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博麗霊夢の一日- 1 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 16:35:05 ID:zwJpq97o0
- 6:00起床
- 2 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 16:43:38 ID:B/0E6Yo6O
- 6:01賽銭箱確認
- 3 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 16:43:56 ID:jzu0CF6.O
- 6:02 カレーは辛口が良いか甘口が良いか考える
- 4 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 17:00:20 ID:K.94QRHsO
- 6:03
魔理沙が甘口が良いと言い出す
- 5 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 17:03:57 ID:wEmOrK6g0
- 6:05
「お子様ねぇ」と返しながらお茶を淹れる
- 6 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 17:50:41 ID:LqabauhI0
- 6:07
中辛のほうがいいわと紫が横から口を出す
- 7 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 17:58:14 ID:Fe7e7i.Y0
- 6:08
スキマを塞ぐ
- 8 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 18:44:59 ID:PSilslig0
- 6:09
就寝
- 9 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 19:05:20 ID:jzu0CF6.O
- ( ;∀;)イイスレダッタナー
- 10 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 19:09:11 ID:zK1jDOPI0
- ↓以下八雲紫の一日
- 11 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 19:10:15 ID:iL638OrU0
- 起きない
- 12 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 19:11:11 ID:c.qhPVYEO
- ( ;∀;)イイスレダッタナー
- 13 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 19:22:30 ID:jzu0CF6.O
- ↓以下アリス・マーガトロイドの一日
- 14 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 19:29:48 ID:K.94QRHsO
- 一日中魔理沙かパチュリーで自慰
- 15 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 19:41:10 ID:zK1jDOPI0
- ( ;∀;)イイスレダッタナー
- 16 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 19:50:09 ID:K.94QRHsO
- 6:15
「朝ご飯食べてないじゃない!」
急いで朝ご飯を作り始める
- 17 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 19:51:06 ID:NJY0ORF2O
- 変態マリアリorバチュアリネタとか何年前のネタだよ
↓以下、三妖精の一日
- 18 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 20:55:56 ID:vy.azTr20
- 霊夢スレじゃ駄目なのか?
- 19 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 21:00:34 ID:jzu0CF6.O
- >>17 例の魔理沙の人みたいなんでスルー推奨よん
7:30 ルナチャ起床
- 20 :名前が無い程度の能力:2010/12/27(月) 22:17:10 ID:SBtFEskg0
- 7:31
サニーがベッドから転落、スターの頭上に激突する
- 21 :名前が無い程度の能力:2010/12/28(火) 00:16:40 ID:UzPMYGOQ0
- ( ;∀;)イイスレダッタナー
- 22 :名前が無い程度の能力:2010/12/28(火) 00:46:30 ID:A5tCvEPI0
- 「幻想郷の一日」のほうが良かったんじゃなイカ?
- 23 :名前が無い程度の能力:2010/12/28(火) 00:51:55 ID:RNwrUWlU0
- 流れを変えればいいでしょ
7:15
霊夢がお茶を飲んでゆっくりしてると文が登場
- 24 :名前が無い程度の能力:2010/12/28(火) 08:00:05 ID:GXC5xFXQ0
- 誰の一日か書いてから始めようぜ
↓以下十六夜咲夜の一日
- 25 :名前が無い程度の能力:2010/12/28(火) 08:18:36 ID:mx2/fDVcO
- 10:00 起床
- 26 :名前が無い程度の能力:2010/12/28(火) 13:55:07 ID:RNwrUWlU0
- 10:40
シャワーを浴び、朝食を兼ねた昼食を作り始める
- 27 :名前が無い程度の能力:2010/12/28(火) 17:12:04 ID:GXC5xFXQ0
- 11:25
ひとまず先に美鈴に昼食を差し入れ
- 28 :名前が無い程度の能力:2010/12/28(火) 17:55:09 ID:U//NYMzkO
- 18:00
姉妹起動
以下
姉妹の1日
- 29 :名前が無い程度の能力:2010/12/28(火) 20:28:39 ID:CQJfgqpU0
- 19:00 ディナーを食べる
- 30 :名前が無い程度の能力:2010/12/30(木) 15:17:33 ID:yi/k3ISk0
- ( ;∀;)イイスレダッタナー
- 31 :名前が無い程度の能力:2011/01/10(月) 10:46:25 ID:YBW9HwHc0
- ↓以下古明地さとりの一日
- 32 :名前が無い程度の能力:2011/01/10(月) 14:16:03 ID:6IxJg3iAO
- 6:45 凄まじい寝癖と共に起床
- 33 :名前が無い程度の能力:2011/01/11(火) 10:37:49 ID:3iZQhdx60
- 6:10 朝の身支度を終える
- 34 :名前が無い程度の能力:2011/01/11(火) 13:52:47 ID:iHHnZSkg0
- 7:00 サードアイ起床
- 35 :名前が無い程度の能力:2011/01/13(木) 09:21:16 ID:FhksrTq20
- 9:00 トイレに閉じ込められる
- 36 :名前が無い程度の能力:2011/01/13(木) 16:52:47 ID:9r29AnYYO
- 9:03 仕方ないのでトイレに常備してあるホーリーランドを読み始める
- 37 :名前が無い程度の能力:2011/01/14(金) 15:02:26 ID:8dSOMUPYO
- 09:04 すると、突然本が輝きだし……
- 38 :名前が無い程度の能力:2011/01/15(土) 21:31:38 ID:jtQM3C1s0
- ( ;∀;)イイスレダッタナー
- 39 :名前が無い程度の能力:2011/01/15(土) 21:33:51 ID:h.FUlx.U0
- ( ;∀;)イイスレダッタナー
- 40 :名前が無い程度の能力:2011/01/16(日) 12:10:03 ID:NOPKiBPA0
- ↓以下古明地こいしの一日
- 41 :名前が無い程度の能力:2011/01/17(月) 07:03:17 ID:vCT50HyI0
- --:-- 常にノープラン。だいたい、一日という概念すら意味を持たない
- 42 :名前が無い程度の能力:2011/01/19(水) 04:48:53 ID:6UIIEbt60
- >>40と>>41の間がこいしの一日か
- 43 :名前が無い程度の能力:2011/01/20(木) 22:48:44 ID:XQnZPOnw0
- ( ;∀;)イイスレダッタナー
- 44 :名前が無い程度の能力:2011/01/29(土) 17:55:53 ID:bwY5eIOAO
- ( ;∀;)コレカラドウスッカナー
- 45 :名前が無い程度の能力:2011/02/06(日) 07:53:08 ID:O9Guf6lc0
- ( ;∀;)サスガニケシテイインジャナイカナー
- 46 :名前が無い程度の能力:2011/02/07(月) 20:32:39 ID:RxD69AIk0
- ( ;∀;)ナンカモウテンプレカシテルナー
- 47 :名前が無い程度の能力:2011/02/13(日) 23:31:07 ID:5KUmZpUE0
- ↓以下てるよの一日
- 48 :名前が無い程度の能力:2011/02/14(月) 19:25:15 ID:bhYZk3os0
- 13:00 起床
- 49 :名前が無い程度の能力:2011/02/14(月) 21:05:40 ID:OKDXb0Kc0
- 霊夢スレでやれよ(キリッ
- 50 :名前が無い程度の能力:2011/02/15(火) 09:25:43 ID:nqmXL936O
- 13:05 顔だけ洗って朝食兼昼食
- 51 :名前が無い程度の能力:2011/02/19(土) 12:16:36 ID:B47B8SWk0
- 13:40 ジャージに着替えてストレッチを始める
- 52 :名前が無い程度の能力:2011/02/19(土) 14:10:59 ID:9ybRqsAo0
- 13:43 飽きてジャージのまま縁側に寝転がる
- 53 :名前が無い程度の能力:2011/02/19(土) 15:05:10 ID:s9pgsTBsO
- 13:45 うさぎが集まってくる
- 54 :名前が無い程度の能力:2011/02/19(土) 15:30:13 ID:DNgWPRoo0
- 13:49 纏めてウサギ小屋へ
- 55 :名前が無い程度の能力:2011/02/19(土) 16:29:20 ID:yACYspyg0
- 13:55
1匹〆て血抜き
- 56 :名前が無い程度の能力:2011/02/21(月) 04:43:13 ID:oyWsCHHYO
- 13:57
蕎麦が食べたくなる
- 57 :名前が無い程度の能力:2011/02/21(月) 07:20:51 ID:Vr2P66TY0
- 13:58
そば粉を買いに人里へ出発
- 58 :名前が無い程度の能力:2011/02/21(月) 08:26:54 ID:WxYAVFg20
- 14:05
人里に着くもそば粉が高くて諦める
- 59 :名前が無い程度の能力:2011/02/21(月) 10:13:02 ID:hvFvur9s0
- 14:10
蕎麦屋に入る
- 60 :名前が無い程度の能力:2011/02/21(月) 12:09:34 ID:VSw2AtVYO
- 14:15
水だけ飲んで蕎麦屋を出る
- 61 :名前が無い程度の能力:2011/02/21(月) 12:20:56 ID:b9/T7vVs0
- 14:20
魔理沙がこちらを見てニヤニヤしている。
お金を持っていないのを知ってるのだろう。
- 62 :名前が無い程度の能力:2011/02/21(月) 12:23:58 ID:jVeURsZgO
- 14:25
魔理沙からカツアゲ…じゃなくてお金を貰った
500円、しけてんなあ
- 63 :名前が無い程度の能力:2011/02/21(月) 13:02:05 ID:hw2rf.2U0
- 14:33
帰宅
500円をどうするか悩む
- 64 :名前が無い程度の能力:2011/02/21(月) 13:13:14 ID:6Uh6RL4wO
- 14:40
とりあえず賽銭箱に入れてみる
- 65 :名前が無い程度の能力:2011/02/21(月) 13:39:50 ID:4GrYOlkE0
- 14:42
3日後ぐらいに開ければ、
「あっ!500円入ってる!!!」
と自分で入れたことも忘れてて喜べるだろう
- 66 :名前が無い程度の能力:2011/02/21(月) 13:45:08 ID:8gsRwahQO
- 14:51
賽銭箱を覗きこむ萃香を発見
- 67 :名前が無い程度の能力:2011/02/21(月) 15:10:46 ID:1M.5AVMsO
- 14:53
何となく萃香を賽銭箱に閉じ込めてみる
- 68 :名前が無い程度の能力:2011/02/21(月) 16:23:09 ID:WCl5RmdI0
- 14:30
「壊して出てきたらぶっ殺すわよ」
と言っておいたら、しばらくすると霧になって出てきた。便利な能力ね。後で境内の掃除も頼んでおこう
- 69 :名前が無い程度の能力:2011/02/21(月) 16:24:34 ID:WCl5RmdI0
- >>68
「時間が!? 新手の異変!?」
…と思ったら時計が動かなくなっていた。後で霖之助さんに直してもらおう
- 70 :名前が無い程度の能力:2011/02/21(月) 19:26:21 ID:vwvyXhdU0
- 15:20
境内の掃除をする萃香を眺めながらお茶を飲む
- 71 :名前が無い程度の能力:2011/02/21(月) 21:08:37 ID:.mdzy66.0
- 16:00
萃香が掃除を終えてお酒を飲んでいる。萃香が寝る時に寝返りをうつと角で畳が傷つくので、酔って寝る前に縁側の石の上に運ばなければならない。
これが億劫なのだが、まあ仕方ない。
- 72 :名前が無い程度の能力:2011/02/22(火) 08:38:55 ID:2Ea9YBWg0
- 16:50
そろそろ夕食の支度を考える
〆てあった兎を捌き兎鍋を作ろう
・・・匂いに釣られて客がきたようだ
- 73 :名前が無い程度の能力:2011/02/22(火) 13:14:06 ID:vODhmZBo0
- 16:50
魔理沙「よう、霊夢。夕飯は兎鍋とは豪勢じゃないか。私もご一緒させてもらうぜ。
いやあ、さすが白麗の巫女に500円寄付しただけあるぜ。こんなご利益あるとはな」
……萃香は酒の肴に少しつまむ程度だし魔理沙くらいいてもいいか
- 74 :名前が無い程度の能力:2011/02/22(火) 13:40:47 ID:aqj7ANrM0
- 16:55
客がまた来た
出るのが億劫なので魔理沙に応答させるよう言いつける
裏
13:39
途中で輝夜の一日になってるのに霊夢の一日でいいのか悩む
裏
- 75 :名前が無い程度の能力:2011/02/22(火) 13:53:13 ID:vODhmZBo0
- 裏
輝夜の一日とか霊夢の一日以上に変化が無さそうだからいいんじゃね?
裏
- 76 :名前が無い程度の能力:2011/02/22(火) 21:06:12 ID:KpAbfdFk0
- ぐやは思いついたらいろいろやってそうだけど
普段は盆栽の世話と茶飲みとか読書で過ごしてそうだな、うどんげっしょー的には
そういう意味ではたまの神事と妖怪退治と異変解決以外茶飲みと掃除で過ごしてそうな霊夢と似てる
霊夢とぐやは割と相性良さそうだな、両方黒髪ロングだし
並べてお茶飲んでるのが絵になりそう
- 77 :名前が無い程度の能力:2011/02/22(火) 21:09:02 ID:duD4tuFU0
- 17:00
レミリア「ふふふ、遊びにきたわよ!!ついでにお酒も飲むわよ!!」
どうしてこう豪勢な食事のときにどうでもいい客が来るのかと悩む
裏
このまま最後まで完走したらつまり輝夜=霊夢だったんだよ!!
ってキバヤシのAAでも貼ろうかと思ってた
裏
- 78 :名前が無い程度の能力:2011/02/23(水) 10:00:33 ID:tvoluI8kO
- 17:10
また誰か来たようだ。
今日は面倒なことになりそうだ・・・
裏
次々に入れ替わってさて私は誰でしょう?的な不思議スレになるかと思ったら違った
- 79 :名前が無い程度の能力:2011/02/23(水) 11:39:59 ID:Rl1xxKkE0
- 17:15
うどんげ「兎を返して下さい!あれ、おいしそうな匂いが・・・おじゃましまーす」
共食いの予感
裏
あー、カオスのほうがおもしろかったかもな。
なんかごめん
裏
- 80 :名前が無い程度の能力:2011/02/23(水) 15:38:33 ID:.4CL4TKI0
- 17:20
鈴仙とレミリアまできてしまったせいで兎の肉はあっという間になくなってしまった。はあー今日は厄日かしら…。
うどんげ「美味しかったけど、何の肉だったの? それにアンタが肉なんてお正月でもないのに」
魔理沙「うさぎの肉だよな。ハハハ、共食いになっちまったな。物足りなかったしお前も肉になるか? なんてな」
酒と熱い鍋で上気していた鈴仙の表情が蒼白になる。まあ食べてる時に何の肉化言わなかった私達も大概だけど、別に聞かれなかったし…
- 81 :名前が無い程度の能力:2011/02/23(水) 18:55:26 ID:aIsvE.sw0
- 17:30
鈴仙の嘔吐物を掃除
面倒だがしょうがない
魔理沙は笑いながら鈴仙の背中を撫でてやっている
もう少ししたら風呂を沸かそう
二人はこの後どうするのだろうか
- 82 :名前が無い程度の能力:2011/02/23(水) 20:36:29 ID:.4CL4TKI0
- 18:40
お風呂の準備が出来た。レミリアに水を汲ませて火を熾させた。煤で顔が真っ黒になってしまっている。
何かをうったえるようにじっとこちらを見つめている。もしかして私とお風呂に入りたいのだろうか。
魔理沙「いやあ、妖怪うさぎと普通のうさぎでも人間同士みたいな感覚なのかな。そりゃ私だって霊夢の肉食べ終えてから、その事を知らされたらショックで夜しか眠れなくなるぜ」
鈴仙は自力で帰れないくらい参ってるのだろうか。それなら魔理沙か萃香かレミリアに送らせようか。
泊めてやってもいいけど、来客用布団なんてうちにはない
- 83 :名前が無い程度の能力:2011/02/23(水) 22:51:58 ID:Rl1xxKkE0
- 19:00
鈴仙はうなされだした・・・今日は布団で寝れそうにない
さて、お風呂に入ろうかな
- 84 :名前が無い程度の能力:2011/02/23(水) 23:48:14 ID:oIfWhSj60
- 19:10
なぜか萃香が先に入っていたので蹴り飛ばす
- 85 :名前が無い程度の能力:2011/02/24(木) 10:01:00 ID:oSItHplc0
- 19:20
仕舞いにはドカドカと騒がしく魔理沙とレミリアまで入ってきた
狭い風呂が更に狭くなる
吸血鬼だけでも冷水かけて追い出せないだろうか
それにしてもこの面子といると優越感
チラチラと自分の胸と私の胸を見比べているのを気づかれていないと思っているのだろうか
- 86 :名前が無い程度の能力:2011/02/24(木) 11:46:15 ID:kHYyrFzE0
- 19:55
胸といえばあの妖怪の山の早苗だけれど、あいつが身に着けてた下着はよかったな。今度私のサイズに合わせて霖之助さんに作ってもらおう。
お風呂からあがる。レミリアが魔理沙に体を拭いてもらっている。「もっとやさしくー」と文句を言いながらも魔理沙にむちゃくちゃに拭かれて楽しそうだ。本当に子供か…。魔理沙も背中の羽の付け根を引っ張ったりして遊んでいる。
はあ…いつもならこの後晩酌して寝るところだけど、どうしようか。
- 87 :名前が無い程度の能力:2011/02/24(木) 12:51:55 ID:z8LqxTIo0
- 20:20
魔理沙が「良い酒を手に入れたから晩酌でもしようぜ」とうちにあった酒を萃香と飲み始める
2人だけに飲まれるのは癪なのでレミリアと加わる
プチ宴会の様相だ
レミリア「こんなに月が丸いから、おつまみがほしくなるわね」
そんなことを言って牙をチラつかせるレミリアにチョップをかます
- 88 :名前が無い程度の能力:2011/02/25(金) 13:25:24 ID:smvw.3Jg0
- 21:30
宴もたけなわ…
やけに眠いので何故か敷いてあった布団にそのままダイブする
一瞬変なうめき声が聞こえた気がしたがどうでもいい
それにしても今日の布団はゴツゴツしていたりぷにぷにして・・・グゥ
- 89 :名前が無い程度の能力:2011/02/25(金) 16:39:33 ID:0f4IqXBw0
- 22:00
カシャッカシャという音がする
眠いので無視する・・・グゥ
- 90 :名前が無い程度の能力:2011/02/25(金) 17:29:43 ID:/7nq5G4w0
- 23:00
やたら視線を感じる
でも眠いし気にしないでおこう
それにしても抱き心地がいいわねこの布団・・・グゥ
- 91 :名前が無い程度の能力:2011/02/26(土) 10:14:59 ID:2q61AIZ20
- 2:30
寒さで目が覚める。布団をかぶりなおそうと思ったら人の手が……――人の手っ――
…ああ、そうだ、鈴仙が……。ため息をついて起き上がる。魔理沙は帰ったのか見当たらない。レミリアは布団の端っこで丸くなって寝ている。
朝方までには帰らせないと、コイツは日中は外に出れないから家から迎えがこなければ神社にいる事になる。
さて、どうしようか。
- 92 :名前が無い程度の能力:2011/02/26(土) 18:30:28 ID:mtel7LEk0
- 2:35
寝ぼけ眼を擦りながら寝ているレミリアの鼻と口を塞ぐ
……起きない
もうしばらく塞いでみよう
- 93 :名前が無い程度の能力:2011/02/26(土) 20:20:32 ID:voGkegnc0
- 2:37
…段々苦しそうな顔になり、鼻と口を塞いでる私の手から逃れようとする。数秒後、目を見開いてジタバタし始めたので手をどける。
何やら抗議してきたので、「日の出までに帰らないと面倒だけどどうするの?」と聞くと、あ、そうだったと間抜けな顔をする。「だからってこんな起こし方しなくても…」とぶつくさいいながら帰る事にしたようだ。
- 94 :名前が無い程度の能力:2011/02/26(土) 21:52:29 ID:wFKbzJlkO
- 2:40
いつの間にか咲夜が居た
瀟洒な出迎えというやつだろうか
- 95 :名前が無い程度の能力:2011/02/26(土) 22:48:26 ID:6bapfwhE0
- 2:45
咲夜は謝りながら、レミリアと帰って行った・・・けなげな奴だ。そこが咲夜のかわいい所・・・
いやいや、なにを考えてるんだ私は!?
しかし、相々傘だな・・・見せつけおって
とりあえず寝るか。寝れるのか?
- 96 :名前が無い程度の能力:2011/02/27(日) 10:35:36 ID:QcC3YiUs0
- 2:50
鈴仙がむくりと起き出してきょろきょろ辺りを見回す。うさぎを食べた事を思い出したのか俯いている。
「…帰るわ。取り乱したところ介抱してくれて、一応…ありがとう…」
永遠亭のうさぎを〆て鍋にした時点で責められるべきなのかもしれないけど、礼を言うとは殊勝ね。
さて今度こそ寝るか。布団が鈴仙の体温で暖かい
- 97 :名前が無い程度の能力:2011/03/01(火) 23:42:47 ID:.xBYiRUoO
- 2:55
鈴仙のぬくもりと匂いで変な気分になった自らを慰めた
ふぅ…
- 98 :名前が無い程度の能力:2011/03/02(水) 01:52:33 ID:9LMwdiMQ0
- 3:00
軽く自己嫌悪。今度こそ寝よう…
- 99 :名前が無い程度の能力:2011/03/02(水) 22:18:48 ID:ZwdhvHSs0
- 7:00
『・・がーい・・・ご・・がーい』
なにやら外が騒がしい
まだ眠いのに・・・
『号外!ごうがーい!』
- 100 :名前が無い程度の能力:2011/03/03(木) 23:10:10 ID:gT3NuTSM0
- 7:05
うるさいので外を見ると
あのパパラッチ天狗が新聞をばら撒いていた
どうやら毎日発行している号外のようだ
- 101 :名前が無い程度の能力:2011/03/04(金) 13:41:05 ID:6dz1O6Ts0
- 7:02
号外の見出しは、『巫女と女医見習いの情事!? 二人の関係はいかに!!』
「周辺住民からは神社に出入りする複数の女性を目撃したという話もあり…」
あのクソ天狗はまたいい加減な記事を…。その内黄昏ルールで半殺しにしておこう。
そう思いながらいつも通り新聞を厠においてきた。
- 102 :名前が無い程度の能力:2011/03/04(金) 13:43:18 ID:6dz1O6Ts0
- >>101
また時間が!?新手の異変!? …かと思ったら時計が壊れていたのだった。
お茶菓子も切れたし、お昼くらいになったら霖之助さんのところに行ってみよう。
- 103 :名前が無い程度の能力:2011/03/04(金) 15:32:14 ID:28RIZuSA0
- 8:00
「お〜い、霊夢!こりゃいったいどういうことだ!?」
また煩いのが・・・
今朝の号外を手に魔理沙がやってきた
「そんなのデタラメに決まってるじゃない」
「あー?ばっちり写真も載ってるぜ、まさか本当に食っちまうとはそんなに鍋が物足りなかったのか?」
話を聞くと天狗は今も大はしゃぎで号外をばら撒いているという、よし殺る
- 104 :名前が無い程度の能力:2011/03/04(金) 17:38:35 ID:suTK/NgY0
- 9:30
妖怪の山にて、下っ端の白狼天狗を締め上げて射命丸の家を聞き出し、家の中に侵入して気配を消して待機。
帰ってきたと同時に結界を起動、これで逃げる事は出来ない。天狗は死ぬ。
…最初は「真実を伝えるのが〜」などといってヘラヘラしていたが、
次第に笑ったり泣いたり出来なくなったようで「謝罪広告毎日出しますから」と土下座してきたので許してやる事にした。
…まあ元よりこんな新聞に書いてる事は誰も信用しないのだが。私と鈴仙の事も写真がのってたとはいえせいぜい悪ふざけ程度にしか見えない…筈。
さて、時計の修理を頼みにいこうかな
- 105 :名前が無い程度の能力:2011/03/05(土) 10:22:32 ID:fXf/3JYsO
- 10:30
時計をとりに神社に帰るとお賽銭箱の階段に誰か座ってる
- 106 :名前が無い程度の能力:2011/03/05(土) 14:35:49 ID:lR4Jcg/Uo
- 10:31
はたt「この時間は我々はぐれボスがn」
『夢想封印!!』
はt「失礼し ま し た ぁ ぁ 」 +キラーン
やかましいのは丁重にお空へお帰り頂く。
他二名は歩いて帰った。
なんでウチにはまともな来客がこないのよ・・・。
- 107 :名前が無い程度の能力:2011/03/06(日) 10:21:04 ID:GJ/FjYbcO
- 10:35
神社についたら鈴仙がいた
「……」
気まずいな、おまけに布団を干すのを忘れてた…
とりあえず鈴仙と香霖堂へ行こうか。
…デートじゃないわよ!
- 108 :名前が無い程度の能力:2011/03/06(日) 10:46:26 ID:ZJoUNODc0
- 10:40
鈴仙のとこにも天狗のチラシが配られてたようで困った顔をしている。世間体を気にするやつねぇ。
天狗を半殺しにして、謝罪広告を載せる事を約束させたと言っておいたけれど、記事を真に受けた人の誤解を解く効果があるかどうかは知らない…とは言わなかった。
安心させてやる事が大切なのだ。多分
- 109 :名前が無い程度の能力:2011/03/06(日) 12:42:45 ID:AAMpC3p20
- 10:45
どうやら鈴仙は自分のせいで迷惑をかけたのを申し訳なく思っているらしい
むしろ原因は私にないこともなかったような…そう思ってるなら都合がいいけど
しょうがないから帰りにでもニンジン1本くらいどこかの畑で引っこ抜いて奢ってあげよう
それはそうと前から誰か飛んで来る
- 110 :名前が無い程度の能力:2011/03/06(日) 23:51:28 ID:w/GQg9mo0
- 10:50
妖夢がこっちに向かって飛んできている
右手には全ての元凶の号外が握り締めてある
嫌な予感しかしない
- 111 :名前が無い程度の能力:2011/03/07(月) 01:22:58 ID:vXy3JJII0
- 10:52
「あ、いた!永遠亭に行ったら神社に向かったと言われて……やっぱり本当なんですね」
「妖夢!?その新聞…ご、誤解よ!」
彼女達の間に何があったか知らないがこれは修羅場というものだろうか?
「私とあんなに熱く盛り上がったというのに!」
「だから違うの!」
「何が違うんですか!死ぬまで独り身同盟の誓いはウソだったのですか!?」
…は?ちょっと様子が変だ
- 112 :名前が無い程度の能力:2011/03/07(月) 09:42:00 ID:Y17JS7J20
- 10:55
妖夢の注意が鈴仙一人に向いている間にその場を離れる
虚ろな眼をした文と擦れ違う…が、急に活き活きとして修羅場の方へ飛んで行った
コンティニューが早い
- 113 :名前が無い程度の能力:2011/03/07(月) 13:25:15 ID:MD17.Hkg0
- 11:15
文はしきりにメモを取っていたのでまたすぐに号外が出るだろう。面倒なことになりそうだ
ようやく香霖堂に着いた・・・久しぶりに歩いたので膝が痛い
- 114 :名前が無い程度の能力:2011/03/07(月) 15:30:39 ID:fgjHRvhE0
- 11:20
霖之助さんが私の時計を分解しているのをわき目に、香霖堂においてあるマイカップを出してお茶を淹れる。出涸らしじゃないお茶は美味しい。
「霊夢、この時計なんだが、不調の原因の部品の代わりがないから修理するのは少し難しいと思う。
その代わりといってはなんだけど、このニキシー管で出来た時計を買っていかないかい? 持ち歩くにはかさばるけどね」
霖之助さんの出した「にきしーかん」で出来てるという時計は、きれいなオレンジ色の光が時間を表すという代物だった。
持ち歩くにはたしかに不便かもしれないけれど、袖ポケットには十分入る大きさだ。
どうしようか?
- 115 :名前が無い程度の能力:2011/03/07(月) 19:57:33 ID:vXy3JJII0
- 11:22
今までの時計と違い、文字が光って面白いので欲しいかも
霊「それじゃ頂くわ、代金はその時計と交換ね」
香「ちょっと待ってくれ、そもそもニキシー管時計というのはね・・・・真空が・・・・電圧を・・・・」クドクド
まーたよくわからない薀蓄が始まってしまった
布団を干す物忘れたし、時計も手に入れた、このまま帰ってしまおうか
- 116 :名前が無い程度の能力:2011/03/08(火) 08:48:43 ID:K5CnI5eA0
- 12:00
霖之助さんが話に夢中になっている間にお昼を作る
出来上がって持って行ったときにも、まだ喋り続けていた
- 117 :名前が無い程度の能力:2011/03/08(火) 10:21:01 ID:mgi2cYE20
- <jbbs fontcolor=#FF 8C 00>
12:01 「霖之助さん、お昼ごはんを食べましょう」
- 118 :名前が無い程度の能力:2011/03/09(水) 10:10:12 ID:qLoRkzxY0
- 12:02
霊夢「いただきます」
霖之助「頂きます」
こいし「いただきまーす♪」
!
- 119 :名前が無い程度の能力:2011/03/09(水) 11:54:34 ID:1CgZ2ypA0
- 12:03
.「^ヽ,ry'^i
,ゝ"´ ⌒`ヽ
くi Lノノハノ)」 お前に食わせるチャーハンはネー
λ.[i ゚ ヮ゚ノi!
- 120 :名前が無い程度の能力:2011/03/09(水) 11:58:02 ID:O8UHlP660
- 12:15
…無意識な妖怪と霖之助さんにあっちな意味で食べられた
気持ち良かったけど悲しい
- 121 :名前が無い程度の能力:2011/03/09(水) 13:27:54 ID:vkW72EToO
- 面白そうな展開を無理やり切ったりはしょったりしてまで霖之助出そうと必死な霖信者が粘着してるのはわかってたが…
案の定こんな展開か
- 122 :名前が無い程度の能力:2011/03/09(水) 13:56:28 ID:NcqP/1X20
- 7:15
「ハッ! ドリームか……」
どうやらひどい夢だったようだ
今日も一日頑張らないことを頑張ろう
- 123 :名前が無い程度の能力:2011/03/09(水) 15:28:12 ID:diZn4GZM0
- 11:15
頑張らないように頑張っていたらいつの間にか昼寝していた・・・
寝てる間にお賽銭は入ったのだろうか?ちょっと見てみようか
- 124 :名前が無い程度の能力:2011/03/09(水) 19:43:45 ID:ScLxlqI.O
- 11:17
ゴミが入っていた
紙が1枚入っていた
10000円という文字が見える
これは何だろうと数分考えてやっと理解した
そして気絶した
- 125 :名前が無い程度の能力:2011/03/09(水) 21:08:05 ID:PBOVWlb.O
- 11:46
起きると、紫が手に持っていて、代わりに十五銭が置いていった。
- 126 :名前が無い程度の能力:2011/03/10(木) 09:17:41 ID:TaHYRO2Y0
- 11:47
紫「ちょっとこのお金借りて行くね。大丈夫、10倍にして返すから♪」
そういって紫はスキマに消えていった。何をする気だ
- 127 :名前が無い程度の能力:2011/03/10(木) 09:19:40 ID:IscsmlQg0
- 11:50
霊夢「これは?」
紫「見て分からないのかしら?お賽銭よ」
霊夢「いちまんえ…」
紫「身の丈に合わないものは不幸の源よ。これは私が有効に活用して差し上げますわ」
そう言うと紫は姿を消した。
- 128 :名前が無い程度の能力:2011/03/10(木) 09:20:44 ID:IscsmlQg0
- 被った、すみません
- 129 :名前が無い程度の能力:2011/03/10(木) 11:59:01 ID:J2NDIRA.O
- 12:00
お腹が減った。ざるそばが食べたい。
人里へ行くにもいつもの姿じゃなんだしお洒落をしてから行きますか。
- 130 :名前が無い程度の能力:2011/03/10(木) 19:43:12 ID:HG0fxveI0
- 12:05
お洒落しようと寝室へ
ところが箪笥が氷漬けになっていた!
こんないたずらするのはあの氷精しかいない、今度あったら1回休みにしてやる
仕方ないのでこのまま出発しましょ…
- 131 :名前が無い程度の能力:2011/03/11(金) 08:19:34 ID:QOFq2ErY0
- 12:06
スキマからフリルのいっぱい付いたワンピースが出てきた
「¥10,500-」値札が付いている
なぜかサイズはぴったり
……着るべきか否か…
- 132 :名前が無い程度の能力:2011/03/11(金) 12:22:16 ID:MxvtbHzA0
- その前に八雲家・・・・・・
\∧_ヘ ф / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,,、,、,,, / \〇ノゝ∩ < ユカリはどこだゴルァ!! ,,、,、,,,
/三√ `Д´) / \____________ ,,、,、,,,
/三/| Ψ |\ ,,、,、,,, ,,、,、,,,
,,、━U¢(━━)━━━━ ,,、,、,,,
//三/|三|\
∪ ∪
- 133 :名前が無い程度の能力:2011/03/11(金) 12:30:57 ID:SW5SQw1s0
- 神社の掃き掃除を少ししてお茶と和菓子を食べながら休憩する、少ししたらまた神社の掃き掃除をしてしばらく経ったらお茶を飲みながら和菓子を食べる・・・
毎日これの繰り返し。
- 134 :名前が無い程度の能力:2011/03/11(金) 13:14:14 ID:QNDf9YycO
- 3:00
流行りのゲーム「妖怪バスター」をやり過ぎたと反省しつつ寝る
- 135 :名前が無い程度の能力:2011/03/13(日) 21:12:40 ID:GHdSh4O.0
- 3:01
ルーミア「夜に寝るなんてとんでもないわ!」
起こされる
- 136 :名前が無い程度の能力:2011/03/14(月) 10:56:46 ID:TIxDXIn.0
- 3:05
いつもならボコって寝るところだが、今日はなんだか眠れない。
外に出てみる事にした
- 137 :<激写されました>:<激写されました>
- <激写されました>
- 138 :名前が無い程度の能力:2011/03/14(月) 16:37:07 ID:ALgpAgeM0
- 3:15
身支度をして境内に降りたら、地面から腕が生えてきて足首をつかまれた
思わず悲鳴を上げてしまう
茄子色の傘妖怪だった
境内に穴を掘って隠れていたみたい
- 139 :名前が無い程度の能力:2011/03/14(月) 20:09:59 ID:nGxYLSWIo
- 3:16
あいた穴は埋めなきゃね。 装備:スコップ
小傘「え?あ、ちょ・・・」ドサドサーッ バンバンッ
境内からにょっきり手だけが生えてる・・・中々シュールな絵ね。
- 140 :名前が無い程度の能力:2011/03/14(月) 22:37:00 ID:kOtl8CQQ0
- 3:20
ついでに荒塩を撒いておく
- 141 :名前が無い程度の能力:2011/03/15(火) 07:48:29 ID:DT8l57VU0
- 3:22
蛍妖怪が木の陰に隠れ私狙っているのに気づく
どうやら木っ端妖怪達が結託して私を脅かそうとしているようだ
いい度胸ね
- 142 :名前が無い程度の能力:2011/03/15(火) 08:47:27 ID:jMM8XKRA0
- 3:23
気付かれたことを察したのかリグルが逃げる
追いかけて森の中に飛び込んだら、蜘蛛の巣に突っ込んでしまった
こ、このっ……!
- 143 :名前が無い程度の能力:2011/03/16(水) 02:17:00 ID:bh1KN/Uoo
- 3:24
「ぅえっぷ!・・・ぺっ!ぺっ!」
くうぅーっ!驚いた拍子に蜘蛛の巣がちょっと口に
入っちゃったじゃないの!!
(霊夢の脳内で8面ダイス×2をスロー。怒り値+12補正)
- 144 :名前が無い程度の能力:2011/03/16(水) 09:18:22 ID:mp2ojl2I0
- 3:25
蜘蛛の巣にもたついている間にリグルを見失ってしまった
と、その時、茂みから何かが飛び出してきた!
かわして針を投げたけれど、当たらない
‘何か’はとび跳ねるような動きで逃げていく
今度こそ逃がさないわ!
- 145 :名前が無い程度の能力:2011/03/16(水) 13:53:07 ID:qwbWJ8mc0
- 3:27
黒くて素早かったからとりあえず妖怪バスター撃ってみた
撃ち落したのを見に行ったら魔理沙だった
- 146 :名前が無い程度の能力:2011/03/16(水) 17:30:46 ID:xqAbVXm20
- 3:30
「いたいぜ」
「なにやってるのよ、こんなところで」
まさかこのいたずらに魔理沙も一枚かんでるのだろうか?
そう思い問いただそうとしたら目の前が暗くなった、鳥目か!?
- 147 :名前が無い程度の能力:2011/03/17(木) 08:24:28 ID:NE0rKtYA0
- 3:31
???「霊夢ー、どこー?」
ルーミアだった。神社から出てきたらしい
私を探すつもりなら、なんで真っ暗にしちゃうのよ……
- 148 :名前が無い程度の能力:2011/03/17(木) 12:15:11 ID:vRkXzBG60
- 3:35
よく分からないけど妖怪達と魔理沙も一緒になって遊んでると思っていいのかしら。
どうせ明日の予定も特に無いし、眠れなかった分は昼寝でもすればいい。付き合ってみようか
- 149 :名前が無い程度の能力:2011/03/18(金) 02:25:23 ID:RHOL.PQUo
- 3:38
「んで、あんた達何やってるの?新手の弾幕ごっこ?」
「チッチッチ、霊夢は遅れてるなぁ〜。今は弾幕ごっこよりもっと
超エキサイティンッ!な遊びが流行ってるんだぜ?」
所々焦げた魔理沙が得意げに説明しだした。
魔理沙が絡んでる時点でロクでもないルールな気がするわ・・・。
- 150 :名前が無い程度の能力:2011/03/18(金) 08:26:22 ID:uB.8.pVQ0
- 3:40
「騎馬戦ってあるだろ?あれと同じで相手の頭の帽子やリボンを奪ったら勝ちなんだが…」
魔理沙は説明を続けながらそっと手を伸ばし、ルーミアのリボンを一気に引き抜いた
!
- 151 :名前が無い程度の能力:2011/03/18(金) 09:35:27 ID:lyzprVbI0
- 3:41
「あー!魔理沙ずるーい! 『一緒に大物の霊夢のリボン取りに行こうぜ』って言ったのにー」
「油断してるほうが悪いんだぜ…って、お前のこのリボン、布じゃなくて羊皮紙だったのか」
「これ結構強力な護符みたいだけど…それこそアンタみたいな木っ端妖怪が触る事も出来ないような。
なんでこんなもんつけてるのよ?」
- 152 :名前が無い程度の能力:2011/03/18(金) 20:27:09 ID:gP1PSFW.o
- 3:42
ナレーション「説明しよう!ルーミアのリボンは封印用の護符である!
リボンを取られたルーミアはEXになったりならなかったり、大人に
なったりならなかったりするのだ!!」
「魔理沙〜リボン返すのか〜!」
ナレーション「・・・今回は変化なしのようである」
「阿求・・・何やってんの?」
「・・・ナレーション役です。無視してて下さい。」
- 153 :名前が無い程度の能力:2011/03/18(金) 20:47:29 ID:qS2u2L5M0
- 3:43
魔理沙「へへっ、リボンや帽子を多く集めたやつの勝ちだから、勝負が終わるまでこれは預かっておくぜ。
ちゃんと返してやるから心配するなよ。っていうかお前自分で触れないんだろ、これ護符だから」
ルーミア「うー……後でつけてよね」
霊夢「そういえばさっきのリグルは帽子もリボンもしてないわよね。あの触覚引っこ抜いていいのかしら?」
魔理沙「いや、さすがにそれは…抜いても生えてくるのかもしれないけど、そんなグロいもん持ちたくないぜ」
ルーミア「じゃーお洋服とるとか? 何も取られるものがないのはずるいわ」
- 154 :名前が無い程度の能力:2011/03/19(土) 11:08:20 ID:XgONxfvc0
- 3:45
霊「しょうがないからトレードマークのズボンでもいただきましょうか」
魔(マントにしようと言おうと思ったけどそっちの方が面白そうだからいいか)
ル「妖怪よりよっぽど恐ろしいわーこの巫女」
- 155 :名前が無い程度の能力:2011/03/19(土) 17:17:24 ID:gOaUCXuE0
- 3:47
霊夢「ところでほかに参加者はいるの?」
魔理沙「とりあえず帽子のあるなし関わらずほとんどの連中全員参加してるぜ」
ルーミア「みんなこんな真夜中なのにひまなのねー」
魔理沙「そこはキャラ的に『ひまなのかー』って言うもんじゃないのか?」
ルーミア「バカにしないでよ、普通にしゃべることも出来るわよ」
霊夢「そんなキャラ付けとかどうでもいいから他の連中探しに行くわよ」
- 156 :名前が無い程度の能力:2011/03/19(土) 18:01:13 ID:HyDKDe860
- 時刻>>153-155の前後
撃墜されて伸びてるリグルに霊夢が歩み寄る。
「ちょ、ちょっと!もう降参だってば!」
「安心しなさい、ルールにのっとって身包みはぐだけだから。アンタの持ち物だって分かりやすいそのズボンもらっていくわよ」
「え…? それは困r…」
「だってリボンも帽子もしてないし(触覚を見つめる)」
「ひぇぇ…わ、わかったわ…。」
大幣を物干しのようにリグルのズボンを据え付けた霊夢が戻ってきた。
「おいおい、いいのかよ、巫女にとって大事なものじゃないかそれ」
「黄昏ルールで向かってくるやつがきたらちょっと不便かもしれないわね」
「フフフ、今はライバルだが教えておいてやるよ。今回はいつもと違って相手を叩きのめす必要がないから正面突破を挑んでくるやつは少ないかもしれないぜ?
こっそり近づいて後ろから…なんてな。 ルーミアもうまくやれば霊夢に勝てたかもしれないのになぁ」
「そういう作戦だったでしょー。魔理沙がうらぎるんだから…」
「段取りがうまくいかなかったから臨機応変に作戦を変えたまでだぜ」
- 157 :名前が無い程度の能力:2011/03/20(日) 21:57:55 ID:I.RYW2Og0
- 3:50
頭上から急接近する気配!
軽く身を引いて避け、落ちてきた桶の縁をつかむ
さあ、捕まえたわ。釣瓶落とし!
桶の中を覗き込んだら空っぽだった
あ……れ……?
- 158 :名前が無い程度の能力:2011/03/21(月) 08:53:28 ID:rxNjCHXk0
- 3:51
聞こえる! 闇の中に蠢く何者かの気配が、身を潜め息を殺し奴はこのリボンを狙っている…!
ゴソゴソ……
背後にはダンボール箱がおちてる。軽く蹴ってみると驚いたようにガサゴソと動き出した。
ダンボールを持ち上げてみると案の定というか他には無いというか釣瓶落とし妖怪のキスメが入っていた。
魔理沙「うーむ、空蝉の術を使ったまではよかったんだけどな」
霊夢「変わり身の術じゃなかった? …っていうか、わざわざ地底から参加してるのもいるのね。
はい、惜しかったけど残念でした。そのリボンもらうわよ。……片方だけだとバランス悪いわね。」
魔理沙「そうだ、フランみたいなサイドアップかポニーテールにしてやるよ……っと。これならバランス悪くないだろ。
しかし地底勢は強敵ぞろいだぜ。古明地妹なんて優勝候補じゃないのか。まあ勝つのは私なんだがな」
- 159 :名前が無い程度の能力:2011/03/21(月) 22:25:40 ID:vUdlwG9g0
- 3:52
そう言い放った魔理沙の帽子に、物陰から飛び出してきた影が一直線に襲いかかる
魔理沙「…っと」
辛うじて避けるが、間髪を入れずに二撃目。今度は避け切れなかったのか、箒で受けた
影は箒を蹴って飛び、茂みの中に身を隠した
魔理沙「何なんだ…うわっ!」
影の攻撃は続く。物陰から物陰へと素早く飛び回り、魔理沙を翻弄している
……面白いので黙って見ていよう
- 160 :名前が無い程度の能力:2011/03/22(火) 10:42:32 ID:dWdSQx9.0
- 3:53
目の端で転進する影を捉えた。あれは化け猫妖怪ね。すぱしっこいし夜目も利くし条件次第ではあいつも強敵かしら。
「飛びながらスペルカードルールでやると大した事ないやつも自分の得意なやり方に持ち込めるのね。
魔理沙が考えた(?)にしては面白いじゃない。」
「われは『めんかげいと』に巣を張る猫! すばらしきザンサツ空間にようこそ!」
めんかげいと?
「くっ…奇襲しておいて口上かますなんて余裕じゃないか…!」
飛ぶよりも木や枝を足場に跳躍する方がここじゃたしかに有利。こいつの空間ね。魔理沙は不利かも。
- 161 :名前が無い程度の能力:2011/03/23(水) 13:57:40 ID:vrCu8d9k0
- 3:56
魔理沙「あーもうっ、面倒くさいッ!」
魔理沙は箒にまたがると、さっと飛び上がり、遣い魔をばらまいた
光符「アースライトレイ」
地面から放たれる光線が橙の動きを制限する…のはいいのだけれど、私まで巻き込まないでほしい
博麗アミュレットを投げる。魔理沙が落ちてきた
- 162 :名前が無い程度の能力:2011/03/23(水) 18:25:05 ID:Q6qMLXhQ0
- 3:58
魔理沙「何するんだよ。私はハエじゃないぜ?」
どうやら魔理沙は興奮しているようだ
やり方に無駄が多すぎるわね、もう少し落ち着きなさいと忠告したが
魔理沙「野良猫一匹の動きを止めるためにスペカを使ってもいいじゃないか。
それに霊夢だってこの程度の弾幕避けられるじゃないか。」
と興奮していて聞きもしない
やれやれ、魔理沙はまだ『橙だけを相手にしてる』と思ってるみたいね
そろそろ私が手を出す頃合かしら
- 163 :名前が無い程度の能力:2011/03/24(木) 10:34:24 ID:kGSMMhbU0
- 4:00
橙が後ろから忍び寄り、魔理沙の帽子を取った
橙「やったー!魔法使いの帽子げっと!!それじゃあ朝も近いしそろそろ帰るね。
心配しなくても手下の猫たちに十分見せつけたら返してあげるわ!」
橙は嬉しそうにそう叫ぶと、弾むように森の奥へと消えていった
魔理沙「やれやれ。私も眠くなってきたし、そろそろ帰るぜ」
これ、結んでおいてやってくれ、と、ルーミアのリボンを投げて寄越すと、
魔理沙も箒に飛び乗り、瞬く間に飛び去ってしまった
…私も帰ろうかしら
- 164 :名前が無い程度の能力:2011/03/24(木) 10:57:33 ID:wxiCot.s0
- 4:05
「…ほら、できたわよ」
ルーミアにリボンを結んでやる。いつもと違う髪形にしてみようかとも思ったけど、こいつはこのリボンに自分で触れないんだった。
「あんたは自分でできるでしょ。その髪型が気に入ったんならそのままでもいいけど(といっても自分では確認してないのよね)」
キスメにも髪留めを返す。…夜は妖怪の時間。丑の刻に最も力が強くなる…のは幽霊だけだったかしら?
とにかく地力の差を環境で何とかするつもりなら明るくなってから仕掛けてくるやつもいない、かな。もうお開きかしらね。
リグルの気配はすぐ近くにはないみたいだから、ズボンは木の枝にかけておいた。ここら辺で私たちが騒いでたのは気づいてるだろうから、見つけられるでしょ。多分。
ん〜…それにしてもここのところ異変らしい異変は起こらないわね。暇でいいのだけれど。
- 165 :名前が無い程度の能力:2011/03/24(木) 17:15:52 ID:uOJC5Nts0
- 4:08
「もしかして、これで終わりと思ったのかしら?」
声のした方向へ振り返る
「紫!・・・もしかしてあんたもこの遊び参加してるの?」
「もちろんよ、今日のところは時間切れだけどね」
「何よ今日のところはって・・・」
「そのままの意味よ、気が向いたらあなたのリボンをいただきに来ますわ」
そう言って紫はスキマに消えて行った
帽子やリボンを持ってるやつはみんな参加してるのだっけ
それにしてもルールがよくわからない、時間切れって何よ?
誰に聞くしかないのだろうか
- 166 :名前が無い程度の能力:2011/03/24(木) 23:19:07 ID:uy1Fh5TUO
- 4:10 その前にわたし寝間着だからリボンしてなかったじゃないの
紫、こんな時間に遊んでるからお肌が荒れて…私はそんなんやーよ?
- 167 :名前が無い程度の能力:2011/03/25(金) 11:44:06 ID:UfukNctQ0
- 9:00
起床。井戸で顔を洗って、身支度を済ます
昨日紫に会ってからの記憶がないけれど、ちゃんと神社で寝ていたみたい
居間では萃香とチルノが双六をしていた
萃香「おはよう、霊夢!ずいぶん遅いお目覚めじゃないか」
- 168 :名前が無い程度の能力:2011/03/25(金) 17:06:57 ID:VPE6Xjp.0
- 9:01
「おはよう。昨日は夜遊びに付き合わされてて遅かったのよ」
「アハハ、神職につくものにあるまじき不良だねぇ。…おや? 双六の駒が増えた? チルノ、霊夢の分を用意したのかい?」
「ううん。でも霊夢もやる? さーて、次はあたいの番ね。 …って、あれ? この双六、さっきまでさいころ振ったら勝手に駒が動いてたのに動かなくなっちゃったよ」
また怪しげなものを持ってきたのね。なんかこの双六の違和感、最近感じたような…。
「ほんとだ、おかしいな。さっきまでちゃんと動いてたのに」
「どっから拾ってきたのよ、これ。妖気とか霊気じゃないけどなんだか変な違和感があるわよ。呪われてるんじゃないの?」
「変なのは分かってたけどそんなに危ないものじゃないんじゃないかな。これは道具屋でもらってきたんだけど、道具屋によると『ジュマンジ』っていう名前で遊ぶものなんだって」
- 169 :名前が無い程度の能力:2011/03/26(土) 09:16:22 ID:9qC4p.2E0
- 9:02
チルノがさいころを手渡してきた
もしかしたら霊夢がさいころを振ったら動くかもしれないって萃香が言ったから
馬鹿馬鹿しいとは思いつつもとりあえずさいころを振ってみた
- 170 :名前が無い程度の能力:2011/03/26(土) 11:30:37 ID:bbGuCkrg0
- 9:03
さいころの数字は6。振り出しにあった駒が勝手に6マス進んだ。どうやらこの駒は本当に私に用意されたものだったらしい。
止まったマスに文字が浮かび上がる
「…かつての住処を追いやられ、その姿を消した猛獣たちが安息の地を求めて押し寄せる…?」
「一回休みとか何マス進むとかは書いてないね。なんだろう?」
ドドドドド……
神社の裏から地鳴りのような音がする。天人がまた何かしたのか、地底で何かやってるのか……そんな事を思って音のするほうを見てみると、
剣のような巨大な牙を持った虎、狼、他にも見た事もない大きな動物が走っていった。
どこからきたのかは知らないけど人里の方にいったらまずい。なんで寝不足なのに朝からこんなめんどうな事に…。
- 171 :名前が無い程度の能力:2011/03/26(土) 13:06:12 ID:12DhZSz20
- 9:17
夢符「二重結界」
獣たちは結界で神境内に閉じ込めておく
萃香にはお茶、チルノには蜜柑を出してやり、朝御飯の支度
うん、味噌汁が美味しくできた
- 172 :名前が無い程度の能力:2011/03/27(日) 10:37:33 ID:09uc27Ls0
- 9:20
萃香が胡瓜の漬物を持ってきてくれていた。河童にもらったらしい
一緒に食卓に出す
河童は一年中胡瓜が収穫できる畑を持っているという
こういうものは限られた季節の中で楽しむべきものだと思うのだけれど…
でも食べる
萃香「次は私の番だね」
- 173 :名前が無い程度の能力:2011/03/27(日) 13:33:23 ID:7nKy8.dE0
- 9:21
萃香が振ったさいころの目は4。萃香の駒が4マス勝手に進み、駒が止まったマスに文字が浮かび上がる。
「…『不老不死の果実から生まれし勇者が三匹の家来と共にどこまでもお前を追い詰める』…」
玄関が開いたと思うと、パァーンと空気が破裂するような音がした。
先から煙が出てる棍棒を持って鎧を纏った青年が、巨大な犬、人間よりも遥かに大きなサルを従えてずかずかと入ってくる。
「鬼はここか。さあ私と勝負だ」
「あわわ…これはちょっとまずい…。」
勝負事となるとノリノリで逃げる事なんてありえない萃香が青年に対して怯えているように見える。
「逃げるのか臆病者め!」
青年は棍棒を萃香に向けたと思うとまた先ほどの空気が破裂する音がした。どうやらあれの先端から弾を打ち出してるらしい。
「ひぃいいいい!!」
脱兎のごとく萃香が縁側から逃げ出していく。青年と魔物?も後を追う。あっけにとられて後を見てると空には巨大な鳥が舞っている。あれも青年が従えてるのだろう。
- 174 :名前が無い程度の能力:2011/03/27(日) 23:16:02 ID:LE6KxPZ20
- 9:23
遠くから萃香の悲鳴が聞こえてくる
どうやら本当にあの青年は苦手な相手らしい
鬼に豆以外の弱点があったとは・・・後であの青年に聞いてみて弱点を教えてもらおう
最近夜中に隠れてお酒を飲んでるみたいだし少しは懲らしめておかないと
チルノ「じゃあ次はあたいの番だね!」
- 175 :名前が無い程度の能力:2011/03/28(月) 15:44:01 ID:Wt0INfsgO
- 9:24 お茶がおいしい
- 176 :名前が無い程度の能力:2011/03/28(月) 16:43:39 ID:NuHJspCY0
- 9:25
出た目は2だった
チルノ「えーと…『大河より暴れ出でし竜の群れが押し寄せる』?」
…ゴゴゴゴゴゴ…
チルノ「裏手ね!」
神社を飛び出したチルノの後に続くと、巨大な波頭が目前に迫っていた
凍符「パーフェクトフリーズ」
神社に襲いかかるような姿で固まった水は、あたかも竜の群れ…
- 177 :名前が無い程度の能力:2011/03/28(月) 21:54:54 ID:XYDm5D.A0
- 9:30
「エッヘン!あたいは何が来てもカチンコチンにしちゃうんだから!」
ああ、止まってなかったらこれ、この前の台風の時よりひどい事になってたでしょうね。今は素直に感謝しようかしら。
ん? でもそもそもこんな事になった原因は……などと考えていると、萃香がしきりにあたりを気にしながら戻ってくる。
「アイツと知り合いなの? 天人か地底のやつ?」
「はぁ…知らないよ…。あいつは私の顔から性格から何から何まで嫌いなんだろうね。
…いや、あいつはあの三匹の獣と一緒に鬼100人のいる島を陥落させた奴なんだよ。あんまり話が通じない鬼の天敵さ。人攫いだって人間の決めた自分達に有利なルールで勝った上での事なのに…」
ぶつぶつ言ってるけどあの青年は鬼百人分、ね。まあ私達には目もくれないで萃香だけを狙ってるから今のところ人里にも他の連中にも害はないでしょ。
この双六、とまったマスに浮き上がった文字が現実になるみたいね。お茶菓子セットとか大吟醸とか出てこないかしらね。
…どうせ現実は非情でしょうけど。
- 178 :名前が無い程度の能力:2011/03/29(火) 01:30:37 ID:5knCoOQw0
- 9:31
まあ現実化してもある程度対処できるし問題ないでしょとさいころを振る
さいころの目は5を指し、コマが動いた
浮かび上がった文字は『夢の回廊に囚われ現実は彼方へと遠ざかる』
・・・なんのこっちゃ?
- 179 :名前が無い程度の能力:2011/03/29(火) 12:40:26 ID:Ftt5yx8I0
- 9:31
起床。井戸で顔を洗って、身支度を済ます
昨日紫に会ってからの記憶がないけれど、ちゃんと神社で寝ていたみたい
居間では萃香とチルノがオセロをしていた
萃香「おはよう、霊夢!ずいぶん遅いお目覚めじゃないか」
- 180 :名前が無い程度の能力:2011/03/29(火) 12:56:41 ID:0Q7GJTtY0
- 9:32
あれ…? 何これ…ええと、ジャメヴュとかヒデブとかいったかしら?
…まあいいか。
「…昨日は夜遊びに付き合わされてて遅かったのよ」
「アハハ、神職につくものにあるまじき不良だねぇ。…はい、これでこの列はもらったよ」
「あーっ!わざとさっきの二つとらせたのね、ずるーい!」
…なんかひっかかるけど、まあいいか。
「なにぼんやりしてるの? まだ目が覚めてないのかい、朝ごはんでも食べてきたら?」
「ええ、そうするわ」
自分の食事の用意をして、萃香にはお茶を、チルノにはみかんを出してやる
- 181 :名前が無い程度の能力:2011/03/30(水) 18:01:44 ID:2DJ5nJts0
- 9:49
局面はどうなっているのかしら
……萃香の白が圧倒的に多い…でも…これは…
霊夢「へぇ」
思わず声が漏れた
- 182 :名前が無い程度の能力:2011/03/31(木) 13:01:00 ID:2jmXTcKg0
- 9:51
萃香「おや、置く所が無いね。パスするよ」
チルノ「じゃああたいはここ」
萃香「すると…ここしか置けないのか」
チルノ「ふふん、それならここに置くよ」
盤面上みるみる黒が多くなっていく。同時に私の視界も暗く……あれ?
萃香「ほぅ、やるもんだね」
萃香の声が遠く聞こえる。えっと、萃香たちは何をしていたんだっけ……意識が
- 183 :名前が無い程度の能力:2011/03/31(木) 13:16:17 ID:aAtWNvKY0
- 9:31
起床。井戸で顔を洗って、身支度を済ます
昨日紫に会ってからの記憶がないけれど、ちゃんと神社で寝ていたみたい
居間では萃香とチルノが一面だけガラスの中に何か入ってる箱に向かって両手を振り回してる。
二人は夢中で私が起きてきた事に気づかない。
覗き込むと箱の中で人形が殴り合ってるように見える。
「あーっ!霊夢、邪魔!見えない見えない!」
二人は忙しなく両手を動かしてる。箱の中の人形も忙しなく殴り合ってる。
「ふう、まあいいやちょっと休憩しよう。」
箱の中の人形が消えて何か今度は文字が出てきた。小さな矢印が移動してる。私は不思議に思ってガラス面を指で触ってみる…が何も起こらない。
「霊夢ー、シモンがつくー」
二人はこれで遊んでいた。今日持ってきたのかしら。うちにこんなものはなかった
- 184 :名前が無い程度の能力:2011/03/31(木) 21:07:37 ID:L60hytAo0
- 9:32
萃香にこの箱について聞いてみた。
「なにって・・・これは霊夢も知ってるだろぉ?」
・・・どうやら萃香は知っているらしい。ついでにチルノにも聞いてみる。
「え、これテレビじゃないの?あたいをからかってるの?」
私はこの箱について何も知らない。なのに萃香やチルノですら知ってた。
なんか変だ。何かがおかしい。
「寝ぼけてるのかい?今日はずいぶん遅いお目覚めだけど」
「…昨日は夜遊びに付き合わされてて遅かったのよ、まだ寝ぼけてるかも」
「アハハ、神職につくものにあるまじき不良だねぇ。まだ寝ぼけてるのなら、朝ごはんでも食べてきたら?」
「んー・・・そうするわ」
とにかく落ち着こう、ご飯を食べて少し整理をしよう。
自分の食事の間に、萃香にはお茶を、チルノにはみかんを出してやる。
- 185 :名前が無い程度の能力:2011/04/01(金) 08:54:54 ID:dC75BnAk0
- 10:15
遅い朝食をすませ後片付けも終えて、改めて考えてみる。この“てれび”というものは私も知っているらしい。
「ねえ…このてれびっていつからここにあるの?」
萃香とチルノがぽかんとしている。二人は顔を見合わせた後に
「新手の異変かっ!?」「誰かが能力であたい達を攻撃してるっ!」
異変―――そう考えると合点がいく気がしないでもない。私も身構えて周囲に違和感がないか探ってみる……けど何も感じない。
「…ぷっ…ははは、アハハハハ!! そんなわけ無いでしょ、霊夢ったらおっかしーい!」
二人は笑っていたと思ったら、私があんまり真剣だからか今度は心配しだす。
「…霊夢、大丈夫? 本当に寝不足なんじゃないの? もう一眠りしたら?」
「……この箱、てれびはいつからここにあるの?」
「いつからって言われても…、だってこれは私がこの神社に出入りするようになってからずっとあるのよ?
天人と紫に神社壊された時に新調したけど」
そんな事は、絶対に無い。私はこれを見るのは初めてだ。担がれているようにも思えない。幽霊も妖怪も怖いと感じた事はないけど、この状況は不気味でなんだか薄ら寒い。
てれびの正面の暗い鏡が急に明るくなったと思ったら音が出て、私は硬直してしまった。
「じゃーまたちょっとさっきの続きしよう」
てれびの中では矢印が表れて文字が書かれた板を押し込んでいる。私も指で文字の書かれた板を押してみるけど何も起こらない。
「霊夢ー……」
これじゃ拉致があかない。癪だけど誰かに聞いてみる他無い。何か言ってくる二人を無視して私は神社を後にする
- 186 :名前が無い程度の能力:2011/04/01(金) 14:31:08 ID:d5d4Srag0
- 10:30
道具の事なら香霖堂ね
霖之助「テレビについて説明しろって?名称はテレビ受像機、用途は電波の受信、映像と音声の表示だね」
霖之助「とりあえず実物を見ながら話そうか。その棚の上に一台あるから持ってきてくれ」
えっと、この段ボールの中ね。よいしょっ…と持ちあげた途端、棚が倒れてきて……
- 187 :名前が無い程度の能力:2011/04/02(土) 12:08:32 ID:4wJWA5OY0
- 10:3…夢符「夢想亜空穴」!
9:32
霖之助さんの驚いた表情が遠ざかり……いや、驚いた表情でこちらを見返しているのは萃香だった
もう少し早くに気付くべきだったわ。無駄に同じことを繰り返すのって結構疲れるのね…
萃香「どうしたんだい、急に」
霊夢「……いえ、何でもないわ。次はあなたの番よ」
さいころを渡した
- 188 :名前が無い程度の能力:2011/04/02(土) 14:06:16 ID:naDGWdj20
- 9:33
少なくともこの双六は浮かび上がった文章をそのまま再現されることがこれでわかった
しかも場合によっては二度と戻ってこれなくなるようなこともある
それならば、なるべく早くこのゲームを終わらせて封印してしまったほうがいいかな
幸いにも萃香とチルノは先にやっていたこともあって後数回で上がりになりそう
よくこんな変な双六をできるものだなと少し関心した
「げ、ここで1かよー、まいったなーはっはっは」
萃香が笑いながら盤面をみている。どうしてこうもう少しでって時に足踏みするのかしら
浮かび上がった文字は「誘惑の館が君を誘い、欲望の渦が君を捕らえるだろう」
今までろくなことがおきなかったので少し身構えると
庭の片隅に見知らぬ小屋が建っていたのに気がついた
- 189 :名前が無い程度の能力:2011/04/03(日) 10:12:35 ID:/6ynwsTs0
- 9:35
小屋から出てきたのはレミリアと咲夜だった
レミリア「霊夢があんまり紅魔館に遊びに来てくれないから、こっちに別荘を作らせてもらったわ」
そんなことされたら、ますます参拝客が寄り付かなくなるじゃない!
咲夜「別荘というよりは会食所ですわ。神社で紅茶やワインというのも雰囲気が出ないとお嬢様がおっしゃるので、
作らせていただきました」
レミリア「そういうわけだからちょっとお茶していかない?咲夜の焼いたケーキもあるわよ」
霊夢「お茶していくも何も、ここはウチの神社…」
萃香「お、良いねぇ。酒もあるかい?」
咲夜「ワインを御用意させていただきました」
チルノ「あたいも入っていい?」
咲夜「ええ、シューアイスを作ってみたんだけれど、いかがかしら?」
チルノ「わーい!」
- 190 :名前が無い程度の能力:2011/04/04(月) 11:12:11 ID:1NXem3rE0
- 9:38
仕方ないわね…
小屋の中は意外に広く、小綺麗に作られていた。フランが土蜘蛛の妖怪と、ワインを飲みながらポーカーをしている
霊夢「あら、先客?」
咲夜「この小屋は彼女が建てたものですわ。新聞に土蜘蛛は建築に長けているとありましたから」
咲夜が紅茶を淹れて、ケーキを切り分けてくれる
- 191 :名前が無い程度の能力:2011/04/04(月) 14:27:08 ID:mZ66/yJkO
- 9:39
突然緑茶が飲みたくなる
- 192 :名前が無い程度の能力:2011/04/04(月) 18:38:21 ID:ho6O1Vc.0
- 9:40
咲夜に緑茶を頼んだらすぐに出してくれた
変なものでも入ってるかと思ったけど見た目は普通みたい
せっかくだしおやつタイムでも堪能しようかしら
うん、お茶がおいしい
- 193 :名前が無い程度の能力:2011/04/05(火) 13:02:14 ID:hbZShI6s0
- 9:50
チルノはレミリアに借りた漫画を読み始めた
萃香はブランデーを舐めながら、フランとチェスをしている。朝からそんなに飲んで…
レミリア「霊夢、付いてきて」
レミリアが奥の扉をあけると、別の部屋があった。…この小屋こんなに大きかったかしら
- 194 :名前が無い程度の能力:2011/04/06(水) 08:50:18 ID:fI9IWR6c0
- 9:52
隣は衣装部屋だった。さまざまな色のドレスが吊られている
レミリア「どう?霊夢に似合うと思って用意させたのだけれど…」
赤のカクテルドレスを合わせてくる
霊夢「綺麗だけれど…派手すぎない?」
レミリア「あなたの普段の巫女服の方がよっぽど派手だと思うわ」
レミリアはそう言って、微苦笑を作った
- 195 :名前が無い程度の能力:2011/04/06(水) 23:20:32 ID:kfOca0Y.0
- 9:53
いろいろドレスを合わせてくれたけどどれもこれも色とデザインがしっくりこない
というよりなんでこんなところにつれてこられたのかわからないので理由を聞いてみた
レミリア「会食には正装、ドレスが基本でしょ?淑女としての基本的なマナーよ」
この巫女服も私にとっては正装なんだけどなぁ・・・まあいいや、適当にドレスを選んでしまおう
- 196 :名前が無い程度の能力:2011/04/07(木) 08:57:43 ID:Bkkvgx4s0
- 10:03
フリルが少なく、すっきりとしたデザインのものを選んだ
レミリア「素敵よ。やっぱり霊夢には紅が似合うわね」
咲夜に着付けを手伝ってもらう。いつもの巫女服に比べると動きにくい
雛とかいつもこんな恰好で飛び回っていたのね…
- 197 :名前が無い程度の能力:2011/04/08(金) 09:08:35 ID:6I1OfK7Q0
- 10:04
レミリア「さて、昼食まではまだ間があるし、腹ごなしの運動でもしましょうか?」
そう言うと彼女は入ってきた方とは逆の、奥の扉に手をかけた
扉の向こうはダンスホールだった
おかしい。いくら咲夜が空間を操れるといっても、ここまでの無茶はできないでしょう…
- 198 :名前が無い程度の能力:2011/04/08(金) 13:45:03 ID:0XPxJhNs0
- 10:06
レミリア「さて、何を踊りましょうか?ワルツ?タンゴ?お望みなら盆踊りでも?」
レミリアがあまり着慣れていないドレス姿でくるくる回っている
私としてはドレスを着て盆踊りも一興だけど、二人が踊るにはあまりにも広すぎる
奥のほうにもまだ扉があるし一体いくつの部屋を作ったのかしら
それにレミリアも何かおかしい。普段はもっとかわいらしいところもあるのに
今のレミリアにはそのそぶりがなく、逆にカリスマがあるように見える
- 199 :名前が無い程度の能力:2011/04/09(土) 08:37:58 ID:v/2UNAHA0
- 10:07
ゆったりとした三拍子の曲が流れ始めた
レミリアは私の手を取って、ふわりと私と目線の合う高さまで浮かび上がり、踊り始める
私はワルツの踊り方なんてよく知らないので、適当にレミリアの動きに合わせる
霊夢「そういえば萃香とチルノはどうしたの?」
レミリア「萃香ならもっと気楽に酒が飲める方が良いと言うから、宴会場の方に案内させたわ」
霊夢「私もそっちの方が良かったかな…」
レミリア「何言ってるの。霊夢も内心ロマンチックなダンスパーティーを経験してみたいと思っていたんでしょ」
レミリアはそう言って、にやりと笑った
- 200 :名前が無い程度の能力:2011/04/09(土) 16:00:11 ID:PwAaRJLk0
- 10:08
唐突に
ワキのにおいをチェック
- 201 :名前が無い程度の能力:2011/04/09(土) 20:25:56 ID:5sUCeMZc0
- 10:09
腋からなぜかいい香りがする。気のせいかと思ったがレミリアからも同じ香りがする
レミリア「咲夜がこっそりケアしてくれたのよ。淑女として腋のケアは重要ですわ」
・・・ああもう調子が狂う
- 202 :名前が無い程度の能力:2011/04/10(日) 17:34:02 ID:z59Ds/Do0
- 10:10
パーティーって三人しか…と、そこで誰かと背中が触れそうになり、私達以外にも何組かのペアがダンスをしていることに気付く
入ってきた衣装部屋の方に目をやると、今しもドレスとフロックコートの妖精のペアが入ってくる所だった
レミリア「チルノにも別の部屋で遊んでもらっているわ。ただ飽きっぽい妖精の相手はなかなか大変みたいね」
- 203 :名前が無い程度の能力:2011/04/10(日) 21:06:47 ID:D7yPFEuwo
- 10:11
・・・なんか妖精たち、妙に上気した顔してるわね。
目の焦点も合ってないというか・・・何か、凄くヤバい気がするわ・・・。
えーと思い出すのよ、確か萃香の順番で「誘惑の館が君を誘い・・・」!?
ま、まさかヤバいのって・・・私じゃなくて!!
- 204 :名前が無い程度の能力:2011/04/12(火) 02:43:43 ID:aSlD16620
- 10:14
レミリア「あら?もう帰るの?そう、萃香の事が心配なのね。残念だけれど、仕方ないわ」
微笑んだレミリアの顔も、ホールの景色も、にじむように見えなくなり、
気が付くと私は、白いのっぺりした空間に、一人たたずんでいた
霊夢「衣装部屋があったのは…こっちね」
昇天蹴!
空間の壁を蹴破って隣の部屋に出ると、そこもやはり衣装部屋ではなく、ただ真っ白な場所だった
私の着ていた巫女服だけが、綺麗に折りたたまれて置いてある
それに着替えると、脱ぎ捨てたドレスもかき消すように見えなくなった
- 205 :名前が無い程度の能力:2011/04/12(火) 04:58:36 ID:cBGZpQY6o
- 10:26
「でぇぇぇいっ!!」
気合い一閃、通算六つ目の部屋の壁をぶち破る。
「あ、霊夢だ」
よし、チルノ発見!アイスなんか頬張ってのんきなもんね。
この空間は本気で萃香を堕としにかかっているはず。時間がないわ。
このまま闇雲にでも萃香を探して必ず三人で神社に戻るか、
私達だけ天井破って脱出し、萃香が壊れる前に双六を終わらせるか・・・
- 206 :名前が無い程度の能力:2011/04/12(火) 09:16:51 ID:u2z0u94c0
- 10:27
双六の上がりまでの残りを思い出す
たしか萃香が残り8でチルノが7…
どうしても萃香に必ず順番が回ってくるのね…
となれば…やることはひとつしかないわね
- 207 :名前が無い程度の能力:2011/04/13(水) 00:21:50 ID:hE7vX5w2O
- 10:29
禁断の20面ダイスを取り出す
ブーイングがひどい
うっさい。勝てばいいのだ
- 208 :名前が無い程度の能力:2011/04/13(水) 06:59:27 ID:WsaBcVdw0
- 10:30
チルノ「霊夢!萃香いたよ!!」
萃香は真っ白な床に大の字になって、笑っていた
萃香「いや、実に楽しい!こんなに楽しいのはいつ以来だろう!!」
思わず足を止める。しかし萃香は私達の方を眼だけで見て、反動をつけて跳ね起きた
萃香「しかしそんな楽しい宴も、お開きの時間のようだ。みんな、今日は楽しかったよ。ありがとう」
と、誰もいない方を向いて、ぴょこんと音のしそうなお辞儀をした
萃香が何を見て、何に頭を下げたのかは分からなかったけれど、
その時、どっと大勢の笑い声が上がったのを、聞いたような気がした
- 209 :名前が無い程度の能力:2011/04/13(水) 10:35:25 ID:dY/LSnQ20
- 10:35
もう何枚目か忘れたほどの壁を突き破って3人で小屋から脱出
その間萃香はうれしそうな顔で今までの出来事を話していた
どうやらずっと私達の偽者と宴会と喧嘩を楽しんでいたみたい
あんまりに楽しそうだったのでずっとあそこに居たらどうなの?とからかってみた
そしたら萃香はけらけら笑いながら返した
「いやーずっと居たかったんだけどねー、宴会は一時の愉しみ
延々と続くのならば宴会の愉しみもありがたみも薄れちゃうよ
永遠の宴より須臾の宴のほうが私は好きだしねー
それにやっぱり宴会に本物の霊夢や他のみんなが居ないと意味がないよ!」
…そういえば萃香ってこんな子だっけ?と改めて思った
さて、後はこの禁断の20面ダイスでチルノが7以上出して終わりね
まあこれだけ目があれば6以下なんて出ない・・・よね?
