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( ^ω^)現世媒体師が踊るようです- 1 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:27:15 ID:PEgUgA5gO
- ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
媒体【ばいたい】
①物理学で、仲立ちとなる物体。
②情報を伝えるときの仲立ちとなるもの。手段。メディア。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
- 2 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:28:48 ID:PEgUgA5gO
-
つまらない人生だった。
幼い頃に父が他界し、それが原因で小学校ではイジメに遭っていた。
それは中学になるとさらに悪化し、14歳になったあたりから引きこもりがちな生活が始まった。
なんとか中学を卒業すると、母親の反対を押し切って進学ではなく就職への道を歩んだ。
しかし、コミュニケーション能力が皆無のためか仕事すら上手くいかず、また家に引きこもる生活に戻った。
気がつくと、年齢は21にまでなっていた。
無気力な毎日。そんなある日の夜、僕は──
- 3 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:30:03 ID:PEgUgA5gO
- ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
Vol.1
鬱田ドクオ(21歳 無職)
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
- 4 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:31:23 ID:PEgUgA5gO
-
──
('A`)「……」
変な夢でも見てるのか。というのがドクオの最初の感想だった。
何故なら、見知らぬ質素な部屋の中に、いつの間にか自分は居たからだ。
とりあえず部屋の中を見渡してみる。
薄暗い空間、灰色の壁。
自分が今座っているソファー、その目の前にはテレビが一台置かれた低いテーブル。
そして、テーブルを挟んだ向かいにあるソファーと。
( ^ω^)
ソファーに座る、見知らぬ青年が一人。
- 5 :名も無きAAのようです:2011/08/15(月) 23:31:36 ID:yor3esjsO
- 期待
- 6 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:32:19 ID:PEgUgA5gO
-
('A`)「…あんた誰」
向かいのソファーに座るその青年に、ドクオが呟くように尋ねる。
( ^ω^)「初めましてドクオさん。僕は現世媒体師のブーンといいますお」
('A`)「はあ…?」
少しでも状況が理解できるよう期待しての質問だったが、ブーンと名乗る男の返答は更にドクオを混乱させた。
その媒体師とやらは何らかの職業だろう。それはいいとして、また別の質問を投げかけてみる。
('A`)「…ここどこ?」
( ^ω^)「ドクオさんは今、生死の境にいますお」
('A`)「は?」
- 7 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:33:25 ID:PEgUgA5gO
-
言ってる言葉が理解できず、思わず聞き返した。
対するブーンは表情一つ変えず、説明を続ける。
( ^ω^)「ああ、死んでいるわけではないのでご安心を。ドクオさんは今、この世とあの世の境にいます」
(;'A`)「お、おい待てよ、一体何の冗談で…」
( ^ω^)「ドクオさんは"命の選択"をすることができますお」
ブーンの言葉に遮られ、思わず口を閉じる。
( ^ω^)「選択は二つに一つですお。現世に残って生きるか…」
( ^ω^)「そのまま死ぬか」
- 8 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:34:26 ID:PEgUgA5gO
-
(;'A`)「待て、ちょっと待ってくれ」
冷や汗をかきながら、苦笑いのような引きつった顔をブーンに向ける。
(;'A`)「あーなんだ、つまりその、ブーンさんが言うには」
(;'A`)「とりあえず俺は生死の境にいると」
( ^ω^)「そうですお」
(;'A`)「そんで、俺は生きるか死ぬかを選べると」
( ^ω^)「素晴らしい理解力ですお」
(;'A`)「あのさあ…」
溜め息をつきながら、ドクオは呆れたようにブーンを見る。
何のつもりだろうか、ブーンは真顔を此方に向けている。
- 9 :名も無きAAのようです:2011/08/15(月) 23:36:12 ID:It/3FHYA0
- 予告のやつか
支援
- 10 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:36:13 ID:PEgUgA5gO
-
(;'A`)「えっと…百歩譲ってだ。百歩譲って俺が今死にかけてるとして、何で生きるか死ぬかなんて選ばせるの?」
( ^ω^)「此処に来る人間は、大いなる方が生かすべきか死なすべきかの判断を迷われた人間ですお」
('A`)(厨二にも程があるだろ…)
一時は焦ったが、段々とブーンの話を聞くことに冷めてきたドクオ。
呆れた顔で聞き返す。
('A`)「その大いなる方(笑)って何?神様みたいな?」
( ^ω^)「そんな感じですお」
('A`)「でさー、俺は生きるか死ぬかを選べるんでしょ?」
( ^ω^)「はい」
('A`)「そんなん決まってるだろ。生き──」
- 11 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:37:59 ID:PEgUgA5gO
-
待て。ちょっと待て。
万が一だ。万が一これが現実だとして、本当に自分は生きたいのか?
あんな人生、生きてる意味はあるのか?
