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彼方「彼方ちゃんの贅沢めし」
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彼方「彼方ちゃんの節約めし」
の続編です
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近江家
ピピピ
遥「んっ、もう朝かぁ……うー、寒い!」
遥「暖房のタイマー短く設定しすぎだよ……節約だから仕方ないかぁ」ムクッ
遥「おはよ、お姉ちゃん……?」ゴシゴシ
遥「……いない。もう起きているんだ」
遥「朝ごはん作ってるのかな?よいしょ」スタッ
彼方「お゛お゛お゛お゛お゛〜!」
遥「お姉ちゃん!?」ダッ
ドタドタ
バタン
遥「どうしたの!?」
彼方「は、遥ちゃん……見て……」ピラッ
一万円札
遥「えっ、なんで一万円が!?」
彼方「お母さんがこんなメモを残していったんだぁ……!」
遥「メモ見せて!!」バッ
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かな、はるへ
今夜も遅くなります
今日のご飯はこのお金をつかってね!!
行ってきます。
♡母♡
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遥「えーっ!本当!?」
遥「いつも千円なのに!?今日は一万円!すごい!」
彼方「きょ、今日は大雪でも降りそうだぜ……!」ガタガタ
遥「もうっ、薄着のままで台所にいるから!はい、上着」
彼方「遥ちゃんありがとぉ〜」バサッ
遥「お母さん手当でも出たのかなー?」
彼方「きっとそうだよぉ……ありがたや、ありがたや……」オガミ
遥「渋沢様に感謝だね!」
彼方「今日はどっちもオフだから、贅沢な晩ご飯にしようねぇ」
遥「やったぁ!」
彼方「そうと決まれば……遥ちゃん、その前に歯磨きと洗顔してきて」
遥「はーい!」タッタッ
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楽しみ
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寒空の団地
ビュー
彼方「くぅ〜潮風が身にしみるぅ……」ブルッ
遥「今日の晩ご飯たのしみ〜♪」ルンルン
彼方「まだ朝だよぉ、遥ちゃん」
遥「だって一万円だよ!」エヘヘ
彼方「ふふっ……久しぶりに外で食べようかぁ?」
遥「ううん」フルフル
遥「せっかくお姉ちゃんもオフだから、おうちでお姉ちゃんとゆっくり過ごしたい!」
彼方「遥ちゃん……!」ジーン
遥「わっ!どうしたのお姉ちゃん!?急に泣き出して」
彼方「ちょっと目にゴミが入っちゃったんだぜ……」
遥「大丈夫?」
彼方「うん……じゃあ、おうちで待っててね。放課後にいい食材を買ってくるよぉ」
遥「やったぁ!じゃあ家でね」フリフリ
彼方「じゃあねぇ〜」フリフリ
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期待
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昼休みの同好会室
彼方「ふふっ……」ニヤニヤ
果林「あら彼方、ずいぶんご機嫌じゃない?」
彼方「えっ、そう見えるかなぁ……」
エマ「とっても見えるよ〜何かいいことあったの?」
彼方「まぁねぇ〜どんなごちそうを作ろうか考えてたんだぁ」
果林「誰かの誕生日?」
彼方「ぶぶー、違うよぉ。何でもない日におめでとうって感じ」フフッ
エマ「いいねそれ!自分にご褒美あげたい日ってあるよね、果林ちゃん」
果林「そうね。撮影が上手くいって、ちょっとお給料が多いときとか、ね?」
彼方「うんうん」
エマ「ごちそうなにつくるの〜?」
彼方「そこで迷ってるんだぁ……ふたりならどうする〜?」
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果林「私は島寿司ね。地元の人がやっているお店にお邪魔するわ」
果林「マグロにサワラの握り……カラシをきかせたらとっても美味しいのよ」
彼方「マグロのお寿司いいねぇ」
エマ「私はラクレットチーズ!とくにデュバレーのがいいな」
エマ「ミルクの香りに包まれて、アツアツの溶けたチーズをジャガイモにトローッと……」
彼方「うぅ……またお腹すいてきちゃうよ〜」
果林「さっき食べたばっかりでしょう?」
彼方「マグロにトローッとしたごちそう……うん、とっておきの豪華な鍋にしよう。ふぁ」
彼方「安心したらすやぴしたくなってきたぜ……おやすみぃ」
ボフッ
