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ξ゚⊿゚)ξ白い世界とひとりの少女のようです
129日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:27:16 ID:uzP73Wk20
ただ、白い世界が広がっていた。
見わたす限りどこまでも続くまっ白な空間と、
そのなかをぷかぷかと浮かぶ、巨大な白い立方体や直方体。
どこかに光源があるらしく、ときおり浮かんでいるそれらに影ができる。
そのおかげで、かろうじて物体の存在と、距離の存在は認識することができる。

在るんだか無いんだかわからない。そんな空間の端っこのほうに、その少女はいた。

ξ゚⊿゚)ξ

ぷかぷかと浮かぶ立方体のひとつの上で、体育座りをしている、小さな少女。
あたりの空間と同じ、まっしろな服に、鮮やかな金色の髪をしている。

彼女はずっと、周囲に浮かぶ立方体や直方体を見ていた。

いや正しくは、少女が見ていたのは図形そのものではなく、
彼女は、それらの表面にときおり映るものを見ていたのだった。

そこに映っていたのは、様々な"自分の姿"。

2('A`)なんか嗅覚がパネェようです:2011/08/26(金) 23:28:22 ID:uzP73Wk20

ξ゚⊿゚)ξ(あ、ここにもようやく"わたし"がでてきた……)イエデハオッサンセッテイノ

ξ゚⊿゚)ξ(ドラクエ? ……ってなんだろ?)

ξ゚⊿゚)ξ(あ、クーちゃん殴った)

ξ゚⊿゚)ξ

ξ゚⊿゚)ξ

ξ*゚⊿゚)ξ(わたし、強い……)

3( ´ー`)先生の戦う生徒指導のようです:2011/08/26(金) 23:29:45 ID:uzP73Wk20

ξ゚⊿゚)ξ(デスティニーブッラクシュガー……)

ξ゚⊿゚)ξ(ブラックシュガーって黒糖なんだ……へぇ)

ξ゚⊿゚)ξ(……ところで、黒糖ってなんだろ?)

ξ゚⊿゚)ξ

ξ゚⊿゚)ξ

ξ*゚⊿゚)ξ(でもなんか強そう……)コトバノヒビキテキニ

429日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:30:28 ID:uzP73Wk20

ξ゚⊿゚)ξ(うーん……)

ξ゚⊿゚)ξ("わたし"は強いのかな?)

ξ゚⊿゚)ξ(あそこにいる"わたし"が強いってことは、ここにいるわたしも強いのかな?)

ξ゚⊿゚)ξ(もっと、他のわたしも見てみよう)

5( ^ω^)バローのようです:2011/08/26(金) 23:31:32 ID:uzP73Wk20










『ξ'A`)ξ「ぴちょんくん」』

ツンデレ---ξ ⊿ )ξ---ン










        .

6( ^ω^)バローのようです:2011/08/26(金) 23:32:39 ID:uzP73Wk20

ξ ⊿ )ξ

ξ ⊿ )ξ

ξ;゚⊿゚)ξハッ

ξ;゚⊿゚)ξ(し、しまった。あまりのショックに一瞬意識が……)

ξ;゚⊿゚)ξ(え、なにあれ? あれ、わたし?)

ξ'A`)ξ←これ

ξ;゚⊿゚)ξ(あれが"わたし"ってことは、ここにいるわたしも……)

7( ^ω^)バローのようです:2011/08/26(金) 23:33:43 ID:uzP73Wk20

ξ;゚⊿゚)ξ。c0(『ξ'A`)ξ「ぴちょんくん」』)ホンワホンワ

ξ;゚⊿゚)ξ。c0(『ζ('A`ζ彡゜クルリ「ぴちょんくん?」』)

ξ;゚⊿゚)ξ。c0(『ζ('A`*ζノシ「ぴちょんくん!」』)

ξ; ⊿ )ξ<<いやあああああああああああああああああああああああ!!!!
      手ェ振ってるうううううううううううううううううううう!!!!

829日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:34:56 ID:PObz6ml.O
なにこれ面白い

929日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:35:56 ID:uzP73Wk20
ひとしきり恐怖に悶えたあと、少女は立方体の上に、両手をひろげてごろんと横になった。
少女の見上げる空、というより上の風景はどこまでもまっ白で、
やはり、ときおり遠くの図形に影ができなければ、高さが存在するのかも分からない。

ξ゚⊿゚)ξ(わたしは、なんでここにいるんだろう……?)

