだ弱いでしょ」
(´・_ゝ・`)「強くは、ないだろうね」
ミセ*゚−゚)リ「うん……だからね、ミセリ強くなる……強くなってね、せんせを守るよ」
(´・_ゝ・`)「はは……ミセリ君に守られたんじゃ、僕のやる事が無くなっちゃうよ」
ミセ*゚ー゚)リ「……でも、守るよ……せんせはミセリが守るの……ね?」
- 449 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:12:30 ID:xloB2HyIO
-
(´・_ゝ・`)「……うん、分かっ」
(‘_L’)「話は聞かせてもらった、それはノストラダムスの仕業だ」
(´・_ゝ・`)「帰れ」
(‘_L’)「突っ込め」
(´・_ゝ・`)「やだよキバヤシキャンセルだよ」
(‘_L’)「大体お前らだけで守りあってたら俺は何をすれば良い、守らせろ、戦士だぞ」
ミセ*゚ー゚)リ「だめー、せんせはわたしが守るもん」
(‘_L’)「やらせはせん」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君は僕が守るし」
(‘_L’)「やらせはせんぞ!」
ミセ*゚ー゚)リ「残念でしたー、もうせんせの隣陣取ったー」
(‘_L’)「反対側を陣取るまで」
(´・_ゝ・`)「それだとミセリ君守れないよ」
(‘_L’)ハッ
- 450 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 23:14:10 ID:ufkpxPCkO
- 仲良いなぁ
- 451 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:14:48 ID:xloB2HyIO
-
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇせんせ、ご飯食べよ?」
(´・_ゝ・`)「ん? ああ、そうだね」
ミセ*゚ー゚)リ「せっかくの海だもん! それっぽいの食べようよ!」
(´・_ゝ・`)「先にお医者さんに話を聞いてからね?」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
(‘_L’)「飯か……」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん、さっき外の岩にフジツボあったよ」
(‘_L’)「まだ覚えていやがった……!?」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせが話してる間は外出とこ、ご飯屋さん探したい」
(‘_L’)「もう見つけてる」
ミセ*゚ー゚)リ「フジツボ専門店?」
(‘_L’)「嫌すぎるわそんな店!!」
- 452 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:16:35 ID:xloB2HyIO
-
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、病み上がりだけどもう歩き回っても良いのかな」
(‘_L’)「さあな、まだ寝てるべきかも知れん」
ミセ*゚ー゚)リ「うん……でも、片腕でも大丈夫なようにリハビリもしなきゃね」
(‘_L’)「ああ、そうだな」
ミセ*゚ー゚)リ
(‘_L’)
ミセ*゚ー゚)リ「男の人は……トイレとか大変なんじゃね……?」
(‘_L’)「そんなリアルな……」
ミセ*゚ー゚)リ「着替えとか、大変なんじゃね……?」
(‘_L’)
ミセ*゚ー゚)リ
(‘_L’)「手伝う……べきなのか……!?」
ミセ*゚ー゚)リ「さすがに戸惑うな……!!」
(´・_ゝ・`)「自分で何とかします」
- 453 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:18:37 ID:xloB2HyIO
-
ミセ*゚ー゚)リ「あ、せんせ! お医者さんなんて?」
(´・_ゝ・`)「激しい運動を控えれば、日常生活は問題ないって」
ミセ*゚ー゚)リ「よかった……」
(‘_L’)チッ
(´・_ゝ・`)「何で舌打ちしたの今」
(‘_L’)「海に投げ込もうかと」
(´・_ゝ・`)「タイダルウェーブ」
(‘_L’)「うわばッ!?」
(´・_ゝ・`)「よし、じゃあミセリ君行こうか」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
(´・_ゝ・`)「ご飯屋さんの場所はわかる?」
ミセ*゚ー゚)リ「あっちにお店が密集してる!」
(´・_ゝ・`)「じゃ、行ってみようか」
- 454 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 23:18:58 ID:ufkpxPCkO
- 出来るのかなんとか
- 455 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:20:30 ID:xloB2HyIO
-
先生と並んで、ぶらぶら散歩もかねてのお店探し。
バタバタしててろくに見れてなかったから、わたしも楽しく色々見て回る。
お土産屋さんや雑貨屋さん、装備や魔法を売るお店。
いくつかの屋台から漂う良い匂いに誘われつつ、ご飯屋さんを発見。
お財布にお金が入ってる事を確認してから、二人で入店です。
窓際の席に座り、日替わり定食を二つ注文。
厨房から漂うかおりに、今日もバターの使った料理だと言う事がわかった。
ミセ*゚ー゚)リ「バター多いね」
(´・_ゝ・`)「好きだからね」
ミセ*゚ー゚)リ「引き出しが少ないんだよね」
(´・_ゝ・`)「しょうがないね」
ミセ*゚ー゚)リ「しょうがないね」
- 456 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:22:16 ID:xloB2HyIO
-
先生を助けるために何をしたとか、どんな事があったとか、色々と報告。
うなずきながらそれを聞く先生は、時々「無茶しないで」と叱ったり、お礼を言ったりしてました。
そしてわいわいと話していると、わたしたちの前に二つの定食が運ばれて来ました。
お魚や海老のムニエルに焼きたてのパン、スープとお茶のついた簡単なもの。
けどそれは彩りも鮮やかでボリュームも十分、薬草以外を食べてなかったわたしのお腹が鳴る。
先生と顔を見合わせ、にっこり笑っていただきます。
お魚のムニエルはバターがしっかり、スパイスもしっかりで味は濃いめ。
脂ののったお魚の味もしっかりとして、口に運ぶたびにこにこ。
パンに乗せて食べてもよし、溢れるバターをパンに塗りつけて食べてもよし。
スープはあっさりだけど魚介の風味がぎゅっとつまっていて、パンにも大変よく合います。
海老もぷりぷりで歯応えが嬉しい、噛めば噛むほどにおつゆがじゅわり。
まるで肉汁のように溢れる天然のソース、お腹にいっぱい幸せを運んでくれる。
ちらりと先生を見ると、片手で食べるのは少し難儀してるみたいでした。
- 457 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:24:20 ID:xloB2HyIO
-
ひょい、と先生のお皿に手を伸ばし、フォークで海老を突き刺して先生に差し出す。
ミセ*゚ー゚)リ「あーん!」
(´・_ゝ・`)「ん……あーん」
ミセ*゚ー゚)リ「おいし?」
(´・_ゝ・`)「うん、凄く美味しいよ」
嬉しそうに、困ったように、少し戸惑った顔で言う先生。
これからは片手でも食べやすいものにしなきゃいけないな、と思いつつ。
自分でも食べて、先生にも食べさせて、穏やかに食事が終了です。
ミセ*^ー^)リ「ごちそーさまでした!」
(´・_ゝ・`)「ごちそうさまでした」
ミセ*゚ー゚)リ「美味しかったねせんせ!」
(´・_ゝ・`)「うん、片手でも慣れなきゃね」
- 458 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:26:39 ID:xloB2HyIO
-
普段より気を使って食べたので、いつもほど味を堪能は出来なかった。
でも先生が少し困った顔をするから、わたしはいつも通りに笑う。
先生のお茶にお砂糖をひとつ入れて、よく混ぜてから渡す。
わたしはお砂糖たっぷりで、甘さを補給。
のんびりと食後の一服も済ませたところで、わたし達はお店をあとにした。
ミセ*゚ー゚)リ「ふいー、お腹いっぱい」
(´・_ゝ・`)「美味しかったね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん! また来ようね!」
(´・_ゝ・`)「そうだね、明日のお昼にも食べようか」
(‘_L’)「飯!!」
(´・_ゝ・`)「あ、おかえりフィレンクト」
ミセ*゚ー゚)リ「どこまで流されたの?」
(‘_L’)「ナイ島まで」
ミセ*゚ー゚)リ「ぱねぇ」
- 459 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 23:27:02 ID:ufkpxPCkO
- また食えずじまいかフィレンクト
- 460 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:28:24 ID:xloB2HyIO
-
(´・_ゝ・`)「ちなみに今しがた食べ終わったよ」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)「またおにぎり…………あ、握れないや」
(‘_L’)そ
(´・_ゝ・`)「ごめんフィレンクト、一人で食べてくる?」
(‘_L’)「握れ」
(´・_ゝ・`)「えっ」
(‘_L’)「食うから握れ」
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)「頑張る」
(‘_L’)「よし」
(´・_ゝ・`)(どんだけおにぎり好きなんだろう……)
- 461 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:30:06 ID:xloB2HyIO
-
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、宿に戻るの? それとも病院?」
(´・_ゝ・`)「ううん宿に戻るよ、病院は無理に部屋を貸してもらってただけだしね」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、診療所だから本当は入院施設無いんだっけ」
(´・_ゝ・`)「基本は無いね、宿はどっち?」
ミセ*゚ー゚)リ「こっちー!」
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)「フィレンクトも、ありがとう」
(‘_L’)「おう」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、笑ってるね」
(‘_L’)「お前が生きてるからな」
(´・_ゝ・`)「うん…………これからも、よろしくね」
(‘_L’)「おう」
(´・_ゝ・`)「でもそのアロハシャツは無いわ」
(‘_L’)「えっ」
- 462 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:32:43 ID:xloB2HyIO
-
ミセ*゚ー゚)リ「せんせー? なにしてんのー?」
(´・_ゝ・`)「今行くよ」
(‘_L’)「日記書けよ」
ミセ*゚ー゚)リ「やっべ忘れてた! あとで書く!」
(´・_ゝ・`)「……ちょっと、強くなったなあ」
(‘_L’)「良い経験だったんじゃないか」
(´・_ゝ・`)「うん……だと、良いなあ」
(‘_L’)「おいチビ! 米炊いとけ!」
ミセ*゚ー゚)リ「ミセリ! わかったー!」
季節:冬 場所:なぜか暖かい海辺の町
勉強内容:ドクオさんはやっぱすごい、おっちゃんもすごい、先生大好き。
わたしたちはやっぱり、先生が居ないと生きていけないと、幸せと共に実感した。
おわり。
- 463 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/11(日) 23:33:35 ID:xloB2HyIO
- 支援ありがとうございました、本日はここまで。
次回は来週にでも投下出来れば良いなと思ってます。
それでは、これにて失礼!
- 464 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 23:34:05 ID:ufkpxPCkO
- 乙つ!
- 465 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 23:34:59 ID:NO6AoiOgO
- おつ
ドクオさんパネェ
- 466 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 23:35:34 ID:n/JiqG1o0
- おっつー!!
- 467 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 23:35:44 ID:IgLx3s9UO
- 乙です
水着で拳闘っぷりを想像してワロタ
- 468 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 23:36:42 ID:8Bb3xL5Q0
- やっぱりなんだかんだでドクオさん
- 469 :名も無きAAのようです:2012/03/11(日) 23:38:56 ID:xTHgM6ccO
- 乙々
- 470 :名も無きAAのようです:2012/03/12(月) 00:32:24 ID:xoIgmpGo0
- 乙
良かった、いろいろと良かった
- 471 :名も無きAAのようです:2012/03/12(月) 13:00:41 ID:nDqAQF/w0
- ちんこ生える薬を患部に塗るとどうなるん…?
- 472 :名も無きAAのようです:2012/03/14(水) 06:52:11 ID:XAjdmWJQO
- 肩からちんこ生えてくるんじゃないかなー、かなー
- 473 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 10:21:34 ID:S.5yi.qcO
- 日曜日ですね
- 474 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 21:40:56 ID:ocZj9b9MO
- ごきげんよう、僕です。
ttp://letas.en-grey.com/Entry/105/
まとめてくださってます、ありがとうございます。
(´・_ゝ・`) デミタス・ポルトロン
32歳割とイケメン、身長185cm、魔導師先生。
ミセ*゚ー゚)リ ミセリ・アンジェニュ
12歳ロリ、身長130cm、明るい戦災孤児。
(‘_L’) フィレンクト・イネクプレシフ
32歳無表情、身長190cm、ニート戦士。
ttp://imepic.jp/20120318/777740
- 475 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 21:41:58 ID:oHVBBE4MO
- キタ━━━(゜∀゜)━━━!!
- 476 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 21:42:36 ID:ocZj9b9MO
-
行く道は様々、賑やかな街や静かな村。
時には冷たい風を、時には暖かな風を受けて歩いて行く。
周囲にはいつも移り変わり続ける景色。
聞こえるのは人の声や風の音、喧騒も静けさも耳へと流れ込む。
石畳を踏み、土を踏み、景色の中を渡り歩くのは、三人。
一人はどこか情けない顔をした、人の良い魔導師。
もう一人は、表情を浮かべず自由に振る舞う戦士。
その二人の間に居るのは、明るく元気な女の子。
【旅のようです】
【六話 おい、どこだよ】
彼らの間にはいつも、穏やかでいて賑やかな空間が存在する。
- 477 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 21:44:35 ID:ocZj9b9MO
-
わたしは今、道に居ます。
正しくは、街と街を繋ぐための街道。
舗装された道をてっこらてっこら、三人並んで歩いている。
道の左右に広がるのは木々やら原っぱやら、あとは広い畑なども見えます。
見通しの良い場所、畑があると言うことは、そろそろ次の街が近いと言うこと。
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、次はどんなとこ?」
(´・_ゝ・`)「んー、変わったところかな」
ミセ*゚ー゚)リ「変わったところ?」
(´・_ゝ・`)「うん、少しね」
(‘_L’)「食う物が変わってるとかか」
(´・_ゝ・`)「まあ変わってるけど、本当に君は食べる事ばっかりだね」
(‘_L’)「何が食える」
(´・_ゝ・`)「聞けよ」
- 478 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 21:46:26 ID:ocZj9b9MO
-
ミセ*゚ー゚)リ「つかおっちゃん、めっちゃ小麦色だね」
(‘_L’)「そうか?」
(´・_ゝ・`)「むしろしげるに近いよ、真っ黒だよ」
(‘_L’)「泳ぎ過ぎたか」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんガチでフジツボ食べるんだもん」
(‘_L’)「食えって言うから」
(´・_ゝ・`)「何も海に潜って直食いしなくても」
(‘_L’)「しょっぱかった」
(´・_ゝ・`)「当然だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせは海楽しかった?」
(´・_ゝ・`)「うん、興味深かったよ」
ミセ*゚ー゚)リ「興味深いは楽しいなのか……」
- 479 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 21:48:18 ID:ocZj9b9MO
-
(´・_ゝ・`)「お、街が見えてきた」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、本当だ……のどかだね!」
(´・_ゝ・`)「うん、でも」
先生が何かを言おうとした瞬間、突然響き渡る轟音。
地面を揺らし、鼓膜を揺さぶるその音にわたしとおっちゃんは身を固くして目を見開く。
何事かと先生を見上げると、普段通りな澄ました顔で街の方を見ているだけ。
ごおうごおうと、何かが吼える様な音がまた強く響き、先生の右腕にしがみつく。
おっちゃんが剣に手をやると、先生はそれを黙ったまま制した。
そして少しの時間を置いてから、音が止んだ。
ミセ;゚−゚)リ「せせせせんせ!? 今の何!?」
(‘_L’)「今のは……まさか、竜か?」
ミセ;゚−゚)リ「竜!? 実在すんの!?」
- 480 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 21:50:17 ID:ocZj9b9MO
-
(´・_ゝ・`)「うん竜、ここには普通に居るよ」
ミセ;゚−゚)リ「そんな涼しい顔で!?」
(´・_ゝ・`)「まあまあ落ち着いて、ここの竜は余所者には何もしないから」
ミセ;゚−゚)リ「そ、そなの……?」
(´・_ゝ・`)「ここの人たちは、竜を崇拝しているんだ」
(‘_L’)「……だから街の奴らは平然としてるのか」
(´・_ゝ・`)「ここでは竜の咆哮なんて日常茶飯事だろうからね」
ミセ;゚−゚)リ「でも……さすがにびっくりした……」
(´・_ゝ・`)「そうそう、ミセリ君」
ミセ;゚−゚)リ「ほい?」
(´・_ゝ・`)「ここでは、ミセリ君にとって色々不思議な事があるだろうけど、
街の人達からすれば、それは心から信じてる事……だから、決して否定しないようにね」
