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( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです- 1 :名も無きAAのようです:2012/01/18(水) 19:34:11 ID:hX4pMy9kO
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※ご注意※
・もしもしからのながらです。
・いくつかゲームやライトノベルから設定等を拝借しております。
設定元のネタバレに繋がる程のものでは無い筈ですが、気になる方がおられましたらsage進行にします。
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- 2 :名も無きAAのようです:2012/01/18(水) 19:46:26 ID:hX4pMy9kO
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―――――この世界は、一回崩壊しているそうだ。
何でもどっかの狂信者が何かの儀式を行って『浄化』と称した世界の破滅を願ったらしい。
らしい、とか〜そうだ、とか、伝聞口調なのは勘弁して欲しい。
俺は崩壊して『浄化』が行われた後の世界で生まれ育っていて、
上記の事は文献やツテを使って調べたからだ。
―――――なあ、『浄化』をした狂信者さんよ。
あんたは今のこの世界を見てどう思う?
俺には到底キレイになった様には思えんよ。
- 3 :名も無きAAのようです:2012/01/18(水) 19:47:11 ID:hX4pMy9kO
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( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
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- 4 :名も無きAAのようです:2012/01/18(水) 20:14:15 ID:hX4pMy9kO
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流石 兄者の部屋は狭い。
パソコンや書籍、それにパソコンの配線やら書籍を詰め込んだだけの棚やらで人が一人通るのがやっと、と言った所だ
(その通り道すら書類や無造作に放られた殴り書きの紙で埋まっている)。
時間は昼時だが室内は薄暗い。
この部屋唯一の窓は閉め切っており、カーテンから覗く僅かな光とパソコンのモニターだけが光源となっている。
( ´_ゝ`) 「…」
棚と本と配線と紙で埋め尽くされた部屋の中央に置かれた机とパソコンと椅子。
そこで作業を行っている男こそこの部屋の主、流石 兄者である。
彼は早朝からパソコンとにらめっこをしている。
食事も摂らずに黙々と。
( ´_ゝ`) 「…よし、『ブラクラゲット』」
- 5 :名も無きAAのようです:2012/01/18(水) 20:26:39 ID:lipbu/sM0
- しえーん
- 6 :名も無きAAのようです:2012/01/18(水) 20:31:29 ID:hX4pMy9kO
-
画面の表示をダブルクリック。
それと同時に一言だけ呟いて、兄者の今回の『仕事』は終わった。
( ´_ゝ`) 「…」
ふとパソコンの時計を見て今が昼飯時であると気付く。
腹の虫はいつもの様に空腹に気付いてから活動を始めた。
緩慢な動きで椅子から立ち上がり、部屋を出る。
( ´_ゝ`) 「…飯、あるかな」
腹が膨れりゃ何でも良いけど。
そうひとりごちて、兄者は階段を降り、キッチンへ向かった。
- 7 :名も無きAAのようです:2012/01/18(水) 20:33:57 ID:hX4pMy9kO
- すみません、非常に中途半端ですが今日はここまで。
ご覧頂き誠に有り難うございました。
- 8 :名も無きAAのようです:2012/01/18(水) 20:56:37 ID:apCkywBkO
- 乙。期待してる
それと、用事なら別にいいんだけど、単なる書きため切れならお父さん許さないよ
- 9 :名も無きAAのようです:2012/01/18(水) 21:02:45 ID:ZAb8vgRcO
- 乙
>>8
>>1にながらって断ってあるじゃないか
- 10 :名も無きAAのようです:2012/01/18(水) 21:07:57 ID:apCkywBkO
- >>9
気づかなかったわ
すまない
- 11 :名も無きAAのようです:2012/01/18(水) 21:47:07 ID:8Y1T24nYO
- 果してこれはながらといってよいのか
- 12 :名も無きAAのようです:2012/01/18(水) 23:37:59 ID:S37ypl3oO
- 支援
- 13 :名も無きAAのようです:2012/01/20(金) 11:23:39 ID:6YIEbnKkO
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( ´_ゝ`) 「ぅぉぉ、まぶし…」
一階の廊下に降りた途端、外の光が兄者の目を焼いた。
『光る球体』は真っ白に煌めいている。
( ´_ゝ`) 「白い球体なのに光は黄色いんだよな」
それもこの世界の不思議だよ、とぶつぶつ言いながらキッチンの扉を開ける。
まだ自分の分は残っているだろうか。
/ ,' 3 「おう、今頃お目覚めかい」
その声にテーブルへ目をやると、酒瓶をらっぱ飲みしている老人が一人。
( ´_ゝ`) 「朝っぱらから酒をかっ食らってるじいさんに言われたくねえなぁ…」
/ ,' 3 「朝っぱらからパソコンで遊んどる小僧っこが何を言いよるか」
からからと笑いながら軽口を叩く老人の名前は「荒巻」。
この『仕事場』の管理人である。
- 14 :名も無きAAのようです:2012/01/20(金) 11:24:22 ID:6YIEbnKkO
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( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
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- 15 :名も無きAAのようです:2012/01/20(金) 12:06:42 ID:6YIEbnKkO
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( ´_ゝ`) 「あのなあ、俺はパソコンで遊んでるんじゃねえっての」
言いながら冷蔵庫を開け、中身を物色する。
パンとジャムがあったので、それで済ます事にする。
…パンを焼くのも面倒なので、そのままジャムぶっかけて食うか。
/ ,' 3 「そのぶつくさ言う癖なんとかならんかいのう」
( ´_ゝ`) 「うっせ。弟者がいた時の癖だよ」
下らないやり取りの後、ジャムを大量に塗りたくったパンを貪る。
ジャムを溢さない様に器用にかじり、約一日振りの食事を済ませる。
/ ,' 3 「またきったねえ食い方しよる」
( ´_ゝ`) 「食えりゃ良いんだよ食えりゃ」
口の周りに付いたジャムを手で拭い、蛇口を捻って手を洗う。
する事も無くなって手持ち無沙汰な兄者はそのまま荒巻と話す事にした。
/ ,' 3 「弟者君の方がその辺もっとしっかりしとるのにのう」
( ´_ゝ`) 「まあ、あいつは冷蔵庫にあるモンで軽く作って食うからな」
- 16 :名も無きAAのようです:2012/01/20(金) 12:07:38 ID:6YIEbnKkO
-
/ ,' 3 「お前も呑むか?」
( ´_ゝ`) 「いや、いいよ。俺仕事終わりに一杯ってタイプじゃないし」
目の前に差し出された酒瓶を横へやり、外を眺める。
快晴だ。
( ´_ゝ`) 「気分転換に外へでも出るかな」
/ ,' 3 「おうおう、そうしろそうしろ。引きこもってばっかりじゃつまらんぞい」
( ´_ゝ`) 「うっせ。だから引きこもりで無くて仕事だっつの」
荒巻には兄者の『仕事』の内容には興味が無いらしく、度々この様な会話がされる。
彼から見れば、ふらりと出掛けたと思ったらそのまま
『依頼を受けた』
と言って自室にこもりきりになる兄者は引きこもりにしか見えないのだろう。
- 17 :名も無きAAのようです:2012/01/20(金) 12:15:04 ID:6YIEbnKkO
-
/ ,' 3 「散歩ついでにでええから、ちょいとまたんきンとこにお使い頼まれてくれんか」
(;´_ゝ`) 「じいさん、あんたハナっからそのつもりで俺に外出進めたのかよ」
/ ,' 3 「ふぇっふぇっふぇっ」
『管理人』からの『依頼』、受けてくれるんじゃろ?
荒巻は笑いながらそう言って酒をあおった。
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- 18 :名も無きAAのようです:2012/01/20(金) 12:18:14 ID:6YIEbnKkO
- 毎度の事ながら短いですが今日はこれにて。
ご覧頂き誠に有り難うございました
。
>>11
ながらと言うより即興に近いですね、これ。
- 19 :名も無きAAのようです:2012/01/21(土) 21:18:16 ID:1EWZP0jE0
- ほう
- 20 :名も無きAAのようです:2012/01/22(日) 10:47:02 ID:OqkokDI.O
-
またんきは所謂『何でも屋』である。
本人曰く『トレジャーハンター』が正しいそうだが、周りからは『何でも屋』と呼ばれて親しまれている。
何故『トレジャーハンター』を名乗るのかと聞かれれば、
『前の世界』の遺物を収集する趣味があるからと答えるだろう。
例えば、長方形の紙の裏表に繊細な細工が施された絵画の様な物。
例えば、銀や銅と言った鉱物などを使い丸くて平べったく加工された『10』や『100』などと彫られている彫刻品。
とにかく、彼はそう言った代物が大好きなのだ。
荒巻はまたんきから『酒』と言う物を教わり、その味の虜となった。
今では何もない日は日がな一日酔い潰れるまで飲んだくれる程となった。
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- 21 :名も無きAAのようです:2012/01/22(日) 10:48:39 ID:OqkokDI.O
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
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- 22 :名も無きAAのようです:2012/01/22(日) 11:13:47 ID:OqkokDI.O
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兄者の『仕事場』からまたんきの『何でも屋』までの道程は、『光る球体』が三分の一欠ける程度の距離である。
( ´_ゝ`) 「散歩にしちゃあ、ちと短いな…」
前の世界にはキロ、メートル、センチなどの『単位』と呼ばれるものがあったそうだが既にそれらは失われて久しい。
今では『球体』の満ち欠けでおおよその距離と時間を測る程度となった。
(;´_ゝ`) 「にしてもあのじいさんマグネタイト持ちすぎだろ…」
マグネタイトとは今の世界の共通貨幣である。
貨幣と言ってもそれは鉱石の様な物で、基本的にはいびつな形であらゆる色に見える『何か』だ。
荒巻からお使いを頼まれた(押し付けられた)際にマグネタイトも渡されたのだが、
明らかにメモに記された品物よりマグネタイトの量が多い事を兄者は愚痴っていた。
- 23 :名も無きAAのようです:2012/01/22(日) 11:38:55 ID:OqkokDI.O
-
( ´_ゝ`)「なーにが『余った分はくれてやるわい』だよ、これ明らかに正規の依頼じゃねえか…」
ぶつぶつと言いながら兄者は一人、歩く。
この世界は砂地が多い。
『浄化』が行われた際、殆どの場所が砂に覆われたらしい。
前の世界は舗装がきちんとなされていて、様々な移動方法があったと言う。
今では全てが砂に埋まり、移動方法は徒歩しか無い。
( ´_ゝ`) 「もうぼちぼちしたら、誰かが何か便利な交通手段を作ってくれないかね」
文献でしか見た事の無い『車』に思いを馳せつつひたすら歩き、
ようやくまたんきのいる『何でも屋』に辿り着いた。
- 24 :名も無きAAのようです:2012/01/22(日) 12:07:52 ID:OqkokDI.O
-
(・∀ ・) 「おー、兄者だー」
( ´_ゝ`) 「おー、兄者だぞー」
間の抜けた声に同じく間の抜けた声で返し、兄者は『何でも屋』の暖簾をくぐる(この『暖簾』と言うのも遺物で、またんきがそれを再利用している)。
(・∀ ・) 「今日は何の用だー」
( ´_ゝ`) 「荒巻のじいさんから酒頼まれたー」
言って、兄者はまたんきに持っていたメモを渡す。
メモには様々な酒の特徴が書かれていた。
(・∀ ・) 「荒巻のじっちゃんかー。じっちゃん酒好きだなー」
またんきはそれを受け取り、『店』の中をごそごそと探し回る。
雑多な店内の物の置き場所ははまたんきにしか分からない。
( ´_ゝ`) 「『儂ゃあ三度の飯より酒が好きじゃー、酒の為なら死ねるー』
が口癖だからなー」
(・∀ ・) 「毎日こんなにいっぱい呑んでるのかー?」 ゴソゴソ
( ´_ゝ`) 「おー、毎日浴びる程呑んでるぞー」
(・∀ ・) 「何かおれの物真似してないかー?」 ガサゴソ
( ´_ゝ`) 「お前と話してると喋り方が移るんだよー」
- 25 :名も無きAAのようです:2012/01/22(日) 12:54:55 ID:OqkokDI.O
-
(・∀ ・) 「これで全部だぞー」
(;´_ゝ`) 「多っ!」
兄者の身長は『昔』の単位で185cm程ある(またんきは170cm程度)。
その兄者の腰辺りまで積み上げられた酒瓶や酒樽。
(;´_ゝ`) 「こんなん多いし重すぎるし持ち運べねえよ!」
(・∀ ・) 「だなー」
(;´_ゝ`) 「『だなー』じゃねえよ!どうすんだこんなの!」
(・∀ ・) 「焦んなよー、おれも手伝うからさー」
(;´_ゝ`) 「いやいやそれにしたって」
焦る兄者をよそに、何故かまたんきは店の奥へ引っ込んでしまった。
( ´_ゝ`) 「おーい、手伝ってくれるんじゃないのかよー」
兄者の声を無視して暫くごそごそとしていたが、
「あったあったー」
と声がしたあとに何かを引き摺って戻って来た。
- 26 :名も無きAAのようです:2012/01/22(日) 13:15:12 ID:OqkokDI.O
-
またんきが持って来たのは大きな板の両サイドに棒と車輪を取り付けた物だった。
( ´_ゝ`) 「何これ?」
(・∀ ・) 「『荷車』って言うんだー。
おれが作ったんだぞー、凄いだろー」
( ´_ゝ`) 「ほー、凄い凄い。
…で、どうするの」
(・∀ ・) 「これに酒をくくりつけて荒巻のじっちゃんのとこ帰ろー」
( ´_ゝ`) 「おお、それなら多少は運ぶのに苦労しないな」
(・∀ ・) 「…まあ、酒を乗せたりするのが大変だけどなー」
酒を荷車に乗せ、落ちない様にヒモでくくり、荒巻の待つ『仕事場』まで戻るまでに、
『球体』の満ち欠けの周期は一回りしていた。
- 27 :名も無きAAのようです:2012/01/22(日) 13:16:31 ID:OqkokDI.O
- 今日はここまで。
ご覧頂き誠に有り難うございました。
- 28 :名も無きAAのようです:2012/01/22(日) 22:17:04 ID:RkXu2yG20
- 真女神転生3?
- 29 :名も無きAAのようです:2012/01/23(月) 01:51:50 ID:r6cPTEtAO
- 乙
- 30 :名も無きAAのようです:2012/01/23(月) 17:58:48 ID:1Md0t.CkO
-
流石 兄者の家族は多い。
流石 母者は所謂『肝っ玉母さん』で、一芸に秀でていなければ生き残れないこの世界で拳一つでのしあがって来た。
母者は畏れられ、或いは一種の力の象徴として生ける伝説と崇められ、挑戦者は後を絶たなかった。
流石 父者は母者の様に力強い訳では無かったがとかく手先が器用で、
過去の遺物であった『電話』や『インターネット』を、
またんきの集めた資料とあらゆる所を漂っている『情報』を利用して普及させる事に成功した。
流石 姉者は気立ても要領も良く、その色気を使い様々な危機を乗り越えて来た。
情報収集に長け、噂話などを利用し危機を回避して生き延びて来ている。
流石 妹者は愛嬌ある笑顔と無邪気さで家族のアイドルだった。
幼く、力も知恵もまだまだな彼女は庇護される立場にあったが、その分家事や父者の仕事の手伝い等をして生きる術を学んでいた。
そして、兄者の双子の兄弟である弟者は―――――。
.
- 31 :名も無きAAのようです:2012/01/23(月) 17:59:51 ID:1Md0t.CkO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
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- 32 :名も無きAAのようです:2012/01/23(月) 18:14:12 ID:1Md0t.CkO
-
兄者は全身のギシギシとした痛みで目が覚めた。
( ´_ゝ`) 「…身体中痛ぇ」
荒巻の依頼の際、大量の酒を荷車に積み込んだり降ろしたりと慣れない力仕事をした為、
筋肉痛になっていたのだ。
( ´_ゝ`) 「畜生、じいさん全然手伝わねえんだもんなー…」
自室に入って一番奥にあるベッドに直行し、そのまま熟睡。
そして現在に至る。
( ´_ゝ`) 「今日は『依頼』受けたくねえー…」
(´<_` ) 『残念だったな、兄者。『仕事』のお知らせだ』
( ´_ゝ`) 「えぇー…」
いつ『仕事』の依頼が来てもいい様に常時つけっぱなしのパソコンから声が響き、
已む無くベッドから這い出る。
- 33 :名も無きAAのようです:2012/01/23(月) 18:28:07 ID:1Md0t.CkO
-
( ´_ゝ`) 「どんなん?楽なのだったら良いなぁ今の俺的には」
『リクライニングシート』の椅子で良かった、等と呟きながらゆっくり腰を掛ける。
パソコンの画面には自分と同じ顔が写っていた。
(´<_` ) 『まあいつも通り『情報的抹殺』の依頼だよ』
( ´_ゝ`) 「マジでー、ならちゃっちゃと終わらせようぜ」
独り言の様なやり取りだが、画面に写し出された顔の方は今の兄者より血色が良い。
加えて、兄者の髪と眼の色は共に青だが画面の顔は共に緑色をしている。
(´<_` ) 『難易度も大して高く無いし、兄者の思う様に行けばあっという間さ』
( ´_ゝ`) 「やだ、弟にそんなにおだてられたら兄者張り切っちゃう」
(´<_` ) 『きめぇ』
画面越しに会話している相手こそ、兄者の双子の弟。
流石 弟者である。
- 34 :名も無きAAのようです:2012/01/23(月) 18:45:30 ID:1Md0t.CkO
-
(´<_` ) 『今から対象の情報を渡すから、兄者は居場所の特定を頼む』
弟者がそう言うと、パソコンのタスクが幾つか勝手に展開された。
( ´_ゝ`) 「ふむふむ、依頼内容は恋人を殺された恨みを晴らしたい…ね。
まあよくある話だわ」
(´<_` ) 『対象の顔なんかも貰ってるからだいぶ楽だと思うが』
画面の一つが拡大され、それを見る。
どうやら『殺害対象』の顔写真の様だ。
( ´_ゝ`) 「OK、これだけ鮮明な写真なら瞬きする間に探し出せる」
それを見るや否や、兄者は凄まじい勢いでキーボードを叩き出した。
タスクの一つは何処かの通路を表示している。
( ´_ゝ`) 「…発見。『経路』のごく浅い所に逃げ込んだみたいだな」
(´<_` ) 『把握した。今から向かう』
阿吽の呼吸でやり取りを行い、弟者は画面から消えた。
後は彼が『経路』と呼ばれる場所に潜り、『対象』を『情報的に抹殺』する。
( ´_ゝ`) 「…毎度の事ながら、弟者にばっかり危険な役目を押し付けてるよな、俺」
- 35 :名も無きAAのようです:2012/01/23(月) 19:07:32 ID:1Md0t.CkO
-
『経路』がいつからあるのか、その起源を兄者は知らない。
父者が『インターネット』や『電話』にこの『経路』を使おうとしなければ存在さえ知らなかっただろう。
不安定で常に構造が変わるその場所を、如何なる方法を使ってか父者は(ごく一部ではあるが)安定化させ、
通信手段に用いたのだ。
( ´_ゝ`) 「…」
その辺りの話は少なくとも理解の範疇を越えており、
この一件で兄者の父者を見る目が
『家族の大黒柱』
から
『同業者としての壁』
に変わったのだけは間違いない。
( ´_ゝ`) 「…いかんいかん、考え過ぎるといつもこうだ」
かぶりを振り、改めて画面に目をやる。
『経路』の画面が写っているタスクは何故か主観視点になっており、
慣れない者が見たら酔いそうなスピードで何処かへと移動している。
- 36 :名も無きAAのようです:2012/01/23(月) 19:15:40 ID:1Md0t.CkO
-
( ´_ゝ`) 「どうだ、見付かりそうか?」
『ああ、兄者のくれた情報で充分足りたよ。もう追い詰めた』
画面から弟者の声だけが響く。
どうやら考え事をしている間に『対象』を見つけ出していたらしい。
( ´_ゝ`) 「そうか、弟者はいつでも通常運行で羨ましいよ」
『それは肉体を無くした俺に対する嫌味か、兄者』
( ´_ゝ`) 「…済まん、そんなつもりじゃ」
『分かってるよ、ブラックジョークってやつだ』
( ´_ゝ`) 「分かりにくいから止めて、兄者困っちゃう」
『きめぇ』
- 37 :名も無きAAのようです:2012/01/23(月) 19:29:56 ID:1Md0t.CkO
-
―――――流石 兄者の家族は『悪夢』にやられたと噂されている。
流石 母者は『浄化』を行った『狂信者』に賛同したと言われる存在に挑み、
そして散ったと言われている(兄者は眉唾物と信用していないが)。
流石 姉者は高級娼婦に身をやつし、生きる為に身体を売っているらしい。
今はたまに来るメールで生存報告をするだけになってしまった。
流石 妹者はある日ならず者に襲われ、廃人同然になって帰って来た。
彼女は今でも治療施設にいる。
そして、流石 父者と流石 弟者はある事故により『情報』にその肉体を『喰われ』、
父者はそのまま『情報』の渦に巻き込まれて精神すら消滅し、
弟者は辛うじて精神体として兄者のパソコンに定着している。
- 38 :名も無きAAのようです:2012/01/23(月) 19:30:46 ID:1Md0t.CkO
- 今日はここまで。
ご覧頂き誠に有り難うございました。
- 39 :名も無きAAのようです:2012/01/23(月) 19:35:13 ID:eXbqrZ4k0
- 乙
まだ全体像が見えてこないな
期待
- 40 :名も無きAAのようです:2012/01/23(月) 21:47:22 ID:46EQXwt20
- 漢字ばかりで読みにくい
変換できるものは全部やってる感じだな
- 41 :名も無きAAのようです:2012/01/23(月) 22:00:09 ID:W55jcGdM0
- >>40
話の雰囲気に合ってるから俺は気にならんが
読めない字でもあるのか?