まっ白で、ときおり図形の表面に映る映像以外何もない世界。
ここにずっと、少女はいた。
自分がこの場所にいる意味を考えながら。
自分がここに在る理由を考えながら。
それを考えようとする動機は単純だった。少女は知りたかったのだ。

―――自分が、"何"であるのかを。

ξ゚⊿゚)ξ(でも……でも、なんにも分からない。
     わたしがなぜ、ここにいるのか、理由も意味も分からない)

空を見上げれば、無数の図形の表面に、さまざまな"自分"の姿がある。
自分は、なぜ"彼女たち"のようになれないのか。
少女はずっと、そんなことばかり考えていた。

ξ゚⊿゚)ξ

ξ-⊿-)ξ=3

空を見上げることにも飽きた少女は、ため息を吐き、今日はもう寝ようかなと考えた。

そのときだった。

1029日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:37:13 ID:uzP73Wk20

「ツーーーーーーーーー」

ξ゚⊿゚)ξ<……え?

上の方から響いてくる、少年のような声。
少女は、はじめ何かの聞き間違えかと思った。

この空間にある音は、少女の声と、映像を見ているとき脳内に響く声だけだったから。
自分以外の生の人の声など、彼女は生まれてこのかた、聞いたことがなかったから。

でも、声は上のほうから、確実に少女を目指して近づいて、いや、

―――落ちてきて、いた。

「--ゥゥゥぅぅぅうううううううううううん」

ξ;゚⊿゚)ξ<ふぇ!?

ぼん、というなんだか想像したより軽い音を立てて、彼女の前にそれは降り立った。
少女の前に立ったのは、少女と同じまっ白な服を着た少年。

( ^ω^)<おっお、ツン。やっと見つけたお

くるり、とこちらを見た少年の顔には、どこかで見たような笑顔があった。

1129日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:39:16 ID:uzP73Wk20

ξ;゚⊿゚)ξ<な、なに……誰よ、あんた!
      それに、「ツン」って……もしかしてわたしのこと?

少年いわく「ツン」であるところの少女は、ひどく早口にそうまくしたてた。
少年はそんな彼女に対し、顔に浮かんだ笑顔に見合ったやさしい声で返す。

( ^ω^)<おっお、そうだお。きみがツンで、ぼくが内藤ホライゾン。
      ぼくたちはこの場所に生まれた、アスキーアートだお

ξ゚⊿゚)ξ<あすきーあーと……わたしも? 内藤ホライゾン……あんたが?

少女は空を見上げた。
空にある図形たちの、平面に映しだされた、"彼ら"を見上げた。
この場所でずっとひとりだった彼女だったが、それらの単語には聞き覚えがあった。
彼女が見ていた映像には、それらの単語の出てくるものが多くあったのだ。

             イ タ
( ^ω^)<きみが世界の、こんなすみっこの方にいるとは思わなかったお。
      だからきみを探すのにずいぶん時間がかかってしまった。
      ぼくは、生まれてからずっときみを探し続けてきたんだお?

ξ゚⊿゚)ξ<生まれてから、ずっと? わたしを? どうして?

( ^ω^) ……

ξ゚⊿゚)ξ?

なぜだか黙ってしまった内藤に、ツンは首をかしげる。
何か悪いことでも訊いたのだろうか? 彼女がそんな風に思っていると

1229日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:42:50 ID:uzP73Wk20

(  ω )ボソッ<……みに……らだお

ξ゚⊿゚)ξ<え、なに?

なぜか自分から顔を逸らす少年。
声が聞き取れず、聞き返すツンの目には、
なぜか彼の横顔がどんどん真っ赤になっていくように映った。

( ///ω//)<きみに、あいたかったから、だお

ξ゚⊿゚)ξ

ξ゚⊿゚)ξ

ξ* ⊿ )ξ!?

