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@@@プリキュア小説を綴るスレ@@@- 1 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/09/26(日) 18:02 [ qIImSmDE ]
- プリキュアの小説を思い思いに綴るスレ。
短編から長編、それと詩などなど…。
- 2 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/09/26(日) 18:03 [ qIImSmDE ]
- 思いつくままに書いてたらこんなんなりました。
イメージソングはありったけの笑顔。短い…
「なぎさ〜!」
部活を終えたなぎさの元に黒く長い髪を弾ませながら
女の子が笑顔で駆けて来る。
なぎさと出会うまではスカートを履いたまま慌しく
駆け回る事も無かった清楚な少女。
彼女の名は
「ほのか、そっちも終わった?」
「ええ」
答えた後、遠慮がちに上目遣いでなぎさを見るほのか。
「どうしたの?」
「途中まで…一緒に帰れない?」
ほのかなりに勇気を振り絞ったのだろう、
言葉の最後の方は声が消えそうだった。
ほのかからこんな風に誘ってくるなんて。
なぎさは嬉しくなってほのかの手をぎゅっと握る。
「あ」
「いいよ、いこっ!ほのか!」
「うん!」
夕日の向こうに、二つの影が駆けて行く…。
- 3 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/09/26(日) 18:21 [ JVcnkll2 ]
- 百合萌えスレにもSS投下されてるけどかぶらない?
- 4 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/09/26(日) 19:05 [ qIImSmDE ]
- こっちは百合とか決めず総合だから大丈夫じゃないかな?
- 5 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/09/29(水) 18:00 [ h6jDrBAM ]
- >>1
スレ立て乙。──ところで差し出口のようだけれども、このスレのあり方について
ちっと提案させてもらいます。
「プリキュアの小説を思い思いに綴るスレ」というのがこのスレの趣旨だけれども、
さしあたり当座は、過去に本スレ・関連スレなどで投下されたSSを集めることから
始めてみたらどうだろうか。まあ、それらについてコメントしたりするのは措いて、
まず2chプリキュアSSのデータベースみたいな感じでここを運用する。
百合スレは実質的にアニメサロンに移住したから、百合SSの収集もここでいいと思う。
とにかく2chのプリキュアのSSはほとんどここに集るという
事実ができあがれば、このスレを中心にして皆の創作意欲も刺戟されると思うんだな。
そしてその収集作業におそらく>>1さんほど相応しい人はいないとも考えます。
少なくとも例の「葱姉イジメSS」も保存していない俺などよりははるかに適任でしょう。
また、転載についてはおそらく問題ないと思う…作者の方自身がここへ登録してくれるのが
無論望ましいのですが、保存するためという目的で自分のSSを転載されて、
不愉快になる人の方が珍しいと思いますから。
もし>>1さんに実行の意志がおありなら、俺もできる範囲で手伝います。以上!
- 6 名前:5 投稿日:2004/09/30(木) 01:44 [ ktM7SLcE ]
- (-∀-) ……と思ったが、現行の関連スレをざっと見てみたら
SS風の妄想の短い書き流しや、SSのアイディアの提示みたいのはあっても
ちゃんと完成されたSSってのは関連スレでもほぼ皆無みたいだな。
まあすでに倉庫逝きになったスレは確認してないので(保存もしてないので)
明らかには言えないけれど、んー、ちょっと現状を錯覚してた。
2chでプリキュアを元にSSを書くってことはそれほどまだ普遍的じゃないのだな。
できればこのスレがそういう習わしの根づく一助になればと期待しときますか。
オイラも暇があったら何か書きますよ…あくまで暇があったらだけど。
とはいえ、ほぼ皆無ながら幾つか俺の目のつく範囲でも完成度の高いSSはあったし、
それをここへ転載するのは、別にかまわないよね?
もちろんスレの趣旨をくらがえさせようなんて意図はなく、変らずプリキュアを題材にした
小説を投下するというこのスレの目的はそのままに、+αで、2chやそれに準ずる板で
発見した(個人サイトのものは対象外)プリキュアSSをここに転載することを許して欲しい。
現段階ではデータベースなんてしかつめらしいことにはならない。まあ気に入った他の人の
SSをここで紹介してみるみたいな感じでね。
というわけで言い出した俺からまずやっちゃいます。(明日以降に)
- 7 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/09/30(木) 03:50 [ szOMi4VE ]
- 自分はプリchでの百合萌えスレにSS投下した者っすけど
転載とかは全然おkですよ。
ちゃんとSSと呼べるものは少ないけど
百合萌えスレには幾つかあるみたいなので頑張ってくださいね。
- 8 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/09/30(木) 16:45 [ ktM7SLcE ]
- どうもです。作者の方からそう言っていただけると救われます。
まあちょっと自分が>>5で言ったことは思いなおして、何でもかんでも
片端から拾っていくというのはいかにも機械的だし、当座はコメント付きで
気に入ったものを転載する、という風なことを俺はほそぼそとやっていきますわ。
2chでのプリキュアSSがもっと増えてくればまた別ですが、現状ではね。
そして>7氏は旧百合スレの358さんでしょうか?
あれは初めて書いたとおっしゃられていましたが、読み易くて感銘しました。
次回作も期待してます。それをメロン板の新百合スレに投下する場合でも、
手隙になられた時でよいので後からこちらにも投下して頂けるとありがたい。
作者さん自らの転載は大歓迎ですので。よろしくです。
- 9 名前:7 投稿日:2004/09/30(木) 19:18 [ EFw1ScUg ]
- >>8
そです。旧百合スレのどんべい食べるのが遅かった358です。
次回作、ですか・・・はぁ、それはあまり期待しないで下さいませ。
まぁ今のところ書く予定はありませんが、ドラマCDなどが発売されたり
本編での百合を妄想させるシーンがあれば、妄想にまかせて書かせていただくかもしれません。
>>8さんもSS収集活動頑張ってくださいませ。応援しています。
- 10 名前:旧百合スレ249-250(作:203氏) - 非エロ百合SS (1/2) 投稿日:2004/09/30(木) 20:53 [ ktM7SLcE ]
- .
校庭の樹々も秋めいてきたベローネ学院女子中等部、二年桜組の教室にて。
時あたかも二学期の中間テストを終え、成績も出そろったところで……
よしみ先生「みなさんテストの結果はいかがでしたか?
さて、中間テストも終わってひと区切りつきましたので、
今から皆さんお待ちかねの席替えをしたいと思います。
…目の悪い人はあらかじめ言ってくださいね。
教卓の前の席を空けておきますから。
まあ、好き好んで教卓の前に来る人はいないでしょうけど。
──そうそう、それと…」
女性徒「それと?」
先生「今回は特別に、テストの成績の良かった人から順に
自由に席を選ばせてあげます。
ただし、相談や裏取引は無しよ」
女性徒達「ええーーーっ!?」
先生「はいはい、ぶーぶー言わない。
普段はくじ引きだったじゃないの。
自由に選ばせてあげるんだから、いいでしょう?」
なぎさ「……やった! (゚∀゚)
アタシ、今回のテストだけは自信あるんだよね。
たまたまだけどラッキー」
志穂「え、いいないいないいな〜、
あたしはヤマ外れてぜっんぜんダメ… (´Д`;)
もしかすると最下位だよー、よりにもよってこんなときに…」
なぎさ「お気の毒さまw」
先生「あ。ちなみにもう一言。
夏休みの宿題を忘れていた人は、テストの成績に関係なしに
席選びを最後まで我慢してもらいます。お気の毒ですけれどもね」
なぎさ「ガ━━━(゚Д゚;)━━━━ン
そ、そりゃないっすよ先生…」
志穂「お気の毒さまwww」
なぎさ「お互いね (-∀- ;)」
先生「じゃあ、いくわよ、一番!
──さすがね、雪城ほのかさん!」
ほのか「はい」
先生「さあ、自由に選んで」
ほのか(なぎさはどこのあたりにくるかな…?
なぎさが坐るのは最後の最後に余った席…
おそらく残るのは、教卓の前の二つの席のどちらかだろうけど…)
先生「どうしたの?
一番の特権よ、どこでも好きな席を選んでいいのよ?」
ほのか「……じゃ、じゃあ、前と同じところで……」
先生「ふうん、やっぱりね、雪城さんらしいわ。
座りなれたところで落ち着いて勉強したいわけね。
よし、じゃあ次!……」
- 11 名前:旧百合スレ249-250(作:203氏) - 非エロ百合SS (2/2) 投稿日:2004/09/30(木) 20:54 [ ktM7SLcE ]
- 〈続き〉
そして成績発表と席替えとは順調に進み、最後になぎさと志穂の二人が残った……
先生「──案の定、教卓の前が最後まで残ったわねえ。
さあ、久保田さんどちらにするの?教卓の左?右?」
志穂「そんなのどっちでもいっしょだよ〜」
先生「それなら早く決めなさい」
なぎさ「そうそう、ちゃっちゃと決めちゃって。
選ぶも地獄、選ばぬも地獄、地獄の沙汰は金次第〜ってね」
先生「…美墨さん、言葉遣いはあってるけど使い方が 全 然 違うわ」
志穂「もううっさいわねー… それじゃあー…」
ほのか「せっ、先 生!」
先生「はい、雪城さん?」
ほのか「……す い ま せ ん!
実は私とても目が悪くて、ここからだと黒板の字がよく見えないんです!
なので、その教卓の前の席に移ってもいいですか?」
なぎさ「あっれ〜〜?
ほのかって、目悪かったっけ?」
ほのか(あ〜、(TдT) なぎさのバカ〜…)
先生「そうね?
雪城さん、視力は悪くなかったはずでしょう?」
ほのか「あ、いえ (-Д- ;)
今までどうしても見えないときはたまにメガネをかけていたのですが、
それも目にあまり馴染まなくて……それで普段はずっと裸眼だったんです。
すみません、最初に気づいて言っておくべきでした」
先生「そーうなの?
…それなら仕方ないわね、もう席はあらかた決まっちゃってるけれど。
久保田さん、一番後ろでも構わない?」
志穂「しゃーないなー (-∀-)」
なぎさ「そんなこといって。志穂、ホントは後ろの方がいいんでしょ。
いいなぁ〜。あ、そうだ、
ほのかー、それだったらあたしと替わろうよ、いいでしょ?」
ほのか(もう! (TдT) なぎさったらなんで私の気持ちに気付いてくれないのよ)
ほのか「で、でも、ほら、
美墨さんは久保田さんに先に譲ってあげなきゃならないし…」
志穂「そうだぞ!なぎさは最後に残った席で我慢しなさい」
先生「美墨さん、あなたはワガママ言える立場じゃないでしょ、
友達だからってこれ以上雪城さんを困らせないの、わかった?」
なぎさ「はーい」
・ ・ ・ ・ ・
先生「じゃあ、美墨さんは雪城さんのとなりね。
美墨さん、くれぐれも雪城さんにちょっかい出さないように!」
なぎさ「わかってますってばー」
ほのか(ふふ。なぎさは出さなくても私がちょっかい出すかも……)
(´∀`*) おしまい
- 12 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/09/30(木) 20:55 [ ktM7SLcE ]
- 【旧百合スレ249-250(作:203氏) - 非エロ百合SS】
当板内「プリキュアで百合萌えするスレ」からの転載*リメイク作品。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/1261/1086257122/249-250
俺の中で旧百合スレ203氏はひそかにネ申ということになっているが
とにかく非エロの百合でここまで完成度が高いのを書けるのは素晴らしいと思う。
内容も変にややこしくなくてプリキュアの明朗な雰囲気に合っているし。
白が健気すぎる点は天然気質の本編の白とはややズレるところだが、それはそれ、
妄想主体のSSの面目躍如ということだろうし、或いはアニメ版以上に百合している
なかよし版の延長としてはアリかもしれない。とにかく原作のプリキュアを
ちゃんと大事にしているのが伝わって作者の真率を感じる。リスペクト。
※余談。この板はひとつのレス本文に全角2000字弱ほど書けるみたい。
だから上の作品も一レスにおさめようとすればおさめられる。
- 13 名前:1 投稿日:2004/09/30(木) 22:23 [ nXnWMYKE ]
- >>5-6
はい、自分も収集&執筆いたします。
あと葱姉小説なのですが折角保管したのに間違って重ね書きして
消してしまったんで、作者様にもう一度上げて頂かないと…・゚・(ノД`)・゚・
それと残るのはちょっと抵抗あるっぽかったので
許可も貰っておいた方がよさそう。
- 15 名前:ハァハァスレより転載 投稿日:2004/09/30(木) 23:01 [ nXnWMYKE ]
- 出典スレ ttp://comic5.2ch.net/test/read.cgi/anime/1093087225/
執筆者 493様
ジュナレギーネ、ベルゼイの三人の圧倒的な攻撃に絶体絶命のなぎさとほのか。
ふたりが「もう駄目!」と叫びそうになった時、
ほのかのおばあちゃんさなえが戦の真っ只中にやってくる
ほのか「おばあちゃま!」なぎさ「こっち来ちゃ駄目!あぶない!」
しかしさなえはまるで散歩でも楽しむかの様な足取りでやってくる、そして・・・
さなえ 「まぁまぁ、孫がお世話になっております。」
その時、なぜか闇の三人組の攻撃が弱まった
ベルゼイ「・・・・さなえちゃん!」
さなえ「お久しぶり元気だった?玄ちゃん。」
ジュナレギーネほのかなぎさ「玄ちゃん?」
ベルゼイ「ぅぅぁぁ・・さなえちゃんこそ・・・いやお孫さんとは知らず・・ぁの・・」
ほのか「おばあちゃま!この人とお知り合いだったの?」
さなえ「ええ、私たちが子供の頃同じ小学校の隣の席同士だったのよね?お漏らし玄ちゃん?」
「お漏らし玄ちゃん???」
さなえ「ええ、授業中お漏らししちゃって、泣いてたのを私がパンツ洗ってあげたのよね?」
ベルゼイ「うううううあああああああ・・・て・・・撤退だ!」
レギジュナ「・・・・・ぷっ(笑」
おしまい
- 16 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/01(金) 17:53 [ s1aWO4ls ]
- >>1さんキター。愚生の提案に賛意示していただけたようでどうもです。
……ふむふむ、転載にあたって作者さんの許可が必要かどうかは、
まあ銘々臨機応変に判断していきましょう。
恐らくは、投下した後に修整したくなったりということもままあるだろうし、
やはり作者さん自ら転載してもらうのが一番だけれどね。
しかしそもそも、作者諸氏がこの「プリキュア小説を綴るスレ」の存在自体を
はじめから知らないということもあるだろう。
それに所詮専用板のスレということを考えれば、このスレ内でいくらでも
修整版をくりかえしアップしていただいても構わないだろう、とも思う。
>>15
転載乙。あはは。一発ネタだけどこれは巧いわ。ベルゼイが急にアホキャラに。
つーか本編での葱姐のイジられぶりからすると、これもあり得なくもないな。
ところで、勿論義務強制ではないですが、転載する場合は、SS本編とは別に
ごく短い紹介文でも添えるとよいかも。元が無題の場合は内容を早分りできる
仮題なんかを紹介者の方で付けてしまう便宜もアリだと思う。
それに、感想文ではない、単なる紹介文という形であれば、作者さん自身が
転載する場合でも転載ついでに書き易いんじゃないかと思われる。
──まあ、この点も各々がたの判断におまかせしましょう。
- 17 名前:小ネタ 投稿日:2004/10/01(金) 18:56 [ Q9o61e/A ]
- なぎほの二人のラジオってこんなかんじかな、と
ほやほや〜っと書いてみたものです。
なぎさ&ほのかの
☆ゆんゆん電波発信局☆ #01(前編)
なぎさ(以下,な) 「こんばんわ〜もうお風呂にはいったかな?
貴方の耳の恋人なぎさと」
ほのか(以下,ほ) 「同じく貴方の耳の恋人ほのかのゆんゆん♥電波発信局、
今夜もバリバリ行ってみましょう!」
な 「今日のBGMは雨のち天晴れだよ」
ほ 「雨のち天晴れも収録されたDUARVOCALWAVEは
現在好評発売中♥」
な 「皆、ちゃ〜んと買うのよ!」
ほ 「なぎさ、最初のお便りをお願い!」
な 「それじゃあ読むね、ラジオネームぶざま先生推定24才からのお便りだよ。
(ってゆーか推定って!!?)
なぎささん、ほのかさんこんにちわ。
私は今ある大事な仕事の最中なのですがどうも上司の信用が薄いようで
ちょっとしたミスでも大目玉を食らってしまいます。
最近同僚の目も冷たいし…俺の心はボドボドだ!
こんな時元気のでる曲をお願いします。
う〜ん、社会人は大変よね」
ほ 「きっとぶざま先生さんは仕事熱心な人なのね、
たまには肩の力を抜いて息抜きしてみるのもいいかも?
そんな貴方にはこの曲!」
な 「ゲッチュウ!らぶらぶぅ?!」
〜〜〜ゲッチュウ!らぶらぶぅ?!〜〜〜
ほ 「元気を取り戻したらまたお仕事頑張って下さいね♥」
な 「私たちは頑張る皆のチアリーダー!応援しちゃうよ!」
な&ほ 「それでは一旦、CMで〜す☆」
- 18 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/01(金) 19:08 [ IySTB.H2 ]
- >>17さんすげぇ〜!!
っていうか、こんなの見ちゃうと、11月に発売される
ドラマCDの中でのラジオが猛烈に楽しみになってくよ。
- 19 名前:( ゚Д゚)<風呂に入ったぜオリャー 投稿日:2004/10/03(日) 13:54 [ YrVDax6o ]
- >>17
前編ということですがつづきはまだですかな。
>ほ「なぎさ、最初のお便りをお願い!」
のDJに馴れてなさそうな感じが初々しくてヨイ。
あとこれがヤバいw
>なぎさ「こんばんわ〜もうお風呂にはいったかな?」
……と、17さんを急かすのも不行儀ですし、つづきを書かれる前ですが
お邪魔して例のごとくSS転載いきます。
- 20 名前:旧百合スレ322(作:203氏) - ライト百合SS 投稿日:2004/10/03(日) 13:55 [ YrVDax6o ]
- .
と或る日の昼休み、二年桜組の教室にて……
-キーンコーンカーンコーン-
教室のひと隅に机を寄せ合って、お弁当を食べ始める
なぎさとその友人の志穂と莉奈の三人組。
志穂「どれどれどれ、今日のなぎさのお弁当はなに……
えーうそうそうそ!」
莉奈「なに志穂、
なぎさのお弁当になんか変なものでも…
あーーーー!!」
なぎさ「…?
もう、どうしたのよ二人とも?」
莉奈「その赤く色づいてて小豆が入ってるご飯はひょっとして……」
志穂「まさかまさかまさか!」
志穂&莉奈「お赤飯!!!」
なぎさ「? そうだよ。
どうしたの?
二人とも赤飯嫌いなの?普通に食べるでしょ?」
莉奈「…嫌いじゃないけど、
でもほら、女の子がお赤飯食べる時っていったら、
……ねえ、志穂」
志穂「だよねだよねだよね、普通は、あれ、だよね」
なぎさ「アレって?」
ひとり訳が分からないなぎさ。
莉奈(えっうそ、
ひょっとしてなぎさってまだだったの?
もう中二だよ?遅すぎじゃない?)
志穂(でもでもでも、
ここはとりあえず……)
なぎさ「ちょっとー、なに二人でこそこそしゃべってるのよー…」
志穂&莉奈「お め で と う な ぎ さ!」
なぎさ「きゅ、急になんなの?」
莉奈「なにって、もう、
自分が一番分ってるくせに」
なぎさ「???」
志穂「ほんとにほんとにほんとーに知らないの?
なぎさのお母さんから聞かなかった?」
なぎさ「? 何をよ?」
莉奈「何ってナニのことよ……
…あっ、雪城さーん!
ほらっ、なぎさのおべんとうに……」
そのとき三人組の席の傍らへ静かに歩み寄って来たほのか。
そして、なぎさの弁当箱をちらっと見たほのかは、なぜか少し照れながら、
ほのか「ふふふ、おめでとう、なぎさ。
あと、はい、これ」と言って、かばんから何やら大きなモノを取り出した。
志穂「…すごいすごいすごい!立派なお重!」
ほのか「今朝おばあちゃまと炊いたの。
一生懸命作ったから、いっぱい食べてね(はあと)」
莉奈「うわあ、なぎさみて、おいしそうな赤飯がいっぱいだよ!
って……
志穂&莉奈「ΩΩ<な、 な ん だ っ て ー!!!!」
なぎさ「???
なんでそんなに驚いてるのよ、二人とも?
もう、マジ意味わかんなーい!」
(昨日ほのかの家に寄ったときに何かしちゃったのかな?
…でも悪いことなら怒られるはずよね、普通)
最後まで自分の身体に起こった変化と赤飯が結びつかないなぎさだった。 (完)
- 21 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/03(日) 13:56 [ YrVDax6o ]
- 【旧百合スレ322(作:203氏) - ライト百合SS】
仮題「はじめての○○○」。旧百合スレから203氏の作品の転載ふたたび。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/1261/1086257122/322
非エロながらネタがネタだけに本編では絶対にありえない話、
しかし志穂莉奈なぎさのやりとりなど如何にもそれらしいものとして
科白に苦心して書かれているし、一部では半公式設定になりつつある
「なぎさは発育が遅い」を、なぎさの良い意味でのうとさと絡めてネタにし、
本編でのなぎさの性格描写のヴァリアントように読める良SS。
完成度の高さにも瞠目。途中からほのかが登場する起承“転”結の構成も見事だし、
昨夜なぎさがほのかの家で具体的に何をしたのか、直接に書かかずに
読者の想像にゆだねている点は素人離れしている。
- 22 名前:黒スレ2-524氏/ネタSS「最萌準決勝前夜」(+裏ver. ) 投稿日:2004/10/03(日) 13:58 [ YrVDax6o ]
- .
──時に、2004年9月19日、23時45分
524 名前:メロン名無しさん :04/09/19 23:45:32
ほ「いよいよ最萌ね。なぎさ、がんばって」
な「うん……」
ほ「なぎさ、どうしたの?」
な「なんかさ、わたしたちってふたりでプリキュアじゃない?
なのにこんな、私だけ勝ち残っちゃって……」
ほ「なぎさ……」
な「なんか心細い…、って、じゃなくて!ヽ(`Д´)ノ
なんだか、ほのかに悪いなあ。なんて……」
ほ「大丈夫」
な「えっ?」
ほ「大丈夫。だって、私はいつもなぎさと一緒に戦っているもの」
な「ほのか……!」
ほ「さ、いきましょ、なぎさ!」
な「…うんっ!」
つないだ手を離さないで。
【9/20 決勝トーナメント準々決勝】
美墨なぎさ VS ナージャ・アップルフィールド
.
.
──同じく2004年9月19日、23時59分
968 名前:メロン名無しさん :04/09/19 23:59:44 ID:???
ほ「いよいよ最萌ね。なぎさ、がんばって」
な「うん……」
ほ「なぎさ、どうしたの?」
な「なんかさ、わたしたちってふたりでプリキュアじゃない?
なのにこんな、私だけ勝ち残っちゃって……」
ほ「なぎさ……」
な「なんか心細い…、って、じゃなくて!ヽ(`Д´)ノ
なんだか、ほのかに悪いなあ。なんて……」
ほ「大丈夫」
な「えっ?」
ほ「大丈夫。だって、なぎさは私の踏み台ですもの」
な「ほ、ほのか……?」
ほ「心配しなくても、なぎさが勝つことは私の人気の証明でしかないのよ。
さ、いきましょ、なぎさ!」
な「う、うん……」
つないだ手は離してもらえなかった。
【9/20 決勝トーナメント準々決勝】
美墨なぎさ VS ナージャ・アップルフィールド
- 23 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/03(日) 13:59 [ YrVDax6o ]
- 【黒スレ2-524氏+白スレ1-968氏:ネタSS「最萌準決勝前夜」】
実は、自分の目にとまった範囲で心底転載して保管しておきたいと思ってたのは、
上の203氏の二作品のみで、以降は関連スレなどでちらほら見られる短いSSのうち
なんとなく気に入ったやつを見境なく転載していく、って感じに私はなりそうです。
これはその手始め。2004年アニメ板最萌トーナメント、ベスト8まで残った
なぎさがナージャとの対戦を控えた20日前夜、告知ついでに黒スレと白スレに
貼られていたネタSS。読み終えた後の印象が正反対の二つのヴァージョンで、
投下に14分の時が空いているけれど、これは同じ人が書いたんですかね?謎。
どっちか片方しか目にしなかっただろう人もいると考えるとなかなか奥床しい。
ちなみにこういう便利なものが出来たらしいのでその記念も兼ねて。
プリキュアキャラスレ倉庫@メロン板
http://pc46to96.hp.infoseek.co.jp/
上の二つのSSの転載元は以下で見れます。
【ヒーロー?】美墨なぎさ応援スレッド2【ヒロイン!】
http://pc46to96.hp.infoseek.co.jp/b02.html
雪城ほのかにメロメロ
http://pc46to96.hp.infoseek.co.jp/w01.html
- 24 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/03(日) 18:29 [ TspWEV4w ]
- 志穂:雪城さんって最近なぎさになれなれしいよね。
莉奈:んっ、まあ。
志穂:おかげで最近どうもなぎさと話しづらいってゆうか、ゆうか、ゆうか。
莉奈:でも、雪城さんっていい人よ。ほら、この間喧嘩したときも親身になって
そうだんしてくれたし。
志穂:いい人だとはおもうんだけどー、合わしづらいってゆーかー。私たちとは
ちがうせかいにいるってゆうかー。
莉奈:そうよねー。ちょっと友達になりにくいってとこあるかなー。
1話終了
- 25 名前:24 投稿日:2004/10/03(日) 19:07 [ TspWEV4w ]
- 志穂:なぎさ、雪城さんってどんな人なの?
なぎさ:そうねー、見た目はすごく真面目すぎる雰囲気があるけど、結構おもしろい
突っ込みいれてくれるかな?
志穂:話しててかみ合う?
なぎさ:最初は私も志穂みたいな考えだったけど、一緒にいるうちにお互いとても
楽しいって言うことが分かり合えたとおもえてきたなー。志穂も一度ほのか
と二人で話してみたらいいと思うよ。
志穂:そ、そうかなあ。ってゆうか、ってゆうか、ってゆうかー。まともにはなせるのかなあ。
2話終了
- 26 名前:24 投稿日:2004/10/03(日) 19:20 [ TspWEV4w ]
- 志穂:雪城さん。
ほのか:んっ?なに?
志穂:いや、あのー。なぎさのことどう思ってる?
ほのか:彼女は活発で男性っぽいところがあると思われがちだけど、以外に繊細
なところもあるのよね。なにしろ一緒にいて楽しいわね。久保田さんも
そう思わない。
志穂:ま、まあそう思うかな?(他になにはなしたらいいのー?)
あ、あのー。私のことはどう思う?
ほのか:久保田さんはー、んー、なんていったらいいかなー?とても元気で明るくて
良いと思うわ。
志穂:(なんかなぎさと比べて簡潔だなー。)あっ、そうかあ。ありがと。んじゃ。
ほのか:それじゃあ。
3話終了
- 27 名前:24 投稿日:2004/10/03(日) 19:25 [ TspWEV4w ]
- 志穂:なんかかみあわないなー。
なぎさ:どうしたの?
志穂:やっぱかみあわないや。どうしよう?
なぎさ:交換日記とかやってみたらいいんじゃない?お互い思ってることをかいていくの。
そうすればきっとお互いのことを理解しあえるはずだよ。
志穂:やってみようかなあ。
4話終了 次回最終回
- 28 名前:24 投稿日:2004/10/03(日) 19:42 [ TspWEV4w ]
- 交換日記をはじめた二人
志穂の日記:雪城さんって上品で頭よくて、男子にもモテモテですごくすごくすごく
憧れる。
ほのかの日記:そんなことないわ、久保田さんだってなぎさに負けない元気を持ってて、
友達も多くて私こそ久保田さんはすごいと思う。
志穂の日記:雪城さんってやさしい。
ほのかの日記:久保田さんって意外と気が小さくて面白い。
志穂の日記:なんか雪城さんととてもとてもとても友達になりたい。
ほのかの日記;わたしもとってもとってもとっても久保田さんと友達になりたい。
志穂とほのか:ってゆうか、ってゆうか、ってゆうか私たちいい友達になれそう。
教室で
志穂:雪城さん、私もなぎさみたいにほのかってよんでいい?
ほのか:いいわよ、志穂。
二人は真の友達になる。
どうでしょうか?はじめてで相当下手くそなのですが、感想いただけるとうれしいです。
長文ですいませんでした。
- 29 名前:24さん作:ほのしほSS*リメイク (1/2) 投稿日:2004/10/04(月) 06:33 [ YQJa6/Fo ]
- .
志穂「……雪城さん!」
ほのか「? なに、久保田さん」
志穂「んっ、いや、あのー。
……あはははは、な、なんでもなかったです、ゴメン…」
ほのか「?」
・ ・ ・ ・ ・
志穂「……雪城さんて、最近、なぎさと仲良いよね」
莉奈「まあ、そうね」
志穂「でもでもでも、
おかげで近ごろどうもなぎさと話しづらいってゆうか…」
莉奈「そう?
別にそんなことないんじゃない。
雪城さんっていい人よ。
…ほら、このあいだ私達が喧嘩したときも親身になって相談のってくれたし」
志穂「それはそうだろうけどー、
でもなんか、合わしづらいってゆーか、私達とは違う世界にいるってゆうか…
いい人だとは思うんだけど…、ちょっと友達になりにくいってとこない?」
莉奈「うーん、そうかなあ?」
志穂「…………」
・ ・ ・ ・ ・
志穂「……ゆっ、雪城さん!」
ほのか「? どうしたの、久保田さん」
志穂「あ、あのー。
い、いや、ホラ、えっと……こ、こうかん……」
ほのか「?」
志穂「に、にっきを……えー、…あのー……
…はは、いえ、ゴメンゴメンゴメン、なんでもないです、んじゃっ!」
ほのか「???」
・ ・ ・ ・ ・
志穂「……なぎさ、雪城さんってどんな人なの?」
なぎさ「? 突然なによ」
志穂「いいからさ。どういう人なの? 話しててかみ合う?」
なぎさ「…そうねー、
見た目はすっごく真面目そうな雰囲気があるけど、
結構おもしろい突っ込みいれてくれるかな?
話しててかみ合わないなんてことはないよ。
時々かなり一途にずけずけものを言ったりするのには驚くけど」
志穂「そ、そうなの?」
なぎさ「志穂も一度ほのかと二人で話してみたらいいんじゃない?」
志穂「……まともに話せるのかなあ……」
- 30 名前:24さん作:ほのしほSS*リメイク (2/2) 投稿日:2004/10/04(月) 06:34 [ YQJa6/Fo ]
- .
・ ・ ・ ・ ・
志穂「……雪城さん!」
ほのか「んっ? …なに?」
志穂「ええっとぉ〜、あ、あのー… そ、そうだ、
雪城さんって、なぎさのことどう思ってる?」
ほのか「そうね?
…彼女は活発で男性っぽいところがあると思われがちだけど、
意外に繊細なところもあると私は思うわ。
なによりも、一緒にいて楽しい。久保田さんもそう思わない?」
志穂「う、うんうんうん。
そ、そう思うかな? 私も。
──それじゃ、それじゃあさ、…っと、私のことは、どう思う?」
ほのか「……久保田さんは、うーん、
とても元気で明るくて良いと思うわ」
志穂(な、なぎさと比べて簡潔だなー、ずいぶん……)
志穂「そ、そうかあ。どうも…」
ほのか「…ねえ、久保田さんは私のことをどう思ってる?」
志穂「!
ええ…っ!?」
ほのか「率直に言ってくれていいのよ ( ´ー`)」
志穂「そ、そう……
……雪城さんは……
雪城さんって、上品で頭よくて、男子にもモテモテで、
私は、すごくすごくすごく憧れる。私なんかじゃおよびもつかない…」
ほのか「そんなことはないわ。
久保田さんだってなぎさに負けない元気を持ってて、
友達も多くて、私こそ、久保田さんはすごいと思うよ」
志穂「……あとは、雪城さんって意外と優しいかも」
ほのか「…ふふ。久保田さんって意外と気が小さくて面白いかも」
志穂「それと……、私は雪城さんととても友達になりたかったみたい…
けっこう前から」
ほのか「私も。
前からずっと久保田さんと友達になりたいと思ってたみたいだわ」
志穂「ってゆうか、ってゆうか、ってゆうか!
雪城さん、私も、なぎさみたいにほのかってよんでいい?」
ほのか「……いいよ。志穂」
.
.
- 31 名前:(-Д-)<手前勝手ゴメンネ 投稿日:2004/10/04(月) 06:36 [ YQJa6/Fo ]
- >>24さん
…ということで勝手ながら貴SS、上取り急ぎリメイクさせていただきました。
>>24-28を一読して良い部分もあるし未完成な部分もあると感じましたが、
それをいちいち批評するよりこのように代案を出した方が万言に勝ると考え、
上記あえて不躾をおこなった次第です。これも一つの個人的な感想の形として
読み流していただければ幸い。
言うまでもなく24さんの元のSSに真率なものがあると感じたからこそ
リメイクの意欲も湧いたわけで、他人のSSなら何でも改変したがるような
性向の持ち主の自分ではないです。
SS初書きに挑戦した24さんの果敢には敬意を惜しみません。
- 32 名前:24 投稿日:2004/10/04(月) 10:04 [ C9FMJ3NE ]
- いえいえ、1人でも感想を聞けて幸いです。僕の文章よく読むと、日本語
おかしいですね。訂正乙です。
- 33 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/04(月) 20:50 [ QvJAN7Wg ]
- >>15
あ!嬉しい!転載くださってありがとう。
読んでくれてる人居るのって嬉しい!
調子にのってちょっと変更で
さなえ「ええ、授業中お漏らししちゃって、泣いてたのを私がパンツ洗ってあげたのよね?」
ベルゼイ「うううううあああああああ・・・て・・・撤退だ!」
レギジュナ「・・・・はい撤退・・・ですね?「玄ちゃん」!」
ベルゼイ 「うわああああああん!!」
おしまい
他のも皆さんに転載されたら嬉しいな、とどきどきしながら待ちます
- 34 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/04(月) 21:50 [ YQJa6/Fo ]
- ( ゚Д゚)<おお
( ゚Д゚)<SS書きさん
( ゚Д゚)<イラッシャイマセ
( ゚Д゚)<転載は優先順位とかカンケーなく
( ゚Д゚)<のんびりやってますので
( ゚Д゚)<同じくのんびり待っていただきたまい
( ゚Д゚)<ウムウム
- 35 名前:本スレ116-477氏/ネタSS 投稿日:2004/10/04(月) 21:52 [ YQJa6/Fo ]
- .
紅原真理「これを聞いてちょうだい。」
ピッ (MDラジカセの再生ボタンを押す)
なぎさ『志穂は 役 立たず で ウザい』
志穂「!?」
なぎさ『莉奈は ちょっと トロ くて マヌケで ムカ付く』
莉奈「・・・」
なぎさ『小田島先輩は ブサイク で イヤミ』
小田島友華「なんですって!?」
なぎさ『ほのか は 善人 ズラ した 偽善 者で お高く 止まってて
とても 青 臭い 理屈を 振り翳す から ホントは 嫌い』
ほのか「そんな・・・なぎさ・・・」
真理「こんな事言う人と、友達でいられる?」
ほのか「そんなわけない!!」
真理「?!」
ほのか「ちょっと確かめてくる。」
真理「・・・何なのかしら?」
ほのか「なぎさ・・・」
なぎさ「へ? 何?」
ほのか「『百合キュア♪ 百合キュア♪ 百合キュア♪ 百合キュア♪
百合百合で♪ キュアキュア♪ ふたりは♪ 百合ッキュア〜!』」
なぎさ「・・・・・・ナンデショウカ? ほのかオネエサマ」
ほのか「なぎさは私の事を善人面した偽善者でお高く止まってて
とても青臭い理屈を振り翳してると思ってるの??」
なぎさ「イイエ。 ダンジテソノヨウナコトハオモッテオリマセン。」
ほのか「よろしい。」
.
- 36 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/04(月) 21:53 [ YQJa6/Fo ]
- 【本スレ116-477氏 - ネタSS】
仮題「紅原真理の奸謀」。本スレ116にて発見。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/anime/1096759294/477
っていうか誰なんだ紅原真理。名前の読みもわからんし…ベニバラ?
ググった範囲ではちょっと調べがつかなかったので解説を書き難いっす。
なぎさがほのかの歌を聞いてロボ化するというのも何かのパロディーなんじゃろか?
…謎は多いが、もし「紅原真理」ってのがオリジナルキャラだとしたらおもろいわ。
斜め方向にキャラの立ってきたマドンナがちょい役で味出してるのもヨイ。
(´-`)oO(……紅原再登場の続編はあるのかしらん)
- 37 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/05(火) 21:50 [ g3QocCuE ]
- ( ゚Д゚)<ィェーィ
( ゚Д゚)<今日もSS転載
( ゚Д゚)<ガンガン行くよ
- 38 名前:黒スレ1-416・421氏/なぎさ誕生日話シノプシス 投稿日:2004/10/05(火) 21:51 [ g3QocCuE ]
- 誕生日話かあ・・・・
なぎさが誕生日を近くにして「10/10ってなんの日だっけ」と誘い受け
しかしほのかは誕生日をスルーして気のない答え
志穂莉奈やクラス・部の友達もなにやらなぎさをスルー気味
ショボーンななぎさ
バトルでも敵キャラに容姿的なことやらなんやらでイジられまくりヘコむ
誕生日当日もよそよそしくされまくり半泣き状態のなぎさ
なんとか気力を振り絞りラクロス部の部室の扉を開けると
そこではほのか志穂莉奈ユリコ真由弓子先輩その他もろもろそろって
なぎさの誕生日サプライズパーティーが!
なぎさをこのこのっと小突きまくるラクロス部の面々
ほのかが最近冷たくしてごめんね、と手作りのリストバンドをプレゼント
ラストはなぎさのうれし泣き笑いでエンド。
* * *
調子に乗って付け足すなら、
Aパートでは、20話の偽ほのか回もあって
誕生日を当然わかってくれているものと思ってたのに
ほのかにスルーされたなぎさのショック受けっぷりと、
誕生日だと言ってしまいたいけど、ほのかから気付いて欲しいというジレンマで
何も言えずぐるぐるぐーるぐるしまくる様子が見たいな。
敵に言いたい放題言われ、みんなに冷たくされ・・・で少し鬱が入るのもまたいい。
Bパートは、志穂莉奈にドッキリを持ちかけられるほのかのアップで開始。
ちょっと迷いつつも、悪戯心に誘われて了承し、ほのか視点も入れつつ進行。
8話冒頭のように、休み時間に廊下で窓にもたれかかるなぎさ。
そこでちょい鬱になってえぐえぐ泣きが入ってるなぎさを、
偶然ほのかが見かけちゃって、ついぐらっと居た堪れなくなり、
ドッキリをバラして慰めてやりたい衝動に駆られたり。
そこを志穂莉奈が「今バラしちゃったら意味無いじゃん・・・!」と引き止め。
抜け駆けは許さないわよ雪城ほのか。とかとか。
ドッキリバラしの場面では、ラクロス部皆に愛されるエースの姿が見たい。
普段の明るい面やカッコいい面しか知らない後輩たちは、
うれし泣きなぎさを見て「あのなぎさ先輩が・・・」と意外な表情。
弓子先輩はじめ三年生は引退だろうから、誕生日会は引継ぎ会にもなりそうだ。
これぞ最後だとばかりにかわいがってやりゃあいい。
それ見てほのかはちょっとおもしろくなさげなのがいい。
とにかく、視聴者皆にオチがわかった状態でなぎさの反応あれこれを
楽しく、ときに胸を締め付けられつつ見守る形になれば楽しそう。
- 39 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/05(火) 21:53 [ g3QocCuE ]
- 【黒スレ1-416・421氏/なぎさ誕生日話シノプシス】
SSではないが2レスに渡るなぎさ誕生日話の妄想梗概。こういうのもアリ。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1078618723/416+421
簡単に言えば「みんななぎさの誕生日忘れてるみたいだったけど本当は裏で
サプライズパーティー用意してたんだねオメデトー」な話だが、細かい点
プリキュアらしい妄想の拡げ方がされていて、本編をよく知ってるほど面白く読める。
志穂莉奈に持ちかけられて、迷いつつ悪戯に加わったほのかの振舞いがプロットの要。
- 40 名前:新百合スレ1より・203氏作/百合SS (1/6) 投稿日:2004/10/05(火) 21:54 [ g3QocCuE ]
- .
夏の終わりのある日、下校途中に
なぎさ「いっぱい貰うのは嬉しいけれど・・・」
莉奈「みて、また全部女の子からだよ」
志穂「どれどれどれ〜」隙を見て取り上げる志穂
な「あ、ちょっ」すかさず読み上げる莉奈
莉「”なぎさ先輩大好きです付き合ってください ○×△子”
”なぎさ先輩に憧れてベローネに入りました大好きです 凸凹美”
”美墨なぎささんあなたが入学したときからずっとあなただけを見ていました
年上が嫌じゃないならお付き合いしてください ○○愛菜”
相変らずモテモテね!」
な「やかましい!」
莉「あれ?これってまさか・・・」何かに気付く莉奈
志「なになになにー?・・・あー!やったじゃん、なぎさ!」
な「どうしたの?」
莉「ほら、これ」封筒の裏を見せる莉奈
な「ん?・・・ベローネ学園2年 小堀左ノ之?さのゆきって変わった名前ね・・・
って男の子から!?」
志「それってそれってそれって、本当の・・・」
な「果たし状!?」
ほのか「ちがうちがう」
ユリコ(果たし状貰う女子中学生て、自分普段どんな生活しとるんや・・・)
莉「とりあえず、読んでみようよ!」
な「え〜、読むわけ無いじゃん、こんなのいたずらだって。きっと、うん、絶対そう」
なぎさは男子から手紙が来たことを何故か認めたくないようだ
ほ「そ、そうよ!いたずらだわ!いいえ、もっとたちの悪いものかもしれない、
きっとお金の無心よ!なぎさ、そんな手紙捨ててしまいなさい!今すぐ!」
急に取り乱すほのか
莉「なぎさ相手にそれは無いと思うけど・・・てゆーかえらく雪城さん必死ね?」
ほ「そ、それはほら、学級委員として、こういった問題に目をつぶるわけには
いかないし・・・」
志「いいじゃんいいじゃんいいじゃん、読んでみよーよー」
莉「いたずらなんでしょ、なぎさ。それだったら、中身読んでどんな奴かつきとめてさ、
私達で懲らしめてやろうよ。やられっぱなしじゃあ、ねえ」
莉奈はなぎさの性格をよく心得ている
な「そ、そうよね!あたしにこんな下らない事したらどういう目に合うか、
体で判らせてやるわ、よっしゃー、叩きのめす!」
ほ「それはちょっとかわいそうなんじゃない、かなあ・・・」
な「ほのかはだまってて!これはあたしの問題なの!」
見事に莉奈の術中にはまったなぎさ。もうすっかりその気のようだ
な「あ〜だんだん憎たらしくなってきた、いい、志穂莉奈、よーく聞いておいてね!
では、ごほん・・・」
- 41 名前:新百合スレ1より・203氏作/百合SS (2/6) 投稿日:2004/10/05(火) 21:56 [ g3QocCuE ]
- .
な「・・・・・・」
な「あー、えー、あー」
志「?どうしたのなぎさ?」
な「えへへ、達筆すぎて読めないや」
莉「はあ?どれどれ・・・うわ、すっご!ちゃんと筆で書いてある・・・
これじゃあ、なぎさは厳しいかもね。」
な「うっさいなあ」
莉「ごめん、雪城さん、ちょっと読んであげてくれない?」
ほ「えっ?!わ、私が?」
な「ほのかでも読めないの?」
ほ「そんなことないけど・・・」
ユ「ここは学級委員のほのかに代表して読んでもらうのが適任じゃない?」
志「そうそうそう、なぎさのためと思って!」
な「ほのかおねがい〜」
ほ「う、うん、わかった・・・じゃあ」
”謹啓
突然お手紙をさし上げる失礼をお許しください
本当なら直接お話しさせてもらうべきで、手紙を書くのは照れ臭いし失礼だし
読まされる方はもっと照れ臭いでしょうが
まじめに書いたのでどうかお笑いにならないで読んでくださいね
もしご迷惑なら謝ります、ご免なさい・・・
嫌われるのを覚悟で手紙を書いたのは
私自身が自分の人生に後悔を残したくなかったから。
私と貴方は全然違う。性格も、考え方も、価値観も。
私達がこのままなんてあり得ない。きっといつか離れ離れになるのは目に見えてる。
でもわずかな可能性を大切にしたいのです。
貴方と出会って以来、貴方の存在は、日々私の中で
特別なものになっていきました。今では、あなたがいなかったら
バラバラになってしまいそうなほどです。
貴方のことをもっと知りたい。出来る事ならずっと貴方に寄り添っていたい。
自分勝手な願望なのは判っているつもりです。ただ、
ただ、私の本当の気持ちを知って欲しかった。
すぐに返事を聞こうとは思っていません。
折を見て直接お伺いさせていただこうと思っています。
私の一方的な手紙、読んでくれてありがとう。気を使わせて御免なさい。
末筆ながら、ご自愛のほど、心よりお祈り申し上げます。
かしこ
平成十六年九月吉日
ベローネ学園 二年 小堀 左ノ之
美墨なぎさ様
貴下 ”
ユリコ「なんて繊細なの・・・素敵・・・」
この言葉は手紙にではなく手紙を読んだほのかに向けられているようだ
志「てゆーかてゆーかてゆーか、なんか微妙?!」
莉「なーんか妙よね、いたずらにしてはとても丁寧だし
文章もしっかりしてるし。でも男の人が書いたにしては
なんかこう、変な感じがするのよね、メルヘンチックというか、うーん・・・」
思わぬ文章に志穂莉奈は困惑している、
なぎさをからかってやろうとしていたのだろうが当ては外れた
な「なんかどっかで聞いたことがあるような言葉が・・・うーん、まあ、いいか!
これってやっぱ男の子からなのかな?どうしよどうしよ、きゃー」一人興奮気味のなぎさ
- 42 名前:新百合スレ1より・203氏作/百合SS (3/6) 投稿日:2004/10/05(火) 21:57 [ g3QocCuE ]
- .
そこへ・・・
小田島「フフッ」
ほ「!!」
な「うわっ!びっくりした!小田島先輩いつのまに?!」
小「かしこ、ねえ。それに名前はアナグラムかしら。それにしてもずいぶん大胆ね」
ほ「凄い、もうお気づきなんですね。さすが、先輩の目は誤魔化せませんよね・・・」
志莉な「?」
小「いたずらもほどほどにね、といってもほかのみんなは気付いていない様だけど。」
ほ「そんな、いたずらじゃありません!たしかにこんなやり方って勝手だし
回りくどいし素直じゃないけど・・・これはウソ偽りの無い、わ・・」
小「わかったわ、もうそれ以上言わなくて。そうね、愛にはいろいろな形があるものね
私はお邪魔だったかしら、じゃあね、失礼するわ」マドンナは静かにその場をあとにした
志莉な「???」訳が判らずあっけにとられるシホリーナとなぎさ
な「な、なに今の?!」
志「と、とりあえず明日男子部のほうに偵察に行こうよ、莉奈!」
莉「そうね。なぎさ、その小堀君て子、バッチリ調べてきてやるから、期待してな〜」
もう二人の中ではこの手紙は本物と確定したようだ
な「いいよいいよ〜困るよ〜」もうすっかり照れまくりのなぎさ
ほ「・・・」一人複雑な表情のほのか
志「ダメダメダメ〜そんなこといっちゃ!最初で最後の白馬の王子様かもしれないんだよ?」
莉「そういうこと。私達に任せときなって!ね、なぎさ」
な「でも・・・」
志莉「じゃあね、バイバーイ!」なぎさの返事を待たずに二人は帰っていった
ユリコもいつの間にか帰ったようだ
- 43 名前:新百合スレ1より・203氏作/百合SS (4/6) 投稿日:2004/10/05(火) 21:58 [ g3QocCuE ]
- .
ふたりになって・・・
な「小堀左ノ之君、かあ。藤P先輩みたいにかっこいいひとだったらいいなあ」
ほ「・・・」
な「ねえねえほのか、小堀君てどんな子かな?」
ほ「・・・」
な「あ、あたしちょっとはしゃぎすぎかな?」
ほ「・・・」
な「だーよーねー!はしゃぎすぎ、だよね・・・」
ほ「・・・」
な「・・・どうしたのほのか?」
ずっと返事のない事にいてもたってもいられなくなったなぎさ
な「さっきからずっとうつむきっぱなしだけど?熱でもある?」ほのかの額に手をやろうとする
しかし・・・
ほ「触らないで!」
な「あっ」
ほ「いい気なものね!騙されてるとも知らないで!」
な「ど、どういうこと?」
ほ「あなたさっきの先輩の話聞いてなかったの?」
な「かしこっていう子と名前の穴倉だっけ?確かに気にはなってたけど・・・」
ほ「違う!かしこっていうのは結語の事!それも女性用のね。
手紙の書き方の中で頭語と結語って習ったでしょう?前略とか草々っていう。
普通頭語に謹啓とあったら結語は謹白や謹言になるの。
そこをあえてかしこで締めているということは・・・」
な「ということは?」
ほ「この手紙は、一般的に見れば女性から男性宛に書かれた物ってことなの!」
得意の薀蓄を披露するほのか
な「そ、そうなんですか」ちんぷんかんぷんのなぎさ
ほ「それに、穴倉じゃなくてアナグラム!アナグラムっていうのはね、
言葉遊びのひとつで、単語や文章の文字を並べ替えて全く別の意味にしてしまうの。
日本ではあまり馴染みは無いけど西洋では非常に盛んだわ。
最近日本でも話題になったダヴィンチコードっていう本にも出てくるわね。」
な「は、はあ」なぎさ頭の中はもうすでにオーバーヒートしているようだ
ほ「でもただのアナグラムじゃないわ。いい?小堀左ノ之をひらがなにすると
こ ほ り さ の ゆ き よね。
でも、これを普通に並べ替えるだけじゃ答えには辿り着かないの。
さらに日本式のローマ字表記にして並び替えると・・・
k o h o r i s a n o y u k i
yukisiro k o h a n o
yukisiro honoka
ね、これで分かったでしょ?」
な「え、ええ」
ほ「ほんとうに?」
な「いえ全然」
ほ「やっぱり・・・簡単に言うとね、これは私からあなたに送ったラブレターなのよ!!」
な「なーんだ、はじめからそう言ってくれればいいじゃん。なるほどね
どうりで読んでるときに感情がこもってたわけだ、それにこのミミズの這った様な字、
どこかで見た事あると思ってたんだー。そうかそうか、この手紙はほのかが書いたのかー。
・・・って、えええええーーーーーーーー!!!!う、うそ、えええーーー??!!!!」
ほ「・・・」
- 44 名前:新百合スレ1より・203氏作/百合SS (5/6) 投稿日:2004/10/05(火) 21:59 [ g3QocCuE ]
- .
な「ということはこの小堀君てまさか・・・」
そう言って力なくほのかを指差すなぎさ
ほ「・・・(コクッ)」黙って首を縦に振るほのか
な「そ、そんな、騙してたのね!」やっと事の真相を飲み込めたようだ
ほ「だからさっきからそう言ってるじゃない・・・」
な「信じられない!こんなしょ−もないことして人をからかって!何が楽しいわけ?!」
ほ「しょうもないってどういうこと!?これでも私はなぎさのことを思って
真剣に書いたんだから!」
な「なに、そのまるで自分は悪くないみたいな言い方。何度同じ事言わせるの?
あなたはいっつもそう、自分がやった事はすべて正しいと思ってる!
勘違いも甚だしいんじゃないの?!余計な事しないで!」
ほ「なによ!あなたこそ、藤村君一筋が聞いて呆れるわ!手紙一枚貰ったくらいで、
小堀君小堀君て、軽い人ね!」
な「ひ、酷い、酷いよ、そんな言い方するなんて。はじめて男の子から手紙もらえて
ちょっと嬉しかっただけなのに。もう許せない!今度こそ絶交よ!」
そう言って背を向けるなぎさ ただ本心ではないのかもしれない 複雑な表情をしている
ほ「そうね、絶交ね!あなたなんか藤村君でも小堀君でも好きなところに
行ってしまえばいいんだわ!」
と、言い残して走り去るほのか
背を向けたままのなぎさだったが、
な「あ、ちょっとまってほのか!」
心には思うところがあったのだろう、意を決してほのかの後を追いかける
やがてほのかに追いついたなぎさはほのかの手をとった
な「ほのか、待って、聞いて欲しい話があるの!」
ほ「やめて!その手を放して!」
掴まれた手を振り解き、その場から離れようとするほのか
しかしなぎさは諦めない。ほのかの肩を掴むと強引に正面に向かせ
包み込むようにほのかの体をぎゅっと抱きしめた。
な「好きだから、来たよ。小堀左ノ之君。いいえ、雪城ほのかさん」
ほ「えっ・・・」
- 45 名前:新百合スレ1より・203氏作/百合SS (6/6) 投稿日:2004/10/05(火) 22:00 [ g3QocCuE ]
- .
数秒の沈黙のあと・・・
な「いつのころからだったかな、
ほのかがあたしに友達以上の特別な感情を抱いているのはなんとなく感じてた。
でも私は藤P先輩しか見てなかった、ううん、先輩しか見ないようにしていた。
女の子が女の子のこと好きになっちゃいけないって勝手に自分で決め込んで
目をそむけてたのね。ずっと友達のままでいなくちゃって言い聞かせてた。
その先のことなんて怖くて考えられなかった。
なんでだろうね?
こんなにあたしの事を大切に思ってくれる人がいるのに。
あたしもほのかのこと大好きなのに。
なんで目をそむけてしまったんだろう?なにを怖がっていたんだろう?
怖がる必要なんてどこにも無かった。もっと自分に素直になればよかった。
もっと早くほのかの気持ちに応えてあげればよかった。
そしたらほのかにこんなことさせずに済んだのに。
ごめんね、ほのか。ずっとヤキモキさせてたよね、ほんとにごめんね・・・」
泣き出すなぎさ
ほ「そんな、なんでなぎさが謝るの?私が惨めになるだけじゃない。
わたしはこんなに捻くれてて自分勝手で自己中心的な嫌な女なのに
なんでなぎさはそんなに優しいの?なんで・・・」感極まってほのかも泣き出す
な「もういいの、もういいのよほのか・・・」抱き合ったまま泣き続ける二人。
しばらくの間、辺りには二人のすすり泣く声がひびいた
ひとしきり泣いて落ち着いてきたのか、ほのかがゆっくりと口を開いた
ほ「ごめんね、なぎさ、ひどいこと言っちゃって。私、居もしない小堀君に
嫉妬していたのかも。なぎさのことこんなにときめかせる事が出来るなんて
ちょっと羨ましかった。変だよね、こんな事って。私が書いて私が読んだはずなのに。
手紙の中でしか素直になれない自分が憎らしかった。
そう、ただ全部自分のこと、自分自身が許せなかっただけなのに。
なぎさに酷い言葉ばかりぶつけてしまった。
ごめんね、もう許してくれないよね、ごめんね、なぎさ、ごめんね・・・」
再び泣きそうになるほのか
な「そんなこと言わないでほのか。大丈夫、もう怒ってないから」
ほ「ほんとに?」
な「うん」
ほ「こんなに酷い事したのに許してくれるの?」
な「許すも何も全然気にしてないよ。そりゃあさ、騙された事自体は
腹も立つけどさ、ほのかの本当の気持ちが聞けてあたしとっても嬉しかったよ!」
ほ「ほんとにほんとに私のこと嫌いじゃない?」
な「だーかーらー、もう、きちんといわないと判らないの?じゃあ、いくよ」
な「ほのかのことだーい好き!これからもずっとずっといっしょにいるからー」
なぎさはありったけの声で叫んだ
な「ね、これでいいでしょ?」
ほ「ありがとう、なぎさ。私もなぎさのことだーい好き!」
な「さ、行こうほのか。泣いたらお腹空いちゃった」
ほ「あ、ちょっと待って」
な「ん?どうしたの?ほのかもお腹空いたでしょ?早くアカネさんのタコ焼き
食べに行こうよ!」
ほ「その前に、きちんとけじめをつけておかないと・・・」
ほのかはそう言うと、目を閉じ唇を突き出した
な「な、何してるの?」
ほ「なぎさ言ってたでしょ、こんな事したらどうゆう目に合うか、体で判らせてやるって」
終わり
.
- 46 名前:おまけ:仮エピローグ(黒スレ1-533氏) 投稿日:2004/10/05(火) 22:01 [ g3QocCuE ]
- .
なぎさ「藤Pセンパイ…私、いままでずっとセンパイに憧れてました。
もしかしたら、恋かもって思ってました。
でも気づいたんです、自分の本当の気持ちに。私ほんとは…」
藤P「いいよ。わかってる。
君が誰のことを想っているのか…」
なぎさ「藤Pセンパイ、ごめんなさい! …そして、ありがとうございます」
藤P「その気持ち、大切にしなよ」
なぎさ「――ハイッ!」
藤P「……まったく、ほのかの奴がうらやましいよ」
.
- 47 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/05(火) 22:02 [ g3QocCuE ]
- 【新百合スレ1より・203氏作/百合SS力編】
仮題「本当の気持ち」。6000字越えてんぞ!YEAH!
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1096365198/167+203+204+299+531+532+533+534
<!-- とりえあずネタバレ注意 -->
女生徒からよくラブレターをもらうなぎさ、という公式設定を踏まえた穏当な出だし。
それが先にすすむにつれて百合妄想が加速度的に濃くなっていくという、百合SSの力編。
>“本当なら直接お話しさせてもらうべきで、手紙を書くのは照れ臭いし失礼だし、
> 読まされる方はもっと照れ臭いでしょうが…”
という風な書き手の含羞を匂わす謎の恋文の文面に始まって、
>「これでも私はなぎさのことを思って真剣に書いたんだから!」
の告白、そして
>「わたしはこんなに捻くれてて自分勝手で自己中心的な嫌な女なのに、
> なんでなぎさはそんなに優しいの?なんで・・・・」
………いやはははw すごいわこれは。良い意味でほのかが突っ走っている。
その上、アナグラム、結語の仕掛けで間接的にほのかが正体を明かしているところに
一応サスペンスの要素もある、凝ったSS作品。百合妄想の高度さも然る事ながら
こういう凝ったプロット作りははや203氏の独壇場になりつつあるか?
【おまけ:仮エピローグ(黒スレ1-533氏)】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1078618723/533
元の文脈から離れていて、作者様には不本意な転載の仕方かもしれないが…
203氏のSSの「私は藤P先輩しか見ないようにしてた…女の子が女の子のこと
好きになっちゃいけないって勝手に自分で決め込んで目をそむけてた…」の
なぎさの科白にあまりにシンクロするのでお遊びで加えて転載。
偶然にすぎないが両作品とも「本当の気持ち」という言葉が出ているので、つい。
- 48 名前:変則転載:新百合スレ1-67氏ほか/ネタ系百合SS 投稿日:2004/10/06(水) 21:18 [ 5kpRi.vQ ]
- .
──日曜日。午前九時。
ほのかの家へ遊びに出掛ける前に、鏡をのぞきこみつつ、
部屋で身だしなみのチェックをしている上機嫌ななぎさ。
なぎ:今日はメップルもポルンもはやばや大人しく休んでくれたし。
午前中も午後いっぱいも、今日はフツーに中学生らしく遊べそうね!
ところが……。
ポポ:……くつした……
なぎ:ん?
ポポ:……くつしたポポ……
なぎ:ポルン? 起きちゃったの?
ポポ:…………
なぎ:(…? 大丈夫かな?
まあここは起こさないようにそぉっと、そぉーっと…)
忍び足で静かに部屋を出て、ドアを閉めるなぎさ。
と同時に、プリティコミューンが開いてポルンの姿に戻る。
ポポ:……くつした……靴下ポポ…
靴下……
!!!!
なぎさ!!なぎさ!!なぎさ!!なぎさ!!
靴下、靴下、寝込み襲う!!寝込み襲うポポーーーーーーーー!!!!
──ところは変わって雪城邸、ほのかの部屋。
この日遊ぶ気まんまんでいたなぎさは、机の上に、休みのうちに
やらなければならない宿題をまずひろげ出すほのかに、げんなりな顔。
なぎ:…ねぇ、こんないい天気なのに外へ出ないなんてありえないよぉ。
ほのか、遊びにいこ?
ほの:だめよ、ちゃーんと宿題終わらせてからじゃなきゃ。ほら、ガンバ!
なぎ:え〜? そんなの夜でも出来るって!ね?ね?
ほの:んー…どーしよっかなぁ?
なぎ:行こうよ行こうよい・こ・う・よ〜!
ほの:ふふっ、しょうがないわね。…その代わり、帰ってきたら宿題終わるまで
帰っちゃダメよ?
なぎ:おっけ〜! なんなら泊まってもいいよ!
ほの:え!?
なぎ:あ、それっていい考えかも! 明日は朝錬とかもないし…ねぇねぇ、ホントに
泊まっちゃダメ!?
ほの:あ…えぇ、別に…かまわないけど…
なぎ:よーっし! んじゃあ遊んだ帰りに私んちに寄って制服とかパジャマとか
持ってこなきゃ! へへへ、楽しみ〜♪
ほの:…(ぽっ)
なぎ:ん、どしたのほのか? 顔赤いけど。
ほの:うぅん、なんでもないの! …なんでも…ないの。うふふ☆
──その夜……。
ほの:なぎさ?もう寝ちゃったの? クスッ、靴下もはいたままで……
クンクン‥‥なぎさの香り♥
ぐゎっばぁぁー
以下、お約束>all night
.
- 49 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/06(水) 21:20 [ 5kpRi.vQ ]
- 【変則転載:新百合スレ1-67氏ほか/ネタ系百合SS】
仮題「空しき予知」。複数のカキコをつなぎあわせた変則転載。
こういうやり方はほんとうはあまり好ましくないとはわきまえてるが、
思い付いてしまうとついやりたくなっちまうのが人情っつーことで勘弁。
大元は「なぎ:こんないい天気に…」から「ほの:うふふ☆」までを書いた
新百合萌えスレの67氏の妄想レス。続きが待望されたがその時はこれで完結。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1096365198/67
それに黒スレ2の552氏、553氏、559氏のレスが前後として繋がりそうだなと、
思い付いたのが運の尽き。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1094301427/552
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1094301427/553
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1094301427/559
…所詮なんちゃってデータベースゆえの転載者の役得と笑覧してお咎めなきよう
作者様にはお願いしておきます。ご不満があればむろん承ります。
- 50 名前:百合スレ67 投稿日:2004/10/06(水) 22:58 [ 2451XExE ]
- うを、転載されてルー!?
完成度上がってて嬉しい限りであります。GJ♪
やぱりプリキュアの最強カップルはほのなぎですョー!これからも頑張ってネタ作り
しますのでよろしくですー♪
- 51 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/07(木) 00:20 [ F1DRmWDs ]
- ( ゚Д゚)<イェイ
( ゚Д゚)<踊ってスカイ 余裕でブルー
( ゚Д゚)<喜んでいただけたようで
( ゚Д゚)<転載者冥利に尽きまする
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<こちらこそ
( ゚Д゚)<今後ともこのスレを何卒ヨロシクです
( ゚Д゚)<ョー
- 52 名前:新百合スレ1-321氏/百合SS 投稿日:2004/10/07(木) 18:54 [ F1DRmWDs ]
- .
修学旅行での夜・・・。
なぎさ「ほのか、一緒に布団に入っていいかな?」
ほのか「こういう時でしかできないこともあるからね。いいわよ。」
なぎさ「ありがとう・・・。」
ほのか「どうしたの?何か話したいことでもあるんでしょ。」
なぎさ「うん、実は・・・」
ほのか「藤村君のこと?」
なぎさ「・・・!!そ・・・そんな、いや・・あの・・・」
ほのか「分かりやすいね。顔にでているよ」
なぎさ「うん、でも、聞きたいのはそんなんじゃなくて」
ほのか「じゃあ、何?」
なぎさ「ほのかには・・・、誰か大切な人いるの?」
ほのか「誰かって?なぎさは大切な人よ」
なぎさ「そういう意味じゃなくて・・・」
ほのか「?」
なぎさ「男性で好きな人のことよ」
ほのか「・・・いや・・・ひとりも・・・」
なぎさ「ひとりも・・・?」
(しばらく二人とも沈黙。数十秒後ほのかが口を開く)
ほのか「・・・私が小さいころ、おばあちゃまが、一度、ミップルを見せたことがあるの。」
なぎさ「えっ、本当!?じゃあ、ほのかのおばあちゃんは・・・!」
ほのか「ううん。コンパクトの状態で、ミップルそのものは見たことは無かったし、
ましてプリキュアなんて。」
なぎさ「あっ、そうなの。ほっ、助かった。初めからばれてたのかと思ったよ。」
ほのか「おばあちゃまが言ったの。『このお守りは、私と一緒に人生を歩んできたの。
苦しいときや、泣きたいとき、いつもそのお守りに話しかけてきたの。ある時
いつものように話しかけていたら、そのお守りが不意に言ったの。
“出会いを大切にして!そして出会った人それぞれに愛情を注いで!”
私は、この一言で、人と人との出会いを大切にする事を覚えたの。ほのかも、
そういう人になってね』と」
なぎさ「ふーん。そうなんだ。」
ほのか「私は、どちらかと言えば、他人と話すのが苦手なの・・・。」
なぎさ「えっ、全然そんなこと感じないけど。」
ほのか「プリキュアになる前、いや、なぎさを知る前まではね」
なぎさ「・・・」
ほのか「プリキュアになってから、いろいろ怖いこともあったけど、学んだことも多かったわ。
人を守ることの大切さ、人を信じることの大切さ、その他にも色々あるけど、
なぎさから学んだことっていっぱいあるの。なぎさに出会えて
本当に良かった。」
なぎさ「ありがとう、ほのか」(お互い涙目)
ほのか「・・・。私は、おばあちゃまから言われたとおりに、なぎさにこれからも
愛情を注いでいくわ・・・。私、なぎさのことが好きなの・・・。」
なぎさ「・・・。(返答に困った表情のなぎさ)」
.
- 53 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/07(木) 18:55 [ F1DRmWDs ]
- 【新百合スレ1-321氏作:百合SS】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1096365198/321+333
仮題「大切な出会い」。二レスに渡るが科白のみで構成のシンプルな百合SS。
需要もさることながらほの→なぎ妄想の供給の多彩は、さまざまに個性的な種々のほのかを
生んでいるが、この作品では、アニメ本編28話を踏まえてのほのかとおばあちゃまの関係に
焦点を合わせ、ほのかからなぎさに告白するという常套プロットに奥行きを与えている。
加えて、実はなぎさと友人になる以前は他人と話すのが苦手だったほのか、という
百合萌え(白萌え)的には衝撃の事実が発覚w
- 54 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/07(木) 22:02 [ F1DRmWDs ]
- ( ゚Д゚)<まだまだ
( ゚Д゚)<行きまっせ
( ゚Д゚)<ワショーイ
- 55 名前:新百合スレ1-645・647・648(833氏作):百合SS 投稿日:2004/10/07(木) 22:03 [ F1DRmWDs ]
- .
明日は中間テスト。美墨なぎさは雪城ほのかに家に泊まりこみで勉強をしていた。
な「うう〜。勉強嫌だ〜。」
ほ「ほら、もうちょっとだからがんばろ」
時刻は既に12時を過ぎていたところだった。
ほ「それじゃあそろそろ寝ようか。」
な「うーん、私は布団ですぐに寝れるからほのか先に寝てていいよ。」
ほ「でも6時間は寝ないと体に良くないよ。」
心配そうな顔で見つめるほのか。それになぎさは笑顔で答える。
な「大丈夫大丈夫。あと30分もしたら寝るから。」
ほ「じゃあ電気点けたままでいいよ。」
な「あ…。ありがと。」
ほ「じゃあおやすみなさい。」
な「うん、おやすみ〜。」
な「よ〜し頑張るぞ!!」
数時間後……。
な「ぶわっくしょん!!」
な「あ…あれ……。寝ちゃったのかな…?」
な「ってげ!?もう二時なの!?」
ほ「う…ん。なぎさ…。どうしたの?」
な「あ、ほのか。ごめん起こしちゃった。今寝るとこ。」
ほ「あ、そうだったの?」
な「うん。は…はくしょん!」
ほ「だ…大丈夫?」
な「う…うん。ちょっと寒くて…。」
ほ「風邪ひいたら大変だよ。このベッド使っていいよ。」
な「え…。ダメだよ…。ほのか使っていいよ。」
ほ「ダメ!!はやく!!」
ほのかは強引になぎさをベッドの中に引きずり込む。
な「温かいね。布団。」
ほ「とりあえずこれで大丈夫かな。」
な「ほのかもここで寝たほうがいいよ。私奥に行くから。」
ほ「え…。でも…。」
な「気にしないで。ほらほら。」
ほ「う…うん。」
ほのかもゆっくりとベッドの中に入る。
ほ「ひゃう!!なぎさの体冷たいよ。」
な「ごめ〜ん。」
いつの間にか……。二人はお互いの手を握り合っていた……。
な「ほのかの手…温かいね…」
ほ「なぎさの手はまだ冷たいね。暖めてあげる。」
な「両手で握っていいかな?」
ほ「うん。いいよ。」
なぎさがもう片方の手をほのかの手を握る。
となぜかなぎさの足がほのかの首の上を走り…
な「ええい!!十字固め!!」
ほ「ちょ!なぎさ!?いた!!いたたた!!」
な「どうほのか?降参するなら放すわよ!!」
ほ「な…なぎさ!!痛い痛い!!ギブギブギブギブ」
ほのかがなぎさの足をパンパン叩く。
ほ「うううう…」
な「ご、ごめんねほのか。」
ほ「ごめんじゃないよ!!凄く痛かったんだから」
な「本当にごめんね。」
ほ「もう知らない。」
ほのかはプイと逆を向いてしまう。
そのまま静寂な空間で数分経過。
な「ほ〜のか」
なぎさがほのかの肩に手を乗せてほのかの名前を呼ぶ。
ほ「なに?」
ほのかが振り返るとなぎさの人差し指がほのかの頬にプスッと……。
な「……………」
ほ「な〜ぎ〜さ〜」
な「ご…ごめん。ごめん……ね。」
シュンとしてしまうなぎさ。その表情を見た後もフッと息をつく。
ほ「もういいよ。その代わりに今夜は寝かせないよ。」
な「え…。それって……」
その後彼女らに何が起きたのかはわからない。
ただ次の日テスト当日なのに笑顔で手を繋ぎながら登校する二人の姿が見られたそうな。
END
- 56 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/07(木) 22:04 [ F1DRmWDs ]
- 【新百合スレ1-645・647・648(833氏作):マターリ百合SS】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1096365198/645+647+648
仮題「試験前夜」。三レス、80行以上にわたるSSだが、
構成としてはマターリ四コマ漫画の連作のような形と言えるかもしれない。
ほのかの部屋に泊まり込みで試験勉強をするなぎさ、というシチュエーションに、
夜更しするなぎさを心配するほのか、互いの気遣いから成行きで一緒にベッドに入る二人、
なぎさの冷えた手を暖めてあげるほのか、おどけてプロレス技をかけるなぎさ、
さらにむくれたほのかの頬を振り向かせ指でつつくアホなぎさ、──そうした
短い萌え描写がこまごまと詰め込まれているという百合萌えSS佳編。
- 57 名前:新百合スレ1-605(203氏作):15禁エロ百合SS 投稿日:2004/10/07(木) 22:06 [ F1DRmWDs ]
- .
登校途中ひとりノリノリで歌うなぎさ
な「昨日夜中に刺されたの♪口で言えないあんなとこ〜♪どぅどぅびどぅどぅび・・・」
ほ「なぎさー、何歌ってるの?」
な「えっ、あっ、ああ、お、おはようほのか」ふいに声を掛けられてびっくりするなぎさ
な「うた?な、なんのこと?」歌を聞かれたのが恥ずかったのか慌ててはぐらかす
ほ「・・・口でいえないようなところ、刺されたんでしょ?」
そっと耳打ちするその顔は、こころなしかほくそえんでいるようにみえる
な「き、聞かれてた?ただの歌よ〜、歌」顔を真っ赤にして答える
ほ「ウソばっかり〜、ほんとは刺されたんでしょ?」
な「どこも刺されてないって〜」
ほ「わかったぁ、ここでしょ?」なぎさの言葉を軽く無視して
いかにも無邪気な風にほっぺたを突付く
な「ほっぺたなわけないじゃんー」
ほ「じゃあ、ほんとは、どこ?」とぼけた振りして意地悪く聞くほのか。
な「そ、それは・・・」
ほ「ここ?それともここかなあ?」ほのかのいやらしい手がなぎさの体を弄ぶ。
その手はうなじ、胸、脇、下腹部、そして内股へ・・・
な「あ、あぁ、ほ、ほのかぁ、や、やめてよ、遅刻しちゃうよ〜」
なぎさの口からいつの間にか艶やかなこえが溢れる
ほ「ふふっ、学校には
『美墨さんが大事なところを刺されてしまったので、
登校途中でしたが緊急を要する事態と判断し、
学校に遅れるのを覚悟で私は懸命に美墨さんの手当てに当りました』
とかもっともらしいこと言っておくから大丈夫。
だから、ねえ、ここ、刺されたんでしょ、手当てしてあげるね(はあと)」
な「あぁ、だめぇ、ほのかのいじわる〜」
終
- 58 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/07(木) 22:06 [ F1DRmWDs ]
- 【新百合スレ1-605(203氏作):15禁エロ百合SS】
仮題「刺された場所は」。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1096365198/605
( ゚Д゚)<エロSSは紹介文が書きにくい
( ゚Д゚)<の法則
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<ウーム
( ゚Д゚)<助けてエロイ人
( ゚Д゚)<ともあれ
( ゚Д゚)<“昨日夜中に刺されたの♪口で言えないあんなとこ〜♪”
( ゚Д゚)<という歌詞をエロ展開へ持ち込む自然なモティーフにしているあたり
( ゚Д゚)<やはり素人離れした203氏の優れた作意を感じます
( ゚Д゚)<ええ
( ゚Д゚)<ホントホント
- 59 名前:本スレ116の922 投稿日:2004/10/08(金) 00:04 [ zghd2AB. ]
- ここに入れるようになったので、本スレ115(だったっけ?)でzipで上げたのを甜菜しておきますm(_ _)m
どうして?
少年は、窓の外を眺めていた。
初夏の柔らかい日差しの中、蒼穹の空を白い雲がゆっくりと流れていく。
比較的新しい建築物であろう、時計台をシンボルマークに持つ、淡いブラウンを貴重とした西洋建築の中学校校舎、その中のごく普通の授業風景の中、彼は外を眺めていた。
「入澤君、それでは32ページの問2を…」
教師の声が彼にかけられた。それは別段彼が余所見をしていることを責めるような口調ではない。むしろ腫れ物に触るかのような、遠慮がちな声。
「(………)です」
教師の悪い予感は見事に当たった。いや、彼…入澤キリヤ…の答えが間違っていたわけではない。どちらかというと間違ってくれていたほうがまだ可愛げがあった。
キリヤはまったく微動だにすることなく、また教科書を開いて見せることもなく窓の外を眺めたまま正解を言ってのけたのだ。
全く…編入試験がトップだったか知らないが、やりにくいったら。もうちょっとデキが悪くてもいいから熱心に授業を聞いてくれる子のほうが教えがいがあるってもんだ。
教師はちらりとキリヤを一瞥すると、そう独りごちた。少年は少し青みがかかった黒髪をうなじの辺りでさっぱりと切っている。教師のほうからは見えないが、窓の外に向いている彼の顔は、理知的な切れ長の目が特徴的で、制服の着こなしも一切乱れたところのない真面目なもののはずである。
しかし彼がその思いを抱いていたのは一瞬に過ぎなかった。クラスには他にも40名の生徒がいる。いつまでもこの「成績優秀」な生徒に思いを寄せているわけにはいかない。…すなわち、彼は頭を切り替えたのである。
そんなふうに一人の罪のない教師に軽いストレスを与えたことも知らず、キリヤは空を眺めていた。…もともと彼は何か考え事をするときには空を眺める癖があるようである。たぶんに本人の他には彼の姉くらいしか知らない「癖」であろうが。
ボクは、どうしてここにいるんだろう?
その疑問は、キリヤにとっては比喩表現でもましてや小難しい哲学的設問でもなく、単なる現状に対する思いだった。光の周波数の違いによる大気の透過率のせいで眩しい青色に染まった空を白い水蒸気の塊が流れていく、その「彼がいた世界」ではありえない光景を眺めながら、彼はその理由を思い出そうとする。
- 60 名前:( ゚Д゚)<ィヤホーレ 投稿日:2004/10/08(金) 18:10 [ IuY5GXlA ]
- >>59
( ゚Д゚)<おおおおお
( ゚Д゚)<エー感じ ほんまエー感じや
・・・・転載thanx! 作者さん手ずからの転載でしょうか? とすると、この続きは
ありやなしやとか、いろいろ聞きたいこともありますけれども。
さしあたりこれで終いとすれば、学生になりすましてるキリヤの普段の一景を
きりとって、丁寧に斧鑿した文章でスケッチしてみたという感じでしょうか。
「蒼穹の空を白い雲がゆっくりと流れていく」を「大気の透過率のせいで
眩しい青色に染まった空を白い水蒸気の塊が流れていく」と言い換えて、それを
「『彼がいた世界』ではありえない光景」と叙するあたり、抒情の繊細がイイ感じ。
とにかくGJ!
( ゚Д゚)<うむ
( ゚Д゚)<いい具合に
( ゚Д゚)<スレが育ってきている
- 61 名前:ネタSS「白黒対決! キュア・フリック・バトル」(1/4) 投稿日:2004/10/08(金) 20:44 [ IuY5GXlA ]
- .
窓の外には十月の不透明な秋の夕暮れだった。その紫色の夕日の光が磨かれた廊下に
写り込む、放課後の静けさのなかで、なぎさは、ほのかの低いささやき声を聞いていた。
それはほのかが何かの決意を奥に秘めた時の、あの恐いようなささやきだった。
「ブラック……まだ分からないの……?」
「ほ、ほのか……。」
と、なぎさは色を失ったように首を振る。
「わ、分かる訳ないよ! ……なんで、なんでこんな風に闘わなきゃならないの……?」
廊下の窓を区切る柱の影がほのかの顔を斜めに染めている、その冥暗のなかで、白い
瞼の下の眼だけが冷徹をひそめて光っていた。
「そう……、分からないの。……やっぱり私たちは、はじめから相容れない存在だった
のね……。」
「……な、何を言ってるの、ねえ、ほのか、どうしちゃったの!?」
「ほんとうは出会ったはじめから、私たちはこうなるよう運命づけられていたのよ。あ
なたが死ぬか、私が死ぬか。……さあ、来なさいブラック!」
「……(こ、こんなことになるなんて……)」
思わず後ずさりしたなぎさの靴底が鋭く軋んだ。
───十月十日、運動会での友華先輩とのリレー対決にも、レギーネとピアノザケン
ナーとの闘いにも共に勝利したなぎさとほのか。その戦いすんで、二人して音楽室でお
弁当を食べた後、先に着替えを済ませてしまって、ほのかが教室から出てくるのを外で
手持ち無沙汰に待っていたなぎさは、ふと、廊下の隅に置き捨ててあるピンポン台に目
をとめたのだった。──それが事の起りだ。
ようやく身じまいしたほのかが教室を出ると、ピンポンの球を二つ手のひらに乗せ、
ころころさせているなぎさが、壁にぼんやり凭れていた。
自分でもピンポンの球を弄んでいるのをちょっと忘れているかのように、静かに窓の
外を眺めていたなぎさは、ほのかの近づいたのに気づくと、
「……もう残ってるのあたし達だけみたいだねー。まぁ運動会の後だし、明日は休み、
先生たちもはやばや帰っちゃったみたい。これだけ広い校舎にぜーんぜん人の気配がし
ないよ。珍しいね。」と何ごころなく言った。
「そうなの。……それじゃあ、二人でしよっか♥」
と突然なぎさに耳打ちするほのか。
「えっ!? Σ(゚∀゚; ) なななっ……なにを?」
「? それよ、それ。」と、事もなげにピンポンの球を指差す。
「あ、ああ……コレね (-∀- ;) びっくりした……。」
「??」
「ぃ、な、なんでもない。い、いいよ、面白そうだし。校舎にほかに誰もいないなんて
滅多にない機会だしねっ、やろうやろう!」
と、自分の微妙な誤解をうそうそとごまかすなぎさ。
──それから二人であたりをしばらく探すと、卓球のラケットは直ぐに見つかった。
その中からなぎさの選んだのは、いわゆるシェイクハンド型、五本の指と手のひら全体
で握手するように握るグリップのもので、力強く振り切ることができ、腕の延長のよう
な感覚でのびのびとプレーできるラケット。対してほのかが選んだのはペンホルダー型。
指先で摘むように握るために指の延長のように扱うことができ、繊細なボール・コント
ロールが可能な技のラケットだ。
- 62 名前:ネタSS「白黒対決! キュア・フリック・バトル」(2/4) 投稿日:2004/10/08(金) 20:45 [ IuY5GXlA ]
- .
なぎさは軽い準備運動を始めた。所詮カットもドライブもあいまいな、温泉卓球の経
験しかないなぎさだったけれども、少し重い目のラケットを勢いよく素振りしているう
ちに、生来の運動好きが目覚めて、からだの疲れも忘れてか、対決を前に、いつものラ
クロスの試合前のようにどきどきと胸が高鳴ってくるのを感じるのだった。考えてみれ
ば、ほのかと勝負らしい勝負をするのはこれが初めてではないだろうか? そんな期待
と畏怖の戦慄で目を上げると、同じように、なにか真剣なときめきを浮べているほのか
の目線に突きあたった。なぎさが唇の端で片笑みを浮かべると、ほのかも同じく、にやっ
と微笑を返す。しかしその時、思いなしか、ほのかの表情は妙に暗い光を帯びているよ
うに、なぎさには見えた。
「……どうかしたの? ほのか。」
なぎさの訝しげな顔を見ると、ほのかはピンポン台の端に沿うようにきりっと立って、
「ついにこの日が来たのね……。」と、目を伏せて重々しい声を出す。
「ついに?」ほのかの言う意味が飲み込めないなぎさ。
「……でも、早すぎたということも、遅すぎたということもない。いつかはこんな日が
来ると思ってた。赤と青でもない、ピンクとブルーでもない、金と銀でもない、私たち
は、白と黒。決して交わることのない正反対な鏡の裏箔……。私たちには、もうどちら
かが滅びどちらかが生き延びるという途しかないみたいね。ここが先途よ。ブラック、
この闘い……私は絶対に負けない!」
「ホ、ホワイと! って、なによ、別に変身してないじゃん。」
「もーう、気分を出すためじゃないの!」と、一転していらいらした子供じみた声を出
すほのか。
「き、気分って言われても……。」
「……本当は、私だって闘いたくない……。」と再び低くささやくようなほのかの声音。
「……なぎさと出会ってから、私はほんとうに色んなことを学んだわ。なぎさとお友達
になることがなければ決して学べなかったこと、知り得なかった感情、ずっと気づかれ
なかっただろう私自身の一面……どれひとつとして失いたくない、たからものよ。私は、
なぎさに対して感謝の想いをすっごく持ってる。私が希望をなくしそうになったその度
に、そのたびになぎさが励ましてくれたんだよね。プリキュアのパートナーが、なぎさ
で本当によかったと、心から思うよ。」
「ほのか……。」
「でも、なぎさはなぎさ。私は私。決して一つには交わらない黒・白のプリキュア同士
が、これ以上寄添っていることはできないのよ。今までお友達でいてくれてほんとうに
ありがとう、なぎさ。できればプリキュアというめぐり合わせなしに、なぎさと友達に
なりたかったよ……。」
「ちょ、ちょっと、ほのか……(ほのかってこんなノリやすい性格だったけ?)。」
「……なぎさとお友達でいられたこと、決して忘れない。その思い出に忠誠して、今日
は必ず、正々堂々と戦うわ!」
「まま、待ってよ、ねぇ!」
「ブラック……まだ分からないの……?」
〈で、冒頭に繋がる。以下中略〉
「……さあ、来なさいブラック!」と、ラケットで毅然となぎさを指すほのか。そんな
ほのかに気圧されて、もとより遊びのつもりだったなぎさはたじたじ。
「……(こ、こんなことになるなんて……)」
- 63 名前:ネタSS「白黒対決! キュア・フリック・バトル」(3/4) 投稿日:2004/10/08(金) 20:46 [ IuY5GXlA ]
- .
虹の園有史以来初の、プリキュア同士の対決はこうして始められたのだった。
──周知のように「ピンポン」は約百年前のイギリスに、食卓とシャンパンの栓のコ
ルクを用いて遊ぶ、貴族の娯楽として発祥した。それが幾霜を経て、いつかしらスピー
ディーなスポーツの代表とまで世に呼ばれるようになったのは、卓球という球技の独自
の性格によっている。
言うまでもなくそれは、プレー領域の狭さだ。ボールを用いるスポーツは種々あるが、
例えばテニスに比して、卓球台の上を行き交うボールのスピードはそれほど速いわけで
はない。ところが、テニスのコートが24メートルもの長さに間延びしているのに対し、
卓球台はわずか2.7メートル×1.5メートルの狭さだ。というのは、卓球においては、相
手の息差し気配も感ずるような身近さで、テニスの四分の一以下の刹那で、球と、テク
ニックと、知性とを相撃たなければならないという意味だ。卓球が速度のスポーツと言
われるゆえんである。
1000分の一秒を下まわるボールとラバーの接触時間、人の感覚の殆どおよばないそ
の一弾指にすべてを賭し、腕と指先きとにこもる気合い、そして敵の打球を見極めボー
ルを戛然ととらえる快感、……卓球という球技の魅力はその辺にあると言えそうだが、
はじめのうちは、ほのかのノリについてゆけず、ぎこちなく固い受け損じばかりしてい
たなぎさも、段々にこの球技の魅力に惹きこまれてか、電気仕掛けのような敏慧で、し
なやかな切れのある球を深く打ち返せるようになってきていた。目線を鎮め、球を撃つ
前の心構えも素早くなった。時には握りこぶしをかかげたり、ほのかを真似て対手を
「ホワイト!」と呼んだりする勝負熱も昂じて来た。対して、当初は優位に試合をすす
め、「シェイクハンド型のラケットは、右腕の肱のあたりを狙われると弱いのよ……。」
と狙って打てもしないのにそんな蘊蓄をかたむける余裕もあったほのかだったが、なぎ
さの勢いに呑まれるかのように、いずれ意気組みが衰えてきて、ついには、ずるずると
スコアを18オールの瀬戸に並ばれてしまうという体たらくであった。
「やったぁ! ずいぶん詰めが甘いねホワイト!」
「くっ! ……油断してた。でも今のは、ブラックも狙ったんじゃなくて偶然でしょ?」
「さあ? どうでしょうね♥」
身体の向きとは違う方にボールを飛ばす、なぎさの逆モーションに騙され、汗をぬぐ
いつつ前かがみに悔しがるほのか。二人ともゲームに夢中で時の経過も忘れている。
「ホワイトさぁ、蘊蓄もいいけど、ループドライブとかピッチ打法とか、自分で出来な
いんなら意味ないじゃん。ほらほら、頭を使うと同時にカラダも使わなきゃね。」
「……余裕ね。でも私だって試合のなかで学習しているのよ。私には、負けちゃいけな
いわけがある。たとえこの身が裂けようともあなたを絶対倒してみせる! 勝負はまだ
これからよ、ブラック!」
と相変わらずノリノリで言い返すほのか。ところが……。
- 64 名前:ネタSS「白黒対決! キュア・フリック・バトル」(4/4) 投稿日:2004/10/08(金) 20:49 [ IuY5GXlA ]
- .
「なにそれ? ホワイト・ブラックって?」
「!」
「!」
驚いて振り返る二人。立っていたのは、小さい背丈と細い腰、そして褐色の低い鼻と
神経質そうな双眸とが面差しのなかで特に際立っている、二年桜組の同級生、紅原真理。
「……あ、ああ……。」
と、先に気を取り直したのはほのかだったが、「……べ、紅原さん? ど、どうした
んですか……今まで残ってたんですか?」
返事を見つけそこなってあやふやな問い返しをしてしまうほのか。顔が急に赤らんで
くる。
「別に残りたくて居残ってたんじゃないわよ。……それより、なんなの、ブラック・ホ
ワイトって? 確かにそう言ってたわよね。聞き違いじゃないと思うんだけど。」
「…………。」
「…………。」
どう説明しようもないことを問われて、思い掛けない窮地に、ラケットを握ったまま、
自然似たようなまごついたうそ笑みを浮かべる、なぎさとほのか。
「なによ? 二人とも黙っちゃって。普段はそんなこと口にしたりしてなかったわよね
え。何を秘密めかしてんの?」
「こ、これは……。」
「これは?」
「ええっと、ね……。」
「ええと? なによ。美墨さんも雪城さんも、らしくないわね。」
「…………。」
二人してもじもじと俯いてしまったのを、無遠慮に、きつい眼つきで、にらむように
しばらくじろじろ眺めまわしている紅原真理だったが、──ところが不意に、何か思い
当たったかのように彼女はぽんと手のひらを打った。それから嬉しげに言う。
「ああ、そうか!」
「…………?」
「なぁーるほどね、いいわいいわ、みなまで言うな。……へぇー、美墨さんと雪城さん
がそういう仲だったとわねえ。」と突然なれなれしく、愛想のよくなる真理。けげんな
顔つきの二人に、
「オーケー、オーケー。もう、ちゃーんと分ったわよ!」と、どういうつもりでか真理
は頬を赤らめ、ほくそえんでみせる。「……つまりぃ、ブラック・ホワイトってのは、
二人のあいだでだけの秘密の愛称なのよね? 美「墨」でブラック、「雪」城でホワイ
トってわけね。ふむふむ、そこはかとなく相手の名字を指し示しているというのが、な
んだか後ろ暗くてみだらでいいじゃないの。良い愛称だと思うわ。さすが雪城さんって
とこかしら。それとも美墨さんの発想?」
「あ、あのう……?」
「いいのよ、隠さなくったって。女同士のひそやかな愛情を理解できない私じゃないわ。
二人だけの秘密の愛称……いいわねー、うーん分かる分かる。なにせ私も、弓子先輩と
そんな風な仲になりたいと、ずっと密かに願っている身なんですもの……。」
「………え?」
「美墨さんはラクロス部だったわよね? ほら、知ってるでしょう、ラクロスの試合の
応援のあのかけ声、あの試合開始前の『弓子!飛ばせ!』のみんなのかけ声、それに紛
れて、いつもひとりだけ『弓子!抱いてッ!』って叫んでる私なのよ……ふ、ふ、ふ。」
「…… (´∀`;) 」
「それだけじゃないわ……。この間は、『弓子先輩のバンダナはちょっとにおう……み
んなの前では言わないよ♥』なんて匿名の手紙を出して、先輩の反応を窺ってみたりと
かね……。ほかにもこんなことやあんなことも……ふ、ふ、ふ、ふ……。」
「(な、なぎさ、このままだとなんだか、私たちまであやしい世界の妙な仲間にされて
しまいそうだよ……)」
「(そ、そうね、彼女には悪いけどここはひとまず……)」
な・ほ「撤退っ!」
ラケットを放り出し、荷物を持って、あわてて逸散に駆け出すなぎさとほのか。
真理「……あれ? 美墨さん? 雪城さん?
……帰っちゃったの? もー、まだまだ話し足りてないのに……。
でも、ブラックとホワイト、あなたたちの仲は、私も陰ながら応援するわ♥」
おしまい
- 65 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/08(金) 20:50 [ IuY5GXlA ]
- 【ネタSS「白黒対決! キュア・フリック・バトル」】
( ゚Д゚)<他人のSSを転載
( ゚Д゚)<楽チン
( ゚Д゚)<自分でSSを書く
( ゚Д゚)<大変
( ゚Д゚)<ネタ元(黒スレ2-758)
( ゚Д゚)<http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1094301427/758
- 66 名前:虐殺スレ2より・63-66氏「電波淫獣的スワンの旅」(1/2) 投稿日:2004/10/09(土) 17:28 [ qrmHabN. ]
- .
某番組の企画でスワンボートで太平洋を横断することになったメポミポポポだが・・・
「ここはどこメポ・ミポ・ポポ???」
出発して1週間弱、3匹は遭難していた。
「お腹すいたメポ・・・」「水・・ミポ・・」「帰りたいポポ・・・」
「元はといえば全てポルンのせいだメポ!!」「うわ〜ん メップルがイジメるポポ〜!!」
「ポルンが悪いメポ!!」「ミップルゥ〜 メップルがイジメるポポ〜〜〜!!」
いつものようにミップルに泣きつくポルンだが・・・
「・・・・」
いつもだったら止めに入るミップルだが、空腹と疲労でそんな気力もない・・・
「大体ポルンが・・・」これまでのことを思いだすメップル
――――――ここで話は3匹が日本を出発した1週間前にさかのぼる――――――
「ポッポ〜ポッポポ♪モグモグ・・・ゴクゴク・・・おいしいポポ〜」
出発して3時間もしないうちにポルンが食料を食い漁っている。
「ポルン、食べ物はもっと計画的に食べるミポ!!」
「そうだメポ!お前は食べ過ぎだメポ!もうやめるメポ!!」
注意するメポミポだが、ポルンは食べるのをやめようとしない。
「ポポ〜〜〜!!もっと食べるポポ!!食べるポポ!!」
「ダメだメポ!!食料をこっちによこすメポ!!」
「イヤポポ!!×3」「よこすメポ!!×3」「2人ともいい加減にするミポ・・・」
「こっちによこすメポ!!このっ!!」「なにするポポ〜〜〜!?」
メップルが食料袋を取り上げようとしてポルンに飛び掛ったその時・・・
ボッチャ〜〜〜〜〜ン!!
「メポ―――!?」「ミポ―――!?」「ポポ―――!?」
海上にいる3匹にとってはまさしく生命線である食料と水を入れた袋が海に落ちてしまった。
「しょ・・食料が・・・」一気に血の気が引く3匹。
「どうしてくれるんだメポ!!ポルンのせいだメポ!!」当然怒りまくるメップル。
「ぽぽ・・そんな・・・ポポ〜〜〜〜!!(涙)」
メップルに怒られていつもの如くポルンが泣いてしまった。
「ポルンはまだ子どもだから許してあげるミポ・・・」
「ミップルはポルンに甘すぎるメポ!!」
非常時でもいつも通りの会話をしてしまう3匹だった。
ポルンは当分の間泣き止みそうも無い。
「と、とにかく無線で助けを呼ぶミポ!!」「そ、そうメポね・・・」
- 67 名前:虐殺スレ2より・63-66氏「電波淫獣的スワンの旅」(2/2) 投稿日:2004/10/09(土) 17:30 [ qrmHabN. ]
- とりあえず現実に対処しようとするメポミポ、ミップルが無線や海図、コンパス等の
入った鞄を出した・・・とその時・・・
ゴロゴロゴロゴロ・・・・ 雲行きが怪しくなってきた。そして・・・
ザザザアアアアァァァァァ〜〜〜〜〜〜〜!! どうやら嵐に遭遇してしまったようだ。
「恐いポポ〜〜〜!!」「だ、大丈夫ミポよ・・・」「そんなことより早く助けを呼ぶメポ」
ゴロゴロゴロ〜〜〜!! ピカ――――――!! 雷が鳴った。
「カミナリ恐いポポ〜〜〜!!ミップルゥ〜〜〜〜!!」「ミポッ!?ポルン!!」
雷に脅えて、いつもの調子でミップルに飛びつくポルンだったが、これが最悪の事態を
招くことになった。
バッシャ〜〜〜〜〜〜〜ン!!
「メポ――――――!?」「ミポ―――――!?」
ポルンに飛びつかれた反動で、ミップルの手に握られていた鞄が海にダイブして
しまった・・・・
「・・・・・・」あまりの事態に絶句するメポミポ。
「カミナリ恐いポポ〜〜〜・・・ポポッ???2人ともどうしたポポ???」
原因を作った張本人のポルンだけがこの非常事態を理解していなかった・・・
――――――そして1週間が過ぎた――――――
雨水をすする生活が続いた。
太陽は容赦なく3匹に降り注ぎ、3匹はゲッソリとやせ細っていた。
3匹はもはや自分たちがどの辺りにいるかなどもはや見当もつかなかった。
先程まで言い争っていたメポポポはやがてそれが体力の無駄使いであることを理解し、
いつの間にか2匹とも泥のように眠っている。
起きているのはミップルだけ。
そこは気持ち悪いくらい静まりかえり、見渡す限りの真っ青な海、海・・・そして海。
(きっと・・・船が通りかかって・・・助かるミポ・・・)
もはやミップルはそう思うことでしか、自分を慰められないでいた・・・船が通りかかる
保証などどこにもないのに・・・
(希望は捨てちゃダメミポ・・・きっと助かるミポ・・・きっと・・・)
そして数ヵ月後。──捜索隊はマウイ島沖でようやく目標のものを発見した。
3匹の乗った・・・いや、まだ生き物の形姿をとどめていたはずの3匹が、かつては
乗っていたスワンボートを・・・・・
――――――完――――――
- 68 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/09(土) 17:32 [ qrmHabN. ]
- 【虐殺スレ2より・63-66氏/「電波淫獣的スワンの旅」】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1094366560/63-66
( ゚Д゚)<プリキュアSSとは何ぞや
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<なんてことは
( ゚Д゚)<さほど深く考えてないッス
( ゚Д゚)<まあ虐殺スレから転載するとしたら
( ゚Д゚)<この作品かナ
- 69 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/10(日) 00:08 [ AcIFEKYI ]
- ( ゚Д゚)<深夜ッス
( ゚Д゚)<ウォ
( ゚Д゚)<ウォォー
( ゚Д゚)<今宵もSS転載するぜ ゥ ォゥ ォゥ
( ゚Д゚)<戦えー我らのSS職人ー オーイェー
- 70 名前:雑談スレ1072-1077氏:ネタSS「脳内笑っていいとも」(1/3) 投稿日:2004/10/10(日) 00:09 [ AcIFEKYI ]
- .
タモソ「え〜昨日のどれみさんからのご紹介で、プリキュアのおふたりです!」
の紹介でプリキュアの美墨なぎさちゃんと雪城ほのかちゃんが
二人の通うベローネ女学院の制服を着て仲良く手をつないで登場。本当に仲がいいんだなぁ・・
会場からも「かわいいー!かっこいい!顔、ちっちゃ〜い!」の歓声が凄い。
タモソが例の拍手を盛り上げチャチャッチャ!の振りで会場の騒ぎを収める。
タモソ「えー花束が届いてます」で会場に届けられたお祝いの花束を映す。
東映、ABC、講談社の他にアカネたこ焼き店なんてのもあって会場から笑いが・・。
なぎさちゃんがよく学校帰りに寄り道するたこ焼き屋さんらしい。
花束の中に場違いな菊の花が・・差出人のプレートは(明日・・ジャ・ローズマ・・)
まで読めたんだがはっきり確認できず。
二人そろって「ありがとうございます!」ぺこりって感じでかわいい。
続いて電報紹介。メップル、ミップルのぬいぐるみ電報なんてのがあるんだなぁ・・
知らなかった。残念ながらポルン電報はまだ無いとの事。うーん残念。
ところで電報紹介のとき、
「プリキュアのお二人笑っていいともご出演おめでとうございます。
来年もプリキュア放送決定との事、
これからもプリティーでキュアキュアでがんばって下さい・・マサ斉藤ゴム」
って電報読まれた時ADが慌ててたけど何かあったのかな?
ここでほのかちゃんからタモソへお土産、ふたりはプリキュアDVDが!
タモソの「俺これ予約したんだよね」となぎさちゃんが「じゃあ要らなかったですか?」
すかさず会場から「欲しい〜!」の声があがるが、ほのかちゃんが「皆も買ってね!」
うんうん、ちゃんと宣伝もできて偉いぞー!ところがパカッとふた開けたら中身無し。
なぎさちゃんの慌てた顔に萌。サンプルだったのね・・
ここでようやく座っておはなしに・・
タモソ「髪切った?」の質問に
なぎさちゃん「この間ほのかに切ってもらったんだよね」仲いいなあ・・
タモソ「あれ?その制服って・・中学生だっけ?」
ほのかちゃん「はい!中学二年生で来年受験です。」
しっかりしてるなぁ・・受験って聞いてなぎさちゃんちょっと憂鬱な顔してたけど、
高等部に進学するのにはやっぱり簡単なテストがあるらしい・・納得。
でも学内スポーツ進学ってのがあるからラクロス部で一生懸命とのこと。
ほのかちゃんは科学部に所属しているとのことで今度ラクロス部と合同で
山の中の学園所有の施設で夏合宿に行くのが楽しみなんだと。
さすが名門私立。漏れも行きたい・・ハァハァ・・
- 71 名前:雑談スレ1072-1077氏:ネタSS「脳内笑っていいとも」(2/3) 投稿日:2004/10/10(日) 00:10 [ AcIFEKYI ]
- .
ここでほのかちゃんから重大発言!
スポーツ万能のなぎさちゃん、実はカナヅチなんだって!
うつむいてモジモジ恥ずかしそうにするなぎさちゃんモエ〜。
この後タモソが自分の持ってるクルーザーの話が続くがはっきり言ってウザイ!
けどかわいいなぎほの眺めるだけで幸せなお昼の時間。
タモソ「しっかし本当に二人は仲いいねー、そっちから見えないだろうけどふたりとも
机の下でずっと手をつないでるんだから!」の発言に会場がまたもヒートアップ!
したところでいったんCM。
CM明け、ベローネの制服からプリキュアに変身した二人。
生で変身見たかったなぁ・・アルタの人がうらやましィ!!
会場から「あれやって〜!!」の声に押されてステージ中央に・・まさか・・
プリキュアの美しき魂が!邪悪な心を打ち砕く!・・プリキュア・マーブル・スクリュー!!!
・・・やっちゃいました・・・アルタでPMSを観客席に撃ち込んだ所でまたCM。
再びCM明け、観客が半分くらい居なくなった様な気がするが・・・
お友達を紹介。「え〜!やだ〜!」の声にほのかちゃん「わがままいうとまた・・」って
またって何?と気になったが観客席一瞬で静まる。さすがスター性があるなぁ。
で、お友達は「歌舞伎マンさん」ってなぎさちゃんが紹介するんだけど、
会場も漏れも
????誰????のはてなマーク。ほのかちゃんがにこにこしてた。
電話がつながって「・・・見てたよ!・・歌舞伎マンってなんだヨー!!」
の声でピーサード兄さんってわかってみんな爆笑!歌舞伎マンって呼ばれてるのか・・納得。
タモソ「今何やってんの?」の質問に
ピーサード兄さん「・・・今ちょっと闇に還ってて・・・・wzくwくぉ」
電波状態が悪くて聴き取りにくい。
プリズムストーン返して・・とか言ってたようだが・・
タモソ「来てくれるかな?」「いいとも!」と元気よく返事。
.
- 72 名前:雑談スレ1078・1106氏:ネタSS「脳内笑っていいとも」(3/3) 投稿日:2004/10/10(日) 00:11 [ AcIFEKYI ]
- .
テレホンショッキング、今日のゲストはピーサード兄さん。
タモソと客席「暑いですねソーデスネ!今日は35℃!ソーデスネ!
このまま行くと冬には気温100℃超えるね!ソーデスネ!んなわきゃあない(笑)」
で軽く客席沸かすタモソ。
お昼のお化け番組司会者タモソさすがだなあ。
ピーサード兄さん登場するも客の反応が薄い気が・・・
タモソ「花束・・届いてない」の一言にピーサード兄さんマジなみだ目。カワイソウ
昨日のゲストプリキュアからのメッセージが
「歌舞伎マンさんとっと闇の世界に還りなさい!」
ピーサード兄さん「ちょっとまってよ〜!」カメラ目線で訴える。結構テレビ慣れしてる?
続いてタモソが「じゃあとっととお友達を・・」でさすがにピーサード兄さんマジギレ
落ち着いたところでトークへ。
ピーサード兄さんちょっと前に教育実習でベローネへ行ったんだって!そこで
プリキュアの二人と出会ってたんだって。ウラヤマシイ!
教育実習中は女教師せまれらたり、女子生徒に大人気だったとか、ホントかなー?
休みの日は美術館巡りをしているという意外な一面を語ってCM。
次のお友達へ電話するときちょっとアクシデント!女子アナが間違い電話しちゃった!
「はい?角澤です・・」とか名乗ってた暗くてノリ悪い素人だったな〜
電話かけなおして明日のゲストはキリヤくん!!会場が凄い歓声。
ピーサード兄さんへこんでた。
今日のテレフォンショッキングのゲストはキリヤくん!
Tシャツに半ズボン、スニーカーというショタ心くすぐりまくりの服装で登場。
胸に変わった石のネックレスがおしゃれ!そういえば歌舞伎マンも似たようなの
身につけてたね。
でもちょっと顔色悪いカナ?ちょっと元気なかったな。
タモソ「最近忙しいらしーねー?髪切った?」でトーク開始。
「キリヤのお姉さんこないだ一緒に飲んだんだよ!物まねうまいよねー」
キリヤのお姉さんってポイ子さんのことか、知らんかった。
キリヤ君「姉はこの間、闇に還りました」の一言に会場凍てつく。
その後も、やっぱお姉さん闇に還ったばっかりだから話がいまいち弾まない。
タモソの手で後頭部を振り払って「・・・・さっきからこの枝が頭にぶつかるんだよね・・・」
で場の雰囲気を変えようとする。
「キリヤはゴルフやるの?」の問に「学校ではサッカーを・・・」
入部早々、センパイをドリブルで抜いたんだって!さすがスポーツ万能キリヤ君!
学校生活のことになるとちょっと明るくなった。
サッカーに興味ないタモソ、ゴルフの話を延々と。会場もうんざり。
「俺、明日ゴルフ行くけど、キリヤも来るか?」の誘いにも
「明日はちょっと・・・朝四時に人と待ち合わせしてるので・・・」の返事。
タモソ「朝4時!?デートだろ(笑)」
キリヤ「人は宿命からは逃れられませんから・・・・」意味深!
.
- 73 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/10(日) 00:12 [ AcIFEKYI ]
- 【雑談スレ1072-1077・1078・1106氏:ネタSS「脳内笑っていいとも」】
http://jbbs.livedoor.jp/anime/1261/storage/1076535169.html
一読してかなりテレホンショッキングの雰囲気が出てるなと思うのだが
あの番組を実況する文体フォーマットみたいなのが、一般にあるのかしら。
もしそうではないとしたら、これは掛け値なしの好ネタ。
なぎさが実はカナヅチであることから例のマサ斎藤までネタにしていて、よほど
「プリキュア」と「笑っていいともと」に慣れ親しんでないと、異質なこの二つを
双方の雰囲気をしっかり出しつつ組み合わせるという風には書けない。
雑談スレに投下されたのが勿体ないくらいのネタSS。
なぎさがほのかに髪を切ってもらっているとの事実には驚愕(百合萌え的に)
- 74 名前:エロパロスレ・うーん…氏(前フリのみ):エロパロSS - 18話(1/3) 投稿日:2004/10/10(日) 00:14 [ AcIFEKYI ]
- .
「今年の夏は暑くなりそうね」
「でも、あんまり香ばしいカップリングはごめんよ。特に、さなえ萌え
だけは勘弁!」
「理恵ママとなぎさの母子百合あたりで、手を打って欲しいわ」
学内の女子部では、毎度の顔ぶれが四人ばっかしせめぎ合い、何
やら賑わい候え。言うまでもなく、それはなぎさを含む、お馴染みの
女性徒たち。そこへ、
「なぎさとのツープラトンはいいとして、問題はショタ組・・・」
と、ほのかがさりげに合流。すると、
「あっ、ほのか。聞いて、聞いて!」
親友の姿を見るなり、なぎさは微笑んだ。更に、何か楽しいことでも
あったらしく、四人の中心にいる大人しい少女を指差して、
「サセ子が、キリヤ君に告白するって!アハ!アハ!」
・・・と、自分の事でも無いというのに、興奮を隠せないでいた。
「そんな・・・告白だなんて・・・手紙渡すだけよ」
大人しい少女は頬を染め、ほのかへはにかんでみる。ささやかな恋心
を抱いているのが一目で分かる、可愛い笑顔だった。
「思いは、きっと通じるわ」
ほのかが言うと、なぎさもそれに続き、
「駄目だったら、あたしがまさぐって・・・じゃなくて慰めて・・」
と、言わなくてもいい事を口に出しかけ、友人たちからツッコミを食らう。
ボーイッシュゆえの、お笑い役らしく。
「とにかく、頑張って!サセ子!」
「サセ子、ファイト!」
大人しい少女に向かって、友人たちがエールを送った。麗しい少女たち
が見せる、愛らしい友情の一コマである。が、しかし・・・
「名前が・・・違う」
サセ子、サセ子と連呼された少女。確か、セイコとかいう名前の少女は
うつむき加減に答え、その場を気まずくさせたのであった。
翌日、ほのかが血相を変えて、男子部の校舎へと駆けていく姿を、なぎさ
は追っていた。
「ほのか、どこへいくの?」
「キリヤ君の所よ!」
ほのかが珍しく気色ばんでいた。セイコが手渡した手紙を、キリヤが破り
捨てたという話を聞き、激昂していたのだ。
- 75 名前:エロパロスレ・うーん…氏(前フリのみ):エロパロSS - 18話(2/3) 投稿日:2004/10/10(日) 00:15 [ AcIFEKYI ]
- .
「キリヤ君!」
ガシャン!と、教室の扉をぶち破り、ほのかがキリヤの元へ迫った。
表情に、怒気が溢れている。
「何です?」
ほのかに正対するキリヤは、相変わらずの無表情。クールな雰囲気
が、ショタいじめ好きのお姉さんたちから、格好の的になりそうだ。
「どうして、手紙を破ったりしたの?」
ほのかはキリヤに詰め寄った。友人の淡い恋心──それを踏みに
じったこの少年を、許せないでいる。
「ラブレターがヤブレター・・・って所でしょうか」
腕を組みつつ、キリヤが駄洒落で返すと、ほのかは唖然とした。だが、
なぎさは笑いのツボに嵌まったらしく、手を叩いて喜んでいる。
(この女・・・)
キリヤの目が冷たく光っていた。愛と憎しみが複雑に絡まり、心を閉ざ
した闇の使いの姿になっている。余談だが、その間もなぎさは笑いっぱ
なし。あのキリヤが、駄洒落を!とか言って、パンティが見えるほど足を
ばたつかせ、教室内にいる男子生徒たちの視線を釘付けにしていた。
が、それはさて置く。
「放送回数を、プリズムストーンの個数で割ると、もう・・・出番は少ない
かな・・・ふふふ」
キリヤがそう言って笑うと、不意に教室内が歪み始める。戦闘開始の
合図っぽいな、と。
「はッ!これは・・・なぎさ!」
闇が迫ってきている──ほのかはそれと悟り、親友の姿を求めた。が、
しかし、なぎさは見当たらない。
「どこ?なぎさ!」
教室内に不穏な空気が流れていた。ほのかは、必死になぎさの姿を
探す。すでに親友は、闇の者の手に落ちてしまったのか・・・と、不安げ
な顔を隠そうともしていない。しかし・・・
「ほのか〜・・・ここよ〜」
なぎさは、居た。ほのかから少し離れた場所で、教室内にいる男子生徒
たちからちやほやされ、いい気になっていたのである。
「・・・な、なぎさ」
と、さすがのほのかも呆れ顔。目が点になり、真面目キャラのフォームが
崩れそうになっている。
「ブレザー萌え!」
「ボーイッシュ萌え!」
男子部の生徒たちは、それぞれの趣味をあからさまにし、なぎさを
持ち上げた。すると、自他共に認めるお調子者は、
「でへへ・・・そんなにほめても・・何も出ないって」
と、鼻の下を伸ばす。内心では、満更でもないなあ、なんて思いながら。
「・・・・・なぎさ・・・あ、あなたって人は」
その様子を見たほのかは呆れを通り越して、へこたれていた。彼女の
背後にいるキリヤも、シリアスな展開に水を差され、身を持て余している。
- 76 名前:エロパロスレ・うーん…氏(前フリのみ):エロパロSS - 18話(3/3) 投稿日:2004/10/10(日) 00:16 [ AcIFEKYI ]
- .
「なぎさ様!どうぞ、お立ち台へ!」
「どうか、君臨を!」
男子生徒たちが机をくっつけ、適当に台座を模した。すると、
「そ、そう?悪いね、なんか」
待ってましたとでもばかりに、なぎさが台に上がり、適当にポーズを取る。
そして、男子生徒たちは一斉に床へ身を投げ、五体投地による偶像崇拝
にも似た行動を取った。
「あはん。そんなに崇められちゃあ・・・何かせざるを得ないじゃないの」
なぎさはてれてれと頬を緩め、ブレザーに手をかけた。こういう所が、
お調子者というのだ。そして、
「♪女の穴〜・・・開かせてひとしきり〜・・・もっと、ヤリヤリ!」
と、例によって歌を口ずさみながら、ブラウスに掲げられたリボンまで
手をかけてしまう。
「なぎさ、ちょっと!」
ブラウスのボタンが弾け、なぎさの胸元を飾る、ジュニア用の可愛い
ブラジャーがお目見えした時、ほのかは慌てて駆け寄った。あかんがな、
親友!とでも言いたげに、焦りが表情にも表れている。が、その時、
「新たな女神が光臨なされたぞ!者ども、ひれ伏せ!」
と、今度はほのかを奉るべく、男子生徒全員が土下座。それを見たほのかも、
「ええッ!あたしも?まあ・・・悪い気はしませんが・・・」
と、お愛想を見せた。ふたなりプリキュアの両名とも、いい性格をしていると
言うべきか。
「ほのか、上がっておいでよ」
「え、ええ・・・と・・・うん」
なぎさに手を取られ、ほのかも台に上がった。そして、二人の麗しい少女が
壇上にある姿へ、男子生徒全員が何かを求めるような視線を送る。
「期待されてるよ、ほのか」
「え、ええ・・・でも」
「チラッ・・・と、ちょっとだけ見せてあげれば、いいのよ」
「そんなあ・・・なぎさってば・・・あたしは・・」
ほのかの返事も待たず、なぎさはイエーィ!と掛け声を上げ、腰を
前後へグラインド。ただでさえ短いスカートはひらめき、理恵ママから
色気づくのはまだ早い!と言われ、泣く泣く身に着けているジュニア用
パンティが見られるにも構わず、足を蹴り上げ、いい調子。
「なぎさ様!バンザーイ!」
細くしなやかな足がちらつくと、男子生徒たちが色めきたった。スポーツ
で鍛えられたなぎさの足は、しなやかながらも芯が通った絶品である。
そして、太ももの奥には、まだ男子生徒たちの見知らぬ秘苑も存在して
いるのだ。こうなれば、もう誰も歯止めが効かない。
「あ、あたしも・・・脱ぎますか」
親友と同じく、男子生徒たちから乞われるような視線を送られ、ほのかも
ゆっくりと衣服を脱ぎ始める。奔放ななぎさと違い、おごそかに、そして、
しとやかに着ているものを床へ落としていった。
キリヤ「す、すいません・・・僕の事・・・忘れてませんか・・・おーい!」
つづく
.
- 77 名前:同上・総集編氏(前フリのみ) :エロパロSS - サブキャラ祭(1/3) 投稿日:2004/10/10(日) 00:19 [ AcIFEKYI ]
- .
近頃、ほのかがふとした時に、ぼうっとしてしまう事が多くなった・・・
と、なぎさは考えていた。
(やっぱり、キリヤくんの事が気になってるんだな)
教室の喧騒から逃げるようにして、窓から空を眺めるほのかの後姿
を、なぎさは心配そうに見遣っている。そこで・・・
「キリヤくんの事、考えてるの?それがホタテの、それがホタテの・・・」
と鼻歌をまじえつつ、思い悩んでいるような親友の背後へ、なぎさは
立った。今より十数年も前に、安岡某が歌っていたホタテのロックン
ロール(うろ覚え)を口ずさんでいるのは、
『それはキリヤくんじゃなくって、リキヤさんでしょう?ふふッ、なぎさ
ったら・・・』
という、ほのかのリアクションを期待しての事である。しかし──
「ふう・・・」
ほのかはなぎさが近寄ってきた事も悟れず、ただため息をつくだけ。
出だしのギャグが滑ったなぎさは、ネタの古さをちょっと恥じた。
すると・・・
「ン・・・ホタテを舐めるなよォッ!ゴー、ゴー!」
と、小気味良くリズムを刻みながら、教壇の方から近づいてくる人物
がいた。それは、彼女たちの担任教諭、よし美先生その人である。
「美墨さん、ずいぶん古い歌知ってるのね。懐かしいな」
よし美はそう言って、ツイストからジルバという感じで足をわななかせ、
腰を振っていた。その姿を見てなぎさは、この人結構年いってるんじゃ
ないか・・・などと思う。そして、同人界におけるよし美萌えが少ないの
は、致し方ないとも思った──
- 78 名前:同上・総集編氏(前フリのみ) :エロパロSS - サブキャラ祭(2/3) 投稿日:2004/10/10(日) 00:20 [ AcIFEKYI ]
- .
ところ変わって、某公園。ここでは、ワゴンで路上販売を決め込む
タコツボねえさんこと、藤田アカネが千枚通しを手にして、タコと奮戦
中。日々、美味なたこ焼きを作り、人々の舌を蕩かせようと研鑽を欠
かさないアカネは、持ち前の威勢の良さを武器に、ベローネ学院に
通う女生徒たちを惑わせている・・・らしいよ。
「いらっしゃい、いらっしゃい。美味しいたこ焼き、いかがですかあ?」
数え切れないほどのタコをなで斬りにし、それを小麦粉でくるめて売り
さばくアカネは、いつだって絶好調。多少、男勝りな感は否めないが、
良きバイブレーター・・・ではなく、バイプレイヤーとして微妙な輝きを
放っていた。
「ひと舟下さいな」
ワゴンの死角から、一人の女性がアカネに声をかける。すると、
「へい!毎度・・・あッ・・」
勢い良く注文を受けたアカネの語尾が濁った。そして、目に怯えのよう
な不安を覗かせる。
「そんな顔をしないで。かつての担任が、教え子に会いに来ただけじゃ
ないの」
女性はそう言って、アカネの前へ立った。見れば、その女性はなぎさ
やほのかも良く知る、よし美先生である。しかし、先ほどホタテロックを
歌っていた時とは違い、どこか艶やかな佇まいだった。
「先生・・」
「なあに?アカネ」
アカネの怯えが本格的になっている。その姿は、ワゴン越しに向かい
合ったかつての教師と教え子──という間柄にしては、少々空気が重
い。むしろ師弟というか、よし美が主であり、アカネが従というような雰囲
気を持っている。
「あ、あたし・・・もう、そういうことは・・・やめたんです」
カタカタと震えながらアカネが言った。すると、よし美はうっすらと笑いを
頬に携えて、
「あなた・・・ううん、奴隷の意思なんて、関係ないの・・・いい?今夜も来る
のよ。夜のベローネ学院に」
売り物のたこ焼きをひとつ啄ばみ、ワゴンに背を向けそのまま歩いていく。
「ああ・・・」
よし美を見送った後、アカネは頭を抱えて蹲った。夜のベローネ学院という
いかにも妖しげな含みを残しつつ、場面は更に移動。
- 79 名前:同上・総集編氏(前フリのみ) :エロパロSS - サブキャラ祭(3/3) 投稿日:2004/10/10(日) 00:22 [ AcIFEKYI ]
- .
「夏子、ベタ塗って」
「んもう、京子ったら、人使い荒すぎ!」
放課後の教室では、ニセプリキュアの二人がケント紙を前にして、何やら
怪しげな漫画を執筆中。二人は今、いつぞやのコスプレに気を良くして、同
人界という泥沼へ足を沈めていた。
「ニセピッコロと、さなえゴクウのバトルって、ディープ過ぎない?」
京子が夏のお祭り用の原稿を見つめ、眉をしかめている。もう、日々が残さ
れていないようで、最後の追い込みへ躍起になっており、殺気立っていた。
「弱小サークルが目立つには、コアなファンを惹きつけるしかないのよ!
黙って、トーンを貼って」
夏子が目を血走らせ、叫んだ。弱小サークルゆえ、真っ向勝負を避けた
彼女に勝ち目などあろうはずも無く、お祭り当日の撃沈は目に見えている
が、とりあえずは話を進めていく。しかし、このカップリングでは、二日目で
も無理だと思う。
「疲れた・・・」
京子が目をしょぼしょぼとさせ、夏子を恨めしそうに見た。共同執筆をする
同人たちにありがちな、仲たがいの予兆である。
「休んでる暇はないわよ、京子」
やたらとテンションの高い夏子が、京子をたきつけた。共同執筆の際は、
どちらかが気張って、どちらかがうんざりという場合が多く見られるのだが、
今まさにふたりはその状態にある。
「ねえ〜・・・お祭りの日はさあ・・・ブースにかじりつくよりも、レイヤーとして
ちやほやされたいなあ・・・今からでもいいから、意趣変えしない?」
執筆にいまいちなノリの京子が、そんな提案をした。彼女は元々、コスプレ
が好きなだけで、漫画にはあまり興味がなさそう。それに対し、夏子はやる
気まんまんだ。
「ダメよ!明日の同人界を変えるのは、あたしたちなのよ!生ぬるい考えを
持っちゃダメ!」
目をぎらつかせ、のたまう夏子。コンビ作家が袂をわかつのは、おおよそこ
んな時である。が、それはさておいて、前フリはここまで。場面は著しく代わ
り、校長室へと移動。何か忙しくて申し訳ないが、ご勘弁のほどを。
つづく
.
- 80 名前:同上・フリチラ氏(前フリのみ) :エロパロSS - 体育祭(1/2) 投稿日:2004/10/10(日) 00:24 [ AcIFEKYI ]
- .
前回までのあらすじ──
なぎさは志穂から、ラクロスをやめたいという相談を受けた。それを、なぎさはマクロスと聞き
間違え、バルキリーやデストロイドに関するうんちくを垂れた挙句、ダイダロスアタックを敢行。
逆切れ同然に志穂を押し倒し、ふたなりプリキュアご自慢の陽根で、処女宮を侵してしまう。
その後、なぎさは志穂から性奴になる言質を取り、弟、亮太の筆おろしまでさせた。結果、志穂
はラクロスをやめずにすんだのだが、なんとなく大事なものをたくさん失ったのである。
それでは、みなさんご一緒に。
『デュアル・オーラル・ウェイーブ』
オープニングは割愛。
秋晴れのある日、ベローネ学院の女子部では、毎年恒例の体育祭が行われていた。父兄の観
覧席には美熟女界のホープ、美墨理恵さんの姿もある。
「なぎさ、がんばって!」
わが娘を応援する理恵ママ。ポロシャツとズボンはユニクロで購入した、定番アイテムではあった
が、胸や腰周りにむっちりと脂が乗って、どうにも悩ましい。
「なぎさは、ふんころがし競争には出ないのかい?」
駄洒落キングこと、なぎさパパが尋ねる。すると理恵ママはにこやかに答えた。
「今は金玉ころがし競争っていうらしいわ。父兄も強制参加らしいわよ」
パパ、ママそろってどこの出身なのかは不明だが、娘の晴れの舞台に何やら物騒な事を言って
いる。どこの世界に、そんな怪しい競技があるんだよっていうツッコミはさておき、場面は校庭の
水飲み場へ移動。そこにはなんと、ベローネ学院のなんちゃってカリスマ、小田島友華の姿が
あった。
「友華センパイ」
「あら・・・」
友華の姿を見つけたなぎさが、さりげなく腕を組んだりする。その光景を、ほのかがさり気
なく見守る。どことなく、マニアさまが見てなさるぞよ!という感じだが、それはさておく。
「あたしのエッサッサ、見てくれてました?」
「ええ、美墨さん、まるで日体大の体育祭を髣髴とさせるような、素晴らしい演技でしたわ」
なぎさが先ほど演じたエッサッサの感想を求めると、友華はにこやかに賛辞を送った。ちなみ
にエッサッサとは、某日本体O大学で受け継がれる漢(おとこ)の滾りを表した、勇壮なる美技。
上半身裸となって全身に力を込め、エッサッサという掛け声と共に、腕を振り上げる──正直
言って、やってて意味わかんねえよ先輩って感じの荒業であった。
- 81 名前:同上・フリチラ氏(前フリのみ) :エロパロSS - 体育祭(2/2) 投稿日:2004/10/10(日) 00:25 [ AcIFEKYI ]
- .
「センパイは競技、何に出るんでしたっけ?」
「全裸バンジージャンプと、コスプレリレー。負けるとお仕置きが待ってるから、気が抜けないわ」
友華はふくよかな笑顔をたたえながら、絡められていたなぎさの腕を抜く。どこまでも優雅で、
清楚な動きだった。
「美墨さんも、このあとお色気借り物競争があるんでしょう?体育祭の運営管理者は曲者が多く
て、とんでもない物を借りて来いっていうから、気をつけるのよ」
ふふっと去り際に笑顔を一丁。お嬢を自認する女ゆえ、友華の立ち居振る舞いは鮮やかである。
「雪城さんはそのものズブリ──じゃなくって、ズバリ玉入れに出るんだったわね。ベロ−ネ学院
の玉入れは、殿方のお玉を自分の蜜かごに入れてもらうんだけど、中にはおちんちんの茎の部分
に玉が入ってるお方もいるから、おしめりは十分にね」
振り向きもせず、友華はこの場にいるほのかも気遣った。お嬢でおしとやか──ちょっと、キャラ
被ってないかしら──なんてほのかは思いながら、去り行くカリスマとやらを見送っている。
「うっひょ〜、血が騒ぐねえ!」
今度は場所を校門前へと移動。そこでは、タコツボ姉さんこと藤田アカネさんが、例によって
路上販売を決め込みつつ、競技に熱中する後輩たちを優しく見守っていた。
「あたしが生徒だった時分は、男女混合全裸騎馬戦ってのがあったんだけど、今は無いんだね」
門の前に貼られた競技プログラムを見ながら、アカネは昔日を思い返している。
「懐かしいなあ。馬が男子で騎乗するのは女。全員が全裸で、頭に巻いたハチマキを取られたら
アウト。女はみんな捕虜にされちゃうんだけど、例外なく輪姦されてたなあ・・・」
お調子者度では、なぎさに引けを取らないアカネ。たこ焼きワゴンを放り出し、自分も競技に参加
しかねないほどの勢いで、体育祭の行く末を見守っていたのだが。
つづく
.
- 82 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/10(日) 00:28 [ AcIFEKYI ]
- 【エロパロスレ・うーん…氏(前フリのみ):エロパロSS - 18話】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1075836650/276-282
【エロパロスレ・総集編氏(前フリのみ) :エロパロSS - サブキャラ祭】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1075836650/465-468
【エロパロスレ・フリチラ氏(前フリのみ) :エロパロSS - 体育祭】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1075836650/587-589
イッてるんだから、おっぱいなんて、目じゃない♪もっとヤリヤリ!
ふったりは♪フリチラ、フリチラ・・・AHA〜N♪・・・ ( ゚д゚) ハッ
……まぁ俺ごときが紹介文なんて書かなくてもいいわな。古今無双の畸SS職人。
転載は全てあからさまなエロ展開に入る前にとどめたけれども、全部読みたい方は
以下のリンクからドゾ。21禁注意。
18話 http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1075836650/276-287
サブキャラ http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1075836650/465-479
体育祭 http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1075836650/587-598
- 83 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/10(日) 01:02 [ w9Vuo492 ]
- いつも転載されてるのはここの>>5さんでしょうか 乙です
ところで>>5さんの一押しというかベスト1と思うSSは何ですか?
ここでは未出のものでも結構です
あ、ベスト3でもいいです
- 84 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/10(日) 09:10 [ AcIFEKYI ]
- >>83
( ゚Д゚)<葱姐いじめSSとか
( ゚Д゚)<いまだ読めていないモノも色々あるので
( ゚Д゚)<現段階ではニントモカントモ
( ゚Д゚)<のでとりあえず
( ゚Д゚)<自分が目を曝したSSのうち
( ゚Д゚)<ここへの転載を見合わせたモノの中から幾つか挙げてみまする
( ゚Д゚)<エロパロスレ・フリチラ氏の角澤SS
( ゚Д゚)ノhttp://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1075836650/538-543
( ゚Д゚)<「♪お互い、パンツを取り替えるたび、すごく、エロく、なるね〜♪」
( ゚Д゚)<アホや
( ゚Д゚)<も一つエロパロスレから カブキ×なぎさSS
( ゚Д゚)ノhttp://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1075836650/100-108
( ゚Д゚)<なぎさの親切に戸惑うカブキマン
( ゚Д゚)<っていうかリルル
( ゚Д゚)<虐殺スレ2・◆krsRF/LAnQ氏の鬼畜ほのかSS
( ゚Д゚)ノhttp://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1094366560/301-311
( ゚Д゚)<愛らしく小首を傾げて、引き出しからメスを取り出すほのか
( ゚Д゚)<コワー
- 85 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/11(月) 00:25 [ 7oX6YPnc ]
- ありゃ!転載二つ目脳内いいともまで転載くださってありがとうございます。
タモさんは偉大ですよね。
DVD1・2とキリヤ消滅からのテレビ観賞なので
ポイ子さん激怒羅はイマイチ性格掴んでないので友達の輪に入っていないのですが
読んで下さる方がいたのならいづれどこかでと思ってます。
最近百合スレで小ネタ書いてるんですがついコメディなオチつけてしまって不評のようです
- 86 名前:( ゚Д゚)<ユンケルでgo 投稿日:2004/10/11(月) 16:59 [ UWa2lCzI ]
- ( ゚Д゚)<オッオゥ
( ゚Д゚)<お礼いただくほどのことでは
( ゚Д゚)<ございませぬハイ
( ゚Д゚)<エエ
- 87 名前:( ゚Д゚)<人はなぜSSを書くのだろう 投稿日:2004/10/11(月) 21:11 [ UWa2lCzI ]
- .
( ゚Д゚)<それは
( ゚Д゚)<プリキュアが
( ゚Д゚)<好きだからさ・・・
( ゚Д゚)<by 轟勇気
( ゚Д゚)ノttp://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Bay/4104/rocky/words.htm
- 88 名前:虐殺スレ2・◆krsRF/LAnQ氏(前フリのみ):マッドほのかSS(1/2) 投稿日:2004/10/11(月) 21:12 [ UWa2lCzI ]
- .
雪城ほのかは、珍しくいらいらしていた。今日の出来事が原因だ。
他でもない。あの忌々しいクソッタレの淫獣のことだ。
あのポポポポ喚く奴。ウザイ。腹立つ。ギタギタのメチョメチョにしてやりたい。
もちろん、ほのかはそんなことを口にも出さなかったし、当然顔にも表さない。
キャラの「イメージ」というものがあるのだ。
おしとやかで清楚、おまけにお嬢様。頭脳明晰だけどそれを自慢するでもない。おかげで
男子からの人気も高い。
それだけだと同性から嫌われかねないので、ちょっと天然ぽいところを見せ、憎めない
感じを出す。
これがほのかが作り上げた自分のキャラだった。さほど苦労はなかった。なんてったって、
頭脳明晰なのだ。
しかし、今日のことは許せなかった。あのポポ淫獣を助けるためにアカネのトラックに
乗ったとき、腐れ淫獣どもが場所も考えずに話し始めるものだから、ごまかすのが大変だった。
ごまかすために淫獣の口真似をしなければならなかった。
この、この頭脳明晰なほのかが「〜なのポポ」などと言わなければならなかったのだ!
……許せない。
苦労して作り上げたキャラの「イメージ」が台無しだ。
そういうのも結構可愛い、なんていう馬鹿な男どももいるだろうが、冗談じゃない。
頭脳明晰なほのかは、頭の悪い男どもに媚を売る気などない。ほのかが好きなのはなぎさ
だけなのだから。
大体あのアカネとかいうのも気に入らない。まともに就職もしないで遊び歩いて、おまけに
非衛生的な食べ物を売っている。
なぎさが慕っているのが、特に気に入らない。まあ、あの馬鹿女をヤルのはまだ後の話だ。
まずは腐れ淫獣からだ。
.
- 89 名前:虐殺スレ2・◆krsRF/LAnQ氏(前フリのみ):マッドほのかSS(2/2) 投稿日:2004/10/11(月) 21:13 [ UWa2lCzI ]
- .
「ねえ、なぎさ、今日はわたしがポルンちゃんをお預かりするわ」やさしくほのかは言う。
「えっ、ほんとに〜?助かるよ。わたしゆうべも遅くまで遊びに付き合わされて、もう
へとへと〜。」
「まったくだメポ〜。いい加減にして欲しいメポ〜。」
「…え、で、でもポポ…。」喜ぶなぎさとメップルだが、ポルンはちょっと躊躇する。
なぜかこいつはなぎさにはなつくのに、ほのかにはそうでもない。それもほのかには
気に入らなかった。
「ね、いいでしょ?ポルンちゃん。」あくまでやさしさを装い、腐れ淫獣をそっと抱く。
「それが良いミポ。今夜はミップルが遊んであげるミポ。」
ミップルが声をかけたおかげで、やっとポルンもその気になってくれたようだ。
ポルンを抱いて帰る道すがら、アカネに会った。
「あ、アカネさん。」
「あれ、今日は一人?」
「え、ええ、なぎさは部活で。」
「そのぬいぐるみ、よっぽど好きなんだね。」ポルンに気づいたアカネが言う。
「え、ええ。あ、あのわたし急いでますから。」あわてて駆けていくほのか。
「照れちゃって可愛いねえ。」何も知らないアカネは笑って言った。ほのかが何を考えてる
かも知らずに。
「ほんとにウザイわね、あの女。淫獣の次はやっぱりあいつね。」ほのかはそう考えていた。
自分の部屋に戻ったほのかは、ポルンを床に置いて、やさしく言った。
「さあ、何して遊びましょうか。」
「でもあんまりうるさくするとおばあさんが…。」淫獣形態になったミップルが言う。
「大丈夫よ。おばあちゃまは今晩お出かけなの。一晩中騒いでも大丈夫よ。」
「やったポポ〜!」
「良かったねミポ」
「いろいろ楽しく遊べそう」ほのかはそう言いながら机の引き出しを開けて、中のものをみて
ニヤッと笑った。
カッターや、機械を分解して遊ぶためのドライバ等の工具、動物を解剖するためのメス等が
並んでいる。棚には塩酸や硫酸などの薬品もある。
「本当に楽しめそうね」
つづく
.
- 90 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/11(月) 21:14 [ UWa2lCzI ]
- 【虐殺スレ2・◆krsRF/LAnQ氏(前フリのみ):マッドほのかSS】
仮題「×××でお世話大作戦」。残酷表現が出る手前までの部分転載。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1094366560/301-302
虐殺スレに投下されたSSだが珍しく虐待よりほのかの描写に力が入っている作品。
雪城ほのか──清楚で婉麗、閑雅な佇まい、大人びた芯の強さと屈託のない幼い母性。
しかしそれは、すべて計算された彼女自らのキャラ作りだった。
なんてったって、頭脳明晰、実家は金持ち、女王サマよ(蘊蓄の)!
黒を通り越してもはや闇黒に浸かったほのかのビジュアルイメージはまさに↓
…第20話より毒姐ほのか ttp://in.vis.ne.jp/pc2/src/1097481800374.jpg
このNMR(日本マッドサイエンティスト連盟)幹部にでもなれそうな性悪ほのかの所業の、
つづきが読みたい方は>>84のリンク先へゴー
- 91 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:05 [ Y6fOkMbo ]
- ( ゚Д゚)<ふたなり注意報
- 92 名前:エロパロスレ・フリチラ氏/特殊ネタ - 体育祭(SS抜粋) 投稿日:2004/10/12(火) 22:08 [ Y6fOkMbo ]
- >>81の
>友華「美墨さんも、このあとお色気借り物競争があるんでしょう?体育祭の運営管理者は
> 曲者が多くて、とんでもない物を借りて来いっていうから、気をつけるのよ」
を承けて……
* * *
「どなたか、三十センチ以上のペニスを持った方、お見えになりませんかあ?」
カリブト競争ならぬ、借り物競争に参加したなぎさの手には、『チンポ 但し、三十センチ以下は
不可』と書かれた紙があった。そして、声を大にして『持ち物』を借りるべく、父兄の席を行ったり
来たり。
「外人じゃあるまいし、そんな大きいチンポ持ってる人なんて、いないよなあ・・・」
なぎさが探すも父兄は皆、縮こまりながら股間を抑えているだけ。誰一人、三十センチ強を謳う
者は現れなかった。しかし、なぎさはあきらめない。彼女はいつだって前張り・・・じゃなくって前
向きなのだ。
「太いチンポをお持ちの方、いませんかあ?くそう、このままじゃ負けちゃう・・・」
僅かに競技を諦めかけた時、透き通ったような素晴らしい声が、なぎさの元へ届いた。
「わたしが──」
そう言って手を上げて現れたのは、なぎさの大親友ほのか。しかも、借り物を示すかのように、
ハーフパンツを脱ぎ捨てて、反り返らせた男根をいきり勃たせているではないか。そのサイズ、
ゆうに三十センチは超えており、まるでお歳暮で貰う、高級ハムセットのボンレスハムって感じだ。
「ほのか」
「いこう、なぎさ」
ふたなりプリキュアの両名は互いに手を取り合い、グラウンドへ駆けていく。美しい──本当に美
しい青春のひとコマである。
「勃起してると走りにくくない?」
「平気よ。さあ、なぎさ、ゴールテープを一緒に切りましょう」
ボーイッシュで活発ななぎさが、陽根を剥き出しにしたほのかの手を引き、ゴールを目指す。この
倒錯的な光景は、競技を見守る生徒たちは言うに及ばず、居並ぶ父兄たちの目も奪った。ふたなり
美少女──この類まれな素質を持ったほのかの艶姿に、当たり前の如く心を奪われたのである。
.
- 93 名前:( ゚Д゚)<ヤベーゼ 投稿日:2004/10/12(火) 22:09 [ Y6fOkMbo ]
- 【エロパロスレ・フリチラ氏/特殊ネタ - 体育祭(SS抜粋)】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1075836650/592
( ゚Д゚)<何食ってたら
( ゚Д゚)<こういうの思い付くんでしょうか
( ゚Д゚)<ねえ
- 94 名前:ハァハァスレ7-586氏:小ネタSS 投稿日:2004/10/12(火) 22:11 [ Y6fOkMbo ]
- .
──第35話、支倉の誘いを断わりきれず
山へ栗拾いに出かけるなぎさだったが……
ふたりで栗拾い中、襲ってきたジュナの竜巻で吹き飛ばされるなぎさと支倉。
下敷きになってなぎさの重みを感じて「らっき〜」と思った支倉だったが、
眼前にはなぎさの足・・・ダメージと香りで悶絶。
「今よ!」 支倉が気絶した隙に変身してジュナを追っ払うほのか&なぎさ。
気づいた支倉:「ごめん。俺、足のクサい子はちょっと・・・」
なぎさ:Σ(゚д゚|||)ガーン
傷ついたなぎさを慰めるほのか
な:「やっぱり、足がクサい女の子なんか、もてるわけないんだよね」
ほ:「そんなことないわよ。体臭には異性を惹きつけるフェロモンが含まれて
いるの。フェチズムの中でもニオイに興奮する人は多いわ。藤村くんだって
小学生の頃は何日も同じ服着て汗のニオイ嗅いで喜んでたもの」
な:「藤P先輩が?嘘よね? そういや、こないだ体育の時に靴下がなくなった
のもひょっとして変態さんが盗んだの? やだぁ〜」
ほ:(ぎくっ)「そ、そんなこともないんじゃないかな、あはは…」
その頃の男子部
木俣:「どうだったんだよ、美墨さんとの栗拾いデートは?」
支倉:「それが、雰囲気は良かったんだけど、あの子ちょっと足くさすぎで萎え
ちゃったんですよ…」
藤P:(足くさいのか・・・ズキっときたぜ! こいつは何もわかっちゃいないな)
.
- 95 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:12 [ Y6fOkMbo ]
- 【ハァハァスレ7-586氏:小ネタSS】
仮題「恋の予兆」。第七ハァハァスレより586氏のネタレスを転載。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/anime/1093087225/586
支倉が、ほんのちょっとしか目にしなかったはずのブラックに心変りするというよりも、
匂いに幻滅して想いが立ち消えになるという、このSSの方が、本編より説得力があるかも。
そして他方では、実は匂いフェチだった藤村のなぎさへの恋心が密かに動きはじめる……
8話爾来のなぎさ靴下ネタを知っている誰しもが予期し得なかった展開。
- 96 名前:百合萌えスレ2より・137-138(203氏):百合SS(1/2) 投稿日:2004/10/13(水) 02:18 [ EfcXvQno ]
- .
台風に乗じ現れたジュナによって攻撃を受ける雪城邸。
台風の影響で美墨邸に身を寄せていたほのかだったが、メポミポポポにより異変を察知し
なぎさとともに雪城邸へ取って返したのだが・・・
ほのか「!?おばあちゃまは?!」そこにあるはずのさなえの姿がない
ジュナ「何をお探しかなお嬢さん?」
なぎさ「!!またあなたなの?!」
ほ「おばあちゃまは?!おばあちゃまを何処へやったの!!??」
ジュ「知らんなあ、それより石はどこだ!」
ほ「よくも、よくもおばあちゃまを・・・もうあなたは絶対に許さない!」
な「いくよ!ほのか!」 ほ「うん!」
なほ「デュアルオーロラウェーブ!!」
(中略)
ブラック&ホワイト「プリキュアレインボーストーム!!」
ジュ「くそ、撤退だ!」
敵はなんとか退けたが、さなえの姿はまだ見当たらない
それに加え、ジュナとの戦闘の爪あとはあまりにも大きく、付近一帯は床上まで浸水、
二人は雪城邸に取り残されてしまった。
ほ「おばあちゃまが、おばあちゃまが・・・」
さなえが未だ姿を現さないことにうろたえ、ついには泣き出してしまうほのか
な「大丈夫だよ、ほのか。おばあちゃんって普段からしっかりした人じゃない。
きっとどこかに避難してるんだって。」
ほ「うううう」
な「・・・」掛ける言葉がなくなるなぎさ
が、なんとかほのかを安心させようとおどけてみせる
な「せっかくあいつ追い払ったのに、雨全然止まないね、あーあ、降ってくるのが全部チョコ
だったらいいのに」
ほ「・・・」
な「はぁお腹すいたなぁ。鶏肉は取りにくい、みたらし団子を見たらしい、な〜んちゃって。
どお?おもしろい?」
ほ「・・・」
な「もお服びちょびちょ〜、よーし誰も見てないし上だけでもぬいじゃえ。ほのかも脱いだら?
風邪引くよ、ほら肌くっつけると暖かいよ、暖め合いっこしようよ」
ほ「・・・(チラ)」
な「あーうつむいて泣いてる振りして今チラッとこっちみたでしょ〜
残念でしたー脱ぐわけないじゃん。
普段は清純そうなのにほんとはエロエロなんですね、雪城さんは(笑)」
ほ「・・・」
な「・・・ねえ、ほのか、もう泣かないでよ。
ほら、ほのかが泣いてたら、あ、あたじばで泣きぞ・・゜・(つД`)・゜・」
ほ「・・・・・ぷ、クスクス、あはははは」
- 97 名前:百合萌えスレ2より・137-138(203氏):百合SS(2/2) 投稿日:2004/10/13(水) 02:19 [ EfcXvQno ]
- .
な「!?ほ、ほのかっ!?どうしちゃったの?!」
ほ「どうもこうも、なぎさってば、相変らず食べ物のことと駄洒落なんだからー、あはははは」
な「そ、それは、愛しのほのかお嬢様をちょっとでも元気付けようと思って・・・
でもほんとによかったー、ほのかに笑顔が戻って。」
ほ「全然よーくーなーいー、脱ぐ振りして私のこと騙したでしょ。
そんなの絶対許さないわよ。まあでもなぎさにしては良いアイディアね。
肌と肌が密着すれば保温も出来るし、気化熱で奪われる体温も少なくてすむわ。
さ、なぎさ脱いで脱いで、暖めあいましょ(はぁと)」
な「さすが科学部で学年一の秀才で薀蓄女王、って今、さらっとあたしのこと馬鹿にした
でしょ!?
え、あ、ちょ、ちょっと、ほのか、いつの間にボタンはずしたの?!おばあちゃんが
帰ってきたら・・・」
ほ「そんなの関係ないもーん、なんせ私はエロエロですもんねー」
手馴れた手つきであっと言う間に服を脱がせたほのかは、
いつの間にか一糸纏わぬ姿になったその体で、なぎさを余すところなく包み込んだ
な(こんなのありえなーい、でも、あぁ、ほのかの肌白くてすべすべ・・・
胸もマシュマロみたいにやわらかいなぁ、それにいい匂い、あぁぁ、きもちいぃ、
とろけそう・・・)
ほ「あー!」
な「ん!?」
ほ「なぎさの靴下ほんとに臭ーい」
な「うそっ、いつの間に靴下まで・・・あーん、あれは冗談のつもりだったのにー」
・・・・・・
そこへ何も知らない者が一人・・・
さなえ「ただいま〜ほのかー?帰ってるの?
いやーこんなときは外にでるもんじゃありませんねえ、
帰り道死ぬかと思・・・・!!!!」
おわり
- 98 名前:( ゚Д゚)ノ 投稿日:2004/10/13(水) 02:21 [ EfcXvQno ]
- 【百合萌えスレ2より・137-138(203氏):百合SS】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1097251307/137-138
基本的にお終いまで展開が見通された上で書かれているようなので
読後感がすっきりしている203氏の作品。このSSも然り。
台風に乗じたジュナの急襲で雪城家は床上浸水、そこに残された二人は……
というお話。ほのかを励ますためのなぎさの食い物駄洒落に、思わず笑うほのか、
そして服を脱ぐ振りをしてかるくほのかを引っ掛けようとしたなぎさが
マジにほのかに脱がされてしまうという展開の、構想の精巧は見事。
- 99 名前:833@ 投稿日:2004/10/13(水) 19:31 [ oJFrM19A ]
- 百合スレからやってみたものですがSSはこちらに落としてもよろしいのでしょうか?
しかし百合ものばっかり書くわけだしなぁ…。そこらへんは自己判断でよろしいのですかね?
- 100 名前:( ゚Д゚)ノ 投稿日:2004/10/13(水) 20:45 [ EfcXvQno ]
- ( ゚Д゚)<百合萌えさん
( ゚Д゚)<イラッシャイマセ
ん、今のところ転載ばかりですが、元の趣旨はプリキュア小説を綴るスレですから
小説を落されることにためらう必要はないです。ただここへ投下するだけでは
多くの感想をもらうことは覚束ないので、さらに関連スレにリンクを貼ったりと、
複数のスレを巧く活用してお披露目した方がよいのは、言うも疎かと思います。
或いはまた、あまりに趣味的なSSになってしまって気がとがめるようなら、
例えば百合SSなら、他にも旧百合スレを用いて披露するのも一つの手かもしれません。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/1261/1086257122/l50
…私からは以上です。結局のところそれぞれのSS書きさんが各自中庸をさぐりながら
云為するのに、差し出口をする謂れは自分にはまったくないと存じます。
SS書きとしての883氏の今後のご清栄を祈ります。
- 101 名前:プリキュアSS作品INDEX_1-100(1/2) 投稿日:2004/10/13(水) 21:10 [ EfcXvQno ]
- .
【リリックSS「ありったけの笑顔」】 >>2
作者:小説スレの2氏
【百合SS「秋の席替え」*リメイク】 >>10-11
作者:旧百合スレより249-250(203氏)
【ネタSS「結城玄武 VS 雪城さなえ」】 >>15(修整版>>33)
作者:ハァハァスレ7より493氏
【ネタSS「なぎさ&ほのかの☆ゆんゆん電波発信局☆ #01(前編)】 >>17
作者:小説スレの17氏
【百合SS「はじめての○○○」】 >>20
作者:旧百合スレより322(203氏)
【ネタSS「最萌準決勝前夜」】 >>22
作者:黒スレ2より524氏+白スレ1より968氏
【百合SS「ほの×しほ」】 >>24-28(リメイク版>>29-30)
作者:小説スレの24氏
【ネタSS「紅原真理の奸謀」】 >>35
作者:本スレ116より477氏
【なぎさ誕生日話シノプシス】 >>38
作者:黒スレ1より416氏
【百合SS「本当の気持ち」】 >>40-45
作者:百合萌えスレ1より167ほか(203氏)
【おまけ 仮エピローグ「本当の気持ち」】 >>46
作者:黒スレ1より533氏
【ネタ系百合SS「空しき予知」(変則転載)】 >>48
作者:百合萌えスレ1より67氏、黒スレ2より552氏・553氏・559氏
【百合SS「大切な出会い」】 >>52
作者:百合萌えスレ1より321氏
- 102 名前:プリキュアSS作品INDEX_1-100(2/2) 投稿日:2004/10/13(水) 21:11 [ EfcXvQno ]
- .
【百合SS「試験前夜」】 >>55
作者:百合萌えスレ1より645ほか(883氏)
【百合SS「刺された場所は」】 >>57
作者:百合萌えスレ1より605(203氏)
【キリヤSS「どうして?」】 >>59
作者:本スレ116の922氏
【ネタSS「白黒対決! キュア・フリック・バトル」】 >>61-64
作者:小説スレの61氏
【虐殺SS「電波淫獣的スワンの旅」】 >>66-67
作者:虐殺スレ2より63氏
【ネタSS「脳内笑っていいとも」】 >>70-72
作者:雑談スレより1072氏
【エロパロSS「18話」(前フリのみ)】 >>74-76
作者:エロパロスレ1よりうーん…氏
【エロパロSS「サブキャラ祭」(前フリのみ)】 >>77-79
作者:エロパロスレ1より総集編氏
【エロパロSS「体育祭」(前フリのみ)】 >>80-81
【ふたなりネタ「お色気借り物競争」(SS抜粋)】 >>92
作者:エロパロスレ1よりフリチラ氏
【虐殺SS「×××でお世話大作戦」(前フリのみ)】 >>88-89
作者:虐殺スレ2より◆krsRF/LAnQ氏
【ネタSS「恋の予兆」】 >>94
作者:ハァハァスレ7より586氏
【百合SS「床上浸水」】 >>96-97
作者:百合萌えスレ2より137-138(203氏)
※以上25作品、題名はほとんど便宜的な仮タイトルです
- 103 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/13(水) 21:23 [ EfcXvQno ]
- ( ゚Д゚)<ありゃ
( ゚Д゚)<凡ミス発見
( ゚Д゚)<十月十日というのは十月三日の間違い >61
( ゚Д゚)<オオウ
( ゚Д゚)<ナーンテコッタ
- 104 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/14(木) 14:02 [ kpCexVAo ]
- 乙です、自分も近々ゆんゆんの後編落としますm(__)m
- 105 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/14(木) 14:25 [ kpCexVAo ]
- なぎさ&ほのかの
☆ゆんゆん電波発信局☆ #01(後編)
なぎさ(以下,な) 「こんばんわ〜もう歯磨きは終わったかな?
貴方の耳の恋人なぎさと」
ほのか(以下,ほ) 「同じく貴方の耳の恋人ほのかのゆんゆん♥電波発信局、
後半もまだまだ寝かせませんよ!」
な 「今日のBGMは雨のち天晴れだよ」
ほ 「雨のち天晴れも収録されたDUARVOCALWAVEは
現在好評発売中♥」
な 「皆、ちゃ〜んと買うのよ!」
ほ 「なぎさ、じゃあ今日最後のお便りをお願い!」
な 「OKほのか、ラジオネームバトルレンジャー10才からのお便りだよ。
バトルレンジャー好きなのかな?私も大好きだよ!
ほのかさん聞いてください。
僕には気の強い姉が居るんですけど何かにつけてすぐ
僕の事を虐めてきて困っています。
おまけに独り言も多いし足も臭いし…。
暗い気分を吹き飛ばす曲をお願いします。
あははは…た、大変ね…
(亮太…帰ったらただじゃすませないわよ!)」
ほ 「独り言が多い人は精神的に疲れてるケースも多いわ、
きっと貴方と同じ様に気分も暗くなってるかもしれない。
お姉さんと一緒にこの曲を聴いて仲直りしてね」
な 「ジェットコースターなM☆M」
〜〜〜ジェットコースターなM☆M〜〜〜
ほ 「きっとお姉さんも貴方の事を本当は大事に思ってるわ」
な 「ほのか…///」
な 「さて、今日はここまで!」
ほ 「明日に備えて、今日はそろそろ寝なきゃ駄目ですよ?」
な 「また次回も聞いてくれるよね?」
ほ 「皆さんからのおたよりも待ってます♥」
な&ほ 「なぎさ&ほのかのゆんゆん♥電波発信局!
また聴いてくれなきゃ絶対許さな〜い♥」
- 106 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/14(木) 14:52 [ kpCexVAo ]
- ザザザ…ピーーーーーーーーーー
(ラジオにノイズが入る。ゆんゆんの後このチャンネルでは何の番組もやってない為)
・・・
・・・・・・
♪♪♪♪♪〜…(と、突然DARKNESSが流れ出す!)
ピーサード(以下,ピ) 「はっはっはっはっは!このチャンネルは俺たちが乗っ取った!」
ポイズニー(以下,ポ) 「ウフフフフ…まだまだ寝かせてあげないわよ〜♥」
ピ 「貴様等の耳の支配者、ピーサードと!」
ポ 「同じくあんた達の耳の支配者、ポイズニーの!」
ピ&ポ 「「バリバリ★毒電波発信局!」」 (声バラバラ)
ポ 「ちょっと!あんたちゃんと合わせなさいよ!」
ピ 「お前がズレてるんだ、ちゃんと合わせろ!」
(バックから僅かに聞こえる声…)
キリヤ(以下,キ) 「イルクーボ、あの二人に任せて大丈夫?」
イルクーボ(以下,イ) 「不安だ…」
ゲキドラーゴ(以下,ゲ) 「俺、帰っていいか?」
ポ 「最初のコーナーはおいでませ!ドツクゾーンよ」
ピ 「布教活動とも言うか」
ポ 「ドツクゾーンの観光スポットやお土産品を紹介するわ」
ピ 「ろくなものは無いけれdむぐぐ」
ポ 「ちょっとちょっと、なんで営業妨害すんのよ!」
ピ 「今日は和菓子の紹介だぞ」
ポ 「なんでドツクゾーンに和菓子があるかとか突っ込んじゃ駄目よ」
ピ 「問い合わせられても答えかねるから投書しない事」
キ 「投書も何もドツクゾーンに配達できる郵便屋なんて居ないだろ」
イ 「キリヤ、お前もいちいち突っ込むんじゃない」
キ 「はいはい」
イ 「はいは一回」
キ 「ち…は〜い〜〜〜わ〜か〜り〜ま〜し〜た〜〜〜」
ポ 「今日紹介する和菓子はこのゴメンナーまんよ」
ピ 「ゴメンナーの形をした人形焼みたいなお菓子だ」
ポ 「ぷ○まんのパクリだとか言っちゃ駄目よ」
ピ 「工場のメカザケンナーで作られているので衛生管理もバッチリ」
ポ 「つぶあん、こしあん、しろあん、うぐいすあんの4種類が楽しめちゃうの」
ピ 「あんも勿論かわも美味しいからきっと満足頂ける一品」
ポ 「箱入りから個売りまでしてるわよ」
ピ 「一個105円(税込み)、箱詰の場合箱代と包装代はサービス」
ポ 「これは食べなきゃ損じゃな〜い?」
ピ 「ところでなんだかテレフォンショッピングみたいになってないか?」
キ 「まったくだよ、何やってんだ姉さん」
イ 「ポイズニーが心配か」
キ 「そ、そんなんじゃないよっ!フン…///」
ポ 「一旦CMよ」
ピ 「チャンネルはそのままだ!」
- 107 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/14(木) 14:57 [ kpCexVAo ]
- といきなり変な番組続けさせてみました(笑
タイトル:ピーサード&ポイズニーのバリバリ★毒電波発信局
まともなラジオ番組には勿論なりません。
あと後ろからたまに声が聞こえるのでボリューム大きめにして
聴くのをお奨めします。
後半はまた今度書きます、ゆんゆんもまた#2書きたいと思ってます。
- 108 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/14(木) 21:53 [ puO.jhxI ]
- ( ゚Д゚)<ヨシャー
( ゚Д゚)<ハシタにせず続編執筆とは天晴れ
…亮太が匿名でなぎさの暴力や独り言に苦言するのを
ほのかが取り持ってうまくおさめるというのは
なぎさと亮太の姉弟に対するほのかの眼差しを
なるほどそれらしく示しているようで上手いですねえ
ピーサードとポイ姐の毒電波の方は…こいつぁヤベー
余談だが ぷ○まんネタって分かる人あまり多くないのでは
俺は分ったけど
ィェーィ
- 109 名前:833@ 投稿日:2004/10/15(金) 00:31 [ kmVOqPak ]
- それはある晴れた日曜日の朝の出来事だった。
母「なぎさ。ほら、起きなさい!なぎさ!」
な「ん…ん。どうしたの?お母さん?」
母「あのねなぎさ。今電話があったんだけど田舎のお祖母ちゃんが倒れたんだって。」
な「え!?それで…、大丈夫なの?」
母「うん、命に別状は無いらしいんだけど、それでお母さん、お父さんと一緒にお見舞いに行くから。」
な「ああ、うん、わかった。」
母「それで…一週間くらい居ないんだけど大丈夫?」
な「うんうん大丈夫大丈夫。」
母「そう。それじゃあお金は置いておくから亮太のこと頼むわよ。何かあったら携帯に電話してね。」
な「うん。任せておいてよ。」
母「じゃあそろそろ行かなきゃいけないから。」
な「は〜い。行ってらっしゃい。」
バタン
な「一週間亮太と二人かぁ……。」
り「姉ちゃん、僕気が重いよ。一週間ずっと食事が出前とレトルトかと思うと。」
な「亮太!あんたって奴は!!」
ガシッ
必殺技であるコブラツイストが炸裂した!!
な「いつもいつもノックをしなさいと言ってるでしょ!!大体今さり気なく失礼なこと言ったでしょ!!」
り「痛い痛い!!ギブギブギブ!!」
なぎさはその後休日の午前練習へと向かった。
ほ「なぎさ〜。部活終わった?」
な「あ、うん。もうちょいかな…。」
ほ「じゃあ正門で待ってるわね。」
な「うん。」
莉「相変わらず仲良いのね〜。なぎさと雪城さん。」
志「ほんとほんとほんと。見てるこっちが恥ずかしくなるくらい。」
な「なぁにそれ?」
莉「別に〜。」
志「何でもないよね〜。」
な「変なの…。」
練習終了後…。
な「お待たせ、ほのか。」
ほ「ううん、じゃあ行こうか?」
な「今日はどこ行く?」
ほ「昨日はたこ焼き食べたし今日はチョコパフェなんかどう?」
な「よし決まり!!早速行こう!!」
ほ「うん。」
笑顔で喫茶店へと向かう二人。
喫茶店にて…。
ほ「へぇ〜。じゃあ一週間亮太君と二人きりなんだ〜。」
な「なんか言い方が厭らしいよほのか…。」
ほ「ふふふ、冗談。」
な「でも実際不安なんだよね〜。」
ほ「え?」
な「掃除とか洗濯とか……。普段お母さんがやってくれたこと全部自分でやんなきゃいけないから。」
ほ「……………。」
な「亮太の奴ったらそれで酷いこと言うのよ。晩御飯は全部出前かレトルトが良い。なんてさ。馬鹿にしてる
よね。」
ほ「ふふふ。」
な「笑い事じゃないわよ。ほのか。」
ほ「ごめんね。でもなぎさは羨ましいよ。とっても仲良さそうだもん。」
な「そ〜お?」
ほ「うん。」
な「まぁ、どっちにしろ今日から一週間憂鬱だよ〜。」
ほ「……………。」
ここでほのかが暫く黙って考え込みそして意を決したように言った。
ほ「なぎさ。私が一週間なぎさの家に泊まろうか?」
な「はい?」
ほ「だからさ。なぎさのご両親が帰って来るまでの間さ、私がなぎさの家でお手伝いするよ。」
な「えええ!?ダメよそんなの。ほのかに迷惑かけたくないし。」
ほ「私なら大丈夫よ。きっとおばあちゃまも一週間くらいだったら許してくれるわ。」
な「でも…。そんなの……。」
ほ「大丈夫よ。ね、いいでしょなぎさ?ね?」
上目遣いでなぎさの顔を見つめるほのか。
な(う……。か……可愛すぎる……。)
ほ「ね?」
な「う…うん。」
ほ「じゃあ決まり。早速荷物持ってなぎさの家に行くね。」
な「あ…。ほのか!」
ほのかの姿は既にその場から消えていた……。
な「は…速い……。」
数時間後……。
ピンポーン。
な「あ、ほのか、いらっしゃい。」
ほ「こんにちは。不束者ですがよろしくお願いします。」
な「新婚さんの挨拶じゃないんだからさぁ…。」
ほ「ふふふ、これから一週間よろしくね、なぎさ。」
り「ああ!!ほのかさんだぁ!!」
ほ「こんにちは。」
り「こ…こんにちは……。」
な「亮太、私に感謝しなさいよ。なんとほのかが一週間家に泊まって色々お手伝いしてくれるのよ。」
り「ええ?本当ですか?」
ほ「ええ。」
り「ワーイ。ヤッター!!これで姉ちゃんのご飯を食べないで済むぞ!!」
な「亮太〜〜!!それはどういう意味かしら〜。」
り「げ……。ぎゃ〜〜〜〜〜!!!!!」
というわけでほのかと亮太となぎさの三人による生活が始まりました。
続く…。
- 110 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/15(金) 02:48 [ myMdmP/c ]
- 本スレで見かけた小ネタが忘れられなくてつい
作ってしまった替え歌。
セクシー・エクササイズ
ドツクの 騎士様は マント ひらひら
ククククって 顔をして 水上疾走
きーっと だんだんに イケメンに なってく
自分だけの 世界に 浸ってる
顔 だけじゃ ダ・メ・だけど
力 だけじゃ メ・ダ・でない
これからの 騎士って ヒュッヒュー ヒューヒュー
隈取まで そろって 一丁前
※
お前 お前って カブキー!カブキー!
私 私って カブキー?カブキー!?
誰が なーんて 言ったって
これが 人気の 秘訣 秘訣 秘訣 技!!
ドツクの お姉さんは 指を パチパチ
アッハッハハって 口をして 七変化
きーっと ドツクの子は 一人 残らず
自分こそが 一番って 思ってる
運と 度胸は み・と・めるわ
だけど それじゃ ダ・メ・なのよ
ドツクの 姉御って ヒュッヒュー ヒューヒュー
そのへん しっかり 知っている
私 私って セクシー!セクシー!
私 私って セクシー!セクシー!
美人ー ついでに 本音だって
ぶちま けて さっぱり さっぱり さっぱり しよーっ!!
※ REFRAIN
秘訣 秘訣 秘訣 技!!
- 111 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/15(金) 02:54 [ myMdmP/c ]
- アッハッハハって
↓
アハッハハって
訂正しておきます;
- 112 名前:833@ 投稿日:2004/10/16(土) 01:05 [ RDow/9nE ]
- 109の続きを落とさせて頂きます。
ほ「なぎさ〜。今日の晩御飯はカレーライスにしようと思うんだけど……。」
な「ああ、いいね。華麗にカレーを作りましょう。……なんちゃって。」
ほ「と…とりあえず台所借りたいんだけど……。」
な「ああ、うんうん。私も手伝うよ。」
ほ「ありがと。」
夕食の準備を始めることになった二人。
ほ「包丁が二本あるからまずは材料切っちゃいましょ。私が皮剥くからなぎさは切る係ね。」
な「うん、どーんと任せてよ!」
ほのかが袋からジャガイモを取り出し皮を剥き始め、なぎさは豚肉を切り始める。
ほのかは手際良くジャガイモの皮を次から次へとあっという間に剥いていく。
な「はぁ〜〜。凄いねほのか。」
ほ「慣れてるからね。」
な「よ〜し、私も頑張るぞ。」
なぎさが豚肉を切り始める。
な「ぐ……。き……切れない……。って痛!!」
包丁で人差し指を切ってしまった…。
な「い…痛い……。」
ほ「なぎさ!大丈夫!?」
な「ぎゃああ!!血が…血が……。」
ほ「お…落ち着いてなぎさ。大丈夫。」
な「血が〜〜。血が〜〜〜。」
ほ「もう……。仕方無いな……。」
右往左往するなぎさの人差し指をほのかがカプと口に銜える。
な「ほ……ほのか?」
一心不乱になぎさの指の血を吸い続けるほのか。なぎさは動けない、ただじっとしている。
ようやくほのかの口が離れた。時間にしてわずか数秒だがなぎさには何時間にも感じられた。
ほ「どう……?……落ち着いた?」
俯きながら顔を赤くしてほのかが尋ねる。
ほ「だって…、なぎさが落ち着いてくれないんだもん……。」
なぎさが何か言ったわけではないのだがなぜかほのかがそんなこと言った。
な「ほのか……、顔…赤いよ……。」
なぎさは無関係の方向を見ながらそんなことを言う。
ほ「な…なぎさこそ……。」
ほのかも俯いたままそんなことを言う。
ほ「と…とりあえず消毒したほうがいいよ。」
な「そ…。そうだね。ちょっと消毒してくるね。」
なぎさはそのまま駆け足で消毒液のある洗面所へと向かう。
ガサガサと引き出しの中から消毒液を取り出す。
消毒液を脱脂綿にかけそして指当てる……前に再び切った人差し指を口に銜えた。
な「……………。」
り「お姉ちゃん、何やってるの?」
な「わっ!?りょ……亮太!?」
り「何?指切っちゃったの?大丈夫?」
な「うん、大丈夫。」
り「顔赤いよ。熱あるんじゃないの?」
な「うるさいわね。大丈夫ったら大丈夫よ。」
り「なんだよ〜。人が心配してるのに……。」
な「心配無用よ。とにかくあと一時間くらいで晩御飯だからね。」
り「は〜い。ああ、楽しみだなぁ…。ほのかさんの手料理……♪」
な「おんどれ……。」
暫く人差し指を見つめて……、脱脂綿を当てて消毒し、バンドエイドを貼りなぎさは台所へと戻る。
ほ「なぎさ、大丈夫?」
な「迷惑かけました。」
ほ「ううん。じゃあ続きやろうか。」
な「私は次何やろうか?」
ほ「そうねぇ、じゃあ材料を炒めて。」
な「了解!!美墨なぎさ。汚名挽回のために頑張ります。」
ほ「汚名返上でしょ…。」
な「え…?そうだっけ?あははは……。」
ほ「じゃあよろしくね。」
な「は〜い。」
ほ「私は色々とスパイスの用意をしないと…。」
な「ス…スパイス……?(さすがほのか。本格的…)」
ジュ〜ジュ〜
初めにジャガイモだけをフライパンに入れて炒める。
な(ほのかは本当に凄いなぁ…。何でも出来ちゃうんだもん。)
そんなことを考えているうちになぎさは無意識で手を動かしだす。
な(炒めるってのは案外楽しい作業ね〜。ってん?な…なんか…)
な「熱うううううううううううううううう!!!!!」
ほ「なぎさ!どうしたの?」
な「熱!!な……なんかフライパンに触っちゃったみたいで…。」
ほ「だ…大丈夫…?ほら!すぐ冷やさないと!!」
ほのかがなぎさの右手を取り蛇口をひねる。
冷水がなぎさの右手を冷やす。
な「つ…冷たい……。」
ほ「これで…、ひとまず大丈夫。」
な「ほのか……。」
ほ「何?」
な「そ…その……。手……。」
ほ「え……?あ…!」
なぎさの右手はほのかの左手によって強く握り締められていた…。
お互いがお互いと向かい合ったまま動かない。
ほ「なぎさ……。」
な「ほのか……。」
お互いの両手を握ったまま動かない。
- 113 名前:833@ 投稿日:2004/10/16(土) 01:07 [ RDow/9nE ]
- な「なんか……、焦げ臭くない?」
ほ「あれ…、そういえば……。ってキャアアアアアア!!!!」
な「どうしたのほのか?ってうわあああ!!!」
ボオオオオオオオ!ジャガイモの入ったフライパンが火を噴いていた。
な「どどどどどどど…どうしよ〜〜〜。とにかく水水水!!」
ほ「なぎさ!!消火器貸して!!」
な「ああ、え〜〜〜と、ああ!!あった!はい!」
ほのかがなぎさから消火器を受け取り手際よく噴射する。
プシュウウウウウウ
ほ「ふぅ……。」
な「ほのか〜。わざわざ消火器なんか使わなくても水入れれば良かったんじゃないの?」
ほ「ダメよ。そんなことしたら水蒸気爆発が発生してもっと酷いことになるところだったわ。」
な「え……そうだったの?」
ほ「うん。」
な「あ…危なかった……。」
二人とも心臓がバクバク鳴っているようだ。もっとも原因は何なのかはわからそうだが…。
ほ「とりあえず片付けましょう。」
な「そ〜ね。」
半ば燃え尽きてしまったなぎさが力無く言う。
数十分の時間を費やして二人は台所を片付ける。そこへ腹を空かせた弟亮太がやって来る。
り「お姉ちゃん。あとどれくらいかかりそう?」
な「まだまだかかるわよ〜。」
ほ「ごめんね。亮太君。もう少しだけ待って欲しいの。」
り「は〜い。」
な「なんかほのかの言うことにはやけに素直ね……。」
更に時間を費やしてようやく片付けが終わった。
な「ほのか〜、私どうすればいいかな〜?」
ほ「じゃあなぎさはご飯を炊いてくれる……かな?」
な「うん、それだったらほのかに迷惑かけないもんね。」
すっかり元気を無くしてしまったようだ。
ほ「とりあえず……。後は任せて!」
親指を立ててなぎさの方を向き直り笑顔を浮かべるほのか。
どこから取り出したのかその額には必勝と書かれたはちまきが……。
それから一時間後。
ほ「ごめんね亮太君。待った…?」
り「いえ全然。さぁ食べましょう、ほのかさん。」
な「そうね。もう腹ペコだわ……。」
というわけで三人での夕食が始まった。
り「ほのかさん。このカレー凄くおいしいです。」
な「うん、さっすがほのか。ムチャクチャ美味しいよ。」
ほ「ふふふ、三種類のスパイスを入れた自信作よ。」
ほのかは自信満々に言ったが目の前の二人はそんなことを聞かずにカレーを食べることに夢中だった。
り「おかわりしよ〜っと。」
な「私も〜。」
ほ「たくさん作ったからどんどん食べてね。」
いつもより少し遅い食事はいつもより賑やかな食事だった。
- 114 名前:833@ 投稿日:2004/10/16(土) 01:08 [ RDow/9nE ]
- ほ「なぎさ。洗い物なら私がするのに…。」
な「大丈夫。それにあと少しだから。」
と一本のスプーンが落ちた。
な「あっと…。いけない……。」
な・ほ「あ……。」
が次の瞬間ほのかとなぎさが全く同じタイミングで落ちたスプーンに手をかけていた。
な・ほ「……………。」
ほのかがスプーンを持ってなぎさに手渡す。
ほ「はい、なぎさ。」
な「あ…。ありがと…。ほのか。」
案の定二人とも顔が赤くなっているのだが何も言わない。
な「ほ…、ほのか先にお風呂入ってきなよ。私後で入るから。」
ほ「う…うん。じゃあそうするね。」
慌てて駆け出すほのか。
ほ「あうっ」
途中で何かに躓いた。
ほ「ふぅ、良いお湯だった。」
な「あ、ほのかお風呂出たんだ。」
ほ「亮太君は?」
な「ああ、あいつはガキだからもう寝ちゃったわ。まだまだ子供ね。」
ほ「私達も子供だけどね。」
な「まあね〜。」
ほ「なぎさはお風呂これから?」
な「うん。」
ほ「じゃあ私待ってるね。」
な「え…。そんな別に先に寝てていいのに……。」
ほ「ううん、いいよ。」
な「わかった。」
でなぎさがお風呂に入り出る。時間にして20分ほど経過。
な「ぷは〜。いい湯だったわ〜。」
ほ「なぎさ。親父臭いわよ。」
な「そう?」
ほ「お風呂上りにお茶入れておいたよ。」
な「あ…ありがと…。」
数時間前に食事をした机に二人で向かい合いお茶を啜る。
な「おいしいね〜。」
ほ「そうね。」
な「ほのかは本当に凄いな〜。お茶まで上手に入れられる。」
ほ「それも慣れてるから……。」
な「そう?」
ほ「そうよ。」
暫くの間二人は机を挟んで話し込んでいた。
な「そろそろ寝ようか。ほのかの布団だけど、お母さんの持ってきたよ。」
ほ「そんな…わざわざ?」
な「ううん、気にしないで。私の部屋に敷いておいたから。」
ほ「うんありがとう。それじゃあそろそろ寝ようか。」
な「うん。明日は学校あるしね。」
ほ「それじゃあ行きましょう。」
な「うん。」
パチンと電気を落としてなぎさの部屋へと向かう二人。
な「それじゃあお休み。」
ほ「うん。お休みなさい。」
こうして三人の生活の第一日目は終了した。
- 115 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/16(土) 01:56 [ joDW5GHI ]
- >833@
ご飯10杯いける(*´Д`)/ヽァ/ヽァ
- 116 名前:( ゚Д゚)<ネギー 投稿日:2004/10/16(土) 02:34 [ 4H11LPdI ]
- ( ゚Д゚)<みなさまGJ
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<833@氏のは
( ゚Д゚)<“ほの→なぎ”だけじゃなくて“なぎ→ほの”
( ゚Д゚)<でもあるんですねえ
( ゚Д゚)<「なぎさは傷口を消毒する……前に、切った人差し指を再び口に銜えた」
( ゚Д゚)<ネギー
( ゚Д゚)<淫してます
( ゚Д゚)<淫してこそSS
- 117 名前:59 投稿日:2004/10/16(土) 06:26 [ sm83C5u. ]
- あれ?百合スレの833氏のリンクからようやく入れるようになって確認してみたら…うpできてる?
ごめん、重かったんで書き込み中断したんです(涙)
きょうは休みなんで(早朝仕事はあるけど)あとでまとめてうpしますね
んで…別作品も(可能なら)きょう書き上げるつもりです。…プレイしてたゲームもクリアしたし(をい
- 118 名前:833@ 投稿日:2004/10/16(土) 09:57 [ RDow/9nE ]
- 更に続き
月曜日……。
ジリリリリリリリリリリリリリリ
時刻は朝の六時。
な「んあ〜。ほのか〜。もうこれ以上は……。限界……。」
笑顔でそんな寝言を言っているなぎさ。
ほ「一体どんな夢を見てるのかしら?」
ふふふふと笑いながらなぎさの寝顔を見つめる。
ほ「おはよう。なぎさ。」
ほのかはそのままなぎさのベットに近づいて頬に唇を当てる。
ほ「キャッ…。わ…わたし何やってんだろ…。」
顔を赤くしたままなぎさを起こさないようにこっそりと着替え部屋を出るほのか。
バタン。ほのかが部屋を出る。
意識しているかどうかはわからない。
だがなぎさが昨日怪我した人差し指を頬に当てていた……。
そして一時間経過。
な「ん……。わああ!!寝過ごした!!」
即座に飛び上がり慌てて着替えようとするなぎさ。だが制服が見当たらない。
な「あれ〜?」
急いで部屋を出てリビングへと向かう。
ほ「あ、なぎさ。おはよう。」
な「え…。あ、うん。ほのかおはよう。」
ほ「なぎさ。制服アイロンかけておいたよ。そこに置いてあるから。」
な「ん?ああ、ありがと。そうだったんだ。」
り「お姉ちゃん。起きるの遅い。寝坊ばっか。」
な「亮太、いちいち余計なことを言うんじゃない。」
ほ「まぁまぁ落ち着いて。なぎさ。今日の朝ご飯はトーストとハムエッグだから。」
チンというパンの焼けた音がした。
ほ「はい、なぎさ。」
な「ん、ありがと。」
なぎさはほのかからトーストを受け取りマーガリンとイチゴジャムをぬる。
り「ほのかさん。朝ごはんおいしいです。」
ほ「ふふふ、ありがとう。亮太君。そう言ってもらえると嬉しいわ。」
な「でもほのか?昨日のカレーは?」
ほ「カレーはもう昨日全部食べちゃったよ…。二人とも凄い食欲だったでしょ。」
な「そうだったっけ?でもあれは余りにもおいしかったからだしなぁ。」
り「そうですよ。」
り「ごちそーさまでした。」
ほ「お粗末さまでした。」
な「ありがとね〜。ほのか。朝から色々と。」
ほ「ううん、全然大丈夫よ。」
な「あ…。」
ほ「どうしたの?」
な「そろそろ出ないと危ないかも。ちょっと急いで着替えてくるね。」
ほ「じゃあ待ってるわね。」
なぎさは慌てて部屋へと戻り超スピードで着替える。
な「っと鞄忘れるところだった。」
鞄をひったくりドアを開けようとして一度立ち止まる。
な「今日の授業なんだっけな…?」
と鞄を開けて教科書の確認をする。
な「え〜と数学・英語…。あれ?準備出来てる?」
鞄の中と時間割表をつき合わせて確認するなぎさ。
な「ほのかが……。やってくれたのかな…?」
ふと人差し指に目を向けてしまうなぎさ。もうある種のくせのようにもなっている。
な「とにかく急がないと…。」
バンッ
ほ「亮太君。それじゃあ学校から帰ったら洗濯物を取り込んでおいてね。」
り「は〜い、任せておいてください!」
な「じゃあ行って来るね。ちゃんと家出るとき鍵かけるのよ。」
り「は〜い。行ってらっしゃ〜い。」
バタン
亮太を一人残し家を出るなぎさとほのか。
二人は歩いて駅へと向かう。
ほ「なぎさ?部活は今日何時ごろ終わりそう?」
な「う〜ん。いつも通り5時30分くらいかな〜。でもどうして?」
ほ「帰りにスーパーに寄って食料品とか揃えておきたいの。冷蔵庫の中も少なくなってたから。」
な「そうなんだ。わかった。じゃあ正門で待ってて。」
ほ「うん。」
その後は何気ない話をしながら二人は駅まで歩いていった。
莉「なぎさ〜。あれ?雪城さんと一緒なの?」
志「ていうかていうかていうか〜。なんか凄く裏がありそう。」
な「う…。何もないわよ。ね、ほのか?」
ほ「ええ、何も無いわ。」
莉「絶対になんかあるよ…。」
続く
- 119 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/16(土) 14:00 [ UTDQwPRg ]
- >>833氏
GJ!あんたすげぇよ、どんどん甘々展開になっていってる・・・
>「んあ〜。ほのか〜。もうこれ以上は……。限界……。」
ここのセリフとか、色々妄想させられるじゃないですかぁあ!!
なんかもうほのかとなぎさが新婚さんみたいになってるしw
いや、ありがとうございました。続きも楽しみにしています。
- 120 名前:59 投稿日:2004/10/16(土) 16:30 [ AISNfvAU ]
- もう一回上げなおします
どうして?
少年は、窓の外を眺めていた。
初夏の柔らかい日差しの中、蒼穹の空を白い雲がゆっくりと流れていく。
比較的新しい建築物であろう、時計台をシンボルマークに持つ、淡いブラウンを貴重とした西洋建築の中学校校舎、その中のごく普通の授業風景の中、彼は外を眺めていた。
「入澤君、それでは32ページの問2を…」
教師の声が彼にかけられた。それは別段彼が余所見をしていることを責めるような口調ではない。むしろ腫れ物に触るかのような、遠慮がちな声。
「(………)です」
教師の悪い予感は見事に当たった。いや、彼…入澤キリヤ…の答えが間違っていたわけではない。どちらかというと間違ってくれていたほうがまだ可愛げがあった。
キリヤはまったく微動だにすることなく、また教科書を開いて見せることもなく窓の外を眺めたまま正解を言ってのけたのだ。
全く…編入試験がトップだったか知らないが、やりにくいったら。もうちょっとデキが悪くてもいいから熱心に授業を聞いてくれる子のほうが教えがいがあるってもんだ。
教師はちらりとキリヤを一瞥すると、そう独りごちた。少年は少し青みがかかった黒髪をうなじの辺りでさっぱりと切っている。教師のほうからは見えないが、窓の外に向いている彼の顔は、理知的な切れ長の目が特徴的で、制服の着こなしも一切乱れたところのない真面目なもののはずである。
しかし彼がその思いを抱いていたのは一瞬に過ぎなかった。クラスには他にも40名の生徒がいる。いつまでもこの「成績優秀」な生徒に思いを寄せているわけにはいかない。…すなわち、彼は頭を切り替えたのである。
そんなふうに一人の罪のない教師に軽いストレスを与えたことも知らず、キリヤは空を眺めていた。…もともと彼は何か考え事をするときには空を眺める癖があるようである。たぶんに本人の他には彼の姉くらいしか知らない「癖」であろうが。
ボクは、どうしてここにいるんだろう?
その疑問は、キリヤにとっては比喩表現でもましてや小難しい哲学的設問でもなく、単なる現状に対する思いだった。光の周波数の違いによる大気の透過率のせいで眩しい青色に染まった空を白い水蒸気の塊が流れていく、その「彼がいた世界」ではありえない光景を眺めながら、彼はその理由を思い出そうとする。
- 121 名前:59 投稿日:2004/10/16(土) 16:31 [ AISNfvAU ]
- 続き
どうしてって…決まってるじゃないか。ボクはプリキュアの弱点を探るためにここにきたんじゃないか。彼らを倒してプリズムストーンを手に入れ、我がドツクゾーンに永遠をもたらすために。
キリヤは…まだ幼気の残るごく真面目な中学生にしか見えない彼は…戦士だった。それもこの世界(彼らは「虹の園」と呼んでいるが)のではない、ドツクゾーンと呼ばれる闇の支配する世界から来た、彼は戦士だった。
プリキュアの弱点を調べ、虹の園の様子を探り、石の力を確実に手にするため…だけど…
彼が感じていたのは違和感とでもいうのだろうか?いや、むしろ違和感を感じないことへの「とまどい」だったかもしれない。
彼はそっと教室の中に気をやった。相変わらずつまらない授業が続いている。
授業で知りたい新しい知識など彼には存在しなかった。虹の園の自然の摂理も法則も、その大気の中に身体を泳がせていれば肌で感じることができるし、他の雑多な知識などそもそも彼には興味そのものが無かった。
第一…どうせ滅びてしまう世界のことを知ったところで…
キリヤがそう考えてしまったことは、見方によっては不遜であったろう。しかし彼の中では虹の園が滅びるということは同時にドツクゾーンが存続することであり、そのまた逆も真であった。
そして、キリヤにとってはドツクゾーンが滅びるということはまったく考えられないことであった。 それなのに…どうしてボクはここにいるんだろう?知るべきことは知った。プリキュアの…普段は普通の少女として生活している彼女たちにも疑われずに近づくこともできた。あとはさっさと彼女たちを始末して、本来の自分に戻ればいいだけだ…なのに…。
窓の外、彼が視線を空から地上に落とすと、校舎が見えた。彼のいる男子舎と対になっているベローネ学園の女子舎である。
そこに彼女たちはいるはずだった。キリヤの「敵」である二人が、彼の本当の正体も知らぬままに。
不思議なことに、彼女たちのこと、特に黒髪の少女のことを考えるのはキリヤにとっては不快なことではなかった。むしろある種の…彼の本来持っている好奇心とも違う「興味」を刺激するものだった。敵同士だというのに…。
それこそが彼の戸惑いの原因だったかもしれない。本来戦うべき、滅ぼすべき相手。決して興味など抱いてはいけない存在。なのに…。
畜生!なんでこんなにイラつくんだっ!
雪城ほのか。彼女のことが知りたい!でも…それだけじゃない。なんていうか…知るだけなら、手に入れるだけなら、いままで他の世界でやってきたように力で蹂躙すればいい!ドツクゾーンを永遠のものとして虹の園を打ち滅ぼしたら、後は手に入らないものなど存在はしないのだから。
だけど…違うんだ。ただの興味ある存在とかそんなんじゃなくて…。
そう、彼女は、ボクのことをどんなふうに思っているんだろう。彼女の瞳にはボクはどんなふうに映っているんだろう。
それは、キリヤにとっては初めての感情だった。一言では言い表せない、不思議な感情。
彼は右手の人差し指を見つめた。そこに巻かれていたのは、小さな絆創膏。布と粘着剤と滅菌布でできている、ただの物体。
キリヤは、それをただ静かに見つめていた…。
- 122 名前:59 投稿日:2004/10/16(土) 16:32 [ AISNfvAU ]
- 続き(場面転換後)
「てゆうか、周りが何考えてんのかよくわかんなくって。どうすればいいのかな〜って」
沈みかけた太陽にオレンジ色に染められた公園、そのベンチに座ったキリヤは、かたわらに座っている黒髪の少女に話しかけた。
彼女は…雪城ほのかは、途中でうんと小さく相槌をうつと、また黙って彼の言葉を聞いていた。
キリヤは…それでも具体的なことは話さない。
放課後、いろいろとあった。サッカー部の練習での彼の危険行為を咎められたこと。見も知らぬ少女からいきなり手紙らしきものを渡されそうになったこと。
それらのこと自体は実はどうでもいい。戸惑っているのはむしろ、彼自身が周りを理解できないことを「気にしている」ことにあったのかもしれない。
本来のキリヤならば、「理解できないこと」は「理解しなくていいこと」だったはずだが。…もちろんキリヤ自身はそうは意識はしていなくても。
何なんだ…。
それが他人に対するものなのか、それとも自分自身に対するものなのか、わからない苛立ちを彼は覚えていた。そして、彼の足はなぜかほのかの姿を求めて、彼女がきっといるであろう図書館のほうに向かっていった。
そうしていま、二人は人気もまばらになった公園のベンチに並んで座っている。
別に…ボクは相談をするためにほのかさんに会いにきたわけじゃないし…。
だから彼は、ごく一般論的な愚痴程度にとどめていた。答えが欲しかったわけじゃないし…。、
でも、どうしてだろう?どうしてボクはほのかに会いにきたんだろう?
答えが得られるとは思っていない。でも…なぜ…?
「もしかしたら、自分からちゃんと付き合おうとしてないからじゃない?」
黒髪の少女が答えた。その抜けるような白磁の肌を夕日の色に染めて。
!?
キリヤは彼女の表情を伺った。ほのかは真っ直ぐ正面を…キリヤのほうでなく…向いている。
どうして…?なんでわかるんだ?
言葉を挟もうとは、彼は思わなかった。そのまま彼女の言葉に耳を傾ける。
シトラス系のシャンプーの香りと…おそらくは科学部の実験室でついたのであろう…揮発油のすっぱい匂いが微妙に混ざり合って彼の鼻腔をくすぐった。
「たとえば、自分のことをきちんと相手に伝えようとする気持ちかな?」
それは、不思議な感覚だった。「相手伝えようとする気持ち」という言葉そのものではない。
むしろ、その言葉にキリヤは確信を得ていた。ほのかは、自分と似ている、と。
ほのかの言葉は自分に向けているものだったはずだ。だけど…。
ほのかは前を見つめていた。その先にいたのは、たぶん、過去の自分自身。
そう…か…
理由…ほのかに会いたかった理由…。
彼女の笑顔の中に、どれだけの傷があっただろう?そして…おそらくはもう一人のプリキュア美墨なぎさのの影響だろうが…どのように彼女は自分を変えていったのだろう?
「それで、本当にお互いのことを思えるようになれば、優しくもなれるし怒ることもできる…」
ほのかは続けた。
そう…そうなんだろうな…でも…。
キリヤは伝えたかった。ほのかに、自分のことをを。
でもね、ダメなんだよ…。
ほのかさんには、ボクの全てを知って欲しい。でもね、それはできないんだ。
…ボクはあなたとなぎささんを殺して、プリズムストーンを奪って、ドツクゾーンの永遠のためにこの虹の園を滅ぼすためにここにきました。
そう言っても、あなたはいまのあなたのままでボクに語りかけてくれますか?
どうして…あなたはあなたで、ボクはボクなんですか…?
了
- 123 名前:59 投稿日:2004/10/16(土) 16:41 [ AISNfvAU ]
- もうひとつ
兎
ざわっ…
それまで教室を満たしていた喧騒が、いきなり波が引くように消えていった。
私がその空間に踏み込んだ瞬間から、そこには異質な空気が流れ込んでいた。
いや…むしろ私にとっては、もともとその空間こそが「異質」なものだった。「場所」ではなく「空間」三十余名という数の「人間」たちが作り出す目に見えない「閉鎖された空気」。
「お…おは…おはよう…」
私のその挨拶に耳を傾ける者も、返事する者もいない。それは私自身わかっていた。その言葉は単なる、社会通念上の礼儀というものを守っているという意味のほかは何も無い、ただの、儀式。
私は、人の集まっているところをできるだけ避けるようにして自分の席へと歩いていった。なるべく静かに、なるべく目立たぬように…。
いくつもの冷たい視線が私の背中を、首筋を蹂躙していく。いつものことだ。
無理もない。私はこの世界に「受け入れられて」はいないのだ。
私は彼女たちとは違う。いや、この世界の全てのものとも違う。
物心付いた時から…いや、その「時」すら確かなものとは限らないが…私はずっと違和感を感じていた。
いまの「私」は「私じゃない」。本当の自分は違うところにいて、この「翔子」と言う名の私の生は仮初めの、偽りのものに過ぎない。
もちろんただの妄想かもしれない。でも私はずっとそれを確信していた。本当の私はこの赤い瞳の奥にいて、「その時」をずっと待っているのだと。
私は席についた。先日に物入れの中に仕込まれていた汚物の匂いがまだ残っている。
死ね!ブス!臭い!…机の上には殴り書きされた罵詈雑言の数々…
仕方がないことだった。この世界の全てに興味を持てない私には、周囲から受け入れられるということなどありえないのだから。
どこかからクスクスと笑い声が聞こえる。教師も見て見ぬ振りをする。
どうだっていい。偽りの時間、偽りの空間。
ただ…それなのに、なぜか悲しかった。なぜだかわからないけど…。
「ぐううっ!」
私は胃のあたりに鋭い痛みを感じた。
校舎の裏側。なぜか土がむき出した地面に私は転がっている。
5,6人の人影が私を見下ろしていた。特別「変わった」風でもない、むしろ「ごく普通」の女の子達。
むしろ「ごく普通」だからこそ私とは相容れられないのかもしれないけれど。
「ごぱあっ!ケホ!ケホ!…」
またひとつ蹴りが私の腹部にめり込む。私は耐え切れずに吐瀉していた。
喉から鼻に抜けるすえた匂い。口いっぱいに広がる錆びた鉄のような血の味。
「うわ〜汚ったねえ〜!」
誰かが嘲笑混じりに言った。誰かはわからない…というより私には興味がない。
「ごほっ!ごほっ!…ご…ごめ…ごめ…なさい…」
気管が詰まっててほとんど発音ができなかったが、私は謝罪の言葉を発した。
もちろん本来は謝罪する必要なんて一つもない。だけど…この地獄のような苦痛の時間を少しでも短くするには仕方がなかった
「ぐわっ!がっ!い…痛い」
その中の一人が私の髪をつかんで持ち上げた。そいつは自分の顔を私に近づけると大声で言った。
「あ?何だって?聞こえないよ!」
そう言うと彼女は口元に笑みを浮かべる。
「ご…めん…なさ…い…」
彼女は「ふん」と鼻を鳴らすと、私を地面に叩きつけた。整地されてない荒い地面が私の頬を削って擦り傷を作る。
- 124 名前:59 投稿日:2004/10/16(土) 16:42 [ AISNfvAU ]
- 続き
「まあ、ずいぶん汚してきたわねえ。さっさとお風呂に入りなさい!」
私が帰宅してからの開口一番の母の言葉がこれだった。
私のこの姿を見れば何があったかわかるだろうに…。
でも私はその思いを口にはしなかった。無言でバスルームへと身体を引きずっていく。
顔のない両親。ただ舞台のセットとして与えられただけのような、薄っぺらで空虚な人間。
彼らも、学校の教師も、同級生たちも目をよく凝らしてみれば背後に操る人形遣いの黒子が見えるかのようだった。
ここは私の居場所じゃない。私には本当は重大な「やるべきこと」があって、そのために仮初めにここにいるだけなんだ。
鏡を見た。他の人とは明らかに違う、真紅の、瞳。
それを見るたびに私は兎を連想する。
可愛らしいマスコットとしての兎じゃない。誰かが校舎に潜入して惨殺していったという事件の、逃げ場を持たない弱者としての、兎。
「違う!違う!違う!」
私は弱者じゃない!私には力がある!「その時」がきたときのための、強く、激しい、「もう一人の自分」が確かにある!
…昔のことを思い出していた…。
昔?そんなに昔じゃなかったかもしれない。いや、何年も前のことだったかもしれない。
どうでもよかった。いまの私には時間の定義など何の価値も持たなかった。
たった1秒前の過去ですら、あったかどうかなんて誰にも証明などできない。
ただ、現在は「その時」だった!
「ぐわああああああ〜!」
私は街の遥か上空にいた。足元から熱いエネルギーが私に引き寄せられるようにして吸い込まれていく。
いや、私が引き寄せているのだ!大地に眠っていた熱いマグマの力を、自分の意思で!
いきなり身体が溶けるような感覚に襲われた。しかし、苦痛ではない。むしろ快楽と言ってもいい。感覚の中では一度溶けた身体はまた再構成され、そこに更なるエネルギーが吸い込まれていく。植物が毛細管引力で水を吸い込むがごとく、細胞の一つ一つの隙間に力が満たされていく。
そしてそれは脊髄を駆け抜け、脳を満たし、尻尾を加えた蛇のように身体を駆け巡る!
エクスタシーにも似た解放への欲求!押さえ込もうとする自分のもう一つの意思!
そして…その蛇は力を弱めることなく、収束して私の中へと潜っていった。
もはや違和感はない。それは完全に私と同化していた…。
「やっとお目覚めか…」
振り向くと、そこに彼はいた。
「おはようレギーネ」
私は言葉では応えなかった。応えなくてもこの身体に満ちる力が全てを語っていた。
そう。私は「私」になれたのだ…。
眼下を見下ろす。そこには私の「偽りの生」があった「街」が整然と存在していた。
ふとそこに幻のようなものを私は見つけた。いや、本当に幻だろう。
そこには「偽りの私」がいた。その幻は、じっと私を見上げている。
なぜだろう?私には彼女が「泣いている」ように見えた…。
了
- 125 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/16(土) 17:05 [ A0n9CibY ]
- 葱SSキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
わー有難う御座います
- 126 名前:59 投稿日:2004/10/17(日) 00:40 [ xRPC22Nw ]
- >>125
ありがとう
あ、ちなみに作者本人です
新作は今日はちょっと書けそうになかったので、後日にでも。
なぎほののライトなものを予定してます
- 127 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/17(日) 02:24 [ T2vyqt6s ]
- ( ゚Д゚)<ヒャッホー
( ゚Д゚)<みなさま乙&GJ
ありゃあ、やっぱり59さんのはつづきがあったんですね。
しかも実はキリヤの内面に焦点を合わせたかなりの力作、転載どうもです。
アニメ本編の「周りが何考えてるのかよく分からない」を文字通り受け取らず
「戸惑っているのはむしろ、彼自身が周りを理解できないことを『気にしている』
ことにあった…」「本来のキリヤならば、『理解できないこと』は『理解しなくて
いいこと』だったはず…」と忖度してキリヤの自問を深めているのは、
59さんのキリヤ解釈が反映されたこのSSの、白眉と思います。
腫れ物あつかいされているキリヤというのも本編ではなかった描写だけれどイカニモ。
それに「虹の園の自然の摂理も法則も、その大気の中に身体を泳がせていれば肌で感じる
ことができる」という表現や、「絆創膏」を「布と粘着剤と滅菌布でできている、ただの
物体」と言い換えるような、人間ならぬキリヤの認識を考慮した描写の文体も冴えてるし。
( ゚Д゚)<イカすじゃねぇか!
( ゚Д゚)<ヨシャ
( ゚Д゚)<俺も書くか
- 128 名前:SS「贈物」(1/2) 投稿日:2004/10/17(日) 04:48 [ T2vyqt6s ]
- .
用件はすぐすむからということで、二人はメニューも見ず紅茶だけを注文した。日曜
日、なぎさは珍しくほのかに誘われて、かすが通り沿いの軽食店に来ていた。
部活のことだの家族のことなど、たわいない雑談はすんで話も途絶えたのに、ほのか
はなかなか本題をきりださない。
「……ポルンが明日の晩御飯のおかずを予知してくれるんだけどさー、“酸っぱいお肉
ポポ!”って言うばかりで何のことか分かんなかったよ。ほのかは分かる?」
「……ビーフ・ストロガノフ?」
「正解! お母さんに訊いたらそう言ってた。」
「……サワークリームで牛肉を煮込むロシア料理ね。ストロガノフと名のつく料理はサ
ワークリームで酸っぱい味つけをするのが特徴なの。でも、ちゃんと酸味のつくように
するには難しい料理だから、ポルンがそう予知できたってことは、なぎさのお母さんは
お料理上手なのね。」
「へえ……そうなのかなあ。……」
なぎさも強いてほのかに用件を問うことはせずに、頬杖をついて、窓の外、店先きの
眺めを見るともなしに見ていた。そうしてぼやぼやと話種をさがしているうち、棕櫚の
鉢植えが烟るような雨に濡れてきた。明るい店の内で、ガラス窓に映る自分の顔に重ね
て棕櫚の葉の輪郭がぼうっとゆるむのも、秋冷えの静かさだった。なぎさはふと、ほの
かが萌黄色のきれいな洋傘とともに大きい紙袋を持って来ていたことを、思い出してい
た。
「……なぎさ。」
突然、上瞼をひそめて深くつらぬくような、生真面目なほのかの声音だった。向き直っ
た瞬間、なぎさはその目線に見澄まされて、ふっとほのかの威に怯んだ。
「な、なに?」と応えるのも調子外れた。
「なぎさ。」
顔をこわばらせてしまったようななぎさに、今度はゆっくり微笑し直すと、
「……ラクロスの練習、このごろ忙しいみたいだね。」
「えっ? ……う、うん、まあね。秋のリーグ戦、ちょっと苦戦してて、もう負けられ
ないって瀬戸際まで来てるから……。誰から言い出すわけじゃなく練習時間も延長して、
それからさらに自主的に居残り練習する人もいるし、とくにレギュラーは。志穂とか莉
奈とか、まぁあたしもね。……それが?」
「ううん。」
少し様子見するような気持で、ひょいととぼけた表情のなぎさの前で、ほのかはごそ
ごそと足許の紙袋からノートを幾冊か取り出してみせた。
「?」
黙って手渡されたノートを、ほのかの固い目つきにうながされるまま開くと、
「これ……。」
依然ほのかは黙っている。
「数学?」
- 129 名前:SS「贈物」(2/2) 投稿日:2004/10/17(日) 04:49 [ T2vyqt6s ]
- やはり生まじめな顔つきのまま、ほのかは口を開いた。「……近頃、勉強でココが分
からないから教えてよって、なぎさから訊ねてくること、少なくなったよね。もちろん
それはなぎさが勉強を投げ出したんじゃなくって、勉強まで手がまわらない、それだけ
ラクロスに夢中に打ち込んでるんだってことは分ってる。だけど、二学期の中間テスト
ももうすぐだし、勉強もやっぱり大事でしょ? このノートには、テストの範囲でなぎ
さがつまずきそうなところを解説してまとめておいたよ。とにかく、これだけ頭にはいっ
ていれば、なんとか、そう酷くはない成績をとれると思うの。」
変らず愛敬のない、親切気というよりむしろ気むずかしげなほのかの声だったが、そ
れらのノートに費やされた労と時間とは、丁寧に書き込まれた字からも明らかだった。
「で、でも……。」と、思いがけない贈物にとまどいながらも、
「いいの? こうゆうの……。」
なぎさの側から訊ねるなりすればいつも、快く答えてくれるほのかではあっても、自
らなぎさの勉強を助けてくれるほど、日頃甘いほのかではない。「持つべきものは親友
だぁ!」と素直に喜ぶより先に、まごついて、この時、普段触れないところまでほのか
が初めて立ち入って来たような、そんな秘かな羞恥も、なぎさにあった。
「いいのよ。」
としかし、ほのかの方は表情を崩さず、にべもない。
「わたしは二年桜組のクラス委員長でもあるんですから。困ってる生徒がいたら手助け
するのも役目のうちよ。」
「……そうなの? でも、ラクロス部が忙しくて勉強に手がまわらないのは、志穂も莉
奈も同じなんだけど……。」
なぎさはなにげなく指摘しただけだったが、
「そ、そうね?」と、その言葉で、はじめてほのかは狼狽した。
それが今までとはうってかわった、驚くほどの慌てぶりなので、なぎさが呆気にとら
れているうちに、
「ま、まあ……み、美墨さんは、もう一つの課外活動も大変でしょうから。とくべつ、
特別に、ね。……でも、もしかしたら、余計なことだったかもしれないけれど……。」
と、声を後すぼめておずおず言う。
「えっ、全然、ぜーんぜん!」なぎさは虚をつかれ、「そんな、ぜんぜん余計なことじゃ
ないよ。……ほんとに助かる。ありがとう……。」
と、とっさに感謝の言葉を探しながら、それでも目の前の、いつになく真面目な顔で
坐っているほのかを眺め直して、なぎさはしみじみと嬉しくなった。
──ほのかがこれらのノートのためにどれほど骨をおってくれたか、ということより
も、これらのノートを自分に受け取らせるために、どんなにほのかが気苦労したか──
そのことをなぎさは思ってみた。それは当然、前に彼女の親切をお節介としてはねつけ
たこともある、自身のきつい振るまいの記憶も呼びさまして来た。
いつものやさしげな物腰はすてて、ほのかが、あえてにべもなく懇切のノートを渡し
てくれたことに、「もう一つの課外活動」が慣わしになるにつれて、二人の間で薄れて
いた何か、忘れられていた何かを、なぎさはふと突き付けられたような気持ちだった。
なぎさは明るい顔でほのかを見た。ほのかはしばらく、なぎさの視線を受けようとす
る軽い努力の現れた上目をしてから、ふっと微笑した。
そっと窓の方を見ると、夕闇に影ろうスタンドの光に、ほのかの横顔が浮くような紅
みを添えていた。
──その後、なぎさはほのかのノートのおかげもあってか、中間テストをなんとか赤
点もとらずにのりきった。
その事はあらためてほのかにどうも伝えもしなかったし、ほのかも、テストの後でな
ぎさにことさら何も言ってはこなかった。
まあそれが余人には知られない二人の絆のありかたなのだ、と記す外はない。
.
- 130 名前:( ゚Д゚)<チクショー 投稿日:2004/10/17(日) 04:53 [ T2vyqt6s ]
- 【小説スレ128氏 - SS「贈物」】
( ゚Д゚)<もうこうなったら
( ゚Д゚)<歌うしかない
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<(前奏開始)
( ゚Д゚)<全裸でーSSーをー 書きたいー 全裸でー
( ゚Д゚)<でもー場所がないのー 場所ーがー
( ゚Д゚)<ゥ ォゥ ォゥ
- 131 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/17(日) 05:07 [ d..XKvrQ ]
- 普段もの読まないせいか、文章の巧拙は深くわからん。
が、この微妙な距離感がたまらない。ああ、これだ、これなんだ。読めて幸せだ。
- 132 名前:59 投稿日:2004/10/17(日) 07:19 [ 1Zyjy7fI ]
- >>128
GJ!
すっげ、プロライタっぽい!
>なぎさはふと、ほの
かが萌黄色のきれいな洋傘とともに大きい紙袋を持って来ていたことを、思い出してい
た。
の一文を導入からメインエピソードの転換において、読者に予感させるあたりとかもすごいいいです
橋田ドラマ張りの長台詞もテンポ良く苦痛無く読めるし、いいかんじですね
(俺はむしろ台詞はぶった切りがちかも…集中力が続かないのよ、うん)
- 133 名前:着エロ 投稿日:2004/10/17(日) 08:02 [ qKq2Vd7c ]
- さあ、だれがこの作品(128)を越えるか?!
- 134 名前:833@少し長め。 投稿日:2004/10/17(日) 18:19 [ 9cP2LHZk ]
- キーンコーンカーンコーン
な「よっしゃ!!授業終わり。お昼ご飯だ〜〜!!!」
ガタリと立ち上がり叫ぶなぎさ。
な「ん?」
ちょっと待てよ。と思いなぎさが鞄の中を弄る。
な「あれ………?」
自分の今日一日の行動を朝から巻き戻す。
な(え〜とえ〜と……。)
な「ああああああ!!!!!」
そして現実に気づいたなぎさが大声で絶叫する。
り「ど…どうしたの?なぎさ?」
し「な…なにかあったの?」
な「ありえな〜い。お弁当が無い……。」
り「てゆーかてゆーかてゆーか、なぎさが弁当忘れるなんてあるんだ?」
し「本当。食に対する執念は人一倍あるハズなのに。」
な「すっかり忘れてた…。お母さん居ないんだった…。」
ポケットの中から財布を取り出しブンブン振り回す。
チャリンチャリンチャリンチャリーンと中から四枚の小銭が出てきた。
な「十七円しか無い………。ありえない……。」
ガクっと机の上に倒れこんでしまう。
し「そんなに落ち込まないでよ。おかず少し分けてあげるから。」
ほ「な〜ぎさ♪」
後方からほのかが笑顔でやって来る。
な「な〜に、ほのか。私はお金無いからご飯食べられないよ。」
ほ「はい、お弁当。」
綺麗な布に包まれたお弁当箱がその手に二つ握られていた。
ほ「一緒に食べない?」
片方の手に持っていたものをなぎさに差し出す。
バッ。何も言わずにその箱を引っ掴むなぎさ。
な「……………。」
暫くの間それを黙って見つめるなぎさ。そしてほのかはそんななぎさを見守る。
な「これ?どうしたの?」
ほ「なぎさの分もついでに作っておいたの。それとももう自分で買ってた?」
ブンブンブンと凄まじい勢いでなぎさが首を横に振る。
ほ「良かった。じゃあ食べましょ…。」
な「ほのかぁ!!」
ガバアッ。とクラスの中で堂々とほのかに抱きつくなぎさ。
その瞬間教室に小さなどよめきが発生したが
なぎさはほのかのへの感謝の気持ちで、ほのかは嬉しさと恥ずかしさが同居しているので気にしない。
ほ「ちょ…ちょっとなぎさ!?」
嬉しいような困ったような表情のほのかが叫ぶ。
な「やっぱり持つべきものは親友だよねぇ〜。」
ほのかに抱きついたまま顔をスリスリするなぎさ。
ほ「な…なぎさ……。」
今度は完全に困ったような表情でほのかがなぎさの耳元にささやく。
ほ「その…。みんな見てるよ………。」
な「え?」
辺りを振り返るとクラスメートの視線が全て自分の方向に来ていることに気が付いた。
な「いや……、あはははははははははは。」
し「てゆーかてゆーかてゆーか。どうして雪城さんがなぎさのお弁当作ってきたの?」
り「そうそう。家も登校時間も全然違うよね。」
ほ「まぁ、それはお互い持ちつ持たれつということだから。」
な「そうそう。」
し「それにしたって……ねぇ…。」
り「うん。ちょっとねぇ…。」
ほ「ま…まあ、そんなに深い理由があるわけじゃないから。」
な「そ…そうそう。」
り「それに、持ちつ持たれつと言っても、なぎさが持たれてばっかりなんじゃないの?」
し「だね。」
な「なによそれ……。」
ほ「まぁまぁ。」
というわけで二つの机で四人の昼食がようやく始まったのだった。
し「わぁ〜。雪城さんのお弁当凄い。」
り「ほんとほんと。見た目も良いしおいしそ〜。いいな〜、なぎさ。」
ほ「あ…ありがとう。」
少し俯いて嬉しそうな表情を浮かべるほのか。案外照れ屋なのかも知れない。
な「わぁ〜、おいしい。ほのか〜。ありがとう。」
ほ「ふふ。どういたしまして。」
なお、ほのかのお弁当は色とりどりのおかずで飾られていて見た目も味も申し分ない逸品である。(後日談)
が一つだけなぎさが困惑したものがあった。
な(玉葱がある……。)
なぎさはこの玉葱がどうにも好きになれないのだ。もちろん食べられないというわけではないのだが…。
な(だからといって残すなんてことはほのかに悪いし……。どうしようかなぁ…。)
莉菜と志穂もわざわざ貴重なおかずといまいち好きじゃない玉葱の交換になんて応じないだろうし…。
ほ「なぎさ?どうしたの?」
な(こうなったら……。最後の手段…。)
- 135 名前:833@少し長め。 投稿日:2004/10/17(日) 18:20 [ 9cP2LHZk ]
- ほ「なぎさ?」
なぎさが意を決してほのかに向き合う。
な「ほ……ほのか!」
ほ「な〜に?」
なぎさは箸で自分の弁当箱の中の玉葱を掴みほのかの顔の前に差し出す。
な「はい、あ〜ん。」
その瞬間あたりが微かにどよめいた!が二人は気づいていない。
静寂な空間の中で時だけが流れた……。
な「……………。」
ほ「……………。」
な「……………。」
ほ「なんのまねですか?」
な「え…。あ…いやぁ…。まあ気にしないでよ。はい、あ〜ん。」
ほ「え……。あ〜ん。」
全く同じ行動をしたなぎさに応じるほのか。
ほのかの口に玉葱が入った瞬間辺りが更にどよめいたが二人は気づかない。
な「おいしい?」
ほ「う…うん。」
二人で微笑みあうがそこには別の思いがあった。
な(よっしゃ!大成功!!)
ほ(ど…どうしよう。あ…あ…あ…あ…あああんなことしちゃった…。でででででも嬉しかったなぁ…。どどどどうしよう…。)
ちなみに莉菜と志穂は体が痺れて動けない!
な(どうする?もう一回やろうか?でも玉葱ばっかりってバレそうだしなぁ…。)
ほ(もう一回やってくれるかな?それなら嬉しいけど…。でもなぁ…。恥ずかしい…。)
な(どうしよう…。心の準備が出来ない。)
ほ(どうしよう…。心の準備が出来ない。)
な(でもほのかも結構嬉しそうだったから大丈夫かな?)
ほ(でもなぎさも結構嬉しそうだったから大丈夫かな?)
な(よ〜し、勇気を出してもう一回。)
ほ(よ〜し、勇気を出してもう一回。)
そして次の瞬間二人の意志は完璧に通じ合った。
まさにプリキュアとなった二人の絆だけが為しえた行動であろう。
な「もう一回。ほのか。はい、あ〜ん♪」
ほ「あ〜ん♪」
結局のところ慣れなのか?開き直ったのか?ただ嬉しいのか?どれが原因かはわからない。
とにかくほのかは素直になぎさの差し出したものを食べる。
ちなみにその瞬間更にどよめきは大きくなったが二人は気づかない。
もはや教室から遮られた新たな世界を二人の手で生み出したとしか思えないくらい気づかない。
ちなみに莉菜と志穂は体が痺れて動けない!
ほ「なぎさ……。みんなが見てるよ。」
今更のようにほのかが顔を赤くして俯きながら…、それでも嬉しそうな表情をする。
な「ま…、まぁ良いじゃない。(玉葱全部無くなったし)」
ようやく回復した莉菜と志穂が動き出す。
し「てゆーかてゆーかてゆーか。二人とも何やってんの?」
り「とても現実のものとは思えない光景だったわ…。」
し「ねぇ、あのなぎさとあの雪城さんが……。ねぇ…。」
り「志穂。ツッコミどころ間違ってない?」
な「あ…あははは……。あはははははは……。」
とてつもないことをやらかしたという自分にようやく気が付くなぎさ。
でもまぁあれだ。失ってはじめて観える真実もあるらし(ry。
ほ「な……なぎさ……。」
な「え?」
ほ「は……。はい、あ〜ん。」
照れて視線を逸らしながらも先ほどのなぎさと全く同じ行動をとるほのか。
その瞬間辺りで再び微かなどよめきが発生したが二人は気づかない。
な「!?」
り・し「……………。」
な「ほの………か?」
ほ「な……。なぎさの考えてることなら何でもお見通しだよ……。」
その言葉通り、ほのかの箸にはしっかりと玉葱が……。
- 136 名前:833@少し長め。 投稿日:2004/10/17(日) 18:20 [ 9cP2LHZk ]
- な「うっ……。」
顔を赤くして黙るなぎさ……。
なお莉菜と志穂はそんな行動がもうどうでもよくなってきている。むしろ楽しみ始めている。
し「なぎさ〜。これは食べないわけにはいかないよね〜。」
り「そうそう。なにしろさっきあんなことをしたんですから〜。」
な「で…でも…。」
し「なになになに?人に恥ずかしい思いさせておいて、自分は恥ずかしいことしたくないとか〜?」
り「違うのよ志穂、なぎさは中学生にもなって玉葱も食べられないのよ。」
な「う…。うるさいわね。玉葱なんてどうってことない!」
ほ「じゃあなぎさ。はい、あ〜ん♪」
満面の笑みを浮かべながら箸で玉葱を掴みなぎさの口元へと近づけるほのか。
なお補足として書いておくと、ほのかと志穂・莉菜はグルでは無い。
あくまでなぎさにとっての不幸(幸福)が重なってしまい現在に至る。
な「いい!玉葱くらい、その…じっ…、自分で食べられる。」
し「照れてる〜。やっぱり恥ずかしいんだ〜。」
り「人に恥ずかしい思いさせて自分は嫌だなんてなぎさ酷〜〜い。」
な「うるさい!!別に照れてなんかないし恥ずかしくも無い!!」
パクリと一口でほのかの箸から玉葱を食べる。さきほどのほのかと違って一切躊躇していない。
その瞬間周囲でかなり大きいどよめきが発生したがもう誰も意識していない。
なぎさが一口で食べた様子を見てほのかは嬉しそうな笑みを浮かべながら……。
ほ「なぎさ。玉葱もおいしいでしょ?」
な「え…?うん、まぁ……。」
実は恥ずかしさのあまり味などはちっともわからなかったが一応悪いので素直に頷く。
それを聞いてほのかは更に嬉しそうな表情をする。
な(ううう……。何の為にあんな恥ずかしい思いしたのかわからないよ…。)
ほ(なぎさったら、玉葱だけ私に食べさせようなんてズルいんだから。)
な(でもなんか…。ほのかに食べさせてもらって嬉しかったなぁ…。もう一回やってくれないかなぁ…。)
ほ(なぎさは恥ずかしくないって言うけど二回は嫌やかなぁ…。もう一回やったほうがいいのかなぁ…。)
な(私が二回やったから、ほのかも二回やるかな?)
ほ(なぎさが二回やったから、私も二回やったほうがいいのかな?)
な(多分そうでしょ。よ〜し準備完了)
ほ(多分そうだよね。よ〜し準備完了)
ほ「はい、なぎさ。あ〜ん♪」
さきほどと同じことをもう一度するほのか。
な「あ〜ん。」
こうなればなぎさももう何も気にしない。むしろ仲の良さを見せつけてやれ。と言わんばかりの行動である。
莉菜と志穂はこの現実を既に受け止めているので大して動揺しない。
それどころかからかうつもりだったのが期待外れだったのでつまらないとすら思っている。
本日何度目となるかわからないどよめきが発生したがむろん誰も気にしない。
こうして昼食時間は過ぎていった。
- 137 名前:833@少し長め。 投稿日:2004/10/17(日) 18:21 [ 9cP2LHZk ]
- 昼食終了後、なぎさとほのかはベランダに出ていた。
な「な〜んか、お昼ご飯食べただけなのに疲れちゃった。」
ほ「自業自得よ…。……………嬉しかったけど」
最後にポツリと一言付け加えた。
な「え?何?」
ほ「何でもない。」
なぜか嬉しそうなほのか。
な(何か良いことでもあったのかな?ひょっとしてさっきのアレとか…?)
なぎさはなぜほのかがそんな表情をするのかは知らない。
な「でもさ〜。いつお弁当なんか作ったの?」
ほ「朝早く起きたからね。その時に。」
な「でも大変だったでしょ?」
ほ「ううん、別に。一人分も二人分もそんなに変わらないよ。」
な「でもそんなに無理しなくてもいいよ。悪いし。」
ほ「別に大丈夫だよ。普段からあのくらいの時間には起きてるから。」
な(げ…。さ…さすがほのか…。)
な「それに……。晩御飯も朝ご飯も作ってもらってるのに……。悪いよ。」
なぎさが下を向く。ほのかはフッと息をついて顔を上げる。
黙ってなぎさに背中を向けて遠くの景色を眺めながら言った。
ほ「なぎさって本当に優しいんだね。……………だから私なぎさのこと大好きだよ。」
な「ほ……ほのか……?」
サッとなぎさの方を向く。顔には満面の笑みを浮かべている。
ほ「でも本当に気にしないで。大丈夫だから。」
な「あ…。そう?私は別にパンとかでも平気だけど…。」
ほ「ダメよ。それじゃあ栄養が偏るわ。ラクロス部のエースにそんなことはさせられません。それに…。」
な「それに…?」
ほ「ああ、何でもないよ。うん。」
ほのかが慌てながら両手を振る。
さすがに自分の本音をなぎさ相手に言うわけにはいかない。
それに……。私がお弁当作ったら、なぎさと一緒にご飯食べられるし……。
な「あ、チャイム鳴った。はぁぁ、また授業か……。」
ほ「なぎさ。ガンバ。」
続く
- 138 名前:833@少し長め。 投稿日:2004/10/17(日) 18:22 [ 9cP2LHZk ]
- なんか無駄に長くなってしまったな…。次回からはもっと精進します。
- 139 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/17(日) 18:46 [ Pl2FjBls ]
- >>833氏、毎度毎度GJ!です。
甘々な展開にドキドキしながらも楽しく読ませていただきました。
「あ〜ん」だけであそこまで内面を描写できるのもすごいですね
ただそれだけなのに、かなり面白かったです。
特に、
>ちなみに莉菜と志穂は体が痺れて動けない!
この部分に激しくワロタw
ドラクエかよ!ポケモンかよ!
- 140 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/17(日) 19:30 [ mdWfnjUM ]
- >833氏
あんたすげえよ・・・GJ!
しっかしなぎほの萌えはいつもながら照れ臭いなあ^^;
- 141 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/17(日) 21:20 [ yG3sQTVE ]
- 833氏、いつも読ませていただいてます。毎回萌えます(*´Д`)=з
お弁当ネタいいですね。脳内パンクしそうです。
次回も楽しみにしてますよ。
- 142 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/18(月) 02:56 [ 5vDl42Hc ]
- ( ゚Д゚)<おお
( ゚Д゚)<スゲー
( ゚Д゚)<これが百合萌えかっ
いやホント面白いですわ。掛け値なしに言って>>135-136のくだりは
833氏が今までに書かれた百合萌えシークエンスのなかでもベストと思う。
なぎさの玉葱嫌いの設定を踏まえた上で、二人の思惑の違いと行動の一致とを
並行して描くとはかなりグー さらに食べさせて貰って実は嬉しげななぎさにイェー
( ゚Д゚)<サイタマー
- 143 名前:59 投稿日:2004/10/18(月) 22:56 [ 51ede0jI ]
- 833氏、GJ!
俺も頑張んないとなぁ〜(><)
- 144 名前:833@ 投稿日:2004/10/19(火) 00:52 [ 7WLuQErU ]
- 感想くれる方いつもありがとうございます。
こっちももっと良い作品を書こうと思うし本当に励みになります。
>>59氏
お互い頑張りましょう。
- 145 名前:833@続き投下します。 投稿日:2004/10/19(火) 01:24 [ 7WLuQErU ]
- 放課後………。
な「お待たせ。ほのか。」
ほ「ううん、じゃあ買い物に行こう。」
な「でも今日は何買うの?お母さんが帰ってくるまであと六日間あるけど……。」
ほ「私は……。まとめてじゃなくて毎日買い物に行きたいけど…。」
な「そう?六日分まとめて買ったほうが手間がかからないと思うけど?」
ほ「それは……。そうなんだけど……。でも……。」
少し声を小さくして下を向くほのか。
な「でも……。何?」
ほ「そのね…。毎日なぎさと買い物に行きたいなって…。」
な「え………。」
ほ「やっぱり!その…。うんまとめて買ったほうが…。」
な「あはははははは。」
ほ「なに?どうして笑うの?」
な「ううん。ほのかは可愛いなぁと思って。」
ほ「何それ?」
なんだかほのかは不機嫌だ。なぎさとしては正直に言ったつもりなので少し対応に困る。
な「そうだね。毎日買い物に行こ。そっちのほうが楽しいもんね。」
ほ「え…?でも……。」
な「いいよいいよ。私もほのかと一緒に居たいからね。」
ほ「え?」
な「行こ。早く帰らないとまた亮太が文句言い出すから。」
ほ「うん。」
ほのかは満面の笑みでそう答えた。それは普段の彼女を知る者ならきっと驚くような笑顔だったろう。
そして二人はスーパーマーケットに到着したのだった。
な「で、ほのか。今日の晩御飯は何にするの?」
ほ「そうねぇ…。クリームシチューなんてどうかしら?」
な「よっしゃ!じゃあ今日はそれでいこう。」
ほ「まずは材料からね。」
な「で、で何買うの?チョコレート?アイスクリーム?」
ほ「あのねぇ〜。クリームシチューにそんなもの入れないでしょ。」
な「それはほのかが知らないだけでしょ。きっと世界にはクリームシチューにチョコを入れる地方も…」
ほ「ありません!」
な「そうキッパリ否定しなくても…。」
ほ「どこの世界にクリームシチューにチョコレートを入れるところがあるの?」
な「ううう。」
ほ「さっ、買い物買い物。」
な「あ、あの試食品の餃子美味しそう!」
ほ「なぎさ!!」
というわけでシチューに必要な材料を徐々に調達していく。
まとめ買いをしたほうが安いというのはほのか自身十分にわかっているのだが、
彼女にとってはそれよりももっと大事な事があるのだろう。
さてなぎさであるが彼女はチョコレートが大好きである。
当然スーパーマーケットのお菓子売り場にはチョコレートが置いてある。
- 146 名前:833@今回は短め。 投稿日:2004/10/19(火) 01:25 [ 7WLuQErU ]
- な「ほ〜のか。」
ほ「なあに?」
な「これ買わない?」
なぎさがそう言ってほのかに渡したのはチョコクッキーである。
これならば二人で分けられるから承知してもらえるだろうと彼女なりに考えた上での結論である。
が、そんな誘惑が通用するほのかでは無かった。
ほ「だ〜め。無駄遣いは禁止。」
その数分後……。
な「ほ〜のか。」
ほ「お菓子はダメよ。」
な「お菓子じゃないよ。」
なぎさがそう言ってほのかに渡したのはビスケットである。
ちなみに二枚の間にチョコレートが挟まっているなぎさお気に入りのやっぱりお菓子である。
ほ「ダメ!!」
な「うう…。」
なぎさとしてもここで引き下がるわけにはいかない。
なぎさにとって母親の理恵はいわば跳び箱十段。なぎさにとっては決して越えられない最強の壁である。
しかしほのかは違う。なぎさは跳び箱七段と思っている。決して飛び越せない高さでは無い。
な(ここで引き下がるわけにはいかない!!)
