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[SS]鳩もどきの跳躍
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何も考えずにノリだけで書いたコメディーです
かなり短いのでさくっと読めると思います
よろしくお願いします
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ここは通称・鳩神社。
たくさんの鳩が集まる寂れた神社。
その中に白いレーサー服のおじさんがいた。
そう、鳩もどきである。
鳩もどき「クルックー」
今日も鳩もどきは戦っていた。
誰と?
決まっている。
鳩だ。
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だだだだっだだだだだっだだだだだだだだ…だんっ!!!!
鳩もどきは数十メートルの助走を付け、跳んだ。
ひゅううううううううううう…
どしーーーーーん!!!!
そして、落ちた。
ばさばさばさばさっ!
その衝撃で鳩たちは一目散に飛び去る。
鳩もどき「ぽーーーっ!」
鳩もどきは悔しそうに鳴いた。
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そこへ。
パンパン!
と、二拍手が響く。
鳩もどき「ぽ?」
ナザ「今年もいいアフォックスができますように」
戦芸人ナザレンコが賽銭箱の前で手を合わせていた。
ナザ「…よし!お参りも済んだし仕事行くか!しかしこんなとこに神社があったとはなぁ。正月だってのに全然客いねえし…めっちゃ鳩多いな」
鳩もどき「ぽっぽっぽ」
ナザ「ん?」
鳩もどき「ポッポー」
ナザ「なんだコイツは!?」
鳩もどき「クルックポッポ!!クルックポッポ!!」
鳩もどきはパタパタと両腕を羽ばたかせてジャンプする。
ナザ「は、鳩の真似か…?」
鳩もどき「クルッポー」
ナザ「変な奴だな…」
鳩もどき「ぽーっ!!」
ナザ「なんだよその目は…お前が言うなってか?」
鳩もどき「クルポ」
ナザ「ハハ、意味わかんねえが、面白い奴だな!んじゃまたな!」
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キィィィーーン…
ナザレンコは自家用ジェット機で飛び去った。
鳩もどき「クルックー!」
どだだだだだだだだだだだだだだだだ…だんっ!!!!
ジェット機を追って鳩もどきも跳ぶ。
どしーーーーーん!!!!
が、やはり落ちた。
鳩もどき「ぽーーーーーっ!!」
鳩もどきは考えた。
どうすれば飛べるのか。
鳩もどき「クルポッポー!」
だだだだだだだだだだっ!!!
そして、何かを思いついた鳩もどきは、走り出した。
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そして数時間後。
たどり着いたのは、ヨシオ族の里だった。
鳩もどき「クルックー」
殺意「何だお前…」
外敵かと警戒して駆けつけた殺意のヨシオと対峙する。
鳩もどき「ポッポー」
殺意「……」
鳩もどき「ポクポク」
殺意「…は?」
鳩もどき「クルッポッポ」
殺意「…よく分からないけど…殺すか」
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勇者「ス、ストーップ!」
そこへ勇者ヨシオが割って入った。
殺意「何だ勇者」
勇者「この人、鳩もどきさんですよ!」
殺意「…誰だ?」
勇者「近所の鳩神社に住み着いてるおじさんです」
殺意「鳩神社…ああ、あのボロいとこか」
勇者「鳩もどきさんは鳩になるために修行してるってウワサですよ」
殺意「何でだ」
勇者「何でって…僕に聞かれても…」
殺意「じゃあ本人に聞く。何で鳩なんかになろうとしてるんだ」
鳩もどき「ポッポポー」
殺意「言葉を喋れ。殺すぞ」
勇者「わーっ!お、落ち着いてください!」
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勇者「あ、ヨシオ仮面くん」
鳩もどき「クルックー」
仮面「おや、どちらさまプリ?」
勇者「近くの神社に住んでる、鳩もどきさんだよ。何しに来たのか分からなくて困ってるんだ」
仮面「なるほどプリ。僕が話してみますプリ」
鳩もどき「クルッポー」
仮面「ふむふむ…」
鳩もどき「ぽっぽー」
仮面「ほうほう…」
勇者「えっ、分かるの!?そうか、仮面くんも鳩もどきさんと同じだから…!」
殺意「同じ?どういうことだよ」
勇者「ほら、鳩もどきさんは鳩になろうとしてて、仮面くんはヨシオくんになろうとしてるじゃないですか。きっと何かになろうとしている者同士で通じ合ってるんですよ!」
殺意「どういう理屈だ…まあいい。仮面、何か分かったか?」
仮面「はい!クルッポー、ぽっぽー、と言ってますプリ!」
殺意「それは分かってるんだよ!!」
ドゴォッ!!