真っ赤な顔で言う少年。彼の頬が赤く染まっている理由などまったく理解できなかったが、
しかしツンは、なぜだか自分のほっぺたのあたりが、どんどん熱くなっていくのを感じていた。
                ス レ
( ///ω//)<は、はじめて作品できみの姿を見たとき、
       ぼ、ぼくはなんだか胸がドキドキしてしょうがなかったんだお!
       気がついたら、自分がいたスレを飛び出していた。
       きみのことを考えたら、なぜか空だって飛べたんだお!

ξ* ⊿ )ξ<え、あ、ああああの……!!

真っ赤な顔で、目をあわさずにまくしたてる少年に、少女はただおろおろするばかり。
当然である。これが彼女にとって生まれてはじめての他者との会話であり、
これが、彼女がされる生まれて初めての愛の告白というやつなのだから。

1329日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:44:14 ID:uzP73Wk20

ξ* ⊿ )ξ<<そッ、そんなこと言われたって……
       こ、困るわよ!! そ、それにあんたの言う「すれ」って、
       上でぷかぷか浮いてるやつに映ってるもののことでしょ!?
       じゃあ、あんたの見た"わたし"ってわたしじゃないじゃない!!

恥ずかしさを紛らわすために一気にまくしたてて、ツンは後悔した。
せっかく自分にあいにきてくれた人に、自分はなんてひどいことを言ってるんだろう、と。
いくら生まれてから一度も人と話をしたことがないからとはいえ、
これでは彼に嫌われてしまうではないか。

(  ω )<それは、まあその……わかってるお

ほら、案の定彼も沈んでいるし。
どうしよう、どうすればいい? そんな風にツンが迷っていると、内藤は再び口を開いた。

( ^ω^)<でも、だからぼくはきみを探していたんだお

ξ゚⊿゚)ξエ?<……どういうこと?
            ス レ
( ^ω^)<ぼくの居場所には、たしかにきみはいなかったお。
                イ タ             ツ ン
       でも、この広い世界を探せば、きっとぼくもきみにあえる。そう考えたんだお。
       だからぼくはきみを探していて、そして―――



「―――そして、ぼくはきみを見つけたんだお」

         .

1429日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:47:15 ID:uzP73Wk20
目の前に、手が差し出されている。

ξ* ⊿ )ξ<あ、え? えっと、あの……
               ヒ ト
( ///ω//)<初対面のAAにこんなこというのは、おかしいってわかってるお!
       でも、ぼくは……ぼくは言いたい。ずっときみを探してきたぼくだから!
       だから、ツン、……ぼくじゃ……その、
       ぼくでは、だめ……ですか、お?

うつむいた彼が差し出してきた手は、ぷるぷると震えていて、
彼が緊張しているということが、ツンにも痛いほど伝わってきた。
ただ、やはり彼女は混乱していて、気持ちの整理がつかなくて―――

ξ* ⊿ )ξ<<い、いきなりそんなこと言われて答えられるわけないでしょッ!?
       ば、ばっかじゃないの!!?

―――ついつい、きつい口調で、そんなことを言ってしまった。

(  ω )<お……

彼、意気消沈。
それを見るツンの胸にも、ふつふつと罪悪感と後悔の念が湧きあがってくる。

ξ* ⊿ )ξ(でも……これでいいのかもね、だってわたし、
       自分がなんなのかも全然わかんないようなやつだし)

ひょっとしたら、急にミイラ化して「ぴちょんくん」としか喋れなくなるかもしれない。
ひょっとしたら、女友達を作るという名目のもと、化け物と化すかもしれない。
はじめて自分に手を差し伸べてくれた人の相手が、そんなだったら嫌だと思うし、
だから―――

1529日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:48:19 ID:hvJWImxc0
なんかwkwkする

1629日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:48:43 ID:uzP73Wk20

(  ω )<<……そ、それなら!!

ξ*゚⊿゚)ξ<へ?

突然大声を上げる少年に、ツンは現実に引き戻された。
見れば、少年は手を空中にかざしている。
その手に、ぽわ、と白い光が集まりだしたと思ったら、それは四角い『画面』の形になった。

(  ω )<<それなら、ぼくとデートしないかお!?