- 210 :名前が無い程度の能力:2011/04/14(木) 22:38:25 ID:0NscPU4Mo
- 10:55
神社に戻ってちょっと一息。まだ昼前なのに・・・もうクタクタだわ。
よし、もうさっさと終わらせるわよ!
チルノが20面ダイスをふる・・・が、バチンッ!と結界らしき
モノに弾かれ庭の彼方に。えぇ〜・・・。
・・・そりゃまあ、魔法だか呪いだかで制御されてる遊戯盤に
こんな手段が通るはずないだろーけど・・・ちょっと期待したのに、ちぇ。
改めてジュマンジダイスをチルノに渡す。
お願いだから、異変レベルのゴタゴタはおこさないでよ・・・。
- 211 :名前が無い程度の能力:2011/04/15(金) 00:53:16 ID:Znqa8Ios0
- 10:56
霊夢「早くゲームを終わらせましょう!」
チルノ「おー!」
屋根を突き破って何かが落ちてきた。前の番でチルノが凍らせた波頭だった
霊夢「……速くゲームを終わらせましょう」
チルノ「おー…」
出た目は4だった
『天より来る見えざる手に弄ばれる』
- 212 :名前が無い程度の能力:2011/04/15(金) 11:23:31 ID:Wlv7GW6.O
- 10:57
視界が真っ暗になると天子が体のあちこち触ってきた
- 213 :名前が無い程度の能力:2011/04/15(金) 16:28:10 ID:poE4Zbdw0
- 10:58
とりあえず天子を殴りt・・・と思ったが当たった感触がない
それどころか何箇所も同時に触られてる
近くでチルノと萃香が同じようなことになってるらしいが
鳥目にでもなったかのように視界が見えない
天子の声は聞こえるけど他にミスティア達もいるのかしら?
- 214 :名前が無い程度の能力:2011/04/15(金) 16:56:12 ID:YTgsF8JA0
- 11:00
とりあえずスペルカードで一掃し、里へ買い物に出かける。
予算は12銭だが、値切ったりツケに回せば50銭くらいは買えるだろう。
- 215 :名前が無い程度の能力:2011/04/15(金) 18:59:53 ID:HqBLUeMQo
- 11:01
え?ゲーム放棄?
いやいや、順番は私の番。だからこれは放棄じゃなく中断というのよ。
しかも誰かが勝手に振らないようダイスは裾に入れてある。
うーん私ってば完璧。
- 216 :名前が無い程度の能力:2011/04/16(土) 09:53:38 ID:qTryQV9U0
- 11:23
里の八百屋に向かう途中、一輪に会った
一輪「こんにちは、博麗の巫女。今日は買い物ですか?」
両手に野菜や果物の一杯に詰まった買い物袋を提げている
霊夢「こんにちは。なかなかの大荷物ね」
一輪の後から、米俵3俵を背負い、両脇に樽を抱えた雲山がふわりふわりと現れた
霊夢「……なかなかの大荷物ね」
一輪「寺には多くの妖怪たちが集まりますので」
売り切れてなければいいのだけれど…
- 217 :名前が無い程度の能力:2011/04/16(土) 10:21:22 ID:mrTnfJYU0
- 11:30
里の入り口で妖夢と珍しく幽々子に会う
妖夢の背中には食料、幽々子の両手には酒瓶の入った袋がぶら下がっていた
どうやら今日は紫たちと宴会をやるようでその買出しのようだった
私も宴会混ぜてほしいと言ったらやんわり断られた。ちぇ、いいじゃない別に
それにしても今日はよく買い物帰りの人に会うわね
まだ野菜とか残ってるといいのだけど
- 218 :名前が無い程度の能力:2011/04/17(日) 10:48:36 ID:rMz2GdKY0
- 11:45
案の定野菜は売り切れていた。意気消沈して店の外に出る
穣子に会った
穣子「……食べる?」
芋けんぴが差し出される
- 219 :名前が無い程度の能力:2011/04/17(日) 20:32:57 ID:gXylLVzE0
- 11:46
穣子からもらった芋けんぴを食べる
おいしくて自然と涙が出た
穣子「え、えっと・・・う・・・うちくる?」
なんか勘違いされているような気がするがどうしよう
- 220 :名前が無い程度の能力:2011/04/18(月) 01:38:40 ID:pScwHkOEo
- 11:48
いや・・・この機会を逃す手はない。
「え・・・ほ、ほんとに行ってもいいの?」
たとえ粗食貧乏キャラに勘違いされようとご飯を奢ってもらえるなら
乗っかるべきだわ。タダ飯ほど美味しいものはない。
それに秋姉妹の家庭料理っぽいメニューは私のストライクゾーンだし♪
でもまだ昼前・・・どうせなら晩ご飯にお呼ばれしたいなぁ。
・約束を取り付けて一旦別れ、夜に立ち寄る?
・このまま穣子と夕食時間まで一緒に過ごす?
- 221 :名前が無い程度の能力:2011/04/18(月) 06:23:57 ID:Wruf78GA0
- 11:50
霊夢「今は神社に萃香たちを待たせているから……夕方にでもお邪魔していい?」
穣子「歓迎するわ」
穣子といったん別れ、うどんと油揚げを買って帰途に就いた
- 222 :名前が無い程度の能力:2011/04/19(火) 10:35:06 ID:0I9iinWg0
- 12:18
お昼のきつねうどんを作る
チルノ「あたいざるうどん!」
はいはい
- 223 :名前が無い程度の能力:2011/04/19(火) 20:31:30 ID:JNPO5lvQ0
- 12:30
きつねうどん2杯とざるうどんが完成
ついでに朝食の残りのご飯で塩むすびを3個作る
お昼ご飯にしては豪勢過ぎたかな…?
- 224 :名前が無い程度の能力:2011/04/20(水) 00:37:03 ID:YppFOXJAO
- 12:31
チルノ「らるうろんおいひ〜」
美味しいのはわかったから食べるか喋るかになさい
萃香「あちっ…。れ〜むぅ…ひやしてよぉ〜…」
自分でふーふーして冷やしなさい
おにぎりは正解だったわ。ちょっと物足りなかったの
- 225 :名前が無い程度の能力:2011/04/20(水) 04:34:05 ID:QBdUKe52o
- 13:10
ふー・・・食後のまったりタイム。
ん、そういえば紫は今夜幽々子と宴会のはずよね・・・。
今のうちに済ませておくか。
「紫、ちょっといい?」適当な方向に声を出してみる。
「はーい♪よ・ん・だ?」ニュッ
・・・ホントに来た。紫ってば私を一日中監視してんの?
「・・・えーと、コレの事で頼みがあるの」
裾の中で転がり続けてる例のサイコロを取り出す。
「あら・・・それ、呪曼路(ジュマンジ)のね?」
「知ってるの、紫?」
「ええ、過去に色々ね・・・厄介な一品よソレ」
珍しくにがい笑顔を浮かべながら頷く紫。
「なら話は早いわ。コレ、永久に目が出ないようアンタの
スキマ空間に漂わせときたいんだけど・・・」
「なっ・・・れ、霊夢っ!!」
「な、なによ!?」
「・・・貴女、天才だわ!」
「は?」
何でも、過去たびたびこの呪曼路なる遊戯盤はどういうワケか
スキマを抜けて各地で問題を起こしたらしい。
振ったサイコロがスキマ内で回り続ければ永遠に私の順番のまま。
実質、呪曼路の呪いは封じたも同然。つまりは一件落着。
きっと・・・呪曼路も私と会うべくして出会った異変だったのね。
私はサイコロを、紫の作った特製無限空間に放り投げた。
東方呪曼路 〜完〜
「さて、頼みは聞いたわよ。お礼は何?」
「そう来るか!」
- 226 :名前が無い程度の能力:2011/04/20(水) 19:00:12 ID:Kl.yTaxU0
- 13:13
霊夢「御神酒で良かったかしら?」
紫「……あなた本当にお酒だけは切らさないのね」
失礼ね、お金も食べ物も切らさないわ…時々しか
紫「宴会があるから助かるわ。御機嫌よう」
別れの挨拶を残してスキマは閉じた
- 227 :名前が無い程度の能力:2011/04/20(水) 23:16:50 ID:zEsLqygY0
- 13:15
いやぁ、異変が解決した瞬間はいつも気持ちがいい
こういうときは気分良くお酒を飲んでいるのだけどまだ日は高い
それに今日は秋姉妹の家(たぶん神社)で晩御飯をいただくことになってる
それまでは我慢我慢。ついでに萃香とチルノもつれていこうかしら?
- 228 :名前が無い程度の能力:2011/04/21(木) 13:49:04 ID:wmH1ASRk0
- 13:20
洗濯をする
午前中はあのゲームに時間を取られたせいであまり仕事ができなかったわ
今から干して乾くかしら
- 229 :名前が無い程度の能力:2011/04/21(木) 15:41:49 ID:rzlUOOF6o
- 13:45
洗濯物を庭に干し終わり、掃除のため箒を持って境内に向かう。
・・・地面から手が生えてる。
箒でつつくがぐったりして反応がない。
なにこれ、新種の植物かしら。
それとも誰か埋められ・・・
・・・・・・
・・・
あ。
「たひけて・・・あちき・・・限、界・・・」
- 230 :名前が無い程度の能力:2011/04/21(木) 16:01:22 ID:cyWBRkNk0
- 13:50
子傘を掘り起こす。土饅頭はおいしかったかしら?
出てくるなり、土を吐いたり服の泥をほろったりしながら「土の中から足をつかむのは中々効果がある」などといってる。これだけの目に遭ってもまたやる気なのだろうか。よほど彼女に対して誰も驚かないのだろう。
とりあえず温泉とは名ばかりの一次冷却水に浸かる事をすすめておく。
- 231 :名前が無い程度の能力:2011/04/21(木) 19:11:42 ID:.yZ6FRVM0
- 13:55
小傘が一次冷却水に浸かり悲鳴を上げていた
まだ春だしつめたいんだろうなぁと他人事
そんなことより掃除をしないとあっという間に日が暮れちゃうわ
とっとと境内の掃除を済ませよう
- 232 :名前が無い程度の能力:2011/04/22(金) 07:11:56 ID:9zPcB5c.0
- 14:30
境内の掃除をしていたら、早苗が来た
休憩にしましょう。お茶を淹れる
早苗「ジュマンジですか、昔テレビで見たことがあります。一度やってみたかったんですよ」
霊夢「物好きね。残念ながら、もうできないわ」
- 233 :名前が無い程度の能力:2011/04/22(金) 10:32:23 ID:6nO755sI0
- 14:35
早苗「そうなんですか、ちょっと残念です。…でも幻想郷には他にも面白い事はありますしね」
霊夢「外の世界ってそんなに退屈なの? 娯楽はこっちにはないようなものもあるみたいだけれど」
早苗「退屈っていう訳じゃないんですけど、幻想郷と比べると物足りないっていうか刺激が無いっていうか。。」
外の世界の事にそれほど関心がある訳じゃなかったけど、早苗が幻想郷の外の事を話しているので聞いてみた。
- 234 :名前が無い程度の能力:2011/04/22(金) 12:28:12 ID:oiEk/gtko
- 15:05
外での生活を早苗は実に楽しそうに話す。
早苗「はい!それもお金さえ入れれば機械がやっちゃうんですよ?」
・・・聞けば聞くほど外の世界は恵まれている。
何でもかんでも自動でできちゃうなんて凄いわね。
早苗「でも・・・便利すぎる事に慣れると、それが当たり前の事に
なってしまうと・・・人は感謝の気持ちを忘れがちです」
霊夢「・・・」
一瞬、ほんの一瞬だけ早苗の笑顔に寂しさが混じる。
外の世界の住民が物事に対し、もっと真摯な気持ちを持ち続けていたら
早苗達は幻想郷には来ずに済んだのだろうか。
しかしそのおかげで早苗達や地底、お寺連中とも出会えたわけで・・・。
ああ・・・もう、参ったなぁ。どう言って良いものやら。
- 235 :名前が無い程度の能力:2011/04/22(金) 19:36:31 ID:yp0F8z8E0
- 15:10
…んー、こんな空気のままじゃらちがあかないわね
掃除も終わらないだろうしここでやることは一つ
霊夢「早苗」
早苗「あ、はい霊夢さん」
霊夢「弾幕ごっこするわよ」
早苗「えっ…」
霊夢「いいから早く」
- 236 :名前が無い程度の能力:2011/04/22(金) 21:06:12 ID:E5N0trLU0
- 15:20
早苗「ふふふ、いつかの時みたいに、落ちて頭ぶつけて痛かったから負けたなんていう言い訳はなしですよ?」
霊夢「古い事をよく覚えてるわね」
早苗「じゃあ私が最初にきた頃に霊夢さんに負けたのも古い事なので、スコアは今から数える事にしましょう」
霊夢「あんたが数えておきなさいよ、自分の黒星を!」
互いにスペルカードを宣言して弾幕の撃ち合いが始まる。私たちの弾幕の軌跡は幾何学模様だって魔理沙が言ってたわね。
適当にばら撒いたりぶっぱなしたりする奴もいるけど、早苗の弾幕は星型をつくったりしている。私はあまり意識した事がないけど、私の弾幕や結界も何かの模様になっているのだろう
- 237 :名前が無い程度の能力:2011/04/23(土) 00:46:37 ID:zYFq6OG2O
- 15:50
早苗「いつだって…そうだったな…あんたは…私の憧れだったんだぜ…?」
ドサァ
早苗が何か呟きながら空から落ちる
よく聞き取れなかったが…
途中「かぜのけん」やら「しんのかくとうか」やら言っていたが、なんだったのだろう
早苗の目が覚めたら聞き出してやろう
- 238 :名前が無い程度の能力:2011/04/23(土) 05:05:13 ID:0YTXCPVMo
- 16:00
早苗を客室に運ぶ。
「弾幕を見れば、心が見える」とはよく言ったもんだわ。
最初に闘った時の早苗は・・・何というか必死だった。
ここで負ければ後がないというか、色々と背負い込んでた感じ。
でも今の早苗は・・・心の余裕を感じる。弾幕パターンにも伸びがあって
素直に『楽しい』って気持ちが読みとれた。
まあ・・・色々あったろうけど、早苗はもう立派に立ち直ってるわね。
「にしても、幻想郷に住むんならさぁ・・・」ピラッ
スカートの裾をちょいとめくって中を見る。
そのには純白の薄布。保護面積の少ない外界の下着。
少女が日常的に飛行する幻想郷住民には刺激の強すぎる三角形。
「・・・いいかげんドロワにしろっつーの」
いっそ気絶してる間に私のドロワ履かせとこうかしら・・・?
- 239 :名前が無い程度の能力:2011/04/23(土) 09:00:12 ID:ZfaLtPFo0
- 16:01
萃香「ただいまー」
湖まで氷塊を捨てに行っていた萃香が帰ってきた
霊夢「えらく遅かったじゃない、何かあったの?」
萃香「妖精たちの相手をしてただけだよ。チルノはそのまま連中と遊んでる」
霊夢「ふうん」
萃香「帰ってきて早々だけれど、私もそろそろ行くよ。紫に宴会に呼ばれててね。あんたも来るかい?」
霊夢「悪いけど、こっちはこっちで約束があるの。……屋根の修理は?」
萃香「もうすぐ終わるはずだよ」
作業を終えた小さい萃香が神社の奥から出てきた
- 240 :名前が無い程度の能力:2011/04/23(土) 12:43:47 ID:SNBl2dq.0
- 16:02
小萃香「屋根オワター!屋根オワター!」
萃香「さすが私だ、えらいえらい。さあ合体だー!」
小萃香「ガッタイダー!!」
小さい萃香が霧になって萃香に吸収されていった
毎回見てるけど本当に面白いわね
萃香「それじゃあ私は紫のところに行ってくるね」
霊夢「はいはい。お土産持ってきてね」
萃香「イエッサー!」
萃香も出て行ったしチルノもいないしこれで秋姉妹の料理は独り占めね
けど、その前に気絶している早苗を放っておいても仕方がないし
布団に寝させるために着替えさせておきましょうかね
- 241 :名前が無い程度の能力:2011/04/23(土) 13:38:06 ID:OPtEohbg0
- 16:15
…わたしの寝巻きのサイズが早苗には合いそうになかったので、スカートの紐とサラシを緩めておこうと思ったけれど、こいつは肌着でもサラシでもないのを身に着けてるんだったわね。
魔理沙やアリスの肌着はもっと余裕があったけれど、早苗が着ているのはずいぶんと体に密着させるタイプだ。外の世界ではこういうのが主流なのだろうか。たしかにサラシ巻くよりも楽そうだし緩むこともなさそう。
でも紐もなくて緩めることも出来なさそうだし脱がせようにも上体を起こさないと無理っぽい。
「…うーん……あれ? あ…ええと、…そうだった。…はあ、負けちゃったかぁ」
「目が覚めたのね。わたしはこれからちょっと出掛けるけど、どこか痛かったりしたらまだ休んでなさい」
「いえ、どこもなんともな……きゃっ!? こ、こ、これは、どういうことですか!? 私に変な事したんですか!?」
介抱してやろうと思ったら寝巻きの大きさが合わなさそうなので、スカートの紐とサラシを緩めてやろうと思ったらサラシじゃなかった…という説明をしておく。
「なあんだ、てっきり霊夢さんにソッチの趣味があるのかと…。ああ、ごめんなさい、介抱してくれようとしてたのに勘違いしちゃって」
「別にいいけど。じゃあわたしはそろそろ行くから」
- 242 :名前が無い程度の能力:2011/04/23(土) 21:58:54 ID:Rx/AbTSQo
- 16:25
外出の準備をしていると背後に気配。
振り返ると、身綺麗になった小傘が忍び足で客間に向かっている。
「ち、ちょっと小傘!そこは今早苗が休んで・・・」
<う〜ら〜め〜しアァ゛ーーーーッ!!
・・・うん、何も見てない聞いてない。早いけどもう出かけよう。
- 243 :名前が無い程度の能力:2011/04/24(日) 02:08:13 ID:k57XN3Xs0
- 16:30
眠りについた小傘を幸せそうに抱き枕にして眠りにつく早苗。もう大丈夫ね。
ゆっくりと襖を閉めて、今度こそ出かける事にした。
幽香「あら霊夢こんにちは。それとも、もうこんばんはかしら?」
……桜が散ってる境内に当然のように立ってた。
石段すら降りれないのか、こんにゃろ。
- 244 :名前が無い程度の能力:2011/04/24(日) 09:29:17 ID:beyrfahc0
- 16:31
霊夢「あなた達にとってはおはようかしらね。悪いけれど今日は約束があって、あなたの相手はしていられないの」」
幽香「ふうん、御挨拶ね。折角の参拝客に対して」
霊夢「あなたが信心から神社に来ているとは知らなかったわ。今から秋の神様の所に行く所なんだけれど、あなたも来る?」
幽香「あら、私が付いていったら迷惑じゃないかしら?」
霊夢「断られたら仕方がないけどね。でも手土産くらいは用意しておいた方がいいかもね」
酒瓶を持ちあげて見せる
幽香「あなたはいつもそれね。良いわ、先に行っていてちょうだい。お土産が用意できたら行くから」
- 245 :名前が無い程度の能力:2011/04/24(日) 15:49:23 ID:cu.gDC2Qo
- 17:05
人里におりて店通りをぶらぶら。
見たこと無い果物ね・・・酒のつまみになるかしら。
店主曰く『ミラクルフルーツ』という外界産の品種で
食べるととにかく常識に囚われない事が起きるらしい・・・。
なんじゃそりゃ。
面白そうだし食後の肴ネタに少し買っていこう。
- 246 :名前が無い程度の能力:2011/04/25(月) 07:52:38 ID:3.DO8.eY0
- 17:21
二人の家に着いた。辺りはもう暗く、家の明かりがとても温かそうに見える
静葉「いらっしゃい、穣子ちゃんから話は聞いているわ。穣子ちゃん御馳走作るって張りきっちゃって」
静葉が玄関で出迎えてくれた
穣子「それはお姉ちゃんだって一緒でしょー」
奥から穣子の声が聞こえる
霊夢「今日はありがとう、御馳走楽しみにしているわ。これ、お土産ね」
酒瓶を差し出す
静葉「ありがとう。きっと秋には御利益があることでしょう」
…薩摩芋でも植えてみようかしら
- 247 :名前が無い程度の能力:2011/04/25(月) 19:58:47 ID:.6ersURM0
- 17:23
家の中に入り、居間に案内された
うちの神社と似たような空気だからすごいくつろげる
これからもちょくちょくご飯を食べ…遊びに来ようかしら
静葉「料理はまだちょっと時間がかかるのでお風呂にでも入りますか?」
さてどうしようか
- 248 :名前が無い程度の能力:2011/04/26(火) 01:42:19 ID:BzPI6/VoO
- 17:25
無下に断るわけにもいかず、風呂に入ることにした
風呂はいわゆる五衛門風呂で、釜の上に湯が張ってある
踏み板に足を乗せて体を浸けると、そこはかとなく桜の匂いがした
ふと、秋の神様にもてなされた風呂に、春の匂いを感じる事が滑稽に感じて、くすりと笑ってしまった
窓から差し込む日は茜色で、日の長さをじわりと感じた
「お湯加減、どうですかぁ」
大人しくも少し間の抜けた、静葉の声が聞こえる
「とてもいいわ。気持ちいい」
私はしみじみと、間延びした声に言葉を返した
- 249 :名前が無い程度の能力:2011/04/26(火) 03:33:41 ID:/5yWRndk0
- 17:40
用意されていた若草色の浴衣に着替えて居間に戻る。リリーがいた
リリー「あ、お邪魔してまーす」
静葉「ふふ、春っぽくて良いでしょう。霊夢さん、浴衣似合ってますよ」
霊夢「ありがとう。思っていたより賑やかになりそうね。後で幽香も来るかもしれないんだけれど、悪かったかしら」
穣子「大丈夫よー、ますます気合入れて料理しないとねー。お姉ちゃんも早く台所に戻ってー」
台所の方から返事があった
静葉「はいはい。それじゃ霊夢さん、夕飯までもう少し待っていてください」
リリー「私もお湯頂いて来ますねー」
静葉は台所に、リリーは風呂場の方にそれぞれ姿を消し、私は居間に一人残された
- 250 :名前が無い程度の能力:2011/04/26(火) 06:49:32 ID:PHkgRNVUo
- 17:59
ぐ
う
う
ぅ
ぅ
ぅ
ぅ
ぅ
ぅ
あわゎ、こ、これは恥ずかしい・・・///
だいたい今日は朝から色々ありすぎだわ!そりゃお腹も空くわよ!!
今だって美味そうな匂いはしてくるし体はぽかぽかだしリリーは春だし!
・・・何だか支離滅裂になってきたわ。もう考えるのはよそう。
「・・・・・・んぁーーーー・・・」
リリー「あの、霊夢さん頭が春ってます?」
ハッ!?ボケーッとしすぎだ私!ご飯並び始めてるし・・・///
- 251 :名前が無い程度の能力:2011/04/26(火) 11:10:23 ID:59cCKtC.0
- 18:05
恥ずかしかったといえば、紅魔館の食事に招待された時の事を思い出す。
床に座って御膳がくるのを待っていたら、咲夜が椅子に座るのだという事を教えてくれて、
洋食はあまり食べた事がないといったら気を利かせてナイフとフォークじゃなくてお箸を持ってきてくれたり。
レミリアがテーブルマナーがどうとか言いながら、うまく肉が切れなくて立ち上がって切ろうとしたあげく、切れた肉が飛んでいってフランのスープにぼちゃんと落ちたりワインをひっくり返したりしていたっけ。
その後の紅魔館のパーティーでさすがに床に座る事はしなかったけど、魔理沙がレミリアと同じような事をしていわたね。
そんな事を思い出していると、リリーが不思議そうに顔を覗き込んできた。いかん、思い出し笑いをしてニヤニヤしてたのかしら。
- 252 :名前が無い程度の能力:2011/04/26(火) 21:03:48 ID:qs61VHNc0
- 18:07
気を取り直して料理が並び始めた食卓を見渡してみる
山菜の山葵和えにしめじの天麩羅、虹鱒の香草焼きに蕪の浅漬け
それに静葉が台所から持ってきた山芋の卵焼きと大学芋のほかにもまだあるみたい
これにキリリと冷えた日本酒があれば幸せね・・・それにしても何品作ったのかしら・・・
リリー「霊夢さん霊夢さん、お口から春がー」
はっ!?いつの間にお口からよだれがたれてる!!
まずい、私腹ペコキャラになりかけてる・・・
- 253 :名前が無い程度の能力:2011/04/27(水) 01:27:01 ID:AiRMTrpkO
- 18:08
腹ペコキャラでいいや、と誘惑に誘われる
いいや、お腹すいてるんだもの
その一方で理性が止めようとする
ハクレイム「いけないわ霊夢!腹ペコ幽霊とキャラが被ってしまうわ!」
コクレイム「へっへっへっ。いいじゃねえか。fateのセイバーだって腹ペコキャラだぜ?」
ハクレイム「いいえいけないわ!霊夢のアイデンティティーが霞むじゃない!」
コクレイム「アイデンティティー?あってないようなもんじゃねえか」
ハクレイム「霊夢に失礼じゃない!謝りなさい!」
コクレイム「やーだよ!このウスラトンカチ!」
…
会話にするとこんな感じの事が脳内を駆けずり回っている
- 254 :名前が無い程度の能力:2011/04/27(水) 08:41:27 ID:78OEshQM0
- 18:10
ノックの音がした。幽香が来たらしい。静葉が出迎えに行く
ほどなく、幽香が居間に通されてくる
穣子「いらっしゃい、待っていたわ。ちょうどいいタイミングだったわね」
幽香「ありがとう……美味しそうね。楽しみ」
静葉「ケーキを頂いたわ。食後に切りましょう」
穣子「ありがとう。それじゃあ巫女さんもそろそろ我慢の限界のようですし、食べ始めましょうか」
全員「いただきます」
- 255 :名前が無い程度の能力:2011/04/28(木) 05:31:38 ID:Yv17e3Iko
- 18:11
ハクレイム・コクレイム「「ゥンマァ〜〜〜イッ!!」」
手で空間を切り取る程度の能力の奴っぽい台詞と共に人格が一つになる。
霊夢「ゥンm・・・モグモグ」
危ない危ない・・・いちいち美味さを叫ぶ人なんていないの。
リリー「ゥンマァ〜〜〜イッ!!」
・・・いたか。
穣子「お姉ちゃんの調理スキルは一流!言わば最も神に近いシェフ!」
静葉「いや、わたし神!シェフじゃないけど神!」
幽香「料理の合間に漫才ショー・・・ふふふっ、さすがA-1出場者・・・」
そうそうM-・・・ゆ、幽香がボケた!!?!
うわぁ、めちゃめちゃこっち見てる。私にツッコめと?い、いやだぁぁ!
※A-1(アキシマイ-ワン)グランプリ・・・秋姉妹の秋姉妹による秋姉妹のための
漫才王決定戦。出場者は秋姉妹。昨年の優勝は秋姉妹(Bブロック)。
- 256 :名前が無い程度の能力:2011/04/28(木) 08:47:18 ID:RvggNKlE0
- 18:13
幽香「それにしてもあなたたちの浴衣かわいいわね。どうしたの?」
リリーの浴衣は幸せそうな桜色、確かによく似合っている
霊夢「ここで借りたんだけれど…」
静葉「リリーのは穣子ちゃんのお下がり。霊夢さんのは私が里でもらったものなんですけれど、ちょっとサイズが大きくて…」
穣子「ほらリリー、袖が器に支えるわよ」
などと世話を焼きながら、穣子の方もやや手元が覚束ない
穣子「博麗神社のお酒はおいしいわね。つい飲みすぎちゃうわ」
リリー「本当ですね。この蕪の漬物や天麩羅がよく合います」
二人同時に猪口を傾ける
- 257 :名前が無い程度の能力:2011/04/28(木) 22:48:39 ID:2QAOvrLM0
- 18:14
穣子「ところでゆうかりん。最近調子どうなの?」
思わず飲んでいた日本酒を噴出しそうになった
あなた酒の席とはいえよくそこで幽香に対してあだ名とかいえるわね・・・
幽香「調子はいいわよ。みのりんはどうなの」
思わず飲んでいた日本酒を噴出した
え、この二人いつの間に仲良くなってたの?
- 258 :名前が無い程度の能力:2011/04/28(木) 23:03:04 ID:TTcfQrw6O
- 18:16
穣子「でもやっぱりあれじゃない。秋って春夏が肝心というか」
幽香「分かる!分かるわぁ!やっぱり季節になる前の季節が重要だもんね」
二人の会話が砕け始めた
穣子は神様なのか、全く変わらぬ顔なのに対し、既に赤ら顔の幽香は対照的であった
穣子「そうそう!夏暑くないと中々いいものできないじゃない」
幽香「でも暑すぎてもだめなのよね」
穣子「うんうん。根が痛むしね。バランスだよねバランス。」
二人の会話が止まらない
- 259 :名前が無い程度の能力:2011/04/29(金) 00:16:22 ID:eqdiQXvQ0
- 18:20
霊夢「あ、あの、私も芋とか玉ねぎとかてんさいを作ってみようと思うのだけれど。。」
話題に入ろうと思い切ってたずねてみた。少しは本気だったりする。使える土地はそんなに広くないけど。
穣子「お、中々目のつけどころがいいじゃない。夏は暑くて冬は寒い幻想郷でも十分育つわよ。てんさいは苗を植える時期に風が強かったりするとちょっと大変だけど」
静葉「玉ねぎも結構天候に左右されますけどね。どの作物にもいえる事だけど、あまり雨が多くても根が悪くなっちゃうし」
幽香「土地は、貴女まさか神社の近くの向日葵畑を農地にするつもりじゃないでしょうね?」
霊夢「ああ、その手があったわね。広いし、向日葵は食べられないし…せいぜい種を鳥が食べるくらいだし…」
幽香「…どのくらいの量を作るつもりなのよ? 農家にでもなるつもりなら駄目よ。あなた一人が食べる量なら、まあ…」
うーん、別にまだ本気で作物を育てるつもりではないのだけれど。。
- 260 :名前が無い程度の能力:2011/04/29(金) 08:18:18 ID:fUFNM4AQo
- 19:10
楽しい時間、美味しい時間はあっという間。
沢山あった料理もあらかた食べ尽くし、今はまったりタイム。
静葉「はい。ケーキ切ったわよ」
お、食後の甘味がきたわ。外国語でいうと「でざぁと」よね?
- 261 :名前が無い程度の能力:2011/04/29(金) 22:03:16 ID:P9AjuK/60
- 19:15
うん、ケーキがうまい。こんなケーキどこから買ってきたのかしら?
幽香「あら?私が作ったのよ。買ってきたなんて失礼ね」
・・・なんかこの数時間で幽香のイメージががらりと変わってしまった気がする
- 262 :名前が無い程度の能力:2011/05/01(日) 02:34:31 ID:nFa9CuAM0
- 19:20
幽香がお風呂に入りに行った
穣子は片付け、リリーはコタツでうとうとしている
どうしようかな、今日は帰るのも面倒だし泊まろうかなぁ
- 263 :名前が無い程度の能力:2011/05/01(日) 03:24:12 ID:RpHXjNnAo
- 19:35
食器を下げ終わってすっきりとした居間でくつろいでいると・・・。
穣子「さてさて・・・宴の本番はここからよ〜?」
ドンッ
『薩摩焼酎 いも神』
幽香「ふふ・・・そう来ると思って、コッソリ持ってきてたのよ」
ドンッ
『ひまわり焼酎 向日葵』
リリー「エヘヘー、実は私もですー♪」
ドンッ
『本格焼酎 六代目百合』
やっぱりこうなるか・・・ま、幻想郷の夜はこうでなきゃね。
にしても全部外界産とは。入手先はもう聞くまい・・・。
- 264 :名前が無い程度の能力:2011/05/02(月) 20:52:07 ID:0e7NsWEs0
- 19:38
幽香「よく私の分の浴衣まであったわね」
萌葱色の袖を摘まんで尋ねる
穣子「雛が時々遊びに来るからね。サイズが合って良かったわ」
幽香「少し小さいかしら。胸の辺りとか」
幽香はにやっと笑い、穣子は苦笑する
静葉「それじゃあ私もお風呂に入ってくるわ」
静葉が席を立ち、四人が残される
- 265 :名前が無い程度の能力:2011/05/02(月) 21:31:35 ID:r2n2vErYo
- あれ、投稿順がズレてる?
- 266 :名前が無い程度の能力:2011/05/02(月) 23:23:35 ID:6W7fuOOI0
- 19:40
霊夢「この懐中時計、たまに時間が狂うのよね」
幽香「時計、ねえ。 太陽が出たら起きて、太陽が沈んだら眠ればいいのよ」
穣子「そうそう。夜灯りを点けたまま寝たりしたら、火事になっちゃったりする事もあるんだから」
- 267 :名前が無い程度の能力:2011/05/03(火) 13:06:08 ID:u55TCZ3w0
- 20:12
私は午前中に関わった奇妙なゲームの話をし、幽香は外界にあるという不思議な花の話をした
リリーは湖畔での弾幕ごっこの話をし、穣子はそれらの話を楽しそうに聞いていた
静葉「今戻ったわ、今度は穣子ちゃんの番よ」
静葉の浴衣は鮮やかな紅葉色だった
静葉「今日はみんな泊っていくのよね…お布団足りるかしら…」
リリー「足りなかったら霊夢さんと一緒に寝ますよー」
霊夢「私は炬燵で寝るからいいわ」
抱きついてきたリリーを引き剥がしながらそう言った
- 268 :名前が無い程度の能力:2011/05/04(水) 09:09:47 ID:LMlLXTBw0
- 20:14
穣子が風呂場に姿を消すと、幽香とリリーは花札を始めた
リリー「赤短!6文なのでこれだけ飲んでくださいねー」
湯呑には目盛の書かれた紙が貼られている。負けた分だけ飲むルールらしい
幽香「仕方ないわね」
などと言いながら、それでも美味そうに焼酎をあおる
静葉「ちょっと散歩にでも出ましょうか?」
少し肌寒いけれど、寝るには少し早いし、構わないか…
- 269 :名前が無い程度の能力:2011/05/05(木) 01:25:38 ID:ZtTKAePw0
- 20:16
秋姉妹の家の近くの遊歩道を静葉と散歩する
この遊歩道はてっきりもみじの木が多いと思ったけど、
等間隔に桜が咲いているので実際はすごいきれい
夜桜にはもってこいの場所ね。来年の花見はここにしようかしら
――――そういえば静葉と一緒にいる機会ってほとんどないわよね
ちょうどいい機会だし何か聞いてみるのもいいかもしれない
…でも何を聞こうかしら
- 270 :名前が無い程度の能力:2011/05/05(木) 09:46:33 ID:H3nbNG5s0
- 20:17
静葉「霊夢さんが空を飛んでいるのって、神通力の一種なんですか?」
考えていたら先に質問されてしまった
霊夢「まあ、そう言ってもいいかも。飛べるようになるまでは、結構大変だったし」
静葉「修行がですか?」
霊夢「異変を解決しに行くのが、よ。修行は始めてしまえば意外とあっけなかったわ」
静葉「じゃあ空を飛ぶのも博麗神社で祀られている神様の力…?」
霊夢「いいえ、私の力」
力を込めて言うと、静葉は笑った
- 271 :名前が無い程度の能力:2011/05/05(木) 10:24:38 ID:zImdGygg0
- 20:20
静葉「ふふふ…今神社って空っぽですよね? 境内の掃除はしてくれてるみたいだけど、そんなぞんざいに扱われたら私も力を貸したくないかも」
霊夢「そうねぇ、頼んでも神様は私に手貸してくれないでしょうね」
と言って笑ってみせた。
静葉「でも、そんな霊夢さんなら仕方ないか、ちょっとは手伝ってあげようか…とか思ったりしてるかも」
霊夢「どうかしら」
静葉「もし私がお願いされたら、そんな気になりますよ?」
霊夢「…じゃあ、雑草抜きも石拾いも水やりも種まきも無しで、私の育てる作物を豊作にしてよ」
返事に困ったのでこんな事を言ってしまった。本音でもあるのだけれど
- 272 :名前が無い程度の能力:2011/05/05(木) 18:21:44 ID:jYsvj3wEo
- 20:21
静葉「ふふ、じゃあ今年は一段と綺麗な紅葉をご用意するわ。
作物は穣子ちゃんに頼んでね♪」
む、上手くかわされた・・・この手のお願いには慣れてるのかも。
そろそろ肌寒いし中に戻ろっかな。
ガラッ
霊夢「うわぁ」
静葉「あらら」
穣子「おおお、お姉ちゃ〜ん!」
中では・・・プチ惨劇が起きていた。
- 273 :名前が無い程度の能力:2011/05/06(金) 05:07:40 ID:Gj0WtaWE0
- 20:22
リリー「あははははは!はーるでーすよー!!」
リリーが暴れていた。酔って興奮して弾幕をばらまき始めたらしい
霊夢「危ないわね、幽香は何してたの!?」
穣子「私がお風呂から出たときにはもう酔い潰れてて…」
リリーの弾幕を避けつつ部屋に飛び込むと、幽香は大の字になって伸びていた
花札と空になった酒瓶が転がっている。リリーに相当飲まされたらしい
- 274 :名前が無い程度の能力:2011/05/06(金) 10:15:15 ID:Svum2qlM0
- 20:25
前に紅魔館で読んだまんがに、お腹を殴って気絶させるシーンがあったのを思い出した。
この部屋の中だったら私も弾幕を使ってボコボコにして動けなくするよりも、殴って気絶させたほうが良さそうだ。
トンッと軽くリリーの前に飛んでお腹にパンチ。
リリー「う゛ッ……」
あれ?気絶しない? まんがならここで崩れ落ちる女を男が支えて抱きかかえて、「すまない」とかいって他の仲間に介抱を頼むとこなのに
- 275 :名前が無い程度の能力:2011/05/06(金) 13:40:57 ID:SiHOETKg0
- 20:26
あ、やばい。リリーの顔が真っ青になってきた
これはまずい、早く厠につれこ…
!?
え、ちょっとリリーはなしな…え、まってその口の中に含んでるものは何!?
やだ、押し倒さないで!顔近づけないでって!!ちょっとそれ以上はいけない!!!
これ以上やっちゃうとまた夢落ちENDってちょっとまって何を口走ってる私!?
いやぁ!まだ私しにたくなーい!シニタクナーイ!!や、やm
- 276 :名前が無い程度の能力:2011/05/07(土) 00:56:36 ID:jsMlIRCs0
- 20:27
リリーはそのまま私を押しのけて、ヨロヨロとふすまを開けて縁側でうずくまった。
リリー「げーーーーーーーーーーーー」
…呻き声とともに倒れて苦しそうに喘いでいる。
幽香「…春先の興奮したリリーに対しての行動は、避けるか、撃墜して大人しくさせるか…
だからこの場合後者だとすると間違ってはいないのかもしれないけど……」
穣子「今年の春は寒いから鬱憤が溜まっちゃってたんでしょうね…。」
- 277 :名前が無い程度の能力:2011/05/07(土) 04:47:44 ID:M0vmtIp.o
- 20:30
「ヒャア!春妖精の吐瀉物だァ!」「お宝だァたまんねェー!」
ちゅどどどどどd!!
突然湧いて出た変態妖怪どもを本気弾幕で一掃する。チネ。
静葉「よっと」
ぐったりしたリリーを抱え上げ流し場に連れて行く。
幽香もゲンナリしてかなり気持ち悪そう。
あの短時間にどんだけハイペースで飲んだのよ・・・。
やがて二人はふらふらと寝室に入っていった。
穣子「私全然お酒飲めてないんだけど・・・」
静葉「それはご愁傷さま」
霊夢「まあゆっくり飲みましょ。急ぎ酒は体に毒よ」
- 278 :名前が無い程度の能力:2011/05/07(土) 13:19:18 ID:TE43X03U0
- 7:12
カーン、カーン
小気味良く響く音で目が覚めた。いつの間にか眠ってしまっていたらしい
縁側から見ると、静葉が薪を割っている
静葉「おはようございます、霊夢さん。起こしてしまいましたか」
霊夢「おはよう、静葉。もう日は出ているし、寝すぎたくらいだわ」
炬燵で寝ていたせいか身体の節々が痛い。首を回してみる
静葉「すみません、布団の数が足りなくて」
霊夢「気にしないで、慣れてるから」
台所から良いにおいが漂ってくる
穣子「おはようございます、霊夢さん。朝ご飯はもう少し待っていてね」
霊夢「何か手伝いましょうか?」
穣子「じゃあ幽香さんを起こしてきてください」
勝手口からリリーが入ってきた
リリー「お水汲んで来ましたよ。あ、霊夢さん、やっとお目覚めですか」
- 279 :名前が無い程度の能力:2011/05/09(月) 00:11:06 ID:tmp4r9Dw0
- 7:13
リリーの顔はすっきりしている
どうやら昨日の酒は抜けているようだった
「大丈夫?昨日はいろいろあれだったけど」
気を使って話しかけてみる
「大丈夫ですよー。それより幽香さんが心配ですよー…」
あんたが飲ませたんでしょうが…と思いつつ、幽香が寝ている寝室に入る
- 280 :名前が無い程度の能力:2011/05/09(月) 03:10:37 ID:YkxguiS20
- 幽香「う……れぇむ?おはぉ……うぷ」
幽香は今にも死にそうな顔で、まだ布団の中だった。
霊夢「幽香がそこまで苦しそうなんて、随分なことね」
幽香「ええ……今までの人生で二番目に悪い寝起きだわ……」
霊夢「あら、今より悪い目覚めがあったの?」
幽香「……あなたがそれを聞くの?」
霊夢「……〜〜〜♪」
とりあえず口笛を吹いて誤魔化して、目線を反らしたらリリーと目が合った。
霊夢「付き合っていたあんたは全然平気そうね」
リリー「はい、一回休みになりましたから♪」
……能動的に活用するな。
そう言えば六十年周期の大結界異変の時は
何度倒したのか覚えてないくらいだったわね……
- 281 :名前が無い程度の能力:2011/05/09(月) 07:50:42 ID:Izb3Mfbo0
- 7:15
霊夢「ほら、大妖怪らしくしゃんとして」
リリー「朝ご飯を食べれば元気になりますよ」
半ば強引に居間まで連れて行く
言ってから気が付いたが、私の知っている大妖怪にはしゃんとした奴の方が少ない
- 282 :名前が無い程度の能力:2011/05/10(火) 01:33:36 ID:89.nIxfo0
- 7:16
幽香を見ていて昔紫が家で飲んでいた時、悪酔いしすぎてボロボロだったのを思い出す
あの時は朝になっても立つことすらできず、迎えに来た藍に小一時間くらい説教されていた気がする。
毎回思うが、どうしてこうも大妖怪の連中は酒に酔い潰れたときはこんなにボロボロのかと思ってしまった
今度異変解決するときには一升瓶を持ち込もうかしら。そうすれば酔わせれば解決だし。
「頭が…頭がぁ…」
幽香が二日酔いで完全にグロッキー状態だ
穣子が気をきかせてじゃが芋の味噌汁を出したがそれでもきつそうだ
どうしようかこれ、放っておくのもあれだし…
- 283 :名前が無い程度の能力:2011/05/10(火) 13:20:38 ID:RWfHCbng0
- 7:29
朝御飯も終わって一息。幽香はまだ呻いている
リリー「それでは私はそろそろお暇しますよ。途中で夢幻館に寄ってお迎えを呼んできますね。この調子じゃ一人で帰れそうもないですし」
穣子「ゆっくりしていけば良いのに」
リリー「春は忙しいのですよ」
そう言ってリリーは飛び立っていった
- 284 :名前が無い程度の能力:2011/05/10(火) 18:21:28 ID:A/J6.JGY0
- 7:35
むくっと幽香が起き上がる。
幽香「夢幻館…いつの間にかなくなってたわね…。でもあの妖精、夢幻館にいくって…。」
霊夢「そういえばアンタって木の上とかで寝てたわね。好きでやってるものだと思ってたけど、家に逃げられてたのね」
幽香「私は暑いのも寒いのも平気だし、あれはあれで悪くないのよ。…でも、まさか本当にエリーが迎えにきたりするのかしら」
珍しく遠い目をしてる。しばらくあってない家の住人に想いをはせているのだろうか。
- 285 :名前が無い程度の能力:2011/05/11(水) 20:13:34 ID:Y/7D.wUw0
- 7:40
さて、幽香も元気になってきたみたいだし、私も帰ろうかしら
霊夢「私もそろそろお暇するわ」
穣子「あら、ゆっくりしていけばいいのに。普段の巫女の仕事なんて境内の掃除くらいでしょ」
霊夢「まあ、そうだけどね。あまり長い間神社を空けておくのも心配だし」
静葉「そう、また遊びに来てね」
霊夢「世話になったわね。今度は神社に遊びに来てちょうだい」
静葉「ええ、次の宴会には呼んでね。楽しみにしているわ」
霊夢「それじゃあ、ごちそうさまでした」
そう言って、秋姉妹の家を後にした
- 286 :名前が無い程度の能力:2011/05/12(木) 15:26:20 ID:kbNuIyHo0
- 8:02
朝は起きている妖怪も少ないせいか、何事もなく神社の近くまで来た
が、神社の方が何やら騒がしい。この音は…トランペットね
- 287 :名前が無い程度の能力:2011/05/12(木) 17:14:35 ID:X4x9IPb2O
- 8:03
メルランがトランペットを吹いている
彼女の目線の先にはルナサと妖夢がいる
- 288 :名前が無い程度の能力:2011/05/13(金) 20:19:48 ID:e494SiUU0
- 8:04
霊夢「あら、妖夢じゃない。もう宴会は終わったの?」
妖夢「いやー。それがまだ続いていて……幽々子様も紫様もタフですねー。私はもうくたくたで…後の事を他の者に任せて抜けだして来ちゃいました」
メルランの演奏をずっと聴いていたのか、テンションがおかしい
霊夢「あんた達は?宴会で演奏していたんじゃないの?」
メルラン「そうだったんだけどねー。あの人たちもう演奏なんて聞いていないみたいで。リリカ相手に絡み酒始めちゃうし」
ルナサ「私達は絡まれる前に逃げ出して来たのよ」
霊夢「厄介な酔っぱらい共ね…」
実感を込めて言う
- 289 :名前が無い程度の能力:2011/05/15(日) 09:41:09 ID:deqaYNNQ0
- 8:05
霊夢「それで?何で朝から神社でソロ演奏?」
メルラン「昨日は神社の方がいろいろ騒がしかったからねー。良い音が見つかるんじゃないかと思って探しに来たのよ。
案の定ハッピーな感じの音を発見したから、いろいろアレンジして二人に聴いてもらってたの」
霊夢「熱心ね」
メルラン「まあね、生き甲斐みたいなものだし」
幽霊の生き甲斐ね……
妖夢「ふわぁぁあ、でも私の方はそろそろ限界です。少し神社で休ませてください」
小銭を賽銭箱に放り込んで神社の中に入っていく。お賽銭は嬉しいけれど、うちは宿屋じゃない
- 290 :名前が無い程度の能力:2011/05/15(日) 22:55:53 ID:3mZ8E6ds0
- 8:10
境内の掃除を始める。居間の方をのぞいて見たら妖夢が寝ている。半霊を枕にするものだと思ってたけど、半霊は妖夢が寝ていてもふよふよと浮いている。
騒霊の音楽が子守唄にでもなるのかしらね。誰かの歌声を聴きながら寝たりするのって結構贅沢かも。私も今度やらせてみよう
- 291 :名前が無い程度の能力:2011/05/17(火) 17:17:54 ID:ehgp/yN20
- 8:36
ひとまず掃除を終えて洗濯をしていたら、雛に声をかけられた
雛「おはよう、巫女さん。今日は賑やかね」
霊夢「おはよう。少し五月蠅すぎるくらいだけどね」
雛「元気が出ていいじゃない。溜まって無いか見に来たわ」
霊夢「……どう?」
雛「大して溜まってないわね。でも回収していくわ」
少し肩の辺りが軽くなった気がした
- 292 :名前が無い程度の能力:2011/05/17(火) 23:02:07 ID:6jRZXk6Y0
- 8:40
厄を取ってもらったお礼に雛に茶菓子を渡す
「あらあら、気を使ってもらって」
まあまあ遠慮なさらずにと強引に受け取ってもらう
ここ最近私に厄がたまりやすくなってるらしく何かとトラブルが多い
昨日も変なすごろくや早苗の相談に乗ったりしてたし…
そういえば早苗は家に帰ったのだろうか?まだ寝てるとは思えないけど…
- 293 :名前が無い程度の能力:2011/05/18(水) 16:45:15 ID:CJtSfcW60
- 8:56
雛「それじゃあ、あまり長居して神社に災いが起こっても困るし、そろそろ行くわ。ごちそうさま」
霊夢「今日はありがとう。またね」
雛は空中でくるりと一回転すると、帰って行った
神社の中を見て回る。早苗も小傘も帰ったようだ。いつの間にか演奏が止んでいた
妖夢が寝ている部屋を覗くと、ルナサもメルランも一緒に寝ていた。何だかんだ言ってもやっぱり疲れていたのね
- 294 :名前が無い程度の能力:2011/05/19(木) 01:30:18 ID:8z26/vFM0
- 9:00
あのまま放っておくのもアレなので掛布団をかけておく
しかし…幽霊も寝るのかという疑問が湧く
「そりゃ幽霊だって寝ないと健康に悪いさね」
後ろを振り向くと魅魔がいた。急に出てくるから心臓にわるいわ…
- 295 :名前が無い程度の能力:2011/05/19(木) 13:41:41 ID:8INSn17o0
- 9:03
魅魔と縁側でお茶を飲む。昨晩の話をすると、魅魔は大笑いして、
「幽香がねぇ、あれも随分と丸くなったもんだ。とはいえ妖精に酔い潰されるようじゃいよいよお終いかもね」
「確かに妖怪としては情けない話よね」
「それにしても秋の神様ってのは優しいね。私も今度お邪魔しようかな」
「本当に邪魔だと思うわ。悪霊なんかに寄ってこられちゃ信仰に響くでしょ」
「ここも神社だけど良いのかい?」
「追い返されたいの?でもそういう点に関してはちょっと諦めかけてるわ。
早苗からもいっそ妖怪やら幽霊やらの信仰を集めたほうが良いって言われているし」
「それじゃあここの祭神を追い出して本格的に居付くとしますか」
「やっぱり出てけ!」
などと言われても魅魔は帰ろうとはしないし、私も本気で追い出そうとはしない
- 296 :名前が無い程度の能力:2011/05/20(金) 14:07:42 ID:JJWyjptg0
- 9:05
そういえば最近は妖精もよく遊びにくるわね。人里の人間は怖がるくせに私の事は怖くないみたい。
邪魔な時は追い払うくらいだから、人間の妖精に対する扱いとしてはいい方なんでしょう。多分。
そんな事を考えてると池の亀がのっそりとやってきた。
亀「魅魔殿、おひさしぶりです。よく神社にはきてましたがこうしてお話するのは久しぶりですな」
霊夢「!? あ、アンタ…喋れたの?? 亀の妖怪、なんかじゃないのに…」
亀「こちらの霊夢殿にはまったく相手にされず、少しばかり寂しく思っていましたよ。たまに食べ物を持ってきてくれてはいましたが」
魅魔「この子は鈍いところもあるからねぇ。」
霊夢「しかもアンタたち知り合いだったのね。私の居ないところで神社を寄り合い所みたいにして…」
- 297 :名前が無い程度の能力:2011/05/20(金) 17:24:19 ID:Azqjbnzo0
- 9:09
魅魔の相手を玄爺に任せて、境内の掃除に戻る
リリカがふらふらと飛んできた
「やれやれ、大変な目に遭っちゃったわ」
「あんただけ逃げ遅れるなんて珍しいわね」
「まーね。姉さんたち、来てるんでしょ」
「中で寝てるわ」
「それなら私も休ませてもらうわ」
そう言って社の方へ向かう。途中、賽銭箱に小銭を二、三枚放り込んで、柏手を打った
「……どういう風の吹きまわし?」
「一人残って演奏していた分心付けも弾んでもらったからね」
にやりと笑う。逃げ遅れたんじゃなく、あえて残って幽々子達の相手をしていたのかもしれない
- 298 :名前が無い程度の能力:2011/05/21(土) 14:59:58 ID:qPVVr6H.0
- 9:32
掃除・洗濯・薪割りを終えて、散歩に出ることにする。里の方にでも行ってみようかしら
身支度して出かけようとしたら、魅魔と玄爺はまだ何やら熱心に話し合っていた
リリカは妖夢の半霊を抱き枕に眠っている。ぎゅうと強く抱きしめるたびに、妖夢が苦しげに顔をしかめるのが見ていると面白い
こいつらに留守番を任せるのは若干不安だけれど、構わずに出発する
- 299 :名前が無い程度の能力:2011/05/22(日) 11:38:10 ID:KICJDLd6O
- 9:50
そう言えば妖夢は幸せそうに(?)寝ているが、鈴仙との修羅場はどうなったのだろう
- 300 :名前が無い程度の能力:2011/05/22(日) 12:35:03 ID:ym43B7Hs0
- 9:52
今度文に会ったら訊いてみることにしよう
里に向かう途中、ナズーリンに会った。ロッドを振りかざして何か探しているようだ
「おはよう、何か探し物?」
「ああ、おおよう。いや、この辺りに妙な反応があってね」
「お宝?」
「いや、金銭的な価値という点ではそれほどでもないんだが……よし、ここだ」
ナズーリンがロッドを振り上げると、どこからともなくネズミの群れが現れ、地面を掘り返し始めた
穴はみるみる深く、大きくなっていく
- 301 :名前が無い程度の能力:2011/05/23(月) 01:51:59 ID:fupwPYXk0
- 9:54
何か金属っぽいものを掘り当てる
しかも穴よりはるかに大きく、相当掘り起こさないと無理そうだ
「ふむ、これは少し時間がかかりそうだ」
ナズーリンは穴を除くために頭を垂れつつ軽く笑った
何が出てくるんだろうか。気になるし少し待ってみよう
- 302 :名前が無い程度の能力:2011/05/23(月) 22:54:12 ID:rMvop7Ds0
- 10:08
「これは……」
「釣鐘みたいね」
ごろんと転がったそれは長い間土に埋もれていたせいか、すっかり錆びついてしまっているようだ
「ああ、なぜこんな所に釣鐘が埋まっていたのかは気になる所だが、この様子ではもう使い物にはなるまい。ガラクタと言っていいだろう。
つまらないことに付き合わせてしまった、すまない」
頭を下げられる
「いいのよ、勝手に見物させてもらっていただけだし。……これから人里に行こうと思っていたんだけれど、阿求にでも訊けばこの鐘の由来についても何か分かるかもね」
- 303 :名前が無い程度の能力:2011/05/23(月) 23:48:28 ID:U.mXWjVs0
- 10:12
「じゃあこれが何でこんなとこに埋まってるか知ってそうな人を連れてくるわ。…アンタはどうするの?」
「これ以上ここに居てもしかたないし、私は帰ろうかな。…コレの出自が判明してたら教えてもらないだろうか?
…ああ、価値のあるものだったりした場合に『取り分を寄越せ』なんて言わないから安心してほしい。私のダウジングがゴミばっかり見つける能力じゃないっていう自信になると思って、ね」
自分は命蓮寺に居ると思うから、もしいなかったら寺の誰かに伝言をお願いと言って彼女は飛び立っていった。
さて、阿求を連れてくるかな。その前に阿求邸で玉露とお茶菓子を頂こうかしら。
- 304 :名前が無い程度の能力:2011/05/25(水) 10:03:40 ID:ymwATavw0
- 10:30
考えてみれば、わざわざ連れて行く必要なんてなかったわね。稗田家の茶の間で話を聞きながらそう気付いた
「昔村はずれに小さなお寺があったんです。住職が亡くなられて廃寺になったのですが」
「昔って?」
「三代くらい前の記録ですね。高徳の方だったらしいのですが、歳には勝てなかったようで」
「普通の人間は歳に勝ったりしないわ」
「その後お寺の方は原因不明の火事で焼けてしまったのですが、鐘撞き堂は無事で。鐘楼は取り壊し、鐘は塚を作って供養することにしたんです」
「埋まっていた所に塚なんて無かったわよ」
「ここから博麗神社まで行く途中の道に、あるはずなんですが……」
「ああ、あれ」
そういえば小さな塚があった気がする
「でも……全然違う場所じゃない」
「きっと供養を担当した人が余程のうっかり者だったんでしょうね」
- 305 :名前が無い程度の能力:2011/05/26(木) 12:21:11 ID:.ktnN6vo0
- 10:33
「そんな馬鹿な」
「そうですよね」
二人で声を立てて笑った
- 306 :名前が無い程度の能力:2011/05/28(土) 12:52:58 ID:zcMdOWCE0
- 11:46
その後も阿求と最近あったことの話題で盛り上がり、気付けばもうお昼に近かった
「あら、もうこんな時間」
「ごめんね、長話になっちゃって。仕事の邪魔だったでしょ?」
「良いんです、幻想郷縁起の取材も兼ねていますから。あ、そうだ、霊夢さん。結界のお札少し書いてもらえませんか?お昼ごちそうしますから」
- 307 :名前が無い程度の能力:2011/05/30(月) 21:33:07 ID:7SQzT9nA0
- 11:56
家政婦さんがお昼を作ってくれている間に、お札を書く
桶の水に陰陽玉を放り込み、その水で墨をする。用意してもらった紙に、勘の赴くまま筆を走らせる
「うん、完璧!これを貼った所を中心に結界が発生して、しばらくの間身を守れるわ。あと何枚か書いておくわね」
「ありがとうございます。あと、できれば、中に閉じ込めるタイプのお札も書いてもらえませんか?」
「良いけど……何に使うの?」
- 308 :名前が無い程度の能力:2011/06/01(水) 12:29:16 ID:6Qh/O9sk0
- 12:00
「御者や付き人と一緒の時は大丈夫なのですけど、私って体もそんなに丈夫ではないですし
こうやって部屋で筆をとってる時以外は注意力も散漫みたいで、お恥ずかしながら妖精や下級妖怪が近づいてくるのが分からないんです…。」
「やっつけたりしないでも捕まって怖い思いをすれば、私の顔くらいは覚えてちょっかい出されなくなるかな…なんて思いまして」
「ああ…。妖精くらいならその辺の人でも殴り飛ばせるけど、あなたじゃちょっと無理かもね。あいつらが人の顔覚えるのかどうかは知らないけど、いいわよ」
「ありがとうございます、助かります」
というわけで捕獲用のお札も書く事に。わたしもチルノや魔理沙と一緒に居る妖精以外ほとんど見分けがつかないけど。
- 309 :名前が無い程度の能力:2011/06/02(木) 13:30:10 ID:5.BOVDyg0
- 12:18
阿求と差し向かいで昼食を食べる。何だか最近誰かにご馳走してもらってばかりのような気がする
「きっと霊夢さんの人徳の賜物ですよ」
褒めているのか皮肉なのか判じ難いことを言われた
- 310 :名前が無い程度の能力:2011/06/05(日) 02:05:51 ID:TrgvCQqI0
- 御者って。
馬車があるのか?
- 311 :名前が無い程度の能力:2011/06/05(日) 14:16:45 ID:/2y5aqac0
- 12:20
阿求「あまり利用する方は多くありませんが、月のお姫様も使っていましたよ(うどんげっしょーで)」
霊夢「お姫様って身内以外の男だと結婚相手くらいにしか顔は見せないそうね。空飛べるのにめんどくさいわね。あの医者は過保護すぎるわ。
幻想郷でそんな体裁気にしてる奴っているのかしら?」
阿求「まあ…どこの世界、時代にも決まりごとはありますからね。
極端な話、霊夢さんも『人を殺すのが当たり前の世界』に放り出されたら、その習慣には従えないでしょう?」
霊夢「うーん…ちょっと違う気もするけど、まあそうね」
- 312 :名前が無い程度の能力:2011/06/06(月) 22:43:09 ID:2TokZgEs0
- 12:32
食事を終えて阿求の仕事部屋に戻ると、さっき書いて乾かしていたはずの札が無い
「お札が!」
阿求が叫ぶと、誰の姿も見えないのに縁側の方からどしんと大きな音がした
「そこです!!」
阿求が一枚隠し持っていたらしい札を投げつけた
- 313 :名前が無い程度の能力:2011/06/08(水) 07:33:45 ID:zqDwbuOc0
- 12:33
いつも三人一緒の妖精が一人だけ結界に捕まっていた。あとの二人は逃げてしまったらしい
「さて、盗んだ物を返してもらいましょうか」
「私は持ってないわ!」
- 314 :名前が無い程度の能力:2011/06/08(水) 12:06:12 ID:yZoimsmA0
- 12:35
霊夢「“私は”という事は、逃げおおせた二人が持っているという事ね。」
ルナチャイルド「……」
阿求「さすがに逃げた二人に聞こえるくらいの悲鳴を挙げてもらうのは近所迷惑よね
でも妖精って捕まった子を助けにくるほど仲間意識ってあるのかしら」
ルナチャイルド「あ、あわわわ……」
阿求「お札のほかには…書斎にそこまで大切なモノは無いけれど、持って行かれると困るものは結構あるのよ」
ルナチャイルド「か、返す!とったもの返すから!後で戻ってくるから…」
阿求「…信用すると思っているの? …ここであなたが怖い思いをすれば、後で他の妖精にも伝わるわよね?」
ルナチャイルド「た、助けて…妖精虐待、反対……ぐすっ」
いつもは容赦なく針で穴だらけにしたり吹っ飛ばしたり殴り飛ばしたり蹴っ飛ばしたりしてる妖精だけれど、なんだか気の毒になってきた。
阿求もよく悪戯されてるみたいだけれど。
霊夢「お札から出る霊力でどこに居るかは分かるわよ。
…っていうか、呪縛の札の効力が出始めると、妖精なんて持ってるだけで身動き取れなくなるでしょうし」
- 315 :名前が無い程度の能力:2011/06/09(木) 11:25:04 ID:uynTAdao0
- 12:38
「すみません、霊夢さん。新しくお札書いてもらえませんか?」
「良いわよ」
面倒臭いけど仕方がない。阿求は結界の中に手を突っ込むと、札をべりべりと剥がした
逃げようとする妖精の服の裾をつかみ、
「あなたももう少しゆっくりしていってくださいな」
- 316 :名前が無い程度の能力:2011/06/09(木) 15:31:06 ID:RSiabmhg0
- 12:45
霊夢「追跡用の札っていうのもあるけど、それはいらないわよね? 私の霊力が分からないと目印つけても仕方ないし」
阿求「はい、今のところは。 …それにしても、私が適当に投げても当たるのがすごいですよね」
ルナチャイルド(…やってみたかったのに…、…って持ち歩く事も出来ないんだ…。卒塔婆とかとは違うのかな…)
今度は札が乾いてから行く事にしよう。どうせ妖精はその辺で身動きが取れなくなってるでしょう
- 317 :名前が無い程度の能力:2011/06/10(金) 11:28:53 ID:/0mWADa.0
- 12:56
ルナチャイルドを残し、稗田邸を後にする。命蓮寺の門をくぐると、
「こんにちはー!」
「こんにちはー!!」
怒鳴り返して本殿の中に入る
「お邪魔しまーす、ナズーリンいますかー?」
- 318 :名前が無い程度の能力:2011/06/11(土) 12:42:06 ID:pAwureEU0
- 13:14
「そうだったのか。悪かったな、ガラクタの来歴調べなどさせて」
「良いのよ、私も興味があったし」
ナズーリンの部屋に通されて早速、阿求から聞いた話を伝えた
お茶とお菓子を勧められるが、稗田邸で頂いてきた所なので、丁重にお断りする
「さて、今度こそ本当のお宝を探しに出かけようと思うのだが、君も来るかい?」
- 319 :名前が無い程度の能力:2011/06/11(土) 13:31:13 ID:2XYSroiAO
- 「お宝探しですか?」
と、村沙水蜜がお茶を下げに入ってきた。
顔をみて星輦船の一件を思い出した。
少し苦笑ぎみに見えたのは気のせいかな…?。
- 320 :名前が無い程度の能力:2011/06/12(日) 00:14:53 ID:nzgAAvgY0
- 「昔はよく探したなぁ……」
「あら、ナズーリンはともかく村紗にもお宝を集める趣味があったの」
問い返したら、恥ずかしそうに頬を掻きながら村紗が続けた。
「……いや、外の世界の海底に沈んだ軍艦やら海賊船には
必ずと言っていいほど同胞の船員の地縛霊がついてたから。
一緒に待ち伏せて、やってきたトレジャーハンターを
協力して返り討ちにするのが非常に効率が良かったんだよね……」
「君は本当にワルだったんだね」
「そりゃね、悪霊だったから」
うちの神社の悪霊とちがう。
- 321 :名前が無い程度の能力:2011/06/12(日) 15:56:04 ID:x6Idtn4w0
- 13:21
「この辺りに反応が…」
ナズーリンに付いて、川の近くまで来た
「あ、霊夢さん、こんにちはー」
件の三妖精が魚を焼いていた。捕まっていた子も早々に解放されたらしい
「ナズーリン、まさか焼き魚に惹かれてここまで来たのですか?」
村紗がじとっとした視線を向ける
「ち、違うっ!さっきお昼を食べたばかりじゃないか!!」
一方私の目は木の葉や枝に混ざって燃やされている紙の束の方に向いていた
- 322 :名前が無い程度の能力:2011/06/13(月) 07:35:54 ID:/UPrwmkko
- 13:22
外の世界の紙幣っぽいがとにかく大量の束が燃やされている。
どこかにまとめて幻想入りしたのかしら。
・・・ジンb、エ・・・??? よく読めない・・・。
ナズ「おや?霊力反応が」
素早くロッドで焚き火をかき分け、中から一枚の紙クズを引き出す。
さっき書いたお札。
コ、コイツら返してNeeeee!!
- 323 :名前が無い程度の能力:2011/06/13(月) 11:02:03 ID:F8A6fv4M0
- 13:23
「妖精社会の平和と秩序のためにこういう危険な物は燃やしてしまうべきなのよ!」
三人まとめて拳骨
「悪いけどあの後また書き直してきたわよ」
「ルナがいじめられている隙にそれも盗みだしてきたわ!」
もう一回拳骨
「この紙束がそうなんでしょ」
灰になりつつある紙幣を指さす。……偽物を掴まされたらしい
- 324 :名前が無い程度の能力:2011/06/14(火) 06:46:38 ID:izdV12kgo
- 13:27
にしてもこの図太さ・・・他の妖精達とは違う。
三妖精もチルノと同じく、ちょっと変わった感性の持ち主なのよね。
「ちょっと、お魚はあげないわよ!」
「買ってくれるなら話は別ですけど♪」
「あ、いや済まない。魚目的じゃないんだよ」
ナズーリンはまだ焚き火の中を漁ってるみたい。
「ふむ・・・ダウジングに反応したのはこれかな?」
- 325 :名前が無い程度の能力:2011/06/14(火) 10:59:41 ID:Df.MPE1k0
- 13:30
「…これは、鍵?」
焚き火の中で煤けてしまっているが、形状に全く変化は無いように見える。
うちの蔵の鍵に比べるとずいぶんギザギザしているが、これは欠けたのではなく、元からそういう形だったみたいだ。
「宝の鍵だ! 私達が焚き火にしたんだから、私達にも何割かもらう権利がありますよね!」
「…人喰い箱の鍵かもしれないよ? そうやってお宝を求めてやってくる人間の夢や希望、欲望ごと飲み込んでしまうんだ」
「そ、そんなまさか…騙されないわよ?」
「人喰い箱の鍵かどうかは分からないけど、外の世界のものだったらアンタ達の手に余るものかもしれないわよ?」
何の鍵かは分からないけど、外の世界からは妙なものが流れ着く。便利なものから、夢か幻かはたまた本当に時間を巻き戻したりするようなものまで。
前回の教訓から違和感を覚えたら無闇に触らない方がいいかもしれない。
- 326 :名前が無い程度の能力:2011/06/14(火) 21:12:39 ID:yH6EYjYA0
- 13:31
「もーらったっ!」
私が逡巡していると、妖精の一人が鍵をひったくった。
「危ない物かどうかなんて、見つけてから考えれば良いじゃない!鼠さん、宝箱の方はどこにあるの?探して探して!」
ナズーリンに飛び付いて鍵を突き付ける。
「まだ宝箱と決まったわけじゃないが……それも一理あるな。近くの反応を探ってみるか」
「やったー!」
- 327 :名前が無い程度の能力:2011/06/15(水) 10:00:50 ID:gBhyhKT.0
- 13:35
「…こいつはこまったな」
ダウジングを終えたナズーリンが苦笑している。何があったのか気になったので聞いてみる
「いや、この鍵に関連しそうなものをためしにダウジングしてみたんだが…
反応が複数…いや、数百も数千もあるんだ。この近くだけでも数十はある」
三妖精の目が輝いているのをみて、これは厄介ごとに巻き込まれそうな予感がした
私も今の話を聞いて少し気になってきているがどうしようか…
- 328 :名前が無い程度の能力:2011/06/15(水) 11:36:01 ID:wataL02Yo
- 「あっ!それっぽい箱、はっけーん!」
鍵を持ったサニーが近くの草むらに飛び込む。
「ザッツオープン!」ガチャリ!
最悪でも一回休みで済んじゃう妖精はホント怖いもの知らずね。
ギィィィ・・・・・・シュルルルバアァァァッ!!
「うわぁーーー!?」
「きゃあぁぁーーー!?」
何と宝箱の中から無数のツタが飛び出してきた!
「あーーーれーーーー」
あ、村紗が捕まった。
「成る程・・・どうやらダミーの宝箱には何らかの嫌がらせ的な
罠が仕掛けてあるようだ」
触手のようなツタに絡め捕られ、宙ぶらりん状態の村紗を見ながら
冷静に分析するナズーリン。
ちなみにツタは見事な亀甲縛りになっている。
「何で私が・・・うぅ恥ずかしいよぉ・・・」ギシギシ
確かに村の者にでも見られたら、お嫁に行きにくくなる光景ね。
アタリを引かないと他にどんな嫌がらせが出るのやら。
「ほらほらサニー、こっちにもあるわー」
「ま、待つんだ妖精君!私を巻き込まな・・・」
「宝が出るまで!開けるのを!やめないっ!!」ガチャリ!
