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きな子「オニナッツファイナンスはまたのご利用お待ちしてるっす!」
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六本木 会員制ラウンジ
姫乃「果林さん、今日も楽しかったです!」
果林「また来てちょうだいね、いつでも待ってるわ」ウインク
姫乃「はい!外まで送って頂けるなんて光栄です!」
姫乃「あっ、これ……よかったら」
スッ
姫乃「私からの、ほんの気持ちです」
果林「あら?いいの?」
姫乃「もちろんですっ!果林様!」
果林「じゃあ……遠慮なくいただくわ」
姫乃「あの、宜しければ来週あたり同伴を──」
果林「うふふっ、それはもう少し親睦を深めてからにしましょう?」
姫乃「ひめっ!?それは手厳しいですね……」
果林「じゃあ、また来週……ね?」フフッ
姫乃「はい!おやすみなさい」ペコッ
スタスタ
果林「おやすみなさい。またのご利用、よろしくお願いね」フリフリ
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果林「……ふぅ」
果林「いくら入ってるかしら?」スッ
果林「あら、結構入ってるじゃない……どれどれ……」
果林「……ざっと20万円くらい、ね」
果林「ふふっ」
果林「これなら欲しかったヒールを買って、島寿司食べて、エマとデートもできる。自分にご褒美ご褒美──」
「──そのお金、そのまま回収させてもらうっすよ」
果林「えっ!?」クルッ
果林「あっ……!」
きな子「どうもっす!オニナッツファイナンスっす!」
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果林「なっ、なんで店に来たのよ!?」
きな子「朝香果林さん、今日は返済日っすよ」
きな子「時刻は23時54分。入金されてないから、集金に来たっす」
きな子「もしかして、忘れていたっすか……?」
果林「えーっと……ふふっ、忘れてたわ」
果林「あ、明日振り込むから──」クルッ
バッ
果林「!?」
メイ「……思い出せてよかったじゃねえか。店に逃げ込む前に、な」ギロッ
果林「そ、そうね……」ビクッ
きな子「集金日に振り込みできない夜職のお客様のために、オニナッツファイナンスは本日24時間営業っす!」ニコッ
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おっ期待
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きな子「朝香さん。本日15時までに入金が無かったので、元金利息を合わせて20万円──」
きな子「──今すぐ支払ってもらうっす」
メイ「ちょうどいいタイミングでギャラもらったみたいだしな」
メイ「しかも、わざわざ札を数えてくれるなんて……借金取りに優しいラウンジ嬢なんてなかなかいねーぞ」
メイ「なあ、きな子」
きな子「さすが、本業がファッション誌を飾るモデルさんっす!すごいっすー!」
メイ「優しくなかったら、事務所の社長さんに借金立て替えてもらおうと思っていたけど、手間が省けて良かったよなー?」
きな子「はいっす!」
果林「はぁ……」
果林「……わかったわよ。ほら、もっていきなさい」
スッ
きな子「……確かに」
きな子「こちらは領収書っす」ペリッ
果林「……いらないわよ」プイ
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たまにくる短篇すき
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果林「ちょっとだけご褒美したかったのに……あなたたちってほんとオニね」ハァ
きな子「お金を借りて期日にキッチリ返さないのがオニだと思うっすよ?それに……」
きな子「……色恋営業で客からお金を巻き上げるのもオニじゃないっすか?」
果林「違うわよ!魔性よ、ましょう……!」
果林「あなた達とは違うわ」
きな子「そうっすか。とりあえず回収できたので、ご利用いただきありがとうございますっす」
きな子「オニナッツファイナンスはまたのご利用お待ちしてるっす!」ペコッ
メイ「どーも」
果林「……」
メイ「さてと、あと何件だ?」
きな子「9件っす」
メイ「よし、今日はオールで頑張るぞ!」
きな子「はにゃ!?」
スタスタ
果林「……はぁ、またホワイト案件のバイトしなきゃいけないのかしら……」
きな子(期日内なら何時でもどこでも借金を取り立てる──これがきな子の仕事、金融屋っす!)
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続編?ありがたい
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うわあ嬉しい新作だ!
映画のOPみてえだ!
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待ってた!
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数日後 かのんの店
かのん「いらっしゃい、きな子ちゃん」
きな子(地獄の月末24時間営業を終えた月初め。のんびりしたい気分で外回りついでにかのん先輩の店に立ち寄った)
きな子「コーヒーくださいっす」
かのん「はいアメリカン」スッ
きな子「ありがとうっす!」
かのん「きな子ちゃん、先週はご苦労様だったね」
きな子「はいっす。みんなちゃんとお金を返してくれたら、きな子は定時に帰れるんすけどね……」
かのん「あはは……」
きな子「お腹もすいてるから、フレンチトーストをお願いするっす!」
かのん「はーい」
きな子(金融のセカイに入って奨学金も計画より早く完済できたし、最近はルンルンっすー!)
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カランカラン
かのん「いらっしゃいませー!あ、ちぃちゃん!」
千砂都「うぃっすー!」バッ
かのん「いつもの席、あいてるよ」
千砂都「ありがと!」
スタスタ
千砂都「よいしょ……私はいつもの!」
かのん「まんまるアイスのコーラフロートだね」
千砂都「うん!ちゃんとマンマルでお願い!」
かのん「わかった!」
千砂都「あっ……!」
きな子「ふぇ?」チラッ
きな子(隣のカウンター席に腰かけた、薄いグレーの作業着を着こんだ背丈と胸が米女さんと同じくらいの常連客の顔を見て、ハッと誰か気づいたっす)
きな子「……マンマル工業の嵐社長!!」
千砂都「オニナッツファイナンスのきな子ちゃん!?」
きな子(隣の彼女は、きな子が500万円を融資した小さな工事店の社長だった)
-
かのん「あれ、ふたりとも知り合い?」
きな子「はいっす!きな子が担当してるお客様っす!」
千砂都「うん、いつもお世話になってるんだ……大変なときに融資してもらったし、ホント助かってるよ!」ニコッ
きな子「一度も返済が遅れたことがない、金融屋にとってマルなお客さんっす!」
千砂都「おっ、マルいただいちゃった!嬉しいYO!」
かのん「ちぃちゃんときな子ちゃん顔見知りなんだ。日本って狭いねー」
きな子「ところで、嵐社長とかのん先輩は仲いいみたいっすけど、どういう……?」
かのん「ちぃちゃんは私の幼馴染なんだ。子供のときから同じ学校に通ってたし、大人になってもお店に来てくれる常連客でもあるよ」
きな子「なるほど……じゃあ、嵐社長がかのん先輩の幼馴染なら……」
千砂都「?」
きな子「千砂都先輩、と呼ばせてもらってもいいっすか?」
千砂都「いいよー、マル!」バッ
きな子「ありがとうございますっす!」
かのん「ふふっ、良かったね!はい、ご注文のフレンチトーストとまんまるアイスのコーラフロートだよ」スッ
2人「いただきます!」
きな子(思わぬところでお客さんと親睦を深めたっす!でも……)
きな子(それから1か月後──深刻そうな表情の千砂都先輩が事務所を訪れたっす)
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どかちーちゃん⁈
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前作も前々作も好きだった
期待
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ついに千砂都先輩に逆襲する時が来たっすね
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今更だがバイト果林さんと同じ作者さんだったのか
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あ、やっぱりそうなのか
果林てゃんが変なバイトするシリーズも好きです
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ちょうど前作読み返してた!続編助かる🙏
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オニナッツファイナンス
ガチャ
メイ「いらっしゃいま……千砂都先輩じゃないか」
千砂都「うん、久しぶり……」
メイ「なんか元気ないな、どうしたんだよ?」
千砂都「あ、いや、その……あはは」
千砂都「……きな子ちゃんいるかな?」
メイ「いますよ。おい、きな子!」
きな子「はいっす!」バッ
メイ「千砂都先輩が来てるぞ」
きな子(デスクでやっていた書類仕事をやめ、なにやらワケありな様子の先輩を応接間に通す)
メイ「私も一緒に。同じ中学の先輩だしな」
きな子「あ、はいっす……どうぞ」
千砂都「うん、ありがとう……」
きな子「それで……今日はどうしたっすか?」
きな子(ソファに腰かけ、用件を尋ねてみる)
千砂都「実は、お願いがあって……」
千砂都「……今月分の返済、ちょっと待って欲しいんだ」
2人「!?」
-
メイ「それは……いくら先輩でも……」
千砂都「お願い!!」
千砂都「ホント恥ずかしい話、なんだけど……今月資金繰りが厳しくて」
千砂都「なんとか金策に走り回っているんだけど、私の会社が小さいから……どの銀行も融資してくれないんだYO!」
千砂都「だから新しい融資先が見つかるまで……1か月半、1か月くらい待って欲しいの!」
千砂都「不渡り出して倒産しないよう、社員一丸となっていま頑張ってるから……マルだけにお願いします!!」バッ
メイ「あっ、頭を上げてくれよ先輩……!」
メイ「うーん、どうするよ?きな子」
きな子「き、きな子に振るんすか……」
メイ「当たり前だろ、お前の担当なんだから」
きな子「はぁ……」
きな子(いつも凄んでいる圧力担当の米女さんも、さすがに地元の先輩相手ではトーンダウンしている)
きな子「……とりあえず、訳を話してほしいっす」
きな子「確か最近、大きな工事を受注してて、今月その工事代金が入るから返済は大丈夫って言ってたっすけど……いったい何があったっすか?」
千砂都「実は、それが原因なんだ──」シュン
きな子(先輩は静かに語り始めたっす)
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千砂都「数か月前に、黒澤建設が発注した都内のマンションの内装工事を4000万円で請け負ったんだ」
千砂都「久しぶりの大きな仕事だし、丸儲けだなって職人たちと私は大喜びしたんだ。で、決められた工期内にキッチリ仕上げたんだけど──」
ダイヤ「申し訳ありませんが、内装に設計図と異なる部分がある以上、工事代金のお支払いは出来かねますわ」
千砂都「──って、黒澤建設が一方的なことを言って代金を払わなかったんだ!!」
千砂都「もう本当びっくりして、何か不都合な点があれば直しますって社長の黒澤ダイヤに直接、掛け合って……」
千砂都「何度も直接お願いしても、のらりくらりとあしらわれて時間だけ過ぎて……銀行の返済期日まで一切、支払いがされてないの!」
千砂都「それどころか、黒澤建設が今月末の引き渡し期日までにマンションを早く明け渡せと要求してくるんだ!」
千砂都「……このままだと従業員のみんなに給料どころか、不渡りを出してウチは倒産しちゃう……!」
千砂都「それだけは絶対にマルじゃなくてバツだから、なんとか今月の返済を待ってくれそうなところはこうやってお願いしてもらって、まず銀行への返済を優先にして……不渡りを防げたら、また別のところで新しい仕事を請け負って借金を返していくつもりなんだ」ポツリ
きな子「ひどいっす!代金を払わないなんて!」
メイ「……典型的な支払い先延ばし行為による倒産狙いだな、これ」
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きな子「倒産狙い……?」
メイ「ああ。発注元の建設会社が、体力のない小さな企業に工事を請け負わせたあと、出来上がったら難グセつけて代金の支払いを渋るんだ」
メイ「支払われないってことは収入がない状態だから、千砂都先輩たちはタダ働きしただけってことになる。すると給与の支払いとか借金返済ができずに倒産するんだ……で、黒澤建設はマンマル工業に払う工事費用をマルっと浮かせてラッキーって構図さ」
千砂都「マルだけにね!!」プンプン
きな子「払うものを払わない……金融のセカイでは許されないことっす!それって違法じゃないんすか?」
メイ「もちろん違法だ。でも警察は民事不介入で動かないぞ」
きな子「ふぇ!?どうして?」
千砂都「相談したけどね、一般的な契約トラブルだから民事裁判で解決して、って門前払いされたんだ……」ハァ
千砂都「裁判を起こすのも弁護士費用とかお金がいるのに、そんな余裕なんてないYO!」
きな子「それじゃ泣き寝入りっすよ……このまま倒産していくのを警察はただ見てるだけってひどすぎるっす!」
メイ「警察は正義の味方じゃねーんだよ、そういうことだ」
きな子「そんな……ことって……」
-
|c||^.-^||おっほっほっほ
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追いついたぞ、期待
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まるでヤクザだな
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そんな…|c||^.- ^||さん…
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千砂都「だから無理なお願いなのはわかってるよ……」
千砂都「でも、このまま黒澤建設に負けるのだけは嫌なんだ!悔しいし、何よりも皆のどかちーとして従業員を守りたい!!」
きな子「どかちーってなんすか?」
メイ「さあな、業界用語だろ」
バッ
千砂都「だから返済を1か月待って欲しいんだ!!」
千砂都「お願いします!!マンマル工業を生き残らせてほしい!!」ググッ
メイ「先輩!?頭を上げてくれよ……」
きな子(ソファをおりて床に土下座までして頼み込む千砂都先輩に、きな子たちはどうしていいか分からず困っていると……)
「すべて聞かせてもらいましたの」
3人「!」
きな子(応接間を仕切る衝立の向こうから声がして、みんな一斉に目を向けた)
-
きな子「社長……!」
きな子(そこには社長が立っていた。どうやら気になって聞き耳を立てていたみたいっす)
夏美「ちょっと詰めてほしいですの」
メイ「お、おう……」スッ
夏美「ありがとうですの」
きな子(社長もソファに座り、3対1で千砂都先輩と相対する)
夏美「で、返済を待って欲しい、でしたっけ?」ジッ
千砂都「はい!!返済を1か月待ってください!!」
夏美「だいたいわかりましたの、でも……」
夏美「事情がどうあれ、期日までに払うという借用証書にサインした以上、キッチリ払ってもらう──」
夏美「──返せないなら会社潰して、残ったモノ叩き売って回収させてもらいますの」
メイ「社長、それは」
きな子「あんまりっす……」
きな子(どんな事情を抱えていようが、社長──金融のオニはいっさい心が動くことなく追い込みをかけてきたっす……)
-
千砂都「そう、ですか……でも……」スッ
夏美「!」
バッ
千砂都「私はどうなってもいいから、会社と従業員だけは守りたいんだ!!なんでもするから、お願いします!!」
千砂都「返済を、待ってください!!」ペコッ
夏美「頭をあげるですの……もしも、自分自身が辛い思いすることになっても本当に会社を守りたい?」
千砂都「うん!!覚悟はしてる。それがないなら経営者としてマルじゃない!!バツだよ!!」クワッ
夏美「……」ジッ
きな子(社長として会社と従業員を守るためなら身体を張る──千砂都先輩の覚悟を決めた表情を社長はジッと見つめていた)
きな子(しばらく重い沈黙の時間のあと、社長は意を決したように口を開いたっす)
夏美「……その覚悟、十分わかりましたの」
千砂都「じゃあ……!」
夏美「でも、返済はキッチリやってもらいますの」
メイ「お、おい!?」
きな子「それは……」
-
千砂都「そうですか……」シュン
夏美「その代わり、コッチから提案がありますの」
夏美「──黒澤建設の債権回収をオニナッツファイナンスに任せてほしいですの」
千砂都「えっ!?」
夏美「報酬は回収した債権の総額25%、1000万円。それでウチの借金は全てチャラにしますの」
千砂都「でも、それ……全然払ってくれない焦げ付き不良債権だよ?本当に全額回収するつもりなの?」キョトン
夏美「出来ますの。そのためには、マンマル工業の力が必要不可欠ですの」
スクッ
夏美「……だから!何でもすると私に誓った以上、言う通りにオニ働いてもらいますの!」ビシッ
千砂都「う、うぃっす!!よろしくお願いします!!」ピン
きな子(立ち上がって自信たっぷりに宣言する社長の気迫に押され、先輩は背筋を伸ばして何度もうなずいていた)
きな子「……」ホッ
きな子(金融のオニと呼ばれる社長だし、てっきり若い千砂都先輩を風呂屋かドバイ送りにすると思っていたっす……)
きな子(きな子が安堵している間に、社長は念書を千砂都先輩に書いてもらい、いったん帰らせた)
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メイ「ふぅ……とりあえず何とかなったな……」
きな子「千砂都先輩を風呂屋に沈めなくてよかったっすー!」
夏美「……私を何だと思ってるですの」
メイ「マニーのオニ」
きな子「……っす!」
四季「……」コクリ
夏美「3人とも冬のボーナスカットですの」
メイ「ウソだろ!?」ガーン
きな子「はにゃ!?」ガーン
四季「なんで私まで……」
冬毬「姉者、冗談はそれくらいで」
きな子(冗談で良かった……社長なら本当にやりかねないっす)
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冬毬「それで……どうやって黒澤建設から4000万を回収するつもりなんですか?」
夏美「ちょっとした小細工で全額オニ回収しますの」
夏美「これは会社を潰した千砂都先輩を風呂屋に沈めて回収するより、締め上げたらマニーをすぐ吐き出す黒澤建設を追い込むほうが効率がいい策ですの」
夏美「マニーを払わない舐めた態度のヤツから思いっきりマニーを搾り取る──」
夏美「──それが融資、回収代行、不動産抵当、手形割引、代物弁済……なんでもやる金融屋、オニナッツファイナンスの腕の見せ所ですの!」
きな子(そのあときな子たちは社長から債権回収の秘策を伝授してもらったっす!)
夏美「さっそく明日から行動開始!!時はマニーなり、ですの!!」
きな子「はいっす!頑張るっす!」グッ
メイ「よっしゃ!」ググッ
冬毬「なるほど……これなら連中も必ず払うでしょう」
四季「うん」コクリ
きな子(こうしてきな子たちは、マンマル工業と共に回収作戦を開始したっす!)