少年の手に握られた画面が、ツンの眼前につきつけられる。
それは、何かの告知のようだった。

13 :佐藤★:2011/08/23(火) 17:01:24 ID:???0
.
■創作板納涼夏祭り「夏の終わり2011」


8月29日〜30日、この板に二つのスレを立てます
一つは感想紹介スレ
一つは短編と絵スレです

ただし各スレの利用は18:00〜明け方くらいまで(雑談は可)でお願いします
時間の制約があることに注意してください
祭り感の演出とか、投下時間を限定することで過疎を避ける意味もゴニョゴニョ
.
ξ゚⊿゚)ξ<え、えっと……?

(  ω )<"いきなり"はだめなんだお? じゃあぼくとデートしてくださいお!
       このお祭りでいっしょに遊んで、いっぱい話して、
       それで、決めてくださいお! 
       ぼくが、きみの"内藤ホライゾン"にふさわしい男かどうか!

1729日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:49:51 ID:uzP73Wk20

ξ*゚⊿゚)ξ<えっと……うん、まあ、それならその、いい、かな?

(*^ω^)!!

もじもじしながらツンが言うと、内藤はばっ、と顔をあげた。
その目は、きらきらと輝いていて、
ツンはなぜだかその瞳をずっと見つめていたい、と、そんなことを考えた。

ξ* ⊿ )ξ(なッ、なになに!? なんなのこの感じ!!?)

突然の感じたことのない感覚に、混乱する脳内。
彼女のそんな状況を知らない少年は、無邪気に笑った。

(*^ω^)<あ、ありがとうだお!!

ξ* ⊿ )ξ<<べッ、べつにお礼を言われる筋合いなんかないわ!!
       わたしが、その、暇だから!! それだけなんだからねッ!!

ああ、また心にもないことを言ってしまった。
ふたたび、彼女はそんなことを後悔したが、
しかし、嬉しさの絶頂にある少年は、無邪気な笑顔も、はずんだ声も崩すことはなかった。

(*^ω^)<おっお、それでもぼくはうれしいお!
      きっと楽しいお祭りにするお!!

ξ*゚⊿゚)ξ<ふ、ふん。期待しないで待っててあげるわよ

1829日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:50:58 ID:uzP73Wk20

(*^ω^)<<じゃあ、29日の17時半に、ここにきみを迎えに来るお!

言うなり少年は両手を広げる。
ツンは知っていた。"内藤ホライゾン"がこのポーズをとる意味を。

ξ;゚⊿゚)ξ<え、あ、ちょっ……

ツンが後ろで手を伸ばすのも知らずに、内藤は両手を広げた状態のまま、走り出す。
踏みだす足から白い煙があがるほどの速度で走る彼の体は、
しだいにツンの立つ立方体から離れ、宙に浮いた。

⊂( ^ω^)つ<<ぶーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!

まっ白な空を飛ぶ、内藤。
それなりの速度で飛んでいるから、きっともうすぐ、彼の姿は見えなくなってしまうのだろう。

ξ* ⊿ )ξッ!!!

そう考えると、なぜだか胸がきゅうっとしめつけられるような気がして、
気がつくとツンは、空を飛んでいく内藤の後ろ姿に向かって叫んでいた。

1929日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:51:51 ID:uzP73Wk20










ξ* ⊿ )ξ<<お祭りまで時間あるんだから、また遊びに来てもいいんだからね!!!










            .

2029日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:53:25 ID:uzP73Wk20
数分後、ツンは内藤に叫んだ体制のまま、彼が消えた白い空をずっと眺めていた。

ξ*゚⊿゚)ξ

彼に声は届いただろうか?
いくら考えても答えは分からないが、それでも考えざるをえない自分がいて、
それがなぜなのかもわからなくて、
ツンは爆発するんじゃないかというくらい早鐘を打っている心臓を、服の上から両手で押さえる。

ξ*-⊿-)ξ ……。

音がした。

命の、音。

少女は、再び目を開けた。

ξ*゚⊿゚)ξ<あ……

オレンジや青に染まる空と、そこに浮かぶ白や緑の立方体や直方体。
再び目が捉えた世界は、ばかみたいに色であふれていて、

ξ*゚⊿゚)ξ<きれい……

思わず彼女は呟いた。
頭のすみでぼんやりと、彼もこんな世界を見ていたのかな、
と、ツンはなぜだかそんなことを考える。
8月29日の、17:30。
彼がまた、ここに来る。

2129日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:54:11 ID:uzP73Wk20










ξ*゚⊿゚)ξ<たのしみだな、お祭り

鮮やかな色に染まる世界の中で、白い服の少女は一言、そう呟いた。








              .