なぎさの体に熱い情熱が迸る。
な「ほ〜のか。」
ほ「なあに?何度言ってもお菓子はダメよ。」
な「お菓子じゃないんだけど…、あれ買わない?」
ほ「あれ?ケーキ?」
な「そう。」
なぎさが指差しているのは二つの売れ残っているケーキである。
片方はモンブラン、そしてもう片方はチョコレートケーキである。
ほ「ダメよ。無駄遣いは禁止。」
な「いいじゃん。一回ぐらい。」
ほ「ダメなものはダメ!!ってあれ?なぎさ?」
ほのかの目の前になぎさの姿は無い。いつの間にか姿を消していた。
ちなみになぎさは何をしているのかというとアイスクリーム売り場へと全力ダッシュし、
そして両手を冷凍庫の中に突っ込んで急速冷凍中である。
もちろんほのかはそんなことは知らない。
ほ「なぎさ〜?どこ〜?」
なぎさは息を殺しほのかに背後に神速で回りこむ。もちろんほのかは気づかない。
な「ほ〜のか。」
なぎさは急速冷凍した両手をほのかの首筋に突っ込む。
ほ「ひゃう!?な…なぎさ!?」
な「ねぇ、ほ〜のか、いいでしょ〜。ケーキ買ってよ〜。」
冷やした片手をほのかの頬に当てて頼み込むなぎさ。
ほ「あううう……。ダ…ダメよ…。」
な「いいでしょ、ほのか〜。ほれほれ〜。」
首筋の手を動かしそれをブラウスの中に突っ込む。
ほ「はう!!な…なぎさ!そ…そんな……。」
顔を真っ赤にして喘ぎとも取れるような声を出すほのか。
な「ね、ほのか?いいでしょ?」
ほ「ダ…ダメ……。」
何がダメなのかこんな状況で完璧に把握できる奴などいるだろうか?
この場合はこれ以上このような行為をすることとケーキを買うことの二つのダメの意味がある。
普通ならわかるハズなのだが、なぎさは後者の意味ととったらしい。
な「じゃあ最後の手段!!」
なぎさは頬にピタリとつけていた手をほのかのブレザーの中に突っ込み
更に深く入れる。要するになぎさの両手がほのかのブラウスのお腹と背中に当たっているというとんでもない
状況である。
ほ「な…なぎさ!?や…やめて……。」
な「ほのかがケーキ買ってくれるならやめるよ。」
ほ「そ…それはダメ!」
な「じゃあやめない♪」
両手でほのかの体を弄るなぎさ。店内の視線を一心に浴びていることにはちっとも気づかない。
ほ「わ…わかった…。買ってもいいから……。ね…。」
な「やった〜〜!!」
ほのかから両手を出して飛び回るなぎさ。
一方ほのかは顔を真っ赤にしながら衣服の乱れを正す。恍惚の表情にも見えるがまあ気のせいだろう。
な「ほのか!ありがとう!!」
なぎさがほのかに正面から抱きつく。ほのかはただ黙ったまま頷く。
ちなみに周りの人間の反応はそれぞれだったが微笑ましい光景だったと解釈した人がほとんどだったようだ。
その帰り道……。
な「ランランラン。嬉しいな〜。」
大きな荷物をブンブン回しながら嬉しそうにしているなぎさ。
ほ「もう……。今回だけだからね。」
拗ねたような表情で言うほのか。
な「わかってるって。」
ほ「本当に?」
な「もちろん。」
というわけでなんだかとんでもない買い物劇だった。
- 147 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/19(火) 02:02 [ HHf97.hc ]
- >833氏
うおーー!!今回も萌えさせていただきました
ほんとに毎度毎度ありがとうございます。
なんだか回を重ねるごとに百合度が増してきていい感じですね。
個人的な見どころ、>な「ほ〜のか。」←ここの呼び方が脳内で想像できて萌え。
ほのかの服に手を突っ込む一種のペッティ(ry状態萌え
っていうか、いやらしいですよ、いやそこがすんごくよかったですよ。
いやらしいのを正当化してさり気なく見せてるところがまた良い。
- 148 名前:百合スレ67 投稿日:2004/10/19(火) 04:59 [ OZADr6OU ]
- 百合スレにあった「2人で初詣」にインスパイアされたのでちょっぴり投下〜♪
(お賽銭を入れて鈴を鳴らして拍手ふたつ。なぎさはほのかのマネっこ)
なぎさ:(今年こそ、カッコいい彼氏が出来ますようにっ!)
ほのか:(今年もなぎさと仲良く出来ますように…出来ればこれからもずーっと…)
なぎさ:さてっと、それじゃ定番のおみくじでも…ほのか?
ほのか:…えっ!?あ、なに?
なぎさ:なんかすっごく真剣だったね。何お願いしてのか聞いていい?
ほのか:だっ、ダメよ、こういうのは人に言っちゃうとご利益がなくなるんだから!
なぎさ:ふーん…でも聞きたいなぁ♪
ほのか:ダメだってばぁ…そ、そうだ!さっき2回拍手したりしたでしょ?あれの事
なんて言うか解る?
なぎさ:あたしだってそれくらい知ってるってば。「三々九度」でしょ?
ほのか:それは結婚式じゃない…「ニ拝ニ柏手一拝」って言ってね、神道の作法で…
なぎさ:あー!アカネさんがたこ焼き売ってる!ほのか、行こっ!(ほのかの手を引っ張る)
ほのか:もう、なぎさったらぁ!(ちょっと焦ったけど、新年早々いい事あったわ♪)
なぎさ:ん?なんか言った?
ほのか:「今日のたこ焼きはなぎさのおごりね」って言ったの♪
なぎさ:え〜!?…まぁいっか、お年玉貰ったばっかりだしね。さぁいっぱい食べるぞー!
ほのか:あんまり食べ過ぎておなか壊しちゃダメよ?(このまま、ずーっと離さないでね♪)
…むむぅ、思ったほどテンポ良くないデスね。途中で「ニ拝ニ柏手一拝」の意味とか調べて
たせいか、テンションが変わってしまったようで…
次回は精進しますデス。でわまたー♪
- 149 名前:( ゚Д゚)ノ 投稿日:2004/10/19(火) 07:13 [ Qcp2P942 ]
- ( ゚Д゚)<ネタ元は多分これじゃな
ttp://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1097251307/822
( ゚Д゚)<暁時のSS執筆&投下乙
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<なぎさの方が作法知らずでほのかのマネっこをする
( ゚Д゚)<というのが
( ゚Д゚)<なんかイイかもと思ういました
( ゚Д゚)<うんうん
- 150 名前:ハァハァスレ3より585氏:第8話脚本ヴァリアント 投稿日:2004/10/19(火) 07:14 [ Qcp2P942 ]
- .
二人の怒りで威力の増したPMSを喰らい、吹き飛んでいくゲキドラーゴ。
なぎさ「星になったなー」
ほのか「すごいパワー…」
夜空のきらきらを眺める二人。が、ふとつないでいた手に気づくなぎさ。
なぎさ「あ、……」
と、次の瞬間、ほのかがいきなり手を振り払う。
なぎさ「……痛っ!
なっ、なに? そんな、振り払うことないじゃないの…!」
ほのか「あ、ご、ごめ……
…………
あ、あなただって、昨日同じことやったじゃない…!」
なぎさ「だからって、今仕返しなんかしなくていいでしょ!」
ほのか「そ、そんなつもりじゃないわ」
なぎさ「だっていま…」
ほのか「あなたこそ、モタモタとはなによっ!?」
なぎさ「だからあれは言葉のアヤだって! 」
ほのか「昨日だって、無神経とか、お節介とか、散々言っておいて!」
なぎさ「それはあなたがおかしなことするから!」
ほのか「わたしはあなたのためを思って…」
なぎさ「それがお節介なんだって!」
ほのか「でも、でもだからってあんなひどいこと言わなくてもいいじゃない!」
なぎさ「それは、だから、あたしも言い過ぎたと思ったから…
こっちから歩み寄ろうとだってしてるのに……」
ほのか「あんなことのあとじゃあ避けたくもなるわ! 」
なぎさ「なによ、あなただって一方的に人に考え押し付けて、
あとはこそこそ逃げ回ったりして、根性悪いのよ!
ほのか「だって、わたしのことなんか友達でも何でもないっていったじゃないっ!」
なぎさ「だからあれは言葉の!……」
と、そこで言葉を止めるなぎさ。ほのかのうるんだ涙目に気がつく。
なぎさ「あ……」
ほのか「…………」
しばらくの沈黙の間。
それからほのか、そそくさと顔をそらし、手早く荷物を集めて、去る。
なぎさ「……のアヤだって……。あ、えと……」
とり残されるなぎさ。
.
- 151 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/19(火) 07:15 [ Qcp2P942 ]
- 【ハァハァスレ3より585氏:第8話脚本ヴァリアント】
http://precure.hp.infoseek.co.jp/log/precureh03.html
本編の8話ではマブスクのためつないだ手を離したあと、ほとんど言葉を交さずに
別れてしまう二人だったけれども、戦闘中のあの言い合いをそのままつづけていたら
どうなるだろうか? という感じで構想されたらしきSS。ほのかの科白
「だって、私のことなんか、友達でも何でもないっていったじゃないっ!」が燃え。
- 152 名前:59 投稿日:2004/10/19(火) 23:20 [ jq0IJaCs ]
- >>144
えっと、126で宣言した「なぎほののライトなものを予定してます」ではなくて、ちょっと毛色の変わったなぎほのを書いてます
エロいです。エロいけど、エロくないです(謎
- 153 名前:833@今回はかなり長め 投稿日:2004/10/19(火) 23:54 [ PJQnUvqQ ]
- 美墨家、午後七時三十分。
り「お姉ちゃん、今日はほのかさんのお手伝いしないの?」
な「今日はちょっと私は宿題があるからね。って言ったのはほのかなんだけど。」
回想シーン
美墨家、午後六時。
な「ほのか、今日は何を手伝えばいいかな?」
ほ「今日はいいよ、なぎさ宿題あるんでしょ。」
な「げ…、なぜそれを……。」
ほ「数学の小テストで40点以下は宿題だったでしょ。」
な「それって私のことバカにしてない?」
ほ「してないしてない。とにかく今日はいいよ。」
な「でも、そういうわけにはいかないよ。ほのかに迷惑かけたくないし。」
ほ「大丈夫よ。それよりも宿題頑張ってくれたほうが私も嬉しいよ。」
な「でもでも…。」
ほ「ダ〜メ。宿題やらなきゃ。」
な(ならば最後の手段)
なぎさは洗面所へ全力ダッシュする。一方ほのかは今度は余裕の表情だった。
なぎさが息を殺しほのかの背後に回りこむ。そして両手を入れようとしたその瞬間!
ほのかがひらりと反転しなぎさの両手首を抑え込む。
ほ「なぎさ、手を洗った後はちゃんとふかなきゃダメよ。」
ほのかが余裕の表情でそう言うとポケットからハンカチを取り出しなぎさの手を拭く。
な「う……ううう。」
両手首を掴まれているのでなぎさは動けない。
こうなるともはや冬も近いこの時期に冷水で両手を冷やした自分の愚かさを呪うしか無い。
ほ「じゃ、頑張ってね♪」
な「は〜い。」
ショボーンとした表情でなぎさは部屋へと戻る。
な「というわけ。」
り「よくわかんないけど、お姉ちゃんの自業自得だよね。」
な「うっさいわね、もう。」
怒り気味に怒鳴った時にキッチンからほのかの声が聞こえてきた。
ほ「ご飯出来たよ〜。」
り「は〜い。」
亮太は嬉しそうな声で返事をしキッチンへと走って向かう。なぎさもその後を追った。
ほ「今日の晩御飯はクリームシチューよ。」
キッチンからほのかが顔を出した。
り「わ〜い、僕クリームシチューって大好きですよ。」
ほ「そう言ってもらえると嬉しいわ。」
り「そんなことで喜んでもらえるならもうクリームシチューが大好きって何度でも言いますよ。」
ほ「ふふふ、そういうところはさすがになぎさの弟ね。」
ほのかは手を顔に当てて笑いながらそんなことを言った。
な「ほのか〜、それってどういう意味よ。」
ほ「嫌だなぎさ。聞いてたの?」
な「聞こえちゃったの。」
ほ「なぎさ耳良いのね。」
な「どうだろう…、でもほのかが私の名前を呼ぶと大抵聞こえるんだよね〜。」
ほ「え……。」
戸惑いの表情を浮かべるほのか、もちろんなぎさはそんなことに気づかない。
な「もうお腹ペコペコ。早く食べよ〜。」
ほ「すぐ持ってくるから待っててね。」
やがて一人分ずつシチューをほのかが持ってきた。
ちなみに今日のほのかは制服にエプロンという出で立ちである。
な(ほのか…、なんか凄い格好ね。)
なぎさはほのかの様子を見て、まるで高校生で結婚した奥様みたいだと思ったらしい。
な(そうだ!)
とここでなぎさはまた何かを思いついたらしい。
な「ほら亮太〜。お母さんよ〜。」
なぎさがほのかの方向を指差してそんなことを言う。
ほ「ちょ!なぎさ!」
大慌てするほのか。予想以上に動揺しているようだ。
り「わ〜い、お母さんだ〜。」
亮太も喜びながらそんなことを言う。
ほ「ほら、二人ともいい加減にしなさい!」
本当に母親のようなことを言うほのかだった。
- 154 名前:833@今回はかなり長め 投稿日:2004/10/19(火) 23:54 [ PJQnUvqQ ]
- な「はぁ…、しかしほのかって本当に料理上手だねぇ〜。」
感心したようになぎさが言う。
ほ「昨日もそんなこと言ってたわよ。」
な「いやいや、本当にそう思う。」
ほ「なぎさも少し慣れたらすぐ上手になれるわ。」
り「お姉ちゃんもほのかさんに何か教わったら?」
な「そうねぇ…、そうしてみようかな〜。」
ほ「うん、いいと思うよ。」
なお先述した通り本日のメニューはクリームシチューである。
シチューの中には玉葱・人参・ジャガイモ・ソーセージなど数多くの野菜や肉が入っている。
と突然ほのかが笑いながらスプーンでシチューを掬う。
そしてそれを真正面に座っているなぎさに近づけて…。
ほ「なぎさ、はい、あ〜ん♪」
ちなみにスプーンの中の具材は案の定玉葱だった。
な「……、もう勘弁してください。」
ほ「ふふふ、冗談よ。」
り「ほ…ほのかさん。じゃあ僕が代わりに!」
そのスプーンに近づく亮太の頭をなぎさがガツンと一発殴る。
り「い…痛い……。」
な「調子に乗るんじゃない。」
り「い……いいじゃんかよ〜。」
な「ほう、だったら私が代わりにしてやろうじゃないか。」
となぎさはスプーンでシチューを掬い上げ亮太の顔に近づける。
な「ほれほれ〜、亮太。あ〜んしな。」
亮太の首を左手でガッチリと抱え右手にスプーンを持つ。
もはや脅しに近いような気がする光景である。
り「お…、お姉ちゃんそうやって僕に無理やり玉葱食べさせようとしてるだろ〜〜。」
ほ「なぎさ!!玉葱食べなきゃダメよ。」
ほのが慌ててなぎさを止める。
な「は〜い……。」
ほ「どうしてもダメだったらまた食べさせてあげるからね♪」
な「もうそれはいいです……。」
そして賑やかな夕食が続いた。
美墨家。午後九時。
ほ「これで、このxを移項すればこっちの式がこうなって答えを出すことが出来るでしょ。」
な「おお!!なるほど!!」
ほ「亮太君。これはここでこうすればこうなって答えが出るのよ。」
り「ああ、なるほど!!」
な「ほのかすご〜い。」
なぎさはもうさっきからほのかに感心しっ放しである。
彼女のが薀蓄女王であるということは噂や以前の行動から知っていたが、
ほのかの凄いところは薀蓄だけに終始せずにキチンと応用が利くことである。
り「ほのかさんありがとう。これで宿題全部終わりました。」
ほ「良かったわね。」
り「はい。」
な「亮太、宿題終わったならとっとと寝なさい。もう九時よ。」
り「え〜!」
ほ「ダメよ、九時には寝なきゃね。」
り「はーい。」
不満気な顔ではあるがしぶしぶ了承する。
な「なんでほのかの言うことだけは素直に聞くのよ……。」
なぎさも不満気な表情を浮かべる。
り「それじゃあ、お姉ちゃん、ほのかさん。お休みなさい。」
な「お休み。」
ほ「お休みなさい。」
亮太はそう言うとなぎさの部屋を出て行った。
な「うう……、まだ残ってるよ。嫌になっちゃう……。」
ほ「ほら、もう少しで終わるから頑張って。」
二人で向かい合って宿題を進める。
- 155 名前:833@今回はかなり長め 投稿日:2004/10/19(火) 23:55 [ PJQnUvqQ ]
- な「…………。」
ほ「ぎさ…、なぎさ!!!」
なぎさの目の前にほのかの顔があった。
な「わっ!どうしたの!?ほのか?」
ほ「寝てたでしょ。」
な「え〜、そんなぁ…。まさかぁ…、」
ほ(ジーーーーッ)
な「ごめんなさい。」
ほ「少し休憩しようか?」
時刻は既に十時を回っていた。
な「そうしていい?」
ほ「うん、買ってきたケーキ食べて、また頑張ろう。」
な「うん。」
ケーキと聞いてなぎさが突然元気になる。
ほのかがお盆の上の皿にケーキを二つ載せて持ってくる。
ほ「はい、なぎさ。チョコレートケーキ。」
なぎさの目の前にチョコレートケーキを差し出す。
そして自分の前にモンブランを置く。
な「いただきま〜す。」
凄まじい勢いでフォークを握りケーキを食べ始めるなぎさ。
な「お…おいしい!!おいしいよほのか!!」
ケーキを食べて感激するなぎさ。
ほ「な…なぎさ、な…泣かなくても…。」
な「ほのか〜、これおいしいよ〜、ほのか〜。」
ほ「あはは、相当おいしいのね。」
な「うん、おいしいよ!!」
ほ「良かったね。」
な「ほのかのモンブランはどう?おいしい?」
ほ「うん♪おいしいよ。」
ほのかはモンブランを食べながら笑顔で答える。
な「買って良かったでしょ。」
ほ「でも、もう買わないわよ。」
な「は〜い。」
ほのかはフォークでモンブランを小さく切って刺し持ち上げる。
な「ほのかのモンブランもおいしそうだね。一口ちょ〜だい!」
そう言ってほのかの右手を取りフォークを自分の方へと動かしパクリとモンブランを食べる。
な「おお、モンブランもおいしいね!!」
がほのかの方は完全に固まっている。
ほ(な…なぎさ…、い…今のって…。その…かかかかかかかか)
な「本当に買って良かったね。ほのか。」
ほ(かかかかかかかかかかかかかかかかかかかか)
な「ん?ほのか!?どうしたの?」
なぎさがほのかの顔を下から覗き込む。
ほ「わわわわわわわぁぁぁぁ!!」
ドシーン。正座していたほのかが姿勢を崩して腰を床にぶつけてしまう。
ほ「いたたたたた………。」
な「ちょ…、ほのか!?大丈夫!?」
なぎさがほのかの手を握り引っ張り上げる。
ほ「うん…。いたた……。」
腰をさすりながら立ち上がるほのか。
な「どうしたの?急に。」
となぎさが訊ねるとほのかは再び黙り込んでしまう。
な「ほのか?」
首をかしげるなぎさ。
ほ「な…なぎさ!わ…私ちょっとトイレ!!」
慌てて走り出してなぎさの部屋を出るほのか。バタンとドアが慌しく閉められた。
な「どうしたんだろう?」
慌ててトイレに駆け込むほのか。
ほ(わ…わたし……。)
そのままペタリと座り込んでしまった。
ほ(わたし…。なぎさと間接キスしちゃった……。)
カァァァと赤くなるほのか。その後暫くの間彼女はその場を動くことが出来なかった。
- 156 名前:833@今回はかなり長め 投稿日:2004/10/19(火) 23:56 [ PJQnUvqQ ]
- そうしてようやく落ち着きを取り戻したほのかが部屋に戻った。
ガチャリ
な「ほのか。やけに遅かったね。トイレで寝ちゃったのかと思ったよ。」
ほ「そんなわけないでしょ。」
な「あ、そう?」
ふとほのかは違和感を感じた。自分が部屋を出たときと何かが違う。
そして次の瞬間ほのかはその違和感に気づいた。
が、あえて気づいていないフリをしてなぎさに話しかけた。
ほ「なぎさ、私のモンブランをこっそり食べた?」
な「え…、な…なんで?食べて無いよ…。」
ほ「本当に?」
な「ほ…本当よ。」
ほ「そう?さっきよりなんだか量が減っているような気がするんだけど…。」
な「気…気のせいじゃないかな?」
そう言いながらも声が上擦って視線をずらしている。本当にわかりやすいなぁとほのかは思った。
が今のほのかは少し違った気持ちで動いているようだった。
ほ「そう?」
な「そう、絶対にそうだよ!うん。」
ほ「じゃあ……。」
ほのかは右手をなぎさの左頬に持っていく。
そして左頬に触れたまま右手の親指でなぎさの唇をなぞる。
ほ「この黄色いものはなあに?」
親指をなめて冷めたような声でなぎさに問うほのか。
な「えっ…!?」
ほ「さっきなぎさが食べたときは無かったけどなぁ…。」
とても楽しそうなほのかに対して明らかになぎさは戸惑っていた。
な「あううう……。」
ほ「もう一回聞くね。なぎさ…。食べたでしょ?」
な「……………………はい。」
ほ「どうして嘘なんかついたの?」
な「うう、だって…。ほのかモンブランが凄く好きなのかと思って…。」
すっかりシュンとしてしまったなぎさだった。
ほ「どうして?」
な「その…、さっき私がほのかのモンブラン食べたときに、ほのか驚いてたから。」
ほ「……。」
な「その…、ほのか…。私がたくさん食べたから嫌がったのかと思って。で…、でもどうしても食べたくて…。」
ほ「あははははは。」
な「な…なんで笑うの?」
ほ「な…なんだかおかしくて……。」
な「え…じゃあ、ほのか。」
ほ「別に怒って無いよ。でも!勝手に食べた分は返してもらうよ。」
ほのかはそう言うとなぎさの最後の一切れのチョコレートケーキをなぎさのフォークでパクリと食べる。
ほ「ごちそうさまでした。」
な「ああああああ!!!!」
ほ「お互い様だよ。」
な「最後の一口だったのに〜〜。」
怒りでプルプルと震えだすなぎさ。
ほ「わ…悪いのはなぎさでしょ!」
な「いくらほのかでも許せない!!」
ほ「な…なぎさ…!?わあっ!」
ガバァッとなぎさは立ち上がりほのかの両肩を掴みほのかを押し倒すなぎさ。
自然とほのかが下でなぎさが上という体勢になっていた。
な「……………。」
ほ「……………。」
目を開けて不安げな表情で両手を組むほのか。すると…。
な「な〜んてね。冗談だよ。」
パッと手を放し微笑むなぎさ。
ほ「え?」
な「悪いのは私だしね。とりあえずほのか、残りのモンブラン食べないならもらってもいい?」
ほ「え……。うん、いいけど…。」
な「わ〜い、ありがとう。じゃあ頂きます。」
なぎさは残りのモンブランを食べ始める。なんとわずか三口で完食してしまった。
一方ほのかは茫然自失としていた。彼女にとっては全てが期待はずれだったということだろう。
ほ(そ…そうよね。私達まだ中学生だもんね。それともなぎさって甲斐性無しだったとか…。)
混乱して顔を真っ赤にしてそんな言い訳を自分で自分に必死にするほのかだった。
とモンブランを食べ終わったなぎさがほのかの目の前に現われて言った。
な「ほのか、顔真っ赤だよ?大丈夫?」
ほ「!?……え、ええ大丈夫よ。」
な「さては何かいやらしいことでも考えてたんでしょ〜。」
今度はほのかが追い詰められる番となった。普段は鈍感に見えるがなぎさは実は並外れた勘の良さを持っているのだ。
な「ほのかったら…、このこの」
なぎさはいつの間にかほのかの背後に回って後ろから抱きつき頬を摺り寄せて左手でほのかの左頬を突付いている。
ほ「ち…違うわよ……。なぎさったら……。」
ほのかはそれを恥ずかしそうな表情で受け止める。
な「ほのかのエッチ〜。」
プニプニとほのかの頬を指で突付いて楽しむなぎさ。
な「ん〜。ほのかの頬って柔らかくてマシュマロみたい〜。」
ピトとなぎさが自分の頬をほのかの頬にくっつけた。ひんやりとした冷たい感触が伝わる。
ボム!!ほのかの中で何かが壊れた…。
バターン!!ほのかは前のめりに倒れた。
な「ちょ…ほのか!?大丈夫?!ほのか!!」
- 157 名前:833@ 投稿日:2004/10/19(火) 23:56 [ PJQnUvqQ ]
- そして数分後……。
ほ「あ…あれ?」
な「良かった、目覚ましたんだ。」
ほ「私……。」
な「ごめんね、ほのか。私がちょっと色々やってたらほのか倒れちゃって…。」
よくは覚えていない。
な「さてと…。じゃあ私お風呂に入ってくるね。」
なぎさがサッと立ち上がって言った。
ほ「うん、じゃあ待ってるよ。」
パジャマを持って部屋を出る時ドアを開けて、唐突になぎさが振り返った。
な「私……、間接キスなんて初めてだったよ…。でも…嬉しかったかも。」
ほ「え…?」
バタンとドアを閉めてなぎさは出て行ってしまった。
ほ「え…?」
意識が完全にハッキリしていなかったほのかは何が起きたのか完璧に理解しきれなかった。
そしてその事についてはお互い触れることもなく一日が終わった。
- 158 名前:833@ 投稿日:2004/10/19(火) 23:58 [ PJQnUvqQ ]
- なんというかまた無駄に長くなってしまった。
個人的にはなぎ→ほのっていうのを書きたかったんだけど、
どうしてもほの→なぎのほうが得意だなぁ…。
しかしこれあと火曜〜土曜まであるわけだけど終わるのかね…。
- 159 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/20(水) 14:16 [ 6nEsX1Xo ]
- ピ 「貴様等の耳の支配者、ピーサードと!」
ポ 「同じくあんた達の耳の支配者、ポイズニーの!」
ピ&ポ 「「バリバリ★毒電波発信局!」」 (声バラバラ)
ポ 「いい加減にしてよ、足ひっぱんないでよ!」
ピ 「それはこっちの台詞だ!」
キ 「あーあー…進歩ないね」
イ 「あの二人がお前くらい物分りが良ければな…」
ゲ 「腹減った〜」
キ&イ (まだ居たのか!?)
ピ 「そろそろ飽きてきたから最後のコーナーでいいか」
ポ 「そうねぇーふぁ…そろそろお風呂入って寝たいし」
キ 「飽きたからってなんだよ、ふざけてるのかあいつ」
イ 「(;; @﨟@)ノシ」
キ 「なんだよその顔、ふざけてるの!?」
ピ 「ラジオドラマ・闇のソナタ…ってポイズニーこの台本なんだ」
ポ 「え?私が書いた台本だけど」
ピ 「何かのパクリのような気がするのは気の所為でしょうか」
ポ 「略して闇ソナよ!」
ピ 「無視かー!?」
ポ 「ほら、ちゃっちゃと仕度なさい」
キ 「ミラ○ルク○ストのアイテムでも闇のソナタってあるよね」
イ 「キリヤ、なんだそのみら…っていうのは」
キ 「携帯ゲームだよ」
イ 「いつの間に携帯なんて買ったんだ…」
(というわけでいきなり闇ソナ)
ピ・サード(以下,ピ) 「やぁ、綺麗な人、貴方の名前は(棒読み)」
ポ・イジュン(以下,ポ) 「なれなれしいわね、近づかないで」
ピ 「そんなつれない事をいわずに(棒読み)」
ポ 「しつこいわね、警察呼ぶわよ」
ピ 「ああ、そんな…(棒読み)」
ポ 「そんなじゃないわ(ゲシゲシサー様(笑)を足蹴にする)」
ピ 「あ、ぐは、うわっ!(本気でやられ)」
ポ 「ほらほら、女王様とお呼び!(鞭でパシーンパシーン)」
ピ 「え、なんだこれ、ギャー!(いつの間にかザケンナーで木に縛られてて)」
ポ 「ホ〜ッホッホッホ!」
ピ 「って…ちょっと待てコラ」
ポ 「何よ」
ピ 「これはどんなドラマなんだ!」
ポ 「ひょんな出逢いから女王様と奴隷の関係になっていく
二人の男女のお話ですが何か?」
ピ 「何か?じゃ、な〜い!」
ポ 「ったくるっさい男ねぇ!」
キ 「あー、まったく…」
イ 「我々で勝手に終わらせておこう」
ゲ 「ウガ〜」
キ 「今日はここまで…ってまたあの二人がやるのかわかんないけど」
イ 「ジャアクキング様によりよいエネルギーを献上する為にも
健康には気をつけるんだぞ」
キ 「睡眠もちゃんと6時間はとれよ」
キ&イ 「ピーサード&ポイズニー…改めキリヤとイルクーボの
バリバリ★毒電波発信局!」
ゲ 「ZZZZZ…」
- 160 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/20(水) 14:35 [ HDOV1ZSM ]
- >>833@氏
ドキドキしますた(;´Д`)
なんかもう一歩踏み出せないかんじがじれったくて好きだよ
- 161 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/20(水) 20:03 [ P4.KDlRc ]
- >>158
( ゚Д゚)<Way to go!
( ゚Д゚)< イ イ 感 じ
っん、でも、自分の箸でなぎさに玉葱を食べさせた時点で、既に
間接キスは成就したような気がするけど…俺なんか勘違いしてるか?
間接キスの正確な定義とは何ぞよ。まああまり深く考えない方がいいか。
…ところで833@氏のは「ほの→なぎ」ではあってもほの攻め(ないしは誘い受け)
じゃないんだよな。受けとも言い切れないが、決して積極的ではないというか。
20話とか25話とか35話とかでなぎさをイジメてみせる一面もあるから
ほの攻めっていう妄想も結構ふくらみ易いんだろうけど、833氏のほのか解釈では
その辺りは抑制されてるんですよね。つまるところ、百合妄想は本編の友情の閾を
逸脱せざるを得ないけれど、ほのかの側から自分がなぎさを好きだという気持ちを
積極に示してなぎさの慌てぶりを楽しむとか、そういう方向へは展開していかない。
今後展開していきそうな気配もないし。健気な白という妄想は外にもあれど、
百合シチュのときめきもほとんど偶然かなぎさの天然頼みの、ここまで消極なほのか
っていうのは、まあ珍しいっちゅうか、その点が833氏のSSのマターリした、
あまりどぎつくない魅力の所以なのでしょうな。
ここには転載してないけど氏の過去作品にはこんなのもありましたね。
>な「ほのかは本当に凄いなぁ、ほのかと結婚する人は幸せだろうね。」
>ほ「ええっ。そんな…。」
> 驚きの表情を浮かべるほのか。
>な「謙遜しなくてもいいって。」
>ほ「う…。うん…。そうじゃなくて…。」
>な「まぁまぁ。素直に受け取ってよ…。」
>ほ「う…うん。」
> (でも…。私が好きなのは……。)
( ゚Д゚)<でも内気っていうのとも
( ゚Д゚)<ちがうんですよな
( ゚Д゚)<母親(七段)めかしてダメなことはダメって言うし >833氏のほのか
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<ナイス微妙
>>159
( ゚Д゚)<毒電波乙
( ゚Д゚)<ピーサードの棒読みがなにげに萌え
- 162 名前:百合スレ2-543氏/ミニ百合SS 投稿日:2004/10/20(水) 20:04 [ P4.KDlRc ]
- .
な「ねえ、ほのか。これ、味見して欲しいんだけど」
ほ「チョコ? …いいわよ☆」
- もぐもぐ -
な「…ど、どう?」
ほ「なぎさにしては美味しく出来てると思うわよ」
な「ほんとう?!! 良かったぁあ、不味いって言われたらどうしようかと」
ほ「ふふ、私は毒味?」
な「そんな事ないっ! そんな事ないよっ。ただ、ほのかにも食べて欲しいなぁ〜なんて」
ほ「ふぅ〜ん、『ただ』ね」
帰り道。二人きりでの帰路の途中。
ほ「なぎさ。ホワイトディにほしいものある?」
な「…な! いきなり何?!」
ほ「『ただ』で貰ったチョコに、『一応』お返ししないとね」
な「『一応』なんだ。…というか、別にそーゆー意味であげたわけじゃ!! …」
何故か顔の紅くなるなぎさ
ほ「じゃあ、やっぱり毒味なんじゃない☆」
な「あ…いや、そぉゆぅわけでもっっ」
ほ「じゃあ、どぉゆぅわけなの?」
意地悪そうになぎさの顔を覗き込むほのか(*)
な「だ…だからぁっ」
ほ「『だから』何?」
……ほのかの攻撃は、まだ暫く続きそうだ
(*イメージ画 ttp://rel.s55.xrea.com/pc/php/src/1098203405700.jpg)
- 163 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/20(水) 20:06 [ P4.KDlRc ]
- 【百合スレ2-543氏/ミニ百合SS】
仮題「なぎほのバレンタイン」。第二百合スレから小ネタを転載。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1097251307/543
バレンタインと百合妄想をどう交叉させるのか。普通に考えたらなぎさが
チョコを渡すのは藤Pだろうし、ほのかはそれを応援する役にまわるのだろうが、
543氏の妄想では、「一応・ただ」食べてもらうという微妙なよそよそしさで
なぎさがほのかにチョコを渡す意想外の展開。本編でもごくまれに見られる
意地悪なほのかが「私は毒味?」と、なぎさのあやふやな心理を突くくだりもgood.
(付記・同スレ548氏の智恵を拝借して勝手ながらイメージ画をつけますた)
- 164 名前:833@ 投稿日:2004/10/20(水) 21:08 [ P39wr7h2 ]
- >>161
こうやって深く読んでいただけるだけで冥利に尽きますね。
書くほうがほとんど何も考えずに結構いい加減に書いてるのにw。
>…ところで833@氏のは「ほの→なぎ」ではあってもほの攻め(ないしは誘い受け)
>じゃないんだよな。
ほの攻めってのも考えてはあるんですけどね。
まぁ、まだ書いてないというよりは少しずつそういう面を引き出せればって感じですね。
>ほの攻めっていう妄想も結構ふくらみ易いんだろうけど、
むしろ私としてはほの攻めのほうがやっぱり書きやすいんですよね。
>833氏のほのか解釈ではその辺りは抑制されてるんですよね。
というより最初の書き出しのこの部分の影響ですね。
>>109より抜粋
>ほ「……………。」
>ここでほのかが暫く黙って考え込みそして意を決したように言った。
>ほ「なぎさ。私が一週間なぎさの家に泊まろうか?」
この時点でほのかはあくまでなぎさが心配だから、
なぎさのことを心配して。という友情先行で書いてみたんです。
ほの攻めとなると明らかに最初のこのほのかの心境と矛盾する。
という理由でほの攻めを今の時点では自重しています。
まあどうにでもなることなんですけど…。
それにもう少し時間が経てばそこらへんも変わっていくと思います。
つまるところ、百合妄想は本編の友情の閾を
逸脱せざるを得ないけれど、
>ほのかの側から自分がなぎさを好きだという気持ちを
>積極に示してなぎさの慌てぶりを楽しむとか、そういう方向へは展開していかない。
>今後展開していきそうな気配もないし。
慌てぶりを楽しむっていうのは確かに無いかも知れませんね。
百合なのに純愛っぽく書いてみたいんですよね…。
>健気な白という妄想は外にもあれど、
>百合シチュのときめきもほとんど偶然かなぎさの天然頼みの、ここまで消極なほのか
>っていうのは、まあ珍しいっちゅうか、その点が833氏のSSのマターリした、
>あまりどぎつくない魅力の所以なのでしょうな。
そう褒めていただけると大変光栄です。
とりあえず大体の中身はなんとか固められました。
少しずつ落として一週間なんとか完結させたいと思います。
- 165 名前:59 投稿日:2004/10/21(木) 00:44 [ O.OYN7YE ]
- えっと、やっと書き上げたので、落としていきます
- 166 名前:59 投稿日:2004/10/21(木) 00:45 [ O.OYN7YE ]
- 朝 〜Day to day〜
ピーチチチチ…
気の早い小鳥のさえずりとともに、朝の光が障子を抜けて差し込んできた
「うっ…う〜ん…」
その声に反応してというわけでもないだろうが、ショートカットの少女は眩しげに薄目を開けると、ベッドの上でクシャクシャになった毛布を抱えるように抱きしめて寝返りをうった。
ピーチチチ…
静かな時間が朝靄とともに流れてくる。少女はゆっくりと気だるそうに半身を起こすと、ボサボサに乱れた蜂蜜色の髪をかきむしりながら、ぼやけた視界を鮮明にしようと試みた。
ん……あ…あれ…?
着乱れたパジャマ姿の少女…美墨なぎさ…は、妙な違和感を感じた。何か…何かが…?
視界より先に記憶のほうが追いついてくる
そう、か…。私、確か、ほのかんちに泊まったんだよね…。
鮮明になってきた視界に映るのは、ふすま、障子戸、クロス張りされてない木の天井。あきらかにマンションの自室とは違う風景。
ほのかんちに遊びに行って…え〜と、どうしたんだっけ?……そうそう、泊まっていくことになっちゃって…それで…
なぎさは昨日の記憶をを順を追ってたどっていった。そして…はたと、頭をかきむしっていた手を止める。
それで確か………え?うそ…!?でも?…ちょっと!?なんで!?…そういえば…でも!?ありえない!
なぎさの頭の中で、記憶のピースが一つになった。瞬間、早鐘のように彼女の心臓が鳴り響く。
やだ…私ったら、何て、何てことしちゃったの?え?っていうか、どうして?なんでほのかとあんなことに…?
ドクッ!ドクッ!ドクッ!ドクッ!ドクッ!ドクッ!ドクッ!ドクッ!
彼女の心臓はまるで別の生き物のようにその鼓動を主張していた。なぎさの頭の中で鳴り響くそれは、小鳥のさえずりも遠くの自動車の騒音もそのすべてを遮蔽してしまう。
そうしてしばらくの時が過ぎた。何分か…あるいは数秒だったか?
落ち着け。落ち着くのよ、なぎさ!
なぎさは自分の胸に手を当てた。だんだんと心臓が落ち着きを取り戻していくのがわかる。
ふう〜
彼女はゆっくりと息を吐いた。と、不意に彼女の鼻腔を甘い香りがくすぐる。
なんだろう…?甘い…美味しそうな…
「なぎさ、もう起きた?」
鈴の音のような軽やかな声が、外からかけられた。早朝の日差しを背景に障子戸に浮かび上がる、長い髪の少女の影。
なぎさは我に返った。
「えっ!ちょ、ちょっと!ちょっと待って!」
何を「待って」なのかなぎさにもわかってはいなかった。ただ、理由もわからず彼女はあわてた。…実のところなぎさが必要としたのは戸口に立つ少女と顔を合わせるための「心の準備」だったのだが、もちろんなぎさ自身はそれには気付いてはいなかった。
なぎさはあわててベッドの上でクシャクシャに丸められた毛布の角を持ってパンって広げた後、それをベッドの上に綺麗に掛け直した。シーツの上のいくつもの透明なシミがその下に隠れる。
「ご…ごめん。いいよ…」
なぎさは部屋の中央の座卓の前になぜか正座して、無意識に行った「儀式」を終えると部屋の外の少女に答えた。
- 167 名前:59 投稿日:2004/10/21(木) 00:47 [ O.OYN7YE ]
- スッ、と微かな音を鳴らして障子が開けられる。
「おはよう、なぎさ」
部屋に入ってきた人物は、柔らかな笑みを浮かべるとなぎさにそう挨拶をかけた。白磁の肌に絹のネグリジェが軽やかにまとわりつく。腰まである黒真珠の髪を、朝日が木漏れ日のように透過していく。
「お、おは、おはよう」
なぎさは緊張を隠せないまま、黒髪のこの部屋の主…雪城ほのか…に返事をした。
「ゆうべはよく眠れた?」
その様子を気に留めるでもなく、ほのかは障子を閉めると持ってきたお盆を座卓の上において入り口近くに正座した。お盆の上には厚手のティーカップが二つ。
あ…さっきの、甘い香り…
なぎさは思わず目を閉じて、その香りを鼻腔に吸い込んだ。
「ホットチョコ。おめざにいいかなあ〜って思って。なぎさ、好きでしょ?」
ほのかはそう言うと、ソーサーの端を持ってなぎさのほうにティーカップを差し出す。
「う、うん、大好き」
そっと遠慮がちに、なぎさはカップのほうに手を差し出した。ふと、ほのかの指先が目に入る。
いつも手をつないでいたのに、なんでいままで気付かなかったのだろう…?
綺麗……なんて綺麗な、指先…。
この白くて滑らかな指先が、私の…。
いまでは私の唇も、胸も、髪も、そして…大事なところも、この指先は知ってしまっている…。
「どうしたの?なぎさ」
ふとその動きを止めたなぎさに、ほのかは怪訝そうに訊いた。
「え?う…ううん、なんでも」
なぎさはつとめて明るく答えた。ソーサーを引き寄せ、カップを口にする。
「いっただっきま〜す」
一口すすってみる。口中いっぱいに広がるカカオの香り。丁寧に裏ごしされたであろうそれは、生クリームのコクと少量の蜂蜜のまろやかさとあわさって、複雑なハーモニーを生み出していた。
そして…なぎさは、口の端に妙な違和感を感じていた。決していま飲んでるホットチョコによるものでない、それは…味の記憶とでも言うべきもの。
ホットチョコが甘ければ甘いほどよみがえってくる、ほんのり酸っぱい記憶。ほのかの女の部分、その、液体の、味の記憶…。
なぎさはカップの端からそっとほのかの顔をのぞき見た。白い肌。にこやかに笑みを浮かべる血色のよい赤い唇。ゆうべ、時間の許す限り何度も何度も求め合った唇…。
「美味しい?」
ほのかは訊いてきた。頬杖をついて、にこやかに。
「うん、すっごい、美味しい!こんなの初めてかも!」
言った瞬間なぎさは赤面した。思い出したのだ。
ゆうべ、あの永遠ともいえる長い時間の中で言ったセリフ。「気持ちいい!こんなの初めて…」
…なんであんな…エッチな…こと言っちゃったのだろ?でも、ほんとあんなこと自体初めてだったのはホントだし…
「…なぎさ」
ほのかは手を伸ばした。そして、なぎさの右手をそっと両手で包む。
「ほのか…」
柔らかいほのかの手のひら。流れ込んでくる、優しい、気持ち。
ほのかはなぎさの目をスッと見つめた。その視線に含まれる問い。なぎさ、後悔しているの、と。
でもそれは口には出せなかった。女同士の、社会的に背徳とされている愛。否定する要素のほんの一部でも口にすると崩れてしまいそうになる、危ういバランスの中での恋。
そして…
「ほのかの手は、綺麗だね。綺麗で…優しい…」
なぎさは泣きそうな笑顔で語った。
- 168 名前:59 投稿日:2004/10/21(木) 00:47 [ O.OYN7YE ]
- 「!?」
今度はほのかが戸惑う番だった。手…って…?
「私の手…こんなだから…恥ずかしいんだ。ほのかを、ちゃんと愛せてたのかなあって…」
なぎさの手は…中学生の女の子らしく小さくて繊細なフォルムをしてはいたけど、毎日のラクロスの練習…それこそ泥をつかむのも当たり前のような日々…のなかで、ガサガサに荒れてはいた。
ほのかは…そっと瞳を閉じた。そして…
「え……?」
小さく声を漏らすなぎさ。ほのかは…両手でつかんだなぎさの手を胸元…心臓のあたり…にそっと添えた。
「私は…好きよ。この手も、声も、なぎさのすべてが…大好き」
なぎさは…ほのかから目を離せずにいた。
「私は…決して、無くしたくないの。大切な人を。なぎさ、あなたを!」
そっとほのかは目を開いた。その視線は、穏やかだが、強い。
「ほのか…」
なぎさの胸に、その視線はダイレクトに飛び込んできた。なんて…なんて強い、強くて純粋な想い…!
「うん…。私も、ね、同じだよ。ほのかと一緒じゃない時間なんて、ありえない」
そこに流れているのは、ゆうべの行為とはまた異なる、視線と空気と時間で構成されたコミュニケーション。互いの想いを交換し合う、言葉では表現できない間。
そうしていくばくかの時間が流れていった。
「あ、なぎさ!そういえばシャワー浴びなきゃね」
ほのかは突然そう切り出した。
「え?あ、うん。そうだね」
驚きながらもなぎさはほのかに同意した。
「ゆうべ、あの後、そのまま寝ちゃったしねえ〜」
笑ってみせるほのか。それも、少し苦笑めいた。
「…ほのかの意地悪」
ほのかはそのまま握ったなぎさの手を引いた。黒髪がはらりと翻る。
なぎさもほのかの導くままに立ち上がった。そして…
…なぎさは、立ち止まると小さな化粧台を見つめた。ほのかの部屋の壁際にある、鏡のついた化粧台。
そして…なぎさは、じっと自分の姿を見つめていた。
「どうしたの?」
ほのかは振り向いた。
「ほのか…。私…変わったかな…?きのうまでの私と、どこか変わったかな…?」
鏡の中の、自分。初めての体験をして、それでも見た目なんて全然変わってない自分。
「変わったわよ。たぶん」
ほのかは、なぎさの背後に歩み寄ると、そっと抱きしめた。そしてなぎさの肩口から顔を出すと、一緒に鏡を見つめた。
「変わったよ。だって、ほら、こんな風に一緒に映ってもおかしくないくらいに、ね…」
柔らかく、甘えるような吐息がなぎさの耳元をくすぐっていった…。
- 169 名前:833@ 投稿日:2004/10/21(木) 00:52 [ viLqQQ5I ]
- >>166-168
凄いです。素晴らしいです。萌えました。
59氏は素晴らしい文才の持ち主ですな。
- 170 名前:59 投稿日:2004/10/21(木) 00:55 [ O.OYN7YE ]
- えっと、今回はちょっと実験的です
「エロいです。エロいけど、エロくないです(謎 」
前にこう言いましたが、今回のモチーフは
「直接的にHなシーンを一切描写することなく、いかにエロチシズムと耽美と萌えを描けるか」といったものです
まあ、ちょっとあわてて書いた感もあって、丁寧に描写されてないところもあるかと思いますが(><)
- 171 名前:59 投稿日:2004/10/21(木) 00:57 [ O.OYN7YE ]
- >>169
ありがとう。まだ不満足なんですが、台風のせいもあって時間取れなかったんで…。
- 172 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/21(木) 01:13 [ QgXYZd9E ]
- >59氏
いや、なんか今日のはただの「萌え」って感じではなかったです。
本格的SSで、萌えよりもドキドキ感や、日本語の美しさ
淫靡な言葉をより綺麗に微細に表されていて、読んでいてとても良い気分になれました。
エロチックだけど一切直接的描写を含ませずに
その後のなぎさのモノローグとふたりの会話だけで
ここまで書き上げられるのには素晴らしいものがあると思います。
正直私から見たら十分満足です。これで、不満足だとは思えないほどですね。
なにかわざと悪い点を見つけようと思い探して見ましたが何一つ不満が残る点などありませんでした。
まさに、秀逸作品ですな。良いもの読ませてもらいました。ありがとう。
- 173 名前:59 投稿日:2004/10/21(木) 01:32 [ O.OYN7YE ]
- >>172
ありがとう。そういってもらえると嬉しいです。
ただ…満足してないっ点ってのは、自分では自覚しているんです。
後半なんですけど、ほとんど掛け合いに近くなってるでしょう?あのへんが実は「急いで書いた」部分なんで。
本当はね、もっと「周り」を書きたかった。簡単に例を出すなら、8話の「信号機」です
…エヴァとかを例に出すともっとわかりやすいんでしょうけど…
でも、表現したいことはすべて出し切った気がするので、その意味では満足してます(^-^)
- 174 名前:59 投稿日:2004/10/22(金) 01:12 [ Y84WKh1A ]
- さっき、帰ってきて、読み直しました。
仕事中、ずっと気になってたんです。…謙遜も(自分ではそう思ってないけど)度が過ぎれば嫌味になるんじゃないかって
でも、俺とっては不満足なのは事実なんです
…だから、具体的に自分の気に入ってない場所を探してみました。168の
「そうしていくばくかの時間が流れていった。」
の表現と
「ほのかは振り向いた。
『ほのか…。私…変わったかな…?きのうまでの私と、どこか変わったかな…?』」
の隙間ですね
ちょい修正しますね
- 175 名前:59 投稿日:2004/10/22(金) 01:26 [ Y84WKh1A ]
- 「!?」
今度はほのかが戸惑う番だった。手…って…?
「私の手…こんなだから…恥ずかしいんだ。ほのかを、ちゃんと愛せてたのかなあって…」
なぎさの手は…中学生の女の子らしく小さくて繊細なフォルムをしてはいたけど、毎日のラクロスの練習…それこそ泥をつかむのも当たり前のような日々…のなかで、ガサガサに荒れてはいた。
ほのかは…そっと瞳を閉じた。そして…
「え……?」
小さく声を漏らすなぎさ。ほのかは…両手でつかんだなぎさの手を胸元…心臓のあたり…にそっと添えた。
「私は…好きよ。この手も、声も、なぎさのすべてが…大好き」
なぎさは…ほのかから目を離せずにいた。
「私は…決して、無くしたくないの。大切な人を。なぎさ、あなたを!」
そっとほのかは目を開いた。その視線は、穏やかだが、強い。
「ほのか…」
なぎさの胸に、その視線はダイレクトに飛び込んできた。なんて…なんて強い、強くて純粋な想い…!
「うん…。私も、ね、同じだよ。ほのかと一緒じゃない時間なんて、ありえない」
そこに流れているのは、ゆうべの行為とはまた異なる、視線と空気と時間で構成されたコミュニケーション。互いの想いを交換し合う、言葉では表現できない間。
チッチッチッチッ
どこかにある目覚まし時計の秒針が、不器用に硬い音を刻んでいった。無音の…実際は外からの生活音はひっきりなしに届いてはいるのだが、彼女たちの
世界では認識されることは無かった…空間にその機械音はただ独りで時間というものの存在を証明し続ける。
「あ、なぎさ!そういえばシャワー浴びなきゃね」
ほのかは突然そう切り出した。
「え?あ、うん。そうだね」
驚きながらもなぎさはほのかに同意した。
「ゆうべ、あの後、そのまま寝ちゃったしねえ〜」
笑ってみせるほのか。それも、少し苦笑めいた。
「…ほのかの意地悪」
ほのかはそのまま握ったなぎさの手を引いた。黒髪がはらりと翻る。
なぎさもほのかの導くままに立ち上がった。そして…
…なぎさは、立ち止まると小さな化粧台を見つめた。ほのかの部屋の壁際にある、鏡のついた化粧台。
そして…なぎさは、じっと自分の姿を見つめていた。
「どうしたの?」
ほのかは振り向いた。
なぎさは、固まったように鏡の中の自身を見つめていた。その瞳の中に戸惑いと、そして
不思議な期待を宿して。
「ほのか…。私…変わったかな…?きのうまでの私と、どこか変わったかな…?」
鏡の中の、自分。初めての体験をして、それでも見た目なんて全然変わってない自分。
「変わったわよ。たぶん」
ほのかは、なぎさの背後に歩み寄ると、そっと抱きしめた。そしてなぎさの肩口から顔を出すと、一緒に鏡を見つめた。
「変わったよ。だって、ほら、こんな風に一緒に映ってもおかしくないくらいに、ね…」
柔らかく、甘えるような吐息がなぎさの耳元をくすぐっていった…。
- 176 名前:59 投稿日:2004/10/22(金) 01:32 [ Y84WKh1A ]
- …書き込み画面の中で編集してたら、妙なところに改行が入ってしまってた…orz
連投になってもうざいですし、直さないでおきます(涙
- 177 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/22(金) 07:20 [ CrTyGJrs ]
- >59氏
修整乙&Awesome!
キュアSS書きのなかでは、フリチラ氏と並んで息の長い叙述を読ませることのできる
59氏という感じですね。…さて、当たり障りのない感想であれば氏自身の自作解説の言葉を
繰り返すだけになるでしょうから、も少し目先を変えた感想を書いてみましょうか。
59氏ご自身で言われているのと同じに、後半の印象が低いと自分も感じます。しかし
それはあくまで個人的な感じ方にすぎず、氏の自覚しているという点とは別の理由から
のようです。ちなみに前半はほぼ完璧です。翌朝という切り口の選択も、実験的というより
普通に高度な技巧として、間違いなく成功しているし、なぎさの方が遅れて一人で起床する
(→あとからほのかが来る)、なぎさが起きしなには昨夜のことを忘れている(→あとで
思い出す)、という書き出しの状態も、後の展開のトリガーを既に含んでいて仕掛けが見事。
それだから後半で牽引力が落ちるのは、そういう立体的な仕掛けがなくなるからかなあと、
まあ漠然と思ったのが一つ。そしてもう一点はさらに細微な指摘になるのですが、
基本的に氏の文体は表現に強い調子を与えようとしますよね、「心臓はまるで別の生き物の
ようにその鼓動を主張していた」「あの永遠ともいえる長い時間」「その視線はダイレクトに
飛び込んで来た」「なんて強い、強くて純粋な想い」「その機械音はただ独りで時間という
ものの存在を証明し続ける」、例としてはこういった表現ですが、これらがちょい力みを
感じさせるのと、このSSの後半のテーマの純愛というストレートさとが、相俟って、
作品から完全にアイロニーを奪っちゃったなあという印象でして。アイロニーっちゅうか、
描いている対象からちょっと距離をとるというか、そういう姿勢が小説形式のSSを書く時は
結構重要かなあと思うわけです。その辺はフリチラ氏は上手いと思うんですね、エロパロだから
ではなくて、エロだからこそあまり描いているエロ自体には没入しないで、どこか醒めて
書いているところが、フリチラ氏のSSの地の文にむしろシンプルな精彩を与えていると思う。
59氏の場合は、文章の力みが紋切り型の多用になってしまっているかなあと。そこが惜しいと
思います。しかしあえてそういう押しの強いの文体で、二人が愛に惑溺する様を真率に
描こうとする、それが氏の「すべて出し切った」「表現したいこと」だったのでしょうし、
埒口もない注文かとも思いますが。
くりかえせば前半(「なぎさ、後悔しているの」辺りを区切りとして)は素晴らしいです。
再読に耐えるし、2ちゃんねらでプリキュアヲタなのにこれを読んでないのは損だと、
まあはばかりなく言っちゃいましょう。でも後半はちょっと読み難いかなあと。濃すぎる
っちゅーか、基本的に純愛とか感動とかにあまり感応しない性根の自分なんで、もうちっと
薄彩の方がいいかも、という感じです。──無論、上記があくまで個人的な印象を元にした、
公平の配慮を欠く感想だというのは、重ねて言うまでもないですね。
ついでにもう一つ。>>175の修整版ですが、叙述の流れが急ぎすぎていたところを
緩やかにする、タメを作る、という目的でなら成功していると思います。とくに
「なぎさは、固まったように…」の一文の挿入は、それがなかった時のと比べ格段に良い
と感じます。
以上です。
- 178 名前:大阪=203 投稿日:2004/10/23(土) 00:47 [ 0lEbdyMI ]
- いつもと趣向をかえて、今回は普通の小説っぽくなるように書こうと思う。
なまえも数字コテはやめて、別の名前をつけることとした。
ふたりはプリキュア ―めろりんきゅ〜?―
第一話「プリイグニッション」
少女はその手に大事なお守りをしっかりと握り締め、力強い足取りである場所に向かって歩いていた。
夜には眼下に街の光が輝き、眼前の夜空の星と地面が一体になったかのような景色が望める、
何時かに少女の父が連れて行ってくれた思い出深い場所、けやきの坂のてっぺんを目指して。
おかっぱ頭に小さめの可愛らしいまなこ、そして特徴的な太目のまゆ毛は、
彼女の凛とした性格を物語っているようだった。齢は十を数えるほどだろうか、名を雪城さなえといった。
「六根清浄、六根清浄」
父から教えてもらったおまじないを口にしながら坂道を登っていると、
さなえはふとあることに気付いた。
彼女よりもさらに幼い、見知らぬ少女がついてきていたのである。
さなえは気になって声を掛けた。
「どうしたの?なにしてるの?」
「・・・・・・」
少女はうつむいて黙っている。
「お名前は?お年はいくつ?」
「・・・・・・」
「どこに住んでいるの?おとうさんおかあさんは?」
「・・・・・・」
結局、何を聞いても少女は何も答えなかった。
誰かと一緒に行くつもりはなかったが、さすがに彼女自身一人ぼっちは寂しかったのだろう、
さなえは黙ったままの少女の手をとり再び歩き始めた。
「六根清浄、六根清浄、六根清浄・・・・・・ん?」
思えばおかしな日だった。何が興味を引いたのか、坂を登る二人のあとにいつの間にか子供が一人、
またひとりと増え、ぞろぞろとついてきたのだ。その数はいつの間にかゆうに十人を超え、
中には赤ん坊を負ぶる少女といった姿もあった。
「ろっこんしょうじょ、ろっこんしょうじょ、ろっこんしょうじょ、ろっこんしょうじょ」
陽がじりじりと照りつける残暑厳しい日だったが、皆でおまじないを合唱しながら、
さなえはさながら遠足にでも行くかのような気分で坂のてっぺんを目指した。
- 179 名前:大阪 投稿日:2004/10/23(土) 00:51 [ 0lEbdyMI ]
- そうこうしてるうちについに見えてきた目印の木。”残った枝”に緑の葉っぱを茂らせて、
そのけやきの木はしっかりと立っていた。さなえは一気に駆け登り、頂上からの風景を望んだ。
坂の頂上から先は、”そのとき”は、崖と言っても差し支えない、土むき出しの急な斜面が
頂上から20mほど下に見える原っぱまで伸び、視界を遮るものは無くはるか遠くまで一望できた。
「!」
別に何か期待していた訳ではなかったが、坂の上から見下ろした町並みは・・・
いや、そこには町など無かった。どこまで続く瓦礫の野原。空襲による被害は風景を一変させていた。
雪城家も例外ではなかった。残ったのは家半分ほどと小さな蔵だけ。そう、これは現代の話しではない。
終戦直後の、皆が皆生きるのに精一杯だった頃の事である。
(たとえどんなに苦しい坂道でも、その向こうには綺麗な景色がひらけてるもんだ)
ふいに、以前に一緒に来たときの父の言葉が甦った。
「嘘つき・・・嘘つき・・・う、うぅ・・」
さなえは父のことは嫌いではなかった、むしろ大好きだった。だから余計に、
父の言葉に裏切られた気持ちになったのかもしれない。溢れ出る涙を抑える事が出来なかった。
えもいわれぬ焦燥感と疲労感、それに止め処ない悲しみと切なさ。そんな絶望のふちにあった
彼女を救ったのはひとつの声だった。
(希望を忘れちゃだめミポ)
その手にしっかりと握っていたお守りから、確かにはっきりとそう聞こえた。
蔵で見つけたそれは、お守りというには少々派手でその時代には不釣合いなデザインのものだったが、
さなえは大変気に入り、常に肌身離さず持っていた。
ひょっとしたらその声は気のせいだったのかもしれない。でも、いつも大事に持っていたお守りから
自分を勇気付ける声がした、そう思えるだけで彼女には大きな励みとなった。
「・・・ふふっ・・・」
こぼれた涙を手でぐいっと拭うと、そこには笑顔が戻っていた。
そのときだった。
突然、一陣の風が彼女達の間を駆け抜けた。ただ、突風や暴風といった類のものではない。
どちらかといえば心地よい爽やかな風だったが、その心地よさにさなえは気が緩んでしまったのか、
あろうことか大事な大事なお守りを手から放してしまったのだ。手から離れたお守りは
ふわふわと宙を舞い坂の向こうへ。さなえはあわてて身を乗り出し落とすまいと必死に手を差し出したが、
わずかに及ばず、お守りは崖の下へ消えていった。そしてさなえ自身も、無理に取りに行こうとした為に
バランスを崩し、コロコロと斜面を転がり落ちていった・・・。
続く
- 180 名前:( ゚Д゚)<メー(山羊) 投稿日:2004/10/23(土) 09:38 [ 09lJTqng ]
- ( ゚Д゚)<いよう
( ゚Д゚)<ひさしぶりッス
( ゚Д゚)<大坂殿
( ゚Д゚)<今回のは28話の直なノベライズっぽいの
( ゚Д゚)<ね
( ゚Д゚)<つづきのオリジナル展開に期待しまする
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<プリキュアSSワショーイ
- 181 名前:猫塚 投稿日:2004/10/24(日) 00:05 [ lj.ZOJ2Y ]
- (いいなぁ、ほのかってば。すっごく綺麗で・・・・・・)
「・・・・・・もぅ、なぎさ、ちゃんと集中して」
気もそぞろななぎさを、ほのかが小声でたしなめる。
学園祭でのクラス劇「ロミオとジュリエット」のリハーサル。明日の本番を前に練習もいよいよ大詰めを迎えていた。
ロミオ役のなぎさと、ジュリエット役のほのかが、脚本通りに向かい合い、目を閉じる。
キスシーン。
目を閉じた二人が、お互いの吐く息を頼りに顔の距離を縮め、1cmほどの間を空けて、ピタリと停止する。
(アタシもいつか、ほのかみたいに綺麗になって、藤P先輩と教会で・・・・・・)
甘い妄想に、なぎさの脳が蕩けていく。憧れの人の前で純白の衣装に身を包み、大勢の祝福に見守られながら、永遠の愛を誓い合う儀式。
(藤P先輩・・・・・・)
胸が切なくて、張り裂けそうになる。そんななぎさを優しく見つめていた藤Pの目蓋がそっと閉じられ、なぎさもウットリとしながら目を瞑る。
近づいていく二人の顔。お互いの呼吸が、一足先に交じり合う。そして、柔らかく触れ合う唇と唇。
愛おしい気持ちが溶け合い、二人の心を温かな絆で深く結びつけた。
キスの余韻に浸りながら、なぎさはゆっくりと顔を離していった。そして、夢見心地のまま、なぎさは、何だか奇妙な表情で固まっているほのかの表情を見て・・・・・・・・・・・・
「ええええええええええええええええっ!!!?」
・・・・・・・・・・・・。
「ま、まさか、ホントにキスしちゃうなんてね、ハハハ・・・・・・」
「事故だもの、仕方ないわよ」
帰り道、気まずいままの雰囲気で、一緒に並んで歩く。無理に笑顔を作ったなぎさに、ほのかはそっけなく返した。
チラリチラリと何度も横目でほのかの表情を盗み見るが、彼女が今、一体何を思っているのかは窺い知れなかった。
「ほのか、あの・・・」
「・・・ねぇ、なぎさ」
謝罪を言葉を続けようとしたなぎさを、ほのかが緩やかに制した。いつものほのかとは違う声のトーンに、ビクッとなぎさが緊張する。
「な、なに?」
「・・・・・・・・・・・・」
しかし、ほのかは言葉を途切れさせたまま、無言で歩き続けた。ほのかが何を言おうとしたのか気になって、なぎさは居心地の悪さにいたたまれなくなる。
そして、唐突に続きの言葉が紡がれた。
「なぎさ、責任とってくれる?」
「えっ?」
硬直したなぎさが立ち止まったのを少し追い越して、ほのかは正面を向いたままで続けた。
「・・・・・・だからね、ファーストキス奪った責任とって、私と・・・・・・なんてねっ」
クルリと振り向いたほのかが、固まってしまったなぎさを見てクスクスと笑う。
「えっ!? ・・・・・・あ、冗談?」
「うん。冗談だけど・・・・・・・あ、もしかして、本気で責任とってくれちゃう気になった? 嬉しいっ」
ようやくなぎさの表情も緩んで笑みが浮かび始めた頃、日中の眠りより、二人のパートナーがそれぞれ目を覚ました。
「何の話してるメポ?」
「ミポ?」
「ポポー?」
さらには、なぎさの鞄からポルンまでが飛び出してくる。
「こ・・・こら、あんた達、ポルンまでっ」
「ねえねえ、ほのか、なぎさと一体何を話していたミポ?」
「んーとね・・・・・・ タキシード着た私を、ウェディングドレス着たなぎさが迎えにきてくれるって話よ」
「コラー! ほのかっ、あんた、なんてウソついてるのよっ!」
可愛らしく顔を真っ赤に染めたなぎさが、バタバタと両手を振りながら親友のウソを否定するが、パートナーたちは、そんなもの聞いていない。
「わぁ、ほのかとなぎさが結婚したら、メップルと同じ家で暮らせるミポっ!」
「僕達も一緒に結婚するメポっ! 合同結婚式だメポっ!」
「だーかーらーっ! 人の話聞けぇぇぇっ!」
「・・・・・・なぎさの赤ちゃん・・・・・・オギャア、オギャア・・・・・・」
「ポルンっ!? あんた何を予知してるのっ!?」
- 182 名前:猫塚 投稿日:2004/10/24(日) 00:06 [ lj.ZOJ2Y ]
- ・・・・・・・・・・・・。
「あ〜んもう、ほのかってば、ありえな〜い」
ベッドの上で寝返りを打つ。既に午前一時を回っているというのに、今日のあの騒ぎのせいで、目が冴えてしまって寝付けない。
「う〜〜〜」
ついにはガバッと身を起こし、洗面所へと立つ。
(だいたい、なんでアタシがウェディングドレスなのよ? ほのかのほうがずっと似合うじゃない)
電気もつけぬまま、夜目を利かせて鏡の中の自分の顔を覗き込んだ。
(でもまぁ、ほのかだったら何着ても似合うから、タキシードでもいっか。それにアタシ、ウェディングドレスって、ちょっと憧れてるし・・・・・・て違うでしょ!)
鏡の中の自分自身にツッコんでから、すごすごと自室へ戻った。力尽きたように、バタンっとベッドの上へ転がる。
そのまま一分・・・二分・・・・・・五分・・・・・・
(だあぁぁぁぁぁ!? ほのかの顔ばっかし思い浮かんできて眠れないぃぃぃぃっ!?)
ベッドの上で悶々と転がり始め、ついにはベッドから転落してしまった。
・・・・・・・・・・・・。
「なぎさ、大丈夫?」
「えっ、ああ・・・うん、まぁね・・・・・・」
両目の下にごっそりと隈を作った顔で、力の無い笑みをほのかへと返した。結局、一睡も出来ないばかりか、ずーっとほのかのことを考えていたせいで、脳が疲れ果てている。
「大丈夫、ほのか・・・心配しないで」
やがて、始まった劇は問題なく進行し、ついに、なぎさの昨日一日を狂わせたキスシーンへと辿り着いた。
(はぁ・・・・・・アタシってば、何ワケわかんないこと考えてたんだろ)
自分の不注意で、ほのかのファーストキスを奪ってしまった罪悪感があったとはいえ、冷静になってみれば、昨晩の動揺っぷりは、あまりに不思議だった。
(だいたい、女同士なのに、アタシとほのかが結婚できるワケないじゃん。それなのに、あんなに悩み込んじゃって)
調子を取り戻し始めたなぎさの表情に、いつもの活き活きとした元気が湧いてきた。
今日は失敗しないでね、と視線で囁いてくるほのかにだけ分かるよう、口元にそっと笑みを浮かべて応えた。
(うんっ! ほのかはアタシの大切な大切な・・・・・・親友っ!)
もやもやとしていた胸の内が、一晩ぶりにようやく晴れた。観客が見守る中でのキスシーン、唇同士が1cmの間を空け、ピタリと止まる。自分の答えに、大きな安心を覚え、昨日の夜から張り詰めていたものが体から抜けていく。そう・・・・・・抜けていく・・・・・・
(なぎさっ!)
突然、力の抜けてしまったなぎさの体を、慌ててほのかが抱き支えるが、気を抜いた拍子に睡眠の世界へ意識を飛ばしてしまったなぎさの首が、カクンッと倒れる。
目すぐ前に、ほのかの唇があった。
スポットライトの中でキスを交わす二人に、観客がざわめき始めた。
「ねぇ・・・あの二人、ホントにキスしてない?」「あ、ホント・・・おもいっきりしてる」「えぇー、憧れの美墨先輩の唇がー!」「写真撮っとこ! カメラカメラ!」・・・・・・
この公開キスが動かぬ証拠となり、なぎさとほのかはベローネ学院女子全員の公認カップルとして、なしくずし的に付き合い始めたのであった。
- 183 名前:833@ 投稿日:2004/10/24(日) 00:54 [ kSv7Hvyw ]
- >>181-182
萌えたわ…。
凄い。百合萌えSSでメポミポポポを
上手に使うことが出来るなんて……。
いや、もう感心・感動しました。
- 184 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/24(日) 03:20 [ ofqKr7d2 ]
- >猫塚氏、GJ!です。すごい、すごすぎる。
百合萌えスレの中の妄想を一つにまとめた集大成って感じで
住人としてはかなり嬉しいです。
今、これを書いているときはまだ放送前ですが、どうかキスシーンがありますように。
なくてもなぎほのがロミジュリをやるだけで嬉しいですけどね。
- 185 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/24(日) 10:38 [ DPYx336g ]
- >猫塚氏
YES!良い妄想だな。
不即不離な感じのなぎほのにほのぼの萌えます。
なぎさのオタオタぶりもうまく感じ出てるぜ。
(・∀・)b
- 186 名前:マンセースレより43氏+46氏/新シリーズネタ予告 投稿日:2004/10/24(日) 10:49 [ DPYx336g ]
- .
ジャアクキングとの戦いに藤P志穂莉奈が巻き込まれ
三人の精神が闇に吸い込まれてしまったの!
そのため三人の身体は魂の無い「空っぽの器」となっちゃったんだって!
このままではやがて身体も滅びてしまい二度と甦ることができなくなってしまう!
そんなのありえな〜い!!
そこでミポメポポルンが三人の身体に寄生することになったの。
藤P=メップル
志穂=ミップル
莉奈=ポルン
ふぅ・・・これでとりあえず一安心!とおもったら・・・
・・・藤P(メップル)と志穂(ミップル)が「ら〜ぶらぶ!」って!?
頭じゃメポミポって判っていても釈然としないなぎさでした。
* * *
藤P(メップル)と志穂(ミップル)のラブラブぶりに
我慢できなくなったなぎさがクィーンに頼み込んで‥
藤P=ポルン
志穂=メップル
莉奈=ミップル
ふぅ・・・これでとりあえず一安心!とおもったら・・・
今度は藤P(ポルン)が甘えてきて、耳を引っ張りながら
「なぁ〜ぎ〜さぁ〜、いっしょに遊ぶポポ!」
うれしいやら恥かしいやらで、キョドルなぎさでしたさ。
- 187 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/24(日) 10:50 [ DPYx336g ]
- 【マンセースレより43氏+46氏/新シリーズネタ予告】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1095850760/43+46
「ミポメポポポをマンセーするスレ」より。といっても別にマンセーはしてない。
メップルやポルンが人間形態になったらどうかというレスを受けての小ネタ。
「そこでミポメポポルンが三人の身体に寄生することになったの。」とか
口ぶりは朗らかだが、なにげにブラックな事を言っているような気がする。
- 188 名前:虐殺スレ3より269氏/ミポ・ポポ虐殺SS(1/2) 投稿日:2004/10/24(日) 10:53 [ DPYx336g ]
- .
前回(第36話)の放送8時36分あたり、ポルンをおんぶするミップル。
「うえ〜ん おんぶだポポ〜〜〜!!おんぶだポポ〜〜〜!!」
「ああ・・始まっちゃった・・・」
(メップルにおんぶを断わられて)泣き喚くポルンを見て、なぎさは心底呆れていた。
そしてなぎさの脳内でどこぞの強欲ジジイのような台詞が何故か再生されていた。
FUCK YOU!ぶち殺すぞ、ポルン・・・・
お前は、大きく見誤っている。この世の実態が見えていない。
まるで3歳か4歳の幼児のように、この世を自分中心・・
求めれば、回りは右往左往して世話を焼いてくれる、そんなふうに、
まだ考えてやがるんだ・・。臆面もなく・・・・!
(中略)
泣きつけば要求に応えてくれるのが当たり前か・・・・?
なぜそんなふうに考える・・・・?
バカがっ・・・・!
「ヤダヤダーーー!!おんぶだポポ!!おんぶだポポ〜〜!!!」
相変わらず空気が読めないポルンは、なぎさたちの冷めた視線を意にも介さずに
泣き喚いてひたすら駄々をこねている。
しかしここでミップルの言葉がそれをやめさせることになる。
「ポルン〜、私がおんぶしてあげるミポ〜♪」
ひたすらポルンを甘やかすミップル。
それがポルンにとってマイナスになっているとは考えもせずに・・・
これまでもそうだった。ポルンがワガママを言う度にミップルがそれに応じ、
結果としてポルンは我慢というものを学ばず、駄々をこねれば何でも(周りが)
言うことをきいてくれると思うようになってしまったのだ。
「うわ〜、嬉しいポポ〜〜〜♪」
先ほどまであれだけ泣き喚いていたポルンがピタっと泣き止み、
満面の笑みでミップルのほうに向かっていく。
思った通り、ポルンは駄々をこねれば何でも通ると思い始めているのだ。
一度シメてやらない限り、コイツは何度でもやるだろう。
しかしミップルはそれにすら気付かずにポルンを甘やかしてばかりいる。
全く本当にどうしようもない生物どもだ。
- 189 名前:虐殺スレ3より269氏/ミポ・ポポ虐殺SS(2/2) 投稿日:2004/10/24(日) 10:54 [ DPYx336g ]
- .
「おんぶだポポ〜♪おんぶだポポ〜♪ポポ〜〜〜♪」
「ミポ〜〜〜♪」
ミップルの頭に乗っかって、ひたすら調子をこくポルン。
そしてそれを注意するどころか、許容するミップル。
この2匹の愚かな有様を見ていたら・・・・
なぎさの胸はあっという間に不快感で一杯になってしまった。
公共の場で大声で泣き喚いて駄々をこねるバカガキ・・・・
そしてそれを注意するどころか、甘やかしてばかりのバカ親・・・・
果たしてコイツらに生きている価値はあるのか?
何故自分たちはこんな連中の面倒をみているのだ?
チョコパフェとかイケメンとか、他にもっとやるべきことがあるのではないか?
様々な考えがなぎさの脳内を駆け巡った。
そしてなぎさはすぐに結論を出した。
なぎさは相棒のほのかにアイコンタクトを取ると、ほのかは静かにうなずいた。
ほのかもなぎさの意見に賛成なのだろう。
そして、なぎさはじゃれ合っているミップルとポルンの前に立ちはだかった。
ほのかはなぎさの後ろで静かに見守っている。これから行なわれる制裁を・・・
「おんぶだポポ〜♪おんぶだポポ〜♪ポポ〜〜〜♪」
「ミポ〜〜〜♪」
引き続きミップルの頭に乗っかっているポルン。
愚かな2匹はなぎさのことなどを気にもしていなかった。
これからの自分たちの運命も知らずに・・・・
「オイ・・・・」
なぎさは静かで怒りのこもった声で2匹に声をかけた。
「ポポ???」
「ミポ???」
なぎさに声をかけられてようやく気付いた2匹。
そして・・・・
「チョーシこいてんじゃねえぞ ゴルアーーーー!!!!」
「ミ・・・」
「ポ・・・」
突然頭上からなぎさの足が降ってきた・・・・
次の瞬間・・・・
グチャッッッッッ!!!!!!
「ポphjがこぉげおおおおーーーーーーーーー!!!!!」
「ミphklfぶおおおォーーーーーーーーーー!!!!!」
なぎさの足が2匹を踏み潰した瞬間だった。
ミップルに乗っかっていたポルンも、ポルンを抱えていたミップルも、身をかわす間もなく、
2匹まとめて潰れ、ほぼ即死だった。
なぎさの足の裏では、2匹の血、肉、臓器などが入り混じってドス黒い水溜りを作っており、
もはやどのパーツがどちらの物なのかを判別するのは困難な状態にまでなっていた。
これは暴力ではない・・・・
なぎさはそう考えていた。ほのかも同じ考えである。
そして2匹の変わり果てた姿を見て泣き叫んでいるメップルも内心スカッとしていた・・・・
――――――――――完――――――――――
- 190 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/24(日) 10:56 [ DPYx336g ]
- 【虐殺スレ3より269氏/ミポ・ポポ虐殺SS】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1097126417/269-271
仮題「FUCK YOU」。スレ住人のリクエストに答えてのミポ・ポポ虐殺SS。
たいていの虐殺SSの念入りな虐待描写などには、まあ感銘することはないんだけども、
ネタとして読めるよう職人さんの工夫がうかがわれる虐殺SSは、結構好き。
ここには転載してないが「虹の園のTVの企画で、自分で釣った魚で寿司を作り、それだけで
生活することになった三匹だが……」ではじまる(最後は全員フグにあたって死亡)SSとか、
アホで面白かった。この作品でも虐待描写は最後の一瞬だけで、それまでに怒りを溜める
なぎさの心理の過程の叙述がメインだが、いいカンジに悪乗りしてる。というか、
> 何故自分たちはこんな連中の面倒をみているのだ?
> チョコパフェとかイケメンとか、他にもっとやるべきことがあるのではないか?
この二行を読んで即転載を決めたw
- 191 名前:833@今回は長過ぎる…。 投稿日:2004/10/25(月) 16:11 [ XHQWFMgs ]
- 火曜日……。
ジリリリリリリリ
時刻は朝の六時。
ほのかは昨日と同じ時刻に目を覚ました。
カシャーッとカーテンを開く。天気は昨日と同じで晴れているようだ。
窓から明るい光が差し込む。ほのかは目を細めて眩しい光を受け止める。
な「あぁ…、ほのか。もっと……」
ベッドの上で眠っているなぎさが今日も寝言を呟いている。
ほ「本当にどういう夢見てるのかかしらね。」
ほのかは窓の前に立ったまま苦笑しながらなぎさの寝顔を見つめる。
ベッドに近づいてさっき鳴ったばかりの目覚まし時計が
四十五分後に鳴るようにセットしてなぎさの枕元に置く。
な「ムニャムニャ……。」
なぎさはそんなことに気づかないで寝言を言っているようだ。
ほ「なぎさは……、本当に可愛いなぁ…。」
眠っているなぎさの髪を梳きながらほのかは笑顔でそんなことを呟いた。
その後昨日とは違って今度は腰を曲げて額の部分に自分の唇を当てた。
ほ「……………。嫌だ。私ったら…」
ほのかは顔を赤くして小さく呟いた。
ほ「これじゃあ……。まるで……。」
慌ててなぎさの顔から目を逸らしそのまま黙って着替えて部屋を出た。
そのとき丁度なぎさは寝返りを打った。
その四十五分後……。
ジリリリリリリリリ
なぎさはガバッと体を起こす。どうやら昨日と同じ轍は踏むまいと意識しているのだろう。
な「四十五分遅れか……。」
枕元の目覚まし時計を手にとって呟いた。なぎさとしてはほのかのと同じ時刻に目を覚ましたかったようだ。
な「まぁ…。昨日よりはマシかな……。」
目覚まし時計を再びベッドの上に置きなぎさは足を床に下ろす。
そのまま素早く制服に着替える。
そして鞄を開けて本日の時間割の確認をする。
数学・英語・理科……。家に帰ってきてからは弁当箱と宿題を出した時くらいしか
開けていないハズの鞄には本日の授業で使う予定の教科書とノートが入っていた。
な「ほのか……。本当にいいのに……。」
嬉しそうな少し困惑したような表情で呟いた。
な「これで準備完了かな。よっし!!」
自分で自分に気合を入れるべくなぎさは大きな声を上げて両手を振り上げる。
元気良くドアを開けて部屋の外へと出た。
テーブルには既に向かい合って食事をする亮太とほのかの姿があった。
な(亮太の奴。普段は私と同じくらい寝ぼすけのくせに…。)
もちろん理由はわかっている。意外ときっちりした性格の弟に呆れながらなぎさは朝の挨拶をする。
な「おはよ〜。二人とも早いのね…。」
ほ「おはよう。なぎさ」
り「おはよ〜。お姉ちゃん。お姉ちゃんが遅いだけじゃないの?」
な「なに〜!?あんたこそ普段は遅いくせに!!」
ほ「まぁまぁ。朝からそんなに騒がないで…。」
ほのかがなぎさを宥める。この二日間ですっかり定着した風景である。
り「そうそう。お姉ちゃんもほのかさんみたいにもっと落ち着かなきゃ。」
な「あんたが言うな!!」
ほ「まぁまぁ…。」
その後二回ほど同じことが繰り返されるのだが今回は省略。
ほ「はい、なぎさ。」
な「あ…、ありがとう。」
茶碗に盛られたご飯をなぎさが受け取る。
本日の朝食は味噌汁、タクアン、鮭の切り身、ゆで卵、ほうれん草のおひたし、冷奴等。まさに和風といったものだ。
なぎさはもうただただその圧倒的な料理の数に驚くばかりである。
な「ほのか…。朝から凄い数の料理ね……。」
ほ「え、そうかしら?」
ほのかはなぎさの発言に首を傾げる。
な「こんなにたくさん……。作るの大変じゃなかった?」
なぎさは驚いたような声で聞く。その声には明らかにほのかに負担をかけたくないという想いが含まれていた。
それを察知しているのでほのかも笑顔で答える。
ほ「全然そんなことないよ。」
な「そ〜お?」
ほ「うん。」
更に心配そうに聞いてくるなぎさにほのかは笑顔で答える。
なぎさもそれ以上は聞かない。この二人の間柄ではそれ以上聞く必要が無いとなぎさも考えているのだろう。
な「おいしいね〜。このご飯。」
なぎさがご飯を一口食べてそう言った。
ほ「ふふふ。特別性の水で炊いた自信作のご飯よ。」
ほのかは嬉しそうにそして得意げに答える。
な「そ…そうなんだ……。」
なぎさは少し引いた様子で応じる。
な(何か怪しいもの入ってないよね……?)
ほ「入って無いわよ。」
な「!?」
なぎさは慌ててほのかの方を見るが、ほのかは黙ったまま笑顔で答えない。
- 192 名前:833@今回は長過ぎる…。 投稿日:2004/10/25(月) 16:12 [ XHQWFMgs ]
- ほ「ふふふふふふ。」
な「な…、なんか怖いよほのか…。」
ほ「気のせいよ…。」
な「そう?」
ほ「あ、なぎさ。そういえば私今日生徒会の仕事で帰りが遅いんだけど…。」
な「じゃあ今日は私が晩御飯作るよ。」
ほ「ごめんね、なぎさ。」
な「大丈夫。任せておいて。」
その後も静かな会話をしながら朝食は進んだ。
な「ほのか〜。洗い物なら私がするのに…。」
ほ「いいわよ。大した量じゃないから。」
な「ううん、ほのかばっかり働かしてらんないよ。」
ほのかの返事を聞かずなぎさは制服の両腕の袖をたくし上げる。
な「手伝うよ。」
ほ「ありがとう。でも時間大丈夫?」
な「大丈夫よ。昨日より早く起きたし、少しくらいなら。」
狭いキッチンの中二人で洗い物をする。
な「ふぅ〜。終わった。」
ほ「やっぱ二人で力を合わせるとすぐ終わるね。」
ほのかがなぎさを見て笑顔でそんなことを言う。
な「う…、うん。そうだね…。」
なんとなく照れくさいなぎさはほのかと逆方向を向いて答える。
な「ってああああ!!!!」
大声でなぎさが叫ぶ。ほのかは後ろに倒れそうになったがなんとか踏みとどまった。
ほ「ど…どうしたの?」
な「ありえなーい。時計が止まってる…。」
ほ「え…じゃあ……。」
な「どうしようほのか!このままじゃ遅刻だよ〜。」
ほ「どうしようって、仕方ないよ。先生に謝るしか…。」
な「ダメよ!私…。今度遅刻したら罰としてトイレ掃除って先生に言われてるのよ。」
ほ「でもそれって自業自得…。」
な「とにかく!遅刻するわけにはいかな……。ってそうだ!!」
ほ「え?」
な「そうだそうだ。」
ニヤニヤとした表情で何かを思いついたらしいなぎさだった。
ほ「なぎさ〜。何かいけないこと考えて無い?」
な「さ〜て行きましょうか、ほのか。」
追い詰められた表情から一転して笑顔になったなぎさを疑うほのか。
な「じゃあ亮太行ってくるから。ちゃんと鍵かけるのよ。」
ほ「行ってきます。」
り「行ってらっしゃ〜い。」
- 193 名前:833@今回は長過ぎる…。 投稿日:2004/10/25(月) 16:13 [ XHQWFMgs ]
- 遅刻しそうだというのになぜかゆっくりと家を出るなぎさ。
な「ほのか。ここでちょっと待ってて。」
ほ「え…。忘れ物でもしたの?」
な「ちょっと取りに行きたいものがあるんだ。」
ほ「わかった…。」
そう言ってなぎさは家とは違う方向へと消える。
そして数分後、自転車に乗ってなぎさがやって来た。
な「お待たせ!さ、ほのか乗って!」
ほ「な…なぎさ…?」
な「さ、乗って。これでなんとか間に合うかも知れないからさ。」
ほ「ダ…ダメよなぎさ!自転車通学は禁止でしょ!」
な「別に駅までだから大丈夫。誰にもバレないよ。」
ほ「そういう問題じゃないでしょ。ダメよ。」
な「でもこれに乗っていけば間に合うんだからさ。」
ほ「でも……。」
な「ほのかも委員長として遅刻するわけには行かないでしょ。」
ほ「そ…それは……。」
な「お願いほのか。今回だけ見逃して。」
上目遣いでなぎさがほのかにお願いする。
ほ(うう、なぎさ可愛すぎ……。で…でも、ここで甘やかすわけには…)
な「ね、ほのかお願い。」
なぎさが自転車から降りてほのかの背後に回りほのかの両肩を掴む。
そのまま肩叩きをしながら言う。
な「ほのか〜、お願い。今日たこ焼き奢るから。ね。」
ほ「わ…わかったよ…。しょうがないなぁ…。」
そう言っておきながらほのかはどこか嬉しそうだった。
な「じゃあほのか、乗って!すぐ行かないと。」
なぎさはサドルの上に跨る。
ほ「うん。」
ほのかはなぎさのすぐ後ろの荷台に座る。
な「行くよほのか。しっかり摑まっててね。」
ほ「うん」
なぎさは猛烈な勢いでペダルをこぎ始める。
自転車の車輪が転がり加速する。
な「ぬおおおおおお!!!!」
なぎさの怒号とともに自転車は高速で走る。
ほ「わぁぁ、速〜〜い。」
な「でしょ〜。」
ほ「でも学校に行く時は…。」
な「まぁまぁ。」
シャアアアアという音をたてて自転車は走る。
と道を曲がったところでなぎさが言った。
な「ほのか。ちょっと立って乗ってみて。」
ほ「え…こ…こう。」
ほのかは荷台に足をまたぎなぎさの両肩に手を乗せる。
な「そうそう。この先にいいところがあるのよね〜。」
自転車が道を左に曲がるとそこには長い坂道が待っていた。
なぎさも立ち上がり坂道を降りる。
ほ「わわわ。なぎさ。」
な「ほのか。転ばないようにしっかり私に摑まってて。」
ほ「う…うん。」
ほのかは両肩に置いた手に更に力を込める。
スピードに乗った自転車が風を切って坂道を走る。
ほ「気持ちいいねぇ〜。」
な「でしょ。この坂道は自転車で降りて最高に楽しいのよ。」
太陽の光が左手に見える川に差し掛かり川面がキラキラと輝く。
強い風が吹き、なぎさとほのかの体を揺らした。
ほ「綺麗……。」
ほのかがうっとりしたような表情でその景色を見つめる。
キキキィ
なぎさが急ブレーキをかけて自転車を止める。
ほ「わわわわわ!!」
ほのかがバランスを崩し前へと倒れこむ。
自然とほのかが後ろからなぎさに抱きつく形になった。
ほ「あ……。」
後ろから抱きついたほのかはなんとなく照れくさくなってしまう。
しかしそのままなぎさの体に回した腕を離さない。
な「本当に綺麗だね……。」
なぎさはその景色をじっと眺めたままほのかの行為を受け入れていた。
な「ほのか…。ちょっと痛い…。」
ほ「あ…、ご…ごめんなぎさ。」
ほのかは慌ててなぎさから手を離す。
ほ「なぎさ、時間大丈夫?」
な「え……。ってああああああ!!!!」
ほ「ちょ…、なぎさ。」
な「い…急がないと!!」
なぎさは再び自転車を漕ぎ出す。
その頃駅では全力ダッシュしたなぎさを尻目に定刻に間に合う最後の電車は既に出発した後だった。
しかしなぎさとほのかはもちろんそのことに気づいていない。
- 194 名前:833@今回は長過ぎる…。 投稿日:2004/10/25(月) 16:14 [ XHQWFMgs ]
- 駅到着。
な「ほのか急いで!」
ほ「うん!」
全力で走るなぎさとほのか。
な「その電車待ってぇ!!」
ドドドドドと何とか電車の中に滑り込むことに成功する。
な「はぁはぁ…。なんとか間に合ったね。」
ほ「うん…。」
と電車が急に走り出し、ほのかがバランスを崩す。
ほ「わわわわ」
前へ倒れこむほのかをなぎさが左手で受けて右手で止める。
自然にさきほどと少し違って、なぎさとほのかが正面で抱き合う形になった。
な・ほ「あ……。」
ほ「ご…ごめん、なぎさ…。」
ほのかがなぎさの肩に手を置いて正面から向かい合う。
な「ううん、大丈夫だった?」
ほ「うん…。」
お互いに視線を逸らす。お互いに顔が赤いように見える。
気まずい空間で電車までの時間はあっという間に経過した。
な「あ、ほのか。急いで。」
なぎさがほのかの手を掴み電車から降りる。
ほ「あ…。」
ほのかは握られて手を呆然と見ている。
なぎさが手を引っ張ったことによりほのかは体のバランスを崩してしまう。
ほ「きゃ!」
ほのかはそのまま今度こそ倒れてしまう。
な「ほのか!?大丈夫!?」
ほ「う…うん。」
ほのかは自力で立ち上がろうとする。
ほ「痛……。」
な「ほのか、大丈夫?」
ほ「大丈夫。ただの擦り傷よ…。」
な「で…でも。」
ほ「ほら、なぎさ。先に行って。遅刻しちゃうよ…。」
な「ダメよ。ほのかを放っておいて先になんて…。」
ほ「いいから…。早く…。」
な「それがさ〜。言い難いことなんだけど…。」
ほ「…?」
な「もう時間過ぎちゃったんだよねぇ…。」
ほのかが駅の時計に目をやると既にアウトだった。
ほ「トイレ掃除?」
な「うん、トイレ掃除。」
ほ「ごめんね…。私のせいで。」
な「ほのかのせいじゃないよ…、さ、行こう。」
なぎさが手を貸してほのかを立ち上がらせる。
ほ「痛……。」
ほのかは右膝を擦り剥いてしまったようであった。血が少し流れている。
なぎさは鞄の中からラクロスの練習で使うタオルを取り出し水筒の水で濡らしほのかの右膝を縛る。
な「これでひとまず……。」
ほ「ごめん、なぎさ。」
な「別にいいよ…。ちょっとこのまま歩くのは辛いかな。」
そう言うとなぎさはほのかに背を向けてしゃがみこむ。
な「乗って、ほのか。」
ほ「え…なぎさ?」
な「私のせいだからね。学校までおんぶしていくよ。」
少し責任を持った罪悪感のあるようなな表情でなぎさが言った。
ほ「でも…なぎさ。」
な「私の責任だからね。」
ほ「大丈夫、歩けるわよ…。痛…。」
な「ほら、無理しないで。」
ほ「でも…。」
な「それとも…、ほのかはだっこのほうがいい?」
なぎさがニヤリと笑ってほのかの背中に手を回す。
ほ「わわわわ!!ストップストップ!!おんぶしておんぶ!」
な「もう〜、ほのかがそこまで頼むなら仕方が無いな〜。」
ほ「……………………ポツリ(なぎさのばか〜、そんなの嬉しいけど無理よ〜)………。」
な「じゃあ行こうかほのか。」
なぎさが再び後ろを向く。
ほのかはなぎさの肩に手をまわし体重をかける。
な「よいしょっと。ふむ、ほのかって意外とおも……。」
ほ「何か言った?」
ほのかが後ろからなぎさの首に手をかける。
な「なななな何も言ってませんよ。ええ、そりゃあもう何も。」
慌てふためくなぎさと笑いながら首に手をかけるほのかだった。
な(っていうか本当はほのか凄く軽い……。チョコレート食べるの減らそうかな…)
ほのかはなぎさの頭に自分の頭をくっつける。
ほ「なぎさ……。背中温かいね……。」
な「な…何言い出すの急に?」
ほ「ふふふ、赤くなった。可愛いな〜なぎさ。」
な「ちょ…やめてよ…。ほのか。」
ほ「何言ってるの?おんぶするというのはこういうことなのよ。」
ほのかはなぎさの肩に置いた手を動かし、なぎさの首筋、そして頬へと持っていく。
な「ほ…ほのか……!?」
ほ「ふふふ、なぎさ……。」
な「ほのかってば…。やめてよね〜。」
こんなやり取りをしながら二人はゆっくりと学校へ向かった。
そして学校へと到着した二人は教室ではなく保健室へと向かった。
- 195 名前:833@今回は長過ぎる…。 投稿日:2004/10/25(月) 16:14 [ XHQWFMgs ]
- 保健室………。
な「これでよしっと…。」
ほのかの右膝にバンドエイドを貼ってなぎさが言った。
ほ「なんでバンドエイド貼るだけなのに七枚も使ったの…?」
な「な…なんでだろうねぇ〜。あはははは。」
無理やり笑うなぎさを見て一緒に笑うほのか。
ほ「でも…、とうとう遅刻かぁ…。」
な「だからごめんってば〜〜。」
ほ「ううん、私遅刻したことって無かったから。」
な「はぁ〜。遅刻なんかしたっていいこと無いのに…。」
ほ「別に遅刻したいってわけじゃないけど…。」
な「それにしても遅刻すると暇だね〜。」
ほ「暇じゃないでしょ。早く授業行きましょ。」
な「ええ〜、今更〜。あと15分しか無いよ〜。」
ほ「ダメ。早く行きましょ。」
な「もう少し休んでから行こうよ。ほのかのこともあるし。」
ほ「私は大丈夫よ。」
な「念のためによ。」
ほ「はぁ、わかったわ…。」
な「さすがほのか。話がよくわかる。じゃあ少し寝るね。」
そう言ってなぎさは奥のベッドに入る。
ほ「ちょっとなぎさ!寝ちゃダメよ!」
な「お休み〜。」
ほ「なぎさ!!」
な「ZZZ」
ほ「は…早い……。」
ほのかはゆっくりとなぎさの寝ているベッドに近づく。
ほ「はぁ〜……。なぎさったら……。」
ベッド眠るなぎさの顔を見つめながらほのかは不安そうな表情を浮かべる。
ほのかはふと思った。
なぎさと一緒に暮して三日目……。
この三日間だけでも今まで知らなかったことがたくさんわかった。
私はもっとなぎさのことを知りたいと思っている。なぎさともっと一緒に居たいとも思っているのかな?
私はなぎさに惹かれているのは自分でわかる。
なぎさは………。私のことどう思っているのかな?
これから……、私たちどうなるのかな?
ほのかはイスに座り自分の右手を眠っているなぎさの胸に重ねる。
疲れが溜まっていたのか、ほのかはなぎさに体を乗せるようにしてそのまま眠ってしまった。
……………………。チャイムの音が響き渡る。ちなみに二時間目終了のチャイムである……。
な「ふわ〜あ、よく寝た。ってあれ?」
なぜか自分の体の上にほのかの姿を見つける。
な「ほのか……?寝ちゃったのかな…。」
自然となぎさはほのかの頭を撫でていた。
ほ「あれ?なぎさ……?」
な「あ…、起きたの?」
ほ「なぎさ…、今何時……?」
な「え〜とね〜〜。あれ?」
ほ「なぎさ……。」
ゴシゴシと目をこするなぎさ。もちろん現実は変わらない。
な「もう一回寝よう。」
ほ「なぎさ、三時限目から出ましょう。」
な「は〜い……。」
そして二人は二時間遅れで教室に到着したのだった……。
- 196 名前:833@今回は長過ぎる…。 投稿日:2004/10/25(月) 16:16 [ XHQWFMgs ]
- 以上です。なんかまた無駄なところ多かったな…。
少しずつそういうところ削っていきたいですね。
今回は萌えシーン少なめで伏線張っておきたかったんですけどね。
後々で上手に生きるかどうか心配だ…。
- 197 名前:59 投稿日:2004/10/25(月) 22:27 [ 5/zZDOS6 ]
- >>177
ありがとうございます。本当、緻密なご考察痛み入りますm(_ _)m
「氏の文体は表現に強い調子を与えようとしますよね」「これらがちょい力みを
感じさせる」
これは…癖ですね(汗)。暗喩も明喩も大好きでして…ただ、そのへんも自覚していて、今回は「耽美」かつ形式主義」をわざと狙ったので、そういったところを暴走させてみました(笑)
んで、後半の純愛は…仕方ないんですよお〜(><) 俺のベースは結局どんなに鬼畜に走っても「純愛」に回帰してしまう…
ただ、最後の
「私は…好きよ。この手も、声も、なぎさのすべてが…大好き」
なぎさは…ほのかから目を離せずにいた。
「私は…決して、無くしたくないの。大切な人を。なぎさ、あなたを!」
そっとほのかは目を開いた。その視線は、穏やかだが、強い。
は絶対外せないんです。それは互いを想う「心」の描写だから…
実はね、このSS自体が単体で「トリック」なんです。
セックスのときに感じる、生殖行為としての官能ではない「五感」と「心」、それにに相当するキーワードを「翌朝の描写」と「シャワー前」に挟んでちりばめた…
つまり、このSSはこれ自体では未完成なんです。読んでくれた方々がそれぞれ十人十様の想像力で読んでいる最中に無意識のうちに前夜の行為の詳細やシャワーの行為を連想することで、脳の中で初めて完成するものなんです
そんなわけで…自分の純愛傾向もあって、やっぱり「心」は外せなかったですね〜(><)
- 198 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/26(火) 07:46 [ EwhkI3WI ]
- >>833氏 乙っす。
実は自分、第五ハァハァスレのと或る書込みを、いずれSS化しようかなと思ってたのですが
(で、自分には無理っぽいと感じてましたが)代って833氏が成してくださったようで
ビークリです。ちなみにその書込み(920氏。転載御免)はこんなのでした。
>「イタッ」ザケンナーとの戦いで足首を捻挫してしまったほのか。
>「ほのか大丈夫?ちょっとみせて」となぎさがくつ下を脱がしてみる。
>(ほのかって足の先まできれいだなあ)などと、しばし見とれてしまったり。
>「うん、これなら冷やしておけば平気」なぎさは怪我には慣れっこなのだ。
>それじゃ蛇口のとこまでおんぶしてあげる、と提案。
>「そんな、たいへんよ」
>「へーきへーき。あたしけっこう力あるんだよ」といいつつ、(うわあ、軽いなあ)
>と、ほのかが左手に持った靴からはみだしたくつ下をぼんやり眺めながら思ったり。
>「なぎさ…ありがとう…」ほのかはほのかで、無意識にきゅっと力を込めてみたりとか。
( ゚Д゚)<やはり百合萌えにおんぶは必須
- 199 名前:59 投稿日:2004/10/26(火) 09:45 [ URKPVASI ]
- …177さんへのレス書いてるうちに、泥酔してしまった(><)
>>大阪氏
いいっすねえ〜!
読み始めたときは単に28話ノベライズかと思ったんですが
「嘘つき・・・嘘つき・・・う、うぅ・・」
さなえは父のことは嫌いではなかった、むしろ大好きだった。だから余計に、
父の言葉に裏切られた気持ちになったのかもしれない。溢れ出る涙を抑える事が出来なかった。
えもいわれぬ焦燥感と疲労感、それに止め処ない悲しみと切なさ。そんな絶望のふちにあった
の部分がスッゲ利いてます!
それに、その後のオリジナルへの期待感!イイッス!
>>猫塚氏
タキシードほのかとドレスなぎさ、純白の2人を妄想しちったよほほ〜!GJ!
ポルン予知ワロタ!
んでラストもやっぱり(ほのかの意識はともかく)事故チューなんですね(爆)
833氏
自転車横乗り→立ち乗りへの連続コンボ!
保健室での不器用なぎさ!
イイッス!!
- 200 名前:( ゚Д゚)<ラー(アンサンブル) 投稿日:2004/10/26(火) 17:47 [ EwhkI3WI ]
- ( ゚Д゚)<このレスを読んでくれている
( ゚Д゚)<ステキな君
( ゚Д゚)<君も
( ゚Д゚)<SSを書いてみないかーい
( ゚Д゚)<まってるぜ
- 201 名前:プリキュアSS作品INDEX_101-200(1/2) 投稿日:2004/10/26(火) 17:49 [ EwhkI3WI ]
- 作品INDEX_001-100 >>101-102
.
【ネタSS「なぎさ&ほのかの☆ゆんゆん電波発信局☆ #01」(後編)】 >>105
作者:小説スレの105氏(17氏)
【ネタSS「ピーサード&ポイズニーのバリバリ★毒電波発信局」(前編)】 >>106
作者:小説スレの106氏(17氏)
【百合SS「833@連作百合萌えSS #01 ほのかの決意」】 >>109
作者:833@氏
【替え歌「セクシー・エクササイズ」】 >>110
作者:小説スレの110氏
【百合SS「833@連作百合萌えSS #02 第一日目」】 >>112-114
作者:833@氏
【百合SS「833@連作百合萌えSS #03 月曜の朝」】 >>118
作者:833@氏
【キリヤSS「どうして?」】 >>120-122
作者:59氏
【レギーネSS「兔」】 >>123-124
作者:59氏
【SS「贈物」】 >>128-129
作者:小説スレの128氏
【百合SS「833@連作百合萌えSS #04 お弁当」】 >>134-137
作者:833@氏
【百合SS「833@連作百合萌えSS #05 買い物劇」】 >>145-146
作者:833@氏
- 202 名前:プリキュアSS作品INDEX_101-200(2/2) 投稿日:2004/10/26(火) 17:51 [ EwhkI3WI ]
- .
【百合SS「ふたりで初詣」】 >>148
作者:百合スレ67氏
【SS「第8話脚本ヴァリアント」】 >>150
作者:ハァハァスレ3より585氏
【百合SS「833@連作百合萌えSS #06 お勉強」】 >>153-157
作者:833@氏
【ネタSS「ピーサード&ポイズニーのバリバリ★毒電波発信局」(後編)】 >>159
作者:小説スレの159氏(17氏)
【百合SS「なぎほのバレンタイン」】 >>162
作者:百合萌えスレ2より543氏
【百合SS「朝 〜Day to day〜」】 >>166-168(修整版>>175)
作者:59氏
【SS「ふたりはプリキュア ―めろりんきゅ〜?―
第一話『プリイグニッション』」】 >>178-179
作者:大阪氏(203氏)
【百合SS「あり得べきロミジュリ」】 >>181-182
作者:猫塚氏
【新シリーズネタ予告】 >>186
作者:マンセースレより43氏+46氏
【虐殺SS「FUCK YOU」】 >>188-189
作者:虐殺スレ3より269氏
【百合SS「833@連作百合萌えSS #07 遅刻」】 >>191-195
作者:833@氏
※題名には便宜的な仮タイトルも含まれます
- 203 名前:833@ 投稿日:2004/10/26(火) 20:02 [ iF5GLyXA ]
- >>201-202
まとめ乙です。
で空気読まずに続き落としてみます。
- 204 名前:833@ 投稿日:2004/10/26(火) 20:02 [ iF5GLyXA ]
- キーンコーンカーンコーン
な「朝から激しい運動するとお腹減るなぁ〜。」
昨日と同じように机の上に倒れこむなぎさ。
ほ「お疲れ様でした。はい、お弁当。」
ほのかも昨日と同じように弁当箱を渡す。
な「本当に申し訳ありません。」
ほ「そんな気にしないで。」
そこへ莉奈と志穂がやって来る。
り「とうとうトイレ掃除ね、なぎさ。」
し「てゆーかてゆーかてゆーか、自業自得だけどね。」
り「それよりも雪城さんが遅刻したことのほうが驚き。」
し「本当本当本当。雪城さんが遅刻なんて初めてじゃない?どうしたの?」
ほ「え…。うーん、寝坊しちゃってね…。」
困ったような表情で切り返すほのか。
し「それも二時間もだもんね〜。」
り「うん、なぎさと一緒にってのもね。」
な「あ〜もう、どうでもいいでしょそんなの!」
そして昨日と同じようと四人での昼食が始まった。
し「はい莉奈、あ〜んして。」
り「あ〜ん。わー、これおいしいね。」
な「あんたたち何やってるの?」
り「何って……ねぇ?」
し「ラブラブなお二人のマネをしただけよねぇ…。」
ほ「……………。」
黙ったまま顔を赤くするほのか。少し怒りで震えだすなぎさ。
な「ほのか。場所変えよう。」
ガタンと立ち上がりそのまま教室を出てしまう。
ほ「えっ、ちょっと、なぎさ!」
ほのかも立ち上がりなぎさの後を追って教室を出る。
教室に取り残された莉奈と志穂はなぜか笑っている。
り「なぎさらしいといえば、なぎさらしいけどね…。」
し「あっちのほうがよっぽど恥ずかしいと思うけど…。」
り「まあいいんじゃない。」
し「それもそうね…。暫くしたら後をつけますか。」
り「当然でしょ…。」
一方…
な「まったく…。志穂も莉奈も何考えてるんだろ。」
怒りながらなぎさは階段を上る。
ほ「なぎさ〜。どこまで行くの?」
後ろからほのかが泣きそうな声で聞く。
な「屋上。誰の邪魔も入らないところ。」
ほ「なぎさ…、余計からかわれる場所になんで自分から行くのかしら…。」
がほのかとしては嬉しいことなので黙っておく。
やがて二人は屋上へと辿り着いた。
生徒立ち入り禁止と書かれているがなぎさはそんな看板の横を素通りしてドアを開ける。
看板の効果なのかは不明であるが屋上には誰も人はいないようだ。
な「ここから誰もいないわね…。」
なぎさはどかっと腰を下ろし弁当箱を開ける。
丁度その時ギィィとドアが開きほのかが出てきた。
ほ「なぎさ〜、お箸忘れてるわよ。」
な「え?」
なぎさが手元に目をやると確かに箸が無い。
ほ「はい。」
な「あ…ありがとう。」
ほ「でもなんで急に屋上に来たの?」
な「え…。だって莉奈も志穂も私達のことからかってるんだもん。落ち着いて食べられないよ。」
ほ「普段からあんな会話してるじゃない。」
な「うーん、そう言われればそうなんだよねぇ…。なんでだろ?」
ほ(なぎさ、照れてるのかな……。)
な「まぁ、早く食べようよ。」
ほ「そうね。」
というわけで屋上で二人きりの昼食となった。
- 205 名前:833@ 投稿日:2004/10/26(火) 20:03 [ iF5GLyXA ]
- 放課後……。
し「じゃあトイレ掃除頑張ってね。なぎさ。」
り「気をつけたほうがいいよ。なんかあのトイレ……。出るらしいから。」
な「ちょ…ちょっと……。」
し「右から三番目のトイレの花子さんってのが出るらしいよ。」
り「花子さんって呼ぶと誰もいないのに返事があるんだって〜。」
し「もし花子さんの姿を見たら呪われちゃうらしいわよ〜。」
り「まあくれぐれも気をつけてね〜。」
な「……………。」
し「なぎさが固まっちゃった。」
り「じゃあね〜。先に行ってるから。」
莉奈と志穂は固まっているなぎさを放置して先にラクロス部の練習へと行ってしまった。
な「ありえない……。」
もはやトイレ掃除に恐怖感しか持っていないなぎさが一人トイレへと向かう。
あまり人に使われないそのトイレはいかにもな雰囲気を持っていた。
な「ほ…本当に出そうだよ……。」
恐怖心を克服出来ずにトイレの中へと入るなぎさ。
な「と…、とっとと終わらせて部活に行こう。」
ガクガクと脅えながら用具入れからデッキブラシを取り出す。
な「は…花子さんなんているわけないよね…うん。」
ビュウウウ
開いている窓から偶然風が吹いてきた。
な「ひ…ひいいい……。」
思い切り後ずさりをするなぎさ。はっきりいってどこぞの仮面ライダーと同じくらい恐怖心に負けている。
な「は…花子さんなんて居ないって…、そ…そうよね…。居ないわよね……。」
ゴシゴシと床をデッキブラシで擦りながら掃除を進める。
な「うう…。」
一人で黙々と真面目に掃除を進める。
気が付くとなぎさは右から三番目のドアの目の前にいた。
不幸なことになぜか右から三番目のドアのみが閉じられている。
開いてさえいればお化けなどいないということがすぐにわかるのに。
な「なんでここだけ閉まってるの……。」
なぎさはデッキブラシを左手で持ってドアの前に立つ。
な「は…花子さ〜ん。……………なんちゃって。」
慌ててあたりを見渡すなぎさ。もちろん誰もいない。
な「そ…そうよね…。誰もいないわよね…。そうだ。やっぱり花子さんなんて居ないんだ。ああよか…」
ビュウウウと突如再び風が吹いてきた。
な「!?」
なぎさは大慌てで辺りを見渡す。もちろん誰もいない。
な「そ…そうよね…。花子さんなんているわけないわよね。そうだそうだ。うん。ああ良かった。」
- 206 名前:833@ 投稿日:2004/10/26(火) 20:04 [ iF5GLyXA ]
- と次の瞬間誰かの手がなぎさの頬に触れた。そして声が聞こえる。
「はーい、呼んだ?」
もうなぎさの頭は恐怖で大爆発が起きた。
な「うわああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
ドダーン
思い切りドアに体をぶつけてへたり込むなぎさ。
そのままその場に尻餅をついてしまう。
な「こ…来ないでぇ!!成仏してぇぇ!!」
左手のデッキブラシを全力で振り回す。
なぎさは既に半泣きで錯乱している。
「なぎさ。なぎさ。」
な「やあああ。まだ死にたくない…。成仏しろおお!!」
「なぎさってば!!」
なぎさが花子さんだと思っていたものが大声で叫ぶ。
な「え…?え…?」
その姿は見間違えるハズも無い、雪城ほのかだった。
な「ほ…ほのか?」
ほ「なぎさ。大丈夫?」
な「ほのか!?ほのか!!」
ほ「そうだってば。」
な「ほのかぁ!!」
なぎさは大声で何度も叫び真正面からほのかに抱きついた。
な「こ…怖かったよぉ〜。」
ほ「ごめんね。なぎさ…。」
な「ほのか〜。花子さんが…、花子さんが………。あれ?」
なぎさが周辺を見渡すが誰もいない。居るのは目の前に立っているほのかのみだった。
な「え……。あれ……。」
きょとんとしているなぎさを見てほのかが大笑いする。
ほ「あはははははは。なぎさ…、本当に怖がりだったんだね……。」
な「ま…まさか……。ほのか……。」
ほ「驚いた?」
な「……………驚いた。」
ほ「ご…ごめんね。でもあんな叫び声聞いてこっちが驚いちゃったよ……。」
ほのかがまだ笑っている。
な「ほのかひど〜い。本当に私死ぬかと思ったんだからね。」
ほ「あははは、ごめんね、なぎさ。」
ほのかはなぎさを正面から抱きしめて背中をポンポンと叩いてあげる。
な「ったくもう…。」
ほ「でもね、なぎさ。幽霊とかお化けなんて実際には居ないのよ。」
な「べ…別にお化けが怖かったわけじゃない。ただ驚いただけよ…。」
ほ「そう?」
からかうような笑みでほのかが聞き返す。
な「それはそうとどうしてほのかがここに居るの?生徒会の活動じゃなかったの?」
ほ「まだかなり時間があるから手伝いに来たの。二人でやったほうが早いでしょ。」
な「そっか、ありがとう。じゃあとっとと終わらせよう。出るとマズイから。」
ほ「出ないって……。」
その後二人がかりで取り組んだトイレ掃除だったがどうにもなぎさの動きは鈍かった。
ほ「随分と時間がかかちゃったわね。」
な「だって花子さんが……。」
ほ「いないって。じゃあ私が確かめてあげるよ。」
ほのかが自信満々に右から三番目のドアの前に立つ。
ちなみにここはなぎさがどうしても嫌がったので掃除していない。
ほ「花子さ〜ん。」
ほのかが透き通った声で叫ぶ。
どこからも返事は帰ってこない。
ほ「ほらね、なぎさ。花子さんていな……。あれ?」
ほのかが辺りを見渡すとなぎさの姿がどこにも無い。
ほ「な…なぎさ?何処に居るの?」
返事は無い。ただ静寂な狭い空間が広がった。
ほ「なぎさ〜?どこ〜?」
不安そうに声を出すほのか。やはり返事は無い。
ほ「!?」
なぎさの声と違うような声が聞こえる。
ほ「あ…あなたは誰?何処に居るの?」
ほのかは全力で叫ぶ。同時に辺りを見渡すが誰もいない。
- 207 名前:833@ 投稿日:2004/10/26(火) 20:04 [ iF5GLyXA ]
- そして次の瞬間……。
「ぐがあああああああ!!!!!」
突然バケツをかぶった人間が用具入れから飛び出しほのかの目の前に立つ!!
ほ「きゃあああああああああああああ!!!!」
その場にへたりと座り込んでしまうほのか。
「がああああ!!!」
ほ「こ…来ないで……。」
両手を前に突き出し抵抗するほのか。すると……。
「ほら〜。ほのかも怖いんじゃん。」
ほ「え……。」
怪しい人間がバケツと取る。中から出てきたのは美墨なぎさだった。
な「花子さんなんて居ないって言ったのに。ほのかも怖がりなのね。」
ほ「え……。」
ほのかは腰が抜けてしまっているのか何もいえない。
な「まあこれで帳消しだね。」
正体がなぎさだとわかった途端ほのかが怒りに震える。
ほ「なぎさ!!」
な「ひぃ!ご…ごめんほのか……。」
ほ「はぁ〜。」
深い溜め息を一つつくほのか。
な「ほのかだって怖かったでしょ!」
ほ「そんな格好で近づいて来られたら誰でも怖がるわよ!!」
な「そ…そう?」
ほ「まったく…。」
また溜め息をつくほのかだった。
ほ「さっさと掃除終わらせましょ。」
な「なんか私だけ悪いことした〜。みたいになってない?」
ほ「いいからさっさと終わらせましょう。」
な「それもそうね……。」
そしてなぎさが使用したバケツやデッキブラシを用具入れに戻そうとしたその時。
ポトリと壁に掛けられた雑巾から何かが落ちた。
それはもう言葉で表現するには難しすぎる黒い生命体であり……。
ほ「きゃあああああ!!!!」
な「わわわわわわ!!」
思わず正面から抱き合う二人。
黒い悪魔が二人の目の前に落ちる。
がピクリとも動かない。
な「死んでるのかな?」
なぎさが道具で突いてみる。
ピクリとも反応が無い。どうやらその推測は正しいようだ。
な「ゴミ箱に入れとけばいいかな?」
ほ「う…うん。」
ほのかはなぎさの両肩に手を置いたまま動かない。
どうやらよほどこの生き物が嫌いらしい。
ほ「なぎさ…、気をつけてね。」
死体を運ぶのに何を気をつければいいのかよくわからないがほのかは混乱のあまりそんなことを言っていた。
な「よいしょっと。」
なぎさが棒で死体を挟みゴミ箱に放り込む。
その後トイレットペーパーを大量につっこみ、その姿が見えないようにする。
な「でもほのかがゴキブリ苦手なんて知らなかったなぁ〜。ミミズとかは全然平気なのに…。」
ほ「あれは生き物じゃないわ…。黒い悪魔よ……。」
な「ほのか。幽霊は居ないのに悪魔はいるの?」
ほ「そう、あれは地球制服を企む悪魔なのよ。」
な「なんか部活前なのにかなり疲れた…。」
ほ「なぎさ、頑張って。」
な「うん、頑張るよ。」
力なくほのかの声援に答える。
トボトボとした足取りで部活に向かうなぎさだった。
- 208 名前:833@ 投稿日:2004/10/26(火) 20:05 [ iF5GLyXA ]
- >>134-137
でよく見ると莉奈の名前書き間違えてるし…OTZ。
まあいいか…。
- 209 名前:59 投稿日:2004/10/27(水) 07:43 [ mabFGfkI ]
- 833氏
乙!
しほり〜な冷やかし弁当イベント→2人っきり学校の怪談GJっす!
…ゴキは俺も嫌いだなあ〜(><) 触ったら洗剤で何度手を洗っても匂いが残ってる気がして…
- 210 名前:833@ 投稿日:2004/10/27(水) 18:51 [ aCzjiUDo ]
- ヤバイ…。なんか今回のは誤字が多い…OTZ.
- 211 名前:177 投稿日:2004/10/27(水) 19:03 [ SZSSN8yA ]
- >>197(59さん)
いえ、こちらこそ勝手尽に非礼申したようで恐縮です。
59さんの「朝 〜Day to day〜」は、基本の文章力・構成力に加えて、
障子に浮び上がるほのかの影とか化粧台に映るなぎさの姿などのような
公式の美術設定を踏まえた空間演出に凝ったりしている時点で、
すでに匿名掲示板で読めるSSの水準は高く越えていますので、
ちょい異色の感想を綴らせていただきました。
次作も期待しています。勿論せき立てて云うのではなく、59さんに
お手すきのときが十分あればの願いですけれども。
- 212 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/28(木) 00:53 [ /jabZWeo ]
- .
Zzz...
<⌒/ヽ-、___
/<_/____/
…スレのSSが神の領域に達している>
<⌒/ヽ-、___
/<_/____/
あんなのが本編で見られたら萌え死ぬ>
<⌒/ヽ-、___
/<_/____/
∧ ∧ !!
( ・ω・)
_| ⊃/(___
/ └-(____/
- 213 名前:プリッキュアスレより143氏:小ネタSS 投稿日:2004/10/28(木) 07:41 [ /jabZWeo ]
- .
雪城さんと仲直りしたい!
雪城さんと友達になりたい!
もっともっと雪城さんのこと知りたい!
通学路の土手にうつむいて座り、一人佇み川の流れを見つめるぎさ。
すっ・・・と影がさした。顔をあげ見上げるなぎさの目の前で雪城ほのかが
いつの間にか傍で一緒に川の流れを見つめている事に気づいた。
(雪城さん・・・)なぎさが気まずく俯こうとした時、
ほのかが鞄から何かを取り出しなぎさに差し出す。
「あの・・コレ・・・」(プリキュア手帳!)驚くなぎさ。
「これ・・・・"なっちん"・・・のでしょ?」おずおずとなぎさの顔色を窺うように
話しかけるほのか。
「な・・なっちん?」(え?なっちん?誰?わたし?)
「なぎささん・・・だから・・・なっちん・・・」
(ゆ・・・雪城さんって全然人間関係の間合い取れない人?でも・・・!カワイイ!)
ぱあっと明るい笑顔を作りほのかの手を握り立ち上がるなぎさ。
「行こう!・・・ほのぴー!」一緒に駆け出すなぎさ。
ミップル・メップル「なんか嫌な感じに仲直りしたメポミポ・・・」
おしまい
- 214 名前:( ゚Д゚)<ホウホウ 投稿日:2004/10/28(木) 07:42 [ /jabZWeo ]
- 【プリッキュアスレより143氏:小ネタSS】
メロン板の「プリッキュア〜!」スレからは色々転載したい心だが
差し当たってはこれと、後も一つだけ転載。仮題「第8話 - イヤな仲直り」。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/143
解説不要。面白い。
- 215 名前:プリッキュアスレより147氏:百合SS(1/3) 投稿日:2004/10/28(木) 07:44 [ /jabZWeo ]
- .
明日から中間試験ということでほのかの家で勉強会を開いたふたり。
勉強に熱が入りいつの間にか夜遅くになってしまった。
なぎさは家に
「今夜は雪城さんの家に泊まる」と電話すると
理恵ママもうるさく言うことはなかった。
むしろなぎさにシッカリ勉強を教えてくれるお友達ということで、
ほのかと親しくすることを歓迎している節さえある。
ほのかのおばあちゃんさなえと一言二言何か話した後なぎさに
「雪城さんにご迷惑かけるんじゃないわよ!」
そう言って電話を切ってしまった。
コチコチコチコチコチ・・・・時計の音、ペンを走らせる音。
そして12時を告げる柱時計。
さなえおばあちゃんは熱い紅茶とお茶菓子を差し入れた後寝床に入ってしまった。
ミップルメップルポルンはお世話カードですでに眠っている。
「もうこんな時間」
ほのかが机から顔をあげ両手で背伸びする。
「よーし!私もコレで明日の試験はバッチリ!ほのかのおかげだよ!」
「明日は試験で早いからもう寝ましょう」
ほのかがさっさと机を片付ける・
「えええ!勉強終わったんだし、何かおしゃべりしようよぅ!」
なぎさがごねる。
「だ〜め!試験で良い点数取るには充分な睡眠をとらないとちゃんと頭が働かなくって・・」
「はぁい!ほのかセンセイの言うとおりにしまーす!」
ほのかが自分のベッドを使えとなぎさに薦めたのだが
「ラクロスの合宿で雑魚寝なんてしょっちゅうだよ!」
と言ってほのかのベッドの脇で毛布を被って横になってしまう。
「なぎさ、寒くない?」ほのかが声をかける。
「ぜ〜ん然!寒くな・・ふぁくしょん!」くしゃみをするなぎさ。
くしゃみがおかしくてほのかが笑い出し、なぎさも釣られて笑う。
- 216 名前:プリッキュアスレより147氏:百合SS(2/3) 投稿日:2004/10/28(木) 07:45 [ /jabZWeo ]
- .
「もう!なにが可笑しいの!ほのか!」
なぎさは起き上がりベッドの中で横になっているほのかの毛布をまくりあげ
「ふっふふ!覚悟しろ!」
ほのかの腋をくすぐる。
「きゃあ!止め・・て・・ふぁ・・くすくすくす・・ふぅ・・くふぅ・・駄目ぇ・・・」
脚をバタバタ腕を振り必死になぎさのくすぐりから逃れようとするが、
「なぎさスペシャル!!!」なぎさのくすぐりは止まらない。
「いゃ・・んっく・・・止・・・て・・・ふぁぁ・・ふあ・・ひぃん」
「参ったか!ほのか!参ったか!」
悪戯ななぎさが手を止める。
ようやくなぎさのくすぐりから開放されたほのかが息も絶え絶えに
「ぅぅぅ・・酷いよ・・なぎさ・・止めてって言ったのに・・・」
枕に顔をうずめ泣き出すほのか。
「ご・・・ごめん・・・ほのか・・あの・・・そんなつもりなくて・・・」
狼狽し慌ててほのかをなだめようとするなぎさ。
「ぅぅぅ・・・ふふ・・・うふふ!・・・あっははは!」
泣き声からしのび笑いそして大笑いするほのか。
「なぎさったら!慌てちゃって!可笑しい!」
再び仰向けになりなぎさに顔を見せるほのか。
「・・・あ〜!ウソ泣き?もぅ!」
ぷぅっと膨れてみせるなぎさだが、互いの顔を見ながら微笑む二人。
「さあ!ホントにもう寝ましょう!」
「うん!でもやっぱり寒いな・・・ほのかのベッドに入れて!」
「いいよ!」毛布をひろげほのかがなぎさの場所を作り端による。
「わぁ!暖かい!」ほのかの身体にぎゅうっと抱きつくなぎさ。
どっきん!
突然ほのかのココロのどこかが痺れた。
- 217 名前:プリッキュアスレより147氏:百合SS(3/3) 投稿日:2004/10/28(木) 07:46 [ /jabZWeo ]
- .
「うー寒い寒い!」ほのかの手を包み込むように握るなぎさ。
(手・・・手をつなぐくらいいつもの事じゃない!)
ほのかは自分がなぜ言い訳しているのか自分でも判らない。
(それになぎさは女の子で、お友達で・・・)
頭の中が急にぐるぐる回り始めた。
「ほのか?どうかした?」心配そうにのぞき込むなぎさ。
「ううん!なんでもないよ・・・」顔が赤く熱くなるのが自分でもわかる。
そんなほのかに気がつかず、「そうだ!ほのか!腕枕してよ!」
ほのかの左手を頭の後ろにまわして、なぎさが、とんっ!と寄り添う。
「腕枕って気持ちイイ・・・ほのかって・・・何かいい香りがする・・・」
目を瞑りほのかの香りを愉しむなぎさ。
「ねえ・・・なんか心臓ドキドキしてない?」
そう言いながらほのかの胸に顔をうずめる。
「なぎさ・・・」抱き寄せ髪を撫ぜる。少しだけ芝の香りがする。
「・・・?」
ほのかの異変にようやく気がついたなぎさ。
「どうかした?」
「なぎさがいけないんだよ・・・こんな気持ちにさせて・・・」
なぎさの瞳を見つめ頬に手をやる。
一瞬の躊躇・・・・そして決心・・・
なぎさのくちびるを奪う。
「―――!―――」
「ちょっ、ちょっと・・・ほのか!?」
ほのかのくちびるから開放されたなぎさが戸惑いの声をあげる。
「ごめん・・・こんなの嫌?でもなぎさがいけないんだよ・・・」
「嫌じゃないよ・・・でも・・・なんか怖いよ・・・」
「平気・・・私たちふたりなら・・・」
翌日の中間テストは散々な結果だった、とだけ記しておく。
おしまい
.
- 218 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/28(木) 07:47 [ /jabZWeo ]
- 【プリッキュアスレより147氏:百合SS】
仮題「ココロのどこか」。百合萌えSSの一秀作。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/147-153
なんつうか、たわいないじゃれ合いからナニに持っていく、という
なぎほのSSとしては、文脈や起承転結のあり方も含め決定版という気がする。
くしゃみ → なぎさスペシャル → ほのか嘘泣き → 二人で笑い合う →
さあ寝ましょう → 抱き着く → どっきん! → なんでもないよ… →
腕枕してよ! → なんか心臓ドキドキしてない? → なぎさがいけないんだよ…
→ (゚д゚)ウマー
改行の多用や、中央寄せによる書体の工夫も、省略でつないでゆく地の文も、
読みやすい間合いと流れとに効果が結実していて、シンプルながらも見事。
いや、これはホント丁寧に作られてるわ。Great job!!
- 219 名前:59 投稿日:2004/10/28(木) 21:20 [ /SullbtI ]
- プリッキュア〜! スレ、初めて見ました
良SSの宝庫ですね〜!
129みたいな王道ネタSSも好きですし、136〜142のもストレートにきました
んで…158〜164、すっげいいんですけど、俺が今こっそり書いてるのとかなり設定がかぶっている…orz
舞台や、敵が襲ってくるところや、さなえさんがキーになってるところなど…
…2番煎じになりそうなので、いまのはお蔵入りにします(涙)
ただ…発想の元のアイデアは生かして、違う作品にしたいと思います
- 220 名前:833@さて、今回は? 投稿日:2004/10/29(金) 00:01 [ RVQNs7r. ]
- な「ただいま。」
ガチャリとドアを開けると中から亮太が小走りで出迎える。
り「お帰りなさ〜い。ってお姉ちゃんだけ?」
当然一緒だと思っていたほのかがいなかったせいか声の調子が下がる。
な「何?文句あるの?」
り「別に〜。」
な「ほのかは今日は生徒会の仕事があるから帰り遅いから私が晩御飯作るわよ。」
り「え…。今日くらいは出前にしたほうがいいんじゃないの?」
な「なによ?私の手料理が食べられないってわけ?」
り「いえ…。全然そんなことはないですよ。」
な「まあほのかみたいに難しいものは作れないから簡単なのにするから大丈夫。」
り「もう食べられれば何でもいいよ…。」
なぎさは一度部屋に戻ると制服から着替え、手を洗い準備万端の状態でキッチンへ向かう。
り「それで……、何を作るの?」
な「あんまり難しいのは出来ないから…。無難に炒飯にしますか。」
り「炒飯が焦げ飯にならないといいけど…。」
な「うるさい!」
ゴツンと亮太の頭に拳骨を一発落とす。
な「とりあえず炒飯の素はあったから…。後はハムと卵と…。」
り「玉葱は?」
ギロリとなぎさの視線が亮太を射る。亮太もそれで全てを悟った。
な「あっと、ご飯を炊かなきゃいけないんだ。」
り「まだまだ時間が掛かりそうだね…。」
そう言って亮太の姿は消える。
な「とりあえずご飯の炊飯のスイッチを押してと…。」
米の準備は既にほのかの手によって済まされていたのでなぎさの仕事はスイッチを押すだけだった。
そしてご飯が炊けるまで暫し待つ。
と電話のベルが鳴った。
な「もしもし」
ほ「あ、なぎさ。」
な「ほのか、どうしたの?」
ほ「うん。もうすぐ仕事のほうが終わりそうだから7時半には帰れると思う。」
な「わかった。じゃあ晩御飯用意して待ってるよ。」
ほ「ありがとう。楽しみにしてるね。」
な「じゃあね。」
ほ「うん。」
ガチャリと受話器を置く。
な「雨降りそうね〜。」
一度部屋に戻り窓に目を向けてなんとなく呟いた。
時計の針は丁度12を指していた。現在時刻7時。
- 221 名前:833@さて、今回は? 投稿日:2004/10/29(金) 00:01 [ RVQNs7r. ]
- な「ご飯が炊けたから……。」
なぎさは炒飯の素の裏の説明書きとにらめっこしながら料理を進める。
な「材料を切って、炒めるだけ。なんだ簡単そうじゃん!」
材料を冷蔵庫から取り出し調理用具を並べる。
その後エプロンを身につけ、三角巾を頭に巻き準備完了。
な「シャキーン。料理の使者!美墨なぎさ!!」
ポーズを取って人差し指もビシッと決める。
り「……………何やってるの?」
呆然と立ち尽くしている亮太が尋ねる。
な「な…、あんたはなんで居るのよ!!」
り「いや、なんとなく……。」
な「出来たら呼んであげるからとっとと部屋に帰りなさい!」
り「わかったよ…。」
納得のいかない顔をしながら亮太が部屋に戻る。
な「さてと…。ほのかのために…、頑張らないと…。」
静かに気合を入れなおしなぎさは晩御飯の仕度にかかる。
な「うううう…。ハムが上手に切れない。おかしいなぁ…、ほのかはほとんど同じ大きさだったのに…。」
なぎさが切ったハムの大きさは一番大きいものと一番小さいものの差が5cm程もあるものだった。
な「ま、大事なのは気持ちよね。」
落ち込みそうになる自分を励ましながら料理を続ける。
普段は母親に任せっぱなしで言われてもやらないような料理。
しかし今日のなぎさは自分から進んで苦手な料理へと挑戦する。
彼女をそこまで動かしたものは一体何だろう。恐らくはなぎさ自身もわからないだろう。
な「うわあ、卵割るの失敗しちゃったよ…。ありえなーい…。」
卵の黄身を直撃した左手はドロドロになっている。
な「こんなところでめげてらんないよ。」
なぎさは卵の殻を片付け再び卵を手に取る。
な「よ〜し、今度こそ出来た!」
無事お椀に割ることの出来た卵を箸で掻き混ぜる。
な「さて、ここからが本番の炒める作業。」
二日前は消火器まで使用するほどの大惨事を引き起こしてしまった。しかし今日はそうはいかない。
な「いざ、尋常に勝負!」
なぎさはフライパンに材料を流し込み一気に炒める。
ほのかのために料理を作るという想いのせいなのだろうか。
なぎさは手際良く材料を炒める。ほのかと比べても遜色の無いレベルの技術を発揮している。
な「これで完成!!」
最後のフリをして火を切りフライパンを置く。
な「よ〜し、出来たわ。」
三角巾を取り額の汗を拭うなぎさ。
な「亮太。出来たわよ。」
亮太がバタバタを走りながらやって来る。
り「お姉ちゃん。晩御飯出来たの?」
な「まぁね。あ、でもそろそろほのかも帰ってくるからなぁ…。それまで待てる。」
り「別に大丈夫だよ。」
な「じゃあ私は少し休憩。」
一旦なぎさは部屋に戻る。
な「ふぅ〜。疲れた…。でもほのかのためだもん。これくらいどってことない!」
両手を伸ばし気合を入れる。とここで外の様子がおかしいことに気づく。
閉められたベランダの窓に大量の水滴がついていた。
な「雨降ってたんだ……。」
何かがなぎさの記憶にヒットした。
な「ほのか…、今日、傘持って行って無い!」
バタバタと走り出してリビングへ戻る。亮太が一人でそこにいた。
り「お姉ちゃん。どこ行くの?」
な「ほのかを迎えに行ってくる。今日傘持って無いハズだから。」
り「え……。」
な「悪いんだけど…。一人で留守番出来る。」
り「大丈夫。それより急いだほうがいいよ。」
な「ありがと。じゃあ行ってくる!」
なぎさは傘を一本手に取り素早く差す。そのまま全力で走り出した。
な(ほのか…。大丈夫かなぁ…。)
- 222 名前:833@さて、今回は? 投稿日:2004/10/29(金) 00:02 [ RVQNs7r. ]
- 時刻は丁度7時30分。なぎさは駅に到着した。
な(ほのか。ここで雨宿りしてるのかな?)
なぎさは駅の中に入りあちこちを捜したがどこにもほのかの姿は無かった。
周辺の店を回ってもみたがほのかは見つからなかった。
念のため雪城家に電話をかけたみたが、ほのかが来てはいないということだった。
な「雨の中、帰ったのかな……。」
なぎさは来た道を引き返す。どこかで行き違ったのかも知れない。
だとしたら急がなければいけない。ほのかは傘を持っていないのだから。
なぎさは来た道を引き返す。雨は益々強くなっていった。
な「ほのか〜。ほのか〜。」
なぎさは何度もほのかの名前を呼ぶ。しかし返事は無かった。
そしてなぎさはガックリとした気持ちで河原へと来ていた。
ほのかがいる可能性のある場所はなぎさの知る限りはもうここしかない。
な「ほのか〜。」
なぎさは力を振り絞ってほのかの名前を呼ぶ。
ほ「なぎさ……?」
橋の下から小さな声が聞こえた。
な「ほのか……?ほのか!そこに居るの?」
ほ「なぎさ!」
ほのかが橋の下で手を振っていた。
な「ほのか。そこに居たんだ…。」
ホッと息をついてなぎさがゆっくりとほのかの元へと向かう。
な「良かった…。無事だったんだね…。」
ほ「無事って。ちょっと大袈裟じゃない?」
な「大袈裟じゃないよ。凄く心配だったんだから…。」
ほ「なぎさ…。」
な「本当にもう…。」
ほ「ごめんね…。なぎさ。」
な「さぁ、帰ろう。ここに居ても風邪ひいちゃうよ…。傘持ってきたから。」
ほ「持ってきたって…。どこにあるの?」
な「だから…………。あれ?」
ほ「傘……、一本しか無いの?」
な「……………。うん。」
恥ずかしそうになぎさが頷いた。
そして……。
な「ひゃう…。ううう……。雨が当たって冷たい。」
ほ「ほら、なぎさ。もっと近づかないと濡れちゃうよ…。」
な「いいよ。私よりもほのかがびしょ濡れなんだからさ…。」
ほ「ううん。なぎさが風邪ひいたら大変だから…。ちゃんと入って。」
な「ん…。わかった…。」
なぎさは傘の中に入ろうとする。自然と二人の距離は縮まる。
な「ほのか…。冷たいよ…。」
ほ「すぐに止むと思って駅から走ったんだけどね…。」
な「あそこで雨宿りしてたの?」
ほ「うん。」
な「まあいいか……。」
ほ「なぎさ。さり気なく離れてるよ。もっと近づいて。」
な「ほのかの体も雨もどっちも冷たいんだけどなぁ…。」
ほ「なぎさは私の体を温める役割も兼ねているのよ。」
ほのかが傘の柄を持つなぎさの手に自分の手を重ねる。
な「ほ…ほのか…。」
ほ「こうしていれば…。もっと近づけるよ…。」
な「ううううう…。」
照れなのか冷たいからなのか、なぎさは目線を逸らしてしまう。
ほのかはそんななぎさを見ながら無言で笑ってしまう。
というわけで雨の中仲良く家路に着く二人であった。
その後すぐにほのかがお風呂に入り、三人で夕食をとり火曜日の夜は過ぎていった。
- 223 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/29(金) 08:11 [ cANLV3WY ]
- | | 乙カレー お茶ドゾー>>833@
| |
| | ∧_∧,, \ | / / ド キ ュ ソ!!
|_| ( ´・ω ゞ ⌒ヾ∠_____________-ニ ̄ ̄ ヽ
|文| / つ⊃( =- 旦 )
| ̄| しー-J' //_ く ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄--=____ノ
""""""""" / / ∨N \
今回は相合い傘ネタだな。個人的には、二人して傘にからだを入れて、
柄に手と手を重ねるなかでの無言のやりとりが、も少し敏感に描けていると
もっとよかったと思う。とにかく乙。
- 224 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/29(金) 17:25 [ FQVEKKuA ]
- 何この天国のようなスレ
(*´Д`)
- 225 名前:833@ 投稿日:2004/10/29(金) 18:55 [ RVQNs7r. ]
- >>223
感想ありがとうございます。読んでくれる人がいるってのは本当に励みになります。
>柄に手と手を重ねるなかでの無言のやりとりが、も少し敏感に描けていると
>もっとよかったと思う。
なるほど。もっと精進しなければいけませんね。
火曜日って水曜日のための繋ぎでもあるので今後もお楽しみにしてください。
59氏や大阪氏のようにもっと心理や風景の描写が上手くなりたいものです。
- 226 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/29(金) 23:15 [ 60GD2Y1A ]
- 883氏のSSは毎回寸止め感が絶妙
読んでる間、ニヤニヤと身悶えが止まりません
くをー!(*´Д`)
- 227 名前:59 投稿日:2004/10/30(土) 01:47 [ TxOeXg8Q ]
- 833氏、GJ!
やっぱなぎさは細かいところで不器用ってのが萌えるよなあ〜!
常にほのかと見比べてたりしてさあ〜!
で、833氏のいわゆる「脚本形式」のSS。この情報量に俺や大阪氏のような「小説型の地の分」を入れると、下手すると一万文字を超える長文になりますよ。
俺のを読んでくれればわかると思うけれど、どれも数分の物語なんです。
TPOってやつで、833氏は833氏でいいと思う
- 228 名前:初代百合スレ67 投稿日:2004/10/30(土) 02:21 [ g5HPVTds ]
- 秋の夜長に虫の音聴いて…というワケではありませぬが、最近昼夜逆転気味の生活を
送っているのでプリキュアSSなど投下してみようかと。
…どっかで見たようなシチュエーション&長文だとゆぅのはお約束って事でお許しを。
- 229 名前:「ちょっぴりイタい調理実習?」-1 投稿日:2004/10/30(土) 02:25 [ g5HPVTds ]
- ここはベローネ学院中等部にある調理室。未来の淑女育成を掲げるこの学院において、
料理や裁縫といった技術習得の時間は意外と多く取られている。
椅子に座って教科書やノートとにらめっこの授業とは違って多少の雑談も公認されて
いるし、自分の手で何かを創る…というのは幾つになっても楽しいものだ。
おまけにその対象がケーキやクッキーといった「女の子向け」な物であれば、生徒側
から文句の出ようはずもない。
とはいえ、ちゃんとした「食事」を作る事もある…ちょうど今日のメニューである
肉じゃがのように。
鼻歌交じりにするするするっ、とジャガイモの皮を剥いていくのは、才色兼備を
地で行くほのか嬢。同じ班の志穂や莉奈、ゆりこはすっかりその手際の良さに見惚れ
きっていたりする。
「すっごいすっごいすっごーい!雪城さんてば料理の天才だねっ!」
「ホント、まるでリンゴみたいに皮が1本になっちゃってるよ」
「ほのかの手先が器用なのは部活の実験とかでも知ってたけど…まさかこれほどとはねぇ」
賞賛の言葉を受けてちょっと頬を赤らめたほのかは、恥じらうように笑って見せた。
「それにひきかえ…」
莉奈が疲れたような表情でほのかの隣に視線をやり、つられたほのかがそちらを向けば、
なぎさが同じくジャガイモ片手に奮闘しているところだった。
…が、何やらジャガイモがひどく歪な形をしている。
はて、自分が手渡した時はあんな形ではなかったはず…と視線を落とせば、テーブルの
上にジャガイモの断片が散らばっている。
どちらかと言えば「皮を剥いた」というより「身ごと皮を削り落とした」という表現が
良さそうだ。
「あ〜、なぎさのジャガイモちっちゃいちっちゃいちっちゃ〜い♪」
すかさず志穂の茶々が入り、ゆりこが思わず「ぷふっ」と息を漏らす。瞬間、なぎさは
眉を釣り上げて反撃を開始。
「うっ、うるさいなぁっ!私はあんまり包丁とか慣れてないんだからしょうがないでしょっ!」
…訂正。反撃にもなっていない。
- 230 名前:「ちょっぴりイタい調理実習?」-2 投稿日:2004/10/30(土) 02:28 [ g5HPVTds ]
- 「ま、まぁまぁ…ほら、なぎさもそんなにふくれないで?ちょっとした包丁の使い方
くらい憶えたって損はないんだから」
素早く入ったほのかのフォローにも、なぎさの眉毛と口元は曲がったまま。
ほのかや莉奈やゆりこはともかく、内心同じくらいに不器用だろうと思っていた志穂
が意外にも手際が良かったため、ちょっとスネてしまっているらしい。
「それに…私、なぎさの作った肉じゃが、食べたいし。ね、ガンバ!」
鈴を転がすような声で激励しつつにっこり笑顔。こうなると、なぎさの眉もあっさり
硬度を失ってしまう。
…解っているのかいないのか、罪作りなお方である。(ゆりこの視線がナニゲに痛い)
「ほらなぎさ、皮剥き機使いなよ。そのままじゃあたしら食べるトコなくなっちゃうから」
「あ…あははは、ごめんね悪いね使わせてもらっちゃうねー♪」
苦笑いしつつ莉奈がTの字になった器具を差し出すと、なぎさは照れ隠しにことさら
オーバーアクションでそれに手を伸ばす。
その急な動作に驚いたほのかが反射的に包丁を引いてしまい…切っ先が指先を掠めた。
「痛っ…」
かすかな熱を感じたあと、指先に引かれた白い線から赤い液体が溢れ出し、引力に
引かれてまな板の上に落ちる。
「あ…」
その様子をしっかりと見てしまったほのかは傷を押さえようともせず硬直している。
一番焦ったのはもちろんなぎさである。
「いっけない…」
慌ててポケットを探るも、ハンカチやらポケットティッシュやらは全部教室に置いた
ポーチの中だ。まさか雑巾で押さえるワケにもいかず…
「しょーがない…貸してっ!」
一言叫ぶと、血に濡れたほのかの人差し指を、「ぱくっ」と咥えてしまった。
瞬間、ほのかの身体とゆりこの眉がぴくんと跳ねた。
「ちょ、なぎさ…何してるの!?」
一瞬前まで青ざめて見えた顔色を真っ赤にするほのか。瞬間湯沸し機でもこうは行くまい
…実に器用だ。
「ひははふぁいへひょ!(仕方ないでしょ!)」
指を咥えたままもごもご喋るなぎさに、ほのかは耳たぶを通り越して首筋まで赤くなる。
「ひゃうっ…し、舌動かさないで…くすぐった…」
「ひーはらひっほひへへ!(いーからじっとしてて!)」
「くぅんっ…や、ちょっ…ホントにダメぇ…ッ!」
甲高い悲鳴をあげるほのかを無視して志穂に視線を向けると、彼女は慌てたように
エプロンのポケットからハンカチを取り出した。
続けて流れるように莉奈を見ると、小さく頷いた彼女はスカートのポケットからバン
ソーコーを取り出してくれた。
ちゅぱっ、と濡れた音を立てて唇から指を抜き、素早くハンカチで唾液をふき取り
バンソーコーを貼り付ける…実に手馴れた様子であった。
「ふぅ、これでよしっと。舌で触ってみたけど、そんなに傷深くないから大丈…ぶ?」
安心したように笑うなぎさだったが…いつの間にかしんと静まり返った調理室の空気
に違和感を感じた。
よし美先生を含めたクラス中の視線が自分たちに向いていたのだ(一部の視線は嫉妬とも
羨望とも感動ともつかない何かを含んでいた)。
ほのかは真っ赤に火照った顔のままでぼんやりしているし、居心地悪い事この上ない。
「な…何よ、みんなして…?」
うろたえたなぎさが呟くと同時、クラスメートは無言で自分たちの作業に戻っていった。
志穂と莉奈は苦笑いのまま、ゆりこは恨みがましげな顔のまま。そしてほのかは調理実習
が終わってもずっとぼんやりしたままだったが…。
- 231 名前:「ちょっぴりイタい調理実習?」-3 投稿日:2004/10/30(土) 02:32 [ g5HPVTds ]
- 一日の終了を伝えるチャイムの音に、なぎさは「んー」と伸びをひとつして、固まった
筋肉をほぐした。
普段ならこのあと部活があるのだが、今日は職員会議でお休み。久しぶりに空いた時間を
どう過ごそうかと考えていると、視界の端でほのかが席を立つのが見えた。
「ほーのかっ!一緒に帰ろ?」
「ふぇっ!?」
すすっと近づいて声をかけてみると、びっくりしたように跳ねてからなぎさの顔を見て、
また顔を赤くしてしまった。
「ね、もしかして熱とかある?」
「だっ…大丈夫よ!痛みもないし、ほらほら!」
ぶんぶんぶん、と手を振ってみせるその様子に、ちょっと変な印象を抱きつつ再び
帰りを誘ってみると、消え入りそうな声で「うん」という答えが返ってきた。
歩き出してすぐ、なぎさは妙によそよそしい雰囲気に息苦しさを感じ始めた。
普段なら道端に咲く花や流れ行く雲の姿、夕焼けの微妙な色合いについて、なぎさの
知らない知識や季節の移り変わりを教えてくれるのだが、今日はまったくと言っていい
ほど口を開かない。黙りこくって俯いたまま、指先のバンソーコーをいじっている。
「元気ないよ…やっぱり痛む?」
沈黙に音を上げ、精一杯さり気ない口調で聞いてみると
「…仲良しなのね」
…返ってきた答えはまったく予想外のものだった。
頭に疑問符を浮かべているのを察したほのかが、言葉を紡ぐ。
「なぎさと、久保田さんと、高清水さん。何も言わなくても意思の疎通が出来て…
言葉の要らない関係なのね」
なおも意味がつかめずに困惑していたなぎさだったが、ほのかの親指がバンソーコー
を撫でているのを見てようやく理解した。
「あぁ、バンソーコーの時?あはは、あれは私もびっくりしたよ」
今度はほのかがなぎさの言葉を飲み込めなかったらしい。不思議そうな顔でなぎさを
見ている。
「ラクロスの試合の時はさ、こう…声を掛け合ってプレイするんだけど、時々は目で
話したりするんだ。ほら、あんまり叫んでばっかりだと、相手にバレるでしょ?」
何かを見ているようで、何も見ていない眼差し。きっと、プレイ中の真剣な時間を思い
出しているのだろう…そう察したほのかは、黙ったままでその横顔を見つめている。
「だから、さっきちょっと試合中みたいに切羽詰っちゃって、それでつい志穂とか莉奈の
方見ちゃったんだ。そしたら2人ともちゃんと解ってくれたみたいで…へへ、ちょっと
嬉しかった」
照れ笑いしながらがしがしと髪を掻き乱すなぎさに、ほのかは少し寂しそうな微笑を見せた。
「いいな…そういうのって」
「へへ、なんだかんだで付き合い長いからねー」
- 232 名前:「ちょっぴりイタい調理実習?」-4 投稿日:2004/10/30(土) 02:36 [ g5HPVTds ]
「私には…そんなひと、いないから…羨ましいな」
小さな、ほんの小さな呟き。
かすかな風の音にも紛れて消えそうなその声が、何の偶然か消える事なくなぎさの耳に
届いた。
途端にその顔から照れ笑いが消え、眉間に皺が寄せられ、言葉が口から漏れ出た。
「そんな事ない」
急に雰囲気が変わった事に驚く間もなく、ぐるりと身体の向きを変えさせられ、
なぎさに両肩を掴まれた。
思ってもみないほど強い力に鈍い痛みを感じたが、何故かほのかはこの手から逃げては
いけないと感じた。
かつて戦いの中で何度か感じた、なぎさが真剣に…本気で怒った時の気配。痛いほどに
自分の肩を掴んだ手から、本気の証であるそれを、今も感じたのだ。
「ほのかには、私がいる」
真剣な、どこか猛禽を思わせる強い意志を漲らせたなぎさの目が、睨むように自分を
見つめている。
…気がつけば、ほのかの頬を涙が伝っていた。それでも決して目を反らさない。
それが、大切な大切な…心の底から大切な親友への、精一杯の誠意だから。
ふっ、となぎさの視線から強さが消え、柔らかい微笑みが浮かんだ。同時に、ほのかの
顔がくしゃ、と歪む。
「ぎ…さ…なぎさっ…なぎさぁ…」
泣きじゃくるほのかの背中をあやすようにぽんぽん、と叩きながら、なぎさは何処までも
優しく微笑んでいる。
「この先、私たちがプリキュアじゃなくなってもさ…私はずーっと、ほのかの友達だよ」
…こんなに素晴らしい人と友達になれた事を、一体誰に感謝すればいいんだろう?
どんなに言葉にしたくても、言葉が出てこない…そんな不便さを全部流し尽くすように、
ほのかはなぎさにしがみついて泣き続けた。
最初の重苦しい空気とも、激情の吹き荒れた先刻の空気とも違う…夕立の上がった
後に似た、透き通った空気の中を、2人は何も言わずに手を繋いだまま歩いていた。
やがて雪城家と美墨家を分かつ最後の分かれ道に辿り着き、顔を見合わせる。
「じゃ…また明日ね」
「…うん」
一瞬お互いに力を込めた後、握り合った手を解く。
不自然なほど自然な様子で離れていく温もりに、かすかな淋しさを感じた。
それは自分で思っているよりはるかに強かったらしい。気がつけば、ほのかの指先は
なぎさの制服の裾を掴んでいた。
「どしたの?」
優しく訪ねる声に、ほのかの顔がまた赤くなる。
何をしているのかなど、自分が聞きたいくらいだった。
「あ…その…」
「…?」
いつまでもこんな姿のままで立ち竦むわけにも行かない。すぅっと深呼吸をして気持ちを
落ち着けて、普段の声を取り戻す。
「…ありがとう」
暖かい微笑みと共に出た言葉に、なぎさも嬉しくなって微笑んだ。
「どういたしまして!」
満面の笑顔で答え、今度こそなぎさは帰途につく。
時折振り返りながら手を振るその姿を見つめながら、ほのかは今日怪我したばかり
の指を、そっと口元に当てていた。
〜Fin〜
- 233 名前:初代百合スレ67 投稿日:2004/10/30(土) 02:40 [ g5HPVTds ]
- …ハイ、とゆぅワケで「ちょっぴりイタい調理実習?」全4話、お楽しみ頂けましたでしょうか?
まー自己満ちっくなノリと展開でありますが、いろいろと感想とか頂けたりしたら嬉しい限りで
ゴザイマス。「ココってどうよ?」ってな感じの指摘なんかも、どしどしカムカム。
そんでは、今日はオヤスミナサイ〜♪ ノシ
- 234 名前:833@ 投稿日:2004/10/30(土) 12:59 [ .O/bv5OY ]
- >>233
すげぇ面白かったです。GJ!
なぎほのだけでなくしほりーなにユリコ。
全部のキャラの魅力が書かれているって感じでした。
地の文とかも上手く書けてる。オレの憧れる小説形式だな〜。
- 235 名前:59 投稿日:2004/10/30(土) 23:20 [ Bht9nkZw ]
- >>233
いいですねぇ
表現もつぼをしっかり押さえてるし、なぎさの真っ直ぐさとかがすっごく胸に響く!
…さて、俺も百合スレに投下したやつ拾ってくるかな
SSとすらいえない即興のものだけど、まあ、インターミッション程度に、ね
- 236 名前:59 投稿日:2004/10/30(土) 23:22 [ Bht9nkZw ]
- (即興ゆえ無題)
道…
通りなれた、いつもの道。たぶんあたしは目をつぶってでも通れちゃう、そんな住宅街。
あたし、美墨なぎさはそんなところを歩いていた。
ていうか、ほとんど習慣になってるんだ。日曜日の部活の無い日にはほのかんちに行くっての。
いちお、ね、勉強しに行くって事にはなってるんだけどね。彼女…雪城ほのか…はあたしのクラスでも、ううん、学年全体でもとびっきり成績がいいから。あたしはと言えば…聞かないで頂戴って感じだけど。
だけど…最近、ちょっとほのかのところへ行くのがちょっと気が重いってとこあるかな?いや、もちろん勉強が辛いってのもあるけど…最近はそれだけじゃすまなくなって…。
ぶっちゃげあたしはそういうことするのは嫌いじゃない、うん。ほのかのこと好き、ってかめっちゃ愛してるし、やっぱり気持ちいいし。
もしかしたら怖いのかな…?なんか、気持ちよければいいほどそれまで普通に勉強していた自分との落差ってのがあって、なんだかわからないけど自分が普通じゃないような気がして。
それに、あんなことをしていると、ほのかが好きだからやってるのか、それともこれが気持ちいいからほのかといたいのかわからなくなりそうだし…。
ほんとはほのかとただ隣同士でいて、一緒に笑ったりくだらないおしゃべりしているだけでもあたしは充分幸せだったと思うんだ。もちろんいまだってそうしてるけど、でもいまはそれだけじゃ収まらないから…。
でもあたしは、ほのかが求めたら拒めない。もちろんほのかはあたしが拒んでも怒ったり失望したりはしないと思うんだ。拒んだことが無いからわからないけどね。でも、たぶんほのかは、笑うと思う。ちょっとだけ淋しそうな感じで。
あたしはそんなほのかの顔なんて見たくないから、だから、拒めない。
そうそう、でもね、そういうことしているときのほのかって、めっちゃ可愛いんだよ!もともと肌が透けるように白いから、ほっぺたとかがほんと綺麗にピンク色に染まるの!
んで、肌を合わせると、意外と冷たいんだ。そんなふうになるまでは手を握ったことしかなかったからわかんなかったけど。ほのかが言うにはあたしのほうが基礎代謝が高いからそう感じるんだって。よくわかんないけど。
それがさあ、やっぱりいろいろいじってたら、だんだん温かくなってくるの。それもビックリしちゃうくらい。もちろんあたしもおんなじ様になってるんだろうけどね。
んで唇を求めてくるときの顔なんかめっちゃ可愛くてぇ〜!
…って、何言ってんだ、あたし。
結局、あたしも好きなんだなあ〜!
あ、こんな時間!急がなきゃ!
- 237 名前:59 投稿日:2004/10/31(日) 00:35 [ yT12BjCs ]
- …ちょっとブロック崩しをやりに逝ってました(何?
これは…百合スレで後にレスで指摘された様に、状況描写も何も無く、ただ「黒と白の戦いを書きたかった」だけで書いたものなので拾ってくるかどうか迷ってたんですが…
せっかくなんで、ついでにあげときます
- 238 名前:59 投稿日:2004/10/31(日) 00:36 [ yT12BjCs ]
- (これも無題)
「本気でいくからねー!ホワイト!」
ブラックはぎゅっと拳を固めた
「ええ」
ホワイトは両手をぶらりと垂らしたまま自然体で構える
「うりゃあああああ〜!」
先手を取ったのはブラックだった。弾くように地面を蹴ると、俊足でホワイトの胸元に迫って右拳を突き出す
「はつ!」
ホワイトは身を沈めた。ブラックの拳が空を切る!しかし…ホワイトが回避した空間にはブラックの膝が待ち構えていた!
「くううぅぅ!」
なんとかその膝の襲撃を十字受けで止めるホワイト!しかし、その瞬発力にはあらがいようもなく彼女は10mほども吹き飛ばされてしまった
ズザザザザー!
着地したホワイトの靴底が後退の削過音を立てる
「はああっっ!」
掛け声とともに、ブラックは飛び蹴りを仕掛けてきた!体勢を直す暇も無く見上げるホワイト!そして…
そして、ホワイトはそのまま飛んだ!飛んで…ラリアットの要領で左のひじをブラックの喉にかけると、そこを支点として体勢を入れ替えてブラックに抱きつく!
ドスン!
地面が揺れる。ホワイトの空中投げによってブラックは落下の衝撃のほとんどを真正面から受けていた!
「それで終わりなの?ブラック!」
ふわりと着地したホワイトから叱咤の声がかけられる。
ブラックは…両手を地面に押し付けて、身体を起こしていった
「まだだ…まだ…まだよ!」
「…はっ!」
ホワイトは一瞬息を呑んだ!目の前で起き上がろうとしたブラックが、その残像だけを残してふいに消えたのだ
「ぐうっ!」
ホワイトは喉元に強烈な圧迫感を感じた!ブラックの腕が、背後から、自分の喉に巻きついている!?
ああ…終わりね…
ホワイトは力を抜いた。
もとよりホワイト…ほのかは自分が生き残るつもりなど毛頭無かった。もしブラックと戦うのが運命なら、私はブラックの、愛するなぎさの礎になる、と。
それは単なる自己犠牲ではない。もっとわかりやすい…ほのかには、ブラック…なぎさを手にかけることが決してできないのだから。
ふと
ふと、ほのかの肩の上に濡れた感触が落ちてきた。二つ、三つ、四つ、と…
「だめだよう〜ほのか…。こんなの、だめだよう…」
それはブラック…なぎさの涙だった。それはほのかの戦いで薄汚れた白いドレスに小さなシミを作っていく…。
「…なぎさ」
それだけを、ほのかは搾り出した。なぎさの腕がするりと落ちてきて、ほのかの胸を抱きしめる
「だめだよう…ほのか…私たちが戦うって、ありえない…」
ほのかはなぎさの両手を、そっと掌で包んでささやいた。
「うん…そだね…。なぎさ…大好きよ…」
- 239 名前:833@ 投稿日:2004/10/31(日) 00:40 [ kNfE2UY. ]
- >>59氏。
お疲れ様です。両方良かったです。
特に二人が戦うほうなんかいいですね。
出来ればそこに至るまでの過程が書かれてると尚良かったのですが…。
- 240 名前:59 投稿日:2004/10/31(日) 00:53 [ yT12BjCs ]
- >>239
アリ!
経緯…経緯なんて、無いんですよ〜(><)
ただ百合スレの「なぎほの→牡丹と薔薇→殺し合い」の流れの中で即興で思いついたまま書いたんで…
アニメではこんなシチュにならないことを祈ります…
- 241 名前:59 投稿日:2004/10/31(日) 00:55 [ yT12BjCs ]
- ×経緯
○過程
…酔ってると、単語をすぐ脳内変換してしまう…(鬱
- 242 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/31(日) 01:22 [ 3Y/aK0KY ]
- 執筆オヅガレザマデーズ>>百合スレ67氏
∧ ∧γ⌒'ヽ
(,, ´∀i ミ(二i
/ っ、,,_| |ノ
〜( ̄__)_) r-.! !-、
`'----'
なんと。4000字を越える力作SS、執筆乙&投下thx.
百合SSというよりむしろ、志穂莉奈なぎさの息の合ったやりとりに
どこか寂しくなるほのかを描いたりする点、強い友誼をテーマにした
SSという感じですかね。案外珍しいかも。
──それを逆に言うと、前半の一話二話は百合萌えSSのような描かれ方なので、
その分すこし後半と齟齬があって、最後ほのかが激しく泣きじゃくるに至るのも
やや唐突と感じられるところがあるかもしれません。
まあ自分が瑕疵を指摘するとしたらまずその点かナ。ご反撥ご参考どうぞ御随意に。
>59氏(>>236>>238)
( ゚Д゚)<イエー
( ゚Д゚)<ワンダホ
イメージとか、シチュエーションとか以前に、氏の文章には貫通力があるので
ともかく読ませますね。まあ、羨ましいことです。
- 243 名前:59 投稿日:2004/10/31(日) 01:56 [ yT12BjCs ]
- >>242
アリ
ってか、貫通力って何だろうって素で考えてしまった…
俺は、いまは普通の肉体労働者ですけど、言ってしまえば「かつてその道を目指した人間」なんです
でも、諸状況のために現在に至ってる…。
でもね、やっぱり夢は捨てきれないなあ〜…
- 244 名前:初代百合スレ67 投稿日:2004/10/31(日) 03:15 [ R9wlJrTw ]
- 遅ればせながら833氏&59氏、ご感想ありがとうございまうー♪
やはり感想いただけるってのはSS書き冥利に尽きるというか。次も書こうという
気になります。がんばんべー。
>>242
うぃ、ぶっちゃけ言うと当初は最初の2話だけで完結の百合萌え予定でありました。
…が、書いてるうちに興が乗ったといいますか、ちょっぴりシリアスに流れてみたり。
今考えると、前2話と後2話の間に数日の間を置いて、ちょっとほのかの悩んでるシーン
とか入れてみたら違和感は薄れたかも。(私的にほのかはホワイトの時以外は結構
思考に沈むタイプという印象)
書き上げてからイロイロと考えてみるのもまた一興。ご意見サンキュウです♪
>>236>>238
ダブルアップお疲れですー♪
前者は「思い悩みつつもおノロケモード」のなぎさがめさキュート。きっとにやにや
しつつ歩いてるんだろうなぁw
後者は一転、深く愛し合う2人(ココ私的最重要ポイント)が拳を交える事になるシリアス
モード。スピード感あって解りやすい情景描写は見習わせて頂きます。
- 245 名前:プリッキュアスレより136氏:最終回SS(1/2) 投稿日:2004/10/31(日) 10:45 [ 3Y/aK0KY ]
- .
ジャアクキングをついに倒した2人。若葉台駅前・・・・
なぎさ「ぁ〜 ついにジャアクキングを倒したんダァ・・」
ほのか「フフ。一件落着ね。」
メップル・ミップル「・・・・」
なぎさ「どうしたのメップル、ミップル?さっきから黙っちゃって」
メップル「それが・・メポ」
ミップル「実は2人にはずっと秘密にしてたことがあったミポ・・」
な&ほ「?」
メップルとミップルの話によると、ジャアクキングを倒した2人のプリキュアは
別れ別れにならなくてはいけない、ということだった。
闇であるジャアクキングを倒したということは、光を表す戦士プリキュアもまた、解散した
ということ。そもそも光があるから闇が出来てしまうのであって、ジャアクキングを倒した今、
この世界は光の力で満たされているが、闇と光のバランスが保たれていないと、いずれまた
必ず新たな闇(敵)が生まれてしまうというのだ。
もちろんプリキュアをやめただけではダメで、人間での日常生活でも、2人の関係を
断ち切らないといけない。という。
ついさっきジャアクキングを倒してその役目を無事終え平和を取り戻した2人にとっては
あまりにも急で残酷な話であった。
ほのか「仕方ない・・・よね」
なぎさ「・・・うん」
ミップル「いままで黙っててごめんミポ・・」
ほのか「いいわよ、、ミップルは悪くないわ」
メップル「いますぐ別れなくちゃいけないってわけじゃなくて、
プリキュアの役目が終わってから・・・1時間以内なんだメポ」
ほのか「じゃあ、タイムリミットは6時まで・・・」
ほのかは時計を見てそう呟いた。
メップル・ミップルの提案で、残りの1時間は2人っきりで過ごしたら、と言われたので、
そうすることにした。
夕方。公園のブランコに座りながら2人はいままであったことを語りつくした。
でも、いままで2人で一緒に過ごした時間と比べると、1時間なんてあまりに短い時間に
過ぎなかった。
6時10分前、駅前にまた戻ってきて、2人は別れを告げようとしていた。
なぎさ「あっ そうだ。最・・」
そこでなぎさは言葉を飲みこんだ。最後なんかじゃないよね。
ほのか「?」
なぎさは鞄に手を荒々しくつっこむとプリキュア手帳の1ページを切取り、何かを
書いているようだ。
そして急にペンの音が止むと、紙を何回も折って何が書いてあるのか見えないようにして
ほのかに紙を突き出した。
なぎさ「今は読まないで、別れてから50歩、歩いたら見て・・」
そうするとほのかも同じように手帳の1ページを破り、ペンを取り出した。
ほのか「私も」
- 246 名前:プリッキュアスレより136氏:最終回SS(2/2) 投稿日:2004/10/31(日) 10:46 [ 3Y/aK0KY ]
- .
そんなことをしているうちに6時になってしまった。
手紙を書くんじゃなくてもっと話しとけばよかった、なぎさに後悔の念が少し残る。
なぎさ「じゃぁ・・・」
ほのか「・・・うん」
2人ともゆっくりと逆の方向へ向かって、歩き出した。後ろは振りかえらない、いや、
振りかえれない。いま振りかえったら・・・
そんな気持ちの助け?もあって2人とも早く手紙をみたいがために、10歩くらい進んだ
頃にはすでに駆け足になっていた。
そして50歩、歩を運んでから・・・
なぎさ「はぁ はぁ なんて書いてあるのかな?」
ほのか「ハァ ハァ ・・手 手紙」
《ほのか、ありがとう。私いままで本当に楽しかった。
プリキュアをやることにプレッシャーを感じてた、あの時ほのかのおかげで
立ち直る事ができたよ。
ケンカしたこともあったしいろいろ不安な事もあったけど、ほのかと一緒だったし、
ほのかと一緒にいたかったから頑張れてこれたんだと思う。
私、さっき最後って言いそうになっちゃった。最後なんかじゃないよね。
また、いつか会えるよね?
その日が来るまで私絶対忘れないからほのかのこと》
《なぎさへ、なぎさとはじめてプリキュアをやるってことになったとき
実は不安だったの・・・
私ってどうも理屈っぽくって人付き合いって苦手で、もしかしたら私なぎさに
嫌われてるんじゃないの?って怖かった。
でもなぎさはそんな私の事を大切にしてくれて嬉しかった。
いつまでもなぎさと一緒に居たかった。
でも もうそれも無理なんだよね。 いままでありがとう。》
ほのか「なぎさのバカ・・また会えるわけないじゃない・・・でも・・」
なぎさ「ほのか・・私も 私も・・」
「 一 緒 に 居 た い ! 」
すでに2人はさっき別れた駅前に向かって走り出していた。
なぎさ「はぁ はぁ・・・ ほのか・・」
ほのか「・・ハァ ァ・・ なぎさ」
3人は人目も気にしないで抱きついた。
なぎさ「ほのか、私、私ほのかといつまでも一緒に居たい!」
ほのか「なぎさ、私も私もよ。なぎさ!」
ミップル「本当に止めなくてよかったミポか?苦労をするのは2人ミポ・・・」
メップル「いいんだメポ。2人は仲良しが一番!メポ!」
2人はその日いつまでも家には帰ろうとはしなかった。
ふたりは友達。いつまでも一緒。
終り。
.
- 247 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/31(日) 10:49 [ 3Y/aK0KY ]
- 【プリッキュアスレより136氏:最終回SS】
仮題「最後の手紙」。「プリッキュア」スレに散見する最終回ネタSSの白眉。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/136-142
最終回ネタとしては、身に代えて虹の園を守る二人とか、記憶を失ってふたたび
「美墨さん」「雪城さん」の関係に戻る二人など、色々と考え様もあるのだろうけど、
このSSでは、お話の整合性よりも、むしろプリキュアの役目を終えての
なぎさとほのかの別離を主に描いていて、かえってイイ味わいになっている。
日常生活でももう会っちゃいけないなんて強引過ぎじゃない? といった疑問は置こう。
最後の時をどう過ごすかというなぎさの逡巡と、8話を思わせる、プリキュア手帳による
メッセージ交換のアイディアとを、上手く重ねた136氏の創意には、素直に感嘆する。
- 248 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/10/31(日) 11:01 [ 3Y/aK0KY ]
- >3人は人目も気にしないで抱きついた。
あー……半角数字を全角に揃えた時に2と3を打ち間違えた……
読むときは脳内修整してくれっ。136氏には衷心よりお詫び申し上げます…
- 249 名前:59 投稿日:2004/10/31(日) 13:05 [ MevyoG/o ]
- 久々の休みなんですっかりヒッキーモードの59ですo(^-^)o
>>247
乙!
これ、めっちゃ好きなんですけど♪
- 250 名前:猫塚 投稿日:2004/10/31(日) 20:16 [ AYZ9l0b. ]
- 北国の冷たい風が、なぎさの体から熱を奪う。しかし、なぎさが体を震わせたのは、そのせいだけではなかった。
新潟を襲った大震災。凄まじいまでに荒れ狂った自然の力の恐ろしさが、あちこちで爪跡を残している。ベローネ学院のボランティアメンバーとして現地入りした生徒たちは、誰一人としてこの日のことを忘れられないだろう。
まだ復興のめどすら立たない被災地に、人手の需要は多い。
主に力のいる仕事は男子部メンバーの担当だが、この惨状では、女子部もそうとばっかり言っていられなかった。特になぎさなどは、率先して男子に混じり、彼らと同等の働きを見せていた。
働きっぱなしだったのメンバー全員が、ようやくとれた休憩に、思い思いの場所でへたり込む。
午後を過ぎた頃から、徐々に厚くなってきた雲を見上げ、なぎさは重い溜息をついた。
汗をかいた体に、すでに冬の色を濃く帯びた風は良くない。しかし、それでもなぎさは外で休憩することにした。先程、わずかに走った微弱な余震にさえ、背筋に霜が降りてしまって、とても屋内で休む気にはなれなかった。
「……なぎさ、風邪引くわよ」
両手に湯気の立つ紙コップを持ったほのかが、なぎさの姿を見つけて近づいてきた。連れ添うのが当然といった感じで、隣に腰を下ろす。
「はい、熱いコーヒー。向こうで配ってたから」
「サンキュー、ほのか」
ほのかから手渡されたコーヒーを、二人並んで仲良くすする。冷やされた体に、温かさが染み込んでいく。
「……さっきの余震、怖かったね」
「うん……でもね、今はもう安心。だって、今はなぎさがそばにいるもん」
「そんな…駄目だよ」
折れそうなほどの、弱い声。
ほのかがチラリと視線を横に流して、なぎさの顔に目をやると、まるで今の曇り空のように翳った表情をしていた。
「アタシなんかいたって……地震が起こったらどうしようもないじゃん。アタシがどんなにがんばったって、ほのかを助けられないかもしれない。もうお願いだから、絶対地震来ないで……!」
最後のほうは感情が高ぶって、もしかしたら泣き声に聞こえたかもしれない。うなだれながら言葉を吐き出し終えたなぎさが、少し赤くなった目を上げて、ほのかに謝った。
「ごめん…つい…」
紙コップから立ち昇る湯気が、風に流されていく。風が止むのを待って、再びなぎさが口を開いた。
「ねえ、ほのか。あのさ……プリズムストーンの力で、何とかしてあげることって、出来ないのかな? 光の園を修復したときみたいに、あの力で何とか元通りにしてあげられないのかな?」
答えなど最初から分かっていたが、それでも問わずにはいられなかった。
熱いコーヒーを持っていても、木枯らしの肌寒さに手が震える。このまま冷たい風に洗われ続ければ、この身には不安しか残らないかもしれない。
寒さに打たれているなぎさの手に、ほのかの手の平がそっと重ねられた。凍りついてしまいそうだったなぎさの心を、優しい温もりが解かす。
「大丈夫だよ、なぎさ。大丈夫……私たち二人だけじゃないんだもの」
冷えた空気の中、ほのかの暖かな眼差しが、真っ直ぐになぎさの目を見つめてくる。
「義援金だってたくさん送られてくるし、ボランティアの人だって、まだまだ来てくれる。誰もプリズムストーンなんて持ってないけど、でもみんな、何とかしてあげたいって気持ちを持ってて……そんな気持ちがいっぱい集まれば、きっと元通りになるよ」
- 251 名前:猫塚 投稿日:2004/10/31(日) 20:17 [ AYZ9l0b. ]
- 「うん……そうだよね…… ごめん、ほのか…なんかアタシらしくなかった」
ほのかの眼差しと言葉に元気づけられ、心に力が湧いてくる。
決して強くなんて無かった。一人だと、冷たく体を撫でていく風にさえ負けてしまいそうだった。でも、二人で支えあっている今なら、絶対に負けない。
「うん、みんなで力を合わせれば、目の前にある絶望だって、きっと乗り越えられる。いつまでも、こんな地震なんかに負けっぱなしじゃいられないよね」
なぎさの目に灯った力強い光を見て、ホッとほのかの表情がほころんだ。手にしたコーヒーを脇に置いて、するりとなぎさの腰に両腕を巻きつける。なぎさが何か言うよりも早く、柔らかな重みが体にしなだれがかってきた。
「ちょ、ちょ、ちょっと、ほのかっ?」
「ごめんね、なぎさ……実は私、もうくたくたで…少しだけでいいから休ませてね」
しゃべっている間に、二三度、頭をすりすりと動かして、寝やすいカタチに首を据える。
「ほのかぁ、こんなとこで寝ちゃうと風邪引くよ?」
既に、泥のような疲労感に意識が沈みつつあるようで、返ってきた返事は、むにゃむにゃと言葉になっていなかった。そんな無防備な姿態を晒す親友に、なぎさはこっそりと苦笑した。
(もおホント…可愛いったらありゃしない。それにほのかの体って、あったかくて気持ちいいな〜)
寄せられた頭髪から、馥郁とした匂いがなぎさの鼻をくすぐってくる。綺麗につやつやと流れる黒髪を見ていると、ほのかが何処かの国のお姫様のように思えてきて、ちょっとどぎまぎとしてしまう。
(アタシのお姫様……ちゃんと守ってあげなくちゃね)
少し頬を赤くしながら辺りを見渡して、近くに人がいないことを確かめながら、
(…いいかな〜?)
ほのかの肩に手をまわし、起こさないようにそっと抱き寄せた。二人の体温が、より親密になって暖かく感じられる。
(大丈夫だよ、ほのか。アタシ、もう負けない。ここにいるみんなも負けない。そして、いつかきっと……)
視線を上に真っ直ぐ上げて、キッと睨みつける。
曇った空なんか乗り越えて、元の澄んだ空を取り戻してみせるから……
- 252 名前:猫塚 投稿日:2004/10/31(日) 20:23 [ AYZ9l0b. ]
- 新潟で地震が起こって大変なとき、
何も知らずにプリキュアのDVD見てたっけ?
日曜の朝刊で初めて知って、かなりビビッたが。
同じ震災民として、新潟の方々にもがんばってほしいものです。
それから、前回のSSにレスしてくださった皆様。感謝。
お返事できなくてスミマセンでした。では。
- 253 名前:59 投稿日:2004/10/31(日) 22:45 [ HZ585pIQ ]
- >猫塚氏
じーんときました!GJですm(_ _)m
一歩書き方を間違えればともすれば不謹慎になるタイムリーな話題を、ここまで暖かく感動的にできるなんて…
俺も隣県の住民として一日も早い復興を願ってやみません
土砂崩れの車からの救出劇、リアルタイムで職場で見てたけど、俺は両親を亡くしてるんで助かった子供に感情移入してマジ泣きしてしまった…
- 254 名前:833@ 投稿日:2004/11/01(月) 01:14 [ fRXiTfSg ]
- >>猫塚氏
素晴らしいですね。GJです。
こういう時事ネタを上手く絡ませるというのは凄いですね。
私も思わず募金する気になりましたよ。
(銀行が手数料無料にしてくれりゃいいのに。ってスレ違い。)
さてオレも続き落とすか。
- 255 名前:833@さて今日は? 投稿日:2004/11/01(月) 01:17 [ fRXiTfSg ]
- 水曜日……。
ジリリリリリリリリリ
朝六時。ほのかがいつも通り目を覚ます。
ほ「ん………。」
重そうに体を起こすほのか。いつもと様子が少し違う。
カシャー。カーテンを開けると昨日の雨が嘘のように陽光が降り注いできた。
ほ「眩しい……。」
少し辛そうな表情で日の光を受け止める。
な「ほのか。あんまり無理しないでね……。」
なぎさの寝言が今日も聞こえる。
ほのかは無言のまま制服に着替える。
そして目覚まし時計が三十分後に鳴るようにセットして部屋を出た。
ジリリリリリリリリリ
時刻は六時三十分。なぎさがほのかに頼んだ時間通りだった。
な「よっしゃ。今日は時間通りに起きられた。」
勢い良くベッドから降りる。
グンと一度背伸びをして陽光を浴びる。気分は清々しくなった。
壁に掛けられた制服を手に取り着替える。
な「さてと……。」
鞄を開けて時間の確認をする。相変わらずほのかの仕度は完璧だった。
な「今日からは自分でやるようにしよう…。」
密かな決意をしてなぎさは部屋を出た。
テーブルでは亮太とほのかが昨日と同じように向かいあって食事をしていた。
な(亮太の奴…。何時に起きてるのかしら……。)
ほのかと一緒に食事をしているということはなぎさより早く起きているという事なのだから何となく不愉快だった。
な「おはよー、ほのか。」
ほ「あ…、なぎさ。おはよう…。」
な「ん?どうしたのほのか?具合悪いの?」
ほ「え…どうして?そんなこと無いよ。」
な「そう?ならいいんだけど…。」
そう言ってなぎさはイスに座る。
今朝の朝食はトーストに野菜炒め、スクランブルエッグ。そしてヨーグルトサラダ。
しかし終始ほのかは浮かない顔をしている。
な「……………。」
なぎさはただ黙ってほのかの様子を見ていた。
食後の後片付けも終わり暫くの間のんびりと時間を過ごす。
ほ「なぎさ。そろそろ行きましょう。」
な「え…。まだ時間に余裕あるけど…。」
ほ「今日も遅刻するわけにはいかないでしょ。」
な「それもそうね。」
なぎさは鞄を持って立ち上がる。
な「じゃあ亮太。行ってくるからね。」
ほ「行ってきます。」
り「行ってらっしゃ〜い。」
- 256 名前:833@さて今日は? 投稿日:2004/11/01(月) 01:18 [ fRXiTfSg ]
- 昨日の雨が嘘のような青空の下を二人並んで歩く。
と突然ほのかが立ち止まった。
ほ「あ……。」
な「どうしたの?ほのか。」
ほ「忘れ物しちゃった……。」
な「珍しいね。ほのかが忘れ物。」
ほ「どうしよう…。」
な「取ってきたら?まだ時間は余裕あるし。」
ほ「じゃあ取ってくるね。」
な「一緒に行くよ。」
ほ「ごめんね、なぎさ。」
な「いいってそんなの。」
一度家へと引き返す二人。しかしほのかの足取りはどこか重そうである。
そしてなぎさの直感はそれを見逃さなかった。
り「あれ?どうしたの?」
ほ「忘れ物しちゃって……。」
な「私も一つ忘れてたことがあったよ。」
なぎさはそのまま電話のある方向へと向かった。
ほ「じゃあ取ってくるね。」
ほのかは部屋の中へと消える。
スッと立ち上がりなぎさは後を追った。
ほ「あった…。ああ良かった。」
ほのかは机の上のノートを持ってホッと一息つく。
ガチャリ
ドアを開けてなぎさが入ってくる。
ほ「あ…。なぎさ……。ごめん。すぐ行くよ。」
ほのかが振り返るとなぎさは正面からほのかに向かい合った。
ほ「なぎさ?」
次の瞬間なぎさはほのかの左手を掴みそして右手をほのかに額に当てる。
ほ「ど…どうしたの?」
な「……………。」
そしてなぎさはほのかをベッドに押し倒す。
ほ「ちょ…、なぎさ……。」
な「じっとしてて。」
なぎさはほのかの両腕を押さえつける。
ほ「いや…、いや!なぎさ!」
な「いいから、じっとしてて!」
なぎさはほのかの制服の上着そしてブラウスのボタンを外す。
ほ「なぎさ…。こんなのダメ……。」
ほのかは必死で抵抗するもなぎさの力に押さえ込まれて動けない。
な「いいからじっとしてて!」
そしてなぎさはポケットからあるものを取り出しほのかの脇に入れる。
ほ「なぎさ…、これ……。」
な「体温計…、暫くじっとして待ってて。」
そのままの姿勢で数分が経過した。お互いに一言もしゃべらずにいたが、ほのかが口を開いた。
ほ「なぎさ…、私…恥ずかしい…。」
な「ま…真顔でそんなこと言わないでよ。」
なぎさもほのかも顔が赤くなっている。ほのかの場合は違う原因があるのだが…。
- 257 名前:833@さて今日は? 投稿日:2004/11/01(月) 01:18 [ fRXiTfSg ]
- そして体温計の音が鳴った。
ピピピピ、ピピピピ。
すっとほのかの脇から体温計を抜き出してその表示を見る。
な「37度8分……。やっぱりね……。」
ほ「気が付いてたんだ…。」
な「なんとなくだけど…。」
ほ「……………。」
な「とりあえず私は濡れタオルとか用意するからその間にパジャマに着替えたほうがいいよ。」
ほ「え…。」
な「その熱じゃあ学校は行けないからね。今日は休んだほうがいいよ。」
ほ「うん……。」
な「ほのか…、怖がらせちゃったかな……。」
ほ「え…?」
な「でも…。ああでもしないと体温計れないと思ってさ…。ごめんね。」
ほ「ううん。全然気にして無いよ。」
な「じゃあちょっと待ってて。」
バタンとドアを閉めてなぎさは部屋から出て行った。
ほのかは一人で制服からパジャマに着替える。
先ほどのことを思い返しながら……。
となぎさが受話器を持って部屋に入る。
な「ほのか、悪いんだけど今日休むっていう連絡してくれるかな。」
ほ「え…。」
な「ほら、私がするわけにもいかないでしょ。」
ほ「あ、うん。わかったよ。」
受話器を受け取りほのかは学校へと電話をかける。
ちなみに生徒手帳を捜したなぎさと違いほのかは学校の電話番号を暗記している。
事務員の通して担任のよし美先生へと電話を繋げ休むことを伝える。
とよし美先生は驚いたような声で言った。
よ「じゃあ雪城さんも今日は風邪でお休みなのね。」
ほ「私も…?」
よ「さっき美墨さんから電話があってね。風邪ひいたから休みます。って電話がきたの。」
ほ「そうなんですか…。」
ほ(なぎさったら…。)
ほのかの心がどこかへトリップしようとしていたが、よし美先生の声が現実へと引き戻る。
よ「雪城さん?」
ほ「え…?あ、はい!」
よ「じゃあお大事にね。」
ほ「あ…、はい。」
ガチャリと電話を切った。ほのかはそのまま普段はなぎさが使っているベッドで横になる。
となぎさが部屋へと戻ってきた。
その手には濡れたタオルと水の入った洗面器があった。
な「というわけで今日は私は一日ほのかの看病をするよ。」
ほ「なぎさったら…。ズル休みね…。」
な「あのねぇ…、ほのかを放っておいて学校なんか行けるわけないでしょ!」
ほ「ごめんね、なぎさ……。」
苦しそうな息をしながら微笑むほのか。
なぎさはタオルを洗面器に浸して濡らしほのかの額に乗せる。
ほ「冷たくて…、気持ち良い……。」
目を閉じたままほのかが言った。
突然なぎさがギュッとほのかの手を握って言った。
な「ねぇほのか…。私ってそんなに頼りないかな?」
ほ「え…。」
辛そうにほのか首だけがなぎさの方向を向く。
な「ほのかが風邪ひいて熱出して…。そんな辛そうなのに…。」
ほ「……………。」
な「そんな辛そうなのに…。ほのかが無理しなきゃいけないほど、私って頼りない。」
ほ「そんなこと……。」
な「ほのか…。もっと私のこと頼って欲しい…。」
ほ「なぎさ…。」
な「そりゃあさぁ。ほのかみたいに上手に家事とか出来ないけどさ〜。」
ほ「……………。」
な「でもね。ほのかのこと心配なんだ…。」
ほ「……………。」
な「だからさ。私のこともっと頼って欲しいの。」
ほ「なぎさ……。」
な「なあに?」
ほ「ごめんね…。」
な「だからいちいち謝らないでよ〜。そんなに私って頼りないの?」
ほ「ごめん。そうじゃなくて…。」
な「とにかくさ。もっと私のこと信頼して頼ってよね。私達親友なんだからさ。」
ほ「うん。」
苦しいにも関わらずほのかは無理して笑う。
な「困った時には友頼みでしょ。」
ほ「なぎさ…、ごめ…。」
そう言いかけて止める。そして言い直す。
ほ「なぎさ…、ありがとう…。」
な「どういたしまして!」
それを聞いたなぎさも満面の笑みを浮かべる。
そしてなぎさとほのかは本日は学校を欠席することになった。
- 258 名前:( ゚Д゚)<みなさま乙&GJ 投稿日:2004/11/01(月) 05:28 [ dQ8sCwAE ]
- ( ゚Д゚)<ぬっかー
( ゚Д゚)<イヤモウ
( ゚Д゚)<百合萌ーえを御飯にかけるー♪
( ゚Д゚)<驚くほど御飯がうまいー♪
( ゚Д゚)<と
( ゚Д゚)<いった感じでしょうか
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<すなわち
( ゚Д゚)<読んでいる方で、なんちゅうか照れて気恥ずかしくなるぐらい
( ゚Д゚)<百合百合したSSでグーです>猫塚氏・833氏
( ゚Д゚)<(アタシのお姫様……ちゃんと守ってあげなくちゃね)
( ゚Д゚)<「なぎさ…、私…恥ずかしい…。」
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<ウヒー
- 259 名前:59 投稿日:2004/11/01(月) 21:42 [ WWElmqQE ]
- 833氏
おっ!水曜日にしてとうとうアレな行動に出始めましたか!しかもなぎさ攻めで!
とかドキドキしながら読んでたら、そういうことでしたかあ〜!
GJ!
- 260 名前:初代百合スレ67 投稿日:2004/11/02(火) 00:05 [ tSUIv1ao ]
- 猫塚氏
シリアス&百合萌えGJ♪
去年デカい地震が来た岩手県民なので地震の怖さはよく解ります。そして余震に
怯えつつも、被災者に何かしてあげたいと願うなぎさが良い子です。ラブ♪
833氏
なぎ攻めキタ━━━━━(*゚∀゚*)━━━━━!!!!
…と思ってしまいました…ほのかに拒まれてションボリなヘタレ攻めなぎさを妄想(爆)
なぎさはほのかの事になると普段に輪をかけて行動的になる(先に電話とか)とゆー
のもイイです〜♪ グルービー!
- 261 名前:大阪 投稿日:2004/11/02(火) 00:56 [ aY7kKiuQ ]
- 明日からしばらくの間このスレに来れないんで、中途半端だが
>>179の続きを落とす
★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
美墨なぎさはその手にさして大事でもない、いや、どうせならすぐにでも投げ捨てて
しまいたい夏休みの宿題を持ち、力ない足取りで雪城邸に向かっていた。
ショートの茶髪、母親似のキリッとした目にきっちり綺麗に整えられた眉、それに部活で
少し小麦色に焼けた肌。どれも彼女が元気ハツラツな、今時の女の子である事を物語っていたが、
汗にまみれ倦怠感が浮き出たその顔はとても十三歳には見えず、場末のスナックの酔いつぶれた
ホステスのようにぐでぐでになっていた。
「暑い・・・死ぬ・・・」
うわ言のようにつぶやく。
夏休みも終わり、新学期に入って十日余。
いまだ夏休みの宿題が出来ていなかったなぎさは、担任の竹之内先生から”週明けに宿題を提出しなければ
無期限クラブ活動禁止”との最後通牒を突きつけられていた。それは彼女にはっぱを掛けるためで
本気ではない冗談交じりのものだったが、自身が部のエースであり、誰よりもラクロスを愛していた
なぎさにとっては、仮に冗談であったとしても少々辛い内容だった。
雪城ほのかには迷惑を掛けたくなかったのだろう、夏休みが明けてから彼女は独力で懸命に宿題をこなした。
だが、やはり一人では如何ともし難く、なくなくタイムリミットぎりぎりの日曜日になって再びほのか
を頼ることにした。
雪城ほのかとはなぎさの無二の親友であり、プリキュア変身時の相棒、キュアホワイトのことである。
「おじゃましまーす・・・」
正門脇の通用口からそっと入り庭を進むと、一人の老女が出迎えた。
「あら、なぎささん、いらっしゃい」
雪城さなえ、ほのかの祖母だ。その立ち居振る舞いと丁寧に着付けられた和装から、屋敷の主としての
威厳と風格が漂う。
「すいません、突然お邪魔しちゃって。ほの・・・じゃなくて雪城さんいますか?」
「あらあら気を遣わなくてもほのかでいいですよ、貴方なら全然馴れ馴れしい気はしないから」
さなえはなぎさを玄関の方まで案内しつつ、ほのかに出来たかけがえの無い親友にとても好意をもって
接した。
「そ、そうですか。じゃ、じゃあ、ほのかは今どこに?」
「それがさっきお買い物頼んじゃって今出掛けてるの」
「ああそうなんですか、しまったなあ、来る前に電話しといたらよかったなあ。すいません、
お邪魔しました、失礼します」
肝心のほのかがいないことにはどうにもならない。なぎさはそう思いそそくさと玄関の方へ
きびすを返す。相手の都合も確認せず無闇に頼って来た自分が悪いのだ、そう言い聞かせた。
事実そうだし、そういうことで納得もできた。
「まあまあ、そう慌てないで。ほのかが帰ってくるまで、ゆっくりしてらっしゃい」
「でも・・・」
「それにまあ、すごい汗。のど渇いたでしょう?冷たいお茶用意しますから、遠慮しないであがって
らっしゃいな」
九月に入っても酷暑が続いていたが、しかしさなえ本人は汗一つかくこともなく、なぎさを気遣って
そう続けた。
「いいんですか?やったー、ぶっちゃけ暑くてもうへとへとだったんだ〜。じゃあお言葉に甘えて・・・」
なぎさはさなえの申し出を聞き入れ、おもむろに靴を脱ぎ、玄関の上がりかまちに足を掛けた。
続く
- 262 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/02(火) 22:13 [ 1yd8uKuI ]
- ( ゚Д゚)<大阪殿
( ゚Д゚)<おーつー
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<ほうほう
( ゚Д゚)<ほのかの居ない雪城邸にあがるなぎさとな
( ゚Д゚)<なぎさ×さなえ単独面接とな
( ゚Д゚)<うーむー
( ゚Д゚)<なにやら先の展開はまったくよめませぬが
( ゚Д゚)<なんだかこれまでにない大作SSになりそうな
( ゚Д゚)<予感
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<続きを気長に待ちますます
( ゚Д゚)<ヤー
- 263 名前:833@ 投稿日:2004/11/03(水) 01:29 [ bDiaSpoI ]
- >>大阪氏
乙です。この先の展開を期待して待ってます。
んでオレも続きを落としてみるか。
- 264 名前:59 投稿日:2004/11/03(水) 01:35 [ QEH6.ino ]
- 全体がわからないので感想はできませんが
>>大阪氏
乙!
頑張って下さい
>>833氏
待ってます
- 265 名前:833@今回は短め 投稿日:2004/11/03(水) 01:56 [ bDiaSpoI ]
- よ「本日は美墨さんと雪城さんが欠席です。」
クラスでざわめきが起こる。
し「なぎさが欠席なんてあるんだね〜。」
り「今年もバリバリ皆勤賞狙ってたのにね〜。」
し「ちょっと心配だよ。」
り「でもなぎさのことだから明日には来るんじゃないかな?」
し「それもそうよね〜。」
り「ま、明日真相を突き止めますか。」
し「そうですな〜。」
一方こちらはほのかの看病をするなぎさ。
な「とりあえず暇だから洗濯でもするか。」
気合を入れて洗濯機の前へと向かうなぎさ。
な「と言っても全自動だから服と洗剤入れるだけよね〜。」
手当たり次第に服を掴んで洗濯機の中へと投げ入れる。
な「これでOK。」
と背後から声が聞こえる。
ほ「待って……、なぎさ…。」
な「ちょ…、ほのか。寝てなきゃダメだって。」
ほ「ごめん、なぎさが心配で…。」
な「あのねぇ〜。いくらなんでも病人に心配されたくないよ。」
ほ「なぎさ…。洗濯物はただ入れればいいわけじゃないの。」
な「え?」
ほ「色の濃い服と白い服を一緒に洗ったら色が移っちゃうの…。」
な「そ…そうなの?」
ほ「うん、だから。服の種類をちゃんとわけなきゃ…。」
な「そうだったんだ。」
ほ「あと…、ポケットの中に入ってるものがあったらちゃんと取り除かないと…。」
な「そうなんだ…。」
ほ「あと他には…。」
な「も…もういいよほのか。洗濯は後でやるから!」
風邪をひいて熱があるにも関わらず薀蓄を披露するほのかに呆れながらなぎさがほのかを制する。
な「と…とにかく部屋に一回戻って、おとなしく寝なきゃ。」
ほ「う…うん。」
な「私が一緒にいてあげるからさ。」
というわけでなぎさはほのかの背中を押して部屋へと連れ戻す。
な「ほら、布団かぶってとっとと寝る。」
ほのかの体をベッドに横たえさせて額に濡れタオルを置く。
な「熱があるんだからじっとしててよね…。」
ほ「ごめんなぎさ……。」
そして二人は黙ったまま暫く向かい合う。
やがて、ほのかが無言でなぎさの手を求めた。
な「手握ってたほうがいい?」
ほのかは無言で頷く。
な「ほのかが寝るまで…、手握っててあげるね。」
なぎさはほのかの手を握る。
ほ「ありがとう。」
ほのかは苦しげな息遣いでなぎさを見つめる。
- 266 名前:833@今回は短め 投稿日:2004/11/03(水) 01:58 [ bDiaSpoI ]
- な(そうだ!)
なぎさは一度ほのかの手を離す。
ほ「あ………。」
ほのかが寂しそうな表情をする。
な「ほのか、ちょっとごめんね。」
なぎさはベッドの奥に手を入れて何かを取り出す。
ほ「なぎさ…。」
なぎさが奥から取り出した何かをほのかの目の前に差し出す。
な「バーン。」
ほ「ぬいぐるみ……?」
な「こんにちは〜。はじめまして。僕はカッパのカッチャンですよ〜。」
カッパのぬいぐるみをほのかの目の前で動かしながらなぎさが言う。
な「ほのかちゃんが風邪をひいて元気が無いから僕が元気を分けに来たよ。」
ぬいぐるみを動かしながらなぎさが演じる。
な「さぁ、ほのかちゃん。僕の体に触れば元気が流れるよ。」
ほ「こう?」
笑顔でほのかがぬいぐるみに触れる。
ぬいぐるみを通じて二人の手が再び触れ合う。
な「ぐおおお……。これはなかなか強い風邪だ…。」
ほ「頑張ってカッチャン。負けないで…。」
な「負けてたまるか。僕の力でほのかちゃんを元気にするんだ!」
迫真の演技を続けるなぎさ。
な「うおおおおおお!!!………これで大丈夫。」
ほ「もう大丈夫なの?」
な「僕のありったけのパワーをほのかちゃんに注いだからね。」
ほ「そうしたらカッチャンが倒れちゃうわ…。」
な「僕なら大丈夫だよ。」
ほ「ダメよ。少し返すわ…。」
ほのかがカッパのぬいぐるみを握り締める。
な「ほのかちゃん。」
ほ「これで大丈夫ね。」
な「うん。ほのかちゃんも明日にはきっと元気になれるよ。」
ほ「ありがとう…。」
な「どういたしまして。そうだ、今度は僕の芸を見せてあげるね。」
ほ「芸……?」
な「そら〜。」
なぎさがカッパのぬいぐるみを真上に投げ上げる。
クルクルと回転しながら落下するカッパのぬいぐるみが再びなぎさの手に収まる。
な「どう?ほのかちゃん。僕の得意技。空中三回転捻りだよ。」
ほ「ふふふ。危ないから心配だわ。」
な「大丈夫。だったら今度は難易度の高い技を見せてあげるよ!」
なぎさが再び真上にカッパの力強く投げ上げる。
が投げ上げた力が強すぎたために、ぬいぐるみが勢いをつけて天井に激突。
その後なぎさの手に収まらずに地面へと激突した。
な「あ…。」
カッチャンを演じるなぎさも思わず素の声を出してしまう。
なぎさはぬいぐるみを手に取りほのかの顔の前に差し出す。
な「い…痛い…。失敗しちゃったよ……。ごめんね、ほのかちゃん…。」
ほ「気にしないで。それに私のためにこんなことしてくれて嬉しいわ。」
ぬいぐるみの頭の部分を撫でながらほのかが言う。
な「ほのかちゃん……。」
ほ「ねぇ、カッチャン。少しお話しない?」
な「え…、う…。うんいいよ。」
ほ「あなたは…、どこからやって来たの?」
な「僕…。僕は近くのゲームセンターからやって来たんだ。」
ほ「ゲームセンター?」
な「うん。他にもたくさんの仲間がいたんだ。」
ほ「仲間と離れて寂しくない?」
な「寂しいといえば寂しいけど…。でもここにもいっぱい仲間がいるんだ。」
ほ「そうなんだ…。カッチャンの飼い主はどんな人。」
な「え…!?う〜ん。どうだろう…。」
ほ「カッチャンは今幸せだから、きっと素晴らしい飼い主ね。」
な「そ…そうかなぁ…。」
ほ「そうよ。」
な「僕の飼い主は……。ちょっとガサツで乱暴だけど…。」
ほ「そんなことない…。きっととても優しい心の持ち主よ。」
な「でも……。」
ほ「きっと、あなたも飼い主の人もお互いに出会えて幸せなハズよ。」
な「ほのか……ちゃん…。」
演技が止まりそうになったが何とか続けるなぎさ。
- 267 名前:833@今回は短め 投稿日:2004/11/03(水) 01:59 [ bDiaSpoI ]
- ほ「カッチャン…、少し聞いて欲しい話があるの。」
な「なあに?」
ほのかが語り始める。
「カッチャンと飼い主の人が出会えたのは本当にただの偶然なの。
でもね。人と人との絆って、全部そういう偶然の出会いから始まると思うの。
どんなことがあるからはわからないけれど……。
人と出会って…、話をして…、親しくなって…、また会う約束をして…、
そして色々なことを話して…、たまにはケンカして…、でも仲直りして…、
もっとお互いのことを色々知って…、一緒に色々なことを体験して…、
辛い時には辛いことを慰めあったり…、嬉しい時には嬉しいこと一緒に喜んで…、
頑張らなきゃいけない時はお互いに励ましあって、助け合って…。
そういうことを繰り返して…、人と人との絆って強くなると思うの……。
でも…、どんなに強い絆でも始まりは偶然なの。
その偶然が続いて、人と人との絆が出来ていくと思うの。
だから私がカッチャンと出逢えたことは素晴らしいことだと思うの。
そして…、私がなぎさと出逢えたことも…。」
な「ほのか……。」
演技を完璧に忘れてしまったなぎさが呟いた。
ほ「だからカッチャンも私も幸せだよ。」
ほのかはそう言うと目を閉じた…。
そして静かな寝息が聞こえてきた……。
な「話し疲れて…、寝ちゃったのかな…?」
ぬいぐるみをほのかの手に握らせ、なぎさは立ち上がる。
な「私も……。私もほのかと出逢えて幸せだよ…。」
床に膝をつき、そしてベッドの中のほのかの頬になぎさの唇が触れた。
なぎさは再び立ち上がる。
な「そろそろお昼だな〜。そうだ、お粥作ってあげよっと。」
そしてなぎさは部屋を出た。
- 268 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/03(水) 02:29 [ NhNZhtHk ]
- うお〜!!今日の>833氏のSSは神がかってますなぁ〜
カッパのカッチャンのやりとりからラストまでの間に感動して泣きそうになりました。
ほのかを支えるなぎさ最高です。
全開の展開からすごく期待していたので、今回はやられましたね。
涙出るっちゅーねん。
- 269 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/03(水) 11:37 [ 6dhxnbN2 ]
- >>883@氏
( ゚Д゚)<オー
( ゚Д゚)<ナイス
( ゚Д゚)<アイディーア
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<カッパのカッチャンから最後こういう展開になるとは
( ゚Д゚)<思いもよらなんだぜ
( ゚Д゚)<達者やねえ
- 270 名前:プリッキュアスレより186氏:マタリSS(1/2) 投稿日:2004/11/03(水) 11:38 [ 6dhxnbN2 ]
- .
「ほのか〜!遊びに来たよ〜!」勝手知ったる他人の何とやら、
なぎさは出迎えた忠太郎の頭を撫でながら敷石をぴょんぴょん跳びながら進む。
「ほ〜の〜か!…あれ?居ないのかな?」引き戸を叩こうとした時、
…からからから…静かに引き戸が開けられ
ほのかのおばあちゃん、さなえさんが現れる。
「まぁまぁ、美墨さんいらっしゃい。」
「あ、ども…こんにちは、ほのか居ますか?」
「ええ、いまちょっと横になってますけど大丈夫。」
「え!病気!?ですか?」
「いえいえそうじゃないのよ。遠慮なさらずあがって下さいな、後でお紅茶お持ちしますから。」
「は、はあ…」
なんだか判らないが、長い廊下をほのかの部屋に向かって歩いてゆき、
ほのかの部屋の外から、
「ほのか、大丈夫?私だけど…部屋に入っても良い?」
「…うん。」小さな声
途端に不安な気持ちになる。
もどかしい気持ちで障子を開けベッドの中のほのかの顔色を確かめる。
「どうかしたの?」
ベッドから起き上がろうとするほのかを
「あ〜良い良い!寝ていて良いから!」慌てて制するなぎさ。
そんななぎさに、ほのかは弱い微笑をみせて、
「病気って訳じゃないの。…ちょっとびっくりしちゃって。」
「?」
ベッド脇のクッションに座りほのかの顔を見つめる。
「…やだ、本当になんでもないの。恥ずかしいからあんまり見ないで。」
訳がわからない。
「病気じゃあないの?」「病気じゃあないの。」
- 271 名前:プリッキュアスレより186氏:マタリSS(2/2) 投稿日:2004/11/03(水) 11:39 [ 6dhxnbN2 ]
- .
「お紅茶お持ちしましたわよ。」さなえおばあちゃんがやって来る。
さっぱり要領を得ないほのかの説明に、
「おばあちゃん、ほのかどうしたんですか?」質問の相手を代える。
「ほのかもようやく女の子になった…って事かしらね。」笑って答える。
「おばあちゃま…」顔を真っ赤にして毛布を被ってしまうほのか。
「は…?」
「今日はお赤飯を炊きましたから、なぎささんも是非ご一緒に食べてってくださいな。」
「今日はなぎさと一緒にお夕飯食べたいなぁ…」きまりわるげに言う。
「はぁ…じゃあちょっと家に連絡を、お電話お借りします。」
ジーコロコロコロ…プルルルル…かちゃっ
「あっお母さん?今日雪城さんの家でお夕飯呼ばれて…ご馳走になるから…
え?是非一緒にって言われて…お赤飯だからって…」
赤飯と聞いて ああ成る程そう云う事なら と勝手に納得してなぎさのお母さんも許してくれた。
部屋に戻るとほのかがベッドから起き上がりちょこんと座っている。
「ほのか…もう一回聞くけど、病気じゃあないの?」
「病気じゃあないの。もう!あんまりしつこく聞かないで、意地悪しないでぇ
それよりなぎさに明日お買い物に付き合って欲しいな。いろいろ教えてね。
私、クラスでも遅いほうだし、突然来たから何を使っていいか判らなくって…」
「買い物…何を買いに行くの?ねえ教えて!さっきから訳わかんないよ!
意地悪なのはほのかの方だよ!」
「あの…もしかして…なぎさ…まだ、なの?」
「あ―――!もう!だ・か・ら!"まだ"とかナントカは良いから教えてよ!!」
「ふふっ!うふふふふ!!あははは!」弾けた様に笑い出すほのか。
「もぅ!何が可笑しいの?」
「ふふっ、ゴメンなぎさ。うん…なんだか、なぎさってカワイイなって話。」
明日の"お買い物"はなぎさと一緒で果たして成功するのでしょうか?
おしまい
.
- 272 名前:(゚Д゚ ) 投稿日:2004/11/03(水) 11:40 [ 6dhxnbN2 ]
- 【プリッキュアスレより186氏:マタリSS】
仮題「意地悪しないで」。早めの転載。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/186-187
あー……なんだ、うん、だから、アレですよ……えーっとぉ……いやホラ、ね、
ネタ的にはヒジョーに反応しづらかったりもするし……なまじのエロSSより卑猥でさ…
いや、でも、まぁ要するに……あのー、言いたいことは、単純なのよ。そう、………
( ゚Д゚)<乾杯だ!
( ゚Д゚)<イカすぜ畜生!
( ゚Д゚)<胸がドキドキしてトキメいちまったじゃねぇか!
( ゚Д゚)<コレだ!コレなんだ!
あーアカンわ。私事だが、自分は川端康成の掌編とか少女小説とか超絶好きなんで
こういう省略がすっきりきまっているシンプルな格調のある文体で、
しかも可憐なお話を書かれると、もうウマーですよ、キャーですよタイヘンですよファイヤーですよ……
ああ、こんな紹介文のことなんぞ放っとけばいい、それよりSS本文に目を通すんだ!
今すぐあなたが取り掛かるべきはそれなんだ! 嵐だろうとなんだろうと!
- 273 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/05(金) 19:36 [ DOqe7kmw ]
- >>272
カワイイタイトルつけて頂いて感激です。
加筆もありがとうございます。
うん確かに一文に入れたほうがすっきり読めますね。
自分の中で出来上がった絵や会話を
いかに人にイメージどおり伝えられるか考えて書いて居るのですが
他の方に読んでいただかないと独り善がりな文章になってしまいますから。ムズカシイ。
- 274 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/05(金) 21:06 [ 7qbWCEdM ]
- ( ゚Д゚)<おや
( ゚Д゚)<プリッキュアスレの職人さん
( ゚Д゚)<コンバンハー
( ゚Д゚)<いつも楽しく読んでおりますですハイ
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<ウーム
( ゚Д゚)<転載するとき修整するかしないかは
( ゚Д゚)<そのつどケッコウ微妙な問題なのです
( ゚Д゚)<が
( ゚Д゚)<実は
( ゚Д゚)<あんまり
( ゚Д゚)<深くは考えてやってはいないのです
( ゚Д゚)<ううむ
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<まぁ そのー
( ゚Д゚)<加筆する作品は
( ゚Д゚)<たいてい自分が凄まじく気に入ったやつです
( ゚Д゚)<ね
( ゚Д゚)<うん
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<いやホント
- 275 名前:「全員集合!!怒涛の大クリスマスパーティー!!」(1/3) 投稿日:2004/11/06(土) 22:17 [ h32spvaM ]
- .
▼アバン 洋館にて
玄武「虹の園に来て半年になろうというのに今だプリズムストーンの力を手に入れられないとは・・」
角沢「プリキュア・・・なかなか手ごわい・・・」
玄武「虹の園の人間共がなにやら騒がしいが?」
翔子「・・・・」
玄角「え?」
翔子「・・・・ス」
玄角「は?」
翔子「クリスマス!!!!って言ってるの〜〜!」
どがっしゃん!!
角沢「利用しない手は無いな!」
玄武「今日こそプリズムストーンの力を我らの手に!!」
▼OP
.
- 276 名前:「全員集合!!怒涛の大クリスマスパーティー!!」(2/3) 投稿日:2004/11/06(土) 22:18 [ h32spvaM ]
- .
▼Aパート 12月24日・・・雪城家にて
雪城家でクリスマスパーティーが行われることとなった。
なぎさは勿論、ベローネの同級生や部活の仲間たちをを呼んでの大パーティー!!
なぎさ「このケーキ!!お・い・し・そ・う!!ちょっと味見を・・・」
アカネ「こらあ!なぁぎぃさぁ!!!つまみ食いすんじゃないよ!」
パーティーの飾りつけに励む皆の手が止まり明るい笑い声が溢れる。
なぎさ「藤Pセンパイにまで笑われちゃった・・トホホ泣」
さなえ「まぁまぁ、この家がこんなに賑やかになるなんて久しぶりね
良いお友達が沢山できて良かったわね?ほのか」
ほのか「うん!」
そんな楽しい雰囲気の雪城家を空から邪悪な者達が伺っている。
玄武「ふふふ・・・お楽しみの様だな!」
角沢「これから地獄が待っているとも知らず、いい気なものだ。」
翔子「・・・たのしそう」
玄武「それにしても我らのこの格好はいったいなんだ?」
玄武角沢が真っ赤な鼻のトナカイのきぐるみで橇を引き、
翔子がサンタクロースのコスチューム橇に乗っている。
翔子「・・・クリスマスだから」
玄武「・・・ってオカシイだろう?本来なら一番年上の私がサンタ役じゃあないのか?」
翔子「・・・・・(泣」
角沢「そんなことはどうでも良い!暗くなったら襲撃だ!」
玄武「トナカイ姿で格好つけても様にならんぞ・・・」
雪城家ほのかの部屋にて
クラッカーの音とクリスマスソングの歌声でパーティーは絶好調!
志穂 「な〜ぎ〜さ〜ぷはぁ!さいきんわらひに冷たくなひぃっく・・かあ?」
莉奈 「もう!志穂ったらシャンパンで酔っ払っちゃってる!」
なぎさ「ちょっとまずいよ!よし美先生も来てるのに!」
よし美「ウ〜ィ!ヒィック!美墨さんわたひがあんだって?」
ほのか「先生までお酒に酔ってる?」
よし美「こらぁ美墨!あなたは宿題忘れる、補習授業させられるひっく!
おかげで今年も彼氏見つけられなかった!わらひの青春返せぇ〜!」
♪ぴんぽんぴんぽん♪
「あっ!きっと追加に頼んだピザ屋さんだ!」よし美の絡み酒から逃れようとするなぎさ
玄関の邪悪な気配にさなえおばあちゃんの瞳の奥が光った。
さなえ「みなさんはパーティーを続けてください。私がいってまいりましょう」
玄関にて
ピザ屋「・・・ご注文のピザの宅配です」
さなえ「あなたどなた?」
言うが早いかピザの宅配員に化けた角沢のみぞおちを軽く拳で撃つ。
角沢「・・・くぅ!」
背後から襲い掛かる玄武を腕を獲り軽く投げ飛ばし
驚きのあまり動けない翔子の手を捻る。
さなえ「あなたがたが何を企んでいるのか存じませんが今日はクリスマスパーティーです」
▼アイキャッチ
.
- 277 名前:「全員集合!!怒涛の大クリスマスパーティー!!」(3/3) 投稿日:2004/11/06(土) 22:19 [ h32spvaM ]
- .
▼Bパート ほのかの部屋にて
メップル「邪悪な気配がするメポ!」ミップル「嫌な予感がするミポ!」
なぎさ 「ちょっとちょっと!皆がいる前で姿見せちゃダメだって!」
その時障子が開けられ、さなえおばあちゃんの背後には翔子玄武角沢が!!!!!
さなえ「こちらは私のご友人ですの、パーティーに混ぜてくださいな」
ほのか「おばあちゃま!!」
なぎさ「ありえない!みんな!逃げて!こいつらは悪人よ!!!!」叫ぶなぎさ
時間がない!皆が危ない!ほのかと共にかまわずプリキュアに変身!!
しかしみんなは一瞬ぽか〜んとした後、大笑いに。
藤P 「すっごい早着替え!そんなかくし芸いつ練習したんだい?」
木俣 「こ〜んなトナカイの格好した悪人なんていないでしょ!!」
アカネ「あれ〜?あんたどっかで見たことあるなぁ?まあ飲んで飲んで!」
よし美「・・・・イケメン!」
玄武 「いや、我々は・・・」
志穂 「何をぉぉ・・このわたひのお酒が飲めないってのかあああ怒」
志穂の迫力に押され「・・・一杯だけ頂きます・・・」
ミポメポポルン「なんだか知らないけどこの水飲んだら楽しいメポミポポポ!!」
莉奈 「さっきから雪城さんとなぎさの周りで
ぬいぐるみがしゃべったり踊ったりしてるんだけど
・・・私ってば酔っ払ってんのカナ・・・」
なぎさ「ははは・・・もうやけくそ!私も飲む!」
角沢 「うううううおおおおおお!!」
よし美先生に抱きつかれて文字通り空高く舞い上がってしまう角沢
角沢 「雪だ!雪を降らせる!」
よし美「素っ敵〜!!イイゾ!イイゾ〜!」
若葉台の街に真っ白な雪が降り始めた。
さなえ「ほのか、いつも緊張して堅苦しく生きてちゃ駄目!
今日はあなたがあんなに楽しみにしていたパーティーでしょう?」
ほのか「おばあちゃま・・・」
おしまい
.
- 278 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/06(土) 22:20 [ h32spvaM ]
- 【プリッキュアスレより158氏:ネタSS「全員集合!!怒涛の大クリスマスパーティー!!」】
一応本編に準じた体裁をとったネタSS。時期としては12月下旬、45話辺り?
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/158-164
クリスマスパーティーという空気の中だからこそ、プリキュアに変身しても
隠し芸として受け取ってくれる、しかもみんな酔っぱらってて
ミポメポポルンがしゃべっているのを見られてもノープロブレムという、
37話の状況に似たかんじのコメディと言えますかな。アイディアが利いててグーなり。
志穂莉奈藤P木俣アカネよし美とサブキャラ総登場で、最後、敵の三人や淫獣まで交え
なしくずし的に浮かれだった宴会騒ぎになだれこむ展開がアホで笑える。
- 279 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/07(日) 22:38 [ axqqazz6 ]
- >>278
こちらに転載紹介下さるのは自分の中でご褒美もらえたようで嬉しいのです。
1アイディア1ストーリーからすこし複雑な構造のお話を書ければと思うのですが
皆様みたいには書けないですね。これからもしばらく小さい話を書けたらイイナ。
- 280 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/08(月) 00:12 [ BDmwDRJw ]
- >>279
( ゚Д゚)<ヘイラッシャーイ
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<まア転載は
( ゚Д゚)<自分が好きでやってるだけですノデ
( ゚Д゚)<みなさまも
( ゚Д゚)<銘々好き好きでSSをお書きになればよろしくてよ
( ゚Д゚)<と
( ゚Д゚)<今日
( ゚Д゚)<風呂に入りながら思いますた
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<毎日なにかしら風呂で考えます
- 281 名前:( ゚Д゚)<合歓 投稿日:2004/11/08(月) 00:13 [ BDmwDRJw ]
- ( ゚Д゚)<最近やたらアクビが出ます
( ゚Д゚)<マジ出過ぎ
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<病気かナ
( ゚Д゚)<かまわず転載逝くぜ
( ゚Д゚)<ぅーぉー
- 282 名前:エロパロスレ・フリチラ氏/小ネタ(SS抜粋) 投稿日:2004/11/08(月) 00:14 [ BDmwDRJw ]
- .
「お姉ちゃん、お父さんの名前、知ってる?」
ある休日の朝、亮太はなぎさに向かってこんな事を聞いた。亮太は小学五年生。まさか、
父親の名前を知らないとも思えないのだが、姉に向かって問いかけるその表情は真摯で、
ふざけているようには見えない。すると、
「岳(たけし)に決まってるでしょう。コマネチ!」
なぎさはがに股気味に足を開き、某大物芸人の持ちネタを披露した。父もそうだが、この
娘、駄洒落で他人をねじ伏せたがる性癖を持っている。それを知り得ている亮太は、もちろ
んノー・リアクション。姉のギャグにいちいち付き合っていたら、身が持たない事を彼は幼い
ながらに理解しているのだ。
「でも、プリキュア大百科1には、岳(がく)って書いてある」
絶賛発売中の児童書を手に、呟く亮太。確かに、家族紹介のページには、『がく』と称されて
いる。
「ホントだ・・・公式ホムペじゃ、たけしになってるのに・・・」
うむむ・・・と顔をしかめるなぎさ。今の今まで、父親の名を『たけし』と思っていたので、この
展開は慮外だった。
「でもね、プリキュア大百科2には、『たかし』って書いてあるんだ」
亮太は、これまた大好評発売中の児童書を持ち出し、なぎさへ詰め寄る。見れば、なるほど
父親の名は『たかし』と表記されている。
「この前発売になった、ビジュアル・ファンブックも、『たかし』になってる。いったい、どれが正
しいんだろうね、お姉ちゃん」
「うーん・・・」
事ここにきて、姉弟は行き詰ってしまった。駄洒落キングこと、美墨岳──その男の本当の
名は、誰も知らない──
.
- 283 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/08(月) 00:15 [ BDmwDRJw ]
- 【エロパロスレ・フリチラ氏/小ネタ(SS抜粋)】
独立して読めるので、エロパロSSの冒頭のこの部分だけ転載してみたり。
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1075836650/669
今回の(11/5に投下されたもの)は藤村省吾と女教師の絡みがメインの、
第39話・よし美先生結婚話をパロディーにした、フリチラ氏の新作SSですが、
「慮外」「事ここにきて」「急かしつける」のような存外古風な文字遣いと、
「コマネチ!」「先生、まいっちんぐ!」「頼むから…にしてちゃぶだい」みたいな
オサーンギャグとのミスマッチが、相変わらずビザール。この人一体幾つなんだ……。
この転載部分も含め氏の新作を終いまで読みたい方は以下のリンクからドゾー
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1075836650/669-680(21禁)
- 284 名前:百合萌えスレ5より190氏/百合SS 投稿日:2004/11/08(月) 00:17 [ BDmwDRJw ]
- .
ある日の放課後、2人はいつものように公園のベンチに座り、
たこ焼きを頬張りながら、おしゃべりに花を咲かせていた。
「で亮太がさぁ。ほんとに腹立つんだから…」
と、不意におしゃべりに夢中ななぎさの肩にふと重みがかかる。
「ほのか?」
目を向けるとほのかはなぎさの肩に頭を持たれかけさせていた。
(寝ちゃったのかな…?)
「こんなところで寝ると風邪引くよ、ほのか」
いつもこういう注意をするのは、ほのかの方なのだが、
そういう違和感がなんだかおかしかった。
「なぎさ…」
「あ、寝たんじゃなかったんだ…って、ええ!?」
顔を上げたほのかは桜色に頬を染めていた。
そしてそのまま鼻が触れ合う寸前まで顔を寄せてきたのだった。
「え、あの、ほのか…え?え?」
顔を真っ赤にしてしどろもどろになるなぎさ。
両のまぶたは閉じられていて、ほのかが何を求めているかは一目瞭然だった。
その状態のまま、数分が経過した。
次第に目を瞑ったままのほのかから、
なにやら負のオーラが漂いはじめたのを察知したなぎさは
覚悟を決め、ほのかに向きあい、両肩をがっしりと掴んだ。
ほのかのおでこに柔らかい感触が伝わったのは、それからさらに数分後のことだった。
「いくじなし」
ほのかはそう呟いて、なぎさの胸に顔を埋めた。
ちなみにその呟きは顔を真っ赤にして固まっているなぎさの耳には当然届かなかった。
・ ・ ・ ・ ・
ほのか帰宅後。
「ほのか、おでこに青海苔がついてるミポー」
「ええっ!?」
「うそだミポー」
「もう…」
顔を赤くして弱りはてるほのかだった。
.
- 285 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/08(月) 00:17 [ BDmwDRJw ]
- 【百合萌えスレ5より190氏/百合SS】
仮題「おでこにキスを」。個人的には額より眉毛か瞼の方gあゲフンゲフン
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1099591656/190+192
( ゚Д゚)<目を瞑ったままのほのかから
( ゚Д゚)<漂いはじめる負のオーラ・・・
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<"誘い受け"という言葉を最近知った私としては
( ゚Д゚)<コレダ
( ゚Д゚)<と感じました
- 286 名前:プリッキュアスレより175氏:百合SS 投稿日:2004/11/08(月) 00:18 [ BDmwDRJw ]
- .
「ロミオとジュリエットってしあわせだったのかな?」
大成功に終わったベローネ祭での二年櫻組の演劇ロミオとジュリエット
無事?終了を祝って櫻組でのささやかな打ち上げパーティーを終え
帰宅の途につくなぎさとほのか。
まっすぐ駅に向かわず川沿いの道を歩いている。
「二人の愛って何だったんだろう?死を決意する程の愛って何だろう?
禁じられたから二人は意地になっちゃった…なァんて」
「禁じられたから愛し合ったんじゃないと思うよ。
きっとお互いを運命の人って感じたからじゃないかな」
ほのかが答える。
「運命の人…私にもそんな人現れるのカナ…」
ふと横で夕闇に沈む水面を眺める
ほのかの横顔を見つめる。「私の…運命の人…」
「なぁに?なぎさ」
視線に気づいたほのかがなぎさと向き合う。
「なんでもない!あ〜ぁ!みんなに迷惑かけちゃったな…
あいつ等の所為で劇が目茶苦茶になって…」
夜を運ぶ風に吹かれながら土手の芝生にしゃがみこむなぎさ。
「なぎさのアドリブ、カッコ良かったよ!結果オーライ!でしょ!?」
なぎさを励ますほのかの声。
「…せっかくあんなに練習したのに…何時まで続くんだろう…あんな事…
普通の中学生活を送りたいだけなのに…」
「愛しのロミオ様!苦痛に満ちたで現世で二人の愛が遂げられないのなら
来世へと旅立たん!」
毒入りのワインを飲み干すしぐさ、空をつかむ手。静かに芝生に横たわるほのか。
「ほ、ほのか…どうしちゃったの?」一瞬の困惑の後、
ほのかが今日の舞台で演じられなかったシーンを演じているのだと気づきなぎさも、
「ジュリエット!なぜだ?なぜ僕を残し一人、死出の旅路に飛び立つのか?
待っていろジュリエット!今すぐに君の後を追うぞ!」
ほのかの熱演に答えるなぎさの名演技に思わずほのかが、くすり…と笑う。
ほのかの肩と腰を引き寄せ抱き起こす。
「ジュリエット!僕の愛しいジュリエット!今生の別れに二人の永遠の…愛を
…ふた…ふたりの…永遠の愛をちかう…」先のセリフを思い出し口ごもるなぎさ。
「二人の永遠の愛を誓うくちづけを交わそう…でしょ」
囁きながらなぎさの首に腕をまわし抱きしめ瞳を閉じる。
・・・・プァァァアアアァァァンンン・・・・・
鉄橋を渡る列車。
車窓からこぼれる光。
重なる二人のちいさな影。
・・・がたんごとがたごとんかたんかたんかたんたたんたん・・・・
遠ざかる列車の音。
再び訪れる暗闇。
「もうすっかり日が落ちちゃったね…」髪を直しながらほのかが呟く。
「帰ろうか」
ほのかの手を握りゆっくりと歩き出す。
ほのかがわき道へと誘う。
「もう少しだけ…遠回りして帰ろうか」
おしまい
.