ミセ;゚−゚)リ「? ……よくわかんないけど、わかった!」
- 481 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 21:52:34 ID:ocZj9b9MO
-
(´・_ゝ・`)「よし、じゃあ入ろうか」
(‘_L’)「肉食えるな」
ミセ*゚ー゚)リ「お肉だね」
(´・_ゝ・`)「本当に食欲優先だなあ……」
先生のあとをついて、街の中へと入るわたしたち。
街と言うよりも村にも見える、のどかな田舎風景。
入り口で凄いのを聞いたけど、本当に街の人達は平和そのものの表情。
やっぱりこれが普通なんだなあと思いつつ、ごくごく平凡な宿屋へと入って行く。
部屋を取って、案内された部屋に荷物を置いて少し休憩。
窓から眺められる景色も、普通そのもの。
山が近くて緑が多いのは、個人的には嬉しい点です。
ミセ*゚ー゚)リ「……のどかだねー」
(´・_ゝ・`)「だね、平和なところだよ」
(‘_L’)「竜なんて姿も見えないしな」
- 482 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 21:54:21 ID:ocZj9b9MO
-
(´・_ゝ・`)「そうそう居ても困るからね」
ミセ*゚ー゚)リ「困るの?」
(´・_ゝ・`)「困る困る、伝説上の竜そのものだから大きいし」
ミセ*゚ー゚)リ「あー、そりゃ困るね」
(´・_ゝ・`)「それに竜は気高い生き物だからね、そう簡単に姿を見せちゃいけないんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「んーと、尊厳に云々?」
(´・_ゝ・`)「そうそう、それにここでは崇拝対象だし……プライドも高いだろうからね」
ミセ*゚ー゚)リ「ふーん……竜も大変だなぁ」
(´・_ゝ・`)「取り敢えず宿に居るのもアレだし、色々見て回ろうか」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(‘_L’)「お、屋台がある」
ミセ*゚ー゚)リ「マジで!」
(´・_ゝ・`)「勉強しようよ……」
- 483 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 21:55:57 ID:3u4q1XW.0
- きたな 支援や
- 484 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 21:56:07 ID:ocZj9b9MO
-
三人揃って宿を後にし、街の中をうろうろ見て歩く。
色んなお店や色んな屋台、良い匂いもたくさん溢れています。
お店には竜の角や牙を加工した物も売られていて、ここが特別な場所である事がよくわかる。
土の匂いも草の匂いも、みんな今まで辿ってきた道や街と変わらない。
だけど、ひとつ違う匂い。
それは生臭い様な、血の匂いにも似た奇妙な匂い。
ミセ*゚ー゚)リ「……これが、竜の匂いなのかな」
(‘_L’)「鼻良いなお前」
ミセ*゚ー゚)リ「なんか、不思議な感じ……見た目は普通なのになーんか違う」
(´・_ゝ・`)「その土地に色んな風習があるように、全く同じものは無いからね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん……でも、やっぱ不思議だなぁ」
- 485 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 21:59:38 ID:ocZj9b9MO
-
おっちゃんが屋台で食べ物を買って食べ歩いてるけど、わたしは食べる気が起きなかった。
不思議な匂いのせいなのか、何だか胸の辺りがぐるぐると気持ち悪い。
どうしたのかなあと胸をさすっていると、道の向こうから行列がやって来るのが見えた。
行列はお神輿みたいなものを担いでいて、その上には白い服を来た女の人。
その行列が近くまで来ると、さっきまで賑やかだった街の人達が揃って静かになり、頭を下げる。
わたしとおっちゃんが不思議そうに首を傾げていると、先生は少し複雑そうな顔で頭を下げた。
おっちゃんと顔を見合わせてから、先生に合わせてわたしたちも頭を下げておく。
しゃんしゃんと鈴の音、静かな足音。
かすかに聞こえる、すすり泣く声。
ちらりと先生を見ると、先生は無言でゆっくり首を横に振った。
ミセ*゚ー゚)リ「……せんせ、あれは……?」
(´・_ゝ・`)「うん……」
ミセ*゚ー゚)リ「? ……お嫁さん?」
- 486 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:01:43 ID:ocZj9b9MO
-
行列が通りすぎ、街の人達がまた賑やかさを取り戻す。
顔を上げたわたしは先生に問い掛けるも、先生は少し言葉を濁した。
(´・_ゝ・`)「お嫁さん……か、間違ってはないかな……」
ミセ*゚ー゚)リ「……じゃあ、何で泣いてる人がいたんだろ」
(´・_ゝ・`)「…………あれは、竜への生け贄だよ」
ミセ;゚−゚)リ「!?」
(´・_ゝ・`)「信仰の対象に、生け贄や貢ぎ物をするのは珍しい事じゃない」
ミセ;゚−゚)リ「で、でも……生け贄って、さっきの女の人……」
(‘_L’)「……止めとけミセリ」
ミセ;゚−゚)リ「だ、だってさ……さっきの人、死んじゃうんじゃないの……!?」
(´・_ゝ・`)「言ったでしょ、理解できない事があってもここではそれは普通の事……否定をしてはいけないよ」
ミセ;゚−゚)リ「そう、だけど……でも……」
- 487 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:02:38 ID:ocZj9b9MO
-
先生は、困った様に曖昧に笑った。
それを見たわたしは、それ以上もう何も言えなくて、眉を寄せながらうつむく。
_,
ミセ ゚−゚)リ「……何で、そんな事するんだろ」
(‘_L’)「竜が求めてるんだろうな」
_,
ミセ ゚−゚)リ「何で……?」
(‘_L’)「ここが平和なのは竜が居るからだ、戦争の被害を受けた様子もない」
_,
ミセ ゚−゚)リ「竜が、ここ守ってんの?」
(‘_L’)「たぶんな、だからその見返りに貢ぎ物を求めるんだろう」
_,
ミセ ゚−゚)リ「無償では守っちゃくれないのか……なんかなぁ……」
(‘_L’)「働けば金が貰えるのと一緒だ、竜には人間が給金代わりなんだろ」
_,
ミセ ゚−゚)リ「なーんだかなぁ……」
(‘_L’)「デミタスも言ってただろ、否定はしてやるな」
- 488 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:04:25 ID:ocZj9b9MO
-
むすくれながら、三人で街観光を再開。
けどわたしは、もう素直にそれを楽しめなくなっていた。
よく見てよく聞いてみれば、街の人達は口々に竜様だ何だと言っている。
ありがたいとか素晴らしいとか、竜を完全に盲信している人達。
わたしにはそれが理解出来なくて、何だか恐怖すら感じてしまう。
胸に渦巻くぐろぐろした何かは、どんどん強くなるばかり。
どうして、生きているのにわざわざ死にに行くような事をするんだろう。
どうして、あの女の人は表情も崩さずに運ばれていったんだろう。
どうして、家族や友達が死にに行くのに、だれも止めはしないんだろう。
どうして、どうして、どうして。
わからない事ばかりが溢れる街。
わたしは、ここが、苦手かもしれない。
- 489 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:06:50 ID:ocZj9b9MO
-
(´・_ゝ・`)「あ、ミセリ君」
ミセ*゚ー゚)リ「ん?」
(´・_ゝ・`)「ここの民族衣装の貸し出しがあるよ、着てみる?」
ミセ*゚ー゚)リ「そんな気分じゃないかも……」
(´・_ゝ・`)「結構似合いそうだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「どれどれ……あ、かわいい」
(´・_ゝ・`)「着てみる? 嫌な気分も晴れるかも」
ミセ*゚ー゚)リ「……うん、着る!」
(´・_ゝ・`)「ん、すみません衣装の貸し出しをお願いします」
(‘_L’)「この串焼きうめぇ」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんずっと食べてるね」
(‘_L’)「食うか、竜の肉らしいぞ」
ミセ*゚ー゚)リ「信仰の対象食べれるわけないじゃん」
(‘_L’)「まあそれもそうか」
- 490 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:08:37 ID:ocZj9b9MO
-
ttp://imepic.jp/20120318/777690
⌒リノ*゚ー゚)リ「せんせ、どお?」
(´・_ゝ・`)「お、似合うよミセ……リ、君……?」
(‘_L’)「似合うぞリノリ」
⌒リノ*゚ー゚)リ「どつくぞ」
(´・_ゝ・`)「冗談冗談、可愛いよ」
⌒リノ*゚ー゚)リ「へへー、なんかひらひらして落ち着かない」
(‘_L’)「ポニテにするとリノリになるのかリノリ」
⌒リノ*゚ー゚)リ「パダーマ」
(‘_L’)「あっつ!!」
(´・_ゝ・`)「あ、ちゃんと撃てる様になったんだね」
⌒リノ*゚ー゚)リ「一回撃つとMP尽きるけどね!」
(‘_L’)「MP使いきってまで撃つなよ!」
- 491 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:10:15 ID:ocZj9b9MO
-
(´・_ゝ・`)「着たまま外歩けるらしいし、少し歩こうか」
⌒リノ*゚ー゚)リ「ちょっと恥ずかしいねこれ……」
(´・_ゝ・`)「大丈夫大丈夫、みんな慣れてるよ」
⌒リノ*゚ー゚)リ「んー…………あ、あれ」
(´・_ゝ・`)「ん?」
⌒リノ*゚ー゚)リ「さっきの、生け贄の人」
(´・_ゝ・`)「ああ、ここで一旦休んでから行くんだね」
⌒リノ*゚ー゚)リ「ふーん……」
(‘_L’)「デミタス」
(´・_ゝ・`)「何?」
(‘_L’)「金が尽きた」
(´・_ゝ・`)「買い食いしすぎ」
- 492 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:12:12 ID:ocZj9b9MO
-
(´・_ゝ・`)「しょうがないなあ……じゃあ役所に行こうか」
(‘_L’)「戦士の勲章出しとく」
(´・_ゝ・`)「ズボンに手を突っ込まない」
⌒リノ*゚ー゚)リ「せんせ、わたし待ってるー」
(´・_ゝ・`)「うん、あんまりうろうろしない様にね」
⌒リノ*゚ー゚)リ「ほーい」
(´・_ゝ・`)「ほら行くよフィレンクト……ズボンを下ろさないで!!」
(‘_L’)「いや勲章がなかなか……」
⌒リノ*゚ー゚)リ「おっちゃん、もうパンツに勲章付けないでよ」
(‘_L’)「一番無くさないんだよここが」
(´・_ゝ・`)" ゴッ
(‘_L’)「痛い!」
- 493 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:14:17 ID:ocZj9b9MO
-
先生とおっちゃんが役所へ向かい、わたしは一人ぼんやりと壁にもたれかかる。
民族衣装はちょっと可愛いけど、やっぱりここは苦手かも。
きっと役所に行ったら、展示物に竜の素晴らしさについてとかたくさん書いてそうだし。
あんまりうろうろ歩き回る気分にもなれなくて、ため息混じりに周囲を見回す。
目に入るのは、ずっと同じ状態で座る生け贄の人。
綺麗な白い装束を纏い、静かに座り続けている。
少し眺めてから、わたしはそっと女の人に近付く。
誰も咎めないって事は、近付いても大丈夫って事なのかな。
そっと顔を覗き込み、頭にかけてある布の隙間から目が合った。
⌒リノ*゚ー゚)リ「……あの、お話ししても、大丈夫ですか?」
川 ゚ 々゚)「ぁ……えぇ、大丈夫、ですよ」
- 494 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:16:14 ID:ocZj9b9MO
-
⌒リノ*゚ー゚)リ「あの、えっと……その、どこに、行くんですか?」
川 ゚ 々゚)「あちらのお山……竜様がね、いらっしゃいますの……」
⌒リノ*゚ー゚)リ「竜、様……」
川 ゚ 々゚)「えぇ、えぇ……竜様は、とっても尊いお方……わたしたちを守って下さるの」
⌒リノ*゚ー゚)リ「そう、なんだ……すごい方なんですね」
川 ゚ 々゚)「えぇ、とおっても……わたし、神子に選ばれて、幸せですわぁ」
⌒リノ*゚ー゚)リ「……神子、かぁ」
川 ゚ 々゚)「竜様になら、この身も全て許せますもの……身も心も魂も、血肉も何もかも……」
⌒リノ*゚ー゚)リ「……あっちの、お山にいらっしゃるんですね」
川 ゚ 々゚)「えぇ……早く、お会いしたいわぁ……」
⌒リノ*゚ー゚)リ「…………ありがとうございました、お話ししてくれて」
川 ゚ 々゚)「いいえ……そんな、こちらこそ」
⌒リノ*゚ー゚)リ「あんまりお邪魔できないし、失礼しますね」
川 ゚ 々゚)「はい、ごゆっくり、していってくださいね……」
- 495 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:18:03 ID:ocZj9b9MO
-
なんか、おかしい。
盲信している、狂信している。
自分が食べられるかも知れないのに、幸せそうにふわふわと笑う神子。
心から幸せそうに、どこも見ていない濁った目で笑う、綺麗な人。
背筋が冷える感覚に、わたしは身を震わせて歩き出した。
⌒リノ ゚−゚)リ「……なんなんだろ、ここ……」
⌒リノ ゚−゚)リ
ミセ ゚−゚)リ" バサリ
ミセ ゚−゚)リ「竜様、か……」
わたしは人の目につかないように、そっと脇道へと入り込む。
そしてそのまま、近くに見える山へと向かって歩き出した。
- 496 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:20:04 ID:ocZj9b9MO
-
街の中から林へ入り、そのまま森へと突き進む。
大して時間もかからず、足は斜面を感じた。
どこに竜が居るかはわからない、けど竜は大きい。
大きければ、尻尾くらいは見つかるかもしれない。
別に、竜に会って何かしたいわけじゃない。
ただ、確認してみたかった。
危ない事は何となくわかってる。
でもわたしは、納得できない。
ミセ ゚−゚)リ「本当に……竜様って、呼ばれるような存在なのかな」
竜が何を考え、何を望んで、何をしているのか。
この目で確かめなければ、わたしは納得なんてできない。
暴いてはいけないものを暴こうとしている様な背徳感。
怒られるのがわかっている事をしようとしている、この好奇心。
わたしの足はもう止まらない。
- 497 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:22:06 ID:ocZj9b9MO
-
ざわざわ、風に蠢く木々の葉擦れ。
草木の緑の匂いが薄れ、土や岩肌の匂いに変わる。
それと同時に、不思議な匂いも濃くなる。
側にあるものは、岩や草木、大きな岩肌に手をついて息を吐く。
周囲には誰もいない、わたしだけが歩いている。
なのになぜか、奇妙な気配を感じた。
まるで目の前にいる様な、すぐ後ろにいる様な。
心臓の動きが早くなるのがわかる。
どくどく、ぞわぞわ、わたしの体が何かを拒絶している。
これ以上進んではいけないと、何かが警告している気がした。
『贄、か?』
けどその警告は、少しばかり遅かったみたいだ。
- 498 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 22:22:13 ID:5Shu1dq60
- ミセリはBOFか……俺得
- 499 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:24:19 ID:ocZj9b9MO
-
突然響いたその声は、人のものではなかった。
大きくはなく、でもお腹の底に響くような低さはわたしの身を固くさせる。
言葉が聞こえた、けど人とは違う声、全身を包む緊張感に目を見開き、周囲を見回す。
でも声の主らしき姿は見えず、余計にわたしは混乱してしまう。
すると、そばにあった土色の岩肌が蠢いた。
ミセ;゚−゚)リ「ッ!?」
『贄、ではなさそうだな、小娘』
ミセ;゚−゚)リ「ぇ……あ、あ……の」
『目の前に居る、顔を上げろ』
どこから響くのかもわからない声に従い、わたしは恐る恐る顔を上げる。
目の前にあった岩の突起が、目を開いた。
- 500 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 22:25:47 ID:3u4q1XW.0
- 上目遣いフェチとな
- 501 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:27:07 ID:ocZj9b9MO
-
ミセ;゚−゚)リ「ぅえッ!?」
『なんだ、子供か……迷い込んだのか』
大きな目玉がぎょろりとこちらを見て、岩そのものがずず、と動く。
土や葉をぱらぱらと落としながら起き上がった岩。
その形は、本で見た事がある、竜の姿に似ていて。
ミセ;゚−゚)リ「ぁ、う……竜……?」
『擬態していては分かりにくいか?』
ミセ;゚−゚)リ「ぇ、ぎ、擬態?」
大きな岩、彫刻で竜を作ろうとしてる途中の様なそれ。
それは口らしき場所を動かしながら、砂やらをぱらぱら落として喋る。
- 502 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:28:32 ID:ocZj9b9MO
-
圧倒的な質量と、威圧感。
見た目はそうとは言いにくいが、確かに竜である事は感じられる。
大きな口、尖った角、少し長い首に畳んだ翼。
それらはすべて、おとぎ話に出てくる竜そのものではあった。
粗削りな形状の竜は、わたしを前にして静かに数回頷く。
ぎょろりとした大きな目玉で頭の先から爪先までをじいっと眺め、少しだけ笑った様に見えた。
少しの間そうして沈黙していると、突然大きな風が吹き荒れる。
ごおうと吹き抜ける風にわたしは驚き目を閉じて、顔をかばう様に腕をあげた。
風は、一陣だけですぐに過ぎ去った。
体に風を感じなくなり、そっと腕を下ろし、まぶたを持ち上げる。
ミ,,゚Д゚彡「よう」
ミセ;゚−゚)リ
ミ,,゚Д゚彡
ミセ;゚−゚)リ「…………誰?」
- 503 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:30:23 ID:ocZj9b9MO
-
(´・_ゝ・`)「だからフィレンクト、パンツに付けないでって言ったよね」
(‘_L’)「うわ……なんか変な刺さり方してて取れねぇ……」
(´・_ゝ・`)「何考えてるの本当に……もう良いよ脱いでき」
(‘_L’)「ここで!?」
(´・_ゝ・`)「途中で切らないで、トイレ行ってこい」
(‘_L’)「無理これ、パンツ脱ぐレベル」
(´・_ゝ・`)「もう千切れよ……」
(‘_L’)「俺のパンツへの愛情無さすぎだろお前……」
(´・_ゝ・`)「愛情持てってのがまずおかしいよ……」
(‘_L’)「お、こっからあの店見えるんだな」
(´・_ゝ・`)「ん? ……ああ本当だ」
(‘_L’)「おい、あのチビどこ行った」
(´・_ゝ・`)「観光してるんじゃない?」
- 504 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:32:20 ID:ocZj9b9MO
-
(‘_L’)「何だそれ危機感無さすぎるだろ」
(´・_ゝ・`)「大丈夫だよ、何かあったらわかるから」
(‘_L’)「えっ」
(´・_ゝ・`)「防犯ブザーの魔法かけてあるから」
(‘_L’)「何だその便利な魔法」
(´・_ゝ・`)「良いからほら、早く勲章出してよ」
(‘_L’)「だからパンツから取れねぇって」
(´・_ゝ・`)「ちょっと見せて」
(‘_L’)「ほれ」
(´・_ゝ・`)" ブチィッ!