- 42 :名も無きAAのようです:2012/01/23(月) 22:20:45 ID:46EQXwt20
- >>41
いや、読める読めないを言いたいんじゃないんだ
感想として述べただけなんだが
えっと、漢字のままのほうが読みやすいものと
ひらがなのほうが読みやすいがあると思う
「帰って来た」とか、「見付かりそう」とか
個人差はあると思うけど「帰ってきた」「見つかりそう」
のほうが俺は読みやすいんだな
あくまでも個人的に。客観性を重視しただけだが
- 43 :名も無きAAのようです:2012/01/24(火) 00:03:37 ID:N455O2N20
- >>42
スマン、読める読めないは冗談だ
話の中の文章の作りかたは作者の自由だから、
読者としてアドバイスは具体例を挙げて欲しかったんだ
確かに「帰ってきた」は補助の関係だから平仮名が正しい
つっかかったりしてゴメンよ
後は作者に任せようぜ
- 44 :名も無きAAのようです:2012/01/24(火) 04:31:20 ID:M4x5UBOMO
- >>42
アドバイスありがとうございます。
確かに変換できる漢字はかたっぱしから変換して所があるので、
今後気を付けます。
- 45 :名も無きAAのようです:2012/01/24(火) 12:13:25 ID:M4x5UBOMO
-
(´<_` ) 『捕まえて来た』
(;’e’) 『ひぃぃ、た、たす、す、ぉたすけ』
弟者とひどく怯えている男がパソコンの画面に写る。
タスクの一つに写っている顔写真と見比べ、
男が『抹殺対象』だと確認する。
( ´_ゝ`) 「お前の名前はセントジョーンズで間違いないな」
一応、名前を聞いておく。
『殺す』以上、万が一にでも間違いがあってはならないからだ。
(;’e’) 『ぁ、ぁひぃ、ふひぃぃぃぃ…』
( ´_ゝ`) 「なんだ、『ぁ、ぁひぃ、ふひぃぃぃぃ…』さんか」
(´<_` ) 『そのボケは無いわー』
- 46 :名も無きAAのようです:2012/01/24(火) 12:15:08 ID:M4x5UBOMO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 47 :名も無きAAのようです:2012/01/24(火) 12:45:59 ID:M4x5UBOMO
-
(´<_` ) 『改めて確認するまでもなく、こいつはセントジョーンズだよ。
名前呼んだら返事して振り向いたし』
( ´_ゝ`) 「なんかずいぶんと気軽な捕まえ方したのね」
(´<_` ) 『こっちも偽名使ってるもんだと思ってたから度肝抜かれたわ』
兄者たちの『仕事』は基本的に『殺し』である。
恨みや仕事上のトラブルなどで、
どうしても誰かを始末したい人間が『依頼』を持ち込んで来る。
(;’e’) 『ご、ごめんなさい、すみません、だから、だっ、殺さないで…』
今回の『依頼』はこの男、セントジョーンズの『情報的抹殺』だ。
- 48 :名も無きAAのようです:2012/01/24(火) 13:05:08 ID:M4x5UBOMO
-
彼は以前付き合っていた恋人にフラれ、それを逆恨みしてストーキングを始めた。
それだけならしかるべき機関につきだして裁かれるだけなのだが、
元カノに新しい恋人が出来たと知って発狂。
錯乱状態のまま相手の男性を殺し、
我にかえって『ヒトを殺した』という事実に恐怖して逃亡を図った。
そして逃げた先が『経路』である。
(´<_` ) 『こいつが小心者で良かったよ、大胆なバカは『経路』の奥深くで勝手に『情報』に飲まれて消滅してるからな』
弟者によると、『経路』の中は『情報』があふれ、それが層を作っているらしい。
そして浅い層なら『情報』の流れもゆるやかで精神体を維持しやすいが、
深い層になると『情報』の流れが速くなり、あっという間に飲み込まれて自我が消滅してしまうそうだ。
セントジョーンズは『経路』に逃げ込んだまではよかったのだがあわてていたせいかどうやって肉体と精神を切り離したのか分からず、
かといって『経路』の奥底まで逃げる度胸も無く浅い層でさまよっていた様だった。
- 49 :名も無きAAのようです:2012/01/24(火) 13:17:55 ID:M4x5UBOMO
-
( ´_ゝ`) 「ま、おかげで食いっぱぐれずに済んだ訳だ」
(´<_` ) 『そゆこと』
兄者たちの請け負った『依頼』はあくまで『対象の情報的抹殺』。
つまり相手を殺すまでが『仕事』であって、殺す前に死亡が確認されてしまうと『依頼』はおじゃん。
前金があればまだいい方で、無ければ依頼金は無し、タダ働きになってしまうのだ。
(;’e’) 『ぁ、ぁゎ、ぁゎゎ…』
( ´_ゝ`) 「って事で、残念だったな」
(´<_` ) 『俺たちの生活のために死ね』
(;e;) 『い、嫌だぁああぁ!』
セントジョーンズは必死に弟者から逃れようともがく。
しかし弟者の方が力が強いらしく、奇妙な踊りを踊っている様にしか見えなかった。
- 50 :名も無きAAのようです:2012/01/24(火) 13:34:05 ID:M4x5UBOMO
-
(´<_` ) 『精神体の先駆けがただの迷子に負ける訳がなかろう』
( ´_ゝ`) 「また突っ込みにくいボケを…」
言いながら、兄者は軽く呼吸を整える。
これから兄者と弟者でセントジョーンズを『情報的抹殺』するのだ。
(´<_` ) 『…やっぱり俺一人でやろうか?』
( ´_ゝ`) 「…いや、弟者ばかりに仕事させる訳にはいかん。
今回俺パソコンの前に座ってただけだし」
(´<_` ) 『…じゃあ、仕上げは兄者に譲ろう。
俺はこいつの事をしっかり押さえとくから』
そう言うと、弟者はセントジョーンズの後ろに回ってがっちりと押さえ込んだ。
あとは兄者がセントジョーンズをダブルクリックして『あの言葉』を言えば、『仕事』は終わり。
- 51 :名も無きAAのようです:2012/01/24(火) 13:45:07 ID:M4x5UBOMO
-
そう、『あの言葉』さえ言えればセントジョーンズの『情報的抹殺』は一瞬で終わるのだ。
しかし。
(;´_ゝ`) 「…」
思い出す記憶。
これだけは毎回慣れない。
マウスを持つ手が汗でベタつく。
(´<_` ) 『…なぁ兄者、やっぱり俺が』
(;´_ゝ`) 「…大丈夫、こないだだって簡単に言えたんだ。
イケるんだ、俺は」
(´<_` ) 『…』
荒くなった呼吸をもう一度整え、汗をぬぐう。
しっかりとマウスを握り直し、セントジョーンズにカーソルを合わせる。
( ´_ゝ`) 「…」
ダブルクリック。
あとは、『言葉』を。
- 52 :名も無きAAのようです:2012/01/24(火) 13:46:54 ID:M4x5UBOMO
-
( ´_ゝ`) 「『ブラクラゲット』」
.
- 53 :名も無きAAのようです:2012/01/24(火) 13:48:52 ID:M4x5UBOMO
-
果たして『セントジョーンズ』と言う『情報』は『消滅』した。
.
- 54 :名も無きAAのようです:2012/01/24(火) 13:50:14 ID:M4x5UBOMO
- 今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 55 :名も無きAAのようです:2012/01/24(火) 14:49:00 ID:bCLYXR/UO
- まだ全体像がみえてこないが面白いな
- 56 :名も無きAAのようです:2012/01/24(火) 15:18:51 ID:h7FwJJjYO
- 乙
この荒廃的な雰囲気好きだ
- 57 :名も無きAAのようです:2012/01/27(金) 11:50:31 ID:NVIQetuQO
-
きっかけは姉者の一言だった。
∬´_ゝ`) 「なんかね、『経路』の奥の更に深い所に、物凄い『情報』の吹き溜まりがあるんですって。
『経路』の最深部でさえ誰も行った事が無いのに、何でそんな噂が流れてるのかしら」
当時、父者は『電話』や『インターネット』に使っている『経路』の事を調べていた。
『経路』の安定化が進めば、もっと通信手段を増やせると考えていたからだ。
しかし一人では作業がはかどらず、兄者や弟者、果ては妹者まで頼って『経路』を探り、
時には危険を承知で『経路』にダイブしてまで調査を続けていた。
その中での姉者の話は、父者にとって一筋の光明と言えた。
- 58 :名も無きAAのようです:2012/01/27(金) 11:51:11 ID:NVIQetuQO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 59 :名も無きAAのようです:2012/01/27(金) 12:03:26 ID:NVIQetuQO
-
それからと言うもの、父者はその噂の出どころを調べるのに躍起になっていた。
何しろ『経路』の更に奥があると言うのだ、
もしかしたら今使っている『経路回線』より質の良い『回線』が作れるかも知れない。
何よりその噂は知的好奇心をくすぐられた。
彡⌒ミ
( ´_ゝ`) 「『何でも屋』の彼も、何か知っているかも知れないな。
…とにかく急いで調べよう」
『何でも屋』でこういった話が好きなまたんき、
この世界を旅してまわっていると言う「ジョルジュ」と言う男、
そして何より理解のある家族。
彼らの助けを借り、父者は情報収集に勤しんだ。
- 60 :名も無きAAのようです:2012/01/27(金) 12:16:49 ID:NVIQetuQO
-
そして、ある日。
彡⌒ミ
( ´_ゝ`) 「ついに見つけたぞ、『経路』の更に奥、『情報』の吹き溜まりを!」
父者の努力が実り、『吹き溜まり』を発見。
彼はここを『深界』と呼び、さっそく使える場所がないか調査を始めた。
事前情報通り『深界』は『経路』より『情報』の量、質、どれをとっても濃密で、
『情報』の流れに関しては母者ほどのメンタルをもってしても長時間いる事が出来ないほど速かった。
@@@
@#_、_@
( ノ`) 「アンタ、あそこはまともに使える場所なんてありゃしないよ。
なんせ流れが速すぎる。『情報』を吸い上げるくらいはどうにかなるだろうけど、
『回線』を作ろうなんざ到底無理さね」
彡⌒ミ
( ´_ゝ`) 「むう…」
- 61 :名も無きAAのようです:2012/01/27(金) 12:30:23 ID:NVIQetuQO
-
母者からそう告げられ、父者は『回線』を作る事は断念した。
あくまで利便性を求めて『深界』にすがりついたのであって、その為に死人を出すのは本意ではない。
この時点で既に『深界』を調べる意味は無くなったのだが、
父者はなぜか密かに調査を続行していた。
兄者はたまたまそれを目撃し、理由を尋ねたところ、
彡⌒ミ
( ´_ゝ`) 「なぜ、この噂が広まったのか気になってね。
噂が全て事実なら、過去に誰かが『深界』に潜った事になる。
それが何者なのか、なぜ潜ったのか、気になるだけさ」
と軽い調子で返事がかえってきた。
- 62 :名も無きAAのようです:2012/01/27(金) 12:44:29 ID:NVIQetuQO
-
―――――――――――――――――――
( ´_ゝ`) 「…」
そこまで回想して、兄者は思考を止めた。
このあとの出来事を思い出したくて回想していた訳ではない。
またんきがくれた『遺物』の『マンガ』を読んでいて、
ある場面で不意に記憶が蘇っただけの事だ。
戯画と文章と擬音とで綴られたそれは、ある兄弟の悲劇が描かれていた。
( ´_ゝ`) 「『等価交換』…ねえ」
もしこの世が等価交換で出来ているのなら、
俺は何とひきかえに何を得たんだろう。
兄者は電源を落としたパソコンの前で一人、物思いにふけっていた。
- 63 :名も無きAAのようです:2012/01/27(金) 12:49:13 ID:NVIQetuQO
- いつにも増して短いですが今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
>>55-56
雰囲気を楽しんで頂ければこれ幸い、と。
- 64 :名も無きAAのようです:2012/01/27(金) 13:35:30 ID:w3z/FTsE0
- 面白いな
この雰囲気が大好きだ
おっつ
- 65 :名も無きAAのようです:2012/02/01(水) 05:30:52 ID:PMAcO0bMO
- ちょっと詰まってます。
逃亡はしないよ。
- 66 :名も無きAAのようです:2012/02/02(木) 04:53:26 ID:xMWumBLY0
- 一気に読んだ。乙!
『経路』とかダイブするとか攻殻機動隊を彷彿とさせていいな。
作者のペースでのんびりやってくれ。
続き待ってる。
- 67 :名も無きAAのようです:2012/02/06(月) 10:59:39 ID:PJqne1QwO
- お久し振りです。
- 68 :名も無きAAのようです:2012/02/06(月) 11:15:21 ID:KGxPm1CQC
- キター
- 69 :名も無きAAのようです:2012/02/06(月) 11:16:06 ID:5UJjDKuUO
- キター
- 70 :名も無きAAのようです:2012/02/06(月) 11:19:45 ID:PJqne1QwO
-
ジョルジュはいわゆる旅人だ。
本人いわく、旅は漢(おとこ)の浪漫、だそうだ。
彼はあちらこちらを歩くため、自然と世界情勢が耳に入る。
そしてその情報をマグネタイトや食料などと引き換えに、欲しい人間に伝える。
要するにジョルジュは旅人兼情報屋なのだ。
兄者は父者を通じてジョルジュと知り合った。
彼の情報はほとんど出歩かない兄者にとって貴重であり、
またジョルジュにとっても兄者の提示した報酬は魅力的であった。
ギブアンドテイクの完成である。
.
- 71 :名も無きAAのようです:2012/02/06(月) 11:20:32 ID:PJqne1QwO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 72 :名も無きAAのようです:2012/02/06(月) 11:29:30 ID:PJqne1QwO
- _
( ゚∀゚) 「よう、兄者」
( ´_ゝ`) 「よう、ジョルジュ」
『光る球体』が半分になった頃、ジョルジュはふらりと現れた。
連絡も無く現れるのは当たり前の事であり、兄者も特に何も言わなかった。
_
( ゚∀゚) 「…おいおい、兄者。まーたサプリメントに頼ってるのかよ」
兄者の机を見て、ジョルジュは呆れた声を出した。
机の上にはサプリメントが山と積まれている。
( ´_ゝ`) 「俺の食生活はどうでもいいだろ」
本当に食事が面倒な時は、兄者はそれで済ませてしまう。
これは家族がバラバラになってからの悪癖になってしまっていた。
- 73 :名も無きAAのようです:2012/02/06(月) 11:44:00 ID:PJqne1QwO
-
( ´_ゝ`) 「…まあいいじゃん、で、何の用?」
_
( ゚∀゚) 「せっかく人が心配してやってるのに…
まあいいや、面白い話仕入れて来たぜ」
言って、ジョルジュは机に腰掛ける。
行儀がどうとかは言わないし、言われない。
いつもの事だからだ。
( ´_ゝ`) 「面白い話ってのは?」
パソコンに向かい、ジョルジュに渡す『報酬』を探しながら返事を待つ。
確かいつ来てもいい様に弟者に預けていたはずだ。
_
( ゚∀゚) 「この世界の事で、ちょっとな」
ぴた、とキーボードを叩く手が止まる。
『この世界』の事は、父者が散々調べ尽くしたと思っていた。
それなのに、ジョルジュは新しい情報を仕入れたと言う。
( ´_ゝ`) 「…聞こうか」
_
( ゚∀゚) 「お、真面目なツラになったな。…まあ、話半分で聞いてくれや」
へらへらと笑いながら、ジョルジュは兄者を見やる。
- 74 :名も無きAAのようです:2012/02/06(月) 11:58:07 ID:PJqne1QwO
- _
( ゚∀゚) 「この世界ってのはさ、『球体』を中心にぐるりと地続きだろ」
( ´_ゝ`) 「ああ」
それは少し調べれば誰でも分かる情報だ。
『狂信者』が行った儀式で『球体』が発生し、
それを囲う様な形で地面が変形したのがこの世界。
_
( ゚∀゚) 「あの『球体』、ただの光る玉じゃないんだぜ」
( ´_ゝ`) 「!」
それは初耳だった。
『球体』はただ満ち欠けを繰り返し、
おおよその時間を知るだけのものであると言うのが世間一般の常識だ。
それ以外に何らかの意味があるかどうかなど、誰も気にした事など無い。
何故なら前述の通り、『球体は時間を測るもの』でしかないからだ。
- 75 :名も無きAAのようです:2012/02/06(月) 12:09:04 ID:PJqne1QwO
- _
( ゚∀゚) 「『狂信者』が願った事、それを叶えるためにアレはあった」
( ´_ゝ`) 「願い事を叶える…?」
_
( ゚∀゚) 「つっても、願い事を叶えたからこの世界になったってのも間違いらしい。
『球体』は願いを叶えたら消滅するはずだ、とか何とかが根拠なんだと」
そこまで言って、ジョルジュは適当な本をパラパラとめくった。
( ´_ゝ`) (『球体』は『狂信者』の願い事を叶えるために発生したが、
肝心の『狂信者』は『球体』に願いを叶えてもらう前に行方不明に…?)
キーボードを叩く手が止まり、思考する。
ジョルジュの言っている事が確かなら、
『狂信者』は未だに願いを叶えていない事になる。
では、『狂信者』はどこに?
- 76 :名も無きAAのようです:2012/02/06(月) 12:22:28 ID:PJqne1QwO
-
( ´_ゝ`) 「なあ、じゃあ『狂信者』は」
_
( ゚∀゚) 「ああ、願いを叶えてねえな。
…でよ、これもまた不確かなハナシなんだが」
ジョルジュは眺めていた本を机に置き、兄者の方に向き直る。
_
( ゚∀゚) 「どうも『この状態のままの世界』を『賛同者』だったヤツが望んで、
『球体』がそれを叶えたなんて説がある、らしい」
『賛同者』。
それは『狂信者』の思想に傾倒し、
その理想を現実のものにするために『狂信者』に手を貸した存在。
( ´_ゝ`) 「…実在、したのか」
そして、情報屋の中では長く『架空の存在』とされて来た『賛同者』。
- 77 :名も無きAAのようです:2012/02/06(月) 12:41:50 ID:PJqne1QwO
-
ジョルジュの話を鵜呑みにするなら、『賛同者』は実在し、
更に傾倒していたはずの『狂信者』の思想を裏切り、先んじて『球体』に願いを叶えてもらった事になる。
この混沌とした世界を願った裏切り者の『賛同者』。
兄者は『賛同者』の情報を集める事を決め、
ジョルジュに報酬の『グラビア画像』を普段の倍以上渡した。
( ´_ゝ`) 「…聞いてたろ、弟者よ。予想以上に面白い話だったな」
スキップ混じりに去って行ったジョルジュを尻目に兄者はパソコンに向けて呟く。
『ああ、聞いてたさ。…面白い、面白い話だ。この世界の根幹の存在。
…俺らで真実を暴いてやろうじゃないか』
弟者の言葉に、兄者は意気揚々とサプリメントを口に放り込んだ。
- 78 :名も無きAAのようです:2012/02/06(月) 12:46:53 ID:PJqne1QwO
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 79 :名も無きAAのようです:2012/02/06(月) 14:29:37 ID:ozZbiT7Q0
- グラビアワロタ
乙!
- 80 :名も無きAAのようです:2012/02/09(木) 02:49:12 ID:LGmevXnw0
- 乙!
この世界はドーナツ型みたいになってるって事なのか。
分からなかった事が明かされていくわくわく感たまらねぇwww
- 81 :名も無きAAのようです:2012/02/10(金) 01:36:28 ID:pE.56ZvM0
- 文体は良いのに、その手法の基本的なことを知らないのか
- 82 :名も無きAAのようです:2012/02/11(土) 12:57:54 ID:EIwvLcUUO
- 筆が進まない。
思い付いたら不意にage始めますので期待せずにお待ち頂けると嬉しいです。
>>81さん
ご指摘ありがとうございます。
次回はよりいっそう推敲をするなどして気を付けます。
- 83 :名も無きAAのようです:2012/02/12(日) 00:46:31 ID:FRkETck.0
- おもしろい。もっとやれ。
- 84 :名も無きAAのようです:2012/02/13(月) 10:46:05 ID:GFH6sjl6O
-
『賛同者』については噂程度しか兄者の耳に入ってこない。
兄者がどれだけ情報収集にいそしんでも同じような話ばかりで、ものの数日で心が折れてしまった。
( ´_ゝ`) 「…もうやだ、泣きたい」
(´<_` ) 『ここまで似たり寄ったりな噂ばっかりならそうもなるわな』
しくしくと痛む胃と、酷い頭痛。
パソコンを置いている机の横、入り口から見て右手側にある棚から常備薬を取り出し、
水と共に飲み込む。
( ´_ゝ`) 「…くはぁ、そういや今日は何も胃に入れてねえわ」
(´<_` ) 『空きっ腹で薬はまずいんじゃ…』
( ´_ゝ`) 「飲んじゃったもん、しょうがない。
平気平気、これまでもたまにやってたし」
数時間後、兄者は腹痛で悶えていた。
- 85 :名も無きAAのようです:2012/02/13(月) 10:46:48 ID:GFH6sjl6O
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 86 :名も無きAAのようです:2012/02/13(月) 10:55:51 ID:GFH6sjl6O
-
(;´_ゝ`) 「ぐおぉぉぉ…」
(´<_` ) 『アホ兄者め、面倒でもせめてパンくらい食ってから薬飲めってのに』
(;´_ゝ`) 「カエス言葉モゴザイマセン」
やれやれ、と弟者がモニターの向こうでため息を吐く。
兄者が面倒くさがりなのは元からなのだが、一家離散状態になってから更に拍車がかかっている。
(´<_` ) 『ま、不精は良くないよ、と。
…で、『賛同者』についてだが』
(;´_ゝ`) 「兄がこんなに苦しんでいるのに普通に話し始めるなんて弟者鬼畜ぅ」
(´<_` ) 『自業自得だろ。 …続けるぞ』
言って、弟者はパソコンのタスクをいくつか展開した。
- 87 :名も無きAAのようです:2012/02/13(月) 11:08:03 ID:GFH6sjl6O
-
(´<_` ) 『まずはウチの母者と渡り合った猛者という点』
( ´_ゝ`) 「それは信憑性がどうの以前の問題だな、父者が現場見たって言ってたから確実だ」
流石 母者はこの世界においてほぼ唯一との『深界』探索者であり、
力においても精神力においても彼女に敵うものはいなかった。
そのような存在に挑み、最終的に母者に膝をつかせたと言うのだから、
まず『賛同者』は半端ではない力、もしくは精神力の持ち主なのであろうと推測する。
( ´_ゝ`) 「にしても何だって母者は『賛同者』と戦ったのかね」
(´<_` ) 『俺も疑問だったから調べてみた』
再びタスク展開。
弟者が『経路』から拾い集めた『情報』がムービーに変換されて再生される。
- 88 :名も無きAAのようです:2012/02/13(月) 11:19:25 ID:GFH6sjl6O
-
荒い画質のムービーには母者と、何者かが映し出された。
どういう訳か母者とにらみ合っているであろう相手の姿はノイズがひどくなっていてほとんど見えない。
@@@
@#_、_@
( ノ`) 『…アンタかい、『狂信者』のお供ってのは』
( ) 『…』
@@@
@#_、_@
( ノ`) 『無言は肯定と受けとるよ』
母者からは抑えきれない殺気が漂い、既に臨戦体勢に入っているのがうかがえる。
対して相手は無言を貫き、
(゜ ゜)
ただ目を赤く光らせていた。
- 89 :名も無きAAのようです:2012/02/13(月) 11:30:53 ID:GFH6sjl6O
-
そこまで流れたところでムービーは突如途切れ、砂嵐に変わった。
(;´_ゝ`) 「あれ?続きは?」
拍子抜けした兄者に、弟者は少し落ち込んだ様子で返事を返す。
(´<_` ) 『…すまん、これ以上はなぜか探り出せなかったんだ。
いくら掬い上げようとしても無理だった』
珍しくしょんぼりとしている弟者に、兄者は「気にするな」と声をかけ、
( ´_ゝ`) 「一朝一夕でできるとは思ってないさ。
むしろ動画があった分、収穫はでかい。やる気も出るってモンよ」
とどこか嬉しそうに続けた。
- 90 :名も無きAAのようです:2012/02/13(月) 11:41:03 ID:GFH6sjl6O
-
( ´_ゝ`) 「おし、やる気出てきた。
とりあえず常備薬きれかかってるから薬屋行ってくる」
(´<_` ) 『ついでにいい情報が手に入ればいいんだけどな』
行ってきます、と兄者。
行ってらっしゃい、と弟者。
ばたん、と部屋の扉が閉められた音を確認してから、弟者はひとりごちる。
(´<_` ) 『…アレを見ても変化無し、か。
やっぱり俺の勘違いだったのかな』
―――――母者に相対する人影。
弟者には、なぜかそれが自分がよく知る人物にしか思えなかった。
- 91 :名も無きAAのようです:2012/02/13(月) 11:41:50 ID:GFH6sjl6O
- 今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 92 :名も無きAAのようです:2012/02/13(月) 16:23:55 ID:0VP96Nv20
- おっつ
wktkしてきた
- 93 :名も無きAAのようです:2012/02/17(金) 17:29:00 ID:zIH4UQYAO
-
階段を降りたところで荒巻に出くわした。
/ ,' 3 「おう、ようやく引きこもり脱却かい」
開口一番これである。普段いかに兄者が外出しないかが分かるというものだ。
(;´_ゝ`) 「俺どんだけ出歩いてないイメージ持たれてんの。
今日は薬屋に行くの、常備薬切れたから」
/ ,' 3 「この老いぼれより薬飲んどるなんて不摂生の極みじゃのう」
かかか、と笑う声を無視する。
たかだか二日連続で出掛けただけで毎回このやり取りがされるので、
相手をするのが面倒なのだ。
/ ,' 3 「ついでに、しぃちゃんによろしく言っといてくれんか。
儂も世話になっとるし」
( ´_ゝ`) 「はいはい、行ってきまーす」
薬屋しぃ。
彼女とは長い付き合いである。
- 94 :名も無きAAのようです:2012/02/17(金) 17:29:42 ID:zIH4UQYAO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 95 :名も無きAAのようです:2012/02/17(金) 17:43:42 ID:zIH4UQYAO
-
『仕事場』を出て、『光る球体』がほとんど欠ける頃、薬屋が見えてくる。
(*゚ー゚) 「あら兄者さん、いらっしゃい」
こぢんまりとした店構えは、花で彩られている。
更には外装・内装ともに薄い桃色の壁紙で統一されており、
『薬屋 しぃ』の看板が無ければ花屋と勘違いしてしまうほどである。
( ´_ゝ`) 「久し振り、常備薬切れたから買いに来た」
ここに来るたびになんとなく居心地が悪くなる兄者は手早く用件を言う。
(*゚ー゚) 「あら、もう切らしちゃったの?
前回からまだ何日もたってないのに」
兄者の気持ちを知ってか知らずか、しぃはどこか楽しそうだ。
- 96 :名も無きAAのようです:2012/02/17(金) 17:58:56 ID:zIH4UQYAO
-
( ´_ゝ`) 「もう見なくなったと思った悪夢を、
最近また見るようになってね」
しぃが薬を調合・加工するのを見ながらぽつりと呟く。
『賛同者』の情報を探り始めてから、「あの日」の出来事がフラッシュバックする事が増えた。
あの、家族が崩壊するのをただ呆然と見ていた日の事を。
(*゚ー゚) 「…そう」
( ´_ゝ`) 「なんだろうな、何か、最近、…変、なんだよな」
独り言のように、兄者は言葉を紡ぐ。
( ´_ゝ`) 「なんつーのかな、それまでと違う考えが、こう、不意に浮かんだり。
…ああ、うまく言えねえな」
がしがし、乱暴に頭を掻く。
(*゚ー゚) 「…わたしはそういうのの専門じゃないから、アレだけど。
あんまり根つめない方がいいよ」
手慣れた仕草で薬を包み、兄者に手渡す。
いつの間にか調合や加工は終わっていたようだ。
- 97 :名も無きAAのようです:2012/02/17(金) 18:19:14 ID:zIH4UQYAO
-
( ´_ゝ`) 「ありがとう。はいこれ」
マグネタイトの入った袋をしぃに渡す。
中を軽く覗き見、しぃは驚いた様子で声を上げた。
(;゚ー゚) 「兄者さん、これいつもより多すぎるよ」
( ´_ゝ`) 「あー、いつものに加えて睡眠薬お願いしようとしてたんだ。
言い忘れてた、ごめん」
このところ、兄者はろくな睡眠がとれていない。
悪夢にうなされ、短い間隔で飛び起きる。
フラッシュバックに襲われ半狂乱で泣き叫んだり、激しい嘔吐にみまわれる。
- 98 :名も無きAAのようです:2012/02/17(金) 18:26:18 ID:zIH4UQYAO
-
とてもではないが体が持たない。
そう考え、睡眠薬も頼む予定だったのだが。
(;゚ー゚) 「まあ、そんなに時間かからないから、作るけど…
兄者さんだいぶ薬漬けになって来ちゃったね、副作用とか平気?」
( ´_ゝ`) 「空きっ腹で薬飲んで超腹痛ぇとか?」
(;゚ー゚) 「それは兄者さんが不精者だからでしょ!」
しぃなりに心配してくれているのだろう。
不安がらせない様冗談で返した。
- 99 :名も無きAAのようです:2012/02/17(金) 18:36:34 ID:zIH4UQYAO
-
実のところ、兄者の精神は非常に不安定な状態が続いている。
つい数時間前の弟者との会話にも、違和感を覚えてはいた。
( ´_ゝ`) (…俺は、母者が『賛同者』と戦って散った、という事自体眉唾物と考えていたはずだ)
しかし弟者と話している時はそんな事をまるきり忘れていた。
その部分だけ、切り抜かれたように。
兄者は自分の記憶に自信が持てなくなっていた。
( ´_ゝ`) (…いつか、俺が俺で無くなる気がする)
不意に浮かんだ予感に、思わず身震いしながら、兄者はしぃが薬を作るのを眺めていた。
- 100 :名も無きAAのようです:2012/02/17(金) 18:37:54 ID:zIH4UQYAO
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 101 :名も無きAAのようです:2012/02/22(水) 11:30:12 ID:exTQayWUO
-
自室に戻ると、泣き叫ぶ声とひどいノイズが聞こえてきた。
( <_ ) 『ぅうゎぁあああぁぁああ!!!