ひょっとしたら、本当は……
( ^ω^)「繰り返すようですが、僕は現世媒体師ですお」
(;'A`)「!」
はっとして、顔を上げる。
ブーンは一切表情を変えないまま、話を続けた。
( ^ω^)「大いなる方が生死の判断を迷った場合、その生死は本人に決めてもらうんですお」
( ^ω^)「本人が正しく、自分の判断で決められるように、その決断を手伝うのが僕の"主な"仕事ですお」
- 12 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:38:54 ID:PEgUgA5gO
-
(;'A`)「…どうやってだよ」
反論する気になれず、ドクオはブーンの話に真剣になっている自分に気付いた。
しかし、これは夢にしても現実にしてもただ事じゃない。
命の選択なんて、そうそう出来るものではない。
( ^ω^)「ドクオさんには、1日だけ現世に戻ってもらいますお。ただし…」
ブーンの顔が、不気味に歪んだ。
( ^ω^)「…僕に乗り移った状態でね」
──
- 13 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:39:59 ID:PEgUgA5gO
-
──
( ^ω^)「現世媒体とは、即ち僕を媒体して現世に降りることですお」
('A`)『…』
( ^ω^)「今僕は"普通の人間"としてここにいますお。ドクオさんは僕に乗り移っているので、勿論周りには見えませんお」
ドクオが生まれ育った町、そこにドクオはブーンに乗り移った状態で居る。
此処に来て初めて、ドクオは自分が生死の境にいるという話を信じる気になった。
( ^ω^)「さあ、どこに行きたいですかお?夜には戻りますお」
('A`)『俺の体は今どこにあるんだ?』
( ^ω^)「市内の中央病院ですお」
('A`)『そこに頼む』
- 14 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:41:23 ID:PEgUgA5gO
-
中央病院。
鬱田ドクオさんの病室は、とブーンが受付に尋ね、その足で病室に向かう。
病室の中に入ると、ドクオの姿を確認する前に数人の若者がベッドを囲んでいるのが見えた。
(;゚A゚)『!?ブーン!隠れてくれ!!』
( ^ω^)「え?」
(;゚A゚)『あいつら、俺を虐めてた連中なんだよ!!』
( ^ω^)「大丈夫ですお。僕は関係者じゃないし、僕に取り憑いているドクオさんの姿は彼らに見えない」
(;'A`)『そ、そうか…』
( ^ω^)「こんにちはー」
昏睡状態のドクオを囲む若者達に、ブーンが気軽に話しかける。
しかし、振り返ったその顔は、ドクオの予想に大きく反していた。
- 15 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:42:42 ID:PEgUgA5gO
-
(,,;Д;)「あっ…う…」
(;'A`)『!!』
( ^ω^)「……」
どういうことだ。
自分を虐めていた連中が、自分を苦しめて笑っていた連中が、泣いている。
( ^ω^)「ドクオのお友達ですかお?」
(,,;Д;)「…テメエ誰だよ」
( ^ω^)「僕はドクオの親戚で、内藤といいますお」
(,,;Д;)「……」
( ^ω^)「大事なお友達、だったんですかお?」
(,,;Д;)「…俺、謝りたかったんだ」
- 16 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:46:04 ID:PEgUgA5gO
-
('A`)『…』
震えた声で、その若者は絞り出すように続けた。
(,,;Д;)「こいつ、子供の時に父親が死んで、俺らがそれをからかってしまったんだ」
(,,;Д;)「それから本格的なイジメを始めてしまった。そのせいでこいつは高校にすら行けなかった」
(,,;Д;)「俺のせいだ…俺がこいつの人生を狂わせてしまった。だから成人式や同窓会があるたびに謝ろうって思ってた」
(,,;Д;)「でも、こいつは一切姿を見せなかった。それほどまでにこいつの心の傷は深かったんだ…」
( ^ω^)「…それで、やっと会えたと思ったら、ドクオは昏睡状態ですかお」
(,,;Д;)「……」
若者が俯き、さらに涙を流し続ける。
ドクオを虐めていたことに対する罪悪感。その気持ちに、嘘偽りはないようだった。
- 17 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:47:04 ID:PEgUgA5gO
-
('A`)『…もういい』
( ^ω^)「?」
('A`)『もういい、出よう、頼む』
ブーンの中で、ドクオが懇願する。
心なしか、その声は微かに震えていた。
( ^ω^)「……それじゃあ僕はこれで失礼しますお」
(,,;Д;)「見てやんなくていいのかよ」
( ^ω^)「ええ、とりあえず無事は確認できたので」
(,,;Д;)「…また来てやってくれ」
病室を出て、早足で病院からも出て行くブーン。
ドクオの口から、こぼれ落ちるように声が洩れていく。
- 18 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:48:11 ID:PEgUgA5gO
-
( A )『あいつらだけは…あいつらだけは絶対に許さねえと思ってた』
( A )『たとえ万が一、あいつらが謝ってきても、それを足蹴にしてやろうと思ってた』
( A )『なのに……』
( ^ω^)「……」
( A )『…俺んちに向かってくれ。母ちゃんの姿が見たい』
( ^ω^)「わかりましたお」
無表情で歩き続けるブーン。
少しだけ、陽が傾き始めていた。
──
- 19 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:49:48 ID:PEgUgA5gO
-
──
夕方。
ドクオの自宅であるアパートに、ブーンは訪れた。
( ^ω^)「ごめんくださーい」
いつでも穴が開いてしまいそいなドアを、丁寧に叩く。
暫くすると、五十代半ばくらいの女性が、ひどく疲れきった顔で現れた。
J( 'ー`)し「はい…?」
( ^ω^)「突然お邪魔してしまってごめんなさい。僕はドクオくんの友人で内藤といいますお」
J( 'ー`)し「ドクオの…」
少し驚いたような顔でブーンを見上げ、そして俯く。
ドクオの母親は、今にも消えてしまいそうな声で返した。
J( 'ー`)し「…ドクオなら病院ですよ」
- 20 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:50:57 ID:PEgUgA5gO
-
( ^ω^)「ええ、先ほど見舞いに行ってきました」
対するブーンは、相変わらず無表情で返す。
( ^ω^)「ドクオくんは呻きながら言ってましたよ」
( ^ω^)「"母ちゃんに会いたい"って」
J( 'ー`)し「!」
はっと顔を上げ、涙を浮かべる母親。
涙を見られたくないのだろう。母親はすぐに顔を逸らし、ブーンに一礼しながら扉を閉めた。
( ^ω^)「これでよろしかったのですかお?ドクオさん」
その場に立ったまま、ブーンがドクオに呼びかける。
しかし、その声はドクオに届いていないようだった。
- 21 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:52:11 ID:PEgUgA5gO
-
随分短い面会だったが、ドクオには充分だったようだ。
(;A;)「母ちゃん…」
心配してくれている。落ち込んでくれている。
涙を流してくれている。
母親にとって、ドクオは大切な存在なのだ。
そのことさえ理解できれば、ドクオはそれで良かった。
( ^ω^)「…夜になりますお。もう戻りましょう」
(;A;)「うん…」
それを最後に、ドクオの意識はまたあの部屋へと戻っていった。
──
- 22 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:53:32 ID:PEgUgA5gO
-
──
薄暗い部屋。
テーブルを挟んだ二つのソファーに、ドクオとブーンが向かい合って座る。
( ^ω^)「それでは…」
('A`)「もう決まってる」
ブーンの言葉を待たず、ドクオが口を開いた。
その目に迷いはない。
('A`)「俺を虐めてた奴らとはちゃんと向き合う。仲直りとまではいかないかもしれないけど、ちゃんと話し合えるようにする」
('A`)「母ちゃんはこれ以上悲しませたくない。今度は俺が母ちゃんを大切にする番だ」
('A`)「ブーンさん…俺は生きるよ。生きて、仕事探して、母ちゃん一人は養える男になる」
- 23 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:54:43 ID:PEgUgA5gO
-
ブーンという体で現世に戻ってみて、始めてわかった。
自分は生きてていい。自分には生きる資格がある。
過去と向き合う決意も、これからを見据える勇気も持った。
もう、迷うことはない。
( ^ω^)「ドクオさん…」
('A`)「ああ、生かさせてくれ。もう俺は……」
( ^ω^)「まだですドクオさん。僕の話を聞いてくださいお」
なんだ、とブーンの方を見る。
ブーンはテーブルにあるテレビをつけながら、話を続けた。
( ^ω^)「貴方は覚えてますかお?」
('A`)「?」
( ^ω^)「なぜ、自分が生死の境にいるのか」
- 24 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:55:45 ID:PEgUgA5gO
-
どくん、と心臓が跳ね上がる。
何故自分は死にかけている?