- 287 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/08(月) 00:20 [ BDmwDRJw ]
- 【プリッキュアスレより175氏:百合SS】
仮題「第37話エピローグ - 誓い」。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/175-176
解説の必要があるだろうか。「夕闇に沈む水面」「夜を運ぶ風」といった表現の
整った詩想、「髪を直しながらほのかが呟く」のような動作描写の含みの深さ、
周りの状況を印象的に描き、あえて距離をとることで、
むしろ中心の出来事の緊迫感を高めるラストの場面の巧んだ手法。
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<もうね
( ゚Д゚)<素晴らしい
- 288 名前:833@水曜日終了 投稿日:2004/11/09(火) 01:00 [ 3.zCtuKs ]
- な「う〜ん。どうしよう……。」
なぎさの目の前にあるのは巨大な鍋。
そして鍋の中に入っているのは全てお粥。具材は何も無い。ただのお粥が鍋いっぱいに詰まっている。
な「作りすぎちゃったかな……。ま、いっか。」
大して気にしないでなぎさは鍋に杓文字を入れお粥をお椀に盛る。
白いお粥が電気の光を反射して輝く。見た目は悪くない。
な「味がちょっと薄い感じだけど…。まあこれぐらいなら大丈夫かな…。」
お椀から一口手で摘まんで口に放り込んだ。まだ少し熱さも感じる。
な「ま、平気だよね。」
お椀とスプーンをお盆に載せてそれを自分の部屋へと運ぶ。
部屋のドアを開けて中へと入る。ほのかが眠ってからは既に三時間ほど経過していた。
時刻は午後二時を少し過ぎたところだ。
部屋に入りベッドに近づく。どうやらほのかは起きているようだ。
な「ほのか。お腹空いたでしょ。お粥作ったよ。」
ほのかが少し苦しげな表情で体を起こして言った。
ほ「ごめん……。あんまり食欲無くて……。」
な「ダメ。風邪ひいてる時は無理しても食べなきゃ。」
ほ「うん……。そうだね。」
な「大丈夫。味は私が補償するから。」
ほ「なぎさ、それなら保証じゃないの?」
な「ちょ…。なんでセリフに……。」
ほ「ふふ。なんでだろうね…。」
な「とにかく!食べなきゃダメだよ。」
ほ「うん……。じゃあさ……。」
な「なに?」
ほ「なぎさ…。食べさせてくれないかな?」
ほのかの発言の真意がわからず暫し考え込むなぎさ。
な「あの…。どういうことかわからないんだけど…。」
ほ「体動かすのが辛いから…。お粥…、食べさせて欲しいの…。」
な「あ!ああ、そういうことね。ってええ!?」
ほ「そうしなきゃ食べない。」
ほのかはベッドに横になる。
な「ちょ…。なんでそうなるの?」
ほ「……………。」
溜め息をつくなぎさ。
な「はぁ、わかったよ……。わかったから起きて。ね。」
ほ「うん。」
嬉しそうな笑顔で再び起き上がるほのか。
なぎさは照れたような顔でスプーンでお椀からお粥を取る。
そしてふーっと二、三度息を吹きかける。
な「はい、ほのか。あーん。」
ほ「あーん♪」
嬉しそうな表情でお粥を食べるほのか。月曜日のような照れはどこにも無い。
ほ「わぁ…。おいしいね。これ。」
な「でしょ!これなら食べられるよね?」
ほ「うん。」
その後もなぎさが息を吹きかけて冷ましたお粥を次々とほのかが食べる。
な「ほのか…。凄い食欲だね…。」
結局数分でほのかはお椀の全てのお粥を食べてしまった。
ちなみになぎさは息をふきかけてばかりいたので息が少し苦しそうだ。
ほ「ごちそうさまでした。おいしかったよ。」
な「ほのかにそう言ってもらえると自信つくなぁ…。ありがとう。」
なぎさがイスから立ち上がる。
な「食べ終わったら薬飲まなきゃね。私取ってくるよ。」
お盆に空のお皿を載せてなぎさが部屋を出る。
- 289 名前:833@水曜日終了 投稿日:2004/11/09(火) 01:01 [ 3.zCtuKs ]
- そしてなぎさが大きなビンとスプーンを持って部屋に戻ってきた。
な「はい、風邪薬。シロップ味の甘いやつね。」
ほ「普通風邪薬って錠剤じゃないの?」
な「え?」
ほ「それよりもなぎさも風邪薬飲んだいいわよ。うつるといけないし…。」
な「そうかな?」
ほ「念のためにね。」
な「うん、じゃあそうしようかな…。」
なぎさはビンを開け薬をスプーンに垂らす。
そしてスプーンをなめるように薬を飲む。
な「わぁぁ。甘くておいしい……。どれもう一杯。」
なぎさはスプーンに薬をもう一度垂らして口に含む。
ほ「なぎさダメよ。薬は使用量間違えたら逆効果になることもあるのよ。」
な「うぇ…。ほ…ほうしひょ〜(どうしよう〜)。」
既に口に薬を入れてしまったなぎさが困惑するように言う。
ほ「仕方ないよね…。ほらなぎさ。私の口に移して…。」
ほのかが口を開けてなぎさの顔に自分の顔を近づける。
な「!!!」
ほのかの行動の意図も理由もわからないなぎさが戸惑う。
な「ふぉ…ふぉのかぁ(ほ…ほのかぁ!?)」
ほのかがなぎさの両肩に手を載せて顔と口を近づける。
なぎさは抵抗しようとするが口から薬を吐き出しかねないのであまり激しくは動けない。
ほのかの唇となぎさの唇が近づきそして触れようとしたその時…。
ゴックン
な「あ……。」
なぎさが口に含んでいた薬を耐え切れずに飲み込んでしまったのだった。
ほ「……………。」
な「……………。」
キスの直前のような体勢をしているためにお互いに動くことが出来ない。
目を開けたまま見つめあう二人。
ほ「……………。」
ポカッ
ほ「痛いよなぎさ…。」
な「なんでまた目を閉じるのほのか……。」
ほ「それよりも私まだ薬飲んで無いよ。」
そう言ってほのかはスプーンに薬をとってなぎさの口へ入れる。
な「!?」
あまりに手際が良かったのでなぎさは口に入れられるまで気づいていなかった。
そしてほのかは目を閉じて顔をなぎさの目の前に差し出す。
ゴクンと再び薬を飲み込む。
ポカッ
ほ「痛いよなぎさ…。」
な「だからなんで私が飲むのよ!!」
ほ「だって……。口移し……。なぎさと……。キス……。」
もはや単語を羅列しているだけのほのか。ちなみになぎさはほとんど内容が理解出来ていない。
- 290 名前:833@水曜日終了 投稿日:2004/11/09(火) 01:02 [ 3.zCtuKs ]
- な「ほら、私が飲ませてあげるから。はい、あ〜ん。」
ほ「あ〜ん。」
先ほどより不機嫌な様子で薬を飲むほのかだった。
グギュウルルルル
空気を読まずになぎさのお腹が音を鳴らす。
な「あ…あはははは……。」
ほ「私の鞄にお弁当入ってるよ…。」
な「え?」
ほ「私の分も食べていいよ。」
な「じゃあ…、ありがたく頂きます。」
なぎさはほのかの鞄を開けて中から二つの弁当箱を取り出す。
弁当箱を開けて呆然とするなぎさ。中には昨日までと同じように鮮やかな弁当があった。
ほ「なぎさ?」
な「ほのか…、熱あるのにこんなもの作っちゃったの?」
ほ「熱はあんまり関係ないけど…。」
な「まあとりあえず両方食べちゃっていいの?」
ほ「うん。」
そしてなぎさは二人分の弁当を食べ始める。
な「うーん、おいしいね。これ。」
ほ「風邪が治ったら一緒に作ろうか?」
な「え!?む…無理だよこんな凄いの…。」
ほ「大丈夫。なぎさならきっと出来るよ。」
な「そうかなぁ?」
ほ「うん。私が保証する。なぎさはやれば出来る子だもん。」
な「な…なんか照れるな……。」
そんな会話をしているうちになぎさはあっという間に二人分のお弁当を食べ終えた。
な「ごちそうさまでした。」
ほ「おそまつさまでした。でも凄いね〜。こんなに食べちゃうんだ。」
な「まあね。体重増えるから困っちゃうけど…。」
ほ「成長期だからそんなに気にしなくても大丈夫よ。」
な「それはそうとほのか。まだ熱があるんだから寝なきゃダメよ。」
ほのかの体を横にしてなぎさは布団を被せる。
な「子守唄でも歌ってあげよっか?」
ほ「子供じゃないんだから。」
な「まだ子供じゃない。」
ほ「うううう……。」
なぎさはほのかの布団に手をそっと重ねて静かに歌い始める。
二人きりの他には誰もいない部屋になぎさの歌声が響き渡る。
時計の音も窓の外の風の音も電灯の音も全ての音が止まる。
ただなぎさは歌いほのかはそれを聴いた。
ほ「なぎさ……。歌上手ね…。」
体を起こしてほのかが自分の素直な感情を言う。
な「ほのか〜、起きてたらダメでしょ。子守唄なんだから…。」
ほ「そうね…。」
今度はほのかが自分から体を横にする。
ほ「続き……。歌って欲しいな…。」
な「大丈夫。ほのかが眠るまで一緒にいるから。」
ギュッとほのかの手を握る。
そして再び歌いだす。
ほのかは目を閉じて静かにその歌に聞き入る。
やがて静かな寝息が聞こえてきた。
な「おやすみ……。ほのか……。」
り「お姉ちゃん。なんで晩御飯がお粥なの?」
な「しょうがないでしょ。作りすぎちゃったんだから。」
り「ううう。なんかもう違うものが。」
な「贅沢言わないの。ほのかが風邪で寝込んでるんだから仕方ないでしょ。」
り「はーい…。」
鍋の半分近く残っているお粥の消化は次の日以降に持ち越された。
そして眠っているほのかの様子をなぎさが心配しながら水曜日の夜は過ぎた……。
- 291 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/09(火) 02:27 [ I0DLiaI2 ]
- >>288-290
口移しクル━━━━(゚∀゚)━━━━!!?
………
来ナカッタ━━━━(;´∀`)━━━━……
…いやまぁ、口移しはともかく、いつも通りの氏の脚本スタイルですが
映像的に印象されるくだりなどもあって、「おっ」と思わされますた。
冒頭のなぎさの料理の様子を描いたところなど書き慣れた洗練を感じるし……
それにエピソードの実と長さの按配もちょうどいい。
なもんで、今回は一匕のためらいもなく言わせていただきましょう、GJ!
- 292 名前:プリッキュアスレより178氏:ネタSS 投稿日:2004/11/09(火) 23:16 [ I0DLiaI2 ]
- .
「今日はみなさんに転校生を紹介します!どうぞ〜入ってきて」
…カ…ラ…カラカラ…遠慮がちに教室の扉が開く。
櫻組の生徒達の視線が集まり転校生の出現に教室が一気に沸き立つ。
「はいはい!みんな静かに!じゃあ自己紹介してくれるカナ?」
「……」
「え?」
「……で…す」
「は?」
「小山翔子です!!!!!!」
「じゃ、じゃあ、席はクラス委員の雪城さんの隣、雪城さん色々教えてあげてね?」
いきなりの大声に驚いた櫻組であったが新しいクラスメィトを歓迎する。
「はい!先生。」ほのかが隣の席に座る小山翔子に微笑み、
「何でもわからないことがあったら聞いてください」
休み時間小山翔子の周りにクラス中が集まり矢継ぎ早に質問が飛ぶ。
――背高〜い!何かクラブやってるの?どこに住んでるの?どこから来たの?――
「あの…雪城さ…ん…ちょっと…」俯いたまま小山翔子がほのかを呼ぶ。
「…ちょっと…お話が…」
「私に?じゃあ静かなところに行きましょう」
小山翔子の緊迫した態度に只ならぬ雰囲気を感じたほのかが小山翔子の手を引っ張り
教室の外に連れ出す。
「なぎさ!なんだか邪悪な気配がするメポ!」
「…あっ!思い出した!あの顔はレギーネ!?ほのかが危ない!」
デュアルオーロラウェイブ!!
そして翌日。
「オッハヨー!志穂!莉奈!」肩を並べて登校する二人の背中を、ほのかと一緒に
歩いて来たなぎさがぽんっと叩く。
「ひゃあぅ!お、おは、おはおはようございます美墨さん…」
「な〜に?どうしたの?かしこまっちゃって?」
「なんななんでもないくぁwsでfr…」なぎさとほのかを振り切り駆け出す志穂と莉奈
「?」「?」
ひそひそ…雪城さんと美墨さんが…転校生を…トイレに呼び出して…
生意気だって!…ボコボコにして…登校拒否に…ひそひそ
「正義を守るのってホント大変…」
おしまい
.
- 293 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/09(火) 23:17 [ I0DLiaI2 ]
- 【プリッキュアスレより178氏:ネタSS】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/178-179
レギーネがベローネ女子学院の生徒になりすまして……というのは
誰もが一度は想像することですが、このSSでは結果どうなるかといったら
校内のトイレでレギーネをボコったなぎさとほのかが皆から危険人物扱いにw
ネタSSとして完成度高し。
- 294 名前:59 投稿日:2004/11/09(火) 23:30 [ FA0JqVI. ]
- タイトル「なねが恋うれぞ…」
「ぐわあああっっ!もうダメっ!頭がパンクしそうっ!」
蜂蜜色の髪をかきむしって少女は叫んだ。カリカリカリと鉛筆の音だけが存在していた静寂をその叫びは台無しにする。
「ほのかあ〜、休憩しよう!ね。こんなにいっぺんに覚えきるのなんて無理なんだしい〜、ね」
彼女…三角なぎさ…はそのまま座卓に突っ伏すと、斜向かいに座る黒髪の少女に懇願した。そして子犬のように上目遣いでその少女…雪城ほのかを見つめる。
「丸暗記しようとするから無理があるんじゃないかしら?歌の一つ一つにもちゃんとした意味や情景があって、それを楽しむように読んでいけば簡単だと思うの」
ほのかは視線を上げることも鉛筆を走らせる手を止めることもなく、さらりと言い放った。旧家独特の高い天井に秋の夜の冷たい風が滑り込んでくる。
「ていうか、これ、楽しむも何もこんなのが日本語だなんて認めたくない。暗号よ!暗号」
ぶちぶちと不満の声をなぎさは漏らした。こういうときの彼女からは、普段の活発さや明るさが影をひそめてしまっている。
そんなに難しかったかしら…?
すでになぎさの苦しんでいる範囲は終えて酸化還元反応式の作成…これは授業の範囲内ではなくあくまで彼女の趣味のようなものだったが…に取り掛かっていたほのかは、なぎさの手元のテキストに目を遣った。あさっての週明けの古典の小テストはあくまで短歌の意訳を求める程度のものである。下二段活用だの副詞だのといった文法が彼女たちを苦しめるのはもう一年くらいは先の話であろう。
「結構進んでるじゃない!どれどれ…」
ほのかが手にとってぱらぱらとめくってみたその30篇ばかりの歌と解説がしるされた薄いテキストの、約3分の2ほどには赤と緑の蛍光マーカーでラインが引かれていた。覚えたかどうかはともかく、そこまでは「なんとかこなした」というところなのだろう。
「ま…ね…。でも、たぶん一晩寝て起きたら忘れてる…」
なんとも頼りないことをなぎさは口にした。
「そんなあ〜」
つられてほのかも情けない声をあげた。
「ね、なぎさ。こういうのって、詠んだ人の気持ちになってみると覚えやすいんじゃないかなぁ?ほとんどが恋の歌だし、ね」
そう言うとほのかはテキストのまだマーカーのなされていない部分を流し読みした。一篇の歌が目に入る。
「これなんかどう?百人一首にもなってるし、多分聞き覚えがあると思うよ。
忍ぶれど 色に出にけり 我が恋は
ものや思ふと ひとの問ふまで
ね、聞いたことあるでしょ?」
なぎさはほのかの指差す先をじっと見つめた。そしてややあって
「…カラフルな忍者が恋をした?」
「ちゃうちゃう」
目を点にしながらも、間髪入れずに突っ込むほのか。
「や、あたしさあ、坊主めくりしかやったことなくて」
頭をかきながらなぎさは空笑いした。ほのかのため息がそれに続く。
「この歌はねえ、『忍ぶ』ってのは気持ちを隠すこと、『色』ってのはその人の顔色や態度とかのことなの
だから、
『ひとに「あんた好きな人がいるんでしょ?」って訊かれるなんて、隠してたつもりなのにバレバレなのね』
って感じの歌ね」
ほのかは簡潔でわかりやすい…しかし、文学を少しでも知るものが聞いたら目を回すような身も蓋もない「意訳」をしてみせた。なぎさはといえば、それでも暗号のような古文とその意訳にまだ齟齬を感じているのだろう、釈然としない顔でテキストを眺めている。
- 295 名前:59 投稿日:2004/11/09(火) 23:31 [ FA0JqVI. ]
- ほのかは、少し不安げになぎさのその横顔を見詰めた。
「なぎさなら、わかるかなあって思ったんだけど…。この歌なんて、ほとんど藤…」
だめよ、言っちゃダメ!
ほのかは続く言葉を飲み込んだ。それは、犯してはいけないタブーの言葉…。
ほとんど藤村君の前のなぎさと一緒じゃない…
これだけは言ってはいけなかった。
なぎさが憧れのような恋心を抱いている藤村省吾という先輩の名前をだすのは、別に構わない。藤村の幼馴染でもあるほのかが彼の様子をなぎさに話すのも、問題は無い。
ただ…彼の前でのなぎさの様子をともすれば揶揄するかのようなことだけは決して言ってはいけなかった。それを口に出すことはなぎさの藤村への純粋な想いを冒涜することにもなりかねないから…。
ほのかの脳裏に初めてなぎさと喧嘩したときのことがよぎった。そのときも藤村の前でなぎさの気持ちを考えないような発言をしてしまった、自分…。
「何?」
途中で言葉を濁したほのかに、なぎさが怪訝そうな顔をして聞いてきた。
「え?…えと…その…」
ごまかしきれないで口ごもるほのか。その様子を見ていたなぎさはふと、なにかに気が付いたかのように小さく口を開いた。
そして…
「あ…ううん、大丈夫よ、ほのか。そんなあ〜いまさらあたしに気を遣わなくっていいって!」
にかっ!という擬音が聞こえるくらいのまぶしい笑顔をなぎさはほのかに向けた。
あ…
やっぱり…なぎさは…優しいよね…
「うん…」
ほのかはそれだけを口にすると、ほんの小さな痛みを胸にしまいこんで、笑った。
「ふぁあ〜あ!つっかれたねえ〜!」
なぎさはほのかのベッドに腰掛けたまま、上半身を仰向けに倒しこんだ。バフッ!とマットレスが音を立てると同時に、軽いめまいを彼女は感じる。
「そうね。でも、明日も残りの課題を片付けないとね」
なぎさの左隣にちょこんと腰をかけたほのかが、笑みを浮かべながら彼女に向かって言った。
「う゛…。それは言わないでって…」
なぎさの表情が引きつる
実際、彼女たちの課題はあの後はほとんど進んではいなかった。単純に集中力の持続の問題である。結局、なぎさとほのかは課題を進めることをあきらめて、いつものようなおしゃべりに夢中になっていったのだった。
クラスの同級生のこと、藤村省吾のこと、イズミヤというパーラーの新作スゥイーツのこと…
途中でほのかのお祖母さんから差し入れられたホットレモンを口にしたり、互いにパジャマに着替えたりしながら、彼女たちのおしゃべりは延々10時過ぎまで続いたのだった。
「ねえ…なぎさ…」
ほのかは、少し戸惑うような微かな声で語りかけた。雪のような頬がほんのりと紅に染まっていく。
「ん?どしたの?」
なぎさはほのかを見遣った。上半身を寝かせている彼女からは、背を向けて腰掛けているほのかの表情はうかがい知れない。
「あの…せっかくうちに泊まりに来てくれたんだし…その…い、一緒に、寝ない…?」
ほのかの心臓が早鐘を打つように鳴る。
「え…」
なぎさは…驚いた。いや、むしろ呆然としたと言うほうが正解かもしれない。
その返事をどう受け止めたのだろうか、ほのかは
「え、えっと、いえ…ね。私…いつも寝るときは独りだし…たまにはいいかなあって…」
早口のほのかの言い訳の末尾は、ほとんど消え入りそうにフェードしていく。
なぎさは数秒だけほのかの背中を見つめて固まっていた。そして…
…そうだよね。ほのかのお父さんとお母さんはいつも海外を飛び回っていてほとんど帰ってこないんだし、ほのかが淋しがるのもわかるよね…
ガバッ!となぎさは上体を起こした。一瞬だけなぎさのお尻の下のベッドのスプリングが揺れて隣のほのかのお尻へと振動を伝える。
「うん!いいよ!ほのか!一緒に寝よう!」
なぎさは笑った。破顔、っていうか、飴玉をもらった子供のようにその釣り目がちの大きな目を無くさんばかりに、その口を顔いっぱいに広げんかばかりに、笑った。
「う…うん、ありがと…」
ほのかは、なぎさのその笑顔を眩しげに見つめた…。
- 296 名前:59 投稿日:2004/11/09(火) 23:34 [ FA0JqVI. ]
- スマソ、実はこれでまだ半分です
今日中に書き上げたかったけど、それこそ俺自身の「単純に集中力の持続の問題」で…
ただ、約2週間前からこれを構想しているうちに40話と42話タイトルバレが出てきたりして、ちょい焦りもあって、挙げときます。
…続きは後日。途中でがらっと雰囲気が変わる予定です
- 297 名前:59 投稿日:2004/11/09(火) 23:51 [ FA0JqVI. ]
- 悪い…。読み返したら描写すべきところ(頭ではできてたが書き込むとき忘れた)抜けてたので、修正版です
連投スマソ
- 298 名前:59 投稿日:2004/11/09(火) 23:52 [ FA0JqVI. ]
- ほのかは、少し不安げになぎさのその横顔を見詰めた。
「なぎさなら、わかるかなあって思ったんだけど…。この歌なんて、ほとんど藤…」
だめよ、言っちゃダメ!
ほのかは続く言葉を飲み込んだ。それは、犯してはいけないタブーの言葉…。
ほとんど藤村君の前のなぎさと一緒じゃない…
これだけは言ってはいけなかった。
なぎさが憧れのような恋心を抱いている藤村省吾という先輩の名前をだすのは、別に構わない。藤村の幼馴染でもあるほのかが彼の様子をなぎさに話すのも、問題は無い。
ただ…彼の前でのなぎさの様子をともすれば揶揄するかのようなことだけは決して言ってはいけなかった。それを口に出すことはなぎさの藤村への純粋な想いを冒涜することにもなりかねないから…。
ほのかの脳裏に初めてなぎさと喧嘩したときのことがよぎった。そのときも藤村の前でなぎさの気持ちを考えないような発言をしてしまった、自分…。
「何?」
途中で言葉を濁したほのかに、なぎさが怪訝そうな顔をして聞いてきた。
「え?…えと…その…」
ごまかしきれないで口ごもるほのか。その様子を見ていたなぎさはふと、なにかに気が付いたかのように小さく口を開いた。
そして…
「あ…ううん、大丈夫よ、ほのか。そんなあ〜いまさらあたしに気を遣わなくっていいって!」
にかっ!という擬音が聞こえるくらいのまぶしい笑顔をなぎさはほのかに向けた。
あ…
やっぱり…なぎさは…優しいよね…
「うん…」
ほのかはそれだけを口にすると、ほんの小さな痛みを胸にしまいこんで、笑った。
「ふぁあ〜あ!つっかれたねえ〜!」
なぎさはほのかのベッドに腰掛けたまま、上半身を仰向けに倒しこんだ。バフッ!とマットレスが音を立てると同時に、軽いめまいを彼女は感じる。
「そうね。でも、明日も残りの課題を片付けないとね」
なぎさの左隣にちょこんと腰をかけたほのかが、笑みを浮かべながら彼女に向かって言った。
「う゛…。それは言わないでって…」
なぎさの表情が引きつる
実際、彼女たちの課題はあの後はほとんど進んではいなかった。単純に集中力の持続の問題である。結局、なぎさとほのかは課題を進めることをあきらめて、いつものようなおしゃべりに夢中になっていったのだった。
クラスの同級生のこと、藤村省吾のこと、イズミヤというパーラーの新作スゥイーツのこと…
途中でほのかのお祖母さんから差し入れられたホットレモンを口にしたり、互いにパジャマに着替えたりしながら、彼女たちのおしゃべりは延々10時過ぎまで続いたのだった。
「ねえ…なぎさ…」
ほのかは、少し戸惑うような微かな声で語りかけた。雪のような頬がほんのりと紅に染まっていく。
「ん?どしたの?」
なぎさはほのかを見遣った。上半身を寝かせている彼女からは、背を向けて腰掛けているほのかの表情はうかがい知れない。
「あの…せっかくうちに泊まりに来てくれたんだし…その…い、一緒に、寝ない…?」
ほのかの心臓が早鐘を打つように鳴る。
「え…」
なぎさは…驚いた。いや、むしろ呆然としたと言うほうが正解かもしれない。
なぎさ自身はほのかの家に泊まるに際して、どこで寝るとかは考えていたわけではない。ほのかやお婆様が用意してくれた通りなら、客間で寝るにしようとほのかの部屋で別の蒲団を敷くのであろうと、どういう形だって構わなかった。
ただ…正直「ほのかと一緒のベッドで寝る」という選択肢が予想だにしていなかったのは事実であった。
その返事をどう受け止めたのだろうか、ほのかは
「え、えっと、いえ…ね。私…いつも寝るときは独りだし…たまにはいいかなあって…」
早口のほのかの言い訳の末尾は、ほとんど消え入りそうにフェードしていく。
なぎさは数秒だけほのかの背中を見つめて固まっていた。そして…
…そうだよね。ほのかのお父さんとお母さんはいつも海外を飛び回っていてほとんど帰ってこないんだし、ほのかが淋しがるのもわかるよね…
ガバッ!となぎさは上体を起こした。一瞬だけなぎさのお尻の下のベッドのスプリングが揺れて隣のほのかのお尻へと振動を伝える。
「うん!いいよ!ほのか!一緒に寝よう!」
なぎさは笑った。破顔、っていうか、飴玉をもらった子供のようにその釣り目がちの大きな目を無くさんばかりに、その口を顔いっぱいに広げんかばかりに、笑った。
「う…うん、ありがと…」
ほのかは、なぎさのその笑顔を眩しげに見つめた…。
- 299 名前:( ゚Д゚)<うを 投稿日:2004/11/10(水) 00:33 [ lL3SCIrc ]
- >59氏
( ゚Д゚)<ナナナント
( ゚Д゚)<前編だけですでに3000字越え
( ゚Д゚)<ターイーヘーンーダー
( ゚Д゚)<細部の作り込みもスゴいし
( ゚Д゚)<構想二週間というのもナットクですねえ
( ゚Д゚)<つづきに悶絶期待します
( ゚Д゚)<期待しまくり
- 300 名前:* 投稿日:2004/11/10(水) 00:34 [ lL3SCIrc ]
|∀・ ;)<SS書いてみたいけど怖ひ
( ゚Д゚)<怖くない怖くない怖くないウンウン
( ゚Д゚)<怖くないよー
( ゚Д゚)<いやホント
- 301 名前:プリキュアSS作品INDEX_201-300(1/2) 投稿日:2004/11/10(水) 00:39 [ lL3SCIrc ]
- 作品INDEX_001-100 >>101-102 作品INDEX_101-200 >>201-202
.
【百合SS「833@連作百合萌えSS #08 トイレ掃除」】 >>204-207
作者:833@氏
【ネタSS「第8話 - イヤな仲直り」】 >>213
作者:プリッキュアスレより143氏
【百合SS「ココロのどこか」】 >>215-217
作者:プリッキュアスレより147氏
【百合SS「833@連作百合萌えSS #09 なぎさの料理・雨傘」】 >>220-222
作者:833@氏
【SS「ちょっぴりイタい調理実習?」】 >>229-232
作者:初代百合スレ67氏
【百合SS「いつもの道」】 >>236
作者:59氏
【SS「ありえない、戦い」】 >>238
作者:59氏
【最終回SS「最後のプリキュア手帳」】 >>245-246
作者:プリッキュアスレより136氏
【SS「今目の前にある絶望」】 >>250-251
作者:猫塚氏
【百合SS「833@連作百合萌えSS #10 欠席」】 >>255-257
作者:833@氏
- 302 名前:プリキュアSS作品INDEX_201-300(2/2) 投稿日:2004/11/10(水) 00:41 [ lL3SCIrc ]
- .
【SS「ふたりはプリキュア ―めろりんきゅ〜?― 承前】 >>261
作者:大阪氏
【百合SS「833@連作百合萌えSS #11 ぬいぐるみ」】 >>265-267
作者:833@氏
【SS「意地悪しないで」】 >>270-271
作者:プリッキュアスレより186氏
【ネタSS「全員集合!!怒涛の大クリスマスパーティー!!」】 >>275-277
作者:プリッキュアスレより158氏
【小ネタ「美墨岳という謎」(SS抜粋)】 >>282
作者:エロパロスレ1よりフリチラ氏
【百合SS「おでこにキスを」】 >>284
作者:百合萌えスレ5より190氏
【百合SS「第37話エピローグ - 誓い」】 >>286
作者:プリッキュアスレより175氏
【百合SS「833@連作百合萌えSS #12 風邪薬」】 >>288-290
作者:833@氏
【ネタSS「トランスファー小山翔子」】 >>292
作者:プリッキュアスレより178氏
【SS「なねが恋うれぞ…」(前編)】 >>294>>298
作者:59氏
※題名には便宜的な仮タイトルも含まれます
- 303 名前:833@インデックス見ると書きたくなる 投稿日:2004/11/10(水) 01:05 [ AI7Senww ]
- 木曜日……。
ジリリリリリリリリ
時刻は六時半。
なぎさは一人目を覚ました。
ベッドの上では雪城ほのかがスヤスヤと眠っている。
カーテンを開けず暗い部屋の中でなぎさは制服に着替える。
ドアを開けてなぎさは部屋から出た。
リビングでは丁度弟の亮太が起きてきたところだったようだ。
り「お姉ちゃん、おはよう。ほのかさんは?」
な「まだ寝てるみたい。起こさないようにね。」
り「うん…。」
眠そうな目を擦って亮太が一度部屋へと戻る。
り「朝ごはんもお粥なの?」
な「仕方ないでしょ。残ってるんだから!」
り「あとどれくらいあるの?」
な「あとはほのかの朝と昼の分だから夜には違うもの食べられるわよ。」
り「それ聞いてほっとしたよ。」
な「なによ?お粥マズイって言うの?」
り「別にそんなんじゃないけどさ…。」
二人だけの朝食になぎさも亮太もどこか寂しさを感じた。
たった一人が居ないだけでもこうも変わるものなのだろうか…。
なぎさが鞄を取りに部屋に戻ると、そこには目を覚ましたほのかが居た。
な「ほのか、起きたんだ。」
ほ「うん、心配かけたけどもう大丈夫。」
な「はい、とりあえず体温計。」
ほ「うん。測ってみるね。」
な「私ちょっとトイレ行ってきちゃう…。」
なぎさが部屋から出ると、ほのかは額に乗っていた濡れタオルを脇の下に挟み冷やす。
そしてそこに体温計を差し込む。
ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ
丁度そこへなぎさが戻ってくる。
な「どう?」
ほ「大丈夫。36度5分、平熱ね。」
な「ほのか、ちょっとごめんね。」
ほ「え?」
なぎさがほのかの後頭部に手を回して自分の額とほのかの額をコツリとくっつける。
ほ「!!」
な「まだちょっと熱い…、よね。」
原因はなぎさにあるのだがなぎさは当然気が付かない。
な「ほのか。逆の脇でもう一回測ってみて。」
ほ「え…、なんで?」
な「念のためにね……。」
ほ「うう……。」
ピピピピ、ピピピピ
な「37度1分……。アウト。」
ほ「……………。」
な「ほのか、タオルで冷やしてもダメだからね…。」
ほ「ごめんなさい…。」
な「とにかく。ほのかは今日も休むこと。」
ほ「はーい…。」
元気なくほのかが返事をする。
な「ご飯は昨日のお粥が残ってるから食べていいよ。薬も隣に置いておいたから。」
ほ「ありがとう…。」
な「無理しちゃダメだからね。おとなしく休んでるのよ。」
ほ「はーい…。」
な「退屈だったら私の漫画読んでてもいいよ。」
ほ「ん、わかった。」
な「じゃあ、今日は早く帰るから。行ってきます。」
ほ「行ってらっしゃい。」
ほのかは笑顔でなぎさを見送る。そして学校へ電話をかけ今日も休むという連絡を済ませた。
なぎさは一人で通学路を歩いていた。
な(ほのか…。大丈夫かなぁ……。)
心配そうな表情で一人歩くなぎさ。
な「なんか変な感じ。一人で通学なんて慣れてるハズなのに……。」
空を見上げると雲ひとつ無い真っ青な空であった。
太陽の光が輝く。自分が大好きな天気、風景。
なぜだろう。それでも気分は暗い。
な「ほのかが居ないだけなのに……。」
以前は珍しくもなかった。むしろ一緒に登校する回数のほうが少なかった。
ほんの四日間一緒に過ごしたに過ぎない。
なぎさ自身が気づかないほど、雪城ほのかという存在がなぎさの中で大きくなっていたのだった。
振り返るとそこにほのかが居るような気がして振り返るなぎさ。
もちろんそこには誰の姿も無い。
な「ふぅ…。」
憂鬱な気持ちでなぎさは一人学校へと向かった。
- 304 名前:833@ 投稿日:2004/11/10(水) 01:06 [ AI7Senww ]
- というわけでようやく折り返しまで書けました。
>59氏
やっぱり氏のSSは素晴らしいです。
なんかリアリティがあります。見てて本物の小説を読んでいるようで純粋に楽しいですね。
- 305 名前:59 投稿日:2004/11/10(水) 23:03 [ p/fri5M. ]
- >>299
>>304
アリ♪
ってか、他の方の感想とか書けなくてスマソ
「仕方ないやろ ワイかていっぱいいっぱいやねんで(ニコラス・D・ウルフウッド)」
- 306 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/11(木) 00:16 [ kDYkMFtc ]
- ( ゚Д゚)<オケー
833@氏お疲れ。
閑話だが、ヒトの身体は左右で温かさが違うので
両方の腋で測らないと熱があるかどうかホントに分らないらしい…よ?
ってこれ常識なのか、それとも俺が最近知って「うお」と思っただけのことなのか。
いずれにせよ念のためと言って測りなおしたなぎさはエロもといエラいな。ふふん。
……んで。
まぁ、半月以上に渡って書き続けられて、氏のSSも漸く折り返しまで来たわけだけど……
モチベーションを持続させるのは個人個人の問題だし、つづきも頑張れとは軽々しく言わんよ。
だから書いておきたいことは一つだけだ。
今までありがとう。
- 307 名前:59 投稿日:2004/11/11(木) 00:28 [ P5uaqMvE ]
- リーリー…リーリー…
秋の虫の求愛の声が、障子を透かすように忍び込んできていた。
ほのかは、天井を見ていた。小玉電球の影に浮かぶ、いつもと変わらぬはずの板張りの天井。
なぜだろう…そのいつもの光景が、不思議と不安な気持ちにさせる。
右隣にはなぎさが横になっていた。彼女もまた、うすぼんやりと天井を見つめている…。
横に並ぶようにして寝ている二人の距離は30cmほど。腕同士の距離に至っては20cmも離れてはいないだろう。
でも、ほのかにはその20cmが限りなく遠かった。たったそれだけの空気の層が互いの体温を完全に遮断してしまっている。
「ねえ…なぎさ?」
ほのかはそっと話しかけた。
「ん?」
小さな、返事。
「なぎさは…どんな夢をみるのかな…って、思って…」
そういえばなぎさとはあんまりこういう話はしたことがなかった…
そのことがほのかには妙に不思議に思えた。
「夢…夢、ねえ…。あんまり覚えてないなあ〜。
あ、でも、たこ焼きを食べてたりとか、あとラクロスでゴールを外しちゃったりとか、
そして…テストで満点をとって藤P先輩にほめられたり…なんて」
最後のあたりで、なぎさは照れ隠しのようにペロッと舌を出してみせた。
藤村君に、ねえ…
ほのかは、胸がつまるのを感じた。複雑な感情。藤P…藤村…に感じる理不尽な嫉妬のようなものと、人一倍照れ屋で恋に奥手ななぎさは私にしかこのことは話さないんだろうなという優越感のようなものが渦を巻いているような、そんな感情。
「もしかしたら、藤村君もなぎさのことは気にかけているのかもしれないわね」
ほのかの思いもかけない言葉に、なぎさはつい横を向いた。
「古い…今日勉強した歌の時代よりも100年ほど昔の歌なんだけど…
朝髪の 思い乱れて かくばかり
なねが恋うれぞ 夢に見えける
ていう歌があるの。
この歌は離れ離れのお姉さんにあてて詠んだらしいんだけど
お姉さん、あなたが私のことを心配してばかりいて夢の中まで出てくるから、私は朝の寝癖でボサボサの髪の毛のように気持ちが乱れて落ち着かないじゃないの
って意味なの」
なぎさは…よくわかっていないって風にほのかの横顔を見つめた。
「つまり…昔の人は、自分じゃなくて相手が自分のことを思ってくれているから、その人が夢に出てくるって、そう考えてたみたいね。
だから…藤村君も、なぎさのことを思ってくれてたのかもしれないわよ」
数秒、なぎさの表情に変化はなかった。それが…何を想像したのだろうか、見る見るうちに真っ赤に染まっていく。
「キャッ!やだ〜!ありえないぃ〜」
なぎさはガバッと蒲団を引き寄せると、その真っ赤な顔を隠すようにもぐりこんだ。
「だめよ!な〜ぎ〜さっ!」
ほのかはその蒲団を無理矢理引き剥がした。顔を真っ赤にして照れ悶えるなぎさの顔があらわになる。
目と目が合う。羞恥に潤むなぎさの瞳。
「どうしたの?真っ赤になってるわよ」
あくまでも落ち着いた声で、ほのかは言った。
「やだ…やだよう…ほのか…」
かすれるような声…。
ほのかは…正直、かなり意地悪な気分になっていた。もう少しなぎさをいじめてみたい…
しかし、彼女はその衝動をぎりぎりのところで留めた。
「あ…ずいぶん遅くなったわ。もう寝ないとね」
そう言うとほのかは奪った蒲団をあっさりと返す。
「うん…」
そのほのかの様子に少し落ち着きを取り戻したのだろう、なぎさはあらためて蒲団をきちんと伸ばして、二人に均等にいきわたるようにかけなおした。
「おやすみなさい」
「…うん、おやすみ、ほのか…」
- 308 名前:59 投稿日:2004/11/11(木) 00:29 [ P5uaqMvE ]
- 続きです
これでようやく3/5ってところかな…?
ちなみにエロにはなりません。ええ、決して!
- 309 名前:( ゚Д゚)<いえーい 投稿日:2004/11/11(木) 23:51 [ kDYkMFtc ]
- ( ゚Д゚)<最近
( ゚Д゚)<個人的な心理的にアレなイロイロで
( ゚Д゚)<アタマが持たんよ
( ゚Д゚)<ふー
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<59殿
( ゚Д゚)<つづきが気になって困るます
( ゚Д゚)<詳らかなほのかの内面の動静がウマーで読ませますが
( ゚Д゚)<これからどうなるのでございましょう
( ゚Д゚)<ハラハラ
( ゚Д゚)<"夜霧のブルース"を歌いながら待ってまする
( ゚Д゚)<どうせ俺らは ひとり者〜♪
- 310 名前:( ゚Д゚)<真夜中 投稿日:2004/11/12(金) 00:00 [ ocTUmTsQ ]
- ( ゚Д゚)<おろ
( ゚Д゚)<百合萌えスレ5の190氏の作品(>>284)は
( ゚Д゚)<"ほのか誘い受け"というより
( ゚Д゚)<"なぎさヘタレ攻め"といった方が
( ゚Д゚)<適切だったかねえ
( ゚Д゚)<むぅ
( ゚Д゚)<いずれにせよ
( ゚Д゚)<この書き手さんにはゼヒ次作も期待したい所存
( ゚Д゚)<なのです
( ゚Д゚)<トロトロ
( ゚Д゚)<ピカール
- 311 名前:59 投稿日:2004/11/12(金) 23:58 [ 28D7z11A ]
- >>309
ありがとう。さっきまで必死で続きを書いてました。
ちょっと一段落ついたけど、ここからさきは最後まで完成してからのほうがいいと判断したので、途中上げはしません。
日曜には完成するかな?
現在の文字数はとうとう8200文字になりました(汗)
- 312 名前:59 投稿日:2004/11/13(土) 00:02 [ P3Xi2kUw ]
- あ、ほんとはこれは最後に言おうと思ってたんだけど…
先に突っ込まれるとあれなんで(><)
朝髪の 思い乱れて かくばかり
なねが恋うれぞ 夢に見えける
参考文献は「星の時計のLidell」(内田善美)
です
- 313 名前:833@先に投下させて貰います 投稿日:2004/11/13(土) 00:54 [ cNfIOLvA ]
- し「あ、なぎさ。おはよう。」
り「おはようなぎさ。」
な「おはよう二人とも。」
り「ま、とうとうなぎさの無欠席記録も途絶えたわね…。」
し「どこまで続くか楽しみだったんだけどね〜。」
な「ああ!そうだ。そういえば私そんな記録あったんだ!」
り「忘れてたの…?今年も皆勤賞狙うって凄く気合入れてたのに。」
な「そうだったぁ…。昨日休まなきゃ良かった…。」
ガクンと落ち込むなぎさ。莉奈と志穂がなぎさの肩をポンと叩く。
し「残念でした〜。というわけでなぎさは脱落ね。」
り「私と志穂と…。さてどっちが長く持つかしらね。」
し「絶対絶対絶対負けないからね!」
り「こっちも負けるつもりは無いよ。」
なぎさを無視して二人だけの世界に入る莉奈と志穂。
にらみ合う二人の目からバチバチと火花が弾けていた。
り「そういえばなぎさ、今日は雪城さんと一緒じゃないんだね。」
な「うん、ほのかは今日も風邪で休み。」
し「てゆーかてゆーかてゆーか、なんでなぎさが知ってるの?」
な「え…!?あ…、いや別に……。」
り「な〜んか怪しくない?」
不敵な笑いを浮かべながら莉奈が顔をなぎさに近づける。
な「た…ただ昨日電話したから、その時に……。」
し「嘘嘘嘘。正直に話してごらん。」
な「だから!別に…。ああ!!もう。いいでしょ!!」
その場の空気に耐え切れずに走り出すなぎさ。
し「あ、なぎさ!」
り「待ってよ〜。」
慌てて追いかける志穂と莉奈。
ふとなぎさは何かを思い出した。
な(去年はよく…。こうやって莉奈や志穂と一緒に登校したっけ…。)
チャイムが鳴り授業が始まってもなぎさの気持ちは落ち着かなかった。
ただでさえ苦手な数学の授業のせいで暗い気持ちが更に暗くなった。
机の上に肘をつきながらぼんやりと外の景色を見つめるなぎさ。
窓の外では一年生と思われる女の子達が元気に走り回っていた。
どうやら体育の授業でマラソンをしているようだった。
そんな風景を見ながらもなぎさはただほのかのことだけを心配していた。
な(変なの……。ほのかのほうが全然頼れるのにこんなに心配だなんて…。)
ふぅ〜。と溜め息をつき自分の数学のノートを見つめる。
余白のスペースに踊る落書きの数々。右下にあるパラパラマンガ。
退屈な授業の記録を確かに物語っていた。
なぜ今日の自分はこんなにも落ち着かないのだろう…。まるで体だけが学校に来ているみたいだ。
どこか脱力している自分を嘲笑しながらなぎさは再び窓の外へ目を向ける。
ここから見えるハズの無い自分のマンションのある方向を見つめる。
な(ほのか……。大丈夫かなぁ……。無理してなきゃいいけど。)
心ここにあらず。そんな状態のなぎさを現実に引き戻す声がする。
教「じゃあこの問題を……。美墨。解いてみろ。」
な「え…。」
り「ほら、なぎさ。」
後ろからなぎさが背中を突付いて自分が指名されたのだということを伝える。
なぎさは何も言わずに立ち上がる。
な「……………。」
ふと無意識のうちに後ろを向いて振り返っていた。その視線の先にあるものは誰も座っていない机と椅子。
教「どうした?美墨。」
な「え…?」
教「早く答えろ。」
な「あ…。はい……。x=2、y=4です。」
教「よし、正解だ。」
おおおおおおお。と教室内でざわめきが起こる。
ガタリと着席するなぎさ。
り「凄いじゃん。なぎさ。」
後ろから小声でなぎさの快挙を祝福する莉奈の声がする。
普段のなぎさなら「どう?私もやる時はやるのよ!」と大いに自慢するところである。
しかし今日のなぎさはただ「そう?」と言ったきり静かに黙っている。
そんな様子を怪訝に思う志穂と莉奈であったが、授業中のためなぎさに問うわけにもいかなかった。
な(やっぱりほのかは凄いな〜。丁度教えてもらったところだから全然簡単…。)
なぎさは月曜日の夜のことを思い出した。
あの時ほのかが教えてくれたこと。連立方程式の解き方。こうやって使えばいいのか…。
辞書で覚えた言葉を誰かに対して使ってみたくなる心境だった。
な(ほのかの心配ばかりしてても仕方ないよね。こんなの私らしくないよね。)
外の風景を見ることをやめて教科書に目を向ける。
な(頑張ろう…。)
一人で静かに気合を入れなおすなぎさ。
が気合が入ろうが数学はやはり退屈だった。普段より早い時刻に起きたなぎさが耐え切れるハズが無かった。
な「ZZZ……。ZZZ……。」
体が小刻みに前後に揺れるが幸いにも教師は気づかなかった。
やがてチャイムが鳴り授業終了を知らせた。
- 314 名前:833@今回は少し暗めか? 投稿日:2004/11/13(土) 00:54 [ cNfIOLvA ]
- な「はああ……。ようやくお昼休みだね。ああ、お腹空いた。」
すっかりいつもの元気を取り戻したなぎさが言った。
り「すっかり元気になっちゃったね…。」
し「あれなぎさ?今日はパンなの?」
な「まあね。」
なぎさが袋から取り出したカレーパンを一口かじって答える。
り「やっぱり…。雪城さんが休みだから…?」
な「やだもう…。何言ってんのよ。」
し「だってだってだって。前に雪城さんがなぎさにお弁当渡してたじゃない。」
り「なぎさ、雪城さんにお弁当作ってもらってたんじゃないの?」
な「仮にそうだったとして、それがどうだって言うの?」
り「まぁ、どうだとは言わないけどね…。」
し「ただねぇ…。」
ニヤリと笑いながらお互いの顔を見つめる志穂と莉奈。
こうなると大抵はなぎさにとってはロクなことが起こらない。
な「はぁぁぁ……。」
深い溜め息をついてパンをかじるなぎさだった。
キーンコーンカーンコーン
な「ふぅ…、これで一日終わりかぁ…。」
授業終了チャイムを聞いてなぎさは立ち上がる。
り「なぎさ、部活行こう。」
し「もうすぐ大会だもん。頑張らなきゃね。」
な「え……。あ…、そうだっけ…。」
り「そうだっけって…。あのねぇ…。」
し「まったく。なぎさはエースなんだからもっと自覚持ってよね。」
な「ご…ごめん……。」
り「それより早く行こう。」
し「そうそうそう。」
な「私……。今日は行けない……。」
り・し「え?」
莉奈と志穂が同時に聞き返す。
な「ちょっと…、まだ体調良く無いから……。」
し「あ、そっかぁ。」
り「そうだね。無理しないほうがいいよ。」
な「ごめんね…。」
し「ううん。それより早く治さなきゃね。」
り「早く帰って休んだほうがいいよ。なんか今日は雨らしいし…。」
な「うん、そうするよ。」
り「弓子先輩には私達から言っておくから。」
な「ありがとう。それじゃあ。」
り「うん、じゃあね。」
し「じゃあね。なぎさ。」
そう言って志穂と莉奈は教室を出て行った。
な「ごめんね……。嘘ついて……。」
誰もいない教室でなぎさは静かに呟いた…。
なぎさは走った。少しでも早く家に帰りたいという気持ちで溢れていた。
な(こんな気持ち初めてだなぁ…。どうしてこんなにほのかが心配なんだろう…?)
電車に乗ってから若葉台に到着するまでの時間がとても長く感じられた。
- 315 名前:833@百合成分も少なめ。 投稿日:2004/11/13(土) 00:55 [ cNfIOLvA ]
- ザーーーーーーーーーーーーーーーーーー
現実は非情だった。急いで家に帰りたいというのに天気は大雨だった。
電車に乗った時点で雨が降り始めてはいたがこれほどでは無かった。
な「もうありえない!なんでこんな時に限って……。」
両手を振り回し怒りの態度を示すような行動をとるなぎさ。
本来雨が降っていても突っ走ろうという気になるのだがずぶ濡れになって帰るとほのかに心配がかかる。
というわけでなぎさはどうしても濡れて帰るということはしたくなかった。
しかし傘を買うお金などは当然持ち合わせていない。
そして悪いときには悪いことが重なるものである。
な「さ…、寒い……。」
本格的な冬の到来はまだ先だというのに雨の影響もあってか異常なまでに冷え切っていた。
ガクガクと体を振るわせる。なぎさとしては駅で雨宿りをするしかない。
駅の壁にもたれかかり出口を見つめる。
な「……………。」
とふとそこにどこかで見たような姿を見つける。
な「……………。まさかね……。」
ありえない。と呟きながらなぎさは首を横に振る。
しかし確実にそのどこかで見たような姿の人が近づいてくる。
これだけ近づけばさすがのなぎさも気づく。その姿は間違い無く雪城ほのかの姿だった。
大き目のダッフルコートを上から着て下には黒いロングのスカートを穿き首にマフラーを巻いたほのかの姿がそこにはあった。
普段は少し幼さを感じさせるようなほのかの容姿。
しかし今の大人びたほのかの姿は普段とはまた違う。いわば大人の美しさともいうべき雰囲気を醸し出していた。
ほ「なぎさ。」
な「ほのか!」
ガバアァッと何も言わずになぎさはほのかに抱きついた。
な「ほのか。寝てなきゃダメだって言ったじゃない。」
ほのかの行為を咎めることを言ってはいるがなぎさは笑顔だった。
ほ「そうなんだけど、なぎさが傘持ってないと思って……。」
な「うん、よくわかってる。」
ほ「だからね。はい。」
ほのかが手に持っていた傘をなぎさに手渡す。
な「わぁ〜。ありがとう。ほのか。」
ほ「さ、帰ろう。」
な「うん!」
なぎさはその会話の間ずっと笑顔であった。今日の学校での暗さが嘘のようである。
- 316 名前:833@木曜日はまだ続く 投稿日:2004/11/13(土) 00:56 [ cNfIOLvA ]
- 二人は傘を差しながら並んで歩く。
な「でもさ〜。どうしてこんなにタイミングよく来たの?」
ほ「だって学校が終わる時間っていつも一緒よ?」
な「でも私が部活出てたらいつ帰るかはわからなかったハズでしょ?」
ほ「それは……。そうね。」
な「なんか凄い偶然だよね。」
ほ「なんとなく。なぎさがそろそろ帰って来るって気がしたんだ。」
な「え〜、何それ?」
ほ「よくわからないけど、帰ってきたら嬉しいな。っていう。」
な「それで私が帰ってきたの?」
ほ「願いが通じたのかしら?」
な「そうかもね。」
ヒューーーーー
冷たい風が二人が歩く道に吹きつけた。
な「うううううう。寒い……。」
ほ「今日は雨だから少し冷え込んでるみたい。」
な「少しなんてもんじゃないよ。っていうかなんでほのかそんなに着込んでるの?」
ほ「一応、体を冷やしたら良くないからね。」
な「暖かそうね…。」
ほ「なぎさ、このままじゃなぎさが風邪ひいちゃうよ。ほら、このマフラー使って。」
ほのかが首に巻いていたマフラーを取りなぎさの首にかけようとする。
な「いいよ。ほのかこそ風邪ひいてるんだから暖かくしてなきゃ。」
ほ「でも……。」
な「大丈夫、全然寒くなんかないから…。」
ほ「本当に?」
な「本当よ……。ハーーックション。」
ヒューーーーー
冷たい風が再び二人が歩く道に吹きつけた。
ほのがくすっと笑い無言でなぎさの首に自分のマフラーをかける。
な「……………。」
ばつが悪そうな表情をしながらもマフラーをしっかりと握り締めるなぎさ。
ほ「暖かい?」
な「……………。うん…。」
黙ったままなぎさが自分の手をほのかの首筋に持っていく。
ほ「ひゃう!?」
ほのかが驚いて声をあげて後ろを振り返る。
ほ「ちょ…なぎさ……。」
な「あはは。」
嬉しそうな笑顔のなぎさ。それを見てほのかも笑い出す。
ほ「ほら、手も暖かいから手握っていいよ…。」
ほのかがコートのポケットから手を出してなぎさの方へと差し出す。
なぎさは無言で差し出された手をギュっと握り返す。
繋がった手からほのかの暖かさが伝わってくる。
暫くの間二人は無言で手を繋いだまま歩いていた。
ほ「雨……、止んだね…。」
ほのかが静かに言った。なぎさも傘を下ろしてそれを確認する。
空は曇っていたが確かに雨は止んでいた。
ほ「にわか雨で良かったね。」
な「うん。」
傘を折りたたみ二人はまた歩き出す。
そして二人はようやく家に到着した。
ほのかがポケットから合鍵を取り出してドアを開ける。
玄関に入るとほのかは先に部屋の中へと入り後ろを向く。
な「ほのか?」
ほ「おかえりなさい、なぎさ。」
ほのかは笑顔でそう言った。
な「……………。」
ほ「なぎさ?」
ほのかが怪訝そうな表情で聞き返す。
なぎさもほのかに返すべく満面の笑顔で言った。
な「ただいま……。ほのか。」
- 317 名前:( ゚Д゚)ノオハヨウゴザイマース 投稿日:2004/11/13(土) 06:23 [ 61kTfHQY ]
- >>313-316
おっしゃる通り、今回百合萌えの要素は淡めですが……
マターリSS書き833@氏の本領発揮って感じです。うん……。
ま、ところどころ気になる表現はあるけれど(なぎさは自嘲はしないだろーとか)
315-316のくだりの微妙な緊張感の維持など、丹精の作意を実感します。
精神的に荒れ立ってる時に読むと、心和ぐようでいいかもしれない。GJ.
さて59氏の「なねが恋うれぞ…」は日曜までかかるかもしれないとの由、
つづきを書かれる前ですが、俺も、中途お邪魔してSS転載させていただきマス。
- 318 名前:プリッキュアスレより199氏:百合SS「大丈夫だよ」 投稿日:2004/11/13(土) 06:25 [ 61kTfHQY ]
- .
「あっ熱い!」
なぎさの真似して一口でたこ焼きをほのか。
「ほらほら!あかねちゃんのたこ焼きは焼きたての
ほっかほかなんだから気をつけなよ!」
「ふぁ…ふぁ、はい…ぁちゅい…」
「あははは」隣でなぎさが笑…
突然周囲がどす黒い暗闇に包まれ、あかねさんが意識を失う。
「邪悪な気配だメポミポポポ!!!!」
「ジュナ!!」
―――デュアルオーロラウェイブ!!!―――
不意打ちを喰らいホワイトが
足首をつかまれ振り回され放り投げられ公園の立ち木にぶつけられる。
「ホワイト!」
「虐めちゃダメポポ!!!!!!!!!」
―――プリキュアレインボウストーム!―――
辛うじて今回も撃退できた。
安心したほのかは傍の樹に体をもたれ掛ける。
「ほのか!大丈夫?血が出てる!」
折れた木の小枝が首元に突き刺さっている。
「大丈夫。浅い傷よ。」自分で引き抜く。
刺さっていたのはほんの僅かな深さだがリボンが鮮血で染まる。
「ジッとしてて!」なぎさがほのかの肩を強く掴み押さえつける。
くちびるがほのかの傷口を吸う。
―――な、なぎさ!―――
ちゅっ…ちゅぱ…ちゅぷ。
我慢して。ほのか。ばい菌が入ったら大変。
…ふぁ…ぁぁ…く…ふぅ
ほのかの白い肌につけられた傷をなぎさの舌が撫ぜる。
れろ、ぴちゅ、れろ…ちゅく…ぺろ…
傷口奥深くまでなぎさの舌が突きこまれる。
あふぁ…くぅっ…ぃゃ…あ…ぁ…
冷たいなぎさの唇の感触。熱い舌。ぬるりとした蜜の様な唾液。
膝が震える。力が抜ける。ひざまずく。なぎさに身体を預ける。
ほのか、大丈夫?痛かった?もう大丈夫。絆創膏貼ってあげるからね
なぎさの声がどこか遠のいて聞こえる。身体が痺れる。声がでない。
「ほのか?大丈夫?どっか他も痛くした?」
…イタイトコロ…クチビル…ヤケド…
「え?何?聞こえない。」
喉が干上がり声がでない。
唇が痛い。なぎさ治して…今みたいに。お願い。お願い
「なぎさ、わたしのくちび…」
「うううう〜んんん!あれぇ?私、気を失ってた?」
「あかねさん!」変身を解きアカネさんに駆け寄るなぎさ。
―――!?―――
「あ、あかねさん疲れてるんじゃない?ねっほのか?」
「……そうね」
後日
「ねえなぎさ、最近雪城さん、
私と目合わせてくれないんだけど何か怒らせるようなことしちゃったカナァ?」
おしまい
- 319 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/13(土) 06:28 [ 61kTfHQY ]
- 【プリッキュアスレより199氏:百合SS「大丈夫だよ」】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/199-201
|\___
/ :::::::。::::::;;;;;;>
/::::::::::::;;;www
)ヽ/ とノ (,,゚д゚)つ < これはジョーズだな
メノ'\ /
U"U
あえて分類すれば百合SSの中でも「なぎさ無意識攻め・ほのか過敏受け」モノとでも
表現できますでしょうか。833氏の連作SS#05(>>145-146)等の系統ですね。
ほのかの過敏さが内容のみだりがましさと正比例するの法則。
このSSでは敏感すぎて、蕩心して意識がふっとんじまってるほのかですが……。
それとは別に、鮮血に染まったホワイトのリボンというのが本編では決してあり得なくて
また妙にエロースかも。ふふっ、上手だねぇ。とても左足で書いたとは思えないよ。
- 320 名前:百合萌えスレ5より393氏+406氏:百合妄想 投稿日:2004/11/13(土) 06:29 [ 61kTfHQY ]
- .
なぎさと藤Pがくっつけば
↓
いっしょに帰ったり休日にデートしたりといっしょにいる時間が大幅に増える
↓
ほのか、必然的にひとりになることが多くなる
↓
自然にこういう展開が生まれる
「なぎさ、今度の日曜日買い物に行かない?」
「ごめ〜ん!日曜、藤Pとデートなんだ!また今度誘って」
「・・・う、うん・・・」
↓
なぎさの頭は藤Pのことばかり。プリキュア手帳にも藤Pのことばかり。
それを見てしまうと自分の思いを綴ることすらままならない
↓
いっしょにいることが当たり前のように思っていたなぎさとの日常。
しかし、それが自分にとっていかに大切でかけがえのないものだったかを
失ってはじめて気づくほのか
何も書くことないまま閉じたプリキュア手帳の上に、一粒、涙が零れ落ちた
(数週間後)
なぎさ「ほのか。最近元気ないよ・・・。手帳にもなにも書いてないし。なにかあったの?」
ほのか「・・・・べつに、なにも・・・」
なぎさ「そ、そう?ならいいけど・・。
ねえ、今日帰りにアカネさんのたこ焼き食べに行かない?
ほら、この前の日曜日のお返しにあたしおごっちゃうから!」
ほのか「・・今日は藤村君といっしょに帰らなくていいの?」
なぎさ「えっ・・」
ほのか「いいのよ、私に気を使わなくても」
なぎさ「そんな、あたしは別に気なんて
・・・ただ、ほのかが元気ないから・・・心配で」
ほのか「・・・・大丈夫だから・・・」
(その場を立ち去ろうとするほのか、そのほのかの手を掴み引き止めるなぎさ)
なぎさ「あっ、ちょっと待ってよ、ほのか!」
ほのか「ほっといて!!」
なぎさ「・・!」
ほのか「・・・あなたに縛られたくないの・・・」
なぎさ「・・ほのか・・・」
ほのか「・・確かに私たちはプリキュアとしていっしょに戦ってきた。
・・・あなたがいてくれたから辛いことも苦しいことも乗り越えられた。
・・でも、それはプリキュアとしてのこと。
だからって普段の生活のときもいっしょにいなければいけないってわけではないでしょう?
現に今の私たち、いっしょにいなくてもそれなりにやってるでしょ。
いいじゃない?それで。・・・いいんだよ、それで。」
なぎさ「・・・本当にそう思ってるの・・・?あたしたちってそれだけの関係・・・?」
ほのか「・・・あなたと私はプリキュアというだけ。・・・そうでしょう?
あのときのなぎさの言葉から、何も、変わってない・・・・」
ほのか「・・・・・・」(立ち去るほのか)
なぎさ「・・・・・・」(なぎさ、ただ呆然と立ちつくす)
.
- 321 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/13(土) 06:30 [ 61kTfHQY ]
- 【百合萌えスレ5より393氏+406氏:百合妄想】
仮題「なぎさと藤Pがくっつけば」。393氏と406氏とによる連繋ネタ。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1099591656/393+406
あははは。いや笑っちゃいけねーのか? しかしこれは真面目にしんみりするより
なぎほの萌えの観点において藤Pをどう処理するか、という課題に対する
真面目ぶったネタ的解決と受け取った方が、面白いかもと思ったです。
「何も書くことないまま閉じたプリキュア手帳の上に、一粒、涙が零れ落ちた」の
一文などはケレン味過剰でむしろ諧謔的。
その韜晦を受けてシリアス風味にさらに拍車を掛けた406氏の書込みは当意即妙。
- 322 名前:プリッキュアスレより207氏:ネタSS「ラブレター」 投稿日:2004/11/13(土) 06:32 [ 61kTfHQY ]
- .
今日はなぎさの家にほのかが訪れ勉強会、
といってもさっきからなぎさが脱線しておしゃべりばかりだがほのかにとって
トテモ愉しい大切な時間。
「あ〜愛しの藤Pセンパイ!今日もカッコよかったなァ…」
「なぎさったら、そんな事ばっかり言ってないで行動!行動!!」
「こ、行動って…具体的にどんな?」
「なぎさの今の正直な自分の気持ちを藤村君に伝えるのが一番だと思うよ。」
「それって…ラブレター…とか?そんなのありえないありえないありえない…」
ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン…なぎさが頭で机を叩く。
「おねーちゃん電話!」亮太くんの呼ぶ声。
「電話だって、ちょっと待ってて…」「いってらっしゃい」
…なぎさの部屋で一人、宿題に取り掛かるほのか。
この漢字…なんて書くんだっけ?
辞典は持ってきていない。なぎさの辞典を借りるしかない。
本棚から辞典を取り出した時、一枚の封筒が床に落ちた。
いけない!
床から拾い上げる。
なんだろう?
カワイイピンク色の封筒。クルリと裏返すと封はされていない。
なぎさの字。
宛先は―――!―――藤村省吾!!!!
なぎさったらさっきあんなに否定してたのにこっそり書いていたんだ。
じっと封筒を見つめる。
悪魔・読んじゃいなさいよ!
天使・駄目よ!
悪魔・こっそり読んで元に戻せば平気!
天使・それもそうね。
中身を取り出す
手紙を開いてみる
―突然のお手紙でびっくりしたと思います
―わたしの名前は美墨なぎさです。
なかなかの出だしね。
―ラクロス部の二年生。
―藤村センパイの幼馴染、雪城ほのかのお友達です。
それくらい藤村君だって知ってるって。
―イズミヤのチョコタルトがとっても大好きです。
―それとラクロス部のOBであかねさんという人の
―作る屋台のたこ焼きがとってもおいしいです。
そんな事聞いてないって。
―藤村センパイは食べ物は何が好きですか
―今度あかねさんのたこ焼きを一緒に食べたいです。
変しい変しい藤村さま
ん!ん?ん〜ん!?…なぎさ…
翌 朝
「ねえほのかちゃん、昨日私の辞典使った?」
「ぇ?ぇぇ…ちょっと…借りた…かも」
「その時"何か"見たでしょ?」
「ラブレターなんて読んでないよ」
「読んだんじゃん!」
「あ…」
「ほ・ほ・ほのか〜!!!!」
「ごめんなさ〜い!」
でも…なんでなぎさにばれちゃったミポ?
ほのか"変"のトコロに"×"つけて"恋"って添削してたメポ!
おしまい
- 323 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/13(土) 06:33 [ 61kTfHQY ]
- 【プリッキュアスレより207氏:ネタSS「ラブレター」】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/207-208
んんん、まぁラブレターを書くのは難しいよな(書いたことはないけれど)。
或る意味、精神的な脅迫状を相手に突き付けるのと似たようなもんだしねぇ。
んで、その難しいラブレターをなぎさが書くとしたら……という仮定のネタSSですが、
アホで最高です。藤Pが好きなのかたこ焼きが好きなのか判じ分けつかない文面。
「恋しい」を「変しい」と間違えるベタなボケ。
まぁ変に積極的なべとついた恋文よりは、素直でなぎらしくてイカニモ。
書き手さんの発想に拍手。
- 324 名前:(゚Д゚ ) 投稿日:2004/11/13(土) 20:19 [ 61kTfHQY ]
- ( ゚Д゚)<キャラスレ倉庫
( ゚Д゚)<フォーエバー
- 325 名前:虐殺スレ1より915氏:ネタ系虐殺SS 投稿日:2004/11/13(土) 20:55 [ 61kTfHQY ]
- .
【お題】
『マクドナルドのCMに出るも、宣伝せず食ってばかりいるのでドナルドにヤキ入れられる淫獣』
───マックのCMに出ることになった淫獣どもだったが・・・
「おいしいメポ・ミポ・ポポ〜〜」
商品のハンバーガーを食べてばかりで全く働かない3匹、ついに店長がキレた。
「お前ら!!いい加減にしろ!!ちょっとCM出たくらいで図にのりやがって!!」
「そんなことよりポテトも食べたいメポ〜」 「コーラも出すミポ〜」「ナゲットも食べたいポポ〜」
完全に世の中を舐めきっている3匹。
「ええい!!もう許さんぞ!!あのお方を呼んでやる!!先生、お願いします!!」
店長が店の奥に誰かを呼びに行った。そして出てきた人物は・・・
「お前ら、表へ出ろ!!」 そう、2ちゃんねるでもお馴染みのあのお方です。
「メポ・ミポ・ポポ!?」 あのお方の奇抜なファッションを見てさすがに驚く3匹。
「一体何者ミポ!?」 「ドツクゾーンの手下ポポ!?」 「そういえば最初に来た奴(某カブキ)みたいだメポ!」
「問答無用!!喰らえィ ドナルドォマァジィッッック!!」
バリバリバリバリバリ〜〜〜〜〜〜!! あのお方の手からメップルとミップルをめがけてまばゆい光線が走った。
「メポ――――――!?」 「ミポ―――――!?」
サラサラサラサラサラ・・・
あのお方の掌から出た謎の光線に包まれたメップルとミップルは塵と化した。
「ポポッ!?メップルとミップルが・・・」 「ひゃははは!!次はお前の番だぜィ!!」
「ポポ――― 助けてポポ―――!!」 あのお方の力にビビって逃げようとするポルンだが・・・
「逃がさん!!ドナルドキィック!!」 「ポポォォォォォォ――――――!?」
プチッッッッッッッ!! 逃げようとしたポルンにあのお方のデカ足が炸裂し、ポルンはピザみたいにペシャンコになった。
「おおっと、こりゃいけねぇ!ハンバーガー屋なのにピザを作っちまったぜィ!!ひゃはははははは!!」
「どうもありがとうございました。」 終わったのを見計らって店長が店の奥から出てきた。
「ヘンッ、俺様にかかればこんなもんよ!!それより淫獣なんぞを起用するからこんなことになるんでィ!うちのマスコットは公太郎でいいんだよ!覚えとけィ!!」
「はは〜〜〜!!しかと覚えておきます。」 「わかりゃアいいんだヨ!!ひゃはははははは〜〜〜〜〜!!」
―――――――――おしまい――――――――――
- 326 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/13(土) 20:57 [ 61kTfHQY ]
- 【虐殺スレ1より915氏:ネタ系虐殺SS】
仮題「ドナルドへの捧げ物」。というかこれプリキュアSSじゃないw
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1077536398/915-916
ここでのメポミポポルンは、怠惰ゆえに制裁されるだけのただの記号。SSの本旨は、
世間でもお馴染み、そして2ちゃんねるでもお馴染みのあのお方の横虐ぶりを描くこと。
あのお方の掌から出るファンシーな光にこんな恐ろしい威力があったとは……
驚愕を禁じ得ない。
- 327 名前:百合萌えスレ5より624氏/替え歌「百合スレ住人の歌」 投稿日:2004/11/14(日) 03:09 [ i3Ot5kTQ ]
- .
俺達の心が喰いあらされて爛れた妄想が浮かぶから
俺達は百合見たさにもとめて行ったファンサイトへ即売会へ
冬だって日曜早起きする俺達百合ヲタはヴァッカな大友だ
10月ってのにもう金欠に見舞われ11月財布は薄くなるばかり
百合萌えってな言葉をつぶやいたっけ8話でワンワン泣きながら
淫獣みたいな目つきをした俺達はひとでなしの東映についていった
ときどき作画が酷かった俺達はネットにつないで寝こむまえ
キリヤはイラネとか話していた煽って貶してくたびれて
飢えすぎて妄想補完で萌えるなら24話のキス演出もオツなもの
汚れっちまった百合萌えを自分で描けば公式画など要るものか
秋口雨の日になぎさ誕生日がおとずれる重要回かと思えばカスだった
それでも変装ほのかは来たけれどガチ百合って奴はまだ来ない
残秋曇りの日なぎほのでロミオとジュリエット百合話かと思えばギャグだった
それでも抱擁はしたけれどマジチューって奴はまだ来ない
だからさ、どこへ行こうが_| ̄|○だと本スレの奴らはいったんだ
時はすぎた支倉はこれで役おさめと思やあその先にもまだ藤Pがあったっけ
失望の数は数知れず8話再びってやつはまだ来ない
時はすぎるそのうち五十嵐だって来るだろう百合萌えぬきの五十嵐が
百合スレ住人の財布が喰いあらされて、疲れた妄想がのこるとき
俺達はわが身と心とをやつして冷たい、干涸びたSSをおとす
寒にこわばったDVWと鬱にささくれたファンブックと百合のしみついたからっぽの頭をもって
俺達てめえらのプリキュアで百合萌えしてやらあ
俺達てめえらのプリキュアで百合萌えしてやらあ
- 328 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/14(日) 03:10 [ i3Ot5kTQ ]
- 【百合萌えスレ5より624氏/替え歌「百合スレ住人の歌」】
( ゚Д゚)<自分のカキコを
( ゚Д゚)<自分で転載
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<すなわち
( ゚Д゚)<激しくジサクジエン
( ゚Д゚)<元詩は「赤軍兵士の歌」ですです
- 329 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/14(日) 05:42 [ BysRJbCY ]
- 元ネタにない最後のリフレインが効果的。一生忘れられない夜になりそう。
「俺達てめえらのプリキュアで百合萌えしてやらあ俺達てめえらのプリキュアで百合萌えしてやらあ」
- 330 名前:59 投稿日:2004/11/14(日) 22:06 [ lg7t1d2k ]
- ようやく書き上げました
慌てていたので細かいミスとかは笑って飛ばして下さい
まずアンカーをまとめておきますね
>>294
>>298
>>307
- 331 名前:59 投稿日:2004/11/14(日) 22:23 [ Vyx08ewM ]
- 午後になると少し肌寒さを感じるようになった、秋の夕暮れ。
学校の帰りにいつも立ち寄る小さな公園に、制服姿のなぎさはいた。
「アカネさーん!ひとつ頂戴!」
公園の沿道に停めてある移動式のたこ焼き屋台の女店主…実は中学校でなぎさの所属するラクロス部のOGである…の藤田アカネに、明るい声でなぎさはたこ焼きを買い求めた。
「はい!お待ちい!なぎさ、今日も元気だねえ」
熱々のたこ焼きにまぶされた青海苔とソースの香りが、なぎさの肺の中まで甘く溶かしていく。
「はい、アカネさんのたこ焼きが食べられると思うと、もう放課後ダッシュしちゃうほどです」
屋台のすぐ横のベンチ腰掛けて、ふーっ、ふーっと息を吹き掛けてたこ焼きのあら熱を冷ましながら、なぎさは答えた。
「へっへぇ〜、(なぎさ)らしいねえ〜!」
調子をあわせてアカネが返した。
はふっ!はふっ!
爪楊枝に取ったたこ焼きを丸々ほおばるなぎさ。まだまだ熱いそれは、いっぱいに膨らんだ口内で上下左右と転がりながら徐々に熱を失っていく。
「こんにちわ、美墨さん!」
突然、男性の声でなぎさは名前を呼ばれた。その声は彼女にも聞き覚えのある声で…
なぎさは視線を上げた。そこにはブレザーの制服をラフに着こなした、爽やかな笑顔の上級生の男性の姿があった。
「ふ、ふぐ、ふぎ…」
なぎさは驚いてその男性の名を言おうとして…あきらめた。とりあえずは口の中のたこ焼きとの格闘のほうが優先される事態だったからである。そちらをおろそかにしたまましゃべることは最悪の状況をも生みかねない。
なぎさはなぜか口元を両手で覆い隠して食べてる様子を見られないようにすると、必死で舌と歯に労役を課した。たこ焼きの生地が細かく粉砕され、プリプリのたこの身が音を立てて噛み砕かれ、それらはようやく一様となって嚥下されていく。
「あらら〜、なぎさったら〜」
その様子を見たアカネがからかうように声をかける。
「藤P先輩!」
ごくり、と音を立ててすべてを飲み込んだなぎさは、ようやく声を発した。
「ちょうど帰りに通りかかったら、姿が見えたんでさあ〜。…あれ、でも今日は独り?ほのかのやつは?」
藤村省吾はあらためて気付いたかのようにあたりを見回した。
「え、えっと…ほのかは…今日はたまたま…」
そういえばほのかはどうしたんだろう?…っていうか、別にあたし一人で放課後を過ごしていたって本当ならおかしいってわけじゃないよね…?
なんか…あたしにとって、放課後はほのかと一緒にいることのほうがいつの間にか当たり前になってたんかなあ〜?
「ま、喧嘩したってんじゃないなら別にいいけどね。そうそう、昨日の試合、よかったよ。俺、ラクロスのこととかはよくわかんないけどチームプレーとかは結構サッカーと共通するところとかあると思って見てるから」
なぎさの様子にはあまり意を解さないまま藤村は話した。なぎさはといえば、膝の上のたこ焼きの冷めるのにも気付かないまま小さくなっている。
「あ、ありがとうございます。あ、あたしもうまくゴールを決めて勝てたのは、キャプテンの指示やみんなとのラインがうまくつながってくれたからだと…」
その答えに藤村はうれしそうに目を輝かせた。
「そう、それなんだよ!でも美墨さんはすごかったよ!技術とかそういうのだけじゃなくて…ポイントゲッターとしての信頼感てやつだよね。サッカーでもFWに絶対的な信頼感があるから司令塔であるMFとの連携が…」
藤村の勢いは止まらなかった。サッカーオタクと言ってしまえば身も蓋もないが、ウイングがどうの中盤を攻撃にシフトした時のDFがどうの…おそらくは同年代の女の子と二人で話すにはあまりにも色気のかけらも無い類の話を続けている。そして…困ったことにと言うべきかお似合いと言うべきか、なぎさのほうもそういう話を藤村の口から聞くのは嫌いではなかった。
「なぎさあ〜!」
突然、沿道の奥のほうから声がかけられた。一人の少女が息を切らせながら駆け寄ってくる。
「ほのか!?」
なぎさは驚いて立ち上がると、その少女の名を呼んだ。
ハァ、ハァ、ハァ…
ほのかはなぎさの目の前にたどり着くと、両手を両膝の上に乗せて肩を上下させて息を整えた。
「なぎさ…よかったあ〜!ここにいたのね」
ほのかの笑みが、安堵感を表す。
「どうしたの?ほのか。そんなにあわてて…」
なんだろう?何かあったんかな?もしかして…「敵」が現れたとか!?
敵…なぎさとほのかが、この世界と友を守るために二人で密かに戦ってきた、ドツクゾーンと呼ばれる異世界からの侵略者たち…。
- 332 名前:59 投稿日:2004/11/14(日) 22:24 [ Vyx08ewM ]
- 「私ね、なぎさ、今日はどうしてもあなたに伝えなくちゃいけないことがあって、それで探していたの…」
ほのかは、ちらりと藤村を見遣った。ほのかと藤村は仲のよい幼馴染同士だったはずだが、ほのかの視線にはかすかな敵意さえ見て取れた。
ほのかは、上体を起こす。なぎさとの目線の高さが同じになった。
「私…なぎさが、好き…」
それは…なぎさが予想だにしていなかった言葉だった。
「え…?」
思考が、停止する。数瞬か、それとも数秒かの空白…。
次になぎさに訪れたのは、思考の断片の洪水だった。
好き ほのかが 女 友達 恋 藤P先輩 親友 男と女 大切な存在 あたしを好き 女同士 冗談 変 共に戦う仲間 愛してる なぜ私 嘘 本気…
無数のキーワードが回答例の無い難解なジグソーパズルのようになぎさの頭に散りばめられていった。
「なぎさは…私のことが、嫌い?」
そのほのかの問いかけは、まさに「回答例」としてなぎさの前に提示されていった。
ほのかのことが嫌いかって?そんなはず無い。好きだよ。だって、大切な親友だもん。
そっか…ほのかもあたしのことを「友達として」好きって言ってるんだよね。なあんだ、びっくりしちゃったぁ!
「も、もちろん、嫌いなわけないじゃない!ほのかのこと、大好きだよ!」
それを聞いたほのかが、微かに微笑んだ。
「よ…よかったぁ〜。なぎさ…私…私…」
泣き笑いみたいな、どこか子供みたいな表情でほのかは近づいた。と、そっとなぎさの両肩に腕を回して、優しく抱きしめた。
「ほ、ほのか、ちょっと…」
なぎさは慌てた。異性はもちろん同性にだってこんな風に抱きしめられた記憶なんてほとんど無かったし…正直、ほのかがわからなかった。
「どうしたの?なぎさ」
耳元でほのかが囁きかける。なぎさの頬が真っ赤に染まっていく。
「ど…どうしたの、って…」
しどろもどろになるなぎさに、しかしほのかは小さいながらもはっきりと、言った。
「私を好きなんでしょ?それなら、私だけを見て!藤村君のことも忘れて、私だけを愛して!私がずっとなぎさを守るから、ね…」
その言葉になぎさは我に返った。そうだ、藤P先輩が、アカネさんが見ている!
「や、やめ、変だよ!ほのか!」
なぎさは無理矢理身体を引き剥がした。反動でほのかがわずかによろめく。
あたりを見回す…周りには、藤村の姿もアカネの姿もすでに無かった。
「藤村君ならもういないわよ。必要ないもの」
え…?
「なぎさ…どうして?こんなに好きなのに…」
搾り出すようにほのかが言う。
「ほのか…やっぱり、今日のほのか、変だよ!どうしたっていうの?」
なんとなく…なぎさは、普段のほのかの自分に対する態度は「そういうもの」ではないと思っていた。思いたがっていた。あたしたちは親友で、そしてほのかはちょっと淋しがりやで、ってそう思っていた。
「私はずっと同じよ。いつもなぎさのことを思ってた。それに…」
ほのかは言葉を止めた。なにか…なにかに気付きかけたかのように…。
「それに…?」
なぎさが問う。
「それに『ここ』なら私は…」
ほのかの表情にかすかな異変が起きた。
「…ほのか?」
なぎさは…ほのかの表情に「恐怖」が浮かんでくるのを見逃さなかった。
「な…なぎさ…あなた……もしかして、『本当に』なぎさなの…?」
その顔が見る見るうちに蒼ざめていく。ほのかの目は見開かれ、その足は後ずさりを始める。
「や…やだ…。私ったら、なんてこと…」
ほのかは目をそらした。そこに浮かぶ「後悔」という二文字。
「ほのか…いったい…?」
そのなぎさの問いかけが、引き金だった。
ほのかは、いきなり後ろを向くと脱兎のごとく駆け出していった。
「ほのか!?」
わけもわからずなぎさは呼んだ。
どうして?それに、あたしが『本当に』なぎさだって、どういうこと?
足が、動かない…。
追いかけなきゃ!でも…
どこか変だったほのか。ううん、そうじゃなくて、あたしが見てみぬ振りをしていただけなのかもしれない
どうしよう…?放っておいていいの?でも…。
「ええい!こういうときは、とにかく行動あるのみ!うん!」
なぎさはほのかの駆けて行った後を全速力で追いかけていった。
- 333 名前:59 投稿日:2004/11/14(日) 22:24 [ Vyx08ewM ]
- ハァ、ハァ、ハァ…
荒い呼吸の音が、人気の無い倉庫街にこだましていた。
どれだけ走ったろう、ほのかの背を追い続けたなぎさは、しかし彼女の姿を見失って戸惑っていた。
斜陽が薄汚れた立ち並ぶ倉庫の壁を朱に染めていく。
ほのか…どうして…?
ほのかに追いついたところでなぎさには彼女にかける言葉が用意されていたわけではない。でも、このまま見失ってしまうことだけはなぎさには許容できることではなかった。
確か、あの角を曲がったはず。とにかく行ってみなくちゃ!
一つ…二つ…よしっ!
呼吸を整えて、なぎさは駆け出した。勢いを殺さぬまま目標の角を曲がる。
はたして…そこに彼女はいた。見知った制服の後姿。流れるような黒髪。
「ほのかあぁっ!」
なぎさは叫ぶと、立ち止まった。ほのかの約5m手前で様子をうかがう。
「ほの…か…」
その声にほのかはゆっくりと振り向いた。悲しげな微笑をたたえながら…。
「なぎ…さ…」
そう答えたほのかの姿が、次第に不鮮明にぼやけていく。そして…。
「え…?」
なぎさは目を見張った。瞬間、ほのかのいたあたりの空間が闇に包まれたかと思うと、それは別の人物の姿を形作っていく。
そして…「それ」は現れた。
「あ…あんた…まさか…」
それはなぎさの見知った女性だった。燃えるような長い髪と瞳。白い面長の顔に皮肉そうに歪められた唇。スレンダーなボディラインをむしろ強調する漆黒のボディスーツはくるぶしまでもある同色のマントで飾られている。
「まあまあ〜、よくいらしゃったわねえ〜。迷子のお嬢ちゃん!探し物は見つかったかしらあ〜」
嘲るような口調でその女は話しかけてきた。なぎさの背筋に冷たいものが走る。
「な、なんであんたがここに?闇に帰ったんじゃなかったの?」
その女…ポイズニーというが、なぎさたちは名前は知らない…は、敵だった。しかも数ヶ月前になぎさとほのかが打ち倒して闇に帰したはずの。
「さぁ、知らないわぁ〜。それよりも…」
ポイズニーはその質問を一言で流した。そして、その形相が一変して鬼のように変わる。
「プリズムストーンを渡しなさい!」
言い終えるより早く、ポイズニーはその右手の掌をなぎさに向けて突き出した!同時に突風のような衝撃波がその手から生まれてなぎさに襲い掛かる!
「はっ!」
なぎさは…すでに左後方に跳んでいた。ポイズニーの表情に殺気が表れた瞬間、なぎさの中でのなにかが警告を出していたのだ。
ポイズニーの衝撃波は数瞬前までなぎさのいた辺りの地面をえぐっていった。それを確認しようともせずなぎさはきびすを返して走り去ろうとする。
どうしてあいつが…?それに、プリズムストーンって、なんで?あたしたちはジャアクキングを確かに倒して、それで終わったんじゃないの!?
とりあえず逃げるしかなぎさには道は無かった。たった一人で変身もできない状況ではそうするほか無いのだから。
「あ〜ら、そんなに急いでどこに行くのかしら?…逃がさないわよ!」
なぎさの目の前に瞬間移動してきたポイズニーの姿が!たたらを踏んで急停止するが、しかし…
「ふんっ!」
ポイズニーの右膝がなぎさの鳩尾のあたりを襲う!
「ぐっ!」
なぎさはなんとか両腕でその蹴りをガードはした!したが…。
「きゃあああっ!」
悲鳴をあげてなぎさは弾き飛ばされた!そのまま背中から地面に叩きつけられると、小さくバウンドして止まる。
まず訪れたのは鈍痛。背中から正面にかけて筋繊維が断裂したかのような痺れの混ざった痛み!
そして…身体をわずかに動かそうとした瞬間に、なぎさの背に、肩に、太ももに軋むような激痛が襲った!
「ぎゃんっっ!」
たまらずなぎさは転げまわった。息が詰まり、視界がちかちかと点滅する。
「脆いわねえ〜ほんと。あんたたちって、生身だと全然弱いのねえ〜」
淡々と感想を口にしながら、ポイズニーは歩み寄ってきた。なぎさの目の前まで来ると、その足を止める。
「ぐふっ!」
つま先がなぎさの腹部にめり込む。強烈な吐き気が喉元まで上がってくる。
「ほんっと、つまらないわあ〜」
吐き捨てるようにポイズニーは言い放った。その瞳は冷たくなぎさを見下ろす。
どうしたら…?
あたしは…どうしたら…いい…?
痛みと苦しみで朦朧となりながらも、なぎさは起き上がろうとした。このままでは…やられる!
- 334 名前:59 投稿日:2004/11/14(日) 22:26 [ Vyx08ewM ]
- 「…なぎ…さ…」
突然、声がなぎさの耳に飛び込んできた。聞こえるか聞こえないかの、か細い声。
ほのか?
幻聴だろうかとも思った。しかし…
「…なぎ…さ…なぎさ…」
それは確かにほのかの声だった。頭を振ってその聞こえてくる場所を、なぎさは求めた。
あそこ!
それは、真向かいの倉庫から聞こえてきていた。
あそこに、ほのかが!?
ゆっくりと、なぎさは起き上がった。気力を少しでも抜くと、身体が崩れ落ちそうになる。
「あら、まだ立てるんじゃない!?」
腕組みをしたままでポイズニーは言った。冷酷な笑みがその顔に浮ぶ。
大丈夫!まだ走れる!
ポイズニーから目をそらすことなく牽制しながら、なぎさは自分の身体を点検した。そして、逃げ道のある右後方にちらりと視線を遣る。
「ふふふ…逃がさないって言…」
ポイズニーは最後まで言い終えることはできなかった。
次の瞬間、ポイズニーはものの見事に弾け飛ばされていた!身体ごと自分に体当たりしてきたなぎさの頭突きを真正面から食らっていたのだ!なぎさが後方を振り返ったのは、あくまでもフェイント!「ほのかあ〜!ほのかっ!」
そのまま勢いを殺さずになぎさは目的の倉庫に走り寄った!大きく重い扉を懸命に横に引く。
どこからか力が湧き出てきていたのか、その扉はあっさりと開いた。
荷物がすべて運び出されてがらんどうになった倉庫の、扉のすぐ近くにほのかはいた!両腕を後ろ手に縄で縛られた状態で。
「ほのかっ!大丈夫!?ほのかっ!」
すぐさまになぎさはほのかの後ろに回る。両腕を縛られたままそれでもなんとか脱出を試みたのだろうか、彼女の両手は扉の鉄サビに薄汚れ、いくつかの爪の間からは血が滲み出ていた。
なぎさは縄をほどきにかかった。硬い結び目の隙間に強引に爪をねじ込む!ビシッ、と人差し指の爪が軋んだが不思議と痛みは感じなかった。
「私は…大丈夫。それよりなぎさ…なぎさのほうが…」
泣きそうな表情でほのかは答えた。するり、と縄がほどける。
「あたしは大丈夫!ほら、こう見えても結構丈夫なんだからぁ」
なぎさは笑顔を見せた。その表情を見たほのかの目が申し訳なさそうに伏せられる。
「…なぎさ…ごめんね…」
「え…?」
ほのかの謝罪の意味がわからなくて、なぎさは一瞬動きを止めた。
と、そこに…
「よくも…よくもコケにしてくれたわねえ〜!」
怒りの形相でポイズニーが歩み寄ってきた。当然のことながらほとんどダメージは見られない。
そして…ポイズニーはゆっくりと右手をかざした。
「なぎさっっ!!」
ほのかが即座に飛びついた!重なり合うようにして二人は倒れこむ!
ドンッ!
ポイズニーの放った衝撃波がほのかの背中を掠めていった!文字通り焼けるような痛みが襲い掛かってくる!
「ぎゃん!」
なぎさの鼓膜を襲うほのかの苦悶の悲鳴。
「ほのか!」
なぎさの叫びは、しかし衝撃波が倉庫の奥の壁を破壊する音にかき消される。
「心…配…しない…で…。私が…なぎさを守る…。必ず『ここ』から助け出してあげるから…」
うめきながらほのかは答えた。しかし…なぎさの言葉はほのかの想像しているものではなかった。
「なに馬鹿言ってるのよ!ほのか!あんたがそんな風にしてあたしを守ってくれても、ちっとも嬉しくない!
どっちが守るとか守られるとかじゃないでしょ!あたしたちは二人でやらなきゃいけない!」
キッ!となぎさはポイズニーを睨みつけて、指差した!
「二人で戦わなきゃ、意味が無い!」
ほのかは、はっと目を見開いた。私は…なにを勘違いしていたのだろう…?独りでで空回りして、嫉妬して、挙句の果てにこんな…
「そう…ね…。なぎさ…」
ほのかの瞳に、新しい光が生まれる
「お友達ごっこはもう終わったかしら〜?特にそっちのほう、そんな聞き分けのいいふりしてもだめよ〜。」
ポイズニーはにやりと笑った。そしてほのかのほうを見ると
「叶わない思いが苦しいのなら、いっそ飲み込まれちまいな!」
言い放つ!
ほのかはゆっくりと立ち上がった。彼女もまたポイズニーを睨みつけると、指差した。
「いいえ!私は…あなたには…『あなた』なんかには!決して!負けない!」
それは、表明!怒りではなくむしろ決意の表明!
「なぎさ!変身よ!」
「うん!」
******変身バンク及びコス描写及び口上略******
変身の終わったキュアブラック…美墨なぎさ…は、右手を握っては開くという動作を一度行った。
よし、動く!
そして、キュアホワイト…雪城ほのか…にちらりと目配せをする。ホワイトは軽くうなずいた。
- 335 名前:59 投稿日:2004/11/14(日) 22:27 [ Vyx08ewM ]
- ガバッ!
なぎさは上半身を起こした。いや、正確にはなぎさとほのかが同時に、というべきであろう。
闇…
目が慣れるまで数秒かかった。夜、そしてほのかの部屋…。
あ…
二人は、互いに目を合わせた。数秒の沈黙。そして…。
彼女たちは、ずっと互いの手を握り合ったままだったことに気が付いた。
その手は汗ばんでぐっしょりと濡れており…よく見ると、マットレスのシーツの、彼女たちが寝ていた背中のあたりも人型に濡れていた。
「あ…」
「え…と」
どちらからともなく、手を離す。その瞬間、互いの指が名残惜しそうに揺れる。
「夢…だよ…ね?」
最初に問うたのはなぎさだった。もちろん理不尽な問いである。自分の体験したことが「夢」かどうかなんて、自問すべきことであって人に訊くものではない。
しかし、いまのなぎさとほのかにはそれが一番自然な気がしていた。
「うん…たぶん…夢…」
ほのかは…つとめて冷静に答えた…。
すー すー
ほのかの隣から、静かな寝息が聞こえてきた。なぎさは背を向けて、何事も無かったかのように眠りについている。
あの後、濡れてしまったシーツと肌着を取り替えた二人は、この世界と光の園の間の「はざまの世界」に住む「石の番人」を呼び出して夢の詳細を相談した。
番人によると、
はざまの世界から見ると光の園もこの世界も敵のいるドツクゾーンも、そして人々の見る夢の世界までもが大洋に浮ぶ島のように隣り合って存在していること。
ドツクゾーンから偶然流れたほんの小さな闇のかけらが夢の世界の方へ飛んでいくのを目撃したこと。
二人の夢が混ざったのはその影響かもしれないこと。
そして…こういう現象は流れ星が直撃するより低い確率だろうから…とはいえなぎさは隕石ではないにしても二度も流れ星の直撃を受けたのだったが…心配する必要はないであろうこと
との説明を聞いた。
だけど…
それだけじゃない…
ほのかはなぎさの背中を見つめながら、回想した。
あれは…私の…きっと私のせい…
自己嫌悪がほのかの胸を詰まらせる。いつしか彼女はなぎさのパジャマのすそをそっと握った。
そして…
「ごめん…ごめんね…なぎさ…」
聞こえないよう、ほとんど口の中だけでつぶやく…。
ふと、目の前の背中が動いた!
寝返り?
振り向いたなぎさは…意外にも、起きていた。
「ほのか…?」
大きな目が、心配そうにほのかを見つめる。
「え?あ、いやねえ〜なぎさ!起きてたの?」
ほのかは慌てて笑って見せた。しかし…
「…ほのか…泣いてたの?」
え…?
そのなぎさの言葉が、ほのかの胸を捕らえる。
「そ…そんなこと…」
そしてそれは突然だった!なぎさは両腕を伸ばすと、ほのかをその胸に抱きしめた!
「大丈夫。ほのかは悪くない。あたしがちゃんと知ってるから…だから、泣かないで…」
ほのかはそのままなぎさの胸に顔をうずめた。
「…うん」
- 336 名前:59 投稿日:2004/11/14(日) 22:35 [ 4FADKRcw ]
- 次の瞬間、二人はポイズニーめがけていっせいに走り出していた。
「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ〜!」
掛け声とともにブラックは拳を繰り出していた。右、右、左、左と高速で突き出されるそれはしかしことごとくポイズニーに受け流されていく。
「てやあ〜っ!」
間髪入れずにホワイトが入れ替わって攻撃をしていく。右前蹴り、左ロー、変化してそのまま左ハイキック。
それらもすべてポイズニーにガードされていった。しかしまたブラックと攻撃を入れ替えて攻め続けていく。
以前戦った経験から二人はわかっていた。ポイズニーの特化した能力はスピードと瞬間移動、そして距離をおいたときの衝撃波と髪の毛を伸ばして捕捉する攻撃だと。
だから彼女たちは攻め続けた。距離をとられたり瞬間移動する余裕を与えずにプレッシャーをかけ続けて、ミスを誘う!
ポイズニーの顔色が変わってきた。初めはなんなくさばいていたのだが、あまりにも二人の連携に穴が無さ過ぎる。
一人ならば途中で息が切れることもあるだろう。しかし、二人だからこそ可能な無限の波状攻撃。
鳩尾を狙ったホワイトの右ひざ蹴りを右腕でガードすると、ポイズニーはそのままその右腕を上げて、続くホワイトの左上段回し蹴りを防ぐ!そして次の瞬間!
旋風脚ぎみに連続で放ったホワイトの左後ろ回し蹴りがポイズニーの右肩の裏をとらえた!かかとがめり込む!
ぐっ!と倒れこんだ瞬間、ブラックの上半身をひねった全力の右ストレートがポイズニーの鳩尾にカウンター気味に入った!
ドン!
派手な衝撃音が鳴り響いて、ポイズニーは倉庫街の道路の中央まで跳ね飛ばされる!
「ぐううっ!」
ポイズニーは…それでも倒れることを拒否して、踏みとどまった。
「や、やってくれたわねえぇ〜!」
ポイズニーは両手をかざした!二人に向けて同時に衝撃波を放とうとする!
しかし…遅かった!両手をかざした瞬間には二人の姿は無く…あろうことか、高速でダッシュをしたブラックが彼女の伸ばした両腕の真下にいたのだ!
「とおりゃああ〜!」
ブラックは左手を地面につくと、ポイズニーの懐の中でめいいっぱい縮めていた身体を最大限に爆発的に伸ばして片手逆立ちの要領で両足を突き出す!彼女が好きなカンフー映画で見たことのある技…もちろん「穿弓腿」という名前は知る由もなかったが…は、ポイズニーのあごと鳩尾をとらえてその身体を宙に跳ね上げた!
「がはっ!」
悲鳴をあげるいとまも与えず、ホワイトが跳んだ!
「やあああ〜っ!」
空中でポイズニーの右手首を取ると、逆手の方向に一回転して腕をひねり、そのまま脇をつかんで脳天から地面に叩き落す!
ズン!
地面が揺れた!土煙が舞い上がる。
ホワイトは着地点からすばやく跳び退ると、ブラックの左隣に並んだ。
土煙が徐々に薄れていく。その中に浮かび上がる、よろめきながらも立ち上がる影…。
「お、お、おのれえ〜!もうゆるさないよ〜!」
ポイズニーは叫んだ!そのあふれ出んばかりの怒気は周囲の空気の色さえも変えていく。
まだ、マーブルスクリューは使えない
二人はそう判断した。どんなにダメージを与えたようであっても、遠距離の必殺技であるマーブルスクリューはポイズニーに瞬間移動がある限り不用意には使えないのだ。
ざわっ!
ポイズニーの真っ赤な髪が生き物のようにうごめき始めた。それらはみるみる間に絶対量を増やし、数十メートルという長さにまで伸びていく。
「こんの小娘どもお〜!」
その髪がブラックとホワイトの方へと高速で伸びていった。
いきなり、二人は走り出した!逃げるようにブラックはポイズニーに向かって右方向、ホワイトは左方向へと。
- 337 名前:59 投稿日:2004/11/14(日) 22:36 [ 4FADKRcw ]
- 「二度と同じ手は!」
ブラックが叫ぶ、その後を髪が追う!
「喰うものですか!」
ホワイトが叫ぶ、枝分かれしたもう一方の髪の束がその後を追う!
「逃がしゃしないよ〜!」
ポイズニーの髪は正確に二人の後をトレースしていった。そしてふたりはそれぞれ両端の倉庫の壁を駆け上がる!
バシッ!バシッ!バシッ!
二人が駆け上がった壁の足跡を、髪が水面を切る小石のようにいくつも穴をうがっていく。
そして
「てやあああっ!」
「はああっっ!」
二人は、叫んだ!叫んで、跳んだ!逃げる方向ではなく、逆に蹴ってポイズニーの頭上へと!
「なっ!」
ポイズニーは驚愕した!遠くに延ばしきった髪を、くの字状に戻して追うなどできない。できても時間が無い!
「ブラック!」
「ホワイト!」
二人は叫ぶと、空中で手を取り合った!その握り合った部分を支点に風車のように半回転して体を入れ替えると、真下にいるポイズニーに向かって構える!
「ブラックサンダー!」
******マーブルスクリューバンク略******
真下のポイズニーに向かって自由落下を始めていた二人の身体は、両手から発射したその必殺技の反動でふわりと上に持ち上がった。
螺旋を描いて絡み合う黒と白の二つのエネルギーの帯!それらは空気中の水分を一瞬にして蒸発させながらポイズニーに向かって真っ直ぐと突き進んでいった。
「ぎゃああああ!」
直撃!悲鳴!そして…
- 338 名前:59 投稿日:2004/11/14(日) 22:40 [ 4FADKRcw ]
- スマソ。貼り付けミスorz
文字数オーバーのせいで張りそこないがあったにもかかわらずに張ったら、最後のが途中に来てしまった
335は最後に持っていって読んでください(汗)
とにかく終わりました
…疲れたあ〜
- 339 名前:833@ 投稿日:2004/11/15(月) 18:01 [ vdZtX7kM ]
- 59氏お疲れ様でした。大変読み応えがありました。
さて私も続きを投下するか。
- 340 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/15(月) 18:59 [ TzwefnPM ]
- ( ゚Д゚)<59氏おーつー
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<さて「なねが恋うれぞ」
( ゚Д゚)<疑いなくこのスレに投下&転載されたSSのなかでも無二無三の傑作ですが
( ゚Д゚)<あまりの大作で長さだけ見てたじろいでしまう人もいるカモー
( ゚Д゚)<と思い
( ゚Д゚)<これから読む人のために
( ゚Д゚)<感想文というよりこの作品の紹介文らしきものを、書かせていただきマス
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<ちょいと待ってネ
- 341 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/15(月) 20:27 [ TzwefnPM ]
- 【59氏:SS「なねが恋うれぞ…」】 >>294, >>298, >>307, >>331-334, >>336-337, >>335
( ゚Д゚)<原稿用紙にして30枚以上
( ゚Д゚)<大変です
( ゚Д゚)<ヤバイ
……SS書きなら一度は考えてみる「アニメ本編と伍するSSを!」ですが
筆力はもちろん、不壊の意志と持続的な努力がなければ到底達成不可能な目標であります。
が、とうとうやりやがった…やりやがったぜ!であります。チャレンジャーな男です。
おおまかな構成は294・298・307でほのかの部屋に泊まるなぎさ、そして331からは
二人の見る夢の話、なぎほのの夢が混ざって、さらに闇の力が夢の世界にまで及んで
ポイズニーの幻影と闘うことになる──という展開ですが、戦闘シーンでのアイディアは無論、
思いつのった相手の方が自分の夢に現れるという大意の詩歌を、藤Pとなぎさとの話かと
思わせておいて、じつはほのかとなぎさの夢の交わりの伏線に用いる点、プロットの工夫も
完全に並みのアニメ本編を凌駕しとります。さらに夢の中でのほのか→なぎさのマジ告白で
百合萌え人は狂喜乱舞。人物の動作・演技演出がいちいち明快で、想像力が行き届いているので
これだけ長くても叙述を追うのに苦痛はなし。とりあえず、匿名掲示板で読めるSSとして、
これ以上の何を望むのも、詮ない贅沢というものであります。
それでは最後に読みとおした方々の心持ちを代弁して、一言。
( ゚Д゚)<アニメ化しる!
- 342 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/15(月) 21:46 [ jOB.Ga9o ]
- >( ゚Д゚)<アニメ化しる!
読んでてマジでそう思いました。すばらしすぎ、59氏GJ!
- 343 名前:59 投稿日:2004/11/15(月) 23:09 [ 1PgGb8Ag ]
- >>341-342
ありがとうございます
>( ゚Д゚)<アニメ化しる!
もちろん意気込みとしてはそのつもりで書いてました。
通常、ってのでわなく、むしろアナザーエピソードの劇場版90分てな気持ちで。
…もちろん劇場版にはボリュームは全然足りないんですけどね
今回、キャラの動きにとても苦労しました
やっぱりね…自分のオリジナルでさえいうことを聞かないのに、他人様の作ったパロディ小説ではそうそう思いどうりにはいかないんですよ
ほんとはね、なぎさ、最後はただ寝てるはずだった!まさか起きていてほのかを抱きしめるなんてえ〜!
…やっぱね、なぎさはいい娘なんですよ〜(><)
- 344 名前:833@ 投稿日:2004/11/16(火) 00:13 [ 78/TLZF2 ]
- というわけで続き投下します。木曜日終了分までです。
個人的には話の展開上どうしてもシリアスになる金曜日の前ということで、
ありったけの萌え要素を詰め込んだつもりです。
そのせいか無駄に長いです。
- 345 名前:833@ 投稿日:2004/11/16(火) 00:14 [ 78/TLZF2 ]
- な「で。私がいない間にこれだけの仕事をしてしまったの?」
ほ「ごめんなぎさ。なんか退屈で……。」
ほのかがこなした仕事は溜まっていた洗濯物の一掃。部屋の掃除の完了、夕食の支度、風呂掃除とほぼ完璧である。
な「はぁ…。私が何の為に早く帰ってきたのかわかってる?」
ほ「う…うん。」
な「とりあえずまだ少し熱があるみたいだからもう少し休んでたほうがいいよ。」
ほ「もう大丈夫なのに…。」
な「ダメ!今氷嚢持ってくるから待っててね。」
ほ「あれ?氷嚢なんてあったっけ?」
昨日までは濡れタオルを使っていたハズだった。
な「まぁね。ちょっと待っててよ。」
なぎさが椅子から立ち上がり部屋を出る。
ほのかは既にパジャマに着替えていてベッドで横になって待っていた。
そしてビニール袋の中に大量の氷を持ったなぎさが部屋に戻ってくる。
ほ「なぎさ……。それ……。」
な「ま…まあこういうのは見た目が肝心だし……ね。」
ほ「はぁ…。もう何でもいいよ…。」
半ば諦めたようにほのかが溜め息をつく。
な「あっと、袋を閉じなきゃいけないんだった。」
なぎさが氷の大量に入ったビニール袋の口をギュっと縛ろうとする。
ツルッと一つ大きな氷の欠片がビニール袋から落下する。
そしてその欠片は重力に引かれ……。それがほのかの体の中にスポリと入った。
なんという偶然であろうか。なぎさの落とした氷の欠片は
ほのかのパジャマの第1ボタンと第2ボタンの間の隙間にスッポリと嵌ってしまう。
ほ「はう!つ…冷たい!」
な「あ、ご…ごめんほのか。」
なぎさは慌ててその氷を取り出そうと手をその氷の欠片へと伸ばす。
がなぎさが氷を掴もうとしたその時。氷は無情にもほのかの体の中へと入り込んでいった。
な「あ!ダメ!!」
なぎさが氷を中へ入れさせないように手を突っ込む。
となぎさはふと氷の欠片とは違う感触に気が付いた。
それはなんだか柔らかくてぷよぷよしている。
ふむ。これは一体なんだろう?
ふとほのかの顔を見るとそこには顔を紅潮させて震えているほのかの姿があった。
ほ「……………。」
な「え………?」
ほ「なぎさの……バカぁぁ!!!」
間髪入れずにほのかは自分の頭の下の枕を引き抜き思い切り振りぬいた。
バアンという大きな音がした。ほのかの振りぬいた枕がなぎさの側頭部を直撃していた。
しかしほのかの攻撃は止まらない。持っていた枕を思い切りなぎさに向けて投げつける。
投げつけた枕はなぎさの腹部を直撃し、なぎさは後方へと吹き飛ばされる。
ダァァンと思い切りクローゼットに体を打ちつけられたなぎさ。
イルクーボに吹き飛ばされた時よりも大きなダメージを与えたようだった。
な「ほ…ほのかぁ…?」
何が起こったのかわからないという風に言い残しなぎさは前のめりに倒れた。
- 346 名前:833@ 投稿日:2004/11/16(火) 00:15 [ 78/TLZF2 ]
- 数分後……。
ほ「なぎさ。大丈夫?」
な「あ…ほのか…?」
なぎさはゆっくりと体を起こし辺りを見回す。
な「なんで私…?あれ?」
なぎさは今までに何があったかを思い出せないようであった。
ほ「ごめんねなぎさ。私がなぎさに……。」
な「え?ああ、気にしないでいいよ。」
実のところなぎさは何が起こったのかをまだ完全に理解していない。
な「それよりほのか。寝てなきゃダメだって。」
ほ「うん、わかった。」
なぎさに対して罪悪感があるのかほのかは素直になぎさの言うことを聞く。
なぎさがベッドから降り、ほのかがベッドの中に入る。
そしてなぎさは先ほど色々と問題を発生させる原因となったビニール袋をほのかの頭に載せる。
ほ「冷たい……。」
な「そりゃ冷やすための道具だからね…。」
ほ「とりあえず今日はじっとしてるね。」
な「うん、そのほうがいいよ。明日は一緒に学校行きたいし…。」
ほ「え……?」
な「今日久しぶりに一人で学校行ったんだけど、なんかほのかが居なくて妙に寂しくてさぁ〜。」
ほ「……………。」
な「だからさ。明日は絶対一緒に行こうね。」
力強くほのかの手を握り締めてなぎさが言う。ほのかも笑顔で答える。
ほ「うん、そうしよう。」
な「じゃあ私は宿題やってるから。何かあったら呼んで。」
ほ「あ…、待って。」
な「なあに?」
ほ「あの……。一人で居ると寂しいから……。なぎさ、ここに居てくれない?」
な「え…。でも宿題やらなきゃ…。」
ほ「だから。この部屋で宿題やって欲しいの。」
な「それは構わないけどさ。迷惑じゃない?」
ほ「ううん。全然。それよりも二人で居たいの。」
な「ん、わかった。じゃあこの机で…。」
なぎさが自分の勉強机の椅子をベッドの傍から持ってきて腰掛ける。
ほ「なぎさ、そっちじゃなくて床の机使って欲しいの。」
ほのかは今まで二人が向かいあって勉強に使っていた机を指差した。
ほ「なぎさの顔見てると安心出来るから…。」
な「ん。わかったよ。今日はほのかの言うこと聞くよ。」
なぎさは椅子から立ち上がり床にドッカと座る。
机を挟んで横になっているほのかとなぎさが向かい合う形になった。
な「それじゃあ今から宿題に集中するから!」
なぎさは親指を立ててほのかそれを見せる。
ほ「頑張ってね、なぎさ。」
ほのかは笑顔で返す。
そしてなぎさはノートを開き、鉛筆を持って数学の宿題に挑む。
- 347 名前:833@ 投稿日:2004/11/16(火) 00:15 [ 78/TLZF2 ]
- 数十分後……。
な「あ〜、もうわかんない!!!」
最初は順調な滑り出しだったのだが長くは続かなかった。
連立方程式は何とか攻略したもの不等式、そして証明問題がなぎさを苦しめていた。
な「もうやめた!」
あっさりとペンを放り出し机に突っ伏してしまう。
ほ「なぎさ…、まだ始めてから一時間もたってないわよ…。」
な「だって〜。全然わかんないんだもん。」
ほ「どの問題がわからないの?」
ほのかが起き上がりベッドを降りてなぎさの正面に座る。
な「ほのか〜。休んでなきゃダメだって…。」
ほ「大丈夫。この一問だけだから。」
な「こんなの全然わかんない。」
ほのかはなぎさから教科書とノートを受け取り問題と向かい合う。
暫く何かを考えているようであったが、すぐにああなるほど。と呟いて答えを出してしまったようだった。
ほ「いいなぎさ。この問題はね…。」
早速ほのかは問題の解説を始める。
しかしここでなぎさは重要な問題に気が付いた。それはほのかの服装の問題である。
さきほどの氷騒動のせいでほのかのパジャマの第2ボタンと第3ボタンが外れていたのだ…。
もちろんその隙間から時折ほのかの下着が見えてしまう。
意識しないように心がけてはいるが、そんなことは不可能である。
逆にそうしようとすればするほどどんどん意識してしまう。
大きさは…。自分のよりはやはり大きい。少し悔しさと嫉妬心を感じるなぎさだった。
もはやなぎさの頭は完全にほのかのバストのことに支配されていた。
一方ほのかは数学の問題の解説に熱心なものだからなぎさの心の変化にも自分自身の服装の問題にも気が付かない。
ほ「なぎさ。聞いてる?」
怒ったような表情で訊ねる。
な「は、はい!聞いてます。もちろん!」
ぎこちない返事をするなぎさ。しかし視線はまだまだほのかの胸に釘付けである。
ほ「いいなぎさ。ここでこうやって式を変形するでしょ。」
な「う…うん。」
運動部の性なのか一応返事だけは真面目にしてしまうなぎさ。しかし意識はもうどこかへ飛んでいる。
ほ「こうするとね。ほら、左のほうが大きいでしょ。」
な「え?左のほうが大きいの?」
ほ「そうよ。見ればわかるでしょ。」
な「そうかなぁ?私には左右同じくらいに見えるけど…。」
ほ「ええ?なんで?」
な「な…なんでって言われても…。そんなに違うかな?」
ほ「そうね〜。そんなに差は無いわね。」
な「そ…そうだよね。普通そうだよね。」
ほ「普通ってのがよくわからないけど…。」
な「え〜っと、それで左のほうが大きいんだっけ?」
ほ「そう左のほうが大きいの?」
な「大きさはいくつ位なの?」
ほ「ここでx=4を代入するから……。88ね。」
な「88!?そんなに大きいの?」
ほ「そ…そんなに驚くほど大きいかしら?」
な「大きい大きい。大きすぎるよ。羨ましいなぁ〜。」
ほ「う…羨ましい?」
な「うん、羨ましい。」
ほ「全然意味がわからないんだけど……。」
な「88か〜〜。良い響きだよね〜。」
ほ「ひ…響き?」
な「それで88ってどれなの?A?B?」
ほ「え〜っとね。ここがこうなるから……。Cね。」
な「し!?C!?Cなの!?」
ほ「ええ。Cね。間違いないわ。」
な「あ…ありえない。ほのかって年の割には凄すぎるから…。」
ほ「年って、なぎさもこれくらい解けなきゃダメよ。」
な「ねぇ、本当にCなの?私絶対AかBだと思ってたよ。」
ほ「なぎさ。BはともかくAはありえないわよ。」
な「え!?な…なんで?」
ほ「なんでって、見ればわかるでしょ。」
な「そ…そんなのわからないよ。見ただけじゃ…。」
ほ「そう?だってAじゃ明らかに右のほうが大きくなるわよ。」
な「え…。Aって右のほうが大きいの!?」
ほ「自分で確かめてみれば?」
な「え…、そうかな…。」
慌ててこっそりと自分の両手を両胸に当てるなぎさ。
な「い…言われてみればそうかも知れない。」
ほ「ほらね。そうでしょう。」
な「でもでも…。ほのか。なんでCになったの?」
ほ「だから今説明したでしょ。」
な「あれ?そうだったっけ?」
ほ「もう!聞いてなかったの。」
な「ご…ごめん。ちょっと驚いちゃって…。」
ほ「驚く?」
- 348 名前:833@ 投稿日:2004/11/16(火) 00:16 [ 78/TLZF2 ]
- なんだかさっきからどうにも会話が噛み合ってない。
とここでようやくほのかが気づく。
なぎさの視線は数学の問題に向かっていない。なぎさの視線の先にあるもの……。それは……。
慌ててほのかは自分の服装に目をやる。そしてパジャマの第2ボタンと第3ボタンが外れていることに気づいた。
そして同時になぎさの視線が自分の胸元に向かっていたことにも…。
ほ「なぎさ、私のスリーサイズ言ってみて。」
な「え!?え〜っとね。上から88…。」
ほ「違うわよ!!」
な「え?」
ほ「もう!さっきからなんか集中してないと思ったら私の胸ばっかり見てるなんて。変態よ!!」
な「ちょ…ちょっと待ってよほのか。そりゃないでしょ。」
ほ「何言ってるの。ずっと見てたくせに!」
な「べ…別に見たわけじゃないよ。そ…そう、偶然見えちゃったんだよ!」
あまりにありきたり過ぎる言い訳だった。
ほ「じゃあなんで教えてくれなかったの!」
な「それは……。そのあまりに綺麗だったから見とれてたというか、目の保養にというか……。」
ほ「理由になってない!!」
な「え…。じゃあそうだなぁ……。」
ほ「今考えるってことは無いってことでしょ!!」
な「あ…あ………。その……。ごめんなさい。」
なぎさはそのまま頭を下げて土下座する。
な「なんか…、正直よくわかんないけどごめんなさい。」
ほのかははぁと一つ大きな溜め息をつき言った。
ほ「もういいよ。でも、次は早く教えてね。」
な「う、うん。わかった。」
ほ「じゃあ今回は許してあげる。」
な「ありがとう、ほのか。」
ほ「なんか疲れちゃったから少し休むね…。」
な「うん、そうしたほうがいいよ。」
とピンポーンと呼び鈴の音が鳴った。
な「ちょっと行ってくるね。」
ほ「うん。」
バンとドアを開けてなぎさが部屋を出る。
な「は〜い。」
なぎさが玄関のドアを開ける。
ドアの向こう側に立っていたのは志穂と莉奈だった。
志「おっすなぎさ。元気?」
莉「早く休めって言ったのにまだ制服着てるの?」
な「え…。あ、まあね。いらっしゃい。」
莉・志「おじゃましまーす。」
志穂と莉奈は慣れた様子で玄関を上がりなぎさの部屋を一直線に進む。
な「ああ!!」
なぎさが全力で走り志穂と莉奈の前に回りこむ。
な「ダメダメ!!部屋に入っちゃダメ!」
志「なんでなんでなんで〜?いつも入ってるじゃない?」
莉「そうよ。別にいいじゃない。」
な「え…え〜っと…それは……。その今部屋散らかってるし…。」
志「そんなのいつものことじゃな〜い。」
莉「全然気にしないって。」
な「そ…そうじゃなくて…。」
志「なになになに?誰かいるの?」
莉「ひょっとして……。彼氏とか?」
な「な…何言ってるのよ!」
志「あれ〜。なんか怪しくな〜い?」
莉「やっぱり彼氏が部屋の中にいるのね?」
志「いや〜。彼氏と部屋で二人きり。なぎさったらやる〜。」
莉「いやいや。これは意外でしたな〜。」
な「そんなんじゃないっての!!」
とドアが内側に引かれそこから隠された人が人物が姿を現す。
ほ「なぎさ…。随分騒がしいけどどうしたの?」
な「あ……。」
志・莉「え……。」
次の瞬間その場にいた全員が凍りついた……。
志・莉「ええええええええええええええええ!!!!!!」
夕方のマンションに莉奈と志穂の絶叫が響き渡った。
- 349 名前:833@ 投稿日:2004/11/16(火) 00:17 [ 78/TLZF2 ]
- な「というわけなの……。」
普段は食事をするテーブルで三人が座り、なぎさが志穂と莉奈にこうなった経緯を説明する。
しかし水曜日に休んだ本当の理由はなんとなく伏せておいた。
ちなみにほのかは部屋で休んでいる。
な「まあそういうわけだから。」
莉「ふーん、そうだったんだ。」
志「でもでもでも。それって同棲…。」
な「だから違うってば!!」
莉「でもね〜。家で二人きりでしょ?」
な「亮太もいるの!」
志「そう言ってもねぇ…。」
な「とにかく!!ほのかとは友情で助け合ってるの!やましいことは何もしてない。」
さっきの行為はどうだろうかと思いながらなぎさは弁明する。
な「そもそも二人ともなんで今日家に来たの?」
志「そうだそうだそうだ。すっかり忘れてたよ。」
莉「今度の日曜日の試合のメンバーが発表されたの。もちろんなぎさはスタメンよ。」
な「そっか。ありがとう。」
志「それじゃあ、そろそろ私達帰るね。」
莉「うん。長居しちゃ悪いもんね。」
な「だから…。」
志「別にそういう意味じゃなくてさ。」
莉「ほのかはまだ具合悪いんでしょ。なぎさちゃんと看病してあげなよ。」
志「そういうこと。」
な「あ……。」
そう言うと志穂と莉奈は立ち上がり玄関へと歩いていく。
志「じゃあねなぎさ。」
莉「明日は部活来なよ。」
な「うん。二人ともありがとう。」
なぎさは笑顔で二人を見送る。
バタンとドアが閉じられなぎさは大きな溜め息をついた。
そしてそのまま部屋へと引き返す。
ほ「ごめんねなぎさ。私のせいで…。」
な「ほのかは悪く無いよ。それに二人も誰にも言わないって言ってるし。」
ほ「そっか…。良かった…。」
ほっとしたような表情でほのかが言った。
な「それに…。こうしていられるのもあと二日だけだしね。」
なぎさが静かに言った。それが現実。この過ぎ去った一週間はまるで夢のようだった。
夢は覚めれば儚く消え去るもの。
ほ「そうね……。あと二日……。なんか、あっという間だったね。」
そのまま互いに一言も発せられず俯いてしまう二人。
すると突然なぎさが顔をあげて言った。
な「今度暇があったらさ、遊園地でも行こっか?」
ほ「え…?」
な「一週間ほのかのお世話になったから、そのお礼。」
ほ「お礼なんていいのに…。私が勝手にやってるんだから…。」
な「そういうわけにはいかないよ。それにさ…。」
ほ「それに…?」
な「ほのかと一緒に居ると楽しいから。」
ほ「え……。」
ピンポーンと呼び鈴が鳴った。
な「あ、亮太の奴だ。じゃ、ほのか。ちょっと行ってくるね。」
ほ「う…うん。」
なぎさが部屋を出ようとする前に振り返りほのかに聞いた。
な「晩御飯…。どうする?」
ほ「え………。」
な「一緒に食べる?」
間髪入れずほのかは笑顔で即答した。
ほ「うん。」
そしてなぎさの予想通りに帰ってきた亮太と三人で夕食をとり、
その後は二人で勉強をしながら木曜日の夜は過ぎていった……。
- 350 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/16(火) 06:45 [ yXON3ICI ]
- >833@氏
( ゚Д゚)<お
( ゚Д゚)<良かねえ
( ゚Д゚)<とくに>>347のくだり
( ゚Д゚)<上出来のコントみたいなテンポの良さで読めるのです
( ゚Д゚)<うん
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<いよいよ金曜日
( ゚Д゚)<書き手の833氏にとっても微妙な難境に突入
( ゚Д゚)<かな
- 351 名前:本スレ127より353氏:小ネタ 投稿日:2004/11/17(水) 20:34 [ WWpQNRrQ ]
- .
莉奈「今度みんなで雪城さんのお家に泊まりに行くんだけど
ハギワラさんも一緒にきなよ」
なぎさ「ハギワラさんが来てくれたらほのかもきっと喜ぶよ」
志穂「そうそうそう!大勢の方が楽しいし〜、ハギワラさんもおいでよ」
ユリコ(´-`).。oO(ほのかのお家にみんなでお泊りなんてすごく楽しそう。
ここにいるみんなもハギワラハギワラと慕ってくれてるし…
けど…私の名前…「ハギワラ」じゃなくて「オギワラ」なのよね……)
○荻原(オギワラ)
×萩原(ハギワラ)
ユリコ(´-`).。oO(小学生の頃からずっとそうだった…
中には「ユリコってオギワラだっけ?ハギワラだっけ?」とか聞いてくる娘もいたし…
なにしろ私も時々どっちが自分の名前なのか迷うくらいだし…)
志穂「ねぇねぇねぇ、当日の予定どうするの?」
莉奈「まず、みんなで買い物に行ってそのあと…」
なぎさ「鍋パーティーーーーーーーーー!!!」
志穂「さすがなぎさ!」
莉奈「食べ物のことしか考えてないじゃん」
な・志・莉「アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」
ユリコ(´-`).。oO(でも、ここまで会話が白熱してると「私の名前、実はオギワラよ」
なんて今更言えないよね…)
.
- 352 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/17(水) 20:35 [ WWpQNRrQ ]
- 【本スレ127より353氏:小ネタ】
仮題「Null Surname」。本スレより転載。
http://ex5.2ch.net/test/read.cgi/anime/1100438495/353
先日登場した新キャラにすら苗字があるのに、13話で初登場しながら
いまだ「ユリコ」としか名指し得ない不遇のサブキャラ、──
その設定の隅を利用したネタレス。
クラスも違うっぽくて40話のお泊まりメンバーで一人浮いてそうなユリコ、
というキャラ相互の距離感をうまくネタに交えているのも乙。
- 353 名前:59 投稿日:2004/11/17(水) 22:04 [ 4KDF.6XM ]
- >>833氏
GJ
胸…胸…
錯乱しそうです
>>351
これ、本スレで思いっきしワラタ!
- 354 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/18(木) 12:25 [ 7sNqVaMw ]
- >>833
楽しく読ませていただきました!
通勤電車内で読んでたんですが、私も347で吹き出しそうになりました。飲み物飲んでたらきっと吐き出してたかも。(お食事中の方失礼)吊革持った手で顔隠してごまかしました。w
- 355 名前:プリッキュアスレより255氏/百合SS「長湯のわけは…」(1/3) 投稿日:2004/11/18(木) 20:52 [ rtfnHcTg ]
- .
なぎさと志穂と莉奈とユリコがやってきて、
ほのかの家に今日はお泊り。
夕ご飯の後、トランプ大会でお風呂の順番と組み合わせ。
ほのかとなぎさの勝ち抜けで一番風呂へ。
でも…真っ赤な顔でのぼせたふたりが部屋に戻ってきたのはずいぶん時間が過ぎた後。
「遅い遅い遅〜い!待ちくたびれちゃったゾー!ふたりとも何してたの!?」
その理由は…
* * *
「わァ!ほのかの家のお風呂って広いんだなァ!ひゃっほう!!」
鼻をつまんで湯船に飛び込むなぎさ。
だっばぁぁぁんん!!
「ふぅ〜〜!!良いお湯!ほのかも早く早く!」
曇りガラスの向こう側、ほのかの姿がうっすら見える。
からららら…
髪をアップにまとめ大き目のバスタオルで身体を覆ったほのかがやってくる。
なぎさが湯船から腕を伸ばしバスタオルの裾をつかみ、
「ほいっと!」バスタオルを剥ぎ取る。
「きゃっ!やだぁ!もう!」あわてて胸を手で隠ししゃがみこむ。
「いいじゃん!いいじゃん!オンナ同士裸のつき合いってやつ?」
「もう、なぎさったら!」頬を膨らませながら、かけ湯を浴びる。
熱い湯がほのかの肌を玉のように転がり流れ落ちる。
「ほっほぅ!雪城さん、なかなかアダルトですなぁ!」
「え?…」なぎさの視線の先がほのかの下半身を見詰めている事に気がつき、
「な・ぎ・さっ!」湯を手のひらですくい、ぱしゃっ!となぎさの顔にかける。
「うわああ!ヤ・ラ・レ・タ〜!!」大げさな仕草で立ち上がり
バシャン!と湯の中に仰向けに倒れる。
「ほっほぅ!美墨さんもなかなか…って、やっぱり髪の色と同じなのね…」
「え?…あっ!」慌てて脚を閉じて「ほのかのえっち!」
「うふふ」「あはは」
「ほのかも早く入りなよ!」「うん!」
- 356 名前:プリッキュアスレより255氏/百合SS「長湯のわけは…」(2/3) 投稿日:2004/11/18(木) 20:53 [ rtfnHcTg ]
- .
ふたりで並んで湯船につかる。
「はぁ〜気持ちイイ…!生き返るなぁ…極楽極楽!」
「死んだり生き返ったり大変ね!」
「良い香り…」大きく息を吸い込む。
「おばあちゃまがお風呂好きだから凝っちゃって、
ヒノキのお風呂は森林浴と同じくらいヒーリング効果が…」
「ほのかのお話でのぼせそう!」ほのかのうんちくも時によりけり、
「駄目駄目!100数えてから!」
「1・2・3・4・5・6・7・8・9・100!」
あっという間に数えて、ざばっと湯船から立ち上がり飛び出るなぎさ。
「私の100は10進法なの!」
「それ違う…」苦笑しながら湯の中から
洗い場でこしゃこしゃと身体を洗うなぎさの姿を見て、
意外と色白なんだな…とほのかは思う。
スパッツとポロシャツの跡で肌がキレイに色分けされているなぎさの肌。
「うっわ!すっごい!ありえない!髪の毛の中からこんなに砂が出て来る!」
髪をガシガシガシ、と勢いよくシャンプーしながらなぎさが笑う。
「ラクロス頑張ってるもんね!」
なぎさの髪にシャワーをかけてシャンプーを流してあげるほのか。
「よっし!私がほのかの背中流してあげる!」
ほのかを湯船から引っ張り出して背後にクルっと回り込み、
ごしごしごっし!勢いよくほのかの背中をこする。
「痛い痛い!なぎさ〜!強くこすり過ぎ!」
「そう?お父さんなんかもっと強くこすれって言うよ!」
力を抜いて軽目に洗うがほのかの白い肌はたちまち朱に染まる。
「よしっと!一丁あがり!」ざっばん!と湯で石鹸を流す。
- 357 名前:プリッキュアスレより255氏/百合SS「長湯のわけは…」(3/3) 投稿日:2004/11/18(木) 20:54 [ rtfnHcTg ]
- .
「なぎさ、今度は私が洗ってあげる。
良い?こうやって石鹸をよ〜く泡立てて泡立てて…クリームみたいにして、
丁寧にお肌に塗りこむように、小さく円を描きながら
マッサージするみたいに、やさしくやさしく…」
「うふふ!くすぐったい!」モゾモゾと身体をくねらせる。
「ジッとしてなきゃ…」なぎさの背中に青いアザを見つけ息を呑むほのか。
「なぎさ…この…あざ…」ハートの形のあざ。
「あ!…うん…ラ、ラクロス!
そう!ラクロスの試合でボールが当たっちゃった…かな?」
「私って…バカだな。」
ハートの形のボールなどあるものか。
それにラクロスのコートは芝生できれいに整備されている。
いくら激しい試合でも頭から砂を被るはずも無い。
今日の戦闘―――足を掴まれ地面に叩き付けられた時―――
なぎさはほのかと地面の間に滑り込み身体を投げ出し私を助けてくれた。
その時に私の手甲のハートが背中を傷つけたのだろう…
「…ごめんね…なぎさ」
なぎさは何時もどんな時でも私を庇って私を援けてくれる。
そんななぎさの傷がせつなくて悲しくて、愛しくて…
なぎさの背中を抱きしめる。
胸に響くなぎさの鼓動。
背中を叩くほのかの鼓動。
「ほのかの事は…私が護る、最初から決めてるんだ。」
「無理をしないで、なぎさがいなくなったら…わたし…」
どちらからともなく顔を寄せあうふたり。
それがふたりにはとても自然な事に思える。
ふたりの唇が重なるあと僅か…
「…へっくしゅん!」
「なぎさ…!」
「あはは…へっきゅしゅん!」
「もう…なぎさったら…くちゅん!」
「あはは」「うふふ」笑い声も重なるふたり。
なぎさが ちゅっ! ほのかの頬にキスをする。
それがふたりのヒミツ。
プリキュアである事よりもっと凄いふたりのヒミツ。
* * *
「言え!言え!言え!」二人を問い詰める志穂を置いて
莉奈とユリコはお風呂場に…
「ニブイ志穂ならともかく・・・ばればれだっつーの・・・」
おしまい
.
- 358 名前:(゚Д゚ ) ←プリッキュアスレの261 投稿日:2004/11/18(木) 20:56 [ rtfnHcTg ]
- 【プリッキュアスレより255氏/百合SS「長湯のわけは…」】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/255-260
( ゚Д゚)<もはや
( ゚Д゚)<何も言うことはないのであります
( ゚Д゚)<とまれプリキュア百合萌えSSとして掛替えのない作品がひとつ生まれたことを
( ゚Д゚)<祝福
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<あとどうでもよいのですがこのSSを読んで
( ゚Д゚)<サシの神経衰弱勝負をやりたくなりました無性に
( ゚Д゚)<トランプ買ってこねば
- 359 名前:プリッキュアスレより249氏/ネタ系百合SS「宝物箱」(1/2) 投稿日:2004/11/19(金) 02:57 [ T9Kx.G66 ]
- .
「ほのか!いつも気になってたんだけどその宝物箱の中に何が入ってるの?」
「…それは秘密!」
「え〜いいじゃん!見せてよ!」
宝物箱に手を伸ばすなぎさ。
「痛い!痛い痛い!!」
ほのかがにっこり笑みを浮かべながらなぎさの手をつねる。
「親しき仲にも礼儀あり!でしょ?」
「…ごめんなさい」
…というわけなのよ…志穂と莉奈に相談するなぎさ。
なんだか親友であるほのかが隠し事をするのが寂しいのだ。
「じゃあじゃあじゃあ!結局見せてくれなかったわけ?」
「雪城さんが駄目って言ってるんだから止めときなさいよ!」
「見るなといわれれば余計気になるのよネー!」
「なぎさ!私に良い作戦がある!」
というわけで、
ほのかの家になぎさと志穂が押しかけ勉強会を開いている。
「だから、XがYで√が∽で�瑤箸いΔ錣韻覆痢帖�
ほのかの解説など聞いていない。
なぎさと志穂の興味は勿論部屋の隅の宝箱だけだ。
「なぎさ!久保田さん!…ちゃんと聞いてる?」
「イタ!痛タタ!!なんかなんかなんか!急にお腹が痛くなってきた!」
それが志穂の良い作戦?それは…無理あるなあ!となぎさが呆れていると、
「大変!ちょっと待ってて!今オクスリ持って来るから!」
慌ててほのかが部屋を飛び出す。
「痛い痛い…イタイ…行った?雪城さん?」
案外簡単に騙されたほのかに罪悪感を感じながらも好奇心は抑え切れない。
すばやく部屋の隅に置かれた宝箱ににじり寄り、
宝物箱がふたりの手により開けられた。
「…何?」
志穂が宝箱から取り出したのは白髪の老人の写真。
「…これって、ほのかが大好きなブレキストン博士の写真!?」
.
- 360 名前:プリッキュアスレより249氏/ネタ系百合SS「宝物箱」(2/2) 投稿日:2004/11/19(金) 02:58 [ T9Kx.G66 ]
- .
「おクスリ持ってきたわよって…きゃあああ!!!!」
ほのかが宝箱を慌てて閉じて、志穂の手から写真を取り上げ背中に隠す。
「…見ちゃった?」真っ赤な顔でなきそうな声。
「ごめん」「ごめんなさい…」
「でも…隠すようなことじゃないと思うよ。」
「…みんなもこんなおじいちゃんの写真大事にしてるなんて…変だと思うよね?」
「変じゃないよ!」
「でも子供の頃変わり者に見られて虐められたの…」
「虐めたりしないよ!ほのかの大事な人なら私にとっても大事な人!」
「そうそうそう!雪城さんが大好きな科学者さんの写真なんでしょ?」
「よく見ればなかなかダンディーな人よね。」
精一杯ほのかの機嫌を取る二人。
「そう思う?よかった!隠したりしてバカみたい!もっと早く二人に見せれば良かった。
この写真見て!ブレキストン博士がノーベル賞受賞したときの写真!
こっちは研究室で実験している写真でこのときの研究結果が今の物理学の…」
機嫌が直ったもののこのあとほのかが堰を切った様にブレキストン博士の偉業についての
ほのかの特別講義が延々と…………
ほのかの"講義"が終わったのはすっかり日も落ちた頃であった。
玄関までなぎさと志穂を見送ったほのかは自室に戻り、
机に広げられたブレキストン写真をまとめるとポイッと放り投げる。
ほのかが宝箱を開き何も無いはずの箱の底を探り底板を剥がすと、
更に奥から別の写真が取り出された。
「急に久保田さんが来るから変だと思った!なぎさの考えることくらい
簡単に解っちゃうんだから!木を隠すには森の中、灯台下暗しって言うのよ!」
ベッドに寝そべり写真を一枚一枚見ていく。
「ふふっ… この写真!カワイイ寝顔しちゃって!
こっちのラクロスの写真もカッコイイなァ!…ふふふ!」
おしまい
.
- 361 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/19(金) 03:00 [ T9Kx.G66 ]
- 【プリッキュアスレより249氏/ネタ系百合SS「宝物箱」】
ついにの積年の謎が明らかに……。科学っ娘らしい真相と思わせて実は百合的解決。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/249-252
というか、このSS書きさんの作品ではキャラがホントよく動くのでビックリですね。
とくにほのか。にっこり笑いながら人の手をつねります。カワイコワイです。
志穂のワザとらしい演技にコロッと騙されます。素直ですね。
かの博士の写真を秘かに大事にしていたのを知られて真赤に泣きそうです。ぐはっ。
機嫌をとりなおして博士について嬉々と語ります。案外あどけない。
と、思いきや、なぎさと志穂の企みをすべて見通していたほのかでした。流石です。
しかも、何時の間にやら、なぎさの寝顔を隠し撮りしておられたようです。ヤベーぜ。
っていうか酒を呑みながら読んでたら、頭ん中にほのかがキャピキャピ言いながら
クルクル踊りまわるマボロシが浮かんできて俺がヤバいです。
麻薬的SS。
- 362 名前:虐殺スレ1より205氏:虐殺SS(1/3) 投稿日:2004/11/20(土) 05:49 [ 0Yn0JbfA ]
- .
日曜日の雪城家、今日はなぎさ(とメップル)が来て、ほのかたちとお菓子作りをしています。
「早く食べさせるメポ!」 「まだ出来てないよ〜」 相変わらずメップルは傍若無人です。
「なぎさがドジだから全然出来ないメポ!」 「な、なんですって〜〜〜!」
「まぁまぁ あと少しだから・・・」 ほのかがフォローします。
「メップルったら食い意地が張ってるミポ」 さすがのミップルも呆れ気味のようです。
「それで〜〜どこまでやったんだっけ?」 「あとは煮詰めるだけよ。」
「なぎさがドジしなかったらもっと早く終わってたメポ!」 「なんですってぇ!」
「まぁもう終わりなんだからいいじゃない。」 「そうミポ」
「ミップルがそういうなら許すメポ」 「メップルったら〜〜」 イチャイチャ(効果音)
「もう〜勝手なんだから〜〜」 「くすくす」 ほのかが楽しそうに笑っています。
「じゃあ早く火をかけようよ」 「うんっ・・・あっ!いっけない」 ほのかが何かに気が付いたようです。
「どうしたの、ほのか?」 「う〜ん・・・飲み物を買うの忘れてたわ・・・」
「じゃあ買いに行こうよ」 「そうね」 「問題は・・あれをどうするかよね」
「メップル〜」 「ミップル〜」
なぎさは相変わらず2人だけの世界になっているメップルとミップルの方を見ました。
「邪魔したらかわいそうよ」 「それもそうね・・・」
そういって2人は書置きを残してこっそりと台所を抜け出して外に出ました。
- 363 名前:虐殺スレ1より205氏:虐殺SS(2/3) 投稿日:2004/11/20(土) 05:50 [ 0Yn0JbfA ]
- .
数分後・・・
「あれっ2人がいないメポ?」 「どこにいったミポ?」
2匹はキョロキョロと当たりを見回します。
「あ、書置きがあるミポ」 ミップルが机の上の書置きに気が付いたようです。
【ちょっと飲み物を買いにスーパーに行ってきます。】 ほのかの字で丁寧に書いてあります。
そしてその下に・・・【メップルへ 鍋の中身を食べたらタダじゃおかないからね!】となぎさの字。
「食べたくなるなといわれたら余計食べたくなるメポ」 いかにもメップルらしい発言です。
「メップル、ダメミポ。まだ出来てないミポ」 ミップルが止めようとしますが・・・
カシャン・・・ミップルがいったときにはメップルが既に鍋の蓋を開けていました。
「う〜ん・・・どれどれ・・・」 ジュル 鍋の中の水あめ(完成前)を手にすくってなめます。
「おいしいメポ!」 「メップル食べちゃダメミポ」 「少しくらいならわからないメポ」
ジュル ジュル 少しながらといいながらどんどん手にすくってなめています。
しかし食べるにつれ、最初は鍋いっぱいあった水あめも体積が減り、
(メップルの手の長さでは)手があめに届かなくなってしまいました。
「こうなったら・・・」 バシャアぁ メップルは何とも大胆な行動に出ました。
なんと水あめのプールに飛び込んだのです。
「メップルー 何やってるミポ。早く出るミポ」 さすがのミップルも見かねたらしく、警告します。
「う〜んシアワセメポ。もうちょっとしたら出るメポ。」 そういって文字通り手当たり次第あめを口に入れます。
そして数分後・・・
「ふう〜もう食べられないメポ」 さすがのメップルも満足して食休みを取っているようです。
「これくらいならバレないメポ」 鍋の中にはまだまだ水あめ残っています。
「そろそろ出るメポ」 そういって出ようとしましたが・・・
「んっ・・あれ・・・う、動けないメポ」 そう、あめがメップルの体にベトベトとまとわりついて身動きがとれなくなっていました。
「ミップルーーー ミップルーーー 助けてメポーーー!」 「んん〜?どうしたミポ?」
「あめがベトベトして動けないメポ、助けて、メポ!」 「もう〜だからいったミポ!」
「ボクが悪かったメポ!だから助けてメポ!」 「も〜う しょうがないミポ」
そういってミップルは鍋の中に・・・
「あっ 鍋に入ったらダメメポ!」 「えっ・・・?」
バシャ―――ン・・・メップルが警告したときにはすでにミップルも鍋の中でした。
「ベトベトするミポ!?」 バタバタバタバタ ビックリしてミップルはジタバタと動きます。
しかし動けば動くほどあめがまとわりつきます。そして暴れた振動で・・・
ガシャ――ン 鍋の蓋が閉まってしまいました。
「動けないミポ!」 「うわ〜ん 助けてメポー」
2匹は必死に叫びますが鍋の蓋がしまったせいで声は外に届きません。
そして・・・
- 364 名前:虐殺スレ1より205氏:虐殺SS(3/3) 投稿日:2004/11/20(土) 05:51 [ 0Yn0JbfA ]
- .
ガチャリ 「ただいま――」 なぎさとほのかが帰ってきました。
「あら?ミップルとメップルは?」 台所を見回しても2匹がいないのにほのかが気付いたようです。
「さあ〜〜またどっかで2人でイチャついてるんじゃないの?」 なぎさ、ある意味で正解です。
「お腹がすいたら出てくるわよ。それより早く終わらせようよ!」 「そうね」 そういって・・・
カチッ! ほのかは2匹が鍋の中にいるとはつゆ知らずガスコンロのスイッチを入れました。火力は強で。
一方鍋の中の2匹は・・・
「なぎさーー!鍋の中メポ!」 「蓋を開けるミポー!!」
しかし外には声が届きません。そして・・・
「んっ・・何か熱いメポ!」 「ま・・まさか・・」 そのまさかです。
「なぎさーーー!火を止めるメポ!中にいるメポ!」「ほのかーーー!!助けてミポーーー!!」
しかし鍋の重厚な蓋は完全し閉まっているため、声はなぎさとほのかには届きません。
「う〜ん おいしそうなニ・オ・イ」 「そうね」 2匹がどうなっているかも知らず呑気なものです。
「あ あついメポ〜〜〜」 「も、もうダメミポ〜〜〜」
2匹は溶けてあめになってしまいました。
そして数十分後・・・
「もういいと思うわ」とほのか。「う〜〜〜ん どれどれ〜〜〜?」
ガチャ・・・鍋の蓋を開けるとそこには・・・見事な狐色をした水あめがいっぱいです。
「わあ〜〜キレーイ」 「??」 「どうしたの、ほのか?」
「ちょっと量が減ってない?」 「そう?火にかけたからじゃないの?きっとそうよ」
そうやってムリヤリほのかを納得させるなぎさでした。
「さ〜〜〜て・・・肝心のお味のほうは・・・」
ぐちゅぐちゅ・・・ トロトロとした水あめをくしに絡めます。そして・・・
パクッ・・・早速口に入れたなぎさから出た言葉は・・・
「おーいしー こんなのアリエナーイ」 「本当?」
「うんっ ほのかも食べてみなよー」 「どうかしら?」 ペロリッ ほのかも試食します。
「わ〜本当だ!でも予想とは味が違うような・・・」 「へっ、どう違うの?」
「予想より・・・ずっとおいしいの!!」 「何それぇ?あははははは」 「うふふふふ・・・」
予想より上手くできたことに喜びを隠せないほのかですが、気になることが頭の中にあるようです。
(それにしてもメップルとミップルはどこに行っちゃったんだろう?)
今自分たちが食べている物体がそのメップルとミップルの変わり果てた姿だとはほのかは夢にも思いませんでした。
―――完―――
- 365 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/20(土) 05:53 [ 0Yn0JbfA ]
- 【虐殺スレ1より205氏:虐殺SS】
仮題「メップルシロップ」。どちらかというとネタSS風味の虐殺SS。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1077536398/222-227
たいていの虐殺SSでは、虐待する方のキャラがアニメ本篇のそれとは逸脱して
暴走していくわけですが、このSSでは、淫獣以外の登場人物、なぎさ、ほのか、共に
手を加えられずアニメの中でのキャラクターそのまま。どころか、お菓子の出来が良いのを
単純に喜ぶなぎさ、予想とは違った味なのを訝しむほのかなど、描分けも上手くできてる。
それではどうやって虐殺するのかしら?と思って読みすすむと──
鍋の蓋がしまっていると外に声が聞えないという状況設定の工夫で、
>「なぎさーーー!火を止めるメポ!中にいるメポ!」
>「ほのかーーー!!助けてミポーーー!!」
>「う〜ん おいしそうなニ・オ・イ」 「そうね」
水飴の鍋にハマったまま、思わず知らずで焼き殺されてしまう淫獣たちであったとさ。
ほかにも「なぎさ、ある意味で正解です。」「『ま・・まさか・・』 そのまさかです。」
「2匹がどうなっているかも知らず呑気なものです。」等、変に客観的な地の文が良いぜ。
- 366 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/20(土) 13:28 [ MWkN1zME ]
- 虐殺SSは飛ばしているんだが、好きで読んでいる人とかいるの?
そのスレ以外で。
- 367 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/20(土) 13:43 [ MWkN1zME ]
- 自分に都合のいい妄想をしているって点じゃ百合も虐殺も同じだろ、
別にテーマ限定してるんじゃないんだから我慢しとけ
- 368 名前:エロパロスレよりフリチラ氏/よし美先生結婚式パロディ(SS抜粋) 投稿日:2004/11/20(土) 18:50 [ 0Yn0JbfA ]
- .
・ ・ ・ ・ ・
結婚式当日は、抜けるような青空であった。まるで空までもが、嫁き遅れだった女教師が
片付いて、祝してくれているかのよう。しかし、この目出度い空気の中に、邪悪な存在が姿
を悟られぬよう、潜んでもいる。それは・・・
「角澤さん、今日は結婚式の司会かなんかで?」
「まあ、そんなとこ」
新たなる闇の力、角澤。彼は、よし美の結婚式場にも現れていた。ダークスーツに蝶ネク
タイ姿は、どうみたって司会のアルバイトって感じ。そして、式の参加者に見咎められた角
澤は、人気アナはつらいよ、なんておふざけを言っている。
(やつらの本当の力・・・見極める)
にこやかな顔の下に、そんな思いを込めている角澤。社員だからって、コキ使うんじゃねえ
よ!と、胸の内に呪詛の言葉が眠っていた。ああ、ご苦労様です・・・
「よし美先生のもとへ、急ごう」
「うん」
ザーメンシャワー・・・じゃなくって、ライスシャワーを浴びるよし美の元へ、急ぐふたなりプリ
キュア。手には、クラスの皆の想いが詰まった、キルト細工がある。なぎさとほのかは、肩を寄せ
合いながら、それを愛しむように、大切に抱えていく。と、その時──
「待て!」
全身タイツ姿のモジモジ君。そう、変態後・・・じゃなくって、変身後の角澤が現れたのである。
「あッ、角澤さんだ」
「今日は、司会か何かで?」
スーパーモッコリジャイアント、角澤の姿を見て、顔を綻ばせるふたなりプリキュア。ジャンル
は違えど、同局のよしみがあるのだ。すると、角澤も、
「いや、そうじゃないんだけど・・・なりゆき上、君たちと戦う事になってるんだ」
とほほ、と頭をかく。何というか、三人の間には、嫌な馴れ合いがあった。
「変身したほうがいいんですか?」
「頼むよ。適当でいいから・・・さ」
「じゃあ、ねえ・・・」
なぎさ、角澤、ほのかが息の合った遣り取りを終えると、突然透過光が辺りを包んだ。そして──
「デュアル・オーラル・ウェーイブ!」
光の国の戦士、ふたなりプリキュアのご登場と、相成ったのである。
「キュア・ホワイト、キュア・ブラック、それとなく参上!」
ほのかとなぎさは対に立ち、それぞれが名乗りを上げた。いつもながら、股間に聳え立つ陽根と
その間を繋ぐ鎖の禍々しさが、美しさを際立たせている。
「やんや、やんや」
ふたなりプリキュアの登場に、喝采を送る角澤。二人のふたなり少女が目前に立ち、互いの股間
を鎖で戒めているという姿が、どうにも悩ましくてならないのだ。
「では、ブルマー・スクリューでオチをつけますか」
「オーケー」
なぎさ、ほのか共に必殺技の構えを取る。白と黒の対比。それはまるで、体操服とブルマーの如し。
「いけーッ!」
二人がかざした手から、螺旋の光が放たれる。次の瞬間、角澤は──
「バイバイキーン!」
そう叫びながら、空の彼方へ吹っ飛んでいった。おざなりではあるが、番組の進行上止むを得ない
という、彼なりの判断である。
・ ・ ・ ・ ・
.
- 369 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/20(土) 18:51 [ 0Yn0JbfA ]
- 【エロパロスレよりフリチラ氏/よし美先生結婚式パロディ(SS抜粋)】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1075836650/732-733
「ふたりはプリキュア」……ならぬフリチラ氏の「ふたなりプリキュア」の世界では
苗字が同じだからというだけの理由で、角澤=テレビ朝日の角澤○治アナとのアホ設定。
なぎさ、ほのかにとってもテレビでいつもその爽やかな笑顔を拝見している人物、
戦い難い相手。此方はプリキュア、彼方は報道ステ○ションという番組を抱えて、
同局のよしみもある。自然、戦闘もぎこちなく、形ばかりのおざなりに。
「変身したほうがいいですか?」「それとなく参上!」「では、オチをつけますか」──
そして、お約束どおり空の彼方へ飛び去っていく、角澤の捨て科白は「バイバイキーン!」。
或る意味、西尾SDの言うプリキュアのテーマ「大人たちの社会の理不尽さ」を実感させてくれるSS。
(氏の新作を通して読みたい方はこちらのリンクから↓
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1075836650/730-737 ※21禁)
- 370 名前:プリッキュアスレより268氏:百合SS「告白記」(1/3) 投稿日:2004/11/20(土) 18:52 [ 0Yn0JbfA ]
- .
科学部で今日もがんばるほのか。
今日も他の部員が帰ってしまったのにも気づかず研究。
「ふぅー…」伸びをして日が傾いていることに気がつく
「いっけない!もうこんな時間!」
ふと部室を見回すと誰かが忘れたのだろうか?一冊の雑誌が…
何気なく手に取る。ティーン向きのファッション雑誌のようだ。
ぱらぱらぱら…
「この服カワイイ!なぎさに似合いそう!
こっちのボーイッシュなのもカッコイイな…」
さらにページをめくる…
<特集!!私たちのファーストキッス!読者からの告白体験談!!>
ぱたん!慌てて雑誌を閉じる。
きょろきょろと辺りに誰も居ない事を確認してもう一度開く。
私のファーストキスは13歳の夏でした。
私より年下でファーストキスって…
彼氏が急に宿題やろうって家に誘ってきたんです。
彼の家に行ったら誰も居なくて二人きり…
騙したのね?騙されちゃったのね?
彼の様子が変なんです。急に黙り込んだと思ったら、目が真っ赤で息を荒くして…
きゃー!逃げて〜逃げて!
突然、彼が私のペンを握る手を掴んで「いいよね?」って聞いてきたんです
駄目!駄目よ!絶対駄目!
恥かしかったけど…「いいよ」って答えたら押し倒されちゃって…
はゎゎゎゎ…
- 371 名前:プリッキュアスレより268氏:百合SS「告白記」(2/3) 投稿日:2004/11/20(土) 18:53 [ 0Yn0JbfA ]
- .
「ほ〜の〜かっ!何読んでんの?」
「きゃあああ!」慌てて雑誌を机に隠す。
「ゴメン!驚かせちゃった?熱心に本読んでるから…」
「な…なぎさ…何か用?」
「突然だけど、今日私の家で勉強会しない?…」
なぎさの家に着いてからも、先程の記事が頭から離れない。
なぎさが自分から急に勉強会しようなんて珍しい…まさか…!?
「亮太くんは?」
いつもならほのかが来ると飛びついてくるカワイイなぎさの弟。
「亮太なら今日はお友達と遊びに行って遅くなるって。
お母さんもご近所とお出かけ。
お父さんはお仕事で夜遅くまで帰ってこないんだ」
じゃあ今日はなぎさの家に二人っきりって事?
もしかしてなぎさの策略にはまってるの?喉がカラカラに渇いてくる。
―――ミップル〜!メップル〜!ポッポー!―――
あっそうか!この子たちが居たんだっけ…バカみたい。変な心配しちゃって…
「はいはいはい!あんた達は今日はオネムしててね〜!ほいっと!」
なぎさがネルプのカードを次々にスラッシュしてゆく。
ZZZZZ…ZZZ…すやすやぴ〜…
「今日は大事な用事があるんだから…」「大事な用事?」って何?
「宿題やらなきゃマジやばいの!」「宿題?」ホントにそれだけだよね?
「そうだ!宿題の前に」「宿題の前に?」やっぱりそうなのね!騙したのね?
「腹ごしらえしなくちゃね」「どてっ!」
「ほのかもプリン食べる?」「いらない」疲れる…
- 372 名前:プリッキュアスレより268氏:百合SS「告白記」(3/3) 投稿日:2004/11/20(土) 18:54 [ 0Yn0JbfA ]
- .
二人分のプリンをペロリっと食べると真面目に勉強に取り掛かかるなぎさ。
…考えすぎ!なぎさはオンナノコで私もオンナノコ。
そんなファーストキスとかそんな…私、何考えてたんだろう…
突然!なぎさがほのかのペンを持つ手を握ってきた。
えええ?やっぱり?キ…キタ―――!?そうなの?なぎさ!狙ってたの?私を?
なぎさの目は真っ赤に充血して息は荒い。
はゎゎゎゎ…本で読んだのと同じ…
「ほ…ほのか!もう私、我慢できない!いいでしょ?」
駄目駄目駄目!オンナノコ同士でそんなの駄目!でもなぎさなら…って絶対駄目!
いい?ほのか?しっかりするのよ!深呼吸して!すぅ〜はぁ〜すぅ〜落ち着け!私!
はっきりきっぱり断るの!せーの!
「…いいよ」
きゃ〜!私なに言っちゃってんの?もうなにがなんだか頭の中がなにしてあれで…
ぐいっとなぎさがほのかの肩を掴み、
「じゃあ…いくよ!」
ぁぁ…も…もぅ…駄目…はぁ…好きにして…力が抜けるぅ…なぎさ…優しくしてね…
わたしのファーストキス。なぎさとキス…初めてのキス…
なぎさに身を任せくちびるをつんっと突き出して身構える…
「じゃあ行って来る!」なぎさがほのかを突き飛ばすように立ち上がると
どたばたどすどす 部屋を出て行ってしまう。
「…え?」
トイレのドアが開く音閉じる音。なぎさの小さなため息。
かちゃ、じゃばじゃばしゃばばばばばば…水を流す音。
とすとすとす…
すっきりした顔でなぎさが部屋に戻ってくる。
「ふぅ〜…やばかったぁ、さすがに私の鉄の胃袋も
三日前のプリンはやばかったみたいあはは!」
「あははは!おかしいね!なぎさ!あはははは!」
あはは…ほのか?なにがおかしいの?ぽかぽか!痛い痛い、
あはは…ほのか?笑いながら怒ってない?ぽかすかぽこ!痛いって!
グーパンチは止めてって!ぽかぽこぽこ!マジ痛い痛い!
ちょっとちょっとコブラツイストなんていつ覚えたのよ?
痛い痛い痛いっほのか!?マジ意味わかんない!!!
おしまい
.
- 373 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/20(土) 18:55 [ 0Yn0JbfA ]
- 【プリッキュアスレより268氏:百合SS「告白記」】
( ゚Д゚)<素晴らしすぎ
( ゚Д゚)ノhttp://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/268-272
( ゚Д゚)<分析的に言うと
( ゚Д゚)<ほの→なぎ片想いがゆえの相手の心理の過度な忖度
( ゚Д゚)<がモティーフ
( ゚Д゚)<なのですね
( ゚Д゚)<「…考えすぎ!そんな…そんな…私、何考えてたんだろう…」
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<読後大いに笑うべき愉快なネタ系SSですけれども
( ゚Д゚)<なんだか切ない
- 374 名前:833@ 投稿日:2004/11/23(火) 00:39 [ JzetgyGc ]
- まだ書き途中ですが金曜日を投下します。
(全部まとめてだと恐ろしく長くなりそうなので。)
- 375 名前:833@ 投稿日:2004/11/23(火) 00:40 [ JzetgyGc ]
- 金曜日…………。
ジリリリリリリリ
時刻は六時丁度。雪城ほのかが目を覚ました。
体の調子は悪くない。どうやら風邪も完全に治ったようだ。
カーテンを開けると陽光が部屋の中に差し込んでくる。
ぐんと体を伸ばす。今までの疲れがほとんど取れていた。
ガラリと窓を開けてほのかはベランダの外へ出た。
ほ「う〜ん、良い朝……。」
ほのかはベランダから見える風景を眺めていた。
まだ少し暗い空が冬が近いということを示していた。
人気の少ない道路。鳥のさえずり。何気ない風景が今のほのかにとってはどこか新鮮であった。
ほ「少し寒いかな……。」
ほのかは両手を擦り合わせるように部屋の中へと引き返す。
部屋の中では美墨なぎさが幸せそうな笑顔で眠っていた。
な「ほのかってば〜。チョコアイスがいいって言ったのに…。」
ほ「……………。本当になぎさってどんな夢見てるのかしら?」
ほのかがなぎさの部屋に泊まるようになって今日で五日目だが未だにわからないことである。
ほのかは一人制服に着替え軽やかな足取りで部屋を出た。
一人のキッチンで軽く歌いながら朝食を作るほのか。
まるでなぎさのために朝食を作ることが楽しくて仕方が無いような様子である。
り「あ、ほのかさん。おはようございます。もう平気なんですか?」
ほ「おはよう亮太君。もう平気よ。心配かけちゃったかな?」
り「いえ、そんなことないです。」
亮太はそう言うとテーブルに座る。なぎさが起きてくるまで亮太と二人で朝食を取るのが習慣になっていた。
ジリリリリリリリリ
時刻は六時半。そして美墨なぎさが目を覚ます。
な「ん……。もうこんな時間か……。」
なぎさは体を重そうに起こし立ち上がる。
な「よし!行くか。」
制服に着替え部屋を出る。
テーブルに座りいつも通りほのかと亮太が食事をしていた。
な「おはよう、ほのか。もう大丈夫なの?」
ほ「うん。もう大丈夫。心配かけちゃってごめんね。」
な「ううん全然。早く治って良かったよ。」
り「もうお粥ばっかり食べられないもんね。」
な「うるさい。」
ゴツンと一回亮太の頭に拳骨を落とす。
ほ「はい、なぎさ。」
ほのかは焼きたてのトーストをなぎさに渡す。
本日の朝食はトーストにサラダ、ベーコン、オムレツ、スープな洋食風のものであった。
な「なんか食事に関してはずっとほのかに頼りきりだったよねぇ〜。」
ほ「そんなことないわよ。なぎさの作った炒飯もお粥も美味しかったよ。」
な「はは、ありがとう……。」
そして三人での賑やかな朝食が続いた。これももう見慣れた光景である。
- 376 名前:833@ 投稿日:2004/11/23(火) 00:40 [ JzetgyGc ]
- ほ「それじゃあ行ってきます。」
な「鍵ちゃんとかけるのよ。」
り「わかってるよ。じゃあ行ってらっしゃい。」
バタンとドアが閉じる。
な「なんかたった二日前のことなのに、一緒に登校するのが久々に思えるよ。」
ほ「不思議ね…。」
な「うん。」
いつもと同じ登校風景。少しばかり二人の間で変化があったようだった。
志「雪城さん。なぎさ〜。おはよう。」
莉「おはよう〜。」
な「おはよう。」
ほ「おはよう。」
気軽に朝の挨拶を交わす。しかし志穂と莉奈はどこか気まずそうだった。
ほ「どうかしたの?」
志「べ…別に……。」
莉「う…。うん。何でも無いよ。」
な「そう?」
莉「うん。」
そして四人は学校へと向かった。
キーンコーンカーンコーン
授業終了のチャイムが鳴り響く。
な「はぁ〜、お腹空いた〜。」
ほ「お疲れ様。」
笑顔で弁当箱を二つ持ったほのかが近づいてくる。
ほ「なぎさ、屋上行かない?」
な「え…。寒くない?」
ほ「大丈夫よ。今日は晴れてるし。」
な「じゃあ行こっか。」
ほ「うん。それに……。大事な話もあるの……。」
いつになく真剣な表情ほのかが言った。
な「大事な話?」
なぎさはただ不思議そうに聞き返す。
ほ「そう。屋上で話すわ。」
な「……わかった。じゃあ私はトイレ行くから、ほのか先に屋上行ってて。」
ほ「うん、わかった。……………ねぇ、なぎさ。」
な「な…何?」
ほ「絶対に……。一人で来てね。」
な「え……、うん。わかった……。」
ほのかが先に教室を出る。なぎさは立ち上がると教室を出てトイレに向かう。
ガチャ
なぎさは屋上へのドアを開けて屋上に出る。
ほ「なぎさ、遅いよ〜。」
な「ご…ごめんね。」
なぎさはほのかの横まで歩いていきその場に座る。
ほ「はい、お弁当。」
な「ありがとう。」
ほ「今日は腕によりをかけて作ったから。」
なぎさは話を聞く前から既に蓋を開けている。
な「わ〜。凄い美味しそう……。」
弁当の中には色とりどりのおかずが入っていた。
な「いただきます。」
なぎさは両手を合わせて猛烈な勢いでお弁当を食べ始める。
その様子を横から微笑んで見ているほのかもゆっくりと食べ始める。
- 377 名前:833@ 投稿日:2004/11/23(火) 00:41 [ JzetgyGc ]
- な「ふぅ、ごちそうさまでした。」
ほ「おそまつさまでした。」
な「う〜ん、今日のは特においしかったよ。ほのか。」
ほ「そう言ってもらえると作った甲斐があるから嬉しいよ。」
な「それで……。大事な話って……。」
ほ「そうね…、言わないとね…。」
ほのかは静かに立ち上がり遠くを見つめる。
な「ほのか……?」
なぎさは不思議そうに立ち上がる。
ほのかは黙って振り返りなぎさに向かい合う。
ほ「なぎさ……。」
な「な…何?」
ほ「私ね…。」
な「う…うん。」
ほ「私…………。」
な「……………。」
ほ「好きなの…。」
な「え…?」
ほ「なぎさのことが……。」
な「………。」
ほ「好きなの…。」
ほのかは静かにもう一度だけ繰り返した。
な「……………。」
ほ「……………。」
お互いに何も言わずにただ黙って向き合う。
ほ「なぎさは…、私のこと嫌い?」
な「き…嫌いなわけないよ。私、ほのかのこと大好きだよ…。」
ほ「………。」
な「で…でも……。」
ほ「でも…?」
な「急に…、急にそんなこと言われても……。」
ほ「急じゃない…。」
な「え…?」
ほ「急じゃないよ…。」
な「急じゃない?」
ほ「日曜日になぎさに会って…、一週間泊まってお手伝いをするって言った時に…。
「決意したの。一週間以内に自分の想いを伝えよう。って…。」
な「嘘……。」
ほ「本当よ。本当はもっと早く言おうと思っていたけど…。」
な「そんな………。」
ほ「わかっていると思うけど…。なぎさが好きっていうのは…。」
な「わかってる!わかってるよ………。でも……。」
ほ「でも……。何?」
な「だって…、そんな……。」
ほ「なぎさ。私は真剣よ。だからこそなぎさにここに来てもらったんだから。」
な「それは…、わかってるよ…。」
ほ「だったら…。」
な「だって!そんなこと急に言われても……。」
ほ「お願いなぎさ。答えて欲しいの。」
な「答えてって…、困るよ。そんなのダメだよ…。」
静かに…、しかしそれは確かになぎさの口から出た拒絶の意志…。
な「だって……。」
なぎさが続きを言おうとしたその時……。
「ちょっと莉奈。あんま押さないで。」
「志穂、危ない。わわわ!」
ドシーン
志穂と莉奈が屋上の床に倒れこむ。
ほ「あ…。ちょ……。ど…どうしてここに…?」
志「え……、あ、いや…。」
莉「これは……その……。」
ほ「聞いてたの?」
志「……………。」
莉「……………。」
ほ「聞いてたのね…。」
静かに、しかし怒りの伴ったような声でほのかが言った。
な「待ってほのか!二人は悪くないの!」
なぎさがほのかを止めに入る。
ほ「え…?」
な「私が頼んだの。不安だから近くで見て欲しいって…。」
ほ「本当なの…?」
な「うん……。こんな風になるような気がしてたから…。」
ほ「そ…そんな……。」
志「なぎさ!」
な「いいの。」
ほ「酷い……。」
な「…………。ごめん。」
ほ「こんな風になる気がしたって…。じゃあ…、三人で私を笑おうとでも思ってたってこと!?そんなの酷い!酷すぎる!!」
ほのかはそのまま駆け出す。
な「ほのか!待って!!」
なぎさはほのかを追いかける。
すぐに追いつきなぎさがほのかの手を掴む。
ほ「は…離して!」
な「ほのか、待って。」
ほ「嫌……、嫌!」
ほのかがなぎさの手を振り払う。
な「あ…。」
そしてその時ほのかのその表情を見たなぎさは思わず動きを止める。
それはほのかが示した拒絶の意志…。
手を離されたほのかは廊下を走り階段を駆け下りて姿を消した。
な(ほのか…。泣いてた……。)
泣き顔を見てしまいなぎさはそれ以上ほのかの動きを止めることが出来なかった。
遅れて莉奈、そして志穂がなぎさに追いつく。
志「なぎさ……。」
莉「ごめん。私達が……。」
な「ううん。二人とも悪く無いよ。もともと私が悪いんだから。」
志「なぎさ…。でも……。」
な「そろそろ戻ろう。お昼休み…終わっちゃうよ……。」
莉「……………。」
そして昼休みが静かに終わった……。
- 378 名前:833@ 投稿日:2004/11/23(火) 00:42 [ JzetgyGc ]
- キーンコーンカーンコーン
授業が終わるとすぐになぎさは立ち上がる。
しかし既にほのかの姿は教室には無い。
なぎさは教室を出てひたすらにほのかを探し続ける。
廊下、トイレ、屋上。ほのかが行った可能性のある場所を全て探す。
な「いない……。」
どこへ行ってもなぎさの第一声はそれだった。
ほのかの姿はどこにも見当たらない…。
短い休み時間はすぐに終わりを告げ、なぎさは教室へと引き返す。
な「ふぅ…。」
溜め息をついて着席するなぎさ。やがてほのかが教室に戻ってきた。
な「ほのか…。」
なぎさが立ち上がりほのかの元へ行こうとする。
しかしどれと同時に教師が教室へと入ってくる。
授業が始まり、なぎさがほのかに近づくことは出来なかった。
なぎさはただほのかの方向を見つめる。
一方ほのかはひたすらなぎさと視線を合わせないように前を向き授業を受けていた。
なぎさはほとんど、いや全く授業の内容が耳に入っていなかった…。
キーンコーンカーンコーン
これで今日一日の授業は全て終わった。
なぎさはすぐに立ち上がる。しかしほのかがすぐに教室を出ようとする。
鞄が無いことからどうやら教室には戻ってこないことは明らかだった。
な「ほのか!」
なぎさが大声で叫ぶ。あまりに大きな声だったのでクラスの全員が驚き一度動きを止める。
ほのかはクラスの反応に堪えられないように教室を走って出る。
なぎさはすぐにその後を追って教室を飛び出す。
な「ほのか!待って!」
ほのかの動きは止まらない。全速力で廊下を走り階段を駆け下りて行ってしまった。
もう追いつけないということは明らかだった。
志「なぎさ……。」
その様子を心配そうに見ていた志穂が話しかける。
莉「なぎさ…、大丈夫?」
な「大丈夫だよ…。家に帰ってからじっくりと話し合う。」
志「でもでもでも……。」
な「さぁ、部活行こう。もうすぐ試合が近いんだから…。」
ほのかのことは当然気になる。しかしラクロス部のエースであるということも忘れてはいけない。
そしてなぎさは志穂、莉奈とともにラクロス部へと向かった。
だがこんな精神状態で臨んで上手くいくわけが無かった。
なぎさの動きは決して悪いというわけではない。しかしエースとしては不満の残る動きに終始した。
弓「なぎさ。試合は明後日なのに大丈夫?」
な「す…すみません、先輩。」
弓「まあ、明後日までには調子戻しておいてね。」
な「はい…。」
弓「それじゃあ今日はここまで。明日は午後からやるから2時に集合。」
そして金曜日の部活動は終わった。
水道で水を飲み顔を洗う。
な「はぁ…。」
志「なぎさ……。」
莉「大丈夫?」
な「うん…。試合までには何とか…。」
志「そうじゃなくて!」
莉「ほのかとのことよ!」
な「大丈夫。それも…。家に帰ってから。」
志「甘い甘い甘い。」
莉「それでいいわけないでしょ。」
な「え…。」
志「雪城さん。きっとなぎさのこと待ってるよ。」
莉「行ってあげなって。」
な「でも私……。」
志「口ではああ言ってても絶対待ってるよ。」
莉「今度は逃げられないようにしっかり捕まえるのよ。」
な「志穂…、莉奈……。」
莉「早く行ってあげなよ。」
志「そうそうそう。」
な「…………。」
なぎさは暫く黙っていたがすぐに決意したように言った。
な「わかった!」
莉「それでこそなぎさよ。」
志「うん。悩んでるなぎさなんてなぎさじゃないよ。」
な「なんかちょっと引っかかるけど…。じゃあ行ってくる!」
なぎさは一人夕日に向かって走り出す。
莉「ちゃんと仲直りするのよ。」
な「うん!」
- 379 名前:833@ 投稿日:2004/11/23(火) 00:42 [ JzetgyGc ]
- 志「なぎさ…。行ったかな?」
莉「多分。それにしても本当に手間がかかる二人ね…。ねぇ志穂。」
莉奈がチラリと志穂の方を向く。
そこには涙を流して立っている志穂の姿があった。
莉「し…志穂?ど…どうしたの?」
志「え…?あ、あれ…。おかしいな。なんで泣いてるんだろ?」
莉「し…、志穂…。まさか…。」
志「お…おかしいよね…、こんなの…。」
莉「志穂、なぎさのこと……。」
志「……………。」
志穂は暫く黙っていたが静かに言った。
志「うん。そうだと思う。」
莉「そんな…、じゃあなんであんなこと!」
志「てゆーか…。なぎさのこと嫌いな子なんているのかな?」
莉「え……。」
志「なぎさって…。アホでガサツだけど…、凄く女の子っぽいところもあるし…。」
莉「うん…。」
志「優しいし…。かっこいいんだよ…。」
莉「いつから…?」
志「ラクロス部に入部して暫くしてから…。一年生なのに活躍してるなぎさを見てさ…。」
莉「そうだったんだ…。」
志「だからだからだから……。私…、雪城さんになぎさを取られたような気がしてさ…。」
莉「……………。」
志「正直…、少し悔しかったんだ……。」
莉「今も……?」
志「今は…。そうでもないかな…。なぎさの気持ちがどこにあるかってハッキリしたし…。」
莉「……………。」
志「それが私じゃないってのもわかったからさ…。少し悲しいしちょっと寂しいけど…。」
莉「そうだったんだ…。」
志「うん。」
莉「志穂も……。私と一緒だったんだね。」
志「え…、私とって…。まさか莉奈もなぎさのこと?」
莉「ううん。」
志「?」
莉「ほのか……。雪城さんのほう…。」
志「えええええええええええええ!?」
莉「といっても…、私の一方的な片思いだけどね……。」
志「き…気づかなかったよ……。そんなの。」
莉「私も気づいたのは最近だよ。まさか自分がそうだなんて思わなかったからね。」
志「いつからいつからいつから?」
莉「志穂がラクロス辞めるって言ったことがあったでしょ…。」
志「あ……。うん……。」
莉「その時さ…、私志穂とケンカしちゃったでしょ。」
志「そうだったね…。」
莉「その時に。ほのかが私の相談に乗ってくれたの。」
志「へぇ…。」
莉「意識するようになったのはあの時からかな〜。」
志「そういえば今も雪城さんのこと名前で呼んだよね。いつから名前で呼び合ってるの?」
莉「それが本人の前では一回も無いんだよね〜。」
志「え〜〜。なんでなんでなんで?」
莉「なんでって…。もともとクラスメイトだってだけだったし…。なぎさが居なければそんなに話すことも無かっただろうし…。」
志「そっか〜。」
莉「自分でも気づかないくらい凄い勢いで雪城さんに惹かれてた。」
志「でも…、雪城さんは…。」
莉「それはもうわかってたよ…。雪城さんは……。ほのかはなぎさが好きだって……。」
志「莉奈。鋭いんだね…。」
莉「何言ってるのよ。同じ屋根の下で暮してて好きじゃないわけないじゃない。」
志「それもそうだよね。」
莉「私達…、同じタイミングで失恋したよね。」
志「うん。これって凄い偶然じゃない?」
莉「そうねぇ…。でも偶然っていうのかな?」
志「偶然よ。きっと何かの縁があったのよ。」
莉「縁か……。」
莉奈は少し間遠くを見つめその後志穂と真正面に向き合った。
志「どうしたの。莉奈?」
莉「私さ…、ほのかのこと好きだけど…。志穂のことも大好きだよ……。」
消え入るような声で言った。
志「……………。」
莉「今こんなこと言うの…。ちょっと調子良すぎるかも知れないけどさ…。」
志「奇遇……だね。」
莉「え…?」
志「私も私も私も……。なぎさのこと大好きだけど……。莉奈のことも大好き!」
莉「志穂……。」
志「ずっとずっとずっと…。莉奈と一緒に居たいと思うよ。」
莉「ありがとう…、志穂……。」
志「ちょ…、莉奈…。そんな涙ぐまないでよ…。」
莉「ご…ごめんごめん。」
志「これからもよろしくね。莉奈。」
莉「うん!」
志「じゃあ一緒に帰ろうか?」
莉「うん………。あ、そうだ。アカネさんのたこ焼き食べに行かない?」
志「賛成賛成賛成。行こう!」
莉「じゃあ行きますか?」
志「うん!」
自然と繋がった二人の手……。さてひとまず一件落着か?
- 380 名前:833@ 投稿日:2004/11/23(火) 00:43 [ JzetgyGc ]
- ア「あんた達……。なんかちょっと変わった?」
たこ焼きの店主でありラクロス部のOGでもある藤田アカネがベンチに座りたこ焼きを食べるが二人に訊ねる。
冬が近いせいか既に夕日が沈みかけてあたりは暗くなり、星が輝き始めていた。
莉「え……、そうですか?」
志「特には変わってないよね〜。」
ア「そう……。まあ以前から二人でたこ焼きあ〜んさせあうようなことは確かにしてたけど…。」
軽く首をかしげて疑問を続ける。
ア「なんかちょっと今までと違うんだよね〜。」
莉「全然何でもないですって…。」
志「そうですよ〜。」
ア「そう?ならいいんだけど……。あ、それはそうとさ。」
莉「はい。」
ア「なぎささ…、何かあったの?」
志「え…、なぎさがどうかしたんですか?」
ア「なんか随分と慌てた様子でさ〜。ほのかが来てないかって。」
莉「それで……。」
ア「うん、今日は来て無いよって言ったらまた走ってどっか行っちゃったんだ。なんか知らない?」
志「う…うーん。」
莉「なぎさの暴走は今に始まったことじゃないし…。」
ア「なんかあったのかね、あの二人……。あっとお客さんだ。」
アカネは走って屋台の方へと戻っていった。
莉「なぎさ…、頑張ってるみたいだね…。」
志「うん…。」
莉「あの二人……。上手くいくかな…。」
志「行かなきゃ困るよ。せっかく私達が身を引いたんだから…。」
莉「何言ってるのよ。一方的に振られたくせに…。」
志「なによ〜。見込みの無い片思いよりはマシでしょ!」
莉「なにを〜!こいつぅ〜!」
莉奈が志穂の体を抱きかかえる。
志「あはは。ごめんごめん。」
ア「あんたら何やってるの?」
お客の対応を終えて再び戻ってきたアカネが訊ねる。
ビクっという擬音とともに二人の動きが止まり体が離れる。
志・莉「あ……。あはははははは………。」
ただただぎこちなく笑うしかない二人だった。
ア「やれやれ。なぎさとほのかといい最近は店の前でいちゃつくお客ばっかりだね…。あっと、またお客さんだ。」
再びアカネは屋台へと戻っていった。
志「とにかくとにかくとにかく。あの二人は絶対上手くいかなきゃダメだよ!」
莉「そうだね。きっと二人ともお互いのこと信じあってるハズだもんね。」
志「きっと上手くいくよ。」
莉「そしたら……。今度はダブルデートでも誘う?」
志「あ、いいねいいねいいね〜。」
莉「でもあの二人。人前でも気にしないでイチャイチャしそうだよね〜。」
志「そしたら私達も負けずに対抗しよう。」
莉「何を対抗するの?」
志「こうやって〜。」
志穂が莉奈の腕に抱きつく。自然と腕を組む二人になった。
志「なぎさに見せつけてやるの。」
莉「ちょっと志穂……。」
志「え、何何何?」
莉「さすがにこれは…。」
組まれた腕に目をやり莉奈が恥ずかしそうに言う。
志「何言ってるの。これくらいはやらなきゃ!」
莉「そ…そう?」
ア「あんたらイチャイチャするなら別の場所に行っておくれ……。」
営業妨害だと言わんばかりにアカネが言う。
志「わわわわわ!」
莉「い…いつの間に……。」
ア「あんたらね。仲が良いのは結構だけどTPOってものを考えなさいよ。」
莉「は…はい……。」
志「ボソボソ(莉奈…、TPOってどういう意味?)」
莉「え…え〜っとね…。」
志「なになになに?」
莉奈の口元に思い切り顔を近づける志穂。
ア「あんた達、人の話聞いてる傍からいちゃついて……。はぁ…。」
アカネは呆れるようにしてその場を去った。
再び二人きりになる志穂と莉奈。
志「大丈夫かな…、なぎさ…。」
莉「大丈夫。信じようよ。なぎさとほのかを……。」
志「うん。そうだね……。」
莉「あ……、流れ星……。」
志「え!?どこどこどこ?」
莉「ほら……。」
志「ほ…本当だ!お祈りしなきゃ!」
志穂は慌てて目を閉じ両手を合わせる。
莉奈も少し遅れて同じことをする。
先に目を開けた莉奈がまだ目を閉じて何かを祈っている志穂を見つめて黙っている。
やがて志穂も目を開けた。
莉「何を……、お祈りしたの?」
志「色々。でも一番最初にしたのは……。」
莉「したのは?」
志「なぎさとほのかが仲直り出来ますようにって……。」
莉「奇遇だね。私も同じこと祈ったよ。」
志「へぇ、こりゃ奇遇だね。」
莉「本当ね。」
そして二人は手を繋いだまま空に輝く星を見つめ祈った。
(なぎさ……、頑張れ……。)
- 381 名前:833@ 投稿日:2004/11/23(火) 00:44 [ JzetgyGc ]
- とりあえずここまでです。
なんかしほりーなのSSみたいだな〜w。
完結まであとわずかです。
- 382 名前:( ゚Д゚)ノ 投稿日:2004/11/23(火) 02:50 [ 4zfCBfhc ]
- >>375-380
( ゚Д゚)<んおー
( ゚Д゚)<いつもどおりマターリした氏のSSで
( ゚Д゚)<のんびりのどかに読めますねえ
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<と
( ゚Д゚)<思いきや
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<う
( ゚Д゚)<うお
( ゚Д゚)< うおおおおおー > (゚Д゚ )
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<チクショー
( ゚Д゚)<もう「個人的に」とかなまぬるい注釈は要らーん
( ゚Д゚)<素晴らしい
( ゚Д゚)<イヤマジで
( ゚Д゚)<もはや何がなんだかわからないくらいグレイト
( ゚Д゚)<はっきり言うわ
( ゚Д゚)<40話よりオモロイ
( ゚Д゚)<詳しい感想はまたのちに書きますです
( ゚Д゚)<とにかくワタシも、信じまする
( ゚Д゚)<なぎさとほのかを
( ゚Д゚)<・・・
- 383 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/23(火) 02:51 [ 4zfCBfhc ]
- >>382
( ゚Д゚)<もちつけ
- 384 名前:833@ 投稿日:2004/11/23(火) 23:37 [ fp5ba9Qo ]
- な「ハァハァハァハァ………。」
なぎさは未だに走り続けていた。ほのかはまだ見つからない。
あの後多くの場所を回ったがほのかはどこにも居なかった。
そして次に向かう場所は……。
今のなぎさが一番行きたくなかった場所である……。
……………。
なぎさが最初に向かったのは科学部の部室だった。普段のほのかなら間違いなくそこにいるはずだった。
な「ユリコ。ほのかのこと見なかった。」
ユ「え…、ほのか?今日は来て無いけど……。」
な「そっか…、ありがとう…。」
ユ「なに?ケンカでもしたの?」
な「え…、ま…まあね。」
ユ「早く仲直りしなよ。それと、ほのかのこと傷つけたら許さないよ。」
な「ははは、わかってる…。」
ユ「ならよろしい。」
な「それじゃあね。」
ユ「うん。」
なぎさは再び走り出した。
……………。
次になぎさが向かったのは科学部の部室の次にほのかが居る確率が高いであろう図書室。
な「聖子、唯。ねぇ、ほのか来なかった?」
唯「え…。今日はここには来て無いけど……。」
聖「どうしたの、急に?」
な「ううん。ほのかが来て無いんだったらいいの。じゃあ」
唯「ちょっと待って!」
な「え…、な…何?」
唯「さっき真由が見たって言ってたんだけど…。」
な「本当!?」
聖「うん。ただそう言ってたよ」
な「ありがとう!!」
唯・聖「しーーっ!」
な「あ…、ご…ごめんごめん…。」
なぎさは再び走り出した。
……………。
今度はなぎさは美術室へと向かう。普段美術部の活動している場所である。
な「真由!」
ガラリとドアを開けて大声で名前を呼ぶ。
と美術室で部屋を描いている一団がいっせいになぎさの方向へ視線を向ける。
な「あ…、すいません。」
なぎさはペコリと謝り部員でありクラスメートである真由の下へと向かう。
同じ轍を繰り返さないように小声でなぎさは話しかける。
な「真由…。ほのかがどこ行ったか知らない?」
真「え…、どうして?」
な「どうしても…。」
真「あの…、どこ行ったかはまではわからないんだけどね。」
な「うん。」
真「トイレに行ったときにバッタリ会ったの。」
な「それで…?」
真「なんか…。私の顔見て…、すぐに走り出しちゃって……。」
なぎさと似ている髪形をしている真由を見て勘違いしたのだろう…。
な「どっちの方向に行ったかはわかる?」
真「多分…、家庭科室の方だと思うんだけど…。」
な「わかった…、ありがとう。」
なぎさは静かに美術室内を歩き、ドアを開ける。
ドアをピシャリと閉めると全速力で駆け出した。
……………。
そしてなぎさは家庭科室へと向かう。
な「夏子、京子。ねぇ、ほのか見なかった?」
夏「え…、ここには来てないけど…。」
京「うん。」
な「そっか……。」
夏「どうしたの?そんなに慌てて?」
な「ごめん。急いでるから。」
京「あ、なぎさ!」
な「何?」
京「藤村先輩なら知ってるかも…。」
な「え…。」
夏「そうだ、藤村先輩と一緒に居たかも知れない。」
な「本当!?」
夏「た…、多分……。」
な「そっか。ありがとう。」
京「藤村先輩は多分もう家に帰ってるハズだよ。」
な「わかった!」
再びなぎさは全速力で走り出した。
……………。
電車に駆け込み若葉台へと戻る。
な「はぁ……はぁ……。」
吊り革を掴みながら息を切らす。
運動部で鍛えた体ではあるがずっと全速力を続けていればもちろんバテる…。
若葉台へ到着したなぎさは再び全速力で走り出す。
途中公園に寄りアカネにほのかが来ていないか訊ねたが予想通り来ていないという返事だった。
……………。
- 385 名前:833@ 投稿日:2004/11/23(火) 23:38 [ fp5ba9Qo ]
- な「ふぅ…。」
そしてなぎさは到着した。
今一番行きたくなかった場所。
二週間程前に突然の告白をしてきたあの人。藤村省吾のいる家。
二週間、なぎさは藤村を避け続けた。
告白された返事は、どうしてもすることが出来なかった…。
なぜかは自分でもわからないままでいた。ずっと好きだったハズの人だというのに…。
そしてなぎさはようやく決意をした。
ピンポーン
何度も躊躇いながら…、勇気を振り絞りチャイムを押す。
藤「はい。」
な「あ…、み…美墨……です……。」
藤「美墨さん!?」
とても意外そうだという声をあげて藤村が返事をする。
藤「ちょっと待って…、すぐ行くよ!」
ガチャリと音声が切れる。
一分もたたないうちに藤村省吾が家から出てきた。
藤「どうしたの?美墨さんのほうから訪ねて来てくれるなんて……。」
な「あの……、先輩。今日…、ほのかのこと見ませんでしたか?」
藤「え…、ほのか…?学校で一回あったけど……。」
な「本当ですか!?」
思わず藤村に詰め寄るなぎさ。
藤「う…うん。なんだか元気が無い感じだったけど…。」
な「そ…そうですか……。」
藤「ねぇ、美墨さん。」
な「は…はい。」
藤「この前の……。返事を聞かせて欲しいんだ。」
な「……………。」
藤「オレは…、美墨さんのことが……。」
な「先輩!」
藤「な…なに?」
な「私……。その……。」
藤「うん。」
な「ごめんなさい……。先輩とは……。つきあえません…。」
藤「……………。」
な「……………。」
藤「そっか……。」
な「ごめんなさい。」
藤「いや、いいよ。」
なぎさが静かに言った。
「私、先輩のこと好きだったと思います。
でもそれは…。好きとかそういうのじゃなくて…、単なる憧れだったような気がします。
確かに!……ドキドキするようなこともあったし、本当に好きだったのかも知れません。
でも今は……。」
藤「他に好きな人がいるの?」
な「……………。」
なぎさはただ黙って頷いた。
藤「そっか…。残念だな。とうとう美墨さんの心を射止めることは出来なかったか…。」
な「本当に……、ごめんなさい。」
藤「ううん。美墨さんがオレを好きだったかも知れない時にチャンスを逃したんだ。オレの自業自得だよ。」
な「先輩なら……。きっと私なんかよりもっと素敵な人が見つかると思います。」
藤「ありがとう美墨さん。そう言ってもらえると元気が出るよ。」
な「先輩……。」
藤「わかってるよ、ほのかのことだろう。」
な「はい…。」
藤「学校で一度会ったんだけど、随分と元気が無かったんだ。」
な「……………。」
藤「何かあったのかと思って聞いたんだけど、大丈夫って答えたきりで…。」
な「そうですか…。」
藤「美墨さん、ほのかとケンカしたの?」
な「……………。はい。」
藤「そうだなぁ…。ねぇ、美墨さん。ほのかと過ごした思い出の場所ってある?」
な「え……?」
藤「昔さ…、オレがほのかとケンカして、ほのかが居なくなったことがあったんだ。」
な「そんなことが……。」
藤「その時……。ほのかはオレと初めて出会った思い出の公園に居たんだ。」
な「…………。」
藤「だから…。もしかしたらだけど、美墨さんがほのかとの何か大事な思い出のあった場所に居るかも知れない。」
な「わかりました、ありがとうございます。」
藤「ほのかが羨ましいな…。」
な「え…………?」
藤「いや、そんなに美墨さんに心配してもらえてさ……。」
な「え、そ…そんなの……。」
藤「じゃあ美墨さん。ほのかとは早く仲直りしてくれよ。」
な「はい、ありがとうございます、先輩。」
藤「うん、それじゃあ。」
なぎさは振り返り再び走り出そうとする。
藤「美墨さん!」
なぎさは動きを止めて藤村省吾と向かい合う。
藤「オレ……、美墨さんのことを好きになれて良かったよ。」
な「……………。」
一度黙って、そしてなぎさも笑顔で返事をした。
な「私も…、私も先輩のこと好きになって良かったです。」
藤「だから…、美墨さんには幸せになって欲しい。」
な「え…?」
藤「だから今は…。美墨さんとほのかが早く仲直り出来たらいいなって思う。だから頑張って。」
な「ありがとうございます。」
なぎさは一礼してその場を後にした。
やがてなぎさが消えていった方向を見つめるように呟いた。
藤「あ〜あ…。ふられちゃったよ……。まあ、仕方ないか……。」
そして藤村省吾は家の中へと引き返して行った。
- 386 名前:833@ 投稿日:2004/11/23(火) 23:38 [ fp5ba9Qo ]
- な「ただいま!」
時刻は7時半を少し過ぎた頃…。
り「お帰りなさい。随分遅かったね…。」
な「亮太。悪いけどまたすぐ出かける。」
り「ええ!?晩御飯は?」
な「てきと〜にカップ麺でも食べといて。私達の分はいらないから。」
り「お姉ちゃん、ほのかさんは?」
な「もう少ししたら帰って来る。」
り「ん、わかったよ。」
な「ちゃんと鍵かけとくのよ。あ、チェーンは開けとくのよ。」
り「は〜い。」
な「じゃあ行ってくるから。」
なぎさは鞄と荷物を置いて制服姿のまま家を出る。
り「行ってらっしゃい。」
なぎさは走ってあの場所へ向かった。
藤村省吾から得たアドバイスを元に。
な(私と…、ほのかとの思い出の場所……。)
遊園地、河原……。なぎさが考えた二つの思い出の場所。
そしてなぎさは真っ直ぐに河原の方へと向かった。理由などは無い。
な「ん?」
走っているなぎさが動きを止める。
な「なんだろう……?」
空から降り注ぐ一筋の光。
なぎさにもそれが流れ星であることは容易に理解出来た。
な「流れ星だ……。」
なぎさはその場に立ち止まり目を閉じ祈った。
な(ほのかが無事でいますように……。)
純粋に、ただ純粋にほのかのことが心配であるというなぎさの心情の現われだった。
な(それから……。)
それから……。
続きを祈ろうとして止めた。
な「違うよ…。」
なぎさは目を開け空を見上げながら呟く。
な「ほのかと仲直り出来ますように……。なんて…。」
な「祈ることじゃない。」
なぎさはぎゅっと自分の拳を握り締める。
な「私自身がやらなきゃいけないことだよね。」
再びなぎさは走り出した。
- 387 名前:833@ 投稿日:2004/11/23(火) 23:39 [ fp5ba9Qo ]
雪城ほのかは一人河原に腰かけていた。
ほ「ふぅ………。」
何かをするわけではない。何もすることは無い。
ただ彼女はそこを動かなかった。
自分のすぐ隣にあった花を一本抜く。
ほ「なぎさは来る…、来ない…、来る…、来ない。」
一人で来る、来ないと繰り返し呟きながら花占いを続ける。
ほ「来ない………。来る。」
最後の一つが飛んだ。占いの結果は来る。
ほ「バカね私……。自分からなぎさを突き放しておいて……。」
花びらが無くなってしまった花を投げ捨て、両手で顔を覆う。
ほ「来るわけ無いじゃない………。」
ほ「ああ……。もう……。」
体を投げ出して河原の草原の上で仰向けに寝転がるほのか。
ほ「はぁ……。」
冬間近の空には数多くの星が輝いていた。
しかし綺麗な星も、今のほのかには興味の対象として映らなかった。
ほ「なぎさ……。今はどうしてるかなぁ…。」
自分の手で拒絶した友人のことをただ心配する。
その時…。一筋の光が空を流れた。
ほ「あ……、流れ星?」
ほのかは仰向けの姿勢のまま両手を胸の前で組んで祈った。
ほ(なぎさに……、逢いたい……。)
ほのかはただそんなことを祈った。
ほ(でも……、逢いたくない……。)
はぁ…。とまた溜め息をつく。
既に冬になりつつある夜。夜風は少し寒く感じられた。
ほ「逢いたいなぁ……。」
ポツリとほのかは呟いた。
「誰に逢いたいの?」
ほ「え!?」
ほのかは上半身だけを起こし声の聞こえた方向を向く。
ほ「あ………。」
そこに立っていたのは他の誰でもない。
たった今自分が逢いたいと思った人物。美墨なぎさだった。
な「願いは……。叶ったかな……。」
ほのかに話しかけているのか、それとも独り言なのか…。
な「随分心配したよ。ほのか。」
ほ「……………。」
な「夜も遅いし、一旦家に帰ろう。ね?」
ほ「……………。」
な「亮太も心配してるしさ…、ほら。」
なぎさがほのかに向かって一歩踏み出す。
ほ「嫌!」
ほのかは思わず立ち上がった。
そして河原の上で二人は向かい合った。
月明かりが当たっている美墨なぎさ。
そして暗闇の中にいる雪城ほのか。
まるで光と闇を持つ者同士が相対峙し戦いを始めるかのような光景。
な「ほのか!話があるの。」
ほ「私は無いわ……。」
ほのかはなぎさと逆の方向を向き歩き始める。
な「待って!」
なぎさの手がほのかを捕まえる。
ほ「嫌!離して!」
ほのかはなぎさの手を振り払おうとする。
な「離さない!」
ほ「離して!」
な「絶対に離さない!!」
ほ「離して!!」
パアンと大きな音がした。
ほのかの右手がなぎさの頬を打った。
ほ「あ………。」
自分が信じられないようにほのかは自分の手を見た。
ひりひりと痛みを感じる右手。それがなぎさの頬を打ったという事実を示していた。
な「ほのか。話聞いてくれないかな?」
それでもなぎさは手を離さず……そして笑顔だった。
ほんの数秒前に自分が叩かれたという現実に気づいていないかのような…。
ほ「……………。」
な「ね?」
ほ「……………、うん。」
なぎさに対する罪悪感からなのか…、ほのかはそれを受け入れた。
- 388 名前:833@ 投稿日:2004/11/23(火) 23:39 [ fp5ba9Qo ]
- 少し距離を離して二人は河原に腰かけた。
目の前を冬前の川が流れていた。
な「ほのか……。」
ほ「……………。」
な「本当に……、ごめん。」
ほ「……………。」
なぎさがほのかの方を見て続ける。
な「ほのかが怒って当然だよ。自分が自分の想いを伝えるっていう凄く大事な事をしようとしたのに、
そんな……。あんなことしたんだから……。」
ほ「なぎさ……。」
な「私が自分勝手なことして……、ほのかは凄く傷ついたと思う。だから…、本当にごめんね。」
ほ「違う……。」
な「え…?」
ほ「違うのよ…、なぎさ……。」
な「違うって…何が?」
ほ「確かに……。一人で来てくれなかったことには怒ったけど……。でも…、そうじゃないの……。」
な「どういうこと?」
ほ「私……、あのことは別に怒ってないの……。」
な「え……。だって……。」
ほ「ただ……、あの時はちょっと……。」
な「うん。」
ほ「二人に聞かれちゃって……。確かに怒ったけど……。ただね…。」
な「うん……。」
ほ「ただ……、怖かったの……。」
な「怖い………?」
ほ「うん……。」
な「どういうこと?」
ほ「二人が倒れる前に……、なぎさ……。はっきり言ったの。」
な「あ……。」
なぎさも思い出したようであった。
ほ「困る、そんなのダメって言われて……。」
な「……………。」
ほ「それで……、なんか頭の中が混乱して……。」
な「……………。」
ほ「なんだか……、凄く悪いことしちゃったような気がしたの……。」
な「そんな、全然悪いことなんて……。」
ほ「私……、その後凄く怖くなっちゃったの…。
だって…、将来私のせいでなぎさが辛い目にあったりとか、後ろめたい気持ちになったりとか…。
そんなこと前からずっとわかってたけど止まらなくて……。それで…、逃げちゃったの。」
な「……………。」
ほ「自分で勝手になぎさのこと好きになって……勝手に告白して……勝手に逃げて……。」
な「……………。」
ほ「藤村君がなぎさに告白した後、なぎさがずっと藤村君のこと避けてたよね。
私……、あの時なぎさに偉そうに逃げちゃダメ。なんて言ったのに……。
自分がなぎさから逃げてて……。私…、最低よ……。」
な「そんなこと!」
ほ「ううん。最低よ。なぎさのこと責める資格なんかどこにも無い…。」
な「ほのか…………。」
ほ「私こそ本当にごめんね。なぎさ。私……一人で舞い上がってた……。」
な「……………。」
ほ「こんなことになっちゃったけど……、やっぱり友達でいて欲しいの……。」
な「ほのか、どうして私に気持ちを伝えてくれたの?」
ほ「それは…………。」
な「……………。」
ほ「だって……。」
な「怖く…無かったの…?」
ほ「それは……、怖かったよ……、でも。」
な「でも…?」
ほ「確かに怖かった。それはわかってるよ!でも……でも……、
自分が…、自分が初めて本当に好きになることが出来た相手だったから……。
出来なかったの……。本当に好きな人が目の前にいるのに通り過ごすなんて……。」
自然とほのかの頬から涙が流れていた……。
ほ「私は……、私はなぎさが……。」
続きを言おうとしたその時、なぎさがほのかの体を抱きしめていた。
な「……………。」
ほ「あ………。」
なぎさはほのかの首に両手を回し抱きしめる。お互いの顔を見ることが出来ない。
ほ「なぎさ……、痛いよ……。」
な「……………。」
なぎさは返事をしない。
その時ほのかの頬に冷たいものが当たった。雨ではない。
ほ「なぎさ……、泣いてるの?」
コクリと同じ姿勢のままなぎさは頷いた。
な「ごめん……、ごめんね……ほのか……。」
なぎさはただ謝り続けた。
- 389 名前:833@ 投稿日:2004/11/23(火) 23:40 [ fp5ba9Qo ]
- やがて泣き止んだなぎさがその姿勢のまま話し始めた。
な「本当は……、随分前にわかってたの。自分の気持ちが誰に向いているかって…。
先輩に告白された時に、嬉しかったけどどうしても「はい」って言えなかったの…。
どうしてなんだろうって…、ずっと考えててわかったんだ。
私は……、ほのかのことが好きなんだって……。でも、そんなのダメだと思ったの。
私はどうなってもいいよ。だけどほのかは違うもん。
ほのかは頭良いし、きっと将来私なんかじゃ想像も出来ないような凄いところで活躍する。
だから……、私なんかと一緒に居たらほのかに迷惑がかかる。
もちろんずっと友達で居ようとは思ってたよ。でも決してそれ以上の関係になったらダメだって…。
昼休みに大事な話があるって聞いたときも何となくどんな話かわかった。
だから志穂と莉奈に来てもらったの。もし私がほのかのこと受け入れそうになったら止めてくれって。
でも……、私こそ一人で舞い上がってた……。
自分のことばかり考えてて、ほのかのこと何も考えて無かった……。
ほのかがこんなに苦しんでたなんて……、全然気づかなかった……。
私こそ最低だよ……、自分のことばっかり考えて…、人のこと何も考えずにいて…、
結局先輩もほのかも……、多分志穂も……。みんな傷つけちゃった………。」
ほ「なぎさ………。」
な「ごめんねほのか……、ずっと私のせいでほのかが……。」
ギュっと、今度はほのかがなぎさを抱きしめる。
ほ「そんなことないよ。私嬉しい……。」
な「え…?」
ほ「なぎさが…、そうやって思っていること全部話してくれて……嬉しいよ。」
な「ほのか……。」
ほ「私のほうこそ謝らなくちゃ……、なぎさはいつも私のこと考えてくれたもん。」
な「え…?」
ほ「風邪ひいた時とか…、傘忘れちゃった時とか…。いつも助けてもらった。」
な「それはお互い様だよ。」
ほ「ううん。私はいつもなぎさに助けてもらってたと思うよ。
私こそ……、自分のことしか考えて無かったよ…、ごめんね、なぎさ。」
な「私も……、ごめんね。ほのか…。」
二人はその姿勢のまま暫くじっとしていた。そして…、
ほ「ねぇ…、なぎさ。」
な「何?」
ほ「結局、なぎさはどうなの?」
な「どうって?」
ほ「藤村君のこと……。好きなの?」
な「先輩には断ってきた…、他に好きな人がいますって…。」
ほ「それって……。」
な「私も……、結局、私も出来なかったんだ。
目の前の本当に好きな人を通り過ごすことが……。」
ほ「なぎさ……。」
な「そういうこと。」
ほ「なぎさ!!」
ほのかがなぎさの懐に飛び込んだ。
ほ「私…、嬉しい……。」
ほのかは涙を流しながら言った。
な「私も……。」
ほのかの顔を胸に当て、ほのかの頭を撫でながらなぎさが言った。
ほのかは両手をなぎさの背中に回し力を入れる。
ほ「なぎさ……。」
な「あ…ほのか……。あんま力入れないで……。」
ほ「え…?」
な「晩御飯食べずにずっと走ってたから…、もう限界……。」
ドタァとなぎさが仰向けに倒れた。
ほ「な…なぎさ!!なぎさぁ!!」
- 390 名前:833@ 投稿日:2004/11/23(火) 23:41 [ fp5ba9Qo ]
- な「……………。」
ほ「あ……目、覚めた?」
な「あれ……、私……?」
なぎさが体を起こそうとするがほのかがその額を押さえる。
ほ「もう少し……、休んでたほうがいいよ……。」
な「あれ?なんかやけに草の感触が柔らかいような……。」
なぎさがてきと〜に手を伸ばして自分の頭の下にあるものに触れる。
ほ「嫌だなぎさ……。変なとこ触らないで…。」
な「え…?あれ…。」
ほ「膝枕なんて初めてだよね…。」
な「あ…。」
ようやくなぎさは自分がほのかに膝枕されていることに気づく。
な「なんか…、気持ちいい感じ……。」
ほ「じゃあ…、もう少しこうしてる?」
な「うん、悪いけどそうさせて………。」
お互いに何もしゃべらない。ただ川のせせらぎが聞こえる。
な「星が……。綺麗だね……。」
ほ「そうね……。」
な「ほのかも……綺麗……だよ。」
自分で言って自分で顔を赤くするなぎさだった。
ほ「そんなに恥ずかしいなら言わなきゃいいのに…。」
クスリと笑うほのかだった。
な「な…なによ〜。」
ほ「ごめんごめん……。」
な「ふぅ…、でも良かった……。」
ほ「え…?」
な「ほのかと仲直り出来て…。」
ほ「あ……、そうだね…。」
な「たこ焼き食べたいね〜。」
ほ「どうしたの急に?」
な「いや、お腹空いちゃって…、もう満月がたこ焼きに見える……。」
ほ「ごめんねなさぎ。家に帰ったら晩御飯食べる?」
な「いいや、明日は学校休みだし…。もう眠いし……。」
ほ「あ……、流れ星……。」
な「本当だ……。」
二人が空を見上げる。ほのかは目を閉じて両手を合わせ祈りを始める。
なぎさはただその様子を見ている。
な「何をお祈りしたの……。」
ほ「え〜〜っとね…。色々。」
な「じゃあさ、最初の一個教えて。」
ほ「……………。」
な「え…、何?」
ほ「なぎさと……、ずっと一緒に居られますように……。」
言って顔を赤くするほのかと、その様子を見て顔を赤くするなぎさだった。
な「大丈夫………。」
なぎさが体を起こしほのかと真正面に向かい合う。
な「ずっと…、ずっとほのかと一緒に居るよ。」
そしてなぎさは自分の両手をほのかの肩に置く。
ほ「あ……。」
ほのかは目を閉じて顔を前に出す。
そしてなぎさもまた目を閉じて顔を前に出す。
二人の唇の距離は近づく……。そしていよいよ触れ合……。
パッ!!
おうとした、その瞬間に何かの光がほのかの背中を照らした。
な「!?」
ほ「!?」
二人が慌てて目を開ける。
「その制服はベローネ学院の生徒だな。こんな時間に何をしているんだ?」
暗くてよく見えないが、どうやらパトロール中の警察官のようだ。
な「ほ…ほのかどうする……。」
ほ「どうするって……。」
な「逃げちゃおっか?」
ほ「で…でも……。」
な「捕まったら面倒なことになりそうだし…。ね?」
ほ「……………。そうね。」
警察官がこちらへ来るまでに小声で打ち合わせをする二人。
「ちょっとついて来て貰おうか。」
な「だあああ!!」
なぎさが警察官の足にに蹴りを入れる。
「どわあああ」
警察官がバランスを崩す。
ほ「えい!!」
バランスを崩した警察官をほのかが押す。
「うわああああ」
バシャーン。警察官は冬の川にダイビング。
な「やった、大成功。」
ほ「公務執行妨害だよね……。」
な「さ、逃げよ。」
ほ「そうね……。」
ほのかは河原に置いてあった荷物を拾い集める。
パッ。
ほ「?」
ほのかが顔をあげると、そこには自分の手を握るなぎさの姿があった。
な「行こっ!ほのか。」
数秒の空白。そして……。
ほ「うん!」
手を繋ぎ、満月の下、二人はなぎさの家への道を駆け出していった。
- 391 名前:833@ 投稿日:2004/11/23(火) 23:42 [ fp5ba9Qo ]
- ようやく金曜日終了。
これで後は土曜日。自分でも最後まで終わらせられるとは思わなかった。
まぁ、あと少しの付き合いですのでお願いします。
- 392 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/24(水) 00:36 [ SHNBRCQs ]
- 藤Pに告白されていたとは意外な展開。いつもながら凄い大作ですね。GJです。
2人が仲直り出来て、想いを伝えることが出来て本当に良かった。
- 393 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/24(水) 01:10 [ W33DxVlg ]
- ( ゚Д゚)<おーつー833氏
( ゚Д゚)<とりあえず、今回投下されたモノを読む前に書いていた
( ゚Д゚)<感想文を
( ゚Д゚)<以下に投下しまする
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<長いよ
- 394 名前:( ゚Д゚)<833@フィーチャリングます (1/3) 投稿日:2004/11/24(水) 01:12 [ W33DxVlg ]
- 【百合SS「833@連作百合萌えSS」】
──先月の十五日にはじめて投下され、それからずっと書き続けられて来た、
833氏の連作百合萌えSS。
両親が一週間家をあけるので、二人でしばらく生活しなきゃならないことになった
なぎさと亮太。そこへ、お手伝いも兼ねてほのかが泊まりに来る、
その一週間のあいだに起る出来事を、一日一日描いて行くという、
大胆とも無謀とも思える作品構想。時間の連続性はあるけれども
基本的に一つ一つのSSのシチュエーションは単発で、元来根がのんきなワタクシでも
ネタがつきたらどうなるのかしらとか、最後まで書けるかしらとか傍目の危惧も
なくはなかった。書き手の833氏自身も、SSが月曜日まで進んだところで
「これあと火曜〜土曜まであるわけだけど終わるのかね…。」と言ってもいた。
とにかくただ一週間の出来事を一ヶ月以上にわたって書き続ける、作品の形式からすれば
やむを得ない時間的な間延びもあって、なかなか評価の定めにくかった氏の連作SSでしたが、
このたび投下された第16回(>>375-380)によってそれはほぼ決定的になったと思う。
断言しますが、この作品は紛うことなき傑作百合SSです。その理由は後にのべるとして、
その前に書いておきたいことが一つ。
おそらく匿名掲示板に投下されてきたプリキュアSSについては、広くもっとも熱心な
読者だったろうと、自慢にもならない自負のあるワタクシだったりしますが、
とかく、それだけ読んでくると「プリキュアSSとは何ぞや」と柄にもなく考えたことも、
ままあったのであります。そして、このことを考える上で、
旧百合萌えスレの203氏の一つの発言が、大いに啓発的だったのでした。
氏曰く──、普段はこういう(自分がSSとして書くような)話には、むしろ
避けたいような厭倦を感じるのだけれど、なぎほのとしてなら受け入れられる、とのことでした。
つまり、どんなSSであっても、それが優れたものであるなら、たとい本篇からはずれていても、
芯に本篇のなぎほのやその他のキャラクター達があるのは間違いないということ。
当たり前のことなのですが、時に確認して肝に銘じたい事であります。
そしてその芯は、メップルとミップルが全然出て来なかったり、ドツクゾーンやバトルの
気配を微塵も感じさせない833氏の連作SSでも変らないのは、言うまでもありません。
- 395 名前:( ゚Д゚)<833@フィーチャリングます (2/3) 投稿日:2004/11/24(水) 01:13 [ W33DxVlg ]
- .
ところで、いつ、どうしてこういうSSを書こうという構想が氏に浮かんだのか。
> とりあえず大体の中身はなんとか固められました。
> 少しずつ落として一週間なんとか完結させたいと思います。
と、氏が言われたのは第6回を投下して後ですから、はじめから見通しが立っていた
わけではないようです。それに構想だけを聞かされたら、普通はまず突飛と感じる。
ネタが尽きたり途中でダレてしまったりしないかと余計な危惧も兆したりします。
ところが連載中、そんなことは全くありませんでした。むしろ、尺足らずがちで
鑑賞側に深読みを要求してしまうアニメ本篇の欠点を逆手にとった、SSならではの構想だったと、
今はかえりみて思います。
つまりは、「積み重ねる」ということ。833氏のSSを肯定的に評価する上での
キーワードはこれです。真直ぐな強い想いではあるけれども、はじめは、ほとんど
伝わるか伝わらないかの控え目で示されていたほの→なぎの好意が、だんだんに
隠しきれずにこぼれて出てくる過程、そしてはじめは、彼女自身にも自覚されていなかった
なぎ→ほのの好意が、共同生活のなかでの細々とした出来事を通じてだんだんに自覚されて
ゆく過程、その感情の積み重ねを、決して省略せずに丹念にゆっくりと描いて行くということ。
このSSをはじめから通読すると、とくに第六回以降から、段々に二人の心の隔てが消えて行くのを、
氏がどれだけ注意深く、たゆみなく描写してきたかということが卒然と分って、
氏が自作の価値を信じてずっと書き繋いで来たことに敬意を覚えないわけにはいかない。
そしてその価値は、おそらく氏がプリキュアという作品に見い出した美質の最良の部分と
重なるものでもあったろうと、立ち入った忖度もしたくなります。
「きっと二人ともお互いのこと信じあってるハズだもんね。」第16回に出てくるこの言葉は、
プリキュアのアニメ本篇でも核となるモティーフであり、
また、たとえアニメとはパラレルな世界を描いたものであっても、第16回まで書き続けて来た
833氏だからこそ、自身のSSの中で軽々しさぬきに用いることができたもの。
ここまで書きつづける中で氏にどういう悩みや労苦があったのかは、想像するだけ不遜ですが、
本篇から受け取るものは受け取りつつ、容易に自身のモティーフをゆらがせなかった氏には、
アニメ本篇のスタッフと同じくらいの敬意を感ずる、といったら、言い過ぎでしょうか。
- 396 名前:( ゚Д゚)<833@フィーチャリングます (3/3) 投稿日:2004/11/24(水) 01:14 [ W33DxVlg ]
- .
まだ書きたいことはあるのですが、今はもう一点だけ。
非礼な言い方になりますが、833氏のSSには必ずしも文体的な強さがあるわけではありません。
スタイルとしては簡潔だけれども、読み易いというより、起伏がゆるやかで長いので、
多少読む人に努力を強いるところがある。それを時に諧謔的になる地の文の軽妙が救っている、
……はじめはそういう印象だったのでした。しかし第13回あたりからそうしたぎこちなさは取れ、
第16回には、むしろ文体上の魅力だけで再読をうながすようなところもある。
つまり、氏のSSは、たゆまず書くなかで着実に上達していくという、明らかな実例でもあるのでした。
まあこういう賞賛の仕方は余談に近いことですが、はじめから読んできた者としては、
やはり嬉しく感じることも確かなのです。
以上、できるだけ仰々しくなく誉めようと思っていましたが、どれだけその自制ができたかどうか。
ともかく最後に重ねて言います。833氏の連作SSは疑いなく傑作であり、しかもその美質は
プリキュアSSとしてしかあり得なかったものです。今まで読んだことのなかった人にも、
また、ずっと読んで来た人にも、第1回からの通読をすすめたく思うのであります。
.
- 397 名前:百合SS「833@連作百合萌えSS」 アンカーまとめ 投稿日:2004/11/24(水) 02:41 [ W33DxVlg ]
- 【#01 ほのかの決意」】 >>109
【#02 第一日目」】 >>112-114
【#03 月曜の朝」】 >>118
【#04 お弁当」】 >>134-137
【#05 買い物劇」】 >>145-146
【#06 お勉強」】 >>153-157
【#07 遅刻」】 >>191-195
【#08 トイレ掃除」】 >>204-207
【#09 なぎさの料理・雨傘」】 >>220-222
【#10 欠席」】 >>255-257
【#11 ぬいぐるみ」】 >>265-267
【#12 風邪薬」】 >>288-290
【#13 木曜の朝」】 >>303
【#14 心配・繋がった手」】 >>313-316
【#15 氷の欠片・不等式」】 >>345-349
【#16 大事な話・志穂と莉奈」】 >>375-380
【#17 河原」】 >>384-390
( ゚Д゚)<サブタイはすべて仮のものッス
- 398 名前:本スレ128より113氏/改変ネタ「全選手入場!!」(1/2) 投稿日:2004/11/24(水) 02:43 [ W33DxVlg ]
- .
全選手入場!!
ナージャは生きていた!! 更なる研鑚を積み小清水亜美が甦った!!!
偽キュアブラック!! 越野夏子だァ――――!!!
YURIKO1号はすでに我々が完成している!!
科学部部員ユリコだァ――――!!!
憑り付きしだい叫びまくってやる!!
天空の怒れる妖気 ザケンナーだァッ!!!
素手の殴り合いならザケンナーとの合体がものを言う!!
ダークファイブ 最終形態 ゲキドラーゴ!!!
ポルンを甘やかしたい!! 希望の姫君 ミップルだァ!!!
IQはわからないがEQならまかせて!!
ラクロス部のエース 美墨なぎさだ!!!
PMS対策は完璧だ!! ダークシードのリーダー 結城玄武!!!!
全部活の助っ人は私が務める!!
ベローネ学院のマドンナが来たッ 小田島友華!!!
最初と2度目の呟きは絶対に聞こえん!!
御高倶女子中のコスプレ見せたる 小山翔子だ!!!
喋り出す(なんでもあり)とこいつが怖い!!
自称ほのかのマブダチ 忠太郎だ!!!
ドラゴンボールから孫悟空が上陸だ!! ほのかの祖母 雪城さなえ!!!
面白そうだからプリキュア(用心棒)になったのだ!!
科学の真髄を見せてやる!! 雪城ほのか!!!
めい土の土産にバンソウコウとはよく言ったもの!!
衝撃波が今 実戦でバクハツする!! ダークファイブ キリヤだ―――!!!
未来を導く光の王子こそが迷惑千万の代名詞だ!!
まさかこの淫獣がきてしまうとはッッ ポルン!!!
プレゼントを贈りたいから発言したッ 正体一切不明!!!!
なぎほののクラスメート 森岡唯だ!!!
- 399 名前:本スレ128より113氏/改変ネタ「全選手入場!!」(2/2) 投稿日:2004/11/24(水) 02:43 [ W33DxVlg ]
- .
オレはナメック星人ではないダークファイブで最強なのだ!!
御存知ドツクゾーンのNO.2 イルクーボ!!!
親父ギャグの本場は今や美墨家にある!! オレのダジャレで笑ってくれる奴はいないのか!!
美墨 岳だ!!!
デカカァァァァァいッ説明不要!!!
光の園のクイーンだ!!!
足の速さは実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦ラクロス!!
ベローネ学院から高清水莉奈の登場だ!!!
プリズムストーンはジャアクキング様のもの 邪魔するやつは思いきり殴り思いきり蹴るだけ!!
ドツクゾーンの歌舞伎役者 ピーサード
ピッカリーニに憧れて美術館へきたッ!!
美術部部員 柏田真由!!!
衣装作りに更なる磨きをかけ ”偽キュアホワイト”森京子が帰ってきたァ!!!
今の自分に死角はない死角はない死角はないッッ!! ラクロス部部員 久保田 志穂!!!
サッカー部のエースが今ベールを脱ぐ!! ベローネ学院から 藤村省吾だ!!!
上司の前でならオレはいつでも優秀社員だ!!
燃える闘魂 角澤竜一郎 人間名で登場だ!!!
勇者の使命はどーしたッ 愛の炎 未だ消えずッ!!
ラ〜ブラ〜ブは思いのまま!! メップルだ!!!
特に理由はないッ マンガが面白いのは当たりまえ!!
校長にはないしょだ!!! ベローネ学院教頭!
米槻先生がきてくれた―――!!!
ドツクゾーンで磨いた実戦変身術!!
ダークファイブの紅一点 ポイズニーだ!!!
ラクロス部の先輩だったらこの人を外せない!! 超A級たこ焼き屋 藤田アカネだ!!!
超一流番人の超一流ホーピッシュだ!! 生で拝んでオドロキやがれッ
石の番人!! ウィズダム!!!
ラクロス部はこの女が纏め上げた!!
ラクロス部のキャプテン!! 中川弓子だ!!!
老いた王者が帰ってきたッ
どこへ行っていたンだッ キング様ッッ
俺達は君を待っていたッッッジャアクキング様の登場だ――――――――ッ
.
- 400 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/24(水) 02:44 [ W33DxVlg ]
- 【本スレ128より113氏/改変ネタ「全選手入場!!」】
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/anime/1101028774/113-115
基本的に今まで改変ネタは転載してこなかったけど、もはや問答無用。
これできっとすべてが終わるッ!! そして、すべてがはじまる――――ッッッッ!!!
- 401 名前:プリキュアSS作品INDEX_301-400(1/2) 投稿日:2004/11/24(水) 03:16 [ W33DxVlg ]
- 作品INDEX_001-100 >>101-102 作品INDEX_101-200 >>201-202
作品INDEX_201-300 >>301-302
.
【百合SS「833@連作百合萌えSS #13 木曜の朝」】 >>303
作者:833@氏
【百合SS「833@連作百合萌えSS #14 心配・繋がった手」】 >>313-316
作者:833@氏
【百合SS「大丈夫だよ」】 >>318
作者:プリッキュアスレより199氏
【百合妄想「なぎさと藤Pがくっつけば」】 >>320
作者:百合萌えスレ5より393氏+406氏
【ネタSS「ラブレター」】 >>322
作者:プリッキュアスレより207氏
【ネタ系虐殺SS「ドナルドへの捧げ物」】 >>325
作者:虐殺スレ1より915氏
【替え歌「百合スレ住人の歌」】 >>327
作者:百合萌えスレ5より624氏
【SS「なねが恋うれぞ…」】 >>294, >>298, >>307, >>331-334, >>336-337, >>335
作者:59氏
【百合SS「833@連作百合萌えSS #15 氷の欠片・不等式」】 >>345-349
作者:833@氏
- 402 名前:プリキュアSS作品INDEX_301-400(2/2) 投稿日:2004/11/24(水) 03:17 [ W33DxVlg ]
- .
【小ネタ「Null Surname」】 >>351
作者:本スレ127より353氏
【百合SS「長湯のわけは…」】 >>355-357
作者:プリッキュアスレより255氏
【ネタ系百合SS「宝物箱」】 >>359-360
作者:プリッキュアスレより249氏
【虐殺SS「メップルシロップ」】 >>362-364
作者:虐殺スレ1より205氏
【よし美先生結婚式パロディ(SS抜粋)】 >>368
作者:エロパロスレよりフリチラ氏
【百合SS「告白記」】 >>370-372
作者:プリッキュアスレより268氏
【百合SS「833@連作百合萌えSS #16 大事な話・志穂と莉奈」】 >>375-380
作者:833@氏
【百合SS「833@連作百合萌えSS #17 河原」】 >>384-390
作者:833@氏
【改変ネタ「全選手入場!!」】 >>398-399
作者:本スレ128より113氏
※題名には便宜的な仮タイトルも含まれます
- 403 名前:( ゚Д゚)<無常迅速 投稿日:2004/11/24(水) 03:19 [ W33DxVlg ]
- .
( ゚Д゚)<サテ
( ゚Д゚)<だしぬけですが
( ゚Д゚)<ワタクシがこのスレに書込みするのもこれで最後となりますです
( ゚Д゚)<今までに
( ゚Д゚)<SSを勝手に転載させていただいた、そしてこのスレに自作を投下してくださった
( ゚Д゚)<SS職人のみなさま
( ゚Д゚)<ほんとうにありがたうございました
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<以降のSS作品INDEX作成は
( ゚Д゚)<誰かに引継いでいただけると有り難いカモー
( ゚Д゚)<です
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<最後に
( ゚Д゚)<833@氏
( ゚Д゚)<これまで絶えずこのスレを盛り上げてくださったことには
( ゚Д゚)<お礼の申し上げようもございませぬ
( ゚Д゚)<ホントニホントニありがとう
( ゚Д゚)<氏のSSについてもっと言いたいこともあったのですけれど
( ゚Д゚)<それを今までの小生のカキコから暗黙に読み取っていただければ
( ゚Д゚)<幸いです
( ゚Д゚)<
( ゚Д゚)<それでは
( ゚Д゚)<さようならー
(゚Д゚ )
- 404 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/24(水) 20:25 [ vXYhUNpA ]
- >>403
今までありがとう
書いた本人も考えてなかった部分まで褒めてくれて身悶えしたよ。
好き勝手放題書き散らしてるだけのモノになにかカタチをらしきもの
与えてくれてちょっとはssらしきもの書ける様になれたよん
プリッキュアスレから感謝と感謝と感謝と愛を込めて。
なぎさとほのかからちゅ〜!を。
おれからも感謝のちゅちゅちゅちゅ〜ちゅ〜!!!