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エマ「寝ちゃったね……」
果林「でも鍋って唐突ね。でも、こんな寒い季節だとやりたくなるわ」
果林「島では家族とその日にとれた魚で海鮮鍋をしたわ。あったかくて美味しかった……」
果林「……寮に入ってから食べる機会がなくなっちゃったけどね」
エマ「やろうよ、鍋!」
果林「え?」
エマ「ここでミアちゃんとランジュちゃんを誘って!」
果林「エマ……あなた前、ここでクサヤを焼いて栞子に怒られたこと忘れたの?」
エマ「でも……やってみたい!寮のみんなと囲んで楽しくご飯が食べたいよぉ……だめ?」ウルウル
果林「……」
果林「しょうがないわね。今度はバレないようにしましょう。できるだけくさくないもので、ね?」ウフッ
エマ「やったぁ!」
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近江家
ガチャ
彼方「ただいまぁ〜」
遥「お姉ちゃんお帰り!」タッタッ
遥「荷物、持つね」
彼方「おぉ、かたじけない」スッ
遥「買い物してきたんだ。言ってくれれば一緒に行ったのに……」
彼方「大丈夫だよ〜」
ドサッ
彼方「さーて、晩ご飯の準備しますかぁ……!」
遥「お姉ちゃん、なにつくるの?」
彼方「今日は江戸時代からあるとっても贅沢なお鍋──」
彼方「──ねぎま鍋だよぉ」
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くさやの人か
期待
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遥「ねぎま鍋……?ねぎまってあの焼き鳥の?」
彼方「チッチッチ、違うんだな遥ちゃん」
ゴソゴソ
彼方「ねぎまはねぎまでも……」
彼方「太いねぎと、マグロのほう!」スッ
遥「これ……大トロと中トロの切り身……!」
彼方「お刺身用に薄く切られているものじゃなくて、サクだよぉ」
キラキラ
遥「きれいなピンク色……テカテカ光ってる……!」
遥「すごい!すごいよお姉ちゃん!こんなのテレビでしか見たことない!」
遥「トロは安い回転寿司の粉っぽいネギトロしか食べたことないよね、お姉ちゃん」
彼方「ついに今日、ホンモノが食べられるんだぜぇ……」フンス
遥「感激だよぉ……!」ウルウル
彼方「そうと決まれば〜さっそく作ろう!」
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腹減ってきた
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うまそうなんだぜ
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お母さんがお札間違えただけ説
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くさやの人だったのか……
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彼方「まずは遥ちゃん、鍋を用意して」
遥「うん!」スッ
彼方「鍋に水、昆布を入れたらフタをして30分置いておこう」カポッ
彼方「次は野菜の仕込みだねぇ。遥ちゃん、セリを水洗いして」
遥「わかった!」ジャブジャブ
遥「うー!お水冷たぁい……!」
彼方「ご苦労さんだよ〜」
彼方「ねぎは深谷ねぎの身が詰まった立派なやつを買ってきたんだぜ……」
彼方「そのねぎの白と緑の境目の部分を、食べやすいサイズに切っていく」スッ
遥「そこって大事なの?」
彼方「そうだよぉ……新鮮だと、ここが甘味とぬめりがたくさんあって美味しいんだぁ」
遥「へえー!」
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彼方「そして白い部分も同じようにカット〜」
ザクッザクッ
彼方「切ったねぎは火にかけたフライパンに入れて、軽く焼き目がつくまで焼いちゃうよ」
ジュー
彼方「これでよし」スッ
彼方「はい、野菜の仕込みはこれでおわり〜」
遥「あれ?ずいぶんシンプルだね」
彼方「そうだよ〜この料理はシンプルで最高に贅沢なお鍋なんだぁ」
遥「出来上がりが楽しみ!」
彼方「さぁ〜て、次はお待ちかねのトロだぁ……」
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ピタッ
遥「まな板にのせたトロ、とってもキラキラしてる!」
彼方「そのトロを贅沢に包丁で」スッ
サクッ
彼方「厚さ3センチ、どんどん切っちゃうぞぉ……!」
遥「こ、こんな分厚く……罪深い、罪深いよ、お姉ちゃん!」
彼方「ふっふっふ、この厚さがねぎま鍋を美味しくするヒケツなんだ〜」