-
数日後 ある高級車の後部座席
ブロロロ
ダイヤ「……もうすぐ、例の物件が見えてきますわ」
「そうですか」
ダイヤ「内装もすでに完成しています。引き渡しはすぐにでも可能ですわ」
ダイヤ「貴女の口利きのおかげで、三船地所さんとの売買契約も無事に済ませましたし、大変感謝しております」
「……駅近で立地よし、あのマンションは三船地所にも大きな利益もたらすでしょう」
ダイヤ「これもみな全て、土地取得から売買契約まで協力して頂いた三船地所外部特別顧問である──栞子さんのお力添えあってこそですわ」
栞子「いえいえ、これは最も適性のある黒澤建設さんのご協力が無くては成り立たなかった案件ですよ」ニコッ
ダイヤ「……そのお言葉、大変恐縮ですわ」ニコッ
-
栞子「ところで、マンマル工業の件は大丈夫ですか?」
栞子「いまだ係争中とのことですが」
ダイヤ「問題ありませんわ。もって今月いっぱいでしょう」
ダイヤ「大きな工事をやらせて体力を削りましたし、もはや裁判する金銭的余裕もないでしょう。そのまま不渡りを出して倒産、泣き寝入りは確実ですわ」ホホホ
栞子「そうですか。なら問題ないですね」コクリ
ダイヤ「さすが栞子さんが見つけてきた弱小工事店ですわ。よくマンマル工業のような会社を探し出してくれましたね」
ダイヤ「いったい、どうやって……?」
栞子「……それは企業秘密です。まぁ、私の系列に信用情報を調べられる会社がある、というだけお教えしましょう」フフッ
栞子「それよりも、マンマル工業を潰して浮いた金は予定通り──」
ダイヤ「──はい。すぐお支払いさせていただきますわ」
栞子「それは大変結構なことです」
ダイヤ「では今後とも良きお付き合いのため、末永くよろしくお願いします」ニコッ
栞子「ええ……」ニコッ
-
ダイヤ「そろそろ、物件が見えてきますわ」
栞子「楽しみですね……ん?」
ダイヤ「あら?」
ダイヤ「なっ、なんですかコレは……止めてください!!」
キッ
ダイヤ「ちょっと、お先に失礼しますわ……!」
ガチャ
バタン
栞子「……」ジッ
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|c||^.-^||いけませんわ、いけませんわ…
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なにわろ
-
はえ〜
CEO、頼りになるっすねえ〜
-
ᶘイσ⇁σナ川・・・
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ダイヤ「……嵐社長!!い、いったい何のつもりですか!?」スタスタ
千砂都「あっ、黒澤建設のダイヤ社長!うぃっすー!」ニコッ
ダイヤ「うぃっすー、じゃありませんわ!!」
ダイヤ「どうしてマンションを工事用フェンスで囲って、入口まで塞いでいるのですか!?」ビシッ
ダイヤ「ぶっぶーですわよ!!」クワッ
千砂都「え?あー、それは……フェンスの張り紙を見てほしいな」
ダイヤ「張り紙ですって……どれどれ……」スタスタ
ダイヤ「……差押通知書!?」
ダイヤ「──弊社は工事代金未納について支払いを再三、催告したものの、期日までなされていないため、商事留置権に基づき、当物件を工事代金の支払いまで差押を執行することを通知いたします──」
ダイヤ「んまーっ!?」
-
ダイヤ「い、いったい何の権利があってこんなことを!?」
ダイヤ「許されると思っているんですか!?」クワッ
千砂都「えーっと……それは……ね?」チラッ
スッ
夏美「払うものを払わないなら、払ってもらうまで物件を差し押さえる……債権者の権利ですの」
ダイヤ「んなっ……!」
ダイヤ「だっ、誰です!あなたたちは!」
きな子「どうもっす!オニナッツファイナンスっす!」
夏美「ここらで金貸しをやってる──鬼塚夏美ですの」
きな子(上下ともピンクのスーツを着こんだ社長は、黒いサングラスをとって名乗りをあげたっす)
-
ダイヤ「オニナッツファイナンス……?」
ダイヤ「薄汚い金融屋が何の用ですか!?」ジロッ
夏美「……薄汚くて悪かったですの」
ダイヤ「どちらにしろ、あなた方に用はないですわ!!」シッシッ
夏美「そちらに用がなくても、こちらには大事な用がありますの」
ダイヤ「えっ?」
夏美「……実は、こちらのマンマル工業の嵐社長にマニーを貸しているんですが、おたくが内装工事の代金を払わないから期日に返済できないとウチに泣きついてきましたの」
きな子「こちらも大変迷惑してるっす!!」
夏美「……それで、速やかに4000万のマニーを黒澤建設さんがお支払いいただけるよう、こうやってお願いにあがりましたの」
きな子「マンションの敷地を工事用フェンスで囲わせてもらったっす!これで代金を払ってもらえるまで猫の子一匹、立ち入ることはできないっすよ!」ドヤッ
そびえ立つフェンス
ダイヤ「こっ、これのどこがお願いなんですか!?」ユビサシ
-
ダイヤ「とにかく!直ちにマンションの封鎖を解きなさい!」
千砂都「なら工事の代金を払ってYO!」
ダイヤ「それとこれは別ですわ!支払いについては後日話し合います!」
ダイヤ「そもそも、このマンションはうちの所有で三船地所さんに売り渡す物件ですわ!」
ダイヤ「こんな不法行為、許されると思っているんですか!?」
夏美「それが許されるですの──」
夏美「──商法第521条、商事留置権の行使」
夏美「商行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者はその弁済を受けるまで、債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券を留置することができる」
夏美「……つまり、代金を払ってもらうまで債権者のマンマル工業は債務者の黒澤建設から預かっているこの物件を差し押さえできますの」
夏美「もし、コッチが設定した期限までに払わないなら──そのまま物件を競売にかけて債権回収ができる」
夏美「オニ合法的な行為ですのー!」ニャハー
ダイヤ「なっ……!」
-
ダイヤ「なら、出るトコ出て──」
夏美「訴えて裁判するですの?」
夏美「別に構いませんの。コッチは払うものを払わないから債権者として当然の権利を行使してるだけだし、争って判決が出るまでの2年くらいのあいだ、マンションはずっとこのまま封鎖ですの」
夏美「──それだと、そちらが一番、困るんじゃない?」ジロッ
ダイヤ「ぐっ……!」
夏美「マンションはすでに完成して売買契約もしているのに売り渡すことができないし、勝手に競売にかけられる……」
夏美「……そうなると大きな機会損失を抱えて、しかも売却相手と違約金やら補償やらで、モメにモメてあまりにも辛すぎる思いをするかも、ですの」
ダイヤ「ピギギ……」
夏美「それって、今すぐマニーをマンマル工業に払うのとどっちがコスパいいと思います?」ジッ
夏美「ここはひとつ、黒澤建設さんの賢明な判断を見せてほしいですのー!」ニャハー
ダイヤ「……」プルプル
きな子(社長の法律を最大限活用した策略に、黒澤建設の社長はすっかりぐうの音も出なくなったっす!)
-
ダイヤ「……わかりました……」
ダイヤ「4000万、今週末まで払いますわ」
千砂都「ホント!?」
夏美「賢明な判断ですの。封鎖の解除は入金後ただちにということで」
ダイヤ「……ええ。承知しました」ガクッ
千砂都「やったー!!」ピョンピョン
きな子「これで会社は守れたっすねー!」ニコッ
千砂都「うん!!」
ダイヤ「……」トボトボ
夏美「あ、待つですの」
ダイヤ「!」ピタッ
夏美「あんまり弱いものイジメしすぎると足元すくわれる──いい社会勉強になったですのー!」ニヤニヤ
ダイヤ「くっ……!」スタスタ
きな子「オニナッツファイナンスはまたのご利用お待ちしてるっす!」ペコッ
きな子(怒りを肩で表現しながら黒いセダンに乗り込む黒澤建設の社長に一礼して、頭をあげたそのとき──)
栞子「……」ジッ
きな子「!」
きな子(後部座席のスモーク付き窓ガラスを半開きにして、その隙間からこちらを強い目で見つめる人物と目が合ったっす)
-
栞子「……」
きな子(赤みがかった瞳に、整った顔立ち。そして、鋭い八重歯の先が口元から出ている特徴的な人物だった)
きな子(そのあと隣に乗り込んだ黒澤建設の社長がペコペコしているあたり、相当な影響力を持っているときな子は察したっす)
栞子「……」カチッ
スーッ
きな子(しばらく彼女と目を合わせていたが、彼女が窓ガラスを閉めて顔が見えなくなってしまうと、すぐに車が発進してその場から去っていったっす)
-
ポン
きな子「はにゃ!?」ビクッ
夏美「きな子ちゃん、どうしましたの?」
きな子(ボーっと車を見ていたきな子の肩を社長が叩き、びっくりして振り向いたっす)
きな子「な、なんでもないっす!」
夏美「さ、私たちも会社に帰るですの!貸した500万のマニーが1000万円になって戻ってきますのー!」ニャハー
タッタッ
きな子「あっ、待ってくださいっすー!」
きな子(このとき、きな子はまだ知らなかったっす──)
きな子(──あの車の彼女との出会いが、きな子の命とオニナッツファイナンスに訪れる危機の始まりだということを)
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みたいな感じでストーリーを進めていくつもりですが
今回は初めての長編になりそうなので途中で切った方が良いか迷ってます
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のんびりでいいからこのまま書いてくれた方が見やすくて助かる
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既にすげー面白い
続きも期待してます
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相変わらず面白い
このままこのスレで続けてもらったほうがいいかな
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乙 続きも期待
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長編楽しみにしてます!
めちゃくちゃワクワクする導入!
-
乙
地面師を観た気分になった
地面師観たことないけど
-
そのまま完結までスレ続けさせてもらいますね
書き溜めはもう全部出しちゃったのでゆっくり更新になりますが
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オニナッツファイナンス
千砂都「いやー、痛快だったなー!」
きな子「黒澤社長の顔、すごかったっす」
四季「あざやかだった」
夏美「ふっふっふ、私にかかれば簡単でしたの」
冬毬「ともあれ、無事に解決できたのは幸いです」
きな子(マンマル工業と黒澤建設の件から数日後。上機嫌な様子の千砂都先輩が事務所にやってきた)
メイ「で、金は振り込まれたのか?」
千砂都「うん!ほら」
ドンッ
千砂都「黒澤建設から、きっちり4000万円だよっ!」
きな子「おおー」
夏美「マニーですのー!」ニャハー
-
夏美「それじゃ、報酬として1000万はもらうですの」スッ
千砂都「うん!」
夏美「これで借金はチャラですの」
きな子「完済証明書っす。経営、これからも頑張ってくださいっす!」スッ
千砂都「ありがとう!会社を潰す前に相談して本当によかったよ!」ニコッ
夏美「さあ冬毬、金庫に行くですの!マニマニマニー!」タッタッ
冬毬「あ、姉者、ちゃんと前を見て……!」
ドテッ
バラバラ
メイ「あーあ、帯が切れて札束が散らばってるぜ」
四季「……やれやれ」
きな子「と、とにかく……これでマルく収まったっすねー、マルだけに」
千砂都「うん!マルだけに!」ニコッ
-
千砂都「あっ、そうだ、きな子ちゃん」
きな子「?」
千砂都「お礼、なんだけど……よかったら」ゴソゴソ
スッ
千砂都「これ、もらってほしいんだ」
きな子(先輩がくれたのは均整の取れた円形の、直径4センチほどの銀色に輝く、ずっしりした金属の物体だった)
きな子「メダルっすか、これ?」
千砂都「うん、そうだよ!私の宝物!」
千砂都「鉄より硬いブリキで作ったんだ!」フンス
きな子「えっ、はぁ……」
-
千砂都「むっ……まだこのメダルのすごさがわからないんだね」
千砂都「私が丹精込めていっさい機械を使わないで、硬い金属板をミルフィーユみたいに何回も手で折り曲げて、ハンマーで叩いて、丈夫で完璧なマルになるようコツコツ削り出した──究極のマルなんだ!」
千砂都「これは私の手作りマル史上、最高のマルと言っても過言じゃないよ!!」ビシッ
きな子「はにゃ!?」ビクッ
きな子「えっと、あ、ありがとうございますっす……」
千砂都「うむ!肌身離さず大事にしたまえ!」ニコッ
きな子(異常なまでのマルへのこだわりを持つ先輩のご厚意に甘え、困惑しつつメダルを受け取り……いちおう、スーツの胸ポケットにしまったっす)
-
千砂都「それじゃ、本当にお世話になったよー」スクッ
きな子「もう帰るっすか……?」
千砂都「うん。経営に余裕が生まれたから、広告出してみたら新しい仕事が入ったんだ。個人宅だけど」
メイ「それはよかった」
千砂都「これからどかちーとしてガンガン働いていくよー!」
千砂都「──あ!」
きな子「?」
千砂都「オニナッツファイナンスのこと、よかったら知り合いに紹介してもいい?」
千砂都「同じ高校の友達で、今はその学校の先生をしてるんだー」
きな子「いいっすよ」
千砂都「オッケー、そのうちね!」フリフリ
バタン
きな子(そう言い残して千砂都先輩は帰っていったっす)
-
ʃt(c◜・ ᴗ ・)?
-
廃校の危機ならヤミ金てはなくスクールアイドルでなんとかするべきですの
-
結ヶ丘女子高等学校 廊下
「葉月先生!さようならー」
恋「はい、さようなら」フリフリ
「恋ちゃんばいばいーい」
恋「先生、をちゃんとつけてくださいっ!」プンプン
「はーい!恋ちゃん先生!」タッタッ
恋「普通科は相変わらず自由な娘が多いですね」
恋「……昔を思い出します」ニコッ
恋(お母様、見ていますでしょうか……今は教師として、結ヶ丘の生徒たちを見守っています)
スタスタ
「あ、葉月先生」
恋「はい?」
「理事長がお呼びだそうです。理事長室にと」
恋「……そうですか、すぐ向かいます」ペコッ
恋(また例の件でしょうか……気が重いです)
-
理事長室
コンコン
理事長「はい」
恋「失礼します」ペコッ
恋「ご用件をお伺いいたします」
理事長「……本校の寄付金の件についてです」
恋(やはり……)
理事長「葉月先生、ご存知の通り……近年、本校の財務状況が大変厳しい状態が続いています」
理事長「生徒数の伸び悩み、授業料の値上げ、設備投資の費用がかさみ──」
理事長「──メインバンクからの追加融資も断られ、新たな融資先を模索している状況ですが、協力していただける金融機関は未だ見つかっていません」
理事長「そこで葉月さん、寄付金の相談なんですが……どうかしら?」
理事長「銀行や信金、投資家の方でもかまわないわ。ご両親の関係先にツテはない?」
恋「……」
恋(やはり資金問題でしたか。いまだについて回っていますね……)
-
恋「申し訳ございません。父が事故で亡くなって以来、そういった付き合いがないものでして」
理事長「そう……残念ね」ハァ
理事長「来月、銀行への支払いが滞ってしまう可能性があるの。もし払えないと、抵当がついているこの学校の土地が競売にかけられてしまうのよ」
理事長「費用削減をしてるけど、大変厳しいわ」
恋「やはり、旧校舎の取り壊しと大掛かりな建て替え工事を行ったのは早計だったのではありませんか?」
恋「理事会で理事長含め賛成多数で決まってしまいましたが、わたくしは建て替え費用が高いことを理由に慎重に検討すべきと重ね重ねお伝えしておりましたが……」
理事長「……仕方ないわ、結ヶ丘は高い授業料に見合った施設でなければいけないもの」
恋「そうでしょうか?わたくしは施設より教育の質だと──」
理事長「とにかく、どこか大口の寄付をしてくれる方をそちらでも探していただけないかしら?」
理事長「このままいけば、次に行われるのは人件費の削減、です」
理事長「ここまで言えばお分かりでしょう、葉月先生」
恋「……ええ。分かっております」
-
恋「……失礼しました」ペコッ
バタン
恋「……はぁ」
恋(相変わらず結ヶ丘はピンチが続いている)
恋(入学者が伸び悩み傾向にあり、その対策のため理事長以下、一部の理事たちの主導で学校の魅力を増やすため思い出のある旧校舎を解体し、建て替えを敢行した)
恋(等身大ゆいがおーの銅像など、大金をかけてあらゆる設備投資もしたが……)
恋(結局のところ、ここ数年は入学者が微増したものの、想定を下回る数だった)
恋(その後、財務状況が一気に悪化。赤字経営の状態が続き、それを問題視した銀行団は新たな融資を拒絶し、結局赤字分の補填や返済金は寄付頼みという状況になってしまっている)
ブーッブーッ
恋「はい、もしもし……」
恋「お久しぶりです、千砂都さん」
恋「えっ、今夜ですか?別に構いませんよ」
恋「……では、かのんさんのバーにてお会いしましょう」
-
夜 かのんのバー
ガチャ
かのん「いらっしゃいませ」
かのん「あ、恋ちゃん久しぶり」
恋「こんばんは」ペコッ
かのん「ちぃちゃんなら奥の席だよー」
恋「ありがとうございます」スタスタ
千砂都「あ、恋ちゃんうぃっすー!」ビシッ
恋「お久しぶりです」スッ
かのん「お客様、ご注文をお伺いいたします」
千砂都「私はキューバリブレ」
恋「わたくしは……イチゴのカクテルを」
かのん「なら、イチゴのダイキリはどうかな?」
恋「はい!ぜひお願いします……!」
かのん「かしこまりましたー!」
恋(このあと運ばれたカクテルで乾杯し、再会を喜びお互いの近況を話し合った)
-
千砂都「時間がたつのって早いよね。あのとき生徒会長だった恋ちゃんもついに先生だもん」
恋「ええ、そうですね……」
千砂都「いろいろあったけど、いまも社長を頑張ってるんだ」
千砂都「ギリギリ不渡りも回避できたし!まだまだこれからだよ」
恋「さすが千砂都さんですね……わたくしもここで頑張らないといけません……」ゴクッ
コトッ
恋「……ふぅ」
千砂都「あれ、なんか元気ないね。なにかあった?」
恋「ええ、まあ……ちょっと学校の財務状況の件で」
千砂都「よかったら聞かせてくれるかな?」
千砂都「もしかしたらその問題、解決できるところを紹介できるかもしれないから、さ」ニコッ
恋「本当ですか!?」
千砂都「うん!そこならきっと相談に乗ってくれるはずだYO!」
恋「……そうかもしれませんね。実は──」
恋(結ヶ丘の資金繰りや寄付頼みの財政状況を千砂都さんに話し、そして融資の相談に乗ってくれる金融会社を紹介してもらった)
恋(──オニナッツファイナンスという街金を)
-
嫌な予感しかしないぜ
恋ちゃんは報われてくれ…
-
恋ちゃん先生天涯孤独なんじゃないか?
教師の稼ぎだけじゃ渋谷区の豪邸とか固定資産税払えなさそう。
-
オニナッツファイナンス
恋「──というわけなのです」
恋「運営資金として、400万円を融資していただけませんか」ペコッ
きな子「事情はわかったっす……担保はあるっすか?」
恋「あります。こちらです」スッ
登記簿
恋「父と母の双方から相続した土地がふたつあるのですが、都内にあって資産価値はあるかと」
きな子「……少し調べさせてもらうっす」ペラッ
きな子(登記簿をめくり、慎重に調べる。地面師詐欺にひっかかった経験を糧に土地関係の見極めはしっかりやるっす!)
きな子(その間、米女さんが葉月さんの相手をした)
-
メイ「それにしても、結ヶ丘があんなことになってるなんてな……歴史は繰り返す、か」
恋「あの頃はお父様も存命でしたし、なにより私とかのんさんたち5人でスクールアイドルをしていましたから」フフッ
メイ「そうそう!私、恋先輩のファンだったんだぜー」
きな子「……」ペラッ
きな子(きな子の知らない話題で盛り上がっている間、黙々と確認作業をするっす!)
メイ「それにしても、学生だったころが懐かしいな。あの堅物でいわしてた生徒会長がいま先生なんてなー」
恋「ふふっ、当時のメイさんはそれなりの問題児でしたね。いつも制服を着崩して登校して、よく注意を……」
メイ「ちょっ!?ここでいうなよ!!」カァッ
恋「それに私たち5人の大ファンで、お近づきになりたくて結ヶ丘に入学したんですよね」
四季「私も、メイの後を追ってきた」ニョキ
恋「四季さんもでしたね!本当に懐かしいです……!」パァッ
ワイワイ
きな子「あの、気が散るので女子会はそれくらいにしてほしいっすー!」
-
きな子「土地について2、3ほどお尋ねしたいことがあるっすけど」
恋「どうぞ」
きな子「ご両親から相続した、この2か所の土地は……すでに抵当に入っているっすね?」
恋「……はい」コクリ
恋「母が学校を創設したとき、土地を担保に銀行から融資を受けました。それです」
きな子「なるほど……」
きな子「まずお母様の土地っすけど……この土地に他人名義の家が4軒あるっすけど、これは?」
恋「みんな母の同級生です。学校アイドル部の仲間だった方や、その関係者に土地を貸しているんです」
きな子「もちろん賃料収入はあるっすよね?」
恋「ええ……ですが……」
きな子「?」
-
更新たすかる
スクールアイドルやってない世界かと思ってたが1期生までは原作通りなのか
-
恋「契約したとき、母と親しい同級生ということなので毎月の賃料を周辺より安く設定したそうなのです」
恋「その契約がわたくしの代まで続いた結果、資産価値に見合わない賃料収入になってて……返済と固定資産税を払うと、ほとんど手元に残らないんです」
メイ「……ちなみに先輩、いくらなんだよ?」
恋「1軒につき10万、です」
きな子「はにゃ!?」
メイ「ワンルームと同じくらいじゃねーか!!」
きな子「安すぎっす!うらやましいっすー!」
恋「やはり、そうですよね」
恋「地主として、賃料値上げについて交渉の場を何度も設けているのですが断られ……立ち退きを迫ると、賃借権を盾に裁判を辞さない構えなので、困っている状況なんです」
恋「……そんな余裕もないので」
きな子「……母娘ともに付け込まれて袋小路っすね。もし担保にとって売却しても借主たちと争う厄介な土地っす、ウチが担保にするには難しいっす」
恋「そうですか……」シュン
メイ「先輩はひとが良すぎるんだよ……昔からな」
きな子「世間知らずというか──」
メイ「こらっ!」
きな子「す、すみませんっす!」
恋「いえ、おっしゃる通りですから……」シュン
-
恋「なので、思い切ってあちこちの不動産会社に売却できるか頼んでいるんですけど、問題ありの土地だからなかなか……」
きな子「もうひとつはどうっすか?」
スッ
四季「はい、タブレット。ストリートビューで住所を確認してみて」
メイ「おっ、気が利くな。どれどれ……先輩が父親から相続した土地は……駅近くの、工事してるビルの数軒先の……ここか!」タップ
メイ「へえ、雑居ビルつきか。いいじゃないか、どうだきな子」スッ
きな子「……そうっすね。テナントとか入りそうだし、高値で売れそうっす!」
恋「実はそこも買い手がつかないんです」
きな子「ふぇ!?どうしてっすか?」
恋「そのビル、元は父の知り合いが経営してたクリニックだったんですが、老朽化を理由に廃業して何年もそのままで」
恋「土地を建物ごと売却を試みたんですが、ビルが老朽化してて、修繕や解体するにしても余計な費用がかかるからと……」
きな子「……なるほど。どちらも担保として魅力的じゃないっすね。仮に競売にかけても、銀行の抵当に全額持ってかれるっす」
恋「はい……」
-
きな子「自宅は持ち家っすよね?」
恋「はい!大きな犬とサヤさんがいます!」
きな子「サヤさん……?」
メイ「恋先輩の周りでお世話してくれるメイドだ」
きな子「それじゃ、自宅もきっと豪邸で価値ありそうっすね──」
恋「──残念ながら、それも銀行の抵当がついているんです。母が評価額まで融資を受けていて……追加は難しいと」
きな子「はにゃ!?」ズコッ
きな子(見た目も立ち振る舞いも良いところのお嬢様なのに、抵当まみれじゃないっすか!!)