2229日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/26(金) 23:54:52 ID:uzP73Wk20





     ξ゚⊿゚)ξ白い世界とひとりの少女のようです

            おわり




              .

23 ◆6ZgdRxmC/6:2011/08/26(金) 23:59:48 ID:uzP73Wk20
だれかに恋をすると、世界は鮮やかに輝きはじめる。
それはまるで、ある意味もわからないような無機質な風景が、
突然、すばらしい絵画に見えてしまうような感覚だ。

……とかいってみるテスト!

そんなわけでお祭りに便乗して、
宣伝するという今回の企画、いかがだったでしょうか?

お祭り乱入してえなあ、でもバイトがなあ……
ってなわけでオレは宣伝に全力をつくすのでした。
では、本日の投下を狩猟します。

読んでくれたやつら、あと、かってにパロった作者さんたち、ありがとう。
じゃあ、また

2429日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 13:09:30 ID:9XK3O6uIO
面白いと思ったら宣伝だと……

25名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:33:49 ID:mK.l1imE0





     8/29 16:36




          .

26名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:36:01 ID:mK.l1imE0
まっしろな世界の少女が、少年に出会ってからしばらく経った。

ξ゚⊿゚)ξソワソワ

あれから、彼女の見る世界は変わった。

今、彼女が見ているのは、オレンジや青に染まる空と、
その中を、緑や黒や黄色の直方体や立方体がふわふわ漂っている。
そんな光景。
まっしろだった世界は、鮮やかな色に染まった。

ξ゚⊿゚)ξソワソワ

ただ、変わらなかったのは、彼女の来ているワンピースと、
彼が「スレ」と呼んだ、彼女の立っている立方体。
それだけは、色を持った世界の中で、いまだに白いままだった。

まっしろな立方体の上の少女は、
小さな平面の上を、意味もなく行ったり来たりしていた。

ξ゚⊿゚)ξソワソワ

彼と約束したお祭りが、迫っている。
そう考えるとなんだかおちつかない。

また、彼にあえる。

そんな言葉が胸をよぎるたびに、
少女の見ている世界は、なぜだかどんどん鮮やかさを増していくのだった。

27名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:36:53 ID:mK.l1imE0

ξ゚⊿゚)ξ(お祭り、お祭りかあ……)

ξ゚⊿゚)ξ

ξ゚⊿゚)ξ(あれ……? ところで"お祭り"ってなに?)

立方体の中央で、白い服を着た少女は首をひねった。
上や下に浮いている「スレ」の中で、
それらしいものを見たことがあるような、ないような……
そんなあやふやな記憶しかない。

ξ゚⊿゚)ξ(お祭り……あいつ、「いっぱい話す」って言ってたよね……)

ξ゚⊿゚)ξ(うーん、大丈夫かな?
     わたし生まれてからあいつ以外と話したことないんだけど)

ξ゚⊿゚)ξ(こないだだって、うまく話せたわけじゃないし……)

ξ-⊿-)ξ<うーん……
   ∞
腕を組み、目を閉じ、首を傾げたまま、少女は平面の上を歩く。
そのうち少女は平面の端にたどりついたが、少女は気にせず歩き続ける。
少女が足を宙に踏みだすと、重力の方向が変わった。
さきほどまで、立方体の側面だった部分が、少女にとっての平面に、足場だった場所が側面に変わる。

ξ-⊿-)ξ<うー……ーん
   ∞

28名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:42:22 ID:mK.l1imE0
                     ス レ
そんな感じで、少女は自分の立つ立方体の周りを、くるくる歩きまわっていた。

ξ゚⊿゚)ξ<あ、そうだ
   ∞
腕組みをしたまま歩き続けていた少女は、
ふいにぽん、と手を打つと、空中に浮かぶ立方体のうちの一つを見上げた。

ξ*゚⊿゚)ξ<わからないなら、
      "他のわたし"がどうしてるかを参考にすればいいじゃない!
      わたしってあったまいい! さて、じゃ、どのスレにしよっかな……

ちょうど彼女の上空では、
やわらかい若草色をした、大きな立方体がふわふわと通過しようとしていた。
これにしよう、と、彼女は立方体にてのひらを向ける。

立方体の、彼女にてのひらを向けられた面だけが大きくなる。
横方向からみれば台形のように見えるようになったそれは、
彼女の方に向けて"スレタイ"を映しだす。




『(-_-)ヒキコモリ王子のようです。』





      .