何故、こんなところにいる?
思い出してはいけない気がする。
( ^ω^)「これはドクオさんが此処にくる直前の意識を、映像として具現化させたものですお」
テレビの画面に目を向ける。
そこには、見慣れたドクオ自身の部屋と、いつものパソコンの画面。
その日、ドクオはネットゲームに精を出していた。
( ^ω^)「……」
- 25 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:57:29 ID:PEgUgA5gO
-
不意に、ドクオの部屋のドアが開いた。
そこには、俯いたままのドクオの母親の姿がある。
『…ノックくらいしろよ』
吐き捨てるように呟き、視線をまたパソコンに向ける。
途端、視界が大きく上下し、キーボードに赤い何かが垂れた。
『…母……ちゃ…?』
J( 'ー`)し『お別れよ、ドクオ』
真っ赤に染まった包丁を、仰向けに倒れたドクオに向かって振り下ろす。
何度も。何度も。何度も。
自分を育ててくれた母親が、自分の返り血で、その服や顔が赤く塗られていく。
- 26 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:58:43 ID:PEgUgA5gO
-
J( 'ー`)し『あんたが憎かった。この十数年間、あんたをいつ殺してやろうか毎晩考えていた』
それでも、包丁を振り下ろし続ける。
血に紛れて、赤い塊も飛び出てくる。
J( 'ー`)し『父さんが死んで、家が苦しくなって、逃げ出したいほどの苦痛。それでもへらへら生きてるあんたが、何よりも憎たらしかった』
視界がかすみ、暗闇が包み込む。
『あんたが父さんを殺したのよ』
テレビの画面は、そこで切れた。
──
- 27 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/15(月) 23:59:35 ID:PEgUgA5gO
-
──
( A )
思い出した。思い出してしまった。
何故、ドクオは生死の境に存在しているのか。
あの時、包丁で何度も刺されたのだ。
愛してくれていたはずの、実の母親に。
( ^ω^)「さあ、選択の時ですお」
ブーンの目が、真っ直ぐドクオに向く。
( ^ω^)「鬱田ドクオさん。貴方はどっちを選びますかお?」
( A )「……」
- 28 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/16(火) 00:00:40 ID:HGuDyyWAO
-
( ^ω^)「現世に戻って生きますか?それとも…」
( ^ω^)「そのまま、死にますか?」
命の選択の時。
小さく唇を震わせた途端、ドクオは白い光に包まれ、部屋から消えた。
( ^ω^)「……」
──
- 29 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/16(火) 00:02:44 ID:HGuDyyWAO
-
──
『先週月曜、市内に住む鬱田ドクオさんが何者かに刺され、病院に搬送された事件で、昨夜未明、鬱田ドクオさんの母親である鬱田カーチャンさんが逮捕されました』
『鬱田容疑者は、部屋に引きこもっていたドクオさんを包丁で刺し、発見者を装って警察に通報』
『その後、警察の任意の取り調べの際に容疑を自白、逮捕されました』
『被害に遭ったドクオさんは、搬送先の病室で、一週間後に死亡が確認されました』
vol.1
「愛は憎しみに変わり、狂気は人に代わる」
終
- 30 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/16(火) 00:04:18 ID:HGuDyyWAO
- 以上で第一話(vol.1)投下完了です
初創作板投下だぜ!
ご支援ありがとうございます!
- 31 :名も無きAAのようです:2011/08/16(火) 00:28:43 ID:99l6f0.Q0
- 救いがない話だな・・・。 乙!
- 32 : ◆vVv3HGufzo:2011/08/16(火) 00:43:25 ID:20rkszsYO
- 乙
しかし、割れてる鳥使うのはちょっとリスキーかなと思う
トリップキーを探したかったわけじゃないんだが、この鳥、何書いた人だっけと
ぐぐってみたら簡単にキー出てきた
- 33 :名も無きAAのようです:2011/08/16(火) 01:56:56 ID:AbQ/V1NA0
- 戦国ギタリストの人?
良かった、乙
- 34 :名も無きAAのようです:2011/08/16(火) 09:14:59 ID:QksLJ4YwO
- ああ、こういう話は好きだ
楽しみな現行が増えた乙
- 35 :名も無きAAのようです:2011/08/16(火) 12:52:01 ID:tiS8ZjVIO
- 誰が悪いとも言い切れないあたりが辛いな
乙
- 36 :名も無きAAのようです:2011/08/16(火) 15:32:24 ID:HGuDyyWAO
- 皆さんありがとうございます!
>>32
なん…だと…
このトリ結構気に入ってたのに…
発見ありがとうございます
次回は別のトリで投下します!
- 37 :名も無きAAのようです:2011/08/16(火) 22:54:14 ID:uPaw6eIc0
- この雰囲気・・・
最高だわ
乙
- 38 :名も無きAAのようです:2011/08/17(水) 08:04:36 ID:aNlpWd8M0
- 凄く面白かったです
次回も楽しみにしています
- 39 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:25:54 ID:e8nglLdIO
- 皆さんコメントありがとうございます
新しいトリこれでいいかな?
それではvol.2投下します
- 40 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:27:08 ID:e8nglLdIO
-
「パパー!にらめっこしよー!」
──おっ、パパに勝てるモナ?
「勝てるもん!だってね、パパはにらめっこ弱いんだもん!」
──よーし言ったな?受けて立つモナ!
「いくよ!にーらめっこしーましょ、笑うと負けよ、あっぷっぷ!!」
──アッハッハ!こりゃパパの負けだモナ!
「へへへ、パパよわーい!」
──ようし、もう一回やるモナ!
