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恋「記憶喪失?」
-
恋「ん……」
恋(最初に感じたのは消毒液の匂い。柔らかなシーツの感触)
恋「んん……」
かのん「あっ、起きた!」
恋「ひゃっ!?」
恋(そして、目を開けて最初に見たものは……嬉しそうな、整った顔の女性。胸が平たいですが、恐らく女性だと思います)
かのん「良かったよぉー。全然起きないから、もうどうなるかと思ったもん」スリスリ
恋「あ、あの……?」
-
すみれ「こらかのん! 起きたばっかりなんだなら離れなさい!」
きな子「そうっすよ! きな子達も抱きつきたいの我慢したっすのに!!」
メイ「もう恋先輩に触れたくてたまらねぇんだぞ!?」
恋(少女たちに引き剥がされるように、頬ずりをしていた平たい胸族の女性が私から離れる)
恋(皆同じような制服を着ているから……彼女たちは同じ学校に通っているのでしょうか)
恋「あ、あの……?」
千砂都「……声もそっくりだ」ボソッ
可可「レンレンは事故にあったデスよ」
恋「事故……?」
可可「学校の前で車に轢かれて……もうズルーでびしゃーで四肢散らばる道路デシタ」
恋(あぁ、だから消毒液の匂い……ここは病院なのでしょうか。多分私は入院をして……)
-
夏美「もう三日も寝っぱなしでしたの! 皆心配して、夜以外はずーっとオニお見舞してましたの!」
恋「はぁ、それは……どうも?」
かのん「恋ちゃん身体の調子はどう? 痛いところない?」
恋「いえ、別に……大丈夫ですが」
恋(車に轢かれて入院したということですが……特に身体に違和感はないですね。痛いところも動かないところもありませんし)
すみれ「あっ、サヤさんは今着替えを取りに帰ってるから。きっとすぐに来るわよ」
きな子「それにしても本当に良かったっす……」
恋「はぁ……」
きな子「……恋先輩? どうしたんすか? ずっと眠ってたから意識がボーッとしてるとか?」
恋「あの、私の名前は『レン』というんですか?」
きな子「……はい?」
-
夏美「な、なーに言ってるんですの! 冗談としても面白くないですの!」
メイ「まさかあれか!? マルガレーテと冬毬がいないから拗ねてるのか!?」
夏美「あの二人なら今日はLiella!一年生お披露目ライブがあって……昨日まではずっと病室にいましたのー!」
恋「……えっと」
恋「すいません、皆さんの言ってることが……よく分からないです」
きな子「……本当に、分からない……っすか?」
かのん「……」チラッ
すみれ「……四季?」
四季「……正常。身体に問題はない」
メイ「まさか頭を打ったのか……?」
-
恋(目が覚めた私は……自分の名前も、何もかもを忘れていました)
恋(箸の持ち方、字の書き方のような日常に関わることは分かるのに、自分のことだけがポッカリ抜け落ちていて)
恋(そんな私に、皆さんはゆっくりと時間をかけて私のことを説明をしてくれました)
恋「ええと……私は葉月恋という名前で、結ヶ丘という高校でスクールアイドルをしている……」
かのん「そうそう! ラブライブって大会で優勝する為に頑張ってるの!」
きな子「去年は優勝したんすよ? 覚えてないっすか?」
恋「すいません、何も……」
きな子「そうっすか……」
千砂都「……」
-
期待
-
夏美「私が寝起きドッキリをした際に、恋先輩が全裸で禁断のセカイオナニーの最中に寝落ちしてるの映してチャンネルがBANされたことも……?」
恋「覚えてないです……」
メイ「ゲームをしている最中何をしても気付かないことをいいことに全身くまなく舐め回したことも……」
恋「すいません……」
ᶘイ^⇁^ナ川「私と一緒にしずくさんで見抜きしたことは?」
恋「知りません」
ᶘイ;⇁;ナ川「がーんです」
イナ川は涙を流すと、そのまま石になってしまったという。
これが見抜き岩として後の世に伝わり、見抜きをする者は皆お参りをしたそうな。
また、この際流した涙が猪名川になったそうじゃ。
恋「すいません、私……何も思い出せないです」
かのん「だ、大丈夫だよ! きっと家に帰ったり学校に行ったりしたら思い出すって!」
きな子「そうっすよ! 思い出深いところに行けば記憶を取り戻すってよく言うっすもん!」
-
ん?様子がおかしいぞ
-
恋(何も思い出せない私を皆さんは励ましてくれて……)
「身体も特に問題なさそうだし、退院しても大丈夫よ」カミノケクルクル
恋(お医者様もそう言ってくれたので、私は戻ってきたメイドのサヤさんと共にタクシーで家に帰りました)
恋「……」
サヤ「本当に安心しました……恋様が眠っている間、本当に心配で心配で……」
恋「……えっと、サヤさん? は葉月家の……メイド、さんなんですよね」
サヤ「はい、恋様にお仕えさせていただいております」
恋「お金持ちなんですね……うちって」
恋(なんだか緊張してしまいますね……私の両親ってどんな人なんでしょうか。社長さんとか……?)
サヤ「大丈夫ですよ、恋様。すぐに思い出せますから……」
恋「……はい」
恋(皆にこれ以上心配をかけてはいけません……なんとか頑張って記憶を思い出しませんと)
-
静かな狂気
-
恋「……」
恋(自宅に着くと同時に絶句しました)
恋「これ……うち、ですか?」
サヤ「はい、恋様が暮らしている葉月家のお屋敷です」
サヤ「何か思い出しませんか?」ワクワク
恋「……大きい、ですね」
サヤ「はい……」シュン
恋(想像以上に大きな建物。広い庭もあって、何やら大きな犬が駆け回っている。ペットでしょうか)
サヤ「あれは恋様が飼われているチビです」
恋「チビ?」
サヤ「チビです」
恋「……飼い始めた時は小さかったんですかね?」
サヤ「そうですね。飼い始めた時は恋様より大きかったのですが、どんどん大きくなって……呼びましょうか?」
恋「え、えぇ……」ドキドキ
恋(大きすぎてちょっと怖い……とは言っちゃ駄目ですよね。チビも大事な家族なんでしょうし)
-
サヤ「おーい」
チビ「わう?」
サヤ「恋様も呼んであげてください。チビもずっと寂しそうにしてましたから」
恋「は、はい! お、おーい、チビー?」
チビ「……?」クンクン
チビ「わふっ……?」
恋(なんでしょう、この微妙な顔)
サヤ「まさかたった三日で恋様のことを忘れて……?」
恋「えぇ……?」
サヤ「もう歳も歳ですからね、ボケてても仕方ないですよ」
恋「恋ですよー? チビ、私も記憶を無くしてしまいましたけど、アナタも記憶を無くしてしまったんですね……」
チビ「わうん……」
-
あっ…
-
恋(その後もサヤさんは何とか私の記憶を戻そうと頑張ってくれました)
サヤ「ここが恋様のゲームルームです。これは攻略途中のBloodborneですね」
恋「面白いですが……何にも分からないしすぐに死にますね」カチカチ
サヤ「ここは恋様が気に入った漫画を揃えた漫画図書館です!」
恋「このタフという漫画は面白そうですね」ペラリ
サヤ「ここは私が恋様の自慰を録画する為の監視ルームです」
恋「ウ……ウソやろ!? こ……こんなことが許されていいのか」
恋(しかし、私は何も思い出すことは出来ませんでした)
恋(記憶にない家で、慣れないベッドで眠る……私は本当にここで暮らしていたことを思い出せるんでしょうか)
恋(心細さと不安を覚えながら、私は眠りにつきました)
-
ちょこちょこ狂気が垣間見える
-
声もそっくりだ、で全て察したわ
-
チビへの命令は英語では?