(‘_L’)「お前ひどくね!?」
(´・_ゝ・`)「ひどくないひどくない、すみません魔導師と戦士なんですが」
- 505 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:34:53 ID:ocZj9b9MO
-
ミセ*゚ー゚)リ「……竜なの?」
ミ,,゚Д゚彡「竜だよ竜」
ミセ*゚ー゚)リ「ただのマッチョなイケメンに見えるよ?」
ミ,,゚Д゚彡「人間に擬態した方が話しやすいだろ」
ミセ*゚ー゚)リ「しかも無駄にフレンドリーじゃない?」
ミ,,゚Д゚彡「話しやすいだろ?」
ミセ*゚ー゚)リ「ああ、はい、確かに」
ミ,,゚Д゚彡「ところでお前、贄じゃないだろ? 何でこんなとこ居るんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「竜と話してみたかったから来てみた」
ミ,,゚Д゚彡「アグレッシブだなーお前」
ミセ*゚ー゚)リ「よく言われる」
- 506 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:36:31 ID:ocZj9b9MO
-
ミセ*゚ー゚)リ「……ねぇ竜さん」
ミ,,゚Д゚彡「おう」
ミセ*゚ー゚)リ「生け贄もらってるんだよね?」
ミ,,゚Д゚彡「おう」
ミセ*゚ー゚)リ「生け贄って本当にほしいの?」
ミ,,゚Д゚彡「んー……ここを住処にしてる竜はな、人間より先に居たんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「長生きだもんね竜って」
ミ,,゚Д゚彡「おう、んでな、結構前に突然人間が来てここに住んでも良いかって聞いてきた」
ミセ*゚ー゚)リ「ふむ」
ミ,,゚Д゚彡「まあ人間とかどうでも良いし、こっちの生活の邪魔しなけりゃ良いって了承した」
ミセ*゚ー゚)リ「意外と心広いんだね」
ミ,,゚Д゚彡「竜に言う事かそれ……まあしばらくは平和だったけどよ、ある時ちょっと飢饉になった」
- 507 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:38:52 ID:ocZj9b9MO
-
ミ,,゚Д゚彡「俺ら竜は自然と同化してるし、飯とか食わなくても平気だけど人間は違うだろ」
ミセ*゚ー゚)リ「……食べなきゃ、死んじゃうね」
ミ,,゚Д゚彡「だよな、でもそいつらは自力で何とかしようとしてた、でもどうしようもなかった」
ミセ*゚ー゚)リ「……」
ミ,,゚Д゚彡「んだからよ、俺が尻尾の先っぽくれてやったんだよ、食えって」
ミセ*゚ー゚)リ「…………優しいね」
ミ,,゚Д゚彡「まー気紛れだけどさ、一応は近所に住んでるし……何か夢見悪いだろ」
ミセ*゚ー゚)リ(何かドクオさんみたいな事言ってるな……)
ミ,,゚Д゚彡「そしたらそいつら、すげー感謝してきてさ、このご恩は忘れませんつって」
ミセ*゚ー゚)リ「良い事だね」
ミ,,゚Д゚彡「だな、んでそいつらは竜の肉食ったから体も強くなって生き残れたわけよ」
ミセ*゚ー゚)リ「竜の肉ってそんなにすごいの?」
ミ,,゚Д゚彡「すげーよ、尻尾の先だからそんなに効果ねぇけど良い肉だと不老不死とかなれる」
ミセ*゚ー゚)リ「パネェな……」
ミ,,゚Д゚彡「だろ、ちっとは崇めろよ。そしたら元気になって持ち直したんだよ人間が」
- 508 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:40:59 ID:ocZj9b9MO
-
ミ,,゚Д゚彡「んでだ、えーと……野菜とかとれる様になったから、捧げ物つって持ってきた」
ミセ*゚ー゚)リ「へー」
ミ,,゚Д゚彡「時々野菜持ってくるからさ、何かお返ししなきゃだろ、近所付き合い的に」
ミセ*゚ー゚)リ「フレンドリー過ぎるよ竜さん」
ミ,,゚Д゚彡「円滑な近所付き合いって大事だぜ、んでまあそんな事がずっと続いてさ」
ミセ*゚ー゚)リ「竜って近所付き合い気にするのか……」
ミ,,゚Д゚彡「何か人間が何回か代替わりすると、野菜から肉に変わってな」
ミセ*゚ー゚)リ「ふむむ」
ミ,,゚Д゚彡「また何回か代替わりすると、何でか人間持ってくる様になった」
ミセ*゚ー゚)リ「……情報がねじ曲がっちゃったのかな」
ミ,,゚Д゚彡「たぶんな、でも拒絶も出来ないわけよ、だから大人しく受け取ってた」
ミセ*゚ー゚)リ「間違いを正せば良かったのに」
ミ,,゚Д゚彡「そこまですんのもめんどくせーし」
ミセ*゚ー゚)リ「竜さん……」
- 509 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:43:33 ID:ocZj9b9MO
-
ミ,,゚Д゚彡「その辺からな、生け贄を与えられる代わりに、こっちも色々渡す様になった」
ミセ*゚ー゚)リ「何か……本末転倒だね」
ミ,,゚Д゚彡「だよなぁ……んで今は、尻尾の肉や間引いた子供の肉や卵を渡している」
ミセ*゚ー゚)リ「……もう生け贄いらなくない?」
ミ,,゚Д゚彡「こっちから強いる事はないしな、ぶっちゃけいらん、と言うか貰っても困る」
ミセ*゚ー゚)リ「めんどくさがらずに言ってあげればいいのに……」
ミ,,゚Д゚彡「そう言うけどな、代価もなしに身を削れば竜の力を甘く見られる、それは駄目なのよ」
ミセ*゚ー゚)リ「でも……」
ミ,,゚Д゚彡「それに生け贄を与えられても別に食わねーし、生け贄はみんな生きてるし」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ」
ミ,,゚Д゚彡「だって飯必要ないし、今日来る生け贄も俺の嫁みたいなもんだし」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ」
- 510 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:44:51 ID:ocZj9b9MO
-
ミセ*゚ー゚)リ「…………竜さん、どんくらいの頻度で生け贄もらってるの?」
ミ,,゚Д゚彡「半年に一回くらい」
ミセ*゚ー゚)リ「お嫁さんどんだけ居るのそれ」
ミ,,゚Д゚彡「だから貰っても困るんだって、嫁が多すぎて維持費はんぱねーんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ(本当にドクオさんみたいな事言ってる……)
ミ,,゚Д゚彡「ぶっちゃけ尻尾とかすぐ生えるし、先端切っても先の方は痛覚ねーし」
ミセ*゚ー゚)リ「えぇ……」
ミ,,゚Д゚彡「増えすぎたらアレだから間引かなきゃいけねーし、こっちは困る事なんも無いんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「竜さん……」
ミ,,゚Д゚彡「しょうがねーじゃん……竜ってもともとプライド高いしさ」
ミセ*゚ー゚)リ「全くそうは見えないけど」
ミ,,゚Д゚彡「他の竜とかな、竜全体の名誉のためにも人間に甘く見られちゃ駄目なんだよなあ」
- 511 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:46:48 ID:ocZj9b9MO
-
ミセ*゚ー゚)リ「大変だねぇ、竜さんも……」
ミ,,゚Д゚彡「大変なんだよ……意外と……」
ミセ*゚ー゚)リ「ところで何でここに住んでるの? 巣作りドラゴン?」
ミ,,゚Д゚彡「それエロゲ」
ミセ*゚ー゚)リ「エロゲ知ってるの竜さん」
ミ,,゚Д゚彡「お前こそ何で知ってんだ、十やそこらだろ」
ミセ*゚ー゚)リ「12歳」
ミ,,゚Д゚彡「何千歳下かな……」
ミセ*゚ー゚)リ「本当に長生きだな竜さん……」
ミ,,゚Д゚彡「まあ長く生きてもたいした事ねーよ、暇だし寝てばっかだし、たまに変な人間来るけど」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしとか?」
- 512 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:48:21 ID:ocZj9b9MO
-
ミ,,゚Д゚彡「そうそうお前とか、あとひょろ長い魔導師とか来たわ」
ミセ*゚ー゚)リ「顔色悪くて髪の長い?」
ミ,,゚Д゚彡「あーそんなんそんなん、面白かったよあいつ、変な従者連れてんの」
ミセ*゚ー゚)リ(間違いなくドクオさんだよ……何してるのドクオさん……)
ミ,,゚Д゚彡「元気かねーあいつ、俺の肉食ったから間違いなく元気だろうけど」
ミセ*゚ー゚)リ(しかも食べたのかよドクオさん……)
川 ゚ -゚)「ご主人様、キモいです」
('A`)「えっ、何もしてないのにいきなり?」
川 ゚ -゚)「いや先手打っとこうかと思って」
('A`)「何その理不尽な発言……何もしてないのに……」
- 513 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:50:18 ID:ocZj9b9MO
-
ミ,,゚Д゚彡「まーそんなわけで、別に生け贄とかいらんから」
ミセ*゚ー゚)リ「わかった」
ミ,,゚Д゚彡「あーでも町の人間には言うなよ、生け贄を必要ないと思われるのも困るから」
ミセ*゚ー゚)リ「……わかった」
ミ,,゚Д゚彡「生け贄とか、よそ者には気持ち悪く感じるだろうな、あいつら俺を信仰してるし」
ミセ*゚ー゚)リ「……」
ミ,,゚Д゚彡「でもこれが、この土地で古くから存在する関係なんだよ、今さらどうしようもねぇ」
ミセ*゚ー゚)リ「ん……」
ミ,,゚Д゚彡「ま、お前はまだ子供だしな、もっと色々知ってみろよ、無理に理解はすんな」
ミセ*゚ー゚)リ「……うん」
ミ,,゚Д゚彡「ここだけでなく、他の土地土地に固有の文化がある、それは受け入れろ
それがどんなに野蛮な風習だろうと受け入れはしろ、理解はしなくて良い」
ミセ*゚ー゚)リ「うん……頑張る」
- 514 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:52:15 ID:ocZj9b9MO
-
ミ,,゚Д゚彡「無理はすんなよ、俺より短いけどお前にとっちゃまだまだ先は長くある」
ミセ*゚ー゚)リ「竜さんの先は、どれくらいあるの?」
ミ,,゚Д゚彡「生きるのに飽きても飽きてもまだ足りないくらい長いよ、嫌になるくらいな」
ミセ*゚ー゚)リ「……苦しいと思う?」
ミ,,゚Д゚彡「ちったあな、まあ嫌でも生きるけどよ」
ミセ*゚ー゚)リ「それは、生きたいから?」
ミ,,゚Д゚彡「それはわかんねぇけど死にたくもねぇし、生きたくても生きられない奴は多い」
ミセ*゚ー゚)リ「その分も、生きるの?」
ミ,,゚Д゚彡「…………」
ミセ*゚ー゚)リ「……竜さん?」
ミ,,゚Д゚彡「本当はな、ちょっと後悔してんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「後悔?」
- 515 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:54:29 ID:ocZj9b9MO
-
ミ,,゚Д゚彡「飢饉の時さ、俺がもっと早く尻尾でもやっときゃ、もっともっと生き延びた奴が居た」
ミセ*゚ー゚)リ「ぁ……」
ミ,,゚Д゚彡「でも俺がめんどくせーとか立場とか気にしてたから、遅くなったんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「…………」
ミ,,゚Д゚彡「それに、多くの命を背負うのは怖いよ、竜でも怖い、背負いきれないと思った」
ミセ*゚ー゚)リ「本当……似てるなぁ」
ミ,,゚Д゚彡「俺の弱虫でさ、人間は多く死んだんだよな……嫌だよな、何か……」
ミセ*゚ー゚)リ「そう、だね……」
ミ,,゚Д゚彡「悔しくて申し訳なくてさ、何も言わないけど助けを待ってるのは知ってたのに」
ミセ*゚ー゚)リ「うん……」
ミ,,゚Д゚彡「……だからさ、今生きてる奴らの命くらいは背負いたいわけよ
あの時、俺が見殺した奴らの代わりにはならないけどさ……助けたいんだよな」
- 516 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:56:04 ID:ocZj9b9MO
-
ミセ*゚ー゚)リ「竜さんは、優しいね……先生達みたい」
ミ,,゚Д゚彡「お前の先生も、苦労してんだな」
ミセ*゚ー゚)リ「うん……馬鹿みたいに苦労してる」
ミ,,゚Д゚彡「はは、お前が苦労させてんだろ向こう見ず」
ミセ*゚ー゚)リ「へへ、否定出来ないや」
ミ,,゚Д゚彡「まあだから、貰っても困る生け贄を受け取って、あいつらを守るよ……守るんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「……竜さん」
ミ,,゚Д゚彡「ん?」
ミセ*゚ー゚)リ「かっこいい」
ミ,,゚Д゚彡「あんがとよ」
ミセ*゚ー゚)リ「先生達の次にね?」
ミ,,゚Д゚彡「へいへい、お前も嫁達の次くらいに可愛いもんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「へへへ」
- 517 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 22:58:08 ID:ocZj9b9MO
-
ミ,,゚Д゚彡「あー、もう陽が落ちてきたな」
ミセ*゚ー゚)リ「本当だ、もう夕方だね」
ミ,,゚Д゚彡「どうせこっそり来たんだろ、先生が心配すっからもう帰れ」
ミセ*゚ー゚)リ「バレてら……うん、そろそろ帰る」
ミ,,゚Д゚彡「あっちの道から真っ直ぐ行けば町に戻れる、贄の奴とも会わないで済む」
ミセ*゚ー゚)リ「おー、ありがと竜さん」
ミ,,゚Д゚彡「おう、気を付けて帰れよ」
ミセ*゚ー゚)リ「そうだ、最後に1つ」
ミ,,゚Д゚彡「んあ?」
ミセ*゚ー゚)リ「お嫁さんたちどこにいんの?」
ミ,,゚Д゚彡「あっちにある洞窟、普段は俺もそこに住んでる」
ミセ*゚ー゚)リ「エロゲかよ……今日は何で出てたの?」
ミ,,゚Д゚彡「贄来るから待ってた、尻尾も渡すし」
- 518 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:00:19 ID:ocZj9b9MO
-
ミセ*゚ー゚)リ「竜さん最初は擬態してたんだよね」
ミ,,゚Д゚彡「岩になってたな」
ミセ*゚ー゚)リ「今は人間に擬態してんだよね」
ミ,,゚Д゚彡「うん」
ミセ*゚ー゚)リ「元の姿はどんなんなの?」
ミ,,゚Д゚彡「本とかに似た様なのよく載ってる」
ミセ*゚ー゚)リ「あー……ガチで伝説通りなんだ」
ミ,,゚Д゚彡「まあそうだな、基本はみんな似た様な形だし」
ミセ*゚ー゚)リ「今度また本当の姿見せてねー」
ミ,,゚Д゚彡「あんまうろちょろ入ってくんなよ、道危ないし」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
ミ,,゚Д゚彡「あと今日の飯は俺の尻尾だ思う」
ミセ*゚ー゚)リ「食べにくいわ」
- 519 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:02:14 ID:ocZj9b9MO
-
竜さんと別れを告げ、わたしは言われた道へと進んで行く。
来た時よりも歩きやすい、死角でありながらも多少整った道。
一度だけ竜さんを振り返り、ぶんぶん手を振る。
呆れた様に笑いながらも手を振り返してくれた竜さんの姿は、本で見たドラゴンの姿をしていた。
ミセ*゚ー゚)リ「……いい人だったな、竜さん」
ミセ*゚ー゚)リ「人じゃないか……いい竜?」
ミセ*゚ー゚)リ
ミセ*゚ー゚)リ「まあ良いや、それより話せて良かった」
今日の事は、わたしと竜さんだけの秘密にしておこう。
町の人に知られたら面倒な事になりそうだし、先生は危ない事をするなと怒りそう。
それに、何となく、話してはいけない気もする。
話した内容はもちろん、わたしの行動も、竜さんの苦しみも。
これは、わたしの竜さんだけの秘密。
小さな小さな密約。
- 520 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:04:12 ID:ocZj9b9MO
-
(´・_ゝ・`)「お、ミセリ君いた」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせー、お仕事どうだった?」
(´・_ゝ・`)「問題なかったよ、ミセリ君は? 危ない事とかなかった?」
ミセ*゚ー゚)リ「だいじょーぶだいじょーぶ、ところで何でおっちゃん落ち込んでるの?」
(‘_L’)「俺のパンツが……」
ミセ*゚ー゚)リ「すげぇどうでも良かった」
(‘_L’)「あんまりだよお前ら」
(´・_ゝ・`)「ほらそろそろ夕飯の時間だよ、宿に戻ろう」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
(‘_L’)「お前らはもう少し俺のパンツについて考えろ」
(´・_ゝ・`)「普通に嫌だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんそれは無いわ」
(‘_L’)「ひどい!」
- 521 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:06:20 ID:ocZj9b9MO
-
(´・_ゝ・`)「と言うか何度も言うけどパンツに勲章付けないで」
(‘_L’)「他につける場所がない」
(´・_ゝ・`)「あるよ!」
(‘_L’)「ねぇよ!」
(´・_ゝ・`)「マダンテ!!」
(‘_L’)「死ぬッ!?」
ミセ*゚ー゚)リ(通常運転だなー)
(´・_ゝ・`)「よし行こう、夕飯が楽しみだね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、今日は何をしてたの?」
ミセ*゚ー゚)リ「色々見てた、風習とか文化とか」
(´・_ゝ・`)「うんうん、ちゃんと勉強してたんだね」
ミセ*゚ー゚)リ「もっちろん!」
- 522 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:08:36 ID:ocZj9b9MO
-
(´・_ゝ・`)「で、本当は何してたの?」
ミセ;゚ー゚)リ「読まれてる、だと……」
(´・_ゝ・`)「そりゃミセリ君の事くらいわかるよ、竜の匂いするし」
ミセ;゚ー゚)リ「う……あの……えっと」
(´・_ゝ・`)
ミセ;゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)「ミセリ君」
ミセ;゚ー゚)リ「ごめんなさい……」
(´・_ゝ・`)「全くもう、竜のところに行ったんでしょ」
ミセ;゚ー゚)リ「ご、ごめんなさい……」
(´・_ゝ・`)「ここの竜は友好的でも、他はそうとは限らないからね?」
ミセ;゚ー゚)リ「はぁい……」
(´・_ゝ・`)「まあ問題無かったなら良いよ、怪我も無いね?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、それは大丈夫!」
- 523 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:10:14 ID:ocZj9b9MO
-
(´・_ゝ・`)「ん、じゃあ行こう……もう危ない事はしないようにね?」
ミセ;゚ー゚)リ「反省してます……」
(´・_ゝ・`)「反省してるなら良いよ、その代わりちゃんと気を付けてね」
先生にはみんなお見通しだったけど、それ以上は聞かなかった。
何があったとか、何を話したとか。
聞いてはいけないと言う事を、先生は察しているのだろう。
わたしにも、竜さんにも、とても優しい人。
誰かを傷付ける事を嫌がって、何でもかんでも背負い込もうとする。
バカがつくくらい正直で、びっくりするほどお人好し。
人の事は気にするのに、自分の事にはとんと無頓着。
もっと、ちゃんと自分の事を大事にしてほしいけど、無理をさせるのはいつだってわたし。
いっつも苦労させてごめんね、なんて。
先生の無くなった左腕を見ながら、こっそりと思うのだった。
- 524 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:12:18 ID:ocZj9b9MO
-
宿に戻った私たちは、その足で食堂へと向かう。
いつのまにやら時間はすっかり晩御飯時、厨房から漂う良い匂いにお腹がきゅうと鳴った。
そう言えば、今日はろくに食べていない。
妙な気持ち悪さはもう感じない、ご飯だってお腹いっぱい食べられそうだ。
向かい合って席につき、先生を見上げて笑った。
先生もわたしを見てにっこり笑い、楽しみだねと小さく言う。
それから数分待って、運ばれてきたのはお肉料理。
分厚いお肉をそのままステーキにしており、お肉な上にはガーリックとパセリのバター。
じゅうじゅうと鉄板の上で跳ねる脂の音を聞くだけで、空腹はさらに増してゆく。
付け合わせはブロッコリーとニンジンのソテー、ほかほかのパンがふたっつお皿に乗っている。
ふと先生の分を見てみると、そちらはもう細かく切り分けられたものだった。
腕が片方だけなのを見て、お店の人が気を配ってくれたのか。
先生はほんの少しだけ悲しそうな顔をして、お店の人にありがとうを告げる。
- 525 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:14:20 ID:ocZj9b9MO
-
ミセ*゚ー゚)リ「美味しそうだね、せんせ!」