「うん!!」
「にーらめっこしーましょ──」
- 41 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:28:05 ID:e8nglLdIO
- ●
vol.2
茂茄モナー(38歳 会社員)
●
- 42 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:29:12 ID:e8nglLdIO
-
──
(;´∀`)「……」
気がつくと、見知らぬ薄暗い部屋のソファーに、モナーは座っていた。
自分が座っているソファーの前には、テレビの置かれたテーブルと。
( ^ω^)
向かいに座る、見知らぬ青年。
(;´∀`)「…君は?」
( ^ω^)「初めまして茂茄さん。僕は現世媒体師のブーンと言いますお」
(;´∀`)「はあ…」
- 43 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:30:40 ID:e8nglLdIO
-
無表情の青年、ブーンが落ち着いた様子で続ける。
( ^ω^)「今、茂茄さんは生死の境にいますお」
(;´∀`)「……は?」
( ^ω^)「茂茄さんは選ぶことができますお。現世に戻って生き返るか…」
手のひらをモナーに向け、ひとつ指を折る。
( ^ω^)「…そのまま死ぬか」
またひとつ、指を折る。
そこでようやく、モナーがはっきりと口を開いた。
- 44 :名も無きAAのようです:2011/08/18(木) 19:31:35 ID:uaVC1Qxs0
- あれだ、何かに似てると思ったらスカイハイか
支援
- 45 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:31:53 ID:e8nglLdIO
-
( ´∀`)「…ここに来る直前の記憶があまりないから、僕が生死の境にいるって話は信じるモナ」
( ^ω^)「ありがとうございます。この時点で信じてくださる方は珍しいですお」
それもそうだ。
急に見知らぬ人間に「生死の境にいる」と言われ、それを信じる人間はむしろ普通じゃない。
しかし、モナーには何故かそれを信用できる理由があった。
うっすらと覚えているのだ。ここに来る直前、何か悲しい出来事があったことを。
それこそ死にたくなるほどの、悲しい出来事が。
( ´∀`)「…でもひとつ腑に落ちないことがあるモナ。僕は何かの宗教を信じているわけではないけど、生きるか死ぬかというのは、その…"神様"のようなものが決めるのでは?」
( ´∀`)「そうでもないと、大抵の人間は生き返ることを望むはずモナ」
( ^ω^)「ええ、その通りですお。本来なら、"大いなる方"が人の生死を決めますお」
- 46 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:32:53 ID:e8nglLdIO
-
( ´∀`)「大いなる方…」
( ^ω^)「此処に来る人間は、大いなる方に生死の判断を迷われた人間ですお。だから、その判断を本人に託すんですお」
生死の判断。そんなもの託されたって、どうしようもない。
反論の言葉を出そうとするモナーを、ブーンが制した。
( ^ω^)「その決断が、本人が正しく、納得できる決断になるよう手伝うのが僕の主な仕事ですお」
( ´∀`)「…どうやって?」
モナーに目線を合わせながら、ブーンが小さく笑みを浮かべる。
( ^ω^)「1日だけ現世に戻ってもらいますお。ただし、僕に乗り移った状態でね」
──
- 47 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:33:56 ID:e8nglLdIO
-
──
モナーの住み慣れた町。平和な都会に、ブーンは立った。
その体の中には、モナーの意識が憑いている。
( ^ω^)「日没までには戻りますお。さあ、どこに行きますかお?」
( ´∀`)『…家族に会いたいモナ』
( ^ω^)「ご家族なら大学病院にいますお」
( ´∀`)『そこに頼むモナ』
指示された方へと歩き出すブーン。
ついでに菓子折りを買い、早歩きで向かう。
病院には案外早く着き、ブーンはそのまま病室へ向かった。
- 48 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:35:20 ID:e8nglLdIO
-
病室に入ると、ベッドに横たわるモナーと、その横に二人の親子が座っているのが見えた。
二人とも、静かにモナーを見つめている。
空気が重い。
( ´∀`)『……』
( ^ω^)「こんにちはー」
('、`*川「!」
*('')*「?おにいさんだれー?」
驚いたように顔を上げる女性。
その横で、小さな女の子が不思議そうにブーンをまじまじと見る。
- 49 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:36:12 ID:e8nglLdIO
-
( ^ω^)「僕はモナーさんの部下の内藤と言いますお。取引の帰りなので、ついでに見舞いに来ましたお」
('、`*川「…わざわざありがとうございます。モナーの妻のペニサスです。ヘリカル、内藤さんに挨拶しなさい」
*('')*「こんにちは!茂茄ヘリカルです!」
( ^ω^)「おっ、挨拶上手だおね。ヘリカルちゃんは何歳なのかお?」
*('')*「5さい!」
( ^ω^)「5歳かお、大きいおー」
菓子折りを置いて、それをペニサスにすすめる。
ペニサスは上品に礼を返し、その中の菓子をヘリカルに選ばせた。
- 50 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:37:23 ID:e8nglLdIO
-
*('')*「ヘリカルおせんべいがいい!」
('、`*川「はい、内藤さんにありがとうは?」
*('')*「ありがとうないとーさん!」
( ^ω^)「どういたしまして、いっぱい食べるといいお」
椅子に座り、嬉しそうに煎餅を食べるヘリカル。
その横で、内藤がペニサスに話しかける。
( ^ω^)「…元気な女の子ですお」
('、`*川「ええ、元気だけがこの子の取り柄で」
- 51 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:38:44 ID:e8nglLdIO
-
ペニサスの表情に笑顔が浮かぶ。
ブーンの中で、モナーが安堵の溜め息をついた。
( ^ω^)「…モナーさんは憧れの先輩ですお」
('、`*川「……」
モナーの体に視線を落としながら、独り言のように呟く。
( ^ω^)「自分より仲間を思いやって、自分の仕事を後回しにして新人に教えこむ姿はしょっちゅう見ますお」
( ^ω^)「それでいて、自分の仕事もきちんとこなす…周りからの信頼は人一倍厚いんですお。早く復帰してほしいですお」
('、`*川「……」
( ^ω^)「…家庭ではどのように?」
- 52 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:39:44 ID:e8nglLdIO
-
('、`*川「素晴らしい父親です」
ペニサスの方も、呟くように言葉を出していく。
('、`*川「どんなに仕事が忙しくても、時間を空けて子供の相手をする…素晴らしい人です」
( ^ω^)「……」
('、`*川「それが…こんなことになってしまって…」
( ´∀`)『ペニサス…』
*('')*「ママどうしたの?」
俯くペニサスの顔を、ヘリカルが無邪気に覗き込む。
ペニサスは笑顔で首を横に振りながら、何でもない、と言い聞かせた。
- 53 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:40:53 ID:e8nglLdIO
-
(;´∀`)『……』
その傍らで、モナーが冷や汗を流し始める。
それを察したブーンが、どうしました、と小声で尋ねる。
猜疑に満ちた声で、モナーが語り始めた。
(;´∀`)『なんか…なんか変だモナ』
( ^ω^)「?」
(;´∀`)『どうしてペニサスは……』
(;´∀`)『…いや、やっぱり思い出せないモナ』
ペニサスとヘリカルを、何かを探り出すようにモナーが見つめる。
(;´∀`)『もう少し、ペニサスとヘリカルと一緒にいてくれないか』