-
この文体とイナ川と狂気……もしかしなくてもあなたか……
-
チュンチュンナ
恋(やはり慣れない……思い出せない環境に身体は疲れていたようで、ぐっすりと眠ったせいか朝には気分良く目覚めることが出来ました)
恋「ん……」
サヤ「おはようございます、恋様」
恋「おはようございます……サヤさん」
恋(ベッド脇で既に、お湯の入った洗面器などを用意して立っていたサヤさんに顔を拭いてもらい水を飲ませてもらう)
恋(いつもこんな風にしてもらっているんでしょうか。なんだかお嬢様って感じですね)
恋(……なんだかくすぐったいというか、照れるというか)
サヤ「朝食もすぐにご用意します。昨日ご案内した食堂へお越しください」
恋「あ、はい……」
-
しゃあっ!
-
他の記憶忘れたのにタフ語録を覚えてる辺り恋ちゃんは生活の一部レベルであにまんやってたな……
-
サヤ「本日のメニューは目玉焼き、ウミガメの卵のコンソメスープ、ゆで卵、卵かけイチゴご飯、生卵、ダージリンティーでございます」
恋「は、はい。いただきます」モグモグ
サヤ「美味しいですか?」
恋「えぇ、とっても美味しいです」ニコッ
サヤ「恋様に喜んでいただけるように、お好きなものばかり用意したんです。頑張って作ったので、そう言っていただけて嬉しいです」フフッ
恋「……」キョロキョロ
サヤ「おや、恋様?」
恋「あの、私の両親……お父さんとお母さんは?」
サヤ「あ……」
-
卵かけイチゴご飯ってなんだよ…
-
サヤ「大変申し訳ありません……記憶を無くしていらっしゃるのに説明が不足していました」
恋「……?」
サヤ「恋様のお父上……ご主人様は現在、海外で暮らしております。この家には年に一度、二度しか帰って来ません」
恋「……ということは、母も?」
サヤ「いえ、恋様のお母様は……」
サヤ「既に……亡くなっております」
恋「……」
恋「……そう、ですか」
恋(顔も知らない、覚えていない母親。それでも亡くなったと知らされると……なんだか、心にどんよりとしたものが拡がりますね)
サヤ「恋様……」
恋「サヤさん、学校が終わったら……母の写真を見せてくれませんか?」
恋「何か……思い出すかもしれませんから」
サヤ「! はい! ご帰宅までに、アルバムを用意しておきます!」
恋「お願いします」
恋(サヤさんに不安な思いをさせないように、ニッコリと微笑む。本当に……早く記憶が戻ればいいのですが)
-
1レスだけでもツッコミどころが多くてどこからツッコめば良いかわからん
-
恋「では、行ってきますね」
サヤ「行ってらっしゃいませ、恋様。ご武運を」カンッカンッ
恋(へぇ……このクラスの家にもなると、火打ち石で切り火してくれるんですね)
恋(さて、登校ですが……当然道は分かりません)
恋(ですが心配ありません! 昨日スマートフォンに、こんなメッセージが入っていたからです)
かのん『恋ちゃん、学校までの道分からないかもしれないから、毎日交代で迎えに行くね!』
夏美『思い出話をしながら登校したら、きっと記憶もガチカムバックしますのー! にゃはー♡』
恋(ふふっ、私はいい友達を持っていたようですね)
恋(メッセージを見る限り恋人はいなかったようですが……高校三年生という大事な時期なんですからそんなものはいりません!)
恋(今日迎えに来てくれるのは……)
かのん「恋ちゃんおはよー!」
恋「おはようございます、かのんさん」ペコッ
-
シリアスの中に笑いどころを混ぜてくるからこっちもどう反応したらいいかわからなくなってくるんだよね
だがそれがいい
-
かのん「私の名前!? まさか記憶が戻ったの!?」
恋「まだです。スマホに入っていた皆さんとのやり取りを見て、寝る前に名前を覚えたんですよ」
かのん「そっか、びっくりしちゃったよ。じゃあ学校行こっか。案内してあげるね!」
恋「はい、お願いします」
かのん「けど記憶喪失になっても恋ちゃんは恋ちゃんだねぇ」
かのん「勉強熱心なんだから、このっこのっ」
恋「あはは……勉強熱心だったんですか、私?」
かのん「うん。Liella!の誰よりも真面目で勉強熱心で……時々空回りしちゃってたけど」アハハ
かのん「皆、そんな恋ちゃんが大好きだったんだよ?」
恋「……きっと、前の私も皆さんのことが大好きだったと思いますよ」
かのん「今は?」
恋「うーん……」
かのん「そこは大好きだって即答してよぉー」ナメラカクネクネ
-
恋「他にも聞かせてください、私ってどんな人間だったんですか?」
かのん「うーん……ラップしてって言われて俳句を詠んだり」
恋「えぇ……?」
かのん「お母さんの言葉を曲解してスクールアイドル部の立ち上げを邪魔したり」
恋「ちょ、ちょっと……?」
かのん「学校でエッチなサイト見てたり」
恋「かのんさん!?」
かのん「ゲームに狂って練習に支障をきたしたり」
恋「ど、どこが真面目で勉強熱心なんですか!?」
恋「な、なんだかウィークポイントばかりですけど……本当に私のこと大好きなんですか?」
かのん「勿論だよ。ほら、そういうのって記憶に残っちゃうから」
恋「もう……」プンスカ
-
かわちい
-
なぜ朝食にスパム・エッグが入っていない?
-
かのん「でもね、恋ちゃんが本当に真っ直ぐで優しいこと知ってるんだよ?」
かのん「今の恋ちゃんは知らないと思うけど……二年前、結ヶ丘は廃校するかもしれないって状況に陥ったんだ」
恋「えっ!? 二年前に出来たばかりなのに!?」
かのん「うん……まぁ恋ちゃんの勘違いだったんだけど」
恋「か、勘違いばかりですね私……」
かのん「でも、そんな状況になっても何とかしようと一人で足掻いて、頑張って……自分の家もどんどんお金が無くなっていったのに、学校のことを一番に考えてくれて」
恋「お嬢様だとばかり思ってましたけど意外とハードな人生送ってますね……」
かのん「でも、最後は私達を頼ってくれて。一緒にLiellaとして成長していってさ」
かのん「……本当に楽しかったんだ、恋ちゃんと一緒にやるスクールアイドル活動」
恋「かのんさん……」
-
かのん「まだホームルームまで時間あるしさ、学校行ったら一曲一緒に歌ってみない?」
恋「Liella!の曲をですか? で、でも覚えて……」
かのん「歌って踊ってるうちに思い出すかもしれないでしょ?」
恋「……確かにそうかもしれません」
恋「不束者ですが、よろしくお願いします」ペコッ
かのん「……やっぱ恋ちゃん面白いねぇ」ギュッ
恋「きゃっ!? か、かのんさん!?」
かのん「んもう可愛いなぁ!」スリスリ
恋「こんな公衆の門前で……は、恥ずかしいです」
かのん「あはは、つい可愛くて……あっ、ここ恋ちゃんが車に轢かれたとこ」
恋「え?」
-
草
-
恋(電柱が曲がって……道路に薄っすらと消しきれなかった血の跡が……)
恋(物凄い範囲広くないですか……?)
かのん「いやーびっくりしたよあの時は」
かのん「大きな車がギュワーって突っ込んできて、恋ちゃんがぽーんって飛んでって」
恋「凄い事故だったんですね……」
かのん「それで四肢が……」
かのん「……」
恋「ちょっ!? そこで止めないでくださいよ!?」
恋「ど、どうなったんですか私の四肢!?」
かのん「いやちょっと言えない」
恋「本人にも言えない状況に!?」
かのん「いやもう……うん……」
恋「よく三日で復帰出来ましたね私……」
かのん「本当にね」
恋(よっぽど腕が良かったんですね、あの西木野って医者……)
-
トラックにでも轢かれたのか
-
ブラックジャックに同じような話あったな
あれは挟まれた部分現地で切って病院で繋げた話だが
-
西木野はブラックジャックだった?
-
かのん「まぁまぁ、こうして無事に戻ってこられたんだからよかったよ」
恋「はい……」
かのん「振っちゃった私が悪いんだけど、もう事故のことは気にせずに」
「えっ、葉月生徒会長!?」
「あの状態からどうやって登校を……?」
「腕と足生えたの……!?」
恋「気にせずにはいられないざわめきが聞こえてきたんですが!?」
恋「腕と足無くなってたんですか!? 無くなってたんですね!?」
かのん「き、きっと見間違いだよぉ」ナメラカクネクネ
恋「えぇ……?」
恋(何やら不穏な種を残しながらも、無事かのんさんとの登校を終え学校に着きました)
恋(本当に、あの日の事故で私どうなったんですか……?)