- 405 名前:833@ 投稿日:2004/11/24(水) 21:18 [ ju8QovGw ]
- >403
>ホントニホントニありがとう
いや。オレこそ感謝の気持ちでいっぱいですよ。
SSスレに初めて来た時に優しく対応してくれて、
このスレとあなたを無くしてこのSSは完成させられなかったと思います。
それにあんな長い感想文まで書いて頂いて、しかもあんなに褒めて頂いて。
自分が生きててこれほど讃えられたことがかつてあったろうかと真剣に思い返しましたw。
あの長い感想を読んだ時は、
こんな風に自分のSSを読んでくれている人がいるんだと泣きそうになりましたw。
403氏はオレのSSを、作者であるオレ以上に理解してるのかも知れません。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
書き込むことは無いとありますけど、
どうかあと土曜日とアフターストーリー最後まで見ていただければと思います。
- 406 名前:59 投稿日:2004/11/24(水) 23:16 [ bl8RnJyM ]
- >>403
お疲れ様です
ほんと、いままでありがとう
俺のやたらくどい文にも丁寧に感想いただき、また最後の奴ではまとめてもいただいて、
本当感謝言い尽くせません
>833氏
完成、待ってます
さて、百合スレでちょっと漏らしましたけど、ちょっと休筆します
胃潰瘍がちょっと深刻っぽいのと
…あとは、やっぱり、本編のすさまじさに毒気を抜かれたってのがありますね
俺、「なねが恋うれぞ」を構想してたのは>>219の少し前くらいなんです
プリッキュアスレのクリスマスSSとかぶるところが多かったんで少し方向転換したんですが、この時点ですでに「同衾」と「夢の中の戦闘」は予定に入ってました
…まさか、本編でやっちゃうなんてね…(涙)
なにせ「でかいのを書き上げた満足感」ってのもあるし、そのうちまた無性に書きたいネタを思いつくまでは休筆したいと思います
あ、でも俺はほぼ毎日本スレと百合スレには常駐してますんで(笑
んでわ
- 407 名前:833@ 投稿日:2004/11/26(金) 01:20 [ Qo3PxRGk ]
- 土曜日……。
午前六時半。美墨亮太は一人目を覚ました。
昨日あの後10時を過ぎても姉は帰って来なかった。
心配して待っていたところ11時過ぎにようやく帰ってきたようだった。
り「ほのかさん。おはようございます。ってあれ?」
普段なら既に起きているハズの雪城ほのかが居ない。
り「まだ寝てるのかな?」
テーブルの上を見ると、そこには食事の用意と一枚の置き手紙があった。
り「なんだろう?どれどれ……。」
亮太は手紙を読み始める。
亮太君へ。
昨日は心配かけてごめんなさい。
朝ご飯はテーブルの上にあります。お弁当と水筒も一緒に置いてあります。
お菓子は……、ごめんなさい。用意出来なかったの。
お金を置いておくから好きなものを買ってね。
最後に…、遠足楽しんできてね。
綺麗な字が書かれた手紙を亮太は二回読んだ。
り「ほのかさん……。ありがとう。」
というわけで亮太は一人朝ご飯を食べ、そして遠足に向かったのだった。
それから数時間後……。
ほ「ん………。」
ほのかは眠い目を擦りながら横を見る。
ほ「……………。」
自然と顔が笑ってしまう。そこにはまだ夢の中に居るなぎさの姿があった。
昨日の疲れが溜まっているのだろう。死んだように眠っていた。
ほのかはふと自分の手を見つめた。
両方の手がなぎさの手と繋がっている。
ほ「嘘みたい……。」
繋がった手を握りほのかが呟いた。
繋がれた手が示すもの…、それは昨日までとは違う二人の新しい絆。
繋がれた片方の手を離しなぎさの頬に当てる。
ほのかは何度もその頬を撫で続けた。
そこには昨日…、自らの手で打ってしまった場所。
傷跡などは元々無いし、赤くなってもいない。
それでもほのかは頬を触り続けた。
ほ「ごめんね…、なぎさ……。」
な「ん…。」
眠ったままのなぎさが寝返りをうつ。今度は仰向けになった。
ほ「なぎさ……。」
ぎゅうううっと、ほのかがなぎさの体を抱きしめる。
ひたすらに、なぎさのことをいとおしんで両腕に力を込める。
ほ「……………。」
ほのかはそのまま布団から起き上がる。
鏡の前に立つと制服姿のままであった。
昨日の夜、家に帰宅してからは疲れのせいで着替えもせずに布団に倒れこみそのまま眠ってしまったのだった。
わざわざ着替えるのも面倒だった。それになんとなく同じ制服を着ていたいと思った。
ほのかは制服姿のままなぎさの部屋を出た。
- 408 名前:833@ 投稿日:2004/11/26(金) 01:21 [ Qo3PxRGk ]
- …………………。
な「ん………、ほのか……。」
暫くしてなぎさが目を覚ました。
辺りを見渡す。ほのかの姿はどこにも無い。
な「ほのか…、ほのか!?」
慌ててガバッと起き上がりそして立ち上がる。
なぎさも制服姿のままであったがそんなことはお構い無しに部屋を飛び出す。
な「ほのか!!」
ほ「あ…、なぎさ。おはよう…。」
少し照れくさそうに挨拶をするほのか。
な「良かったぁ〜。」
ほ「どうしたの……?」
な「また…、いなくなったのかと思った……。」
心底安堵したようになぎさが言った。
な「なんか、凄く不安になっちゃってさ…。」
ほ「……………。」
な「朝起きたら…、今までのこと全部夢だったんじゃないかって…。」
スッとほのかがなぎさの背後に回りなぎさを後ろから抱きしめる。
ほのかの両手がなぎさの首筋を温める。
ほ「大丈夫……。全部現実だよ…。」
な「あ……。」
ほ「もう…、二度と逃げない。」
な「あは、温かいね。ほのかの温かさを感じる。」
ほ「ずっと…、ずっとなぎさと一緒に居る…。」
な「うん、ありがとう。ほのか。」
ほのかが両手を離す。
ほ「さ、なぎさ。ご飯にしましょ。」
な「うん。」
二人で向かい合っての初めての朝食。
な「一週間一緒に居たけど……、二人だけの食事って…これが初めてだね。」
ほ「うん……。いつもは亮太君が居たからね…。」
な「なんか…、変な感じ……。」
どうにもぎこちない様子の二人。それはまだ今までの関係を捨てきれずにいる二人。
ほ「ずっと一緒に居られるから…、少しずつ…ね。」
な「うん!」
そして初めての二人きりの食事は長く続いた。
二人の関係が変わったことの影響なのかどうか。
お互いがお互いのことをより多く話す。
それは二人が全てを理解しているから。二人きりで居られる日も今日が最後だから……。
その後食事を終えた二人は食器を片付け洗い物を終えた。
- 409 名前:833@ 投稿日:2004/11/26(金) 01:22 [ Qo3PxRGk ]
- ほ「荷物の片付けも完了。」
な「もう、帰っちゃうんだよねぇ…。なんか寂しいな。」
ほ「私も…、もっと一緒に居たかったな。」
時刻は12時。なぎさの両親が帰ってくるの予定日は明日の朝。迫り来る残り時間。
なぎさは唐突に布団の上に腰掛けた。
ほ「どうしたの?」
な「ほのか……、最後に…。お願い。」
ほ「なぁに?」
な「飛び込んできてくれないかな。」
なぎさはすっと両手を広げる。
ほ「なぎさ…?」
な「これから先…、色々辛いことがあるかも知れない。でも二人で支えあっていけると思う。」
ほ「うん…。」
な「だから…、その第一歩…。」
もう一度なぎさは両手を大きく広げる。
そしてほのかはすぐになぎさの胸に飛び込んだ。
ほ「うん、大丈夫……。支えあって生きていこう。」
な「うん。」
なぎさは自ら布団に倒れこむ。
ほ「なぎ……さ…?」
なぎさが下、ほのかが上の状態でお互いが抱き合う。
その時、ほのかの頭の中で何かが切れた。
な「あれ?ほのか……、どうしたの?」
ほ「ねぇ、なぎさ。私言いたいことがあるの。」
な「な…何?なんか目の色が変わってるよ……。」
ほ「私ね…、なぎさのこと好き。大好き。愛してる。」
な「ちょ…、ほのか…。どうしたの?」
ほ「だから…、だからね……。」
な「う…うん。」
ほ「ふふふふふうふふふふ。」
な「ほ…ほのか!?」
ほのかはなぎさの制服を脱がしにかかる。
な「わわわわ!!!!ちょ…ほのか!?」
ほ「……………。」
な「ダメだよ。亮太が帰ってきたらどうするの?」
ほ「亮太君は遠足でしょ。夕方までは帰ってこないわ。」
な「お…お母さんが帰ってきたら……。」
ほ「なぎさが言ったじゃない。明日の朝まで帰ってこないって…。」
手際よくなぎさの服を脱がせてゆくほのか。経過時間わずか12秒。
な「え?!なんで私裸になってるの?」
ほ「さ、なぎさ。今度はなぎさが私の服を脱がせる番。」
ほのかが力を抜く。
な「え…あ……。わかった……。」
なぎさはほのかの服をぎこちない手つきで脱がしてゆく。
普段は自分で自分の服を着るだけでこんなことなどは当然したことが無い。
な「ぐ…ぐ…、スカートがうまく……。ん!!」
ほ「わかった…。これは自分でやるから……。」
そして悪戦苦闘の末ほのかも一糸纏わぬ姿となっていた。
ほのかがなぎさの手を自分の胸に当てる。
- 410 名前:833@ 投稿日:2004/11/26(金) 01:22 [ Qo3PxRGk ]
- ほ「心臓の鼓動が聞こえるでしょ…。」
な「う…うん。」
ほ「すっごくドキドキしてるの…、私……。」
な「こ…これがほのかの88の……。」
ほ「な!?だ…。だから違うってば!!」
な「わあぁ、ほのかの体って白くて綺麗だね。」
なぎさがほのかの体を抱きしめながら言った。
ほ「嫌だなぎさ…。くすぐったいよ…。」
な「そう?じゃあこんなところとかどう?」
なぎさはほのかの首筋、お腹、背中に手を回す。
ほ「あう…、そ…そこは……。」
な「ほのかの弱点は買い物の時に知ってるんだよ〜。」
月曜日の買い物騒動の時のことを思い返すようになぎさが言った。
ほ「ひゃうう……。」
な「ほのかは本当に可愛いなぁ〜。」
ほ「いや…嫌だ……、なぎさ……。」
な「うん。もう肌も白くてスベスベしててやわらかくて温かくてマシュマロみたい。」
なぎさがぎゅううとほのかの体を抱きしめる。
ほ「なぎさ……。」
な「ほのか……。」
二人が至近距離で見つめあいほのかが目を閉じる。
なぎさも目を閉じてそしてほのかに顔を近づける。
そして二人の唇が触れ……。
バァン
突然なぎさの部屋のドアが開く。
理「ただいまぁなぎさ。一日早いけど帰ってきちゃった!」
元気一杯の声で高らかに帰宅の挨拶をするなぎさの母、美墨理恵。
理「お父さんはもう少しで帰って来るわよ。あとお土産買ってきたわ………。」
言いかけたその途中でボトリ土産が入っていると思われる袋を落とす。
な「……………。」
ほ「……………。」
部屋の中には裸で抱き合う二人の少女。
しかし美墨理恵は落とした袋を拾い上げると不敵な笑みを浮かべ
理「布団、ちゃんと洗うのよ……。」
踵を返し部屋を出た。バタンとドアの閉じられる音がした。
な「……………。」
ほ「……………。」
な「……………。」
ほ「……………。」
な「……………。」
ほ「……………。」
な「お母さん…、帰ってきたんだ……。」
ほ「……………。」
その後雪城ほのかは一週間美墨なぎさの家に行かなかった。
完
- 411 名前:833@ 投稿日:2004/11/26(金) 01:23 [ Qo3PxRGk ]
- これで一応完結です。読んでくれた人ありがとうございました。
あとはおまけが残っていますので。それも読んでいただければ幸いです。
このSSを書き終えることが出来て本当に良かったです。
- 412 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/26(金) 01:46 [ V6M/imbo ]
- >>833氏。
長期に渡る連載お疲れ様でした!!
なんだかラストに相応しく、恐ろしいくらいに神がかってますね。
今までの中でも文句無しに1番と言えます。もう最高です。
まだ、ちょっと興奮が冷めやらないので少し落ち着いてから読み返して
時間があればまた感想を書くかもしれません。
とにかく、萌えとかそういうのだけじゃなくてちゃんとしたSSとして
一級品に仕上がっているとおもいます、こんな言い方したら失礼ですが
今までとはまるで一線を画していて、少し特別な感じがしますねぇ。
素晴らしかったです。良作をありがとうございました。
- 413 名前:833@ 投稿日:2004/11/26(金) 21:48 [ 65NnQfWs ]
- そして一週間後……。
ピンポーン
理「ほら、なぎさ。あんたがモタモタしてるからほのかちゃん来ちゃったじゃない。」
な「ああ、どうしよう。」
理「いいから早くしなさい。」
理恵がドアを開ける。
ほ「こ…こんにちは。」
理「いらっしゃい。ごめんなさいね。なぎさったらまだ仕度してるの。」
ほ「あ…、そうですか…。」
理「もう少し待ってくれる?」
ほ「は…はい。」
さすがに一週間前のことがあるせいかどこか気まずそうな感じである。
ちなみに今日はどういうことなのかというと…、
理「ほのかちゃん、今日はなぎさが迷惑をおかけします。」
ほ「い…いえ、そんなことないですよ。私もとっても楽しみでした。」
理「ねぇ…、ほのかちゃん。」
理恵が真剣な表情でほのかと向き合う。
ほ「は…、はい。」
ほのかも少し緊張感を持って返事をする。
理「あの子のこと……。幸せに出来る?」
ほ「え……。」
理「大事な一人娘なんだから…。きちんと幸せに出来る?」
ほのかは一度下を向く。そして思い出す。
一週間、なぎさとともに過ごした日々。結ばれたあの日のこと。
ほ「出来ます…。一生をかけて幸せにします。」
真剣な表情で答えた。
理「よろしい。じゃあ全て任せた。」
理恵は笑顔で言った。
ほ「はい!」
ほのかも笑顔で答える。
な「ほのか〜〜。ごめん、遅れた。」
大きな荷物を持ってなぎさがやって来る。
ほ「なぎさ…。」
少し照れたような表情でほのかは答える。
な「じゃ、行こう。」
ほ「うん。」
理「なぎさ。あんまり迷惑かけるんじゃありませんよ。」
な「は〜い。じゃあ行ってきます。」
なぎさは玄関に座り靴に履き替える。
その間ずっと理恵はほのかのほうを見つめる。
それを怪訝に思ったほのかが訊ねる。
ほ「あ…あの…、私の顔に何かついてますか?」
理「え…?ああ、そういうわけじゃないの。ただねぇ。」
不敵な笑みを浮かべて理恵が続ける。
理「マシュマロ……、ねぇ…。」
ジロリとほのかの顔を見つめてそんなことを言う。
ほ「!!」
な「!!!」
それを聞いた瞬間、なぎさは靴紐を縛る動きを止め、ほのかはカチンと固まった。
ほ「え…、あ…、そ…、それは……、あ…。あううう……。」
顔を真っ赤にしてしどろもどろな発言をするほのか。
な「ちょ!!お母さん!!」
なぎさも顔を真っ赤にして叫ぶ。
理「いやいや。若いって羨ましいですな〜。」
な「もう!!ほのか行こう!!」
なぎさは立ち上がり、ほのかの手を引き家を出る。
理「なぎさ!」
な「ん?」
理恵に呼び止められてなぎさが一度家の中に入る。
理「なぎさ、家に帰るのはいつ頃なの?」
な「え〜っとね、明日の夕方には帰る。」
理「ふーん、わかった。じゃあ明日の晩御飯はお赤飯ね。」
ズザアーー
先に外に出ていたほのかが盛大にズッコケル音がした。
な「ほ…ほのか!?」
なぎさは慌てて外に飛び出す。
理「いってらっしゃ〜〜い。」
理恵は思い切り笑いながら二人を見送る。
ほのか、大丈夫?というなぎさの声が聞こえた。
バタン
理「ふぅ…。」
ドアが閉じられ理恵は溜め息を一つついた。
理「やれやれ…、あの子ったら…。いつの間にあんなに成長したのかしら…。」
理「ちょっと…、寂しいわね。」
完
- 414 名前:833@ 投稿日:2004/11/26(金) 21:50 [ 65NnQfWs ]
- おまけ作品:A week later
土曜日から一週間後の作品です。
これで本当に全部終わりです。今までありがとうございました。
- 415 名前:833@ 投稿日:2004/11/26(金) 21:58 [ 65NnQfWs ]
- しかしこうやって一個書き上げると達成感とともに喪失感も感じます。
(果たしてそんな達成感を感じるほどの作品を書けたのかは甚だ疑問ですが)
読んでいただけてしかも感想くれた人には感謝の気持ちでいっぱいです。
こうやって書き上げることが出来て本当に嬉しいです。
スレ違いだけどどうしてもお礼をしたかったので申し訳ありませんが
勝手に1レス使わせて頂きます。本当にありがとうございました。
- 416 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/26(金) 23:02 [ JAXiTXnQ ]
- 長期にわたる連載乙でした。ラスト読むまで感想ひかえてました。
最初から最後まで破綻無くキャラが動いてるの読むのは気持ちよかったです。
一週間。ふたりの長くて短いカワイイ時間を一緒に過ごさせてもらった気分。
- 417 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/27(土) 00:43 [ mO/BogjE ]
- >833@さん
こちらこそ素晴らしい作品をありがとうございます。これだけの作品にはそうそうお目にかかれませんよ。
凄く良かったです。本編の1週間に加え、おまけまでも!
本当にご苦労様でした。次の作品を書くことがあれば、それもまた楽しく読ませて頂きます。
- 418 名前:ネズミ小僧(仮) 投稿日:2004/11/28(日) 01:28 [ tD5vYZnI ]
- 皆さんの中に「この音声使ってみたら、」という意見があれば言ってください。
因みに手元にあってすぐに音声が採れるのは1〜8話、13〜16話です。DVD
で言う1巻2巻4巻です。他の所は撮ったビデオが行方不明なのでちょっと厳しいです。
- 419 名前:ネズミ小僧(仮) 投稿日:2004/11/28(日) 01:33 [ tD5vYZnI ]
- >>418
すみません、書き込む所間違えました。
- 420 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/28(日) 08:14 [ coxI6XaM ]
- >>419
ドンマイ( ゚д゚)σ)´Д`)
- 421 名前:ネズミ小僧(仮) 投稿日:2004/11/28(日) 22:30 [ 2NGoayfI ]
- 気分転換に書いてみました。暇だったら読んでください。(お目汚しスマソ)
- 422 名前:ネズミ小僧(仮) 投稿日:2004/11/28(日) 22:33 [ 2NGoayfI ]
- 二人はつかの間の平穏な日々を送っていた。
2年桜組教室
な「ほーのーかーちゃん、」
ほ「ん?」
な「今日宿題一緒にやらない?」
ほ「いいわよ、じゃあ私の家でやりましょ、今日はおばあちゃまがお出掛けで帰りが遅いらしいから。」
な「分かった、じゃあ帰りにね。」
放課後、雪城家ほのかの部屋
な「ねぇほのか、ここちょっと見せて。」
ほ「いいわよ。」
三分後
な「ねぇほのか、ちょっと見せて。」
ほ「もぅ、なぎささっきから私のを写してばっかりじゃない、少しは自分でやりなさい。」
な「そんなこと言ったってぇ、分かんないんだもん。」
ほ「ちょっとは考えなさい。それがなぎさためです。」
な「いいじゃん、ちょっとぐらい写させてくれても。」
ほ「なぎさ、人は自分で考えることによって脳が発達していくのよ、少しは考えないと脳が発達しないのよ。」
なぎさが立ち上がる
な「なによ、自分が勉強できるからって、どうせ私が馬鹿だっていいたいんでしょ、心の中では見下してるんでしょ。」
ほ「なぎさ、」
な「いいわよ、もうあなたなんかに頼らないから、やっぱりあなたと私は合わないのよ、本当の友達になんかなれないんだから。」
なぎさが部屋から飛び出ようとする。それをほのかが引きとめようとする。
な「はなしてよ、もうあなたとなんか話したくないんだから。」
なぎさはほのかの手を振り払い走って出て行く。
ほのかはその場で泣き崩れる。
その夜・・・
メ「なぎさ、早くほのかと仲直りするメポ、ふたりで力を合わせて早く番人を、」
な「うるさい、私の気持ちも知らずに余計なこと言わないで。」
翌日・・・
ほ「あの、なぎさ、」
な「何か用?雪城さん。」
ほ「いや、あの、」
キーンコーンカーンコーン
ほ「あ、」
な「チャイム鳴ったわよ、席に帰った方が良いんじゃないですか。」
ほのかが自分の席に戻る
その夜・・・
ほ「あら、これはなぎさの、」
ほのかがベットの影に落ちていたノートを拾う
ほのかがノートを開いて中を見る、
そこには間違った計算が所狭しと書きつづられていた。
ほ「なぎさ、自分なり頑張ってたんだ、なのに私・・・」
ほのかは再び泣いていた。
- 423 名前:ネズミ小僧(仮) 投稿日:2004/11/28(日) 23:05 [ KxYFFqfs ]
- 次の日放課後
神社の境内
ほのかが賽銭箱に55円を入れる
ほ「どうかなぎさと仲直り出来ますように。」
ミ「早くそうなるといいミポ、所で何で55円みぽ?」
ほ「これはね、5円だとご縁がありますように、って言うように五重にご縁がありますようにって言う意味なの、で、55円以上は厚かましさも五重までっていってね、それ以上はあまり良くないって言われてるの。 そう言えば、前に喧嘩した時になぎさもここに来てたっけ・・・」
ベ「こんな所にいたか、プリキュアのお譲ちゃん。」
ほ「あなたは・・・」
ベ「石のありかを教えてもらおうか。」
ほ「あなたたちなんかに教えられるはずないでしょ。」
ベ「相変わらず気の強い娘だ、ザケンナーよ、闇の力の恐ろしさ、思い知らせてやれ。」
ザ「ザケンナーー」
天空からザケンナーが舞い降り狛犬に乗り移る。
ミ「ほのか、逃げるミポ」
ザ「ザケンナー」
ザケンナーがほのかに体当たりする。
ほ「キャーー」
ミ「ほのかー」
一方その頃なぎさは
メ「感じるメポ、ほのかとミップルが危ないメポ」
な「えっ、」
メ「何してるメポ、早く助けに行くメポ。」
な「・・・・・」
メ「なぎさ、いくら喧嘩してたってほのかは大切な仲間じゃないのかメポ?」
な「・・・・・」
メ「なぎさー」
な「メップル、行くよ。」
メ「神社の方だメポ」
神社
な「ほのか、」
ほ「なぎさ、」
な・ほ「ディユアルオーロラウェーブ」
ブ「光の使者キュアブラック」
ホ「光の使者キュアホワイト」
ブ「闇の力の僕たちよ、」
ホ「とっととお家に帰りなさい。」
ベ「やはり来たか、行けザケンナー」
ブ「ホワイト、」
ホ「うん、」
ブ「ブラックサンダー」
ホ「ホワイトサンダー」
ホ「プリキュアの美しい魂が」
ブ「邪悪な心を打ち砕く」
ブ・ホ「プリキュアマーブルスクリュー」
ベ「ぐぅ、なぜだ、なぜなんだ、以前より力が増している、」
ブ・ホ「だぁぁぁぁ」
ベ「ぐぁぁぁぁぁ。」
ザ「ザァケェンナ〜」
ほ「なぎさ、ごめん、私、なぎさの努力も知らないで。」
な「ほのか、 いいのよ、こっちこそごめん、わたしにはやっぱりほのかが必要、これっからもよろしくね。」
ほ「うん。」
完
- 424 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/28(日) 23:08 [ RvtBmiOg ]
- おもしろい。きっとふたりはスグになかよしに戻れるよね!?
- 425 名前:424 投稿日:2004/11/28(日) 23:11 [ RvtBmiOg ]
- >422だけ読んだところで感想書いちゃった。すみませぬ。
やっぱりふたりはなかよしが一番です。
- 426 名前:833@ 投稿日:2004/11/28(日) 23:37 [ 3753oMUI ]
- 乙です。
こういう純粋な作品を読むといかに自分が穢れているかわかって少しOTZですが…w。
- 427 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/11/29(月) 13:12 [ rSMM7iqU ]
- 面白い、次作もキボンヌ
- 428 名前:ネズミ小僧(仮) 投稿日:2004/11/29(月) 20:19 [ dvkk5UzE ]
- 思ったより反響があって嬉しいです。時間があればまた書きたいです
- 430 名前:833@ 投稿日:2004/12/05(日) 14:22 [ qbV41s3w ]
- あの激闘の日々も既に過去の記憶となるほどの歳月が流れた。
中等部を卒業した二人は既に高等部進学へと進学した。
中等部までと違いあまりに遠い住所の高等部。
美墨なぎさと雪城ほのかは学校の寮へと入り、同じ部屋で生活をすることにした。
同部屋での生活にも慣れ始めた六月のある日。
なぎさの元へ一通の手紙が届いた。
な「ただいま、ほのか。」
ほ「お帰りなさいなぎさ。お疲れ様。」
な「ほんと、大会前はやっぱりハードだね。弓子先輩ももう絶対優勝だ〜〜!って燃え上がってるもん。」
ほ「ふふふ。それでお風呂にする?それともご飯?」
毎日なぎさが家に帰るたびに言う言葉をほのかは口にする。
な「ほのかぁ〜…。恥ずかしいからいちいち聞かないでよ…。」
なぎさはなぎさで毎日この言葉を聞いて恥ずかしがる。
ほ「いいじゃないこれくらい。それでどうする?」
な「とりあえず先にお風呂入る…。」
と言うやいなやほのかは嬉しそうにエプロンを着けている状態で両腕の袖をたくし上げて言う。
ほ「じゃあ背中流してあげ…」
な「いいってば!!」
半分本気、半分冗談のほのかを振り払いなぎさは一人で浴室に向かう。
ほ「あら…?」
なぎさが床に放り投げた荷物を片付けるほのか。
と荷物の中に紛れ込んでいた一通の封筒をほのかは発見する。
差出人の名前は美墨理恵。なぎさの母親である。
な「あああ!!いい湯だった…。」
体を思い切り伸ばしてなぎさが出てくる。既にパジャマに着替えている。
な「ほのか、後でマッサージしてね〜♪」
なぎさがほのかの背後に回り両肩に手をおいてマッサージのジェスチャーを示す。
ほ「なぎさ、お母さんから手紙が届いてるわよ。」
ほのかはそんななぎさの行動に慣れた様子で左肩に置かれたなぎさの手の上に封筒を乗せる。
な「本当?あ、これ一週間くらい前にお母さんから届いたやつだ。」
封筒を一目見てなぎさが答える。
ほ「もうダメじゃない、すぐに読まなきゃ。」
な「いや〜。でも、まあ大丈夫でしょ。」
ほ「差出人の人が返事を求める場合もあるんだから、手紙はすぐに読まなきゃダメよ。」
な「は〜い。とりあえず開けてみるね。」
ピリピリと封筒を破いて中の手紙を取り出す。中から二枚の紙が出てきた。
な「何だろうこれ…。」
片方の折りたたまれた紙を広げて中を見る。
な「なになに……、招待状にある通りだから、六月二十日までに着ていく服を用意しておきなさい。」
なぎさは書かれたことをそのまま読み上げる。
な「それと当日は九時に一回家に寄ってね。家から車で行くから。」
もう片方の紙を開いて読んでいたほのかが言った。
ほ「結婚式の招待状ね。」
な「結婚式!?」
ほ「なぎさのお母さんの妹さんみたいよ。」
な「ああ、伯母さんか!へぇ〜、伯母さん結婚するんだ〜。」
なぎさが意外そうな表情で言った。
ほ「でもなぎさ……。」
何か言いにくそうにほのかが言う。
な「どうしたの、ほのか?」
ほ「二十日って明日よ…?着ていくもの…あるの?」
な「あ………。」
今気づいたようになぎさが固まる。
ほ「だから手紙はすぐに読まなきゃダメだって…。」
な「今そんなこと言っても仕方ない!早くなんとかしなきゃ…。」
そう言いながら右往左往するが、なぎさには何のアイデアも無い様だった。
時刻は既に9時を回っている。こんな時にやっている服屋も無いだろう。
ほ「今ある服だけで何とかするしかないよ。」
右往左往するなぎさを止めるべくほのかが言った。
な「そうだね…。」
ほ「私の服貸してあげるから。」
な「ん、ありがとう。」
というわけで明日の結婚式に着る服を選ぶ始める。
ほ「とりあえずこれなんかどうかな?」
な「ん、着てみるよ。」
と服を着替えようとしてなぎさが動きを止める。
後ろからジーーーとほのかの視線を感じる。
な「ほのか、なんで見てるの?」
ほ「え…、あ、そんな〜。別に見てなんかいないよ。」
な「あっちで着替える。」
ほ「あ、なぎさったら。」
ほのかを振り切りなぎさは着替える。
- 431 名前:833@ 投稿日:2004/12/05(日) 14:23 [ qbV41s3w ]
- そして数分後……。
な「ほのか〜〜。」
低いドス声でなぎさが出てくる。
ほ「わぁぁ、なぎさ〜。似合ってるよ!」
な「なんでセーラー服なのよ!!大体、こんなのどこで買ったの!!」
ほ「どこって…。そんなのいいじゃない。わぁぁ、似合ってるよ…。」
な「セーラー服が似合っててそれがどうだって言うの!」
ほ「嫌だった?」
な「嫌よ!」
ほ「じゃあ、こっちなんかどうかな?」
ほのかは違う服をなぎさに手渡す。
な「ちょっと着てくる。」
なぎさは部屋を一度出て再び着替える。
数分後ドスドスドスという音とともになぎさが近づいてくるのがほのかにはすぐにわかった。
な「ほ〜〜の〜〜か〜〜!!」
ほ「なぎさ、似合ってるよ!」
な「あんた、なんでキュア・ホワイトの衣装なんか持ってるのよ!!」
ほ「あ…、それは記念にとっておこうと思ってね…。似合ってるよ!」
な「こんなもん着てるわけないでしょ!しかもダブダブだしさぁ…。」
ほ「それは単純になぎさに胸が無いだけ…」
途中まで言いかけてほのかはハッと気づいた。
な「ほ〜〜の〜〜か〜〜。」
ジャアクキングのような低い大声を出し、目に赤い炎を宿らせ、両手に力を込めて振るわせるなぎさ。
ほ「あ…、あ…。」
次の瞬間にはなぎさがほのかにコブラツイストを仕掛けていた。
ほ「なぎさ〜、ごめ〜ん。」
密かにほのかは笑顔だったりする。
な「今日という今日は許さ〜〜ん!!」
キュア・ホワイトが雪城ほのかにコブラツイストという奇妙な光景が暫く続いた…。
やがて本題を思い出した。
ほ「やっぱり普通の服がいいんじゃないかな?」
な「う〜ん、それしか無いかな〜。」
ほ「私の服貸してあげるよ。」
な「ん…、ありがとう。」
問題が一段落したところでなぎさが空腹を訴える。
な「お腹空いた……。」
ほ「そろそろ晩御飯にしよっか。」
な「うん。」
そして夕食を食べ、何気ない会話し、そして二人は眠りについた。
- 432 名前:833@ 投稿日:2004/12/05(日) 14:24 [ qbV41s3w ]
- ほ「なぎさ、起きて…。」
ほのかが眠るなぎさの体を揺すりながら起こす。
な「ん…、もう少し……。」
ほ「ダメよ、そろそろ起きないと間に合わないよ…。」
な「あ…、そっか…。」
眠そうな体を起こしてなぎさは立ち上がる。
なぎさはパジャマのまま、ほのかはエプロン姿で向かい合って朝食を食べる。
ほ「でも素敵よね〜、結婚式……。」
ほのかは少女のように目を輝かせて呟く。
な「そうだね〜。」
互いの結婚式に対する思いを話し合いながら朝食を食べた。
な「さてと…、そろそろかな…。」
時計を見てなぎさが立ち上がる。
ほ「なぎさ、ハンカチ持った?」
な「え?」
なぎさは慌てて両方のポケットを探る。ポケットには何も入ってない。
ほ「はぁ…。しょうがないなぁ…。はい。」
ほのかはタンスの中からハンカチを取り出し丁寧に折りたたむ。
な「あはは…、ごめんね〜。」
ほのかはなぎさの前に立ち、手に持ったハンカチをなぎさのバッグに入れる。
ほ「なぎさ…、肩に埃ついてるよ…。」
向かい合っている状態でほのかはなぎさの肩についた埃を払う。
静かに呟くように言った。
ほ「なぎさ…、背伸びたよね……。」
な「え……?」
なぎさは言われて初めて気づいたようであった。
な「そういえば…。」
ほ「プリキュアやってた時は、私のほうが背が高かったのになぁ…。」
な「そういえばほのかの家に柱に傷つけて比べあったもんね。」
ほ「うん。」
な「さてと、それじゃあ行きますか。」
なぎさがそう言うと、ほのかはなぎさの右腕を掴みその腕に自分の腕を絡める。
ほ「結婚式かぁ…。羨ましいよね。」
な「ほのか……。」
お互いの腕を絡ませたままほのかが小さく呟いた…。
ほ「私達は…、出来ないからね……。」
な「!」
ほ「あ、ご…ごめん、私……。」
なぎさの顔を見て困ったようにほのかが呟く。
な「じゃあ、行ってくるね。」
笑顔でなぎさは言った。
ほ「うん、行ってらっしゃい……。」
- 433 名前:833@ 投稿日:2004/12/05(日) 14:25 [ qbV41s3w ]
- な「ただいま〜〜。」
ほ「お帰りなさいなぎさ。どうだった?」
な「伯母さん幸せそうだったよ。」
ほ「そう、良かったわね。」
その話しを聞いて心底嬉しそうにほのかも笑った。
な「お土産にケーキ貰ってきたよ。食べよう。」
ほ「うん、わかった。お皿とか持ってくるね。」
ほのかが二枚のお皿とナイフを持って戻ると、既になぎさはケーキの箱を開けていた。
ほ「チョコレートケーキ?」
新品のチョコレートケーキを見て驚いたような様子でなぎさに訪ねる。
な「そうなのよ。伯母さんがわざわざ用意してくれたの。」
ほ「それじゃあ切るね。」
とナイフを持ったほのかの手に横からなぎさが手を重ねる。
ほ「なぎさ……?」
な「さぁて夫婦揃っての最初の共同作業、ケーキ入刀です!!」
高らかに宣言するなぎさ。
な「ほら、ほのか。私達の結婚式だよ!」
ほ「……………。」
ぽろぽろと涙を流すほのか…。
な「ほ…ほのか?ど…どうしたの?」
ほ「あ…、ごめんねなぎさ…。」
な「え?え?」
ほ「嬉しくて……。私……。」
なぎさは笑顔でほのかの頭を撫でてあげる。
その姿勢のまま暫くじっとしている二人。すぐにほのかも泣き止んだ。
ほ「それじゃあ続き、やろう。」
な「パパパーン、パパパーン、パパパパンパパパパンパパパパン。」
ほ「なぎさ…、それは入場の時にやる音楽よ……。」
な「あ、そうだっけ?」
そして二人の共同作業でケーキを切り、二人の共同作業でケーキを取り分け、ケーキを食べた。
な「おいしいね〜。」
ほ「うん。」
笑顔でケーキを食べる二人。
やがてケーキを食べ終えて、真剣な表情でほのかがなぎさに言った。
ほ「私…、雪城ほのかは健やかな時も病める時も美墨なぎさを愛すると……、誓います。」
な「ほのか……。」
ほ「なぎさも…。」
な「わかった、私、美墨なぎさは健やかな時も病める時も雪城ほのかを愛すると…、誓います。」
右手を挙げながら高々と宣言する。
ほ「スポーツの開会式じゃないんだから……。」
な「誓いのキスをします。」
ほ「え…ええ!!」
な「ほのか、結婚式だよ?」
ほのかは照れたような表情で…、それでも頷く。
ほ「わかった…。」
二人は立ち上がり向かい合う。
そして……
ほのかが両手をなぎさの首筋に持っていく。
そして爪先立ちをし……。
二人は…、愛の誓いの口づけをかわした……。
- 434 名前:833@ 投稿日:2004/12/05(日) 14:26 [ qbV41s3w ]
- 久々に書いて投下してみました。
ちなみに前作とは何の関連もありません。
高校同棲編と二人の結婚式という百合スレの書き込みを見て
思いつきで書いてみました。
- 435 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/12/05(日) 14:38 [ sqEqROc2 ]
- 伯母さん何歳なんだろう・・・
- 436 名前:424 投稿日:2004/12/05(日) 15:02 [ wVrHEcgs ]
- goooooooood joooooooobbbbb!!!
つま先カワイイ。
- 437 名前:リオ 投稿日:2004/12/06(月) 03:54 [ Hm3/Kspc ]
- 「あなたなんてプリキュアってだけで、友達でもなんでもないんだから!」
「あーあ・・・言っちゃったよ・・・」
真っ暗な部屋の中。なぎさは、ベッドの上に座り込んだまま小さくつぶやいた。
言うつもりはなかった言葉。でも、言ってしまった言葉。
今さらいくら後悔しても、無駄だということはわかっている。
それでもなぎさは後悔した。それしかできない自分に腹を立てながら。
「・・・・・・・・。」
真っ暗な蔵の中。ほのかは、黙り込んだまま蔵の中にある箱のひとつに手を伸ばした。
二度と使うはずはなかった道具。でも、使いそうになっている道具。いまさらためらう
ことは、無駄だということくらいわかっている。だからほのかは蓋を開けた。
それしかできない自分に、半ばあきれながら。
「私の靴下はちょっとくさい…なんちゃって、と」
なぎさはもう一度その詩を読み直し、大きく息を吐いた。それは詩というにはあまりに
稚拙だった。自分でもそれは十分理解できたが、そんなことは問題ではなかった。
「…………………」
ほのかはもう一度自分が書いたモノを見返し、大きく息を吐いた。
それはある目的の元に羅列された数行の文。
自分が今何をやったのか?それは十分理解できたが、頭の中に今日の出来事を
リピートさせることで、簡単に罪悪感は消えた。
あとは、40秒。
美墨なぎさ
友人の親切を突き放し、
「あなたなんてプリキュアってだけで、友達でもなんでもないんだから!」
などの暴言を吐いたことを後悔し、自宅で豆腐の角に頭をぶつけて死亡。
ほのかは薄く微笑むと、黒い表紙のノートを閉じた。
…やっぱりもう一度開くと、
「大体こうすれば早かったのよね」
ジャアクキング
部下全員に裏切られ失意のまま衰弱死。
黒い表紙のノートは、また、静かに出番を待つ。 完
- 438 名前:リオ 投稿日:2004/12/06(月) 04:01 [ Hm3/Kspc ]
- なんだかいろいろとごめんなさい。
ギャグのつもりで書いてたんです。
それなのにダーク…
それに皆さんデスノート知ってるんですかね?
名前と死因を書いたらその通りになるノートですよ。
僕は833@氏のような百合百合が書きたいんです
そのうちアカネ×翔子で書きます
- 439 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/12/06(月) 09:46 [ 7ZIo8u.. ]
- >>438
なぎさの所はダークだけど、ジャアクキングの所でワロタ。
わざわざ書かなくても本当に実現してもおかしく無いところがまたw
アカネさんと翔子の話はまだ無いので楽しみにしてます。
- 440 名前:833@ 投稿日:2004/12/07(火) 14:35 [ Xhy0Oxdc ]
- 題名:二人の別れ…。
いよいよ夏も間近に迫ってきた七月七日。
美墨なぎさは雪城ほのかの家にて大掃除をしていた。
以前なぎさの家をほのかに掃除してもらったそのお礼として、
なぎさ自らが宣言したことである。
(なおなぎさは発言後5分で後悔したらしいが…)
朝早くから大掃除が始まりほのかの祖母であるさなえが大部分を担当。
ほのかとなぎさには風呂・倉・部屋掃除という仕事が与えられた。
悪戦苦闘しながらも風呂・倉の掃除を終え後は部屋と廊下の掃除だけとなった。
それは同時に…。父親の仕事の都合引っ越すことになったなぎさとほのかが過ごせる最後の時間の終わりを意味していた。
出発は今日の夜。既に準備は完了していた。なぎさも親しい友人との挨拶を済ませていた。
出発が夜遅いことから見送りはいいと全員に言ってまわったらしい。
お別れ会は学校で既に済まされている。
ほ「本当にごめんねなぎさ。最後の時間が…こんなことで…。」
な「いいっていいって。全然気にしないでよ。」
ほ「後は私の部屋だけだから頑張ろうね。」
な「うん。」
そして二人はほのかの部屋掃除に取り組んだのだが……。
な「へぇ〜、これがほのかの小学校の時の写真〜。可愛いなぁ〜。」
ほ「なぎさ…。あのねぇ…。」
な「あはは、でもこれなんか凄いよほのか。」
ほ「もう!」
な「おお!!何これ!?ほのかのおねしょの時の写真だ。」
ほ「!!」
な「ほのか4歳。へぇ〜、私なんか小学校3年生の時が最後だなぁ〜。」
ほ「なぎさ!!!」
な「どわぁぁぁ!!」
ほ「真面目にやってよね…。」
な「ご…ごめんなさい…。」
というわけで掃除再会。
な「う…、重たいなこの箱。」
ほ「気をつけてね。重たいのもあるから。」
な「うん、大丈夫。ふんぬぁ!」
段ボール箱を持ち上げる。
な「こっちでいいの?」
ほ「うん。」
ドォンと畳の上に段ボール箱を落とす。
な「ふぅ…。」
額の汗を拭うなぎさ。
ほ「お疲れ様。」
早速ほのかがその段ボール箱を開ける。
な「なんか色々入ってるね。」
なぎさが箱の中のものを手当たり次第に出す。
と見たことのあるペンダントが出てきた。
ほ「あ、それ…。」
な「わぁ〜、懐かしいな。これ。確かあれだよね。お菓子のおまけ。」
ほ「そうそう。確か何かのチョコを買ったら抽選でプレゼントしてたの。」
な「ああ、そうだぁ。私これ当てたんだけど失くしちゃったんだよ〜。」
ほ「ちゃんと保管してたの?」
な「してたハズなんだけどなぁ〜。いつの間にか失くしちゃったんだよね。」
ほ「ああ…、懐かしいなぁ…。」
な「私達が小学生くらいの頃のキャンペーンだもんね。」
ほ「それもそうだけどさ…。」
な「なになに?何かあるの?」
ほ「うん……。このペンダントの思い出…。」
な「なにそれ?ちょっと話してよ。」
ほ「え〜っとね。私が小学校二年生の時だっけな…。」
- 441 名前:833@ 投稿日:2004/12/07(火) 14:37 [ Xhy0Oxdc ]
- ……………
ほ「………。あは。」
ほのかは景品として手に入れたペンダントを大事に両手に持っていた。
昨晩家に届けられたこのペンダントはほのかが持った初めてのアクセサリーだった。
本格的な夏の到来も間近といったところ。ほのかは上下ともに白い服を着ていた。
背中に背負った赤いランドセルはまだまだ大きい。
小学校も終わり家に帰る途中、ほのかは川沿いの道を歩いていた。
と突然背後から大きな音がする。
ほ「キャッ」
ほのかのすぐ横を自転車が駆け抜けていった。
ほのかはバランスを崩し転んでしまう。
だが転んだ拍子に両手で持っていたペンダントが宙を舞ってしまう。
ほ「あっ!」
ほのかの叫びを虚しく、宙を舞ったペンダントはポチャンという音とともに水の中へと飲み込まれた。
ほ「あ…。」
ほのかは呆然としてその場に立ち尽くしていた。
ほ「………どうしよう…。」
何も出来ずに動揺しうろたえてしまうほのか。
膝の力が抜けガクガクと体が震えだしてしまう。
ほ「ひぐっ…。うう……。」
地面に膝をつき、堪えきれずに涙を流すほのか。
「どうかしたの?」
ほ「え?」
見上げるとそこには一人の女の子が立っていた。
「こんなところで泣いてるなんて…、なにかあったの?」
ほ「うう…、ペンダント…。」
「ペンダント?」
ほ「おとしちゃったの…。」
泣きながら川を指差すほのか。
ほ「どうしよう…。」
「あのねぇ〜、そんなのさがせばいいじゃない!」
ほ「え…?」
「川のどっかにあるんでしょ。ほら、さがしてあげるから。」
ほ「でも…。」
「いいから。」
女の子はそう言うとズボンの裾を捲り川の中へと入っていった。
「ほら、あんたもはやく。」
ほ「う…うん。」
恐る恐る川の中へと足を踏み入れるほのか。
ほ「きゃっ。」
「どうしたの?」
ほ「つ…つめたいよ…。」
「あたりまえでしょ!川なんだから。」
ほ「こ…こわいよ…。」
「なにいってんの?足つくでしょ?」
ほ「で…でも…。」
「ほら、手もっててあげるから。」
女の子がほのかの手を取る。
「ゆっくりでいいから。」
ほ「う…うん。」
チャプ…。片足を川の中へと入れる。
「そうそう。」
ほのかを励ましながら女の子はゆっくりと手を引く。
チャプ…。もう片方の足も川の中へと入った。
「手…、はなすわよ。」
ほ「え?」
「だいじょうぶだって。あさいから。」
ほ「でもでも…。」
「ほら。」
ほ「あ…、ほんとだ…。」
「こわくないでしょ?」
ほ「うん!」
ペンダントを落としてからほのかが初めて浮かべた笑顔だった。
- 442 名前:833@ 投稿日:2004/12/07(火) 14:37 [ Xhy0Oxdc ]
- その後二人はほのかの記憶を頼りに川を捜索した。
しかし、どうしてもペンダントは見つからなかった。
ほ「見つからないね…。」
「ここにはないのかな?」
ほ「もういいよ。夜もおそいし…。」
「なにいってんの。ぜったいに見つけるの!」
ほ「でも……。」
ほのかの心配した通り時刻は既に七時を回っていた。
夏といえども既に空も暗くなり星が輝いている。
「ちょっとあっちさがしてくる。」
女の子は一人で少し離れた方向へと行く。
ほ「………。」
ペンダントを失ったという気持ちが再びほのかに圧し掛かる。
ほ「うう…。」
ほのかの目からまた涙が溢れ出した。
「ちょ、なに泣いてるの?」
ほ「だって…。」
「あったわよ。これでしょ。」
女の子はペンダントを手のひらにのっけていた。
濡れてはいるが、それは確かにペンダントであった。
ほ「あ…。」
「よかったわね。」
ほ「うん……。」
「あんまりうれしそうじゃないわね?」
ほ「そ…そんなことない。うれしい。」
「そう…?まあ、あたしはもうかえらなきゃ。ってああ!!」
ほ「どうしたの?」
「もう七時だ…。ああ、バトルレンジャーはじまってる…。」
ほ「あの?」
「じゃあね。」
女の子はそのまま川から上がると全速力で駆け抜けて行ってしまった。
ほ「……………。」
……………
ほ「そんな話し……。」
な「へぇ、そうだったんだ。」
なぎさがほのかの話しを聞き終えて感心したように言う。
ほ「だから…、大事なペンダントなんだ…。」
な「ふぅん。そりゃ失くせないよね〜。」
ほ「さ、掃除に戻りましょう。」
な「うん!」
そして二人は掃除へと戻った。
なぎさも真面目になるとほのかに負けず劣らずの力を発揮し、
ほのかの部屋の掃除は夕方には既に完了した。
- 443 名前:833@ 投稿日:2004/12/07(火) 14:38 [ Xhy0Oxdc ]
- ほ「なぎさ、ついでに晩御飯食べて行かない?」
なぎさへの感謝の意を込めてほのかが誘う。
な「あ…ごめん。今日は約束があるから…。」
ほ「そっか。残念…。」
残念そうにほのかが呟く。
な「本当にごめんね。」
ほ「ねぇ…、なぎさ。」
な「何?」
ほ「今日…行くんだよね?」
な「うん……。」
ほ「そっか……。向こうについたら…、手紙とか送ってね…。」
な「うん、わかった。毎週。ううん毎日送るよ!」
ほ「毎日はいいけど…。ありがとう。」
暫く黙っていたほのかがようやく口を開く。
ほ「さよなら、なぎさ。」
な「うん、じゃあね。ほのか。」
時刻は夕方の六時。空が暗くなり始める頃だった。
なぎさが去った後…、ほのかは一人雪城家の玄関で涙を流した。
……………
さ「ほのか、ご飯ですよ。」
ほ「え?ああ、おばあちゃま。」
さ「さ、食べましょう。」
ほ「うん。」
さ「なぎささん。今日出発ですよね?」
ほ「うん。今日の夜には…。」
さ「寂しいですね。」
ほ「仕方ないよ。お仕事の都合だもん。」
そのときチャリーンとペンダントが音を発した。
さ「おやおや…、随分と懐かしいペンダントをしてるね。」
ほ「おばあちゃま覚えてる?」
さ「覚えてますよ。丁度七年前の今日のことですよ。」
ほ「え?」
さ「七夕の日にほのかがそのペンダントを落としたって言ってたんですよ。」
ほ「そうだったかしら?」
さ「親切な女の子が見つけてくれたって。」
ほ「それが今日だったんだ。すっかり忘れてたわ…。」
さ「ほのかはその女の子にお礼してあげるんだ。って言ってましたよ。」
ほ「……!」
突然ほのかの頭の中で何かが弾けた。
フラッシュバックする過去の景色。
女の子と交わした約束。
さ「ほのか?」
ほ「え?」
さ「どうかしたの?」
ほ「ううん。何でもないわ、おばあちゃま。」
- 444 名前:833@ 投稿日:2004/12/07(火) 14:39 [ Xhy0Oxdc ]
- ……………
ほのかはベッドの上で一人考えていた。
ほ(あれは……。)
何だったのだろう?思い出しそうで思い出せない。
時刻は七時半を回ったところだった。
静寂な空間の中でほのかは一人何かを思い出そうとする。
ペンダントを持った右手を目の前に掲げる。
ほ「何かある。でも思い出せない……。」
左右に転がりながら必死に思い出そうとするほのか。
ほ「あ〜ん、思い出せない…。」
バタッを両手を広げる。ボフッという音と少しの埃が舞い上がった。
パキンッ
ほ「!?」
何かが割れる音がした。
ほ「え?」
もちろんその場にあったもので割れるのはペンダントだけである。
ほ「ペンダントが…、割れた?」
ほ「!!」
その瞬間ほのかの記憶が再び弾けた。
フラッシュバックした過去の光景は鮮明に蘇った。
そして女の子と交わした約束。
……………
「じゃあね。」
ほ「まって!」
女の子が立ち止まる。
「なあに?」
ほ「あの…、おれいしたくて…。」
「いいよ、べつに…。」
ほ「でも…。」
「いいってば、そんなの。」
女の子は再び走り出そうとする。
ほ「まって!」
「なあに?もうバトルレンジャーはじまってるからいそいでよ!」
ほ「あ、ごめんなさい。あの…。」
「なに?」
ほ「また…あいたいです。」
「あう?」
ほ「はい…。いつでもいいですから…。」
「よくわかんないけど…。じゃあいま七時七分だから…。七年後!」
ほ「え?」
「七年後の七時七分にここであうってのは?」
ほ「わ…わかりました。」
「それじゃあね!」
ほ「は…はい!」
女の子は再び駆け出していった。
……………
- 445 名前:833@ 投稿日:2004/12/07(火) 14:40 [ Xhy0Oxdc ]
- ほ「あれは……。七年前の今日……。」
ハッと全てを思い出した。
ほ「!!」
慌てて時計を見る。時刻は既に八時を回っていた。
ほ「私……。」
後悔の言葉を口にしそうなるのを堪える。まだ間に合うかも知れない。
慌てて部屋を飛び出す。
ほ「おばあちゃま。ちょっと出かけてくるね。」
さ「え?」
ほ「心配しないで。すぐに戻るから。」
さ「はぁ…。」
ほ「じゃあ行ってきます!」
ほのかは全速力で走りながら家を出た。
……………
ほ「はぁ…、はぁ…。」
目的の場所の直前で息切れしてしまう。
これ以上は走れそうに無い。
ゆっくりと息を整えながら歩く。
そして暫く歩いて…、ほのかは目的の場所に到着した。
そこには人がたった一人だけ居た……。
暗い闇の中で佇むその少女は…。他でもない美墨なぎさだった…。
ほのかはその様子を確認してゆっくりとなぎさの立っている方向へと歩いて行く。
な「あれ?ほのか?」
ほ「なぎさ…。」
な「こんなところで会うなんて奇遇だね。」
なぎさは嬉しそうに言った。
ほ「なぎさ…、何してるの?」
ほのかはまだ少し荒い息で訊ねた。
な「私はね〜。人を待ってるんだ。」
ほ「人……?」
な「ここで人と会う約束をしたんだ。まあ子供の頃なんだけどね…。」
ほ「そうなの?」
な「七年前にね。ここで七年後の七時七分に会おうって約束したの。まあ相手は忘れちゃったのかな。まだ来てないけど」
ほ「……………。」
な「それよりほのか。見送りはいいって言ったのに…。」
ほのかは黙ったままパキッとペンダントを割る。
な「ほ…ほのか!?そ…それ大事なペンダントでしょ!!」
ほのかは割ったペンダントの片方をなぎさに差し出す。
ほ「覚えてない?なぎさ……。」
な「え……?」
ほ「って私も忘れてたんだけどね…。」
エヘヘとほのかも笑う。
な「あの〜、何のこと?」
ほ「なぎさ、ペンダントありがとう。これ、なぎさのだよ。」
な「え…?だって私はペンダント失くしたって…。」
ほ「失くしてないよ…。私全部思い出した。これ…、なぎさがくれたんだよ。」
な「え…?え…?」
……………
ほ「これ…、ペンダントかな?」
ほのかが川の中に手を入れる。
引っ張り上げたそれは間違いなく自分のペンダントであった。
ほ(あった…。)
「あったわよ。これでしょ。」
同じタイミングで女の子が叫んだ。
ほ(え?)
自分が落としたペンダントはこれに間違いない。
女の子はペンダントを手のひらにのっけていた。
濡れてはいるが、それは確かにペンダントであった。
ほ「あ…。」
なぜここにもペンダントがあるのだろう。
「よかったわね。」
ほ「うん……。」
どういうことなのだろう……。
「あんまりうれしそうじゃないわね?」
ほ「そ…そんなことない。うれしい。」
慌てて取り繕うほのか。
ほ(もしかして…)
……………
- 446 名前:833@ 投稿日:2004/12/07(火) 14:40 [ Xhy0Oxdc ]
- ほ「なぎさは…、自分のペンダントを私にくれたんだよね…。」
な「……………。」
ほ「私が悲しまないようにって…、私のために…。」
な「……………。そうだったんだ。」
ほ「なんでなぎさが忘れちゃうのよ…。」
な「いや〜、それが全然ピンとこなくて…。」
ほ「じゃあ…、これでどう?」
ほのかがなぎさに顔を近づける。そして頬に自分の唇をつける。
ほ「……………。」
ほのかは顔を赤くしている。
な「……………あああ!!!」
なぎさも顔を赤くしていたが突然叫んだ。
な「思い出した!!そうだ…、私…。」
ほ「思い出した?」
な「うん!そうだ…、私ここで女の子と会ったんだ。買い物帰りで…。
お礼にほっぺにチューされて…。
バトルレンジャー見逃してお母さんに物凄く怒られて……。」
ほ「そのときのこと覚えてる…?」
な「うん…、あの時の女の子がほのかだったんだ…。なんか、凄い偶然だね…。」
ほ「本当ね…。」
な「そっかぁ…。ほのかだったんだぁ…。」
ほ「何…、どうしたの?」
な「ほのか泣き虫で怖がりだったんだぁ〜。」
なぎさがニヤニヤしながら呟く。
ほ「ちょ…、なぎさ!!」
な「あはは。冗談だって。」
な「でも…、これで安心して行けるね。これが最後の心配事だったから…。」
ほ「なぎさ…。」
な「そろそろ時間だから…。行くね。」
ほ「なぎさ!!」
ほのかが大きな声で叫ぶ。
な「何…?」
ほ「これ…、受け取って……。」
割れたペンダントの半分をなぎさに手渡すほのか。
ほ「このペンダント。こうやって二つを合わせると一つになるの。」
な「うん。」
ほ「なぎさ…。私達…、このペンダントと一緒だよ…。」
な「え…?」
ほ「離れていても…、長い時間がたっても…、ずっと一緒だよ……。」
な「ほのか……。」
ほ「ね、なぎさ。」
必死に涙を堪えるほのか。決して泣くまいという意識を感じさせる表情だった。
な「うん。」
なぎさも笑顔で答えた。
な「遠く離れてても、ずっと一緒だよ。」
ほ「それじゃあ、バイバイなぎさ。」
笑顔でほのかが別れの挨拶をする。
それは二人が普段別れる時に使う言葉。
また明日という願いを込めた言葉。
な「うん。バイバイほのか。」
なぎさも笑顔で応じる。
いつかまた会うという願いを込めて。
そして…。二人は別れた……。
- 447 名前:833@ 投稿日:2004/12/07(火) 14:43 [ Xhy0Oxdc ]
- 以上です。うむむ。投下中に思ったけどまだまだ推敲の余地がありまくるな。
やはり即興で書くのは難しい。
二人の別れと最初の出会いをテーマにしてみたけど上手くいかなかったな〜。
>438
GJ!
しかしこうやって自分の名前を見ることになるとは思わなかった。
期待してます。頑張ってください。
でも翔子×アカネで百合百合出来るのか?とも思っていますw。
- 448 名前:833@ 投稿日:2004/12/10(金) 17:45 [ kZx.DiJI ]
- ここ最近全然書き込みが無いな〜。
なんとなく活性化の期待も込めてSS投下します。
59氏のように地の文?を増やしてみました。
- 449 名前:833@ 投稿日:2004/12/10(金) 17:45 [ kZx.DiJI ]
- 高校生になった二人が寮の同室で暮らすようになってから半年ほど経過した秋のある日。
キーンコーンカーンコーン
授業終了のチャイムが鳴り昼休みの開始を知らせた。
教室内では生徒達が各々昼食をとっていた。
食堂へ行く者あり、教室で仲の良い友人と食べる者あり。
そんな中美墨なぎさの周りにも二人の友人、高清水莉奈と久保田志穂がやって来た。
そしてもう一人。綺麗なお弁当の包みを持って雪城ほのかが。
四つの机を並べなぎさ・ほのかと志穂・莉奈が向かい合って座る。
ほ「はい、なぎさ、お弁当。なぎさの希望通りハンバーグ入れておいたよ」
人差し指と中指で支えていた弁当箱をなぎさに手渡す。
な「ありがとうほのか!」
ほ「苦労したんだから、ちゃんと味わって食べてね」
戒めるようになぎさに伝える。
なぎさの食べっぷりを熟知しているほのかだからこそ必ず言う言葉である。
な「ははぁ、かしこまりました」
頭を下げお弁当箱を両手で掲げるように持ちほのかにお辞儀をする。
ほ「よろしい」
ほのかも腰に左手を当て、右手を口元に添えるて答える。
まるで女王様とその忠実な兵士のような構図である。
な「ってあれ?ほのか。自分のはどうしたの?」
さっきまでの芝居を即座に打ち切りなぎさがほのかに疑問を投げかける。
ほ「私はこの時間は委員会の仕事があるから…」
ほのかは図書委員会に所属している。
図書委員の仕事は本の貸し出しや整理などでそれを当番制で行っている。
そして今日はほのかが当番の日であった。
ほ「そろそろ行かないと。じゃあ行ってくるね」
なぎさと一緒に昼食を食べられないことが残念な様子で言った。
な「うん、行ってらっしゃ〜っい」
笑顔でほのかを見送るなぎさ。
志「なになになに?なぎさって雪城さんにお弁当作ってもらってるの?」
莉「しかも自分で注文までしてるってわけ?」
その様子を見ていた志穂と莉奈がなぎさに詰め寄る。
な「ち…違うよ…。これはほのかが言い出したんだよ」
頬を染め困ったような表情で両手を振り否定する。
がそれを聞いて志穂は椅子から立ち上がり更になぎさに詰め寄る。
志「え〜、なんかなんかなんか怪しくない?」
な「そ…そんなことないって…」
莉「なぎさがお願いしますって頼み込んだんじゃないの?」
莉奈はからかい半分の様子でなぎさに訊ねる。
な「だから違うって!」
両手を振り上げムキになって莉奈の意見を一蹴する。
「私はほのかに迷惑かけたくない!って断ったの!」
ダンッ!と右手で机を叩き二人を黙らせるべく一気に捲くし立ててしゃべる。
からかい半分だった二人もその様子に驚き思わず沈黙する。
な「そしたら……、ほのかが一週間に一回くらいはお弁当の日があってもいいでしょ。って…」
恥ずかしさからか先ほどとは一転して縮こまりながら小さな声で言った。
志「はぁ〜、そういうことなんだ」
志穂が感心したように三回頷いた。
莉「いやはや、立派ですな」
莉奈もまた感心したように、少し呆れているような表情で頷いた。
な「っていうか早く食べようよ!」
これ以上こんな話はしたくない。という主張代わりになぎさは提案した。
志穂と莉奈にしてもこれといって反論する理由は無いので素直になぎさの提案を受け入れる。
- 450 名前:833@ 投稿日:2004/12/10(金) 17:46 [ kZx.DiJI ]
- 莉奈と志穂となぎさ、三人同時に弁当箱を開ける。
開けると同時に莉奈と志穂からおお〜っという感嘆の声が上がる。
な「な…なに!?どうしたの?」
感嘆の声の理由がわからないなぎさはただ驚く。
ガタリと椅子から立ち上がり二人がなぎさに詰め寄る。
志「なぎさ〜。このお弁当凄すぎ!」
莉「こんなの、なぎさじゃ一生かけても作れないよ」
な「え…、え…」
どうしてのよいのかわからずなぎさはただうろたえている。
なぎさが手元の弁当箱を見つめると、弁当箱の中には卵フリカケのかかったご飯、丹念に作られたソースつきハンバーグ、
丁寧に刻まれた野菜の添え物、その他スパゲティー、ポテトといったものが並んでいた。
弁当のおかずの代名詞ともいえる冷凍食品はほとんど用いられていない。
誰が見たって相当の手間隙をかけて作られたものであるということが容易に想像出来るような逸品であった。
莉「なにこれ…。ハンバーグのソースまで手作りだ!」
驚愕の表情でハンバーグを口に含みながら莉奈が言った。
志「まったりとしていて…それでいてしつこくなく…、どこか甘みも感じさせる…。おいし〜〜い」
料理番組のゲストが使うような言葉を使って志穂もほのかの料理を褒める。
な「へぇ〜、そうなんだ。ってなに二人とも勝手に私のハンバーグ食べてるのよ!!」
今更ハッと気づいたようになぎさが怒る。
が二人はなぎさの言うことなど全然耳に入っていないようにひたすらほのかのハンバーグの味を噛み締めていた。
莉・志「おいしい……」
な「はぁ……。ダメだこりゃ……」
呆れてものも言えないという様子でなぎさも弁当を食べ始める。
まずご飯にお箸をつけ続いて主食であるハンバーグ。そして好物では無い野菜を一気に流し込む。
栄養バランス云々と言っていたほのかの教えを全く聞いていない食べ方であった。
なぎさはあまり味や調味料といったものに拘らない性格であったからどんどんと食べる。
志「なぎさ…」
志穂が何か恨めしそうな声を発する。
な「何?」
志「おいしい?」
答えのわかりきった質問をあえてする。
な「おいしいよ」
なぎさも即答する。
な「………」
なぎさは再び食べ始める。
特に話すことも無く、またほのかの手料理は美味しいのでなぎさはどんどんと食べていく。
莉「なぎさ…」
今度は莉奈がさきほどの志穂と同じような声を発する。
な「何?」
莉「おいしい?」
さっきと全く同じ質問をする。
な「おいしいよ」
なぎさも全く同じ答えをする。
なぎさは食べることを再開し、黙々と食べ続ける。
莉・志「なぎさ……」
志穂と莉奈が同時になぎさに声をかける。
な「何?」
少しイライラした様子でなぎさが答える。
体育会系の血がそうさせるのか彼女はあまり同じ質問を繰り返されることをヨシとしない。
莉・志「おいしい?」
箸に力を込めて握り締めプルプルと腕を震わせる。
な「だから…、おいしいって言ってるでしょ!」
ダァンと右手で机を叩く。水筒のコップに入っているお茶が少し零れた。
- 451 名前:833@ 投稿日:2004/12/10(金) 17:47 [ kZx.DiJI ]
- 莉・志「一口頂戴」
な「はぁ?」
ストレート過ぎる二人の表現に思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。
と同時にようやく二人が同じ質問を繰り返していたのかを理解した。
な「ダメ」
なぎさは明後日の方向を向き要求を拒否する。
志・莉「え〜〜〜??」
当然二人からは反感の声が上がる。上がる。上がる。
な「私のお弁当だよ」
右手で胸の前に掲げ至極もっともな主張をする。しかし二人は納得しない。
志「作ったのは雪城さんでしょ〜」
莉「なぎさは何もしてないじゃん」
志「横暴だよ〜」
莉「一口くらいいいでしょ〜」
志「ブーブーブー!!」
なぎさに対する文句が続き、とうとうブーイングが飛び出した。
莉「ブーブーブー!!」
志「ブーブーブー!!」
親指を逆さに向けてブーイングをする二人の少女。
最初は余裕を持って聞き流していたなぎさだったが、すぐに我慢の限界が訪れた。
パキンと箸を折りかねないような圧力が既に箸にかけられている。
な「うるさ〜〜い!!ダメったらダメ!」
全てを突っぱねるように大声で叫ぶ。その時クラスの視線がなぎさに向けられたが、
感情が昂ぶっているせいか、なぎさは意にも介さない。
志「う…、うわああああん。なぎさが虐めたぁぁぁ!!」
志穂が大声で泣き叫ぶ……フリを始めた。両手で目を隠し上半身を机に密着させて泣いたフリをする。
莉「あ〜あ、なぎさいけないんだぁ。泣〜かせた」
莉奈が志穂を指差しながら口元に手を当てて楽しそうに言う。
なぎさを批難するような視線を半笑いの表情で向ける。二人とも明らかに演技である。
な「ちょ…、なんでそうなるのよ〜〜」
この状況で困惑するのは当然なぎさ一人だった。
左手を座っている椅子に掛け、椅子を前後に揺らしながら呟く。
自分では正当な主張をしたつもりだが、結果として一人の女の子を泣かせてしまっている(もちろん嘘だが)。
周囲の視線は当然自分に向かってくる。
な「ああもう!わかったから。一口あげるから!!」
なぎさがそう言った瞬間、一瞬前まで泣いていた志穂が顔をあげる。
志「ほんとほんとほんと?」
莉「もちろん、私にもくれるよね?」
莉奈も慌ててなぎさに訊ねる。
な「わかったから…、好きにして…」
なぎさはグッタリとした様子で上半身を机に投げ出す。
な「はぁ…、ありえない…」
いつも通りの口癖を呟くのだった。
そんななぎさの様子を無視して志穂と莉奈はなぎさのお弁当箱のハンバーグに自分の箸を入れる。
な「一口だけだからね。少しだけだよ…」
窓の外を見ながらなぎさが言った。
志・莉「は〜い」
元気良く返事をする二人。既に教室にいたクラスメートの意識も別の方向へと向かっていた。
二人は箸にハンバーグの欠片を取り口の中へと放り込む。
志「おいし〜〜い」
莉「おいしすぎる…」
志穂は目をキラキラ輝かせまるで飛び跳ねているかのようにハンバーグを味わい、
莉奈は感動して涙が出るのを堪えるかのように手を頬に当てて味を噛み締めている。
な「大袈裟じゃない?」
その様子を見ていたなぎさが不思議そうに言う。
志「何言ってるの。こんなお弁当男子部の学生が貰ったら泣いて感動するわよ」
莉「うん、間違いないね」
志穂と莉奈はなにやらよくわからない主張を始めるがなぎさは適当に聞き流していた。
そしてなぎさは再びほのかのお弁当を食べ始める。
- 452 名前:833@ 投稿日:2004/12/10(金) 17:48 [ kZx.DiJI ]
- ハンバーグを食べたことによって満足したのだろうか、志穂と莉奈もようやく自分の弁当を食べ始める。
一足先に弁当を食べ終えたなぎさは両手をだらんと椅子の背もたれに預けて座っていた。
志「でもさでもさでもさ〜〜。雪城さんって凄いよね〜」
志穂がご飯を一口入れてから言った。
莉「ほんとほんと。頭良し、器量良し、料理良しと三拍子揃ってるもんね〜」
莉奈も少し呆けた様子で返事をする。先ほどのハンバーグの記憶がまだ鮮烈に残っているようだった。
な「ふぅん…」
なぎさは窓の外の紅葉がひらひら舞う様子を見ながら興味無さげに呟いた。
志「男子部でも相変わらず凄い人気らしいよ」
莉「なぎさも大変でしょ〜。雪城さん人気あるから」
な「まぁね…」
溜め息交じりに返事をした。この半年間ほど…、確かに色々大変だった。
ほのかと同室に入ってからというもの、目に見えた嫌がらせはほとんど無かった。
それでも中傷の手紙は自分にも、そしてほのかにも何通も届いた。
しかしなぎさとほのかにとってそれ以上に辛かったのは男女を問わず送られてくるラブレターであった。
なぎさとほのかの関係を知る者は恐らくは誰も居ない。また誰にもバレてはいないだろうなぎさはと思っている。
だからといってせっかく送ってもらった手紙を捨てるという行為はどうしても出来なかった。
そういう理由で現在部屋は手紙で埋まっているスペースがかなり広くを占めているのだった。
ちなみにそんなことが悩みであるなどというのは、やはり打ち明けられないことであった。
莉「雪城さんってさ。なんかおしとやかで守りたくなるようなイメージあるよね〜」
志「あるあるある。華奢っぽいんだろうね〜」
自分の過去を回想していると話しはいつの間にか展開されていた。
しかしこの二人の語っているほのかは明らかに自分の知っているほのかと掛け離れている。
な「志穂も莉奈も絶対勘違いしてるよ〜」
話すつもりは無かったのだが、無意識のうちに口がしゃべりだしていた。
な「ほのかって見た目は華奢だしおしとやかだけどさ〜。全然違うよ」
志穂と莉奈はきょとんとした表情でなぎさを見つめる。
な「部屋掃除とかする時もバンバン力仕事出来るし…」
志・莉「へぇ〜」
志穂と莉奈は黙ってなぎさの話しを聞く。
な「雑誌縛るときに普通に口使ってフンガァってやってたし〜」
志・莉「(( ;゚Д゚)!」
な「ベッドの中で私の体抱く時なんか凄い力なんだよ。だから最近腰が痛いんだよねぇ〜」
志・莉「((( ;゚Д゚))!!!」
な「そうそう。この前なんか包丁で手を切っちゃった時に応急処置で舐めてくれたのいいけど、
そのまんま止まらないでさ〜。私ベッドに押し倒されちゃったんだよ。もう凄い力でさ〜」
なぎさは段々と饒舌になっていく。
志・莉「(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
な「どうしたの?志穂、莉奈。ずっと黙ってて?」
志・莉「(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル あ……」
な「ん?」
志穂と莉奈がたった一言呟いた丁度その時…。
ガッ。なぎさの肩に手が置かれていた。
ほ「ちょっと………、なぎさ借りるわね……」
そこには表面上はいつもと同じ笑顔のほのかが立っていた。
だがほのかの全身からは明らかに普段とは違う気配が出されていた。
グゴゴゴゴゴゴと地面が蠢く様な効果音のようなオーラが全身から放たれている。
その証拠になぎさの肩に置かれたほのかの手には明らかに異様な力が込められ、そして指が食い込んでいた。
グッとほのかがなぎさの体を引っ張り上げる。
な「ほ…ほのか……。あ…、あああ……(((( ;゚Д゚)))」
ほ「じゃあなぎさお借りしま〜す♪」
な「いやああああああ!!!」
絶叫するなぎさをほのかが廊下へと引っ張り出す。
- 453 名前:833@ 投稿日:2004/12/10(金) 17:51 [ kZx.DiJI ]
- 志・莉「………………」
暫くの間絶句したまま席に座っていた二人だったが、
無言で互いの意志を確認し立ち上がると、なぎさとほのかが消えていった先へと歩き出していた。
人気の無い廊下へ出るとなぎさとほのかが二人だけ窓の近くで向かい合っていた。
なぎさがこちらを振り向く。
バッと慌てて二人は廊下の柱に隠れる。どうやらなぎさは気づいていないようだった。
ほ「それで…、あんなこと口走っちゃったってこと?」
窓の外の景色を眺めていたほのかがなぎさの方へと振り返り訊ねた。
な「う…うん」
なぎさは下を向いて申し訳無さそうに頷く。
ほ「はぁ……。どうするの?」
ほのかは大きな溜め息を一つつく。
な「う〜ん。でも大丈夫な気もするんだよね。志穂と莉奈なら長い付き合いだし…」
口に人差し指を当ててなぎさが言う。
ほ「そうかな…。大丈夫かな……」
ほのかは心配そうにしている。
柱の影に隠れている二人は静かに話しをする。
志「何の話かな?」
莉「私達何か知っちゃったのかな?」
二人は事の重大さにはまだ気づいていなかった。
な「きっと大丈夫だって…」
なぎさはほのかの両肩をポンポンと叩いて自信満々に言った。
ほ「わかった…なぎさを信じるよ」
心配そうな顔のほのかも笑顔で言った。
が次の瞬間すぐに表情が変わった。
ほ「それはそうとなぎさ。もうバレちゃったら別にいいよね…」
な「え…?な…何の話?」
なぎさは手で頭を掻いて誤魔化すような仕種をする。
ほ「今まではバレたら困るっていう理由で途中で止めてたのよ。なぎさの体に痕が残るといけないと思って…」
な「あ…、それは……」
ほ「もういいわよね。今までずっと、ずっと、ずうううううっと!!我慢してたのよ」
な「あ…あ…、(((( ;゚Д゚)))」
ほのかはなぎさの両胸に手を自分の手を重ねる。そしてなぎさの耳元に囁いた。
ほ「今日は朝まで寝かせないわよ……」
小悪魔のような歪んだ笑みを浮かべているほのか。なぎさも釣られて笑い出す。
な「は…ははははは…。了解…」
力無くなぎさが頷く。
となぎさの返事を聞いたほのかが真っ直ぐに柱の方向へと向かってくる。
ほ「この事は他言無用よ……」
すれ違い様にほのかは二人に言い放った。
今まで聞いたことも無いような冷たい響きを持っていた。
と少し先でほのかがピタリと足を止めて振り返り一言言い残した。
ほ「誰かに話したら……、どうなるかわかってるわよね…」
表面上はいつもの笑顔と何ら変わらない。がその下の本当の表情は誰にも予測がつかないものであった。
志・莉「(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル は…はい!!」
声を震わせて返事をする二人。
ほ「よろしい……」
ほのかはパンパンと手を払いながら教室へと戻っていった。
二人はそのまま暫くその場に立ち尽くしていた…。となぎさが横を通った。
な「ね?」
そう一言だけ呟き教室へと戻っていった。
しかし二人を説得させるにはこれで十分。いや、これ以上の言葉は無いだろう。
志・莉「よーくわかりました……」
キーンコーンカーンコーン
昼休み終了のチャイムが静かに鳴り響いた。
- 454 名前:833@ 投稿日:2004/12/10(金) 17:53 [ kZx.DiJI ]
- な「ふぅ……」
なぎさは溜め息を一つついて窓の外の景色を眺めていた。
風が強いせいか紅葉が大量に舞っていた。
教室に視線を戻すとほのかがなぎさの方を見ている。
な「?」
なぎさが疑問の視線を投げかけるとほのかはパンパンと制服の左ポケットを叩いた。
言われたままになぎさは自分の左ポケットに手を入れる。
カサリと何かに触れる音がした。
な(なんだろう……)
ポケットの中には一枚の紙切れが入っていた。なぎさはそれを開く。
なぎさ、大好きだよ
シャープペンでただ一言だけそう書かれていた。
なぎさはそれを見て思わず笑みが零れた。そしてほのかに満面の笑みを返した。
ほのかもそんななぎさを見て安心したような笑みを浮かべる。そしてすぐに授業に集中し直した。
なぎさはその言葉が書かれた紙を何度も手でクルクルと回した。
な(そうだよねぇ〜、そうなんだよねぇ〜)
改めて自分の気持ちを確認するように何度もそんなことを心の中で呟いた。
な(雪城ほのか……。私が中学校二年生の時に出逢った女の子。世間のイメージは見た目は華奢でおしとやか。
思わず守ってあげたくなるような女の子。頭良し、器量良し、料理良し。なんか褒め言葉ばっかり)
な(しかしその実態は…。なかなかの力持ち、それに……、あっちのほうは凄い……)
な(ま、ほのかがそんな態度とるの私だけだから、誰も気づかないんだけどね……)
な(でもまぁ……。結局私も……。そんなほのかのこと大好きなんだよね……)
なぎさの表情はさっきよりも明るくなっていた。
明るい表情でなぎさは窓の外の景色を静かに見つめた。
二枚の紅い木の葉がくっついて一つになって舞うのが見えた。
- 455 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/12/10(金) 18:35 [ DoUwBpD. ]
- >>833氏、GJ!!
毎度毎度お疲れ様です。
確かに最近は、833氏以外にSS投下してくれる方が少ないですけど
自分は833氏がずっと続けてくださるだけでも嬉しく、とても意味がある事だと思いますよ。
止めずに続ければまた他に誰か書いてくれる人もいるでしょう。
それはそうと、すごいですね〜
なんだか>>833氏のSSが日に日に完璧度を増していっているというか
このスレに初めてSS投下された時に比べて表現や文章力が随分上達されたのが見受けられますし
もちろん初めのほうもかなり良作でシチュエーションや萌え展開などは
凄かったのですが、どこか危なっかしかったり未完成な部分がありましたけど
今はもうほぼ完璧ですね、素晴らしい。
私も最初から全てSSスレのSSは読んでいますが、どれも力作ばかりですごい。
特に833氏のは、元は百合スレで出たネタだったりしますけど
そこからどんどんイメージを膨らませていってとても読み応えのあるボリュームで
初めから最後までしっかり引き込んでくれますし、
それでいてユーモアセンスに溢れていてとてもおもしろい。
今回の作品に至っては、私自身、読んでいる最中も自然に
校内での情景やキャラの動作、声がどんどん頭の中でイメージできてとてもリアルな感覚がしました。
やはり初めの頃に比べてなぎほの、その他のキャラの特徴や雰囲気などを
上手く掴んでいらして、とてもリアルに感じました。
>「ブーブーブー!!」ワロタw しほりなは豚かよw
- 456 名前:リオ 投稿日:2004/12/11(土) 00:49 [ Ul6C6u42 ]
- 実際の話、
833@氏のSSを読むたびに死の危険を味わいます。
萌え死です。素数を数えても落ち着けません。
具体的に何がいいのか、何故ここまで萌えれるのか考えてみると
キャラクターが不自然じゃなく、
………………
言いたいことは全部>>455に書いてありますね。
何はともあれ
GJです。
- 457 名前:大阪 投稿日:2004/12/13(月) 00:29 [ R9Y37X4c ]
- だいぶ間が空いてしまったな。ひさしぶりにちょっとだけだけれども、続きを投下しよう。
季節はすっかり冬になってしまったな。まあ、いい
>>261の続き
「ふふふ、あなたはほんとに素直でいい子ね」
さなえは純粋に言葉どおりの意味で言ったつもりだったのだが、なぎさには違うように聞こえたようだ。
「あ、すいません。つい、うかれて調子に乗っちゃって」
「いいのいいの、あなたみたいに裏表のない、他人にも自分にも正直になれる子はそういないわ。それは
とても素敵で大切なことよ」
普段から物腰柔らかで穏やかなさなえだが、ほのかがこの場にいないのが影響したか、はたまた
何か事情でもあるのか、今日はいつになくやさしい。
「えへへ、そうですか?なんか照れるなあ(はあ、あの人にも素直になれればなあ・・・)」
さなえの気遣いも、なぎさにとっては少し耳が痛かった。
「ささっ、どうぞあがってあがって」
「はい、お邪魔しまーす」
廊下をすすみ、ほのかの部屋へと案内される。
「じゃあ、ちょっとここでまってて、お茶用意してきますから」
「はーい」
さなえはそう言うとなぎさを残し一人炊事場へ向かった。
一方、ほのかの部屋では。
「なぎさー」
なぎさ一人きりのはずの部屋の何処からか、なぎさを呼ぶ声がする。
「おーい、なぎさー」
どうやらその声はなぎさの腰につけた携帯電話ホルダーのようなものの中から発せられているようだ。
そのせいか少し声がこもって聞こえる。
「なーに?」
そのなぎさの返事に反応するかのように、突然そのホルダーから携帯電話のような物体が飛び出し、
ポンッと小さな爆発が起こった刹那、20〜30cm程のぬいぐるみに変化した。
「ミップルは何処メポ?」
このヌイグルミのような淫獣・・・もとい謎の生物は名前をメップルといい、こんなヌイグルミのような
なりでも彼らの故郷、光の園ではいっぱしの勇者らしい。普段は人目を避けるために先ほどの携帯電話の
ような形状のカードコミューンという物体になって身を潜めている。
「ほのかといっしょにでかけたんじゃない?」
「ちぇ、ミップルが居なきゃつまんないメポ」
ミップルとは、光の園から来たメップルと同じような背格好の、曰く希望の姫君のことである。
ミップルはメップルの恋人でもあり、いつでも二人はラブラブである。
「なによ、せっかくここまでつれてきてあげたのに」
いつもラブラブなだけに、こうして会えないとメップルはうるさい。
「それは誰かさんがいつまでも宿題しなかったからだメポ。こっちからメップルに合わせてくれなんて
お願いした憶えはないメポ」
「くっ、に、憎たらしい。もう、もうすぐ帰ってくるだからおとなしく待ってなさいよ。そ・れ・に、
あんたちょっとは勇者らしいところ見せてみたら?ミップルミップルっていつもいつもだらしないんだから」
「ふーん、彼氏もいないなぎさに言われる筋合いは無いメポ〜」
「かちーん、もう怒った!あいつらと戦うときのために取っとくつもりだったけど、いいわ、使ってあげる、
対非人間用のスペシャルコブラを!さあ、思う存分味あわせてあげるから、そこでじっとしてなさい!」
「うきゃー!助けてくれメポ!」
青い顔して逃げまどうメップル。鬼の形相で追いかけるなぎさ。いつも喧嘩ばかりしている二人だが、
これも二人にとっては息抜きみたいなものなのだろう、双方の信頼は厚く、互いに固い絆で結ばれている・・・はず。
続く
- 458 名前:833@ 投稿日:2004/12/13(月) 01:30 [ 8tGaf43w ]
- おお大阪氏お久しぶりです。
まだまだ展開しそうなんで感想は今は控えておきます。
- 459 名前:833@ 投稿日:2004/12/18(土) 17:09 [ O6wtj7xI ]
- なんか百合スレ見て結構自分のSS見てくれてる人が多くて嬉しかったな〜。
というわけで恐らく今年最後の作品投下します。
感想:戦闘は難しい。淫獣も難しい。
- 460 名前:833@ 投稿日:2004/12/18(土) 17:10 [ O6wtj7xI ]
- 冬休みが終わる直前。
強い風が吹き荒れ、木々もまだ寒さに震えている。
まだ日も昇っていないような早朝…。
雪城ほのかは道路を走っていた。
彼女の親友美墨なぎさとの約束で、二人は午前五時に河原で待ち合わせをしていた。
「なぎさ〜〜〜〜」
長い髪を風に揺らしながらほのかは走る。人気もまだ無い道路にほのかの声が響き渡る。
既に河原に到着していた美墨なぎさも手を挙げてほのかに呼びかける。
なぎさはコートにマフラー、手袋と完璧な防寒具を装着していた。
「はぁ…はぁ…。お待たせ。ごめんね。少し遅れちゃった…」
ほのかはなぎさの左肩に右手を置き、左手は膝について息を切らす。
文化部である彼女にとって短距離の全力疾走は相当厳しい運動であったようだ。
「そんな、急がなくてもよかったのに…」
なぎさは少し困ったような表情で言った。
「それで、どうしたの?こんな朝早くに…」
なぎさの肩から手を下ろし、息を整えたほのかが訊ねる。
「うん…。実はね……」
続きを言おうとしてなぎさは黙ってしまう。
「どうしたの?」
なぎさは暫く迷っているような表情を浮かべ、やがて決意したように言った。
「あの…。私さ…。ほのかに渡したいものがあるの…」
普段の会話を同じようにと意識してなぎさはほのかに話しかける。
「渡したい……もの?」
ほのかはただ不思議そうに首を傾げる。人差し指を頬に当てて訝しげな表情をする。
「うん…」
なぎさはただ頷いた。暫く遠くを見つめたままでいる。
そして決意したようにコートの中からあるものを取り出した。
「これ…」
取り出したそれを手のひらに置きほのかに見せる。
「え……?」
ほのかはそれを見て驚いてしまう。なぜならばそれはなぎさのパートナーである
光の園の伝説の勇者メップルの暮すカードコミューンであったから…。
そしてなぎさは強引にそのコミューンをほのかに持たせる。
「な…何言ってるのなぎさ…」
ほのかはなぎさの肩を掴み至極当然の疑問をなぎさにぶつける。
「私……、プリキュア辞めたいの…」
ただ一言…。なぎさはそう呟いた。
「……!」
ほのかはそれを聞いて呆然とする…。声を出したいのに出すことが出来ない。
「……………」
なぎさもただ黙っている。二人は河原の道路で真正面に向かい合っていた。
「う…嘘でしょ…」
ほのかは右手を握り締めて唇に当てる。
無意識のうちにほのかの右足は一歩後ずさりをしていた。
「……………」
なぎさは答えない。コートのポケットに両手を突っ込み、
ただ暗い表情で真っ直ぐにほのかを見つめる。
- 461 名前:833@ 投稿日:2004/12/18(土) 17:10 [ O6wtj7xI ]
- 「ど…どうして……」
ほのかは信じられないという表情でなぎさに訊ねる。
なぎさは一度を目を閉じる。やがて目を開け、静かに話し始めた。
「元々何となく始めたことだったし……。そりゃあさ…、最初は良かったよ…
「ほのかと仲良くなれたし…、メップルやミップルとかと一緒に居て楽しかった…」
そこで一度なぎさは言葉を切った。
ほのかはただなぎさの話しを真剣な表情で聞いていた。
「でも……」
「いつまでたっても戦いは終わらないし…、敵はどんどん強くなるし…」
「だんだんだんだん…。なんで戦うのかわからなくなってきて…」
「なんでこんなことしなきゃいけないんだろうって……、思うようになって…」
「メップルとかポルンのことも…、憎く思えてきちゃって…」
「もうこれ以上…、続けられないよ……。私…」
なぎさは両手の拳を握り締め俯く。その表情は涙を必死に堪えているような様子だった。
「なぎさ……」
何も言うことが出来ず、ほのかはただなぎさの名前を呼んだ。なぎさは反応しない。
「なぎさ!なんてこと言うメポ!」
ほのかの左手に握られていたコミューンがパカッと開き、メップルが顔を出した。
「メップル……」
なぎさはメップルの様子を見て悲しそうな表情を浮かべる。
「そうミポ。そんなのダメミポ」
ほのかのスカートの中に入っていたコミューンも動き出し、中からミップルが顔を出す。
「ミップル……」
なぎさは動きもせずにただじーっと立ちつくしていた。
「なぎさは伝説の戦士メポ。プリキュアとして戦わなきゃダメメポ!!」
「そうミポ!プリキュアを辞めちゃダメミポ!!」
メップルとミップルが猛烈な勢いで応援と説得の言葉を飛ばし始める。
しかしその励ましの言葉を聞いてなぎさは両手を震わせる。
「今更辞めるなんてダメメポ!」
「そうミポ!ずっとなぎさとほのかでやって来たミポ!」
「勝手な事言わないで!!」
なぎさに向けて励ましと文句を言い続ける二匹に向かって大声で怒鳴る。
朝早いせいか道路に人もおらず誰かが聞いていたという可能性は無い。
「……………」
ほんの一瞬前まで言いたい放題だったミップルとメップルもなぎさの大声の前で言葉が出ない。
「私が伝説の戦士なんて…、あんたたちが勝手に言ってただけでしょ!」
右手を広げ手のひらを胸の前に掲げて叫ぶ。
「私は……。ただの中学生なの……」
なぎさは涙を堪え、消え入るような小さい声で続ける。
「普通の生活して…、普通の恋愛して…、普通に遊んでいたいの……」
それはほのかやメップル、ミップルに対して普段は弱気な面などほとんど見せないなぎさの……本音だった。
「……………」
ほのかは心配そうな表情になぎさの話しに聞き入っていた。
- 462 名前:833@ 投稿日:2004/12/18(土) 17:12 [ O6wtj7xI ]
- 「楽しく生きているのに…、プリズムストーンを持ってるってだけで襲われる生活なんてもう………」
「あ………」
ほのかはすぐに気づいた。
もう嫌だ。なぎさがそう最後まで言い切る前になぎさの瞳から涙が流れ始めていたことに。
「あ…、ご…ごめん……」
なぎさは慌てて両手で涙を拭う。流れた涙はすぐに止まった。
「でも、なぎさが居なくなったら誰が光の園を守るメポ……」
「そうミポ。光の園が闇に覆われたら、この虹の園も闇に食い尽くされてしまうミポ……」
メップルとミップルが静かに話す。言ってることは先ほどとあまり変わりが無い。
もちろん彼らなりになぎさの気持ちも理解している。
だが光の園の勇者と姫君である彼らにとって、生まれ故郷を見捨てることなどは絶対に出来ない。
「そんなの知らないわよ…」
鉄橋の方向を見つめながらなぎさは呟いた。そしてほのかと真正面から向かい合う。
「大体…、私に光の園を守る義務なんてないでしょ!!」
なぎさは怒りと悲しみの表情を同時に見せて叫ぶ。涙が出そうになるのをぐっと堪える。
「そうよ…。ミップル、メップル……」
そして今までなぎさに対して何も言わずにいたほのかが口を開いた。
静がだが…、強い意志を感じさせるはっきりとした口調だった。
「ほのか……」
なぎさは驚いたような表情でほのかの方を向く。
ほのかのことだからこんな自分に対して怒って説教するのだろうとなぎさは予測していた。
それだけにほのかの反応になぎさは驚きを隠せない。
「どういうことミポ?」
ミップルはほのかの発言の意図がわからないという表情でほのかに訊ねた。
「なぎさの言う通りよ。誰もなぎさに伝説の戦士だから戦えなんて強要出来ないわ」
ほのかの声は優しさに溢れていて、それでも断固たる意志を持っていた。
「でも……」
不満というよりは心配といった様子でミップルが異議を唱えようとする。
しかしミップルが続けるよりも早くほのかが先を続ける。
「なぎさは普通の中学生の女の子よ…。幸せに生きる権利があるわ…」
今度はなぎさの方を見据えながら言った。
「あ……」
気まずそうになぎさはほのから目を逸らしてしまう。
今のなぎさはどうしてもほのかの顔を見たくなかった。
「何となく始めたプリキュアだもの…。ここまでやってくれただけでも…、十分過ぎるわ…」
なぎさを批難する彼らとは逆に、ほのかはなぎさを擁護する発言をした。
そのほのかの声に彼らもとうとうなぎさの説得を諦めたようだった。
「でも、なぎさが居なかったらプリキュアはどうするメポ?」
説得を諦めたメップルは至極当然の疑問をほのかに投げかける。
「大丈夫。私はプリキュアを続けるわ」
ほのかは笑顔でメップルに言った。そして遠くの方を見つめながら静かに続けた。
「……………新しいパートナーと」
「!!」
ほのかがそう呟いた瞬間になぎさの表情が曇った。
なぎさにとってはとても不思議な気持ちだった。
(そ…そうよ。当然じゃない!プリキュアはふたりでやるものなんだから……)
自分自身の動揺を抑えるように必死に自分に言い聞かせる。
しかし、どうしてもなぎさの心の動揺は収まりきらなかった。
「なぎさがダメでも……、私のパートナーになってくれる子がどこかにいると思うの…」
両手を胸の前に合わせて目を閉じてそんなことを呟く。
その表情は夢と希望に溢れているように、なぎさには思えた。
そして、なぎさにはそんなほのかの表情を見るのがとても辛かった。
「確かに……、そうすればプリキュアとしては問題無いメポ……」
「でも!ほのかはそれでいいミポか?」
ミップルとメップルは納得出来たような、出来ていないような難しい気持ちでほのかに訊ねる。
というより彼らには彼らなりの気持ちがある。
今までの数多くの戦い、悲しいことも辛いこともあったなかで、
なぎさとほのかはお互いの友情を深め、そして絆を強めてきた。
それをこんなにもあっさり放棄していいのだろうか?いや、そんなわけはない。
「嫌ポポ!!」
なぎさの持っていた鞄を開けて中からポルンが飛び出した。
- 463 名前:833@ 投稿日:2004/12/18(土) 17:13 [ O6wtj7xI ]
- 「ポルン……」
ほのかが寂しそうな表情で飛び出したポルンを見て呟く。
ほのかもほのかなりになぎさに言いたいことがある。しかしひたすらそれを堪え続けている。
「なぎさじゃないと嫌ポポ!!嫌ポポ!!」
道路の上で体をジタバタとさせながら泣き喚く。ポルンお得意の必殺技である。
一度言い出したら言うことを聞かない。
「……………」
ほのかはただ黙ったままその様子を見つめていた。
暴れるポルンをなぎさは優しく抱きかかえる。
「ポ!?」
ポルンは何が起きたのかわからないといった様子だった。
「ごめんねポルン…。でも我儘言わないで……」
そう言ってなぎさはポルンを抱きしめる。
「ポポ……」
さすがのポルンももう何も言えなかった。抱きしめられる前にわずかに見えたなぎさの表情。
表面上は笑顔であったその表情の下にある悲しみと苦しみ。
それがポルンにも見えたから。
「あのさ、メップルには感謝してるよ…、メップルやポルンが嫌いになったわけじゃないんだよ」
「もしメップルが居なかったら…、多分ほのかとこんなに仲良くなれなかったし…」
左手でポルンを持って照れるように右手で頭を掻く。照れているときのなぎさのくせのようなものであった。
「なぎさ……」
メップルもまた涙を堪えている様子だった。恐らくは覚悟したのだろう。なぎさとの別れを。
「ごめんね…。でも…わかって欲しいの……」
なぎさは静かに続けた。わかって欲しい……。
それはプリキュアを辞めることをわかって欲しいという意味なのか。
それともメップルやポルンが嫌いではないということをわかって欲しいという意味なのか。
なぎさ自身にもわからなかった。
「大丈夫よ、なぎさ。私に任せて…」
ほのかがなぎさを真正面から抱きしめる。今にも泣きそうな表情を見られたくないという気持ちからの行動だった。
そんなほのかをなぎさも正面から抱きしめる。
「うん、ほのかならきっと大丈夫だよ…」
ほのかの背中をポンポンと叩きながら言った。
それと同時にほのかとこんなことが出来るのも最後だろうな。という気持ちがなぎさに生じた。
「朝早くから申し訳ないが…」
「!?」
それは突然だった。
何者かがそう呟くと同時に辺りは闇に覆われ、邪悪な気配に包み込まれた。
タンッ。二人の前に一つの影が降り立つ。
ドツクゾーンの使者ベルゼイ・カードルード……。
- 464 名前:833@ 投稿日:2004/12/18(土) 17:13 [ O6wtj7xI ]
- なぎさを抱きしめていたほのかはなぎさから離れる。
そしてベルゼイを睨みつけながら戦闘の構えをとる。
「プリズムストーンを渡してもらおうか…」
ベルゼイは右手を差し出しプリズムストーンを渡すように要求する。
しかし今のなぎさにはプリズムストーンという単語ですら苦しさを覚えるものであった。
「なんで…こんな時に……」
戦闘の構えをとらずただ俯いて右手を握り締める。
「なぎさ…」
ほのかはなぎさを見つめる。とても戦闘など出来る状況では無い。
しかしそれでも、ほのかはなぎさにメップルを手渡そうとする。
「!」
なぎさは顔を逸らす。どうしても受け取りたくなかった。
「……………」
ほのかはなぎさの肩を掴み無理やり自分の方向に向ける。
「……………」
なぎさは今度は目を逸らす。その表情にはもう苦しみしか映っていない。
「ごめんね……。でも…、これが最後だから…」
心の底から謝罪するようにほのかが言った。
「!!」
なぎさは胸が締め付けられるような思いがした。
しかしほのかの気持ちを理解したのか、無言でメップルを受け取った。
「早く変身するメポ!!」
メップルが叫ぶ。その声を聞くと同時に二人は変身を開始する。
「デュアル・オーロラ・ウェイブ!!」
「なぎさ…、危ないから下がっていて…」
キュアホワイトに変身したほのかが右手でなぎさを制する。
「え?」
キュアブラックに変身したなぎさは意外そうな声をあげる。
ホワイトの行動もそうであれば、ブラックのことをなぎさと呼んだことに対しても。
「大丈夫。私一人で何とかする……」
覚悟を決めた表情でホワイトは言った。そしてブラックは言われるがままにそこから動かなかった。
「さて…、プリズムストーンを渡してもらおうか…」
ベルゼイが右手を差し出したまま一歩ずつホワイトに近づく。
「あなたなんかに…、誰が渡すもんですか!」
ホワイトが叫ぶ。決して相容れない光と闇。
ベルゼイはあらかじめこうなることがわかっていたかのように構えをとって言った。
「ならば…、奪い取るまでだ!!」
ベルゼイがダンッと地面を蹴ってホワイトに向かって襲い掛かる。
「はあああああ!!」
ホワイトもタンッと地面を蹴ってベルゼイに立ち向かう。
空中で二人が交錯する。ホワイトが放った右足のミドルをベルゼイがガード。
カウンターで放ったベルゼイの右足がホワイトの腹部を直撃する。
「きゃあああ」
悲鳴を上げてホワイトは地面に叩きつけられる。
- 465 名前:833@ 投稿日:2004/12/18(土) 17:14 [ O6wtj7xI ]
- 「ふん!!その程度か…?」
ホワイトを嘲笑うかのように空中に浮かんでいるベルゼイが叫ぶ。
「ううう……くっ!」
ホワイトはすぐに立ち上がり、戦闘の構えをとる。
「ま…負けるもんですか!!だああああ」
ホワイトは再び高く飛び上がりベルゼイに攻撃を仕掛ける。
「何やってるメポ!早く戦うメポ」
コミューンの中のメップルが叫ぶ。
「……………」
ブラックは答えない。両手の拳を握り締め俯いたまま動かない。
「ブラック!!」
メップルがブラックに迫る。
「嫌……」
ただ一言…、ほとんど聞き取れないような小さな声で、しかし確実に拒絶の意志を見せる。
「ブラック!!」
メップルがもう一度叫ぶ。
「嫌!!」
今度はブラックも大声で叫んだ。
「ブラック……」
はっきりと示された拒絶の意志。メップルはそれ以上言葉を続けることが出来ない。
「きゃああああ」
ベルゼイの右の拳に腹部を打たれたホワイトが地面に叩きつけられる。
そしてズザザザという音ともに10メートルほどの距離をホワイトが吹き飛ばされた。
「ホワイト!!大丈夫ミポ?」
「まだまだ……」
体を少しよろけさせながらもホワイトは立ち上がり、ベルゼイを真っ直ぐに見据える。
「ふん…、話しにならんな…。二人でかかってきたらどうだ?」
地面に着地したベルゼイがブラックを見つめて言った。
ベルゼイの言うとおり実力差は圧倒的なものであった。
「パートナーを見捨てるわけにはいかないだろう……」
ニヤリと笑って言った。
「あなたの相手は私よ!!だあああああ」
ホワイトが地面を蹴りベルゼイへと向かう。
掛け声とともに拳を繰り出す。左、右、左、右、左ハイキック。
「くっくっく……。一人のプリキュアなど…。恐るに足らんわ!」
ベルゼイは余裕をもって全ての攻撃をガードする。
「くっ…!」
焦りの表情を浮かべながらもホワイトは攻撃の手を一瞬も休ませない。
右ロー、左パンチ、右パンチ、左パンチ、右ハイ。しかしベルゼイは慌てない。
「無駄だ!!」
ベルゼイの左足から強烈なハイキックが放たれる。
攻撃に集中し、防御に隙があったホワイトの右肩にハイキックが直撃する。
「きゃあああ!!!」
ホワイトが吹き飛ばされる。
- 466 名前:833@ 投稿日:2004/12/18(土) 17:15 [ O6wtj7xI ]
- 「ホワイト!ダメミポ!ブラックと力を合わせないと勝てないミポ!!」
ミップルがホワイトを気遣い声をかける。
「く…くうう……」
ホワイトは一人で立ち上がる。既に膝が少し震えている。倒れそうになることを拒否し踏みとどまる。
「ほのか……」
無意識のうちにブラックからそんな声が零れた…。
「まだ立つのか…?痛い思いをしないうちにプリズムストーンを渡したほうが身のためだぞ…」
表情を一切変えることなくベルゼイが言った。
ベルゼイとしてもあれほど攻撃を加えておきながら倒れないホワイトに不快感を表しているようだった。
「だ…誰が…、渡す…ものですか…」
声は途切れ途切れだが、はっきりとベルゼイの要求を拒否する。
「やれやれ…仕方が無いな。力づくで奪わせてもらおうか!!」
ベルゼイのアッパーがほのかの顎を直撃した。
「きゃあああ!!」
ホワイトの体が真上に高く舞い上がる!
「ホワイト!!」
メップルとミップルが同時に絶叫する。
ダアン!!という音とともにホワイトの体が地面に叩きつけられる。
「ぐ……、ぐぅぅ……」
うつ伏せになり苦悶の表情を浮かべる。
体を震わせ、両手を地面につきながら、それでも立ち上がろうとする。
- 467 名前:833@ 投稿日:2004/12/18(土) 17:15 [ O6wtj7xI ]
- 「ブラック!!ホワイトを見殺しにする気メポか!!」
メップルが我慢しきれずに絶叫する。
「ブラック!!ホワイトを助けてミポ!!」
ミップルも涙を堪えて叫ぶ。
「ダメよ……、なぎさを…巻き込んだたら…」
左ひざを地面につき右手を右膝につけて、膝立ちの姿勢でホワイトが言った。
「ホワイト…」
ミップルがなぜそこまでするのかわからない、といった様子で呟く。
「ほ…の…か……」
「大丈夫よ、なぎさ。なぎさが居なくても…、私が…」
体がふらふらの状態で、それでもホワイトが立ち上がる。
「ふん、どうすると言うのだ?」
ベルゼイが笑いながらホワイトに近づく。
「くっ…!」
苦し紛れにホワイトが右手のパンチをベルゼイに繰り出す。
ガッ。ホワイトの拳はベルゼイの左手に受け止められた。
「くうう…」
力を込める。しかしベルゼイは動じない。ギリギリギリという音がする。
「無駄だ…」
ドカッ!っとベルゼイがホワイトの鳩尾に膝蹴りを入れる。
拳を受け止められ、ほぼ密着状態のホワイトに蹴りを避ける余裕は無い。
続けざまの第二撃の膝蹴りがヒットする。
「はうっ!」
ベルゼイがホワイトの右手を離し、ホワイトは地面にうつ伏せで倒れこむ。
「さぁ…、プリズムストーンを渡せ!!」
うつ伏せに倒れるホワイトのすぐ傍でベルゼイが叫ぶ。
「ぐっ…、うっ…、わ…渡さない……」
先ほどのベルゼイのハイキックと地面に叩きつけられた時に痛めた右肩を庇いながら立ち上がる。
既に息も切れ始めている。
「なぜそうまでするのだ?」
いつもとは比べ物にならないほどの執念を見せるホワイトにベルゼイが訊ねる。
「私が…、私がプリズムストーンを守りきることが出来なかったら…」
静かに、それでも気迫の込められた声でホワイトは言う。
「なぎさが……。なぎさが安心して普通の女の子に戻れないのよ!!」
右手の拳を握り締めてホワイト……ほのかが叫ぶ!
- 468 名前:833@ 投稿日:2004/12/18(土) 17:16 [ O6wtj7xI ]
- 「ほのか………」
無意識のうちにブラックの瞳から涙が流れていた。
呆然としたままブラックは動くことが出来ない。
「大丈夫よ…、なぎさ……泣かないで……」
その表情を見てホワイトは微笑みながら、親指を真っ直ぐに立てた。
「くだらん!!これでも喰らえ!!」
吐き捨てるようにベルゼイが言った。そして右手からホワイトに向けて衝撃波を放つ。
「くっ…!きゃあああ!!」
両手で堪えようとしたホワイトは思い切り吹きとばされてしまう。
バシャーーーン!吹き飛ばされたホワイトの体は川の中に落ちた。
「ホワイト!!」
再びメップルとミップルが絶叫する。
「ふん!これでわかっただろう!!さぁ!プリズムストーンを渡せ!!」
ベルゼイがブラックの方を向いて叫ぶ。
バシャーーーン!川の中からホワイトが飛び出し地面に着地する。
全身から水滴を垂らすホワイトの体は寒さにも震えているようだった。
「渡さない……、絶対に……」
ベルゼイの声が届いたのかどうかはわからない。
しかし答えは同じだった。
「ちっ…仕方が無い……。トドメを刺してやろう……」
忌々しげにホワイトを睨みつける。
先ほどの攻撃で自分の予定通りにトドメを刺せなかったことが気に障ったようだった。
「はああああああああああ………」
両手を握り締めて力を込める。
ベルゼイの体から黒い不気味なエナジーが湧き出る。
膝と両足を力を込めて地面につけて両手を開く。
「はあ!!!」
開かれた両手から凄まじい衝撃波が放たれる。
両手でガードしようとするホワイト。しかし大きすぎる衝撃はホワイトの体ごと包み込む。
凄まじい破壊力によって起こされた爆風がブラックの視界を塞ぐ。
「ほ……ほのかぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「ホワイトォォォォ!!」
ブラックとメップルが絶叫する。
「ふっ………」
獲物を仕留めたハンターのような満足げな表情でベルゼイは笑った。
- 469 名前:833@ 投稿日:2004/12/18(土) 17:16 [ O6wtj7xI ]
- 「……………」
だがホワイトは立っていた。全身から未だに水滴は垂れ続けている。それでも生きている。
「な…なに!?」
ベルゼイは信じられないような表情でホワイトを見つめる。
自分の最高の必殺技を惜しみなく繰り出した。しかもそれは直撃した。
しかし……、目の前にいる人間は生きている。
「私は………」
虚ろな表情でホワイトは呟いた。
その虚ろな瞳がベルゼイの感情を不安定にし、冷静さを奪う。
「こ…小癪な!!」
ベルゼイが右手から衝撃波を放つ。
ドオンという轟音とともに衝撃波がホワイトを直撃する。
「……………」
ホワイトは倒れない。倒れないどころか動きもしない。
「な…なんだと…!?」
この時ベルゼイが初めて焦りの表情を浮かべた。
「……………」
無言のままベルゼイの元へとゆっくりとしかし確実に歩く。意識があるのかどうかすらわからない。
「お…おのれ!!はぁ!!」
焦りの表情で息を切らしながら衝撃波を放ち続ける。
ベルゼイは完全に動揺しきっていた。
「……………」
ホワイトは倒れない。表情一つ変えずに全ての衝撃波を受ける。
「ば…馬鹿な…!?なぜ…、なぜ人間風情が…!?」
その時ベルゼイは初めて人間に大して恐怖という感情を抱いた。
この最強の攻撃を何度喰らわせても倒れない人間に……。
「……………。なぎさのために…」
ポツリとホワイトが呟いた。恐ろしいほどに無感情な声だった。
「!?」
聞き取れなかったことがよりベルゼイの恐怖心を駆り立てた。
通常なら後ろに下がるだけで十分。しかしベルゼイは動くことが出来ない。
「私は……、私は……。負けるわけにはいかない!!」
虚ろな瞳に光が戻り、右手を握り締め、ホワイトが腰を落とし
真っ直ぐに全ての力を込めてベルゼイの腹部に右パンチを叩き込む。
「ぐわあああ!!!」
全力で放たれた拳が直撃し、ベルゼイは吹き飛ばされる。
「ぐはっ!」
草原を突き抜け、河原の斜面を作るコンクリートを突き破り、ようやく止まった。
砕けたコンクリートの欠片がベルゼイに降りかかる。
「ぐわあああ!!」
瓦礫の山によってベルゼイの体は埋まった。
- 470 名前:833@ 投稿日:2004/12/18(土) 17:17 [ O6wtj7xI ]
- 「……………」
ホワイトは未だに右のパンチを放った瞬間の姿勢で止まっていた。
「ば…ばかな…。き…貴様…。なぜこんな力が……」
瓦礫の山から這い出たベルゼイが叫ぶ。そして再び戦闘の構えをとる。
ホワイトもまた戦闘の構えをとり二人が真正面から向かい合う。
とそんなホワイトの手をブラックが取った。
「なぎさ……?」
ホワイトは怪訝そうに呟く。
「……………」
ブラックはホワイトの瞳を真っ直ぐに見つめ、無言で頷く。
「…………うん!」
ブラックの意図を理解しホワイトも頷く。
そして二人の手が繋がれる。
「ブラックサンダー!」
「ホワイトサンダー!」
「プリキュアの美しき魂が!」
「邪悪な心を打ち砕く!」
「プリキュア・マーブル・スクリュー!!!!」
二人の両手からプリキュアマーブルスクリューが放たれる!!
「ぐおおお!!!」
両手を突き出しベルゼイが真正面から受け止める。
「はああああ!!!!」
より力を込めて手を握り更に力が増す。
ズル…ズル……。ベルゼイの体は押され、少しずつ後退していく。
「ぐ…ぐぬぅう…。お…おのれぇ……!!」
バアッっと高く飛び上がる。
ベルゼイは撤退……。そして戦闘は終わった……。
「なぎさ……、ごめ……」
ハァハァと息を切らしながらホワイトが言おうとした。
しかし言い切ることは出来ずそのままうつ伏せで地面に倒れこんでしまう。
「ほのか!!」
ブラックは絶叫しながらホワイトの体を抱えあげた。
- 471 名前:833@ 投稿日:2004/12/18(土) 17:17 [ O6wtj7xI ]
- ……………
「あれ……、私……」
暫くして、ほのかが意識を取り戻した。
ほのかのダメージは予想以上に大きく、まだ動けないようだった。
「ごめん…、ほのか……。私のせいで……」
ほのかを膝枕していたなぎさが泣きながら謝る。
「ううん。私こそ…。なぎさにまた心配かけちゃった…」
ほのかの表情は暗かった。そして無理して体を動かし立ち上がろうとする。
「ちょ…、ほのか!」
ほのかのことを心配してなぎさが両手でほのかを抑えようとする。
「大丈夫……」
なぎさの両手を払いほのかは立ち上がる。
なぎさも遅れて立ち上がり、真正面から二人が向かいあった。
「なぎさ…、私じゃ不安かも知れないけど…、でも…大丈夫!」
無理に笑顔を作って言った。
「あ………」
何か言おうとしたなぎさだったが、何も言うことが出来なかった。
「新しいパートナーを探して…。世界の平和を守るために戦うよ!」
明るい瞳がほのかの新たな決意と情熱を示していた。
「ほのか………………」
なぎさは言葉が出なかった。
頑張って。そんな激励の言葉を出そうとしたつもりだが何も出せない。
結局、ほのかの名前を呟くことしか出来なかった。
「だから…。なぎさは安心して…。ね?」
ほのかは明るい笑顔で言った。
不安な気持ちでいるなぎさを安心させたい。
それはほのかの純粋な願いだった。
「う……うん……」
なぎさはぎこちない表情で答える。
「それじゃあ、私はこの子たちを家に置いてくるから…」
どこに隠れていたのだろう…。いつの間にかポルンはほのかの鞄の中に入っていた。
ほのかはメップルをコートのポケットの中に入れると自宅の方向を向く。
「じゃあ、また後で。学校で…」
普段と変わらないような挨拶をした。
「うん。じゃあね…」
なぎさもまた普段と変わらないような別れの挨拶をした。
たった一言。これで全てが終わる……。
なぎさも向きを変えて自分の家へと向かう。
「なぎさ!!」
「!?」
遠くから呼びかけるほのかの声。
ほのかにしては珍しいことだった。
「……………」
なぎさは振り返らない。振り返れば悔いが残ると思ったから…。
「今まで……ありがとう……」
ほのかは静かにそんなことを言った。そして続いて風にかき消されてしまいそうな声。
しかしなぎさははっきりとほのかの次の声を聞いた。
「さよなら………」
「!!」
ほのかは踵を返し歩き出す。振り返る気配は無い。
(あ………)
なぎさの頭に今までの思い出が流れ出した。
クラス替えの日に初めて会った時のこと…。
自己紹介の時に頭良さそうな子だな〜と印象を抱いたこと…。
授業中に何回か助けてもらったこと…。
そしてメップルがやって来てプリキュアになったこと…。
お互いに何度も助け合ったこと…。
(…………………………)
ゴトリという音がした。もちろん実際に音がしたわけではない。
なぎさの…、なぎさの心の奥底で何かが動いた音が……。
なぎさは振り返り走り出した。ほのかに追いつく為に全力で……。
- 472 名前:833@ 投稿日:2004/12/18(土) 17:18 [ O6wtj7xI ]
- 「え…!?」
後ろから突然抱きしめられたほのかは驚きの声を上げる。
「……………」
無言でなぎさが後ろからほのかを抱きしめていた。
「なぎさ……?」
誰が後ろから自分を抱きしめているのかほのかにはわかりきっている。
しかしそれでもほのかはその質問をした。
「……………」
なぎさは何も言わない。ただほのかの体を力を込めて抱きしめる。
「なぎさ…、痛いよ…」
それでもなぎさは力を抜かない。全力でほのかの体の動きを止める。
「やっぱり……。やっぱりダメ…」
唐突になぎさは囁いた。
「え……?」
小さな声で突然言ったせいか、ほのかには聞き取れない。
「ほのかに……私以外のパートナーなんてありえない……」
ほのかを抱くなぎさの腕により一層強い力が込められた。
「なぎさ………」
ほのかは信じられないといった様子でなぎさの名前を呟く。
「私……、やっぱりプリキュア続ける……!!」
なぎさはきっぱりと静かな声で、それでも断言した。
ほのかはなぎさの手を払い、振り返り真っ直ぐになぎさの目を見つめる。
「私逃げてた……。でも辞めた!もう逃げない!!」
ほのかの目を見つめながら、決意するようになぎさが言った。
その発言に迷いは無い。
「……………」
ほのかはそれを聞いてもただ黙っている。
「あ…、でも一度辞めたって言ったのに…。自分勝手だよね…」
照れたような表情で顔を頭を掻きながら呟く。
「……………」
ほのかはただ黙ってなぎさを見つめる。
「ダ…ダメ……かな?」
手をもじもじさせながら上目遣いでなぎさが訊ねる。
がその瞬間、ほのかがなぎさに抱きついていた。
「あ……………」
なぎさは後ろへよろけそうになる体を支える。
「ダメじゃないよ…、私嬉しいよ…」
ほのかの目から涙が溢れていた。
「良かったミポ!!」
「本当だメポ。一時はどうなるかと思ったメポ」
ほのかのコートの両方のポケットに入っていたメップルとミップルも喜びの声を上げる。
「なぎさ〜〜」
ほのかの鞄の中からポルンも飛び出しなぎさの右腕に抱きつく。
「ポルン……。ふふふ…、よしよし」
なぎさも嬉しそうにポルンの背中を撫でてあげる。
「これにて…、一件落着ね」
ほのかが人差し指を立てて笑顔で言う。
こうして今回の騒動はどうにか収まったのであった。
- 473 名前:833@ 投稿日:2004/12/18(土) 17:19 [ O6wtj7xI ]
- 「でも良かったぁ…、本当にどうなるかと思ったよ…」
肩を寄せながらほのかは安堵した様子で言った。
今二人は河原で並んで座っている。
ミップル、メップル、ポルンはやはり5時は厳しかったのか、また眠りについている。
「でもさぁ、ほのか割と平気そうな顔してなかった?」
すっかり元に戻った明るい様子でなぎさがほのかに訊ねる。
「そんなことないわよ…。なぎさのためだから我慢しなきゃ。と思っただけ…」
隠していた本音を話す。明るい表情で話せるのは、やはり既に過去のことだからだろう。
「新しいパートナーの話の時結構嬉しそうじゃなかった?」
なぎさはからかうようにほのかに訊ねる。
「ううん…。私には……」
やんわりとなぎさの発言を否定する。そして笑顔でそれでも真剣な表情で続ける。
「私には……、なぎさ以外のパートナーなんてありえないから……」
儚げな笑顔でそんなことを言った。
「ほのか……」
なぎさは思わず真剣な表情でほのかを見つめる。
「でもなぎさ…、辛くなったらいつでも言ってね…」
なぎさを気遣うようにほのかは言った。
ほのかはほのかなりになぎさのことに関して責任を感じているようであった。
「うん……」
なぎさも自分に言い聞かせるように返事をする。
「でもなぎさ……。戦う理由がもうわからないなんて言ってたのに……」
心配するようにほのかはなぎさに訊ねる。
なぎさの発言の中でほのかが一番気にしたのはそこであった。
「ううん。どんなことがあっても……私には戦う理由があるって。わかったから……」
首を振ってなぎさは答えた。その表情に迷いは無い。
「え……それは……!」
それは何?
そう訊ねようとしたほのかの唇をなぎさが自分の唇で塞いだ。
「……………」
「……………」
暫くして二人の唇が離れた。
「……………」
なぎさは顔を真っ赤にして明後日の方向を見ている。
静かで長い……、そして初めて口づけだった。
「なぎさって…、時々強引だよね…」
ほのかも顔を赤くして…、しかし嬉しそうにそれでいて困ったように言った。
「……………」
「……………」
暫くの間二人は黙っていた。やがてなぎさが決意したようにほのかの方向を向く。
ほのかは草原に座り、なぎさは膝立ちの姿勢で再びほのかと向かい合う。
なぎさはほのかの両肩に両手を置く。
「私、守るよ。ほのかのことを…。命を賭けて……」
顔は赤く、目も少し泳いでいる。明らかになぎさは動揺している。
それでも確実に自分の意志を、覚悟を、信念をほのかに伝える。
「……………なぎさ」
「もう二度と…、今日みたいなことにはさせない…」
真正面からなぎさはほのかの体を抱きしめる。
二人は暫くの間そのままの姿勢で抱き合っていた。
「私も……………」
やがてほのかが静かに口を開いた。
抱き合った二人の体が一度離れる。なぎさの両手はほのかの両肩に置かれていた。
ほのかが両手でなぎさの頬に触れる。
なぎさは黙って目を閉じ、ほのかは唇をなぎさの唇に重ねた。
「……………」
「……………」
やがて……。二人の唇が離れた……。
「私も……………」
静かにほのかは言った。
「私も…。命ある限り…………なぎさと一緒に戦うよ……」
静かに落ち着いた表情で伝える。自分の決意を…。
そして再び二人は抱き合った……。
彼女達の戦いはまだまだ続く……。
その間どれだけ辛いことが続くのか…、わからない……。
恐らく彼女達であれば世界を救ってくれるだろう。
ただどうか……。
いつか………。彼女達にも幸せが訪れることを……。
END
- 474 名前:通りすがり 投稿日:2004/12/18(土) 17:51 [ 5UTEWi4w ]
- 833氏新作乙です、今年最後の作品みたいですが来年も
楽しみに待ちたいと思います
いつも感動したり笑ったりしながら読んでますよ
ほのかの「なぎさが安心して(ryのところが
ベルゼイジャイアン、ほのかのびた、なぎさどら
見たいな感じでグッとキマシタ
いや〜最高ですよ
- 475 名前:大阪 投稿日:2004/12/18(土) 22:16 [ nJlwR3SY ]
- >>473
地獄を見た、ドツクゾーンという地獄を。
天は与えた、ザケンナーという苦難を。
でも、私たちはそれでも諦めず戦い続ける。
希望を、勝利を、愛を、二人のこの手に掴むまで。
前にふと思いついたっつーか、いいなと思ったのをアレンジして
おいといたフレーズなんだが、内容と合ってそうなんで丁度いい、
言葉のレスの代わりにここで使わせてもらおう。
- 476 名前:59 投稿日:2004/12/18(土) 22:53 [ DrqQOSY6 ]
- お久しぶりです
833氏、力作、乙です
感動しました
えっと、細かい感想を俺が言ってもあれなんで、冒頭で氏が言った「感想:戦闘は難しい。」にちょっとアドバイス的なことを…
ってか、難しくないです。気負わず普通に描けばいいんです
ただ、その上で、迫力を出すコツがあって…
普段地の文に使ってる「主語+形容詞+副詞+動詞」ってのを時々無視して、倒置や名詞だけ・動詞だけな文を多用する
ほかの部分との差があればあるほど迫力が出ます
そして、
833氏もここで多用してますけど、現在形を使って臨場感を出すことですね
って、何が言いたいかっていうと、この作品はアクションとしても充分読み応えがあるので、気負わずにこの調子で
書いて下さいって感じです
…てか、私のレスのほうが支離滅裂だわ…(涙
泥酔中失礼(潰瘍の薬まだ飲んでるってのに…
- 477 名前:リオ 投稿日:2004/12/20(月) 02:14 [ TbFDa/gk ]
- 【なぎサイド】
―第40話
「雪城さんは好きな人いるの?」
うわぁ。言っちゃったよ。
私はちらりとほのかの方を見た。
志穂め。私じゃできない質問をさらりとしちゃって・・・。
・・・ちょっとだけ、感謝。
フフフ、ほのかったらチャームポイントの眉をひそめて困ってるよ。
「なぎさ」って言ってくれないのかな。
みんなの前だから無理だろうけど、少しだけ期待しちゃうな。
・・・・・・・。
あれ?
どうしてそんなに悲しそうな顔、するの?
一瞬だったから、みんなは気づかなかったみたいだけど。
私には見えたよ。
・・・もしかして、誰か別の人のこと、考えてた?
・・・・・ううん。
わかってる。
ほのかが思い浮かべたのは
『彼』のことなんだって。
一瞬だけ、私も悲しそうな顔になっちゃったみたい。
悔しいな。
まだ、私は勝ててないのかな。
「私、いるからね・・・。
私、勉強もイマイチだし、料理もできなくて、頼りないかもしれないけど・・・
私は、ほのかのそばにいるから!」
私は、いつまでもほのかのそばにいる。
3年生になっても、それからも、ずっといるんだ。
そのためならなんだってするよ?
ほのかが他の、私なんかじゃ絶対無理!みたいな学校に行きたいんなら、
私は死に物狂いで勉強する。
それで、そばにいて、守ってあげるんだ。守ってもらう方が多いかもしれないけど・・・ね。
・・・正直言うと、ちょっとだけ、対抗意識なんだ。
誰かさんみたいに、ほのかを置いて勝手にどこかに行ったりなんかしない。
私は、しない。そう言いたかったんだ。
ほのかが、それに気づいたかどうかはわかんない。
「うん、ありがと・・・」
ほのかは、そう言って微笑んだ。
それだけで私は満足だったから。
今、私はこの笑顔を独占してるんだ。
そう考えると猛烈にうれしくなって、あたしはほのかを強く抱きしめたんだ。
- 478 名前:リオ 投稿日:2004/12/20(月) 02:34 [ TbFDa/gk ]
- 【なぎサイド】
―第41話
「が、頑張るポポー!」
ほのかぁ。それはありえないよぉ。
私は心の中で叫ぶようにつぶやいた。
顔真っ赤にしちゃって、おでこに汗浮かせながらポルン語を話すほのかがあまりにも愛らしくて、
私は思わず抱きつくところだったから。
ラクロスの最終戦。ホントならもっと緊張してるんだろうけど、
恋人が見守ってくれるだけで勇気100倍!・・・なんてね。
でも、本当にほのかがいるだけで、全然負ける気がしなくなっちゃった。
・・・う〜ん・・・・。
ほのかが観客席にいるのも問題だなぁ。
元気は出るけど、試合中もチラチラ見ちゃって集中できないよー!
うう、私バカみたいだなぁ。
・・・でも、心配になっちゃうんだよね。
見てくれてるかどうか、私でほのかの大きな眼の中がいっぱいになってるかどうか。
私ってこんなに独占欲強かったんだなぁ・・・。
ジュナが、襲ってくる。
いつもと違う感じで、本気のオーラを発散しながら迫ってくる。
どうやらあっちにも何か大切なことがあるみたい。
・・・でも!
私の大切なものは、私の隣にあるんだから。
まだ大切なものがなんなのかわかってないあんたたちと違って、ね。
大切な者は私の手を強く握り返してくれた。
- 479 名前:リオ 投稿日:2004/12/20(月) 02:44 [ TbFDa/gk ]
- ごめんなさい。
どうやらアカネ×翔子は無理だったようです。
やっぱり本編での接触が一回きりだからなぁ・・・。
言い訳です。
この【なぎサイド】ですが、今日の放送が百合萌えラー・黒派・白派等を
ことごとく鬱状態にさせてくれたおかげでできました。
第42〜44話の分は後日書きます。
あ、あと833@さん、いつも泣きそうになりながら、萌え死にそうになりながら読んでおります。
これからもがんばっていただきたいです。
- 480 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/12/21(火) 19:56 [ oo9ly7xI ]
- >>リオ様
そう云う貴公もかなりのSS遣い(?)とお見受けします
>>477>>478、GJでした!
- 481 名前:833@ 投稿日:2004/12/22(水) 01:58 [ 7N1VZrFU ]
- >リオ氏
GJです。楽しく読ませてもらいました。
個人的には44が気になりますw。
- 482 名前:大阪 投稿日:2004/12/23(木) 00:30 [ g7BLv8ws ]
- >>457の続き
「ゴロゴロゴロゴロごっちんこ、白と黒とがごっちんこ」
突然発せられたこの声の主はポルンという。メップル達と同じ光の園の住人であり、光の園の王子でもある。
ポルンもメップル同様、普段は姿を変えて身を潜めているが、まだ心身ともに幼く、さらに好奇心旺盛な性格も
手伝って、わがままを言ったり、勝手に一人で外に出てはなぎさ達を困らせている。
「へ?ポルンなにいってるの?ひょっとしてまた予言?」
ポルンの意味不明の発言になぎさがこう聞いたのにはわけがある。ポルンには不思議な力が備わっており
時空を超えて光の園に住む長老と会話をしたり、先のような謎の予言をするのだ。
「ごっちん・・・?なんだろ?白と黒ってあたしとほのかのことかな?」
なぎさが思案にふけっている間にさなえが炊事場から戻ってきた。廊下の方からギシッギシッと
わずかに足音が聞こえてくる。
「はっ、まずいメポ!」「ポポ!」
メップルとポルンは慌てて変身し、姿を隠す。
「おまたせしました」
まるでタイミングを計っていたかのように、おぼんに冷たい麦茶を載せ、さなえが部屋に入ってきた。
「はいどうぞ」
「いただきまーす・・・ぷは〜つめたくておいしい〜」
なぎさは出されたお茶をごくごくと一気に飲み干した。
「それにしてもこの部屋、冷房が無いからほんとに暑いわねえ」
日本家屋特有の夏涼しく冬暖かい造り、それにほのかの性格的なところもあって、ほのかの部屋には
エアコンがついていない。
「ほのかはクーラーあんまり好きじゃないみたいですね、この間もこの扇風機しか使ってなかったし」
たしかに部屋には扇風機がおいてあるが、これは夏休みになぎさが来たときにだけ使ったようだ。
それ以来使っていないのか、かさの上のほうにうっすらと埃がのっている。なぎさも今日は遠慮して扇風機は
止まったままだ。
「そうそう、あの子結局今年もエアコン付けなかったの。お友達お連れする事もあるだろうに・・・
何度かつける様に言ってみたんだけどねえ、あの子もほら、変に意固地なところがあるから・・・」
「はは、そうですね」
「ごめんね、色々とほのかが迷惑掛けてるでしょう?」
「いいえー、迷惑なんてとんでもない!逆に私が迷惑掛けっぱなしなくらいですよ」
「あらそう?」
「私がいうのもなんだけど、ほのかはとてもいい子です。ってなんか偉そうだな私。とにかく、
ほのかは優しくて可愛くて男子にもモテモテで性格も良くて頭も良くて責任感があって、私が男の子なら
惚れちゃうかもっ、ぐらいな感じなんです。・・・なーんちゃって、あはははは・・・」
「じゃあ、ほのかの将来のお婿さんはもう決まりね」
「え!?ええー?!こ、困ります、うそですごめんなさい私には好きな人が・・・」
なぎさの顔から暑さとは別の汗がどっと噴き出した。
「ふふふ、冗談ですよ冗談」
「はあびっくりした」
さなえは、
「でも、これからもほんとうにほのかのこと、どうぞよろしくお願いしますね」
といいつつ、正座のまま座っていた座布団を外し、手を揃えて深々と頭を下げた。
「あっ、いえいえこちらこそ、どっどうぞよろしくお願いします」
なぎさはさなえの態度にかしこまり、見よう見まねで同じように頭を下げた。残念ながら座布団からは
降りていなかったのが、それでもなぎさの真摯な姿勢は伝わってきた。
そんなこんなで改まったやりとりが一通り終わると、さなえはなぎさの額の汗に気付いた。
「なぎささん大丈夫?まだ汗びっしょりだけど」
「変なこというからですよー」
「ふふ、ごめんなさい、意地悪だったかしらね、謝るわ。・・・そうだ、暑いところでお待たせするのもなんだし、
ほのかが帰ってくるまでの間、蔵でも案内させてもらおうかしら? あそこならここよりも少しは涼しいだろうし。
物置につかってるだけだから大した物はないけれど、ちょっとした暇つぶしぐらいにはなるでしょうから」
「蔵ってあのお庭の蔵ですか?いいんですか?」
「ほのかが帰ってくるまでの間、私みたいなおばあちゃんとふたりで待ってるだけなんてつまらないでしょう?」
「そんなことないですよ〜」
「まあ、とにかくここでじっとしててもしょうがないからいきましょうか」
そういうとさなえはすっと立ち上がって廊下へ出てなぎさを縁側へと招いた。
「そうですね、わっかりましたー」
なぎさもさなえの後に続いて部屋を出た。
- 483 名前:大阪 投稿日:2004/12/23(木) 00:33 [ g7BLv8ws ]
- 続くって書くの忘れてた。いつもあらすじはすぐ思いつくんだがな、
幹に枝葉をつけていくのがなかなか・・・
- 484 名前:リオ 投稿日:2004/12/23(木) 01:36 [ /8M8vE06 ]
- 【なぎサイド】
―第42話
私、誓ったよね。
何があっても、そばにいるって。
私が、ほのかを守るんだって。
絶対、守るんだって・・・・。
それなのに、私は今、ひとりぼっち。
私は、ほのかがいないと何もできないくせに、
ほのかをこんなに簡単に失っちゃった。
「もう一人の方は全てを食い尽くす力に呑まれてしまうだろう」
「全てを食い尽くす力に呑まれてしまうだろう」
「もう一人の方」「呑まれてしまう」
頭の中でジュナの言葉がやまびこのように何度も何度も聞こえた。
ほのかが、闇に、呑まれる。
それはつまり、
死んじゃうってこと?ほのかが?
いやだ。そんなの、いやだ。
ほのかがいなくなる。
あの黒くまっすぐな瞳が私を見ることは、なくなる。
あの小さなかわいらしい唇が、「な」「ぎ」「さ」の音をつむぐことは、なくなる。
あの艶やかな黒髪が、風に乗って私の頬をくすぐることは、なくなる。
あの白い手が、あの眉が、耳が、指が、
「ほっ・・・ほのかぁぁぁぁぁぁぁあああっ!!」
いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ!
絶叫が、自分のどこから響いてくるのかもうわからなかった。
実際に口から出ているのか、
それとも心が叫んでいるのか。
親友としてのほのか。
パートナーとしてのホワイト。
私が守るはずだった、ほのか。
失われてしまった、ホワイト。
私の、大切な人―――ほのか。
急に視界が開けた。
目の前に迫るジュナが、妙にゆっくりに見えた。
ジュナのキックが放たれた瞬間、頭の中にほのかの笑顔がよぎった。
「うあああああああああああっ!!」
・・・実を言うと、そこから先のことはあんまり覚えてないんだ。
私は叫んで、戦って、叫んで、戦って、戦った。
なんて叫んだんだろう。いまいちはっきりしないなぁ。
・・・でも。
頭の中にあったものはひとつだけだったよ。
それが何かなんて今さら言わないけど、ね。
「よしよしじゃなーい!」
あのときの私の声、涙でぐずぐずだったのに気づいたかな?
頭をなでてくれるほのかの手のひらの感触が、
ほのかの声が、あまりにいつもどおりで、
少し腹立たしくて、
そして、すごくうれしかったから。
- 485 名前:リオ 投稿日:2004/12/23(木) 02:11 [ /8M8vE06 ]
- 【なぎサイド】
―第43話
基本的に、憧れと恋愛感情とはべつのものだと思うよ。
私が何を言いたいかって?
・・・そりゃあ藤P先輩と、ほのかについて。
どっちが憧れでどっちが恋愛感情かなんて聞かないでよね。
唯が藤P先輩に対して抱いてる感情はどっちなんだろう。
恋愛感情・・・それとも、憧れの延長?
多分、私は何もしちゃいけないんだと思う。
唯の邪魔も、応援も。
いち藤P先輩ファンとして自分に嘘はつけないから。
藤P先輩に女の影あり?なんて噂を聞くと一日中イライラしちゃうくらいだもん。
・・・あー、でもね。やっぱり私は私だよね。
断れないんだぁ。私ったら。
唯の奴、恨んじゃうよ本当に。・・・あ、一句できた。
ほのかもほのかだよ。
私が唯に協力するからって、気を使わなくてもいいのに。
ほのかは、私の気持ち知らないくせに。
私の心の中の何パーセントが藤P先輩で、何パーセントがほのかなのか、
知ったら絶対驚くと思うよ。
だから、まだ教えてあげない。
それに、今はまだ、私は藤P先輩のことで泣いちゃうから。
藤P先輩になぐさめられて、正直ときめいちゃったから。
マフラー、返したくないから。
・・・とりあえず、今日はお鍋を食べよう。
- 486 名前:リオ 投稿日:2004/12/23(木) 02:38 [ /8M8vE06 ]
- 【木俣サイド】
―801話・・・
「木俣センパイ!」
うわ、女の子の声だ。俺は女子が自分を呼ぶたびに不覚にも恐怖を覚える。
いや、別に女性恐怖症とかじゃないんだ。
たださぁ・・・、
「藤Pセンパイ呼んでもらえますか?」
ほら来たよ。このセリフ。これが怖いんだよ。
断れないし、俺は当然省吾を呼びに行くわけだ。
ん?別に日常的に省吾って呼んでる訳じゃねぇよ。いつもは藤村さ。
気づかれないとこでこっそり呼ぶ・・・って関係ねぇな、こんなことは!
あいつも、絶対に断らないんだ。話を聞いてくれといわれれば聞くし、
何かを受け取って欲しいといわれれば受け取る。断るのは、最後だけだ。
「ごめんね」
そう言って、天使の笑顔だ。そこでようやく俺はほっとする。
・・・やっぱり、男が男を好きになるってのは、その・・・
イケナイコト、なんだろうか。
あ、勘違いするなよ!?男なら誰でもいいわけじゃない。女に興味がないわけでもない。
ほのかちゃんに付き合ってくれといわれたら付き合うさ。喜び勇んでな。
・・・ただ、俺は藤村省吾が好きなんだ。
・・・あーあ・・・・・言っちまったー・・・・。
なんかすごく恥ずかしいなぁ。
でもちょっとすがすがしいかな。
俺だって最初は驚いたさ。友情以上のものを俺はあいつに求めてるみたいだ、
って気づいた時にはね。
ダメだ、俺は男で、あいつは男!捨てろ!この想いは捨てなけりゃ人生まっくらだぜ!
捨てられなかったよ。
恋は最大の難病ってか。ちくしょう。
捨てられないとわかってから、こんなことをよく考えた。
俺が女だったらよかったのに。それか、省吾が女だったらよかったのに。
でも、違うんだな。俺は男として、男の省吾を好きになったんだから。
・・・ついでだ。ひとつ教えといてやるよ。
美墨さんいるだろ?ほら、ラクロス部の、茶髪の彼女さ。
彼女も、俺と同じだぜ。
何が同じか?それは言えねえな。プライバシープライバシー。
でも、わかるんだな。ま、それは美墨さんが俺ほど感情を押し殺してないからかもしれねぇが。
女子はいいよなぁ。手つないだり、抱きついたり。
俺も女子だったら・・・・・・
っと、それは言わない約束だったか。
- 487 名前:リオ 投稿日:2004/12/23(木) 02:48 [ /8M8vE06 ]
- >>480の方、
>SS遣い
・・・僕はさらに両刀使いだったようです。すいません。
木俣サイド・・・44話を書くために必要かな、と思いまして。
それにしたって801ですね。不愉快ならお読み飛ばしください。
>833@さん
そう言っていただけるとやる気が出ます。とっとと風邪を治して44話書きます。
>大阪さん
さなえお婆ちゃま×なぎさですか?続き楽しみにしてます!
- 488 名前:猫塚 投稿日:2004/12/23(木) 22:12 [ jxrDTaXY ]
- 吐く息さえ凍り落としてしまいそうな、冬の空気の清冷さが部屋に染み込んでくる。
月明かりに併せ、人工の灯火に溢れる市街地には、完全な闇は降りない。薄い夜の闇を透かして、なぎさは、同じベッドで眠っているほのかの顔を窺った。
ほのかの家に泊まるのは、今回で二度目だったが、その話が出たのは今日の帰り際だった。
「また……急な話だよね。ほのかのおばあちゃん、今日もどっかでお泊り?」
「ううん、そうじゃないの。その…おばあちゃまは家にいてくれるんだけど……」
何かを言いづらそうに口ごもるほのかに、なぎさは殊更明るく返事を返した。
「オッケーッ! じゃあ、いったんウチに帰ってから寄らせてもらうよ。着替えとか、明日の学校の準備とかもしていかなくちゃいけないし」
「うん……、じゃあ、こっちもお茶菓子とか準備して待ってるから」
なぎさが雪城家を訪れてからも、ほのかの様子は、いつもとは何かが違っていた。何がどうとは言えないあたり、なぎさには随分歯がゆく思えた。
(ほのか……、一体今日はどうしたのかな?)
お伽話に出てくるお姫様のように、すっと通る鼻梁を乗せた端正な面立ちを間近で眺めながら、なぎさは苦々しい笑いを漏らした。
(それにしても、ほのかってホント綺麗すぎ…、アタシなんかとはマジで月とすっぽんぽんだよねぇ…)
王子様の口付けを待つ眠り姫のような親友の寝顔に、なぎさは飽くことなく見蕩れていた。すると、不意にほのかの両目が開いて、なぎさの方を向いた。思わずドキッとして、なぎさが顔を引き攣らせた。
「どうかしたの、なぎさ?」
「あ…いや、べ…別に。その…大丈夫、変なこととか全然してないから……。て…てゆーかさぁ、ほのか、起きてたの?」
「うん……」
眼差しにも随分と元気が無い。上手い言葉が浮かばないなぎさは、どうしようかと散々迷ったが、とうとうほのかに尋ねてみた。
「もしかして、この前のクリスマスの事? ……キリヤ君のこと、考えてたの?」
光と闇との衝突により生まれた歪みに呼び寄せられ、そして再び帰っていった少年。ほのかが彼に対して、少し複雑な想いを抱いているのを、なぎさは知っている。
だが、ほのかは少し逡巡してから、小さな溜息をついて、首を横に振った。
- 489 名前:猫塚 投稿日:2004/12/23(木) 22:14 [ jxrDTaXY ]
- 「違うの。私が考えていたのはね…………なぎさの事なの」
「アタシの事?」
小さな沈黙の後に、ほのかが、夜の静けさに溶けそうな声で続けた。
「私ね、なぎさがいなくなっちゃうんじゃないかって……考えてたの。キリヤ君みたいに、私の前から消えちゃうんじゃないかって」
「まさかっ、アタシがほのかの前からいなくなるなんて……、そんなことあるわけないよ。ほら、この前ちゃんと約束したじゃん。アタシはほのかのそばにいるって」
「うん……。あの時は本当に嬉しかった。私ね、なぎさと一緒にいる時が一番楽しいの。二人でおしゃべりしたり、買い物に行ったり……」
「アタシもほのかといる時が一番楽しいよ」
「なぎさと一緒に過ごす時間が幸せすぎて……、他の何もかもが色あせちゃうほど……」
ふと、月を雲が遮ったのか、部屋に落ちる闇が濃くなった。
「なぎさはね、私の一番大切な友達なの。だからね……、世界で一番幸せになってほしいの」
ベッドの中で、ほのかの手が伸びて、なぎさの手に触れた。なぎさがそっとほのかの手を握る。
「だからね…、なぎがちゃんと藤村君に告白して、二人が恋人同士になれますようにって……、なぎさのことを毎日考えてた……」
また短い沈黙が降りた後、ほのかが寂しげな声で続けた。
「でもね、そうなったら、私……、なぎさと一緒に過ごせる時間が減っちゃうんじゃないかって……」
「そんなことないってっ! アタシ、もし藤P先輩と一緒になれたって、今までと同じくらいほのかと一緒にいるよっ! 今まで通りにおしゃべりして、買い物にも一緒に行って……」
親友の優しさに、ほのかが微笑みを見せた。
「森岡さんの時もそうだったけど、なぎさって、すっごく友達思いで優しいよね。でもね……、恋人同士には二人だけの時間も必要でしょ」
ほのかがなぎさの手をぎゅっと握り返した。心の底から、最も親しい存在であるなぎさの幸せを望んでいた。なのに、その気持ちがどんどんと揺らいでくる。
「なぎさと藤村君が恋人同士になって……だんだん二人の幸せな時間が増えていって……、いつか私だけが取り残されちゃうんじゃないかって……、一人ぼっちになっちゃうんじゃないかって……」
「そんなことないっ! 絶対ないっ! そんなこと言ってるとアタシ……アタシ本気で怒るよッ! アタシにとって、ほのかがどれほど大切な存在か……分かってるでしょ…………」
不安に震え始めたほのかの体を、なぎさの両腕が力強く抱き寄せた。痛いほどに、ほのかの華奢な体を抱き締める。
- 490 名前:猫塚 投稿日:2004/12/23(木) 22:15 [ jxrDTaXY ]
- ほのかの胸に広がっていた不安を、なぎさが力強く、完膚なきまでに否定してくれた。ぽろぽろと両目から溢れ始めた涙に混ざって、不安がどんどんと体外に排出されていく。
「ずっと……ずっと一緒にいてくれるよね、なぎさ……」
「当たり前じゃないっ。アタシとほのかってさ、恋人や夫婦以上のパートナーなんだから……!」
…………泣き疲れて眠ってしまっていたらしい。
閉じた目蓋にかかる暗さから、まだ夜が明けていないことを知る。
ベッドの中にほのかとなぎさ、二人分の体温がこもっているせいか、暖か過ぎて、少し息苦しい。特に、胸の上に重しでも置かれたように息がしづらく、そのせいで目が覚めてしまったようだ。
「…………きゃあっ」
苦しい胸のあたりをまさぐろうとした手が、ふさっとした頭髪に触れたことよりも、第二次性徴の瑞々しい実りをみせる胸に、すりすりと頬擦りされたことに驚いて、がばっと上半身を起こした。
そのあおりを受けて、くてんと仰向けに転がったなぎさの寝顔を見て、ほのかは安堵の溜息を漏らした。
(なんだ、なぎさだったの……)
赤ん坊のように無垢で無防備な寝顔を見ていると、急にクスクスと笑いがこみ上げてきた。
(幸せそうな顔……藤村君の夢見てるのかな? それとも、やっぱり美味しいもの食べてる夢?)
すべすべとした頬を、つんつんとつついてみる。その指に反応したのか、なぎさが寝ながらにして顔を動かし、カプッとほのかの指を咥えた。
(……!)
ビックリするほのかにお構いなく、ぢゅううぅぅぅっと強く指に吸い付いた後、にへら〜〜っと口元を弛緩させて、再び幸せそうな寝顔を晒した。
ぷっ…と吹き出す口元を必死に押さえて、痙攣でも起こしたかのように体を震わせながら、ほのかが声無く笑い転げた。ひとしきり笑ってから、なお笑いの収まらない状態でベッドから降り、机へと向かう。
椅子に腰掛け、石の番人より貰った、この世界でたったふたつ、ほのかとなぎさだけが持つプリキュア手帳を開く。白紙のまま置かれているページを、光の園の力を秘めたライトで照らすと、今までにほのかが書き綴った色々な言葉が浮かび上がってきた。
- 491 名前:猫塚 投稿日:2004/12/23(木) 22:15 [ jxrDTaXY ]
- (なぎさのこと……いっぱい書いてある)
思い出と共にページをめくり、そして、最後に書き込んだページをそっとライトで照らす。
『なぎさをとられたくない』
たった一行に込められた、ひどく切ない胸の痛み。
この言葉を書き込んだ時のつらさを思い出して、一瞬だけ柳眉の下を翳らせるも、すぐにいつもの優しげな表情へと持ち直した。
(いっぱい泣いて……すっきりしたから。それに……)
静かに胸に手を当てる。目には見えないし、感触もないが、それでも、それがそこにあるのを感じられた。
ほのかとなぎさ、二人の結び付ける強い絆。
どれほど物理的な距離をおいても、どれほど離れ離れの時間を経ても、決して断ち切ることの出来ない、二人が最高のパートナーであるという証。
最後に書き込んだ一文の上にペンを当て、幾重にも線を引いて、かき消していく。
(なぎさ……、ごめんね、もう大丈夫だから)
冷え込んだ空気がパジャマの中に染み込んできて、ほのかは、ぶるっ…と体を震わせた。そそくさと手帳を仕舞って、ぬくもりの恋しいベッドへもぐり込む。
(ふ〜〜、あったか〜〜い…)
冷えた体にじんわりと浸透していく温もりに一息ついてから、眠っているなぎさに、体を摺り寄せて体温を分けてもらう。
(そうだ、さっきのお返ししちゃおっ!)
心の中で悪戯っぽく微笑みながら、なぎさを起こさないよう、そぉ〜っとしがみつき、少し様子を見る。……大丈夫だ。ぐっすりと寝入っている。
さっき彼女が寝惚けてやったように、ほのかは、なぎさの胸の上へと頭を乗せた。
まだ青々しく、小ぶりで色気に欠ける果実だが、弾力に弾む柔らかさは、枕よりもずっと気持ちがいい。
(あったかいし……、なぎさの胸、とっても気持ちいいっ……!)
体温のぬくもりと、体をリラックスさせる心地良い柔らかさが、ほのかを安らかな眠りへといざなっていく。
すやすやと可愛らしい寝息を立て始めたほのかの下で、なぎさが「うぅ〜」と寝苦しそうな声を上げて、夢の中でもがいていた。
「……なんかね、たこ焼きに変身したほのかに押し潰される夢みたの」
「なぎさってばもう、そんな変な夢みないでよ……」
次の朝、いつもの親しい仲に舞い戻った二人が、一緒に雪城家の門を出た。
日が昇りきるまで、夜中に冷えた空気が地上にじっとり張り付いて、凍えるように寒い。
くしゅんっ…と、なぎさがくしゃみをした。
- 492 名前:猫塚 投稿日:2004/12/23(木) 22:17 [ jxrDTaXY ]
- 「寒〜。こんなに冷えるんだったら、マフラー持ってきとけばよかった…」
いかにも寒そうに手をこすり合わせるなぎさの首に、ふわりと暖かなものが巻き付けられた。
「風邪引かないようにね」
自分がしていたマフラーを、なぎさの首に巻いたあげたほのかがにっこりと笑う。
「ほのかのマフラー…あったか〜〜い……」
ありがたそうに呟きながらマフラーに頬擦りしていたなぎさが、急に距離を詰めてきた。
「うん?」
ほのかの首にもふわりとマフラーが巻きつく。
「ちょっと窮屈だけど……こうすれば、ほのかも暖かいでしょ」
「うん……すごく暖かい……」
ひとつのマフラーに、身を詰めて何とか二人でくるまる。
「……昨日はごめんなさい」
「ううんっ、いいっていいって。気にしないで」
なぎさが、ニッと微笑んだ顔をほのかへと向ける。まるで、陽の光のように明るい表情で笑うなぎさに、ほのかが、朝露のように綺麗な笑みを返した。
「私ね……なぎさのこと、応援するから。これからずっと……なぎさが結婚しちゃうまで、めいいっぱい応援するから!」
「ほのかがそう言ってくれると、ホント心強いよ。……その、ありがと」
何となく照れて、顔をうっすらと赤くしたなぎさが、頬をぽりぽりと指でかきながら、はにかんで礼を言う。
「うん……、アタシも、ほのかの気持ち無駄にしないよう、力いっぱいがんばるから……。そうだっ、ねえねえ、ほのか! 次の日曜、結婚式の特訓しようよ!」
「結婚式の……特訓?」
「そうそう、アタシね、ほのかに向かってブーケ投げるから、絶対キャッチできるように……」
「いや……特訓するほどのことでも……てゆーか、普通に投げてくれれば……」
「甘い。ほのか、甘すぎ。結婚式には志穂や莉菜、弓子先輩にアカネさん……みんな呼ぶからね。言っとくけど、みんな手強いよ〜〜。今から特訓しとかないと、絶対みんなに競り負けちゃうから……」
- 493 名前:猫塚 投稿日:2004/12/23(木) 22:18 [ jxrDTaXY ]
- 他愛の無い会話に仲睦まじく戯れる、いつもと変わらない光景。変わることの無い二人の友情。
「それじゃあ、次の日曜、一緒にがんばろうね、ほのかっ」
「うんっ」
何よりも強い絆で結ばれた二人は、まぶしく差す太陽にも負けないくらいの、最高の笑みを交し合った。
- 494 名前:猫塚 投稿日:2004/12/23(木) 22:20 [ jxrDTaXY ]
- 久々にSS投下しましたであります。
黒か白かと問われれば、自分は白派の人間ですが。
なぎさ×藤Pのカップリングが成立しそうな雰囲気は、百合の園の勇者その一としては、ちょっとくやしいです。
ここ最近のプリキュアの展開は、ちょっと鬱です。
でも、幸せそうななぎさを見てると……萌えながら祝福してしまう自分は、まだまだ修行が足りんなぁと。
たとえ、なぎさと藤Pが結ばれたとしても、
恋人や夫婦を超えた先にある遥かな高みにおいて、超然と百合百合イチャイチャするなぎさとほのかを目指して歩んでいきたいと思います。にゃあ。
- 495 名前:833@ 投稿日:2004/12/24(金) 01:04 [ GGwh7G5U ]
- おお久々に覗いてみたらたくさん投稿されてる…。
>リオ氏
楽しみに待ってます。いずれはキリヤサイドとかやるのかな?
>猫塚氏
お久しぶりです。やっぱり凄いですね。
う〜む、私ももっと精進せねばいかんな。
- 496 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/12/24(金) 01:11 [ iCMOCZRI ]
- >猫塚氏
最高です!!すごい、神!!
>833氏
氏もSSがんばってください。
- 497 名前:百合スレ9より98氏+99氏/ネタSS「なぎさの写真」(1/2) 投稿日:2004/12/24(金) 02:34 [ kXA6.086 ]
- 98 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/16 19:13:45 ID:OP0EnnoA
電車通学だからそろそろ意中の人の写真ネタとかをやって欲しいなぁ…。
ポトッとほのかのポケットから何かが落ちる。
莉「雪城さ〜ん、定期落としたよ」
莉奈がそれを拾い上げる。がその時定期入れが開いた。
そこにあったものはなぎさの写真……。それも寝顔…。
志「ちょっとちょっとちょっと〜。これって…」
隣にいた志穂が驚愕の表情で叫ぶ。
ダッシュでほのかは二人に迫り、ただ顔を赤くしてポツリと呟く。
ほ「み…見た?」
しほりーな「う…うん……」
先が思い浮かばない。誰か任せた。
- 498 名前:百合スレ8より98氏+99氏/ネタSS「なぎさの写真」(2/2) 投稿日:2004/12/24(金) 02:35 [ kXA6.086 ]
- 99 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/16 19:27:34 ID:Ds8XHuMD
承前
後ずさりするふたりを捕まえようとカバンを?むほのか。
振り払おうとした時、志穂のカバンから定期入れが落ち、
その中にはラクロス部部室で着替え中のなぎさの盗撮写真が!
「…」
「…」
翌日。
なぎさとほのかが肩を並べて仲良く一緒に登校。
前を歩く志穂を見つけてなぎさが声を掛けようとしたら、
ほのかが先に
「しほり〜ん!おっはよう!」(し、しほりん?)
「あっ!ほのかっちオハヨー!」(ほのかっち?)
「しほりん、これ昨日の私の持ってる写真の焼き増し。」
「ほのかっち!お礼に私の持ってる写真の焼き増しと交換交換交換!」
「写真って何のこと?
それにいつの間にそんなに仲良しになったのよ?」
「内緒だもんネー!」
志穂がなぎさの左腕にぶら下がる。。
「内緒!」
ほのかがなぎさの右腕を抱きしめる。
一見なかよしのほのかと志穂だがなぎさの頭上で交わした目線に火花が…
そんな三人の後ろから莉奈が
「なぎさってば相変わらず鈍いわねー。」
おしまい
- 499 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/12/24(金) 02:37 [ kXA6.086 ]
- 【百合スレ9より98氏+99氏/ネタ系百合SS「なぎさの写真」】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1103122420/98-99
百合SSを読み過ぎたりしてると、たまに妙な設定が自分の中でデフォになってて
百合スレ以外のところでその話題を自然に持ち出すと、思いきり引かれたりしますので
ビックリですね。例えばほのかが実は定期入れになぎさの写真を入れているというのも、
そういう百合萌え者同志でのみ通じ合える作品外設定の一つでしょうか。
上のSSでも、98氏が、何の前触れもなく意中の人の写真ネタを振ったのに、15分も置かずに
99氏がそれを発展させて、さらに志穂→なぎさのラインも加えたより百合色の濃いSSに変貌。
恐るべし百合萌え者たちといいますか、何といいますか、とまれかくまれ敬意を表して転載。
余談だが、俺の中では98氏があの人で99氏はほにゃららの人とほぼ確信しているが……
ま、人生は謎のままにしておいた方が興趣の深いことも多分にありますので、
余計なセンサクは止しときましょう。
- 500 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/12/24(金) 02:42 [ kXA6.086 ]
- ( ゚Д゚)<微笑み忘れた顔など
( ゚Д゚)<見たくはないさ
- 501 名前:プリキュアSS作品INDEX_401-500(1/2) 投稿日:2004/12/24(金) 02:44 [ kXA6.086 ]
- 作品INDEX_001-100 >>101-102 作品INDEX_101-200 >>201-202
作品INDEX_201-300 >>301-302 作品INDEX_301-400 >>401-402
【百合SS「833@連作百合萌えSS」】
10/15 #01 ほのかの決意 (日) >>109
10/16 #02 第一日目 (日) >>112-114
10/16 #03 月曜の朝 (月) >>118
10/17 #04 お弁当 (月) >>134-137
10/19 #05 買い物劇 (月) >>145-146
10/19 #06 お勉強 (月) >>153-157
10/25 #07 遅刻・擦り傷 (火) >>191-195
10/26 #08 トイレ掃除 (火) >>204-207
10/29 #09 なぎさの料理・雨傘 (火) >>220-222
11/01 #10 欠席 (水) >>255-257
11/03 #11 ぬいぐるみ (水) >>265-267
11/09 #12 風邪薬 (水) >>288-290
11/10 #13 木曜の朝 (木) >>303
11/13 #14 心配・繋がった手 (木) >>313-316
11/16 #15 氷の欠片・不等式 (木) >>345-349
11/23 #16 大事な話・志穂と莉奈 (金) >>375-380
11/23 #17 河原 (金) >>384-390
11/26 #18 最後の日 (土) >>407-410
11/26 おまけ作品:A week later >>413
【SS「大切な仲間」】 >>422-423
作者:ネズミ小僧(仮)氏
【百合SS「高校同棲編 - 二人の結婚式 -」】 >>430-433
作者:833@氏
【ネタSS「黒い表紙の…」】 >>437
作者:リオ氏
- 502 名前:プリキュアSS作品INDEX_401-500(2/2) 投稿日:2004/12/24(金) 02:46 [ kXA6.086 ]
【SS「二人の別れ」】 >>440-446
作者:833@氏
【百合SS「高校同棲編 - ほのかの実態 -」】 >>449-454
作者:833@氏
【百合SS「パートナー」】 >>460-473
作者:833@氏
【SS「なぎサイド/第40話」】 >>477
作者:リオ氏
【SS「なぎサイド/第41話」】 >>478
作者:リオ氏
【SS「ふたりはプリキュア ―めろりんきゅ〜?―」】 >>178-179, >>261, >>457, >>482
作者:大阪氏
【SS「なぎサイド/第42話」】 >>484
作者:リオ氏
【SS「なぎサイド/第43話」】 >>485
作者:リオ氏
【SS「木俣サイド/第801話」】 >>486
作者:リオ氏
【百合SS「胸の痛み」】 >>488-493
作者:猫塚氏
【ネタ系百合SS「なぎさの写真」】 >>497-498
作者:百合スレ9より98氏+99氏
※題名には便宜的な仮タイトルも含まれます
- 503 名前:833@ 投稿日:2004/12/24(金) 15:20 [ e4Ve25.o ]
- 今日はクリスマス……。
でも…。クリスマスなんて……、大嫌い…。
私は心の中で何度も同じことを言った。
今年のクリスマスはホワイトクリスマスだった。
雪が降っていた。全てを覆い尽くすような白い雪。とても綺麗な雪だ。
今はもう雪は降っていない。それでももう十分な量の雪が積もっていた。
私は一人で歩いている。隣にいつも……いや時々かな……居るハズの彼女は居ない。
彼女は恐らく今は友人と一緒に楽しんでいる頃だろう。
ラクロス部の仲間と、大会に優勝した記念の祝勝会を…。
私は空を見上げた。灰色に染まっている空は今の私の気持ちを映し出しているようだった。
暫く私はそこに留まっていた。周囲の人は私のことなど気にも留めずに歩いている。
無論それは至極当然のことだろう。足を止めている人間にいちいち話しかけるものなど居ない。
- 504 名前:833@ 投稿日:2004/12/24(金) 15:21 [ e4Ve25.o ]
- ただ私は……、孤独を感じた……。一人でいることには慣れている。
別に人付き合いが嫌いというわけではない。ただ一人で居ることが多かった。それだけだ…。
しかしそのことに孤独を感じたことは無かった。むしろ一人で居ることは好きだったハズだ…。
再び歩き出し、歩きながら考えた。そして自分なりに一つの答えを出してみた。
ああ私は……。彼女を求めている……。
そして以前一度感じた感覚を思い出した。
あれはいつだったろうか…、私は彼女といつも通り遊んだ。
ただ一緒に彼女の持ってきた雑誌を読んだり、おしゃべりをしたり、お菓子を食べたりした。
あの後…。彼女が帰って一人になったあの時に…。私は初めて感じた。孤独という感情を……。
いや、正確には二度目…。一度目は幼稚園の時。
お父さんとお母さんが私を置いて海外に行ってしまった時……。
私は日本に居たいと言って断ったけど…、あの時もとても辛かった。
そういえば、あの時。私の頭はお父さんとお母さんのことでいっぱいだったなぁ…。
今は……。
今は違うかな…。今はもう彼女のことで頭がいっぱいになってる……。
磁石のNとSが互いに引き合うように……。私も彼女に引かれている……。
こんな気持ちは初めてだった。今まで誰にも抱いたことの無い気持ち。
私が誰かに会いたいと思うとき……。その時には必ず目的があった。
たとえそれがおばあちゃまでもお父さんでもお母さんでも……。
でも彼女だけは違う。
私は今、彼女に会いたい。そう思っている。理由は無い……。
目的も理由も無い。それでも会いたい。どうして………。
- 505 名前:833@ 投稿日:2004/12/24(金) 15:21 [ e4Ve25.o ]
- いや、わかっている。
そう、私は彼女に好意を寄せている。
簡単にだけど私の気持ちを確実に表現した言葉だ……。
うん、やっぱり考え込むことは良くない。少しだけすっきりした気がする。
気づいてしまった気持ち。だからこそ止められない……。
もっと彼女に自分を見て欲しい。一緒に居て欲しい。
抑え続けてきた欲望が溢れ出す。
自分が信じられない。友人の恋愛話に大して興味を抱かずにいたのに。
恋愛が嫌いというわけではなかった。ただ他の事…、勉強とか部活とか…。
私はそっちのほうに対する興味が強かった。
だから彼に振り向いて欲しいなんて言っている彼女達の気持ちがわからなかった。
「今の私なら…、少しはわかるかな……」
一言呟いた。発した声は白い息となり空中へと消えた。
目の前には学校帰りの小学生だろうか?ランドセルを背負ったまま雪合戦をしていた。
ふと、自分のことを思い出した。自分はどんな小学生だったろうか…。
両親はずっと海外で暮している。友達もとても多いとは言えなかった。
私は…、冬休みの間外に出ることなんてほとんど無かった。
家の中で本を読んで過ごしていた気がした。
今年は…。彼女と冬休みになる前から雪合戦したなぁ…。
思い出して苦笑する。そう、おばあちゃまがすごく驚いてたの。
私がコートをビショビショにして家に帰ることなんてほとんど無かったから…。
でもおばあちゃまもとても嬉しそうだった。
- 506 名前:833@ 投稿日:2004/12/24(金) 15:22 [ e4Ve25.o ]
- 私が外で遊んだってことと……、あとは大事なお友達が出来たこと…。
おばあちゃまにも結局言えなかったな…。そういえばあれはおばあちゃまについた初めての嘘かも知れない。
でも言えるわけないよ…。私とあの子は…………………。なんて……。ね。
それにそれは私の一方的な思い込みかも知れない……。
彼女は私のことを多くの友達の一人としか思っていないかもしれない。
ただ私が彼女のパートナーだからって…。彼女の一番近くにいるって…。だから彼女も私のことをって…。
そう勝手に思い込んでいるだけなのかも知れない……。
実際にクリスマスだというのに私は一人。これが良い証拠かも知れない。
そんなことを思い浮かべて少し暗い気持ちになる。はぁと、私は溜め息を一つついた。
少し頭を冷やそう…。私はそう思って公園へと向かった。この時間なら人も少ないだろう……。
私はゆっくりと歩を進めた。
……………
……………
……………
公園にも雪が積もっていた。私の予想通り人はほとんど居なかった。
小さな子供が2,3人雪合戦をしている。後は犬の散歩をしている老人が一人。
私は雪を払いハンカチで拭いてからベンチに座った。冷たい感触が伝わってきた。
無邪気に雪合戦をする子供達の様子を私は見ていた。
何も考えずに私は足元の雪を拾い上げた。手袋越しに冷たい感触が伝わってきた。
ギュッと握り締めると雪はあっさりと溶けて無くなってしまった。
- 507 名前:833@ 投稿日:2004/12/24(金) 15:22 [ e4Ve25.o ]
- 私は空を見上げた。灰色の空は変わらない。暫くそのままでいた。
いつの間にか公園には誰も居なくなっていた。
私は一人になってしまった。
突然……孤独感に襲われた。人の居ない公園がこんなにも寂しい場所だと今知った。
「今日は一人?」
誰かに声をかけられた。
静かに振り返るとそこに立っていたのは藤田アカネさんだった。
優しい笑顔で彼女は私に尋ねた。
「なぎさはどうしたの?」
ズキリと胸が痛んだ。私は出来るだけ冷静に答えた。
「なぎさは……、ラクロス部の祝勝会で……」
「ああ、そっか。今年はとうとうやってくれたもんね」
私の答えを聞いてアカネさんは嬉しそうだった。そういえばアカネさんもラクロス部だった。
喜ぶアカネさんの姿を見るのが辛かった。その様子はどこかなぎさと似ていたから……。
私は立ち上がった。クシャミが出た。ずっと座っていたから体が冷えてしまっていた。
「どれくらいここに居たの?」
私の体を気遣うようにアカネさんが尋ねてきた。どれくらいここにいたのだろう。
自分でもわからない。
- 508 名前:833@ 投稿日:2004/12/24(金) 15:23 [ e4Ve25.o ]
- 「風邪ひいちゃマズいからね。おいでよ」
アカネさんはそういうと私の手を引いた。
「あ………」
なぎさの手とはまた違う感触。暖かい……。
胸がドキドキしている。なぎさと手を繋いだ時と同じような感覚。
……………
……………
……………
私は今トラックの助手席に座っている。運転席にはアカネさんが膝を曲げて座っていた。
「こんだけ客が少ないと暇だね。まあ稼がなくちゃやばいんだけどさ…」
アカネさんは多分独り言を言った。
私はアカネさんに入れてもらったコーヒーを手に持っていた。
冷えた両手を暖かいコーヒーが温めていた。
「おいしいよ?」
紙コップを持ったまま動かない私のことを気遣っているのだろうか?
アカネさんがそんなことを言ってくれた。
私は一気にそのコーヒーを飲んだ。アカネさんが言った通り暖かかった。
冷えた体が少しずつ温まるのを感じた。
無意識のうちに中身の無い紙コップに力を込めていた。
グシャリと紙コップは簡単に潰れた。それと同時に私の体が震えだした。
そして何か冷たいものが瞳から溢れ出していた……。
「ほ…ほのか?ど…どうしたのよ?」
アカネさんが驚いた表情で私を見ている。
- 509 名前:833@ 投稿日:2004/12/24(金) 15:24 [ e4Ve25.o ]
- 「な…なんでも……ない……です…」
何かを言いたいハズなのに…何も伝えられない。ただなんでもないということしか出来なかった。
涙が止まってくれない。止められないものだとはわかっているけれど……。
「なんでもないわけないだろ…。大丈夫?」
アカネさんが私の背中に手を回してくれた。背中をさすってくれている…。
「ア……カネさん……アカネさん……」
私は泣きながら正面からアカネさんに抱きついていた。
なぎさより大きなその体は温かみに溢れていた。
アカネさんもまた自分の背中に手を回し、力を込めてくれた。
暫くして私の気持ちが落ち着き涙も止まった。
私は全てを話した。自分の気持ちを………。
話しを聞いている間アカネさんはずっと黙っていた。
しかし表情は真剣だった。
なぎさにも話したことのないような不安を全て打ち明けた。
「そういうわけか……」
全てを話し終えた時アカネさんはそう言って笑っていた。
「驚いたな〜、ほのかがなぎさにそんな感情持ってたなんてね…」
「私……、どうすればいいのかわからなくて…」
「そうだな。とりあえず…、今日は暇?」
「はい……」
「よし、じゃあお手伝い!」
「え?」
「今日は稼ぎ時だからね。一人じゃ厳しいんだ」
「あの…」
「たこ焼き焼くのは無理だろうから販売のほうをお願い」
「え…」
「大丈夫。ほのかならすぐ出来るよ…」
「あ…あのそんな…」
「決定!!」
「え〜〜〜!?」
というわけで私は初めてバイトをした。
初めてのバイトは予想以上に厳しかった。
アカネさん曰く普段の倍以上の客が来た。だそうだ。
私も最初は不安だったけど、段々と慣れていった。
アカネさんも褒めてくれた。なぜだろう。それがとても嬉しかった。
断ったのにバイト料として3000円。それとたこ焼きを貰った。
初めてのバイトは私の気を楽にしてくれた。
バイト中はなぎさのこと、辛いことを全て忘れられた。
「今日はありがとうね。ほのか」
「いえ、こちらこそ」
私は丁寧にお辞儀をした。少し遅くなってしまった。そろそろ家に帰らないと……。
「あ、ほのか!」
帰ろうとした私の腕をアカネさんが掴んだ。
「あっと……」
慌ててアカネさんは手を離した。アカネさんの表情は少し赤くなっていたように見えた。
「あのさ……、良かったら明日も来てくれないかな?」
恥ずかしそうに、俯いてそう言った。
私は笑顔で答えた。それもアカネさんがくれた今日一番の笑顔で。
「はい……」
- 510 名前:833@ 投稿日:2004/12/24(金) 15:26 [ e4Ve25.o ]
- というわけで前言撤回して一本書きました。
というかVRSのアカネさんの歌聴いて思いつきました。
なぎほの一番の自分が初めて書いたほのアカです。
今後ほのかを巡るなぎアカ対決w!?
もう少し丁寧に書けた部分が多々あるけど時間の都合で省略w。
>>501-502
まとめ乙です。
- 511 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/12/27(月) 21:09 [ IjOYWCSk ]
- 前言撤回大歓迎!
- 512 名前:833@即興品を投下 投稿日:2004/12/28(火) 16:35 [ WVz9jZlE ]
- 「うん、美味しい。完成!!」
出来上がったばかりの肉じゃがを一口食べて思わず高らかにガッツポーズつきで叫んじゃった…。
うーん、良い匂い。我ながら素晴らしい。
おっとっと。ったく。なんでこの右手は勝手にもう一口食べようとするのかしら。
いくらおいしく出来たって自分で全部食べちゃったらは意味無いじゃない…。
とりあえず蓋しておこ。
う〜ん…。しっかし自分でも信じらんないね。あたしがここまで料理上手になってるなんて…。
この前家に帰ったらお母さんも亮太もすっごく驚いてたし…。
そういえば亮太の奴少し背伸びてたなぁ。半年で結構変わるもんなんだね。
まあ一番変わったのはやっぱりあたしなんだけど…。
早いよねぇ…、高校入学してもう半年。それってほのかと一緒に暮し始めて半年ってことになるんだけど…。
いやいや人間って素晴らしい。半年でここまで成長するもんなんだね。
まあやっぱりほのかの影響が大きいんだろうなぁ…。
もともと自分で料理をしようって思ったのも生徒会とか科学部とかで凄く忙しいのに、
ほのかが私のために晩御飯作ってる姿を見たからだし…。
でも今日までこうやって料理続けられたのも間違いなくほのかのおかげだなぁ。
最初に作った料理なんて形も崩れてて何も入ってないようなおにぎりだったのに、
ほのかが美味しいよ。って笑ってくれたんだっけな。
だからあたしももっとほのかのためにも美味しい料理作らなきゃって思うようになったんだ。
ほのかに美味しいって言ってもらいたくて…。
こんな気持ち。藤P先輩好きだった頃には思ったこと無かったなぁ…。
まあ辛抱強く作り続けた甲斐があったかな。
あたしもようやく二人分の晩御飯を一人で作れるようになりました。
でも変な話しだけどそれも少し寂しいんだよね。
そりゃあ、ほのかがあたしの料理の腕に頼ってくれるのは嬉しいよ。
でもあたしはあたしで不器用だけどほのかと一緒に料理するのも好きだったから…。
変だよね。ほのかのために料理上手になりたいと思ったのに……。
あっと、ご飯が炊けた。
これで晩御飯の準備は完了。ほのかが帰ってくるのが大体7時だから、まだちょっと余裕あるかな?
さ〜ってお茶碗の用意しなきゃ。ここでほのかが帰って来る前に準備完了しとかないとね。
ピンポーン
えっ!?うっそ〜!?ありえない!!
なんでほのかこんな早いの〜?
ああ、もうどうしよう。全然出来てない…。
どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう。
ほのかをずっと外で待たせるわけにもいかないし…。
あ〜〜!!もうこうなったら仕方ない。準備は後回し!
え〜と、鏡、鏡。あったあった。
よ〜し、笑顔OK。ほのかのお出迎えは笑顔でしなきゃね。
おっしゃ。準備完了。
ガチャ
「おかえり。ほのか」
「ただいま、なぎさ」
- 513 名前:833@ 投稿日:2004/12/28(火) 16:56 [ WVz9jZlE ]
- 59氏のマネみたいな感じで書いてみたけど
こういう一人称の文章?ってのはやっぱり二つ書いたけど難しいな〜。
エロゲーとかバトロワなんかはこういうのに近いのかとは思うけど。
どっちにしろ今時このスレ見てる人いるのかな?
- 514 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/12/29(水) 00:35 [ HStuTIJA ]
- もちろん見ておりますとも
数々の神が宿ってますから
- 515 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2004/12/30(木) 22:40 [ uzaAaB6c ]
- ノシ
欠かさずチェックしてます
- 516 名前:59 投稿日:2005/01/01(土) 07:38 [ Qi1RTCn6 ]
- >833@氏
あけおめ!
なぎさが料理上達した理由付け…で萌えさせ
と思ったら、同居!
んで、なぎさの目的意識とか心境の変化とかが丁寧に書かれていて、イイ!
腐女子っぽい言い方になるけど作者の愛がありますね
一人称といえば、記憶が確かなら神坂一という小説化がエンサイクロペディアスレイヤーズという冊子で面白いことを言ってました
一人称小説のスレイヤーズという作品でガウリイというキャラの脳が無いのは、それでボケさせることで主人公に突っ込ませることによって状況や世界観を著述するため、みたいなことですね
- 517 名前:833@ 投稿日:2005/01/01(土) 09:58 [ 26M2ao7U ]
- 今年もよろしく。
>と思ったら、同居!
そういえば、これは描写を忘れてたな。
同居というよりはいつもの相部屋シリーズですw。
- 518 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 11:28 [ gcST/e6Y ]
- さて新年最初の一作を投下するか…。
ちなみに誰も知らないオリジナルキャラが登場しますがまあ気にしないで読んでください。
なぎほのよりオリキャラが目立っていても気にするなw。
- 519 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 18:46 [ SVbAwzkg ]
- ふたりはプリキュア 〜The another prism stone〜
1
「ふぅ〜っ…。夏場はやっぱり辛いよねぇ…」
美墨なぎさは額に手を翳しながら言った。
今は夏本番の直前といった感じの七月中旬。
期末テストも既に終わり後は短縮授業のみの生活。
「でも楽しみだね。もうすぐ夏休みだよ」
そう、その短縮授業がが終われば夏休みである。
周りのベローネ学院の生徒達もやはり夏休みが近いということで皆どこか浮かれている様子だった。
「本当ね。でも、とりあえず宿題終わらせないとね」
風に揺れた長い黒髪を払いながら雪城ほのかが言った。
「はぁ……。そうだね。宿題が無ければ最高なのに…」
さっきまでとは打って変わったような態度でなぎさが言った。
宿題という言葉の重圧が早くも彼女に圧し掛かっているようであった。
しかしこれは彼女の長所だろう。すぐに元気な態度に戻ると、
「ねぇ、ほのか。こんだけ暑いしかき氷でも食べに行かない?」
とほのかを誘う。
「そうね…」
控えめながらもほのかも同意する。
涼しそうにしている彼女にも夏の陽射しはやはり暑かったということだろう……。
かき氷を食べ終えた二人は公園のベンチで休んでいた。
「なぎさ!!」
コミューンがポンと飛び出しパカッと開くと、メップルが突然に叫んだ。
「ど…どうしたのよ?」
左手にコミューンを受け止め、なぎさは驚きながら返事をする。
「なんだか……、嫌な気配がするメポ…」
表情を曇らせてメップルが言った。
「何言ってんよ。だってジャアクキングはもう……」
冗談のつもりでなぎさは返事をする。
「確かに嫌な気配がするミポ」
なぎさの言葉を遮りいつの間にかほのかの手に乗っていたミップルも同じことを言った。
「でも…、ジャアクキングは私達が……」
ほのかが心配そうに言った。
そう。ジャアクキングはもう居ない。
なぎさとほのかが変身したキュアブラックとキュアホワイトが確かに倒したのだから。
ズドーン!!
「!?」
大きな轟音がするとともに二人の目の前で何かが爆発した。
そして巻き上がった煙の中から一人の謎の男が姿を現した。
「プリズムストーンを渡してもらおうか……」
謎の男は低い声でそう言った。
「なんですって…」
ほのかが信じられないような表情で言った。
プリズムストーンを寄こせ。そんなことを言う者はドツクゾーンの連中以外には居ない。
「変身するメポ!」
メップルが叫ぶ。
「うん」
なぎさとほのかは頷き、カードをスラッシュする。
「デュアル・オーロラ・ウェイブ!!」
キュアブラックとキュアホワイトに変身した二人は目の前の敵に攻撃を仕掛ける。
「だあああ!!」
ブラックが連続を仕掛ける。パンチ、キック。全てが炸裂する。
「ぐああああああ」
謎の男は思い切り後方へと吹き飛ぶ。
「はあああ!!」
ホワイトもブラックに続き連続攻撃を仕掛ける。
ホワイトの放ったチョップは謎の男の肩を直撃する。
「ぐうう…」
謎の男は膝から崩れ落ちる。
「今よ!!」
ぎゅうううっと手を繋ぎ必殺技を放つ体勢に入る。
「ブラックサンダー!」
「ホワイトサンダー!」
「プリキュアの美しき魂が!」
「邪悪な心を打ち砕く!!」
「プリキュア・マーブル・スクリュー!!!」
二人の両手から放たれた黒と白の雷が重なり敵に襲い掛かる!
「ぐわああああああ!!!!!」
断末魔の悲鳴とともに謎の男は消滅した…。
「ふぅ…」
ブラックは一息つくと、隣には息を切らして右膝と左手を地面につくホワイトの姿があった。
「ホ…ホワイト!?」
ブラックが慌ててホワイトの元に駆け寄る。
「だ…大丈夫よ……」
右手を胸に当てて呼吸を整えながらホワイトが言った。
「で…でも?」
心配するようにブラックは続ける。
「大丈夫。多分暑さで目眩がしただけだから…」
そう言うとホワイトはゆっくりと立ち上がる。
「そう?」
心配そうにブラックが訊ねる。
「うん……」
ホワイトは笑顔で答えた。どこか…、薄幸な感じのする笑顔だった。
- 520 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 18:47 [ SVbAwzkg ]
戦闘も終わり、二人は並んで歩いていた。
ほのかの容態も何ら問題は無かったようだった。
そしてなぎさはメップルに訊ねた。
「さっきの奴……、やっぱりドツクゾーンの?」
メップルは暫く考え込んでいるようであった。
「多分違うメポ…。あいつからは闇の気配がしなかったメポ」
「でも…。じゃあ、なんでプリズムストーンを…?」
「そこだメポ。メップルもわからないメポ…」
「それに…、プリズムストーンはもうここには無いハズなのに…」
ほのかが静かに言った。
そう、彼女達はジャアクキングとの激闘の後、全てのプリズムストーンを光の園に返したハズだった。
本来はメップルやミップルも光の園に居るハズなのだが、
なぎさとほのかが夏休みに入るということで、それを利用して虹の園に遊びに来ているのだった。
「正体はわからないミポ…」
ミップルが不安げに呟いた。
「まぁでも、あれくらいだったらなんとかなるよ。ね、ほのか?」
なぎさは至って明るく答えた。
「え…、あ、うん。そうね」
ほのかも微笑んでそれに同意した。
「じゃあね、なぎさ。また明日」
「バイバイ、ほのか」
手を振って二人は別れた。
その頃……。
「ちっ…、失敗したか…」
氷上恭一は舌打ちをしながら呟いた。
彼は今ベローネ学院中等部男子部の制服に身を包んでいる。
(しかし、敵の強さは予想以上のようだな。余裕で蹴散らした…)
顎に手を当ててじっくりと考えるような仕草をする。
「やはり……。オレ自身がやるしかないのか……」
ブツブツと独り言のように呟いた。
「どうしたんだ、氷上?」
「え?」
突然声を掛けられて氷上は驚く。声を掛けたのはサッカー部キャプテン、
氷上の先輩にあたる藤村省吾だった。
「一人でブツブツと呟いて……。」
藤村は不思議そうに氷上に訊ねる。
「何でもないですよ。ところで先輩……」
氷上はさっきとは全く違う声で藤村に訊ねる。
「何だ?」
「先輩は確か…。雪城ほのかさんの幼馴染なんですよね?」
確かめるように氷上は訊ねた。
「ああ、そ…そうだけど…」
藤村は氷上に圧倒されるように答えた……。
- 521 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 18:48 [ SVbAwzkg ]
- 2
「ふぅ…。ギリギリセーフ……」
美墨なぎさはチャイムが鳴る直前に教室に駆け込んだ。
「おはよう、なぎさ。何とか間に合ったね」
「相変わらずの悪運の強さね…」
クラスメートの高清水莉奈と久保田志穂がなぎさに朝の挨拶をする。
「あれ?ほのかは?」
なぎさが二人に訊ねる。
普段は必ずなぎさより早く学校に来ているハズのほのかの姿が見えない。
「まだ来て無いよ」
莉奈がそう答えた。
「へぇ、雪城さんが遅刻なんて珍しいね…」
志穂も驚いたような様子で言った。
やがてチャイムの音とともになぎさの机の周りに集まっていた人だかりも解散した。
ほのかの姿はまだ見えない。
(どうしたんだろう……、ほのか……)
心配するようになぎさはほのかの机の方を見つめた。
数分後…、担任のよし美先生が雪城ほのかが発熱で欠席するということを伝えた。
キーンコーンカーンコーン
短縮授業も終わり生徒達は思い思いの行動を開始した。
「なぎさ〜。今日は暇?」
なぎさの友人である森岡唯がなぎさの肩を叩いて声をかけた。
「え?どうして?」
「もうすぐ聖子の誕生日なんだ。それで何買ったらいいかなぁと思って…」
唯は幸せそうな笑顔でそんなことを言った。
「ごめん唯。今日はちょっと…」
なぎさは指をモジモジさせながら言った。
「あ、そうなの…」
唯は残念そうな表情を浮かべる。
「うん、ほのかのお見舞いに行こうと思って…」
ほのかが休むことなんてほとんど無かった。それがなぎさを不安にさせていた。
「そっか。ごめんねなぎさ」
友人の心配をしているなぎさの様子を見て無神経な自分を反省するように唯は言った。
「ううん、あたしこそ」
慌ててなぎさは手を振って答える。
「いいよいいよ。それじゃあね。なぎさ」
唯は笑顔で手を振って教室を出て行った。
「うん、じゃあね。唯」
数人の親しいクラスメートに別れを告げると、なぎさは一人ほのかの家に向かって歩き出した。
ピンポーン
なぎさは雪城家のインターホンを鳴らした。
「は〜い」
中からはほのかの祖母であるさなえが姿を見せた。
「あ、こんにちは…」
なぎさは改まった落ち着いた口調で答えた。
「あら、わざわざどうも、いらっしゃい…」
さなえは嬉しそうな笑顔でなぎさの来訪を歓迎した。
「あの、ほのかの具合は大丈夫ですか?」
なぎさは心配そうにさなえに訊ねる。
「ええ、少し熱があったから大事をとって休ませたんですよ…」
「そっか〜。良かったぁ〜」
ほっとしたようになぎさは溜め息を一つついた。
「心配かけてごめんなさいね」
さなえが申し訳無さそうに言う。
「い…いえ、そんなことないですよ…。あたしが勝手に心配しただけですから」
左右に手を振ってそんなことないと示す。
「ふふふ…。ほのかは部屋で休んでますから…」
さなえはそう言うと家の中へと戻っていった。
「あ、はい!」
なぎさは元気良く返事をする。
既に目を瞑っても歩けるくらい歩き慣れた家を進む。
- 522 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 18:48 [ SVbAwzkg ]
- 「ほのか…、具合…どう?」
襖を開けてなぎさが静かな声で訊ねる。
「なぎさ……」
ほのかは寝巻き姿でベッドに横になっていた。
なぎさはベッドに近づき、膝をついてほのかと目線を合わせる。
「ほのか、どうしたの?」
なぎさは心配そうにほのかに訊ねた。
「なんか…、少し熱が出ちゃって…」
「昨日から…具合悪かったの?」
昨日の戦闘後のほのかの体調の異変のこと訊ねた。
「少し…」
「ごめんね、ほのか。私が…」
なぎさの中に後悔の念が発生する。
「ううん、なぎさは悪く無いよ…」
ほのかは微笑んで言った。
「ほのか、少し休んだほうがいいんじゃない?」
「うん、そうするね…」
ほのかは笑顔で答えた。やがて静かなほのかの寝息が聞こえ始めた。
ピンポーン
ほのかの家のインターホンが再び鳴った。
恐らくはさなえが開けに行ったのだろう、廊下を歩く音がした。
暫くすると再び誰かが廊下を歩く音がした。一人では無い。二人か三人ほど…。
ほのかの部屋の襖が開くとそこには二人の男が立っていた。
「せ…先輩!」
なぎさは驚いたような声をあげた。
そこに立っていたのはなぎさの意中の人である藤村省吾。そして隣にもう一人。
「ああ、美墨さん。紹介するよ。オレの部活の後輩の氷上恭一」
藤村は氷上に対しても同じようになぎさの紹介をした。
「始めまして、美墨さん。氷上恭一です。ラクロス部での活躍はよく聞いてます」
静かな深い声で氷上は言った。
「は…はぁ、そりゃあどうも。え〜と、美墨なぎさです」
「よろしく」
氷上は笑顔で右手を差し出した。
「は…はぁ…」
なぎさも恐縮しながら右手を差し出して応じる。
「あれ?ほのか寝てるの?」
藤村がなぎさに訊ねる。
「あ、はい…。今…」
「そっか、じゃあ起きた時のためにアイスでも買いに行こうかな…」
突然藤村は提案した。
「え?」
なぎさはわけがわからないといった様子だ。
「ほのかは昔から風邪ひいた後はアイスを食べたがるからさ…」
過去のほのかとの思い出を回想しながら藤村が言った。
「へぇ…そうなんですか?」
なぎさは興味深げに訊ねた。
「うん、そうなんだ」
藤村も少し誇らしげに語った。
「それじゃあ、先輩と美墨さんで買いに行ったらどうですか?オレはここで待ってますから」
氷上が藤村に提案する。
「え…、ちょ…ちょっと氷上くん!?」
なぎさが驚いた様子で氷上に迫る。
「そうだな。じゃあ氷上。ここで待っててくれ。行こう美墨さん」
藤村が立ち上がり襖を開け、廊下へと姿を消す。
「え…、ちょっと先輩!?」
なぎさは完全に動揺しきったまま立ち上がる。
「頑張ってくださいね…」
氷上は静かになぎさに耳打ちした。
「!?」
なぎさはその声を聞いて顔を赤くして藤村を追いかける。
そして部屋の中には眠っているほのかと氷上だけが残された。
「こうも簡単にいくと、ちょっと気が抜けるな…」
ほのかと二人きりになると氷上は本当に気が抜けたように言った。
- 523 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 18:50 [ SVbAwzkg ]
- 「美墨さん。どうしたの?」
コンビニへの道中で藤村がなぎさに訊ねた。
「え、な…何でもないです……」
なぎさはただ落ち着き無くぎこちない様子で返事をする。
なぎさはほのかが心配であった。
丁寧な印象ではあったが、どこか奇妙な感じの漂う氷上とほのかが二人きりで居ることが不安だった。
「そう…、ならいいんだけど…」
藤村は不思議そうにしながらも歩いていく。
「なぎさ!」
メップル飛び出し突然なぎさに呼びかける。
「!!」
なぎさは慌てて飛び出したメップルを仕舞う。
「どうしたのよ?」
藤村に聞こえないように声を潜めて話す。
「凄く嫌な気配がするメポ。ほのかの家に戻るメポ!!」
いつになく真剣な表情でメップルが言った。
「わかった…、すぐに戻る」
パタンとコミューンを畳み制服のポケットに仕舞う。
これで自分自身に対して大義名分が出来た、となぎさは少し安心した様子だった。
「先輩!!」
「どうかしたの?美墨さん?」
「あ…あの……?」
言い出しづらそうな様子だったが、やがてなぎさは意を決するように言った。
「あたし…、ちょっとトイレに行ってきます!!アイスは、お願いします!!」
そう言うとなぎさは振り返り全力でほのかの家に向かって駆け出した。
「さてと…、プリズムストーンをいただきますか……」
なぎさと藤村がほのかの家を出て数分経過していた。
氷上は立ち上がり、ほのかのベッドに近づく。
ほのかは安からに眠っている様子だった。
丁寧な息遣いが聞こえるようであった。
「悪く思わないでくださいね……」
氷上は右手をほのかの顔の上に翳し、精神を集中する。
「嫌!!」
ほのかが突然声を上げる。目も閉じられて体も一切動いていない。
「なんだ…!?」
突然の抵抗に氷上が驚き右手を一度離す。
ほのかは再び安からな呼吸で眠っている。
とその時ドタバタという音がした。
「!?」
氷上は慌ててベッドの近くに座り直し、持ってきた本を取り出し、
今までずっと読書をしていた風を装う。
ガラリと襖が開き、なぎさが部屋に入ってきた。
「どうしたんですか?美墨さん?」
いかにもずっと読書をしていたかのように氷上がなぎさに訊ねる。
「なんだか…。ほのかが苦しんでるような声がして…」
(!?)
なぎさのその一言が氷上に大きな驚きを与えた。
氷上はそんなことを一切見せぬように言った。
「少し魘されていたみたいなんです。今落ち着いたところですよ…」
冷静に笑顔でそう言った。
「そう…、良かった……」
なぎさはほっとした様子で安堵の息を漏らした。
一方氷上は表情を険しくする。
(驚いたな…、強い絆を持つ二人組みとは聞いていたが、ここまでとは……。)
「ありがとう。氷上くん」
「え?」
突然のなぎさの声に氷上は驚く。
「ほのかのこと…。看病してくれたんでしょ」
「いえ…、そんな……」
氷上は少し照れくさそうに言った。
「ううん。本当にありがとう」
心の底から感謝した様子でなぎさは笑顔を浮かべる。
(!!…なんだ…?なんでこんなことで……)
自分の感情が昂ぶっていることを氷上は感じた。
何があった。自分はただ笑顔を見ただけなのに……。
その後アイスを買ってきた藤村が戻り目覚めたほのかと4人でアイスを食べその場は解散した。
- 524 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 18:51 [ SVbAwzkg ]
- 3
翌朝、雪城ほのかの体調は完全に快復していた。
昨日までのだるさが嘘のように彼女の身体は好調であった。
「おはよ、ほのか」
なぎさがほのかに挨拶をする。
「おはよう、なぎさ」
笑顔でほのかがなぎさに挨拶を返す。
ほのかが下駄箱を開けると、そこには一通の封筒があった。
「また、ラブレター?いいなぁ、モテて…」
なぎさは羨望の眼差しをほのかに向ける。
「差出人は……。氷上恭一?」
ほのかは驚いた様子で呟いた。
「氷上くん?」
なぎさも意外な相手の名前に驚いた様子だった。
「昨日、お見舞い来てくれたのに…」
ほのかが不思議そうにその手紙を開ける。
しかし見舞いと告白を同時にするなど普通は不可能である。
(やっぱりほのかって変わってるなぁ)
そんなことをなぎさは思った。
「それはそうと、なんだろうね?」
なぎさが興味津々の様子でその手紙を見つめる。
「雪城ほのかさんへ。本日の放課後、屋上へ来てください。伝えたい話があります。氷上恭一」
ほのかは無感情にその手紙を読み上げる。
「やっぱり、告白じゃん。いいなぁ〜、ほのか」
なぎさはからかうような口調でほのかに言った。
「ねぇ、なぎさ。不安だから着いてきてくれる?」
ほのかが不安そうな表情で訊ねる。
「え…?でも一人で行ったほうがいいんじゃないかなぁ…」
なぎさは答える。
「うん、私もそう思う。でも…、なんとなく……」
どこか不安そうな様子のほのかを見てなぎさも返事をした。
「ん、わかった」
そして放課後……。
ギィィ
ほのかとなぎさは屋上へのドアを開ける。
通常生徒は立ち入り禁止となっているが、誰もが気軽に屋上へは立ち入っていた。
屋上では夏の陽射しを受けた氷上恭一が一人で立っていた。
「雪城さん。来てくれたんですね」
氷上は嬉しそうな表情を浮かべる。
「ええ……」
ほのかも笑顔で返事をする。
「……………」
氷上は表情を少し曇らせてなぎさを見つめる。
「あ……」
なぎさもその視線に気が付く。
「すみません。美墨さん。その……」
頭をかきながら言い出しづらそうに声を出す氷上。
「あ、ごめん。あたしは邪魔だったね。じゃあほのか。待ってるから」
「うん」
なぎさとほのかはお互い笑顔だった。
なぎさはそのまま扉を開けて校舎内へと消えていった。
- 525 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 18:51 [ SVbAwzkg ]
- (我ながら完璧な演技だな……)
自分で自分の演技を讃える。
しかしここで演技を終わらせるわけにはいかない。
「雪城さん……」
ほのかと氷上が真正面から向かい合う。
「はい……」
ほのかも氷上の瞳を真っ直ぐに見つめる。
ガッ
突然氷上がほのかの両肩を掴む。
「!?」
「オレの目を見てください!!」
氷上がほのかを真正面に睨みつける。
「あ…か…身体が……」
「かかりましたね……、オレの金縛りに……」
「か…金縛り……?」
「では、プリズムストーンをいただきます……」
「ん…んん?!(プ…プリズムストーンですって…?!)」
ほのかが声を出そうとする。しかし金縛りの影響なのか、声が出せない。
「ほぉ…、まだ声を出せるんですか?」
氷上は感心したような表情で笑いを浮かべる。
「まあいいです。いただきますよ。あなたの身体の中にあるプリズムストーンを!!」
両手を構えて精神を集中する。
「くうう!!」
ほのかの胸に激痛が走る。
自分の胸の中から何かが飛び出そうとしている。
「ふふっ、大丈夫ですよ。すぐ楽になります」
「くっ…、くううう…!!」
ほのかは体内に生じた痛みにひたすら耐え、同時に声を出そうとする。
「な…なぎさ…。なぎさあああああ!!!!」
「何!?」
ほのかが全力で叫ぶ。悲鳴が金縛りを打ち破り、そしてほのかは前に倒れこんだ。
「ほのか!?」
屋上の扉のすぐ下の階段で待っていたなぎさが屋上へと走る。
バァンと扉を開ける。
「ほのか!!」
なぎさの目に映ったのは倒れているほのかと立っている氷上。
ダダダダとなぎさは全力で走る。
「ほのか!ほのか!!」
なぎさはほのかを全力で呼ぶ。
「なぎさ……」
苦しげな息遣いでほのかが起き上がる。
「ほのか!!大丈夫?」
「う…うん……」
なぎさは立ち上がると氷上をキッと睨みつける。
「あんた!ほのかに何したのよ!!」
「……………」
氷上は黙ったまま答えない。
「……………」
なぎさは黙ったまま怒りの表情で氷上を睨みつける。
「プリズムストーンを貰おうとしただけですよ…」
「え?」
なぎさは驚きの表情を浮かべる。
「どうやら何も知らないようですね……」
バッと氷上は飛び上がる。
「う…浮いてる…!?」
ほのかが信じられないというような視線を投げかける。
「こうなったら力づくでプリズムストーンを頂きます!!」
そしてようやくほのかがなぎさの肩を借りて立ち上がる。
「プリズムストーンはここには無いわ!」
なぎさが氷上に向かって叫ぶ。
- 526 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 18:52 [ SVbAwzkg ]
- 「ところが、あるんですよ。失われし八つ目のプリズムストーンが……」
「え……!?」
なぎさとほのかが同じタイミングで声をあげた。
「変身……」
氷上がそう叫ぶと、眩しい光が氷上の身体を覆った。
バシャーンという水しぶきの音とともに黒い衣を纏った変身した氷上が空中に浮かんでいた。
「光の使者!キュア・ブライト!!」
変身した氷上……キュアブライトは地面に着地すると高らかに叫んだ。
「キュアブライト!?」
またなぎさとほのかが同時に叫んだ。
「そう、オレは光の園の戦士なんですよ……」
笑みを浮かべてブライトが言った。
「嘘……?」
なぎさは茫然自失に近い状態でただそう呟いた。
「本当です…。さぁ、雪城さん。あなたの身体の中のプリズムストーンを頂きましょうか…」
ブライトが右手を構えると衝撃波が放たれた。
ドオンという轟音とともに校舎が一部崩れる。
「きゃあああ!!」
なぎさとほのかは悲鳴をあげながらなんとか崩れ落ちる瓦礫の攻撃を避ける。
「変身するメポ!!」
ポケットの中に居たメップルが叫んだ。
「うん」
二人は同時に頷く。
「デュアル・オーロラ・ウェイブ!!」
タンッ
キュアブラックとキュアホワイトに変身した二人が降り立つ。
「ふん…、あくまで渡す気はないようですね……」
ブライトも地上に降りる。
「当たり前でしょ!!」
ブラックが叫びながらホワイトと同じタイミングで攻撃を仕掛ける。
ブラックとホワイトは交互に拳を繰り出す。
「だりゃああああ!!!!」
「はああああああ!!!!」
「くっ!!」
ブライトは防御だけに専念しているが、それでも全てを受け切れない。
ジャアクキングやその分身達との戦いの中でブラックとホワイトの実力は格段にレベルアップしていたのだ。
「はぁ!!」
ブラックのハイキックがブライトの顔面を直撃する。
「ぐああ!」
ブライトの身体がよろける。
「くっ!」
倒れることを拒否し、踏みとどまる。
「はああああ!!」
ホワイトが逆方向から左パンチを放つ。
再びブライトの顔を直撃し、ブライトは5メートルほどの距離を吹き飛ばされた。
「ぐうう……」
ブライトの体がよろけた。
「ブラックサンダー!」
「ホワイトサンダー!」
「プリキュアの美しき魂が!」
「邪悪な心を打ち砕く!!」
「プリキュア・マーブル・スクリュー!!!」
二人の両手から幾度と無く闇の戦士を葬り去った必殺技が放たれる。
「ぐおお!!!」
ブライトは両手でそれを受け止める。
「ぐ…ぐああ…くそう!!」
バッと高く飛び上がりブライトは姿を消した。
「はぁ…はぁ……」
ホワイトは再び息を切らしていた。
「ホワイト!!大丈夫?」
ブラックが心配そうに訊ねる。
「う…うん……だいじょ…」
言い終える前にホワイトは地面に倒れこんでしまう…。
「ホワイト!!」
- 527 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 18:53 [ SVbAwzkg ]
- 「はぁ…………」
あの後ほのかはずっと魘されていた。
なぎさがずっと手を握り続け、ようやく落ち着いたところだった。
なぎさは疲れと安堵から溜め息を一つついた。
「本当にどうしたんでしょうねぇ…」
さなえもただ心配するように言った。
「うう!!」
「ほのか!!」
落ち着いたはずのほのかが再び魘され始めた。
苦しげな声をほのかはひたすら上げる。
「プリズムストーンが……」
ほのかはそう言った。
「!!」
プリズムストーンという単語を聞いてさなえは明らかに動揺した。
そしてなぎさはその変化を見逃さなかった。
ほのかはやはり5分ほど魘されていたが、なぎさにはその時間がとにかく長く感じられた。
夕方になって、ようやくほのかも落ち着いたようだった。
なぎさとほのかに全てを話し合い、さなえが来ることを待った。
「お茶を用意しましたよ…」
「おばあちゃま…、話があるの…」
ほのかは真剣な表情でさなえに言った。
「とりあえず、座ってください」
なぎさが座ることを促すとさなえもほのかの近くに座った。
「それで、話とはなんですか?」
さなえは怪訝そうに訊ねた。
「単刀直入に聞きます。プリズムストーンについてです」
「!」
その単語を聞いた途端さなえの表情が変わった。
「私の体の中のプリズムストーンについて……。教えて欲しいの…」
ほのかが真剣な表情でさなえに聞いた。
「それは……」
さすがのさなえも口ごもる。
「お願いします。あたしたちにとって凄く大切なことなんです。どんなことでもいいんです!」
なぎさも頭を下げてさなえにお願いする。
「……………」
さなえは暫く黙ったままでいたが、静かに口を開いた。
「わかりました。私が知っていることを全て話します……」
そしてさなえは静かに語り始めた。
「あれは…。ほのかが4歳の時の事故が始まりだったかしら…」
- 528 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 18:54 [ SVbAwzkg ]
- ………………………………………
「おばあちゃま。綺麗でしょ」
幼い頃のほのかが嬉しそうに駆け回る。
祖母から買い与えられた新しいワンピースを着てはしゃぎまわっていた。
「ほのか…、あんまりはしゃぐと怪我をしますよ…」
呆れた様子でほのかを注意するさなえ。そしてその手に握られているプリズムストーン……。
「ほら、おばあちゃま!」
幼いほのかはその時自分が車道に飛び出していたことに気づいていなかった。
キキーッ
急ブレーキをかける車の音。
「ほのか!!」
さなえの絶叫。
………………………………………
…………………………
……………
赤く染まる道路。
騒ぎ立てる周りの人々。
頭から血を流す白いワンピースを着た小さな少女。
「ほのか!!ほのか!!」
さなえはひたすらに既に意識の無い少女を呼び続ける。
「それで……、どうなったんですか…?」
なぎさは静かにさなえに訊ねた。
「……………」
さなえは一度遠くの方向を見つめると、再びなぎさとほのかに向かい話を続けた。
「ほのか!!」
返事は無い。そして頭から流れ出す血も止まらない。
誰かが呼んだ救急車が到着した。
さなえはひたすらほのかを抱きかかえ、手をにぎり続けた。
「そして……、奇跡が起きたの……」
さなえは静かに呟いた…。
「奇跡……?」
なぎさとほのかが聞き返す。
「ええ……」
「ほのか!!」
ピカーーーーーーーーー
突然さなえの手に握られていたプリズムストーンが輝きだした。
「!?」
あまりの眩しさに周囲の人間も誰も目を開けていることが出来ない。
ギュウウウウウウウンンン
……………
……………
……………
「……………」
誰もが言葉を失っていた……。
人々はまるで夢を見ていたかのように意識がはっきりとしていなかった。
「おばあちゃま……」
ただほのかが静かな声で言った。
「ほのか……、ほのか!!」
さなえは涙を流しながらほのかの身体を抱きしめた。
………………………………………
「あれは…、本当に奇跡としか言いようが無かった……」
さなえは遠い昔を思い出し、懐かしむように言った。
「あの時、私は思ったのです。無くなったあのハート型の宝石がほのかの命を救ってくれたのだと…」
「ハート型の…」
「宝石……」
なぎさとほのかはさなえの言葉を反芻した。
「後になって…、それがプリズムストーンという名前であるということを知ったのです」
「……………」
なぎさとほのかは何も言わなかった。いや、何も言えなかった…。
「それだけですよ…。私が知っているのは……」
「ありがとうございます」
なぎさは丁寧にお礼をした。
「私の中のプリズムストーンが…、私の命を救ってくれたんだ……」
ほのかは静かに言った。
「うん……」
なぎさも返事をする。
「体の具合は…大丈夫?」
なぎさは心配そうにほのかの体調について訊ねた。
「うん。でも明日は学校は……」
「無理しないほうがいいって。明日は休んだほうがいいよ…」
「うん。そうする……」
それ以上は話すことも無く、なぎさはほのかの家を後にした。
- 529 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 18:55 [ SVbAwzkg ]
- 4
キーンコーンカーンコーン
短縮授業であるから今日はこれで終了だった。
「さて、今日もほのかのお見舞いに行くか……」
一昨日同様ほのかは学校を休んだ。
理由は原因不明の発熱。
「ふぅ……」
なぎさは立ち上がり鞄を持って教室を出ようとする。
「美墨さん…」
廊下から自分を呼ぶ声がする。
なぎさが鞄を持って廊下に出るとそこに立っているのは他でもない。氷上恭一だった。
「あんた……、何しに来たのよ!!」
思わずなぎさは絶叫した。自然と周囲の注目を集めてしまった。
「ここじゃ話し辛いですからね…。屋上で話しましょうか……」
顔色一つ変えずに氷上は冷静に言った。
なぎさも無言で頷き氷上に着いていった。
「目的を話しておこうと思って…」
氷上はそんなことをなぎさに言った。
「目的…?」
なぎさは訝しげに氷上を見る。
「そもそもなぜ光の使者たるオレがここにやって来たのか。ということについて…」
氷上は屋上のフェンスに背中をつけて両手を組んで話した。
「プリズムストーンを奪うことが目的じゃないの?」
なぎさが訊ねる。
右手が少し振るえ、自分の中の怒りを抑えながら、出来る限り冷静に言った。
「それもそうです。ですからなぜオレがプリズムストーンを求めているのか?ということです」
氷上は青い空を見上げながら独り言のように続けた。
「美墨さん。ジャアクキングが甦りつつあるんです……」
「え?」
強い風に流されたその一言をなぎさは頭の中で繰り返した。
「嘘……。だってジャアクキングは私達が…」
信じられないようになぎさは言った。
そう確かにジャアクキングはなぎさとほのかによって倒された。
一度だけではない。再び現われたジャアクキングも倒したハズなのに…。
「確かに…。あなたたちはジャアクキングを倒した。しかし…」
そこで氷上は一度言葉を切った。
そして覚悟を決めたように話の続きを言った。
「ジャアクキングは…、三度甦ろうとしているのです……」
「そんな………」
呆然とした表情でなぎさは呟いた。もはや悪夢のような出来事だった。
一体あの一年間は何だったのだろうか…。そんな思いがなぎさの頭を過ぎった。
「しかし、まだジャアクキングの力はか弱い。今ならジャアクキングを完全に消滅させることが出来るんです…」
顔色一つ変えず氷上はそんなことを言った。
なぎさも安堵したように言った。
「な〜んだ、そんな方法があるなら、さっさと消滅させてよ…」
ゴキブリでも退治するかのような感覚でなぎさが言った。
「わからないですか…、美墨さん……」
溜め息をつくように氷上は言った。
「な…なにがよ?」
なぎさはさっぱりわからないとでも言いたげに返事をする。
「ジャアクキングを消滅させるには…、全てを生み出す力。つまり…、プリズムストーンの力が必要なんです…」
抑揚の無い声で氷上は言った。しかしなぎさはまだわからないような様子で氷上に訊ねた。
「だから…、プリズムストーンは光の園に全部あるでしょ?」
氷上は一度目を閉じ、そして数秒黙ったまま考え込んだような様子を見せた後、目を開けて言った。
「それだけでは足りないんです…。ジャアクキングを完全に消滅させるには…」
「足りない?」
なぎさは不思議そうに訊ねた。
「ええ…。力が足りない。だからこそ…、八つ目のプリズムストーンの力が不可欠なんです…」
氷上はただ冷静に…、しかし少し感情の篭った声で言った。
「な〜んだ、そんな理由ならプリズムストーン差し出すのに……」
「え?」
氷上は大いに驚いたような表情で言った。そして慌ててなぎさの真意を確かめるように訊ねた。
「それ……、本当ですか?」
「うん。だって世界平和のためなんでしょ?」
なぎさは実にあっけらかんとした表情で答えた。
「でも……。プリズムストーンを奪ったら…、雪城さんは死ぬんですよ…」
至極あっさりと、氷上の口から冷酷な一言が放たれた。
「え…!?」
一瞬でなぎさの表情が変わった。
「ちょっと待って…、どういうこと…?」
なぎさには訳がわからなかった。
ほのかが……死ぬ…!?
「そのままですよ…。雪城さんの身体から八つ目のプリズムストーンを取り出したその時、彼女は死ぬ……」
なぎさの表情は一気に暗くなった。
「ど…どうして?」
あくまでも冷静に氷上は答えた。
「彼女の命は…。彼女の体内にあるプリズムストーンによって繋がっているんです…」
「あ……」
その時なぎさは昨日のさなえの話を思い出した。
交通事故によって意識を失ったほのか。
さなえの手に握られていた消えたプリズムストーン……。
そう、その失われたプリズムストーンこそがほのかの命を繋いでいる…。
- 530 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 18:56 [ SVbAwzkg ]
- (なぜオレは…。こんなことを話してしまったのだろう…)
呆然とするなぎさを目の前にして氷上はそんなことを思った。
そんなことを告げれば彼女達はプリズムストーンを渡すことを拒むに決まっている。
ジャアクキングが甦るという話だけをして騙せば、きっと彼女達はあっさり騙されたに違いないだろう…。
(なぜ……)
氷上は自分の気持ちがわからなかった。
しかし今はそんなことを考えるべき時では無い。
氷上は真っ直ぐになぎさを見て言った。
「どちらにせよ、オレの使命はプリズムストーンを回収することだけです。それじゃあ…」
呆然とした表情で立ちすくむなぎさを横を通り抜けて氷上は校舎の中へと戻った。
なぎさは一人屋上に取り残された。
「嘘だよ……」
自分自身に語りかけるようになぎさは言った。
「嘘に決まってるよ〜。ありえない…」
無意識のうちに…、なぎさの頬を涙が伝った。
膝から崩れ落ち、なぎさは泣き出した。
「嫌だよ…、ほのか……。ほのかぁぁ……」
なぎさは声をあげて泣き出した。
「ほのか……、具合はどう?」
襖を開けて部屋に入り、ほのかのベッドにすぐ傍でなぎさは訊ねた。
「うん…。もう大丈夫…。明日は学校行けるよ…」
嘘だろう。ほのかの声にはあまりに元気が無い。
「ほのか、明日は日曜日だよ?」
ほのかともあろう者が信じられない誤解をしていた。
「あ、そうだっけ…」
ほのかはそう言うと笑った。そして少し苦しげな表情で訊ねた。
「学校で何かあったの?」
あ…。という表情をなぎさはした。
ふっとほのかは表情を緩める。
「何かあったんだね?」
ほのかはただ笑顔だった…。
「うん……」
なぎさは暗い表情を浮かべていた。
そして氷上との会話を話した。
ジャアクキングが甦りつつあること。失われたプリズムストーンの力を使えば完全に消滅させることが出来ること。
そして…、そのプリズムストーンがほのかの命を繋いでいるということ。
「……………」
「……………」
なぎさもほのかもただ黙っていた。
やがて、なぎさは意を決したように言った。
「あたしは…」
夕日が差し込むほのかの部屋の中でなぎさは自分の気持ちを述べようとした。
ほのかはベッドで横になっている姿勢のままポンとなぎさの頭に手を置いた。
「ほのか…?」
「大丈夫……だよ…」
なぎさの言いたいことを全てわかっているかのようにほのかは言った。
「本当?」
なぎさは半信半疑でほのかに訊ねた。
「うん」
ほのかは笑顔で頷いた。
「よかった……」
なぎさは心底安堵したようにホッを息をついた。
ここまでずっと続いていた緊張感が一気に切れたようだった。
「なぎさ、今日はもう遅いから帰ったほうがいいよ…」
ほのかは静かにそう言った。
「うん、わかった。じゃあ明日また来るね」
もともと日曜日は遊ぶ予定だったので、なぎさはそう言った。
「うん、じゃあね。なぎさ」
「じゃあね、ほのか」
まだ少し不安そうな表情ではあったが、笑顔でなぎさは部屋を出た。
- 531 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 18:57 [ SVbAwzkg ]
- 「……………」
ほのかは暫くの間黙ったままだったが、やがて意を決したように言った。
「ありがとう。氷上くん」
「!?」
庭先で姿を消していた氷上が姿を現した。
「どうして…?」
どうしてわかったんですか?という意味なのか、どうしてなぎさに自分の存在を伝えなかったのか?という意味なのか。
「これは……。私の問題だからね…」
ほのかは氷上の質問を後者の意味で捉えたようだった。
氷上としては前者としての意味でほのかに訊ねたから、それは要領を得ない返事であった。
「あの……。オレに…。プリズムストーンを……。渡して欲しいんです……」
氷上は遠慮がちに訊ねた。
その質問に頷くことはほのかの死を意味する。
「明日……」
ほのかは俯きながらそう言った。
「明日の七時に…、女子部の校門の前で……」
ほのかは静かに言った。
「わかりました……。今晩だけ猶予を与えます。最後にやりたいことをやってください…」
静かに氷上はそう言った、ただもう一度だけ訊ねた。
「本当に……いいんですか?」
「ええ……」
ほのかは静かに頷いた。
「わかりました…」
氷上はそう言い残し姿を消した。
後にはただ静寂と夕焼けだけが残った。
ほのかはその夜、一睡もすることが出来なかった……。
- 532 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 18:58 [ SVbAwzkg ]
- 5
夜が明けて朝の陽射しがほのかの部屋に差し込んできた。
眠ることの代わりにほのかは自分のこれまでの人生を振り返っていた。
そして二通の手紙を書いた。
一通は雪城さなえに、そしてもう一通は美墨なぎさへ……。
「ふぅ……」
手紙を書き終えたほのかは一息ついた。
キラリと一筋の涙がなぎさ宛ての手紙の上に垂れた。
「あ…」
封筒が少し濡れてしまった。しかし今更どうしようもないことだろう…。
ほのかは私服に着替えると立ち上がった。
襖を開けて廊下へと出る。
「ワンワン」
愛犬の忠太郎がそこに立っていた。
「忠太郎……」
忠太郎が前足を乗り上げる。
ほのかはひょいと屈み忠太郎を抱きしめる。
「今までありがとう…」
頭を撫でると忠太郎も嬉しそうな顔をした。
ほのかは膝に手をついて立ち上がり方向を変える。
玄関で靴を履く。これも今日で最後の行為。なんだか奇妙な感覚だった。
扉を開けて家を出る前にほのかは一度振り返った。
「14年間…、ありがとうございました……」
丁寧に最後のお辞儀をした。生まれてから今まで14年をともに過ごした家への最後の別れの挨拶だった。
ガラリと扉を開けてほのかは家を出た。
夏の朝は暑くも無く寒くも無く、とても過ごしやすい気候だった。
門を通り抜けほのかは一度立ち止まった。
そしてなぎさが住んでいるマンションの方向へと目を向ける。
「さよなら……なぎさ……」
そう言い残し振り返り学校へと向かった。
ガバァッ
美墨なぎさは突然目を覚ました。
何かが脳裏を霞めた。あれは……。
「さよなら……なぎさ……」
ほのかの顔がなぎさの脳裏を過ぎった。
「ほのか……」
なぎさは自分の両手を見つめた。
昨日はそれほど暑いというわけでもなかったのに汗に濡れている。
「まさか……、ほのか……」
嫌な予感がした。
なぎさはベッドから飛び降りると即座に着替えた。
まだ眠っているメップルを押し込み家を飛び出す。
どこにほのかが居るかわからない。しかし全速力で駆け出した。
- 533 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 18:59 [ SVbAwzkg ]
- ベローネ学院の女子部の正門の前には一人の男が立っていた。
男子部の制服を着た短い黒髪の男。
「本当に……来たんですね…」
氷上は少し信じられないような表情でほのかを見据えて言った。
「逃げるかと思いましたよ……」
無表情で冷静に氷上は言った。
「一つだけ聞いていい?」
ほのかは静かに真剣な表情で氷上に訊ねた。
「なんですか?」
「私が死んだら……、皆の中の私の記憶は…?」
記憶は消えるのかどうか。それがほのかが最も気にしていることだった。
「恐らく消えるでしょう…。全てを生み出す力を利用する時にこの虹の園の人間の記憶は全て修正されます」
「……………」
ほのかは黙っている。氷上はゆっくりと続けた。
「虹の園の人間からあなたの記憶は全て消滅します。つまり雪城ほのかは始めから存在しなかったことになります」
「……………そう」
ほのかは無表情にただそう呟いた。
「しかし…」
氷上はまだ続けた。
「生前のあなたと強い絆を持っていた人ならば…、記憶は残るかも知れないですね…」
「……………」
そして一番ほのかが気にしているであろうことを氷上は告げた。
「少なくとも…、美墨さんからあなたの記憶が消えることは無いでしょうね」
「!?」
ほのかは俯く。なぎさの記憶には自分の存在が残り続ける。
それはつまり、今後ずっとなぎさに悲しい思いをさせてしまうかも知れないという不安。
「人間は悲しいことはすぐに忘れられます。美墨さんも…、一年くらいたてば元通りですよ…」
それを察してか氷上もほのかに優しい言葉を掛ける。
「……………」
ほのかはただ黙ったまま俯いて氷上の言葉を聞いた。
「きっと新しいパートナーを見つけて、新しい人生を送り始めるでしょう…」
「!?」
新しいパートナー、新しい人生……。氷上の言葉がほのかの心を傷つける。
「雪城さん。本当にいいんですか?」
氷上はもう一度ほのかに訊ねた。
「正直言うとオレにはあなたの気持ちがわかりません。なぜそんなことをするのですか?」
純粋に自分の心にある疑問をほのかにぶつける。
「自分の人生が終わるんですよ…。全てを失ってしまうんですよ…」
いつの間にかほのかの両肩に氷上は手を置いていた。
ほのかは優しい笑顔で答えた。
「それでも、世界中の人が助かるんだから…。これでいいのよ…」
「……………」
氷上は何も言うことが出来なかった。
なぜだろう。自分でプリズムストーンを渡して欲しいと言っておきながら、
いざ自分がプリズムストーンを受け取ろうとした時にそれを躊躇している。
「氷上くん、プリズムストーンを……」
ほのかは目を閉じて両手の胸の前に合わせて祈るようなポーズをとった。
それは彼女の死の決意。
「……………」
氷上は身体を動かすことが出来ない。
自分でもわからない。ただ、どうしても目の前の無抵抗の少女の命を奪うことに抵抗を感じた。
ほのかはそのまま姿勢で待っている。
「ほのか!!」
なぎさが叫ぶ。全速力で走りほのかと氷上の間に立つ。
はぁはぁと息を切らしながらなぎさは氷上と向かい合う。
「……………」
なぎさは無言で氷上を睨みつける。
「……………」
氷上は無言で後ろへと下がる。
なぎさは氷上の様子を伺いながらほのかと向かい合う。
「ほのか!何やってるのよ!!」
なぎさは泣きそうな表情で叫んだ。
「なぎさ……」
ほのかは俯いて黙っている。
「言ったじゃない。大丈夫って…」
なぎさは昨日のほのかの言葉と笑顔を思い出しながら言った。
「ごめんね…」
「ごめんじゃないよぉ…」
一応安堵した様子でなぎさは再び氷上に向かい合う。
「あんたなんかにほのかは渡さないわよ!!」
氷上を睨みつけてなぎさは怒りを込めて叫ぶ。
そんななぎさの様子を見て氷上はフッと笑みをこぼした。
「良かった……」
氷上はただ一言そう言った。
「え……?」
なぎさもほのかもそれを聞き取ることが出来なかった。
- 534 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 19:00 [ SVbAwzkg ]
- やがてなぎさが唐突に氷上に訊ねた。
「氷上くん。これはあなたの意思なの?」
「……………?」
氷上はなぎさの質問の意図が理解出来ないようだった。
「あなたは一人でプリズムストーンを奪うのためにここに来たの?」
なぎさは言葉を換えて氷上に訊ねた。
ようやく氷上も質問の意図を理解した。
「いいえ、これは光の園のクイーンの命令です。オレはただそれに従っているだけ…」
氷上は冷静に答えた。
「なによそれ!!あんたクイーンの命令なら何でも聞くの?クイーンが死ねって言ったら死ぬの?」
なぎさは怒りをぶちまけながら叫んだ。
「じゃあ……、クイーンの意思なの?」
ほのかは氷上に訊ねた。
コクリと氷上は首を縦に振った。
「なら、クイーンに会わせてよ!」
なぎさが横から口を出す。
「クイーンは光の園に居ますけど…。どうやって光の園へ…?」
氷上は至極当然の疑問をなぎさに投げかける。
「そんなの、ポルンの力を使って………あ!」
言葉が続かない。ポルンは既にいない。ジャアクキングとの戦闘後、光の園へと帰ってしまったのだった。
「行く手段も無いのに光の園へ行こうとするなんて…。美墨さんは凄い人ですね……」
氷上は笑いを堪えながら感心するように言った。
「うるさいわねぇ〜……」
なぎさは顔を赤くしながらぼやいた。
「わかりました。オレがあなたたちを光の園へ連れて行きます」
なぎさを見て笑いながら氷上が言った。
「え!?」
なぎさもほのかも意外そうな表情で氷上の顔を見る。
「ただ色々と準備がいるから…、出発は明日の朝になります」
あっさりと氷上は表情を変えずに言った。
「ちょっと待ってください!!」
ほのかが氷上の発言の途中に割り込む。
「なんですか?」
氷上は不思議そうに訊ねた。
「本当にいいの?私たちを光の園に連れて行ってくれるの?」
ほのかは静かに訊ねた。
「うん、本当に連れてってくれるの?」
なぎさは氷上の両肩を掴んで氷上に訊ねた。
「そう言ったじゃないですか…」
氷上は事も無げに返す。
「それに…、変な話ですけど…、オレはあなたたちを信じてみたいんですよ…」
氷上は笑顔で言った。
「え?それは…」
それはどういう意味なのか。ほのかが氷上に訊ねた。
「あなたたちの絆というのかな?何度もそれのせいで作戦に失敗しましたからね…」
氷上は自分の失敗を恥ずかしがるように頭をかいて言った。
「とにかく全ては明日です。また明日、同じ時刻にこの場所に来てください」
そして氷上が振り返ろうとする。
「氷上くん!!」
なぎさが氷上を呼び止める。氷上が動きを止めて振り返る。
「ありがとう……」
なぎさは笑顔でそう言った。
(え…!?)
なぎさの笑顔は信じられないようなものであった。
ほんの前まで憎んでいたハズの自分をなぜそんな表情で見られるんだ。
氷上にはそれがわからない。
と同時になぎさの笑顔に明らかに感情が昂ぶっていた。
以前もなぎさを見て感じた感覚だった。
「それじゃあ…」
氷上は自分で自分が信じられないといったような表情で踵を返しフッと姿を消してしまった。
「……………」
「……………」
なぎさとほのかは暫くの間黙っていた。
- 535 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 19:00 [ SVbAwzkg ]
- 夜になった……。
あの後なぎさの提案で今夜ほのかの家で一緒に過ごそうと言う事になった。
なぎさは両親を夏休みの宿題のためほのかの家に泊まりたいと説得した。
そしてほのかの家に大荷物を持って到着したところだった。
なぎさとしてはほのかと話したいことがいっぱいあったのだが、
ほのかは本当に真面目に夏休みの宿題を始めてしまっていた。
なぎさとしてもそれを止める理由も無いのでしぶしぶそれに従っていた。
夕食を終えなぎさは風呂も終えて部屋で暇を潰していた。
今ほのかは風呂に入っているため部屋にはほかに誰も居ない。
「ふぅ〜っ…」
なぎさは胡坐を掻いてほのかの部屋の畳の上に座っていた。
濡れたタオルが首にかかっていた。
「ああもう!」
なぎさはバターンと両手両足を伸ばして畳みを打つ。
冷たくヒンヤリとした感触がした。
「こんなことしたいわけじゃないのに……」
実際なぎさは今日はほのかとずっと話をしたいと思っていた。
昨日までのこと、今日のこと、明日のこと……。
しかしほのかはずっと、あまりに真面目に宿題を打ち込んでいて、
なぎさはそんなほのかに声をかけることが出来なかった。
「ん?」
寝転がったなぎさがゴミ箱の中に何かを見つけた。
綺麗な封筒だった。二つの封筒が捨てられていた。
なぎさがそれを拾い上げると、それには宛名が書かれていた。
一通はおばあちゃまへと書いてある。もう一通はなぎさへと書いてある。
なぎさは無意識のうちになぎさへと書かれた封筒を開けた。
中には一通の手紙が入っていた。なぎさはそれを広げて無言で読み始める。
- 536 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 19:01 [ SVbAwzkg ]
- なぎさへ…
なぎさがこの手紙を読んでいる頃、もう私はこの世に居ないのかな?
もしかしたら私が居なくなって、なぎさ泣いてるかな?
