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うらいた一葉- 1 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/13(金) 03:20:12
- 「なかむらが助かる見込みは十に一つだね。その見込みも、けんちゃんがくそすれを思う気持ちにかかっている。
きみのなかむらは、もう治らないと決めているんだよ」
あいこうが帰ると、はやしは仕事部屋へ入って泣きました。
若い絵かきのはやしとなかむらが、したらばの一かくにうらいたをかまえたのは五月のことでした。
その年、したらばではスレ荒らしが猛威をふるい、つぎつぎと犠牲者を増していきました。
そして、魔の手は、なかむらをも捕らえたのでした
はやしは涙をふくと、元気に口笛を吹きながら、中村の管理スレへと入っていきました。
ベッドに横たわる中村は、顔を窓の方へ向け、眠っているようでした。
はやしは口笛をやめ、雑誌小説のさし絵を描きはじめました。
すると間もなく、数を数える声が、それも逆に、とぎれ、とぎれ……。
「18……、17、16」
はやしが急いでベッドに走りよると、なかむらは大きく目を開き、窓の外をながめています。
(なにを数えているのかしら?)
窓から見えるものといえば、うらいたのスレ一覧の壁と、簡単にまとめられたトップページの屋根だけです。
「ねえ、どうしたのよ」
「6つ……三日前にはまだ10くらいあったのよ。あら、また落ちた。もう残っているのは5つだけだわ」
はやしの胸に不安がこみあげました。
「5つってなによ。私にも教えて」
「良スレ、良スレの数よ。最後の1つが落ちると同時に、
私も死ぬんだわ。私には……わかっていたのよ」
なかむらは、わざとあざけるように叫びました。
「なにをバカなことを! 良スレとあなたのうつ病になんの関係があるの!」
しかし、なかむらは、目を閉じて力なくつぶやくのでした。
「最後の良スレが落ちるのを見たいの。すべてのものへの執着を捨て、
あの憐れな腐れきったうらいたのように、散っていきたいのよ」
なかむらは、心の中の悲しみをかくし、わざと快活にいいました。
「バカな事を考えないで眠りなさい。私は下の雄大さんに用事があるの。すぐ戻ってくるわ
- 2 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/13(金) 03:25:35
- 雄大老人
雄大は、アパートの地下に住んでいる絵かきでした。
60を過ぎて、ゴドーような頭の老人は21年間、口癖のように傑作を描くのだといいながら、
現実には、たまにネタスレ用のへたな絵しか描けない、人生の落伍者でした。
今、老人ははやしの前に座り、徹夜明けの赤い目に涙をためて、なかむらのバカげた妄想に対するあざけりの言葉をわめいていました。
「なんですと、良スレが落ちるから自分も死ぬだなんて!」
「うつ病がひどくて弱っているのよ。熱のせいで、おかしな妄想ばかりしているのよ」
「かわいそうななかむら! ここは彼のような善良な管理人が、うつ病で寝るようなところじゃない。
いつか、わしが傑作を描いてやろう。そうしたら、みんなでどこか新しい板に引っ越そうじゃないか!」
- 3 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/13(金) 03:35:27
- 保守された良スレ
その夜一晩中、叩きつけるような乱立と激しい連投荒らしが荒れ狂いました。
「はやし、管理スレの窓を開けてちょうだい」
翌朝、なかむらのささやくような声に、はやしはいやいや従いました。
良スレは……と、どうだろう。
スレ一覧の壁の上には、あのひどい乱立と連投の中を、朽ちはてた良スレが一つ、敢然と残っているのです。
その次の日も……。
「はやし、私は悪い子だったわ。あの最後の一つが、なにかの力であそこに残っているのは、
うらいたを見限ることが、どんなに罪深いことか、教えるためだったのね。はやし、私にマウスと少し砂糖を入れたコーヒーをちょうだい」
次の日、あいこうははやしにいいました。
「危機は脱したよ。あんたの勝ちだ」
その日の午後、管理スレに入ってきたはやしは、すっかり顔色のよくなったなかむらを枕ごと抱きました。
「なかむら、雄大さんが亡くなったのよ。
最初の日、すかてんさんが見つけた時、あの人は靴も服もかっぱがれ、氷のように冷えきっていたそうよ。
雄大スレには、マウスとキーボードが転がっていたんですって。あの良スレ、不思議だと思わない。スレが上がっても動かないの。ねえ、はやし。
あれが雄大さんの最後の傑作なのよ。あの人が必死で保守ったの」
- 4 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/13(金) 04:01:16
- 良スレwwwww
- 5 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/13(金) 07:04:03
- 女キャラなのがなんかいいね
このスレは上げるの勿体無い
- 6 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/13(金) 09:41:26
- わらた。感動もした。
- 7 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/13(金) 10:39:08
- age
- 8 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/13(金) 21:21:13
- 新作期待
- 9 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/15(日) 14:19:42
- 大2話期待age
- 10 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/26(木) 00:13:14
- 「こりゃあ、ひどいキズだ。足がいまにもちぎれそうだな。いったいどうしたことだろう。たぬきさん、たぬきさん。」
しおばあさんが声をかけても反応がありません。