-
冗談で言ってたと思ってた四肢爆散が本当の事っぽくて戦慄
-
キーンコーンカーンコーン
教師「ん、じゃあホームルーム終わり。お前ら気をつけて帰れよ」
教師「先生は今からクソみたいな量の残業だ。転職活動上手くいったら教師なんて辞めてやるからな」ペッ
恋「……」
千砂都「……恋、ちゃん?」
恋「あぁ、えっと……千砂都さん。どうしました」
千砂都「その……授業、どうだった?」
恋「はい……さっぱり分かりませんでした」
恋「そう言えば、かのんさん達はいないんですね……? 別のクラスですか?」
千砂都「かのんちゃん達は普通科だからね。私と恋ちゃんだけが音楽科」
恋「へぇ……だから音楽関係の授業が多かったんですね」
千砂都「うん……」
恋「えぇ……」
千砂都「……」
恋「……」
-
恋(……千砂都さんとは余り仲が良くなかったんですかね?)
恋(なんだか妙な気まずさがあるような……目も全然合わせてくれませんし)
千砂都「……」ギリッ
千砂都「……恋ちゃん、あのさ!」
ガラッ
マルガレーテ「帰るわよ、恋!」
恋「!?」
千砂都「っ……」
恋(び、びっくりしました……この人は昨日病室にいなかった、えっと……)
恋「マルガレーテ、さん?」
マルガレーテ「そうよ。記憶を失ったと言っても私のことはやっぱり忘れられないみたいね」
マルガレーテ「まぁ……元Liella!の最強最大のライバルだったんだもの、忘れるのは無理ってものよね!」
恋「は、はぁ」
恋(忘れてると言い辛くなりましたねこれは……)
-
謎に次ぐ謎
-
アニメ版だとちーちゃんも1年の夏頃、普通科に転籍してるんねんてw
-
恋「帰る、というのは……」
マルガレーテ「行きが分からないなら帰りも分からないでしょ? 今日の帰り道の案内は私が任されたの。店番ありあに変わってもらったんだからね」
恋「あぁ、確かに……ありがとうございます」
恋「ところで千砂都さん、さっき何か言いかけていませんでしたか?」
千砂都「……ううん、なんでもない」
マルガレーテ「千砂都のことだから丸のことでしょ?」
千砂都「私そんなに丸の話ばかりしてないよ! 丸は好きだけど!」
恋「あはは……」
-
>>44
なにっ(設定ガバ)
-
記憶喪失の恋ちゃんをサポートするために期間限定で音楽科になったのかと思った
-
構わん、続けろ
-
千砂都は普通科、ホームルーム後廊下でたまたま会った
マルガレーテは虚空のドアを開けた
で脳内補完お願いします
もしくは俺の宇宙では千砂都は音楽科で脳内補完お願いします
テクテク
恋「そう言えば……ありあさん、という方はどなたなんですか?」
恋「スマホの連絡先には登録されていませんでしたが」
マルガレーテ「あぁ、そうかもしれないわね」
マルガレーテ「ありあはかのんの妹よ」
恋「はぁ、かのんさんの」
恋(ということはかのんさんみたいな平たい胸の方なんでしょうか)
-
適当に脳補完しとくよ
-
恋「店番ということは、マルガレーテさんはそのありあさんと同じバイトを……?」
マルガレーテ「本当に何も覚えてないのね……かのんの家は喫茶店よ」
恋「喫茶店?」
マルガレーテ「そこで一緒に私も住んでるの。家賃代わりに店のことを色々手伝ってるわけ」
恋「つまり、つまりそれは……」
恋(かのんさん、ありあさん、マルガレーテさんは同棲してる……!?)
恋「禁断のセカイ!」
マルガレーテ「いやかのんとはそういう関係じゃないわよ?」
恋「そ、そうなんですか……」
マルガレーテ「というかなんで禁断のセカイは覚えてるのよ!?」
恋「スマホのブックマークの一番上に入ってて……」
-
マルガレーテ「はぁ……でも、良かったわ」
恋「?」
マルガレーテ「恋が事故に合った時本当に心配したのよ。このまま目が覚めないんじゃないかって」
マルガレーテ「あんな状態だったのに何故か手術終わって御見舞に行ったら五体満足になってたし……」
マルガレーテ「あっ、ここ恋が轢かれた現場」
恋「知ってます、朝かのんさんに教えられましたから」
マルガレーテ「それにしてもよく繋がったわね、その腕。傷跡とか無いの?」
恋「あぁ……やっぱり千切れてたんですね……」
マルガレーテ「知らなかったの?」
恋「はい……」ドヨン
マルガレーテ「ごめん……」シュン
-
マルガレーテ「事故の話はやめるわ。もっと楽しい話をしましょ、駅前のデパートでやってるビュッフェの話とか……」
恋「いえ、この際ですし聞いておきます」
恋「私は……その事故でどうなったんですか?」
マルガレーテ「……聞いても落ち込まない?」
恋「前向きに検討します」
マルガレーテ「えっと、イチゴクレープの話をしてる時だったかしら。大きな車が突っ込んできて……恋が轢かれたのよ」
マルガレーテ「それで宙を飛んだ恋は衝撃で両手両足が千切れて……」
恋「えっ?」
マルガレーテ「そこから……」
恋「ちょっと待ってください! 両足両足が吹き飛んだんですか!?」
-
マルガレーテ「……いや、確か右腕は残ってたような?」
恋「少なくとも凄まじい状況に陥ったことは分かりましたが……」
マルガレーテ「それで、地面を転がって顔が半分削られて」
恋「……」マッサオ
マルガレーテ「救急車を呼んだけど身体がビクビク痙攣してて……ずっと血が止まらなくて」
恋「……そ、それで?」
マルガレーテ「救急車で西木野病院に運ばれて……」
恋「……」ゴクリッ
マルガレーテ「手術が無事済んだ、って聞いて御見舞に行ったら今の状態だったわ」
恋「えぇ……?」
-
西木野病院さん
マジでブラックジャック?