29名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:43:11 ID:mK.l1imE0

ξ゚⊿゚)ξ(うーん……、なんか、なかなかわたしがでてこないなあ)

ξ゚⊿゚)ξ(……あれ? これひょっとして、わたし?)

ξ゚⊿゚)ξアレ?

ξ;゚⊿゚)ξエット ……

ξ;゚⊿゚)ξ(なんで紙袋かぶってるのかな……?)

30名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:44:24 ID:mK.l1imE0

ξ゚⊿゚)ξ

ξ゚⊿゚)ξナルホドネ(あ、恥ずかしがりやさんなのか)

ξ゚⊿゚)ξン? ッテコトハ

ξ゚⊿゚)ξ ……

ξ*゚⊿゚)ξ(わたしも、紙袋かぶったらうまくお話できるようになるのかな?)

ふと、そんなことを思った少女は、
自分の立っているまっしろなスレを、じーっと見つめる。
手を白い面に向けると、彼女はその平面に、ずぼっ、とその手をつっこんだ。
彼女の手に触れている部分だけが、液体のようになったその部分を、
なにやらごそごそとあさっていた少女は、やがて何かを見つけると、
それをスレの内部からひっぱり出した。

ξ*゚⊿゚)ξノ_□_カミブクロー!

ぱらぱぱっぱらーん、という、
未来の世界からきたねこ型ロボットがポケットから道具を出すときの音、が、しそうな動作で
少女は取り出した茶色い紙袋(こちらもなんだかドラ焼きでもはいっていそうである)
を高々とかかげると、それをすぽっ、と頭にかぶった。

31名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:45:05 ID:mK.l1imE0
  __
_l__l_

※茶色い紙袋を被ったツンだよ!

  __
_l__l_
  __
_l__l_ ……
  __
_l__l_<な……
  __
_l__l_<なにも見えない……
  __
_l__l_<どうしよう……真っ暗……
  __
_l__l_
  __
_l__l_<と、とりあえずそのへんを歩いてみようかな

32名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:46:25 ID:mK.l1imE0
     __
〜〜_l__l_ヨタヨタ
  __
_l__l_〜〜フラフラ

==⊂( ^ω^)つスタッ

( ^ω^)?
     __
〜〜_l__l_ヨタヨタ<だめだわ、これ、ほんとなんにも見えない……
  __
_l__l_〜〜フラフラ<あ、でもこれ
     __
〜〜_l__l_ヨタヨタ<ちょっとたのしいかも……
       __
( ^ω^)_l__l_ポフッ〜〜
       __
( ^ω^)_l__l_……
         __
       _l__l_ヒョイ
( ^ω^)ノζ(>Δ<ζキャッ!!

(*^ω^)<おっお、やっぱりツンだったお

ξ゚⊿゚)ξ<あ……な、ないと……

ξ゚⊿゚)ξ

ξ*;゚⊿゚)ξ(見 ら れ た !?)

33名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:47:22 ID:mK.l1imE0

(*^ω^)<おっお、予定よりちょっと早い時間だけど、来ちゃいましたお

ξ*;゚⊿゚)ξ<え? あ、ああ、うん。こんにちは

(*;^ω^)<こんにちはだおー……お、ひょっとして、迷惑だったかお?

ξ*;゚⊿゚)ξ<え? ううん、全然……なんで?

(;^ω^)ヽ<お? いや、なんか楽しく遊んでたみたいだし

ξ゚⊿゚)ξ

ξ;゚⊿゚)ξ





ξ; ⊿ )ξ(ばっちり見られてたああああああああああああああ!!!)




     .