仮面「ブッ!!」
殺意は仮面の顔面をブン殴った。
殺意「使えなさすぎるだろ…そんなとこまでヨシオくんの真似するな」
勇者「ちょ!仮面くん大丈夫!?」
仮面「……」チーンーん
勇者「か、仮面くーーーん!!」
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殺意「ほっとけ。それよりコイツだ。誰か翻訳できる奴はいないのか」
勇者「え…うーん…鳩語なんて誰も……あ!もしかしたら…」
プルルルルル… プルルルルル…
勇者はどこかに電話をかけた。
殺意「誰に電話してるんだ?」
勇者「Dr.神様です!」
殺意「は?アイツが何か知ってるのか?」
勇者「神様はどうか分かりませんけど…神様の住むアルティライトタウンには、㌧さんや天使の聴牌さんも住んでるハズですから、あの二人なら何か知ってるかもしれません。めちゃくちゃ頭良いんですよあの二人」
殺意「頭が良いとかの問題なのか?」
勇者「え?だってそもそも殺意さんが翻訳しろとか言うから…」
殺意「あ゛ぁ?」
勇者「スマセン…」
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Dr.神様『もしもし。儂じゃが』
勇者「あ、神様!お久しぶりです!」
Dr.神様『おぉ、勇者。久しぶりじゃのう。それで何の用じゃ?』
勇者「神様って鳩の言葉とか分かりますか?」
Dr.神様『は、鳩…?いや、全く分からんけど…』
勇者「あぁ、やっぱり…」
殺意「お前には期待してない。㌧とやらを出せ」
Dr.神様『酷い!…ってその声は殺意じゃな?何かあったのか?』
勇者「鳩もどきさんって人がうちの里を訪ねてきたんですけど、鳩語しか喋らないので何しに来たのか分からないんです」
Dr.神様『ほぉ、成程のう。流石に㌧殿でも鳩語は難しいと思うが…一応声を掛けてみよう』
勇者「ありがとうございます!」
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数分後。
㌧『お電話代わりました。㌧です。お久しぶりですね勇者さん』
勇者「㌧さん、お久しぶりです!元気にしてましたか?」
㌧『ええ。デロイも会いたがっていましたよ。殺意さんとは初めましてですね。CPUトナメでの活躍、見せてもらいました』
殺意「チッ、黙れ。早く話を進めろ」
㌧『フフ、聞いた通りの人ですね。それで、鳩語を翻訳してほしいとのことでしたが…』
勇者「やっぱり難しいですか…?」
㌧『はい。私にはできません』
勇者「そうですか…」
㌧『ですが、村に一人だけそれが可能な方がいます』
勇者「ほんとですか!?」
殺意「誰だ?」
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ねこ『じゃーん!ボクでーす!』
勇者「ねこさん!?」
殺意「誰だよ」
ねこ『∫アルティライトねこです。よろしくおねがいします。って何度か会場であってますけど…CPUトナメじゃ先輩なんですけど…』
殺意「覚えてない」
ねこ『ガガガーン!』
㌧『ねこさんには、アルティライト・パワーという不思議な力があります。それによって猫の姿に変身できるのです』
勇者「ああ、そう言えば。その設定まだ残ってたんですね…」
殺意「そのなんたらパワーが何だって言うんだ。猫と鳩じゃ全然違うだろ」
ねこ『ボクの故郷は一度には魔族に滅ぼされましたけど、滅ぶ前に住んでいたヒトたちはみんな何かの動物に変身できたんです。それで、その中には鳩になるヒトもいました。だから鳩語もわかるというわけなのです』
勇者「なるほど!じゃあ早速ですが、鳩もどきさんにちょっと喋ってもらうので聞いてもらっていいですか?」
ねこ『はい』
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勇者「鳩もどきさん、どうしてこの里に来たんですか?」
鳩もどき「クルッポー」
勇者「…どうですか?ねこさん。分かりますか?」
ねこ『クルッポー、と言ってますね』
殺意「殺すぞ」
ねこ『わぁっ!?おこらないでください!ホントです!』
殺意「…どういう意味だ」
ねこ『そのヒトがしゃべっているのは…人語です!』
勇者「へっ?」
殺意「は?」
ねこ『ヒトが鳩のマネしてるだけです!だからクルッポーとしかきこえません!』
殺意「……はあ?」
ねこ『いやはあ?じゃなくて』
仮面(あってたんじゃんプリ…殴られ損じゃんプリ…)
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勇者「じゃ、じゃあ鳩もどきさんは特に意味もなく現れたってことですか…?」
㌧『いえ、そうとは限らないでしょう。鳩もどきさんという方は、鳩に憧れか何かを抱いて真似をしているのでしょう?』
勇者「みたいですね。ウワサでしか知りませんけど…」
㌧『であれば、人語を使いたくないがために独自の鳩語を喋っているのでしょう。子供が暗号で会話をするようなものです』
勇者「じゃあ…その暗号を解読するしかないってことですか…?」
殺意「そんなことしなくていい。喋れるのにあえてこのふざけた鳩語を使ってるんなら、無理やり喋らすまでだ」
勇者「えっ」
鳩もどき「ぽっ?」
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ばちーん!!