-
恋「えっと、つまり……こういうことですか?」
恋「私は右腕以外吹き飛んだ上に地面に叩きつけられて顔が半分抉れた」
恋「しかし手術を終えて出てきた私は五体満足で顔に傷もない」
マルガレーテ「よっぽど腕が良かったのね、感謝した方がいいわ」
恋「……」
恋(いや、流石に腕が良かったというレベルじゃ済まないような……)
恋「記憶違いということは……?」
マルガレーテ「無いわね。皆見てるし」
恋「……」
マルガレーテ「でもいいじゃない、そんなこと。些細なことよ」ギュッ
恋「マルガレーテさん!?」
マルガレーテ「私は、恋とまたこうして歩きながら話が出来ることが嬉しいの。それに比べたら全部些細なことよ」
-
恋「マルガレーテさん……」
マルガレーテ「……もう二度と心配させないでよね。Liella!の皆、恋先輩のことが大好きなんだから」
恋「はい……」
マルガレーテ「ね、イチゴのクレープ食べに行かない?」
恋「イチゴクレープですか?」
マルガレーテ「恋先輩、イチゴ好きだったでしょ?」
恋「うーん……好きだったような……」
恋(朝に食べたイチゴご飯は美味しかったですが……)
マルガレーテ「ね、いいでしょ?」
恋「えぇ、そうしますか」ニコッ
-
テクテク
マルガレーテ「イチゴのクレープ二つお願い!」
「あいよっ、活きの良いの入ってるよ!」
「へいお待ちっ!」ダンッ
恋「おお、クレープ……」
マルガレーテ「何よそんな初めて見るような顔して」
恋「変な感じですね、記憶にはあるのに味が全然分からないんです」
マルガレーテ「ふぅん。食べてみたら驚くわよ?」
恋「はい。……んっ」モグッ
恋「甘くて……美味しいですね♡」
マルガレーテ「ふふっ、記憶を無くしてもやっぱり恋先輩は恋先輩ね」
マルガレーテ「美味しいものを食べた時の嬉しそうな顔……変わらないわ」
恋「そうですか?」
恋(前の私もこんな風に、美味しいものを食べたら思わず笑顔になっていたんでしょうか)
恋(記憶は無くても身体が覚えてる、ってやつなんでしょうか……)
-
マルガレーテ「いい? 今度は一緒にビュッフェに行くわよ!」
恋「はい、楽しみにしてますね」
恋(イチゴのクレープを食べながら歩いて、私はそんな約束をしてからマルガレーテさんと別れました)
恋(よし、今日分かったことを整理してみましょう)
・私は事故に合って酷い状態になった
・イチゴのクレープが好き
・学校でエッチなサイトを見たりゲームに狂ったりした
・今は健康そのもの
・Liella!の皆は葉月恋が大好き
恋「ふぅむ……」
恋(ゲームは確かに楽しいですね。昨日少しやっただけですが)
恋(エッチなサイトは恐らく禁断のセカイ……)
恋(やはり気になるのは事故の件ですね)
サヤ「お帰りなさいませ、恋様」
恋「ただいま戻りました」
サヤ「ご希望通りアルバムをリビングにご用意しておきましたが……先に食事とお風呂にしますか?」
恋「えぇ……少しサヤさんに聞きたいことがあるんですが」
サヤ「はい?」
-
恋「私は……事故にあったんですよね?」
サヤ「えぇ、そう聞いておりますが」
恋「そう……聞いている?」
サヤ「私が連絡を受けた時には既に手術が始まっていまして」
恋「酷い状態だった、と今日学校で聞いたんですが……」
サヤ「それも……かのん様達にお聞きしただけで、私は恋様の状態を確認しておりません」
恋「……そう、ですか」
サヤ「お力になれず申し訳ありません」
恋「いえ、気にしないでください。……ちょっとお風呂に入ってもいいですか?」
サヤ「はい、既に沸かしてありますので。入り方が分からないかもしれませんし、一緒に入りましょうか?」ワキワキ
恋「大丈夫です」
サヤ「そうですか」シュン
-
恋「……」ヌギッ シュルッ
恋「……」モミモミ
恋「……」クチュクチュ
恋(腕にも足にも何の傷跡もない……)
恋(そう言えば顔も抉れた、と言っていましたが……此方も傷もない)
恋(……本当に私は事故にあったんでしょうか?)
恋(しかし目撃者は大勢いたようですし……私が酷い事故にあったのは間違いない)
恋(だとしたら何故傷跡が一つも……?)
-
恋「……」ブクブク
恋(考えても考えても分かりませんね……)
恋(西木野先生がスーパードクターだった、ということで終わらせていいんでしょうか?)
恋(いいわけない。とはいえ……考える材料が何もない)
恋「……」
恋(メイさんと四季さんはどっちが攻めなんでしょうか)
恋「ああっ! 思考が止まると禁断のセカイのことを考えてしまう!」
恋「はぁ……出ましょう。考えてみれば傷跡が無いのは良いことですし……」ガラッ
サヤ「恋様……恋様……」スーハー クチュクチュ
サヤ「おや、恋様。いつもよりお早いですね……お着替えを用意しておきました」キリッ
恋「ありがとうございます」
-
狂ってるよ
-
突っ込んだら負けなんだけど色々突っ込みたいよ恋ちゃん
-
この作者……もしかして殺し屋同好会の人か?
-
恋(その後食事を終え、アルバムを捲りましたが……)
恋(やはり記憶にない女性や男性が映っている、としか思えませんでした)
恋(記憶は何も戻らない……)
恋(ベッドに寝転び、何を見るでもなくぼんやりとスマートフォンを触る)
恋「……何だか戻らない方がいい気がしてきましたね」
恋(だって事故の時の記憶があったら……)ゾッ
恋(でも皆は、私じゃなくて元の葉月恋が好きなんですから……何とか思い出さないと)
恋(……どうやったら思い出すんですかね?)
恋「……」スヤピ
-
チュンチュンナァ
恋「……んむぅ」
サヤ「おはようございます、お嬢様」
恋「ふぁ……もう朝ですか……」
恋「まだ眠いですよぉ……」zzz
サヤ「起きてください、もう既にメイ様が迎えに来ていますよ」
恋「え……メイさんが?」
恋(時計を見る。まだ朝の7時だ)
恋(……早すぎません?)
サヤ「恋様と登校するのが楽しみすぎて5時に起きた、とおっしゃっていました」
恋「お、起きます……」ガバッ
-
普通に推理ものじゃん
面白いよこういうの
-
恋「ふぁぁ……」
メイ「おはよう。眠そうだな、恋先輩」
恋「はい……昨日も同じような時間に寝たんですけど……」ウツラウツラ
メイ「どうせ夜までゲームでもしてたんだろ?」
恋「いえ、ゲームはしていませんが」
メイ「なっ!?」ピシャーン
恋(おお……背後に雷が光りましたね)
メイ「恋先輩が……ゲームをしてない!? なんで!?」
恋「今は記憶を取り戻すのに必死で……」
メイ「そんな……期末試験の前にゲームしてて留年しかけた恋先輩はどこ行ったんだよ!?」
恋「そんなことしてたんですか私!?」
メイ「テスト用紙にゲームの攻略法書いてたって噂だけど……」
恋(えぇ……?)
-
ちょっとネタに見えて引き込まれるss
作者は殺し屋同好会の人?もしかしてマルガレーテとしぶかのパパのヌけるノンケss書いた人!?
-
恋「げ、ゲームのことはいいんです!」
恋「それよりメイさんは四季さんと仲がいいんですよね?」
メイ「ん、まぁな。幼馴染なんだよ」
恋「幼馴染……。かのんさんと千砂都さんといい、そういう関係って憧れますね」
メイ「腐れ縁みたいなもんだけどな」アハハ
メイ「ただ最近忙しそうにしてて、全然遊べてないんだけどさ」
恋「そうなんですか?」
メイ「ほら、練習にもあまり……って恋先輩は記憶ないんだもんな」
メイ「少し前から……別の学校の天王寺って人と何かしててさ。ガジェット関係はよく分からないから何してるかは知らないんだけど」
恋「へぇ……」
-
メイ「これが完成すれば常識が変わる、とかなんとか言って楽しそうにしててさぁ。全く……」
恋「ふふっ、でもメイさんも楽しそうですね」
メイ「そうか?」
恋「えぇ、四季さんの話をしてるメイさんの顔、とっても楽しそうでしたよ」
メイ「それは……多分四季が楽しそうにしてたからかな」
メイ「何だかんだ言っても親友だから……やっぱり四季が楽しそうだとこっちも嬉しくなるんだよ」
恋「……ふふっ」クスッ
メイ「なんだよその優しい目は……」
恋「いえ、四季さんのことが大好きなんだなぁと思って」
メイ「なっ……べ、別にそういうわけじゃ……」
メイ「いや、友達としての好きなら別に問題ないのか……?」ブツブツ
恋(メイさんは可愛らしいですね。何と言うんでしたっけ、こういうの。ツンデレさん?)