(´・_ゝ・`)「うん、今日のお肉は特別らしいよ」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ……」
(´・_ゝ・`)「竜の肉が入ったから、それを焼いてくれたんだって」
_,
ミセ;゚〜゚)リ「……」
(´・_ゝ・`)「竜の肉は栄養豊富でビタミンが……どうしたの変な顔して」
_,
ミセ;゚〜゚)リ「あ、いや……何でも…………食べづれぇよ竜さん……」
(´・_ゝ・`)「? ……じゃあ、食べようか」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい! いっただきまーす!」
ナイフでお肉を切ると、見た目に反して柔らかく難儀する事なく切り分けられる。
切ったお肉をフォークで刺して口に運ぶと、口の中いっぱいに肉汁、脂、噛むたび溢れる独特の風味。
竜の肉と言うから、固くて少し食べにくいのだろうと思っていたのに、そんな事はまるでない。
脂は乗ってるし肉自体も柔らかい、この少し癖のある味は竜の肉だからだろうか。
塩コショウを振ってあるだけで、他にはバターが乗ってるだけで何もかかっていない。
それでも臭みは無いし、お肉そのものの味を十分味を感じられる。
- 526 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:16:06 ID:ocZj9b9MO
-
パンをむしって口に放り込んでみると、外はパリパリのあつあつで中はふわふわ柔らかい。
付け合わせのお野菜は少し芯が残るものの、歯応えに差が出るのもなかなか。
ちらりと先生を見ると、片腕でも滞りなく食べられてるみたい。
少しほっとしてお肉を口に運ぶわたしを、先生が少し困った様に笑いながら見ていた。
たっぷりのお肉を食べても、意外とお腹が重くはならない。
お腹が膨れないわけではなく、胃にしつこさを感じないのだ。
なぜだろうとお腹を撫でて首を傾げていると、視界の端に何かが映った。
ミセ*゚ー゚)リ「…………せんせ」
(´・_ゝ・`)「ん?」
ミセ*゚ー゚)リ「何それ」
顔を上げたわたしの目に映ったのは、勝手に裂けるパンや、お茶を混ぜるスプーン。
透明な左手にパンを持ち、右手でむしって口に運ぶ、様に見える。
パンを置くと、今度は少し大きいお肉の塊をフォークで押さえたお肉を右手に持つナイフで切る。
もちろん、フォークを持つ手は無いので空中に浮いてる様にしか見えないわけで。
- 527 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 23:17:38 ID:S.5yi.qcO
- 何と便利な
- 528 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:18:03 ID:ocZj9b9MO
-
(´・_ゝ・`)「何、って……ご飯?」
ミセ;゚ー゚)リ「いや違う、なんか違う! そっちじゃない!」
(´・_ゝ・`)「ああ、こっちかな……フォークだね」
ミセ;゚ー゚)リ「そうだね! 浮いてるね!」
(´・_ゝ・`)「魔導師だからね、物を動かすくらいは出来るよ」
ミセ*゚ー゚)リ「あ……そういやドクオさんもやってたな……」
(´・_ゝ・`)「コントロールは難しいけど、慣れたら腕がある様に使える」
ミセ*゚ー゚)リ「ほへー……すげーせんせ」
(´・_ゝ・`)「腕が無くなってから数日後にドクオさんから手紙が来てね」
ミセ*゚ー゚)リ「どうやって届くのそれ」
(´・_ゝ・`)「気が付いたら鞄に入ってる、返事はいつのまにか届いてる」
ミセ*゚ー゚)リ「何それこわい」
- 529 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 23:19:04 ID:mKkL2mrE0
- もうドクオさんのハイスペックぶりでいつも笑う
- 530 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:20:22 ID:ocZj9b9MO
-
(´・_ゝ・`)「手紙に、物を動かすコツと魔力の溜め方が書いてあった」
ミセ*゚ー゚)リ「……ドクオさんは、知ってるのかな」
(´・_ゝ・`)「知ってるだろうね……それで、少し練習して出来る様になっておいたんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「そんなすぐにいけちゃうもんなの?」
(´・_ゝ・`)「昔やった事があったからね、その時はうまく出来なかったけど」
ミセ*゚ー゚)リ「そっか……良かった……」
(´・_ゝ・`)「気遣わせてごめんね」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ、今までみたいにご飯食べれるの?」
(´・_ゝ・`)「うん、大丈夫だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「……あーんは?」
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)「あ、あーん」
ミセ*゚ー゚)リ「はい、あーん」
- 531 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 23:21:18 ID:S.5yi.qcO
- 夫婦か
- 532 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:22:18 ID:ocZj9b9MO
-
ミセ*゚ー゚)リ「これで着替えに戸惑わなくて済むね、せんせ」
(´・_ゝ・`)「片腕でズボン履くのが恐ろしく難しかった」
ミセ*゚ー゚)リ「シャツは頑張れるんだけどねー……」
(´・_ゝ・`)「あとマントが羽織りづらい羽織りづらい」
ミセ*゚ー゚)リ「お風呂とかトイレとかは?」
(´・_ゝ・`)「うんまあ、まあ、うん、ご飯食べてるしね」
ミセ*゚ー゚)リ「てへぺろっ☆」
(´・_ゝ・`)「しかし、竜の肉って思ったよりも美味しいね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、お腹が脂っぽくならないし柔らかいし」
(´・_ゝ・`)「保存食に干した肉も売ってるみたいだから、あとで買っておこうか。」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
わいわいと話ながら、久々に賑やかな食事をした。
お腹はしっかりくちくなり、元気よく手を合わせてのごちそうさまでした。
食後にお茶を飲んで、それでもまだ先生と話す。
わたしの話を楽しそうに聞く、先生の顔が好き。
- 533 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:24:33 ID:ocZj9b9MO
-
ミセ*´ヮ`)リ「はー……おなかいっぱい」
(´・_ゝ・`)「うん、ボリュームがしっかりしてた」
ミセ*´ヮ`)リ「竜さんマジ美味しい……」
(‘_L’)「飯!!」
(´・_ゝ・`)「ポテンシャル高いなー」
(‘_L’)「今日は保存食なのかカロリーメイトなのかを教えろ」
(´・_ゝ・`)「おにぎり」
(‘_L’)「えっ」
(´・_ゝ・`)「おにぎりと肉の佃煮」
(‘_L’)「前にちゃんと握れなくて落ち込んでもう作らないって言ってたのに……!?」
(´・_ゝ・`)「握れる様になったから、前と同じってわけにはいかないけど」
(‘_L’)グッ
(´・_ゝ・`)「無言でガッツポーズって……」
- 534 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:26:49 ID:ocZj9b9MO
- _,
ミセ*゚−゚)リ「むー……またおっちゃんがおにぎり独占……」
(´・_ゝ・`)「お肉食べたでしょ、明日また食べると良いよ」
_,
ミセ*゚−゚)リ「……今日だけは譲ってやんよ」
(‘_L’)「ふん、負け惜しみを」
_,
ミセ#゚−゚)リ「バシルーラ」
(‘_L’)「止めてッ!?」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君も少しずつ魔法使えるようになってきたね」
ミセ*゚ー゚)リ「練習してるもん、おっちゃんで!」
(´・_ゝ・`)「分からない事があったら言ってね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
(´・_ゝ・`)フィレクト回収してくるから、先に部屋へ戻っておいて」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
(´・_ゝ・`)「うわぁ、すごい山の方まで飛んだなぁ……」
- 535 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:28:37 ID:ocZj9b9MO
-
先に部屋に戻ったわたしは、ベッドに腰掛けて鞄から図鑑を取り出す。
幻獣や神獣についてが載ってるページまでめくり、そこに書かれた内容を見た。
トカゲが基本で、羽があって、角があって、炎を吐いたり空を飛んだり。
血はあらゆる病気を治すとか、肉を食べると不老不死になれるとか。
結婚を控えた雄の竜が巣作りをし雌の竜に気に入られなければ大変な事になるだとか。
夜の生活面でもしっかりと予行練習を重ね準備をしとくだとか金銀財宝を溜め込んでおくだとか。
ソ●トハウスキャラより2004年6月25日に発売されており価格は税込9240円だとか。
ミセ*゚ー゚)リ「これ後半おかしいだろ……」
ぱたんと図鑑を閉じて鞄に仕舞い、入れ違いで日記を取り出し開く。
季節:冬 場所:竜の町
勉強内容:みんなそれぞれ色々大変そう、生け贄も受け入れる、ドクオさん不老不死疑惑。
- 536 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 23:29:01 ID:S.5yi.qcO
- ミセリ酷ぇwww
- 537 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:30:07 ID:ocZj9b9MO
-
ミセ*゚ー゚)リ「ふー……お風呂入って寝たいけど、せんせまだだなぁ……」
ミセ*゚ー゚)リ「バシルーラはやり過ぎたか……」
ミセ*゚ー゚)リ
ミセ*゚ー゚)リ「勉強しとこっかな」
ミセ*゚ー゚)リ「竜の勉強、竜の勉強……」
ミセ*゚ー゚)リ「雷鳴と共に現る者、氷嵐の支配者……偉大なる赤竜……どれもトラウマじゃねーか」
ミセ*゚ー゚)リ「海竜アビト、泥竜ノスト、砂竜ジュナー、草竜タープ、樹竜、岩竜、風竜ラーウィ……」
ミセ*゚ー゚)リ「樹と岩の名前は?」
ミセ*゚ー゚)リ「オーラ、カイザー、ワイバーン、ジャブジブ、ウォリア、ナイト、ベヘモス……」
ミセ*゚ー゚)リ「ベンダスナッチ、ヘンナー、パンク……ヘンナー可愛い」
ミセ*゚ー゚)リ「ドランゴ引換券」
ミセ*゚ー゚)リ「武闘家くらいマスターしといてくれよ……」
- 538 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 23:30:29 ID:UjpEIXoA0
- 世界樹wwww
- 539 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:32:18 ID:ocZj9b9MO
-
(´・_ゝ・`)「ただいまー」
ミセ*゚ー゚)リ「おかえりなさーい」
(´・_ゝ・`)「フィレンクト、先にお風呂入るからご飯待ってね」
(‘_L’)「おー」
ミセ*゚ー゚)リ「お風呂お風呂ー」
(´・_ゝ・`)「日記は書いた?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
(´・_ゝ・`)「じゃあお風呂入って寝ようか」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
(‘_L’)「早くしろよー」
(´・_ゝ・`)「はいはい」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせお母さんみたいだね」
(´・_ゝ・`)「そろそろ自覚してる」
- 540 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:34:09 ID:ocZj9b9MO
-
ミセ*゚ー゚)リ「せんせエプロンつけたら? なんかひらひらのやつ」
(´・_ゝ・`)「誰が得するのそれ」
ミセ*゚ー゚)リ「知らない」
(‘_L’)「お前は着ないのかエプロン」
ミセ*゚ー゚)リ「着ない」
(‘_L’)「さっぱり即答するなよ……」
(´・_ゝ・`)「フィレンクトは?」
(‘_L’)「着ない」
(´・_ゝ・`)「だと思ったよ」
ミセ*゚ー゚)リ「そういやせんせ、髪伸びたね」
(´・_ゝ・`)「んー、切るのが面倒でついね」
ミセ*゚ー゚)リ「ミセリも伸びたなー、そろそろ邪魔」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君は量が多いからなあ」
(‘_L’)「もっさもっさしてるよなお前」
ミセ*゚ー゚)リ「るっせー」
- 541 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 23:35:31 ID:oHVBBE4MO
- モサリ
- 542 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:36:20 ID:ocZj9b9MO
-
ミセ*゚ー゚)リ「髪が伸びると頭洗うの大変なんだよなぁ……」
(´・_ゝ・`)「あ」
ミセ*゚ー゚)リ「ん?」
(´・_ゝ・`)「服、レンタルだったよね」
ミセ*゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ「超過料金、どんくらいかなぁ……」
(´・_ゝ・`)「財布が厳しいなぁ……」
ミセ*゚ー゚)リ「まあそれは明日ね、お風呂入ろせんせ」
(´・_ゝ・`)「うん、取り敢えず超過料金の話は明日にしよう」
お風呂に入ったあと、先生に頭を拭いてもらってベッドに入る。
ふかふかのお布団に包まれて見た夢は、竜さんの背中に乗っけて貰ってる夢だった。
おわり。
- 543 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 23:38:13 ID:FTskWXmAO
- 乙
竜肉美味しそう…
- 544 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 23:38:19 ID:Aeb36zek0
- おっつー!!
- 545 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 23:38:26 ID:S.5yi.qcO
- 乙!
ドクオ不老不死疑惑マジな予感
- 546 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 23:39:45 ID:YBkxNiMo0
- モッサ*゚ー゚)リ
- 547 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:40:37 ID:ocZj9b9MO
- 支援ありがとうございました、本日はここまで。
次回は来週にでも投下出来れば良いなと思ってます。
それでは、これにて失礼!
- 548 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 23:40:44 ID:UjpEIXoA0
- おつ!
- 549 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 23:41:40 ID:SZR5tG7Q0
- ほのぼのトリオの安定感に安心した
乙おつでしたー
- 550 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/18(日) 23:48:39 ID:ocZj9b9MO
- あ、次回は最終回ッス。
- 551 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 23:50:10 ID:oHVBBE4MO
- えっ
- 552 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 23:52:15 ID:1eBkpZew0
- えっ
- 553 :名も無きAAのようです:2012/03/18(日) 23:54:22 ID:x6M/idGUO
- はは、まさかな…
えっ
- 554 :名も無きAAのようです:2012/03/19(月) 00:00:35 ID:FiBl0TH6O
- ( ゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚)!?
- 555 :名も無きAAのようです:2012/03/19(月) 00:21:50 ID:SZtmnvJsO
- えっ
- 556 :名も無きAAのようです:2012/03/19(月) 00:33:39 ID:WFGWfmds0
- えっ
- 557 :名も無きAAのようです:2012/03/19(月) 02:58:32 ID:.mGFr81AO
- やだ
- 558 :名も無きAAのようです:2012/03/19(月) 03:59:23 ID:wWof3nsM0
- 近年の引き伸ばし漫画に見習って欲しいこの引き際のよさ
- 559 :名も無きAAのようです:2012/03/21(水) 13:39:09 ID:jI2Vcw7M0
- もう最後なのか
乙乙
- 560 :名も無きAAのようです:2012/03/21(水) 13:49:16 ID:AXm3wLFAC
- もう終わりか…寂しいな
- 561 :名も無きAAのようです:2012/03/22(木) 12:57:15 ID:GQNija/60
- そういや百鬼の3人も似たような関係だったよな
フィレンクトとかキャラもだいたい一緒だし
妖怪いたみたいだしどっか繋がってんのかな
- 562 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 16:40:46 ID:w.r1oQIc0
- 日曜ですね
最終回さびしいすなあ
- 563 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 20:16:03 ID:302ANSq60
- ポップコーンを買ってお待ちください
- 564 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:03:50 ID:XFuFepbkO
- ごきげんよう、僕です。
最終回イヤッフゥ
ttp://letas.en-grey.com/Entry/105/
まとめてくださってます、ありがとうございます。
(´・_ゝ・`) デミタス・ポルトロン
32歳割とイケメン、身長185cm、魔導師先生。
ミセ*゚ー゚)リ ミセリ・アンジェニュ
12歳ロリ、身長130cm、明るい戦災孤児。
(‘_L’) フィレンクト・イネクプレシフ
32歳無表情、身長190cm、ニート戦士。
('A`)川 ゚ -゚) おまけ
ttp://imepic.jp/20120325/725440
- 565 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 21:05:11 ID:dWgzXcmEO
- 待っていました
- 566 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:06:10 ID:XFuFepbkO
-
行く道は様々、賑やかな街や静かな村。
時には冷たい風を、時には暖かな風を受けて歩いて行く。
周囲にはいつも移り変わり続ける景色。
聞こえるのは人の声や風の音、喧騒も静けさも耳へと流れ込む。
石畳を踏み、土を踏み、景色の中を渡り歩くのは、三人。
一人はどこか情けない顔をした、人の良い魔導師。
もう一人は、表情を浮かべず自由に振る舞う戦士。
その二人の間に居るのは、明るく元気な女の子。
【旅のようです】
【最終話 先生も一緒だよ】
彼らの間にはいつも、穏やかでいて賑やかな空間が存在する。
- 567 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 21:07:44 ID:302ANSq60
- 男性人服の色統一しすぎだろwwwwwwwwwww
あっ1人毛布だった
- 568 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:08:18 ID:XFuFepbkO
-
窓から射し込む光、小鳥のさえずり。
天蓋付きのベッドの上に横たわる少女は淡い色の寝間着を纏い、すやすやと寝息をたてていた。
レースのカーテン越しに部屋へと溢れる光が、少女のまぶたをくすぐる。
ん、と声を洩らして身動ぎする少女は、シーツを握り締めながら体を起こした。
さらりと短めの髪が揺れ、朝の光を反射させる。
鮮やかな緑色がきらきらと眩しくて。
フリルとレースがあしらわれた寝間着の袖で目元を擦り、小さく欠伸をする。
そして腕を上へぐぐっと上げて伸びをし、眠そうな目を開いた。
イル*- -)リ"「んー……」
イル*゚ー゚)リ゙ パチリス
可愛い女の子だと思った?
大正解、ミセリちゃんでしたー!