- 329 :名前が無い程度の能力:2011/06/16(木) 01:49:43 ID:XZu.hwIs0
- >>322 神功皇后札か、壱圓札で5万はするぞ
- 330 :名前が無い程度の能力:2011/06/16(木) 09:22:35 ID:aGQ2wlr.0
- 13:40
「しゅ、"守符「ペンデュラムガード」"!」
……
−ぱんぱかぱーん−
気の抜けた音が響く。
「……当たりか?」
ペンデュラムの隙間からナズーリンが顔を覗かせる。
「外れよ」
スターが見せた箱は空っぽだった。
蓋を閉じる。蓋を開ける。
−ぱんぱかぱーん−
- 331 :名前が無い程度の能力:2011/06/16(木) 10:48:29 ID:NpUGfRpU0
- 13:41
…なんだろう。なんかものすごく気が抜けた。
隣にいるナズーリンも箱を持っているスターも
今亀甲縛りから両手を上に上げさせられた挙句に
開脚縛りにされている村紗も微妙な顔をしている
ちなみにその隣でサニーが別の箱を開けてたが
「ごまだれ〜♪」という音楽とともに賞味期限が切れたゴマダレが1本入っていた
こちらも何度開けても「ごまだれ〜♪」となる親切設計のようだ
こんな目的もよくわからない箱が数千も幻想郷に散らばっているのか…
- 332 :名前が無い程度の能力:2011/06/16(木) 23:28:42 ID:brf9EjUs0
- 13:45
風に飛ばされたお札を、暇そうなフランを連れ出した暇な魔理沙が拾った。そこに通りがかる紫。
魔理沙「お、これは外の世界の紙幣だな。流通してる使われてる紙幣って硬貨より価値があるんだよな」
紫「そうとも限りませんわ。外の世界はとても広く、領主が収めてる地域毎に貨幣単位は異なり、地域間ではその価値は変わり、まさに一秒ごとに変動するのです。」
フラン「…んー、例えば1000魔理沙と10フランでもお買い物出来るものは一緒、っていう事?」
紫「その通りです。領主間の力関係というのは外の世界においてはとてもシビアなのですわ」
魔理沙「このジンバブエドルってやつはどうなんだ?」
紫「その紙幣は――――――」
声を出さずに唇だけを動かして紫はスキマに消えていった。
魔理沙「なんだ、相変わらず思わせぶりなやつだな。紫も知らないんじゃないのか? なあフラン?」
フラン「あ・る・い・み・そ・と・の・せ・か・い・の・か・へ・い・を・しょ・う・ちょ・う・す・る・お・さ・つ・で・す
……だって。」
魔理沙「ふーん……よくわからんな」
フラン「ねえ、そんなことよりも森にいこうよ。お姉さまの日傘があるっていっても太陽の下はキツイんだから」
魔理沙「ああそうだな」
- 333 :名前が無い程度の能力:2011/06/17(金) 02:59:56 ID:4zWuT1fQo
- 13:57
魔理沙「・・・・・・というわけなんだぜ」
ナズーリン「そして森で宝箱を見つけて」
霊夢「鍵部分をフランに“きゅっ”させて開けた、と」
フラン「あははははははははっ魔理沙ってば可笑しい〜」
『ぶぬわー!』というアレな悲鳴に駆けつけてみると
墨汁を全身に浴び、白黒から全黒になった魔理沙が箱の前に
ポカーンと座り込んでいた。
ちなみにフランは地面を転がり大爆笑。
ルナ「あああ、また犠牲者が・・・」
村紗「フフフフ・・・欲に溺れた愚かな奴め!」 ギシィ!
全黒「ひ、ひわぁーー!?へっ変態だーーーーーーー!!」
- 334 :名前が無い程度の能力:2011/06/17(金) 09:31:11 ID:/OHvHceU0
- 変態「へ、変態じゃない!私は変態じゃない!!」
全黒「うそつけぇ!じゃあなんだその恰好は!まるで変態じゃないか!」
変態「変態じゃないよ!仮に変態だとしても、変態という名の淑女だよ!!」
全黒「どっちにしても変態だー!!」
逆さ状態で開脚+胸を強調される縛りをされている村紗と
全身墨汁を浴びて真っ黒になっている魔理沙が言い合っている
それを見てフランと三妖精が地面を叩きながら爆笑している
笑っちゃいけない場面なんだろうけど笑っちゃいそうで困るなぁ
隣のナズーリンなんか後ろ向いて笑いこらえてるし
「ぎにゃー!!」
遠くから猫が牛車にひかれたような声が聞こえた
…ああ、また誰か犠牲になったのか
- 335 :名前が無い程度の能力:2011/06/17(金) 10:26:58 ID:23E1x7zc0
- 14:00
猫の部分は当たっていた。橙が何かに襲われて転げまわっている
「ちょっと落ち着きなさい。今取ってあげるから」
「……これは」
「蟹ね」
「ふむ、お宝と言っていいだろうな」
「良いから早く助けろー!」
橙に貼りついた大きな蟹を引き剥がす。橙は起き上がると、かぶっていた魔理沙の帽子の形を直した。
まだ返してなかったのね。でもあれだけ転げまわって脱げない帽子と言うのもすごい。
- 336 :名前が無い程度の能力:2011/06/17(金) 10:35:25 ID:P0kINu2Y0
- 14:00
村紗「あ、あれ? きゃっ!?」ドサッ
拘束されてたツタが切り裂かれ、地面に落下する村紗。
咲夜「また妙な事をしているのね。 …はぁ、やはりそこの白黒改め全黒に連れ出されたのですね、妹様」
フラン「アハハハハ…ハァ…あ、咲夜。 …うん。最近は夜霊夢も魔理沙も出歩かないから、何もなくてつまんないんだもーん」
霊夢「妖怪共も大人しいし、ここのところ大きな異変らしい異変は起こらないわね。ま、起こってもアンタとは組まないけど」
フラン「ひどいなー、邪魔するやつをやっつけてその内原因に辿り着くんなら私にだって出来るよ。お姉さまは過保護でさ」
大体合ってる…けど、最近…といっても異変らしい異変があったのはもう結構前だけど――はめんどくさいやつもチラホラいたのよね。
まあ…手当たり次第とっちめてけば最終的に原因に当たるっていうのは間違ってないけど。
咲夜「妹様」
フラン「? なにこれ、カバン?」
咲夜「まだお帰りになるつもりがないのでしたら、日傘の他にこのカバンも持っていてください。日よけローブが入ってますので、何かあったら使って下さい」
フラン「わあ、ありがとう! …でもいいの?お姉さまに連れて帰れって言われたんじゃ?」
咲夜「そのお嬢様が私に持たせたものです。……それでは、私はこれで。夕食までには戻ってきて下さいね。」
咲夜がおじぎして飛び立っていった。
フラン「…過保護、なんだから…」
全黒「やれやれえらい目にあったぜ」
村紗「まったくだわ…。このツタ、うっかり触らない方がいいわよ。触ると力が抜けるのよ。
人間以外にも利くトラップなんて何のために…」
- 337 :名前が無い程度の能力:2011/06/17(金) 10:47:30 ID:P0kINu2Y0
- 14:05
今晩のおかず(蟹)も確保出来そうだし、宝箱の中身は先ず先ずね。
魔理沙「こんな大きな蟹がいるとはな。こいつも外からきたのか」
村紗「外の世界に対幽霊用の罠なんてのもあるの? お札や結界とかなら普通に使われてるみたいだけど」
橙は尻尾を逆立ててる。
霊夢「そういえば妖怪じゃない猫にクワガタをくっつけてみたら大パニックになってたわね。
猫って張り付かれるのが苦手なのかしら」
橙「人間も髪の毛触られるとくすぐったいでしょ? 猫の毛はもっと敏感なの。…あーびっくりした…」
- 338 :名前が無い程度の能力:2011/06/17(金) 17:26:01 ID:KWHi83F6o
- 阿求の裏
魔理沙の帽子・・・私が解説役してたアレか。
すっかり忘れてた。この伏線回収率はチェックシート級ですね。
いえいえ、独り言です。お気になさらず続きをどうぞ。
阿求の裏
- 339 :名前が無い程度の能力:2011/06/18(土) 04:41:06 ID:FoEQ7y1s0
- 14:07
ひとつ気になったことを聞いてみる
霊夢「そういやどうやってこの箱開けたの?」
橙「鍵が見つからなかったから高いところから思いっきり落としたの」
ナズーリン「なるほど、そして鍵が壊れたので開けたらああなったと」
橙「うん。もう一個あるけど開けるの怖いからあげるよ…」
思っていたより壊れやすい鍵なのね。ということは実質誰でも開けられそうね
とりあえず誰かが勝手に開けないように橙の見つけたもう一つの箱を預かっておこう
- 340 :名前が無い程度の能力:2011/06/18(土) 12:13:49 ID:u0Mtaj8I0
- 14:10
「ナズーリンさん、これはお宝?」
箱から何か取りだしながらルナが飛んできた。受け取ったナズーリンが、ほうっと息を漏らす。
漆塗りの手鏡だった。裏面には螺鈿細工の金魚があしらわれている。
矯めつ眇めつし、
「なかなかの品だ。お宝と言っていいだろう」
ルナに返す。ルナはあまり表情を変えなかったが、それでもはっきり嬉しそうな様子でそれを抱きかかえた。
……さて、手元のこの箱を開けるべきか否か。
- 341 :名前が無い程度の能力:2011/06/18(土) 18:25:12 ID:2OlGdPZQo
- 14:12
三妖精「・・・」
魔理沙「・・・」
フラン「・・・」
私を見つめる無言の圧力・・・ええい、ままよ!
鍵を借りて勢いよく蓋を開ける!!
ボフーン!
ぶはっ、けほけほ・・・え、煙幕・・・?
魔理沙「霊夢、お前・・・」
村紗「は、博麗巫女の証が・・・」
橙「これじゃあまるで・・・」
青巫女(偽)「なんぞこれー!?」
青色の粉末染料だった。
ナズーリン「はははは、まあ洗濯すれば戻るだろう」
ぷっちーん☆
あ、今アタマの中で何かが切れたわ・・・。
適当にそこらの箱をつかんでナズーリンのもとにズカズカと詰め寄る。
その場の全員「「「・・・じぃー・・・」」」
ナズーリン「なっ!わ、私はあけないぞ!あけ、な・・・」
・・・ガチャリ
ボウン!
また煙幕だわ。
ニャズーリン「・・・ホッ、良かった。異常なさそうニャ」
!!?
- 342 :名前が無い程度の能力:2011/06/19(日) 00:02:53 ID:yxE33rxg0
- おそ松くん 第2作のニャロメを思い出した。
擬音が凄かった。「牛丼でも食いに行こ」ってアドリブか?
アドリブの多い人だからな。
- 343 :名前が無い程度の能力:2011/06/19(日) 09:43:56 ID:texO.iI.0
- 14:16
ルナが手鏡をくるりとナズーリンに向ける。
「ニャ、にゃんだこれ!?」
鼠妖怪が猫妖怪になってしまっていた。
「……性質の悪い呪いのようニャ。霊夢、解いてはもらえにゃいだろうか?」
「良いけど……まずどんな呪いか調べて、それから神社に帰ってそれなりの準備をしないと……」
「ふむ、にゃら私は寺に帰ることにするよ。ここからだと寺の方が近いし、ご主人ならきっと呪いを解けるだろう。
……少々恥ずかしいニャ。人目に付かないうちに退散することにするよ」
「私もこの恰好のままうろつくのは恥ずかしいし、神社に帰るわ」
「私も神社で着替えさせてもらうぜ」
「あんたも帰りなさいよ」
「今日は蟹鍋だからな。参加のタイミングを逃したくは無いんだぜ」
- 344 :名前が無い程度の能力:2011/06/19(日) 21:19:58 ID:gKdwFMG60
-
∧∧ プハー♪
. .. ( =゚o゚)_=3
. .. し つcⅢ
- 345 :名前が無い程度の能力:2011/06/20(月) 01:29:25 ID:Vbq0kdVYo
- 14:20
霊夢「とりあえず森を出ましょ・・・」
ぞろぞろぞろ
後日、目撃者によって
『その者、青き衣を纏いて蟹を持ち、あらゆるアヤカシ(妖精・妖怪・幽霊・吸血鬼・漆黒の人型生命体など)を従え野に降り立つべし』
という伝説が生まれることになるのだが、それはまた別のお話。
- 346 :名前が無い程度の能力:2011/06/20(月) 08:44:29 ID:AyfPfDQI0
- 14:36
ほどなく神社に着くという所だった。
「あやややややや」
まずい時にまずい奴に会ってしまった。
「どうしたんです?皆さんお揃いで。特に霊夢さんと魔理沙さん、随分とおかしな風体じゃないですか?」
「そういえば文、この間の妖夢と鈴仙の一件、どうなったのかしら?」
とりあえず関係のない質問をしてみる。
「え、あれですか?あの後通例通りと言いますか、弾幕ごっこになりまして…」
「それで?」
「鈴仙さんが勝ちました。それで妖夢さんも冷静になられたようで…」
「ふうん」
「二人で甘い物でも食べに行くということでしたので、そこで取材を打ち切らせていただきました」
- 347 :名前が無い程度の能力:2011/06/20(月) 13:07:35 ID:5PGrSAdQ0
- 「まあ、なんだかんだ言ってうまくいってそうでよかったね」
「ええ、あとでじっくり取材をする必要がありますね!」
どうやら文はやる気満々のようだ。どうやら明日の新聞の一面は決まったようなものね
「…ところで皆様方どうしてそんな恰好を?」
ああ、結局こうなるのね
- 348 :名前が無い程度の能力:2011/06/20(月) 21:02:39 ID:lKAzuQTMo
- 14:38
文「霊夢さんが宗旨変えしたのかと」
霊夢「違う」
文「魔理沙さんは・・・随分猫っぽくなって」
橙「帽子で中身を判断するなぁ!」
文「えーと、影の妖怪・・・でしょうか・・・は、初めまして」
魔理沙「お前わざと言ってるだろ!?」 くねくねくねくねっ!
文「ひぃ!呪われる!」
霊夢「橙は帰らないの?」
橙「その蟹、私が当てたんだから鍋をつつく権利あるよね」
- 349 :名前が無い程度の能力:2011/06/20(月) 22:23:11 ID:X/WsViH2O
- 14:45
文「あやっ!?なにかと思えばそれ蟹なんですか?」
小さな沢蟹や川蟹程度しか知らない文は興味深々な様子。
文「大きいですね、脚が2尺(60センチ)はありますよ?…」
覗きこんでは“あ、活きてます!”と興奮気味にカメラを向ける。
無理もない。私も図鑑…霖之介さんの持ち物…で見た知識しかくらいないもの。
魔理沙「こいつは海の蟹らしい。幻想郷には居ないはずだ」
村沙「ええ…越前蟹ですよ。雪がたくさん降る土地の海に住む…霊夢さん、ちょっと良いですか?」
村沙はひょいと蟹を両手で抱えて、挟まれないように背中側にそっと顔を寄せる。
村沙「ああ、潮の香り…海の匂い…懐かしいなぁ…」
瞳を閉じ呟くと、橙や三妖精たちが“海だって?”と声を上げる。
魔理沙も文も顔を向けてきた。
- 350 :名前が無い程度の能力:2011/06/21(火) 16:23:53 ID:hoPvrUHc0
- 14:46
文に、不思議な箱について掻い摘んで説明する。
「これがその鍵よ」
サニーが示す。
「なるほど、これがその鍵というわけですね」
文が懐から取り出した鍵は、サニーの持っている物と同じ物のようだった。
「どうしたの?それ」
「今朝郵便受けに入っていたんです。そしてこれがその箱……と」
鴉が運んできた箱を受け取り、開けようとする。
- 351 :名前が無い程度の能力:2011/06/22(水) 10:08:25 ID:bSwBs6ts0
- 14:49
「おいおい、危ないぜ?」
「危険を恐れていては、良い記事は書けません」
躊躇うことなく蓋を開け、飛び出してきた何物かを片手で受け止める
「何?それ」
「……貝…みたいですね」
蝸牛のような形の巻貝から、烏賊のような頭と足が覗いている。結構大きい。
- 352 :名前が無い程度の能力:2011/06/22(水) 20:32:06 ID:WVego/mkO
- 14:52
村沙「これは…“オウムガイ”…いや少し違う?」
サニー「これ“石の貝”だよ!山で見たことあるよ!」
- 353 :名前が無い程度の能力:2011/06/23(木) 09:26:39 ID:JYxhrDxU0
- 14:54
「よし、これも鍋に入れましょう」
「それ、食えるのか?」
「大丈夫でしょう。貝なら食べられますし、烏賊も美味しいと聞きます」
「それよりあんたも鍋を食べに来る気?」
「良いでしょう?具材も提供しますし」
言いながら貝の足の方を突き付けてくる。毒とか…無いわよね
- 354 :名前が無い程度の能力:2011/06/23(木) 11:42:09 ID:bkSxbJig0
- 15:00
「おはようございまぁーす…」
隣の部屋から妖夢が出てきた。ついさっきまで寝ていたのかしら。
半霊にはリリカがまだ寝たまま引っ付いているし。
ふすまの向こうにはルナサとメルランがまだ寝ているようだった
「うわぁー。なんか人がいっぱいいますぅー」
まだ寝ぼけてるみたいね…ってキャラ変わりすぎな気もするけど
- 355 :名前が無い程度の能力:2011/06/23(木) 12:44:59 ID:iauZXhL.o
- しかしこの人数・・・夕飯までには少々お帰り頂きたい。
だって貴重な海の幸が減っちゃうじゃない!
特に妖夢は何も知らずに帰ってもらわないとあの暴食幽霊が・・・。
もしくは海鮮鍋をご馳走するから幽々子には黙っとくよう懐柔するか・・・。
- 356 :名前が無い程度の能力:2011/06/24(金) 11:36:00 ID:yvMP3LiY0
- 15:06
妖夢は井戸水で顔を洗って少しすっきりしたようだった。
「霊夢さん、ゆっくり休ませていただき、ありがとうございました。そろそろお暇します。昨夜の宴会の後始末を他の幽霊たちに任せてきてしまったので、お庭の様子も心配ですし」
「そう?のんびりしていけばいいのに」
「いえ、幽々子様もそろそろ起き出す頃でしょうし。では、これにて」
飛び去る妖夢を笑顔で見送る。
「それで、あなた達はどうするの?」
騒霊の三人組も起きだしてきていた。
- 357 :名前が無い程度の能力:2011/06/25(土) 09:05:53 ID:6NbbbY3A0
- 15:09
「うーん。館に帰って昨日のライヴの反省会をする予定だったんだけれど……蟹鍋のお相伴にあずかってからかな」
目敏い奴め。
「買い出しの方は任せてもらうわ。何が必要かしら?」
「…野菜と調味料、後はお酒ね。よろしく」
三人は意気揚々と里の方に向かった。…私はとりあえず着替えないと。
「霊夢ー、風呂借りるぜー」
「待ちなさい!私が先よ」
魔理沙の後を追う。三妖精は山菜を採りに行くと言って、林の中に入って行った。
村紗、文、フランの三人は、ある物で下準備を進めておくと言って、台所の方に向かう。
- 358 :名前が無い程度の能力:2011/06/26(日) 10:26:33 ID:Bolk.D9Q0
- 15:51
お風呂で汗と塗料を流してさっぱりした。代わりに魔理沙が風呂場に向かう。
境内に出ると、ちょうど妖精たちが帰ってきた所だった。両手いっぱいに山菜を抱えている。
「おつかれさま、随分手際が良いわね」
「妖精を舐めてもらっちゃ困るわ」「これも鍋に入れましょう」
三人は台所に向かい、しばらくするとサニーとルナがフランを伴って出てきた。
「もう一人は?」
「料理を手伝ってるわ」
「霊夢ー、暇になっっちゃったし弾幕ごっこでもしよう!」
フランに誘われる。
「洗濯物を取り込まないといけないから、その二人と遊んでなさい」
- 359 :名前が無い程度の能力:2011/06/26(日) 16:36:42 ID:/P.AQJes0
- 16:00
「妖精相手じゃ面白くないよ」
ホッとするサニーとルナ。フランが日傘差しながらだとしても勝負にならないだろう。
「そうだ、鬼ごっこしよう! 私が鬼でこの二人が逃げるの! 捕まったら鬼の命令を一つ聞く事!」
「じ、じゃあ、私達が逃げ切れたら…?」
「ちょっとルナ!そんなの無理に決まってるでしょ!?」
「うーん…その時は私があなた達の命令を一つずつ聞く、かな?」
「乗った!」
「えっ!? ちょっとちょっと、待ちなさいよ!本気でいってるの?吸血鬼って天狗並に早いのよ?」
(サニー、あなたは吸血鬼の天敵ともいえる太陽の光を操れるのよ? しかも外、地の利はこちらにあるといっていいわっ)ヒソヒソ
(そうだけど…。そろそろ夕日の時間か…。)ヒソヒソ
「よーし、それじゃあ100数えるから逃げるなり隠れるなりして! …あ、太陽の光で攻撃出来るみたいだけど、その時は私も反撃しちゃうかもよ」
「き、聞こえてたっ!?」
「いーち、にーい、さーん……」
「あああああああ逃げるわよ!!幻想郷の果てまで!!」
ピューッ
「一時間もしない内に食事は出来るからそれまでに帰ってきなさいよ。お風呂入りたければその前にね」
「うん、分かった! …じゅーいち、じゅーに…」
- 360 :名前が無い程度の能力:2011/06/27(月) 06:04:39 ID:zqcb.c/go
- 16:10
台所に向かうと何やらこちらも大いに盛り上がっていた。
スター「せっかくだから私は赤い蟹を選ぶわ!」
村紗「ならば私はこの巨大貝に全額賭けるっ!」
文「いいぞ蟹ー!今月の給料全てアナタに賭けましたぁ!」
バッシャズッシャ ベシビシ グギギギ ギョエェェイ!!
昆布ダシを張った大鍋の中で古代貝と越前蟹が激闘を繰り広げていた。
霊夢「賭けなんぞしとる場合かぁーっ!」
文「あやや!?だって料理の支度どころじゃないですよ!」
スター「霊夢さんもほら、凄いですよ?」
村紗「これは稀代の名勝負の予感!」
キイィィ! ビョェェ!!
蟹が鋭いハサミで果敢に攻め、貝は無数の触手で上手くいなし
時に締めつけ、一進一退の攻防が続いている。
霊夢「・・・じゃあ私は火にかけるわ」
村紗「うわぁー・・・うまいこと言っちゃったよこの人・・・」
- 361 :名前が無い程度の能力:2011/06/27(月) 11:14:16 ID:H2GOd9BQ0
- 16:11
買い出し組の三人が帰ってきた。ルナサが台所に入り、代わって文が追い出された。
文とメルランは夕食までの暇潰しに弾幕ごっこをするらしい。リリカは縁側で寝ていた橙を膝の上に載せて、見物を決め込んだ。
三人いれば十分そうだったので、私も台所を出て洗濯物をたたむ。
魔理沙が風呂から上がり、神社に置きっぱなしだった自分の服に着替えて現れた。
「ふうん、あいつらが山菜をね…それじゃあ私もちょっとキノコを調達してこないとな。私が戻ってくるまで始めるんじゃないぞ!」
そう言い置いて箒にまたがると、いずこへともなく飛び去った。戻ってこなくても、構わず始めてしまおう。
- 362 :名前が無い程度の能力:2011/06/27(月) 12:53:26 ID:GEz2.bzg0
- 16:13
洗濯物をたたみ、タンスに入れようと引き出しをあけた
なぜかあの箱が数個入っていることに気が付いた
誰だこんなところにこの箱入れた奴は…
魅魔「私がいれました」
…ああ、そういや海鮮鍋につられててすっかり忘れてた
背後から話しかけられて気が付いたがこいつもいたんだった
変なの入れないでよと注意しておく。何が入ってるかわかったもんじゃないし
とにかく邪魔だったので箱は取り出してタンスの脇に置いておく
- 363 :名前が無い程度の能力:2011/06/28(火) 03:01:33 ID:cSXcMRwIO
- 流れブッタですまん。
このスレ本当に面白いし和むし素晴らしいわ〜。生存報告ないスレだからちょっとお邪魔しました。
- 364 :名前が無い程度の能力:2011/06/28(火) 10:55:02 ID:mh9YKy3s0
- 16:16
引き出しの中に箱の鍵も入っていた。懐に収めておく。
洗濯物は全部片付けたし、夕飯の支度は皆がやってくれている。
今日汚れてしまった巫女服と、魔理沙が脱ぎ捨てた真っ黒な衣装も、今のうちに洗ってしまおう。
出がけに、縁側でぼんやりしていたリリカに弾幕ごっこの形勢について訊いてみた。
「ブン屋の方がちょっと優勢かな…。でもこれは姉さんが勝つと思うよ」
とのことだった。見ると、文の方は表情にも動きにもまだ余裕がある。
一方のメルランはと見れば、表情がいつも通りの笑顔な上に動きも独特なので分かりにくいが、
こちらもまだ余裕なようだった。
「長い勝負になりそうね」
- 365 :名前が無い程度の能力:2011/06/29(水) 09:22:05 ID:fLOW/edI0
- 16:37
洗濯を終えて中に戻る。雲が出てきた。明日は雨かもしれない。
途中、フランとルナに会った。
「一人は捕まえたんだけれど、もう一人がどうしても見つからないの」
「そう、タイムリミットは夕飯までだから、急がないとね」
「分かった、こいつ見張っててねっ!」
そう言い残して再び林の中へと飛び込んでいく。
「……サニー、大丈夫かなぁ」
「さあ…心配していても仕方がないし、私達は先に帰ってましょ」
- 366 :名前が無い程度の能力:2011/06/30(木) 10:27:53 ID:3bd3tk/20
- 16:40
居間に戻ると、座卓が一つ多く出され、鍋も二つ火にかけられていた。
「人数が多いから、二つの鍋に分けたわ。好きな方に座ってね」
「リリカ、橙ちゃん、入ってらっしゃい」
「霊夢さん。悪いけど、外で遊んでいる連中を呼んできてください」
リリカの膝枕で寝ていた橙は、縁側に両手をついて大きな欠伸をした。
- 367 :名前が無い程度の能力:2011/07/01(金) 03:09:09 ID:4wHLo9Moo
- 16:41
文「ウィアァァァァァーーーー!!」
メルラン「ウェハハハハハハハハ!!」
ボコーン
バコーン
・・・随分と大ざっぱな戦いになっていた。
リリカいわく、躁の音色を吹かし過ぎて両者とも頭がブッ飛んで
いってしまったらしい。
文・メルラン「「ヒーーー↑ハーーー↓!」」
『夢想封印ッ!!』
くちゃくちゃっ! という生々しい音とともに二人が地面に埋まる。
「あ゛や・・・や・・・?わ、私は一体何を・・・?」
「あは、は・・・と、止め方が乱暴〜♪」
「はいはい、もうすぐご飯だからお風呂で汗落としてきなさい」
- 368 :名前が無い程度の能力:2011/07/01(金) 07:54:48 ID:nzzeX7a.0
- 16:44
「わーい、かになべー」
鳥居の額束の陰からサニーが姿を現す。そんな所に隠れていたのね。
「見ぃつけた」
ものすごい速さで飛んできたフランとサニーの間に割って入る。
「タイムズアップよ。二人とも中に入りなさい」
三人連れ立って神社に戻る。その間の二人の表情は実に対照的だった。
- 369 :名前が無い程度の能力:2011/07/01(金) 12:01:09 ID:8HMEo.wg0
- 16:48
フラン「うーん、残念だなぁ…」
サニー「こそこそ移動しながらステルスするのは辛かったわ…。
…でも私達の勝ちね!」
フラン「…それって光を曲げて見えなくしてるんだよね? なら私に太陽の光が当たらないようにする事って出来る?」
サニー「出来ると思うけど……うまくいかなくても怒らないでよ?」
フラン「うん!ちょっとくらいなら平気だから」
ルナ「勝ったの私達なのに…。」
今度は何を始めるつもりなのだろうか。
そういえば魔理沙がまだ帰ってきてない。
- 370 :名前が無い程度の能力:2011/07/02(土) 07:23:47 ID:C1w/yVlA0
- 16:52
魔理沙「まさか風呂で茹蛸になってるとでも思ったか?」
魅魔「せっかくだから浴衣の裾直しをしてたところよ」
霊夢「ああ、それでタンスを漁ってたのね」
どうやらとっくにお風呂から上がって着替えてたらしい。
白地に藍色の文様が鮮やかな浴衣――
黒じゃなくて青なのは、魔理沙じゃなくて魅魔の見立てだからかしら。
今もかいがいしく魔理沙の周りで縫い針をちくちく動かしてる。
魅魔「まったく、いつまで経っても世話の焼ける弟子だね」
魔理沙「師匠が世話を焼きたがるから逆らえないんだぜ」
タンスに仕舞ってあったと言う事は、わざわざ魔理沙のために
あらかじめ準備して置いてたってことよね。
……かわりに変な箱を入れる理由はまったく分からないけど。
一応悪霊だから迷惑かけとこうということなのか、こら。
ともかく、これで一通り集められたかな。
- 371 :名前が無い程度の能力:2011/07/02(土) 11:29:10 ID:DydNCm.ko
- 17:03
鍋の他に煮物、酢の物など様々な料理が食卓に並べられている。
うーむむ、何気に料理スキル高いなあ・・・。
みんな思い思いの席についていく。
ルナサ「・・・村紗は文の隣に座らない方がいい・・・」
村紗「えっ」
文「えっ」
リリカ「そそ、新人さん酔わせて取材ネタ聞き出そうとするからね」
文「うぐ!そそそんな事しませんよ!・・・今日は!!」
村紗「はははっ、じゃあ逆に何でも答えちゃおっかなー?」
フラン「魔理沙の右ゲット!」
サニー「私が左をゲットー!」
魔理沙「うむ、苦しゅうないぞ」
魅魔「後ろをゲット」
魔理沙「ナチュラルに怖いわ!」
食事前からすでに賑やかである。
- 372 :名前が無い程度の能力:2011/07/02(土) 16:36:09 ID:/ZhZPC0s0
- 17:04
「いただきます」
食事が始まった。くいと空けた猪口に、スターがお酒を注いでくれる。
「ささ、霊夢さん。もう一杯」
「あら、ありがとう」
ワラビとぜんまいのお浸しを小鉢から摘まむ。
「それ、私が作ったんですよ」
「なかなかやるわね」
「ところで船長さん、仏門の徒が生臭を食べても良いんですか?」
文の質問に、鍋に伸びかけた村紗の手が止まる。
「……聖には内緒ですよ」
「ええ、内緒なんですね」
文が笑顔で手帳にペンを走らせ、鍋に向かう村紗の手が再度止まる。
「そもそも、殺生はよろしいのですか?」
「……蟹と貝の下ごしらえをしたのはあなたでしたよね」
「それを楽しそうに見ていらしたようですが」
村紗が泣きそうな表情になってきたのを見て、文も決まりが悪くなったらしく、
「まあこうなってしまえば、美味しく食べてあげるのも、正しい供養でしょう」
適当なことを言って、摘まみあげた蟹の身を、村紗の口に押し込んだ。
- 373 :名前が無い程度の能力:2011/07/02(土) 17:39:23 ID:51cXqgj6o
- 17:05
村紗「いただきます、とは命を頂きますということ。ごちそうさま、とは
命を馳走になりましたということ・・・そういう心がけが大事なんです」
もぐもぐごっくん と蟹を飲み込む。
村紗「んっふ・・・おぃひぃ♪」
確かに、雑多な食生活してるとそーゆー気持ちを忘れがちね。
私も改めていただきます、っと。
んー・・・この貝、以外と弾力あるわね。
- 374 :名前が無い程度の能力:2011/07/03(日) 10:53:23 ID:WqCf2TuI0
- 17:06
「茸も採ってきたのね」
ルナサの箸が赤っぽい茸を捉えた。ルナの方を向いて尋ねる。
「それは私だぜ」
「……妙な茸じゃないでしょうね?」
「特殊な作用のある物はほとんど入れていない」
「ほとんど……」
「冗談だぜ」
魔理沙はルナサが取り落とした茸を、自分の口に運んだ。
- 375 :名前が無い程度の能力:2011/07/03(日) 18:08:55 ID:D03T6H6o0
- 「むぐむぐ…うまい!」
満面の笑みで茸を頬張る魔理沙。幸せそうな顔をしている。
「んー?ルナ姉の箸をつけたのを魔理沙が食べたってことはー?
もーしーかーしーてー間接キッスってやつかなぁ?」
メルランが余計な突っ込みを入れる。ルナサの顔がちょっと赤らむ。
ちょっとかわいい。
- 376 :名前が無い程度の能力:2011/07/04(月) 03:08:40 ID:.f0NGY5A0
- 17:10
「いいなー、私も魔理沙と間接キッスしたーい」
「私も私もー」
「なんだよ、今日の私はモテモテだぜ」
「あら?そんなのでいいなら私は何回もしてる事になるけど」
小さいのがわいわい冷やかしてるところで、魅魔がさらりと言い出した。
「やれあれが食べれない、これが嫌いって
人の皿に自分の箸で勝手に放り込んできてねえ」
「あやや、魔理沙さんの過去にそんな偏食歴があったんですね」
「かわりに魅魔さまの皿にある私の好きなものを頂いてたから等価交換なんだぜ」
「それ、たぶんぜんぜん等価じゃない……」
「よーし、じゃあ私も魔理沙の小鉢に嫌いなものいれる!」
「じゃあ私も入れる!そして好きなものをもらっていくわ!」
「おいおい、それじゃ栄養が偏るだろ?こいつも持っていけ!」
ルナサの突っ込みもむなしく、残る金髪組で壮絶なおかず入れ替え戦が開始されてしまった。
「こーら、食べ物で遊ばない!」
一応注意しておく。家主らしいところは見せておかないと。
- 377 :名前が無い程度の能力:2011/07/04(月) 09:20:44 ID:gnV8XqO.o
- 17:12
ふと見ると文がキュウリと山菜の酢の物を手に微妙な顔をしている。
「・・・あの、これ超甘いんですけど」
はぁ?私も食べてみる・・・うん、普通に酸っぱい。そりゃそうだ。
「それだけじゃないですよ!鍋用のポン酢もシロップみたいだし、
お酒も純麗辛口って・・・甘口じゃないですかやだー!」
「何言ってんだお前。ポン酢がシロップな訳ないだろ?」
「いやいやいや皆さんおかしいですよ!並んでる料理全部やたら
甘ったるいじゃないですか!さては新手の嫌がらせですね!?」
「味覚ブッ壊れてんじゃないのー?」
「私、味覚だけどっかんなんてできないよ」
「だって私が台所出るまでは普通の味付けだったんですよ!?
そのあとメルランさんとずーっと弾幕ごっこしてましたしっ!!」
イジメだ、迫害だと文が騒ぎ始めた。
文の舌が酸味を感じられなくなったとしか考えられないけど・・・。
「アンタ、弾幕ごっこの後なんかしたんじゃないの?」
「・・・・・・! いや・・・な、なにもシテマセンヨ?」
どもった。 さあ吐け、今すぐ吐け。
「そ、その・・・風呂上がりにちょっと、保冷庫でつまみ食いを・・・」
か、勝手に人ん家の物を・・・ん?保冷庫?なんか変なもの保存してたっけ?
「サクランボの一つくらいいいじゃないですかぁ・・・」
あー!あの謎の果物か!
- 378 :名前が無い程度の能力:2011/07/04(月) 20:46:00 ID:vrZkm9tU0
- 17:15
「ミラクルフルーツには酸味を甘味に感じさせる程度の能力があるんだぜ」
「あー、あれがそうだったんですか」
折角の料理を狂った味覚で味わうことになるとは気の毒に。
「効果が切れるまで我慢だな」
もう一人我慢している奴がいた。橙は椀に取った鍋の具をじっと睨みつつ、小鉢をつついている。
「蟹、全部は鍋にしない方が良かったかしら?」
「ううん、良いの。冷めるのを待つのも鍋の楽しみのうちだから」
私は熱々のうちに食べたいと思う。
- 379 :名前が無い程度の能力:2011/07/05(火) 08:39:04 ID:m5FcS/Tc0
- 17:17
「それで、あなたの願いは何かしら?」
フランがサニーの方を向いて尋ねる。
「えーっと、ちょっと待ってね」
「その願い、叶えましょう」
「えっ」
……まぁ、お約束ね
「冗談よ、それで、何かしてほしいこととかある?」
「お館でお嬢様気分とか味わってみたいかな」
「あら、そんなことで良いの?じゃあ私が帰るときに付いてきてね、たっぷりもてなしてあげる」
サニーはぶるっと体を震わせた。紅魔館に入るのが不安になったようだ。
「サニー、あなたの事は忘れないわ」
スターが神妙な顔を作って呟いた。
- 380 :名前が無い程度の能力:2011/07/05(火) 19:26:59 ID:404TMsuk0
- 380
- 381 :名前が無い程度の能力:2011/07/06(水) 09:50:24 ID:BwJTaN6Q0
- 17:20
「そこであのスキマ妖怪がね……」
「あやや、そんなことが……」
リリカが文に昨日の宴会の話をしている。スキマから伸びた右手が二人の頭をひっぱたいた。
今度は箸を構えた左手が蟹の身を摘まんで消えた。油断も隙もないわね。
「文さん、さっきのメモ消しておいてくださいよ」
村紗が文に言う。
「これですか?」
文が頭を押さえながら、手帳を村紗の方へ開く。それを見た村紗が笑いだした。
下手くそな蟹の絵が描かれていた。
- 382 :名前が無い程度の能力:2011/07/06(水) 13:16:25 ID:6xK5a5D.o
- 17:21
「ブッ・・・あははははは!」
「ぷぷぷ何これきもーい〜!」
ボンッ!と効果音を立てて文の顔が真っ赤に染まる。
あ、ちょっとかわいい。
「い、いいんですよ!記事にはどーせ写真しか使いませんし!」
「ハにってのファ、ホうかフのよ♪」
サニーが口一杯もぐもぐしながら文の手帳にグリグリ描き込む。
「ち、ちょっと!私の手帳に描かないでくだs・・・」
「蟹でけたー!」
『ぶははははははははは!!』
なんじゃこのケサランパサランみたいなのは。
「よーし落書きなら私に任せろー!」カキカキ
「やめてー!!」
- 383 :名前が無い程度の能力:2011/07/07(木) 01:47:40 ID:5OyoPHlc0
- 17:22
みんなが次々と文の手帳に蟹のようななにかを書いていく
そのたびに文の目が涙目になって私が書くころには
「書かないよね?あなたは書かないよね?」と今にも泣き出しそうな顔をしていた
ええ、もちろん遠慮なく蟹に似た何かを書きましたとも
文が鬼巫女ー!とか言ってたけど気にしないことにする
- 384 :名前が無い程度の能力:2011/07/07(木) 12:04:12 ID:Q5l24FAYo
- 18:06
ほとんどの料理がなくなり、皆おつまみとお酒を片手にまったりと
それぞれの話題で楽しんでいる。
スター「ねえねえ、霊夢さん」
サニー「去年のくりすますってお祭りした時の飾り」
ルナ「あったら貸してほしいんだけど・・・」
ん?まぁ別にいいけど・・・?
フラン「この三角飾りいいね!けっこう似てるかも」
スター「じゃあ後は適当な木の枝さがしてと・・・」
サニー「服のサイズは同じっぽいかな?」
ルナ「能力で羽だけ消せるか試してみないと」
手に色とりどりの飾りを持って小声で相談しながら隣の部屋に
消えていく三妖精と吸血鬼・・・何を企んでる事やら。
- 385 :名前が無い程度の能力:2011/07/07(木) 14:33:25 ID:Dszi2UqI0
- 18:10
ルナサと橙が台所に立ち、夕飯の後始末を始めた。
「さてと」
魔理沙が立ち上がる。
「腹ごなしに弾幕ごっこでもするか。文、どうだ?」
「もう暗いので、私はちょっと…」
「何だ、鳥目か。なら…」
「私がお相手しましょう」
縁側から飛び降りた村紗が、大きな錨をくるりと回した。二人は、もうすっかり暗くなった空に舞い上がる。
「なら私は弟子の見物でもさせてもらうかね」
魅魔が縁側の、食事前にリリカが座っていた辺りに腰を落ち着け、部屋の中には四人が残された。
が、全く寂しくなった感は無い。リリカとメルランが酒を酌み交わしながら、ルナサは鍋を洗いながら、軽い音楽を流し続けているからだ。
「さあ、どんどん飲みましょう」
文が私の猪口に酒を注ぎ、私も文の猪口に注ぎ返す。
- 386 :名前が無い程度の能力:2011/07/08(金) 20:58:39 ID:DZpZSROoo
- 18:13
文「・・・ところで霊夢さん」
霊夢「あによ、急に改まって」
くい、と目線だけでタンスの横に置いてある箱を指し示す。
文「アレ、何だと思います?」
突然発生した大量の箱。しかも鍵をバラ蒔くだけでなく
文にはわざわざ封筒で届けるご丁寧な何者か。
霊夢「・・・紫ー、今度は何企んでるの?」
紫「やぁねぇ、企むだなんて♪」 ガラッ
うお、隣の部屋から出てきやがった。
紫「あれはねぇ、色んな時代のビックリ箱。死なない程度の嫌がらせが
時代を超えて詰まってるの。最近まとめて流れ着いちゃったみたいでね」
紫いわく、封印しといても良かったけど日常にも多少の刺激は必要と
当たり入りの箱をいくつか混ぜて、複製した鍵を各地に撒いたらしい。
おのれ妖怪の賢者、里の人間まで巻き込む気か!
文「まぁまぁ霊夢さん、人も妖怪も死なない程度の冒険というものは
したがるもんです。皆開けまくってすぐに厄介な箱は無くなりますよ・・・
これがホントのお払い箱ナンチテ♪」
霊夢「(無視)まあ・・・異変じゃないだけよしとするわ・・・」
- 387 :名前が無い程度の能力:2011/07/08(金) 21:44:35 ID:bqX4ei3oO
- 18:15
「おぉーい!」
「おーい!」
鳥居の向こうから声がする。
夕闇の影に浮かぶのは萃香とチルノ、と四角い大きな音なにか?。
「れいむぅ〜お土産だよぉ」
「たからばこだー!」
少しご機嫌気味な萃香にいつもどうりのチルノ。
丸太に縛りつけた大箱を前後(と、いってもほとんど萃香が)に担いでいる。
げげっ…“異変”な予感。
- 388 :名前が無い程度の能力:2011/07/09(土) 10:25:08 ID:9lxM4DIE0
- 18:17
「おお、いらっしゃい。随分大きなのを見つけたね。ウチにもいっぱいあるんだ。
酒の席の余興にちょうど良いし、どんどん開けようじゃないか」
魅魔弾幕ごっこの観戦を中座して二人を出迎える。
「あやや、では私は今日の出来事を記事にまとめなければならないので、そろそろ失礼します」
危なくなりそうな気配を察したのか、単に鬼が来たからなのか、文は暇乞いもそこそこに山の方へ飛び去って行った。
「……開けるなら外でやってよ、神社を壊されちゃたまらないわ」
「何だい、大げさだね」
言いながら、魅魔は手近な箱を、神社の中で開けた。
飛び出した光の玉が、神社の天井を突き破り、屋根を突き破り、夜空に華を咲かせた。
「……たーまやー」
- 389 :名前が無い程度の能力:2011/07/09(土) 14:03:04 ID:wYCTBtO6o
- 同時刻 ルナサの証言
大きな爆発音がしたので何事かと広間に戻ると
みんなが空を見上げて「おお〜っ」と言っていた、が
霊夢だけが「おおおおおおぉおぉぉぉぉぉ!」と血の出るような慟哭を
吐いている。・・・これはヤバイ、私はさっさと台所に戻った。
- 390 :名前が無い程度の能力:2011/07/09(土) 15:55:46 ID:166ulGoU0
- 18:18
てんじょうはくだけたのでかぐやみたいになげられそうにはないわね
あめがふってきたらたたみがぬれちゃうけどあつくなったらすずしいかしら
ぱらぱらとふってくるきくずとかわらのはへんがすてきなながれぼしみたい
あはあはあはは お おお おおおおお
「おおおおおおぉおぉぉぉぉぉ!」
- 391 :名前が無い程度の能力:2011/07/09(土) 23:38:10 ID:loP6bd2Mo
- 23:41
・・・ん
・・・・・あ、あれ?
なんで布団に?・・・いまいち記憶がない。
「ああ、起きたみたいね」
横に付いていたルナサが頭の濡れタオルを取る。
「えーと・・・私、寝ちゃってた?」
なぜか次女と三女が怯えた目で襖の奥からこちらを伺っている。
「あの後ね、倒れちゃったの・・・急に」
うん?あの後・・・?
確かバカでっかい宝箱を持ってきて、みんなで開けようとか
言い出して・・・うう、頭が痛い・・・どうもそこから記憶が・・・。
「レイムー・・・オワター・・・グズッ」
「ひっく・・・天井、修理オワター・・・ふぇえーん」
「ゆるしてー、レイムもーゆるしてー・・・しくしく」
わらわらと部屋にちび萃香が入ってくる。
ていうかなんで萃香そんなに泣きはらした顔してるの?
それに天井修理ならジュマンジの時に終わったじゃない・・・。
ふと隣の部屋に目をやると魔理沙、村紗、橙、チルノ、魅魔、
そしてなぜか紫が布団で死んだように寝っていた。
しかも全員頭上に『満身創痍』の文字が浮かんでいる・・・。
「え?なに?みんなでプチ殺し合いでもしたの?」
「・・・覚えてないなら、そのほうが幸せ」
そう言って絞った濡れタオルを私の頭にのせると、おやすみと
言い残してルナサは部屋を出ていった。
うわぁーねえさんってばゆうきあるなー>
あれはおにだよーおにいじょうのなにかだよー>
おいこら、妹ども聞こえとるがな。
まあなんか分かんないけど、もうみんな寝ちゃってるし私もこのまま
寝ちゃおっと・・・
おやすみー・・・・・・スピー・・・
- 392 :名前が無い程度の能力:2011/07/10(日) 06:27:11 ID:yIDHStD20
- 5:48
雨の音に目を覚ました。居間を覗くと、魅魔が一人で茶を飲んでいる。
「皆は?」
「帰ったよ」
「そう」
「ふわあ、私もそろそろ寝かせてもらうよ」
魅魔は奥の間に溶けるように姿を消した。残された湯呑みを洗う。
雨の音がうるさい。昨日洗って吊っておいた服は、今日も部屋干しのままだ。
- 393 :名前が無い程度の能力:2011/07/10(日) 16:49:45 ID:2UWQLyxMo
- 5:56
窓の外を見るとあの巨大宝箱が雨の中に佇んでいた。
よくみると小さい箱も手付かずで周囲に転がっている。
なぁんだ、結局だれも開けなかったのね。
「あー、霊夢・・・お、おはよーっ」
あら萃香、おはよう。珍しく起きるの早いわね。
「う、うん。ほら、宴会の片付けとかね!みんなでちゃんと
やっといたから!も、もう怒ってない・・・?」
??・・・別に怒ってないわよ?片付けありがとね。
やったー許されたー!とか言いながら隣部屋へ駆けていく萃香。
入れ替わりに三妖精が入ってくる。あら、帰ってなかったの?
「こんな大雨じゃ帰れないよ」
と言いながらサニーが背中の羽を・・・外した!?
代わりに背中側へ器用に折り畳んだ七色の奇形翼が飛び出す。
なんだ、外した妖精羽は作り物・・・て、事はまさか。
「咲夜が寝てるサニーを連れ帰っちゃった」
フランとサニーを間違える完全瀟洒なパーフェクトメイド・・・。
「でもあれは完璧なフランコスだったわねー」
「羽飾りとか見事な再現だったしー」
「服のサイズも問題ないしー」
ま、まぁレミリアならすぐ気付くでしょ。しばらく三人で遊んでなさい。
- 394 :名前が無い程度の能力:2011/07/11(月) 07:53:55 ID:prpV9WJg0
- 6:29
朝食。人数分作ってしまった。
おいしいおいしいと言いながら食べてくれるので、悪い気はしない。
「おかわり!」
「そんなものは無い」
「お酒!」
「朝から飲む気か」
- 395 :名前が無い程度の能力:2011/07/11(月) 15:09:12 ID:eR14KOcoo
- 9:32
・・・やばい、ヒマだ。
洗濯も片付けも終わった。境内の掃除はこの雨じゃ無理だ。
とりあえず茶の間に寝っ転がる。
隣の部屋からはフラン達が遊んでいるのだろう、懐かしいわらべ歌が
かすかに聞こえる。
いっちょうめーの いーくさん いのじがきーらいで
いっちょう いちおく いちまん いっせん
いっぴゃく いちじゅう いちだんまく
スペカにかーいて にちょうめにわーたした・・・
ずいぶんオリジナリティ溢れる歌詞ね。
にちょうめーの にーとりさん にのじが・・・
さんちょうめーの さーとりさん・・・
よんちょうめーの よー・・・
この数日、立て続けにドタバタしてたし・・・こう何もせずのんびり
するのもいいわね・・・ふわゎ〜平和だわ・・・。
- 396 :名前が無い程度の能力:2011/07/11(月) 22:10:34 ID:1..0u/CoO
- 9:45
「…ようございます…」
どこかの声にはっとした。
やばい!
ついうとうとして、危うく二度寝するところだったわ…。
ふぁい!と返事だけして、庭をみるとそこに珍客!…。
寅丸「おはようございます。命蓮寺からまいりました…昨晩は村沙がご迷惑を…」
雨の中、傘を差した“毘沙門天の弟子”が、おやすみでしたか?と気を使った上、覚えのない件で私に頭を下げてくる。
(昨晩って何?)
少し混乱しながら、それはもう済んだことだから、と制して取り敢えず上がってもらうことに。
私も巫女。神様の弟子に不作法はできない…というものの“里に用事が…”と遠慮している相手には強引だったかな?
ま、とりあえすお茶を煎れよう!。
- 397 :名前が無い程度の能力:2011/07/12(火) 02:05:53 ID:YgzunwhI0
- 9:50
「あの、これは頂き物で恐縮なのですが……ほんのお礼にですね」
お茶を持って行くと、几帳面に座って待っていた星が
手にしていた風呂敷包みから……なぜか宝塔を取り出してきた。
「なんで今宝塔があるのよ」
「あれから失くさないよう肌身離さず持ち歩くことにしています」
言いながら宝塔は脇に置いて、その下から紙の包みを取り出す。
「瓦煎餅です」
「あら、それはありがとう。なんなら今開けようかしら」
くれるというのなら断る理由はないわね。遠慮なく預かることにして。
渡し終えたのに満足したのか、星はそのまま包みを結び直して
何かを成し遂げた笑顔で湯呑へと手を伸ばしてる。
……なるほど、こうやってごく自然に宝塔を置き忘れるわけか。
いきなり思い切り肌身から離してるあたりナズーリンも大変ね……
- 398 :名前が無い程度の能力:2011/07/12(火) 07:42:57 ID:3O6PTIPs0
- 9:58
「毘沙門天様、一緒に遊びましょ?」
談笑していると、フランが星の袖を引いた。
「そうですね、用事もさして急ぎではないですし。ああ、霊夢さん、宝塔に無闇と触らないでくださいよ」
星は妖精たちに隣室へと引っ張り込まれていく。ほどなく、さっきとは別のわらべ歌が聞こえてきた。
そう言われると触ってみたくなるけれど、また神社が壊れても困るので、言われたとおりにする。
棚から帳面を取り出してきて、最近思いついた短歌を二、三書き留める。
雨の音とわらべ歌を聞きながら、新しい歌でもと、ぼんやりと思いを巡らせていた。
- 399 :名前が無い程度の能力:2011/07/12(火) 14:45:37 ID:Tdl2Hdnko
- 10:20
「こんにちにゃあ霊夢。ちょっと解呪を頼みたいニャ」
本日二人目の訪問者はナズー・・・もといニャズーリン。
何でも白蓮いわく『一晩程度で勝手に解ける弱い術』で、実害ないうえ
猫っぽいナズなんて珍しいので放置・・・となったらしい。
が、
今朝方、突然星に呪いを延長する術を掛けられたとか。
「その、私の猫姿はご主人の・・・け、獣の本能に火を着けて
しまったらしい。夜にゃんかまるで虎の様に猛々しいや違うそうじゃない」
うわぁー私は何も聞いてないぞ。夜の件は何も聞こえなかった。
「と、とにかく一日でこれじゃ体が持た違う違う心が折れじゃなく
えーと、にゃんだっけ・・・」
OK、精神がヤバイ状態なのは良く分かった。
主人が原因じゃ、白蓮にはちょっと相談しづらいわね。
「どこか外出中のご主人に知られにゃい内に解呪して欲しいニャ」
げ、そのご主人いまウチに来てるんだけど・・・。
- 400 :名前が無い程度の能力:2011/07/12(火) 21:04:17 ID:tu74ySZ.0
- 10:22
幸いあのご主人はまだ隣でフランたちの相手をしているみたいだし
今のうちにどんな呪いか見るだけ見てみましょう
「…ど、どうニャ?解呪できるかニャ?」
…うわぁ。簡単に解除されないように二重三重にわたって術式をかけているうえに
解呪しようとしたら猫化の術式がかけられるようになってる
呪い延長以外にも別の術式を複数かけているから解呪するのに半日は潰れそうね
あんたのご主人かなりの術式の使い手なのにこんなことに使うとは…
不幸中の幸いというのもあれだけど、呪いの延長期間は軽く見て半月程度だから
無理して解呪しなくてもよさそうな気が…
「霊夢…助けて…昨日みたいなことがずっと続くと私…壊れるニャ…」
…なんかこんなかわいいナ…もといニャズーリンを見るの初めてだし助けたくなってくるなぁ
うーんどうしよう
- 401 :名前が無い程度の能力:2011/07/12(火) 23:16:44 ID:CBzFbn6Io
- 10:27
術式の解体はピッキングと似ている。
メインの内部回転板(術の構成要素)を動かないよう
それに合った軸(術の相対構成式)で外部から固定し、
凹凸板の形状(術の発動条件)をピック(解呪式)で一つずつ
解放していく。
問題は今回の場合、回転軸や凹凸板への接触自体にも
ロックが掛かっていてしかも連動しているという事。
一つの鍵穴にピックと固定軸を五〜六本突っ込むようなものね。
解除式を一文字でも間違えばいずれかの術が自動発動、と。
「そ、それじゃあ解呪は無理にゃ・・・」
いや、術の相対構成式は結界術の基本。私ならたとえ同時に複数個
だろうと術式を維持する自信はある。
あとは呪術の構成要素を一つ一つ分解していく忍耐力と明晰な頭脳を
持つ術者がいれば・・・。
この手の解体作業に向いてる術者は二人。
知識ならパチュリー、器用さならアリス・・・
さて、どちらに頼みにいくべきか。
- 402 :名前が無い程度の能力:2011/07/13(水) 05:53:02 ID:9j8xbzOI0
- 10:30
とはいえ雨の中遠出するのも気が進まないわね。魅魔でもできそうだけれど、あいつが一度寝ると起こすのも厄介だし。
その上で星に気付かれないうちに解呪を済ませられそうな奴といえば…。
私は傘をさして境内に出ると、守矢神社の分社を蹴った。
「神奈子ー、いるー?」
- 403 :名前が無い程度の能力:2011/07/13(水) 12:17:23 ID:9abXZsEMo
- 10:31
神奈子「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン♪」
何のネタか知らないがもの凄ーく古臭い気がするわ・・・。
- 404 :名前が無い程度の能力:2011/07/14(木) 07:36:47 ID:a/gAWIMM0
- 10:32
「呪いなんだけれど、解ける?」
ナズーリンの方を手で示す。
「ふむ、なかなか厄介な呪いのようだが、これくらい霊夢でも解けるんじゃないか?」
「術者が近くにいてね。気付かれる前に片づけたいのよ」
ちらと星のいる部屋の方に目をやる。神奈子もそちらを一瞥し、
「なるほどね。良いだろう、引き受けた。念のためだが、霊夢は邪魔の入らないよう、
見張っといてくれ。あんたの方は…そう、そこらに立っていてくれればいい。
少々濡れるだろうが、傘は霊夢に預かってもらっといてくれ」
神奈子が両手を合わせると、どん、どん、どんと、境内に御柱が降ってきた。
「これだけあれば十分だろう」
そう呟くと、大音声で呪文を唱え始めた。当然ながら、何事かと星や妖精たちが神社から飛び出してくる。
随分派手にやってくれるわね、これは星に邪魔されないようにしないと…と思った所で、神奈子が再び手を打ち鳴らした。
ナズーリンの体が雷にでも撃たれたかのように硬直し、その場に倒れ伏す。
- 405 :名前が無い程度の能力:2011/07/15(金) 07:04:03 ID:hqOZVreo0
- 10:37
「終わったよ」
星がナズーリンに駆け寄って、自分も泥だらけになりながら抱き起こす。
「随分手際が良いのね。でも大丈夫なの、あれ?」
「結構な荒療治だけどね。再生力も強化してやったし、大丈夫だろう」
妖怪の再生力をさらに強化する必要があるくらいの荒療治ってわけね。
ナズーリンの耳や尾が鼠のものに戻っているのがここからでも見える。
普段は短い髪が肩の辺りまで伸びているのは、一時的に再生が速くなったせいのようだった。
意識を取り戻したナズーリンは、少し呻くと、辛うじて聞き取れるくらいの声で言う。
「……ご主人、何て顔をしているんだい?そんなことでは毘沙門天の威光を示せないよ」
その星の表情は、ここからでは死角になっていて、見ることはできなかった。
- 406 :名前が無い程度の能力:2011/07/15(金) 21:42:36 ID:F16b27kUO
- 「さて博麗の」
神奈子がにやり、と笑ってこちらを見る。
「願いは叶えた。さてその対価を頂こうかな?」
…仕方ない。
「うむ。ではそこの賽銭箱から適当に…ふふっ、そんな顔しなさんな…」
私の引きつった顔を見て神奈子がまた笑う。
「まああれだ、甘い物でもいただこうかね」
「それでは良いの?」
「早苗が世話になってるからね」
「世話をした覚えはないわ」
「まあいいさ、こちらの都合さね」
そう言った神奈子の顔は少し寂しげだ。
- 407 :名前が無い程度の能力:2011/07/15(金) 22:05:15 ID:25uhYQDs0
- 10:40
そんな話をしてると早苗と魔理沙がパンツ一枚でレスリングをしていた。
- 408 :名前が無い程度の能力:2011/07/15(金) 22:45:11 ID:2h6ZCkX6o
- 10:41
あ、あいつらいつの間に・・・。
しかもこんな大雨の中、泥だらけの庭先で何やってんの。
よく見ると辺りに服が散らかっている。
どうやらパンツレスリングというより本気の取っ組み合いを
しているうちに自然と脱げただけらしい。
「なんだよこの!このっ!」 バシャバシャ
「ま、魔理沙さんこそっ!!」 ベシャアァ
・・・喧嘩観戦してる場合じゃないか。いい加減止めなきゃ。
「さて、そこの毘沙門天の。神様のありがたーい説教タイムだ。」
と言いながら神奈子は星を連れて部屋にあがってしまった。
ナズも妖精達に支えられて一緒に室内へ。
私に丸投げか・・・。
- 409 :名前が無い程度の能力:2011/07/16(土) 00:45:05 ID:Eh06sbsE0
- ごめん誤爆
- 410 :名前が無い程度の能力:2011/07/16(土) 01:04:10 ID:hZcbVMMw0
- そう言って夢想封印を二人に叩き込んでみることにした
土煙に二人がつつまれて見えなくなって状況は見えなくなってしまった
まーピチュらない程度に抑えておいたから大丈夫だとは思うけど
おっと煙が貼れて様子が…
え!?
- 411 :名前が無い程度の能力:2011/07/16(土) 03:11:35 ID:pnItPsVIo
- 10:42
そこには息もぴったりに防御魔法と結界を展開する二人の姿が!
ただしパンツひとつではイマイチ決まらない。
「おいおい霊夢、邪魔はヤボだぜ」
「そうです!弾幕無しだって魔理沙さんくらい・・・!」
「へっ、その甘ちゃん根性叩き直してやるぜ!」
またすぐにも飛びかかりそうな勢い。ちょっと落ち着きなさいよ。
まずは風呂と着替えの用意が必要ね・・・。
- 412 :名前が無い程度の能力:2011/07/16(土) 07:42:59 ID:Kuxk38Zw0
- 10:44
「はいはい、そこまで」
突然、二人の間に諏訪子が現れた。呆気にとられた様子の二人の手を取って、神社に向かって歩き出す。
「雨の中ではしゃいで風邪をひかないのは、河童と蛙と何とかくらいだよ。人間共は部屋でおとなしくしていなさいって」
その言葉を受けたわけでもないけれど、三人の後に続いて神社の中に入る。早苗と魔理沙の服も拾っておく。
玄関先に神奈子がいた。
「やあ諏訪子、お前も来たのかい…って、早苗!何て恰好しているんだい!?まあ良い、お前達もさっさと風呂に入った入った」
「お前達もって?」
「毘沙門天の部下共なら、まとめて風呂に放り込んだ。それにしてもこの宝塔ってのは便利だね。一瞬で風呂が沸いたよ」
手の中で宝塔を弄んで見せる。
- 413 :名前が無い程度の能力:2011/07/16(土) 16:38:01 ID:9ADeCxrQ0
- 10:45
よく見ると宝塔の形をしたランプだ…
そう言えば白蓮は魔法でお湯を沸かしてるんだよね。
神奈子気づいてねないわね。
…黙っておいてあげよう。
- 414 :名前が無い程度の能力:2011/07/17(日) 08:37:17 ID:Z4o1s3e60
- 10:48
早苗と魔理沙がとぼとぼと風呂場に向かうのを見届けると、神奈子はその着替えを取りに行くと言って姿を消した。
諏訪子はフランと妖精たちの相手をしている。私は台所で人数分のお茶を淹れた。
早苗と魔理沙の着替えは神奈子に任せるにしても、星とナズーリンの着替えは無いのよね。
雨の中寺まで取りに行くのも億劫だし…。そこではたと思いついた。神社の裏に向かって呼びかける。
「玄爺、いるー?」
- 415 :名前が無い程度の能力:2011/07/17(日) 11:44:46 ID:X9DHbDuM0
- 10:49
「なんでしょう?」
玄爺が現れたとりあえず星とナズーリンの着替えを持ってきてもらうよう頼んでみた。
- 416 :名前が無い程度の能力:2011/07/18(月) 07:34:13 ID:fdasGRdY0
- 11:08
神奈子が魔理沙と早苗の着替えを持って帰ってきた。分社がある所だけとはいえ、すぐに移動できるというのは便利なものね。
汚れた服の洗濯も終わり、皆で熱いお茶を飲んで一息入れていると、ナズーリンと星が風呂から上がってきた。
玄爺が帰ってくるまで、神社にあった浴衣を着てもらっている。二人にもお茶を出す。
二人が腰を落ち着けるのを見て、神奈子が切り出した。
「そこな妖獣、部下に呪いをかけて喜んでいるのがお前の正義なのか?そんなことでは幻想郷の民に規範を示せないじゃないか」
「……面目ない」
「迷惑をかけた…その、呪いを解いてくれて、ありがとう」
礼を受けて、神奈子はナズーリンの方に向き直る。
「気にするな。困れる者あらば、守矢の神はいつでも力となろう」
私は差しのべられた手を取りそうになったナズーリンの肩に手を置き、囁いた。
「あんたまさか宗旨替えするつもりじゃないでしょうね?」
「なっ、そんなわけないだろ!?私は毘沙門天の遣いだぞ!」
神奈子の笑顔がわずかに強張り、諏訪子がくすくす笑いを漏らした。
- 417 :名前が無い程度の能力:2011/07/19(火) 00:15:24 ID:R7X9HSmko
- 11:17
神奈子の説教とも勧誘ともつかぬ講説が続く中、襖がスッと開く。
「・・・おう、風呂借りたぜ」
魔理沙だ。
「・・・どうも」
次いで後ろから早苗。
「・・・・・・・・」
お互い目を合わさず離れた席に座る・・・空気悪っ!
「ねぇちょっと諏訪子、何よアレ」
「いや私も良く分かんないんだよ。最初はウチで仲良く話してたのに
なんか雨の中で弾幕ごっこ始めてさ、その内なにか口論になって
終いにゃお宅の境内で取っ組み合いさ」
- 418 :名前が無い程度の能力:2011/07/19(火) 00:47:03 ID:zWc9fIrE0
- 11:18
詳しい事情をききたいところだが早苗も魔理沙も話しかけるなオーラが強すぎる
焦っても仕方がないし、そろそろ新しいお茶でも用意するか
んー。私もさとり妖怪みたいに心が読めたらなぁ…
- 419 :名前が無い程度の能力:2011/07/19(火) 08:45:07 ID:x/oH7h.20
- 11:21
「さて、私はそろそろ帰らせてもらうよ」
神奈子が腰を上げた。玄関まで見送って、聞いてみる。
「早苗を置いていくの?」
「私がいると話しにくいこともあるだろう。逆に私にだけ聞いてほしい話があるなら、すぐに帰って来るだろ」
立ち去ろうとする神奈子の着物の裾をつかむ。
「まだ何かあるのかい?」
「境内に立てた御柱、片付けて行ってよ」
「何だい、立てっ放しにしておいた方が便利じゃないか」
「ここが博麗神社か守矢神社か分からなくなるじゃない」
「参拝客も増えるよ」
「神社のアイデンティティーの方が大切なの!」
一瞬気持ちがぐらついたが、そう言い切った。
- 420 :名前が無い程度の能力:2011/07/20(水) 07:30:33 ID:cqjg3lDI0
- 11:24
居間に戻ると、フランが駆け寄ってきた。
「霊夢ー、退屈だよ。社殿で弾幕ごっこしちゃ駄目?」
「……雨に濡れたいの?」
「むう、じゃあかくれんぼでもしてよ」
「良いわ、なら今日はサニーが鬼ね」
そう言うとスターはあっという間に姿を消した。サニーとフランも後に続く。
諏訪子が立ち上がる。
「神奈子も帰っちゃったし、私もそろそろお暇しようかな。早苗も一緒に帰らない?」
「……そうですね。ここにいると、また喧嘩になってしまいそうですし。お供します」
魔理沙の方をじろっと睨んで、立ち上がる。二人は揃いの和傘を広げると、縁側から守矢神社の方へと飛び去って行った。
神奈子は抜け駆けされた形になるのかな。
- 421 :名前が無い程度の能力:2011/07/20(水) 14:21:19 ID:YpC5vaKQo
- 11:25
あれ・・・ちょっとマテ、サニーは確か紅魔館に・・・。
咲夜「私としたことが・・・面目ない」
び、びっくりしたぁ!急に背後に立たないでよ。
咲夜「今朝方、間違いに気付きまして・・・時止めで連れてまいりました。
あぁ、お嬢様に会わせる前で本当良かった・・・」
いやもっと早く気付けよ。
咲夜「では夕方前後にお迎えに参りますので、それまでフラン様を
宜しくお願いします・・・」
そしてまた一瞬で消える。便利な能力ねー。
今ちゃぶ台を囲んでいるのはナズ、ヘコんだ星、不機嫌魔理沙、そして私。
ナズ「えーと・・・私達もそろそろ失礼しようかな・・・ハハッ」
ちょっとブルーな主人の手を取り出て行った。
- 422 :名前が無い程度の能力:2011/07/20(水) 23:24:20 ID:7ss71vX.0
- 11:26
さて、ナズーリンの件も解決したし、残ったのは…
魔理沙「…」
さあて、どうやって聞き出そうか。最近割と仲がいい早苗とあそこまで喧嘩になるとは。
一体あの二人の間に何があったことやら。どうせくだらないことなんでしょうけど。
魔理沙から話が来るまで少しまt
魔理沙「…な、なあ霊夢…ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」
おっと、思っていたより早かったわね。さて、鬼が出るか蛇が出るか。
- 423 :名前が無い程度の能力:2011/07/21(木) 10:09:35 ID:6Nt4NgEc0
- 11:27
「博麗神社に陰陽玉ってあるだろ。最近あれに似たボールを見なかったか?」
「太極図模様のボール?見なかったと思うけれど、それがどうかしたの?」
「早苗があれに似せた神具を作っていたらしいんだ。まあデザインは違っていて、星の紋様だったらしいが」
「『まじかる☆咲夜ちゃんスター』みたいな感じ?」
「多分な。それが無くなったそうなんだが、たまたまその時私が守矢神社に居合わせて…」
「当然のごとく疑われた、と」
「当然とか言うなよ。見かけたら、早苗に渡しておいてくれないか」
- 424 :名前が無い程度の能力:2011/07/22(金) 03:14:48 ID:VGPVjDjMo
- 11:29
「原因は分かったけど・・・それが何で弾幕無しの泥喧嘩になるわけ?」
「・・・・・・私の星形魔法を否定された」
聞けば、弾幕喧嘩している内にお互いの星を模した弾幕のあり方に
ついての口論になり、弾幕理論の違いから互いに一歩も譲らず
結果、弾幕無しの実力行使となったらしい・・・。
「バッカねぇ・・・アンタは形としての星、見た目の綺麗さが目的
でしょ?早苗の星は呪術的な意味合い、神道の象形としての星だもの。
意見が合う訳ないじゃない・・・」
「本当は分かってたさそんな事・・・私も、たぶん早苗も。
でも・・・プライドを傷付けられたんだ、お互い引ける訳ないだろ。」
ほんと二人とも意固地なんだから。
小っさいプライド守って熱くなりすぎて、何だか子供の喧嘩みたい。
「あー霊夢、いま私のことガキっぽいとか思っただろー?」
ぶー、とふてくされる魔理沙の顔はいつもの笑顔。
大丈夫、きっと早苗も反省してる。明日には元通り、元通り。
- 425 :名前が無い程度の能力:2011/07/22(金) 07:23:51 ID:2zwu02Ik0
- 11:33
「話は聞かせてもらった。失せ物探しなら私の十八番だ。協力させてもらおう」
星とナズーリンが襖を開けて入ってきた。立ち聞きしていたらしい。
まあ、肝心の神具が見つからないことには、魔理沙への嫌疑は晴れないでしょうから、
その申し出は好都合ではあるのだけれど。
「話は聞かせてもらったわ。雨が上がったら、早速宝探しね!」
フラン達も部屋に飛び込んでくる。魔理沙が話しやすいよう、皆気を遣って席を外していたようだ。
- 426 :名前が無い程度の能力:2011/07/22(金) 15:47:27 ID:7dccchToo
- 14:00
・・・まだ雨は止まない。
とりあえず在り物のそうめんを茹で、みんなで食べる。
霊夢「ちょっとサニー、あんた日光の妖精でしょ。お父さんに頼んでよ」
ナズ「サニーの父上はそんな事が出来るのかい?」
魔理沙「天照大神」
星「ブホォッ!?」
あ、そうめん吹いた。
ナズ「ごごご主人・・・何か失礼な態度とってないだろうね?」
星「とととんでもない!非常に楽しくああ遊ばせていただきまして・・・」
魔理沙「というウソだぜ」
星・ナズ「・・・・・・」
スター「このネタ、サニーの鉄板芸ね♪」
サニー「私の芸じゃないし・・・」
ルナ「じゃあ物は試しで一度やってみたら?」
霊夢「やるだけムダ無駄。そんなんで天候が変われば楽なもんよ」
・・・どっかの天人ならともかく。
魔理沙「良かったなサニー、誰も期待してないぞ」
サニー「あによみんなでバカにして!意地でもやっちゃる!!」
ドスドスと部屋を横切り雨戸をすぱーんと開けるサニー。
サニー「えーと、お父さんとかお母さんとかアマテラさんとか
なんかよくわからんけど・・・いますぐ晴れろーーーーーーーッ!!」
ぺ か ー ◎
晴れた。マジか。
星・ナズ「・・・ハハーーーッ!」
揃って正座をし、サニーを拝む二人。いや偶然だから偶然。
フラン「やった、晴れたよ!これで出られるね!」
魔理沙「ほー、マグレってのはスゲェなぁー偉い偉い」
ルナ・スター「すごぉいサニー!」
サニー「で、でしょー!?うへへへへえっへーん!」
みんなから一斉に誉められ軽く有頂天状態のサニー。
よく見ると雲の合間から不良天人と竜宮の使いが凄いガッツポーズを
決めている。手で感謝の意を送ると満足そうに消えていった。
- 427 :名前が無い程度の能力:2011/07/23(土) 07:16:53 ID:wyJDh.mg0
- 14:07
玄爺が、ナズーリンと星の着替えを持って帰ってきた。
「随分と遅かったわね」
「すみません、ご主人さま。寺でお昼をご馳走になっておりまして」
ナズーリンと星が身支度をしている間に、洗濯物を外に干してしまう。
「それで、神具の反応はあるの?」
「神社の中だと、そういった反応が多すぎて分からないよ」
なるほど。とりあえず博麗神社を離れ、神具が無くなったという守矢神社に向かうことにする。
「玄爺、留守番よろしくねー」
亀はいつもの寂しげな笑顔で、手を振って見送ってくれた。
- 428 :名前が無い程度の能力:2011/07/24(日) 09:18:36 ID:5BrBFKsI0
- 14:15
快晴になってしまったので、日陰を行くことにする。途中、林の中の空き地で素振りをしていた明羅と眼が合った。
「よお、霊夢。こんな大所帯でどこへお出かけかな?」
「守矢神社の神器が無くなったんだって。魔理沙が疑われているから、私達で見つけて、その疑いを晴らしてあげるの」
質問に答えたのはフランだった。
「神器?どんな物なんだ?」
「陰陽玉もどきらしいよ。星の模様が入ってるんだって」
「博麗の秘宝、陰陽玉を模した守矢の神器か……なるほど、分かった。私の方でも探してみることにするよ」
明羅は刀を鞘に納めると、別れの挨拶もそこそこにその場を立ち去った。
「…………」
「どうしたの、霊夢?」
「…いや、面倒なことになりそうな気がしてね」
- 429 :名前が無い程度の能力:2011/07/25(月) 12:47:06 ID:xHbfQ5460
- 14:23
山の麓まで来た辺りで、リグルに会った。
「珍しいね、そんな大勢で山登り?」
「いや、守矢の巫女が新しく作った神具が紛失したらしくてね。陰陽玉みたいなものらしいんだが。私達は彼女に代ってそれを探している所だ」
今度はナズーリンが答えた。リグルはきょとんとした顔をして、質問を重ねる。
「それで、何であなた達は協力しているの?」
「魔理沙が疑われていてね。その濡れ衣を晴らすためかな。それに守矢の神様には借りもあることだしね」
「ふうん……でも守矢の巫女がそれを取り戻したら、試し撃ちのためにまた妖怪を襲ってまわるんじゃない?命蓮寺はそういう手合いから妖怪を守ってくれるお寺だって聞いていたけど」
ナズーリンは黙り込んでしまった。逡巡しているのかもしれない。代わって星が答えた。
「ナズーリン、迷うことはありません。友の失せ物を探してあげるのも、友の濡れ衣を晴らすのも、疑いようもなく正しいことです。正しいことをするのに躊躇う理由などありません」
「そう…なら私は仲間が傷つけられないためにも、あなた達に先んじてそれを見つけてみせるよ」
リグルはそう言うと、踵を返して立ち去ろうとする。
「それをみすみす逃がすわけには…っ!」
魔理沙がミニ八卦炉を構えて一歩前に出た所で、ばらばら、ごろごろと、大きな丸い物が降ってきた。
これは…てゐの兎玉!