ぎ、ぎあぁ、あああぁぁあぁああぁぁ!!』
ノイズと叫び声で頭痛がする。
ふらつく足で机に近づき、イスに座る。
( ´_ゝ`) 「…弟者」
( <_ ) 『ひぃいぃぃい…〜…あぁあぁあ、
…う、うわあああぁぁぁぁ!!!』
声をかけても錯乱している弟者には届かない。
分かっていても、話しかける。
- 102 :名も無きAAのようです:2012/02/22(水) 11:30:59 ID:exTQayWUO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 103 :名も無きAAのようです:2012/02/22(水) 11:53:00 ID:exTQayWUO
-
精神体になってから、弟者は『光る球体』が真っ黒になる頃に発狂するようになった。
毎回という訳ではなく、また錯乱している時間もまちまち。
弟者が錯乱するたび、兄者は落ち着くまでパソコンの前にいる。
( <_ ) 『ぁ、ぁにじゃぁぁ、き、きえる、ぉ、ぉれが、お、おれ、
…ひ、ひぃぃ、こわい、こわぁぁぁいぃいぃいよぉおぉおお…』
( ´_ゝ`) 「弟者、俺はここにいるぞ。お前は消えない。怖く、ないよ」
弟者が意味のある言葉を呟いた時は、すぐさま返事をする。
そして次の瞬間には弟者はまた泣き叫ぶ。
(;<_; ) 『…っ、ふゎぁあああぁぁあぁあぁ、
ぇっ、ぅぇっぐ、えぇっぐ…』
( ´_ゝ`) 「…」
画面の向こう側、恐らく『経路』のどこかで弟者は一人、泣いている。
パソコンに定着させたと言っても、それは弟者の精神体に命綱をつけただけに過ぎないらしい。
だから、彼はいつも『経路』に安全な部屋を作り出してそこにいる。
広い『経路』でひとりぼっちの弟者。
- 104 :名も無きAAのようです:2012/02/22(水) 12:10:35 ID:exTQayWUO
-
母者が死に、父者は消滅し、姉者とは遠く離れ、妹者とはいまだに面会すらできず。
それでも兄者の気が狂わなかったのは弟者が支えになったからである。
弟者が父者と共に消滅していたら、兄者は潔く自殺するつもりでいたくらいだ。
力は母者のように強くないし、知力も父者のように高くない。
姉者のような人脈も作れる気がしないし、弟者や妹者のように要領よく立ち回れる自信もない。
兄者はいつも劣等感に押し潰されていた。
『こんなに素晴らしい家族なのに』
『何で自分には何も無いのだろう』
『悔しい、妬ましい、でもそれは家族に失礼だ』
『嗚呼、でも、だけど、しかし』
―――――自分は本当に流石家の存在でいいのだろうか?
- 105 :名も無きAAのようです:2012/02/22(水) 12:22:28 ID:exTQayWUO
-
(;<_; ) 『ぅゎぁぁぁ、あにじゃあぁぁぁあ〜…』
(;´_ゝ`) 「!」
弟者の泣き声で我にかえる。
目の前の画面には涙と鼻水でぐしゃぐしゃの弟者が。
(;<_; ) 『あにじゃ、あにじゃは、き、っ、ぎえ、きえない、よな?
あにじゃは、おれを、ちゃんと、きづいてくれるよな?』
うわごとにも近い言葉。
懇願するように何度も繰り返す。
消えないで。いなくならないで。見捨てないで。
それに兄者は決まってこう返す。
( ´_ゝ`) 「俺は消えないよ。大事な家族を見捨てたりするもんか」
その言葉を弟者に投げかける度に、自分の事を嫌いになる。
―――――妹は見捨てている癖に。
- 106 :名も無きAAのようです:2012/02/22(水) 12:37:04 ID:exTQayWUO
-
もちろん妹者を見捨てている訳ではない、つもりだ。
面会謝絶が続いているのだから会えないのは当たり前だし、仕方のない事だ。
分かってはいる。
分かってはいるのだが。
( ´_ゝ`) 「弟者、ごめんなぁ…」
(;<_; ) 『ぅぇっ、うぇぇ…ひとり、ひとりはいやだよ、さみしいよ…』
弟者は一人は嫌だと泣く。
頭をなでて慰める事ができない。
( ´_ゝ`) 「弟者、一人じゃないよ…」
(;<_; ) 『こわい、こぁいよぅぅ…』
弟者は怖い怖いと泣きじゃくる。
近づいて安心させる事ができない。
( ´_ゝ`) 「弟者、怖くないよ、俺がいるよ…」
(;<_; ) 『お、おれは、おれは…』
弟者は『自分の存在』を不安がり、拠り所を求めてあえぐ。
さしのべようと手を出しても届かない。
- 107 :名も無きAAのようです:2012/02/22(水) 12:39:23 ID:3SOk479gO
- これは切ないな…
支援
- 108 :名も無きAAのようです:2012/02/22(水) 12:43:58 ID:exTQayWUO
-
…結局、弟者を心から安心なんてさせられないのだ。
( _ゝ ) 「…ほんと、ごめんなぁ…」
なおも泣きじゃくる弟者に、消え入るような声で呟いて。
兄者もまた、静かに涙を流した。
- 109 :名も無きAAのようです:2012/02/22(水) 12:47:16 ID:exTQayWUO
-
短いですが今日はここまで。
感情移入し過ぎて自分で涙目ってキモイね。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 110 :名も無きAAのようです:2012/02/24(金) 10:10:14 ID:n.DxWAjYO
-
(´<_` ) 『…ごめん、兄者』
落ち着きを取り戻した弟者から謝られる。
( ´_ゝ`) 「いや、大丈夫だよ」
弟者から見えない角度で涙を拭い、平静を装いつつ返事をする。
もう幾度となく繰り返されたやり取り。
( ´_ゝ`) 「…少し、仕事も『賛同者』の情報集めも休もうか」
弟者の『発作』で確信した。
二人とも、この所ひどく精神的に疲れている。
これ以上無理をしてもいいことは無い。
(´<_` ) 『でも…』
( ´_ゝ`) 「なぁに、『情報』が逃げる訳じゃなし。
しぃちゃんにも言われたよ、根つめるなって」
そう言って、弟者にも休むよう勧める。
やや不満げではあったが、発作の後と言う事もあり最終的には頷いた。
- 111 :名も無きAAのようです:2012/02/24(金) 10:11:04 ID:n.DxWAjYO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 112 :名も無きAAのようです:2012/02/24(金) 10:23:50 ID:n.DxWAjYO
-
( ´_ゝ`) 「さて、どうしようか」
弟者から『一人にしてくれ』と言われ、とりあえず部屋を出る。
窓から見える『球体』は真っ白だ。
/ ,' 3 「お? 何しとるんじゃ、外なんぞ眺めて」
部屋を出てすぐの廊下に突っ立っていたのを荒巻に見つかる。
( ´_ゝ`) 「ああ、じいさんか」
/ ,' 3 「なんじゃい、そっけないのう。
せっかく心配して様子を見に来たつーのに」
( ´_ゝ`) 「心…配…?」
/ ,' 3 「かーっ、いぃっくら儂だって部屋からわめき声が聞こえてくりゃあ心配の一つや二つするわい」
どうも先ほどの騒ぎを近くで聞き咎めたらしい、いつもあっけらかんとしている荒巻には珍しく本気で心配されてしまった。
/ ,' 3 「…何かあるんなら遠慮なく頼れよ、こんなじじいでも相談くらい乗れるからのう」
( ´_ゝ`) 「…ああ、ありがとな」
思わず涙腺が緩みそうになるのを必死でこらえ、感謝する。
- 113 :名も無きAAのようです:2012/02/24(金) 10:38:26 ID:n.DxWAjYO
-
/ ,' 3 「あー、忘れるとこじゃった、レモナさんが来とるぞ」
( ´_ゝ`) 「!!!」
荒巻から来客を告げられ、慌てて階段を降りる。
途中で転げ落ちそうになりながら客間に飛び込む。
(;´_ゝ`) 「レモナさんっ!?」
|゚ノ ^∀^) 「兄者さん、こんにちは」
客間のテーブルに座っていたのは、金色のロングヘアが特徴的な人物――――レモナだった。
彼(彼女)は不思議な性質の持ち主である。
『球体』の光が白に近い時は男性、黒に近い時は女性というものだ(『球体』の光が半分の時は両方あるらしい)。
従って『球体』が真っ白な今は男性なのだが、レモナ本人は「自分は女である」と主張している。
- 114 :名も無きAAのようです:2012/02/24(金) 10:59:31 ID:n.DxWAjYO
-
(;´_ゝ`) 「お、おまっ、お待たせしますた」
|゚ノ;^∀^) 「そんなに焦らなくても私は逃げませんよ」
(;´_ゝ`) 「だ、だってレモナさんが来たって事は妹者に会えるかもって」
そして兄者にとって何より大事な事は、レモナは妹者のいる施設の職員であるという一点に尽きる。
わざわざこちらまで出向いて来たという事は、妹者について話が聞けるという事と同義である。
|゚ノ ^∀^) 「ええ、今日は妹者ちゃんの事で来ました」
(;´_ゝ`) 「妹者は、妹者は元気ですか!?」
兄者が覚えている施設に送られる時の妹者の顔は完全に廃人のそれだった。
目は虚ろ、口はだらしなく開いてよだれがこぼれ、こちらの呼び掛けに返事も無く。
施設でどうしているのかは、直接出向いても面会ができないため分からないままであった。
|゚ノ ^∀^) 「はい、以前よりはだいぶ良くなりました。
…ですが」
- 115 :名も無きAAのようです:2012/02/24(金) 11:14:03 ID:n.DxWAjYO
-
(;´_ゝ`) 「『ですが』?…何かあったんですか?」
兄者の問いかけにレモナは言いにくそうに俯きながら、
|゚ノ ^∀^) 「…その、奇妙な事を言うようになりまして」
と返した。
(;´_ゝ`) 「…奇妙な事?」
|゚ノ;^∀^) 「ええと、そのう、なんと言いますか…
『深界から声が聞こえる』とかなんとか、本当に突然言い出すように」
( ´_ゝ`) 「…『深界』?」
『深界』。
『経路』より更に奥深く、『情報』の吹きだまり。
|゚ノ;^∀^) 「本人に意味を聞いても、
『深界のあのお方がおっきいあにじゃを呼んでる』
とかで、もう意味が分からなくて」
( ´_ゝ`) 「…『あのお方』」
確かに、『深界』の調査には妹者も参加していた。
だがその時は『あのお方』とやらの存在は影も形もなかったはずだし、
妹者もそんな事を口走ることもなかった。
- 116 :名も無きAAのようです:2012/02/24(金) 11:34:35 ID:n.DxWAjYO
-
|゚ノ;^∀^) 「それで、職員会議の結果、面会謝絶を一時的に解除しよう、と」
これまでの面会謝絶の理由は突如暴れだす、わめき散らすなどの暴力行為があり危険と判断されたためだった事。
ここ最近はそれらの行為が収まりつつあったのだが、代わりに意味不明な言葉を呟くようになり、
その中に「兄者たちに会いたい」と言った主旨の言葉が含まれていた事。
妹者が暴れだす危険性も考慮に入れつつ職員会議を行った結果、
『監視付きの面会』
の許可が下りたのでその事を伝えにこちらまで出向いた事。
そして最後にこれまでろくな説明も無しに面会謝絶してきた事を謝罪し、
レモナは兄者の返事を待った。
( ´_ゝ`) 「…」
- 117 :名も無きAAのようです:2012/02/24(金) 11:45:42 ID:n.DxWAjYO
-
一方の兄者は混乱していた。
廃人同然の妹者が暴力行為に及んでいた事もそうだが、何より『深界』関係の事である。
なぜ妹者は『深界』から声が聞こえているのか。
なぜ自分たちが『呼ばれて』いるのか。
なぜ『今』なのか。
偶然で片付けるには無理がある。
急いで妹者に会って問いただしたい気持ちを抑え、
( ´_ゝ`) 「…今の話聞いてちょっと混乱してるんで、
気持ちの整理がついたらこちらから連絡して妹者に会いに行かせて下さい」
とレモナに返した。
- 118 :名も無きAAのようです:2012/02/24(金) 11:46:49 ID:n.DxWAjYO
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 119 :名も無きAAのようです:2012/02/25(土) 14:44:13 ID:dxX2eaXM0
- イイネー
- 120 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 17:33:27 ID:rphLenw6O
- さりげなく閲覧注意の予感。
この話と次くらいまでsageます。
- 121 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 17:46:14 ID:rphLenw6O
-
今日は大気中にある『情報』の量・濃度が『経路』とほぼ同じになる日だ。
この日は体調が狂い易く、健康な者は頭痛やめまいなどに襲われ、
逆に元々体が弱かったりする者はこの時だけ健常者と同等に振る舞える。
(*´_ゝ`) 「…」
だが兄者にとって何より大事な事は、
「この日は弟者が『こちら側』に来られる日」
と言う一点である。
- 122 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 17:46:59 ID:rphLenw6O
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 123 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 17:55:17 ID:rphLenw6O
-
なぜこのような現象が起きるのかは兄者は知らない。
恐らく『情報』に関連するのだろうが、調べる気にはならない。
必要があれば父者が集めた資料からなにかしら得られるだろう。
(*´_ゝ`) 「弟者、まだかなー」
それより弟者である。
今日は「ご馳走」もあるので、是が非でも一緒に食べたいのだ。
弟者が『出てくる』間は兄者は『仕事部屋』から出る。
そして扉の向こうから声がかかるのを待つ。
いつしかそんなルールが出来ていた。
「兄者、『ただいま』」
(*´_ゝ`) 「! …『おかえり』、弟者」
- 124 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 18:05:33 ID:rphLenw6O
-
(´<_` ) 「どうしたんだ、いつになく上機嫌だな」
部屋に入り、弟者の顔を見るなりそう言われた。
よほど顔が緩んでいるのだろう。
(*´_ゝ`) 「ああ、ああ、弟者。だって、今日「ご馳走」が届いたんだ。
この日に届くなんて、弟者は祝福されてるんだ、きっと」
(´<_` ) 「浮かれすぎて微妙に会話が噛み合ってないがだいたい把握した」
やれやれ、とため息を一つ。
だが、やはり内心では兄者と「直接」話せる事に歓喜する。
(*´_ゝ`) 「弟者、弟者。腹が減ったら言ってくれ。
一緒に「ご馳走」喰おう」
(´<_` ) 「兄者よ、偶然にも俺は腹が減っている。
…一緒に喰おう」
やったやったと子供のようにはしゃぐ兄者を見やり、
弟者は気づかれないように微笑んだ。
- 125 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 18:13:45 ID:rphLenw6O
-
階段を降り、キッチンへ。
(*´_ゝ`) 「こないだの依頼者から、お礼の品として贈られて来たんだ」
浮かれた気持ちを隠しもせず話す。
(´<_` ) 「報酬のマグネタイトの他にお礼を贈るとは珍しい依頼者だな」
(*´_ゝ`) 「な。このご時世に律儀な依頼者だよな」
そんな事したら足元見られるに決まってるのにな。
言いながら、兄者は冷蔵庫から「ご馳走」を取り出す。
(´<_`*) 「おぉ、これは…」
それを見た瞬間、今まで冷静さを装っていた弟者の顔もついに緩んだ。
- 126 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 18:21:08 ID:rphLenw6O
-
( ´_ゝ`) 「俺がこれ使って料理作るよ。お前はそこでのんびり待っててくれ。
いつも『仕事』で頑張ってるから、お礼がしたいんだ」
言って、テーブルを指差す。
弟者は自分も手伝う気でいたのだが、「いいからいいから」と背中を押された。
(´<_` ) 「そこまで言うなら…楽しみに待ってるよ」
(*´_ゝ`) 「フフフ、弟に期待されちゃあ全力を尽くす他ないよな」
腕まくりしながら返事をする兄者はどこまでも嬉しそうだ。
- 127 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 18:31:09 ID:rphLenw6O
-
―――――数十分後。
(´<_`*) 「おお、美味そうだな」
テーブルには厚切りのステーキが二人前並べられていた。
『情報』で作り方や付け合わせを下調べしていたため、
多少の焦げはあったが『写真』通りに出来上がった事に兄者は安堵する。
(*´_ゝ`) 「ちょっと焼きすぎたけど、軽く味見したら美味かった。
失敗したら弟者に喰わせられないから、すげぇ嬉しい」
(´<_`*) 「早く喰おう、兄者の自信作なら尚更冷める前に、出来立てを」
と言いつつ、「いただきます」も言わずに弟者の持つナイフとフォークはステーキを捉えていた。
- 128 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 18:45:31 ID:rphLenw6O
-
溢れる肉汁、ナイフで切った時の柔らかさ。
口に入れた時の脂の甘味、肉そのものの旨味。
(*´_ゝ`) 「おぉ〜…」 (´<_`*)
噛み締めた時の歯応えも十分だ。
貴重な調味料、『塩』『コショウ』『バター』もいい塩梅で効いている。
(*´_ゝ`) 「うめぇ!合成食料よりやっぱり本物はうめぇ!」
付け合わせの『ポテトサラダ』に手を伸ばす。
兄者が『情報』を見よう見まねで作ったものだ。
(´<_`*) 「…うめー」
こちらはステーキとは違い合成食料でそれらしく作り上げたものだ。
ポテトもどきとレタスもどき、ニンジンもどきとほんの少しのパセリもどき。
これに『マヨネーズ』を贅沢に使った一品である。
『マヨネーズ』のほのかな酸味を野菜もどき達のそれぞれ異なる甘味が程よく中和する。
しかし酸味そのものを消し去る事なく見事に調和が取れていた。
- 129 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 18:54:18 ID:rphLenw6O
-
二人は一口毎にほう、と恍惚のため息を漏らし、美味い美味いと狂喜する。
脂身でこってりした口内を水を飲んでリセットし、ポテトサラダを食べてはステーキを一切れかじる。
(*´_ゝ`) 「ここに『ライス』とやらがあれば完璧だったかな、いやしかしうめぇ」
(´<_`*) 「今度、『情報』から『ライス』を吸い上げてまた『会えた』時にそうやって喰おう。
肉は合成食料でも構わないさ」
そうやって二人は実に美味しそうに、
―――――――『セントジョーンズの肉』を平らげるのであった。
- 130 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 18:55:47 ID:rphLenw6O
- 今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
ちなみにこの世界では人肉食は死体なら合法です。
- 131 :名も無きAAのようです:2012/02/29(水) 20:10:29 ID:vDYc2oZk0
- セントwww
- 132 :名も無きAAのようです:2012/03/06(火) 11:31:17 ID:1eES5z.6O
-
流石 妹者は夢を見る。
過去の、未来の、現在の。
l从 ∀ ノ!リ人
流石 妹者は夢を見る。
予知夢、悪夢、白昼夢。
l从 ∀ ノ!リ人
たまに起きては泣き叫ぶ。
おっきいあにじゃとちっちゃいあにじゃが消えたと叫ぶ。
l从 ∀ ノ!リ人 「…怖い、のじゃ」
- 133 :名も無きAAのようです:2012/03/06(火) 11:32:00 ID:1eES5z.6O
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 134 :名も無きAAのようです:2012/03/06(火) 11:40:12 ID:1eES5z.6O
-
妹者の友達はいっぱいいる。
ブーン、ツン、デレ、つー、ショボン。
皆、大事な友達だ。
l从・∀・ノ!リ人 パチッ
朝起きて、皆と朝ごはんを食べる。
いつもはそうなのだが、今日は寝過ごしてしまった。
l从・∀・ノ!リ人 「…でも、ご飯いらないのじゃ」
このところ朝食を摂っていない。
それどころか昼も、下手をすると夜も食べずに過ごしている。
l从・∀・ノ!リ人 「…」
原因は分かっている。
最近見るようになった夢だ。
- 135 :名も無きAAのようです:2012/03/06(火) 11:46:42 ID:1eES5z.6O
-
その夢はとても醜悪で気持ち悪くて、そして綺麗で気持ちいい。
矛盾した夢だ。
l从・∀・ノ!リ人 「…」
外から皆の遊ぶ声が聞こえる。
楽しそうだ。
l从・∀・ノ!リ人 「…遊びたい、けど」
鏡を見た。
あの夢のせいか、顔色が悪い。
こんな顔で出ていったらきっと、心配されて遊ぶどころではないだろう。
l从-∀-ノ!リ人 「…ちょっと、悲しいのじゃ」
うつむいて呟く。
- 136 :名も無きAAのようです:2012/03/06(火) 11:56:30 ID:1eES5z.6O
-
でも。
l从・∀・ノ!リ人 「レモナ先生に頼んだから、近いうちにきっと…」
そこまで言って、何の前触れもなく手元の洗面器に吐いた。
少し血の混じった胃液だけを、げえげえ吐いた。
別に重い病気ではない。
あの夢を見た時だけ、こうなる。
l从 Д ノ!リ人 「ごぼぉおおぉ、っげ、げうぅぉおぼっ、お゙っ、え゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙」
びちゃびちゃ、ぼだぼだ。
体内の水分を持って行かれるんじゃないかと思うくらい吐き続ける。
l从 д ノ!リ人 「ぅ゙っ、 …ぁ゙あ゙」
獣のような声が出た。
壁際にあるボタンを押して、先生を呼ぶ。
- 137 :名も無きAAのようです:2012/03/06(火) 12:04:11 ID:1eES5z.6O
-
|゚ノ;^∀^) 「妹者ちゃっ…!」
駆け足気味に入ってきた先生は、妹者の様子と彼女の手元を見てすべてを悟った。
手近にあった袋を洗面器と交換し、「水を持ってくるから」ときびすを返して、
l从 ∀ ノ!リ人 「せん…せ」
――――妹者に呼び止められた。
|゚ノ;^∀^) 「なぁに?何か欲しいものややりたい事があったら何でも言ってちょうだい」
とりあえず洗面器の中身を廊下の手荒い場に流し、蛇口をひねって水を流しっぱなしにしてから話しかける。
臭いはしばらく取れないだろうが、仕方ない。
- 138 :名も無きAAのようです:2012/03/06(火) 12:11:53 ID:1eES5z.6O
-
l从 ∀ ノ!リ人 「おっきいあにじゃたちは…いつ、来れるのじゃ…?」
痰が絡むのか、少し喋りづらそうにしながら、妹者は先生に尋ねた。
|゚ノ ^∀^) 「…兄者さんたちはね、もうしばらくしたら来れるって言ってたわ」
嘘じゃない。
「考える時間をくれ」と言っていたが、妹者に会いたそうにしていたのも事実だ。
近々、連絡がくるだろう。
それを聞いて安心したのか、こほこほ、と小さく咳をしたあと、
l从 ∀ ノ!リ人 「よかった…のじゃ…」
とだけ呟いて寝息をたて始めた。
- 139 :名も無きAAのようです:2012/03/06(火) 12:21:15 ID:1eES5z.6O
-
突然くたりとした妹者に少し慌てたが、寝息に気づいてほっとする。
一回そっと部屋を出て、濡らした布で口の周りを拭いてやる。
できれば水で口を濯がせたかったが、今そんな事をする訳にはいかないので、また目覚めた時に声をかけてやろう。
そこまで考えて、ふと妹者が泣いている事に気づく。
l从 ∀ ノ!リ人 「…、…っ、」
きっとまた悪夢にうなされているのだろう。
そして目が覚めてそばに誰もいないと発狂するのだろう。
|゚ノ ∀ ) 「…ごめんね」
何に向けての「ごめんね」なのだろうか。
分からないままぽつりと言って、妹者を撫でた。
- 140 :名も無きAAのようです:2012/03/06(火) 12:22:20 ID:1eES5z.6O
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 141 :名も無きAAのようです:2012/03/06(火) 12:25:34 ID:cKMXAL.sO
- 乙
毎回面白いな
- 142 :名も無きAAのようです:2012/03/06(火) 13:23:27 ID:zlC.pgCYO
- 今更だけどセントわらたww
おつですす。
- 143 :名も無きAAのようです:2012/03/06(火) 15:44:38 ID:1eES5z.6O
- >>137
誤字発見。
×手荒い場
○手洗い場
予測変換に頼りきった結果がこれだよ!!