- 54 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:42:34 ID:e8nglLdIO
-
何かを思い出せそうで思い出せない、妙なもどかしさがモナーを襲う。
愛する妻と子。その姿が、やけに引っかかる。
( ^ω^)「ペニサスさん。もし迷惑でなければ、お昼をご一緒してもよろしいでしょうかお?」
('、`*川「?…ええ、ちょうどお腹が空いてきたところです」
*('')*「ごはん?」
( ^ω^)「ありがとうございますお。ヘリカルちゃんも一緒にお昼ごはんだお」
──
- 55 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:43:18 ID:e8nglLdIO
-
──
近くの喫茶店に入り、4人席のテーブルにブーン達は座った。
( ^ω^)「遠慮なくお好きなものを頼んでくださいお。支払いは僕が済ませますので」
('、`*川「何から何まで本当にありがとうございます…では私はAランチで」
*('')*「ヘリカルはお子様セット!」
( ^ω^)「じゃあ僕はBランチで」
メニューを見せながら、ペニサスの様子を観察するブーン。
しかし、モナーのように引っかかる節はどこにもない。
注文を済ませた後、ブーンはさり気なくペニサスに尋ねた。
- 56 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:45:10 ID:e8nglLdIO
-
( ^ω^)「…先程、モナーさんは素晴らしい父親だと仰いましたが」
('、`*川「ええ」
( ^ω^)「妻である貴方ともご順調ですかお?」
('、`*川「!」
出過ぎた質問だったからか、ペニサスが答えを返すまでは少し時間を要した。
寂しそうな笑顔をブーンに向け、それに応える。
('、`*川「…実は、夫が事故に遭う直前まで、ちょっとした揉め事がありまして」
( ´∀`)『!』
( ^ω^)「揉め事?それは一体どんな?」
- 57 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:46:21 ID:e8nglLdIO
-
('、`*川「それは夫婦間の秘密、ということで」
結んだ口の前に人差し指を立て、小さく笑ってみせるペニサス。
ちょうどその時、ウエイターがテーブルに注文の食事を置いてきた。
*('')*「ハンバーグだー!」
('、`*川「こらヘリカル、ちゃんとお野菜も食べるのよ?」
*('')*「むー…」
( ^ω^)「おっお、ヘリカルちゃんがお野菜食べられたら、おもちゃを買ってあげるお」
*('')*「ほんと!?じゃあ食べるー!」
- 58 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:47:34 ID:e8nglLdIO
-
('、`*川「内藤さん、そんなにお気を使わなくても…」
( ^ω^)「いいんですお。本当に明るくて良い子ですお」
申し訳なさそうにするペニサスに笑顔を返し、食事を始める。
黙々と食べる仕草をしながら、ブーンはモナーに小さく話しかけた。
( ^ω^)「モナーさん、何か思い出せましたかお?」
( ´∀`)『わからないけど……いや、もういいモナ。食事が終わったら戻ろうモナ』
( ^ω^)「わかりましたお」
一生懸命に野菜を食べるヘリカルと、それを応援するペニサス。
微笑ましい光景を眺めながら、ブーンは食事を進めた。
──
- 59 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:48:35 ID:e8nglLdIO
-
──
薄暗い部屋。一台のテレビとテーブル、それを挟んで対になっているソファー。
最初にいたその部屋に、ブーンとモナーが座る。
( ^ω^)「モナーさん、隠していたつもりはありませんが、モナーさんの知りたがっていた真実はここにありますお」
( ´∀`)「え?」
テレビをつけ、ブーンが説明を続ける。
( ^ω^)「これは、モナーさんがこの部屋に来る直前の意識を、映像として具現化させたものですお」
( ´∀`)「ここに来る直前…」
- 60 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:50:10 ID:e8nglLdIO
-
ここに来る直前。つまり、生死の境へ来ることになったきっかけが、映像になっているということか。
それを理解し、食い入るように画面を見つめるモナー。
映像は、ペニサスが泣いて謝っているところから始まった。
(;´∀`)「!!」
(;、;*川『ごめんなさい、本当にごめんなさい……』
ひたすら謝り続けるペニサス。
状況がわからずにその姿を眺めていると、信じられない言葉が彼女の口から零れ落ちた。
(;、;*川『…離婚、してください』
- 61 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:51:26 ID:e8nglLdIO
-
(; ∀ )「あ……」
半開きになった口を閉じることすら忘れ、モナーは映像を眺めていた。
思い出した。
ようやく、すべてを思い出してしまった。
(;、;*川『あなたのことは素晴らしいと思ってる。夫としてのあなたを、父親としてのあなたを、本当に尊敬してる』
(;、;*川『でもね、でも……』
画面を見つめるモナーの目から、雫が溢れかえる。
(;、;*川『…どうしようもないくらい、好きな人ができたの』
- 62 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:52:40 ID:e8nglLdIO
-
『なんだよそれ、どういう…』
(;、;*川『あなたは本当に素晴らしい夫なの。でも、それ以上に私を苦しめるほど、彼を好きになってしまったの』
『待ってくれモナ、一体、……』
(;、;*川『夫がいて、子供がいて、恋人がいる。そんなの私には耐えられない。だから…』
画面の中のモナーが言葉に詰まる。
しかし、その時の気持ちはよく覚えている。
『それじゃ…』
それじゃ、今まで二人で積み上げてきたものは何だったというのだ。
平凡な幸せを願い、結婚したのに。
子供を作り、家を立て、それなりの幸せを手にしたのに。
それなりの人生を掴めたと思っていたのに。
一つの恋心が、それに勝るというのか。
- 63 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:53:44 ID:e8nglLdIO
-
『なんだそれ、嫌だモナ…』
(;、;*川『ごめんなさい。ごめんなさい…』
『じゃあ…今までの僕達は……』
『…今までの僕達は、一体何だったんだモナ!!』
(;、;*川『……』
怒声が部屋の中に響く。
ペニサスの涙は、一向に止まろうとしない。
『僕は幸せだったんだモナ!!ペニサスという愛する妻が出来て、ヘリカルという可愛い子を授かって!!』
『二人でヘリカルを幸せにしようと誓ったじゃないか!ヘリカルを良いお嫁さんにするのが僕達の仕事だって、約束したじゃないか!!』
『それが、こんな……!!』
- 64 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:54:51 ID:e8nglLdIO
-
映像が滲んでいく。
映像から流れる声が、格段に震えていく。
『…こんな……!!』
(;、;*川『……』
『……一体何だったんだモナ…』
映像の中がふらふらと移動を始めた。
リビングを出て、廊下から玄関に向かう。
(;、;*川『あなた、待って…』
『あの幸せは、一体何だったんだモナ!!』
背後のペニサスに怒鳴り、玄関で靴を履く。
途端、玄関のすぐ側にある子供部屋が開いた。
- 65 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:56:25 ID:e8nglLdIO
-
『!』
*('')*『パパ、ママ、どうしたの?夜は大きな声出しちゃダメなんだよ?』
『……』
(;、;*川『…そうね、ヘリカル。パパとママも気をつけなきゃね』
*('')*『ママ、どうして泣いてるの?』
(;、;*川『……大丈夫、何でもない』