-
メイ「わ、私のことは別にいいんだ。恋先輩の話をするぞっ!」
恋「はいはい」
メイ「とはいえ恋先輩と私の繋がりって主にゲームなんだよな。作曲中によく一緒にゲームしてたんだけど……」
恋「作曲……えっ、私作曲してたんですか!?」
メイ「してたよ。私と恋先輩がLiella!の作曲担当」
恋「へぇ……楽器の弾き方、全然分からないんですが……」
メイ「記憶が戻ればすぐに弾けるようになるよ。もしくは……弾いてみたら案外弾けるんじゃないか? 身体が覚えてて」
恋「そうですかね?」
メイ「よし、試しに学校着いたらピアノを……」
-
テクテク
恋「……」ゴクリ
ピアノ「……」
メイ「……」
恋「ふぅ……」スッ
ピアノ「ぎゃららごらぼぎゃー」ボガォォ
メイ「……」
恋「……」
恋「弾けてますかね?」
メイ「いや全然」
-
恋「あの……楽譜の読み方もどこを押せばどの音が出るかも全く思い出せないんですが……」
メイ「が、楽器が無くても作曲は出来るから……」
メイ「鼻歌でも私が楽譜に直すから……一回やってみて」
恋「はい!」
恋「ん……ふふーふふふーぎゃおー」
恋「ほぎゃーふふーみぎゃおー」
メイ「ふん、ふん……ほう。なるほどね?」
メイ「貴様本当に恋先輩か?」
恋「そこまでですか!?」
-
メイ「あっ、いやごめん……恋先輩も記憶失って混乱してるんだもんな」
メイ「けどなんか……なんだろう、このメロディ……」
メイ「本当に何もない空っぽな……」
メイ「……」
恋「メイさん?」
メイ「うん、多分勘違いだ。恋先輩は恋先輩だもんな」
恋「は、はい? 私は私ですが……」
メイ「……恋先輩の記憶が戻るように私も頑張ってみるよ」
恋「えぇ、よろしくお願いします」ペコッ
メイ「……」
メイ「あぁそうだ、そういえば私と恋先輩は毎日禁断のセカイごっこをやるのが日課だった」
恋「はい?」
-
メイ「いやー日課だもんな。しょうがないもんなぁ」
恋「ちょ、ちょっと待ってください。記憶が無くてもそれが嘘って事くらいは分かりますよ!?」
恋「そ、それに禁断のセカイは恋人同士がやることでは……」
メイ「記憶を失う前の恋先輩と私は恋人だった気がする!」
恋「無理がありますって! ちょっと待……メイさ……」
恋(このあとホームルームのチャイムが鳴るまで無茶苦茶禁断のセカイしました)
-
そこを詳しく
-
おい…おい!
-
>>77
おい、頼むよ!
-
キーンコーンカーンコーン
恋「……」
可可「レンレーン、一緒に帰るデスー」ポンッ
恋「はひっ、私はメイ様の雌奴隷ですっ♡」ジュンッ
恋「おや、可可さんでしたか」
可可「雌奴隷!? 我詳細所望!?」
恋「気にしないでください……」
可可「むー……皆レンレンと仲良くなっててずるいデス!」
恋「一緒に登校したり帰ったりしてるだけですけどね」
-
テクテク
可可「それで、ククはスバラシイコエノヒトと出会って……」
恋「ほうほう……」
可可「チョコ渡るシミを飲んで……」
恋「ふむ……」
可可「こうしてLiella!は誕生しマシタ!」
恋「なるほど、最初はかのんさんと可可さんの二人だけだったんですね」
可可「そこにしゅみれが入ってきたデス。しゅみれもレンレンも最初は敵だったデスけど……」
恋「覚えてないですがすいません……」シュン
可可「あわわっ、落ち込まなくても無問題デス!」
恋(可可さんは優しい方ですね。本当にスクールアイドルが好きみたいですし……こうして話していると心が安らぎます)
-
恋「クーカーの頃の曲は残ってないんですか? 聞いてみたいんですが」
可可「うーん……多分Ltubeを探せば残ってる筈デス」
可可「埋もれていてもシッキーに探してもらえばきっと出てくると思いマス。そういうの詳しいデスし」
恋「四季さん……」
恋「けど、朝にメイさんから聞きましたが……今は忙しいのでは?」
恋「確か天王寺さんという方と組んで何かをしてるんですよね? 私もよく知りませんが……可可さんは何をしてるか知ってますか?」
可可「知らない」
恋「……えっ?」
可可「可可は何も知らないデス。シッキーが何をしてるかなんて」
可可「レンレンも気にしなくていいデス」
恋「は、はぁ……」
-
恋(……気のせいでしょうか?)
恋(一瞬、顔が強張ったような……)
可可「あ、あはは……ガジェットのことはよく分からないデスからね!」
恋「そ、そうですよね! あはは……」
恋(気のせい、ですよね)
可可「別の楽しいこと話しマショウ。最近、イナ川が新しい動画を……」
恋「ほうほう……っうわ!?」ステンッ
恋(いたた……躓いてしまいました。膝から血が……)
恋(少し恥ずかしいですね)クスッ
可可「レンレン!? 大丈夫ですか!?」バッ
恋「は、はい?」
-
可可「痛くないデスか!? 傷は……あぁ、血が出てマス!」オロオロ
可可「消毒液とバンソーコーを……」
恋「そこまでしなくても大丈夫ですよ、このくらい」
恋「ちょっと転んだだけですから」
恋(大袈裟ですねえ。そんなに血相変えて……)
可可「駄目デス! 大事な身体なんデスから!」
恋「は、はぁ……」
可可「ここからならレンレンの家が一番近い……手を繋いで行きマスよ!」
恋「は、恥ずかしいですよ! そこまでしなくても……」
可可「だーめーデースー!」
恋「はい……」
恋(こんなに私の身体を気遣ってくれるなんて……病み上がりだから変な心配をかけてしまったんでしょうか)
-
テクテク ガチャッ
サヤ「お帰りなさいませ……おや、可可様?」
可可「消毒液とバンソーコーお願いしマス! 帰りに転んじゃったデスよ!」
サヤ「まあ! すぐにお持ちいたします!」ダッ
恋(ただ転んだだけなのに……)
恋(でもちょっと嬉しいですね。本当に私のことを大事に思ってくれてるってことですし)
サヤ「お持ちしました!」バッ
可可「レンレン……痛くないデスか?」チョンチョン
恋「えぇ、少し染みますが……大丈夫ですよ」
-
サヤ「恋様の美しいおみ足に傷が……」サメザメ
可可「気を付けなきゃいけないデスよ。レンレンの大事な身体なんデスから」
可可「もし傷が残ったら……」
恋「すぐに治りますって」クスッ
可可「これからは転ばないように気を付けてくだサイ」
恋「はーい」
サヤ「後でお風呂から上がったら消毒液を塗り直しましょう。脱衣所に控えておりますので……」
恋「やめてください」
恋(身体に傷を付けないよう気を付けて、と何度も何度も念を押して可可さんは帰っていきました)
恋(折角西木野先生に治してもらったのに、すぐに傷を付けては申し訳ないですもんね。気を付けないと……)
-
恋「ふぅ……」
恋(お風呂から上がり、消毒液を塗り直してもらって)
恋(私はベッドにごろりと寝転びました)
恋「今日分かったことは……」
・女性同士は気持ちいい
恋「……」
恋(頭の中が全部これで塗りつぶされてしまいましたね)
恋(可可さんからLiella!の成り立ちとか色々聞いたのに……)
-
恋「……」モゾモゾ
恋「って私は何をやってるんですか、はしたない! 記憶も戻っていないというのに……」
恋(……そういえば、四季さんのあれちょっと気になりますね)
恋(天王寺さん? と何かしていたとか……ええと、連絡帳……)
恋(天王寺璃奈。私達と同じスクールアイドル……この人ですかね?)
恋「検索……っと」ポチポチ
-
『天王寺璃奈』
天王寺研究所所属
スクールアイドルの傍ら、機械開発とバイオ医療の分野で活躍する若き研究者。
恋「おぉ……確かに機械開発と書いてますね」
恋「私より歳下の十六歳で研究者……こんな凄い人と一緒に開発なんて何を……?」
恋「……」
恋「まぁ、私には関係ないことですね……四季さんとの共同研究の情報も出てきませんし」
恋「寝ますか……すやぴ」zzz
-
追いついた
続きが気になる
-
>>77
えっちしたのか……俺以外のヤツと…
-
チュンナチュンナ
恋「……ん、ふぁ」
サヤ「おはようございます、恋様。本日は顔色がよろしいですね」
恋「おはようございます……たっぷり寝ましたから……ふぁぁ」
恋「今日の朝ごはんは……」
サヤ「イチゴご飯に納豆と生卵をかけたものと栄養ドリンクです」
恋「高校生にあるまじき朝食」
サヤ「さ、お顔を拭きますよ……」ゴシゴシ
恋「んぶぅ……」フキフキ
-
恋(今日は……四季さんですか。毎日皆さん迎えに来てくれていますが、三日目となると流石に道も覚えてしまいましたね)
四季「おはよう、体調はどう?」
恋「おはようございます、ばっちりですよ」
四季「そう」
恋(無表情にそう言って、歩きながら四季さんは鞄からクリップボードを取り出しました)
四季「いくつか質問してもいい?」
恋「はぁ、構いませんが……」
-
赤ちゃん
-
恋(記憶を目覚めさせる質問でもしてくれるんでしょうか?)