きな子(債務額もそこら辺の多重債務者なみだし、職業も私立高教諭で公務員じゃないし……400万円の融資は……)
恋「お願いします!」ペコッ
恋「千砂都さんから聞きました。オニナッツファイナンスさんは親身になって相談してくれると」
きな子「それは……」
恋「結ヶ丘存続のため、どうか融資をお願いいたします!助けてください!!」ペコッ
-
きな子「じゃあ、そのサヤさんという方を連帯保証人に──」
恋「──ダメです!サヤさんはずっと葉月家に尽くしてきた方です。これ以上の迷惑はかけられません……!」
きな子「はぁ……」
きな子(確かに良い人なのは間違いなさそう。だけど、400万を回収できるかどうかは別なんすよね……)
きな子「……」チラッ
メイ「……」ジッ
四季「……」ジッ
きな子(き、きな子を見るなっす!そもそもOGだからふたりのどっちかが担当すべき案件なのに!)
きな子(きな子にババを引かせるなんてヒドイっすよ!)
-
恋「……どうか、お願いします」ジッ
きな子「!」
きな子(うう、視線が痛い……他に担保は……あ、あったっす!)
きな子(最後の最後の手段っす)
きな子「……わかったっす」
きな子「葉月さんに400万円を融資するっす」
恋「本当ですか!?ありがとうございます!」パァッ
きな子「その代わり──」
恋「はい!」
きな子「──担保として、生命保険の受取人をオニナッツファイナンスにするっす」
恋「!?」
-
続き待ってるっすよ〜
-
恋「生命、保険……?」
きな子「はいっす。契約者として加入してもらうっす!」
恋「それは……わたくし自身が担保ということですよね……?」
きな子(生命保険つまり、命を担保に金を貸す──その提案に戸惑っている様子。なので、背中を押すように語りかけた)
きな子「そうっす。ウチはボランティア団体じゃないっす、金貸しっす」
きな子「こちらも命がけでお金を貸して回収している以上、そちらも相応の覚悟を見せて欲しいっす!」
恋「!」
きな子「これで葉月さん……いや、恋先輩が信頼できる方かどうか、きな子に見せてくれませんか?」
恋「……」
きな子(しばらくきな子を黙って見つめていた恋先輩は、決心がついたようで真剣な表情でいった)
恋「……わかりました。それでよろしくお願いします」ペコッ
きな子(それから数日後。生命保険契約が完了したので、恋先輩を事務所に呼んで融資することになったっす)
-
きな子「……利息は月利1.25%で月36回払い。手数料込みの毎月16万5000円のお支払いをお願いします」
恋「はい、わかりました」
スッ
きな子「借用証書に記入と印鑑、お願いするっす」
恋「……」カキカキ
ポン
きな子「……確かに」
きな子「では、400万を融資するっす」
きな子「100、200……400万円っす。改めてください」トンッ
恋「はい……確かに」ギュッ
きな子(恋先輩は大事そうに総重量400グラムの紙束を4つとも一度に掴み、両手で丁寧にバッグにしまう)
恋「本当に……ありがとうございました」ペコッ
きな子「学校の経営、きっと上手くいくといいっすね」
恋「はい。結ヶ丘は母の遺した、想いが詰まった学校です……必ずわたくしが守ってみせます……!」
きな子(そのあと何度も礼を述べた恋先輩は、事務所を出て行ったっす)
-
きな子「ふう……やっと1件、片付いたっす」
きな子(ひと息ついてすぐ、記入済み借用証書やその他書類を集め、事務担当の冬毬ちゃんに持っていく)
冬毬「ご苦労様でした」カチャ
スッ
バタン
冬毬「……」カタカタ
きな子(受け取るとそれだけいって、さっさと顧客情報ファイルに挟んで保管すると、またPC画面に向き直って入力作業を始めた)
冬毬「……なにか?」ジッ
きな子「い、いえ、なんでもないっす!」フリフリ
きな子(相変わらず無愛想っすね……)
夏美「きな子ちゃん、ちょっと」
きな子「はいっす」スタスタ
きな子(自分のデスクに戻ろうとしたときに、社長に声をかけられた)
-
きな子「社長、なんでしょうか?」
夏美「……あのマニー400万のお嬢様センセーから、絶対に目を離したらダメですの」
きな子「!」
きな子「ど、どうしてっすか?」
夏美「母親と父親の遺産を食いつぶし、低利の銀行に断られ、いちど街金に手を出したら最期──ああいう温室育ちのお嬢様は借りることに慣れて、また借りに来るはずですの」
夏美「そして、遅かれ早かれ膨らんだ債務でパンクする……」
夏美「……金融のセカイでは日常ですの」
夏美「だから逃げないように、きな子ちゃんがしっかり見張っておくですの、いい?」ジッ
きな子「……」
きな子「……それじゃ、社長は恋先輩の学校が潰れると予想してるっすか?」
夏美「当然。銀行がこれ以上マニーを出さないということは、経営が失敗すると見込んで様子見しつつ、債権回収して逃げる段階に入ったということ」
夏美「もう結ヶ丘ババ抜きゲームは始まってますの」
-
夏美「不良債権というババ引く前に、あがる。これ、小学生でも知ってる基本のルールですの」
夏美「だからもしものときは……バンスして風呂屋に沈めるか、手塩にかけた生命保険で──ね?」ジッ
夏美「銀行から搾り取られたカスから、400万のマニーをどう回収するか、これも金融屋の腕の見せ所ですのー!」ニャハー
きな子「……」ゾクッ
夏美「……そうならないように、しっかりオニ見張っておくですの」
きな子「はいっす……」
きな子(鬼塚夏美──この金融のオニがオニたる所以を垣間見たっす)
きな子(とはいえ、恋先輩のことに構ってばかりはいられない)
きな子(ときどき恋先輩の動向を監視しつつ、他の債務者への対応にきな子は悩殺されていったっす)
-
数日後 結ヶ丘 理事長室
理事長「さすが葉月先生。さっそく大口の寄付をいただけたなんて」
理事長「全理事を代表して感謝します」ペコッ
恋「そんな、恐縮です……!」
理事長「それでも、あなたの結ヶ丘を守りたいという想いは感服します」
理事長「花さんの遺志を継ぐということだけでも相当な覚悟と重圧でしょうに……」
恋「いえ、そんなことありません!なので……」
恋「……寄付金、は有意義に使っていただけますよう、お願いします」ペコッ
理事長「……」
理事長「……ええ。もちろんですとも」ニコッ
恋「……」
-
恋「失礼いたしました……」ペコッ
バタン
恋「……」トコトコ
恋(あれはオニナッツファイナンスという街金に生命保険をかけられてまで、私が借りてきたお金)
恋(だから使い道がより気になってしまう)
恋「……理事長室、昔よりずいぶん豪華になってますよね」ボソッ
恋(西洋アンティークに絵画、本革ソファまで……本当にしっかり結ヶ丘のためにつかわれているのでしょうか?)
恋「……」ブンブン
恋(いけません、いけません!)
恋(創設者の娘とはいえ、まだ若輩者。理事長含め、理事会が決定した方針に口出しできる立場ではありません)
恋(だからわたくしが出来ることは、寄付と理事長に意見を出すことくらい。なので、どうか……生徒と先生方のために使われることを祈ります……)
-
ブ-ッブーッ
恋「!」
スッ
恋(電話……知らない番号……)
恋「……もしもし?」
「葉月さんですか?私、スリーシップエステートの──と申します」
「土地売買でお悩みのことがございましたら、気軽にお問い合わせください!」
恋「はぁ……」
恋(その営業電話がやたら親身だったのと、売ろうにも売れない土地を抱えている身の上ゆえ……)
恋(つい興味がわいた私は、次の休みの日に相談ということで大きなビルに入っているその不動産会社を訪ねてみました)
-
スリーシップエステート 社長室
「社長──葉月様がいらっしゃいました」
「……通してください」
ガチャ
恋「失礼、します……」ペコッ
ガタッ
「ようこそお越しくださいました。私が代表の三船栞子と申します」
栞子「どうぞ、おかけになってください」
恋「はい……」スッ
栞子「早速ですが──」
栞子「あなたが所有なさっている、こちらの土地……」
栞子「……よかったら、私どもに売っていただけないでしょうか?」
恋「えっ……!」
恋(降って湧いたような好機、渡りに船とは、まさにこのことだった)
-
恋「構いませんが……母から相続したあの土地には、賃借権をもった家が4軒あります」
恋「なかなか賃料値上げや立ち退き交渉に応じない、正直いって厄介な土地ですが……?」
栞子「ええ、存じております。それでも一向に構いません」
栞子「たとえ難しい案件でも、弊社にとって大変魅力的な土地だと思っておりますので」ニコッ
恋(その女社長は八重歯を光らせ、ニッコリと微笑んだ)
栞子「どうでしょう?」
栞子「その土地──6000万円で譲ってもらえないでしょうか?」
恋「……」
恋(6000万……いくらモメ事を抱えたあんな土地でも、本来の評価額なら9000万以上する土地──)
恋(──正直、母が遺してくれた土地を6000万で手放すのは惜しい!)
恋「……8000万でしたら、お譲りいたします」
恋(借金の清算と今後の結ヶ丘のため、です……)
-
栞子「……」ジッ
恋「……」
恋(金額を思いっ切り吹っ掛けてみると、彼女は黙ってわたくしをしばらく見つめたあと)
栞子「ふふっ、こちらの足元を見ましたね……」ニヤッ
恋「母の、遺産ですので」ジッ
栞子「……わかりました。ですが」
栞子「額が額ですので即決いたしかねます──後日、改めて交渉をさせてください」
栞子「あの土地にはそれだけの価値がございますので」
恋「わかりました。それでは、ご連絡をください」
栞子「はい。是非ともよろしくお願いいたします」ペコッ
-
スクッ
恋「では、失礼いたしました」ペコッ
スタスタ
バタン
栞子「……」
栞子「没落寸前の令嬢がずいぶん吹っ掛けてきましたね……」カチャ
ポチポチ
栞子「もしもし──姉さんですか?」
栞子「ひとつ調べて欲しいことが……」
栞子「はい、名前は葉月恋。渋谷の結ヶ丘という女子高の教師で、あと……その周辺も」
栞子「よろしくお願いします」
栞子「あとはいつものように……ええ、くれぐれも」
ガチャ
栞子「ふぅ……」
-
ʃt(c◜・ ᴗ ・)ドキドキ
-
恋ちゃんがお風呂とか死ぬよりつらい
-
恋ちゃん、、、がんばれ、、、、がんばれ、、、
-
理事長さぁ…
-
この栞子は前作で仮想通貨詐欺してたイナ川とは別人なのかな
-
1か月後 新宿
ガチャ
きな子「西木野先生、います?いるっすよね?」
きな子「オニナッツファイナンスの桜小路きな子っす!」スタスタ
きな子「先生、今日は返済日っすよー?」キョロキョロ
メイ「今月分、利息込みで18万円。払わないと──」スゥッ
メイ「アンタの名義でマンジャロを大量に仕入れて、転売した金で返してもらうぜ?」
メイ「ああいうダイエットに効果的なヤセ薬はブラックマーケットでよく売れるらしいからなー?居留守つかってると──」
シャッ
真姫「サワガナイデ!気が散るじゃないの!」バッ
真姫「あと美容にマンジャロなんてもっての外よ!あれは糖尿病治療薬で健康的な女子に使ったら重大な副作用を起こす薬なの!お断りします!」
メイ「おー、出てきた出てきた。やっぱセンセーにお薬談義はよく効くんだな、薬だけに」
真姫「フンッ……いまODした娘の薬抜きをしてるからちょっと待ってなさい」シャッ
きな子(待合室と診察室を仕切るカーテンから出てきたのは、つり目とツンケンした口調が特徴的な白衣をまとった女医。とりあえず、治療が終わるまで待つことにしたっす)
-
「マッキー先生、ありがとうっ!」
真姫「……お礼はいいから、アンタは奥のベッドで休んでる友達に付き添ってなさい」
「はぁーい!」タッタッ
真姫「代金はまた来たときでいいから、ちゃんと払いなさいよ!」
真姫「……まったく、最近の子は酒もタバコも買う金がないからって睡眠薬に手を出すなんて、ね……」トントン
カチッ
真姫「ふぅ……」プカァ
きな子「借金してる身でモンテクリストのシガリロ咥えてる人がいう言葉じゃないっすよ」
真姫「まあいいじゃない、そういうの」フウッ
きな子「ゲホッゲホッ……っす!」ブンブン
メイ「なあ、先生の借金病は治らねーのか?そろそろ完治して欲しいんだが」
きな子「そうっすよ!医者の不養生っす!」
きな子(今日は米女さんと新宿の路地裏にある診療所に取り立てっす!それにしても、どうしてきな子の客はみんな変わったのしかいないんすかね……)
-
真姫「はいはい、今月の18万デッショー?」
真姫「ちゃんと用意してるわよ」ガッ
ドン
きな子(乱暴にキャビネットを開け、金が入ったクッキー箱を目の前に置いた)
きな子(その札は千円札や万札がゴチャゴチャでかつ、ほとんど折り目がついてグシャグシャだったり、ナニかのシミがついてたりする金だったっす)
メイ「相変わらずきったねーな、ドブから拾ってきたのかよ!」
真姫「失礼ね、みんな女の子が身体を張って集めた金よ!」
きな子「……それじゃ、数えるっす……」スッ
パッパッパッ
きな子(汚い金をきれいに揃え、札勘定。最初は触るのをためらったけど、一人前の金融屋になった今はもう気にならないっす)
真姫「……知ってる?働き蜂って、みんなメスなの。彼女たちは子孫をのこせず、生物として普通の幸せを得られないままひたすらに働いて朽ち果てる……この世は無常よね?そう思わないかしら?」フウッ
きな子「……18万、確かにっす」スッ
きな子(煙たい中、いつものお説教を聞き流してクラッチバッグにしまうっす!)
-
メイ「次からは振込にしてくれよ、そろそろ出張手数料をとるぞ?」
真姫「振込手数料がもったいないから来てもらってるのに、それ本末転倒じゃない」
真姫「少しでも節約して彼女たちのために薬や医療器具を調達してるんだから、これくらいサービスにしなさいよ」
きな子「……失礼っすけど、どうして先生みたいな人がこんな所にいるんすか?先生はあの西木野総合病院院長の一人娘でかつ、腕のいい一流の外科医だって聞いてるっす」
きな子「場所が場所なら、看護師と研修生をぞろぞろ従えて廊下を練り歩く白い巨塔になってるはずっす……なのに」
きな子「ビルに挟まれた陽の当たらない路地裏の診療所で、家出少女やお水の娘相手に安い代金で治療して、自分は借金して生活してるなんて……」
真姫「余計なお世話よ」トントン
きな子「すみませんっす……」
-
真姫「強いて言えば……」
真姫「誰にでも平等と国がキレイ事をのたまう医療福祉は金で差別される──そんな医療のセカイに嫌気がさしたの」
真姫「イミワカンナイって、そう思ったらいつの間にかアフリカや南米諸国を回ってて……気づいたらここにいただけよ」
きな子「……」
「マッキー先生!娘が熱出しちゃった!」
「これから出勤だからあとお願いね!」タッタッ
バタン
真姫「ほら、急患だから帰りなさい」
きな子「はいっす。じゃあまた来月お願いするっす!」
メイ「たまにはピン札で返してくれよなー」フリフリ
-
ピシャ
スタスタ
きな子「……米女さん」
メイ「あ?」
きな子「……汚い金って、なんすかね……?」
メイ「さあな」
きな子「……」
ブーッブーッ
きな子「あ、電話っす!」タップ
きな子「もしもし……恋先輩っすか?」
メイ「!」ジッ
きな子「今月の返済分はもう振込を確認してるから大丈夫──はにゃ!?」
きな子「もう200万貸してほしい、っすか?」
メイ「……」
きな子「……わかったっす。では、1時間後に事務所でお会いしましょうっす」タップ
きな子(400万円を融資した恋先輩から、さらに200万円を貸してほしいという連絡だった)
-
オニナッツファイナンス
ガチャ
きな子「ただいま戻りましたっす」
冬毬「お疲れ様です」
きな子「きょうの集金分っす」スッ
冬毬「……確かに。ご苦労様です」クルッ
きな子「……」
四季「きな子ちゃん。恋先輩が、来てる」
きな子「はいっす」
きな子(すぐに応接間に向かう。そして、きな子に気づいた恋先輩は立ち上がって一礼した)
恋「きな子さん、お待ちしておりました……!」
きな子「かけてください、ご用件は伺っているっす」
恋「はい……」ストン
きな子「追加の融資、っすね?」
恋「お願いします!」ペコッ
きな子「よかったら、訳を聞かせてほしいっす」
-
恋「実は……納税期限が近づいてきたので、結ヶ丘の納税準備預金として用意していた口座を確認したら……」
恋「残高が足りないことが発覚したのです!!」
きな子「その足りない分が200万なんすね?」
恋「はい。なのですぐに融資していただける、オニナッツファイナンスさんにこうして伺いました」
きな子「そうっすか……」
恋「経費削減にと、理事長が税理士さんを解任したのがまずかったのかもしれません……その後はただでさえ多忙な総務の方たちに会計をまかせっきりでしたので、きっと些細なミスでしょう」
恋「それで今月。一括だったのを分割にした固定資産税の支払い期日が近づいて、口座確認をしてもらうと数百万円が足りないと気づいたそうで」
恋「騒ぎになると大変なので、理事長とわたくしが内密に対処しようと思い……わたくしが半分ほど用意して残りを理事長が用意してくれるとのことでした」
きな子「!」
きな子(あれっ?これ、もしかして……?)
きな子(でも、うっすら感じた疑念を口には出さなかったっす……いや、口に出さなかったのが正確かもしれない)
きな子(債務者がどんな事情で借りたマニーをどう使おうが、コッチには関係ない──いつも社長がいってる言葉がきな子の口を沈黙させた)
きな子「わかったっす……200万、融資するっす」
恋「ありがとうございますっ!」ペコッ
-
きな子「それでは債務の合計を600万にするので、改めて借用証書を書いてもらうっす」
きな子「それにより毎月の返済額も変わります。月々23万円の45回払いに変更させてもらうっす……返済、大丈夫っすか?」
恋「大丈夫です!実は母の土地がもう少しで売れそうなんです!」
きな子「へえ、よかったっすね!」
きな子「でも、あの土地を買う不動産会社を良く見つけてきたっす」
恋「実は向こうからきたのですよ!スリーシップエステートというところで……最初の買取価格6000万を、私が粘り強く交渉を重ねまして」
恋「7000万で買い取ってくれるようになりました……!」ニコッ
きな子「契約、したんすか?」
恋「いえ、まだ。でも、近いうちに契約できるはずです」
きな子「そうっすか」
恋「売却できたら、返済も楽になります。もちろん、そちらの600万を一括でお返しさせていただきますね……!」
きな子「いえ……まあ……」
きな子(利息を稼ぎたいから一括返済は困る、なんて言えないっす!)
-
冬毬「お待たせしました」
冬毬「どうぞ、借用証書です」ピラッ
きな子「記入をお願いするっす。印鑑は──」
恋「──印鑑ならあります!大丈夫です!」
きな子「は、はいっす……」
カキカキ
ポン
冬毬「では、200万円です」スッ
きな子「ありがとうっす」
きな子「どうぞ、恋先輩。お確かめください……っす」
恋「ありがとうございます!助かります!」ペコペコ
恋「ではすぐ入金しなければいけないので……失礼いたします!」スクッ
スタスタ
バタン
きな子「……」
きな子(封筒を手にした恋先輩は会話もろくに交わさず、事務所を出て行ったっす)
-
恋「……」ポチポチ
恋(入金後、すぐ理事長に連絡を入れる)
恋(理事長は確か、最近みつけたローン会社に行くとのことでしたが……)
恋「もしもし?わたくしのほうはご用意できました」
恋「そちらは……」
恋「えっ!?保証人が必要!?」
恋(結ヶ丘ではなく理事長の個人名義で300万の借金を申し込んだところ、連帯保証人が必要ということだった)
恋(連帯保証……正直、ただでさえ600万円の借金を抱えている身の上で保証人になるというのは気が引ける)
恋(……でも)
恋(お母様の遺した結ヶ丘のため、その生徒や先生のため)
恋「わかりました……今すぐそちらに合流します」
恋「ローン会社の場所は──咬福ローン、ですね」
恋「わかりました!」タッタッ
恋(ここでわたくしが踏ん張らなければ……!)