彼方「残った端っこは、ぶつ切りにして〜お刺身にしちゃおう!」
遥「やったー!」
-
彼方「次はねぎま鍋の出汁をつくるよぉ」カチッ
ボッ
彼方「鍋を火にかけて、小さな泡が出たら昆布をすぐに抜き取る」スッ
遥「あれ?まだ沸騰してないよ?」
彼方「それでいいんだよ〜沸騰しちゃうと昆布のにおいが臭みに変わっちゃうんだ」
彼方「だから泡が出始める70度くらいですぐに取り除くの」
遥「ふーん」
彼方「この出汁を土鍋に入れたら、酒としょう油を入れる」
トポポ
彼方「味付けは江戸っ子みてぇにしょう油の味が若干強めでぇい」
遥「べらぼうめ、だね!」
彼方「これで出汁の準備は完了〜!遥ちゃん、カセットコンロの用意はできてるかなー?」
遥「うん!テーブルに置いたよ」
彼方「じゃあ土鍋をコンロにうつして……点火ぁ……!」カチッ
-
ボッ
彼方「土鍋を火にかけて沸騰するまでのあいだ……」
彼方「遥ちゃん、ぶつ切りにしたトロを食べて待とう!」
遥「やったあ!アツアツの炊き立てご飯と一緒に食べようね!」パカ
ホカホカ
彼方「お待たせ。ぶつ切りトロだよぉ……わさびしょう油で食べてねぇ」
遥「いただきまーす」パクッ
彼方「いただきます」パクッ
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遥「……」モグモグ
彼方「……」モグモグ
かなはる「……」ゴクン
遥「……もうひときれ」ヒョイ
彼方「彼方ちゃんも」ヒョイ
パクッ
遥「……」モグモグ
彼方「……」モグモグ
かなはる「……」ゴクン
遥「もうひとっ……はっ!?」
彼方「?」
-
遥「美味しすぎてつい夢中で食べちゃったよー!」
彼方「ふふ、彼方ちゃんも人生初の本物のトロに夢中だったぜ……」
彼方「口の中でトロッと身がとろけて美味しいねぇ」
遥「幸せだぁ〜!」
彼方「全部食べたら、トロの脂がたっぷり入ったしょう油皿のしょう油をご飯にかけて〜」スッ
彼方「わさびしょう油丼にして食べよう……!」
遥「やったぁ!一度で二度美味しいね、お姉ちゃん!」
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ゴポポ
遥「あ、沸騰してきたよ」
彼方「おっ、じゃあフタをとって……」カポッ
モワァ
遥「うーん、お出汁のいい香りがする!」
彼方「まずはねぎを全部いれて」ポトト
彼方「3分くらい煮込む」
グツグツ
彼方「少し煮えてきたら、セリをいれて……お待ちかねの〜」
彼方「マグロを半分、いれちゃうぞぉ〜」スッ
トプン
遥「ピンクの身が真っ白になったね」
彼方「しっかり中まで火を通すよ……その方がとっても美味しいんだぁ」
彼方「鍋底に沈んだマグロが浮いてきたら食べごろだよ」
遥「まだかなー、まだかなー」ソワソワ
彼方「待ってる間にちょっと準備しておくねー」スクッ
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プカー
遥「お姉ちゃん!お姉ちゃん!マグロ浮いてきた!」
彼方「どれどれ……」スタスタ
彼方「うん、できてるね」
遥「わぁい!」
彼方「遥ちゃんのよそってあげるねぇ〜」
遥「ありがとう!」
彼方「取り皿にマグロ、ねぎ、セリを入れてー、アツアツのお出汁をかけたら……」
彼方「はい、遥ちゃん。ねぎま鍋の完成だよぉ〜」スッ
ホカホカ
遥「美味しそー」
彼方「とっても熱いから気を付けてねぇ〜」
彼方「それじゃ彼方ちゃんも失礼して……」ヒョイヒョイ
かなはる「いただきまーす!」
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遥「まずはマグロからっ!」
遥「ふーっ、ふーっ……あむっ……」モグモグ
遥「おいしーい!」
遥「火を通すとトロの身が固くなってると思ってたけど、身がほろっと崩れてて」
彼方「脂があってジューシー、だね」
彼方「ねぎとせりも食べてみてね。あと、軽く一味を振ってみるとピリ辛で美味しいよ〜」スッ
遥「うん……あ、クタクタになったねぎとマグロを一緒に、ねぎまで」パクッ
モグモグ
遥「ふふっ、幸せだぁ〜」ニヘラ
彼方「遥ちゃんが幸せそうで良かったよぉ〜」
彼方「シメはそばだよ〜たっぷりあるからいっぱいおかわりしてねぇ」
遥「うん!」
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かなはる「ごちそうさまでした!」
彼方「ふー食べた食べたぁ……」
遥「美味しかったねー」
彼方「お出汁しみしみのおそば、何回おかわりしたか忘れちゃったぜ」
遥「私も〜あ、ところでお姉ちゃん」
彼方「なーに?遥ちゃん」
遥「江戸時代のひとってこんな贅沢なお鍋食べてたんだね」
彼方「違うよー、むしろいちばん安い食材だったんだ」
遥「え!?でもトロって……」