- 144 :名も無きAAのようです:2012/03/06(火) 20:26:08 ID:O3kWPx3QO
- 乙!
- 145 :名も無きAAのようです:2012/03/06(火) 21:58:04 ID:zv2MXxoo0
- おつですー
- 146 :名も無きAAのようです:2012/03/13(火) 18:14:20 ID:vNj9LZLIO
-
※閲覧注意※
.
- 147 :名も無きAAのようです:2012/03/13(火) 18:20:34 ID:vNj9LZLIO
-
妹者との面会の日が近づいている。
嬉しくて嬉しくて、あまりにも嬉しくて兄者は荒巻を殺した。
一回目はとりあえず絞め殺した。
二回目は毒を飲ませた。
三回目は人目につかない『河』に呼び出して焼き殺した。
燃えて燃えて、そのまま火が消えるまで眺め続けた。
(*´_ゝ`) 「ふふ、ふ、ふぅふふ、ぅふ」
『河』のほとりで燃えるそれは幻想的で、兄者は少し不自然に笑った。
- 148 :名も無きAAのようです:2012/03/13(火) 18:21:20 ID:vNj9LZLIO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 149 :名も無きAAのようです:2012/03/13(火) 18:32:00 ID:vNj9LZLIO
-
『河』はどこからか流れる水が道を作ったものだ。
兄者は一度、水がどこから来るのか知りたくて上流へ上流へと歩いてみた事がある。
…結果は散々だった。
『球体』の周期は10まで数えて諦めた。
真っ白と真っ暗を何度も繰り返したあと、ふと元の場所に戻っている事に気づいた。
家に帰ったら母者に心配されながらボコボコにされ、父者にはこの世界が地続きであると教えられ、
姉者には呆れられ、弟者と妹者には泣かれ。
ああ、なんて無意味な事をしたのだろうとひどく落ち込んだのを覚えている。
- 150 :名も無きAAのようです:2012/03/13(火) 18:40:22 ID:vNj9LZLIO
-
だが全くの無意味と言う訳でもなかった。
ある地点で、兄者は『地面から人が産まれる瞬間』を見たのだ。
(;´_ゝ`) 「なんだあれ!?」
驚いて近寄ってみると、その人影はこちらを向いた。
/ ,' 3 「おー?なんじゃいなんじゃい、こんな老いぼれになんか用かい」
『それ』は『産まれたばかり』のはずなのにまるで老人の様な容姿や振る舞いを見せていた。
(;´_ゝ`) 「あんた、え、どういう事?」
/ ,' 3 「そりゃこっちのセリフじゃわい。人を見るなりいきなり「どういう事」なんて」
- 151 :名も無きAAのようです:2012/03/13(火) 18:48:15 ID:vNj9LZLIO
-
よくよく話を聞いてみると、どうもその老人は『自分が地面からいきなり生えてきた』と思っていないようだった。
というより、なぜここにいるのかすら分からない風であった。
/ ,' 3 「儂ゃウチで昼寝しとったはずなんじゃがの、何でこんな河辺におるのやら、はて」
( ´_ゝ`) (いや、あんたそこから生えてきたから)
喉まで出かかった言葉を飲み込む。
さすがに荒唐無稽過ぎて信じないだろうし、兄者自身も未だ目の錯覚だと思っていたからだ。
/ ,' 3 「あー、そういやぁ、儂のウチどこだったかの」
(;´_ゝ`) 「ハァ!?」
- 152 :名も無きAAのようです:2012/03/13(火) 18:59:20 ID:vNj9LZLIO
-
今度こそ声を上げ、兄者は改めて老人の素性を尋ねた。
『球体』が二周するまで話を聞いた結果、何も分からないという事が分かった。
( ´_ゝ`) 「つまり、あんたは名前も家も家族がいるかも分からないと」
/ ,' 3 「分からんのじゃないわい、忘れたんじゃい」
(;´_ゝ`) 「どっちも一緒だろうが!」
/ ,' 3 「おうおう、年寄りに大声をあげるとは乱暴じゃのう」
(;´_ゝ`) 「あのなあ…」
心配してやってんのに、とため息。
しかしとぼけているようにも見えないので、老人の家を探してやる事にした。
今考えればとんでもなく馬鹿げた話である。
- 153 :名も無きAAのようです:2012/03/13(火) 19:06:58 ID:vNj9LZLIO
-
―――――数周期後。
(;´_ゝ`) 「…じいさん、もう人が住める場所ねえぞ」
/ ,' 3 「おっかしいのう、確かこの辺…いや、あの辺…?
…うむ、分からん」
( ´_ゝ`) 「じじいぶち殺すぞ」
老人の言うまま、あっちへふらふらこっちへふらふら。
時には明らかに人が住むような場所ではない所を歩き、最終的にこのザマである。
兄者のイライラはピークに達していた。
だから、ほんの弾みだった。
手元に護身用のナイフを持っていた。
ほとんど無意識だった。
妙な手応えを感じた。
横に薙いだ腕は、丁度老人の首筋を切り裂いた。
- 154 :名も無きAAのようです:2012/03/13(火) 19:14:47 ID:vNj9LZLIO
-
/ 3
( ゚_ゝ゚) 「」
倒れ込んだ老人と自分の手元を交互に見やり、それでも信じられずに目を何度もこすり。
何をやっても事実は変わらず残酷で、兄者は思わず嘔吐した。
( ;_ゝ;) 「お゙げぇぇえ゙え゙ぇえ゙、」
ごめんなさい、ごめんなさい。
そんなつもりじゃなかったんです。
そんなような事を口走りながら、兄者は反射的に逃げ出していた。
家に帰るなり布団に潜り込み、ガタガタと震えてしくしくと泣いた。
家族の心配する声が聞こえた気がしたが返事をする余裕すらなかった。
- 155 :名も無きAAのようです:2012/03/13(火) 19:23:28 ID:vNj9LZLIO
-
翌日、昨日の事を夢だと思いたくて老人を殺した場所へ行ってみた。
( ゚_ゝ゚) 「」
そこには血溜まり『しか』なかった。
誰かが老人を運び去ったのだろうか。
それならそいつを見つけて殺さなくては。
思考が飛躍し、焦った頭で走り出す。
( ゚_ゝ゚) 「どこだ、どこだ、どこだ…」
血走った目でぎょろぎょろと辺りを見回しながら走る。
( ゚_ゝ゚) 「殺してやる、殺す、殺してやる…」
『球体』が半周ほどした所で、目標を発見した。
/ ,' 3 「お?なんじゃい、そんな怖い顔して」
( ゚_ゝ゚) 「ヒィ」
老人は至って健康体でそこにいた。
最初に出会った『河』のほとりに。
- 156 :名も無きAAのようです:2012/03/13(火) 19:31:27 ID:vNj9LZLIO
-
(;゚_ゝ゚) 「あ、あんた、死んだ、はずじゃ」
/ ,' 3 「何を言うとるか、儂ゃあまだまだ生きるぞい」
混乱したまま話している内に奇妙な事に気づいた。
この老人、昨日会った事を覚えていない。
/ ,' 3 「それより聞いてくれんか、若いの。
儂、ウチで昼寝しとったはずなんじゃが気づいたらこんなトコにおってのう」
まるで昨日の出来事をトレースしたかのような内容を喋る。
軽くめまいを感じつつ、根気よく同じ話を聞く。
案の定、家探しが始まる。
そして案の定、見つからない。
更に案の定(と言うか今回は混乱して)、兄者は老人を殺してしまう。
- 157 :名も無きAAのようです:2012/03/13(火) 19:36:22 ID:vNj9LZLIO
-
また翌日、同じ場所へ行く。
血溜まりしか無い。
『河』へ向かう。
老人に出会う。
話を聞く。
家探しが始まる。
老人のとぼけた喋り方に腹が立って殺す。
我に返って逃げ出す。
また翌日、同じ場所へ向かう。
血溜まりしか無い。
『河』へ。
老人が。
話を。
家探し。
殺す。
逃げ出す。
- 158 :名も無きAAのようです:2012/03/13(火) 19:47:19 ID:vNj9LZLIO
-
普通なら発狂するループを、兄者は何回も繰り返した。
理由は分からない。
ただ途中から好奇心を持って接していたように思う。
老人は結局、何度殺そうが何度死のうが、翌日には『河』の近くで記憶も何もかもリセットされて蘇る事が分かった。
いつしか兄者は、老人を『荒巻』と呼ぶようになった。
毎度毎度『河』の近くで蘇るのを、『鮭』と言う存在に見立てたのだ。
そして家族がバラバラになってから今の『仕事』を始めるにあたって、
自分一人(厳密に言えば弟者もいるのだが)でいる事に一抹の寂しさを覚えた時にふと思った。
( ´_ゝ`) 「そうだ、あのじいさんを『ここ』に呼ぼう」
―――――こうして荒巻は『管理人』として迎えられる事となる。
- 159 :名も無きAAのようです:2012/03/13(火) 19:48:35 ID:vNj9LZLIO
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 160 :名も無きAAのようです:2012/03/13(火) 21:50:28 ID:QECruQ1E0
- 乙でごわす
- 161 :名も無きAAのようです:2012/03/14(水) 06:01:19 ID:lszFYrXUO
- 荒巻は人じゃなさげだな
- 162 :名も無きAAのようです:2012/03/21(水) 11:53:11 ID:G80P9RkQO
-
例によって詰まってます。
また不意に書き始めますがゆえに。
.
- 163 :名も無きAAのようです:2012/03/21(水) 13:17:54 ID:jI2Vcw7M0
- 焦らず楽しんでくれればいいよ
乙
- 164 :名も無きAAのようです:2012/03/22(木) 01:16:41 ID:4cK1qNfg0
- 待ってる
自分のペースで頑張ってくれ
- 165 :名も無きAAのようです:2012/03/22(木) 21:23:00 ID:HhJkAoXM0
- 楽しみにしてるよー
- 166 :名も無きAAのようです:2012/03/23(金) 10:57:56 ID:eUnlAD7sO
-
( ´_ゝ`)カタカタ
(´<_` )『何してるんだ兄者』
( ´_ゝ`) 「ラ○スクエスト」
(´<_` ) 『…』
( ´_ゝ`) 「このシリーズうまくすれば女子供も楽しく遊べると思う」
(´<_` ) 『そうは思うがカメラ回ってるぞ兄者よ』
※本編とは何の関わりもありません※
- 167 :名も無きAAのようです:2012/03/23(金) 10:59:21 ID:eUnlAD7sO
-
気を取り直して以下本編↓
- 168 :名も無きAAのようです:2012/03/23(金) 11:09:30 ID:eUnlAD7sO
-
今日は妹者に会いに行けるというのにあいにくの『雨』だった。
( ´_ゝ`) 「傘さして行こう」
今の世界の『雨』は数字や文字の羅列である。
『球体』から地上に降り注ぐ形になるので、上を見上げると『球体』全体にトゲが生えたように見えたりする。
(´<_` ) 「俺は傘とか関係ないから楽でいいわ」
そして『雨』の日はなぜか弟者が『こちら』に来る事ができる。
どうも『情報』が関係しているようだがはっきりとした理由は分からない。
( ´_ゝ`) 「さあ、我等が愛しい妹の元へ」
演技臭いセリフを吐いて、施設へ向かう。
- 169 :名も無きAAのようです:2012/03/23(金) 11:10:20 ID:eUnlAD7sO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 170 :名も無きAAのようです:2012/03/23(金) 11:21:04 ID:eUnlAD7sO
-
傘をさしてのんびり歩く。
急いで走ったりして『雨』に『持っていかれる』のは肉体的にも精神的にもしんどいのだ。
( ´_ゝ`) 「事前に遅くなるって伝えといてよかった」
傘を回しながら呟く。
(´<_` ) 「そういえば、昨日までで結局何回荒巻殺したんだ」
( ´_ゝ`) 「あー、10回から先数えてない」
特に昨日ははしゃぎすぎて執拗に殺した、という記憶しかない。
もはや二人にとって荒巻は使い勝手のいい道具程度の認識しかなかった。
そんな荒巻に留守を任せ、二人はあらゆる記号が落ちてくる地面を見ながら歩き続ける。
- 171 :名も無きAAのようです:2012/03/23(金) 11:31:57 ID:eUnlAD7sO
-
(´<_` ) 「お、見えてきた」
言いながら弟者が指差すその先に、目指す建物があった。
『施設』としか呼ばれていないそこは、身寄りのない子供や訳ありの人間が身を寄せあって住んでいる。
普段なら子供たちが遊ぶ声が聞こえてくる距離だが、『雨』のせいか静かだ。
( ´_ゝ`) 「早く妹者に会いたいな」
(´<_` ) 「そうだな…」
妹者の喜ぶ顔を思い浮かべ、微笑む。
久し振りに会う彼女は、多分少し成長しているのだろう。
自分たちの顔を見て、少しでも元気になって欲しいと思うのは傲慢だろうか。
- 172 :名も無きAAのようです:2012/03/23(金) 11:42:45 ID:eUnlAD7sO
-
|゚ノ ^∀^) 「お二人とも、いらっしゃい」
施設の入り口でレモナが待っていた。
今は『球体』が白に近いのでまだ男だ。
( ´_ゝ`) 「こんにちは、レモナさん」(´<_` )
|゚ノ ^∀^) 「妹者ちゃん、先に面会室で待ってますよ」
こちらへどうぞ、と案内される。
道すがら、ここに住む子供たちの騒ぐ声が部屋から聞こえる。
( ´_ゝ`) 「今日は部屋でお遊戯ですか」
|゚ノ ^∀^) 「まあ、『雨』ですからねえ。
ブーン君とツンちゃんは施設中駆け回ってますよ」
(´<_` ) 「あぁ、あの二人は、ねえ…」
|゚ノ ^∀^) 「『思春期』、ですから」
- 173 :名も無きAAのようです:2012/03/23(金) 11:51:11 ID:eUnlAD7sO
-
色恋沙汰はからきしな兄者は、『面会室』に着くまで二人の会話に入れず首を傾げたままだった。
|゚ノ ^∀^) 「それでは、私は入り口で待っていますので。
何かありましたら声をかけて下さい」
『面会室』の扉を開けながらレモナはそう言った。
「何か」、というのはやはり妹者の事なのだろうか。
わずかに緊張しながら中に入る。
( ´_ゝ`) 「…」
(´<_` ) 「…妹者、久し振り」
l从・∀・ノ!リ人 「…久し振り、なのじゃ」
分厚いガラスを隔てた向こう側に、彼女はいた。
最後に見た時より、痩せていた。
- 174 :名も無きAAのようです:2012/03/23(金) 11:58:48 ID:eUnlAD7sO
-
軽く挨拶を交わしたあと、どことなくぎこちない空気の中他愛もない話をする。
またんきが『荷車』というものを作っただの、ジョルジュはやっぱり変わっているだの。
ひとしきり話し、会話が途切れた瞬間。
l从・∀・ノ!リ人 「…おっきい兄者、ちっちゃい兄者。
お話があるのじゃ」
何かを決意したような表情を作った妹者が切り出した。
それは恐らく二人に会いたがっていた理由。
( ´_ゝ`) 「…」 (´<_` )
固唾を飲む。
いつの間にか握りしめていた手に力が入る。
- 175 :名も無きAAのようです:2012/03/23(金) 12:08:52 ID:eUnlAD7sO
-
l从・∀・ノ!リ人 「…あのね、あのね…」
( ´_ゝ`) 「妹者、焦らなくていいから深呼吸してゆっくり話せ」
l从-∀-ノ!リ人 「…」
すー、はー。
すー、はー。
兄者の言う通り深呼吸を繰り返し、もう一度、こんどはしっかりと妹者は言葉を紡いだ。
l从・∀・ノ!リ人 「…あのね、『あの人』がおっきい兄者を『深界』に来るように言ってたのじゃ」
(´<_` ) 「『深界』?」
l从・∀・ノ!リ人 「のじゃ。『あの人』はおっきい兄者を『もう一度』欲しがってるのじゃ」
妹者の言葉が引っ掛かる。
もう一度。
『あの人』なる人物は、兄者と過去に最低一度は会った事がある?
- 176 :名も無きAAのようです:2012/03/23(金) 12:19:32 ID:eUnlAD7sO
-
フラッシュバック。
『今の世界は秩序が無いのだよ』
( _ゝ ) 「…―――――」
フラッシュバック。
『強さは美しいわ。弱さは醜いのよ』
フラッシュバック『た、他人がいるから、人の目が気になるんだ。ひ、一人なら、何も感じなくていい』
フラッシュバック/フラッシュバック/フラッシュバック。
記憶に無い事を『思い出す』。
吐きそうになるのを堪える。
また、しぃの所で薬を貰おう。
いや今はそんな事を考える必要はないそれより何でこんな記憶が今更になって
(´<_`;) 「―――――じゃ、兄者!しっかりしろ!」
- 177 :名も無きAAのようです:2012/03/23(金) 12:29:56 ID:eUnlAD7sO
-
肩を揺さぶられる感覚で現実に引き戻される。
気持ちが悪い。
( _ゝ ) 「…妹者、『深界』の行き方は教えて貰ってないのか?」
(´<_`;) 「兄者っ!無理するな!」
弟者が何か言っている。
それより『深界』への行き方だ。
l从-∀-ノ!リ人 「………『塔』の地下、歪んだ回廊の近く。
そこに『案内人』を用意してあるらしいのじゃ」
(´<_`;) 「妹者…!」
そうか。
『塔』の地下の歪んだ回廊の近くに案内人がいてそいつが『深界』へ連れていってくれるのか。
気持ちが悪い。
弟者が何か言っている。
気持ちが悪い。
妹者が何か言っている。
気持ちが悪い。
気持ちが悪い。
気持ちが
―――――――――意識が途切れた。
- 178 :名も無きAAのようです:2012/03/23(金) 12:30:49 ID:eUnlAD7sO
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 179 :名も無きAAのようです:2012/03/23(金) 13:03:07 ID:tTjI.DL6O
- おお…ドキドキする展開
乙乙
- 180 :名も無きAAのようです:2012/03/26(月) 17:43:23 ID:VO7Aqgn.O
- 気になるところで…
乙
- 181 :名も無きAAのようです:2012/04/05(木) 11:56:53 ID:nxBvJMsgO
-
突然だが、またんきは極度の女性恐怖症である。
本人は「恐怖症ではない、苦手なだけだ」と言ってはいるが、しぃに会うのが嫌で薬屋に行かないよう健康に気を使っているのもまた事実だ。
これは別にしぃに限った話ではなく、女性時のレモナ、姉者といった成人女性から妹者やツン、デレといった子供まで苦手としており、
どうしても会わなければならない時はマスクに手袋、可能な限り遠くから話しかけるなど少々異常な行動をとる。
そしてこれまた突然であるがジョルジュは女性、特に胸が大好きである。
胸の大きさや形などにこだわりがあり、最低でもジョルジュの手のひらで掴める事、揉んだ際ふわふわとした触り心地なら最高である事、
女性の胸のふくらみは四つん這いになった時などの下乳にこそ真髄がある事。
これらを持論として条件に見合う女性を探すべく旅人になった、というのが本人の弁である。
- 182 :名も無きAAのようです:2012/04/05(木) 11:57:36 ID:nxBvJMsgO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 183 :名も無きAAのようです:2012/04/05(木) 12:14:21 ID:nxBvJMsgO
-
(・∀ ・) 「だからそういうのは置いてないって言ってるだろー、諦めろよー」
_
( ゚∀゚) 「だから何で置かねーんだよ!わかんねー奴だな!」
兄者と弟者が妹者と面会をしている頃、またんきの『何でも屋』にはジョルジュがいた。
何やら口論をしている。
(・∀ ・) 「いくら『何でも屋』でもなー、仕事は選ぶんだぞー」
_
( ゚∀゚) 「かぁっ、そりゃあ取捨選択を間違えてるってモンだぜ、またんきよ」
言いながら、ジョルジュはカウンターをばんばんと叩いた。
掃除の行き届いていないカウンターから大量のホコリが舞う。
- 184 :名も無きAAのようです:2012/04/05(木) 12:22:25 ID:nxBvJMsgO
-
(・∀ ・) 「ゲッホ、ゴェホ、ゴフォ」
_
( ゚∀゚) 「ブッフォ、ゲフ、ガッフ」
舞い散ったホコリで二人は盛大に咳き込み、またんきは換気ついでに店の扉を開けた。
ホコリが光を反射して、いっそ幻想的な雰囲気が店内を包む。
(;∀ ;) 「ハァハァ… い、いくらなんでもこの仕打ちはひどいぞー、目が、目がぁー」
_
( ;∀;) 「バッカ野郎、これ絶対オレのせいじゃねえぞ!」
またんきと一緒にばたばたと店を飛び出し、『河』で顔を洗う。
_
( ;∀;) 「畜生、兄者がいないから仕方なくお前の所来てやったってのに!」
(・∀ ・) 「しょーがないだろー、おれの専門外の分野だしなー」
おんおんと男泣きするジョルジュに、またんきはあくまで淡々と返す。
- 185 :名も無きAAのようです:2012/04/05(木) 12:32:50 ID:nxBvJMsgO
-
(・∀ ・) 「だいたい、兄者がくれるんだろー、画像。 ならいーじゃんかよー」
『河』の水で遊びながらまたんきはぼやいた。
しかしそれがジョルジュの気に障ったようで、少々ムッとした様子で返事が来る。
_
( ゚∀゚) 「いいや駄目だね。またんき、お前は分かってない。『情報』を見るのと実物を見るのとじゃ全然違うんだぜ」
ヾ(・∀ ・)ノシ 「なら、なおさらおれじゃなくていーじゃんよー。
そーゆートコ行けよー」バタバタ
_
( ゚∀゚) 「ナマの女も良いけどよ、オレは紙の中のオンナもまた違った魅力があると思うのよ」
- 186 :名も無きAAのようです:2012/04/05(木) 12:50:42 ID:nxBvJMsgO
- _
( ゚∀゚) 「いいかまたんき。この世界に数多の女がいたとして、オレが死ぬまでにこの手で抱けるのは相当貢いで貢いで貢ぎまくっても、せいぜい数人が関の山だろうよ。
もしオレが超超超カリスマで何もしなくても女が寄ってきて「抱いて!」とかなったとしたらもう少し増えるかもな。でも考えてみろよ、いくらどんな手段を使って女を抱こうともオレの好みと合致しなきゃ意味が無い。
その点『グラビア』はどうだ、ちょっと探せばオレ好みの女はすぐ見つかる。そりゃまあ服装やポージングまで言い出したらキリが無い上にそうそう都合よく見つからないさ。
しかしな、リアルが手軽じゃないからこんな媒体が過去にあったとオレは考える訳だ。魅力的なオンナが魅力的な姿で魅力的なポーズをとってオレたちを挑発して来やがる。
だからこそオレは今!すぐに!!『グラビア雑誌』が読みたいんだよぉ!!!」
(・∀ ・) 「ぅゎジョルジュ怖い」
- 187 :名も無きAAのようです:2012/04/05(木) 12:59:11 ID:nxBvJMsgO
-
ほぼ息継ぎ無しで吠えたあと、ジョルジュは「やりきった」顔でまたんきを見た。
「だからよこせ、無いなら探せ」という無言のプレッシャーも感じる。
しかしまたんきは素知らぬ顔で、
(・∀ ・) 「でも無いものは無いし探す気も無いぞー?」
と返した。
_
( ゚∀゚) 「なん…だと…」
ジョルシュはうちひしがれた顔で膝から崩れ落ち、そのまますすり泣き始めた。
_
( ;∀;) 「チクショウ…あんなに熱弁したのに…」
何やらうわごとを呟いているが、またんきは敢えて無視する。
(・∀ ・) 「…」
- 188 :名も無きAAのようです:2012/04/05(木) 13:06:48 ID:nxBvJMsgO
-
苦手なものは苦手なのだから仕方ないのだ。
またんきはそう考える。
(・∀ ・) 「…」
『いつの事だか覚えていないが』、女性にとてつもない恐怖を植え付けられた記憶があるのだから。
_
( ;∀;) オーイオイオイ
その女性の顔も、具体的に何をされたのかも全く覚えていないのだが。
…とにかく、女はとても恐ろしいのだ。
『球体』を見上げながら、またんきは得体の知れない寒気に震えた。
- 189 :名も無きAAのようです:2012/04/05(木) 13:07:35 ID:nxBvJMsgO
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 190 :名も無きAAのようです:2012/04/05(木) 13:16:10 ID:AXA.4n2MO
- うわジョルジュ怖い
乙
- 191 :名も無きAAのようです:2012/04/06(金) 01:27:09 ID:w2bNRkjM0
- しえーん
- 192 :名も無きAAのようです:2012/04/15(日) 10:44:49 ID:0XlBMzzgO
-
兄者は『施設』のベッドで目が覚めた。
妹者と面会中、いつの間にか気絶したらしい。
( ´_ゝ`) 「ぬ…」
|゚ノ ^∀^) 「大丈夫ですか、兄者さん?」
ベッドのそばにはレモナが。
その体つきや胸部を見るに、どうも今は『球体』が真っ暗のようだ。
( ´_ゝ`) 「…弟者や妹者は」
|゚ノ ^∀^) 「妹者ちゃんは泣き疲れて寝ています。
…弟者さんはいつの間にか帰られていました」
『雨』は止んでいるらしい。
レモナの話では面会から『球体』が二周半ほど経っているそうだ。
( ´_ゝ`) 「…ご迷惑、おかけ、しました」
消え入りそうな兄者の言葉に、レモナはただ、いいえ、とだけ返した。
- 193 :名も無きAAのようです:2012/04/15(日) 10:45:30 ID:0XlBMzzgO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 194 :名も無きAAのようです:2012/04/15(日) 10:56:00 ID:0XlBMzzgO
-
兄者はすぐにでも帰るつもりでいたが、レモナから強く引き留められた。
ベッドから降りようとしただけで転げ落ちそうになったからだ。
|゚ノ ^∀^) 「体調、悪いみたいですね」
頭痛がひどい。
恐らくそれで平衡感覚が狂っているのだろう。
隠したところで仕方がないので兄者は正直にそれを伝え、落ち着くまで休ませてもらう事になった。
( ´_ゝ`) 「ホント、すいません」
水で濡らした布で額を冷やしながら兄者はレモナに謝罪する。
|゚ノ ^∀^) 「いえいえ、いいんです。今日は私、暇ですから」
( ´_ゝ`) 「暇って」
|゚ノ ^∀^) 「非番、ってヤツです。
今日はビロード兄弟が子供たちのお世話を」
新しい布を取って来ますね、とレモナは出ていこうとする。
- 195 :名も無きAAのようです:2012/04/15(日) 11:08:13 ID:0XlBMzzgO
-
その後ろ姿を眺め、兄者はとりあえず横になる。
する事がないと気づくと、とたんに暇に押し潰されるものだ。
( ´_ゝ`) 「…」
ビロード兄弟とは誰だろうか。
妹者を『施設』に連れていった、兄者たちと同じ双子の事だろうか。
ベッド脇に小さな本棚がある。
子供向けの絵本なんかが雑多に入っているようだ。
( ´_ゝ`) 「お、『せかいのつくりかた』か。
…懐かしいな」
目についた絵本を手に取り、表紙を見ながら独り言。
この絵本はよく妹者に読ませていた。
なぜか彼女はこれを大層気に入っており、ボロボロになるまで読んでいた。
- 196 :名も無きAAのようです:2012/04/15(日) 11:18:18 ID:0XlBMzzgO
-
今兄者が手に取っているものは表紙が落書きでぐちゃぐちゃだ。
こんな事をするのはブーンぐらいだろう。
ブーンは絵に描いたようなやんちゃな男の子で、駆け回るかそこらに落書きをするかしている。
( ´_ゝ`) 「…中にも落書き…読めねぇ…」
暇潰しになるかとページをめくってはみたものの、ほとんど全てのページが落書きで汚れて読めなかった。
諦めて棚に戻し、天井をただ眺める。
( ´_ゝ`) 「…暇だな…」
弟者は大丈夫だろうか。
また発作が起きていたらどうしようか。
荒巻に止められるとは思えないので、少し不安になる。
そんな事を考えた辺りで睡魔に襲われ意識が飛んだ。
- 197 :名も無きAAのようです:2012/04/15(日) 11:30:51 ID:0XlBMzzgO
-
―――――――――――――――――――
『施設』に訳ありの子供たちが身を寄せあっている事は前に述べた。
それは職員も同じ事が言え、『施設』で世話になった恩を返すべく職員になったという人間もいる。
( <●><●>) 「今日はあの子たちに絵本を読む日ですね」
( ><) 「あの子たちはいっつもこの本を読みたがるんです!」
廊下を歩きながら話し合う彼らもそのタイプで、今ではレモナに次ぐベテラン職員だ。
片方は大きな瞳の青年。
もう一人は小動物を思わせる雰囲気の青年。
共に黒髪で黒い瞳をしている。
- 198 :名も無きAAのようです:2012/04/15(日) 11:44:18 ID:0XlBMzzgO
-
( <●><●>) 「しかし不思議ですね、何にも興味を示さない彼らがこれだけは読むのをせがむとは」
大きな瞳が特徴的な彼はワカッテマス・ビロード。
誰に対しても敬語を使い、穏やかな性格をしている。
( ><) 「何でこれにしか興味ないのかわかんないんです!」
男性の割に声が高いこちらの青年はワカンナインデス・ビロード。
そそっかしい性格ではあるが子供受けは良く、いつも子供たちに混じって遊んでいる。
今日は読書会で、二人が主に面倒を見ているショボンとつーが唯一自主的に参加するイベントでもある。
- 199 :名も無きAAのようです:2012/04/15(日) 11:59:18 ID:0XlBMzzgO
-
遊戯室に向かう道すがら、ワカンナインデスはふと呟いた。
( ><) 「あの二人の病気、治る気配が無いんです…」
それを聞き咎めたワカッテマスがため息混じりに返事を返す。
( <●><●>) 「…気長にいきましょう。希望を捨ててはいけません」
ショボンとつー。
この二人はほぼ同時期に精神疾患を患った。
今のところ治療法が無い、謎の病気。
心を閉ざし、何者とも関わりを持とうとせず、またこちらからアプローチしても無反応。
この病気はいつの頃からか、誰が言い出したかこう呼ばれるようになった。
――――――「ハインリッヒ症候群」と。
- 200 :名も無きAAのようです:2012/04/15(日) 12:00:06 ID:0XlBMzzgO
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 201 :名も無きAAのようです:2012/04/15(日) 12:40:44 ID:5YdjqNEI0
- おつ
- 202 :名も無きAAのようです:2012/04/15(日) 16:28:24 ID:UanKJpy2O
- 面白い
乙乙
- 203 :名も無きAAのようです:2012/04/16(月) 02:16:10 ID:iuYyy7l60
- 乙
何これ面白い
- 204 :名も無きAAのようです:2012/04/16(月) 12:47:39 ID:O9Q0iqI2O
-
以下に流石 兄者に関わる存在を表記する。
これを見てそれらを滑稽に思う事があれば幸いである。
.