-
れ、恋ちゃん、、、
-
咬福ローン草
-
理事長ゆるせねえ
-
ʃt(c◜・ ᴗ ・)ドキドキ
ᶘイ^⇁^ナ;川ドキドキ
-
恋ちゃん……😢
-
咬福ローン
ガチャ
恋「遅くなりました……!」
恋(都内にある雑居ビルの最上階にあるオフィスを訪ね、応接間に通された)
理事長「葉月先生、待っていましたよ」
「あなたが葉月恋さん、ですね?」
恋「は、はい」
恋(そこには、コーヒーカップ片手に深くソファに座る理事長と、毛先が赤く長い黒髪のスーツ姿の女性が対面するように座っていた)
理事長「紹介するわ、こちらは社長の三船薫子さん」
薫子「初めまして、三船薫子と申します」ペコッ
恋「葉月恋、です……」
薫子「さあどうぞ、かけてください」
恋「……はい」スッ
恋(このひと、どこかで見たことあるような……そう思っていると、すぐに薫子さんが切り出した)
-
薫子「早速だけど、ウチで300万をお借りしたいそうですね?」
理事長「ええ。すぐに必要なお金なの、お願いできないかしら?」
理事長「こちらに保証人を用意しました」
恋「……」ペコッ
理事長「どうでしょうか?」
薫子「ご安心ください。審査の結果、融資させていただくことになりました」
薫子「あの渋谷の結ヶ丘の理事長先生に、葉月さんが保証人なら……限度額の2000万円までお貸しできるくらいですよ」ニコッ
理事長「いえいえ……」
薫子「では早速、300万を用意します……おい、300万」スッ
恋(ガラの悪そうな側近にお金を用意するよう指示を出し、その間に薫子さんが借用証書など書類をテーブルに並べて説明する)
-
薫子「では、300万円の年利5%でお貸しします」
恋「5%って、安いですね……!」
薫子「ええ。私どもは資金が必要な企業様をサポートするという見地から、低利をモットーにしてるので」ニコッ
薫子「金利15%や20%の街金やサラ金とは違います」ニコッ
薫子「私どもはほとんど慈善事業みたいなものですから」
恋「そうなんですか……」
恋(もっと早く知っておけば、オニナッツファイナンスなんて街金に借りることなかったですね)
恋(社長の薫子さんも見た目のわりに、人が良さそうだし……勢いとはいえ、600万を借りたことを後悔した)
-
薫子「では、この借用証書にサインと印鑑をお願いします」スッ
借用証書
理事長「ええ」
カキカキ
ポン
薫子「……確かに」
薫子「では、葉月さんには連帯保証書にサインと印鑑をお願いします」スッ
連帯根保証契約書
恋「……」ジッ
恋(300万円なら……大丈夫ですよね。理事長はお母様の友人、しっかり返済計画を立てているでしょう)
恋(もし万が一、返すことになっても街金の600万と合わせても900万円。お母様の土地が7000万で売れる予定だし、簡単に全額返せるはずです!)
理事長「……葉月さん?どうしました?」
恋「あ、いえ……大丈夫です」
理事長「では、結ヶ丘のためにお願いしますね」ニコッ
恋「……はい」
カキカキ
ポン
薫子「確かに……では、300万を融資いたします」
-
更新早くて嬉しい
-
ʃt(c◜;・ ᴗ ・)ドキドキ
ᶘイ^⇁^;ナ川ドキドキ
ᶘア;⇁;ネ川
-
ラ板の妖精が集まるスレになってて草
-
蝉を放てッ
-
トンッ
薫子「お確かめください」
理事長「……はい」ギュッ
理事長「ありがとうございました」ペコッ
薫子「返済は20回払い、月利0.4%で毎月16万5000円でいいですよ」ニコッ
恋(すごい……こんな低金利でいいんですね……!)
薫子「返済は今月末からお願いしますね」
理事長「はい。助かります……では」
理事長「行きましょう葉月さん」
恋「はい」スクッ
薫子「またのご利用お待ちしております」ペコッ
スタスタ
バタン
薫子「……」スッ
薫子「……もしもし、栞子?」
薫子「うん、うまくいった」
薫子「それじゃ、あとはタイミングあわせておいて。じゃあ」
薫子「……」タップ
-
交差点
理事長「葉月さん、本当に助かったわ」
恋「いえ。結ヶ丘を守るためなら、頑張れますから……!」
恋(600万の借金に母から相続した債務、ふたつある売れない土地の税金、たったいま背負った300万の連帯保証……)
恋(正直、苦しい状況ですが、母方の土地を7000万で売って全部返済すれば、大丈夫)
恋(……まだまだ、踏ん張れる)
恋「今回はなんとかなりましたが……そろそろ……」
恋「今後の支出を一気に見直す必要がありますね」
恋「多少の費用が掛かりますが、税理士先生や会計士の方を入れて健全化を図る改革を行いましょう」
理事長「……そうね。その改革は……」
理事長「近いうち、あなたに託すことになりそうね」ボソッ
恋「えっ……?」
恋(驚いて理事長を見ましたが、あの方は私の顔を見ることなく、先へ歩いていってしまいました)
恋(そのとき抱いた小さな不安が現実となったのは──翌月の最初の日だった)
-
結ヶ丘 職員室
ガラッ
恋「おはようございます──」
恋(朝はいつものように戸を開けて、先に来ている先生方に挨拶をするのが日課……だったが)
ザワザワ
恋(わたくしの声はあわただしい雰囲気の室内にむなしく響き、ざわめきによってかき消されてしまった)
恋「?」
恋(困惑した様子であたりを見回す)
「もしもし?もしもし!?」
恋(主任教諭が一生懸命、電話をかけては切り、またかける行為を繰り返している)
恋(同僚たちは不安げな様子で、お互いに顔を見合わせ口々に何かをささやき合っている)
恋「いったい……?」
恋(とりあえず自分のデスクに座ると、わたくしに気づいた主任教諭が小走りで近寄ってきた)
「は、葉月先生、大変です!」
「理事長が突然、今日付けで退職したんです!」
恋「!?」
-
恋「えっ……?」
恋(いきなりのことで呆然とし、気の抜けた声を絞り出す)
恋(なぜ?どうして?昨日まで普通に出勤していたのに?)
恋「た、退職の意向を伝える電話が、朝、あったのですか……?」
「いえ、本校の郵便受けにこれが──」スッ
恋(主任が見せたのは、一枚の茶封筒で理事長の名が記されていた)
恋「み、見せてください……!」ピラッ
恋「──誠に勝手ではございますが、自己都合により、本日付けで退職させていただきます。退職金として、本校への寄付金の一部をいただきます、ご了承ください──」プルプル
恋(内容を読み上げていくうちに、声と手が震え出す)
恋「りりり、理事長の自宅に連絡は入れたのですか!?」
「何度も入れましたが、繋がらないんです!!」
恋「そ、そんな……!」ガクゼン
-
こいつ…
-
ʃt(c◜; ᴗ ;)
-
理事長やりやがった…
-
「理事長は創設者だった葉月理事長と親しかったはず、本当に行方がわからないんでしょうか?」
恋「申し訳ございません、わたくしも寝耳に水でなにも……!」アセアセ
「そんな……学園祭はどうしましょう!?」
「あの、授業はどうします?臨時休校ですか!?」
恋(年齢差問わず不安を抱えた同僚の教師たちが、わたくしに詰め寄った。そんな騒乱寸前の職員室で、必死に事態を収拾しようとする)
恋「わ、わたくしは理事ではありません……理事会を招集して速やかに指示をあおいで──」
「そんな暇ないですよ!もう生徒が登校を始めてます……!」
「腰の重い理事会が出す決定事項より、いまは現場の──花さんの娘さんである貴女に、理事長の代行として指示をお願いしたいんです」
恋「!」
恋(わたくしが学生のころから結ヶ丘で教鞭をとっている、最古参の先生の言葉に、思わず身体が硬直した)
-
恋「そんな……わたくしはまだ若輩者で……」
「若輩者だろうが老齢だろうが関係ありません。生徒から慕われ、本校への愛を誰よりも持っている貴女が相応しいと……私はそう思います。あなたが生徒だったころから知っている身として、ですが」
「私も理事のひとりとして、周囲を説得しますから……いまはどうか引き受けてもらえませんか?」
恋「主任……」
恋(そうです。わたくしは結ヶ丘が好きです、大好きです──お母様の形見とさえ思っています。この身だって捧げる覚悟です)
恋(ここで腹を括らなければ、守れない)
恋「……わかりました」
恋(代行とはいえ、理事長になった余韻に浸る間もなく方々に指示を出した)
-
恋「まずは生徒を混乱させないよう、事態を素早く収拾しましょう。授業は通常通り行います」
恋「皆さんは翌月の全体集会で生徒たちに向けて正式発表するまで、このことは他言無用に願います」
恋「もちろん学園祭は通常通り開催しましょう。入学希望者を獲得できる機会を逃してはいけません」
恋「資金繰りに関しては、わたくしが責任を持って何とかいたします!」
恋「この状況を乗り切るため、皆さんの力が必要です。どうか、よろしくお願いします……!」ペコッ
恋(シン、と静まり返った職員室でわたくしは頭を下げる。そしてゆっくりと頭をあげたとき──皆は小さくうなずき、業務にとりかかるため散っていった)
恋「……ふぅ」
恋(お母様、わたくしは……あのころより少し強くなれたでしょうか?)
恋(気づけばそう問いかけていたとき──)
ガラッ
薫子「すみませーん!理事長いますかー?」
恋(黒い革ジャンパーを着こんだ、見覚えのある顔の女性が、ガラの悪そうな男たちを引き連れて職員室に無断で入ってきた)
-
恋「あ、あなたは……!」
薫子「お世話になっております!咬福ローンの三船です」ニコッ
薫子「理事長センセーはいますか?」キョロキョロ
恋「理事長は……今日は出勤しておりませんが……」
恋(慎重に言葉を選んで不在を伝えると──)
薫子「それは困ったねー!理事長に貸したお金、期日までに支払われてないからさぁー、わざわざ集金に出向いたんだけど?」
恋「そう言われましても……」
薫子「あ、そうだ!!だったら保証人のアンタに支払ってもらおうかな!!」
恋「ちょっと……声が大きいですよ……!」
ザワザワ
恋(理事長の借金発覚と、わたくしがその保証人になっていることを知った教師のみなさんがざわめき出した)
薫子「とりあえず、顔貸してくれない?」
恋「わかりました……」
恋(ここで新たな騒ぎになると大変なので、言われるがままに咬福ローンへ向かうことにした)
-
咬福ローン
恋「それで……どういったご用件ですか?」
恋(ここへの道中、逃げられないよう両脇に男たちがついたままの状態で応接間に通された)
恋(入ってきた私を出迎え、ソファに座るよう促す)
恋「……手短に、お願いいたします」ジッ
薫子「まあそう焦らないで」
薫子「話は単純だよ」ドカッ
恋(ドカッと腰かけた彼女は、胸ポケットからタバコを一本取り出し、咥えていう。最初に出会ったときとは違い、態度が横柄になっていた)
薫子「ん……」プカァ
恋(すかさず部下の男が火のついたライターを差し出す。それでタバコに点火して、紫煙をふかす)
恋(こっちがイライラする様子を知ってか知らずか、彼女はゆっくりと口を開いた)
-
薫子「返済期日の昨日までに振込がなかったから、一括返済してもらおうって思ったんだけどさ……」
薫子「……家はもぬけの殻。で、職場にもいないときてる」
薫子「何か知ってるか?」
恋「知りません」キッパリ
薫子「理事長センセー、やっぱり夜逃げしたんだろうな」
恋「……やはり、連絡なく急に退職したのは……」
薫子「そういうこと。おそらく、いや確実に東京にいないだろうね」プカァ
恋「そんな……」
恋(愕然として肩を落とすわたくしを見つめつつ、火のついたタバコを灰皿の底でもみ消すと)
薫子「でさ……言いにくいんだけど、理事長センセーが借りた金。保証人になってるアンタに払ってもらいたいんだ」
恋(若干、申し訳なさそうなそぶりだけ見せて、彼女が告げる)
-
恋「……わかりました」
薫子「おっ、話が早いねー!助かるよ」ニコッ
恋(連帯保証にサインした以上、払わないということはできない。それくらいの覚悟と知識は持っている)
恋(でも、とりあえず今は結ヶ丘のことに集中させて欲しい……!ここはなんとか返済を待ってもらうよう交渉して──)
恋「確か返済は300万円、ですよね?」
恋(そう訪ねると、彼女は困ったように薄笑いを浮かべたあと、憐れむような表情をした)
薫子「困ったなー、理事長センセーから何も聞いてないのかよ?」ピラッ
請求書
薫子「──額は2000万。それを一括返済してもらうよ」
恋「!?」
恋(莫大な額を突き付けられ、驚いて力が抜けそうになった)
-
ガタッ
恋「ちょ、ちょっと待ってください……!」
恋「わたくしは300万円の連帯保証書にサインしたのですよ!?」
バンッ
恋「300万じゃなくて、いきなり2000万を一括返済するというのはおかしな話だと思いますが!!」
恋(理不尽な請求への怒りと不満で方に力が入り、感情的になって思わず机を叩く)
薫子「……おかしくないんだなー、これが」
恋(しかし、相対する三船薫子という人物は、わたくしの剣幕にいっさい動じることなく淡々と言葉を続けた)
薫子「いいか?葉月さん、あなたがサインした連帯保証契約は──」
薫子「──根保証なんだよ」
恋「えっ……?」
-
恋「根保証……?」
恋(きょとんとするわたくしに彼女は説明を始めた)
薫子「根保証ってのは、最初の借入額から限度額いっぱいまで保証しますよという契約のこと」
薫子「ウチの融資限度額は2000万。最初にサインした額が300万でも、あとから理事長センセーが限度額まで借りた場合……」
薫子「……アンタは全額保証しなければならないんだ」
恋「そ、そんな……」ガクッ
恋「で、でも、そんな条項なんて契約書にありませんでしたよ!?」
恋「わたくしは何も知りません!!」
薫子「そうかぁー?」
薫子「おい、契約書持って来い」クイッ
恋(ガラの悪い男に指示を出すと、書類を持ってこさせた)
-
薫子「おっ、どうもな」
薫子「ほら……これだけど」
スッ
薫子「ちゃんと書いてあるじゃん」トントン
連帯根保証契約書
恋「あっ……!」
薫子「そしてこの条文──」
薫子「──保証人丙は乙の債務を極度額まで保証するものとする」
薫子「……って、ね」ニコッ
恋「そ、そんな小さい条文なんて読みませんよ!!」クワッ
恋「そもそも2000万円なんて払えるわけないじゃないですか!!」
恋(らしくないのも気にせず、叱られた子供のようにごねてしまった)
薫子「はぁ……」
恋(彼女は困惑した表情で深くため息をつくと、いきなり履いているブーツで力いっぱい机を蹴った)
-
ガンッ
恋「ヒッ……!」ビクン
薫子「──じゃあさ、風呂屋、いくか?」ギロッ
恋「えっ……?」
薫子「返せないなら、返してもらうようにお仕事してもらうだけだ」
薫子「運のいいことに美人でスタイルもいいから、ワンランク上の高級風呂屋でナンバーワンになれるぞ」
薫子「お嬢様学校の元教師って肩書つきで、な」クイッ
スッ
恋(彼女が手で合図を送ると、ソファの背後に立っていたふたりの男が、わたくしににじり寄ってきた)
恋「い、嫌、嫌です……!」
恋(逃げようと立ち上がるも、男たちに塞がれてしまう。このまま風呂屋に叩き売られて身体を売り物されるなんて嫌──)
恋「やめてください!!やめて……!!」
ガチャ
「……いったい何の騒ぎですか、姉さん」
恋(せめてものの抵抗で力いっぱい叫んだとき……ドアが開き、誰かが室内に入ってきた)
-
((ʃt(c◜; ᴗ ;) ))
-
恋ちゃん、幸せになってくれ…
-
レンレン…😭
-
ᶘイ^⇁^ナ川
-
三船姉妹許せねぇ...
-
ᶘイ^⇁^ナ川 大変ですね葉月さん
-
薫子「よっ、栞子じゃん!いま追い込みかけてるんだ」
栞子「まったく、視察に来たら……声が部屋の外までよく聞こえてますよ」スタスタ
栞子「コンプライアンス重視の世の中で、これはいただけませんね」
薫子「え?そっかぁ……」
栞子「そろそろ改めてください。それで……おや?」
栞子「あなたは……葉月さんじゃないですか」
恋「あっ……!」
恋「スリーシップエステートの三船社長!」
恋(視界に入ってきた人物を見て驚く。あの不動産会社の社長が立っていた)
恋「どうしてここに……?」
栞子「この会社は私の系列なんです。こうやってときどき様子を見に来るんですよ」
栞子「それより葉月さん……」
栞子「いったい、どうされたのですか?」
恋「はい、実は──」
恋(理事長がここで金を借り、その保証人になったことで返済を迫られていることを、薫子さんの隣に座った三船社長に伝えた)
-
栞子「なるほど。事情はわかりました」
栞子「信じていた人に裏切られ、借金まで背負わされるとは……心中お察しいたします」
恋「わたくしにはもう……一括返済できる現金なんてありません……」シュン
恋(抵当まみれの自宅、問題ばかりの売れない土地、街金の借金。もはや八方ふさがりで、ただうつむくしかなかった)
栞子「それでしたら──代物弁済はどうでしょう?」
恋「代物、弁済……?」
栞子「ええ、そうです。それが最も適性があるかと」ニコッ
恋(顔を上げたわたくしに、栞子さんは八重歯を見せて笑った)
栞子「なにも借金返済は現金でなくとも構いません、例えば……不動産、とか」
恋「!」
恋(その言葉にハッとする。そうだ、土地──母から相続した土地を購入したいと、栞子さんが申し出ていたことを)
恋(希望、救済の光明がわたくしに差し込んだのを実感した)
-
恋「三船社長、お願いします!!」
恋「あの土地を7000万、いえ、6000万円で構いません!!」
恋「どうか、買ってください!!」ペコッ
恋(ワラにもすがる思いで懇願する)
恋(たとえ6000万でも、この危機を脱することができるし、街金の借金も一括で返すことができる……わたくしの計画通りに)
栞子「葉月さん……」
栞子「……冗談はよしてもらえませんか」
恋「えっ……?」
恋(笑顔のまま否定する彼女に、わたくしは思考停止してしまいました)
-
栞子「状況をご理解できていますか?」
栞子「あなたは今、危機に陥っています」
栞子「すぐに現金を用意するか、代物弁済ができなければ、辛い思いをして返済しなければならない……この状況です」
恋「!」
栞子「この危機を脱するため、私が協力を申し出ているわけです。私はそれを拒否することだって……できるんですよ?」
恋「……」
栞子「2000万でどうでしょう」
恋「えっ……?」
栞子「これで貴女も助かります。それとも……」チラッ
薫子「高級風呂屋、いくか?」
恋「……!」ハッ
恋(このとき並んでいるふたりの表情を見て、ようやく気づきました──全ては、用意されたステージの上で踊らされていただけだったことを)
恋「……わかりました、2000万でお譲りします……」ボソッ
栞子「賢明な判断です。では早速、売買契約書に署名してください。あと登記変更の委任状にもお願いします」スッ
恋「……はい」
恋(今さら気づいてもどうにもならない状況。あとは流れに身を任せ──精魂尽き果て頭も真っ白になったまま、ただただ署名欄にペンを走らせるだけでした)
-
ʃt(c◜T ᴗ T)
-
きな子ー!助けてくれー!
-
代々木公園
恋「……」フラフラ
恋(……その後のことは、何も覚えていません。いつのまにか、わたくしは昼下がりの代々木公園をさまよっていました)
恋(ただ覚えているのは……)
恋(共に大切なものを守ってくれていると思っていた人に裏切られ、背負わされた借金返済のためにお母様から相続した土地をタダ同然で失ったということだけ)
恋「……」フラフラ
恋(わたくしに残されたのは抵当まみれの自宅、売れない廃ビル付きの土地、そして街金の借金600万……)
恋「……どうやって返せばいいんでしょうか……」ポツリ
恋(八方ふさがりって、こういう状況なんですね……次の授業で教えてあげましょう)
恋(あれ?いまのわたくしに次があるんでしょうか……?)