彼方「昔は赤身が一番美味しいといわれてたんだぁ、脂が多いトロはすぐ腐っちゃうから捨てるか激安で売られていたの」
遥「へえー」
彼方「だからねぎま鍋って江戸庶民の料理だったんだけど、今はトロの価値が見直されて高級食材になっちゃったんだぁ」
遥「そうなんだ。ふふっ、庶民の鍋料理が数百年後には高級お鍋になってるって、江戸っ子が知ったらビックリするかもね」
彼方「そうだねぇ〜」
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ピロン
彼方「あ、メッセージきた……」スタスタ
彼方「お母さんからだぁ、なになに──」
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かなへ
朝、テーブルにおいたお金
間違って一万円を置いてしまいました!
ごめんなさい…
10日分を先に渡したということで、やりくりお願いします。
♡母♡
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彼方「……」プルプル
遥「お母さんなんて?」
彼方「……遥ちゃん」
遥「ん?」
彼方「明日から9日間、素パスタで過ごそうねぇ……」ウルウル
おわり
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草
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ノレcイ´^ω^) 12月から深谷ねぎのシーズンだよぉ〜
ノレcイ´=ω=) トロは刺身でもいいけど、ねぎま鍋にしても十分美味しいんだぁ…
ノレcイ´=ω=) どうしてもトロが手に入らないときは、筋の多い赤身のオチやマグロのあばら肉でもいいよ〜
ノレcイ´^ω^) しっかり火を通すとホロホロになって出汁の味と一体化して美味しいんだぁ
jΣミイ˶^ᴗ^˶リ これと熱燗でキューっとやるのが最高なんです💙
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乙
鍋食いたくなってきた
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乙
もしかして、居酒屋彼方ちゃんの人?
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乙
彼方ちゃん可哀想かわいい
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乙
やっぱりそういうオチか……頑張れ近江姉妹、寂しそうに落ち込んでれば誰かが助けてくれるはずだ
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近江姉妹⋯⋯欲望の解放のさせ方が上手⋯⋯!
深谷ネギはカルソッツが至高だ⋯⋯!
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>>35
そうです。
今は荒らしが来ないか様子見です
需要があればまた立てたいです
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>>38
カルソッツ…初めて知りました
スペイン風ネギ焼き…美味しそうです
料理の世界は深いですね
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>>39
需要しかないからまたたててくれ
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>>39
居酒屋彼方ちゃんは平日夜のオアシスなんだよ
何卒頼む!
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面白かった
やはり鍋はいいな
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お金ないキャラ見るのつらい😢
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草
オチ予想してすまん
面白かった!
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可愛くて美味しそうで素晴らしいSS!
読んでてお腹グーグーなった乙でした
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近江姉妹かわいいねえ
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