「そういう事なら私はこっちに付かせてもらうよ。部下の兎達が苛められたら困るんでね」
どこからともなく声が響く。リグルは兎玉に紛れて、逃げてしまった。
- 430 :名前が無い程度の能力:2011/07/26(火) 01:47:13 ID:kZLWwig2o
- 14:24
・・・どうやら神具争奪戦の様相を呈してきたわね。
問題は私たち以外は神具を自分の物にしようとしてる事かしら。
ナズ「今は放っておこう。神具の反応は守矢の神社方向からだし、私達の方が
最短で目的を探知できる分、闇雲に探す連中よりは有利さ。」
霊夢「とりあえず神社に向かいましょ。神奈子か諏訪子だけにでも事情を話したいし」
話し合いのできる相手ならともかく、野良妖怪なんかに拾われたら面倒だ。
- 431 :名前が無い程度の能力:2011/07/26(火) 05:42:23 ID:agLwkFdY0
- 14:25
気が付くと、三妖精がいない。
「言われてみればわざわざ早苗に神具を返してやる必要もなかったわね!」
「魔理沙さんへの疑いさえ晴らせれば良いんだもの」
「神具の力は、私達三妖精が頂く!」
声はあっという間に遠のいていく。
「…これで三つ巴か」
「三つ巴で済めば良いんだけれど…」
- 432 :名前が無い程度の能力:2011/07/27(水) 01:23:49 ID:WDblpETY0
- 14:35
まぁ、三妖精は手に入れても大したことには使えないだろうから放っておくとして。
厄介なのはリグルとてゐのほう……いわゆる永夜組に見つけられることよね。
魔理沙「しかし参ったぜ、てゐ達に先に見つけられると厄介なことになりそうだ」
霊夢「あ、やっぱりそう思う?」
フラン「なんで?大した力もなさそうな妖怪だったけど」
魔理沙「あいつらはな、でも兎の方の親分が出てくると面倒なんだよなー」
まず骨董品の募集癖持ち、しかもその手の力を扱うのに慣れてるのも
いつかの異変のときに散々味わったもの。
そうなると月の頭脳も絡んできそうだし、考えられる最大の仮想敵ね。
魔理沙「輝夜にガメられたら、永遠に帰ってこなくなるからな」
霊夢「そこかい。あくまで死ぬまで貸し借りルールはキープしてるのね」
魔理沙「ちゃんと早苗には押し貸ししてやるぜ?現人神ならたぶん私より長生きするだろ」
魔理沙なりの照れ隠しなのか、そういいながら帽子の鍔で目元の表情を隠してる。
星「詳しく面識はありませんが、かの輝夜姫と同一存在だとすれば
確かに譲ってもらう交渉は難航しそうですね……ナズーリン、見つかりそうですか?」
ナズーリン「ご主人、簡単に言わないでくれよ……幻想郷には魑魅魍魎が多い
彼らが由来のある品ひとつ持ってるだけで、反応だけなら無数に出てくるんだ。
予め馴染みがあるものならともかく、未知の宝を特定するのは流石に難しい……」
あちこちにロッドを振りかざしながら、悩ましげな顔で大変そうなナズーリン。
そりゃそうでしょうねえ……いつもの調子で勘に頼ったほうがいいかしら。
- 433 :名前が無い程度の能力:2011/07/27(水) 04:14:27 ID:80P6QrUQo
- 14:39
とかなんとか言ってるうちに守矢神社へ到着。
ちょうど裏の池垣でカエルと会話?している諏訪子を発見したので
手早く事情を説明する。
「あーうん。そういう事なら構わないよ。敷地内も好きに捜索していいから」
よし、お墨付きを頂いた。これで自由に探せるわね。
「しかし早苗も神具を作るんなら相談くらいしてほしいなぁ」
そう言って諏訪子は神社に戻っていった。
さて・・・ナズーリンと星はペアで慣れてるだろうから、私は私のやり方で探すとしますか。
「ねえ、レーヴァテインでこの辺一帯まっさらにしたら探しやすいかな?」
「Oh...フラン、中々名案だが今日は霊夢の方針でいこうぜ」
「うん、わかった」
フランの恐るべきブッ飛び発想・・・魔理沙が一緒で良かった。
- 434 :名前が無い程度の能力:2011/07/27(水) 07:16:14 ID:r/3QlFvA0
- 14:47
ナズーリンは木の間を縫うように低空を飛んでいく。時折ロッドを地面に差し出して小鼠を拾い上げ、また別の小鼠を拾い上げる。
鼠の群れを放って神具の在処を探っているようだ。その上方を私達4人は飛んでいる。
「霊夢の勘もこっちで間違いないのか?」
「多分ね」
飛び出してくる精霊や妖精を撃退しながら進む。
「どう、ダウジングの方は?」
「はっきりしない…というより、反応が動いているようだ。でも恐らくはこいつを追っていけば辿り着く。
虫達がそこを中心に統率のとれた動きをしているらしいからね」
ナズーリンが鼠の群れに神具を追わせているように、リグルは虫の群れにそれを追わせているようだ。
「妖精達の動向は分かる?」
「いや、神具の反応を追うので手一杯だ」
「この辺りにも妖精は多いからな、こいつらから情報を得ている可能性はある。
そして神具を何者かが持って動いているのなら、スターの能力で補足しにかかるだろう」
魔理沙は襲ってきた毛玉を撃ち落としながら、推測を述べた。
- 435 :名前が無い程度の能力:2011/07/28(木) 05:54:37 ID:N1zOHfdg0
- 15:01
凄い速さで私達の方に向かって飛んでくる影があった。
「ひ、聖っ!?」
星が驚きの声を上げる。
「貴方達っ!兎の子から聞きましたよ。妖怪を苛める片棒を担いでいるそうじゃないですか」
「聖、話を聞いてください」
「もちろん聞かせていただきます。ただし、お寺に帰ってからですよ。兎の子にはお寺で待ってもらっています。
とても疲れている様子で、一緒に来てもとても貴方達に追いつけないだろうと思いましたので。
両方から公平に話を聞くために、二人には一度寺に戻っていただきます。私は貴方達を信用していますが、
兎の子の訴えもそれは真剣な物でしたからね」
「……霊夢、魔理沙、すまない。そういうわけだ。聖に納得してもらえたら、すぐに戻って協力する」
「…仕方ないわね」
聖は星とナズーリンを連れて帰っていった。
「連中は戻ってこれると思うか?」
「…難しいでしょうね。私達が妖怪退治に使える道具を探しているのは事実なんだし。
てゐの事だから、あからさまな嘘は吐いていないでしょう」
- 436 :名前が無い程度の能力:2011/07/28(木) 12:18:29 ID:dj/5gCvso
- 15:05
「ち・・・てゐの奴、頭が回るな」
魔理沙がぼやく。
リグルは広範囲に虫を飛ばして捜索しているし、
スター達はその虫の流れを感知して動いているはず。
今は俄然こちらが不利だわ。
・・・明羅は知らん。
「どうする霊夢?勘だけで探すのは難しいぜ」
「ねぇねぇ!じゃあさ・・・人海戦術でいこうよ!」
『フォーオブアカインド』
フランが四体に増え、こちらの合計は六人・・・人数的には有利ね。
「よーし!探すぞー!」「おー♪」「おー・・・」「キャハハハハh」
それぞれ微妙に性格の違うフラン達が四方向へ散っていく。
「じゃー私はあっちを探すぜ!私の勘がそう言ってる」
ガサガサと魔理沙も茂みに消えていった。
・・・さて、私はどうしたもんかしら。
- 437 :名前が無い程度の能力:2011/07/29(金) 08:37:42 ID:duWa6a5.0
- 15:13
「……近いわ」
いつものように勘に従って飛ぶ。誰かの話し声が聞こえた。そちらに向かって加速する。
木の生えていない広場のような場所に出た。リグルと妖精達が何か言い合っている。
「悪いけど、それをこっちに渡してもらおうかしら」
「嫌よ、これは私達が先に見つけたんだから!」
「貴方達に扱える代物じゃないでしょ。どうするつもりなの?」
「それは……これから考えるわ!」
妖精達が先に見つけた神具を、リグルが譲ってもらおうとしているようだ。スターがこっちを向いた。
「あっ、霊夢さん。魔理沙さんとフランちゃんも」
私の後ろから魔理沙とフランもこの広場に入ってきた。他の二人の妖精も慌てたようにこっちを向く。
その時、リグルが動いた。一直線に妖精達に向かって飛びかかり、その一人を跳ね飛ばした。
「神具はもらったわっ!」
身を翻すと、森の中に飛び込んでいく。一瞬、何か違和感を覚えたが、逃がすわけにもいかない。
私はリグルを追って、木々の間に飛び込んだ。
「こら、待て!」
「あはは、待て―!」
魔理沙とフランも後に続く。
- 438 :名前が無い程度の能力:2011/07/29(金) 23:52:27 ID:w5t4hZ2Ao
- 15:14
ボグゥッ!!
「っきゃあぁぁっ!」
直後、鈍い殴打音と共にリグルが猛烈な勢いで吹っ飛ばされ
もといた空き地で数回バウンドして止まる。
「キャははハハはハハハっ」
茂みの奥からヤバそうな笑い声をあげるフラン(4号)が現れた。
「よーし偉いぞフラン、ナデナデしてやろう」
「ワーい」
魔理沙が頭をなでると狂気が嘘のように引っ込み大人しくなる。
ほんとフランの扱いに慣れてるわねー・・・。
「あーずるーい!」
「私もー・・・」
「じゃあ私も♪」
他の分身も次々現れ魔理沙に全員が飛びつくと・・・
ボンッと煙を上げて一人に戻った。
「くっ・・・まだまだ・・・って、あれ?」
倒れたリグルが神具を抱えて立ち上がり・・・キョトンとしている。
「・・・・・・痛くない」
「あれ?結構本気でぶったんだけどなぁ・・・えいっ!」
フランが首をかしげるふりをして魔法弾を放つ。
が、リグルは最速の、かつ最低限の動きだけでそれを避ける。
・・・さっきの違和感、これね。
神具を奪ってから森に飛び込んだ時の異常な飛行速度。
いつものリグルより格段に早い。しかもえらく頑丈にもなってる・・・?
という事は身体強化系の神具なのかしら。
- 439 :名前が無い程度の能力:2011/07/30(土) 05:34:47 ID:Hv9RFhbs0
- 15:17
「今度こそ逃げさせてもらうわ!」
リグルは再び広場から飛び出す。
「逃がさないぜ」
「追わせないわ」
上空から黒い霧が降りてきて、リグルの姿を覆い隠した。
「てゐから話は聞いてるよ。仲間を守ろうとする健気な小妖怪のために、大妖怪としては一肌脱いであげないとね!」
「ぬえちゃん!?」
「また厄介なのが出てきたわね…」
「良いこと教えてあげるわ、博麗の巫女。厄介なのは私だけじゃないの。既に麓の妖怪達が数人、山に入っているわ」
てゐは命蓮寺に向かう道すがら、出会った妖怪達に声をかけて回ったらしい。
最終的に早苗に神具が戻らなければ良いという立場からすれば、当然の策か。
「ふうん、それなら魔理沙達は先に行って。ぬえちゃんは私一人で遊んであげるわ」
「良いわ、フランちゃん。早速始めましょうか。高々五百歳の吸血鬼、齢千を超す妖怪の恐怖に竦むが良い!」
「あはは、退屈させないでよ!」
- 440 :名前が無い程度の能力:2011/07/30(土) 12:30:39 ID:pFem.wTg0
- 15:22
とりあえず背後から聞こえる圧倒的な破壊音とえげつない正体不明音は
気にしないことにして先を急ぐことにする。
どっちもEX、そうそう事故って閻魔の世話にはならないでしょう。
魔理沙「ありゃもう弾幕ごっこか山の整地か分からないぜ」
霊夢「後でこっそり分社でも建てようかしら……ん?」
話していると早速目の前に立ちふさがる影。
どうやら早速妖怪のおでましのようね、最初は誰かしら。
夢美「久しぶりね、博麗の巫女に紫の魔法使い」
魔理沙「おっと、紫は譲ったからな。今は白黒だぜ?」
霊夢「というかいきなり妖怪じゃないわね」
夢美「夏季休暇で河童の技術を視察に来てたんだけど、なんだか面白そうな事になってるから」
マントを翻し、周囲に苺色の十字架を展開して身構える夢美。
夢美「二人とも、あれからどれくらい魔力が成長したか……直々に測定してあげるわ!」
霊夢「マニアってのはどうにも面倒ねえ」
魔理沙「なに、ブランクを実感して貰えばいいさ。返り討ちだぜ!」
- 441 :名前が無い程度の能力:2011/07/31(日) 06:23:24 ID:bRAVfPyo0
- 15:23
「魔理沙、弾幕ごっこはやっぱり一対一に限るわよね」
「ん?」
「ここはあなたに任せて先に行くわ。きっと後から追い付いて来てね!」
「待てコラァ!?それお前の方が言う台詞じゃないだろ!」
魔理沙を残して先行する私を、夢見は横目で見送った。流石に二人を同時に相手にするつもりはなかったようね。
「ま、一対一が良いっていうのには同意しといてやるよ。来な、お前に私のパワーが測りきれるかな?」
「ふふふ、素敵ね。あなたの幻想の力、試させてもらうわ!」
- 442 :名前が無い程度の能力:2011/08/01(月) 05:17:52 ID:Y2kUQxzw0
- 15:26
ぬえと夢美の妨害に遭って、リグルの姿を見失ってしまった。とはいえ逃げるとしたらきっと麓の方向ね。
案の定、程なくリグルの後ろ姿を捉えた。向こうも私の追跡に気付いたのか、矢庭に方向を変えて加速した。
私も速度を上げてリグルを追う。木々の切れ間、少し開けた場所で、倒木の上に立って、リグルは私を待っていた。
「これで一対一だね。この前のようにはいかないよ!」
マントを翻して見えを切る。その腕の中に神具は無い。
「神具はどこにやったの?」
「ここには無いよ」
まあ予想はしていた。逃げるのにわざわざ方向転換するのはおかしかったし、神具で身体能力が強化されているならこうも簡単に追いつけはしなかっただろう。
誰かに受け渡したと見るべきか。つまりここでのリグルの役割は、囮と足止めなのだろう。なら…
「神具が無いなら貴女に用は無いわ!」
――霊符「夢想妙珠」――
速攻!四方八方に展開した珠が、リグルに向かって飛ぶ。それに対しリグルは、こちらへ一直線に突進してきた。
狙い撃とうとした珠は空を切る。リグルは勢いそのままにスペルを発動する。
――蛍符「地上の恒星」――
てっきり持久戦を狙ってくると思っていた私は、虚を突かれてしまった。この距離はまずい!
――霊撃!――
リグルの勢いを殺しつつ、反動でいったん距離を取る。
- 443 :名前が無い程度の能力:2011/08/02(火) 07:18:44 ID:6I4MsTX60
- 15:27
一転してその距離を保ったまま、弾幕を放ってくる。軽くかわして反撃を狙う。
とはいえホーミングアミュレットやパスウェイジョンニードルは動く的には当てにくい。
「食らえっ、妖怪バスター!」
「くっ…」
リグルの動きが止まったのを見て、陰陽玉をばらまく。
――灯符「ファイヤフライフェノメノン」――
リグルは弾幕で陰陽玉の軌道を逸らして、攻撃を凌いだ。このまま攻め続ければ負けることは無さそうだけれど、
今度は持久戦が避けられないか…。仕方がない、大技で決着を急ぐことにする。
――神霊「夢想封印 瞬」――
今度はこちらからの、弾幕を身に纏っての突進!
―隠蟲「永夜蟄居」――
虫の大群がリグルの姿を覆い隠す。でもそのくらいの防御なら撃ち抜ける!
ぱっ、と虫の群れは散り散りになった。が、そこにリグルの姿は無い。
――「季節外れのバタフライストーム」――
ラストワードの宣言は真下から聞こえた。
「夢符…いや……」
――夢境「二重大結界」――
……舞い上がって来る蝶の大群を、何とか凌ぎきった。すぐに追撃が来るかと思って見下ろすと、
リグルはその場にへたり込んでしまっていた。
「もう終わり?」
「…はい、もう煙も出ません」
どっかで聞いたような台詞を吐く。リグルの降参を受けて、私も倒木の上に降り立った。
- 444 :名前が無い程度の能力:2011/08/02(火) 18:34:36 ID:.y2j7sp.0
- 15:28
「と見せかけて本当は霊夢さんとちゅっちゅっするのさ!」
リグルに押し倒されキスされた
やだ、この娘上手い…
- 445 :名前が無い程度の能力:2011/08/02(火) 23:31:33 ID:T8VzwlM20
- 15:30
「くっくっく…うまくいった!うまくいった!!」
なんかキス程度で勝ち名乗りを上げているリグル。何をしたかったのか謎だ。
と、思ったがすぐに体の変調に気が付く。指先がわずかながら痺れはじめた。
「ふふふ…今ちゅっちゅしたときに口の中に八意永琳謹製のしびれ薬を流し込んだのさ!」
へぇ、あのリグルが薬師のしびれ薬をねぇ…と思ったが冷静に考えると状況は最悪だ。
薬が廻り始める前に仕留めないと何をされるかわかったものじゃない。
「この薬は口から摂取しないといけないんだけどねぇ…ちゅっちゅによる口移しで意外と何とかなるもんだね!」
くっ…理論は馬鹿みたいだが、このままじゃ負ける…
「さあ、冥途の土産くらいは聞いてあげるよ!満身創痍の前に言い残すことはないかい?」
なんかリグルが負けフラグのようなもの立てたので一つ聞いてみる
「そのしびれ薬だっけ…粉末の物?」
「そうだよ!たしか口の中の粘膜から浸透するって言ってたなぁ」
あ、なんかフラグ成立しそう。
- 446 :名前が無い程度の能力:2011/08/03(水) 03:38:28 ID:R859XQ8c0
- 15:33
「あ…れ……?」
リグルが膝から崩れ落ちた。
「馬鹿ね、痺れ薬を口移しなんてしたら、自分も動けなくなるに決まってるじゃない」
「…良いのよ。私の役目は貴方の足止めなんだから」
「解毒剤持ってる?」
「持ってたらもう飲んでるわ。心配しなくても、半日もすれば抜ける薬らしいよ」
「そう……」
リグルの手を引いて起こし、倒木に座らせる。自分もその隣に腰を下ろした。
「…攻撃しないの?」
「貴女が解毒剤を持ってたら、力づくで奪うつもりだったんだけどね。貴女ももう私に何もできないでみたいだし、別に良いわ」
「神具を追わないの?」
「それも良いわ、追っている途中で薬が回って倒れるのが関の山だろうし。後は魔理沙達に任せてここで休ませてもらうわ」
「そう…」
「ところで、神具は今誰が持ってるの?」
「それは言えないわ」
「まあ大体見当はついてるけど。サニーが一人で運んでいるのね」
リグルが目を丸くした。正解のようだ。
- 447 :名前が無い程度の能力:2011/08/03(水) 10:07:44 ID:R859XQ8c0
- 15:34
「違和感は最初からあったわ。貴女と妖精達は、私が広場に現れた瞬間に神具の取り合いを始めたでしょ。
いくらなんでもタイミングが良過ぎるわ。虫の群れを使って辺りの様子を探っていたはずの貴女が
あっさりフランの分身に捕捉されたのも不自然だし。何か理由を付けて広場に戻る必要があったのね」
「いきなり吹っ飛ばされるとは思ってなかったよ」
「でしょうね。その後フランが魔理沙に甘えていたけれど、妖精達は一緒になって魔理沙に甘えようとも、
神具を取り戻そうともせず、いつの間にか姿をくらましていた」
「それだと神具は三妖精が持っている、という結論になると思うんだけど…」
「ルナとスターの陰に隠れるようにしていたから分かりにくかったけど、あの子はサニーじゃなかったわね。
貴女が弾き飛ばした子よ。いったい誰なの?」
「この辺りを縄張りにしている妖精らしいよ。そもそもあの子が守矢神社から神具を持ちだしたんだって」
「それで神具の反応が動いていたのね。この間咲夜の眼を欺いたように今度は私達をやり過ごそうとした…と」
「私が足止めに失敗した場合、今度はあの子がルナとスターと一緒に囮になる予定だったのよ。でもよく分かったわね」
「気付いたのはついさっきだし、もう魔理沙にも伝えられる状況じゃないから偉そうなことは言えないけどね。
あとこれだけは言っておくわ。幻想郷でスペルカードルールは絶対なのだから、
降参したふりをして一服盛るなんてせこい真似は、これっきりになさいよ」
舌が痺れてきて思うように話せなかったけれど、しっかりと忠告しておく。
リグルの方はもう話せなくなっていたのか、ただこっくりと頷いた。
- 448 :名前が無い程度の能力:2011/08/03(水) 18:17:22 ID:8ry89Ae60
- 15:40
リグルと一緒に倒木に横たわる。ついに薬が回ったのか、体が動かせなくなった。
幸い倒木のところは木陰で西日が当たらず涼しい。
日光が当たってたらどこぞの吸血鬼でなくても灰になってそうだから、助かったといえば助かったわね…
とはいえ、隣のリグルはうつろな目をしていて反応がまったくないし、
あの薬師の事だからしびれ薬のほかに変なのを混ぜててもおかしくない。
今のところ体の変調はないが、指どころか口すら動かせないのは困りものね。
これじゃ魔理沙が来ても何も伝えられないし、このまま夜になったら場所的にも危険すぎる
こんな時に限って助けじゃなく、変なことが起きるんだけどまあそうそう――
はたて「あれ?紅白巫女じゃん。こんなところでなにしてるん?」
椛「ん?霊夢さんどうしたんですか?それにリグルさんも顔色が…」
――起きるものね。なんでこんなところに引きこもり天狗と狗がいるのかは別にいいか。
幸い相手は文じゃないからまだ楽だけども…口は動かせないしどうしようか。
こっちは口も言えず体も動かせないから相手のなすがままだけど…
- 449 :名前が無い程度の能力:2011/08/04(木) 07:44:51 ID:BMvm48MI0
- 15:41
「こんな所にいたのね。ふうん、これは相討ちなのかしら」
夢美とぬえが姿を現した。ぬえはフランを背負っているようだ。
「平行世界の教授とお寺の妖怪ね。こんな所まで珍しいじゃない」
「実はかくかくしかじか」
ぬえがはたてと椛に状況を説明している間に、夢美はずかずかと私の所まで歩いて来て、私の頭を軽く持ち上げた。
「意識はあるみたいね。…心配しなくても魔理沙なら山の麓に向かったよ。あの子の魔法は素敵ね。
私は負けちゃったわ。まあ十分データは取らせてもらったけどね」
その割にマントが破れているくらいで怪我も無く、余裕のある様子だった。夢美はそのまま私を膝枕して、倒木の上に腰かける。
「私の方は…まあ概ね勝ちみたいなものね。でも本当、子供のお守は大変だわ」
近くにあった丸い岩の上に、同じようにフランを膝枕して座る。概ね引き分けみたいなものだったらしい。
こちらは対照的に二人とも全身傷だらけで、服もあちこち破れていた。フランはぬえの膝の上で気持ち良さそうに寝息を立てている。
「なるほどね、椛、千里眼で魔理沙達の様子は分かる?」
「もちろんです、こんな面白そうなこと見逃せませんよ」
そう言うと椛は木々に視界を遮られない上空へと飛んでいく。はたては二人に対抗したわけでも無いのでしょうけど、
夢美の隣にリグルを膝枕して座った。
- 450 :名前が無い程度の能力:2011/08/06(土) 02:57:28 ID:G1IILWDc0
- 15:43
椛が空から降りてきた。どうやら魔理沙は三妖精を追っているらしいとのこと
他にも三妖精のいる場所に向かって戦車でかっ飛ばしている奴らがいるとのこと
…おそらく明羅が里香にお願いしてあの戦車で探しているだろう
まあ、魔理沙がいるし何とかなるでしょと思うことにする
「しかし本当に動かないわねぇ。心の臓は動いているからこれは一服盛られたかしら?」
大正解といいたいところだが唇が動かず声がうまく出せない
「んー。これは私のラボに連れて行かないとまずいかしら。
そこで寝ている子らのこともあるし、そこにいる方々も手伝ってくれるかしら?」
三人は目を合わせ、軽く頷いた。
- 451 :名前が無い程度の能力:2011/08/06(土) 06:00:51 ID:9jqbNpaI0
- 15:56
夢美のラボは山の麓にあった。
「そこのベッドに寝かしておいて。…こんなことならちゆり達も連れてきたのに」
ぶつぶつ言いながらお湯を沸かす。大方面倒事を押しつけて一人で遊びに来たのだろう。
「それで、あんたらはどっちの味方なの?」
ぬえがフランをベッドに寝かしながら聞く。
「中立よ、中立。守矢の神様とも麓の妖怪とも険悪になったら困るからねー」
はたてはリグルを背負ったまま応じた。
- 452 :名前が無い程度の能力:2011/08/07(日) 06:07:58 ID:/Q.wG1y20
- 1:14
目が覚めると真っ暗だった。布団に入ったとたんそれまでの疲れが一気に出て、眠ってしまったらしい。
身を起こすが、全身がだるい。リボンで結んでいた髪が解かれている。
部屋の隅に置かれた行灯が独りでにぽっと灯り、散らかったラボに据えられた簡易ベッドの煎餅布団でなく、
和室の畳の上に敷かれたふかふかの布団で寝ていたことに気付く。いつの間にか浴衣に着替えさせられている。
……ここは?
「私の屋敷ですわ」
見上げると、気味の悪い微笑みが天井から見下ろしていた。
- 453 :名前が無い程度の能力:2011/08/08(月) 15:22:52 ID:MOVd4iKM0
- 1:15
「ゆ…ゆか…」
「はいはい、まーだ口をきけるほど回復してないでしょ?」
どうやらいつの間にか紫の家に連れ込まれたらしい
「一応外の世界の科学者に事情を話して引き渡してもらったわ、
それとあんまりこっちに来ちゃいけないと警告もね」
寝ている間にそんなことが…というか寝ている間に何があったんだろう
「何があったかくらいは…軽く映像でも交えて説明しようかしら?」
こっちの考えを読み切ってるような口ぶりが癪だが、どうなったかくらいは知りたいから聞くことにする
- 454 :名前が無い程度の能力:2011/08/09(火) 01:29:42 ID:9SJTm84o0
- 1:17
「サニーは竹林に逃げ込んだんだけれど、戦車の子が追いついてきて、神具を奪おうとしたの。竹林の兎達の助けを借りつつ逃げ回っていたみたいだけれど、
もたついているうちに偽の三妖精を蹴散らした魔理沙が追いついて、三つ巴状態になったわ。魔理沙はサニーの持っていた神具を弾き飛ばしたんだけれど、
そこに実は魔理沙の後を付けてきていた侍の子が飛び込んできて、神具を真っ二つ。その力を奪ったわ」
「…………」
「今度は四つ巴になったんだけれど、侍が他三人を蹴散らして、『次は博麗の力を手に入れる!』とか言って、あの研究所に向かっていたの。
あなたが簡単に斬られちゃ面白くないから、あの博士から引き取って、ここに連れてきたってわけ」
「………………」
「侍の子は『明日、博麗の秘宝をかけて正々堂々決闘を申し込む』とか言って、博麗神社で待っているわ」
「……………………」
「心配しなくても、朝までには普段通り動けるようになっているはずよ。神社まで送り届けてあげる。
それから明日に響くような大怪我をした子はいなかったわ。スペルカードルールがあるから当たり前ですけどね」
まあ今回は異変というわけでは無かったはずなんだけれど…いつの間にか、いつも通り、ある意味分かりやすい展開にはなっているようだった。
「細かい話は明日、本人達から聞くといいわ。今夜はもう休みなさい」
行灯の灯が消えて、真っ暗になった。
- 455 :名前が無い程度の能力:2011/08/10(水) 01:28:57 ID:MTqN67Zs0
- 5:26
眠りに就いた時間が早かったせいか、いつもより早く目が覚めてしまった。だるさは抜けているが、
長い間動かずにいたせいか、少し凝っている。体をほぐしながら起き上ると、襖が開いて藍が顔を出した。
「おはよう、霊夢。よく眠れたようだな。こちらの部屋に朝食の用意ができている」
「紫は?」
「寝ているよ。寝る前に、この時間に朝食を出すよう命じられた。決闘が始まる前には起きてくるそうだ」
目が覚める時間まで見透かされているなんて、やはり気味が悪い。
藍の作ってくれた朝食は温かく、おいしかった。
- 456 :名前が無い程度の能力:2011/08/11(木) 01:32:13 ID:wKwB3JkY0
- 5:30
そうだ、せっかくだから万が一のことを考えて一つ手を打っておこう。
「ねえ藍」
「ん?なんですか?」
焼き魚に伸びた箸を止め、藍がこちらを向く。
「ちょっとお願い事があるんだけど…」
「…ああ、なるほど。いいですよ、それくらい朝飯前だ。あとで紫様に伝えておく」
藍が快諾してくれたのでこれで保険が一つ増えた。
何があるかわからないからこそ、打てる手は打っておかないとね。
「…失礼だが、その手使っても大丈夫なのか?明らかに霊夢に被害出ると思うけど」
「まあ、一種の賭けだけどね。うまくいけばあとは向こうが勝手に自爆してくれるでしょ」
藍が心配そうに尋ねるので気にしないでといった意味で答える。
まあ、実際この手は切り札なので出すことはないとはおもうけど。
「しかしよくそんな手を思いつくもんだ。私なら思いついても絶対しない一手だが」
「こういう時は直感がものをいうのよ。野性的直観ってやつかしら」
軽めの皮肉をかわしつつ朝食のご飯を頬張る。
- 457 :名前が無い程度の能力:2011/08/11(木) 13:48:38 ID:ZIsO2gOI0
- 8:20
「勝負は九時からだけれど、用意は良いかしら?」
藍に墨と硯を借りて札を補充していると、紫に声をかけられた。
「大丈夫よ、送って頂戴」
「すぐに着くわ」
すぐに着いた。本当に便利ね。境内が妖怪や妖精でごった返している。
「……何の騒ぎ?」
「もちろん見物だぜ」
魔理沙も来ていた。面白がってあちこちに触れ回った奴がいたらしい。
「対戦相手なら社殿で瞑想中だ。顔を合わせておくか?」
「今は良いわ」
- 458 :名前が無い程度の能力:2011/08/12(金) 22:51:20 ID:ykDsoKO60
- 8:23
ナズーリンとてゐも来ていた。
「おはよう、霊夢。結局昨日は手伝いに行けなくてすまなかった」
「おはよう、昨日は全身麻痺で大変だったんだって?リグルも無茶するわよね、自滅覚悟で痺れ薬の口移しだなんて」
「……あんたがやらせたんじゃないの?」
「まあそうなんだけど」
御幣を振りかざす。
「ごめんごめんって!お詫びに永遠亭謹製のぼた餅あげるから」
「あら、ありがとう」
「これで今日も全身麻痺ね」
「…………」
「いや、冗談だって!」
てゐは昨夜命蓮寺に泊ったそうだ。口論の合間に休憩を取ったあたりから話が脇道に逸れて盛り上がり、
いつの間にか仲良くなっていたらしい。
- 459 :名前が無い程度の能力:2011/08/15(月) 07:21:18 ID:YbgNA2qY0
- キャー!! ∩蛸∩
(・ω・ ) ザバァ
 ̄ ̄\γ⌒ヽ,_,ノ ノ ハ,_,γ⌒ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄/⌒ヽ,_,ノノ ) ノ⌒ν´
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
- 460 :名前が無い程度の能力:2011/08/16(火) 17:06:55 ID:USvjong60
- 8:25
…なんか池から変な生き物が上がってきた
「あー、アレ?なんかそこらに転がってる箱から勝手に出てきちゃったんで
干からびないように池に入れておいたんだった」
てゐが笑いながら説明してくれた。まあ、あとでたこ焼きにしていただきましょ
「そういや、どうやってあの箱から?」
「どうやらいくつか鍵が壊れてるらしくて勝手に出てきちゃったみたいだ。
いくつかは誰かが持って行ったのかわからないが中身もなくなってる」
ナズーリンが地面に転がってる箱を蹴っ飛ばしながら言った
- 461 :名前が無い程度の能力:2011/08/16(火) 17:23:11 ID:mRy1BzBU0
- 8:29
「おはよう、霊夢。昨日はありがとね」
はたてに声をかけられる。昨日何かしたかしら?
「おかげで今朝の朝刊はバカ売れだったわ。これで次の新聞大会はいただきね!」
面白がってあちこちに触れ回った奴だった。
「もちろん今日の弾幕ごっこも取材させてもらうわよ。ではまず、決闘前の抱負は?」
「その前にその朝刊、私にも一部貰えるかしら」
リグルと折り重なるように倒れている写真や、ぐったりして夢美に背負われている写真が載っていた。びりびりに引き裂く。
「…さーて、明羅さんにも取材しないと」
足早に立ち去るはたてを見て、文の影響を受け過ぎじゃないかと思った。
- 462 :名前が無い程度の能力:2011/08/17(水) 09:35:26 ID:P8zHTIts0
- 8:35
咲夜が来ていた。八目鰻の屋台でお茶を飲んでいる。
「おはよう、咲夜。今日はあのちびっ子達は来てないの?」
「お嬢様と妹様なら館でお休みよ。特に妹様は最近昼間に出歩くことが多くて生活リズムが崩れがちだったから、
日中はきちんと睡眠をとっていただかないと」
「悪魔なんだし自堕落なくらいでちょうどいい気もするけどね。それであいつらが寝ているのをいいことに、
仕事をサボって見物に来たと」
「どこかの死神と一緒にしないでちょうだい。お嬢様から決闘の様子を見てくるように言われて来たのよ。
それから万が一貴女が負けて力を奪われるようなことになったら、あの侍の刀を回収してくるようにとの命も受けているわ。
せいぜい私の仕事を増やさないようにしてよ」
「心配無用よ。策も用意してあるわ」
「珍しく慎重ね。気楽に逝くくらいで良いと思うけど」
- 463 :名前が無い程度の能力:2011/08/18(木) 09:01:18 ID:UDUw0K360
- 8:38
「決闘前の景気付けに、八目の蒲焼でも食べていかない?」
屋台の中から声をかけられる。
「朝ごはんを食べてきたところだし、遠慮しとくわ。お茶だけもらえる?」
「良いわよ。霊夢のおかげで今朝から繁盛しているしね」
お茶を飲みながら辺りを見回す。当事者の一人といってもいいはずの、早苗が来ていないことに気がついた。
守矢の二柱も来ていない。分社を蹴りつけてみるが、反応が無い。
まだ寝ているのかしら?
- 464 :名前が無い程度の能力:2011/08/19(金) 01:05:14 ID:rRtrB1LY0
- 8:40
魔理沙に早苗について聞いてみる
「んー?あいつは見なかったぜ?というより昨日の昼から誰も見ていないそうだ
神社にいるカエルが涙目で言ってたから間違いないぜ」
へぇ…ということはまだあの二柱はまだ早苗を探しているってことね
でもなんで見つからないんだろう…少し嫌な予感がしたがたぶん気のせいだろう
- 465 :名前が無い程度の能力:2011/08/19(金) 09:38:38 ID:Vrkuu/mo0
- 8:42
里香が来ていたので、昨日の明羅の様子について訊いてみた。ついでに魔理沙にも訊く。
「何で私がついでなんだよ!?」
「はいはい。で、どうだったの?」
「かなり調子に乗ってたですね。あの玉を斬るなり『ふはははは、遂に手に入れたぞ!神の力!!』とか叫んでましたし。
刀をぴかぴかっと光らせて。イビルアイがあれば勝てたのですけどね。追跡用のふらわ〜戦車しかありませんでしたし。
一応応戦してみましたが、全く歯が立ちませんでした。今日はちゃんと用意してきましたから、
霊夢さんが負けた後でリベンジするのですよ」
「私もあの教授や妖精達との後だったからな。今日はフルパワーだから、お前が負けた後で勝たせてもらうぜ」
「私が負けることを前提に話すな」
どいつもこいつも……
- 466 :名前が無い程度の能力:2011/08/20(土) 00:08:47 ID:IH25dPeE0
- .「^ヽ,ry'^i
,ゝ"´ ⌒`ヽ
くi Lノノハノ)」
λ.[i ゚ ヮ゚ノi!
レ',ヘ.i`ム'」つ もし次回が海ならやはりダライアスネタかしら?
,く_,//T.iλ それとも海底大戦争?
"ーr_,t_ァ'"
- 467 :名前が無い程度の能力:2011/08/20(土) 07:42:18 ID:JpQj35wko
- 阿求の裏
何ですか突然・・・。海での異変なんて私に聞かれても分かりませんよ。
それにタライ明日とか急に意味不明な事言われても・・・。
いえいえ、少し困惑しただけです。
それじゃ続きを聞かせてください・・・えーと、里香さん魔理沙さんと
話をしたところからですね。
阿求の裏
- 468 :名前が無い程度の能力:2011/08/20(土) 09:38:34 ID:9dskee/s0
- 8:46
社殿から誰か出てきた。あれは……妖夢?
と思ったら、その人影は地面に吸い込まれるように消えた。
- 469 :名前が無い程度の能力:2011/08/21(日) 06:31:16 ID:Hx4A2feg0
- 8:50
今度は明羅が出てきた。境内の中心に向かって歩いてくる。私もそれに向かい合うようにして立つ。
それまでその辺りで騒いでいた妖怪達が場所を空けた。阿求が私達の間に立つように進み出る。
「?」
「紫さんから審判を務めるように頼まれまして。お二人とも頑張ってくださいね」
「逃げずによく来たな、博麗の巫女。今日こそお前の持つ秘宝、陰陽玉をこちらに渡してもらうぞ!」
「弱い相手を前に逃げる理由なんて無いわ。私が勝ったらその刀は渡してもらうわよ!」
「構わん、私もこの刀も好きにするが良い。そんなことはありえないだろうがな。
何せ、神の力を得た私は無敵だ!」
「付け焼刃の力なんて恐るるに足りないわ」
「昨晩必死に考えて名付けた必殺技を見せてやる!」
……名前だけなのか。口上が最後で残念なことになっていた。
- 470 :名前が無い程度の能力:2011/08/22(月) 11:37:01 ID:bACWR.Vg0
- 8:56
「それでは予定より少し早いですが、始めてしまいましょう。では、始め!」
やる気の無さそうな阿求の掛け声を聞くやいなや、明羅は一直線に駆け込んできた。
速い!が、予想が付いていれば、十分に対応できる。後方に飛びつつ、封魔針を投げる。
明羅は左右に避けつつ跳び上がり、なおも迫ってくる。ならば、と私は武器を博麗アミュレットに切り替える。
明羅も流石にそれ以上の接近を諦めたのか、その距離を保ったまま弾幕を回避し始めた。避けながら刀を振って弾幕を放つ。
それを軽くかわしつつ、私も札を投げ続ける。まずは互いに様子見といった状況だった。
- 471 :名前が無い程度の能力:2011/09/02(金) 22:39:59 ID:V/kJT/wQ0
- 8:57
様子見はまだ続く。
接近戦に持ち込もうとする明羅をかわしつつ中距離で札を投げる
札だって有限じゃないから数を調節しながら合間に針を混ぜつつ緩急をつける
それを華麗にかわすものだから大したものだ。神の力もなかなか侮れないわね。
そのついでによけた先にいる妖精とか野良妖怪が何匹か被弾しているのだが
その辺も神の力で何とかしてほしいわね。
- 472 :名前が無い程度の能力:2011/09/04(日) 05:57:51 ID:FAUKazTc0
- 8:58
とはいえ侍相手に持久戦の体力勝負をするつもりは毛頭ない。こちらから仕掛ける。
――霊符「夢想封印 寂」――
札を避け、陰陽玉を刀で捌きながら何とか凌いでいた明羅だったが、
受けてばかりでは不利と見たのか、あるいは単に受け切れなくなったのか、スペルを発動する。
――剣術「星芒斬」――
刀が描いた星型が崩れて弾幕となり、ばら撒かれる。昨夜考えたスペルと言っていたが……
早苗のスペルのパクリだった。難なく避ける。そしてペースを緩めず、次の攻撃に移る。
- 473 :名前が無い程度の能力:2011/09/12(月) 17:23:32 ID:MNYmHOJQ0
- 9:14
約15分後、明羅は境内に仰向けに倒れていた。全身ぼろぼろである。
で、ぼろぼろにした方の私の方はといえば、袖や袴の裾が破れている程度で目立った怪我は無い。
彼女を見下ろすようにして立っていた。わざわざ来てくれた阿求には悪いが、審判の必要は無かったようだ。
圧勝と言っていいと思う。明羅の傍の地面に刺さっていた刀を引き抜く。
どうしようかしら、これ。
神社の石畳を切り裂いたり、守矢神社の分社を吹きとばしたりと、確かに強化されているようだったし、
明羅もそれを持て余している感じでは無かった。スペルもあれ以降は誰かのパクリということも無かった。
とはいえ……実力の差って奴ね!
- 474 :名前が無い程度の能力:2011/09/17(土) 21:30:49 ID:OzxfBtj.0
- 9:15
さて、後片付けでもしますかと思ったところで明羅が立ち上がった
「ま・・・まだだああああああああああああああああ!!!!」
まだ元気なようで結構だけどもう一回叩き潰すのは骨が折れるわね
久しぶりに立ち上がれないくらいの全力でやってみますかね
- 475 :名前が無い程度の能力:2011/09/20(火) 16:30:46 ID:i85Woegc0
- 9:16
「むぎゃっ」
拾った刀を持ったまま構えたところで、突然降ってきた早苗が明羅を踏みつぶした。
早苗は私の持っている刀と、足元で目を回している侍を見比べて呟いた。
「えーっと……もう終わってしまったようですね」
「早苗……遅かったわね」
「ああ、すみません、霊夢さん。実は今まで紫さんに引きとめられていまして」
見上げると紫が手を振っている。早苗はあそこから出てきたようだ。
- 476 :名前が無い程度の能力:2011/09/21(水) 15:23:08 ID:ZO5xdcaQ0
- 9:18
「早苗、悪かったな。神具を取り戻せなくて」
戦いが終わったのを見て、魔理沙が近づいてきた。
「いえ、私の方こそ昨日は疑ったりして、申し訳ありませんでした」
二人の喧嘩の方も、無事解決を見たようだった。
「それにしても早苗、随分と厄介な道具を作ったものね。私だったから勝てたようなものの…」
「そんなはずは……」
「無いじゃない」
早苗の台詞を奪いながら、紫が降りてきた。何か知っているようだ。
「現人神とはいえ、たかが人間が適当に作った道具よ。そんな強力な物のはず無いでしょう」
- 477 :名前が無い程度の能力:2011/09/21(水) 15:30:09 ID:U1486zo20
- 9:19
紫がニヤリと笑うと怪しい道具を持ちだしてきた。
「妖怪が作った道具でみんな性の快感に溺れましょう!」
いきなり大声で変なこと叫ぶと紫は服を脱ぎだした。
「みんなで乱交パーティーよー!」
駄目だこのババアなんとかしないと…
とりあえず乱交パーティーに混ざろうかしら。
- 478 :名前が無い程度の能力:2011/09/21(水) 16:06:58 ID:dXFD1moU0
- 9:20
…と思ったけど思いとどまることにした。
早苗にはいろいろ聞かないといけないこともあるしね、
とりあえず今やるべきことは、
状況をわきまえず、空気の読めていない大妖怪様に
久しぶりにあのセリフを言わないといけないみたいね
どうやらみんなの心も一つになったようだし、久々にやりますか!
それではいちっ、にっ、さんっ、はいっ
「「「「「「そこまでよ!!!」」」」」」
そして五秒後、黒焦げ状態になった紫は地面と幸せなキスをして終了・・・っと。
さて、早苗にあの厄介物を作った理由でも聞きますか
- 479 :名前が無い程度の能力:2011/09/21(水) 20:02:00 ID:xd33IqRUO
- 9:23
早苗「その前に紫さんに着物を…」
全裸でカエルの様に地に伏せている紫に早苗がタオルケットを持って駆け寄っていった。橙も手伝う。
幽々子がのんきそうに、焦げた紫をあら美味しそう、なんて言ってる(友人じゃないのか?)
あれ?一番の式神の藍は?と見ると、袖口に手を入れたまま空を仰いでいる。
閉じた目蓋から光る物が見えたのは気のせい…じゃないわね。
- 480 :名前が無い程度の能力:2011/09/22(木) 00:49:37 ID:f55keQ/w0
- 9:25
…!?体が動かない!
私だけじゃない!早苗も橙も幽々子も藍もみんな動かなくなってる
「オーホーッホッホー!私の能力を使えば体の動きを止めるなんて容易いものよ!」
全裸の紫がこちらにやってくる…不気味だ
「さあ霊夢、一緒に性の快感に溺れましょう…?」
やめろ!私はそんな趣味…ああん!そこはだめ…
- 481 :名前が無い程度の能力:2011/09/22(木) 20:55:28 ID:Q4RZt0ScO
- 9:28
“ふっ…くっ!…”
渾身の力で身をよじって抵抗するも身体はびくとも動かない。
その間紫はあらあら、なんて言いながら私の上着、スカートを次々剥ぎ取ってゆく。
さすがに御札を仕込んである袖には触れなかったが、とうとうサラシと下帯だけの姿にされてしまい…今まさに紫の指先が私の腰、下帯の紐に触れている。
紫「ほーら、御覧なさーい」
パチンと指を鳴らすと姿見の鏡が現れ磔状態の私を映す。これは流石に…顔が熱くなる。
と、その紫の後ろの空間が割れて、また紫が!?。
そして手にした大きな張り扇をフルスイングで紫(全裸のほう)の頭に打ち下ろす…。
- 482 :名前が無い程度の能力:2011/09/23(金) 05:53:41 ID:tP44ya0U0
- 9:31
「ぐえっ!?」
目の前にいた方の紫が前のめりに倒れ、化け狸の本性を現した。
同時に周りの景色がぐらぐらと揺れて、元の境内裏に戻る。
「私の霊夢に何やってるのよ!」
紫は倒れた狸をぐりぐりと踏みつけながら叫ぶ。でもあんたのじゃない。
「ほっほ、その妖刀を頂くついでにちと悪戯してやろうと思っての。どうじゃ?似ていたじゃ…ぐえっ!」
「私はそんな色ボケババアじゃないっ!霊夢も霊夢よ、巫女のくせに易々と化かされて。恥ずかしくないの!?」
それに関しては返す言葉もない。化かされたことより今の格好の方が恥ずかしいのだけれど。
「他の連中にはまだ幻を見てもらっているから、早く服を着なさい!」
巫女服を投げて寄越す。私は黙って服を着た。
- 483 :名前が無い程度の能力:2011/09/24(土) 05:56:16 ID:ERQTGcwc0
- 9:33
「人間の作った道具が簡単に強い神通力を発揮することは、普通は無いわ」
「つまり奇跡ということですね」
「違うわ。あなた達のせいよ」
私と魔理沙を等分に見ながら言う。
「神の力は…まあ妖怪もそうなんだけれど、それを信じる者、畏れる者が多いほど増すものでしょ。
あなた達が神具探しを始めたのをきっかけに、多くの人妖がこれを求めて右往左往し始めた。
これは一つの道具が信仰を集めているのに近い状況よ。
今朝はあの天狗がご丁寧にもその力を触れ回ってくれていたしね」
大勢の妖怪を巻き込んだのはてゐなんだけど……。
「もちろんそれだけじゃないわ。神や妖怪は自分を畏れる者に対しては強いの」
「私は別に怯えたりなんてしていないぜ」
「かもしれないわね。でもこれを奪われた瞬間、出し抜かれた、厄介なことになった、
と思ったのは確かでしょう。あの平行世界人との弾幕ごっこの後だったわけだし。
神の力はそういった心の弱みに付け込むのが上手いわ。弱った心の支えとなるのも
仕事のうちなんだから当たり前ですけど」
- 484 :名前が無い程度の能力:2011/09/25(日) 21:15:02 ID:xcEXOUo60
- 9:35
「まあ私は楽勝だったけれどね」
「それはもちろん実力のせいでもあるのでしょうけれど、霊夢が神や妖怪に対する畏れを持たないということが大きいわね。
あなたはそうした威圧感からは自由だし、またそうあるべきなの。でも……」
紫はそう言って私の腕を引っ張った。
「痛ッ」
腕を伝って血が流れていた。掠っただけかと思ったら、少し切れていたようだ。
「本当に畏れと無縁なら、無傷で勝てても良いと思っていたのだけど……」
- 485 :名前が無い程度の能力:2011/09/26(月) 08:41:22 ID:h3B/DcQw0
- 9:37
「それで、早苗と妖夢を引き留めていたのはどうしてなの?」
紫がお説教を始めそうだったので、話を逸らす。
「妖夢の方にも気付いていたのね。貴女が二人から話を聞いたら、絶対圧勝しちゃうでしょ」
「…………?」
「そこの風祝さんは神具の製作者だし、妖夢はあれでも剣に関しては鋭いから、
その二人にはあの侍の子の実力が分かっちゃうでしょうからね。
貴女にはそれを聞かずに戦ってほしかったのよ」
「つまり魔理沙達の話だけを聞いた上で、それでも威圧されずに戦えるか、私を試したと?」
「そう」
「何で?」
「その方が面白そうだから」
やっぱり……。
「まあ最近山の神様やら元人間の尼さんやらが現れて、貴女がカリスマ負けしてないか心配になったというのもあるわね。
妙な玩具の見せる幻にも翻弄されてたみたいだし。……まあ圧勝は圧勝だったわけだし、一応は合格点かしらね。
とはいえ努々修行は怠らないように」
紫はそう言って笑った。
- 486 :名前が無い程度の能力:2011/09/27(火) 12:28:26 ID:oejLJ/UE0
- 9:40
「ところでその刀、どうするの?」
いつの間にか明羅の刀は紫の手に移っていた。
「そうね、本当は貴女が圧勝したら信仰を失ってただの刀に戻るはずだったんだけれど……。
貴女に手傷を負わせたせいか、まだ力が残っているわね。
よし、こうしましょう。霊夢、陰陽玉を出しなさい」
「何なのよ、いったい」
私が陰陽玉を取り出すと、紫は刀をそれに叩きつけた。件の神具よろしく真っ二つにする気かと思いきや、
パキンッと音を立てて割れたのは刀の方だった。刀に残った力が陰陽玉に吸い込まれていくのが分かる。
「勝った方が力を奪うというのも、また筋でしょう」
- 487 :名前が無い程度の能力:2011/09/28(水) 09:48:20 ID:ScW7JDFY0
- 9:42
「その子が起きたらこれを渡しておいてね」
紫は隙間から黒い鞘に納まった刀を引っ張りだす。
「これは?」
「心配しなくても基本的には普通の刀よ。物は良いのだけれどね。
剣士が剣を持たずにいるというのも、可哀想な話でしょう」
剣を手渡される。確かに私の目から見ても妖力や神通力の類は感じられない。
「それでは私はそろそろ帰らせてもらうわ。朝は眠いのよ。
傷はきちんと手当てしておくように。侍の子のもね」
言いたいことだけ言って、もう一度足元のものを思い切り踏みつけると、紫は隙間に姿を消した。
早苗が紫に踏まれて潰れた狸のぬいぐるみを拾い上げる。
「ほっほ、私も帰らせてもらうぞ。また面白いことがあったら呼んどくれよ」
何処からか声が響く。今回も別に呼んでいないし。
- 488 :名前が無い程度の能力:2011/09/29(木) 06:49:22 ID:Fjo.tBnY0
- 9:45
弾幕ごっこが終わり、話に落とし所が付いたのを見てか、見物に来ていた人妖達も帰り始めた。
「それじゃ私も帰るとするか。昨日はお前の事が心配であまり眠れなかったしな」
冗談めかしてそう言うと、魔理沙も箒にまたがった。
「待ってください、魔理沙さん。仲直りのしるしに甘い物でも食べに行きませんか?」
早苗も魔理沙に付いて、どこかに飛んで行ってしまった。分社が壊れたままだけれど、良いのだろうか…。
……というより、後始末を私一人でやらないといけないのだろうか、面倒だなあ。
そう思っていたら、咲夜が残っていた。
「ほら霊夢、何ぼーっとしているの?傷の手当てをするわよ。貴女が破傷風になったりしたら、
私がお嬢様に怒られるんだから」
咲夜は私の手を引いて、井戸の方へ歩きだす。途中、倒れていた明羅を拾って背中に担いだ。
メイドなんてやっていると、腕力も鍛えられるのだろうか。
- 489 :名前が無い程度の能力:2011/09/30(金) 09:50:57 ID:24J9X.8o0
- 10:00
傷の手当てを済ませ、縁側でお茶を飲む。咲夜は二人分の手当てを済ませると、
「最近のお嬢様はいつ何時お目覚めになるか分からないの。報告が遅れてはいけないわ」
と言って帰っていった。彼女はいつも忙しそうにしている。
神奈子が頼んだのだろう、萃香が分社の修理をしているのが見える。
明羅は部屋で寝ている。傷の手当てをしている間に意識は取り戻したようだったが、
疲れが出たのだろう。その時の様子からすると、もう暴れ出すようなこともなさそうだった。
- 490 :名前が無い程度の能力:2011/10/01(土) 07:39:13 ID:mwjnx0V60
- 10:28
破れた巫女服を繕う。霖之助さんほど器用にはできないけれど、これくらいなら私の裁縫スキルでも十分だ。
昨日来ていた服は藍が洗って畳んでおいてくれた。あいつには勿体ない式神だと思う。
境内の石畳に傷が残ってしまったが、あれくらいなら箒で掃いておけば目立たないでしょう。
直してもまた誰かが弾幕ごっこをすれば、すぐに傷だらけになるのが目に見えているし。
- 491 :名前が無い程度の能力:2011/10/02(日) 08:45:02 ID:30ylSPv.0
- 11:20
巫女服を縫い終わる。せっかくだったので破れた明羅の服も縫っておいた。
一息ついたのでそろそろお昼の準備でもしましょうか。
何か食材残ってたかしら…
裏
- 492 :名前が無い程度の能力:2011/10/02(日) 10:12:01 ID:vf3PTg0M0
- 11:24
ご飯を炊いて、干物の魚を焼く。ぬか漬けを上げて、味噌汁を作る。
においに釣られたのか、地底の黒猫がやって来た。焼けた魚を一尾やる。
猫舌ですぐには食べられないのか、皿の上の魚をじっと睨んでいる。
分社修理中の萃香も呼んであげようかしら。
- 493 :名前が無い程度の能力:2011/10/03(月) 07:11:22 ID:nV0/6zn.0
- 11:27
萃香を呼んでお昼にする。分社の修理は終わったそうだ。
お燐も魚をむしゃむしゃやり始めた。こうして見ていると、普通の猫と変わらない。
普通の猫は私達が食べ始めるのを待っていたりはしないのでしょうけれど。
日が陰ってきた。午後は一雨来るかもしれない。
- 494 :名前が無い程度の能力:2011/10/04(火) 06:53:14 ID:R/giQhII0
- 13:14
お燐は魚を食べ終わると、頭を下げて出て行った。
風穴とは逆方向に向かったので、散歩を続けるつもりのようだ。
萃香もお昼を食べ終わってしばらくすると、霧になって姿を消した。
昼過ぎに明羅が目を覚ました。
「服を縫っておいてくれたのだな。かたじけない」
紫から受け取った刀を渡すと、二、三度素振りをして、
「私にはこの方が性に合うかもしれないな。神の力は強力だったが、自分で戦っている気がしない」
と呟いた。とはいえその刀を腰に帯びて帰るときには、
「世話になったな、礼を言う。もっとも博麗の力を諦める気はないがな」
と言っていたあたり、何を考えているのかよく分からない。
「良いわ。でも次襲ってきたときには、今回よりもっとこっぴどくやっつけてあげる」
そう応じると、明羅は苦笑を浮かべて帰っていった。
- 495 :名前が無い程度の能力:2011/10/04(火) 12:36:44 ID:XPED9kos0
- 13:18
昼寝に入る
- 496 :名前が無い程度の能力:2011/10/04(火) 14:33:04 ID:J1W0GM7o0
- 13:20
久々に自慰をしてみる…んっ!
誰もいないから大丈夫よね…?
- 497 :名前が無い程度の能力:2011/10/05(水) 07:36:53 ID:ZczgwBwk0
- 15:32
目が覚めると、雨がしとしとと降っていた。この間は無理矢理晴らしちゃったんだっけ。
隣の部屋で物音がする。覗くとこいしとルーミアが何やら見慣れない玩具で遊んでいた。
「あ、れ、霊夢。おはよう……雨宿りさせてもらってるわ」
こいしがいつになく動揺している。顔が赤い。
「おはよ。どうしたの?何か企んでる?」
「そんなこと……私は何も見てないからっ!」
見られていたらしい。
「そ、そう。見ない方が良いものもあるわよね。今お茶出してあげるわっ!」
こっちまで赤くなってしまう。お茶を淹れる間に気を落ち着ける。
「二人で何して遊んでいるの?」
「バックギャモンだよ」
ルーミアが答えた。そういえば香霖堂で見たことがあるような気もする。
- 498 :名前が無い程度の能力:2011/10/06(木) 07:14:55 ID:dw/Ix9gU0
- 15:39
「どっちが強いの?」
「今は、私かな」
ルーミアがとんとんと駒を動かす。
「ああっ!?」
動揺していては勝てないという意味のようだ。
「うーん、負けたぁ」
こいしががしゃりと駒の並びを崩した。
- 499 :名前が無い程度の能力:2011/10/07(金) 08:01:26 ID:llVjCn3E0
- 15:40
三人でお茶を飲む。
「お茶菓子は無いの?」
「無いわ」
「そこの棚に煎餅があったはずよ」
「何であんたが知ってるのよ?」
「おいしいよ」
「何であんたが知ってるのよ!?」
三人で煎餅を食べる。
- 500 :名前が無い程度の能力:2011/10/08(土) 08:52:04 ID:iyerefzQ0
- 15:58
雨の降り続く境内を見ながらぼんやりしていると、赤い和傘が二つ、並んで歩いてきた。
片方は妹紅だった。もう一人は野良着の少女、里の子かとも思ったが、見覚えは無い。
「こんにちは、霊夢」
「こんにちは……その子は?」
「竹林で迷っていた外来人。外に帰してやってよ」
「はじめまして。巫女様にお願いすれば村に帰していただけると伺って参りました。どうぞよろしくお願いします」
眉のくっきりした意志の強そうな顔の少女だった。背は私より低いが、歳は同じくらいだろうか。
妹紅が連れてくるケースはそう多くないが、外来人の扱いも通常業務の内。
さっさと済ませてあげよう。
- 501 :名前が無い程度の能力:2011/10/09(日) 23:56:05 ID:qFqHF3O60
- 16:00
賽銭箱に小銭を三枚放り込み、二礼二拍手一拝。
その子がお参りを済ませるのを待って、外側の博麗神社に案内する。
「どうしてあの竹林に迷い込んだりしたの?」
「お墓の草むしりをしていたら、森の奥に小さな女の子の姿が見えました。
危ないから連れ戻そうと思って追いかけたのですが、
その子は森の中をすいすいと逃げて行き、結局見失ってしまいました。
そして気付いたら周りの木は竹ばかりになっていて、帰り道も分からなくなっていたのです」
「ふうん、どんな子だったの?」
「背中に薄い羽根のようなものが見えました。妹紅さんに聞きましたが、妖精だったそうです」
たまたま結界の中を見てしまい、誘い込まれたということらしい。
- 502 :名前が無い程度の能力:2011/10/10(月) 10:34:56 ID:GPN6HT2Y0
- 16:01
「あなたは食べられる人類?」
ルーミアが口をはさむ。少女はルーミアの方に微笑んで言った。
「食べられないわ」
「あまり人類っぽくもないわね」
確かに妙に落ち着いていて、変な人間だった。
「私に案内できるのはここまでよ。後は道なりに行けば帰れると思うわ
もう妙なものに付いていっちゃだめよ」
「ありがとうございました。気を付けるようにします」
結界の向こうに姿を消した少女を見送り、ルーミアと連れだって縁側に戻る。
妹紅とこいしは並んで座って待っていた。
- 503 :名前が無い程度の能力:2011/10/10(月) 17:44:01 ID:ZWxF1/cg0
- 16:02
「美味しかった?」
「食べられない人類だった」
「残念だったね」
「うん」
ルーミアとこいしを叩き出した。
妹紅は悠々と帰っていった。
- 504 :名前が無い程度の能力:2011/10/11(火) 19:21:29 ID:25W0DoaA0
- 16:05
雨の中追い出すのは少し気の毒だったかもしれないけれど、二人とも妖怪だから平気よね。
また神社に一人になる。勝手に上がり込んでくる妖怪達を何度も叩き出してはいるけれど、
その数は一向に減らない。ふくれっ面で出て行ったあの二人にしたって、
数日後にはけろっとした顔をしてまた訪ねてくることだろう。
- 505 :名前が無い程度の能力:2011/10/12(水) 02:04:23 ID:DXUo4Jvc0
- 16:07
ていうかもう来てた。
「うん無意識だよ」
「そーなのかー」
二人はまったく懲りる様子がない。
妖精の一種なのかも知れない。
- 506 :名前が無い程度の能力:2011/10/12(水) 07:00:46 ID:DCe4tuK20
- 16:09
「今日の夕飯どうしようかな」
「すき焼きが良いわ」
「あんたに聞いてない」
「なんなら家に食べにくる?ペットはいっぱいいるから一人くらい増えても大丈夫だと思うわ」
「何を食べさせる気なのよ…」
- 507 :名前が無い程度の能力:2011/10/13(木) 07:46:15 ID:8JkcylaU0
- 16:15
ルーミアは部屋の隅を暗くして、そこから動かなくなった。中で何をしているのか見えないが、
眠っているのかもしれない。こいしもうつらうつらしている。
二人の様子を見ていたら、昼寝を終えたはずの私まで眠くなってきた。
一仕事終えた後だし、仕方ない……わよね。
- 508 :名前が無い程度の能力:2011/10/14(金) 01:46:04 ID:tM38Hmcg0
- 16:20
せっかくなのでルーミアの闇の中に頭だけ突っ込んで横になる事にした。
なにこれ気持ちいい。
- 509 :名前が無い程度の能力:2011/10/14(金) 07:18:44 ID:lFEeg..c0
- 17:46
目が覚めると巨大な目玉が目の前にあった。
「…………っ!」
「ごちそうさま」
小傘だった。懲りないわね、こいつも。
「巫女のびっくりはそこらの人間のよりおいしいのよ」
お札をぺたりと貼り付けてやる。
「え?……痛い痛い熱い!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!早くはがして!!」
じたばたしている小傘と、お札をはがそうとして触れずにいるルーミアを横目に見ながら、
起き上がって伸びをする。さて、もう暗くなってきているし、夕飯の支度を始めないとね。
- 510 :名前が無い程度の能力:2011/10/14(金) 15:36:58 ID:lNB1oS/sO
- そういえばルーミアと小傘は初対面だったのね。
「あなたはだあれ?」
「私は多々良小傘。あなたも妖怪ね」
「私はルーミア。闇を操る程度の能力だよ〜」
「へぇ〜…。そうだ!これから一緒に里の人間を驚かせに行かない?」
「なにそれ楽しそう!じゃあ驚かせた人間はたべてもい」ギロリ
「すいまえんでした;;」
一通りしゃべくり倒した二人は神社を飛び出してった。ほんと元気だわねぇ。
居間に戻ると、箪笥にもたれ掛かったままこいしが寝息をたてている。そういえば小傘はこの子に気付いてなかったな。
そろそろ起こそうかと顔元を見やると、―こいしの瞼から涙がこぼれていた。
……
「―んもうしょうがないわね!家は宿屋じゃないてのよ!」
誰に聞かせるでもないひとり言の後、こいしから帽子を引っぺがし、横に寝かせて毛布をかけた。
あぁいよいよお腹が減ってきた。
- 511 :名前が無い程度の能力:2011/10/14(金) 23:36:33 ID:qXsExXJwO
- 「こんばんは」
早苗が来ていた。
なにか風呂敷に包んだものを抱えている。
早苗「里のお祭りに呼ばれまして…おすそわけです」
胸に抱えていたのは三段のお重。手には一升瓶のお酒。
神楽舞を所望され、即席で舞ったその謝礼とか。
ルーミア「ごちそーだー!」
と、いつの間に現れてて、頭の上に鉄の汁鍋を掲げている。
早苗「鹿のお肉をもらったんです。すぐお汁にと野菜と味噌も入ってます」
ちょうど神社を出ようとした小傘たちが大荷物を持った早苗と出くわし、食べ物の匂いにルーミアは回れ右をしたようだ。
小傘は早苗たちの後ろで唐傘をくるくる回して少し不満気?な様子。
- 512 :名前が無い程度の能力:2011/10/15(土) 08:24:24 ID:qOjnt/2A0
- 18:01
行燈に火を入れ、四人でお重をつつく。
「小傘はさっき霊夢を驚かせたからもうお腹いっぱいなんじゃないの?」
「おいしいものは別腹よ」
「雨が降っていたけれど、お祭りは大丈夫だったの?」
「ええ、小雨でしたし。お堂と集会所がほとんどで、少し寂しいものになってしまいましたが」
そういえば里のお祭りなのに、どうして守矢神社の巫女が呼ばれて私は呼ばれなかったのだろう。
「ところでこれって山の神様への供物なんじゃない?私達で食べちゃってよかったの?」
既に半分近く食べてから訊く。
「分社で八坂様にお聞きしたところ、本来私達が受け取るべきものだが、
今度の事では霊夢に世話をかけたし、どうせ飢えて困っているだろうから、
恵んでやるといいとのことでした。私達が食べたことにしておけば問題ないと。
ですからここでこれを食べたことは秘密です」
「分かったー」
ルーミアが本当に分かっているのか怪しい返事を返す。
ここに食べ物が経緯に関しては、…ありがたい話ね。少し引っかかるものはあるけど。
- 513 :名前が無い程度の能力:2011/10/16(日) 09:16:58 ID:CbrzJZiw0
- 18:38
そのままいつものように酒盛りへと移行する。
こいしがいつの間にか起きだしてきて、酒をくいくい空けている。
「あんたそんななりで随分強いわね」
「私ったら最強ね!」
酔っているのかもしれないが、言動は普段とあまり違わない。
「早苗も流石にこっちの酒盛りのペースに慣れたでしょ?」
「前にも言ったと思いますが、アルコールの分解は生まれつきの能力なので、
慣れでどうにかなるものじゃないんですよ」
聞いたような気もする。酒の席でしか聞かない話なので忘れていたのだろう。
「甘い!生まれつきの能力さえどうにかしちゃったのが私だよ!」
「お酒のためにあなたみたいにはなりたくないですね」
- 514 :名前が無い程度の能力:2011/10/16(日) 17:37:34 ID:AHiqga8MO
- 18:45
「さあ温まりましたよ!」
飲んでばかりじゃ、と早苗が炉端で例の鍋を火に掛けてくれた。
くつくつ香ばしく煮立ったのを汁椀にそれぞれよそる。
ルーミア「あっつい!」
こいし「おいしい!」
あつあつの汁は味噌仕立てで皆ふーふーしながらご満悦だ。
熱い汁を口にする。
「……!」
たっぷりの大根や里芋にキノコと骨つきの鹿の肉が入った汁は本当に美味しい!
脂がキラキラ浮かんだ甘い汁は栄養たっぷりな感じで力がつきそうだ。
体も火照って、いつの間にか汗をかきながらみんなでご馳走を楽しんだ。
- 515 :名前が無い程度の能力:2011/10/16(日) 23:26:42 ID:ZcrWRvw.O
- 「秋めくわねぇ…」
- 516 :名前が無い程度の能力:2011/10/17(月) 07:50:03 ID:TM/Y.5IQ0
- 18:49
そんなことを言いながら隙間から腕が伸びてきて鍋をつつく。
「え?今は春でしょ」
ついこの間リリーと会ったばかりだし。
「あら、本当ね。どうして秋だと思ったのかしら?」
紫が首をかしげる。
「眠りすぎで時間の感覚どころか季節の感覚までおかしくなったんじゃない?」
「あはは、それは気を付けないとね。四季を楽しむ感覚まで失っちゃお終いですから」
紫は私の隣に座る。さりげなく混ざるな。
- 517 :名前が無い程度の能力:2011/10/18(火) 06:56:52 ID:cUIdu1Lc0
- 18:53
「そういえば魔理沙はどうしたの?」
早苗と一緒に遊びに行ったはずだけれど。
「二人であんみつを食べた後、魔法の森に帰っちゃいました。研究を進めたいそうで」
「ほら霊夢。あの子だって頑張っているんだから、ちゃんと修行しないと置いていかれるわよ。
今日も昼寝ばっかりしてたんでしょ」
「……見てたの?」
「それくらい寝ながらでも分かるわ」
言ってることは分かるが、四六時中眠ってばかりの奴には言われたくないわね…
- 518 :名前が無い程度の能力:2011/10/19(水) 07:18:38 ID:K7UPicIE0
- 19:34
鍋の中身があらかた無くなったので、お茶を淹れる。
最近茶葉の消耗が激しい気がする。
「あなたが飲み過ぎなのよ。カフェインを摂りすぎると眠れなくなるわよ」
「その方が修行には都合が良いんでしょ。それにお茶がすぐ無くなるのは、
あんたらがひっきりなしに訪ねてくるせいよ」
きちんと5人分のお茶を用意する私のサービス精神に問題があるのかもしれないけれど。
- 519 :名前が無い程度の能力:2011/10/20(木) 07:57:54 ID:lDDCl20M0
- 19:48
「あら。雨、止んだみたいですね」
おしゃべりに興じていて気が付かなかったが、いつの間にか雨音がしなくなっていた。
「腹ごしらえも済んだことですし、妖怪退治でもしますか」
早苗の発言にルーミア、小傘、こいしの三人はぎょっとした顔をする。
「面白いわね、受けて立つわ」
紫は不敵に笑って続けた。
「この子が」
小傘を自分の前に引き寄せる。
「ちょっ!?」
- 520 :名前が無い程度の能力:2011/10/21(金) 08:14:16 ID:UkkUaBLc0
- 19:50
「大丈夫よ。そんなに怯えなくても、私の言うとおりに動けば勝てますわ」
「弾幕ごっこで遊ぶのはいいけれど、神社の中で始めるのはやめてよ」
「分かってますよ。昔幽々子と無人のお寺で喧嘩して、うっかり建物を焼いてしまったことがあって」
どこかで聞いたような話だった。
「それじゃあ頑張って」
紫は小傘の肩をぽんと叩いて、縁側から建物の外へと押し出した。
- 521 :名前が無い程度の能力:2011/10/23(日) 07:20:15 ID:R.i4BEBc0
- 19:51
その時、小傘の肩に何かを貼りつけていた。式神?
「違うわ。式の契約なんて相手の同意も無しにそうそうできるものじゃないもの」
紫が小声で言う。
「それでは行ってきます。見ていてくださいね!」
早苗はぐんと勢いを付けて飛び上がり、小傘は渋々といった様子でその後を追う。
暗くて分かりにくいが、二人は上空で向かい合ったようだった。
- 522 :名前が無い程度の能力:2011/10/23(日) 12:56:54 ID:p0rUfP6YO
- 19:57
“…んッ!”