恋「……」ピタッ
恋(ふと立ち止まると、自分が公園通りにかかる歩道橋の真ん中にいることがわかった)
-
恋「……」ジッ
恋(歩道橋の欄干に手をかけ、真下の道路を黙って見つめる)
恋(時間は昼下がり、大小多くの車が行き交っていた)
恋「あ、そうです……」ボソッ
恋(この身体に生命保険がかかっていましたね、うっかりさんでした)
ガシッ
恋(このまま飛び降りて車にひかれれば、保険金ですぐ借金を完済できる……それに)
スルッ
恋(お母様のいる場所にいける──そう思うと、難なく欄干を跨ぐことができた)
恋「……」ポロポロ
恋(サヤさん、チビ……皆さんごめんなさい、わたくしはもうダメです……)
-
恋(潤んだ目でグニャリと歪んで見える道路は、まるで海のようで。何もかも捨てて飛び込みたいという意識をかき立てる)
恋(お母様、いま行きます。そう思って身体の重心を真下へ向けようとしたそのとき──)
「なにやってるの!?恋ちゃん!!」ダッ
ガシッ
「やめて!!」
恋(なりふり構わず猛スピードで駆け寄ってきた誰かが、わたくしの腰に手を回して、力強く歩道橋側へ引き戻した)
恋「あっ……!」
ドサッ
恋(引き倒すかのような勢いで引っ張られ、そのまま地面に尻もちをついた自分を、その人物は見下ろしていた)
恋(いったい、誰が……?顔を見上げてみると──)
恋「あ……かのん、さん……?」
かのん「はぁ……はぁ……」
恋(肩で息をしながら怒りと悲しみで顔を歪め、紫の瞳を潤ませた──わたくしの友人がいました)
-
恋「かのんさ──」
かのん「恋ちゃん!!なにやってるかわかってる!?」
かのん「危なかったんだよ!!走ってる車にはねられたら、死んじゃうんだよ!?」
恋(今まで見たこともない剣幕で怒声を浴びせられた)
恋「えっと……保険で借金を返そうと……」
かのん「だからって死ぬことないじゃん!!」
かのん「どうして何も相談してくれないの……私ってそんなに頼りないのかなぁ……?」ポロポロ
恋(ああそうだ──どうしてわたくしは……みなさんが悲しむことを考えずにあんなことをしたんでしょう?)
恋「わたくしは……その、迷惑だと……」ポロポロ
恋「ごめんなさい、ごめんなさい……」ポロポロ
かのん「いい、いいよ、恋ちゃんが無事なら……」ポロポロ
恋(かのんさんは、子供のように歩道橋の上で泣きじゃくった自分の傍に寄り添ってくれました)
恋(しばらくして落ち着いたのち、事情を知ったかのんさんに付き添われて行くべき場所──オニナッツファイナンスを訪れました)
-
オニナッツファイナンス 応接間
かのん「──と、いう訳なんだ」
かのん「もし私が買い出しの途中で寄り道してなかったらと思うと、ゾッとするよー」
きな子「そうだったんすか……」
メイ「先輩、なんでそんなバカなことしたんだよ!?」
四季「短絡的」
夏美「……」ジッ
恋「……申し訳ありません」シュン
きな子「そういえばかのん先輩。時間、大丈夫っすか……?」
かのん「え゛っ゛!?忘れてた!!」ガーン
かのん「ありあ絶対怒ってるよー!着信20件あるし!」
かのん「……それじゃ、あとお願いね」タッタッ
きな子「はいっす!ありがとうございますっす!」ペコッ
バタン
きな子「ふぅ……」
きな子(見送ったあと、すっかりソファの上で小さくなっている恋先輩に向き直ったっす)
-
借金怖いよお
-
俺も-100万抱えてるけどかのんちゃんは来てくれないや
-
きな子「借金返すために白昼堂々と歩道橋から飛び降りようとするなんて、あまりにも大胆すぎるっすよ?」
四季「大胆というか、無茶です」
恋「……ごめんなさい」
きな子(ポツリと謝罪の言葉を述べ、さらに縮こまってしまった)
メイ「恋先輩は昔から抱え込むところがあったとはいえ……ひどすぎるな」ウデグミ
四季「きっと、意図的な、トリック」
きな子「トリック……どういう仕掛けっすか?」
きな子(首をかしげるきな子に、今まで黙って腕組みして見ていた社長が口を開いたっす)
夏美「きっと葉月さんは──地下げ屋のワナにまんまと引っかかったんですの」
-
恋「……地下げ屋?」
夏美「本来の価値をわかってなかったり、固定資産税の支払いが負担になってる地主から、安く土地を買う連中のことですの」
夏美「標的を決め、素性を調べ上げたあと……弱みをネタに地主を追い込んで、自分たちの言い値で土地を買い叩く」
夏美「それを高額で転売して利益を得る……濡れ手で粟な商売ですの」
メイ「じゃあ恋先輩は、ヤツらにハメられたってわけか」
四季「少額の連帯保証契約と見せかけた根保証契約で、本人が勘違いしているうちに債務額を膨らませ、あっという間に数千万円の連帯保証人に仕立て上げる」
メイ「そして一括返済を要求。そんな大金、現金で払えるわけないから、代物弁済という名目で土地を貸した額と同じ金額で巻き上げたのか」
メイ「外道な手を使いやがって……」
きな子「悪質な連中っすね!」プンプン
-
きな子「でも、そんなやり方──根保証って合法なんすか……?」
夏美「合法も合法ですの」キッパリ
夏美「ちゃんと民法465条の2にありますの──」
夏美「一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約で法人でないもの個人根保証契約の保証人は、主たる債務の元本、利息……全ての債務について約定された額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う──ですの」
きな子「はにゃ!?こんな相手をハメるような保証人契約も合法なんすね……」
夏美「本来は連帯保証契約を何度も結ぶことなく、限度額までの債務を保証してもらえる便利な制度なんですの」
きな子「それを悪用したってことっすね」
夏美「そう。葉月さんはそれを連帯保証と勘違いしてサインしたですの」
きな子(こんなの高校で教えてくれなかったっすよ!?確か借金って18歳からひとりで契約できるから……じゃあ高校卒業したての子は金融のセカイだと格好の餌食じゃないっすか!)
夏美「咬福ローンの保証人契約の形態が根保証である以上、やりかたがどんなに理不尽でも、裁判しても勝つことは難しいですの」
恋「……」シュン
-
きな子「じゃあ恋先輩をサインするよう仕向けた理事長も……」
夏美「たぶん、連中のグルですの」
恋「そんな!理事長はそんな人じゃ、ありません……」
夏美「そんな人じゃなくても、現に葉月さんに背負わして夜逃げしてますの」
恋「それは……その……」
夏美「その時はそんな人じゃなくても、色恋やギャンブル……あるきっかけでマニーが絡めば人は変わりますの」
恋「お母様と一緒に結ヶ丘を盛り上げてくれたし、その遺志を継いでくれていると思っていたのに……」ポロッ
恋「うっ……うぅ……あんまりです……」ポロポロ
メイ「……」
四季「……」
きな子(多くの悪意と信じていた人に騙されて失った恋先輩──両手で顔を覆い、さめざめと泣く姿をきな子たちは憐みの目で見ることしかできなかったっす)
夏美「それで、葉月さん」
夏美「貸したマニー600万、利息込みで690万──」
夏美「どうやって返済するつもりですの?」ジッ
きな子(ただひとり、金融のオニを除いて)
-
幸せになれ
-
夏美ちゃんこえーっす…
-
恋「申し訳ございません……わたくしには、もう……」
恋「……ほとんど財産が残っていません。給与も銀行にとられて利払いもできません。だから──」
恋「もう覚悟はできています……煮るなり焼くなり好きにしてください!」
ガクッ
恋「うぅ……うぅ……」ポロポロ
夏美「……」ジッ
きな子(ソファの上で背中を曲げ、うずくまるようにして慟哭する恋先輩を社長は瞬きひとつせず見つめたあと)
夏美「……本当に、煮るなり焼くなり好きにしていいですの?」
夏美「辛い思いをするかもしれない覚悟はありますの?」
恋「はい……はい……!」コクコク
メイ「!?」
四季「社長……!」
きな子(オニならきっと生命保険を受け取れるような目にあわせるか、風呂屋に叩き売る──結ヶ丘の後輩たちが固唾をのんでソレを待ち受けている中、社長が口を開いた)
-
夏美「なら、返済のめどがつくまで1か月、待ってあげますの」
恋「えっ……!」ガバッ
恋「でも……わたくしには……」ポツリ
夏美「その代わり!葉月さんの命は預からせてもらいますの!」ビシッ
恋「は、はい……!」
夏美「覚悟できてると言った以上、好きなように扱う……」
夏美「……逃げたら、本気で探し出すから。そのときは絶対に、許しませんの」ジロッ
恋「……はい、わかりました」コクリ
きな子(顔をあげた恋先輩は、鋭い眼差しを向ける社長から目を反らすことなくうなずいたっす)
夏美「じゃあ、学校……立て直しとか大変だと思うし、とりあえずいまは帰っていいですの」
恋「ありがとう、ございます……」ペコッ
きな子(何度も何度も頭を下げて、恋先輩は事務所を出ていったっす)
-
きな子「それで……社長、どうやって600万を回収するっすか?」
四季「恋先輩からは難しい」
メイ「……何か策があるのか?」
きな子(みんな一斉に社長を見る。そこにはある種の期待が寄せられていた)
夏美「……わかりませんの」
きな子「はにゃ!?」
夏美「保険で回収したら朝の目覚めが悪いから、つい勢いでいっただけですの」
メイ「おいおい……」
夏美「でも、目星はつけているですの」
冬毬「姉者、まさか……」
夏美「……そのために、みんなには通常業務の間に調べて欲しいですの」
夏美「スリーシップエステートについて」
きな子「わかったっす!頑張るっす!」
メイ「おう」
四季「……」コクリ
夏美「今回のキリトリ……かなり難しいかもしれませんの」
きな子(こうして、きな子たちは地下げ屋を調べてみることにしたっす!)
-
六本木 ラウンジ
「かんぱーい!」
薫子「今日は無礼講だ、どんどん頼んでいいぞー!」
パチパチパチ
薫子「いちばん高い響とフルーツ盛り、持ってきて」
ボーイ「かしこまりました」ペコッ
栞子「姉さん、はしゃぎすぎですよ……」
薫子「いいじゃないかよー、ビジネスがうまくいったお祝いだよ、お祝い」
栞子「はぁ……あっ!」
果林「こんばんは、栞子ちゃん」
栞子「果林さん、お久しぶりです」ペコッ
薫子「ほら、こっちこっち」ポンポン
果林「失礼いたします」スッ
-
薫子「おー、相変わらずキレイだな!さすが現役モデル」
果林「うふふっ、ありがとうございます」
果林「それじゃ乾杯、しましょう」スッ
薫子「ビジネスの成功祝い、に」スッ
「かんぱーい!」カチン
ワイワイ
栞子「果林さん、雑誌いつも拝見していますよ。ついに表紙を飾りましたね……おめでとうございます」
果林「あら?熱心に応援してくれてありがたいわ」ニコッ
栞子「あ、いや……その……」カァッ
栞子「……」ゴクゴク
薫子「相変わらずウブだなー、栞子は」スッ
果林「……火、お付けしますね」カチッ
薫子「ん……サンキュー」プカァ
薫子「おっ、今日の子羊たちはたわわに実っているなー」サワッ
「やぁん、だーめ!」
アハハハ
栞子「まったく姉さんは……」ヤレヤレ
果林「……ねえ栞子ちゃん、いつも景気がいいわね。なにか大きな取引でも成功させたの?」
-
栞子「ええ。1億円近い価値の土地を、2000万で手に入れたんです」
果林「あら、すごいじゃない……!」パチパチ
薫子「ぜんっぜんすごくないよ。持ち主の知り合いがホスト遊びにハマって借金まみれだったから、ホストの売掛を立て替えてあげる代わりに協力を持ちかけて……持ち主を連帯保証人にして借金のカタに土地を買い叩いただけだよ」
薫子「日常だよ、日常。なあ栞子?」
栞子「そうですね。日常ですぅ」ポワポワ
果林「あら?栞子ちゃん酔っちゃった……?」
栞子「いえ!至って正常ですよ、正常です」
栞子「しかもこの土地……4軒の家が建ってて、前の持ち主がお人好しだったせいか、借地料が安すぎたんですよ」
栞子「借地料を上げようにも家主の抵抗が激しすぎて、正攻法じゃダメです。裁判沙汰になってしまいます」
果林「……それじゃいくら安くても損じゃないかしら?」
栞子「そこが、腕の見せ所、なんれすよ」
果林「よかったら詳しく教えてほしいわ……はい、水割りよ」トン
栞子「ありがとうございます……!」ゴクゴク
-
トンッ
栞子「……簡単です。まず始めに私の外部顧問の肩書を利用して、三船地所の営業マンに名刺を家主たちに配らせたんですよ」
栞子「外苑再開発で周辺地価が高騰しているから、売ってくれるところがないか探している、といった感じです」
果林「どうなるのかしら?」カラカラ
果林「……はい、水割り」スッ
栞子「ありがとうございます……次に、新たにオーナーとなった私が家主たちに毎月の借地料の2倍を提案します」
栞子「当然、反対されますが──」ゴクッ
栞子「ここで、10年払いで土地を譲渡するという条件をつけると……家主たちはクルクルと手の平を返して、みんな合意したんですよ」
果林「やるじゃない。栞子ちゃん」
栞子「面白いものですね、人って。目の前に人参をぶら下げただけで、必ずもらえると期待して簡単に合意するんですから」
栞子「ほとんど苦労することなく、買った額の3倍以上の利益を手に入れて土地を売却できるのですから……」ゴクゴク
果林「すごいわね、栞子ちゃん。ビジネスの適性抜群じゃない」ニコッ
栞子「そ、そうですかぁ……照れますねぇ……」ニヤニヤ
-
ボーイ「……失礼いたします。果林さん、ご指名入りました」
果林「あらそう?ごめんね、栞子ちゃん……お話、楽しかったわ」スクッ
栞子「えっ、あ、果林さん……?」
果林「ごゆっくりおくつろぎください」ペコッ
クルッ
栞子「えっ、あぁ……」シュン
スタスタ
果林「お待たせいたしました」ペコッ
果林「……ちゃんと聞き出したわよ?」
きな子「さすがお店のエースはすごいっすー!」パチパチ
メイ「しかもキャストの紹介ってことで、わざわざ真後ろの席とってくれて感謝してるぜ」
夏美「よーく聞こえましたの」ニコッ
果林「……約束よ。それで無利息にしてくれるんでしょ?」
きな子「はいっす!」
果林「ふぅ……これでカードの代金が払えるわ」ホッ
きな子(今夜は社長が教えてくれた金貸しの基本。相手をじっくり観察してるっす)
-
果林さんすげぇや
あと理事長は一発殴らせろ
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外苑再開発とか緑のたぬき案件じゃんスゲー
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かっこいいのかカッコ悪いのかわからない果林さん
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伊達に変なバイトしてないぜ果林てゃん
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>>183
なんか日本語の表現おかしいので訂正します
誤 栞子「……簡単です。まず始めに私の外部顧問の肩書を利用して、三船地所の営業マンに名刺を家主たちに配らせたんですよ」
正 栞子「……簡単です。まず始めに私の外部顧問の肩書を利用して、三船地所の営業マン使って名刺を配って回らせたんです」
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面白いね
10年払いで土地を譲渡云々がよく分からんのでそのうち解説してくれたら嬉しい
-
>>190
解説の前に背景はこうです
──もともとは土地の所有権者が花さんで、その上に神宮音楽学校時代の元同級生たちが土地を借りて4軒の家屋があります。
その4世帯は花さんと契約を交わし毎月10万の借地料(地代)を花さんに支払っていました。
つまり毎月、賃料収入を得ていたわけです。
花さん亡き後、相続した恋ちゃんが土地の所有権者となります。
恋ちゃんは当時より周辺地価が上がっていることと、お友達料金で借地料が安いことを問題視して──
借地料の引き上げを交渉したものの、拒否されてしまい、ならば立ち退きを迫ろうにも4世帯の家主が借地権を盾に法的措置を振りかざして居直っているため、どうにもならない。
──という現状でした。
それを踏まえての解説ですが……
その土地を安く買い叩き、新たに所有権者となったスリーシップエステート社長の策は──
4世帯地主に不動産大手である三船地所の看板をちらつかせ、再開発で地価が高騰しているから土地を買いたいという目に見えるエサを撒いたあとで4世帯の家主たちと賃料交渉を行います。
毎月の借地料を2倍、つまり20万を支払うよう要求しますが、拒否されるのは当然です。
そこで、毎月20万を10年間支払えば家の土地の所有権を家主に譲渡するという条件でローン契約を結ぶよう提案します。
つまり賃貸契約から土地購入目的のローン契約に切り替えたことで、10年間の支払い後に土地建物が丸ごと家主の財産になるので、転売できるメリットを考えて4世帯は合意して契約した──という感じです
ただし、希望額どおり不動産が売れるというのは不動産のセカイではまず難しいので、結局は安く手に入れた土地を高値で売りつけたスリーシップエステートの独り勝ちです
SSで表現するのは大変難しいので端折りましたが文字だけで説明するとなるとやっぱり難しいですね
-
夏美「あれが地下げ屋のボスか……だいたい予想はしていましたの」ジッ
きな子「……あっ!」ハッ
きな子(思い出した!千砂都先輩のマンマル工業と黒澤建設の一件で、黒澤ダイヤの車に乗っていた人物っす……!)
きな子(あの目つきに尖った八重歯……間違いないっす)
メイ「きな子どうした?」
きな子「えっと、あのひと見たことがあるっす──」
きな子(ざっくり社長と米女さんに説明する)
メイ「そっか。黒澤とツルんでたのか……」
夏美「……名前は三船栞子。三船地所と関わりがある土地ブローカーですの」
きな子「三船、栞子……」
きな子「でも、隣でキャストに絡んでいる黒革ジャンパーのヤバそうな女は知らないっす」
夏美「……あれは三船薫子。栞子の右腕でかつ、実の姉ですの」
メイ「へぇー」
きな子「姉妹なのに妹がボスってめずらしいっすね!」
夏美「その代わり、影になって三船の厄介事を片づけている人物ですの……あまり良い噂を聞かないですの」
-
きな子「でも……なんでふたりとも三船グループ創業家なのに、こんな稼業をしているんすかね?」
きな子「こんなことしなくても何不自由なく生きていけるはずなのに……」
夏美「三船地所のためですの。いくら大手とはいえ、そういうことをやれば一瞬でマスコミの餌食、株価暴落を食らいますの」
夏美「だから表向き別会社のスリーシップエステートを創設して、後ろ暗い方法で安く土地を買い集め、善意の第三者である三船地所に売る」
夏美「……それをさらに三船地所が高額で顧客に売ることで莫大な利益を得て、栞子たちに何かしらの還元があるはずですの……」
夏美「……恐らく資金洗浄やら何やら、叩けばイロイロ出ると思いますの」
夏美「もっとも、そんな簡単にボロを出すならこんな稼業なんて続けてないと思いますの。そこを期待する気はさらさらないですの」
夏美「やっぱりこのキリトリ……かなり難しい仕事になりそうですの」
きな子「!」
メイ「!」
きな子(きな子たちの背後の席ではしゃぐ三船姉妹を横目で見ている社長の目は──獲物を狩るような目つきだった)
-
メイ「社長……!」
きな子「まさか三船から恋先輩の借金を回収する気っすか!?」
夏美「もちろんですの」キッパリ
夏美「あんなやり方でウチの客をパンクさせて根こそぎ奪い取るヤツは、いちど痛い目をみせてわからせないと気が済まないですの」ムムム
夏美「……って、なに今さら驚いていますの?」
メイ「いやだって、さあ」
きな子「相手は大手企業の影として動いている、厄介な地下げ屋っすよ?」
きな子「本当に回収する気っすか……?」
夏美「当たり前ですの」
夏美「金融屋は、命がけで貸したマニーは命がけでキッチリ回収する──それが葉月恋じゃなくても、ですの!」ビシッ
きな子「は、はいっすー!」ビクッ
きな子(金が絡めば誰彼構わず回収する。社長の凄まじい執念にきな子は背筋を伸ばしてうなずいたっす)
-
夏美「ま、そのために情報はもっと集めないといけませんの」
夏美「生半可な覚悟で挑めば返り討ちにされますの」
メイ「確かに」コクリ
きな子「はいっす!頑張るっす」
きな子(恋先輩を助けるためっす……覚悟を決めたっす)
果林「ねぇ……そろそろドリンク注文しない?」
果林「私のどカラカラよ……」
きな子「そうっすね」
メイ「社長、なに頼むんだ?」
夏美「景気づけにおごりますの!」ニコッ
きな子「ホントっすか!?」
メイ「おおっ、幸先いいじゃねーか!」
夏美「このいちばん安い鏡月でいいですの、あとツマミはいちばん安いナッツ盛り合わせでいいですの」
ボーイ「か、かしこまりました……」
きな子「はにゃ!?」ガクッ
メイ「本当ドケチなんだから……」ヤレヤレ
-
話も面白いし、めちゃくちゃためになる。
凄く好きです!