34名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:49:49 ID:mK.l1imE0
ξ; ⊿ )ξ(ど、どどど、どうしよう)

ξ; ⊿ )ξ(変な子って思われたよね? 絶対思われたよね! ああ……)
          __
チラッ( ^ω^)_l__l_

( ^ω^) ……。

ξ; ⊿ )ξ(どうしよう……こんな変な子とお祭り行きたくないとか思われちゃったら)

<ツンー

頭をかかえ、苦悩する少女に、随分とのんきな少年の声がなげかけられる。
少女は、びく、と身を震わせると、なぜだか気を付けの姿勢で、

ξ;゚⊿゚)ξ<は、はいっ!

お前は大戦中の兵隊か何かか、とつっこみたくなるくらい元気な声で答えながら、
声の方に振り向いた。
  __
_l__l_ノシ<どうかおー?
※紙袋をかぶった内藤だよ!

ξ゚⊿゚)ξ

ξ;゚⊿゚)ξ<え?

35名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:50:41 ID:mK.l1imE0
  __
_l__l_<ツンのマネしてかぶってみたおー、似合ってるかお?

ξ;゚⊿゚)ξ<え、えと……
  __
_l__l_ヽポリポリ<おー、やっぱ似合わないかお?

ξ゚⊿゚)ξ

紙袋をかぶったまま、頬をぽりぽりとかく彼。
紙袋をかぶっても、やっぱりクセとかは出るもんなんだなあ、とか、
そんな当たり前のことを思って、ツンは、

ξ*゚⊿゚)ξ

ξ*゚ー゚)ξプッ
  __
_l__l_<おー、ツン今笑ったかお? やっぱ似合ってないかお?

ξ*゚ー゚)ξ<ううん、似合ってる。すっごく
  __
_l__l_<お、まじかお、じゃ、このままお祭りいくおー

ξ*゚⊿゚)ξ<それは恥ずかしいから
  __
_l__l_<おっお、たしかに僕もちょっと恥ずかしいおー

ξ*゚⊿゚)ξ<じゃあなんで言ったのよ

ころころ、と笑うツン。べつに紙袋なんか被らなくても、自然に会話できている少女の姿が、そこにあった。

36名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:52:14 ID:mK.l1imE0

ξ゚⊿゚)ξ<へー、じゃあ内藤は、VIP生まれなんだ

( ^ω^)<おっお、そうだお。
      VIPの、とあるスレの支援レスで生まれて、
      そのスレがdatに落ちる前にそのスレから飛び出したんだお

ξ゚⊿゚)ξ<『だっと』? 『だっと』ってなに?

( ^ω^)<おっお、避難所生まれじゃ分からないのも無理ないお、datっていうのは―――

白いスレの上に座って、話に花を咲かせるツンと内藤。

( ^ω^)<お、もうこんな時間かお

ふ、と内藤が気付いたように言った。
見れば、自分たちの座っているスレの平面に、黒い文字で17:45と大きく表示されている。

ξ゚⊿゚)ξ<ほんとだ、じゃ、そろそろ行く?

( ^ω^)<おっお、そうするかお

白い服の少年はそう言って立ち上がると、座っている少女に手を差し出した。

ξ゚⊿゚)ξ<あ、ありが……

ツンは、ごく自然に差し出された手をとりそうになって―――

ξ*゚⊿゚)ξ<―――ッ

37名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:53:39 ID:mK.l1imE0

( ^ω^)<お?

ξ//⊿//)ξ<だ、大丈夫。ひとりで立てるもん

なぜだかは分からない。
何か、彼の手をとることが、とても恥ずかしいことのような。
そんな気がした。

( ^ω^) ……

(*^ω^)ヽポリポリ

ξ//⊿//)ξ<な、なによ。なに、にやにやしてるの?

(*;^ω^)ヽボソボソ<お、いやその、不安だったけど、
       ちゃんと意識してもらえてるんだな、とか……

ξ*゚⊿゚)ξ?

( ///ω//)<ご、ごめんだお。な、なんでもないから……

顔を真っ赤にした彼は、顔をそむけると、
再びこちらに向けて手を差し出してきた。

ξ*゚⊿゚)ξ<え!? あ、あの……!!