一瞬の気配に体が反応する。
「こんばんは」
ルーミア「すわこ…」
こいし「すわこさま…」
身構えた私の目の前には諏訪子がいた。
いつの間に…。
と、闇の中から浮かび上がるように萃香も背後に現れた。
どうも一緒に飲んでいたようだ。
やあ、とまわりに軽く挨拶した諏訪子はそのまま紫に向き合った。
諏訪子「始まったね」
紫「始まったわ」
意味ありげな微笑を浮かべる2人。…読めない。
萃香は我関せず、とばかりに縁側で独酌を始めた。
- 523 :名前が無い程度の能力:2011/10/24(月) 06:07:19 ID:VoLfqn1E0
- 19:58
「これ、何?」
小傘の声がする。紫が持っている小さな陰陽玉から聞こえるようだ。
「通信装置よ。そこから私が指示を出すわ」
「これ、私の代わりに攻撃してくれたりしないの?」
「いくら私でもそんな便利なものを作れる筈ないわ」
こういう感じで嘘をつくから信用されないのだと思う。
- 524 :名前が無い程度の能力:2011/10/25(火) 11:32:02 ID:2FsxR9us0
- 20:00
「こちらから行きますよ!」
――秘術「グレイソーマタージ」――
早速紫が指示を飛ばす。
「避けなさい、右、左、右、下、上っ!」
「えっ」
「0.28秒自由落下した後、高度を保ったまま離心率1.43の双曲線軌道で前進!!」
「えええっ!?」
「ひゅーん、しぱしぱしぱ、すぱーんっって感じで!」
「で、できるかーっ!!」
小傘の動きはふらふらしていて、見るからに危なっかしい。紫の指示に、混乱しているようだ。
「おかしいわね、藍はちゃんとできるのに」
おかしいのはあんただ。
- 525 :名前が無い程度の能力:2011/10/26(水) 07:38:32 ID:3s9UbSqg0
- 20:01
「小傘ー、頑張れー」
「巫女なんかに負けるなー」
声援を送るルーミアとこいしの頭をはたく。
「『守矢の巫女なんかに』でしょ」
「霊夢さん私の事もフォローしてくださいよー」
あんまりアウェイなのも気の毒なので、早苗の方にも声援をかけてやる。
「早苗ー。結果はどうでもいいから、できるだけ派手にやりなさい。うちの宣伝になるわー」
「霊夢さん、それはフォローになってませんよー」
- 526 :名前が無い程度の能力:2011/10/27(木) 08:29:30 ID:tLwg97tE0
- 20:02
「そんな動きじゃ避け切れませんよ。これでとどめです」
――奇跡「弘安の神風」――
「あわわわ」
すぐに被弾してしまうかと思われた小傘が、ふらりふらりと弾幕の間をかいくぐり、早苗に向かっていく。
早苗の目の前まで接近し、そこで初めて我に返ったかのように動きを止める。
「…………!」
「…………!」
――化符「忘れ傘の夜行列車」――
早苗は慌てたような動きで弾幕を止め、一気に距離を取って小傘の弾幕を避ける。
「……紫。今、何かした?」
「なーんにも」
- 527 :名前が無い程度の能力:2011/10/28(金) 08:03:04 ID:DBuQ7hlE0
- 20:03
怪しかったので幣を突き付けてみたら、あっさり白状した。
「混乱して頭が真っ白になっている状態だったら、式の契約をしなくても操れるんじゃないかと思ってね」
さっきから滅茶苦茶な指示で小傘をうろたえさせていたのには、そういう狙いがあったのね。
「スペルカードの宣言もさせられるの?」
「私が操っていたのは弾を避けつつ接近させるところまで。そこであの子が我に返っちゃったから、もう操れないわ」
「また混乱させて操るつもり?」
「もうしないわ。あとは口で指示をするだけで十分」
状況はまだ五分にも見えるけれど、紫には勝算があるようだった。
- 528 :名前が無い程度の能力:2011/10/29(土) 10:04:34 ID:kElQsj.c0
- 20:04
「このまま一気にたたみかけるよ!」
紫が通信機のスイッチを入れると、小傘の声が聞こえてきた。急に元気になったわね。
「だめよ。しばらくは回避と防御に専念なさい」
紫が指示を出す。
「次は当てますよ!」
体勢を立て直した早苗が宣言をする。
――奇跡「客星の明るい夜」――
小傘は小さな動きで弾幕を避ける。気のせいかいつもより動きが良いようだ。
「さっき妙な動きで弾幕を避けられて、早苗は驚き動揺した状態だからね。
スペルの精度もいつもより悪いみたいだ。 逆に相手の驚きを糧にする小傘には有利な状況だね」
萃香が酒を飲みながら解説する。
- 529 :名前が無い程度の能力:2011/10/30(日) 08:24:13 ID:tp8yjHH.0
- 20:05
「諏訪子様力をお貸しください!」
「あいよー」
酒を飲んでいた諏訪子が立ち上がる。
「勝負所よ、決めに行きなさい」
紫の指示が飛ぶ。
――蛙符「手管の蝦蟇」――
白い閃光が夜空を覆った。
- 530 :名前が無い程度の能力:2011/10/31(月) 12:57:31 ID:1q9z5j1k0
- 20:05
小傘は早苗の目の前、手を伸ばせば届きそうな間合いにまで迫っていた。
「なっ!?」
――傘符「一本足ピッチャー返し」――
ぴちゅーん…被弾した早苗がふらふらと高度を落とす。
小傘はあの閃光の中、高速で迫ってくる弾幕をかいくぐり、一気に早苗までの距離を詰めていたらしい。
「随分無茶するわね」
「そうでもしないと、まず勝てないでしょ」
紫がそう応じる。そのまま落ちてくるかと思われた早苗だったが、途中で踏みとどまった。
「ふっふっふ。どうやら私を本気にさせてしまったようですね」
- 531 :名前が無い程度の能力:2011/11/01(火) 08:29:08 ID:D3lPpdBA0
- 20:06
――秘法「九字刺し」――
「油断しない!」
「へ?」
紫が指示を飛ばすが、遅かったようだ。―ぴちゅーん
小傘は弾幕を受けて吹っ飛ぶ。が、吹っ飛びながらも次のスペルを宣言した。
――後光「からかさ驚きフラッシュ」――
早苗はすぐの反撃を予想していなかったのか、こちらもあっさり被弾する。―ぴちゅーん
それでも少しふらついた程度で反撃に移る。
――開海「モーゼの奇跡」――
―ぴちゅーん…体勢を立て直したばかりの小傘がまたも被弾する。
「まだまだぁ…」
――虹符「オーバー・ザ・レインボー」――
―ぴちゅーん
――御籤「乱れおみくじ連続引き」――
―ぴちゅーん
――化鉄「置き傘特急ナイトカーニバル」――
―ぴちゅーん
――神徳「五穀豊穣ライスシャワー」――
―ぴちゅーん
……………………
- 532 :名前が無い程度の能力:2011/11/02(水) 00:08:32 ID:6DWccp1o0
- 20:14
二人とも弾幕が尽きたのか、対峙したまま肩で息をしている。
どちらも満身創痍としか言いようがない。
振り向いたら部屋の隅でルーミアが闇を出して
こいしが頭突っ込んで寝てた。
ま、そりゃねぇ。
- 533 :名前が無い程度の能力:2011/11/02(水) 08:29:38 ID:CFJfQEps0
- 20:15
「紫、これ何回当てたら勝ちのルールだったっけ?」
萃香が今更そんな事を聞く。
「そういえば決めてなかったわね」
「……しょうがないね」
萃香が霧になる。紫が隙間に入る。
次の瞬間、萃香は早苗を、紫は小傘をそれぞれ後ろから抱きすくめていた。
「はいはい、その辺にして飲み直しましょ」
「あまり無茶すると後の酒がまずくなるよ」
そのまま脱力した二人を伴って降りてくる。
「すまないね。面倒をかけて」
諏訪子が萃香と紫に声をかけた。
- 534 :名前が無い程度の能力:2011/11/03(木) 12:07:18 ID:ETvJw4fc0
- 20:21
二人の手当てを済ませ、6人で酒を飲んでいると、ルーミアとこいしも起きだしてきた。
「あ。終わった?」
「どうなったの?」
「引き分けってところね」
紫が答える。小傘は妙に機嫌が良く、テンポよく杯を空けている。
「今日は早苗がいっぱい驚いてくれたからね。満足満足」
早苗の方は逆に不機嫌そうだ。
「やはり私にも霊夢さんの陰陽玉や魔理沙さんのミニ八卦炉のような強力な武器が必要なのかもしれません…」
などと、ぶつぶつ言っている。また面倒事にならなければいいけど。
- 535 :名前が無い程度の能力:2011/11/04(金) 08:31:13 ID:Dcaol4Ac0
- 6:03
起床。あの後、私が寝る準備を始めると、ルーミアと小傘は連れだってどこかに遊びに行った。
萃香、紫、こいしの三人はいつの間にか姿を消していた。それぞれ別々に立ち去ったようではある。
早苗は泊っていくことになった。夜中に守矢神社まで帰るのは、いくら巫女でも危険だ。
諏訪子は「早苗をよろしくね」と言って、これもふいっといなくなった。神出鬼没の奴ばかりだと思う。
隣の布団の早苗とよしなしごとを喋るうちに、いつの間にか眠りに落ちていた。
- 536 :名前が無い程度の能力:2011/11/04(金) 22:28:21 ID:uOJl8Q66O
- 06:05
ふと隣を見ると早苗の姿はない。
夜具はきちんと畳まれていた。
障子ごしに外が明るくなりかけているのがわかる。
晩秋の朝はさすがに肌寒い。
遅くまで飲んだせいかまだうとうとしてる。
軽くもう一眠り、と思ったら、
“ばしゃん”
外から何か音がしている。
井戸端のあたりからだ。
寝間着のまま廊下に出て、庭へ降りる。
はたして井戸端には早苗がいた。
朝日に照らされて早苗は一心不乱に“みぞぎ”をしていた。
- 537 :名前が無い程度の能力:2011/11/06(日) 09:23:46 ID:JdkIrrE.O
-
06:08
早苗は井戸端に片膝をついて、桶の井戸水を頭からかぶっている。
髪から水を滴らせながら姿勢を正す。
早苗の正面には守矢分社。
おそらく祝詞を口にしているに違いない。
「おはようございます、霊夢さん!」
おはよう…じゃないでしょ!
みぞぎも祝詞も構わない。
ここは神社だ。分社もある。
私の目線の先には早苗の畳まれた巫女服、そして貸してあげた寝間着。
ふいと顔を戻すと笑顔の早苗。立ち上がってこちらを向く。
なぜか落ち着かない。
「だんだん暖かくなって…良い季節ですね!」
「えっ?あ、ええ、そうね…」
あれ?まだ春だっけ?
季節感ぼけちゃったかな?
と、すると早苗は春ね。
- 538 :名前が無い程度の能力:2011/11/06(日) 11:21:45 ID:0Wh9Ibvc0
- 6:12
布団を畳み、着替えを済ませ、早苗と二人で朝食を作る。
食材が少なくなってきた。また買い出しに出ないと…。
- 539 :名前が無い程度の能力:2011/11/07(月) 19:12:09 ID:poeRxzr.0
- 7:14
早苗と二人で朝食を済ませ、お茶を飲む。お茶菓子を切らしてしまったのでお茶だけ。
「少し味気ないですね」
「里まで買い物に行かないとね」
「ご一緒します。神奈子様と諏訪子様にお土産を買って帰りたいですし」
今日も曇りだが、西の空は明るい。雨が降ることは無さそうだった。
- 540 :名前が無い程度の能力:2011/11/08(火) 07:17:00 ID:9XVNChLoO
- 07:20
お互い身仕度を整えて、境内に立つ。
(……)
身体の力をすっ、と抜いてふわりと浮かび上がる。
少し遅れて早苗。
肩を並べて鳥居をくぐったら上昇する。
参道を見下ろしながら小高い森を抜けると眼前に里が広がる。
もう田んぼの土が起こされ、ところどころ水が引きこまれ輝いていた。
水面は鏡のように空の雲と私達の姿を写している。
- 541 :名前が無い程度の能力:2011/11/08(火) 08:19:56 ID:0sl3mQGk0
- 7:37
里には朝市が立っていた。新鮮な野菜や川魚が並び、威勢のよい売り声が飛び交う。
持って行った買い物袋はたちまちいっぱいになった。お菓子やお米も買いこみかったけれど、
またの機会にするよりなさそうだった。こういう時、鬼の怪力や隙間みたいな能力があれば、
便利なんでしょうね。当座のお茶菓子として、醤油煎餅を一袋だけ買った。
- 542 :名前が無い程度の能力:2011/11/09(水) 17:49:59 ID:QOuhknMY0
- 7:59
早苗はこのまま守矢神社に帰ると言う。里のはずれで別れた。
荷物を片付けたいので、私もいったん帰ることにする。
- 543 :名前が無い程度の能力:2011/11/10(木) 12:26:12 ID:GFl5xsOA0
- 8:06
神社まで帰る途中、のんびりしたペースで飛んでいる小町に会った。
「おはよう。こんな所でふらふらしているところを見ると、とうとう死神を馘首になったのね」
「おはようさん。あんたが巫女を辞めさせられないうちは大丈夫さ。ちょっと神社で休憩しようと思ってね」
「またサボり?」
「いやいや、これもバランスさ。昨日は馬車馬のように働いていたからね」
小町が忙しいということは、また外の世界で良からぬことでも起こったのかもしれない。
「ほどほどにしておきなさいよ。私までついでに説教されかねないんだから」
- 544 :名前が無い程度の能力:2011/11/11(金) 12:48:12 ID:nQWoH8ZE0
- 8:28
神社の前まで帰ってきた。中から誰かの話し声がする。
「……べきなのです……心がけて……
……を見失っては……でしょう……
……分かりましたか?……を軽んじる者は……」
この声は…。気が付くと小町がじりじりと後退している。
「どうしたの?中でお茶でも飲んで行ったら?」
「あー、そろそろ仕事に戻らないと。お茶はまたの機会にさせてもらうよ」
くるりと踵を返すと、風のように飛び去った。
- 545 :名前が無い程度の能力:2011/11/12(土) 10:24:09 ID:XYLsJf1A0
- 8:30
入れ違いで神社から映姫が出てきた。
「おかしいですね。小町の気配がしたと思ったのですが」
「あいつなら仕事に戻ったわよ」
「そうですか。ではもうすぐ霊が運ばれてきますね。
あなたにも言っておきたいことはあるのですが、私も仕事に戻らなくては。
お説教はまたの機会にさせてもらいましょう」
「助かるわ」
映姫も小町と同じ方向に去っていった。別れ際の言葉が小町と似ていたのが、何だかおかしかった。
さて、私達の身代わりにお説教を受けていたのは、誰だったのかしら。
- 546 :名前が無い程度の能力:2011/11/13(日) 10:39:14 ID:rW.De9wg0
- 8:33
アリスだった。
「……何で神社に巫女じゃなくて閻魔がいるのよ?」
疲れているようだった。無理もないと思う。
「買い物に出てたの。お茶ぐらいなら出すけど、買って来たものを片付けるまでは待っててね」
「あれって仏様の一種でしょ。神社にいるとかおかしいじゃない」
「えーと、博麗神社はすべてを受け入れる。それはそれは残酷な話ですわ?」
「何の真似よ。まあ八百万っていうくらいだから、中に仏様の百や二百、混ざっていてもおかしくないのかもね」
特に意味のない戯言から入るあたり、急ぎの用があるという訳でもなさそうだった。
- 547 :名前が無い程度の能力:2011/11/14(月) 18:38:04 ID:qHORLMrk0
- 8:50
「それで、今日は何か用?」
そう質問したのは、買って来たものを片付けて、お茶を一口啜ってからだった。
「別に。たまたま近くに来たから寄ってみただけよ。それよりお茶菓子は無いの?」
渋々買ってきた煎餅を出す。
「入れ替わり立ち替わり人がやって来るから、お茶菓子がすぐに切れちゃうわ」
「この近くにある魔法店に来るつもりだったんだけどね。魔法の森を早くに出過ぎちゃって。
開店時刻までここで待たせてもらうことにしたの」
「ふうん」
「あなたも一緒に来る?お菓子も売ってるし、お茶のお礼におごってあげるわ」
「怪しいものじゃない?」
「すごく怪しいわ」
……どうしようかしら
- 548 :名前が無い程度の能力:2011/11/15(火) 20:12:51 ID:NzZQTB/Y0
- 9:01
部屋の埃をはたき、洗濯をし、薪を割り、境内の掃除をする……人形達を見ながら縁側でお茶を飲む。
「便利ね」
「それほどでもないわ。慣れない作業は操作が難しくなるし、魔力も供給し続けないといけないし」
アリスは片手でお茶を飲み、煎餅をかじっている。これだけの数の人形を片手で操っているらしい。
「何度もやれば慣れるわよ」
「慣れたくないわ。うっかり爆発させちゃう方が先になりそうだし」
- 549 :名前が無い程度の能力:2011/11/18(金) 18:58:35 ID:DCD4h9yQ0
- 10:02
怪しいお菓子に釣られたわけでもないけれど、アリスに同行することにした。
小奇麗で明るい感じのお店だった。アリスが大きなガラス窓の付いたドアを開けると、
鐘がカランと音を立てた。魔法店というよりは喫茶店のような雰囲気。魔理沙の所とは大違いだ。
「いらっしゃい」
カウンターに座った猫が挨拶をする。猫が喋った…のも幻想郷じゃ珍しくないわね。
「あれが店主?」
「いいえ、あの子は店番。店主は出かけてるのかもね」
アリスと小声でやり取り。開店直後のせいか、私達の他に客はいないようだった。
- 550 :名前が無い程度の能力:2011/11/20(日) 23:00:56 ID:MtaCkI2w0
- 10:04
棚に近付くと、オルゴールが音楽を奏で始めた。人が近付くと鳴り出すような魔法が掛けてあったようだ。
窓際の明るい所に並んだ商品は、一見して普通の道具にしか見えないものが多い。
時計、人形、ティーセット、ハンカチ…どれもかわいらしいデザインだ。
「この湯呑みもマジックアイテムなの?」
「それはお茶の香りと味を引き出す湯呑み。1ランク上の品質が楽しめるよ。値段は…」
一瞬強く惹かれたが、その数字を聞いてそっと棚に戻した。
- 551 :名前が無い程度の能力:2011/12/22(木) 20:40:03 ID:DQpLPVjE0
- れいむーお年玉頂戴!
- 552 :名前が無い程度の能力:2012/01/03(火) 12:52:37 ID:4hHue4I.O
- 10:15
お店の品物はどれも興味深かったけど、手に取る気にはならなかった。
その間アリスは何点か買い込んでいた。
横目で見てるとどうもスプーンやら食器らしい。
一見すると何も変哲なさそうだけど…。
- 553 :名前が無い程度の能力:2012/01/04(水) 02:21:06 ID:UcvDfvCs0
- 今日3か月ぶりぐらいに見たけど、ほとんど1か月半書き込みがないやん。
- 554 :名前が無い程度の能力:2012/01/04(水) 23:04:19 ID:q5ejthUEO
- 10:18
アリスが会計を済ませている間、先に店をでた。
お店には悪いけど巫女が魔法具持っても様にはならないものね。
「お待たせ。はい、これ」アリスが紙袋を渡してくれた。中身は焼き菓子だ。
まだ暖かい。
「これって…」
「平気よ!中身は普通のお菓子。ただ袋に秘密があってね」
アリスは袋に手書きしてある何やらのマークを指して「これで中身が冷えないの」
と教えてくれた。
「霊夢、付き合ってくれてありがとう!…今日初めて入店したけど、安心な店って分かったわ」
「じゃ、何があった時には…」
まんまと利用されたようだ。
そんな私にハーブのお茶の包みをいくつかくれた。
- 555 :名前が無い程度の能力:2012/01/05(木) 06:57:40 ID:2LvWpYX6O
- 良い展開だ。
- 556 :名前が無い程度の能力:2012/01/07(土) 03:27:12 ID:Dwiz2GiY0
- 続きはよ
- 557 :名前が無い程度の能力:2012/01/07(土) 22:29:09 ID:t2PFRT2wO
- 10:20
このまま帰ってお茶を…と考えたが、まてよ!
「ねえ、このお茶どうやって煎れるの?」
「どうやって、って普通にポットに…あ!」
アリスは気付いた様だ。
博麗神社にポットが無いことを。
急須と鉄瓶はあったけど、黙っておく。
「…ならウチに来る?」
余ったポットもあるし、とまで言ってくれる。やった!。
さっきのお返し、のつもりはなかったけど、アリスも分かっているようだ。
「ただし!…今日は歩きたい気分なの。森を抜けて帰るつもりだけど、どうする?」
飛べば数刻もかからない。
歩けば?わからない。
「分かった。行くわ」
最近、あんまり歩くこともないし、まあいいか。
お昼には着く。
…当然お茶だけじゃ済まさないつもりよ?。
- 558 :名前が無い程度の能力:2012/01/11(水) 12:24:47 ID:75TO89zoO
- 10:45
アリスの先導でしばらく森の中を歩く。
道はない。大きな木々の下は小さな茂みと倒木がある程度で地面は柔らかいつやつやした苔に覆われていた。
上はうっそうとした枝葉で空は見えないくらいだけど、木漏れ日があって思ったより明るい。
…アリスったらちゃんと家に着けるのかしら?
- 559 :名前が無い程度の能力:2012/01/12(木) 23:55:07 ID:duOqyvR.O
- 11:00
しばらく進むと、せせらぎの音が聞こえてきた。
「少し休まない?」
開けた場所に泉があった。源泉の様だ。
アリスは腰をおろすとハンカチで額を拭い、それを泉に浸すと腕を拭きはじめた。
多少荷物もあったし、暑かったのだろうか?
「意外と歩けるのね?」
「そりゃ、普段境内の掃除はしてないわよ」
なんだかんだ体は毎日動かしていたみたいだ。
小さなポシェットから銀色の杯を取り出すと清水を汲んで渡してくれた。
「ありがとう」
口をつける。かすかな甘さを感じる。
杯が汗かくほど冷えた水は体にしみた。
- 560 :名前が無い程度の能力:2012/01/17(火) 00:52:05 ID:Aj.XkayUO
- 11:06
ついおいしくて2、3杯清水を飲んでしまった…ふぅ。
一呼吸して目を閉じる。
様々な小鳥たちのさえずり、さわさわと木立がそよぐ音が心地よい。
清潔で静か。
私は森の中の雰囲気が好きだ。博麗神社の裏手の森に小さい祠(ほこら)があって時々掃除するけど、あそこの澄んだ空気…気配というのかしら?…に身をゆだねると体の中が洗われるようだ。
特に“異変”解決のあとは、疲れた心を溶かし、身体が再び活力に燃えてくる気がする。
祠の少し奥に泉というか小さい池がある。
巫女の私しか知らない秘密の泉…ここで水浴びするのも私の密かな楽しみだ。
夏もよいけど春や秋でもおかまいなしだ。
たっぷり泳いで、岩の上で陽に当たりながら少し冷えた体を暖める。森の生気や太陽の力が体に染み通るよう…さらりと乾いた衣装を清めた体にまとえば、巫女として生きている感じがする。
- 561 :名前が無い程度の能力:2012/01/22(日) 05:31:02 ID:CfbJQ22M0
- (・ω・ノ)丿ッパパパパン!(・ω・ノ)丿ッパパパパン!
- 562 :名前が無い程度の能力:2012/01/22(日) 18:47:34 ID:480RPZuc0
- 11:07
霊夢「な、何!?」
アリス「ゴブリン達が何かの音楽を聴いて乗ってるのよ。
ヘッドホン励行だし、礼儀正しい連中よ。
神出鬼没だから泉なんかで泳いでたら見られてるかも」
- 563 :名前が無い程度の能力:2012/01/22(日) 21:42:41 ID:MZDsao3kO
- 11:09
“ちゃぷん”と水面が跳ねる。
アリスはいつの間にか素足になって泉に足を浸していて…青いスカートをめくって、膝下くらいまで進みながら、
アリス「気持ちいい…」
なんて1人でいい気になってる。
(……)
なんかこっちも泳ぎたくなってきたわね。
泉の霊気を巫女の体が求めているのかな?
アリス「霊夢、泳ぐつもり?」
霊夢「さぁ…別に見られて惜しいカラダじゃないし」
アリスは“そう”といった顔で微笑した。
金色の髪に赤いカチューシャ。
青い布地と白いケープで包まれた体は私よりずっと女の子らしい。
手足はすらりと延びて、背も少し高い。
それに白い肌…人形さんのようだ。
それに比べて私のは…いや、やめておこう。
アリス「でも止めた方がいいわ…服を持ってかれるかも」
霊夢「例のゴブリン達に?」
アリス「ううん、私によ」
アリスの奴、紫みたいな事言い出した…。
- 564 :名前が無い程度の能力:2012/01/23(月) 22:40:20 ID:wjZNHjJQO
- 「すごく機能的で面白い衣装だと思うの」
アリスの眼がキラッと光る。
「着てみたいの?」
「着せてみたいのよ…人形に」
アリスの顔は、まさに職人の表情だった。
「持って行ったってこの服の生地は退魔仕様よ?」
「わかってるわ。巫女しか着れないのね」
首をすくめて見せた。
その後、出発。
二人で森の中を歩いていたら、不意に視界が開けた。人形たちが出迎える。
ようやくアリスの家に到着したのだ…まさに正午。
- 565 :名前が無い程度の能力:2012/01/26(木) 14:31:22 ID:eutGRU.w0
- 12:03
アリスを裸にすると私も裸になった
- 566 :名前が無い程度の能力:2012/01/27(金) 14:40:59 ID:0I5huzxE0
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イ / /_ハ ハ , ヽ. 、 i
i ! i ,.ィ‐、レ' , ハハノ !. ',, |
', i .ハノr‐、 !ノ;'‐t、ヽ ! ! |
Vヘ/. |/!ュノ !ュ_,ハ,|ハ.|.ノ. |
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ノ./| ,i'ア.>ーrァ'i´ゝr、 i |
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/ヽヽ レ'^''ァ┬r'レ':::/ / | ト, ,〉
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くヽ/ i  ̄|:/.|::|\〉 ̄7|:::| | ハ
./\`''ー./___ .レ l;:」 |___ノ/::ト、.. |/ |
- 567 :名前が無い程度の能力:2012/01/29(日) 08:27:45 ID:N1jqo9FgO
- 12:18
と、いうわけで、なりゆきで私はアリスのモデルになっている。
「…どうすれば良いの?」
「楽なポーズでいいわ。疲れたら言ってね」
アリスは私を囲むように3つのイーゼルを並べ、いろんな向きから私を描いている。
一言もなくまさに一心不乱。声がかけにくい…。
床が板張りの居間は暖炉があって暖かい。
静かな部屋にカリカリと鉛筆の音。アリスは椅子にも座らず、せわしなく描いては移動している。
やかんから湯気があがっている。窓ガラスごしの日の光が素肌に心地よい。
床にはリボンと袖が目立つ私の影。今日は早苗にもらったブーツを履いていてよかった…。
(今、どんなカッコしてるかって?まあ、勝手に想像してね!)
- 568 :名前が無い程度の能力:2012/01/30(月) 22:57:27 ID:AtWTo2o.O
- 12:30
アリスは描き続けている。私はひま。
じっ、としているのも何なので肩を回し、腰をひねって筋を伸ばしてみる。体のあちこち音を立てる。
つぎに拳を握り、臍下丹田…“せいかたんでん”つまりおへその下ね…に力を入れて、ゆっくり息を吐く。頭はすっきり。全身が引き締まるような快感。
うーん、まだ時間が…では部屋の様子でも観察しようか?。
居間には3つのガラス窓、高い天井にも小さい明かり窓がある。明るい。
アリスの背後には大きな本棚。上から下までぎっしり背表紙で埋まっていて、さらに床に積んだ山が…いくつあるかしら?。
その隣は食器棚。陶器製のお皿やカップはきれいで上品そう。どこで手に入れたのだろう?。
居間の向こうにはキッチン。鍋やフライパンがぶらさがっている。
ベッドのある寝室はここからはみえない。
- 569 :名前が無い程度の能力:2012/01/31(火) 22:15:37 ID:KHq0SFjMO
- 12:50
アリスは椅子に座っている。仕上げに入ったようだ。
ちらりと見たら、おや!縁なしのメガネをかけていた。いつの間に…てかアリス目が悪かったかしら?
と、思ってたら
『…っ!』
気配を察した!誰かが来るようだ。
当のアリスは私の斜め後ろで相変わらず筆をにぎってる。
仕方ない…巫女の悲しさなのかな、右袖に仕込んだ護符にそっと手を伸ばし、入り口扉に顔を向けた。
すぐ身構えて応戦できるように手足の配置をゆっくり変える。
気配は強まる、両腕を上げた。弓を絞るように力を少しずつ全身に入れて…
「あ、いいポーズね!そのまま、ちょっと!」
アリスの声に気が抜けた。「…平気よ」
笑顔で向いて、空いた手をふわりと出した。でも人形たちはそのままだ。
と、すると…。
「アリスいるかー!あっ?霊夢だー!」
扉を開けたのは蒼色のいたずら氷精…。
- 570 :名前が無い程度の能力:2012/02/01(水) 14:18:29 ID:W1gy6tBo0
- 12:51
「あたいも裸になるー!」
氷精も裸になった…なんで?
- 571 :名前が無い程度の能力:2012/02/01(水) 23:38:17 ID:1of/eqU2O
- 12:55
「サイキョー!」
裸足の氷精はぴょん、と飛び跳ねて、でんぐり返しした。
こらこらまったく…
ぽっこりした小さな体に白い肌がまぶしい。
あまりのことで私は身構えたまま固まってしまった。
「?」
チルノは青い眼をぱちぱちさせてそんな私を見ている。
「チルノ!…うちに入る時は扉をノックして」
アリスはなんか方向性の違うお説教をすると、床に落ちていた袖なしの肌着とちっちゃいドロワを拾い
「おへそ冷えちゃうわ、着なさい」とチルノに渡した。
「ねぇ?霊夢はどうしたの?アリスは何してるの?」「何してると思う?」
「うーん…あっ!“ケンキュー”ね?」
「ふふ、まあそんなとこ。霊夢の強さを調べてるのよ…今は、魔法をかけていて動けないのよ」
「おーっ!そうか!」
アリスったら何いってんの!
と、チルノはトテトテ近づくとまたじっと見て
「わからん」
と首をひねった。
- 572 :名前が無い程度の能力:2012/02/03(金) 13:41:38 ID:ipNdcsGA0
- 13:14
アリスの絵が仕上がったので、三人でお茶にする。絵はシンプルながら、特徴を捉えた仕上がりだった。
「その絵、どうするの?」
「人形作りの参考にするつもりだけど……」
「人形ができたら絵はもらえるかしら」
「そんなにうまく描けてる?」
「他人に見せたくないだけよ」
魔法店で買ってきた焼き菓子は甘くておいしい。また行ってみようと思う。
- 573 :名前が無い程度の能力:2012/02/03(金) 21:27:12 ID:jot08O0YO
- 13:20
「今日は奮発よ!」とアリスは肉入りのパイや具だくさんのスープを出してくれた。
「うわぁ」
チルノは丸い眼をさらにまんまるにする。
美味しそうな匂いがたまらない。
(うーん)
いや、本当においしい。
パイはバターと香草が利いていて良い風味だし、野菜と腸詰めが入ったスープはこれだけで十分な量だ。
さらにチルノには牛乳入りの紅茶が、私には温めた赤ぶとう酒がついた。
「お疲れ様!あったまるから!」
アリスの特製は蜂蜜とハーブ入りの自家製。
これだけ出されたら、一肌脱いだ甲斐もあったかな?
- 574 :名前が無い程度の能力:2012/02/04(土) 13:42:26 ID:L5SCa2gk0
- 13:48
食事を終えてアリスと二人で後片付けをする。チルノはソファで眠ってしまった。
放っておいても風邪をひくことはないでしょう。
「この後は何か予定があるの?」
「午後は家にこもって人形を作るつもり」
あまり神社を空けっぱなしにしておくわけにもいかないし、私も一度帰ろうかしら。
- 575 :名前が無い程度の能力:2012/02/05(日) 18:11:19 ID:pW1zRH1k0
- 14:00
「今日はごちそうさま。そろそろお暇するわ」
「お粗末さま。また宴会には呼んでね」
チルノを残してアリスの家を後にする。
そういえば最近大きな宴会をしていなかった気がする。
- 576 :名前が無い程度の能力:2012/02/06(月) 22:48:02 ID:WEGq7I4A0
- 14:17
「お、おかえり霊夢」
「ただいま、あんたも暇ねえ」
家に帰ると萃香が縁側でのんびりしていた。
「霊夢も人のこと言えないだろ。そう言えば文屋がこんなの置いてったよ」
「また新聞?あいつもよく飽きないわね。え〜と、なになに?」
新聞には大きな見出しで【博麗神社大宴会!】とだけ書かれていた。
- 577 :名前が無い程度の能力:2012/02/07(火) 05:01:41 ID:h/CjQktg0
- 14:18
「あんたの差し金?」
「そうだよ。準備ができたら人を萃めるから頑張ってね」
「手伝いなさいよ」
「じゃあ買い出しにでも行ってこようかね」
萃香はそう言って消えた。随分勝手に決めてくれる。でもタイミングは悪くない。
萃香が帰って来るまで会場設営でもしておくことにする。
- 578 :名前が無い程度の能力:2012/02/08(水) 02:04:23 ID:OfeTl9xU0
- 14:37
茣蓙を敷き終わったところで、パルスィがふらっと姿を現した。
「珍しいわね。宴会にはまだ早いわよ」
「そのようね。出直すことにするわ」
立ち去ろうとした襟首を掴む。パルスィの口から妙な声が漏れた。
「折角だから手伝っていきなさい。とりあえずある物で料理を始めちゃうから」
「……いいわ」
もっと渋るかと思ったけれど、すんなり台所についてきてくれた。
- 579 :名前が無い程度の能力:2012/02/08(水) 13:34:19 ID:s66ojBa.0
- 14:40
パルスィが裸エプロンで料理してた…
なにがしたいんだこの娘は…
- 580 :名前が無い程度の能力:2012/02/08(水) 14:31:49 ID:x8/LkW4.0
- 14:42
「何でそんな格好で料理してんのよ…」
「え、地上で料理する時の正装だって聞いたんだけど?」
「あんたそれ絶対騙されてるって。誰よそんな事言ったのは?」
「それは…」
- 581 :名前が無い程度の能力:2012/02/08(水) 23:18:52 ID:bZC5X33Q0
- 14:43
「えへへ〜♪私だよ!」
「うわっ!?あんた何時の間に.....」
突如現れたのは地霊殿の主の妹こいし無意識を操る少女だ
「まったく、急に現れて、これじゃあまるであいつみたいじゃない」
- 582 :名前が無い程度の能力:2012/02/09(木) 01:03:38 ID:H19f9.9gO
- 14:45
魔理沙「…あいつって?」
紫「誰かしらぁ♪」
- 583 :名前が無い程度の能力:2012/02/09(木) 07:56:56 ID:xoVkWD420
- 14:46
「ああもうっ、お前らどっか行ってろ!」
パルスィは突然どっかから湧いてきた連中を、包丁を振り回して台所から追い出す。
「嘘じゃないかとは思っていたのよ……こんな恰好で料理している奴なんてほとんど見たことなかったし。
明らかに作業しにくいでしょ。それをあの子が強引に……恥ずかしいったらないわ」
とんとんとんとんと大根を切りながら文句を言う。迂闊に声をかけたりすると刺されかねない雰囲気だったので、
私は釜の火をじっと見ていた。パルスィは切り終わった大根を鍋に放り込むと、平服に着替えたようだった。
- 584 :名前が無い程度の能力:2012/02/09(木) 18:03:43 ID:CGglvbsg0
- 14:55
「霊夢〜!居るかしら?」
「お邪魔します」
「は〜い、って!?あんた達どうしたの?」
玄関には大量の食材を持った咲夜と妖夢がいた。
どうやら紫に言われて手伝いに来たらしい。
「久しぶりの宴会だし、やるなら派手な方がいいでしょ」
「頑張ってたくさん作りましょう」
そう言って二人は台所へ入っていった。
- 585 :名前が無い程度の能力:2012/02/09(木) 21:26:18 ID:H19f9.9gO
- 14:57
さて私はお茶でも…と矢先、台所から絶叫が!?。
(…まったく!)
覗いて見れば咲夜と妖夢が肩を並べて身構え、その先にはエプロンだけ、の紫と魔理沙が悠々とまな板に向かっている。
咲夜「な、なな…貴女たちは!」
妖夢「ま、魔理沙っ、失礼ではないですか!」
魔理沙「!、何がだ?」
紫「…魔理沙、お酢を取ってもらえる?」
魔理沙「ああ…ん?酢の物か?」
紫「このお出汁(ダシ)と薄口醤油でね、じゅんさいの三杯酢よ!」
妖夢「ゆ、ゆゆ…」
紫「幽々子?」
妖夢「違います!こちらを向いて下さいませんか?魔理沙も!」
魔理沙「今私はぜんまい(山菜)と夏茸(キノコ)の下ごしらえ中でな…」
妖夢は屈辱感溢れた顔で、咲夜は眼が血走っている。
何て言うべき状況かしら?
- 586 :名前が無い程度の能力:2012/02/10(金) 13:53:56 ID:aLYNFLCo0
- 14:58
刀に手をかけた妖夢の襟首を掴んで台所から引っ張り出す。咲夜にも付いてくるように言った。
「宴会の前に刃傷沙汰は勘弁よ」
「はあ、すみません」
境内に出て二人とも少し落ち着いたようだった。茣蓙にパルスィがぽつんと座って憮然とした顔をしていた。
「あら。あんたは台所にいたんじゃないの?」
「あのスキマに追い出されたのよっ!全く信じられないわ。料理をしているところを台所から追い出すなんて……」
確かに勝手な連中だ。とはいえ宴の前にあまりことを荒立てたくもないし……
「ただいまー」
萃香が食材と大量の酒を背負って帰ってきた。
- 587 :名前が無い程度の能力:2012/02/11(土) 15:21:30 ID:BUDqmv1o0
- 15:01
「台所は紫達に任せて、私達は先に始めちゃいましょう」
「おう、もう人を萃めても良い?」
「既に萃まっている気もするけど……良いわ、やっちゃって」
「この食材はどうするのかしら?」
「外で料理できるものはここでやることにしましょう。台所で余った道具を取って来るわ」
ついでに漬物を取って来る。萃香が即席で組んだかまどで野菜や茸を網焼きにする。
パルスィと咲夜は野菜スティックを作っている。こいしは早速飲み始めた。
いち早く飛んできた文には、アリスを呼んできてくれるように頼んだ。
- 588 :名前が無い程度の能力:2012/02/12(日) 09:35:27 ID:TaJkh.vo0
- 15:04
文と入れ違いにはたてが飛んできた。
「台所の方から事件の臭いがするわね」
私に断りも無しに勝手口から入っていく。
幽々子がふわふわと降りてきた。
「妖夢たちだけで先に始めちゃうなんてずるいわ」
料理に手を出される前に萃香が酒を注いだ猪口を渡し、そのまま一緒に飲み始める。
分社から神奈子が酒樽を持って姿を現し、宴会ムードに惹かれてやってきた勇儀と飲みだす。
- 589 :名前が無い程度の能力:2012/02/13(月) 11:31:17 ID:/Md1MfLc0
- 15:07
騒ぎを聞きつけた騒霊三姉妹が現れ、さらに騒がしくなる。
ミスティアとリグルが屋台を引いてきて、八目鰻を売り始める。
悪戯をしようと隠れていた三妖精はこいしに捕まって、そのまま酒席に引っ張り込まれる。
藍も橙を連れて境内に現れた。
「また紫様が迷惑をおかけしているようで…」
- 590 :名前が無い程度の能力:2012/02/14(火) 12:12:02 ID:plfM1TAE0
- 15:21
妖怪や妖精が次々に現れ、境内はどんどん賑やかになっていく。
夕方から夜にかけて、その数は増えていくことだろう。
この様子を見れば、人間の参拝客が寄り付かないのも無理もないように思われる。
酒と食料が足りなくなりそうなので、紫と萃香に折を見て補充してくれるよう頼んでおく。
鬼や神様たちはかぱかぱ杯を空けていくが、私は早々に倒れるわけにもいかないので
適当に給仕にまわりつつ、セーブして飲んでいた。
- 591 :名前が無い程度の能力:2012/02/15(水) 09:22:47 ID:UDZhVbtc0
- 15:30
アリスが来る。
「宴会に呼べとは言ったけれど、随分急ね」
「首謀者はあいつよ」
文は一足先に戻って、その首謀者と一緒に飲んでいた。
魔理沙と紫も料理を運んできて、そのまま酒席に加わった。二人とも既に平服に戻っている。
というかはたてが台所に飛び込む寸前に着替えていたようだ。
- 592 :名前が無い程度の能力:2012/02/17(金) 04:08:35 ID:EVvriuAY0
- 15:51
幽々子と勇儀が弾幕ごっこを始めた。酒席の余興らしい。
二人とも相手に当てることはあまり考えていないようで、見た目の美しい弾幕を放っている。
天狗の記者たちは二人の周りを飛んでは弾幕を撮っている。
近くで飲んでいた魔理沙に、あんたは加わらないのかと聞いてみると、
「私の弾幕は夜の方が映えるからな」
と言っていた。
「亡霊のお嬢様と地底の鬼、はたしてどちらが勝つか。さあ張った張った!」
賭けが始まった。てゐが胴元のようだ。
- 593 :名前が無い程度の能力:2012/02/18(土) 01:39:15 ID:QRMcs7vE0
- 15:53
「そういえばチルノはどうしたの?」
アリスに訊いてみる。
「気持ち良さそうに寝ていたから、起こさずに来たわ。
いちおう置手紙を残してきたから、目が覚めたら来るかもね」
来たら来たでうるさいけどね。
- 594 :名前が無い程度の能力:2012/02/18(土) 19:51:25 ID:QRMcs7vE0
- 15:55
文が降りてきた。
「良い写真は撮れた?」
「ばっちりです。カメラを構えた私の姿までしっかり写っていますよ」
物理的に不可能な気がするけれど、天狗の新聞にはよくそういう写真が載る。
- 595 :名前が無い程度の能力:2012/02/19(日) 17:26:05 ID:AThjmPjI0
- 15:57
パルスィが林檎を剥いていた。
「ところで橋姫が橋を離れても良いの?」
「あまり良くはないわね」
「どのくらい?」
「閻魔様ならお説教するくらい」
「大したことはないわね」
「そう、しばらくなら大丈夫。でも橋にいなくちゃ橋姫とはいえないかもね」
「つまり」
「ただの姫」
「……何かランクが上がっている気がするわ」
「姫様と呼んでも良いわよ」
「仰せのままに、姫様」
「……ごめん、恥ずかしいからやっぱり無しで」
細長くつながっていた林檎の皮がぷつりと切れた。
- 596 :名前が無い程度の能力:2012/02/20(月) 17:05:18 ID:4/MttzPA0
- 16:00
弾幕ごっこの観衆からどよめきが起こる。幽々子が巨大扇子を出したようだ。
やっぱりあれ迫力あるわね。文が再びカメラを構えて飛び上がっていった。
- 597 :名前が無い程度の能力:2012/02/21(火) 18:44:28 ID:xfk5AAlE0
- 16:06
弾幕ごっこの決着が付いたらしく、幽々子と勇儀が降りてくる。観客が拍手をしているところを見ると、
良い勝負だったのだろう。てゐが賭けの配当をしているが、間違いなく自分が一番儲けている。
文とはたても降りてきた。何やら言い合っている。大方どちらの写真が良いかで喧嘩でもしているのだろう。
私は魔理沙たちと喋っていて、勝負の内容までは見ていなかった。
- 598 :名前が無い程度の能力:2012/02/22(水) 14:14:55 ID:MZSuvSKM0
- 16:10
永遠亭からはてゐだけでなく輝夜も来ていた。
「鈴仙と永琳は留守番?」
「二人は里に寄ってから来るそうよ。
イナバの用意してくれたお弁当があるのだけれど、貴女も食べる?」
遠慮なく分けてもらう。筍の煮物は特においしかった。
「よく来たな、輝夜。最近は何か珍しいアイテムは無いのか?」
魔理沙が勝手に箸をのばしながら訊く。
「あっても貴女には教えたくないわね」
- 599 :名前が無い程度の能力:2012/02/23(木) 23:19:23 ID:DP831Dhg0
- 16:15
プリズムリバーの演奏に合わせてミスティアが歌い始めた。妖精や若い妖怪達は彼女たちを囲んで盛り上がっている。
八目鰻はしばらくお預けのようだ。上空では天子と幽香が弾幕ごっこを始めた。
宴会場の真上でやっているわけではないけれど、石とか飛んでこないか少し不安になる。
- 600 :名前が無い程度の能力:2012/02/24(金) 13:31:30 ID:SrDNKqTg0
- 16:21
それなりに酔えたしお腹もふくれたので、私も弾幕ごっこでもしようかな。
「私でよければ相手になるわよ」
輝夜はそう言ってくれるが、腹ごなしの相手としては少し厳しい。
だからといって退くつもりはないけれど。
- 601 :滝(副管理人) ★:<激写されました>
- <激写されました>
- 602 :名前が無い程度の能力:2012/02/24(金) 15:32:48 ID:j0j4VyzI0
- 文「>601」
…カラスの手羽先って美味しいのかしら?
- 603 :名前が無い程度の能力:2012/02/25(土) 01:26:42 ID:u8MlVumU0
- 16:25
幽香がふらふらと降りてくる。天子が勝ったようだ。
てゐ達の様子を見ていると、幽香に賭けていた妖怪の方が多かったらしい。
私達の弾幕ごっこも賭けの対象にされるのだろう。輝夜が先に森の上空まで飛んでいく。
私もその後に付いて飛び、適当な所で向かい合った。輝夜が言う。
「さあ、手加減してあげるから本気で掛かってくるといいわ!」
カメラを構えた文がぎょっとしたような表情を浮かべていた。
- 604 :名前が無い程度の能力:2012/02/25(土) 05:14:28 ID:AZ6KTthk0
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- 605 :名前が無い程度の能力:2012/02/25(土) 17:26:12 ID:u8MlVumU0
- 16:27
――新難題「月のイルメナイト」――
文の新聞で見たことのある弾幕だった。輝夜からの距離を保ちつつ、その周りを大きく回って避ける。
――散霊「夢想封印 寂」――
避けながらこちらもスペルカード宣言、札や陰陽玉を投げ付ける。
輝夜は小さい動きでそれらをかわしつつ、距離を詰めてくる。ならば、
――夢符「二重結界」――
輝夜の動きが止まる。続けて札を投げようとしたところで、輝夜が次のスペルカードを宣言した。
――神宝「毘沙門天の宝塔」――
「ちょっ、何でそんなもん持ってるのよ!?」
「さっき下で借りてきたの。凄いわね、この光」
- 606 :名前が無い程度の能力:2012/03/01(木) 01:01:07 ID:7X8gdiEk0
- 16:28
星やナズーリンが使った時とは少し違う形の弾幕を避けつつ、反撃する。
――結界「蓬莱人撃退結界」――
「そんなスペルまで作っていたの!?」
――ぴちゅーん、被弾した輝夜はふらついたが、踏みとどまった。
まあほとんどパパラッチどもに使った弾幕の名前を変えただけなんだけれど。
「痛いわね。ならこれでどう?」
――神宝「五つの難題」――
「なっ!?」
- 607 :名前が無い程度の能力:2012/03/01(木) 21:08:51 ID:7X8gdiEk0
- 17:03
「気が付いたようね」
幽香が私の顔を覗き込んでいた。輝夜が近づいてくる。
「ごめんなさいね。あなたなら全部一度に出しても避け切れるんじゃないかと思って…」
「無茶言わないでよ。素面の時ならともかく……いたた」
頭に手をやると大きな絆創膏が貼られていた。幽香が貼っているのと同じものらしい。
「うん、頭も概ね大丈夫そうね」
永琳が言う。里での仕事を終えて宴会に加わったらしい。
「何よ、概ねって」
- 608 :名前が無い程度の能力:2012/03/04(日) 04:42:07 ID:tBFJvrpc0
- 17:05
「霊夢があっさり負けるなんて、やっぱり強いわね。どう、今度は私と?」
幽香が輝夜を弾幕ごっこに誘う。被弾回数は一回ずつなんだから、
ルール上は引き分けみたいなものだと思う……みっともないから言わないけど。
「良いけど、また今度にしましょう。少し疲れたわ」
疲れている様子は見えないので、ゆっくり飲み食いするための方便だろう。
鈴仙が淹れてくれた熱いお茶を飲む。薬が入っているのか少し変わった風味がある。
飲むと気分が落ち着く気がした。
- 609 :名前が無い程度の能力:2012/03/05(月) 04:59:21 ID:vodiy/EM0
- 17:13
咲夜がタネ無し手品のパフォーマンスを始めた。時間を止めているだけだと分かっていても、
見せ方がうまいので結構面白い。
「でもちょっとマンネリの感はあるよな」
魔理沙が呟く。それを聞きつけた咲夜が魔理沙の腕を掴んで、
「ではここで魔理沙さんに協力してもらって人体切断のマジックを……」
「ちょ、それはタネが無いと死ぬだろ!」
- 610 :名前が無い程度の能力:2012/03/06(火) 03:46:18 ID:9OVD0L4U0
- 17:15
咲夜が魔理沙のお腹を布で隠し、妖夢が刀を振った。魔理沙の上半身の方が私の前に運ばれてくる。
「よお、霊夢。真っ二つになったぜ」
魔理沙はタネが分かっているのか、にやにや笑っている。私にも分かったので、苦笑で応じる。
- 611 :名前が無い程度の能力:2012/03/07(水) 01:33:36 ID:qyXD1Qtg0
- 17:16
「あははははははっ!」
魔理沙が突然笑い出してぎょっとする。
「ちょっと咲夜!一人だけ先に来て遊んでいるなんてずるいじゃない!」
レミリアとフランが来ていた。フランが魔理沙の足をくすぐったらしい。
「申し訳ありません、お嬢様。お目覚めになるころにお迎えに上がろうと思っていたのですが」
「もう十分陽が傾いたから、二人でも来られるわよ」
- 612 :名前が無い程度の能力:2012/03/08(木) 18:23:30 ID:mEzoTB5k0
- 17:18
魔理沙の体も無事にくっつき(スキマから這い出ただけだが)、咲夜の手品は終わった。
「危うく笑い死にするところだったぜ」
今度はアリスが人形劇を始めた。新しいネタも仕込んできたようだ。
「それでもいつも見ているとマンネリの感があるな」
懲りずに余計なことを言った魔理沙が何かに引っ張られたように立ち上がり、スカートの裾を摘まんでお辞儀をした。
「わたし、霧雨魔理沙。よろしくね……って何やらすんだ、コラ」
アリスの頭をひっぱたく。人形劇なんだか漫才なんだか。
- 613 :名前が無い程度の能力:2012/03/10(土) 10:37:58 ID:ywe0UX.U0
- 17:50
「暗くなってきたし、私も弾幕ごっこでもやるかな」
「奇遇ね。私も同じことを考えていたわ」
アリスの人形劇が終わり、今度は魔理沙とレミリアが弾幕ごっこをするようだった。
「えー、私もやりたい」
フランがねだり、
「妖夢、お相手してさしあげなさい」
「え……分かりました」
とその次のカードも決まった。
- 614 :名前が無い程度の能力:2012/03/11(日) 17:37:28 ID:jtWZZEGE0
- 18:32
――恋符「マスタースパーク」!――
「きゃああ!」
「魔理沙が勝った!」
「流石ね。すごいわ!」
「綺麗な魔法だったね」
「同じ魔法使いとして私も負けていられないわ」
- 615 :名前が無い程度の能力:2012/03/12(月) 17:00:15 ID:oZxCh5YU0
- 18:36
「……という夢を見ているみたいね」
酔って眠ってしまった魔理沙を見ていたさとりが言った。
「何か腹立たしいわね、落書きをしてやろうかしら」
「はい」
紫がスキマから筆を取り出してレミリアに渡す。
- 616 :名前が無い程度の能力:2012/03/13(火) 18:15:04 ID:173.qKSw0
- 18:37
魔理沙は弾幕ごっこを始める直前に「やるぞー!」と叫んでそのまま倒れてしまったのだ。
飲み過ぎらしい。上空ではフランと妖夢の弾幕ごっこがまだ続いている。フランが押しているようだ。
レミリアが魔理沙の右の頬に「⑨」と書き、さとりが反対の頬に自分の第三の眼を描いた。
「すっかり弾幕ごっこの気分だったのに、これじゃ不満だわ。霊夢、相手してよ」
「嫌よ。私はさっき輝夜としたところだし」
それに魔理沙ほどじゃないけれど、私も既に結構酔っている。今日は酒量を抑えていたはずだったのだけれど。
- 617 :名前が無い程度の能力:2012/03/15(木) 10:50:21 ID:CjzJHKcY0
- 18:39
妖夢が被弾してふらふらと落ちてきた。
「情けないわねえ。あんな小さな子に負けちゃうなんて」
幽々子が呟くが、フランの方が十倍近く長く生きているはず。
「さて、次は私の番よ」
レミリアが飛び上がり、
「それじゃあお相手しましょうか」
とさとりがその後を追った。二人の弾幕ごっこも気になったけれど、
いよいよ酒がまわって眠くなってきたので、先に休ませてもらうことにする。
- 618 :名前が無い程度の能力:2012/03/16(金) 07:28:05 ID:QcdxZZ7E0
- 19:08
お風呂で汗を流して出てきた時も、まだ境内は賑やかだった。
五月蠅くて眠れないと思ったが、
疲れていたせいか布団に入るとあっという間に眠りに落ちた。
- 619 :名前が無い程度の能力:2012/03/16(金) 14:00:35 ID:oVPo/x7QO
- 22:35
ふと眼が覚める。
喉が乾いてる…。
宴会はお開きのようで中も外も静かだ。
(!?)
なにか重みを感じてみれば布団の上にチルノが寝ていた!…いつの間に?
月明かりに照らされた顔は気持ちよさそに寝息を立てて…起こすのが可哀想になってきた。
仕方ない!気を付けながら布団の中に入れてあげて。私は台所へ水を飲みに。
再び布団にもぐればチルノの羽根の冷気が心地よくて…耐冷仕様の巫女服なら抱いてあげれたのに、と思いつつ眠りの中に沈んでいった。
- 620 :名前が無い程度の能力:2012/03/19(月) 23:07:55 ID:UGhl2RBcO
- 4:52
早寝したせいかこんな時間に眼が覚めてしまった。
寝間着の浴衣のまま布団を出る。チルノは当然眠りの中だ。暑かった?のか上着が丸めて放り出してある。畳んで枕元に置いてあげた。
さて!私は日課の柔軟体操を始めた。
体術訓練の一環だけど、とにかくたっぷり時間をかけて身体中を伸ばしたり縮めたりする。
次に梁にぶら下がって体を「く」の字に曲げる。
膝頭がおでこにくっつくまで曲げ伸ばしするけどさすがにきつい…。
逆立ちして腕を上下する。
この頃には体が熱くなり汗がぽたぽた落ちてくる。
別に努力をしている訳じゃない。ただこの時間だけは頭の中から不安のもやもやが消える。
外の井戸端で着衣のまま水をかぶり、そのまま正座して息を整える。
ふと見ると山の向こうが紫色に染まって、ゆっくり明るくなってきた…。
- 621 :名前が無い程度の能力:2012/03/22(木) 22:42:11 ID:18Qqhzx2O
- 06:03
上がった息も落ち着いてきた。
東に顔を向ける。眼を閉じて手を合わせ、心の中で夜明けの太陽に祝詞を呟く。
濡れた体を朝の風がなぜる。
さすがに冷えを感じてきた。
奏上を終えると一区切りとなる。
まずは朝風呂に…と立ち上がると
「おはよう」
肌着姿のチルノが縁側にちょこんとこちらをみていた。
「お早う。私はこれからお風呂だけど入る?」
「うん、はいるはいる」
ぴょん、と飛び降りたものの寝ぼけてるのかふよふよしている。
手を引いて浴室の裏口に向かった。
- 622 :名前が無い程度の能力:2012/03/23(金) 23:53:52 ID:j/MPwPow0
- 6:49
風呂から上がって、着る服を選ぶ。いつも同じ格好だと思っている奴もいるけれど、
巫女服もリボンもデザインの違うものを何着も持っている。赤いリボンを結ぶと、気が引き締まる。
「気が引き締まるわ」
チルノが青いリボンを結びながら言う。こいつと思考パターンが被るのはあまり嬉しくない。
- 623 :名前が無い程度の能力:2012/03/24(土) 11:15:47 ID:EwL5xIVs0
- 7:30
朝食にしたいけど米が切れていた。そういう時に限って野菜も残ってない。
近くの森を見回ってキノコを見つけたけど、食べられるか微妙なものばっかり。
この時間じゃ人里の店もまだだろう。 さてどうしたものか。
「れいむー、たいりょうだよー」
なんと、チルノが湖で魚を捕ってきてくれたのだという。予想外の親切が今はとてもうれしい。
でも氷が解けて食べられるようになるのはもうしばらく先になりそうだ。
- 624 :名前が無い程度の能力:2012/03/24(土) 13:01:00 ID:CkeFXSWQO
- 07:34
桶に水を張り、凍り漬けの魚を少し砕いて浮かべる。
「おお!とけてきたぞ!」
桶に手を突っ込んだチルノがくるくる氷水を回して歓声をあげる。
こちらは任せるとして、ふと炊事場をみたら鍋がひとつ…蓋を開けてみると雑炊が入ってる!
昨夜の宴会の鍋物の残りのようだ。
これで朝食はなんとかなったわね!
- 625 :名前が無い程度の能力:2012/03/25(日) 10:59:18 ID:M8JVkriMO
- 07:40
かまどに火を入れる。
燃え残りの炭をかき混ぜ火種で書き損じの紙や落ち葉を燃やす。
このあたりの所作は年期が入ってきたわね…。
ゆるい火で鍋を暖め始める。少々具が少ないので、例の魚を入れようかな。
「おはよー」
萃香だ。散歩にでも行ってたのか。
「ほい、朝御飯に!」と渡してくれたのは風呂敷に包まれた大根にせりの葉、姫竹(たけのこ)に切り餅少々…。
「どうしたの?」
と聞けば、溝にはまった荷車を出してあげたという。里の市場に行くお百姓さんだったそうだ。
チルノが溶けた魚を持ってきた。いろんな種類に萃香も眼を丸くする。
さて、私の仕事だ。
ウグイは味噌をつけて焼き、コイは三枚おろしで洗い(刺身を冷水で洗う)に。ドジョウとナマズは鍋に入れよう。
大根も鍋に。せりはおひたし。たけのこは湯がいて…。
さあ、朝ごはんよ!。
- 626 :名前が無い程度の能力:2012/03/26(月) 12:36:03 ID:pfyGkZCY0
- 8:13
やけに豪勢な朝食を食べ終え、境内の掃除でもしようかと外に出たが、
境内には既に首一つ落ちていなかった。働き者の庭師かメイド、
あるいは消え方の潔さも美学と嘯く妖怪達の仕業だろう。
竹ぼうきを元の場所に戻し、ぶらぶらと境内を歩いていると、
つつじの蕾が赤く色づいていた。そろそろ春も終わりなのかもしれない。
- 627 :名前が無い程度の能力:2012/03/28(水) 12:34:53 ID:5n3OKHBg0
- 8:17
チルノも境内に出てきた。かと思えば、
「よっしゃー!行くぞー!」
と叫んで、湖の方へと凄い勢いで飛んで行った。朝から元気ね、あいつは。
⑨は例外として、辺りは静かだった。朝は妖怪も妖精も眠っている奴が多い。
縁側にまわると、萃香が酒を飲んでいた。こいつはいつ眠っているんだろう?
- 628 :名前が無い程度の能力:2012/03/28(水) 22:23:18 ID:RzbTcBy6O
- 08:20
萃香はちゃっかり朝ごはんの一部を肴にしてご満悦だ。
焼き魚は山椒味噌を利かせて香ばしいし、鯉の洗いは酢味噌、たけのこはおかかに醤油かけ…たしかにこんなアテを出されたら呑みたくなるのもわかる。
正直、私もかなり気持ちが揺らいだが、朝から飲むのは流石に抵抗があった。
朝から体を動かして、汗と一緒に昨夜の酒精を絞り出したばかりだしね…。
「ところでさ、お米はどうするの?」
萃香が少し真顔で聞いてきた。
たしかに…里に行きたくても持ち合わせがない。
どうしよう?
- 629 :名前が無い程度の能力:2012/03/29(木) 10:00:01 ID:MwfTbYgA0
- 8:23
とりあえず困った時の…と神棚の上を見ると、米の入った袋が置いてあった。
明日の朝くらいまではこれで凌げそうだ。
お金は無いけれど、営業も兼ねて人里まで散策に出てみることにする。
- 630 :名前が無い程度の能力:2012/03/29(木) 15:47:28 ID:Q5RMsGdo0
- 9:45
人里まで出てみると、偶然阿求に出会った。
「おはようございます。今日はどうかしたんですか?」
事情をかいつまんで説明すると、彼女の方も笑顔になって
「ちょうどうちの本棚を整理するのに手伝ってくれる方を探していたのですよ。
少しですがお礼も出せますので、もしよければいかがでしょうか?」
さて、どうしたものか。
- 631 :名前が無い程度の能力:2012/03/30(金) 09:04:38 ID:G6ggYXGU0
- 9:48
「自分で整理できないくらい大量の本があるの?」
阿求と並んで歩きながら訊く。
「まあ、そうですね。本棚というより書庫といった方が適切かもしれません。
主に幻想郷縁起の資料なのですが」
「あんた一回読んだら覚えちゃうんでしょ。何でそんなに……」
「処分するのも難しいんですよ。貴重な書物も多いので、
信用のおけない所にお譲りするわけにもいきませんし」
「整理整頓は使用人の人たちには任せられないの?」
「ええ、それはあまりに危険ですので」
危険?怪訝な表情を見てか、阿求は説明を続ける。
「妖怪や魔法使いの書いた本には、
それ自体化物じみた所がありまして。迂闊に触ると、発狂したり引きずり込まれたり……」
……断ろうかしら
- 632 :名前が無い程度の能力:2012/03/30(金) 14:35:28 ID:DW4oLuXgO
- 9:52
「あっ?美鈴さん!」
不意に阿求が声を上げた。
里の大通り、お店が並ぶ道を美鈴と咲夜が並んで歩いていた。
「阿求さん!お早うございます」
よく通る声。
胸の前に両手を合わせて笑顔を向けてくる。
以前、話を聞きに紅魔館を訪問したとき、世話になったとか。
こういうお客は大歓迎。
得意げに家の由来を語るレミリアの姿が想像できた。
隣の咲夜は目礼しただけだ。館のメイド服の上に黒地の膝まであるマントを羽織っている。
美鈴はいつもの緑の絹地の服だが人混みでも目立つ二人だ。
「今日は買い出しなんですよー、えっと咲夜さんのヘルプです!」
手を振る美鈴に、何故か咲夜が困った様な顔をしてる。
ふと、思い付いた。
そうだ、紅魔館!。
あの大図書館の本好き魔女にあの話を振ってみよう!。
- 633 :名前が無い程度の能力:2012/03/31(土) 13:03:46 ID:cNdmO3t.0
- 9:59
「……というわけなのよ」
「ふうん、その本は紅魔館の図書館に貰っちゃっても良いということかしら」
「ええまあ。私は全部覚えていますし」
「パチュリー様がお喜びになりますわ。では私と美鈴で運び出すことにしましょう」
「パチュリー本人を連れてこなくて大丈夫?」
「稗田様に扱える程度の本でしたら、私たち二人でも問題ありません。
パチュリー様はお出かけが苦手ですし」
「ではお願いしましょうか。気を付けてくださいね」
「ご心配なく。稗田様には作業の済み次第、それなりのお礼をさせていただきます」
私はお礼を貰い損なった気がする。
- 634 :名前が無い程度の能力:2012/04/01(日) 15:45:16 ID:CprhE0d.0
- 10:02
「では私はお二人を書庫まで案内しますので、これにて」
「私も手伝おうか?」
「手は足りてるし、気持ちだけ受け取っておくわ」
と咲夜に言われ、三人と別れてまた一人で人里をぶらぶらと歩く。
まあ最低限の生活物資は神棚に現れるから、無理に儲け話を探す必要は無いんだけれど。
- 635 :名前が無い程度の能力:2012/04/02(月) 02:52:40 ID:pLSn9WaU0
- 10:05
人里を歩いているとお尋ね者のはり紙を見つける
えっとなになに…
霧雨魔理沙 強盗および空き巣の常習犯
捕らえた者には米俵を5俵与える
幻想郷警察
- 636 :名前が無い程度の能力:2012/04/02(月) 08:23:18 ID:omKKoC1c0
- 10:06
いくらお金に困っているからといって友人を売るなんて……
魔理沙、この時間帯ならまだ家にいるかしら?
- 637 :名前が無い程度の能力:2012/04/02(月) 22:37:30 ID:NhuW4VFU0
- 1分しか悩んでねぇw
- 638 :名前が無い程度の能力:2012/04/03(火) 00:44:18 ID:iME67HUs0
- 10:07
いやいや、何を考えてるの私。
流石に友人に対して考えることじゃないわ。
とりあえず落ち着いて家に帰って縄でも取りに行きましょうか
- 639 :名前が無い程度の能力:2012/04/03(火) 12:02:07 ID:MIvpNJ6Q0
- 10:12
とりあえず張り紙の事を注意してあげるか、それ以外の対処をするかは会ってから決めることにして、
魔法の森へと向かう。二日続けてこの暗くてじめじめした森に入ることになるなんてね。
金髪白黒の後ろ姿が見えたので、後ろから飛びかかる。
「やった!米俵ゲット!」
「きゃあ!」
きゃあ?
「……あんた、確か魔界の」
「ユキよ。何するのよ、この変態!」
「白い方は一緒じゃないの?」
「マイ?別にいつも一緒ってわけじゃないわ」
「何してるの?こんな所で」
「茸狩り。面白い奴が生えてるって、道具屋の店主に聞いて。
でも魔界の茸に比べると、おとなしい奴ばっかりね」
茸は普通おとなしいものだと思う。
「で、変態さんはこんな所で何を?」
「変態言うな。……えっと、魔女狩り?」
逃げようとしたユキを捕まえて、誤解の無いように説明する。
- 640 :名前が無い程度の能力:2012/04/04(水) 12:40:50 ID:FIL3BS2k0
- 10:21
魔法店の前まで来たが、どうやら魔理沙は留守のようだ。
「あっ、白黒」
ユキが指さした方を見ると、ルーミアがいた。
「の闇妖怪」
「紛らわしいこと言わないでよ」
ユキの頬をつねる。こいつが幻想郷に来たのは観光目的だったらしく、
面白そうな話と見て付いて来たのだ。ルーミアの方もこっちに気付いた。
「あっ、霊夢。魔理沙なら宴会の後ここまで帰るのが面倒だとか言って、
香霖堂に泊るとか言ってたよ」
- 641 :名前が無い程度の能力:2012/04/04(水) 13:00:48 ID:lFfVfJw.O
- 10:22
「二人っきりで泊まるって言ってたよ」
ルーミアの頬に意味深な笑みが浮かんでいた。
- 642 :名前が無い程度の能力:2012/04/04(水) 19:43:03 ID:d.k89tf20
- 10:23
「二人っきりで泊まるって言ってたよ」
「なんで二回言うのよ」
「大事なことだからなのだー」
「まあいいわ、あんたもついてきなさい」
「わかったー」
まあ、いろいろ戦力になりそうだし、連れて行こう
- 643 :名前が無い程度の能力:2012/04/05(木) 07:54:53 ID:Sfvk1CC60
- 10:48
香霖堂にも魔理沙はいなかった。
「霖之助さん、昨晩魔理沙がここに来たって聞いたのだけれど」
「ああ、災難だったよ。夜中だと言うのに叩き起こされて、
延々愚にも付かない話を聞かされてね。君達も宴会を開くのは良いけれど、
ああいう迷惑な酔っぱらいを出さないよう気を付けてほしいな」
「飲めば酔うし、酔えば迷惑になるのは自明の理だから私にはどうしようもないわ。
魔理沙がどこに行ったか知らない?」
「命蓮寺に行くと言ってたな。あそこの住職と共同研究をしているそうだ」
「それで、昨晩は他に何もなかったの?」
サラが尋ねると、霖之助さんはきょとんとした顔をして、
「何もって何だい?」
「こういう人なのよ。魔理沙の行き先は分かったし、とっとと行くわよ」
- 644 :名前が無い程度の能力:2012/04/06(金) 06:47:20 ID:XrRdavzw0
- 11:06
「やったー、米俵!」
命蓮寺に向かう途中、ルーミアが抱きついたのは、ルナサだった。
「ひゃっ!?こら、ルーミア。私よ、離れなさい」
「あ、ルナサ。こんにちはー」
「そうがっかりした表情をしないでほしいわ。その発言からすると、貴方達は魔理沙を探しているのね」
「まあ、そうね。あんたは一人で何を?」
「友人を売ろうなんて酷い連中ね。私は新曲作りのための音集めの途中よ」
「命蓮寺に魔理沙がいるって話を聞いてね」
「あそこは多くの妖怪達が集まる場だからね。幻想の音も多そう。
私もご一緒させてもらおうかしら」
「構わないけど…」
こうも黒っぽい服の妖怪が集まると、明らかに私が浮いちゃうじゃない。
- 645 :名前が無い程度の能力:2012/04/06(金) 13:43:24 ID:Gz/0fKw6O
- 11:28
ルーミアを先頭に森の道を進む。
しょっちゅうお寺に遊びに行くらしい。
しばらくすると森を出た。
「このみちだよー」
里と寺を結ぶ、かなり整備された道だ。まわりは畑や草地が広がり、開けた視界の先に命蓮寺の屋根が光って見える。
かなり里から離れた場所にも関わらず行き交う人も妖もまばらでない。
信徒同士なのか穏やかに会釈しあっている。
- 646 :名前が無い程度の能力:2012/04/06(金) 19:43:31 ID:2EoeTTAw0
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'r ´ ヽ、ン、
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- 647 :名前が無い程度の能力:2012/04/07(土) 03:07:07 ID:oGNKImQU0
- 11:29
今何か一瞬見えた気がするけど気にしないでおく
- 648 :名前が無い程度の能力:2012/04/07(土) 18:35:40 ID:tAfR8N5Y0
- 11:36
魔理沙は命蓮寺を出た後だった。白蓮から本堂で話を聞く。
「あの貼り紙の話はこちらでも聞き及んでおりまして、魔理沙さんには盗んだ――
失礼、借りた物をお返しして訴えを取り下げてもらうようにと忠告したのです」
「魔理沙はそれを聞き入れて、盗品を返しに?」
「ええ、森の方へと帰られました。私の言葉だけではそれを返すつもりは無かったようなのですが、
博麗の巫女が黒服の一団を連れて彼女を追っているという噂が届きまして」
噂が速すぎる。米俵は惜しかったけれど、魔理沙が本を返して
パチュリー達が訴えを取り下げれば貼り紙も無くなるでしょうし、
今回の私の役目はここまでかな。
- 649 :名前が無い程度の能力:2012/04/07(土) 22:21:34 ID:90ldS08.0
- 11:50
ちょっと早いが昼ご飯にしようと思い人里に。
…が、たまたま見かけた団子屋の新作和菓子をつい買ってしまった。
お昼どうしよう…慧音にたかろうかなぁとか考えてると目の前に見知った二人が。
「あれ、霊夢さん?」「どうしてここに?」妖夢と鈴仙だった。
- 650 :名前が無い程度の能力:2012/04/08(日) 14:50:52 ID:OCxT6hwA0
- 11:54
「……というわけで人里まで戻ってきたの。ユキは魔法使い同士話をしたいとかで、
ルナサは幻想の音を集めるのに命蓮寺に残ったわ。ルーミアは魔理沙がちゃんと本を返すか見届けるって
魔法の森に戻ったんだけれど」
「そう、大変だったわね。私達はそこの団子屋の新作和菓子を食べに来たんだけれど」
「おいしかったわよ」
「そう、それは楽しみね。えっと、儲け話なら一応あるわよ」
「聞かせて」
「師匠が薬の材料になる植物をほしがっているんだけれど」
「貴女が採りに行かないの?」
「場所が太陽の畑で」
それは難しいわね。
「花が咲く前の蕾じゃないと駄目らしくて」
ミッション・インポッシブルだった。
「幽香さんも昨日の宴会に出ていたし、今日ならひょっとしたら何とかなるかもしれないわよ」
何とかならなかった時はどうしてくれるのだろう。
「格安で治療してあげるわ。手遅れでなかったら」
- 651 :名前が無い程度の能力:2012/04/09(月) 12:52:30 ID:MkbARNZU0
- 11:56
「妖夢の方は何か良い話無いの?」
「これは私が先ほど穣子様から受けた依頼なのですが、
畑を荒らす妖怪が出るので退治してほしいそうです。
正確には農家の夫婦が穣子様にお願いし、それがこっちに
回ってきたのです。懲らしめるだけなら穣子様だけでも
大丈夫そうなのですが、落とし所が難しいので」
落とし所、つまりその妖怪を懲らしめた後の話である。
妖怪が頻繁に畑を荒らすということは、食べ物に困っているという事。
とりあえず懲らしめた所で、根本的な問題は解決していない。
そこでその妖怪を始末するか、封印するか、
あるいは食べ物に困らないようにしてやるかといった処置が必要になる。
通りすがりの妖怪を弾幕ごっこで打ちのめすだけの妖怪退治には無い難しさがある。
「私はとりあえず斬ってしまって、そのまま白玉楼の住人になっていただくつもりだったのですが」
乱暴な手口だった。それくらいなら専門家の私に任せてもらった方が良いはずだ。
- 652 :名前が無い程度の能力:2012/04/09(月) 16:01:37 ID:yDyN00foO
- 11:58
と、思い直してはたと気付いた。
“穣子様の依頼”であればまず守矢に話が行くはずだ。それがなぜ関わりの少ない白玉楼の妖夢(おそらく幽々子からだろう)へ行くのか?…。
最近、妖夢や早苗たちは「従者の会」なんていってなにかと交流を深めていると、魔理沙が言ってたっけ?