- 205 :名も無きAAのようです:2012/04/16(月) 12:48:51 ID:O9Q0iqI2O
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
※番外 流石 兄者に関わる存在について※
.
- 206 :名も無きAAのようです:2012/04/16(月) 13:15:58 ID:O9Q0iqI2O
-
(´<_` )
流石 弟者。
流石 兄者の双子の弟である。
これは『情報』に溺れ、顕現する器をなくした。
今はあれらが『経路』と呼ぶそこにいる(以下、あれらの呼称に準じてそこを『経路』と記述する)。
なぜ『情報』に溺れる羽目になったかと言えば、これは愚かにも我が領域に土足で踏み込んだ事に起因する。
弟者は自分の父親を焚き付けて我が領域を調査するよう仕向けた。
結果、運悪く(あれらにとっては『運良く』であったと思われるが)入り口を発見してしまい、
侵入を試みたものである。
これにはある種の感動を覚えたが、ここはあれらが来るべき場所ではなく、
またこれが来るには時期尚早であったため父親もろとも排除した。
が、やはりこれを完全に排除すると重大な問題が発生するため器の破壊のみにとどめた(が、半ば『経路』に飲まれつつある)。
- 207 :名も無きAAのようです:2012/04/16(月) 13:29:55 ID:O9Q0iqI2O
- 彡⌒ミ
( ´_ゝ`)
流石 父者。
流石 兄者の父親。
これは弟者と同じく『情報』に沈んだ。
こちらは先に述べた通り完全に『情報』の流れに散ったため、これの完全な復元は不可能と思われる。
特筆すべきはやはり『経路』に関する貪欲さであろうか。
こちらが想定していないペースで『経路』の把握を始めた。
しかしその貪欲さが仇となり修復不可能なほどに『情報』が散る事となった。
こちらとしてはもう少し自由にさせて、これがどこまで『こちら』を知る事が可能なものか見てみたかったが仕方ない。
弟者による一種の被害者であり、ある意味無駄死にしたものである。
- 208 :名も無きAAのようです:2012/04/16(月) 13:46:46 ID:O9Q0iqI2O
-
@@@
@#_、_@
( ノ`)
流石 母者。
流石 兄者の母親。
『あれ』と渡り合い、そして散った。
これほど『あれ』の力を測るには都合の良い存在はあるまい。
何せ『経路』に流れる『情報』と器、そして精神が混じりあった偶然の産物なのだ(いや、もしかしたら偶然ではないのかも知れないが)。
当初の予定通り、これは『あれ』と対決し、そして死んだ。
念のため、これの器と精神は『こちら』で保管してある。
『あれ』と戦うさまはとても愉快だったのだ、また見たいと考えるのは当然と言えよう(今は退屈極まりない)。
今後これとよく似たものが現れた場合、保管する意味が無くなるため破棄する予定である。
- 209 :名も無きAAのようです:2012/04/16(月) 14:12:06 ID:O9Q0iqI2O
-
l从・∀・ノ!リ人
流石 妹者。
流石 兄者の妹。
『あれ』の願望が反映されたのだろうか、これは見た目こそ違えど『予言の巫女』である。
これ自身にその自覚はもはや無いが。
これを使って流石 兄者の動向を調整するものとする。
自覚の有無は関係なく『予言の巫女』であったこれに干渉するのは容易い。
※追記
とはいえ干渉の具合が不安定なのは懸念事項である。
最初に接触した際はこちらの力に耐えきれず、これの精神を多少乱してしまった。
※追記 二
二回目は弱すぎたようで『悪夢』と認識されていた。
しかし『夢』と認識させた上での干渉はこれには非常に有効だとわかった。
ほとんど精神を乱す事なく干渉が捗ったのだ。
以降、この方法を用いてこれに干渉を図る事とする。
※追記 三
流石 兄者に必要事項を伝える事に成功。
以後、これを流石 兄者の安定に利用するため、破棄はしないものとする。
- 210 :名も無きAAのようです:2012/04/16(月) 14:17:34 ID:O9Q0iqI2O
-
以上三名についての記述はこれで終わる。
その他のものについてはまた改めて記述する。
.
- 211 :名も無きAAのようです:2012/04/16(月) 14:23:29 ID:O9Q0iqI2O
-
番外編と言う名の人物紹介でした。
普通に書くのもつまらないのでこんな感じで。
質問なんかも答えられる範囲で答えたりしますので、
良かったらどうぞ。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 212 :名も無きAAのようです:2012/04/17(火) 10:09:23 ID:bGhVYYWQ0
- 乙、興味深いな。
このSSはダークホースだな
- 213 :名も無きAAのようです:2012/04/18(水) 12:17:02 ID:jigub2qEO
- 追い付いた、乙
支援
- 214 :名も無きAAのようです:2012/04/18(水) 17:56:30 ID:jSOtBZGM0
- 世界観の全体を見せないのがうまいな
ワクワクする支援
- 215 :名も無きAAのようです:2012/04/27(金) 11:08:11 ID:Hg/c2oywO
-
ちょっとリアルが忙しくなって参りました。
ネタをまとめつつ暇をみては投下します。
- 216 :名も無きAAのようです:2012/04/27(金) 12:07:26 ID:oLIX4TnQO
- 久々読んだけど面白すぐる
こんなダークな話大好きよ
- 217 :名も無きAAのようです:2012/05/16(水) 19:07:29 ID:aw82SDQMO
-
むかしむかしあるところに、じぶんのせかいがきらいになったひとがいました。
そのひとは、とてもあたまがよくて、このままではせかいがおわることにきづいてしまったのです。
そのひとはいっぱいいっぱいべんきょうして、たくさんたくさんしらべて、せかいをやりなおす、ふしぎなちからがあることをしりました。
それから、またいっぱいいっぱいべんきょうして、たくさんたくさんしらべて、そのひとは、ついにちからのつかいかたをしりました。
そして、せかいをやりなおすためにそのひとは――――――
――――――『せかいのつくりかた』より抜粋
- 218 :名も無きAAのようです:2012/05/16(水) 19:08:22 ID:aw82SDQMO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 219 :名も無きAAのようです:2012/05/16(水) 19:20:36 ID:aw82SDQMO
-
『塔』といわれている建造物がある。
そこは『光る球体』に突き刺さらんばかりに高く、作られた意図は全くの不明で、『この世界の成り立ち』に興味のある者は一度は足を運んでいる場所である。
( ´_ゝ`) 「…」
『仕事場』からも見える『塔』を眺めながら考える。
妹者の話が本当ならば、そこには地下もあるはずだ。
いや、もしかしたら逆にそこが頂上なのかも知れない。
この世界は『球体』を中心に地続きなので、地下という言葉は多少不自然だと兄者は考える。
( ´_ゝ`) 「地下を進んでたら『世界』から放り出されました、とかじゃ洒落にならん」
この世界の『外側』は誰も知らない。
そこまで行ったと言う話も聞かない。
( ´_ゝ`) 「『宇宙』…」
ぽつりと呟いた単語に違和感。
『宇宙』とは何だ?
- 220 :名も無きAAのようです:2012/05/16(水) 19:23:57 ID:O5o7xynA0
- きたか
- 221 :名も無きAAのようです:2012/05/16(水) 19:39:10 ID:aw82SDQMO
-
『いつか宇宙に行く時代が来るのかな』
『科学がもっと発展すれば、俺らも『アポロ100号』に乗れるよ』
『あはは、君は本当にその歌手好きだね』
『行こうか、進もうか、君が望むままに』
『おい俺の専売特許奪うな××××』
『お前のじゃねぇよあの歌手のだろ、それにオレはこの部分が気に入ってるんだよ』
『へぇ、どうして?××××君』
『だって、オレの望むままにどこへでも行けるんだ、他のクズどもに指図されない、
オレに尋ねてるくらいだからこの部分はオレより弱い奴だぜ絶対』
『…時に落ち着け、その一文からそこまで妄想するお前はキモい』
『うっせーこのパソオタ!』
『あ、あはは…』
- 222 :名も無きAAのようです:2012/05/16(水) 19:46:01 ID:aw82SDQMO
-
( _ゝ ) 「」
誰だ。
何だ。
男の声が二つ。
女の声が一つ。
知らない。
だが『思い出した』。
人名らしき箇所がまるで狙ったかのように耳鳴りがして分からなかった。
( _ゝ ) 「…誰だよ、お前ら」
男の声の一つは明らかに自分のものだった。
では残る二つは。
( _ゝ ) 「…誰、だっけ」
弟者ではない、自信過剰な男の声。
姉者や妹者ではない、控えめな女の声。
誰だか分からない。
しかし大事な『友人』だったはずだ。
- 223 :名も無きAAのようです:2012/05/16(水) 19:57:42 ID:aw82SDQMO
-
違う。
『友人』などと呼べる関係の相手はいない。
またんきやジョルジュはギブアンドテイクの関係だし、しぃとは店員と客の間柄だ。
荒巻に至ってはそもそも同等の存在と思ったことすら無い。
( _ゝ ) 「…頭、痛ぇ、」
先ほどから涙が止まらないのはきっと頭痛がひどいからだ。
断じて声の主を思い出せないのが悲しいからでは無い。
はずだ。
( _ゝ ) 「…頭痛薬…」
ぼやけた思考で、ぼやけた視界で、常用している薬をざらざらと手にこぼし、
明らかに規定を越えた量のそれを口に浴びせかけ、
大量の水で無理やり流し込む。
窒息しそうになったが頭痛よりましだ。
- 224 :名も無きAAのようです:2012/05/16(水) 20:02:35 ID:aw82SDQMO
-
(´<_` ) 『…兄者、』
( _ゝ ) 「…」
いつの間にか弟者がディスプレイにいた。
心配そうにこちらを見ている。
大丈夫だ、問題ない。
そんなシャレを言っておどけてみせようとして、
( _ゝ ) (…待てよ)
何でそれが『とあるゲームの有名なセリフ』だと分かるのかと気付き、愕然とする。
『ゲーム』は『前の世界』の遺物だ。
- 225 :名も無きAAのようです:2012/05/16(水) 20:12:54 ID:aw82SDQMO
-
埃と砂にまみれた今の世界では『情報』を吸い上げて無理やり『こちら』に構成してやらなければ、そんな遺物まともに動くはずが無い(兄者の使うパソコンにしても、元はといえば父者が『情報』を吸い上げて使えるようにしたものだ)。
当然そんな手間のかかることをする物好きはめったにおらず、そんなことをしているなら生きるためにマグネタイト稼ぎに精を出す方が生きるために効率がいい。
( _ゝ ) 「…なんでも、ないよ、弟者。いつもの頭痛さ」
それがちょっとひどいだけ。
頭痛で涙腺がバカになっただけ。
(´<_` ) 『…そう、か』
弟者が悲しげに顔を伏せる。
何もできないのが悔しいのだろうか。
―――――大丈夫、大丈夫。
―――――そのうち、思い出せる。
- 226 :名も無きAAのようです:2012/05/16(水) 20:16:55 ID:aw82SDQMO
-
今日はここまで。
間が空いて申し訳ない、しかし不定期になるのが確定しているので更に申し訳ない。
それでもご覧頂き誠にありがとうございました。
- 227 :名も無きAAのようです:2012/05/16(水) 20:24:38 ID:N7itwlt60
- 乙
- 228 :名も無きAAのようです:2012/05/16(水) 20:47:58 ID:O5o7xynA0
- 毎話少しずつ物語が動いていくな
- 229 :名も無きAAのようです:2012/05/16(水) 21:00:18 ID:cIG8k/WA0
- 更新嬉しいぜ乙
- 230 :名も無きAAのようです:2012/05/30(水) 15:49:03 ID:iL9mhYa6O
-
兄者が『塔』へ向かう決意を固めて準備を始めている頃、『施設』ではちょっとした変化があった。
ちょっとした、といってもそれは何も知らない部外者が見た場合の話で、
『施設』に住む子供たちや職員、とりわけビロード兄弟にとっては『変化』などという生易しいものではなく、
特にワカンナインデスは驚き喜び泣き出し最終的に吐いてしまうほどの出来事だった。
(;<●><●>) 「…なんで、こんな、急に」
ワカッテマスにとってもそれは衝撃的で、冷静な彼には珍しくうまく言葉を紡げないほどうろたえている。
回りくどい言い方になってしまったが、その『変化』というのは、
(*゚∀゚) 「なに驚いてんのさー、おっかしーのー」
(´・ω・`) 「…ぼくがしゃべっただけで吐かれると傷付くなあ…」
『ハインリッヒ症候群』の患者、つーとショボンが自発的に話しかけてきたこと、である。
- 231 :名も無きAAのようです:2012/05/30(水) 15:50:11 ID:iL9mhYa6O
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 232 :名も無きAAのようです:2012/05/30(水) 16:05:32 ID:iL9mhYa6O
-
『施設』でそんな騒ぎが起きていることなど露知らず、兄者はふと思い立ち『施設』に『電話』をかけた。
妹者に『あの方』とやらについて詳細を聞きたかったのだ。
( ´_ゝ`) 「…」 トゥルルルル トゥルルルル
5コール以内に出なかったらかけ直そう。
そんなことを思いながら『受話器』を握り、誰かが出るのを待つ。
( ´_ゝ`) 「…」 トゥルルルル トゥルルルル
あと一回。
諦めかけたその時、相手が出た。
『は、ハイッ、どチラさマでショう!?』
( ´_ゝ`) 「あ、どうも、流石です」
『あ、アァ、あー、アにージゃさん!?』
( ´_ゝ`) 「誰だそいつは」
- 233 :名も無きAAのようです:2012/05/30(水) 16:17:28 ID:iL9mhYa6O
-
思わずツッコミを入れてしまい、しまった、と焦る。
しかし向こうの焦り方も尋常ではないようで、
『ス、すみマヘッ』
と謎の返事が返ってきた。
( ´_ゝ`) 「…なんか、お取り込み中かしら」
『あ、あー、えっ、と』
(;´_ゝ`) 「…あの、なんならまたかけ直しますんで」
『いヤ、だいじょウブ――――――もしもし、代わりました、ワカッテマスです』
ひどく取り乱した声から一転、落ち着いた声が耳に入る。
わずかに漏れ聞こえる会話から判断するに、どうも先ほどまでのカタコトの声はワカンナインデスだったらしい。
( ´_ゝ`) 「凄い取り乱しようでしたけど、なんかあったんですか?」
『ああ、いえ、まあ。
…それより何かご用でしょうか』
ワカンナインデスの狼狽の原因が妹者にあるのではないかと思い尋ねてみたものの、
言葉を濁されてしまった。
とりあえず、近々また妹者と面会がしたいとだけ伝え、承諾を得る。
- 234 :名も無きAAのようです:2012/05/30(水) 16:32:04 ID:iL9mhYa6O
-
意外とすんなりOKが出たものだ、と思いながら「ありがとうございます」と言い、さて通話終了、という時に、突如『受話器』の向こうが騒がしくなった。
『…ん?つーさん、どうし、え、これ?だめですよ、
あ、ちょ、何を――――――――もーしもぉ〜し、あひゃひゃ、聞こえてるぅ?』
( ´_ゝ`) 「…? ああ、どちらさま?」
聞き慣れない少女の声だ。
兄者の困惑をよそに少女は陽気な声でもって答える。
『あひゃ、アタシだヨ、アタシ!』
( ´_ゝ`) 「いや、アタシじゃわからな」
『だーかーら、アタシはアタシ!なんだよ、アタシの癖にアタシがわかんないって言うのかヨ!』
( ´_ゝ`) 「え、なにそれこわい」
『こわいもなにもアタシがアタシと話してて何がこわいのサ!』
理解不能である。
- 235 :名も無きAAのようです:2012/05/30(水) 16:44:21 ID:iL9mhYa6O
-
こういう時はとにかく早く話を切り上げて受話器を置いてしまうのがベストである。
兄者は多少強引にでも切ってしまおうと考えたが、続いた少女の言葉に絶句する。
『…アタシさ、アタシが××××や××を殺したの知ってるよ。
それに、××や××を裏切ったことも』
( ゚_ゝ゚) 「」
ノイズ。ノイズ。ノイズ。
不自然にぶつ切りになった言葉はしかし
確実に兄者の耳を通り脳髄に叩き込まれ
そしてその衝撃は正確に兄者の頭を揺さぶった。
『――――あっひゃ、どしたのー?びっくりー?
…そんな訳ないよね、だってアタシのことなんだもん』
少女の声色が一段低くなる。
- 236 :名も無きAAのようです:2012/05/30(水) 16:56:47 ID:iL9mhYa6O
-
『…あのサ、言っとくヨ。…アタシはアタシを心配してんのサ。
だって、もしかしたらこれからアタシは』
言うな/これ以上言うな/聞きたくない。
ガチャリ。
(;゚_ゝ゚) 「…ハァ、ハァ、ハァ、」
走った訳でもないのに汗が出て、めまいがするほど動悸がする。
貴重な連絡ツールである『電話』を叩き壊したい衝動に駆られる。
一体、少女は何を言っているのだ。
考えろ。
考えたくない。
何を心配しているというのだ。
理解しろ。
理解したくない。
―――――早く『塔』へ行かなくては。
- 237 :名も無きAAのようです:2012/05/30(水) 16:57:32 ID:iL9mhYa6O
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 238 :名も無きAAのようです:2012/05/30(水) 18:40:56 ID:/ErmuJbI0
- 乙
- 239 :名も無きAAのようです:2012/05/30(水) 19:23:52 ID:5ec0H76UO
- 気になる
- 240 :名も無きAAのようです:2012/05/30(水) 22:55:52 ID:f69.Mqlg0
- おつ
次も待ってる
- 241 :名も無きAAのようです:2012/05/31(木) 11:15:01 ID:5h0xuJ8.0
- 乙!毎回楽しみ
- 242 :名も無きAAのようです:2012/06/11(月) 15:13:34 ID:9OFxCHv.0
- 知らないうちに進んでた!
やっぱり好きだわ面白い
- 243 :名も無きAAのようです:2012/06/22(金) 21:55:05 ID:OpN0H1iU0
- 面白いね。好きです
- 244 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 18:05:39 ID:qQ27xcJ6O
-
なんとなく次の話の流れはできています。
ので、もう少しお待ちください。
生存報告までに。
トリップつければいいんだろうけど、個人的な理由でたぶん今後もつけないです。
すみません。
- 245 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 18:45:09 ID:vcJwv1/c0
- おー待ってるよ
- 246 :名も無きAAのようです:2012/06/23(土) 19:22:37 ID:ROIeqB.w0
- ビロードのAAは直る?