-
続き待ってるっすよ〜
-
オニナッツファイナンス
四季「……社長。スリーシップエステートの情報、だいたい集まった」
四季「関連会社の登記簿から、公開されている限りの財務諸表、取引銀行に業者もある……」
バサッ
メイ「こっちも連中の顔写真、集めてきたぜ」スッ
夏美「ご苦労様でしたの」
きな子(あれから一週間後。ある程度情報を集めたきな子たちは、通常営業終了後の事務所で会議をすることにしたっす)
冬毬「……やはり、書類上では何の問題もないですね」ムムッ
四季「強引な取り立てをする咬福ローンの三船薫子についても、反社会的勢力との付き合いがあるという噂程度で、確固たる証拠はナッシング」
メイ「確実に金を渡してるだろうけど、バカ正直に帳簿に残すわけねーよな……」
夏美「……さすがにシッポを簡単には掴ませてくれないですの」
きな子(応接間にあるテーブルいっぱいに広がっている書類をじっくり吟味した社長が感嘆の声を漏らす)
きな子(本当にそんな相手から600万回収できるっすかね……?)
-
夏美「……ん?」ピラッ
夏美「この子会社の──イナミィ企画、って何をやっているですの?」
四季「性風俗営業。スリーシップエステートが安価で提供した物件で営業している」
メイ「風呂、ピンサロ、ヘルス、オナクラ、イメクラに性感エステ……主に抜きありの風俗店をやっているらしいぜ」
きな子「抜きありってなんすか?」
メイ「ん?ああ、きな子は知らない方がいい」
きな子「えぇ……」
スッ
四季「で、これがイナミィ企画が関わっている店舗一覧」
夏美「見せて欲しいですの」
夏美「……」ジッ
きな子(なぜかそれが気になったようで、食い入るように見つめたあと。ある部分に注目して顔をあげたっす)
-
夏美「このリストのなかに、一軒、建設中のがあるけど……」
四季「それは通称──ミヌキ御殿。全てのフロアに風俗店が入る6階建ての風俗の複合ビル」
夏美「なるほど……地図を見せて欲しいですの」
四季「わかった」スッ
きな子(すかさずタブレット端末から地図アプリを起動する)
夏美「ストリートビューで見せて欲しいですの」
四季「わかった」タップ
四季「はい」スッ
夏美「どれどれ……」ジッ
冬毬「……駅チカで立地は最高ですね。規模的に相当な収益を得られそうです」
メイ「ビル一棟に性の悦びが詰まってるんだ、そりゃそうだ」
きな子「あれ?この景色、どっかで見たっす……」
きな子(タブレットに映る工事中のビルと隣の特徴的な建物、地名の標識から、なにやら既視感を覚えたっす)
きな子(頭の中にある記憶の断片をなんとか掘り起こし、ようやく思い出す──以前にストリートビューで見た景色だった)
きな子「……あっ、そうっす!そうっすよ!」バッ
-
メイ「な、なんだよ!いきなり立ち上がって……」
きな子「ほら、この画像!あれっすよ!アレ!」ユビサシ
メイ「アレじゃわかんねーよ!」
きな子(若干、引いている米女さんじゃ話にならないっす!)
きな子「冬毬ちゃん!」
冬毬「は、はい……!どうしましたか?」
きな子(急に名指しされて困惑気味の冬毬ちゃんにあるお願いをした)
きな子「あの顧客情報ファイルが入った棚にある──恋先輩の書類を持ってきて欲しいっす!」
冬毬「あ、アグリーです……」スクッ
スタスタ
冬毬「……どうぞ」スッ
きな子「ありがとうっす!」
きな子「ファイルにある……担保にできるかと思ってコピーしていたのは……あった!」スッ
きな子(コピーをファイルから切り離し、皆で囲っているテーブルの上に広げた)
-
夏美「これは……?」
きな子「最初の400万円の融資のとき……恋先輩からもらった登記簿っす」
きな子「この住所に見覚えがあって……えっと……」
きな子「若菜さん、タブレット借りるっす」スッ
四季「うん。はい」
きな子(地図アプリに住所を打ち込んで、ストリートビュー表示させる)
きな子「見てほしいっす!登記簿のこの住所と……」タップ
きな子「……その工事中のビル」タップ
きな子「近くにあることがわかったっす!!」
夏美「!」
シーン
きな子「……あれ?」
きな子(気づいたことを報告してみたけど、みんなのリアクションは薄かったっす……)
-
いったんイナミィ企画行って来るか
-
メイ「……それで?」
きな子「それだけっす。気づいたことをすぐ知らせないと、って思ったっす」
メイ「そんなしょーもないことをいちいち大声で報告するな!」バシッ
きな子「ふぎっ!?」
きな子(久しぶりに怒られたっす)
冬毬「……とにかく、どうするかプランを出し合いましょう」
夏美「待つですの」
夏美「四季ちゃん、お互いの場所と距離を見せて欲しいですの」
四季「はい」
夏美「……その土地とビル、もしかしたら使えるかもですの」
冬毬「どういうことですか姉者」
きな子(その問いには答えず、黙ってミヌキ御殿と恋先輩の土地を表示するタブレットを交互にみた社長。何かに気づいたのか顔をあげると)
夏美「まず、きな子ちゃんとメイちゃん……」ジッ
きな子「はいっす!」
メイ「!」
夏美「明日、現地の警察署にいってほしいですの」
-
都内某所
メイ「しっかし、まあ……」
メイ「何もしてなくても緊張するもんだな、ここは」
きな子「そうっすね」カチカチ
メイ「緊張しすぎだろ……」
きな子(今、きな子は警察署の前にいるっす!)
きな子(ここに立つと何もやってないのに、なぜか緊張する……たぶん、金融屋というグレーな仕事のせいかもしれないっす)
メイ「ま、私たちの稼業なら仕方ないよな」
バッ
メイ「刑務所の塀の上を両手広げて渡り歩いているもんだからなー」
メイ「ちょっと風が吹いたり足元グラつくと……塀の中だ」
きな子「……そうっすね、気を付けるっす」スタスタ
メイ「よっしゃ、生活安全課へ行くぞ」
きな子(両手を広げておどけた米女さんを横目に、きな子は襟を正して警察署の敷居をまたいだっす)
-
オニナッツファイナンス
ガチャ
きな子「ただいまっす」
メイ「戻ってきたぞ」
夏美「おかえり、どうだった?」
メイ「例のミヌキ御殿──営業許可申請中でまだ許可が下りてなかった」
きな子「……っす!」
夏美「許可がまだ下りてない……ふふっ……!」
夏美「偶然の産物、棚からぼたもちとはよくいったものですのー!大きなマニーの匂いがするですのー!」ニャハー
きな子「?」
きな子(急に喜びだした社長に困惑したっす)
夏美「そうと決まれば、担当のきなこちゃん!」
きな子「は、はいっす……!」
夏美「戻ってきたばっかで悪いけど、また車を出して欲しいですの」
夏美「これから──ご挨拶に伺いますの」ニヤッ
きな子(デスクから立ち上がった社長は、引き出しからサングラスを取り出して顔にかけたっす)
-
jΣミイ˶º ᴗº˶リ!?
ᶘイ;⇁;ナ川
-
更新助かる!
-
待ってたぜぇ!
-
スリーシップエステート 社長室
栞子「もしもし私です。例のビル、進捗はどうですか?」
栞子「……結構です。このまま進めてください」
栞子「では」ガチャリ
薫子「どうだって?」
栞子「テナント契約した業者たちが、内装工事を始めているそうです」
栞子「あとは予定通り、再来月の開業を待つだけです。楽しみです」
薫子「良かったじゃないか。栞子の肝いりだもんなー?」
薫子「あの風俗ビルが出来たら、今まで以上に金が集まるし……私たちのビジネスは無敵だな!」ニヤッ
栞子「ええ。ゆくゆくは三船グループが裏ビジネスにも大きく進出するきっかけになるでしょう」
栞子「そのときは……姉さん、よろしくお願いします」
薫子「任せなって」
コンコン
「失礼します。社長、お客様です」
栞子「わかりました。通してください」
栞子「……予定はないはずですが……」
-
あれ?NGワードってなんですかね?
投下できなくなってしまいました
-
今設定変えましたが書き込めますか?
-
>>212
なぜかできないようです
本文はできるだけ罵倒表現を抑えているのですが
コピペがいけないのでしょうか?
-
今NGワード設定してないんですがどういうことだろ
-
ガチャ
夏美「失礼しますの」
きな子「失礼しますっす」ペコッ
夏美「私、オニナッツファイナンスの鬼塚夏美と申します」
薫子「オニナッツファイナンス……?」
栞子「ご用件を伺いましょう。どうぞ」スッ
夏美「ちょっと失礼しますの」ドカッ
薫子「なっ……!」
きな子(わざとらしく社長は応接用のソファに腰かける。それをみた三船薫子は露骨に不快な表情を浮かべた)
栞子「改めて。街金の鬼塚夏美さんが何のご用件でしょう……?」
夏美「成長著しいスリーシップエステートの三船社長にお尋ねしたいことがありますの」
栞子「なんでしょうか?」ニコッ
夏美「葉月恋って、ご存知ですか?」
栞子「さぁ……存じませんね……」
きな子(相対するようにソファに腰かけた三船栞子は首をかしげる。知らないふりしているのがきな子でもわかるっす)
-
文章量とか? 細分化して投下すればいけたりするかも
-
投下できました。ありがとうございます
たぶん本文中の特定ワードがまずかったようです
修正したらできました
-
管理人読んでたのか
-
管理人の設定以外にしたらば自体のNGワードがあるんだろうね
-
きな子「そっちが7000万円で土地を売る約束をしたのに、知り合いに騙され根保証で膨らんだ借金を返すために2000万で買い叩かれた人っす」
きな子(あんなひどい目にあわせておいて、なおシラを切る姿に我慢できず、思わず口を挟む)
栞子「ああ、葉月さんですか……いま思い出しました」
薫子「……で、なにか問題あんの?」
夏美「おたくらが土地を安く買い叩いたせいで、ウチの借金が返せなくなって歩道橋から飛び降りようとするくらい追い詰められましたの」
きな子「回収不能になって迷惑だったっす!」
栞子「そうですか、それはお気の毒ですね」
夏美「そこで……葉月恋に貸したウチのマニー、利息手数料込みで700万──」
夏美「──スリーシップエステートの三船社長に払ってもらおうとお願いに伺った次第、ですの」
きな子(社長がそう要求すると、三船姉妹は驚いて目を丸くした。けど、そのあとの反応は予想通りで)
-
薫子「ぷっ……アハハハ!」
薫子「なにバカなこといってるんだよ!」
栞子「ずいぶん笑える冗談ですね」
きな子(薫子は嘲笑する一方、栞子は八重歯を出して笑みを浮かべているものの、目がしっかりすわっていた)
栞子「あれは契約書を交わした正当な商取引です。なぜ私が御社に700万を払わなければいけないのですか?」
きな子(当たり前っす……そんな請求をしても簡単に払ってくれるような連中じゃないっすよ)
薫子「借金の焦げ付きなんて、この世界じゃ当たり前じゃないか。私と同業なら、それくらいあるあるネタだろ?」
きな子「……」ギロッ
薫子「まあ、運が悪かったと思えば気持ちの切り替えができるんじゃないか」フン
栞子「ご用件はそれだけですか?」
夏美「……」
栞子「でしたら……早々にお引き取り頂けないでしょうか」
栞子「なにぶん私も忙しい身の上ですので……」スッ
きな子(右手でドアを示し、あくまでも丁寧な対応で冷静に厄介払いをする)
-
夏美「……あくまでも払わないつもりですの?」ジッ
栞子「もちろんです」ジッ
栞子「これは支払う必要がない、適性のない支出ですから」
きな子(きっぱりとはねつけた栞子に対し、社長は交渉決裂を悟ったのか立ち上がり……)
夏美「そうですか……それなら結構ですの」スクッ
夏美「ただし──」
夏美「──あまり背伸びしてマニーを荒稼ぎしていると、足元すくわれることがありますの」
夏美「くれぐれも……大ケガをしないで欲しいですの」ニコッ
薫子「フン……」
栞子「……鬼塚さん、ご忠告ありがとうございます」ニコッ
夏美「では……きな子ちゃん、行きますの」
きな子「はいっす……」
スタスタ
バタン
薫子「たかが700万の小銭で押しかけやがって……セコい街金ふぜいが」ケッ
栞子「……」
-
アウディA8
きな子「社長、これでいいんすか……?」
きな子「なんか……とても悔しいっす……!」
きな子(車を走らせ、ハンドルを握りながら後部座席の社長にいう)
きな子(きっと、恋先輩もそういう気持ちだったっす。でも、あの人は優しすぎるから……あんな選択を)
夏美「いいわけないですの」
きな子「!」
夏美「私は義理堅い人間だと自称してますの……」
夏美「……マニーのお返しと仕返しはきっちりやるって」
きな子「じゃあ……!」
夏美「スリーシップエステートを追い込んで、あの三船姉妹をカタにハメてやるですの!!」クワッ
きな子「はいっす!!」グッ
きな子(相手は巨大な敵──自然とハンドルを握る手に力が入ったっす!)
きな子(こうして、オニナッツファイナンス総出でオニ倍返しの計画がスタートした)
-
管理人早すぎてワロタ
-
結ヶ丘 理事長室
ガチャ
恋「すみません。お待たせしました」ペコッ
きな子「大丈夫っす、いま来たばかりっすから」
きな子(案内されてしばらく経ったあと、現れた恋先輩に挨拶する)
恋「……」
きな子(あの時にくらべて顔色は良くなったものの、やはり表情は曇りがちだった)
きな子「……」キョロキョロ
きな子(初めて入ったけど、お嬢様学校にしては理事長室が簡素っすね?恋先輩の方針なのか、それとも……)
恋「それで……ご用件は……?」
夏美「……約束通り、オニナッツファイナンスのために動いてもらうために、お願いに来ましたの」
夏美「理事長代行さんに」
恋「はい……わかっております」
恋「煮るなり焼くなり好きにしてください……」グッ
きな子(覚悟を決めたのか、恋先輩は目を閉じて両ひざの上で拳をつくった)
-
夏美「お願いというのは……きな子ちゃん」チラッ
きな子「はいっす」
きな子(社長の目くばせを合図に、担当の自分が切り出す)
きな子「恋先輩が相続した──あのビル付きの土地を無料で好きなように使わせてほしいっす」
恋「え?あの売れない土地とビルを、ですか……?」
きな子「はいっす。お願いしますっす!」ペコッ
恋「あ、頭をあげてください……!」スッ
恋「事情はわかりませんが……あの土地を使っていただけるなら別に構いません」
きな子「ありがとうございますっす。あと……通帳と印鑑もお借りしたいっす」
恋「えっ……それは……」
夏美「お願いしますの。うまくいけば、貴女の借金を全額チャラにしますの」
きな子(銀行通帳と印鑑を頼まれ、渋る恋先輩に社長が有利な条件を提示してひと押ししてくれた)
恋「……わかりました。オニナッツファイナンスの皆さんを信じます」コクリ
きな子「ありがとうございますっす!」
きな子(こうしてきな子は、恋先輩名義の通帳と印鑑をゲットしたっす!)
きな子(次は──新宿っす!)
-
どうするつもりなのか想像つかなくて面白い
-
こんな作戦かな?と想像しながら読んでるから結末が楽しみ
-
新宿 西木野診療所
真姫「ヴェエエ!?私の名前を貸してですって!?」
きな子「はいっす!先生の名前、貸してくださいっす」
メイ「ついでに通帳と印鑑も貸してくれ」
真姫「お断りします!」
きな子「はにゃ!?」ガクッ
真姫「……どうせあなた達のことだからロクな事に使わないでしょ?」カミノケクルクル
真姫「言っておくけど、通帳にはほとんど入ってないわよ?」
真姫「ママ……母の支援もここの開業資金に使っちゃったしね」
真姫「借金のカタに私の口座なんか差し押さえても意味ないわ」
きな子「そうじゃないっす。実は……」
きな子「先生の名義で土地と建物を買うために必要だからっす」
真姫「えっ!?」
きな子(クールビューティな先生もさすがに驚いていたっす)
-
真姫「ちょっと待ちなさいよ!」
真姫「ローンなんて払えないし、審査なんて通らないわよ!?」
きな子「大丈夫っす。先生には一切、迷惑をかけないっす!」
きな子「だから安心して名義と通帳と印鑑を貸してください」ペコッ
真姫「安心できないわよ!」
真姫「一体、どうして私の名義で土地を買わなければいけないのよ……?」
ポンッ
メイ「先生、訳はあとで話すよ。今はとにかく……協力してほしいんだ」
メイ「協力してくれたら、先生の借金、半額にさせてもらうぜ?」ニコッ
真姫「でも……」
-
メイ「はぁ……そんなに西木野の名前が大事か?」
メイ「だったらよ、今すぐウチの借金、全額回収させてもらうぜ」
真姫「えっ!?」
メイ「ときどき返済が遅れても、きな子のヤツ名前通り甘いから、延滞料とらなかったろ?」
真姫「ええ……まあ……」チラッ
きな子「……」
メイ「ホントはな、1日でも支払いが遅れたら……信用関係の棄損を理由に全額回収できるんだよ。借用証にも書いてあるからな、コレ」
メイ「……ってことはよ、今すぐ診療所にある医療器具や薬を全部、差し押さえて叩き売ってもいいってことだよなー?」
メイ「そうなると先生だけじゃなく、利用している娘たちも困るよなー?」ギロッ
真姫「……ハァ……」
真姫「アンタ……オニね、ホント……」
真姫「……いいわ。私の名前、好きに使っていいわ」
きな子「ありがとうございますっす!」ペコッ
メイ「さすが先生、判断が早いぜ」
きな子(こうして、西木野先生からも通帳と印鑑を預かったっす!)
-
数日後 オニナッツファイナンス
冬毬「……姉者、報告です」
冬毬「売買契約を結んだあと、ふたりの口座でマネーのやり取りを済ませ、無事に所有権移転登記を完了させました」
冬毬「また、一番抵当をつけていた銀行にも抵当権消滅請求を行い、抵当権を外させました」
冬毬「保健所には再来月を予定に開設届をすでに申請しています」
夏美「さすが我が妹、上出来ですのー!」ニコッ
夏美「これで名実ともに、あの土地と建物は西木野真姫のもの」ニャハー
夏美「……四季ちゃん、そっちはどうですの?」
四季「OK、万事順調。さすが千砂都先輩、もう内装工事に取り掛かっている」
四季「元がクリニックだったから、今月末には予定より早く完成する」
夏美「マンマル工業には頑張ってもらいますの!」
夏美「きな子ちゃんたちは?」
冬毬「いま、現地で作業の確認中です──」
冬毬「──西木野クリニックの」
-
西木野クリニック
千砂都「オーライ、オーライ……オッケー!」
ガチャン
千砂都「これで看板設置はマル!!」ニコッ
千砂都「よーし、みんな完成まで昼夜問わず頑張ってYO!」
千砂都「心のリミッター外せば無限の可能性があるんだからね!!」
きな子「……現場の千砂都先輩、すごくスパルタっすね」
メイ「昔からあの人はストイックだったからなー」
きな子「そうなんすね……あっ、先生!」
真姫「……」ジッ
きな子「どうっすか?新宿の路地裏の診療所と違い、16床もあるしっかりした病院っすよ、ここ」
真姫「……こんな大きな病院、私のセンスに合わないわよ」ツーン
きな子「そんなこと言わないで……日当たりもいいし、風通しもいいし、なにより……」
きな子「ピアノも設置する予定っすから」
真姫「!」
真姫「……まあ、息抜きに弾くのも悪くないかもしれない、わね」カミノケクルクル
きな子(先生のピアノ好きはリサーチ済みっす!)