- 569 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:10:43 ID:XFuFepbkO
-
大きな窓にかかるカーテンをしゃっと開き、そこから見える景色に息を吐く。
街全体を見渡せるこの部屋には、豪奢な家具が並んでいる。
クローゼットや机に椅子、ベッド、ドレッサー、色んなものがある。
そしてそれらが、いつものわたしたちには見る事も出来ない様なものである事が分かる。
金銀財宝と言う様なきらびやかさではない、しかし清楚に、それでいて気品のある豪華さ。
そんな部屋にぽつんと存在するわたしは、慣れた手付きでドレッサーの前に座って髪をすく。
少し癖のある髪をカチューシャでまとめ、先に着替えれば良かったと思いながら寝間着を脱いだ。
いつもの白いシャツを着て、サスペンダー付きのズボンを履いて、花の髪飾りを付ける。
ミセ*゚ー゚)リ「ふー……やっぱこの服が落ち着くや」
ドレッサーに置かれた小さな容器を持って、少し移動。
窓際の椅子にぽすんと腰掛けて、外を眺めた。
わたしたちがここに来る途中に通った街道が見えて、その時の事を思い返す。
- 570 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:12:21 ID:XFuFepbkO
-
──────────
ミセ*゚ー゚)リ「……せんせ、ここって」
(´・_ゝ・`)「王都だね」
(‘_L’)「戻ってきたな」
(´・_ゝ・`)「道順で言うとね」
ミセ*゚ー゚)リ「あっちの森にドクオさんの塔があるんだよね」
(´・_ゝ・`)「そうそう」
(‘_L’)「城下町か、久々だな」
(´・_ゝ・`)「久々だね、城下町は」
(‘_L’)「昔はよく来たな」
(´・_ゝ・`)「ここに学校があるからね」
ミセ*゚ー゚)リ「広いなー……」
- 571 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:14:12 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「……入んないの? 町に」
(´・_ゝ・`)「いや、なんか……緊張すると言うか」
(‘_L’)「緊張ほぐすか」
(´・_ゝ・`)「どうやって?」
(‘_L’)「おい魔法撃てよデミタス」
(´・_ゝ・`)「そんないじめっ子みたいな催促しないでよ」
(‘_L’)「ほらアレ撃て、イン、イン……ええと」
ミセ*゚ー゚)リ「インなんとかさん?」
(´・_ゝ・`)「それ魔法でもなんでもないよ」
(‘_L’)「インフィニットストラスト」
(;´・_ゝ・`)「だから魔法じゃないから!!」
- 572 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:16:15 ID:XFuFepbkO
-
(‘_L’)「撃てよインフィニットストラスト」
(#´・_ゝ・`)「撃てるか!! インディグニション撃ってやろうか!!」
ミセ*゚ー゚)リ「あなたのハートにインディグニション」
(‘_L’)「エロゲソングみたいだな」
(#´・_ゝ・`)「教え子に変な事を吹き込むな!!」
ミセ*゚ー゚)リ「緊張ほぐれたねせんせ」
(´・_ゝ・`)「ああ、うん……まあ……」
(‘_L’)「じゃあ入るか」
(´・_ゝ・`)「もう良いや……入ろう……」
ミセ*゚ー゚)リ「て言うか何で緊張するの?」
(´・_ゝ・`)「んー、逃げるみたいに飛び出したからなあ」
(‘_L’)「俺も」
- 573 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:18:06 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「……戦争が嫌だったから?」
(´・_ゝ・`)「うん……本当は行かなきゃいけなかったんだよね、戦場に」
ミセ*゚ー゚)リ「そう、なんだ……おっちゃんは?」
(‘_L’)「戦士は軍に進むと強制的に出る事になる、それが嫌で卒業と同時に逃げた」
ミセ*゚ー゚)リ「なるほど」
(´・_ゝ・`)「僕は強制じゃなかったけど……国や軍のやり方が嫌でね」
(‘_L’)「ま、あの頃は酷かったしな」
(´・_ゝ・`)「それで逃げ出して、被害にあった街なんかを回ってたんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「で、わたしを見付けたの?」
(´・_ゝ・`)「そ、だから結果的に逃げ出した事に後悔は無いよ」
ミセ*゚ー゚)リ「……でもそれ、国から怒られない?」
(´・_ゝ・`)「それが怖くて町に入れない」
ミセ*゚ー゚)リ「ああ、なるほど……」
- 574 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:20:30 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「でも城から呼び出し食らっちゃったし、行くしか無いかぁ」
ミセ*゚ー゚)リ「何でいきなり呼び出されたんだろうね」
(´・_ゝ・`)「うーん、何でだろう……ドクオさんからボスケテって手紙が来たのも気になる」
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさん……」
(‘_L’)「町回るのは後にするか」
(´・_ゝ・`)「だね、先に城に行こう」
いつぞやの物価の高い街よりも、立派で広い城下町。
お城の近くには大きな施設、どうやらあれが学校らしい。
今は関係が無いので見ようとは思わないけど、年齢で言うとわたしが居てもおかしくない場所。
とは言え、別に勉強は先生たちと出来るし、キャリアとかどうでも良いし本当にどうでも良い。
緊張した面持ちの先生と、何も考えてなさそうなおっちゃん。
その間に居るわたしは、何を考えれば良いのかわからないので、おっちゃんと同じ様な顔。
- 575 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:22:35 ID:XFuFepbkO
-
そして辿り着いたお城は、予想以上に大きくて圧倒された。
兵士が武器を持って門の前に立ち、来訪者をねめつける。
威圧感に圧倒されながら、わたしは先生の後ろに隠れながらお城を見上げる。
おどおどと先生が兵士に近付いて、呼び出されたとか魔導師だとかを告げる。
すると、兵士はぴしりと頭を下げてから、鈍い音をさせて門が開いた。
ミセ;゚ー゚)リ「……せんせ……なんか、すごい……」
(´・_ゝ・`)「うん……城になんて滅多に来ないから、僕もちょっと……」
(‘_L’)「うめぇ」
(´・_ゝ・`)「何してる」
(‘_L’)「花うめぇ」
(;´・_ゝ・`)「やめて!! 本当にやめて!! 花壇を荒らさないで!!」
(‘_L’)「おいそこの兵士、お前確か実地訓練で漏らした奴だろ」
(;´・_ゝ・`)「フィレンクトちょっと自由すぎるから! やめて!?」
- 576 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:24:13 ID:XFuFepbkO
-
(‘_L’)「あれ俺の後輩」
(´・_ゝ・`)「後輩はエリートか」
(‘_L’)「はは、ただの一般兵がエリートか、休み無いし給料安いぞあいつら」
(´・_ゝ・`)「安定はしてるよね」
(‘_L’)「毎日毎日門の前に立つだけの仕事が良い仕事なら俺は冒険者になるわ」
ミセ*゚ー゚)リ(何かピリピリしてんなおっちゃん……)
(´・_ゝ・`)「フィレンクト」
(‘_L’)「何だ」
(´・_ゝ・`)「冒険者だからって花壇の花を食べていいわけじゃない」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「てへぺろ」
(´・_ゝ・`)" ゴッ
(‘_L’)「痛い!」
ミセ*゚ー゚)リ(いやいつも通りだわ)
- 577 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 21:24:28 ID:dWgzXcmEO
- フィレンクト自由過ぎてwwwwww
- 578 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:26:23 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「おぉぉ……お城の中だ……廊下に絨毯敷いてる……ふかふかだ……」
(‘_L’)「ミセリ、その壺の窪み押してみろ」
ミセ*゚ー゚)リσ゙「何?」カチッ
:ミセ*゚ー゚)リ: ゴゴゴゴゴ
ミセ*゚ー゚)リ「……あの、何か壁が開いて道が出てきたんだけど」
(´・_ゝ・`)「フィレンクト、緊急脱出口を堂々と披露しないで」
(‘_L’)「あとその額縁スライドさせてみろ」
ミセ*゚ー゚)リσ゙ ガショッ
:ミセ*゚ー゚)リ: ゴゴゴゴゴ
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん、これ金庫」
(´・_ゝ・`)「本当に止めなさい」
ミセ*゚ー゚)リ「まず何でしってんの……」
(‘_L’)「戦士は頻繁に城に入る事あるからな」
- 579 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:28:11 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「お、あっちで話があるみたい」
(‘_L’)「人様を呼び出して何の話だろうな」
(´・_ゝ・`)「さあ、何だろ」
('A`)「ボスケテッ!!」バーン!
(;´・_ゝ・`)「ドクオさん!?」
(‘_L’)「ドクオさんがドア蹴破ったの初めて見たぞおい……」
('A`)「あ、デミタスとお嬢ちゃん、あとフィレンクト」
(‘_L’)「ちーっす」
(;´・_ゝ・`)「どうしたんですかドクオさん、引きこもりのドクオさんが城に居るなんて……」
('A`)「その通りだから流すが突如迎えが来た」
ミセ*゚ー゚)リ「おとなしくしたがったの?」
('A`)「いや全然、先にクーが城に行ったんだけどね」
ミセ*゚ー゚)リ「行ったんだけど?」
('A`)「うちのメイドが玉座に座ったりして遊ぶから回収しに来いって」
ミセ*゚ー゚)リ「それは駄目だわ」
- 580 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:30:12 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「あとドクオさん、その格好どうしたの?」
('A`)「ああ、このザガートみたいな肩当てとマント?」
ミセ*゚ー゚)リ「そうそう、髪も下ろしてるしすごい魔導師みたい」
('A`)「実は俺って魔導師なんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「なんだってー(棒)」
('A`)「城に来た時に着替えさせられた、一応は英雄らしくしろって」
ミセ*゚ー゚)リ「そのマント……ローブ……? の下ってどうなってるの?」
('A`)「パジャマ」
ミセ*゚ー゚)リ「どこが英雄らしいんだ……」
('A`)「実際はほら、何か将軍みたいな感じの格好させられてる」
ミセ*゚ー゚)リ「すげー金の縁取りしてある、よく見たら杖とか持ってる、ドクオさん魔導師みたい」
('A`)「この杖すごく邪魔だし重いしやるせない気分になる」
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさん、杖の裏のとこに『魔力増強用』って書いてある」
('A`)「これ以上増強してどうすんの……」
ミセ*゚ー゚)リ「魔法使いの花嫁だもんね……」
('A`)「それ嘘だけどね……」
- 581 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 21:32:19 ID:dWgzXcmEO
- レイアースじゃねえか
- 582 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:32:24 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「あ、ドクオさん、何か向こうで話があるらしいから行きましょう」
('A`)「俺そこから逃げてきたのに」
(‘_L’)「飯とか食えねーかな」
(´・_ゝ・`)「お茶菓子くらいならあるんじゃない?」
('A`)「帰りたい」
(´・_ゝ・`)「ほら行きますよ、妖怪レス数増やし」
('A`)「ひどいあだ名を付けられた」
(‘_L’)「死体とネクロマンサー」
('A`)「懐かしいあだ名で呼ばれた」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしもついてって良いの?」
(´・_ゝ・`)「どうだろう…………あー、先にお泊まりの部屋にご案内しますって」
ミセ*゚ー゚)リ「やんわりすっ込んでろって言われたならしょうがない」
(´・_ゝ・`)「ごめんね、先に行っておいてくれる?」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい、またにードクオさん」
('A`)「またなー」
- 583 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 21:34:17 ID:y61lZQGE0
- 最終回記念支援
- 584 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:34:35 ID:XFuFepbkO
-
先生たち三人が別室に連れて行かれるのを見ていると、一人のメイドさんが現れた。
メイドさんに連れられ、わたしはわたしで宿泊する部屋へと移動する。
お城の中は広くて豪華で、派手では無いけどそこかしこにお高そうなものがたくさんある。
それに同じ様な場所が多くて、ここがどこかなんてもうさっぱり分からない。
元に居た場所には一人では戻れないだろうなと思いながら、メイドさんの案内で部屋に辿り着く。
案内された部屋は、豪華なベッドらや机と椅子やらドレッサーやら、精錬された華やかさ。
何かもう12歳の語彙では、豪華だとしか言い様がない。
つまり取り敢えず豪華な部屋だ。
ミセ*゚ー゚)リ「ほへー……広い……」
「お荷物を、お嬢さん」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、はい、ありがとうございます!」
「どうぞごゆっくり、お体を休めて下さいね」
ミセ*゚ー゚)リ「は、はい!」
- 585 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 21:35:52 ID:9raq3wxIO
- 最終回ktkr
しえん
- 586 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:36:27 ID:XFuFepbkO
-
「お嬢さん」
ミセ*゚ー゚)リ「は、はい?」
「まだ気付かれませんか?」
ミセ*゚ー゚)リ「へ?」
メイド服を纏った、黒髪で背の高い女性がそっとエプロンを外す。
服のボタンを外して、少しずつ肌が見えてわたしは焦ってそれを止めようとする。
ミセ;゚ー゚)リ「ちょ、ちょっ、メイドさん!?」
「ふっ……僕もまだまだ行けますね……」
ミセ;゚ー゚)リ「へ?」
川 ゚ -゚)「すり替えておいたのさ!!」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「妖怪レス数増やしだぁあ!?」
川 ゚ -゚)「嫌ですねお嬢さん、そんなに美しいだとか素晴らしいだとか照れますよ」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「言ってねぇ!!」
- 587 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:38:15 ID:XFuFepbkO
-
川 ゚ -゚)「いやー豪華ですね部屋、普段は塔の中にしか居ないから新鮮だわ」
ミセ*゚ー゚)リ「つか何でここに居んのクーさん……」
川 ゚ -゚)「女装イケてたでしょう」
ミセ*゚ー゚)リ「ああうん、声がイケメンだなとは思ってたけど」
川 ゚ -゚)「顔がまずイケメンだからしょうがないですね」
ミセ*゚ー゚)リ「そうだね、プロテインだね」
川 ゚ -゚)「まあお茶でも飲みましょうよ、淹れま」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしが淹れます」
川 ゚ -゚)「手首を本気で掴まれた上に笑顔で阻止された……」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしをあまり侮らない方が良い……これでもオークを殴り潰した事がある……」
川 ゚ -゚)「ガチじゃないですか、焦るわ」
- 588 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:40:04 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「あとオークの肉をクーの肉と見間違えた人が居たらしいよ」
川 ゚ -゚)「僕の肉とか食ったら人魚の肉みたいな効果ありますよ」
ミセ*゚ー゚)リ「あーゲテ食い的な?」
川 ゚ -゚)「言う様になったなおいお嬢さん」
ミセ*゚ー゚)リ「はいお茶、THE 普通の味」
川 ゚ -゚)「うっめ、普通のうっめ」
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんには敵わないけどね」
川 ゚ -゚)「しょうがないですよ、ご主人様キモいし」
ミセ*゚ー゚)リ「どんな言いぐさだ」
川 ゚ -゚)「ご主人様の笑顔とかマジヤバイ、世界滅ぼそうとしてる変態みたいな笑顔マジヤバイ」
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさん笑うの下手そうだわ……」
川 ゚ -゚)「下手ってレベルじゃない、人前で笑ったら逮捕される」
ミセ*゚ー゚)リ「クーさんが安定の容赦のなさだなー」
- 589 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 21:41:23 ID:y61lZQGE0
- オークを殴り殺す12歳
- 590 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:42:35 ID:XFuFepbkO
-
川 ゚ -゚)「何か面白いもん無いかなー」
ミセ*゚ー゚)リ「クーさんが泊まる訳じゃないのに物色し始めた」
川 ゚ -゚)「お、お嬢さんこれこれ」
ミセ*゚ー゚)リ「ん?」
川 ゚ -゚)「ドレスありますよドレス」
ミセ*゚ー゚)リ「わー綺麗だね」
川 ゚ -゚)「プロデューサーさん! ドレスですよドレス!!」
ミセ*゚ー゚)リ「欲しいからってアイマスみたいに言わないで」
川 ゚ -゚)「それよりほら、サイズ合いますよ」
ミセ*゚ー゚)リ「あら本当」
川 ゚ -゚)
ミセ*゚ー゚)リ
川 ゚ -゚)「良いではないか! 良いではないか!!」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「いやー! お代官様ー!!」
- 591 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:44:28 ID:XFuFepbkO
-
川 ゚ -゚)「……相変わらず切ない体型ですねお嬢さん」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「年頃の娘の肌着姿を見てそれかい!!」
川 ゚ -゚)「まあ別に性的な意味での興味とかまるで無いんで安心してくださいよ、勃起しません」
_,
ミセ#゚〜゚)リ「言い切られるとそれはそれでムカつくわ……」
川 ゚ -゚)「まあこの絶世の美貌のイケメイドに脱がされるとかたぶん追加料金ですよ」
ミセ*゚ー゚)リ「そんなエロ漫画あった気がする」
川 ゚ -゚)「お嬢様セクロスの時間ですってか、たぶん携帯厨にしかわかりませんよこれ」
ミセ*゚ー゚)リ「強制的に工場のラインでって言うのがシュール過ぎる」
川 ゚ -゚)「アレは本当によくわからない、あと最近は男友達が女子になってとかありますね」
ミセ*゚ー゚)リ「あーあるね、いじめっこに云々とか」
川 ゚ -゚)「正直ちょっと読んでみたい」
ミセ*゚ー゚)リ「奇遇ですね、わたしもあれは気になる」
- 592 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 21:46:26 ID:302ANSq60
- 遊園地でメリーゴーランドがなんたらも気になるよな
- 593 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:46:58 ID:XFuFepbkO
-
川 ゚ -゚)「でも彼女が男になってもケツには突っ込まねぇだろって思うんですよ」
ミセ*゚ー゚)リ「二次元だから」
川 ゚ -゚)「それもそうか」
ミセ*゚ー゚)リ「基本的に見えないように描かれなかったり消されてたりするよね」
川 ゚ -゚)「ああ、乳首とか」
ミセ*゚ー゚)リ「そうそう、最近はそれも堂々と見えてたりして戸惑う」
川 ゚ -゚)「ぶっちゃけ頭おかしいですよねあの手のバナー、外で見たらヤバい」
ミセ*゚ー゚)リ「そうなんだよねー、普通のページにも広告であったりするから困る」
川 ゚ -゚)「お嬢さん、コルセット締めるから息吐いてー」
ミセ*゚3゚)リ「ふぅぅぅぅぅぅ……」
川 ゚ -゚)゙「そぉい!!」ギリリィ
_,
ミセ;゚⊿゚)リ"そ「ぉぼえっ!?」
- 594 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:48:43 ID:XFuFepbkO
-
川 ゚ -゚)「よし締まった」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「ぉ、ぉぉぉぉ……ぐるじ……」
川 ゚ -゚)「でもドレス着るならそれくらいが普通なんですよね……よっこらせっくす」