四季「目覚めてから今日まで、身体に異常は無い?」
恋「特に異常はありませんが……」
四季「夜はよく眠れる?」
恋「眠れたり眠れなかったりですね」
四季「味覚は問題ない?」
恋「納豆卵かけイチゴご飯が美味しかったです」
四季「頭か舌かどっちの異常か判断が別れる……」
四季「何か変な物が見えたり、変な声を聞いたりは?」
恋「してません。ただたまにサヤさんの部屋から喘ぎ声が聞こえます」
四季「なるほど……」
恋「あの……これ、何の質問なんですか?」
-
四季「ん……?」
恋「いえ、先程から何だか……問診票や健康診断のような質問が多いもので」
四季「別に。あなたの身体を心配してるだけ」
四季「恋先輩の大事な身体なんだから」
恋「昨日の可可さんといい、皆さん私の身体を大事に思ってくれているんですね……」ホロリ
四季「当たり前のことだから」
恋「そう言えば……四季さん、今は忙しいのでは?」
恋「天王寺さんと組んで何かしているとかメイさんが言っていましたが……私の為に時間を割いてもらってすみません」
四季「あぁ……そのこと」
四季「それなら、もう開発は終わっている。今は最終調整の実験中」
恋「そうなんですか?」
四季「そう。後は問題がないか確認するだけ」
-
恋「へぇ……問題なければいいですね」
四季「特に問題は無さそう。受け答えもはっきりしている」
恋「ところでどんな……開発ということは機械ですよね? どんな機械か聞いても……?」
四季「それは言えない」
恋「むー……」
四季「むくれても駄目。世間に発表するまでは、家族にも秘密にしなければいけない契約だから」
四季「言える範囲なら……医療系の機械、ということくらいかな」
恋「医療系?」
四季「発表された瞬間から医療の常識がひっくり返るような、そんな凄い発明」
恋「四季さんは凄いですね、私より歳下なのにそんな凄い実験に関わって……」
四季「やめて、照れる」
-
恋「けど……そんな凄い機械の開発なんて、お金がたくさん必要だったのでは……?」
四季「そうだね。璃奈先輩が過去に作った物を改良しただけだけど……結構お金はかかった」
四季「まぁすぐにスポンサーがついたから、資金面は何とかなったけど」
恋「スポンサーですか?」
四季「不動産会社をやってる女社長なんだけど。中々話の分かる人だったよ」
恋(常識を覆すような医療系の機械……四季さんの言っていることが本当なら、お金を出したい人はいそうですもんね)
恋「じゃあ……開発が終わったお祝いにビュッフェに行きませんか?」
四季「ビュッフェ?」
恋「えぇ、マルガレーテさんから日曜にビュッフェに行こうって誘われてまして」
恋「私の快気祝い、とのことですが四季さんのお祝いも兼ねて皆で……メイさんも四季さんと最近遊べないって寂しがってましたし」
恋「どうですか?」
四季「日曜……」
-
恋「えぇ。もしかして既に用事が?」
四季「いや、何もないけど……」
四季「……」
恋「四季さん?」
四季「……うん、分かった。皆でビュッフェに行こう」
四季「私も恋さんと話したいし」
恋「嬉しいこと言ってくれますね。頭を撫でてあげましょう」ヨシヨシ
四季「やめて、甘えたくなる」
恋「楽しみですね……ふふっ♡」
四季「そんなに?」
恋「えぇ、ビュッフェに行くなんて初めてですから。……あ、記憶が無くなってからの話ですよ?」
恋「記憶が無い私にも皆さん優しくしてくれて、友達でいようとしてくれて……そんな皆で仲良くご飯を食べる。楽しみに決まってますよ」
四季「そう」
四季「……そう」
-
恋「……?」
恋(四季さんは一瞬、困ったような、微妙な表情を見せました)
恋(気のせいかと思うほどに一瞬……けれど、それはすぐに元の無表情な顔に戻って)
四季「大丈夫、すぐに記憶は戻るから」
恋「そうだといいんですけどね」
四季「うん……心配しないで。恋さんの記憶は、絶対に戻ってくるから」
恋「はい」クスッ
恋(そこからはとりとめのない、メイさんがイク時のモノマネや部室できな子さんと夏美さんがキスをしていたなんて雑談をしながら登校しました)
恋(メッセージを見ただけだと取っ付きづらい印象がありましたが……四季さんも優しい方ですね)
-
色々と気になるな楽しみ
-
──────────
ᶘイ^⇁^ナ川 かわいいイナ川ちゃんです
/, / シコってもいいんですよ
(ぃ9 |
/ /、
/ ∧_二つ
/ /
/ jΣミイ˶? ᴗ?˶リ
/ /~\ \
/ / > )
/ ノ / /
/ / . / ./
/ ./ ( ヽ、
( _) \__つ
──────
-
キーンコーンカーンコーン
恋「ふぅ……」
恋(今日で三日目だというのにさっぱり授業についていけません……)
恋(やはり記憶が戻らないとどうにも……)
冬毬「恋先輩、溜息なんて吐いてどうしましたか?」
恋「ああ、えっと……冬毬さん。いえ、授業についていけなくて……」
冬毬「恋先輩は記憶をロストしています。授業内容が分からなくても仕方ないかと。体力を残す為に眠っていてもいいかもしれません」
恋「それはそうですが……記憶が戻った際に困るのは私なので、ノートだけはしっかり取ろうかと」
冬毬「恋先輩は真面目ですね。そういう人、好きですよ」ニコッ
-
テクテク
恋「冬毬さんはまだLiella!に入ったばかりなんですよね?」
冬毬「はい。元々はかのん先輩とマルガレーテと共にスクールアイドルをやっていました」
冬毬「なので……恋先輩との思い出があまり無いんです。記憶を取り戻すお手伝いはあまり出来そうにありません」シュン
恋「これから思い出を作るところだったんですね」
恋「それなら……冬毬さんのことを教えてくれませんか?」
冬毬「私のことですか?」
恋「はい。……もし記憶が戻らなくても、また皆さんと友達になれるように、少しずつでも皆さんのことを知りたいと思いまして」
冬毬「……記憶はいつか必ず戻りますよ。悲観的な考えはアグリーしかねます。しかねますが……」
冬毬「恋さん、少し時間をいただいてもいいですか?」
恋「はい?」
冬毬「デートをしましょう」
-
>>103はCM?
-
恋「で、デート!?」
冬毬「はい、私のことを知ってもらうにはデートをするのが一番です」
冬毬「ASAPで行きましょう、恋先輩」
恋(いきなりデートなんて……ま、まさか冬毬さんもメイさんと同じ禁断のセカイの住人……!?)
冬毬『恋先輩の花弁……可憐でとてもアグリーですよ』
恋(破廉恥な……!)