-
メイ「今日からここが先生の病院になるんだ、頑張れよ」
真姫「……あの場所には帰らせてもらえるのよね?あそこにはまだ治療が必要な娘がたくさんいるのよ」
メイ「もちろん、約束したからな。数か月、ここで開業医になってくれれば、借金半額にするぜ」
真姫「……わかったわ」
きな子(やや不安げに見上げる先には、出来立ての西木野クリニックの大きな看板があったっす)
メイ「さてと……」
メイ「再来月が楽しみだな、きな子?」ニヤッ
きな子「そのころにはあの連中──きっと大パニックになってるっす!」ニヤッ
きな子(そして時は過ぎ……いよいよ待ちに待った再来月を迎えったっす)
-
伏線回収が上手い
-
スリーシップエステート 社長室
プルルル
ガチャ
栞子「もしもし、私ですが……なんですって!?」
栞子「営業許可が下りない!?」
薫子「!?」
栞子「保全対象施設が……バカなことを言わないでください!」
栞子「あの土地はすでに調査済みで問題ないはずだと……」
栞子「……言い訳も謝罪も結構です!!それに何の適性もありません!!」
栞子「とにかくどうするつもりですか!?早急に何とかしてください!!」
ガチャン
栞子「……」ハァ
-
栞子「……なんてことでしょう……」
薫子「どうしたんだよ?」
栞子「姉さん、あのビルの営業許可が下りないんです……」
薫子「はぁ!?どうしてだよ!!」スクッ
栞子「風営法28条の禁止区域に該当するそうです」
薫子「なんだよそれ……?」キョトン
栞子「──官公庁、学校、病院といった保全対象施設がある場所から100m圏内では、清浄な風俗環境の維持のため店舗型風俗営業を営んではならない、という法律があって」
栞子「都条例なら50m圏内が風俗営業禁止区域なんですが……」
栞子「突然、ビルの斜め後ろの路地に西木野クリニックという病院ができて──」
栞子「──私たちのビルが、その50m圏内にかかってしまったんです!」
栞子「それで所轄の警察から、営業許可を出さない、と」
薫子「はあ!?」ガクゼン
-
やり手だねぇ夏美ちゃん
-
薫子「あのあたりはちゃんと調査したはずだろ!?」
薫子「学校とか病院とか……そんなものなかったぞ!!」
栞子「はい。なかったはず、です」
栞子「もともとその土地は10年前まで病院だった、今は廃墟同然のビルがあったのでしたが……」
栞子「……先月ごろ。西木野という医者が土地と建物を買い取り、いきなり開院したそうです」
薫子「そんな……営業許可申請は私たちが先だろ!?」
栞子「そうなんですが……医療機関は公衆衛生の観点から、優先して許可が出るそうで」
薫子「公務員のクソ共が!!」ガンッ
栞子「姉さん、モノにあたっても意味がありません……」ハァ
-
なるほどなあ
学校は知ってたけど病院の近くも風俗ダメなんだ
-
ほえ〜〜〜勉強になる
-
ʃt(c◜・ ᴗ ・)やられたらやり返す…倍返しです
-
てっきり結ヶ丘の別校舎にでもするのかと思ったけどなるほど病院か…
伏線回収が上手い
-
栞子「しかし……困ったことになりました……」
栞子「あのビル──ミヌキ御殿には4億以上の金をつぎ込んでいる主力事業です」
栞子「資材も人もつぎ込んで、テナントも全て満室。各フロアの内装も完成寸前……」
栞子「……もし営業できないとなると」ウーン
バッ
薫子「とにかく!」
薫子「ヤブ医者め、舐めた真似してくれるじゃねーか……」
薫子「ひとことクレームでもつけなきゃ収まらねー!」
薫子「おい、車出せ!」
栞子「姉さん……私も行きます」スクッ
栞子「私の事業を邪魔する人間は許せません……!」
薫子「よし、行くぞ」スタスタ
-
西木野クリニック
薫子「ここだな。おい、止まれ」
キッ
バタン
栞子「調査したときはツタが絡まっていた廃ビル同然だったのに。いつのまに……」ジッ
薫子「おい、お前ら。入るぞ」スッ
スタスタ
ウイーン
薫子「……」ズカズカ
受付嬢「こんにちは。どこか具合でも悪いっすか?」
薫子「おい、西木野って医者を呼べ。話があるんだよ」ギロッ
受付嬢「かしこまりました……社長、初めての患者っす!どうやら気分が優れないみたいっす!」
薫子「は?西木野を呼べって──」
夏美「──これはこれはスリーシップエステートのみなさん。奇遇ですの!」
三船姉妹「!?」
-
栞子「あなたは……」
薫子「鬼塚……!」
夏美「おふたりとも病院にいらっしゃって、どうしましたの?」
メイ「おお、ガン首そろえて青い顔して……心臓が悪いんじゃねーか?なあ、きな子」
受付嬢「強欲な顔がさらに突っ張ってるっす!」
薫子「お前ら……!」ワナワナ
栞子「そうでしたか……」
栞子「……全て、鬼塚さんが仕組んだ事だったのですね」ジロッ
夏美「さあ、何のことですの……?」ジロッ
栞子「……フフッ」
栞子「このまま引き下がるとは思わないでください」ジッ
栞子「私たちは家名と運だけでこのセカイを生き抜いているわけではありませんよ……?」
栞子「……行きましょう、姉さん」クルッ
薫子「……チッ」
スタスタ
夏美「……」
-
バタン
栞子「……出してください」
ブロロロ
薫子「どーすんだ、あれ?」
薫子「鬼塚……アイツがいる限り、開業はできねーぞ」
栞子「……鬼塚をハジきましょう」
薫子「!」
栞子「我々のビジネスを邪魔する者は容赦しない──その意思を内外に示すためです」
栞子「なので、姉さん……手はずのほう、頼みます」
薫子「よっしゃ、わかった」
薫子「あの香港の連中を使うか」スッ
薫子「……もしもし?ああ、私だ」
薫子「今すぐ1000万持って、トライアドのとこへ行け──」
薫子「──鬼塚のタマ、とらせる」
-
やべーぞ、やべーぞ
-
今日はここまでです
>>243
その手もありましたね
通信制のL高校を創設しようと思いましたが
1条学校創設の手続きの煩雑さや純粋無垢の第三者を巻き込むので病院にしました
補足
風営法28条ですが各都道府県の条例によって距離は異なります
また、全て適用されるわけではなく歌舞伎町や道玄坂、新橋、港区など例外地域もあります
すでに営業中の風俗店に隣接してもその店舗を営業禁止にすることもできません
ストーリーの都合上、多少の改変をしています
-
姉者ハジいたら冬毬がだまってねーぞ
-
なるほど
学校にしちゃうと生徒通わせたりしなきゃいけないしおいそれと潰せないから、比較的開業・閉業の自由が利く診療所にしたのか…
青木雄二のマンガ読んでるみたいで楽しい
-
構想よく練ってるなぁ
更新たすかる
-
数日後 アウディA8
きな子「驚いたっすー、まさか米女さんがピアノ弾けるなんて」
きな子「先生と同じくらい上手だったっす!」
メイ「……なんだよ、悪いかよ?」
きな子「いえ、悪くないっす」
きな子「もと結ヶ丘だし、やっぱりいいところのお嬢さんなんだなーって思ったっす」
きな子「見た目はそれっぽくないのに、一体どうしてこう……?」
メイ「うるせぇ!勝手だろうが!」バシッ
きな子「ふぎっ!?なにも怒らなくったって……」
夏美「きな子ちゃん、人には言えない秘密って誰にもありますの」
きな子「そうっすね、すみませんっす」
メイ「フン……」
きな子(夕方。社長と米女さんと3人で車を走らせてるっす!今日は珍しく米女さんがハンドルを握って、きな子は助手席っす)
-
きな子「ところで……どこに向かってるっすか?」
きな子「しかも大きなケースを持って……」チラッ
きな子(後部座席に座っている社長を見る。彼女の背後──車のトランクの中には、大きなジュラルミンケースが入っていた)
夏美「金主のところですの。ついでにきな子ちゃんを紹介しますの」
きな子「きんしゅ……?」
きな子「社長、禁酒してるんすか?どこか体でも……」
夏美「違いますの。金主っていうのは、出資している資産家のことですの!」
夏美「ウチはその金主から借りたマニーを来た客に貸して、その利息で稼いでますの」
きな子「えっ、オニナッツファイナンスのお金って社長のものじゃないんすか!?」
夏美「……企業だって株主からマニーを借りて営業してますの。国だって国債を発行して、それでマニーを集めてますの」
きな子「はえー」
夏美「──この世は貸して借りて返して貸しての堂々巡り。それが金融のセカイの本質ですの」
きな子「なるほどー」
-
きな子「てっきり全部社長が稼いだお金だと思ってたっす。多くの人にお金を貸せるくらい、こんなに稼いでると尊敬してたっす!でも」
きな子「──債務者に金を貸す金融屋もまた債務者。なるほど……金融のセカイはますます奥が深いっすねー!」
メイ「きな子、それくらいにしておけ」
夏美「わ、悪かったですの。稼ぎも少ない甲斐性なしで……」ショボ
きな子「はにゃ!?」
きな子「ボーナスも頂いてるし、社長には感謝してるっす!なにより……」
きな子「……きな子を拾ってくれたっすから」
夏美「きな子ちゃん……!」ジーン
きな子「社長……!」ウルウル
メイ「三文芝居もいいとこだぜ……」ヤレヤレ
メイ「……おい、着いたぞ」
きな子(米女さんの声で前を向くと、都内中心部の閑静な住宅街にある、低層階ながらも大きな窓とベランダがついたハイグレードマンションに着いた)
-
バタン
きな子「はえー、これがマンションっすかー」
きな子「まるで邸宅が集まっているみたいに、ひとつひとつの部屋が大きいっす!」
きな子(車から降りて、建物を見上げる。自分が住んでいるワンルームなんかとは比較するほうが無礼なくらいのマンションっす!)
夏美「金主はここの最高階、ペントハウスに住んでいますの」
きな子「……お金持ちなら、てっきり周囲を見渡せる高層タワーマンションとかだと思ってたっす!」
メイ「あのな、きな子。こういうご身分のお方は、見栄を張るよりも広々とした住みやすさのために金に糸目を付けないんだ」
メイ「それにわざわざ高層階って……バカと煙はなんとやら、だろ?」ニヤッ
きな子「……ただの僻みにしか聞こえないっすけど」ボソッ
メイ「あ?んだとコラ」ギロッ
きな子「ヒィッ、何でもないっす……!」
夏美「ほら!遊んでないできな子ちゃんはトランク開ける!」
きな子「は、はいっす!」ガチャ
きな子(急いでトランクを開け、ケースを取り出して社長についていく。一方、米女さんは車を地下駐車場に停めてそこで待機するため、再び車に乗って出ていった)
-
最上階へ向かうエレベーター
きな子「社長」
夏美「……なんですの?」
きな子「このケース、中身は何っすか?」
夏美「マニー1億円ですの」
きな子「はにゃ!?い、いちおく……!?」ビクッ
夏美「なにビビッているですの?これは、ただモノと交換できる紙切れですの」
夏美「破れても汚しても銀行がピン札に変えてくれる、何度でも交換がきく。そんなもののために、みんな一度きりの人生を擦り減らして一生懸命に働いているですの」
きな子「金は天下の回り物、っすから交換できるんすよね」
夏美「……そんなもののために、人が死ぬですの」ボソッ
きな子「えっ……?」
チーン
夏美「さ、行くですの」スタスタ
きな子「は、はいっす……!」スタスタ
きな子(そのときの社長の表情を見ることなく、ドアが開いたと同時にきな子はペントハウス前のロビーに降り立ったっす)
-
スタスタ
きな子「厳重っすね……」
夏美「それだけ敵も多い方なんですの」
きな子(ロビーについてすぐ、屈強な警備員に睨まれつつ、金属探知機のセキュリティゲートを越えて、通ったそこには──)
夏美「さ、着きましたの」
きな子「は、はいっす……はにゃ!?」
きな子(──よくある高級マンションのようなラグジュアリーなドアではなく、古びた旅館のような玄関があったっす)
夏美「……押しますの」
ジリリリ
「どうぞ、開いています」
きな子(呼び鈴を鳴らすと、ガラス引き戸の向こうからおしとやかな女性の声がした)
夏美「お邪魔しますの」スッ
ガララ
「どうぞ、そのままあがってください」
きな子「はいっす……よいしょ……」
きな子(日本家屋特有のひんやりした空気と匂いを感じつつ、1億円入りのケースを携えて敷居をまたいだ)
-
更新たすかる待ってた
-
期待
-
きな子(玄関に入ると、迎えてくれた着物姿の使用人の案内で応接間に通される)
夏美「……」
きな子「……」キョロキョロ
きな子(待ち人を無言で待つ間、あたりを見回してみた)
きな子(大正レトロな談話室を思わせる電気照明に飾り棚、床の間には美しい花が生けられ、縁側からみえるのは見事な庭木と苔むした岩が囲う池がある日本庭園……)
きな子(……思い描いていたセレブのペントハウスっていうより、老舗旅館をそのまま屋上に移築したみたいっすね)
「お待たせいたしました」
夏美「……」スクッ
きな子「あっ……!」スクッ
きな子(すると、付け下げを身にまとった着物姿の長髪の女性が現れた。気づいた社長が立ち上がって一礼。あわててきな子もそれに合わせたっす)
-
「どうぞ、おかけになってください」
きな子(まるで就職面接みたいなカチカチの一礼をして、ソファに腰かける)
夏美「きな子ちゃん、紹介しますの。こちらは園田家ご当主、園田海未さんですの」
きな子「さ、桜小路きな子っす、あっ、です……!」
きな子(初対面の人の前で盛大にかんでしまったっす!)
海未「あなたが夏美のいっていた新人の方ですね。お話はよく伺っていますよ」
海未「一生懸命に頑張っている、と……」ニコッ
きな子「ありがとうございます!一生懸命、粉骨砕身、七転び八起きで学びつつ、金融道を邁進してまいります!!」ペコッ
夏美「き、きな子ちゃん……?」
-
海未「ふふっ、なるほど……夏美が気に入った理由が今わかりました」
きな子「ありがとうございますっす!」ペコッ
夏美「それでは、きな子ちゃん。ケースを」
きな子「はいっす」スッ
カチャ
夏美「今期の利息分です、お納めください」
きな子(社長の指示で取り出したケースを開き、なかの1億円を見せるようにテーブルに置く)
-
海未「結構です」ニコッ
海未「……さあ、お茶と菓子を用意しました。良かったら召し上がってください」
きな子(園田さんはそういうと、使用人にお茶と穂むらという和菓子屋の饅頭を用意させた)
きな子「頂きます……!」
きな子「はにゃ、このおまんじゅう美味しいっすー!ルンルンっすー!」モグモグ
夏美「ちょっときな子ちゃん!はしゃぎすぎですの……!」
海未「いえ、構いません。こんなに喜んでくれたなら、私の幼馴染も喜びます」ニコッ
きな子(園田さんも笑顔になってくれたし、和やかに過ごしたっす!)
-
夏美「ではそろそろ、おいとまさせてもらいますの」
きな子「お饅頭ごちそうさまでしたでしたっす!」ペコッ
海未「お粗末様でした」ペコッ
海未「……ときに、夏美」
夏美「はい」
海未「三船とコトを構えているそうですね?風の噂で聞いています」
夏美「はい。債権回収のため、ですの」
海未「そうでしたか。これは私が口を出すことではありませんが……いちおう、知らせておきます」
海未「三船の周辺がきな臭くなっています。くれぐれも、気をつけてください」
夏美「……はい、ありがとうございます」ペコッ
夏美「では、失礼します」スクッ
きな子(社長と一緒に立ち上がり、早々に辞去しようとすると)
海未「桜小路さん……いえ、きな子。ちょっと話をしましょう」
きな子「は、はいっす!」ビクン
きな子(急に呼び止められたてびっくりしたっす!)
-
夏美「……先にロビーで待っていますの」
きな子「はいっす」
きな子(空気を読んだ社長はさっさと出ていき、二人っきりになった)
海未「夏美が私にあなたを紹介するということは、あなたは夏美から全幅の信頼を得ている証です」
きな子「……はいっす」コクリ
海未「信頼、という言葉の重みは、命がけで金を貸して回収する金融のセカイに身を置く貴女なら当然理解なさっていることでしょう。当然──相応の覚悟も」
きな子「……」コクリ
海未「……夏美は金融の才能に長けているゆえ、敵が多いです」
海未「どうか、彼女を守ってやってください。頼みます」ペコッ
きな子「そんな……!頭をあげて欲しいっす!」
きな子「……わかったっす!命に代えても社長をお守りするっす!」グッ
きな子(きな子自身に言い聞かせるつもりで、決意を込めて園田さんに伝えたっす!)
海未「ありがとうございます。では、あまり夏美を待たせるわけにはいかないので、そろそろ……」
きな子「はい!!では、失礼しましたっす!!」ペコッ
きな子(しっかり挨拶をして園田さんの家を出たっす)
-
マンションの玄関前
きな子(エレベーターを降りたあと、地下駐車場にいる米女さんに連絡して車を呼ぶ)
きな子(待っている間、気になったことを尋ねてみたっす)
きな子「あの、社長」
夏美「……なんですの?」
きな子「園田さんって、どういうお方なんすか?」
夏美「うーん……簡単にいうと、政財界や芸能界の人間を支援していて、表だけじゃなく裏社会にも平等に支援していて、最新情報もすぐ耳に入ってくる──」
夏美「──出資以外にも情報をコッチに提供してくれるフィクサーですの」
きな子「はえー、すごいっす!」
夏美「でも筋の通らないことがすごく嫌いで、怒らせるとヤバい人ですの」
きな子「ひいぃ……きな子は失礼なことしてないっすかね!?」
夏美「大丈夫。きな子ちゃんを気に入ってくれたみたいだし、良かったですのー」ニコッ
きな子「よかったっすー」ホッ
きな子(笑顔の社長を見た後、安心してそのまま正面の通りを見据えていると……腰の曲がったひとりの老婆が、ヨタヨタとゆっくりした歩みでこちらに近づいてきていた)
-
きな子「……」チラッ
きな子(あ、おばあさんっす。きっとこの辺りの住人、なんすかねぇ)
きな子(……と、のんきに思っていたそのとき)
バッ
きな子(そのおばあさんは、まるで電気刺激を受けたかのように背筋をピンと伸ばしてすぐ、黒い何かを握った右腕をきな子たちに向け──)
「オニツカ!」
夏美「!」
きな子「!?」
きな子(──急に若くなった声を張り上げた瞬間)
パンッ
きな子(お誕生日会で使うクラッカーのような、軽い炸裂音と閃光が、手に持ったその黒い何かから発せられた)
-
あわわわ
-
!?
-
きな子(えっ、一体、なにが……)
きな子(急に叫ばれたあと聞こえた音と閃光に、思わず身体が硬直していた。が、一瞬で我に返ると)
夏美「ぐっ……!」
きな子(すぐそばで小さなうめき声を上げて、社長が左腕を押さえているのが見えた)
きな子「社長!!」
きな子(叫ぶと同時に再び視線を路上に立つ老婆──いや、襲撃者に向ける。そして、その手に何を持っているのかをすぐに理解する)
きな子(その手には──西部劇や警察官が主役のドラマや映画でしか見たことない、シリンダーのついた回転式拳銃が握られていた)
-
きな子(嘘……本物!?)
きな子(困惑と動揺するなか、初撃が致命傷にならなかったのを知った襲撃者は第2弾を放つために銃身を──)
きな子(──ピタリと一直線に社長の方へ向けた)
きな子「社長……!」バッ
きな子(危ない、そう思った次の瞬間には思考より先に身体が動いてて……)
きな子(……社長に向けられたその直線をさえぎるように飛び出していたっす)
パンッ
きな子「うっ……!」
きな子(2発目の音と閃光の直後──ガンっと全身に響くような強い衝撃を左胸のすぐ下に感じ、その強さに身体がふらつく)
夏美「きな子ちゃん!!」ガシッ
きな子(倒れそうなきな子を社長が抱きとめた)
-
夏美「きな子ちゃん!!」
きな子「うぅ……」
きな子(せっかく盾になったんだから早く逃げてほしいっす……って、伝えることができなくなるくらい頭がボーっとしているっす)
きな子(きな子の目線の先には、冷徹な襲撃者が再び社長に銃身を向けていた)
きな子(あっ、3発目は、もう……)
きな子(外さない、そう絶望と覚悟をしたそのとき──視界の端から高速で鉄の塊が飛び込んできた)
ドンッ
きな子(鈍い音と共に襲撃者が身体をあらぬ方向に曲げ、吹き飛んでいく様子がスローモーションのように見えた)
キッ
ガチャ
メイ「社長!!きな子!!」タッタッ
きな子(動きを止めた鉄の塊──車から、米女さんが駆け寄ってきた)
きな子(さすがドイツ車っす。人ひとり吹き飛ばしてもキズひとつついてないっすねぇ……)
-
夏美「私は大丈夫!!きな子ちゃんが!!」
メイ「撃たれたのか、なあ!?撃たれたのかって!!」ガシッ
きな子「……遅いっすよ……」ボソッ
メイ「ごめん、ごめんな……!」
夏美「きな子ちゃん!!」
きな子(そのころにはすでに視界がぼやけ始めてて、社長と米女さんがどんな表情をしているのか分からなかったっす)
きな子(銃で撃たれたのに痛みも出血もないまま、陶酔に近い変な感覚を味わっていたっす……あっ、これが……)
きな子(……死ぬってことなんだなぁって)
-
夏美「ここは園田さんに任せるから!!早く先生のところに運んで!!」
メイ「わかってるって!!」
きな子(お父さん、お母さん、クロミツ……先にムコウで待ってるっす……)
きな子(目を閉じてお迎えを待つ……)
きな子(……待つ……)
きな子(……あれっ)
きな子「……お迎えまだ来ないっすけど?」パチッ
メイ「は!?」
夏美「!?」
-
メイ「き、きな子……?」
きな子「あっ、あれっ……」サスサス
きな子(撃たれたはずの左胸をさすると、指先に固いモノが触れる感覚がある)
きな子「……えっと……」スッ
きな子(それは穴開きスーツの胸ポケットにあって──中身を手のひらに出してみた)
きな子「……千砂都先輩からもらったのっす……」
きな子(手のひらには、鉛の弾頭がめり込んでひん曲がったメダルがあった)
メイ「!」
夏美「奇跡ですの……!」ウルウル
きな子「マルが崩れちゃってる……先輩に怒られるっすねぇ……」ムクリ
きな子(そう呟いて自力で起き上がった瞬間──)
メイ「このバカ!!余計な心配させやがって!!」バシッ
きな子「ふぎっ!?」
きな子(頭を思いっ切りはたかれて、とっても痛かったっす!)