「もう死んでしまったのかな。たぬきさん、たぬきさん。」
しおばあさんはたぬきの背中をトントンと繰り返したたいていると、たぬきは何とか気がついたようです。
「いったいどうしたんだね、たぬきさん。」
「・・・」
たぬきはしゃべるのもたいへんなありさまでした。
「とにかくこりゃあなんとかしなくちゃあな。」
しおばあさんは近くにあった木の枝を取り、たぬきの足に固定しました。
「すこーしがまんしてな。これからわたしの家へ連れて行ってあげるからな。そこですこしゆっくり休んだほうがええぞ。」
そういうとしおばあさんはたぬきを抱き上げました。
そしてしおばあさんの家に行くまでケガをしてつらそうなたぬきに勇気づけてあげました。
「痛かろうな。もうすこしだから、もうちょっとがんばっておくれな。」
たぬきがくるしそうな声をあげるたびに、何度も何度も声をかけてあげました。
こうしてなんとかしおばあさんの家へたどりつきました。
- 11 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/26(木) 00:18:12
- 「今あったかいものでもつくるから少し口にしたらどうだ。」
しおばあさんはたぬきに優しく言いました。
たぬきもやっと意識がはっきりしてきたようです。
「しおばあさん、もう心配することないです。だいじょうぶです。」
「いやあびっくりしたよ。たぬきさんが足におおけがをして倒れていたんでねえ。もうわたしのうちまで来たから心配いらねえよ。安心しな。」
「そうでしたか、たすけていただいて本当にありがとうございます。」
「ところでたぬきさんの名前はなんていうんだい?」
「はあ、わたしはたぬきのさとしと言います。しおばあさん、さとしはもう家に帰らないとみんなが心配してると思いますので・・・。」
「そりゃあ心配しているだろうが、わたしに気を使うことはねえよ。ここでキズがよくなってから帰ればいいさ。それにこの足じゃあ帰るなんてとうてい無理なことだろうよ。」
「・・・しおばあさん、ありがとうございます。そうですね、この足のケガは階段から落ちてしまい折れてしまったようです。たぶんしばらく歩けないでしょう。しばらくやっかいになるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。」
「ああ、もちろん、いいとも。ゆっくりやすんで、よくなれな。」
- 12 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/26(木) 00:22:04
- 「ところでしおばあさんはここで一人で暮らしているのですか?」
「みずじいさんと二人で暮らしているよ。」と微笑みながら言いました。
それから数日たってもさとしは一度もみずじいさんの姿を見ることはありませんでした。
さとしは一体みずじいさんはどこにいるのだろうと不思議に思っていました。
- 13 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/26(木) 00:39:20
- オレさん…
- 14 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/26(木) 00:59:12
- わらたよ
- 15 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/26(木) 05:05:15
- するととなりの部屋から何かゴトゴトと音がしました。
何の音だろうと思って手をついて足をかばいながらそっと戸をすこしだけあけて中をのぞいてみました。
そこにはしおばあさんとみずじいさんがおりました。
「少しでも食べなきゃだめだよ。がんばらなくちゃ。もう一口食べな。」
よく見てみると、みずじいさんは起きあがることができないようでした。
それを見たさとしはこんな大変な暮らしをしているおばあさんにやっかいになってしまって申し訳無いと思いました。
でも、さとしは今はまだ歩くことができません。
しばらくすると、しおばあさんがなにごともなかったようにさとしのところへやってきました。
そしてさとしに足の具合はどうか?と優しく聞きました。
さとしは返事に困ったが、これ以上しおばあさんに迷惑はかけられないと思い「ええ、もう大丈夫です。本当に助かりました。」と言いました。
「何を言ってるんだい。この足のどこがだいじょうぶだい?ちゃんと直してから帰ればいいだろうに。」とさとしに言い聞かせました。
さとしは申し訳無いという気持ちと同時にありがたい感謝の気持ちでいっぱいになりました。
それから3ヶ月ほどたったころ、さとしの足もよくなり、家に帰ることにしました。
その頃にはみずじいさんの身体はだいぶ悪くなっているようでした。
食べ物ものどを通らなくなってしまい、日に日に元気がなくなっていました。
さとしはおじいさんが病気で大変なときにお世話になったこと、さとしが何もしてあげられなかったことを考えるとたいへん申し訳ないと思いました。
さとしはしおばあさんに涙ながらに別れをつげました。
しおばあさんはあいかわらずやさしく微笑みながら「元気で帰れな。身体には充分気をつけてな。」とまるで自分の子供に言うようでした。
- 16 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/26(木) 05:14:00
- そして次の日のことです。
さとしとさとしのお母さん、お父さんがしおばあさんの家へやってきました。
「しおばあさん、しおばあさん。さとしです。」
しおばあさんが家の中から目にいっぱい涙をうかべて出てきました。
「おお、さとし。無事に家へ帰れたんだね。よかった、よかった。」
「ええ、おかげさまで無事帰ることができました。きょうはぼくのお父さんとお母さんを連れてきました。ぼくは、しおばあさんに色々と助けてもらったことを話したらぜひお礼を言いたいって言うので・・・」
「わざわざ御丁寧にありがとさまです。」
「本当にさとしがお世話になり感謝しております。何だかみずじいさんの身体の具合も悪いというのにさとしまで面倒を見ていただいて本当に心からお礼を言いたくて・・・」
さとしのおとうさんとおかあさんは深々と頭をさげました。