_,
ミセ;゚〜゚)リ「こ、これは……きっちぃな……」
川 ゚ -゚)「ところでお嬢さん」
ミセ*゚ー゚)リ「ん?」
川 ゚ -゚)「お嬢さん的にはこのイケメイドに着替えさせられてどんな気分ですか」
ミセ*゚ー゚)リ「いや、別に……とりたてて特別な気分には……」
川 ゚ -゚)「なんとイケメン甲斐のない事か、出会い頭に顔真っ赤だったのに」
ミセ*゚ー゚)リ「慣れたし中身に問題が見えて」
川 ゚ -゚)「お嬢さんアレですよね、彼氏出来ないって感じ」
ミセ*゚ー゚)リ「別に欲しくもないです」
川 ゚ -゚)「どうですかこのイケメイドは」
ミセ*゚ー゚)リ「クーさん彼女欲しいの?」
川 ゚ -゚)「ぶっちゃけいらん」
ミセ*゚ー゚)リ「ですよねー」
- 595 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:50:29 ID:XFuFepbkO
-
川 ゚ -゚)「だって考えてもみてください、この美貌のイケメンですよ、街に来るたび言い寄られて」
ミセ*゚ー゚)リ「男に?」
川 ゚ -゚)「お嬢さんは腐女子か何かですか」
ミセ*゚ー゚)リ「周囲に思ったよりホモが多くて」
川 ゚ -゚)「あの二人ホモだったんですか」
ミセ*゚ー゚)リ「いやそれはどうだろう」
川 ゚ -゚)「ご主人様も興味ないし、僕も……特に無いなあ」
ミセ*゚ー゚)リ「何でみんな性欲OFFしてんだろうね」
川 ゚ -゚)「バリバリ全開でも嫌だと思いますけど」
ミセ*゚ー゚)リ「確かに嫌だわ」
川 ゚ -゚)「ご主人様は……何だろう、わけわかんねぇなあいつ」
ミセ*゚ー゚)リ「ご主人様なのに」
- 596 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:52:19 ID:XFuFepbkO
-
川 ゚ -゚)「基本的に飯食って布団で寝て本読めてりゃ良いんですよねあの人」
ミセ*゚ー゚)リ「うん知ってる」
川 ゚ -゚)「食欲>睡眠欲>>>>>越えられない壁>>>>>性欲(笑)って感じ」
ミセ*゚ー゚)リ「ああ、うん……そんな感じだわ……」
川 ゚ -゚)「よし、着せ終わりましたよ」
ミセ*゚ー゚)リ「すげー苦しい!」
川 ゚ -゚)「せっかくだし服以外も何かしますか、髪とか」
ミセ*゚ー゚)リ「クーさんって料理以外は結構出来るよね」
川 ゚ -゚)「嫌だなあお嬢さん、家事以外はって言ってくださいよ」
ミセ*゚ー゚)リ「ははは、余計駄目じゃねーか」
川 ゚ -゚)「ま、ドジっ子メイドって事で良いじゃないですか」
ミセ*゚ー゚)リ「良いけどね別に……あ、髪飾りはずしちゃうの?」
川 ゚ -゚)「今は外した方が良いですからね」
- 597 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:54:17 ID:XFuFepbkO
-
川 ゚ -゚)「髪をちょっと巻いてー」
イル*゚ー゚)リ「おぉ……ゆるふわ……(笑)」
川 ゚ -゚)「リボンで止めて、飾りを付けて……化粧いりますかね」
イル*゚ー゚)リ「お任せー」
川 ゚ -゚)「んじゃちょびっとだけ……はい完成」
ttp://imepic.jp/20120325/725520
ミセ*゚ー゚)リ「おお、お嬢さんっぽい……クーさん謎の技術」
川 ゚ -゚)「二度とドレスとか描きたくない」
ミセ*゚ー゚)リ「そんな本音を」
川 ゚ -゚)「まあ似合いますよ普通に、可愛らしい」
ミセ*゚ー゚)リ「ありがと、クーさんは何か着ないの?」
川 ゚ -゚)「僕はこれが正装ですから」
ミセ*゚ー゚)リ「執事服?」
川 ゚ -゚)「メイドです」
ミセ*゚ー゚)リ「まだ言い張るのか」
- 598 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:56:10 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「お、クーさんこれ何? 綺麗な箱」
川 ゚ -゚)「開けてみたらわかるんじゃないですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「どれどれ……何これ綺麗、お菓子?」
川 ゚ -゚)「あーボンボンですね、砂糖菓子ですよ」
ミセ*゚ー゚)リ「……食べても良いの?」
川 ゚ -゚)「良いんじゃね?」
ミセ*゚ー゚)リ「どれ、ひとつ……」
綺麗なピンクの小さなお菓子、丸い形のそれは何だか繊細な手触り。
そっとひとつ持ち上げて、口にいれてみる。
口の中に転がる砂糖菓子はさらりと溶けてしまって、中から少しお酒の味がするシロップが溢れた。
生まれてはじめて食べる、食感、味、舌触り。
気品の漂い優しい砂糖の味、鼻に抜けるお酒の風味、あっというまに口の中から消えるそれ。
- 599 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 21:58:07 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*´ヮ`)リ「なんだこれ……超おいしい……」
川 ゚ -゚)「あら良いお顔、じゃあ僕もひとつ」
川 ゚ -゚))モグ
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚)「あ、うっめぇこれ」
ミセ*´ヮ`)リ「顔変わんないなあクーさん……」
川 ゚ -゚)「僕の笑顔もなかなかエグいのは自覚してますから、いやつかこれ超うめぇ」
ミセ*´ヮ`)リ「笑ってみてよクーさん」
川 ゚ -゚)
ミセ*´ヮ`)リ
川 ゚∀゚)ニゴリ
ミセ;´ヮ`)リ「超こえぇ!?」
- 600 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:00:07 ID:XFuFepbkO
-
川 ゚ -゚)「この美貌ですけど笑顔だけは何かエグいんですよね、お嬢さんのその顔分けてほしい」
ミセ*´ヮ`)リ「うへー……うまぁこれ……」
川 ゚ -゚)「畜生ほやほやした顔しやがって、微笑みとかどうすれば良いんだろう」
ミセ*´ヮ`)リ「こう、にっこりと」
川 ゚ー゚)ニヤリ
ミセ;´ヮ`)リ「何か怖い怖い」
川 ゚ヮ゚)ニキョリ
ミセ*´ヮ`)リ「あーそんな感じそんな感じ」
川 ゚ヮ゚)「どうですか、美メイドですか」
ミセ*´ヮ`)リ「う、うん……まあ……」
川 ゚ヮ゚)
ミセ;´ヮ`)リ
川 ゚ヮ゚)「HとEROを足したらヒーロー!!」
ミセ;´ヮ`)リ「壊れた!?」
- 601 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:02:17 ID:XFuFepbkO
-
川 ゚ヮ゚)「美メイドですか」
ミセ;゚ー゚)リ「う、うん……」
川 ゚ヮ゚)「何か言いたいなら言ってください」
ミセ;゚ー゚)リ
川 ゚ヮ゚)
ミセ;゚ー゚)リ「なんか……目が笑ってない」
川 ゚ヮ゚)
川 ^ヮ^)ニギョリ
ミセ;゚ー゚)リ「ふ、不安になる! なんか不安になる!」
川 ^ヮ^)「美メイドデスカ……ドウデスカ……」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「怖い怖い! 無性に怖い!」
川 ^ヮ^)「ウフフ……コレデ……僕モ……美メイド……」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「やめて! 笑わないで! 無理しないで!!」
川 ^ヮ^)「信者と言う字を足したら儲け!!」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「また壊れた!?」
- 602 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:04:05 ID:XFuFepbkO
-
川 ゚ -゚)「あー顔がひきつる、無理だわこれ」
ミセ;゚ー゚)リ「クーさんは普段が一番だよ、うん……」
川 ゚ -゚)「全くこんなパーフェクトな僕でも笑顔だけは苦手だなんて」
ミセ*゚ー゚)リ「欠点がある方が萌えるらしい」
川 ゚ -゚)「なるほど、ある意味でパーフェクトですね」
ミセ*゚ー゚)リ「クーさんに萌えるかどうかは別にして」
川 ゚ -゚)
ミセ*゚ー゚)リ
川 ^ワ^)ニギャァ……
ミセ;゚ー゚)リ「ごめんやめて」
(´・_ゝ・`)「はー疲れた、ミセリ君いるー?」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、せんせ! お疲れさまー!」
(´・_ゝ・`)「ああ居た居た、ありが……クーちゃん?」
川 ゚ -゚)「あ、どうもデミタス様」
- 603 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:06:26 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「何だ一緒に居たんだ、ドクオさんが探してたよ」
川 ゚ -゚)「しばらく探させといて下さい、運動不足だし」
(´・_ゝ・`)「んーわかった……ミセリ君かわいい格好してるね、お姫様みたいだ」
ミセ*゚ー゚)リ「えへへー、クーさんが着せてくれた」
(´・_ゝ・`)
川 ゚ -゚)
(´・_ゝ・`)「良かったねミセリ君、似合ってるよ」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
川 ゚ -゚)(一瞬殺意を感じた……)
ミセ*゚ー゚)リ「せんせも着替えたんだ、魔導師っぽいね」
(´・_ゝ・`)「一応は魔導師だからね、服のデザインはドクオさんの下位互換って感じだけど」
ミセ*゚ー゚)リ「似合ってるよー、せんせかっちりした服似合うもん」
- 604 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:08:22 ID:XFuFepbkO
-
(‘_L’)「あー茶菓子食った食った」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんもお疲れさまー……うわあ……」
(‘_L’)「第一声がそれか」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん……すごく……何か……近衛兵隊長みたい……」
(‘_L’)「褒めてるのか何なのか」
ミセ*゚ー゚)リ「褒めてるっちゃ褒めてる、ただ普段のおっちゃんから想像もできないいでたちで」
(´・_ゝ・`)「オールバックに軍服だからね」
(‘_L’)「他に無いからって軍服着せやがって、パンツに勲章付けてやろうか」
ミセ*゚ー゚)リ「ははは、おっちゃん本当どうしようもねぇな」
(‘_L’)「お前こそ何か…………何だ……七五三?」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「渦巻く怒りが熱くする! これが咆哮の臨界! 波動撃!!」
(‘_L’)「ドレスで!?」
- 605 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 22:09:00 ID:mGgpFjHQ0
- 親御さんとしては怒るわな
- 606 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:10:28 ID:XFuFepbkO
-
川 ゚ -゚)「どうぞデミタス様、お茶です」
(´・_ゝ・`)「ああ、ありが」
(´・_ゝ・`)
(´・_ゝ・`)「と、う……」
ミセ*゚ー゚)リ「ああ……せんせがクーさんのお茶を……」
(‘_L’)「俺にも寄越せクソガキ」
川 ゚ -゚)「はいはいどうぞクソオヤジ」
(‘_L’)「まっず、普通にまっず、緑のゲロ吐きながらブリッジで駆け回りそう」
川 ゚ -゚)「しれっと言いやがったこのオッサン」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせほら、このお菓子食べたら良いよ、ちょーおいしいの」
(´・_ゝ・`)「おお、これは王室御用達のボンボン……食べられるとは思わなかった」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、やっぱすごいやつなんだ……」
(´・_ゝ・`)「この間の宿代より高いよ」
ミセ*゚ー゚)リ「食べるのもったいなくなってきた……」
- 607 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:12:41 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「ところで二人とも、偉い人となんの話してたの?」
(´・_ゝ・`)「ああ、最近の功績とかの話だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「功績……って何かしたっけ」
(´・_ゝ・`)「ほら、解毒薬を提供したって言うアレとか」
ミセ*゚ー゚)リ「あれ情報はあったんだから普通に出来るはずなのにね」
(´・_ゝ・`)「あと、展示されてる歴史とかの誤りを正したとか」
ミセ*゚ー゚)リ「……あれ、ちゃんとなったの?」
(´・_ゝ・`)「うん、ドクオさんに連絡して書き直してもらうように言っておいたんだ」
川 ゚ -゚)「連絡受けてご主人様が珍しくブチギレてましたよあれ」
(´・_ゝ・`)「あ、そうだったんだ」
川 ゚ -゚)「何考えてんだよ馬鹿なんじゃないの国が何をしてきたか綺麗事だけ並べ立てて
ちゃんとした歴史や経歴も書かず何が功績だよ何が英雄だよあいつらやる気あんのか
俺はただ痴話喧嘩止めただけだよまず英雄って書くなよしかも何だこの内容は
本気でふざけんなよ被害を受けた人達の気持ちを考えろよ調子乗んなメテオ撃つぞ」
川 ゚ -゚)「って、ガチギレ過ぎて引いた」
(´・_ゝ・`)「本気でガチギレだった」
- 608 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:14:17 ID:XFuFepbkO
-
川 ゚ -゚)「ご主人様はめんどくさがりだけどクソ真面目ですからね」
(´・_ゝ・`)「それもドクオさんの良いところだよ、人の痛みに敏感な人だ」
川 ゚ -゚)「ま、そうですけどね、怖がりだしヘタレだし」
(´・_ゝ・`)「そうそう、それでドクオさんからの進言もあって僕らが呼ばれた」
ミセ*゚ー゚)リ「呼んでどうすんの? お給料増えるとか?」
(‘_L’)「国のお抱えにならないか、ってよ」
ミセ*゚−゚)リ「ぇ……」
(´・_ゝ・`)「フィレンクトの腕は良いし、国に置きたい気持ちは分かるよ」
(‘_L’)「お断りだけどな」
(´・_ゝ・`)「はは、知ってるよ」
ミセ*゚−゚)リ「……せんせもおっちゃんも、国のやり方……嫌なんだよね?」
(´・_ゝ・`)「戦争が終わってから王が変わったんだ、今は王子が王になってる」
ミセ*゚−゚)リ「……」
- 609 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 22:15:22 ID:wqpTzt9k0
- がんばれ しっえーん
- 610 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:16:51 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「だから、今後のために、もっともっと国を良くするために力を貸してほしいって」
川 ゚ -゚)「ご主人様も同じ感じで呼ばれてますよ、ご主人様の場合は戦力的な意味ですけど」
(´・_ゝ・`)「いざと言う時のために使えたら百人力だろうからね」
川 ゚ -゚)「百人力っつーか百万人力ですけどね」
(´・_ゝ・`)「ああ、否定できない……あの人一個師団相手の模擬戦で瞬殺してたよね……」
川 ゚ -゚)「キモすぎワロエナイ」
(´・_ゝ・`)「まあ、僕も国民として国の今後のために出来る事はしたいけど」
ミセ*゚−゚)リ「……じゃあ、せんせは……お城の人になるの?」
(´・_ゝ・`)「ならないよ?」
ミセ;゚−゚)リ「えっ?」
(´・_ゝ・`)「手伝いはする、でも僕は旅を続けるよ」
ミセ;゚−゚)リ「ぇ……で、でも……」
- 611 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:18:30 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「僕は国の今後のために働きたいとも思う、でもミセリ君と旅をする方が大事」
(‘_L’)「俺は?」
(´・_ゝ・`)「あーはいはい大事大事」
ミセ*゚−゚)リ「……わたしがせんせの生活の邪魔になるなら、旅はやめても良いんだよ?」
(´・_ゝ・`)「ううん違うよ、君は僕の生活の一部、ミセリ君と一緒に居る方が大切なんだ」
ミセ*゚−゚)リ「せんせ……」
(‘_L’)「なぁ俺は?」
(´・_ゝ・`)「ちょっと黙ってて」
ミセ*゚ー゚)リ「……ありがと、せんせ」
(´・_ゝ・`)「こちらこそ、ありがとうミセリ君」
(‘_L’)
川 ゚ -゚)
(‘_L’)「俺は……?」
川 ゚ -゚)「いい話なんだから今は黙っときましょうよ」
- 612 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:20:27 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「しかし、なかなか息苦しいなあこの格好」
(‘_L’)「脱いでも良いかこれ」
(´・_ゝ・`)「晩餐会があるから着とかなきゃ駄目」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしもまさかこのまま……?」
(´・_ゝ・`)「そのまま」
ミセ*゚ー゚)リ「うわぁ……食べれる気がしない……」
(´・_ゝ・`)「マントは外しても良いかなぁこれ、肩当てが邪魔……」
(‘_L’)「付けとけよ、俺も肩にフリンジみたいなのついてんだぞ」
(´・_ゝ・`)「フィレンクトのは軍服だからなあ、うーん動きにくい」
川 ゚ -゚)「まあたまには良いんじゃないですか、似合ってますよ」
(´・_ゝ・`)「クーちゃんも着替えてみたら?」
川 ゚ -゚)「僕はこれが正装ですってば」
- 613 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:22:09 ID:XFuFepbkO
-
('A`)「ボスケテ!!」
(´・_ゝ・`)「あ、ドクオさん」
('A`)「ちょっと歩けばみんながサインとか求めてくる! 怖い!!」
(´・_ゝ・`)「ああ、ここじゃ顔は知れてるでしょうしね……」
('A`)「あ、クー居た」
川 ゚ -゚)「チーッス」
('A`)「探させないでよ、探してる間に弟子入り志願を三桁くらい食らったよ」
川 ゚ -゚)「良い弟子居ました?」
('A`)「弟子とか持つ気無いから拒否った」
川 ゚ -゚)「ご主人様もまたキモい格好して、キモさに磨きがかかってますね」
('A`)「本当にキモいを日常会話に盛り込み過ぎだよ」
川 ゚ -゚)「それなりの格好をすればこれなりには見えるんですから毛布とかまとわないで下さいよ」
('A`)「便利だよあれ、あったかいし寝れるし」
川 ゚ -゚)「まあ素敵、死ね」
- 614 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:24:17 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「ああそうだ、ドクオさん色々とありがとうございます」
('A`)「あー展示物のあれ? 俺も気分悪かったし」
(´・_ゝ・`)「いや、解毒薬のあれです」
('A`)「あー……あーあーあー、海辺の町か」
(´・_ゝ・`)「そうそう、ドクオさん本の出版とかしてたんですね」
('A`)「してないよ、あの本一冊だけ作った」
(´・_ゝ・`)「えっ」
('A`)「前に洞窟を通った時に毛玉が居たからさ、危ないなーと思って」
(´・_ゝ・`)「それで、本を?」
('A`)「うん、日記のつもりで書いてたら図書館の人に置かせてくれって言われたから」
(´・_ゝ・`)「……運が、よかったんだなぁ……マジで……」
('A`)「まあでも胸騒ぎ感じてたし、星に聞こうかと思ってたからもしもの時は薬送ったよ」
川 ゚ -゚)「ご主人様っていちいち行動遅いですよね」
('A`)「自覚してるし心に刺さる」
- 615 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:26:24 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「でもわたしとおっちゃんで薬作ったよ!」
('A`)「うんうん、大変だったろうな、よくやったね」
ミセ*゚ー゚)リ「へへー、オークぶん殴ったよ!」
('A`)「なにそれ強い」
(‘_L’)「あれは怖かった」
('A`)「えっ」
(‘_L’)「本気で怖かった、ミセリが」
('A`)「お嬢ちゃん……」
ミセ*゚3゚)リ「ちょっとキレて撲殺しかけただけだもーん」
('A`)「ちょっと……えぇ……? お嬢ちゃんモンクか何かになるの……?」
(‘_L’)「本気で武道家とかが合うと思う」
('A`)「今度ナックルとか装備してみたら……?」
(´・_ゝ・`)(知らない間に教え子がすごい事に……)
- 616 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:29:06 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「ご飯までまだ時間あるね」
(´・_ゝ・`)「だね、どうする?」
ミセ*゚ー゚)リ「んー、のんびりしたい」
(´・_ゝ・`)「じゃあこのままで良いかな、」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、ドクオさんせっかくだから何か教えてー」
('A`)「何が知りたい?」
ミセ*゚ー゚)リ「生い立ちとか」
('A`)「予想外過ぎる」
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんが大魔導師になった経緯とか」