きな子「す、すみませんっす……!」
きな子(そのときの米女さんの顔、泣いててグシャグシャだったのは誰にも言わないと心に決めたっす)
-
良かった…
-
金貸しで銃弾をモノに守られたって見ると龍が如くの秋山思い出すねぇ
あっちは札束だったけど
-
さすが千砂都先輩
-
西木野クリニック
ドタドタ
冬毬「姉者!姉者!」
夏美「ここですの!」バッ
真姫「ウゴカナイデ!傷が開くわよ!」
冬毬「姉者ぁ……!」ポロポロ
ダキッ
夏美「わわっ!?」
真姫「ダキツカナイデ!包帯がずれるじゃない!」
きな子「良かったっすねー」ニコッ
きな子(あれからすぐ西木野クリニックに駆け込み、治療をしてもらったっす)
きな子(社長は1発目の弾丸が左腕をかすったことによる、小さな裂傷を受けてしまった。そしてきな子は……)
四季「大丈夫、きな子ちゃん……?」
きな子「大丈夫っす!これのおかげで大きなケガにならずに済んだっす」スッ
四季「……ミラクル」
メイ「本当に運のいいヤツだよ、まったく」
-
真姫「あのね、あなたはレントゲンで肋骨にヒビが入ってるのが見つかったんだからね」
真姫「いくら銃弾を防いで身体に銃創がないとはいえ、着弾時の衝撃をモロに受けてるわ」
きな子「あっ、だから急に痛くなったんすね!いたたっ、痛いっす……!」
真姫「……アドレナリンが切れたのね、じきに息をするだけでも痛くなるわよ?」
きな子「うぅ……」
真姫「骨が自然に接合するまで1か月は安静……と言ってもどうせ無視するだろうから、バストバンドを着用して鎮痛剤を服用しなさい」
きな子「はいっす……」イテテ
きな子(……幸い軽傷で済んで本当に危機一発だったっす)
冬毬「あの……!」
きな子「は、はいっす!」
きな子(感動の再会を済ませた冬毬ちゃんが真剣な表情で、きな子の前に立った)
-
冬毬「すべて聞きました。ヒットマンから姉者をかばってケガを負ったと──」
ペコッ
冬毬「本当にありがとうございました!私にとって姉者はたったひとりの家族なんです……!」ポロポロ
冬毬「なんとお礼をしたらいいのか……」ポロポロ
きな子(いつも不愛想な冬毬ちゃんがこんな表情をするなんて……きっと、お姉ちゃんが本当に大好きなんすね)
きな子「……頭をあげてほしいっす!」
きな子「きな子にとって社長は金融道の師匠であり、目標っす。当然のことをしたまででっす」
きな子「それに……」
きな子「債務者からはオニだ、血も涙もないだの、好き放題言われてるっすけど……きな子が知っている社長は、血も通ってるし、オニじゃなくてひとりの人間だって」
夏美「きな子ちゃん……」
きな子「だから……あの姉妹に、ガツンとやり返したいっす!!」グッ
-
四季「……メイ、園田さんからなにか聞いてない?」
メイ「ああ、さっき連絡があったぜ。みんな聞いてくれ」
きな子(みんな米女さんの方に目を向けた。そういえば、全ての後処理を園田さんとその部下達が引き受けてくれたっす!)
きな子(もちろん、襲撃者の尋問も──)
メイ「私がブッ飛ばしたヤツが吐いたらしい。やっぱり雇い主は三船だ、1000万円をトライアドに渡して依頼したらしい」
冬毬「……許せません」ワナワナ
メイ「こっちもやり返そうぜ!」
四季「うん。派手な花火も、悪くない」
冬毬「アグリーです……!」
夏美「……待つですの」スクッ
きな子(報復を求めてヒートアップするみんなを社長が制した)
-
夏美「ヤクザのケンカはタマの獲り合いで決着をつけるですの」
夏美「でも、私たちはヤクザじゃない──金貸しですの」
夏美「金貸しのケンカはマニーで決着をつける、これが絶対ルール」グッ
夏美「マニー1000万で売られたケンカは……何倍の利子をつけて買い取らせてやるですの!!」クワッ
きな子「はいっす……!きな子も最後までお供するっす!」バッ
きな子「いたたっ……!」
メイ「おいおい、大丈夫か?」
四季「無理はしない方がいい」
きな子「大丈夫っす。社長、担当としてきな子に最後まで見届けさせて欲しいっす……!」ジッ
夏美「……わかりましたの。明日、スリーシップエステートに乗り込みますの!!」
きな子「はいっす!!」
きな子(こうしてふたりで姉妹と再び対峙することになったっす!)
-
翌朝 アウディA8
夏美「さ、行きますの」スタスタ
きな子「はいっす」スッ
ガチャ
バタン
きな子(社長の真似をして黒いサングラスをかけ、運転席に座り、エンジンをかけて発進させる)
きな子(行先は当然──スリーシップエステート)
きな子「……社長」
夏美「なんですの?」
きな子「……この稼業、本当に命がいくつあっても足りないっすね」
夏美「……怖くなった?」
きな子「いえ、もう怖くなくなったっす。だって──」
きな子「──桜小路きな子は、いちど死んだっすから」
きな子(この言葉を吐くのに一切の迷いはなかったっす)
夏美「……おめでとう、ただの金融屋からひと皮むけましたの」フフッ
きな子(助手席に座る社長が歓迎の微笑を浮かべるのを横目に、ハンドルを握る手に力が入った)
-
スリーシップエステート 社長室
「ぶへっ……!」ドサッ
薫子「しくじったで済むと思ってるのか!!」ブンッ
バキッ
「カハッ!」
薫子「なんのためにトライアドに金出してるんだ!!」
薫子「このためだろうが!!」ドカッ
栞子「……姉さん、それくらいで」
栞子「これ以上、この部屋を汚したくはありません」
薫子「クソッ……」
栞子「さて、どうしましょうか……」
ドタドタ
「こっ、困ります!」
「社長はいま重要な会議中で──」
栞子「……おや?」
薫子「あ?」
ガチャ
夏美「これはこれは、ふたりともお揃いですの」
きな子「どうもっす!オニナッツファイナンスっす!」
-
栞子「鬼塚さん……!」ジッ
薫子「オマエら……!」
きな子(ガン首揃えて驚きと怒りの混じった目線を向ける姉妹に、社長と一緒に何食わぬ顔で歩み寄った)
夏美「……ヒットマン雇うならもっといい腕のヤツを雇うべきでしたの」
栞子「さあ、何のことでしょう……?」
夏美「かわいそうに、このウチの社員は2発も弾を食らったですの」チラッ
きな子「い、痛かったっすよぉ……」サスサス
薫子「は?1発だろうが……あっ!」
夏美「……墓穴を掘りましたの」ニヤッ
きな子「……っす!」ニヤッ
薫子「くっ……!」
-
栞子「鬼塚さん……申し訳ありませんが、今日のところはいったん帰っていただけませんでしょうか」
栞子「……いろいろと忙しい身の上なので」
夏美「そうはいかないですの。三船社長、あなたに」
夏美「ご提案をさせてもらいに来たですの」
栞子「提案……?」ジロッ
夏美「そうですの」ジロッ
きな子(社長はしっかりと三船栞子の目を見つめつつ口を開く)
夏美「単刀直入に言いますの──」
夏美「あのビル──西木野クリニックを買ってもらいたいですの」
栞子「!」
薫子「なに!?」
夏美「代金は私たちへの慰謝料と手数料込みで──きっちり3億ですの」
-
栞子「……さ、3億……?」
夏美「お買い得価格だと思いますの」ストン
きな子(と、言いながら社長は許可を得ずに本革ソファに腰かけ、立ちつくす三船栞子を背後に余裕の態度を示す)
夏美「襲ってきた外国人のチンピラと拳銃はコッチの手の内にあるし、証拠もある。でも──」
夏美「──ウチは善良な正義の市民じゃない、ただの金貸しですの」
夏美「現金一括で3億のマニーさえ払ってくれれば、こんな目にあったウチの社員も墓場まで持っていくと約束するそうですの」
きな子「はいっす!いくらでも誓うっす!」
栞子「……」
夏美「それに、あの病院がある限りミヌキ御殿が営業できない以上、病院の所有権が貴女の手に渡れば……」チラッ
夏美「……念願の開業、できるんじゃない?」
夏美「さあ、どうしますの?」
栞子「何から何まで……どうやらあなたは狡猾さの適性があるようですね……」ギリッ
きな子(カタにハメられつつあることを悟った三船栞子は下唇を八重歯で噛みしめていた)
-
CEOかっけぇっす…
-
ドラマみたいだ
-
栞子「……フフッ、さすが鬼塚さんです」
栞子「ですが、この一件……私たちの事業を妨害する行為なのは明らか」
栞子「業務妨害で裁判所に訴えさせてもらいます」
きな子「……なっ!?」
栞子「我々、三船と裁判で争って勝てると思いますか……?」
夏美「……」
きな子(なんとしてもカタにはまりたくないと、最後の悪あがきをみせる三船。それは下に見ていた者に抗い、勝つためのやぶれかぶれの策──名家としての意地だった)
夏美「……」
夏美「……残念ですの」
きな子(社長はしばらく沈黙した後、小さなため息をついて立ち上がり、栞子の目を見つめていった)
夏美「運や家名だけで金融のセカイを生き抜いてきたのではない、という貴女の実力を拝見、と思ってましたが……残念ですの」
栞子「!」
夏美「どうぞ、三船家お抱えの弁護士でもつかって訴えたらいいですの。徹底的に争いますの」
夏美「ただし……」
夏美「……判決が出るまで、あの駅前一等地のビル……本当に空きビルのままでいいですの?」
栞子「なっ……!?」
-
夏美「裁判をやって、どんなにマニーを積んで腕の良い弁護士を雇っても、判決が出るまで2年くらいかかりますの」
夏美「そっちのビルはテナント契約を済ませ、入居予定の業者が内装工事をほとんど済ませてる……」
夏美「……この状況で2年も開業できなかったらどうなる?」
夏美「契約した業者に払う違約金、休業補償、その間見込んでいた利益の機会損失……失うマニーは膨大ですの」
夏美「例え裁判に買っても、あのビルは裁判事件を起こしたいわくつき──心理的瑕疵物件と知って契約する業者がいるかどうか……そのあたりは、不動産業をされてる貴女がよくご存知でしょうね?」
栞子「……」
夏美「3億のマニー払って全てをマルく納めるのと、意地で長い法廷闘争──適正なのはどっち?」
栞子「……」
きな子(社長になにも言い返すこともなった瞬間、栞子はガッチリとカタにハマったっす!)
-
栞子「……どうやら、私の負け、のようですね」グッ
栞子「わかりました。3億円、3日以内に用意します」
薫子「おい、栞子……!」
栞子「ここは払っておくのが最適です、不本意ながら……」
夏美「さすがですの、適正を見極めていただけたようで」ニコッ
栞子「……このお礼は、いつか必ずいたします」ジッ
夏美「望むところですの」ジッ
夏美「さて、用は済んだし……きな子ちゃん、帰るですの」クルッ
きな子「はいっす!」クルッ
きな子(部屋を出ていく直前、きな子はあえて姉妹の方を向いて──)
きな子「オニナッツファイナンスはまたのご利用をお待ちしておりますっす!」ペコッ
バタン
栞子「……」
薫子「クソッ!クソッ!クソがーっ!」ドカッ
きな子(中から薫子の怒声をドア越しにしっかりと聞いて、ニヤケがとまらないまま、社長と車に戻った)
-
数日後 オニナッツファイナンス
ドンッ
メイ「ふう、重かったぞ……」
四季「きっちり3億円、振り込まれていた」
夏美「マニーですの!マニーですのー!」ピョンピョン
きな子「すごいっす!きな子はじめてナマの3億円を見たっす!」
冬毬「3億円は、サラリーマンの生涯年収だといいますが、これは圧巻ですね……」ムムッ
きな子「きな子たち、本当にあの地下げ屋に勝ったんすねー!」ジーン
夏美「連中もこれに懲りて、しばらくこの近辺で悪さすることはないですの」
メイ「ようやくだな、ようやく」
四季「……うん」コクリ
きな子(応接間のテーブルいっぱいの札束を重ね、勝利の余韻を味わったあと……関係者みんなを呼び寄せた)
-
夏美「さて、葉月さん」
恋「……はい」
夏美「マニー3億のうち、2億は借金返済と利息に手数料として私たちの分。そして──」
スッ
夏美「──残り1億円が葉月さんの取り分ですの」
恋「えっ!?」
恋「ほ、本当によろしいのですか……わたくしがもらっても……?」オドオド
きな子(そびえ立つ札束を前に、恐る恐る尋ねた)
夏美「いいですの。葉月さんの土地を連中に買い取らせた代金ですの」
恋「ありがとうございます……!ありがとうございます……!」ポロポロ
恋「有難く、学校の再建に使わせていただきます」ペコッ
きな子「良かったっすねー!」ニコッ
メイ「でも、先輩の両親が遺した土地、全部失くしてしまったな……」
恋「いえ、いいんです……わたくしには家とサヤさんとチビ、そして結ヶ丘があれば十分ですから」
恋「かえって肩の荷が下りました。これで心置きなく学校を運営していけます……!」パァッ
四季「頑張って、ください──新理事長」
きな子「理事長就任おめでとうございますっす!応援してるっすよ!」
-
恋「はい!あ、良かったら皆さん、ぜひ学園祭にいらしてください」
恋「実は、かのんさんや千砂都さんに全てを打ち明けたところ、おふたりの協力を得て……」
恋「可可さんに相談し、タレントのすみれさんを学園祭にお呼びすることになったんです!」
メイ「おお、マジか!?可可先輩にすみれ先輩も来てくれるのか……!」ジーン
メイ「なあ、一夜限りのLiella!!復活もあるのか!?」
恋「さあ、あるかもしれませんね……」ニコッ
メイ「おおおお!!しゅごい……!」ボロボロ
四季「メイ、感動の涙、出すぎ」ハンカチ
夏美「アイドルオタクってのは、推しのちょっとしたことですぐボロ泣きするですの……」ヤレヤレ
きな子「はえー、そういうもんなんすねー」
きな子(恋先輩の次は──千砂都先輩と西木野先生っす!)
-
ポンッ
夏美「嵐社長には、工事費の2000万。先生にはバイト代の500万ですの」
千砂都「わーい!これで従業員みんなにボーナスが払えるYO!」ニコッ
真姫「……」ジッ
きな子「せ、先生……?どうしたっすか?」
真姫「……金貸しのあなたたちが私にお金を払うなんてどういう風の吹き回しなの?」ジトッ
メイ「おいおい、先生……金貸しが出す金は遠慮なく受けて取っていいんだぜ?」
きな子「先生のおかげで手に入れたお金っす!きな子の治療費として受け取って欲しいっす!」
真姫「まぁ……それなら……もらっておくわ」スッ
メイ「なんか渋々だな……もしかして」
メイ「クリニックに置いていた、あのピアノが欲しくなったとか?」
真姫「ち、違うわよ!そんな訳ないデッショー?」カミノケクルクル
きな子「すごい速さで髪の毛を指で巻いてるっす……」
真姫「……まあ、このお金でピアノを買うからいいわ」
メイ「コラ、その前に借金返して綺麗な身体になってからだろーが!」
千砂都「まあまあ、終わり良ければすべてマル!」
アハハハ
-
かのんの店
カランカラン
かのん「いらっしゃいませ!きな子ちゃん、久しぶり!」ニコッ
きな子「久しぶりっす、かのん先輩」ペコッ
きな子「いつもの席、お願いしますっす」
かのん「空いてるよ、どうぞ」
きな子「ありがとうっす……」
きな子(先輩の店、久しぶりっす。この数か月間、恋先輩の未遂、地下げ屋との闘い、金主との出会い……そして銃で撃たれ、波乱の日々だったっすからねぇ)
かのん「はい、いつものアメリンと……限定パンプキンパイだよ」
きな子「美味しそうっすー!いただきます!」パクッ
きな子「うーん、甘くてホクホクで美味しいっす!ルンルンっすー!」
かのん「ふふっ、良かった。きな子ちゃんが喜んでくれて」ニコッ
きな子(たまにはサボって、ゆっくりアフタヌーンティーも悪くないっす!)
-
ブーッブーッ
きな子「ふぇ!?電話……米女さん!?」タップ
きな子「もしもし……」
──おい、きな子!きな子が300万融資した、あの変なインフルエンザ……じゃなかった
──インフルエンサーの、オーロラ企画がトンだぞ!!
きな子「はにゃ!?」
──さっさと連帯保証人の環境NPO法人の代表からキッチリ金を回収してこい!
きな子「は、はいっす……あの、限定パンプキンパイを食べてからでいいっすか?」
──あ?つべこべいわずにさっさと回収してこい!!
きな子「ひっ……は、はいっす……!」タップ
きな子「ごちそうさまっす!代金っす、お釣りは結構っす!」
かのん「え゛っ゛!?まだひとくちしか食べてないけど……」
きな子「……折詰にしてほしいっす!」
かのん「ウチは寿司屋じゃないんだけど……わかった。とっておくね!」
きな子「ありがとうっすー!」タッタッ
きな子「いってくるっす!」
かのん「うん、いってらっしゃい!」
カランカラン
タッタッ
きな子(きな子の金融道はまだまだ道のりが長いっすよー!!)
おわり
-
乙!
毎度たすかるやで恋ちゃん不幸にならず良かった
日々の楽しみだったよ次回も期待
-
面白かった!
恋ちゃんが助かってよかった
-
おもしろかった〜〜〜
今回かなり劇場版感あって凄かったです
-
乙
ハラハラしたけどマルく収まってよかった
ところで理事長へのお仕置きは…
-
借金大王が聴こえる
-
乙!面白かった〜
恋ちゃんが救われて良かったよ
-
面白かったー
-
オニナッツ人情あって面白かった、恋ちゃんが風呂堕ちせずに済んで良かったよ
-
今回も楽しく読ませてもらった乙乙!
可可ちゃん生きてて良かった
-
ありがとうございました
もし需要がまだあるならシリーズ続けていきたいです
最後に訂正します。見落としてました…
>>293
×誤
夏美「例え裁判に買っても、あのビルは裁判事件を起こしたいわくつき──心理的瑕疵物件と知って契約する業者がいるかどうか……そのあたりは、不動産業をされてる貴女がよくご存知でしょうね?」
〇正
夏美「例え裁判に勝っても、あのビルは裁判事件を起こしたいわくつき──心理的瑕疵物件と知って契約する業者がいるかどうか……そのあたりは、不動産業をされてる貴女がよくご存知でしょうね?」
>>299
×誤
かのん「はい、いつものアメリンと……限定パンプキンパイだよ」
〇正
かのん「はい、いつものアメリカンと……限定パンプキンパイだよ」
-
乙!めちゃめちゃ面白かった
-
めちゃくちゃ面白かったです
出来の良いリーガルドラマみたいでずっと続きの気になる展開で最後まで楽しめました!
-
今回もめちゃくちゃ面白かったです!
相変わらずタイトル回収が素晴らしい👏👏
-
乙!面白かった
前作は2つ?
-
>>314
はい。これで3作目です
いちおう時系列の順番ですが…
きな子「オニナッツファイナンス?」(金融道入門編)
きな子「どうもっす!オニナッツファイナンスっす!」(VS地面師編)
きな子「オニナッツファイナンスはまたのご利用お待ちしてるっす!」(VS悪徳地下げ屋編)←本作です
番外編として
きな子「CO2排出権取引、っすか?」真緑「はい!!」
-
乙
まだまだ「きな子"ちゃん"」呼びだから一人前として認めてもらえるよう続編にも期待です
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