仲の悪くもないのに何故そんな話になってるのかな?
- 653 :名前が無い程度の能力:2012/04/10(火) 07:44:57 ID:2ixjNRnQ0
- 12:16
その疑問は直接依頼主の夫婦に会って話したところ、すぐに解消した。
彼らが穣子に相談したのが今日の事で、それを穣子がたまたま人里に降りていた妖夢に話したという経緯らしい。
偶然山の神社にいる早苗よりも妖夢の方が手近にいたということだ。
畑の様子も見せてもらった。イチゴやジャガイモを植えた畝の一角が無くなっている。
整っているようで妙に派手な手口は、確かに人やサルやイノシシのものとは違うように思われる。
- 654 :名前が無い程度の能力:2012/04/10(火) 21:24:42 ID:gwMundT60
- 12:20
どっちの依頼も受けることはできないしどちらにしようかしら?
・太陽の畑での蕾回収
・畑荒らし妖怪退治及び問題の解決
- 655 :名前が無い程度の能力:2012/04/11(水) 20:02:10 ID:vmCzq18Y0
- 12:24
鈴仙の冗談は聞かなかったことにして、畑の妖怪退治を引き受けることにした。
妖怪が出るのは夜になってからだろうから、暗くなったらまたここに来て見張りをしよう。
お腹がすいてきたので、いったん神社に帰ることにする。
- 656 :名前が無い程度の能力:2012/04/12(木) 15:02:13 ID:LKklFSMo0
- 13:06
朝食の残りと神棚から出たお米で簡単に食べる。
一人静かにとる食事は久しぶりな気がする。
- 657 :名前が無い程度の能力:2012/04/13(金) 12:19:29 ID:JYq86dno0
- 13:45
食事を終え、昼寝をする。今夜は寝ずの番になるかもしれないので、
今の内に眠っておかないと。
- 658 :名前が無い程度の能力:2012/04/13(金) 14:21:05 ID:3r1g4S7UO
- 15:40
目が覚めた。
短いけど深い眠りのおかげで気持ちはすっきり。
着替えも兼ねてお風呂にはいる。
我が家…神社…自慢の温泉浴場。大きな湯船にはなみなみとお湯があふれている。湯気の中にかすかな硫黄の匂い…青みがかったぬるめのお湯に浸かると、ちょっと贅沢かなぁ、と思ってしまう。
格子窓からもれる日差しを眺めながら、肩や太ももをさする。最近、肉がついてきて固く盛り上がってるのが気にかかる…仕方ないけど。
湯上がりに髪をほどき水を浴びて、手早く着替える。
久しぶり緋色の袴をはいてみる。上着が短いから腰回りが丸見え、素肌を晒してちょっと大胆かしら?。
でも夜の戦いなら五感が勝負。今日はこれでゆこう!。
- 659 :名前が無い程度の能力:2012/04/14(土) 01:26:29 ID:KGuMMlSIO
- 16:38
脱衣場から出るとおや?
萃香とチルノが!。
私の袴姿に
「おお!かっこいー」
「凄いね、鬼退治でも行くのかい?」
縁側に寝転び将棋をさしていたようだ。そのチルノの横には…。
「霊夢…」
紫が声をかけてくる。
お茶の用意がしてあった。隣に腰掛け、大ぶりの湯飲みを受けとる。
熱くないお茶を一気に飲み干してしまったう。
今度は熱めのお茶を口に含みながらお菓子皿の塩大福を頬張る。
うん美味しい!。
萃香たちに今回の一件を話した。
「留守番はまーかせて!」
萃香が胸を叩いた。
「さあ、山に陽が沈まないうちに」
昼と夜の“境界”…夕暮れ時はまわりの霊気が一番弱まる時間だ。紫も心得ているのだろう。
「じゃ、行くわね」
「…霊夢」
紫が声をかける。
「太陽の畑の件はまかせなさい」
知ってたのか… 。
- 660 :名前が無い程度の能力:2012/04/14(土) 09:03:09 ID:ROUrEYRk0
- 17:21
道具を確認し、おにぎりを作って人里に向かう。
この時間帯になると妖精の数も多い。
襲ってくる奴を適当に撃墜しながら飛んでいるうちに、問題の畑に着いた。
少し早いけれど、近くの石に腰かけて不寝番に入る。
畑の持ち主夫妻は「よろしくお願いします」と頭を下げて、引き上げて行った。
それにしても紫が蓬莱人の薬作りに協力するなんて、意外だった。
永琳とは割と仲が良いのかなあ……などと考えているうちに、辺りは次第に暗くなっていく。
- 661 :名前が無い程度の能力:2012/04/15(日) 10:51:27 ID:cUE5bnFE0
- 18:02
初夏の日は長く、辺りはまだ明るさを留めていた。
私は多少目立たない場所に移動し、
持ってきたおにぎりをむしゃむしゃやりながら畑の様子をうかがう。
楽しげにふらふらと飛び回る妖精達を除けば、畑に近付く影は無い。
- 662 :名前が無い程度の能力:2012/04/15(日) 23:02:48 ID:8crhgPv.O
- 18:36
空に星が光始めた。
畑のまわりの森の奥はもう闇だ。
ここの畑は開墾地と聞いた。以前、里が交渉してこのあたりの土地を無償で畑にできるよう妖怪たちと取り決めたとか。
ここのご主人は外来人、また奥さんは半妖だそうだ。ご主人は腹の座った人で作物の被害くらいなら土地代がわりにとでも思っている、という。
ただし、今は…。
と、気配を感じた。
暗がりの中、音もたてず近づく二つの影。
鈴仙と妖夢だ。
- 663 :名前が無い程度の能力:2012/04/16(月) 09:12:38 ID:0fBrQvKc0
- 18:37
「……出ましたか?」
「まだよ。手伝いに来てくれたの?」
「手伝いが必要なの?」
「まさか。私は専門家よ、任せてちょうだい」
「真面目にやってくれているようで安心しました。
確かに大勢で張り込むほどの事件でもなさそうですし、私達はこれで失礼します」
「差し入れは必要?」
「弁当、水筒は持参したから結構よ。あまり目立つ前にお帰り」
二人は私に会釈すると、現れた時同様音も無く姿を消した。
昼間からずっと二人でいるのだろうか。それぞれの主人も放り出して。
何か企んでいるのかとも思ったが、今は眼の前の件をどうにかするのが先決だと、頭を切り替える。
- 664 :名前が無い程度の能力:2012/04/17(火) 14:30:25 ID:Olo1bSzo0
- 19:18
「ねーねー、何してるの?」
「かくれんぼ?」
妖精が寄ってきた。犯人に張り込みがばれたら困るというのに……。
「そうよ、かくれんぼ。あなた達も見つからないうちに、
できるだけ遠くに隠れてじっとしていなさい」
妖精たちはきゃあきゃあ言いながら行ってしまった。
巫女服は隠れての待ち伏せには向かないなあと思うが、
巫女が妖怪退治をするのに正装を外すわけにもいかない。
- 665 :名前が無い程度の能力:2012/04/17(火) 14:45:39 ID:OVZfray60
- 19:20
「ん…ちゅっ」
鈴仙と妖夢が抱き合ってる
- 666 :名前が無い程度の能力:2012/04/17(火) 16:31:05 ID:WEJomTa.O
- 19:21
(ガサッ)
二人の前の茂みの中から影!
星「スイマセン…宝塔ありませんか?」
- 667 :名前が無い程度の能力:2012/04/18(水) 07:23:51 ID:P7TqVNVo0
- 19:23
遠くで誰かが騒いでいるのが聞こえる。……妖夢の声ね。
声の響きからすると、何やら面白そうなことになっていそうだ。
とはいえ今は仕事中。見に行くことはできない。
明日、本人にでも何があったのか訊くことにしよう。
- 668 :名前が無い程度の能力:2012/04/18(水) 12:56:47 ID:IUkYGd/EO
- 19:36
辺りは闇に包まれたけど、今夜は月が明るい。
妖精たちも眠りについたのかな。
木立のざわめきと虫の声しか聞こえない。静かだ。
固い石の上に腰かけてばかりじゃ、と体を伸ばし気配を気にしながら畑の回りを探ってみる。
要所にはお札を貼って…ちょっとした結界を造る。
歩きながら思った。
妖夢たちには悪いことしたかな。彼女が来たのは始めに依頼を受けた責任感だろう。いくさ仕度…剣の束に布を巻き、手甲を着けていたことを思えばやる気十分だったと思う。
妖夢もそうだけど鈴仙は夜目が効く。
心強い支援なのに、変な意地をはって追い返してしまった…。黙って引き下がった二人はよっぽど大人だ。恥ずかしい。
今度それとなく二人を手伝ってあげよう…。
- 669 :名前が無い程度の能力:2012/04/19(木) 07:01:17 ID:DjP9FVyo0
- 20:27
「ひゃっ」
首筋にひんやりした物が触れて、思わず声を上げてしまった。
「ふふふ、驚いたわね」
小傘が降りてきた。首筋に貼りついた物を剥がすと、蒟蒻だった。
随分原始的な方法で驚かされたものね。
「今は仕事中よ。見逃してあげるから、どっか他の場所で遊んでなさい」
「仕事?」
「妖怪退治」
「怖いわねー。でも妖怪が妖怪退治に気を遣うわけないじゃない」
それもそうだ。紫や萃香みたいに協力的な方がおかしい。
「邪魔するようなら、あなたから退治するわよ」
「どっか他の場所で遊んでくるわ」
私がお札を構えると、小傘は慌てて逃げて行った。
- 670 :名前が無い程度の能力:2012/04/19(木) 23:24:51 ID:R6v/9DRAO
- 20:45
少し冷えてきたかしら?。
と、生理現象のサインが…。
えっと…この場を離れられないし、どうしょう?
- 671 :名前が無い程度の能力:2012/04/20(金) 08:55:06 ID:XmEtL7C.0
- 20:50
畑の四方にお札を貼り、簡単な結界を張る。
標的から察知されない程度の術式なので、強固さにはやや難があるけれど、
しばらくなら大丈夫だろう。その間に持ち主夫妻の小屋のお手洗いをお借りする。
- 672 :名前が無い程度の能力:2012/04/20(金) 09:49:50 ID:HcS8krbQO
- 20:52
ところが小屋には鍵が!…どうしよう?
と、背後から風が
「妖怪退治と聞きまして…」
早苗登場!奇跡きたー!!
事情を話すと笑って、
「わかりました!見張ってますね」
と、背を向ける。
その手首をつかんだ。
「霊夢さん?」
れいむさん?、じゃないわよ!。藪の中に虫や蛇がいたらどうするの?。
あんたの身内でしょ?来ないように見張りなさい!。
「身内て…私はどちらかと言えば蛙ですが…」
なんて言葉は無視して、良さそうな場所を見つける。
「やーですよー。霊夢さんのおしり見えちゃうじゃないですかー!」
「見たってどうなる訳じゃないでしょ?」
お互い小声でなに言い合ってるんだか。
袴の腰ひもに手をかけると、
「あ、これどうぞ」
袖から柔らかい紙
「ん、ありがと」
受けとると早苗はくるりと向こうをむく。
風がざわざわ、せせらぎのように鳴り出した。
まわりの音が消える。
今度は後ろ手を差し出した。
(……)
外した下帯の紐を渡す。
それからしゃがみ、ほっとした。
- 673 :名前が無い程度の能力:2012/04/21(土) 07:28:58 ID:V/yg06TE0
- 21:02
結界を解き、畑の監視に戻る。早苗は私の隣に腰を下ろした。
「手伝ってくれるの?」
「はい。霊夢さんより先に妖怪を退治したとなれば、多くの信仰を得ることができるでしょうし」
手伝いというか、商売敵だった。
「……ありがとう」
とはいえ依頼人に二人分の報酬を求めることはできないし、もらった分を山分けという形になるのかな。
それとなく話に出すと、早苗はきょとんとした顔をして、
「報酬なんていりませんよ。人を助け、親交を結び、神様の力を信じてもらえれば十分です」
ある意味商売敵より性質が悪いかもしれなかった。早苗が報酬なんていらないと言って帰った後で、
まさか私がそれを求めるわけにもいかない。今夜の仕事はただ働きになるような気がした。
- 674 :名前が無い程度の能力:2012/04/22(日) 09:18:09 ID:fW00mqF.0
- 21:59
依然妖怪は現れない。畑の苺は夜目にもその赤さと瑞々しさが分かる。
「おいしそうね」
「駄目ですよ、霊夢さん」
当たり前だ。監視役が畑を荒らしてどうする。
「まあ、確かに甘そうです」
「駄目よ、早苗」
「分かってますよ」
- 675 :名前が無い程度の能力:2012/04/22(日) 12:25:07 ID:WMJy0nr60
- 23::45
依然妖怪の気配無し……眠くなってきた、と思った所に背後から足音。
気配から察するに、それほど強くはないものの間違いなく妖怪に間違いない!
得物を握り、一撃で仕留めてやろうと振り返ると
みすちーだった。
「あの……その……霊夢さんたちに、お夜食作ったから、持ってきただけで、その
た、退治とかしないでください〜」
「あ、ごめん」
勘違いとはいえ攻撃しようとした事を謝り、みすちーのつくったおにぎりとお茶をさっそくいただく。
中の梅干しが結構美味い。自分で漬けたんだろうか。しゃくだけど今度教えてもらおうかな。
今夜はこのまま出ないのかな。
- 676 :名前が無い程度の能力:2012/04/22(日) 12:29:07 ID:ejHiK85E0
- 24:50
性欲を持て余す私はみすちーを押し倒してskmdyなプレーをした
鈴仙もいいがこっちもいい
- 677 :名前が無い程度の能力:2012/04/22(日) 14:02:08 ID:l9b72JIU0
- 01:00
「霊夢さん…霊夢さん…」
んっ…なによ今みすちーといいところだったに…はっ!
早苗「霊夢さん、一瞬寝てましたね。すごいにやけてましたけど何の夢見てたんですか」
…とてもじゃないけど恥ずかしくて言えるわけないじゃない…
なんか早苗心配なんだかわからないけどすごく顔を覗き込んでくるし
早苗「んー?どうしたんですか?顔すごく紅いですけど。」
ああもう!泥棒早く出るなら出なさいよもう!!こっちはすごい恥ずかしいんだから!
- 678 :名前が無い程度の能力:2012/04/23(月) 09:10:12 ID:ydOJYSBc0
- 1:30
ミスティアは私の仕事のことを、どこで知ったのだろう?
そして私がここに隠れて待ち構えていることを、何人が知っているのだろうか?
まず依頼人夫婦、依頼を仲介してくれた妖夢と穣子、妖夢と一緒にいた鈴仙、
なぜか何でも知っている紫と萃香、チルノが知っているのかは微妙だが、
確実に知っている妖精が何人かはいる。(覚えているとは限らないが)
今隣にいる早苗、そして早苗に妖怪退治の事を伝えた……多分神奈子。
小傘は偶然出くわして脅かしにかかっただけかもしれないが、既に知ってはいる。
そしてミスティアは明らかにそれを知った上でここに来た。
……既に幻想郷中の妖怪が知っていてもおかしくないわね。
- 679 :名前が無い程度の能力:2012/04/24(火) 12:40:31 ID:aQDMFa0o0
- 1:45
「早苗、しばらくここは任せたわ」
「ちょっと、霊夢さん!?」
早苗を後に残し、里の辺縁部にある他の畑を見てまわる。
果たして、元の場所から半里ほど離れた畑に、犯人がいた。
作物の詰まった袋を担いだ、言い逃れようのない恰好だった。
「あー……今の今まで一つ所を見張っていた巫女が、
何でよりにもよってこのタイミングで他の畑を見に来るかな。
偶然とか運不運で済ますには、常軌を逸しているよ」
彼女はそう言って、天を仰いだ。私が待ち伏せていることを知って、離れた別の畑を狙ったということらしい。
「いや、巫女の勘を甘く見ていたと言うべきかな」
- 680 :名前が無い程度の能力:2012/04/25(水) 07:31:07 ID:Uo.4O4fI0
- 1:46
彼女は野菜の袋を真上にぶん投げると、弾幕を放ってきた。
私は弾幕をかわしながら袋を追って飛び、抱え込むようにして確保する。
その隙に犯人は、一目散に逃げ出していた。袋を畑に降ろし、その後を追う。
- 681 :名前が無い程度の能力:2012/04/25(水) 09:34:15 ID:QnELg7oEO
- 1:48
たん!たたたっ!たん!
先方の暗闇でぱちぱち閃光がまたたき、聞いたことのない音が響く。
飛んで逃げようとする相手の鼻先を光を引いた弾道がさえぎった。
あわてて降下して尻餅をつきながら、それでも逃げようとする相手に、一陣の風が迫る。
月明かり光る髪と剣…妖夢だ!。
- 682 :名前が無い程度の能力:2012/04/26(木) 08:00:04 ID:oiqsWZdU0
- 1:49
「降参、降参」
犯人は両手を上げて、その場に座りなおした。見慣れない妖怪だった。
神社の宴会に混ざっているのを見たことがあるような気もする。
妖夢が刀を突き付ける。二人に追いついた私は、犯人に訊いた。
「どうしてこんなことをしたの?」
「飢えたから」
端的な答えだった。確かにその妖怪はかなり痩せているようだ。
- 683 :名前が無い程度の能力:2012/04/26(木) 09:28:50 ID:Oq93FyFYO
- 1:52
闇の中、草はらを跳ねるように鈴仙がやってくる。
濃紺の布で口元を隠す。
いつもの服装でなく足元まである長い上着を着ていた。それは青や黒がまだらに配色されていて目立たない工夫がされている。
手には鉄製で箱形の光る何か。
前に月の兵士が腰にしていた飛び道具に似ている?
妖夢が刀を引くと同時にその筒先を無言で野菜泥棒の額に突きつけた。
ぎょっとする相手に、
「私の眼をみなさい…」
尋問がはじまったようだ。
- 684 :名前が無い程度の能力:2012/04/27(金) 08:22:45 ID:dnYcyqVI0
- 1:53
「飢えたからっていうのは本当よ。そこの巫女さんはお金に困っているそうだけれど、
食べ物に困ったりはしないでしょ。剣士さんや兎さんみたいなのが、
寄ってたかって助けてくれる。骨と皮だけになるまで放っておかれたりはしない。
でも私達野良妖怪はそうはいかない。自分の裁量で何とかしないと、骨だけになっても放っておかれるの」
「……嘘ではないみたいね」
鈴仙の耳がぴくりと動く。
「でもまだ何か隠しているでしょう」
妖夢が刀を妖怪の首筋に当てた。赤い血が一筋流れる。
「この期に及んで何を隠すっていうの。私が生きるために盗んだ、それだけよ」
そう言ってその矮躯の妖怪は、微笑んだ。何かを諦めたような顔だった。
- 685 :名前が無い程度の能力:2012/04/27(金) 12:42:49 ID:H9gSWzQcO
- 1:55
「「おねえちゃん!」」
暗闇から声がした。
それから藪をかき分けて駈けてくる二つの小さな影…。
「だ、駄目っ!」
身構えた私たちをみて彼女が叫んだ。
(!…)
飛び出してきたのは小さな妖怪。
まだ幼い。双子のようだ。
苻を手に立ちすくむ私の横を駆け抜けて泥棒妖怪にしがみついた。
二人はかばうように私たちに向いた。
眼に涙をため、いやいやと首をふる。
ひとりの子は膝まづいて手を合わせ、たどたどしい言葉でごめんなさい、を連呼した。
妖夢は眼を伏せて刀の先を下げ、鈴仙も筒先を離して…それから申し合わせたように私に顔を向けた。
- 686 :名前が無い程度の能力:2012/04/28(土) 09:24:01 ID:/JnYpHOw0
- 1:56
「いいわ。あなた達、命蓮寺に行きなさい。
あそこならあなた達みたいなのを助けてくれると思うわ」
「……行ってもいいの?」
「今夜の所はね……ただ」
そこで声を低くして、
「次は無いわよ」
「神や仏に頼るのは好きじゃないんだけれど、この際そうも言ってられないか」
そう言うと、泥棒妖怪は立ち上がり、私達に頭を下げながら、
三人連れ立ってその場を立ち去った。
- 687 :名前が無い程度の能力:2012/04/28(土) 23:10:36 ID:OzBg4utI0
- 2:01
「霊夢さん大丈夫ですか?」
早苗が来た。弾幕の光を見て駆けつけたらしい。
「あれ?鈴仙さんに妖夢さんも...あっ!そういえば泥棒はっ!?」
「それが.. 「見間違いよ」
妖夢が言い終わる前に霊夢が言った。
「へ?」
早苗が驚いた様な気の抜けたような顔をした。
「命蓮時のただの迷子の兄弟だったわ」
「そうだったんですか」
「もう今日は出て来なさそうだし帰りましょうか」
- 688 :名前が無い程度の能力:2012/04/29(日) 00:34:35 ID:1wT.bxAwO
- 2:03
「えっと…実は…」
早苗がもじもじして後ろを向くと、
「何だ!そっちは空振りか?」
えっ?魔理沙の声だ!
と、同時に周囲一斉に灯火がともり、多数の人影が現れた。
「ようっ!お疲れさん」
帽子の縁をぴんと跳ね上げて笑顔の魔理沙。
その横には藤原妹紅と…里の自警団の人妖有志たちの姿。
「ご協力ありがとうございましたっ!」
制服に帽子の幻想郷警察署長兼警部…ようは一人しかいない…の小兎姫が進み出て敬礼する。
「おかげさまで強盗団を全員逮捕できましたっ!」
ご、強盗団!?
三人で唖然としていると、森の方から10人以上の人数が数珠繋ぎになってぞろぞろ引かれてくる。
それを先導しているのはなんとナズーリンに寅丸星!
一体どういう事???
- 689 :名前が無い程度の能力:2012/04/29(日) 09:33:09 ID:FMGlZBow0
- 2:10
行き違いがあって混乱してしまったが、小兎姫達の追っていたのは別件――
魔理沙が濡れ衣を掛けられていた事件だった。
里の近辺で、魔道書などよりも一般人にとって価値のあるものを
盗まれる事件が多発しており、その容疑者として魔理沙の名前が挙がり、
ついにはその首に賞が掛けられるまでになってしまったようだ。
魔理沙は魔理沙で心当たりがありすぎるものだから、
私が彼女を追っていると聞いて慌てて本の返却に走り、
そこで自分に掛けられている濡れ衣のことを知った。
彼女達はずっと、私もその強盗犯を追っていると思っていたらしいけれど。
- 690 :名前が無い程度の能力:2012/04/29(日) 17:52:14 ID:CBkrO/Qs0
- 2:15
おそらく、畑泥棒の方も今晩は自警団が徘徊していたから諦めたのだろう。
そうなればこのまま見張っていても無駄に違いない。
勘違いとはいえ、強盗犯の捜査に協力していたことになってるみたいだし
魔理沙達と一緒に里に戻ればちょっとしたお礼くらいは期待できるかも。
よし、一時撤退としますか。
- 691 :名前が無い程度の能力:2012/04/30(月) 04:56:29 ID:eolPH5Yg0
- 2:17
先ほどの畑の辺りに差し掛かったところで、野菜泥棒が放り投げた袋に小兎姫が気付いた。
「これは……何者かが野菜を盗もうとして諦めた痕跡。これは一体……」
「ここの一番近くにいたのは巫女さん達だよな」
「私、こっちで弾幕の光を見たわ」
「ふうん、つまりこういうことね。霊夢さんは、
友人である魔理沙さんを米俵と交換しようと思うほどに食事に困っていた。
そこで強盗団の捜索を行うふりをして、野菜を盗み出そうとした。
そこに妖夢さんと鈴仙さんが現れたので、やむなくこれを断念。
次いで現れた早苗さんに、辺りに妖怪の姉妹がいたことをほのめかし、
彼女達に罪をなすりつけようとした。そして今度は、
その実全く協力していない捕り物の件でお礼をせしめようとした。
霊夢さん、窃盗の容疑で逮捕するわ!」
物的証拠と皆の証言をまとめ、小兎姫が結論を出した。
- 692 :名前が無い程度の能力:2012/04/30(月) 10:05:04 ID:sCLf1Nu.O
- 5:52
目が覚めた。
ふかふかのマットレスに清潔な寝具。
短いながら充実した睡眠で疲労回復は充分!
(ん…)
延びをして明るくなった周りを見る。
六畳くらいの部屋。壁の上にある窓からはたっぷり光が差し込んでいる。部屋にはベットに机と椅子が一つだけ。
立ち上がって机の水差しから水を一杯。
ふう。ひと心地。
ちらりと頑丈そうな木の格子を横目でみた。
鉄の錨が打たれ黒光りしている。
ここは幻想郷警察署の留置場の中。
神社以外で寝泊まりなんて初めてかしら?
まあ快適。でも、お風呂にはいりたいな…。
- 693 :名前が無い程度の能力:2012/04/30(月) 12:54:19 ID:GWbbDGz20
- 7:02
奥から小兎姫がこちらへ来る。これから取り調べなんだろうか。
以前聞いた話だと、取り調べといえばかつ丼を出されるというのが定番らしい。
朝からかつ丼は重い気もするが、ただで食べられるなら文句は言うまい。
「霊夢さん、出なさい」
小兎姫に連れられて無機質な通路をただただ進んでいくと、着いた先は警察署の玄関。
そこに立っているのは、先日私に依頼してきた夫婦だった。
「この方たちが貴方に依頼をしていたって言ってるから、一応野菜泥棒の疑いは晴れたわ。
だからもう留置所から出ていいわよ」
あっさりと釈放されたのは良かったが、どうにも腹の虫がおさまらない。
いわれのない野菜泥棒の罪を着せられて逮捕された上、かつ丼も食べられなかった。
食べ物の恨みは怖い、ということを真犯人にしっかり叩きこんでやるしかあるまい。
そうと決まれば昼間のうちに罠とか色々準備をしておこう。
- 694 :名前が無い程度の能力:2012/04/30(月) 14:24:58 ID:eolPH5Yg0
- ――裏――
真犯人はもう>>679->>686で登場して、野菜泥棒の件は一応の解決を見ている。
それまでの流れを読んでから書き込んでほしい。
――裏――
- 695 :名前が無い程度の能力:2012/04/30(月) 16:48:30 ID:uggcmB4I0
- 7:03
いやいやいや、野菜泥棒の件はもう解決したじゃないか・・・何を言ってるんだ、私。
そういえば最近チルノとよく会う気がする・・・バカが感染ったのかもしれない。
そういえば鈴仙の依頼はどうなったのだろう?
あとで紫に聞いてみよう。
- 696 :名前が無い程度の能力:2012/04/30(月) 17:51:51 ID:sCLf1Nu.O
- 7:05
「どうされました?」
ご主人の声にはっ、となる。
「い、いえ別に…」寝ぼけを理由にごまかした。
「しかし強盗団とは…」
私に危険な目を合わせたうえ、留置されたことに夫妻は恐縮している。
大丈夫です。これも修行のうちですから、と笑うと少し安心されたようだ。
「みこさまおはよう」
とてとてと3つくらいの男の子が歩いてきた。
「こらっ、だめっ」
後ろには木の乳母車を押した7つくらいの女の子…姉弟かな?。
お姉ちゃんに隠れてる2つくらいの坊や。服のすそをつかんで笑っている。そして乳母車の中には赤ちゃん。
夫妻のお子さんたちだ。
お姉ちゃんは花を手にし、坊や二人を並ばせると「ありがとうございます」
小さなおかっぱとくりくり頭がちょこんと下がった。
私は赤い野花を受け取り、お礼を言った。
- 697 :名前が無い程度の能力:2012/04/30(月) 21:51:25 ID:rrRyneQY0
- 7:46
「なんだかずいぶん機嫌が良さそうだねえ、博麗の?」
神社に戻ると頭上から声がした。
見ると鳥居の上に黒猫が一匹・・・とはいっても橙ではない。
地霊殿の主、古明地さとりのペットであるお燐こと火焔猫燐―彼女がいた。
「別に。臨時収入が入っただけよ。」
・・・本当はそれだけが上機嫌の理由ではないが、わざわざ話す義務も義理もない。
「ありゃりゃ。ここに来るのも久しぶりだってのに、冷たいねぇ。」
猫の姿のまま「やれやれ」のポーズをとるお燐。それやめろ、さすがに気味が悪いわ。
・・・しかし、言われてみればこいつを見るのも確かに久しぶりである。
妖怪の中でもこいつは特に神社に入り浸ってるほうだが、春になってからはぱたりと見かけなくなっていた。
- 698 :名前が無い程度の能力:2012/05/01(火) 03:05:03 ID:ng/seZwk0
- 7:48
「三日前に会ったばかりだっていうのに、随分つれないね。あの時はお魚ごちそうさま」
人の姿になった燐が言う。
「その姿じゃないとあまり会った感じがしないのよね」
縁側に並んで座る。
「報酬っていうのはその花のことかい?」
そう、この花一輪だけだった。妖夢と鈴仙が何も受け取らずに帰ったのに、
私だけ何か受け取るわけにはいかないじゃない。
お茶を淹れながら、昨日小兎姫の所に一泊した経緯について、かいつまんで話した。
「そりゃ随分と馬鹿な嘘をついたもんだねえ、お姉さん。
依頼人夫婦には、畑泥棒は懲らしめたからもう安心だって説明したんだろ?
それと早苗に話した、命蓮寺に行ったという迷子の妖怪姉妹の話、
その場に見えた弾幕の光を合わせたら、そいつらが泥棒だってのは、
明々白々じゃないか。お姉さん自身が泥棒じゃなきゃね。
今頃昨晩に実際被害を受けた方の畑の持ち主は命蓮寺に乗り込んでると思うよ。
まあそれで済めばまだ良いけれど、お姉さん、よく釈放されたもんだね。
日頃の信頼の賜物と言うべきかな。畑泥棒のカモフラージュに、
畑泥棒退治を請け負ったというのは、いかにもありそうな話じゃないか。
だいたい荒事の苦手な秋の神様にも負けそうな雑魚妖怪に、
お姉さん達三人がかりだなんて、どう考えても過剰戦力だしね。
それよりはお姉さんを抑えるために冥界の剣士と月の兎が共闘したと言う方が、
まだ信憑性があるよ。その後嘘をついたのも、マイナスの印象だろうし。
お姉さんが一泊した留置場、その部屋から昨晩被害のあった畑の土が出たら、
物証が見つかったって、警察のお姫様もここに乗り込んでくるんじゃないかな」
昨晩盗まれかけた野菜を取り返した時に、確かに私の手は畑の土で汚れていたのだった。
- 699 :名前が無い程度の能力:2012/05/02(水) 03:53:16 ID:8OX2aTFM0
- 8:49
巫女が人に害をなした妖怪を退治するのは、当たり前の構図だ。
しかし確かに、巫女が友人と三人がかりで弱い妖怪を退治するという構図は、
バランスが悪い。友人の一方ともう一方の半分が妖怪ならば、なおさらだ。
昨夜の内に、妖夢と鈴仙には、無闇に私の仕事を手伝わないように忠告した。
手伝ってもらっておいて、言いたくはなかったけれど。バランスは大切なのだった。
二人のためでもある。妖怪が人の側に立ったり、冥界の住人が浮世のことにかまけるのは、
本来あまり好ましくない。本来の立場を失う恐れがある。閻魔の言いそうなことだけれど。
二人は納得した様子ではあったが、私はその話で友人を傷つけてしまったのではないかと、
不安だった。ともあれ、
もらった野の花を花瓶に活け、お風呂で汗を流す。
神棚から出たお米と漬物、味噌汁で簡単な朝食をとる。
- 700 :名前が無い程度の能力:2012/05/03(木) 01:36:30 ID:DRreVjY.O
- 9:32
遅めの朝食を済ませひと心地。
洗い物を終えて、さてお茶を…なんて考えてたらなにやら外が騒がしい。
勝手口から境内を覗いてびっくり!なんとうず高い米俵の山が!
20俵はあるだろうか?
「ごっはっんっ!ごっはっんっ!」
俵山の周りを諏訪子の音頭でチルノと橙が奇妙な踊りを踊っている。
「ノリが悪いわよ〜」
と恥ずかしそうな橙に突っ込み入れるのは穰子だ。さらにお燐も飛び入りしてる…。
俵の頂上には、ひと仕事終えたとばかりの顔の萃香。旦那然と杯を傾けて、隣の得意気な魔理沙は箒を杖に立ち、さらに秋静葉が微笑して諏訪子たちを見下ろしている。
なぜか軽くイラッとした。
護符を手に表にでる。
- 701 :名前が無い程度の能力:2012/05/03(木) 11:31:27 ID:YlF1SNn60
- 9:33
「よお、霊夢。どうしたんだ?そんなにいらいらして。
泥棒の件ならもう心配しなくてもいいぜ。
初犯だし未成年だから、反省するようなら小兎姫も逮捕まではしないそうだ。
出た被害も、白蓮がお前の共犯の妖怪共を庇って全部弁償したしな」
「だから私はやってないって」
「かもな。でも事実はなくても、天狗共が気合い入れて書き立てた既成事実はあるからな。
信用を取り戻す努力はした方がいいぜ」
「ほうほう、天狗共がね。それで、この米俵は何?」
- 702 :名前が無い程度の能力:2012/05/03(木) 13:31:55 ID:DRreVjY.O
- 「やあ、昨日は大変だったね…」
私の形相にぎくり、としていた一同の中から諏訪子がふわりと声をかけてきた。
さすがにまったく動じていない。
「あ、そうそう、悪かったよ…こないだの宴会でさ」
何かと聞けば、あの日私が退場したあと、皆が小腹が減ったなどとなり、
「神奈子がさ、はりきってお粥を作りはじめて…」
神社の米びつを空にしてしまったとのこと。
「それで守矢の米倉からお裾分け、ってわけ」
これは守矢の田んぼでとれた自家用米らしい
「実らせたのは私たちよ!極上なんだから」
穰子が胸をはった。
- 703 :名前が無い程度の能力:2012/05/04(金) 23:36:49 ID:jB/Y6SEo0
- 9:35
幻想郷に来てわずか数年で、これほどの財をなせるものなのかしら。
釈然としない思いを抱えつつ、米倉の掃除をする。長い間使われていなかったため、
中は埃と蜘蛛の巣に埋もれており、壁も屋根もぼろぼろだった。
補修工事は萃香に任せ、私は埃や毛玉やその他倉の中の有象無象をまとめて掃き出す。
- 704 :名前が無い程度の能力:2012/05/05(土) 13:06:00 ID:dNjp4fB.O
- 9:38
お米の俵は25俵!。
ともかくこれはありがたい。
橙が倉の中を見てくれた。
「うーん、ネズミはいなさそうだね」
でも念のため、と小さなお札を貼ってくれる。
ネズミ除けらしい?
お燐が感心して眺めていたがお前も猫だろ!
と、今度は静葉が
「これもどうかしら?」
こちらは火難盗難除けのお札。
「お姉ちゃんのはね、とってもご利益あるのよ」
たしかに昨夜の農家夫婦は持っていたのだ。
じゃあ私や鈴仙たちの必要が…と思ったが、これがご利益なのかな?…。
そうだ!もう一枚もらえるかしら?
「ええ、どうぞ」
その札をそのまま魔理沙に渡す。
「ん?これを私にか?」
わかってないわね…。
帽子にでも貼っておきなさい!
さすがに魔理沙も苦笑いだった…。
- 705 :名前が無い程度の能力:2012/05/05(土) 21:43:08 ID:KTISUMS60
- 11:24
米倉の補修及び清掃作業はまだ続いていた。一日仕事になりそうだった。
魔理沙は退屈だと言って、どこかに飛んでいった。懲りずに泥棒稼業かもしれない。
お燐は仕事を探しに行くと言い、ふらっといなくなった。見つからない方がいいと思う。
橙は萃香の仕事を手伝い、諏訪子は萃香に酒を勧めては、仕事の邪魔をしていた。
秋姉妹は私と一緒に掃除の手伝いをしてくれていた。この二人には最近世話になることが多い。
適当なところでいったん作業を切り上げて、昼食の準備をする。
- 706 :名前が無い程度の能力:2012/05/06(日) 19:52:20 ID:p9LgDWq2O
- 11:32
さてお昼だが…台所を探したらひやむぎが一箱出てきた。
人数分はありそう。よし、と。
お米は山程あるのにあれはまだ籾が付いたままなのね。脱穀する手間があるけど日保ちのために仕方ないか。
大鍋に湯をわかす。静葉も手伝ってくれた。
穰子が裏山からみょうがと青じそを摘んできてくれた。さらに薩摩芋の差し入れ。
これは静葉が天ぷらにしてくれた。
- 707 :名前が無い程度の能力:2012/05/07(月) 17:12:54 ID:EGfcpysc0
- 12:48
昼食が終わり、作業に戻る。倉の奥から、襤褸を纏った少女が出てきた。
「誰?あんた」
「貧乏神」
――昇天蹴!――
「ひどいっ!」
そう叫んで、遠くに飛んでいった。あんなのが棲みついていたから、いつも倉が空っぽだったのね。
掃除を続けていると、目つきの悪い少女がいた。
「あんたは?」
「疫病神」
――神技「天覇風神脚」――
「きゃん!」
うちはこんな神様ばっかりなのかしら。
- 708 :名前が無い程度の能力:2012/05/08(火) 12:12:06 ID:DKq2d8vU0
- 15:37
どうにか米倉の補修・清掃作業も終わり、俵を中に運び込む。
こうして見ると壮観ね。途中、一度藍が訪ねてきた。
紫が済ませておくと言った、薬の材料採取も、無事に……ではないが
片付いたそうだ。本人は、疲れたから二、三日眠るらしい。
- 709 :名前が無い程度の能力:2012/05/09(水) 12:36:55 ID:0jakWfyY0
- 15:46
皆で縁側に並んでお茶を飲む。お茶菓子が無いことに気付いた。
「ほら。お小遣い上げるから、何か買ってきなよ」
諏訪子が小銭を私に向かって放る。
「私達の分もお願いね」
「炒り豆以外で頼むよ」
穣子と萃香が付け加える。
「遣いっ走りにする気?」
「巫女なんだから、頑張って神様に仕えなさい」
まあ今日はいろいろ世話になったし、仕方ないか。
「私も一緒に行くよ!」
橙が付いてきた。
- 710 :名前が無い程度の能力:2012/05/09(水) 13:34:05 ID:Rz1rEFDMO
- 15:50
かるく身仕度してさあ出発。
橙には風呂敷を持ってもらった。
ちらりと横をみて
「あんたスキマ使える?」
「ま、まだ修行もしてないよぅ…」
大慌てで首を横に振る。
「…でも私も藍さまみたいに…」
気にしているのかしゅーん、としてしまった。
「まあ、今になんとかなるわよ…」
耳まで元気がなくなっちゃった橙の頭を撫でてあげた。
境内から鳥居をくぐって飛び立つ。
眼下に里が広がる。田植えが近いみたい。
水で満たされた田んぼは鏡のようだ。
もう夕方だけど日はまだ高い。
春も終わりね。
- 711 :名前が無い程度の能力:2012/05/10(木) 21:50:50 ID:ILsBXw9I0
- 15:55
途中、橙に結界の術について、いくつか質問を受けた。
一応専門家なので、ほとんどの質問には答えてあげられたが、
「その辺りは勘で」
としか応じようのない問いも多かった。紫や藍は、
そこらへんも理論や計算でやっているのだろうけれど。
- 712 :名前が無い程度の能力:2012/05/11(金) 19:55:39 ID:hYQ0Lxj20
- 16:24
駄菓子屋で胡麻煎餅と芋けんぴ、和菓子屋で酒饅頭を買い、
洋菓子店でナッツ、チョコ二種類のクッキーを買ったら、
諏訪子から預かったお金が無くなった。
さて、帰ってお茶の続きにしようかしら。
- 713 :名前が無い程度の能力:2012/05/12(土) 22:41:14 ID:gPkXUkK2O
- 16:27
しかし買い物って楽しいわね!(まあ他人のお金だけど…)。
風呂敷が2つにお菓子が一杯!これですごーく豊かな気持ちになるのは…子供っぽいかしら?
ん? 橙がそわそわしている。あんたも何か好きなもの買う?
「えっと…もう晩御飯の時間だから…」
た、確かに。お茶の時間にはちと遅い。
お菓子で夕食というのも…
- 714 :名前が無い程度の能力:2012/05/13(日) 21:53:53 ID:PYCT02xo0
- 17:02
まあきっと諏訪子たちが何とかしてくれているわよね!
割と楽観的な気分で神社に帰った。案の定、台所から湯気が立ち上っている。
境内には諏訪子がいた。
「ああ、霊夢。おかえり。ここの台所、本当に何もないんだね。
神奈子に少し食材を送ってもらったよ。今秋っぽい二人が料理してる。
こっちで食べて帰るって言ったら、神奈子に怒られちゃった」
「ありがとう。お菓子は買って来たけれど、これは夕飯の後にしましょうか」
- 715 :名前が無い程度の能力:2012/05/14(月) 17:27:02 ID:4WyZPxDo0
- 17:29
食後のお茶会を意識してか、早め、少なめの夕食となった。
三人で台所に立ったため、予想外に準備が早く終わったというのもある。
6人で食卓を囲むには神社の居間はやや狭かったが、
会話が弾んで楽しい夕食だった。
- 716 :名前が無い程度の能力:2012/05/15(火) 15:21:34 ID:D.9q.Frk0
- 17:46
食事が終わり、後片付けをする。
熱いお茶を入れ、縁側に並んで飲む。
お菓子はまだ出さない。夕食の余韻が残っているからだ。
萃香が境内に出て言う。
「ちょっと腹ごなしに弾幕ごっこでもしようか。ほら橙、これも修行だ。かかってきな」
「はーい!」
二人は夕暮れの空に飛び上がる。食後間もないのに元気ね。
- 717 :名前が無い程度の能力:2012/05/16(水) 18:59:25 ID:bAfp8xD.0
- 17:50
「それじゃあ私達はこれでもやろうか」
諏訪子が押し入れから麻雀卓を引っ張り出してきた。
また勝手に……。まあちょうど四人いるし、たまにはいいか。
- 718 :名前が無い程度の能力:2012/05/17(木) 18:22:24 ID:i2Adrcrk0
- 17:55
「折角だし何かかけてやらいな?」
諏訪子が提案して来た。ただやるよりは面白いかもしれない。
「いいわね、それで何をかける?」
- 719 :名前が無い程度の能力:2012/05/17(木) 22:20:45 ID:fqDt1xC2O
- 17:57
「負けた奴は裸になる」
突然、静葉がしぶい声でつぶやいた
- 720 :名前が無い程度の能力:2012/05/17(木) 23:10:50 ID:mYH.HbRc0
- 17:58
「やめんか」
静葉の後頭部に穣子の突っ込みが入った。
「じゃあ負けた分だけ勝った人に旬の味覚をお供えっていうことで」
諏訪子がじゃらじゃらと牌をかき混ぜながら言う。
「あと罰ゲーム!ハコ割れしたらあの部屋の隅に積んである玉手箱を一つ開けること!」
穣子が静葉の頭に手を置いたまま言う。そういえばまだ残っていたわね、あれ。
- 721 :名前が無い程度の能力:2012/05/18(金) 01:20:17 ID:rufaSU7I0
- 残ってたのかw
- 722 :名前が無い程度の能力:2012/05/20(日) 23:47:52 ID:EI/7Ewws0
- 18:29
「ハイテイツモッ!これで穣子ちゃんがトビね」
罰ゲームの提案は、自分が真っ先にハコ割れするフラグだったようだ。
最初の半荘は、最後に静葉が上がって2位。
諏訪子がその少し上でトップ、私は少し沈んでの3位だった。
「しょうがないわね……じゃあこれ。開けるわよ」
「神社が壊れると困るから、外でやってね」
- 723 :名前が無い程度の能力:2012/05/21(月) 20:24:34 ID:ialFTZMo0
- 18:30
穣子が箱を開けると、白い鳩の群れがばさばさと飛びだし、
夜空に舞い上がって見えなくなった。
後には空っぽの箱と呆然とした表情の私達が残される。
「さあ、今度は私が入るよ」
穣子の代わりに弾幕ごっこを終えた萃香が卓に加わる。
「それじゃあ私はお茶を淹れ直すわね」
穣子はそう言って台所に向かった。買ってきたお菓子も開けることにする。
- 724 :名前が無い程度の能力:2012/05/23(水) 13:42:02 ID:El8EUoFc0
- 19:02
次の半荘が終わって、私は4位。トビはしなかったものの、辛い展開だった。
「霊夢がどんなおいしい物を出してくれるのか、今から楽しみだね」
トップだった萃香が言う。
「まだ夜は長いわよ」
そう応じつつ、橙と交代して観戦に回った。
- 725 :名前が無い程度の能力:2012/05/23(水) 21:42:50 ID:B26Qf7fUO
- 19:03
橙と萃香のパンツレスリングもなかなかなものね
- 726 :名前が無い程度の能力:2012/05/24(木) 21:04:28 ID:sGmy/utM0
- 20:01
「ごふっ!?」
強い衝撃を受けて畳の上をごろごろと転がり、襖にぶつかって一瞬息が詰まる。
「何て寝言吐いてるのさ」
萃香があきれた表情で見下ろしている。いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
「いたた……起こすにしてももう少しやりようっていうものがあるでしょ。
鬼の力で蹴られちゃ身がもたないわ」
「あはは。よっぽど酷い夢を見ているようだったから、一刻も早く起こしてあげようと思ってね」
顔は笑っているが、どうやら相当怒っているようだった。
「ごめんごめん」
寝言に腹を立てられるのも理不尽な気もしたが、謝っておく。
- 727 :名前が無い程度の能力:2012/05/26(土) 00:38:38 ID:FJfz5bU60
- 20:02
「それで、麻雀の方はどうなったの?」
「あの後穣子ちゃんが負け分を取り戻して、ほぼ霊夢さんの一人負けね」
「さて、霊夢も眠そうだし、私達もそろそろ帰るとしようか」
「ちょっ、ちょっと待ちなさい!」
境内に出た諏訪子たちを呼びとめようとした。
「ああ。そういえばまだ私の分の罰ゲームが終わっていなかったね」
そう言いながら諏訪子が抱えていた玉手箱の蓋を開ける。
箱から飛び出してきた何かに頭を強打され、私は意識を失った。
- 728 :名前が無い程度の能力:2012/05/27(日) 01:13:02 ID:5I.ywLkU0
- 7:10
「さて、筍掘りに行きますか」
「行ってらっしゃい、頑張ってね!」
「お米の準備は任せたわよ」
「ちゃんと精米しておくよ。筍御飯楽しみにしているからね」
萃香に見送られて神社を後にし、迷いの竹林を目指す。
昨日玉手箱から出てきたばね付きのグローブにK.O.された後、気が付いたら朝だった。
麻雀の賞品と今日のおかずの確保を兼ねて、竹林に筍を掘りに行くことにしたのだった。
- 729 :名前が無い程度の能力:2012/05/27(日) 19:54:45 ID:5I.ywLkU0
- 7:56
朝方で妖怪も少なく、すんなり辿り着くことができた。
竹林の中はこの時間帯でも薄暗く、少し肌寒いくらいだった。
筍を探してうろうろと歩き始める。
- 730 :名前が無い程度の能力:2012/05/28(月) 00:50:29 ID:A/7EdYIE0
- 8:00
何気なく適当に歩いて行ったら
光る竹を見つけてしまった
さて、どうしようかこれ
- 731 :名前が無い程度の能力:2012/05/28(月) 00:55:21 ID:a.lXLip20
- 8:01
「んっ…あ…」
この光る竹、なかなかいいものね…
誰も居ないし久々に自慰にふけてみましょう…ん…
- 732 :名前が無い程度の能力:2012/05/28(月) 09:28:53 ID:nCpbEgTgO
- 8:05
てなこと考えてはっ、とした。
いやいや、いかん!いかん!いかん!
あわてて緋袴を緩めて下帯を締め直す。
当て布がキツイくらいで丁度いい。
(くっ!…)
おへその下がまだ熱い…両手で頬をぺちぺち叩いて気合い注入!
光る竹なんて目の前になかった。ええい!
「はっ!」
近くの竹の節に正拳突きを叩き込んだ。
- 733 :名前が無い程度の能力:2012/05/28(月) 17:48:02 ID:OJBeZm8c0
- 8:41
見つけた筍をどうにか掘り起こしてみたものの、意外と小さかった。
竹かごに放り込んで次の獲物を探す。下ばかり見て歩いていたせいか、
正面にいた誰かに気付かず、ぶつかってしまった。
「あれ、巫女さん?大丈夫ですか?」
「ええ、ごめんなさい。余所見をしていて……」
私より少し年上と思われる女性だった。つばの丸い黒い帽子をかぶっている。
「どうして巫女さんがこんな竹林に?」
「ちょっと筍を掘りに。貴女はどうして?」
「サークル活動の途中でちょっと迷ってしまって……私と同じくらいの歳で、
白いドアノブカバーみたいな帽子をかぶった金髪の女の子、見かけませんでした?」
- 734 :名前が無い程度の能力:2012/05/29(火) 18:28:42 ID:zAYK4TOs0
- 8:42
「見なかったけれど……その子も迷子なの?
とりあえずここは普通の人間には危険だわ。
里まで案内してあげるから付いてきて」
「そうね、ありがとう。彼女もそこにいるかもしれないし」
彼女に背を向け、竹林の出口に向かって歩き始める。
「サークル活動って筍掘りじゃないわよね」
「違うわ。不思議なものを探して散歩していたの」
「不思議なものねえ……そんなものここらにはごろごろしているけれど」
「それは――――――」
返事が聞こえない。おかしいと思って振りかえると、そこに彼女はいなかった。
はぐれてしまったのだろうか……一瞬そう思ったが、なぜか不安にはならなかった。
彼女の顔を思い出そうとしてみたが、うまくいかなかった。
きっと明日にはここで彼女に会ったことさえ忘れているだろう。
何かの間違いで会ってしまっただけなのだから。
- 735 :名前が無い程度の能力:2012/05/30(水) 21:46:44 ID:HPyfuHBY0
- 8:59
気を取り直して筍を掘る。今回のはそこそこ大きいようで、なかなか掘り起こせない。
悪戦苦闘していると、後ろから肩を叩かれた。
「ん?だりぇ」
頬に指がささる。随分と古典的ないたずらね。
「すみません、すみません!つい妖精の習性で」
私が陰陽玉を構えたのを見て、慌てて謝っているのは、
よくチルノといっしょに遊んでいる緑髪の妖精だった。
- 736 :名前が無い程度の能力:2012/05/31(木) 19:04:35 ID:W/UpQSOk0
- 9:00
「筍ですね」
「そう。今晩のおかずよ」
「良いですね、筍。私も一本掘って帰ろうかな」
握ったクナイをくるりと回しながら言う。いつ取り出したのかしら。
「あ、これにしましょう」
次の瞬間には、少し離れた場所の地面をざくざくと掘っている。
意外とフットワークの軽い妖精だった。
- 737 :名前が無い程度の能力:2012/06/02(土) 10:45:35 ID:P1UUOi9k0
- 11:13
十分な量の筍を採ることができたし、そろそろ帰ろうかしら。
大妖精は自分の分の筍を抱えると、さっさと立ち去ってしまった。
- 738 :名前が無い程度の能力:2012/06/04(月) 09:23:38 ID:ibpHZfhsO
- 11:15
「おや?博麗の…」
竹林の奥の道から藤原妹紅が声をかけてきた。
手には釣竿。
「いや朝から頑張ったけど今日はダメだったよ」
肩をすくめてみせた。
しかし腰に吊るした魚籠(びく)は重そう…
「ああ、河でミスティアから分けてもらったんだよ」
「うなぎ捕りのカゴに入ってたんだって…」
魚籠の中の、笹の葉をめくると鮎が入っていた。
「へぇ…筍掘りを?ん…これはだめだよ」
妹紅は私が掘った大きめの筍を手に取って苦笑した。
伸びすぎて堅く、美味しくないらしい…。
- 739 :名前が無い程度の能力:2012/06/04(月) 22:59:27 ID:m.tFQTHM0
- 11:16
他のを探しましょうか..でも、もうすぐ昼時だし....。
「だったら私の家に来ない?筍の余りもあるしご馳走するわよ」
そんな訳で妹紅の家にお邪魔する事になった。
- 740 :名前が無い程度の能力:2012/06/05(火) 21:36:16 ID:A0UtqsZIO
- 11:30
妹紅の家は竹林の道から思いっきり離れた場所にあった。
途中、私の鍬(くわ)を借りて
“ほら、ここを…”
なんて言いながら落葉の下からまるまるとした筍をたちまち掘り出した。
家に上がらせてもらうと妹紅はいろりの火を起こし、さっきの筍を逆さにして灰の中に突っ込んだ。
もう一つの筍は皮を剥いて、手際よく腰の小刀で薄切りにした。
「ま、おひとついかが?」
皮の上に載せて差し出してくれる。
(筍の刺身?…)
ひと切れつまんで口にいれたら…これは甘い!美味しい!。
「こればかりは採れたてでないとね」
蒸し焼きにした筍は醤油をかけて食べる。
若竹の香りに歯ごたえ…これはほんとに贅沢ね…。
- 741 :名前が無い程度の能力:2012/06/08(金) 18:37:38 ID:/O6aoWOI0
- 11:37
「こんにちは〜。あれ、霊夢も来てたの?」
「あら、メディ。いらっしゃい」
妹紅がメディスンを招き入れる。
「永遠亭に行ってきた帰りなんだけれど、食事中にお邪魔しちゃってごめんなさい」
「別に良いわ。メディも筍食べてく?」
- 742 :名前が無い程度の能力:2012/06/10(日) 00:25:51 ID:tc1/5bb20
- 11:38
「私は永遠亭で薬の材料と交換してもらった毒があるからいいわ」
「そういえば、永琳の様子はどうだった?」
この間紫からも薬の材料を受け取っていたはずだ。
「調剤室にこもっていたわ。新薬を作っているみたい」
「どんな薬なのかしら。兎達は何か言ってた?」
「皆まだ知らされていないみたい。月の兎さんは何か知っているかもしれないけれど、
今日はあの人にも会えなかったし。師匠の手伝いをしているのか、
あの庭師とどこかほっつき歩いているのかは分からなかったけれど」
「物騒な薬じゃなければ良いんだけれどね」
「すごい猛毒だと良いな……」
- 743 :名前が無い程度の能力:2012/06/11(月) 10:09:57 ID:aBbBDDNk0
- 11:50
「ごちそうさまでした」
本当においしかったわ。妹紅が淹れてくれたお茶を飲み、ほっと息をつく。
「妹紅、ありがとね。おかげでどんな筍がおいしいのかも分かったし、
午後からもう少し頑張ってみるわ」
- 744 :名前が無い程度の能力:2012/06/12(火) 13:37:47 ID:/uTLyEc2O
- 11:52
「うーん…もう時期も終わりだからねぇ…」
今、美味しい筍はなかなか見つけにくいらしい。
「これどうかな?」
土間に降りた妹紅はなにか袋を持ってきた。
中身は人差し指くらいの太さの長細い筍だ。
「ネマガリタケだよ…これは茹でるだけで美味しいよ」
さらにこれも、と渡してくれたのはいろりの上に吊るしていた鮎の一夜干しだ。
嬉しいけどこれは…と戸惑っていると、向こうも苦笑して
「こないだ悪いことしちゃって…」
野菜泥棒の一件を気にしていたらしい。
- 745 :名前が無い程度の能力:2012/06/16(土) 18:21:37 ID:4VNn38fM0
- 11:53
「気にすることないわ。私にも非があったわけだし」
でも各種食材はありがたく頂戴しておく。
「それじゃあ、ご馳走様でした」
「ああ。来年はもっと早い時期においで」
「今から気にかけていたら萃香に笑われちゃうわ」
「霊夢、ばいばーい」
妹紅とメディに別れを告げ、竹林を後にする。
神様たちに渡す分を考えると、食材はまだ少し足りない。
フキとかどうかしら。割とあちこちに自生しているように思う。
とはいえもらった食材も置きたいし、いったん神社に帰ろうかな。
- 746 :名前が無い程度の能力:2012/06/17(日) 00:22:28 ID:qtfSp8W20
- 11:55
ところで今日は何月何日だったかしら
- 747 :<激写されました>:<激写されました>
- <激写されました>
- 748 :名前が無い程度の能力:2012/06/17(日) 20:28:25 ID:qcDYZmkM0
- 12:16
帰り道で、文に会った。
「あんた、この間はよくもあることないこと書き散らしてくれたわね!」
「私はあったことしか書いていませんよ」
掴みかかった私を軽くかわしながら、そんなことを言う。
「それで、今日は警察に捕まった霊夢さんに、お話を聞かせていただこうと思いまして」
「いい度胸してるわね。でもあんたにしちゃあ、私の所に来るのが随分遅かったんじゃない?」
「実は霊夢さんの記事と同じ号の、一面の取材中に怪我をしてしまいまして」
「私の関わった件が一面じゃなかったんだ」
「これです。どうぞ」
差し出された新聞には、派手な弾幕の写真と『向日葵畑の妖怪大戦争!』の見出しが躍っていた。
「これ……」
「妖怪の賢者と花の大妖怪の決闘の様子ですね」
- 749 :名前が無い程度の能力:2012/06/19(火) 08:20:12 ID:L9h.hf9g0
- 12:18
薬の材料を採りに行った結果がこれらしい。
まあこんな写真を撮ろうとしたら、流れ弾を受けてしまうのも当然か。
「それで、怪我の方は大丈夫なの?」
「おや。心配してくれるんですか?」
「誰がっ!?」
「まあ心配には及びません。記事を書きながらでも十分回復できました。
おかげで霊夢さんの関わっていた件に関しては、取材が後回しになってしまっていたのですが」
三面を開くと『博麗の巫女、逮捕!?』の見出しがあった。新聞を文に投げ付ける。
- 750 :名前が無い程度の能力:2012/06/20(水) 19:05:47 ID:252Gprq.0
- 12:20
誤解されたままなのも困るので、あの夜あったことをかいつまんで説明する。
「ふんふん、なるほど。これでまともな記事が書けそうです。
取材にご協力いただき、感謝します。ではっ!」
飛び立とうとした文の肩を掴んで、強引に引き止める。
「まだ人騒がせな記事を書いたことに関する謝罪の言葉を聞いていないんだけれど」
反対の手でお札を取り出しながら言う。
「……今度季節のおいしい物を持って神社に伺います」
「行ってよし!」
文の後ろ姿は一瞬で見えなくなった。
- 751 :名前が無い程度の能力:2012/06/23(土) 12:35:20 ID:EIekDLcA0
- 12:43
神社に帰るとはたてが来ていた。
「霊夢。妖怪の賢者から、何か話を聞いてない?」
私のことで取材をしに来たわけではないらしい。
「藍は三日ほど起きないだろうとか言っていたけれど……」
昨日そう言っていたから、起きるのは最低でも明後日の朝かな。
「そういえば紫と幽香の弾幕ごっこの結果はどうだったの?」
文に聞き忘れていた。はたてはほいと自分の新聞を差し出してくる。
文と同じように派手な弾幕の写真が一面を飾っているが、文の写真より一回り小さい。
記事の方にざっと目を通すと、どうやら紫は目的の薬の回収には成功したらしい。
しかし受けたダメージは紫の方が大きく、痛み分けのような形だったようだ。
- 752 :名前が無い程度の能力:2012/06/24(日) 22:20:32 ID:pL3R8mi60
- 12:46
「おや、あんたも霊夢の件で取材に来たのかい?」
萃香が境内に出てきた。
「何なにっ?霊夢さん何かやったの?」
慌てて萃香に駆け寄って、妙なことを口走られる前に口を塞ぐ。
「気にしないで。ああ、そうそう。文には一応説明したから、
詳しい話は文から聞いて」
この一言ははたてにはかなりショックだったようだ。
「なっ、文が……ううう」
- 753 :名前が無い程度の能力:2012/06/26(火) 13:35:19 ID:7ME1Q6Uo0
- 12:47
「それより、気を付けたほうが良いわよ」
気を取り直したはたてが言う。
「気を付けるって……何に?」
「妖怪の賢者が弱っている隙を突いて、
異変を起こそうとする連中がいるかもしれないってこと」
「大丈夫じゃない?あいつが寝てるのなんて珍しくもないし、
藍だって目を光らせてるだろうし」
私もいるしね!
- 754 :名前が無い程度の能力:2012/06/27(水) 13:29:28 ID:Lc/v.Ib.O
- 12:50
「おや?お客さんだ…」
ホウキを手に何かしてるふりをしていた萃香が鳥居を指差した。
「はっ、博麗の巫女はい、いずこ…」
息を切らせて上がってきたのは、小兎姫署長!?(あ、警部だっけ?)
後ろから同じ制服姿の黒髪の子が付いてきて…
「…あれ、輝夜さん?」
はたてが声を上げる。
「ふふ、こんにちは」
輝夜は片眼をつむってみせた。
へたり込んだ小兎姫に比べて(普通、参道を上がってくればこうなるけど)、輝夜は涼しい顔。
どうやらこっそり飛んだようだ。
萃香が水を持ってきた。
一息で飲み干して、
「…先日の件はどうも」
小兎姫は申し訳なさそうに言った。
- 755 :名前が無い程度の能力:2012/06/28(木) 00:52:33 ID:Br6s6EuI0
- 13:51
「私が無実だって分かってくれたの?」
「正直、物証から言えばあなたは間違いなくクロなんだけれど……。
でもあなたが犯人じゃないっていう証言が結構集まってね。
認めざるを得ないわ……疑って悪かったわね」
「良いのよ。私が疑われるような行動をとったのも悪かったんだし」
「これ、お詫びに。市場で買って来たんだけれど」
籠いっぱいの真っ赤な苺だった。ほしかった旬の食材を、
特に何もしていないのに皆が分けてくれる。これも人徳かしら。
「食い意地の張った巫女だって思われてるんじゃないかな」
萃香がにやりと笑ってそんなことを言った。
- 756 :名前が無い程度の能力:2012/06/29(金) 09:59:32 ID:V17lyJ760
- 13:53
「それで、輝夜はうちの神社に詣でに来てくれたのかしら?」
「まあそんな所ね。永琳が仕事場にこもっていて退屈だから、
この子に警察の仕事を体験させてもらっていたんだけれど、
やっぱり退屈だったわ。警官の仕事って、幻想郷では意外と少ないのね」
「警察が解決するのは基本的に人間同士のトラブルだからね」
小兎姫が苦笑しながら言う。人間と妖怪の小競り合いはあっても、
人の間での犯罪や争いごとは、そう多くは無い。
- 757 :名前が無い程度の能力:2012/07/01(日) 14:27:05 ID:yGjDfC9.O
- 13:55
「でも、そうもいかなくなってきたみたい…」
小兎姫が眼を落とした。
「御妖盗よ」
「ごようとう?」
輝夜の眼が光った。
「今回の“強盗団”がそう名乗っていたって…」「外来の妖怪、人間の連合で…手引きしていたのは半妖らしいわ」
小兎姫の声には無念さが込んでいた。
外来者を受け入れられない里にも原因を感じているからだろうか?…
でも、そんな沢山の外来人妖が?という疑問もある。
結界の要、ここ博麗神社を通らずに流れ込んでくるなんて…。
「それで…」
何か言いにくそうな小兎姫の言葉を輝夜がさえぎった。
「彼らの言うにはどうも八雲が絡んでいるらしいわ!」
- 758 :名前が無い程度の能力:2012/07/02(月) 01:54:08 ID:6.tQCyV60
- 13:57
「紫に直接訊いてみたらどうだい?」
萃香が言う。もちろんそうしたいのは山々なんだけれど、
眠っているあいつを起こすのは、そりゃあもう大変なのだ。
明後日の夕方頃には起きだしてくるだろうから、それまで待つ方が賢明だと思う。
その間に強盗団の首魁だという半妖を退治しておくことにしよう。
「巫女は半分は人間でも退治するの?」
「半分くらい退治するわ」
- 759 :名前が無い程度の能力:2012/07/02(月) 13:06:20 ID:Vxtnr7ZcO
- 14:01
「…その必要はないわ」
輝夜が私を向いて言う。
「護送中に、毒をあおいでね…」
気付いた時には手遅れだったらしい。
「口封じかしら?永琳の話だとこっちじゃ手に入らない毒らしいわ」
「だからってゆか…八雲の仕業と決めつける訳?」
険しい顔をしていたかも知れない。輝夜も少し眼を細めて、
「そうよ?…妖怪じゃない?」
小兎姫は青ざめ、はたてが驚く。
萃香はそっと背を向けて地面を見た。
体が何故か熱くなる。
吐き捨てるような言葉に足を一歩踏み出した所で肩を掴まれた。
「でもそれは証拠にならないですよね?」
文!いつのまに?…
- 760 :名前が無い程度の能力:2012/07/03(火) 10:20:45 ID:ww5ONei.0
- 14:03
「でもまあ、仮に紫が関わっていたとしても、
特に問題は無いんじゃないかな?」
萃香が新聞をぱらぱらとめくりながら言う。
「幻想郷は基本的に来る者拒まずだからね。
そりゃ強盗するように指図でもしていたなら多少は問題だけれど、
妖怪ってのは人の心を惑わし人に害を為すのが性分なんだし」
言われてみればそうだ。幻想郷から出る手段はここを通るのを含めてかなり限られるが、
入るのはそれに比べればかなり容易だ。紫に頼る必要もない。
元々妖怪を閉じ込め、出さないことを主軸としたた結界なのだから、当然なのだが。
そうでもなければ、竹林で会ったような奴(どんな奴だっけ?)がふらっと入ってきたり、
神社が湖ごと引っ越してくるようなことはできないと思う。
- 761 :名前が無い程度の能力:2012/07/05(木) 02:22:08 ID:Gb8hxGE20
- 16:05
小兎姫と輝夜は話を終えると、帰っていった。
文とはたても新しいネタを求め、競い合うように飛び去った。
その盗賊に関しても、首魁まで含めて既に捕らえられているならば、
私の出る幕は無いだろう。洗濯と薪割りを済ませ、
境内の掃除をしているうちに夕方になった。
- 762 :名前が無い程度の能力:2012/07/06(金) 20:11:59 ID:HlRFpIeIO
- 17:20
夕食の支度を…と思っていたら萃香が、
「今晩は出掛けるよ」
と言う。
飲み過ぎちゃった、と笑って五合徳利を置いていってくれた。
見送ってから考えた。
魔理沙もチルノも来そうにないし、どうしようかな?
- 763 :名前が無い程度の能力:2012/07/07(土) 02:09:07 ID:tVR.YAx20
- 17:24
今夜は筍御飯を作る予定だったけれど、一人なら私も外で食べようかしら。
筍は水に浸けておけばすぐに食べなくても大丈夫だけれど、
苺は早めに食べてしまいたい。真っ赤な苺を睨んでいたら、
真っ赤なお屋敷を連想した。急ではあるけれど、
最近行ってなかったし、苺を手土産に訪ねてみましょうか。
- 764 :名前が無い程度の能力:2012/07/08(日) 15:19:20 ID:RRFiMBD2O
- 17:27
とはいえ、神社を留守にするには…こんな時間参拝者は来ないし、いつもの妖怪連中ならただ来て帰るだけだけど、何か火急な用事…妖怪退治とか…があるとまずいかな?と思っていたら
「レイムーオデカケ?-」
足元からキンキン声が!
よく見たらちび萃香が三人並んでいた。
萃香が気を使って分身を置いてきてくれたのかしら?
「ルスバン、マーカセテー!」
「じゃ、紅魔館に出掛けるね」
身支度をして、お土産を包む。
万が一に備えて御札を要所に、それからお握り3つと、お茶碗に五合徳利。
「お腹すいたら食べて」
「ワーイ」「アリガトー」
小さい声に見送られながら紅魔館に飛ぶ。
夕陽は山の向こうだけどまだまわりは明るかった。
- 765 :名前が無い程度の能力:2012/07/08(日) 15:49:43 ID:hocuVp3I0
- 18:04
湖の畔で、今朝見た顔にまた出会った。
「あれ、霊夢さん。またお出かけですか?」
「ちょっとそこのお屋敷まで」
「霊夢さんも物好きですね……わっ、苺がいっぱい!真っ赤でとても綺麗です」
物欲しそうな顔をするその妖精の口に、手頃な奴を一つ押し込んでやる。
「ありがとうございます。ではお供しましょうか?」
「別に吸血鬼退治に行くわけじゃないのよ」
- 766 :名前が無い程度の能力:2012/07/08(日) 18:22:18 ID:RRFiMBD2O
- 18:10
紅魔館は湖の向こう。
「さぁ、こちらです」
仕方なく付いてゆく。
別に先導してもらわなくても…と思ってると、正面から何かキラキラと光るものが近づいてくる。
妖精たちだ。かなりいる。
さらに両側からも。
ところが大妖精の姿を見るなり立ち止まり、そろって回れ右を?
彼らは“チルノ、チルノ”と口々に言いながら引き上げて行く。
「あっ、見えて来ましたよ」
夕闇の向こうに大きな洋館の灯が見えた。
- 767 :名前が無い程度の能力:2012/07/09(月) 18:27:26 ID:f3t/UEfU0
- 18:13
門番が門柱にもたれて目をつぶっている。
その脇を通り抜ける時、
「ようこそ、紅魔館へ」
と声をかけられた。眠っていたわけではないようだ。
- 768 :名前が無い程度の能力:2012/07/09(月) 22:57:42 ID:9H7.Ia.I0
- 18:14
ん…門番とキスしてるけどなかなかいいものね…
- 769 :名前が無い程度の能力:2012/07/09(月) 23:41:42 ID:obiUMV8cO
- 18:15
「私はこれで…」
大妖精の声にはっ、とした。門の前で苺ごちそう様でした、と飛び去る。
美鈴は眼を開けて
「うわっ!れ、霊夢さん!どうしたんですか?まさか異変??」
なんて今更驚いている。
用件を話していたら、咲夜と小悪魔がやって来た。
美鈴の説明に「待ってて」と言い残し咲夜は屋敷に戻る。それを見送りながら、小悪魔が
「夜の吸血鬼はご存知ですよね…」
と少し心配そうに聞いてきた。
- 770 :名前が無い程度の能力:2012/07/10(火) 23:59:35 ID:VM4ndDA60
- >>694 妖夢や鈴仙が証人になるはずだよな。
別人が書いたのか。
- 771 :名前が無い程度の能力:2012/07/11(水) 02:18:05 ID:ejP7dOQI0
- 18:16
「夜しか起きていないってことでしょ」
と、そこで、上から声が降ってきた。
「待つ必要はないわ」
月光を背に受けたレミリアの姿がかき消え、無数の蝙蝠となる。
「定刻通りね、霊夢」
後ろから、白い指が私の首筋にぴたりとあてがわれた。
頬に息がかかるくらい、レミリアの顔が近くにある。
「事前に約束した覚えは無かったのだけれど」
「貴女が来ることくらい、分かっていたわ。今夜はその運命を私に委ねてくれるんでしょ」
「誰がっ!」
勢いよく振りかえると、レミリアは再び蝙蝠となって姿を消し、今度は扉の前に現れた。
- 772 :名前が無い程度の能力:2012/07/11(水) 11:50:11 ID:Jrbbt9fM0
- 18:17
レミリアがスカートの裾をめくって太ももを見せてくる
「やらないか」
ドヤ顔でレミリアは誘ってるのだが咲夜の顔は真赤だ…
- 773 :名前が無い程度の能力:2012/07/11(水) 12:43:32 ID:0xj0r4BMO
- 18:18
レミリア達の後の扉がゆっくり開く。
お約束のパチュリーだ。(なんかポーズをとってる)
美鈴と小悪魔は必死に“うしろうしろ”と無言のサインを送ってるけど自分に酔ってるバカ主従には伝わらないようだ。
たまりかねた小悪魔が「シムラっ!」と謎の言葉を発すると、主従は顔を見合わせる。
そしてパチュリーが小声で「うしろうしろ」とつぶやく。
魔導書をめくりながら…
- 774 :名前が無い程度の能力:2012/07/12(木) 02:11:53 ID:HBgCtKI60
- 18:20
――日符「ロイヤルフレあぁっ!?