('A`)「んー……家を飛び出して塔で独り暮らししながら勉強してた」
ミセ*゚ー゚)リ「学校には行ってないんだよね」
('A`)「あー行ってない行ってない、その件で父親と喧嘩して家出したから」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、そうだったんだ」
- 617 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:30:43 ID:XFuFepbkO
-
('A`)「昔は勉強だけ出来れば魔導師になれると思ってたからね、学校に行っても無駄だと思って」
ミセ*゚ー゚)リ「へ? 何で学校なのに……勉強する場所でしょ?」
('A`)「周囲のレベルに合わせても勉強にならないと思って」
ミセ*゚ー゚)リ
('A`)
ミセ*゚ー゚)リ「最初から話してください」
('A`)「長くなります」
ミセ*゚ー゚)リ「良いから良いから」
('A`)「えーと……ガキの頃から勉強は得意だった」
ミセ*゚ー゚)リ「ふむふむ」
('A`)「速読とか瞬間記憶に近いものがあったし、理解力も無駄にあった」
ミセ*゚ー゚)リ「ふむふむ」
('A`)「だからガキの頃には親父と同じくらいの知識とその使い方を持ってた」
川 ゚ -゚)(きっしょ)
- 618 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 22:32:05 ID:mGgpFjHQ0
- どくおきめえ
- 619 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:32:28 ID:XFuFepbkO
-
('A`)「だから自信過剰になってて、勉強なら自力でした方が身になると」
川 ゚ -゚)(嫌なガキ過ぎる)
('A`)「そんで親父に勘当に近い事されて家出して、貯金はたいてあの塔を買った」
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさん……」
('A`)「そっから図書館とか通って古本とか買って黙々と勉強し続けた」
ミセ*゚ー゚)リ「よく生きられたねドクオさん」
('A`)「動物性タンパク以外は自家栽培出来るからね、年齢的に魔導師登録は出来なかったけど」
ミセ*゚ー゚)リ「その時はいくつだったの?」
('A`)「家を出たのが12歳」
ミセ*゚ー゚)リ(どんだけだよ……)
(´・_ゝ・`)(魔導師としての自信が砕けて行く)
(‘_L’)(マジで嫌なガキ過ぎる)
川 ゚ -゚)「超きめぇ」
('A`)「声に出てる出てる」
- 620 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 22:34:35 ID:mGgpFjHQ0
- どくおきめえ
- 621 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:35:03 ID:XFuFepbkO
-
('A`)「それから適当に数年経って、図書館に居たらこの二人が居た」
ミセ*゚ー゚)リ「お、せんせとおっちゃんがエピソードに」
('A`)「うるさいから取り敢えずメテオ撃った」
ミセ;゚ー゚)リ「初対面でメテオ……」
('A`)「いやーあの頃はメテオ撃ったらアレだと思ってなかったんだよね、威力以外で」
(´・_ゝ・`)「まあ子供は普通撃てませんからね」
('A`)「そうなんだよね、それから周囲の目が替わった」
(‘_L’)「あれは痛かった」
(´・_ゝ・`)「我ながらよく生きてた」
('A`)「手加減できなくてごめんね」
ミセ*゚ー゚)リ「……ドクオさん、どこまでチート性能なの? インフレしてるよ?」
('A`)「自分が多少気持ち悪い」
川 ゚ -゚)「元からキモいです」
('A`)「予想通りの反応です」
- 622 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 22:35:30 ID:y61lZQGE0
- 乞われて身の上話を始めただけなのに
右から左から総つっこみされるドクオさんきめぇ
- 623 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:36:52 ID:XFuFepbkO
-
川 ゚ -゚)「しかもさっきから同じ人にきめえって言われてますね」
('A`)「泣いても良いかな」
川 ゚ -゚)「マジきめえ」
('A`)「つか長くなるから良いよ俺の話しは、何かどんどん引かれるし」
ミセ*゚ー゚)リ「えー……じゃあせんせは?」
(´・_ゝ・`)「僕は普通だけど……小さい頃に両親を事故で亡くして、孤児院で育った」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせも孤児だったんだ」
(´・_ゝ・`)「うん、体質の問題でスカウトされた時に、魔導師として成功して恩返ししたくて」
ミセ*゚ー゚)リ「おー」
(´・_ゝ・`)「まあ大人になる頃にはその孤児院無くなったけど」
ミセ;゚ー゚)リ「おー……」
(´・_ゝ・`)「それからは普通、学校で勉強して卒業して魔導師になって今に至る」
ミセ*゚ー゚)リ(やべぇ本当に普通だった)
(´・_ゝ・`)「フィレンクトも似た感じだっけ」
(‘_L’)「俺は親が蒸発して親戚の家に居た」
ミセ*゚ー゚)リ「つらくあたられたとか?」
(‘_L’)「いや、子供の居ない老夫婦だったから普通に可愛がられてた」
ミセ*゚ー゚)リ(何だろうこの二人、普通すぎる)
- 624 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:38:36 ID:XFuFepbkO
-
(‘_L’)「近所の店の手伝いをして小銭を稼いだりしてたらスカウトされて、そのまま学校に」
ミセ*゚ー゚)リ「そのおじさんとおばさん……と言うかおじいさんとおばあさんは?」
(‘_L’)「毎月俺から仕送りしてた、大人になる頃には二人とも寿命で死んだ」
ミセ;゚ー゚)リ「おー……それは、つらいね……」
(‘_L’)「まあ幸せそうな夫婦だったしな、子供になれて良かった」
ミセ*゚ー゚)リ「そっか…………何だろう……普通に良い話だ……」
(‘_L’)「クソガキはよ」
川 ゚ -゚)「僕は生まれてすぐに親に捨てられたところをご主人様に拾われましたけど」
ミセ*゚ー゚)リ(普通じゃなかった)
川 ゚ -゚)「別に親とか記憶にもないんでどうでも良いですけどね」
(‘_L’)「名前は?」
川 ゚ -゚)「ご主人様が付けた」
- 625 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:40:11 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「クール・フロワだっけ、綺麗な名前だよね」
('A`)「その時読んでた本にクールとかフロワとか出てきた」
川 ゚ -゚)「初めて聞いたんですけどそれ」
('A`)「聞かれなかったからさ」
川 ゚ -゚)「ざけんな」
('A`)「きゅっぷい」
川 ゚ -゚)「すみません墓の場所予約の電話してきます」
('A`)「もはや死が大前提だった」
川 ゚ -゚)「いやもう名前より何より淫獣の声真似が上手かった事が一番腹立たしい」
('A`)「そんな理由で俺は死を宣告されたのか」
ミセ*゚ー゚)リ(クーさん、やっぱり平和……っと)
川 ゚ -゚)「そこ、日記に書かない」
ミセ*゚ー゚)リ「てへぺろっ☆」
- 626 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:42:19 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「なんだ、みんな案外普通なんだね、ドクオさん以外」
(´・_ゝ・`)「まず僕らはそこそこ凡人だからね」
(‘_L’)「普通より少しだけ優れた点がある程度だからな」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせは魔力を少しだけ多く溜め込めて、おっちゃんは身体能力が高いんだっけ」
(´・_ゝ・`)「そうそう、通常がMP100としたら僕は250くらい」
ミセ*゚ー゚)リ「ああ、確かに多いわ」
(‘_L’)「俺は序盤の成長が早いけど後半は技が少なくて馬車に入るタイプ」
ミセ*゚ー゚)リ「ああ……」
川 ゚ -゚)「僕はこの容姿だけは産んだ親に感謝します」
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさん、育て方としてはどうなの?」
('A`)「失敗したと思ってる」
川 ゚ -゚)「この美メイドがずっと一緒に居るんですよ、それだけでも感謝してください」
('A`)「お嬢ちゃんは?」
川 ゚ -゚)「おい無視すんな」
- 627 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:44:09 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「わたしはー……何だろう、身体能力は普通だよね」
(‘_L’)「腕力は平均より上だと思うぞ」
(´・_ゝ・`)「勉強もよくするし、平均より頭も良いよ」
('A`)「見た目は……普通に可愛い方じゃない?」
川 ゚ -゚)「ご主人様が言うと心から気持ち悪いですね」
('A`)「デミタスと言う内容が逆なら良かったのに」
ミセ*゚ー゚)リ「んー……色々と割と普通かぁ……」
(‘_L’)「胸は平均以下だけどな」
ミセ#゚ー゚)リ「腕力でその言葉を覆してみよう」
(‘_L’)「止めて! お前こないだオークの頭蓋骨陥没させてた!!」
(´・_ゝ・`)「素手で……?」
(‘_L’)「素手で」
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)
- 628 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 22:44:46 ID:9raq3wxIO
- きゅっぷいwww
- 629 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:46:13 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、武術習う?」
ミセ*゚ー゚)リ「悪くないと思う」
(‘_L’)「あのひらひら水着で素手でオーク殴り潰してた姿は恐怖でしかなかった」
ミセ*゚ー゚)リ「えへへ、拳が勝った☆」
(‘_L’)「そういやまるで拳壊してなかったなお前……マジで武術系やれよ……」
('A`)「良い先生がこの町にいるけど」
ミセ*゚ー゚)リ「お、どんな人?」
('A`)「ロマネスクって奴、俺の友達」
ミセ*゚ー゚)リ「それ英雄として名前を知ってる」
('A`)「紹介状書くわ、本当は拳メインが居たけど引退したからね」
ミセ*゚ー゚)リ「英雄二人から勉強出来るとか滅多に無いぞこれ……」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君の人脈がどんどんすごい事に……」
(‘_L’)「こいつ未来の英雄なんじゃね」
- 630 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 22:48:06 ID:mGgpFjHQ0
- ロマネスクが師匠とかこわい
- 631 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:48:23 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「お、そろそろ晩御飯みたい」
ミセ*゚ー゚)リ「やったー!」
(‘_L’)「よっしゃ飯だ」
('A`)「あー着替えたい、むしろ帰りたい」
川 ゚ -゚)「僕は従者だから待ってますよ」
('A`)「来なさい」
川 ゚ -゚)「チッ、はーい」
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇねぇせんせ」
(´・_ゝ・`)「ん?」
ミセ*゚ー゚)リ「お城は、今日限り?」
(´・_ゝ・`)「うん、明日にはいつも通り」
ミセ*゚ー゚)リ「そっか……うん、その方がいいや」
(´・_ゝ・`)「そうだね、いつも通りが一番」
(‘_L’)「軍服脱ぎたいしな」
- 632 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 22:49:34 ID:vjN9/NcEO
- 最終話か
支援
- 633 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:50:24 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「じゃ、最初で最後の晩餐会に行こうか」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(‘_L’)「腹減ったー」
('A`)「帰りたーい」
川 ゚ -゚)「眠ーい」
(´・_ゝ・`)「まるでやる気のない返事しか無かった」
ミセ*゚ー゚)リ「いつものことじゃん」
(´・_ゝ・`)「それもそっか、と言うかドクオさん達がすっかりサブレギュラー」
('A`)「我ながらどうしてこうなった」
川 ゚ -゚)「無駄にレス数かさんで困るんですよね」
ミセ*゚ー゚)リ(さすが妖怪レス数増やし……)
(´・_ゝ・`)「まあ良いから、ほらほら出た出た」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせー一緒に行こー」
(´・_ゝ・`)「はいはい」
- 634 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:52:13 ID:XFuFepbkO
-
──────────
ミセ*゚ー゚)リ「なっげぇ回想」
窓から外を眺めつつ、ボンボンをひとつ口に放り込む。
しゃり、と噛み砕くとあふれだす華やかな匂いに、うっとり。
しかしこんな待遇も状態もこれまで。
もうすぐお城を出て、いつも通りの生活に戻ります。
ミセ*゚ー゚)リ「……一人で寝るの、やっぱ寂しいな」
広すぎる部屋、広すぎるベッド。
わたし一人だけと言う状態に慣れていないため、ふかふかのベッドもあまり楽しめなかった。
狭い部屋でも、固いベッドでも、やっぱり三人じゃなきゃ嫌。
わたしと先生とおっちゃん、三人でなきゃ、楽しくない。
- 635 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:54:46 ID:XFuFepbkO
-
ドクオさんとクーさんは、晩御飯のあとに泊まりもせず帰ってしまったらしい。
やっぱりドクオさんは華やかな場が苦手で、あの少し暗い塔の生活が好きみたいです。
少しもったいない気もするけど、それでこそドクオさんと言うか。
本当は半端なくものすごい人なのに、すごい人のオーラが無さすぎる。
ミセ*゚ー゚)リ「せんせもおっちゃんも、それなりにはすごいんだよなぁ」
普通だとは言ったけど、お城に呼び出される時点でそれなりにはすごい。
ただ二人ともドクオさんと同じくらい欲の無い人だから、あっさりお城を出てしまう。
本当はすごくありがたい申し出だったはず。
お城のお抱えになるだなんて、夢見る人はたくさん居るはずなのに。
おっちゃんは本当に興味が無いみたいだけど、先生はどうだろう。
昔は国のために働いて、出世も少しは夢見てただろうに。
わたしは本当に、二人の重荷じゃ無いんだろうか。
- 636 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:56:18 ID:XFuFepbkO
-
先生やおっちゃんの邪魔では無いだろうか。
二人の生活や将来の邪魔をしていないんだろうか。
おっちゃんは軍に入らなくても、城下町に住んで戦士として生活出来るはず。
先生はお城の専属魔導師になって、十分安定した生活を送れるはず。
わたしはドクオさんが書いてくれた紹介状に従い、英雄の元で住み込み修行だって出来る。
ミセ*゚−゚)リ「…………」
旅をするのは楽しい。
二人と一緒は、楽しいし、幸せだ。
でも本当に、二人はそれで良いんだろうか。
根なし草で、各地をふらふら旅して、未来も収入も安定しない生活。
二人とも落ち着いても良い歳だし、お嫁さんだって貰ってもおかしくない。
- 637 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 22:58:03 ID:XFuFepbkO
-
竜さんも言ってたように、わたしは、まだ先が長い。
そんなわたしが、二人を振り回して良いんだろうか。
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、準備できたー?」
ミセ*゚ー゚)リ「あっ……う、うん! 出来てる!」
(´・_ゝ・`)「よし、じゃあ出発しようか、忘れ物は無いね?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
ボンボンの容器を置いて、わたしは駆け足で部屋を後にする。
胸に抱えたもやもやは、まだそのまま。
(‘_L’)「あー肩凝った、あとで揉めデミタス」
(´・_ゝ・`)「片手しか無いから無理」
(‘_L’)「お前義手作っただろ」
(´・_ゝ・`)「一応ね、でも魔力で動かすから疲れる」
(‘_L’)「何のための義手だよ……」
- 638 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:00:18 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「はー……お城、出ちゃったね」
(´・_ゝ・`)「名残惜しい?」
ミセ*゚ー゚)リ「んー……ベッドはふかふかだった」
(´・_ゝ・`)「だね、部屋も広いし」
ミセ*゚ー゚)リ「でも寂しかった」
(´・_ゝ・`)「ははは、今日からは三人で一部屋だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「やったー」
(‘_L’)「喜ぶ事かそれ」
ミセ*゚ー゚)リ「だって寂しかったもーん……ね、せっかくだから町見たい」
(´・_ゝ・`)「良いよ、こないだもろくに見れなかったしね」
ミセ*゚ー゚)リ「わーい! なんか無いかなー」
(‘_L’)「城で何か貰ったか?」
(´・_ゝ・`)「ああ、何かボーナスみたいなの貰ったよ」
(‘_L’)「豪遊出来るな」
(´・_ゝ・`)「しないよ、今後のための貯金」
(‘_L’)「堅実だなお前……」
- 639 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:01:37 ID:mGgpFjHQ0
- フィレンクトはもうちょいさきのこと考えようぜ
- 640 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:02:17 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「お、せんせあれあれ」
(´・_ゝ・`)「ん? ……ああ、ボンボンのお店だね」
ミセ*゚ー゚)リ「あれ美味しかったんだよねー…………何だこの値段」
(‘_L’)「うわぁ……月給くらい無いかこれ……」
(´・_ゝ・`)「だから言ったでしょ、他の商品はまだしもこのボンボンだけは異様な値段」
(‘_L’)「引くわこれ……」
ミセ;゚ー゚)リ「また食べたいけど無理だこれ……こわぁ……」
(´・_ゝ・`)「僕がケーキ作ってあげるから、それで我慢してね」
ミセ*゚ー゚)リ「マジかよたぎる」
(‘_L’)「ケーキ、だと……」
ミセ*゚ー゚)リ「ふふん、おっちゃん食べた事無いでしょ、わたしは昔から食べてるもんね」
(‘_L’)「ぐ、ぐぬぬ……」
- 641 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:04:49 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「あ、ちょっと役所行かなきゃ、今月分の報告と引き出ししてない」
(‘_L’)「城から出てすぐする事かそれ」
(´・_ゝ・`)「今日の宿は取ってもらったし、町は二人で見て回っておいで」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(‘_L’)「はいよー」
(´・_ゝ・`)「一応お金渡しとくけど、無駄遣いしないようにね」
(‘_L’)「おいあの屋台行こうぜ」
ミセ*゚ー゚)リ「あのお店可愛い」
(´・_ゝ・`)「無駄遣いする事しか考えてない……!」
(‘_L’)「俺の報告はまだしなくて良いのか?」
(´・_ゝ・`)「フィレンクトはまだ大丈夫、じゃあ行ってきます」
ミセ*゚ー゚)リ「いってらっしゃーい」
(‘_L’)「いってこーい」
- 642 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:06:14 ID:XFuFepbkO
-
(‘_L’)「さて、うろうろするか」
ミセ*゚−゚)リ「……」
(‘_L’)「どこを見た……どうした?」
ミセ*゚−゚)リ「ねぇ、おっちゃん」
(‘_L’)「何だ?」
ミセ*゚−゚)リ「わたしは、あの……せんせの、邪魔じゃない?」
(‘_L’)「何だ急に」
ミセ*゚−゚)リ「せんせの足、引っ張ってないかなって……」
(‘_L’)「それはないな、それだったらむしろ俺の方が邪魔だろうし」
ミセ*゚−゚)リ「自覚あるんだ……でもそれもないよ」
(‘_L’)「マジかよ」
ミセ*゚−゚)リ「マジマジ」
- 643 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:08:32 ID:XFuFepbkO
-
(‘_L’)「急に何かと思ったら、そんな事か」
ミセ*゚−゚)リ「そんな事……なのかなぁ」
(‘_L’)「今さら気にする事だとも思わんけど」
ミセ*゚−゚)リ「……わたしは、せんせの役に立てるかな?」
(‘_L’)「あー……前に言わなかったか?」
ミセ*゚−゚)リ「え?」