そっとヘリカルを抱きしめ、涙を流し続けるペニサス。
その頭を撫でながら、まるで自分に言い聞かせるように呟く。
(;、;*川『何でもないよ…大丈夫……』
『……』
- 66 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:57:30 ID:e8nglLdIO
-
その姿をじっと見ていることができず、玄関を飛び出すモナー。
暗い街の中を、闇雲に走り抜ける。
スピードのあるトラックの存在に気付かず、道路に飛び出たところで、映像は終わった。
( ∀ )「……」
妻の、たった一つの恋心が、モナーの全てを奪おうとしていた。
モナーが積み上げてきたもの全てを、呆気なく壊そうとしていた。
この幸せだけは、誰にも壊せないと信じていたのに。
- 67 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 19:58:24 ID:e8nglLdIO
-
( ^ω^)「…さあ、茂茄モナーさん。選択の時ですお」
目の前のブーンが、無表情で言葉を連ねる。
( ^ω^)「現世に戻って、生き返りますか?」
( ^ω^)「それとも、そのまま死にますか?」
( ∀ )「……」
そんなもの、とっくに迷いは無い。
しかし、まともにブーンに返事が出来たのは、それから暫く経ってからだった。
──
- 68 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 20:00:33 ID:e8nglLdIO
-
──
「パパはね、にらめっこがよわいんだよ!」
「だからね、ヘリカルとにらめっこしたら、パパは笑うんだよ!」
「ね?パパ、いくよ?」
*('')*「にーらめっこしましょ、笑うと負けよ、あっぷっぷ!」
( ´∀`)「………」
*('')*「…あっぷっぷ!」
( ´∀`)「………」
*('')*「ねえ……」
( ´∀`)「………アハハ、ヘリカルは相変わらずにらめっこが強いモナ」
*('')*「!!パパ!パパが起きた!ママー!!」
('、`*川「あなた!?…ああ!先生を呼んでくる!」
- 69 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 20:01:38 ID:e8nglLdIO
-
まだはっきりしない視界。
しかし、その中央でヘリカルが満面の笑みを浮かべているのは、よく見えた。
( ´∀`)「…あ、今回は引き分けだモナ」
*('')*「え!?ずるーい!違うもん!今のはパパがおかしくて笑ったんじゃないもん!」
( ´∀`)「よーし、それじゃもう一回やるモナ」
*('')*「うん、いくよ!にーらめっこしましょ──」
──
- 70 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 20:03:18 ID:e8nglLdIO
-
──
結局、ペニサスとの離婚の話は無くなった。
ペニサス曰わく、「失いかけて初めて、夫の偉大さがわかった。それには恋も何も勝てない」だそうだ。
まったく、女というのは男以上に気ままな生き物だ。
とりあえず、今はこの幸せを噛みしめていたい。
妻がいる幸せを、子供がいる幸せを。
今を生きているという、何よりも強い幸せを。
vol.2
「積み上がったものほど脆く、しかし高くそびえるものは無い」
終
- 71 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/18(木) 20:04:23 ID:e8nglLdIO
- これにてvol.2投下完了です!
ご支援ありがとうございました!!
- 72 :名も無きAAのようです:2011/08/18(木) 21:25:44 ID:Vjat719o0
- 乙!
- 73 :名も無きAAのようです:2011/08/18(木) 22:16:55 ID:qLD7.GvMO
- 乙
幼女が幸せそうでなにより
- 74 :名も無きAAのようです:2011/08/18(木) 22:53:59 ID:7TLiTmeE0
- 乙! 幸せな展開で良かった。
- 75 :名も無きAAのようです:2011/08/18(木) 23:50:58 ID:uaVC1Qxs0
- 文丸さんでまとまってたよ あと戦国ギタリストも
- 76 :名も無きAAのようです:2011/08/19(金) 12:09:38 ID:R2tPc9aso
- 乙!
この連載救いのない話ばかりかと鬱になるとこだったぜ…
- 77 :名も無きAAのようです:2011/08/19(金) 15:11:10 ID:GZGOj8bgO
- 久々に良作を読ませていただいた…乙!
これからにも期待
- 78 :名も無きAAのようです:2011/08/20(土) 14:16:42 ID:Oj5lmvlo0
- まあまあかな
65点あげられるよ
- 79 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/26(金) 21:06:14 ID:En56Ba7MO
- 皆さんありがとうございます!
>>75
おほほほマジすかwww
有り難き幸せにございます
まとめの方々、毎度ありがとうございます!
- 80 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:10:50 ID:AQ2yOVC2O
-
目の前の男が憎かった。
理由は特にない。
電車に乗りこみ、ゆっくりと発車したところで、目の前に座る男が無性に憎くなった。
殺したい。殺したい。殺したい。殺したい。
頭の中にいる「誰か」が叫ぶ。
殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。
頭の中を、「誰か」が蹂躙していく。
- 81 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:11:46 ID:AQ2yOVC2O
-
しかし、頭の中にいるまた別の「誰か」が、必死に引き止める。
殺してはダメだ。
それは私の望むことじゃない。
頭の中で意見が錯綜する。
頭の中で人間が錯雑する。
震える両手が、男の首へと伸びていく。
──
- 82 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:12:41 ID:AQ2yOVC2O
- ●
vol.3
大原ワカッテマス(31歳 自営業)
●
- 83 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:13:33 ID:AQ2yOVC2O
- ──
(;<●><●>)「ここは……?」
( ^ω^)「生と死の境ですお」
気がつくと、ワカッテマスは見知らぬ薄暗い部屋のソファーに座っていた。
状況を把握するために、自分に言い聞かせるように呟くワカッテマス。
しかし、向かいのソファーに座る見知らぬ青年が、淡白な口調でそれに答えた。
それも、何やら妙なセリフで。
(;<●><●>)「生と死の境…?」
( ^ω^)「ええ。ちなみに私、現世媒体師のブーンといいますお」
- 84 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:14:25 ID:AQ2yOVC2O
-
聞いたことのない職業だ。
そんなことより、この青年が最初に発した言葉のほうが、ワカッテマスには非常に気にかかった。
(;<●><●>)「その…もう一度聞きますけど、ここはどこなのですか?」
( ^ω^)「生死の境ですお」
(;<●><●>)「……」
悪い夢だ。
あまりにも寝覚めの悪そうな、そして心地悪い夢。
生死の境ということは、古い表現をすれば三途の川、ということなのだろうか。
いずれにしても、冗談が過ぎやしないか。
(;<●><●>)「真面目に答えてください。私は……」
( ^ω^)「ワカッテマスさんは選ぶことができますお」
必死の反論をすぐさま妨げられた。
口が止まったワカッテマスに対し、ブーンが続ける。
- 85 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:16:53 ID:AQ2yOVC2O
-