- 247 :名も無きAAのようです:2012/07/10(火) 10:49:08 ID:.4I8QOnYO
- お久しぶりです。
- 248 :名も無きAAのようです:2012/07/10(火) 10:58:50 ID:.4I8QOnYO
-
『ブラクラゲット』。
兄者の、兄者だけが持つ特殊能力。
『経路』にあるあらゆる情報をダブルクリックすると、
その対象が物であれヒトであれソレを構成する『情報』を消滅させる。
この能力は先天的ではなく、父者の引き起こした事件の後遺症のようなもので、
そしてそれはここ数日(特に『塔』に行くことを決めた辺りから)不安定である。
( _ゝ ) 「…」
悪夢を見る。
今日はやけに鮮明だ。
悪夢を見ている。
叫び出したいくらいに、生々しい。
- 249 :名も無きAAのようです:2012/07/10(火) 11:00:09 ID:.4I8QOnYO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
かちかち、と音がした。
.
- 250 :名も無きAAのようです:2012/07/10(火) 11:09:56 ID:.4I8QOnYO
-
彡⌒ミ
( ´_ゝ`) 『やった、やったぞ、ついに『深界』の道が開けた…!』
(´<_` ) 『すごいぞ父者、これでまた皆の生活が便利になる』
( ´_ゝ`) 『…やっぱり父者はすげえや』
l从・∀・ノ!リ人 『わーい、なのじゃ!早く中を見るのじゃ!』
父者が発見した『深界』への道。
それは『経路』を安定化させるためにも使用していた『パソコン』で発見した。
彡⌒ミ
( ´_ゝ`) 『よし、ではさっそく見ようではないか』
言って、父者は画面に写し出された『入り口』にカーソルを合わせ、
かちかち、とクリックした。
- 251 :名も無きAAのようです:2012/07/10(火) 11:20:25 ID:.4I8QOnYO
-
そこからは断片的に記憶している。
『ぎぃゃあぁああぁぁぁぁあああ!!!』
真っ暗になった画面。
『ち、父者ぁアァアァアァァアァぅあぁぁああああ!?』
音もなく消えた父者。
『ぃぎゃぁぅああぁぁあううぁぁぁ誰か誰か兄者妹者たすけ』
弟者の悲鳴が途中でぷっつりと消えた。
『…ぁ、ぅぅぁぁぁ、』
ふと横を見ると妹者が放心状態になっていた。
『…………………………………え?』
ようやく絞り出した声はそれだけだった。
- 252 :名も無きAAのようです:2012/07/10(火) 11:31:57 ID:.4I8QOnYO
-
部屋を割らんばかりの声で目が覚める。
自分の声だと気づくのにだいぶ時間を要した。
( ;_ゝ;) 「…ハァ、ハァ、ハァ、」
涙も流していたらしい。
拭っても拭っても止まらない。
ほぼ連日この夢を見るうちに思い出したことがあった。
父者と弟者を襲った『何か』のことだ。
( ノ_ゝ`) 「…」 ゴシゴシ
アレは最初、ただ画面がブラックアウトしただけだと思い込んでいた。
実際は、違ったのだ。
( ´_ゝ`) 「…『手』」
真っ黒な、大小さまざまな『手』が、まず目の前にいた父者をあっという間に飲み込み、
ついで隣で画面を見ていた弟者に
( ´_ゝ`) 「…」
そこまで思い出して無理やり頭を切り替える。
弟者は今いるではないか、それでいい。
それより今は『塔』だ。
- 253 :名も無きAAのようです:2012/07/10(火) 11:39:02 ID:.4I8QOnYO
-
( ´_ゝ`) 「…?」
弟者を呼ぼうとして、周りが妙に静かなことに気づく。
いつもなら心配して様子を見にくる『老人』もくる気配がない。
( ´_ゝ`) 「…出掛けてんのかな」
呟いてはみたものの、あの『何でも屋』の日課となっているガラクタ漁りの音もしないし、
やはり何かが不自然だ。
( ´_ゝ`) 「…なんだ、この感じ」
気持ちが悪い。
なにか、抜け落ちている。
- 254 :名も無きAAのようです:2012/07/10(火) 11:49:06 ID:.4I8QOnYO
-
なにか致命的なものが欠落したような。
そんな違和感を感じつつ、改めて弟者を呼ぶ。
(´<_` ) 『…』
( ´_ゝ`) 「おはよう、弟者。さっそくなんだけど(´<_` ) 『さっそくなんだが、話がある』
いつも通り『塔』に向かう準備を打ち合わせするつもりだった。
( ´_ゝ`) 「なんだよ、話って。俺の話を遮ってまで話すことなのか?」
(´<_` ) 『ああ、割り込んですまないが、重要なことだ。答えてくれ』
弟者の表情や声色から特に切羽詰まった様子は見えない(元々無表情なせいもあるが)。
こちらも急いでいるわけではないので弟者の方を優先する。
( ´_ゝ`) 「なんだ?スリーサイズや好みのタイプならいくらでも答えるぞ」
- 255 :名も無きAAのようです:2012/07/10(火) 12:00:43 ID:.4I8QOnYO
-
(´<_` ) 『ふざけないでくれ。真面目な話なんだ』
空気を和らげるために冗談を言ってみたのだが、どうやらそのような場合ではないようだ。
うつむいてため息を一つ。
上げた顔を引き締めて、今度は真面目にもう一度。
( ´_ゝ`) 「――――なんだ、弟者。答えられることなら答える」
(´<_` ) 『あぁ、そうしてくれると助かる。
…だが、同時に答えられないと言う返事を期待している』
( ´_ゝ`) 「…?
ずいぶんとまた回りくどい言い方だな」
弟者が慎重なのは今に始まったことではないが、今回はなにか変だ。
もう一度しっかり弟者の顔を見ると、冷静さを装いながらも瞳の奥に困惑とわずかばかりの恐怖がうかがえた。
- 256 :名も無きAAのようです:2012/07/10(火) 12:08:01 ID:.4I8QOnYO
-
( ´_ゝ`) 「…なんだ、言ってみろ」
思わず強い口調で問いただす。
(´<_` ) 『………………………、
ああ、…なあ、兄者』
『…『荒巻』と『またんき』が消えたんだが、心当たりはないか?』
―――――――ああ、なんだ。
ここにきて、ようやく気づく。
―――――――あの時聞こえたあの音は。
起き抜けから感じていた違和感の正体に。
―――――――アレらを『消した』音だったんだぁ。
乾いた笑いが部屋に響いた。
- 257 :名も無きAAのようです:2012/07/10(火) 12:09:00 ID:.4I8QOnYO
-
今日はここまで。
予定とだいぶ違うけど、まあいいや。
ご覧いただき誠にありがとうございました。
- 258 :名も無きAAのようです:2012/07/10(火) 12:25:17 ID:Lyn3h5m60
- 乙
不穏さが増してまいりました
- 259 :名も無きAAのようです:2012/07/10(火) 13:04:50 ID:SSRHbJI.0
- 謎だ、乙。
- 260 :名も無きAAのようです:2012/07/16(月) 17:24:36 ID:PWFZNkpsO
- うひゃあああ運営スレ見たら過去ログ条件2つとも引っかかってたぁぁぁぁ
月一回くらい保守がてら脳内進展状況書き込みますのでぇぇぇぇぇ
…これは真面目にトリップつけなきゃまずいですかね。
- 261 :名も無きAAのようです:2012/07/16(月) 20:13:33 ID:52tJgaj.0
- 別に大丈夫だと思いまっせ。
- 262 :名も無きAAのようです:2012/07/17(火) 13:19:23 ID:Lh4acD8s0
- トリはどっちでもいいと思う
時々生存報告してくれると俺が喜ぶ
- 263 :名も無きAAのようです:2012/07/21(土) 18:48:30 ID:cV9C67h2O
-
点と点を線でつなぐイメージでプロットもどき進行中。
あまりにも遅くなりそうなら番外編でつなぐと思います。
あ、トリップですが、やはりつけないことにしました。
こないだパニクってた自分ハズカシイ。
- 264 :名も無きAAのようです:2012/07/24(火) 21:57:48 ID:ZAyWVbds0
- 無理せずにがんばってください〜待ってます!
擬人化注意
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_451.png
- 265 :名も無きAAのようです:2012/07/25(水) 12:45:16 ID:bafxZZGQ0
- 上手すぎワロワロン
- 266 :名も無きAAのようです:2012/07/25(水) 15:40:30 ID:sGHeEsN6O
- >>264
よくVIPとかで「100万回保存した」とか見るけれど、あれほんとですね。
嬉しくて何度も見てにやついてます、ありがとうございます。
そろそろ話がつながってきたので、隙をついてちまちま投下すると思います。
- 267 :名も無きAAのようです:2012/07/26(木) 21:18:21 ID:UxeDodFoO
- すみません、近々投下出来そうとか言ってましたが延期になりそうです。
話はなんとなく出来ているので、また不意にage始めると思います。
- 268 :名も無きAAのようです:2012/07/26(木) 22:14:51 ID:O2966oMw0
- まったりと待ってるぜ
- 269 :名も無きAAのようです:2012/07/28(土) 17:38:13 ID:/JcVk7wgO
- ※閲覧注意※
今回、多少グロテスクな描写が入ります。
なのでひっそりsage進行。
いつもより更に短いですが、ご容赦下さい。
- 270 :閲覧注意:2012/07/28(土) 17:50:34 ID:/JcVk7wgO
-
薬屋に足を運んだのは、しぃに別れを告げるためだった。
なぜそんなことをしようとしたのかはよく分からない。
起き抜けの出来事があって、『身近な存在があっけなく消滅する』というトラウマがえぐられたからだ、と兄者は考える。
気づけば薬屋の前に立っていた。
ノックをして、しかし返事を待たずにドアを開け、
―――――――兄者はその場で嘔吐した。
- 271 :閲覧注意:2012/07/28(土) 17:51:17 ID:/JcVk7wgO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 272 :名も無きAAのようです:2012/07/28(土) 18:03:18 ID:/JcVk7wgO
-
(; _ゝ) 「ゲェッ、ォエ゛ェェェエェ、ゲボォ、ゴボッ、ォヴ」
何度ものどを詰まらせながら、それでも嘔吐が止まらない。
目の前の『それ』が何か、嫌でも理解してしまう。
それと同時に、「そういえば今日は『豪雨』だなぁ」などと全く関係ないことを思う。
ただの現実逃避だ。
(´<_`;) 「兄者、どうし――――」
『雨』のおかげで『こちら』に来ることができた弟者が心配そうにこちらを覗き込み、
そしてそのせいで弟者もまた『それ』を見て胃液を吐いた。
- 273 :閲覧注意:2012/07/28(土) 18:12:56 ID:/JcVk7wgO
-
――――――二人が見たのは二つの肉塊だった。
(※。q○)
恐らくしぃであったと思われる、カウンターに引っかかるように倒れている『それ』。
_
( ¨ヰ。)
こびりつくように残っている特徴的な布切れでかろうじてジョルジュだと分かる、
分かってしまう『それ』。
どちらも明らかに事切れていた。
そして明らかに異様な死に方だった。
- 274 :閲覧注意:2012/07/28(土) 18:31:38 ID:/JcVk7wgO
-
しぃらしき塊は、身体中のありとあらゆる穴から薬を『噴き出して』いた。
『詰め込まれて』死んだのであれば、まだ異常な性癖を持つ何者かに殺されたのだと説明がつく。
しかし、カプセルや錠剤が『眼球を押し出すように』顔を見せているのはどういうことか。
あり得ないほど開いた口から、鼻から、耳から、ほとんど剥がれかけている爪の間から、
そして何より皮膚の中から、『未だに薬があふれている』のはどういうことか。
(; _ゝ) 「ぁ、ぁぁぁ、ぁ」
ぼこぼこと奇妙に脈動する『それ』は、ざらざら、と音を立てて粉薬、錠剤、カプセルを床に落としている。
(;<_; ) 「げぇ、げぇぇぇぇえぇ、」
しぃだと気づかなければよかったのに、それが彼女の衣服を着ているせいで気づいてしまって、
嫌でも理解してしまう。
- 275 :閲覧注意:2012/07/28(土) 18:51:11 ID:/JcVk7wgO
-
ジョルジュらしき塊は、口元から上を残して『溶けて』いた。
まるで元々そうであったかのように下顎から肉に埋もれ、
その中からジョルジュ愛用の外套や服が見え隠れしていたがためにそれがジョルジュであると認識してしまう。
(; _ゝ) 「…弟者、」
(;<_; ) 「ぁぁぁぁぁぁぁぁ〜…」
―――――どうしてこんなことに。
二人でガタガタ震えながら兄者はひたすら思考した。
- 276 :名も無きAAのようです:2012/07/28(土) 18:52:42 ID:/JcVk7wgO
-
とりあえずここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 277 :名も無きAAのようです:2012/07/28(土) 18:55:18 ID:dxPNRfSQ0
- おおおお…とんでもないことになってきたな
乙です!
- 278 :名も無きAAのようです:2012/07/28(土) 19:25:48 ID:DTk5F/Bo0
- こえええええ!乙!
- 279 :名も無きAAのようです:2012/07/28(土) 19:26:39 ID:dLEH086Y0
- めっちゃ怖い。だが面白い。乙
- 280 :名も無きAAのようです:2012/08/01(水) 17:20:56 ID:YE420NAwO
-
弟者のすすり泣く声を聞きながら、兄者はふと思い立って薬屋のカウンターへ向かった。
足元を見ながら、なるべく壁に沿って。
( _ゝ ) 「…」
時折、ぐちゃ、と何かを踏みながら、それでも足を止めない。
ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ、
――――――ぱきっ。
ねばついた音から、軽い音に変わった。
足元には、薬が散乱していた。
- 281 :名も無きAAのようです:2012/08/01(水) 17:21:41 ID:YE420NAwO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 282 :名も無きAAのようです:2012/08/01(水) 17:38:15 ID:xvC0Jaek0
- あれぇぇぇ?
- 283 :名も無きAAのようです:2012/08/01(水) 17:38:59 ID:YE420NAwO
-
しゃがみこんで足元の薬を見つめる。
いくつか常用している薬を見つけ、それを選り分けて持ってきていた布袋に入れる。
( _ゝ ) 「…」
すぐ横からざらざらと音がする。
兄者は努めて無視をする。
そう言えば、しぃはどこへでかけているのだろうか。
薬の材料でも探しに行っているのだろうか。
( _ゝ ) 「…」
布袋が重くなった。
もう十分だろう。
『仕事場』から持ってきていたありったけのマグネタイトをカウンター横に置いた。
ざらざら、と耳にこびりつく音がする。
- 284 :名も無きAAのようです:2012/08/01(水) 17:55:12 ID:YE420NAwO
-
( _ゝ ) 「…」
行きと同じように足元を見ながら弟者の元へ。
戻るころには弟者も泣き止んでいた。
(´<_` ) 「…兄者、」
弟者が何か言う前に、手をひいて薬屋を出ようとして、
『雨』が止んでいないことに気づく。
( ´_ゝ`) 「…あぶね、忘れるところだった」
薬屋に入る時に脱いでいた、『何でも屋』特製のコート(確か『レインコート』と言っていた)を探す。
( ´_ゝ`) 「あれ、どこ置いたっけ」
きょろきょろと視線を動かす。
(´<_` ) 「…兄者?」
( ´_ゝ`) 「あ、なんだ、弟者持っててくれたのか」
ありがとな、と言って弟者の手からレインコートを取って、それを羽織った。
(´<_`;) 「…………」
( ´_ゝ`) 「…? なんだよ、変な顔して」
- 285 :名も無きAAのようです:2012/08/01(水) 18:07:39 ID:YE420NAwO
-
弟者が、まるで化け物を見るかのように兄者を見ている。
( ´_ゝ`) 「どうした、何か怖いことでもあったのか?」
(´<_`;) 「…兄者、…あ、…その、…大丈夫…なのか?」
『大丈夫』?
何を言っているのだろう。
( ´_ゝ`) 「ああ、大丈夫だよ。
ほら、ちょっと『塔』行く前に薬もらっとこうと思って」
ここには薬を買いに立ち寄ったのだ。
なにもおかしなところは無い。
(´<_`;) 「……………………………ぇ、」
( ´_ゝ`) 「しぃちゃんがいない時は、いつもこうしてるんだ」
そう言えば弟者はこのことを知らなかった。
だから怪訝な顔をしているのだろう。
兄者はそう思った。
- 286 :名も無きAAのようです:2012/08/01(水) 18:18:28 ID:dZFOKcIo0
- こぇぇ
- 287 :名も無きAAのようです:2012/08/01(水) 18:19:42 ID:YE420NAwO
-
(´<_`;) 「兄、者」
( ´_ゝ`) 「さ、買い物もすんだし、妹者のとこに顔出して『塔』へ行こうか」
不安げにしている弟者を安心させようと笑顔を作ってみせる。
後ろの方でざらざらと音がする。
弟者は何か言いたげにしている。
ざらざらと音がする。
兄者は弟者の言葉を待つ。
ざらざらと、うるさい。
弟者がまた泣きそうな顔をしている。
ざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざら
ざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざら
ざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざら
ざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざら
ざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざらざら
――――――――――――――かちかち。
- 288 :名も無きAAのようです:2012/08/01(水) 18:21:54 ID:YE420NAwO
-
( ´_ゝ`) 「さ、行こうか」
.
- 289 :名も無きAAのようです:2012/08/01(水) 18:32:37 ID:YE420NAwO
-
弟者は見ていた。
( ´_ゝ`) 「『雨』強いから、悪いけどゆっくり行こうぜ」
兄者は、カウンターまで『まっすぐ』歩いていた。
( ´_ゝ`) 「いやあ、こんな強い『雨』いつぶりだ?」
カウンターの前のぐずぐずになった『ジョルジュだったもの』を踏みにじり、
『しぃだったもの』から噴き出している薬を袋に詰め、
弟者の手をひいて外に出て、
( ´_ゝ`) 「おぉ、見てみろ弟者、『球体』がトゲトゲだぜ」
―――――――――――「うるさい」と呟いて『薬屋』を『消した』のだ。
- 290 :名も無きAAのようです:2012/08/01(水) 18:50:14 ID:YE420NAwO
-
( <_ ) 「…………………………………」
( ´_ゝ`) 「…なあ、弟者の方こそ大丈夫なのか」
兄者は心配そうにしている。
何事も無かったように。
( <_ ) 「…………………………………、」
何か、言わなくては。
何でもいい、顔を上げて、返事を。
(´<_` ) 「…『大丈夫だ、問題ない』」
―――――――弟者は冗談めかしてそう言った。
- 291 :名も無きAAのようです:2012/08/01(水) 18:50:56 ID:YE420NAwO
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 292 :名も無きAAのようです:2012/08/01(水) 18:58:46 ID:dZFOKcIo0
- おぉぉぉ?
- 293 :名も無きAAのようです:2012/08/01(水) 19:00:11 ID:2vdO9gq.0
- 兄者がとんでもない気がする…乙です!
- 294 :名も無きAAのようです:2012/08/02(木) 00:57:26 ID:JmyNuUxo0
- 兄者が本格的にぶっ壊れてるなぁ……乙!
- 295 :名も無きAAのようです:2012/08/10(金) 07:17:25 ID:f2ltPcf.0
- 何という独裁者スイッチ…
- 296 :名も無きAAのようです:2012/08/14(火) 12:00:40 ID:wmeyDKX.O
-
ざっ、ざっ、ざっ。
二人は歩く。
ざり、ざり、ざり。
二人は前を向いて歩く。
じゃり、じゃり、じゃり。
後ろは、振り向かない。
- 297 :名も無きAAのようです:2012/08/14(火) 12:01:57 ID:wmeyDKX.O
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
…二人は決して振り向かない。
- 298 :名も無きAAのようです:2012/08/14(火) 12:15:41 ID:wmeyDKX.O
-
『塔』へ行く前に妹者にも会っておこうと『施設』へ向かう。
天気は相変わらずの『雨』だ。
( ´_ゝ`) 「…はぁ、『雨』やまねぇかなぁ…」
『雨』さえなければ走って行くのに。
兄者は『球体』を見上げながら呟く。
(´<_` ) 「…」
対して弟者は、無言で兄者の隣を歩く。
( ´_ゝ`) 「…弟者、ほんとどうしたんだよ、しぃちゃんトコ行ってからずっと変だぞ」
(´<_` ) 「…いや、…平気だよ。大丈夫」
そうは言うが、やはり少しおかしい。
違和感が、ノドに引っかかる。
( ´_ゝ`) 「…疲れたらすぐに言えよ、急いでる訳じゃないし」
何か気の利いた言葉をかけられれば良かったのだが、
あいにく持ち合わせがなかったのでありきたりな言葉を選ぶ。
(´<_` ) 「…、ああ」
弟者の手が震えている事に、兄者は気づかなかった。
- 299 :名も無きAAのようです:2012/08/14(火) 12:29:07 ID:wmeyDKX.O
-
―――――――――――――――――――
『施設』まであと少し、というところで異臭が漂い始めた。
生臭い、錆びた鉄のような。
生ゴミをぶちまけたような。
それは『施設』へ近づくにつれて酷くなっていって、二人はしかめた顔を更に歪めた。
(;´_ゝ`) 「…………くっせぇ」
(´<_`;) 「…なんだこれ、うげ」
『施設』から数メートルほどの地点でついに二人は足を止めてしまった。
臭いはわずかに開いた入り口の間から漏れ出ているのがはっきり分かるほどになっている。
(;´_ゝ`) 「なんだよ、なんかの嫌がらせか…?」
口元を腕で隠して、それでも今すぐ嗅覚をもぎ取りたくなるような臭気に耐えつつ言葉を漏らす。
何か言わないとどうにかなりそうだった。
- 300 :名も無きAAのようです:2012/08/14(火) 12:43:31 ID:wmeyDKX.O
-
(´<_`;) 「…妹者に何かあったらどうしよう」
弟者がぽつりと言ったその言葉に、兄者は臭いも気にせず『施設』の中へ駆け出した。
(´<_`;) 「ちょ、兄者、待っ」
兄者が行ってしまった以上、弟者もついて行くしかない。
仕方なく、走り出す。
( ´_ゝ`) 「妹者ー!いも゛、ごぇ」
入り口から数歩進んだところで兄者はおもむろに吐いた。
当たり前だ。
『施設』の中は先の異臭のほかに、床から天井まで真っ赤で、
時折ぴくぴくと動く『何か』があったのだから。
――――――既視感。
- 301 :名も無きAAのようです:2012/08/14(火) 12:51:43 ID:wmeyDKX.O
-
( _ゝ ) 「」
妹者が心配になった。
部屋は、前にレモナに聞いている。
( ´_ゝ`)
駆け出す。
ぐちゃぐちゃと、絶え間なく、湿った泥の上を走る。
途中、身体中に眼が『生えている』男を見た気がする。
途中、異常に腕が伸びてもがいている男を見た気がする。
…途中、全身真っ赤なナニカを見た気がする。
- 302 :名も無きAAのようです:2012/08/14(火) 12:58:37 ID:wmeyDKX.O
-
やっとの事で妹者のいるであろう部屋にたどり着く。
(;´_ゝ`) 「ハァ…ハ、ハ、ハァ、ハ、ハァ」
乱れた呼吸を無理やり整えてドアに手をかける。
(´<_`;) 「あにっ、じゃ、っぐぇ、いきなりっ、どうs」
弟者の言葉を最後まで聞くことなく、一気にドアを開ける。
l从 ∀ ノ!リ人
そこにはベッドから上半身を起こし、うつむいたまま震える妹者の姿があった。
- 303 :名も無きAAのようです:2012/08/14(火) 13:08:58 ID:wmeyDKX.O
-
(;´_ゝ`) 「妹者!」
慌てて駆け寄って妹者の両肩を掴んで揺さぶる。
妹者はガクガクと震える。
(´<_`;) 「兄、者、げぼ、ちょっと、ぅぐ、落ち着、け」
よろよろと弟者も二人に近寄って、壁に手をついてなんとか声をかける。
実際、弟者には兄者に落ち着いてもらう必要があった。
兄者を見失う事は『あり得ない』が、あまりあちこち移動されると精神衛生上よろしくない。
現に今もこうして、
- 304 :名も無きAAのようです:2012/08/14(火) 13:14:49 ID:wmeyDKX.O
-
――――――兄者の足跡やその周辺からデタラメに『生えた』腕や足や爪や眼球や舌や歯や骨や肉が、
.
- 305 :名も無きAAのようです:2012/08/14(火) 13:15:52 ID:wmeyDKX.O
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 306 :名も無きAAのようです:2012/08/14(火) 14:27:16 ID:jG9t0gXA0
- うおお…大変なことになってきたな
おつ。次も期待
- 307 :名も無きAAのようです:2012/08/19(日) 15:51:17 ID:akULmG2cO
- 予測がつかなすぎてハラハラするううう
- 308 :名も無きAAのようです:2012/08/22(水) 16:22:19 ID:qFfCHRQ20
- あにじゃあぁぁ……続きが楽しみだ
- 309 :名も無きAAのようです:2012/08/22(水) 23:48:45 ID:NtaRP6TQO
- 兄者がブラクラぽい
- 310 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 18:05:04 ID:HfFwb2AIO
- 生存報告。
ぼちぼち話も浮かんで来ましたので、暇をついてageると思います。
- 311 :名も無きAAのようです:2012/08/26(日) 22:27:55 ID:1awqK2.s0
- 待ってるぜ投下まではさげとく
- 312 :名も無きAAのようです:2012/08/27(月) 18:33:29 ID:kk9NHfXs0
- 最近人気急上昇じゃん。乙です。
- 313 :名も無きAAのようです:2012/08/29(水) 17:47:45 ID:ZwhnBntwO
-
兄者は安心していた。
肩を揺さぶり、耳元で何度も呼びかけて、しまいには頭や頬を叩いて、ようやく妹者がこちらに気づいたからだ。
弟者は心から安堵した。
なぜかはわからないが、妹者が正気を取り戻した直後、『施設』が一瞬にして―――――少なくともこの部屋は―――――元通りになったからだ。
『彼女』は心底恐怖していた。
、、、、、、、、、、、
―――――思い出してしまったからだ。
- 314 :名も無きAAのようです:2012/08/29(水) 17:48:29 ID:ZwhnBntwO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 315 :名も無きAAのようです:2012/08/29(水) 17:57:23 ID:ZwhnBntwO
-
兄者たちが来る前に『施設』で起きていた出来事を、ぽつりぽつりと話しだす。
―――――事の発端はこの一言だった。
『つーちゃん、ショボン、元気になったのかお?