冬毬「恋先輩?」
恋「や、優しくしてくださいね……」ポッ
冬毬「? はい」
-
テクテク
恋「……」ドキドキ
冬毬「恋先輩、あれが見えますか?」
恋「あれ?」
イーシヤーキイモー
恋「えっと……焼き芋屋さんですかね?」
冬毬「はい、ちょっと待っててください」タッ
恋「あっ、冬毬さん!?」
恋(そんな……焼き芋なんて高度なプレイを……)
冬毬「二人分買ってきました。アツアツのうちに食べてください」
恋「えっ!? あ、お金……」
冬毬「デートは誘った方がマニーを払うのが常識、と姉者が言っていました。気にしないでください」
恋「ありがとうございます……」
恋(なんだか……格好いいですね。歳下なのに、落ち着いていてリードしてくれて……)
冬毬「私、焼き芋が大好きなんです」
恋「焼き芋が?」
-
冬毬「えぇ、甘くて美味しくて……特にこの焼き芋屋さんはこの辺りでも一番ですよ。はむっ……」
冬毬「ほふ、ほふ……」モグモグ
恋「……」ジーッ
冬毬「冷めまふよ?」
恋「は、はい! あむっ……」
恋「っ! 甘くて美味しいです!」
冬毬「ですよね」ニコッ
冬毬「マルガレーテと一緒に食べた時のことを思い出します。普段は一人で食べているので」
恋(二人でベンチに座りながら、温かい焼き芋を食べる)
冬毬「恋先輩はクラゲはお好きですか?」
恋「クラゲ……あの透明でぶよぶよしてるやつですよね? 可愛らしい見た目だと思いますが」
冬毬「! そうなんです、クラゲは本当に可愛いんです!」
-
──────
冬毬「それで姉者が……あっ」
冬毬「申し訳ありません、もう牛久に帰らなくては……」ショボン
恋「もうそんな時間ですか。遅くまで引き止めてしまってすいません」
冬毬「いえ、恋先輩とお話出来て本当に楽しかったので……」
冬毬「もっと話していたかったです」
恋「あはは……学校でも、電話でもいつでも話せますよ。では、駅まで送っていきましょう」
冬毬「ありがとうございます」
恋(そうして駅まで冬毬さんを見送って)
恋「こうしてただお話をするというのもいいものですね……ん?」
恋「あれは……かのんさん達?」
恋(四人で集まって駅に……? まさか私以外の四人で遊びに……?)
-
すみれ「それにしてもねぇ……」
恋(こっちに来る……)|彡サッ
恋(思わず隠れてしまいました……別に皆さんで遊んでいても文句なんて言える立場ではありませんが)
恋(なんだかしょんぼりしてしまいます……)
⌠t(cイ´A`Y しょんぼりれんちゃんです
すみれ「やっぱり私はアレ、気持ち悪いったら気持ち悪いわ」
かのん「えー、そう?」
すみれ「恋の為とはいえ……」
-
可可「でもいい子デスよー?」
すみれ「それは分かるんだけど……なまじ恋と同じなだけに何とも言えない不気味さがあるのよ」
千砂都「……」
かのん「土曜日までの辛抱でしょ?」
恋(なんの話をしているんでしょうか……? 土曜日までの辛抱?)
千砂都「あのさ、皆。やっぱりこんなこと……」
すみれ「……何よ今更」
千砂都「だって……間違ってるよ。記憶は消されちゃうんでしょ?」
かのん「四季ちゃんはそう言ってたけど……」
恋(記憶が……消される?)
-
千砂都「今の恋ちゃんだって、皆と笑ったり、仲良くしようとしたりしてるじゃん」
千砂都「それを……」
すみれ「あれは恋じゃない。千砂都も分かってるでしょ?」
恋(……恋じゃない? 私の話……?)
恋(今の恋……?)
可可「それに、レンレンをあのままにしておくのは駄目デス! 可哀想デスよ」
千砂都「それは……」
かのん「あーもう、だから感情移入しちゃ駄目って言われたのに」
すみれ「千砂都が優しいのは分かるわよ? でも、最初から決まってたことじゃない」
すみれ「今更どうこう言っても始まらないわよ。それとも恋を見捨てる?」
-
千砂都「そんなことは言ってないでしょ!? ただ……ただ、他に方法があるんじゃないかって」
可可「ないデスよー」
かのん「四季ちゃんと璃奈ちゃんもそう言ってたじゃん」
かのん「現代医学で恋ちゃんを治すのは不可能だって」
かのん「千切れた足も、顔も元には戻らないって」
恋(……? 何を、言って……)
恋(私は、こうして……五体満足で……)
千砂都「けど……!」
すみれ「いい加減にして。あれはただの……」
すみれ「恋の為の器。クローンに過ぎないんだから」
-
恋「な……っ?」
かのん「ん?」
恋(っ!? 思わず声が……)
可可「どしたデスかかのんー?」
かのん「今、恋ちゃんの声が聞こえたような……」
すみれ「こんなところに来てるわけないでしょ?」
かのん「……うん、それもそっか。ちぃちゃんも割り切ろうよ、ね? 仕方ないことなんだから」
千砂都「……」
恋(行きましたか……でも、クローン?)
恋(私が……クローン?)
-
恋「そんなわけ……ない、ですよ……」
恋「だって、私は生きて……こうして立って……」
記憶は?
恋「っ……! き、記憶は……今は戻っていないだけで……」
そもそも記憶なんて無かったとしたら?
恋「そんなわけが……そんな……」
楽器も弾けなかった。音感も無かった。
恋「……私は」
初めて感じる物ばかりだった。初めて食べる物ばかりだった。
恋「……」
それは、私が愚かなレプリカに過ぎなかったから。
事故に合った葉月恋の為の器に過ぎなかったから。
-
エグいて😭
-
恋「う……」
恋「うぅぅぅぅぅ……」ポロポロ
転んだ時に、可可が身体を気遣ったのも当たり前。
この身体は恋の物なのだから。
恋「うぅぅぅぅ!!」ポロポロ
そもそもおかしかったんだ。
なんで西木野病院に運ばれたの?
事故現場からあんなに遠い病院に、なんで運ばれたの?
恋「ぁ……あぁ……」ポロポロ
四季と璃奈の実験材料にされる為。
バイオ医療研究の髄。常識が覆るような……クローン実験の為。
恋「私は……ただのクローンで……」
恋「今、私が感じているものは……全部……全部……」
恋「……消える?」
-
恋(バタバタと、此方に向かって走ってくる音が聞こえる)
かのん「四季ちゃんの探知機がこの駅指してたって……!」
すみれ「どうするのよ!? さっきの話聞かれてたら!?」
可可「逃げられたら最悪デス!」
恋(隠れている私に気付かずに、かのんさん達が通り過ぎていく)
恋(……探している。私を。何のために?)
恋(気付かれたら。私が気付いたことに気付かれたら)
恋(私は……どうなる?)
千砂都「……恋ちゃん」
恋「ひっ!?」
-
可哀想すぎるだろ……鬱展開…
-
千砂都「……これ」
恋(怯える私に手を伸ばし、千砂都さんは私の耳の後ろから丸い小さな塊をすっと抜き取りました)
恋(それを足で押しつぶして……)
千砂都「これで発信機は大丈夫……あのさ、恋ちゃん」
千砂都「逃げよ?」
恋(……え?)