( ^ω^)「選択は二つに一つ。現世に戻って生き返るか」
感情のないブーンの目が、ワカッテマスの大きな瞳を捕らえる。
( ^ω^)「そのまま死ぬか」
背筋がゾクリとする。
冗談にしては、やけに重い選択かもしれない。
しかし、こんなもの考えるまでもない。
(;<●><●>)「冗談が過ぎますよ。こんなもの、生きるに決まって──」
- 86 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:17:52 ID:AQ2yOVC2O
-
生きるに決まってる。
この短い台詞が、何故か言い切れなかった。
何故だ。何かがひっかかる。
死にたいわけでは決してない。だが──
( ^ω^)「その選択を、本人が納得いく決定ができるように手伝う。それが僕の仕事ですお」
(;<●><●>)「!」
いつの間にか下がっていた顔が、不意に上がる。
その先には、不気味に顔を歪ませるブーンの姿が在った。
( ^ω^)「ワカッテマスさんには一日だけ現世に戻っていただきますお。ただし…」
( ^ω^)「僕に乗り移った状態でね」
──
- 87 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:18:51 ID:AQ2yOVC2O
- ──
( ^ω^)「さあワカッテマスさん、どこに行きますかお?」
( <●><●>)『……』
ワカッテマスが住み慣れた、のどかな住宅街。
その中に立つブーンに、乗り移ったワカッテマスが呟く。
( <●><●>)『…私の家までお願いします』
( ^ω^)「わかりましたお」
その住宅街のほぼ中央に位置する通りに、ワカッテマスの住居はある。
二階建ての細長い家。
一階は手作りのパン屋で、二階が住居となっている。
実家のパン屋を受け継ぎ、立派な職人として働いているワカッテマス。
しかし、いざそのパン屋に着くと、まだ昼前だと言うのにシャッターが閉じられていた。
- 88 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:20:27 ID:AQ2yOVC2O
-
( <●><●>)『おかしいですね…』
怪訝そうな声が思わず漏れる。
聞き返したブーンに、ワカッテマスが続ける。
( <●><●>)『ウチは基本的に無休なんです。何か特別な日でもない限り…』
( ^ω^)「そうなんですかお」
( <●><●>)『お手数ですがブーンさん、二階に上がってくれませんか』
( ^ω^)「了解ですお」
ワカッテマスの指示のもと、店の裏から階段で二階に上がる。
小綺麗な扉の前に立ってチャイムを鳴らすと、初老の男性がやけに警戒しながら出てきた。
- 89 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:21:41 ID:AQ2yOVC2O
-
( ゚д゚ )「…どちらさん?」
ひどくやつれた顔で出迎えた男。
ワカッテマスの父親であることは容易に想像できた。
( ^ω^)「はじめまして大原さん。僕はワカッテマスの友人のブーンといいますお」
( ゚д゚ )「ワカッテマスの…」
ワカッテマスに似た大きな目で、ブーンの姿をじろじろ眺める。
途端、警戒心の表れた張り詰めた顔が解け、「入んな」と中へすすめた。
──
- 90 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:22:52 ID:AQ2yOVC2O
- ──
( ゚д゚ )「いやね、ここんとこ嫌な来客が多くて困ってるんだ」
ブーンに茶を淹れながら、朗らかに喋る。
一階の店を閉めているのも、その来客が多すぎて商売にならないからだという。
ワカッテマスの父親──ミルナが茶を置き、ブーンにすすめる。
何度か頭を下げながらそれを受け取り、ブーンはミルナに「客」について聞き返した。
( ゚д゚ )「…警察やらマスコミやら、そんな奴らだよ」
( <●><●>)『え?』
警察、マスコミ?
そんなものが何故家に来るんだ。
ワカッテマスが訴えかけるも、ミルナには無論伝わっていない。
ミルナは溜め息をつくと、目を伏せながら語り出した。
- 91 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:23:42 ID:AQ2yOVC2O
-
( ゚д゚ )「アンタもあいつの友達なら知ってるだろう?」
大きな目が、ブーンと向き合う。
( ゚д゚ )「…あいつの病気を」
(;<●><●>)『病気?』
なんだ。何の話だ。
そこまで深刻になるほどの病気など、かかったことがない。
( ゚д゚ )「普段は良い息子なんだ。妻が死んだ時、俺とアルバイトの連中だけじゃ店は無理だろうって、わざわざ実家に戻って店を継いだ」
( ゚д゚ )「家族想いの優しい息子さ。俺にゃ勿体ないくらいだ」
( ゚д゚ )「…"普段"はな」
- 92 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:24:32 ID:AQ2yOVC2O
-
普段。
ミルナが強調するこの単語が、何か得体の知れない恐怖をワカッテマスに植え付ける。
全く自覚のない「病気」と、身に覚えのない「普段と違う自分」。
寒気がする。
一体何の話だ。
( ゚д゚ )「あいつに罪はねえんだ。むしろ……」
話を続けようとしたミルナの口が止まる。
( ゚д゚ )「……いや、これ以上あいつの話をするのはよそう。気の毒だ」
( ^ω^)「わかりましたお」
- 93 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:25:48 ID:AQ2yOVC2O
-
( <●><●>)『……』
その後は他愛のない雑談が続き、暫くの後にようやく家を出た。
陽が傾きつつある。
( <●><●>)『ブーンさん、私の体がある場所に行ってくれませんか』
( ^ω^)「はいですお」
自分がなぜ生死の境にいるのかは覚えてないが、自分の体を見ればなんとなくわかる気がした。
ブーンはその場でタクシーを捕まえ、市立の病院へと向かった。
──
- 94 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:26:46 ID:AQ2yOVC2O
- ──
病室に入ると、ワカッテマスは自分の体を見て絶句した。
自分がこうなった理由は思い出せないが、それにしても酷い。
(;<●><●>)『……』
首を強く絞められたのだろうか、その首には大袈裟なまでの包帯が巻かれており、顔色が悪い。
呼吸も苦しそうだ。
憶測に過ぎないが、記憶にないということは、恐らく突然首を絞められたのだろう。
自分じゃない「誰か」に。
- 95 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:27:54 ID:AQ2yOVC2O
-
( ^ω^)「…ん?」
ふとブーンが歩き、ベッドの横にある紙を手に取った。
どうやら新聞の切り抜きのようだ。
( ^ω^)「ワカッテマスさん、これ…」
大きく枠の取られたその記事には、電車内で急に首を絞められるという事件が書かれていた。
その犯人は──
( <●><●>)『え?』
──大原ワカッテマス。
- 96 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:28:40 ID:AQ2yOVC2O
-
「え?」
頭の中で、誰かが声をあげる。
誰だ。
頭の中にいるお前は誰だ。
( <○><○>)
誰かがワカッテマスの目を、脳を覗き込む。
お前は、誰だ。
──お前は私じゃない。
──そして私はお前じゃない。
私の名は。
大原──
- 97 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:29:34 ID:AQ2yOVC2O
-
( ^ω^)「ワカッテマスさん」
(;<●><●>)「!!」
ブーンの呼びかけに、はっと顔を上げる。
すっかり赤くなった空を指差すブーン。
もう戻る時間だ。それを認識した途端、ワカッテマスの意識はあの薄暗い部屋に戻っていった。
──
- 98 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:30:25 ID:AQ2yOVC2O