もしそうだったとしたら泣かないで欲しいな。
なぎさの泣き顔はとても可愛いけど、見ていて辛いから…。
少し残念な気はするけど、自分の運命を呪ったりはしないよ。
もともと10年前に終わっていたハズの人生だからね。
10年も余計に長く生きることが出来て本当に幸せだった。
しかも最後の最後で最高の親友を持つことが出来た。
なぎさと出会えて本当に良かった……。
プリキュアのパートナーがなぎさで本当に良かった……。
最後に……。
藤村くんのこと頑張ってね。
まだ可能性のあるうちから諦めちゃダメだよ…。
ほのか
「ほのか……………」
なぎさの瞳から涙が流れ出す。
なぎさは手で拭おうとするが溢れる涙を止めることが出来ない。
泣いたまま立ち上がりなぎさはほのかの椅子に座った。
そしてほのかの机の上にあるプリキュア手帳を取り出した。
プライバシーの侵害……。
そんな言葉がなぎさの頭に思い浮かんだが身体の動きを止められない。
ほのかの気持ちを知りたかった。
パラパラとページを捲る。文字が書かれている最後のページで手を止める。
最後のページをなぎさは見つめる。
手帳にはただこう書かれていた。
手紙にはああ書いたけど…。
やっぱりちょっと悔いは残るかな。
なぎさに自分の本当の気持ちを伝えられなかったこととか…。
まだ、死にたくないな
手帳の字はどこで終わっていた。
そしてそのページには明らかにふやけている箇所があった。
恐らくはほのかがこのページに字を書いている最中に瞳から零れた涙だろう…。
なぎさはもう一ページ手帳を捲った。白紙。何も書かれていないページが広がった。
- 537 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 19:01 [ SVbAwzkg ]
- 「なぎさ!」
襖を開けたほのかがそこに立っていた。
「あ……」
なぎさは慌てて手帳を閉じる。
そのまま目を擦り涙を全てふき取る。
「なぎさ!私の手帳勝手に見たでしょ!!」
ほのかはドスドスとなぎさに詰め寄る。
「あ、いや…その……」
なぎさはしどろもどろとしながら両手を振って誤魔化す。
とほのかはなぎさが握っている手紙に気が付いた。
「なぎさ……、その手紙……」
ほのかはなぎさに訊ねた。読み終えたのか、まだ読み終えていないのか。
なぎさはすぐ近くにいたほのかを強引に引っ張り抱き寄せた。
「あ…」
ほのかは抵抗せずにそれを受け入れた。
「ごめん、手紙も…手帳も読んだ……」
なぎさはほのかを正面から抱きしめて言った。
「ごめんねほのか…。あたし…、ほのかが悩んでたのに…、何も出来なかった…」
「え…?」
「ただ…、自分の意見だけ言って…、ほのかを困らせてたよね…」
ぎゅっと力を込めてなぎさはほのかの身体を抱く。
「なぎさ……」
抱きしめられたほのかの瞳から突然涙が溢れ出した。
堪えきっていた水道が爆発したようにほのかは泣き出す。
「なぎさ……なぎさ……なぎさ……」
ほのかはひたすらなぎさの名前を呼び続けた。そしてなぎさの身体を抱きしめ続けた。
「本当は……、凄く怖かった。死にたくなかった……」
ほのかは泣きながら、自分の本音を全て暴露していった。
「ううん、そうじゃなくて…、なぎさと離れたくなかった…。ずっとなぎさと一緒に居たかった…」
なぎさの瞳からも再び涙が溢れ出す。
「居たかった…じゃないよ…。居るよ。ずっと、あたし、ほのかの傍にずっと居るから…」
なぎさは叫んだ。自分の気持ちを……。
「でも…、そんなことしたら……」
ジャアクキングが……。そう言おうとしたほのかの言葉をなぎさが遮る。
「関係ないよ…。ほのかが居ない平和なんて嘘だよ…」
二人は泣きながらずっと抱き合っていた。
なぎさの隣ではほのかが静かな寝息をたてていた。
「……………」
なぎさは眠ることが出来なかった。
本当はもっとほのかと話したいことがいっぱいあった。
しかしほのかを起こすこともしたくなかったので一人で起きていた。
高い高い天井をなぎさは見上げた。
そしてすぐ横にいるほのかの顔を見つめる。
綺麗な顔だった…、なぎさは思わずその顔に見惚れていた…。
なぎさは自分の右手でほのかの手を握った。
冷たくても血液の通った生きている手。
力を込めてなぎさはその手を握った。ずっと握り続けた…。
もうすぐ夜が明けようとしていた……。
「なぜだろう……。胸が痛む……」
氷上は一人で深夜の公園のベンチに腰掛けていた。
二人を光の園に連れて行くと言ったのだって全ては罠だ。
以前戦った時は実力差があったが、光の園に行けば自分の力を最大限に引き出せる。
そしてプリキュアからプリズムストーンを奪い取る。そういう作戦だった。
だが……。あの笑顔…。あのなぎさの笑顔が頭から離れない。
「くそうっ…。なんだってんだ!」
ガンと右手でベンチを殴りつける。
なんでだろう。あんな笑顔のなぎさを見てしまったからなのか…。
なぎさを騙すことに酷く罪悪感を感じる。
こんな気持ちは初めてだった。
「なんなんだ……これは……」
自分のうちから芽生えた感情のコントロールに氷上は苦しんでいた。
そして夜が明けた……。
- 538 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 19:02 [ SVbAwzkg ]
- 6
氷上は昨日と同じ場所に立っていた。
昨日と丁度同じ時刻。
なぎさとほのかが手を固く握り締めてやって来た。
なぎさとほのか、そして氷上が向かい合う。
「準備は……いいですか?」
最後の確認をするべく氷上が訊ねる。
「ええ……」
なぎさが頷いた。
「それじゃあ行きましょう……」
氷上が右手を掲げるとそこに大きな穴が広がった。
ゴオオオオオオオという轟音が辺りに響き渡る。
「ここに飛び込みます。そうすれば光の園に到着します…」
ダンと氷上は躊躇いも無く飛び込んだ。
氷上の身体が大きな穴に吸い込まれた。
「行こう、ほのか…」
なぎさが繋いだほのかの手を握り言った。
「うん…」
ほのかも応じる。
タイミングを合わせて手を繋いだまま二人は飛び込んだ。
「きゃああああ!!!」
巨大な穴に吸い込まれる。
ドサッ
二人は着地を取ることに失敗し、お尻から落下してしまう。
「いたたた……」
ぶつけた箇所を擦りながらなぎさとほのかが立ち上がる。
「ここが…、光の園……?」
ほのかは辺りを見渡しながら言った。
「光の園に間違いないメポ!!」
メップルが突然飛び出して叫んだ。
「やっぱりここの空気は美味しいミポ!」
ミップルも飛び出した。
さすがに彼らの住処というだけあってコミューンの形態である必要は無い。
すぐにどこかへと走り出そうとした。
「待って!」
ほのかが走り出そうとした二匹を止める。
「どうしたミポ」
ミップルがほのかに疑問を投げかける。
「囲まれてる……」
なぎさが忌々しげに呟いた。
既にあたり一面を謎の白衣を着た集団にとり囲まれていた。
「こいつら…何者だメポ?」
メップルは初めて見るような格好をしている集団を怪しむ。
「さぁね。どっちにしろ、狙いはプリズムストーンみたいだけどね…」
コミューンに戻ったメップルになぎさが言った。
そして手にしたクイーンのカードをスラッシュする。
- 539 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 19:03 [ SVbAwzkg ]
- 「デュアル・オーロラ・ウェイブ!!」
タンッ
変身を完了した二人が降り立つ。
「それでは…、プリズムストーンを頂きましょうか?」
キュアブライトに変身した氷上が二人の目の前に居た。
「氷上くん、あたしたちを信じてくれたんじゃないの!!」
ブラックはブライトに怒鳴りつける。
「あんなこと…。嘘に決まってるでしょう…。元々オレの目的はプリズムストーンを奪うことですよ…」
ブライトはあくまで冷静に言った。
「そんな……」
なぎさは悲痛な表情を浮かべた。
信じていたはずの氷上に裏切られた…。そんな気持ちでいっぱいだった。
「ここでの戦いなら……、負けません!!」
ダァンとブライトが地面を蹴り二人に踊りかかる。
「はぁ!!」
ブライトの蹴りは光の園の岩を粉々にしたが二人はなんとか蹴りを避けた。
「ちいっ!」
ブライトは忌々しげに舌打ちする。
「本当に…、嘘だったの……」
ブラックは涙を堪えて言った。
「自分の使命ですからね…。手段は選びません!!」
ブライトはホワイトに襲い掛かる。
「くっ!!」
ブラックがホワイトを庇う為にホワイトの前に立つ。
「だああああ!!!!」
右パンチを繰り出そうとしたブライトの腹部にカウンターのキックが炸裂した。
「ぐああっ…」
ブライトは地面に崩れ落ちた。
「くそうっ…」
ブライトはバッと一度後方に下がり右手を出す。
「くらえ!!」
右手から放たれた以前より遥かに破壊力の増した衝撃波が放たれる。
「きゃあああ!!」
衝撃が二人を直撃し、ブラックとホワイトが吹き飛ばされる。
タンッとブライトはホワイトの前に着地する。
「プリズムストーンを……、我が手に……」
ブライトがホワイトの身体の前に右手を掲げる。
「だああああ!!!!」
遠くからブラックが凄まじい勢いで飛び込む。
「はっ!」
ブライトは高く飛び上がりそのキックを避ける。
「ほのかに…近づくなぁ!!」
ブラックが叫びながら身体を回転させて蹴りを繰り出す。
「ふん!!」
ブライトは迎撃の構えを取る。
「だりゃああ!!」
「!?」
一瞬、ほんの一瞬なぎさの笑顔がブライトの頭を霞めた。
そしてその一瞬だけ動きが止まった。
「ぐあああ…」
ブラックの蹴りがブライトを直撃する。
「な…なんで……」
ブライトは何が起きたのか理解出来ないでいた。
なぜだろう。ここなら本来の自分の実力を出せるハズなのに…。
いや、そうではない。なぜあの一瞬動きが止まったのだ。
いや、それだけではない。なぜ戦闘中にあんなことが……。
ダアアンと自分の体が倒れる感覚をブライトは知覚した。
スタッと目の前にブラックが着地した。
「言ったでしょ…、ほのかは渡さないって…。氷上くんも…。それを信じてくれたのに…」
ブラックの目から涙が零れた。
「ブラック……、泣かないで……」
ホワイトがブラックの涙を拭う。
「ありがとう…」
ぎゅっと二人は抱きしめあう。
「くっ……」
なんとか立ち上がろうとするがブライトは立ち上がることが出来ない。
再び膝から崩れ落ちてしまう。
「氷上くん。あなたは悪い人じゃないと思うから。ここで待っていて…」
ブラックは笑顔でそう言い残しすとホワイトと共にクイーンの居る丘へと向かった。
「……………」
ブライトは言葉を発することが出来なかった。
そして、ようやく自分の中にある不思議な感情を理解した。
ああ、そうだ。自分は……、彼女に、美墨なぎさに……。
- 540 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 19:03 [ SVbAwzkg ]
- 「ホワイト…、体調は大丈夫?」
ブラックは心配するように訊ねた。
「うん…、問題ないよ…」
ホワイトは笑顔で答えた。
「苦しくなったらすぐに言ってね」
「うん」
細かいジャンプを繰り返しながら二人はクイーンの居る場所へと到着した。
「ここね…。準備はいい、ホワイト?」
「うん…」
ホワイトも静かに頷く。
二人はゆっくりと歩いて中へと入る。
そこにはなぜか誰も居なかった。普段はいるハズの長老でさえも…。
そしてクイーンは一人で悠然と座っていた。
なぎさ達の数十倍はあろうともいう巨体。
「!!」
その時突然ホワイトの身体に異変が起きた。
「あうっ…、くうぅっ…!!」
苦しそうに胸に手を当てて膝から崩れる。
「ホワイト!!ホワイト!!どうしたの!!」
ブラックがホワイトの体に手を差し出す。
「はうっ!!」
パァン
何かが弾ける様な音とともにホワイトの体内からプリズムストーンが飛び出した。
「あ………!!」
ブラックがそれを取り戻そうと手を伸ばす。
しかし手は空を切りプリズムストーンはクイーンの手へと飛んでいった。
ホワイトは仰向けに倒れた。
「ホワイト!!ホワイト!!」
ホワイトの閉じた瞳は開かない。いくらブラックが叫んでも全く反応しない。
「よく…、プリズムストーンを差し出してくれました…。これで完全にジャアクキングを消滅させることが出来ます」
クイーンは抑揚の無い声でブラックに言った。
「な…!?」
ブラックは信じられないような様子でクイーンを見た。
「長老。プリズムストーンは入手しました。兵を連れて帰還してください」
クイーンは相変わらずの無表情で光の園の長老に伝えた。
「ふざけないで!!それを返して!!」
ブラックは全力で叫んだ。
「そうはいきません。これが無いとジャアクキングを…」
「返して!!」
涙を流しながらクイーンの言葉を遮りブラックは叫ぶ。
「あなたはジャアクキングによって世界が滅ぼされているということを知っているのですか?」
クイーンはなぎさを説得するべく言った。
「お願い!返して!!……返してよ!!」
ブラックはクイーンの言うことに耳など傾けずひたすら叫び続ける。
「返せぇぇぇぇぇ!!!!!!」
ダンッとブラックは地面を蹴り高く飛び上がる。
一瞬にしてクイーンの顔の目の前に達する。
クイーンの眉間に右足で蹴りを入れる。
そして右手に飛び乗りホワイトの体から飛び出したプリズムストーンを奪い取る。
スタッと地面に着地する。
「お主!!クイーンに何ということを!!」
その様子を丁度帰還して見ていた長老が激昂した。
「撃ち殺せ!!」
長老が叫んで兵に指示をする。
そして銃器のようなものを構えた兵の集団がブラックに向けてレーザーのようなものを発射した。
「きゃああああ!!!」
- 541 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 19:04 [ SVbAwzkg ]
- 三発のレーザーがブラックの左肩と左足を貫通した。
左手に握ったプリズムストーンを落とすまいする。
そして倒れないようになんとか踏みとどまる。左足を地面につき右手を左肩に当てている。
兵の集団は再びブラックに向けて先ほどと同じレーザーを発射した。
「きゃああああ!!!!」
ドーーーーーーーーーン
轟音が辺りに響いた。
「あ……れ……」
ブラックはさっきの姿勢と何の変化も無いままであった。
そしてブラックの前に一人の男が立っていた。
「ブライト…?な…なぜ…?」
長老がブライトに声をかける。
ブラックを庇ったブライトは全身にレーザーを受けた痕が残っていた。
「クイーン。オレからもお願いします。この二人にプリズムストーンを返してください!」
それを聞いて長老は仰天する。
「な…なんじゃと…!?ブライト、正気か?」
「ええ、オレはこの二人を信じてみたい……」
「……………」
長老はそのまま黙った。そしてブライトはクイーンを見上げて言った。
「お願いします、クイーン」
ブラックもまたブライトに続いて叫んだ。
「お願い…返して…。これが無いと……、ほのかが…。ほのかが居なかったら…あたし……」
ブラックの瞳から涙が溢れ出した。
「……………」
クイーンは暫く黙っていた。そして口を開いた。
「例え生き延びたとしても…、ジャアクキングが再生すればあなたたちは命の危険に晒されますよ…」
「そんなの関係ない!!、それよりもほのかと一緒に居られないことのほうがよっぽど辛いもん!!」
ブラックは涙を流しながら決意の表情で答える。
「わかりました……。そのプリズムストーンを返しましょう」
「ホントですか!?」
キュアブライトが叫んだ。
「ええ…」
静かにクイーンが答えた。
「それじゃあ……」
ブラックが静かに訊ねた。
「あたし…、ほのかと一緒に居られるんですか?」
「ええ…」
クイーンは一切動かずに答えた。
「……………良かった…良かった」
ブラックが更に激しい勢いで泣き出した。
両膝を地面につき両手で顔を覆い声をあげて泣いた。
「良かったメポ…」
メップルもまた涙を流しながら安堵の息をついた。
「クイーン。急がないと!」
ブライトが叫んだ。
「そうですね…」
クイーンが右手をクイと動かすとブラックの手に握られていたプリズムストーンがホワイトの身体に入った。
- 542 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 19:05 [ SVbAwzkg ]
- 「あれ……、なぎさ?」
ほのかが目を覚ますとなぎさは自分のすぐ傍にいた。
すやすやと安らかな寝息をたててなぎさは眠っていた。
「起きたみたいですね」
氷上がほのかに話しかけた。
「氷上……くん…?」
ぼんやりとした意識でほのかが訊ねる。
「美墨さんが……、クイーンを説得して、雪城さんの中のプリズムストーンを守り抜いたんですよ」
ゆっくりと優しい声で氷上がほのかに今まであったことを説明した。
「なぎさが……。私のために…」
「ええ……。ちょっと悔しいですけど…」
氷上は言ったとおり少し悔しそうなそんな笑みを浮かべた。
「なぎさ……」
ほのかはなぎさの名前を呼びなぎさに近づく。
右手と左足に巻かれた包帯が氷上の説明を証明し、同時にほのかの心を傷つけた。
「ごめんなさい…、私のせいで……」
そっと怪我して包帯が巻かれた部分を優しく撫でる。
「それより…、これから辛いですよ…」
ムッとした表情で氷上が言った。
「ジャアクキングやドツクゾーンの連中が復活する可能性があるわけですからね…」
氷上は明後日の方向を見つめて言った。
「大丈夫。なぎさが私を守ってくれたんだから…、今度は私がなぎさを守る……」
なぎさの右手をしっかり握りながらほのかは決意するように言った。
「そうですか……」
氷上はただ穏やかな声で返事をした。
「ね、なぎさ…」
そう言ってほのかは笑顔でなぎさの唇に自分の唇を重ねた。
「な!?」
氷上はその様子を見て唖然とする。
「……………ん」
そしてなぎさが目を覚ました。
目を覚ましたなぎさはすぐに何か奇妙な感触に気づいた。
「!?」
ほのかの顔が近く、近く、物凄く近くにある。
が既に状況を把握したのかなぎさは騒ぐようなこともせずにあっさりと目を閉じて受け入れた。
一度唇を離し、今度は二人は同じ姿勢のまま抱き合った。
やがてなぎさは目を開けて二人の距離が少し離れた。
プルプルと氷上の右手が震えていた。
「二人とも、これでお別れですね。これからも頑張ってくださいね。さようなら!!」
思い切り棒読みで別れの挨拶を一通り叫ぶ。
「また……、会えるかな?」
ほのかに乗っかられているなぎさが氷上のほうを見て訊ねた。
「ええ、会いに行きます……。雪城さん。覚悟してくださいね…」
氷上はほのかを睨みつけながら言った。
「ふふふふ……………。ええ」
ほのかはただ笑顔だった。
「それじゃあ、今から虹の園へあなたたちを送ります。本当に今回はすいませんでした…」
パチンと氷上が親指と中指を弾くと突然なぎさとほのかの真下に穴が開いた。
「!!」
「きゃああああ!!」
なぎさとほのかは悲鳴を上げながら落下していった。
その後誰も居なくなった場所で一人氷上は呆然と座っていた。
(やれやれ……、あれじゃあ…。オレの入り込む隙は無いかもな…)
- 543 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 19:05 [ SVbAwzkg ]
- 7
ドーン
「いたたた……」
なぎさが全身を地面に叩きつけられる。
「なぎさ…、大丈夫?」
上からなぎさを抱いていたほのかは無事であった。
「うん……」
ヒソヒソヒソ
なにやら周囲が騒がしい。
「ちょっとあれねぇ…」
「なになに?」
「うわぁ〜っ…」
「ちょっとちょっとちょっと〜、なぎさと雪城さん何やってるの?」
騒がしい中からどこかで聞いたような声を聞く。
「あれ…、志穂。どうしたの?」
なぎさは呑気な声で訊ねた。
「どうしたの?じゃないでしょ。なぎさと雪城さん、学校休んでこんなとこで何抱き合ってるのよ?」
志穂の隣にいた莉奈がツッコミを入れる。
「え……?そうなの…?」
今度はほのかが呑気に返事をする。
なぎさとほのかが周囲を見渡すと恐ろしいほどの人だかりが出来ている。
嫉妬?驚愕?憎悪?親近感?
周りの人間の反応は様々だった。
「ほ…ほのか!逃げよう!!」
立ち上がったなぎさはほのかの手を引っ張る。
人だかりを掻き分けなんとか脱出に成功し、二人は全力で駆け抜けた。
「つ…疲れた……」
学校から河原までを一気に駆け抜けたなぎさは息を切らしていた。
「ほ…本当ね…」
ほのかもはぁはぁと息を切らしている。
「それにしてもなんであんなところなの…。ありえない……」
なぎさは恥ずかしさでいっぱいだった。
「夏休み近くて良かったね…」
ほのかが宥めるように言った。
「そうだねぇ…」
なぎさは疲れからかもう返事も静かだった。
「ほのかと一緒の夏休みだ!!」
ガバッと突然起き上がる。
「なぎさ…?」
慌てて立ち上がろうとするほのかの両肩を両手でなぎさが抑える。
「ずっと一緒だよ!」
両肩から手を離し、右手を差し出した。
「……………」
ほのかは一度目じりを擦りそしてなぎさの右手を握り返す。
「うん!」
そしてほのかも立ち上がる。
「よ〜し、ほのか。まずはアカネさんのかき氷だ!!」
「うん、行こう。なぎさ!!」
そしてなぎさとほのかの笑い声が河原に響いた……。
END
- 544 名前:833@ 投稿日:2005/01/03(月) 19:12 [ SVbAwzkg ]
- うわぁ〜。全部まとめて投下したら長すぎ。しかもその割りにまとまりないし…。
なんか前回の一週間の物語もそうだけど、書けば書くほど未熟さが浮き彫りになるなぁ…。
本当はこういう二次創作ではオリキャラなんか出さないっていう
ポリシー?みたいなもんがあったんですけど、都合上必要になったので出しましたw。
本来は二年目の新キャラを出そうと思ったんですけど、
まだ何もわかんないのに性格とか決めるのは嫌ですからね。
ちなみにこの氷上。ベースにしたのは百合萌えらーから絶大な不人気を誇るキで始まりヤで終わる三文字のキャラですw。
はっきり書いてないけど書いてあるも同然ですよね。こいつなぎさに惚れてますw。でもズキっとよりかませ犬ですw。
キュアブライトは更に必要無いですねw。いいとこも最後だけだしw。
しかも長老とクイーンが明らかにおかしいしw。
とまあ本編と矛盾だからのSSですが、
最後のキスシーン以外はアニメ本編に即したものを書こうと思って書きました。
(あれだけ矛盾させといて即すも何もないけどw)
映画版みたいなノリで書きましたね。それを思わせるセリフも一個入れたし…。
百合スレにあったパートナーか世界平和か。というものを安易に解決出来るようにしたのがこのSSです。
無駄に長かったですね。全部読んでくれた人どうもありがとうございます。
大変我儘で申し訳ないですが読んだらぜひとも感想ください。以上です。
- 545 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/01/03(月) 20:24 [ 5aj2WMM6 ]
- >833@さん
凄い作品をどうもありがとうございます。
手紙と手帳の文面がうまくほのかの気持ちを表現していると思いました。
勿論なぎさの心情の描写も素晴らしかったです。
833さんはいつもこういった繊細な心情描写がうまいですね。
- 546 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/01/03(月) 22:44 [ pKvMu97A ]
- 833@氏、GJ!!
正月早々いいもの見させて頂きました。なぎさがほのかの手紙を読んだあたりから泣いてしまいました。この話を本編でも見れたら最高!ですね。
次作も楽しみにしてます♪
- 547 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/01/03(月) 23:57 [ quz.jYos ]
- >833@さん
乙。というか乙過ぎっす。20000字越えてるわ・・・。
軽く感想を述べさせてもらえば、まず設定の整合の付け方がウマいですね。
世界平和かパートナーかって葛藤を、ジャアクキングの復活阻止かほのかの死か
という対立に敷衍して、光の園がむしろなぎさとほのかの敵になる展開や
かつてプリズムストーンがほのかの命を救ったことがあるという回想で、膨らみを持たせる、と。
「二人の別れ」(>>440-446)を読んだ時も思いましたが、こんな風に設定を精緻に整合させるのは
833@さんのSSの一つの特質なんでしょかね。案外推理小説とか書くのがお得意かも。
でも逆に言うと、設定が精緻な分、その後のお話の展開は平板と言えるかもしれません。
なぎさがほのかの手紙を「たまたま」読むのも、ちょい予定調和かも。カモカモ
実際には私らの現実ってのは予定調和なことはなくて、自分でもさして意味を持たない
と思ってたことが後で重大な意義を帯びたりする、そんな文脈の思い掛けない転換の連続だったりする。
だからこそ人間にとって、「追憶」は「予感」でもあるわけです。過去の自分を顧みるとき、
その後の未来にあることを全く知らなかった自分と、知っている今の自分とを重ねて想うことで、
静かな河面の上にあって先にある瀑布の響きを予感するような、珍らかな感動が、そこに伴ってくる。
そういう追憶=予感の感覚を物語に組み込む技法が、例えば「伏線」だったりするのですね。
上の御作では、ほのかがなぎさへの手紙を書くのも、後の展開のための伏線というよりは、
端的に「線」になっちゃってると言いますか、先の展開の予見にともなう微かな戦慄や時めきを
感じさせるところがあんまなくて、これだけ長いSSを見事に書き切られたのに、
それゆえに却って惜しいなーと思ったり。しましたね。
まあSS書きの苦労も知らない者の書き捨てですから。聞き流してくだサイ。
とりあえず読み通しましたのでご懇願どおり感想を書いたまでです。
ともかくお疲れさまです。
- 549 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/01/04(火) 22:53 [ L147ffMQ ]
- 833@さん、乙です。ついでにあけおめです。
久々に感想書かして頂きます。と言ってもいつも名無しですが・・・
とても良かったです。>>546さん同様本編でも見たいですね。
本編はじゃなくても、だれかフラッシュアニメにしてくれないかと、いっそ自分で作ろうかとまで思いました。
途中から泣きました。今年の初泣きです。
乙でした。
*もし本当にアニメ化しようって人がいましたら、ほんとにやりたいです。
- 550 名前:ねずみ小僧(仮) 投稿日:2005/01/04(火) 23:00 [ L147ffMQ ]
- >833@様、乙でした。いやぁ感動しました。
いつもながら時を忘れて読んでました。>>549さん、私も時々読んでてそう思います。
もし、実現したら私も参加したいです。
- 551 名前:833@ 投稿日:2005/01/05(水) 23:57 [ JruO5dLY ]
- 皆さん感想どうもありがとうございます。本当に嬉しいです。
アニメ化したいなんて最高級の褒め言葉と受け止めますw。
>548
>上の御作では、ほのかがなぎさへの手紙を書くのも、後の展開のための伏線というよりは、
>端的に「線」になっちゃってると言いますか、先の展開の予見にともなう微かな戦慄や時めきを
>感じさせるところがあんまなくて、これだけ長いSSを見事に書き切られたのに、
>それゆえに却って惜しいなーと思ったり。しましたね。
あ〜、なるほどな。と思いました。
私のSSって大体はラスト(というか最も魅せたい部分)から作るからなぁ…。
どうしてもそれ以外の部分がおまけ的というかいまいちダレルっていうのかな。
そんな風になりがちなんですよね…。もっと精進せねば…。
ちなみにこのThe another prism stoneですが幾つか切った部分があります。
なんとなく一応まとめてみることにしてみました。
カット1 5の夜
なぎさとほのかが抱き合った後はベッドシーンがあります。
当然ですが、これはアニメに即していないのでカットw。
カット2 6の対決
キュアブライトを撃破してから
(そもそもブライトとの戦闘は両方ともかなり省きました。面倒だからw)
クイーンのもとへ辿り着くまでにはザコ敵を蹴散らします。
戦隊の映画版でよくある戦闘シーンです。
面倒なのでこれもカットw。
カット3 3 倒れたほのかをなぎさがおんぶ
戦闘終了後に倒れてしまったほのかをなぎさがおんぶして家まで連れて行くシーン。
更にこれには二つの選択肢がありました。
1・ほのかは完全に気絶していてメポミポとなぎさの会話メイン
2・ほのかは意識はありなぎほのの会話メイン
しかしどちらにしても家に帰ってから魘されるほのかと矛盾が生じるのでカット。
ただ2だったらやっても良かったかなって気もします。
プリズムストーンのせいで肉体的にほのかは極限まで追い詰められる予定だったのですが、
それだと戦闘不可能なのでその設定も変更しました。
番外編:氷上の存在
もともと氷上はなぎさに想いを寄せながらもなぎさを遠くから見つめるという
キャラクターのハズだったのに何を間違えたのかこうなってしまいました。
実際氷上はいらないんですよね。何で出したんだろう?
ちなみに私はこの氷上を結構気に入ってしまいましたw。
アフターストーリーでなぎさを巡ってホワイト対ブライトなんてネタを考えてしまったくらいw。
とまあ一応あとがき?みたいなものを書いてみました。
読んでくれた方、どうもありがとうございました。
次作は何も考えてないですけど思いつきでてきとうにまた書きます。
- 552 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/01/12(水) 12:51 [ Vl6/mHC. ]
- えーと、ひょっとしてもしかして、キュアブライトの名はデカブライトから取りましたか?
まぁ、デカの方は女性でしたが。デカレン内で「光の刑事、デカブライト!」って聞いた時は、
大分工エェ(゚Д゚;)ェエ工な気分になりましたが。だって響きが似すぎやん……。
デカレンのスタッフさんは狙ったのだろうか?日曜朝同士の繋がりも多少あるだろうし。
- 553 名前:833@ 投稿日:2005/01/12(水) 13:15 [ Zy5bkevE ]
- >552
ビンゴです。本当はキュアマスターにしたかったけど、
あのヘタレ如きがキュアマスターを名乗るのはおこがましいと思い変更w。
丁度響きも似てるしこれでいいや。って決めました。
デカレンスタッフがプリキュアを意識してるかどうかはわからないですけど
ジャスミン&ウメコを見てると百合萌え派としては意識はしてるような気がするなw。
- 554 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/01/12(水) 22:00 [ RK3VCedc ]
- >>552
ブラックの「ブラ」とホワイトの「イト」を合わせると、確かに…
- 555 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/01/22(土) 22:50 [ VUeathBY ]
- 今週初め頃に百合スレでちょっと話題だった真由×なぎネタで軽く…
「そうそう、一気に線を引かずに少しずつなぞるように描けば、もっと
うまく見えるわよ」
なぎさの家で真由が絵の描き方を教えている。絵画コンクールに向けて足を引っ張りそうな
なぎさを心配した志穂と莉奈により、事前に絵の個人教授をすることになったのだ。
その甲斐もあって、美術館見学のパンフよりだいぶんマシに描けるようになり、
嬉しいのか、なぎさも集中して絵の練習をしている。
「ふふっ、美墨さんったら夢中になってる。今のうちに…」
そんななぎさの姿を喜々としてスケッチブックに納める真由。
1枚描き終わってふと部屋を見回す…
「あれ? あのポーチってひょっとして…」
ベッドの隅に置かれたメップルのコミューンに手を伸ばす。
そう、思い出したのはピッカリーニの絵の中に入ったときのこと。
「あ、それはだめだってば! 大事なおまもりなんだから!」
気づいたなぎさが真由の手からコミューンを奪いとろうとする。
その反動でベッドの上で重なり合うふたりのからだ。
「ご、ごめんなさいっ」
慌ててコミューンから手を離す。ふと気がつくと指に長い黒髪が
まとわりついている。明らかになぎさのでも自分のでもない…
「あれぇ? これって誰の髪の毛?」
不思議がる真由。
「(や、やばっ)え?ええっと…お母さんのじゃないかなっ!」
「えーっ? 美墨さんのお母さんって、もうちょっと茶色で短い髪じゃなかったっけ?」
美術部で観察眼を養っている真由には、全く通じない言い訳。
「…あ、わかった! 雪城さんのでしょっ! この綺麗なストレートの髪!
最近噂よぉ。毎日毎日美墨さんと雪城さんが…って」
「ちょ、そ、そんなんじゃ…毎日なんてしてないしてない! ときどきだってば!」
「ほ〜ら、やっぱりそうなんだ。ふふっ、この髪の毛 明日志穂や莉奈にも見せちゃおっと」
「か、勘弁して…それだけは」
「じゃあ、わたしにも同じコトさせて…」
おっかなびっくりなぎさの唇をふさぐ。
「!!!」
ぎこちないキス。なんか新鮮で抵抗できない。そしてふたりの服がはだけてゆく。
しかし・・・
(どうしよう・・・・・・)
まな板の上の鯉、いや画板の上の布状態のなぎさを前に、どうしていいかよくわからない。
ひとしきり考える真由。
「そうだっ!」
カバンから絵筆を取り出す。
(これってたまらないのよね〜 きっと美墨さんも…)
なぎさの敏感な箇所を時には強く絵の具を塗るように、時にはつんつんと点を
うつように筆でなぞる。
「ちょ、ちょっと真由ってば・・・そんなとこっ」
絵の練習を忘れて睦み合ってしまうふたりでした。(つづく)
- 556 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/01/22(土) 22:51 [ VUeathBY ]
- 翌日、いつものようになぎさの家を訪れたほのか。
(クンクン・・・きょときょと)
入って来るなり部屋の中を見回す。
「ほのか・・・どうしたの?」
(きゅぴーん!)
「なぎさ・・・これはなに?」
ベッドから栗色の髪の毛をまさぐりだす。
「(ギクッ)あ、あたしの髪の毛に決まってるじゃない。」
(髪型同じだし、バレるはずないわよね〜)
「なぎさ、ウソついてる… わたしにはわかるんだから。」
取り出したぁゃιぃ機械に髪の毛を通す。
「・・・ほ〜ら、これはなぎさのじゃないわ。DNAが違ってるわ!」
「ご、ごめん! 昨日はつい成り行きで…」
(まったく単純なんだから。DNA鑑定なんてできるわけないじゃない)
「ふ〜ん・・・浮気の罰はたぁ〜っぷり受けてもらわないとね☆」
胸ポケットから絵筆を取り出すほのか。なぜかすごく嬉しそうだ。
そのまま服をはだけて、なぎさの体のあちこちを筆でなぜる。
「昨日は柏田さんにこうしてもらったんでしょ?」
「ん、んんっ・・・ふぁぁっ!」
昨日の真由の責めとは比べものにならない的確な攻撃。
もはや答えるどころではなかった・・・
(ふーん、こういうのもなかなかいいわね。そうだ、今度は柏田さんと
ふたり並べて筆でいじっちゃうなんてのもいいかも!)
その頃真由は・・・ほのかの尋問によって美術部の部室でまだ悶絶していた。
- 557 名前:833@ 投稿日:2005/01/23(日) 00:07 [ 4Vz9eRfI ]
- >>555-556
楽しませてもらいました。
真由も早く聖子が唯を見つけたようにパートナーとなる子が見つかるといいんですけどね。
- 558 名前:833@ 投稿日:2005/01/24(月) 00:34 [ q5CrLrZc ]
- 暖かい陽射しが差し込み、春の風が吹いていた。
辺りでは桜の花が咲き乱れ花びらが舞い、季節の変化を告げていた。
美墨なぎさは春の日差しを体全体で受けながら河原に仰向けになっていた。
「ん〜〜。良い気持ち……」
両手両足をぐーんと伸ばす。両手を頭の後ろに回し空を見上げる。
始業式を終えてからまださほど時間はたっていない。
日は高く、雲一つ無い。まさに快晴といえるような青空だった。
「こういう日にこんなとこでお昼寝するのって最高〜」
目を閉じてゆっくりと体の力を抜く。
ほどよい眠気がなぎさの全身を包み込みなぎさの意識が少しずつ薄れてゆく。
「なぎさ〜〜!!」
と遠くから自分を誰かが呼ぶ声がした。
この独特な声の持ち主が誰か。なぎさは瞬時に判断する。
が体が言うことをきかない。仕方が無いのでそのままの姿勢で暫し待つ。
「はぁ……はぁ……」
ここまで走ってきたのだろうか。黒い髪の少女、雪城ほのかは息を切らしている。
「隣、座っていいかな?」
荒れた息を整えながらほのかはなぎさに訊ねる。
「うん、いいよ…」
自分のすぐ隣の草をポンポンと左手で叩きながらなぎさは答えた。
ほのかはなぎさが示した場所にゆっくりと座る。
「何してたの?」
とても明るい声で訊ねる。
「特には…。気持ちいいからお昼寝しようかな〜って」
さきほどまでと同じ姿勢のまま静かに返事をする。
「なぎさらしいね…」
あははと笑いながらほのかが言った。
「でも……」
ほのかもまたなぎさと同じように空を見上げる。
「本当に綺麗だね……」
青空を見た深い感動の心を素直に表現する。
「うん……」
なぎさもただそれに同意する。余計な言葉はいらない。
心が通じ合っているのだから、言葉など無くてもお互いのことはわかる。
二人は暫くの間黙っていた。
ほのかは両足を伸ばし上半身を起こした楽な姿勢で川を見つめ、
なぎさは仰向けで青空を見つめる。
大自然の魅力といったものを二人はその目で心で感じる。
そこに退屈という気持ちなどは存在しない。
居るべき人が傍に居れば、彼女達はそれだけで楽しいのだろう。
- 559 名前:833@ 投稿日:2005/01/24(月) 00:35 [ q5CrLrZc ]
- やがて静かになぎさが口を開いた。
「平和……、なんだね……」
平和……。この場合、平和とはどのような意味を指すのだろうか。
ほんの数ヶ月前まで伝説の光の戦士プリキュアとして闇の集団と戦い続けた二人。
戦いは彼女達の勝利に終わった。そしてこの虹の園を脅かす存在は無くなったのであった。
戦いが終わるまでの約一年間。闇の集団は彼女達の持つプリズムストーンを狙い続け、
彼女達はひたすらその石を守り抜いた。
一見穏やかなようで、一瞬の油断も出来ないような張り詰めた緊張感の続いた日々。
あの辛く厳しい生活からようやく解放された。
そして彼女達は進級し、普通の女子中学生としての人生を歩み始めたところであった。
「そうね。平和……ね」
平和というたった三文字の言葉を噛み締めるようにほのかも言った。
なぎさとほのかは再び黙って空を見上げる。
二人が空を見上げて思い浮かべたものは一年間ともに戦ったパートナーの存在。
「メップルたち…、元気かな?」
青空ではなく電車の走る鉄橋を見つめながらなぎさが言った。
「きっと、光の園で仲良く生活してるんじゃないかな…」
なぎさと同じ方向を見つめながらほのかも答える。
ゴロンと自分の体を動かして体を逆方向に向け、横を向いた姿勢でほのかとなぎさが見詰め合う。
「結局……」
そう言うとなぎさは再び空を見上げる。
「なんだったんだろうね……。あの戦い……」
独り言のように、いや恐らくは独り言なのだろう。
なぎさは小さな声で続けた。
「世界の平和を守った。っていうけど……。何も変わってないよね……」
右手を空へ向けて伸ばす。何か、目に見えない何かをなぎさは掴もうとして右手を握り締める。
自分の目の前で右手を開く。開かれた右手の中には何も無い。
「でも……」
優しい声でほのかがなぎさに語りかけた。
ほのかの視線は真っ直ぐに青空に向かっている。
「なぎさ。空……、綺麗だよね?」
なぎさの方を向かずに青空を見つめてほのかは訊ねる。
「うん……」
なぎさもほのかの方を向かずに同じように青空を見つめる。
「私達は……、何かを守ったって実感は湧かない……。でも……」
静かに、それでも強い意志を感じさせる声をほのかは話す。
「でも…。私達は確かにこの綺麗な青空を守ったんじゃないかな?」
「あ……」
何かに気づいたように、そして驚いたようになぎさが声をあげた。
自分達の手で守ったこの世界。何を守ったのかという問い。
なぎさの心にあった最後の疑問の欠片を埋めるほのかの答え。
「そうだね……そうだよね!」
バッとなぎさが上半身を起こした。
体中から元気が溢れれ出したかのような様子だった。
「それにね……」
草原に置かれたなぎさの左手をほのかが両手で優しく握り締める。
「あ………」
なぎさは思わず左手を見つめる。
自分の冷たい手がほのかの暖かい血の通った手に握り締められている感触。
トクトクとほのかの心臓の鼓動が伝わってくるかのように感じる。
「失ったものもあった……」
そういうとほのかは一度視線をなぎさの手から外した。
なぎさとほのかの戦いの記憶。得たものも失ったものもあった。
「でも……。でもね……」
今の声は…少し悲しげな憂いを帯びた声だったような気がした。
しかしほのかの声はすぐにいつもの明るい声に戻っていた。
「それよりも……」
なぎさの左手に視線を落としきゅっと両手に力を込める。
「一生に一度しか無い様な。ううん、もしかしたら一度も無いかも知れない…。
そんな……、そんな奇跡のような出逢いをすることが出来た……」
二人の視線は繋がれた手からお互いの顔へと移った。
「私は…。それだけでプリキュアをやって良かったと思うよ…」
ほのかは目を閉じて握った手を自分の胸に当てる。
なぎさの手にほのかの心臓の鼓動が伝わった。
一定のリズムで打たれ伝わる確かな鼓動………。
「かげないのない親友と出逢えた。っていう奇跡……」
いつかほのかに教えてもらった言葉をなぎさは呟いた。
かけがないのないという単語の意味がわからず中学校に入ってから初めて国語辞典を引いた。
そして自分の心の中で未だに輝いている言葉……。
「うん。決して失くしたくない。私の宝物……。一番大事なもの……」
少女のような純粋な心。そして笑顔……。
- 560 名前:833@ 投稿日:2005/01/24(月) 00:35 [ q5CrLrZc ]
- いつの間にか二人の繋がれた手の指が絡み合っていた。
どちらからでもない。本当に無意識のうちの行動だった。
「ねぇ…ほのか」
遠慮気味に、少し恥ずかしそうな様子でなぎさが訊ねる。
「なあに?」
何もかもを許したくなるような、本当に優しさに満ち溢れたような笑顔でほのかは返事をする。
「プリキュアじゃなくなっても…。あたしたち…。ずっと一緒だよね……?」
ヒュウと二人の間を一筋の春の風が通り抜けた。
青空から差し込む光は強さを増し、陽射しを受けたほのかの顔は白く光っている。
「うん……。ずっと一緒だよ……」
ほのかはただ一言だけ答えた。これ以上無い。完璧な答え。
二人はそのまま笑いあった。
長く辛い戦いから解放されて、それでもどこかで不安な気持ちを抱き続けていた。
そんな二人がたった今心の底から初めて笑い合っていた。
そして二人は自然と唇を重ねた。どちらからでもない。本当に同じタイミングだった……。
春の風がもう一度吹いた。
どこからやって来たのだろうか。
桜の花びらが数枚、なぎさとほのかの新しい出発を祝うように舞い降りた。
- 561 名前:833@ 投稿日:2005/01/24(月) 00:36 [ q5CrLrZc ]
- で新作を投下してみました。
極力セリフを減らして普通の小説っぽく書いてみました。
まあ言語というよりものを書くということはやはり難しいですね。
- 562 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/01/27(木) 20:32:40 [ wqIEYoDE ]
- >>558-560
3日も経ってからアレですが833@タソ乙!
草の匂いをはらんだ風、やわらかい木漏れ日
そしてあふれそうな光の中でたたずむ二人の少女…
戦いを終えたなぎほのの心象と風景がからんで美しいですなあ
それにしても読んでてものごっつい春が待ち遠しくなってしまいます
正直雪はもうカンベンぜよ…('A`)
- 563 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/01/27(木) 21:25:28 [ fcR8VmD. ]
- >>833氏GJ
48話のまたみてね。の話だな。
- 564 名前:833@思いつき 投稿日:2005/02/04(金) 02:02:32 [ uLEaLOO6 ]
- コツコツと暗闇の中に足音が響く。
一人の男の足音だけが静寂な空間の中で音となっていた。
「お前もか……」
その男の姿を見て別の男が声をかけた。
「あら?あんたも来たのね」
別の女の声が響いた。
「ふん…」
二人から声をかけられた男はその投げかけを無視して座り込む。
そして二人に怒りを込めて疑問をぶつけた。
「ここはどこなんだ?」
即座に一人の男が答えた。
「闇に死んだ者達の地獄さ……」
「地獄だと…?」
「そう、あたしたちは再生するまでここで待つのさ」
女が代わりに答える。
「それまではどうしているのだ?」
新たな疑問を投げかける。
「さあな。それはオレにもわからん」
「そうか……」
男はそのまま黙り込んでしまう。
「あんたも偉そうにしてた割には結局負けたのね」
女が馬鹿にするような声で言った。
「黙れ!私は負けていない!石の力のことさえ気をつけていればあんな奴らに負けなかったんだ」
「負けたんじゃない」
「あ……」
「大体ね〜」
女は一度そこで区切り再び口を開く。
「そんなこといったら、あたしだってキリヤの邪魔さえなければ負けなかったわよ」
「オレだってコミューン返さなければ負けなかったぞ」
「あんた、それただのバカなんじゃないの?」
「なんだと!コミューン捕まえたのに逃げられたお前よりはマシだ!」
「なんですってぇ!!」
「やめんか!ったく見苦しい……」
「けっ、あんな淫獣如きにやられたくせに…」
「なんだとぉ!!」
うるさい言い争いが続いているところに一人の少年がやって来た。
「やれやれ。なんか騒がしいと思ったら。またくだらない言い争いか…」
「なんだと!貴様、敵の女に惚れてたくせに何を偉そうに!!」
「そうよ!しかもあんたあたしの邪魔までしてくれて。そんなにあの女の子が好きなの?」
「な…。なに言ってるんだよ姉さん!」
「少しシリーズ構成の川○良に気に入られて出番多かったからって調子に乗るなよ!」
「大体、私に比べたらお前は全然弱いぞ」
「しかもあの去り方格好良いとか思ってんじゃないの?そんなこと全然無いのに」
「あんな趣味の悪い死に方するのなんて今時信じられないな」
「な…なんだよ。みんなして僕を虐めて…、なんでだよ!」
「なんで……だと」
三人が息を完璧に合わせる。
「お前一人だけ出番多くて良い思いしてるからだよ!!」
「オデは関係ない…」
一番でかい男が興味無さそうに一言呟いた。
- 565 名前:833@ 投稿日:2005/02/04(金) 02:03:37 [ uLEaLOO6 ]
- ダークファイブは面白い敵キャラ集団だったなぁ…。
と何となく懐かしくなったので書いてみました。
- 566 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/02/08(火) 11:53:40 [ CEzGVK6U ]
- 。・゚・(ノД`)・゚・。
- 567 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/02/14(月) 18:36:13 [ lkW4Fb9Q ]
- 2日早く書き上がっていれば、昨日 投稿できたんだけど…。
性格ゆえに遅れ気味となった時事ネタ。
タイトル
「プリキュア バレンタイン ア・ラ・カルト」
7レス専有。
- 568 名前:予想係(1/7) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/02/14(月) 18:36:58 [ lkW4Fb9Q ]
- その1 志穂と莉奈
莉奈「プレゼント用のチョコ作るよ!」
志穂「作るぞ 作るぞ 作るぞ!」
ここは志穂の家のキッチン。
カウンターには手作りチョコの為の道具やら材料やらが並んでいる。
莉「それで、志穂は誰にチョコあげるつもり?」
いきなり何気なく、サラッと核心を尋ねる莉奈。
志「それはね…。って、その手には乗らないぞ!
だいたい、チョコあげるような男子だって居ないんだし」
莉「という事は、志穂も友チョコ オンリーか…」
志「学校のクラスが女子のみだと、出会いの場が極端に少ないのよねぇ」
ハァ、とシンクロして溜め息が出てしまうのも当然であろうか。
莉「嘆いていても仕方ないし、そろそろ始めますか」
志「そうしますか」
かくして愛する友の為、ふたりのチョコ作りが始まったが…。
詳しい途中経過は省略。(レシピ調べて書き連ねるなど性に合わないし、行の無駄だ)
莉「よし、完成!」
志「こっちも終わり。…まぁ、こんなものかしら」
出来上がったチョコレートは、一口サイズながらも やや大振りなものが4ダースほど。
ふたり分 合わせると100個 前後にもなった。
莉「こうして出来上がってみると、結構 壮観ね」
志「でもでもでも、4分の1くらいは なぎさが食べちゃうかも」
莉「言えてる。なぎさがチョコに懸ける情熱は 並みじゃないし」
志「食べっぷりが良いから作り甲斐も あるし」
チョコを貰って喜ぶ なぎさの顔が、容易に想像できるものだ。
莉(今年は私が愛情 込めた この手作りチョコで…)
志(なぎさのハートをゲットゲットゲットよ!)
志&莉『そして打倒! 雪城ほのか!!』
不意に発した言葉が なぜか、意図せずユニゾンした。
莉「ん?」 志「アレ?」
…どうやら このふたりにとっての最大のライバルは、なぎさの隣ではなく
自らの隣りに居たようである。
- 569 名前:予想係(2/7) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/02/14(月) 18:37:33 [ lkW4Fb9Q ]
- その2−1 なぎさ と ほのか
ほのか「っくしゅん!」
なぎさ「大丈夫? ほのか」
ここは雪城邸の台所。
テーブルには手作りチョコの為の道具やら材料やら、材料やら、材料やらが揃っている。
通常の3倍である。
な「ゴメンね ほのか。台所 借りた上に手伝わせちゃって」
ほ「困った時は お互いさまだし、私に出来る事なら何でも お手伝いするわ。
…それにしても このチョコ、凄い量ね」
チョコの総量は全部で3kgは有るだろうか。
もちろん、なぎさが買って持ち込んだ物である。
な「昨年のバレンタインの時 沢山チョコ貰って、その お返しが大変だったんだ。
先輩やクラスメイト、ラクロス部の仲間と、小学校の後輩からも貰ったから」
ほ「それって、女の子から…。よね?」
な「うん。 まさか女の子からチョコ貰うだなんて思ってもみなかったから、慌てて
ホワイトデーまでに 色々買って、キッチリ全員に お礼の品を あげたら…」
ほ「あげたら?」
な「お小遣いスッカラカンで、前借りするハメになった…」
人気者の辛いところではあるが、それにしても悲惨すぎる展開である。
ほ「そ…それはお気の毒としか言いようが無いわ…」
な「で、昨年の失敗を踏まえて考えた。今年は先手を打ってチョコを貰いそうな人には
あらかじめ、こちらからチョコを贈ることにしたわけ」
ほ「だから こんなに たくさん用意したのね。納得したわ」
な「まぁ、ぶっちゃけ味見する分も入れてあるんだけど」
ほ「ふふ、なぎさ らしいわね」
な「だいたい4分の1くらい」
ほ「それ食べ過ぎ!」
そんな こんなで 手作りチョコ作りが始まり…。
ほ「なぎさ、チョコレート作りで一番 重要なのはズバリ、温度管理よ」
な「おんど? と言えばプリキュア音頭?」
ほ「踊る方じゃなくて温かさの方よ。『テンパリング』というの」
な「と言われても、具体的に どうすれば良いの?」
ほ「それはね…」
- 570 名前:予想係(3/7) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/02/14(月) 18:38:06 [ lkW4Fb9Q ]
- ほのかの代わりに簡単に説明すれば、チョコレートの結晶を安定した状態にするのが
おいしく、また美しく仕上るコツらしい。その おいしい状態の結晶を作るには、一旦
40℃以上まで上げて完全に液状にし、それを攪拌しながら25℃辺りまで下げて目的の
結晶の形成を促し、その後30℃まで加熱すると目的の結晶だけで出来た均質なチョコに
仕上がる。 らしい。
詳しく知りたい方は『テンパリング』でWeb検索してチョコ。
ほ「とにかく攪拌し続けるの。それがポイントよ」
な「ふーん。普段 何気なく食べてるチョコレートに、そんな秘密が在るなんてねぇ。
クッキングって科学なんだね」
言いつつ なぎさはガマンできなかったのか、材料のチョコを ちょこっと つまみ食い。
ついでに ほのかにも、アーンと口を開けさせ おすそ分け。
ふたりのチョコ作りは、まだ始まったばかり。
その3−1 雪城さなえ
「私はチョコレートよりも羊かんの方が良いわね」
居間で茶を啜り、羊かんを切り分けつつ独り言。
平和なものだ。
その4 夏子と京子
夏子「コスプレ衣装 作るよ!」
京子「おー」(←力が入ってない)
ここは夏子の家、夏子の部屋。傍らにミシン在り。
タイプライター等が有るか どうかは確認できない。
夏「しかし今回の衣装、何で まだ完成してないんだろ…」
京「しょーがないよ。一番大事なアクセサリーが どっか行っちゃったんだし」
夏「アレさえ有れば、今頃は完成していたハズなのに…」
京「私もアレ、失くしちゃったし」
異口同音にハァ、と溜め息が出るのも仕方の無い事であろうか。
夏「落ち込んでいても しょうがないし、イベントも近いし」
京「さっさと終わらせますか」
もうすぐバレンタインデーだというのに、チョコではなくコスプレ衣装を作っている
この ふたりの、明日は どっちだ?
- 571 名前:予想係(4/7) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/02/14(月) 18:38:58 [ lkW4Fb9Q ]
- その5 メップルとミップル
メップル
「バレンタインに僕たちでチョコを作って、なぎさと ほのかにプレゼントするメポ!
普段、何かと お世話になってる お礼をするメポ」
ミップル「それは良い考えミポ。さすがはメップル ミポ」
プリキュアのパートナーであるメップルとミップルが殊勝な事を考えている。
しかも虹の園の風習を踏まえているらしく、何とも健気。
メ「そこで今回はオムプにチョコの作り方を教わるメポ。よろしく頼むメポ」
オムプ「かしこまりました、メップルさま。ミップルさま」
ミ「なんだかワクワクするミポ」
という訳で、例によって詳しい途中経過は(ry
メ「ハァー、おいしそうな いい匂いだメポ。思わず つまみ食いしたくなるメポ〜」
ミ「食べちゃだめミポ。プレゼントの分が減ってしまうミポ」
オムプ「おふたりとも、とても良くできてます。後は飾り付けをして完成です」
メップルとミップルが協力して作っていたのはチョコレートケーキであった。
もちろん食べるのは なぎさと ほのかなので、その大きさはメップルやミップルの
身体と同じくらいの、かなり大きな物だ。
ミ「? おかしいミポ」 ミップルが何かに気づいた。
メ「お菓子が おかしいとは どういうことメポか?」
ミ「ケーキの向こう側、一ヶ所えぐれるように欠けているミポ!」
見ると確かに、丸く むしり取ったような跡が残っている。
ミ「メップル〜! あれほど つまみ食いしたら いけないと言ったのにミポ〜!」
メ「ちょっ、待つメポ! 僕は つまみ食いどころか味見すらしてないメポ!」
ミ「ほんとミポ?」
メ「味見はオムプに任せてたメポ」
オムプ「メップルさま、おたずねしたい事が」
メ「今 取り込み中メポ! 後にするメポ!!」
オムプ「先ほど作っておいた、メッセージ用の板チョコが見当たらないのですが…」
ミ「なんですってぇ?!」
?「チョコおいしいポポ」
なんとも耳覚えのある声が、ケーキを置いたテーブルの向こう側から聞こえてくる。
メ「まさか…」
ミ「ああぁぁ…ポルン、なんてことを…」
- 572 名前:予想係(5/7) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/02/14(月) 18:39:32 [ lkW4Fb9Q ]
- テーブルの陰でポルンが一人座り込み、ぱくぱくポリポリ淡々と なぎさを食べていた。
…誤解を与える表現だ。
正確にはメッセージが書かれたチョコプレートの、『なぎさ』と文字が入った部分を
かじっていた。
メ「ポルン! そのチョコは なぎさと ほのかのために作っていた大事なものメポ!
それを おまえが食べて どうするメポ!!」
しかしメップルに怒鳴られてもポルンは悪びれる様子も無く、ほのかを ほお張りつつ
(誤解を与え(ry)こう答えた。
ポ「そんな事 知ってるポポ。でもメップルもミップルも肝心な事 忘れているポポ」
メ「盗人たけだけしいメポ。言い逃れしようとしても無・駄・メ・ポ!」
ポ「ポルンたちがジャアクキングを倒して、ながい眠りに入ったのは いつポポ?」
メ「ヤブから棒に何を言うメポ?」
ミ「確か…虹の園で3学期が始まった頃だから、1月の半ばだったと思うミポ」
ポ「眠りから目覚めたのは、いつポポ?」
メ「桜が咲いていたし、新学期が始まった頃だから4月初めメポ。
だから、それが どうしたメポ!?」
ポ「バレンタインデーは毎年2月14日ポポ。1月から4月まで眠っていたポルンたちが
そのイベントに参加するなんて、ありえないポポ」
メ「!」 ミ「!!」 オムプ「ふーむ…」
衝撃の事実!
ありえない時間に ありえない行動を取っていたのは、メップル達の方だったのだ!
メ「だ、だ、だとしたら、ここは いつ? どこは今メポ?!」
ミ「メップル、落ち着くミポ!」
ポ「それに…」
ちょこちょこ とケーキの傍らまで歩いてきたポルンが、更にダメ押しの一言を告げる。
ポ「ここで作った このケーキ、どうやって なぎさと ほのかに渡すつもりだったポポ?
コミューンの外へケーキを出す方法が無いと思うポポ」
メ「!!」 ミ「!?」 オムプ「ふむぅ…」
メ「何てことだメポ…。トンデモないのは僕たちの方だったメポか…」
ミ「つくづく絶望的な運命の非情さを感じるミポ…」
ポ「だから このケーキは、ポルンたちで いただくのが一番ポポ」
言いつつポルンはケーキの側面を叩いて分割し、全体の4分の1ほどを確保して自分の
頭に乗せた。ご丁寧にも、先程 自分が かじり取った所を避け、その反対側の部分を。
ポ「ごちそうさまポポ。おいしいケーキありがとうポポ」
オムプ「それは よろしゅうございました。では ごきげんよう、ポルンさま」
ポルンは頭にケーキを乗せたまま器用に お辞儀をし、何処かへ ぴょんぴょん跳び帰る。
オムプも自分の取り分のケーキを回収し、何処かへ帰った。
後に残されたのは、がっくり うなだれる ふたり(?)と食べかけのケーキのみ。
- 573 名前:予想係(6/7) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/02/14(月) 18:40:11 [ lkW4Fb9Q ]
- その2−2 なぎさ と ほのか
なぎさ「やっと終わったぁ〜!」
ほのか「おつかれさま、なぎさ」
ここは雪城邸の台所。既に夕方である。
テーブルの上には完成したチョコレート菓子が並んでいた。
な「こんなに たくさんの お菓子 作ったのは初めてだよ。学校の調理実習でも、
ここまでは作らないよねぇ」
ほ「そうね。このチョコの数は なぎさの人付き合いの広さ、そのものね」
な「テヘヘ…」
そんな風に言われて、なぎさは少々照れた。
ほ「残った このチョコ、どうするの?」
な「もちろん、『食べる!』」
ほ「そう言うと思った」
な「前もって余裕を含めた計算したからね。家族分、クラスメイト分、ラクロス部員分、
先輩分、後輩分、余ったら自分という風に」
ほ「…あ、そういえば…」
ほのかは そう つぶやいて、テーブルの上のチョコを指差し数え始めた。
な「ほのか?」
ほ「やっぱり…。なぎさ、一番 肝心なのが まだ作られてないわ!!」
チョコを数えていた指でビシィッと指差され、なぎさは反射的に身構えた。
な「わ! え? 何? あたし、何か忘れてたっけ?」
ほ「藤村君の分は どうしたの?」
な「ふじむら…」
なぎさの全身から血の気が引いていく。そんな音が ほのかにも聴こえた気がした。
どうやら なぎさの当初の計算には藤P分が抜けていたらしい。
ショックの余り なぎさは椅子から立ったり座ったり。動作も ぎこちなく、まるで
ロボットダンスを踊るような感じに なってしまっている。
ほ「なぎさ、しっかり! 幸いチョコは残っているんだから、それで何か作ろう。ね?」
な「あ、あたしの分のチョコが…チョコが…」
ほ「何を言ってるの もう〜〜! バレンタインのプレゼントとして何かを贈れるのは、
一年に一度だけなのよ!」
な「うん。…泣きたいけど、がんばる」
バレンタインともなれば幾らでもチョコ貰うのだろうに、
それでも尚、なぎさはチョコを食べたいらしい。
果たして、藤Pへのチョコは出来たのか出来なかったのか…。
- 574 名前:予想係(7/7) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/02/14(月) 18:40:48 [ lkW4Fb9Q ]
- その3−2 雪城さなえ
「やっぱり、チョコレートも良いものね」
台所を借りた お礼にと、なぎさがチョコを絡めたクッキーを二枚 持ってきていた。
それを食べつつ、紅茶を一口、独り言。
つくづく、平和なものだ。
その6 藤田アカネ
この日の営業が終わり、アカネさんは後片付けをしつつも新たな味を模索していた。
それも頭の中で味を組み立てて吟味するという、一流の料理人としての
至極 高等なシミュレーション技を使ってである。
(新しい味を創るには、時に大胆な方法を用いる必要が在る。例えば たこ焼き。たこの
代わりとして別の物を入れてみる。今 世の中は完全にバレンタインモード。
バレンタインと言えばチョコ。ここはチョコレートを入れてみよう…)
アカネさんの記憶が個々の材料の味を再現し、思考が味の記憶を調理し、その結果が
新たな記憶となる。 そして思考の中で出来上がった物を試食する…。
「うぐぅっ!!」
どうやら失敗したらしい。『チョコ焼き』に たこ焼き用のソースを掛けてしまっては、
マズくなるのも無理からぬ事。
「いけない いけない。最近、考え方が なぎさに似てきたなぁ」
- 575 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/02/14(月) 19:24:54 [ kbGhBhXo ]
- >>568-574
∧∧ (゙
( ゚Д゚) ゙) <GJ
ノ つ酒
〜(,,_,,)
おいおい、完成度高いな。百合ネタあり、ほのか蘊蓄あり、
搦手ネタ(新学期と2月14日のズレ)あり、●ージャネタあり、
なぜか一流料理人のアカネさんあり、一つひとつのオチも上手いしね。
しかし予想係氏の趣味嗜好が漠然と偲ばれもするSSでありました。
久々にageときましょうか。
- 576 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/02/14(月) 23:22:51 [ DXG0T72. ]
- 上手い。構成ばっちり。面白い!
バレンタインのチョコレートギフトイタダキマシタ!
- 577 名前:833@ 投稿日:2005/02/15(火) 01:40:54 [ QtsUUJ7. ]
- >568-574
GJです。
メポミポの部分なんて自分も忘れてたなw。
さて私も久しぶりに投下してみるか。
(なんか最近は人と重なることが多いなw)
- 578 名前:833@ 投稿日:2005/02/15(火) 01:42:10 [ QtsUUJ7. ]
- 「あ…、良かった。雪、止んだみたい…」
下駄箱から外へと出て空を見上げた雪城ほのかが言った。
昼ごろから降り始めた雪は既に止み、空は銀色の雲に覆われていた。
「ちょっと遅くなっちゃったかな?」
時計を見上げると時刻は4時45分だった。
冬の間は日が暮れるのが早いということで部活動は原則4時30分までであった。
降り積もった雪を踏みながらほのかは歩く。とそこで彼女は正門に知った顔を見つける。
美墨なぎさは正門の前で両手にはぁはぁと息を吹きかけながら震えていた。
誰が見ても人を待っている様子なのは明らかだった。
「なぎさ〜〜」
嬉しそうな声を上げ、右手を振りながらほのかはなぎさのもとへと走る。
その声を聞いてなぎさの表情がパァッと明るくなった。
「ほのか!!」
なぎさも笑顔で手を振ってほのかに応える。
なぎさのもとへと辿り着いたほのかになぎさは開口一番で言った。
「こんなところで会うなんて偶然だね」
「え……?」
ほのかはなんと答えてよいのかわからずにいた。
なぎさがほのかを待っていたということは、
さきほどの寒がり方、安堵感を示した表情、そして頭の上の雪などから明らかだった。
「すっごい、偶然だね」
「そ…そうだね…」
ここまで偶然を強調されると、ほのかとしても否定し切れないのでとりあえず同意した。
「なぎさ…、頭に雪積もってるよ…」
なぎさの頭に乗った雪を払いながらほのかは苦笑気味に言った。
「え…本当?あはは、さっきまで振ってたからかな〜」
何かを誤魔化すようになぎさはそんなことを言った。
と少し恥ずかしそうな表情で俯きながら次の言葉を発した。
「せ…せっかくだしさ……。そ…その……」
「?」
「い…一緒に帰らない?」
「え…、いいけど……」
いつも一緒に帰ろうと自然に誘うなぎさだが今日は随分とぎこちない様子だった。
ほのかは不思議に思ったがほのか自身一緒に帰ろうと思っていたので特に気にはしなかった。
とほのかが目を向けるとなぎさが左ポケットから何か紙を取り出してチラリと見ていた。
「なぎさ、どうしたの?」
急にほのかに声をかけられたなぎさは慌ててその紙をポケットに仕舞う。
「ううん!なんでもない!さっ、行こう!!」
「うん」
ほのかは笑顔で答えた。
- 579 名前:833@ 投稿日:2005/02/15(火) 01:42:54 [ QtsUUJ7. ]
- 電車に乗り若葉台に到着する。
その間なぎさはずっと何かを考え込んでいたようだった。
ほのかもなんだか声がかけにくい様子で、結局ほとんど何も話さずに若葉台に到着した。
若葉台の駅の改札を通ると、なぎさが何か思い切った様子で言った。
「ね…ねぇ、ほのか」
「なぁに?」
「その……さ。ちょっと商店街のほうに行かない?」
なぎさやほのかの家のある方向とは反対方向の商店街を指差してなぎさが言った。
「別にいいけど……」
特に反対する理由も無いのでほのかも同意する。
「じゃあ、行こう」
「あ、なぎさ待ってよ〜」
一人で先走っていってしまったなぎさを追いかけるようにほのかも走る。
商店街の店にはまだ今日の雪が残っていた。一面に広がる銀世界が更なる広さを感じさせた。
多くの店が立ち並ぶ商店街をなぎさとほのかは二人並んで歩いた。
「あ、なぎさ。五條さんの新曲出てるよ」
「本当だ。あたし大ファンなんだよね〜」
「そういえば、合唱コンクールの時もこの人の歌歌ったんだよね〜」
「そうそう」
……………
「わ〜、可愛いぬいぐるみ」
「お…大きいね……。これ……」
「ポルンと交換してくれないかな〜」
「ちょ…、な…なぎさ!?」
「冗談だって…」
「もう……」
……………
「格好良いコート…、いくらなんだろう…」
「もう冬も終わりだから安くなってるかもね」
「え〜と…、げ!?」
「いくら?」
「9800円………」
「買えそうにないね…」
「うん……」
……………
「なぎさ、UFOキャッチャーに新しい人形入ってるよ」
「ほんとだ。またほのかにとってあげるよ」
「ありがとう〜。今までのもみんな大事にしてるよ」
「ほのかに可愛がってもらえるなんて幸せな人形だね」
「そ…そうかな…」
「そうだよ」
……………
「なぎさ、なかよしの三月号が出てるよ」
「そういえば今日が発売日だったっけ?」
「買ったらまた一緒に読もうね」
「うん…」
……………
- 580 名前:833@ 投稿日:2005/02/15(火) 01:43:31 [ QtsUUJ7. ]
- 「わぁ……」
文房具店の前でほのかが立ち止まった。
「どうしたの?」
なぎさが不思議そうにほのかに訊ねる。
「え…、あ、あのね…」
ほのかは少し照れくさそうな様子で言った。
「あのシャープペン…。いいなぁって…」
視線の先にはちょっとした飾りのついた一本の白いシャープペンがあった。
「欲しいの?」
なぎさが静かに訊ねる。
「う〜ん。でも今お金無いから……」
残念そうな様子でほのかが諦めたように言った。
「じゃああたしが買ってあげるよ!」
「え!?」
言うや否やなぎさはそのシャープペンを手に取るとレジへ行ってしまった。
「な…なぎさ!?」
止めようとしたほのかの視界から一瞬にして消え去ったなぎさを止めることは出来ない。
更にはなぎさのプレゼント用に包んでください。なんて声が聞こえてきたのだった。
「はい、ほのか」
店を出たなぎさは丁寧に包装されたシャープペンをほのかに手渡す。
「そんな…、わざわざこんなことしてくれなくても……」
逆に困ってしまったという表情でほのかが言った。
「大丈夫大丈夫。あたし昨日お母さんに特別にお小遣いもらったからさ」
がなぎさはいつもどおりの元気な様子で答えた。
「でも、それだからこそ大事に使わなきゃ…」
少し厳しい口調でほのかが言った。もちろん怒っているわけではなく真剣に言っているということだ。
「まあまあ、それにさ。ほのかにたこ焼き奢ってもらったこともあるからさ。そのお礼だよ」
ほのかの肩をポンポンと叩きながら諭すようになぎさが言った。
その言葉でほのかも笑顔になる。
「うん、ありがとう、なぎさ。大事にするね」
なぎさはまたポケットから紙を取り出してチラリと見ている。
「なぎさ……?」
不思議そうにほのかがなぎさに呼びかける。
「え、な…何!?」
大慌てで紙をポケットに突っ込んでなぎさが返事をする。
「どうかしたの?」
「ううん、なんでもないよ…。それよりさ…」
そこで一旦なぎさは言葉を区切る。一度大きく深呼吸し次の言葉を発する。
「ちょっと喫茶店で…、コーヒーでも飲まない…?」
顔を赤くしてなぎさがほのかを誘う。
「え……。いいけど……」
「それじゃあ行こう」
そしてなぎさとほのかは商店街の中の喫茶店に入った。
- 581 名前:833@ 投稿日:2005/02/15(火) 01:44:03 [ QtsUUJ7. ]
- 「チョコパフェとコーヒー二つずつ」
「ちょっとなぎさ!?」
驚いて思わずほのかが声をあげてしまう。
「大丈夫。ここはあたしの奢りだから」
立ち上がりそうな勢いのほのかの肩をポンポンと叩いてなぎさが微笑む。
「そ…そんな、悪いよ……」
ほのかは気まずそうに言った。
さきほどプレゼントを買ってもらったばかりなだけに余計にそう感じるのだった。
「いいんだって。どうせ今日使わなきゃ没収されるお小遣いなんだから」
あっけらかんとした様子でなぎさが答える。
「でも……」
ほのかはまだ少し抵抗の素振りを見せた。が結局はなぎさに押し切られる形になった。
やがてなぎさが注文した二人分のチョコパフェとコーヒーが運ばれてきた。
暫くの間二人はチョコパフェを食べながら会話に花を咲かせた。
いつものようなごく自然なおしゃべりは止まるところを知らない…。
ふとなぎさがおしゃべりを止めて窓の外の風景を眺めた。
冬の商店街は既に闇に包まれ始め、多くの電灯が暗闇を明るく照らしていた。
両肘をテーブルに乗せ目の前で組みながらなぎさはほのかに訊ねた。
「ねぇ…、ほのか……」
ほのかは一つチョコパフェのイチゴを口に放り込んだ。
「ほのかは今……、恋…してる」
「!?」
あまりにも予想外のなぎさの質問にほのかは放り込んだイチゴを詰まらせてしまう。
慌てて水を飲み胸をドンドンと叩き口を手で押さえる。
「ちょっとほのか!?大丈夫!?」
なぎさも慌てて椅子から立ち上がりほのかの背中を手でさする。
ゴホゴホと咳き込んでいたほのかがようやく落ち着いたのは数分後だった。
「ふぅ〜…」
静かにほのかが安堵の溜息をつく。
「もう…、ビックリさせないでよね…」
未だに驚き覚めやらぬ様子でなぎさが言った。
「だ…だって…、なぎさが変なこと聞くんだもん…」
まさかなぎさに恋してる?などと聞かれるなどほのかは夢にも思っていなかっただろう。
普段はそのような話題を自分からは一切口にせず、
またほのかがそのような話をしようとしても、「今その話はしたくない!」と一点張りのなぎさなのだから。
「で…、どう?」
真剣な表情でなぎさが訊ねる。いつもとは違う少し大人びた様子だった。
「どう…かな……。わからない……」
なぎさの真剣な態度にほのかも真剣に答える。
「そういう恋愛感情を抱いてるのかどうか…、ちょっと……わからない……」
それがほのかの解答だった。
「そっか……」
張り詰めた緊張感を解くようになぎさは言った。
なぎさの表情は少し落胆しているような、そんな表情にも見えた。
「そういうなぎさはどうなの?恋……してる?」
からかう様にほのかが訊ねる。え?え?となぎさの頬が急速に赤く染まる。
両手を頬に当て熱く火照った体を冷やそうとする。が、暖房の効いた店内ではそう上手くはいかない。
「そ…それは……」
しどろもどろになって何かを答えようとしている。
がなぎさの声はもうほとんど聞き取れないくらい小さい。
「ちょ…ちょっとトイレ行ってくる!!」
なぎさは大声で叫ぶと一瞬で身を翻しトイレへと走り出した。
- 582 名前:833@ 投稿日:2005/02/15(火) 01:44:44 [ QtsUUJ7. ]
- とその時ポトリとなぎさの左ポケットから小さな一枚の紙が落ちた。
恐らくはさきほどからなぎさがチラチラと見ていたものである。
ひょいとそれを持ち上げて開いてみる。
「あ………」
その紙にはデート計画となぎさの字で大きく書かれていた。
そしてその下には今日のなぎさの行動が箇条書きにまとめられていた。
・ぐーぜんほのかと正門で会う
・いっしょに帰ろうと誘う
・商店街で何かプレゼントする
・きっさ店でチョコパフェとコーヒーを注文する
何度も何度も消しゴムで文字を消し、そして鉛筆で書き直した跡があった。
ほのかの顔から思わず笑みが零れた。
「なぎさったら……」
なぎさが自分のためにこんなことしてくれた。純粋になぎさのそんな行動を嬉しく思った。
ほのかは更に先を読み進める。
・ほのかを家まで送る
・途中で手をにぎる
・「ほのか、これからもよろしくね」って笑って言う
「……………」
ほのかは筆箱からシャープペンを取り出すとその下に更に文章を書き加えた。
そして何事も無かったかのように紙を折りたたむともとあった場所に戻す。
丁度落ち着いたなぎさが戻ってきた。
「そろそろ出ようか?」
今度はほのかからなぎさに切り出した。
「そうだね…」
なぎさもそれに応じる。スッと椅子から立ち上がった。
「あれ?なぎさ、何か落ちたよ」
まるで今ポケットの中の紙が落ちたかのようにほのかが言った。
「え?あ、本当だ!」
慌てて紙を拾い上げてなぎさはそれをポケットの中に仕舞う。
「ありがと、ほのか」
「ううん…」
「それじゃあお会計済ましてくるね」
なぎさは伝票を持つとレジの方へと向かっていった。
「1430円です」
「え!?」
なぎさが信じられないような表情で叫んだ。
チャリンチャリン。財布の中にある金額を全て合計しても1280円にしかならなかった。
(なぎさにしてみれば1280円も十分な大金ではあったが)
「ど…どうしよう…、ありえない……」
「なぎさ?どうしたの?」
戻りが遅いなぎさの様子を心配したほのかが隣に立っていた。
「あ…、ほのか…。実は…」
なぎさはお金が足りなかったことを説明する。
「はぁ、しょうがないなぁ…」
ほのかはポケットから財布を取り出すと足りなかった分の金額を支払う。
「ありがとうございました〜」
一瞬にしてなぎさの信頼を崩した店員が悪魔のように微笑んでいるとなぎさは感じたのだった。
二人が喫茶店を出ると既にあたりは完全に暗闇に覆われていた。
ネオンサイン、そして各店の独自の電灯が燈っていた。
「そろそろ…、帰ろうか……」
なぎさがそう切り出し、ほのかもそれに頷く。
- 583 名前:833@ 投稿日:2005/02/15(火) 01:45:19 [ QtsUUJ7. ]
- 人気の無い道を二人だけで歩いていた。
なぎさはずっとタイミングを窺っているような様子であった。
とここでほのかが紙に書いてある内容を先読みする。
サッとコートのポケットの中に自分の手を入れる。
「あ……」
思わずなぎさが声をあげる。
「どうかしたの…?」
ほのかは小悪魔的な笑みを浮かべるて訊ねる。
「べ…別に……」
プイッと明後日の方向を向いてなぎさが答える。
暫くの間、二人で並んで歩いていると、唐突になぎさが口を開いた。
「ほのか…」
「何?」
「コートのポケットに手突っ込んでると、転ぶよ?」
少し拗ねたような、心配したような、そんな声でなぎさは言った。
「大丈夫よ……」
心配しないで、と言わんばかりに胸を張る。
「うう〜〜……」
「どうかしたの?」
何も知らないかのようにほのかは訊ねる。
「なんでもない!!」
ムキになった様子でなぎさが言った。
「だって寒いんだもん……」
ほのかがそんなことを言った。
「そ…それじゃあさ!」
なぎさが何かを思いついたように言う。
そして強引にほのかの手をポケットから引っ張り出し握り締める。
「こうすれば……、暖かいよ……」
頬を赤く染めたなぎさが俯きながら言った。
(強引だなぁ…)
内心苦笑しながらほのかも笑顔を浮かべる。
「そうだね…」
そして自分からなぎさの手を握り返す。
「!?」
なぎさの頬が更に赤くなったように見えた。
言葉を発することも出来ないようだ。
曇り空の下、二人はほのかの家までの道を手を繋いで黙って歩いたのだった……。
- 584 名前:833@ 投稿日:2005/02/15(火) 01:45:54 [ QtsUUJ7. ]
- 「それじゃあ、なぎさ。また明日……」
雪城家の門の前でほのかはなぎさにお礼をした。
「うん、また明日ね…」
なぎさはチラリと左ポケットの中の紙を見る。
「!?」
とその紙を見て何やら顔を赤くしている。
暫くう〜〜と唸りながら歩き回った後、覚悟を決めたように言った。
「ほ…ほのか!!」
「なあに?」
スッとなぎさはほのかの前に立つ。
そしてほのかの両肩を持ち、雪城家の門へとピタリとくっつける。
「あ………」
驚いたような様子でほのかが言った。
なぎさは肩から手を離し、門の壁に両手をついた。ほのかも扉に頭をつける。
「なぎさ……」
「ほのか……」
そして二人の唇が重なる……。
わずかな月明かりが差し込み二人を照らす。なぎさの右腕がほのかを抱き寄せる
そしてなぎさの腕の中でほのかは目を閉じた……。なぎさもまた、目を閉じる…。
どれほどの時をその姿勢のまま過ごしただろうか……。
「あら、ほのか。お帰りなさい。随分と遅かったわね…」
家の中からほのかの祖母、さなえの声がした。
目を開けた二人の目の前にさなえが立っていた。
「お…おばあちゃま!?」
ほのかが大いに驚き、夜だというのに叫んでしまう。
「どうです美墨さん。夕食ご一緒しませんか?」
目の前で二人が抱き合っている状況を気にもせずさなえはなぎさを夕食に招待する。
「い…いえ、今日はもう遅いし、家に帰れば夕食もあるから…」
なぎさは明らかに動揺していたが、それでもきちんと断る。
「そうですか……」
さなえは少し残念そうな表情で言った。
「それじゃあ、ほのか。先に行ってますよ…」
「は…はい!」
そしてさなえは家の中へと姿を消した。
「それじゃあね、ほのか…」
なぎさもそういい残し踵を返す。
「なぎさ!!」
なぎさを呼び止めるようにほのかが叫んだ。
静かに無言でなぎさはほのかの方へと振り返る。
「デート……、楽しかったよ……」
暗闇で顔はよく見えないが恐らくは赤く染まっていたのではないだろうか。
「そ…それじゃあまた明日ね!!」
そう言ってほのかは家の中へと行ってしまったのだった。
「そう…、なぎささんと二人で……」
「うん。とっても楽しかったよ」
「それはそれは。良かったわね」
「うん…」
夕食の場でほのかは満面の笑みを浮かべていた。
「良かった…、ほのか喜んでくれて……」
左のポケットから一枚の紙を取り出す。
改めてそれを見直してみる。
最後の一行……・右手でほのかを抱きかかえてキスする
「あたし…、こんなこと書いたっけなぁ…?」
自問自答するがどうにも思い出せない。
「ま、いっか!」
冬の暗闇の寒空の下、なぎさは一人明るい気分で家路に着いた。
「デート計画。大成功!!……………かな?」
- 585 名前:833@ 投稿日:2005/02/15(火) 01:47:44 [ QtsUUJ7. ]
- まじめになぎさとほのかのデートシーンでも書こうかと思ったのだが…。
まあ会話シーンだけで上手く表現し切れなかったって感じですね。
なんというかなぎさはやれば出来る子+人に迷惑かけたくない子
っていう自分なりの設定で今回なぎさを書いてみました。
だからちょっとギャップを感じる人がいるかも知れませんね。
- 586 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/02/15(火) 11:11:02 [ kNq0y7FM ]
- >>833氏GJ!
最高でした。
- 587 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/02/15(火) 18:40:32 [ 0wrqgYlU ]
- ξ
_c口___ ゴロゴロ
/ ̄# ̄# ̄# ̄\∧∧
/ # # # # ( ゚Д゚)つ
~~~~~~~~~~~~~~~~∪
おお、良SSだねえ。>>578-584
なぎさの不器用な百合デートのもくろみが
ほのかの少し意地悪な機知で、予想外の方向に転がってく、と。
なぎさが手を繋ごうとしてるのを先回りしてポケットに入れてしまうほのか。
に対して「コートのポケットに手突っ込んでると、転ぶよ?」とおたおたのなぎさ。
とか、笑えるし、こういうなぎほののやり取りの描写はもう堂に入ってますね。
GJでございまする
- 588 名前:プリッキュアスレより430氏/SS「30+1=?」(1/2) 投稿日:2005/02/16(水) 19:16:47 [ gz.fvJvU ]
- .
たまには放課後のほほんとおしゃべりタイム。
特別お話したい事があるわけじゃないけどね。
部活とかおいしいケーキ屋さんとか
好きなオトコノコの告白!なんてしちゃうかも?
ところで、どこの学校でも怪談話はつき物。
ベローネ学院にもモチロン語り継がれる怖いお話が合ったりする。
そこで、今日の放課後おしゃべりタイムのお題は怖いお話。
ベローネ学院七不思議。一番怖がった子が罰ゲーム!って趣向。
* * *
「美術室のバレリーナの石膏像が夜になると目が光りだして…気がつくと
…両手を広げたバレリーナがオシリを押さえたポーズに変わってるの…」
トップバッターは美術部の柏田真由の怖い話。なかなかお話し上手の真由。
「ちっちゃいちっちゃい、ちーっちゃい、ウサギみたいな猫みたいな生き物が
教室をポッポ〜って鳴きながらウロウロウロしているんだって!
おまけにこれから起きることを予言までしちゃう…」
とは志穂のお話…。
「それって全然怖くないよ!」「つーかカワイイ!」
なんてみんなは言うけれど、
「ぎくり!ポルンの事だ!」って一人ビックリしちゃうほのか。
「…それでね、この間の体育祭の時って、
警備の都合とかで校内は立ち入り禁止だったでしょ?
それなのに…誰も居ない筈の音楽室から♪ポロンポロン♪ってピアノの音が…」
千秋の話を「怖くないよ!」って涼しい顔で聞いているけど
「ごくり…」思わず生唾飲み込んじゃうなぎさ。
「夜、校舎に何時までも残っていると科学室の人体模型が
廊下を凄い勢いで走って追いかけて来るんだって!」
とは莉奈のお話。
「もしかしてみんなにバレバレ?」って心配しちゃうほのかなのに、
なぎさの方をそっと見ると
―ガクガタブルブル!―って…
「もう!なに怖がってるのよ!」突っ込みたくなるけど我慢我慢!
「次はなぎさの番だよ」
「ええっと…おにぎりを食べ忘れちゃった翌日、
そのおにぎりを食べたらこわくてこわくて…って駄目?」
「駄目〜〜!!!!!」「怖くないって!」
「ごはんがコワイ(硬い)って駄洒落じゃん!」
「七番目、最後は雪城さんにお願い!」
「怖いの頼むよ〜!」
「なぎさが泣き出しちゃうくらいの!」
「じゃあ私がとっておきの七つ目を。
ベローネ学院七不思議の不思議な所は…
"七"不思議なのに
な・ん・と!不思議が"六つ"しかない事なの!」
「ぎゃあああああああああ〜!!!」
椅子から転げ落ちそうなくらい大きななぎさの叫び声!
「…ってもうなぎさ!ここは怖がるとこじゃないよ!」
「え?あっ!そうか…」
――あはは、うふふ、きゃはは、くすくす――
「つーことで、罰ゲームはなぎさに決定!
みんなの分のジュースを一人で買ってくること!」
「牛乳!コーラ!ウーロン茶!ロイヤルミルクティー!コーヒー!イチゴミルク!」
.
- 589 名前:プリッキュアスレより430氏/SS「30+1=?」(2/2) 投稿日:2005/02/16(水) 19:17:41 [ gz.fvJvU ]
* * *
というわけで、みんなからお金を集めて
誰も居ない廊下をひとりぽっちで
校舎の隅っこの自動販売機までお買い物。
「誰も居ない学校ってなんでこんなに怖いんだろう?
それにしても悔しいなあ…
みんなを怖がらせるお話なんか無いかなァ…」
――♪ちゃりんがちゃんごとん!ちゃりん♪がちゃん!ごとごとごっとん…
注文メモを見ながら自販機を次々と…
――志穂の牛乳、莉奈がコーヒー。
真由のコーラ、千秋がウーロンほのかはミルクティ…
わたしがレモンスカッシュ。あれ?イチゴミルクって誰だっけ?
頭の中に「?マーク」がつきながらも自販機にお金を…
――あれ?お金が足りない!
「おっかしーなー…」
と、その時!
――とんとん――
なぎさの背中が誰かに突つかれた!
「ぎゃああああ!!!!!」
廊下に響くなぎさの絶叫!
「きゃ!びっくり!驚かせちゃった?」振り返ると"森岡唯"!
「なァんだ唯かァ…驚かせないでよ!」ほっとしたけどへなへな〜って力が抜ける。
「なぎさ一人じゃ大変でしょ?お手伝いに来たんだけど…
ふふふ、なぎさってホントに怖がりだね!」
ぺロッて舌だしてゴメンゴメンって唯の顔。
「別に怖がってなんか無いよ!ただビックリしただけ。
ねえ、それより唯、何か怖いお話し知らない?
みんなを怖がらせて見返したいの!」
「…あるよ。とっときのヤツ…聞きたい?」
ジッとなぎさを見据える唯。
「ごくり…聞きたい…」
「あのね…二年櫻組でふと、クラスの人数を数えるでしょ。
そうすると一人多いの。でも誰が多いのか判らないのよ。
気のせいだろう?数え間違えだろう?って考えて
机とか椅子を人数分ちゃんと用意するの。
でも…やっぱりひとつ足りないの」
「それって…」
「そう…座敷童子が二年櫻組にいるのよ」
「怖い…」
「平気よ。ちょっとイタズラっ娘だけど可愛くて
きっとなぎさの良いお友達になれるよ!」
「止めてよ…その座敷童子って…実話じゃないよね?」
「変ななぎさ!だって今なぎさは座敷童子とお話してるじゃない!」
「…え?」
「うふふ…私が座敷童子って言ったらビックリする?」
――え?あれ?さっき怖い話の時、
志穂莉奈、真由に千秋。それにほのかと私、
六つの怖いお話したのにほのかは自分が七つ目って言った?
あれ?さっき唯って教室にいたっけ?あれ?あれ?あれ〜?
* * *
いつのまにかなぎさは教室でみんなとおしゃべり。
「あれ?わたし、何時の間に教室に戻ってきたんダロ?
誰かとおしゃべりしながら廊下を歩いていたような…」
「なぎさ、ジュース多いよ!なんで七本も買ってきたの?
誰もイチゴミルクなんて頼んでないよ?」
「なぎさ一人で二本も飲むんでしょ!太るゾ〜!」
「あれ?何で私イチゴミルクなんて買っちゃったんダロ?
ま、いっか!飲んじゃおうっと!」
ひょいっ♪とイチゴミルクに手を伸ばすと
――ありゃ?中身がない!どーして?
――ゴチソウサマ!――
おしまい
- 590 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/02/16(水) 19:18:18 [ gz.fvJvU ]
- 【プリッキュアスレより430氏/SS「30+1=?」】
驚きのメロン・クオリティ。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/430-436
これだけ込み入ったお話にもかかわらず、軽やかに読ませる手腕には、
とにかく感服でございまする。とくに書き出しが抜群に上手いのでビックリですね。
一見たわいない話で読み手の注意を誘っておいて、徐々に
「放課後に・ベローネ学院櫻組の面々で・罰ゲームありの・怪談大会」の
文脈へしぼりこんでいく。その導入が上手くいっているからこそ、
後の七不思議に仕掛けられた巧緻なトリックも利くわけで。職人様の仕事です。
- 591 名前:プリッキュアスレより444氏/SS「昼休み」(1/2) 投稿日:2005/02/16(水) 19:19:15 [ gz.fvJvU ]
- .
学校で一番のお楽しみといえば、やっぱりお弁当。
家でも朝ごはんとかお夕飯とか食べられるだろうって?違うのよ、これが。
仲のいいお友達とワイワイおしゃべりしたり、
ちょっとお行儀の悪い食べ方をしたり、そんなのが良いの。
わたしにとって特別でとっても大切な時間。
「いっただっきまーす!」
なぎさが言うより早くお弁当箱の包みを開きふたを開ける。
「今日のおかずは何だろな♪ハンバーグポテサラプチトマト♪どれから食べよっかナ♪」
ひょい♪ぱくむしゃもぐ♪むしゃ♪
「いただきます」
なぎさの隣でわたしは静かに手を合わせ膝の上のランチボックスを開く。
大好きなおばあちゃまが作ってくれたサラダにタマゴとツナのサンドイッチ。
ちっちゃな箱にはイチゴのデザート。ポットの中には熱い紅茶。
「そうそう、なぎさに注意したい事があるの、今日も遅刻したでしょう…
それにハンカチ忘れたからってスカートで手を拭かないの…
それから、授業中居眠りしてた…ちゃんと早寝早起きしなきゃ…
予習復習ちゃんとやってるの…宿題だけじゃないんだから…
それと、さっきも廊下を靴のままで歩いて…あと今週掃除当番…」
「ごちそーさまー!」
「え!?なぎさ!?もう食べ終わったの?」
身体を後ろにのけぞらせ、お腹を満足そうにさすりながら
「うん♪もう食べちゃったよ。私もほのかに注意したい事があるの!
ごはんを食べる時はおしゃべりに夢中にならない事。わかった?」
「…なぎさってば!」なぎさに一本取られた。降参。わたしの負け。
- 592 名前:プリッキュアスレより444氏/SS「昼休み」(2/2) 投稿日:2005/02/16(水) 19:19:59 [ gz.fvJvU ]
- .
わたしが一口目のサンドイッチを口に入れたとき
――ごちぃぃぃん!!
すっごい音。なぎさが頭を押さえてうずくまっている。
「な…何してるの?」
「痛ッ!いい天気で…眠たいから…横になって…頭打った…くぅぅ…痛い…」
「もう!あなたって人は!」これだからなぎさから目が離せない。
苦笑いするわたしのひざをなぎさが抱える。
「な…何するの?」
「へへへ、ひざまくら。」ころん♪となぎさが頭をほのかのひざの上に乗せる。
「ちょっとぉ…」照れくさいよ。
この屋上には他の生徒も同じようにお弁当を食べに来ている。
それでなくともなぎさは目立つのに…
「ふぅぅ…気持ち良い。このままでいいでしょう?」
戸惑うわたしにはお構いなしで無邪気な目でそんなこと言われては…
「うん、いいよ。」って言うしかないじゃない?
くかーすぅ…くぴー…むにゃ…
「ってもう眠ってるし…」
なぎさを起こさないようゆっくりと、静かに、サンドイッチをほおばる。
おかげでいつもの倍の時間、たっぷりかけてお昼を食べた。
膝の上で眠るなぎさを見つめる。
意外とまつ毛長いんだな。あれ?ちょっと前髪伸び過ぎじゃない?
後で髪を切るよう言わなくちゃ。
前髪が乱れておでこにかかっているので起こさないように、そっと撫ぜる。
寝息が乱れる。眉をひそめて不満そうな顔。
気がつけばいつの間にかお日様が傾きなぎさの顔を照らしている。
少しだけ身体を右に。日陰を作る。
穏やかな顔に戻り、再び幸せそうななぎさの寝息。
――ふぅぅ…世話の焼ける。頼まれてもいないのにね。
――こういう時間を大切にしたくて、わたしとなぎさは戦っているんだ。
♪きんこんかんこん♪きんこんからんころん♪
お昼休みの終りを告げる鐘の音。
ぱたぱたと急いで教室へと帰る生徒達。
膝の上に確かに在るなぎさの心地よい重み。
「今日はこのまま五時間目さぼっちゃおうかな?」
おしまい
- 593 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/02/16(水) 19:20:34 [ gz.fvJvU ]
- 【プリッキュアスレより444氏/SS「昼休み」】
構成も展開もとくにない、ただ静穏でシンプルな詩情を主にしたSS。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/444-447
情景に対する豊かな想像力から、言葉を切り詰めていって、読み手に
状況が伝わるか伝わらないかの境に最終的に表現を落ち着かせる器用さ。
体言止め、改行、一行空けを駆使し、ほのかの単純な心の動きをそのまま伝えるリズム。
一つの文体として完成されてる。内容も、本編であってもおかしくない精彩な描写。見事。
というか本編でも、例えば、46話以前にこういう場面をちょっと挿むだけで、
その後の戦いの壮絶が活きたのにねえ、とか詮無いことを今更思いますた。
- 594 名前:プリッキュアスレより462氏/SS「闇と虹」(1/3) 投稿日:2005/02/16(水) 19:21:23 [ gz.fvJvU ]
- .
「我々は自由が欲しい。その為にはジャアクキングを倒さねばならん。
ならば、お互いに倒すべき相手は同じ…そうじゃあないかね?」
プリキュア対ダークシードの戦闘中ベルゼイガートルードが突然話し出す。
「あんた、何言ってるの?」
戦闘の興奮のまま怒りに満ちた声で応じるなぎさ。
しかしベルゼイは
「取引をしようと言っているんだ。」落ち着いた声で諭すように語る。
「いい考えね!」なぎさを制するようにほのかが割ってはいる。
「ほのか!?こいつらと取引なんて!?正気?」
「依存が無いなら同盟成立の握手と行こうか?」右手を差し出すベルゼイ。
「その前に条件があるわ、番人を帰して!」睨み付け逆に条件を出すほのか。
「調子に乗るんじゃあないよ!」レギーネが怒声張りあげる。
あくまで冷静なベルゼイ。
「成る程、かまわんだろう。」
「ニヤリ…ほのかもなかなかの交渉上手ね!取引と見せかけて番人を取り戻す…」
「しかし我々にも条件がある。
レギーネを監視役としておまえ達の傍に着いて行かせる事。かまわんな?」
「ええええええ????ベルゼイ!そんなの聞いていないわよ!」
「かまわないわ。取引成立ね。」
「ええええええ???ほのか〜!!!???」
レギーネとなぎさにかまわずベルゼイとほのかが
奇妙な同盟関係を結ぶ握手を交わす。
- 595 名前:プリッキュアスレより462氏/SS「闇と虹」(2/3) 投稿日:2005/02/16(水) 19:22:04 [ gz.fvJvU ]
- .
「ほのか、あいつ尾行してくるよ〜!?」
ベローネ学院への通学路、ほのかとなぎさの後を影のように付き纏うレギーネ。
「そう言う約束だもの、当たり前でしょ?」
「ねぇ、ここなら2対1やっちゃおうよ!」
なかなか物騒で過激な事を提案するなぎさ。
「だ〜め!約束は約束!それにジャアクキングは手強いわ、
ダークシードの三人を味方につけて戦う方が有利よ!」
それに…ジャアクキングを倒した後、帰す刀でダークシードの三人を…
なかなか腹黒で策士なほのか。
「レギーネって言ったっけ?いつまでそんな格好してるのよ!
ピンクのクルクルヘアーじゃ目だって仕方ないよ!
尾行するなら人間の姿でいなさいよ!」
「ふん!」
面白くない!って顔しながらも目立つのは不味いカナと思い直し
虹の園での形態小山翔子に変身し直す
なかなか素直で従順なレギーネ。
「×××。」俯いたままもごもごとつぶやく翔子。
「え?なあに?何か言った?」聞き返すほのか。
「×××。」
「聞こえない!」イライラした声でなぎさが問いただす。
「これでいいでしょ!って言ったの〜〜!!!!」
* * *
転校生として二年櫻組に潜入した小山翔子。
「翔子、こっち来なさいよ!」
お昼休み一人ぽつんと教室の隅の翔子になぎさが声を掛ける。
「…」
「一緒にお弁当食べようって言ってるのよ!」
「ぁ…あの…いいの…?」戸惑ってどうしていいか解らない。
「勘違いしないでよね!あんたから目を離したら学校のみんなに
何するか危なくってしょうがないから、仕方なく誘ったんだからね!」
「…ありがとう」
「ありがとうって、人の話ちゃんと聞きなさいよ!もう!調子狂うなあ!
ほら!玉子焼きあげるよ、私のお母さんの焼いたの美味しいんだから!
ありがたく食べなさいよ!」
「結構仲良くやってるじゃない。」ちょっと楽しい気分のほのか。
- 596 名前:プリッキュアスレより462氏/SS「闇と虹」(3/3) 投稿日:2005/02/16(水) 19:22:47 [ gz.fvJvU ]
- .
そして…ジャアクキングとの最終決戦!
ジャアクキングの力は強大で邪悪。
プリキュア+ダークシードでも歯が立たない!
地面に叩き付けられたプリキュアを
ジャアクキングが拳を振り下ろし撃ち砕かれようとした時!
ジャアクキングの攻撃から身を挺してふたりをかばい護るダークシード達!
そして…プリキュアの身代わりとなり砕け散るダークシード達…
「我々はジャアクキングと自分の自由な意思で戦った…
自由…いい響きだ、敗れたとはいえ悔いはない。さらばだプリキュア!」
「ベローネでの学院生活…短かったけど楽しかったわよ。じゃあね!」
「おまえ達ふたりならジャアクキングをきっと倒せるさ。
元気を出せ!頼んだぞ。」
「ベルゼイガァァトルゥゥゥドォォォオオオオ!!!
ジュナァァァァァアアアア!!!
レギィィィィィネェェェエエエエ!!!!」
涙を拭いて起ち上がるふたり
ほのか!なぎさ!行くよ!渾身の!!!
「プリキュアマーブルスクリュゥゥウウウウ!!!」
おしまい
- 597 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/02/16(水) 19:24:37 [ gz.fvJvU ]
- 【プリッキュアスレより462氏/SS「闇と虹」】
ネゴシエーター・ベルゼイと、案外人目を気にする素直なレギーネ。いいね。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/462-465
ありうべきダークシードとプリキュアとのかかわり合いを描いたSS。
確かに、あれだけ人間くさいキャラクターだった(というか元人間)のに、
キリヤみたいなフォローもなく消えていったというのは侘しく感じまする。
まあ三人揃ってあと残り19話(31〜49話)では、闇と虹との複雑な交渉は
描けなかったんだろうけど、上SSのように最後共闘ぐらいはあってもよかったな。
と、また今更詮無いことを。
- 598 名前:フリチラ氏/マックスハート第一話パロディ(1/2) 投稿日:2005/02/16(水) 19:25:17 [ gz.fvJvU ]
- .
・ ・ ・ ・ ・
「さあ、新キャプテン、抱負を述べて」
今度は放課後である。今期からラクロス部のキャプテンとなったなぎさに、莉奈が
今年の抱負を求めていた。しかし、
「絹ごしで!エヘへ・・・」
なぎさは父親ゆずりのアレで、一発かましてしまった。もちろん、部員たちは呆れ顔。
それは豆腐でんがなというツッコミも、誰一人発しない。
「あれ?もしかして、もめんだったかな?それとも高野・・・」
料理をしている訳ではない。なぎさはまだ、駄洒落を引きずっていた。
「あのねえ・・・」
莉奈がたまりかねて前へ出た。なぎさの良き友人であり、頼り甲斐のある仲間の彼
女も、この時ばかりはさすがに怒り心頭気味。ウケなかった駄洒落はすぐに捨て、
切り替えをしなければならないという芸人の鉄則を破ったなぎさが、どことなく許せな
いでいるようだった。
「みんな、新キャプテンを押さえ込め!」
「はーい!」
莉奈の呼びかけに応じ、部員たちがなぎさに襲い掛かった。いったん変身さえすれば、
無敵の強さを誇るなぎさも、ここでは無力な少女にしか過ぎない。それ以上に、キャプ
テンの威厳がまるで無いのが気になるところだが、それはおいておく。
「あ、ありえない!」
手を取られ、足を取られて彼女はお約束のように叫んだ。ちなみに今年から、ラクロス
部はスパッツが禁止になったので、暴れるなぎさのアンダースコートがいい感じにチラ
ついている。
「みんな、なぎさをひっくり返して」
莉奈の指示によって、哀れにもなぎさはまんぐり返しの姿となった。繰り返すが、今年
からラクロス部はアンスコが義務化されたので、この場が全体的に非常に良い眺めと
なっている。想像してもらいたい。恋も知らぬ新品の女子中学生様たちが、生アンスコ
で暴れまわる姿を──大概の男であれば、大枚はたいても見たい景色ではなかろうか。
「アンダースコートを脱がすのよ」
「やめて、莉奈!」
(以下中略)
.
- 599 名前:フリチラ氏/マックスハート第一話パロディ(2/2) 投稿日:2005/02/16(水) 19:25:50 [ gz.fvJvU ]
- .
それからしばらく後、ほのかとなぎさは連れ立って下校していた。もう、日は暮れなずみ
街は穏やかに夜に包まれかけている。
「エライ目にあっちゃってさあ」
少しがに股気味に歩くなぎさ。まだ、異物が膣内を塞いでるような感覚が残っている。
「あたし、キャプテンっていう柄じゃないんだよなあ・・・」
「ううん。きっと大丈夫よ、なぎさなら」
好きよ好きよキャプテン──ほのかは祖母から聞いたギャグを披露しようとしたが、やめ
た。さすがに元ネタが分からないからだ。
「あっ・・・」
帰り道を半分ほど過ぎたときである。なぎさが、対面の歩道にいる少女に何かを感じ
取ったのは──
「あれは・・・?」
ほのかもそれに同調する。そして、走りゆく車の影に垣間見えるその少女を確かめた
ふたりは、
「アレ、ちびうさじゃないの?」
「あ、あたしもそう思った。ちょっと成長したちびうさ・・・セーラームッフ〜ンに
出てた・・」
と、ミもフタも無い・・・否、根も葉もない事を言った。
「あっ、消えた・・・」
車が何台か行き交った後、その少女の姿は消えていた。なんかこう、いかにも前フリ
っぽい感じで。
「使いまわし?」
と、なぎさ。それにほのかが、
「リサイクルって言いましょうよ」
と、言葉を繋ぐ。映画版とのからみもあるし──ほのかはにこやかに言う。
「なにせ、マックスファクターだからね」
「それじゃ化粧品よ。ふふっ、なぎさったら・・・」
どちらかが言い出したわけでもないのに、ふたりは走り出した。良く分からないが、とに
かく新番組おめでとうって雰囲気で──
「これからもよろしくね、ほのか」
「こちらこそ、なぎさ」
手に手を取り合い駆けて行くふたなりプリキュア。そして、販促のために頑張るぞと、
夕日に向かって叫ぶのであった。
おしまい
- 600 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/02/16(水) 19:26:34 [ gz.fvJvU ]
- 【エロパロスレよりフリチラ氏/マックスハート第一話パロディ(SS抜粋)】
マックスハート第一話放映後さっそくの、フリチラ氏の新作SS。
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1075836650/859-864
例によって21禁パートを割愛しての部分転載。そしてまた、例によって
「想像してもらいたい。恋も知らぬ新品の女子中学生様たちが、生アンスコで
暴れまわる姿を──」など、氏の、妙に投げやりで韜晦の利いた文体も健在であります。
元ネタ不詳の駄洒落も健在。作者の年齢が気になるところだが、それはおいておく。
……しかし、プリキュアSSの書き手って、それほど多くないと思うのですが
なにゆえこんな少し風変わりな方ばかりなのでしょうか。不思議でなりません。
氏のSSを通して読みたい方は上記のリンク先へゴー
- 601 名前:プリキュアSS作品INDEX_501-600 投稿日:2005/02/16(水) 19:31:14 [ gz.fvJvU ]
- 作品INDEX_001-100 >>101-102 作品INDEX_101-200 >>201-202
作品INDEX_201-300 >>301-302 作品INDEX_301-400 >>401-402
作品INDEX_401-500 >>501-502
.
【SS「ほの×アカ」】 >>503-509
作者:833@氏
【SS「高校同棲編 - なぎさの独り言 -」】 >>512
作者:833@氏
【SS「ふたりはプリキュア 〜The another prism stone〜」】 >>519-543
作者:833@氏
【百合SS「真由×なぎ」】 >>555-556
作者:小説スレの555氏
【百合SS「春の風」】 >>558-560
作者:833@氏
【ネタSS「地獄」】 >>564
作者:833@氏
【ネタSS「プリキュア バレンタイン ア・ラ・カルト」】 >>568-574
作者:予想係(呑気)氏
【百合SS「なぎさのデート計画」】 >>578-584
作者:833@氏
【SS「30+1=?」】 >>588-589
作者:プリッキュアスレより430氏
【SS「昼休み」】 >>591-592
作者:プリッキュアスレより444氏
【SS「闇と虹」】 >>594-596
作者:プリッキュアスレより462氏
【マックスハート第一話パロディ(SS抜粋)】 >>598-599
作者:エロパロスレよりフリチラ氏
※題名には便宜的な仮タイトルも含まれます
- 602 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/02/16(水) 20:25:07 [ AaUMSzRM ]
- 神の棲むスレ認定
特に>>578-584
萌え殺されるところでした
- 603 名前:833@ 投稿日:2005/02/17(木) 14:32:04 [ lAFYx9ek ]
- 「……………?」
美墨なぎさはふと目を覚ました。
「あれ……?」
ぼやけた視界を鮮明にするために瞬きをする。
「ん………」
右手を額に上に翳しなぎさはゆっくりと目を開く。
なぎさに瞳に映ったものは歴史を感じるさせるような茶色の木の天井。
体を起こさずに横になったままの姿勢でなぎさは顔だけを右に向ける。
「……………」
夏の日差しに広い庭が光り輝く。
そして、なぎさはようやく自分の状況を把握した。
(そっか、あのまま寝ちゃったのか……)
夏休みが始まったのは四日前。
ほのかと一緒に宿題をやるという口実のもと、今日なぎさはほのかの家に泊まりに行くことになっていた。
もちろん口実といえど一応学生の義務でもある宿題をほのかと始めた。
始めた……。のだが、そんなに長続きするハズも無かった。
結局午前中いっぱいで集中力は切れてしまい、午後はアイスを食べながらずっとおしゃべりをしていたのだ。
そしてふとなぎさが縁側でお昼寝でもしないかと提案したのが全ての始まり。
なぎさとほのかは二人縁側で横になったのだった。
最初は寝転がった姿勢のまま二人で相変わらずおしゃべりをしていたのだが、
どうやらいつの間にか眠ってしまったらしい。
二人のパートナーであるメップルやミップル、そしてポルンも今は眠っているようだ。
「ん………」
なぎさが今度は体を左側に倒すと目の前にはスヤスヤと寝息をたてているほのかの顔があった。
体を右側に倒して手を畳んで眠っている。以前泊まりに来たときとほとんど同じ寝相だった。
ほのかはどうやら縁側を通る祖母のさなえのためになぎさと一列になるように横になっていたらしい。
(綺麗な寝顔だなぁ…)
なぎさは素直にそう感じた。そして再び天井を見上げるとフゥと溜息をついたのだった。
「んっと……」
ゆっくりと少し気だるそうに上半身を持ち上げる。
長い奥行きを感じさせる通路がなぎさの目の前に広がった。
なぎさはそのまま立ち上がらずにズッズッと手とお尻の力で数歩バックする。
そしてほのかと横に並ぶようにうつ伏せに倒れこむ。
「ん……」
とそこでほのかが寝返りを打つ。おっととなぎさはほのかにぶつからないように動く。
そして白いワンピースを着ているほのかが仰向けの姿勢になる。
なぎさはうつ伏せの姿勢のままで左を向きほのかに視線を向ける。
静かな寝息をたてているほのかの胸、そしてお腹が上下に少し揺れている。
(……………)
ツンツンと横から人差し指でほのかの胸を突付く。ほのかの反応は無い。
なぎさはもう一度突付いてみる。ぷよぷよした柔らかい感触が伝わる。
「んっ……」
ほのかが声をあげてくすぐったいような様子で体を少し動かす。
- 604 名前:833@ 投稿日:2005/02/17(木) 14:32:46 [ lAFYx9ek ]
- 理性。現在進行形でなぎさの体に存在するその二文字の言葉が崩壊している。
なぎさは上半身を起こすと、ほのかの胸を見つめる。
自分と同い年のハズなのに自分の小ぶりなものに比べるよやはり大きいといわざるをえない…。
ジーーーッ……。熱い視線をほのかの両胸に注ぎ続けたなぎさはハッと気づいた。
「なにやってんだろ……」
独り言としてそんなことを呟いたが、崩れ落ちた理性を自力で積み上げることはそう容易には出来ない。
無意識のうちにほのかの両手を自分の両手で握る。
ゆっくりと、ゆっくりと自分の顔をほのかの二つの膨らみに埋める。
(こ……これは………)
木製の縁側の堅さに頭を痛ませていたなぎさには信じられないような柔らかさだった。
頬を赤く染めながらなぎさは弾力性のあるほのかの胸の上で自分の頭を何度も揺らす。
(柔らかくて……。気持ち良い……)
そんな感想を思いついたところでなぎさはようやく理性を少し取り戻す。
(ってあたし何やってんだろ…。これじゃあ変態じゃん……)
「ん〜〜〜」
ほのかは苦しそうな寝息をたてる。まあ上から押し潰されているわけだから当然といえば当然かも知れない。
「なぎさ〜、遊ぶポポ!!」
突然大きな声が聞こえ、なぎさは完全に我に返った。
コミューンの形態から小さな体へと変身したポルンがなぎさの元に寄ってくる。
なぎさは慌ててほのかの胸から顔を上げて、体勢を立て直す。
「遊ぶポポ!遊ぶポポ!」
ピョンピョンと二人の周りを飛び跳ねながらポルンが誘う。
「ああ、もう。今良いとこなんだから静かにしててよ!!」
なぎさは頭を掻き毟りながらポルンを叱る。
がなぎさのその発言が導火線となり一気にポルンを爆発させる。
「う…、う…、うわぁぁぁん。遊ぶポポ!!遊ぶポポ!!」
縁側に転がり両手両足をジタバタさせながらポルンが暴れまわる。
泣きながら我侭を言うポルン。普段のなぎさなら根負けして言うことを聞くことも多い。
が現在のなぎさにそんなことをすることは火に油を注ぐ行為なのである。
しかし幼き王子ポルンがそんなことを知る由は無かった……。
「うるさいなぁ…。ほのかが起きちゃうでしょ!!」
さっきまでずっと眠っていたにも関わらず、起きてすぐに遊ぼうなどというポルンになぎさの怒りが炸裂する。
「!?」
「お願いだからおとなしくしててよね!!」
右手でなぎさはポルンの口を押さえつける。
「!?フォ…フォフォ……」
口を押さえられて某特撮の某Bタン星人のような声をあげるポルン。
始めは必死に抵抗の素振りを見せるのだが、なぎさのリンゴをも握りつぶす握力の前に徐々に力を失う。
「フォ………フォ……」
ポルンの意識は薄れゆき、やがて完全に反応も無くなったのであった。
もちろん呼吸困難に陥り気絶しただけである。命に別状は無い(本当か?)。
「はぁ…、お願いだからもう起きないでしょね……」
意識を失ったポルンの口から右手を離し、疲れたようになぎさが呟いた。
「これでもう起きなかったら殺人だメポ……」
別のコミューンが開きなぎさのパートナーであるメップルが飛び出した。
「あんたもまだ寝てなさい!」
超早業でカードを引き抜きスラッシュする。
「ああ…、何を……す……る……メ……ポ……」
パタンとコミューンが閉じるとメップルの意識も再び眠りについたのであった。
- 605 名前:833@ 投稿日:2005/02/17(木) 14:33:26 [ lAFYx9ek ]
- 「ふぅ………」
ようやく落ち着いたのか、なぎさが一つ大きな溜息をつく。
しかし容赦無しに次の難関がなぎさに襲い掛かる。
「ワンワン!!」
「!?」
庭の方向へと視線を向けるとそこにはほのかの愛犬忠太郎が吠えているのだった。
飼い主の危機を感じ取ったのかどうかは知らないが以前の闇の使者に対しても鋭い反応を見せたあたり、
なかなか鋭い感覚の持ち主である。
「ああ、もう…。お願いだから静かにしてて、ね。忠太郎!」
忠太郎の前で膝をついて、両手を合わせてお願いするように頼むなぎさ。
その誠意が伝わったのか、忠太郎はゆっくりと静かに自分の小屋へ戻っていった。
なぎさはほっとしてほのかのもとへ戻る。
それにしても人間の言葉でなぎさとコミュニケーションを取ることの出来るポルンと出来ない忠太郎。
なぜに忠太郎のほうが聞き分けがいいのであろうか?やはりクイーンとさなえの施した教育のよる違いなのか。
真に人間を救うのは正しい教育であると聞くが非常に興味深いところであろう。
それはそうとなぎさ。再びほのかの胸に頭を埋める。ということはさすがに自粛。
可愛げに安らかな寝息をたてるほのかの顔を向かい合う。
(ほのかは……、なんでこんなに可愛いんだろう……)
手を伸ばし、ほのかの長いストレートの黒髪を梳きながらなぎさは思った。
実際ほのかがどれくらい可愛いのか、など普段のなぎさは意識しない。
それでも商店街をほのかと一緒に歩いていると多くの視線を感じる。
多分ほのかをことを見ているのだろうとなぎさは思っている。
それと同時に多少の不安を感じる。果たして自分なんかがほのかの傍に居ていいのだろうか…。
ほのかはもっと知的で格好良い男性と付き合うべきなのではないだろうか。
(こんなことほのかに言ったら…、怒られちゃうよね……)
微笑みを浮かべながらほのかを顔を見つめる。
(ほのか………、どんな夢見てるのかな………?)
なぎさは静かに床に着いたほのかの左頬に手を当てた。
ヒンヤリとしたほのかの頬の感触がなぎさの手に伝わる。
その姿勢のままで目を閉じ、なぎさはほのかの額に口付けをする……。
自分の行動で自分の頬を赤く染めるなぎさ。
(やっぱり…、唇はちょっとね…。ってあたし何考えてんだ!?)
自分でボケて自分でツッコむ。なかなか器用な芸当をするなぎさであった。
(ほのか……。好きだよ……)
心の中でなぎさは眠るほのかの前で自分の気持ちを告白する。伝わるわけはないのだが…。
とそこに足音が聞こえる。
もちろん今この家にはなぎさとほのか以外には雪城さなえしか居ない。
がなんとなく自分だけ起きているといろいろとまずい様な気がしたので、
なぎさはほのかの横で寝たフリをすると決める。
がなぎさが器用に寝たフリをしようとすることが間違いであったのかも知れない。
スーッスーッ……。
「あらあら…、二人とも寝ちゃったのね……」
さなえは微笑ましそうな声をあげて二人の横を通り抜けていった。
夏の昼の日差しはまだまだ強い………。
無意識のうちになぎさの手がほのかの手を握り締めていたことは誰も知らない。
- 606 名前:833@ 投稿日:2005/02/17(木) 14:34:27 [ lAFYx9ek ]
- 「……………?」
雪城ほのかはふと目を覚ました。
「あれ……?」
ぼやけた視界を鮮明にするために瞬きをする。
「ん………」
右手を額に上に翳しなぎさはゆっくりと目を開く。
ほのかに瞳に映ったものは幼い頃から見慣れた歴史を感じるさせるような茶色の木の天井。
体を起こさずに横になったままの姿勢でほのかは顔だけを右に向ける。
「……………」
開いたふすま、広がる畳の和室。大きなベッドと机。
そして、ほのかはようやく自分の状況を把握した。
(そっか、あのまま寝ちゃったんだ……)
夏休みが始まったのは四日前。
なぎさと一緒に宿題をやるということで、今日なぎさがほのかの家に泊まるに来ることになっていた。
最後のほうはいっぱい遊びたいと言うなぎさのために、早く終わらせるために宿題を始めた。
始めた……。のだが、なぎさの集中力がそんなに長続きするハズも無かった。
結局午前中いっぱいで集中力は切れてしまい、午後はアイスを食べながらずっとおしゃべりをしていたのだ。
そしてふとなぎさが縁側でお昼寝でもしないかと提案したのが全ての始まり。
なぎさとほのかは二人縁側で横になったのだった。
最初は寝転がった姿勢のまま二人で相変わらずおしゃべりをしていたのだが、
どうやらいつの間にか眠ってしまったらしい。
二人のパートナーであるミップルやメップル、そしてポルンも今は眠っているようだ。
「ん………」
ほのかが今度は体を左側に倒すと目の前にはスヤスヤと寝息をたてているなぎさの顔があった。
体をほのかの向きに倒して手を畳んで眠っている。
(あれ…?)
縁側で寝転がった時はなぎさの頭と足は今とは逆方向を向いていたハズだった。のだが…。
なぎさはどうやらいつの間にかほのかと川の字のように並んで眠っていたらしい。
(可愛い寝顔だなぁ…)
ほのかは素直にそう感じた。そして再び天井を見上げるとフゥと溜息をついたのだった。
「んっと……」
ゆっくりと少し気だるそうに上半身を持ち上げる。
長い奥行きを感じさせる通路がほのかの目の前に広がった。
「ん……」
とそこでなぎさが寝返りを打つ。おっととほのかはなぎさにぶつからないように動く。
そして紺色のタンクトップを着ているなぎさが仰向けの姿勢になる。
ほのかはうつ伏せの姿勢で再び横になる。
その姿勢のままで右を向きなぎさの顔に視線を向ける。
静かな寝息をたてているなぎさの胸、そしてお腹が上下に少し揺れている。
(……………)
ツンツンと横から人差し指でなぎさの胸を突付く。なぎさの反応は無い。
ほのかははもう一度突付いてみる。ぷよぷよした柔らかい感触があまり伝わらないようが少しは伝わる。
「んっ……」
なぎさが声をあげてくすぐったいような様子で体を少し動かす。
- 607 名前:833@ 投稿日:2005/02/17(木) 14:35:59 [ lAFYx9ek ]
- 理性。現在進行形でほのかの体に存在するその二文字の言葉が揺れ動く。
ほのかは上半身を起こすと、なぎさの胸を見つめる。
自分と同い年のハズではあるが、まだまだ第二次性徴の過程なのだろう、まだまだ小ぶりだ。
ジーーーッ……。熱い視線をなぎさの両胸に注ぎ続けたほのかはハッと気づいた。
「なにやってんだろ……」
独り言としてそんなことを呟いたが、揺れ動く理性を自力で保つことはそう容易には出来ない。
無意識のうちになぎさの両手を自分の両手で握る。
ゆっくりと、ゆっくりと自分の顔をなぎさの二つの膨らみに埋める。
(こ……これは………)
木製の縁側の堅さに慣れていたほのかには見た目からは信じられないような柔らかさだった。
頬を赤く染めながらほのかはは予想外に弾力性のあるなぎさの胸の上で自分の頭を何度も揺らす。
(柔らかくて……。気持ち良い……)
そんな感想を思いついたところでほのかはようやく理性を少し立て直す。
(って私何やってんだろ…。)
が理性を立て直したほのかはある意味理性を失っているときより危険かも知れない。
(気持ち良い……)
スリスリとなぎさの胸の上でほお擦りをする。
「ん〜〜〜」
なぎさは苦しげな寝息をたてる。まあ上から押し潰されてスリスリと更に圧迫されたら当然かも知れない。
「ほのか〜〜、遊ぶポポ!!」
突然大きな声が聞こえ、ほのかは完全に我に返った。
なぎさによって意識を失わされていたポルンがほのかの元に寄ってくる。
ほのかはは慌ててなぎさの胸から顔を上げて、体勢を立て直す。
「遊ぶポポ!遊ぶポポ!」
ピョンピョンと二人の周りを飛び跳ねながらポルンが誘う。
「ポ…ポルン……。し…静かにして、なぎさが寝てるんだから……」
まるで赤ん坊が眠っているかのようにほのかは言った。
「ワンワン!!」
とそこに再び飼い主の危機を感じた忠太郎がやって来た。
つくづく鋭い感覚を持った犬である。
あの怪しい魅力に声に加えて怪しい魔力を持っているのかもしれない。
「ポ…、ポルン。忠太郎とお外で遊んできたら?」
ほのかが忠太郎の居る庭を指で指して言った。
ポルンはほのかに言われるがままに忠太郎の方へと向かう。
そしてヒョイと忠太郎に飛び乗るとそのまま忠太郎と共に庭を駆け出したのだった。
「ふぅ……」
額の汗を拭いながらほのかは小さく安堵の息をついた。
「ほのか…、起きたミポ?」
コミューンが開き、ほのかのパートナーであるミップルが目を覚ました。
「う〜ん…、ごめんね。もう少しだけ休みたいの……」
申し訳なさそうにミップルに頼む。
「わかったミポ。それじゃあお休みミポ…」
パタンとコミューンが閉じるとミップルも再び休みだした。
聞き分けの良さはメップルやポルンの比ではない。がこれは元々の性分の差も大きな要因であろう。
- 608 名前:833@ 投稿日:2005/02/17(木) 14:36:37 [ lAFYx9ek ]
- ほのかはほっとしてなぎさのもとへ戻る。
再びなぎさの胸に頭を埋める。ということはさすがに(筆者が)自粛。
可愛げに安らかな寝息をたてるなぎさの顔を向かい合う。
(なぎさは……、なんでこんなに格好よいんだろう……)
手を伸ばし、なぎさの短いの茶髪を梳きながらほのかは思った。
実際なぎさがどれくらい格好良いのか、など普段のほのかは意識しない。
それでも商店街をなぎさと一緒に歩いていると多くの視線を感じる。
多分なぎさをことを見ているのだろうとほのかは思っている。
それと同時に多少の不安を感じる。果たして自分なんかがなぎさの傍に居ていいのだろうか…。
なぎさはもっと活発的で運動神経の良い元気で明るい女性と付き合うべきなのではないだろうか。
(こんなことなぎさに言ったら…、笑い飛ばされちゃうかな?もしかしたら怒られちゃうかな……?)
微笑みを浮かべながらなぎさを顔を見つめる。
(なぎさ………、どんな夢見てるのかな………?)
ほのかは静かに床に着いたなぎさの右頬に手を当てた。
ヒンヤリとしたなぎさの頬の感触がほのかの手に伝わる。
その姿勢のままで目を閉じ、ほのかはなぎさの首筋に口付けをする……。
自分の行動で自分の頬を赤く染めるなどということはしないほのか。
(やっぱり…、唇はなぎさが起きてないとね…。って私何考えてんだろう!?)
自分で妄想して自分で恥ずかしがる。この年の恋する中学生に見られる傾向ではあるが、
果たして雪城ほのかがこのような行為をすると知っている者は何人いるだろうか…。
ちなみに追記すると雪城なぎさ…。などといって盛り上がるほのかも目撃されている。
(なぎさ……、大好きだよ、なぎさ……)
心の中で自分の気持ちをなぎさに告白する。伝わるわけはないのだが…。
とそこに足音が聞こえる。
もちろん今この家にはほのかとなぎさ以外には雪城さなえしか居ない。
がなんとなく自分だけ起きているといろいろとまずい様な気がしたので、
ほのかはなぎさの横で寝たフリをすると決める。
「あらあら…、二人とも寝ちゃったのね……」
さなえは微笑ましそうな声をあげて二人の横を通り抜けていった。
「ふぅ……」
ほのかはゆっくりと目を開ける…。
とそこに再びさなえの足音が聞こえる。ほのかは慌てて目を閉じて再び寝たフリをする。
「風邪ひいちゃうと困りますからね……」
さなえは一枚の毛布を持ってきた。そしてそれを広げるとなぎさとほのかに掛ける。
「おやすみなさい……」
そういい残すとさなえは立ち去ったのであった。
意識が薄れ次第に眠りに落ちているとほのかは自覚した。
しかしそれで良かった。抵抗はせずに素直に眠りに落ちる。なぎさと同じ毛布で幸せな夢を見よう。
無意識のうちにほのかはなぎさの手を握り締めていた。
- 609 名前:833@ 投稿日:2005/02/17(木) 14:40:04 [ lAFYx9ek ]
- 「ん………」
美墨なぎさよ雪城ほのかはふと目を覚ました。
「あれ……?」
ぼやけた視界を鮮明にするために瞬きをする。
「ん………」
右手を額に上に翳しなぎさとほのかはゆっくりと目を開く。
なぎさに瞳に映ったものは歴史を感じるさせるような茶色の木の天井。
ほのかに瞳に映ったものは幼い頃から見慣れた歴史を感じるさせるような茶色の木の天井。
体を起こさずに横になったままの姿勢でなぎさは顔だけを右に向ける。
体を起こさずに横になったままの姿勢でほのかは顔だけを左に向ける。
「……………」
目の前にお互いの顔がある……。
「わっ!!」
体を動かさずにお互いに驚いて声をあげる。
それでも二人の手は繋がったままだったが…。
(そっか、あのまま寝ちゃったのか……)
二人の心臓の音がドキンドキンと静寂な空間に鳴り響いていた。
暫く見つめあい二人は同時に口を開いた。
「おはよう、ほのか」
「おはよう、なぎさ」
同じ瞬間に同じ挨拶を交わす。清々しい朝を迎えたようなスッキリとした目覚めだった。
いつの間にか夏の日差しも弱くなり、赤い夕焼けが縁側を照らしていた………。
- 610 名前:833@ 投稿日:2005/02/17(木) 14:46:34 [ lAFYx9ek ]
- なぎさとほのかのお互いがお互いに片思いしてる。
みたいなことを対比させて、
なぎさはまじめに、ほのかはギャグっぽく書いてみました。
いやいや手抜きじゃないですって…w。
で投下した後に気づいたけど、もうメポはスラッシュできねぇ…OTZ。
ていうかあんなコミューンどう表現しろっつーんだよ!!
>601
まとめ乙です。
- 611 名前:833@ 投稿日:2005/02/20(日) 21:04:40 [ eGbi8HXs ]
- 百合スレにあったラジオネタみたいなものを投稿してみます。
質問者を全部自演してるわけだから、
ある意味すげー醜いSSだよなw。
- 612 名前:833@ 投稿日:2005/02/20(日) 21:07:43 [ eGbi8HXs ]
- ポ、ポ、ポ、ポーン
DANZEN!ふたりはプリキュアが流れ始める。
な「みなさん。こんばんわ〜。美墨なぎさで〜〜す」
ほ「みなさん、こんばんは。雪城ほのかです。なぎさ、夜の挨拶はこんばんは。よ」
な「あ…あれ?そうだっけ?」
ほ「そうよ」
な「ま…まあ細かいことは気にしない、気にしない」
ほ「それじゃあ始めましょう」
な「うん。じゃあほのか。いつものやつやろう」
ほ「やらな〜い」
な「え!?」
ほ「ふふ、冗談だよ」
な「もぅ〜。びっくりさせないでよ〜」
ほ「ごめんね〜、だってなぎさの驚いた顔って見てて楽しいんだもん」
な「もう〜。ほのかってば〜。さ、とっとと始めよう」
ほ「うん。(小声で)せ〜の」
な「なぎなぎと!」
ほ「ほのほのの!」
な・ほ「ふたりはプリキュア!ラジオステーション!!」
な「もう息もバッチシだね!」
ほ「毎週やってるからねぇ〜」
な「それじゃあ今週も短い時間ですが、よろしくお願いしま〜す!」
ほ「一旦CMです」
CM省略
な「改めましてこんばんは。美墨なぎさです」
ほ「改めましてこんばんは。雪城ほのかです」
な「それにしても今日は本当に困っちゃったよね〜」
ほ「それに、ひかりさんがどんな人なのかもまだわからないし…」
な「なんか新しい敵もいるみたいだし」
ほ「でも頑張らないとね」
な「うん!」
な「さ、今週もリスナーの方からのお葉書を読んでいきましょう」
ほ「なぎさもすっかり慣れたみたいね」
な「まぁね〜」
ほ「それじゃあ最初のお葉書は?」
な「最初のお葉書は〜。なになに〜『雪城ほのかさんがメッチャ可愛いです』」
ほ「うんうん。で?」
な「それだけ」
ほ「それだけ?」
な「うん、これだけ…」
ほ「これだけなの!?」
な「うん、ほら」
ほ「ええ……。でも…。まあ……。自分の中の想いを伝えてくれた……。ってことだよね」
な「っていうかなんでほのかだけなの〜。あたしは〜」
ほ「大丈夫、なぎさもメッチャ可愛いよ」
な「え?!そ…そんな風に言われるとなんか照れるな〜〜」
ほ「そんなことないよ。なぎさもとっても可愛いよ」
な「あは…、あ、ありがとね……」
ほ「続いてのおたよりは…、『私は時代劇を見るのが好きなのですが、
なぎささんやほのかさんは時代劇でやってみたいことなどはありますか?』 どう?なぎさ」
な「う〜〜ん。やっぱり刀握って『ていやぁ〜!!』って人を斬ってみたいな」
ほ「ふふ、なぎさらしいね…」
な「あとね〜。悪人をやってみたいな〜」
ほ「悪人?」
な「ほら、なんか饅頭の下に金貨を入れて差し出すやつ」
ほ「ほっほっほ。美墨殿。おぬしも悪よのう…」
な「いえいえ、雪城殿にはとてもとても」
ほ「あはは……。なぎさらしいね……」
な「ほのかは?」
ほ「私は……。よいではないか〜とかちょっと面白そうだな〜って」
な「はっはっは。雪城ほのか。よいではないか〜よいではないか〜」
ほ「あ〜れ〜〜〜〜。ってなぎさ!!」
な「あはは、ごめんごめん。でもほのかなかなか筋がいいよ〜」
ほ「何の話をしてるのよ!」
な「だからごめんって。さ、次のおたより読もう」
ほ「もぅ……」
- 613 名前:833@ 投稿日:2005/02/20(日) 21:08:46 [ eGbi8HXs ]
- ほ「次のおたよりは〜。『よく手を握っていますが、相手の手を握ってどんな感じですか?』」
な「どんな感じって言われてもなぁ〜」
ほ「結構無意識でやってること多いもんね…」
な「ん〜。でも結構覚えてることもあるんだよね〜」
ほ「そうなんだ」
な「なんかほのかの手ってさ〜。冷たいけど、柔らかくって、こう思わずスリスリしたくなっちゃうな〜」
ほ「ははは、なんかよくわからないや……」
な「ん〜。なんつーのかな〜。おいしそう?って感じ?」
ほ「私の手は食べ物ですか?」
な「そういうのじゃないんだけどねぇ………」
ほ「なぎさの手はあったかくて力強くて、元気な感じかな…」
な「そう?」
ほ「うん、そんな感じ。なぎさの手は大好き」
な「あ、そう……。手だけ大好きって言われてもなぁ〜」
ほ「そ…そういうわけじゃないよ。なぎさ大好き〜〜って」
な「なんか苦しい訂正じゃない?」
ほ「そ…そんなことないって、なぎさ大好き」
な「ま、いっか」
ほ「それよりも次のおたより読みましょう」
な「そだね」
な「次のおたよりは…『なぎささんは運動神経抜群ですが、ほのかさんは運動は好きですか?』だって」
ほ「う〜ん。どうかなぁ…、やっぱり本を読んだりするほうが好きかな〜」
な「でも、ほのか体育苦手ってわけじゃないよね?」
ほ「特別苦手ってことはないけど」
な「だよねぇ…、スキーとかスケートも問題無しだもんね」
ほ「うん、一応ね…」
な「すごいな〜、ほのかは。完璧じゃん」
ほ「ううん、そんなことないよ。足の速さは普通だよ」
な「そうだったっけ?」
ほ「うん。それに……」
な「それに?」
ほ「私、鉄棒とか苦手で……」
な「そうなんだ〜。こりゃ意外」
ほ「逆上がり。出来ないの………」
な「え………?」
ほ「だから………逆上がり」
な「……………嘘?」
ほ「本当」
な「そうなんだ…」
ほ「うん」
な「じゃあ今度あたしと一緒に特訓する?」
ほ「と…特訓?」
な「大丈夫、任せて。あたしが指導したから亮太だって出来るようになったんだし!」
ほ「そ…そうなんだ…」
な「大丈夫。手取り腰取り教えるから!」
ほ「それを言うなら手取り足取りでしょ」
な「え?あ……、あははははは。………次いこう!!」
- 614 名前:833@ 投稿日:2005/02/20(日) 21:09:21 [ eGbi8HXs ]
ほ「次のおたよりは〜。ちょっと長そうな感じね。え〜と、『なぎささんほのかさんこんばんは』」
な「こんばんは〜〜!」
ほ「い……いちいち返事しなくても平気よなぎさ」
な「ごめんごめん。さ、続き続き」
ほ「『私は今年から中学生になりました。そこで凄く仲の良い友達が出来ました。
ケンカもしたし、仲直りもしたし、今では親友だって胸を張って言えます。
でもその子との出会いもほんの偶然みたいなものから始まったのだから、
凄い偶然の出会いだな。と思うと同時にそれに感謝しています。
なぎささんとほのかさんもそうだったけど、人と人との出会いって本当に凄い偶然ですよね。
でもだからこそ、偶然から出来た絆をずっと大事にしたいと思います。
なぎささんとほのかさんもずっと偶然から出来た絆を大事にしてくださいね。』」
な「……………。そうだよねぇ〜、考えてみればあたしとほのかもそうだよね〜」
ほ「うん、同じクラスだったけどほとんど話すことも無かったし…」
な「プリキュアになってなかったら、きっとこんな風に仲良くなってなかったよね」
ほ「うん……」
な「今じゃ、あたしほのかの居ない生活なんて考えられないよ」
ほ「私も。なぎさの居ない生活なんて考えられないな」
な「いつも一緒に居るってわけでもないのにね」
ほ「不思議だよね〜」
な「でも、わかったよ」
ほ「え?」
な「偶然から出来た絆。大事にしないとね」
ほ「うん、そうだね」
な「ずっと一緒にいようね。ほのか」
ほ「うん。ずっと一緒」
光になりたい が流れ始める。
な「あっとここで音楽が流れてきました」
光になりたいが一部流れる。
ほ「お聴きいただいたのは、美墨なぎさで光になりたいでした」
CM省略
DANZEN!ふたりはプリキュアが流れ始める。
な「ここで番組からのおたより募集のお知らせです」
ほ「私たちへの意見・疑問・質問何でもOKです」
な「採用者には素敵なプレゼントもあるよ。どんどん送ってね」
ほ「宛先は−−−−−(都合により伏字)−−−−−−−−−−です」
な「それじゃあほのか、寂しいけど今回の放送ももうお終いだね」
ほ「うん、でもまた次回の放送もあるから」
な「そうだね。それじゃあ最後にいつものやろう!」
ほ「やらな〜い」
な「ほのか〜〜〜〜」
ほ「えへへ…、冗談だよ〜〜」
な「もぅ…、ほのかってば…」
ほ「ごめんね、なぎさ」
な「じゃあ(小声で)せ〜の」
な「なぎなぎと!」
ほ「ほのほのの!」
な・ほ「ふたりはプリキュア!ラジオステーション!!」
な・ほ「また来週!!」
DANZEN!ふたりはプリキュアが流れる。
- 615 名前:833@ 投稿日:2005/02/20(日) 21:10:46 [ eGbi8HXs ]
- どうなんだろう。
自分はこういうアニキャラのラジオはほとんど聴いたことがないからなぁ…。
ちなみに放送出来る出来ないの紙一重を自分なりに表現してみました。
しかし間接的にこれくらいやって欲しいという
自分の要求を投げかけてもいるわけだよなぁ〜。う〜ん、邪悪だw。
- 616 名前:夏×なぎ 1 投稿日:2005/02/26(土) 14:17:12 [ bUOKoWjU ]
- 第28話「ふたりはコスプレ? 即売会は大騒動」
2005年8月、森夏子邸・・・
「ちょっとぉ、何よこれ? こんなの勘弁して〜」
所狭しと衣装が並んだ部屋の中。なぎさの抗議の声が響き渡る。
部屋の隅にはファンシーなミシンやタイプライターも見える。
「だ〜め、あたしが勝ったら何でも言うこと聞いてくれるって言ったでしょ? 早く着替えてよ」
「とほほ…」
<オープニング>
(なぎさモノローグ回想)
夏休みに補習を食らったわたし。終わった後に校舎内からグラウンドまで夏子と
競争をしたんだ。勝ったらいっぱいチョコをゲットできるはずだったのに・・・
まさか夏子が窓ガラスを破って近道してるなんて、ありえなーい!
「すごーい、イメージぴったし! 絶対似合うと思ったんだ〜」
なぎさは偽ブラックの衣装を着せられてしまっていた。
「あたし、こんな趣味ないのに…」
「慣れると病みつきになっちゃうのよ。というわけで、ブラックになって来週の
即売会、いっしょに来てね」
「即売会って?」
「10万人以上の人が来るすごいお祭りなのよ。すごく楽しいんだから〜」
ひとりで盛り上がって話を進める。
「でも夏子はどうするのよ? プリキュアってふたり組なんでしょ?」
「やだぁ、なぎさ知らないの?」
おもむろに金髪のかつらをかぶって着替えだす。
「なにそれ?」
エプロンドレスをまとい、帽子をかぶった夏子。
「あっいけない、間違えたっ! これはおととしのだった」
改めてプリキュア風のピンクのコスチュームに着替える。
「キュアピンク参上! 最近プリキュアって3人になったのよ」
「あ゙、ありえない…」(シャイニールミナスだっつの)
「あたしってほんとは金髪キャラの方が得意なのよ。これからは新キャラが流行りだしぃ」
「も、もう勝手にして! どうせあたしの人気なんて…」
「あたし?」
(あ、やばっ! 話題替えないと)「そ、それはそうと、この衣装まえはおなか出てなかった?」
「そうなのよ。こないだ見たら変わってたのよ。あたしは前の方が好きだったんだけどね。
直すの大変だったんだから。さ、キメポーズ取ってみて!」
(んもう…)「とっととおうちにかえりなさい(棒読み)」
「もうちょっと勢いよく! それに『さっさと』でしょ!」
もうつきあいきれない。
(続く)
- 617 名前:夏×なぎ 2 投稿日:2005/02/26(土) 14:18:22 [ bUOKoWjU ]
- 「さて、あとはサイズだけど・・・元々あたしのサイズで作ったからちょっと
胸元を詰める必要ありそうね。さあ脱いでみて、あのミシンで直すから」
「ホットけ!」
衣装に手をかけるルミ夏子。
「ちょ、ちょっとイヤだってば! それにあんな2000円で買えそうなプラスチックの
でちゃんとできるの?」
「(ぴきーん!)・・・言ってはならんことを」
「な、夏子ってば眼の色変わってる…?」
「そんなこという子にはお仕置きしないとね」
バトンを取り出す。ハート形のバトンではなく、両端が直径5cmくらいの円盤状に
なっているバトンだ。
「ふふん、このバトンは特製なのよ〜」
ゆるいコスチュームの胸元にバトンの先を忍ばせてボタンを押す。
(ぶぶ〜ん)
「んっ!」
バトンの先がマッサージ器のように振動してなぎさに刺激を与える。
「んぁ、そ、そこ…だめだってば」
調子に乗ってスパッツにバトンを押しつける。
(まずい、このかっこだとホワイトとプリキュアのまま愉しんでたときの感覚が…)
振動と指に感じまくって声にならない声をあげ続けるなぎさ。
「んふ、なぎさって感じやすいのね。本物のブラックをいじめてるみたいで楽しい」
混濁する意識のなか喘ぐしかなかった・・・
(Aパートアイキャッチ)
※Bパートは何も考えてないので、今のところありません
- 618 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/02/26(土) 15:41:00 [ bUOKoWjU ]
- >>616
訂正:森夏子邸→越野夏子邸
- 619 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/03/14(月) 23:20:29 [ K0SPb.4c ]
- このスレでは お久しぶりです。
時節ネタの入った話は時期が過ぎる前に投稿しなければ…。
とか思っている内に既に03/11、慌てて3日ちょっとで書き上げました。
で、まだホワイトデーだよね?
タイトル
「白の日に」
4レス専有。
一応、拙作の続きです。
- 620 名前:予想係(1/4) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/03/14(月) 23:21:25 [ K0SPb.4c ]
- 3月某日。
ベローネ学院中等部の卒業式があった この日、男子中等部3年の藤Pこと藤村省吾と
木俣も卒業を迎え、今は ふたりで帰宅の途中。だが中学校生活3年間の積もる話も
尽きないのか、公園のベンチに座って語り込んでいた。
木「卒業式の後 凄かったな。校章 貰おうとする後輩の女の子たちが
あんなに来るなんて」
藤「何人か来るんだろうなとは思っていたけど、まさかネクタイまで無くなるとはね。
校章、木俣に預けておいて正解だったぜ」
どうやら激しい争奪戦が発生したらしく、見ると藤Pのブレザーのボタンは もちろん、
ワイシャツのボタンも全て無く、はだけている。
木「…それは そうと、お前どうすんだよ? 今度のホワイトデー」
藤「ホワイトデー? 俺そういうのには興味が無いんだけど…」
木「『興味が無い』。では済まないぞ? 確かに お前は貰ったチョコの お返しを余り
時間 置かずに渡すように してたけどな、まだ返していない人が一人いるだろ?」
藤「えッ!? そうだっけ?」
木「おいおい、しっかりしてくれよ。美墨さんだよ、美墨さん! ラクロス部の子!
うまい手作りチョコ、貰っただろう?」
藤「あぁ、そういえば。見てくれは ともかく、あれが一番 おいしかったな。
…今 思い出したけど、あの時 木俣も半分 食べたよな?」
木「うむ、あれは なかなかの出来映えだった」
藤「…なのに俺だけが お返ししなければ いけないのか? 何か、納得いかないが」
木「アハハハハハ、気にするな」
藤「笑って ごまかすか? オイ。
…まぁ、それは ともかく。 実際 問題として正直 何を返せば良いか…」
?「それなら私の出番ね!」
木&藤「何ィ!?」
突如ベンチの背後から声がして木俣と藤Pが振り向くと、茂みの中から両手に木の枝を
持った ほのかがガサッと出てきて、「とおっ!」という掛け声と共にベンチを跳び越し、
空中でクルッと前方に一回転して(少なくとも木俣と藤Pには そう見えた)、着地した。
そして そのまま後退して殆ど隙間の無かった藤Pと木俣の間に割り込んで座った。
一文字で表すと、「嬲」の状態だ。
藤「ほのか…。もしかして、さっきから ずっと ここに?」
ほ「だって男の子が公園のベンチに座って ふたり語り合ってるだなんて、
何か気になるじゃない? …という冗談は さておいて…」
持っていた木の枝をポイっと木俣に渡しつつ、ほのかは戯れ言を口にした。
木の枝をポイっと渡された木俣は、それを持て余す他 無かった。
ほ「要は、なぎさが どんな物が好きなのか、それが知りたいのね?」
藤「そうなんだよ ほのか。
美墨さんに どんなプレゼントをしたらいいか、何かアイデア無いかな?」
ほ「そうねぇ…。なぎさなら、藤村くん からのプレゼントは何でも喜んで受け取って
くれると思うわ。 でも、あんまり高い物だと かえって気を使わせちゃうかも」
木の枝を持て余していた木俣は、ふと木の枝を頭に かざして、藤Pと ほのかに
見せようとするが、ふたりとも話に集中していて見てくれない。
自分の行為に むなしさを感じ、木俣はベンチの後ろの茂みに木の枝をポイっと捨てた。
藤「だったらセオリー通り、お菓子とかの食べ物の方が良いのかな」
ほ「食べ物なら、なぎさが苦手な たまねぎだけは避けた方が いいわね。
あ! だったら、なぎさの大好物を ごちそうするというのは どうかしら?
いい お店、知ってるわよ」
ほのかは優しげに微笑みつつ指だけで ちょいちょいと藤Pを招いて耳打ちする。
内緒話をしている藤Pと ほのか。
何となく蚊帳の外という印象を受けて、木俣は少々いたたまれなくなった。
藤「それじゃ、美墨さんを誘って行ってみるかな。ありがとな、ほのか」
ほ「いえいえ、こちらこそ」
ほのかの その微笑みに ほのかな、ほんの ちょっとした企みが含まれていた事は、
この時 本人以外には誰も知らなかった。
- 621 名前:予想係(2/4) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/03/14(月) 23:22:15 [ K0SPb.4c ]
- 3月14日。
アカネさんのたこ焼き屋台のある公園の敷地内、その植え込みの茂みの中に人影 在り。
両手に木の枝を持ちつつ、目の辺りまで顔を出して なぎさと藤Pの様子を伺うのは、
誰あろう、雪城ほのか である。
他方、こちらも両手に木の枝を持ちつつ、ほのかと同じように目の辺りまで顔を出して
屋台の辺りを監視するは、木俣であった。
木「あ〜…。…一つ、聞いて いいかな。ほのか ちゃん」
ほ「何かしら、木俣先輩」
白々しく答える ほのか。
というのも、次に来る質問が何であるのか誰でも予想が付くからである。
木「何故に たこ焼き なのさ。普通、デートなら こういう青海苔を ふんだんに使った
食べ物は避けるでしょうが」
ほ「そうかしら? 私は これで いいと思うわよ」
木「歯に青海苔くっつけたような女の子、真っ当な男なら嫌うもの なんだけどな」
ほ「藤村くん と なぎさなら、それは大丈夫よ。 見ていれば分かるわ」
木「え〜〜…?」 木俣は ほのかの言がイマイチ理解できなかった。
ベンチに ふたりで座り、出来立ての たこ焼きを頬張る藤P。対して なぎさの方は
藤Pの前なので緊張して…というより、やはり青海苔が気になっているのか、
全く手が動いてない。
そんな なぎさ(と藤P)の様子を見守る視線が もう一つ。
つい先ほど たこ焼きを二人前 販売した、アカネさん だ。
アカネ「やっぱり あの二人、デートだったのね…。青海苔 減らしておいて
正解だったわ。 でも、たこ焼きでデートというのは、アリなの?」
藤Pと なぎさの様子を見ていたアカネさんは、その近くの植え込みに ほのかと、
更に もう一人が居るのに気がついた。二人とも両手に木の枝を持ち、あからさまに
なぎさたちを監視している その姿に、アカネさんは訝(いぶか)った。
(…なぎさに助け舟 出したい所だけど、たこ焼き専業の私には何も出来ない…。
許せ、なぎさ)
近々迎える店舗改装でのサイドメニューの拡充を、改めて深く誓うアカネさんであった。
ほ「藤村くん に促されたら、勢いに任せて たこ焼き口に放り込んでる。
私の思った通りの反応ね、なぎさ」
木俣は最早、もう どうにでもなれと思い始めていた。
ほのか が藤Pに たこ焼きを薦めた理由というのが全く、どうしても理解できない。
ほ「…あ、良い感じに なぎさの口元に かつおぶしが くっついた。
なぎさが気付く前に藤P、気付いて!」
さながら野生動物の観察のようである。
木「な、藤Pの手が…」 ほ「よし…!」
見ると、藤Pの指は優雅に動いて なぎさの口元の かつおぶしを つまみ取り、
自らの口にまで それを運び入れた。
藤Pの、たった それだけの仕草であった。しかし、ただ それだけで
なぎさの思考を沸騰させ、木俣を唖然とさせ、ほのかを歓喜させた。
- 622 名前:予想係(3/4) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/03/14(月) 23:23:00 [ K0SPb.4c ]
- 木「まさか、ほのか ちゃんは これを狙って たこ焼きを…?」
ほ「うーん…、藤村くん には もっと大胆に やって欲しかったけど。
思い出すわ、幼かった あの夏の日々を…」
木「ほ、ほのか ちゃん?」
ほ「忘れも しないわ。
縁側で食べた焼きそば と おにぎり、海辺で食べたソフトクリーム、
線香花火を眺めながら食べた とうもろこし…。
私の頬や口に付いた分は、全て藤Pが口を寄せて舐め取ってくれたわ…」
木「!!!!」
ほのかの表現が的確であったせいか、木俣は容易に その場面を想像できた。
木(ふ、藤P! 何て羨ましいヤツなんだ、オマエは!!
幼い ほのか ちゃんに、あ〜んな事や こーんな事を…)
妄想の暴走が始まると、際限なく あらぬ事まで考えてしまう。
木俣は大声で叫びたい気分だったが、それを やっては藤Pと美墨なぎさに こちらの
存在がバレてしまう。なので辛うじて昂(たかぶ)る気持ちを抑えていたが…。
ほ「…男の人は『女の子の歯に青海苔が付いていたら、百年の恋も冷める』…なんて
思うかも知れないけど、でも女の子だって人の子なのよ。自分の好きな物くらい、
好きな時に誰にも はばかる事 無く食べたいと思うの。だから、本当に好きな人で
あるならば、歯に付いた青海苔はキスで舐め取るくらいの事をして欲しいものよ」
木「!!??!!」
“キスで舐め取る”!
その言葉を憧れの ほのか ちゃんの声で聴いてしまった木俣は、
理性が一瞬で弾け飛び、卒倒して後ろに倒れてしまった。
ほ「アラ? 木俣先輩?」
木「いやはや、なんとも はや…」
幸い意識を失ったのは数秒ほどであったが、まだ木俣の思考の中に さっきの ほのかの
声が しっかりとリフレインを繰り返している。
そこへ ゆっくりと歩いて来る人が ひとり。
木俣が起き上がって そちらを見やると、その人は たこ焼きを二皿 持っていた。
木「たこ焼き屋の お姉さん…」
ここで たこ焼きを持ってくるような人は、もちろんアカネさん しか居ない。
ア「お取り込み中の所、失礼。張り込み やってる お二人さんに、差し入れだよ」
ほ「アカネさん! でも…」
ア「お代は いいから。焼いてる最中にキャンセルに なっちゃったんだけど、
ずっと置いとく訳にも いかないし」
…というのは嘘なのでは あるが、木俣も ほのかも そうとは気付かなかった。
しかし、その嘘は相手に『受け取っても良いかな?』と思わせるだけの威力が有った。
木「そういう事なら頂戴しようか、ほのか ちゃん」
ほ「そうね。ありがとう ございます、アカネさん」
ア「さぁさ、冷めない内に どうぞ。青海苔 増量してあるから注意してね。 それじゃ」
たこ焼きを渡しつつ それだけ言い残し、さっさと店に戻って行った。
ア(さぁ ほのか。自分が なぎさと同じ立場になったら、どうする?)
アカネさん 企んでるよ アカネさん。
- 623 名前:予想係(4/4) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/03/14(月) 23:23:55 [ K0SPb.4c ]
- ほ「ラッキーでしたね、木俣先輩」
木「そうだね」
簡単かつ適当に答えていたが、そんな木俣の中では再び妄想が暴走しかけていた。
木(青海苔 増量中の たこ焼き…。これなら ほのか ちゃんのアレを…)
しかし最後まで妄想するには至らなかった。
ほ「やっぱりアカネさんの作った たこ焼きは おいしいわ。外 パリの、中 トロで」
木(そうそう、外 パリ 中 ロンドンで…。…って違う! 喰わねば)
ほのかの方を見ると既に2個3個と食べ進めている。
木俣も たこ焼きを口にすると、外 パリ 中 トロの たこ焼きの魅力を体験した。
木(これが外 パリ 中 トロの たこ焼き…。
何というか、中がトロッと ふわっと、てな感じだなぁ。良い たこ焼きだ)
しかし、木俣が たこ焼きの味の感動を噛み締め、堪能している間に ほのかの方が、
「ごちそうさま」 …と、食べ終わってしまった。
木(しまった! ほのか ちゃん、意外と食べるのが早い!!
ならば、せめて その口の脇に付いたソースだけでも…)
そう考えて手を伸ばすも、ほのかは全く淀みの無い動作でポケットティッシュを一枚
取り出し、唇でティッシュを挿んで口に付いたソースを拭い取った。
木(はうぁ!)
万策 尽きた。ほのか の歯には まだ青海苔が くっついているかも知れないが、
それを狙うのは余りにもリスクが大きい。
ほ「さて、あちらの方はと…。 ほー。私のアドバイス通り、歯みがきガムとウェット
ティッシュが出てきたのね。 これで なぎさの中の藤P株がグンと上がるわね」
そう言いつつ ほのか もポケットから歯みがきガムを取り出して噛み始める。
木俣に とって、それはキスで舐め取る為の最後の希望をも奪われる駄目押し だった。
ほ「はい、木俣先輩も一枚どうぞ」
木「…ありがとう」
ほのかから ありがたくガムを一枚 貰い、残りの たこ焼きを食べる木俣であった。
木(もしかして、俺ってば世界で一番 不幸な男子中学生かも知れないな…)
がんばれ木俣、もうすぐ高校生。
アカネ「相手よりも先に食べ切って、食べ終わったら歯みがきガム? …不覚」
本職の たこ焼き職人として そこまで読み切れなかったアカネさんは、なぎさの為
一矢 報いようと、ほのかに青海苔 増量たこ焼きを あげて対抗しようとした
自分の浅慮ぶりを深く、反省した。
それにしても的確なアドバイスで藤Pと なぎさのデートを成功に導き、
言葉 一つで木俣を萌殺して悶絶させ、ついでにアカネさんをも唸らせるとは。
ほのか 素晴らしいよ ほのか。
といった所で、「“白”の日に」の お話は これにて おしまい。
- 624 名前:833@ 投稿日:2005/03/15(火) 01:21:03 [ UtY4m/ik ]
- >620-623
GJです。
いやいや、ほのか凄いですなw。
- 625 名前:>>620-623 投稿日:2005/03/15(火) 01:26:35 [ NJajJjnI ]
- | 藤Pとなぎさの仲をとりもつ(というか遠隔操作する)ほのか、
| と同時に一緒に張りこみやってる木俣を誘いつつ牽制するほのか、
| と同時にアカネさんの放った一矢をさらりと余裕でかわすほのか、
| …を描いたSSっつうことですかな。GJ。
| 久しぶりに好き放題ほのかが動きまわるSSを読ませてもらった感じで。
|_______ _____________
. ∨
≡≡.∧_∧
∃ 凸.(´∀` )
_∧_(_____)__
)□
)――――
┳━ )
┃―・゙
┻ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 626 名前:833@ 投稿日:2005/03/17(木) 14:48:30 [ 6QWYyBZs ]
- 昼とはいえど空港のラウンジは、それぞれの思いをもって飛び立って行く人々、
そしてそれを見送る人々のざわめきによって埋められていた。
そんな中で女の子が三人。ひっそりとした見送りをしていた。
「にしても驚いたよ〜」
三人の中で一番背の高い高清水莉奈が言った。
「ほんとほんとほんと。卒業と同時に渡米なんて。羨ましいなぁ〜」
首を縦に振りながら久保田志穂も同意するように言う。
「でも、あたしが行くのはボストンだよ」
困惑するような様子で見送られる側である美墨なぎさは答えた。
「ほのかはとっても静かな町だって言ってたし…」
唇に指を当てて思い出すように言った。
「ふぅん。でもなぎさ英語なんて話せるの?」
ちょっとしたからかい口調で志穂がなぎさに訊ねた。
「ははは、正直不安だな。でもまぁ、そこらへんはなんとか頑張るよ」
髪を手で掻きながら不安げな笑みを浮かべた。
「そういえば式はいつ頃やるの?」
唐突に莉奈が訊ねた。
「え〜とね…。ほのかの希望で。向こうで二人だけで静かにやりたいんだ…」
俯きながらなぎさは言った。
「私たちは招待してくれないの?」
不満そうに志穂がなぎさに詰め寄る。
「ごめんね……。家族だけでって決めてたから……」
申し訳なさそうに謝罪する。
「仕方ないよ志穂。それになぎさもそのほうが良いんでしょ?」
志穂の肩を叩いて、莉奈が言った。
「うん……」
小さな声だったが、なぎさはしっかりと答える。
「ちょっと残念だけど仕方ないね。それよりもさー、結婚生活のほう大丈夫なの?」
暫し落ち込んだ様子の志穂だったが、
親友の見送りを笑顔でしようと、莉奈と決めていたので極力明るく振舞う。
「何とかなるよ。必要なものは買えばいいし。英語は勉強するし」
なぎさも明るく振舞った。
「でもさぁ、アパートの一室で家事をしながら愛する人の帰りを待つなんて素敵だよね〜」
羨ましがるような様子で莉奈が言った。
「あ〜あ、私も早く素敵な人が欲しいよ」
志穂が溜息をつくように言った。
「あはは。大丈夫。きっと志穂にも見つかるよ。案外すぐ近くにいるかもね」
ちらりと莉奈に視線を向けてなぎさは志穂を励ました。
「まぁ、あたしとしてはラクロスが心配だよ。エース不在で大丈夫?」
腕を組みながら二人に訊ねる。
「全国大会はなぎさあってこその優勝だったからね。まぁ、不安は否めません」
莉奈が申し訳なさそうに頭を下げて言った。
「ま、出来るだけ頑張ってみるよ。やるからには大学も日本一にならなきゃね」
「当然」
パンと志穂と莉奈でハイタッチをする。
なぎさはそんな二人の様子を微笑みながら見つめていた。
- 627 名前:833@ 投稿日:2005/03/17(木) 14:49:01 [ 6QWYyBZs ]
- とその時、搭乗案内のアナウンスが流れた。
「あ、そろそろ行かないと……」
荷物を持ってなぎさは搭乗口に足を向ける。
「元気でね、莉奈。志穂。お父さんとお母さんと亮太によろしく言っておいて」
なぎさの両親は今日は仕事の都合で、弟の亮太は部活の試合で見送りに来ることが出来ずにいた。
「なぎさこそ。元気でね。ほのかによろしく言っておいて」
高校三年間のうちに莉奈や志穂もいつの間にか雪城さんではなくほのかと呼ぶようになっていた。
共に笑いあい、ケンカもした三年間がそれぞれの頭にふと流れた。
「向こうについたら手紙出しなさいよ」
莉奈が涙を堪えるように言った。
「うん。それじゃあ行くね」
なぎさはそう言うと手を上げて搭乗口へと歩き出す。
「デッキから見送るよ」
志穂が大きな声で叫んだ。周囲の人の注目を少し浴びたが気にしない。
莉奈と志穂が送迎用のデッキへと向かった。
二人の周りには同じような見送りの人々が多数居た。
やがて飛行機の窓からなぎさらしき顔が見えた。
二人は手を振り、なぎさもまた手を振った。
見送る側にも旅立つ側にも涙が溢れていた。
やがて飛行機は旅立ち、志穂と莉奈は二人きりになった。
「仲が良いとは思ってたけど……。まさかアメリカ行ってまで結婚とはね……」
寂しそうな様子で莉奈が呟いた。
「ほのかが両親の仕事の都合でアメリカに行くことになって……。まさかなぎさまで行っちゃうなんてね…」
志穂は静かに莉奈の呟きに答えた。
「よく我慢したね。志穂」
志穂の頭にポンと手を置いて莉奈が言った。
志穂の瞳から止めようのない涙が流れ出した。
莉奈は志穂を正面から抱きしめた。
「莉奈ぁ……。莉奈ぁぁぁ……。私、なぎさのことずっと好きだったのに……」
泣きながら志穂は全てを語った。なぎさへの想いを…。
よしよし。と莉奈は話を聞きながらただ黙って志穂の背中を摩った。
数分後、ようやく涙の止まった志穂が莉奈から体を離してしゃべり始めた。
「ごめんね。莉奈」
「いいよ……。それより…大丈夫?」
「うん。もう大丈夫。今は、なぎさとほのかの幸せを願ってる」
「そっか……」
「ありがとね。莉奈……」
「ううん。どういたしまして……。じゃあ帰ろうか?」
「うん!」
そして志穂にもようやく笑顔が戻った。
「行こう。莉奈」
ぎゅっと莉奈の手を握って志穂が言った。
「?!」
突然の事態に莉奈は驚き、頬を染める。
「どうかしたの?」
「ううん」
首を振って必死に誤魔化す。残念ながらまだまだあの二人の関係には及ばないらしい。
「行こう。志穂!」
繋がった手を引いて、莉奈は歩き出す。
「うん!」
志穂もまた新たな一歩を踏み出す。
なぎさとほのかとの別れが、二人に何らかの再出発を促し、意味しているようであった。
- 628 名前:833@ 投稿日:2005/03/17(木) 14:52:29 [ 6QWYyBZs ]
- 新たなる出発
という題名です。
すっげーわかり辛いかも知れませんが自分的には莉奈が主役です。
プリキュアはこういうシーンがあるかもですが、
多分無さそうなので思いつきで書いてみました。
しかしアメリカって同姓結婚出来るのかな?全然知らないやw。
ほのか抜きでなぎさしほりーなのラクロス部トリオに初挑戦。
ほのかはきっとアパートでラブラブの新婚生活妄想中でしょうなw。
- 629 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/03/17(木) 21:32:41 [ 9rl7rzzY ]
- >>626-627
おーつー
いつもながらの百合でゴーなSSですが
なぎさ、志穂、莉奈の友情のありさまを描くのは
本編でもけっこう盲点な描写かもしれませんねえ
まっくすはー第一話でも、なぎさに部長としての抱負をうながして後
「だめだこりゃ」とため息つく、ああいう気のおけない慣れ親しみからして
この三人も相当よい仲間ですが、馴れ初めはどうだったかとか
知りたい気もしますねえ
ということを氏のSSを読んで考えましたよ
- 630 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/03/17(木) 22:28:13 [ SRfXcg6I ]
- アメリカでも地域や州によっては同性結婚できるところが幾つかある。
それと、結婚じゃ無くても内縁関係にある者同士が、
婚姻と同様の法的関係に結ばれる事もできる。
なので、ほのかがいつかアメリカ行ってそれになぎさも付いていくってのは
全然不自然じゃない。
- 631 名前:本当の贈り物(1/3) 投稿日:2005/03/21(月) 02:05:46 [ TWNOVdxc ]
- 授業の合間の休み時間、生徒達はそれぞれ思い思いにこの貴重な時を楽しんでいる
そんな喧騒の中、ほのかが何事かをなぎさに話しかけている。
「ねぇなぎさ、今日部活もお休みでしょ?一緒にお買い物に行かない?」
いつもなら即答モンの誘いだが、何故か今日はまごまごとハッキリしないなぎさ。
そんななぎさの様子に、ほのかが少し心配そうに尋ねる。
「なぎさ、どうしたの?」
「きょ、今日だよね?今日はその〜亮太が…そう!亮太が風邪引いちゃって
それでお母さんも家にいないし。ほら、私って弟思いでしょ?だから早く帰ってあげようかな〜
なんて思っちゃったりしてるから、アハハッ。そんな訳で今日はちょっと…」
「そ、そう…」
慌てふためきながら一気にまくし立てるなぎさに、思わず圧倒されるほのか。
また今度ね、と言ってそそくさと席に戻って行くなぎさに対し、ほのかはそれ以上何も言えずに
目をパチクリさせ見送るのみであった。
「ハァハァ、急がなくっちゃ…」
放課後帰り道を急ぐなぎさ、だがその後をもう一つの影がつけている事には気付いていないようである。
(あんなに分かりやすい言い訳なんかされたら逆に気になっちゃうよ。ま、なぎさらしいケド…。
でも、あんなに急いで何処に行くんだろ?)
などと思っている影の正体はもちろんほのか。
昼間の事について何故なぎさがあんな言い訳をしたのか気になって後をつけてきたのである。
後をつけつつも、そういえば去年もこんな風に尾行した事があったっけ、あれは確かなぎさの誕生日で――
と思っているとなぎさの弾むような声が聞こえてきた。
「ゴメンなさい、待たせちゃって」
(誰かと待ち合わせだったんだ、誰だろ?)
確かめようと物影から顔を覗かせるほのか。だが次の瞬間思わず我が目を疑う。
(藤村君!?)
──藤村省吾。ほのかの幼馴染でなぎさの憧れの人。
その藤村君が何でなぎさと待ち合わせを?と一瞬戸惑うほのか。
だがすぐに落ち着きを取り戻し、なぎさを冷やかしにでも行こうかと思い直す。
しかし歩を進めようとしたその時、さらなる会話が聞こえてきた。
「そんな事ないよ、今来た所だから大丈夫だよ。それよりほのかにはバレ無かった?」
「ハイ、大丈夫です!でも藤P先輩こそ部活休んじゃって大丈夫ですか?」
「ハハ、美墨さんの頼みだからね、しょうがないよ。じゃ行こうか」
二人の楽しそうな会話を聞き、進めようとしていた足を止める。
(……何だか楽しそう。邪魔しちゃ悪いよね)
踵を返そうとしたほのかだったが、ふと恋人同士の様に並んで歩く二人の後ろ姿が目に入ってきた。
(!?)
途端、何故か胸がギュッと締め付けられ鼓動が早くなる。
経験した事の無い突然の感覚にうろたえるほのか。
その感覚は二人の姿が見えなくなっても暫くは消える事は無かった。
- 632 名前:本当の贈り物(2/3) 投稿日:2005/03/21(月) 02:06:31 [ TWNOVdxc ]
- 「…なぎさ!」
「…ほのか!」
部活帰りの校門でバッタリ出会ってしまった二人。
思えば今日は何故か一言も口をきかなかった。
気まずい空気が流れる中、お互いに無言で歩く。
だがそんな沈黙を破りほのかが口を開く。
「…なぎさ、藤村君と付き合ってるの?」
「えっ!?そんなわけ無いじゃん。何言ってるの?」
突然の問いかけに戸惑いながら否定するなぎさだが、ほのかは間髪入れずにさらに問い詰める。
「だって昨日隠れて会ってたじゃない。しかも私にバレないようにって!」
「…っ!見られてたんだ。ハー、やっぱり隠しきれ無かったか…」
「やっぱり付き合ってるんじゃない!」
何故か悲しそうに声を張り上げるほのかの様子になぎさは慌てて言葉を続ける。
「ち、違うよ!藤P先輩とはそんな関係じゃないよ!ほら藤P先輩、私よりもほのかの事昔から知ってるでしょ?
だから色々アドバイス貰ってたんだ。ほのかに喜んでもらいたかったから…」
「…どういう事、なぎさ?」
怪訝な表情のほのかに対し、なぎさは小さな包みを鞄から取り出し黙ってほのかに差し出す。
「なぎさ、これって…?」
戸惑うほのかに向かってなぎさが静かに口を開く。
「ちょっと早いけど誕生日プレゼント。ビックリさせようと思って黙ってたんだけど、
何か変に誤解させてたみたいだね、ゴメン。……ね、受け取ってくれるよね?」
最初はビックリした様子で聞いていたほのかっだたが、次第にその目に光る物が溢れて来る。
その理由はなぎさの優しさか、それとも友を疑ってしまった自分への嫌悪ゆえか。
暫しの静寂の後、そっとプレゼントを受け取り小さくほのかが呟く。
「ありがとう……ゴメンね、なぎさ」
「そんな!ほのかが謝る事なんか無いよ。ね、開けてみて」
「え…いいの?」
「もっちろん!さ、早く」
なぎさに促され、少し照れくさそうに包装を解いて行くほのか。
だが中身を見た瞬間その表情に戸惑いの色が浮かぶ。
「なぎさ、これ空……っ!?」
突然ほのかが言葉を止めた理由。
それは――
キス
言葉を紡ぎ出していたほのかの唇を、なぎさの唇が優しく包み込む。
どれ位の時間であったのだろうか?唇をそっと離し、なぎさが優しく呟く。
「色々探したんだけどね、結局何も見つからなかったんだ。でもどうしても想いを伝えたかった。
だからこれが私のプレゼント、私の本当の気持ち…って、ダメかな?」
「…ううん、そんなこと無い。最高の…最高のプレゼント!」
とびきりの笑顔で抱きついてくるほのか。そんなほのかをなぎさは優しく抱き止める。
そしてどちらからともなく再び重なり合う唇、その唇を通して伝わるお互いの気持ち。
沈み行く夕日が映し出す二人のシルエットはいつまでも重なりあったままだった。
- 633 名前:本当の贈り物(3/3) 投稿日:2005/03/21(月) 02:07:33 [ TWNOVdxc ]
- うららかな春の朝、登校中のなぎさとほのかに駆け寄ってくる二つの足音。
「おはよーって、あれあれあれ〜?なぎさと雪城さん、手なんか繋いじゃって朝から仲イイね〜」
「そうだよ、昨日は何かギクシャクしてたみたいだけど…何かあったの?」
志穂と莉奈の質問に思わず顔を見合わせる二人。
「ううん、何にも無いよ。ね、なぎさ」
「う、うん。そうだね、ほのか」
「フーン、そう…って急がないと時間ギリギリだよ!」
「そうそうそう。先に行ってるからね。なぎさ達も急がないとヤバイよ」
慌しく去って行く二人を見送りながらなぎさがため息をつく。
「ハー、ドキッとした。あの二人にバレるかと思った」
「あら、別に隠す事なんか無いのに…」
「えっ!?」
思いがけない言葉に狼狽するなぎさ。
そんななぎさを見てほのかがクスッと小さく笑う。
「フフ、冗〜談。それより私達も急ぎましょ?」
「う、うん、そうだね。…でも本当?」
「もーそんな事言ってないで。早くしないと遅刻しちゃうよ」
まだ何か言いたそうななぎさをほのかが引っ張るようにして、ようやく駆け出して行く二人。
傍から見ればいつもと同じような二人の関係。
だけど繋いだ手のワケはいつもとはチョット違う。でも、それはまだ二人だけの秘密。
- 634 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/03/21(月) 02:13:50 [ TWNOVdxc ]
- ちょっと二人のピュアな百合wを読みたくて、それならば自分で
書いてしまえと思って>>631-633を作ってみました。
初めて書いたんだけど、いやーSSって難しいね…
833サンの後だけに余計こっぱずかしいや。
- 635 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/03/21(月) 02:31:08 [ JumltUpw ]
- >631-633
(*゚Д゚)<ウハァァァァァァァァァァァ
まぶしい……今の俺にはこのSSはまぶしすぎる……
SS初書きという初々しさがまたなんともはや……
いやはー……俺もたまにはSS書いてみようかねえ…
ネタに走らずに純潔で繊細なヤツを。なんて思ったり。ウヒョー
GJ。
- 636 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/03/21(月) 04:15:37 [ nTcrZHJI ]
- とても初書きとは思えない素晴らしさだな・・・感動した。
俺も何ヶ月も前からエロSS書いてたけど、ずっと止まりっぱなしだ。
まあどうでもいいや。
- 637 名前:833@ 投稿日:2005/03/21(月) 09:27:41 [ dxzbny3k ]
- >初めて書いたんだけど
嘘だドンドコドーン!!
いや初めてでこんだけ書けるって凄まじいですよ。
自分なんぞ初めて書いたSSは下手すぎて書き終わってすぐに消去したしw。
ああでも面白かったです。最後のオチも予測したつもりだったけど、
プレゼントの内容は完全に予想外だったし…w。
ええ、良かったです。今後も書いてくださいねw。
- 638 名前:634 投稿日:2005/03/21(月) 11:32:11 [ eEuUugT. ]
- うお、レスがついてる。
皆さんどうも有難うございます。
また何か(妄想がw)思いついたら書いてみようと思います。
うう、でも仕事で時間が…
- 639 名前:833@ 投稿日:2005/03/21(月) 12:23:25 [ XAJy4Ul2 ]
- でピュアなものを投下しようと思ったのだが思い切りカブる予感がするので、
少しピュアじゃないほうを投下してみますw。
- 640 名前:833@ 投稿日:2005/03/21(月) 12:25:00 [ XAJy4Ul2 ]
- ピンポーン
雪城ほのかはマンションの一室のインターホンを鳴らした。
「……………」
腕時計に目をやると時刻は9時33分。
なぎさの家に行くと言った時刻から3分経過したところだ。
ドアを見つめたまま1分ほど待っただろうか。返事は全く無い。
「はぁ…。仕方ないなぁ……」
ほのかはバッグの中から数日前になぎさから貰った合鍵を取り出した。
それはなぎさがほのかにいつでも来て欲しい。という願いを込めたプレゼント。
もっとも恥ずかしさからほのかはそれを使ったことなど無かったが…。
ガチャリ
合鍵でドアを開けるとほのかは部屋の中へと入る。
「お邪魔しま〜す」
なぎさは誰も居ないと言っていたし、確かに昨日は誰も居なかった。
しかしもしなぎさ以外の誰かが居たら非常に困るので慎重に動く。
靴を脱ぎ、真っ直ぐになぎさの部屋へと向かう。
もう何度訪れたかわからないほど来た部屋を迷うことなく進む。
なぎさの部屋ドアの前で一度立ち止まり大きく深呼吸。
以前ドアを開けた瞬間に手を引っ張られてそのままキスされたこともあるので、
ほのかは慎重にドアノブを掴みドアを開ける。
キィィという音と共にドアが開く。
膨れ上がった毛布がなぎさがまだ寝ていることを示していた。
「もぅ…、なぎさったら……」
昨日二人は明日一緒に買い物に行くという約束をしていた。
待ち合わせの時刻は9時30分に美墨家。
ほのかはぷんぷんという擬音を出しているかのようになぎさに近づく。
「なぎさ!」
ゆさゆさと布団を揺らす。
「ん…?」
布団の中のなぎさが目を覚ましたようだ。
「あれ?ほのかぁ?」
全身を覆う布団を気だるそうに払いのけるなぎさ。
声のした方向を向く。
「なぎさ、起き………きゃあああああ!!」
突然絶叫するほのか。
絶叫と同時に腰を抜かし床にへたり込んでしまう。
そのままズズズとものすごい速さで後退する。
「どうしたの?ほのか?」
寝ぼけ眼を擦りながらなぎさが訊ねた。
「な…ななな…なぎさぁ!!なんで裸なの!?」
恥ずかしさで目を思い切り逸らしながらほのかが絶叫する。
「え……?ああ、あの窓からやって来た下人に追い剥ぎされたの…」
まだまだ寝ぼけた様子のなぎさがふらふらさせながら言った。
「それは羅生門でしょ!何わけわかんないこと言ってるの!」
顔が真っ赤だがさっきと違って顔を覆い隠す指の間からなぎさの裸体を見ている。
「なんか……体が熱くてさ……」
そう言い残すと頭から地面にバターンと倒れこんでしまう。
「な…なぎさ!?大丈夫!?」
ほのかが慌ててなぎさの傍に駆け寄る。
なぎさの額に手を当ててみる。
「熱い……」
……………
………
…
- 641 名前:833@ 投稿日:2005/03/21(月) 12:26:32 [ XAJy4Ul2 ]
- 「あれ?ほのか?」
ようやく意識を取り戻したなぎさが名前を呼んだ。
「はぁ、なぎさ。熱が38℃もあったのよ…」
心配するようにほのかが言った。
「ん、ごめんね。あ、服まで着せてもらったんだ…」
額には冷えたタオルを乗せてもらっていた。
恐らくほのかがやってくれたのだろう。
そして今更になってなぎさが恥ずかしさから頬を染めた。
「で、どうなぎさ。具合は?」
冷えたタオルを水の入った桶に浸しながらほのかが訊ねた。
「何とか大丈夫。ごめんねほのか。買い物に行こうって約束してたのに…」
申し訳無さそうな表情でなぎさが謝る。
ほのかは微笑みながら冷えたタオルをなぎさの額に乗せる。
「気にしないで。それよりもなぎさが早く元気になることのほうが大切だから」
ほのかは熱のせいで熱くなったなぎさの頬に水で冷やした冷たい手を当てる。
「ん…、冷たくて気持ち良いや……」
なぎさは頬に触れるほのかの手首を掴んでいた。
暫くの間二人はずっとそうしていた。
動かない二人とは対照的に車の走る音が窓の外から、
時計が時間を刻む音が部屋の中から聞こえたが二人の耳には入らない。
静寂な空間にただ二人だけの時間……。
やがてほのかが何かを思い出したように言った。
「お粥作ったけど……食べる?」
「え?あるの?」
なぎさは驚いたようにほのかに訊ねる。
「うん、ごめんね。勝手に台所借りて……」
慌ててほのかが謝りかけると、
「ううん。ありがとう」
逆に感謝するようになぎさが言った。
「それじゃあ持ってくるね。あとお薬も」
なぎさの頬に当てられた手が離れほのかは立ち上がると部屋を出て行く。
一人になったなぎさはふと頬に手を当てた。
(冷たいなぁ……)
ほのかの冷えた手に触れ続けていた左の頬。
38℃の熱があるにも関わらずそこだけは冷蔵庫のチョコレートのように冷えていた。
すぐにほのかが戻ってきた。
なぎさもお粥を食べるために上半身を起こす。
ほのかはスプーンに一口分のお粥を取るとふーふーと二度ほど息を吹きかける。
「はい、あーん」
何の抵抗も無い純粋な笑顔のほのか。
「あーん」
せっかくの好意を無下にするのも嫌だったのでなぎさも言われた通りにする。
「おいしい……」
そして味の感想を素直に表現する。
「良かったぁ……」
もともとなぎさが味の批評に小難しい言葉など使わないことを知っているほのかも
なぎさの素直な表現を大いに喜ぶ。
熱があろうと無かろうとなぎさの食欲に変化は無いようで、
あっという間にほのかのお粥を全てたいらげてしまったのだった。
「ごちそうさまでした!」
「おそまつさまでした。はい、お薬」
食後の薬と水の入ったコップをなぎさに手渡す。
「ん、ありがとう」
なぎさは水を口に含むと錠剤の薬を流し込む。
「食べ終わったら、もう少し休んだほうがいいよ」
なぎさの両肩を優しく持ってベッドに寝かせる。
「うん、わかった。そうする…」
言われたとおりに素直になぎさも横になる。
ほのかはじっとしているなぎさの傍でなぎさの部屋の掃除を始めた。
- 642 名前:833@ 投稿日:2005/03/21(月) 12:29:03 [ XAJy4Ul2 ]
- その後掃除を終えて暫くして……。
「ねぇ、なぎさ。どうして裸で寝てたの?」
朝からの最大の疑問をなぎさに訊ねる。
なぎさも必死に思い出すように考え込む。
「あ……、そっか……」
そしてなぎさは何かを思い出したようだった。
「どうしたの?」
ほのかが訊ねる。
「あ…、え〜と……」
なぎさはもじもじとした様子で何か言い出し辛そうな様子だ。
「その、昨日ほのかがあたしの家に遊びに来たよね?」
質問というよりは確認のようなつもりで訊ねる。
「ええ」
頷きながらほのかも答える。
「それでさ……その……あたしたち………」
熱で赤くなっている頬が更に赤くなった。
「あ……」
ほのかも気づいたようだ。急にほのかの顔も赤く染まる。
「………………」
「………………」
気まずい沈黙……。
二人の脳裏に蘇る昨夜の濃厚な交わり。
「………………」
「………………」
互いに求め合い、互いに愛し合った夜………。
「それで…終わった後そのまま寝ちゃったの?」
ほのかが確認するようになぎさに訊ねた。
顔が真っ赤に染まって声もかなり小さくなっている。
「う…うん」
なぎさも顔を真っ赤にして俯いたまま答えた。
「そっか、ごめんねなぎさ」
「そ…そんな、ほのかが謝ることじゃないよ。あたしが馬鹿なだけなんだから」
「もっと……、もっと一緒に居たいね……」
「え……?」
思わずこぼれたほのかの本音だった。
親友という関係をも超えてしまったかも知れない二人の関係。
もっと一緒に居たい。そう思うようになっていた。
「じゃあさ…一緒に暮らそうか……」
なぎさがポツリと呟いた。
「え?」
「もちろん今すぐじゃないよ。その……あたし達が大人になってから……」
恥ずかしそうにほのかの顔を見つめてなぎさが言った。
「そうだね。そうしたいね」
ほのかは静かに、それでもとても嬉しそうな表情で笑った。
笑って、そしてベッドに横たわるなぎさを抱きしめた。
なぎさも驚きながらそれを受け入れる。
「ほのかぁ…、風邪ひいちゃうよ?」
少し困ったようになぎさが訊ねる。
「大丈夫。そしたらなぎさに看病してもらうから」
そのまま黙って二人が唇を重ねた。
数日後、やっぱりなぎさはほのかの看病に行ったらしい……。
- 643 名前:833@ 投稿日:2005/03/21(月) 12:31:42 [ XAJy4Ul2 ]
- なぎさがほのかを看病する話って今となっては懐かしいあの一週間でやったんだよなぁ。
(あれは書き直したい。いや一週間全部書き直したいw)
というわけでほのかがなぎさを看病する話です。
ギャグで書き始めたのにいつの間にかこういう話になっていました。
- 644 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/03/21(月) 21:55:40 [ tlN0QVeQ ]
- 833氏、GJ!
それにしても羅生門ワロタ
- 645 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/03/22(火) 04:45:12 [ nrKs6IW. ]
- すごい一人称視点だけど、ラノベチックでいいね。
羅生門には自分もワロタw
- 646 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/03/22(火) 10:10:10 [ 6GXRkZHk ]
- 羅生門ワロタwww
833氏毎度GJ!です。
- 647 名前:講議:プリキュアSSのディスクール(1/4) 投稿日:2005/03/22(火) 23:28:14 [ MKRo6siE ]
- >>645
はい。SSを書いているといずれは意識するようになる、一人称、三人称の違いですが、
この問題について以下さくっと纏めてみました。別に個人的な見解というわけじゃなくて、
ジェラール・ジュネットというおっさんの『物語のディスクール』という評論、
それを分りやすく纏めて、プリキュアSSに当てはめてみただけのことです。
各SS書きのみなさま、これからSSを書こうと思っている方の参考になれば幸い。
さて用いた教科書は『物語のディスクール』という、言わば学術書ですが
アニメのSSを書くような水準とは全く無縁の、高度な問題が扱われている本ではないです。
というより、叙法が自然複雑で錯綜してしまう文芸作品にくらべれば、SSなどの方が
視点などすっきりしている分、抽象的な分類もきれいに適用が可能だし、
イレギュラーなく実例で理解するのもむしろ易しい。以下でも、このスレ上にある
SSを例として用いて解説してゆくつもりです。
さて、ジェラール・ジュネットの考え方のまず第一の基礎は、
「語り手と視点は別」という事ですね。言い換えれば、
或る情景を誰の視点から描写するのか/誰が語っているのか、これは別々に考えなきゃならん、
という事です。
「視点」の問題から考えてゆきましょう。或る描写がある。或る叙述がある。
それが誰の視点からのものなのか?を判別するには、簡単に言って、その文を誰の作中人物の
一人称に書き換えられるかを、見ればよいのです。>>640-642のSSを例に取りましょう。
《ほのか(私)はバッグの中から数日前になぎさから貰った合鍵を取り出した。》
《以前ドアを開けた瞬間に手を引っ張られてそのままキスされたこともあるので、
ほのか(私)は慎重にドアノブを掴みドアを開ける。》
これらはほのかの一人称に書き換えるのが自然ですので、「視点」で言えば
ほのかの内部からなされている描写と言えるわけです。ところで繰り返しますが
「視点」と「語り手」は別です。あくまで上の例文は、ほのかの視点で書かれている
というだけのことであって、ほのかが語っているわけではない。答えを先回りして言うと、
上の例文での「語り手」は、ほのかでも、なぎさでもなく、作者の833氏ということになります。
まあ、その点は後述するとして、>>640-642のSSには同様に、なぎさの一人称に
書き換えられる文章、すなわちなぎさ視点の描写も存在します。同様に例を挙げます。
《一人になったなぎさ(私)はふと頬に手を当てた。》
《(私は)額に冷えたタオルを乗せてもらっていた。/恐らくほのかがやってくれたのだろう。》
このように見て行くと分るように、833氏の新作SSは「視点」を特定の人物に固定させずに
書かれていると言えます。従って、次のような、一人称に書き換えられ「ない」文章の
位置付けも、けっこう曖昧になってくる。
《なぎさはもじもじとした様子で何か言い出し辛そうな様子だ。》
《ほのかも気づいたようだ。急にほのかの顔も赤く染まる。》
《そしてなぎさは何かを思い出したようだった。》
《ほのかは静かに、それでもとても嬉しそうな表情で笑った。》
こういう風に、「そうな」「ような」「ようだ」「らしい」といった断定を避けた文章は、
描写されている当人の一人称に書き換えることができません。従って当然、「視点」は
外部にあることになる。そして、たとえばこのSSが一貫して「ほのか」内部の視点から
描かれているならば、「なぎさは何かを思い出したようだった。」の文章の視点もまた、
ほのか視点だと言えるのですが、一方で「ほのかも気づいたようだ。」みたいに、
ほのか自身も外部の視点で描写されてしまっている。ですからやはり、なぎさとほのかという
作中人物の内部からの描写もあるけれども、このSS全体としては、誰かの一人称の物語とは
言えなさそうです。どちらかと言えば、三人称的と呼ぶほうがしっくりしますね。
まとめますと、「視点」の問題は純粋に、その情景が誰の視点で見られているかに存します。
そしてその視点が、或る特定の作中人物の内部からの視点でほぼ固定されているとき、
その人物の「一人称的」な物語と言えるわけです。そうではなくて、内部からの視点も
いろいろな作中人物へと移って不定だし、人物を外部から捉える描写(断定を避ける描写)も
多くあると思われる場合は、だいたい「三人称的」な物語だと言っていい。
あくまで「視点」に関する限りではそのように言うことができます。
- 648 名前:講議:プリキュアSSのディスクール(2/4) 投稿日:2005/03/22(火) 23:29:45 [ MKRo6siE ]
- さて。ジェラール・ジュネットさんの理論の難しいところは(同時に、画期的なところは)
「視点」が誰か、という問題と、「語り手」が誰か、という問題を区別した点ですね。
しかし難しいとはいえ、この点を理解すると、SSを書く上でかなりの応用が可能になると思います。
以下概説しましょう。
「語り手」とは、分り易く言い換えると、物語内容の情報提供者、とも言えます。
物語と読者との間を「語り」によって架け橋してくれる存在のことですね。
これはなかなか説明が難しい。なぜなら有り体に言えば、「語り手」の存在を意識しなくても、
つまり、誰が物語を語っているかという、その「誰」を特に意識しなくても、SSは書けて
しまうからです。せいぜい物語の文脈や設定を読者に伝達する時に、少し意識するくらいで。
SSの書き手にとって「語り手」が明確に意識されるのは、例えば>>503-509の833氏の
ほのか×アカネSSや、>>123-124の59氏のレギーネSSの場合でしょうか。
これらは描写の「視点」が主人公に固定されているというだけでなく、前者はほのか、
後者はレギーネによって、すべてが語られている──物語のすべての情報が主人公の
語りによって与えられる──という意味で、主人公がまた「語り手」にもなっています。
>>503-509のSSで言えば、
《今年のクリスマスはホワイトクリスマスだった。
雪が降っていた。全てを覆い尽くすような白い雪。とても綺麗な雪だ。
今はもう雪は降っていない。それでももう十分な量の雪が積もっていた。》
《ふと、自分のことを思い出した。自分はどんな小学生だったろうか…。
両親はずっと海外で暮している。友達もとても多いとは言えなかった。》
こんな具合に、特にほのかの口から語られる必要のない情報も、すべてほのかによって
提供されます。これは明確に作者さんの企図として「語り手」にほのかを選んだからですね。
こういう形式のSSも何気なく「一人称的」と言いたくなりますが、より詳しくは「内的独白」と
言った方が適当でしょう。つまり、「視点」も「語り手」も主人公で一致している物語を
「一人称的」な物語のなかでもわけて「内的独白」の物語として、形式的に捉えられるわけです。
- 649 名前:講議:プリキュアSSのディスクール(3/4) 投稿日:2005/03/22(火) 23:30:31 [ MKRo6siE ]
- それでは、固定した視点人物とは別の「語り手」も、形式としてあり得るのでしょうか。
つまり「内的独白」の物語とは別に、明確に「語り手」が意識されるSSもあり得るのか。
あります。その形式の典型として、やはりフリチラ氏のSSに指を屈しないわけにはいかない。
例えば(このスレには転載していないけれども)以下のような叙述が、フリチラ氏のSSには
頻々に出て来ます。
《「まだ、二時メポ。一夜漬け頑張るメポ」
地球外生命体が分かったような口をきくと、なぎさはベッドの方へ足を向け、
「もう・・・いいや・・・明日、ほのかにぶっかけて・・・じゃなくて、ヤマ
かけてもらおう・・・」
そう言って、柔らかな布団の上へダイブ。明日に控えたテストを、
諦めたような風情である。そして、独り言のように、こう呟くのだ。
「むにゃむにゃ・・・横ハメじゃなくて、チョコパフェ食べたぁい・・・
それと、夏のお祭りでひどい目に遭いませんように・・・」
今、なぎさとほのかには、ドージン界と呼ばれる新たな魔界から
の使徒が近づいている。普段は魔都、アキハバーラに巣食う魑魅
魍魎たちが、ハールミフトウへと移動を開始した時、彼女たちには
新たな戦いが課せられるのだ。が、それは本編とは何の関係もない
ので、特に記す事はない。そして、ハイ、エンディング。》
──SSをとくに何の作意もなしに書いていると、「語り手」は無色透明になるのが普通で、
物語を通じて物言わぬカメラとして、情景を忠実に描写してゆくだけの存在になります。
その場合でも、物語が語られている以上、「語り手」は居ると言っていいわけですが、
まあ無意識に語り手=作者と前提している感じで、あえて「誰」が語っているかという、
その「誰」の語り口に個性を持たせることはしたりはしない。
逆に言うと、そこに工夫の余地があるというわけですね。上の引用などはその好例です。
ここで「今、なぎさとほのかには、ドージン界と呼ばれる新たな魔界からの使徒が
近づいている」「普段は魔都、アキハバーラに巣食う魑魅魍魎たちが、ハールミフトウへと
移動を開始した時、彼女たちには新たな戦いが課せられるのだ」「が、それは本編とは
何の関係もないので、特に記す事はない。そして、ハイ、エンディング」と語るのは誰か。
いや、誰と特定しなくとも、明らかに無色透明ではない、或る人格を持った「誰」かが
語っていることを感じさせる文章だと思います。しかも、それはなぎさでもほのかでもない。
あえて言えば、作者のフリチラ氏自身でもない。フリチラ氏によって愉快な色付けをされた
キャラクターの一人が、「語り手」として、顔を出している、と見てよいと思います。
氏のSSからはこういう箇所を幾らも挙げることができますね。
《男は踵を返し、それだけを言った。その背へ、アカネは意を決したように叫ぶ。
「あにさん、あたしやります!全裸エプロン。あにさんからもらったこの千枚通しにかけて、見事
しのいでみせます!」
アカネの手には黄金の千枚通しが握られていた。大阪の方にこれの名を尋ねると、十中八九の
確率で『たこ焼きをひっくり返すやつ』という答えが返ってくる。更に、アイスピックまでも、『たこ焼
きをひっくり返すやつ』と答える大阪の人々──
「がんばれよ」
男はスカジャンのポケットに手を入れて、歩いていく。背中には虎の刺繍が入れてあり、エキゾチ
ック・ジャパンと書かれていた。これはかつて、女性誌で日本一ビキニパンツが似合う男と称された、
ある人物の言葉だ。近年ではアッチッチと呼ばれ、元メナードのメンバーの曲をローカライズして、
歌っている。ああ、もう訳が分からなくなってきちゃった・・・という事で、場面はベローネ学院男子学
部へと移動。そこではなんと、理恵ママがフジピー先輩率いるサッカー部の部員に、襲われていた。》
上の引用文中、「大阪の方にこれの名を尋ねると…」「近年ではアッチッチと呼ばれ…」等
作中人物以外の誰かによる、こうした注釈は、「視点」の意識だけでなく、
「語り手」という水準への意識がなければ書けない、文章上の多彩な工夫と思います。
こういう「語り手」の存在への意識が、一つの作品を通してゆるまずに維持されているのが、
氏のSSの第一の強みでしょう。
- 650 名前:講議:プリキュアSSのディスクール(4/4) 投稿日:2005/03/22(火) 23:31:47 [ MKRo6siE ]
- ところでフリチラ氏のSSを分類するとしたら、「三人称的」になるか、
「一人称的」になるのか、どちらでしょうか。
フリチラ氏のSSは(すべてがそうであるわけではないですが)おおよそ作中人物を
外部から捉える視点の描写が占めています。ということは、三人称的、…と言いたいところですが、
むしろ氏のSSは、「内的独白」の形式と似たような意味で、一人称的、それも、
ほのかやなぎさといった作中人物による語りではなく、フリチラ氏(の作った個性的な
語り手)の一人称で語られた物語だと、言ってよいように思われます。
氏のSSに固有のユーモアも、作中人物とは別の個性を持つ、この語り手に拠るものですね。
この語り手が、作中人物さえもその語り口に従属させて、なぎさとほのかの行動に注釈したり、
読者へ呼び掛けたり、語り手独自の感想を述べたりと、「一人称的」な物語世界をつくり出す。
(繰り返しますが、氏のSSのすべてがそうであるわけではありません。語り手の声が
抑えられて、無色透明に徹しているSSもフリチラ氏の作品のなかにはあります。)
もし普通のSSを書くのに飽きたなら、「視点」からの情景の忠実な描写だけを考えるのではなく、
氏のように意識的に、特有の声を持った「語り手」を工夫してみるのも、面白いかもしれませんね。
さてさて、そのような工夫に長けている書き手として、もう一人、「プリッキュア〜!」スレの
職人さんを挙げることができます。
例えば>>588-589のSS「30+1=?」はこんな風に書き出されます。
《たまには放課後のほほんとおしゃべりタイム。
特別お話したい事があるわけじゃないけどね。
部活とかおいしいケーキ屋さんとか
好きなオトコノコの告白!なんてしちゃうかも?
ところで、どこの学校でも怪談話はつき物。
ベローネ学院にもモチロン語り継がれる怖いお話が合ったりする。
そこで、今日の放課後おしゃべりタイムのお題は怖いお話。
ベローネ学院七不思議。一番怖がった子が罰ゲーム!って趣向。》
これは冒頭で、後の物語の展開に必要な情報を提供しているわけですが、
その提供の語り口に独特の個性を持たせて、その声の持主による
「一人称的」な物語世界の印象をつくり出しています。当然ながらこの「語り手」は
作中人物の誰とも違いますね。やはり作者さんが創造した別個のキャラクターと言えます。
同じ作者さんのネタSSには>>70-72(「脳内笑っていいとも」)などもありますが、
これも同じように、なぎさやほのかとは別の人格の語り手による、「一人称的」物語世界。
まあ、フリチラ氏ほどに語り手が前面に出ているわけではないのですけれど
(さすがに読者に呼び掛けたり、語り手自身で自己言及したりはしない)、
この職人さんのSSの常の質の高さは、「視点」とは区別される「語り手」の水準での作意に、
支えられているところもあるのではないかしら?とつらつらと想像する次第です。
どういう視点で描写がなされているか、だけではなく、物語の文脈・設定をどんな具合に
読者に伝達・提供するかの工夫も、やっぱり大事ですからね。
──以上、「一人称」「三人称」という区別について、ジェラール・ジュネットの教科書を元に
軽くまとめてみました。簡単に言うと、
「視点」にせよ「語り手」にせよ、誰が情景を見ているのか、誰が物語を語っているのか、
その「誰」が明確に意識されて、他から区別された、一貫した個性を与えられている場合に、
「一人称的」な物語の印象になる。そうでない場合は「三人称的」になる。
といった感じでしょうか。いずれにせよ「私」「彼」といった文法的差異は重要ではないようです。
わかり難かったら失礼。
終
- 651 名前:833@ 投稿日:2005/03/28(月) 18:48:54 [ lg6TQjBs ]
- 台風の贈り物
「それじゃあ今日は台風が来るそうだから早く帰るように!!」
担任のよし美先生の声が教室に響き渡る。
それは同時に本日の授業の終了を意味するものである。
桜組みの生徒達は先生に言われた通り傘を持って教室を出て行く。
「ふぅ……」
そんな生徒達を遠くの幻でも見つめるかのように美墨なぎさは溜息をつくと
右肘を机につきながら窓の外へと視線を向けた。
先日の天気予報は見事に的中し季節外れの台風は予定通りやって来た。
天性の晴れ女、太陽の申し子、天晴れ大将……。
14年間の人生の中で彼女には様々な称号が与えられ、そして崇められてきた。
そう彼女は天性の晴れ女。大事な行事の直前、天気予報がいかに絶望的な予想をしようとも
彼女が居ればたちまち雲は消え、陽光が注ぐ。
というわけで彼女は今日も自分自身の才能を信じ、台風と言われていたにも関わらず、
「面倒くさいからいいよ」
という母親に言い残した理由で傘を持っていかなかった。
もっとも遅刻しそうだったという背景があったのも事実ではあるが…。
「ありえな〜い……」
力無く呟きなぎさは机に突っ伏してしまう。
机に上半身を乗せて変わらない窓の外の景色を眺める。
時計が教えてくれるただ今の時刻は3時15分。
「眠い……」
徹夜で宿題を終わらせる、という決意の元に宿題開始した時刻は午後10時、
その後約30分ほどでもうダメだ。という言葉が飛び出し、
眠いという言葉が飛び出したのはその5分後。そしてなぎさの意識が無くなったのはそれからすぐ。
理性と欲望の時間無制限一本勝負はわずか35分で決着が着いてしまった。
がその失われた35分を取り戻そうとする恐るべき執念と本能が働いた。
もはや欲望を止める力を持たないなぎさは両手の上に顔を乗せ無防備な姿勢になる。
「起きたら雨止んでるよね…。おやすみなさい…」
というわけで試合はロスタイム突入。ロスタイムは35分。
……………。
………。
…。
- 652 名前:833@ 投稿日:2005/03/28(月) 18:49:55 [ lg6TQjBs ]
- 試合終了のホイッスルは意外な者の手によって吹かれた。
「なぎさ!!なぎさってば!!」
誰かがなぎさの体を揺らしている。
「ん………」
なぎさはダルそうに顔を持ち上げて正面を見つめる。
汚い黒板がなぎさの目に映った。
視線を右にスライド。ターゲットロックオン。
「え……」
ロックオンされた時計が示した時刻は5時53分……。
なぎさは眠そうに目を擦りながらもう一度時計を見つめる。
ロスタイム。教室で時計だけが休まずに動き続け時を刻んだのだった。
視線を左へスライド。知覚速度を二倍に設定。
なぎさが以上の行動を無意識のうちにとり、窓の外へ視線を向ける。
灰色の雲、止むどころか勢いを増した雨。轟く雷の音。
「なぎさ!!」
もう一度誰かが自分を呼ぶ声がした。
首を左へ180度回転………すると死ぬな。首を右へスライド。体も右へスライド。
ターゲット確認。認識照合完了。
「ほのか……」
目の前に立つ少女の名前をなぎさは呟いた。
「もう…、なんでこんなところで寝てたの?」
ほのかと呼ばれた少女は怒ったような表情で訊ねた。
思考回路スイッチオン。記憶呼び出し完了。思考スタート。
「え〜とね……」
思考中。一切の雑念を排除し思考に集中。腕組をしたままなぎさは真剣な表情で考える。
「眠かったから」
思考プロセス完了。と同時に答えを出す。
ほのかは呆れたような表情で溜息をつく。
「今日は台風なのよ…」
そう言われてなぎさは何かを思い出した。
「あ、あたし傘忘れたんだ」
思い出したことをあっけらかんと言う。
ほのかはもう呆れて何も言えないような様子だった。
「それじゃあ私が傘持ってるから、途中まで一緒に帰りましょ」
ほのかはそんな提案をした。
なぎさは再び思考開始。ほのかの傘で一緒に帰る?
そこから導き出される結論は一つ。
「同じ傘に入るの…?」
「うん」
ほのかは笑顔だった。恥ずかしさといった感情は一切無いように思える。
しかしこれを逃したら家に帰る手段はもう無いだろう。
家に電話して学校に泊まるという方法もあるが、あまり良いとはいえない。
ここはほのかの提案に従うしか無い。答えは出た。
「そだね。じゃあ一緒に帰ろう」
なぎさも笑顔で答える。教室に鍵をかけ職員室に返却に行く。
よし美先生にこんな時間まで何してたの。と怒られてしまったが二人は気にしない。
下駄箱で靴を履き替えて大雨が降る外へ出た。
「凄い雨だねぇ……」
傘を持っているほのかが呟いた。
十年に一度あるかないかという大雨に関心している様子だった。
「うん」
なぎさもただほのかの呟きに頷く。
「なぎさ、もっと近づかなきゃ濡れちゃうよ…」
そう言ってほのかのほうが体をピタッと寄せてくる。
ボコッ……、謎の擬音がなぎさの頭を駆け抜け理性の一部が崩れた。
- 653 名前:833@ 投稿日:2005/03/28(月) 18:50:42 [ lg6TQjBs ]
- なぎさは頬を染めながら無言でほのかに体を寄せる。
顔、腕、足……。二人の体が触れ合う。
「冷たいね…」
照れくささを誤魔化すためになぎさがさり気無く言った。
無意識に、いつの間にかなぎさの手がほのかの手と重なっていた。
「あ……」
ほのかがその手を見つめる……。そして今度はなぎさの顔を見つめそれを繰り返す。
頬を染めながらほのかは無言で歩く。
カラカラ……。謎の擬音がなぎさの頭を駆け抜け理性がまた崩れた。
他には誰も居ない。この大雨なら当然のことであった。
二人のスッと、ほのかがなぎさの腕に自分の腕を絡ませていた。
ガラララ……。同様の現象が発生した。
なぎさも気づかない自分の頭の中での大混乱。
ギリギリのところで思考を起動する。
「ほのか……、歩き辛いよ……」
「ご…ごめん……」
ほのかは慌てて腕を離した。しかし崩れた理性はそう簡単には戻らない。
そう長くない距離を時間をかけて歩きようやく駅に到着した。
しかし大雨のせいであろう、電車は走っていなかった。
運転見合わせ。それが大雨の影響による結果。
二人は椅子に座ったままただ黙っていた。
ずぶ濡れの体を拭くこともせずにただ座っていた。
「ごめんね、なぎさ……」
泣くのを堪えているかのようにほのかが言った。
「ほのかは悪くないよ。仕方ないよ。雨なんだから」
なぎさがほのかを慰めるように優しく言った。
「そもそもあたしが傘忘れたのが悪かったんだからさ…」
ほのかの心配を吹っ飛ばすようになぎさは声をあげて笑う。
トスッ。なぎさの胸に重みがかかる。ほのかが頭を乗せていたのだった。
「ありがとう、なぎさ……」
ピシッ…。何かに罅が入った。ガラガラガラガラガラ…。
ピシャーーン。大きな雷が落ち轟音が響いた。
思考は完全に停止。理性は崩壊。そしてなぎさが動き出す。
ギュッとなぎさはほのかの体を強く抱きしめる。
「な…なぎさ……?」
なぎさの手は動かない。力強くほのかの体を抱きしめ続ける。
「なぎさ?ちょっと痛いよ……」
ほのかはなぎさの顔を見つめて言った。
「!?」
突然なぎさがほのかの唇を塞いだ。
「ん……んっ……」
そのまま力任せになぎさがほのかを両手を掴み椅子の上に押し倒した。
ポタポタとなぎさの髪から雫がほのかの頬に数滴垂れた……。
「なぎさ……」
ほのかはどうしていいのかわからないといった表情でなぎさを見つめた。
ここで思考プロセス復帰。なぎさは理性を取り戻した。
「あ……」
なぎさはハッと何かに気づいたようだった。
「ほの……か………ごめ……あたし」
慌てて両手の力を緩める。
「あたし……何を……」
ほのかを傷つけてしまった行為をとった自分への恐怖感でいっぱいだった。
体が震えて涙が零れた…。
「ごめん……ほのか………!?」
ただ謝り続けるなぎさをギュッとほのかを抱きしめた。
「ほのか……」
「大丈夫だから……ね」
「あ………」
ただその一言で体の震えは止まった。
「ありがとう、ほのか……」
なぎさは涙を流しながらほのかを抱きしめた。
さっきとは違う、ほのかを愛しているから抱きしめるんだ。
自分に言い聞かせるようになぎさは両腕に力を籠めた。
ほのかもまたそれをわかっていた。だからこそ痛みをまた感じても何も言わなかった。
二人は体を寄せ合い、電車の運転再開を待った。
一時間ほど経過して、ようやく電車がやって来た。
- 654 名前:833@ 投稿日:2005/03/28(月) 18:51:52 [ lg6TQjBs ]
- 「今日はごめんね…、ほのか」
雪城家の玄関でなぎさはあらためてほのかに謝った。
時刻は午後七時を回っていた。
「もういいよ」
ほのかは笑って答えた。
「でも……」
「大丈夫……。それに……嬉しかったから……」
「え………?」
「その………。いつも私からだったから…。なぎさからって……初めてだったから……」
ほのかは目を逸らし頬を染めていた。
雨はまだ降り続けている。
「なぎさ…」
ほのかが傘を借りて家に帰ろうとしたなぎさに呼びかけた。
「なに?」
なぎさが振り返って訊ねた。
「今日……、おばあちゃま出かけてて帰って来ないんだ」
「……………」
「家……、泊まって行かない?」
ピシャーーーン。
雷がもう一度鳴り響いた。
- 655 名前:833@ 投稿日:2005/03/28(月) 18:55:33 [ lg6TQjBs ]
- 自分のSSはほとんど見切り発車です。
何も考えずに書き始めることがほとんどです。
がこの作品は特に見切り発車色が強いですな。
もうちょいじっくり考えたほうが良いとは思うのですが、
なんつーか思いついたら一気に書き上げろ!って思ってしまうのです。
そして勢いだけで書き上げてしまう。これは3時間くらいかかったけどw。
少し地の文の形式変えてみました。
なぎさの行動がやけにマシーンっぽいのは
理性崩壊をわかりやすく見せるため…のハズだったんですが。失敗かな。
なぎさ攻めって慣れてないのもあるかな……。
反省材料多数発掘出来そうですな…。
- 656 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/03/28(月) 23:50:15 [ swE2Ihio ]
- なぎ攻めGJ!
- 657 名前:634 投稿日:2005/04/01(金) 00:36:20 [ myb5HpFM ]
- |ω・) 誰もいない…SS投下するなら今のうちにっ!
|⊂
|ノ
- 658 名前:あやしい二人 投稿日:2005/04/01(金) 00:37:15 [ myb5HpFM ]
- 「ユリは百合、バラは薔薇♪」
うららかな晩春のある朝、何処で覚えたのだろうか怪しげな歌を口ずさみながら
ちょっぴりぎこちない手つきでひかりが仕込みを手伝っている。
最後に残すはネギの山。あとはこのネギを刻めばお終いね…そう思っていると突然
「ひかり、お友達だよー」
と自分を呼ぶアカネの声がする。
友達?休日にまで私に会いにココにやって来るクラスメイトなんていたっけ…?
などとちょっと寂しい事を思ってしまうひかりだったが、
表に回ってみるとそこに居たのはいつぞや一緒に登校した同級生二人組み。
どうやら自分が近所で評判のタコ焼き屋で手伝いをしていると聞いて
どんなものか様子を見に来てくれたらしい。
初めて同級生が会いに来てくれたと言う事実に自然に笑顔になって行くひかり。
しかしすぐに仕込みの手伝いの途中だった事を思い出し、その笑顔に影が差し込む。
お手伝いに戻らなきゃ、でもせっかく来てくれた二人ともお話したいし……
悩むひかりがちらりとタコカフェの方を見やると、笑顔で頷くアカネの姿。
どうやらお許しが出たらしい。
三人は暫しののほほんお喋りタイムへと突入するのであった。
勉強どう?部活は決めた?気になる人は?他愛の無い会話をしていると、一人がふとひかりに聞いてくる。
「そうだ、ひかりちゃんてあの二人と友達なの?」
「あの二人?」
「ほら、雪城先輩と美墨先輩の二人よ。何度か一緒に帰ってるのを見た事があるんだけど、友達なの?」
「なぎささんとほのかさん?うーん、友達と言えば友達・・・かな?」
自分でも良く分からないといった感じで自信なさげに答えたひかりだったが、
まるでその答えを待っていたかのように二人が身を乗り出してくる。
「だと思った!じゃ聞くけど、二人ってどうなの?」
「ちょっと、いきなり?…でどうなの」
「え、どうって…?」
質問の意味が分からずキョトンとするひかり。
「だからいつも一緒にいるし、こう何て言うか特別な関係なんでしょ?」
特別な関係?――しばらくその言葉の意味を考えていたひかりだったが、
やがて何事かを思いついたらしく少し戸惑い気味に口を開く。
「知ってたんだ二人の事…」
「やっぱり!!」
「ホントだったんだ!!」
その答えに二人は何故か興奮した面持ちで顔を見合わせ、鼻息荒くさらに聞いてくる。
「ねぇねぇ、それで見た事はあるの?あの二人が実際に、その…シてる所とか」
「イヤー!ストレート過ぎっ!」
興奮する二人を不思議そうに見るひかりだったが、すぐに笑顔で答える。
「もちろん。最近じゃ私も一緒にやってるから…」
- 659 名前:あやしい二人 投稿日:2005/04/01(金) 00:37:56 [ myb5HpFM ]
- 公園に響き渡る乙女の絶叫。
道行く人も思わず何事かとこちらを振り返る。
もう周りの事などお構いなしの二人。怯えるひかりに向かって目を輝かせながら再び問いかける。
「一緒にってマジで!?ね、どんな感じなの?その最中はどうなっちゃうの?」
「知りたい知りたい!!」
「え?うーん、上手くは言えないんだけどまず頭の中が真白になって、それから自分の意思とは無関係に
言葉が出てきて…。兎に角、自分が自分で無くなっちゃうような、そんな感じかな?」
乙女の咆哮が公園に響き渡る。
犬は吼え、鳩は驚いて飛び立って行く。
興奮しきった二人が上気した顔を向け、ひかりに話しかける。
「ひかりちゃんて大人しそうに見えるけど結構大胆なんだ!人は見かけにはよらないねー」
「ホントホント。あたし何だか尊敬しちゃう!」
「そ、そう?」
何だか噛み合わないテンションの三人。とその時、そんな彼女達に二つの影が近づいて来た。
「ひかり、お早う」
「この子達ひかりさんの友達?」
「なぎささんにほのかさん。どうしたんですか?」
――ガタン!
突然二人が立ち上がり、熱く妖しい視線でなぎさとほのかをジッと見つめる。
「雪城センパイ!いいえ、ほのかお姉サマ。今度からそう呼ばせて頂きます!」
「美墨センパイ!あたしラクロス部に入りますから、だから教えてくださいね!イロイロと…」
そしてそう言い残すと、ダッシュで去って行ったのであった。
「イロイロと教えて?」
「お、お姉サマ?」
突然の事にあっけに取られるなぎさとほのか。
「ねぇひかり、あの子達に何か言ったの?」
「え?私はただ聞かれた事に答えただけですけど…」
「何を話したの?ひかりさん」
「それは―――」
事の経緯を話すと、なぎさが驚きの声を上げる。
「えーっ!?プリキュアの事喋っちゃったの?」
「はい。戦いの事とか、変身の事とか…」
「それってマズイんじゃない?ねぇほのか」
「うん……でもあの二人、ひかりさんが言ってた事がプリキュアの事だって分かってたのかしら?
ほら、私の事お姉サマって呼びますとか言ってたし。プリキュアとは何の関係もないと思うんだけど…」
「そう言えば私もなんか変な事言われた。…ねぇ、何だか凄く嫌な予感がするんだけど…」
二人の事を思い返し不安がるなぎさ。
だがそんななぎさにメップルが茶々を入れる。
「なに言ってるメポ。そんな事で悩むなんてなぎさらしく無いメポ。
大体なぎさが悩む事なんて食べ……ハッ凄い邪悪な気配メポ!」
「メップル、あんたアレ喰らいたいの…?」
「アレは嫌メポ!アレは嫌メポー!!」
「ダメ。アレ決定!」
「嫌メポー!!!」
そんな馬鹿な事をやってる内に結局、なぎさの不安はうやむやになってしまったのだった。
一方その頃当の二人は
「やっぱり噂は本当だったんだ!」
「うん!ラクロス部のキャプテンと科学部の部長。スパースターの二人だけれど、実は人目を忍ぶ恋の仲!!」
「絶対にみんなにも教えてあげなくちゃ!」
「そうだ!今度ひかりちゃんに頼んであたし達も…なんてどう!?」
「イヤーッ!私達も遂にデビューしちゃうの!?」
とイケナイ妄想を爆発させていたのであった…。
- 660 名前:あやしい二人 投稿日:2005/04/01(金) 00:38:31 [ myb5HpFM ]
- ――翌日
「なぎさなぎさなぎさー」
「どうしたの志穂?」
「あっち見てよ!今日一年生がすっごく沢山見学にきてるんだけど」
「マジで?うわっ、ホントだ!去年の大会頑張ったからねー」
「そうかな?何か視線が皆なぎさのほう向いてるんだけど…」
「そんなの気にしない気にしない!さぁ行こう!」
「ほのか、早く早く!」
「どうしたのユリコ?」
「ほら見て、あんなに大勢の見学者がいるよ。きっと去年の発表会のお蔭だね!」
「そ、そうかな…。みんな実験器具とかよりこっち見てるんだけど。それに視線が何だか怖いし…」
「そんなの気のせいだって。さぁ、行くよ!」
・
・
・
「有難うございました!……で、結局その後はどうなったわけ?」
お客に注文の品を渡し終えると、アカネが話の続きを促してくる。
二人が巻き込まれた騒動について話しに、あの日以来しばらく振りになぎさとほのかはタコカフェへと来たのである。
「それがマジ大変で…。どこ行っても追いかけられるし、ほのかと一緒にいるだけで皆に冷やかされるし…」
「私はなぎさ程じゃなかったけど、それでも…」
「ふーん。どうも最近あんた達の姿を見かけないと思ったら、そんな事になってたんだ。そりゃ大変だったね〜」
大変ねとは言うものの何処か面白がっている様子のアカネに、なぎさが頬をプクっと膨らまし反抗する。
「もーアカネさん!他人事だと思って…。全然大変そうに聞こえないよ!」
「アハハ、ごめんごめん。まぁでも、火の無い所に煙は立たないって言うし、
あんた達本当は何か他人に疑われるような事やってるんじゃないの?」
………。
………。
「………って、何黙ってんのよ!あたしまで誤解しそうになるじゃない。…それともあんた達まさか!?」
「ま、まさか!何言ってるのアカネさん!?ねっ、ほのか!」
「そ、そうよね、なぎさ!そうだ、そう言えばひかりさんはどこ行ったんですか?」
わざとらしく話題を変えるほのか。
「ひかり?あの子だったら今、買出しにいってるけど。でもどうして?」
「私、一人じゃ心配だから探してきます!行こう、なぎさ」
「う、うん。そうだねほのか。じゃあアカネさん、また来まーす」
「あ、ちょっと!……“心配だから”って、何度も一人で行ってるの知ってるじゃん…」
そそくさと逃げるように立ち去っていく二人を見送りながら、どこか腑に落ちなさそうなアカネ。
だがすぐに気を取り直したようにカラッとした口調で呟く。
「ま、いいか。青春真っ盛りの乙女だもんね、秘密の一つや二つあるって事か。
あ、いらっしゃーい!御注文は――」
辺りでは夏の訪れが待ちきれないのか、季節外れのユリが見事な花を咲かせているのであった。
- 661 名前:634 投稿日:2005/04/01(金) 00:40:56 [ myb5HpFM ]
- 以上です。
しかしユリって春の終わり頃に本当に咲くのか?