それなら、また一緒に遊ぼうお!』
たまたま二人が一緒に本を読んでいたところを見かけたブーンが、
『もう病気は治っていたのか』
と勘違いして声をかけたのだ。
もし治っていないのなら、どうせ無反応だからいいや。
その程度のつもりだった。
- 316 :名も無きAAのようです:2012/08/29(水) 18:13:06 ID:ZwhnBntwO
-
しかし、次の瞬間。
二人は今まで見た事もないような形相でぐるりとブーンを睨み付け、
『…オマエ(君)もそう言うのか』
と呟いて、部屋を飛び出してしまった。
ブーンは驚いたが、『きっと病気はもうすっかりよくなっていて、これは何か新しい遊びの最中なのだ』と思いなおし、
それ以上考える事はなかった。
そして遊び相手を追いかけるため、ブーンもその部屋をあとにした。
この時、部屋に本のほかに刃物や鈍器が落ちていた事と、つーとショボンが体のどこかに怪我をしている事、
これらにブーンが気づいていればもう少し事態は変わっていたかも知れない。
しかしブーンは二人にしか意識が向いておらず、また彼にとって怪我は日常茶飯事だった。
―――――だから、何も気づかなかった。
- 317 :名も無きAAのようです:2012/08/29(水) 18:22:54 ID:ZwhnBntwO
-
それから『球体』が少し欠け、ブーンが先ほどの出来事を忘却の彼方へ飛ばしてツンやデレとおままごとをしていると、
部屋につーとショボンが入ってきた。
『お?二人も遊ぶかお?ちょうど『ふりんあいてのだんなさん』役と『あいじんのみぼうじん』役が欲しかったんだお!』
『ねぇ、病気が治ったの?なら一緒に遊びましょ!』
『二人が入るなら、別の遊びがいいかもねー』
ブーン、ツン、デレは口々に声をかけ、なんとかこちらへ来させようとする。
『『……………………………………………』』
それに対して、二人は無言で一歩近づくことで答えた。
- 318 :名も無きAAのようです:2012/08/29(水) 18:33:12 ID:ZwhnBntwO
-
…そこから先は言葉にすれば簡単だ。
地獄絵図、の一言に尽きる。
つーは身体中に隠し持っていた刃物で切り裂き、断ち切り、刺して、刺して、刺した。
ショボンはバットを振り回して、叩いて、潰して、砕いた。
二人は泣きながら、刺して、砕いて、切って、叩いて、裂いて、潰した。
―――――妹者はそれをベッドで『視て』いた。
- 319 :名も無きAAのようです:2012/08/29(水) 18:46:10 ID:ZwhnBntwO
-
そこまで話し終え、妹者は静かに涙をこぼした。
( ´_ゝ`) 「…辛かったな、ごめんな、嫌な事思い出させて」
l从;∀;ノ!リ人 「………ぅぅん」
(´<_` ) 「妹者が無事で、本当によかった」
本当に。
兄者が妹者の頭を撫でるのを見ながら、弟者は再び心から安堵した。
( ´_ゝ`) 「…妹者、一緒に『塔』へ行こう。俺たちが、今度こそ必ず妹者を守るから」
今度こそ。
弟者が妹者の震える手を優しく握るのを見ながら、兄者は力強くそう言った。
- 320 :名も無きAAのようです:2012/08/29(水) 18:51:53 ID:ZwhnBntwO
-
l从;∀;ノ!リ人 「…ダメなの、私は行けないの…」
しかし『彼女』はうつむいてそう言った。
( ´_ゝ`) 「…?」
(´<_` ) 「…なんでだ、妹者」
l从;Д;ノ!リ人 「だ、だって、私は『貴方たちに名前を思い出してもらってない』!」
わっ、と声を上げて泣きながら、『彼女』は続ける。
l从;Д;ノ!リ人 「『塔』に入れるのは『本当の名前』を『貴方たち』が知ってる存在だけ!
わ、私は思い出してもらってないの!」
(;´_ゝ`) 「何を言ってるんだ、お前は妹者――――――」
兄者の言葉を遮るようにして続けられた『それ』は、
- 321 :名も無きAAのようです:2012/08/29(水) 18:56:54 ID:ZwhnBntwO
-
l从;Д;ノ!リ人 「思い出してよ!私の名前は」
―――――――都村トソン!
…彼らの記憶を呼び覚ました。
- 322 :名も無きAAのようです:2012/08/29(水) 18:57:42 ID:ZwhnBntwO
-
今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 323 :名も無きAAのようです:2012/08/29(水) 18:58:18 ID:kBDTeTcw0
- ナンダッテー!乙!
謎は深まるばかりだ……
- 324 :名も無きAAのようです:2012/08/29(水) 19:39:24 ID:C/cFq9C6O
- どういうことなの…
- 325 :名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:35:57 ID:jjg8I/qc0
- 乙まさかのトソンin妹者
- 326 :名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 02:00:55 ID:EY3P.exw0
- 顔のパーツが掠りもしてねぇ……
- 327 :名も無きAAのようです:2012/09/01(土) 17:23:09 ID:WARIb7ooO
-
兄者の家族は多い。
( _ゝ ) 「……………」
肝っ玉母さんの母者。
普段は母者の尻に敷かれているが、いざというときは頼りになる父者。
( <_ ) 「……………」
しっかり者で優しい姉者。
双子の弟で、兄者の一番の理解者の弟者。
( _ゝ ) 「……………あぁ、そっか」
俺
『流石 兄者の家族は、全部で五人だ。』
- 328 :名も無きAAのようです:2012/09/01(土) 17:24:16 ID:WARIb7ooO
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
妹が欲しいな、と思ったことがある。
- 329 :名も無きAAのようです:2012/09/01(土) 17:39:22 ID:WARIb7ooO
-
兄者が納得したように呟いた瞬間、『妹者』の体がデジタル記号のノイズに包まれた。
弟者と二人、無表情でそれを眺める。
( _ゝ ) 「……………」 ( <_ )
ザザザ、という耳障りな音が、ジジジ、チリチリ、と小さくなっていくにつれ、
記号のノイズが霧散していく。
ノイズが消え去るころには『妹者』はもうそこにはおらず、
変わりに一人の女性がいた。
(;、;トソン 「……………ぁぁ、」
都村 トソン。
そう名乗った彼女は、小さく呻き声を上げて静かに涙を流している。
- 330 :名も無きAAのようです:2012/09/01(土) 17:48:03 ID:WARIb7ooO
-
(;、;トソン 「…思い出して、くれた」
こぼれる涙を拭うこともせず、トソンは独り言のように言った。
(;、;トソン 「…私も、思い出したのは、ついさっきだったの」
( _ゝ ) 「……………」
(;、;トソン 「思い出したく、なかった。
でも、無理やりこじ開けられた」
言葉がうまくまとまらないらしい。
たどたどしく紡がれるそれは、それでも必死に二人に何かを伝えようとしている。
(;、;トソン 「兄者くん、弟者くん、私は」
( _ゝ ) 「もういい」
それを遮る兄者の声は静かだったが、奇妙な威圧感があった。
- 331 :名も無きAAのようです:2012/09/01(土) 18:01:24 ID:WARIb7ooO
-
(;、;トソン 「ヒ、」
( _ゝ ) 「…お前も一緒に『塔』に連れていく。
拒否権は無い。来い」
無機質にトソンに告げる。
まるでそれが死刑宣告であるかのように、彼女はガチガチと歯を鳴らしながら聞いている。
(;、;トソン 「…ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめ」
( _ゝ ) 「うるさい」
兄者の言葉に合わせて弟者がトソンを殴った。
ごっ、という重い音。
- 332 :名も無きAAのようです:2012/09/01(土) 18:11:08 ID:WARIb7ooO
-
鳩尾に一発。
( Д ;トソン 「がっ、は」
( _ゝ ) 「お前のせいで」
どごっ。
(;д;トソン 「げぼっ、ごぇ」
脇腹に一発。
( <_ ) 「俺たちは」
どっ。
( Д ;トソン 「あがっ、ぐ」
こめかみに一発。
( ゚_ゝ゚) 「『あんな事』をさせられたんだ!」 (゜<_゚ )
どがっ。
―――――ベッドの壁に叩きつけるように一発。
- 333 :名も無きAAのようです:2012/09/01(土) 18:27:59 ID:WARIb7ooO
-
気絶したトソンの髪の毛を掴んで、兄者は強引にこちらに引き寄せる。
( ゚_ゝ゚) 「お前が、中途半端な情けをかけて俺たち『四人』を巻き込んだせいで」
耳元で、唸るような低い声で。
(゜<_゜ ) 「俺たちはしたくもない『創世』なんぞの手伝いをさせられて」
絞り出すように、忌々しげに。
( ゚_ゝ゚) 「家族も友達も殺す羽目になって」
わなわなと、怒りに震えながら。
一拍の静寂をおいて。
( ゚_ゝ゚) 「「だからオマエだけは例え死んでも殺し続けると決めていた!!!」」 (゜<_゜ )
―――――二人はトソンに『ぎらぎらと光る紅い瞳』を向けて声を張り上げた。
- 334 :名も無きAAのようです:2012/09/01(土) 18:29:59 ID:WARIb7ooO
-
短いですが今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 335 :名も無きAAのようです:2012/09/01(土) 18:31:14 ID:fJl011Hg0
- 乙
怖えよ…
- 336 :名も無きAAのようです:2012/09/01(土) 18:44:41 ID:aZKY8pPQ0
- 乙です
と……トソン………
- 337 :名も無きAAのようです:2012/09/01(土) 20:08:07 ID:uYpLlXzM0
- 乙
迫力あるな
- 338 :名も無きAAのようです:2012/09/01(土) 21:01:22 ID:VYHEpD.E0
- 乙
こええ……
赤い目ってのも気になるな
- 339 :名も無きAAのようです:2012/09/05(水) 10:06:46 ID:HY0DLgmM0
- スマホに変えたらホスト規制されてました。
規制解けるまでちょっとお休み。
- 340 :名も無きAAのようです:2012/09/07(金) 17:46:47 ID:09GChQDI0
- りょーかいです。
- 341 :名も無きAAのようです:2012/09/07(金) 18:15:30 ID:AtVkxm/sO
- これは最初から読み返さないと!
- 342 :名も無きAAのようです:2012/09/13(木) 13:47:14 ID:psKRSu.sO
- うげえ…
- 343 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 17:09:29 ID:TjfMef0M0
- PSPで投稿できてスマホはダメとか鬼畜過ぎる
いい加減脳内プロットが薄れてきたので大人しく書き溜めます・・・
- 344 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 18:55:03 ID:h68KbDm20
- とか言ってる間に書き込みできるようになりました。
またちらほら頑張ります。
- 345 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 19:06:05 ID:v5ITzgjA0
- 待ってるよー
- 346 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 22:40:02 ID:l.TaVl0g0
- 待ってる
- 347 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 22:55:56 ID:kh7NyrnIO
- これは楽しみすぎる
- 348 :名も無きAAのようです:2012/09/17(月) 22:57:26 ID:k9PnPdBQ0
- 舞ってる
- 349 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 16:02:23 ID:3iHQEPHA0
- 本当に、お久しぶりです。
- 350 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 16:15:52 ID:Ce3FznqA0
-
( ´_ゝ`) 「……………」
(´<_` )「……………」
(;、;トソン 「……………」
三人は『塔』へと歩みを進める。
トソンのすすり泣く声以外、無言だ。
( ´_ゝ`) 「……………」
(´<_` ) 「……………」
黙々と歩くその姿は、まるで虜囚と処刑人のようだ。
それなら『塔』は処刑場か。
( ´_ゝ`) 「…我ながら上手いこと言ったな
その呟きは誰にも聞こえることはなかった。
- 351 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 16:17:05 ID:Ce3FznqA0
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 352 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 16:28:30 ID:rPSAkW6w0
-
トソンのすすり泣く声を鬱陶しく思いながら、ふと沸き上がった疑問を弟者に投げ掛ける。
( ´_ゝ`) 「なぁ、何でこんなことしたんだっけ?」
(´<_` ) 「『こんなこと』?」
( ´_ゝ`) 「ほら、こいつのこと」
言いながらトソンの肩を叩く。
びくりと体を強張らせるのも鬱陶しい。
(´<_` ) 「あぁ、それな。
それはほら、あの時に『あの方』に」
( ´_ゝ`) 「…あぁー、そうだったな、そうだ、あぁー」
言われて思い出すレベルで『忘れてた』んだなぁ、と兄者は一人ごちる。
- 353 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 16:41:48 ID:i2.te8xQ0
-
( ´_ゝ`) 「『もうこれ以上人を殺したくないんです』」
トソンの肩が跳ねる。
(´<_` ) 「『もう、人殺しは疲れました』」
ガチガチ、歯と歯がぶつかる音がする。
( ´_ゝ`) 「『友人殺して、家族の皮被った化け物殺して、その元凶殺して』」
ぁぁ、と呻く声。
(´<_` ) 「『俺たちを巻き込んだやつだけ、結果的に生き残ったけど』」
( ´_ゝ`) 『もう、そいつを殺すのが面倒になったんです』 (´<_` )
やめて、と小さな声がした。
- 354 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 16:53:13 ID:CxvcMkV20
-
―――――殺すのが面倒になったから、また殺す気になるまでこのままにしといて下さい。
―――――それは構わないが、ただそれだけじゃあ面白くないだろう。
―――――じゃあどうすれば。
―――――その殺意を一旦忘れて、『前の世界を模したヒトガタ』と『前の世界と同じように』暮らしてみたらどうだ?
―――――はぁ。
- 355 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 17:05:12 ID:wyF6jLAo0
-
―――――そうだ、ついでにこれを『家族』にしてしまえはいい。
―――――いくら『貴方』のような方でも、言っていいことと悪いことがあります。
―――――そうか?いいアイデアだと思うぞ、殺したいほど憎い相手が『家族』になっていた。
『思い出した時』の憎悪はただ『忘れていた』時のそれよりはるかに大きいと考えられる。
―――――……………。
―――――こちらとしては、面白くなってくれればいいんだよ。
ただ殺意がよみがえるまで待てと言われても、それはつまらない。…どうかな?
- 356 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 17:08:03 ID:wyF6jLAo0
-
―――――あぉ、それは面白いですね。何でそこに頭が回らなかったんだろう。
.
- 357 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 17:19:21 ID:GH2isdB.0
-
その思考はもはやヒトのそれではない、とは微塵も思わなかった。
ただ、それでもヒトでありたかった元・人間は、ひとときの間だけでもヒトとして生きたいと願った。
―――――ただ、それだけのことだ。
- 358 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 17:36:04 ID:yHzeYr660
-
気づけば『塔』は目前だった。
( ´_ゝ`) 「…ようやくだな」
(´<_` ) 「ああ、ようやくだ」
今一度、万が一にでもトソンが逃げ出さないように襟首を掴む。
ひ、とひきつった声をあげ、彼女は身をすくませた。
( ´_ゝ`)「…地下の、歪んだ回廊の近く、だったな」
(;、;トソン 「そ、そうよ、そこに…」
(´<_` ) 「案内人がいるんだろ」
つまらなそうに言うと、弟者はトソンを殴った。
意味はない。
ただ、なんとなくトソンに道案内されている気がして腹が立っただけだ。
( ´_ゝ`) 「動かなくなったら面倒だからその辺にしとけ。
…行こう」
兄者がそう言うと、『塔』の壁の一部―――――ちょうど兄者たちの目の前―――――が一瞬歪み、ぽっかりと空洞ができた。
どうやらこれが入り口らしい。
- 359 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 17:45:33 ID:VMc9nrC.0
-
( ´_ゝ`) 「…もう待ちくたびれてるってよ。
『あの方』も相当お暇らしい」
肩をすくめてそう言って、兄者は『塔』へと踏み出した。
(´<_` ) 「ここまで来てちんたらやってても仕方ないか。
…ほら、行くぞ」
トソンの襟首を掴んだままの弟者は、彼女を引きずるように兄者のあとに続いた。
- 360 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 17:49:59 ID:VMc9nrC.0
- 今日はここまで。
IDめちゃくちゃ変わってる。
まあいいや、ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 361 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 17:51:32 ID:C1yPdM.60
- 乙
じりじりクるなあ
待ち甲斐があるぜ
- 362 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 17:52:34 ID:7eduH.460
- 乙
続き気になるぜ
- 363 :名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 20:31:07 ID:sPJkvDto0
- やめたげてよぉ
- 364 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 11:13:11 ID:GHcCX/5M0
- あれ……なんで俺勃起してるんだ……?
- 365 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 12:43:38 ID:oHYdcZ6M0
- だ、誰か俺に分かりやすく説明してくれ。
面白い話だけど内容が少しわからない
- 366 :名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 20:41:59 ID:pj1ljavc0
- 流石にこのタイミングでの説明は予想と同じだと思うの
>>1がはっきり書くまでもう少し見届けるべきだと思うの
- 367 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 16:52:38 ID:R6HVMSbk0
-
『塔』の内部は平面的で奥行きがあり、上へ行くためには下らなければならない(もちろんただ下るだけでは上れない)。
逆に言えば下りたければ適当に上がればある程度まで下りることができる。
( ´_ゝ`) 「さて、次はどっちだったかな」
久しぶりだからよく覚えてないな、と思いながら先ほどまで壁だった通路を歩く。
(´<_` ) 「次はそこのタイルに乗って移動」
( ´_ゝ`) 「弟者よく覚えてるな…」
(´<_` ) 「『経路』暮らしが長かったからな、ここの『情報』を無意識に拾ってた」
( ´_ゝ`) 「何そのチート、欲しい」
(´<_` ) 「兄者も似たようなもんだろ…」
間に首根っこを掴まれたトソンを挟んで、二人は会話する。
- 368 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 16:53:24 ID:d47mpn7A0
- きたー!支援
- 369 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 16:54:10 ID:R6HVMSbk0
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
『雨』は、止んでいる。
- 370 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 17:09:40 ID:JHMhsF5I0
-
タイルに乗って、縦に移動する。
どちらが『上』かは、もう分からない。
( ´_ゝ`) 「…なぁ、都村さんよ」
(;、;トソン 「ヒィッ!?」
急に声をかけられ、トソンはか細い悲鳴を上げた。
ああ、面倒くさい。
( ´_ゝ`) 「…いちいちわめくなよ、だから殴りたくなるんだろうが」
(;、;トソン 「ご、ごめんなさい、ごめ」
無言で拳を振り上げる弟者を目で諌め、言葉を続ける。
( ´_ゝ`) 「…あんたは確か、『前の世界』で『天地教』とか言うカルトにハマってたんだっけか」
面倒だが、なるべく優しい声色を作る。
何でこいつに優しく声をかけなければならないのか、とも思うが、
そうしないと会話ができないので仕方ない。
- 371 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 17:22:41 ID:sAlSNy/c0
-
トソンは一瞬何かを考える素振りを見せ、やがて涙を拭って兄者に顔を向け、
(゚、゚トソン 「…そうよ、私は以前『天地教』に所属していた」
と声を上げた。
( ´_ゝ`) 「…それで、同じ信者だった『宿禰 浪漫』と知り合った」
兄者は確認するようにトソンに言葉を投げ掛ける。
トソンも、若干声を引きつらせながらそれに答える。
(゚、゚トソン 「…そう、ロマと知り合って、そして彼の天地教の教えと異なる思想に惹かれていった」
- 372 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 17:42:58 ID:yaymfSOI0
-
『人は神と悪魔のなり損ないであり、両方の声に耳を傾ければどちらにも生まれ変わることができる』
『天地教』なるカルト集団は、このような教えのもと活動していた。
敬虔な信者もそうでない信者も、『何かに変わることができる』という点を信仰していることにはかわりなかった。
しかし、その中にあって『宿禰 浪漫』という男はこの教えに異を唱えていた。
( ФωФ) 『なぜ、なり損ないである我々が『神や悪魔の声に耳を傾け』ねばならぬのだ?
なぜなり損ないに『生まれ変わる』という言葉を使うのだ?
我々は『なり損ないから生まれ変わる』のではなく『より完全な存在に成る』のであろう!』
- 373 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 17:57:35 ID:H.CrSqEM0
-
もちろん、このようなことを教団内で言ってしまえばよくて異端扱い、悪くて破門である。
他者とは異なる思想を持ちはしていたが熱心な信者であった宿禰は、
周囲の冷ややかな視線に耐えながらも、それでも己の思想を受け入れて貰いたいがために様々な文献を読み漁る、
そんな日々が続いた。
(゚、゚トソン 「…そして彼は見つけたの、『新しい世界』を創りだす方法を」
どの国の言葉にも当てはまらない謎の言語で書かれた、皮の装丁の一冊の本。
宿禰はまるで暗号のようなそれを半年かけて解読し、そしてそれが自分の理想の手助けになることを知った。
- 374 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 18:16:42 ID:9UHTzlXU0
-
( ФωФ) 『やった、私は遂に見つけたのだ!