(‘_L’)「ほら、お前はあいつに拾われたって言ったが、あいつはお前に拾われたと思ってる」
ミセ*゚−゚)リ「……わたしに?」
(‘_L’)「ああ、守るものも目標も無くしたあいつがお前を見つけたんだ」
ミセ*゚−゚)リ「……」
(‘_L’)「あいつはお前を見つけた時、守るものがまだあるのだと救われた」
ミセ*゚−゚)リ「わたしが、せんせを……」
- 644 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:10:17 ID:XFuFepbkO
-
(‘_L’)「ほらな、そんな事だろ」
ミセ*゚−゚)リ「んー……」
(‘_L’)「お前が居なければ今のあいつも居ない、役に立つどころか恩人だよお前は」
ミセ*゚−゚)リ「そっか……そう、だったんだ……」
(‘_L’)「……ちょっと羨ましいな」
ミセ*゚−゚)リ「へ?」
(‘_L’)「一応は長い友人なのに俺にはあいつを救えない、俺は先に逃げ出したからな」
ミセ*゚−゚)リ「でも……おっちゃんと居るせんせは、楽しそうだよ?」
(‘_L’)「マジかよ」
ミセ*゚−゚)リ「マジマジ」
(‘_L’)「そうか……なら、まあ良かった」
ミセ*゚ー゚)リ「……おっちゃんもせんせが大好きなんだね」
(‘_L’)「それを肯定したら気持ち悪い事になるけどな」
ミセ*゚ー゚)リ「否定はしない」
(‘_L’)「ちくしょう」
- 645 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:10:39 ID:mGgpFjHQ0
- シリアスフィレンクトモード
- 646 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:12:09 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「わたし、魔導師になれるかなぁ」
(‘_L’)「また剣なら俺が教えるし、やっぱりお前は拳が合うと思うけど」
ミセ*゚ー゚)リ「剣……戦士か、それもも良いなあ」
(‘_L’)「将来の夢はまだ見つからないか?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、まだだね」
(‘_L’)「そうか、ならまた夢を探すために旅をすれば良い」
ミセ*゚ー゚)リ「……うん、そだね」
(‘_L’)「旅が終わる時は、まだ先で良いな」
ミセ*゚ー゚)リ「うん」
(‘_L’)「少し早いけど、そろそろ宿に行くか」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
(‘_L’)「ところで宿はどこだ」
ミセ*゚ー゚)リ「知らない!」
- 647 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:14:11 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「はー……やっと宿ついたよ……」
(‘_L’)「足だりぃ……」
(´・_ゝ・`)「ああお帰り、遅かったね」
(‘_L’)「お前な、宿の場所くらい教えとけ」
ミセ*゚ー゚)リ「宿を探し回ったぜ……」
(´・_ゝ・`)「宿の場所自体は役所ででも聞けば良かったんじゃない?」
ミセ*゚ー゚)リ
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ何してんの?」
(´・_ゝ・`)「ケーキを作ってます」
ミセ*゚ー゚)リ「まーじでっ!?」
- 648 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:16:20 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「いつ出来るのっ、いつ出来るのっ!?」
(´・_ゝ・`)「もう出来るからはしゃがないの、手洗っておいで」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
(‘_L’)「……」
(´・_ゝ・`)「何、その目」
(‘_L’)「バリバリ義手無しでいけるじゃねーか……」
(´・_ゝ・`)「腕が無くてもクリームを泡立てられるってさっき知ったよ」
(‘_L’)「便利そうだな、物を動かす魔法」
(´・_ゝ・`)「疲れるけどね、まだ慣れてないし」
(‘_L’)「ふーん……まだ出来ないのか?」
(´・_ゝ・`)「今ナッペしてくら君も手を洗ってきなさい」
(‘_L’)「へーい」
- 649 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:18:06 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「苺乗せて……よし、出来た」
ミセ*゚ー゚)リ「洗ってきた!」
(´・_ゝ・`)「はいお帰り、切り分けるから少し待ってね」
ミセ*゚ー゚)リ「…………」
(´・_ゝ・`)「手元をガン見しないで……」
ミセ*゚ー゚)リ「ケーキを切り分ける際に求められるのは正確さだよね」
(´・_ゝ・`)「均等にね……はいどうぞ、ただのショートケーキ」
ミセ*゚ヮ゚)リ「わーい! いっただきまーす!!」
(´・_ゝ・`)「お茶淹れてくる」
先生お手製のケーキを一口頬張ると、生クリームの甘さとスポンジの柔らかさがいっぱいに広がる。
宿探しでへとへとになった体に満ちて行く甘さ、間に挟まれた苺フィリングの甘酸っぱさ。
少し固めのクリームは、口に入れればとろりと溶けてしまう。
ふわふわのスポンジがそのクリームと混じり合い、苺の酸味がそこに加わる。
決して派手でも華やかでもない味。
けれど何だか懐かしい、落ち着く味。
- 650 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:18:58 ID:mGgpFjHQ0
- こんな時間になんて凶悪な
- 651 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:20:07 ID:XFuFepbkO
-
孤児院に居た頃から、何かお祝い事の時に作ってくれた。
甘くて優しくてふわふわで、みんな先生の作るお菓子が大好きだった。
正直な話、孤児院のみんなにはこのケーキを食べられなくなった事を謝罪したい。
意外と言うか予想通りと言うか、先生は料理が上手い。
そしてお菓子作りも同じくらいか、あるいはそれ以上に上手い。
分量に気を使うから普段はあんまりね、と笑うけど、個人的には毎日食べたいくらいです。
クッキーとかケーキとか、タルト、パイ、プリンにゼリー。
いつだって、先生の手作りは美味しいもの。
ご飯も美味しい、先生の作るシチューやグラタン以上のものはきっとない。
味だけではなく、先生が作ったと言う気持ち、それがあるだけでその上は存在しない。
ミセ*´ヮ`)リ「……せんせがお城の人にならなくて良かった……」
(´・_ゝ・`)「え?」
ミセ*´ヮ`)リ「あの高いお菓子は美味しかったけど、わたしはせんせのケーキのが好き……」
(´・_ゝ・`)「……ありがと、ミセリ君」
ミセ*´ヮ`)リ「えへー、こちらこそー」
- 652 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:22:11 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「はいお茶、フィレンクトは何し」
(‘_L’)「おかわり」
(´・_ゝ・`)「普通に食ってたよ」
(‘_L’)「おかわり」
(´・_ゝ・`)「無いよ」
(‘_L’)「おかわり!」
(´・_ゝ・`)「無いよ!」
(‘_L’)「寄越せ!」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「いやー! わたしのは絶対あげないから!!」
(‘_L’)「知るか!!」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「ちょ、おま、や、に゙ゃあああぁああぁあッ!!?」
(‘_L’)「うめぇ!!」
_,
ミセ#;Д;)リ「ぜんぜぇえええ!! おっちゃんが食べたぁああああああ!!」
(´・_ゝ・`)「天光満つる所に我はあり、黄泉の門開く所に汝あり、いでよ、神の雷! インディグネイション!!」
(‘_L’)「久々のガチ詠唱!?」
- 653 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:24:08 ID:XFuFepbkO
- _,
ミセ#;Д;)リ「ぅううぅううう……」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、また作ってあげるから……」
_,
ミセ#;Д;)リ「わたしのけーき……」
(´・_ゝ・`)「あとフィレンクトが魔法と拳術の練習相手してくれるらしいよ」
(#)_L’)「えっ」
_,
ミセ#;Д;)リ
(#)_L’)
ミセ#゚ー゚)リ「行こうぜおっちゃん、久々にキレちまったよ」
(‘_L’)「最近もキレてたよ!?」
ミセ#゚ー゚)リ「ミセリ・アンジェニュは女の子ォ!!」
(‘_L’)「知ってひでぶっ!?」
(´・_ゝ・`)「外で人に迷惑をかけないようにねー」
- 654 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:26:01 ID:QvBDoGfM0
- ザブングルわろたww
- 655 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:26:14 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「ふー……」
(´・_ゝ・`)
(´・_ゝ・`)「賑やかだなぁ、本当に……」
(´・_ゝ・`)「旅をして良かったな、大事な家族が二人も出来た……」
(´・_ゝ・`)「まだまだ、落ち着いてはいられないなぁ」
<ちょーきゅーはおー!
<何を撃とうとしてんの!?
<でんえーだーん!!
<ただの物理!?
(´・_ゝ・`)「二人ともー、物とか壊さない様にねー?」
<はーい!
<俺が壊れる!
<シネェ!
- 656 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:28:10 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「……二人ともありがとう、これからもよろしくね」
(´・_ゝ・`)「これからもまだ、三人でうろうろしたいな……」
(´・_ゝ・`)『ううん、これからは四人だったね……』
(´・_ゝ・`)
(´・_ゝ・`)「誰だ妊娠オチにしようとしたの」
('A`)「どっこい俺だ」
(´・_ゝ・`)「帰ったんじゃ無かったんですか?」
('A`)「良い話でしめようとしたところを申し訳ないが話がある」
(´・_ゝ・`)「良くない話ですか?」
('A`)「お嬢ちゃんに魔導師の素質がある事がわかりました」
(´・_ゝ・`)「えっ」
('A`)「帰ってから何となく調べたら素質がありました」
- 657 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:28:59 ID:mGgpFjHQ0
- ミセリwwwwwwwwwww
- 658 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:30:24 ID:oxlWF3lcO
- 何となくってwww
- 659 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:31:00 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)
('A`)
(´・_ゝ・`)「どれくらい……?」
('A`)「ソリテール家の養女にして良い?」
(;´・_ゝ・`)「そんなに!?」
('A`)「因みにこれは町やあらゆる魔導師組合に広まってしまいました」
(;´・_ゝ・`)「何で!?」
('A`)「俺がうっかり世間話をしてうっかり広まるだなんて」
(;´・_ゝ・`)「ドクオさん何してんの!?」
('A`)「因みに拳術の素質も相当高いのでジョブチェンジ時の参考にどうぞ」
(´・_ゝ・`)「教え子もチート性能だった」
('A`)「じゃ、伝えるだけ伝えたから、今後は魔導師達のスカウトから上手く逃げ回ってね」
(;´・_ゝ・`)「無責任! ドクオさんの無責任! 責任取ってくださいよ!?」
- 660 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:32:52 ID:mGgpFjHQ0
- ミセリ パねぇ
- 661 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:33:04 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「せんせただ……えぇ……?」
(;´・_ゝ・`)「あ、おかえ……変な感じのところを聞かれた!?」
(´・_ゝ・`)『これからも三人……ううん、これからは四人で旅をしようね』
(;´・_ゝ・`)「アテレコすんな!!」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ……赤ちゃんが……?」
(;´・_ゝ・`)「出来るかぁ!!」
(‘_L’)「ただ……えっ、妊娠……?」
(;´・_ゝ・`)「もう良いよ! 出来るわけないだろ!! ドクオさんのモヤシ!!」
('A`)「初めて後輩に罵られた……!?」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、わたしお姉ちゃんになるんだね……!」
(‘_L’)「相手は……誰だ……ッ!?」
(;´・_ゝ・`)「んなわけあるかぁああああああ!!」
ミセ*゚ー゚)リ(おもしれー)
(‘_L’)(おもしれー)
('A`)(おもしれー)
- 662 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:34:20 ID:XFuFepbkO
-
(;´・_ゝ・`)「あーもードクオさん帰って! 後日また賠償を要求します!」
('A`)「そんなエラの張った友人みたいな事を……分かったよ、またなー」
ミセ*゚ー゚)リ「またねー」
(‘_L’)「またー」
(;´・_ゝ・`)「全くもう……混乱スキル持ちなんだから……」
ミセ*゚ー゚)リ「実際は何の話してたの?」
(´・_ゝ・`)「ん、今後の旅の方針についてちょっとね」
ミセ*゚ー゚)リ「方針?」
(´・_ゝ・`)「うん、勉強の分野を広げようかなって」
ミセ*゚ー゚)リ「おー! 楽しそう!」
(´・_ゝ・`)「フィレンクトも先生だよ」
(‘_L’)「えっ」
(´・_ゝ・`)「頑張ってね、僕は拳術とか無理だから」
(‘_L’)「俺は剣術メインだよ……!?」
- 663 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:36:15 ID:XFuFepbkO
-
(´・_ゝ・`)「明日には町を出るから、準備しなきゃね」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(‘_L’)「拳術かあ……」
(´・_ゝ・`)「ああそうだミセリ君、今後は一人でうろつかないようにね」
ミセ*゚ー゚)リ「何でまた急に」
(‘_L’)「竜に会いに行ったりするからだろ」
ミセ*゚ー゚)リ「てへぺろっ☆ ……あ、早めに日記書いとこ」
(´・_ゝ・`)「今日なんか勉強したっけ」
ミセ*゚ー゚)リ「ひみつー」
季節:春 場所:城下町
勉強内容:これからも三人とたまに五人で、ずっと一緒に続けて行く予定。
- 664 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:36:19 ID:mGgpFjHQ0
- ニダーも友達か
- 665 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:38:41 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*^ー^)リ「……えへへ」
(´・_ゝ・`)「どうしたの?」
ミセ*゚ー゚)リ「ひーみつ! ずっと一緒に続けようね!」
(´・_ゝ・`)「うん、もちろん」
(‘_L’)「デミタス、飯って何時ごろだ」
(´・_ゝ・`)「まだ先だよ、干し肉でもかじってて」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしも欲しいかも」
(´・_ゝ・`)「二人して……」
行く道は様々、賑やかな街や静かな村。
時には冷たい風を、時には暖かな風を受けて歩いて行く。
周囲にはいつも移り変わり続ける景色。
聞こえるのは人の声や風の音、喧騒も静けさも耳へと流れ込む。
石畳を踏み、土を踏み、景色の中を渡り歩くのは、三人。
彼らの間にはいつも、穏やかでいて賑やかな空間が存在する。
三人は時おり五人になりながら、町から町へと渡り歩く。
彼らはまだ続ける、終着駅はまだ見えないから、ただただ彼らは笑顔を振り撒き歩き行く。
三人の旅は、まだまだ終わらない。
【旅のようです おわり】
- 666 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:39:25 ID:mGgpFjHQ0
- おつ!
お疲れ様!
- 667 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:40:09 ID:XFuFepbkO
-
ミセ*゚ー゚)リ「これって僕らの冒険は始まったばかりだエンドじゃね?」
(´・_ゝ・`)「しーっ」
(‘_L’)「しーっ」
- 668 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/25(日) 23:42:13 ID:XFuFepbkO
- 支援ありがとうございました、本日で旅のようです完結です。
まとめて下さったトマトさん、読んで下さった皆様、毎週ありがとうございました。
また同じような感じのなんかアレな感じのを書きたいなと思います、コンゴトモヨロシク……。
それでは、これにて失礼!
ttp://imepic.jp/20120325/725680
- 669 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:43:11 ID:oxlWF3lcO
- 乙した!!
- 670 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:43:19 ID:QvBDoGfM0
- おつかれ!
- 671 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:43:58 ID:chlmRVxo0
- 乙!
このキャラ設定いいわー
また書いてほしい
- 672 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:44:35 ID:IFGrdg6so
- 乙でした!
気が付いたら三作ラストはリアタイだった
- 673 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:45:44 ID:9raq3wxIO
- 乙!
この作品を読めて良かった
- 674 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:45:47 ID:wqpTzt9k0
- 乙でしたー
- 675 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:46:22 ID:eiACHnvc0
- 週一でよかった乙
- 676 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:48:39 ID:vjN9/NcEO
- お疲れさん
また書きたくなったら何か書いてくれよ
- 677 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:49:44 ID:dzhvMZls0
- おつ
ミセリまでチートか…
- 678 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:50:52 ID:y61lZQGE0
- 乙!
こんなかわいいヒロインに化物じみたスペックが・・・
- 679 :名も無きAAのようです:2012/03/25(日) 23:51:30 ID:mGgpFjHQ0
- 描いていた絵が挿絵と何となくかぶってしまった申し訳ない
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_295.jpg
- 680 : ◆tYDPzDQgtA:2012/03/26(月) 00:00:52 ID:xFX2r7j.O
- >>679
うひぃ!ありがとうございます!
- 681 :名も無きAAのようです:2012/03/26(月) 07:46:05 ID:4lXLwrM6O
- 川越シェフが水着姿で泣きながらオークを殴り殺してる画像ください
- 682 :名も無きAAのようです:2012/03/26(月) 19:19:12 ID:ZjuzzZqU0
- 今読み終わりました乙です。
オークを素手で殴り殺すっていわれても、ハゲじゃない方のGoW3しか思い浮かばない・・・
- 683 :名も無きAAのようです:2012/03/27(火) 04:26:10 ID:kgYpzGxU0
- また次回作でもミセリを適度にリョナってくれるんだろ?期待してる
- 684 :名も無きAAのようです:2012/03/27(火) 12:28:36 ID:PxOkK5gM0
- 乙、また書いてほしいな
- 685 :名も無きAAのようです:2012/03/27(火) 20:39:00 ID:vK8JbpD.0
- 次も期待してる!
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