- 662 名前:833@ 投稿日:2005/04/01(金) 01:50:44 [ QflTb8Bw ]
- >661
GJです。今回も面白かったです。
百合の花の咲く時期って百合そのものも結構種類が多いから
なんか曖昧らしいけど…。大体4月〜7月くらいでしたっけね…。
- 663 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/04/01(金) 04:19:46 [ Md/EdRfw ]
- こういう勘違い系の話は楽しいw
- 664 名前:634 投稿日:2005/04/02(土) 20:47:37 [ JMxOcjYA ]
- >662
百合って4月にも咲くんですね、知らなかった…。
>663
自分も百合話も好きだしコメディ系も好き。
まぁぶっちゃけ、なぎほの話ならなんでも好きw
- 665 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 08:00:54 [ Scy.qckU ]
- 新しいのを一本書いてみたものの…。
レス消費が23レスにも なりそう。(なんと1200行超)
一度に投稿すべきか、何度かに分割して投稿すべきか…。
いずれにせよ、今日の放送が終わったら投稿します。
- 666 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:42:32 [ Scy.qckU ]
- それでは、投稿 始めます。 やっぱり一気に投稿する事にしました。
タイトル(ラテ欄仕様、正タイトルは作中にて)
「再びピーサード」
23+1レス専有。
本編に則した構成で書いてみました。
そしたら、こんなトンデモない分量に…。
- 667 名前:予想係(01/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:43:32 [ Scy.qckU ]
- 【アバンタイトル】
いつもと同じ金曜日の朝。
いつもと同じように若葉台駅前を なぎさが一人で歩き登校していた。
いつもと違っていたのは なぎさが気だるげな表情で歩いていた事ぐらいであろうか。
そんな なぎさを見つけて後ろから呼ぶ声が二つ。
志穂「あ、なぎさ だ。お〜い!」
莉奈「おはよう なぎさ!」
それを聞いて反応した なぎさであったが、
その振り返るさまは「ぬー」 …という擬音が聞こえてきそうな感じがする。
なぎさ「あ、おはよう。志穂、莉奈」
そして声にも覇気が無い。
志「どうした どうした どうした? 元気がないぞ なぎさ」
な「そうかな…?」
と言っている側から不躾にも大口を開けて あくび している。
莉「眠そうね。 夜更かしでもしてたの?」
な「うん、ちょっとだけ予習と復習を」
莉「予習と復習!? なぎさが?!」 志「マジ マジ マジ!?」
なぎさの口から滅多に聞けない単語が飛び出し、莉奈も志穂も大層 驚いた。
な「…なによぅ、アタシが自分から勉強するのが そんなに珍しい?」
志「うん。 私が一回で言い切るくらい」
莉「明日は雪かしら…?」
そう言って手で庇(ひさし)を作り遠い目で空を見上げる莉奈。
な「ひどいの。アタシだって たまには予習・復習くらいするわよ」
志&莉『“たまには”!』
そこで期せずしてユニゾンする志穂と莉奈であった。
莉「もう、たまにと言わず毎日でも やりなさいよ」
志「そう そう そう。普通は毎日やるものよ」
な「そう言う あなた達は毎日 何か やってるの?」
不満気に聞き返した なぎさであったが、返ってきた答えは
志「んー…」 莉「そうねぇ、教科書 読むくらいなら」 …と素っ気 無い。
な「…それだけ?」
志「とにかく、私から言えるのは…。気にするな 気にするな 気にするな」
何となく、ごまかされた気分になった なぎさであった。
志「ところで昨日のテレビの心霊特集、見た見た見た?」
な「あたし? 昨日はテレビ、見なかったんだ」
志「という事は、本当に勉強していたのか…?」
な「え?」
志「いや 何でも。凄かったのよぉ…、夜中に ひとりでに動き出す床の間の人形…」
急に低いトーンになったせいか、なぎさの背筋に何かが走る。
莉「凄いと言うほどのモノでも なかった気がするけど…」
志「家中 寝静まった真夜中の丑(うし)三つ時。
ふと目が覚めると、床の間から聞こえる啜り泣き…」
なぎさの背筋に走っていた何かが倍に増える。
志「そっちを見たくても金縛りで動けない…」
更に倍。
志「すると床の間の方から ずざぁ、ずざぁ、ずざぁ…と音が近づいてきて、
それが止まったと思いきや…」
なぎさは耳をピタッと両手で完全に塞いでしまった。
だが その程度で話を止める志穂ではない。
なぎさの手をクイッと開いて除けて、続きを聞かせた。
志「…気が付けば床の間に在った筈(はず)の人形が、自分の枕元に」
な「いやぁ〜!!!!」
莉「…うわぁー!」
なぎさの悲鳴は商店街の隅々にまで響き渡り、莉奈は なぎさの悲鳴に驚いて声を上げた。
- 668 名前:予想係(02/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:44:08 [ Scy.qckU ]
- ほ「朝から いったい、何の騒ぎ?」
そんな なぎさの後ろから、耳 馴染みの声が聞こえてくる。
な「ほ、ほ、ほのかぁ〜」
地獄に仏で あろうか? なぎさは すがる思いで振り返りつつ ほのかの名を呼んだ。
志「あ、雪城さんだ」
ほ「みんな おはよう。 どうしたの? あんなに大きな声で」
莉「志穂が昨日の心霊番組の話をしたら、あんな感じで…あぁ まだ耳がキンキンする」
志「そうなの そうなの そうなの。床の間に飾られた人形がね…」
な「ありえない ありえない ありえない…」
なぎさは再び両手で耳を塞いでしまった。
ほ「あらあら、なぎさが すっかり 怯えているわ。そろそろ勘弁してあげたら?」
莉「これ以上なぎさに叫ばれたら、耳が おかしく なりそうよ。心霊話は また今度で」
志「むー。つまんないの」
しかし、なぎさは相変わらず耳を塞いで ぶつくさ何か言っている。
ほのかは なぎさの手をクイッと開いて除けて、優しく諭そうとした。
ほ「なぎさ。どんなに不思議な現象でも、原因が在って結果になるのよ。
原因も無く人形が…」
そこで ほのかの口から思わず ふぁーと軽い あくびが出た。
上品にも、丁度 持っていた なぎさの手で自分の口元を隠しつつ。
志「アレ アレ アレ? 雪城さんも 何か眠そうね?」
ほ「ちょっと遅くまで調べ物していたから」
莉「ふーん。…原因が在って…」
莉奈と志穂の視線が ほのか から なぎさへと移る。
志「…結果になるのよねぇ」
再び視線が ほのかの方へと戻ってくる。
莉「もしかして雪城さんの調べ物って、
誰かさんからの電話が掛かってきた せいじゃないのかしら?」
な「え?! どうして分かったの?」
会話の殆(ほとん)どを聞き流していたとは言え、うかつ過ぎる反応である。
その一言が志穂と莉奈の疑念を確信へと変化させた。
志&莉『なぎさぁ〜!』
莉「雪城さんに迷惑ばっかり掛けるんじゃないわよ」
志「そうだぞ そうだぞ そうだぞ! 大方、夜遅くまで付き合わせたんでしょう?!」
な「そんな遅くまで だなんて。分からなかった所を一時間くらい聞いてただけで…」
莉「一時間も話してたら十分 長いでしょうが!」
…そんな、普段と同じような光景をビルの屋上に立ち、見下ろしている人物が一人居た。
スラリとした長身の体躯、白いマントに 白の大きな梵天頭。
後ろから見ても一目で分かる この人物は まぎれもなく、
【OP】
Max Heart! プ(以下略。各自 脳内で補完再生のこと)
- 669 名前:予想係(03/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:44:49 [ Scy.qckU ]
- 【Aパート開始】
夕暮れる黄昏時。
なぎさと ほのかが部活を終えて帰宅 途中、いつも通り一緒に歩いていた。
話す事も いつもと同じように、まじめな話から たわいも無い話、
冗談やら 事務的な話やらと色々である。
ほ「それにしても今日の数学の抜き打ちテスト、驚いちゃったわ。
全部なぎさが昨日 聞いてきた範囲内だなんて」
な「いやぁ、志穂や莉奈にも言ったけど、たまたま偶然だよ。 晩ごはん食べてる時に
ちょっと気になって、教科書 開いてみたんだけど、さっぱり解けなくて…」
ほ「それで私に助けを求めて電話してきたのね。
でも、授業中に居眠りするのは良くないわよ。午後から殆ど寝ているなんて…」
な「タハハ…おなか いっぱいになったら、つい…。
そう言う ほのかは眠くなかったの? 朝方は眠そうにしていたと思ったけど」
ほ「眠っていたわよ。休み時間に5分間くらい」
な「5分? そんなんで大丈夫なの?」
ほ「取り敢えず眠気を払う程度にね。もちろん、睡眠不足を完全には補えないけど」
な「5分で よく起きられるねぇ。 アタシには無理だ。 絶対そのまま熟睡しちゃう」
ほのかが軽く微笑みかけた その時、ふたりの足元に妙な影が伸びているのに気付いた。
その影は大きな頭を持ち、風に はためく何かを身に まとっていた。
見上げると、街路灯の上に誰かが立っている。「誰そ彼」とは よく言ったもので、
なぎさ達から見ると やや逆光 気味で、それが誰なのか判別できない。
しかし、やたらと大きく豊かな髪は どこかで見覚えが有る。
な「あんた、確か…」 だが思い出せず な「…誰?」
場に気まずい雰囲気が流れた。
?「私の名を忘れたか? プリキュアよ」
そう言って謎の人物は街路灯から地上へと降り立った。
ほ「こいつ、確か前に戦った…」 やはり思い出せず ほ「どちらさんでしたか?」
更に気まずい雰囲気が流れた。
ピ「我は闇の戦士、ピーサード! 永きに渡る おまえ達との因縁、今ここで晴らす!」
ほ「そんな、まさか! あの時 倒したはずなのに、どうして?!」
ピーサードは何も答えず、表情 一つ全く変えずに歩いて迫り来る。
その一歩一歩に ただならぬ気迫が込められているように感じ、
なぎさと ほのかは 少し後ろへ たじろいだ。
な「ほのか、こっち!」
なぎさが ほのかの手を取り、路地裏へと走って逃げる。
しかしピーサードは慌てる様子も見せず、歩いたまま後を追う。
メップル「なぎさ!」 ミップル「ほのか!」 メ&ミ『変身(メ|ミ)ポ!』
走りながらカードをコミューンにスラッシュし、手を繋いで叫ぶ。
な&ほ『デュアル・オーロラ・ウェイブ!』
ビルの谷間を走る ふたりの周囲を虹色の空間が包み込み、軽く跳躍すると
着ている制服が空中でプリキュアのコスチュームへと置き換えられていく。
ブラックが一度 着地して高めに再び跳び上がり、伸身 宙返り 1/2ひねりで
走ってきた方角を向いて着地する。
ホワイトも1拍ずらして高めに再跳躍して、やはり 伸身 宙返り 1/2ひねりで
ブラックの跳んだ軌跡を交差しつつ着地する。
C-Bk「光の使者、キュアブラック!」
C-Wh「光の使者、キュアホワイト!」
C-Bk&C-Wh『ふたりはプリキュア!!』
C-Wh「闇の力の しもべ達よ!」
C-Bk「とっとと おウチに帰りなさい!」
- 670 名前:予想係(04/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:45:31 [ Scy.qckU ]
- …。
ピーサードが来るであろう方角を向いて啖呵を切ったが、肝心の本人が見当たらない。
少々不安になるくらいの時間 そのままのポーズで待ったが、来ない。
C-Bk「あいつ、どこ行ったの?」
メ「む〜…。…! 上から来るメポ!」
メップルの その声で揃って上を見たプリキュアが、ビルの屋上から飛び降りて来る
ピーサードの姿を捉えて、その攻撃を後方に跳んで回避する。
攻撃を避わされたピーサードは何事も無かったかの様に着地、だが その一瞬の隙を
見逃さず、まずブラックが地面を蹴って突撃、拳で反撃。
しかし ピーサードは すっ…と横に避け、ブラックの拳は空を切った。
続いてホワイトが 殆ど間髪 入れずに蹴りで攻撃するが、やはりピーサードは
前方宙返りで ひらり とアッサリ避わし、ホワイトの脚は宙に舞った。
ピ「その程度か?」
着地したピーサードは余裕なのか、背後を見もせずに挑発した。
その言葉に乗ったわけではないが、ブラックが再び突撃して今度は蹴り攻撃を試みるが、
後ろを向いたままのピーサードに脚を つかまれ、そのまま ブンッ!と加速を つけて
おもいッきり投げ飛ばされた。 C-Bk「うわぁッ!」
動き が止まる瞬間を狙い ホワイトが手刀を繰り出すも、それも読んでいたのか、
ピーサードは そちらを見もせずに片手で受け止め、そのまま片手だけでブラックの方へ
おもいッきり放り投げられた。 C-Wh「いやぁッ!」
ピ「弱い。」
ピーサードは横向きのまま、プリキュアには一瞥(いちべつ)も くれずに そう評した。
うつ伏せで倒れていたブラックにホワイトが覆い かぶさる様に ぶつかった。
C-Bk「ぐっ…!」
慌てて身を起こすホワイト。
C-Wh「ブラックごめん、大丈夫?」 C-Bk「平気。それよりも…」
ブラックとホワイトが立ち上がり向き直っても、ピーサードは横を向いたままだった。
C-Bk「何でアイツ、あんなに強いの?!」
しかし、ピーサードはキュアブラックの言を鼻先で笑った。
ピ「フ、笑わせてくれる。 おまえ達、それで強い つもりなのか?」
漸くピーサードはプリキュアの方を向いた。が、偉そうに腕組みも している。
ピ「ならば教えてやろう…。 ただ単に…、おまえ達が弱いだけだ!!」
C-Bk&C-Wh『!』 認めたくない事実を突かれ、言葉がグサッと心に刺さった。
C-Wh「そんな事、」 C-Bk「最後まで やってみなくちゃ…」
しかし、ピーサードはマイペースにもプリキュアの戯れ言は聞かず、何故か自分の頭の
ふさふさ した髪の中に手を突っ込んでいる。
C-Bk「…何 アレ?」 C-Wh「…さぁ?」
ピーサードが髪の中から手を引き戻すと、その掌(てのひら)には妙なモノが。
C-Bk「イモ虫?」 …のようにしか見えない それを、
ホワイトが手を かざして よく観察し、詳細を知ろうとする。
ピ「ザケンナーよ、糸を吐け!」
手の上のイモ虫のようなモノが頭を持ち上げ、プリキュアに向かって
まるでレーザービームのような正確さで糸を吐いた。
その攻撃を、プリキュアは反射的に 互いに分かれて回避した。
だが虫からは尚も止まる事なく糸が吐き出され続け、順繰りに繋がったまま ふわふわと
宙を漂い、ビルの谷間の空間 一杯がアッと言う間に白い糸で覆われてしまった。
極めて ゆっくりと舞い降りてくる糸を回避しつつ、互いに近づこうとするプリキュアで
あったが、まるで意思を持っているかのように まとわり付いてくる糸に邪魔されて、
なかなか思うように辿り着けない。
C-Bk「何なのコレ! もう〜!!」
ボヤキながら糸を叩き切るブラック。
C-Wh「あの虫の形…多分 蚕(カイコ)だから、これは絹糸よ!」
糸を手で払いつつ、冷静に分析して答えるホワイト。
多少 絡む糸を振り切ってホワイトとブラックが何とか左手と左手を繋ぎ、繋いだ手を
中心軸として その場でメリーゴーランドのように駆け回り、糸を振り払って切った。
その結果、半球状に糸の無い空間が確保された。
C-Bk「蚕って動物だよね?」 C-Wh「ええ、そうよ!」 C-Bk「ならば あの技で!」
ホンの一瞬できたチャンスを生かし、手を繋ぎ換えてプリキュアが技を繰り出す。
- 671 名前:予想係(05/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:46:21 [ Scy.qckU ]
- C-Bk「ブラック パルサー!」 C-Wh「ホワイト パルサー!」
(バンクと同じなので、描写は省略)
C-Wh「闇の呪縛に囚われし者たちよ!」 C-Bk「今 その楔(くさび)を断ち切らん!」
C-Bk&C-Wh『プリキュア・レインボー・セラピー!』
(やはり描写省略。どうせバンクだ)
虹色の奔流が蚕ザケンナーへ向かい、虹の球体がピーサードの右手を包み込む。
だが間もなく虹色の光は空しくも弾かれ、蚕ザケンナーは何事も無かったかのように、
再び糸を吐き出し始めた。
C-Wh「効いてない!?」 C-Bk「そんな!」
そう思った時には宙を漂う糸が舞い降りて、プリキュアの ふたりを包み始めていた。
気付いた時には太く束ねられた糸がブラックの腕を絡み捕っていて、
容易には断ち切れない状態と なっていた。
逃れようとしても他の糸まで絡んできて、力を入れても抜けず切れず。
そんなブラックの危機を、ホワイトが手刀で糸を切って救った。
尚も絡んでくる糸からはブラックを投げ飛ばす事で引き離す。
しかしブラックを かばった分、ホワイトは自分が退避する時間に余裕が無くなった。
逃げようとするホワイトの脚に糸が張り付いて、見る見る内に幾重にも糸が重なって
太くなり、ホワイトを一気に引き倒す。
C-Bk「ホワイト!?」
投げ飛ばされてビルの壁面に着地しつつブラックが叫ぶ。ホワイトは地面を引きずられ、
腕にも糸が巻きつき始めている。それでも必死に逃れようと もがいているが、
束ねられた糸はビクともせず更に締まっていくばかり。
ホワイトを助けようと壁を蹴って そこへ行こうとするブラック。
しかし それは叶わず、ピーサードが空中でブラックを上から「踏み」落とした。
そう こうしている内に糸が しなり、ホワイトの体は倒されたときの状態のまま
空中へと吊り上げられていく。
ブラックがおもいッきり地面に叩きつけられて大きくバウンドし、
ホワイトは糸で吊り上げられ、プリキュア絶体絶命の大ピンチを迎えてしまった。
ブラックを踏み落としたピーサードは華麗に着地し、ニヤリと笑みを浮かべつつ
ホワイトの体に向けて蚕ザケンナーの糸を吹き付ける。
C-Wh「いや…いやッ、いやぁァッ!…」
糸が顔に掛かるのを避けようとするホワイトの叫びも、
糸の束が その口を塞いで すぐに途絶えた…。
ブラックが顔を上げた時には、ホワイトは大きな繭玉で完全に包まれていて、
間もなく それを吊っていた糸が切れ、そのまま地面に落ちた。
ピ「次は お前だ。キュアブラック」
無表情のまま そう言い放ち、ピーサードは蚕ザケンナーを向けてきた。
だが、蚕ザケンナーは糸を吐かなかった。否、吐けなかった。
少し吐いても糸屑のような断片にしかならない。
ピ「む、糸切れか…」
呟くピーサードに何度も頷(うなず)いて答える蚕ザケンナー。
ひかり「なぎさ さーん、ほのか さ〜ん」
同時に どこかから九条ひかりが、なぎさと ほのかを呼ぶ声が聞こえてきた。
ピ「チッ…。
まぁ、取り敢えず一人は片付けた。ひとまず勝負は預けたぞ、キュアブラック!」
そう言い捨てて、ピーサードは ひかりの到着を待たずにビルの屋上へと飛び上がり、
そのまま何処かへと消え去った。
- 672 名前:予想係(06/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:47:09 [ Scy.qckU ]
- 思いの外 キュアブラックのダメージ(と体力の消耗)は大きく、ひかりがブラックの
姿を見つけて そばに来ても まだ息が荒く、立つ事も ままならない。
ひかりに助け起こされ、フラつきながらも立ち上がったブラックは繭玉に歩み寄った。
C-Bk「ホワイト…。ホワイト!!」
泣き出しそうな気持ちを抑えるかのように大きな声で その名を呼びつつ、ブラックは
ホワイトを助け出す為 素手で繭を表面から叩いたり少しずつ むしり取ったりして、
何とか開けようと し始めた。
しかしキュアブラックの力をもってしても、なかなか うまくいかない。
ひかりも連れて来たポルンを地面に降ろして それを手伝うが、繭玉を形成する繊維は
かなり固く締まっている。
変身しているわけでもない人の手で その作業を行うのは流石に無理が在った。
メップル「メ〜ポ〜…」
ブラックが地面に叩きつけられた時の衝撃で気絶していたメップルが目を覚ました。
メ「ハッ! ミップル、ホワイト、今 助けるメポ!」
ホワイトとミップルの危機を察知して、メップルもコミューン形態から本来の姿に戻り、
繭玉を相手に奮闘するブラックの横で、果敢にも手で繭を開け始める。
メ「ポルン、黙って見ていないで お前も手伝うメポ!」
しかしポルンは何故か繭に近づこうとせず、後ずさり すら している。
ポルン「なんか、コレから変な力を感じるポポ」
メ「? このバカでかい繭の塊からメポか?」
ポ「いやな予感もするポポ…」
メ「こ、怖い事 言うなメポ」
ひ「ブラック、こっち」
繭が薄くなっている所が無いか調べていた ひかりが、何かを見つけた。
ひかりの居る方に回って それを見ると、亀裂のような線が一本 入っている。
平手で ゆっくり差し入れてみると、指先が中の空洞へ出た感覚がする。
そこで そのまま内側から その亀裂を拡げてみると、外側からは幾らやってもビクとも
しなかった繭が、あっさりと、擬態だか擬音だかでなら「さっくり」と割れていく。
ブラックが割れ目を切り開くのと平行して ひかりが両手で力一杯に亀裂を拡げると、
漸く中からキュアホワイトの腕が出てきた。
C-Bk「ホワイト!」
それを見て うれしさと安堵が込み上げてきた。ブラックは空洞の奥の方にまで
注意深く両手を深く差し入れ、手探りでホワイトの体の位置を確認する。
C-Bk「ここが脚、これが左腕、顔、首…、胸ッ! …おなか…。よし、この辺」
ぶつぶつと つぶやきつつ、ブラックは手の感覚だけでホワイトの体を捉えた。
何となく、ほのかの体を つかんでいる感じが しないような気がしてきたが、
気のせいだと考えて この際 構わずに引っ張り出す事にした。
C-Bk「ひかり、腕と肩の方を お願い」 ひ「はい」
せーの でホワイトの体を引っ張り出すと、力を込め過ぎたせいなのか、ホワイトの体は
一気に繭の外へ殆ど引っ掛かりもせずに飛び出し、勢い余ってブラックが尻餅を つき、
そのブラックの おなかの上にホワイトが尻餅を つくような形となった。
…誰です、『二段尻餅で鏡餅みたいだ』 何て言うのは? …オレか。
ひ「大丈夫ですか? ブラック、ホワ…」
余りの勢いに途中で手を放してしまった ひかりが、ホワイトの姿を見て息を呑んだ。
ホワイトを おなかの上に乗せたまま変身が解けたなぎさ も、妙な事に気が付いた。
ホワイトの変身が解けていない。 それどころか、やけに体が小さく見える。
な「ほのか?」
身を起こし、恐る恐る ほのか の顔を覗き込む。
幼い。 どこを どう見ても ほのか なのだが、顔立ちが幼過ぎる。
良く見ると体が小さく見えるのも気のせいではない。
実際、元の ほのか よりも随分と小さく、幼い体つきと なっているのだ。
な「ど…ドド、どどど どうなってるの?!!!!」
つまり、ほのか は年端も行かない子供の身体となってしまったのだ!
【タイトルコール】
「ピーサード再び(リバイバル)!
大変!ほのかがちっちゃくなっちゃった!」
- 673 名前:予想係(07/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:47:53 [ Scy.qckU ]
- 【Aパート(続き)】
ほのか が目を覚ました。
ぼんやりと見る視線の先に、心配そうな面持ちで ほのかを見ている人が居る。
しかし、ほのかは その人に見覚えが無い。
ひかり「大丈夫ですか、ほのか さん」 その人は ほのか の名前を呼んだ。
前に会った事が有るのかも と考え、思い出そうとするが何も思い出せない。
不意に、ほのか の座っている場所が不安定になった。
気が付けば ほのか の おしりの下が柔らか ぷにぷに としている。
驚いて自分の下を よくよく見てみると、柔らかい物体は制服を着た人だった。
なぎさ「ほのか…、 …なんだよね?」 その人は ほのか の名前を呼んだ。
だが ほのかは、その人と前に会った事が有るのか どうかすら思い出せない。
ほのか「おねえちゃん たち、誰?」
ひ「え?!」 な「…ほのか?」
不思議そうに なぎさを見ていた ほのかであったが、何を思ったのか突如 立ち上がり、
ほ「おばあちゃま〜!!」 と 走って通りの方へと去って行く。
な「あっ! ほのか待って!!」
不意を突かれ、否応 無しに慌てて追いかける なぎさ。だが、思い出した事が一つ。
な「荷物…」 自分と ほのかの荷物は 戦闘現場に向かう途中の道脇に置いてあるが、
回収せずに通り過ぎてしまった。 足踏みしながら二度三度、荷物と 走り去って行った
ほのかの方を交互に見ていた なぎさだが、こんな所で迷っている暇は無い と判断した。
な「ひかり、あたし達の荷物 お願い!」
ひ「はい。 …ええっ?!」
二人分の荷物を持っていかなくては ならない事に気づき ひかりは思わず戸惑いの
声を上げたが、なぎさは一目散に ほのかの後を追いかけ、走って行ってしまった。
ポルン「ひかり、ボクたちも後を追うポポ!」
ひ「そうね、ここで待ってても 仕方ないものね」
ひかりは なぎさと ほのかの荷物を拾い上げて、通りの方へと走り出た。
ミップルが気が付いた時、ほのかは どこか当てが有るわけでもなく、街中を さまよう
ように走り続けていた。 状況が全く飲み込めないのと、どこに連れて行かれるのか
分からない不安に駆られて、ミップルは ほのかを呼び止める。
ミップル「ほのか、ほのかぁ! ちょっと待ってミポ!」
誰かに自分の名前を呼ばれたのを聞いて一度 足を止めたものの、それらしい人は
見当たらず、ほのかは再び走り出す。
ミ「ほのかが、いつもの ほのかじゃない気がするミポ…」
これ以上 声を掛けても無駄そうだと判断し、ミップルは少し様子を見る事にした。
街中を走る内、自分の見ている景色に見覚えが無い事に ほのかは気付いた。
走っても走っても、自分の知っているような街並みが見当たらない。
足並みを緩めて、歩きながら辺りを見回しても、やはり同じ。
そもそも、自分は どこへ向かおうとしていたのか、どうして見知らぬ場所にいるのか。
それすらも全く分からない…。
ほ「おばあちゃま…。…どこ?」 目に涙が浮かぶ。
不安に駆られ、それを振り払うように再び前を向いて走り出した時、
目の前には誰かの おしりが在って回避できなかった。
京子「きゃっ!」
ほのかは 勢い良く おしりに ぶつかり、弾き返された。幸い ぶつかった方、
ぶつけられた方の双方とも倒れるまでには至らず、無論けがも しなかった。
夏子「大丈夫?」
ぶつけられた方の人の連れが、前方不注意の歩行者少女を気遣った。
鼻の辺りを手で押さえつつ声の方を向くと、その人は ほのかのクラスメイトである
夏子であった。 おしりを押さえつつ振り返った人も、クラスメイトの京子である。
だが、ほのかには(ry
京子「この子どこの子?」(←偶然 回文) 夏子「さぁ? でも、この子の着てる服…」
白い脚絆付のブーツに、白い指出し半手袋(ミトン)、白のスカートワンピース。
そして黒く豊かで、小さく一房だけ束ねられたロングヘア。 それは まさしく、
夏&京『キュアホワイト!』
- 674 名前:予想係(08/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:48:41 [ Scy.qckU ]
- その単語を耳にして即応し、物凄い勢いで飛んで来る人影アリ。
誰あろう、我らが なぎさである。
な「だはぁ〜!! やっと追いついた!」
流石に息を切らせては いるが。
夏「あれ、なぎさ じゃないの?」 京「なぎさ、この子を探していたの?」
な「あ、夏子に京子…。こんな所で、どうしたの?」
夏「どうって…、あたしたちは買い物の帰りだけど、
『どうしたの』って聞きたいのは こっちの方よ」
京「この子が後ろから いきなり ぶつかってきたのよ」
な「え?! そうだったの? ふたりとも けがとか大丈夫?」
夏「あたしには ぶつからなかったし、」
京「私なら大丈夫だけど、その子は顔 打っちゃったみたいね」
な「ゴメンね。何か迷惑 掛けちゃったみたいで」
京「大した事ないから いいわよ、そんなの」
夏「それより、この子 誰なの? 何か雪城さんに似てる気がするけど…」
な「誰って…」 ほのか よ。
…と言いそうになったが、それを言ってしまうと大変な事態を招く結果になる事は
なぎさの頭脳でも容易に想像できた。
な「ほのか、の親戚の子なの」 なぎさは うまく ごまかしてみた。
ほ「? わたしが ほの…」 と まで口にした時点で、
後ろに立っていた なぎさが さりげなく手で ほのかの 口を塞いだ。
言ってはいけない事は口にしてしまったのか? と、ほのかは思った。
京「そうなんだ。どーりで似てるわけね。…で、肝心の雪城さんは どこへ?」
当然の質問である。
ほのか の親戚の子が ここに居て、ほのか本人が居ないというのも おかしな話だ。
な「えと、別行動なんだ。街で この子と偶然 会って、ほのかが急用で
すぐには家に帰れないからって アタシが代わりに連れてく事になったの」
ホンの一瞬で なぎさが考えた割には、上等な言い訳だ。
夏「ふーん…。それで逃げられて追いかけてたの?」
な「あはは…。情けない限り…」
一連の やり取りを静かに聴いていた ほのかであったが、
自分が何者であるのかについて かなり混乱してしまった。
ひ「なぎさ さーん」
後ろから声がする。振り返ると、ひかりが なぎさと ほのかの荷物を持って走ってきた。
な「あぁ ひかり、荷物ありがとね」
なぎさは ひかりを ねぎらいながら、これ以上 長居すると自分がボロを出しそうだと
瞬間的に判断し、とっとと この場から立ち去る事にした。
な「それじゃあ先を急ぐから、アタシたちは これで」
夏「あ、うん。それじゃ、また」
京「今度から気をつけてね」
京子に そう言われて、小さな ほのかは黙って小さく頷(うなず)いた。
ひかりは なぎさに荷物を手渡すと、夏子と京子に一礼して なぎさと ほのかの後に続く。
夏「見れば見るほど…」
京「キュアホワイト、…よね?」
去り行く なぎさたちの後姿を見て夏京コンビが呟いた。
夏「ああいう小さい子の間でもコスプレ流行っているのかしら?」
京「さぁ?」
- 675 名前:予想係(09/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:49:36 [ Scy.qckU ]
- なぎさが ほのかの手を引いて河川敷を雪城邸へと歩く足取りは、途轍もなく重かった。
後ろから ついて来る ひかりが何度か なぎさに声を掛けようとしたが、思い詰めた
なぎさの顔を見る度 何も言えなくなってしまうほどに、なぎさは追い詰められている。
ミ(色々聞きたい事が有るけど、とても何かを聞けるような雰囲気じゃないミポ…)
夕暮れ進み 日は沈みゆく。
辺りは暗くなっていき、あちこちの街路灯や家々に明かりが灯(とも)り始める。
なぎさに手を引かれて歩く ほのかが、眠いせいか、歩く速度が段々と遅くなってきた。
見兼ねた なぎさが おんぶすると、間もなく小さな ほのかは 寝入った。
な「ひかり…。 …私、ほのかの おばあちゃんに何て言えば いいんだろう…」
立ち止まったまま漸く なぎさが ポツリと一言 呟いたが、ひかりは何も言えなかった。
な「何も出来なかった。」
悔しさのせいか、なぎさはカバンを持つ手を強く握り締めていた。
な「…まさか、ほのかが こんな風に なるなんて、想像すら してなかった。
プリキュアとして戦うと日常生活にも たくさん影響が有るんだって事、
分かってた筈(はず)なのに…!」
ひ「なぎさ さん…」
な「ほのかを元に戻して あげたい。でも どうすれば良いのかなんて全然 分かんない。
なのに、アタシたちが このままの ほのかを守ってあげる事も出来ない!
信用の置ける大人の人たちに頼って、ほのかを預かって もらわなきゃならない…。
悔しいけど…、…私たち何の生活力も無い、ただの中学生だから…」
殆(ほとん)ど沈んだ夕陽が目に染みる。
そして、なぎさの目尻からは涙が一筋 零(こぼ)れ落ちた。
ひかりが その涙を見た時、やるせない なぎさの無力感が伝わってきた気がした。
な「私、プリキュアやめる」
メップル「な、なんだってメポー!!」 ポルン「ポポ?!」
ミップル「どうして? なぎさ、本気で やめるつもりミポ?」
出し抜けの一言が、プリキュアを必要とする三者を驚かせた。
メップルとミップルに至っては、本来の姿に戻って なぎさの肩口まで登ってくる。
な「こんな状態の ほのかを、戦いに巻き込むわけには いかない。
私や ひかりの事を覚えていないなら、光の園やドツクゾーンの事も知らないはず。
戦いを知らずに いるならば、その方が幸せだと思うの」
メ「なぎさ…」
背負っている ほのかの身体が段々下がってきたので なぎさが再び背負い直すと、
寝言なのか、ほのかが「おばあちゃま…」と小さく囁(ささや)いた。
な「ほのかの おばあちゃんに、全て打ち明ける。
プリキュアの事、今まで やってきた事、どうして こんな事になったか…。
どこまで信じてくれるのか、許して貰えるのかも分からないけど、
私は私の けじめとして、プリキュアである事を辞める」
ミ「…あぁ、これから どうすれば いいミポ?
プリキュアが居なければ、とても闇の力には打ち勝てないミポ…」
な「ゴメンね。メップル、ミップル。
私は もう、ほのかを危険な目に遭わせたくないの」
ひ「分かりました。後の事は 私が引き受けます」
な「ひかり…」
ひ「でも…。なぎさ さん、一人で何もかも抱え込まないで!
私だって、ほのか さんの為に何か してあげたいんですから!」
なぎさは その一言でハッとなった。 ほのかの身を案じるのは、ひかりも同じなのだと。
な「ありがとう、ひかり」
日は完全に沈んで辺りは すっかり暗くなってしまったが、
道は街路灯の光が照らしている。
なぎさ たちは、再び雪城邸へ向けて歩き出した。
- 676 名前:予想係(10/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:50:29 [ Scy.qckU ]
- 雪城邸の近くまで来ると、目を覚ました ほのかが キョロキョロと周りを見回した。
見覚えが有る風景であるのに気付き、自分の家の門を捜すと すぐ目と鼻の先に在るのを
見つけて、なぎさの背中から降りようとして もがき始めた。
な「降りたいの? ちょっと待って…」
言いつつ しゃがんで 降ろそうとしたが、何故か ほのかは なぎさの背中を登り始め、
結局なぎさがバランスを崩して前のめりに倒れてしまった。 そして当然ながら、
ほのかは倒れた なぎさには全く構わずに自分の家へと走って入って行く。
ひかりは倒れた なぎさの横に ゆっくり歩いて来て、徐に荷物を置きつつ しゃがみ、
捲くれた なぎさのスカートを そっと摘まんでピンと伸ばし直してから、声を掛けた。
ひ「なぎさ さん、大丈夫ですか?」
な「…大丈夫…。それより ほのかを…」
突っ伏したまま手を上げて応え、指を差して注意を促す なぎさ。
雪城邸の門の向こうで軽く悲鳴が上がった。
犬の忠太郎がワンワンと吠え、そして ちっちゃい ほのかが慌てて門から飛び出して
こちらへと駆けて来る。
ほのかの悲鳴で跳び起きた なぎさを盾にするように ほのかが後ろへ回り込むと、
すぐに忠太郎が なぎさの方へとやってきて、「邪魔だ」と言わんばかりに
両前足で なぎさの胸の辺りを どついてきた。
な「わ! 忠太郎、こら、やめなさい! おすわり!!」
と、忠太郎は ちゃんと おすわりした。但し なぎさに対してではなく ほのかに対して。
大きな犬を見て怯える ほのかを なだめる なぎさ。
な「大丈夫よ、ほのか。忠太郎は悪さ したりしないから」
なぎさの陰に隠れるばかりで ちっとも相手をしてくれない ほのかに業を煮やしたのか、
忠太郎は立ち上がって ほのかに近づいた。
そして匂いを嗅いで ほのか本人である事を確認し、顔を摺り寄せてきた。
忠太郎が危害を加えないと感じ取ったのか、
恐がっていた ほのかも すぐに打ち解けて撫でてみる。
な「ほら、こわくないでしょ?」
ほ「…うん!」
漸く ほのかが笑顔で頷き、答えてくれた。
門の通用口から雪城邸に入った なぎさたちは、玄関の錠が下りていて入れない事に
気が付いた。更に家の中も明かりが無く、暗いままである。
そして、呼び鈴を鳴らしても何の反応も返ってこない。
な「…もしかして、おばあちゃん居ないのかな?」
ひ「そうなのかも知れませんね」
困った なぎさと ひかりが鍵を捜し始め、ほのかのカバンをも調べてみるが、
それらしい物は見当たらない。
ひかりが それらしい鍵を見つけたのは何と忠太郎の首輪からだった。
ひ「これが玄関の鍵、なのでしょうか?」
何故こんな所にと理解に苦しむ なぎさと ひかりであったが…。
な「…まぁ、忠太郎の首なら安全と言えば安全なのかも知れないけど…」
鍵を差し込んで開錠してみると、開いた。 確かに玄関の鍵であったようだ。
とにかく玄関を開けて中に入ると、一目散に ほのかが駆け上がろうとしたが、
「待った!」と なぎさが一喝して それを止める。
ほのかが土足のまま家に入ろうとしたのだ。
言われて自分の足元を見て確認し、上がり框(かまち)に腰を下ろして靴を脱ぎ、
「おばあちゃま〜」と家の中を探し始めた。
なぎさと ひかりも上がり込んで居間に入ってみるが、やはり おばあちゃん は居ない。
それどころかテーブルの上に一枚、達筆な字の書き置きが在る。
拾い上げて読んでみると…。
な「ほのか へ。 急用が出来たので二・三日ほど留守にします。
留守番よろしく お願いします。 何か あったら、ここへ連絡して下さい…」
…。 運が良かったのか悪かったのか。
張り詰めていた緊張が一気に解けて、なぎさは腰が抜けてペタンと座り込んだ。
しかも女の子 座りで。
取り敢えずは、さなえ おばあちゃんにプリキュアの事を話す必要が無くなった。
- 677 名前:予想係(11/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:51:20 [ Scy.qckU ]
- おばあちゃんを見つけられず、ほのかが居間へと戻ってきた。
な「ほのか、おばあちゃん急用で出かけちゃったみたい」
書き置きを見せて おばあちゃんの不在を告げると、ほのかは なぎさの手から
書き置きを奪い取って読んだ。 しかし、それを見せたのは逆効果だったかも知れない。
ほ「おばあちゃま が…、あたしを置いてった〜!」 と大声で泣かれてしまったのだ。
大粒の涙を流す ほのか。意図せず 泣かせてしまい、なぎさは あたふたするばかり。
な「だ、大丈夫よ。用事が済んだら おばあちゃん帰ってくるから。ね?
それまでアタシが ここに居てあげるから」
ひ「なぎさ さん。 そんな勝手な事をして、いいのでしょうか?」
な「ひかり。 ほのかの おばあちゃんが居ない今、ほのかの面倒を看(み)れるのは
私たちしか居ないと思うから、私たちで何とかする他ないよ。
ほのかが こんな風に ちっちゃくなっちゃったなんて、誰かに話しても信じてくれる
ハズがないし、それに こういう大事な事を人任せにするなんて何かイヤだし、
ありえない。だから…」
ほのかが流した涙を なぎさが自分のハンカチで拭いつつ、そんな風に述懐した。
なぎさの真摯な気持ちを知って、ひかりも自分の思う所を話す。
ひ「大丈夫ですよ、なぎさ さん。
何となくですが…、ほのか さんは すぐ元に戻れるような気がするんです」
な「うん、そうなれば良いよね…」
と、そこで「くーっ」と突如として誰かの おなかの虫が鳴る。
ほ「おなか すいた…」
言われて気が付き、時計を見れば 日も暮れて大分 経った時刻である。
な「大変! もう こんな時間!! ごはん作り始めないと。 …でも、その前に…」
ひ「家に電話するのが先ですね」
なぎさと ひかりは、勝手ながら雪城家の電話を借りる事にした。
美墨 理恵「え? 今 雪城さんの家に居るの?」
娘からの電話を受けたのは母、理恵だった。
理恵「うん、うん、そうなの…。それじゃ仕方ないわね」
何を言っているのかは判然としないが、
なぎさが母親を納得させるだけの理由を述べているらしい。
理恵「分かったわ、お父さんには私から伝えておくから。じゃ、おやすみ」
それで電話は終わった。えらくアッサリと話が伝わった感じだ。
理恵「でも困ったわね。なぎさが居ないんじゃ、せっかく作った おかずが余りそう」
亮太「今の電話、お姉ちゃんから?」
いつもと同じようにリビングでゲームをしてた亮太が、途中で切り上げ話し掛けてきた。
理恵「ええ、今晩 雪城さん家に泊まるって」
亮太「ふーん、だったら今日は静かに暮らせるかな」
理恵「こらコラ、なぎさが聞いたら気を悪くするわよ。
それより…、ちょっと おつかい頼んで良いかしら?」
亮太「えー?! 今からぁ?」
母に依頼されて、取り敢えず反射的に抗議した亮太であったが…。
藤田 アカネ「ハイ、TAKO CAFEです…って何だ、ひかり じゃないの。どうした?」
ひかり からの電話を受けるのは、アカネさん以外ありえない。
アカネ「え? 今から? そうねぇ…。うん、いいよ。 店の方も そろそろ閉めるし」
こちらの電話でも、アッサリと話が通っている。
アカネ「気兼ね しなくていいよ、ゆっくりしてきな。
…うん、それじゃ。なぎさと ほのかに よろしく」
それで電話は終わった。
アカネ「『雪城さんの家で お泊り』か…。
なぎさと ほのかが一緒なら心配は要らないな」
本日 最後となる たこ焼きを焼きつつ、アカネさんが そんな風に つぶやいた。
- 678 名前:予想係(12/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:52:15 [ Scy.qckU ]
- ひ「許しが出ました。泊まってもいいんですって」
な「そう、よかった。
一人じゃ何やって良いのか分かんなくて、てんてこ舞いしそうだったし」
ひ「でしたら、今から やるべき事を私が まとめましょうか?」
な「…しっかりしてるのね、ひかり」
ひ「そうでしょうか? まずは ごはんと お風呂と…」
な「忠太郎にエサと水をやって、…そうそう、布団や着替えの準備も しないと。
分担して効率的に やった方が いいね。 どうする?」
ひ「私が ごはんを作ります。他の事は ちょっと勝手が分からないので…」
な「なら、お風呂とかはアタシね。
…それじゃ ほのか、ごはんと お風呂の準備が出来るまで ちょっと待っててね」
ほのかは素直に こくりと頷いた。
一通り冷蔵庫を覗いた ひかりは、入っていた食材を基に今日の献立を決めた。
一方、なぎさは お風呂を沸かすのに一苦労し、忠太郎のエサを探すのに一苦労し、
寝具の準備をするのに これまた一苦労していた。
更に、ちっちゃくなった ほのかに合う服を探すのが困難を極める。
と言うより、小さい ほのかに合うサイズの服など、家の どこにも無いようであった。
ほのかは ただ待っているのも気が引けるのか、台所で ひかりの手伝いを始めていた。
そして 暫くして玄関の呼び鈴が鳴る。 ほのかが気が付いて応対に出ようとするが、
すぐに なぎさが やってきて「アタシが出るから」と止められた。
ほ「でも、おばあちゃまかも」
な「おばあちゃんなら、自分の家に入るのにワザワザ鳴らしたり しないと思うけど?」
言われてみれば その通りである。
ほのかは何となく納得できないまま、渋々と台所へ戻った。
なぎさが玄関へ向かうと、再び呼び鈴が鳴る。
な「はいはいはい、どちらさん ですか? …と」
ガラガラガラと扉を開けると、そこに立っていたのは なぎさの弟の亮太であった。
亮「あ、お姉ちゃん」
な「亮太。こんな所で何してるの?」
亮「…お母さんに お使い頼まれたんだよ、『なぎさに 着替えと差し入れ渡して』って」
な「差し入れ?」
亮「鳥の唐揚げ、だってさ。…それにしても、『何してるの?』は無いよな。
折角 わざわざ荷物 届けに来たのに…」
な「いやぁ〜何と言うか、まさか届けてくれるとは思わなかったから…。
あ。てゆーかアンタ、お使いに かこつけて ほのかに会いに来たんじゃないの?」
誰が見てもハッキリ分かる程、亮太の全身がビクッと一瞬 震えた。
亮「なに言うかなぁ、お姉ちゃん。
ボクは純粋に お姉ちゃんのためと思って お使い引き受けたのに」
な「ホントかなぁ? あーや〜しーい〜ぞぉ」
タハハハ…と亮太は力無く笑って ごまかすより他なかった。
な「でも お生憎(あいにく)さま。今ほのかは お風呂よ」
実際には 未だ入ってないのだが、なぎさは揺さぶりを掛ける為に敢えて言ってみた。
すると案の定、今度は“お風呂”というキーワードに反応して、
一気に頬が赤くなる亮太であった。それこそ、誰が見てもハッキリ分かる程に。
- 679 名前:予想係(13/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:53:12 [ Scy.qckU ]
- な「…分かっているでしょうけど、覗(のぞ)いたりしちゃダメよ」
亮「そりゃもう、そんな事したら お姉ちゃんに どんな目に遭わされるか…」
な「いやいや。あたしはモチロンだけど、忠太郎がねぇ…」
亮「忠太郎って…」
ふと、亮太は自分の頬に何やら生ら温(ぬるぽ)い 息が吹き掛けられている気がして、
ゆっくりと右を向いてみる。 すると すぐ眼の前に犬の顔を見つけ、驚いた!
亮「…ぅガッァ!」
忠太郎は亮太が気づかない内に、音も立てず近づいていたのだ。
そして、亮太を じっと見つめている。
まるで、『ほのかに手ェ出しやがったら、このオレが許しちゃ置かねぇ!』
…とでも言いたげに。
亮「…そ、そろそろボクは帰るよ。あんまり長居しちゃ お母さんたち心配するし」
な「そ。 じゃあ、気をつけて帰るのよ。荷物 届けてくれて ありがとね、亮太。
お母さんにも『おかげで助かりました』って伝えといて」
亮「うん、わかった」
言いつつも後ずさりしていく亮太を、まだ忠太郎が見てる。
『帰るのか? ゆっくり していけよ』…という風に思っているような面持ち で。
「じゃあねっ」 とだけ言い残し、器用にも亮太は後ろ向きのまま門までは後ずさりし、
一気に外へ出て通用口の扉を閉めて行った。
な「庭番ご苦労、忠太郎」
そう言って なぎさも家の中に入ってしまったので、
残された忠太郎は何もする事が無いまま また庭の方へと歩いていく。
なぎさが差し入れを台所まで持ってくると、ひかりと ほのかは野菜を切っていた。
な「ひかり、ほのか。ウチの お母さんから差し入れが届いたよ。鳥の唐揚げ」
ひ「それは助かります、あした朝の おかず分が足りない気が しましたので」
な「で、今晩は何 作るの?」
ひ「生麺の焼きそばが有りましたので、それを…」
な「焼きそば? いいねぇ」
ひ「でも二玉しか無いので、」
な「足りないじゃん! …という事は、無し、なの?」
ひ「いえ、ごはんの方も三人で食べるには
ちょっと足りないので、焼きそばと併せます」
な「あわせる…。…と、どうなるの?」
ひ「“そばめし”になります。先日、アカネさんに作り方を教わりましたので」
な「へぇー」
そんな訳で今日の献立は…
1:ほうれん草の ごま和え
2:ポテトサラダ
3:そばめし
更に、なぎさ母から差し入れの
4:鳥の唐揚げ
…と決まった。
- 680 名前:予想係(14/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:54:02 [ Scy.qckU ]
- 一方その頃、居間では卓上でメップルたちが会議を開いていた。
ミ「…気が付いたら、ほのか が街の中を走っていたミポ。
私が眠っている間に いったい何が あったミポ?」
メ「戦闘の事、全く覚えていないメポか?」
ミ「戦闘?!」 メ「ピーサードが現れたメポ」 ポ「ピーサードって誰ポポ?」
メ「一番 最初にプリキュアが戦った、ドツクゾーンの奴メポ」
ミ「あの恐ろしい敵が…? でもアイツは昔 倒したはずミポ」
メ「でも、現に奴は現れたメポ。 ポルン、おまえも見た…」
ポ「見てないポポ。ポルンと ひかりが着いた時には敵は いなくなってたポポ」
メ「ああー、そうだったメポ。 …でも、今 一番の問題は ほのかメポ。
ちいさくなって なぎさの事も覚えていない、元に戻せるか どうか分からない、
なぎさは なぎさで『プリキュアやめる』と言い出すし、
これから いったい どうすれば良いメポ?」
ミ「あきらめては いけないミポ。 ちいさくなったと言っても、
ほのかは ほのか、キュアホワイトはキュアホワイト ミポ!
私たちが あきらめて しまったら、虹の園も 光の園も そこで おしまいミポ」
メ「そういえば…、ミップルは僕たちの事を ちゃんと覚えているメポね?」
ミ「! 言われてみれば、水曜日までの事は 思い出せるミポ。どうしてかしらミポ?」
メ「わかったメポ! これは多分、メップルとミップルの愛の力が…」 ポ「違うポポ」
即 否定され、メップルはヒドく落ち込んだ。
ポ「コミューンの状態だったから、被害が最小で済んでいると思うポポ。
だけど ほのかの周りでは、“時間の流れの乱れ”が とても大きいポポ」
メ「時間の流れの乱れ?」 ミ「それは、どういう事ミポ?」
ポ「ポルンにも よく分からないポポ…」
メップルもミップルも、期待して聴いていた分 ガックリときた。
メ「相変わらず、肝心な所で役に立たない奴だメポ」 ポ「ごめんポポ」
な「盛り上がっている所おじゃま するけど、そろそろ ごはんだよ」
なぎさが出来上がった そばめしを お盆に載せて運んできた。
な「続きは食べ終わってからにして ちょうだい」
おかずを運んできた ひかりに続き、箸を持ってきた ほのかが、
テーブルの上に居るミップルたちを発見した。
傍目(はため)には「謎の生物」が三匹 居ると思う所だが、ほのかの反応は違った。
ほ「か…、かわいい! あなたたち は、だぁれ?」
そう言ってミップルを抱き上げた。
ミ「ほのか…」
ミップルとしては、自分たちを怖がらないでくれて うれしいと思う反面、
今まで一緒に暮らしていた事をも忘れ去られているのが、切なかった。
な「ほのか、その子がミップル。 あなたの大事なパートナーよ」
ほ「わたし の?」 な「そうだよ。 これまでも、これからも…」
メ「ボクはメップル。なぎさのパートナー メポ!」
ポ「ひかりのパートナー、ポルン ポポ!」
ひ「私が ひかり、九条 ひかり です」
な「そして…、私が なぎさ、美墨 なぎさ よ」
ほ「なぎさ おねえちゃん に、ひかり おねえちゃん…?」
なぎさと ひかりは しっかりと頷いた。
な「悪い奴らが どんなに私たちの絆をバラバラに しようと、私たちは負けない。
絆が断ち切られてしまったら、もう一度 繋ぎ直せば いいんだから」
なぎさがメップルたちにも手が届くように食卓の上に手を伸ばした。
ひ「ええ、その通りです」
ひかりも その上に手を伸ばして重ねた。
メ「メポ!」 ポ「ポポ!」
メップルとミップルも なぎさの手に小さな手を重ねる。
ミ「ほのか、私たちも」 ほ「うん!」
ほのかはミップルを食卓の上に降ろして、一緒に なぎさの手に重ねた。
な「どんな事が あっても、私たちは一緒。 約束だよ」
後に、この時の事は「そばめしの誓い」と呼ばれるように…、…なる訳が無いか。
- 681 名前:予想係(15/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:54:55 [ Scy.qckU ]
- な「さぁさ、ごはん冷めない内に食べようか。メップルたちも一緒に」
メ「待ってましたメポ! メニューは なぎさたちと同じ物が いいメポ」
な「はい はい」
オムプの粋な計らいでメップルの念願が叶い、なぎさたちと同じ そばめし、
ポテトサラダ、ほうれん草のゴマ和え、鳥の唐揚げ。 …というメニューとなった。
3人と3匹(で良いのか?)が揃って「いただきまーす!」と会食が始まった、
丁度その頃…。
ピーサードと蚕ザケンナーは桑畑に来ていた。
こちらも やはり食事の時間で、蚕ザケンナーは一心不乱に桑の葉を食べている。
ピ「さァ食べ尽くすが良い、ザケンナーよ。
なぁに、遠慮は要らぬ。ここは私の おごりだ」
蚕ザケンナーはピーサードに二度三度と頷き、再び脇目も振らずに桑葉を食べ続ける。
ピ「待っていろプリキュア…。次で必ず仕留めてみせる」
【Aパート終了。CM入りアイキャッチ】
【中CM】(省略)
【CM明けアイキャッチ、Bパート開始】
…ピーサードが、なぎさの名を呼んでいる。
その傍らにはキュアホワイト、というよりも寧(むし)ろ
小さくされてしまった ほのかが、手足を縛り下ろされている。
ピーサードが なぎさに 宣告してきた。「お前も同じようにしてやろう」と。
なぎさが 自分の手を見ると、その手は既に小さく、幼いものとなっていた。
「…ほのかを、返せ!」とピーサードに殴りかかろうとする なぎさ。
しかしピーサードが なぎさの額を左手で押さえたので、
幾ら腕を振り回そうが蹴りを繰り出そうが、それ以上 何も出来ない。
疲れた なぎさが動きを止めた途端、ピーサードは事も無げに
なぎさを縛られた ほのかに向かって投げ、右手の上の蚕ザケンナーを向けてきた。
ほのかに ぶつかった なぎさは、ほのかがハッキリした音に ならないほど小さな声で、
なぎさの名を繰り返し呼んでいる事に気付いた。
しかし次の瞬間には蚕ザケンナーが放つ大量の糸が アッと言う間に目の前を覆い、
なぎさは思わず絶叫した。 が、声は音には ならなかった。
そして そこで目が覚めた。
一度ゆっくりと目を閉じ、片腕で両瞼を押さえて気持ちを落ち着かせる。
嫌な夢…。と思い返す隙も無く、
メップル「なぎさ、起きるメポ!」 なぎさ「!」
顔を何度も突かれながら耳元 近くで大きな声を出され、
文字通り叩き起こされる形で驚いて飛び起きるハメになった。
ここは雪城邸、ほのかの部屋、自分は床に敷いた布団の中。
横のベッドの方を見ると、そこで寝ていた ひかりと ほのかは もう既に居ない。
メ「ひかりも ほのかも、とっくに起きて朝ごはん作っているメポ。
もうすぐ できるから、なぎさも早く来るメポ」
な「…メップル…。 …嫌な夢 見ちゃった…。アイツが、ほのかを捕まえてて、
アタシも小さくなってて、ほのかを助けたくても何も出来なかった…」
メップルは なぎさを突いていた自分の手が湿っぽいのに気が付いて、少し舐めてみた。
メ「なぎさ、顔が しょっぱくなっているメポ」
言われて なぎさも自分の顔を手で拭ってみると、幾分か濡れている。
パジャマも かなり湿っている状態だ。
な「ホント、ひどい寝汗…。 あ、そうだ。ほのか、ほのかの様子は どう?
一晩 寝て起きたら元に戻っていたなんて事は…」
しかし、メップルは黙って頭を横に振った。
な「そう…」
メ「着替えて顔を洗って、早く来るメポ」
そう言い残して、メップルは部屋から出て行った。
気分は全く優れない なぎさであったが、ひかり たちを いつまでも待たせる訳にも
いかないと思い、ゆっくり立ち上がって着替え始める。
…因みに、若干 寝惚けていた なぎさは、ベッドから敷布団とシーツが無くなっている
のには気付かないまま、部屋を出て行った。
- 682 名前:予想係(16/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:56:04 [ Scy.qckU ]
- 昨日 亮太が持ってきてくれた私服に着替え、顔を洗って台所に入ると、
既に ひかりと ほのかが朝食の全てを あらかた作り終えた所だった。
な「おはよう。 ほのか、ひかり」
ひかり「おはよう ございます。なぎさ さん」
ひかりは 昨日と同じ服にエプロン姿で味噌汁の味を確かめていた。
ほのか「おそーい!」
キュアホワイトのコスチュームを着た ほのかには指を差されてしまった。
昨日、ほのかの身体に合うサイズの着替えは結局 見つけられなかったので、
今日も着たきり雀である。
な「何と言うか、ゴメン。本当はアタシが やらなきゃいけないのに…」
ひ「大丈夫ですよ。私たちの方が大分 早く目が覚めてしまいましたから」
な「洗濯機も動いてる みたいだけど、もしかして ひかりが?」
ひ「ええ。 朝ごはん作るのと平行して片付けないと、何か落ち着かないので」
な「やっぱり しっかり してるなぁ、ひかり は」
ひ「いえ、そんな事は…」
な「今からでも 私に手伝える事 無い?」
ほ「ごはんも おかずも全部 出来てるよ。 残念だけど、もう何も やる事なし」
な「あぅ、やっぱり…」
ひ「では、おかずを運んで いただけますか?」
な「ハイはい。 何でも やるですよー」
なぎさは 張り切って居間へ おかずを運び始めた。
朝食を運び込んでいる最中、
居間で つけていたテレビの全国版ニュースでは妙な事件が報じられていた。
「…元 養蚕農家の管理する桑畑、不可解な事件は ここで起きました。
何と、これだけ広大な桑畑が一夜にして丸坊主になってしまったのです」
「まんず たまげた なイ。昨日 山さ来た時ャなーも さすけねかったけんじょ、
今朝方 来てみたっきゃ こげんなっちょるけん。あやまった」
因みに標準語 対訳。(↑も↓も適当なので、気に しないように)
(ビックリしました。昨日 山に来た時には何も問題は無かったのですが、
今朝方 来てみたら こんな風になってまして。参りました)
「…この方の家では現在 蚕は飼っていないとの事で、農業面での実害は有りませ
んでしたが、桑の葉が無くなった事による生態系への影響が懸念されています。
現在、悪質な いたずらとみて警察と地元農協が調査を…」
突如、ほのかがテレビの電源を切った。
ほ「ごはんの時はテレビ禁止ですぅ!」
な「あ…」
なぎさは もう ちょっとニュースをチェックしたかったが、
おなかが空いていたこともあり、「ハイ」と素直に従った。
- 683 名前:予想係(17/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:56:58 [ Scy.qckU ]
- な「…やっぱり さっきテレビで やってた事件、何か気になるなぁ」
納豆を箸でグリグリと かき混ぜながら、なぎさが そう切り出した。
メ「なぎさも そう思うメポか?」
な「メップルも? 一晩で畑が丸坊主だなんて、おかしいよね?」
ミ「もしかして、今回 襲ってきた敵が関係しているミポ?」
な「確証は無いけど、アイツの手の上に居たザケンナーが、“蚕”じゃないかって
ほのかが…、じゃなくてキュアホワイトが言ってたから…。
確か、蚕が食べるエサって桑だったハズだし、」
メ「これだけの事を やってのけるのも人間技じゃないメポ」
ひ「…という事は…」
味噌汁を一口、ずずっと啜(すす)りつつ ひかりが切り出した。
ひ「私たちを狙って再び敵が襲ってくる…?」
な「来るでしょうね。 アイツ、『次は お前だ。ひとまず勝負は預けたぞ』って
言ってたし。…でも、今の私たちでは到底 太刀打ちは できない。
プリキュアの ふたりがかりでも適わなかったのに、
今 戦えるのがルミナス一人では相手にならないし…」
ほのかは焼き鮭を口にして良く噛みつつ、なぎさ たちの話を聞いていた。
な「だから戦いは回避する。無闇に出歩いたりせず、一人では行動しない。いいね?」
ひかりは黙って頷(うなず)き、ほのかも事態を良く飲み込めないまま 釣られて頷く。
な「それと、もう一つ…大事な事が」
ひ「何でしょうか?」
な「ごはん おかわり」
緊張して なぎさの話を聴いていた分、ほのかと ひかりは おもいッきり脱力した。
朝食後、なぎさが食器洗いを担当し、ひかりが洗濯の続きを再開していた頃、
ほのかは居間で分厚い本を読んでいた。どこかから百科事典を何冊か持ってきたらしい。
なぎさが食器を片付け終わり、ほぼ時を同じくして ひかりが洗濯物を干し終えた。
と、その時。
ミップルが慌てて台所に飛び込んできた。
ミ「大変ミポ! ほのかが どこにも居ないミポ!」と叫びつつ。
なぎさは一瞬 凍結した後、驚愕(きょうがく)した。
な「…な、なんですってぇ〜!!」
慌てて居間に入ると、百科事典 数冊はキチンと積み上げられた状態になっていて、
それを読んでいた筈(はず)の ほのかは、どこにも見当たらない。
ひ「何事ですか、なぎさ さん!」
なぎさの素っ頓狂な声を聞いた ひかりも 駆けつけてきた。
ミ「ほのかが居なくなったミポ…」
ひ「ほのか さんが!?」
な「落ち着いて。 まずは家の中を捜すのよ!」
一緒に家中 捜してみるが、玄関まで来ると、キュアホワイトのブーツが無くなっている。
どうやら ほのかは外へ出て行ってしまった ようだ。
な「どうして…。一人では行動しないで って言ったのに…」
ひ「なぎさ さん、どうしましょう…」
ポルン「ひかり、なぎさ! 忠太郎くんが ほのかを追いかけてくれるって!!」
縁側からポルンが大声で呼んでいる。 忠太郎から ほのかの行方を尋ねたら、
『まだ遠くまで言っていない筈だから案内する』 …と言っている らしい。
それを聴いた なぎさと ひかりは、ほのかの後を追う事にした。
その頃、ほのかは川の堤防を歩いていた。
ほ「おばあちゃま は電車で出かけたハズだから、帰ってくるのも電車よね。
だったら駅へ行って おばあちゃまが帰ってくるまで待っていれば良いのよ。
うん、問題なし」
ほのかは なぎさの言いつけも すっかり忘れて(と言うより最初から理解してない)
無邪気にも そんな事を思いつき、実行に移している のであった。
しかも上機嫌でスキップし、遂には走り出した。
- 684 名前:予想係(18/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:57:51 [ Scy.qckU ]
- その近くの鉄道橋。
鉄骨で出来た構造体の上に、ピーサードが立っていた。
右腕にはシルク光沢を持つシルバーの籠手が装着されている。
静かに、目を閉じて瞑想をしているピーサード。 その脳裏には、
キュアホワイトが こちらに向かって走って来る イメージが浮かび上がっていた。
ゆっくり目を開け堤防沿いに視線を走らせると イメージそのままに、
キュアホワイトが こちらに向かって走って来るではないか。
しかし その姿は小さく、幼い。イメージの方は もう少し大きいにも拘(かかわ)らず。
再び目を閉じると、同じ位置にキュアホワイトのイメージが在る。
次に目を開けてキュアホワイトを見た時、事情を理解し、確信した。
ピ「そうか、姿が変わったのか」
そう呟くと、ピーサードは一飛びでキュアホワイトの前まで跳躍し、降り立った。
いきなり目の前に派手な外見の男が現れ、ビックリして ほのかは思わず足を止めた。
ピ「哀れなものだ。
よもや、そのような情けない姿に なっていようとは な。キュアホワイト」
その男は ほのかを別の名前で呼んだ。
しかし小さくなった ほのかにとって、その名前は意味など全く無かった。
ほ「わたし、そんな名前じゃない…」
ピ「自分を否定するつもりか? それとも自分が何者であるか分からないのか?
いずれにしろ、おまえはキュアホワイトだ!
お前の中に眠る その力は、紛れも無く伝説の戦士のモノだ!!」
小さく首を横に振り、尚も ほのかは否定するが、ピーサードは ほのかを睨み付けたまま
歩いてくる。 ほのかは恐怖で足が動かず、進むのも戻るのも、逃げる事すら出来ない。
ピ「闇の御許へ送ってやろう…」
不敵な笑みを浮かべつつ、ピーサードが更に近づいてくる。
ピーサードの手がホワイトを捕らえようと伸ばされた瞬間、
ほのかは その手を払って脇を すり抜けて逃げようとするが、
その動きが読まれていたせいか すぐに手を つかまれて、強い力で ねじ上げられた。
ほ「ッ…」
腕に走る痛みで声らしい声にならない。 目は涙ぐみ、今にも泣きそうだ。
腕を押さえられ、そのまま橋の下まで連れて行かれそうになった時、ほのかの背後から
なぎさと ひかりが ほのかを呼ぶ声がする。
ピーサードは、ホワイトを乱暴に引きずり回しながら なぎさの方に向き直った。
ピ「おとなしくしていて もらおうか」
な「! …ほのかを…、放しなさい!」
ピーサードに捕まっている ほのかを見て一度は走る速度を緩めた なぎさであったが、
完全には止まらずに尚も走り寄ろうとする。
ピ「こいつが どうなっても良いのか?」
ピーサードが ほのかの こめかみの辺りに右腕の籠手を押し付けて、脅迫した。
そうなっては なぎさも ひかりも立ち止まる他 無い。
ほ(どうしよう、あたしの せいだ…!)
ほのかは今頃になって なぎさの言い付けを思い出す。
『無闇に出歩いたりせず、一人では行動しない。いいね?』
自分のせいで なぎさと ひかりをトラブルに巻き込んでしまった。
そう思った ほのかは、すがるように助けを求め願った。
ほ(助けて、助けて、助けて…! 誰でも いいから、おねえちゃん たちを助けて!)
強く、強く心の中で叫ぶ声に、応える声が有った。
- 685 名前:予想係(19/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 10:59:19 [ Scy.qckU ]
- ?「…ほのか、雪城ほのか! しっかり しなさい!!」
心の中で、誰かが叫ぶ声が響いている。
ほ「誰? わたしの心の中にいる、あなたは誰?」
心の中に、ほのかが問い掛ける。
?「私は あなた。あなたは私。漸(ようや)く、私の声が届いたね」
後ろから誰かに抱かれている。 暖かな その声を聴くと そんな感覚がした。
ほ「わたしに声を掛けてたの?」
?「ええ、ずっと」
ほ「あなたは、わたし?」
?「ええ」
ほ「じゃあ、わたしで あるハズの あなたは、いったい何なの?」
?「私は、あなたが失った全て。あなたから、私までの全て…」
ほ「助けてくれるの?」
?「もちろん。 …ゆっくり体の力を抜いてみて…」
ほのかが言われた通りに してみると、自分の手が勝手に動いて握り拳となった。
ほ「何!? 手が勝手に…」
?「大丈夫。私が動かしただけよ」
ほ「怖いよ…、わたしが わたし じゃなくなるような気がする…!」
?「心配は要らないわ。 私は あなた、本来一つで あるべきなの」
ほ「一つ…?」
?「そう、一つ。 あなたは私。 あなたは あなたのまま、私になる…」
優しく暖かい声が、耳元で聴こえる。
小さな ほのかは、自分の全身を包み込むような その声に、身を委ねる…。
ピーサードが籠手を なぎさの方へ向けた一瞬の隙を突いて、ホワイトがピーサードに
思いっ切り肘鉄を お見舞いし、足を踏み付け、腕を振り払い 逆に つかみ返して、
ピーサードの身体を宙に持ち上げた。
ぅゎ ょぅι゛ょ っょぃ と言ったとか言わないとか。
持ち上げたピーサードの身体を前へ力一杯 投げ飛ばすホワイト。
しかし、放物線を描いた その先には なぎさと ひかりが居る。
C-Wh「いけない!」
咄嗟にホワイトが障子や ふすまを開けるような手の動きをさせると、
宙を飛ぶピーサードのベクトルが90度ねじ曲がった。
ピ「ぐべっ!」
ピーサードは川の方へと その軌道を変えて飛んで行き、
二・三度 水切りして川に突っ込んだ。
なぎさが ほのかの許へ駆け寄り、ひかりが変身体勢を取る。
水に突っ込んだピーサードが すぐに立ち上がっていたからだ。
ひ「私が時間を稼ぎます。その間に ほのかさんを安全な場所へ」
な「でも、一人で戦うなんて無茶よ!」
ひ「大丈夫です。うまくやって みせます」
ひかりが一歩前に出て「ルミナス・シャイニング・ストリーム!」と叫んだ。
(描写省略。どうせバンクと同じだ)
Lumi「輝く命 シャイニールミナス。
光の こころと、光の意思。 全てを一つにするために」
ピーサードは頭(かぶり)を降って髪の水滴を払い、ルミナスを睨み付ける。
ピ「ルミナスだと? いったい何者だ?!」 と腕の籠手をルミナスに向けるピーサード。
ルミナスは なぎさと ほのかを かばう様に立ち、ゆっくりと歩いて
ピーサードとの間合いを調節する。
何度かに分けて籠手から糸が発射されるが、ルミナスは全て表・裏の平手打ちで払いのける。
なぎさは逃げるか戦うか迷った。
だが ほのかが なぎさの手を握り、「なぎさ、変身してみよう」と声を掛けてきたので、
ダメ元で やってみた。
- 686 名前:予想係(20/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 11:00:05 [ Scy.qckU ]
- な&ほ『デュアル・オーロラ・ウェイブ!』
凛とした ふたりの声が河原に響き渡る。
(例によって描写省略。ほのかの姿が違う以外は どうせ(ry)
C-Bk「光の使者・キュアブラック」 C-Wh「光の使者・キュアホワイト」
C-Bk&C-Wh『ふたりはプリキュア!』
C-Wh「闇の力の僕(しもべ)たちよ!」 C-Bk「とっととおウチに帰りなさい!」
キュアブラックが自分を見ると、ちゃんと変身できている。
しかしホワイトを見ると変化が見られず、小さいままのキュアホワイトだった。
C-Bk「姿形が変わっても、ホワイトはホワイト…」
昨夜のミップルの言葉を思い返して自分に言い聞かせるブラック。
C-Bk「ホワイト、戦うけど いい?」
C-Wh「うん」
C-Bk「アタシたち、手を繋げられないと反撃も ままならない。
だから出来るだけ離れないで行動しよう。
そしたら もう、負けるだなんて…ありえないから」
C-Wh「うん、分かった」
ピ「2対3か…。フフ…、こうでなくては 面白くない!」
ルミナスの脇に来たキュアブラックとキュアホワイトを見ても尚、
ピーサードは余裕の表情であった。
先程ホワイトに投げられたのは油断だったとでも言うのだろうか?
ピーサードが籠手を虚空に向け、大量の糸を吐かせる。 昨日の戦闘の時と同じ様に、
糸は ふわふわと宙を漂い、辺り一面 真っ白な空間が出来上がった。
その状態でピーサードがプリキュアたちに向かって突っ込んで来る。
ピ「シルク ウィップ!!」
籠手から吐き出された糸が鞭状に より集まり、ルミナスへ向けて振り下ろされた。
プリキュアもルミナスも回避したので命中こそしなかったが、
その攻撃でルミナスとプリキュアとの間が離れた。
鞭が籠手内に引き戻され、尚もピーサードは一人になったルミナスを狙い突っ込む。
自分が攻撃されると思い身構えるルミナスだったが、
籠手は何故かプリキュアの方に向いていた。
ピ「シルク・ストリング・ミサイル!」
小さく、力強く正拳突きをすると、籠手から糸が多数、切れ目を作りつつも連続的に
吐き出され、雲を引いて飛ぶミサイルの如く乱舞しつつプリキュアへと向かって行き、
次々と命中していく。
Lumi「ブラック、ホワイト!!」
ピ「おまえは そこで おとなしくしていろ!」
ピーサードはルミナスの眉間の辺りをデコピンで叩いた。
見た目に地味な たった それだけの攻撃だったが、
ルミナスは勢い良く弾き飛ばされて 仰向けに倒れてしまった。
その頃には吐き出され続ける糸によって、
プリキュアの ふたりは完全に繭で覆われてしまっている。
Lumi「…何てことなの…」
何とか立ち上がった時 プリキュアは行動不能 状態、更に目の前のピーサードは
プリキュアへの攻撃を止めて籠手をルミナスに向け、
表情一つ変えずにルミナスを見据えている。
ピ「次はオマエだ。覚悟しろ…」
ルミナスが ピーサードの向こう側にある繭を もう一度見た時、微かに動くのが見えた。
それを見て ひらめいたルミナスは繭の中のプリキュアに向かって叫んだ。
Lumi「こっちです! 私に向かってマーブルスクリューを撃って!」
それを聞いてピーサードは思わず後ろを振り向いてしまった。
半瞬ほどのタイムラグの後 繭の一部が輝き、
そこから黒と白の螺旋を描くビームが飛び出してきた!
ピ「!」
ビームは真っ直ぐピーサードに向かって伸び、辛うじて回避しようとするも、
完全には避け切れずに右腕を かすめた。
- 687 名前:予想係(21/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 11:01:04 [ Scy.qckU ]
- 繭に開いた穴の縁にブラックの手が掛かって穴を力一杯こじ開けて広げ、
そこからキュアホワイトが顔を出す。
そして勢い良くホワイトが飛び出すと、ブラックも続けて飛び出した。
C-Bk「よくも やってくれたわね! 覚悟なさい!!」
ピーサードの右腕の籠手には黒と白のスパークが走り、
それと共に短い糸の小片が何度か飛び出している。
ピーサード自身もダメージを受けたのか、プリキュアの方へ向き直るのが精一杯。
ルミナスは既に安全な所へ避難している。
C-Bk「ブラックサンダー!」 C-Wh「ホワイトサンダー!」
(描写(ry)
C-Wh「プリキュアの美しき魂が」 C-Bk「邪悪な心を打ち砕く!」
C-Bk&C-Wh「プリキュア・マーブル・スクリュー マックス!!」
黒と白の野太い螺旋ビームがピーサードを襲う。
回避され直接は当たらなかったものの、籠手のスパークはマーブル・スクリューに
誘発されたように激しくなり、遂には籠手からザケンナーが弾き出された。
「ザケンナー!」と断末魔の叫びを残し、ザケンナーはゴメンナーへと還元されて
例の如く何処かへ消えていく。
C-Bk「このまま行くよ!」 C-Wh「ええ!」
ブラックとホワイトの息はピッタリ合っている。
マーブル・スクリューのビームは維持されたまま 軌道が一旦 上空へと伸びて、
ループを描いて上からピーサード目掛けて撃ち下ろされる。
ピ「何ィッ!!!!」
気付いた時には既に手遅れであった。
マーブルスクリューは脳天に直撃し、その強烈な圧力がピーサードを責め続ける。
やがてビームの放出が途絶え、地面に黒白のスパークが走り、
ピーサードは前へと倒れ始める。
ピ「私は、…わたし、は…」
そう呟いて儚(はかな)くも地面に ばったりと倒れた。
…。
再び立ち上がって襲ってくるのではないかと、
少し不安になるくらいの間 何も起こらなかったが、やがてピーサードの身体から
「ザケンナー!」 …が出てきて、間もなくゴメンナーに還元された。
C-Bk「こいつ、ザケンナーだったの?」
後には ぬいぐるみが一体と、おもちゃの籠手だけが残っていた。
どこかの森の中に在る 闇の洋館にて。
サーキュラスとウラガノスが囲碁の対局をしている。
始まったばかりで碁盤の石の数は まだ少ない。
ウラガノスが何とは なしに外を見ていた。
サ「どうした? おまえの番だぞ」
ウ「今…、どこかでザケンナーが動いていた気がするのだが」
サ「気にするな。良く在る事だ」
ウ「ほう? そうかい」
結局それっきり、その件が かえりみられる事は無かった。
- 688 名前:予想係(22/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 11:01:58 [ Scy.qckU ]
- ブラックの変身が解け、こちらに歩いてきたルミナスも変身が解けた。
そしてホワイトの身体は全身が光に包み込まれて、
間もなく元の制服を着た中学生の身体に戻った。
な「ほのか…」 ほ「元に、戻れた…」
膝を ついていた ほのかは自分の手足を見て漸く元通りになったのを実感し、
なぎさは ほのかの姿を見て思わず へたり込み、安心したのか涙ぐんだ。
な「ほのかが、戻った。ちゃんと戻れた…」
ほ「夢じゃ、ないよね」
涙が溢(あふ)れて頬を伝い、感 極まって なぎさは ほのかに がばっと跳び付き、
力一杯 抱き締めた。
な「正直、ダメなんじゃないかと思ってた…。
ほのかが戻れなかったら どうしようって、ずっと悩んでた。
…良かった、本当に、良かったよぉ〜…」
ほ「なぎさ…。 ゴメンね、心配 掛けて。 なぎさの声は ちゃんと届いていたわ。
でも、自分では自分を どうする事も出来なかった…。
色々、迷惑も掛けちゃったね」
な「迷惑だなんて、そんなの大したこと ない…!
ほのかが無事なら、それで いいんだから…」
ほ「…ありがとう、なぎさ」
大泣き している なぎさに 釣られて、思わず ひかりも貰い泣きした。
夏子「あれ、なぎさ じゃないの?」 京子「あ、それに雪城さんも〜」
通り掛かりの夏子と京子が なぎさと ほのかの姿を見つけて声を掛けた。
背後からの声に なぎさは腕で涙を急ぎ拭い、ほのかから離れた。
京「えーと、あなたは1年の ひかりちゃんだったかしら」
ひ「はい、こんにちは」
夏「こんな所で何してるの? 雪城さん 制服 着てるし、あーや〜しーい〜ぞぉ」
な「たまたま、たまたま ここで会っただけ だってば」
ほ「ちょっと用事で学校に行ってきた帰りなの」
京「ふーん?」
夏「ところで、さっき この辺で凄い音してなかった? プリキュアあたりが
誰かと戦っているんじゃないかなと思って、来てみたんだけど…」
なぎさと ほのかは内心 ズキッと…じゃなくて ギクッと来たが、
顔を見合わせただけで表情には出さなかった。
な「さぁ? あたしたちも今 来たばかりだし」
京「夏子、あれ見てアレ!」
京子が何かを見つけたようだ。
夏子と京子が その物の前にまで飛んで来た。
見つけたのは先程までザケンナーが とり憑いていた ぬいぐるみと おもちゃの籠手だ。
夏「これって、もしかして…」
京「こないだ失くしちゃった、」
夏「あたしのシルク・アーム!」 京「カブキマン人形!」
なぎさと ほのかと ひかりは、キョトンとする他 無かった。
な「ハイ?」 ほ「…」 ひ(何なのでしょうか…)
夏子は早速 自分の腕に装着してボタンを押してみると、
何ヶ月ぶりかで動かす筈なのに ちゃんと しっかりした音が出た。
夏「シルク・ストリング・ミサイル!」
叫びつつ小さめに正拳 突きをすると、白く細いテープの束(俗に「くもの糸」とか
呼ばれている、投げテープ)が籠手の先から放たれる。
なぎさ達は呆然と その光景を見ていた。
- 689 名前:予想係(23/23) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 11:03:16 [ Scy.qckU ]
- な「それって いったい、何なの?」
夏「よくぞ聞いてくれました! これは『超時空騎士(ナイト)ミラクル シルキィ』で
主人公のシルキィが装備している“シルク・アーム”よ!」
京「そのアニメに出てくるマスコットキャラの“ドクター カブキ”、
通称『カブキマン』カブ」
ほ「…カブ…?」
夏「おしゃれドレスを着こんで おしゃれポーズを決めれば、無敵BGMと共に
シルク・ストリング・ミサイルで華麗に敵を捕らえて成敗する、
それがミラクル シルキィよ」
京「シルキィの相棒の『超時空看護師(ナース)マジカル リーフィ』の肩に乗って
シルキィとリーフィをサポートする ちょっとHな お医者さん、
それがドクター カブキ。 セクハラ癖が 玉にキズ」
何が何やら さっぱりである。
ほ「それ、他の誰かの物という事は、ないの?」
夏「間違いなく私のよ。 しっくり馴染む ベルト、
決めポーズの練習で あちこちに ぶつけた傷、
内蔵の小物入れに入れていたレシートと値札、
自分好みに設定していたサウンドパターン。 全部 身に覚えがあるわ」
京「私の ぬいぐるみも ちょっと改造してあるから」
夏「これで憧れのミラクル シルキィのコスプレが出来るわ!
がんばるぞぉー!」
喜びの余り鬨(とき)の声を上げる夏子。
京「おー!!」 応える京子。
夏「やっちゃる ぞー!」 京&ひ「お〜!」
釣られて ひかりも 声を上げ、
夏「ニューヨークへ 行きたいかぁー?!」 京&ひ&ほ「オー!」
更に釣られて ほのかも声を上げた。
夏「なぎさ、声が小さいわよ!」
な「え? あ。 オー! …って、何でアタシ達まで? ありえない…」
奇しくも、以前ピーサードが闇に還った場所でもある この河川敷で
ピーサードは再び倒れ、平穏な生活を取り戻した少女たちの声が響く。
そして、いつもと同じ土曜日の昼が やってくる。
【Bパート終了】
【CM、エンディング、予告、またみてね】
(全て省略)
- 690 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/03(日) 11:09:10 [ Scy.qckU ]
- INDEX >>667-689
最後に、私家版をUPしときます。
投稿版ではカットした、お風呂のシーン有り。
苺は甘い?1 up8958.rar
PASSは今作のラテ欄仕様タイトル7文字。
はぁ〜、疲れた。
あ、そうそう。 インデックスまとめの方に連絡。
今作のタイトルはラテ欄仕様の方で お願いします。
- 691 名前:634 投稿日:2005/04/03(日) 11:13:28 [ 9HDoLSas ]
- リアルタイムで読んだ。力作乙っす。
セクハラ癖が玉にキズのドクターカブキってw
しかし夏子と京子が関わってるとは思わなんだ。
ちなみに何でほのかは幼児化したんですか?(闇の力?)
- 692 名前:833@ 投稿日:2005/04/03(日) 12:25:46 [ Lki73Kus ]
- ようやく読破。お疲れ様でした。
凄い作品をどうもありがとうございます。
いや、面白かったです。細かいギャグとかもあって……。
自分は長編とかあまり書かないからな。新鮮味がありました。
- 693 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/04(月) 01:15:47 [ dWyzlxYA ]
- 感想ありがとう ございます。
最初に構想を固めたのがバレンタインの頃で、
それから約1ヵ月半の間、ずっと書き続けてました。
思い描いたイメージを そのまま文章にするのが難しく、苦労しました。
次に書くなら軽めの物にしようかと思っています。
>>691
何で と問われれば、それは私の嗜好(ry というのは置いといて、
ザケンナーの憑依先が「超時空」をタイトルに持つ おもちゃでしたし、
因果律が乱れたんです。きっと。
私家版 同梱の設定書にも書きましたが、あの繭は「タイムふろしき」なのです。
- 694 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/04/06(水) 07:21:34 [ /DVFbLAY ]
- 丸一日かけて全ての作品を読破しました
素敵な作品が多くて、俺おおはしゃぎ
ROMってる人も多いとおもいますんで、SS書きの皆様
これからも素敵なSS楽しみにしております
- 695 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/04/08(金) 04:12:59 [ xIw8rrb6 ]
- >予想係氏 >>667-689
遅蒔きながら長編乙。いやコレ長さだけでも凄いんだが
それだけの大作なのに、最後の最後のオチが「ちょっとHなお医者さん」ですから。
それまでの三万字近く、ピーサードとのバトルの精緻な描写から
幼女化したほのかとなぎさの心の交流までを、丹念に書いてきたのも、
すべて「超時空看護師」というネタのためだったのですね。素晴らしすぎる。
そんな氏が好きだ。
- 696 名前:プリッキュアスレより479氏/SS「春眠」(1/4) 投稿日:2005/04/08(金) 04:13:44 [ xIw8rrb6 ]
- .
お昼ごはんの後の五時間目。授業はよし美の国語の授業。
春眠 暁を覚えず
処々 啼鳥を聞く
夜来 風雨の声
花落ちる事 知りぬ多少ぞ
ふと、窓際を見る。
――あーあ!やっぱり。居眠りしてる。
教科書を机の上にバリケードみたいに立てて
左のほっぺたをノートにくっつけてすやすや気持ちよさそうに眠っちゃって!
もう!急いでノートをちぎってメモ書き。
隣の席の子に「なぎさにお願い!」
なぎさのだらしの無い顔を見て「ぷっ!」笑いながら隣に廻す。
――もう恥ずかしいよ。
「OK!」って顔でさらに隣へ。聖子が良いよ!って目で合図。
それから前の席の高清水さんに。「うん。わかった」
つんつん…突っつかれ起こされたなぎさが寝ぼけたまなこで
振り返りわたしのメモをぼんやり顔で読んでる、読んでる!
――しっかりしてよね。同じプリキュアとして恥ずかしいんだから!
あれ?なんかなぎさったらこっち睨んでない?
だって、授業中に居眠りなんてしてるなぎさが悪いんだからね!
わたしからの伝言メモに何かお返事を書いているみたい。
- 697 名前:プリッキュアスレより479氏/SS「春眠」(2/4) 投稿日:2005/04/08(金) 04:14:24 [ xIw8rrb6 ]
- するすると伝言メモが返ってくる。
(いい気持ちで寝てたんだから邪魔しないで! なぎさより)
――邪魔?ムカー!なんていい草!書き書き…もう一回なぎさにお願い!
(居眠りを注意して邪魔って言い草は無いでしょう? ほのかより)
(昨日眠れなかったの!"言い草"ってどういう意味 なぎさより)
(授業ちゃんと聞かないから解らないの! ほのかより)
(教えてくれたって良いじゃん! ケチ! なぎさより)
(ケチって言い草は無いでしょう! ほのかより)
(ケチケチケチケーチ!"言い草"ってどういう意味 なぎさより)
――なぎさったら!確かによし美先生の授業は退屈でつまらないけど…
と、突然横から手が伸びメモ書きをさらわれてしまった。
「ちょっと書き…かけ…で…す…」見上げるといつの間にかよし美先生が!
「ふむふむ…ほほぉ…ふぅむ…雪城さん、そんなに授業つまらない?」
「いえ…あの…その…えっと…何て言うのか、そのぉ…」
「廊下に立って反省なさい!」
「えーそんなァ…」
――なんで?わたしが?なぎさの居眠り注意してそりゃあ勢いで…
「あははっはは!授業中に悪ふざけしてるからよーだ!」張本人のなぎさが囃す。
「な・ぎ・さー!大体こんな事になったのもあなたが…」
「美墨さん!あなたもです!」よし美先生の大声炸裂。
- 698 名前:プリッキュアスレより479氏/SS「春眠」(3/4) 投稿日:2005/04/08(金) 04:15:08 [ xIw8rrb6 ]
- 誰も居ない廊下にふたり立たされて。
なぎさが一番の悪者の癖にふてくされたみたいな態度。
――わたしだって知らない!なぎさが"もうほっといて"なんて言うのなら
なぎさの好きにすればいいじゃない。おせっかいだって言うなら…
―こつん。
右手の甲がなぎさと左手に当たる。
引っ込めようとしたわたしの右手の小指。
なぎさの小指が指切りするみたいに絡みつく。
「…ごめん…ね?」そっぽ向いたままで呟くように謝るなぎさ。
――もー!いまさら謝ったって遅いよぅ!
絡めたなぎさの小指の力が緩くなる。
――でも、なぎさが素直に謝るんなら許しちゃおうかな?
ぎゅう!今度はわたしが謝る順番。
なぎさの小指を逃がさない。
なぎさとわたし。同時に振り向く。
――やだ。なぎさ、泣いてるの?可笑しいよ。
怒られ慣れてるなんて変な自慢するくせに!
- 699 名前:プリッキュアスレより479氏/SS「春眠」(4/4) 投稿日:2005/04/08(金) 04:15:51 [ xIw8rrb6 ]
- ――こっちん!
「痛ッ!」
軽〜くなぎさのおでこにわたしの頭をぶっつける。
「これで許してあげる。」
なぎさが空いた方の手でおでこを擦りながらイタズラっぽい目で問い直す。
「ホントに?」
「うん、許してあげる。」
――ホントにホントもう良いんだ。
ごっちん!今度はなぎさがわたしのおでこにお返ししてきた。
「一回は一回。これでホントにあいこでしょ!」
「ふふふ。」「うふふ。」
こちん!もう一回。こっちん!
「うふふ。わたし達、何やってるんだろう?」
おしまい
その頃、教室では。
廊下側の窓に映る二人の頭の影がくっついたり離れたり。
みんなちょっといろいろと勘違いしていたりする。
.
- 700 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/04/08(金) 04:17:18 [ xIw8rrb6 ]
- 【プリッキュアスレより479氏/SS「春眠」】
メロン板の「プリッキュア〜!」スレより転載。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/479-482
なんでしょうかこの職人さんのSSを読む度に思いますが
このスタイルは無二無三ですね。説明的な文章は第一行目の
「お昼ごはんの後の五時間目。授業はよし美の国語の授業。」のみ。
あとはほのかの溌溂とした認識をなぞるような軽快な筆致で最後まで一貫。
アニメ的に映像を喚起するよう地の文を書き加えることはとくにしないで、
といって、ほのかの内側から安定した視点で出来事を描いているんでもなくて、
例えば(ほのかの死角にいる)よし美先生にメモ描きを突然さらわれる箇所とか、
ほのかの内語と、地の文と、台詞と、水準の違う三つの叙述を交錯させて
説明的な印象なしに、状況の可笑しさ、ほのかの気まずさを読み手に伝達。
上手すぎますね。たぶん、プリキュアと限らずあまたのSS書きの中でも
錐脱する特異なスタイルと思います。GJ。
- 701 名前:プリキュアSS作品INDEX_601-700 投稿日:2005/04/08(金) 04:41:06 [ xIw8rrb6 ]
- 作品INDEX_001-100 >>101-102 作品INDEX_101-200 >>201-202
作品INDEX_201-300 >>301-302 作品INDEX_301-400 >>401-402
作品INDEX_401-500 >>501-502 作品INDEX_501-600 >>601
.
【百合SS「夏の縁側」】 >>603-609
作者:833@氏
【ネタSS「ふたりはプリキュア!ラジオステーション」】 >>612-614
作者:833@氏
【百合SS「第28話『ふたりはコスプレ? 即売会は大騒動』」】 >>616-617
作者:夏×なぎ氏
【SS「白の日に」】 >>620-623
作者:予想係(呑気)氏
【百合SS「新たなる出発」】 >>626-627
作者:833@氏
【百合SS「本当の贈り物」】 >>631-633
作者:小説スレの634氏
【百合SS「ほのかの看病」】 >>640-642
作者:833@氏
【百合SS「台風の贈り物」】 >>651-654
作者:833@氏
【SS「あやしい二人」】 >>658-660
作者:小説スレの634氏
【SS「ピーサード再び(リバイバル)!
大変!ほのかがちっちゃくなっちゃった!」】 >>667-689
作者:予想係(呑気)氏
【SS「春眠」】 >>696-699
作者:プリッキュアスレより479氏
※題名には便宜的な仮タイトルも含まれます
- 702 名前:833@ 投稿日:2005/04/08(金) 23:52:45 [ xdzIftwQ ]
- ここベローネ学院中等部三年桜組では今密かに麻雀ブームであった。
そして美墨なぎさもまたブームに乗じて麻雀を始めた者の一人。
師匠である雪城ほのかとともに本日初めて実戦の舞台に立った。
起家は高清水莉奈。
「ロンロンロン!タンヤオ三色、5200点」
東一局。まずは久保田志穂が先制攻撃を雪城ほのかに炸裂させた。
「ロン!タンヤオのみ。1000点」
東二局。高清水莉奈が美墨なぎさからあがり、久保田志穂の親を軽く流す。
「ツモ。1300,2600」
東三局。雪城ほのかが發ドラドラでツモあがりをし、美墨なぎさの親を流す。
「もう!あたしが全然あがってないじゃない!!」
現在まで良いとこ無しのなぎさが怒るように言った。
「まぁまぁなぎさ。麻雀は運が大事だから。ここはこらえて。ね?」
「う…うん」
ほのかの笑顔に諭されてなぎさもとりあえず落ち着く。
東四局。
(はっちゃった……、国士無双西待ち……)
雪城ほのかは自分の手を見てゴクリと息を呑んだ。
経験豊富な彼女にとっても役満は未知の世界……。
「あ〜〜。もうツモ悪いなぁ!!」
パンッと勢い任せに捨てた牌はなんと西!!
(う…!?)
ほのかは戸惑った……。ここでロンと宣言すれば親の役満48000点が自分の手元に入る。
が同時にそれはなぎさのトビ。最下位を意味する。ちなみにレートは1000点50円。
(ここでロンって言ったら……、なぎさ傷つくかな……。どうしよう)
「ほのかの番だよ?」
「え?」
なぎさの声が突然ほのかの耳に入ってほのかは我に返った。
「雪城さん、どうかした?」
莉奈が心配そうに訊ねる。
「ううん。大丈夫よ」
(見逃しちゃった〜……)
落ち込みながらほのかは自分のツモ牌をそのまま切る。
「ああ、またこれ?最悪〜〜」
タンッとなぎさが勢い良く切った牌はなんと西!!
(うう……!?)
(ど…どうしよう。二枚目だし……。でもなぎさが……なぎさが……)
「ほのかの番だよ?」
「え?」
なぎさの声が耳に入ってほのかは我に返る。
(また見逃してた!!ってこと。ありえな〜い)
脱力したほのかが自分のツモ牌をそのまま切る。
「ロン!!」
嬉しそうになぎさが自分の手牌を倒す。
「やったやった!!これって幾ら?」
「7700点かな?」
莉奈が点数計算を済ましほのかがなぎさに点棒を支払う。
「ようやくあがれたよ〜〜。良かった!!」
とても嬉しそうな笑顔を浮かべるなぎさ。
「良かったね。なぎさ」
(ああ、このなぎさの笑顔を見られたなら国士無双や48000点なんて……)
心の底で涙を流しながらほのかはなぎさのあがりを祝福をするのだった。
- 703 名前:833@ 投稿日:2005/04/08(金) 23:53:15 [ xdzIftwQ ]
- 南一局。
「あ、なぎさ。それチー」
「これ?」
なぎさが切った牌を手に取る。
「うん」
ほのかが頷く。
「はい」
となぎさは何とそれを手に取りほのかの手に乗せてギュッと握り締めたのだった。
「!!!!!」
「ほのか?」
「な…なんでもないよ!!」
顔を真っ赤にしながら牌を受け取り場に晒す。
「チー!」
「はい」
「チー!」
「はい」
「チー!」
「はい」
同じような動作を三回連続で繰り返すなぎさとほのか。
志穂と莉奈はそんな二人の様子を呆れたような眼差しで見ていた。
「ロン!」
「雪城さん……。それ役無いよ…」
極めて冷静に莉奈がツッコみを入れる。
「は…!」
「わ〜い、チョンボだぁ!」
大喜びで笑顔を浮かべるなぎさだった。
(こんなに良い事があるなら…チョンボも悪くないかな…)
その後更にもう一回ほのかがチョンボをしでかしなぎさが勢いづき連続であがった。
そしてオーラス。ほのかの親。
順位はトップなぎさ37700、2位志穂33600、3位莉奈26300、4位ほのか2400。
「あたしのトップだね」
「何言ってんのなぎさ。負けないわよ」
「私だってまだ可能性あるんだから」
なぎさ、志穂、莉奈。三つ巴のトップ争い。
「ほのかは……、2400点?」
「う…うん」
「なんだ。ほのかって経験豊富って言ってたけど…」
「 あ ま り 強 く な い ん だ ね 」
「……………」
あ ま り 強 く な い ん だ ね
あ ま り 強 く な い ん だ ね
あ ま り 強 く な い ん だ ね
あ ま り 強 く な い ん だ ね
なぎさの言葉ほのかの頭にエコーのように響く。
プチン
ほのかの中で何かが切れた……。
精神ではほのかの瞳は青く、髪の毛は金髪に逆立っていた。
「私が……、弱い……」
そして緊張感溢れるオーラス。全員が黙々と手を進める。
「リーチ…」
ほのかがリーチをかける。
その異様な空気を志穂と莉奈は感じ取った。しかしなぎさは経験が浅くそれを感じ取れなかった。
その時点で勝負は決していた……。
「いらないや…」
なぎさは不用意に牌を切る。
「ロ……ローーーーン!!!!!」
教室全体に響き渡るような大声でほのかが叫んだ。
「リーチ一発メンチンピンフイッツーイーペードラ3!!数え役満よ!!!」
ほのかの絶叫の後、教室は静まり返った……。
「さぁ、なぎさ。あなたの負けよ!とっとと負け分を払いなさい!!」
ビシッとなぎさを指差して叫ぶほのか。
「そ…そんなぁ〜〜。あたし330円しかもって無い…」
がっ。なぎさの顔をほのかが右手で掴む。
「お金が足りないのに麻雀なんかしちゃダメでしょ……」
あまりに鋭すぎる眼光でなぎさを睨み付けるほのか。
「は…はい!!」
ほのかの圧倒的なプレッシャーに恐れ慄くなぎさ。
ほのかの目はもはや獲物を狩る狼の目と化していた。
そしてなぎさの目は殺されることを覚悟した羊の目に……。
「足りない分は体で払ってもらうわよ……」
ほのかはなぎさの唇に自分の唇を重ねた。
唇を離した二人が見詰め合う。
「今日の夜は楽しみにしててね。私が弱いなんて言うんだから…ふふふ。大丈夫よね?」
とつてもなく恐ろしい笑顔を浮かべながらほのかは手を洗うために教室を出て行った。
後には呆然としたなぎさと震えるしほりーな、固まったクラスメートの姿があるだけだった。
「雪城さん……怖い……」
「もう麻雀はしないほうがいいかも……」
皆さんも危険な賭け事は辞めましょう。
- 704 名前:833@ 投稿日:2005/04/08(金) 23:54:13 [ xdzIftwQ ]
- 軽めのギャグSSです。
麻雀ネタですがわかってくれる人が居るかどうか……w。
- 705 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/09(土) 01:06:32 [ ayiT4KHY ]
- >>702-703
大爆笑です!
麻雀の知識は全く無い私でも、楽しく読めました。
- 706 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/04/09(土) 02:11:28 [ ePiBcszY ]
- 833氏の新作キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
一生にあるか無いかと言われる国士上がりを棒にふるほのか嬢に萌え
次回作も楽しみにしております
- 707 名前:634 投稿日:2005/04/10(日) 01:05:47 [ Fj5LNLQM ]
- イヤー面白かった。
>精神ではほのかの瞳は青く、髪の毛は金髪に逆立っていた。
ココ、さなえお婆ちゃん譲りですかw
- 708 名前:634 投稿日:2005/04/15(金) 00:59:52 [ bfzeldtg ]
- 「うわーほら見て見て!海が見えてきたよ!」
「ふふ、なぎさってば子供みたいにはしゃいじゃって。でも本当に綺麗…」
「ねぇ、でもラッキーだよね。アカネさんの知り合いが海の宿を経営してるなんて」
「ホントホントホント。ロケーションも最高らしいよ〜」
「そういえば当のアカネさんはどうしたの?」
「現地で合流だって。アカネさん、先に行ってタコ焼き売るって張り切ってたから」
「へぇそうなんだ。あーでも、何かドキドキしちゃう!格好いい男の子に声なんかかけられたらどうしよう!?」
「ちょっとちょっとちょっと莉奈!それってもしかしてナンパってヤツですか?」
「エヘヘ、あたしこの日の為にダイエットしてきたんだ!アレの誘惑を振り払うのはホント大変だったよ」
「ウッソー!?莉奈、アレ我慢できたの?ありえない…」
―――○○、○○。降り口は右側です…
「…ねぇみんな、ココって降りる駅なんじゃない?」
「えっ!?…本当だ!!ほら、なぎさもお弁当なんか選んでないで行くよ!」
「え〜?だってまだ一つも食べてないんだよ!?駅弁って旅行の楽しみの一つでしょ?それなのに…」
「なぎさ、お弁当なら私が作ってきたからそれで我慢しなさい!今は降りるのが先でしょ!」
「でも駅弁が〜」
「ダメ!駄々こねてないで行くわよ、ほら!」
「雪城さん、何かお母さんみたい…」
「てゆーかてゆーかてゆーか、なぎさ子供かよ…」
〜夏の海ってマジヤバくない?お熱くたってINじゃない?!〜
「ほらほらほら、行くよなぎさ」
「ちょっと待ってコレで終わるから………よしっ完了!あれ、ほのかは?」
「雪城さんなら先に行って準備するって行っちゃったよ」
「マジで!?志穂、莉奈、何やってんの。早く行くよ!」
「何って、なぎさが一番遅かったじゃん…」
「あーもうそんな事はいいから、とにかく急ごう!」
ワイワイ言いながら先に行ったほのかを追いビーチに飛び出して行く三人。
海水浴客でごった返す中、ようやくほのかを探してみれば数人の男達に囲まれているのが見える。
「ほのかーどうしたの?その人達って誰?」
駆け寄ってくるなぎさ達を見てホッとした表情を見せるほのか。
「なぎさ!良かった、実は…」
- 709 名前:634 投稿日:2005/04/15(金) 01:00:28 [ bfzeldtg ]
- だが、ほのかの声を遮る様に男達が喜声を上げる。
「お、この子達友達!?ウヒョー皆カワイイねー。どうよ、俺らと一緒に遊ばない?」
「そうだよ、そうだよ。女の子だけよりずっと楽しいぜー」
「メシだって奢るからさ。大丈夫、変な事なんかしないって」
「そーそー。だからとりえずさ、あっちへ行こうよ」
ナンパーマン達の攻撃。
「な、何この人達いきなり…」
「さっきからずっと絡んでくるの…」
「ねーねーねー莉奈。こう言うの期待してたの…?」
「ち、違うよ。こんなのじゃなくて…」
防戦一方、怯える四人。
「何ごちゃごちゃ言ってんの。いいから行こうぜ!」
そんな四人の様子に少し苛立ったように一人が声を上げ、
いきなりなぎさの肩にいやらしく手を回す。
だがその瞬間、ほのかの中で何かがプチンと切れる音がした。
「ちょっとあなた達、いい加減にしなさい!みんな嫌がってるじゃない!
それにそこ!さっさと肩から手を離して!!大体海にきてロクに入りもせずに
女の子に声をかけてばっかりってどう言う事?一体あなた達は何を考えて生きてるの!?」
眉を吊り上げ一気にまくし立てるほのか。
突然のそんな剣幕に肝を潰す野郎ども。
『スンマセン』と言いながらスゴスゴと退散して行く後姿をしばらく睨んでいたほのかだったが、
くるりと振り返り心配そうな顔でなぎさに聞いてくる。
「なぎさ大丈夫?変な事されなかった?」
「え!?別に何もされなかったけど?」
「良かった…。嫌な事はイヤってハッキリ言わないとダメよ?なぎさはタダでさえ押しに弱いんだから…」
「うん。ありがとう、ほのか」
なんだか不思議な雰囲気を醸し出す二人。
だがそんな二人とは対照的に志穂と莉奈は
「雪城さんって怒らすと怖いのね…」
「うんうんうん。あたし絶対に怒らせない…」
怒れるほのかに震えていたのであった。
- 710 名前:634 投稿日:2005/04/15(金) 01:01:36 [ bfzeldtg ]
「あー美味しかった。ところでひかり、アイスタコ焼きなんてメニューにあったっけ?」
アイスタコ焼き…もちろんこんな妙ちくりんな食べ物を出すお店はタコカフェに決まっている。
浜辺で一通り遊んだ後、ようやく休憩の為にココにやってきたのだ。
「アカネさんがせっかくビーチに来たんだからって。特別らしいですよ」
「フーン、特別なんだ…通常メニューに加えればいいのに。そしたらあたし絶対毎日食べちゃう!」
「じゃあ今度アカネさんに聞いてみますね」
「ホントに!?絶対売れるってコレは。あたしが保障してあげる!」
絶対売れない…と心の中で突っ込む他の三人だったが、
志穂がふと思い出したようにみんなに問いかける。
「そうだそうだそうだ。みんなこれからどうするの?あたしはちょっと休憩しようかなって思うんだけど」
「あたしもそうしようかな。雪城さんは?」
「私もちょっと疲れちゃったし…なぎさはどうするの?」
「え、みんな休憩しちゃうの!?あたしまだ元気だし、一人で泳いでくるね!」
さすがにラクロス部キャプテン、元気の桁が他の三人とは違うようだ。
けれどもそんななぎさに対し心配顔をするほのか。
「だけどなぎさ泳げないじゃない。一人で大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫!この浮き輪があれば平気だって!」
そう言うと浮き輪片手に駆け出して行く。
そして波打ち際まで辿り着くと浮き輪を装着し慎重に海に入る。
「あの様子じゃ大丈夫そうだよ、雪城さん」
「うん…そうだね」
プカプカと浅瀬で浮かぶなぎさを見て安心したのか、ようやく休憩タイムに入る三人。
ところが…
「おぉーい!女の子が溺れかけてるぞ!!」
楽しげに賑わうビーチに突然響き渡る声。
思わず声の方向に視線を向けた三人の目に飛び込んできたモノ、
それは沖で今にも溺れようとしているなぎさの姿。
ビーチに一気に緊張が走る。
「おいライフガードが居ないぞ!どこ行ったんだよ!?」
誰かの怒鳴り声がする。
――ダメ、間に合わない!
その声を聞き海に向かって駆け出すほのか。
「ちょっと雪城さん!」
「ムリムリムリ!無理だって!」
無謀に思える行動を取ったほのかを止めようと叫ぶ二人。
しかしそんな声など今のほのかに聞こえるハズも無い。
あっと言う間に波打ち際まで辿り着き海に飛び込む。
夢中で泳ぐほのかの姿がみるみるうちになぎさに近づいて行く。
そしてとうとう、沈もうとするなぎさを間一髪で救い上げることに成功する。
浜で歓声が沸き起こる。だがほのかだけは険しい顔を崩そうとはしない。
そう、帰りはなぎさを抱えて今来た距離をまた戻らなくてはいけないのである。
下手をすればミイラ取りがミイラになってしまう、でもやるしかない…そう覚悟を決めた時
「君達、大丈夫か?とにかくコレにつかまって!」
その声と共に浮き輪が投げ込まれた。
ボートの上で咳き込むなぎさに、泣き出しそうな顔をしながらほのかが声を荒げる。
「なぎさ!だから言ったじゃない、一人で大丈夫なのって!もう少しで大変な事になるところだったんだよ!!」
「ゴ、ゴメン…っ!ゲホッゴホッ!!」
「まあまあ喧嘩なんかしないで…。ホラ、もうすぐ浜に着くぞ」
レスキューの言う通りボートが浜に到着する。
そしてなぎさ達が降りるや否や、志穂達が駆け寄ってくる。
「なぎさ、大丈夫!?」
「良かった良かった良かった。平気そうだよ…」
「ほのかさんも大丈夫ですか?」
口々に無事を確かめ喜び合うみんな。
だがそんな中、一人アカネだけが二人を叱り付ける。
「なぎさ!どうしてあんた一人であんな沖まで行ったの!それにほのかも成功したから良かったものの、
あんな無茶な事して一緒に溺れてたりしたらどうするつもりだったの!?」
当然なお叱りにシュンとする二人。
そんな二人の様子にフッと一つため息を付き、今度は優しい声で話しかける。
「まあでも、助かって良かったよホントに。ほのかもよく頑張ったね。
みんな今日は色々疲れてるだろうから、宿に戻ってゆっくり休みな」
アカネの言葉に従い一同が宿に戻っていく。
そして日が暮れた。
- 711 名前:634 投稿日:2005/04/15(金) 01:02:15 [ bfzeldtg ]
- 「うわぁ〜綺麗…凄い星空だね、ほのか」
「うん、本当に凄い…」
二人が空を見上げている場所、そこは旅館ご自慢の露天風呂。
頭上には満天の星空が広がっている。
「志穂達も来れば良かったのにね。もったいない」
「久保田さん達は私達が休んでる時に先に来ちゃったんだからしょうがないわよ。
あ、ねぇなぎさ。あの一番輝いてる星が見える?あれはベガって言う星なのよ」
「ベガ?赤い服来てオーラ出しながら飛んでくる人のこと?」
星に刺激されたのか得意の薀蓄を披露しようとするほのか。
だけどもちろんなぎさは何のことだかサッパリな様子。
「…そうじゃなくて、ベガって言うのは琴座の中で一番強く輝く星で、織姫とも呼ばれている星なの」
「織姫ってあの七夕の?」
「そう。あそこにもう一つ同じように輝く星があるでしょ。あれがワシ座のアルタイル。彦星よ」
「あれが彦星…」
「そして上の方で綺麗に輝くのが白鳥座のアルビレオ。今言った、琴・ワシ・白鳥の三つの星座は
夏の三角形って呼ばれててとっても有名なの」
語り終え満足そうなほのか。なぎさも解った様な顔をしている。
「ナルホドさすがほのか、勉強になりました。…あれ?タカとアヒルの間にある、あのY字型の星は何て言うの?」
「ワシと白鳥でしょ…。あれは矢座って言うの。」
「矢座?変なの〜。あ、でも確かに矢の形に見えるかも…」
「あの矢は愛の神エロス、つまりキューピッドの矢だって言われているの。
その矢に射られるとたちまち二人の間に恋が芽生えるって言う伝説があるのよ」
「へー、何だかロマンチックだね…。ねぇほのか、もしその矢が本当にあったら、ほのかだったら誰狙うの?」
気になる男子の名前でも分かればと、なぎさが軽い気持ちで尋ねる。
一瞬の間の後、静かにほのかが答える。
「なぎさ、かな…」
「へぇ、なぎさ……え?」
思わずほのかの方を振り返る。
胸がドキドキする、顔が真っ赤になって行くのが自分でも分かる。
そんな状態の中、搾り出すようにして声を出す。
「あ…ほのか…本気?」
それには答えずに、真直ぐになぎさを見つめるほのか。
「あの…あたし」
そしてなぎさが何事かを言おうとした瞬間
「フフ、冗談よ!真っ赤になっちゃってどうしたの?」
「!!も〜ビックリさせないでよ、本気かと思ったよ…」
「だってなぎさったら、すぐにひっかかって面白いんだもの」
悪戯っぽく笑うほのか。
「あ〜もうっ、言ったな〜!」
そんなほのかの顔になぎさがお湯をかける。
ほのかもお返しにエイッとかけ返す。
しばしの間キャッキャとお湯かけっこでふざけ合う二人。
「ねえほのか…」
だが不意になぎさが、何時に無く真剣な顔つきで話しかけてくる。
「何?なぎさ」
思わず姿勢を正すほのか。
「今日はゴメンね…。あたし何だか今日はほのかに助けられてばっかりだったね。…ううん、今日だけじゃない。
何時だってほのかに助けられてばっかり、守られてばっかり…」
「なぎさ…」
「でもねほのか。あたしだってほのかの事守ってあげるから。たとえ他の皆がほのかの敵になったって守ってあげるから!
ずっと一緒に居て絶対守ってあげるんだから!だって、だってほのかの事大好きだから…!!」
思いがけないなぎさの熱い想いに、思わず涙ぐんで行くほのか。
「なぎさ…抱きついてもイイ?」
「うん…おいで」
「なぎさ!」
「ほのか!」
熱く抱擁を交わす二人。
もちろんそれは、いやらしいモノでは無く二人の絆の証明。
でも外で聞いていた方々には少々違う風に感じられたようで…
「………何今の?」
「どひゃどひゃどひゃ〜、ちょっとラブラブすぎ…」
「あの、良く聞こえなかったんですけど…」
「ひかり、あんたは知らなくてもいいの!…さあ、バレないように部屋に戻るよ」
- 712 名前:634 投稿日:2005/04/15(金) 01:03:02 [ bfzeldtg ]
「なぎささんほのかさん、長いお風呂でしたね」
ながーい風呂から部屋に戻ってきた二人に、ひかりが声をかける。
「そうでしょ?さすがにのぼせちゃったよ」
「なぎさなんか顔が真っ赤だもんね」
そんな無邪気な答えに志穂と莉奈が意味深に突っ込んでくる。
「あれあれあれ〜、顔が赤いワケはホントにそれだけ?」
「何だかとってもお熱いお風呂だったみたいだけど?」
「??」
ピンと来ない二人。
そんな二人にアカネが痛恨の一撃を放つ。
「あんた達、お風呂の中でも本当に仲が良いんだね〜、羨ましいよ。『ほのかの事大好きだから!』ってか?
いや〜、青春ていいね〜」
――聞かれてた!!
風呂での出来事を思い返し真っ赤な顔になる二人。
「ち、違うの!アレはほのかを…」
「ま、いいじゃん。あんた達なら何かそう言うのもアリだよ、うん」
説明しようとするなぎさを制し、アカネが勝手に納得顔で結論付ける。
「ちょ、ちょっとアカネさん!ねぇほのか〜」
「…そうね……私達ならアリよ。なぎさっ!」
言い終わるや否やガバッとなぎさに抱きつくほのか。
「え?ちょ、ほのか!?」
「うわー雪城さんてば大胆!」
「イヨイヨイヨッ、熱いね〜お二人さん!」
「ちょっとあんた達、ひかりの前でやるんじゃないよ!…ってひかり、あんたも見るんじゃない!」
「なぎさ!私もだーい好きよ♪」
「ほのか…!ちょっと止め…あんっ」
こうして色々と熱い夏の夜は更けて行くのであった。
――お終い
- 713 名前:634 投稿日:2005/04/15(金) 01:06:26 [ bfzeldtg ]
- うーん、プリドラ風にしようと最初に思ったのにできなかった。あ、タイトルにその名残が…
内容も人口呼吸とかお風呂でチュ―とかもさせようかなって思ってたんだけど結局
何も無しになっちゃったし、最後も尻切れトンボだったし…と反省。
あと自分はあからさまなのより、微百合のほうが好きなんですよね(百合スレ住人だけどw)
だから、もっと激しいのカモン!って人はスイマセン。
- 714 名前:833@ 投稿日:2005/04/15(金) 01:23:49 [ I6zaE52M ]
- >634氏
乙です。
いやいやアカネさん良いキャラしてますね。
634氏は微妙な百合と周りの反応とかの部分が楽しいですね。
- 715 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/04/16(土) 04:49:04 [ .f9VdL8I ]
- >>634氏
乙カレー
いやいやプリキュアにはまるまでは、百合は正直好きじゃ無かったんですが
この二人はほんとアリですよねw
- 716 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/04/16(土) 21:03:22 [ XKSBb4qs ]
- ベガwwwww
- 717 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/18(月) 02:14:05 [ vdSiYyvY ]
- 軽めの物 書くハズだったのに またも分量が…。
しかも、シリーズとか銘打っておきながら続編 書く気は無いし。
タイトル
「プリキュア もしもシリーズ 自動車教習所編」
10レス専有。
- 718 名前:予想係(01/10) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/18(月) 02:14:40 [ vdSiYyvY ]
- この お話はフィクションです。
良い子も悪い子も、ルールを しっかり守って交通安全を心掛けましょう。
映像を見る時は、部屋を明るくして画面から離れて見てね。
尚、おやつは税込315円まで。バナナは おやつに含みません。
case 01 雪城ほのか
「もしも、ハンドルを握ると性格が変わる教官がいたら…」
なぎさ「えーと、今日の教習車は…、と」
なぎさは自動車運転免許を取得する為、教習所通いの毎日である。
しかもマニュアル車で免許を取ろうとしている。
美墨なぎさが今日 技能教習を受ける教官は、美人で聡明な雪城ほのかである。
ほのか「おはよう ございます。担当の雪城ほのか です」
噂に違(たが)わず、物腰 柔らかく丁寧な応対である。
なぎさ「お、おはよう ございます」
なぎさは やや緊張気味に教習カードを渡した。
ほ「今日はS字、クランク、車庫入れ 等々ね」
な「はい、よろしく お願いします」
ほ「では美墨さん、車に乗って発進しましょう」
なぎさは周囲と車の下を確認した後、乗車、シート位置 調整、ミラー調整を経て、
シートベルトを締めてエンジンを掛けて周囲を確認し、車を発進させる。
これまでに習った通りの手順であり、簡単である。
ほ「まずは外周を1周して、車庫入れから始めましょう」
な「車庫入れ…ですか。正直 ちょっと苦手です」
ほ「大丈夫。 検定じゃないから、何度やり直して良いのよ。気楽に、ね」
な「はあ…」
そして車は車庫入れのコースに入った。
ほ「後輪の位置をイメージとして捉(とら)えられれば、
その動きをイメージするのも簡単に出来ます。 さぁ、やってみましょう」
な(簡単に言ってくれるけど…)
一度目、ハンドルの切り方が浅くて失敗。 前進して
二度目、ハンドルの戻し方が遅くて失敗。 前進して
三度目、入った と思いきや、脇が ぶつかった。
前進しても後退しても道路の角にタイヤが引っ掛かってしまい、
一度 路肩に乗り上げなければ車を出せない状態となっている。
ほ「仕方ありません。私が手本を見せますから、一度 運転を代わりましょう」
な「はい…。お願いします」
- 719 名前:予想係(02/10) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/18(月) 02:15:18 [ vdSiYyvY ]
- 一度 車を降りて運転を交代し、車の状態を元に戻してから車庫入れを始める。
しかし雪城教官がハンドルを握った途端、その目付きが不敵なものに変化した。
な「!?」 助手席に座る なぎさは ただならぬ雰囲気が車に満ちてきた印象を受けた。
タイヤが一瞬「キュッ!」と鳴るほどアクセルを踏み込まれ、車はバックし始める。
ほ「車庫入れはハンドルのタイミングが重要! そりゃ!!」
鮮やかなハンドル捌(さば)きとアクセル・ブレーキワークで一気に車庫に入れた。
な「お見事!」
ほ「物は ついでだから所内の全コースを回って、
私(わたくし)の華麗なドライビング テクニックを見せてあげるわ」
な「…ハイ?」
なぎさは耳を疑った。
幾ら手本とは言え、そこまで やる必要は どこにも無い。
な「あの…私が運転しないと練習にならない気が…」
ほ「問答無用! ノックは不要!!」
な「そんなぁ…」
車はホイルスピンを させつつ急発進し、所内の他のコースへ向けて飛び出す。
周回コースを100㎞オーバーでカッ飛ばして他の教習車を追い越し 追い抜き、
ほ「何人(なんぴと)たりとも私の前は走らせませんわ〜!」
クランク、S字の いずれもノンストップで通過し、
ほ「をーっほっほほほほほほほほほッ!」
対向車を無視して交差点をブレーキングドリフトで右折し、
ほ「早い者勝ちよ!」
坂道では大ジャンプを やってのける。
ほ「ターボ・ブースト!!」
最後にスピンターンで駐車位置へと車を収めたが、
その頃には なぎさは すっかり目を回してしまった。
な「…じぇ、ジェットコースターより怖い…」
雪城教官はギアをニュートラルにし、エンジンを切り、ハンドルから手を離すと、
満面の笑顔で にこやかに挨拶してみせた。
ほ「美墨さん、お疲れさまでした。 今日の教習ですが、
今回は私の お手本運転となりましたので、残念ながらハンコは あげられません」
しかし、なぎさは まだ目を回している。
な「カンベンしてってば…」
ヒビキ「居るんだよね。ハンドル握ると別人の様に性格 変わる人が」
六弦琴侍「だけど、そう言う あなたは人の事を言えない
ペーパードライバーですからぁ! 残念!!」
志穂「部外者 立ち入り禁止 禁止 禁止〜 斬り!」
ナージャ「放して下さい! 私は ただ…」
莉奈「ええーい、アンタは木刀で切腹すな!」
- 720 名前:予想係(03/10) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/18(月) 02:16:04 [ vdSiYyvY ]
- case 02 九条ひかり
「もしも、方向音痴な教官がいたら…」
なぎさ「昨日はヒドい目に遭ったなぁ…。
あんなトンデモない教官が居るなんて、聞いてないよ。
おまけに殆(ほとん)ど運転しなかったのに教習料は しっかり取られるし…」
ぶつくさ不満を言いながらも、なぎさは今日も教習を受けに来ていた。
美墨なぎさが今日 技能教習を受ける教官は、
やや おっとりした印象の九条ひかり である。
ひかり「こんにちは。本日は私、九条ひかりが担当 致します。どうぞ、よろしく」
な「あ、わざわざ ご丁寧に。こちらこそ よろしく お願いします」
なぎさは深々と頭を下げて教習カードを手渡した。
ひ「えーと、S字とクランク、それに車庫入れですね。それでは、乗車して下さい」
なぎさは周囲と車の下を確認した後、(中略)車を発進させる。
これまでに習った通りの手順であり、簡単である。
しかし周回コースをグルグルと回り始めたものの、どこに入るのか一向に指示が出ない。
な「あの、どこから始めましょう?」
ひ「…はい? え、えと、その、そこから左に…」
な「って これ、坂道じゃん! 坂道発進は まだですよぉ」
ひ「アラ? そうでしたか? では、ここを右に」
言われるがままハンドルを切ってコースに入ろうとするが、
前方から他の教習車が来てクラクションを鳴らされた。
な「ここ、もしかして出口では?」
ひ「そのようですね。では一旦バックして外周を回って…」
な(大丈夫なのかな、この教官)
半信半疑、というよりは一信九疑で車を進める なぎさであった。
ひ「ここを右です」
な「…九条教官、幾らなんでも これは あんまりです」
ひ「どうか なさいましたか?」
な「…ここから先、公道じゃないですか! 私まだ仮免許も持ってませんよ」
ひ「それは残念ですね」
な(ワザとなのか天然なのか…)
最早なぎさ は呆れきって しまっている。
ひ「ご迷惑 掛けて すみません、まだ所内のコース配置に慣れていないもので…」
な「そうだったんですか」
九条教官は所内のコース配置図を取り出して現在位置を確認する。
しかし幾ら見ても よく分からないようだ。それも その筈(はず)、
見ている図面が所内 改修前の物であり、しかも上下 逆さまに持っている状態だ。
ひ「図面は当てになりませんわね。こうなったら最後の手段…」
な「最後の手段?」 なぎさは嫌な予感がした。
ひ「じゃーん。『カーナビゲーション・システム』!」
な(天然だ、間違いなく天然だ)
嫌な予感というものは、的中しても うれしくないものだ。
- 721 名前:予想係(04/10) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/18(月) 02:17:24 [ vdSiYyvY ]
- ひ「すみません、ここを通して くださーい」
な「何かトンデモない所を走っている気がする…」
おいしそうな匂いが漂っている。 どうやら、ここは教習所内の食堂のようだ。
ナージャ「…すみません、一晩 泊めて頂いた上に食事まで」
夏子 「いいのよ、困った時は お互いさま だし」
きつねうどんを啜るエプロンドレス姿の少女と、教官の一人が居る。
こんな所を教習車が走るという光景は滅多に、というか普通 見られない。
莉奈「何!? 何で こんな所にまで教習車が?」
志穂「キャーッ!! H H H!」
下着姿の ふたりが居る。 どうやら、ここは教習所内の女子更衣室のようだ。
な「どうも お邪魔しますー。 すぐ済みますので…。
…で、教官。 思いっきりコースから外れている気がしますが」
ひ「大丈夫。教習所内ですから、仮免許が無くても問題ありません」
な「いや、そうじゃなくて…」
気が付けばアクセルやブレーキを踏んでも、ハンドルを どちらに回しても、
何の反応も無い状態となっている。
な「教官、前にも後ろにも進めません」
ひ「…あ、ここで良いようです。今日は ここまで ですね」
な「…ハイ?」
ひ「校長から ここに車を一台 上げるよう頼まれていましたので」
窓から見える景色の見晴らしが良い。
どうやら、ここは教習所の屋上に立つ看板の、そのまた上であるようだ。
な「こんな所まで、いったい どうやって来たんだっけ…?」
ひ「S字もクランクも車庫入れも やりませんでしたね。では、ハンコは無しで」
な「えぇー1?」
なぎさが抗議の声を上げるが、構わず教官はドアを開けて
ひ「では、ごきげんよう」
それだけ言い残して九条教官は車から降りたが当然そこに地面は無く、ひかりは落ちた。
ひ「きゃああぁぁぁ…」
な「落ちた?!」
ビックリした なぎさが慌てて助手席 側から外を覗き込むと、
ひ「ただいま〜」 と ひかりが虚空を昇って帰ってきた。
な「ぶっちゃけ ありえない!」
- 722 名前:予想係(05/10) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/18(月) 02:18:07 [ vdSiYyvY ]
- case 03 藤村 省吾
「もしも、妖しくカッコイイ教官がいたら…」
なぎさ「全く、この教習所って あんな人たち ばかりなのかしら?
もうちょっと まともな教官は居ないの?」
ぶつくさとボヤキつつも、なぎさは今日も教習を受けに来ていた。
美墨なぎさが今日 技能教習を受ける教官は、男性教官の中でも一・二を争うほど
ルックスの良い(と聞く)、藤村 省吾であった。
藤村 省吾「おはよう、君が今日の俺の担当かな?」
間近で見る藤村教官は噂に違わずカッコ良く、笑顔から零れる歯の輝きが まぶしい。
少しの間、ぽーっ…と見とれていた なぎさであった。
な「よ、よろしく お願いします」
緊張しながらも おずおずと教習カードを差し出すと、藤村教官は両手で受け取った。
藤「…S字とクランクと、車庫入れ だね。それでは早速 行きましょう」
な「はい!」
なぎさは周囲と車の下を確認(ry 車を発進させる。
これまでに習った通りの手順であり、簡単である。
昨日まで(妙な教官ふたりのおかげで)全く出来なかったS字やクランク、車庫入れも、
藤村教官の親切丁寧な指導の おかげで どうにかスムーズに運転できるようになった。
車は所内の交差点に差し掛かり、赤信号で止まる。
藤「いい感じですよ、美墨さん。この分なら検定も うまく いきますよ」
な「ありがとう ございます。これも藤村教官のおかげです」
藤「そう言えば美墨さん、おととい雪城教官の指導を受けましたね?」
な「はい」
藤「もしかしてハンドル握らせちゃった かな?」
な「…はい」
藤「凄い事になったでしょう。 ほのか は運転すると見境が無くなるから…」
見境が無いとか、そういうレベルなのだろうかと なぎさは少し思ったが、
藤「俺が代わりに謝るのも変な話だけど、ごめんね。 ほのかに悪気は無いんだ」
申し訳なさそうに そう言う藤村教官の言葉に誠意を感じ
な「あの、おとといの事は、私は余り気にしてませんので…」
…という風に答えた。
藤「そう? ほのかって、ハンドル握ると いつも あんな感じだから、
みんなに誤解を与えているんじゃ ないかなって ちょっと心配だったんだ」
- 723 名前:予想係(06/10) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/18(月) 02:18:57 [ vdSiYyvY ]
- カッコイイだけでなく、優しくて 親切で 誠実で 気配りが行き届いて。
なぎさが藤村教官に魅了され、
な(今度 昼食にでも誘ってみようかしら)
とか考えて ぽーっ…となっていると、突然 後方から別の教習車が追突してきた!
ゴン! と衝撃が来たが、藤村教官が補助ブレーキを しっかり踏んでいた おかげで、
交差点 内に はずみで入ってしまうのは避けられた。
藤「またか」
藤村教官は溜め息を吐(つ)くように言い置き、サイドブレーキの掛かり具合と
ギアのニュートラルを確認すると、ドアを開けて後ろの教習車の教官に抗議しに行く。
藤「こら木俣! おかま掘るじゃねぇ!!
突っ込み入れるのは夜だけにしとけって、いつも言ってる だろうが!」
木俣「悪ィ。何か オマエの後姿 見ると思わず 色々と突っ込みたく なるんだよ」
やり取りを聞いてガックリし、なぎさ はハンドルのクラクションに頭を ぶつけた。
ピ───────────ッ…
因みに…。
藤村教官と木俣教官は夜になると漫才師としてステージに立ってますが、何か?
ナージャ「すみませーん、私をパリまで連れてって下さーい!」
トランク一つだけで浪漫飛行…ではなく、
エプロンドレスにリボン帽子の踊り子がヒッチハイクをしている。
京子「お嬢さん、ちょっとなら乗せてあげますよ」
ナ「ありがとう。親切な方」
自動車教習所の親切な教官が踊り子を教習車に乗せた。
京「パリって遠いよね。そんな所まで一人で行くの?」
ナ「ええ。先は長いけど、がんばれば いつかは辿り着けると信じているんです」
京「そうなんだ。 ちょっとしか助けて あげられないけど、応援するわ」
暫く走って教習車が止まり、踊り子が車から降りた。
京「それじゃ、がんばってね」
ナ「はい、ありがとう ございました」
走り去る教習車を見送る踊り子であったが、彼女が立っている地点は教習所の中、
しかも始めに車に乗ったのと全く同じ所だ。
そう、教習車に乗って走ったと言っても、周回コースを一周しただけ だったのだ。
(15行 前に戻り、無限ループ)
- 724 名前:予想係(07/10) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/18(月) 02:19:59 [ vdSiYyvY ]
- case 04 ポルン with メップル&ミップル
「もしも、とても小さな教官がいたら…」
なぎさ「まさか藤村教官と木俣教官が あんな事を しているだなんて…。
おなかが よじれそうになったわ」
思い出し笑いをしつつ、なぎさは今日も教習を受けに来ていた。
美墨なぎさが今日 技能教習を受ける教官は、…どこにも見当たらない。
な「アレ? 教官 まだ来てないのかな?」
ポルン「ポルンなら ここにいるポポー!」
呼んでいる声はするが、姿が見えない。
しかも声は何故か足元の方から聞こえてくる。 見下ろすと、そこに何かが居た!
な「えッ?! あなたが今日の教官ですか?」
ポ「この教習所でナンバーワンの、ポルン ポポ。 よろしくポポ!」
ナンバーワンって、身長の低さの事なんじゃないかと
なぎさは思ったが、取り敢えず黙っといた。
ポ「坂道と縦列駐車ポポね。さっそく教習を始めるポポ」
手渡された教習カードを確認したポルン教官の指示を受けて、
なぎさは周囲と車の下を確認(ry 車に乗り込む。
…しかし、教官が いつまで経っても乗ってこない。
な「教官、どうしましたか?」
ポ「ドアを開けて欲しいポポ〜!」
要するに、ドアノブまで手が届かないのだ。
仕方なく なぎさが内側からドアを開けると教官がジャンプして やっと乗り込んできた。
ドアを閉めて なぎさが自分のシートベルトを締めると、教官が宣(のたま)った。
ポ「シートベルト締められないポポ〜…!」
な(手間の掛かる教官ね…)
そう思いつつも、なぎさは教官のシートベルトも締めてやる。
そして いざ発進という段階になって、またも教官が宣った。
ポ「前が見えないポポ!」
な「ハァ!?」
身長が足りず、ポルンの目線ではダッシュボードしか見えない状態なのだ。
そこまでくると、隣に居る謎の生物が本当に自動車の教習教官であるのか、
なぎさも疑わざるを得ない。
ポ「ポルンの 教官生命が、前を見れないという理由だけのせいで
こんな所で終わってしまうポポ。 そんなのは、いやポポ〜…」
悔しさの余り、教官の目はウルウルと涙ぐんでいる。
だが、なぎさは白けて やる気は殆ど失せてしまった。
- 725 名前:予想係(08/10) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/18(月) 02:20:54 [ vdSiYyvY ]
- そこへ「あきらめるのは早いメポ!」と、声を掛けてくる存在があった。
なぎさが その声の方を見ると、教官と同じような生き物が二人だか二匹だか、
ドアミラーの辺りに張り付いている。
ポ「メップル先輩、ミップル先輩、ポルンの為に来てくれたポポ?」
メップル「窓を開けるメポ」
そう言われ、なぎさがパワーウィンドウのスイッチを操作して助手席 側の窓を
開けると、その謎の生物たちが勝手に乗り込んできた。
ミップル「前が見えないなら見える位置まで移動すれば良いミポ」
メ「みんなで合体するメポ!」
な「合体…?」
その言葉に何故か なぎさが少々興味を覚え、どうなるのか様子を見ていたが…。
「メポ!」 「ミポ!」 「ポポ!」 と、まるでトーテムポールのような感じで
メップルの上にミップル、ミップルの上にポルンが、縦に重なった だけであった。
な「…それで『合体』な訳? もっと凄い事やるのかと一瞬 期待したんだけど」
メ「これでも充分 凄い事メポ。三人で力を合わせれば、不可能も可能になるメポ」
ミ「合体すると気持ち良いミポ」
ポ「見える、ちゃんと前が見えるポポ!」
口々に勝手な事を喚(わめ)いている三匹に対して、なぎさは完全に愛想が尽きた。
な「それじゃ、そろそろ車 出しますよ」
メ「ちょっと待ったメポ!」
な「今度は何?!」
メ「ブレーキまで足が届かないメポ…」
な「…ダメだ こりゃ」
ナージャ「ここってヨーロッパではなく日本だったんですね。どうも変だと思いました」
ユリコ(…今頃 気付いたの? この子)
所内の教習コースをフラフラ歩いていて危険だったので、事務員のユリ子が事務所まで
その少女を連れて来ていたが、事情を聴くと そのような感じで辟易した。
- 726 名前:予想係(09/10) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/18(月) 02:21:46 [ vdSiYyvY ]
- case 05 藤田 アカネ
「もしも、元 走り屋な教官がいたら…」
美墨なぎさは紆余曲折の末に漸(ようや)く仮免許を取得し、
路上教習を受けられるようになった。
そして今日 路上教習を受ける教官は、ハードな教習で有名な藤田 アカネである。
藤田 アカネ「待たせたね、遅れて済まない。教習 始めるよ」
なぎさ「はい! よろしく お願いします」
静かながらも妙に力の入った言葉遣いに影響され、なぎさも気合が入る。
ア「まずは これを」
そう言って藤田教官は水の入った紙コップを渡してきた。
な「水、ですか?」
なぎさは何気なく口を近づけて水を飲みかけたが、
ア「飲むんじゃないよ。
この水を零(こぼ)さないように走り切らなければ、ハンコは押せないから」
な「へ? 零さずに走り切る…?」
ア「やれば分かる。とにかく乗った乗った」
藤田教官に促されて教習車に乗り込もうとするが、その車は乗り慣れたセダンタイプの
教習車ではなく、リトラクタブルライトのハッチバック車であった。
見るからに一昔〜二昔くらい前のスポーツカーで、白と黒のツートンカラーであった。
なぎさは周囲と車の下を確認した後、乗車。ドリンクホルダーに紙コップをセットし、
シート位置 調整、ミラー調整を経て、シートベルトを締めるが…。
ア「アンタ、今まで何を習ってきたの?」
な「え、何か問題でも?」
鋭い口調で咎(とが)められ、なぎさは内心 怯(おび)えていた。
ア「運転姿勢が なってない!
腰はキチンと奥まで、背筋 伸ばして、頭はヘッドレストに付ける。
それくらい常識!」
な(てゆーか、そんな事 指摘した教官は一人も居なかったけど…)
しかし言われた事は聞き入れ、なぎさ は改めて姿勢を正し、シート位置と
ミラーの調整をして、エンジンを掛けて周囲を確認しつつ車を発進させた。
教習所を出ると、一路 山へ向かうように指示された。
- 727 名前:予想係(10/10) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/18(月) 02:22:46 [ vdSiYyvY ]
- 山に着くと当然そこには峠道が在り、そこを登り始める。
ア「いい? 登りの内に路面の状態を しっかり見て覚えておきなさいね」
な「路面状態? 何で そんな事を…」
ア「帰りにアクセル全開で降りて もらうんだから、今の内に覚えて おかなかったら…。
…死ぬわよ」
さらりと、しかしながらドスを利かせて言ってのける藤田教官。
な(死ぬって、私に一体 何をさせようと してるの〜…?)
戦々恐々とする なぎさであったが、そうこうしている内に頂上に辿り着き、
Uターンして今 来た道を戻り始める。
ア「11000までキッチリ回しな」
な「一万一千って、何の話ですか?」
ア「エンジンの回転数。タコメーターしっかり見なさい」
エンジンの回転計をタコメーターというが、ダッシュボードに据え付けられていたのは
な「これって『たこ焼きメーター』じゃん!」
因みに、たこ焼き一個で1000回転。
だが、そもそもTAKO CAFEワゴンのエンジンが一万一千回転まで回るのだろうか?
第一、さっきまで別な車に乗って教習を受けていた筈なのに、
いつの間にワゴンに すり替わってしまったのか?
だが疑問に思う暇も無く、アクセル全開と指示され、
峠の下りをフルスピードで走るTAKO CAFEワゴン。
前方には最初のヘアピンが接近!
ア「ブレーキ!」
言われて なぎさがフルブレーキ!
ABS(アンチロック・ブレーキング・システム)が付いていなかったら
タイヤがロックしてノーコンとなり、ガードレールを突き破って転落していた所だ。
そもそも、TAKO CAFEワゴンのベース車であるVWバスにABSが付いてるのかと(ry
ア「ブレーキ抜きつつハンドル切って、スライドさせる!」
かなり遅い速度のドリフトだったが、無事にコーナーを曲がれたのは奇跡であろう。
ア「死ぬ気で突っ込め、タイヤの限界は体で覚えな」
そんな無茶苦茶な。と なぎさは思った。
二つ目のコーナーに差し掛かると、恐怖の余り なぎさの意識は遠のき始める…。
epilogue 美墨なぎさ
な「だはぁ!」
なぎさが目を覚ました時、そこは自宅マンションの自室であった。
妙な夢だった。
第一、中学生の身分なのに自動車運転の教習を受けるなど ありえない話だ。
な「…昨日、夜中まで亮太とレーシング・ゲームしてた せいかな…?」
因みに なぎさの対戦成績は12勝8敗だった。
な「まだ起きるには早いし、寝よ」
時計を見て、起きる時刻ではないのを確認した なぎさは再び布団に入り、
わずか5秒で寝入った。
- 728 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/18(月) 02:26:10 [ vdSiYyvY ]
- INDEX >>718-727
…他にも おねしょネタで一本 書き上げてあるのですが、需要は在るでしょうか?
在るのなら後で投稿します。
- 729 名前:833@ 投稿日:2005/04/18(月) 08:36:05 [ Si81e8sQ ]
- >予想係氏
読ませてもらいました。
年いくつやねん。ってツッコミを入れたくなりましたが…。
面白かったです。つーかナージャの出現頻度が圧倒的にプリキュアより多いなw。
一番面白かったのはヒビキさんですな。
もう一本あるならぜひとも見てみたいです。
- 730 名前:833@ 投稿日:2005/04/18(月) 22:18:00 [ Si81e8sQ ]
- でなかよしと11話と映画版と12話を見た影響と勢いで書きなぐってみた作品を投下します。
- 731 名前:833@ 投稿日:2005/04/18(月) 22:18:59 [ Si81e8sQ ]
- 「出来た!!」
声を上げてガッツポーズを決める美墨なぎさであった。
「随分と時間かかったわね…」
横から雪城ほのかが顔を出す。
「わ、まだ見ちゃダメだよ!」
ほのかの目の前で両手を振りケーキを見えないようにする。そして遠ざけたまま箱を被せる。
最後にほのかがリボンで箱を飾り、プレゼント用のケーキが完成した。
「ひかり……喜んでくれるかな?」
いつもとは違った多少緊張しているような様子でなぎさが言った。
果たしてほのかは今までにそのような表情をしているなぎさを見たことがあっただろうか…。
少しだけ……本当に少しだけ……、何か違った感情がほのかの中に芽生え……すぐに消えた。
「大丈夫、きっと喜んでくれるよ」
いつものように笑顔でなぎさを励ますように言った。
「そうだね。ひかりのために一生懸命作ったもんね」
なぎさもようやく笑顔を浮かべて答えた。少しの間二人の笑い声が響いた。
「あ、なぎさ。顔に生クリームついてるよ」
顔についた生クリームに気づいたほのかがなぎさに告げる。
「え?どこ?」
「こ〜こ」
聞き返したなぎさの頬を両手で寄せて唇のすぐ横にあるクリームをほのかが舌で舐めとる。
「ほ…ほのか!?」
あまりに突然の、そしてあまりに恥ずかしい行為になぎさは頬を真っ赤に染める。
「あははは……」
なぎさと同じように恥ずかしさからほのかも頬を赤く染める。
しかしほのかはなぎさの両方の頬の手をそのままに呼びかける。
「なぎさ……」
微かに潤んでいるような瞳でなぎさを見つめる。何を求めているのかはなぎさにも一目瞭然だった。
「ほの……か……」
なぎさは困惑の表情を浮かべる。ほのかは誘っている……。それがわかったから……。
それでもなぎさはほのかと口付けを交わす。
「ん……」
ほのかの舌がなぎさの口内へと侵入してきた。
「んんっ……」
なぎさもまたほのかの行為に応じる。経験というものなのだろうか。既に慣れきっている様子だ。
ほのかはなぎさの背中にゆっくりと手を回し、そのままなぎさをゆっくりと押し倒す。
日差しもわずかに緩くなった午後。狭い台所で体を重ねてしまったなぎさとほのかであった……。
- 732 名前:833@ 投稿日:2005/04/18(月) 22:19:39 [ Si81e8sQ ]
交わりが終わった後、二人は九条ひかりへとケーキのプレゼントへ向かった。
なぎさのデコレーションはお世辞にも上手いとは言えなかったが、それでもひかりは喜んでくれた。
満足な気持ちでなぎさとほのかは家路に着くことになった。
太陽の日差しも緩み、少しばかり涼しくなっていた。
「良かったね。ひかりさん嬉しそうだったよ」
ケーキを受け取ったひかりの反応を思い出しながらほのかは言った。しかしなぎさは返事をしない。
「なぎさ!!」
「わっ!ど…どうしたの?ほのか?」
大声で名前を呼んだほのかに驚いてなぎさも大声で叫んでしまう。
「もぅ…。ひかりさん嬉しそうだったねって言ったのに」
少し怒った様子でほのかがもう一度同じことを繰り返す。
「あ、そ…そうだね。うん良かった。ひかりも喜んでくれて」
明らかに普段と違う動揺し切った様子で言った。
「ねぇ、なぎさ。この後暇?」
視線を横に向けながらが訊ねた。
「え…、まぁ暇だけど……」
顎に人差し指を当てて今日のこの後の予定を思い出しながら答える。
「それじゃあ家に遊びに来ない?新しい本買ったんだけど……」
視線だけでなく体ごとなぎさの方へ向けて訊ねる。
(あ………)
誘われて、なぎさは思い出した。
先ほどの雪城家での出来事。誘ったのはなぎさから。ひかりのためのケーキ、ほのかの家で一緒に作ろうよ。
そして……。ケーキが完成した後の交わり………。
「………………………」
なぎさは黙って俯いたまま歩き続けていた。
「なぎさ!早いよ〜〜」
「え?」
自分を呼ぶほのかの声で後ろを振り返り初めて気づいた。
いつの間にかほのかを置き去りにして随分と先のほうまで進んでいた。
「ご…ごめん、ほのか………」
大慌ててで謝る。丁度ほのかも追いついた。
「その、今日は忙しいから。それじゃあこれで」
踵を返し、なぎさは一気にトップスピードで走り出す。
「あ、なぎさ!!今日は暇だって……」
しかしその時既になぎさの姿は消えていた。
「はぁ……はぁ……」
ここまで来れば恐らくもう大丈夫だろう。ほのかの足では追いつくことは出来ないハズだ。
乱れた息を整えながらなぎさは夕暮れの町を一人で歩いた。
息が整い頭が落ち着くと再び走っている間は放棄していた思考を再開してしまう。
(ほのか………………)
赤い夕陽を見上げなぎさはそこに自分の恋人であるほのかの顔を思い浮かべた。
(ねぇほのか………あたし………不安なんだ………)
夕陽の中のほのかに無言で語りかける。
(ほのかは………あたしをどうして家に誘うの?)
答えは返ってこない。ただ夕陽は無言で赤く輝く。
(ほのかは……あたしのことを求めてるよね?)
(嬉しいよ………。ほのかのこと好きだよ………。でもだから不安なんだよ………)
(ほのか………。ほのかはあたしの体が好きなだけなんじゃないの?)
(ずっとプリキュアをやって一緒にいるから、あたしが勝手に勘違いしてただけなの?)
(ねぇ………教えて………)
赤い色を映し出すなぎさの瞳から一滴の涙がポタリと垂れた。
片手で拭うとなぎさは一人暗い気分で家路に着いた。
- 733 名前:833@ 投稿日:2005/04/18(月) 22:20:23 [ Si81e8sQ ]
「はぁ……」
ラクロスのリーグ戦の前日。練習を終えたなぎさは一人で居た。
三年生になってキャプテンとして臨む始めての公式戦。
そして昨年優勝したというプレッシャーがなぎさを苦しめていた。
「あら、なぎさどうしたの?」
一人で居るなぎさをどう見つけたのだろうか。ほのかがなぎさに話かける。
昨日気まずい別れをしたままであったが、何でも無い様子を装って答える。
「はぁ…明日からリーグ戦始まるから練習多くて大変でさぁ」
「キャプテンは大変ね」
いつものようなやり取り。もしかしたらこれがなぎさが望んでいたものなのかも知れない。
「大事な第一試合は絶対に勝たなきゃね」
出来るだけ自然体で。ただそれだけを意識し続ける。
しかしその行動もほのかの次の行動で一瞬で崩れ落ちてしまう。
ギュッとなぎさの手をほのかの両手が包む。
「えっ?」
思わず声をあげてしまう。
「大丈夫。明日のリーグ戦に勝てるように私のパワーを送ってあげる」
優しい表情でなぎさの手を握るほのか。ほのかの気持ちが流れ出す。
「あ……」
「パワーかぁ…」
少しだけホッとした。そして同時に自分が嫌になってしまう。
突然に手を握る行為。過去のことを思い出した。あれはなぎさの家で体を重ねた日の記憶。
「そっ、手を握るって力とか気持ちとか色んなものが伝わると思うの」
なぎさの心理とは裏腹にほのかはなぎさにありったけのパワーを注ぐ。
「頑張ってね、なぎさ」
「うん頑張る。今年もリーグ優勝目指すよ」
「ミップルたちと応援に行くからね」
「うん。絶対勝ってみせる」
演技は出来ただろうか。ほのかはいつまでここに居るのだろうか。
不安な気持ちがなぎさを押しつぶそうとしていた。
「ちょっと!」
すぐ近くで声が聞こえた。声の主は同じラクロス部の部員であるメグミ。
試合前にトラブルを起こされることはキャプテンとしては非常に困ることである。
が今だけはそれに感謝したい気持ちでいっぱいだった。
「ちょっとどうしたのよ」
部員二人の争いを宥めるべくなぎさは二人のもとへ駆け出していった。
「キャプテンは大変ねぇ…」
なぎさの内面を心を何も知らないほのかはただ目で見たことの感想を述べたのだった。
エースの不調に加えてチーム内のコンビネーションの崩壊。
昨年リーグ戦覇者であるベローネ学院は名茂無中学校に前半だけで0−4で圧倒的に負けていた。
ところがハーフタイム中。ここで試合の転換となることが起こる。
「なぎささ〜〜〜ん」
後輩である九条ひかりがピッチへと入ってくる。
「私、私何も出来ないけど」
何も出来ない。けれど、なぎさのために何かをしたい。その気持ちがひかりを動かしたのだった。
「ひかり」
突然のひかりの行動にただ驚く。
「なぎささん頑張ってください」
ひかりはただ応援の言葉をかける。彼女に出来ることはそれくらいしか無い。
それでも自分の出来ることを精一杯やりたい。
「あなた観客席に戻って」
レフェリーの女性がひかりに注意をする。
「すみません」
一言だけ謝って再びひかりはなぎさの方を向く。
「頑張ってくださいね。頑張ってくださいなぎささん」
そしてひかりは昨日のほのかと同じようになぎさの手を固く握り締める。
「あ……………。ひかり…………」
ひかりはピッチを立ち去った。そして何かがなぎさの体の中を走った。
その後ベローネ学院は5点を取っての大逆転勝利を収めた。
一人の少女の
何か出来ることは無いかという探求。
自分で何かをしてみようという情熱。
皆で何かを成し遂げようという調和。
全てが集まり引き起こされた勝利…………。だったのかも知れない。
しかし試合終了後、誰よりも勝利を喜ぶハズのキャプテンの姿は無かった。
- 734 名前:833@ 投稿日:2005/04/18(月) 22:21:09 [ Si81e8sQ ]
「クイーンのチェアレクト…………」
新たなるアイテムの出現にほのかは困惑していた。
だがなぎさにはそれすらも興味の対象としては写っていなかった。
ひかりが教えてくれた真実。自分の本当の気持ち。そしてほのかの…………。
「ねぇ…………ほのか…………」
ゆっくりと静かになぎさは話を切り出す。
「どうしたの?」
「今日…………さ。この後ほのかの家に行っていい?」
「え?いいけど…………」
「はい、麦茶。冷えてておいしいよ」
二つのうちの片方の麦茶の注がれたガラスのコップを渡す。
「ん、ありがとう」
ベッドの上に座りコップを両手で受け取り右手に持ちかえる。ほのかもなぎさの隣に腰掛ける。
「それじゃあ、初勝利に乾杯!」
「乾杯!」
苦戦の末手にした初勝利を祝う乾杯を二人だけ済ませる。少し盛り上がりに欠けるがそれで十分だった。
ゴクゴクとなぎさは一気に麦茶を飲み干す。
「ぷはぁ〜っ。勝利後の一杯はまた格別だね!」
「なんだか親父くさいよなぎさ…………」
「まぁまぁ……気にしない!気にしない!」
ほのかの肩をバンバン叩きながらなぎさは笑う。心の底から笑うのは随分と久しぶりな気がした。
「でも危なかったね。前半終わった時はどうなるかと思ったよ…………」
安堵の溜息を漏らしてほのかが言った。
「前半はチームがバラバラだったからね…………それに」
覚悟を決めたように一度そこで言葉を区切る。
「それに?」
続きを促すようにほのかがなぎさに訊ねる。
「なんか、あたしの心が不安だったからねぇ……」
年老いた人物が自分の過去を回想するかのようになぎさもコップを置いて一息ついた。
「不安?キャプテンとしての?」
その原因として慣れないキャプテンとしての重責を挙げる。
「ううん。そうじゃなくて…………ほのかのこと」
「私のこと?」
「うん…………」
一度片手を顔に当てて覆い隠すようにし、そして手を降ろしほのかを見つめる。
グイッとほのかの手を引き両手をほのかの背中に回し抱きしめる。
「!?」
突然のなぎさの行為にほのかが驚く。しかし抵抗はせずにそれを受け入れる。
「あのね……ほのか…………、あたし不安だったの…………」
ほのかの顔を自分の胸に埋めてなぎさは続ける。
「え…………?」
- 735 名前:833@ 投稿日:2005/04/18(月) 22:21:47 [ Si81e8sQ ]
「あたしね……、ほのかがあたしと一緒に居るのはあたしの体が目当てなんじゃないかって」
「ううん、そうじゃない。そうじゃなくて……そのほのかとと一緒に居て楽しいけど……」
「でも、その…………。あたしも好きだよ、そういうこと」
「ただ……そればっかりって言うのかな……?いつもそんなことばっかりしてたから」
「なんだか……、あたしがあたしで居る必要があるのかな?って思っちゃったの……」
「それで、ほのかがあたしを誘う時。なんかいつもそういうことと結び付けちゃったの…………」
「だから昨日、ほのかが手を握り締めてパワーをくれたのに……」
「あたしは……、ほのかがあたしのことを求めてるんじゃないかって思っちゃって……」
「馬鹿なのあたし……。そんなわけないのに……、ただほのかは応援してくれただけなのに……」
「ひかりがあたしの手を握ってくれた時わかったの。ほのかも一緒だったんだって……」
「ほのかも……ただあたしを応援してくれてた。なのに……なのにあたし…………」
ほのかの肩に涙がポロリと落ちた。一粒、二粒、三粒…………。
「ごめんねほのか…………ごめんね…………」
ギュゥッと今度はほのかがなぎさを抱きしめた。
「ほのか…………」
「私こそごめんねなぎさ…………」
冷たいという感触がなぎさの体を走った。
「え…………?」
暫く黙っていたが、ほのかが口を開いた。
「なぎさがそういう風に感じるのも無理ないよ……」
「私……いつもなぎさにそういうことばかり求めていたもん……」
「ごめんねなぎさ…………」
「別にいいよ……ほのか……」
「ううん、違うの!」
ほのかの背中を撫でようとしたなぎさの手をほのかの動きが弾く。
「私……気づいてたの…………。自分がひかりさんに嫉妬してるって……」
「なぎさはずっとひかりさんのために行動している…………」
「それはわかるの。ひかりさんは…………その大事な人だし…………」
「でも……凄い不安だったの……なぎさのひかりさんへの行動が…………」
「だから……だから……なぎさと繋がっていたかったの……」
「なぎさと繋がっている時だけは…………なぎさと一緒に居られる……」
「なぎさは私のことだけ考えていてくれる……。なぎさは私のものだ……って思えたから……」
「私こそ馬鹿みたい…………そんなことしてもなぎさは私のものにならないのはわかってる……」
「でも……そうしていないと……不安で……寂しくて……切なくて……苦しくて………………」
「だから………………だから………………」
堪えていた涙が溢れ出した。ダムが崩れ落ちたかのような流水だった。
「ごめんなさい………………ごめんなさいなぎさ…………」
なぎさはほのかの体を抱きしめるのを辞め、一度強引に突き放す。
すぐに引き寄せ口付けをする。
「ん…………」
涙を流しながらほのかも受け入れようとする。永遠にも思える数秒が経過し、二人の唇が離れた。
「ほのか……」
「なぎさ……」
もう一度二人は口付けを交わす。そして柔らかい唇が何度も触れ合う。
「なぎさ…………」
「何、ほのか?」
「私、なぎさのことが好き、大好き。なぎさと一緒に居るだけで本当に嬉しいよ……」
「あたしも……、あたしもほのかが好き、大好き。ほのかと一緒に居られれば、本当に嬉しい」
お互いがお互いの両手を相手の背中に回し抱き合う。
「ほのかの心臓の音が聞こえる……」
「私も……私もなぎさの心臓の鼓動を感じる。気持ちが伝わってくる」
「伝わってる?ほのかのこと大好き〜〜って気持ち」
「伝わってるよ…………。なぎさは?私の気持ち伝わってる?」
「あたしも伝わってる。ほのかの大好きって気持ちが伝わってる……」
片方の手を背中に回したままもう片方の手を繋ぐ。自然と指が絡まった。
もう少しだけこのままで居たいと願っていたほのかの耳元になぎさが囁きかける。
「ほのか……」
「何?」
「今日は、ずっとほのかと一緒に居たい…………」
「私も…………、今日はずっとなぎさと一緒に居たい」
「一緒に居て……。あたしのことほのかの好きなようにして欲しい……」
「え?」
「あたし、今はほのかのためなら何でもしてあげたい……」
「なぎさ………………」
「体だけじゃなくて…………、心も一つになりたい。ほのかと…………」
「うん…………うん!一緒になろう。なぎさ…………」
その晩何があったのか。
それは誰も知らないこと……。
ただ翌日……昨日までと全く同じ二人の姿が見られたそうな…………。
- 736 名前:833@ 投稿日:2005/04/18(月) 22:24:53 [ Si81e8sQ ]
- こんなSS書いたらプリキュアを何だと思ってるんだ?と怒られそうですw。
ひょっとしてなぎさ×ひかりか?と思って読んでくれた人、申し訳ありません。
悪質な釣りにかかったと思ってあきらめてくださいw。
初期からずっと見てる影響か自分の中での組み合わせはやっぱりなぎさとほのかです。
もちろん歪んだ妄想ですので本編とは何の関係もありませんw。
- 737 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/04/19(火) 14:53:26 [ /k4VFZoA ]
- なんなんだこの神スレは!
- 738 名前:予想係(性悪) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/20(水) 01:35:12 [ 3p26C26Q ]
- 彼女たちにブン殴られる覚悟も出来たし、投稿します。
タイトル
「なぎさ の顔が しょっぱくなってた、本当の理由」
4レス専有。
拙作「再びピーサード」のBパート直前に入る設計となっております。
- 739 名前:予想係(1/4) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/20(水) 01:35:49 [ 3p26C26Q ]
- ほのか「なぎさ おねえちゃ〜ん!」
(なぎさ おねえちゃん?! 私、いったい何を言っているの?)
ほのか は心の中で呟く。
自分が森の中に居て、切羽 詰まった表情で なぎさ を呼びつつ走り回っている。
そして何故か その光景を「外側から」見ており、しかも自分の姿は幼い頃のもので
キュアホワイトのコスチュームに身を包んでいた。
(これって、もしかして夢なの?)
幼い ほのか の視線の先に見つけた なぎさ は、ベローネ女子中等部の制服を着ている。
確信は出来ないが、どうやら夢である公算が強い。
なぎさ「ほのか、こっちだよ」
優しげな表情で なぎさ が手招きしている。
ほ「なぎさ おねえちゃん、おトイレどこ?」
(! うわ、お約束)
な「トイレ、ねぇ…」
なぎさ がキョロキョロと辺りを見回しても、そんな物が こんな所に在る訳が無い。
ほ「どーしよう? 漏れちゃうよ…」
小さい ほのか が内股で足踏みをしていて、
おしっこを我慢しているというのが誰が見ても一目瞭然である。
何となくだが、それを見ている ほのか も尿意を我慢している感覚に陥っていた。
(これは、マズイ展開…。こんな所で おしっこ なんかしたら…)
間違いなく おねしょ、であろう。
な「トイレは見当たらないけど、人が来そうもないし、その辺で やっちゃったら?」
(!)
悪魔の囁(ささや)き。 それに従ってしまったら…。
ほ「…うん。」
やや ためらいがち ながら、小さな ほのか は頷(うなず)いた。
(!! ちょっと待ってぇ私! ここで おしっこ したら、間違いなく おねしょ よぉ!)
懸命に自分の行動を止めようとするが、小さな ほのか は木陰へ行って
スカートを手繰り始めている。
(ダメよ! やめて! 起きて、私!)
自分に対して大声で叫ぶが、声が音にならないので結局 届かない。
ほ「誰も来ないよね?」
な「大丈夫。見張ってて あげるから」
小さな ほのか が一分丈のパンツを脱ぎ、しゃがんで おしっこ し始めた。
勢い良く おしっこが出ていく感覚を、外側から見ている筈(はず)の
ほのか も同時に感じている。
(もう だめぽ…)
今の ほのか の気分は そんな感じだ。
- 740 名前:予想係(2/4) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/20(水) 01:36:48 [ 3p26C26Q ]
- 夢は そこまでで眠りから覚めた。
しかし瞼(まぶた)を開こうとしても全く動かず、何も見えない。
体を動かそうとしても自由が利かない。
(もしかして私、金縛りに掛かってる…?)
既に朝らしく、家の外ではスズメが ちゅんちゅんと鳴き始めているのが聞こえている。
体の感覚は ちゃんと有る模様で、自分が仰向けの体勢で居るというのも
自分の体の上に掛け布団が掛かっているのも しっかり分かる。
皮膚感覚だけではあるが、どうやら体やネグリジェは濡れていないようだ。
(セーフ)
と思いきや、いきなり再び夢で感じたのと同じような尿意が湧き起こってきた。
(!)
マズイ状況である。トイレに立ちたくても、現在 自分の体は金縛りに遭っている状態。
しかも、尿意は極 短い時間で次第に強くなっていく一方。
(…これも夢の続き なのかしら)
少しだけ現実逃避してみたが、尿意は もう限界に近い状態であり、
それで すぐに「現実」に引き戻された。
(起きて、私!! ここで起きなかったら、今度こそ…)
間違いなく おねしょ、であろう。
おしっこを我慢するため股を締めようとするが、やはり力は全く入らず効果が無い。
(…どうしよう)
思案に暮れた丁度その時、いきなり誰かに自分の体を小突かれたような感じがした。
隣に誰かが居ると思った時、体の緊張が一瞬 解けて おしっこが勢い良く出始めた。
(あ!)
もちろん止めようとしたが それは徒労に終わり、まず太股が、次いで股間が、
そして おしり辺りへと、じんわりと濡れる感覚が広がっていく。
パンツを はいてないせいか、おしっこの広がる範囲が大きいように思え、
染み濡れていく部分が ひかがみ(膝の裏)から腰の上 辺りにまで達している。
(最低…)
自分では どうする事も出来なかったとは言え、
ほのか は夢と現実で二度「おもらし」してしまった事にショックを覚えた。
と、隣の誰かが自分の体の上に乗ってきた。 今度は何なのかと思っていると、
太股の辺りが温かな液体で そこはかとなく濡れていく感覚が広がってくる。
(まさか…、私に おしっこ掛けられてる? 隣に居るのは、誰? …なぎさ?)
これも夢なら覚めて欲しいとまで思った ほのか だが、どうやら夢ではなかったらしい。
自分の中の幼き ほのか が朧気に目を覚まし、瞼を開いたのだ。
それで漸く誰が自分の上に居るのかが判明した。
ひかり である。 ひかり が自分の上に半分乗っていて、身動きが取れないのだ。
- 741 名前:予想係(3/4) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/20(水) 01:37:45 [ 3p26C26Q ]
- ほのか が もぞもぞと動き出したので、ひかり も目が覚めた。
寝ぼけ眼(まなこ)で ぱちくりと ほのか を見ていた ひかり も、すぐに布団と自分の
着ているネグリジェが濡れているのに気が付いて完全に目が覚め、慌て ふためいた。
ひかり 「お、お、おね…!」
ひかり が大声を出しそうになったので、小さい ほのか が慌てて その口を塞ぐ。
ほ「ひかり おねえちゃん、どうしよう…?」
やや震えながら、今にも泣き出しそうな程に潤んだ目で そう言った ほのか を見て、
ひかり は事態を把握した。 幼い ほのか が おねしょをしたらしい、と。
取り敢えず落ち着いて。
と、ひかり は ほのか にジェスチャーで伝え、自分自身も落ち着かせた。
取り敢えず ひかり が掛け布団を剥がしてベッド脇に退けると、まずシーツ一面に広がる
おしっこの水たまりが目に付き、よく見てみると湯気すらも立っている。 これは最早、
「地図を描く」などというレベルを通り越し、超大陸パンゲアが在るような状態だ。
ほのか のネグリジェは 背中側の 腰から裾の全てと、前側の太股 辺りが濡れ、
ひかり のネグリジェ(ほのか の物を借りた)も おなか側の裾周りが濡れている。
ほ「どうして今日に限って おむつも おねしょシーツも使わなかったんだろう…」
いつもなら寝る前に おばあちゃんが おむつを当ててくれた筈なのに。
しかし、そうならなかった理由は すぐに思い出した。
ほ「…そっか、おばあちゃま出かけてるんだった」
ほのか が後ろ向きでベッドから降り、ひかり もシーツを丸めつつベッドから降りると、
敷布団の被害も かなり酷い状態である。
余りに大量の おねしょにビックリしたのか、ほのか は力が抜けるように へなへなと
腰を下ろしていくが、そこには床に布団を敷いて寝ている なぎさ の顔が在る。
ほのか の おしりがモロに、そこへと、着地した。
な「…ぐみゅ…」
ひ「ほのか さん…!、なぎさ さんが潰れてしまいます…!」
大きな声が出そうになる所だが、ひかり は それを抑えつつ注意した。
言われて慌てて立ち上がった ほのか であるが、眠っている なぎさ の顔は
濡れたネグリジェから滴った おしっこで既に びしょびしょだ。
ひかり が丸めたシーツの未だ濡れていない部分で、なぎさ の顔を拭いてみようと
してみたが、実際に顔に当たったのは既に濡れている部分だったので、
余計に濡らしてしまう結果となってしまった。
しかし急いでいた ひかり は、それには最後まで気付かないまま であった。
敷布団を捲り上げてマットレスを調べてみると、
どうやら ここまでは染み出さずに済んだようである。
ひ「では ほのか さん、取り敢えず布団を洗面所に運びますよ」
ほのか は黙って頷いた。
- 742 名前:予想係(4/4) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/20(水) 01:39:00 [ 3p26C26Q ]
- ふたりで敷布団を洗面所(兼 脱衣所)へと運び込み、ネグリジェを脱いで大雑把に
体を拭き、(ここから全裸)台所で やかんに お湯を沸かし、その足で部屋へ行って
着替えを持ち、洗面所へと戻る。
持ってきた服を着込んでから、フェイスタオルやらバスタオルやらを多数用意し、
沸かした お湯を敷布団に掛けて手早く乾いたタオルで吸い取っていく。
ネグリジェは洗面器で さっと手洗いし、洗濯ネットに入れて洗濯機へ。
シーツの方は風呂場で洗剤と風呂の残り湯を掛けて、ある程度 足踏み洗濯してから
これもタオル類と一緒に洗濯機へ。
(手 馴れてるわね、ひかり さん)
心の中で、本来の ほのか が何となく そう思った。
敷布団の処理が大体 終わって洗濯の方も機械に任せる段階となったので、
風通しの良い部屋へ布団干し台を持ち込んで、そこに布団を掛ける。
ここまで一通りの作業が終了して一息ついた所で、
小さな ほのか が ひかり のシャツを つかみ、ボソッと一言 呟(つぶや)いた。
ほ「ひかり おねえちゃん、おねしょの事、なぎさ おねえちゃんには絶対に話さないで」
ひ「ほのか さん…。大丈夫、秘密にしておきますから」
ほ「絶対、約束だよ?」
ひ「ええ、指切り しましょうか」
指切り拳万、嘘 吐(つ)いたら針千本 飲ます。
…お決まりのフレーズと共に指を切り、ほのか と ひかり は秘密を守ると約束した。
しかし、そんな ひかり も ほのか に黙っていた事が一つ在る。
自分が ほぼ毎日おねしょをしていて、アカネさんに呆れられているという事実を。
ひ(ほのか さん、ごめんなさい。もしかすると、今日の おねしょは私が
してしまったのかも知れないのですけど、…押し付けてしまって ゴメンなさい。
全ては おねしょパンツを持ってこなかった私が いけないんです)
一方、心の中の 本来の ほのか も、色々思う所が有る。
ほ(ひかり さんが おねしょしたのは間違い無いけど、それを なぎさ に言ったら
私が おねしょした事もバレちゃう。 布団の濡れ方が尋常じゃなかったし、
なぎさ 案外カンが良いから、干してあるのを見られただけでもアウトかも…)
ひ(とにかく なぎさ さんにだけは…)
ほ(なぎさ にだけは…)
ひ&ほ(黙って おかないと)
全てが うまく ごまかされたまま朝食が作り始められたが、
なぎさ は 未だ夢の中であった。
【「再びピーサード」Bパート(>>681 中央)へと続く】
因みに…。
元の姿に戻った ほのか が帰宅後、噴霧式消臭剤(ファ○リーズ)を
自分の部屋と布団に吹きかけたのは言うまでも無い。
- 743 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/04/22(金) 17:51:56 [ rD.d5VQ6 ]
- 〔ショートコント『祭り』〕
街角に貼られたとある一枚のポスターの中に、『祭り』の2文字を見つけ、
目を輝かせるポルン。
ポルン「おまちゅり♪おまちゅり♪おまちゅり♪おまちゅり〜♪
……出るポポ。ポリュンも出るポポ♪」
ほのか「無理よポルン。このお祭りはね…」
ポルン「イヤポポ!おまちゅり出るポポー!」
メップル「落ち着くメポ、ポルンにはこの祭りは危険過ぎ…」
ポルン「出るポポ!出るポポ!出るポポ!出るポポ!出るポポ!
ポリュンおまちゅり出るポポ!!出るポポ!!出るポポ!!出るポポぉー!!!」
ミップル「私からもどうかお願いミポ。責任はきちんと持つミポ」
なぎさ「……わかったけど……私たちはあくまで反対したんだからね、
忘れないでよね!」
ポルン「うわーい!おまちゅりポポ!おまちゅりポポ〜!」
☆ ☆ ☆
なぎさ「だから反対したんだよもう……」
メップル「自業自得だメポ!…にしてもホント容赦ないメポ……」
ミップル「ポルン……」
褐色の巨漢「最後まで自分の形で、全力を出し切る事が出来ました。
もう最高に嬉しいです!!」
ポルン「………た…………も……や………ポ………」
ほのか「『悔しいけど本当に楽しかった。機会があれば是非もう一度やりたい』
と申しております!」
その直後会場内はごく一部を除いて、割れんばかりの大歓声に包まれた。
☆ ☆ ☆
《P○IDE SPECIAL 200X 男 祭 り in○玉・さいTまスーパーアリーナ》
○A太郎(チーム・Yコヅナ) 【3R 2分59秒 KO】 ポルン(光の園)×
―終―
※細かい問題点については、どうかご容赦下さい。
- 744 名前:634 投稿日:2005/04/24(日) 02:09:23 [ X2.dRUKc ]
- 暖かな日差しが降り注ぐ昼休み、校舎の屋上から笑い声が聞こえてくる。
声の主はなぎさとほのか。他愛の無い会話で笑い合う二人を、そよ風が優しく包み込む。
そこに流れるのは二人だけの掛け替えの無い時間。
弾む会話、そしてこぼれる笑顔の中、ほのかはふと思う。
――もしなぎさとこうして出会わなかったら、こんなにも笑う事なんてあったのかしら?
きっと休み時間はいつも読書で、帰りは寄り道といえば図書館くらい。
朝も時々は幼馴染と一緒だけれど、普段は本を読みつつ一人で登校……
別に嫌な事とは思わないけど、何だかひどく寂しく感じて胸がキュッと締め付けられる。
(アレ?って言う事はやっぱり嫌な事なのかしら?)
嫌な事?それとも嫌じゃない事?難しい顔で考えていると、なぎさが怪訝な顔で聞いてくる。
「ほのか?聞いてる?」
「う、うん。もちろん!それでどうなったの?」
「で、その王子様がさ、お姫様を助ける為に……」
お姫様を助ける王子様ね…、なんだか私となぎさの事みたい。
あ、別に私がお姫様だって言いたいワケじゃないのよ。
私にとってはなぎさが王子様みたいだって言いたいの。
そう、いつだって私の側に居てくれた。
いつだって心の支えになっていてくれた。
闇に囚われた時だって、絶対来てくれるって信じてたから頑張れた。
どんなに困難な事だって、なぎさと一緒だから乗り越えられた。
いつも私に勇気と元気を与えてくれる私の王子様。それが私にとっての美墨なぎさ。
そう言えば、なぎさはきっと覚えていないだろうけど、あの時だってそうだった…
………
……
…
―――お客様大感謝セール実施中!今日だけ全商品4割引き!
こんな安売りのチラシが入ってきたとあれば(しかも休日に)行かない手はないだろう。
当然あらゆる売り場は芋の子を洗うように買い物客で混雑している。
もちろんお菓子売り場とて例外ではなく、仲良くお菓子を物色している親子連れで賑わっている。
「ほのか、ほのかはどのお菓子が欲しいんだい?」
そんな喧騒の中、幼いほのかの手をしっかりと握りながらさなえが優しく問いかける。
「・・・おとうさんとおかあさん」
「え?」
チョコレートとかキャンディーがいいな、そんな答えを想像していたさなえだが予想外の返答に返す言葉が見つからない。
「どうしてほのかのおとうさんとおかあさんはいつもいないの?ほのかもほかのコみたいにみんなでおかいものしたいよ!」
さなえをさらに困らせようと意図する訳では無いのだろうが、ますます声を大きくするほのか。
日ごろ胸にしまっていたであろう寂しさを思い出してしまったのか、とうとう泣き出してしまう。
そんなほのかに対し、どうしてやることも出来ず握った手すら離す程にオロオロするばかりのさなえ。
周囲の視線が二人に集まり出す中、突然一人の少女が近寄ってきた。
「なかないで」
「!?」
「ないちゃダメだよ。そうだ、さっきかってもらったこのバトルレンジャーチョコあげるから、もうなかないで?」
そう言って少女はいくつか持っていたチョコの一つをほのかに差し出した。
突然の事に戸惑うほのか。だが少女の顔を見るうちに、不思議と悲しみが和らいでくる。
「…うん、ありがとう。もうなかないよ…。ねえ、おなまえはなんていうの?」
涙を袖でぬぐいながらほのかが問いかける。
「なぎさ。みすみなぎさっていうんだ!じゃあねバイバイ!」
少女はそう元気良く答えると両親の元に走り去って行った。
そのやり取りを見ていたさなえがほのかに優しく語りかける。
「ほのか、ほのかもあの子みたいに元気に頑張らなくちゃね」
「うん、おばあちゃま!」
先程の涙は何処へやら、満面の笑顔でほのかは答えるのであった。
(なぎさ…っていってたけどおんなのこなのかな?でもとってもステキなコ!)
- 745 名前:634 投稿日:2005/04/24(日) 02:10:19 [ X2.dRUKc ]
- 「…王子様だったのよね、その時から」
呟くほのかの頬を爽やかな風がそっと撫でて行く。
その刺激にふと視線を横にすると、そこにあるのは自分をじっと見つめるなぎさの顔。
なんだか心の中を全て覗かれてるような気がして顔が真っ赤になって行く。
「何?誰が王子様なの?」
「あ、ううん。何でもないの!」
「何でもないって、王子様がどうのって言ってたじゃん?」
「だから何でもないってば!…そ、それよりなぎさ、口元に海苔が付いてるよ、取ってあげようか?」
「え!?ホントに?お願い!」
口元の海苔が取りやすいようにと少しだけ突き出したなぎさの顔にまずほのかの手が、そして次に顔が近づいてくる。
――え?チョット待って、何で顔が近づいてくるの?コレってまさか…
気付いた頃には時既に遅し、あまりにも無防備だったなぎさの唇にほのかの唇が重なる。
暫くの後、そっと唇を離したほのかが少し頬を赤らめながら口を開く。
「久しぶりね、こうしてキスするの…」
茫然としていたなぎさだったが、その声でハッと我に返る。
「ちょ、ちょっとほのか!?何でキスなの?海苔はどうしたの?他の人に見られたらどーすんの!?」
「フフ、海苔なんて嘘よ。それに辺りに人なんていないから大丈夫」
慌てるなぎさに対し、悪戯っぽく微笑むほのか。
「ズ、ズルーイ!いつもほのかからばっかり、今度はあたしから…!」
「ダ〜メ。そろそろお昼休みが終わるから戻らなくっちゃ」
「むー!!」
むくれるなぎさの手を握り立ち上がるほのか。
「ねえ、なぎさ?」
「うん?」
「これからもずっと、なぎさは私の側に居てくれる…?」
「…当たり前じゃん。王子たる者が姫様の側を離れる訳ないじゃない!」
「!?王子ってなぎさ、どうして…」
その問いには答えずにただニコニコと笑顔のなぎさ。
「ま、いいか。フフ、ありがとう…さ、行こう! 」
深く追求するのは野暮な事かな…と笑顔で駆け出すほのか。
「あ、それからね、あの時のチョコとっても美味しかったよ」
「は、チョコ?ってほのか、何の事?」
「フフ、いーの何でも♪」
二人が教室に消えた時、午後の始業を告げる鐘が鳴り響いてくるのであった。
――おしまい
- 746 名前:634 投稿日:2005/04/24(日) 02:11:09 [ X2.dRUKc ]
- ビジュアルファンブックvol.2発売&GET記念SSw。
以前百合スレに書き込んだヤツの改変版。ひかりのお使い辺りの時期だったかな?
その時は30行くらいしかなかったんで長くするのが意外と大変だった…
ちなみに回想の中のなぎほのの台詞は年齢に合わせてわざとひらがな・カタカナのみにしました。
読み辛かったらゴメンなさい。
- 747 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/24(日) 10:17:12 [ c.rOAfbU ]
- >>744-745
これぞ百合ですねぇ、グッドです!
…オレ、元々百合萌え属性は無かったはずなのに、
最近 色々と感化されている気がする。
むぅ。
- 748 名前:833@ 投稿日:2005/04/24(日) 20:25:32 [ o7mDOdQE ]
- >634氏
GJです。
こういう日常ほのぼのってのはやっぱり良いものです。
>747
感化されよ〜、洗脳されよ〜、百合萌えなれ〜。
すいません。冗談ですw。
- 749 名前:634 投稿日:2005/04/24(日) 22:26:38 [ kwjcnR8I ]
- いやー自分のつたない駄文にGJなんて、ほんと感涙物ですよ…多謝です。
次どうしょう?ドタバタ百合コメディ、シリアス百合、百合じゃない普通の
話…え、こんな事で悩むなって?
- 750 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/04/25(月) 02:16:19 [ dyxPrEg6 ]
- >634氏
超GJ!です
次も百合なのキボンです。
できれば、ドタバタ百合コメディで…
- 751 名前:833@ 投稿日:2005/04/25(月) 20:25:41 [ CyC5lkvU ]
- 「というわけで、我がベローネ学院ラクロス部のリーグ戦勝利を祝って」
「乾杯乾杯乾杯!!!」
「あっ!私が言おうとしたのに!!」
苦戦の末に収めた初勝利のせいかノリにのった状態で志穂と莉奈が祝勝会の開幕を告げる。
「ダメダメ!!もう一回!!」
どこにそんな執念が隠れているのだろうと思いながらも志穂は莉奈の命令に従う。
「というわけで、我がベローネ学院ラクロス部のリーグ戦勝利を祝って」
「乾杯!!」
続きを言おうとした莉奈の言葉を遮りなぎさが高らかに乾杯を宣言する。
「乾杯!!!」
キャプテンの声に従って部員一同が乾杯と叫ぶ。
「ああ………」
一番大事な部分を二度も妨害された莉奈はもはや怒る気力を完全に失っていた。
そしてラクロス部の部室は勝利を祝う部員達によって大いに盛り上がろうとしていた。
いつの間にか祝勝会であるにも関わらずなぜか下級生は隠し芸を始め、上級生はそれを囃し立てた。
「でも、私まで居ていいのかな?」
唯一ラクロス部部員では無い雪城ほのかが遠慮がちになぎさに訊ねた。
「まぁいいじゃんいいじゃん」
勝利に浮かれるなぎさがほのかの肩を叩きながらあっさりと許可する。
「ひかりさんも誘ったんだけど…」
「仕方ないよ。タコカフェの手伝いが忙しいって言ってたし」
「そうね…」
そう言ってオレンジジュースを飲み始める。
辺りは夕方になり日も陰り始めていた。
「さぁ、こっからはもっと盛り上がるよ!!」
志穂が突然に叫びダンボールの箱を開ける。
ダンボールの中身はなぜか大量のビール………。
「ちょっとちょっとちょっと!志穂何やってんのよ!!」
志穂のお株を奪うように莉奈が同じ言葉を三回繰り返して唖然とした表情で叫ぶ。
「やっぱりこういう時は飲むに限るでしょ!」
とても中学生とは思えないような発言を繰り返す志穂に莉奈は言葉で無い。
「ダメよ志穂。あたしたちはまだ中学生なんだから」
さすがにキャプテンとしてこれはマズいと思ったのかなぎさも止めに入る。
「いいじゃんいいじゃんいいじゃん!記念すべき初勝利だよ!」
もう既に酔っているかのように志穂も抵抗する。
「久保田さん。飲酒というのはね……」
ほのかも立ち上がり志穂に未成年の飲酒行為に対する薀蓄を述べる。
さすがに数十分にも及ぶほのかの薀蓄+説教のダブルパンチによるせいか志穂も落ち着き始めた。
「でもでもでも…………。じゃあ一杯だけ……」
すっかりシュンとなってしまった志穂が最後のお願いのような態度でお願いをする。
「まぁ……一杯くらいなら…」
その様子を見て同情するようになぎさも納得する。
「そうね。今更これ持って帰れってのもなんか酷いことしてるみたいだし」
莉奈もそれに同意する。
「やったやったやった。それじゃあコップ一杯ずつ」
そして志穂と莉奈が部員を労いながらコップに一杯ずつのビールを入れていく。
「それじゃあ、再度、ベローネ学院の勝利を祝って、乾杯!!」
三度目の正直という言葉の通りとうとう莉奈が乾杯の音頭をとる野望を達成したのであった。
部員達も普段は知らないが密かに憧れを抱いていた大人の階段の第一歩となるであろうビールを飲み始める。
「苦〜〜〜い」
なぎさはビールに一口飲んですぐに感想をこぼした。
このアルコールを含む液体はなぎさにはまだ早すぎたようであった。
「プハーッ。もう一杯!!」
ゴクゴクと一杯目を飲み干してしまった莉奈が二杯目を要求する。
「ちょっと莉奈!」
「まぁいいじゃんいいじゃんいいじゃん」
止めようとしたなぎさを志穂が妨害する。どうこうしてるうちに莉奈は三杯目を注ぎ始めている。
一杯だけといって一杯で終わることなど無いという現実をなぎさはまだ幼くて知らなかったのだった。
- 752 名前:833@ 投稿日:2005/04/25(月) 20:27:35 [ CyC5lkvU ]
- 「……………」
今なぎさが見ているものは鞄に話しかけている莉奈、皿回しをしている志穂、大はしゃぎして盛り上がる後輩。
「だからやめとけって言ったのに……」
溜息をつきながら結局ビールを一杯も飲まなかったなぎさが呟いた。
「ねぇ、ほのか……………ほのか?」
名前を呼んでも返事をしないほのかの方を不思議そうに見つめる。
「なぎさぁ。なぎさは私のこと好きぃ〜?」
なぎさの肩に手を組んでほのかが訊ねる。
しかし吐き出された息が明らかにほのかが泥酔状態であることをなぎさに伝える。
「ほ…ほのか、酔ってる?」
近づくほのかの顔を両手で押さえながら訊ねる。
「酔ってませんっ!なぎさぁ、私は酔ってませんっ!!」
酔っている人間の常套句を連発するほのかになぎさは呆れながら冷静に対処する。
「とりあえずお水飲みなよ」
渡した水をほのかは一気に飲み干す。しかし全く変わらない様子でなぎさに迫る。
「で、どうなの?なぎさは私のこと好き?」
なぎさの首筋に手を回し自分の頬をなぎさの頬にくっつけ耳に吹きかけながらほのかが訊ねる。
「あうっ………、あのねぇほのか」
少し怒りながらなぎさはほのかの手と頬を振り払う。
そしてほのかと向かい合おう……………としてギョッとする。
片膝を立てて座るほのかのスカートは捲れ綺麗な足と白色の下着が姿を見せる。
そして上半身もブラウスのボタンは外れ案の定下着が見える。
「ほのか!!なんつー格好してるのよ!!」
夏の暑い日の自分でもしないような格好をしてるほのかに驚きつつもしっかり目の保養をする。
とりあえずボタンをしめ、足に触れてきちんとした姿勢で座らせる。
「なぎさのエッチ〜」
コップを片手に持ったままほのかがなぎさをからかうように笑う。
「な…何言ってんのよ!」
顔を赤くしてムキになるなぎさ、その様子を見てほのかは更に笑う。
「なぎさは本当に可愛いなぁ……………」
さり気無く言ったほのかの呟きをなぎさが聞き取ることは出来なかった。
- 753 名前:833@ 投稿日:2005/04/25(月) 20:28:28 [ CyC5lkvU ]
酔いも冷めない状態であったが時刻が時刻なだけにいつの間にか宴会と化していた祝勝会はお開きとなった。
部員達はそれぞれがまるでサラリーマンのような千鳥足で帰宅の途についた。
彼女達が自宅に帰って親の説教を受けるのは言うまでも無いだろう。
さて、それはさておき……………
「ほのかぁ………、起きてってばぁ………」
スヤスヤと寝息をたてて眠るほのかの体を揺らすなぎさ。しかし一向に起きる気配は無い。
「こりゃ、なぎさが家まで送ってあげるしか無いね」
未だに酔っている莉奈がからかうように言った。
「そうそうそう。家も近いし……………」
こちらも未だに酔っている様子で志穂が言った。
「はぁ……………そうしますか」
溜息をつきながらもなぎさも志穂と莉奈の意見に同意する。
「よっしゃよっしゃよっしゃ!莉奈!これから私の家で二次会だ〜!!」
「よっしゃ。志穂!行くぞ!!」
「おお!!」
他の部員がグロッキー状態であるにも関わらず、志穂と莉奈だけは未だにハイテンションだった。
そしてそのまま二人は暗闇の町へと姿を消した。
「…………………………」
なぎさは二人をただ見送ることしか出来なかった。
一人で部室の掃除と片付けを済ませそしてドアに鍵をかける。
キャプテンらしく。と周囲から指摘されることもしばしばだったが、それでもやはりなぎさはキャプテンだった。
「よいしょっと」
安からな寝息をたてているほのかをおんぶしてなぎさは学校を出た。
「わぁ……………、星が綺麗……………」
いくつものの星が夜空に輝く。なぎさはその美しさに見惚れていた。
夜空を見上げ、ほのかをおんぶしたままなぎさは一人夜道を歩く。
「なぎさ………」
「ん?」
背中の上でほのかがムニャムニャと何かを呟いていた。
「なぎさ………好き、大好き。お願い……………私のこと嫌いにならないで…………」
寝言なのだろうか。なぎさは立ち止まって振り向いたがほのかは目を閉じて眠っているようだ。
「ならないよ。あたしもほのかのこと大好きだから……………」
再びなぎさは歩き出した。
「本当?」
背後のほのかから再び声が聞こえる。
「ほのか…。寝たフリしてたでしょ」
暫くしてほのかが返事をする。
「してないよ……………」
「本当に?」
「うん」
既に寝たフリをしていたことは明らかなのだがなぎさは気づいていないフリをする。
なぎさは再び歩き出す。
「本当だよ。ほのかのこと大好き。ずっとほのかと一緒に居られたら良いなって思う」
ほのかの目の前で自分の気持ちを打ち明ける。
「嬉しい……………、ありがとうなぎさ」
目元に涙を浮かべて、しかしそれを堪えてほのかが喜ぶ。
「寝てるんでしょ?」
「びっくりして起きちゃった」
笑顔を浮かべながらほのかは返事をする。
「歩ける?」
なぎさは足を止めてほのかを降ろそうとする。
「もう少し………もう少しだけこのままで居たい……………」
ほのかはギュッとなぎさの首筋に巻いた手に力を込める。
「わかった……………」
なぎさは笑顔を浮かべて再び立ち上がる。
「ありがとう」
ほのかも笑顔でお礼を言う。
星が輝く夜空の下で、ほのかをおんぶしたままなぎさは歩くのだった。
- 754 名前:833@ 投稿日:2005/04/25(月) 20:30:08 [ CyC5lkvU ]
- 最近はなんだか自分でもよくわからないので、
原点回帰の意味も込めて日常なぎほの百合SSを書いてみました。
やっぱりこういうのが自分には一番合ってるかな。と思ったり。
634氏の影響が大きいなw。
- 755 名前:634 投稿日:2005/04/26(火) 01:00:09 [ L5Q6BvUg ]
- >833氏
寝たふりほのかカワイイ!そして何だかんだ言って泥酔するほのかw
てゆーか飲酒は20歳になってからだよ!
しほりーなは何処に消えていったんだか…
>750 ドタバタね…何か考えてたらギャグになってきてしまう。
- 756 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/26(火) 02:01:42 [ 4oBRW03Y ]
- >>751-753 乙。
こりゃ学校にバレたらラクロス部は無期限 活動停止、下手すりゃ廃部ですな。
頃合い見て新作投稿します。
みなさま、ハンカチの ご用意を(と何気に予告)。
- 757 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/04/26(火) 05:07:11 [ 3KMwfg2E ]
- 833氏 634氏乙ー
いやいやおふた方のSSは毎回イイですな!
次回作も期待大
- 758 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/26(火) 17:33:30 [ u4tb8wiw ]
- 以前、本スレで何度か出ていた
「アカネさん ひかりの正体 知ってる」仮説を元に書いてみました。
他、独自仮説の分も まとめて。
タイトル
「Max Heart 最終回シミュレート」
5+1レス専有。
あくまで手前勝手な展開予想(と言うより妄想)です。
- 759 名前:予想係(01/05) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/26(火) 17:34:11 [ u4tb8wiw ]
- 序
壮絶なる最終決戦の末 世界に平和が戻り、光のクイーンも その力を取り戻した。
そして、ひかり との別れの刻(とき)も迫る…。
pattern A アカネさん 偽の記憶つかまされる説
気が付けば、寂しさだけが心に残っていた。
この1年、誰かが傍に居た気がする。
しかし、ここには他に誰も居ない。
ずっと、自分ひとり。
馴染みの常連と何度 顔を合わせても、
仕入先の業者と何度 会っても、
懐かしの後輩と何度 付き合っても、
虚しさを埋(うず)められない。
屋台を改装してから1年間、
ずっと赤字続きだったのに、
いきなり大幅な黒字になったのは何故?
洗面台の鏡の前、
見慣れない歯ブラシが一つ、
これは 一体 誰のもの?
何も分からない、思い出せない…。
この心の もどかしさは、いつか解けるのであろうか?
- 760 名前:予想係(02/05) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/26(火) 17:35:04 [ u4tb8wiw ]
- pattern B ひかりが自ら正体を明かす説
TAKO CAFEの営業が終わって後片付けの最中、ひかりは少々浮かない顔をしていた。
もうすぐ この虹の園を離れなくては ならない。
しかし、ひかりはアカネさんに別れを切り出せないでいるのだ。
そんな ひかりの表情を、黙って見逃すアカネさん ではない。
アカネ「どうした? ひかり。気分でも悪いの?」
ひかり「アカネさん…」
声を掛けられて振り返る ひかりであったが、沈んだ表情は そのままである。
ア「それとも お客さんに嫌な事でもされた?」
ひ「いいえ、そんな事は ありません」
軽く頭を横に振って否定した ひかりは胸に片手を当てて息を整え、思い切って言った。
ひ「アカネさん、大事な お話が有ります」
ア「急に改まっちゃって、いったい どうした…」
笑顔を見せて元気付けようとしていたアカネさんだったが、
真剣な ひかりの眼差しを受けて少々戸惑った。
ひ「…私は、あなたの従妹(いとこ)では ありません」
戸惑いなど呆気なく無くなり、心の中を思いっきり深く えぐられたような気がした。
ア「何を言っているの ひかり?! アンタは紛(まぎ)れもなくアタシの…」
しかし ひかりは静かに頭を横に振った。
ひ「いいえ、私は ここではない別の世界から来たのです」
ア「ひかり、どうしちゃったのさ…。 冗談にも程が あるわよ!」
ひ「ポルン、出ておいで」
ポルン「ポポー!」
ひかりに呼ばれて思わず飛び出したポルンであったが、
すぐ目の前にアカネさんの姿を見つけ、慌てて隠れようとした。
ひ「ポルン。いいんです、もう。 それよりも変身を。
アカネさんに、私たちを知ってもらうために」
ポ「ひかり…、それでいいポポ?」
ひ「ええ。もう決めた事です」
アカネさんは目の前の謎の生物を、驚愕の思いで見つめている。
ポルンがコミューン形態に戻り、ひかりが変身体勢を取った。
ひ「ルミナス・シャイニング・ストリーム!」
アカネさんの眼前で ひかりはシャイニー・ルミナスに変身した。
まばゆい光が辺りを包み込み、アカネさんは腕を かざしつつも ひかりを見つめ続けた。
一目瞭然。
ひかりが何者であるのか知ったアカネさんは余りの事態の推移に力が抜けてしまい、
CAFEワゴンのステップに腰を落とした。
Lumi「輝く命シャイニールミナス
光の こころと、光の意思 全てを一つにするために」
ルミナスは変身を遂げると、クイーンチェアレクトをアカネさんに見せて こう続ける。
Lumi「…私は、私である事を取り戻す為に ここに来ました。
散らばってしまった私の意志を、ずっと捜していたのです」
チェアレクトからは12のハーティエルが飛び出してきて、ルミナスの周りに集まった。
Lumi「でも、もう全て集まり、ここに居る理由は無くなってしまいました。
そして、私は本来 居るべき世界に帰らなくては なりません。
西の空に明けの明星が輝く時、一つの光が宇宙へと飛んで行く…。
それが私なんです」
ハーティエルたちをチェアレクトに帰し、ルミナスは変身を解いた。
- 761 名前:予想係(03/05) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/26(火) 17:35:51 [ u4tb8wiw ]
- ア「帰る、って どこへ?」
やっとアカネさんが口を開いたが、それだけを尋ねるのが せいぜい。
ひ「光の園。 ここからは遠い、別の世界…。
そこで私の帰りを待っている人たちが いるんです。
…ずっと黙っていて ごめんなさい。
でも、そのまま別れるのも出来なくて…」
ひかりは胸に抱いていたポルンを一旦 足元に下ろした。
ポ「ポルン、アカネさんに あやまらなければ いけないポポ。
前にカフェのキッチンをメチャメチャに汚してしまったの、なぎさ ではなくて
ポルンだったポポ。 本当に ごめんなさいポポ」
ひかりはTAKO CAFEのエプロンを脱ぎ、丁寧に たたんでアカネさんに差し出した。
ひ「アカネさん、お世話に なりました。
アカネさん が色々教えてくれた事、一生 忘れません」
混乱の内に思わず受け取ってしまったエプロンであったが、
それは同時に ひかりとの永遠の別れを意味する。
その事に思い至ってハッとなったアカネさんは、思わず叫んだ!
ア「ひかり!」
ひ「さようなら…!」
ひかりはポルンを拾い上げ、後ろ髪 引かれる思いを振り切るようにして走り出す。
立ち上がって追いかけようとするアカネさん、だが 置いてあった椅子に ぶつかって
転んでしまい、顔を上げた時には もう、ひかりの姿は どこにも見当たらなかった。
ア「ひかり! ひかり…! ひかり────ッ!!!!」
しかし、いくら大声で呼んでも ひかりからの返事は無い。
ア「何よ、待ってよ…。どうして そう勝手なの…?」
地面に座り込んだアカネさんの目から大粒の涙が零(こぼ)れ落ち、
手に持ったエプロンの上で弾ける。
ア「お礼ぐらい、させないよ…。アンタほどの良い子、滅多に居ないんだから…」
春は出会いと別れの季節であるという。
だが、今のアカネさんの心には真冬の凍てつく風が吹き荒れていた。
- 762 名前:予想係(04/05) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/26(火) 17:36:35 [ u4tb8wiw ]
- pattern C アカネさん ひかりの正体 知っている説
TAKO CAFEの営業が終わって後片付けの最中、ひかりは少々浮かない顔をしていた。
もうすぐ 光の園へと帰らなくては ならない。
しかし、ひかりはアカネさんに別れを打ち明けられずに いるのだ。
そんな ひかりの表情を、黙って見逃すアカネさん ではない。
アカネ「どうした? ひかり。具合でも悪いの?」
ひかり「アカネさん…」
声を掛けられて振り返る ひかりであったが、沈んだ表情は そのままである。
ア「それとも 何か悩み事でも あるのかな?」
ひかりは何となく自分の心の内が読まれている気がしたが、
取り敢えず胸に手を当て深呼吸して、落ち着きを取り戻してから口を開いた。
ひ「…私は、あなたの従妹では ありません。ここではない、別の世界から来たんです」
アカネさんは ひかりの告白に驚きもせず、静かに聴いていた。
ア「…よく話してくれたね。ずっと秘密にしておくの、辛かったでしょうに」
ひ「アカネさん…?」
自分の予想と違う反応が返ってきて、ひかりは少なからず戸惑った。
ア「知っていたよ。アンタが 私の従妹ではないという事」
ひ「! どうして?!」
ア「よくよく考えれば当然なんだよね。
アタシには“九条”の姓を持つ親戚は居ないから。
だから、『こりゃあ私の記憶の方が おかしいな』と」
ひ「…すみません」
アカネさんは ひかりの両肩に手を乗せ、優しく諭した。
ア「謝る事なんか ないさ、ひかり。
アンタは今まで良く やってくれた。
私以上に気が利くし、殆ど休みもせず まじめに働いてくれたし、
たこ焼きだって上手に焼いてくれる。
だから従妹であるか どうかなんて、どうでもいい。
誰が何と言おうと、アンタは私の“家族”なんだから」
ひ「アカネさん…!」
感 極まって ひかりはアカネさんの胸に飛び込み、泣きじゃくる。
アカネさんは親鳥が雛鳥を守るかのように、ただ黙って ひかりを抱きとめた。
ひ「…私は、帰らなくては いけないんです。 私が居るべき、光の園へ、でも!
…でも、私は、…帰りたくない!
ここでアカネさんと一緒に、暮らして いたいんです…!」
ア「それは、私も同じだよ。 ひかり…」
アカネさんは ひかりを力一杯 抱き締める。 ひかりと別れたくないという思いは、
寧(むし)ろアカネさんの方が強いのかも知れない。
しかし、ここで ひかりを引き止めては ならない事を良く知っているのも、
アカネさん の方なのだ。
ア「でも、アンタには やるべき事が有る。
ひかりが帰るのを心待ちにしている人たちが居る。
そうなんでしょう?」
ひ「うん…」
アカネさんに頭を撫でられて、ひかりは少しだけ落ち着きを取り戻した。
ア「だったら、ひかりは ひかりの やるべき事を やりなさい。
私は もう引き止めたりしないし、アンタが自分で やるべき事も
やらずにいるのなら、承知しないんだから。
だから…。
アンタ、クビ」
ひ「え!」
驚いて涙が引っ込んだ。 そのくらい唐突な一言であった。
ア「でも その前に、最後の仕事してもらうから、ちょっと待ってな」
そう言い置くとアカネさんは車に入って調理台に立ち、3人前のたこ焼きを焼き始めた。
- 763 名前:予想係(05/05) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/26(火) 17:37:23 [ u4tb8wiw ]
- 生地の焼ける香ばしい匂い、アカネさんの特製ソースの匂い、
青海苔と かつお節の匂い…。 この場に漂う、全ての匂いが懐かしい。
アカネさんは焼き上がった たこ焼きを持ち帰り用のパックに詰め、
それをポリ袋に入れて ひかりに手渡した。
ア「最後の仕事は配達だよ。
たこ焼きを3人前、届け先は なぎさと ほのか、それに ひかり、アンタ へ」
ひ「でも、これは…」
ア「お代はサービス。というか、
これは私からの餞別(せんべつ)なんだから、遠慮なく持って行きなさい」
ひ「…」
ア「なぎさ たちも関係 在る事なんでしょう?
あの ふたり、何と言うのかな? とにかく普通じゃないんだよ。
友情とか信頼とか、そんな言葉では片付けられない 何か を持ってる。
そして、それにアンタも係わっている。 だよね?」
ひ「アカネさん、そこまで知っていたんですか」
ア「いいえ、何となく。ね。
さ、たこ焼きが冷める前に、さっさと届けなさい」
ひ「はい! 色々と、お世話に なりました」
ひかりは自分の髪を束ねていた髪留めを一本 抜いて、アカネさんに差し出した。
その意図を察したアカネさんは それを受け取り、
代わりに自分のバンダナを ひかりに手渡した。
ア「『さよなら』は言わないよ。
アタシの たこ焼きが食べたくなったなら、いつでも来なさいね」
ひ「では、いってきます」
ア「いってらっしゃい。 気をつけてね」
ひかりは走って公園を出て行こうとしたが、途中で立ち止まってアカネさんの方を見た。
アカネさんは笑顔で軽く手を振る。
それを見て ひかりは一礼し、雪城邸の方角へと走り去って行った。
ひかりの姿が見えなくなるまで手を振り続けたアカネさんは、
一抹の寂寥感(せきりょうかん)を覚えてCAFEワゴンのステップに腰を下ろす。
今、この公園には自分以外 誰も居ない。
ア「…頭では分かっているんだけどね、感情は どうにも止められない…」
ドアに押し付けた握り拳が、小刻みに震える。
ア「泣いて叫んで喚(わめ)いて、『ここに居て』って言いたくても言えない…。
この先、何回こんな出会いと別れを繰り返すんだろう?」
春先の風は未だ冷たく力強く、吹き抜けていく。
しかし耐え切れないほど でもなく、いずれは穏やかで暖かな日々が来るであろう。
結
ひかりは光のクイーンとなり、光の園へと帰っていった。
その後の虹の園も平穏そのものである。
ただ一つ、ひかりが どこにも居ない事を除いて。
- 764 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/04/26(火) 17:38:50 [ u4tb8wiw ]
- INDEX >>759-763
参考レス(いずれも過去ログ)
ふたりはプリキュア++MaxHeart++9
ttp://news18.2ch.net/test/read.cgi/anime/1108912021/454
ふたりはプリキュア++MaxHeart++17
ttp://news18.2ch.net/test/read.cgi/anime/1111846039/459
実は「pattern D ひかり出戻る説」も考えた。
でも これは行って戻るだけなので、ここでは割愛。
- 766 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/04/29(金) 02:06:50 [ o3iXCuVY ]
- >>759-763
感動した…GJです。
本スレでそのレス読んだときも思ったけど、
ひかりはいつかアカネさんと別れなくちゃいけないんだよな…
クイーンに戻れば恐らくもう2度と会うことも出来ない。
そう考えると悲しくなってくるよ…
- 767 名前:kaoru 投稿日:2005/04/30(土) 17:07:26 [ v7BhTKY6 ]
- なぎさは夢を見ていた…
?「な…ちゃん…なぎさちゃん…」
な(誰かが私を呼んでる…)
そこにはなぎさと、1人の少女が立っていた。
だが、少女の顔は、前髪の影に隠れハッキリとは見えない。
な「あなた…誰なの?」
すると少女は、少し悲しそうな顔で、
?「なぎさちゃん…憶えてないの?」
と、尋ねて来た。
な「…え?」
少女の言葉になぎさはわからないと、言ったような顔をする。
すると少女は、
?「…もうすぐ…もうすぐ会えるから…それまで待ってて!」
と、言って少女は霧の様な物に包まれ消えた。
な「え!?ちょっと待ってよ!ねえってば!?」
なぎさは、その少女が消えた所にまで走ろうとした…
が、さっきまであったはずの地面が消え、
な「え!?うそ!?あ〜〜〜!!」
『ドサッ!』
な「………っ!いったぁ〜!…って、あれ?…何だ…夢か〜。」
なぎさが目を覚ますと、どうやら自分はベッドから落ちてしまった事が理解できた。
な「…はぁ〜そんなオチなわけぇ〜」
ため息をつくなぎさ、
ふと、時計を見る。
な「…………げっ!やっばぁ〜い!?遅刻だぁ〜!!」
時計は、午前8時を過ぎていた。
なぎさは素早くパジャマを脱ぎ捨て制服に着替え、
鞄の中にメップルを押し込み、クロスを持ち、玄関に走る。
途中に母、理恵に、
理「あ!やっと起きたのね〜何回も起こしたのに、なぎさが起きないから……」
と、何やら言われているが、今はそれどころではない。
な「お母さん!お説教は家に帰ってから聞くから!それじゃ行ってくるね!」
理「ちょっと待ちなさい!なぎさ!」
な「もう!何よ?」
すっと母、理恵はある物をなぎさの目の前まで持ってくる。
そう、それは…
な「あ!お弁当!忘れてた〜ありがと〜お母さん。じゃ行って来ます!」
なぎさは、お弁当を鞄に押し込み、駅までダッシュした。
走った甲斐があり、ギリギリ学校に間に合う電車に乗る事が出来、
ホッと安心するなぎさだったが、
な「…それにしても、今朝の夢…何だったんたろう?」
ただの夢にしてはインパクトがあり過ぎて、
なぎさはまだ未だ忘れられずにいた。
- 768 名前:kaoru 投稿日:2005/05/01(日) 19:07:06 [ XHRsRTkc ]
- ↑の続き
何十分かたつと電車は若葉台駅に着き、
そこからもなぎさは、猛ダッシュをし、学校に着いた。
なぎさが教室のドアを開けた瞬間にチャイムが鳴った。
な「せっセーフ…良かった〜間に合って!」
その後、すぐに自分の席に着き鞄を置いて座り息を整える。
志「なぎさなぎさなぎさぁ〜今日は一段とやばかったね〜」
理「本当!今日は、もう遅刻しちゃうんじゃないかと、思ったもん!」
と、志穂と理奈が話したててくる。
な「へっへ〜ん!どうよ?私もやるもんでしょ?」
なぎさは自慢げに、少し胸を張った。
すると、いつの間に横に居たのか、
ほ「もぅ!なぎさ〜いつもより遅いから心配したじゃない!」
と、ほのかが、少し怒り口調で話しかけてきた。
な「あっ!おはよ〜ほのか!まぁまぁ!そんなに怒んないでよ〜私、
何も食べずに朝家からダッシュして来て、もうヘトヘトなんだからさ〜」
と、言った、すると、
ほ「なぎさ!何も食べないで、朝からの激しい運動は、
体に悪いから気を付けないと駄目じゃない!」
と、またほのかに怒られる。
その様子に理奈が、
理「ま〜た、痴話喧嘩が始まったよ〜」
と、からかってくる。
すると、
な・ほ「「そんなんじゃ」」
な「ないってば!」
ほ「ありません!」
と、同時に返事が返って来た。
志「ぷっ!」
理「ハモっちゃってるよ!」
志穂と理奈は、2人のハモリがツボにはまったのか、爆笑している。
その様子に、なぎさは…
な「…はぁ〜あのねぇ〜…」
呆れかえっていた。
そこへ、ほのかが、
ほ「ねぇ、なぎさ…今日どうして遅刻しそうになったの?」
と、聞いてきた。
な「あぁ、遅刻した理由?…何かね…変な夢見ちゃってさ…」
隠す必要も無いので、今朝、夢を見た事を話した。
ほ「夢って、どんな?」
ほのかは夢の内容も聞こうとしたが、
な「ん〜実はさ〜私も良くわかんないんだよね…その夢。」
ほ「わからないって、どう言う事?」
な「なんか…夢の中で、女の子が、私を呼んでる夢…でもその子誰だかわかんないんだ〜」
ほ「ふーん…。」
ふと、なぎさが、ほのかの方を向くと、何やら考え込んでいた。
その様子が気になり、
な「ほのか?…どうしたの?」
と、ほのかに声をかける。
すると、ほのかは、
ほ「…え?うぅん…何でもない。」
と、答え、いつもどうりの顔に戻る。
な「…そぉ?」
なぎさはさっきの、ほのかの様子が気になったが、本人が何も無いと、
言っているので、そのまま流す事にした。
そして、話を戻し、
な「でね〜その後、その子、追っかけようとしたら床が無くなっちゃって、落ちる〜
って思ったら目がさめてベッドから落ちてたの〜で、時計見たら8時過ぎちゃってて
それで、こんな時間になっちゃった訳!」
ほ「へぇ〜そうだったんだ…」
なぎさは一通りの夢の内容をほのかに伝えた。
話終わり、気を緩めると、志穂、理奈の笑い声が聞こえた。
な「ちょっと〜いつまでも笑ってないでよ!」
志「だってだってだってぇ〜ツボにはまっちゃったんだもん!アハハハハッ!!!」
な「もぉ〜…」
笑い続ける志穂と理奈の様子に、なぎさはガックリと、肩を落とした。
その時…
『ガラッ』
教室のドアが開き、よし美先生が入って来た。
よ「はーい、皆席について〜ホームルーム始めるわよ〜」
すると、ほのかは一番後ろの席に着き、
志穂、理奈もどうにか笑いを止めた。
よ「で、その前に皆に転校生を紹介します。入ってきて!」
すると、教室のドアが開き、1人の少女が入って来た。
そして黒板に、
『吉河 優』
と名前を書き、
優「吉河優です!よろしくお願いします!」
と、言って礼をした。
(つづく)
- 769 名前:kaoru 投稿日:2005/05/01(日) 19:16:34 [ XHRsRTkc ]
- こんばんわ〜初めての投稿です…が!
思いつきで書いているのでこの先どう進むの?とかどう終わるの?
などもまだ考えていません…ので最新が遅いし、進みも遅いと思いますが、
それでも良いと言う方は読んでくださいませ!でわ!
- 770 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/05/01(日) 21:56:48 [ Prwpjfg2 ]
- >kaoruさん
先の展開がとても楽しみです^^
それにしても此処の方たちは素晴らしいSS職人さんばかりですね。
何時も楽しませて貰っています、私にはSSを書く才能が無いので羨ましい限りです。
お忙しい中書かれていると思いますが、頑張って下さいませ。ではでは^^ノシ
- 771 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/05/02(月) 22:43:59 [ wtgG1N4M ]
- >kaoruさん
続き早く早く〜
>770
いや、自分も含めてここでSS書く人は、多分自分に文才があるとは思ってないハズ。
まーただプリキュア愛でそれをカバーしてるつもりなんで、それがあれば大丈夫かと。
- 772 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/05/03(火) 01:09:04 [ mjNMNXlI ]
- 100分の1でもいい、ここに居る人らの文才を俺に分けてくれ。
- 773 名前:kaoru 投稿日:2005/05/03(火) 01:40:39 [ Yeu6ywSI ]
- >771さんお待たせしました。
768の続き
な(こんな中途半端な時期に、転校生?)
なぎさは、普段なら気にならない事が、ふと、不信に思った。
よ「じゃ〜吉河さんの席は…雪城さんの隣が空いてるわね…
あそこに座ってもらえる?」
と、言ってよし美先生は、一番後ろの空いている席を指差した。
優「あ!はいっ!」
優は、元気良く返事をして、その席に鞄を置き座る。
よ「じゃ、今日のホームルームは……」
ほ「吉河さん、私、雪城ほのか、よろしくね。」
と、ほのかは席に座った優に声をかけた、
優「あ!こちらこそ、よろしくお願いします。」
それに対して、優は笑顔で答える。
ほ「あ、あと、わからない事や、困った事があったら言ってね!
私一様学級委員長だし!」
優「あ!そうなんですか?じゃぁわからない事とかあったら、
また聞きますね!」
と、2人が話しに盛り上がっていると、
よ「こら!そこの2人!雪城さんと吉河さんよ!転校初日で話が弾むのもわかるけど、
今はホームルーム中よ!静かにしなさい!」
と、よし美先生からの渇が飛ぶ。
ほ・優「「す、すいません…」」
『ハハハハハハハハハハハ』
2人同時に謝ると教室中に笑いが沸き起こった。
よ「ほ〜ら!もう静かに!授業始めますよ!」
早くも本日2回目となる渇が飛ぶ。
すると、ようやく教室に静けさが戻り、授業が始まった。
優「(あの…雪城さん…)」
今度は優から話しかけてきたが、先生に気付かれない様、小声で話してくる。
ほ「(なぁに?吉河さん?)」
それに対して、ほのかも小声で答える。
優「(このクラスになぎさゃ…美墨なぎさって人いますか?)」
ほ「(えっ?…いるけど…)」
まさかここでなぎさの事を聞かれると思ってもいなかったので、二言返事になってしまった…
その答えに優は、
優「(え!?ホントですか!?何処にいるんですか!なぎさちゃん!)」
と、興奮気味で、一気に捲し立ててくる。
ほ「(あ、あそこだけど…)」
少し優の様子に押され気味で、本を盾代わりにして、寝ているなぎさを指差す。
しかし、振り返った時にはもう優の姿が無い、
ほ「えっ!?」
ほのかは、すぐさま逆方向を向いたすると…
優「なぎさちゃ〜ん!!」
な「…はぁ〜い…って!えっ!ちょ!?」
『ゴンッ!』
そこには、優に半ば後ろから押し倒された形で、抱きつかれ机に頭を打ち付ける、
なぎさの姿があった…
(つづく)
- 774 名前:kaoru 投稿日:2005/05/03(火) 01:50:01 [ Yeu6ywSI ]
- わんばんこ〜
マジでこの後の展開どうしようか迷ってます…
と言うか、明日は絶対最新出来ません!
え?何故かって?
今日の23時〜翌日の5時までカラオケ行くからです。
しかも今日の10時くらいから食博覧会に行かないといけないなしく…
考えてる時間が無い…ので…明後日最新が出来たらしたいと思っております。
- 775 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/05/07(土) 01:32:22 [ 7tayqWZs ]
- 新人さん いらっしゃい!
自分のペースで良いから、諦めずに書き続けることが大事ですよ。
…と、半分くらい自分自身に向けて言ってみる。
- 776 名前:kaoru 投稿日:2005/05/07(土) 23:27:28 [ otWj7gFo ]
- ↑
773の続き。
な「……んっ…ここ何処?」
なぎさが目を覚ますと、辺り一面は暗闇に包まれていた。
な「確か、さっきまで学校に居た思ったんだけどな〜」
そんな事を、ボヤいていると…
さっきまで1つの光も無かった場所から、光が差し込んでいた。
な「…何だろう…?」
不信に思ったが、なぎさはその光の差し込んでいる場所に一歩、また一歩と近づいていった。
すると、そこには病院のベッドと、思われる所に、少女が横たわっていた。
ふと、病院の壁に架かっている、カレンダーが目に入る、
そこには、
『1994年 9月』
と、書かれてあった。
そして、視線をすぐにその少女に向け言葉を発する。
な「…あれ小さい頃の私だ…」
なぎさは、過去の自分に近づいて触ろうとしたが、手が、その体をすり抜けてしまった。
な「あれ?すり抜けちゃった…ここってやっぱ現実世界じゃないのかな…」
小さい頃のなぎさ(以降:少な)「…ゴホッゴホッ!」
なぎさは急な咳にビックリして、過去の自分を見る。
な「ちょっと!大丈夫!?」
だが反応が無い、たぶんこのなぎさには自分の姿も声も届いていないのだろう。
ふと思う、
な(そう言えば昔の私って、体弱くてしょっちゅう熱出してたんだっけ…)
少な「ゴホッゴホッ!」
なぎさが干渉に浸っていると過去の自分がまた咳き込み始めた。
な「誰か他に居ないの?」
と、周りをキョロキョロと、見渡していると…
?「大丈夫?」
急になぎさの後ろから声が聞こえた。
少な「コホッ…誰?」
な「!?」
なぎさが声のした方に振り向くと、窓の外に誰かが居た。
(つづく)
- 777 名前:833@ 投稿日:2005/05/08(日) 00:09:26 [ fWn55R/g ]
- いつの間にか新しい方の連載が始まっていたとは……。
今後の展開を楽しみにしています。
(つーか自分もSS暫く書いてないなw)
- 778 名前:kaoru 投稿日:2005/05/08(日) 00:25:31 [ Mxjep.Fw ]
- さっきの続き
そこには、姿、形はほぼ人間だが、耳のとんがり具合からは彼女が人間でなは無い事が伺える。
?(以降:ティ)「私、ティファって言うの!あなたは?」
少な「……なぎさ…」
ティ「へぇ〜なぎさちゃんか〜私のことティファって呼んでいいよ!」
な「…………。」
なぎさはその2人のやりとりを黙って見つめていた。
少な「じゃ…ティファ…何で浮いてるの?」
過去の自分が質問する、
ティ「あぁ…これ?私はこの地球(ほし)の人じゃないから。」
その言葉にティファは答えた。
少な「じゃぁ…何処から来たの?」
過去のなぎさの言葉にティファは顔を曇らせる、
少な「?」
ティファの様子に過去のなぎさは、どうしたの?と、言う顔をする。
すると、
ティファ「……な…いの…」
と、聞き取れないぐらいの声がした。
少な「え?」
その声に対して、聞き返す。
ティ「わからないの…気付いた時には1人だったから…」
ティファのその答えに、
少な「じゃぁ、なぎさが友達になってあげる!」
過去のなぎさは何とも子供らしい、かつ単純に答えた。
ティ「ホ、ホント!?」
過去のなぎさの言葉に、急に元気を取り戻すティファ、
少な「うん!」
ティ「じゃ〜ね〜お礼に何か1つ願い事叶えたげる!」
急にティファがそんな事を言い出す。
少な「え!?う、う〜んとね〜…体を治してほしいの…」
ティ「それってどう言う事?」
少な「なぎさね、体が弱くて病気がちだから、お母さんとお父さんにも迷惑かけてるの…だから体を強くしてほしいの!」
と、過去のなぎさがティファに話すと、
ティ「わかった!体を丈夫にすればいいの?」
少な「うん!」
それに過去のなぎさが答える。
ティ「じゃ、じっとしててね!」
ティファはそう言うと、手から光線の様なものをなぎさの体に浴びせた、
すると…
少な「すごい!苦しいのが治った!」
さっきまで咳が出て息苦しかったのが、スッと楽になった。
ティ「よかった!成功したみたいね。」
過去のなぎさの様子にティファが安心する。
少な「ティファありがと!ティファすごいね!」
と、褒め称える過去のなぎさ。
な「何か思い出してきたかも…。」
さっきまでずっと黙って2人を見ていたなぎさだったが、話が進んでいく内に、
ふと、過去の記憶が、少しずつ戻ってきていた。
(つづく)
- 779 名前:kaoru 投稿日:2005/05/08(日) 00:30:08 [ Mxjep.Fw ]
- こんばんわ〜
一様まだ続きは考えてあるんですが、まだ話に納得出来てないんで、
この先は書き直し中です。
また近々最新するつもりなんで、よろしくです!
- 780 名前:634 投稿日:2005/05/08(日) 01:45:47 [ 4yVhueK. ]
- えーと、何だか今後の展開が気になる真面目そうなSSの後に、自分のSSを
投下してもいいのだろうか…。
しかもふたご神のアレンジだし…。(ちょっとだけよ)
…まあいいか、いっとくか…怒らないでね。
- 781 名前:634 投稿日:2005/05/08(日) 01:46:34 [ 4yVhueK. ]
- ―― 絆 ――
きっかけは本当に些細な事なのに、私達があんな事で喧嘩になっちゃうなんて思いもしなかった。
私だって少し言い過ぎたって事は認めるけど、なぎさだってアレは無いと思うのよね…。
…でも、やっぱり私が悪いのかな……
「ハー…」
何度目かのため息をついた時、今まで黙っていたミップルがひょっこり顔を出してほのかに語りかける。
「ほのか、本当は喧嘩したこと後悔してるミポ?なぎさだってきっとそう思ってるミポ。早く仲直りした方がいいミポ」
「うん…そうだねミップル。私からちゃんと謝って仲直りした方がいいよね…」
明日の朝一番になぎさに謝ろう。
そう決心し校門を出ようとしたほのかに突然、一人の男子が話しかけてきた。
「雪城さん、話があるんだけどいいかな…?」
「何ですか?」
「あの……好きです!もし良かったら、俺と付き合って下さい!」
はーまたか…。1ヶ月に1回はあるし、この手の告白には慣れてるのよね。
「えと…」
ゴメンなさい――そう言おうとした瞬間、先程の喧嘩の情景が頭の中で一瞬フラッシュバックする。
「――ハイ…喜んで」
「え、え!?本当にOKなんですか!?」
「うん、もちろん」
自分でも思いもしなかった言葉が次々と口から飛び出してくる。
(えっ…何でこんな事を言うの?相手の事何にも知らないのに…。仕返し?……なぎさ?まさか…でも…)
嬉しさでにやける男子の横で、ほのかは茫然と自問自答を繰り返すのであった。
・ ・ ・
きっかけは本当に些細な事なのに、あたし達があんな事で喧嘩になっちゃうなんて思いもしなかった。
もちろんあたしだって少し言い過ぎたって事は認めるけど、ほのかだってアレは無いよね…。
…でも、やっぱりあたしが悪いのかな……
「ハー…」
何度目かのため息をついた時、今まで黙っていたメップルがひょっこり顔を出してなぎさに語りかける。
「なぎさ、なぎさは本当は喧嘩したこと後悔してるメポ。ほのかだってきっとそう思ってるメポ。早く仲直りするメポ」
「うん…そうだねメップル。あたしからちゃんと謝って仲直りした方がいいよね…」
明日の朝一番にほのかに謝ろう。
そう決心し校門を出ようとしたなぎさに、誰かの話し声が聞こえてくる。
「雪城さん、話があるんだけどいいかな…?」
「何ですか?」
(ほのかと誰?男の子?何の話?)
別にやましい気持ちなどないのに、思わずなぎさが物影に身を隠す。
「あの……好きです!もし良かったら、俺と付き合って下さい!」
(なんだ告白か…ほのか、男子に人気があるからな〜。でも絶対に断っちゃうんだよね、勿体ない…)
「――ハイ…喜んで」
(ほらね、やっぱ……えっ!?今ハイって言った?)
「え、え!?本当にOKなんですか!?」
「うん、もちろん」
想像だにしていなかった言葉が、次々と耳に入ってくる。
(ウソ…ほのかがOK?ありえ…なく無いケド、でもほのかが…嘘、やっぱりアリエナイ…)
ひょっとしたら冗談じゃないか、と先程の情景を頭の中で反芻するなぎさ。
だが当然冗談であるはずも無くただただ茫然とその場に立ち尽くすのであった。
* * *
- 782 名前:634 投稿日:2005/05/08(日) 01:47:04 [ 4yVhueK. ]
- 「ハァァァッ」
物憂げな顔でなぎさが大きくため息をつく。
そんな様子を見ていつもの二人が少し心配そうに声を掛けてくる。
「ねーねーねー、なぎさってばどうしたの?今日なんだかため息ついてばっかりじゃん」
「そうだよ、雪城さんとも今日は話もしてないみたいだし。何かあったの?」
「え?ううん、なんにも無いよ。あ、何その顔信じてないでしょ!本当に何でも無いって!」
そう笑顔で否定するなぎさだったが、心の中では勿論ずっと悩みっぱなしである。
(ハァ、結局謝るどころかほのかと会話もしてないよ…。昨日のあの事がどうしても頭から離れなくて
なんだか話しかけづらいんだよね…。大体ほのかはどう思ってるんだろう?OKしたって事は
満更でもないって事だろうし……って、こんな事考えてる場合じゃないよね。とにかくほのかに謝らないと。
よし、放課後には絶対に!)
一人自席にて読書をしているほのかをちらと眺めながら、なぎさはそう決心したのであった。
「ハァ」
一人本を読みながらほのかが小さくため息をつく。
もちろんそのワケはなぎさとの事。
(結局謝るどころかなぎさとお話することも出来なかったな…。昨日の事がどうしても引っかかって
なんだか話しかけづらいのよね…。なぎさには何の関係も無い事だって言うのは分かってるんだけど……
そうね、関係ないもんね。うん、なぎさに謝ろう。放課後の校門で待ってればきっと出会えるはずだし)
志穂、莉奈となにやら会話をしているなぎさを視界の隅で見ながら、ほのかはそう決心したのであった。
・ ・ ・
放課後の校門の片隅で一人立つほのか。
もちろんなぎさを待っているのだが、サッパリやってこない。
(ひょっとして、もう帰っちゃったのかな…?)
徐々に不安に駆られ始めるほのかだが、その時とうとう待ち人が姿を現した。
「なぎさ!」
勇気を振り絞りなぎさに声を掛ける。
「ほのか!?な、何…?」
「あの、ちょっと話があるんだけど…」
一瞬意外そうな顔をしたなぎさだが、直に静かな口調で切り返す。
「…あたしもほのかに話たい事があるんだ。…でも、先にいいよ?」
「ありがとう…。あの、昨日は――」
昨日はゴメンなさい――そう続けようとした瞬間
「雪城さん、一緒に帰ろうよ!」
ほのかの言葉を塞ぐ様に声が聞こえてくる。
思わず声の方を振り返る二人。するとそこに居たのは昨日の男子。
「いいだろ?一緒に帰るくらい。俺たち付き合うことになったんだからそれ位は当たり前でしょ?」
「え?あの、でも……」
「まさか照れてるの?可愛いなぁ雪城さんは。ほら行こう!」
強引にほのかの手を取りグイと自分に引き寄せる。
と、ここで初めてなぎさに気付いた様である。
「あれ?君、雪城さんの友達?だったらこれからちょくちょく会うだろうからヨロシクね!」
そう言い放つと戸惑うほのかを半ば強引に引っ張るようにして、スタスタとその場を離れて行ってしまう。
呆気に取られ立ち尽くすなぎさ。
だが気を取り直すと、その心を先ほどの言葉がキュッと締め付けてくる。
――俺たち付き合うことになったんだから――
(ほのか、本当にあの人と付き合うことになったんだ…。結局謝る事も出来なかったし、
なんだかほのかが遠くに行っちゃった感じがするな…。もちろんほのかとあたしは別だって分かってる。
分かってるけど…寂しいな…何でだろ…)
二人の姿が完全に見えなくなったしばらくの後、心の苦しさを感じながらなぎさは一人帰路につくのであった。
* * *
- 783 名前:634 投稿日:2005/05/08(日) 01:48:20 [ 4yVhueK. ]
- 「キャプテンお疲れー」
「お疲れサマでーす」
練習が終わり部員達が次々に声をかけてくる。
その応対がひと段落した後、いつものように洗顔する為水場に向かう。
両手に水を溜め、呼吸を止めた顔に勢い良く叩きつける。
それを幾度か繰り返した後、流れ出る水を止めフーッと一つ息を吐き出す。
最後に顔に残る水滴をタオルで拭い、ゆっくりと面を上げる。
「……」
何を思うのか、その視線は遠くを見つめたまま。
だが直に、身じろぎひとつせずに遠くを見つめたままのなぎさに、二つの人影が騒がしく近寄って来る。
「なぎさなぎさなぎさ、知ってる?雪城さんの事」
「ほのかの事…何?」
ドキリと高鳴る胸の鼓動。だが動揺を見せまいと努めて冷静に聞き返す。
「雪城さん、近くの男子校の生徒と付き合ってるんだよ!この目で見ちゃったんだから!」
「それでね、悪いなーとは思ったんだけど、気になっちゃってしばらく後をつけてみたんだ」
「そしたらナントナントナント、明日デートに行くらしいよ!何だかとっても良い雰囲気だったし、
ひょっとしたらひょっとするかもよ〜」
「うん、これはなぎさ絶対に先越されちゃうね」
抜群のコンビネーションを披露する志穂と莉奈。
そんな二人に少し苛立ちながらなぎさが反論する。
「ちょっと、先越されちゃうって何よ?大体ほのかとあたしは別なんだから、ほのかが何しようが
あたしには関係の無い事でしょ?」
「えっ、でもなぎさ…」
「あーもういいから。ほら、さっさと着替えて帰るよ」
顔を見合わせる二人を置き去りにするようにその場を立ち去る。
「でもあの男子、どっかで見たことあるんだよね…」
「あるあるある。確かちょっと前まで隣のクラスの子と付き合ってなかったっけ…?」
背中にザクと突き刺さる二人の声。
(ほのかはほのか、あたしはあたし、別に関係ないモンね。それにほのかだって楽しそうだったみたいだし、
それならいいじゃない。そう、それでいいんだ……)
そう自分を納得させ、足早にグラウンドを離れるなぎさであった。
* * *
「今日はとっても楽しかったよ。雪城さんもそうだろ?」
「え?…うん、そうね…」
薄暮の人気の無い公園から、デートを終えた二人の声が聞こえてくる。
「それじゃ私はお家でおばあちゃんも待ってるし、これで…」
素っ気無い返事をし、急ぎ家へ帰ろうとするほのか。
「あ、待って雪城さん!」
だがそんなほのかの肩口をつかみ強引に振り向かせる。
「雪城さん…いや、ほのか。いいよね…」
(えっ?いいよねって、まさか…)
こういう事にはニブイほのかでも、さすがにこの後に何が待っているのかは分かる。
分かるのだが何故か体が動かない。
(イヤッ、誰か…なぎさ…)
心で助けを求めるが、無常にも二人の顔の距離が段々と近づいて行く。
30cm、10cm、5cm…。
そして……
- 784 名前:634 投稿日:2005/05/08(日) 01:49:17 [ 4yVhueK. ]
- 「ちょっと待ったーっ!!」
静寂を切り裂き、場違いな大声が辺りに響き渡る。
「なぎさ!?」
「な、なんだよ君は!?もう少しだったのに…」
驚く二人の目の前に、なぎさが肩を怒らしながら現れる。
「あんた今ほのかにキスしようとしたでしょ?あんたみたいな好色男に、ほのかの大切なファーストキスを
奪われてたまるもんですか!!」
「ちょ、ちょっと、いきなり現れて何言ってんだよ…」
「なぎさ、ちょっとどうしたの…」
「ほのかもほのかだよ、あのままだったらキスされてたんだよ!?それでも良かったの?ダメ、そんなの絶対許さない!!」
「ダメ、絶対許さないって…そんな事なぎさが決める事じゃないでしょ!?私は自分で考えて自分で行動するんだから!」
「ううん!ほのかはね、あたしが守るって決めてるんだから!だからキスだなんて絶対にダメなんだから!!」
「決めてるって、さっきから勝手な事ばかり言わないでよ!それにそんなに私のファーストキスが心配なら、
なぎさが最初に私にキスすればいいでしょ!?」
「っ…分かった、そうするからね!!」
売り言葉に買い言葉でしょ?マサカ本当にはやらないよね…二人のやり取りに圧倒されていた男のそういう考えとは裏腹に、
なぎさがずかずかとほのかに歩み寄って行く。
そして無造作にほのかの顔に手をやると、一気にその唇を奪う。
「…ん」
「…っ」
先程までの怒りをぶつけ合うかのように、互いに激しく唇を絡ませあう二人。
だがしばらくすると、二人の様子に変化が感じられるようになる。
それは相手に対する怒りではなく、慈しみの念が感じられるようになった事。
やがて唇がどちらとも無くそっと離れて行く。
そして互いに頬に手を添えたまま暫く見つめ合う。
「ほのか…色々とゴメンね?」
「ううん、私のほうこそゴメンなさい…」
真白な、素直な心で気持ちを口にする二人。
そして何が可笑しいのかクスクスと笑い合う。
しばらく笑い合った後、真顔に戻ったほのかがなぎさに問いかける。
「ねぇなぎさ?」
「うん?」
「来てくれて有難う…。でもどうして?」
「それは…大切な人だから。ほのかが傷つくなんて許さない。だから絶対にあたしがほのかを守るんだって、
そう思ったら居ても立ってもいられなくなっちゃって…。ほんと勝手だよね、あたしって…」
「なぎさ…そんな事ないよ。凄く嬉しい…本当に有難う」
なぎさの気持ちに心からの優しい笑顔で応えるほのか。
そんなほのかを見てなぎさもまた笑顔になる。
「ねえほのか、今度はあたしから質問していい?」
「何?」
「あたしが来なかったら、その…あのヒトとキスしてたの?」
そう言ってなぎさが先程からへたり込んでいる男の方に視線を移す。
「さあ…でもなぎさは来てくれたでしょ?私は信じてたから、なぎさの事」
「ほのか…」
「なぎさ…」
再び重なり合う二人のシルエット。
その頭上にはいつの間にか星が瞬いてるのであった。
* * *
- 785 名前:634 投稿日:2005/05/08(日) 01:50:08 [ 4yVhueK. ]
- 「アハハッ」
「ウフフッ」
いかにも楽しそうに、なぎさとほのかが笑い声をあげる。
そんな様子を見ていつもの二人が興味深そうに声を掛けてくる。
「ねーねーねー、二人ともどうしたの?今日なんだか随分と楽しそうじゃん」
「そうだよ、先週は全然話もしなかったのに。何かあったの?」
「え?ううん、なんにも無いよ。あ、何その顔、信じてないでしょ!本当に何でも無いって!ね、ほのか?」
「うん!ね、なぎさ」
そんな回答にすっきりしない顔の二人だが、突然志穂が思い出したようにほのかに尋ねる。
「そう言えばそう言えばそう言えば、雪城さん一昨日デートしたんでしょ?彼とはどうなの?」
「え…彼とはもう、ううん最初から何でも無いのよ」
その答えに莉奈が驚きの声をあげる。
「え、どういう事?別れちゃったの!?…結構格好良かったのに、勿体無いな」
「フフ、いいの。だってもっと大切なモノが見つかったんだから」
「大切なモノって?」
「それは……秘密。ね、なぎさ?」
「うんそうだね、ほのか」
そして顔を見合わせ二人は再び笑い出す。
大切なモノ――それは二人の絆。互いに想い合う、信じ合う、そして愛するという事。
二人の絆――それは決して消えること無く、これからも輝き続けるであろう永遠の絆。
これからも、きっと二人の眼前には幾つもの困難が現れる。
だけど二人は大丈夫。
二人の間には、彼女達だけの特別な絆があるのだから。
- 786 名前:634 投稿日:2005/05/08(日) 01:56:48 [ 4yVhueK. ]
- 一応友情ENDも考えてはいたんだけど、やはり百合ENDになってしまったw
百合っていってもチュー以上の行為はこのスレで書く気はないけど…。
でも書きたい気もするし…
- 787 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/05/08(日) 04:13:19 [ x/xkgjuc ]
- 素ン晴らしい急転直下の展開、良い!