38名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:54:21 ID:mK.l1imE0

( ///ω//)<お、いやあの……手をつながないと、一緒に飛べないから

ξ//⊿//)ξ<え!? あ、ああ、そう、そうだよね。
      わたし、飛べないもんね、そうだね、うん

言われて少女は、変に意識してしまった自分が恥ずかしくなってしまう。
いや、実際恥ずかしかった。
なので、おそるおそる、といった体で、彼女は彼の人差し指だけを、
わずかに触る程度に握った。

(*^ω^)<じゃ、じゃあ気を取り直して、行くお?

ξ*゚⊿゚)ξ<う、うん

ツンの返事を聞いた内藤が、両腕を広げる。
ふわり、と、ツンは自分の体が急に軽くなるのを感じた。

⊂( ^ω^)つ<<ぶうううううううううううううううううん!!!

ξ*;゚⊿゚)ξ<<わッ!!?

煙が上がるほどの速度で、内藤が走り始める。
彼の指に掴まるツンは、不思議な光に包まれて宙に浮き、その速度を感じる。
あっという間に平面のはしに辿りつくふたりの身体。

内藤が平面を蹴り、そしてふたりの身体は完全に宙に浮いた。

39名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:55:24 ID:mK.l1imE0

ξ*゚⊿゚)ξ<わぁ……!

上、下、右、左。
あらゆる方向に世界が広がる。
青かったり、緑だったり、オレンジだったりする空。
そこに浮かぶ、無数の直方体や、立方体の姿。

地面から離れて見る世界は、
想像していたよりずっと広く、広く、どこまでもひろがっていて……

ξ*゚⊿゚)ξ<すごい!

少女は思わず叫んでいた。

⊂(*^ω^)つ<おっお、気にいってくれたかお?

ξ*゚⊿゚)ξ<うん……うん!! わたし、知らなかった!

⊂(*^ω^)つ<お?

首をこちらに向けて首をかしげる彼に、ツンは笑って言った。

40名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:56:18 ID:mK.l1imE0








ξ*゚⊿゚)ξ<世界って、こんなにきれいだったんだね!!









        .

41名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:57:04 ID:mK.l1imE0

⊂(*^ω^)つ ……

はしゃいだ声でそう言った少女の顔を、少年はしばらく見ていた。

⊂(*^ω^)つ<おっお!

ξ*゚⊿゚)ξ<きゃッ!?

ふいに空中で横に回転する彼。
色にあふれた、あざやかな世界で、楽しそうに舞う、ふたり。

祭りの会場に到着するのは、もう少しさきでもいいかな。

ξ*゚⊿゚)ξ<ちょ、内藤!?

あらゆる方向に広がる世界と、

⊂(*^ω^)つ<ぶうううううううん!!

となりで楽しそうに笑う彼を見て、

ξ*゚⊿゚)ξ

ξ*゚ー゚)ξ

ツンは、なぜだかそんなことを思った。

42名も無きAAのようです:2011/09/03(土) 23:58:25 ID:mK.l1imE0





     ξ*゚⊿゚)ξ鮮やかな世界と、ひとりの少女のようです

       お祭り会場編へ、つづく。




          .

43 ◆6ZgdRxmC/6:2011/09/04(日) 00:03:40 ID:R.T.Vim20
だれかと手をつなぐと、急に体が軽くなったような気がする。
それはさながら、これまで地に自らを縛りつけていた重力を、
その人が解き放ってくれたような感覚だ。

……とかいってみるテスト!

そんなわけで、今回も勝手に名前とか使わせてもらった作者さんと、
読んでくれたお前らにありがとうを。
ヒキコモリ王子面白いよヒキコモリ王子。

じゃ、またな。

44名も無きAAのようです:2011/09/04(日) 00:42:20 ID:kK7bpp0gO
こいつら可愛いな……


45名も無きAAのようです:2011/09/04(日) 08:56:54 ID:qmqqULlwO
http://g2.upup.be/f/r/iqIFsfeAvl.jpg?guid=ON
ここの2人可愛すぎ。

46名も無きAAのようです:2011/09/04(日) 20:43:10 ID:1uU9inHgO
ギコ見たもげろ乙

47名も無きAAのようです:2011/09/04(日) 22:40:04 ID:J5a45q4YO
世界観が好きだわ
ツン可愛い乙

48 ◆6ZgdRxmC/6:2011/09/05(月) 12:40:24 ID:5L4JdP8k0
>>45
超かわえええええええ!! さんくす!

あ、応援してます

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