パチュリーがひっくり返りながら放った光が、扉上部に大きな穴を開けた。
「玄関先で何やってるのよ」
フランがパチュリーの後ろに立っていた。襟首をつかんで引っ張ったらしい。
「そうね、食堂へどうぞ。夕食の用意ができているわ」
レミリアが私に背を向け、屋敷の中に入りながら言う。
「それはお預かりしますわ」
手土産の苺を咲夜に預け、レミリアの後に続く。
パチュリーは身を起こすと軽く首を左右に振って、私の後を付いてきた。
苺を預けて開いた手を、フランにぎゅっと握られた。
「私も霊夢が来るのを楽しみにしていたのよ」
右手が弾け飛ばなかったことに安堵しつつ、玄関ホールを抜けて食堂に向かう。
レミリアに続いて食堂に入ると、テーブルの中心に置かれたガラスの器に、
私の持ってきた苺が洗って綺麗に盛り付けられていた。
- 775 :名前が無い程度の能力:2012/07/12(木) 19:36:28 ID:un.sxlpc0
- 18:21
苺をひとくち食べると急な睡魔に襲われた。
薄れゆく意識の中で、私が最後に見たのは口端を釣りあげて嘲笑うレミリアの姿だった
- 776 :名前が無い程度の能力:2012/07/12(木) 22:07:31 ID:b8fCT1QAO
- 19:03
んんっ…
ここは何処かしら?…
「あっ!霊夢が起きたよー!」
フランドールのはしゃぎ声に眼を開ける。
「今日は海開きだよ♪」
気付けば長椅子に寝転がって…で、うみびらきって…目の前に海!?
一面に水。周りには草花。
それは例の月旅行のあとに作った紅魔プールだ。
「どうぞ」
咲夜が飲み物を持ってくる。赤色のグラスをにらんでると
「霊夢、悪かったわ…」
プールをはさんで向かい合わせからレミリアが声をかけた。
「サプライズのつもりが…」
しゅん、としてさすがにバツが悪そうだ。こういう反応はレミリアの良いとこだと思うけど。
「もう良いわ、これは大丈夫でしょうね」
グラスに口をつけると苺のさわやかな風味。甘いお酒だ。
「咲夜特製のカクテルさ。気に入ってくれたかしら?」
気を取り直したのか、足を組んでいつもの調子に戻ったようだ。
ところで…
「あんたなんて格好してるの?おへそ出して」
「いや…こ、これは…」
レミリアはいつものドレスど同じ色のやたら肌を出した服を着ていた。
「水着よ…ところで相談が…」
レミリアはふわりと隣に飛んできた。
- 777 :名前が無い程度の能力:2012/07/13(金) 09:04:56 ID:9OLIG8aI0
- 19:06
「あのスキマ妖怪が寝ているうちに大異変を起こして、
奴の度肝を抜いてやろうと思うのだけれど」
それを私に話すなんて、どういうつもりかしら。お札を袖口から取り出す。
「それで、霊夢も一緒にどうかしら?」
「はぁ!?」
思わずお札を取り落としてしまった。
「前に月まで行った時は、何だかんだで奴が噛んできたでしょ。
だから今回は私達だけで異変を企てようと思うの」
思うの、って……巫女を異変に誘おうなんて、大胆なことを考える。
- 778 :名前が無い程度の能力:2012/07/13(金) 12:04:37 ID:4GgaTtSg0
- 19:07
「そんな事させないわ」
レミリアと私の間に隙間が現れ中から紫が出てきた
紫は私に微笑むとキリッとした表情でレミリアを見る
「異変を起こそうなんてお嬢ちゃんに教育をしてあげないと…んー」
次の瞬間紫とレミリアがキスをしてる…咲夜の視線が怖い
- 779 :名前が無い程度の能力:2012/07/13(金) 12:21:23 ID:Tfn50hIY0
- 19:07
「ならばわたしも対抗だ!」
たったいま紫が出てきた隙間の中から今度は裸のこーりんが登場した
こーりんは至極ナチュラルな動作で咲夜の唇を奪う
唖然とする一同、咲夜はしばらく硬直し、やがて羞恥心に頬を染め、抵抗しようもがきはじめた
絡み合う二人の唇からぶちゅーという生々しい吸引音が聞こえてくる
やがて咲夜のこーりんを引きはがそうとする手がだらりと落ちた
- 780 :名前が無い程度の能力:2012/07/13(金) 12:52:34 ID:UGQo6rVkO
- 19:09
「skmdy!(そこまでよ!)」
紅魔プールから水柱が上がりパチュリーが飛び出した。
ばかでかい眼鏡に何か筒をくわえている(ゴーグルとシュノーケルというらしい)。
「水の中で脳が活性化されるらしいけど…なかなかね…」
それからフンドシ男に一撃。
跡形もなくなり、眼鏡だけが落ちていた。
「小悪魔」「はいっ!」
拾った眼鏡をかけたが
「度が強いわ…」
とプールに投げ捨てた。
- 781 :名前が無い程度の能力:2012/07/13(金) 15:46:34 ID:yayJcy4Y0
- >>790
「THE WORLD!」
次の瞬間、再び現界した裸のこーりんが、ぱちぇりーの後ろに立っていた
振り向こうとしたパチェリーの唇を奪いブチュ〜
気絶し地面に崩れ落るパチェリー
こーりんはそれを見降ろし、不敵に口をぬぐった
「ふふふ、死体の確認を怠ったのが貴様の敗因だ」
「な、なぜ生きてるの?」
まるで死んでてほしかったとばかりにフランが尋ねる
「わたしには、キスした者の能力を奪い取る能力がある」こーりんは新設定を宣言した
「そんな……まさか」
「ふふふ、あまりの出来ごとに思考が追いつかないか。だが、これでどうだ! THE WORLD!」
次の瞬間、ブチュ〜という吸引音がして、フランがこーりんの足元に崩れ落ちた
糸を引く唾液がきらりと光った
- 782 :名前が無い程度の能力:2012/07/13(金) 15:59:04 ID:yayJcy4Y0
- >>790→19:09
なぜ間違えた…
- 783 :名前が無い程度の能力:2012/07/13(金) 18:43:14 ID:UGQo6rVkO
- 19:12
そこに美鈴が現れた。
「妹様〜!お客さ…まーーッッんッッ!!」
たちまち戦闘モードに。
「はあぁぁッ!くたばれ変態ッ!」
半身に構え腰を落とす。
「こんばん…」「わーぁぁッ!」
美鈴の後からは古命地こいしと封獣ぬえが。
フランのお客様とはこの二人か…たちまち身構える。
手練れが三人揃った。
- 784 :名前が無い程度の能力:2012/07/13(金) 19:35:29 ID:yayJcy4Y0
- しかし、いまや時止めと即死攻撃を手にしたこーりんに隙はなかった
「――THE WORLD!」
次の瞬間、ブチュ〜という独特の効果音と共に、まずはめーりんが崩れ落ちた
「さあ、こいし君、ぬえ君、いつまでも能力で隠れてないで出てきたまえ」
「さもなくば、このフラン君がどうなってもしらないよ」
そういうなり、こーりんは倒れていたフランの胸ぐらを掴み上げて、その唇にブチュ〜をはじめた
「「やめて!」」こいしとフランが同時に能力を解いた
彼女らの顔には、仲間を思う悲痛な思いが表れていた
「――THE WORLD!」
だが、その友情を僕らのHENTAIはたやすく踏みにじる
ブチュ〜という吸引音と共に、こいしとぬえの膝から力が抜けた
こーりんは、倒れ伏した二人の乙女を足蹴にして、ひとり邪悪にほくそ笑んだ
- 785 :名前が無い程度の能力:2012/07/13(金) 21:07:51 ID:UGQo6rVkO
- 19:18
凄まじい轟音と共に扉とその周囲の壁が吹き飛んだ。
もうもうと立ち込める煙の向こうに二つのシルエット…。
一つはつば広の帽子を被り手にホウキ、もうひとつは背が高くて腕を組んで眼鏡を指先で…って魔理沙と霖之助さん!
身構えた変態男の頭に何かが当たった。
置時計だ。
「どうだ、時を止めてみるかい?」
不敵な魔理沙に例の言葉「THE W…あぅッ!」
口の中に干し柿?
「ほっほ、佐渡名物じゃい!」
“佐渡観光協会”のハッピを着たマミゾウ親分が笑う。うしろには古明地さとりと聖白蓮…。
「淑女(レディ)にはいささか手にあまるようだ…」
霖之助さんが進み出る。
魔理沙は背後で援護、保護者ズも続く。
「これをっ!」「ああ…」
親分が長脇差(ながどす)を投げると宙でつかんだ。
すらりと引き抜くと気合い一閃!
胯間を叩き斬った!!
塊が飛んで落ちる…。
- 786 :名前が無い程度の能力:2012/07/14(土) 07:47:13 ID:FPSptBAQ0
- 19:20
宙を舞うそれが私の顔目掛けて飛んできて……
「うーん……」
目を開けると、レミリアとフランが心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
「あ、気が付いた」
「私、どうしたの?」
「屋敷に入ろうとしたところで、扉に開いた穴から落ちてきた木片が頭に当たってね」
一時間以上気を失っていたらしい。異変を起こす相談を持ちかけられたり、
紫が予定を前倒しして目を覚ましたり、霖之助さんがやたら強かったりと、
荒唐無稽にも程があると思っていたら、全部夢だったらしい。
「最近妙な夢ばかり見るわね」
「欲求不満なんじゃない?」
咲夜がナイフを弄びながら、おざなりな感じで言った。断じて違う。
- 787 :名前が無い程度の能力:2012/07/14(土) 09:06:56 ID:3XWI0y8sO
- 19:22
「まあ良かった…さ、こっちに」
私は館の応接間のソファーで寝かされていたみたい。
さあ夕食にしよう、とレミリアの案内で移動する。
フランドールがいつになくはしゃいでいる。
「いい時に来たね!」
「何かしら?」
「今晩は海開きだよ♪」
「…ッ!。レミリア!あんたまたプールを?」
相手は少し驚いた顔で
「あ、ああ…フランに来客があってね…」
「…例の二人ね」
「うむ?…さすが巫女だな」
「ほら、こちらですわ、」
咲夜がドアを開けると部屋一面の水。花や観葉植物で飾られている。
長椅子で読書しているパチュリーが
「あら霊夢…こないだはありがとう」
阿求の書物の事らしい。
「皆さん、こちらへ」
水辺にテーブルが置かれ美鈴が待っていた。
- 788 :名前が無い程度の能力:2012/07/15(日) 08:41:45 ID:UWrPZZoY0
- 19:25
梅雨入りもまだまだ先なのに海開きだなんて、随分気の早い話ね。
すぐに咲夜が夕食を運んできてくれた。
新じゃがいものポタージュ、コールスローサラダ、鱒の香草焼き、
デザートは私の持ってきた苺に、クラッカーとクリームチーズを添えたものだった。
……来てよかったわ。
「この苺、何も入っていたりしないわよね?」
「何もって何です?」
「ううん、何でもないわ」
あれは夢の中の話だった。
- 789 :名前が無い程度の能力:2012/07/15(日) 12:06:25 ID:q7hpVkD.0
- 19:25
わたしが苺を口に含んだ瞬間、レミリアの口端がわずかに吊りあがった
- 790 :名前が無い程度の能力:2012/07/15(日) 21:48:22 ID:5bBr/iSsO
- 19:26
「…………」
「な、何?」
私の視線にレミリアはたじろいでいる。
苺は(お行儀悪いけど)口から取り出した。
「…何がおかしいの?」
「えっ?い、いや…久し振り訪ねてきてくれて、振る舞った食事も綺麗に食べてくれたから…」
たしかに紅魔館の連中は食が細い。今日だって残す、と言われてレミリアとパチュリーの魚を貰ったんだっけ?
…というか私が食べ過ぎなのかな?。
「そう…なら良いけど」
冷静なフリをして心の中でレミリアに土下座した。
(ごめん、本当にごめんなさい)
「こちらでお茶をどうぞ」
咲夜が水辺の長椅子に案内してくれた。
水面は青白い松明の炎がゆらめいている。
窓から吹き込む風はさわやか…静かな波音が心地いい。
オレンジ入りの冷たいお茶をもらう。
ホントいい気持ちね。
レミリアはすぐ隣。
「えっと、実はね霊夢」
おっ!きたな?
「相談事は何かしら?」
レミリアはびっくり顔で絶句してる。
- 791 :名前が無い程度の能力:2012/07/16(月) 04:35:02 ID:ayr48ijAO
- 20:03
「…どうして?」
「まぁ、ね…。で、相談って?」
「霊夢は泳げるかしら?」
えっ?なにそれ。
「ええ、泳げるわよ。それが?」
「うん…」
レミリアはプールに顔を向けると黙ってしまった。
何か悩んでる?
「…教えてもらえないかしら?」
しばし沈黙のあとつぶやいた。
そんなこと?…と言いかけて言葉を飲み込んだ。
もともと幻想郷で泳げる人妖は多くはない。
特に妖怪は泳ぐ以前に水が苦手なのだ。
レミリアは吸血鬼、悪魔の種族。水は苦手のはずだ。
「良いわよ…でも」
「ああ、分かってるよ。私は水が苦手さ、だから…」
「準備運動するわよ!」
「う、うん…」
数分後の水辺。
レミリアはドレスと同色の上下に別れた水着、私は借りた赤い水着…競泳用とか…を身に付けて向かい合っていた。
- 792 :名前が無い程度の能力:2012/07/16(月) 05:17:19 ID:7.SGc0Pw0
- 唐突に破砕音がした。次の瞬間、天蓋が割れて爆炎と瓦礫が降ってくる
それらは熱量の洪水となってフロアのすべてを飲み込んだ
世界が暗転する
目を覚ますと廃土が辺りに広がっていた
跡形もなく消えた紅魔館、まだ辺りには土煙がこもり、そこかしこで何かがぷすぷすと燃える
「地上の者たちよ、おとなしく降伏するのだ」
見上げると、騒ぎの元凶が上空で黒い翼を広げていた
霊烏路空が馬鹿にしかできないような無邪気な笑みを浮かべていた
- 793 :名前が無い程度の能力:2012/07/16(月) 07:07:51 ID:ayr48ijAO
- 20:43
「…みんな大丈夫?」
水の中から顔を出して、がく然となる。
黒いがれきの山に点々と炎がゆらいでいた。
「ああ…」「無事ですわ」
咲夜に抱き抱えられたレミリアが応える。
パチュリー、小悪魔も無傷だ。
皆プールに飛び込んでいた。
水が高熱から守ってくれたのだ。
フランと美鈴は「来客」を迎えに出かけていた。
「まさか水に助けられるとはな…」
レミリアは苦笑して一転、
「おぅノォれぇぇぇツッ!」
にらんで歯噛みするものの翼を濡らした悪魔に魔力は使えない。
水から上がって集まる。
「霊夢さん」
小悪魔が衣裳を探してくれた。
「これだけですが…」
袖が一対、革靴、祓い棒…あるだけ奇跡ね。
パチュリーが結界を張る。
「悪いけど時間を稼いで」
「ええ…あとこれ借りるわね」
真っ赤な逆三角形の布地を身にまとい夜空に飛び上がった。
- 794 :名前が無い程度の能力:2012/07/16(月) 11:43:17 ID:dGiYtmQc0
- 20:46
――巨星「レッドジャイアント」――
巨大な光球となって追ってくる空を、湖上空まで誘導する。
連中が体勢を整えるまで、館付近で戦うのは得策ではない。
お札も針も無しに、どうしたものかな……。
とりあえず陰陽玉を呼びだす。流石は博麗神社の秘宝、あの爆発の中でも傷一つ付いていない。
――爆符「メガフレア」――
追いつけないと見たのか、空はスペルカードを変更。弾幕をばらまいてきた。
が、正直これはありがたい。魔理沙や文と違って、高速で逃げ回って避けるのはあまり得意じゃないのよ。
大小の弾幕を軽くかわし、反撃に移る。
――霊符「夢想妙珠」――
分裂した陰陽玉が空を追うが、スペルの発動を止めて高速で飛び回る彼女には届かない。
- 795 :名前が無い程度の能力:2012/07/16(月) 12:56:13 ID:7GqVx9DQ0
- 20:47
ふと霊夢の脳裏に黒い思考がよぎった
どんな義理があって、自分は紅魔館のために戦っているのだろう
その場のノリで時間稼ぎ役にされてしまったが、冷静に考えると骨折り損だ
無論、あの馬鹿ガラスには一発借りを返しておく必要があるが―
霊夢はあえて館の跡地に接近した。地上からレミリアたちが抗議してくるが無視
霊夢を追って下降した空が、紅魔館の面々を見つけて、彼らにメガフレアを発砲した
その注意力の散漫を霊夢は逃さない。手持ちのボムをすべて使い切り、空中で体制を崩した空にキックを見舞う
当て逃げ上等、霊夢は博例神社の方へ飛び立った。そろそろ眠気が回ってきたのだ
- 796 :名前が無い程度の能力:2012/07/16(月) 15:14:26 ID:ayr48ijAO
- 20:51
さて帰ろう、と身体を伸ばしたとき自分が水着姿だということに気がついた。
巫女服…どうしよう?
ふと見ると空はまた地上を狙って制御棒を向けていた。
あの子の暴走も異変クラスだ。理由を聞く必要もあるか…なんて余計な気持ちが沸いてきた。
ええい!夕食分、働くか!
袖を広げ、私は大きく宙返りした。死角から空の背後を襲う。
しがみつくと翼をねじあげる。
「い、イヤっ!」
悲鳴を上げて相手は必死だ。間接を決めたいけど体格とパワーが違いすぎた。
振り払われて一旦、間合いを取る。
「こ、この赤天狗〜!」
私が分からない?
と、空が砲口を向けてきた。同時に身体をすぼめて突進する。
スピードがいつになく速い。身に付けてる水着、速く泳ぐ為の薄い布地は身体をぴったり張り付いて、抵抗をなく風を裂く。
さらにきりもみ。高速の快感…赤い矢になった気分ね。
正面が光った。メガフレアが撃たれた空間はしばらく高熱を持つ。
(くっ…)
全身焼かれるよう。
身体をねじ込みながら空に体当たり。相手は大きく突き飛ばされて、無数の黒い羽が飛び散る。
スキを与えず突進。
護符がない私は体術で挑む。
肉弾戦が始まった。
- 797 :名前が無い程度の能力:2012/07/16(月) 22:46:14 ID:ayr48ijAO
- 21:04
むわっとした熱気の中、空と対峙する。
館から立ち上る煙に包まれ、地上の炎でちらちら赤く照らされている。
改めて大きい相手だ。
私の背丈は向こうの胸の下あたり。横幅もあり、手足も長い。
恐ろしいのは黒い翼だ。
制御棒は言うまでもない。
地底の苦しい戦いを思い出した。
「こ、降伏しろ!」
突進してくるのを正面から受ける。
制御棒がうなる寸前、前転して踵落としを喰らわせた。
翼の付け根は急所。
悲鳴を上げる相手の空いた腕を捻り上げる。体を重ね関節を決め、制御棒を無力化する。
暴れる空ともみ合う。
物凄い力だ。身体が汗ばむ。
胸の、赤く光る球体が顔に押し当てられる。
めり込んで…苦しい。
下からレミリア達の声がした。回復したようだ。
ほっ、とした瞬間空が急上昇する。
誤算だった。
薄着の身体が冷えて、凍えてゆく。皮膚感覚がなくなって…。
- 798 :名前が無い程度の能力:2012/07/17(火) 09:15:44 ID:4XfYxnK20
- 21:05
何か黒い物が下から無数に舞い上がり、私達を包み込んだ。
気が付くと私は数羽の蝙蝠に支えられて、宙に浮かんでいた。
レミリアの小さな背中が目の前にある。空は少し離れた所で私達の方を睨んでいた。
「待たせたわね、霊夢」
「遅いのよ」
「ごめんなさいね。後は私がやるから、下がっていて。巻きこまれるわよ」
「一人で戦うつもり?」
相性が悪すぎる。
「心配には及ばないわ。速攻で決めるから」
――「紅色の幻想郷」――
目の前が真っ赤になった。
――夢符「二重結界」――
とっさに結界を張りつつ距離を取る。そうしなければ、私の方が先に被弾していただろう。
――「サブタレイニアンサン」――
空もそれに応じて大技を繰り出す。彼女の生み出す引力に引き込まれないよう、何とか踏みとどまる。
その瞬間、目の前の紅色が晴れ、太陽を模した弾幕がくっきりと見えるようになった。
かき消された?いや、レミリアが自らスペルの発動を解いた?
――神槍「スピア・ザ・グングニル」――
私の耳にその名が届いた時、消えた紅色を凝縮したかのようなその紅い紅い槍は、
既に太陽の中心目掛けて放たれていた。
- 799 :名前が無い程度の能力:2012/07/17(火) 20:31:15 ID:JUanB.dUO
- 21:10
文字どおり世界が深紅に染まる。
やがて薄らいでレミリアの影がみえてきた。
空いた手をまるで槍で血振るいするかのように振ると
「終わったわ」
振り返った背後に空がふらふらと降下してゆくのが見えた。
言葉どおり速攻だった。
結界を解く。大きく息をした。
正直身体が重く、だるい。
気が抜けるとじんじん体のあちこちが痛みだす。
高熱と低温で肌がやられたようだ。
筋肉は張り、関節も節々痛い。私もまだまだね…。
「霊夢」
レミリアが音もなく滑空してきた。
月明かりに耀く青紫の髪、らんらんと光る赤い瞳。
夜の吸血鬼、最強のレミリアが私の前に浮かぶ。
よくみると彼女も水着姿だ。
上下に別れた白地に薄紅色を身に付ける。
白い肌は人形のよう。
帽子がないせいか大人びて見える。
対する私は、全身汗でぐっしょり。さらに煙の中を飛びまわったせいか煤身体も水着も黒く汚れてしまった。
高熱攻撃で髪かリボンが焼けたのかかすかに焦げ臭い。たぶん、身体もだ。
濡れた紙みたいに張り付いてる赤色の薄地は、私の肌色の濃さを際立たせている。
おまけに腹筋も浮いて…まったくどっちが妖怪か分からないわね…。
- 800 :名前が無い程度の能力:2012/07/18(水) 12:43:10 ID:SwrLdn8I0
- 21:13
館のあった所に降り立つ。着地の時ふらついたレミリアをフランが支えた。
「まったくお姉様ったら無茶をして」
「お嬢様、お見事でした」
咲夜が差し出したグラスの中身を一息に干す。小食の彼女にしては珍しい。
「ああいう不意打ちめいた戦い方は趣味じゃないんだけどね」
レミリアは言い訳っぽくそう呟くと、椅子にどっかと腰を下ろした。
「お着替えです」
咲夜が服を差し出すと、彼女はごうっと音を立てて蝙蝠の群れになり、
次の瞬間には平服に戻っていた。咲夜が私には赤いマントを羽織らせてくれる。
「貴女のサイズに合うのはこれしか無くて、ごめんなさいね」
水着に巫女服の袖、加えてマントでさらにわけのわからない格好になってしまった気がする。
「お嬢様、回収してきました」
美鈴が意識を失った空を背負って、湖の方から姿を現した。
- 801 :名前が無い程度の能力:2012/07/18(水) 23:10:31 ID:puodPveE0
- 21:15
さて、この躾のなってないペットはどうしてくれましょうか....
- 802 :名前が無い程度の能力:2012/07/18(水) 23:49:41 ID:7qsBIuKw0
- 21:16
咲夜はナイフを走らせて、またたく間にお空の肌を剥ぎ取ってしまった
「ま、館を吹き飛ばされたのだからこれぐらい当然の報いでしょ」
グログロピチューン!
- 803 :名前が無い程度の能力:2012/07/19(木) 02:36:19 ID:a5HD1G9wO
- 21:17
気絶したお空を性的な意味で食べちゃおう
紫とは違って若いのは良いことね
- 804 :名前が無い程度の能力:2012/07/19(木) 10:21:20 ID:jGfdpIpwO
- 21:18
「食べられるのは貴女よ…」
背後にレミリアの声。
肩からマントが落ちる。
!…身体が…動かない…
「ほら…ご覧なさい」
目の前に大きな鏡。
そこにハリツケにされた私がいた。
声が出ない。
「まったく、こんな水着(もの)…着て!」
鎖骨から下、逆三角に張り付いた赤い薄地。
汗と煤で黒い染みがついたそれをレミリアが触れる。
全力で身をよじる。
肋骨と腹筋がむなしく浮き上がるだけだ。
足回りの、腰骨より上にある深い切れ込みに沿って白い指が舐めるように動く。
それは赤い三角の頂点に…まずい、パチュリーはどうした!…んっ…あ、あっ…!。
「大丈夫ですか?」
美鈴の声。
いつのまに寝てたのか。
横には椅子に眠るパチュリー。
ひっぱたきたくなる。
レミリアは…?
「今、お客様と…」
フランの客人、封獣ぬえと古明地こいしの姿が。
側には空が毛布にくるまって寝ている。
- 805 :名前が無い程度の能力:2012/07/19(木) 11:43:08 ID:27Uolm7Q0
- 21:18
なんかどっと疲れたから帰るわ。
わたしは紅魔館の面々の別れを告げて、博例神社へ向かった。
- 806 :名前が無い程度の能力:2012/07/19(木) 14:50:12 ID:eA.1kFik0
- 22:00
博麗神社に帰りつく。神社の周りはしんと静まりかえっていた。
温泉で汗を流し、着替えを済ませると、早々に床に就いた。
- 807 :名前が無い程度の能力:2012/07/19(木) 15:10:28 ID:bYWmfvfM0
- 22:05
「んっ…あっ…」
久々に自分を慰めた
誰もいないから大丈夫よね…ん
- 808 :名前が無い程度の能力:2012/07/19(木) 15:47:51 ID:atdESR9g0
- ふと視線を感じて、襖のあいだを見やる
闇の向こうに光る眼が……あれは、こ、こ、こーりん!?
- 809 :名前が無い程度の能力:2012/07/19(木) 20:55:35 ID:jGfdpIpwO
- 22:10
思わず退魔針を投げつける。
投げて“しまった!”と後悔した。
覗きくらいで失明させるのはアレかと思ったからだが、時すでに遅し。
しかし、相手は無言。
よく見ると、霖之助さんの頭だけのマネキンだった!
電球で眼が光る…なんて悪趣味な物を…。
取り敢えず縁側に置いといた。やれやれ。
再び横になる。
また変な夢みなきゃ良いけど、と思いつつ眠りに沈んでいった。
- 810 :名前が無い程度の能力:2012/07/20(金) 06:28:36 ID:Bz5PNhHw0
- 23:55
ふと目が覚めた。まどろみの向こうに、襖のあいだに光る眼が…
OH、デジャブ
- 811 :名前が無い程度の能力:2012/07/20(金) 09:10:03 ID:o0YfNjJE0
- 0:00
「こんばんは、霊夢」
「紫、あんたが予定より早く起きだしてくるなんて、天変地異の前触れかしら?」
「心配しなくても、ちゃんと寝てるわよ。私も貴女もね」
「それじゃあこれは……」
「ええ、夢よ。私の夢と貴女の夢をつながせてもらったわ」
「もしかして私が最近変な夢をよく見るのは」
「察しが良いわね。いえ、勘が良いわね、と言うべきかしら」
「このやろう」
「怒らない怒らない。それより折角久しぶりにゆっくり話す機会を得たのよ。
もっと楽しいことを話しましょう」
- 812 :名前が無い程度の能力:2012/07/20(金) 10:24:26 ID:Ubr.7idk0
- 「ゆっくり話す機械を得た?」
「そうよ」
「あれイントネーションとか面白いわね」
「え?」
- 813 :名前が無い程度の能力:2012/07/20(金) 12:51:04 ID:mzSpCh4IO
- 0:04
それはさておき…
「あいにくだけど楽しい話なんて出来ないわ!」
紅魔館と空の一件はどうなるのか?下手すれば紅魔館と地霊殿、はては空がらみで山の神たちとの抗争になりかねない。
しかし紫は微笑んで
「あの館も、お空のことも全て丸くおさまるわ」
と自信たっぷりだ。
- 814 :名前が無い程度の能力:2012/07/20(金) 16:29:40 ID:T3bWPI6w0
- 0:05
「さあ霊夢、久々に楽しみましょう」
紫が抱きしめてきた・・・しょうがないなあ
- 815 :名前が無い程度の能力:2012/07/20(金) 16:56:21 ID:Oc0MnKfI0
- 06:00
朝チュン、昨夜はお楽しみでしたね
紫の頭を優しく撫でて、外気を取り込もうと襖を大きく開け放った
カシャッ! カシャッ!(シャッター音)
- 816 :名前が無い程度の能力:2012/07/20(金) 22:00:03 ID:uVF1Pwxc0
- 富竹フラッシュ!
- 817 :名前が無い程度の能力:2012/07/21(土) 10:57:47 ID:aiWB3p6A0
- 6:01
そこで目が覚めた。そういえば夢を見ていたんだっけ。
しかしシャッター音は止まっていない。境内からのようだ。
またどこぞのブン屋が騒いでいるのかしら。
- 818 :名前が無い程度の能力:2012/07/21(土) 12:50:46 ID:/4TWkAPcO
- 6:03
何かやな予感がした。
そっと襖を開けると…
縁側を囲むようにロープが張られ、その向こうに卒倒した魔理沙と興奮ぎみの文、そして(よりによってまた)小兎姫が見えた。
“猟奇殺人”という言葉が聞こえた。
…何かもめそう。
裏口から逃げる準備をする。
- 819 :名前が無い程度の能力:2012/07/21(土) 22:59:45 ID:vtxV3djo0
- 6:05
いや衝動って怖いねー
裏口を出たところにはたてが待ちうけていて、カメラを片手に「昨夜はお楽しみでしたね」なんていうから
つい、うっかり、落ちてた石ころで彼女の頭を……こう
うーん、しかし誰が殺したんだろうなー、この娘を。完全に即死してるわ
もしもーし、はたてー、犯人を捜す手掛かりとして、このカメラは貰っていくからねー
じゃ、そういうことで
- 820 :名前が無い程度の能力:2012/07/22(日) 09:34:04 ID:EltgCCj20
- 6:07
しばらくあのお寺にでも避難させてもらおうかなと、飛びあがりかけた所で、
足首をつかまれた。はたてだった。
「勝手に殺すな」
やむなく縁側に座って、二人でお茶を飲みながら話す。
「まったく、何もしていないなら堂々としていればいいのよ。
こそこそ逃げ出そうとするからややこしいことになるじゃない」
「猟奇殺人とか関わり合いになりたくないでしょ」
「殺人?んー、まあ人間だったら猟奇的ではあるわね」
「被害者は妖怪なの?それにしたって……」
「違う違う。妖怪で殺されそうになったのは私だけ」
「お煎餅、食べる?」
これでも悪いとは思っているのだ。
「ありがとー。えっと、殺されたっていうか、壊されたのは人形ね。
あんたは人間だったら猟奇殺人っていうのを聞いて早合点したんでしょうよ」
- 821 :名前が無い程度の能力:2012/07/22(日) 10:31:40 ID:poGjSPBoO
- 6:10
表の声が大きくなってきた。
はたてにカメラを渡す。
「“お楽しみ”とか言ってたけどどういう意味?」
「別に…単に言ってみただけよ?」
「そう」
魔理沙の声が聞こえた。
かなり怒気を含んでる。
“やめよーよ”といさめる萃香とチルノの声もした。
今こんなことしてる場合じゃないわね。
「悪いけど私でるわ」
「あ、猟奇犯が愉快犯に変わったみたいよ!」
聞き耳していたはたてはにやり、としてから
「でも今、飛んでったら見つかるわよ?」
ええ、分かっていますとも。
“突入しまーす!”
小兎姫の声と警笛。
と、同時に。
“マスタースパークッ!”
轟音と炸裂。はたてを巻き込んで裏口まで吹き飛ばす。
その爆煙をついて飛び上がった。
- 822 :名前が無い程度の能力:2012/07/23(月) 07:39:26 ID:5o2OR4H60
- 6:11
マスタースパークの反動に耐えていた魔理沙を踏みつぶし、
唖然としていた小兎姫を蹴り上げた。
「よくも神社を壊してくれたわね」
魔理沙をぐりぐりと踏みつけにしながら言う。
「あやや、おはようございます。霊夢さん」
「おはよう、文。事件について詳しく教えてくれないかしら。
どうして私が疑われているのか知らないけれど、不愉快だわ。
場合によっちゃ私が解決してあげる」
「捜査の様子を密着取材させてもらってもいいですか?」
「許す」
文は二つ返事で事件の詳細を話し始めた。
その間魔理沙はずっと、私の足の下でふてくされたようにしていた。
- 823 :名前が無い程度の能力:2012/07/23(月) 12:46:09 ID:EsQQsujgO
- 6:13
「私が今朝うかがったのは他でもありません、昨夜の紅魔郷…」
私の表情が一瞬ひきつった。
やばい。
しかし文は気がついたかそうでないか構わず続けた。
「丁度、魔理沙さんも向かっているところでした…私はその後に付いて博麗神社へ」
ところがさらに先客がいた。はたてだ。
文はあわてて森に身を隠して様子を伺うと…
「魔理沙さんの声がしません!参道から上がってみると、地べたに倒れていてさらに縁側に!」
「霖之助さんの頭が置いてあったわけね」
「あやぁ、やはり犯人は霊夢さんでしたか?」
「そうでないけど、そうでもあるわ。ところでレミリア達の件は何?」
「あや?昨夜のすごい爆発ですよ?私は朝一番で様子を見にいったんですがなんと…」
「館はなんともなかったのぜ、傷ひとつなく。ただし、誰も居なかった」
足の下から魔理沙の声。
その辺、詳しく聞こうかしら?。
- 824 :名前が無い程度の能力:2012/07/24(火) 07:43:59 ID:wfLk7Ql20
- 6:21
詳しくも何も、魔理沙はそれ以上何も知らなかった。
彼女が紅魔館を訪れたのは、私が壊れた館を後にして間もない時間帯、
規格外が揃う紅魔館といえど、そう短時間で修復できるものではない。
その館がもぬけの殻だったというのも気にかかる。
というわけで、私は今二日続けて紅魔館を訪ねようとしているのだった。
- 825 :名前が無い程度の能力:2012/07/24(火) 09:25:45 ID:neJ9QMnUO
- 6:24
ひっくり返っていた小兎姫が起きてきた。
「ほら、油売ってないで!失踪事件よ」
出掛ける前に紅魔館のことを話そうとすると
「レミリア嬢は失踪なんかしていないわ」
まだ首をさすりながら、
「皆さん、命蓮寺にいますよ」
これには一同声を上げた。
「なんだ、あいつら仏教徒になったのか?」
「これは意外な組合せですね〜!」
魔理沙たちの話を聞きながらピンときた。
昨晩、フランの客にぬえが…命蓮寺住まいの…がいた。
館の惨状をみて、フランたちを誘ったのも不思議ではない(聖白蓮ならそう薦めるだろう)。
魔理沙が昨晩見た館はおそらく“正体不明の種”の偽装だ。
でも効力は長くない…では文が今朝見たのは?。
「あんたは何の用でウチに来たの?」
何気に小兎姫に聞いてみた
「実は今朝、失踪人の捜索依頼をレミリア嬢から」
「え…誰なの?」
「アリス・マーガトロイド嬢です」
文がまた興味深々に質問し出した
“命蓮寺、アリスの共通点は…魔界!と、すると”
「命蓮寺に行くわ!」
あっけにとられる面子を尻目に私は飛び立った。
- 826 :名前が無い程度の能力:2012/07/25(水) 02:27:58 ID:DAajRuiYO
- 6:27
「待ってくれ」
魔理沙が後に続く。
小兎姫が下から大声で
「では紅魔館の件とアリス嬢は関係あると?」
「いや!それはない」
私が答える前に魔理沙は即答した。
見送られながら上昇する。
文もついてきた。
「魔理沙さん!どうしてアリスさんが無関係だと?」
「いや、ただの勘だぜ?」
「そうですか…」
文は立ち寄る所がある、と大きく旋回した。
後ろ姿を見ながら
「文はアリスの居場所知ってるな」
「そうね」
私もうなずく。
「魔理沙も知ってるでしょう」
「留守にすることはな…本人から。でも居場所は知らん…お前の方は?」
「知らないわ。ただ紅魔館はね、昨晩そこに居たのよ」
私は昨日の話を始めた。
- 827 :名前が無い程度の能力:2012/07/25(水) 08:38:15 ID:ntsaLWdo0
- 6:58
萃香に神社の修理を任せ、魔理沙と話しながら移動する。
アリスが少し留守にしたくらいで、レミリアが慌ててそれを探させるというのも解せない話だ。
空が昨晩紅魔館を襲撃した理由についても聞きそびれていた。
紫は寝ているし、魔理沙でもないなら、昨晩神社に霖之助さんの人形を置いたのは何者なのか。
疑問点が多すぎる。その上情報が錯綜している感じだ。
命蓮寺で話を聞けば、いくらかははっきりするのだろうか。
- 828 :名前が無い程度の能力:2012/07/25(水) 20:31:21 ID:DAajRuiYO
- 7:03
青々とした田畑といくつかの集落を見下ろしながら飛ぶ。
里の繁華街を横目に西へしばらく、やがて命蓮寺が見えてきた。
「おっ!凄いな」
山門から真っ直ぐの参道に沿って露店がびっしり並んでいる。
「朝市の日みたいね」
人混みもすごい。
まさに門前市をなす、のにぎわいだ。
山門は歩いてくぐるのが礼儀。参道に降下した。
いい匂いが充ちている。
露店は食べ物屋から雑貨、衣料となんでもある。
魔理沙は古本を積んだ店先に足を止めそうになる。
お互い誘惑と戦いながら本堂に向かうと、
「おはようございまーす! 」
よく通る澄んだ声。
ホウキを手に響子が門前 に立っている。
「どうぞ、こちらです!」
力強い声で参拝者を誘導してるのはなんと美鈴!?
何気に生き生きと見える…。
と、人混みに場違いなメイド服…咲夜を見つけた。
向こうもこちらを待っていたようだ。
「ん?…なるほど分かったぜ、霊夢」
魔理沙がつぶやく。
咲夜の背後にもうひとりメイド…長身に金髪、そして赤い衣装。
魔界神・神綺のメイド、夢子だ。
- 829 :名前が無い程度の能力:2012/07/26(木) 08:38:34 ID:psLIkkvo0
- 7:15
「おはよう。アリスを探しているって聞いたんだけれど」
「ええ。あの鴉を唆して紅魔館を襲わせたのは、どうもその人形遣いらしくてね」
「何のために?」
「そこまでは分からないわ。まあ馬鹿を派手に動かす手口からして、
何かの陽動である可能性が高いとは思うんだけれど。
あれが暴れている間に何かをした、あるいはするつもりだったんでしょうね」
まあこれでレミリアがアリスを探す理由、空が暴れた理由については得心がいった。
問題はアリスの目的だ。この流れからすると、アリスが姿を消したのは自分の意思によるものらしい。
「それで、レミリアは?」
「お嬢様と妹様は奥でお休みになっています。起こさないでくださいね」
「パチュリーはどうしてるの?」
「紅魔館に残られました。地下にあった図書館は無事でしたので。
今、瓦礫の撤去と館の修復作業をされています」
まあ実際に作業をしているのは精霊やゴーレム達でしょうけれど。
「それで、魔界のメイドさんはどうしてこちらに?」
- 830 :名前が無い程度の能力:2012/07/27(金) 03:13:55 ID:wFv2xAlw0
- その5日後、姫海棠はたての葬儀がしめやかに執り行われた。
魔理沙は逮捕され、警察で取り調べられたが、不幸な事故として
処理された。そう、ここ(幻想郷)では自分の身は自分で守らねばならないのだ。
文と椛が遺骸の傍で号泣している。
- 831 :名前が無い程度の能力:2012/07/27(金) 09:53:05 ID:mJQN0u6o0
- 7:18
「手帖に何書いてるのよっ!」
「ぎゃふっ!?」
振り返ると文とはたてがどつき漫才をやっていた。仲が良いわね。
「私は神綺様の命令で」
「でしょうね」
「『アリスちゃんがどうも危ないことやってるみたいで、心配だからちょっと見てきて』
とおっしゃるので」
「意外と似ているわね」
「ふんっ!」
夢子はそっぽを向いてしまった。
- 832 :名前が無い程度の能力:2012/07/27(金) 17:18:43 ID:22O6zppAO
- 7:21
「なぁ、今の話を本気にしろってか?」
魔理沙が咲夜に突っかかる。
「あら、やっぱり?」
咲夜はあっけらかんと答えた。何かあるの?
「…朝食の用意があるわ」
無表情に腕を組んだ夢子がぷい、と横に向く。
ついてこい、ということらしい。
「メシか…まあそうだな」
魔理沙が続き、それから私たちも。
本堂の隣にもうひとつ建物がある。
板張りの床にじゅうたんとテーブル。
「お待ちしてましたわ」
合掌した聖白蓮が笑みで迎える。
「さあ、こちらへ!」
そこには居心地悪そうに席についている古明地さとりとレミリア。
そして…
「あらあら、まあまあ…久し振りね!」
純白の髪をひらひらさせて、エプロン姿の魔界神が朝食の膳を運んできた。
- 833 :名前が無い程度の能力:2012/07/28(土) 07:35:44 ID:Cn2i3sTM0
- 7:23
「お嬢様、お目覚めでしたか」
「起こされたのよ!」
居心地悪そうというか、機嫌が悪そうだった。
「まったく、フランは寝てるっていうのに……吸血鬼なんだから朝くらい寝かせてよ」
ぶつぶつと愚痴をこぼしている。
「すみません。今後のことを話すのにいていただいた方が良いかと」
「そういえば昨日暴れたあの鴉はどうしたの?」
ふと気になって尋ねてみた。
「紅魔館の地下に捕らえてあるそうですね。まああの子には良い薬でしょう。
しばらく反省させたら解放してあげてくださいね」
答えたのはさとりだった。
「ああ、もちろん被害の方は弁償致します。山の神様とアリスさんと共同してですが」
「……で、何であんたがここにいるのよ!」
神綺を指さす。
「霊夢ちゃんに会いたくて」
「軽口はそこまでよ」
「ああ、魔界のことなら心配いらないわ。マイちゃんに任せてきたから」
- 834 :名前が無い程度の能力:2012/07/29(日) 14:39:06 ID:BBGL/of.0
- 7:25
「そういえば、例の強盗が持ってた毒の名前って分かる?」
こっちで手に入らない毒でも、魔界にはあるのかもしれない。
文がぱらぱらと手帖をめくって答えた。
「それ、魔界にはあるのかしら?」
「えーっと、どうだったかしらねぇ?」
おい創造主。夢子と白蓮も首を傾げている。
「私も専門家ではありませんし」
「魔界に行ったことのある、薬の調合に長けた魔法使いでもいれば分かるのかもしれませんが」
魔理沙がなぜか得意げに自分を指さしている。
「残念だけど、心当たりは無いわね」
- 835 :名前が無い程度の能力:2012/07/30(月) 06:55:29 ID:akK4ei9A0
- 7:27
「私がいるだろ!」
魔理沙が叫ぶ。
「で、あるの?無いの?とっとと言いなさい」
「酷いな……。あるぜ、魔界なら大概の毒は手に入る」
「誰かに一服盛ったりしてないでしょうね」
「そんなこと滅多にするわけないだろ」
……まあ何にせよあの強盗が魔界から毒を手に入れた可能性は残ったわけだ。
- 836 :名前が無い程度の能力:2012/07/31(火) 13:43:40 ID:pYuFbc0w0
- 7:53
「帰るわ」
朝食が終わると、唐突にレミリアは席を立った。
「ここじゃ騒がしくておちおち寝てられそうにないからね。咲夜!」
咲夜が差しかけた日傘をひったくるように受け取ると、
「貴女は美鈴と一緒にフランを守っていなさい」
と言い残し、本堂から出ていった。あいつがわがままなのはいつものことだけれど、
少し様子がおかしい。空との戦闘のダメージが残っているのかもしれない。
速攻で圧勝したようには見えていたが、太陽の力と向き合うだけで負担が掛かっていたのだろう。
- 837 :名前が無い程度の能力:2012/08/01(水) 09:46:30 ID:Pl7vOl5M0
- 8:12
「それじゃあ夢子ちゃん、アリスちゃんを探して来てちょうだい」
「承知しました」
夢子が席を立つ。
「あんたは行かないの?」
「私が動くと、何かと大事になっちゃうでしょ」
なら魔界でおとなしくしていてほしかった。
「私も行こうかな」
魔理沙も戸口の方へ向かう。この二人が動くなら、私が動く必要はないかな。
「ほらほら、霊夢さん。貴女も探しに行かないと」
「そうそう、折角密着取材してるんだから、動きが無いとつまらないわ」
こんな時だけ連携の取れた天狗二人にせきたてられる形で、私も寺の外へ出た。
- 838 :名前が無い程度の能力:2012/08/02(木) 10:14:00 ID:Xgd5KaEk0
- 8:14
白蓮が後から出てきて言う。
「ナズーリンに手伝わせようと思ったのですが、今彼女は寺にいないのでした。
ああそうだ。あの子に手伝ってもらいましょう。ぬえ、ぬえー!」
返事はない。朝食の時にはいたはずなのに、いつの間にか雲隠れしたようだ。
「姐さん、なら私が……」
「ありがとう、一輪。ではナズーリンを呼びに行かせたいので、
ぬえを探してきてください」
「……それは私が巫女と協力してアリスさんを探しに行けば済む話では?」
「あら、それもそうね。ではお願いします」
かくして、私の意思とは関係なく、アリスを探しに行くことになったのだった。
- 839 :名前が無い程度の能力:2012/08/03(金) 13:40:00 ID:bcOtQpmo0
- 8:23
捜索は手分けしてすることになり、今私と一緒に飛んでいるのは取材中の文とはたてだけだ。
「アリスさんは何で空さんに紅魔館を壊させたのでしょう?」
「別に壊させたかったわけじゃないと思うわ。大方住人の注意をそらすため、
『神様の力が本物なら紅魔館の全員相手に喧嘩を売って、勝ちぬけるぐらいはできないとね』
とでも言ったのを、あの鳥頭が勘違いして館そのものに喧嘩を吹っ掛けたんでしょう」
「まあ、そんなとこでしょうね」
文も頷いている。二人とも同じようなことを想定していたようだ。
「で、アリスさんは目的を果たせたと思いますか?」
「どうかしらね。何か物を持ち出すのが目的だったりすると、
目的自体があの攻撃で吹き飛んじゃった可能性もあるし」
こっそり侵入するどころじゃなくなって、逃げ出した可能性もあるしね。
- 840 :名前が無い程度の能力:2012/08/04(土) 20:06:38 ID:HI3Tmu.U0
-
r ‐‐‐‐‐‐ト r"´ ̄ ̄`ヽ
.イ´ Y、⌒⌒ }
~"`ヽ / \ . 人
} l i:::: `゙ヽ
) } l 〃 l::::::: 人 `) ドコダドコダ・・・・・・
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ゝヒ´il ミ┌ ┐ ┌ ┐ l ト、:::: )
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~⌒⌒X~"ヽ l三l ̄lミ ミl ̄l三l l⌒ /::::_::::::::::_::::::::ヽ
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,_<' / , , , ヽ\ l
_rv_,.`V´/ 〃,',ハ i __':, \! 何のまじない?テレパシーでも使ってるの?
Lvノ H / ̄ハ!ヽ !ヽヽ', ',ヽ
〈 f ; ;,',イj^ヽ `'rj^ヽ,ヽ,! i ┏━┓
┘' ̄| ;', ;i 'ゝ_.ン ゝ.,ノ !, り ┏┛
i ━ ! ∧i ', /」 ! ・
l l i i `ヽ,_ ー /i /
| ┴―‐、「‐' 'T''‐''i´ノiレ'
! ┃', lヽ, ><´/フ、
- 841 :名前が無い程度の能力:2012/08/09(木) 12:55:21 ID:H4knh3Gc0
- 17:35 結局アリスは見つからず寺へ帰ってきた。
白蓮に誘われて神綺と夢子も加わり宴会だ。
- 842 :名前が無い程度の能力:2012/08/10(金) 22:55:45 ID:o7dUgMnMO
- 19:32
が、この面子、あまりお酒に強い方でない。
神綺がアリスの名前を連呼して泣き始めた。
飲んでいない夢子と白蓮がなだめすかしでいる。
白蓮は私に目で合図した。
潮時ね…お礼を言ってから神社へ戻る。
- 843 :名前が無い程度の能力:2012/08/10(金) 23:13:57 ID:/Yz4.XRk0
- 18:30
白蓮「粗末な料理ですけど、般若湯のおかわりは言ってくださいな。
私たちは、ほうじ茶を飲みますので・・・」
高野豆腐に、蒟蒻の田楽、平目の煮付け、大豆ひじき、ほうれん草のおひたし、
わかめの味噌汁。なるほど、質素だ。動物性蛋白も摂らないといけないから
毎日、精進料理でもないみたいね。
- 844 :名前が無い程度の能力:2012/08/10(金) 23:17:12 ID:/Yz4.XRk0
- おお、バッティングした。
よく見てなかったよ、すまん。
- 845 :名前が無い程度の能力:2012/08/11(土) 00:12:47 ID:7YqDt62AO
- いえいえ
843→842で話は通じますねw
- 846 :名前が無い程度の能力:2012/08/11(土) 02:11:35 ID:pVtjih9E0
- >845 どうもです
- 847 :名前が無い程度の能力:2012/08/12(日) 02:57:58 ID:.2qcspeEO
- 19:48
鳥居の前に人影がみえた。
魔理沙と咲夜だ。
手短に話すわ、と咲夜は何かを差し出した。
白い布製の…帽子のようだ。
裏に“T K”のイニシャル。
「見覚えあるか?」
魔理沙は確信してるようだ。
「これは?」
「美鈴がお空を回収しようとしたとき、先に来ていた連中らしいわ…」
「連中?」
「あと一人、赤毛の女…“教授”と呼ばれてたのがいたとか」
私はため息を吐いた。
岡崎教授か…。
帽子は美鈴が声をかけた時、先方から仕掛けられ小競り合いになったらしい。美鈴は証拠を手にしたら深追いはしなかったようだ。
「レミリアがさとり達に寛容だった訳ね」
しかし、なんで話を複雑にするのか!…。
「まあ、事情はわかったわ」
「そう…」「あとアリスの居場所も…ま、それは明日にでも」
二人はそれぞれ帰っていった。
見送ってからなんとなく疲労感がきた。
明日はどこかにある「可能性時空移動船」を探すのか。
早く休もう。
- 848 :名前が無い程度の能力:2012/08/13(月) 21:44:42 ID:P7yZk0UYO
- 4:56
目が覚める。
早めに床についたせいかな?
寝間着のまま軽く体操。
朝風呂に浸かって、さて今日の計画を練ってみるか…。
- 849 :名前が無い程度の能力:2012/08/16(木) 19:38:15 ID:kYwwCF3YO
- 6:05
簡単な朝食のあと、出発。
萃香は寝ていた。
昨日の神社の修理で疲れたのかな?ごめんね…
魔理沙は待たなかった。
何か胸がもやもやする。
何か嫌な予感がした。巫女の感、だろうか?
とにかく岡崎教授の船を探し、このゴタゴタを終わらせよう…。
- 850 :名前が無い程度の能力:2012/08/19(日) 09:23:05 ID:IITYEUnw0
- 6:07
文が一定の距離を保ちつつ後ろから付いてきている。密着取材は終わっていないようだ。
「その帽子、誰のなんですか?」
急に声をかけられた。異変解決中なんだから邪魔をしないでほしい。
「北白河さんならイニシャルは“C.K.”のはずですし……多々良小傘さん……?」
後ろでぶつぶつと呟き声が聞こえる。
- 851 :名前が無い程度の能力:2012/08/19(日) 23:36:23 ID:1FJoKN4QO
- 6:11
進路を妖怪の山に向ける。
通常の山の入り口である守矢神社の参道、とは反対側に進むと後ろの文があわてて何か言ってきた。
博麗の巫女とはいえ、うかつに入り込めない聖域だからだ。
それは私も心得ている。
うっそうとした山麓の森の上すれすれを行く。
横目に山を見ながら境界のぎりぎりを飛んだ。
- 852 :名前が無い程度の能力:2012/08/20(月) 12:49:07 ID:HJSfRpJQ0
- 6:24
先日世話になった夢美の研究施設、その正面に人影があった。
「ちゆりっ!」
私に気が付いた彼女が片手を上げる。
「おうっ、博麗の巫女か。普通の魔法使い、ちゆり様だぜ」
幻想郷側のちゆりだった。
「教授ともう一人のあんた、いる?」
「あいつらなら留守みたいだぜ」
可能性空間移動船はあった。
つまりここで待っていれば、帰ってくるということだ。
- 853 :名前が無い程度の能力:2012/08/21(火) 16:06:51 ID:xTIuM8fs0
- 6:27
「アリスを見なかった?」
「人形遣いの?見なかったけれど……」
「行方不明なのよ。昨日何人かで探したんだけれど、見つからなくて」
その時の様子を詳しく話した。
「そいつは奇妙だ。人一人探すには明らかに過剰戦力じゃないか。
それでなお見つからないなんて……。そこの天狗も目を光らせていたんだろ」
物陰に隠れていた文が答える。
「そうですね、取材が第一でしたので。ややおざなりにですが」
「つまり彼女は幻想郷にはいないのかもしれない」
「外の世界にいるっていうこと?」
「そうとは限らない。魔術・妖術などで作られた空間の中にいる可能性もある。
魔法使いも一緒に探していたんだし、魔界の神なんてものがいたら、
そういう技を使えばばれる気もするけどな」
魔理沙に他人の魔法を感知する能力があるかは怪しいところだけどね。
- 854 :名前が無い程度の能力:2012/08/21(火) 19:24:03 ID:wvAXVx5cO
- 6:30
「まぁ一息いれてくれよ」
ちゆりがコーヒーを淹れてくれた。
ありがとう。大きめのマグに砂糖やミルクを入れる私の横で彼女は黒いやつをそのまま飲んだ。
文も満足そうにすすっている。
「ところでこれを見てくれないか?」
誘われて船の裏側にまわると驚いた!
「いや、これは!…事故ですか?」文がメモを手にする。
船体に空いた大きな穴。
「いや…大きな鳥に攻撃されたらしい」
その日、たまたま時空移動中に間違えて幻想郷に着いてしまったらしい。
時間は夜。
「例のごとく二人があーだこーだ言い合いしてたらいきなり衝撃が…」
「その鳥とは?」
「物凄い火力を持っていたそうだ。妖怪とは思えず追跡したらしいが」
二人の会話を聞きながら今回の顛末が分かってきたわ。
- 855 :名前が無い程度の能力:2012/08/22(水) 12:15:29 ID:FPCqx1pw0
- 6:43
「おや、博麗の巫女。来てたのか」
「って、何で勝手にうちのお茶出してくつろいでるんだよ!」
「別にどっちもちゆりなんだから構わないでしょ」
教授と助手のちゆりが帰ってきた。
「おかえりなさい、お邪魔してるわ。ああそう、これ、忘れ物よ」
「さんきゅ」
帽子を投げる。キャッチしたのは夢美の方だった。
「待ちなさい。二人いるとややこしいからあんたはもう少し帽子無しでいなさい」
「ひどいぜ」
「その刺繍のイニシャルは何なんですか?」
文が口を挟む。
「T.K.か、親にもらった物だから、そのイニシャルだな」
- 856 :名前が無い程度の能力:2012/08/23(木) 10:37:17 ID:2bJU1UNI0
- 6:46
「昨日は災難だったわね」
「ああ、平行世界から来たところで、いきなり撃墜されてね。
犯人の鳥妖怪を追っかけていったら例の門番と鉢合わせ。
どうにも気が立っているようだったので、退散させてもらったよ」
「アリスはこっちには来ていないかしら?」
「人形遣いの?いや、見てないが、どうかしたのか?」
かくかくしかじか。
「でも空間を弄れる奴って幻想郷には結構多いのよね。
アリス本人にしたって、大量の人形を持ち歩くのに何かしてるんだろうし」
「捜査の行きとどかない、冥界や地底に隠れている可能性もあるしな」
まったくアリスはどこにいるんだか……
- 857 :名前が無い程度の能力:2012/08/24(金) 12:19:12 ID:fggrVXCc0
- 7:03
ラボでお茶とお茶菓子を頂いていると、小悪魔が訪ねてきた。
「ここにいたんですか、霊夢さん。お知らせしておきたいことがありまして」
「何かあったの?」
「パチュリー様の図書館から禁忌の書が一冊無くなっていることが分かりました」
「禁忌?」
「禁じられた、忌むべき魔法の本です。使い方次第では、非常に危険です」
「何でそんな危ない物が置いてあるのよ……」
「魔法使いなら誰でも一、二冊は持っていますよ。簡単には廃棄できないものですし。
内容の研究成果自体は価値の高い物で、蒐集家としては廃棄したいとも思いません。
名目上は、他の危険な魔法に対する対抗措置として保管されている物ですね」
「ふうん。で、肝心の無くなった魔道書には何が書かれていたの?」
- 858 :名前が無い程度の能力:2012/08/29(水) 21:36:03 ID:u1jIe.1g0
- 7:04
と、いう夢をみた。起床
- 859 :名前が無い程度の能力:2012/09/02(日) 11:18:03 ID:CazW0NsU0
- 7:06
夢オチに憤慨しつつ歯を磨く
- 860 :名前が無い程度の能力:2012/09/03(月) 10:18:27 ID:8EI5yGjI0
- 7:18
朝食を作っているうちに、昨日の記憶がよみがえってきた。
夢で見たのとほぼ同じことが、実際にあったのだ。夢は途中で終わっていたが、
大変だったのはその後だった。大魔術を発動するのに適した空間という点から、
アリスの居場所を絞り込み、突き止め、彼女に協力していた者達の妨害に遭いながらも、
魔術の発動を止めることに成功した。昨夜遅くまでかかってしまった。まだ少し眠い。
今アリスは、紅魔館の修復作業に加わっているはずだ。
- 861 :名前が無い程度の能力:2012/09/04(火) 11:55:26 ID:paZ/ZqeE0
- 7:36
「それで、アリスはどこに隠れていたの?」
紫が朝食を食べながら言う。
「夢幻世界……って何でうちでご飯食べてるのよ!」
「ああ、なるほど。それで見つからなかったのね。で、あそこの悪魔たちはどうして彼女に協力を?」
朝食については抗議するだけ無駄なようだ。私も向かいに座って、食べながら説明する。
「アリスに幻月たちが協力していたというよりは、その逆だったみたいね。
この間、あんたが幽香の所から花を持って行ったでしょ。あの後幽香が塞ぎ込んでいたらしくて。
馴染みの幽香のための魔法だったらしいわ」
「それで貴女はあの花妖怪と悪魔二人を相手に大立ち回りを演じてきた……と」
「いいえ。幽香は魔法の発動を止めるよう、あの姉妹の説得に回ってくれたの。
おかげで割とすんなり解決できたわ」
- 862 :名前が無い程度の能力:2012/09/04(火) 23:03:00 ID:qczBT4vgO
- 7:40
借りができたわね…、
そうつぶやくと紫はふっ、と消えた。
いつもの事だから気にもしていなかったけど気が付いたら食卓にひとかごのブドウが置かれていた。
その上に“ごちそうさま”の置き手紙。
…これだから紫は!
- 863 :名前が無い程度の能力:2012/09/05(水) 12:36:32 ID:B8OS6q160
- 8:03
「それで、魔道書はどうなったんだい?」
縁側でお茶を飲んでいると、萃香が隣に腰をおろして尋ねてきた。
「パチュリーの図書館に戻ったわ。いったんは魔理沙が持ち逃げしそうになったんだけれど、
どうもそれを見越して小悪魔を寄越したみたいね。転送魔法に引っかかって捕まったわ」
「で、魔理沙は?」
「本を置いて逃げたわ。夢幻館の門番には負けるし、あいつにとって昨日は散々だったようよ」
- 864 :名前が無い程度の能力:2012/09/06(木) 11:30:49 ID:g2Bzymmw0
- 8:06
「それで、アリスと夢幻姉妹はどんな魔法を使おうとしていたんだい?」
「教えてくれないのよ、アリスも幻月も。パチュリーなら知っていると思うから、
昨日はそれどころじゃなかったし。今度会ったら聞いてみるわ」
残る問題は誰がうちに霖之助さんの人形を置いたかね。アリスは関係なかったみたいだし。
「それなら香霖堂にこれを持って行って、訊けば何か分かるかもね」
萃香は私の壊した人形の首を差し出して言った。
- 865 :名前が無い程度の能力:2012/09/06(木) 23:14:46 ID:6pbE/oQMO
- 8:10
「ち、ちょっと萃香!…」
いきなり渡されるとびっくりするじゃない?
「おーい、霊夢」
と、そこへ参道から上がってきたのは岡崎教授とちゆりだ。
「やっと船の終了が終わって…ん?あっ、あったー!」
ちゆりが人形(の首)を指差した。
「やっとみつけたぜ!。野外カメラがここにあるとはな…」
カメラ?話を聞くと船外のデータを集めるための撮影記録装置…なんだそうだ。
「なんでこんなイタズラを?」
「いや怪しまれない為、人形にして遠隔操縦にしたのよ」
教授の話に結局怪しまれたがな!、とちゆりの毒舌。
霖之助さんにしたのは誰にでも近づけそうな人物、と見たからだそうだ。
しかし結果、まずアリスがなにか秘密を知られたと弾幕戦になり、さらにお空がパニックで暴走、惨事に(体はお空に吹き飛ばされたそうだ)。
まあ、とにかく回収してもらう。あと
「悪いけどあんた達今回悪者になってもらうわ」
とにかく“異次元から来た”相手を悪者にすれば居なくなってしまえば後は問題ない、からだ。
二人は苦笑してうなずいてくれた。
- 866 :名前が無い程度の能力:2012/09/07(金) 11:58:41 ID:bEACEeiw0
- 8:12
「そんなこと気にする必要ないと思うけどね。幻想郷の住人は、
異変の黒幕になって喜んでいるような奴ばっかりだし」
萃香が足をぶらぶらさせながら言う。確かに紅魔館の住人には
もう真相を知られているし、天狗達も新聞をばらまき始めている頃だろうから、
今更夢美とちゆりにおっ被せる責任も無いような気がする。
夢美とちゆりは複雑な表情をして帰っていった。
実は今回の異変の黒幕になりたかったのかもしれない。
- 867 :名前が無い程度の能力:2012/09/07(金) 12:51:26 ID:PUnOepvAO
- 8:15
「ねー、それなんだい?」
「ん?なんかカメラで撮ったやつらしいけど?…」
帰り際の教授たちに紫がくれたブドウを2房あげると、
『ほ、本物のブドウだ!』
と感激してくれて、お礼に手のひらくらいの金属の薄いなにかを渡してくれた。
「今後の参考に」
と言っていたけど…。
いじくってると、パカリと2つに開いた。赤と青のボタンがあり押してみたら…
映像が映り始めた。
まずお空が映り、次に私が。あの夜の戦いだ。
画面はお空から見たように撮られていて、燃える紅魔館の煙の中、私が飛び回っている。
客観的にみるのは初めて…炎に照らされて暗がりでもはっきり写っている。
思ったよりいい動きだ。私だったら戦いたくないくらい。しかし…あの日の私はやたら薄い衣装を着てかなり際どい…大写しになると…恥ずかしい!////。
ちょっと他には見せられないわね。
- 868 :名前が無い程度の能力:2012/09/08(土) 10:18:11 ID:WTqhIq.20
- 8:59
神社裏の掃除をしていると、賽銭箱の方から鈴を鳴らす音が聞こえた。
境内に回ると、見知らぬお爺さんがお参りをしていた。
「おお、巫女さん。すまんが道に迷ってしまっての。ここへ来れば案内してもらえると聞いたんじゃが」
外来人のようだ。確かに里で見覚えの無い顔だ。
- 869 :名前が無い程度の能力:2012/09/08(土) 12:33:43 ID:g4YcI6iA0
- 9:00
ジジイの身ぐるみを剥いで外の世界にかえしてやった
- 870 :名前が無い程度の能力:2012/09/10(月) 03:06:29 ID:eUn.RE5o0
- 9:07
「こら、そこの追剥巫女」
縁側に戻ると、不良天人がいた。さっきから様子を見ていたらしい。
「日頃の行いがそんなだから、野菜泥棒だの強盗犯だの疑いをかけられるのよ」
言っていることはもっともなんだけれど、あんたにだけは言われたくない。
「喧嘩を売りに来たの?」
「暇を潰しに来たの。だからそれもいいかもね」
- 871 :名前が無い程度の能力:2012/09/10(月) 09:32:26 ID:NPjasVgQO
- 9:10
「分かったわ。じゃ、これを里に返してくるから待ってなさい」
私は“じじい”が持っていた風呂敷つつみを見せて言った。
「??何それ…」
「見りゃ分かるよ♪」
萃香に言われ天子か包みを開けると…
中にはびっしり女性の肌着…私の下帯やサラシもある…が詰まっていた。
「………」
「…これでわかったかしら?」
天子はうつ向いて無言。
顔が赤い。
萃香が肌着を一つ取り出した。早苗や紫が着けてる“ぶらじゃ”というやつだ。
「へぇ〜いろいろある…ん、どう?」
ぶかぶかの奴を胸に当てておどけた。
皆で笑ったあと、天子が小声でごめんなさい、と言ってくれた。
「お年寄りに化けて悪さしたみたいね…お茶いれるから飲む?」
うなずいたのを確認したあと私は台所へ向かった。
- 872 :名前が無い程度の能力:2012/09/11(火) 12:06:52 ID:8ndhVJdI0
- 9:46
里に盗品を届けた後、私はそのまま一人で散策を続けていた。
人通りはあまり多くないが、里全体に活気が満ちている。
- 873 :名前が無い程度の能力:2012/09/11(火) 12:38:43 ID:EAXuCD020
- 9:50
天子が洋菓子屋の前でお菓子を見つめてる・・・可愛いなあ
- 874 :名前が無い程度の能力:2012/09/12(水) 03:10:33 ID:4Da1cMP.0
- 9:55
むしゃくしゃして、天子に奇襲の陰陽玉を放った。頭部に直撃
むごい打撃音がして血しぶきが飛んだが、あいつのことだから大丈夫だろう
お菓子の残りを頂いて、なんとなく永遠亭の方へ飛び立つ
- 875 :名前が無い程度の能力:2012/09/12(水) 08:45:32 ID:qs9IS1bY0
- 9:56
「待て泥棒」
慧音に足首を掴まれ、飛び立ち損ねた。
お菓子を洋菓子店に返したうえで、改めて永遠亭を目指す。
先日から永琳が作っているという薬も、完成した頃かもしれない。
- 876 :名前が無い程度の能力:2012/09/12(水) 09:24:10 ID:BSDCo2koO
- 10:04
里を越えて永遠亭につながる竹林の端が見えてきた。
高度を落として飛ぶ。
と、眼前に閃光!目がくらみ一瞬動きが止まったところに雷撃のような一撃が襲った。力を失う。
私は撃墜された。
- 877 :名前が無い程度の能力:2012/09/13(木) 07:48:14 ID:n0jcGxUk0
- 10:41
「気が付いたようですね」
「ん、衣玖?」
「はい、愛すべき龍宮の使い、永江衣玖です」
ここは、……竹林のすぐ近くか。あれ、どうして私は気を失っていたんだっけ?
「まあ、そんなことはどうでもいいじゃないですか」
「そうね……って、ごまかされるかー!」
「すみません、霊夢さんはこういうコミュニケーションを好んでいらっしゃるのかと思いまして」
さっき天子にした事を見られていたようだ。
「ごめんなさい。私にもよく分からないんだけれど、突然狂暴な衝動に駆られて」
「私に謝られても困ります。ちょっとこんな所で立ち話も何ですし、あちらで」
衣玖が指さした先には屋台が出ていた。
「昼間からお酒?」
「まずは水でももらって頭を冷やしましょうか」
「奢り?」
「割り勘です」
- 878 :名前が無い程度の能力:2012/09/14(金) 11:04:02 ID:LwHeJLTo0
- 10:43
「それで、何か用?」
「用というほどのことは無いんですけれどね」
「あれだけ乱暴に呼びとめておいて」
「たまにはいいでしょう。霊夢さんなんていつも乱暴じゃないですか」
そんなこと無いわよ。昨日だって、一昨日だって、先の異変の時だって……
「私が乱暴かどうかはさておき、今永遠亭に行く途中だったんだけれど」
「噂の真偽を確かめに?」
「噂?」
「まだ噂と言えるほどに広まってはいないでしょうね。広めようとしている者がいるというだけで」
「広めようとしている者……」
「例の悪戯兎です」
内容がどうであれ、急に信憑性を失った気がするが一応訊いておく。
「で、どんな噂?」
「曰く、八意永琳が『夢をかなえる薬』を作った、と」
- 879 :名前が無い程度の能力:2012/09/15(土) 14:10:58 ID:QsLXRopY0
- 10:45
「そんな薬があるの!?」
女将が食いついた。顔に『焼鳥撲滅』と書いてある。
「あるわけないじゃないですか、そんな都合の良い薬。
大方噂に釣られたカモに紛い物を売り付けるつもりでしょう」
それを聞いたミスティアは急におとなしくなって八目鰻を焼き始めた。
確かに、てゐが、『夢をかなえる薬』ができた、という噂を流そうとしているならば、
それは嘘である可能性が高い。しかし永琳が、「てゐが『夢をかなえる薬』の噂を流そうとしている」
という噂を広めようとしているならば……。ブン屋に嗅ぎつけられる前に先手を打った可能性はある。
ましてあの永琳だ。本当に『夢をかなえる薬』を作っていたとしてもおかしくない。
「何か良からぬことを考えていますね」
衣玖が私の顔を覗き込むようにして言った。
- 880 :名前が無い程度の能力:2012/09/16(日) 13:08:47 ID:sLrIdoYo0
- 11:02
「では、私はそろそろ行きますね。女将さん、お土産に八目の蒲焼十本包んでください」
「はーい、まいど」
衣玖が立ち上がったのを見て、私も席を立つ。
「私も行こうかな」
「永遠亭にですか?」
表情は読めるのに、空気は読めない衣玖が尋ねる。
「……ということは、あるのね!薬はあるのね!」
ミスティアが目を輝かせて詰め寄ってきた。困ったことになった。
「……詐欺師を懲らしめに行くだけよ」
「んー、でもやっぱり私も行くことにするわ。万が一ってこともあるし。
龍宮の使いさんはどうするの?」
「私はやめておきましょう。無駄足になりそうな気がします」
まあ一人くらいなら付いてきても大丈夫でしょう。それじゃあ出発!
「その前にお代は払ってね」
鳥頭のくせにこういう所だけはしっかりしているのだった。
- 881 :名前が無い程度の能力:2012/09/16(日) 13:44:27 ID:jeuXf/Hk0
- 10:50
衣玖と仲良くなるために交わり合った・・・気持ちよかった
- 882 :名前が無い程度の能力:2012/09/17(月) 12:28:54 ID:BP/XjUxs0
- 11:16
衣玖はあれで察しの良い方なので、彼女との会話は気持ちの良いテンポで進む。
それに比べて……
「ん?今の何の話だっけ?」
隣を飛ぶミスティアを見てため息をつく。こいつも察しの悪い方ではないのだけれど、
いかんせん記憶力に難がある。妖怪達との交流もなかなか大変ね。
竹林の中は景色がすぐに変化し、また同じように見える場所が多いため迷いやすい。
そろそろ案内役に出くわさないかしら……と思っていたところにてゐがいた。
「おや、お二人さん。『夢をかなえる薬』を買いに来たのかな。
これがその薬、知らないなかでもないんだし、安くしておくよ」
- 883 :名前が無い程度の能力:2012/09/18(火) 10:59:29 ID:d0dHr67w0
- 11:18
「やった、これで商売繁盛!焼鳥撲滅!!」
「早速騙されてるんじゃないっ!」
ミスティアの頭をぱかんと叩くのを見て、てゐは続ける。
「霊夢も買っていかない?これを飲めば参拝客もお賽銭もざっくざくだよ」
「ざっくざく……」
「あはは、そんなこと天地がひっくり返ってもあるわけないわ!」
笑うミスティアをぎろりと睨んでから、てゐに言う。
「詐欺はそれくらいにして、永琳の所まで案内してくれない?」
「面倒臭いなあ……私に会ったってことは、
永遠亭にたどり着けるくらいの幸運はあるはずでしょ。自分で頑張ってよ」
薬が売れないと見てか、てゐの態度は急に投げやりになった。
しかし確かに、こいつに会ったってことは、目的地が近いということだ。
「じゃあね、てゐ。次はもっと騙しやすそうな奴を狙うのね」
「あんたらより騙しやすそうな奴……」
真剣に考え込むのが腹立たしかったが、これしきのことでどんぱちやっていてはきりがない。
私達は永遠亭を目指す。
- 884 :名前が無い程度の能力:2012/09/19(水) 01:55:24 ID:KLs6hiuUO
- 11:20
飛び立ってすぐ、永遠亭の屋根を見つける。
ミスティアが先導して降り立ち、診療所の戸を叩いた。
「すみませ〜ん!わぁ、なんかドキドキ…」
お土産の蒲焼きの包みを手に、わくわくした表情をしてる。
ふと私は周囲を見る。
静かだ。人の気はない。噂はさほど広まっていないのかしら?