ますます百合萌え感化されていくなぁ、オレ。
そんな訳で近々、感化された結果を投稿します。
未だ推敲中では ありますが。
- 788 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/05/08(日) 14:18:23 [ x/xkgjuc ]
- タイトル
「星空の許で(百合版)」(R-15相当指定)
この作品には性的な表現を含みます。
4+1レス専有。
…と言っても、表現そのものは かなり軽め かつ微少(かつ微妙)ですが。
- 789 名前:予想係(01/04) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/05/08(日) 14:19:29 [ x/xkgjuc ]
- 満天の星空の許(もと)、なぎさと ほのかが草むらに寝転んでいる。
恒例の夏合宿は今年もラクロス部、科学部 合同で行われていたが、
その最中に なぎさが ほのかを呼び出したのだ。
月は満月、南東の空に在る。 辺りは明るいが、星を見るには適さない。
一度、なぎさは起き上がって辺りを警戒するように ぐるりと見回してみた。
だが、虫の声がするだけで人影は全く見当たらない。
ほのか「どうしたの、なぎさ。誰かに聞かれては いけない話?」
なぎさ「うん、ちょっとね…」
なぎさは ゆっくりと寝転がり、
な「変な風に思わないで聞いて欲しいんだけど…」
…と前置きしつつ、いつになく神妙な面持ちで ぽつりポツリと話を始めた。
な「…あたし、今まで藤P先輩の事が好きだと思っていたし、今でも そうだと
信じてるんだけど、最近『何か違う』って、そんな気がしてならなくて」
ほ「それって つまり、藤村くん を好きなのか どうか分からなくなった、という事?」
な「う…ん。どう言ったら良いのか、よく分からないけど…。 何と言うか、
藤P先輩は多分、アタシに対して悪い印象は持ってない。 それは分かる。
でも良い印象を抱いているかと言えば、それが分からないし、自信も無いし」
ほ「…」
な「それで どうしたら良いのか ずっと考えてて、ある時ふと思ったの。
本当は、『自分は藤P先輩よりも、他の誰かが好きなんじゃないか?』 …って」
なぎさは ゆっくりと起き上がり、更に続ける。
な「…それが いったい 誰なのか考えていたら、いつも私の一番 近くに居る人。
その人が一番 大好きなんだ! …って、気付いたんだ。
つまり、…その、…ほのかの事が」
それを聞いて飛び起きる ほのか。
真摯(しんし)な眼差しで、なぎさが見つめていた。
しかし なぎさは すぐに目を伏せ、小さな胸に堅(かた)く握った拳を当てた。
な「いつも、ほのかの事を思うと この辺りが苦しくて、
息が出来なくなるほど切なくなるの。
『ほのかに、もっと近づきたい』って、そう思っている。 けど…。
…あたし、どこか おかしい。
自分は女、ほのかも女なのに、こんなの変! 変だよ!」
だが ほのかは大いに悩む なぎさの左手を取り、優しく諭した。
ほ「なぎさ、人が人を好きになるのは素晴らしい事なのよ。
なぎさが藤村くんを好きになったのは、
藤村くんが男だからという理由ではないでしょう?
同じように、なぎさが私の事を大好きだというのも、
私が女だからという理由ではないでしょう?」
な「…ほのか…」
ほ「なぎさは おかしくないし、ちっとも変じゃない。
人が人を好きになるのは当たり前の事なんだから。
だから なぎさ、それは変なんかじゃなく、『恋』なの」
な「恋…?」
その単語が なぎさを戸惑わせた。
どう考えても、自分と ほのかの間に「恋」という単語は当てはまらない。
な「そんな、ほのかに恋するだなんて ありえない! ありえないよ!」
ほ「なら、」
…と ほのかが厳しく問う。
ほ「…なぎさは 自分の気持ちを否定して、私と偽りの関係で付き合い続けて、
それで本当に幸せに なれるの?
自分の心を隠したまま、私の前で笑って いられるの?」
なぎさの手を両手で包み込んで近づき、更に続ける ほのか。
ほ「おねがい、なぎさ! なぎさの本当の気持ちを、隠さないで!」
なぎさの頭の中で、ほのかの言葉が重なり合いつつ4度ほど こだました。
その言葉でカッとなった なぎさは、
思わず右手で ほのかの頭を抱き寄せて そのまま唇を奪ってしまった!
なぎさの出し抜けな行動に一瞬ビックリした ほのか ではあったが、
すぐに力を抜いて目を閉じ、為すがまま されるがままにした。
幾らかの間が有ったであろうか。
ふと我に返り、なぎさは自分の採ってしまった突発的な行動に驚いた。
自分の舌を入れそうになった刹那(せつな)、思い止まって ほのかを引き離した。
な「ごめん…」
なぎさは震える右手で自分の口元を隠した。
ほ「…ううん、いいの。それが、なぎさの望む事なら」
いたたまれなくなり、どうしたら良いのか分からなくなった なぎさは、
立ち上がって この場から去ろうとした。
が、ほのか は なぎさの手を離さなかった。
ほ「行っちゃダメ、ここに居て私の話も聞いて」
…。
なぎさは目を伏せたまま、再び しゃがんだ。
- 790 名前:予想係(02/04) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/05/08(日) 14:20:20 [ x/xkgjuc ]
- ほ「私ね、心の中が空虚だった。 ずっと、長い間。
キリヤくんがプリズムストーンを遺して闇の中へと消えてから。
ドツクゾーンで再会して、再び いなくなってしまってから、尚更」
な「…」
ほ「図書館で調べ物をしていても、部活で色々実験していても、みんなと他愛も無い
おしゃべりをしていても、自分が『ここに居る』という感覚が全く無くて。
…自分でも心の中が良く分からない状態に なっていて、
空っぽで、寂しくて、どうにも ならなくて。
だけど、そんな時 いつも心の中で なぎさが微笑んで、
『負けちゃダメだよ、私は ここに居るから』…って、言ってくれるの」
それを聴いた なぎさは、顔を上げて ゆっくりと ほのかの方を見た。
ほのかの頬が、ほんの少し紅くなっている気がする。
な「あたし、…が?」
ほのかは静かに頷(うなず)いた。
ほ「うん。 そして、気付いたら私は なぎさの事ばかり考えていた。
なぎさを心に思えば、不思議と力が湧いてくる。 そんな気がするの。
…私も、なぎさが大好きなのよ。 ずっと前から」
両思い だった。
その事実が、なぎさの心を揺さぶり頬を紅く染めさせる。
更に、ほのかは つかんでいる なぎさの手を自分の やや小さな胸に押し当てた。
ほ「なぎさの事を思い、考えるだけで こんなに胸が高鳴ってドキドキしている…」
押し当てられた なぎさの手でもハッキリと分かる程、ほのかの鼓動は早い。
それを感じて なぎさも何故だかドキドキし始めた。
な(す、少しは落ち着きなさい! 自分!!)
そして、ほのかは なぎさに近づく。
互いの吐息が掛かる程の距離にまで。
ほ「私が望むのは、ただ一つ…」
そう言って ほのかは いきなり両手で なぎさの頭を引き寄せて、濡れる唇でキスをした。
驚いて抵抗しそうになる なぎさ。
しかし お互いの歯が当たり、ほのかの舌が なぎさの口に入っている状態となっていた。
なぎさは覚悟を決めると、ほのかを受け入れ目を閉じた。
歯磨き粉の 香料の匂い。 ふたりが感じたキスの味は そんな風だった。
積極的な ほのかに どんどん押されて、遂に なぎさは後ろに倒される。
そして濃密なディープ キスが2分ほど続いたであろうか。
ほのかが ゆっくりと口を離すと、溢れた唾液が一雫、
糸を引いて なぎさの口へと入っていく。
な「何か、トンデモなく いけない事をしている気がする…」
なぎさが吐露した。
ほ「そうね、確かに普通に生きている人たちから見たら、
これは充分タブーなのかも知れない」
ほのかは否定しなかった。
な「けど、溢れる感情を止められない…!」
ほ「自分の思いを心の中に封じておくなんて、とても出来や しない!」
なぎさが引き起こされて再び ほのかを見る。
一寸の迷いも曇りも無い瞳。そこに自分の姿が映っていた。
な「もっと、近づきたいのに…」
ほ「この身体が邪魔している…」
な「私たちが求めるのは…」
ほ「お互いの、心…」
月の光に照らされる なぎさの肌。
そこへ導かれるように、ほのかは右手で そっと その頬を撫でる。
な「後悔は しないね?」
ほのかの右手に自分の左手を重ね、確認する なぎさ。
ほ「うん」
小さく頷く ほのか。
そのまま なぎさの左手が ほのかの うなじを捉え、ゆっくりと引き寄せる。
そして三度目のキス。
同時に なぎさの右手は ほのかの着ているジャージを潜り、
肌に沿って登って行き、胸へと到達していた。
ほ「ぁ!」
短く小さく、ほのかが叫ぶ。
な「ごめん、痛かった?」
ほ「ううん、逆。気持ちいい」
負けずに お返しと、 ほのかも なぎさのジャージに
スッと左手を突っ込んで、直接 胸を触る。
な「キャん!」
ほ「ね?」
なぎさの悩みは もう完全に吹き飛んだ。
打てば響く というか、振り向けば傍に ほのかが居てくれる。
手を繋げば ほのかの思いが伝わってくる。
迷わず進めば、それで良い。
そんな風に考えつつ、なぎさは もう一度キスをした…。
- 791 名前:予想係(03/04) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/05/08(日) 14:21:23 [ x/xkgjuc ]
- そんな ふたりの様子を、合宿所の窓から覗く視線が二つ。
志穂と莉奈である。
莉奈「…アレって間違いなく、」
志穂「雪城さんと なぎさだねぇ…」
莉「どうする? このまま見守る? それとも…」
志「干渉は良くないでしょ。 けど けど けど、…凄く官能的…」
莉「なぎさ、なんか幸せそう…。やっぱ、邪魔しちゃダメだよね」
志「今 思ったんだけど、こんな所 先生たちに見つかったら非常にマズくない?」
莉「!! 大変…!」
万が一 見つかったなら、不純同性交遊という事で停学か自宅謹慎か、
はたまた生活指導室 通学か。
流石に退学までには至らないかも知れないが、部活の合宿で ここに来ていて、
更に言えば ふたりとも それぞれラクロス部と科学部の部長という
責任 有る立場である以上、退部させられるのも必至であろう。
いずれにせよ、学校側によって なぎさと ほのかの仲が引き裂かれ、
離れ離れになるのは間違い無い。
志「あんなに仲の良い ふたりを別れさせるなんて かわいそう…」
莉「それに、部活動にも大きな影響が出るよ…!」
志「もし もし もし、先生が見回りに来るなら…」
莉「ダッシュで現場に急行、有無を言わさず連れ戻す!」
無言で頷き合い、先生たちの部屋へと偵察に向かう志穂と莉奈であった。
そして、草むらの影からも なぎさと ほのかの様子を伺(うかが)う視線が一つ。
その人はトランシーバーを持って腹ばいの姿勢で草陰に潜んでいた。
アカネ「本部、本部、聞こえる? こちら“宵の茜”、応答 請う」
コードネームのつもりらしい。トランシーバーで誰かに話し掛けると、返答があった。
ひかり「アカネさん? 今どこですか?」
今年も何故かアカネさんが夏合宿に ついて来たのだ。
そして ひかりも色々と お手伝いする為に、合宿所まで お供していた。
ア「訳 有って居場所は言えない。
ただ、温かい飲み物か食べ物を3〜4人前ほど準備しておいて。
ここ、案外 冷えるから…」
ひ「あの、一体どこで何を なさっているんですか?」
ア「だから それは言えない。
用事が終わったら、なぎさと ほのか連れて そっちへ戻るから」
ひ「ハイ、分かりました。あの、アカネさん?」
ア「何?」
ひ「私が そちらに行きましょうか?」
ア「い、いや、それには及ばない。
とにかく20分くらいで そっち行くから、準備して待ってて」
やや慌てるアカネさん。
ひ「はぁ…」
一方の ひかりは何が起こっているのか さっぱり飲み込めないようであった。
ユリコ「こ、こっ、これは千載一遇のシャッターチャ〜ンス!」
星空を開放シャッターでカメラに収める為、三脚とデジカメを持って出たユリコは、
偶然にも ほのかと なぎさの熱愛風景に遭遇してしまったのだ。
ユ「では早速、フレーム内に収めて、と…」
しかし、シャッターを押す前に自分のミスに気が付いた。
ユ「おっと。フラッシュはマズイ、フラッシュは」
- 792 名前:予想係(04/04) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/05/08(日) 14:22:17 [ x/xkgjuc ]
- 「本当だったのね…。部長たちが、あんな所で」
「ね? 言った通りでしょう?」
「スゴイ、ありえない!」
「し〜っ、静かに」
「いいなぁ…、美墨先輩 狙っていたのに…」
「めげない めげない」
「あぁぁっ! 雪城先輩が押し倒された!」
「静かに…!! 実況すな! 同じもの見てるんだし」
「大体素敵ねぇ」
「それ言うなら大胆不敵」
合宿所の窓から、ラクロス部と科学部の後輩たちも見ていた。
教頭「…校長、いつか私を校長に してくれますかぁ…」
校長「私が理事長になったらね…」
この ふたりも合宿に同伴していた らしい。
しかし ほろ酔い気分で仲良く眠っているとは、いったい何をしに来たのやら。
志「どう どう どう? 先生たちの様子は」
莉「OK、問題なし。 どうやら飲み会だったみたいね、先生たち」
志穂と莉奈は教師たちの部屋の前へと来ていた。
無論、不測の事態に備えて である。
莉「で、そっちは どうなってる?」
莉奈が窓の近くまで来て、そっと外の様子を伺う。
志「相変わらず」
莉「あぁ、お盛んね」
暫し無言で見とれる志穂と莉奈であった。
こうして、「美墨先輩、雪城先輩を押し倒す」事件は幕を閉じた。
合宿中に起きた この椿事(ちんじ)の噂は、
アッと言う間にベローネ学院 女子中等部の ほぼ全ての生徒と、
男子中等部や高等部の一部にまで伝わった。
これにより美墨なぎさと雪城ほのか は暗黙の内に女子中等部 公認のカップルとして、
尊敬と畏怖を集める存在となる。
そして、女子生徒から なぎさに来るラブレターの数が
半減するという副作用も発生は したが…。
なぎさが幸せなら、それで良いや。
そんな訳で、この事件のレポートは ここで おしまい。
- 793 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/05/08(日) 14:24:50 [ x/xkgjuc ]
- INDEX >>789-792
今回の執筆・推敲中のBGM
t.A.T.u. 「200 km/h in the Wrong Lane」より
Not Gonna Get Us
All the Things She Said
…プリキュア映画 見に行った帰りに図書館に寄って、借りてきたCDが これでした。
何で借りる気になったのかが 自分でも不思議だ。
- 794 名前:634 投稿日:2005/05/08(日) 14:43:48 [ 6YRP6gvk ]
- 真面目テイストかと思いきや、後半はコメディタッチに。
アハハー、皆にばれてるのw
最近予想も好評だし筆もばっちりっスね。
しかしこうして百合萌えの世界に又一人迷い人がやってきたか…。
とは言うものの、自分も実はプリ以外は百合に興味ないんだけどね。
- 795 名前:833@ 投稿日:2005/05/08(日) 17:29:12 [ vrSTK4Iw ]
- こうして百合萌えラーがまた一人。
正常な人間に悪影響を与える可能性のある自分のSSに少し罪悪感w。
お二方GJです。
- 796 名前:百合萌えスレ14より492氏/即興SS 投稿日:2005/05/08(日) 22:08:37 [ 1DRFrjc2 ]
- .
「なぎささん。ほのかさん。お待た…」
エプロン姿の金髪の少女…九条ひかり…はその細い足を止めた。そしてじっと公園のベンチに座る二人の少女の姿を見つめている。
初夏のきらめく日差しが葉桜の隙間を縫って、蜂蜜色のショートカットの髪の少女と長い黒髪の少女に降り注いでいる。柔らかい風邪が時折彼女たちの髪を弄んでは通り過ぎていった。
…綺麗
ひかりは、思わず心を奪われていた。いつもの公園。いつもの二人。なのに…なぜだかそう感じずにはいられなかった。
ふと、ひかりは黒髪の少女…雪城ほのか…と目が合った。ほのかは真面目な面持ちで自らの唇に人差し指を当てると「静かに」といったジェスチャーをひかりに示した。
どうやらもう一人の少女…美墨なぎさ…のほうは眠っているようだった。彼女はほのかの右肩に頭を預けたまま無防備に瞳を閉じている。
「あの…」
ひかりは声を忍ばせてほのかに話しかけた。
「スペシャルパフェ、できたんですけど…」
あくまで端的に、用件を話す。
「…本当にいい天気よね」
ほのかの返事は意外なものだった。
「え…?」
とまどうひかりに
「ごめんなさい。もう少しだけ休ませてあげたいの」
ほのかは無邪気な笑顔を返した。「いい天気」というほのかの言葉が、なぎさが居眠りしていることに対するエクスキューズだとひかりが理解するのにいくばくかの時間を要した。
「あ、いえ…」
ごゆっくりなさってください、という言葉をひかりは飲み込んだ。たったそれだけの言葉でさえそこの空気を乱してしまいかねないような気がしたのだ。
「む…んにゃ…いただきま〜す…」
ほのかの隣から突然呟きが聞こえた。典型というものを通り越したような寝言。
「なぎさったら〜…」
ほのかは小声で囁くと、大きな瞳を眩しそうに細めてなぎさに微笑みかけた。まるで幼子を抱く母のように。そして体勢を変えないように細心の注意を払いながらポケットからハンカチを取り出すと、なぎさの口の端にそっと押し当ててよだれを拭い取る。
「おーい!ひかりぃ〜!」
遠くからひかりを呼ぶ声が聞こえてきた。
「それじゃ、失礼します」
ひかりは無言でほのかに頭を下げると、呼ぶ声のほうに向かって走っていった。そうして、もう一度二人のほうを振り返った。
あ…
ひかりが彼女たちを見て「綺麗」と思った理由、それがなんとなくわかった気がした。
それは風景でも、色彩でもない。ただ
なぎささんとほのかさんの周りだけ、時間が止まったみたい…
自分でもうまく言えない、そんな印象をひかりは彼女たちから感じ取っていた。
.
- 797 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/05/08(日) 22:10:12 [ 1DRFrjc2 ]
- 【百合萌えスレ14より492氏/即興SS】
百合スレに投下された即興SSを転載。即興ゆえ無題との由。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1114255219/492-493
視点をひかりに固定してかっちり小説的に場面構成。
ひかりの感じ様が、なぎほの二人の醸す雰囲気の間接的描写になっていて、
最後も、ひかりの感慨でそれまでの流れをきれいに纏めるように締め。
地の文と科白の全体的な配置も丁寧。んー、巧いねえ。
- 798 名前:プリッキュアスレより499氏/SS「ステキな彼女」(1/2) 投稿日:2005/05/08(日) 22:11:09 [ 1DRFrjc2 ]
- .
「どんなお話の映画なの?」
大勢の人で賑わう若葉台の街の中を歩く仲良しのふたり。
長く美しい黒髪を揺らし真っ白なロングスカートを軽く風になびかせて
雪城ほのかが訊ねる。
「ん?ん〜とね、七人の妖精を助けるふたりのオンナノコの映画。」
TAKOCAFEのアイスクリームを美味しそうに舐めながら
お日様の光を映し込んだ様な色の少し癖のある髪と
二枚重ねのTシャツにパンツルックでボーイッシュなスタイルの
美墨なぎさが答える。
「マンガ映画かア…それより今、図書館でブレキストン博士の展示物が…」
「ほのかって遅れてるなア!今、凄い話題の映画なんだから!
今日観に行かないと、明日からクラスの話題に乗り遅れちゃうよ!」
「時代遅れ!」だなんてなぎさの酷い言い草!
「むぅ…」ちょっと腹を立てちゃうほのか。
「ほらほら!わたしのアイスクリーム分けてあげるから機嫌直して!」
差し出されたなぎさ食べ掛けのアイスを目の前に差し出されて
これって間接キッス!?なんて思いながらも
オンナノコ同士なんだから考えすぎカナ?と思い直してぺロッと舐める。
「ほのか、あそこ見て」なぎさが指差す方向に大きな木。
その木の下で小さなオトコノコが泣いている。
傍らでおばあちゃんらしき人が困った顔。
「ちょっと聞いてくる」
おせっかいだなあなんて呆れちゃうけどそこがなぎさのいい所。
そんななぎさが大好きなほのかは笑いながらなぎさの後を追いかける。
「どうしたんですか?なるほど、オトコノコに買ってあげた風船を
うっかり手を放してしまって、木に引っかかっているという訳ですか」
見上げると大きな木の一番上に
引っかかっている風船は米粒のようにしか見えない。
「そうなんですよ、代わりの風船を買ってあげると言っても
この子ったら聞き分けてくれなくて…」
「コラ!オトコノコなんだから泣かないの!すぐに取って来て上げる!」
「なぎさ!危ないよ!」
「平気、平気!あの風船が好きなんだもんね?」
止めるまもなくスルスルと、木を登っていくなぎさ。
- 799 名前:プリッキュアスレより499氏/SS「ステキな彼女」(2/2) 投稿日:2005/05/08(日) 22:11:58 [ 1DRFrjc2 ]
- .
いつの間にやら周囲には大勢のギャラリーが集まり、
ひやひやしながらなぎさの木登りを見守っている。
けれども「大丈夫かしら…」なんて心配する暇もなく
あっという間に木の頂上に。
なぎさは風船を捕まえると地上のほのか達に軽く手を振る。
周囲の観客達も拍手喝さいの大騒ぎ!
――凄い!中学生?カッコイイ!何て名前かなア?
まるで自分が誉められたみたいでちょっと鼻が高くなっちゃうほのか。
「あらまあ本当にありがとう。素敵な彼氏ね」
「…え?彼氏?誰が?誰の?なぎさと?わたし?」
「あら、違うのかしら?とっても仲がよさそうで
素敵なカップルだと思うんだけれども…」
――ざわざわ…あの娘の彼氏だって
――ざわざわ…ちぇっ!タイプなのになア
――ざわざわ…カッコイイオトコノコとカワイイオンナノコのカップル!
――ざわざわ…お似合いだよねー!
周囲の嫉妬と羨望入り混じる大きな誤解の中
ナンニモ知らないなぎさが風船片手に降りてきた。
「はいコレ。もう失くしたり、おばあちゃんを困らせちゃダメだゾ!」
「うん!ありがとう!おにいちゃん!」
「お…お兄ちゃん?」
「うふふふ…」
――もうダメ。ガマンできない。
なぎさの手を掴みその場を逃げ出すように走り出すほのか。
「ちょ…ちょっと!ほのか!どういう事?」
「イイからイイから!気にしない気にしない!
急がないと映画始まっちゃうよ!美墨クン!」
おしまい
- 800 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/05/08(日) 22:13:03 [ 1DRFrjc2 ]
- 【プリッキュアスレより499氏/SS「ステキな彼女」】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/499-501
まあ毎度インデックスを作るたびに、みなさま職人の方々のSSを
ざっと読み返してみたりするわけですが
なぎほのSSとしては、833@氏の>>731-735のような
ヤバいくらいにエロ切ない異色作もある一方で
上プリッキュアスレの職人さんのすっきりした淡い百合SSもあるわけで
やっぱりなぎさ-ほのか関係の妄想は無限だな、と思うことしきりでありますよ
匆々
- 801 名前:プリキュアSS作品INDEX_701-800(1/2) 投稿日:2005/05/08(日) 22:16:29 [ 1DRFrjc2 ]
- 作品INDEX_001-100 >>101-102 作品INDEX_101-200 >>201-202
作品INDEX_201-300 >>301-302 作品INDEX_301-400 >>401-402
作品INDEX_401-500 >>501-502 作品INDEX_501-600 >>601
作品INDEX_601-700 >>701
.
【ネタSS「雪城ほのか 〜百合の闘牌〜」】 >>702-703
作者:833@氏
【SS「夏の海ってマジヤバくない?お熱くたってINじゃない?!」】 >>708-712
作者:634氏
【ネタSS「プリキュア もしもシリーズ 自動車教習所編」】 >>718-727
作者:予想係(呑気)氏
【百合SS「My Foolish Heart」】 >>731-735
作者:833@氏
【SS「なぎさ の顔が しょっぱくなってた、本当の理由」】 >>739-742
作者:予想係(呑気)氏
【ショートコント「祭り」】 >>743
作者:小説スレの743氏
【百合SS「いつかの王子様」】 >>>744-745
作者:634氏
- 802 名前:プリキュアSS作品INDEX_701-800(2/2) 投稿日:2005/05/08(日) 22:17:30 [ 1DRFrjc2 ]
- .
【百合SS「恋情縹渺」】 >>751-753
作者:833@氏
【SS「Max Heart 最終回シミュレート」】 >>759-763
作者:予想係(呑気)氏
【連載・kaoru氏のプリキュアSS】 >>767-768, >>773, >>776, >>778
作者:kaoru氏
【百合SS「絆」】 >>781-785
作者:634氏
【SS「星空の許で(百合版)」】 >>789-792
作者:予想係(呑気)氏
【SS「葉桜の蔭」】 >>796
作者:百合萌えスレ14より492氏
【SS「ステキな彼女」】 >>798-799
作者:プリッキュアスレより499氏
※題名には便宜的な仮タイトルも含まれます
- 803 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/05/08(日) 23:12:32 [ EbWHdl8g ]
- いつの間に!Σ(゚Д゚)
えと、転載ありがとうございます。796の中身です
…ってか、正体ばれてるよね?
ここもしばらく来ない間に盛況になりましたね
(たまの休みにちらほら読んではいましたけど)
それでわ
- 804 名前:833@ 投稿日:2005/05/09(月) 00:48:26 [ keNxz.MA ]
- まとめ乙です。
>803
私の勘では多分あの人だろうなぁ。と思いながらも
謎のままであったほうが面白そうなので何も言わないでいますw。
また投稿してくださいね。
では自分も新作投下。
- 805 名前:833@ 投稿日:2005/05/09(月) 00:54:25 [ keNxz.MA ]
12月22日
期末テストも終わり生徒達の意識は既に冬休みへと向かっていた。
短縮授業も終わり美墨なぎさと雪城ほのかはいつものように一緒に下校していた。
「もうすぐクリスマスね」
寒くても晴れた空を見上げながらなぎさが呟いた。
「そうね、なぎさはどうするの?」
なぎさの方を向きながらほのかが訊ねる。
「あたし!?」
なぎさがほのかも驚くような驚き方をする。
「あ…あたしは……。えーと、その……」
なぜか慌てふためく。数度深呼吸をしてようやく気分を落ち着かせる。
「ほ…ほのか!」
改めてほのかと真正面から向かい合う。
「ど…どうしたの?なぎさ」
なぎさの迫力にほのかも思わず後ずさりする。
「一度しか言わないからよーく聞いてね……」
ほのかの両肩を掴んでなぎさがもう一度深呼吸をする。
「ほのか、あたしは……」
「なぎささ〜〜ん!!」
なぎさの言葉は途中で遮られた。
「あ、ひかりさん」
遠くから聞こえた声の主の名前をほのかが呼ぶ。
「こんにちは、ほのかさん」
名前を呼ばれたひかりがほのかに挨拶をする。
「どうしたの、ひかり?」
大事なことを言おうとした途中で遮られたせいか気の抜けたような声で答える。
「なぎささん。アカネさんがなぎささんにこれを渡してくれって」
そう言うとスカートのポケットの中から一枚のチラシを取り出す。
そしてそれを丁寧に広げてなぎさに手渡す。
「なになに………!!」
気だるそうにチラシを広げたなぎさだったがその広告を見た途端に目の色が変わってしまった。
なぜならチラシに書かれていた内容はとある喫茶店のクリスマスチョコ食べ放題キャンペーンだったのだから…。
「こ…これは………」
チラシを持っている両手をプルプルと震わせながらなぎさは喜びを噛み締める。
「急いだほうがいいですよ。キャンペーンは4時までだけらしいですから」
ひかりが急かすように畳み掛ける。なぎさの目はもはや完全にまだ見ぬチョコレートを捕らえていた。
「うん、今から行ってみるよ。ほのかは行く?」
なぎさが放っておけば今にも飛び出しそうな勢いで訊ねる。
「私はいいよ」
「そっか……」
「うん。じゃあね」
なぎさは手を掲げると逆方向へズドドドという擬音が出るかのように走り出していってしまった。
「……………」
走り去るなぎさの姿を見つめながらほのかはわずかに寂しそうな表情をした。
「ほのかさん?」
その表情を見つめたひかりが心配そうにほのかに訊ねる。
「ううん、何でもないよ。じゃあひかりさん」
「あ……はい!」
ひかりに別れの挨拶をしてほのかは自宅の方向へと一人歩いていった。
その後ろ姿が、なぜか酷く暗いようにひかりには思えた。
- 806 名前:833@ 投稿日:2005/05/09(月) 00:55:30 [ keNxz.MA ]
12月24日
天皇誕生日という祝日を一日挟んでベローネ学院は終業式を迎えた。
終業式は体育館で行われた。が校長の話など誰も真面目に聞いていない。
生徒達の頭は既に午後から始まる冬休みをどのように過ごすかということでいっぱいであった。
なぎさは自分にとって最悪の行事である通知表返却、冬休みの宿題などはてきとーに済ます。
そして先生の号令とともに二学期の終了が告げられた。
今日もまたなぎさとほのかは同じ帰り道を並んで歩いていた。
「ほのか……」
緊張した面持ちでなぎさが呼びかけた。
「なあに?」
いつもの笑顔でほのかは呼びかけに答える。
「今日は………暇?」
「うん……、ずっと家に居るけど……」
「じゃあ、今からほのかの家に遊びに行っていいかな?」
ぎこちない声で遠慮気味に訊ねる。
「うん。いいよ」
嬉しそうな声をあげて快く承諾する。
ほのかの家に辿り着くまでの間なぎさはずっと黙っていた。
心配そうに何度かほのかがなぎさを気遣うが、なぎさは大丈夫。と手を振るだけだった。
「ただいま〜」
「おじゃまします……」
雪城家の引き戸を開けてなぎさとほのかが玄関へと上がる。
「お帰りなさいほのか。あ、なぎささんいらっしゃい」
帰ってきた孫とその親友をほのかの祖母である雪城さなえが笑顔で出迎える。
なぎさはほのかの部屋と入ると鞄を放り投げてベッドに座り込んだ。
「ほのかもこっち来て座って」
いつもと同じ笑顔でほのかに隣に座るように言う。
「?」
なぎさに言われるがままにほのかはなぎさのすぐ横に腰掛ける。
スッとなぎさの手がほのかの頬に触れた。
「なぎさ……?」
戸惑いを隠せないほのかは少し緊張感と不安を持った様子でいる。
「一度しか言わないからよーく聞いてね……」
もう片方の手でほのかの片腕を掴み力を籠める。
一度目を閉じて大きく深呼吸をし、一気になぎさは言った。
「あたしはほのかのことが好き……」
「……………………わかるよね?」
……………
お互いに言葉を一言も発さない。
なぎさは恐怖心から目を閉じて、ほのかは呆然とした表情を浮かべる。
ありったけの勇気を振り絞りなぎさが目を開け目の前のほのかを見つめる。
う……
誰かの嗚咽が聞こえた。
誰かでは無い。この部屋には自分以外には一人しか居ないのだから。
「ほのか……」
目の前でむせび泣くほのかの名前を呼ぶ。
「う……、嬉しい……」
右手で零れる涙を拭いながらほのかが自分の気持ちを告白する。
拭っても拭っても涙が零れ続けた。
涙で濡れた顔を見られ無い様にほのかはなぎさの胸に顔を埋めた。
「嬉しいよ、なぎさ。私も……私もなぎさのこと好き!」
さっきまで頬に触れていた手をほのかの背中に回し抱きしめる。
- 807 名前:833@ 投稿日:2005/05/09(月) 00:56:33 [ keNxz.MA ]
- パンッパンッパンッ!!
「!?」
「!!」
どこからともなく突然鳴ったクラッカーの音に驚いた二人が辺りを見渡す。
「おめでとうほのか!」
「よく言ったぞなぎさ!」
「いいないいないいな〜〜」
ベッドの下から、クローゼットの中から、天井から、莉奈、志穂、ユリコが飛び出す。
「ユ…ユリコ!?」
「志穂!?莉奈!?」
追い討ちをかけるようにふすまがガラッと開けられパンパンとクラッカーが二発鳴らされた。
「おめでとうなぎさ!ほのか!」
「おめでとうございます。なぎささん、ほのかさん」
ニッコリと笑いながら藤田アカネと九条ひかりがそこに立っていた。
「ひかり!アカネさん!?」
「どうしてここに?」
至極当然の疑問をほのかが投げかける。
「いやー、さなえさんに頼んでね。こっそりと隠れてたんだ」
頭に手を当てて笑いながらアカネがあっけらかんとして答える。
「いいもん見させてもらったよ……」
「……………」
なぎさとほのかはもはや開いた口が塞がらない……。
「一度しか言わないからよーく聞いてね。あたしはほのかのことが好き。……………………わかるよね?」
「う……、嬉しい……。嬉しいよなぎさ、私も……なぎさのこと好き!」
志穂と莉奈がさきほどの二人の行動をそっくりそのまま再現する。
頬に当てた手も抱きしめシーンも完璧に再現しています。
「だーーーーーー!何やってんのよ!!」
顔を真っ赤にしてなぎさが大声で叫ぶ。
「美墨さんって大胆なのねぇ……」
ポンとなぎさの肩を叩いてユリコが笑いながら言った。
「ありえない…………」
ほとんど半泣きのような様子でなぎさが言った。
「さぁさぁ、クリスマス会を始めよう。たこ焼き用意してるから」
アカネとひかりが両手にたこ焼きのパックを持って再び部屋に戻ってきた。
「おお!!」
志穂と莉奈が諸手を上げて叫ぶ。そしてクリスマス会が始まった。
- 808 名前:833@ 投稿日:2005/05/09(月) 00:57:59 [ keNxz.MA ]
- いつの間にだろうか…………。すっかりと日も暮れていた。
「だからさ。どうせならクリスマスに告白してもらって盛り上げようと思ったんだ」
「ごめんなさい、なぎささん」
2日前になぎさの告白を遮ってしまったことをひかりは謝った。
全てはアカネさんの差し金であったわけだが……。
「ははは、もういいよ」
たこ焼きを頬張りながらなぎさはあっさりと全てを水に流す。
「ねっ、ほのか!」
ほのかのほうを振り返って同意を求める。
「……………………」
俯いたままほのかは答えない。
「ほのか…………?」
「え?」
ようやくなぎさの呼びかけに気づいたようであった。
「あれ……………………」
突然ほのかの頬を涙が一筋垂れた。
「どうして…………私…………」
必死に涙を拭い取ろうとするが零れる涙は止め処なく流れる。
「嬉しいのに…………なぎさと両想いになったのに…………」
「ほのか…………」
フッと表情を緩めたなぎさがほのかを正面だから抱きしめる。
「なぎさ…………」
先ほどと同じようになぎさの胸にほのかは顔を埋める。
「嬉しくて泣くこともあるよ。誰も見て無いから、泣いていいよ…………」
「ごめんなさい……なぎさ…………」
全身を震わせてほのかの瞳から大粒の涙が零れた。
暫くの間、二人はそのままでいた。
二人だけでなくその場に居た全員が喋らず、そして動かなかった。
「もう大丈夫…………?」
ほのかの目尻の涙を人差し指で拭い取ってあげる。
「うん…………」
ようやくほのかが笑顔を見せた。
「ほのか、目閉じて…………」
ほのかの両頬に両手で触れながらなぎさが言った。
言葉の意味を全て理解して、そしてほのかは両目を閉じた。
莉奈、志穂、ユリコ、ひかり、アカネ…………
多くの人が二人を見つめているにも関わらずなぎさはスッとほのかの顔を引き寄せる。
ゆっくりとほのかとの唇の距離を縮めていく。
唇が触れようとしたその直前、なぎさも両目を閉じる。
そして二人の唇が一つに重なった。
オオオオオオオオオ。という歓声があがったが二人は気にしなかった。
甘くて情熱的な初めてのキスだった…………。
瞳を薄く開き、頬を染め、二人だけの空間でじっと見詰め合う二人。
今度はほのかがなぎさに瞳を閉じて顔を近づける。応じるなぎさも瞳を閉じる。
そのあまりにも甘美な光景に莉奈は「うわぁ…」と声をあげ、
志穂は両手で隠した隙間からこっそりと見つめ、ユリコの眼鏡は30度ほど傾いた。
アカネは片手でひかりの視界を完全に覆い隠す。
「ほら、あんたたち。外野は退場するよ」
そのままひかりを抱え、アカネは部屋を出た。志穂、莉奈、ユリコも続く。
部屋に取り残されたことにも暫くの間二人は気づかなかった。
「あれ……?みんな帰っちゃったのかな?」
「そうみたいね…………」
ようやく瞳を開けたなぎさとほのかがすっかり静かになった部屋を見渡して言った。
「じゃあ………二人きりだね………」
「う………うん………」
気づいてはいたが口に出されて言われるとなんだか照れくさかった。
「ベッド行こうか?」
「きゃっ!?」
ほのかの首と膝の裏を腕に乗せてお姫様だっこと呼ばれる体勢でなぎさがほのかを運ぶ。
「な…………なぎさ!?」
両手を動かして微かに抵抗の素振りを見せる。
しかしなぎさの無言の微笑みにほのかの抵抗しようという意志はすっかり消されてしまった。
慎重に慎重を重ねながら首の裏に腕を通したままほのかの体をベッドの上に横たわらせる。
そしてベッドに乗りほのかのすぐ横になぎさも横たわる。
もう片方の手を上から通し、首の裏に通した手と重ねて首をガッチリとロックする。
優しい微笑みを浮かべたままなぎさは顔を再びほのかに近づける。
羞恥で顔を真っ赤にしながらほのかは三度瞳を閉じた。
なぎさは自分の想いを籠めるように力をかけてほのかの唇に自分の唇を重ねる。
「ん………んんっ………」
苦しそうにほのかの口から息が漏れる。抵抗するようにほのかがなぎさの両肩を押して強引に引き離した。
「もぅ………なぎさってば………」
困ったような笑顔を浮かべるほのか………。一方のなぎさは満面の笑顔で応じる。
「明日から冬休みだし、今日はほのかの家に泊まってもいいかな?」
答えのわかりきった質問をあえてした。それは最後の確認のため………。
「うん………、泊まっていって………」
満面の笑顔でほのかは答えた。なぎさもうん!と笑顔で頷いた。
二人の長い夜はまだ始まったばかりだ……………………。
完
- 809 名前:833@ 投稿日:2005/05/09(月) 00:59:46 [ keNxz.MA ]
- いつの間にかこのスレも800を超えていたとはなぁ……。
私が一週間書いてたと時はまだ400いってなかった気がするけど…。
うーん、本当に早いものですね。
ちなみに私の頭に季節感という言葉はありませんw。
- 810 名前:予想係(呑気) (hNYcMgTU) 投稿日:2005/05/09(月) 02:29:25 [ IT/7LB6E ]
- あぅあぅあ…。 もう、理性が吹っ飛びそうです!
GJ!
- 811 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/05/10(火) 00:51:48 [ P2EqFkjk ]
- 833氏、634氏の新作キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
Gj
- 812 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/05/22(日) 12:32:21 [ 1DvI9MEQ ]
- 【光に】美墨なぎさ応援スレッド4【なりたい】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1104849206/733
なネタから。バニラ味を派手に顔や胸に巻き散らかしたと想像(;´Д`)ヤラヒィ
白濁した液をちりばめたなぎさの困り顔に心の中では
ムッハーなんて卑猥な、と嘆息するも表情にはおくびにも出さずに
なぎさの顔を両手で包み込み、舌で飛び散ったアイスを舐め取るほのか。
「ほ、ほのか?」
「うごかないで。溶けたアイスが飛び散っちゃう」
気恥ずかしいはずの行為なのに、些細なことであると言わんばかりのほのかの口調に
なぎさはしどろもどろでうなずくしか出来なかった。
今の年頃の女の子は、友達同士のスキンシップが時にやや過剰なボディタッチとして
現れることは珍しくない。それを変に意識し始めるとキリがないということは
なぎさも承知だった。
とはいえ、それは普段おとなしい様相のほのかからは想像し難い行いで、
意外な行為になぎさは意識を向かせざるを得なかった。
舌が触れるたび、熱っぽい吐息が頬にかかるたび、顔が上気し体が熱くなっていく。
口唇の湿り気を帯びた音が耳に届くたびに、今まで感じたことの無い甘い疼きのような
感覚がなぎさの中に着実に生み落されていった。
ほのかの溶けたアイスを舐め取る舌は徐々に顔を下がり、なぎさの唇の端を
名残惜しそうに軽くぺろりとひと舐めして、更に降りてゆく。
ホックが何時の間にか外されたリボンタイを唇で上手にくわえて退かし、
いつも開襟して覗いているそこへ。
「ひゃ……!」
悪寒に似た、けれども異質な戦慄がなぎさの背を駆け下りた。
ぼうっと鈍った頭の芯が一瞬だけ鮮明になり、そしてまたすぐに甘い痺れが広がる。
「ほのかぁっ……そんなとこまで、ついてないでしょっ……」
「ううん、ついてるの。なぎさにはわからないだけよ。
自分の首筋なんて鏡でも使わなければ見えないでしょう?」
「で、でも……」
未体験の感覚に戸惑い、上気してわずかに潤んだ瞳でほのかを見上げた。
「心配しないで、わたしにまかせて(はぁと)」
ほのかは何時もの笑顔でなぎさに応える。
湧き上がってやまない感情を抑えるために、一瞬だけ、眉をひそめかけたのだが――
なぎさはそれに気がつかなかった。
もうがまんできなーい!なほのかさんと、餌食になるなぎさたん。
感度良過ぎ胸タッチぐらいでイキそうだなこのなぎさ(;´Д`)描写凝り過ぎた
- 813 名前:634 投稿日:2005/05/25(水) 22:42:54 [ 9zGwb4gY ]
- 「なぎさが事故に遭ったって…まさかね…」
「ウソウソウソ!絶対嘘だよ…ね、雪城さん、嘘だよね?」
まるですがるように、志穂がほのかに聞いてくる。
「もちろん…。嘘に決まってるじゃない…。だってなぎさだもん、大丈夫よ…」
しかしその言葉とは裏腹に、ほのかの顔もは他の二人と同じような表情である。
再び重苦しい沈黙が辺りを支配する中、ただ時間だけが過ぎて行く。
だが突然、志穂が何かに気付いたのか口を開く。
「あれ?あれってもしかして…なぎさのお母さん?」
そう言って指差す先には、確かに憔悴しきった表情で歩いて来るなぎさの母の姿が見える。
その姿を見て、ある事態が三人の頭をよぎる。
「ねぇお母さん、なぎさじゃ無かったんでしょ?そうでしょ?」
そんな不安を打ち消すように、母を問い詰める莉奈。
「………」
しかしそれには答えずに、母は無言で利奈を見つめる。
だが、その目に光る物が現れた瞬間、言葉にならない激しい嗚咽をもらしだした。
最悪の形で的中した予感。
「…うそ…ウソ―――ッ……」
「イヤイヤイヤ―――」
泣き崩れる莉奈と志穂。
「…ウソ…」
頭が思考する事を辞めて行く。
ほのかは皆とは別に、一人茫然と立ち尽くすのであった。
* * *
何処をどう帰ってきたかは分からない。だがふと気付くと、ほのかは自分の部屋に居た。
まだボウとする頭で、月明かりに照らされた薄暗い部屋の中をグルリと見回してみる。
その目に映るのは、当たり前のことだが見慣れた机、見慣れたベッド、そして見慣れた写真…
―――あの写真は……
フラフラと引き寄せられるように近づき、手に取ってジッと眺める。
そこに写っているのは二人の思い出。
「なぎさ…」
―――…
一粒の涙が、なぎさの笑顔に落ちて行く。
それを機に今まで無意識に抑えていた感情が爆発する。
「どうして…?どうして?なぎさ…。どうして勝手に居なく無っちゃったの…?
私これからどうすればいいの!?なぎさの居ないこれからを、どうやって過ごして行けばいいの!?」
まるで体内の水分が全て枯れ果ててしまうかの様に、目から涙が溢れ出てくる。
「大丈夫だよ…」
だが突然、耳元で聞き慣れた声が囁いて来る。
「!?」
その声に思わずほのかが振り向く。
「ほのかを一人残して、あたしがどっかに行っちゃう訳無いじゃない」
そこにあったのは、自分に優しく微笑みかけて来るなぎさの姿。
信じられない光景に、思わず涙を忘れる。
「…なぎさ?…これって夢?」
「違うよ…」
「…本当になぎさ?」
「うん」
「本当に?本当になぎさなの…?」
信じたく無いかのように繰り返し聞いてくるほのかに、なぎさがクスッと笑いながら答える。
「本当だって…。家に戻ったらさ、ビックリしたよ。なんかあたし死んだ事になってるでしょ?そりゃ確かに
チョコパフェ食べ放題で食べ過ぎて死にそうにはなったけど…。でも大丈夫。あたしはココに居るし、
勝手になんか居なくならない。…だからほら、涙拭かなくちゃ。そんな顔じゃ百面の恋も一気に冷めちゃうでしょ?」
冗談ぽく答えるなぎさに
「百年でしょ…」
といつもの様に突っ込みを入れてようやく笑顔をみせるほのか。
「アレ、そうだっけ?」
「フフ、そうよ…」
見つめあい笑い出す二人。
だがそんなほのかの目に再び涙が溢れて来る。
「おいで、ほのか…」
気持ちを察し、両手を広げるなぎさ。
そしてその胸にほのかが飛び込んで行く。
「ねえなぎさ?さっきの言葉、約束だからね?」
「うん、絶対約束する。いつだって一緒だからね、ほのか…」
そして静かに唇を重ねあう二人。
月明かりに照らし出された二人のシルエットは、いつまでもそのままであった。
- 814 名前:634 投稿日:2005/05/25(水) 23:02:15 [ 9zGwb4gY ]
- ちなみになぎさはパフェ食いすぎで病院に担ぎ込まれました。
ママが勘違いした理由はたまたま同姓同名がいたって事でご勘弁を。
- 815 名前:833@ 投稿日:2005/05/26(木) 01:02:34 [ jH85wSQ2 ]
- いざ投下させて頂きます。
なんでか知らないけど無駄に長くなってしまいました。
- 816 名前:833@ 投稿日:2005/05/26(木) 01:03:28 [ jH85wSQ2 ]
清々しく晴れた雲一つ無い青空だった。
天気の良い日曜日。軽く外を歩くには最高と言えるような天候である。
その天候の下、地元の小さな市民会館で故美墨なぎさの葬儀がしめやかに行われていた。
部屋の正面に設えられた祭壇には、遺体の入っていない棺が安置され、
そのすぐ下で僧侶が告別式の読経を続けていた。
祭壇の左側の遺族席では喪主である美墨岳が坐り、次いで美墨理恵、美墨亮太と故人の家族が坐り、
その他の親族・姻戚が二列に渡って列なっている。
そして右側の告別式参加者席にはベローネ学院の制服を着た多くの生徒の姿があった。
雪城ほのか、高清水莉奈、久保田志穂、越野夏子、森京子、谷口聖子、森岡唯、矢部千秋、柏田真由。
その他なぎさのクラスメート全員が出席した。
生徒会長を初めとした生徒会の役員。また担任の竹之内よし美そして学院の教頭・校長の姿もあった。
読経が続く中で、雪城ほのかは祭壇の上に掲げられている美墨なぎさの遺影を見上げていた。
キリッとした眉、見開かれた目、見る者を幸せにするような笑顔。
生前のなぎさの逞しさ、生き生きとした様子の表情が参列者たちを見つめていた。
そしてほのかは自分の背中への静かではあるが厳しい視線を感じていた。
それはなぎさのクラスメート達の眼であった。
話は数週間前に遡る………。
「おめでとう!一等賞の3泊4日船の旅、大当たり!!」
商店街の店主は手に持っていたベルを大きく振り回し、
商店街中に聴こえるかのような大きな音を出し一等賞の出現を宣言した。
「凄いじゃん!良かったね!ほのか!!」
一等賞の黄金の玉を引き出した親友の幸運をなぎさは全力で祝福した。
「え……う、うん……」
戸惑いを隠せない様子でほのかは頷いた。
今日は部活が無かったので期末テスト無事終了記念お祝いパーティー(なぎさ主催)に参加し、
本来は二人で商店街のチョコパフェを食べに来ただけであった。
その後何とはなしに二人で服を見たり、クレーンゲームで人形をとってもらったり、
なんかデートみたいだね。となぎさに言われて少し嬉しかったり。
そんな何気ない日常を過ごしていた。そしておまけとしてこのイベントに参加しただけであったのだ。
「でも私この日は科学部の発表会があるのよねぇ」
二人並んで夕暮れの帰り道を歩いていた。
「ええ、そんなのどうでもいいじゃん。それよりも船の旅だよ!」
科学部の発表のために当たった旅を諦めるのなどとんでもない。という風になぎさは言った。
「それに、おばあちゃまも心配だし……」
「勿体無いよ。せっかく当たったのに」
未練たらたらといった様子でなぎさが落ち込んでいる。
指を唇に当てて考えていたほのかがふと思いついた。
「それじゃあ、これなぎさにあげるよ」
「え!?ちょ…ちょっと待ってよ!」
そんなことを言われるとは微塵も思っていなかった様子で急に慌てだす。
「もともと福引出来たのもなぎさが買い物したからだし、なぎさにあげるよ」
「わ…悪いよ、そんなの!」
両手を顔の前でぶんぶんと振って拒絶の意志を見せる。
「ううん。誰かが行ったほうがいいよ。それにラクロス部は確か休みでしょ?」
はい。と強引にチケットをなぎさの手のひらに載せてしまう。
「うん、夏休み開始直後だし……。でもいいの?」
まだ少し躊躇している様子のなぎさをほのかが後押しするように言う。
「うん、私の代わりに楽しんできて。その代わりお土産買ってきてね」
「もちろん!ちゃ〜んと買ってくるよ!」
……………
「なぎさなぎさなぎさ。夏休みに船で旅行するんでしょ?」
「私たちの分もお土産買ってきてね!」
翌日以降なぎさが自分から夏休みに船で旅行するという話をしたために、
クラス全員にその話は知れ渡り、そしてなぎさはクラス全員からお土産を頼まれていた。
「本当にごめんね、ほのか。ほのかも行きたかったでしょ?」
「ううん、もういいのよ。なぎさが楽しんできてくれれば私も嬉しいよ」
そして同時に本来は雪城ほのかが行く予定であった船の旅に、
雪城ほのかが行くことが出来なかったから美墨なぎさが行くことになったということも知られていた。
長い夏休みが始まった最初の日になぎさは出発した。
「じゃあ行ってきます!」
「行ってらっしゃい。気をつけて楽しんでくるのよ」
前日は心配のあまり四度もなぎさの荷物を確認した母親の理恵も快くなぎさを送り出した。
「お土産よろしくね〜」
弟である美墨亮太も異国へ旅立つ姉を多少羨望の篭った眼差しで見送った。
そしてなぎさは旅立った。
この時、誰があんなことになるだろうと予想しただろうか……。
……………
- 817 名前:833@ 投稿日:2005/05/26(木) 01:04:10 [ jH85wSQ2 ]
「……………」
夏の日差しが差し込む理科室の窓からほのかは青空を見上げていた。
「また美墨さんのこと考えてるの?」
ハッとして振り向くとそこには白衣姿のユリコが立っていた。
「ユ…ユリコ!べ…別に私は……」
慌てて否定するも顔が赤く染まっている状況で誤魔化される者など居ない。
「はいはい。発表会は明日なんだからちゃんとしてね」
「大丈夫です!」
「それに、心配したって美墨さんは明後日までは帰ってこないんだからしっかりしてよね」
「大丈夫だってばぁ〜」
少し頬を膨らませてほのかは怒ったような表情を見せる。
その様子を見てはいはい、とユリコは笑いながら立ち去っていった。
……………
研究発表会を無事終えた翌日、
ほのかとユリコは学校帰りに備品の購入のために商店街へ繰り出した。
二人が電気屋の前を通りがかった時
「美墨なぎささん14歳」
「え?」
ほのかは後ろを振り返った。確かに聴こえた美墨なぎさという言葉。
音の発信源は電気屋の最新型の巨大テレビ79800円というものだった。
呆然としたままほのかはその画面を見詰めていた。
「ほのか?」
立ち止まったほのかに気づかずに先へ進んでしまったユリコが戻ってきてほのかの名を呼んだ。
「日本海沖で発生したタンカーと激突して沈没した船の乗船者の名前をお知らせしました」
「!!」
「なお、この事故の乗客の生存は絶望とされています」
「!!」
無情の声がほのかの耳を通り脳への叩きつけられた。
あまりに唐突過ぎる出来事に対処することが出来ない。何が起こったのかわからない。
呆然とテレビの前に立ち尽くす。
巨大テレビのアナウンサーは再び同じニュースを報道した。
日本海沖で発生したタンカーと客船の衝突事故
客船の沈没
乗船客の生存は絶望的
グラッ
「ほのか!」
傾いて倒れそうになったほのかの体をユリコが慌てて支える。
荷物を放り出して支えたほのかの体はガクガクと震えていた。
「嘘………」
ポツリと呟いた。ユリコに聞き取ることの出来ないような小さな声。
「嘘…嘘…嘘!!」
段々と声量が大きくなり、感情の激しさが増す。
「嘘!嘘!!嘘!!!嘘よ!」
何もかもが信じられないようにほのかはテレビの前で叫び続けた。
「ねぇ、ユリコ!嘘よね!!嘘だよね!!」
ユリコの肩を掴んで何度も力強くその体を揺さぶりながらほのかは訊ねた。
「ほのか………」
ユリコはほのかから視線を思わず逸らす。
目の前のほのかの表情はとても正気の人間とは思えないようなものであったから…。
ユリコはその日何とかほのかを落ち着かせて雪城家へと送り返した。
そして後日、なぎさの葬儀の知らせが美墨家からベローネ学院へ伝わり生徒全体へと伝わった。
事前に知っていたのはほのかとユリコ、そして莉奈と志穂だけだったと言う。
……………
- 818 名前:833@ 投稿日:2005/05/26(木) 01:05:31 [ jH85wSQ2 ]
読経の声が止み、ほのかはハッと我に返った。
「ご遺族の方のご焼香でございます。喪主の方からどうぞ」
僧侶が立ち上がると恭しく遺族の方へと礼をした。
喪服に身を包んだなぎさの父親である喪主の岳が立ち上がった。
必死に悲しみを堪え焼香台の前で両手を合わせ、暫しの間長い合掌をした。
その姿にそれまで気丈に耐えていた理恵の眼に涙が噴き上げ、居並ぶ他の遺族も目を潤ませた。
遺族の焼香が済むと次いで参列者の焼香へと移った。
まず雪城ほのかが立ち上がり、そして焼香台の前に立った。
ほのかは一度なぎさの遺影を見つめその後霊前に静かに焼香した。
新たな香煙が立ち昇り棺の上に小さな輪が舞った。
ほのかは長い合掌の間、背後からの視線をずっと背中に感じ続けた。
先ほどから感じているものと同じ、それはクラスメートの視線であった。
閉じていた瞳を開き、ほのかは再度なぎさの遺影を見上げた。
キリッとした表情で遺影を見つめるとほのかは歩いて席へと戻り久保田志穂に次を促した。
(雪城さんがなぎさにあんなチケットを渡さなければ……)
(あの子のせいでなぎさが……)
(人殺し……)
言葉には決してならないであろうそんな感情をほのかは感じた。
しかしほのかはそれらの視線を振り払った。背筋を伸ばしキチンとした姿勢で席に腰掛ける。
ふと隣に視線を向けた。ほのかの隣には志穂、更にその隣には莉奈が坐っていた。
志穂、莉奈、二人ともがハンカチで溢れ出る涙を拭い続けていた。
涙が止まることはなく流れ続ける。時々聴こえる嗚咽と「なぎさぁ…」という声。
背後からの視線よりも親友も失った悲しみに暮れる志穂と莉奈の涙のほうがほのかの心を抉りそして傷つけた。
眼を細めてほのかは志穂と莉奈の様子を見つめた。
自分自身の目からも涙が零れそうになるのを堪える。
(なぎさと約束した。だからもう泣かない)
ほのかには誓いがあった。かつて共に戦った時の誓い。どんなことがあってももう泣かない。
志穂と莉奈に向けていた視線を何も無い虚空へと戻す。
ほのかの目の前で一般焼香は静かに、そして途切れることなく続いた。
多くの人が長い黙祷をし、背後に列が詰まっていることも忘れ立ち尽くしていた。
ふと視線を向けると、姉を失った悲しみに暮れている亮太がほのかの眼に映った。
喧嘩もよくしたけど自分にとって最高の姉。その姉を失った悲しみは余りにも大きかった。
やがて遺族により遺体の入っていない棺が担ぎ出され霊柩車へと運び込まれた。
「雪城さん…」
誰かに声をかけられた。慌てて振り向き、声をかけたのがなぎさの母の理恵だと気づいた。
「はい」
ほのかは静かに返事をした。理恵の表情はあまりに無表情であった。
「これ家の合鍵。なぎさの部屋に雪城さんのものがいっぱいあるから先に行って待っていてくれる?」
その時ほのかは初めてなぎさに多くのものを貸していたということを思い出した。
「あ、はい!」
合鍵を受け取りほのかはお辞儀をした。理恵はそのまま踵を返し岳、亮太や他の親戚と共に霊柩車に乗り込んだ。
- 819 名前:833@ 投稿日:2005/05/26(木) 01:06:21 [ jH85wSQ2 ]
「……………」
霊柩車が走り出した。参列者はその様子を見つめていた。
そして霊柩車が見えなくなると会葬者もそれぞれが帰路に着いていった。
ほのかの目の前にベローネ学院の制服を着た少女が二人立っていた。
うう、と二人の少女は嗚咽を漏らし涙を流していた。
すぐに自分のクラスメートであることに気づいた。
次の瞬間、ほのかはガッと自分の胸倉を捕まれたことを知覚した。
「あんたのせいで……あんたのせいでなぎさは……!!」
怒りに任せて少女はほのかの体を揺さぶった。
「……………」
一瞬たりとも視線を逸らさずほのかは無言でその少女の瞳を見つめ続けた。
「やめなよ!そんなことしてもなぎさは帰ってこないでしょ!」
もう一人の別の少女が止めに入った。
「わかってるわよ!!そんなの……………」
ほのかの胸倉から手を離し少女は声を荒げた。
「ごめんなさい」
謝罪の言葉を残しどうしようもない悲しみに包まれ二人の少女は涙を流しながらその場を立ち去った。
「……………」
ほのかはその様子を黙って見つめていた。申し訳ないという気持ちで胸がいっぱいだった。
それでも口に謝罪の言葉を出さなかった。
出したならば…、自分はそれを口実にして逃げようとしてしまうだろうから……。
ポンと誰かに肩を叩かれた。後ろを向きそれが莉奈であることに気づいた。
「気にしないで。雪城さんは悪くないよ」
志穂がほのかを庇うように言った。優しい心遣いがほのかの胸に響いた。
「雪城さん、この後どうするの?」
志穂が続けて訊ねた。
「ちょっと、行くところがあって………」
「そっか。じゃあまた明日ね」
「うん、それじゃあ」
二人をその場に残してほのかはその場から歩き出した。
「雪城さん!!」
志穂の叫び声が聴こえた。ほのかは振り返り志穂、莉奈と正面から向かい合った。
「なぎさが居なくても………私たちは友達だから!」
莉奈が志穂の後に続いて叫んだ。叫び声が空気を駆け抜ける。
空気の振動と呼応するように夏の空を一枚の葉が舞った。
「うん!」
ほのかは今日初めて見せた笑顔で頷いた。力強く何度も頷いた。
……………
- 820 名前:833@ 投稿日:2005/05/26(木) 01:07:05 [ jH85wSQ2 ]
合鍵を開けてほのかは部屋に入った。
玄関には普段履く革靴が置いてあった。
幾度と無く訪れた家をほのかは慈しむようにゆっくりと歩いた。
奥の扉を開けるとほのかの目の前になぎさの部屋が広がった。
いつものなぎさの部屋と何も変わっていない。
ただ、なぎさが居ない……………。
「……………」
立てかけられたラクロスの試合で使うクロスをほのかは無意識に手に取った。
両手で持ち直すと普段彼女のがそうしていたようにほのかは一度クロスを振ってみた。
「莉奈!」
「任せて!……………志穂!!」
「OK!!……………なぎさぁ!!」
「よっしゃ!!えいっ!!」
手に取ったクロスから競技場の歓声と選手の怒号が聞こえてくるようだった。
このクロスに彼女のあふれんばかり情熱が詰まっている。
片手で持てるほどの軽いクロスがずっしりとした重さを持っているように感じられた。
元にあった場所にクロスを戻して、ほのかは椅子に腰掛けた。
学習机の上にある、眼に入ったノートを一冊手にとってパラパラとページを捲る。
開かれたページにはわずかばかりの数式と大量の落書きが描かれていた。
「ほのかぁ…、この問題教えて」
「教科書のここに書いてある公式をってなぎさ?」
「出来た。ねぇほのかよく描けてない、この絵?」
「はぁ……………」
「ちょ…冗談だってば、そんな呆れないでよ」
「しょうがないなぁ、なぎさは……」
「あははは」
「ふふふふ」
テスト前に小さなテーブルを置いて二人向かい合って勉強していた。
なぎさの集中力は30分も持たなかった。すぐに遊ぼうとかやめようとかそんなことを言い出す。
本当は一緒にそうしたかったけど、なぎさのために心を鬼にして勉強させた。
「もっといっぱいしゃべってあげれば良かったのかな……………」
呟いた言葉が空気に混ざり弾けて消えた。
椅子から立ち上がるとほのかは窓を開けてベランダへと出た。
う〜んと体を伸ばし、夏の太陽が輝く青空を見上げた。
ベランダの排水溝に一本の髪の毛が落ちていた。
「はい、出来上がり」
「凄いねほのか。髪切るのも上手なんて」
「そんな大袈裟よ……」
「ううん。並みの美容院より上だって」
「そうかな……?」
「じゃあ次はあたしが切る番だね」
「え?」
「ほのかの髪も結構伸びてるでしょ。あたしが切ってあげる!」
「ええ!?い……いいよ!!」
「あ〜信じてないでしょ!結構上手いんだよ!」
「それはまた今度ということで………」
「い〜から信じなさい!!」
「ううぅ……」
スッと自分の髪の毛に触れていた。
左右の長さが少しズレていて、長い方を切って等しくしようとしたら今度は切り過ぎてしまって…。
そしてさっきまで短かった長い方を切って等しくしようとしてまた切りすぎてしまった……。
放っておくと全部切られてしまいそうだったから慌てて止めたんだっけ……………。
不貞腐れた顔で本当は上手なのにって言った後、ごめんね。って寂しそうな表情浮かべてたっけ。
- 821 名前:833@ 投稿日:2005/05/26(木) 01:07:39 [ jH85wSQ2 ]
「なぎさ………」
真夏の太陽の日差しにほのかの声は溶けて消えた。
再び部屋に戻り、ほのかはベッドに腰掛けた。
「ねぇ、ほのか。本当に良いの?」
「なぎさ、それ聞くのもう3回目よ」
「後悔……………しない?」
「しないよ。なぎさだから」
「ありがと………あたし頑張るね」
「うん」
あの時のなぎさを抱きしめた温もり。感触。全てを覚えている。
「あ……………」
テーブルの上に一冊の手帳を見つけた。
その昔光の園の石の番人から授かった世界に二冊、なぎさとほのかしか持っていない手帳。
手にとってパラパラとページを捲る。
最後のページに書かれていたなぎさの気持ち。
明日いよいよほのかから貰ったチケットで船の旅に出発。
本当はほのかに行って欲しかったけど、仕方ないかな。
お土産たくさん買ってきてほのかを喜ばせてあげよ。
「……………」
うっすらと微笑を浮かべた。
なぎさらしい。簡潔でそれでいて気持ちがびっしりと詰まった日記だった。
そういえばそうだったなぁ。とプリキュア手帳を交換してはお互いの日常を見たあの日々を思い出した。
もうあんな日常は返ってこない……………。
失って初めて気づいた。喧嘩もしたけど、とても幸せだったあの輝いていた時間。
終わってしまったの?本当に全て終わってしまったの?
ガクンと魂から揺さぶられたような衝撃を受けた。
ほのかは眼を擦り必死に堪える。
「絶対に泣かない、なぎさと約束したんだから……………」
膝の上に乗せた両手が微かに震えていたようであった。
「なぎさ……………」
天井を見上げてほのかは自分の最愛の人の名前を呼んだ。
本当に失われてしまった……………。
自分にとって一番大切だった人……………。
自分にとって魂の半身だと思えた人………。
「あ……」
自分の目じりを一滴の涙が伝った。
慌ててそれを拭う。
「泣いたらダメ………なぎさと約束したんだから………」
自分で出した「なぎさ」という言葉が引き金だった。
ダムが決壊したかのようにほのかの眼から涙が溢れ出した。
「ダメ……ダメなの……」
ゴシゴシと目を擦る。普段の自分なら目に良くないと決してやらない行為を続ける。
なぎさとの約束を守るために全てを棄てて忠実になぎさとの約束を守ろうとする。
- 822 名前:833@ 投稿日:2005/05/26(木) 01:08:20 [ jH85wSQ2 ]
バタンッ
部屋のドアが開き一人の少女が部屋の中に入ってきた。
「あれ?ほのか?」
少女はきょとんとした表情でほのかを見つめている。
「………………………………………」
ようやく止まった涙を強引に拭い去り目の前の人を見つめる。
この目の前に立っている人は誰だろう。
どこかで見たことあるような、誰かにとても似ているような気がする。
随分と汚い格好をしている。髪はボサボサだし服もところどころ破けている。
更にゴミ袋を一つ抱えている。この人は……………。
「な……………ぎ……………さ……………?」
「うん、そうだよ」
目の前の少女はあっさりと頷いた。
「本当酷い目に遭ったよ。船が沈んで海に投げ出されちゃって。
近くを通りかかった漁師さんに助けてもらったんだけど、ここは青森だよって言われて。
仕方が無いからヒッチハイクと歩きでここまで帰ってきたんだ。
初めてやったけどやっぱり難しかったね。全然乗せてくれないんだもん。夜は寒くて辛かったし、本当さいあ」
「なぎさぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!!!!!」
床を蹴りほのかはなぎさの胸に全力で抱きついた。
急な衝撃を受けたなぎさの体はバランスを崩し後方へ倒れドアに後頭部をぶつけてしまう。
「なぎさ!なぎさ!なぎさぁ……!!」
なぎさの上に体重を乗せてほのかは何度もなぎさの名前を呼んだ。
「なぎさ!なぎさなの!生きてるの?」
なぎさの顔を真正面に見つめながらほのかは涙塗れの顔で訊ねた。
「生きてるよ……………」
なぎさはフッと頬を緩めて笑顔を浮かべた。
「なぎさぁ……………なぎさぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
腕が痛むほどの力を込めて全力でなぎさを抱きしめる。
なぎさも痛みを堪えてそれを受け入れる。
「ひぐっ………えぐっ………なぎさぁぁ……………なぎさぁぁぁぁ」
声が声にならない。ありったけの感情でなぎさの名前を呼び続ける。
「なぎさぁ……………なぎさぁ……………」
なぎさが生きている証しを自分の声で刻み続ける。
ほのかは声を出し続ける。意識の有る限りなぎさと呼び続ける。
やがて泣きつかれたのか、ほのかはそのまま意識を失い眠ってしまったという。
ほのかが眠っていた間。
なぎさは家族と再会を喜び、友人と再会を喜び、迷惑をかけたことを謝罪し、奇跡のような生還話を語った。
誰もなぎさを責めるようなことはしなかった。
ただ再会することが出来た奇跡を喜び抱き合った。
- 823 名前:833@ 投稿日:2005/05/26(木) 01:08:51 [ jH85wSQ2 ]
「ん……………」
「あ、やっと目が覚めたんだ」
いつの間にか日も暮れて夏の暑さを消え失せて辺りは闇に包まれていた。
「なぎさ……」
「大丈夫。本当に生きてるから」
手を伸ばして自分を求めたほのかの手を頬に当てて体温を感じさせる。
「ごめんなさい、私が………」
「謝らないでよ。それにほのかのおかげであたし生きてるんだから」
「え?」
「海に投げ出された時、もうダメだ。死んじゃうって思ったの」
「……………」
「でも、もう一度ほのかに会いたいって思って……………そしたら自然に体が動いて」
なぎさはその後も延々と奇跡体験を話し続けた。
「ほのか聞いてる?」
「…………………………」
ほのかは答えない。まるでなぎさの声が聞こえていないかのように。
「ほのか!!」
「なぎさ、本当に生きてるんだね………」
ほのかの目から再び涙が零れた。
「生きてるよ……………」
呆れることも怒ることもなく安心させるようになぎさも答える。
「……………」
ほのかは突然なぎさの唇に自分の唇を重ねた。
「!?」
柔らかい唇の感触と温かいなぎさの体温がほのかの体に伝わる。
二人は目を閉じて黙って唇を重ねる。やがて唇が音もなく離れた。
なぎさが本当に生きていることを実感させてくれる温かいキスだった。
「なぎさ…」
なぎさともう一度キスすることの出来る喜びを、
なぎさと一緒に居ることが出来る喜びを、
なぎさと同じ時間を生きることが出来る喜びを、
そしてもう一度自分の想いを込めてほのかは自分の唇をなぎさの唇に重ねる。
お帰りなさい……なぎさ……………。
- 824 名前:833@ 投稿日:2005/05/26(木) 01:09:40 [ jH85wSQ2 ]
- あれ?なんかすっげー長くなっちまったな……。
つーかリクエストした人はこんな話望んで無いよな……。
あーー、スマンです。
- 825 名前:833@ 投稿日:2005/05/26(木) 02:00:25 [ jH85wSQ2 ]
- ああ、何か忘れてると思ったら
九条ひかりと藤田アカネが居ないんだ!!
完璧に忘れてた……OTZ。
でもまぁ普通は葬式出るのはクラスメートだけだし、
ひかりとアカネさんは一般参列で居たけど省略しましたってことで。
- 826 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/05/26(木) 03:25:39 [ asUuYcbo ]
- お疲れ様です。ぐじょーぶ(`・ω・´)
2人とも仕事早いなあ…
- 827 名前:予想係(呑気) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/05/26(木) 07:01:26 [ xMwN9rOo ]
- 何か凄い作品の後だと気おくれ しちゃうけど…。
がんばって投稿するよ。
タイトル
「なぎさ、雪山に死す。そして…」
4レス専有。
百合萌え15スレ、670さんに捧げます。
お気に召しますか どうか…。
- 828 名前:予想係(01/04) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/05/26(木) 07:02:19 [ xMwN9rOo ]
- ほのか「どうして…。どうして こんな事に…」
志穂「なぎさ なぎさ なぎさ〜ァ!」
莉奈「こんなのって、あんまりだよ…」
なぎさは青ざめた顔のまま霊安室に安置されている。
血の気が全く無いのを除けば、安らかな表情で眠っているようにしか見えない。
でも、死んでいるのだ。
…今年も みんなで雪山に来て、楽しくスキーをしていた。
途中で なぎさだけが はぐれてしまった。
もちろん、すぐに気付いて辺りを探したものの見つからず、スキー場の係員に連絡して
捜してもらったが見つからず、遂に警察・消防に連絡して捜索してもらう事となったが、
山の天気が崩れて猛吹雪となり、そのまま捜索活動が打ち切られてしまった。
そして今朝からの捜索で、なぎさは川の中から漸く発見される。
しかし発見された時には既に心停止、呼吸停止、瞳孔拡大と 何もかも手遅れの状態で、
病院に運び込まれると蘇生処置も行われずに「死亡」が確認されたのだった。
キィッ… と霊安室の扉が軽い音を立てて開き、美墨 一家が中に入ってくる。
昨夜 連絡を受けて、朝 一番の列車に乗って来たのだ。
莉「なぎさの、お父さん たち…」
父・岳と母・理恵が黙って一礼し、なぎさの枕元で椅子に座っていた ほのかは、
立ち上がって場所を譲った。
亮太「お姉ちゃん…、死んだなんてウソだよね?」
亮太は駆け寄るや否や、そんな言葉を口走ったが、手で触れた姉の頬は ひんやりと
冷たく、生きては いないという事実を否応なく知らされる。
理恵「なぎさ…」
母は娘に掛ける言葉も思いつかず、父も また言葉なく ただ黙って娘を見つめていた。
ほ「ごめんなさい! 私が 目を離してしまった せいで、こんな事に…」
岳「ほのか ちゃん…」
震える声で精一杯の謝罪をする ほのかに向き直り、岳は肩を優しく抱き留めた。
岳「自分を責めないで。そちらの ふたりも。 聞けば、なぎさを捜すために一生懸命
がんばってくれたそうだね。 だから、その。 …ありがとう」
ほ「そんなッ…! なぎさを助けて あげられなかったのに…。
なのに、『ありがとう』だなんて…。 私に そんな資格は ないです」
岳「結果は…。…確かに悔しいし、残念だけど、
でも君たちは なぎさを捜そうと手を尽くしてくれた。
だったら、俺たちは なぎさの家族として『ありがとう』と言う他ないじゃないか」
温かい言葉を掛けられて、ほのかの両目には涙が浮かんでいた。
声を掛けた岳も涙ぐんでいる。 まるで悲しみを堪えているようであった。
理恵も、志穂も、莉奈も、肩を落として溢れる涙を止められずにいる。
亮「お姉ちゃん、死んじゃヤだよ…。
いつもみたいに技 掛けたり、口やかましく僕をバカにしたり、してくれよ…。
お姉ちゃんが いなかったら、何も かも調子が狂うじゃないか!」
亮太は叫びながら号泣し、その言葉が居合わせた全員の心に悲しみを呼び起こす。
無言のまま理恵が遂に むせび泣き崩れ、床に へたり込んでしまった。
岳「外へ出ようか。気持ちを落ち着かせてからでないと なぎさに会わせる顔が ない」
気丈にも岳は家族を気遣い、立ち直らせようとしていた。
一番 大きな声を上げて泣きたいのは、父親である自分なのに。
促されて理恵は立ち上がり、亮太も姉の許を離れ難いようだが、
母の落胆振りを見て気になったのか、寄り添ってきた。
美墨 一家が静かに霊安室を出て行った後、志穂と莉奈も一度 外に出る事にした。
莉「私たち顔 洗ってくるけど、雪城さんは どうする?」
ほ「私は残るわ。 なぎさを一人には しておけないし、ここに居させて」
志「分かった。お願い」
鼻を啜りつつ そう言い残して部屋を出て行こうとした志穂と莉奈であったが、
扉の手前で ふと立ち止まり、ほのかに声を掛けた。
莉「雪城さん。 悲しいし、辛いかも知れないけど、そんなのに負けちゃダメだよ」
志「そうだぞ そうだぞ そうだぞ!
なぎさの代わりには なれないけど、アタシたちが ついてるからね!」
泣き腫らし、目を真っ赤に しながらも、志穂と莉奈は笑顔で そう言った。
ほのかは振り返らなかったが、声だけでも それが分かった
ほ「…! うん、ありがとう…」
部屋を出て行く志穂と莉奈の方を向かなかったが、ほのかも笑顔で そう答えた。
- 829 名前:予想係(02/04) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/05/26(木) 07:03:10 [ xMwN9rOo ]
- 霊安室には ほのかと なぎさ、他に人は誰も居ない。
ほ「ミップル、メップル。 出てきて良いよ」
ミップル「メップル〜!」 メップル「ミップル〜!」
コミューン形態から本来の姿へと戻り、メップルとミップルは なぎさが横たえられた
寝台の上で互いに抱き合った。
ミ「心配したミポ」 メ「死ぬかと思ったメポ」
と言ってしまった所で なぎさに死亡診断が出された事を思い出して、慌てて言い直す。
メ「コミューンに なっていなかったら、ボクも死んでいたメポ。
でも…、ボクが ついていながら こんな事に なるなんて…」
ほ「メップル。 なぎさの お父さんが言っていた通り、自分を責めないで。
それよりもメップル、あなたと なぎさに何が あったのか話してくれる?」
メ「うん。確か みんなと一緒に滑っていた最中、なぎさが前の人を避けたらコースから
外れて、そのまま森の中を突っ切ってしまったメポ」
ミ「それから どうなったミポ?」
メ「えーと、木の間を すり抜けながら滑っていたら、崖みたいな所から落ちて、
それでスキー板が折れてしまったメポ。 その時は下も雪だったから怪我は
しなかったメポ。 それから…なぎさは崖を登ろうと してみたけど
とても登り切れなくて、その内に天気が悪くなってきたから かまくらを作って、
その中で一晩 過ごしたメポ」
ほ「という事は、昨日の時点で なぎさは生きていたのね?」
メップルは黙って頷いた。
かまくらを作って中に入ったものの、天候は猛吹雪。
そのまま放っておくと出口が塞がれてしまう。
メ「なぎさーっ! 眠っちゃダメ メポ!!
眠ったら出口が塞がって生き埋めに なるメポ!」
なぎさ「大丈夫よ、メップル。 大丈夫。 こんな所で生き埋めになるモンですか」
折れたスキー板で出口の穴を掘り、雪を出し続ける なぎさ。
しかし、寒さと疲労で その手は何度も止まりそうに なっている。
それを見た時、メップルは考え方を変えた。
メ「なぎさ、無理は禁物、少し休むメポ。
身体が動かなくなったら イザという時にマズイ メポ」
言われて自分の息が上がっているのに気付き、メップルの忠告を聞き入れる事にした。
な「そうね、少し休む」
かまくらの中へとバックで戻り、なぎさは腰を下ろして膝を寄せた。
両手は本能的に守ろうとしたのか、胸の辺りで握ったり開いたりを繰り返している。
な「メップルは大丈夫?」
メ「大丈夫メポ。 少し寒いけど、平気メポ」
な「おなか空いてない?」
メ「すいてる…けど、なぎさが がんばっている時に自分だけ食べてられないメポ」
な「強がり言っちゃって…。 でも、アンタが凍死でなく餓死なんか してたら、
私はミップルに申し訳が立たないから、ちゃんと食べなさい」
なぎさは余り自由が利かない状態の手でカードを取り出してコミューンにスラッシュし、
メップルに ごはんを食べさせた。
メ「なぎさには食べる物が無いメポ…」
な「心配無用。胸のポケットには ほのかが くれたチョコレートが1枚と、
キャンディーが3個、入ってるんだから」
メ「いつの間に そんな物もらっていたメポ? でも、そういう事なら遠慮なく頂くメポ」
しかし、なぎさはメップルが食事を している間も何かを口にする様子は無かった。
メ「食べないメポか?」
な「うん、後で。今は とにかく休んでおきたいから」
- 830 名前:予想係(03/04) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/05/26(木) 07:04:28 [ xMwN9rOo ]
- ほ「私、なぎさに お菓子は渡してないわよ」
ミ「それじゃあ、それって…」
メ「やっぱり、ボクを心配させまいと そんな事を言ったメポか…」
時間が経つにつれ、気温が どんどん下がってきた。 しかし吹雪は全く止む気配が無い。
な「メップル、寒くない?」
メ「寒い、けど我慢するメポ」
な「ダメよ、ガマンしてたって寒さは和らがないんだから」
そう言って なぎさはメップルをコミューン状態のまま、
胸元より自分の服の中へと滑り込ませた。
驚いたメップルは本来の姿に戻って外に出ようと もがくが、
容積の少ない なぎさの服の中では余計に苦しくなるだけであった。
なぎさがスキーウェアのファスナーを下ろし、メップルは漸く顔を外に出せた。
メ「プはぁ! いきなり何するメポ!」
な「こういう時は体温が下がらないように、しっかり身体を密着させた方が良いのよ」
メ「こんな所をミップルに見つかったら、何されるか分からないメポ」
な「フフ、緊急事態という事で…。 暖かいね、メップル」
メ「うん…、メポ」
メ「…そして、吹雪が収まって朝 明るくなってから山を下り始めたメポ。
途中で沢を見つけて それに沿って下りていたら…。
なぎさが足を滑らせて、そのまま水の中に落ちてしまったメポ…」
ほ「そんな…」 ほのかは絶句した。
以前、山で遭難した時には沢を見つけて下りるのが良いと、なぎさに教えた事があった。
それが元で沢に落ちたのだとしたら…。
メ「なぎさ、泳げないのに 必死で岸まで泳ごうとしていたメポ。
でも すぐに動かなくなって、ボクも意識が遠のいて…。
気が付いたら、ボクたちは毛布に包まれて担架で運ばれていたメポ」
ほ「もう いいわ、メップル。 ありがとう、よく がんばったわね…」
ほのかは湧き起こる悲しみを抑えつつ、メップルを抱き上げて その頭を優しく撫でた。
だが、メップルとしては幾ら ほのかに慰められても全然うれしく なかった。
メ「ほのか、ボクは いったい、どうしたら いいメポ?
なぎさを助けられなかったボクは、勇者失格メポ…」
ミ「メップル…」
ほのかはメップルをミップルの傍に降ろし、なぎさの左手を引っ張り出して つかんだ。
勿論その手に温もりは無く、握り返される事も無い。
ほ「最後まで自分よりもメップルの事を心配していたのね…。
なぎさ らしい。 なぎさ らしいけど…。
でも、こんな所で力尽きる なんて ありえない!
まだ死ぬには早過ぎるのに、なぎさを待っている人たちが たくさん居るのに!
…なぎさの方が、生きるべきなのに…。
せめて もう一度、なぎさと話を したいのに…」
しかし、それに答える人は誰も居ない。
ほ「もう、プリキュアとして なぎさと一緒に戦う事も出来ないのね…」
泣き尽くして枯れたはずの涙が、再び ほのかの目に滲む。
ほ「…デュアル、オーロラ、ウェイブ…」
何気なく ほのかが呟いた。
何も起こるわけが無い。
…そのハズだった。
- 831 名前:予想係(04/04) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/05/26(木) 07:05:54 [ xMwN9rOo ]
- が…!
ビクン!
…と なぎさの身体が一瞬 硬直した後 えびぞりのような状態となり、
寝台の上で跳ね上がった!
ほ「!」
突如として発生した超常現象に ほのかはビックリして立ち上がった。
すると、見る見る内に なぎさの身体に生気が戻り、握っている手の方も
周期的に脈を打っているのがハッキリと分かる。
ほ「まさか…」
鼓動は早く、徐々に ではあるが なぎさの体温が上がってくるようだった。
やがて なぎさの両目が カッ! と一瞬で見開いて ほのかの方を向き、
左手を つかんでいる ほのかの手を握り返してきた。
ほ「なぎさ?!」
なぎさの方は うまく しゃべれないのか、ほ・の・か と口だけを動かした。
メ「これは いったい、」 ミ「どうなっているミポ?」
奇跡。 …としか言いようが無い。
医者が死亡確認し、剰え先ほどまで完全に冷え切っていた なぎさが、自力で蘇生して
自らの生きる力を取り戻そうとしている。 その身体を激しく震わせて…。
な「さ…、む…」
ほ「なぎさ、しっかり!」
ほのかは咄嗟に なぎさを引き寄せ、自分の胸元の体温で温めようと力一杯 抱き締めた。
ほ「なぎさ、私の声が聞こえる?」
な「ほの…か…」
ほ「大丈夫、二度と死なせたり しないわ! だから…!」
ほのかは更に強い力で なぎさを抱き締める。 すると、なぎさは呼吸困難に陥った。
ミ「ほのか、なぎさが苦しがっているミポ! これでは また死んでしまうミポ!」
メ「早く お医者さんを呼ぶメポ!」
ミップルたちに声を掛けられ、ほのかは やっと我に返り力を緩めた。
だが なぎさは相変わらず全身を震わせていて、危険な状態であるのに変わりはなく、
ほのかは ミップルとメップルを呼び戻して なぎさを霊安室から運び出そうとした。
…結局、部屋の中での異変に気付いた岳が蘇生した なぎさを抱えて運び出し、
医師による本格的な蘇生処置を受けた結果、漸く なぎさは一命を取り留めた。
そして その知らせを医者から聴いて、美墨 一家と ほのか、莉奈、志穂は安堵した。
莉「本当に奇跡だよねぇ…。あんな状態だったのに生き返るなんて」
志「ホント ホント ホント。あたし、神様の存在を信じる気になったよ」
ほ「多分、身体の中心部まで一気に冷え切って、仮死状態に なっていたのね。
お医者さんの話では、なぎさが溺れた時に大分たくさん水を飲んでしまったって。
私が なぎさを抱き起こした時も、何か『ちょぽん』って音が した気がするし…」
莉「『ちょぽん』?」
ほ「だから、恐らくは身体の外側と内側から同時に冷却が進んで、
その結果 細胞のダメージが最小限のまま、冷凍睡眠のような状態に陥った…。
私は そう思うんだけど」
志・莉「う〜ん?」
志穂も莉奈も、その分析が正しいのか否か判断 出来なかったが、
とにかく なぎさの運が 途轍もなく良かったという事だけは理解できた。
志「あぁ、そう そう そう。雪城さん」
ほ「? 何かしら?」
莉「胸、はだけてる」
指摘されて初めて自分の胸元を見てみると、着ていたセーターとシャツと下着が
縦に裂けて破れ、ブラまでもがチラリと見えている状態だった。
恐らくは なぎさが蘇生して抱き締めた時に服を つかまれていて、
それで破れてしまった。 …としか考えられない。
ほ「まさか私、さっきから こんな風になってた?」
志穂と莉奈は同時に頷いた。
それを知って途端に ほのかは恥ずかしさが込み上げてきて、
顔を紅潮させながらスキーウェアのファスナーを勢い良く上げ、前を閉じた。
(いったい、霊安室で何が あったんだろう?)
そう思わずには いられない、志穂と莉奈であった。
- 832 名前:予想係(呑気) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/05/26(木) 07:12:28 [ xMwN9rOo ]
- INDEX >>828-831
フッタ書く気は無かったけど、一つだけ。
いつの間にか、2ちゃんねると同じトリップが出るようになっている…?
- 833 名前:634 投稿日:2005/05/26(木) 20:12:20 [ 0qD/.lOk ]
- お二方ともまさかこんな気合の入った長文を書くとは。
投稿時間も凄いし。
なんか自分の短くて恥ずかしいよ…
ともかくGJと共に、お疲れ様でした。
- 834 名前:予想係(呑気) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/05/31(火) 02:58:45 [ p1uy0GGk ]
- 真夜中に こっそり投稿。
1週間前には書き上げてたのに、別作品に掛かり切りで
投稿し忘れていたのは ここだけの秘密だ。
タイトル
「こ・こ・こ・こしあん・ルーレット」
2レス専有。
参考サイト
Wikipedia「スコヴィル値」
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB
- 835 名前:予想係(01/02) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/05/31(火) 03:00:16 [ p1uy0GGk ]
- 志穂「こ、こ、こ、」 莉奈「こしあん・ルーレット?」
なぎさ「そう、こしあん・ルーレット。やってみない?」
ある日の3年桜組の教室。
なぎさがビニール袋に あんパンを6個ほど入れて持って来て、
何を言うのかと思えば そんな お馬鹿な企画の提案であった。
志「てゆーか てゆーか てゆーか、それを言うなら『ロシアン・ルーレット』じゃ?」
な「分かってないなぁ。
美墨流オヤジギャグ道場 師範代のアタシが考えた渾身のギャグなのに」
莉「こしあん だけに腰が砕けるセンスだわ、それ」
な「まあ まあ、とにかく やってみよう。 この袋の中には あんパンが6個、
その内2個が こしあんで、その片方に激辛ソースが入ってるの。
つまり、それを引いた人が負け」
志「ちょい待ち! 激辛ソースって、何? そんなの聞いてないぞ!!」
な「言ってなかったもの、当然。 こういう時は何かペナルティーを準備しとかないと」
ほのか「んもぅ、こんな事の為に注射器を使うだなんて、ありえないわ」
莉「…って雪城さん?! まさか、雪城さん まで これに絡んでるの?」
ほ「だって…、激辛ソースを調合してみたのに、誰も味見して くれないんだもん」
そう言って両手の指同士を突いて くねらせる ほのか。
志「調合って、調合って、調合って…」
夏子「まさか、危険な物なんて入っていないでしょうね?」
ほ「大丈夫、全て食べられるものよ。
チリペッパーソース(要するにタバスコ)をベースに、ハラペーニョ、ハバネロ、
少量の山葵(わさび)等々入れてみたの。
唐辛子の辛さを量る単位として“スコヴィル値(Scoville scale)”というのが
あるんだけど、大体 15,000スコヴィルくらいに調整してみた…つもりよ」
京子「『つもり』と言う事は、雪城さんも試してないのね?」
ほ「…えーと、タバスコ・ソースが 2,500〜5,000スコヴィルと言われているから、
私の特製ソースは その3〜6倍くらいという事に なるわね」
ほのか は意図的に ごまかした。
なぎさと ほのかの屈託の無い笑顔の裏に妙な やる気と陰謀とを感じ、
戦々恐々とする志穂と莉奈。
夏「それにしても 何故に私たちまで参加なの?」
それは ぶっちゃけ数合わせだ。
な「それじゃ、負けた人が たこ焼きを おごるって事で…。やるよね?」
なし崩し的に参加させられる4人であった。
まずは一番手、志穂。
袋ごとシャッフルされ、恐る恐る手を突っ込んで1個 取り出す。
志穂はパンを割って食べようと したが、「それはダメよ」と なぎさに止められる。
と、よく見るとパンの表面の何箇所かに注射穴の跡が有る。
志「これって、もしかして…」
な「ハズレのパンにもカモフラージュしてあるから」
莉「見た目では分からない、という事ね」
思い切って かぶりつく志穂。しかし…。
セーフ、つぶあん。
志穂は安堵し、残りのメンバーは恐れ おののく。
続いて二番手、莉奈。
袋ごとシャッフルされ、迷わずに1個 選んで取り出す。
緊張しつつも かぶりつく莉奈。だが…。
セーフ、うぐいすあん。
莉奈は小さくガッツポーズし、残りのメンバーは緊張する。
そして三番手、夏子。
袋ごとシャッフルされ、散々迷ったあげくに2個つかんでしまい、片方を残す。
躊躇は せずに かぶりつく夏子。すると…。
セーフ、白あん。
夏子はパンを くわえたまま椅子の背もたれに寄りかかり、残りのメンバーは震撼する。
四番手として、京子。
袋ごとシャッフルされ、すっと1個だけ取り出す。
物怖じせずに かぶりつく京子。これが…。
セーフ、抹茶あん。
京子はパンをアッサリと平らげ、残るは ほのかと なぎさ のみとなった。
- 836 名前:予想係(02/02) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/05/31(火) 03:01:22 [ p1uy0GGk ]
- 五番手が ほのか…のハズが、ここで予期せぬ乱入者が現れた。
よし美 先生「あなたたち いったい何を しているのかしら?」
な「あ、よし美 先生…。これは、その…」
ただ単に担任として、怪しげな事を やっている なぎさたちの様子を伺いに来たのだが、
なぎさは その場を つくろうような体の良い言い訳を思いつかなかった。
机の上のビニール袋には、こしあんである事だけが確定しているパンが2個入っている。
それを見つけた よし美 先生は、「没収ッ!と」 ばかりに それを1個 取り上げた。
なぎさたちがアッと声を上げる暇も無く、よし美 先生が あんぱんを一口かじる。
…と、一瞬の間を置き異変が生じた。
突如、よし美 先生が食べかけのパンをポロリと落とし 口元に手を当てて、
何処か へと走り去ってしまったのだ。
床に落ちる寸前に莉奈が そのパンを受け止めたが、
それがハズレの こしあんパンである事は誰の目にも明白だった。
志「もしかして もしかして もしかして」
夏「先生が激辛こしあんパン、食べちゃった?」
京「あ〜ぁ、いけないんだ」
な「どうしよう…」
莉「後で先生に謝りなさいよ、なぎさ」
ほ「とにかく、今回の負けた人が たこ焼き おごる件は、無し という事で」
な「仕方ないか。
んじゃ、余らせるのも もったいないし、残りの あんぱんも処分しちゃおう」
と、なぎさは残った こしあんパンを袋から取り出して、半分に割って ほのかに渡した。
丁度 小腹が空いていたという事も あって、ふたりは 同じようなタイミングで
こしあんパンを食べた。 残さず、食べ切った。
…が、一瞬の間を置き悲劇が訪れた。
な「か、か、か…!」
と言葉にも ならない叫びを上げつつ なぎさは脱兎の如くトイレへと走り去り、
ほのかは引きつったような笑顔のまま、その場で気絶した。
夏「なぎさ?!」 京「雪城さん?」 莉「え? 何??」 志「あれアレあれ?」
異常事態を目の当たりにして、莉奈は先程よし美 先生が食べ残した
あんパンの匂いを嗅いでみた。特に辛そうな匂いは しない。
試しに ちぎって食べてみたが、何の変哲も無い普通の こしあんパンである。
莉「ただの こしあん…?」
京「という事は…。 先生が食べたのが普通のパンで、」
夏「なぎさ と雪城さんが 半分に分けて食べたのが激辛あんパン?」
志「どーなってるの?」
その謎は翌日 解けた。
朝のホームルーム時、よし美 先生の代わりに教頭が来たのだ。
教頭「え〜 本日、よし美 先生は午前中お休みです。
何でも『おめでた』かも知れないという事で、病院で検査してくるそうです」
それを聞いてクラスは雑談が始まり 少々騒がしくなるが、
そんな教室を見回すと、休んでいる生徒が ふたり。
教頭「ん? 美墨と雪城は どうした?」
莉「えーと、ふたりとも『おなかを こわした』ので休むそうです…」
教頭「あ〜、食中毒のシーズンですねぇー。 みなさんも注意して下さいよ。
食事の前には手を洗う! これ基本ですし、大事ですからね」
「はーい。」
3年生とも なれば、教頭の話を長引かせると面倒だという事をウンザリするほど
知っているので、クラスの全員が素直に返事するのであった。
事の真相を知っている4人は、苦笑い しつつ教頭の話を聞いていた。
因果応報と いうか、自業自得と いうか。 とにかく、お大事に。
それと、命に係わるような危険な遊びは絶対に やらないように。 ね?
追記
後に、この事件を知ったユリコが「ほのか すぺしゃるソース」のスコヴィル値を
感覚量で測定・算出してみた所、少なくとも 50万スコヴィルを超えている という
結果が出たようだ。 因みにタバスコの 100〜200倍である。
恐らく、実際は それ以上であろうが。
- 837 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/05/31(火) 05:45:40 [ RIhZsIwE ]
- >>647-650氏の考察を読んでいて感じましたが、
プリキュアみたいになぎほの百合話で、基本的になぎほのの会話と
二人の恋を中心に描くSSの場合は一人称のほうが良いんじゃないかと思ったりした。
常になぎさ視点にしてみて、なぎさに感情移入させられたりすると面白いし
逆にほのか視点に立ってみて、ほのかの気持ちを味わうのも楽しいだろうと、
三人称視点の場合、どちらの視点に立つこともできるんだけど
どうしてもどちらも客観的に見た感じになっちゃって、一歩引いて読んでしまう
そして、客観的でありつつ、多少なりとも書き手の主観も入ってしまうわけで、
やたらと語り手側の説明的かつ断定的口調になるし、コロコロ視点が切り替わり、主人公の気持ちになった文が書き辛くなり
主人公が、相手の気持ちがわからない時のモヤモヤ感とか、告白された時のドキドキ感が足りず、
相手が今何を考えていて、何を想っているか想像したりする楽しみが少ないといいますか、
例えば、なぎさがほのかに、ほのかがなぎさに「好き」という気持ちひとつ伝えるにしても、
相手のどんなところがどんな風に、どうして好きなのか、三人称視点では深いところまで伝わりにくい
モノローグは下手に使えないし、キャラの気持ちを表すには
必ず神視点か、あるいは、キャラに直接セリフとして喋らせるしかないわけで
それだとどうしても限界があって無理が生じる部分もあります。
世の中に溢れている小説なら、特にジュヴナイルや恋愛小説なんかだと、
殆どは主人公やヒロインの一人称視点である場合が多くて
読むほうに主人公の感情や気持ちがダイレクトに伝わってくるように書かれてるんだけど
ここのSSは良作が多いのに、殆ど神視点のものしかないですよね
物事を語り手の客観的視点と、主人公の一人称視点からだと
当然伝えられる事にも色々と差はあるわけだけど、ここにあるプリキュアSSの場合
読み手に何かを「説明」させる必要のあるものが少なく、必ずしも神視点である必要がないものも多い。
こういう場合、神視点から見たほのかも、なぎさから視たほのかもあまり差異はないし、逆にもの凄く違うこともあります。
- 838 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/05/31(火) 05:48:06 [ RIhZsIwE ]
- 仮にどれかのSSの「なぎさ」「ほのか」の部分を「わたし」に、反対に「わたし」を「なぎさ」「ほのか」
に変えても不自然ではなく意味は通り、違和感のないものばかりです。
そもそも、語り手というのが存在するのは数ある娯楽メディアの中でも
演劇や小説など、極少数に限られています。絵があるアニメやドラマや漫画では滅多にみないですよね。
そして語り手は何のために存在するのかというと、小説などを読み手が読んでいるときに
どうしてもわかり辛い部分や、主に設定や背景などの情景描写の説明を用いる場合のみです
つまり、それ以外の場合は必ず語り手が存在しなくてはならない理由はないわけで
主人公にわかる範囲で、周りの物事や現象を全て主人公やその他の登場人物の地の文で語らせることも十分可能なわけです。
>>647氏の論理的論考とは全く違い、これは完全に私の主観ですが、
三人称的視点の中で、語り手とは別に、登場人物の視点が次々に変わっていくのもそれはそれで
ものすごく面白いし、このスレのSSの大半もそれに当てはまります
しかし、それとは違い、個人的には語り手の主観や、語り手から視た物語が見えるのがあまり好きではありません。
書いている作者の姿がどこかでチラつき、正直SSを読んでいてその部分が気になることもしばしばあります。
私としては、語り手ではなく、登場人物の目からダイレクトに視た世界のほうが好きです。そのほうが感情移入しやすいので。
ある程度経験があり小慣れた人や、プロの作家の場合、語り手が前に出ることはまずないですが、
素人が書きたくなったのでいきなり小説を書いてみよう。という場合、一般小説ではよく見る三人称視点のものを
真似してみようと思って書いて見ると、なかなか上手くいかなかったりします。
幸いのところ、このスレの作者さん達の場合、作者の主観が強く出すぎていたり、個性が前に出すぎていたりすることは少ないですが…。
話が上手く纏まってませんが、つまるところ、コメディ的なものではなく、特に誰かと誰かの会話を中心として進められ、
登場人物の感情を細かい部分まで表現しなくてはならない恋愛話を書く場合なら
三人称的文章よりも、語り手を一切排除するか、あるいは
関与する部分を極力減らしたした一人称視点のほうが向いているのではないか…。と思いました。
一人称視点・三人称視点、もちろんどちらにも長所や短所はあるわけですが、
それを上手く理解した上で、その話に一番合った創り方にされると良いかと思います。
ここまでつまらん戯言を長文にしておいて、結局最終的に何が言いたいかというと、
私がそういうのを読んでみたいので、気が向いたときにはたまにそういうのも書いてみて下さいな。ということです。
>予想係氏、乙です。
なんかワロスww
- 839 名前:59 投稿日:2005/06/06(月) 00:02:53 [ w3EitMAw ]
- うーん、俺は一人称も三人称もそれぞれ利点と欠点があって、自分がその文章で「何がしたいか」によって使い分ければいいと思ってます
まあ、大体は感覚的に決めてますが
でも基本は三人称だと思ってます
一人称は、描写が一方からの視点である程度固定されてしまうので、客観的な描写が難しいんですが、反面感情移入しやすく読みやすい
三人称は、コツと言うかタブーを破らないようにするのが大事かな?
例えば、一番やってはいけないのは、同じ現場にいる複数の視点をこまめに追ってしまうこと。これをやってしまうとゴチャゴチャしてわかりにくい文章になってしまいます
AとBが例えば公園で話をしてたとします。この場合は両方の内面を表現するのは避けて、心理描写はあくまでAのみ。Bの心理描写は表情や態度などから表現します
逆にAとBが喧嘩して別れた場合、文章の目的にもよりますが、場面を切り替えて心理描写するのも可でしょう
まあ、小説だけじゃなくてむしろ映画的手法ですが…
無印8話、なぎさとほのかと藤pが登校して二人の喧嘩が始まる場面とか、話し掛けようとするなぎさをほのかが避ける場面とかは、なぎさの視点で描かれてます
それに対して、二人のモノローグがこまめに切り替わると言えば、やっぱり取り違えた手帳を読む場面でしょう
んと、うまく言えないけど、そんな感じ…
- 840 名前:59 投稿日:2005/06/06(月) 00:07:48 [ w3EitMAw ]
- 追記
一人称はトリックが仕掛けやすいのが一番の利点ですね
特に認識の誤解を利用したもの
例えば主人公が普通に生活をしている場面が描写されてて、でも読者はなんとなく違和感を感じる。最後まで読み進むと実は主人公のいる場所は宇宙船の中だった、みたいなオチがある小説
だからSF系のショートショートでは好んで使われます
- 841 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/06/06(月) 01:10:18 [ /jyl7bZs ]
- 試しに一人称のSS書いてみる。
- 842 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/06/06(月) 01:32:44 [ /jyl7bZs ]
- 最近じゃ荊の城なんかは、主人公とヒロインの一人称視点を
各章毎に切り替えるおもしろい表現の仕方をしてたな。
SFのSS以外にミステリでもこういう手法はよく使われたりするね
- 843 名前:59 投稿日:2005/06/06(月) 23:17:20 [ NEiw.UtI ]
- >>841
ガンガレ
>>842
荊の城、ググってみた
俺、翻訳物は読まない(読めない)んだが、気が向いたら探してみる
でも一年半前に買った「グロテスク」まだ読み始めで止まってるのに、こないだ買った「グインサーガ101巻」はもう読んだ
ムラだらけの俺…orz
- 844 名前:833@ 投稿日:2005/06/07(火) 02:18:01 [ UFcukjh2 ]
- 一人称ってなぎさ視点とほのか視点で一回やったことあるなぁ……。
(どっちも正直反省の余地ありまくりだがw)
一人称は確かにその視点のキャラの気持ちを書きやすいけど、
自分みたいに双方の気持ちの変化を書くことが多い場合にはちとやり辛いかな。
- 845 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/06/07(火) 10:05:24 [ EttKdI/E ]
- グインは立ち読みで十分、最近のはシラネ。軌道修正したか?
荊の城は百合っぽいらしい。つかサラたん百合好きはガチらしい。
微妙にスレ違いスマソ、まあSS新作期待ってこった
- 846 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/06/07(火) 15:34:18 [ ntp15M6I ]
- 荊の城はガチレズ。一応ベッドシーンもあるしな。
侍女と令嬢という組み合わせが堪らんのですよ。
- 847 名前:予想係(呑気) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/06/07(火) 23:01:48 [ L1e19CEQ ]
- 私の場合は普段 傍観者的視点で番組を見ているせいか、
結果として出来る作品も三人称視点が殆どです。
一人称視点は気が向いたら書く事に します。(気が向かない可能性も有りますが)
雑談だけというのも どうかと思うので、作品投稿します。
拙作 同タイトルのパラレルストーリーです。
(というより、本来の構想では今作のようにするハズだった)
あと、先に謝っておきます。 私の影が作品中に入っていて、ゴメンなさい。
タイトル
「星空の許で(通常版)」(年齢制限は有りません)
7+1レス専有。
- 848 名前:予想係(01/07) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/06/07(火) 23:02:58 [ L1e19CEQ ]
満天の星空の許(もと)、なぎさと ほのかが草むらに寝転んでいる。
恒例の夏合宿は今年もラクロス部、科学部 合同で行われていたが、
その最中 ほのかが なぎさを呼び出したのだ。
月は新月、とっくに沈んでいる。 辺りは暗いが、星を見るには最適だ。
虫の声が響く中、ほのかは深く 大きく溜め息を吐いた。
なぎさ「どうしたの?」
気落ちしているというのが なぎさの目にも見てとれる。 だが、
ほのか「…ううん、なんでもない」 …と、何故か ほのかは ごまかそうとした。
な「私には 全然そんな風に見えないんですが?」
ほ「そう…、かな?」
な「そうよ。
でなきゃ私を ここへ呼び出したり、そんな溜め息 吐いたりしないと思うけど?」
ほ「…何でも お見通しなのね、なぎさ」
な「いゃ、なんとなく そう思っただけで…。
ね、何か溜め込んでるんなら話してみない?
ハッキリ言葉に した方がスッキリするんじゃないかな?」
ほ「そうね…」
一瞬だけ躊躇(ちゅうちょ)したものの、ほのかは なぎさに自分の心の裡(うち)を
ぽつりポツリと話し始めた。
ほ「最近、なんだか…。 『寂しい』って気持ちに囚われて、切なくて しょうがないの」
な「寂しい…?」
ほ「…うん。 今までは そんな気持ちに なっても すぐに『寂しくなんか ない』って
思えていたのに、…今はダメ。 全然 気持ちを切り替えられない」
な「…」
ほ「私、小さい頃から友達も作らないで ずっと人を遠ざけるような生き方してた。
その頃には もう、両親とも忙しくて家に居る事も殆ど無かったから、
それをネタにして からかわれるのが凄くイヤで…。
もちろん、それで寂しかったのは確か なんだけど、自分が我慢して堪えていれば
それで良い、煩わしい人付き合いをする よりも、本を読んでいた方が ずっとマシ。
そんな風に思っていた。 だけど…」
ほのかは左腕で目を押さえつつ、気持ちを整理するために一度 言葉を切る。
ほ「…だけど、そんな事では いけないって、頭の中では ちゃんと理解してる。
何とか しなきゃ…って、思ってる。 思っているのに…、…何も出来ない。
ほんの少しでも人を信じて、近づきたい。
ただ それだけなのに、全然 動けなくて…。
私はね、いつも明るくて たくさんの友達が居る、
なぎさの ように なりたいって、いつしか そう思っていた。
…でも私は なぎさには なれない。
同じように振舞えるほど、器用じゃない。
そんな自分が つくづく情けなくて…」
消え入りそうな声で、そう呟く。 まるで、心の中から声を絞り出すように…。
黙って ずっと聴いていた なぎさは、身を起こして自分の考えを述べた。
な「…私だって、そんなに人付き合いが うまいわけじゃないよ。
仲違いだってするし、喧嘩だってする。
自分が至らない ばかりに怒らせてしまったり、呆れられたり。
そんな事が しょっちゅう。 それに…」
と言いつつ なぎさは左手の人差し指で ほのかの おでこに触れた。
自然と ほのかの視線は そこに向かい、目が寄ってしまう。
な「ほのかは ここで考え過ぎ。
頭で どんなに前もって考えていてもね、誰も そんな風には動かないんだから」
指摘されて、ハッと気が付いた。
自分の思考の中だけで全ての結果を出せる筈がない事に、気が付かされた。
ほ「…そうだった。何事も やってみなければ分からないし、何も始まらないのに…」
な「よく言うじゃない、『下手な考え、休めばニラたま』…ぢゃない、」
ほ「『休むに似たり』」
な「あぁ そうそう、それ」
ほ「この場合、『下手な考え休むに似たり』の“な”は誤用よ。
『下手な考え休むに如かず』との混同かと いわれているの。
だから、ここは“な”─じゃ なくて、“の”。『下手の考え休むに似たり』よ」
な「ふーん。 でも言葉なんて使ったモン勝ちだから、別に いいや」
ほのかは肩透かしを食った気がした。
ほ「はい?」
な「だから、普通は言葉の使い方が正しいか間違っているか…なんて、
気に しないって ことだよ」
ほ(そっか、こういうのが私のマズイ所なのかな…?)
内省する ほのか。しかし、なぎさは
な「…星が綺麗だねぇ…」 と、よそ事を呟(つぶや)いている。
ほ「そうねぇ…」
何気に答えつつも、ほのかは狐に つままれた気分になった。
ほ(もしかして私、ごまかされた?)
- 849 名前:予想係(02/07) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/06/07(火) 23:03:57 [ L1e19CEQ ]
莉奈「あ、なぎさ こんな所に居た」
志穂「しかも しかも しかも、雪城さんも一緒じゃん。
何か あ〜やーし〜いーぞぉ!」
な「志穂に莉奈。どうしたの?」
莉「『どうしたの』じゃないわよ。なかなか帰ってこないんだもの、捜しに来たのよ」
志「気が付くと雪城さんと一緒に居るし。 最近 付き合い悪いぞ、なぎさ」
な「そうかなぁ?」
莉「ここで何してたの?」
ほ「…ちょっと、星を見ていたの。ちょうど新月だし、晴れていて綺麗だし」
志「星?」
揃って空を見上げる志穂と莉奈。 確かに、都会よりも見える星の数が多く、美しい。
志「…ホント ホント ホント。こんな星空、見た事ないかも」
莉「いいねぇ、こういうのも」
ちゃっかり莉奈が なぎさの隣に座っている。
それを見た志穂は、莉奈と なぎさの足元あたりへと間を割って入るように
座って寝転ぶと、仰向けのまま尺取虫のように這い上がってくる。
その奇妙な動きに、莉奈は思わず少し横へ退けた。
志「それで? ただ星だけを眺めていたわけじゃ ないよね?
こんな所で ふたりきり だなんて」
な「いや、その、何と言うか…、人生について語り合ってたわけよ。 うん」
嘘ではない。 人付き合いは長い人生を過ごす上での基本中の基本であるのだから。
莉「ほー、いつになく まじめ ねぇ」
志「雪城さんの性格に感化されてるね。結構 結構 結構。
でも つまんない なー、なぎさ らしくなくて」
な「悪かったねぇ!」
莉「でも、それって確かに大事だよね。
私たちも中3なんだし、そろそろ将来の事とか考えておかないと」
志「でも でも でも。アタシたちが大人になって、
どんな暮らしをしてるか なんて、正直 想像も付かないな」
な「そうだよねぇ。 あたしも色々 やりたい事とか なりたいもの とか有るけど、
どれか一つに絞るのも自分の可能性つぶす気がして ならないし。
だから取り敢えず、今やれる事は今の内に やっておこうかなって、そう思うんだ。
ほのかは どう?」
ほ「…え、私?」
な「何か将来、やってみたい事って有る?」
ほ「そうねぇ…。私は何か みんなの役に立つような研究をしたい。それが今の私の夢」
莉「ふーん、雪城さん らしい」
何気ない一言。
しかし、それを聞いた ほのかの表情が曇っていくのを、なぎさは見逃さなかった。
志「星が綺麗だねぇ…」 莉「本当ね」
ほ「…」 な「…」
ユリコ「アレぇ? みんな こんな所に集まって、何してるの?」
ほ「…ユリコこそカメラと三脚 持って…。もしかして、星の撮影?」
ユ「ご明察。バルブで1時間くらい撮ろうかなと」
な「バルブ?」
ほ「シャッターを開けっ放しで写真を撮影するモードの事よ。
理科の教科書とかに星の軌跡の写真があるでしょう。ああいう写真が撮れるの」
な「あ〜。あんな感じのね」
手早くユリコはカメラのセットを終えて撮影を始めると、ほのかの脇に座り込んだ。
ユ「で、後は放っとくだけ…と。 それで? これは いったい何の集会なのかな?」
メガネを外してレンズを拭きつつ、尋ねてくるユリコ。
な「みんな たまたま、集まってきただけ なんだけど…」
莉「まじめに将来の事とか、話していたの」
ユ「ふーん…。やっぱり、みんな不安なの?」
その一言に、ほのかは何故か知らないが心にチクッとしたモノを感じてしまった。
莉「不安の無い人なんて居ないでしょ。 自分の将来に何が起こるのか
分からないからこそ、今こうして色々悩んで考えるわけで」
志「そう そう そう。悩みの種は尽きないよねぇ」
ユ「将来ねぇ…。私としては、地球の将来が心配よ」
再びメガネを掛けつつ、ユリコは そんな事を口にした。
- 850 名前:予想係(03/07) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/06/07(火) 23:04:51 [ L1e19CEQ ]
な「地球の将来?!」
莉「いきなり そっち?」
ユ「だって そうでしょう? どんなに自分の行く末を考えた所で
私たちが地球の上で生きている以上、地球が滅亡しちゃったら それっきりなのよ」
志「言えてる言えてる言えてる。 『明日 世界が滅びます』なんて なったら、
じゃあ今までのアタシたちの努力は何だったの? …という話になるよねぇ」
ユ「そうなのよ。 地球温暖化の問題 一つ取ってみても、
海水面の上昇が目に見える形で既に現れているのに、
温暖化を防ぐために決めた京都議定書にも批准しない国が在ったり、
批准してても二酸化炭素の排出量が増えていたり。
今、世界中の人たちが力を合わせて未曾有の危機に対処しなくちゃいけない時に、
戦争とか ばっかり やっていたり してて、
こんなんでホントに地球の未来は大丈夫なのかしら?」
この文章 書いている本人からして、夜更かしが多い(=その分 余計にエネルギー消費
=二酸化炭素 排出を増やす可能性が有る=(中略)地球の為に ならない)
自分を反省せねば ならなかったり。
ほ「そんな事は無いんじゃない? みんな、そうならないように がんばっているんだし…」
ユ「でも努力している人たちが居る一方で、努力してない人たちも たくさん居るのは
紛れも無い事実。片方の努力で成果が上がっても、もう片方が浪費しているんじゃ、
お話に ならないでしょう?」
ほ「それは…、そうだけど…」
ユ「…星は こんなにも綺麗なのに…」
ほ「…そう、ね」 な「…」
ひかり「アカネさん、なぎささん たちが居ました」
アカネ「見つけた? あー、いたいた。 アンタたち、もう そろそろ消灯時間だよ。
いや〜、辺りが暗くて捜すのに苦労しちゃったよ」
向こうから ひかりとアカネさんが やって来る。
ア「…ところで、アンタたち何故に こんな所で集合してるの?」
な「それが、なんとなく集まって なんとなく話し込んで…」
志「まったり と星でも眺めながら、」
莉「地球のため みんなのため になる事とか話していたりして」
ア「何よ それ。好きな人が どうとか いう話じゃなくて?」
な「あたしたち だって、たまには まじめな話ぐらい しますよ」
ア「たまには、ねぇ」
アカネさんは その発言が どこまで本気なのかと思いつつも、なぎさの近くに座った。
それを見た ひかりも、ほのかの近くに腰を下ろす。
ア「みんなのため とか考えるなら、人付き合いに ついても
色々気を付けなきゃ いけないかもね」
ほ「つまり、人間関係を良好に保つのが大事だと?」
ア「まぁ、平たく簡単に言えば そうなるかな。
結局の所、何を やるにしても人付き合いは しなくちゃ いけないからね。
でも実際には好きな人とばかりでなく、
嫌いな人とも付き合わなくちゃ いけなかったりするし…。
とにかく、だからこそ色んな人の色んな生き方を見て、
自分は どうすれば良いのかを考えるべきだと。 アタシは そう思うんだ」
ユ「『人の振り見て我が振り直せ』という事ですね」
ア「そうそう、そういう事」
な「人間関係か…。そういうのって、あんまり深く考えた事ないかも」
莉「普通は そうだよね。いちいち そういう事 考えたりしないと いうか」
ア「そういえば、“人間”というと何かと こだわりを持ってた奴が居たなぁ。
昔 ウチの屋台に通ってた常連の男だったけど」
ひ「こだわりって?」
ア「うん、そいつが言うには…」
- 851 名前:予想係(04/07) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/06/07(火) 23:05:39 [ L1e19CEQ ]
数年前。
今でこそ それなりに繁盛しているアカネさんの お店だが、
客入りの悪い時期も在ったものだ。
そんな頃に ちょくちょく来ていた男が一人。そいつが件の常連客である。
客「余り繁盛していないようですな、女将(おかみ)」
ア「悪かったわねぇ、ヒマそうにしてて」
客「人が居ない…と言うよりは、『人間』が居ないと言うべきかな」
ア「何よ それ。人も 人間も、同じようなものでしょうが」
客「私の中では全然 違います。 人は ヒト1人でも 人ですが、人間は
人が2人以上で、しかも その間に繋がりが無ければ人間には なれませんから」
ア「ふーん? でも、そんな区別してるような人なんて居る?」
客「ここに1人 居ますよ」
ア「いや、アンタが そうしてるのは分かったけど、区別して扱う意味が有るのかと」
客「そりゃ有りますよ。言葉の意味が違うのですから」
ア「そこが良く分かんないなー」
アカネさんは手を止めて考え込んでしまった。
そうしている内にも たこ焼きは焼けていく。
客「…焦げますよ。幾らなんでも焦げたのは食べたくないなぁ」
ア「アッと、いけない」
指摘され、慌てて たこ焼きを返していくアカネさん。
しかし、客は尚も込み入った話を続ける。
客「…大事なのは、『人の数が増えても、人間の数が増えなければ意味が無い』
という事なんです」
ア「それって、どこが どう違うのさ?」
客「分かり易く説明できるか どうか分からないけど…。
人間というのは 自分自身と相手、そして その間に有る繋がりの、
全てを含めて『人間』なんです」
ア「う〜ん?」
客「例えば…、今 女将と私の間には たこ焼きを売る・買うという関係が在るでしょう?
これで“人間”が1本、存在するという事」
ア「“本”? “人(にん)”じゃなくて?」
客「そうですよ。 人(にん)だと繋がりが無視されてしまいます。
だから、私は本(ほん)で数えるんです。
…で、ここで仮に もう1人加わわると3本の関係性…というか、
私が言う所の人間が3本、在ると」
ア「人が3人で人間が3本。変わりないじゃない」
客「いえいえ、大いに違います。
では問題、人が4人ならば“人間”は最大で何本 存在し得るでしょうか?」
ア「…4本」
客「ハズレ。 正解は6本。
四角形の角を人、角と角を繋ぐ線が人と人の繋がりだと思って下さいな。
そうすると対角線の繋がりも在るでしょう?」
ア「あ! そういう事?」
客「分かりましたか? 5人なら10本、6人なら…、何本だ?
6人居て、相手が5人だから6×5で30、
ふたりで1本だから2で割って…15本、だな。
とにかく人が増えれば、“人間”の数は それ以上に増えていくんです。
まあ当然、集団の人数が増えてくると繋がりの無い関係というのも出てきますが」
ア「でもさぁ、『人間の数が増えなきゃ意味が無い』って、どういう意味?」
客「ッ…しっかり してくだされ、女将!
確かに たこ焼きを買って食べるのは『人』ですし、どうしても人の数で考えたく
なるのも分かりますが、だとしても たこ焼きを食べた感想とか店の評判といった
情報は、『人間』を伝わって行くんです。
その『人間』を相手にした商売をしないで、どうしようというのです?」
ア「う…。アンタの言う『人間』って、そういう事なの…?」
客「そうです。 みんな、何らかの形で繋がって生きているんですから」
- 852 名前:予想係(05/07) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/06/07(火) 23:06:30 [ L1e19CEQ ]
ア「…それから その人は余り来なくなったけど、その話で ちょっと考えさせられてね。
それで お客さんの立場に立って、『人間』というものを意識して商売に臨んだら、
そこそこ お客さんが集まるようになったんだ」
…アカネさんの話に少しは感銘を受けたのか、みな無言で聴き入っていた。
ほ「人間の、力…」
ア「そう、それを否定したら人は何も出来ないし、何も成し遂げられない と。
そいつは そう言いたかったんじゃ ないのかな」
な「…ね、アカネさん。 その人ってアカネさんに惚れてたんじゃ ありません?」
ア「えぇ?! アタシにィ?」
志「ありうる ありうる ありうる!」
莉「寂れた お店に ふらり立ち寄る男が一人…、美しい女店主、燃え上がる恋の炎…!」
ア「茶化さないでよ、もう。…でも…」
アカネさんは少しの間 思い返してみたが、
ア「それは無い! 断じて!!」 と、キッパリと否定し、
ほのかと ひかり(とアカネさん)以外の4人が、ズッこけた。
期待した分、落胆が大きい。
ア「だってさ、そいつタコが大嫌いなのに週一のペースで通ってたんだよ?
毎回 毎回たこ抜き たこ焼き 焼かされて、正直ウンザリだったんだから」
な「たこ抜き たこ焼き…。味噌抜き味噌汁 並みに ありえない!」
ほ「味噌抜き味噌汁じゃ、味噌汁にも ならない…」
な「そういう歌が在るのよ」 ほ「?」
ア「むしろ そいつは…、ウチの お客さんに会いに来てたような気がする。
同じ頃 常連だった女の子…。
アタシの後輩なんだけど、その子と何か話してたのは良く覚えているな」
志「それって ひょっとして、ひょっとして、ひょっとして?」
莉「恋の成就の予感…!」
ア「いや だから、それは無いって」
またも4人がズッこけた。 期待した分、落胆が更に大きい。
ア「思えば あの子も、最近 見かけないな…。元気にしてるのかな?」
ひ「あ! アカネさん、時間が…」
ア「時間? …あぁ! そうだった!」
本来の目的を思い出したアカネさんが勢い良く立ち上がった。
ア「消灯時間 近いから呼びに来たのに、何か話し込んじゃったよ。
さあ さあ、みんな戻るよ」
ユ「えぇ〜と、途中だけど良いかな? もう」
ユリコがカメラのシャッターを閉じ、三脚を畳んで、急いで戻り支度を始める。
なぎさ、志穂、莉奈、ひかりも立ち上がり、合宿所へと歩き始める。
しかし、ほのかは起き上がっていたものの、体育座りの状態のままで星を見上げていた。
ユ「それじゃ ほのか、先 戻ってるね」
ほ「うん…」
声を掛けたユリコに対し、生返事で応える ほのか。
それを耳にして なぎさが立ち止まり振り返ると、ほのかは やはり まだ空を見上げている。
莉「なぎさ! 置いてくよ」
莉奈たちが数歩 遅れた なぎさを呼んだが、
な「…ゴメン、先 行ってて」
そう言い残し、なぎさは踵(きびす)を返して ほのかの所へと戻った。
なぎさが近くに来ても、ほのかは ぼーっと空を見ていた。
視線を辿って ほのかが どの星を見ているのか探そうとしたが、よく分からない。
な「ほのか?」 なぎさが声を掛けても、考え事をしているのか何も応えない。
試しに星を見ている ほのかの視線を塞ぐように立ってみたが、やはり反応は無い。
な「ほのか!」 やや大きな声で再度 声を掛けると、漸く なぎさに気付いたようだ。
ほ「なぎさ…」 だが、その声に張りは無い。
心配した なぎさは、しゃがんで ほのかの目を見ようとしたが、
当の ほのかは すぐに脚を抱えて目を伏せてしまった。
ほ「…寂しいのは もう嫌なのに、ずっと我慢の連続は辛すぎるのに…。
私は、みんなと どれほど うまく付き合えているんだろう…」
ほのかの身体は、細かく打ち震えている。
なぎさは身じろぎもせずに、小さく ささやくような ほのかの声を聴いていた。
ほ「人間関係が大事と言うけど、なら、私と他の人との間に どれほどの関係を
持ち得ているのかしら? …思い返しても、大した関係は持っていない気がする。
上辺だけ、表面だけの付き合い。全然かみ合ってない。
真に心を許せるのは なぎさしか居ない、それで良いハズが ないよ…」
それを聴いた なぎさは少しだけ ほのかの左脇に回って近寄り、
自分も ささやくように話し掛けた。
- 853 名前:予想係(06/07) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/06/07(火) 23:07:29 [ L1e19CEQ ]
な「さっきも言ったけど、ほのかは頭で考え過ぎ。
全てを完璧に やろうとすると、どこかで無理が生じるんだよ。
だから、心に余裕を持った方が いい」
しかし、ほのかは その言葉を聴き入れられなかった。
ほ「そんな…、そんな事、出来ない…! 心に余裕を持つ程の余裕も無いのに」
精一杯、やっとの思いで言葉にする ほのかを見て なぎさは いたたまれなくなり、
静かに自然に ほのかの頭を胸へと抱き留め優しく撫でた。
な「身も蓋も無いかも知れないけど…。
ほのかって一見 物静かだけど、人一倍 負けん気が有って強がる所あるよね。
自分に対する評価が気になって、常に他人の顔色を伺って、
ちょっとした一言が いつまでも気に掛かって、
自分のイメージを保とうと自分の良い所、強い所しか見せないでいる。
何か、そんな感じがする…」
「小田島 友華シンドローム」と呼べば分かり易いであろうか。
自分の心の中の、認めたくない事実をズバリ指摘されて途端に物凄く憎らしくなり、
ほのかは なぎさを力の限り突き放そうとする。
だが それは なぎさが許さず、ほのかを凌駕する力で更に抱き締めた。
ほ「放して…」
しかし なぎさは聞き入れず、声を潜めつつも必死に訴え続ける。
な「ここ最近、ほのかは私に対しても気を張り続けてる…。
なんとなく分かるの、『本心を、心の大部分を隠し続けている』って。
そんなんじゃ、いつか心が疲れ切っちゃうよ?
本当の ほのかは いったい、どこに居るの?
せめて、私には本当の ほのかを見せて…」
ほ「ダメ…、本当の私なんて何も無いし、何も見せられない。私の心は空っぽ だから」
な「空っぽ だって いいじゃない! そんなの アタシが幾らでも埋めてあげるから!」
ほ「…え?」
ほのかは自分の頭に何か ごく小さな水の雫が落ちたような感覚を覚えた。
な「ほのかが望むなら、愚痴だって弱音だって、わがまま だって 聞いてあげる。
ほのかが望まないなら、私は一歩 引いて ほのかが もう一度
私を呼んでくれるまで、ずっと待ってる。 でも、私は…。
…ほのかが辛そうにしているのに、自分が何もせず見ているだけなんて、
耐えられない。 ほのかが何でもないフリしているのを、見るのも辛い。
だから、本当の ほのかを見せて。
私には何も出来ないかも知れないけど、せめて、傍に居させて…」
なぎさが腕の力を抜いたので、ほのかは漸く なぎさの顔を見上げられた。
涙を隠す事なく、ただ ほのかだけを見つめている。
友達として、親友として、そこまで言ってくれる人が他に居るだろうか?
そう思った時 ほのかの目にも涙が溢れて次から次へと零れ落ちた。
ほ「あれ? 悲しいわけ じゃない。 寧(むし)ろ うれしい。
そのハズなのに…。 私、変…」
な「うれしくても涙は出るでしょう、ちっとも変じゃない」
ほ「…でも」
な「辛い時は無理して あれこれ考えちゃダメ。 ロクな事に ならないから。
今の ほのかは体の調子が悪くて、それに心が引きずられているだけだよ。
晩ご飯の時だって箸が進んでなかった みたいだし、
今日は ずっと ボーッと してるし…。 それに、
『心と体は表裏一体。心が萎えれば体も病むし、体がダメだと心も冴えない』って。
いつだったか ほのかが教えてくれた じゃない?」
ほ「そう…だった?」
な「一字一句 間違えずに、と までは いかないけど、
ほのかが言った大事なことは ちゃんと覚えているよ」
ほ「ずっと悩んでいた私が愚か だった…。
なぎさは こんなにも私を よく見ていて くれたのに。
ありがとう、なぎさ…」
な「…ん」
- 854 名前:予想係(07/07) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/06/07(火) 23:08:14 [ L1e19CEQ ]
ひ「お取り込み中の所、申し訳ありませんが」
いきなり背後から ひかりが声を掛けてきた。
その存在に気付かなかった ほのかと なぎさは、抱き合ったまま驚いて10cmほど跳ねた。
な「ひ、ひ、ひかり?! いつから ここに?」
ひ「最初から おりました」 な「という事は…」
ほ「恥ずかしい所、見られちゃったかな?」
ひ「いえ、お気に なさらずに。 そんな事より お時間です」
な「時間?」 ひ「消灯です」
ひかりが そう言った途端、合宿所の明かりが次々と消えていき、
非常灯などの一部を除いて全て消えた。(アレ? 点呼は どうした?)
ほ「…真っ暗、ね」 な「何も見えない」
ひ「大丈夫です。私は ちゃんと見えますから」
な「ひかり、こんなに暗い所でも足元 見えるの?」
ひ「はい。 お手を拝借します。 私が明るい所まで案内しますから」
そう言って ひかりは ほのかと なぎさの手を握って立たせ、殆ど光の無い草むらを
事も無げに歩いて合宿所まで誘導する。
な「あの、ひかり…? …その、何と言うか…」
なぎさとしては先ほどの ほのかとの会話内容を口外して欲しくは ないのだが、
だからと言って ひかりの口に戸を立てて黙らせるような真似も出来ない。
そんな なぎさの気持ちを酌(く)んだのか、ひかりの方が気遣いを見せた。
ぴ「先程の お話の事でしたら、大丈夫です。
私も、ほのかさんと同じように悩んでいましたから。
『人間とは、何なのか?』と」
な「ひかり…」
ひ「何も分からないまま、気が付いた時には この世界に居て…。
あの頃の私は何かを しなくちゃ いけないと感じているのに
何も出来なかったし、この世界の事を知るだけで精一杯でした。
でも、色々な考え方を持つ様々な人たちに会って、
何となく、朧気(おぼろげ)にですが、分かってきたような気がするんです。
『人間とは繋がり合い、慈しみ合うもの。 孤独で居ては いけないもの』だと。
そして どうすれば私も そのようになれるか…、悩みました。
でも、迷いは しませんでした」
ほ「迷わなかった?」
ひ「はい。 眩しいほどに光り輝く絆を持つ おふたりが、私を導いたからです」
その言葉を聴いた瞬間、ほのかと なぎさは 自分と相方と ひかりとの間に
心が繋がったような感覚を覚えた。
気が付くと、ほのかの左手と なぎさの右手とが ひかりの両手の平の上で繋がれている。
な「あ…?」 ほ「!…」
いつもと逆。それだけで新鮮な感じがするのは気のせいだろうか?
ひ「どんな時にも諦めず、お互いの事を想い続ける なぎささんと ほのかさんが、
正直 羨ましい くらいです」
な「アタシたち…が?」
ほ「照れちゃうな…」
ひ「…大丈夫。心の中に希望が有る限り、進むべき未来は きっと見つかりますから」
ほ「ありがとう、ひかりさん…」
見上げれば、星空の彼方に希望の園が在る。
無論、肉眼では とても見えや しないけど、強く願えば希望の力は
自分の心の中に みなぎってくる。 不思議と、そんな気がしてきた。
人々が星空を見上げるのは、そちらから来る希望の園の力を感じるから なのかな?
そんな風に思う ほのかであった。
目が慣れてきた せいか、なぎさは ほのかの顔を薄ぼんやりと ながらも
見えるようになってきた。 その ほのかは再び星空を見上げている。
ほのかの表情には曇りは全く見られず、いつも通りに温和で柔和な表情を見せている。
それを見て 取り敢えずは安心し、
「ほのか、ひかり。戻ろうか」 と声を掛ける なぎさであった。
ほ「そう言えば、希望の園のカエルさん たち、元気にしている かしら?」
な「アタシも同じ事 考えてた。でも、希望の園って どっちの方角だろう?」
ひ「…えっーと…」
…おしまい。
- 855 名前:予想係(呑気) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/06/07(火) 23:10:02 [ L1e19CEQ ]
- INDEX >>848-854
参考資料(かなり前に読んだ本だけど)
ポピュラー・サイエンス 216
つながりの科学 ― パーコレーション ―
小田垣 孝 著、裳華房 ISBN4-7853-8716-5
しかし まぁ、今作を書き上げるのに一ヶ月以上も費やすとは思わなかった。
今更ながら自分の遅筆ぶりに呆れ果ててます。
そんな訳で次作の予定は未定です。
- 856 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/06/09(木) 00:56:29 [ AlJHvkcQ ]
- 最近ここを知ってから、ずっとROMってましたが・・・
いやー皆さんほんとに素晴らしい。
特に833@さんの一週間SSにはやられました。
自分のツボにクリーンヒットです。心の繋がりや触れ合いの素敵さをひしひしと感じました。
そして今拝読させて頂きました予想係さんの「星空の許で」には物凄く感銘し、感動しました。
本作品ではこういった深さを描けていない話が多いからこそ、
皆さんの作品がそれを十二分にリカバリーしている素晴らしさ。(エロ含めてw)
自分はプリキュアの前々作品のSSしか書いた事が無いのですが、
皆さんのように深くキャラクターを把握し愛するようになれれば、何か書かせて頂くかも知れません。
これからも皆さんの、楽しくエッチで素敵な、それでいてジーンと来る作品を楽しみにしております。
- 857 名前:予想係(呑気) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/06/09(木) 23:21:28 [ Xd9zzI3E ]
- >>856
感想ありがとう ございます。
今回の「星空の許で(通常版)」は かなり苦しみながら書き上げただけに、
そう言って頂けると私の苦労も報われます。
百合版の時はノリと勢いで書いたから、何の苦労も無かったんだけどなw
- 858 名前:634 投稿日:2005/06/12(日) 00:58:05 [ C8aUe13E ]
- 「ひかり!ほらお客さんが注文待ってるよ!」
「ハイ!」
「ひかり!ちょっとコレ手伝って!」
「ハイ!」
「ひかり!これ早く持ってって!」
「ハイ!」
「ひかり!食材買ってきて!」
「ハイ!」
「ひかり!……」
* * *
「ふぁ…」
ポルンに本を読み聞かせていた最中に、ひかりが一つ大きなアクビをする。
「ひかり、今日はとっても忙しそうだったポポ。大丈夫ポポ?」
「フフ、心配してくれるのね?ポルン。でも大丈夫。ちょっと疲れただけだから…」
心配そうに聞いてきたポルンに、優しく答えるひかり。
「本当ポポ?本当に平気ポポ?」
「本当よ…。さて、今日はオシマイ。もう寝ましょ?歯磨きして来るから、先に寝ててね?」
なおも心配してくるポルンに諭すように語りかけると、読みかけの本をパタンと閉じ立ち上がる。
「…わかったポポ。ひかり、おやすみポポ…」
いつになく素直なポルン。
そんなポルンにひかりは
「うん。おやすみ、ポルン」
と微笑を向けると、明かりを小さくして部屋を出て行った。
・ ・ ・
「あれ、ひかり。もう寝るの?」
歯磨きを終え、部屋に戻ろうとしたひかりにアカネが話しかけてくる。
「ハイ。ちょっと疲れちゃったんで、今日はもう寝ようかと思って…」
その何気ないひかりの一言に、アカネの表情が少し曇って行く。
「そう…。今日は色々とゴメンね?何だかコキ使っちゃったみたいでさ…」
「いいえ、そんな事ないです!確かに大変でしたけど、でも凄く嬉しかったんですよ?
お客さんイッパイ来てくれましたし、ああいう忙しさなら大歓迎ですから!」
申し訳なさそうに謝るアカネに、ひかりが健気な言葉で応じる。
そんなひかりを、アカネが感じ入ったように見つめる。
「ひかり、あんたってコは……。ヨシ!明日も天気良いみたいだし、きっと大忙しだよ!?頑張ろうね!」
「ハイ!頑張ります!」
アカネの励ましに、元気良く答えるひかり。
「そう、その意気だよ!オヤスミ、ひかり!」
「おやすみなさい、アカネさん」
そして互いに笑顔でお休みの挨拶をする。
「あ…、ひかり!」
だが戻ろうとしたひかりを、アカネが慌てたように呼び止める。
「…?どうしたんですか?」
「あ…いや、何でもない。何でもないよ…」
「フフ、変なアカネさん…」
可笑しそうに笑いながら、ひかりがアカネに軽くお辞儀をして部屋へと入って行く。
そんなひかりの後姿を見つめながら、
「…オヤスミ」
とアカネはもう一度小さく呟くのだった。
- 859 名前:634 投稿日:2005/06/12(日) 01:00:11 [ C8aUe13E ]
- 「ひかり……」
ベッドに寝そべり、一枚の写真を手にしてアカネが呟く。
そこに写っているのは、タコカフェの前で仲良く笑顔で並んでいる自分とひかりの姿。
暫しの間、写真をジッと見つめていたアカネだったが、やがてフッと微笑みを浮かべて写真を元の位置に戻す。
そして明かりを消し、静かに目を閉じる…。
――ひかり…。どうしてかな?
まだ半年も経ってないのに、何だかずっと一緒に居るような気がするよ…。
何かこっぱずかしくて面と向かっては言ってないけれど、ひかりが居たからここまでやって来れたんだ。
あたし一人じゃ、あの時に挫折してたかも知れない…。
あんたの笑顔はその名前の通り、あたしを照らしてくれる光。
イヤ、あたしだけじゃ無い。みんなを照らし幸福を与えてくれる光なんだ。
でもね?ひかり。あんたのその笑顔が、何故か時々あたしをふと不安にさせるんだ。
朝目を覚ますと、あんたが居なくなってるんじゃないかって…。
ある日突然、何の断りも無くどっか遠くに行っちゃうんじゃないかって…。
何の根拠も無い不安だけど、そう感じる時があるんだよね。
そう、さっきみたいにさ…。
でももし、もしもそんな事になったら、あたしは絶対に許さないからね。
だってひかり、あんたはあたしの家族だから。
過ごした時間は短くても、かけがえの無い大切な家族だから…。
だからさっきはあんな事思ったけど、本当は信じてるよ。
そんな事は無いんだって…。
さてオヤスミ。
また明日も、その笑顔を見せてよね?
輝くようなその笑顔を……
ひかり…
…
* * *
「さてひかり、今日も一日頑張ろうか!」
「ハイ!アカネさん!」
爽やかな朝の陽射しの下に、いつものように元気な声が聞こえてくる。
「フフ、張り切ってるね…。じゃあさっそく、椅子やテーブル並べてくれる?」
「ハイ!」
こぼれる様な笑顔で返事をし、ひかりが準備に取り掛かる。
そんなひかりを、アカネが眩しそうに見つめる。
――ひかり…あんたが望む限り、いつまでだって一緒に居てあげる。
どんな時だって、絶対に守ってあげる。
だからひかり、その笑顔をいつまでも……
「あの…もうオープンしてますか?」
「え!?」
突然の呼びかけにハッと我に帰るアカネ。
声の方を見ると、本日最初のお客さんのようだ。
「だからオープン…」
「ハイ、モチロン!おーい、ひかり!お客さんだよ!」
「ハイ!」
昨日と同じような光景がそこに広がる。
どうやら、今日もタコカフェは忙しそうだ。
- 860 名前:634 投稿日:2005/06/12(日) 01:10:34 [ C8aUe13E ]
- 今回は百合は無し。アカネ→ひかりで、こんな思いがあるのではと思ったんで
書いてみました。
でも何だか、愛情タップリな人物にアカネさんを書きすぎたかな?
いや、そうじゃないとは言わないけど…
- 861 名前:予想係(呑気) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/06/12(日) 10:25:21 [ OByadFVs ]
- >>858-859
GJです!
ひかりとアカネさんの関係が今後どうなるのか、気になりますよね。
- 862 名前:833@ 投稿日:2005/06/12(日) 21:32:22 [ pmv2IlZw ]
- >634氏
乙です。まぁ確かに複雑というかまだ深く書かれてないから気になりますね。
- 863 名前:833@ 投稿日:2005/06/17(金) 10:45:23 [ bwXOHJPQ ]
- 日曜日の昼下がり、青空の下公園で二人の少女がたこ焼きを頬張っていた。
「はい、なぎさ。あ〜んして」
腰まである長い黒髪の少女が、大きなたこ焼きを一つ爪楊枝に刺し、もう一人の茶髪の
少女の名前を呼び口元へと運ぶ。
「あ〜ん」
なぎさと呼ばれた少女は口を大きく開けて、たこ焼きを入れてもらう。熱の篭った出来
立てのたこ焼きを細かく租借しじっくりと味わう。
「おいしい! ほのか、やっぱりアカネさんのたこ焼きは最高だね」
ほのかへ向かってなぎさはグッと親指を立てる。
「なぎさは本当にたこ焼きが好きなのね」
大袈裟なリアクションを取るなぎさの様子を見つめながらほのかはクスクスと微笑む。
夏の訪れを告げるかのような強烈な日差しが、大きく開かれたパラソルの下で佇む彼女
たちを照らしていた。そしてそんな二人の様子を、少し離れた距離のトラックの中から見
つめる女性が一人……。
「相変わらずあの二人は楽しそうだね……」
人気の無いガランとしたトラックの中で藤田アカネは小さな溜め息を一つ漏らした。
本来ならばたこ焼きやクレープを作るためにあるハズの鉄板はすっかり冷え切ってしま
い、寂しい静寂が暗がりのトラックを支配していた。
アカネは持っていた鉛筆を机の上に放り投げ、開いていたノートを閉じた。会計と書か
れたノートはかなり汚れていて、使い古された品であるとということを告げていた。
椅子に凭れ掛かりアカネは上体を思い切り伸ばした。ポキポキと凝っている肩や腰の骨
が鳴り響く音が聞こえた。
「ふぅ……、今月も赤字かぁ」
両手を膝の上に乗せて重々しく呟いた。
藤田アカネと彼女の従姉妹(一応そういういうことになっている)九条ひかりが二人で
経営するタコカフェは先月から続く営業不振に苦しんでいた。
決して味が悪いわけではない。たこ焼きやクレープを買ってくれる人は概ね高評価をし
てくれるし、もちろん値段が目に余って高いというわけでも無い。
なぎさやほのかのようにリピーターとなって何度も訪れてくれる客も居る。
では、なぜ売り上げがそれほど芳しくないのだろうか。
アカネは自分自身でその理由をわかっていた。
「やっぱり、新規のお客さんが少ないんだよね……」
ノートを引き出しの中に入れながら呟いた。
味が良くても値段が安くてもあくまで公園で営業している。リピーターのほとんどが常
連と化してしまった現状は確かにある程度の収入を確保はしてくれる。ただ、それだけで
あった。目の前の客の要求に応えることだけを繰り返していたために、大きな利益を上げ
るためには不可欠な存在である新規の客、いわば大衆を取り入れることをすっかりと忘れ
てしまっていたのだった。
ベローネ学院の生徒であっても、タコカフェの存在を知る生徒は多くは無い。味や値段
は良くても知名度が決定的に無いのである。
「かといって宣伝をするだけの費用は無い……、まぁ当然なんだけど」
細かいゴミが散らかった部屋を箒で掃きながらアカネは考える。
どのようにすれば宣伝費をかけずにタコカフェの知名度を上げることが出来るか。それ
が出来ないことにはタコカフェの増益を望むことは出来ない。
「さて、どうしたものか……、ん?」
ふとアカネがぼんやりとしたままタコカフェの販売口から外を見つめると、先ほどと同
じように、なぎさとほのかがたこ焼きを楽しそうに食べていた。
「はい、ほのか。あ〜んして」
さっきとは逆に、なぎさが爪楊枝にたこ焼きを刺し、ほのかの口元へと持ち上げていた。
「あ〜ん」
ほのかが小振りな口を開きたこ焼きを頬張る。
「おいしいね、なぎさ」
「うん!」
二人の少女は目を合わせると嬉しそうに微笑んだ。
「ハハハ……」
アカネの口から無意識に乾いた笑いが毀れた。別に何かが可笑しかったというわけでは
無い。ただ余りにも幸せそうでいる二人の表情に少し呆れた。といったところであった。
- 864 名前:833@ 投稿日:2005/06/17(金) 10:47:01 [ bwXOHJPQ ]
- 「ん?」
突然目に見えない何かがアカネの細胞を駆け抜けた。一瞬の後、アカネの脳の中を一筋
の電撃が走った。天啓の如く閃いた発想がアカネの脳を支配した。
「そうだ! これだ! これだよ!」
先ほどまでは別の人物であるかのように大きな瞳を輝かせ、アカネは立ち上がった。そ
してトラックのドアを開け、まだ暑さを感じさせる太陽の下へ飛び出す。
長い足の大きなストライドでなぎさとほのかの座るテーブルへの距離を一気に縮め、ア
カネが二人の前に立つ。なぎさとほのかはキョトンとした表情で顔を見合わせると、
「あの……アカネさん。どうかしたんですか?」
遠慮がちな様子でほのかがアカネに尋ねる。何も言わずに立ちはだかるアカネに少し不
安になったほのかがなぎさの制服の腕の裾をクイと握る。
「え〜〜と……、アカネさん?」
二人の質問にアカネは答えずにアカネは両手でテーブルを叩いた。
大きな音と共に、テーブルの上のたこ焼き、ジュースの入ったコップが揺れた。
「ちょいとあんたたちに頼みがあるんだけど」
唖然としている二人に対して、アカネは自分の頼みを打ち明ける。
「え……。頼み……ですか?」
多少落ち着いた感のあるほのかが、まだそれでも怯えた様子でアカネに尋ねた。
アカネはテーブルから両手を離すと、いつものような笑顔で、
「そう。まあ簡単なことなんだけどさ」
「どんなことですか?」
なぎさが好奇の目でアカネを見つめる。アカネは白い歯を見せて笑うと、
「ちょいとさ、後ででいいからあんたらここでキスしてくれない?」
とんでもないことをさらりと言ってのけた。
「はい……?」
アカネの言ったことが理解出来ないと言わんばかりになぎさは首を傾げる。ちらりとほ
のかへと視線を向けるとほのかもまたなぎさ同様何が何だかといった様子の表情を見せて
いた。
「あの、それって……」
どういう意味ですか。とほのかが続きを言おうとしたところをアカネが遮る。
「だから言ったまんまだよ。ここで一回ぶちゅ〜と頼むよ」
両腕を組み、なぎさやほのかを上から見下ろしながら言った。
「そ、そそそ、そんなの無理ですよ!」
勢いをつけて椅子から立ち上がったなぎさが、アカネを見上げながら言った。放ってお
けば、このまま掴みかかってきかねない。目の前でキスをしろ。などと言われたせいか、
頬を赤く染め、微かに心拍数も上昇しているようだ。
「そうですよ! そ、そんなキ……キ……」
どうにかして続きを言おうとしているほのかだったが、羞恥心からかすっかり吃ってし
まった。真っ赤に染まった顔を両手で覆い隠し、必死に隠そうとする。
すっかり俯いてしまったほのかを無視して、アカネの顔がなぎさに詰め寄る。
「そんな一回くらいなら別にいいじゃない。あんたら、どうせアタシの居ないところでは
もっとやってるんでしょ?」
「そ、そんなわけないじゃないですか! あたしたちはそんなんじゃ!」
痛みを負うことも省みずに、先ほどアカネがしたように両手で思い切りテーブルを叩く。
その音の大きさにタコカフェの周辺で羽を休めていた鳥たちが逃げるように数羽ほど羽
ばたいていった。
からかう様な軽い口調で迫ってきたアカネを、なぎさは真剣な声と表情で押し返す。い
つも心に余裕を持ち、ゆとりのある行動をとるアカネも、予想だにしなかったなぎさの気
迫に、思わず後ずさりをした。
しかし、自分のため、九条ひかりのため、店のためにもここで引き下がるわけにはいか
ない。アカネは遂に自らの最後の手段である最後の切り札を出した。
「もちろん無料でとは言わないよ。やってくれたらたこ焼き奢るよ」
「え……」
食欲旺盛でありながら年中無休で金欠症に苦しむなぎさを釣るために、これ以上の効果
を持つ餌など果たしてこの世に存在するだろうか。いや、存在しまい。
「た、たこ焼き……ですか?」
固い決意の壁はあっさりと崩れ落ち、なぎさの意志はたこ焼きの大波に飲まれた。
生じた機会を逃さずにアカネは最後トドメの一撃を突き刺す。
「ああ、おいしいたこ焼き食べ放題だ!」
揺らいだ欲望の心を爆発させる導火線への火付けがたった今完了した。時間が経過すれ
ば放っておいても爆発する。
「わかりました! アカネさん! やらせていただきます!」
心臓の位置する左胸を二回叩き、なぎさは承諾の返事をする。
「頼んだよ! なぎさ!」
ポケットの中から組んでいた両手を解き、なぎさの両手を固く握り締める。なぎさとア
カネは契約を示す握手を交わし、何度も何度も両手を上下に振った。
- 865 名前:833@ 投稿日:2005/06/17(金) 10:47:59 [ bwXOHJPQ ]
- 「ちょ……ちょっとなぎさ!」
アカネと繋がれたなぎさの手を強引に引き離し、ほのかがなぎさの両手を握り締める。
ゆっくりと両手を胸の位置まで持ち上げて、少し潤んだようなな眼差しで、慌ててなぎ
さを止めるように言った。
「そんなの私……」
「ま、まぁ一回くらいいいじゃん」
アカネからたこ焼きの食べ放題を約束されたことは伏せて、ほのかを説得するようにな
ぎさは軽快な口調で話し、笑顔を浮かべる。
ほのかは更になぎさの両手を握る手に力を込めた。
「本当にいいの?」
口元を引き締めて、真剣な表情で向き合うなぎさとほのか。静かになぎさがほのかの右
手を取って、自分の左頬へと導く。赤く染まった頬に篭った熱が手を伝わって、ほのかの
体の中へと流れ込む。
「あたしはいいよ。ほのかとだから……」
心のうちにある自分の思いをなぎさは外へと吐き出した。声は空気の中で弾け、一瞬に
して消えた。だが、それはほのかの心の中にはっきりと刻まれる。
「なぎさ……」
ほのかは静かになぎさの名を、自分が最も愛する人の名を呼んだ。
「アカネさ〜ん」
至近距離で見詰め合うなぎさとほのかを見守るアカネの耳に遠くから誰かの声が入りこ
んだ。しかしなぎさとほのかがその声に気づくことは無かった。
「お、ひかり。おかえり!」
三人の少女がタコカフェに向かってゆっくりと歩いてきた。
一人は金髪の長い髪をして、一人は短い茶髪の、そしてもう一人は濃い青色をした。
「へぇ〜、ここがひかりが手伝ってるお店なんだ」
茶髪の少女、奈緒がタコカフェを見つめながら言った。
「意外と大きいね」
青髪の少女、美羽も感心したような声をあげた。
「それほどでもないですけど……」
褒められることが満更でもない様子のひかりが少し照れながら笑顔を浮かべた。
「それにしてもひかり。随分と早かったね」
「いえ、奈緒と美羽がアカネさんのたこ焼きを食べてみたいって」
右手を差し出し、アカネの前で恐縮している二人を紹介する。
「えと……、ひかりのクラスメートの田畑奈緒です」
「同じく、加賀山美羽です……」
緊張した面持ちを浮かべながら、奈緒と美羽が自己紹介を済ませる。
「あたしは藤田アカネ。よろしくね」
「はい!」
ぴったりと合ったタイミングで奈緒と美羽が元気良く返事をする。
「今日は初めてということで奢っちゃおう! ちょっと待ってて!」
アカネが踵を返すとたこ焼きを作るために店の中へと入る。
「ア、アカネさん。私も」
アカネを手伝おうとひかりも店の中に入ろうとする。
「いいよあんたは。友達と一緒に待ってな!」
「あ、はい……」
友人と一緒に居るひかりを気遣ったアカネの行動に、ひかりは感謝しながら奈緒と美羽
の元へと戻った。
「あっ、美墨先輩と雪城先輩だ」
別の座席で向かい合っているなぎさとほのかに気づいた奈緒が呟いた。
「でも、二人で話してるみたいだから邪魔しないほうがいいよ」
二人の真剣な表情を心配しながら美羽が奈緒に促した。
「そうね……」
奈緒もまた美羽の意見に従い、二人には話しかけずに居た。
「もう少しで出来るから」
結果的にアカネに追い返されたひかりが奈緒と美羽に笑顔で告げた。
やがて数分と時間を置かずに出来たてのたこ焼きが三人の前に並べられた。
「お待ちどうさま!」
「いただきま〜す」
三人は同時に手を合わせて、爪楊枝にたこ焼きを刺し、たこ焼きを頬張る。
「おいしい!!」
奈緒と美羽は二人同時にお互いの顔を見つめ大きな声を上げた。
「ね?」
ひかりも嬉しそうな様子でたこ焼きを一つ頬張った。自分にとって大切な人を褒められ
て嬉しくない人間は居ない。
「どう? おいしいでしょ!」
アカネが自信満々といった表情で奈緒と美羽に尋ねた。
「はい! とってもおいしいです!」
奈緒と美羽が同じタイミングで同じ言葉を使い、アカネのたこ焼きを絶賛した。
僅かばかり太陽の光が弱まる時間帯。その量がおやつとして丁度良いのだろうか、ひか
りも奈緒も美羽もあっという間にたこ焼きを一パック食べ終えてしまった。
- 866 名前:833@ 投稿日:2005/06/17(金) 10:48:48 [ bwXOHJPQ ]
- 「ごちそうさまでした!」
アカネは同じタイミングでたこ焼きを食べ終えた奈緒と美羽の様子を見計らうと
(そろそろだね……)
アカネは右手を指を高く掲げると中指と親指を弾いて小さな音を鳴らした。その音にな
ぎさとほのかが反応し、なぎさは立ち上がり、ほのかは椅子に深く腰掛けた。
「あれ? 美墨先輩……」
今までじっと座っていたなぎさの動きに、無意識のうちに奈緒が呟いていた。視線はな
ぎさを追う。美羽とひかりも奈緒に後を追う様になぎさの動きを視線で追う。
どこか緊張した様子で顔を赤く染めたなぎさが、同じく頬を染めたほのかに顔を近づけ
る。
(え……!?)
(まさか……!?)
奈緒と美羽はその先の行動を予測する。しかしまさか先輩たちに限ってそんなこと…。
自らの下劣な妄想を否定するように奈緒と美羽は首を左右に振る。
しかし、そんな予想はあっさりと裏切られた。
なぎさは体を屈めてほのかの両の頬に両手で触れる。ほのかはゆっくりと瞳を閉じ、な
ぎさもまた顔を近づけながら瞳を閉じた。
そして、ゆっくりと二人の唇が重なる。
(!?)
奈緒と美羽は目の前に光景に声にならない叫びを上げる。自分たちが最も尊敬し、そし
て憧れる先輩たちの覗いてはいけない秘密の花園。その光景が今、自分たちの目の前で露
になっている。頭脳が必死に見まいと思考するものの、本能と欲望が二人の視線を固定し
目を逸らすことを決して許さない。
ひかりもまた奈緒と美羽同様になぎさとほのかから目を離すことが出来ずにいた。
ただアカネ一人だけが冷静にその様子を見つめ、そして満足そうな笑みを浮かべた。
暫くしてなぎさとほのかの唇が離れた。微かに瞳を潤ませてなぎさはほのかの、ほのか
はなぎさの両肩に両手を乗せる。頬を染め瞳を見つめあいながら、それでも二人とも手だ
けは離さない。
「なぎさ……」
「ほのか……」
なぎさとほのかがお互いの名前を呼ぶ。今度はほのかが顔をなぎさに近づける。ほのか
が再び瞳を閉じると、なぎさも応えるように瞳を閉じる。そして、ゆっくりと二人はもう
一度唇を重ねる。
「なぎささんとほのかさん……、凄いですね……」
たった今目の前に広がる光景をどう表現すればいいのかわからない様子のひかりが、単
純な自分の感想を告白する。一筋の風がなぎさとほのかの髪を優しく撫で、まるで絵画で
も見ているかのように錯覚させた。
奈緒と美羽もひかりの言葉に無言で頷き同意する。
「そういえばさぁ……」
なぎさとほのかの様子を黙って見ていたアカネが唐突に口を開いた。
「――――らしいね」
アカネがそのことを言い終わると、
「えええええええ!?」
奈緒と美羽は信じられないといった様子でアカネを見つめる。
- 867 名前:833@ 投稿日:2005/06/17(金) 10:49:23 [ bwXOHJPQ ]
- 「すいません、アカネさん。今日はこれで失礼します。ひかり、またね」
「じゃあ今日はこれで!」
簡単に挨拶をすると、奈緒と美羽は大慌てでその場を立ち去った。
「これで、よし」
してやったりといった笑顔をアカネは浮かべた。
何かを言いたそうにしているひかりをそのまま放っておき、アカネは離れた席に居るな
ぎさとほのかに声をかけた。
「二人ともありがとう。もういい……」
公園中に響き渡るような大きな声でアカネが叫んだにも関わらずなぎさとほのかの動き
は止まらない。
「んっ、んっ……」
なぎさがいつの間にか舌をほのかの口の中へと入れていた。そしてなぎさの右手はほの
かの胸を服の上から愛撫していた。
「あんっ……」
「だああああ!! あんたたち! そこまでやらなくてもいいっつーの!!」
大慌ててで二人を引き離しにかかるアカネだった。
その後ベローネ学院を拠点として、若葉台のあちらこちら、タコカフェでキスをすると、
永遠の幸せが訪れる。といううわさが流れ出したという。
うわさの発信店であるタコカフェには多くのカップルが殺到し、タコカフェの営業利益
は何と先月よりも大幅に売り上げを伸ばしたという。
しかし人の噂も七十五日という諺の通り、やがてその噂も自然と立ち消え、タコカフェ
の利益も元に戻ったという。
「客商売ってのは楽じゃないね。まぁカップルにたこ焼き焼き続けるのに少し辟易してた
し、丁度良い機会だったのかも知れないね」
鉛筆を放り出し、椅子に凭れ掛かりながらアカネは呟いた。
トラックの中から外の景色を見つめた。
「はい、なぎさ。あ〜ん」
「あ〜ん」
一ヶ月前と全く変わらない景色がそこにはあった。
アカネが公園へ出ると緑の葉が茂り、強い太陽の日差しに照らされていた。
小鳥は囀り、優しい風が公園を吹きぬける。アカネの髪を風が揺らした。
なぎさとほのかは二人で幸せそうにたこ焼きを頬張っていた。
「ま、もう暫くはあの二人のための小さなたこ焼き屋さんでいいか……」
輝く太陽の下でアカネはゆっくりと体を伸ばした。
もう一度だけ静かに風が吹き抜けた……。
- 868 名前:833@ 投稿日:2005/06/17(金) 10:51:09 [ bwXOHJPQ ]
- 久々にSSを投下してみました。アカネさんが主役です。
内容もそうだけど少し書き方を意識して変えてみた感じです。
- 869 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/06/22(水) 11:04:25 [ /EK7lnp2 ]
- むむ。こっちのスレは見てる人少ないのかな??
商売のためとは言えかわいいはずの後輩にすごいこと頼むアカネ先輩スゴ(´・ω・) ス
独立企業家たるものこのぐらいの逞しさがないとね!扶養家族がいつの間にか増えてるし。
ひかりの「凄いですね」ってセリフにちと笑いました。
次回作も楽しみに待ってます
- 870 名前:59 投稿日:2005/06/22(水) 22:16:43 [ EkERtmcA ]
- 俺は楽しみに見てる
ただ自身がSSから離れてるせいもあって、あんまり書き込まないようにしてるだけ
>予想係氏>634氏>833@氏
GJです
- 871 名前:634 投稿日:2005/06/26(日) 02:20:16 [ qSGVmcZU ]
- おや、荒らしが消えてる。
じゃあその記念(?)に、違うところに置いたSSだけど
少し修正したヤツを投下させて頂きます。
ほんとにチョットの修正だけど・・・
- 872 名前:634 投稿日:2005/06/26(日) 02:21:43 [ qSGVmcZU ]
- 「参っちゃうな、急に雨が降ってくるだなんて。お母さんの言う通り傘持ってくれば良かったよ…」
先程から降り出した雨の中を、愚痴をこぼしつつなぎさが帰路を急いでいる。
しかし母の愛情を邪険にした罰なのか、雨は次第にその強さを増して行く。
そしてとうとう鞄傘では限界となってきてしまったその時、
「美墨さん!」
自分を呼び止める聞き覚えのある声がする。
胸の高鳴りを必死に抑えながら、ぎこちない動きでなぎさが振り向く。
「ふ、藤P先輩…」
降りしきる雨の中、赤い顔で立ち尽くす彼女に藤村が優しく聞いてくる。
「美墨さん傘忘れたの?風邪引くといけないから俺のに入っていきなよ?」
「え、一緒に!?…でも…」
突然訪れた幸運に、モジモジとハッキリしない態度のなぎさであったが、
それを遠慮と受け取ったのか藤村が再び笑顔で誘ってくる。
「ああ、俺なら少し位濡れても大丈夫だから。それよりほら、早くしないとビショ濡れになっちゃうよ?」
――でも藤P先輩と相合傘なんて…
そんな乙女チックな思いから躊躇していたなぎさだが、やがてコクと無言で頷き静かに藤村の隣へと歩を進めていく。
夢のような幸せな時間。何か話そうとするものの、内心ドキドキで言葉が口から出てこない。
それならばせめて表情だけでも…とちらりと隣を見やると、視線に気付いたのか微笑を返してくる。
その微笑が、ますますなぎさを無口にして行く。
そんななぎさの葛藤を知ってか知らずか、共に無言で歩いていた藤村だったが、ふと何事か思い出したのか突然口を開く。
「そう言えばほのかから聞いたよ。この前バスケで高校生相手にシュート決めたんだって?
ラクロスの試合でも大活躍だったし、本当に美墨さんは凄いよね」
「凄いだなんて…、あたしなんて元気だけが取り柄みたいなモンですから…」
思いがけない褒め言葉に照れつつも喜ぶなぎさ。
「ちょっと美墨さん、濡れちゃうよ?」
「あ!ゴメンなさい…!」
言われて初めて傘から離れていた事に気付いたのか、慌てて戻ってくる。
「ハハ、謝る事はないよ。君って本当に面白いコだね」
そんななぎさを見て楽しそうに藤村が笑う。
だがふと真顔に戻ると、運命を変える一言を静かに呟いた。
「でも、だから美墨さんの事好きなのかな、俺…」
他意は無かったのかも知れない。単なる言葉のアヤであったのかも知れない。
だがソレは、なぎさの想いに火を点けるにはあまりにも十分過ぎた。
感情が理性を凌駕し、今まで胸の奥に押し留めていた気持ちを抑える事が出来なくなる。
そして、とうとう禁断の言葉を口にした。
「先輩……好きです…」
初めて口にする自分の気持ち。だがそこに在る筈だった戸惑いや後悔は不思議と存在しない。
「…好きです。あたしと…付き合って下さい!」
そして精一杯の想いを込めて藤村を見つめる。
突然の告白にさすがに驚いた表情の藤村だったが、数秒の間を置いてやおら答えだす。
「ありがとう、美墨さん。俺の事そんな風に思ってくれていたなんて、知らなかったよ…。
……でもゴメン。正直俺、今はサッカーの事しか考えられないんだ。
それに美墨さんの事は大事な友達だと思ってる。それ以上でも、それ以下でも無いんだ…」
「……ッ!!」
あまりの衝撃に、思わずなぎさがヨロヨロと二・三歩後ずさる。
茫然とする全身を、より一層激しさを増した雨が無情にも打ちつける。
「美墨さん!?」
心配する藤村の呼びかけに、魂を抜かれたようななぎさがようやく少し我を取り戻す。
「あ…あの…ゴメンなさい。今の忘れて下さい…それと、サヨナラ…!」
そして絞り出すようにそれだけ言うと、その場から逃げるが如く走り出す。
「美墨さん!!」
自分を呼び止める藤村の声を振り払うように全力で走るなぎさ。
その頬を、一筋の滴が流れ落ちて行った。
- 873 名前:634 投稿日:2005/06/26(日) 02:22:42 [ qSGVmcZU ]
- 「これでお終い!良かった、間に合って」
最後の1枚の洗濯物を畳み終え、ほのかがホッとした様に呟く。
「それにしてもせっかくのお出かけなのに、おばあちゃま大丈夫かしら?」
降りしきる雨を眺めながら、外出している祖母の様子を案じるていると、
「!?」
ふと呼び鈴が鳴ったような気がする。
(こんな雨の中誰かしら?それとも空耳だったのかも…)
疑いながらも玄関にやって来てみると、確かにガラス越しに人影があるのを確認できる。
ヤッパリお客さんだったんだ、と思いつつ少し用心しながら戸を開ける。
だが次の瞬間、ほのかの表情が一変した。
「なぎさ!」
そこにあったのは、ずぶ濡れで佇むなぎさの姿。
「どうしたの!?ビショ濡れじゃない!」
「うん、チョットね…」
「チョットねって、全然チョットなんかじゃ…!?」
言いかけて思わず口をつぐむ。
(あの目……泣いたの?)
ほのかにしか分からないであろう微細な証拠。
それに何事かを感じたほのかは、ただ無言でなぎさを家の中へと引き入れるのであった。
・ ・ ・
「私の寝巻きだけど、なぎさにも丁度良かったみたいね?」
濡れた制服をハンガーに掛けながら、ほのかが努めて明るく声をかける。
「それから、体が温まるようにお茶持って来るね」
台所へ行こうとほのかが部屋を出ようとしたその時、今まで沈黙していたなぎさが口を開いた。
「あたしね、藤P先輩に告白したんだ…」
「え…?」
「それでね、見事に振られちゃった」
淡々と話すなぎさだが、その内容にほのかが言葉を失う。
だがなぎさは、そんな反応を無視するように問わず語りに事の始終を語って行く。
「…………あ…」
全て聴き終えたほのかだが、何か話しかけようと思ってもかけるべき言葉が見つからない。
そんなほのかの様子を見て、なぎさが少し微笑みを浮かべる。
「そんな顔しないでよ…別に振られた事が悲しいんじゃないんだ。もちろん悲しいんだけど、
何であんな事言っちゃたんだろうって気持ちの方がずっと強いんだ……」
「……なぎさ」
「……どうして?どうしてこんな事になっちゃたの?ただ一緒に居られるだけで、一緒に話せるだけで良かったのに。
…もう会えない。もう藤P先輩に会わせる顔なんか無い!」
溜まっていた思いを吐き出し、なぎさが嗚咽する。
そんな事、気にする程の事では無いのかもしれない。
だがそれには、あまりにもなぎさは純であった。
そんな純粋さを誰よりも知るほのかが、泣きじゃくるなぎさをそっと優しく抱きしめる。
自分の胸の中で泣く、まるで水晶玉のように透明で、ガラス玉のように壊れ易いなぎさ。
抱きしめる内に、いつも見慣れているはずの存在が堪らなく愛おしくなって来る。
――キスしたいな
不意に胸に湧き上がる思い。
(……!?こんな時に何考えてるの?それになぎさは親友でしょ!?)
生まれ出るその邪な思いを必死に打ち消そうとするほのか。
だが一旦燃え上がってしまった欲望の炎は消えること無く、むしろより勢いを増して行く。
そしてとうとう…
「なぎさ……」
「……?」
「ゴメンね……」
そう呟くと、スッとなぎさの唇に自分の唇を重ねて行く。
どれくらいの時間そうしていたのだろうか?
ほのかの唇が、名残惜しそうになぎさの唇から離れて行く。
「……ゴメンね…」
そしてもう一度ほのかが謝罪の言葉を投げかける。
茫然とするなぎさだが、しかし不思議と嫌悪感は感じない。
ただ、理由がわからない。
「ほのか……どうして?」
「どうして?って、キスをするのに理由なんか要らないでしょ…?」
なぎさの質問に、クスッと笑いながらほのかが答える。
答えにはなっていなかったかも知れない。だがそのほのかの微笑みを見た瞬間、なぎさの中で何かが弾けた。
なぎさとほのか、二人の視線が妖しく絡み合う。
どちらからとも無く互いにもつれ合う様にベッドに倒れこむと、激しくキスを交わす。
「なぎさ…」
「ほのか…」
そして二人は見つめ合う。
「一つに…なろう?」
「うん、ひとつに…」
外では未だ止む気配を見せずに雨が降り続いていた。
- 874 名前:634 投稿日:2005/06/26(日) 02:27:34 [ qSGVmcZU ]
- 「“愛しい”じゃ無くて“スキ”だったのかな…」
まだ余韻が残るベッドの上で、なぎさがポツリと呟く。
「何が?」
その言葉を耳にしたほのかが不思議そうな顔で聞き返す。
「藤P先輩に対するあたしの気持ち。確かに好きだったけど、それは単なる“スキ”だったのかなと思って」
「フフ、何だか難しい事言うのね…。じゃ、さっき言ってくれた私への“好き”はどっち?」
「ほのかへの気持ち?それは―――“愛しい”かな……」
「嬉しい!私もなぎさが愛しいよ…」
言うや否や、再びなぎさに覆い被さり唇を重ね合わせるほのか。
その行為を受け入れながらも、ふとなぎさが視線を横にすると、時計が視界に入ってきた。
(8時15分……。……8時15分!?)
「あーーーーっ!!!」
時間を確認するや、突然大声を張り上げるるなぎさ。
「ど、どうしたの?突然…」
「大変だ…もうこんな時間!今日お父さんもお母さんも遅いから、亮太に夕飯買って帰るって約束してたんだ…。
どうしよう、急いで帰らなくっちゃ!」
スルリとほのかの間を抜けるようにしてベッドから飛び降り、壁に掛けてある制服に手を伸ばす。
「なぎさ!それ、まだ半乾きだよ!?」
「いいの!そんな事言ってる場合じゃないって…。ほら、ほのかも早く服着なよ!?」
なぎさに急かされ、慌ててほのかも着替え出す。
そして二人で慌しく玄関へと向かう。
靴を前に最後の身繕いをするなぎさの背中を、少し寂しそうにほのかが見つめる。
と、突然なぎさがクルリと振り返り、ほのかに素早く口付けをする。
素に戻っていたせいか、思わず赤面するほのか。
そんな様子を見て、なぎさが満面の笑顔を見せる。
「ほのか、今油断してたでしょ?油断最適ってね!」
「!…油断大敵でしょ、もぅ。それより早くした方がいいんじゃないの?」
赤い顔のまま、照れを隠すようにしてほのかが急かす。
「はいはい、分かってるって!」
軽口を叩きながら戸を開け、外へ一歩踏み出すなぎさ。
だがそこで再び振り向くと、今度は真剣な顔で話しかけた。
「ねぇほのか、今日はアリガト……。じゃあね、また明日!」
雨上がりの夜空の下を、なぎさが元気良く走り去って行く。
空にはまるで二人を祝福するように、丸い月が輝いているのであった。
* * *
「それでさ、結局家に帰ったらお母さん達もう帰ってて、こってりと絞られたよ……」
「ゴメンね。私のせいで……」
「ううん、ほのかのせいじゃ無いよ。元はと言えばあたしが悪いんだしさ。それに…」
青空の下、お喋りをしながら仲良く並んで登校する二人。
と、突然
「美墨さん!」
なぎさをを呼び止める声がする。
その聞き覚えのある声に振り向くなぎさ。
「藤P先輩…?」
何事かとキョトンとする彼女に、藤村が思い詰めたような顔で話しかける。
「美墨さん、昨日はゴメン…。俺美墨さんの気持ちの事、全然考えて無かったよ。それでもう一度考えたんだけど…」
さらに何かを続けようとする藤村を遮るように、なぎさが笑いながら言葉を挟む。
「アハッ、そんなに悩まないで下さい。もう本当にいいんです。全然気にしてませんから!
それにハッキリと言ってくれたお陰で前に進めましたから、逆に今は感謝してるんですよ?」
そう言ってチラリとほのかに視線を向ける。
「でも、美墨さん…」
「あ、それからサッカー頑張って下さいね!ずっと応援しますから。それじゃ!」
そうカラリと言い放つと眼下に誰かを見つけたらしい。
「あ、ひかり達だ!おーい、ひっかりー!」
呼びかけながら軽やかな足取りでその場から去っていく。
一人残され唖然と佇む藤村に、ほのかが笑顔で話しかける。
「フフ、振られちゃったのね、藤村クン。ところでもう一度考えたって、何て言おうと思ったの?」
「ほのか…、俺…」
「ダーメ。乙女心って難しのよ?」
少し意地悪く微笑むほのか。
そんなほのかに、何か言いたそうな藤村だったがその時、
「ほのかー、早くー」
坂下で笑顔で手を振りながら、なぎさが大声で呼びかけてくる。
「今行くから、待っててー。じゃあね藤村君、私も応援してるからサッカー頑張ってね!」
藤村に別れを告げ、ほのかが愛しい人の下へ駆けていく。
降り注ぐ陽射しに負けないくらい輝く笑顔の二人。
そんな二人を、爽やかな風が優しく包み込んだ。
- 875 名前:634 投稿日:2005/06/26(日) 02:39:41 [ qSGVmcZU ]
- 以上です。
ごめんよ藤P。ピエロにしてしまって。
- 876 名前:雪城さなえ ◆WkFBS9tq9M 投稿日:2005/07/08(金) 09:50:08 [ VR/q8QNM ]
- 昼後の電車には二人を除いて誰も乗っていなかった。期末試験最終日の晴れた日、美墨
なぎさと雪城ほのかはテストから解放された喜びを全身で感じていた。
テスト最終日はまだ部活動は再開されないので、二人は何も言わずに一緒に帰るという
意思疎通を済ませ、ホームルーム終了後すぐに電車に乗り込んだ。
「それでほのか。今日はどうする?」
まるで鎖の呪縛から解き放たれた時のような解放感を感じているなぎさが大はしゃぎと
いった様子でほのかに尋ねた。
「そうね。いつも通りたこ焼き食べて、それから商店街でも行こっか」
なぎさのことを考えてほのかは午後の遊びの計画を提案する。
「そうだね。それじゃあ一回家帰ってからタコカフェに集合ね」
「うん」
貸し切り状態の電車の中で、なぎさとほのかは指切りをする。
今となってはもう中学生が行う行為とは言えないが、彼女たちにとってはそれはごく自
然な、約束を守る意思表示としての儀式のようなものだった。
わずか二人だけの乗客は車両の中央、座席の端とその隣に腰掛けている。
「ふあああ〜〜っ……。やっぱり徹夜したら眠いや……」
なぎさは両手を頭の上で伸ばして大きな欠伸をしながら呟いた。「はしたないよ」と宥
めながらほのかが開かれた口を手で塞ぐ。
「ちょっと寝るわ……、ほのか。着いたら起こして」
「ん、わかった。肩貸してあげる」
「ありがと……」
そう言い残すとなぎさはゆっくりと目を閉じ、体の力を抜いてほのかの肩に自分の頭を
乗せた。ずっしりとした重みがほのかの肩に掛かった。
車内の扇風機になびくなぎさの髪がほのかの首筋をくすぐった。
ものの数分もしないうちに、ほのかの耳になぎさのスーッという寝息の音が聞こえた。
「何でなぎさはこんなに可愛いんだろう……」
普段の頼もしい姿からは想像も出来ないような、小さな女の子の姿がそこにはあった。
「こんな小さな体で……、ずっと戦ってきたんだよね……」
徹夜した影響かボサボサになって髪を優しい手つきで梳く。
ほのかはふとなぎさが言った言葉を思い出した。
全てを覚えてはいないけど、確か「いつかは必ず別れがくるから、今を大事にしたい」
そんな感じの言葉だったような気がする。
あの時なぎさが言ったその言葉。一緒に居る時間を大事にしよう。といったあの言葉。
その言葉がとても嬉しくて……、悲しかった……。
耳に聞こえた何かの音にほのかは我に返った。何てことは無い、次の停車駅を知らせる
アナウンスだった。自分の右肩に乗っている宝物を見つめながら、ほのかは再び思考の大
海の中に飛び込んでいった。
(ねぇなぎさ……)
眠る友人に、ほのかは無言で語りかける。
(なぎさはいつか別れが来るって言ったよね……でもね……)
髪を梳いていた右手がなぎさの首筋の裏を通り、肩にかかる。
(でも……、私はずっとなぎさと一緒に居たいよ……)
心の中の本音を無言で吐露する。なぎさは、そう思わないのかな?
そんな疑念の気持ちが心に浮かぶ。不安がほのかの心を押し潰そうとする。
私の思い上がりだったのかな……? 私が勝手になぎさのことを……
「嫌っ…!」
自分の考えを拒絶するように右手に力が込められた。
それに驚いたなぎさが目を覚ましてしまった。
「ほのか……?」
なぎさの呼びかけに応えるように、ほのかの瞳に浮かびあがった一粒の涙がなぎさの肩
に落ちた。
「私も眠くなっちゃった……」
肩に回していた右手で目元を拭うとふああ〜〜っと、先ほどのなぎさの行動を真似るよ
うに欠伸をする……フリをする。
「おやすみなさい……」
力を込めて上半身を動かす。頭が丁度なぎさのスカート、膝の上の部分に乗るように体
を折って倒れこむ。
こんな行動ではなぎさを誤魔化すことは出来ないだろう。それでもほのかは今の自分の
顔をなぎさに見られたくなかった。
「ほのか……」
「なぎさが好き……」
「え……?」
なぎさの反応を無視し、瞳を閉じて寝息を口から出して寝たフリをする。
瞳を閉じていてもなぎさの戸惑っている様子が目に浮かぶ。
ピチャン……、何かが頬に落ちた……、冷たい……。
「嬉しい……」
なぎさが呟いた、涙が混じった小さな声だった。
「ありがと、ほのか……」
今度は涙は混じっていなかった。喜びの表情をしているのだろう。と見えるはずもない
なぎさの表情がほのかには見えた気がした。
やがて、なぎさの指がほのかを頬をつつきだした。
「ねぇ、起きてよほのか。あたしの気持ちも聞いてよ」
自分の想いを伝えたいと言わんばかりになぎさがほのかを起こそうとする。
拗ねたようななぎさの声を聞いて、ほのかはクスクスと笑いながら返事をした。
- 877 名前:雪城さなえ ◆WkFBS9tq9M 投稿日:2005/07/08(金) 09:51:56 [ VR/q8QNM ]
- 「眠り姫は王子様のキスが無いと目覚めません♪」
「ちょっと、なによそれ! あたしが王子様ってこと!」
「えへへ……」
ほのかは目を閉じたまま笑い声を出す。「仕方ないなぁ…」と大きな溜め息をついて、
笑顔を浮かべてなぎさの手がほのかの首筋の裏に回り、ほのかの頭を持ち上げる。
一度だけほのかとの距離を確認するためになぎさは目を開き、そしてすぐに閉じた。
「………………」
直前で一度だけなぎさが躊躇するかのように動きを止める。
しかし頭をブンブンと振ると、意を決したように自分の唇をほのかの唇に押し付ける。
暫くの間、二人は唇だけを重ね、その他一切を動かさなかった。
やがて、なぎさが顔を動かして、キスを解こうとする。
しかしその直後、ほのかの両手ががっちりとなぎさの後頭部を押さえ込み、なぎさの唇
を強引に自分の唇に押し付ける。
なぎさも唇を離そうと抵抗を試みるも、ほのかにしっかりと固められていて、どうにも
外すことが出来なかった。
「我が侭なお姫様だなぁ…」そんな言葉を言うかのように王子様が自分の唾液をお姫様
の口内に送り込んだ。
「んっ…!」
喉の奥へと送り込むことの出来なかったなぎさの唾液が重力に従って、ほのかの唇から
零れ、ほのかの頬や首筋を濡らした。
なぎさの頭を固定するほのかの両腕の力が抜け、ようやくなぎさとほのかの唇が離れた。
そして次の瞬間、急ブレーキをかけた電車は前後に大きく揺れた。
ゴチンッ! 何かがぶつかったような音が空白の車両に広がった。
「い……いったぁぁ……」
「なぎさ…、痛いよ……」
キスから離れた瞬間になぎさとほのかの額同士が思い切りぶつかってしまった。
お互いに自分の額を押さえ、痛みを堪える。
「なぎさ…大丈夫?」
気遣うようにほのかが尋ねた。
「何とか……」
少し無理をしたような笑顔でなぎさも答えた。
- 878 名前:雪城さなえ ◆WkFBS9tq9M 投稿日:2005/07/08(金) 09:52:52 [ VR/q8QNM ]
- 「それよりごめんねほのか…、顔汚しちゃった……」
ほのかの顔に垂れている自分の唾液を見ながらなぎさが謝る。
「ううん、なぎさのだから…、全然平気よ」
なぎさはスカートの中からハンカチを取り出すと、丁寧にほのかの顔を拭っていった。
「なぎさ……」
ほのかの口から熱い吐息がなぎさの顔に吹きかけられた。
「ほのかの顔ってスベスベだね……」
ほのかを顔をふき取りながら顔の感触を楽しむように手を動かす。
ハンカチで顔を拭き終わった後、なぎさが突然ほのかの顔にすりすりと頬ずりをした。
「やぁっ…、くすぐったい!」
思わずくすぐったさからなぎさの動きから逃れようとするが、電車の端に座っている
ほのかに逃げ道は無い。
「なぎさ……なぎさぁ…!」
体と体の密着を楽しむようにほのかが熱い吐息を零す。
暫くしてなぎさが頬ずりを止める、そしてなぎさ再び頭を持ち上げ、距離を離してなぎ
さとほのかが見詰め合う。
「なぎさ……」
「ほのか……」
僅かに潤んだ瞳で見詰め合う二人がもう一度唇を重ねた。
丁度その時プシューという音と共に聞き覚えのある声が聞こえた。
「なぎさ……、今かえ……り……」
いつの間にか電車は駅のホームに停車していた。そして乗客の一人久保田志穂が、二人
が貸し切っていた車両に乗り込んできた。
減速する電車の中の知っている姿を動体視力で捉え、追ってきた久保田志穂の目の前で、
彼女が予想だにしなかった事態が展開されていた。
志穂の身長では窓の外越しに座るなぎさが蹲る姿のみが確認され、なぎさに膝枕されて
いるほのかの姿を見つけることは出来なかったのだった。
「………………」
「………………」
なぎさとほのかの視線は志穂に向けられているものの未だにキスは解かれていない。
「ふ…不潔不潔不潔! 二人ともそんな関係だったのね!!」
通行人の群れと逆走しながら志穂は走り去っていってしまった。
「ちょっと志穂!! 待ってよ!!」
ほのかのキスから逃れたなぎさが志穂を止めるように大声で叫んだ。
しかし鈍足といえど、二人の不意をついて走り出した志穂を止めることなど出来るわけ
が無かった。
「ありえない……」
志穂に見つかったことがありえないのか、ほのかとそのような行為に至ったことがあり
えないのか。真意は彼女のみぞ知る。
一方志穂の存在など意に介さないように、我が侭お姫様がまた自分勝手に行動する。
「なぎさ、もう一回して♪」
なぎさの膝枕の上でご機嫌なほのかが首筋の裏に両手を回して三度キスをねだる。
「ほのか、見られてるよ……」
ほのかに呆れるようになぎさが現実を伝えた。「え?」という暢気な声を上げて、ほの
かがようやく周囲を見つめだす。
周囲には先ほどの停車駅で乗ってきた多くの乗客が車両に存在していたのだった。
「………………」
今度こそほのかは目を閉じて本当に寝たフリを始めた。
もちろん、なぎさをはじめ誰一人として誤魔化せていない。王子様もお姫様も今はただ
電車が一刻も早く次の電車に到着することを祈るのみであった。
指導室に呼び出され説教され、後輩やクラスメートに囲い込まれる。
そんな翌日の運命など、二人がこの時点で知っているハズも無かった……。
- 879 名前:833@ 投稿日:2005/07/08(金) 09:54:53 [ VR/q8QNM ]
- ハンドル間違えてもうた……OTZ。
- 880 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/07/08(金) 13:46:07 [ i56Dl/K6 ]
- さなえさんワロスw
あんたなにやってんだw
>872-874
藤Pアワレワロタ
>876-878
バカップルここに極まれりorz
- 881 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/07/08(金) 17:13:26 [ lSTnI4p6 ]
- あんた・・・
やっぱエロパロスレの住人だったのかよ。
- 882 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/07/08(金) 17:14:09 [ lSTnI4p6 ]
- あ、エロパロじゃなくてキャラサロンのなりきりだったか。orz
- 883 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/07/08(金) 17:19:32 [ leslAebU ]
- 見てりゃわかんじゃん
- 884 名前:833@ 投稿日:2005/07/08(金) 17:50:36 [ 81GwGsaA ]
- いや、まぁ……、その通りなんだけど。まああまり気にしないで……。
- 885 名前:予想係(呑気) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/22(金) 02:33:35 [ ltaJWI1I ]
- ご無沙汰しております。
プリキュアにロボットが絡むとしたら こんな感じかなぁ? という発想で、
性懲りも無く また長いのを書いて しまいました。
オリジナルゲストキャラが何人か登場します。
タイトル
「頂点を目指せ!
二足ロボットに懸ける夢」
ラテ欄仕様タイトル
[少女とロボット]
レス専有 総数...: 28+1(予定)
CHAPTER総数 : 20
但し適宜 分割の上、3日に分けて投稿します。
- 886 名前:予想係(01/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/22(金) 02:34:26 [ ltaJWI1I ]
CHAPTER 01 放課後のグラウンドにて
ほのかがグラウンドの近くを歩いている時、妙な事をしてる女子生徒を見かけた。
歩みを止めて よく見ると、ラクロス部の練習試合をビデオカメラに収めている
様子なのだが、それと同時に動きをも真似している。
誰の真似なのかと視線の先を追うと、どうやら なぎさの動きを見ているらしく、
方向転換やパス、シュートの瞬間を逃さず捉えようとしている。
(面白い事を する子も居るのね)
そう思って立ち去ろうとした ほのかは、耳を疑うような台詞を聞いた。
「やっぱり良いなぁ、美墨先輩の下半身の動き」
(?!)
後ろを振り返った丁度その時、先程の少女がビデオカメラを小脇に抱えたまま
駆けて来て、すぐに ほのかを追い越し茶髪のポニーテールを揺らしつつ走り去った。
ほのか「は?」
見送る ほのかは、キョトンと している。
CHAPTER 02 ロボットに青春を懸ける少女
莉奈「なぎさをビデオに撮ってる子が居た?」
ほ「そうなの。 しかも なぎさの動きをトレースするみたいに自分でも動いていて」
翌日の昼休み。 みんなで お昼を屋上で食べる運びとなり、
移動する間に ほのかが昨日 見た妙な少女の光景を話していた。
志穂「ほーほーほー。 今まで なぎさを写真に収める子は幾らでも居たけど、
ビデオというのは余り居なかった よねぇ」
莉「それで、なぎさとしては どうよ? ビデオで撮られるというのは」
なぎさ「そんなの別に どうでも いいよ。 撮られて困るような事なんか してないし」
志「脇が甘いぞ なぎさ。 そんな風に のんびり構えてたら、
知られたくない秘密 暴かれて泣きを見るハメになるかもよ〜…」
な「まさか そんな事、起こるわけ ないって」
そのような話をしつつ屋上へ出る扉を開けると、そこには既に先客が居た。
左脚が胡坐(あぐら)、右脚が立膝の姿勢のまま、右手で地面の上に置いた
ノートパソコンのキーボードを打ち、左手でサンドイッチを食べ、
しかしながら視線は前の何かを見ている。
それはビデオカメラの画面に映し出された何らかの映像であった。
な「…アレって、何なのかな?」
顔だけ出して様子を伺う なぎさ。
莉「同時に三つの事を こなすなんて、器用ね」
なぎさの顔の上に頭を乗せて そう評する莉奈。
志「何か 怪しい怪しい怪しい!」
更に その上に志穂。
ほ「あ。 あの子 確か…」
志穂の上に頭を乗せて少女を見た ほのかには、その茶髪のポニーテールに見覚えが有る。
ほ「今 話してた子よ。なぎさをビデオで撮影してた」
な「あの子が? …って ほのか、どうするの?」
好奇心 旺盛なせいか、ほのかは何の ためらいも無く近づいて、その少女に声を掛けた。
ほ「こんにちわ。 ここで何を しているのかしら」
にこやかに問い掛けられ、サンドイッチを口に くわえつつ振り返った少女は
近づいて来た ほのか たちの顔を少しの間じっと見つめる。
そして その人たちが誰であるのかを思い出し、慌て ふためいた。
- 887 名前:予想係(02/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/22(金) 02:35:14 [ ltaJWI1I ]
「あなた方は、ベローネ女子中等部の双璧(と書いてツートップ)、
美墨先輩と雪城先輩では…!?」
後ろの ふたりにも見覚え有り。
「そちらの お二方も、ラクロス部の先輩では ないですか!」
名前までは覚えて貰えなかった らしく、志穂は目の前の人物に良い印象を抱けずに
露骨にムッとした。
志「何となく。やな感じ やな感じ やな感じ…」
莉「まあまあ、抑えて抑えて」
「…あ、あの、失礼しました」
ほ「ここで何を していたの?」
再度やんわりと尋ねると、答え あぐねる少女を尻目に志穂が自らの見解を展開する。
志「大方、うちのラクロス部をスパイしてたんじゃないの〜?」
莉「まさか、幾ら なんでも そんなわけ無いでしょ」
「そんな、スパイだなんて滅相も ありません! 昼ご飯を食べつつ、
昨日 撮ったビデオを見て研究しながら、プログラミングをしていただけです」
ほ「プログラミング? いったい何の?」
「私の作った、ロボットです!」
力強く、ハッキリと答える少女であった。
「自己紹介が まだでしたね。 私、2年の草薙 美紀です」
何となく一緒に お弁当を食べる事になり、少女は そのように挨拶した。
心もちツリ目 気味ながら、その瞳には煌くモノが有る少女である。
な「アレ? どっかで聞いたような名前…」
ほ「部活関係の集まりで、だったかしら?」
美紀「一学期 始め頃、メカトロ部 設立の為に色々動いてましたから」
な「そうそう、おいしそうな名前の部活だよね。 めかぶとろろ」 とボケる なぎさ。
ほ「メカトロ。 メカトロニクスの略よ、なぎさ」 と突っ込む ほのか。
志「そのメカトロニクスって なぁに?」
美「メカニクスとエレクトロニクス、機械工学と電子工学を統括的に扱う分野です」
ほ「合わせてメカトロ、因みに和製英語よ」
な「でも、確かメカトロ部は…」
莉「設立されなかったよね?」
美「ハイ、結局メカトロ部に参加する女子部員は集まりませんでした。
私 一人では部活どころか同好会にも なりませんし…。
それで代わりに私が男子中等部のメカトロ部に参加する事になって、
色々話し合ったらロボット専門で行こうと決まって、
今は男女合同の“ロボット部”になってます。
因みに女子は相変わらず私1人、男子は6人の逆ハーレム状態です」
莉「ぎゃ、逆ハーレム!」
志「それって ちょっと羨ましいかも」
美「いえ、そんなに良いものでも ないです。 部長職 押し付けられたし」
そんな話を続けつつも、美紀の右手は全く止まる事 無くキーを打ち続けている。
流石に しゃべりながら食べる様な真似はしていないものの、右手は相変わらず の
ハイペースでキーボードを叩き続け、左手でビデオカメラを操作している。
なぎさ たちは見事な その手の動きに、すっかり見とれてしまった。
莉「凄い速さねぇ」 志「手元も画面も見ないなんて、真似できないかも」
ほ「うらやましい…」 な「キーボードの右半分しか使ってない…?」
美「これですか? 実は片手打ち用のユーティリティソフトを使っているんです。
同じキーを素早く二回押すと、別の手で打つ文字を入力できるですよ。
両手で打てば もっと速く打てるんですが、それだと ごはんを食べられないので」
ほ「…ごはんを食べてから両手で打てば いいのに」
美「それだと せっかくのアイデアを忘れてしまうんです。
流石に授業中パソコンを いじっている訳には いかないし、そんな時に思いついた
プログラムのアイデアはノートの端に書いて置いて昼休みに まとめて打ち込むん
ですが、キーボード入力に専念していると食事する時間が無くなってしまいますし、
食事に専念すると入力の時間が無くなってしまいます。
そうこうしている内に、自分が打ち込もうとしていたアイデアが間違っているのでは
ないかと疑いたくなって あれこれ考え込んでいると結局 時間を浪費してしまって、
それでは意味が ありません。
だからこそ余計な事を考えずに打ち込めるように、食事しながら なんです」
そこまで一気に しゃべり倒した美紀は入力を一通り終わらせ、
コンパイルも済ませると、パソコンを休止状態にして画面を閉じた。
- 888 名前:予想係(03/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/22(金) 02:35:57 [ ltaJWI1I ]
な「そ、そうなんだ…」
余りの勢いで しゃべる美紀のペースに、なぎさたちは すっかり呑まれてしまった。
莉「ねぇ。 それよりも さっきから このビデオ、試合の時の
なぎさ“しか”写ってないんだけど、どうして?」
ほ「なぎさのファンなのかしら?」
志「しかも しかも しかも、脚の辺り ばっかり撮ってるし。 カメラの腕ヘボ過ぎ!」
な「えぇ〜っ? どうせ撮るなら美人にとって欲しいんだけどなぁ」
美「いえいえ、それで良いんです。
私にとって、必要な情報は美墨先輩の下半身の動きですから」
その一言で、全員の視線が美紀に集まった。
無言ながらも、『この娘、なぎさの何を狙っているのよ…?』と語っているかのようだ。
ほ「…昨日も そんな事 言ってた ようだけど、それ どういう事?」
美「あ、下半身って、足回りの動きですよ。
ベローネの体育会系の人で美墨先輩の動きが一番 良いんですよ」
美紀は要らぬ誤解を与えてしまった事に ついて、笑って ごまかした。
一方の なぎさは と言うと、滅多に褒められない(と言うより まず誰も褒めない)点を
褒められたので、少々戸惑いながらも うれしく思った。
な「アタシ…が?」
美「ええ。 ラクロス部では みなさんが そうなんですが、美墨先輩の足さばきは
特に無駄が無いんですよ」
そう言って立ち上がり、美紀はシャドウ・ラクロスとも言える素振りを披露してみせる。
クレイドリングしつつ走って行き、優雅にターンして
美「パス!」
美紀が なぎさ たち目掛けてボールを投げる動作をした。
力が足から脚、上半身を通って腕へと伝わり、手に無いハズのクロスが振られて
そこから影球が投げられたのだ。
と、ラクロス部の三人は思わず反応し、そこに在るハズの無いボールを、
自分たちも持っているハズの無いクロスで受け取ろうとした。
なぎさたちラクロス部員が意識せず自然に動いた光景を見て、ほのかは息を呑んだ。
な「あ、アレ?」 莉「…」 志「?!」
ほ「凄い…」
美「…人が何らかの動作をする時には、体全体を支える足の動きが重要になるんですが、
美墨先輩は これが一番しっかりしているんです。
それでロボットの動きに応用しようと思って、こうしてビデオに収めていたんです」
クレイドリング、パス、シュート。
なぎさの一挙一動が画面に映し出されているが、確かに力強く、しなやかな動きという
ものが感じ取れる。 美紀は自分の作るロボットの動きを より良いものにする為に、
なぎさをモデルとして選んだのだ。
美「お時間ありましたら一度 部室へ おいで下さいな。
私たちのロボットを お見せします」
- 889 名前:予想係(04/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/22(金) 02:36:37 [ ltaJWI1I ]
CHAPTER 03 ほのか・イン・ブルー
お弁当を食べ終えて教室に戻る途中、話題は必然的に先程のロボット少女の話となった。
志「さっきの さっきの さっきの、凄かったねぇ!
ボールもクロスも無いのに、本当に飛んで来るように感じちゃったもの」
莉「何気なく サッと動いただけ なのに、私たちまで つられちゃったし」
な「きっとアタシたちの動きを良く観察してたんでしょうね。
そうでなかったら あそこまで見事には出来ないだろうし」
ほ「それに あれだけの速さでキーボード入力できるのも大したものよね」
な「しかも 片手打ちで あの速さ!」
莉「コンピュータにも詳しいんでしょうね。ロボット作るって言うくらいだし」
志「コンピュータと言えば…。
確か午後の授業、コンピュータ実習に変更じゃなかったっけ?」
莉「そういえば そうだった! 何か準備する物 在ったかしら?」
ほ「確か、教科書と先週 使ったプリントと…」
それを聞いて、志穂と莉奈は慌て始めた。
志「あぁマズイ マズイ マズイ! プリントどこだろう?」
莉「教科書…持ってきてたかな…?」
な「アタシは…机に入れっぱなしだ」
莉「なぎさ それはグータラよ…って、私たちは探すなり借りるなり しないと」
志「だったら だったら だったら急がなきゃ。 なぎさ、お先 失礼」
莉「なぎさも『探したら無かった』 なんて事、無いようにね」
な「はいハイ」
志穂と莉奈は駆け足 気味に教室へと戻って行った。
な「さて、コンピュータなら私でも何とかなる授業かな。 ここは本腰 入れて…」
と、ほのかの方を見ると何やら浮かない表情で歩いていた。
な「ほのか? どうかした?」 ほ「…」
ほのかからは無言の応答しか返ってこない。
な「ほのかってば!」
ほ「! なぁに、なぎさ」
な「どうしたの? ボーっとしちゃって。コンピュータ実習、嫌い?」
ほ「ううん、そんな事ないけど、ただ…」
な「ただ?」
またしても ほのかから無言応答の返事。
な「ただ、何?」
ほ「…パソコン、余り得意じゃないから…」
ほのかの告白を聞いて、なぎさはキツネに つままれたようにキョトンとなった。
ほのかにも不得手なモノが在ったとは。
な「何か、意外。 TAKO CAFEのハンディー作るくらいだし、パソコンなんて言ったら
ほのかの方が得意かも とか思ってたけど」
だが、ほのかは返事の代わりに握りこぶしを なぎさの脇腹辺りに軽く押し当て、
グリグリとドリルのように回しつつ ねじ込んできた。
な「あぅあぅあ…! …なに、何なの?
誰しも得意なものや不得意な事くらい 一つや二つ あるでしょう?」
ほ「だって、だって、ハンディー作った時は簡単な論理回路と発信回路の組み合わせで
済ませたし、それ用のモニター(出力装置)の方はユリコに任せてたし…。
それに…、今時パソコンも使えないなんて恥ずかしい…」
な「そんなの気にする事ないって。
アタシでも何とか使えてるんだから、ほのか だって きっと…」
しかし ほのかは再び なぎさの脇腹をドリリングした。
な「あぅあぅあ…! …わかった分かった、気に してるのね?」
ほのかは無言で こくこく と小さく2回 頷(うなず)いた。
な「じゃあ、アタシが手伝ってあげるから、それなら いいでしょ?」
ほのかは大きく1回、黙って頷いた。
- 890 名前:予想係(05/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/22(金) 02:37:20 [ ltaJWI1I ]
CHAPTER 04 そんな こんなで実習風景
午後のコンピュータ実習の内容はWebページ制作であった。
授業が始まり先生の説明が一通り終わると、なぎさはコーディネイター並みか とも
思えるほどの物凄い勢いで、一心不乱にマウス操作とキーボード入力を始めた。
志「何 何 何?」 莉「どうしちゃったの? なぎさ…」
な「たまに お父さんの仕事 手伝ったりするし、データ入力くらいは お手のものよ」
6分で入力が終わって2分で出来上がりを確かめ、LANごしに課題作品を提出し、
なぎさはキャスター付の椅子へ逆向きに またがったまま ほのかの席へと急行する。
な「ほのか、今 行くよ〜!」
莉「…これは愛だね」 志「うん うん うん。 間違いない。」
なぎさが到着した時、肝心の ほのかは…。 未だログイン画面で てこずっていた。
『これは洒落にならないかも』と なぎさは思ったが口には出さず、
キーボードの入力方法から丁寧に教える。
な「えーと、まずはパスワードを打ち込んでログイン…」
ほ「それが、さっきから正しく入力しているんだけど、『パスワードが違う』って」
な「大文字はShift押しながらだよ」
ほ「それくらいは分かってるわよ、Shift押しながら…」
な「ちょい待ち、Shiftキーは小指、それに何か器用な押し方してない?」
ほ「そうかしら?」
な「右のShiftキーは左手のキーを打つ時に使うの。同じように左のShiftキーは右手で
打つキーを打つ時に併せて使うのよ。これはCtrlキーやAltキーも同じ」
ほ「あ! そうよね、そうなのよね! 大丈夫、今度は うまく…」
な「ほのか、人差し指 一本じゃ いつまで経ってもキー入力うまくならないよ」
ほ「そんな事 言われても…」
な「キーの配置が てんでバラバラで覚えにくいかも知れないけど、ゆっくりで良いし、
キーボード見ながらでも良いんだから、とにかく正しい指で打ち込むの。
そうすれば自然と身体で覚えられるから」
ほ「キーボードの配置がバラバラなのにも ちゃんと そうなった切っ掛けが在るのよ。
パソコンのキーボードは元々タイプライターのキー配列が元になっているんだけど、
そのタイプライターって余りに速くタイピングすると印字ハンマーが干渉、つまり
ぶつかり合って壊れてしまうから、連続して打たれる事の多い文字を あえて左右に
振り分けたとも言われて いて…」
な「はいハイ。 うんちくは分かったから とっとと入力」
ほ「ぁう〜〜〜〜…」
ぽち、ポチ、pochi、ぽち…とパスワードを入力しEnterを押すが、何故か またしても
『パスワードが違います』とメッセージが出た。
な「あれぇ? パスワードは合ってるんだよね?」
ほ「だから さっきから困ってるのよ」
納得いかない風な表情で なぎさが考え込むが、キーボード上のランプを見て気付いた。
な「Caps Lock…」 ほ「ん?」 な「…入ったまま」
なぎさが指差したCaps LockのLED(発光ダイオード)が光っている。
これは つまり、そのまま英字を打てば大文字で入るという事だ。
ほ「という事は私、大文字と小文字を逆に入れていたの かしら?」
な「とにかくCaps Lock外してから (パスワードを)入れてみれば…」
ほ「どうやってCaps Lock外すのかしら?」
な「Shift押しながらCaps Lockキー」
Caps Lockを外し、パスワードをぽち ポチ、pochi ぽちとパスワードを入力してログイン
すると、今度は うまく行った。
ほ「こんな簡単な事が原因だったなんて…」
な「めげないで、まだログインの段階だし」
ソフトを起動して漸くWebページ制作実習を始められたが、パソコンの操作に慣れてない
せいか、ほのかは とんちんかんな所をクリックしたり、余分な操作を したりしていて、
その都度なぎさに修正された。
取り敢えず ほのか本人の奮闘と なぎさのサポートの おかげで どうにかWebページの
概観は出来上がったが、肝心の文字情報が何 一つ入っていない。
そして無情にもベローネ女子中等部 独特の特徴あるチャイムが鳴り響き、
そこで時間切れとなった。
「出来なかった人は来週までに完成させて下さい」
と担当教師が指示し、授業終了となる。
ほのかはガックリと肩を落とした。
な「ドンマイ。放課後 残って がんばろう。私も付き合うから」
ほ「うん…」
- 891 名前:予想係(06/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/22(金) 02:38:12 [ ltaJWI1I ]
CHAPTER 05 聞いてないよ!!
しかし、ふたりの望みは適わなかった。
放課後にコンピュータ実習室に入ろうとすると、パソコン部の部長が立ちはだかる。
「ゴメンねー。
今、パソコン部で作っている大会用のプログラムがデバッグの真っ最中なの。
そんな訳で暫くパソコン全部 塞がっちゃうから」
そう言い、なぎさと ほのかはポイッと実習室の外へ放り出され、
「ゴメンね」という再度の一言だけを残して締め出されてしまった。
な「…って、ありえない!
いったい、どうやって実習の課題 終わらせれば いいのさ?」
ほ「なぎさ、実習室が空いてる時を見計らって 一人で やってみるから…」
な「ダメよ! こういうのは時間 置いたりせずに やらないと」
ほ「でも、課題そのものも実習室のパソコンに入ってるのよ? それが使えないと…」
な「残りは文章 打ち込むだけなんだから、どこかで それを打ち込んで、後から
組み合わせれば良いのよね…。何ならウチ来る? アタシのパソコン使えば…」
ほ「今日はダメ。科学部の活動で外せないから、今の内しか空いている時間が無いの…」
な「そっか。それじゃ、校内で他にパソコンが在る所と言えば…職員室」
ほ「今テスト準備中で入れないわよ」
な「う〜ん、だったら…。 あ! そうそう。
昼間の、ロボット作ってる あの子の所なら、パソコン在るかも」
ほ「ええ? でも、そんな事したら迷惑かも…」
な「ほのか。 逃げちゃダメよ」
逃げちゃダメよ 逃げちゃダメよ 逃げちゃダメよ…。
ほのかの頭の中で なぎさの言葉が響き渡る。
痛い所を なぎさに指摘され、軽くショックを受けた ほのかであった。
な「善は急げ、とにかく急げ、命短し恋せよ乙女。
時間が無いなら とっとと済ませて終わらせよう!」
ほのかは なぎさに引きずられるようにして男子部の校舎へと連れられた。
ほ「なぎさってば強引…」
CHAPTER 06 気さくなロボット部員たち
美紀「いいですよ、今 誰も使ってませんし」
男子中等部に在るロボット部の部室 入り口で出迎えた草薙 美紀は、
事情を聴いて簡潔に快諾した。
な「ホント? ほのか、いいってさ」
ほ「迷惑じゃないかしら?」
美「いえいえ、困った時は お互いさまです。 どうぞ こちらへ」
案内されて入った部室内は意外と すっきりとしていて、工作台の上にロボットと
ノートパソコン、ケーブルや各種工具類が載っている他は、整理整頓されて全て棚の中に
納まっている。 奥の方の別な机の上にはデスクトップ型パソコンが二台並んで
鎮座していて、こちらの周辺も また、片付いている感じだ。
ほ「他の部員の人たちは?」
美「そろそろ来る筈ですが…、まぁどうせ男子たちも大した目的では使ってませんし」
皮肉にも、言いつつ起動したデスクトップパソコンの画面が それを証明した。
美「!」 な「!!」 ほ「…キツネ耳?」
いきなり、ややスケベな壁紙が表示されたのだ。
美「アハハハハハハハハっ!
いっつも『セクハラよ!』 と注意してるんですが、全然 聞かなくて…」
笑って ごまかしつつ素早く壁紙を解除し、ついでにデスクトップに散らばっていた
アイコン類も この際と ばかりに まとめてフォルダの中に「処分」した。
美「さ、どうぞ。 …あ〜、冷や汗かいた…」
そんな こんなで漸くパソコンが使える状態となり、なぎさと ほのかは
パソコンの前に座り、美紀は自分のロボットの調整作業に戻った。
しかし、案の定というか予想通りというか、ほのかはパソコンの前で硬直したままだ。
ほ「文章を打ち込むならテキストファイルを作成するのよね。
…でも どうやって作るのだったかしら?」
そこまで知ってて何故 作れない?
…と横目で見て思ってしまった美紀であったが、取り敢えずは黙っといた。
な「標準で付いてる、あのソフトを使うのよ」
ほ「あのソフトって…テキスト エディタ?」
な「そう、それが どこだったか…」
美「『アクセサリ』と書いてある所です」
な「え〜と、あー、あった あった」
なぎさは事も無げに マウスを掴んだ ほのかの手の上に自分の右手を重ね、誘導する。
な「ここ」
ほ「起動、すれば良いのね?」
な「うん。後は ひたすら文章を打ち込むと」
ほ「ぁぅ〜…」
- 892 名前:予想係(07/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/22(金) 02:39:05 [ ltaJWI1I ]
美(ホント噂通り、この ふたりは仲が良いわね…)
そう感じた美紀は自分のビデオカメラを取り出して三脚に固定すると、
なぎさ たちの後ろ姿を こっそりと録画し始めた。
美(しかも良い感じに絵になるし、このビデオ学校中に売って こづかい稼ぎ…。
いやいや、ロボットの開発資金に充(あ)てようかしら)
カメラで構図を決める内に、怪しい商売を思いつく美紀であった。
しかし そうこうしている内に、もう一つ思い出した事が。
美「あ、そういえば。 先輩、ここで作ったファイルを どうやって移しますか?
ここから女子中等部のコンピュータ実習室へは何も送れませんが」
な「えっ?! そうなの?」
美「ここは男子中等部ですから、女子中等部のネットワーク へは
インターネット越しでしか繋がらないんです。
確か今頃 実習室ではパソコン部が大会前のデバッグ作業中、
しかも最後の追い込みで全部のパソコンがフル稼働状態ですから、
リモートでアクセスしても反応が極めて遅い可能性が在りますし。…あ、そもそも、
コンピュータ実習室のLANは外部からのアクセスが一切 禁止でしたね…」
な「…そ、そうなんだ」
美紀の言っている事の半分くらいが分からなかった なぎさだが、
取り敢えず ここから実習室へ直接 送れない事だけは分かった。
ほ「それじゃ、ここで入力しても全て無駄な苦労、…という事?」
キー入力を止めて、ほのかが美紀に尋ねた。
美「いえいえ、オンラインが駄目ならオフラインです。USBメモリは お持ちで…。
…でも、その様子だと持っていそうに ありませんねぇ」
な「USBメモリーって、何だっけ?」
ほ「パソコンのUSB端子に繋ぐ、外部記憶装置よ。
フラッシュメモリーを使っていて、電源供給無しでも情報を蓄えておけるのよ」
知識は有るのに どうしてパソコン使えないんだろう?
と 疑問に思う美紀であったが、取り敢えず用件を さっさと済ませる事にした。
美「…ならば、私のを お貸しします。
一旦これにファイルをコピーして、向こうに移せば大丈夫なハズです」
そう言って胸ポケットからUSBメモリーを取り出し、パソコンに差し込む美紀。
美(こうしておけば、もう一度 先輩方と会う理由が出来る! ナイス、私!)
その内に部室の外から騒がしい声が聞こえてきて、間もなくロボット部の男子部員たちが
部室に入ってきた。
「部長、遅くなりました〜」
「今日は何をやりましょう…って、そちらは誰ですか?」
「部外者 発見、部外者 発見、部外者 発見!」
「いや、新入部員じゃねえのか?」
口々に勝手な事を喚(わめ)きつつ、男子部員たちは珍しい お客に興味を抱く。
な「こんにちわ、おじゃましてます」
なぎさは男子部員たちにキチンと にこやかに挨拶したが、ほのかの方はパソコン操作に
全神経が集中していて そちらを見も しなかった。
「か、カワイイ〜ッ!!」
男子部員たちが口を揃えて第一印象を言葉にした。
な「あら、そうかしら?」
照れる なぎさであったが…。
「そちらの長髪の お姉さんが」
「いいッスねぇ〜、イイッスねぇ〜、良いッスねぇ〜…」
「大和撫子という感じだな」
な「…」 ほ「え? 私?」
お約束な展開とは言え、酷い仕打ちだ。
美「あんた たち失礼でしょうが!
ロボット部の紅一点、この私というものが ありながら何なのよ?
デレデレしちゃって!」
「えー?」「部長って、」「…女だったんだ」
美「いい加減に しなさい。
…っていう お約束のギャグも、ずっと やってると飽きるねー(棒読)。
それじゃ みんな、作業に掛かって」
な「…ギャグ? 今のギャグ? どっから どこまでがギャグだったのよ?」
ほ「面白い人たちね、なぎさ」
- 893 名前:予想係(08/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/22(金) 02:40:02 [ ltaJWI1I ]
CHAPTER 07 白と黒を まとうロボット、その名も「デュアルトーン」
ほのかが引き続き打ち込みの作業を続けている間、男子部員たちは美紀の指示を受けて
各自 作業に取り掛かり、作業台の上に二足型ロボットが立たせられる。
それは白と黒のパーツに身を包んだロボットであった。
な「これが草薙さん たちが作ったロボットなのね?」
美「そうです、名前は“デュアルトーン”」
「まぁ ぶっちゃけ、基本設計と駆動系の製作は
部長の お父さんが やってくださったんですけど」
「でも組み立てとプログラミングはウチらで やったんだし」
「いばるな。 プログラムは殆ど部長が書いたん だろうが」
各部のチェックとケーブル類の接続が終わり、電源が投入されて いよいよロボットが
動き出す。 コントローラを握るのは勿論、部長である美紀である。
まずは動作確認モードにして、前進後退・左右の横歩行・屈伸・通常方向転換。
ロボット自身に床に伏せさせ、そこからの起き上がりを うつ伏せと仰向け両方で行う。
更に段差越えをして動作確認は終了。
そんなロボットの軽快なモーター音を聞いて、ほのかも自分の打ち込み作業を終了させて
作業台の方へ見物に来た。
次はデモ モードにして、体操・コマネチ・前転・片足バランスなどを行う。
ほ「まるで、生き物のように動くのね」
美「まだまだ ぎこちないですけど、いずれはヒトと同じように動くロボットを作るのが
私たちの夢なんです」
「部長、単に動くだけなら おもちゃでも からくり人形でも出来ますよ」
「俺らが創ろうとしてるのは、『意味の有る動きをする』ロボット」
「…ですよね?」
美「そうそう。
コンピュータ上の情報がロボットの動きという、形になる。
ロボットのセンサーが捉えた情報がコンピュータに取り込まれ、
コンピュータの中で情報が処理されて、判断して、ロボットが自分で動いていく…。
知識を伴う行動、感覚を伴う知識、
能動的に外界に作用する思考、受動的に外界から影響を受ける思考…」
「部長、部長」
美「何よ、今いい所なのに」
「御託 並べる前に手ェ動かして下さい」
美「あ…」
ロボットの動きは完全に止まっていた。
一通りテストが終わると、
美「外部電源パージ!」 と叫んでコントローラの操作で電源コードを弾き飛ばした。
な「おお、まるでロボットアニメ」
「部長って これやる為だけに、電源コネクタにスプリング仕込んでるんですよ」
「部長の考えてる事って、よく分からないっス」
美「いいじゃない、ロボット本体の重量は増えない仕組みに してあるんだし」
「ロボットのカラーリングだって、…何だっけなアレ」
「『プリキュア』だろ?」
その単語が予期せずロボット部の男子部員の口から出てきたので、なぎさと ほのかは
一瞬ドキッとした。
「ああ そうそう、プリキュアだ。
前に女子中等部で噂になってたスーパーヒロインが着ていた、コスチュームの色に
あやかって白と黒にした…とか前に部長 言ってたけど、実は…」
「本当は警察モノのロボットアニメから、なんだよな」
美「何よ、何か文句あるの?」
「いいえ、全く ありませーん」
- 894 名前:予想係(09/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/22(金) 02:41:13 [ ltaJWI1I ]
それは さておき、いよいよ格闘モードで様々な動作をテストする。
パンチ・キック・しゃがみパンチ・脚払い、全身ダイビングパンチ。
最後は なぎさの動きを参考にして編み出した、踏み込みストレートパンチで
フィニッシュ。 …のハズが、勢いで いきなり右下腕が飛んで行ってしまった。
ほ「!」
な「凄い! これってロケットパンチじゃん」
しかし、ロボット部員たちの表情は浮かない。
美「腕が飛ぶようには、作ってないよね…?」
「当たり前だよ。んな事したら強度が落ちちまう」
「第一、飛ばしたら自力で回収して取り付けるなんて出来ないし」
「そもそも、そんな機能はルール違反」
「という事は…」
間。
美「壊れたぁ〜!!!!」 「なんだってー?!!!」
慌てる美紀と、右往左往するロボット部員たち。
「ロボットの運動エネルギー(慣性力)が片腕に全て集中するんだもの、
こりゃ蓄積したダメージで壊れちまったんだよ。 間違いない」
「関節 砕けてるし、最悪だ」
「部長、やっぱり これだけの激しい動きを させるのは無理が在るんじゃ…」
美「そんな事 言ったって、これだけは何とか実現したいのに…」
何気なく美紀が工作台の端の方を見ると、1年生の部員が予備機の二足型ロボットを
組み立てていた。
美「西藤ー! そいつのパーツを よこせぇ〜!!」
「部長! 血迷わないで下さい!!」
「あっちのと こっちのではサイズが全然 違うんですから、使えませんて」
「俺は どうしたら…」
「ほとぼりが冷めるまで そのロボットしまっとけ」
何となく不穏な空気に なってしまい、なぎさと ほのかは思わず たじろいだ。
ほ「私たちは そろそろ、おいとま しましょうか」
な「そうだね、部活も あるし」
美「あ、また いらして下さいね。いつでも大歓迎ですから」
「お待ちしております〜ぅ!!」
ドタバタしていた美紀たちであったが、客人の存在は忘れて いなかったらしく、
瞬間的に にこやかな表情に戻って送り出した。
美「アンタたち、パーツとして使える物を集めるのよ!」
「え〜っ?!」「マジで?」「修理しようがないから、仕方なかろう」
「と言っても、もうパーツは無いッス」「だから探すんだろが」
な「…ロボット作るのも大変なんだね」
ほ「…そうね」
USBメモリを片手に、ほのかと なぎさはロボット部の部室を後にした。
CHAPTER 08 闇の人々もロボットが お好き
一方その頃、闇の洋館。
そこでは金髪の少年が おもちゃの二足歩行ロボットを動かしていた。
おもちゃとは言え、滑らかに前転や側転をも こなすほどの本格的な物である。
そして いつものように、執事ザケンナーA・Bが その様子を後ろから見守っている。
そこに居合わせたウラガノスは、精巧に動くロボットに興味津々である。
ウラガノス「凄い物だな。 機械仕掛けの ただの おもちゃなのに、ここまで動くとは」
執A「さようです、ザケンナー。
予め動き方を指示して入れておけば、その通りに動くのです ザケンナー」
執B「今、虹の園ではロボットが ちょっとしたブームになっているザケンナー」
ウ「ほう、そんなに面白いものなのか?」
少年が動かすロボットは、傍らに積んだ積み木の塔を連続パンチで叩き崩している。
執A「わわ、無理は しないで下さいザケンナー。
ロボットの方が壊れてしまいますザケンナー」
少年「ねぇ、もう一度 積み木 積み上げて」
執B「はい、ただいまザケンナー」
ウ「ふーむ、これは使えるかも知れないなぁ…」
- 895 名前:予想係(01/04) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/23(土) 02:39:42 [ 1lv2kKDQ ]
CHAPTER 09 『意味の有る動き』とは?