鳩もどき「ぽーーっ!?」
殺意は鳩もどきの頬を思いっきりビンタした。
そして胸ぐらを掴み上げ、睨みつける。
殺意「オイ、喋れ。殺すぞ」
鳩もどき「すみませんでした」
殺意「やっぱり喋れるんじゃねーか!!」
ばちーーーーん!!!!
鳩もどき「ぶひゃっ!?」
更にもう一撃ビンタを喰らい、鳩もどきは白目をむいて失神した。
㌧『か…解決したようですね…じゃあ私はこれで…』
勇者「あ…ハイ…ありがとうございました…」
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殺意「オイ、起きろ」
殺意は倒れた鳩もどきの体を揺さぶり、無理やり起こす。
鳩もどき「はっ…」
殺意「何しに来たんだお前」
鳩もどき「あ…えーと…その…鳩のように空を飛びたいな、と思って…」
殺意「は?」
鳩もどき「四年ほど前、神社で勇者ヨシオさんという方の話を聞くことが増えまして…」
勇者「ぼ、僕…!?」
殺意「四年前って言うと、勇者が冒険した時か」
鳩もどき「それで…勇者さんはすごい爆弾使いだと聞きまして…」
勇者「す、すごいかは分かりませんが、一応爆弾はよく使います…けどそれと空を飛ぶのと、何の関係が…」
鳩もどき「あの…爆発の勢いで飛べるんじゃないかと思いまして…」
勇者「な、なるほど…??」
殺意「ほぉ…そんなことのためにわざわざ来たのか…」
鳩もどき「はい…一応…」
殺意「そんなことで僕に時間取らせやがって…」
鳩もどき「えっ…」
勇者「殺意さん…?」
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殺意「飛びたきゃ飛んでろっ!!!!」
バゴッ!!!!
鳩もどき「クルッポーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」
殺意のずつきが炸裂し、鳩もどきは空へと消えていった。
殺意「プリプリ…」
仮面「おおおお!!殺意先輩の上スマしっかり狙ってプリプリ、生で見れたプリ!!かっこいいプリ!!」
勇者「あ、仮面くん。良かった、目が覚めたんだ。それにしてもすごい飛びましたけど…大丈夫なんですかね…着地とか…」
殺意「知るか。それより、リボンに何か付いてるぞ」
そう言って殺意は去っていった。
勇者「え?あっ、本当だ。何だろうこれ…手紙?」
仮面「もしかして…」
勇者「これは…招待状…!!」
そして勇者ヨシオもまたCPUトナメの世界へと足を踏み入れたのであった。
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鳩もどき「ぽぉぉーーーっ!」
鳩もどきは、空を飛びながら感動の涙を流していた。
鳩(飛んでいる…飛んでいるぞっ!!私は…ついに…ついに鳩になれたのだ…!!)
びたーーーん!!!!
鳩「ぽ!?」
ナザ「うおっ!?」
仕事帰りのナザレンコのジェット機に衝突した。
鳩もどき「ぽっぽーーっ!!」
ナザ「ってお前あの神社の!なんでこんなとこに…!」
鳩もどき「クルックー!」
ナザ「まさか鳩の真似してたらホントに飛べるようになっちまったのか!?」
鳩もどき「クルッポー!」
ナザ「何言ってっか分からん!つうかそこジャマだ!前が見えん!」
鳩もどき「ぽぽぽぽっぽーーーっ!!!!」
ナザ「何だよ!怒ってんのか!悪かったな衝突しちまって!でもいきなり下から飛んできたお前も悪いぞ!」
鳩もどき「ぽーーーーーーーーーっ!!!!」
鳩もどきが本物の鳩になるのは、まだまだまだまだ時間が掛かりそうである。
というか、なれるわけがない。
完
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あとがき
読んでくださった方ありがとうございました
時系列的には第六回の前ですね
完全にノリで書きましたが案外こういうのが一番面白かったりする…
例によってハイドンピーの他作品と世界観は共有しておりますのでよかったら読んでみてください
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殺意のキレっぷりで大草原
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