「これはみずじいさんに飲ませてあげてください。500年ほど前から重宝されていた聖水なんですよ。さあ、早速飲ませてあげてください。」
そう言うと、竹の筒に入った不思議な力のあるという金色の水をしおばあさんに渡しました。
- 17 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/26(木) 05:24:06
- 早速、しおばあさんはその水をみずじいさんの口元へ運びました。
しかし、みずじいさんは自分の力で水を飲むことができませんでした。
しおばあさんがみずじいさんの口元に少しずつ不思議な黄金水を何度も何度もくりかえしてしみこませてあげました。
そうするうちに、何だかみずじいさんの顔色が少しよくなってきたようでした。
それから半日くらいたったときのことです。
おじいさんは目を開け、あたりを見まわしていました。
「おお、みずじいさんやっと気が付いたんだね。よかった、よかった。この水を飲んでごらん。」
おばあさんはうれしそうに言いました。
そして、みずじいさんは自分で水を一口ゴクッと飲み、おいしそうな表情をしました。
そして翌日になると、みずじいさんは今まで寝こんでいたことなどうそのように立ちあがりました。
「ああ、わしは今まで何をしてたんじゃろ。ゲーセンに行ってこなくてはな。」
と今にも秋葉に出かけようとしていました。
その姿を見たしおばあさんはびっくりして言いました。
「みずじいさんや、あんまり無理せんと。せっかく良くなってきたんだから、少しゆっくり身体を休めてたほうがいい。」
「しおばあさんや、わしはなんにも悪くないよぅ!!!!!!11111111 全然元気じゃあ。」
と本当に元気そうにみずじいさんは言いました。
みずじいさんのあまりもの変わり様にしおばあさんは今まで夢でも見ていたような気がしてなりませんでした。
でもみずじいさんの身体がこんなに良くなったことに大変感謝しました。
- 18 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/26(木) 05:51:03
- しおばあさんはみずじいさんにこの不思議な水の話しをしました。
「これは、たぬきのさとしとそのおとうさん、おかあさんが、みずじいさんに飲ませてあげてくれと持ってきてくれたんだよ。
みずじいさんはもうその時には意識がなくなっていて、もう1週間も眠りから覚めなかったんだよ。それでこの水をみずじいさんの口元にしみこませていたら、みずじいさんが目を覚ましたんだよ。」
みずじいさんはまるでひとごとのように大変驚きました。
「それは本当か!?そんなにわしは悪かったのか・・・わしを助けてくれたそのさとしとその両親にぜひ会いたいなあ。そうだ、おばあさんよ、さとしの家まで案内してくれないか。」
こうしておじいさんとおばあさんは寂れたうらどおりを3時間ほど行ったところにあるさとしの家へと向いました。
「ここですよ、みずじいさん。」
「ああ、ここか、わしを助けてくれたさとしの家とは!」
トントントン
「こんにちは、こんにちは。」
すると中からさとしが飛び出てきました。
「ああ、しおばあさん!みずじいさんも!みずじいさん身体はもう大丈夫ですか?」
みずじいさんは、さとしとさとしのおとうさん、おかあさんに大変お世話になったことにお礼をいい、すっかり元気になったことを伝えました。
さとしもさとしのおとうさん、おかあさんも、逆にしおばあさんにさとしが助けられたことを話し、感謝していることを伝えました。
さとしもさとしのおとうさん、おかあさん、そしてしおばあさん、みずじいさんは、生きていくにはお互いに助けたり、助けられたりしているのだとつくづく感じていました。
そうです、思いやりの心というのは、人に感謝してもらおうという気持ちでするものではなく
慈しみの心が自然に行動に出ることをさすのです
「その水全部わしのものだから」
「・・・・・・」
おわり
- 19 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/12(日) 20:59:28
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A A A A A A A
①② ③④ ⑤⑥ ⑦⑧ ⑨⑩ ⑪⑫ ⑬ ⑭
- 20 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/12(日) 21:02:23
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A A A A A A A
①② ③④ ⑤⑥ ⑦⑧ ⑨⑩ ⑪⑫ ⑬ ⑭
- 21 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/12(日) 21:23:04
- 【優勝】
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____|____ |
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A A A A A A A
①② ③④ ⑤⑥ ⑦⑧ ⑨⑩ ⑪⑫ ⑬ ⑭
- 22 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/26(日) 14:46:10
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- 23 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/26(日) 14:46:40
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- 24 名前: g ◆Jh61YvXYCM 投稿日: 2006/03/15(水) 12:33:47
- .
- 25 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/03/26(日) 22:07:50
- おい
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