恋「……ち、千砂都さんは。私がクローンだって知ってる……んですよね?」
千砂都「……やっぱ聞いてたよね。うん、知ってる」
千砂都「その上でさ、提案。とりあえず……逃げられるところまで逃げない?」
-
─────
恋(電車が静かに揺れている。どこに向かうのかは知らない)
恋(多分、目の前の千砂都さんも知らないのだろうと思う。適当に切符を買って飛び込んだのだから)
千砂都「……四季ちゃんと璃奈ちゃんのしてた研究ってのは、もうお察しの通りクローンを生み出す研究だったんだよね」
千砂都「元々は璃奈ちゃんがゲーム用に作っていたミニクローン製造機を四季ちゃんが改造して……それに出資したのが小原」
千砂都「そして、最終実験を行う施設に選ばれたのが西木野病院だったわけ」
千砂都「最初は四季ちゃんか璃奈ちゃんのクローンを作って経過を観察する……筈だったんだけど」
恋「そこで……私が事故に合ったんですね?」
千砂都「そういうこと」
千砂都「顔が抉れて四肢は損壊。これを完全に治すには……」
千砂都「クローンを作って、そこに記憶を入れ直した方が早い。それで恋ちゃんのクローンが作られたんだ」
-
恋「……」
千砂都「とはいえクローン体に何が起こるかは分からない」
千砂都「すぐに死んじゃったり身体に異常が出ているかもしれない」
恋「だから……一度解放して、学校に通わせたんですか」
恋「クローンの身体に何も起こらないか。普通に過ごせるかを……観察する為に」
恋「……」
千砂都「これだけは言っておくけど、一年生と、四季ちゃん以外の二年生は何も知らないよ」
千砂都「皆、ただ恋ちゃんが記憶を失ったと思ってるだけ。事故の傷は無事治ったんだって、そう解釈してる」
恋「三年生の皆さんは……知ってたんですよね」
恋「知ってて……ああして振る舞ってたんですよね?」
千砂都「うん……ごめん」
-
恋「私の記憶が……消えるというのは?」
千砂都「何も問題がない、と判明したら土曜日に……西木野病院で記憶を移動させる予定だったんだよ」
千砂都「クローン恋ちゃんの身体に、今も病院で意識不明のまま眠っている恋ちゃんの記憶を入れる」
千砂都「けど……それは、パソコンで言うなら上書き保存みたいなもので……」
恋「……今の私は、消えるんですね」
千砂都「……うん」
恋「……」
恋「私がこのまま逃げたら、どうなりますか?」
千砂都「……多分、新しいクローンを作ると思う。その身体に恋ちゃんの記憶を入れて……」
千砂都「……例え逃げきっても、あなたは恋じゃなくなる。記憶のない、名前もない……そんな人間になる」
恋「……そう、ですか」
-
prrr
千砂都「……四季ちゃんだ」
千砂都「……」
恋「……」コクッ
ピッ
四季『千砂都先輩!? そっちにクローンがいるなら、すぐに連れ戻して!』
千砂都「……四季ちゃん」
四季『想定以上に恋先輩の容態が悪い、今から新しいクローンを作っている時間はない! すぐにでも記憶を移動しないと……!!』
千砂都「……っ!」
恋「……」
四季『千砂都先輩が発信機を壊した事は分かってる! クローンに寄り添おうとしていたことも……でも、本当にもう時間が』ピッ
千砂都「……」
千砂都「は……ぁ……」ポロポロ
恋「……千砂都さん」
-
千砂都「どうしたら……いいんだろうね」
千砂都「ごめんね、恋ちゃん……私、分かんないや……」ポロポロ
恋「千砂都さん……」
千砂都「今の恋ちゃんにもいなくなってほしくないのに」
千砂都「恋ちゃんにも死んでほしくない……我儘だよね、エゴだよね……」ポロポロ
恋「……」
恋(楽しかった)
恋(本当に……目覚めてからの日々は楽しかった)
恋(たった三日だけれど、色んな人と話して、美味しいものをたくさん食べて)
-
ちぃちゃん…😭
-
恋(きっと、もっともっと楽しいことが世界にはたくさんある)
恋(でも……それでも)
恋「……戻りましょう、千砂都さん」
千砂都「ぇ……」
恋「皆さんと話していて分かったんです」
恋「サヤさんも、Liella!の皆さんも……本当に大好きなのは、私じゃないんです」
恋「今の私じゃなくて……元の葉月恋なんです」
千砂都「でも、今戻ったら……」
恋「……私は人の手で作り出された存在です。本来ならばただ、記憶を入れられるだけの器だった」
恋「こうして話すことが出来て、食べることが出来て……」
恋「あなたに涙を流してもらえた。それだけで十分なんです」ポロポロ
-
─────
四季「早く! 準備はしてある!」
かのん「ごめん、私達があんなこと話したから……」
四季「謝罪は後で! 璃奈先輩、設定を……」
璃奈「私の方が歳下。先輩はやめて」
四季「研究者として先輩だから……ってそんなこと言ってる場合じゃない!」
恋「……」
千砂都「……ごめんね、恋ちゃん」ポロポロ
恋「……」
恋「……ありがとうございました、千砂都さん」ニコッ
-
四季「……設定完了。今から記憶の移動を始める」
恋「……」
恋(これが終われば、そこに私はもういない)
恋(……それでいいんです。私は初めから存在しない人間だったのだから)
ウィィィィン
恋(皆のもとに、記憶のある葉月恋が戻ってきてハッピーエンド)
恋(皆さん、喜ぶでしょうね……)
ウィィィィン
恋(あぁ、でも。でも──)
行きたかったなぁ。日曜日のビュッフェ。
皆と笑いあって、楽しくご飯を食べて。
……行きたかったなぁ。
-
─────
恋「ん……あ、あれ……?」
かのん「恋ちゃん……」
恋「私、確か車に……あ、あれ?」
かのん「恋ちゃーん!」ギュッ
可可「レンレン! 記憶が戻ったんデスね!」ギュッ
恋「きゃっ!? な、なにがどうなってるんですか!?」
すみれ「恋、あんた事故に合って記憶を失ってたのよ」
恋「記憶を……?」
すみれ「そ。無事に記憶が戻ってよかったわ」
かのん「四季ちゃん達のお陰だよぉ」ナメラカクネクネ
恋「それはご迷惑をおかけしました……」
-
千砂都「恋ちゃん……記憶が無かった時のことは、何も覚えてない?」
恋「えっと……すいません。車が此方に向かってきたところまでは覚えているのですが」
恋「その後は全く……」
千砂都「そっか……」
千砂都「そっかぁ……」ポロポロ
かのん「ちぃちゃん泣いちゃ駄目だよ、折角恋ちゃんが戻ってきたってのにさ」
恋「ま、まさか私、記憶を失った状態で何か問題でも……?」
可可「いい子だったデスよー?」
千砂都「うん……本当に、本当に……」
千砂都「優しい子だったよ……」ポロポロ
-
その後、四季と璃奈が共同開発したクローン製造機は医療の革命とメディアに発表されたのだが……。
倫理的な問題から余り評価は得られず、一部の金持ちが使用するだけに留まった。一般的な実用化にはまだ長い年月がかかりそうだ。
恋「……」
そのニュースを見て恋が何を思ったかは知らない。
しかし、自分がクローンの身体だなんて、言われなければ一生気付くことはないだろう。
マルガレーテ「恋先輩、約束してたビュッフェ行くわよ!」
恋「えっ、そんな約束してたんですか!? ゲームをする予定だったんですが……」
マルガレーテ「いいから早く行きましょ。楽しみにしてたんだから!」
だから、ゲームの予定を諦めて渋々行くビュッフェに。
心から行きたがっていた存在がいたことも。
きっと、恋は知らない。
終わり
-
巻いて展開変えたけど最初の予定より胸糞度と鬱度がかなり低くなってよかった
読んでいただきありがとうございました
-
乙
まさかオリジナルがまだ生きてるとは思わなかった
-
クローン恋ちゃんの救いは無いんですか😭
-
乙
この作者に心を壊されるのは何度目だろうか
-
胸糞度低くてこれかぁ
乙だけどクローン恋ちゃん…
-
上書きする前にPCに保存しておいてAI恋として生きる道はないんか……
-
切ない
乙
-
>>134
乙!
読んでてソラとロクサスが頭に浮かんだ
読んでて引き込まれたのでまたこういうLiella!鬱展開ss書いてください!
-
乙やで
先輩呼びだったりさん呼びだったり色々設定あるんだろうなって思いながら読んでたわ
-
上書き恋ちゃんも厳密には恋ちゃんじゃないよな
-
クローン恋ちゃん😭😭😭
ちぃちゃん以外の3年がちょっとイラッと来ちゃったけど自分も所詮クローンっは本人と違うって思ったらそういう反応になってしまうのかな…
-
呼称でクローンと恋を呼びわけてるキャラもいる設定を入れようとしたんや
しゃあけど……残念ながら呼称ガバもあるわ!
-
面白い。引き込まれるなあ
-
乙
救いがないのがなんとも辛い話すぎる
記憶の上書き保存ってのがなんとなくスーパーダンガンロンパ2のラストを思い出したけど、アレと違って自分から未来を選ぶための消滅じゃないのが辛い
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これで胸糞度低くなったとかマジ…?
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これで下げた方ってことは、もしかして本来のプロットだと他の4人が無理矢理連れ戻しに来る感じか……?
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消えたくないって泣き叫びながら無理矢理実験室へ…って感じかも
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7 Days to End with Youを思い出した
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