翌日の夕方、下校時刻。
ほのかがチラシを読みながら校門に向かって歩いていると、
後ろから部活を終えた なぎさが追いかけて来て、いつも通りに合流する。
な「ほのか〜!」
ほ「なぎさ、おつかれさま」
な「? それ、何のチラシ?」
ほ「借りていたUSBメモリーを返しにロボット部の部室に行った時に貰ったの。
今度の日曜日にロボットの大会が在るらしいわよ」
な「大会? という事は草薙さん たちも出場するの?」
ほ「うん、出場予定のロボットとして
『ベローネ学院 男子/女子中等部 合同ロボット部、デュアルトーン』って、
書いてあるわ」
そして ほのかはUSBメモリーを返しに行った時の様子を話す…。
* * *
ノックして ほのか が少しだけドアを開けて部室を覗くと、既に男子部員たちが居た。
ほ「あの、草薙さん居るかしら?」
「お、昨日の大和撫子の おねえさん」「おりますよ」「部長、お客さん ですよん」
相変わらずノートパソコンで色々と何らかの 込み入った作業をしていた美紀は、
声を掛けられて漸く来客に気付いて立ち上がって来た。
美「あ。 雪城先輩、こんにちわ。 えと、もしかしてUSBメモリーですか?」
ほ「ええ。 おかげで助かったわ、ありがとう。 それと、これは お礼」
とUSBメモリーと一緒に、色々雑貨を入れたダンボールの小箱が美紀に手渡された。
美「お礼…と言われましても、こんなに たくさん…」
ほ「科学部で使わなくなった実験材料を集めてきたの。
倉庫で ほこりだらけに するより、使ってあげた方が良いと思って」
手土産が有ると分かり、男子部員たちが集まってダンボールの中身を調べ始めた。
「どれどれ」「これは、摩擦軽減材?」「おお、滑る滑る」「こっちは衝撃吸収材かな」
「多分」「神だ、女神が降臨された」「ありがたや、ありがたや」
思いがけない女神の出現に感謝、感激、感涙するロボット部員たちであった。
だが、土産の中には使えそうも無い物も結構 在る。
「このモーター、デカイな…」「…LED、ウチにも売るほど有る」「この磁石スゴそう」
最後に出てきた大きな磁石を見て、美紀と他の男子部員は血の気が一気に引いた。
美「それ、もしかしてネオジム磁石じゃ…」
「恐らく」「トンデモない程の磁力 持ってるんだよな」「つーか、危ない じゃん」
「その、ネオジム磁石って何ですか?」
磁石をダンボール箱から取り出した男子部員が質問すると、ほのかが簡潔に答えた。
ほ「ネオジム、鉄、ホウ素を主成分とする希土類磁石の一つよ。
1984年に日本人が発明した、とても強い磁力を持つ永久磁石なの。
主な用途はハードディスクやCDプレーヤー、携帯電話…ハイブリッド自動車の
駆動用モーターなど にも使われていたりするわね」
「何か これだけの大きさなら肩こりも一発で治りそうだけど」
磁石を持った部員が そう言って自分の肩に近づけたので、思わず美紀は声を上げた。
美「ダメ、危険よ! 不用意に動かさないで!」
「うむ、これならロボットやパソコンに近づけただけで すぐ あぼーん だな」「同感」
「だから没収!」「あれま」
美「そんな訳で、この磁石だけは お返しします」
ほ「その方が良さそうね」
苦笑いしつつ磁石を受け取る ほのかであった。
- 896 名前:予想係(02/04) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/23(土) 02:41:25 [ 1lv2kKDQ ]
ほ「それで調子は どう? 昨日 壊れた所は修理したの?」
美「いえ、それは まだ…」
美紀が手を差し伸べた先には、未だ右腕が壊れたままのロボットが在った。
「副部長たちが部品調達に行ったんで、到着待ちですわい」
「残念ながら、今 頂いた この お土産の部品だけでは どうにも ならないですし」
ほ「そうなの…」
美「でも、修理したら すぐに動作テストやるよ。
何としても あの技の動きだけは実現したいし」
ほ「あの動きって、昨日 言ってた『意味の有る動き』の事?」
「お、覚えてて下さったんですか? 昨日の話」「何か感動だなぁ」「光栄ですよ」
美「うーん、技そのものと 昨日の話の とは ちょっと違う気もするけど…。
要は、ロボットに魂の入った動きを させたいんです」
ほ「たましい…」
美「ええ。 誰が見ても『本物だ』と納得できるような、そんな動きを。
それが出来なければ、どんなロボットを作ったとしてもウソっぽいものにしか
ならないと思うので」
「でも部長、それって部長の兄さんの受け売りッスよね」
その一言で何故かは知らないが、美紀は恥ずかしさが込み上げてきて顔が赤くなった。
美「ちょ、ちょっとアンタたち…」
「カッコつけたって無駄ですよ、部長」
「そうそう、俺らにしちゃ耳で たこ焼き作れるほど散々聞かされました しィ」
「まぁ何というか、ボクたちの考えも同じです しィ」
「てゆーか、俺らも部長の兄貴には頭が上がりません しィ」
「ぶっちゃけ、ウチらにとっても『アニキ』です しィ」
ほ「お兄さんもロボットを作ってらっしゃるの?」
美「コンピュータばっかり いじってる兄ですが、その兄が いつも言ってるんです。
『コンピュータの上だけじゃ、所詮 絵に描いた餅なんだ。
知識を実際の動きとして活用できなきゃ、意味が無いんだから』 …って。
普段 全然、機械いじりとか しないのに。 アハ、おかしいですよね?」
「アレぇ? 尊敬してるんじゃなかったの?」
美「アンタたちには聞いてない…!!」
ほ「草薙さん、お兄さんの事が大好きなのね」
返事の代わりに更に顔を赤らめる美紀であった。
「部長〜、しっかりー」
しかし美紀の思考が飛んでいるのか、まともな反応が返ってこない。
ほ「あのー、私 何か変な事 言っちゃったのかな?」
「あ、気にせんといて下さい。お兄さんの事となると いつも こうなるだけで」
「ウチらも ちと いじり過ぎたな、反省。」
CHAPTER 10 ご無体な親友
その時 不意に、何の前触れも無く部室のドアが いきなり開いて、胡桃色の髪を
ツインテールにした少女が一人 顔を出すと、開口一番で美紀の存在を確認した。
「美紀 居る?」
その少女はロボット部の男子部員たちにも 顔なじみらしく、気さくに応対した。
「くるみ ちゃん、いらっしゃい」「何か用かな?」「もしかするとアレじゃねぇか?」
くるみ「あ、居た! 美紀 美紀 みき ミキ 美紀ィ!!!! お助け〜…」
美「どうしたの、くるみ…。 あ、待って みなまで言うな、お断りよ!」
部室に入って来た親友に いきなり泣きつかれ、嫌な予感がした美紀は詳しい話を
聞かされる前に頼み事(であると思われる用件)を即座に断った。
く「話も聞かずに断るなぁー!」
美「大体 想像 付くわよ。パソコン部のデバッグ作業 手伝ってと言うんでしょう?」
いい加減にしてくれと言わんばかりに、気だるく答える美紀であった。
く「そうなのよ! さすが美紀、分かってらっしゃる」
予感が当たった美紀は複雑な気分である。 ちっとも うれしくない。
美「…そりゃ、大会目前で切羽 詰まってるのは分かるん だけど、
大会 近いのは こっちも同じなのよ?」
く「充分 分かってるけど、意図した結果が出なくて困ってるの よぉ〜…。
ウチの部長も美紀に お願いしたいって言ってるし、お助け下さいまし。
おねがい! この通り!」
- 897 名前:予想係(03/04) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/23(土) 02:42:38 [ 1lv2kKDQ ]
美「弱ったわねぇ…」 ほ「ロボット部の大会って?」
「これッス」
ロボット部の男子部員がチラシを出してきて ほのかに手渡した。
次の日曜に、二足ロボット格闘大会の西南地区予選会が開かれるのだ。
しかしパソコン部が参加する大会も結構 差し迫っているらしい。
く「おねがい おねがい おねがい おねがい おねがい おねがい おねがい!」
美「ダメ ダメ ダメ ダメ ダメ ダメ ダメ ダメ!」
「あ、一回はねた」「揚げ足 取るなって」
「部長、後の作業は俺らに任せて くるみちゃんの方を手伝ってあげては?」
美「でも…」
「どちらにしろ、部品が到着して修理が終わらないとロボットの調整も出来ないし」
ほ「そういう事なら手伝って あげたら?」
美「う〜ん…。…なら、今日だけよ」
く「ありがとう美紀! あの、説得して下さって ありが…」
最後の一押しをしてくれた人にも お礼を述べようとした くるみは、
その人物が女子中等部の有名人である事に漸く気がついた。
く「…もしかして、あなたは雪城先輩では…?!」
ほ「はい、こんにちわ」
く「し、失礼しました! 私、自分の事ばかりで…。
…アレ? でも何で、美紀と先輩が知り合いなの?」
美「たまたま。というか、偶然ですよね?」
ほ「そうねぇ」
そう言って にっこり微笑む ほのかと美紀であった。
* * *
な「ふーん。草薙さんって、凄く優秀なんだね」
ほ「パソコン部と言えば結構 部員が多いハズなのに、
それでも草薙さんが呼ばれるんですものね」
な「でもプログラムの…デバッグって言うの?
ちょっと見たくらいで どこに問題が在るのか なんて、分かるもの?」
ほ「…詳しい事は知らないけど、複雑な処理をさせるソフトウェアだと何千 何万行もの
規模になるのよね…。 そんな中からバグを見つけるなんて大変な作業よ」
な「パソコン部の人たちにも見つけられなかったバグ、見つけられるのかな?」
ほ「普通は、無理な話ね」
な「ところで さぁ」
ほ「なぁに?」
な「バグって何?」
思わずズッこけそうになる ほのかであった。
ほ「意味も知らずに言ってたの?」
な「うん、流れで何となく」
ほ「…元々バグというのは虫の事なんだけど、
その昔コンピュータの中に虫が入り込んで故障の原因になった事が度々在ったの。
そこからコンピュータに発生するトラブルを“バグ”、
それを取り除くのを“デバッグ”と呼ぶようになったのよ。
けど、今はコンピュータに虫が入り込んで故障するなんて まず起こらないから、
プログラムの問題を見つけて解消する場面でしか使わないわね」
な「そうなんだ」
ほ「でも…パソコンを自在に使えるのって、正直うらやましい。
私は基本的な操作もサッパリだし」
な「ほのかは知識が充分 有るんだから、パソコンも すぐに
じゃんじゃん使えるように なると思うんだけどな」
ほ「知識の有る無しと実際に使えるか どうかは、全くの別問題なのよ。
…はぁ、私も自分用のパソコン欲しいな…」
歩く内に、TAKO CAFEが見えてきた。
CHAPTER 11 TAKO CAFEにもIT化の本波が!
カフェのテーブルで、ひかりが伝票片手に電卓で数字を打ち込んでいる。
しかし ひかりは電卓は全く見ず、目の前に有るノートパソコンの方を見ていた。
な「ひかりー!」
呼ばれて一旦 手を止め、声の方を見る。
ひかり「なぎさ さんに ほのか さん」
な「何してるの? お仕事?」
ひ「はい。 アカネさん から事務作業を任されたので」
と言い、再び打ち込みを始める ひかり。
- 898 名前:予想係(04/04) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/23(土) 02:44:16 [ 1lv2kKDQ ]
な「これ電卓…だよね? 何でパソコンと繋がってるの?」
普通の事務用電卓に見える それは、ケーブルでパソコンのUSB端子へ繋がれている。
ほ「これ もしかして、テンキー機能付きの電卓?」
アカネ「そうだよ。 電卓としてもテンキーとしても使えるのが良いよね」
な「アカネさん、パソコン持ってたんですか?」
ア「中古のを格安で譲ってもらったんだ。
手作業でノートに書いていくよりは早く正確に記録できるかな、と思ってね。
でも商売で使うとなると どうしても数字の入力が多くなるから、
テンキー電卓だけ新品で買い足したのよ」
アカネさんが話をしている間も ひかりは手を止める事 無く入力作業を続けている。
手元は全く見ずに伝票とパソコン画面だけを見て、右手だけで軽やかに打ち込むのが
とても滑らかで、なぎさも ほのかも少しの間 見とれてしまった。
な「手慣れてる…」 ほ「いいなぁ…」
ア「ひかりって上達が早いからね、今じゃアタシよりも打ち込み速いかも。
さて、後片付けの続き 続き」
な「え?! 今日は もう営業 終わりですか?」
ア「あぁ、ゴメンね。今日は何故か お客さんが たくさん来てね、殆ど売り切れなの。
残りはジュースしかないけど、どうする?」
な「たこ焼き…、無いの…?」
ひ「済みません、30分ほど前に材料が尽きました」
な「とほほ…」 ガックリと肩を落とす なぎさであった。
そんな折に なぎさが ふと見上げると、CAFEワゴンのドアにチラシが一枚 張ってある。
よく見ると「二足ロボット格闘大会 西南地区予選会」のチラシであった。
な「これって、もしかして あの子のロボット部も出場する大会じゃない?」
ほ「本当、同じチラシ。ね」
なぎさが見ているチラシと自分が持っているチラシを見比べる ほのか。
ア「今度の日曜にやるロボットの大会だね?
その会場に屋台が集まる事になってて、ウチらも出店するんだ」
な「それで このチラシが有るんですか。
この大会にベローネの中等部からもロボットが出るんですよ」
ア「そういえば書いてあったね。 それで、実力の程は どうなの?」
な「えーと、…どうなの?」
なぎさは ほのかに たらい回しした。
ほ「そうねぇ…、どの位の実力が在るのかは分からないけど、
昨日 壊れた あの腕は まだ修理できてなかった みたい」
ア「大会まで あと何日も無いじゃない。 間に合うの?」
な「…間に合うの?」
なぎさは再び ほのかに たらい回しした。
ほ「そこまでは分からないけど…。
でも、草薙さん たちなら多分 大丈夫じゃないかしら」
な「そうだね。 部活の雰囲気も和気あいあい としてたし。
ねぇ、アタシたちも応援に行ってみようか?」
ほ「私も?」
な「うん。 興味 湧かない? ロボット同士が どんな風にして戦うか とか、
アタシの動きがヒントになったって言う、あの技が繰り出される所とか」
ほ「うん うん、ロボットといえばアイデアと科学技術の結晶のようなものだし、
他のロボットが どんな感じなのかも知りたいわね」
な「なら、決まりね。 ひかりも…あ、日曜は忙しいかな?」
手を止めて、嘆願するかのようにアカネさんを見つめる ひかり。
だがアカネさんは簡潔明朗に答えた。
ア「ん? いいんじゃない?
アタシらも会場まで行くんだし、試合 始まれば お客さんも少なくなるだろうし」
ひ「ありがとう ございます、アカネさん」
な「よぉし、力一杯 応援するぞぉ!」
ほ「気合 入ってるわね、なぎさ」
な「そして帰りに たこ焼きを頂く!」
ほ「…そっちが本命…?」
* * *
夕方 遅く、ロボット部の部室では まだ作業が続けられていた。
美紀もパソコン部の方の助っ人をアッと言う間に済ませて既に戻っており、
修理の済んだ右腕と制御ソフトの調整をしている。
「何とかなりましたね、部長」
美「一時は どうなるかと思ったよね」
「新しい腕は どうでしょう?」
美「良さそうね。 後は本番で壊れない事を祈るのみ」
「ホントに大丈夫かな?」
美「信じる。それだけよ」
- 899 名前:予想係(01/15) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/24(日) 03:29:31 [ ztwh/Bc2 ]
CHAPTER 12 二足ロボット格闘大会 西南地区予選会
日曜の午後。
大会の会場となった体育館の駐車場には色々な屋台が集まっていて、
ちょっとした お祭りのような雰囲気を醸し出している。
それなりに人出も あるようで、TAKO CAFEを始めとする屋台の周りには
結構 人だかりも見受けられる。
な「こんにちわ〜」
なぎさたちがTAKO CAFEを訪れると、ひかりも アカネさんもワゴンの中で
遅めの昼ごはんを食べつつ 一休みしていた。
ア「お、なぎさに ほのか、来たね。いらっしゃい」
ほ「こんにちわ。今日は すごい人出ですね」
ア「へへん。 何と、本日のウチの売り上げ目標は 既に達成しているので ありました」
な「すごーい…。 …って、もしかして また売り切れなんて事に なってる?」
ひ「大丈夫です。今日は いつもより多めに準備してきましたから」
な「ホント? 良かったぁ〜、また食べられなかったら悲し過ぎるし」
ほ「もう。大げさねぇ、なぎさ は」
な「だって、楽しみに してるん だもん。 それじゃアカネさん、ひかり借りますね」
ア「あいよ、ゆっくり してて いいからね」
ひ「ハイ。では、行ってきます」
ア「いってらっしゃ〜い」
ひかりを連れ立って会場内に入ると、客席は既に3分の2ほどが埋まっていた。
空いている席を探して座ると すぐに、ステージ上で各チームのロボットによる
デモンストレーションが始まった。 各機、段差越えや前転、倒立、逆立ちなど
基本的な動作を こなしたり、腕立てや腹筋といった必ずしもロボットがする必要の無い
動作をしていたり、片足で立ってバランスを取ったりという高度な技を披露したり、
コミカルな動きで会場を沸かせたり…。
とにかく個性 豊かなロボットが勢ぞろい していた。
最後に制服姿のベローネ学院中等部のロボット部員が登場し、運び込まれた機体は
部室で見たのと同じ白と黒に塗られたロボット、その名は「デュアルトーン」である。
美紀の姿を見つけた なぎさは立ち上がって大きな声でエールを送る。
な「草薙さ〜ん!」
?「美紀ー!!」
な&?『がんば(って|れ)−!』
期せずに見知らぬ誰かとユニゾンしてしまい、思わず一度 顔を見合わせてしまった。
通路を挟んだ隣にはメガネを掛けた、高校生くらいの優しげな男の人が居た。
ステージ上では こちらに気がついたのか、美紀が親指を立ててウインクしてみせた。
なぎさが手を振って応えると、隣の男の人も手を振っていた。
再び顔を見合わせる なぎさと隣の人。
な「あの〜、もしかして草薙さんの関係者の方ですか?」
?「うん。 僕も草薙だし」
「桂(けい)さん! ここに いらしたのですか?」
背後から少女の声がする。 ほのかが通路に居る その娘の顔を見て驚いた。
ほ「あなたは確か…」
先日ロボット部の部室で見かけた、草薙 美紀の親友である。
しかし胡桃色の髪をツインテールに している までは覚えていたの だが、
肝心の名前までは咄嗟には思い出せなかった。
くるみ「あ、雪城先輩…。それに美墨先輩も!」
?「おぉ、くるみちゃん。 この人たちと知り合い?」
く「知り合いも何も、学校の先輩で…」
な「えーと、いったい誰が誰やら」
ひ「まず自己紹介しましょうか」
ほ「それが良さそうね」
- 900 名前:予想係(02/15) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/24(日) 03:30:09 [ ztwh/Bc2 ]
ステージ上ではロボット部の二足ロボット「デュアルトーン」による
デモンストレーションが始まっていた。
く「それじゃ、まず私から紹介した方が良さそうですね。
木下くるみ、パソコン部 所属の2年生です」
ほ「草薙さんの お友達ね」
く「ハイ、先日は失礼しました。
えと、こちらがウチの中学の先輩の、美墨なぎさ さんと雪城ほのか さん。
それと…」
ひ「九条ひかり です」
く「たこ焼き屋さんの看板娘ですよね?」
ひ「は、はい」 『看板娘』と呼ばれて、ひかりは少々恐縮した。
く「先輩、こちらは美紀の お兄さんの…」
桂「草薙 桂(けい)です」
物腰 柔らかく、丁寧な口調である。
く「その隣が美紀の 弟さんで草薙 京(きょう)くん」
京「どうも…」
紹介されたので少し顔を出したが、兄とは違って ぶっきらぼうで無愛想かつ無口。
何の主張か首筋まで届く髪を後ろで束ね、もみ上げを細く やや長めに伸ばしているが。
桂「えーと、美墨さん? …は、もしかしてラクロス部の?」
な「えっ?! どうして知ってるんですか?」
桂「美紀が良く話しててね、『ロボットに先輩のような動きをさせたい』って。 まぁ、
完全に同じ動きというのはハッキリ言って無茶だけど、何か憧れてるみたいでね」
な「そう なんですか。 なんか、照れちゃいますね…」
照れ隠しに微笑む なぎさに桂は微笑み返しで応えつつ続けた。
桂「美紀は…。 小学校の頃に ちょっと色々とゴタゴタあって、塞ぎ込んでた時期が
有ったんだけど、ベローネの中等部に入学して環境が変わったら見違えるように
明るくなってね、これも友達や先輩に恵まれた おかげなのかなぁ…。 とか、
兄としては勝手に思っていたり」
ステージ上でのデモンストレーションはデュアルトーンが一礼して終了した。
続いて一回戦が始まる。
今回の予選会の出場ロボットは全部で8機。
1対1で戦い、相手の攻撃で倒されるか、リングアウトしたら1ダウン。
3ダウンで負けとなるルールで、一回戦が4試合、準決勝が2試合、それに三位決定戦と
決勝という、トーナメント形式で行われるのだ。
全国大会には上位2チームと審査員推薦の1チーム、合わせて3チームが出場となる。
デュアルトーンの出番は一回戦 最後の試合であるが、他のロボットの対戦も
なかなか見応えが有る。 中でも目を引くのは一回戦 第3試合に出た大型ロボットで、
体格の利を生かして相手の攻撃を寄せ付けず、アッと言う間に3ダウンを奪って
ストレート勝ちを果たした。
な「すごい…。 あんな大きなロボット、どうやったら倒せるの?」
ひ「次の試合で勝ち上がったロボットが あれと対戦するんですよね?」
ほ「『柔よく剛を制す』と言うけれど、ロボットの場合は どうなのかしら?」
桂「それならロボットも同じだよ。
もっとも、ロボットはヒトほど器用には動けないから、
『柔よく』と いうのが かなり難しいんだけどね」
京「ケッ! あんなデカブツ、オレの相撲ロボットなら絶対 負けねー」
桂「これ、生(意気)言ってんじゃないぞ」
な「相撲ロボット? 弟さんもロボット作ってるの?」
く「そうなんです。一応 全国大会で上位入賞も してるんですが…」
桂「相撲ロボットと二足ロボットじゃ、どうやっても相撲ロボットの方が
勝つに決まってる…と言うより負ける方が おかしいし」
京「まー、姉貴の お手並み拝見、ということで」
ウチの亮太よりも生意気。 不覚にも なぎさは そう思ってしまった。
- 901 名前:予想係(03/15) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/24(日) 03:31:04 [ ztwh/Bc2 ]
一回戦 第4試合。
ベローネ学院中等部の男女合同ロボット部 製作のデュアルトーンが
ステージ上のリングに登場する。
対するは青い機体のロボット「ブルーナイト」、体格は同等である。
ナイト(騎士)と言っても剣を持っているわけではなく、ちゃんと素手(?)で戦う。
この試合、デュアルトーンの操縦は副部長が担当する。
試合開始と共にデュアルトーンが前進を続け、間合いを詰める。
相手も前進していたが、デュアルトーンの気迫に押されたのか一旦 立ち止まる。
すかさずデュアルトーンが全身ダイビングパンチで攻撃し、見事に相手は倒された。
1ダウンを奪った後は一度 間合いを取って相手ロボットの動向を見る。
警戒しているのか、相手は間合いを余り詰めようとはしない。
ならばとデュアルトーンは横移動と旋回を駆使して相手の横を取ろうと仕向ける。
ブルーナイト側もデュアルトーンを正面に捕らえようと旋回を繰り返すが、スピードは
若干デュアルトーンが上だったらしく、左ラリアットで おもいッきり倒された。
ダウンカウント2−0で有利な立場にあるデュアルトーンだが、そう簡単には勝たせては
貰えない。 横移動と旋回で またしても相手の横を取ろうとするが、移動を繰り返す内、
逆にリング際まで追い込まれたような状態になってしまった。
じりじりと歩み寄るブルーナイト。 にじるように横に逃げようとするデュアルトーン。
ブルーナイトが両腕を前に突き出して突進して来る。
すると それを待っていたかの如く、デュアルトーンはヒールターンで見事に避わし、
ブルーナイトは止まり切れずにリング外へと落ちてしまい、1ダウン。
これで勝負が決まり、ロボット部のデュアルトーンは準決勝にコマを進めた。
な「今の、見た?」 ほ「スゴイ速さでスムーズにターンした…」 ひ「はー…」
デュアルトーンのヒールターンを初めて見た なぎさたちは、一様に感心した。
桂「かかとの部分に滑り材が付いててね、そこを軸にしてターンできるんだ」
な「滑り材というと…」 ほ「マウスの底に付いているような物?」
桂「そうそう」
続く準決勝 第1試合は、激しいパンチと頭突きの応酬の結果 赤いロボットが勝ち残る。
そんな熱い戦いに会場内が盛り上がる中、ポルンが落ち着かない様子で騒ぎ始める。
ポルン「ひかり、ひかりぃ!」
ひ「…どうしました? ポルン」
ひかりは周りに気付かれないようにして、声を掛けた。
ポ「イヤな予感がするポポ…」
ひ「…えぇ?!」
ほ「どうしたの? ひかりさん」
ひ「ポルンが何かを感じた みたいです…」
メップル「そういえば、何となくだけど邪悪な気配を感じるメポ!」
な「え、何? こんな時に?」
ミップル「私も感じるミポ」
ほ「いったい どこから…?」
会場内を見回してみるが、それっぽい人物は見当たらない。
ミ「近くに居るのは確かミポ…」
メ「詳しい位置までは よく分からないメポ。 でも充分 警戒するメポ!」
な「と言われても ねぇ…」
桂「ん? どうかした?」
な「あ、いえ、なんでも」
- 902 名前:予想係(04/15) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/24(日) 03:32:21 [ ztwh/Bc2 ]
準決勝 第2試合。
デュアルトーンの次の相手は一回戦 第3試合で豪快な戦いぶりを見せた大型ロボット、
その名も「ビッグコング Mark-参」である。
長めの腕のせいか、名の通り何となく類人猿を思わせる風貌である。
この試合でのデュアルトーンの操縦は、部長である美紀が担当する。
な「なんか、ロボットの大きさが大人と子ども くらいに差が無い?」
桂「1.5倍くらいの大きさが有りそうだねぇ。
デュアルトーンが身長40cmだから、相手の身長は60cmくらいかな」
ほ「普通は勝てないと思うけど…」
ひ「大丈夫なのでしょうか?」
大きな対戦相手の姿に不安がるロボット部員たちであったが、美紀は全く気にしない。
試合開始と共にデュアルトーンが一礼し、二歩移動すると、相手も二歩動いて
早速 攻撃を仕掛けてきた。 咄嗟に しゃがんで防御するデュアルトーン。
相手の攻撃は空振りだったが、デュアルトーンが不利な体勢である事には変わりない。
立ち上がって少し横移動し、相手からの再度の攻撃をヒールターンで避け、更に逆方向へ
ヒールターンして向きを直すと、そのまま前進して相手の横に来る。
そこでデュアルトーンが しゃがみ込み、左腕を前に、バランスを取るように
右腕を後ろへ突き出す。 そして相手の脚が上がった瞬間を狙い、そのまま腰を旋回させ
腕で脚を払う。 たった それだけで相手ロボットはバランスを崩し、仰向けに倒れた。
ひ「倒しちゃった」
な「そっか、二本の足で立っているから足元を狙えば非力なロボットでも倒せるのね」
ほ「本当に、『柔よく剛を制す』ね」
デュアルトーンの戦いぶりに、感心しきりの なきさたちである。
桂「まだ1ダウンだから、油断は出来ないよ」
く「美紀〜ッ! がんばってー! …ホラ、京くんも ちゃんと応援する」
京「がんばれー。」 …気の抜けるような声である。
な「もう、覇気が無いわね覇気が。応援ってのは こうやるのよ」
そう言って なぎさは スクッと立ち上がると ありったけの大声で叫んだ。
な「草薙さーん!! その調子でイッちゃえ〜!!!!」
…周囲が驚いて なぎさを仰ぎ見て、ほのかは耳を塞ぎ、
まともに聞いてしまった ひかりと桂と くるみは耳がキンキンした。
しかし、おかげでステージ上の美紀の耳にも なぎさの声が届いたらしく、
視線はロボットに向けたまま片手を振って声援に応えた。
京(ハズイ…)
表情こそ変えなかったが、内心は赤面しそうな気分の京であった。
10カウントぎりぎり一杯で漸くビッグコング Mk-参が立ち上がり、デュアルトーンは
距離を取って様子を見ている。 ビッグコング側としては、一回戦 第4試合のブルー
ナイトのように、突っ込んで行って避わされ自滅という轍(てつ)は踏みたくない。
だからこそ慎重な足取りで間合いを詰めていく。
一方のデュアルトーン側も間合いを詰めるが、こちらのスピードは やや速い。
横の取り合いはデュアルトーン側が制し、しゃがんで両腕を横に突き出し準備体勢に
入るが、すぐには攻撃しない。 脚が動くのを待っているのだ。
だが、ビッグコングは その場で しゃがみ、腕による攻撃を試みてくる。
腕が長いので何発かデュアルトーンに当たったが、こちらの姿勢も低いので倒されるまで
には至らない。 当初の狙いが外れたのでデュアルトーンは両腕を前に突き出し、
全身ダイビングパンチを実行する。 が、相手を横から押した所で体格差が在る上に
しゃがんでいるので倒れるハズも無く、そのままデュアルトーンは床に伏せてしまった。
な「ダメじゃん!」 ほ「横から押すのは無理よねぇ」 ひ「どうなるんでしょう」
桂「…これは、ワザと かも知れないよ」
く「そうなんですか? 桂さん」
桂「いや、何となく」
- 903 名前:予想係(05/15) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/24(日) 03:33:14 [ ztwh/Bc2 ]
デュアルトーンは すぐに立ち上がり、横移動と旋回でビッグコングの後ろを取る。
そして左の連続パンチでビッグコングの背中を押し始めるが、ビクともしない。
左、右と連続パンチしても、当然 効果なし。
仕舞いには上から ぽかぽか殴るように両腕を交互に振り下ろすと、まるで音撃鼓を叩く
響鬼か 子供が親の肩を叩いているか のような状態となり、会場の爆笑を誘う。
絶対的な安定感に気を良くしたのか、何故かビッグコングは立ち上がり始めた。
すると そこを狙っていたデュアルトーン、ここぞと ばかりに全身ダイビングパンチを
放ち、モロに喰らったビッグコングは前に倒れてしまった。
10カウントが始まり、もちろんビッグコングは立ち上がろうとするが、
内部配線が切れたのか脚が全く動かず、カウント内に立ち上がる事は遂に出来なかった。
よって、準決勝 第2試合はデュアルトーンが勝って決勝へと進む。
な「…ロボットでもノックダウンって あるんですか」
桂「そりゃあ、戦えなくなったら負けでしょう」
続いての三位決定戦はビッグコングの修理が間に合わず(と言うより不具合箇所を
特定できなかった)、もう一台のロボットの「土方(ひじかた)君」が不戦勝となった。
そして いよいよ決勝戦。
対戦相手は小柄で素早い「レッド・コメット」。
その素早さを生かして対戦相手を翻弄し、
ここまで一度も倒される事なく決勝まで勝ち進んできた。
一方のデュアルトーンも、ここまで一度もダウンを取られていない。
実力派同士の対戦に、会場内の期待も高まってくる。
美紀「ふぅー…」 決勝戦を前にして、美紀は深呼吸をして息を整えた。
「部長、もしかして緊張してる?」
美「まさか。 ヤル気 満々、早く戦いたくてウズウズしてる」
「ここまで来たら優勝で全国大会、狙いますよね?」
美「もちろん。 …ところで決勝の操縦だけど、アタシが やっちゃって良いかな?」
「どーぞ どーぞ」
「ぶっちゃけオレら操縦コマンド全部 覚えては いないし」
「腕 振り上げたまま腰 旋回なんて、真似できねぇし」
「今更 言うのも どうかと思うけど、
どうして部長の作った操縦コマンドって覚えにくいんだろう?」
美「だって しょうがないじゃない。
アタシ、格闘モノのゲームなんて、やった事ないんだしィ」
美紀はコントローラを手にして、ふと観客席の方を見上げた。
視線の先には憧れの先輩、美墨なぎさの姿がある。
美「…ねぇ、あの技 使っても良いかな?」
「あの技って、…まさか!」「リスク高いよな…」「え、でも最後だし…」
「また腕 壊れたら どうするんだよ?」「直すに決まっとろう」
「部長、ここで おもいッきり行かないで どうするんです?
何も恐れず やっちゃって下さい」
美「ありがとう…、みんな」
美紀がデュアルトーンの上でコントローラを掲げると、
他の部員も拳を上げてコントローラに触れた。
美「気合入れて行くよ!」
「おうッ!!」(×6)
な「結束の良いチームだなぁ…」
- 904 名前:予想係(06/15) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/24(日) 03:34:33 [ ztwh/Bc2 ]
決勝戦が始まり、デュアルトーンが一礼してから最大速で前進し、一気に距離を詰める。
相手も最大速で前進していたので すぐに互いの拳が届く距離となり、デュアルトーンが
左パンチを放つと向こうも左パンチを打っていた。
ほぼ同時に双方の機体にパンチが当たり、反動で両機とも倒れてしまった。
両機ともダウン。
「部長!」
美「大丈夫。今ので あっちの質量が 大体 分かった」
「質量ぉ?」
美「ええ。多分、ほぼ同じか向こうが やや軽いくらい。どちらにしろ大差は無し!」
つまり、拳を打ち合う事によって相手の重さを量ったのだ。
双方すぐに立ち上がり、少しずつ動いて方向を微調整すると、再び前進して間合いを
詰める。 だがデュアルトーンは すぐに止まって腰を落とし、レッド・コメットを
迎え撃つ準備をした。 それに気付いたレッド・コメット側だが すぐには止まれない。
無論、攻撃範囲内に入ってしまったレッド・コメットを逃しは しない。
立ち上がり動作と共に左腕が振り上げられ、同時に腰の動きによって更に力が加わる。
デュアルトーンの全身を使った左アッパーが見事に決まり、
レッド・コメットは豪快に 吹っ飛ばされた。
デュアルトーンが左腕を振り上げ終わった瞬間、機体が
ほんの少しジャンプしたように見えた。 実際にはジャンプなど していないのに、
まるで昇竜拳のような動きと気迫がロボットから感じられたのだ。
月並な表現をするならば、ロボットがオーラを まとい、そのオーラだけが動いたと
言うべきか。 いずれにせよ、操縦している美紀の意志が、操縦されている
デュアルトーンの一挙一動として現れている。
レッド・コメットが立ち上がり動作をしている最中、デュアルトーンは後退して
一度 間合いを取る。 左腕を前に構えたまま前後左右に動いて距離と方向を微調整し、
ジッとチャンスを待つデュアルトーン。
しびれを切らしてレッド・コメットはスピードに任せて突進して来る。
それを待っていたようにデュアルトーンは まず一歩 絶妙のタイミングで踏み出し、
そこから更に一歩 前進しつつ 踏み込みストレートパンチを放つ。
脚、腰、左腕の滑らかな動きが力として順に流れ右腕に集中し、
デュアルトーンの拳がレッド・コメットの重心点 付近に命中する。
渾身のパンチを防ぐ事も 力を相殺する事も出来ず、レッド・コメットは
リングの上に仰向けに倒された。
この瞬間 会場が沸き、ベローネ学院 中等部のロボット部が優勝を決めた。
CHAPTER 13 しかし、やっぱり邪魔者が
と、会場内の様子を窓から覗き込む人物が居た。 ウラガノスである。
ウ「ほぅ、虹の園のロボット技術とやらも大したものじゃないか」
しかし会場内部を隈なく見回す内にウラガノスは美墨なぎさと雪城ほのか、
そして九条ひかりの姿を見つけてしまった。
ウ「お? アレはプリキュアと…、ルミナスぢゃないか。
邪魔されると面倒な事に なりそうだな…」
少しの間 アゴに手を当て戦略を練った結果、
ウ「…こっそり やろう〜。…っと」
見つからないように作戦を遂行する事に したらしく、ウラガノスは窓から離れて
裏口の方へと歩いていった。
メ「ムムム…、近くから邪悪な気配を感じるメポ!」
な「敵? どこから?」
ミ「多分、ステージの裏の辺りミポ」
無言で頷き合い、なぎさと ほのかと ひかりは連れ立って そちらへと向かった。
く「あれ? みんな一緒に どこへ行くんだろう?」
桂「大方『お花摘み』ってヤツじゃない?」
く「あぁ、納得…」
京「お花摘み?」 納得できない少年が一人。
桂「男なら『雉撃ち』だな」
京「…ますます分かんねぇ」
桂「全く、ロボット以外の本も読め。 それぐらいの知識、知ってて損は無いぞ」
京「…フンっ!」
結局 兄たちが何を言っているのか分からないまま、少年は ふてくされた。
- 905 名前:予想係(07/15) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/24(日) 03:35:43 [ ztwh/Bc2 ]
CHAPTER 14 奪う者の勝手、奪われる者の怒り
ステージ裏手の控え室。
デュアルトーンは表彰式を前にバッテリーの交換と簡単なメンテナンスが施されていた。
作業が終わり一息つくと男子メンバーは連れ立って『雉撃ち』に行き、
美紀が一人でロボットの番を していた。
他には誰も居ない静かな部屋の中で、美紀はテーブルの上にデュアルトーンを立たせ
改めて じっくりと眺める。
美「はぁ、傷だらけ…」
完全な破損こそ無いものの、プラスチックで出来た機体のカバー部分が あちこち
凹んだり歪んだり、擦り傷になっていたりする。
美「帰ったら新しいカバーに換えないとね」
そんな風に美紀とデュアルトーンが静かに対話している最中、静けさを打ち破るように
いきなり背後でノックも無く扉がガラッと開いた。
ビックリして振り向くと、見覚えの無い巨漢がドアを くぐって部屋に入って来る。
ウラガノス「ちょっくら お邪魔するよ」 美「!!!!」
あからさまな不審者の登場に美紀は尋常ならざる恐怖を覚えたが、
だからと言って無視する訳にも いかない。
美「ちょっと! ここは選手と関係者以外は立ち入り禁止よ!」
ウ「固い事 言うな、俺は そこのロボットに用が有るだけだ」
ウラガノスはデュアルトーンに向かって指を差した。
美「あなた、大会のスタッフでも ないでしょう!?」
美紀はワナワナと震える右の拳を左手で おなかの辺りに押さえ付けて、
有無を言わず殴りかかって しまいそうな自分を必死に抑える。
だがウラガノスは何も お構いなしにズンズンと歩み寄り、美紀の肩に手を掛けた。
ウ「俺はロボットとやらの中で一番 強いのが欲しい。 ただ それだけだ」
そう言いつつウラガノスは片手で ひょいとデュアルトーンを勝手に つまみ上げて、
様々な角度から眺め始めた。
美「触らないでよ…! てゆーか、返して!!」
ウ「やーだーよ」
ウラガノスは取り返されないように、右へ左へ ひょいひょいとロボットを掲げ上げる。
ウ「フン。 色といい デザインといい ちょっとばかり気に喰わねぇが、
まぁ これでガマンしてやるか」
屈辱。 美紀が感じたのは その二文字に尽きる。
美「何よ…自分勝手な理由で押し入って みんなで苦労して作ったロボット奪い取って、
その挙句 最後の捨て台詞が『ちょっとばかり気に喰わない』?
フザケんじゃないわよ!!」
だが怒り猛る美紀の叫びにウラガノスは全く取り合わず、ロボットを つかんだまま
ドア枠を壊しつつ部屋を出て行く。
美「待ちなさい!」
美紀は咄嗟にパソコンとロボットのコントローラを手に取って追いかけた。
美「ロボット泥棒! 待て!!」
ウ「『待て』と言われて待つ泥棒が どこに居るかよ」
だがウラガノスは急がず慌てず堂々と廊下を歩いて裏口へと向かっていた。
そこへロボット部の男子部員の内 3人が前から歩いて来る。
「む?」「何でアイツ…」「ウチらのロボット持ってるんだ?」
美「そいつロボット泥棒よ! 捕まえて!!」
な「ロボット泥棒ですって?!」
ほ「…アノ人って…、まさか?」
美紀の後ろから なぎさたちが駆けて来た。
「はいはい、ちょっとゴメンよ」「こっから先は」「オレらの仕事」
更に その後ろから、ロボット部 男子部員の残り3人が来て なぎさたちを追い越すと、
美紀を守るようにズラリと前に並んだ。
「さぁて、観念して貰おうか泥棒さん よぉ」「オレらロボット部の男子6人が、」
「絶対 逃がさん!」「覚悟して もらいましょうか」
ウ「ほう。 オマエら、これで取り囲んだ つもりなのか?」
「逃げられる つもりなのかよ、ドロボーさん」
「君は完全に包囲されている。 大人しく人質を解放して投降なさい」
そんな紋切り型の台詞を、ウラガノスは大きな身体を揺らして豪快に笑い飛ばした。
ウ「ダハハハハハハハッ! 笑わせてくれるじゃねぇか。
逃げ道が無いならよぉ、作れば良いだけだ」
ウラガノスはコンクリートの壁を拳で おもいッきり叩き壊して大きな穴を開けると、
そこから建物の外へと出て行った。
呆気に取られたのは残されたロボット部員たちと なぎさたちであった。
な「うそ…」 ひ「無茶苦茶 過ぎます! 壁を壊して逃げるだなんて…」
ほ「ありえない…! コンクリートの壁を素手で壊すのに、どれだけ力が必要なのよ?」
「はっ! ちょっと待て、追わないと逃げられるぞ!!」
「でも あんな化け物、どうやって止めるんだよ?」
「そんなの後! 今は とにかく追うんだ!」
な「アタシたちも追いかけるよ!」 ほ「うん!」 ひ「ハイ!」
- 906 名前:予想係(08/15) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/24(日) 03:36:42 [ ztwh/Bc2 ]
CHAPTER 15 ザケンナー召喚
ウ「さてと、後は これを どこで どう使うか、だが…」
会場外の道路を歩きつつ、ウラガノスはザケンナーの使い所を模索していた。
目に止まったのは車が行き交う交差点。そこなら面白い事が出来そうだ。
そう思ったのも束の間、後ろから なぎさたちが「待てー」と追いかけて来る。
ウ「やれやれ、結局あいつら か」
若干ボヤキつつも、ウラガノスは ちゃっちゃ と自分の仕事を片付ける事にした。
自動車が走っているのも お構いなく、邪魔する車は殴りつけ蹴り飛ばして
交差点の中心へと歩いて行き、持ってきたロボットを そこに据える。
ウ「怒れる天空の妖気、ザケンナーよ! ここに来たれェ!!」
空が急速に怪しい色を帯びていき、寄り集まった妖気がロボットの近くへと流れて来る。
直後、辺り一帯に強い地震が発生して交差点内 全体が真四角に沈み始め、シャッターが
開いて、地下から台座に載った巨大な人型ロボットが勢い良く せり上がって出現した。
紫の身体で角を二本 持った鬼のような形相の、差し詰め「ロボットザケンナー」とでも
呼ぶべき怪物である。
な「ありえない!
アニメじゃ あるまいし、こんなに でっかいロボットが出てくるなんて!」
ほ「身長が10階建てのビルを楽々超えてる…」
ひ「こんなのと戦うんですか?!」
なぎさたちは もちろん、街の人々も突如 出現したロボットに驚き、見上げている。
ウ「さぁ ザケンナーよ。 一歩 踏み出せ!」
ビルの屋上へと上がってきたウラガノスが命令すると、巨大ロボットザケンナーを台座に
固定していたロックボルトが外れ、ザケンナーは一歩を踏み出した。
足が着地した途端、ザケンナーの余りの重量で地響きと共に道路が陥没し、
ビルの窓ガラスには細かいヒビが入って真っ白になったり窓枠から外れて落下したりし、
公衆電話ボックスも一瞬で壊れてしまった。
ザケンナーが一歩 歩いただけで発生した、それらの被害を目の当たりにして漸く人々は
危機感を自覚したらしく、次第に我先と ばかり逃げ出し始める。
更にザケンナーが もう片足も踏み出して台座から降りる。
丁度 足の着地点に車が一台 在り、アルミ缶の ように踏み潰されてしまった。
その光景を見て非常に怖気付く なぎさ ほのか ひかりの三人であったが、
だからと言って逃げる訳にも いかない。
ザケンナーを倒せるのは プリキュアとルミナスしか居ないのだから。
徐にザケンナーが口を開き、野太い声で咆哮する。
「ザケンナ────────────────────────ッ!!!!!!」
逃げ惑う人々は その声を耳にした途端にビクン!と全身が硬直し、
意識が遠のいて そのまま次々と倒れていった。
CHAPTER 16 全力戦(マキシマム・バトル)
メ「みんな、変身するメポ!」
メップルの一言で気を取り直した なぎさたちは、無言で示し合わせて変身体勢を取る。
な&ほ「デュアル・オーロラ・ウェイブ!」
ひかり「ルミナス、シャイニング・ストリーム!」
(例によって詳細描写省略)
C-Bk「光の使者・キュアブラック」
C-Wh「光の使者・キュアホワイト」
C-Bk&C-Wh「ふたりはプリキュア!」
Lumi「輝く命・シャイニールミナス」
C-Wh「闇の力の僕(しもべ)たちよ!」
C-Bk「とっとと おウチに帰りなさい!」
Lumi「光の こころと、光の意思。 全てを一つにするために」
美「黒と白のコスチュームを着た、女の子のコンビ…。
まさかホントにプリキュアなの?」
ザケンナーの咆哮を聞きながらも、尚 気絶せずに走って来た美紀は、
巨大ロボットを正面から見れる歩道橋の上から現場を目の当たりに していた。
プリキュア(と思しき人物)が車道に出て敵と対峙している。
そして その後ろに金髪ツインテールの女の子が ひとり。
美「…だとしたら あの子は何者?」
- 907 名前:予想係(09/15) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/24(日) 03:37:45 [ ztwh/Bc2 ]
C-Bk「先手必勝! いっくぞお〜っ!」
ブラックは先陣を切ってロボットザケンナーに突撃する。
C-Wh「ブラック、無闇に突っ込んじゃダメ!!」
ホワイトが制止するも、ブラックは踏み込みストレートパンチを放っていた。
ザケンナーも拳を振り上げて、ブラック目掛けて右パンチを打っている。
両者の拳と拳が衝突して衝撃波が発生したが、ロボットザケンナーはビクともせず、
逆にキュアブラックの方が反動で おもいッきり弾き飛ばされた。
飛ばされたブラックは一度 地面を擦りつつも二度 三度と後転を繰り返し体勢を整える。
ウ「おお、やはり大きい事は良い事だ。 ザケンナーよ、
その調子でプリキュアを倒し、シャイニールミナスを捕らえるのだ!」
ザケンナー「ザケンナ。(御意)」
Lumi「大丈夫ですか、ブラック」
C-Bk「平気。 もう一度!」
C-Wh「だから いきなり突っ込まないで…」
しかしブラックはホワイトの話も聞かずに再び突撃し、ザケンナーの再度の右パンチを
軽くジャンプで避ける。 ザケンナーの拳は地面に めり込み、そのままブラックは
ザケンナーの腕に乗って駆け登って行く。
だが当のザケンナーは構わずに腕を持ち上げたので、ブラックはバランスを取る為に
立ち止まって腕に しがみ付いたが それだけでは終わらず、下腕全体が ゆっくりと
回転を始め、拳から先は同じ速さながら逆方向に回転している。
C-Bk「え? ちょっと…」
立ち上がって玉乗りの要領で腕の上に居続けようとしたが、回転は次第に速くなり、
当然ブラックも走らなければ落ちてしまう状態だ。
C-Bk「わわわッ!!」
遂には全速力に近いスピードで走らされ、ジャンプも脇に逃げるのも ままならない。
ウ「ターゲット・ロックオン!」
ザ「ザケン・ナー!(キュアホワイト、ロックオン確認)」
回転する右腕がキュアホワイトに向けられ、肘(ひじ)の辺りからは
ロケット噴射の煙が噴き出し始めている。
C-Bk「これって、まさか…」
C-Wh「ルミナス、あなたは逃げて!」
ウ「撃ち放て! ナッコォォォ・キャノンッ!!」
ザ「ザケンナ〜!(発射〜!)」
寸前にキュアホワイトがザケンナーに向かって突進、ブラックはナックル・キャノン
発射の衝撃で前のめりに よろめくように飛ばされて落下してしまった。
飛んで来る片腕をホワイトは完全に見切ってヒールターンで華麗に回避し、落下してくる
ブラックをダッシュのち小さくジャンプして受け止め、着地した。
一方 当たらなかった腕は一度 地面でバウンドし、咄嗟に しゃがんで避けたルミナスの
頭上を越えて歩道橋の方へと飛んでいった。
美「うわぁっ!」
美紀は思わず頭を抱えて しゃがみ込んでしまったが、飛んできた腕は歩道橋を かすめて
上空へと飛んでいき、ロボット本体へと戻っていって元通りにドッキングした。
C-Wh「ブラック! 相手は身長40mほどの巨大ザケンナーなのよ。 無茶しないで!」
C-Bk「ゴメン、あんな技が有るとは思わなかった。 だけど どうやって倒そう?」
Lumi「ここはルミナリオで一気に」
ザ「ザケンナ!(させるか!)」
ルミナリオやマーブル・スクリューを撃つ暇を与えないようにと、
ザケンナーは一気呵成に攻め立ててくる。
慌てて飛び退いて逃げるプリキュアとルミナス、そして敵の攻撃は更に間断なく続く。
大きい身体なので全体としての動きは遅く感じてしまうが、実際に向かってくる
パンチは風切音が聞こえるほど速いし、向こうは ただ歩いて追いかけているだけなのに
こちらは走って逃げなければならない。
C-Bk「これじゃ攻撃できないよ〜!」 ボヤく ブラック。
C-Wh「落ち着いてブラック。 相手が どんなに大きくても、倒す方法は在るハズよ」
ホワイトの一言でブラックとルミナスは先ほどのロボット格闘大会の一場面を連想した。
デュアルトーンがビッグコング Mk-参を的確な動きと攻撃で見事に倒した時の試合。
体格で負けていても戦いようは有る。そういう試合だった。
C-Wh「上と下から逆方向へ同時に攻撃するの。うまくいけば それで ひっくり返せるわ」
C-Bk「そう うまくいく?」
C-Wh「逃げ続けるよりは良いわ。 それに やってみなくちゃ分からないでしょ?
ブラックは上を前から お願い。 私は後ろから脚を狙ってみる」
C-Bk「逃げ続けるよりマシ、か…。OK、やってみる。 突っ込むタイミングは?」
C-Wh「合図して。 ブラックに合わせるわ」
Lumi「私は どうすれば?」
C-Wh「チャンスが出来るまで とにかく逃げて」
C-Bk「それじゃ いくよ!!」
- 908 名前:予想係(10/15) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/24(日) 03:38:52 [ ztwh/Bc2 ]
突然、プリキュアとルミナスが三方向に分かれて逃げ出した。
それに戸惑い立ち止まり、右に行ったキュアブラックと左に行ったキュアホワイトと、
真っ直ぐ逃げるルミナスを見て悩むロボザケンナー。
ザ「ザ? ケ? ンナ?(ん? ン? おや?)」
見兼ねたウラガノスがロボザケンナーの肩にまで飛んで来て、指示を出した。
ウ「迷うな、まずはルミナスを捕まえろ。人質を取れば有利になる」
ザ「ザケンナ。(了解。)」
屈んだ姿勢で、両手を伸ばし歩いて来るロボザケンナー。
それを避けるべく、尚も走って逃げるルミナス。
路地裏に入り、ビルの谷間の壁を交互に蹴り登って行くブラック。
ビルを回り込み、ロボザケンナーの後ろを取るべく走るホワイト。
ルミナスが走りながら後ろを振り返ると、ビルの向こう側からホワイトの姿が現れた。
それを見たルミナスは突如ターンして止まり、鋭く力強い視線でザケンナーを見据える。
睨まれたように感じてしまったザケンナーは再び歩みを止めてしまい、フリーズした。
ウ「なんだ? なんか企んでいるのか?」
ザケンナーの肩の上で辺りを見回し、キュアホワイトの姿を見つけて少々狼狽する。
更にルミナスがハーティエル・バトンを呼んで手に掲げると、
ザケンナーは たじろいで一歩 引いた。
ウ「引くな! ルミナスを捕えるんだ!」
ザ「ザ、ケンナ…(し、しかし…)」
ザケンナーはルミナスの気迫によって、完全に気後れしている。
ルミナスが手にしたバトンを構えると、ザケンナーは更に一歩 後退した。
ビルの屋上に漸くブラックが現れ、声を出さずに手を振ってホワイトに合図を送る。
クラウチング・スタートの姿勢で待機するホワイトが頷いて応え、ブラックも頷き返す。
ブラックがビルの上を走り出して加速する。 それを見計らいホワイトもスタートする。
C-Bk「どぉりィゃぁぁッ!」
一度 隣のビルの壁へと跳び、壁面を三段跳びの要領で蹴り、
ブラックはロボザケンナー目掛けて片足キックを放つ!
C-Wh「はぁぁぁぁぁぁッ!」
ホワイトは低い姿勢でロボザケンナーの脚へ向かって走っていく!
Lumi「…」
ルミナスは じっとロボザケンナーを睨んでいる。
ウ「何ィ!」
ウラガノスが気が付いた時、キュアブラックが正面 右斜め前から急速 接近していて、
回避も防御も間に合わない。
ロボザケンナーの胸部に接近していくブラックは、そこに白と黒のツートンカラーの
何かが張り付いているのを見つけた。一瞬で それが何なのかを察知したブラックは、
両脚を開いて それを またぐようにしてザケンナーを蹴った。
ほぼ同時にホワイトが肩からザケンナーの右脚に ぶつかり、ロボザケンナーは
アッと言う間にバランスを崩して仰向けに倒れ始めた。
着地するまでの間、ブラックは先ほど見た物体を もう一度よく観察する。
倒れていくザケンナーの胸部に張り付いている それは、
間違いなくロボット部の部員たちが作ったロボット「デュアルトーン」であった。
ロボットが転倒して発生した震動を堪えつつ、プリキュアと謎の巨大ロボットとの戦いを
唖然としながら見ていた美紀は、突如パソコンから鳴った三連アラーム音で我に返った。
美「やだ、電源 入りっぱなし…」
泥棒を追って控え室から出てきた時、一番 大事な物である自分のノートパソコンを
持ってきたのだが、どうやら最後のメンテナンスの時にスタンバイし忘れていたらしい。
美「でも今の音は確か…」
軽く疑念を抱きつつもパソコンのディスプレイを開く。
すると、そこには予め思っていた通りの情報が表示されていた。
美「やっぱり転倒警報…。でも、どうして?」
ホワイトがルミナスと合流し、ブラックも その近くに着地した。
Lumi「今の内にルミナリオ、行きます!」
C-Bk「待って! あのザケンナーに草薙さんのロボットが くっついてる」
C-Wh「何ですって?!」
C-Bk「このままザケンナーを倒したら、ロボットが落っこちて壊れちゃうかも」
Lumi「そんな…」
ウ「おめ〜ら、オレの事 忘れてるん じゃあ ないのか?」
不意に すぐ目の前からウラガノスの声がする。
ザケンナーが姿勢を崩した時に その肩から飛び降りたようで、気が付いた時には手が
届くほどの至近距離に着地していた。
ウ「ぬん!」 と パンチ一発でキュアホワイトが殴られ突き飛ばされ、
ルミナスを巻き込んで尚4〜5mほど先で倒れた。
更にウラガノスはキュアブラックの あごを下から片手で つかみ抑えて、動きを封じる。
ウ「ザケンナー、今の内に立ち上がれ!」
ザ「ザ、ケンナ〜(う、ヌォォォ)」
- 909 名前:予想係(11/15) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/24(日) 03:40:21 [ ztwh/Bc2 ]
美「デュアルトーン 動作モード:自動復帰 パターンA 実行中…?
やっぱり向こうから信号が来ているの?」
それ以外には考えられない。
表示をパラメータ モニター・モードにして各部センサ、アクチュエータの動作状況を
見ても、ワイヤーフレーム モニター・モードにしてロボットの動作状態を視覚的に
確認できる状態にしても、謎の巨大ロボットの立ち上がり動作とピタリ一致している。
美「…と いう事は、もしかしたら こちらからのコントロールも受け付けるかも?」
CHAPTER 17 主導権 争い
ロボザケンナーは完全に立ち上がり、一歩二歩と歩いてくる。
それを確認したウラガノスは、つかんでいたキュアブラックをキュアホワイトと
ルミナスに向けて投げ飛ばし、自分は再びロボザケンナーの肩に飛び乗った。
ウ「ルミナスさえ押さえて しまえば、プリキュアは恐れるに足らず。
やれ! ザケンナーよ」
ザ「ザケンナ。(承知。)」
やや屈んだ姿勢で腕を伸ばしつつ歩いてきて、ルミナスを捕まえようとした その時、
ザケンナーは意味も無く完全に しゃがんで、両腕を顔の前に揃えて防御体勢を取った。
ザ「ザケ?(あれ?)」
ウ「おいオイ。何を やっているんだ! 遊んでないでルミナスを捕まえろ」
ザ「ザケ、ンナ…(ヘイ、分かっておりやすが…)」
気を取り直してザケンナーが再びルミナスを捕まえようとすると、その腕は空中で
クロスして身体に引き寄せられた。
ザ「ザケ?ンナ?(あれ?アレ?)」
ウ「ふざけんな〜!!!!」
一度ならず二度までもフザけた事をされ、ウラガノスは怒りの声を上げた。
が、それに対する返答は、物凄い勢いで向かって来るロボザケンナーの腕であった。
ウ「うわっ、危ねぇ! 何しやがる!!」
辛うじてウラガノスは跳んで回避したが、当たっていたら無事では済まなかっただろう。
ザ「ザケンナ〜…!(体が言う事 聞きません〜…!)」
ウ「何だと?」
C-Wh「これは いったい、どうなってるの…?」
ロボザケンナーは何の脈絡も無く宙に向かって左右の連続パンチを繰り出したり、
力強いコマネチを決めたりしている。
異常な状態を目の当たりにして、プリキュアとルミナスは理解に苦しんだ。
C-Bk「もしかして暴走?」 Lumi「と言うより、誰かに操られているように見えます」
美「ねぇ、あなたたちプリキュアでしょう?」
いきなり歩道橋の上から声を掛けられてプリキュアとルミナスが見上げると、
草薙 美紀が巨大ロボットを直視したまま、コントローラで何やら色々と操作していた。
美「アタシが あのロボットの動きを抑えるから、その間に何とかして!」
C-Bk「草薙さん…」 ブラックは静かに呟(つぶや)いた。
美「どうしてかは知らないけど、こちらから あのロボットが操作できるの。
だから今の内に…」
ウ「…そうか、読めたぞ。
いきなりザケンナーが言う事を聞かなくなったのはアイツのせいか」
美紀の存在に気が付いて、地面に降りてウラガノスが歩道橋の方へと歩いて来た。
しかし自分からロボットを奪っていった怪しい人物が接近しているのには、美紀も既に
見て分かっている。 そこでロボットを一歩 前進させてウラガノスの方を向かせ腕を
横に振り上げると、お辞儀の姿勢で腰を大回転させる。 すると上半身の旋回によって
腕がウラガノスを捉え、まるでゴルフのスイングかピッチングマシンと同じような感じで
おもいッきり遠くまで打ち飛ばした。
ウ「どぉわぁぁぁぁぁッー…」
見事な放物線を描き、ウラガノスは どこかへ飛んでいった。
恐らく、デュアルトーンを盗まれた恨みが込められていた ものと思われる。
美「早く! 段々コントロールが利かなくなってきた!」
美紀が「しゃがみ」動作のコマンドを送っているにも かかわらず、ザケンナー側が
それを相殺するようにしているのか、コントローラ操作の度に少し腰が低くなる程度で
すぐに元に戻ってしまう。
ザ「ザ〜ケ〜ン〜…、ナ──ッ!(よ〜く〜も〜…、やってくれたなぁ!)」
美「あくまで逆らうなら、こっちにも考えが有るわよ!」
言いつつコントローラで仰向け転倒のコマンドを送って故意にロボットを転ばせて時間を
多少 稼ぐと、地面に置いていたパソコンを拾い上げて けたたましいキー操作を始めた。
- 910 名前:予想係(12/15) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/24(日) 03:41:12 [ ztwh/Bc2 ]
C-Bk「ホワイト。ルミナリオを撃ったら、私をザケンナーの胸元 目掛けて投げて!」
C-Wh「まさか草薙さんのロボットを?」
C-Bk「だって、このままじゃ草薙さん たちの夢が壊れちゃうから…。 いけないかな?」
C-Wh「いいえ、むしろ当然。」
ザケンナーが脚を振り上げて勢い良く立ち上がり、腕を構える。
だが美紀がパソコンのEnterキーを押した途端、それ以上 何も出来なくなった。
美「…身体の動きを感知して、それを打ち消すプログラムよ!
どんな動きを しようとしても、『自分自身が』それを抑えるわ」
ザ「ザケンナー…(金縛りだぁ…)」
美紀の言う通り、ロボザケンナーは全く身動きが取れなくなってしまった。
CHAPTER 18 決着
ポルン「力を あわせるポポ!」
(例によって(ry)
C-Bk「みなぎる勇気」 C-Wh「あふれる希望」 Lumi「光 輝く絆と共に」
C-Bk&C-Wh&Lumi「エキストリーム」
Lumi「ルミナリオ!!!!」
虹色のエナジーがハート型に集束し、ロボザケンナー目掛けて突き進んでいく。
美「まぶしー!」
とてもじゃないが、目を開けていられない。
ウ「いててて…、相当 飛ばされてしまったぞ」
走って現場まで戻ってきたウラガノスであったが、もう既に戦闘の大勢は決していた。
ルミナリオのビームはザケンナーに直撃し、その全身に光が行き渡っている。
ウ「なんと、ここまでか」
出て行っても どうにも出来ないと判断し、ウラガノスは闇と共に去った。
C-Wh「いくよ!」 C-Bk「OK!」
ホワイトがブラックの両脚を持ってジャイアントスイングで勢いを つけ、
ハンマー投げの要領でザケンナー目掛けて投げ飛ばす。
美紀が恐る恐る目を開けた時、謎のロボットからは「ザケンナー!」と叫ぶ 黒っぽい
何かが飛び出し、多数の星型(と言うよりは海星(ヒトデ)型)をした何かに変化した。
美「倒した…、の?」
そしてロボットの方は きらめく光を残して消滅したが、そこには代わりに おびただしい
数の黒い海星型をした何かが在り、プリキュアたちや美紀の頭上から降り注いで来る。
一方ブラックは、ゴメンナーの大群を割り抜けながら美紀のロボットへと飛んでいく。
ターゲットのデュアルトーンは、張り付けられていたロボザケンナーが消滅した為
既に落下を始めていて、このままでは受け止められない。
C-Bk(上を飛び越しちゃう!)
そこでブラックは咄嗟に手近なゴメンナーを四、五体 蹴って軌道修正する。
「ゴメンナー!(痛いナー!)」
C-Bk「こっちがゴメン!」
ブラックはゴメンナーに対して謝りつつも腕を伸ばしてデュアルトーンを受け止め、
空中で姿勢を正して着地体勢を取る。
美「あれって うちのロボット…?」
降り注ぐ黒い海星に阻まれて よく見えないが、着地した黒い服のプリキュアの手には
確かにロボットが在るように見える。
美紀は歩道橋から身を乗り出して確認しようとしたが、突如もの凄い勢いで飛んで来る
海星が四・五体ほど在り、その全てが美紀の額に直撃してしまった。
「ゴメンナー(×5)」
ぐぅの音も出ずに、美紀は その場に倒れてしまった。
- 911 名前:予想係(13/15) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/24(日) 03:42:38 [ ztwh/Bc2 ]
CHAPTER 19 MISSION COMPLETE
ほ「…草薙さん、大丈夫?」
気が付いた時には、美紀は誰かに助け起こされていた。
ゆっくり目を開けると目の前には白と黒の物体を抱えた なぎさが居て、
すぐに絆創膏を手にした ひかりが視界に入ってくる。
美「ッ痛…」 ひ「すみません、動かないで下さい」
ひかりの手が額の傷に触れて軽く痛みを感じたが、幸い大した事は なさそうだ。
美「今…。そこでプリキュアと でっかいロボットが戦って…」
そこまで呟いた時、戦いの結末が どうなったのか気になって立ち上がり、現場の方へ
向き直るが、そこは既に車や歩行者などが行き交う ごく普通の街並みしかなかった。
敵ロボットの動きを自分のノートパソコンで封じたのを思い出し、地面に投げ出された
それを拾い上げて画面を開いてみるが、既にサスペンド状態となっていた。
美「…夢…、だったのかな…?」 な「草薙さん、ほら」
そう差し出されたロボットに目立った損傷は無く、盗まれた時の状態のままである。
美「デュアルトーン! 取り戻して下さったんですね?
でも、あんな大きな人 相手に よく ご無事で」
な「転ばせて取り返して のして差し上げたら逃げて行ったわ」
なぎさは軽く笑い飛ばし、ロボットを美紀に手渡した。
受け取った美紀は我が子を扱うように優しく丁寧に抱き留め、深く頭を下げた。
美「苦労して作り上げたロボットを失わずに済んだのも、先輩たちの おかげです。
ありがとう ございました」
ほ「よかったね」 美「はい。」
美紀は力強く頷いた。
「部長〜!」
漸く男子ロボット部員たちも美紀の許へと到着し合流した。
「無事で なにより」「おお、ロボットも」「さすが部長ですな」
美「いいえ、アタシじゃなくて先輩方が取り戻してくださったのよ。
アンタたちからも お礼 言っときなさいな」
「そうだったんですか」「ありがたや、ありがたや」「こら、まじめに やれ」
な「そんな、大した事じゃないし」
照れながら謙遜する なぎさであったが、
「さすがは大和撫子」「いやはや、お強いですな」「良いッスねぇ」
男子たちの視線は みんな ほのかの方へ行っている。
な「…」 ほ「一番がんばったのは なぎさ なんだけど…」
美「そんな事より、そろそろ表彰式よね?」
「あ。忘れてたけど、そうですよ部長。 さっさと戻りませんと」
美「それじゃあ、会場に戻るまでに一通り動作チェック済ませるわよ!」
「移動しながらですか?」「それって、ぶっちゃけ無茶な話かと…」
美「や・る・の! 幸いパソコンは持ってきているんだし」
「ひどい」「鬼だ」「関節に指はさんだら どうするんだよ」
美「その辺は気を付けて ちょうだいね」
「…重要な事を」「たった一言で済ませるのが」「部長なんだよな…」
美「何よ、文句あるの?」
「いいえ ありませーん!」
そう言う男子部員たちではあったが、半分以上 ヤケに なっているような気が。
美「それでは先に戻ります。本当に ありがとうございました」
「ありがとうございました!」
美紀が なぎさたちに挨拶すると男子部員たちも続けて お礼を言い、連れ立って会場へと
戻っていく。もちろん、歩きながらロボットの動作チェックを行いつつ。
な&ほ&ひ「はー…」
異口同音に溜め息を吐いてしまった。
ひ「正直、バレてしまうかと思いました」
な「私たちがプリキュアだと知れたら…」
ほ「草薙さんの事だから、『その動きをロボットに取り込む』とか始めちゃうかもね」
な「ははは。充分、ありうる」
力無く笑い、そうならずに済んで良かったと思う なぎさであった。
ほ「そろそろ私たちも戻りましょう。 たこ焼きも待ってるし」
な「あ、そうだよ! たこ焼き よ たこ焼き。 すっかり忘れてた!
また売り切れてたり したら嫌だし、とっとと戻るよ!」
たこ焼きと聴いて俄然 元気が出てきた なぎさは、善は急げとばかりに階段を駆け下り、
会場前のTAKO CAFEへと急いで走って行く。
ひ「なぎさ さーん、アカネさんが私たちの分を確保してくれてますから、
急がなくても大丈夫ですよ〜!」
しかし ひかりの声が届いてないのか、なぎさは一目散に走り去った。
ほ「なぎさったら、あわてんぼ さん ね…」
少々呆れつつも微笑む ほのかであった。
- 912 名前:予想係(14/15) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/24(日) 03:44:25 [ ztwh/Bc2 ]
CHAPTER 20 そして ささやかながら祝勝会
ア「ロボット泥棒? そんなのが居るの?」
な「それが居たんですよ、アカネさん」
一足先にTAKO CAFEに到着した なぎさは、アカネさんとロボット泥棒の話をしている。
ア「それで さっきベローネの子たちがロボット抱えて走ってきたのね。
でも、盗んだところで どうこう出来るような代物じゃないでしょう?
ロボットなんて言ったら専門的な知識が無きゃ扱えないだろうし」
な「そのハズなんですけどね。 ホントに いったい何を考えていたのやら」
ほ「なぎさが取り返してくれなかったら、草薙さん たちの努力の結晶が
奪われてしまう所でした」
ゆっくり歩いてきた ほのかたちも到着して、会話に加わる。
ア「へぇ、すると なぎさが泥棒 捕まえたわけ?」
ひ「『転ばせて取り返して のして差し上げた』そうです」
ア「ハ! ちょっと待ってよ、相手は大人だったんでしょう?
なぎさァ、あんまり無茶な事するんじゃないよ。 ケガでもしたら どうするのさ…」
当然、アカネさんは本気で心配している。 これには流石の なぎさも反省しきり だ。
な「はぁい。気をつけます」
美「美墨先輩、雪城先輩!」
表彰式も終わったらしく、美紀が丸めた賞状を入れた筒とノートパソコンを手に持ち、
ロボットを持った男子部員たちを連れ立って やってきた。
美紀の兄弟である桂と京と、親友の くるみも一緒である。
ほ「おつかれさま、草薙さん」 な「優勝おめでとう!」
美「試合の時、力強い応援 届いてましたよ! おかげで頑張れました」
「でも、こんな所で満足なんか しません」「オレらの目標は全国制覇!」
「ぶっちゃけ まだ地区予選ですから、取り敢えずは目標に向けて第一歩。 …ですな」
ア「へぇ〜、頼もしいねェ。 ベローネ魂ってのを持った後輩たちを見ると、
アタシも思わず応援したく なっちゃうよ。 サービスしちゃおっかなァ〜」
京「お。 だったら ここで約束の祝勝会やれば良いんじゃないか?
ねぇ兄貴、姉貴」
得心が行ったように手を打ち据え、兄の方を見やる京。
な「約束?」 美「祝勝会?」 桂「…やばっ」
く「そう言えば…『予選会で優勝したら何か奢ってやる』って、
桂さん おっしゃってませんでした?」
美「あ〜っ!! そうだった! すっかり忘れてたけど」
桂「京〜っ… 何で思い出させるんだよぉ」
京「ん〜っ? 約束は守るもんだろぉ? 兄貴ィ」
すっとぼけては いるが、自分の利益の為に そんな発言をしたのは目に見えている。
桂「そんな、バイト代 入ったばかり なのに…」
美「お兄ちゃん、確か約束じゃアタシと部員 全員と くるみ とで…」
桂「分かってる、みなまで言うな。 心配せずとも ちゃんと ご馳走するから…」
兄は財布を取り出し、中身を確かめつつ答えたが…。
美「それじゃ先輩方も ご一緒に どうぞ」
ほ「私たちも?」 な「いいの?」
美「何かと お世話に なりましたし。 いいよね?」
可愛い妹の一言には逆らえるハズも無く、ただ「ハイ」と答える桂であった。
桂「えーと、2、4、6、8、10…12人、か…。 こりゃ五千円 吹っ飛ぶ かなぁ」
ア「精一杯サービスするよん♥」
桂「お、お手柔らかに…」
ひ「団体12名さま、ご案内いたします」
ア「はい、まいどぉ。」
桂「…帰りの電車代、残るかな?」
兄は出費が最終的に どうなってしまうのか、戦々恐々としている。
- 913 名前:予想係(15/15) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/24(日) 03:45:12 [ ztwh/Bc2 ]
「それでは、予選会での優勝を祝して…」「乾杯!」
一同は紙コップ入りのジュースで勝利を祝う。
その中心にはTAKO CAFEのテーブルの上に立たせられたデュアルトーン。
その周りには たこ焼きやアイスやクレープが並べられて、ささやかながらも
祝勝会の雰囲気を醸し出している。
一番の主役であるデュアルトーンは、身に まとっているプラ製カバーの あちこちが
傷ついていてバトルの激しさが伺えるが、それもまた勲章と いったところか。
そんなロボットの右手に男子部員たちが いたずらしてセロテープで爪楊枝を固定し、
そこへ たこ焼きを刺した。
意図を察した美紀がロボットの腕を上げ たこ焼きを掲げさせようとしてコントローラを
操作したが、ロボットの腕が勢い良く動いたので たこ焼きだけが抜け飛んでしまった!
「あッ!」「たこ焼きハンマーが!」
たこ焼きは青海苔と かつお節を散らせつつ ひゅるり飛んで行く。
そして たこ焼きの飛んで行く先には運良く なぎさが 居て、事も無げに
口を開いてキャッチし、一同を沸かせる。
な「ほどかさにゃいでょ。ロぼットで あコにゃき ほばす…んて、ありえにゃぃ」
たこ焼きを頬張り、口を もごもご させつつ しゃべっているので聴き取りづらい。
美「ゴメンなさい、スピード遅くするの忘れました」
単純ミスを笑って ごまかしてみる美紀であった。
−了−
- 914 名前:予想係(呑気) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/07/24(日) 03:50:07 [ ztwh/Bc2 ]
- INDEX >>886-894,895-898,899-913
参考サイトとレス
ROBO-ONE公式ページ
ttp://www.robo-one.com/
あと○分書き込みがなければのガイドライン
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/1261/1080789966/480
長々とスミマセンでした。
最後に今作の設定書き・チラシの裏など、元原稿も含めてUPしときます。
苺は甘い?1
up14078.rar
PASS:今作のラテ欄仕様タイトル7文字 >>885
- 915 名前:きらら 投稿日:2005/08/02(火) 00:03:21 [ rOWcrQfM ]
- この話、すっごい面白かったですねー。
c−bkちゃんも、とても勇敢でエキゾチックだったですねー。
さすが東堂いづみプリンセスだなと改めて思いました。
美紀もかわいかったですね。
もしできれば、私も物語を書こうと思います。
- 916 名前:833@ 投稿日:2005/08/03(水) 18:40:44 [ IIHGO362 ]
「よ、夜の校舎ってどうしてこんなに気味悪いのよ〜〜」
半分泣いているような状態で美墨なぎさが、既にすっかり日も暮れ闇に覆われた人気の
無い、静寂に包まれた廊下で呟いた。
自分の運命を呪いながら、一歩一歩歩く度にいちいち周囲の様子を気にする。
入る前に見た校舎の大時計によると時刻はもう九時を回っているようだ。今のここは恐
らく自分以外は誰も居ない、まさに無人の校舎というにふさわしい場所だろう。
「違う鍵を間違えて持って帰った家の鍵を学校に忘れちゃうなんて……ありえない……」
ポケットから取り出した見覚えの無い鍵を空に放り再びポケットに仕舞う。
普段から口癖として使われているありえないという単語も、いつもよりも精神的な重み
が増している。
(どうしてこんなについてないんだろう…)
最後の大会に備えて練習をしたい。そういう理由で断った家族旅行に、家族は今日出発
して行ってしまったのだ。
なぎさ自身もまた一人で二泊三日を自由気ままに過ごせると喜んでいた矢先の出来事で
あった。
部活を終えて家に帰らずにそのまま友人である志穂と一緒に莉奈の家に遊びに行って、
そのまま午後八時まで過ごしてしまっていた。
いざ帰宅しようとした時、なぎさは自宅の鍵を学校に放置しておいたことに気づいたの
だった。
「多分こっちだと思うんだけど……」
全ての照明が消された廊下では数メートル先も満足に見えない。
壁にぶつかったり、転んだりしないように注意しながらなぎさは勘を頼りに三年桜組を
目指して前進する。
壁に手をつきながら歩き進むと、月明かりに照らされた三年桜組の札が見えた。
「着いたぁ〜」
無事にここに辿り着くことが出来たという安堵感に思わず胸を撫で下ろす。
微かに震える手に鞭打ち、勢いをつけて一気に教室のドアを開ける。
「!」
(えっ!?)
なぎさがドアを開けた時、ガタリと何かが動いたような音がした。
まさか!? という考えがなぎさの脳裏を走る。なぎさの脳裏を走ったものはもちろん
幽霊という名前のなぎさにとっては恐怖の存在である。
目に見えない何かの歩く音が聞こえる。時間の経過に比例して音は大きくなる。
なぎさの目に見えない「それ」は明らかにこちらへ向かって近づいてきている。
恐怖心で震える足を動かすことが出来ず、声も出すことが出来ず、なぎさは金縛りの状
態になってしまっていた。
「ひぃっ!」
目の端に涙を浮かべながら、恐怖に怯えたなぎさが声をあげる。
眼前に「それ」が迫っている。もうダメだ! そんな気持ちがなぎさを支配した。
「なぎさ……?」
疑問に満ち溢れた声と同時に暗闇の教室に備えられた蛍光灯がパッと光を放ち、部屋の
全てがさらけ出された。
落ち着いた様子で、教室の蛍光灯を点けたのはなぎさの親友雪城ほのかであった。
「ほ、ほのかぁ!」
恐怖からの解放感からか、なぎさは正面からほのかに抱きついた。目尻に溜まっていた
涙がほのかに抱きつく際に教室の床に一滴垂れた。
「ど、どうしたの? 何かあったの」
急に抱きつかれて狼狽しながらほのかは尋ねる。しかしなぎさの耳には全く届かない様
子であった。仕方なしに暫しその状態でなぎさが落ち着くのを待った。
- 917 名前:833@ 投稿日:2005/08/03(水) 18:42:11 [ IIHGO362 ]
「それで、なぎさはどうしてここに?」
数分してようやく落ち着いたなぎさに尋ねる。
「家族みんなで旅行に行っちゃってさ。まあ、あたしはラクロスの練習があるから断った
んだけどさ。それで、誰も家に居なくて。調子に乗って志穂たちと遊んでたらすっかり遅
くなっちゃって……。それで家に入ろうとしたら鍵が無くて、それで確かここに忘れてき
ちゃったんだって思い出して。それで取りに来たの」
落ち着いたように振舞ってはいたが、やはりまだ緊張が解けていないような様子で、な
ぎさは自分の事情をほのかに説明した。
「びっくりしたよ。誰も居ないと思ってドア開けたら何か居るからさ……。あたし絶対に
幽霊か何かだと思って腰抜かしちゃったんだよ……」
先ほどの恐怖心のせいでまだ早い鼓動を打つ心臓を抑えきれずになぎさが一気にまくし
立てる。
「ごめんなさい、なぎさ。まさか人が来るとは思ってなかったら私も驚いちゃって……」
なぎさの大袈裟な身振り手振りに苦笑しながらほのかが謝罪する。
「教室に居るんだったら電気くらい点けておけばいいのに……」
「ごめんね、丁度夜景を楽しんでいたの……」
カーテンが開かれた窓にほのかが視線を向ける。
電気が点いた今でも、窓から見える夜景は光り輝いているとは言い難いが、しかし確か
にそれには何らかの趣があるように感じられた。
「ところでさ〜」
教室の机を間に挟んで向かい合って、席に座っていたなぎさが足を組みなおし、ほのか
に尋ねる。
「ほのかはどうしてここに居たの?」
あ……、と声を零してなぎさから目を逸らし、俯いたまま黙ってしまう。
「いや、言いたくないならいいんだけどさ……」
「なぎさと同じよ」
少し恥ずかしげな様子で答える。
「今日、おばあちゃまが忠太郎の健康診断で隣町の病院まで行くから家に誰も居ないの…。
でも私……、その……鍵を失くしちゃって……。家に入れなくなっちゃって……」
少し小さい声で一気に理由をしゃべる。
「それで学校に泊まることにしたの?」
多少の驚きを隠せない様子でなぎさが再びほのかに尋ねる。
「うん…、学校なら安全だし……、それに……」
「それに……?」
続きをなぎさが促す。
「その……、学校に泊まるって何か面白そうでしょ、だから…その…チャンスかなぁって…」
あはは、と乾いた笑いを浮かべて恥ずかしさを誤魔化そうとする。
なぎさにはどうやらそれがとてもおかしく映ったようだ。
「あ、あはははは」
堪えきれずに、しかし周囲を気にして小声で笑い出す。
「わ、笑わないでよぉ〜」
羞恥に顔を赤く染めながら困ったような表情を浮かべる。
「ごめんごめん。何かおかしくってさ〜」
「もぅ……」
今度はほのかは拗ねたような表情をする。
周囲から言われる冷静沈着というイメージとはかけ離れたほのかがそこに居た。
「で、なぎさは家の鍵見つけたの?」
「うん、引き出しの中にあったみたい。でも辞めた」
見つけた鍵をポケットの中にしまい、なぎさは何かを企むような笑顔を浮かべる。
「あたしも今日は学校に泊まる。何か楽しそうだからさ」
「ええ!?」
夜だというのに大声をあげてしまい、慌ててなぎさに口を塞がれる。
「ご、ごめん……でも!」
「別に家も誰も居ないし。一人じゃ怖いけどほのかが居るなら怖くないしね♪」
何だかとっても楽しそうな様子を見て、結局拒否するに仕切ることが出来ない。
- 918 名前:833@ 投稿日:2005/08/03(水) 18:44:45 [ IIHGO362 ]
「じゃあ決定ね! それじゃあ早速寝る場所用意しないとね!」
泊まる宿を決定した直後に寝る場所を用意。なぎさらしいと思いながらそれに同意する。
「そうだっ! 机たくさん集めてベッドにしようよ!」
案が閃くと同時になぎさは動き出し、教室の机の椅子をどけて机を集めだす。
ズルズルと机が引っ張られ六つの机を合わせて二人分のベッドが完成した。
「ちょっと痛いかな……」
机で作られたベッドに乗り、なぎさがゴロゴロと転がってみる。
「シーツ敷けばいいんじゃないかな?」
教室に備えられた白いカーテンを外し、それを机のベッドの上に敷いて広げる。
「あ、いい感じ!」
再び転がりながら感触の良さをなぎさが口にする。
「なぎさ、こっちも使って」
もう一枚のカーテンを広げてなぎさに手渡す。
「これは……?」
「掛け布団にいいかなぁって」
なぎさ同様にほのかも上履きを脱いで、机のベッドに乗り、ゆっくりと寝転がって二人で
一つのベッドを共有する。
「さっ、これ掛けて」
先程の掛け布団用カーテンを広げて掛ける様になぎさに指示をする。
「うん、こうだね」
パンッ! とカーテンを広げて、なぎさはカーテンを掛ける。
カーテンに覆われた手と足をモゾモゾと動かして二人に掛かるように広げる。
「特にすることも無いからもう寝よっか?」
なぎさの提案にうん! と頷くも一応疑問に思っていることを尋ねておく。
「電気消さないの……?」
「ん……、あ、その電気消すと真っ暗で怖いから……」
ほのかはなぎさの予想外の意見に思わずクスクスと笑い出してしまう。
「いつも電気点けたままなの?」
「今日は例外なの!」
- 919 名前:833@ 投稿日:2005/08/03(水) 18:45:30 [ IIHGO362 ]
- 「ふぅ…」
ほのかはまた寝返りを打った。
確かに夏の暑さというものはあるが、普段から冷房の無い部屋で眠るほのかには大した
影響は無い。
天井を見ると、そこには蛍光灯の光が輝いていた。
「まだ、眠れない…?」
何度も寝返りを打つ親友を気遣うようになぎさが言った。
「まだ起きてたんだ?」
確認するかのように尋ねる。
「うん……、何か寝られなくて……」
なぎさは体の横に置いていた両手を枕代わりにしていた鞄の後ろに回す。
「こうやって、ほのかと一緒に寝るのって二回目だよね……」
その姿勢のまま顔だけを横に向けて尋ねる。
蛍光灯に照らされる距離的に近くにあるなぎさの顔は普段よりも大人のような雰囲気を
醸し出していた。
「うん……そうね」
過去の体験を振り返りながら頷く。
「あたしさ……」
再び天井の方を向いてなぎさが空に言葉を投げ出した。
「何?」
音の響きに共鳴するようにほのかが呼応する。
「最近、寂しいの……」
「え……?」
意外に思った。クラスの中でも明るく人気者のなぎさは寂しいといった感情を最も嫌って
いるハズだ。そのなぎさはが自ら寂しいと言うのはどこか違和感がある。
「あたしたちさぁ、中学三年生でしょ。やっぱり受験とか、そういうこと考えなくちゃ
いけないじゃん……」
「そうね……」
「そうしたら、勉強しなきゃいけないし、もう一緒に居られなくなっちゃうね……」
「そうね……」
「それだけじゃないよ。卒業したら、あたしじゃほのかと同じ高校には行けないから多分
ううん、絶対に違う高校だし」
「……………」
ほのかは相槌を打つことも辞めて、なぎさの話に聞き入る。
「あたしにはあたしの生活があるし……、もちろんほのかにはほのかの生活がある……。
だから、もう今みたいに会えないよね。離れ離れになっちゃうよね?」
少しだけなぎさの感情が昂ぶり、声の大きさが増した。
「うん…」
「そしたら……寂しいよね?」
疑問では確認するように尋ねた。
「……………」
「……………」
ほのかは暫く黙って考えていた。自分の気持ちをまとめなぎさに伝えるために。
そして、ゆっくりと静かに口を開き、なぎさに応える。
「うん。私も寂しいよ、……でも」
「でも……?」
「変わることを恐れたら何にもならないわ」
戒めるとも説得とも違う。優しい声でほのかは言った。
「それは…、わかってる……、けど」
「それにねなぎさ。どんなに望んでも、現実は変わらないわ」
「うん…、そう…だよね……」
やっぱり……。そんな諦めの思いを込めた表情でなぎさはほのかを見つめる。
「中学を卒業したら、なぎさの言うとおり、多分離れ離れになっちゃう」
「……………」
「だとしたら、私たちに残された時間は、もう半年も無いよね?」
「うん……」
「でも、この先あと半年しか残ってないんだったらさ。変わることを恐れて「ずっと今のま
まで居たい」なんて、そんなこと望まないで。大事な友達とたくさん思い出作っていく
ことのほうが大事なんじゃないかな?」
「!」
「私たち、まだまだ思い出作れるよ」
「………そう、かな?」
先ほど同様、質問では無く確認の意味をこめて尋ねる。
「そうよ……きっと」
ほのかは力強く頷いた。
「……………」
「……………」
暫くなぎさは黙っていた。そして少しだけ残念そうに言った。
「ほのか!」
「何?」
「もっと……、もっと早く出会いたかったね……」
残念そうな言い方ではあるが、それでもなぎさは笑顔だった。
「そうね……。でも我が侭言っちゃダメよ。出会えなかったかも知れないんだから」
「そうだね……。出会えて、良かったね」
「うん」
そう言って二人笑いあった。
誰も居ない深夜の教室に、ただ二人だけの笑い声が響き渡った。
「ほのか!」
「何?」
もう一度、なぎさがほのかに呼びかける。
「………ありがと」
「どういたしまして」
心の底からの感謝の念をなぎさはいつもどおりごく自然にほのかに伝えた。
そして、ほのかもいつもどおりごく自然にそれを受け止めた。
それが出来ることが、二人が誰よりも親友であることの証だった。
「寝よっか?」
「うん」
向かい合ったまま二人は目を閉じた。
自然に二人の手が伸び、お互いの手を強く握りしめた……。
- 920 名前:833@ 投稿日:2005/08/03(水) 18:46:22 [ IIHGO362 ]
- 「ん……」
カーテンの無い朝日が窓から差し込んでくる。
大きく寝返りを打とうとしたなぎさが机のベッドから重力に引き寄せ落下する。
大きな音、そして強い痛みと共になぎさは目を覚ました。
「い、いたた……」
その音を聞いて、ほのかもまた目を覚ました。
教室の時計の時刻が丁度七時半であることを示していた。
「大丈夫、なぎさ?」
「う、うん、何とか……」
寝ぼけ眼で頭を掻くなぎさの目の前にスカートのポケットから毀れた鍵が二つ転がった。
「あれ? 何で鍵が二つ……」
二つの鍵を両手で持ち上げて交互に見つめる。
片方は確かに自分の家の鍵だが、もう片方には見覚えが無い。
「ああーーーーーっ!!」
なぎさの手元を見つめてほのかが突然絶叫する。
「ど、どうしたのほのか?」
ほのかは手を震わせてなぎさが左手に持っている見覚えの無い鍵を指差す。
「そ、それ、私の家の……」
「え?」
言われて再び左手の鍵を見つめなおす。
この鍵は昨日教室で拾った……。そして間違えて持って帰った……。
「ああああ!!! そうだ……」
全てを思い出して、気の抜けたようになぎさは呟いた。
そして、次の瞬間ハッと気がついて机のベッドの上を見上げる。
明らかに怒りと思われる感情でほのかがプルプルと震えていた。
「なぎさーーっ!!」
「わーーーーっ!! ごめんなさい!!」
朝日が差し込む教室に、いつまでも二人の叫び声が響き続けた……。
- 921 名前:833@ 投稿日:2005/08/03(水) 18:47:48 [ IIHGO362 ]
- 大体SS投下するのは一ヶ月ぶりかな……。
猫塚さんのサイト見てたらSSを書きたくなったので書いてみました。
最近こういう傾向の作品が多いような気がしますね。
何か感想いただければ幸いです。
- 922 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/08/03(水) 19:58:24 [ Je30SLp. ]
- ベローネって高等部あったよね?
- 923 名前:予想係(呑気) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/08/03(水) 22:00:26 [ D36dVJYo ]
- 突っ込む所は他にも在るけど(飯どうした、とか 学校がズサンな警備(ry)。
> 833@ さん
描写が丁寧で良いです。
GJ!
> きらら さん
感想ありがとう。
作品の投稿を心より お待ち申し上げます。
- 924 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/08/07(日) 01:15:42 [ LOLxxlrY ]
- >833@氏
多分ベローネはエスカレー(ry ゲフンゲフン何でもないです。
さて、半年後でお別れは我々かも知れないので、初心に帰って
なぎほの萌えで一つ。
- 925 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/08/07(日) 01:16:54 [ LOLxxlrY ]
- 「なぎさ。買い物終わったらほのかの家に行こうメポ!」
「突然何よ!?今日はそんな暇無いんだってば」
「いいじゃないかメポ!せっかくポルンもいないんだし、久しぶりにミップルと二人っきりで会いたいメポ!!」
「ダーメ、お母さんが待ってるんだから早く帰るの…」
「何言ってるんだメポ!こんなチャンス滅多にないメポ!だから絶対に行くメポ!!」
「ちょっとどうしたの?今日は何だかスゴイ必死じゃない」
「ミップルに会う為なら当然だメポ!必要なのは覚悟と気迫メポ!」
「どっかで聞いた台詞……。とにかくダメなものはダメ!ホラ、さっさと行くよ?」
「…そんな事言うけど、メップルがミップルに会いたいみたいになぎさはほのかに会いたくないメポ?」
「え?」
「想い合う二人が会いたいと願うのは当然だメポ。自分に正直になるメポ!」
「あんたね…あたしとほのかは友達だよ?そんな恋人同士みたいな事は思う訳無いじゃん」
「だけど…」
「あーもう!いつまでもグチグチ言わないの。諦めな!」
―――まったく、メップルの奴急に何言い出すの!?
あたしとほのかは恋人同士じゃ無いっつーの…
そりゃ確かに、ほのかはお姫様みたいでカワイイくて男子にも後輩達にも大人気だし、
あたしだってステキだなって思うよ?
肌は白くてスベスベで、髪は長くてサラサラ。
優しいし、オマケに成績だって抜群!それに…
そうだ!それにほのかって何か優しい匂いがするんだよね。
一緒に居ると安心できるんだ。
もっとも放課後は薬品の匂いになっちゃうんだけど…。
でも、ほのかってああ見えても頑固って言うのか芯が強いって言うのか、
いろんな意味であたしなんかよりもずっと強いんだよね。
あたしなんか何度それに助けてもらったのか分からないよ…。
まあコレはあたし達だけの秘密ってヤツで、他のみんなは知らない事なんだけど。
それにしても、ほのかとこう言う関係になったのってメップル達がやって来てからなんだよね。
ソレってすっごく不思議な感じ。今じゃほのかがあたしの側に居ないなんて考えられないもん。
ヤッパリいつも二人で支えあってきたからかな?
二人で一緒に…
…ハァ
…ほのか今何してるんだろ?
なんか会いたいな……
…ってアレ?あたし何でこんな事考えてるんだろ?
最初なに考えてたんだっけ?
薬品?お姫様?メップル??
……さ
…ぎさ
なぎさ!
「…!!何、メップル!?」
「何ボーッとしてるメポ?…まさかミップルとの事考えてくれてたメポ!?」
「…残念ながら違います。さて、あの角を曲がって信号を渡った所だから、チョット急ぐよ!」
タッタッタッ―――
・ ・ ・
- 926 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/08/07(日) 01:17:29 [ LOLxxlrY ]
- 「ほのか。どうして今日はなぎさを誘わなかったミポ?」
「突然どうしたの、ミップル?」
「だって一人で買い物するよりも、なぎさと一緒の方がずっと楽しいミポ」
「いいのよミップル。せっかくの日曜日に私の急なお買い物につき合わせちゃ悪いもの…でしょ?」
「でも、ほのかはなぎさと一緒に居たく無いミポ?」
「ウフフ、何言ってるのミップル。私達いつも一緒に居るじゃない?」
「違うミポ。ミップルとメップルみたいにって意味ミポ」
「もうミップルったら、私となぎさは恋人同士じゃないのよ?そう言う風には思わないわ」
「本当ミポ?ならいいんだけどミポ…」
「本当よ…」
―――もうミップルたら、私となぎさの事そんな風に思ってたのね。
確かになぎさって、王子様みたいで格好良い感じがするせいなのか、下級生達に大人気なのよね。
まあ、私も思わずステキに思っちゃうこともあるけど…。
運動神経は抜群、明るくて楽しくて、素直で他人思いで…。
ちょっとオッチョコチョイで調子に乗りやすいところもあるけど、でもそれも魅力の一つなのよね…。
あ!そうそう!それになぎさってお日様の匂いがするの。
側にいるとこっちまでつられて元気になっちゃう!
でも放課後には静汗スプレーの匂いになっちゃうんだけどね…。
あと、みんなが思ってるよりも意外と繊細で女の子らしいのよね。
フフッ、でもそのギャップがカワイイんだけど。
それにしても、なぎさとこう言う関係になったのってミップル達と出会ってからなのよね。
何だか信じられない。だって今じゃなぎさと別々だなんて想像できないもん。
ヤッパリいつもお互いに支えあったり助け合ったりして来たからかしら?
そう、二人で一緒に…
…ハァ
…なぎさ今何してるのかしら?
なんか会いたい…
…ってアレ?私何でこんな事考えてるんだろ?
最初なに考えてたんだっけ?
スプレー?王子様?ミップル??
……か
…のか
ほのか!
「…!!何、ミップル!?」
「何考え事してるミポ?…何か忘れ物でもしてきたミポ?」
「ううん、そんな事無い。大丈夫よ…。さ、信号が変わらないように急ぎましょ!」
タッタッタッ―――
・ ・ ・
―――ドンッ!
「うわ!?」
「きゃ!?」
「いたたた…。ゴメンなさい、大丈夫で……は?」
「私は大丈夫ですけど……え?」
「ほのか!?」
「なぎさ!どうして!?」
「あたしは買い物であそこに行くトコロで…。ほのかは?」
「偶然ね!私もあの雑貨屋に行く途中だったの…」
「ウソ!マジで!?すっごい偶然…」
「違うメポ!これは偶然じゃないメポ。お互いに想う気持ちが二人を引き寄せたんだメポ!」
「ミップルもそう思うミポ!やっぱりほのかとなぎさは一緒に居る運命ミポ!」
「ちょ、ちょっとメップル!あんた何勝手な事言ってんのよ!?」
「そ、そうよ!ミップルまで変な事言って…」
「なぎさ、それにしては顔が赤いメポ?」
「ほのかもミポ。真っ赤ミポ」
「それはその…ねえ、ほのか?」
「う、うん…なぎさ」
「ふぅ、二人とも素直じゃ無いミポ…」
「まったくメポ…。ところでミップル、僕達が出会えたのも同じく運命だメポ!ミップルゥ〜!」
「そこまで!ホラ、また青になったし行くよ?ほのかも行こう!」
「ウン!」
笑顔で視線を交わす二人。
そして風を切って走り出す。
優しさとお日様の匂いを残して…。
- 927 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/08/07(日) 01:21:57 [ LOLxxlrY ]
- 以上2レスで終了…ってコテ入れ忘れた。
でもこのスレもあと70ちょっとでお終いだし、まあいいか。
- 928 名前:予想係(呑気) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/08/09(火) 00:35:50 [ dMRTMENc ]
- >>925-926
読み易くて筋の流れも自然、微笑ましくてグッドです!
さて、オレも そろそろ本腰入れて新しいのを書き始めないとな。
- 929 名前:833@ 投稿日:2005/08/09(火) 00:54:39 [ TJC8SLvA ]
- >925-926
読んでて本編と微妙に性格違うメポミポが面白かったですw。
内容もスムーズに流れていえよい感じです。GJ。
このスレもそろそろ終わりだなぁ…。
- 930 名前:634 投稿日:2005/08/09(火) 01:34:17 [ x7r.uCco ]
- 予想係氏も833@氏も>925-926に感想どうも。
色々書いたけど、やっぱりさりげない出来事の中からふと出てくる
爽やかな関係がいいなぁ、と思ったワケでこんなのになりました。
- 931 名前:833@ 投稿日:2005/08/23(火) 01:31:14 [ PCSOG.1Q ]
- とりあえず二週間かけて書いたこれを投下してみます。
- 932 名前:833@ 投稿日:2005/08/23(火) 01:31:48 [ PCSOG.1Q ]
「なぎさ、今日は放課後いいかな?」
六時限目の授業、そしてホームルームが終わってクラスの生徒たちが各々の行動を開始
する教室で雪城ほのかが美墨なぎさに尋ねた。
「うん、部活が終わった後なら」
机の中に入れっぱなしにしていた教科書を急いで鞄に詰めながらなぎさが答える。
「何時頃に終わりそう?」
「大体四時くらいには終わると思うんだけど」
部活のキャプテンが遅刻するとマズいからだろうか、教科書を詰め終えた鞄を閉めると
なぎさはすぐに立ち上がる。
「それじゃあ正門で待ってるね」
「うん、わかった。じゃあねほのか!」
小走りで教室のドアを開け、一度だけ後ろを振り返りなぎさは廊下へと姿を消した。
「またあとでね〜」
既に見えなくなってしまったなぎさに暫くの間ほのかは手を振り続ける。
手を下ろすと、ほのかは自分の鞄を弄り中から丁寧な包装が施された小さな箱を取り出
す。それを両手で大事にそうに持ち抱えて見つめる。
(今日こそ、なぎさに渡すんだ……。)
箱を鞄の中に再び入れ、右拳に力を込めてほのかは決意を固めた。
「もう四時だけど……、なぎさまだかな?」
両手で鞄を持ったまま正門の柱に寄りかかり、ほのかはなぎさを待っていた。
大時計の音が校舎に響き渡り、午後四時であることを知らせる。
ふと、なぎさを求めてかほのかの視線が校舎の方向を向く。
(あ、なぎさ……)
ガラスの窓から渡り廊下を歩くなぎさの姿が見えた。
思わず声に出して呼びそうになったが、喉まで出掛かっていたところで堪える。
手でも振ろうかな。と思いながら微笑んだ顔でなぎさを見つめる。
と誰かの呼びかけに応える様になぎさの顔が向きを変える。
「え……、ひかりさん……?」
向きを変えたなぎさに近づく金髪の少女が一人。
間違えるハズも無く、それは九条ひかりであった。
(どうして……、どうしてなぎさとひかりさんが一緒に……)
ほのかの見ている前でなぎさとひかりは笑いながら何かを話しているようだった。
暫くするとなぎさが動きだし、ついて行くようにひかりも動き出した。
目の前から二人の姿が消える。ほのかはただ呆然とその様子を見つめていた。
その場を立ち去ることも出来ず、そこに立ち尽くすばかりだった。
なぎさとひかりが再びその場に戻ってきた。
待っている間の時間はほのかにとって無限に続くかのよう長くに思えた。
滞りを覚えつつもどこかでほっとした。
そして先ほどとは逆方向に二人の姿が消えた。
大時計をもう一度見上げると、時刻は丁度四時半をわずかに過ぎた頃であった。
下駄箱で靴を履き替えたなぎさがひかりを連れてようやく到着した。
「ほのか〜、お待たせ! ごめんね、部活の用事があって」
なぎさとひかりが一緒に居るその光景を直視することが出来ず、思わずほのかを目を逸
らしてしまう。
俯いたまま顔を上げることが出来ない。
しかし嘘でも笑顔を作る気持ちになれない。もはやほのかには諦める以外の選択肢は無
かった。
「ごめんなぎさ」
「え?」
ほのかからの叱責を覚悟していたなぎさは拍子抜けした様子であった。
ひかりにとってもまたほのかへのお詫びの言葉を言おうとした矢先の出来事であった。
「あの、この後用事があるから……」
突発的に嘘をついてしまった。
自分が自分で無いかのように勝手に動き出す口を止められなかった。
「ごめんほのか、あたしが遅れたから」
心の底から申し訳ない。という表情でなぎさが謝る。
しかしなぎさの謝罪はほのかの心に更に罪悪感を与え、そして傷つける。
「ううん、なぎさは悪くないの」
せめてもの贖罪としてほのかは言った。
「じゃあね、ほのか」
「うん、またね」
無理して作ったぎこちない笑顔でなぎさに別れを告げる。
自分の気持ちを誤魔化すことが出来ただろうか。ただ不安だった。
(どうして……、どうして私こんなことしちゃったんだろう……)
どうしてなのか。本当はほのかはその答えを嫌というほどわかっていた。
- 933 名前:833@ 投稿日:2005/08/23(火) 01:32:23 [ PCSOG.1Q ]
「ほのか、おはよう。昨日はごめんね」
次の朝。なぎさがいつものような明るい笑顔で挨拶をする。
「おはよう…。なぎさ一人なの?」
またしても無意識に余計な一言が出てしまった。
「え?」
その一言の真意を理解出来ず、なぎさはただ戸惑うしか無かった。
「昨日みたいにひかりさんは一緒じゃないの?」
自分で自分を止めることが出来ない。
醜い感情を丸出しにして、ほのかはなぎさを問い詰めてしまう。
(嫌だ……、何で私こんなこと……)
思わず自己嫌悪する。自分が信じられない。
後悔の念を抱き、ほのかはなぎさの顔を見つめることが出来ない。
「ひかりには昨日あたしの仕事手伝ってもらっただけだよ」
それでも笑顔でなぎさは答えた。
「そうなんだ……」
惨めさからかほのかの表情がとても沈んでいた。
「ねぇ、ほのか」
先ほどの笑顔から一転して無表情というよりは真剣な表情でなぎさが呼びかける。
「何?」
「昨日、用事があるって言ったのにどうして喫茶店に居たの?」
「!?」
あの後、真っ直ぐに家に帰る気分にとてもなれず、帰り道の商店街に寄り道した。
そして小さな一軒の喫茶店で自分落ち着かせるためにコーヒーを一杯飲んだ。
「昨日の帰りに見たの。ほのか……嘘ついたの?」
表情は変化してもなぎさの感情は微かに昂ぶっている。
瞳もまた怒りの感情を秘めているように見えた。
「ち、違うのなぎさ!」
「何が違うの! そりゃ、約束に遅れたのは悪かったけど、それだけで約束すっぽかして
一人で喫茶店に行くなんて酷いよ!」
なぎさの言うことは全て正論だった。
ほのかはもう一言も何も言えなかった。言い訳も反論も何もかもが無駄であるとわかっ
ていた。
瞳に涙を浮かべて、無言でなぎさはその場を走り出す。
「なぎさ! 待って!」
通学途中の周囲の生徒の注目を思い切り集める大声でなぎさの名を叫ぶ。
なぎさは止まることも振り返ることもせずほのかの視界から消え去ってしまった。
「はぁ……」
昼休みの屋上でなぎさはドアの近くの壁によりかかりながら溜め息をついた。
雲一つ無い青空の下で、なぎさの気分は落ち込んでいた。
思わず感情的になってしまった。あのようなことで涙が出るとは自分でも思わなかった。
先ほどの光景が目の前で頭にリプレイされる。
見えなかったほのかの表情を想像すると心が痛んだ。
「なぎささん、どうかしたんですか?」
「わわわわわっ!」
いつの間にか自分の目の前にひかりが立っていた。
驚きのあまり尻餅をつきそうになるのを堪え、わざとらしく咳払いをして落ち着き払った
かのような様子を演じてひかりに気づいたフリをする。
「ひかり……。あのね」
そして昨日のことと今朝のことを細かく再現しながらひかりに事情を説明する。
「そうだったんですか」
「うん……」
事情を説明し終えてひかりが頷く。
なぎさは再び遠くの空を見上げた。
(雲の形がほのかの顔に見えてしまう……、って何考えてるのよあたし!)
両手でポカポカという擬音が聞こえるかのように自分の頭を軽く叩く。
一方ひかりはひかりで何かを考えているようでなぎさの行動に目もくれない。
「あの、私ほのかさんと話してきます」
言うや否やひかりは踵を返し屋上のドアを開ける。
「あ、ひかり!」
気づいたなぎさがひかりに呼びかけるもひかりは既に走り出す体勢にあった。
「きっとほのかさんにも何か事情があるんだと思います」
そう言い残すとひかりは屋上のドアを閉めてしまった。
- 934 名前:833@ 投稿日:2005/08/23(火) 01:33:27 [ PCSOG.1Q ]
- 「結局あの後なぎさと話せなかったな……」
落ち込んだ表情で溜め息をつきながらほのかは一人帰路に着いた。
カタリと鞄の中のプレゼントが小さく傾いた。
「ほのかさぁ〜ん」
大通りで信号を待つほのかに呼びかける声が通った。
自分の名を呼ぶ大声にほのかは無意識のうちに振り返る。
「ひかりさん」
声を聴いただけで自分を呼んだのがひかりであることはわかっていた。
「あの、ほのかさん。その、なぎささんのことなんですけど」
そしてひかりが何を言い出すか。それもまた全てわかっていた。
だからこそほのかは心配そうな顔をしているひかりに素直な気持ちを表現した。
「わかってるの。なぎさは悪くないわ」
「え?」
時間をかけて徐々にほのかを説得しようと思っていたひかりは逆に驚く。
なぎさと喧嘩をしたにも関わらずひかりにはほのかはいつも通りに見えたようだ。
「明日なぎさにも謝るつもりだったの」
「そうだったんですか。良かったぁ」
心底ほっとしたように安堵の息を着いた。
本気で自分となぎさのことを心配してくれていたのだということが痛いほどほのかにも
伝わった。
「ごめんなさいひかりさん。迷惑かけて」
「いえ、全然そんなことないです」
ひかりは打って変わって心配そうな顔から笑顔に変わっていた。
そしてそれとは対照的にほのかの表情は悲愴感が漂っていた。
「もしも…、もしもひかりさんが私だったら、こんなことにはならなかったのかも知れない
のにね…」
「え?」
ほのかの一言が理解し切れずにひかりは疑問符を浮かべる。
「何でもないわ。そうだ、ひかりさん。今日は私と一緒に帰らない?」
先ほどの一言を無効化するべくほのかは笑顔を浮かべる。
「あ、はい!」
「闇の気配がするミポ」
「何かが来るポポ」
二人が歩き出そうとしたその瞬間、ほのかの鞄とひかりのポケットから飛び出したそれ
ぞれのパートナーが警告する。
次の瞬間一本の電柱から一人の人間が二人の目の前に降り立った。
「ご名答。正解の景品としてあんたたちはここで終わらせてあげる」
「あなたは…!」
目の前に立った人間をほのかがキッと睨みつける。
睨まれたビブリスは余裕の笑みを浮かべた。
「なぎさが居ないと変身出来ないミポ」
恐怖の感情からかミップルが震えた声でほのかに告げる。
ほのかもそれはわかっていたのであえて動かずにいた。
「ここは私に任せてください」
身構えるほのかとビブリスの間にスッをひかりが割って入る。
そしてほのかを制するように左手を伸ばす。
「ルミナスシャイニングストリーム!!」
変身するための呪文を叫び、ひかりがシャイニールミナスに変身する。
「動くな!!」
「ほのかさん…」
変身の一瞬の隙をついてビブリスはほのかの手を取り首筋に爪を当てていた。
- 935 名前:833@ 投稿日:2005/08/23(火) 01:34:38 [ PCSOG.1Q ]
「うっ…」
ほのかの首につき立てられた爪の隙間から血が流れ出す。
変身を終えたルミナスとビブリスが向かい合う。
ほのかを人質に取られたルミナスはその場から動くことが出来ない。
「ルミナス! 私に構わないで!」
恐怖を堪え懸命にほのかが叫ぶ。
「ふぅん、じゃあこうしたらどうかしら?」
残忍な笑みを浮かべ、ビブリスは爪をほのかの首から引き抜く。
身動きを封じるために取った右腕に力を込めて、ほのかを放り投げる。
「きゃっ!」
ビブリスの腕力に放り投げられたほのかは道路に腰を打ち付ける。
ププーッ。クラクションの音と共にほのかの目の前にトラックが走りこむ。
「!」
腰を打った痛み、そして恐怖心のせいでほのかはその場を動くことが出来ない。
「危ないほのかさん!」
ほのかを庇うためにルミナスが車道に飛び出す。
ドライバーが懸命に踏んだブレーキによる摩擦音。
ドンッとトラックが何かぶつかる音。そしてほのかの時が止まった。
「ひかりさん!!」
ルミナスの変身が解け、制服姿のひかりがそこに倒れていた。
ほのかは叫んだ。何も考えられず、ただただ叫んだ。
トラックから男が駆け出す。そして多くの人々が集まる。
悲鳴、怒声。ほのかの中で止まった時が再び動き出す。
「ふん、とりあえず一人消せれば上出来ね」
人混みに紛れて姿を消したビブリスがそう言い残すと闇に消え去った。
「ひかりさん! ひかりさん!」
さっきまで自分と話していたハズのひかりが道路に横たわっていた。
瞳と口は閉じたまま、呼吸はしているのか胸が不規則に上下する。
(病院に連れて行かなきゃ)
少しだけ落ち着いたのかほのかがようやく動き出す。
遠くから救急車の声が聞こえた。
「ひかりさん、ひかりさん! しっかり!」
信じられないほど冷たくなったひかりの手をがっちりと握りめてほのかは叫んだ。
全てが白い色の部屋の長椅子にほのかとアカネが座っていた。
病院に到着したほのかはなぎさとアカネに電話をして事故のことを連絡した。
十分もしないうちにアカネは病院へと飛んできた。
緊急手術中の赤く点灯した文字を見つめると、そっか。と呟きほのかの横に座った。
そして激しい嗚咽を伴いながら涙を流し続けるほのかをアカネは宥め続けた。
今ではほのかの様子も落ち着き、二人はただ祈り続けた。
ひかりがこの扉を開けて生還することを……。
騒々しく廊下を駆ける音が静かな病院に響いた。一度止まり再び動き出し、そしてよう
やく二人の居る場所に辿り着いた。
「ほのかっ! ひかりが事故って……」
問いかけは途中で止まった。
なぎさはただ黙って赤い表示灯を見つめていた。
息を切らしたままでなぎさはその場に立ち尽くしていた。
- 936 名前:833@ 投稿日:2005/08/23(火) 01:35:14 [ PCSOG.1Q ]
「なぎさ……」
ほのかはなぎさに掛ける言葉が見つからなかった。
もう一度なぎさの名前を呼ぼうとしたその時、ほのかの肩に突然押された。
壁に叩きつけられたほのかが「痛っ」と小さな悲鳴を溢した。
「ほのかが…、ほのかが一緒に居たんでしょ? どうして……」
涙を流しながらなぎさがほのかを見つめた。
ぎゅっと唇を噛んでいたなぎさの声は震えていた。ただただ両手でほのかを押し続けた。
「なぎさ!」
慌ててアカネがなぎさの両手を押さえつけてほのかから引き離す。
「ごめんね…」
止まった涙が再び零れだしほのかが謝った。それは誰への謝罪なのだろうか。
「落ち着いた?」
長椅子に座らされたなぎさがようやく落ち着きを取り戻したようだった。
「ごめんなさい、アカネさん」
「いいよ」
「ごめん、ほのか…」
なぎさがほのかに謝りほのかの顔を見た時、なぎさは思わず息を呑んだ。
今までなぎさが見たこともないような冷たい視線が空中を彷徨っていた。
普段の明るさは微塵も見られず死人のように黙って涙を流していた。
廊下の長椅子の上でなぎさ、ほのか、アカネの三人は長い夜を過ごした。
どれほどの時間が経ったのだろうか。気がつくとアカネが居なくなっていた。
どうやら医者に呼び出されたようだった。
そして程なくひかりが一命を取り留めたということを聞かされた。
驚くことにひかりはすぐに意識を取り戻したというのだ。
ベッドの上で横たわるひかりが看護婦の手によって運ばれてきた。
「良かった、ひかり」
「本当、無事で良かったよ」
なぎさとアカネが涙を流しひかりの無事を喜んだ。
ひかりの意識をハッキリしていてそれに対する返事まですることが出来た。
「心配かけてごめんなさい」
「こんな時まで何言ってるんだい」
涙を流しながらこんな時状況でも他人に心配かけたことを謝るひかりになぎさとアカネ
は思わず顔を見合わせて笑顔を浮かべた。
そしてなぎさの前に立ったほのかが膝をついてひかりの手を握る。
「ごめんなさいひかりさん。私の…私のせいで…」
「いいんですよ、ほのかさん」
なぎさ、ほのか、アカネにとって長い夜がようやく明けようとしていた。
夜も遅かったのでアカネが自動車でなぎさとほのかを家まで送ると提案した。
アカネが駐車場に自動車を取りに行っている間、なぎさとほのかは二人きりで病院の入
り口で待っていた。
「ひかりさん、無事で本当に良かったね……」
「うん……」
疲れからかなぎさが傘立てにヘタリと座り込む。
「あたしたちが…、プリキュアじゃなかったらこんなことにならずに済んだのに」
夜空に輝く星を見上げてなぎさが呟いた。
何気なく言ったその一言がほのかの傷を深く抉ったことになぎさは気づかなかった。
「どうして……どうしてそんなことを言うの?」
「え?」
半ば自分を責めるつもりで言った一言がほのかの感情が激しく昂ぶらせていた。
全身を震わせながらほのかは感情を迸らせる。
「私なんかと、プリキュアになりたくなかったの…?」
冷たい、あまりに冷たい視線がなぎさを貫いた。
なぎさはその場を動くことが出来なかった。
「ちょ、ちょっとほのか!」
「あ、ご、ごめんなさい。不謹慎よね私、こんな時に……」
「あ、いや、あたしこそごめん……」
それが最後だった。その後アカネが自動車に乗って二人の居る場所に到着しても、なぎ
さのマンションに到着した時も二人は儀礼的に挨拶を済ませただけであった。
- 937 名前:833@ 投稿日:2005/08/23(火) 01:36:35 [ PCSOG.1Q ]
-
次の日ほのかは学校を休んだ。
気分が悪いという理由だけで過去ズル休みに三回失敗したが、今回は何故か祖母である
さなえも認めてくれた。それとも本当に気分が悪いのかも知れない。
何もする気が起きないまま、ほのかは一人ベッドの上で横になっていた。
日も暮れかかった夕方頃、さなえがほのかに呼びかけた。
「ほのか」
「おばあちゃま……」
眩しい夕日に指で目を擦り、重い体をゆっくりと持ち上げる。
障子を閉める祖母の顔が夕日を反射し赤く輝いていた。
「具合はどうだい?」
「う、うん。まだ少し……」
さなえはほのかの傍に正座して座り込むとほのかの表情を下からじっと見上げた。
祖母の視線から顔を逸らし、俯いたままほのかは呟いた。
「ねぇおばあちゃま……」
「なぎささんと喧嘩でもしたのかい?」
「!」
ひかりが交通事故に遭って一命を取りとめたことはさなえには昨日帰宅後に話した。
しかしなぎさに関することは全く話していない…。
「どうして……」
信じられないといった様子でほのかが尋ねる。
「なぎささんに渡す予定だったものがまだ鞄に入ったままだったからね」
さなえは笑顔を浮かべると種明かしをする。
それでもほのかは素直に感心してしまっている。
「おばあちゃまは何でもお見通しなのね……」
もう誤魔化す言葉も思い浮かばないといった様子で虚ろな苦笑いを浮かべた。
「ちょっと散歩でもしておいで。気分も紛れるだろうし」
「うん」
さなえの提案に従い、ほのかはパジャマから私服に着替えると家を後にした。
暫く何も考えずに歩いているとほのかは足は河原へと向かっていた。
河原からほのかの視線は夕暮れの空へと移った。
悩んだり、悲しいことがあるとここへ来ることがほのかの習慣になっていた。
ここは思い出の場所。全てが始まった場所。
「二人目はお前か……」
「!」
背後から突然呼びかけられて慌てて振り返る。
「あ、あなたは…」
「もうお前を守ってくれる奴は誰も居ない、観念しな……」
「…………」
(私は一人……、そうなの……)
ほのかはゆっくりと身構えた。いつでも戦うことが出来るように戦闘の構えを取る。
「ふっ、物分りの悪い子だ」
スッとほのかに攻撃を仕掛けるために右手を持ち上げる。
「死ねぇ!」
「ほのかぁ!」
ほのかが来た方向とは逆方向からなぎさが走りこんでくる。
「な、なぎさ…」
「ちっ、もう一人来たか」
タンッとビブリスは飛び上がると体勢を建て直すためになぎさの背後に回る。
必然的になぎさとほのかは変身出来る状況になった。
「早く変身するメポ!」
「うん」
なぎさがカードを引き抜き変身をする構えを取る。
- 938 名前:833@ 投稿日:2005/08/23(火) 01:37:07 [ PCSOG.1Q ]
- しかしほのかは凍ったように全く動かない。
「ほ、ほのか?」
「私なんかとプリキュアになりたくないんでしょ…」
虚ろな瞳、そして無表情、無気力でほのかは呟いた。
その態度がなぎさの怒りの感情の爆弾に点火をしそして爆発した。
「な、何言ってるのよ!」
「だって昨日そう言ったじゃない!」
なぎさの怒りの爆発に誘発されるようにほのかの怒りも爆発する。
「それはひかりが怪我したのがあたしたちが狙われているからってことで言っただけよ!」
「それをどうして私の前で言ったの!」
「そんなのわかるでしょ! ほのかはあたしと違って頭良いんだから!」
「わかってるわよ。だから……だから不甲斐ない自分が情けなくて…、ひかりさんに嫉妬
してる自分が嫌になって…」
「……!」
「わかってるのに、なぎさのことまで疑っちゃって……。」
「喧嘩しながら逝っちまいな!」
ビブリスが不意をつく形で二人に向かって衝撃波を放つ。
なぎさとほのかは前方に倒れこむようにして攻撃を避ける。
「もう、人が話してる最中に、ほのか!」
「うん!」
自分達の怒りをビブリスにぶつけるようになぎさとほのかは手をとって叫ぶ。
「デュアルオローラウェイブ!!」
変身を完了したブラックとホワイトが地面に降り立った。
「ふっふっふ。ようやくあらわれ」
「プリキュアマーブルスクリューマックスー!!」
間髪入れずになぎさとほのかが必殺技を両手から放つ。
「なにぃ!!」
あまりの奇襲にビブリスも受け止める準備が出来ない。
「ぐっ……ぐううう! くっ!!」
不意を突かれたものの片手で何とか攻撃を凌ごうとする。
しかしあまりに強力なパワーを堪えることが出来ない。
「くそぉっ!」
タンッと飛び上がりビブリスは撤退した。
行き場を失ったエネルギーは遥か遠くへと飛び立ちそして消えた。
互いの手を握り締めたまま荒い息をなぎさとほのかがつく。
その姿勢のまま変身は解かれ、相手の手を握ったままであることに気づいた。
そしてなぎさが強引にほのかの手を振り払った。
「い、痛っ」
「ほのかのバカ!」
「な、なにそれぇ! 急に何なの!」
「何であたしのことそんな風に疑うの! あたしがほのかに嘘ついたことある?」
「いっぱいあるじゃない! 今度から自力で真面目に全部やるから宿題見せてとか、たこ
焼き食べる時に今度返すからお金貸してとか!」
「そ、それは……。で、でもほのかは疑り深過ぎなんだよ!」
「自分のこと棚に上げて何よそれ!」
「あたしはほのかのこと疑ったこと無いよ!」
「え…」
「ずっとほのかのこと信じてるんだから! 何でほのかは信じてくれないのよバカ!」
「だからそれは嘘いっぱいついてるなぎさの自業自得でしょ、なぎさのバカ!」
「バカって言ったほうがバカなんだよ!」
「先に言ったのはなぎさでしょ!」
「先に言ったのはほのかだよ!」
「もういいよ、なぎさのバカァ!」
そう言うとほのかはなぎさに体当たりのように頭をぶつける。
思わずなぎさも数歩後ずさりしてほのかを受け止める。
「ほ、ほのか?」
「なぎさのバカ………………大好き」
「!?」
なぎさのお腹の辺りにぶつけた頭を持ち上げてなぎさの顔を見つめる。
同時になぎさの腰に回した手を持ち上げ、なぎさの背中に回す。
「大好きだよ……」
とびきりの笑顔を作る。笑顔と同時に一筋の涙が頬を伝って地面に落ちた。
なぎさもまた無言でほのかを抱きしめる。
夕暮れの空の下、河原でなぎさとほのかが正面から抱きしめあう。
「ほのかのバカ………………あたしも大好き」
呆れたように、それでも嬉しそうになぎさも笑顔でほのかに応える。
そしてなぎさは目を閉じるようにほのかにアイコンタクトで伝える。
ほのかも黙って目を閉じて応じる。
なぎさは目を閉じたほのかの顔に自分の顔を重ねる。
一瞬だけ躊躇い、そしてなぎさは自分の唇をほのかの唇に押し付けた。
- 939 名前:833@ 投稿日:2005/08/23(火) 01:37:53 [ PCSOG.1Q ]
「なぎささ〜ん、ほのかさ〜ん!」
翌朝。ひかりは無事退院し、すっかり元気で普通に登校することが出来た。
医者も驚くほどの驚異の回復ぶりを見せたらしい。
もしかしたらそれは彼女がシャイニールミナスであることが影響しているのかも知れな
い。が真実を知っている者は誰も居ない。
「あ、ひかりぃ!」
「ひかりさん! 退院したの?」
なぎさとほのかがすっかり元気になったひかりを見つめて嬉しそうに尋ねる。
「はい、昨日退院することが出来ました」
「そっかぁ、良かった……」
「本当にごめんなさい」
「いいんですよ。もう。……あの、それよりも」
ひかりが心配するような表情でなぎさとほのかの顔を交互に見る。
「迷惑かけちゃったね、ひかり。でももう大丈夫だから」
アピールするかのようにひかりの前でなぎさがほのかの手を握る。
「うん……もう大丈夫」
少し照れくさそうな様子でほのかがなぎさの手を握り返す。
「良かったぁ〜……」
ほっとしたのか思わず溜め息をつく。そして満面の笑みを浮かべる。
「それじゃあ私日直ですので」
「うん」
「じゃあね」
「はい!」
そう言うとひかりは多くの学生たちが歩いている通学路を走り抜ける。
怪我の影響を微塵も感じさせない元気っぷりを発揮していた。
「ひかりのこと守らなきゃって思ってたけど、ひかりのほうがよっぽど大人だよねぇ…」
遠くに消えたひかりを見つめながらなぎさが感心したように言った。
「そうね……、バカな私達よりずっと……」
からかうような笑顔でほのかも同意する。
「またバカって言う……」
「いいでしょ、ね?」
なぎさの手を引っ張ってほのかが走り出す。
「うん!」
釣られてなぎさも走り出す。
多くの生徒の注目を集めながらなぎさとほのかは今新しい道を駆け出した。
「なぎさ、今日は放課後いいかな?」
「うん、いいよ」
- 940 名前:833@ 投稿日:2005/08/23(火) 01:39:50 [ PCSOG.1Q ]
- 嫉妬ほのかってのはいまいち好きなネタじゃないけど、
なぎほの喧嘩を書こうと思ったら結局こうなってしまったw。
映画版をベースにして考えたネタです。
(要するに劣化コピry)
- 941 名前:予想係(呑気) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/08/28(日) 03:08:01 [ GkkNaess ]
- 苦手なネタでも敢えて挑戦するのは素敵な事だと思いますよ。
乙です。
それでは、のんびり し過ぎましたが私も投稿します。
タイトル
「弟は見た!」
9レス専有。
- 942 名前:予想係(01/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/08/28(日) 03:09:04 [ GkkNaess ]
「なぎさ、本当に送り出す荷物 これだけで いいの?
ずいぶん こじんまりと しているみたい だけど…」
「いいの いいの。 どうせ向こうに運んでも殆ど使わない物ばかりだし、
いくら収納 大目の部屋でも、ほのかの分も考えると あんまり持っていけないし」
…朝っぱらから部屋の外がバタバタした物音で騒がしくて、目が覚めてしまった。
気が付けば日も大分 高くなっていて朝と呼ぶには少々遅いようで、
窓から射し込む光が眩しく、寝不足な状態の俺には たまらない。
カーテンを閉めて もう一眠り したいくらいだ。
とは いえ、ここで寝てしまう のもダメだ。
姉貴が今日 引っ越すのに、まさか顔も見せないわけには いくまい。
「それでは、お預かり します」
「ご苦労さまです、よろしく お願い します」
着替えて廊下に出ると、玄関で引越し業者の人を姉貴と母さんが並んで見送っていた。
後姿だけだと髪型の違いでしか区別できない。何気なく そう思ってしまった。
「おはよう」
いつも通りに話し掛けたのに、自分の声に全くハリが無い。やっぱり寝不足気味だ。
「やっと起きたのね、寝惚すけ さん」
「おはよう亮太、春休み だからって たるんでるわねぇ。
もっと こう、シャキっと しなさい、シャキっと」
いくら家族でも、色々小言 言われると何か気分悪い。それが寝起きでなら尚更だ。
「放っといてくれよ。 別に したくて寝坊したわけじゃ ないんだから」
本当は うさ晴らしに何か言い返して やろうかとも思ったけど、ここでケンカした所で
何の得にも ならないし、ますます気分が悪く なるだろうし。
「朝ごはん、テーブルの上に有るから ちゃんと食べなさいね」
「はぁい」
呆れ顔の母さんは それだけ言って洗濯機の方へ行き、それを目で見送った俺の頭には
姉貴の手が軽く当たった。 ゆっくり振り返って見たら、姉貴が背比べを している。
「…どうしたの?」
「結局、追い越されちゃったな。と思ってね」
「そんなの しょうがないだろ。 去年の今頃には並んでたんだから」
「ほのかの身長は追い越せたんだけど なぁ、まさか亮太が それ以上に伸びるとは…」
「ほのかさんを『追い越した』と言ったって、たった2cmだけ じゃないか!」
「分かってないわねぇ、2〜3cmも違えばカップサイズも変わるくらい違うのよん」
カップサイズって…。身長の話が すり替わってるし。
そういえば先日、ブラのカップが Cだの Dだのと姉貴と ほのかさんとが議論していた
のを思い出した。何でもCの75とDの70が同じ物だ、とか いう話だったが、仮にも
思春期 真っ只中の俺にも聞こえる所で そんな話を するもんだから堪(たま)らない。
おかげで どうしても姉貴の胸へと視線が行ってしまう。
しかし、どちらかと いうと記憶に有る ほのかさんの胸の方が大きい気がするのだが…。
「…ほら、味噌汁 温めといて あげるから、顔 洗ってらっしゃい」
「あ、うん…」
- 943 名前:予想係(02/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/08/28(日) 03:10:06 [ GkkNaess ]
…そう、姉貴は この春から大学生。それも ほのかさんと同じ大学へと進学したのだ。
そして大学近くにアパートを借りて、ほのかさんと同棲。
…ではなく、一つの部屋で一緒に暮らす事と なっている。
確か、ルームシェアリングした方が家賃が半分で済むから…とか言っていた。
だけど姉貴たちの場合、別に「同棲」と呼んでも おかしくは無い気が するのも確かだ。
いつ頃からか、姉たちは まるで恋人同士の様に振舞っていたからだ。
俺は そんな光景を何度となく見てきた…。
「それじゃ亮太、そろそろ仕度しないと いけないから後は自分で やってね」
「はいはい」
姉貴は掛けていたエプロンを外して椅子の上に置き、自分の部屋に行ってしまった。
俺は味噌汁を汲んで椀に入れつつ、姉貴たちが そういう関係に なった(と思われる)
時の事を思い返そうと していた。あれは多分、姉貴たちが中学3年だった頃のハズ…。
未だ寝惚けつつも椀をテーブルの上に置くと、ちょうどトースターがパンを焼き上げて
跳ね上げさせた。どうやら姉貴がセットしてくれてた ようだ。
焼けたパンを皿に取り、さて食べようかと席に着いた時、はたと気付いた。
パンに、味噌汁…。
嫌がらせ ではない。 姉貴は たまに こういう大ボケな間違いを犯す。
高校卒業しても こんな調子なので、なんか姉貴らしいや と、妙な所でホッとしたり。
パンを齧(かじ)り、味噌汁を啜(すす)り ながら、
こんな事も今日ぐらいまで かな と、しみじみ思いつつ噛み締めたり。
「お母さん、そろそろ出発するから」
「あら、もう そんな時間? バタバタしてると早いわね」
玄関の方から そんな話が聞こえてきたので、食べてる朝食を半端にして俺も顔を出す。
幾ら今生の別れ ではないと言っても、見送りも しないのは些(いささ)か薄情だし。
「雪城さんが一緒だから大丈夫だとは思うけど、何か心配だわ…」
「お母さんったら、まだ そんな事 言ってる。
大丈夫、ほのかに迷惑 掛けるような真似は しないから」
「どーだか。 姉貴は そそかっしいから」
「何よぉ、アタシの どこが そそっかしいのよ?」
グーで殴るわよ と言わんばかりに姉貴は抗議の声を上げるが、これは事実なのだから
否定しても どうにも ならない。が、かと言って あれこれ例を挙げるのも大人げ無い。
他所を見て ごまかそうとしたら、俺は そこで大事な ことを思い出した。
昨日ほぼ徹夜に近い状態で書いた手紙が有ったのだ。
「そうだ、姉貴に渡したい物あるから、ちょっとだけ待ってて」
「え? もう出るんだけど」
「すぐに持ってくるから」
急いで自分の部屋に戻って中身を確かめて封をし、戻って姉貴に手渡した。
往復には 一分も掛からない。
「何これ? 『雪城ほのか さん へ』?」
「アラ何? それってラブレター?」
何か、いやらしい。姉貴も母さんも下心 丸出しなのが見え見えだ。
「ち・が・う! そんなんじゃないって」
「ホントかなぁ? あーや〜しーい〜ぞぉ」
「意地悪だなぁ、ふたりとも。挨拶状だよ、挨拶状」
「挨拶状?」
「ふーん、亮太にしては殊勝ね…」
大きな お世話だ。
「間違いなく ほのかさんに渡して。途中で こっそり読んだり するなよ」
「そんな事しないわよ。直接 手渡せばいいのね?」
「うん、お願い」
「忘れ物 無い? お昼は どうするのかしら?」
「お昼は向こうで引越し蕎麦 茹でるから。
忘れ物も無い…と思う。 もし在ったら送って ちょうだい」
バッグの中を確認しつつ手紙を入れ、それを肩に掛け靴を履き、こちらへ向き直った。
「それじゃ亮太、お父さんと お母さんの事、頼むね」
「はいよ」
んな事、頼まれなくても大丈夫だって。
「いってらっしゃい。雪城さんに よろしくね」
「いってきまーす」
姉貴は軽く手を振ると、満面に希望を抱いてドアを開け、新しい生活へと旅立った。
- 944 名前:予想係(03/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/08/28(日) 03:11:03 [ GkkNaess ]
…。
残された方は寂寥感とでも言うのだろうか、今まで当たり前だった事が当たり前では
なくなってしまう、そんな現実を受け止めなければ いけない気がする。
ドアが閉まって姉貴の姿が隠れた時、母さんは どう思った だろう。
一番 騒がしい家族が居なくなって、俺以上に寂しさを感じているのだろうか?
こっそり そっちの方を見ようとすると、何故か母さんも こっちを見ていて、
何となく目が合ってしまった。
「亮太、あの手紙 本当にラブレターじゃないの?」
コケそうになった。母さんは ちっとも寂しくないのだろうか?
「…しつこいなぁ母さんも。
何というか、アレは…、姉貴の“取扱説明書”みたいなモノだよ」
「えぇ?! 何よ それ」
…母さんに鼻で笑われてしまった。 確かに そんな表現をしたら笑われて当然かな、
とも思ったけど、それ以外の表現は思い浮かばなかった。
「何と言うか、弟として今まで姉貴を見てきて気が付いた所を手紙に綴って、
ほのかさんに伝えておこうと思っただけ なんだよ。 それ以上の事は無いって」
「そうなの? 何か つまらないわね」
「だって心配なんだもの」
「あらあら、なぎさも亮太に心配されるなんてね」
「いや、姉貴じゃなくて ほのかさんの方が」
「まぁ! フフフッ!!」
笑わせるつもりは無かったんだけど…。まぁいいや。
「…でも、残念ね。亮太が もう少し色恋に覇気が有ればねぇ」
「放っといて。恋愛くらいは自分で好きな人 見つけるんだから」
「はい はい」
母さんは事在る毎に すぐ、こんな調子だ。
父さんや母さんは長らく「ほのかちゃん ほどの良い娘は他に居ない!」と断言し、
ほのかさんと俺を何とか くっつけたかったようだけど、ほのかさんは俺の事を
「弟分」くらいにしか見てないし、姉貴としては ほのかさんと弟の俺が 姉を差し置いて
仲良くするような状態は受け入れたり しなかった だろうし。
そりゃあ、ほのかさんに憧れなかった訳では無いけれど、時間が経つに連れて
俺では全く つり合わない気が してならなかった。
うまく表現できないけど、ほのかさんが持っている雰囲気は俺にとって少々近寄り難い
モノだった…。 全てに於いて完璧。それだけに こちらが気圧されて息苦しくなる。
そんな感じが したものだ。
でも姉貴は、そんな ほのかさんと一緒に居ても何も気構えず、何も気取らず、
普通に仲「睦まじく」付き合っていた。
まるで、お互い相手が自分自身で あるかのように、ごく自然に。
…そんな姉貴と ほのかさんの関係を4、5年ほど見てきて、
『俺が姉貴たちの間に割って入るのは許されないな』 …と悟るしか無かったのだし。
そして俺は2歩も3歩も引いて それを見守るしかなかった。
朝食の残りを食べながら、そう考える切っ掛けとなった出来事を再び思い返す。
俺が最初に姉貴たちの仲が「良過ぎる」と気付いたのは、確か姉貴たちが中3の時だ。
あれは…そう、泊りがけの夏合宿から帰って来た直後の夕食時。
珍しく姉貴が食事中に色々何かを考えているのが一目瞭然だった。
時々、にへら と笑っているので、合宿で何か良い事が有ったとしか考えられない。
おかずには殆ど箸を付けず、ただ ずっと ご飯ばかり おかわりしていて、
それも たまに噛む事すら忘れて ご飯茶碗をテーブルに取り落としたり。
次の日ほのかさんが家に来れば、いそいそと部屋に引き込んで籠もってしまったり。
思えば その頃の ほのかさんも、何となく変と言うか 妙と言うか…。
とにかく ふたり共どこか「妖し」かった。
- 945 名前:予想係(04/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/08/28(日) 03:12:07 [ GkkNaess ]
その夏。
ほのかさんが家に来た時に出迎えたのは俺だった。未だ鮮明に覚えている。
麦わら帽子にノースリーブでミニのワンピース、肩に提げたトートバッグ、
そして日傘を差したまま玄関から入ってきたのを。
すぐに姉貴が出てきて ほのかさんを部屋に通して、俺には何か飲み物と お菓子を
持ってくるように言われたのまで思い出した。
何か姉貴の言いなりに されているような気がして感じが悪かったので、
俺は海苔煎餅と麦茶の他に自分の宿題も持って、姉貴の部屋に入った。
「そんなのしか無いのォ? 炭酸飲料とかチョコレート菓子とか、無かったっけ?」
「文句 言うなよ。チョコとかは お姉ちゃんが昨日 食べちゃったじゃないか」
「しかもアンタ、夏休みの宿題まで持って来てるし。
まさか、ほのかに色々教えてもらおう とかいう魂胆じゃ…」
座り込んだ俺の足に、そんなの自分の力で やりなさいよ。と言わんばかりに、
姉貴が足で蹴って攻撃してくる。
「確かに その まさかだけど、しょうがない じゃん。
お姉ちゃんに聞いても余り当てにならないし」
自分だって ほのかさんに頼っているじゃないか。 と 俺も負けじと足で蹴り応戦した。
「別に いいじゃない。そういう事なら」
俺と姉貴が蹴り合う不毛な争いに、テーブルの下で喧嘩しないの。
と言いたげに、ほのかさんが足で押さえて宥めてきた。
軽く優しく撫でるように触れられて、俺は足を引っ込めた。
そんな こんなで そのまま静かに宿題を始めて、暫く経ち。
姉貴と ほのかさんとの会話の中で気になる言葉が使われているのを耳にした。
「UかV、どちらかに するとか言ってたアレ。結局どっちにしたの?」
「本当は柔軟性のある素材で長くて真っ直ぐな物を作った方がシンプルで良いんだけど、
この際だから色々やってみたくて、結局Yにしたの」
姉貴は それを聴いて、空中にYの字を描いていた。
「Y…? という事は…、もしかして ひかりも交ぜるつもりなの?」
「そんな事しないわよ。こういう事に ひかりさん を巻き込むわけにも いかないもの。
Yの柄の部分に色々仕掛けたの」
「なぁんだ、そうだったの」
ちょっと聞いただけでは何の事やらチンプン カンプンな話だ。
「ねぇ、それって何の話?」
「亮太には関係ない、こっちの話」
「? 秘密なのかよ」
「そ、秘密」
「亮太くん、なぎさと私だけの大事な話なの。
だから良太君にも明かすことは出来ないから、ゴメンね」
「ほのかさんが そう言うなら…。
あ、ほのかさん。ちょっと分からない所を教えて欲しいんですけど…」
「いいわよ、どこかしら」
「算数の この問題の解き方が…」
「えーと この場合は…」
と、ほのかさんが いきなり甲高い声で瞬間的に変な叫び声を上げたので、俺は驚いた。
「ひゃん!」だったか「みゅん!」だったか、あまり よく覚えてないけど。
当然 俺が「どうしたの?」と事情を尋ねたら、「な、何でもないわ」と あからさまに
ごまかすような事を言い、姉貴には声を出さずに唇だけを動かして何か文句を
言っているようだった。
そこで読唇術というのが使えたなら、ほのかさんが何と言ったか分かったかも知れない。
だけど当の姉貴の方は他所を見ていて、とぼけているのが見え見えだ。
俺から見えない所で何か やっていたので あろうか?
- 946 名前:予想係(05/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/08/28(日) 03:13:08 [ GkkNaess ]
「ほのかさん」
「うん? 解き方…、ね。この場合は ここを こうすると…」
声を掛けなかったら そのまま忘れられていた かも知れない。
だけど今度は姉貴が突拍子も無く素っ頓狂な声を上げて、俺は呆れてしまった。
その声も「ふにゃあ!」だか「ほわァ!」だか忘れてしまった。
そんな姉貴の顔を見上げると、何故かは知らないが面白いように表情を変え続けていて、
一人で百面相 状態である。
「何だよ お姉ちゃん」
「気に しないで…。ちょっと驚いただけ」
口を横に引き締めつつ姉貴は ほのかさんを横目で見ていた。
その ほのかさん は姉貴の方を全く見ずに、問題の解き方を俺に説明していた。
分かり易い説明の おかげで自分の力で解けそうな気がして やってみる事にしたが、
足下では まだ何らかの争いが無言のまま続いているようで、字を書こうとしている時に
テーブルが揺れて かなり煩わしい。堪りかねて俺が注意しようと口を開けた瞬間…!
俺の股間に姉貴の足が直撃した。 …しかも、かなりの勢いで。
…こういう時、何も出来なくなって しまうのは なんでだろう…?
抗議の声を上げたくても言葉を発する事すら出来ない。
「すっぽ抜けた、ゴメン!」
平謝り された。ジンジンと来る こんな痛み、姉貴には絶対 分かるまい。
「亮太くん、大丈夫?」
ほのかさんの気遣いは ありがたかったが、こういう時には優しく声を掛けられても
却って心が辛くなるだけのような気がする。何というか、そっとして おいて欲しい。
少なくとも その時 俺は そう思った。
「ほんと大丈夫? さすって あげようか?」
「なぎさ! 冗談でも そんな事 言わないの!」
「いったい、テーブルの下で何やってたんだよぉ…」
漸くボヤキを言えたが、それ以上の文句は言うに言えなかった。
一刻も早く 自分の情け無い姿を ほのかさん から遠ざけたくて、痛みに耐えながら
リビングの方へと移動したのだった。
リビングでは少なくとも5分くらいの間、一人で悶えていたと思う。
そうこうしている内に母さんが外での用事を終えて帰ってきて、玄関まで出迎えると
「雪城さん来てるの? なら、このアイス みんなで食べなさい」と袋ごと渡されて、
母さんは そのまま買い物へと再び出かけて行った。
仕方ないので渋々姉貴の部屋へ持っていくと、姉貴たちは ふたりとも半分ずつの煎餅を
口に くわえていた。姉貴の煎餅の方が若干 小さいが、ほのかさんの くわえている方と
合わせると ちょうど一枚分になりそうだ。
どうやら姉貴の方は欲張って力を入れ過ぎたせいで煎餅が小さく割れてしまったようだ。
だけど そもそも、袋には まだ たくさんの煎餅が残っているのに、
どうして一枚を半分に分け合う必要が在ったの だろうか?
一枚じゃ多いから? それとも…。 …色々考えても しょうがないのでヤメ。
「おはうはん はえっへ ひふぇはほ?」
お母さん帰ってきてたの? と言っているらしい。
「うん。でも すぐに買い物に出ちゃったけど。これ みんなで食べなさいって」
「はひほへ?」
…いい加減 口の煎餅 何とかしろ。
「アイス。…えーと、これはドライアイスだな」
「ほはひはいうふぁ はへはへはいあへ」
ドライアイスは食べられないわね。 …って、ほのかさん まで!
「バニラのソフト、チョコ コーン、チョコ モナカ…、以上」
「ぴったり3個、か」
「ほのかさん、どれが いいですか?」
「そうねぇ、なぎさはチョコの方が良いのかしら」
「アタシはソフトが いいな」
「それじゃあ私はチョコ コーンで」
「残りのチョコ モナカが僕、と」
今にして思えば、その時の選択は姉貴 主導で全てが決まった気がする。
- 947 名前:予想係(06/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/08/28(日) 03:13:57 [ GkkNaess ]
暫くの間はアイスを食べるために宿題の手も止めて無言となった。
上品に小さく かじりながら食べる ほのかさんに対して、姉貴はソフトクリーム全体を
べろべろ と舐め回していた。
「前にテレビで さぁ、こうやってソフトクリームを舐めて色んな形を作る芸
紹介してたけど、思う通りに形作るのって難しいね」
「お姉ちゃん 全然ダメじゃん」
「そうかなぁ、少しは形が出来てると思うんだけど…」
出来損ないのハニワにしか見えない。と 心の中だけで思いつつ、俺は宿題の続きを
しようと食べかけのチョコ モナカを脇に置いて、途中だった問題に取り掛かった。
その間も姉貴はソフトクリーム造型芸に挑戦しているらしく、
「なぎさ、鼻の頭にクリームが付いているわよ」と ほのかさんに指摘されている。
全く、しっかり してくれよ。 そんな風に思いつつ上目で姉貴の方を見たら、
俺の すぐ目の前には ほのかさんの後頭部があった。
「はい、取れた」
そう言って ほのかさんが頭を引っ込めたので、慌てて視線を宿題の方に戻した。
やや置いて恐る恐るながら顔を上げてみると、姉貴たちは何事も無かったように
引き続きアイスを かじっている。
姉貴がチョコ コーンを、ほのかさんがバニラソフトを。
俺の方は と言うと、先ほど見た光景が何だったのか理解できずに いた。
姉貴の鼻の頭にクリームが付いていて、それを ほのかさんが取った。
でも そのクリームは手で拭ったわけではない。
…じゃあ、どうやって?
そういえば姉貴が食べていたバニラソフトと ほのかさんが食べていたチョコ コーンが、
いつの間にか入れ替わっているし。
もしかして、最初から取り替えっこ しつつ食べるつもり だったのだろうか?
…余計な事を考えてたら妙な汗を かき、キツネに つつまれたような感覚に襲われた。
とにかく宿題の問題を解き終えて ほのかさんに答えが合っているか見てもらい大丈夫
なのを確認すると、チョコ モナカを回収しつつ姉貴の部屋から さっさと退散した。
だが ひとりでリビングに居ても、これといって やる事など特に無い。
いつもと同じようにマンガやゲームで過ごすだけだ。
その内に眠くなってきて、少しの間だけ昼寝と いうのも いつもの事。
しかし、この日は うとうと寝入りそうになると姉貴の部屋の方から妙な声が
聞こえてきて、その都度 眠りから覚めてしまう。それも二度や三度ではない。
五度目の時などは「メポー! ミポー!」とか聞こえてきて、堪りかねて姉貴の部屋に
苦情を入れに行ったが、姉貴も ほのかさん も直接 床の上で既に眠っていた。
姉貴の寝相の悪さは語るに及ばず、ほのかさんも ほのかさんで うつぶせに近い
横向きの姿勢で仄かに寝息を立てて姉貴の傍で眠っている。
寝言だったのだろうか? それにしては やたらハッキリと聞こえたが。
ほのかさんに何か掛けてあげようと姉貴のベッドからタオルケットを引きずり出そうと
したら、その上に乗ってた黄色のとピンクの ぬいぐるみが抱き合ったまま転げ落ちた。
落ちた先を見た時、そこに寝ていた ほのかさんを見て思わず手が止まってしまった。
ミニのワンピースが、太ももを完全に顕わにするほど かなり捲れ上がっている。
その無防備な寝姿を上から目の当たりにして、俺は平常心を保つのに苦労した。
回り込んで しゃがめば、間違いなく見えていたと思う。
でも そんな事は出来なかった。バレたら うんぬんと いうより、情け無い事に
俺は紳士だ! 俺は紳士だ! 俺は紳士だ! …という思いの方が強かったのだ。
そんな訳で俺は何度も頭を振って、ほのかさんの脚を隠すようにタオルケットを掛け、
布の端の方で姉貴の身体にも申し訳 程度に掛けてやった。
- 948 名前:予想係(07/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/08/28(日) 03:14:46 [ GkkNaess ]
よく観察すると、姉貴の足が ほのかさんの顔の すぐ前に在る。
ほのかさんの足も姉貴の顔の すぐ隣に在る。
これはマズイ。下手すれば ほのかさんが姉貴に蹴飛ばされる。
姉貴が ほのかさんに蹴られたとしても それは一向に構いや しないが、
ほのかさんが被害を受けるのは何としても避けなければ。
そう判断した俺は せめて姉貴の足だけでも どかそうとしたが、これが存外 難しい。
何度やっても元の位置に戻ってしまい、最後には凄い勢いで蹴飛ばそうと してくる。
ほのかさんの顔に直撃する寸前で何とか受け止め事 無きを得たが、姉貴の足を
除けようと すると、どうやら ほのかさんに まで危害が及んでしまう ようだ。
どうにもならないので、結局そのまま放っておく事にした。
その後は ずっと静かで、リビングに戻った後 俺は いつの間にか眠ってしまった。
目が覚めたのは夕方になって ほのかさんが帰る頃、玄関で姉貴と話しているのが
聞こえた時だった。
「なぎさゴメンね。その傷、ちゃんと消毒しといた方が良いわよ」
「へーき へーき。この位 大した事 無いから すぐ治るよ」
「そうじゃなくて。
ヒトの口の中って色んな細菌が たくさん居るから、感染症の危険が有るのよ」
起き抜けで頭がボーッと していたが、勉強を教えてくれた お礼くらいは言わないと
いけないと思い、重い足取りで玄関へ歩いていった。
「ほのかの口は汚くなんか ないでしょ?」
「んもぅ。私だって人の子なのよ、なぎさ」
もたげていた頭を上げて姉貴たちを見た時、眠気が吹っ飛ぶような光景を見てしまった。
姉貴と ほのかさんが、唇と唇を重ねてキスを している……‥‥!
見ては いけないモノを見てしまった気がして、俺は咄嗟に物陰に隠れた。
「…こんな風にしても感染症は起こる?」
「全く無いわけじゃないけど…。
ケガするようなキスなんて聞いた事ないし、普通は口同士なら まず問題ないわ」
「でも細菌が わんさか居るんだよね?」
「ヒトでも動物でも植物でも、生き物には大概 何らかの細菌が共生してるわ。
キスは口の中に居る そうした細菌類を共有する事でもあるの」
何か まじめな話 してる。
今なら良いかと頃合いを見計らって再び そっと顔を出してみたが、バッドタイミング。
姉貴たちは再びキスを していた。
それを見たら もう、俺の思考は真っ白に飛び、その後も姉貴と ほのかさんの間で
何か話を していたと思ったが、最早それどころではない。第一 何も覚えていない。
フラフラとリビングに戻ったら ほのかさんが「おじゃま しました」と言って
帰ってしまい、結局お礼は言いそびれてしまった。
直後に母さんが帰宅し、姉貴が その買い物の荷物を持って台所に入っても、
俺は呆けていた。思考が たった一つの事に集中したまま、完全に止まっていたのだ。
アレは いったい、何だったのかと…。
- 949 名前:予想係(08/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/08/28(日) 03:15:57 [ GkkNaess ]
…あのキスを見てから、似たような事態に何度も遭遇した。
街中では仲良く手を繋いで歩いていたり、ふたり“だけ”で旅行に出かけたり、
いつぞやはウチのトイレに ふたりで一緒に入っていた事もあった。
ノックしようとしたら扉の向こう側から話し声が聞こえてきてビックリしたものだ。
そんな「妖しい行動」を本人たちは気付かれないよう色々努力していた みたいだけど、
それは こっちが「気付かないフリ」していただけであって
ホントは とっくに気付いてたんだぞ。 姉貴。
俺が父さんや母さんの目を ごまかすのに、どれほど苦労したことか。
…そんな風に状況証拠は幾らでも有った。それだけでも充分であり、俺にとって疑う
余地など無かったが、決定的な確証となる物的証拠も まだ残ってるかも知れない。
有るとすれば、日記とかアルバムとかパソコンのファイルとか、
そんな形で在りそうな気がする。
朝食を食べ終わって後片付けをしている最中、母さんに声を掛けられた。
「亮太。ちょっとクリーニング屋さんに行ってくるから、留守番お願いね」
「クリーニング?」
「ほら、なぎさと亮太の制服 頼んでたから」
「あぁ、そうだっけ。いってらっしゃい」
母さんを見送った後、俺は姉貴の部屋に入って机の上のパソコンを起動してみた。
大学進学を期に姉貴はパソコンを新調する事に しており、今まで使っていたのは俺が
引き取る事になっている。
俺も既に父さんの お下がりのノートパソコンを持っていてCPUとメモリでは
こちらが上なのだが、HDDの容量は姉貴のパソコンの方が多い。
早速 中に有るファイルを調べると、まず見つかったのは中学3年生の頃の姉貴たち。
普通の写真やら日記として書かれていたテキストファイル、チャットのログ…。
そういったモノが、ちょっとフォルダの中を覗いただけで簡単に見つかった。
更に「ごみ箱」を漁って、残っていたファイルを元の位置に戻し、これも調べる。
その中に、幾重にも折り重なった奥深い構造になっているフォルダを見つけたので
そこを調べてみたら…。
予想通り在った。
姉貴と ほのかさんが、裸で抱き合っている写真が。
しかも、数え上げるのが困難な ほど たくさん有る。
日付順に並べ替えてみると、最初の頃は三脚に固定して撮影したようなアングルの
写真ばかりだが、途中から明らかに第三者が手持ちカメラで撮影しているとしか
思えないような、大胆な構図が増えてきた。
姉貴たちが こういう間柄だという事を知っていた人が他にも居たので あろうか?
そうでなければ、肩越しとか上から覗き込むような写真は撮影できないハズだが。
…それにしても写真の中の、若々しい姉貴たちの裸体は美しい。
正直 意外だった。
胸なんか小さく、脇も股にも毛が生えているようには見えない、しかしながら俺は
姉貴と ほのかさんが絡み合い愛し合っている姿を見て、そこはかとなく感情を、
と言うよりは欲情を、掻き立てられてしまった。
その証拠に、俺は勃ってしまっている。
情けなくも、姉貴のヌード写真を見て そう なってしまうとは…。
- 950 名前:予想係(09/09) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/08/28(日) 03:17:08 [ GkkNaess ]
なぎさ「ねぇ。亮太からの手紙、何て?」
ほのか「要約すると、『姉の事を よろしく お願いします』 だって」
引越し先のアパートで亮太からの手紙を受け取って読んだ ほのかは、
なぎさの質問へ簡潔に答え、書いてある内容の大半は伏せた。
な「それだけ?」
ほ「それだけ。他にも細かい事は書いてあるけど」
な「は〜…。我が弟ながら何 考えてるのか さっぱり分からないわ。
そんな電話一本で済みそうな事、わざわざ手紙にするなんて」
ほ「こういう事だからこそ ちゃんと手紙に したためて、
キチンと けじめを付けたかったんじゃないかしら」
な「そうかな?」
ほ「きっと そう。 なぎさの事を心配してるのよ。 姉思いの良い弟さん じゃない」
鼻で溜め息を吐く なぎさの肩に そっと手を置いて優しくフォローする ほのか。
な「…でも、これで やっと本当の意味で ふたりきりに なれたね…」
なぎさが ほのか へと向き直り、囁く。
ほ「うん、漸くね…」
囁き返す ほのか。
そのまま どちらともなく ごく自然に互いの顔が近づき、瞳を閉じて唇が重なり合う。
呼吸をするが如く、当たり前のように。
いつもと同じく、するすると なぎさの手が動いて ほのかの服を脱がそうとするが、
その前に ほのかの手が重なって それを止めた。
ほ「ダメよ。まだ荷解きが済んでないし、お隣さん への挨拶も まだだし、
引越し蕎麦だって食べてないわ。
それよりも新入学生代表の挨拶文、ちゃんと考えたの?」
な「今…、その話は したくない!」
ほ「現実逃避して どうするの?!
折角の晴れ舞台なんだから、まじめに やらなきゃダメよ!」
な「そんな事 言われても…。
アタシそんな所で挨拶なんかした事 無いよぉ〜…」
ほのかに諌められ、ガックリと項垂れる なぎさは、 orz と なっていた。
何は ともあれ、「同棲」生活は順調に始まった。
…余談ながら、隣に挨拶に行くと そこには別の大学に進学したハズの志穂と莉奈が
既に入居していて、更に上の階にも京子と夏子が居て、駄目押しに近所には小田島先輩も
住んでいて…。 という、滅茶苦茶 絡み合った腐れ縁の存在を、なぎさと ほのかは
すぐに身を もって知る羽目となる。
姉貴の部屋に まだティッシュが残っていて助かった。
無かったら ちょっと酷い事に なっていたかも知れない。
…と まぁ、この辺の事は端折るとして。
理不尽ながら…と、パソコンの電源を切りつつ思う。
中学時代に まるで勉強の出来なかった姉貴が、ほのかさんと一緒の大学に、しかも
ほのかさんを差し置いて「首席で」入学するなんて、未だに信じられない。
そりゃあ、高校時代に ほのかさんと一緒に猛勉強していた姉貴の姿は今でも目に
焼きついているし、試験の時に ほのかさんが体調を崩していた という事情もあった。
しかし、だとしても ほのかさんが次席になるとは思いも寄らなかったものだ。
パソコンの配線を整理しながら外していき、ついでに その辺りに溜まったホコリを
掃除機で吸い取り、パソコンを俺の部屋へと移動させる作業をしていると母さんが
帰ってきて、姉貴の(高校時代の)制服を手に部屋へ入ってきた。
「亮太 ここに居たの」
「お帰り。 ねぇ、ホントに このパソコン俺が使っていいの?
母さんが使えば いいのに」
「いいのよ。 そんなに しょっちゅう使うわけじゃないし」
母さんがビニールが掛けたままの制服をクローゼットに入れる時、
そこに姉貴が中学時代に着ていた制服も掛けられているのが見えた。
その脇にはラクロスのクロスも在る。
「…ホント、いつの間にか成長しちゃうのよね」
静かに母さんが そう呟いたのを聞いてしまった。
手を止めて そちらを見ると、母さんは目一杯に涙を溜めて、
じっとクローゼットの中を見つめ続けていた。
俺は どんな言葉を掛けて良いのか分からず、パソコンを運び出しながら
ただ黙って部屋を出て行くこと しか出来なかった。
姉貴が これから どんな生活を送ろうと しているのか だいたい想像は付くが、
そんな事 両親には口が裂けても言えない。
−亮 …ではなく、了−
- 951 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/08/28(日) 03:59:04 [ BaziF1X. ]
- うほ。こりゃいい出来だね。力作だ。
亮太視点のなぎほの話は今まで読んだこと無く新鮮に感じた
当事者や神視点の直接描写にはない第三者の想像が
読み手の妄想を掻き立てるという構図に自分はばっちりハマって
とても楽しめました。激しくGJ。おもしろかったよ!
この亮太は百合スキーの道まっしぐらだな。
つーか亮太、漏れと替われ(`・ω・´)マジデ
- 952 名前:833@ 投稿日:2005/08/28(日) 21:25:46 [ U.pj2Pl6 ]
- うーん、面白かった。
空気キャラになりつつあった亮太のこういう使い方は意外でした。
亮太の内面の変化も面白かったし文章の描写も良かったです。
言いたいことは多分951さんと一緒です。激しくGJです。
ただ最後だけ登場人物の名前がふられているのは何故でしょう?
個人的には統一したほうが良かったような気がしたんですけど。
そして予想係さんがいつの間にか百合萌えラーにry
- 953 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/08/29(月) 01:11:01 [ 46JBrCsQ ]
- UとかVとかYが微妙にわかるようなわからないような
何の話をしてたんでしょ?あっち系の道具?
- 954 名前:きらら 投稿日:2005/08/29(月) 20:24:20 [ .9RtnE72 ]
- 劇場版 ふたりはプリキュア&ふしぎ星のふたご姫
ある日、戦闘が終わったプリキュアとルミナスの元にひとつの手紙が落ちて来た。
しかし、情けなさ過ぎる(?)落ち方だった・・。
c−bk「きゃっ!いったーい。何よこれ!?あれ?手紙・・・?」
lumi「何か書いてありますね。『今日、アトランティカ城でパーティーが行われますので、
是非5名で参加してください。ただし、お城は太平洋の真中です。』あれ?この手紙差出人不明ですね。」
c−wh「今いるのは、私たち3人だけだケド、あと2人必要だわ・・。」
ファイン「私たちをわすれちゃダメよ!!」
レイン「あと2名は私たちなんだからねっ!!」
そこに現れたのは、プリキュアの友達、ファインとレインだ。
c−bk「ファイン!!」
c−wh「レイン!!」
ファイン「楽しいパーティーを3人だけで楽しむのは、許さないわよ!!」
レイン「パーティーは私たちも参加したいわよ!!」
lumi「どうします?何かチェック表がありますよ。YESかNOの2つにチェックしますか?」
c−bk「ファインとレインももちろん行く・・よね。」
ファイン&レイン「行きたい行きたい行きたーい!!」
c−wh「それじゃ、YESの方にチェックするわね。」
こうして、パーティーに参加することになった3人だったが・・・。
c−wh「すごい嵐・・。」
ファイン「どうやって行くの??」
c−bk「手紙に何か書かれてなかった?」
lumi「あ、ちょっと待って下さい。えーと、『このパーティー会場に行くには、嵐を乗り越えなければなりません』
って。」
レイン「嵐を乗り越えるなら、ボートがいいわ。」
ファイン「それなら、船がいいわ。」
レイン「ボートがいい!!」
ファイン「船がいい!!」
レイン「ボートがいいってば!!」
ファイン「絶対絶対船で・すー!!」
どの手段かを言い争ってるファインとレインをブラックが制止した。
c−bk「ストップ!ストップ!!言い争いをしてる場合じゃないでしょ!!」
c−wh「そ、そうよね・・。今はそんな場合じゃなかったわ・・。」
lumi「今はみんなでどうするか考えてみましょう。」
5人でいろいろ考えるのに時間がかかったが、結局・・・。
ファイン「結局、カプセル型ボートしか・・。」
c−bk「なかったのね・・・。」
c−wh「ええ。これしか無料品がなかったのよね・・・。」
レイン「まったくそのとーり・・・。」
のーんびり、航海中の5人だったが・・・、
lumi「あぁっ!嵐がやってきました!!」
突然、嵐がやってきたのだ!!5人はすぐにボートから飛び降りた。
そして、ファインとレインが海の中で変身した。
ブラックが、嵐の中、ホワイトとルミナスを探している時、1匹のバンドウイルカが現れたのだ!!
それは前、プリキュア達に助けられたフジだったのだ!!
c−bk「私たちを助けてくれるのね!頼むわよ!!」
そして、ホワイトとルミナス、変身したファインとレインを見つけ、フジの上に引っ張りあげた。
「もう限界です・・。手を放して下さい・・。」
「もうこれじゃ5人一緒に地獄行きだわ・・。」
「何言ってるのよ!あなた達を放す訳ないじゃないの!!」
「みんな、がんばって!!」
「あと少しだわ!!みんな絶対離れちゃダメよ!!」
5人は、励ましあったりしながら、嵐を乗り越えて、やっとアトランティカ城に着いた。
c−bk「ありがと、フジ。もう帰った方がいいわよ。」
ファイン「ふぅー。やっと着いた。ブラック、大丈夫??」
c−bk「うん、大丈夫。ファインも大丈夫ね♪」
ファイン「もーちろん!ホワイトもルミナスも・・。」
c−bk「よかった。ファインも無事ならレインも・・。」
c−bk「あぁー!ホワイトとルミナスがいない!!」
ファイン「あれー!?レインもいないー!!」
c−bk「まさか、あの嵐で離れたんじゃ・・。」
ファイン「私、レインに離れるなっていったのに・・。」
c−bk「こんなことでクヨクヨしても仕方ないわね・・。3人を探さなきゃ!!」
ファイン「うん!」
と、その時・・・。
「お手伝いしましょうか?」
「私もお供するわよ。2人だけでは無茶だわ。」
c−bk&ファイン「ええっ!!」
突然、2人の前に現れた少女と妖精!この正体とは!?
- 955 名前:きらら 投稿日:2005/09/02(金) 22:32:19 [ yTDXb5hU ]
- 少女と妖精は、2人の前に現れると、自己紹介をした。
「私は彩耶よ。よろしく!!」
「リオーネです。よろしくです。」
ファイン「え!?リオーネが何でここに!?」
リオーネ「えっ!私、あなたと会うの初めてですけど・・。」
ファインとリオーネが戸惑っていると、ブラックが
c−bk「・・バカね。この子はあんたの友達じゃないってのに・・。」
ファインにそっと耳打ちをした。
リオーネ「いいんですよ。私もメラメラの国のリオーネと間違えられてしまうことがあるんですから・・。」
リオーネは、ブラックとファインのやりとりに心底あきれながらも2人にフォローした。
彩耶「そんで、あなた達ずいぶん困っていたけど・・。何かお探し物?」
c−bk「はい。友達3人を探しているんです。途中、嵐ではぐれたんじゃないかと・・。」
彩耶「ああ、その3人ね・・。さらわれて北の城へ連れて行かれたわよ。」
ファイン「えぇ!北の城って・・、まさかアトランティカ城の北側では・・、ないよねぇ・・。」
リオーネ「はい、そうですよ。」
ファイン「近すぎるよ・・・。」
c−bk「バカ、何キロあると思ってんのよ!遠すぎじゃん!!」
ファイン「近すぎるもん!!たったひとっとびじゃん!!」
c−bk「どうやってひとっとびなのかしら?」
ファイン「え・・・?わかんないよ・・。」
リオーネ「フフフ・・。遠すぎますよ・・。」
ファイン「ほーらね!やっぱ私の言うとおりだね!!」
c−bk「バカ、あんたは近い近いって言い張ってたじゃん!!」
ファイン「違うもん!当たってたもん!!」
c−bk「バーカ!あんたは違ってた!!私の勝ちね!!」
リオーネ「お2人とも、そろそろそのあたりになさったらどうでしょうか?」
彩耶「北の城へ行くのは、すごく危険なことよ。あそこにさらわれた人は永遠にもとの人の所には帰れないのよ。
もちろん、あなたの仲間3人もよ。」
c−bk「(そんな!?ホワイトとルミナスが戻ってこない!!そんなの絶対嫌よ!)」
彩耶「北の城から出られる方法は一つ。友達を捨てること。いざとなると、みんなそうよ。
友達を捨てて、探すのを諦めればあなた達2人のためだわ。」
c−bk「バカ!友達を捨てるのが私とファインのためなの!?そんな事、絶対に間違っている!
ホワイト達は私を信じているし、私もホワイト達を信じている!私は、絶対、ホワイトとルミナスを
捨てたりなんかしない!!」
ファイン「そうよ!私もレイン見つけるまではぜーったい逃げないもーん!!」
彩耶「・・・。」
メップル「ブラック!いいこと言ったメポ!」
ポルン「ファインもいいこと言ったポポ!」
プーモ「さっきのあんなやりとりはうってかわっていたプモ!!」
リオーネ「彩耶様。このお2人に協力してください。お願いします。」
彩耶「分かったわ、2人に協力するわ。但し、足手まといにならないでよ。」
c−bk「はい!ありがとうございます!!」
ファイン「さてさてどうなる事やら・・・。」
そう言いつつも、2人は彩耶とリオーネと共に、北の城に行くことになったのだ。
一方のホワイト達は・・・。
c−wh「はっ!ここどこなの!?ブラックは何処!?嵐のとき、離れなかったはずなのに・・・。」
lumi「ここは北の城です!出ようとしても見張りが厳しすぎてでられません・・・。」
レイン「あれ!?ファインはどこなの!?まさか、嵐でファインとはぐれたのかなぁ?」
lumi「アハハ。って笑い事じゃありませんでした・・。」
c−wh「ふざけないで!ここは北の城の監獄なのよ!?」
lumi&レイン「ごめんなさい・・。」
「あなた達、ちょっと聞きたいことが・・・。」
lumi「きゃー、幽霊ですー!!」
c−wh「きゃー!ブラック助けてー!!」
レイン「ファインー!見てないで何とかしなさいよー!!」
lumi「2人とも!今はブラックもファインもいないんですから!」
c−wh&レイン「えぇ・・。ついつい勘違いで・・。」
「3人とも彩耶を知りませんか?」
2人とはぐれたホワイト達の前に現れた少女、この子は一体誰なのか!?
- 956 名前:833@短いの一本 投稿日:2005/09/06(火) 00:43:17 [ v1U7XdYg ]
- 「あ〜あ、やっぱり降ってきちゃったか……」
天気予報は信じていたし辺りが曇り空だったのも確かだった。
しかしちょっと買い物に行くくらいの時間なら大丈夫だろう。
そんな希望という名の予測は見事に外れ、帰り道の途中に突然の雨に襲われた。
「傘持って行けば良かった」
最初は体に当たる雨の中、ペースも変えずにボヤキながら歩いていた。
ところが雨脚はいっそう強くなる。まだまだ家までの距離はある。
「雨宿りしてこっと……」
左手のビニール袋を激しく揺らしながらなぎさは橋の下まで全力疾走する。
人気の無い暗い橋の下へと駆け込む。
「ふぅ……」
橋を支える太い柱に寄りかかるとなぎさは安堵の息をつく。
濡れた自分の体を拭こうにもハンカチなど当然持ち歩いていない。
イヌのように頭を振って髪についた雫を振り払う。
「はぁ…、ついてないなぁ……」
自分の不運を恨みながら、なぎさは溜め息をつく。
目の前の川が勢いを増して流れる音、道路を走る乗用車が水溜りを走りぬける音。
強い雨が地面を叩く音。
と、そこに突然新たな音が加わる。水溜りの中を誰かが走る音。
音がどんどん大きくなっていく。どうやら誰かがこっちの方向へと来ているようだ。
その誰かはなぎさに気づかない様子で息を切らしながら橋の下へと走りこんできた。
「なぎさ……?」
「ほのか?」
偶然の出会いというやつであろうか。とにかくなぎさの目の前に立っていたのは、
他ならぬ雪城ほのかであった。
濃紺の髪を雨の雫が垂れ大人びているほのかの容姿をより美しく魅せた。
水に濡れるほのかの顔と体になぎさは思わず目を奪われてしまった。
ほのかの服装は更に刺激的だった。
体のラインがハッキリとわかるほどに透けてしまっている。
なぎさの視線など気にしないようにほのかはハンカチで濡れた髪を拭いている。
突然ほのかと目があってしまった。なぎさは慌てて目を逸らす。
「はい、なぎさ」
「え?」
突然声をかけられてなぎさは戸惑う。
ほのかがハンカチを渡してくれたのだということに気づくのに数秒かかった。
「あ、ありがとう」
ハンカチを受け取りなぎさも自分の濡れた髪を拭き取る。
ハンカチを返してしまうと暫く二人は無言だった。
なぎさは空を見上げた。灰色の空が一面を覆っていた。
「偶然……だよね」
「え?」
隣で同じように壁に寄りかかっていたほのかが口を開いた。
「買い物してたの?」
左手に下げたビニール袋を見つめながら尋ねてくる。
「うん、ほのか?」
「私は…、何となく散歩をしてたら……」
「そっか……。雨、すぐ止むといいね」
「にわか雨だから、すぐに止むと思うんだけど」
会話が途切れると二人はまた無言だった。
それでも先ほどとは違って、時たまお互い顔を合わせると微笑んだりそんなことを繰り返していた。
「くしゅん」
雨音とは違う音が無言の空間に響いた。
なぎさが横を向くと、ほのかが下を向いていた。とても小さなくしゃみでほのからしいと感じた。
なぎさは自分が着ていた上着を脱ぐとそれをほのかの肩から掛ける。
「なぎさ……?」
困惑した表情でほのかがなぎさを見つめる。
「遠慮しないで。風邪ひいちゃうよ」
「でも……」
「いいから。あたしは大丈夫だから」
「ありがとう……。あの、なぎさ……。その、もっとこっち来てくれるかな」
ほのかは微笑んでなぎさの手をくいと引っ張る。
なぎさも応えるようにほのかに近づき体を寄せる。
羽織った上着の半分をなぎさの肩にかけるようにほのかがなぎさに体を寄せる。
「こうすれば、二人とも暖かいよね」
もちろん既に随分と濡れてしまっている上着が暖かいわけが無い。
しかし二人の重なる体を通じ互いの体温が体を温めあっていたいるのだった。
二人はただ無言で体を温めあった。
「雨、上がったね……」
灰色の空から一筋の太陽の光になぎさが目を細めながらが差し込む。
「通り雨だったみたいね」
「ああ、良かった……くしゅん」
ほっと一息ついたなぎさから油断したのか小さなくしゃみが一つ。
声に出さずに笑いながらほのかは羽織った上着をなぎさの肩にかける。
背後から右手、左手にほのかに腕を通し上着を着せてもらう。
「ありがと……」
照れくさそうな様子でほのかにお礼を言う。
突然ほのかがなぎさの手を握った。
「!」
握られた手を通じてほのかの体温がなぎさに伝わる。
「途中まで一緒に行かない?」
「うん。行く」
ほのかの手を握り返し満面の笑みを浮かべる。
雨上がりの道をなぎさとほのかが二人で歩き出した。
- 957 名前:全てはここから始まった 投稿日:2005/09/07(水) 10:37:48 [ rhj/FxbM ]
- プリキュアとジャアクキングの戦いは終局に達しつつあった。
双方の光の力と闇の力がぶつかり合った時にそれは起こった。
突如として謎の映像が双方の脳内に直接映し出される・・・
?「敵は我々の宇宙を飲み込もうとしています」
?「全ての攻撃は敵には通じません!」
?「最後の攻撃・・・ビッグバンの命令を!」
?「ビッグバンは成功だ!敵は崩壊している!」
?「しかし敵は無限だ!いずれビッグバンの爆発力も弱まる、それまでに敵の核を見つけて攻撃せねば」
?「私は次の攻撃の準備を!」
?「私は・・・原始的だが分子構造体を食い見合わせ、敵を攻撃する生物を作り出す!
我々のような意識体ではなく、、己ら同士が食い合う種が良い!
破壊せよ!同胞を殺せ!武器をつくり上げよ!
兵器を使い宇宙を消滅させる機械の化け物でもいい!
闇の力で世界を食う魔物が生まれてもいい!
光の力で全てを破壊する二人組の破壊神でもいい!」
?「しかし、そいつらには自滅すると言うリスクが付きまとうぞ!」
?「かまわぬ!そしたらまた一からやりなおせばいい」
?「ビッグバンが収まるまでに作り上げろ・・・」
映像はここで終わったが、双方とも黙り込み、約10秒の間沈黙が続いた。
「こ・・・これは・・・?」
『わ・・・私は・・・、いや、この世に生きる全ての生命は兵器に過ぎなかったと言うのか?』
その時だった。永劫の昔、ビッグバンによって消滅した”敵”の欠片
(と言っても太陽系を覆いつくす程のサイズは有にある)が迫りつつあった。
これが彼らの新たな戦いの始まりだった。
”敵”にとっては光も闇も無い。この世に存在する全てが破壊対象なのだ。
終
- 958 名前:634 投稿日:2005/09/20(火) 00:18:03 [ A2ucTwdc ]
- 「大変だ!遅刻しちゃう!」
昼下がり、ほのかの目の前をスティックを片手に赤いユニフォームを着たなぎさが走り去っていく。
「ちょっと待って、どこ行くの!?」
だけどなぎさはほのかの声なんか聞こえないかのように先を急ぐ。
そして空き地から立ち上る光の道に吸い込まれていっちゃった。
「光の道?私もいってみよう」
面白半分になぎさを追いかけて光に飛び込むほのか。
たどり着いた場所は奇妙な姿をした生き物達が住む不思議な世界。
互いの名前を呼び合いながらラブラブぶりを見せ付ける黄色とピンクのぬいぐるみ。
スグ名前を忘れる老人。
番人のくせにちっとも番をしてない番人、etc…。
「ここってドコなの?…でも面白い!」
爆発する好奇心。
するとホラ、そこにネギが食べ物を持ってきて…
「え?私に?食べていいのかしら…悪い人には見えないし、頂こうかしら」
パクリ、モグモグ、ゴックン…
「あれ?体が縮んでく気が…。どうなってるホノ!?」
差し出された食べ物を一口食べたらさあ大変!ホノップルになっちゃった!
「一体どういう原理ホノ?ちっとも分からないホノ」
悩むホノップル。
そこに今度はキノコがお菓子を持ってきた。
またまたパクリ。すると体が元に戻っていく。
「不思議ね!面白い!…ってなぎさは!?」
ここでようやく本題を思い出したほのか。
慌てて周りを見渡すと、遠くの方に見慣れた背中が。
「待ってなぎさ!」
野を越え丘を越え、とうとう大きな宮殿にやってきた。
入口に消えるなぎさを追ってほのかも中に入ってく。
すると目の前には大きな宮殿に不釣合いな小さな金髪の女の子。
そして横にはなぎさの姿。
「あなたは?」
「私はひかり。この国のクイーン」
「王女様!?そんな人となぎさが何で…」
「ほのかさん。なぎささんは私が頂きました。諦めてください」
「え!?どういう事?」
「ゴメンね、ほのか。そういうワケだから」
「そういう訳って、ちょっとなぎさ!!」
「まあ縁が無かったと思って諦めるんだね」
「アカネさんまで!」
「と言う事なんで、ほのかさんには帰ってもらいます。ポルン!ルルン!」
「さあ一緒にくるポポ!」
「大丈夫。戻ったら全部忘れてるルル」
「イヤ放して…!なぎさ!なぎさ!!」
「なぎさ〜…なぎさ〜…」
「ほのか、どうしたんだい?」
「うん…お婆ちゃま!?ココって私の部屋?」
「何言ってるんですか、寝ぼけちゃって」
「私、宿題の途中で寝ちゃってたんだ…」
「フフ、なぎささんの名前をうわ言のように言うなんて、よっぽど怖い夢でも見たんですね」
「え!?私なぎさの名前言ってたの?」
「それはもちろん。でも、寝言でも名前を口にするなんて本当に仲が良いのね」
「もうお婆ちゃま!!」
「あらまあ赤くなっちゃって、フフ。…さて、これ以上お勉強の邪魔しちゃ悪いから、そろそろ行きますね」
部屋を去る祖母の背中を赤い顔で見つめるほのか。
やがてその姿が見えなくなると、クスッと一つ笑みをこぼし宿題の本に手を伸ばす。
「フフ、変な夢だった…これのせいかしら?」
そのタイトル、それは勿論『Alice's Adventures in Wonderland』。
「でも、ちょっと面白かったかな?」
そう笑顔で呟き静かに本を机の上へと戻す。
とその時
「ほのかー!来たよ!!」
と、おなじみの元気な声。
「なぎさ!待ってて、今行くから!」
ウキウキした足取りで玄関へ向かうほのか。
どうやら今日はこれから二人でお買い物らしい。
アレ?この続きも気になるけれど、どうやら時間が来たみたい。
と言うわけで、ほのかアリスの不思議なお話はこれにて終了。
- 959 名前:634 投稿日:2005/09/20(火) 00:30:02 [ A2ucTwdc ]
- 投下ついでに一言。
素晴らしい作品を投下していただいた皆様、感動と燃えそして萌えを有難う!
そして拙い自分のSSに感想を下さった皆様、こちらも本当に有難うございました。
以上このスレもそろそろ終わりを迎えるに当たってのお礼でした。
- 960 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/09/21(水) 22:25:21 [ fN7tO2nE ]
- いや閉鎖するとは書いてないし
スレが終わりそうなら新スレ立てればいいんだし
↓こっちのスレもあるしなぁ…
プリッキュア〜!
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/
- 961 名前:833@ 投稿日:2005/09/23(金) 02:16:52 [ HFgam4d6 ]
- 「それじゃあほのか、おばあちゃんは買い物に行ってくるからね」
「はい。行ってらっしゃいおばあちゃま」
「くれぐれも留守中にドアを開けて狼を入れたりしないようにね」
「は〜い」
ヤギのほのかはおばあちゃまの言いつけを守ることにしました。
そんな会話を盗み聞きする狼のなぎさ。窓の外からヤギのほのかを見つめます。
「へっへっへ。美味しいそうな奴だ、あたしが食ってやろう」
あーあーと発生練習をしてから狼なぎさがほのかの家のドアの前に立ちます。
「ほのか、おばあちゃまだよ。開けておくれ」
「あ、おばあちゃまだ。お帰りなさ〜い」
ヤギのほのかは狼のなぎさの演技にすっかり騙されてドアを開けてしまいました。
「はははははは。ヤギめ食ってやるぞ〜!!」
勢い良く狼のなぎさが家に中に飛び込んできました。
「やれるものならやってごらんなさい!」
しかし中にはマシンガンを持って身構えているヤギのほのかの姿がありました。
「え、え〜〜!? な、なにそれ! ありえない!!」
もちろんそんなことを知らない狼のなぎさは驚くばかりです。
すぐに方向転換して逃げようとします。
「ストップ!」
ヤギのほのかの声が響き渡ります。
「このまま黙って帰すとでも思ってるの?」
怪しい微笑みを浮かべるヤギのほのか。一方狼のなぎさは全く動くことが出来ない。
「こちらへいらっしゃい……」
笑顔で脅迫行為をするヤギのほのか。もちろん狼のなぎさは従うのみです。
「さぁ、おばあちゃまが帰ってこないうちに……」
「え、あれ?」
というわけでヤギのほのかと狼のなぎさはずっと一緒に仲良く暮らしたそうでした。
めでたしめでたし。
- 962 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/09/29(木) 00:37:32 [ JYot72cA ]
- なぎさは公園の片隅のベンチにゆっくりと腰掛けると、本屋の袋から買ったばかりのエロ漫画雑誌を取り出し、ひそやかに読み出した
「今週もエロい漫画が一杯だーー、どれから読もうかしらムフフッ」莉奈から薦められたエロ漫画雑誌を
買うようになってから、なぎさのエロライフは充実していた、だがしかし・・・・。
「なーぎさ、なに読んでるの?」ほのかだ!!いつの間に??
なぎさはとっさにエロ本のページを閉じた
「ああああ・・・ちょっ・・ちょっとさあ・・・」
なぎさが手に持っている雑誌のタイトルを確かめるほのか
「ふーーん。なぎさってば女の子なのにこんな本読んでるの」
「えへへへ・・・・一応将来のための勉強のつもりよ・・・」
なぎさは泣き出したい気分だった
「エッチなのね、ないぎさって」微笑むほのか
「ええ・・・エッチだなんてそんなの・・・ありえない・・・」
「エッチでしょ?エッチじゃなきゃわざわざそんな本、本屋さんで買ったりなんてしないもの
「えーーー?!もしかして、わたしがコレ買うとこ見てたのーーー?!」
頷くほのか
「ありえない・・・」涙ぐむなぎさに更に追い討ちが・・・
「藤村くんも一緒にわたしと見てたの」
その一言で凍りつくなぎさ
「うっ・・・そっ・・・」
「藤村くんね、どうして女の子がそういう本買うのかわからないって言ってたわ」
「やめて・・・」
「うふっ・・それでね・・」
「やめろって言ってんだよ!!!」なぎさ逆切れ
「ひゃううう?!」
「なあ、本当に藤P居たのかよ?嘘ついてるだろ?」
なぎさのいきなりの乱暴口調に動揺しつつ平静を保とうとするほのか
「いいい・・・居たわよ、一緒に・・・」
「証拠は?証人は居るのかよ?」
「証拠はないわ、証人って言ってもわたしだけですもの」
「なんやてー?そうや、ミップル!ミップル叩き起こさんかい!」
「ミップルは寝てました、なにも見てないわ」
「ええからミップル出しい!」ほのかのコミューンに触ろうとするなぎさ
「辞めてよーーー!ミップル寝てるのよ!乱暴なことしないでよなぎさーー!」
藤村のこととなると恥も外聞も友人もかなぐり捨てて暴走するなぎさ、だがしかし、それが彼女の本性なのだ
「なぎさのバカー!!エローーー!!すけべーーー!!ドスケベーー!!」
大声でわめき散らすほのか
「やめれーーー!!!周りに聴こえたらどうすんねーーん!!」
だがここは公園だ、ほのかの大声はまたたくまに周囲の関心の目を集めた
その中には藤Pの姿も
「あああーーーー藤P先輩がいるよーー」
かまわず叫び続けるほのか「ないぎさのヤリマーーン!変態!!」
こうしてほのかの叫び声は延々と続き、ないぎさは只呆然と見ているしかなかったとさ。
- 963 名前:833@ 投稿日:2005/10/04(火) 17:42:37 [ p3Ddc8bU ]
- 2005年10月9日(日)
ベローネ学院女子中等部桜組には多くの生徒が集まっていました。
そして今最後の一人が教室のドアを開けた。
ほのか「どうしたの、休みの日にわざわざ学校に来てなんて……」
莉奈「とりあえず雪城さんに用があってね」
生徒一同を代表して莉奈が答えます。
ほのか「それに、明日なぎさに渡す誕生日プレゼント持ってきてなんて」
莉奈「持ってきてくれた?」
ほのか「ええ、一応」
右腕にかけた手提げ袋から小さな箱を取り出す。
莉奈「よかった〜。………ごめんね」
ほのか「え?」
風を切ったかと思わせるような音が教室に響きます。
莉奈の拳がほのかの鳩尾を撃ち抜き、ほのかは気絶して倒れてしまいました。
ほのかは一体どうなってしまうのでしょう……。
……………
夏子「わぁ〜、噂にたがわぬ綺麗なお肌」
京子「白くてスベスベしてる。雪城の名前の通りだ」
唯「随分と高そうな下着つけてるのね」
莉奈「こらこらとっとと準備するの!」
一同「は〜い」
聖子「髪はどうする?」
志穂「そのまんまでいいんじゃない?」
莉奈「化粧は念入りに頼むわよ」
千秋「こっちは終わったわよ」
真由「服のサイズぴったり」
それが終わると次は大作業。四人がかりで準備に取り掛かります。
莉奈「雪城さんって……」
志穂「凄く凄く凄く体重軽いね……」
夏子「でも入って良かったね」
京子「さぁ、さっさと花も詰めちゃいましょう」
今度はその場に居る全員で作業します。
唯「なんかお葬式みたいね……」
聖子「縁起でも無いこと言わないの!」
千秋「静かに! 雪路さんが起きちゃう」
聖子「ご、ごめん……」
真由「大体こんな感じでいいんじゃないかな」
莉奈「よっしゃ、じゃあフタ閉めて」
そして電話で本日の主役が呼び出されました。
……………
なぎさ「休日に学校に呼び出すなんてどうしたの?」
制服に身を包んだなぎさが教室に入ります。
莉奈「明日は休みでしょ。だから先にお祝いしようと思ってね」
なぎさ「え……?」
「なぎさ、お誕生日おめでとう!!」
その場に居た全員がクラッカーを鳴らし祝福する。
なぎさ「み、みんな……」
驚きのあまりなぎさは声も出せません。
でもとても嬉しそうな笑顔です。
莉奈「そしてあれがみんなからのプレゼント」
なぎさ「わぁ〜、凄く大きい箱! 本当に良いの?」
志穂「いいのいいのいいの。なぎさの誕生日なんだから。さぁ開けてみて」
人一人入りそうな大きな箱のフタをなぎさが開けます。
なぎさ「!!」
が中に入っていたものを見た時なぎさは声を出すことが出来ませんでした。どうしてでしょう。
その場に居るみんなもただなぎさをニヤニヤ笑いながら見つめるだけです。
なぎさ「こ、これは……」
箱の中にはウェディングドレスを着たまま眠っているほのかが居たのでした。
なぎさ(い、生きてるよね……)
確認するために額に手を当ててみます。ヒンヤリとしてはいるけど生きている人間の体温でした。
なぎさ「ほ、ほのかぁ〜……」
ほのかを起こすために頬を何度か叩いてみます。
でもほのかが目を覚ます様子はありません。
唯「なんか白雪姫みたいね」
唯がサラリととんでもないことを言ってのけます。
一同「それだ!!」
みんなが一斉に叫びました。
なぎさ「ちょ、し、白雪姫って……まさか……」
莉奈「その通り。覚悟を決めなさいなぎさ」
背後から座っているなぎさの顔を押します。
なぎさの顔とほのかの顔の距離が徐々に近づいていきます。
なぎさには背後の莉奈を払いのけることが出来ません。
とうとう二つの唇の距離が10センチも無いほどになってしまいました。
なぎさ(ごめん! ほのか!)
迷いに迷ったなぎさでしたが、どうにでもなれとほのかに口付けをしてしまいます。
なぎさ「……………」
ゆっくりと顔を離してほのかの顔を見つめます。
ほのか「ん、なぎさ……」
ほのかが目を開けて呟いた。
一同「おお、雪城さんが起きた!!」
唯「なんか本当に白雪姫みたい。なぎさが王子様ね」
サラリと唯がまた凄いことを言ってのけます。
ほのか「なぎさ……、私どうしたの?」
なぎさ「え? いや、その……」
周りの女の子達はみんな二人を祝福する準備をしています。
さんざん悩んで、なぎさは言ったのでした。
なぎさ「おはようございます。お姫様」
そう言うともう一度ほのかに口付けをします。
そして王子様とお姫様は結ばれ、幸せに暮らしましたとさ。
- 964 名前:833@ 投稿日:2005/10/04(火) 17:43:16 [ p3Ddc8bU ]
- なぎさの誕生日ということでこんなものを書いたみたりするのだった。
- 965 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/10/04(火) 17:47:12 [ gqcnP3qE ]
- 莉奈つええwwwwwwwwwwwwwwwww
- 966 名前:59 投稿日:2005/10/04(火) 22:32:40 [ fKHlO2CA ]
- 久々に来てみた
>莉奈の拳がほのかの鳩尾を撃ち抜き
禿藁w
- 967 名前:予想係(呑気) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/10/15(土) 03:17:25 [ KAkZVZhU ]
- 気がつけば 何も書かずに もう7週
ゲームをしている 場合じゃないね
実はエロ書こうとして挫折して凹んでいたのは ここだけの(ry
タイトル
「色々な秋」
3レス専有。
- 968 名前:予想係(01/03) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/10/15(土) 03:18:49 [ KAkZVZhU ]
黄昏れる夕暮れ時。
今日は珍しく、なぎさと ほのかと ひかりが三人 揃って下校している。
街並みは すっかり秋めいて、目に付く落葉樹は軒並み すっかり紅葉していた。
「イチョウやカエデが こんなに色付いて…、キレイですね」
しんみりと そう言う ひかりにとって、『紅葉の秋』は初めての経験である。
「ホントねぇ。
このところ朝晩 冷え込むようになってきたから、一気に紅葉が進んだのかしら?
そういえば空も こんなに高いし」
カエデの木と空を見上げながら、ほのかは自らの博識さ を確かめるように そう答えた。
「天高く、アタシ肥ゆる秋。 なんちて。
カエデと言えばメープルシロップだね。 うーん、ホットケーキも捨て難い…」
…風情よりも食い気に走るのは、言わずと知れた なぎさである。
「肥えるのは馬でしょ。 相変わらず、なぎさったら『食欲の秋』なのね」
「ちっちっち、そこは『味覚の秋』と言って欲しいなぁ。
食欲だったら年中無休、でも秋には秋しか食べられない味があるから…」
「『未確認の秋』、ですか?」
「そうそう。
秋になると得体の知れない物が空を飛んだり、
ありえない生き物が あちらこちらに出現したりして…。
…って、違う違う!」
ひかりの天然ボケな発言に思わずノリツッコミしてしまう なぎさであった。
「味覚よ、み・か・く! 秋には おいしい食べ物が たくさん出回るから、
それを いただいて楽しむのが味覚の秋よ」
「あ〜、『グルメの秋』の事ですね!」
「ん まぁ、そうとも言うけど…」
ほのかの補足を聞いても ひかりは何となく ややズレた発言をしているが、理解の方向は
間違っているわけでもなく、なぎさも ほのかも それ以上は敢えて修正しなかった。
「…やっぱり秋と言えばサンマに牡蠣(かき)、果物も柿、ブドウに栗、サツマイモ」
「それって、全部 今が旬ね」
「秋の おいしい物を食べようと思ったら、この くらいは知ってないとね。
まずは石焼き芋、モンブランにフルーツタルト、アップルパイも良いし…。
秋の味覚は全部 制覇したいけど、正直 迷う!」
「さすがに石焼き芋は TAKO CAFE には置いてませんが」
「それなら大丈夫。 移動販売の おじさんが この辺りに来るから…」
すると、どこからともなく「いーしや〜きぃいもーぉ〜!」と声が響いてくる。
どうやら住宅街の中を軽トラで ゆっくり移動しているらしい。
「おっと、噂をすれば。 ほのかも ひかりも、一緒に どう?」
「私は ちょっと用が有るからパス。また今度という事で」
「私も お店の手伝いが有りますので、今日の所は遠慮させて いただきます」
ふたりとも つれない感じではあるが、だからといって無理強いも出来ない。
「そっか、残念だけど一人で行きますか。 じゃあ、また あした」
「うん、また あした」
「なぎささん、さようなら」
手を振って別れた なぎさは、石焼き芋に向かって足早に走り去った。
なぎさと別れて少し歩いた後、ほのかが振り返って ひかりに声を掛ける。
「それじゃ ひかりさん、私 図書館と本屋さんに行くから この辺で お別れね」
「図書館…と言う事は、ほのかさんに とっては『読書の秋』ですか」
「うーん、ちょっと違うかな? 敢えて言うなら『知識欲の秋』ね。
知りたいと思った事の全てが、本の中に在るとは限らないから。
じゃあね、ひかりさん」
「はい。 さようなら、ほのかさん」
軽く おじぎして、ほのかは しずしずと歩き去る。
一人 残された ひかりは何となくだが、寂しい思いを感じた。
- 969 名前:予想係(02/03) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/10/15(土) 03:20:00 [ KAkZVZhU ]
「アカネさん、ただいま」
「おかえり、ひかり。今日は結構 混んでるから早めに準備して」
「はい」
TAKO CAFEに着いた時にはテーブルの席が殆ど埋まっている状態であり、
アカネさん一人では全く手が足りてないのが見て取れた。
ひかりはカバンを置いてエプロンを着け、身支度を整えてから念入りに手を洗う。
「アカネさん、ちょっと いいですか?」
「ん? なーに?」
ひかりが手を洗いながら話し掛け、アカネさんは たこ焼きを焼きながら答える。
「秋になったら、なぎささんや ほのかさんのように
色々な事を やらなくては いけないのでしょうか?」
「どういう事? それ」
「なぎささんは『味覚の秋』、ほのかさんは『知識欲の秋』、
…そういえば奈緒や美羽は『今年は恋愛の秋』だとか言ってました。
秋になったら みんなが色んな事を やっているみたいで、
私も何かを やらなくては いけないような気がして ならないんです」
「そりゃ、秋と言えば『スポーツの秋』とか『行楽の秋』とか『芸術の秋』とか、
色々在るだろうけど…。 ひかり、何か やりたい事でも有るの?」
逆に問われて考え込んでしまった。
自分が この秋に やってみたい事など有っただろうかと。
水を止めて五秒、しかし何も思い浮かばなかった。
「…いえ、これといって特に何も」
「だったら別に いいじゃない」
アカネさんは優しく言い切った。
「…自分が やりたいと思った事を やりたいように やるのが一番。
焦る必要は無いし、誰かの やり方に無理矢理 合わせる必要も無い」
「そのようなもの なのでしょうか?」
「そんなモンだよ。 ほら、注文取り行ってきて」
「は、ハイ!」
何となく納得しかねた ひかりだったが、無駄に考え込んでいても しょうがないので、
ひとまず店の手伝いに勤しむ事にした。
それから数日が経った ある日の放課後。
なぎさと ほのかが TAKO CAFE に来ていたが、椅子に座るなり ぐったりとしている。
注文された たこ焼きと紅茶を持ってきても まだテーブルに突っ伏しているので、
心配になった ひかりは いたわるように声を掛けた。
「あの…、おふたりとも お疲れのようですが、大丈夫ですか?」
ひかりの声で漸く なぎさが気付き、のそっと顔を上げて たこ焼きを受け取ると、
疲れが みなぎるような声で答えた。
「だいじょうぶ よぉ〜…、たこ焼き食べれば元気十倍」
「そこは百倍…じゃなくて、梅干し じゃ、なかったかしら…?」
語る言葉に全く力が籠もらず、ふたりとも気が抜けたような口調だ。
ほのかのツッコミも的外れというかキレが無く、紅茶を受け取りつつ
両目の まぶたを押さえていた。
「いったい どうなさったのですか?」
「いやぁ、最近 甘い物ばっかり食べてたせいか胃もたれ気味なの。
それで甘くない物が欲しくなって、今日は たこ焼きを」
言いつつ なぎさは ゆっくりと噛み締めるように たこ焼きを頬張った。
「私は ちょっと眼精疲労かも。
来週までに30冊 読みたかったけど、今日は科学雑誌一冊だけ」
ほのかの方は、下まぶたを摘んで目薬を一滴 落とし、両目へ順番に さしている。
「アンタたち、幾ら秋だからって身体 壊すまで頑張って どうすんの?
『過ぎたるは及ばざるが如し』って言うじゃないか」
客足が一段落し、ワゴンの中から出てきたアカネさんが なぎさと ほのかの暴走ぶりに
心を痛めて そう口を挟んできた。
「まったく おっしゃるとーりで…」
「ぐぅの音も出ません…」
耳の痛いアカネさんの一言に、なぎさも ほのかも肩を落として猛烈 反省モードである。
- 970 名前:予想係(03/03) ◆suhNYcMgTU 投稿日:2005/10/15(土) 03:21:18 [ KAkZVZhU ]
「…ところで、アカネさんと ひかりは この秋 何か やってるんですか?」
「何か? そうねぇ…」
問われて思案するアカネさんと一度 顔を見合わせ、ひかりが代わりに答えた。
「ここ何日か、秋には何を すべきかについてアカネさんと議論していたんですが、」
「最終的に一つの結論に達したんだ」
「結論?」
訝しがる なぎさに対して うむと頷き、アカネさんは真面目な顔で述べた。
「私たち商売人にとって、秋とは在っては ならないものだと」
「商い(あきない)な だけに」
それを聞いた ほのかは飲んでいた紅茶を吹き出しそうになる程の勢いで むせ返り、
なぎさは頬杖ついていた手が すっぽ抜けてしまった。
「だって店の席に空きが在っては困るしさ、」
「味に飽きが きても困ります」
「とにかく、お客さんに厭きられない様にする為に日夜 頑張るのが
私たちに とっての秋なんだな」
「そういう事です」
「それじゃ ひかり、冬に向けて新メニューの開発を始めるよ」
「はい、アカネさん」
そう言ってアカネさんは ひかりを伴ってワゴンの中へと戻っていく。
駄洒落のような言い回しを耳にして、なぎさと ほのかは すっかり呆れてしまった。
…そんな所で、「あき」の話は これにて おしまい。
- 971 名前:833@ 投稿日:2005/10/15(土) 16:34:21 [ F06USkvI ]
- うーむ、言葉遊びが巧みで面白いですな。GJです。
- 972 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/10/15(土) 18:06:36 [ 8ktYG56A ]
- GJです。
そのまま本編のアバン〜Aパート序盤に持ってこられそうなお話ですな。
最後の「呆れてしまった。」にもしっかり「あき」が使われているし、お見事です。
- 973 名前:833@ 投稿日:2005/10/24(月) 18:53:38 [ r44To2ZQ ]
志穂「なぎさなぎさなぎさ。漢文の予習やってきた?」
なぎ「ちっともやってないよ」
莉奈「大丈夫なの〜? 今日確かなぎさが当たる日でしょ?」
なぎ「大丈夫。あたしには秘策があるんだから」
志莉「秘策?」
余裕の笑みを浮かべるなぎさを不思議そうに見る志穂と莉奈であった。
先生「はい、それじゃあこの問題を解いてください」
国語の授業、担任のよし美先生が問題を解くように指示する。
先生「それじゃあ今日はこの列の人に一番から順に解いてもらおうかしら」
先生は授業の日によって指定する列が決まっている。
そのため生徒はあらかじめ自分が当たる日には予習をするようになっているのだった。
ところがなぎさは今日も予習をしていない。
なぎ(ああ、もう。漢字ばっかりでマジ意味わかんない!)
あっさりと自力で解くことを諦めてしまうなぎさ。
無論答えは出ていません。現代語訳問題故に得意の勘で答えを出すことも出来ません。
となぎさは鉛筆で机をタンタンと叩き出しました。
クラスメートはみんななぎさが必死になって考えている。と受け止めたようです。
しかしその音にたった一人だけ違う反応を示す人が居ました。親友の雪城ほのかです。
なぎさはほのかのほうをチラッと見つめると続いて机の上を鉛筆で叩いたり、滑らせたりして
トンという音とカーという音、そして机の角を繰り返し叩いて音を出します。
ほの(・・・−− ・・−− −−−− −・ −・−−− ・−・ −・−・(3の答え教えて))
ほのかは一度呆れたような溜め息をついた後に鉛筆で机を叩いて返事をする。
なぎ(くんしはいつたゆりのはながさいている……)
ノートとにらめっこをしながら平仮名の文字の羅列を漢字に変換していく。
なぎ(君子は言った「百合の花が咲いている」ね!)
一つの解答を完成させたなぎさがほのかのほうを見ながら再び鉛筆で机を叩く。
ほの(ありがとうほのかだいすきだよ……)
ほの「………!!」
なぎさはほのかを見ているが、ほのかは慌てて目を逸らしてしまった。顔も真っ赤である。
不思議そうにほのかを見つめるなぎさ。一方ほのかも照れながら鉛筆で机を叩く。
なぎ(わたしもだいすきよなぎさ……)
なぎ「!?」
先生「美墨さん!」
なぎ「は、はい!」
先生に言われて何もわからぬままになぎさが立ち上がります。
先生「3番の答えは?」
なぎ「え! え、えーっと、私も大好きよなぎさ……じゃなーーーーーーい!!」
なぎ「え、えとえとえとえと……。君子は言った「百合の花が咲いている」です!」
先生「はい、その通り。よく出来たわね。でも立って答える必要は無いのよ」
なぎ「え? ……あ、はい、すみませんでした」
クラス中が大爆笑に包まれる中、なぎさは恥ずかしそうに着席するのでした。
そしてそんななぎさにさり気無く疑惑の視線を向ける志穂と莉奈が居るのだった。
授業終了後、なぎさとほのかはベランダに出て話をしているようです。
ほの「なぎさ〜、こんなことに使うためにモールス信号教えたわけじゃないのよ」
なぎ「それはわかってるけど今日のは予習してもわからなかったからどうしようもなかったんだって」
ほの「本当に?」
なぎ「本当に本当。それよりほのかも酷いよ。いきなりあたしを驚かせるようなこと言わないでよね」
ほの「あ、あれはなぎさが……」
なぎ「あれは、あれはほんのお礼のつもりで言ったのであってね」
ほの「わ、わかってるってばぁ……」
再び顔を赤くして二人は押し黙ってしまうのであった。
そのまま気まずい状況だったがチャイムが鳴り次の授業の開始が告げられた。
そんな二人に授業中に鉛筆で机を叩くことが禁止という規則が伝えられるのは二日後の話……。
おしまい
- 974 名前:833@おまけ 投稿日:2005/10/24(月) 18:54:49 [ r44To2ZQ ]
なぎ(どうしよう全然わかんないや……)
先生の視線はこっちを向いていない。チャンスは今しかない。
ルールを破る覚悟と決意を持ってなぎさが行動を起こす。
なるべく大きな音を立てないようになぎさは机の上を鉛筆で叩く。
そしてほのかもすかさずその音に反応する。抜群のコンビネーションである。
ほの(問四の答え教えて……。はぁ、仕方ないなぁ……)
普段なら自分でやらなければ意味が無い。と断るところだ。
しかしここ一週間ほどなぎさが自分と一緒に真面目に勉強していたことを知っているだけに断りにくい。
今回だけは助け舟を出そう。ほのかの仏心が救いの手を差し伸べるべく鉛筆で机を叩き始める。
なぎさが思い切り手を振っている。しかしほのかはなぎさが何を言いたいのか気づかない。
なぎさが「あっ」と声を出したときには既に遅かった。
ほのかの斜め後ろには腕組をした姿勢でよし美先生が仁王立ちをしている。
先生「何をしているのかしら……」
ほの「あ、いえ、これは……」
先生「廊下に立ってなさい!」
ほの「は、はい……」
先生「美墨さん、あなたもよ!」
なぎ「は、はい……」
しょんぼりとした様子でなぎさとほのかが教室を後にした。
広く寒い廊下には今なぎさとほのかの二人だけしか居ない。
なぎ「ごめんねほのか…、あたしのせいで」
ほの「ううん。私が悪いんだから、自業自得よ」
なぎ「ほのか…」
なぎさが呼びかけると突然両肩を掴み顔をじっと見つめる。
ほの「な、なぎ」
なぎ「しゃべらないで!」
何かを言いたそうなほのかを黙らせてじっと見つめる。
ほのかも黙ったままなぎさの視線を受け止める。
なぎ「うん、わかった」
なぎさがほのかの両肩から手を離す。
ほの「どうしたの?」
なぎ「ほのかの今考えていることがわかったの」
ほの「え?」
なぎ「やっぱりモールス信号はダメ。あたしとほのかは目を見ただけで考えることがわからなきゃね」
ほの「………はぁ」
なぎ「何で溜め息つくのよぉ。今からほのかの考えてること当ててあげるからね!」
ほの「何?」
なぎ「ほのかは今お腹がすいてるから早くお弁当の時間にならないかなぁ〜って思ってるでしょ!」
ほの「0点。それはなぎさの思ってることでしょ?」
なぎ「う……、その通り。それじゃあ寒いから早く教室に戻りたいって思ってる?」
ほの「まだまだ40点」
なぎ「降参。ほのかは今何て思ってるの?」
ほの「寒いけれど、なぎさが手を握ってくれたら平気って思ってるの」
なぎ「………」
ほの「私はなぎさの目を見たら考えてることわかるのよ、そんなのありえないって思ってるでしょ」
なぎ「すご〜い、大当たり」
ほの「それで今は……、もぅしょうがないなぁほのかは……って思ってるでしょ♪」
なぎ「…………ずるいよそんなの」
そうぼやきながらなぎさはほのかの手をがっちりと握り締めるのであった。
ほの「温かいね…」
なぎ「うん…」
廊下での二人だけの一時はそうして過ぎていったのでした。
- 975 名前:833@ 投稿日:2005/10/24(月) 18:56:05 [ r44To2ZQ ]
- とまあ埋めついでに久しぶりのSSを投下してみました。
百合未満のSS書いたのは随分と久しぶりですな。
- 976 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/10/25(火) 23:18:45 [ o0virfBg ]
- >色々な秋
春夏冬と書いて、秋が無い→あきない→商い
ですな。プリMHと綺麗に絡めてて上手いね。さすがです。
>973
なぎほのモールス信号…うーん…でもMH見てると
電子工作なんかをほのかがこなすからなぁ…知識はあってもおかしくないか。
>974
のオマケ萌えますた(;´Д`)
あからさまに百合百合しなくても十分萌えは伝わります
こういう方が、自分は好きかも。GJです。
- 977 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/10/26(水) 19:49:21 [ U.ZkdHEQ ]
- とんとととんとん――ほのか今日ヒマ?
ととととんとんと――何も予定は無いよ
とんとんとんとと――今日、家に来ない?
とんつーとんとと――どうして?
ととんとんとんと――お勉強教えて
とんとんとんっと――また居眠りするくせに
ととつとととつー――疲れてたの!
とんとんとんとん――かわいい寝顔だったよ
とんとととっとと――今日誰も居ないんだ
ととんとんつーと――誘ってるの?
とんとととんとん――今夜は眠らせないよ
ととんつーとんと――なぎさのえっち
その時、桜組の机が一斉に音を立てる
どんどんどんどんっどどんどどん!!――いい加減しろこのバカップル!
よし美先生が黒板をチョークで叩く
コツコツコンコツコンコンコン!!――美墨さん雪城さん廊下に立ってなさい!
- 978 名前:833@ 投稿日:2005/10/27(木) 02:50:24 [ VFyIJRhs ]
間もなく電車が参りますというアナウンスが駅のホームに響いた。
「20分待つのって長かったね」
「うん。目の前で発車されて次の電車が20分後なんて本当ありえない」
なぎさとほのかは二人きりで帰りの電車を待っていた。
時刻は五時を過ぎたばかりというのに既に空は暗く染まり道の街灯が点火されているようだ。
駅のホームの椅子になぎさとほのかは隣同士に腰掛けている。
「夕方なのにもう随分暗くなっちゃったね……」
「秋の日はつるべ落としって言うからね」
「……何それ?」
「そういう諺があるのよ」
「へぇ〜」
ほのかと一緒に話をしているから早く時間が過ぎてしまった…。
なぎさはそんなことを思いながら自分達の目の前で止まる電車を見つめていた。
「行こう、なぎさ」
ほのかが先に立ち上がり電車に向けて歩き出そうとしていた。
ギュゥッ……
無意識に無言で、なぎさはほのかの手を握りしめていた。
「あれ…?」
自分が何をしたのかわからないといった様子でなぎさはほのかを見つめた。
「なぎさ……?」
ゆっくりとほのかがなぎさの方を振り返る。
何故かほのかの顔を正面から見ることが出来なくて…、なぎさはそのまま俯いてしまった。
電車の発車する音、ドアが閉まる音、ゆっくりと走り出す音。
ガタゴトという音を鳴らしながら電車は二人の目の前を走り抜けていってしまった。
一度手を離してほのかは再びなぎさの横に腰掛ける。
「なぎさ、次の電車が来るのって何分後だっけ?」
「20分待ち…。この時間は電車少ないから…」
「そっか……短いね」
「うん……、あっという間だと思う…」
隣同士に座る二人は当然のように手を握り合った。
もう少しだけ…、もう少しだけ一緒に居たい…。
せめて今、電車が来るのを待つだけのこの時間だけでも……。
- 979 名前:833@ 投稿日:2005/10/27(木) 02:51:09 [ VFyIJRhs ]
おまけ
「この時間帯の電車って混んでるね」
「仕事帰りの人が多いからね」
満員電車に近いような人口密度の中に二人は放り込まれている。
「なぎさ、立ってるなら何かに掴まないと危ないわよ」
「大丈夫大丈夫、あたしはスポーツやってて平衡感覚抜群だから。それよりほのか吊り革使っていいよ」
「ん、ありがとう」
ほのかは電車の端の吊り革を掴み、なぎさは持ち前の平衡感覚でほのかの真正面に立った。
二人は暫くの間、他愛も無い話をしていた。
キキィッ、ガタンッ!
突然電車に急ブレーキがかかり大きく揺れた。
「きゃあっ!」
吊り革を掴んでいたほのかは少しバランスを崩した程度で済んだが、
ただ立っていただけのなぎさは思い切りバランスを崩してしまう。
周囲のサラリーマンの人に激突しながらほのかに雪崩れかかる。
結果としてなぎさがほのかに正面から抱きつくような形になってしまった。
「ご、ごめんほのか!」
「う、ううん大丈夫」
そっとなぎさを肩を押してなぎさの姿勢を元に戻す。
なぎさも愛嬌のある笑顔で周囲の人々にすみませんと謝っているようだ。
「なぎさ、ちゃんと吊り革に掴まったほうがいいわよ」
「ん〜、でもどこも空いてないし、大丈夫だよ」
「…………」
無言でほのかがなぎさの手を掴み吊り革を掴む自分の手でそっと重ねる。
「ほ、ほのか!?」
「こうやって二人で一つを使えばいいのよ」
「ちょっと恥ずかしいな……」
「私は大丈夫。だからいいでしょ?」
「ごめんねほのか。あたしの手汗ばんでるから気持ち悪いでしょ」
「そんなことない。なぎさの手……、なぎさの温もりが伝わってくる」
「あたしも…、ほのかの温もりがほのかに伝わってくる……なんちゃって…」
「うふふ、なぎさってばぁ…」
「あはは……」
吊り革の上に重ねた手。
電車の中での一時、幸せ一杯人一杯な一時……。
- 980 名前:833@ 投稿日:2005/10/27(木) 02:52:53 [ VFyIJRhs ]
- >>978
「待っている時間は……」
>>979
「幸せ一杯人一杯」
という題名です。そろそろこのスレも終わりかな。
何か最近急に純愛ネタに開眼しつつあるw。
- 981 名前:634 投稿日:2005/10/27(木) 23:57:23 [ rhtO9oX6 ]
- 明日は課題の提出日。
なので今日は朝からほのかの家で最後の追い込み。
カリカリカリ
カリカリカリ…
机に向かう二人から聞こえてくる鉛筆を走らせる音。
カリカリカリ
カリカリカリ…
カリカリカリ
ひゅーひゅるる…
「…?」
急に混じってきた聞きなれない音にほのかが顔を上げる。
すると、そこにはスヤスヤと気持ち良さそうななぎさの姿。
「もう、しょうがないんだから…」
そんななぎさの寝顔に苦笑いを向けて、ほのかが再びノートに向かおうとした時―――
「ほのかぁ…」
自分の名前を呼ぶなぎさの寝言。
思わずウキウキして、私の名前を呼ぶなんてステキな夢だといいな…なんて考えていると再びなぎさがつぶやいた。
「大好き…」
カラン……
ほのかの手から鉛筆がこぼれ落ちる。
―――なぎさ?今なんて…?
ドキドキと高鳴る胸の鼓動を抑え心の中で問いかける。
するとその声が聞こえたのか、なぎさがもう一度
「んん…大好き…」
ドキドキドキドキ…もう大変。勉強どころじゃなくなった。
健やかな四肢も、亜麻色の髪も、僅かに開いたピンクの唇も、見慣れているハズのなぎさの全てが愛おしくなる。
そして抑えていた想いが溢れてきて…
―――なぎさ、もうダメ…ゴメンね?
- 982 名前:634 投稿日:2005/10/27(木) 23:57:55 [ rhtO9oX6 ]
- 「…うん?あたし寝ちゃったんだ。ふぁ〜あ…」
目を覚まし、なぎさが大きく伸びをする。
そして横で何故か赤ら顔のほのかに話しかける。
「あたし、不思議な夢見たんだ…ほのかも出てきたんだよ」
「そ、そう…どんなのだったの?」
「うん、ほのかと並んで歩いてたらさ…」
―――だから私の名前を言ったのね
「ほのかが急にチョコレートになっちゃって」
―――ん?
「それがスッゴイ大きなチョコレートで、やった!だーいスキ!って飛びつこうとしたら」
―――んん!?
「逆にあたしの口めがけて飛んできたんだよ!ね、不思議な夢でしょ!?」
―――………
「それにしても、まだチョコが口に当たった感触が残ってる気がするよ……ってどうしたの、ほのか?黙っちゃって」
ああ勘違い。
さっきの行動が急に恥ずかしくなって来る。
そんなほのかのココロの内などモチロン知るハズもないなぎさ。唇にそっと指を当てて呟いた。
「でも、さっきの夢もう一回見たいな。だってその感触が、柔らかくてスゴイ気持ち良かったんだモン」
―――ドクンドクン…
その言葉に、熱い想いが再び湧き上がる。
「ねぇなぎさ…私がもう一度その感触を体験させてあげようか?」
「ホント!?やってやって!」
「フフッ、それじゃあ目を閉じてみて…」
「こう?」
「うん。じゃあ行くよ―――」
―――おしまい
- 983 名前:634 投稿日:2005/10/28(金) 00:06:54 [ ae4uCdL2 ]
- ついでに微笑ましいのをもう一個。
21禁板に投下したヤツだけどコッチに転載しとく。※エロなし
- 984 名前:634 投稿日:2005/10/28(金) 00:07:28 [ ae4uCdL2 ]
- 「はい、じゃあ73ページを開いて…」
教室に響くよし美先生の声。
続いて聞こえてくるは、一斉にぺラぺラとページをめくる音。
モチロンなぎさもほのかも皆と一緒にペラペラペラ…。
「今日は俳句について勉強します。まずは皆さんご存知の松尾――」
ペラペラが終わり、教科書片手に授業を再開するよし美先生。
しかしそんな言葉などどこ吹く風。なぎさの興味は最早次のページへと移っている。
(誰このオジサン?高浜虚子…きょこ?女の人みたいな名前付けられてカワイソウ…)
などと情けないコトを考えながら何気なくページを眺めていたなぎさ。
しかし突然その目が一つの句に吸い寄せられる。
―――白牡丹と いふといへども 紅ほのか
『ほのか』…その文字になぎさが目を輝かす。
あはっ、ほのかだって!
この句の意味はよく分からないけど、きっとイイ句だよ。
ウン、間違いない!だって『ほのか』って入ってるんだもん!
『ほのか』か…ほのか、今何考えてるのかな?
あたしと違って真面目に授業のコト思ってるんだろうな…。
でもひょっとしたらあたしのコト考えてたりして!?…なんちって。
マサカね…。
―――ちらっ
・ ・ ・
「今日は俳句について勉強します。まずは皆さんご存知の松尾――」
ペラペラが終わり、教科書片手に授業を再開するよし美先生。
しかしほのかは、次は何が紹介されてるのかしら?と、知的好奇心から次のページにも目を通す。
(フーン…こっちのページは高浜虚子ね)
などと頷きつつ教科書を読んでいたほのか。
だが突然その目が一つの句に吸い寄せられる。
―――なぎさなる 白波見えて 良夜かな
『なぎさ』…その文字にほのかが胸をトキメかす。
ふふっ、なぎさだって!
初めて見た句だけど、何だか凄い良い句ね!
きっと『なぎさ』って入っているおかげね。
『なぎさ』か…なぎさ、今何考えてるのかな?
勉強の事じゃないのは確かだろうから、お弁当の事かしら…?
でももしかして私の事考えてたりして!?
まさかね…。
―――ちらっ
- 985 名前:634 投稿日:2005/10/28(金) 00:08:03 [ ae4uCdL2 ]
「!!」
「!?」
不意に重なる二人の視線。
急に熱が出たようにカラダがポッと熱くなる。
慌てて視線を戻そうとするも絡み合ったまま離れない。
そしてジッと見つ合ううちに、なんだか互いのキモチが伝わって来るような気がしてくる。
―――なぎさ…私…
―――ほのか…あたし…
目と目、ココロとココロで二人が会話をしようとしたその時
「美墨サン、雪城サン!」
よし美先生のお怒りの声が二人の世界をぶち壊す。
「あなた達、いくら仲がイイからって授業中に見つめ合わないの!」
その言葉で顔が急に熱くなる。
「あの、その、ほのかが教科書に載ってて…イヤ、きょこって人がほのかを使って…!?」
「そうなんです!なぎさが虚子に使われてて、だから…」
「そう…良く分からないけど、もう分かったからちゃんと授業を聞いててね?」
よく分からない二人の言い訳によく分からないよし美先生の答え。
何だかよく分からないまま、何事も無かったかのように再び授業が再開される。
けれど、二人にはよく分かった事がある様子。
でもそれは二人だけのナイショ。
- 986 名前:634 投稿日:2005/10/28(金) 00:11:44 [ ae4uCdL2 ]
- 以上2個
>>980
純愛…いかん自分もだw
ところでもしアレなら次スレ立てればいんじゃない?
- 987 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/10/29(土) 01:59:36 [ FFdiNAew ]
- ああ…ささやかな触れあいを積み重ねるたびに、
小さな、でも確かな幸せを感じるなぎほの、いいなあ。
この純愛系の流れ、とてもキュアキュアするよ。(*´Д`)
- 988 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/11/07(月) 23:08:13 [ 1tG4MrUk ]
- ここまで一週間かけて読んだ
もう最高・・・
- 989 名前:59 投稿日:2005/11/08(火) 01:01:46 [ ICj2/E9w ]
- >>988
ようこそ&お疲れ様
- 990 名前:59 投稿日:2005/11/08(火) 07:26:32 [ ICj2/E9w ]
- *私信で申し訳ない(ここなら人が少ないだろうから)
>833@氏
以前、百合スレで話してたモノ、ようやく形にできました
共同、っつーのは無理ですが。やっぱり過去文のシューシューや後悔は自己責任ですべきでしょうし
でも、とりあえず参考までに
- 991 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/11/08(火) 18:48:27 [ jrQCW73o ]
- このスレこのまま埋めるんですか?それとも次スレに行くんですか?
どっちにしろ、今ここにあるのは見れなくなっちゃうのか…。
自分にはそんなスキル無いんで、誰かミラーでも作ってくれないかな。
- 992 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/11/08(火) 21:23:47 [ 2N.rEn5. ]
- 専ブラ使えば保存できますよ。
- 993 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/11/11(金) 19:21:41 [ BEGyHkpU ]
- テンプレこれでいいか?
関連スレはSSというか小ネタが投下されやすいスレも含めた
--------------------------------------------------
@@@プリキュア小説を綴るスレ・2@@@
プリキュアの小説を思い思いに綴るスレ。
短編から長編、それと詩などなど…。
前スレ:
@@@プリキュア小説を綴るスレ@@@
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/1261/1096189364/
関連スレ:
プリッキュア〜!@2ch アニメサロン
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1091884175/
プリキュアで百合萌えするスレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/1261/1086257122/
☆【王様と】プリキュア百合萌え20【5番がチュー】★@2ch
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1128921741/
- 994 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/11/11(金) 23:21:02 [ BEGyHkpU ]
- 立ててみた
@@@プリキュア小説を綴るスレ・2@@@
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/1261/1131718823/
- 995 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/11/12(土) 17:35:09 [ j8n8GuKE ]
- ○月○日
今日は毎度恒例、美墨なぎさ対雪城ほのかの対決が行われた。
対決する競技はババ抜き3本勝負。2勝したほうの勝ち。
1本目はなぎさ、2本目は雪城さん。そして運命の3本目。
なぎさが見事に二択勝負を制して勝利を収めた。
というわけで今回は雪城さんが罰ゲームに決まった。
前回の罰ゲームは一日中「一人称はほのほの&語尾にほのほの」というものだった。
なぎさは「前回の100倍恥ずかしいものにする」と意気込んでいた。
雪城さん、なぎさに恨まれるようなことでもしたのかしら?
○月×日
なぎさから発表された罰ゲームは「今日一日ほのかはなぎさのメイドさんになる」だった。
わざわざ異装届を提出して雪城さんをメイド服で登校させるあたりでなぎさの本気度がわかる。
雪城さんはその格好で一瞬で学院中の話題になったけど、
以前の罰ゲームでなぎさがネコのミミとシッポを装着して登校したことがあったので、
真新しさという点ではいまいちだった様子。
ただそれでも雪城ほのかのメイド服ということで、休み時間はたくさんの人が見に来た。
雪城さんはとても恥ずかしそうだった。ちょっと気の毒だった。
部活が終わって教室に戻ると雪城さんがまだ残っていた。
何とそこでなぎさは雪城さんに「あたしの顔見てオ○○ーして」と命じた。
勿論罰ゲームなので雪城さんは命令に従うしか無いのでその通りにしていた。
「ご主人様ぁ…」と涙を流しながらオ○○ーする雪城さんは嫌がるどころか気持ち良さそうだった。
その後はなぎさが帰れって言うので最後まで見ることは出来なかった。
だけど下駄箱まで雪城さんの気持ち良さそうにしている声が聞こえたから相当激しかったみたい。
志穂が莉奈も着てみてとせがむので着てみたけど私にはあまり似合わなかった。
ベローネ学院三年桜組高清水莉奈の日記より抜粋
- 996 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/11/12(土) 21:17:24 [ j8n8GuKE ]
- ○月□日
今日も恒例の美墨なぎさ対雪城ほのかの対決が行われた。
リベンジに燃えてるのかと思ったら雪城さんってば昨日相当気持ちよかったのか、
全然そんな様子は見られなかった。昨日のこと話すとなぎさのほうが恥ずかしがってるし。
それでも勝負となれば話は別で真剣な様子。
今日の対決は辛子入りたこ焼きロシアンルーレット対決。
何でもアカネさん特製のたこ焼きで一個だけ恐ろしいほどの辛子が入れられているらしい。
8個入りのたこ焼きを4個ずつ取って1個ずつ食べていく。滞りなくどんどん減っていく。
そしてお互いに最後の1個を頬張る。雪城さんの勝利だった。
なぎさは大量の辛子に苦しめられ水を求めて校舎を走り回った。
果たして雪城さんはどのような罰ゲームを考案するのだろうか?
○月△日
雪城さんから発表された罰ゲームは「何があっても雪城ほのかを無視せよ」というものであった。
ルールは単純、美墨なぎさは今日一日ずっと雪城ほのかを無視し続けるというものだ。
最初はどうってことのない、むしろ無視される雪城さんのほうが辛いのではないかと思った。
なぎさもそう思ったのかほっとして気楽に構えていた。すぐにそれが甘いと思い知らされた。
なにしろ何をされても雪城さんを無視しなければならない。それを逆手に取ったのだ。
真正面からディープキスをされても、後ろから両胸を鷲掴みされ揉まれても、
お尻を思い切りスリッパで叩かれても、スカートめくりをされても、
お昼ごはんを横取りされても、耳やうなじに息をふきかけられても、服を脱がされても。
放課後の教室では雪城さんの手に導かれてなぎさが自慰行為をさせられていた。
変な道具がいっぱいあったけど、あれは雪城さんが持ち込んだのだろうか?わからない。
調子に乗ったのか志穂が私に同じようなことをしたけど、
私は罰ゲームなんか受けていないのでしっかりとお返しをしてやった。
ベローネ学院三年桜組高清水莉奈の日記より抜粋
- 997 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/11/13(日) 16:59:37 [ 7DS1QMJU ]
- 莉奈黒いよ莉奈
あゝ、日記文学というものはいいものですね、とても。
- 998 名前:833@ 投稿日:2005/11/22(火) 23:54:40 [ WRoJA73o ]
- 冬といえば……。
ここはほのかの部屋。早く冬の代名詞、炬燵が登場しました。
「やっぱり冬はコタツでミカンだよね〜」
「なぎさ〜、食べ過ぎよ。それで4個目じゃない…」
向かい合ってなぎさとほのかはミカンを食べています。
「いや〜、なんかこうポンポンと手が伸びちゃうんだよね〜」
4個目のミカンをあっさりと食べ終えたなぎさは5個目を籠から取ろうとする。
がその手をパシッとほのかが叩き、籠をさっと隠してしまう。
「これ以上はダメ。ミカンが無くなっちゃうじゃない」
「え〜〜」
不満そうな表情だが手を伸ばすとほのかがジロリを目を光らせるので手が出せない。
一方ほのかはパクパクと美味しそうにミカンを食べている。
コタツの布を胸の位置まで持ち上げてもぞもぞとしながらおねだりの視線でほのかを見つめるなぎさ。
それを見たほのかも口に入れようとしたミカンをピタリと止めてなぎさを見つめる。
「1房食べる?」
「うん!」
はい、と手渡そうとしたほのかの目の前からなぎさが消えた。
そして次の瞬間ほのかの座る場所の真横からなぎさが顔だけを出す。
「もぅ、何してるのよ〜」
「ほのか、ほのか」
なぎさがほのかの太ももに頭を乗せてミカンを強請る。
「猫みたい……、はい。お食べ」
1房のミカンを口元まで運ぶと、なぎさがパクリと食いついた。
「良い子良い子……」
なぎさの頭を優しく撫でながら微笑み、なぎさの首筋に手を回す。
なぎさは体を持ち上げ、お腹の位置に頭を重ねる。
「なんか…、ずっとこうしていたいな……ほのかと」
現実よ夢の世界を行き来しつつあるなぎさがそんなことを言った。
「そうだね、私もなぎさとずっとこうしていたい……」
なぎさの髪を後ろから手で梳きながらほのかも頷いた。
なぎさも頷いて言うのだった。
「やっぱり冬はコタツでミカン……、それとほのか♪」
「なぎさったら……大好き♪」
もう少し強い力を込めて背後からなぎさを抱きしめるほのかだった。
- 999 名前:ふたりは名無しさん 投稿日:2005/11/23(水) 00:12:03 [ ibwnuxf. ]
- まったく、アツアツですな(*´∀`)
- 1000 名前:59 投稿日:2005/11/23(水) 00:18:02 [ LpHqMhbg ]
- 俺のHN「炬燵」が出てきたところで1000!
締めます(笑
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