「ふぁ…あら?ごめんなさい」
帽子も被らず、髪も下ろしたままの永琳が出てきた。
かなり疲れている様子…。
「す、すいません…寝てらしたんですか?」
「少し仮眠を取ってただけよ。気にしないで」
恐縮するミスティアに永琳は微笑し、さて何の用かしら?とたずねた。
- 885 :名前が無い程度の能力:2012/09/19(水) 02:26:04 ID:2wA41xU20
- >884に挿絵が欲しい
- 886 :名前が無い程度の能力:2012/09/19(水) 13:07:36 ID:l0YboP6c0
- 11:23
診察室の中には鈴仙jもいた。眠そうに眼をこすっている。
「『夢をかなえる薬』ができたという話を聞いたのですが」
「てゐに騙されたのね……と言いたいところだけれど、あるわよ、『夢をかなえる薬』」
永琳は机の上に小さな瓶を置いた。中は綺麗な薄緑色の液体。
てゐが売っていた錠剤はやはり偽物だったようだ。
「飲んでもいいけれど、あまりお勧めはできないわね」
永琳の言葉に、瓶に伸ばしかけた私とミスティアの手が止まる。
「どうして?」
「その前にまず薬の説明をするわね。これは『自己実現薬』。
材料の一つは、この間あのスキマ妖怪に採ってきてもらった蕾。
花を咲かせようとする意志が、飲んだ者に具現化する」
「つまり?」
「理想とする自己を実現するために、邁進する様になるわ」
「最終的に夢をかなえるのは自分自身っていうことね」
「そう。ただし、この薬は飲んだ者の能力や合理性を大きく引き出すから、
目標を達成できる確率は飛躍的に高まるはずよ」
- 887 :名前が無い程度の能力:2012/09/19(水) 22:34:38 ID:KLs6hiuUO
- 11:26
小瓶を前に無言になってしまった私達にお茶を入れてくる、と言い捨て永琳は部屋を出た。
鈴仙があくびをした。
「疲れてるの?」
「師匠の手伝いでずっと…ふぁ…」
と、台所から?うどんげ、休みなさい、と永琳の声。その場で上着を脱いで、シャツ一枚になると長椅子(患者さん用の)に倒れこんだ。
そこにミスティアが上着をかけてあげた。
「夢の薬…魔法とか奇跡とかみたいじゃ無いんだ…」
かなりがっかり気味のミスティアの声に苦笑する。
「そうね…結局本人次第だものね」
始めから期待はしていなかったつもりだけど、ちょっぴり残念な気がしたのは秘密だ。
- 888 :名前が無い程度の能力:2012/09/20(木) 14:13:01 ID:Jl4udnyg0
- 11:35
「それで、あまりお勧めできないというのはどうして?」
永琳が淹れてくれたお茶を飲みながら訊く。
「まず、これは薬の効果でもあるのだけれど、目標以外のことに気が回らなくなりやすいわね」
「体調管理に気が回らなくなって健康を害したり、人間関係に気が回らなくなって周りの人と険悪になったり」
「はしないわ。これは理想を実現するための薬。病に伏せったり、孤立したりするのは、理想とは程遠いでしょ」
「確かに」
「とはいえのんびりお茶を楽しんだり、長々と無駄話に興じたり、
花鳥風月を愛でたりする時間が多少犠牲になったりするのは仕方ないわね」
「そんな貴重なものを犠牲にしたくはないわね」
「そうかもね。次に、飲んだ者の能力を大幅に上回る願いはかなわないわ」
まあ、そうよね……
「とはいっても、自分の能力を十分に引き出して、然るべき協力を得れば、
だいたいの望みはかなっちゃうものなんだけれど……。
例えば、優曇華が私並の薬師になりたいと思っても、これは無理よね」
「博麗神社のお賽銭箱がいっぱいになるとかねー」
ミスティアの方をぎろりと睨む。鈴仙はどうもうなされているようだ。
「三つ目、薬を飲んだ記憶を消すような都合のいい効果はないわ」
「?」
「つまり、薬に頼って夢を実現して、本当に十分な達成感を得られるかってことね」
「別に達成感がほしくて望んていることじゃないし」
ミスティアは少し考えたようだったが、そう言った。彼女の夢は自分のためでなく、仲間のためのものだからだ。
少なくとも本人はそう思っている。私の場合は……どうなんだろう。
「最後に、この薬の効果は非常に強力よ。死んでも解けないくらい」
「死んでも?」
「薬が効いている間は注意深くなるし、普段よりは死ににくいはずだけれど、
それでも避けられず命を落とすことはあるでしょ。
死んだ後も夢をかなえんとする意志に縛られた魂は天国にも地獄にも行けないわ」
つまり念縛霊になる。うーん、聞いていると薬の効果は思ったよりも強力そうだ。
しかし飲みたいとは思えないわね……
- 889 :名前が無い程度の能力:2012/09/21(金) 12:01:52 ID:j21c6hDA0
- 11:39
一方ミスティアは薬の瓶を前に真剣な表情で考え込んでいる。
「うーん……」
「貴女には、向かないわね。飲ませられないわ」
そう言うと、永琳は瓶を片付けてしまった。ミスティアは残念なような、
どこかほっとしたような表情になった。さて、薬の正体は分かったし、
永琳も疲れているようだ。そろそろお暇しようかしら。
- 890 :名前が無い程度の能力:2012/09/22(土) 14:58:15 ID:ZqQaXvCI0
- 12:03
竹林の出口近くでミスティアとも別れ、一人で神社を目指す。
ちょっと寄り道しようかと里の近くに降りてみたところ、
白い麦わら帽子をかぶった騒霊に出くわした。
「あら、博麗の巫女。御機嫌よう」
「こんにちは。あんたは何か里にようでもあったの?」
「んー、物件探し」
取り憑く物件探しということだろう。
「あまり悪戯が酷いと退治するわよ」
「この辺りの人間は騒霊にもすぐ慣れて驚かなくなっちゃうからつまらないわ。
いっそ神社にでも住みついてみようかしら」
「うちはそういう手合いは間に合っているから、行くなら早苗の所にしなさいよ」
「あそこは何か怖いのよね。行くとろくでもない目に遭いそうな気がして」
その直感はおそらく正しい。
- 891 :名前が無い程度の能力:2012/09/23(日) 16:13:44 ID:fGhHCE9A0
- 12:06
「あんたには何か夢がある?」
ふと思いついてそう尋ねると、カナは一瞬ぽかんとした表情を浮かべた後、
「さあ、どうかしらね」
と曖昧な笑顔で答えた。今日が楽しければ良いという妖怪の方が多数派なんだし、
彼女もそうなのかもしれない。
- 892 :名前が無い程度の能力:2012/09/24(月) 17:48:46 ID:ufS3OcDc0
- 12:21
屋台で予定外の出費があったこともあり、結局里には寄らず、
神社に帰ってきた。カナは命蓮寺を訪ねるそうだ。
洗濯をしたり、神社の掃除をしたりして過ごす。
- 893 :名前が無い程度の能力:2012/09/24(月) 22:38:54 ID:FQ2u1f8AO
- 13:05
境内の掃き掃除を済ませ、敷石のところに水を撒こうとしていたら
「霊夢さ〜ん!」
早苗だ。手には風呂敷包み。
「御二柱(おふたり)は山の集まりに出られて…」
少し遅いけど一緒にお昼でも、と立ち寄ったとか。
ちょうど小腹も空いてきた。
お茶の支度をする。
- 894 :名前が無い程度の能力:2012/09/26(水) 02:46:40 ID:p8A7/WgE0
- 13:07
私はもう少し早く気付くべきだった、早苗の罠に。
朦朧とする意識の中で自分の愚かさを悔いる。
- 895 :名前が無い程度の能力:2012/09/26(水) 12:18:41 ID:IJjb4APc0
- 13:10
「と、言う展開に…」「ならないならない」
油断しすぎですよ、と少し真顔の早苗に、私は苦笑いして答えた。
さて、お茶が入りました。お重の中身は素敵なお弁当で、おはぎもついていた。
これは別腹で、食後のお楽しみに。
縁側でお茶しながら、今朝の永琳の薬の話になった。
「知ってますよ、文さんが朝一番で知らせてくれました!」
早速、永遠亭に出かけたという。さらに途中、魔理沙と合流して…
「私はどんな薬なのか興味を持ちました…魔理沙さんはどうやって作ったのか
興味があったみたいです」
文は真偽を確かめたかったみたい。でも、二人には効用は二の次だったようだ。
- 896 :名前が無い程度の能力:2012/09/26(水) 14:53:22 ID:p2hGbjQQ0
- 13:15
「霊夢さん、何か聞こえませんか?」
早苗が口の前で指を立て、私も喋るのをやめて耳をすませる。
――コチコチコチコチコチコチコチ――
何だ。時計の音じゃない。茶の間の時計に目をやると、光る数字が時間を教えてくれた。
13:15か……じゃない!そうだった。
香霖堂で買った「錦缶」の時計はこちこち音を立てたりしないのだった。
それならこれは何の音……?
- 897 :名前が無い程度の能力:2012/09/27(木) 16:30:45 ID:DLYys7Cg0
- 13:16
「お、おち、おおおちつい、て……」
「お前が落ち着け」
早苗の頭をはたく。
「神社に時限爆弾が仕掛けられているのかもしれません」
「爆弾!?」
「私は風祝として、あまり長い時間守矢神社を留守にするわけにはいきません。そろそろお暇させていただきます」
私は立ち去ろうとした早苗の袖を掴む。
「早苗……死ぬ時は一緒よ…………」
「霊夢さん……。嫌です!放してください!こんなちんけな神社と心中するのは霊夢さん一人で十分です!」
本音が口を衝いて出たのか、心にもないことを口走ったのかは、この局面を無事に切り抜けられたら、じっくり問い詰めよう。
「急いで爆弾を探すから、協力しなさい」
- 898 :名前が無い程度の能力:2012/09/28(金) 22:38:09 ID:tEAbGOYs0
- 13:17
目を閉じて耳をすます。
――コチコチコチコチタカタカシャンカシャンカパンパカチャラリララ〜♪
……うるさいわっ!
振り返ると騒霊の三姉妹が来ていた。
「巫女が二人も雁首揃えて、何やってるの〜?」
メルランがトランペットを鳴らしながら言う。
「ちょっと静かにしてよ!爆弾の音が聞こえないじゃない!!」
「爆弾ってこのこちこち鳴ってる奴?」
リリカがキーボードを奏でながら尋ねる。こんな激しい演奏をしながらよく聞き取れるわね。
「演奏家の耳を馬鹿にしない方が良い」
ルナサがヴァイオリンを弾きながら呟いた。ちょうど良い。
彼女達に手伝ってもらえば、すぐに目標も発見できるだろう。
- 899 :名前が無い程度の能力:2012/09/29(土) 14:35:14 ID:Ohq5dPls0
- 13:18
「今は演奏活動で忙しいの」
「爆発に巻き込まれたら嫌だし」
「離れた所から応援の音楽を奏でてあげるね」
私が手伝いを頼むと、三人はあっさり断った。
力づくで手伝ってもらおうかとも思ったが、今はこいつらともめている時間も惜しい。
爆弾を仕掛けるとしたら……私は縁の下に飛び込んだ。
鼠がちょろちょろと走って逃げる。……うーん。見つからない。
客間に戻ると、早苗と楽団の三人は棚の中を引っかきまわしていた。
「この中にあるはずなんだけれど……」
何だかんだ言っても手伝ってくれていたようで、少し嬉しくなる。
私が無駄に埃塗れになった点に関しては、腹が立つけれど。
早苗が棚から何か引っ張り出した。
「ああ、霊夢さん。この帳面ですが……」
ぎゃああああああああぁ
- 900 :名前が無い程度の能力:2012/09/30(日) 17:20:17 ID:MjwCq6yc0
- 13:19
我に返ると部屋の中は滅茶苦茶に散らかっていて、早苗と騒霊の三姉妹は倒れ伏していた。
いったい誰が……十中八九、私だ。早苗の手から奪った帳面を棚の奥深くに慎重に仕舞い込み、
振り返ったところで、足元に陰陽玉が転がっていることに気付いた。
これは地霊異変の時に使った通信装置付きの陰陽玉……。
手に取る。こちこちという音はこれが発信源のようだ。
爆弾じゃなかったのね。よかったよかった。
- 901 :名前が無い程度の能力:2012/10/01(月) 21:04:19 ID:LfmypVPc0
- 13:20
「爆発オチは回避できたみたいね」
復活したリリカが私の手元を覗き込みながら言う。
しかしこちこちという音は依然鳴り続けている。
「それ、前に守矢神社に持ってきた奴ですよね。もしもーし」
早苗がおどけた調子で陰陽玉に声をかける。何と返事があった。
――おや、早苗かい?――
「あれ、八坂様?どうして八坂様の声が……」
――会合が早めに終わって、神社に帰ってきた所……――
陰陽玉から轟音が鳴り響き、私は思わずそれを取り落とした。
- 902 :名前が無い程度の能力:2012/10/02(火) 15:17:16 ID:i4/3wwVs0
- 13:21
外に飛び出すと、山の方に黒い煙が立ち上っているのが見えた。
「爆発オチ、回避できていなかったみたいね」
ルナサが呟く。
「神奈子様!?神奈子様!」
早苗が私の落とした陰陽玉に向かって叫んでいる。
――私なら大丈夫だ。危うく死ぬところだったけれどもね――
普通の人間ならそうだろう。
「良かった、ご無事で……。それで、洩矢様は?」
――あいつなら会合の後、そのまま河童とどこかに遊びに行って、ここにはいないよ――
- 903 :名前が無い程度の能力:2012/10/02(火) 18:46:42 ID:hn2J/EB.0
- 7:00
霊夢「――なーんて話があったのよ、一年前に」
魔理沙「……へぇ〜」
- 904 :名前が無い程度の能力:2012/10/03(水) 11:42:12 ID:02dgzBt2O
- 7:03
魔理沙は煙草をくわえると、シャツだけ身に付けて布団から出てきた。
「もう…終わりにしないか?」
まだ横になっている私を見下ろしながら言った。
- 905 :名前が無い程度の能力:2012/10/04(木) 02:20:28 ID:DjnU7cdE0
- 13:22
――なんてことは、100年経っても起こらないわね
- 906 :名前が無い程度の能力:2012/10/05(金) 11:51:30 ID:MDS5U1Bw0
- 13:23
「お二人とも大丈夫だったのですね……良かった。神社の方はどうなっていますか?」
――ああ。爆発は派手だったが、被害はさほどでもない。うまく庇えた――
「身を呈して建物を庇わないでください」
――ちょっと壊れたところは鬼にでも頼めば、一日もかからず直してくれるだろう――
「被害が少なくてよかったです。日頃の行いの賜物ですね」
日頃の行いが良かったら、そもそも神社に爆弾なんて置かれないと思うのだけれど……
- 907 :名前が無い程度の能力:2012/10/08(月) 14:47:04 ID:Ew/LQ7YY0
- 13:30
早苗は神社が心配だと言って帰ってしまい、
プリズムリバーの三姉妹は移動ライヴ中だったのを思い出したと言って神社を後にした。
一人神社に残された私はお茶の後片付けをする。
- 908 :名前が無い程度の能力:2012/10/09(火) 12:22:19 ID:lYHKp8rU0
- 17:12
洗濯をしたり、薪を割ったり、社の掃除をしたり、お札を書いたり……。
雑事に追われるうちに夕刻になった。その間誰も訪ねてはこなかった。
忙しくはあったが、珍しく静かな午後だったように思う。
お茶を淹れて、縁側で夕焼け色に染まった雲が流れ行くのを眺めつつ、休憩をとる。
- 909 :名前が無い程度の能力:2012/10/10(水) 10:40:38 ID:eIKYiOVE0
- 17:41
夕飯の準備をしていると、ルーミアがふらふらと台所に入ってきた。
「霊夢ー、ご飯分けてー」
叩きだしてやろうかとも思ったが、一人で食べるのも味気ない。
魅魔はまだ眠っているようだし、萃香は山に行っている。
もう一人分、追加で作ってやる。無闇と餌付けして、
頻繁に飯をたかりに来られるようになっても困るとは思ったのだけれど。
- 910 :名前が無い程度の能力:2012/10/10(水) 20:12:34 ID:3s1.W1ks0
- 17:47
せめてもの手伝いとして、食器を出しておくように言うと、意外にも素直に従った。
ご飯は偉大だ。
だがその後が良くなかった。
箸をバチ代わりにして茶碗を敲きながら歌を歌い始めた。
喧しいし、行儀が悪い。
- 911 :名前が無い程度の能力:2012/10/11(木) 13:51:28 ID:gHHujz7w0
- 19:11
ルーミアの頭に手を押しつけて、
「やめなさい」
一音一音区切るように言ったら、おとなしくなった。
夕飯と後片付けが終わり、二人でお酒を飲んでいると、ルーミアが外を指さした。
「ねえ、あそこ。何がいると思う?」
木々の間。黒々とした闇があるだけで何も見えない。
目を閉じて意識を集中させても、聞こえるのは風が葉を揺らす音ばかり。妖気の類も感じられない。
「何もいない……と思うけれど」
「じゃああそこは?」
一転ルーミアが指さしたのは部屋に面した廊下の方だった。部屋の明かりが届かず、暗い。
誰もいないはずだ。いたとしても鼠か亀か、寝ぼけた悪霊くらいだろう。
そう答えると、今度は部屋の中に備え付けられた棚を指さして、
「あの中は?」
「いるわけないでしょ。ちょっと、どういうつもり?」
難詰する口調で問うと、ルーミアはかしかしと頭を掻いた。
「うん。私もそう思う。あそこにも、あそこにも、みんな、いない」
瞬間、悪寒が走った。そこら中の見えないところに得体のしれない何かがいて、
息を潜めているような。むろん、いるはずがない。気配も妖気も感じない。でも、
「不在であるがゆえに、結構な存在感だよね」
ルーミアは私の考えを読んだかのように、そう呟いた。
- 912 :名前が無い程度の能力:2012/10/12(金) 02:59:08 ID:0wn/1dFQ0
- 妖魔夜行(TRPG)のネタに使えそうだ
ルーミアだけに
- 913 :名前が無い程度の能力:2012/10/12(金) 09:55:36 ID:Bf7deE1s0
- 19:13
じっとしていられず、廊下に出て左右を見回す。誰もいない。
元の場所に戻ると、ルーミアは酒を一口飲んで、
「そこら中の暗闇に何かがいたら、霊夢は怖い?」
「怖くはないけど、気味が悪いわね。とりあえず何者か確認して、場合によっては退治するわ」
「霊夢は人間だね」
最近人間離れしていると言われることの方が多かったので、戸惑ってしまう。
「あんたは不気味じゃないの?」
「私は安心する……かな。何者かは分からないけれど、みんながいつもいてくれたら」
「何もいないんでしょ」
「うん、いない。あるとしたら、まぼろしと呼ぶべきなんだろうね」
幻……か。確かにそれなら確認するものでも、退治するものでもない。想うものだ。
今日は疲れた。まだ少し早いが、風呂で汗を流して休もうと思う。
- 914 :名前が無い程度の能力:2012/10/13(土) 21:05:59 ID:DfzK0eUU0
- 19:45
子供の頃一人でお風呂に入ると、何となく不安になったり
落ち着かない気分になったりしたことがあった。
湯に浸かりながら、そんなことを思い出す。
ルーミアとの会話のせいだろうか。
さて、もう上がることにしよう。
- 915 :名前が無い程度の能力:2012/10/13(土) 23:43:30 ID:izGYPCow0
- 20:08
結局彼女は何を言いたかったのだろう。得体のしれない者の正体を暴くことは、
巫女である人間としてでなく、幻想の住人としてどうなのかと、諌めたかったのかもしれないし、
周りに誰もいない普段の寂しさを吐露したかっただけなのかもしれない。
単に私を怖がらせて楽しみたかったのかもしれないし、意味の判じにくいことを言って、
煙に巻きたかったのかもしれない。まあ何も考えず、思った事をつらつらと喋っていたというのが、
一番ありそうかな。布団の中で、そんなことを考えていた。
不安な気持ちを引きずってなかなか眠れないかとも思ったが、意外にすんなりと眠りに落ちた。
彼女があの得体のしれないもの、存在しないものに、「幻」という記号を与えてくれたからかもしれない。
何だか分からないことには変わらないのに、名前を付けられただけで安心するというのは、本当に人間的だと思った。
- 916 :名前が無い程度の能力:2012/10/14(日) 23:15:14 ID:tPb90ynI0
- 5:12
床に就いたのが早かったので、早くに目が覚めた。
二度寝する気分でも無かったので、布団をたたみ、顔を洗い、
朝食を作る。ルーミアは昨晩の内に出ていったようだ。
魅魔が起きていて、神社の中をふらふらと漂っていたので、
ついでに彼女の分も作ってやる。
- 917 :名前が無い程度の能力:2012/10/15(月) 16:38:54 ID:yUmZVuL20
- 6:24
魅魔は朝食を食べ終わると、遊びに行くと言い残して出ていった。
私はお茶を淹れてしばし一人でのんびりとした時間を過ごす。
もう少ししたら、私も出かけようかしら。
- 918 :名前が無い程度の能力:2012/10/15(月) 16:41:57 ID:OM8fWJyE0
- 6:30
紫と青娥がパンツレスリングしてる・・・新聞記者でも呼んでみるかしら?
- 919 :名前が無い程度の能力:2012/10/15(月) 22:35:33 ID:z.e1FZ/20
- 6:31
・・・ハッ
なにか変な物が見えて、奇妙な思考をした気がする。
兎か狸の妖怪にでも化かされたかしら?
一度頭を振って、ぐいっとお茶を飲み干す。
さてどうしようか?
- 920 :名前が無い程度の能力:2012/10/15(月) 22:59:31 ID:ezzQz/Y20
- 6:35
うさぎはうさぎでも、地上のうさぎが茂みの中からこちらを見ているのが見えた
- 921 :名前が無い程度の能力:2012/10/18(木) 10:05:36 ID:mLwig2Mk0
- 6:36
「何三日もじっとしているのよ」
「三日?」
「ごめん、1分くらいだったわね」
どうして三日だと思ったのだろう。
「あんたが売ってた薬、やっぱり偽物だったんだって?」
「そんなことないわ。あれはあれで本物」
「夢がかなうの?」
「まあ、そんな気分にはなるわね」
麻薬じゃない……。
「私が調合したんだけれど、買わない?」
「買うわけないでしょ」
- 922 :名前が無い程度の能力:2012/10/18(木) 20:30:02 ID:cjmpT8B60
- 6:38
今日は兎運でもついているのか、月の兎も現れた。
うどんげ「こらっ、てゐ!師匠が探していたわよ。またこんな朝っぱらから、どこに出かけたかと思えば…」
・
・
・
うどんげ「あれっ、いない…また逃げられた。」
慌ただしく月の兎もいなくなった。
- 923 :名前が無い程度の能力:2012/10/19(金) 11:22:43 ID:uxeX11j.0
- 6:43
休憩を終えて部屋の掃除をしていると、勇儀が訪ねてきた。
「よお、博麗の巫女。何だ、萃香もこっちに戻っていたのか」
萃香?気が付くと縁側に腰掛けて酒を飲んでいる。
「ああ、霊夢。ただいま」
今気付いたかのように言うが、ここはあんたの家じゃない。
勇儀は萃香の隣にどっかと腰を下ろすと、酒を酌み交わし始めた。
まったく、朝っぱらから!私はなるべくそっちを見ないようにしながら、掃除を続けた。
- 924 :名前が無い程度の能力:2012/10/19(金) 23:57:37 ID:3fZr6HLIO
- 7:12
萃香たちが談笑している間、私はひととおり境内の掃除をやり終えた。
しかし地底の鬼が地上に顔を出すなんて珍しいわね…。
と、ふと見ると勇儀がひとり、腕を組みながら社殿を眺めていた。
「良いなぁ…」
私の視線にに気づいて、顔を向ける。
「良いものは飽きないものだね」
「そう…」
なんと答えたらよいか分からず濁してしまう。
私の当惑に申し訳なさそうに苦笑してる。が、眼は何かを訴えていた。
力強い、澄んだ瞳。
「実は面白い人物に会ってね…」
「おもしろい?…」
「ああ、興味深い…会ったのはね、昔の博麗の巫女…だよ」
- 925 :名前が無い程度の能力:2012/10/21(日) 22:17:28 ID:sSnTPnY60
- 7:15
「昔の?」
先代の、ということだろうか。
「いやいや。そうじゃなくて、もっと前。五代くらい前になるのかな?」
「そんな昔の人間、生きているはず無いでしょ」
「そう、死んでいる。そのはずだ」
幽霊にでも会ったのだろうか。まあ幻想郷だし、幽霊ならいても不思議はないか……
「しかし私が会ったその巫女は、生きていた。少なくともそのように見えた」
- 926 :名前が無い程度の能力:2012/10/22(月) 15:22:17 ID:ClmvNvDc0
- 7:17
と、そこで、
「こんにちはー。霊夢さん、いらっしゃいますかー」
気の抜けた、いかにも暢気そうな声がかかった。
声の方を見ると、気の抜けた、いかにも暢気そうな表情の少女が立っている。
私のものとは違う意匠の、しかし紅白の巫女服を着ていた。
「私がそうだけれど……」
「ああ、よかった。やっぱりここは博麗神社なんですねー」
歳は私より二つ、三つ下だろうか。背も私より、少し低い。
顔も、そしておそらくは性格も私とまるで違うようだけれど、どこか自分に近いものを感じる。
「はじめましてー。18**年の*月*日から来ましたー」
そう言ってその少女は穏やかに微笑む。それは、確かに五代くらい前の巫女がいた年だった。
- 927 :名前が無い程度の能力:2012/10/22(月) 22:29:32 ID:JfSj5HXA0
- 7:18
そして、私より年若いというのに、私より、胸が、ある…
- 928 :名前が無い程度の能力:2012/10/23(火) 10:24:25 ID:.tHvffOc0
- 7:20
「ところで貴女の後ろの鬼達は式神か何かですか?」
「いや、違うけど……」
「……ふーん」
「痛っ!いだだっ!!」
悲鳴を上げたのは私ではない。振り返ると、萃香がじたばたしているのが見えた。
腰の辺りにお札が貼りついている。遠目にはよく分からないが、私の使っているものと似ているようだ。
「それで、私は元いた時に帰りたいのですが、協力してはくれませんか?」
巫女服の少女は何事も無かったかのように訊いてくる。何かをしているようには見えない。
しかし、今度は萃香の肩にお札が貼りついた。いや、いきなりお札が現れた?
勇儀が杯を置いて立ち上がり、ずんずんとこちらに向かって歩いてくる。これにはその少女も反応した。
「あら、あなたはさっき逃がした鬼ですね。今度は逃がしませんよ」
「何言ってるんだ。私は戦いから逃げたことなど一度も無い。
戦うならこの巫女が見ている前の方が良いと思っただけだ」
「……ちょっと」
私が口を挟もうとするのを、その少女は手で制した。
「駄目ですよー、霊夢さん。妖怪を野放しにしておいちゃ。
里の人が襲われちゃいますよー」
その表情はあくまで気の抜けた、暢気そうなままだった。
- 929 :名前が無い程度の能力:2012/10/24(水) 19:55:12 ID:w4VFA2Jw0
- 7:21
――ぱんっ、ぱぁんっ!
その少女と勇儀の間の空気が、音を立てて爆ぜる。
いや、はじけ飛んでいるのは空気ではない。それはお札だった。
「あの子は勇儀のいる所に直接お札を転移させようとしているけれど、
勇儀の妖気が強くてうまくいっていないみたいだね」
気が付くと萃香が私の隣に来ていた。先ほどまでもがいていたのが嘘のように、けろりとしている。
巫女服の少女は攻撃が効かないと見ると、今度は懐からお札を取り出した。
さっきまではあれを懐から直接、ノーモーションで飛ばしていたようだ。
お札の束が見る間に座布団大になり、勇儀に向かって飛ぶ。何枚も、何十枚も、何百枚も。
四角い柱のように伸びてくる札の束に、勇儀は素手で殴りかかった。
ひどく嫌な音がして、破れた札が飛び散る。勇儀の突進も、札の束との衝突地点で止まっている。
札を飛ばし続ける少女は暢気な表情を変えず、立ち位置を移す様子もない。
私は確信する。彼女は妖怪が今より強く、危険な存在だった時代に生きていた人間なのだと。
- 930 :名前が無い程度の能力:2012/10/24(水) 23:50:19 ID:hEnfTOf.0
- wktk
- 931 :名前が無い程度の能力:2012/10/25(木) 14:15:16 ID:NfOVYmHE0
- 7:21
「止めなくて良いの?」
「止めるよ」
一応訊いてみると、萃香の返事は意外なものだった。
てっきり勝負の邪魔は無粋だとか言い出すと思ったのに。
「私が合図したら、巫女の方を止めてね」
それでも今すぐにというわけではないようだ。
少女が札を放つのをやめると、勇儀は再び走り出す。
一歩踏み出すごとに石畳が砕け、土埃が舞う。
その突進も、少女の手前で止まった。両腕を前に突き出したまま、動かない。
二人の間の空間がバチバチと音を立てる。結界だ。
私が弾幕ごっこで使うような派手なものではない。しかし強靭さでは負けていないようだ。
強引に突破しようとする勇儀を、押しとどめている。
「少し借りますよ」
私の袖口から突然陰陽玉が飛び出し、少女の手に収まった。博麗の秘宝、陰陽玉。
結界が壊れる前に、あれで反撃に出るつもりなのだろう。
- 932 :名前が無い程度の能力:2012/10/26(金) 11:59:43 ID:fAP6zLYU0
- 7:22
勇儀の方にも変化があった。見えない妖気でない、もっとくっきりしたものが全身から立ち上っている。
「あれは……」
「何だか分からないもの、だね」
萃香がそう受ける。私にもあれが何かは分からない。しかしあれの名前は知っている。
――怪力乱神!
結界が壊れる。と、同時に少女の手元から陰陽玉が放たれた。
少女の手元で八つにまで増えた陰陽玉は、勇儀の所に達するまでに巨大に
――鳥居程にまで巨大になり、勇儀を取り囲むように襲いかかった。
勇儀の姿が見えなくなる。押し潰された!?
いや、萃香が落ち着いているところを見ると、大丈夫なのだろう。
「……大丈夫かな、勇儀」
笑顔の口元が引きつっていた。心配なのかよ!
- 933 :名前が無い程度の能力:2012/10/27(土) 10:29:08 ID:qi9ly4JU0
- 7:23
「玄爺!」
手を前に突き出した姿勢のまま、少女が叫ぶ。
と、神社の中から大きな亀が一匹、すごい速さで飛び出してきた。
驚いた。あの亀があれだけの速さで飛ぶのを久しぶりに見たというのもあるが、
あの子がいた時代に既に爺と呼ばれていたことに驚いたのだ。
いったいいつから生きているのだろう……。
巫女服の少女は玄爺がくわえた幣を受け取ると、勇儀に向かって構える。
陰陽玉の間隔が狭まったようだ。本当に潰されてしまったんじゃないかしら……
「霊夢ー」
声は後ろからした。振り返ると離れた位置で萃香が手招きしている。
巫女の方を止めろ、という合図ではないようだ。萃香の隣まで行くと、
萃香は両手で耳を塞いでみせた。私も意味が分からないままに、その真似をする。
- 934 :名前が無い程度の能力:2012/10/27(土) 22:58:49 ID:anTSmm16O
- 7:25
手のひらで耳を完全にふさぐかその手前だった。
落雷の様な震動、唸りとも叫びとも知れない凄まじい衝撃にひっくり返った。
びりびりと震える空気に打たれた体は力を入れなれない。
萃香は天に足を向けている。かなり転がされたようだ。
焼け焦げた匂いが満ち、霞とも湯気とも分からないものが立ち込めている。
陰陽玉は?みると元の大きさになって転がっている。
では二人は?と体を起こしてはっ、となる。
またしても巫女…ふたりの巫女が目の前に立っている。
いずれも紅白…だけどひとりは肩に切れ目だけあるゆったりとした衣装で、リボンとふちの飾りの赤以外は白…髪の色まで…一色。背丈は普通で首飾りをしていた。
もうひとりは…かなり個性的で、私と同じ袖と肩が離れた衣装でリボンをしていない。
前掛けの様な上着と緋袴でかなり肌を露出させている。背がひときわ高く、切り揃えた黒髪を腰まで伸ばしている。
締まった体で力強い二の腕や袴からのぞく太股はなめし革のように光っていた。
あの衝撃の中、ふたりはびくともしていないようだ。
- 935 :名前が無い程度の能力:2012/10/30(火) 11:55:07 ID:Tm3ffHIU0
- 7:27
その二人の向こう、さっきまで争っていた鬼と巫女は呆気にとられた表情でこっちを見ていた。
「えーっと……萃香。あんたはこの事態、予想していたの?」
「いや、まさか。私は勇儀が大声を出すと思ったから、距離を取っただけだよ」
一方新たに現れた二人の巫女も、いや、その一方は動揺しているだけれど、
「萃香ー、会いたかったよー!」
露出の多い方の巫女は萃香に抱きついていた。
「萃香。こいつ、知り合いなの?」
「いや、そっちの白いのは知っているけど、こいつは知らない」
「ひっどーい!昨日だって一緒に飲んだでしょ」
露出巫女は文句を言いつつも、萃香に貼りついたまま離れない。
「白いのとは随分だな、伊吹山の鬼。……ところで、私は里長と話をしていたはずなのだが、
お前がここに連れてきたのか?ここはどこで、こいつらは誰だ?」
白巫女の方は知り合いと言っても、あまり仲が良いわけでは無さそうだ。
- 936 :名前が無い程度の能力:2012/10/31(水) 09:18:45 ID:xq3sb/sQ0
- 7:30
「今は20**年、そこにいるのは歴代の博麗の巫女です」
質問に答えたのは、石段を上ってきた少女だった。またも巫女だ。
「萃香さんが知らないのも無理はありません。その方は霊夢さんから数えて4代後の巫女。
で、皆さんをこの時代にお呼びしたのが私、その更に6代後の巫女です」
縁なしの眼鏡の柄を撫でながら話す。こいつが異変の黒幕らしい。
「私を含めて7人の巫女をこの時代に集めたはずだったのですが、あと二人到着が遅れているみたいですね」
彼女を除くその場の全員が、ぽかんとした表情でその話を聞いている。私も同じような表情になっているだろう。
「私の時代に訪れた幻想郷の危機、あなた達にはそこから救い出してほしいのです」
- 937 :名前が無い程度の能力:2012/11/01(木) 07:57:34 ID:CbqUxVtg0
- 7:39
場所を客間に移し、お茶を飲みながら話の続きを聞く。
「で、具体的には何をさせたいの?」
「神降ろしに最低三人、結界の展開と維持に二人は必要なのです」
なるほど、それで博麗の巫女を集めたのか。
「合わせて五人いれば足りると思うのだけれど、あと二人来るのよね」
「神降ろしと結界の扱い、どちらも強く拒まれる方が混ざっていらっしゃると困りますから。
それに先ほど述べた数字はあくまで最低ラインですので」
「ふーん。もっと大勢集めなかったのは?」
「魂が転生して重複しているとまずいそうです。
歴史の流れに影響しないタイミングで連れて来ることができない方も多くて」
「五人、仕事に入るメンバーが決まったら、あとの二人は帰っちゃ駄目?」
「どうしてもとおっしゃるなら帰しますが、できれば協力してほしいです。
戦闘の方に加わってくださっても……」
と、そこで襖が開き、六人目の巫女が姿を現した。
「話は聞かせてもらった!その戦闘の方に協力させてくれ!!」
- 938 :名前が無い程度の能力:2012/11/02(金) 11:05:32 ID:uM2semls0
- 11:16
……と、いうわけで私は今未来に連れてこられて、納屋のようなスペースで、
結界を維持する作業をしている。床には何十枚もの札が貼られており、
札の枚数は現在も増え続けている。増やしているのは私の向かいに座った女、
未来の巫女が連れてきたという七人目の博麗の巫女だ。
未来の幻想郷に起こっている異変が何なのかは、教えてもらえなかった。
歴史に与える影響が大きいから、らしい。肝心の報酬も、形の残るものや未来の情報は駄目らしい。
とはいえ、無事に解決できたら特上寿司でも満漢全席でもご馳走してくれるそうなので、
割と仕事に臨むテンションは高い。いや、高かった。
- 939 :名前が無い程度の能力:2012/11/02(金) 18:09:50 ID:yrjAXuGE0
- 11:17
しかし二分も作業を続けているうちに私は飽きを感じた
陰陽玉で紫を呼び出し、スキマを通じてもといた時空の自宅に戻る
スキマの向こうから呼び止める声が聞こえてきたので恨みはないが八方龍殺陣を叩きこんだ
……どっと疲れが押し寄せてきたので、縁側にいって日向ぼっこなどをはじめる
なべて世はこともなし
- 940 :名前が無い程度の能力:2012/11/02(金) 21:27:24 ID:iZbButugO
- 11:30
流れる雲を見上げて、庭先で遊ぶスズメ達を眺めながらぼーっと過ごす。
至福の時間。
「おはよう…じゃないかしらね?霊夢…」
紫がふわりと顔を出した。
「疲れてるの?」
何かやつれた感じがしたので声をかけたら
「さあ?どうかしら」
相変わらずはぐらかされた。
今朝のどたばた、過去と未来の巫女たちと私の事の折衝に骨を折ったのかな…悪い気がした。
「ねえ、紫…」
私は紫にお昼をごちそうしようと決めた。
えーい!お店行っちゃおう!
- 941 :名前が無い程度の能力:2012/11/03(土) 08:04:38 ID:/2mTJLIs0
- 12:08
里の小料理屋に入ると、客の一人に声をかけられた。
「おお、盟友。それに八雲のも。御機嫌よう」
にとりと雛が差し向かいで座っていた。折角なので相席させてもらう。
「珍しいわね、こんな所で会うなんて」
「にとりの発明品を高く買ってくれた人がいてね。今日はそのお祝いなの」
「ここを払うのは私なんだけどね……」
苦笑するにとり。とはいえ、いつにもまして機嫌は良さそうだ。
- 942 :名前が無い程度の能力:2012/11/03(土) 22:34:12 ID:gmMLdMeQO
- 12:10
「おや?博麗様…あっ!これは導師様も!」
挨拶に来たおやじさんが目を丸くした。
紫は里では“導師”で通っていて稗田家やごく一部にしか妖怪とは知られていない。
どうもこの店の常連のようだ。
「今日は河城様のお祝いで…まあゆっくりしていって下さい」
おやじさんは入口ののれんを外した。貸し切りにしてくれたようだ。
席に半升のとっくりが2つ置かれる。
井戸で冷やしていたようで汗をかいている。
小さなざるに陶器やガラス製のぐいのみを入れて出してきた。好きなのを選べるようで私と雛は陶器を、紫とにとりはガラスのを選ぶ。
さて、まずは乾杯…なんだけど定食くらいで済ますつもりがちょっと出費になりそう…。
- 943 :名前が無い程度の能力:2012/11/04(日) 10:16:10 ID:jJ1UdzoY0
- 12:00
突如、空から大粒の爆雨が辺り一面に降り注いだ
火に打たれて、あるいや延焼にもだえながら、つぎつぎにピチューンする人々
わたしはとっさに回避行動を取れたが、隣で酒をすすっていた紫とにとりは、盛大に残り機を減らして帰宅ワープしてしまった
熱気と土煙の立ちこめる地面から、カッと怒りを込めて空を見上げる
そこには、もう誰もいなかった。……ああ、通り魔か。
- 944 :名前が無い程度の能力:2012/11/04(日) 21:33:09 ID:E00iOY0Q0
- 12:13
「……というような話をさっき紫としていたんだけどね」
この店に入る前のことだ。
「ふーん」
にとりと雛はつまらなそうに頷いた。まあ自分で話していてもあまり面白くはなかった。
「それで、誰があんたの危険な発明を高値で買ったりしたの?」
「“危険な”は余計だよ。誰が買ったかも、秘密。大事な顧客情報だからね」
「発明の内容は?」
「……まあそれくらいなら良いか。建設機械の一種だね。高い所に重い石材を持ち上げたりできる」
買ったのは紅魔館か、アリスのようだ。
「土蜘蛛の仕事をいくらか奪ってやれたかと思うと、気分が良い。次の研究のための資金も入ったしね。
売れた発明もなかなかの傑作でね。従来品のパワーを落とすことなく、コンパクトさを実現させた。その秘密は……」
話が長くなりそうだった。
- 945 :名前が無い程度の能力:2012/11/04(日) 22:06:27 ID:8cZFvVIYO
- 12:15
そうこうしているうちに料理が運ばれてきた。
自慢の山菜はおやじさん自ら山で採ったとか。
おやじさんは元、妖怪狩りをしていたという(山に詳しいわけだ)。
色々な山菜が酢の物、おひたし、天ぷらと眼にも鮮やか。
青豆の塩ゆでにアユのせごし(刺身)。これは酢味噌で食べる。
それにとれたてのキューリにもろみ味噌…。
「うわぁっ!」
これにはにとりも思わず声を上ずらせた。
にとりの分だけ丸のまま、山盛りで出たのだ。
紫は静かに杯をあげ、雛は感謝の手を合わせる。
にとりはぐっ、と我慢して姿勢を正した。
それじゃ私も杯を上げて…
「…にとりの発明に」
さあ、いただきましょう!
- 946 :名前が無い程度の能力:2012/11/05(月) 21:31:42 ID:2dSIN.Vs0
- 12:18
「それで、次は何を作ろうとしているの?」
「ああ、例によって誰の依頼かは明かせないんだけれど、
オーブンと泡立て器を作ることになっている」
洋菓子作りでも始めるつもりだろうか。
「それで、あなたに依頼するってことはただのオーブンと泡立て器じゃないんでしょ」
「普通のものだよ。ただちょっとサイズが大きい。この間作った建設機械くらいある」
それは普通とは言わない。
「人間でも丸焼きにできそうな大きさね」
紫が感想を述べるが、明らかに食事中にはふさわしくない。
いや、妖怪が食事中に述べる感想としては妥当なのか。
- 947 :名前が無い程度の能力:2012/11/05(月) 22:29:03 ID:MbIY.W.MO
- 12:20
雛がこほん、と咳払いした。
雰囲気を察したのか紫も話題を変えて
「例の建設機械だけどその…」
「ああ、軽量化の秘密はねー!」
待ってました!とばかりににとりが語りだした。
「自走する作業機械を考えて、一番理想的なのは2本足で歩いて、空いた2本の腕で作業させる形でねー」
「ちょうど私たちみたいに?」
雛が目を丸くする。
「早い話が鉄で出来て歯車で動く人形というわけ」
「動力はなに?」
胸を張ったにとりに紫が聞いた。
「えっ?…と、それは、企業秘密で…でもちゃんと動いて…」
「…依頼主は守矢ね」
雛がはっ、とした顔になる。
紫の言葉ににとりはうつむいた。
「悪いことは言わないわ、手を引きなさい。神様には私から話す。おそらく天狗も絡んでる話と思うけど取り返しのつかなくなる前に…」
紫の諭すような言葉にうなづくにとり。
しかし、私には話が見えなかった。と、
「ここか!」
真紅の袴姿が店の入口を蹴破った。あれはさっきの露出巫女!?
「もう、手遅れよ…」
舞う土ぼこりの中、未来の博麗…眼鏡巫女は静かに言った。
- 948 :名前が無い程度の能力:2012/11/05(月) 23:25:06 ID:XzHYHG0Q0
- 12:20
未来巫女の尻には大きな尻尾がついていた
- 949 :名前が無い程度の能力:2012/11/06(火) 15:18:47 ID:Hc08cUx60
- 12:23
「こら、正体を顕しなさい!」
私がどつくと、彼女は狸の姿になり、頭を下げた。
「悪かったよ。ええと、本物の方から伝言だ。『全てうまく片付いた。これは心ばかりのお礼だ』」
狸が差し出した封筒を受け取り、中身をあらためる。写真が一枚とメッセージカードが一枚。
『皆で食べた料理の写真だ。見て楽しめ』
……途中で帰ってしまったことを相当に怒っているようだ。悪いことしちゃったなあ、と思いながら、
写真とカードを重ねて八つに引き裂いた。
「……ふっふっふっふ」
うつむいていたにとりが笑っている。私の様子がおかしかったからかと思いきや、違った。
「妖怪の賢者も耄碌したのかね。そもそも依頼主は守矢神社じゃないし、
私の発明はあんたが心配するような危険な用途には使われていないよ」
だから紅魔館再建のために買われたんでしょ。しかし紫はしれっと、
「ふーん。じゃあ誰なのかしら?あなたに依頼した物好きは」
「おっと、その手には乗らないよ。内緒内緒」
二人ともやりとりを楽しんでいただけのようだ。
「はあ……。ああ、伝言御苦労さま。もう帰っていいわよ」
振り返るとさっきまでいた狸はもう姿を消していた。
- 950 :名前が無い程度の能力:2012/11/07(水) 13:04:57 ID:csu3oT.k0
- 13:02
紫、にとり、雛と別れ、一人で神社に帰ってきた。騒々しい食事だったわ。
と、部屋の机の上に、見慣れない帳面が二冊乗っているのに気付く。
一冊目の表紙には、『博麗霊夢の一日』と書かれている。ぱらぱらとめくってみる。
「……何これ?」
私がここ何日かのうちに経験したことが記されていた。細部はともかく、大筋では間違っていない。
紫の仕業かとも思ったが、彼女の字とは少し違うようだ。
もう一冊の方を手に取る。『 の一日』。同じ装丁だが、題の一部が空欄になっている。
頁を繰ってみるが、中は白紙のようだ。さて、どうしたものか。
1.気味が悪いので両方とも燃やしてしまう。
2.白紙の帳面の表題に知り合いの名前を書き込む。
3.白紙の帳面の表題に私の名前を書き込む。
うーん……
- 951 :名前が無い程度の能力:2012/11/08(木) 02:30:09 ID:Gnpir8SU0
- 3
- 952 :名前が無い程度の能力:2012/11/11(日) 07:05:07 ID:ugRAfMwE0
- 13:14
「私は2が良いと思うな」
いつまでも例の帳面を睨んでいても仕方がない。外に出て洗濯をしていると、そう声をかけられた。萃香だった。
「2?」
「これこれ」
と手に持った帳面を示す。私の部屋から勝手に持ち出したらしい。慌ててその手からひったくる。
萃香が示した部分を見ると、さっきまで書かれていなかった項目が書き足されている。魔術か妖術の類だろうか。
「で、2が良いってのは、どうして?」
「そりゃマンネリを避けるためさ」
こいつはこの気味の悪い本を小説か何かだと思っているのだろうか。
「で、誰の名前を書き込めば良いの?あんたの一日だと『今日もうまい酒を飲みました』で終わりよね」
「はは、手厳しいね。うーん、古明地さんとこのこいしちゃんとかどうかな。
あちこちをふらふらと飛び回っているみたいだし、面白い経験もしているかもよ。
それにさとり妖怪でさえ知りようの無いあの子の心中、この本になら書き出されるかもしれないよ」
「言っておくけど、私の心についてこの本に書いてあることはほとんど出鱈目よ」
そうは言ってみたものの、萃香以外の奴にも、(私の日常生活が書かれたということはぼかして)
それとなく相談してみるのも、面白いかもしれない。
- 953 :名前が無い程度の能力:2012/11/14(水) 18:07:08 ID:.mHI02zo0
- 15:03
「魔法かどうかは、ちゃんと調べてみないと分からないわね」
パチュリーはそう言うと、机の上に例の本(白紙の方)を放り出した。
「とりあえず強い魔力は感じないけれど」
「調べるとなると、どのくらい掛かるの?」
「2ヶ月くらいね」
「貴女でもそんなに?」
「今忙しいのよ。紅魔館の修復作業もまだ終わっていないし、
そのせいで遅れている研究だってあるのよ」
それにしたって2ヶ月も掛かるというのでは遅すぎる。間に合わない。
「何に?」
「あれ?何だったかしら」
「まあそう危険なものじゃないわ。それだけは見れば分かるから、安心して帰ってくれていいわよ」
作業の邪魔だ、ということらしい。私は彼女の図書館を後にした。
- 954 :名前が無い程度の能力:2012/11/16(金) 21:59:07 ID:PpXRwOJYO
- 15:20
小道を見下ろしながら森の上を飛ぶ。
霖之助さんの店の屋根が見えた。
しかし…煙突から煙が出ていない。外出してるのかな?
やはり不在だった。
うーん、何か知識が得られると期待をふんでたんだけど、あーあ。
と、思ったら
「おや?霊夢」
霖之助さんが戻ってきた?
背中の背負子(しょいこ)にびっしり本を積んでいる。
「珍しく里からのお客さんが来てね…」
“阿求の紹介”といって店にある本を買いにきたという。
「里で貸本屋を始めるらしい…たくさん買ってくれたけどなかなか選ぶ本が良くてね」
折角なのでリアカーを押して森の出口まで見送ってあげたそうだ。
代金の代わりにお客さんが集めた本を借りたとか(本当に本好きなのね)。
貸本屋さん…何かあるかも?
- 955 :名前が無い程度の能力:2012/11/17(土) 19:32:52 ID:3aJvMVok0
- 15:41
「いらっしゃい」
古ぼけた建物の中、山と積まれた本の奥から、低いがよく通る声が聞こえた。
空き家になっていた民家に本棚を押し込んで、店の体裁を整えたようだ。
積まれているのは棚に収まりきらない本らしい。
「この本について何か分かりませんか?」
神社に現れた本を差し出す。むろん白紙の方だ。本の山の間から手が伸びて、
それを受け取る。店主の姿は山の陰になっていて見えない。
「売ってくれるのか?**円で買おう」
低い声だが、男性のものか女性のものかは分からない。若いのか年寄りなのかも。
店主が付けた値はこの厚さの本の値段としては、
(白紙ならなおのこと)破格と言っていいものだった。どうやら確かにただの本ではないようだ。
- 956 :名前が無い程度の能力:2012/11/19(月) 12:32:12 ID:mo7sys5s0
- 16:08
店主が提示した金額は魅力的だったが、本は売らずに持ち帰った。
二冊目にも私の日常生活が書き出されるかもしれないのに、
そうそう他人に渡せるはずはない。
「紫ー、いる?」
声を上げてみるとスキマが開いたが、出てきたのは藍だった。
「紫様ならお休みになっています」
「じゃああんたで良いわ。これ、妖術かどうか分かる?」
「……確かに妖気を感じます。鬼の妖気、魔女の妖気、……
他にもあるようですが、微弱でよく分かりませんね」
この本を手に取った妖怪の気配が残っているようだ。
貸本屋の主人が人か妖怪かは、あの本に埋もれた建物に入っても
分からなかったが、その気配には霖之助さんの妖気も混ざっているのだろう。
「詳しく調べれば分かるでしょうが、見たところ害をなすような強い妖術は、
少なくとも使われていないようですし、放っておいても問題はないと思いますよ」
パチュリーと似たようなことを言う。
- 957 :名前が無い程度の能力:2012/11/19(月) 12:47:41 ID:YkrWGNQ.0
- wktk
- 958 :名前が無い程度の能力:2012/11/22(木) 10:03:13 ID:/WJ4IAfY0
- 16:39
藍の言葉に従うわけではないけれど、例の本のことはひとまず放っておく。
洗濯物を取り込んだり、薪を割ったりしているうちに、辺りは暗くなっていく。
夕食の準備をしていると、急に手元がぼうっと明るくなった。周りを見渡すが、何の姿も無い。
「――?」
誰?と、声を発したつもりだったのに、何も聞こえない。それで誰が来たのかは分かった。
「―――――――――――――――――――――なさい!」
怒った表情を作って口をぱくぱくさせると、声は聞こえるようになった。
「ちょうどいいわ。作業が終わるまで、そのまま手元を照らしていてちょうだい」
最近夕餉の時間が近づくと、毎日誰かしら訪ねてくる。
- 959 :名前が無い程度の能力:2012/11/24(土) 12:33:17 ID:xTuHW0z60
- 17:04
一人前を四人前にするための食材をルナに取りに行かせ、
調理をスターに手伝わせ、程なく夕食は完成した。居間で食卓を囲む。
「そうそう、霊夢さん。『迂遠の会』って知っていますか?」
「ウエン?」
「遠回りの"迂遠"です。今日友達に誘われてそういう会に入ったのですが、
霊夢さんも入りませんか?」
とても怪しいし、いかがわしい。
「何をする会なの?」
「いかなる目的をも可及的迂遠なる方法を以て達成する会……だったかしら。
ああ、会費は無料ですよ」
会則からして私には合わない気がする。私なら異変が起こればその原因まで一直線に向かう。
「どこかで集会でもするの?」
「そういう話は聞いていませんね」
「会長は?」
「不明」
「その他の会則は?」
「不明」
「あんたらは誰に勧誘されたの?」
「霧の湖によくいる緑髪の大妖精」
「それ以外の会員は?」
「不明」
得体が知れない……というか、
「あんたらその子に担がれたんじゃないの?」
- 960 :名前が無い程度の能力:2012/11/24(土) 20:19:00 ID:8mSvzyhYO
- 17:30
ムラムラしてきた
- 961 :名前が無い程度の能力:2012/11/27(火) 02:21:05 ID:S8yX0O2c0
- 18:12
夕食の後片付けと、食後のお茶を終える。日は暮れたが、まだ眠るには早い。
夜の散歩に出ることにした。三妖精も付いてくる。
月も星も雲に隠れていて、暗い。この時間帯は妖怪が出やすいかな……と思っていると、
早速帽子をあみだにかぶった少女に弾幕ごっこを挑まれた。妖怪のようだ。
1分と掛からずに決着を付け、その場を後にする。さて、どっちに向かおうかしら。
- 962 :名前が無い程度の能力:2012/11/28(水) 02:34:38 ID:3RGIFdMg0
- 18:22
川沿いを飛んでいると、今度は派手な色調のワンピースを着た妖精に弾幕ごっこを仕掛けられた。
酔っているようだ。さっきの妖怪よりはてこずったものの、3分以内に勝利を収める。
異変でもないのに、今夜は妖怪や妖精達の動きが活発だ。
「あんたらはやらないの?」
後ろで隠れて見ていた三妖精に声をかける。
「今夜は霊夢さんの技を見て盗むことに集中したいので」
「……ふーん」
なら彼女達のことは気にせず、散歩を楽しませてもらうことにしよう。
川に沿って上流の方へと飛ぶ。
- 963 :名前が無い程度の能力:2012/11/29(木) 14:16:26 ID:KUiZcIwg0
- 18:31
川沿いにリグルが佇んでいた。
「あれ、博麗の巫女が夜遊び?蛍の季節にはまだ早いよ」
「何?あんたまで喧嘩を吹っ掛けてくるの?」
「そんなつもりはないけど」
「まあ、良いわ。ところで、迂遠の会って聞いたことはある?」
「私は会員じゃないから詳しくは知らないけれど、そういう会があるってことは、
この間ルイズっていう魔界人の観光客に聞いたわ。彼女は会員らしいよ」
リグルの返答は意外なものだった。会員に魔界人と妖精、会の実態がさらに分からなくなった。
「ところで、こういう本については何か分かる?」
分からないだろうとは思ったけれど、一応訊いてみる。今度の返答は予想通りだった。
「さっぱり分からないわ」
- 964 :名前が無い程度の能力:2012/12/02(日) 06:44:47 ID:J.ROMBjY0
- 18:52
リグルと別れ、さらに上流に向かって飛んでいると、雲が切れて月明かりが差してきた。
と、そんな月夜にも関わらず、やけに暗い雰囲気をまとった影が見えた。
人間の男のようだ。夜に里の外をふらふらしているなんて危ないわね。
里に帰るよう忠告すべくそばに降り立つと、彼は曇った夜空のような色の目をこちらに向け、
「おや、巫女さん。お散歩ですか。この辺りは妖怪が出るから危ないですよ。帰られた方が良い」
それはこっちの台詞だ。
「そういうあんたは何をしているの?散歩、それとも武者修行?」
三十前後に見えるその男は、腰に刀を差していた。妙な男だ。
今にも自殺しそうな、というよりまだ自殺せず生きているのが不思議なほど暗い貌をしている。
「友人と散歩に出たのですが、はぐれてしまいまして」
そう答える声も暗く、私は葬列に出会ってしまったような気分になった。
- 965 :名前が無い程度の能力:2012/12/04(火) 03:18:17 ID:TWWS4fB60
- 18:55
「いやぁ、すまんすまん。うまそうな茸を見つけてな。採っているうちに、ついはぐれちまった」
そんなことを言いながら、木の陰からまた一人の男が現れた。彼の言っていた友人らしい……って、
「小料理屋のおやじさん!?」
「おや、博麗の巫女様。こんな時間にどうされたのですか?」
「それはこっちの台詞なんだけれど」
「私は食材を釣りに来たんですがね。つい遅くなってしまって、……今帰る所ですよ」
「この人は?」
「剣を通じて知り合った友人でしてね。今日は心配して付いてきてくれたんですよ」
「もういい歳なんだから、いい加減無茶しないでほしいのですが」
暗い顔のまま、笑ってみせる。言われてみれば、おやじさんの方も帯刀していた。
もう帰るところだと言うし、この二人なら妖怪が出ても大丈夫だろう。
私は二人に別れを告げ、その場を後にする。そろそろ帰ろうかしら。
- 966 :名前が無い程度の能力:2012/12/06(木) 22:38:21 ID:NDwwi6Ak0
- 19:02
行きとは別ルートの帰り道、その途中で魔理沙に会った。ミニ八卦炉を弄んでいる。
「よお、霊夢。良い夜だな」
「そうね。これからもっといい夜になりそうよ」
私は袖口からお札を取り出した。
「お前にとっては、悪い夜になるかもな」
魔理沙が八卦炉を正面に構える。
「まだ夜は始まったばかり、決めつけるには早いわね。とはいえ、あなたの夜明けはすぐそこよ!」
言いながらお札を投げ付ける。ほぼ同時に、魔理沙も星の弾幕をまき散らし始めていた。
- 967 :名前が無い程度の能力:2012/12/12(水) 13:58:17 ID:zyUcjNQ60
- 19:03
――恋心「ダブルスパーク」――
星の間を縫うように飛びながら、巨大な光の柱をかわす。
――魔十字「グランドクロス」――
続けて大技が来る。様子見無し、搦め手無しの力押しで攻めてくるつもりのようだ。
「厄介ね……」
――珠符「明珠暗投」――
陰陽玉を投げ付けつつ、追ってくる十字架から逃げる。
力技に力技で対抗するのは上策とは言えない。
牽制を入れつつ回避に専念し、相手の息切れを待って反撃に転じるべきだろう。
とはいうものの、
「……っと」
赤い星が脇腹をかすめるように飛ぶ。避け続ける方が精神的には消耗しやすい。
魔理沙の魔力が尽きるのが先か、私の集中力が切れるのが先かという勝負になりそうね。
- 968 :<激写されました>:<激写されました>
- <激写されました>
- 969 :名前が無い程度の能力:2012/12/13(木) 01:40:54 ID:7Od1tSIM0
- ごめん、誤爆
今世紀最大の誤爆してしまった…削除依頼も出しました
- 970 :名前が無い程度の能力:2012/12/14(金) 03:24:57 ID:jACMJks60
- >>898 その表現はおかしい
- 971 :名前が無い程度の能力:2012/12/14(金) 04:58:18 ID:kby59w1I0
- 19:05
先攻こそ許しているものの、この削り合いは分の悪いものではない。
こっちは避け切れなくなっても大技を撃って凌ぐだけの霊力を余せるのに対し、
魔理沙は余力がなくなればその後守りに回ってもジリ貧だからだ。
――霊符「陰陽印」――
もちろん牽制は入れ続ける。防御一辺倒では相手に楽をさせてしまう。
――魔廃「ディープエコロジカルボム」――
爆風が届かない所まで距離をとって避ける。と、急に星の弾幕が薄くなった。
――魔符「イリュージョンスター」――
爆発の後ろから現れたのは二人の魔理沙。一方は分身のはず。
どちらが本体か分からなくするため、あえて放つ弾幕を薄くしたのね。
ともあれここで搦め手に出たということは魔力が尽きかけているのかも……
「――からの」
――魔砲「ファイナルスパーク」――
私を挟んで飛び回る二人の魔理沙が同時にミニ八卦炉を構える。
ラストスペル級の技を二発同時に撃てるはずはない。
しかし、どちらが本物か見抜かなくては、魔砲の発生に対処しきれない。
- 972 :名前が無い程度の能力:2012/12/14(金) 22:34:12 ID:5W8KkUvw0
- wktk
- 973 :名前が無い程度の能力:2012/12/15(土) 03:28:46 ID:FWxnsL/20
- 19:07
私の勘によれば――
「こっちが本物ね!」
――昇天蹴――
一気に懐まで入り込み、ミニ八卦炉を蹴り上げた。
「流石。正解だ」
目の前の魔理沙が、そう言いながらにやっと笑った。弾き上げた八卦炉がぐにゃりと歪んで消える。
――まずい……!
目の前が真っ白になった。
- 974 :名前が無い程度の能力:2012/12/16(日) 07:28:32 ID:DGJeZyGk0
- 19:08
私の攻撃した魔理沙は確かに本物だった。偽物だったのは彼女の持っていたミニ八卦炉。
そして魔砲を放ったのは本物のミニ八卦炉を持っていた分身の方だった。
「……危なかった」
結界を張るのが一瞬でも遅れていたら、明朝神社で目を覚ますところだった。
とはいえ、完全に防ぎきることはできなかった。正直に言えば、これ以上戦うのは辛い。
「それじゃ、次で終わりにするぜ」
いったん距離を取った私の正面に、魔理沙が飛んでくる。ミニ八卦炉は持っていない。
魔砲の反動で分身は消え、八卦炉もどこかに飛んで行ってしまったようだ。
なら戦い続けるのが辛いのは、相手も同じ、か。
「あれが無いと威力は落ちるけど、まあ、仕方ないか」
魔理沙は両手を前に突き出す構えをとる。私も構えるが、大技を撃つにはややダメージが大きい。
――恋符「マスタースパーク」――
――霊符「夢想封印」――
魔理沙は避けなかった。避けられなかったのかもしれない。私がそうだったように。
- 975 :名前が無い程度の能力:2012/12/17(月) 15:30:17 ID:x44n4FwI0
- 0:15
「……ん、あれ?」
「あ、気がついた」
神社だ。サニーが縁側からこっちを見ている。
額に乗っていた濡れ手ぬぐいをどけながら、身を起こす。
「二人とも馬鹿ですね。気絶するまで続けるなんて」
「ここまで運んでくるの、大変だったのよ」
スター、ルナ、魔理沙の三人が部屋に入ってきた。
馬鹿に馬鹿と言われるのは腹が立つけれど、言っていることはもっともなので、
何も言い返せない。魔理沙も渋い顔をしている。
「まあ、私の方が先に目が覚めたんだし、実質私の勝ちみたいなもんだな」
「先っていっても2、3分の差だったわよね」
「馬鹿じゃなくてガキなのよ」
魔理沙は気を取り直そうとして、墓穴を掘っている。
- 976 :名前が無い程度の能力:2012/12/18(火) 09:23:00 ID:ZSISAiFgo
- 〜阿求の裏〜
あ、話の途中ですみません。
ちょっと厠へ行ってきます。
トテ
トテ
パタン
(さて、ここまで霊夢さんのスペクタル過ぎる平凡な日々を
聞いてきたわけですが・・・。
書き写してきた本の残りもあと僅か。
霊夢さんはまだまだ語り足りなそうですけど、新しい本を用意して
続きを書くべきでしょうか。
もしくは一旦お開きにして、今度は別の方の日常を聞いてみるのも
面白いかもしれませんね・・・。
はてさて、どうしましょう?)
フキ
フキ
パタン
〜阿求の裏〜
- 977 :名前が無い程度の能力:2012/12/18(火) 15:04:54 ID:9bkPxk/w0
- 0:18
「そろそろお暇させてもらうぜ」
「帰るの?」
「いや。その前にどこかに飛んで行ったミニ八卦炉を探さないとな……」
こいつは馬鹿だ。あんな危険なものをほっぽり出すなんて。
「しょうがないだろ。お前に勝とうと思ったらそれぐらいやらないと」
「だから負けてないって」
「次はそんな言い訳もできないくらい、きっちり負かせてやるからな。それじゃおやすみ」
「おやすみ」
魔理沙は手を振って、夜の闇の中へと消えていった。
「私達も怪我人一人じゃ心配だから、付いて行くね」
「霊夢さんはもう今夜は外出しないで寝た方が良いよ」
騒がしい三人の妖精もその後に続き、いなくなった。
折角の助言だし、私はもう寝ることにする。
- 978 :名前が無い程度の能力:2012/12/19(水) 18:38:09 ID:me0BhoMM0
- このスレの濫觴より霊夢以外では続きませんでした。
このスレはファンも多いから霊夢で続けてください。
その他のキャラは必要ならば別にスレを作ればいいと思います。
- 979 :名前が無い程度の能力:2012/12/19(水) 22:03:58 ID:/e41XaioO
- 2:15
変な夢をみた。
スレ、ってなんだろう?
なんて思いながらまた眠りについた。
- 980 :名前が無い程度の能力:2012/12/19(水) 23:08:58 ID:ee8Ay9nk0
- 6:03
起床。布団を片付け、顔を洗い、台所に向かっているところで、魅魔とすれ違った。
「あんた、帰ってたの?」
「ああ、今さっきね。今から朝食かい?よかったら私の分も作っておくれ」
「……仕方ないわね」
二人分の朝食を作り、彼女と向かい合って座る。
「どこに行ってたの?」
「『迂遠の会』のメンバーで酒を飲んでた」
「……は?」
- 981 :名前が無い程度の能力:2012/12/19(水) 23:18:37 ID:d0fEXCbc0
- 6:05
スレと言えば、次スレはどうするのかしら?
- 982 :名前が無い程度の能力:2012/12/19(水) 23:48:15 ID:wBmZVkhQ0
- >>980 政治家か何かのスレで見たな。
元ネタはカイザーラインハルトがラングに「迂遠な事を言うな」
と言ったあたりだろうな。
- 983 :名前が無い程度の能力:2012/12/20(木) 23:03:20 ID:emboQvnM0
- 6:05
次スレは誰が立ててくれるのかしら
- 984 :名前が無い程度の能力:2012/12/20(木) 23:18:06 ID:5CiF8FbM0
- >>982
銀英伝でラインハルトとヒルダがセックスをして
朝帰りした時に父親が言った台詞の改変だよ
- 985 :名前が無い程度の能力:2012/12/21(金) 12:32:57 ID:pCGVeZfw0
- 6:06
「あんたも会員なの?」
妖精や魔界人にメンバーがいるとは昨夜のうちに聞いていたけれど。
「会員というか……私が会長だね」
「そんなグループ作って、また何か企んでいるの?」
「何も。強いていうなら伏線のためかな」
「伏線?」
「そう。今は意味の無いことだけれど、将来何かの効果を顕す……かもしれないこと」
「要するに思いつきでとりあえずやってみた……と」
「まあ、そうだね。一緒に酒を飲むグループを増やしたかったってのもあるよ」
「ふうん。まあ何か異変を起こすようならその時は叩きつぶしに行くだけだけど」
「異変ね。それも良いかな」
「やめてよ、面倒臭い。ところで、『迂遠』って会の名前は何か由来があるの?」
「無いよ。何か会則の一つも無いと格好がつかないから、
できるだけ意味の無いものを作って、それをそのまま会の名前にしただけ」
「ひどいわね」
「ひどいかな。意味の無いものほど素敵だと思うけれど」
- 986 :名前が無い程度の能力:2012/12/21(金) 14:48:01 ID:6.x80bXM0
- それでは「博麗霊夢の一日」スレの継続という事でよろしいですね。
作家さんはもう書き込まないようお願いします。
スレタイ案とAA案を募集します。
スレタイ案は「博麗霊夢の一日 2」とか「博麗霊夢の一日 その2」とかです。
AAは有りで行きます。なるべく新作でインパクトのあるものをお願いします。
996まで募集します。997でスレ立て報告です。
996で誰か決めて依頼してください。
996の書き込みから48時間経過してもスレが立たない場合は私が依頼します。
よろしくお願いします。
- 987 :名前が無い程度の能力:2012/12/21(金) 21:45:31 ID:7zEiJMpAO
- 見返してみたらスタートが2年前か!
タイトルはシンプルに
「博麗霊夢の一日 その2」
てな感じで。
- 988 :名前が無い程度の能力:2012/12/21(金) 23:04:08 ID:pF6.Nymk0
- >>987 もうそんなになりますか、感慨深いですね。。
皆さん、今回は段取り不足でこうせざるを得ない事をご了承ください。
次スレで色々ルールを決めましょう。
あまり作家さんにお待ちいただく訳にはいかないんで、
986の期限もしくは12月24日中に次スレが立たない場合は
12月25日に私が依頼しますので、ご了承ください。
- 989 :名前が無い程度の能力:2012/12/22(土) 00:09:40 ID:IZj0HZ5c0
- 『博麗霊夢の一日 二日目』
と言う電波を受信した
あと基本文章のスレだからAAはない方がいいと思うのだけど
- 990 :名前が無い程度の能力:2012/12/22(土) 08:20:28 ID:ZhDoBpa6o
- ごく時々ですが『〜阿求の裏〜』という形で
霊夢の日常を聞いている(という設定の)阿求が誤爆のフォローや
進行の指針を示してましたが、これって次スレでもアリなんですかね。
霊夢の物語という一つの時間軸を崩さず、進行を調整できる存在が
あると(万が一というとき)便利だと思うのですが。
〜阿求の裏〜
え?何の話題ですか急に。誤爆・・・?
気にするな、ですか・・・。はぁ、ではお話の続きをお願いしますね。
〜阿求の裏〜
↑使用例
- 991 :名前が無い程度の能力:2012/12/22(土) 12:09:19 ID:x7qHqvTU0
- 私は次は別のキャラで書きたい。霊夢中心の話にすると、
紫や萃香、早苗といったキャラクターばかり多く登場することになるし、
舞台も神社や人里が多くなりやすい。特に引きこもりがちなキャラクターを出しにくかった。
次スレ案としては「霧雨魔理沙の一日」として、魔法の森、香霖堂、
紅魔館あたりが舞台の中心となる話。魔理沙の方が地底や魔界方面でも動かしやすいし。
- 992 :名前が無い程度の能力:2012/12/22(土) 12:28:21 ID:tbVTpwnA0
- もうそれは別スレとして立てればいいじゃんと思った
- 993 :名前が無い程度の能力:2012/12/22(土) 12:59:21 ID:5GdqehiwO
- それは書き手の話で霊夢以外全ての住人とコミュニケーションとれる役はいないでしょ。
次のスレでは地底や天界に行かせてみるのもいいかも?
- 994 :名前が無い程度の能力:2012/12/22(土) 18:11:16 ID:Lf3IbmEkO
- あんまり堅苦しくルールを決めないで、その場その場で出来た雰囲気がこのスレのように守られればいいかな
あまり書いてはいないけど
- 995 :名前が無い程度の能力:2012/12/22(土) 19:07:34 ID:1Sn.rzzEO
- >>992
一票
- 996 :名前が無い程度の能力:2012/12/23(日) 07:39:09 ID:WmnSOV..0
- では「博麗霊夢の一日 二日目」(仮題)と「霧雨魔理沙の一日」(仮題)の両方を立てて様子を見ますか?
- 997 :名前が無い程度の能力:2012/12/23(日) 13:07:11 ID:Tadi/lEQO
- 魔里沙は独白もだぜ口調なのかなW
- 998 :名前が無い程度の能力:2012/12/24(月) 00:16:16 ID:xrXh6eeU0
- 霧雨魔理沙の一日は、そこそこやる気のある人がスレ立て主になった方がいいと思う
- 999 :名前が無い程度の能力:2012/12/24(月) 01:09:04 ID:isGPS3jc0
- では次スレ
博麗霊夢の一日 二日目 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/41116/1356278539/
霧雨魔理沙の一日 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/41116/1356278779/
- 1000 :名前が無い程度の能力:2012/12/25(火) 11:11:47 ID:aQAxtyXc0
- つづく
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