人が、更なる高みへ進むための第一歩を!』
宿禰はさっそく『それ』を成すために必要な儀式を始め、必要となる贄を探した。
( ´_ゝ`) 「…そこであんたが出てくる訳か」
半ば呆れた様子で、兄者は合いの手を入れる。
トソンは兄者の軽蔑の眼差しに気づかない。
(゚、゚トソン 「…ええ、当時、私は彼を影ながら支援していた。
彼の悲願のためなら命も惜しくなかった」
『昔』を思い出しているのだろう、悲しげな笑みを浮かべている。
- 375 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 18:18:40 ID:3kKQtNOs0
- お、来たか
- 376 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 18:24:37 ID:FKWDYumY0
-
―――――ああ、その微笑みに俺たちは騙されたのだ。
気づくと二人はトソンの首を締めていた。
―――――ぽきり。
- 377 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 18:26:26 ID:FKWDYumY0
- 短いですが今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 378 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 18:33:10 ID:OmWTrFTA0
- 乙
どんどん不穏さが増していく…
- 379 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 18:40:12 ID:3kKQtNOs0
- 乙
相変わらず面白いな
- 380 :名も無きAAのようです:2012/09/21(金) 23:42:17 ID:iq927wt.0
- そろそろ置いていかれそうだから読み返すわ
おつ
- 381 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 18:19:08 ID:tBolahEw0
-
みち、ぐちゃ、ぽきっ。
( ´_ゝ`) 「なぁ、覚えてるか、荒巻」
めり、ぷちゅ、ごき。
(´<_` ) 「ああ、アレがどうした」
にちゃ、ごぽっ、ばきばき。
( ´_ゝ`) 「アレな、『この世界』になる時、ちょうど半分『この世界』から外れてたんだと」
ぱき、めりめり、ぶちん。
(´<_` ) 「そうか、だからあんな変なヒトガタだったんだな」
ぶち、ぐちゃ、がつん。
二人はそんな話をしながら歩く。
歪んだ回廊はもうすぐそこだ。
( ´_ゝ`) 「さて、『案内人』はどこかしらっと」
(´<_` ) 「すぐ見えるところにいるだろ、常識的に考えて」
二人の会話に割り込む者はいない。
『トソンだったもの』は、足元に散らばっている。
- 382 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 18:20:23 ID:tBolahEw0
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 383 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 18:36:28 ID:w7tzpKBc0
-
トソンを普通に縊り殺してしまい回廊までの道のりが手持ちぶさたになってしまった二人は、
とりあえず適当に解体する事にした。
そして小さくちぎった『トソンだったもの』は歩きながら落として、とりとめのない会話をしながら回廊へ。
( ´_ゝ`) 「ヘンゼルとグレーテル、なんちゃって」
(´<_` ) 「それ俺も思ってた」
別に帰る訳じゃないけど、と付け加える。
( ´_ゝ`) 「しかし『案内人』とやらは見えてこないな」
(´<_` ) 「そうだな、距離的にはもう見えててもいいんだが
歪んだ回廊の近くを何度見回しても、ヒトの気配はない。
- 384 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 18:44:55 ID:LCRVc5RQ0
-
結局、回廊には誰もいなかった。
( ´_ゝ`) 「あいつがこんな下らない嘘を俺らに吐くメリットはないはずなんだがなぁ」
(´<_` ) 「殺しちまったから真実は闇の中、か」
こんな事ならもう少し生かしておくべきだったか、と考えていると、どこからともなく声が響いた。
「よう、お二人さん。ずいぶんと久しぶりだな」
「……久しぶり、『私たち』」
…聞こえてきた声は、とても懐かしいものだった。
- 385 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 18:56:09 ID:RAtxccec0
-
( ゚_ゝ゚) 「……………!?」
(´<_`;) 「…嘘だろ、おい」
「おいおい、旧友にその言いぐさはないだろ。もっとこう、崇め讃えろよ」
尊大な口調の男の声。
「…『私』が忘れるなんて、あり得ないよ。…だって、『私』なんだよ?」
控えめな声で、自己中心的な事を呟く女の声。
どちらも二人を知っていて、二人も相手を知っていて。
しかし二度と会う事はないと思っていた。
なぜなら両方とも二人がその手で殺したからだ。
『当時』はまだ殺『人』に抵抗があった上に相手が昔からの友人であったため、嫌でも覚えている。
- 386 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 19:04:05 ID:ucyws4Mc0
-
( _ゝ ) 「…顔を、見せろ」
「おぉ、怖い顔しちゃって。 …心配しなくてもすぐにそっち行くよ」
男の声は兄者をからかうように嗤う。
「…『兄者という私』は、そんなに怒りっぽかったかな。 …まあいいか、結局『私』なんだし」
女の声はどこまでも不思議そうに一人ごちる。
そして奇妙に響く足音が2つ。
- 387 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 19:10:40 ID:d9pwYhF6O
- 支援支援
- 388 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 19:16:56 ID:/wRBpKj60
-
最初に見えたのは男の方だった。
( ・∀・) 「…よぉ」
明るい茶髪、整った目鼻立ち。
十人いれば十人が振り向くような、そんな空気を纏った男。
続いて現れたのは、
从'ー'从 「…お久しぶり、『流石兄弟の私』。私の事を覚えているかしら?私は『私たち』の事を忘れた事はなかったわ」
肩で跳ねた髪が特徴的な、柔和な雰囲気の女(もしここにジョルジュがいたら歓喜していただろう)。
( ゚_ゝ゚) 「………どう、して」
気が動転した兄者が出した声は薄っぺらな疑問だった。
- 389 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 19:23:20 ID:tBqioaas0
-
渡辺 入(はいる)。
宝名 茂良。
二人は兄者と弟者の友人であり、
(´<_` ) 「…なんだ、あれだけ派手にやり合ったのに生きてたのか」
―――――『以前』お互いの全てを賭けて殺し合い、勝利したはずの人間だった。
- 390 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 19:24:33 ID:tBqioaas0
- 今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 391 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 19:57:16 ID:/ObmwE4o0
- 渡辺の名前聞いてたのは貴方かな?乙。
- 392 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 21:18:11 ID:xWnGXHygO
- おつー
更にこんぐらがってわくわくしてきたぞい
- 393 :名も無きAAのようです:2012/09/23(日) 22:18:25 ID:.b1APudo0
- おつつ
- 394 :名も無きAAのようです:2012/09/25(火) 13:40:33 ID:AWGFq3m.0
-
どことも知れない通路を、渡辺と宝名に導かれながら歩く。
( ・∀・) 「…さっきの答えだけどな」
ぽつり、宝名が呟く。
( ・∀・) 「オレらは、別に生き返った訳じゃねぇんだよ」
どういうことか、と問う前に、今度は渡辺が口を開く。
从'ー'从 「…私たちはね、『魔人』を『あの方』の所まで案内するためにちょうどよかったの。
『案内人』は目立つようにプラカードを持っているでしょう?」
( ´_ゝ`) 「それと生き返った訳ではないことと繋がらん」
兄者がそういうと、宝名は「そんなことも分からないのか」と言わんばかりにため息をつき、
( ・∀・) 「つまりだな、オレらは案内するためだけにお前らの記憶を使って構成された『情報の寄せ集め』なんだよ」
と吐き捨てた。
- 395 :名も無きAAのようです:2012/09/25(火) 13:41:37 ID:AWGFq3m.0
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 396 :名も無きAAのようです:2012/09/25(火) 14:02:12 ID:RgwpTnzY0
-
(´<_` ) 「…『あの方』はなんだってわざわざそんな真似を」
( ・∀・) 「…そんなことしてまで、自分のトコまで来て欲しいから、だろ。
『魔人』になってからそこまで頭回らなくなっちまったのか?」
宝名は弟者を挑発するように喋る。
冷静な風を装ってはいるが、弟者は兄者より短気ですぐに手が出るのを宝名は知っている。
案の定、宝名に殴りかかろうとした弟者を兄者が止める。
( ´_ゝ`) 「…俺らの記憶の寄せ集め、か。
確かにお前は『昔』からそうだったな」
兄者が止めたのが面白くなかったのか宝名はふん、と鼻を鳴らし、
( ・∀・)「それだけか?オレの記憶は。
違うだろ、『昔』っていうのは」
从'ー'从 「…『私たち』が崇高な存在に昇華したことも含めて『昔』、だよね」
渡辺の控えめな、しかしどこか図々しい言葉が記憶の片隅を突つく。
- 397 :名も無きAAのようです:2012/09/25(火) 14:31:34 ID:Chj2sFao0
-
( ´_ゝ`) 「…自分のエゴ丸出しの姿を『崇高』…ねぇ」
ただ自分の都合のいい世界を創りたいがために、その身に余るマグネタイトと贄を使い、
自分はその『理想』のみを信じるだけの『カミサマモドキ』に変化する。
兄者にはそれが崇高であるとはとても思えなかった。
( ´_ゝ`) 「そんな『崇高』なら、俺はそれを消去したいね」
言った途端、空気が凍りつくのを感じる。
しかし兄者は訂正する気はなかった。
- 398 :名も無きAAのようです:2012/09/25(火) 14:46:21 ID:dflhGGXI0
-
( ´_ゝ`) 「そんなことで腹立てるなら、やっぱりお前らはその程度の思想しかなかったんだよ、だから俺らに負けた」
兄者が言う間に、二人はジジジ、とノイズに身を隠していった。
(´<_` ) 「…ふん」
弟者はまたか、と言わんばかりにノイズを睨み付ける。
(´<_` ) 「衣替えのバリエーションも、こうワンパターンじゃ飽きるな」
( ´_ゝ`) 「そう言うな、俺らの『情報』のイメージに『あの方』があわせて下さってるんだから」
兄者の言葉に弟者は驚いた様子で、
(´<_`;) 「…え、だからこんなデジタルなの?」
と間抜けな声を上げた。
兄者はやれやれ、と肩をすくめ、
( ´_ゝ`) 「『あの方』はそれだけ俺らに興味がおありなんだろ」
と嘯いた。
- 399 :名も無きAAのようです:2012/09/25(火) 15:04:17 ID:RZqjyyss0
-
弟者が『衣替え』と称した通り、ノイズのあとに現れた顔は先ほどのそれとは違った。
イ从゚ ー゚ノi、 「…こんなに美しく気高いワタシのことを」
宝名だったそれは銀色の髪と瞳が美しい、背に真っ白な翼を三対生やした『天使モドキ』に。
从 ゚∀从 「…こんなに孤独で孤高な私のことを」
渡辺だったそれはどこまでも黒く濁った瞳と空気の『狂神モドキ』に。
そして同時に、
『消去したいなどと、なんと愚かなことを言うのか』
と人ならざる声を上げて二人を睨めつけるのだった。
- 400 :名も無きAAのようです:2012/09/25(火) 15:06:07 ID:RZqjyyss0
- 今日はここまで。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 401 :名も無きAAのようです:2012/09/25(火) 15:29:35 ID:bbwf13xU0
- 乙
話が明らかになってきたような余計謎が増えたような
続きが気になる
- 402 :名も無きAAのようです:2012/09/25(火) 15:30:09 ID:Qwy1mOEk0
- 乙!
益々わけわからんな!面白い!
- 403 :名も無きAAのようです:2012/09/25(火) 16:46:35 ID:OKx1neug0
- 今日読みはじめたけど、面白くて止まらんかったわ
世界観がメガテンぽくていい雰囲気
あと、ロマの名字なんて読むんだ?
- 404 :名も無きAAのようです:2012/09/25(火) 16:54:57 ID:OKx1neug0
- >>403さん
ID変わりまくってますが>>1です。
ロマの名字は すくね と読みます。
ロマネスク→スクネ ロマ→宿禰浪漫
渡辺さんの名前より読みにくいのにふりがな書かずに申し訳ない。
- 405 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 19:49:14 ID:EpG4YvAE0
-
きっかけは、ただの好奇心。
(*・∀・) 『なあなあ、あの俳優の『宿禰 浪漫』がここに来てるらしいぜ!』
知り合いから、大物俳優が近くのホテルに来ていると聞かされて。
从*'ー'从 『そうなんだぁ、今行けばサインとかもらえるかなぁ?』
そんな浮わついた気持ちで向かったホテルはなぜか無人。
(;´_ゝ`) 『…なんかおかしくないか、このホテル』
メールに導かれてたどり着いた先で、『ナニカ』に襲われ。
( ФωФ) 『…我が理想の邪魔をする者は誰であろうと排除するまで』
命からがら逃げ出してみれば、突如として何もかもが歪んで気を失い。
―――――そして、訳もわからず『創世を成せ』と言われたのだ。
- 406 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 19:50:21 ID:EpG4YvAE0
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 407 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 20:02:17 ID:H0A5KbRs0
-
イ从゚ ー゚ノi、 「最初は意味がわからなかった。ただ、それをすれば元の場所に戻れると理由もなく信じていた」
三対の翼をはためかせ、宝名だったモノ―――――背徳天モララエルは呟く。
从 ゚∀从 「だけど、化け物から逃げ惑う内に『もう元の世界には戻れない」と気づいてしまった」
モララエルの言葉を引き継ぐように、渡辺だったモノ―――――狂神ハインリッヒは口を開く。
( ´_ゝ`) 「俺たちは最初から選択肢なんてなかった」
(´<_` ) 「ただ、『誰かの理想の手助けをすること』しかできなかった」
最後に兄者と弟者が悔しげに言葉を紡ぎ、しばしの沈黙が訪れた。
- 408 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 20:12:09 ID:6N3wx4nY0
-
イ从゚ ー゚ノi、 「…ワタシは力の無さを呪った。同時に、この世界には美しさが足りないと嘆いた」
モララエルが呪詛のように。
从 ゚∀从 「私は誰かを頼りたかった。誰かに救って欲しかった。どちらもできないと悟った時、結局全ては『私』で完結すると理解した」
ハインリッヒが歌うように。
( ´_ゝ`) 「俺たちは皆とこんな世界から逃げ出したかった」
(´<_` ) 「だけどそんなことをするより全てを破壊する方が簡単だと教えてもらった」
兄者と弟者は何の感情も込めず。
それぞれ『過去』を振り返る。
- 409 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 20:21:49 ID:6/BeuASI0
-
イ从゚ ー゚ノi、 「力が足りないなら弱き者から奪えばいい。美しくないのなら醜い者は殺せばいい」
从 ゚∀从 「『私』は一人。『私』は『私』と会話する。だから世界には『私』しかいない」
( ´_ゝ`) 「壊すことを決めてからは楽だった。適当な誰かの『理想』に賛同するフリをすればそれで事足りた」
(´<_` ) 「最後の最後、『神の代行者』を殺して『あの方』が望む『黄昏』を促せれば、それで俺たちの役目は果たせたから」
噛み合わない会話は途切れることなく、歩みも止まることもなく。
背徳天と狂神が先導する道を魔人が進む。
- 410 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 20:30:46 ID:7bX0mYl20
-
イ从゚ ー゚ノi、 「…だけど願いは叶わなかった。美しい者、強い者だけに生きることを許された世界の創造は、たった二人の魔人に阻まれた」
从 ゚∀从 「『私』しかいないはずの世界。なのにそこには『魔人』と言うイレギュラーがいて、『私の世界』を否定して、『私』の理想は粉々になった」
( ´_ゝ`) 「『カミサマモドキ』どもを倒したあと、ようやく『代行者』への道が開けた」
(´<_` ) 「だけど、『カミサマモドキ』にすらなれなかった屑の存在を思い出した」
かつかつ、こつこつ。
幾度目かの曲がり角を曲がる。
- 411 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 20:37:40 ID:mHQ5BF0Y0
-
イ从゚ ー゚ノi、 「そして今の『この世界』ができた」
从 ゚∀从 「魔人が殺し損ねた存在を気持ちよく殺すための世界」
―――――そして、魔人に『選ぶ機会を与えるためだけの世界』。
背徳天と狂神が声を揃えてそう言って、ぴたりとその足を止めた。
- 412 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 20:40:56 ID:mObF/l/I0
- 着いたか…?
- 413 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 20:42:42 ID:vgrX/wr20
-
目の前には歪んでか奇妙に脈動する壁らしきモノがある。
イ从゚ ー゚ノi、 『―――――さあ、選ぶといい、魔人よ』 从 ∀゚从
( ´_ゝ`) 「…何を、今さら何を選べと」
兄者が言う。
―――――分かっているのに、それでも問いかけた。
- 414 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 20:44:05 ID:vgrX/wr20
-
1.『黄昏』に参加する
2.『黄昏』に参加しない
.
- 415 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 20:46:26 ID:vgrX/wr20
- 今日はここまで。
『魔人』の皆様、お好きな方をお選び下さい。
明日の今頃まで、受け付けております。
ご覧頂き誠にありがとうございました。
- 416 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 20:46:44 ID:IyQWt9/w0
- ‥‥2?
- 417 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 20:48:22 ID:vJHNoKy20
- 乙でした
1でお願いします
- 418 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 20:55:59 ID:qmDB35XUO
- うーん…2
- 419 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 21:07:27 ID:lfuJjd2g0
- 訳がわからねぇ
- 420 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 21:19:28 ID:uqL7DA0Y0
- 乙 先が気になる
2で
- 421 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 21:38:29 ID:.rEjHI86O
- 1
- 422 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 22:38:46 ID:mObF/l/I0
- 2
- 423 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 22:52:48 ID:/9GBTXWc0
- モララエルがモララエルじゃない
- 424 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 23:38:34 ID:bw1SvHxE0
- おつ
ここは1で
- 425 :名も無きAAのようです:2012/09/26(水) 23:49:57 ID:.IvVB.J60
- 乙
い…ち?
- 426 :名も無きAAのようです:2012/09/27(木) 01:20:31 ID:2wtZbY8U0
- これは2
- 427 :名も無きAAのようです:2012/09/27(木) 10:31:51 ID:M6th9dl.0
- おつ
1で
- 428 :名も無きAAのようです:2012/09/27(木) 19:45:51 ID:6Y1gx7JM0
-
少し早いですが、〆切らせて頂きます。
同数でしたので、レスの順で
2.『黄昏』に参加しない
になりました。
ご協力誠にありがとうございました。
- 429 :名も無きAAのようです:2012/09/27(木) 23:13:45 ID:/QxBvhDk0
- 両方書いてもいいのよ(ゲス顔
- 430 :名も無きAAのようです:2012/09/27(木) 23:44:46 ID:vvgXJRf2O
- 両方書けばいい(提案)
- 431 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 17:36:07 ID:nrZ2qOkw0
-
返す言葉は、決めていた。
しかし、それでも刹那の間思考を巡らせ、言い淀む。
( ´_ゝ`) 「……………………」 (´<_` )
しかし、言わなければ。
だって、ほら。
音もなく、少しずつ。
―――――『世界』が消滅していくから。
- 432 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 17:37:00 ID:nrZ2qOkw0
-
( ´_ゝ`)ブラクラゲット、のようです
.
- 433 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 17:40:27 ID:mLZHhSrcO
- 投票しようと思った時均衡状態だったから放置したんだけどそう来たか
そろそろラスト近いのかな支援
- 434 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 17:42:16 ID:nrZ2qOkw0
-
イ从゚ ー゚ノi、 「どうした、『魔人』。唯一最後の選択の場だが、そう長く待ってはくれないぞ」
背徳天が耳元で囁く。
从 ゚∀从 「『魔人』が『ヒト』として生活していたこの『世界』は、もはや役目を果たしたおもちゃ箱。
…あとは捨てられ、消されるだけ」
言われなくても分かりきったことだ。
だから二人はこう言った。
- 435 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 17:43:40 ID:nrZ2qOkw0
-
( ´_ゝ`) 「―――――俺たちは、『黄昏』には行かない」 (´<_` )
.
- 436 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 17:53:18 ID:Ap1Bo68U0
-
( ´_ゝ`) 「俺たちは、『この世界』でやりたいことを全てやった」
(´<_` ) 「欲しかった妹も一時の間とはいえできた、
最高に最悪に殺したかった相手も、まあ希望的な絶望のなか殺すことができた」
…だから、もう未練はない。
もっと簡単に言えば、疲れてしまったのだ。
- 437 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 18:02:19 ID:L7z62eFw0
-
( ´_ゝ`) 「もう、失うものは失った」
(´<_` ) 「壊したいものも、壊しきった」
その言葉をうけ、ようやく『向こう』から声が聞こえた。
―――――そうか、それは残念だ。
まるで残念そうに聞こえない口調で、『向こう』は続ける。
―――――ならば、君たちのやることは一つだ。分かっているね?
笑いを堪えるように、その声は二人に『それ』を勧める。
( ´_ゝ`) 「…ああ、分かっている、分かっているさ」
(´<_` ) 「もう、今の俺らには『これ』しかないからな」
つられるように笑い、兄者と弟者は手を繋ぐ。
…これはヒトとしての感情が残っているからやる、最期の無駄な行為。
- 438 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 18:08:39 ID:TJQ0dgCQ0
-
―――――ああ、双子の魔人よ。最期に一言だけ。
( ´_ゝ`) 「…なんでしょう」
―――――君たちは見ていて、とても楽しかったよ。
(´<_` ) 「…心にもない誉め言葉、ありがとうございます」
―――――ははは、それこそ誉め言葉だよ、弟者くん。
(´<_` ) 「…そうですか、それでは」
―――――ああ、さようなら。
- 439 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 18:11:13 ID:Y9EAj4N20
-
そして、二人は阿吽の呼吸で『それ』をした。
.
- 440 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 18:12:56 ID:Y9EAj4N20
-
―――――「OK、ブラクラゲット」
―――――「流石だよな、俺たち」
.
- 441 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 18:14:14 ID:Y9EAj4N20
-
かちかち。
- 442 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 18:15:12 ID:Y9EAj4N20
-
…そうして、『世界』は消滅した。
.
- 443 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 18:16:41 ID:Y9EAj4N20
-
ブラクラゲット、のようです
終
- 444 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 18:21:09 ID:Y9EAj4N20
-
終わりです。
お疲れ様でした。
分かる方はいないと思いますが、これで二作目です。
前回より100レスちょっと長くなりましたが1スレで終わってよかった。
あまり答えられることはないと思いますが、質問などありましたらどうぞ。
- 445 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 18:32:38 ID:mLZHhSrcO
- 何が何だかわからない
- 446 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 18:38:10 ID:mLZHhSrcO
- 言い忘れてた 乙
兄者たちがいたのは言うならば一種のモラトリアムな場所だったのかね
一応聞いとくけど設定としてはしっかりあるんだよな?
- 447 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 18:40:05 ID:Ei99YITcO
- どういうことなの…
ロマが何かしら儀式をして世界の神様になって流石兄弟は新しい世界を作らされてそれをブラクラで消したのか…?
- 448 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 18:40:47 ID:Ei99YITcO
- あまりにも予想外な終わりで乙し忘れてたwww
- 449 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 18:51:05 ID:Vf9Sk9BY0
- 黄昏参加ENDを想像しようと思っても出来ないなにこれ
- 450 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 18:59:17 ID:VkLZ8DQo0
- ロマが儀式する↓
兄者、弟者、モララー、渡辺がトソンのせいで巻き込まれる↓
本当はロマだけがトソンを生け贄にして新世界の創世者』になるはずだった↓
巻き込まれた四人も候補になってしまってバトルロイアル発生↓
最終的に兄者、弟者がロマ、モララー、渡辺を倒す↓
『球体』も破壊しようとしたがトソン生き残ってることに気づく↓
トソンを最高に憎んだ状態で殺したいがために『あの方』と呼ぶ存在に掛け合い↓
本編
…説明不足にも程があるorz
訳分からなくて本当に申し訳ない。
- 451 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 19:05:24 ID:mLZHhSrcO
- おぉ そんなに説明してもらえるとは
あの方とかいうのはロマかと思ったが違うのか
謎が多いなぁ
またんきの女嫌いとかは?
- 452 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 19:12:22 ID:nrZ2qOkw0
- >>451さん
『あの方』はメガテンで言うルシファー、あるいはペルソナで言うニャルラトホテプです。
いいAAが当てはまらなかったので顔出しは諦めました。
実は真っ先に阿部さんを使おうと思いましたが、多分そうすると一気に路線が外れると感じたので泣く泣くボツに。
またんきの女嫌いも説明不足でしたね。
アレは一度モララーに惨殺された記憶がうっすら残っていた、とどこかで書きたかったのですが忘れていました。
モララーからモララエルに変化した時、見た目の性別も変わっています。
- 453 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 19:13:28 ID:S8Z24vQE0
- 乙
一作目は内緒?
- 454 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 19:18:06 ID:SOf7A9YE0
- >>453さん
過去ログにある、
('A`)は話すようです
が初めての作品です。
どちらもながら(と直感)で書いていて、設定も脳内ですが、こっちよりは分かりやすいと思います…orz
- 455 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 19:23:31 ID:SOf7A9YE0
- >>449さん
黄昏に参加したバージョンも脳内になんとなくありました。
まあ、「俺たちの戦いはこれからだ!」的なのを想像して頂ければ大体合ってます。
- 456 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 19:49:34 ID:FiDYtTeE0
- 終わってしまったのか…ラストしんみり
一番楽しみな現行だったよーおつ!
- 457 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 19:56:42 ID:T4eEFTds0
- 結局アラマキなんなんだろう。あと子供たち
- 458 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 20:04:59 ID:oSY5nYZ.0
- 謎だらけすぎてわろた
- 459 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 20:16:01 ID:vk.c6FkMO
- ハインリッヒ症候群と渡辺の関係は?
しぃが薬ジャラジャラ状態になった理由は?
あの方が保存してた母者はどうなるの?
- 460 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 20:31:42 ID:Ku/ryjTw0
- >>457さん
アレらは兄者たちがヒトとして生きる間のモブです。
若干名、渡辺やモララーの意識だった何かが混ざっていましたが。
>>459さん
ハインリッヒ症候群は渡辺の散らばった意識がたまたまモブに入り込んだ状態です。
しぃたちについては兄者のブラクラゲット能力と弟者の無意識の破壊衝動の複合状態です。
『あの方』が保存していた母者のようなものについては用済みになったので勿論削除です。
- 461 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 23:02:41 ID:OVshxwzc0
- 乙でした!
読みながら途中で二人と泣きそうになったり大変でした
この世界観がなんとも言えず…
解説と照らし合わせながら脳内補完
現行でとても楽しみだった話なので終わって残念
次回作楽しみにしてます
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_106.jpg
そっと最後のご兄弟おいておきます
- 462 :名も無きAAのようです:2012/09/28(金) 23:23:55 ID:LTRUnZDs0
- KAKKEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE
- 463 :名も無きAAのようです:2012/09/29(土) 00:17:13 ID:6q8Y4/vY0
- 乙でした
ちょっと置いてかれたとこあるけど世界観好きだったよ
話すようですの人だったのか…ちょうど過去ログで読んだ
そっちも展開にハラハラして面白かった
>>461
あんたの兄弟好きだ
- 464 :名も無きAAのようです:2012/09/29(土) 00:55:50 ID:bTmlbpCs0
- 完全に俺の頭が置いていかれたのでもう二週ぐらいするわ
乙
- 465 :名も無きAAのようです:2012/09/29(土) 10:06:57 ID:ez6keQLg0
- もう見てる方いないと思いますが。
下地→真・女神転生3
『ブラクラゲット』→断章のグリムの断章詩
ハインリッヒ症候群の下地→丘ルトロジックの某キャラクターから
そんな感じです。
- 466 :名も無きAAのようです:2012/09/29(土) 10:10:14 ID:g5sYobeI0
- おつ
話すを読んでくるよ
- 467 :名も無きAAのようです:2012/09/29(土) 10:35:15 ID:ez6keQLg0
- >>461さん
イラストありがとうございます。
見た瞬間から目から汗がぼろぼろ出ました。
- 468 :名も無きAAのようです:2012/09/29(土) 12:18:15 ID:gKEK4XL6O
- 元ネタ全部わかったよー
- 469 :名も無きAAのようです:2012/09/29(土) 17:05:34 ID:K4FpSB6g0
- >>461鳥肌モノだな
- 470 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 12:45:01 ID:mr5kDvvw0
- 佐藤が過去ログに放り込む前に
ブラクラゲット!
- 471 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 12:47:16 ID:/XET.P8.O
- >>470
そしたらこのスレが消えちゃうじゃないか
- 472 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 16:10:59 ID:EhOM9JjI0
- んじゃあ俺もブラクラゲッーーー
- 473 :名も無きAAのようです:2012/09/30(日) 19:43:55 ID:g3vDSNJE0
- あのさぁ・・・
- 474 :名も無きAAのようです:2012/10/02(火) 11:23:57 ID:s97SVA7kO
- すげえ……
- 475 :名も無きAAのようです:2012/10/03(水) 01:20:04 ID:d.ZRhGyEO
- 乙でする
次回作も楽しみにしてます
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