- ──
( <●><●>)「ブーンさん…」
薄暗い部屋の中に座る二人。
ワカッテマスは何か腑に落ちないような、すっきりしない顔を下に向けた。
( <●><●>)「生きるか死ぬか、私に選択権があるわけですよね?」
( ^ω^)「ええ」
( <●><●>)「いろいろとすっきりしないことがありましたが…私は死にたくはないです」
( ^ω^)「……」
人間として当然の選択。
しかし、それでもワカッテマスの顔は晴れない。
- 99 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:31:38 ID:AQ2yOVC2O
-
( ^ω^)「ワカッテマスさん」
顔を上げる。
ブーンはテレビをつけながら、説明口調で続けた。
( ^ω^)「…今から流れる映像は、ワカッテマスが此処に来る直前の記憶ですお」
( <●><●>)「直前の記憶……」
そうだ。それならわかる。
事件の謎も、恐らく父親が言っていた「病気」の意味も。
食い入るように画面を見つめる。
映像は、電車に入っていくところから始まった。
- 100 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:32:24 ID:AQ2yOVC2O
-
座席の埋まった車内。
仕方なく吊革を掴み、電車が動くのを待つ。
途端、小さな音声がその映像に加わった。
聞き覚えのある声。
…いや、これは自分の声だ。
(;<●><●>)「ぶ、ブーンさん!音量を上げてください!早く!」
( ^ω^)「はいですお」
テレビの音量を上げ、再度映像に食いつく。
途端、ワカッテマスの目つきが変わった。
- 101 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:33:31 ID:AQ2yOVC2O
-
『殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる』
『憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い』
( <○><○>)「なあーんだ…」
ソファーに深く座り直し、ワカッテマスが呟く。
( <○><○>)「いつものことじゃねえか」
そう、いつものことなのだ。
止むことのない殺意。
それだけを糧に生きてきた。
別に珍しいことじゃない。
目の前に座る男が憎らしく、どうしようもないくらい、殺したくなっただけ。
- 102 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:34:24 ID:AQ2yOVC2O
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映像の中で、ワカッテマスが吊革から手を離し、両手を伸ばす。
目の前に座る男の首に、手が伸びていく。
( <○><○>)「そうだ、殺せ!早く殺せ!!」
その映像に、まるでスポーツ観戦をするかのように、声を上げるワカッテマス。
『ダメだ』
( <○><○>)「!」
ワカッテマスの動きが、ピタリと止まる。
部屋の中で、映像の中で。
『殺してはダメだ。それは私の望むことじゃない』
- 103 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:35:20 ID:AQ2yOVC2O
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『黙れ』
ワカッテマスの口から、二役の声が流れていく。
『止めるな。それ以上余計な口を出したら……』
『お前を殺す』
(;<●><●>)「やめろ!!」
映像の中で、ワカッテマスの両手が、目の前の男を締め上げた。
一斉に周りの乗客が何かを叫び、ワカッテマスを抑える。
- 104 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:36:15 ID:AQ2yOVC2O
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『ああ、あああああ!!!』
周りの手をほどき、自らのズボンからベルトを外し、それを首に巻き付ける。
周りの乗客が、またもワカッテマスを抑えにかかる。
天井や乗客の姿がかすれていく。
映像は、そこで終わっていた。
( ^ω^)「…ワカッテマスさん」
呆けた顔で、目だけをブーンに向ける。
( ^ω^)「あなたの病気は……」
- 105 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:37:28 ID:AQ2yOVC2O
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( <●><●>)「わかってます」
自分でも驚くほどの落ち着いた声が、ブーンを制する。
( <●><●>)「二重人格症状、ですね」
二重人格。
父親のミルナが「病気」と称していた、ワカッテマスの別の人格。
( ^ω^)「二重人格にしては珍しいですお。別の人格を認識していなかったとは」
( <●><●>)「…私も、驚いています」
二重人格に見られる、別の人格の認識や記憶の共有。
それが全く無かったため、ワカッテマスには二重人格の自覚が無かったのだ。
事件の瞬間までは。
- 106 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:38:36 ID:AQ2yOVC2O
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( <●><●>)「もう一つの私は、ひどく暴力的な男」
まるで自分自身に確認するように、ワカッテマスが呟く。
( <●><●>)「憎悪、殺意、それだけで生きてきた」
( ^ω^)「……」
( <●><●>)「ブーンさん、私は…」
( ^ω^)「その前に、一つ聞きたいのですが」
命の決断。
それを口にする前に、ブーンが疑問を投げかける。
( ^ω^)「あの時、ワカッテマスさんの中で、二つの人格が争っていましたね」
( <●><●>)「ええ…」
- 107 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:39:42 ID:AQ2yOVC2O
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( ^ω^)「では、実際に座席にいた人の首を絞めたのは、誰ですかお?」
空気が止まる。
見るものすべてが、止まって見える。
全身から、血の気が引いていく。
(;<●><●>)「ブーンさん──」
(;<○><○>)「俺は──」
すべてを悟り、両手で髪の毛を鷲掴みにしながら、ワカッテマスが小さく呟いた。
直後、ワカッテマスは白い光に包まれていった。
vol.3
「人が死ぬと、人が生きる」
終
- 108 : ◆uS/yIRKACM:2011/08/31(水) 00:41:07 ID:AQ2yOVC2O
- vol.3投下完了です!
ではまた!
- 109 :29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/31(水) 00:41:43 ID:6xXX/lC.0
- 乙
- 110 :29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/31(水) 21:06:47 ID:YADl0eq2O
- 誰かえろい人
解説してくれ
- 111 :29日・30日「納涼夏祭り」:2011/09/01(木) 02:49:41 ID:TJ3yMuPoo
- 乙
自責で潰れたか…
- 112 :名も無きAAのようです:2011/09/01(木) 17:05:41 ID:/kG3.ll.0
- わからん…
- 113 :名も無きAAのようです:2012/08/05(日) 17:45:05 ID:ES0Y0cdE0
- おしまい?
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